約 841,877 件
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/14789.html
SAO/S51-039 カード名:大歓声の中 ユナ カテゴリ:キャラ 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《ネット》・《音楽》 【自】[あなたのストックの上から1枚をクロック置場に置く] このカードが舞台から控え室に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、あなたは自分のクロックを1枚選び、手札に戻し、自分の山札の上から1枚を、クロック置場に置く。 あー、楽しかったー… レアリティ:C 劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-収録 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 《オーグマー》開発者 重村 1/1 500/1/1 緑 対応カード
https://w.atwiki.jp/jewelry_maiden/pages/638.html
「ただいまー」 日曜日。用事をすませて家に帰る。もう昼ごはんの時間はとっくに過ぎてるかな。 ……と、ここでいつもならあるはずの鶏冠石の返事がない。 「……鶏冠石~」 反応なし。少し嫌な予感が頭をよぎり、速足でリビングに向かう。 「鶏冠石!」 ――そこにはソファーで座りながら、すやすやと寝息をたてる傍若無人お嬢様が。 「まったく……春眠暁を覚えず、か。まだ春じゃないと思うけどな」 いつものお返しに、髪にペンを挿したり鼻つまんだり顔に落書きしてやろうかと思ったけど……。 「今回は俺も横で寝ちゃうのが一番の仕返しになるかな」 冬にしては少し暖かい休日のひとときは夢の中。 夢の中で出会えたなら、それはきっととびっきり。 木洩れ日のララバイでおやすみバイバイ。 「う……さむ……」 う、ん……何時間くらい眠ってたんだ? 八時……半? 「しまった、寝過ごしたな……鶏冠石~、起きろ風邪ひくぞー」 「ん、さむ……さむい……」 「わぁ鶏冠石! そんなくっつくなって!!」 「ん~……」 「い、イケナイヨ! ボクたちそんな……!」 「うー……ん? きゃあ!」 「ほっ、起きたか鶏冠――」 「ななななんてことをしますのあなたはッ!! 眠っている乙女にいかがわしいことをするなんて!!」 「は? ちょ、ま――」 「問題無用です!!」 この季節の気温と乙女の気分は変わりやすい。 幸せな時間は儚くとも儚くとも。 辛い時間があるからこその幸せです。
https://w.atwiki.jp/codeofjoker/pages/3398.html
Ver. 2.2EX カードNo. 2-2-127 種類 トリガー レアリティ C 名称 全ては夢の中 属性 無 CP 0 アビリティ 対戦相手のユニットがフィールドに出た時、そのユニットを手札に戻す。対戦相手のCPを+3する。 フレーバーテキスト 宝くじを当てた、恋人ができた、最高の原稿を書き上げた……夢から覚めた時、現実を現実と受け止めた時、ひどく虚しく悲しくなる。どうせなら現実も夢であれば良いのに。 トリガーボイス んぁっ!わしの原稿は!?
https://w.atwiki.jp/kojirou5/pages/20.html
05.黃一色の中に imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 写真5. 題名 黄一色の中に (自評)全く偶然でした。小学校に入ったかなと思われる女の子が、菜の花畑を走り回っていました。見下ろす高い位置からシャッターを切りました。写真の右下に菜の花がない部分があるのが、悔やまれます。 この写真は、私が千葉県船橋市主催の写真展に応募した唯一の写真です。特別賞の対象にもなりませんでしたが、展示してくれました。また終わってから写真雑誌の編集部からこの写真を雑誌に載せませんかという電話をうけました。もちろん自己負担でです。もちろん断りました。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/1908.html
(投稿者 Cet) 歩いていた。 暗闇の中を歩いていた。 いつのまにか、空気が些かの湿り気を帯び始めた。風の吹く音に混じって、葉擦れの音が響き始めた。埃っぽい砂のようなにおいが植物の香りへと変わっていった。それでも私は歩いていた。森の中の道を歩いていたのだ。グレートウォール戦線の渇いた土壌とは違う柔らかで肥沃な土を踏んでいた。歩いていた。 夜だった。足元は見えないのにどうしてなのか道があることは分かった。歩いていた。 やがて、目の前に微かな灯りを見た。それは、月の光だった。道の先にはぽっかりと開けた小さな広場があって、切り株が一つあった。座ってくれと言わんばかりに。 私は少しばかり傾斜の掛かった道を歩いた。そして、その広場に辿り着く。その足取りは、どうやら随分長い道のりを歩いた後のように、疲弊したものであるようだった。自分としては現実感のようなものをほとんど感じていなかったけれど。そして、腰かけるまでもなく膝をついた。 こんなところにまで来てしまった、と思う。 ここはきっと、心の中にある、心から一番遠い土地なのだと思う。 ひどくのどが渇いていた。 空を見ようとしても、首が曲がらなかった。どうしても上を向くことができなかった。寒いな、と思った。周囲には常緑樹がこんなにもたくさんあるのに? 自問するけれど、答えを考えることができない。 どうにかして空を見ようと思う。震える手で身体を支えて、そしてゆっくりと顔を上げることができた。少女の足先が見えた。少女が目の前に立っている。ゆっくりと顔を上げていく。白い靴を履いていて、水色のワンピースの裾が見えた。顔を上げる。 金髪碧眼の少女だ。私を見ていた。何やら違和感を感じるが、その違和感はゆっくりと明確になっていった。少女の容姿が自分と瓜二つであるということだった。 「やあ」 こちらからから先に声を掛ける。少女はぼんやりとした調子でこちらを眺めていた。暫くの沈黙が過ぎた後で、少女はやおら腰を折って、こちらに手を差し伸べた。 私は一呼吸置かずしてそれを掴んだ。すっと腰が上がった。 見つめ合っていた。 多分双方が同じ疑問を抱えていた。何故? しかし、少女は破顔した。少女の疑問は早々にして破れたようだった。 少女は再び手を差し出した。私はそれを握る。そして、少女は歩き出した。 広場には二つの道が繋がっていた。私がやってきた道と、少女がやってきた道だ。少女は自分のやってきた道を、私と共に戻り始めた。 風の音がする、やわらかい草と土の匂いがした。さく、さく、と爪先が地面に触れて音を立てた。少しばかり歩いて、少女は立ち止まった。辺りを見回した後で、こちらを振り返って見つめる。再び笑顔を浮かべると、私に歩くように促した。歩き始める。 そのまま歩いていく。 「君は誰?」私は聞いた。 「分かってるでしょ」 「それはそうだが」 土を踏みしめる音が続く。変わり映えのしない道のりだ。 私は、森の中に閉じ込められた暗闇を見つめようとした。しかしいずれのシルエットも私の目に映ることはない。 やがて、正面に再び光が見えるようになる。森が少しだけ開けていて、そこに木造りの小屋があった。その家の窓から、黄色がかった光が漏れていたのだ。 無言の内の同意が交され、そして小屋の前に二人で立った。ノックなどを経ることなくノブを捻り、扉を開けた。内開きの戸から中に入る。私が遅れて中に入ると、少女は私と繋いでいた手を離した。あごに手をやりながら内装を見回して、ふむ、と呟く。ガスコンロ、小さめの冷蔵庫、キッチン。そして大きな机が部屋の中心を占領していた。机の周りにはちいさなスツールが幾つか置かれてある。 「お誂えむけってところね」 少女は一言呟いて、まず冷蔵庫の方へと向かう。扉を開けて中を確認する。私は何もしないでその場に立っていた。少女が扉を閉める。こちらに視線を遣る。 「チーズ、パン、牛乳、野菜は置いてないみたい」 「そうか」 私は頷いた。 「ここは少し寒いね」 少女は呟く。そして、そっと自分の肩を抱いた。 「こっちではちょっと前まで夏だったの」 「そうか、こちらは一月で、どちらかと言えば寒冷な土地にいたものだから、少しばかり居心地の良さを感じるよ」 「それはよかった。でも私はそうじゃないから、ミルクでも温めて飲むね。 貴方は?」 そういえば、ひどく空腹を抱えていた。そして、今更ながら異様な喉の渇きをもよおしているということに気付いた。細く長い息が静かに喉から漏れ出てきた。 「頂きたい、あと、パンを貰えるとうれしい」 「わかった」 そう答えて、少女は冷蔵庫からビッチャーに入ったミルクと、透明な袋に包まれたエテルネ風のパンを取り出す。彼女はそれを水道の方にまで持っていき、そして適当な場所に置いた。キッチンを色々と探って、皿やコップの類を見つける、あとはフライパンと包丁を見つけてきていた。 彼女がミルクを注いだフライパンをガスコンロに載せて、火を点けると、青色く燃焼したガスがちらちらと舞った。ミルクを温める間に、彼女はパンを包丁で二つに切り分けた。私は食卓に腰かけて、少女を眺めていた。少女はフライパンの上のミルクに目を遣っている。 ひどく喉が渇いていた。私は少女を見ていた。 やがてそれらのものがテーブルに運ばれてくる。 白いコップに注がれた温かいミルクと、半分になったエテルネのパン。 これ以上ないほどシンプルな食卓だった。もとより椅子に座っていた私の隣に、机の角を共有するような形で、少女は腰かける。 「ごめんなさい、料理とかやったことなくて」 「いや、そもそも食材が足りないんだ。何にせよありがとう」 少女は少し首を傾げるようにして微笑んだ。 冷蔵庫の冷気によって少しだけ固くなっているパンを齧る。コップの中のミルクに唇を付けた。温かい。 温かかった。 「これからは、好きな時に自分で出して食べるよ」 私はそう言っていた。 私の言葉に、少女は少なからず困惑した表情を見せる。 「これから?」 これから、その言葉になんの問題があるのだろうか。 私は少女の表情を見つめながらに一通り反省してみるが、しかしその言葉の 手触りに、私は違和感を見出すことができなかった。 「これからは、これからさ」 私がそう言うも、少女は黙ってこちらを見つめていた。
https://w.atwiki.jp/daemon/pages/23.html
