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とある秋の日常風景 2 目的地は意外にも釣堀と言う訳ではなく、自然の湖だった。 今回の釣る対象は研究品と言うから最悪は水槽みたいなものを想像していたが、行動研究と言うだけあって自然なデータが欲しいのか湖に魚を放流しているらしい。 どうやってデータを取っているのか知らないが、そんな事して天然自然物と混ざったりしないのかとか思うが、細かい事を気にしても仕方がない。 第21学区は学園都市最大の水源として貯水池が多く、自然公園などもある。 科学最先端な学園都市の中にあって緑が多い地区だ。 ただ今実験中です。などと言われなければ、ここだって景観は悪くないし、ともすればデートスポットになったって良いくらいである。 とはいえ、実際に今日この場所で行われているのは実験の一環であり、さらに言うなら魚釣りだ。 上条の様な特殊な事例を除けば一般的に言って実験品の魚を食いたいとか思わないだろうから、周辺にいるのは釣りが趣味の方々だろう。 その上条は徒歩で来るつもりだったので途中で昼飯を食べてから到着と考えていたのだが、美琴が付いて来た為に予定が大幅に変更され現在時刻はまだ10時半といった所だ。 実験、魚釣り、更に朝。と色々揃った為、ありていに言って人出はそんなに多くなかった。 係りの人から道具一式を貰ってきた上条と美琴は適当なポイントに移動する。 データを取るのが目的だからか、釣具も随分色々な種類が用意されているようだが、ぶっちゃけ素人なので何がどう違うのかとか、どんな場所を選ぶべきなのかとかはさっぱり分からないので、本当に適当でいいやとか思って美琴が歩いていると「………?どしたのアンタ?なんか挙動不審なんだけど?」 横を歩いている上条がなんだか落ち着きがない、チラチラとあちこちを気にしていると思ったら唐突に口を開いて言った。「はぁ……不幸だ」「はぁ?いきなり何よ?私に喧嘩売ってるの?」「どちらかというと、上条さんが喧嘩を売られそうなんですが……」「……は?いつ私がアンタに喧嘩売ったっていうのよ?」「会う度にビリビリ撃って来るのはどこのどなたでしたっけ?って、待て待て待て待てーー!?違う違う!いや違わないけど、今は違う!?ともかく今の喧嘩売られそう云々はアナタ様に対して言った訳ではないですからしてビリビリはしまって下さい!?」「じゃあ、一体何だってのよ?」「い、いや……分からないなら気にしない方が身の為だと思うぞ。うん」「アンタ、さり気なく私を馬鹿にしてない?そんな事言われて気にならない訳ないじゃない」 むしろ逆に気になるに決まっている。 美琴が空気を帯電させ、さっさと言わないと撃つわよという無言の意思表示を行っていると、上条は何か悩んでいた様だが渋々といった感じで口を開いた。「……あのな、お前は自分の服装を気にした事がないのか?」 しかし出てきた言葉は予想外のものだったので、美琴は慌てて自分の服装を見やる。いつもの常盤台の制服だ。 別にどこか汚れているとか、乱れているとかいう訳でもないよう見えるが、改めて言われると気になって仕方がない。 ちょっとした皺を伸ばしてみたり、服装とは関係がないが、なんとなく髪を手櫛で整えてみたりする。「えっ!?ど、どこかおかしい……かな?せ、背中に何かついてるとか?」「別におかしな所はねーよ。そういうのでは無くてですね。お前が着てるのは常盤台の制服だよな?」「は?今更何言ってんの?」「……つまりお前はお嬢様なわけだよな?」「…………そう…だけど。……えっと?何言ってるの?」 確かに常盤台中学は学園都市内でも『5本指』に数えられる屈指の名門であり、更に言うなら世界でも有数のお嬢様学校として知られている。 従って、お嬢様という言葉が似合う生徒は確かにいる。 しかしながら、美琴自身はそんな事を気にした事はないし、上条の前でお嬢様らしい言動をした事もない気がする。 大体にして、上条が美琴に向かってお嬢様と言う時はむしろ粗雑な行動を取っているのを諦めた風な意味合いで引き合いに出す事が多い訳だが、今の台詞はそういうのとはなんだか違う気がする。 美琴は上条の意図する所がさっぱり分からずにキョトンとした顔で聞き返すが、対する上条は全く分かってくれない美琴に焦れたのか叫び声を上げた。「だーーーーー!!一般的には常盤台の生徒ってのはお嬢様なんですっ!一部には憧れのとかつきそうな!つまり今、俺はお嬢様を連れて歩いている様に見られているわけで!くっそ、これが『中学生に手を出したスゴイ人』っていうやつか!?さっきから視線がいてえぇぇぇぇぇぇ!?」 皆無とは言わないが、カップルで釣りを行う様な人達はどちらかというと少数派だろう。 周囲にいる人達は概ね独りで釣っているし、二人以上で来ている人もいるにはいるが、男女のペアはほとんどいない。 そんな所に常盤台の生徒を連れて歩けば目立つ事この上ない訳で、至極当然の結果として上条は視線の集中砲火を受けていた。 ――ちなみに上条が気にしている様な『中学生に手を出したスゴイ人』とかいう謎の成分が入っている訳ではなく、純粋に『女連れ。それも常盤台の』という視線である。「えっと……えぇ!?あの、それってその!こ……いや、その…ぁぅ」 上条の台詞から周囲からどの様に見られているかを理解した美琴の頬が赤く染まる。 その場の感情と勢いで付いて行くとか言ってしまったが、よく考えたらデートという単語が頭を過ぎり美琴は更に冷静さを奪われる。「う゛っ!?み、御坂さん?お……怒らないんですか?いやっ!?怒って欲しいという訳ではないのですが、そんな反応も出来ればやめて欲しいと言いますか!?」「なななな何よ!?わ、私は普通よ!?フツー!!」 上条からすると、美琴の上条に対するスタンスの認識としては、『どちらかというと嫌われている様な気がするが、基本的に善人でお人好しなので何だかんだ言いつつも付き合ってくれているんだろうな』という微妙なものだ。 何せ、上条的にほぼ初対面な8月20日、白井から密会と言われた際には『このヘンテコが私の彼氏に見えんのかぁ!?』と言われた位だ。 