色箱(赤、黄、緑)と魔力の込められたカード帖の中身について 「古い赤色の箱」、「古い緑色の箱」、「古い黄色の箱」、「魔力が込められたカード帖」の中身は下記。 (青箱、紫箱は通常外の重要アイテムのみ記入、プレゼントBOX、古いカード帖は要点のみ) 古い赤色の箱(確率=左の数値/5055) 400 古い赤色の箱 50 シザーズソード 50 エクスキャリバー 50 テイルフィング 50 ジュエルソード 50 ガイアソード 50 刺身包丁 50 ホーリーアヴェンジャー 50 フランベルジェ 50 ツヴァイハンダー 50 クレイモア 50 シュバイチェルサーベル 50 エクスキューショナー 50 ドラゴンスレイヤー 50 テグリョン 50 バイオレットフィアー 50 グロリアスクレイモア 50 ウィーダーナイフ 50 ゼニーナイフ 50 プリンセスナイフ 50 ホーリーダガー 50 裏切り者 50 冷たい氷柱のカタール 50 尖っているいばらのカタール 50 爆炎のカタール 50 疾風のカタール 50 グロリアスブラッディロア 50 グロリアスジャマダハル 50 クリーヴァー 50 オーキッシュアックス 50 グロリアスクリーヴァー 50 スローター 50 グロリアスツーハンドアックス 50 テュングレティー 50 グングニール 50 グロリアススピア 50 トライデント 50 ビルギザルム 50 妖怪の槍 50 ゲイボルグ 50 ゼピュロス 50 グロリアスランス 50 スラッシュ 50 スタナー 50 スパイク 50 ゴールデンメイス 50 グランドクロス 50 グロリアスモーニングスター 50 荒れ狂う波の書 50 裂けた大地の書 50 燃える太陽の書 50 乾いてる風の書 50 グロリアスタブレット 50 グロリアス黙示録 50 サバイバルロッド(DEX) 50 サバイバルロッド(INT) 50 グロリアスアークワンド 50 グロリアス治癒の杖 50 盗賊の弓 50 吟遊詩人の弓 50 ハンターボウ 50 バリスタ 50 グロリアスハンターボウ 50 ナックルダスター 50 フィスト 50 カイザーナックル 50 ベルセルク 50 グロリアスクロー 50 グロリアスフィスト 50 エレキギター 50 琵琶 50 グロリアスギター 50 ライン 50 ワイヤー 50 テイル 50 ラプチャーローズ 50 グロリアスラリエット 50 グロリアスウィザードスタッフ 50 ポイズンナイフ 50 ソードブレイカー 50 メイルブレイカー 50 グロリアスダマスカス 50 ラクマ 50 グロリアスハンドガン 50 インフェルノ 50 グロリアスライフル 50 グロリアスガトリングガン 50 グロリアスショットガン 50 グロリアスグレネードガン 50 グロリアス風魔手裏剣 50 グロリアスフランベルジェ 50 グロリアスレイピア 50 グロリアスホーリーアヴェンジャー 50 フリストの剣 5 GvGコイン 古い緑色の箱(確率=左の数値/2945) 400 古い緑色の箱 50 メモライズブック 50 神の使者 50 トイシールド 50 シャピニハ海の叫び 50 エベシ嵐のうねり 50 クレイトス大地の裂け目 50 恩寵の法衣 50 天使のドレス 50 忍者スーツ 50 グロリアススーツ 50 グロリアス量産型スーツ 50 グロリアス普及用スーツ 50 ウサギスリッパ 50 ハイヒール 50 黒革のブーツ 50 グロリアスシューズ 50 グロリアス量産型シューズ 50 グロリアス普及用シューズ 50 トレーニングシューズ 50 スケルトンマント 50 ランニングシャツ 50 昔の領主のマント 50 グロリアスマフラー 50 彷徨う者の羽織 40 ネックレス[1] 50 アニバーサリーリング 50 カプラリング 50 おしゃれヒップバッグ 50 月光の指輪 50 命中のガントレット 50 スカーフベルト 50 退魔の指輪 50 名射手のグローブ 50 骸骨の指輪 50 コンチネンタルガードの印章 50 ルーン文字の呪文石 50 死のブローチ 50 ボディーピアス 50 アンクレット 50 グロリアスリング 50 グロリアス量産型リング 50 グロリアス普及用リング 50 シャーマンリング 50 シャーマンイヤリング 50 ダークナイトベルト 50 ダークナイトグローブ 50 アウドムラの恩恵 50 知恵の王の指輪 50 クイールペンリング 50 スプリントメイル 50 RWC2009ネックレス 5 GvGコイン 古い黄色の箱(確率=左の数値/9916) 1000 オシリス人形 1000 バフォメット人形 2000 サル人形 2000 タヌキ人形 2000 バッタ人形 1800 チョンチョン人形 100 古い黄色の箱 5 サングラス(S) 5 グラス(S) 5 GvGコイン 1 ロードカホの角 魔力が込められたカード帖(確率=左の数値/7910) 2500 魔力が込められたカード帖 1000 オシリスカード 100 オーラバフォメットカード 100 オーラドッペルゲンガーカード 100 オーラミストレスカード 100 オーラ黄金蟲カード 100 オーラオークヒーローカード 100 オーラドレイクカード 100 オーラマヤーカード 100 オーラエドガカード 100 オーラ月夜花カード 100 オーラファラオカード 100 オーラフリオニカード 100 オーラオークロードカード 100 オーラストームナイトカード 100 オーラハティーカード 100 オーラダークロードカード 100 オーラタートルジェネラルカード 100 オーラロードオブデスカード 100 オーラドラキュラカード 100 オーライベントバフォメットカード 100 オーラ黒蛇王カード 100 オーラ怨霊武士カード 100 オーラポリンカード 100 オーラアモンラーカード 100 オーラタオグンカカード 100 オーラRSX-0806カード 100 オーラペクソジンカード 100 オーラセシル=ディモン(MVP)カード 100 オーラカトリーヌ=ケイロン(MVP)カード 100 オーライグニゼム=セニア(MVP)カード 100 オーラヴェスパーカード 100 オーラレディータニーカード 100 オーラ魔剣士タナトスの思念体カード 100 オーラデータルザウルスカード 100 オーラキエル-D-01カード 100 オーラランドグリスカード 100 オーラグルームアンダーナイトカード 100 オーラクトルラナックスカード 100 オーラアトロスカード 100 オーライフリートカード 100 オーラ堕ちた大神官ヒバムカード 100 オーラヴェルゼブブカード 100 オーラゴピニクカード 100 オーラクブリンカード 25 オーラオシリスカード 25 GvGコイン 10 オーラセイレン=ウィンザー(MVP)カード 10 オーラエレメス=ガイル(MVP)カード 10 オーラハワード=アルトアイゼン(MVP)カード 10 オーラマーガレッタ=ソリン(MVP)カード 1 オーラ魔王モロクカード 1 オーラニーズヘッグの影カード 1 オーラボイタタカード 1 オーラ女王スカラバカード 1 オーラバロールカード 1 オーラ死眼手カード 1 オーラロボッツカード 1 オーラダークファミリアカード 1 オーララハルカード 1 オーラマーメイドカード 1 オーラ月光仙女カード 1 オーラネフティスカード 1 オーラオブサカード 1 オーラピアメットカード 1 オーラサンタガールカード 1 オーラシーサーペントカード 1 オーラシャインカード 1 オーラ奏でる者カード 1 オーラサルトカード 1 オーラ黄龍カード 古く青い箱(確率=左の数値/9274) 100 古い黄色の箱 100 古い赤色の箱 100 古い緑色の箱 1 GvGコイン 他長すぎるので割愛 古い紫色の箱(確率=左の数値/9678) 100 古い黄色の箱 100 古い赤色の箱 100 古い緑色の箱 2 GvGコイン 他長すぎるので割愛 古いC帖 デビルリングCが出ない以外は恐らく通常と同じ。確率に偏りも無い。 プレゼントボックス オリジナルのアイテム等は出ない模様。赤、黄、緑箱やGVGコインもでないようです。
https://w.atwiki.jp/lozeo/pages/20.html
704 :298 ◆JuT3jsxZbo :2006/07/11(火) 15 03 19 ID FCGYAna+ Next episode preview. ある時、ふと彼女が言った。 「もし、私がいなくなったら―――ハセヲはどうする?」 「何だよ、それ」 その時は笑い飛ばす事が出来たが、今思うと―――彼女は予期していたのかもしれない。 「………なんて夢だよ」 痛みが引き、流れる血が止まっても、傷跡が消える事はない。 傷跡の疼きを抱いたまま、俺は、今日も目を覚ました。 彼女は、もういない。 たった一人で、眠り続けている。 俺を、この世界に残して。 「日吉、日吉です。元住吉にお越しのお客様は、お乗換えです……」 志乃がいなくなっても―――俺は生きている。 その限り、月と太陽は巡り、現実は続く―――世界は、変わらない。 「何で俺に話しかけて来るんだ?」 「うーんと……かっこいいから!」 「はぁ?」 「趣味ねぇ……ちょっと前まで、ネットゲームやってたけど」 「もしかして、The World?」 「何でわかった?」 傷跡をなぞるような、邂逅。 リアルとネット、遠くて近い二つの世界。 「志乃さんは……どうしたの?」 「志乃は……もういない。色々……あったんだよ」 「………そっか。そう、だったんだ……」 「ね、ハセヲ」 そう言ってタビーは、顔を僅かに突き出し、目を閉じた。 言葉にしなくても、彼女が何を望んでいるかはわかった。 そして多分、自分が後戻りできなくなったことも。 その口付けは、訣別か、逃避か。恋か、情欲か。 自分自身にもわからない。 答えは、夏の風だけが知っている―――そんな気がした。 .hack//Apocrypha EPISODE2 Halfboiled Devil A part summer wind only knows, weekly serialization start up 7/18. 755 :夏の風の中で 1:2006/07/19(水) 01 15 29 ID XoHSGbxx 「ねえ、ハセヲ」 何? 「言ってみただけ。何でもない」 そう言って、志乃が笑った。 ファンタジックな遺跡を望む周囲の風景と彼女の桃色の髪から、ここがTHE WORLDだという事がわかった。 「なんだか、楽しいね」 唐突に言ったその言葉に、ハセヲは無言で頷いた。 今思えば、志乃と一緒にいるのはいつだって楽しかった。 陽光の中で彼女が伸びをし、その拍子に背中から伸びた飾り布が揺れた。 付き合うようになった日から、彼女はPCを服を黒に変えていた。 ハセヲは以前の白い衣装の方が似合っている気がして好きだったが、結局それを言い出す事は出来なかった。 「やあ」 突然、男の声がする。 いつインしたのか、オーヴァンが立っていた。 どうしたんだ? 「二人にお祝いを言おうと思ってね。これは、プレゼントだ」 そう言って、オーヴァンは観葉植物の鉢を取り出した。 幸福の樹、ドラセナ・マッサンゲアナ。 志乃が以前、旅団の@HOMEに置いていた物だ。 俺には何もないのかよ。 「ふっ、拗ねるな。ちゃんと用意してあるよ」 拗ねるハセヲを鼻で笑って、オーヴァンは懐から巨大な鎌を取り出した。 どうでもいいが、彼の姿は国民的キッズアニメに登場するネコ型ロボットに泣きつく役割の少年に似ている。 ―――俺、錬装士(マルチウェポン)なんだけど。 「3rdフォームになれば使えるだろう?」 それだけ言って、オーヴァンはハセヲに大鎌を押し付けた。 アイテムはしっかりカスタマイズと錬成が施された立派なものだったが、どうも嬉しくない。 もしかしてこの人は、俺と志乃が付き合いだしたのが嫌なのだろうか。 「強くなれ、ハセヲ」 そんなハセヲの邪推を無視して、オーヴァンは何時もの言葉を口にした。 悔しいが、彼のそんな言葉はハセヲの心を奮い立たせる。 「そうだよ。私の男なんだから、せめてLV133ぐらいにはなってもらわないとね」 満面の笑みで鉢を眺めていた志乃が、茶々を入れる。 わかったよ、強くなってやるよ。 あんた達のためにも、そして、俺自身のためにも。 オーヴァンが、薄く口元を歪めた。 サングラス越しに覗く瞳は、意外に優しい。 同時に志乃が、満足げに笑う。 その笑顔が本当に素敵で、ハセヲは世界の全てを許せてしまいそうな気がした。 756 :夏の風の中で 2:2006/07/19(水) 01 16 12 ID XoHSGbxx hack//Apocrypha EPISODE2 Halfboiled Devil A part summer wind only knows―――夏の風の中で 2006,Puck PRESENTS. 757 :夏の風の中で 3:2006/07/19(水) 01 19 57 ID XoHSGbxx 目が覚めた。 耳元ではアラームの無粋な電子音が、眠りの終わりを告げている。 まだ重いまぶたを擦りながら体を起こすと、 あの日から開くことの少なくなったカーテンの隙間から差し込む朝日が目を刺した。 夏用の薄い布団を払いベッドから起き出し、ハセヲは部屋のドアを開いた。 洗面所で顔を洗ってから食堂に行くと、 両親は既に出勤したらしくラップをかけられた朝食がテーブルの上に置かれていた。 電子レンジで暖めなおすのも面倒なので冷たいまま白米と味噌汁、 そして骨と皮を残して鮭を片付け、冷蔵庫から取り出した梅ジュースを飲み干す。 手早く朝食を終えると、ハセヲは部屋に戻って制服に着替えた。 廊下からまっすぐ玄関をくぐり抜け庭に出ると、光が溢れる。 蝉の声が聞こえる夏の景色は、去年と同じで悲しいぐらいに明るかった。 758 :夏の風の中で 4:2006/07/19(水) 01 23 07 ID XoHSGbxx 車輪から伝わる振動が、吊り革に支えられた体を揺らす。 仄かに湿った冷房の風を受けながら、ハセヲは今朝の夢を振り返った。 別に内容自体はたいしたものではない。 知り合いが出てきて、無駄話をしただけだ。 問題なのは、その知り合い。 志乃、そしてオーヴァン。 自分にとって掛け値なしに大切だといえる、そしてもう会えない――二人の夢。 彼らと出会ったのは、三ヶ月前。 気まぐれに始めたネットゲームの中でだった。 騙された挙句PKという最悪の状況から救ってくれた、オーヴァン。 その時彼が呟いた言葉は、今でも忘れられない。 「Welcome to The World―――」 そして、その後また襲われた時に場を収めてくれたのが志乃だった。 間にエンダーとか言う口と態度と性格の悪い女と出会ったのも妙に印象的だったが、まあ、これはどうでもいい。 まったく、「あんたなんか、PKする価値もない」だと? きっとリアルでは仕事中毒でスーツばかり着ていて、 飼い猫とドライブするぐらいしか休日の過ごし方を知らない惨めなオバサンに違いない。 759 :夏の風の中で 5:2006/07/19(水) 01 25 48 ID XoHSGbxx 意識が逸れた。 最初の頃、志乃の存在はあまり大きなものではなかった。 多くのPCがハセヲに接触してきたが、 それは全てオーヴァンによるものであり、ハセヲ自身もオーヴァンの事で頭がいっぱいだった。 何故かオーヴァンの隣にいる、静かで少し説教くさい、空気みたいな女。 ただ、それだけだった。 それが変わったのは、オーヴァンが姿を消してからだった。 オーヴァンが消え、旅団が解散した事でThe Worldをプレイする理由を失いかけていたハセヲを、 志乃は頻繁にゲームに誘ってきた。 少し鬱陶しくもあったがむげに断る事も出来ず、 二人だけで過ごす時間が増えていくうちにハセヲはゲームそのものに楽しみを見出すようになり、 やがて―――彼女に恋をしていた。 情けない事に自分でも気づくまで時間がかかったが、それからは最高だった。 自分の幼い想いを志乃は受け止め、そして答えてくれたのだ。 思いを告げ、心と体を重ねたあの三日間はこれからどれだけ生きたとしても忘れる事はないだろう。 そして、その直後の悪夢のような出来事も。 忘れもしない、月曜日の夜。 茜色の日が差す大聖堂の中で、彼女が消えた。 電話が通じなくなって、まだ九時だったから心配して部屋に行ったら――― それから先は、思い出したくもない。 断片的で、陰鬱な痛みの記憶。それだけが残っていた。 以来、THE WORLDはプレイしていない。 ハセヲにとって、THE WORLDはオーヴァンと志乃そのものだった。 彼らがいないのなら、続ける理由はない。 メンバーアドレスを交換した僅かな仲間たちには悪いが、こればかりはどうしようもない。 大切なものはもう、何もないのだ。 「間もなく日吉、日吉です。元住吉にお越しのお客様は、お乗換えです……」 哀しみと言う名の湖に沈んでいた意識を、無機質な案内音声が引き上げた。 気が付けば、高校の最寄り駅に近づいている。 足元の鞄を持って席を立つ。横浜駅から二十分。 その間ずっと自分が志乃とオーヴァンの記憶に沈んでいたことに気付き、ハセヲは笑おうとした。 何で俺、こんな思いをしているんだろう。たかが、ゲームだぜ? 760 :夏の風の中で 6:2006/07/19(水) 01 28 56 ID XoHSGbxx 夏休み期間に突入した高校の校舎は静かで、普段の騒がしさがそれこそ嘘のようだった。 甲高い生徒たちの嬌声はなく、部活動や応援団の練習の音だけが遠雷の様に響く。 その光景が高校では部活動に入ってなかったハセヲには新鮮で、 補習で重くなっていた気持ちが少しだけ軽くなった。 古語辞典を詰め込んだ鞄までは、さすがに軽くならなかったが。 教室棟に入り指定された教室に行くと、一人の女子がちょうど真ん中の席で何故か頭を抱えていた。 女子が引き戸の開く音に反応して頭を上げ、ハセヲの方を向いた。 見覚えのない顔だったので、他のクラスの生徒だという事を理解する。 夏季補習は人数にもよるが学年単位、ひとつの教室で行われるのが原則だった。 「ね、ねぇ」 ハセヲが適当に決めた席で筆記用具やノート、辞書などを広げていると、少女がおもむろに話しかけてきた。 「何?」 自然と無愛想な調子で、ハセヲは答える。 ネットでもリアルでも、初対面の人間に愛想を振りまけるほどハセヲは社交的ではない。 その声音に怯えてか、少女が卑屈そうに俯いた。 「あの・・・・・・シャーペン二本持ってたりしない?」 高めの、少女らしい声。 どこかで聞いた事があるような気がしたが、思い出せない。 「あるけど」 先程の対応を反省して、ハセヲは少しだけ声を丸くして答えた。 「あの、良かったら貸してもらえない?筆箱忘れちゃって、今日購買部お休みだし……」 おどおどと耳で聞こえてしまいそうな空気をまとって、少女が説明を続ける。 自分とはタイプが違うが、この少女も人見知りするのだろうか。 そう考えると少しだけ親近感が沸いて、ハセヲは自分でも驚くほど素直にシャーペンと消しゴムを差し出していた。 「いいよ、持ってって」 本当は笑顔も作りたかったのだが、 自分が意識的に笑おうとすると顔面神経痛の発作にしか見えない事が多いのでそれは止めた。 「あ、ありがとう!」 シャーペンを受け取った少女が、無邪気に笑う。 それだけで地球の滅亡が回避されたと言わんばかりの切り替えの早さに、ハセヲもつられて笑ってしまった。 761 :夏の風の中で 7:2006/07/19(水) 01 30 09 ID XoHSGbxx 猫のように軽い足取りで少女が席に戻ると同時に、教室の引き戸が再び開いた。 禿頭の古文教師が姿を現し、補習の開始を告げる。 どうやら補習の参加者は自分たち二人だけのようだ。 試験後友人たちから聞いた話からすれば、順当だろう。 問題は課題文の意味さえとれれば解って当然のものばかりで、その課題文自体も平易なものだった。 今振り返れば、間抜けな話である。 勉強熱心でこそないが、ハセヲの学力は決して低くはない。 その時は志乃と仲違い(というか、自分が一方的にふて腐れていただけだったが)していて気分が沈んでいたので、 そもそも課題文を読むのを放棄してしまったのだ。 とはいえ、補習を受けるのは面倒ではあったが嫌ではない。 最近は一人でいると気分が塞ぎこんでしまうし、かといって能動的に何かをする気力もない。 終業式から補習が始まるまでの数日間は酷いものだった。 だから、どんなに面倒でくだらないことでもやることがあるのは有難かった。 ふと視線を教卓から隣に移し、少女の表情を盗み見る。 もちろん、補習の前置きのつもりか赤点を取ったことに対して説教を続ける教師には気づかれないように。 彼女は無表情なハセヲとは対照的に、説教を真に受けているようで少し沈んだ表情をしていた。 真面目なんだな、と少し感心しながらハセヲは少女の横顔をしばらく眺めた 4 :夏の風の中で 8:2006/07/26(水) 00 45 46 ID aspCLQez 拍子抜けするほど簡単な補習が終わると、少女がハセヲの席に近づいてきた。 「こ、これ。ありがと」 少女は恐る恐る手元からシャーペンと消しゴムをハセヲに差し出した。 「ああ」 ハセヲはそれを言葉少なに受け取る。 一瞬だけ触れた掌の冷たい感触が、妙に鮮やかだった。 シャーペンと消しゴムと筆箱にしまいこむ間、少女は動かずハセヲを見つめていた。 別に不愉快ではなかったが、気にはなる。 何か言いたい事でもあるのだろうか? ハセヲが筆箱を閉じ視線を向けると、少女は目を反らした。 「ひゃ、ひゃあ!な、なに?」 少し苛々してハセヲが顔を近づけると、少女は驚いて顔を上げ体をひいた。 あまり褒められた態度ではないが、見ていて飽きないという言い方も出来なくはない。 「いや、何か言いたいことがありそうだったから」 できるだけ平坦な声で、ハセヲが聞き返す。 少女の言動は普段だったら絶対に怒鳴っているか無視しているものだったが、 何故かハセヲはもう少し話してみたいと感じていた。 親以外の人間と話をするのが久しぶりだったからかもしれない。 「う、うん。えっと、ほんとにごめんね」 「何が?」 「いや、その。いきなり貸してもらっちゃって」 「何だ、そんなの。別にいいよ」 くだらないと言えば余りにもくだらない、その理由。 ハセヲが思わず破顔する。 「え、でも、その・・・・・・」 少女には無言のハセヲが怒っていたように見えたのだろう。 そういえば、休憩時間にも彼女は話しかけてこなかった。 「わりぃ、こういう地なんだよ」 根暗なつもりはないが、初対面の相手に振りまけるほどの愛想もない。 最近は否応なく気分が沈んでいるから、尚更だった。 少女の勘違いも、的外れなものではないだろう。 それにしたって、少し自己卑下が過ぎるような気がするが。 「そ、そうなんだ・・・・・・」 一応納得したらしいが、少女はそれっきり黙ってしまった。 他の科目は違ったが、日本史と古文の補習者はハセヲと少女の二人だけ。 決してお喋りが好きなわけではないが、これから補習のある一週間、 顔をあわせる度に怯えた態度をとられてはたまったものではない。 現状を少しでも改善したくて、ハセヲは少し水を向けてみることにした。 「昼飯、弁当?それともどっかで食うつもり?」 「え、どこかで食べるつもりだったけど・・・・・・」 「だったら一緒に食わね?どうせ食堂も休みだろうし」 「えっ・・・・・・う、うん」 少女はハセヲの誘いにまず驚き、次に顔を赤くして小さく頷いた。 その百面相振りが少しだけ面白くて、ハセヲの口元が自然と綻んだ。 5 :夏の風の中で 9:2006/07/26(水) 00 46 30 ID aspCLQez 「それでさー、解答欄一個ずつ間違えちゃって」 「何だよそれ、そんな漫画みたいなミスするか、普通」 しばらくして。 近所のファーストフード店で、ハセヲと少女は向かい合って雑談に興じていた。 少女の学校での態度はやはりただの人見知りだったようで、 既に彼女の態度は同級生らしく打ち解けたものへと変わっている。 「じゃあ君はどうしたのさ。補習受けてるのは変わんないでしょ?」 「・・・・・・課題文を読まなかったんだよ」 「余計駄目じゃん!」 鋭い切り返しで突っ込みを入れる少女を見ながら、ハセヲは心の中で安堵していた。 ただでさえ憂鬱な最近、せめて学校に行っている間ぐらいは笑っていたい。 「ふーん、でもなんでそんなことしたの?君、結構頭よさそうなのに」 「ちょうどその時、色々あってな。テストどころじゃなかったんだよ」 「あはは、青春の悩みってやつ?」 「笑うなよ。結構深刻だったんだぜ」 少女が、からからと音を立てて笑う。 大きすぎる瞳と巻き気味の髪はハセヲの好みではなかったが、 快活さに彩られたその笑顔は実に魅力的で、ハセヲは口で言ったほど苛立っていはいなかった。 「ごめんごめん。あたしもテストの時そんなかんじだったから、ちょっと嬉しくてさ」 「・・・・・・へぇ、なんかあったんだ」 ハセヲの声のトーンが、少しだけ落ちた。 彼女のような気質では、気苦労も多いだろう。 自分も似たところがあるから、少しだけ理解できる気がした。 「うん、まあ、人から見れば馬鹿みたいなものだと思うんだけどね。結局勘違いだったし」 「そりゃ奇遇だな、俺とまったく一緒だ」 驚きを隠しながら、ハセヲが皮肉っぽく笑った。 本当にまったく一緒の展開だ。 自分の場合は、その後起こった出来事のほうが深刻だったのだが。 「あはは!気が合うね!」 少女はそれを聞いて、また声を立てて笑った。 「まったくだな」 夕立のような少女のテンションに打たれて、ハセヲも笑った。 