その為、今回もカップルと見なされている事が分かれば怒るに違いないと思っていた訳だが、予想に反してごにょごにょ言いながら指先をもじつかせている美琴に上条はどう対処していいのか分からない。「そ、そうか?い、いや、な、なんでもねぇ!普通ならいいんだ!えっと、その、なんだ!?と、とりあえず釣りしないか!?」「そ、そそそそそうね!」 突然発生した桃色な空気に迂闊に触れては危険だと判断して当初の目的を提案する上条と、同じくどう対応していいのか分からないから何か間を持たせる物を欲して提案に乗ってみる美琴。 こんな状態で釣りなんぞやっても気まずくなるに決まっているのだが、思考が無駄な方向に高速回転中の二人に分かる訳がなかった。 さて、釣りと一口に言っても色々あるが、今回の場合はオーソドックスに釣り針に餌を付けて投げるという物で良い。 微妙な空気を引きずったまま二人は適当な地点で準備を整える。「み、御坂。ほら餌」 後は釣り針に餌を付けて投げるだけといった段で、未だにぎこちない感じで上条が餌が入っていると思われる箱を示した。 美琴は美琴でテンパっていた為に普段から考えれば、素直に受け取ろうとしたのだが、「あ、ありがと………う゛!?」 ヒキィ! と音が出るくらいの勢いで美琴の表情が引きつった。 美琴は所謂、練り餌を想像していたのだが、餌といっても色々ある。 ――結論から言うと生餌だった…………虫の。「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 うぞうぞと蠢いている小さい虫の群を認識した瞬間に美琴の背筋に悪寒が駆け上がり、思わずあんまり女の子らしくない悲鳴を上げて思いっきり上条から距離を取ってしまう。「……御坂?……ははーん。さてはお前…」「うっ!?な、何よ!?」 先程までの妙な空気はどこへやら、上条がニヤリと言った感じの笑いを浮かべる。 美琴はこれはマズイと思ったが、相手がアレでは分が悪いのは分かりきってはいる。 しかしだ、普段の関係からしてそんな簡単に上条に弱みを見せるのは憚られる。絶対、後々までからかわれる気がするし。 だが、妙な雰囲気から脱出したかった上条はこれこそ天の助けとばかりに美琴を攻める。「まさか、あの美琴センセーが虫を苦手にしているとはなぁ。いやぁ、驚きですよ」「そ、そんな事ある訳ないじゃない!?」「ほほう?では姫。もう一度これをじっくりとご覧下さい。隅から隅までずずいーっと」「や、やめろ来るな馬鹿!!そ、それ以上こっち来たら酷いわよ!?」 美琴は精一杯の虚勢を張ってみるが、もう一度あんなのを見るなど御免被りたかったのですぐに敗北を宣言する。 超電磁砲を装填、何時でも撃てます。とばかりに美琴は全身全霊で拒否を示す。 ……といっても、こんな冷静とは程遠い状態でまともな威力が出るのかは分からなかったが、どうせ全力で撃っても目の前の馬鹿には効きはしない。 だが、どんな手段を持ってしてもこれ以上の敵の侵攻はなんとしても食い止めなければならないのだ。「待て待て!?そんなの撃ったら弾け飛んでばらまかれるぞっ!?」 上条は当然だが利き手である右手で餌箱を持っている。そこに超電磁砲をぶち込んだらどうなるか? 上条は右手で打ち消すだろうが、当然ながら消されるまでに右手に持った餌箱は消し飛ぶ。 中身ごと完全に消滅してくれればまだいいが、下手をすると超電磁砲の余波で発生した衝撃波で飛び散りかねない。 美琴は必死の抵抗を敢行した先に待つであろうその惨劇を想像して蒼白になった。 単純に電撃で攻撃すれば黒焦げになるんじゃないのか?とかそんな事を考える余裕はない。 そもそも左手に箱を持って、右手でガードしつつ進軍されたら美琴に為す術はない。完全な王手である。 上条はだんだん近づいて来る。「いーーーやーーーー!?ちょ、やめて!?それだけはホントダメだからこっち来るなぁ!!」 打つ手がなくなった美琴はパニックに陥ったが、上条はあっさり美琴を素通りしてから言った。「そこまで嫌がってるのに見せたりしねーよ。練り餌とかに取り替えてもらって来るわ」「ふぇ……!?よ、良かったー……」 緊張から解放された美琴はそのまま力なく座り込んでしまった。 そんな美琴を見た上条はやや呆れたような調子で話しかけてくる。「俺ってそんなに嫌がらせしそうに思われてんのかね?信用ねーっつか、上条さんの繊細な心はちょっと傷つきましたよ」「そういう訳じゃないんだけど……いや、でもアンタ!取り替えてくるっていうなら、最初からそう言えばいいじゃない!無言で近づいて来たって事はちょっとはそういうつもりだったんじゃないの!?」「うっ!?……普段はお前に散々振り回されてるんだから、たまにはいいじゃねぇか」「……なんで目を逸らすのよ!?やっぱり嫌がらせだったんじゃないの、このバカーー!!」 実は上条は嫌がらせ云々に対してとぼける為に視線を逸らした訳ではなく、美琴の状態そのものから視線を逸らしたのだが、今の自分の状況がどんな風に見えるのか分かっていない美琴には上条がすっとぼけたとしか映らなかったので報復の為に電撃を飛ばす。 ――ちなみに美琴は(虫の一件の性で)ペタンと地面に座って涙目だったり、(恥ずかしさとか怒りの性で)頬が赤かったり、(座っている為に)上目遣いだったりと上条にとっては凶悪な姿になっていた。「うぉ!?やめろ!?…ったく、御坂の女の子らしい一面を初めて見たとか思ってちょっと感心しかけたらすぐこれだ。もうちょっと可愛らしい状態を持続できないのかお前は?」 何だか良く分からないけど可愛らしいと言われたのは内心凄く嬉しいが、美琴としてはそれよりも聞き逃せない一言がある。 今初めて女の子だと認識しました。とでも言うのかこの馬鹿は。「ちょっと!?それどういう事!?アンタは私を今まで男だと思ってたってのかーーー!?」「あーもう面倒だしそれでいいや。とにかく、ちょっと餌変えて貰って来るから大人しくしてろよ?」「ふざけんなこらぁぁぁぁぁ!!真面目に相手しなさいよーーー!!」 上条はへーへーそれはまた後でな。とかぞんざいな返答をしつつ、さっさと係りの元へと行ってしまった。 またスルーかあの野郎とか、また子供扱いかとか思ってイライラするが、思い返してみると確かにあんまり女の子らしい反応を返した事はない気がする。 