しかし、こうして笑い声を聞いていると初対面での既視感がいっそう強くなる。 ハセヲの友人は基本的にクラスメイトで、その中でも女子はあまりいない。 隣のクラスの女子である彼女とすれ違うなりしたことはあっても、会話を交わしたことはないはずなのだが・・・・・・? 6 :夏の風の中で 10:2006/07/26(水) 00 47 08 ID aspCLQez 「ただいまー」 最寄駅まで同じだった少年とバス停で別れて家に戻ると、少女は低く小さい声で帰宅を告げた。 返事はない。そういえば、今日は両親は遅くなると言っていた。 またジャズのコンサートだか演劇だかに行ったのだろう。 大学進学に伴って姉が実家を離れてから、両親はこんな調子だ。 期待されて構われるのは、優秀な姉。 落ちこぼれの自分は、すでに見放されているのだ。 いつものように少し憂鬱になるのを振り払いながら、駆け足気味に自分の部屋に戻る。 電車とバスの乗り継ぎで疲れた体をベッドに落とし、少女は目を閉じた。 今日の補習のことを思い出す。 古文が簡単だったことは知っていたが、まさか補習が二人だけだったとは。 先生も、ずいぶん困ったことだろう。たった二人のうっかりの為だけに、補習をしなければならないのだから。 そりゃあ説教もしたくなる。 しかし、そんな教師には悪いが――補習は結構楽しかった。 当然、授業内容そのものではない。 古典の小宮山の授業は詰まらないので有名だ。 理由は、一緒に補習を受けた少年だった。 最初は話しづらそうな印象を受けたが、話をしてみたら意外と気があった。 それに、なんというか、男の子としてみた場合――格好いい。 線が細く鋭い顔立ちは好みが分かれるかもしれないが、どこか愁いを帯びた雰囲気とはよくあっている。 口調には遊びがなく無愛想に聞こえることもあるが、ちゃんと何かしらのリアクションは返してくれる。 少女としては、結構好みのタイプだった。 ただ、それとは別に引っかかることがあった。 少年の声を、どこかで聞いたことがあるような気がする。 昼休みや放課後の喧騒といったノイズとしてではなく、もっとちゃんとした形で。 「うーん・・・・・・」 ベッドにうつ伏せになったまま唸って、少女は記憶をたどった。 「あっ!」 しばらくして、答えに思い当たった。 最近はじめたネットゲームで知り合った、初心者仲間。 彼に似ているのだ。 そういえば、それ以外の印象も結構似ている。 不器用なところとか、後これは偶然だろうが顔立ちとか。 「まっさかねー」 体を起こして、少女は首を振り回した。 いくらなんでも、それは飛躍しすぎだろう。 世の中にそっくりな人間は三人はいるらしい。 声が似ているぐらいだったら、もっといるだろう。 大体、ネットの彼はそんなに優しくないし。 指を組んで伸びをすると、少女はベッドから起き上がった。 机に座り、パソコンの電源を入れる。 馬鹿なことを考えないで、せっかく授業が終わったのだからゲームでもしよう。 例の少年は最近見ていないが、最近はレベルも上がったし地味に知り合いも増えはじめた。 技術も上がってきている・・・・・・と思う。 ちょっと、自信がないけど。 M2Dをかぶり、アイコンを選択するとゲームのトップページが開いた。 少女のキャラクターは、猫の意匠を持った自分と同じぐらいの格闘少女。 最初は少し大人っぽくしようと思ったので、胸だけが不釣合いに大きい。 結局、可愛いほうに流れてしまったのだが。 人見知りを治したかったので、ゲームのほうでは意識して明るく元気に振舞っている。 顔が直接見えないだけで初対面の相手にも物怖じせずに話せるのだから、不思議なものだ。 「さぁて!」 サーバーに接続するわずかな待ち時間に頬を軽くたたいて、気持ちを切り替える。 ロードが終わると、夕焼けに染まる運河の街並みが視界に広がった。 ここで、少女は「タビー」になる。 56 :夏の風の中で 11:2006/08/02(水) 00 55 57 ID 99QFj22A 「花火大会?」 「うん、明日の夕方。よかったら一緒に・・・・・・どうかな」 少女が差し出したビラを眺めながら、ハセヲがなんとなく手元のジュースをすすった。 場所は多摩川、学校の近く。日付は土曜日、明日の夜から。 正直言えば、ハセヲはこの手のイベントにあまり興味がない。 性格的なものが多分にあったし、多いとはいえない友人も同性ばかりで連れ立っていくようなこともなかったからだ。 「彼女」がいれば、もしかしたら今年は違ったかもしれないが―― 「・・・・・・駄目、かな」 傷跡に触れ沈んでいたハセヲの表情を不機嫌と勘違いしたのか、少女が俯き加減に聞いてきた。 「いいぜ、別に」 「本当!?じゃあ、待ち合わせは横浜駅でいいよね。よかったぁ・・・・・・」 花火に興味はなかったが、少女と遊びに行くこと自体は別に嫌ではない。 どうせ家にいても沈んだ気持ちのまま、作りかけのマスターグレード・アッガイをいじるぐらいしか出来ることはないし。 それに補習の五日間、この少女のおかげで随分楽しかった。 多少卑屈なところが見え隠れしてうっとおしいこともあったが、 根は屈託がなく優しい彼女は今のハセヲにとってまさにうってつけの話し相手だったのである。 「それじゃ、また後で連絡するから!あ、メール・・・・・・」 「ああ、まだ交換してなかったな。これ」 ハセヲが携帯電話を取り出し、登録機能を呼び出す。 それにあわせて、少女も携帯を取り出して受信部を向かい合わせる。 今までは教室に行けば会えたから、必要なかったのだ。 「あ、来たきたー・・・・・・haseo?」 ハセヲのアドレスを見て、少女がなぜか怪訝な顔をした。 確かに、意味不明のローマ字に見えるだろう。 メールアドレスなんて、大抵そんなものだろうが。 「ん?あぁ、それ中等部の時のあだ名。ハセヲ、って読むんだ」 「そっか・・・・・・ね、ねぇ。あたしも、そう呼んでいい?」 「?別に、いいけど」 「ありがと・・・・・・ハセヲ」 「・・・・・・別に、礼言われるような事じゃねぇよ」 近代芸術みたいに複雑な表情で、少女が名前を呼んだ。 同い年の少女に面と向かってあだ名で呼ばれたのは初めてで、 その気恥ずかしさを隠すようにハセヲは顔をそらしてしまった。 133 :夏の風の中で 12:2006/08/09(水) 01 36 23 ID qRat9uxH 首をあげて天に目を移すと、白雲を横たえた淡色の空が視界に広がる。 ポリゴンとテクスチャで作られた模造品であるにもかかわらず、 瞳の中の青空は現実のどんな空よりもリアルで、鮮やかだった。 ルートタウン、蒼穹都市ドル・ドナ。 アヒルのようなNPC・クレイマーテイルと雑多なプレイヤーたちが行きかう市場から少し離れたところで、 和装の女――Bセットは空を見上げていた。 「ちーす。どうしたの、たそがれちゃって」 不意に、背中から声がした。 少女らしい、不快にならない程度に高い声。 それが見知ったものだったので、Bセットは頭を降ろして振り返った。 褐色の肌に、猫の意匠を取り入れた面立ち。 最近よく一緒にいるPC、タビーだ。 「自分の人生について思いをはせていたのよ」 「何それ、Bさんでも冗談言うんだー」 見た目に違わぬ屈託のなさで笑うタビーに、Bセットの口元が自然と緩む。 何気ない笑顔だったが、それは今のThe WORLDではドーピングアイテムよりも貴重なものだった。 プレイヤー同士の潰し合いが横行するこの世界では、無垢なままであり続ける事は難しい。 無垢は隙を生み、隙は悪意の糧となる。 そして悪意にさらされた者は、強さを求めて無垢を捨てる。 結果、今のThe WORLDには職業犯罪者のような狡猾さか、狂信者のような頑迷だけが残っていた。 世も末と言い捨てるのは簡単だったが、そういうにはあまりにも痛々しい。 R-1からの腐れ縁の友人とは、このことについてよく話をしたものだ。 付き合いが長い割にはまったく話の合わない相手だったが、この現実認知と男の趣味だけは同じだった。 134 :夏の風の中で 13:2006/08/09(水) 01 37 01 ID qRat9uxH 「まったく、アウラはどこに行ったのやら」 「へ?」 無意識に呟いたBセットの言葉に、タビーが目を丸くする。 「ああ、ごめん。独り言」 「もー。どーしたんですか、なんかおセンチ?」 「そうかもね」 「・・・・・・やっぱり、志乃さんのこと・・・・・・心配?」 タビーの躊躇いがちな声に、Bセットの肩が震える。 志乃。Bセットにとっては男の趣味が同じ、R-1からの腐れ縁の友人。 彼女はタビーにとってもこのゲームの楽しみ方を教えてくれた、かけがえのない存在だった。 その彼女との連絡が、ここしばらく途絶えている。 状態は何時になってもオフラインで、メールの返信もなし。 また、タビーと同じ時期にゲームを始めたハセヲというプレイヤーも同じような状態らしい。 これで不安にならない奴は、生まれたとき笑っていた古代の賢者ぐらいだろう。 「・・・・・・そりゃあ、付き合いだけは長いからね。でも、そんなに心配はしてないわ。 たまにあるのよ。急に音沙汰なくなって、しばらくしたらひょっこりまた・・・・・・ってことは。 大抵、理由は旅行とかそんなのでね」 「・・・・・・うん。そうだよ、ね」 自分を納得させるように、タビーが声を出す。 「そうよ。そのうちオーヴァンと一緒に戻ってくるって。そしたら、またあるかどうかもわからないアイテムを探しましょう」 「そうだね!」 無理やり笑顔を作って、タビーが叫んだ。 我ながら空疎な慰めだと、Bセットは内心で溜息をついた。 そんなことは、志乃に限ってあるわけがない。 彼女は時間さえあれば絶対にログインするヘビーユーザーだし、 長期に渡って連絡できなくなる場合必ず周囲に連絡を入れていた。 それに――タビーには話していなかったが、 Bセットと志乃はリアルで何度か会っていてその時携帯の番号を交換していた。 その携帯も、繋がらなくなっていたのだ。 ただ事ではない、何かが起こっている。 そんな不安が、Bセットの中でスモッグのように渦巻いていた。 135 :夏の風の中で 14:2006/08/09(水) 01 37 57 ID qRat9uxH 「そういえば、Bさんってネットゲー長いんだよね?」 「?まあ、長いといえば長いでしょうけど・・・・・・何?」 すっかり落ち着きを取り戻したタビーが、話題を変える。 確かThe WORLDを始めたのが2013年のことだから、四年になる。 少なくとも、四ヶ月のタビーよりは長いだろう。 「ネットで知り合った人と、知らずにリアルで偶然あっちゃってた・・・・・・とかなかった?」 「はぁ?」 意味がわからない。 志乃やオーヴァンのようにネットで知り合った仲間からリアルの交友範囲が広がったことは少なくないが、 タビーの言っているのはそうゆうことではないようだった。 「それ、何かのたとえ話?」 「ううん、言ったとおりの意味」 「まるで漫画ね。ちょっと私には、そういう経験はないわ」 「そうかぁ。うーん・・・・・・」 タビーは短く言うと、うんうんと唸り始めた。 パソコンの冷却ファンの真似でもしているのだろうか? 「何なのよ、もう」 「ごめん、変なこと聞いて」 「別にいいけど・・・・・・説明してよ、意味がわからないわ」 憮然となったBセットを見て、タビーは唸るのをやめた。 表情は、この娘にしては珍しく陰りを隠そうとしていない。 「うーん、まだちょっと言えない・・・・・・単にあたしの勘違いかもしれないし」 「なら別にいいわ。まったく・・・・・・」 そこまで言って、Bセットは声を消した。 まったく、世の中わからないことばかりだ。 136 :夏の風の中で 15:2006/08/09(水) 01 39 44 ID qRat9uxH 「あ。ハセヲー」 待ち合わせした駅の改札につくと、先に着いていたらしい少女が手を振ってきた。 「よう」 ハセヲが人ごみをかき分けて近づくと、彼女は学校に居たときと同じように笑って答えた。 「ちーっす。おろ、どしたの?」 つま先立ちした少女が、ハセヲの顔を覗き込み首をかしげる。 ハセヲの少し怪訝な表情を目ざとく読み取ったのだろう。 「いや、浴衣とかじゃないんだと思って」 隠す気にもなれず、ハセヲが素直に白状する。 明治以来この国に洋装が根付いて久しいが、 花火や夏祭りといった夏のイベントでは今でも古式ゆかしい浴衣が定番だった。 実際、周りには浴衣姿の若者が男女比8 2ぐらいで目に付く。 しかし少女はカーディガンをストールのように巻き、 ショートパンツにハイカットのスニーカーという軽快ないでたちである。 全体に濃淡をつけたネイビーカラーでまとめたその服装は悪くなかったが、 花火という言葉とは繋がりを見出せなかった。 「ははぁーん。もしかして、あたしの浴衣姿を期待したりとかしてました?」 「・・・・・・別に」 実際期待していたわけではないが、なぜか少女にからかわれたのが気恥ずかしくて憮然としてしまう。 「ごめんねー、あたし着付けとかできないからさ」 「だから別にどうでもいいって」 唇をとがらせたハセヲの肩を気安く叩きながら、少女が笑う。 「それじゃ行こう。いい場所取れなくなっちゃうよ」 137 :夏の風の中で 16:2006/08/09(水) 01 41 03 ID qRat9uxH 東急東横線の電車に揺られること十分前後。 二人が花火大会の会場に着いたときには、既に人であふれかえっていた。 渋谷から十分少々という立地を考えれば当たり前だが、 あまりこの手のイベントに参加しないハセヲは圧倒されるものを感じていた。 それは隣の少女も同じなようで、口をぼけっと開けたまま目を見開いている。 周りを見回すと、家族連れと自分たちと同じか少し上ぐらいの年代の男女二人組みが目に付いた。 やたらと親密そうな男女の姿を見て、ハセヲは今更ながら気恥ずかしさを覚えた。 よく考えると、こうして二人きりで花火を見に行くなど――デートそのものだ。 少女が自分に気があるなどと思い上がるほどハセヲはおめでたくなかったが、それでも意識はしてしまう。 頬の熱を隠してくれる夏の署気が、今だけはありがたい。 できるだけ知り合いに会わないように願いながら、ハセヲはごまかすように薄暗闇の空を見上げた。 「ねー、ハセヲ」 しばらくそうしていると、少女が不意に声をかけてきた。 それからまた、いつものように無駄話が始まった。 「そういえば、ハセヲは趣味とかある?」 「何だよ、それ」 「いや、君って無趣味そうだからさ」 「・・・・・・そういや、そうかもな。ちょっと前までネットゲーしてたけど・・・・・・」 「ネットゲー?」 「The WORLDって奴。なんか色々あって、結局やめちまった」 「・・・・・・・ふーん」 「そういうお前はどうなんだよ」 「ふふ、よくぞ聞いてくれました。あたしは・・・・・・」 何気ない会話だったが、ころころとよく笑う少女は見ていて飽きない。 先ほどの気恥ずかしさは、既に霧散していた。 こうしていれば、この前の事件も―――いや、忘れられるわけがない。 夏の始まりに起こった、あの出来事は。 「あ・・・・・・」 翳りを隠すように少し俯き加減になったハセヲの耳を、爆音が突いた。 空を見上げると、鮮やかな光の粒が花の種子のように夜空に広がっていた。 花火が始まったのだ。 「綺麗・・・・・・」 隣に視線を移すと、少女が煌めく花火に静かに見入っていた。 普段は明るくハイテンションなおかげで元気な印象が強い彼女だが、こうしてみると―― (何考えてるんだよ、俺は) 頭を振って、ハセヲは頭に忍び込んだ蛇を追い出す。 大体自分には志乃が――― そこまで考えて、ハセヲはかさぶたを剥いだような痛みを胸に感じた。 志乃は、もういないのだ。 少なくとも、自分の手の届く場所には。 大好きだった、あの笑顔。 ほんの一瞬だけ触れた、あの肌。 それはもう、この世界のどこにもない――― 顔を上げると、空では花火の打ち上げが続いている。 刹那の間に咲いては消えるその様が、なぜか彼女のことを思い出させて、ハセヲはいつの間にか涙を流していた。 「どうしたの、ハセヲ」 その様子に気づいた少女が、顔を覗き込む。 「わ、わりぃ。ちょっと、嫌な事思い出しちまって」 鼻声で答えるハセヲに、少女の顔が翳った。 「・・・・・・」 少女は何か言いかけたようだったが、結局は何も言わなかった。 その代わり、彼女は少しだけハセヲに近づいて、躊躇いがちに手を握った。 夏の大気で熱を帯びたその手を、ハセヲは無意識に握り返していた。 174 :夏の風の中で 17:2006/08/16(水) 09 20 41 ID tqq93/jg 「はぁぁぁぁぁぁっ」 役目を果たした蜜蜂のように部屋に戻ると、少女はベッドに倒れこんで溜息をついた。 タイマーどおりに作動していたエアコンの風は冷たく、夏の暑気に火照った体を冷ましていく。 しかしそれとは裏腹に、少女の頬は赤く染まったままだった。 手で触れると、いまだ冷めることのない熱が掌に伝わる。 理由はわかっていた。 (どうしてあんなこと、しちゃったんだろう……) 今でも、彼の指の感触が残っているような気がする。 しかも、彼は―― (これはもう、間違いないよね) 声が同じ。名前が同じ。趣味が同じ。 いくつもの符号が、憶測を事実に近づけていく。 (でも……だったら、何で?) ひとつの確信が、無数の疑問に分裂する。 何故、ゲームを辞めたのか。 最後にハセヲと会ったとき、彼は間違いなくゲームを楽しんでいた。 それこそ、タビーがうらやましくなるぐらいに。 それに、志乃のことは結局わからずじまいだ。 ハセヲが言いよどんだ、ゲームをやめた事情。 そして花火を見ていた時の、あの涙。 全てが一つの線で繋がっているとしたら――― 「まっさかねー!」 声を出して、少女は妄想じみてきた考えを否定した。 あの少年がハセヲなのはまあ間違いないだろうが、 そこから志乃の不在にまで結びつけるのは飛躍しすぎというものだ。 オーヴァンの失踪は確かに不可解だったが、 彼も志乃も、たまたまそろってリアルで都合が悪くなっただけだろう。 例えば、電話代が払えなくなったとか。 思い返せば、幸薄そうな顔をしていた人達だったし。 Bセットが言っていたように、二人ともひょっこり戻ってくる。 「そうなると、いいな」 星に願いを掛けるように。 少女は小さく、呟いた。 175 :夏の風の中で 18:2006/08/16(水) 09 23 29 ID tqq93/jg 不意に、携帯が鳴った。 手を伸ばして画面を確認すると、ハセヲからメールが届いていた。 今日はすまなかった。埋め合わせをしたい、どこか行きたい所があったら言ってくれ。 そんな内容が、彼らしい無愛想なまでの簡潔さで書かれていた。 ―――結局、帰り道彼とは殆ど口を利かなかった。 照れていたのか、気まずかったのか。 少し不安にもなっていたので、メールが来たのは素直に嬉しい。 口元をほころばせながら、少女は次のデートを思案する。 彼の性格を考えれば、大抵の事は断るまい。 順当に考えれば、ちょっと高くてお洒落な食事を奢らせるのがいいだろう。 タビーとて年頃の女子高生、ネットや友達の話などで聞いて行きたい店はいくつかあった。 しかし、それでは普通すぎて面白くない。 それに、ねだるのが食事というのもなんだか色気がなくて嫌だった。 顔の愛嬌とウエストの細さには自信があったが、それ以外はさっぱりの自分だ。 こういう機会に、できるだけ女としての魅力をアピールしておきたい。 どうして女としての魅力をアピールしたのか、そのあたりは考えないようにする。 いや、考えるまでもない、というのが正確かもしれない。 とあると、やはり――― (あっ!) 「おおっ、これは面白いかも」 少女の頭の中でアイデアという点と点が線を結び、計画が形を成した。 「うふふっ」 夢想した計画の楽しさに、顔が自然とにやける。 こんな表情、ハセヲにはちょっと見せられない。 「何だ、それ」 他ならぬハセヲのことなのに、そう考えてしまう自分が可笑しくて、少女はまた笑った。 176 :夏の風の中で 19:2006/08/16(水) 09 25 58 ID tqq93/jg 「埋め合わせしてくれるって、言ったよね」 「ああ」 「行きたいところ、あたしに合わせるとも言った」 「ああ」 「準備したいから付き合って、って言ったら良いって」 「言った言った」 「うん。つまり、ハセヲは全て了承済みのはずだよね。それじゃ、どうしてそんな顔してるのかな?」 普段にまして憮然とした表情のハセヲに、少女が満面の笑顔を向ける。 最近見慣れていたその笑顔を見て、ハセヲは何故か能面を思い出した。 「ねぇ、黙ってないでさぁ。どっちが似合うかな?」 少女が両手に持ったハンガーをかざしながら、ハセヲに体を寄せてくる。 それから逃げるように視線を泳がせると、佇んでいた女性店員と目が合った。 この種の店員の例に漏れず洒落た服装に身を包んだ彼女は、 実験動物を見つめる医科大学生のような視線をハセヲに向けた。 ……そんな目で、俺を見ないでくれ。 「……何で俺が女物の水着売り場なんかに来なきゃならないんだよ」 心が何かの限界を超え、静かな叫びが口をついて出た。 渋谷のファッションビル、その一角にある女性向けの水着を扱うショップ。 既にセールの最盛期は過ぎ、また平日の昼間ということもあって人影はまばらだったが、それでも客足はゼロではない。 当然、その殆どは女性だ。その中に、男が一人。 付き添いという事情があっても、恥ずかしい。 心なしか、店員が同情的な視線を送ってきているような気がする。 「だって、あたし今年まだ水着買ってなかったんだもん。誰かに見てもらわないと、似合うかどうかわからないし」 「それが何で俺である必要があるんだ」 「だって、ハセヲの見る水着だしー。 好みを反映させる余地を与えてるんだよ。感謝してくれても良いと思うんだけどなー」 人差し指を伸ばしながら悪びれもせず、少女が言い捨てる。 水着ということは、次は海か、それともプールか。 この間の花火といい、夏らしくて結構なことだ。 しかし――― 「別に……」 お前の水着なんか見ても、と言いかけてやめた。 顔を真っ赤に染め、落ち着きなく視線を泳がせている今の状態では説得力がまるでない。 あくまで自分が動じているのは水着売り場というロケーションであって、 少女が手に持った水着ではないとしても。 「ん?別に、何かな?」 チェシャ猫のようにニヤニヤしながら、少女がハセヲの呟きを捕まえる。 「……なんでもねぇよ」 「そう。何でも、ねぇ」 少女は上機嫌になったようで、鼻歌を歌いだす。 この上なく楽しそうなその姿が見るに耐えなくて、ハセヲは顔を背けた。 すると、水着とともに店で扱っているランジェリーが視界に入った。 頭に一気に血が上り、慌てて顔を反対方向に振る。 「あははっ!ハセヲって、結構可愛いねぇ」 堪えれきれなくなったように、少女が声を立てて笑う。 その笑い声に、ハセヲは唇をかみ締めることことしかできなかった。 213 :夏の風の中で 20:2006/08/22(火) 13 32 36 ID NJWgvz6B きゃーっという甲高い悲鳴が、ハセヲの耳元で響いた。 風を切る感触が肌を這い、ハセヲと少女の身体が弧を描くスライダーからプールへ投げ出される。 「ひゃーっ、最っ高!ハセヲ、もう一回やろうよ」 頭に被った水を払うハセヲの目の前に、少女が河童のようにう姿を現す。 先日買った白いビキニから覗く肌は、夏の陽光を映して眩しくさえ見える。 「またか?もう三回目だぜ」 「楽しいのは何回やっても楽しいんだよ。ねー、行こうよ」 はしゃいだ子供のような足取りで水をかき分けながら近づいてきた少女が、ハセヲにしなだれかかった。 水に濡れた肌の冷ややかな感触に、ハセヲの胸が高鳴る。 「ねーねー、後一回で良いからさー」 「お前、さっきもそう言ってなかったか?」 「細かいこと気にしなーい。行こうよ」 遊びをねだる猫のように、少女がハセヲの腕を引く。 「……わかったよ、でも、今度こそ最後だぞ。後は一人でやれ」 「うん!ハセヲ、だーいすき!」 満面の笑顔で頷いた少女が、喜びのあまりかハセヲに体を密着させた。 腕や肩、背中など体の所々で少女の素肌が感じられて、ハセヲの鼓動が安全速度を超える。 二の腕の辺りに、水着に覆われた薄い乳房が当たっているのがわかった。 