それにしても虫嫌いな点が初めての女の子らしいアピールポイントっていうのはあんまりだと思う。 その印象の抱かれかたは美琴としてはちょっと嫌なので、もう少し違うポイントで上書きしておきたい所ではあるのだが、一体どうすれば良いと言うのか。 考え付く事柄はそれはもう夢一杯という感じであるにはあるのだが、想像するだけで赤くなったり青くなったりと忙しい美琴が簡単に実行できれば苦労はしない。 あまり直球に攻めるのは恥ずかしすぎるので出来れば遠回りに攻めて行きたいとか思うのだが、しかしそれでは今までの経験からしても上条は気付かないだろう。 どうやったら鈍感馬鹿にそれとなくアピールできるのかを必死になって考えていると「……御坂?何か唸ってるけど大丈夫かお前?」「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」 いつの間にか戻って来ていたらしい上条にいきなり声を掛けられて美琴の肩、というか全身が跳ね上がる。 突然の事に動転しきっているが、先程まで考えていた内容を悟られたくなくて美琴は上条を威嚇する。「な、なななな何!?何の用よ!?つまらない用だったら張り倒すわよアンタ!!」「ええーー!?変えて貰った餌を渡そうと思っただけなんで面白いかと言われると非常に困るんですけど張り倒されなきゃならねぇのこれ!?」「え?あ、あー!餌ね!餌!さっさと渡しなさいよ!」 上条は何でコイツはこんなに怒ってるんだ?俺なんかしたっけ?とか呟き、美琴の剣幕に若干引きつりながらも箱を差し出す。 勢いで言ってしまったが、美琴は先のおぞましい情景を思い出して恐る恐るといった感じで箱の中身を見た。 ……非常に有難い事にちゃんと練り餌だった。 怒ったと思ったら酷くびくびくしながら餌を受け取った美琴に上条は笑い出した。「く、くくくく……お、お前、そこまで嫌いなのに、なんであんなに強がるんだよ?どんだけ負けず嫌いなんですかー?」「う、うるさいわね!ほっときなさいよ!」「しかしまぁ、貴重な御坂が見れたな。お前、変な所でお嬢様らしいのな。虫を見たこともない箱入りお嬢様とかってイメージから程遠いんだが、何か理由でもあるのか?」「別に何も無いわよ。良く分からないけど生理的に受け付けないのよ。ただ気持ち悪いの」「いやいや、あの美琴センセーが怖がるからには深刻な理由があると見たね。そういやお前って努力で低能力者から超能力者になったんだよな?」「だから理由なんて無いつって――――……はぁ?そうだけど、いきなり何よ?」 美琴は話題の繋がりの無さにいきなり何言ってんだコイツは?とか思うが、上条の顔にはあんまり良くない感じの笑みが浮かんでいる。 絶対ロクでもない事を考えてるに違いないと警戒していると「つまりお前はあれですか?能力覚えたての低能力者の頃に、夜に火花散らしてキレーイとかやってたら光に釣られて虫がわさわさやって来たので、追い払うのに更に能力使うけど低能力の電流じゃ虫も死んでくれない上に更に一杯群がって来て大パニック!で精神的外傷を負ったという訳ですね?それで負けず嫌いな御坂たんとしては、虫を追い払えるように努力して超能力を得たと?うっわ!可愛いーー!」 などと上条が恐ろしく曲解した意見を述べたので美琴は爆発した。「なななな!?何を馬鹿な事を言っちゃってんのよこの馬鹿は!?んな事ある訳ないでしょうがーーー!!」 怒りやら妙な感想を抱かれた恥ずかしさを乗せて雷撃の槍が上条に襲い掛かる。「いいじゃねぇか、可愛らしく擬人化した御坂たん萌えー?」 上条は雷撃を打ち消しながらにやにや笑いを止めない。 美琴は生理的に虫を受け付けないだけであって、そんなお茶目なエピソードはない………ないったらない。 大体そんな理由で可愛いとか言われても嬉しくもなんともない。むしろムカツク。 だと言うのに、迂闊にも晒してしまった弱点を更に突付こうかという構えの上条に美琴の中の何かが切れた。「また擬人化とか言うか!?アンタは私を何だと思ってんのよ!?このクソ馬鹿がぁぁぁぁぁぁ!!」 ヒートアップした美琴から放たれる雷撃の威力が増し、辺りに轟音が響く。「うぉ!?ちょっ、待てお前!?当たったら洒落にならねぇんですけど!?」「うるさいこの馬鹿!!人を散々からかってくれちゃって!一辺死んで来いやぁぁぁぁ!!」 …………一通り追い掛け回して若干疲れた頃には既に昼前になっていた。 水辺で電撃を放つ鬼ごっこなどを展開したものだから釣師の皆様はすっかり避難されている。 データ取りが目的な主催者側――係りの人の目線が痛い。 無駄に疲れた二人はほとぼりを冷ます意味も含めて、一度、昼食を摂りに外に出ることにした。「何の為に電車使って早く着いたんだか分からなくなったな……」「ア・ン・タ・が悪いんでしょうが!!大体アンタ、この痛々しい空気の中で釣りしようっての?私にはできないわね」「はいはい。御坂に可愛げを求めた上条さんが馬鹿でした」「アンタやっぱり私に喧嘩売ってるでしょ!?ほらっ!いいからさっさと歩く!」 来る前は振り回そうと決心していたのに蓋を開けてみれば振り回されっぱなしの午前中だった。 何だか釈然としない美琴は諸々の怒りなども若干込めて上条を引っ張る。 午後こそは!とか生来の負けず嫌いが祟って何か当初の目的から逸脱している美琴は気付いていない。 二人の力関係は対等に近いのだ。 同じ重さのものが片方を振り回すと遠心力を味方に付けたもう片方にむしろ振り回されるはめになる事を…… ――秋の空はどこまでも高く、日が落ちるのが早くなっている事など今は感じさせなかった。