「やめろよ、くっつくな」 この感触にほだされたわけでは、ない。 断じてない。 そう自分に言い聞かせ、ハセヲは少女を振り払った。 214 :夏の風の中で 21:2006/08/22(火) 13 34 13 ID NJWgvz6B 「あー、楽しかった。いやー、足を伸ばして川崎くんだりまで来た甲斐がありましたなー」 正午を回り、傾いた太陽に照らされながら少女が体を躍らせた。 彼女はフェミニンなジャージードレスに身を包み、よくわからない子供向けのアトラクションを背にしているので、 本当に踊っているように見える。 そりゃ楽しいだろう。 子供料金扱いとはいえプールだけでなく併設された遊園地の料金までハセヲに払わせ、三時間近くも遊び倒したのだから。 これで「つまんないぃー」などと言った日には、張り倒してやる。 自分から言い出したこととはいえ、これでMGペーネロペー(予価6300円)の為に温存しておいた資金が飛んだかと思うと口惜しくなった。 「それじゃ、次は遊園地の方行ってみようか!」 「・・・・・・マジかよ」 ようやく踊りをやめた少女が、笑顔で恐ろしい提案をする。 体力を使う水の中で、ノンストップで遊び続ける少女に付き合ったおかげでハセヲの体はくたくただった。 しかし少女の方は、ハセヲと同じだけ、いや以上にはしゃいでいた筈なのに、疲れた様子などかけらも見えない。 「せっかく一緒のパス買ったんだし、遊ばないと損じゃない?行こうよー」 少女はそう言いながら、ハセヲを引っ張るように腕を絡めた。 まるで、恋人みたいに。 「わかった、わかったから離してくれ。暑い」 「あ、うん。ごめんね」 目元を少し翳らせて、少女が体を離す。 舞い上がっているのか、開放的になっているのか、意識されていないのか。 先日の買い物以来、彼女は妙に馴れ馴れしい。 積極的、と言えるかもしれない。 「んー、それじゃあ……」 値踏みするようにあたりを見回す少女に引かれて、ハセヲは遊園地の庭内を歩いた。 世界最大の横Gという微妙な売り文句のジェットコースター、 この歳になったら見るのも恥ずかしいメリーゴーランド、妙に本格派のヒーローショー。 様々なアトラクションが視界に入り、通り過ぎていく。 「これならいい?」 少女の指差した先には、大観覧車があった。 「ああ……」 少女のチョイスに、ハセヲが思わず間の抜けた声を出す。 これまでの彼女の言動からして、もっとハセヲが困りそうなもの ―――例えば心身ともに擦り切れるジェットコースターとか、 恥ずかしさ炸裂のメリーゴーランドとか―――を覚悟していただけに、少し拍子抜けだった。 「ハセヲ、疲れてるみたいだから。ごめんね、ひとりではしゃいじゃって」 ばつが悪そうに、少女が俯く。 「べ、別に……気にしてねぇよ」 思いもよらない少女の姿から、ハセヲが目をそらす。 その表情は、反則だ。 「うん……じゃ、乗ろ」 何故か静かに笑って、少女がハセヲの手を取った。 少しだけ躊躇いがちに、それでも滑らかに。 ハセヲは、その手を払わない。 215 :夏の風の中で 21:2006/08/22(火) 13 38 14 ID NJWgvz6B 平日と言うこともあって、待ち時間はなかった。 乗り物すべてに使えるパスだったので、いちいち券を買う手間もない。 鳥篭のようなゴンドラに二人が乗り込むと、程なくして観覧車が回りだした。 軋むような機械の音と共に客車は天に昇り、窓の外の景色が移り変わっていく。 しばらくの間、二人は無言でその景色を見つめていた。 遊園地とその先に広がる緑の林、そして街に続く鉄道の路線を、傾きはじめた陽が茜色に染めている。 そういえば、彼女に心を奪われたのも、こんな夕焼けの中だった――― 「何、考えてるの?」 鉄道の彼方に見える都心よりも遠くを見つめていたハセヲに、少女が声を掛ける。 二人とも振り向かないから、表情はわからない。 「好きな人のことでも、考えてたのかな?」 悪戯好きな妖精のように、少女が続けた。 「いねぇよ、好きな人なんか」 酷く褪めた気分で、ハセヲが静かに答える。 そう―――夕日を一緒に見た彼女は、もういない。 この世界のどこからも、消えてしまった。 蝉のような抜け殻を、真っ白い病室に残して。 「そっか……それじゃあさ」 深呼吸の音。 「私が、ハセヲの彼女に立候補しても……いいかな」 虫が鳴くように小さく、それでも確かな声。 窓から正面に視線を戻すと、少女が夕焼けよりも真っ赤になってハセヲを見つめていた。 夏の夜よりも長い沈黙が、二人の間を流れる。 ゴンドラはいつの間にか、天頂から地へ下り始めていた。 「あっ、あ、あはは……ご、ごめん。今のなし。迷惑だよね、あたしなんかに好かれても」 堪えられなくなった少女が、両手を振りながら俯く。 その声で呪いが解けたように、ハセヲの唇が言葉を紡いだ。 「そんなこと……ない。嬉しいよ」 電気を帯びたかのように、少女の体が震える。 「……嘘」 「本当だよ。こんなときだけ、疑い深いな」 「だったら……証拠、見せて」 意を決したように、少女が目を閉じ頭を突き出す。 自分でも信じられないくらい自然に、ハセヲは少女の肩に手を掛けた。 そのまま顔を近づけ、唇を重ねる。 少女の唇は、プールの匂いがした。 二人の時間が止まり、廻りを終えた客車が乗車場へ帰り着く。 ゴンドラの扉が開き、風が吹いた。 熱と湿気を帯びた、夏の風が。 281 :夏の風の中で 22:2006/08/29(火) 23 05 02 ID TAHSxPSA これは、裏切りなのだろうか。 電車の無機質な天井を見上げながら、ハセヲはそんなことを考えていた。 自分には、志乃という恋人がいる。 にもかかわらず、自分は目の前の少女の告白を受け、断ることをしなかった。 一般的に考えれば二股ということになるが、ハセヲの場合はもう少し事情が複雑だった。 志乃は、原因不明の昏睡で入院している。 プライバシーの保護という理由で他人のハセヲには詳しいことは教えられていなかったが、 錯乱して第一発見者であるハセヲに詰め寄ってきた彼女の母親の断片的な言葉によると、 回復の見込みはまったくといっていいほどないらしい。 当たり前だろう、理由がなければ手の施しようもない。 本当に悲しいとき、涙すら出ないことを、ハセヲは彼女の病室で初めて知った。 自分にとって少女との関係が、その影のもとにあるのは否定できないだろう。 志乃を失ってハセヲの心を包んでいた絶望は、少女との触れ合いでずいぶんと薄くなった。 だからといって病室で眠り込んでいる恋人を放って置いて他の女と付き合いだして良い訳もないが…… 少女に惹かれている自分がいるのも、紛れもない事実だった。 (結局、なるようにしかならないのか……) 吊革を握る手に力を込め、ハセヲは半ば自棄気味に考えを打ち切った。 「間もなく横浜、横浜です……」 不意に、到着を告げるアナウンスが車内に響いた。 程なくして反作用と共に電車が駅に止まり、隣の少女が体を震わせる。 告白の直後だったためか、二人は遊園地を出てから一度も口を利いていなかった。 無言のまま電車を降り、改札を抜けいつもの出口にたどり着く。 二人の帰り道は、ここで別れる。 「……それじゃ、な。今度はそっちから」 「あ、あのさぁっ、ハセヲ」 別れの挨拶を告げようとするハセヲを遮って、少女が少し大きな声を出した。 「ん?」 「よ、よかったら……これから、私の家に寄っていかない?」 一瞬前とは違って、告白したときと同じようなか細い声。 もしもう少し辺りが騒がしかったら、聞き取れなかっただろう。 「………って、えぁっ!?」 一瞬間を置いて、ハセヲが言葉の意味を悟る。 「ち、違うよ!そ、その、エッチな意味じゃなくて、もうちょっと一緒に遊べないかな、って!」 少女が顔を真っ赤に染めて、サンバのように四肢を振り乱す。 「そ、そうだよな。べ、別にそれぐらいなら……」 何も考えられず、意味不明の相槌を打つハセヲ。 きょうび、人工無能でももう少しまともな応答をするだろう。 帰り道でたっぷり一時間もかけた内省と決意は、何の役にも立っていない。 「そ、そうなんだよ!そ、そりゃあ、明日の昼までお母さんもお父さんもいないけど……」 こちらも意味不明な相槌に続いて、少女が更に危険な事実を口走る。 誘っているのか、そうでないのか。 いまいちよくわからない。 そういえば、志乃の部屋に行ったときもそういった勘違いがあったし…… 女というのは、やっぱりわからない。 310 :夏の風の中で 23:2006/09/03(日) 00 34 31 ID rgP1Y67n 「こ、ここ。あたしの部屋……散らかってるから、片付けるね。ちょっと待ってて」 少女はそう言ってハセヲを廊下に残すと、ドアを閉めた。 「はぁぁぁぁ……」 扉が閉まると同時に、少女がその場にへたり込む。 散らかっているというのは、半分嘘だった。 部屋は一昨日掃除したばかりで、塵ひとつない―――というわけにはいかないが、 読み捨てられた雑誌やら脱ぎ散らかされた服やらが散乱している普段に比べれば雲泥の差がある。 少しだけ一人になって、考えたかった。 なんだか、勢いだけでとんでもないことをしてしまったような気がする。 告白して間もないとはいえ、自分とハセヲは……その、恋人同士なのだ。 二人っきりで部屋に、となったら――― そこまで考えて、少女は焼け石のようになった顔を掌で覆った。 そりゃあ、ハセヲのことは好きだ。 愛している、と言っても過言ではないだろう。 だから、もし万が一、そう、万が一にそういうことになったとしても―――嫌ではない。 少女雑誌から得た知識によると、今日は安全日のはずだし。 とはいえ……少し急ぎではないだろうか。 いくらなんでも告白したその日に、というのは。 なんだか、私がいやらしい女みたいじゃないか。 しかし、もう後戻りはできない。 ハセヲは、扉一枚挟んだ空間にいるのだ。 今更「恥ずかしいから帰ってくれ」などと言う訳にはいかない。 「はぁ……」 少女はため息をつくと、脱ぎっぱなしの寝巻きを片付け始めた。 片づけ自体ができないわけではないが、出したものを放って置いてしまう癖があるのだ。 これが積もり積もって、それなりに小奇麗な部屋は一ヶ月も経たない内にジャングルへと変貌する。 雑木林程度で済んでいた一昨日、唐突に掃除したくなったのは今日の展開を無意識に予測していたのだろうか。 そんな馬鹿馬鹿しいことを考えながらベッドの上の本を棚に戻していると、THE WORLDの攻略本が目に入った。 ゲームを始めたばかりの頃、少女漫画の新刊と一緒に買ったものだ。 旅団にいた頃は活動内容の奇天烈さから役に立たず、 最近はネットの攻略サイトのほうが充実している事に気づいてすっかり無用になってしまっている。 ―――結局、リアルでハセヲとTHE WORLDの話をした事はない。 自分だけが気づいている、一方的な関係。 今更気づいてほしいとは思わないが、 ハセヲにとってタビーが声すらまともに覚えてもらえていない存在だったのかと思うと、少しだけ悲しくなった。 311 :夏の風の中で 24:2006/09/03(日) 00 35 12 ID rgP1Y67n 「ごめんごめん、お待たせ。入ってー」 先ほどまでとは打って変わって明るい調子で、少女が扉を開けた。 なんだかずいぶん待たされたような気がするが、腕時計に目を落とすと五分しか経っていない。 少女の部屋は、フリル付のカーテンとピンク色の壁紙で彩られていた―――ようなことはなく、 ハセヲの感覚からすれば普通の部屋だった。 PCの隣に教科書が置かれた机、文庫より新書の背表紙が目立つ本棚、学校指定の鞄。 何れもハセヲの部屋にも今まで訪れた男友達の部屋にもあったものだ。 目立った違いといえば、影絵の猫がプリントされたカーテンぐらいだろうか。 自分の部屋に比べると狭いように感じたが、これは友人の部屋は大抵そうなので気にならなかった。 彼らに言わせると、ハセヲの部屋が普通ではないらしい。 「あんまり見回さないでよ、恥ずかしいじゃん」 「わ、わりぃ」 物珍しそうに部屋を見回していたハセヲを、ベッドに座った少女が咎めた。 条件反射的に謝ったハセヲは、それっきり何を言ったらいいのかわからなくなって黙り込む。 