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このSSはぺにまむ表現を含みます 一部東方キャラが出演します OKな方は戻らないでどうぞ ここ最近、私は山によく出掛ける 山に住む河童から私が商いをしている店に注文があったからだ 河童の方々は上客であるため直接出向き商品を納品することにしている そんなことが何回か続き山の妖怪達からも顔を覚えられるようになった 天狗に出くわしても会釈を交わす程度にはなり、山道では特に危険もなくなり 安心して商売に精を出していた 数ヶ月経ったある日山にもゆっくりが出るようになった 最初に私がよく出会ったのはゆっくりれいむだった 「ゆっくりしていってね!」 と、特有の挨拶をしてくるナマモノ饅頭 私は別に族に言う虐待お兄さんでもない かといって愛でお兄さんでもないので特に何もしない 気まぐれに何かくれてやることがあったがあったがそれとてお菓子ではなく 精々食べかけの私の食事だ 野生のゆっくりに人間の食事を与えると野生の食事が取れなくなると聞いたので なるべく野菜のカスを与えていた それから1ヶ月が立った 河童からの注文を受け私は商品を受け渡しに山へと赴いた 「ゆっくりしていってね!」 ちょうど山道を登り始めて5分ほどしたころに一匹のゆっくりと出会った 金色の髪、そして頭のカチューシャ ゆっくりありすだ 「とかいはなありすになにかたべものをもってきてね!」 食べ物を要求するゆっくりは数多い が、丁度この日は何も持っていなかったためゆっくりありすを素通りした その後も 「とかいはのありすをむしするなんて〜〜!!」 「じいい〜〜!」 とか叫んでいたようだが聞こえないふりをした そうこうしてるうちに受け渡しの場所に到着し、河童に商品を渡す そして、その代金を受け取り世間話をする 河童というのは人間を盟友と思っているらしくとても友好的であった 今では私も友人のように話をしている やれ、天狗の新聞大会がどうとか、神社ができただの、本当に他愛もない話だった 当然ゆっくりも話題に上る 「最近はゆっくりの中でもありす種が多くなってきた」 と、河童は餡子の饅頭が好きだったのになぁとぼやき始めた 「ゆっくりって全部餡子じゃないのか?」 「いやぁ、ゆっくりは種類によって中身が変わるんだ」 河童は丁寧にも私に説明してくれた。なんと、ゆっくりを使って 「「「ゆっくりしていってね!」」」 差し出されたのはれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇん 河童はまずれいむを持ち上げる 「知っての通りゆっくりれいむだ。こいつはな…」 そう言うと河童は器用にもゆっくりれいむを縦に引き裂いた 河童は人間よりも力があるためれいむは自分が死んだことに気付かぬままに死んでしまった 「でいぶぅぅぅぅう!!!」 「むぎゅうううう!!!」 「ぢーんぼ!」 「わがらないよー!」 河童が作ったケージに閉じこめられたゆっくりが口々に目の前で引き裂かれた れいむを見て悲鳴を上げる 私は精神衛生上よくないのでは?と訪ねてみた すると、ゆっくりは恐怖や絶望を味わうと甘くなるなどと言う 一体どんな構造をしているのだ 「ほら、こしあんだ」 ちぎったれいむの半身を差し出し河童はそれに口を付ける お茶まで用意されているということはどうやらそういうことらしい 試しにと私もそのれいむを食べてみた 「これは…!」 「な?美味いだろ?」 甘さ控えめ、あっさりとした餡子 皮ともベストマッチしたこの饅頭 こんなものは里でも食べたことはない 「で、まりさはつぶあんなんだ」 河童はさらにゆっくりまりさを縦に引き裂いていく しかし、今度は先ほどと違いとてもスロー、つまりゆっくりしている 「やべでええ!!ばりざがふたつになっぢゃうううう!!!」 「おいおい、ゆっくりしたいんじゃないのか?」 「ゆっくりじだいでずうううう!!!」 「いいぜ、あの世でゆっくりしな」 「いやああああ!」 まりさに深い絶望を与えて河童はまりさを引き裂いた そしてこのまりさはとても甘く、また別の美味しさを持っていた どうやら絶望を与えると甘みを増すというのは本当のようだ その後もぱちゅりーから生クリーム、ありすからはカスタードクリーム みょんからホワイトチョコクリームと数種類の甘味を味わった そしてケージの中では最後の一匹となったちぇんが失禁しガタガタと震えている 「わがらないよー!」 「もしかしてこいつはチョコ?」 「察しが良いな、その通りだ」 河童はケージからちぇんを取り出すと頭をなで始めた 「が、こいつは俺のペットなのだ」 ちぇんをあやしながら河童は自慢気な顔をする そう言われるとこのゆっくりならペットにしてもいい気がしてくるから不思議だ 河童はちぇんに「れいむ達は悪いゆっくりだからこうなった」と説明した ちぇんも渋々納得したようで「悪いことはしないよー」と言ってどこかに行ってしまった 遊びに行ったのだろうか 「おっと、山に出られないようにしておかないとな…そうじゃないとありすに…」 「ありすに?」 思わずインコのように聞き返した 野生の動物に飼っているペットが襲われる話はあるが ゆっくり同士でもあるのだろうか? 「あぁ、あんたは知らなかったのか」 ゆっくりに性別はなく、雌雄同体に近いらしい そのため交尾となれば雄役と雌役に分かれる しかし、そのため強制的に交尾を迫り好き勝手に繁殖するありすがいるというのだ れいぱーありすと呼ばれるありすは相手を雌役とし自分の生殖器を使い、ゆっくりをレイプする レイプされた方の個体には頭から茎が生えて子どもが実る 母体となったゆっくりは子どもを作る過程で体内の餡子を茎に持っていかれるため 十分に成長しないと死に至ってしまう 最近になってありす種が激増した原因はそのれいぱーと呼ばれる個体のせいらしい 特にまりさ種を好んで襲うらしい 「俺のちぇんまでそんなのに襲われたら困るからな。ちょっと見てくる」 河童は説明を終えるとちぇんを追いかけていった 私も店に戻るためにその場を後にした 帰り道、ゆっくりを見かけたがどれもありすだった もう一度言うが私は虐待派でも愛で派ではない そのため、特に気にもとめずに店へと戻った 一週間後、里ではれいぱーありすの話題で持ちきりとなった 遂に妖怪の山ではれいぱーありす以外を見かけることが少なくなった 天狗の新聞にはゆっくりは他の場所へ逃げたか隠れ住んでいると書いてあったがどうなのであろうか これが話題になったのは里の飼いゆっくりが襲われるようになったからだ 寺子屋の慧音さんの元へと相談に行く人もでるようになり騒然となった そうして里ではゆっくり駆除についての案を募集していた 人海戦術を行おうにも山は広大である 薬剤の散布は木々に影響を及ぼすために却下され、お手上げ状態となり 誰か良い案は無いか、ということになってしまった 私の店の常連客も時々何か案はないかと話していた 飼いゆっくりを殺されて怒り心頭の様子 私にまで案はないかとたずねてくるのだから 「そうですね…」 意外なことに私にはアイディアが閃いた しかし、この方法は私1人では実行できず、恐らく竹林に住む者の力を借りることになるだろう 慧音さんに話と意外なことに既に向こう側から協力の要請が来ていたらしい どうやら研究に必要だとか こうして、永遠亭の強力を得て私の案が実行されることになった 妖怪の山ではれいぱーありすの横行によってありす種が山のゆっくりの半分以上を占めるようになった そんな中一匹のありすがいた このありすもれいぱーである 流れるような美しい髪、艶やかな肌、お気に入りのカチューシャを付けた自分は山一番の美ゆっくりだと思いこんでいる そして当然目に映るもの全てがれいぱーフィルターを通される れいむが美味しそうなものを集めていればそれは自分のためだと思いこみ また、まりさがいればそれは自分を誘っているものだと思いこむ できた子どもはレイプしたゆっくりが1人で育てるのが当たり前で美しい自分の遺伝子を持ったゆっくりを一匹でも多く増やすのが 自分の使命だと考えている 西にぱちゅりーがいると聞けば行ってにんっしんっさせ、東にちぇんがいると聞けばにんっしんっさせる。 そんな毎日が続いていた その日、ありすはいつものように目を覚ました しかし、そこは木の下に作られた巣であり、自分の都会派な巣ではない が、ありすはレイプしたゆっくりの家を乗っ取ることが多かったので特に気にしなかった 「きょうもぷりちーなありすのこどもふやしにいくわ!」 ありすは日課であるゆっくり探しを行う れいぱー種に怯える他のゆっくりは隠れて生活している または徒党を組んだりドスに守られているため1人ではとても近づけない 現在、この山の群はありす種を問答無用で殺すことによって辛うじて存続を図っている そこでありすは考えた まりさが自分の気を引くために送ってきた(そう思いこんでいるだけで実際はレイプする際に奪った)帽子を被る これにより他のゆっくりはありすのことをまりさだと認識してしまう 髪飾りによる識別を逆手に取った手段だった これにちょっと演技を加えるだけでゆっくり達はダマされてありすを巣に呼び込んでしまう そうして今日もまた犠牲ゆっくりが 「ゆゆ?まりさはひとりなの?ひとりだとありすがくるからまりさのいえにおいでよ!」 「ありがとう!まりさはとってもゆっくりできるゆっくりだね!」 まりさはこのありすを1人はぐれたまりさだと思いこんだ 仲間を救うために自らの巣に招き入れるのだ 例えれいぱーが来ようとも徒党を組めば対抗できるためである (ゆゆ、まりさはつんでれすぎてありすはこまっちゃうわ!) ありすは木の下に上手く枯木と落ち葉で隠された巣まで案内された それは人間の目から見ても中々上手く偽装されている巣であり野生のゆっくりが見つけるのは到底困難なほどだ (ありすのためにこんなおうちをよういしてるなんて…まりさったらとかいはね!) 「はやくはいってね!ありすにみつかっちゃうよ!」 「ゆっくりいそいではいるね♪」 ありすが巣にはいるとまりさは急いで巣の偽装を開始する 元々地形的にも優位性があるためさほど時間はかからない そして偽装を終えたまりさが戻ってきたとき、ありすは反抗に及んだ 丁度このまりさは1人だったのだ 運悪く他の仲間は狩りに出掛けていた 普段ならゆっくり4匹が共同生活を送っているため一匹だけなら何の問題もないのだがまりさ一匹ではれいぱーありすを押しのけることもできない 「まりさ!すりすりしすぎだよ!まりさたちにはすっきりしてるよゆうはないんだよ!!」 「す〜りす〜り♪」 まりさから見れば敬愛の証のすりすりもありすにしてみればただの前戯 まりさをその気にさせているのである 「ゆゆゆ!だめなんだよ!あかちゃんができてもありすが!!」 「まりさあああ!!!」 まりさがその気になったと思ったありすはここで帽子を脱ぐ 「ゆ!?ありずぅぅぅぅう!!!?」 帽子の下から現れたカチューシャを見てまりさは驚いた 急にまりさがありすになったのだ 帽子を脱いだだけだがまりさがそれに気付く間もなくありすは襲いかかる 「まりさもあかちゃんがほしいのねええええ!!」 「やべでええええ!!!まりざにはでいぶがあああ!!!」 このまりさには将来を誓ったれいむがいた そのれいむは狩りと歌が上手な美ゆっくりでありすの危険が去ったら結婚しようと約束していた だが、ありすの攻めによりまりさは強制的に発情させられてしまい、体中から粘液を分泌している ありすからも粘液が分泌され互いの粘液が混ざり出す 「まりさのまむまむきちきちできもちいいわああああ!!!!!」 「いやあああああああああああああ!!!!!」 まりさがどんなに力を掛けても覆い被さるありすは離れない その醜悪なぺにぺにでまりさを犯している 「むほおぉぉぉぉぉ!!!!!」 「だべええええええ”!!!!」 「「すっきりー!」」 ぺにぺにから精子餡を出し切るとありすはようやく勃起したぺにぺにを引き抜く 対するまりさは大粒の涙を流しながらピクピクと震えている 「でいぶぅぅぅ…ばりざよごれぢゃっだよぉぉ…」 「せかいいちうつくしいとかいはなありすのこどもがうめてまりさはしあわせね!」 まりさの頭から茎が生えて子供が出来ていく 幸いまりさが黒ずんで死ぬことはなかった そうして一匹目の子どもが出来た 「ゆっくち〜」 まりさ種であり、まだ赤ゆっくりになりきっていないため上手く言葉が話せない そして二匹目が実る またまりさ種である 「かわいいありすのこどもね♪つぎはありすができてね!」 ありすはまりさの茎に実る子どもを見つめる そうして三匹目 「きたわ!ありすのこどもね!」 「ゆ〜…」 だが、実ったのはなんとれいむ種だ 「ゆ?どうしてありすじゃなくてれいむなの?」 ありすははてなまーくを浮かべながらまだ実ったばかりのれいむを見定める まりさとありすの子どもなのだかられいむが出来るはずはない 「まりさったらうわきしてたのね!