「えっと、座ったら?」 「あ、ああ」 固まって動かないハセヲに、少女が床のクッションを示す。 クッションには、やはり猫がプリントされていた。 「おなか減ってない?よかったら、何か作ろうか」 「あ、ああ……って、料理、できるんだ」 「馬鹿にしないでよ。これでも、家庭科はいつも5だったんだから」 少し驚いたような表情のハセヲに、立ち上がった少女が笑って答える。 「それじゃ、ちょっと待ってて……えっと、下着とかクローゼットあるけど、下着とか覗いちゃ駄目だからね?」 「しねぇよ、そんなオヤジみたいなこと」 「うん。ハセヲはしないよね、そんなこと」 今度は瞳が見えなくなるぐらいに笑って、少女が部屋を出ていった。 312 :夏の風の中で 25:2006/09/03(日) 00 36 55 ID rgP1Y67n 独り残されたハセヲは、何を見るともなく首を回す。 右に、左に。そして最後に、俯いてため息をついた。 ああは言ったものの、女の部屋に一人というのはやはり、緊張する。 別に、下着を覗いたりはしないが。 「…………………」 駄目だ、本当に落ち着かない。 春にTHE WORLDを初めて以来、立て続けにろくでもない目にあってきたが今回はその中でも最大級だ。 「くそっ」 女の部屋に取り残されるのが、こんなに気が重いものだったとは。 せっかく彼女の部屋に来たんだから、もっと心が躍ってもいいだろうに。 取り残されたわけではないが、以前志乃の部屋に行った時もそうだった。 あの時は結局、酒の勢いを借りた志乃に押し倒されてしまったが。 押し倒される―――そう、今まで具体的に考えないようにしていたが、少女の家には今二人っきりなのだ。 事と次第によっては、そういう展開になる可能性だって十分にある。 そう意識すると、隣にあるベッドがなんだか酷く妖しく感じられてきた。 掛け布団にプリントされた黒猫が、自分をあざ笑っている。 というか、なぜこの部屋はこんなに猫だらけなのだろう。 まさか、ここは猫屋敷であの少女も実は猫又で、自分を色仕掛けで捕って食おうとしているのでは――― 妄想じみた錯覚にハセヲが囚われかけた時、唐突に扉が開いた。 「おまたせーっ!飲み物、アップルティーでよかったかな……って、何してるの?」 少女の声に、掛け布団の猫を蒼白な表情で凝視していたハセヲが我に返った。 気がつけば、Tシャツが冷や汗で肌に張り付いている。 「いや、猫が、猫又が……」 「はぁ?何それ」 「……いや、何でもない」 少女の声が、ハセヲの心を業務用冷凍庫のように冷やす。 「なら、いいんだけど。もしかしてサンドイッチ、嫌いだった?」 両手のトレイを床において、少女がハセヲに視線を合わせる。 トレイの上には、湯気を立てるアップルティーと色取り取りの具を挟んだサンドイッチが乗せられていた。 「い、いや。別に」 「むぅ、気になるなぁ……だったら何でそんなに顔色が真っ青なのかな。もしかして、アレルギー?」 少女が、今度は目を細めてハセヲに詰め寄る。 ハセヲは観念して、本当のことを話すことにした。 「いや、何でこの部屋猫だらけなのかな、と思ってな。ちょっと圧倒されたんだよ」 「ふーん……もしかして、猫嫌いだった?」 「いや、別に。ただ、どこ見ても猫が映るからさ」 「そっかぁ。あたし、猫大好き。特に、ブチのあるやつ。家じゃ飼わせてもらえないから、小物集めてるの」 神様はいるんだよとでも言い出しそうな表情で、少女が笑う。 その笑顔を見て、ハセヲは冷房のものではない寒気を感じた。 普通に見れば女の子らしい趣味だといえないことはないが、この数は異常だ。 彼女に限った話ではないが、どうしてこう猫好きには熱狂的な輩が多いのだろう。 まるで十字軍だ。 「それじゃあ、食べて食べて。お茶が冷めちゃうよ」 「あ、ああ」 少女はハセヲの内心の畏怖など知る由もなく、林檎の香りを漂わせたティーカップを差し出した。 冷房の中で飲むには程よい温度の紅茶を一口すすり、 サンドイッチに手を伸ばして無作為に選んだひとつをかじる。 クリームチーズとサーモンが挟まれたそれは、意外と美味かった。 363 :夏の風の中で 26:2006/09/06(水) 00 36 06 ID JFUa2lWW 「ごちそうさま」 皿の上のサンドイッチを平らげたハセヲが、両手を合わせる。 久々に、ちゃんとした食事をとった気がした。 両親が不在がちなので、普段はジャンクフードで済ませてしまうことが多いのだ。 「いえいえ。ごめんね、もう少し準備してればちゃんとしたの作ってあげられたんだけど」 「別にいいよ、結構うまかったし」 「本当?嬉しいなぁ」 ハセヲの言葉を聞いて、少女がぱぁっと笑った。 移ろい易いは女心と秋の空というが、彼女を見ているとそれをつくづく実感する。 思えば、今日もずいぶん色々な表情を見た気がした。 サンドイッチを褒められたのがよほど嬉しかったらしく、少女は両手をスクリーンセイバーのように動かしながらにやけている。 あまりに幸せそうなその顔が愛らしくて、ハセヲにちょっとした邪心が生まれた。 「それにしても、ちゃんとしたの、ねぇ……本当に作れるのか?」 「あー、信じてないなー。私、本当に料理得意なんだから」 少女が一転して、唇を尖らせる。 頬を膨らませていても、目は笑っているから冗談は通じているらしい。 「どうだか……昔料理が得意っていってた奴に、魚肉ソーセージ入りのカレーとかあんこを挟んだトンカツ食わされたことがあったぜ」 「私をそんな味覚異常者と一緒にしないでよ!鯖味噌とか、ちょっとしたものなんだから!」 今度は流石に本気で腹を立てたらしく、少女が目元を吊り上げてハセヲに詰め寄る。 「わかった、わかった」 「誠意が足りない!」 顔を真っ赤にして、少女が顔を更に近づける。 観覧車の中と似たようなシチュエーションだが、あの時のような色気はない。 それでも胸の動悸が早くなるのをハセヲは抑えられなくて、無意識に首を引いた。 「こら、くっつくなよ」 「ハセヲが私の…きゃっ」 「お、おいっ」 振り払おうとするハセヲを捕まえようとして、少女がバランスを崩した。 ケントの花のように、少女の体はハセヲに向かって倒れこむ。 突然の事で受け止めきれるわけもなく、二人の体は自然と折り重なる形で床に倒れこんだ。 「…………」 「…………」 鼓動を薄い夏服越しに感じ、二人の時間が止まる。 「……ハセヲ」 「え?」 少女が、少年の名を呼ぶ。 呪文のように、小さな声で。 次の瞬間、ハセヲの唇に柔らかい何かが触れた。 それが少女の唇だと気づいたのは、たどたどしい動きで舌が割り入れられた後だった。 冷凍庫から取り出したばかりのアイスを舐めるように、少女の舌がハセヲの口内を蠢く。 「はぁ……」 しばらくして唇を離した少女が、瞳を潤ませながら息を吐いた。 その吐息は、林檎の匂いがした。 「お、おい……」 陸に打ち上げられた魚のように口を動かしながら、ハセヲが起き上がろうとする。 少女は、ハセヲの腕を掴んでそれを押しとどめた。 「……嫌だった?」 「そうじゃねぇけど……普通、もう少し躊躇とかしね?」 「……恥ずかしくないわけじゃ、ないんだよ」 気恥ずかしさから顔を逸らそうとするハセヲを、少女がまっすぐ見つめる。 ハセヲはそれからしばらく首を左右に動かしていたが、やがて観念したらしく視線を少女に合わせた。 「意味、わかってるよな?」 「……うん」 重機の作動音を思わせる重く低いハセヲの声に、少女が小さく頷く。 いつの間にかその表情は、林檎の実よりも赤く染まっていた。 364 :夏の風の中で 27:2006/09/06(水) 00 38 16 ID JFUa2lWW 「んんっ、ちゅっ、ちゅる、ちゅっ………はぁっ」 「ん、んんんっ、あっ、ふぁっ、ぁん……ぷはぁっ、はぁ……」 三度目のキスは、互いの舌同士を絡めあう深く激しいものだった。 離れた舌から唾液が滴り、名残を惜しむように透明な糸を引く。 「きもちいい……」 半開きになった唇から唾液を零したまま、放心したように少女がつぶやく。 慣れない快楽に悪酔いしたらしく、その体はすっかり弛緩しきって背にしたベッドの縁から倒れようとしていた。 「ふぁぁぁ………ハセヲ?」 体を支える力すら失って倒れようとする少女の体を、ハセヲが両手で抱きとめる。 当の本人はよくわかっていないらしく、蕩けた上目遣いでハセヲを不思議そうに見上げていた。 たっぷり三十秒ほどかけて自分が抱きとめられていることに気づいた少女は、目を細めてハセヲに顔を寄せる。 「ハセヲ……ねぇ、もう一回して……」 「……ったく、キスぐらいでそんなに気持ちよくなってどうするんだよ」 頬に吐息を感じるぐらい近くで囁かれた言葉に毒づきながらも、ハセヲは少女に唇を寄せた。 「あぁ……んっ、んんっ、ちゅ、ちゅっ、ちゅるっ……」 久方ぶりに餌を与えられた猫のように、少女がハセヲの唇をむさぼる。 予想外に激しいその動きに、ハセヲの下腹部が熱を帯び始める。 脳を溶かし始めた快楽から気をそらすため、ハセヲは緊張と興奮で動悸を加速させ小さく上下する少女の胸を掴んだ。 そのまま少しずつ力を入れ、形を確かめるように揉み解していく。 「んんっ!……んっ、ちゅぱ、ちゅる、んっ、んっ……」 思わぬ展開に少女は一瞬身を強張らせたが、すぐに受け入れキスを再開する。 差し込まれた舌が歯の付け根をなぞり上げ、ハセヲの意識に薄靄がかかり始めていく。 更に止めとばかりに口の中にたまった唾液が流し込まれ、ハセヲの背筋に痺れのような感覚が走る。 「ちゅっ、ちゅっ……んっ!んん、くっ、んっ、ふはぁっ、はぁっ……」 遂にハセヲは堪えきれなくなって唇を離した。 その様を見ながら少女が、妖しく笑う。 それこそ猫又か何かのように。 「そんなに気持ちよかった?キスぐらいで」 「べ、別に……」 先ほどの言葉の揚げ足をとりながら、少女が再びハセヲに体を寄せる。 ハセヲは五度目のキスに身構え、視線ごと首をそらす。 少女はその予想を裏切って、ハセヲの体に指を這わせてきた。 右手をしなやかな首筋に、そして左手を硬く勃ちあがった股間に。 「くぅっ!はっ、はあっ、くぅ……」 微妙にタイミングをずらした両手の動きが、ハセヲの劣情を嫌が応にも昂ぶらせる。 あまりの快楽にこのまま溺れてしまっても良いような気さえしたが、ぎりぎり残っていた男の意地がそれを押し留めた。 ハセヲは歯を食いしばって快楽に耐え、少女のスカートの中に手を差し入れた。 ジャージードレスの下のゆったりとしたパンツをずらし、下着に直接触れる。 撫でるように指を上下させると、ほのかに湿った感触があった。 「やぁん、やめて、ハセヲ……」 着衣を乱されためか、それとも下着越しとは秘所に触れられたのが恥ずかしいのか、少女の声音が一転して羞恥に染まる。 「恥ずかしいよ、脱がさないで……」 「やだね」 キスやボディタッチはよくて、脱がすのは駄目と言うのはどういう理屈なのだろう。 そう思うと何故か可笑しくて、薄く笑いながらハセヲは手を下着の中へ潜りこませる。 「やだぁ、触らないでぇ……」 少女は両手で顔を覆い、赤ん坊のように首を振る。 それでも抵抗はしないし、声も震えているから感じているようだ。 365 :夏の風の中で 28:2006/09/06(水) 00 39 01 ID JFUa2lWW 指をぬらす液体の感触にほくそ笑みながら、ハセヲは片手を再び少女の胸に伸ばした。 胸元からドレスの中に手を差し入れ、下着越しに乳房に触れる。 人差し指を伸ばすと、中心部が硬く尖って下着の生地を押し上げているのがわかった。 「ひゃっ、だめ、胸いじらないでぇ……」 ハセヲからすれば軽く触っただけのつもりだったが、少女には過ぎた刺激だったらしく声が乱れる。 少し指を動かして弄ってやると、隆起が硬さを増していくのがわかった。 それにあわせて、秘部をぬらす蜜も粘度と量を増していく。 「ふぁぁぁぁ……おかしく、なりそう……」 「感じやすいんだな、ちょっと触っただけなのに」 「やぁん、、ハセヲの手がいやらしいんだよぉ、あたしのせいじゃ、ないもん………」 「そりゃ、どうも」 ハセヲはそう言うと、体に反して頑なに拒み続ける少女の口をキスで塞いだ。 そのまま舌先を伸ばして少女の唇を押し開け、溜まった唾液を流し込む。 