でもいいわ、とかいははこころがひろいのよ」 勝手なことを口走りありすは4匹目を待つ 残るはあと2つ 4匹目と5匹目が同時に実った だが、二匹ともれいむ種だった 「どぼじでありすができないのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 まりさからは5匹の子どもが産まれ内訳はまりさ2匹にれいむ3匹である 自分と同じありすが産まれなかったことに激怒したありすはまりさに体当たりする しかしまりさはそんなことなど気にとめずに自分に実った子ども達を見やる 「ゆゆ…まりさと…れいむだよおぉぉぉぉ!!」 まりさは不幸のどん底から一転幸せの絶頂を迎えていた れいぱーありすの子どもではなくれいむの子どもが出来たのだ 難しいことは分からなくてもありすの子どもが出来なかった上にれいむ種の子どもを授かったことで幸せ一杯だ 「ふん!まりさみたいないなかものにはれいむがおにあいだわ!」 ありすは帽子を拾いまりさに罵倒を浴びせながら巣を後にした ありすは不機嫌だった まりさは浮気をしていて自分ではなくれいむの子どもを実らせた すっきり出来たもののその一点だけがどうしようもなく不快だった 「つぎはもっととかいはなゆっくりにするわ!」 ぽよんぽよんとありすが山道を登っていると目の前には一匹のちぇんが 「まりさだねーわかるよー」 「ゆっくりしていってね!」 と、礼儀正しく普通のゆっくりの振りをする だが、ちぇんが気をそらした瞬間襲いかかる 「むほぉぉぉぉ!!ねこみみのちぇんもかわいいわああああ!!」 もはや帽子を取るどころではなく、一刻も早く自分の子どもを作るが優先された結果だ 「わがらないよー!まりざあああ!!!!」 ありすのギンギンにたぎるぺにぺにがちぇんを犯していきあっと言う間に絶頂に達する 「「すっきりー!」」 ありすは激しく体を動かしたために帽子が落ちていた れいぱーと気付いたちぇんだったが既に茎が生えているため動く動けない 「ゆっくりはやくかわいいありすのこどもをうんでね!」 「わからないよー…」 そうしてちぇんも子どもを実らせる だが、産まれてきたのはちぇんとれいむだった 「まだでいぶぅぅぅぅぅ!!!」 「わきゃるよおお!!とってもゆっくりしたちぇんとれいむだよおおお!!」 ちぇんはうれし涙を、ありすは悔しさや憎しみの篭もった涙を流す 「でいぶうううう!!!ありずのじゃばをずるのねえええええ!!!」 ありすはちぇんには目もくれずに叫びながら走り出した その後もありすは見かけたゆっくりを全て犯していた だが、産まれる子どもは全て犯した相手とれいむ ありすは一匹も生まれない 「どぼじでえええ!どぼじでありずがうばれないのおぉぉぉぉ!!!!」 発狂したありすは暴れ狂いながら走り続け、ついには大きな石に頭をぶつけて気絶してしまった 同じ頃、他のありすにも同様の症状が現れていた 「なんでありすじゃなくてみょんがうばでどぅのぉぉぉぉ!!!!」 「ばりざじがうばでないいいいいい!!!!!」 「ちぇんん!!!!なんでちぇんとぱちゅりーなのおおおおお!!!」 「ぱちゅりーとでいぶじがあがががああああ!!!」 「ぱちゅりーがばりざをねどっだのでえええええ!!!!!」 全くありすが産まれない 産まれるのは相手と自分ではないゆっくり ありす達は次々に発狂していった そしてそれを遠くから眺める女性が二人 一人は上白沢慧音、もう一人は 「上手くいったみたいね」 八意永琳である 彼女はありす達の様子に非常に満足しているようだ 「私から話を持ちかけておいてなんだが、少々むごいな…」 慧音は発狂するありす達をどこか憐れみを含んだ目で見つめる 「しかし、これも自業自得だ…おまえたちも反省するといい」 「そんなのする暇ないわ。これからありすは大幅に減るんだから」 永琳が指をぱちんとならすとどこからかてゐが現れてありすを袋に詰め込んでいく 袋が一杯になると他の兎たちがそれを永遠亭まで運ぶ 「けど、これを考えたの里の人間でしょう?なかなか見所のある人間じゃない」 今回の案は永琳ではなくある男がもたらしたものだ それは、ゆっくりが繁殖を行う際にありすが産まれないようにすること 具体的には繁殖時には体内の餡子を精子餡に変換してぺにぺにから射精する そこでその変換の過程でありすのカスタードから別のゆっくりの生クリームやらチョコに変わるように体をいじったのだ 山に睡眠薬を撒きありすが眠ったところを鈴仙に捕まえさせ処置を行う そうして全て元いた場所に戻されもともと無頓着なありすは何も考えずにれいぷを行う 結果、自分の子どもは一匹も生まれない 「何か小説で読んだ話だといっていたが…人間だったら殺されてもおかしくないぞ」 「あら、それはnice boat.な意味で?」 「………」 慧音の元に提案した男は小説の話をヒントに思いついたと言っていた 一件温厚そうに見える男があの様なことを思いつくとは恐ろしいと感じていた 「さて、それじゃまた次のありすを捕まえるわよ」 計画は妖怪の山を12区画に区切って行われる つまり、これと同じ事をあと11回 大々的な作業のためカラスや河童も協力をしているほど人手がいる この様な方法をわざわざ取るのは里の人間はありす以外からは実害を被って折らず まだ慣用的であったからだ それともナマモノとは言え全滅させることに引け目を感じたのか、ありす以外は残ってもよい、と決議された その様な背景もありわざわざ手間の掛かる方法を取ってある だがしかし、半分は永琳の趣味なのだが 「……妹紅、私はいつになったら帰れるのかな」 妹紅は今回の件には関与していない あくまでも里のことなので寺子屋の留守を任せてある 結局、全区画の作業を終えるまでに1週間かかり、慧音は作業の手伝いでその間寺子屋へは帰れなかった そして、妖怪の山からありすが姿を消したのはちょうど冬が訪れたときの話である by お題の人 あれ?前半書く必要あったけ? あと、規制キターorz
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あらすじ ケイ「魔力パネェ」 マイルズ「スコップに愛されすぎでしょ」 俺「固有魔法が身体強化だと思ったかい?残念!!スコップ強化だよ!!」 以上!! さて、俺の異常魔力とスコップ強化という独特すぎる固有魔法が判明した翌日。 マイルズ「ふあ~・・・今日も暑くなりそうね」 日が出てまだ間もなくほどよい気温になっている時、ゴシゴシと目を擦りながらこの砂漠で私室として使っているテントから出てきたのはマイルズである。昨日は驚きの連続で疲れてるのだろう、ふわァと可愛らしいあくびをする。 ヒュン、ザザッ マイルズ「・・・ん?」 すると、彼女の耳に何か物を振り回す音と、砂の上で何か動いている音が聞こえた。 マイルズ「(何かしら?まだ起床ラッパが鳴るにはまだ早いし・・・)」 途切れることなく聞こえるその音にマイルズは興味を抱いたのか、そちらのほうへと歩いていった。 ~~ちょっと離れた場所~~ マイルズが向かおうとしていたところには、すでに先客がいた。 俺「ふっ!!」 そこには上下迷彩服を着た俺がいた。 俺「シッ!!」 ヒュンッと俺は右手に持ったスコップを斜めに振り下ろす。そして、返すスコップで何かを払うかのように廻し下からスコップを突き上げる。 斜めから、横から下から上から様々な角度からスコップを振る、体を捌き、左手で何かをいなす様に動かす。スコップで捌きときたま両手でスコップを握り短鎗のように振り回す。 俺「フンッ!!」 そして両手持ちで振り下ろす。俺がしているのは対人戦用の格闘術・・・いってしまえばスコップ格闘術だ。以前某有名動画投稿サイトで偶然見つけた動画で、 スコップで相手を制圧をする方法をこと細かく教えている動画を見つけた俺は、その動画を見ながら独学でその技を習得した。まあ覚えて何になるともいえるが、 一軍用スコップマニアの俺にとってはそれは凄い有意義なもので、覚えた後も暇があればたまに練習しているのだ。 俺「セイッ!!」 今度は両手でスコップを持ち、槍で突きこむかのように突く・・・その動き一つ見ても無駄なものがない。俺は自分の想像通りに動けたことに満足したのか、 ウンと頷き、元の体制に戻る。 マイルズ「呆れた・・・あなたのいた世界じゃわざわざそんなスコップで戦う技術まで存在するの?」 すると、俺の後ろからここ数日で案外親密な仲になったマイルズがそこにいた。俺はくるっと振り返りおっと見る。 俺「おっは~マイルズ少佐。まあな、俺の居たところじゃ人同士の戦争だったし、こういう技術も自然に生まれてくるもんさ・・・まあ教えているのはほんの 一部の国だけどな」 マイルズ「ふ~んそうなの」 俺の話にマイルズはそう返した。ちなみに俺のいう国はロシア、こちらでいうオラーシャだ。特にスペツナズは非常に細かくスコップでいかに効率よく人間を バラすかを訓練している。 俺「まあそれはそれでなんだけどよ・・・マイルズ少佐、朝から随分と過激な姿じゃないかおい」 スチャッと腰のシースにスコップを入れながら、俺はマイルズのことを見る。 マイルズ「?いったい何を言って・・・!?」 俺の言ったことに最初は理解できなかったのか怪訝な顔になるが、すぐにその意味を理解してしまう・・・先ほどマイルズは何か音がすると思い、いつもの軍服を 羽織っただけなのだが・・・つまりその下は彼女が普段寝ているときの薄着で、ズボンと薄いシャツ一枚なのだ。しかもボタンは三個ほど外れておりなかなか 主張をしている胸の谷間が見えており・・・まあ朝に見るには少々過激が強い姿である。 マイルズ「な・・・な、な・・・!!」 俺「まあね?俺もねいい年した23歳の男だよ?そういうのに興味ないといえば嘘になるけど、せめて淑女らしい格好を進める・・・ってあれ?なんで拳握ってるの?」 マイルズ「こ、この・・・!!」 俺「(あ、なんか嫌な予感)」 プルプルと震えるマイルズを見てなんとなく嫌な予感を感じた俺・・・そして、 マイルズ「なに見てんのよこの変態!!」 顔を真っ赤にさせたマイルズの綺麗なアッパーカットが、俺の顎に見事に炸裂した。 俺「あべし!!」 俺はメキョッという変な音と悲鳴を上げてぶわっと宙へと舞い上がった・・・ 俺「(あれ?今のって俺が悪いの?)」 だんだんと輝きを増す太陽を見ながら、俺は短い空中散歩と洒落込んだ。 ~~しばらくして~~ さて、俺が空中散歩を楽しんだ数十分後。俺とマイルズ、そしてケイは会議等で使う少し広めのテントに来ていた。おそらくこれから行う戦術指導に使うのだろう。 ケイ「ええと・・・まあ色々と聞きたいことあるんだけど・・・とりあえず大丈夫?」 ケイは一通り使うであろう資材を集め終えた後、目の前に座っている顔面がやや凹んでるように見える俺へと話しかけた。 俺「はっはっはっ、ケイ。これが無事に見えるな眼科に行きな。見ろよ、どっかの誰かさんのおかげで顔面が絶賛凹み中なんだぜ?凄くね?」 マイルズ「な、あれはあんたが見るからいけないのよ!!この助平!!」 俺はケイの横にいるマイルズをジトッと見ながら言う。対するマイルズは顔を真っ赤にしながらそう言い返す・・・ちなみに服装はいつもの軍服である。 俺「ああん!?第一あれはあんたがシャツとパンツ・・・じゃなかったズボン一枚で外に出てきたから悪いんだろうが!!」 マイルズ「う、うるさいわね!!それをガン見したのはあんたでしょうが!!この変態!!」 俺「うっせ痴女!!」 マイルズ「な・・・誰が痴女ですって!?変態!!」 俺「うっせあんたなんか痴女で十分なんだよ!!ちーじょ!!」 マイルズ「なんですって!?このド変態!!助平!!発情犬!!」 ギャンギャンエイメンワーワークリーク!!二人は互いを罵倒しあいながら机をバンバン叩く・・・言ってる内容がアレだが、ぶっちゃけ子供の言い争いに見える。 ケイ「はいはいはい!!二人とも落ち着く!!」 そしてこの二人の仲裁に入るのがもはや自分の仕事じゃないか?と思い始めたケイはパンパンと手を叩きながら仲裁に入る。 俺「だって圭子母さんマルトーが!!」 マイルズ「誰がマルトーよ!?」 ケイ「はいはいわかったから落ち着き・・・ってちょっと俺君!?誰が圭子母さんよ!?私は独身よ!?」 俺「いやだってねぇ・・・なんか仲裁の入り方が子供の喧嘩の仲裁に入るお母さんに見えたから」 ケイ「私はまだ23よ!?」 俺「なん・・・だと!?」 ケイ「ちょっと何よその反応!?」 俺「いやだって正直23ちゅうよりは二十台後半か三十代前半に見えたから・・・メンゴ」 ケイ「ぶっとばすわよ!?