舌の先端同士を触れ合わせたままハセヲは唇をゆっくり離し、両手での愛撫も止めた。 「え?ぁっ、んんっ、ハセヲのつば………」 少女は戸惑いながらも、口の中にあふれた粘液を嚥下していく。 快楽に溺れきったその姿に、ハセヲの欲望が昂ぶる。 「………服、脱いでくれよ」 「え?…………うん」 自然と口をついて出たハセヲの言葉に、少女はわずかな逡巡の後に頷いた。 上着のジャージードレスを外し、 ベッドに上がってアンダーのキャミソールと半端な丈のパンツを脱ぎ捨てる。 その姿を凝視しながら、ハセヲもTシャツを脱ぎ裸の上半身を晒す。 「だめ、やっぱり恥ずかしい……」 ハセヲの視線に気づいた少女が、目を瞑って視線を外した。 「じゃあ、俺が脱がすぜ。いいな?」 ハセヲがベッドに上がり、少女の肩を掴む。 その言葉は一応疑問形ではあったが、有無を言わさぬ響きがこめられていた。 手間取りながらブラジャーを外し、ショーツに両手をかける。 蜜で濡れた下着を一気にずりおろすと、湿った薄い恥毛が露になった。 「やだぁ、はずかしい、やぁぁん………」 半ば涙声なって、少女は頭を振り続ける。 その様にサディスティックな欲望が満たされるのを感じながら、ハセヲは少女の股間に顔をうずめた。 「やぁ……ひゃっ、なに?やぁ、あぁぁん!」 愛液で湿ったヘアを掻き分け、ハセヲの舌が少女の花弁に触れた。 そのまま舌を尖らせ軽くつついた後、舌全体で舐め上げ蜜をすくう。 「すげぇ濡れてるぜ」 「やだぁ、言わないで、いやぁ……」 しばらくその動作を繰り返した後、ハセヲは口を離してたまった蜜を飲み干した。 ほのかに汗の匂いを漂わせたその液体を喉で味わうと、ハセヲは股間の熱がたぎるのを感じた。 366 :夏の風の中で 29:2006/09/06(水) 00 39 51 ID JFUa2lWW もう、我慢できない。 「……もう、いいか?」 「え?」 「その、入れても」 少し躊躇いがちに聞きながら、ハセヲは少女の手を掴んで自分の股間へと誘導した。 ジーンズを突き破りそうなまでに硬く勃ちあがったその感触に、少女が一瞬、体を震わせる。 「……うん。でも、その、わたし、その……」 「初めて、なのか?」 「……うん」 「わかった、出来るだけ……その、優しくする」 とてもそんな理性を保てる保障はなかったが、ハセヲは一応頷いた。 「……あと、せめて……電気を消して」 「わかった」 太陽の姿はないが、まだ外には黄昏の薄明かりが残っている あまり意味があるようには思えなかったが、気持ちの問題なのだろうと納得して、 ハセヲは少女から渡されたリモコンで電灯を落とした。 窮屈なズボンを下着ごと脱ぎ捨て、生まれたままの姿になったハセヲが少女に覆いかぶさる。 薄明かりに照らされた少女の裸の痩身は、明るいところで見るよりも妖しく、美しく見えた。 「っ……凄い……」 唐突に、少女が息を呑む。 その視線は、怒張しきったハセヲのペニスに注がれていた。 処女らしいその戸惑いと恐怖を無視して、ハセヲは無言のまま両足を開いていく。 少女も無言で、その動物的な行為を受け入れた。 肉の割れ目が見えるぐらいに開いた少女の秘所に、ハセヲはペニスの先端を突き入れていく。 「ひゃっ!つっ、んんっ!」 先走りで濡れた亀頭が埋まると同時に、少女が苦悶の声をあげた。 男を初めて受け入れる膣はきつく、ハセヲは腰を進めるたびに抵抗を感じた。 少女の苦痛を少しでも和らげようと、ハセヲは少女の唇にキスをした。 同時に胸に手を這わせ、乳首を摘んで快楽を与えようとする。 一際強い抵抗を一気に突き破り、ハセヲは男根を少女の膣に埋め切った。 「んっ、んんっ、つぁっ!はっ、あぁっ、はぁ、はぁ……」 「……痛むか?」 「まだ、ちょっと。でも、動いてもいいよ。ハセヲが気持ちよくならないと、ちゃんとしたことにならないでしょ」 目に涙をにじませながら、少女が小さく笑う。 その笑顔が痛々しくてハセヲは躊躇ったが、やがて意を決して少しずつ腰を動かし始めた。 ここまできてしまったら、やめた方が少女を傷つけるだろう。 「んっ、んん、はっ、はっ、はぁっ」 少女が荒く息を吐くのにあわせて、ハセヲが腰の動きを早める。 まだ女として未熟な肉襞の締め付けはきつすぎて快楽を与えるものではなったが、 痛みに耐える処女を抱いている精神的な悦楽がハセヲを昂ぶらせていった。 前戯での刺激もあって、ハセヲは程なくして射精の欲求を感じた。 「んっ、はっ、あっ、あぁっ、はぁっ!」 一際強く突き上げ、少女の膣奥を感じてハセヲは一息に男根を引き抜いた。 「ごめっ、もう、出るっ」 荒い息を吐きながらペニスを手でしごきあげ、ハセヲは射精した。 溶岩のように熱を帯びた粘液が、少女の肌に散る。 ぐったりと脱力し、ハセヲは少女の隣に倒れこんだ。 367 :夏の風の中で 30:2006/09/06(水) 00 40 35 ID JFUa2lWW 「……安全日だから、中で出してもよかったのに」 呼吸を整えた少女が、体を起こしてハセヲの耳元でささやく。 「それは、さすがに……万が一、とかあったら洒落にならねぇだろ」 枕元にあったティッシュで精を拭いながら、ハセヲが苦笑する。 「あっ、くすぐったい……いいよ、そしたらハセヲに貰ってもらうから」 「いいっ!?」 「わたしはもう結婚できる歳だし、生まれるころにはハセヲも十八だよ。ちょうどよくない?」 楽しそうにそう言って、少女がくすくすと笑う。 ハセヲは、顔を真っ青にして絶句した。 「ごめん、冗談だよ。若いお母さんってのも憧れるけど、まだちょっとね」 「勘弁してくれ……」 笑えない冗談だ。 ハセヲが目を伏せ、その隣で少女があくびをする。 「ふぁぁぁ……気が抜けたら、眠たくなってきちゃった……ね、ハセヲ。最後のお願い、いい?」 「何だ?」 「このまま、一緒に寝てくれる?」 「別に、いいぜ」 「うん。嬉しいなぁ」 少女が笑って、掛け布団に潜り込み猫のように体を丸める。 ハセヲはその隣に体を滑らせ、少女の肩を抱いた。 「あっ……」 「嫌だったか?」 「ううん、嬉しい」 ハセヲの胸板に額をこすりつけ、少女は目を閉じた。 寝つきが良いらしく、程なくして小さく規則正しい寝息が聞こえ始める。 余りにも安らかな寝顔に思わず顔をほころばせながら、ハセヲも目を閉じた。 疲れていたのは同じだったので、程なくして睡魔が襲ってくる。 何故か胸に棘が刺さるような錯覚を感じながら、ハセヲは少女の肌の中で眠りに落ちていった。
https://w.atwiki.jp/mahoken/pages/110.html
新・神楽 帝及び補佐の消息不明、並びに昨今事実上の活動停止状態にあった現状に不満を持った【神楽】の一部が中心となり再編した新たな組織体制。 内部に旧派の抵抗勢力を抱えるものの、旧神楽の膨大な兵力をそのまま保持していると見て間違いはない。 戦力 兵装及び拠点は【神楽】の該当項目を参照。新兵器開発の時間も充分に有していたため警戒が必要である 現在の状況 バーゼル連邦に侵攻。目的は姫の演説を大々的に流すことだったと思われる 委員会施設の存在を最大の大義名分としていたが、大統領府ごと錬金に破壊された なにやらアヤシイ感じ。気付いているのは演説の男と極一部か 国家共同体宣言全文 世界中の、故郷を愛する者たちに告ぐ。 我々は神楽、……新たなる神楽である。 しばしの間、我らの言の葉に耳を傾けてもらいたい。 我々は危惧している。国家という枠組みが希薄になりつつある今を。 国家とは異なる共同体が、国家を蔑ろにしていることを。 確かに、彼らの持つ技術が、情報網が、人材が、 貧困から、戦災から、災害から、多くの人々を救ってきたことは事実である。 しかし同時に、彼らは、我々の歴史の宝を、信仰を、資源を奪ってきた。 否、それだけではない。 衛星軌道からの砲撃や原子炉の爆破により、多くの命が奪われた。 復興支援と引き換えに、国家の中枢を支配した例もある。 このまま、彼らの暴走を許し続けていいのだろうか? 覇権争いの先にあるのは、一局支配か、共倒れの未来しかないというのに。 知っている者もいるだろう。 我ら神楽もまた、かつてその戦渦の中にいた。 そして補佐の不在と帝の離散により、その戦列を離れた。 その結果我々は、この争いを俯瞰で見ることが出来た。 その結果、我々は、国家の不在という問題点に達したのである。 諸君。祖国を愛する諸君。 我らは、国家共同体という形をもって、彼らに再び挑もうと思う。 彼らが捨てようとしている古き価値観を、あえて武器と成そう思う。 かつての幹部と呼ばれた者たちが塗りつぶした理想を、再び追いかけようと思う。 国家単位で協力しあうカタチを作り上げたいと思う。 そのための協力をお願いしたい。 勿論、無償でとは言わない。 我らが作り上げた技術を出そう。 我らが育てた人材を出そう。 我らが築いた情報網を出そう。 今まで諸君が取引を余儀なくされた相手と同じものを提示しよう。 十分以上の対価を、我らが姫の名の下に約束しよう。 選ぶのは、諸君だ。よい返事を期待する。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/976.html
影の中の使い魔-1 影の中の使い魔-2 影の中の使い魔-3 影の中の使い魔-4 影の中の使い魔-5 影の中の使い魔-6 影の中の使い魔-7 影の中の使い魔-8 影の中の使い魔-9 影の中の使い魔-10 影の中の使い魔-11 影の中の使い魔-12 影の中の使い魔-13 影の中の使い魔-14
https://w.atwiki.jp/animalcardgame/pages/28.html
森の中へ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (画像ファイル名または画像URL) 森の中へ コスト1 森森 特技 【プ】ターン終了時まで、プレイヤーに与えられるダメージを0点になるように軽減する。 フレテキ カード概要 冬デッキ収録の特技カード。 イラストレーターはまつ カードナンバー ACG-045 任意のタイミングでそのターンのダメージを0にする。 ダメージは無効化するが他の効果は通常通り解決されるので注意。 例を上げると相手が「《大噴火》」を使用した場合、通常は4点のダメージ後に相手側の存在は全て生贄に捧げられるが、このカードを使えばダメージは0のまま相手側の存在は全て場から消える事になる。これが「《霧の消失》」や「《氷の反射》」のような通常の妨害カード場合、ダメージは0で相手側の存在は場に残り続ける事になる。 カード運用 基本的にはダメージを与えられるときに使用するが、そのタイミングには注意が必要。これをプレイしたターンしか軽減できないため、火力カードに対して撃っても普通の妨害と変わらず、動物の攻撃に合わせても動物自体は残るので次のターンには結局ダメージを受けてしまう。こちらのライフが尽きるタイミングで、延命を図るために使用が望ましいか。 動物で殴り合ってる際に使用してダメージレースを有利にする使い方も可能だが、動物が受けるダメージは軽減できず、また相手が1体ずつで攻撃している場合は引き付けてから撃たないと残りの動物で攻撃してこなくなるので、使いどころが難しい。 一番有効な使い方は、「《ライオンの嵐》」対策だろう。「《ライオンの嵐》」対策としては「《鉄檻》」もあるが、あちらが「《今生の獅子》」で破壊されるとそのまま攻撃を受けてしまうので、「《今生の獅子》」の効果で 「《森の中へ》」をサーチすることで最低限そのターンは延命できる。そのため、基本的には「《鉄檻》」と併用することが望ましい。 総評 低いコストと領土で運用できるダメージ無効カード。純粋な妨害と違い相手の生贄コストはそのまま通せるなど利点は多い。反面、無効化できるのはダメージだけなのでその副次効果次第では純粋な妨害に劣ることもある。とはいえ能力とコストを考えたら十分な性能であり、コントロールデッキであれば無理なく入れられる頼りになるカードである。 収録セット ユキデッキ(冬眠コントロール) その他 評価 選択肢 投票 壊れ (0) 強 (0) 良 (0) 弱 (0)