まったくもう失礼しちゃうわ!!ねえマイルズ少佐」 ケイは同意を求めるようにマイルズのほうに向いた・・・が、 マイルズ「・・・」 マイルズはどこか気まずそうに視線をよそに向けていた。 ケイ「え、ちょっとなんであなたまで黙り込んでいるのよ?ねえちょっと!?」 マイルズ「だ、大丈夫よケイ!!扶桑人は実年齢よりはるかに若く見えるんだから!!」 ケイ「つまり私はかなり年上って見られたわけ!?」 マイルズ「お、落ち着いてケイ。少なくとも私より10歳ぐらい上だと・・・」 ケイ「ちょっと待ちなさい。あなた確か十八歳よね?つまり私は28に見られてたわけ?」 マイルズの年齢をかがんみて、ケイは聞くと・・・マイルズは気まずそうに首をコクリと頷かせた。それを見てケイはふうとため息をつき、 ケイ「もう怒る気もなくなってきたわ・・・でもいい?次は間違えないでよね?絶対よ?」 マイルズ「わ、わかったわ」 怒る気がなくなった・・・といってるわりにはなにやらものすごいオーラを全身から滲み出している。マイルズは思わず反射的にコクコクと首を縦に振る。が、そんなケイの圧力に気付いていないのかどうか・・・俺は何かを考え込むように中空に視線を向けていた。 俺「・・・」 マイルズ「(ちょ、ちょっとあなたも謝りなさい!!さすがにこれ以上は不味いわよ!!)」 そんな俺にマイルズは横から指摘する・・・が、俺は何かを思いついたのかぽんと手を叩き、スッとマイルズのほうへ指を差し、 俺「マイルズさんじゅうはっさい」 と言った。 マイルズ「???どういうことよ?」 ケイ「?」 マイルズもケイもなんだかわからないといった感じだ。 ケイ「マイルズさんじゅうはっさい・・・ん?・・・ぶふっ!!」 ケイは俺の言ったことを反復して何かに気付いたのか、急に噴出し腹を抱えて笑い出す。 ケイ「あっはははは!!お、俺君、なかなか面白いこと思うついたわね・・・ふふ!!」 俺「おう、俺もまさかこんなに面白いネタが浮かんでくるとは思わなかったぜ。なあマイルズさんじゅうはっさい」 マイルズ「いや、だからどういう意味よ!?・・・ん?」 俺にさらに言われ、マイルズはん?と違和感を感じた マイルズ「(ちょっと待って・・・マイルズさんじゅうはっさい・・・マイルズさん十八歳・・・!?)」 そこでマイルズはようやく気付いたようだ。俺はそれを見てにやっと笑い 俺「はい、正解はマイルズ三十八歳でした~ずいぶんと年取ったね~」 マイルズ「な、誰が三十八歳よ!?」 俺「おまえやーーー!!」 マイルズ「キイィィィィィィィィッ!!」 人差し指で差す俺に対し、マイルズはだんだんと地団駄を踏む・・・そこで仲介に入るはずのケイはいまだ笑いを収まらずヒイヒイと腹を抱えて笑っていた。 もはや、カオスの極みである。 ~~しばらくして~~ ケイ「はあはあ・・・あ~久しぶりに笑ったわ~」 ケイはふうと息を吐きながら言いつつ、目に浮かんだ涙をぬぐう。 マイルズ「冗談じゃないわよまったく・・・誰が三十八歳よ・・・」 その横ではいまだぶつぶつと文句を垂れるマイルズがいて・・・ 俺「だから・・・おまえやーー!!」 先ほどと同じようにビシッと人差し指で指差す俺がいた。 マイルズ「~~~!!」 もちろんそれに反応して地団駄を踏むマイルズ・・・もはやおなじみになった光景である。 ケイ「ふう・・・まあ落ち着いてマイルズ少佐。そろそろ話を進めないと今日中に終わらないわよ?」 マイルズ「むう・・・わかったわ」 渋々という風に引くマイルズ。俺もさすがに空気を呼んだのかケイのほうへと向く。 ケイ「準備はいい?それじゃあ今日は俺君に色々と教えるんだけど・・・この世界の情勢について少し触れるわよ」 俺「ああ、そうしてくれると助かる」 ケイの言葉に、俺は頷く。大体のことは最初の尋問のときに(その4 尋問でもスコップをもたせましょう参照)説明を聞いたのだが、改めて聞いておきたいと 思ったのだ。ケイもそれがわかっていたのか、はい、と頷き ケイ「それじゃあ説明をするわよ。そうねまずはーーーー」 ケイの説明が始まった。 ~~一時間後~~ ケイ「ーーーとまあ大体こんな感じかしら?何かわからないところある?」 大体の説明を終えたところでケイは俺に聞く。俺はう~んと呻き 俺「・・・まあなんだ?ようはあれだろ?ネウロイ来たから人類みんなで倒すぞ~みたいな感じだろ?」 ケイ「・・・大体合ってるけど何かしら?このもっとまともな答えが欲しいと思う心は?」 せめて、もっとまともな説明はなかったのだろうか?ともケイは思ったが、残念ながら馬鹿な俺にはこの表現が精一杯である。 俺「いやいやいや、でも大体こんなんだろ?んでそのネウロイに対抗しえるのが魔力を持った少女・・・ウィッチでそこのマイルズさんじゅうはっさい「誰が三十八歳よ!!」・・・十八歳 のマイルズ少佐とかだろう?」 ケイ「ええそうよ。でも魔力は無限に続くわけではないわ・・・ウィッチは歳を取るごとに魔法力が衰退していくの。そして二十歳を越えると戦闘に参加できる魔法力はほぼ完全になくなるわ」 俺「?でもケイは確か23だよな?それと俺もそうだし」 ケイ「あくまで戦闘ができるほどの魔法力よ。空を飛ぶくらいの魔法力は味噌っかす程度だけどは残ってるの。あなたは・・・異世界人だからじゃない?」 ふ~んと、俺はケイの説明を聞いて自分の拳をぐっぐっと握り締めする・・・また何か考えてるのだろう。 俺「(まあ俺はこの世界じゃイレギュラーだからな・・・わからないのは当たり前か)そういや、ウィッチってのは女だけらしいけどよ。男である俺もそのウィッチ の才能があるんだから他にも何人かいるんじゃないのか?」 そこでふと俺は疑問に思ったことを口にした。まあ俺の疑問ももっともだ。この世界にも男のウィッチの一人ぐらいはほかにいるだろう。ケイはその質問を受けええと頷く。 ケイ「いい質問ね。確かにあなたのほかにも何人かはいるわ・・・でもそれだってほんの一つまみで国に一人いるかいないかとなのよ。扶桑陸軍にもいるって話は聞いたことあるけど・・・あったことは一度もないわね」 マイルズ「ブリタニアもそうね。名前やコールネーム、男性ウィッチの噂は聞くけど実質その姿は見たことが無いわ」 二人の答えに俺はうむうむと頷く。 俺「(な~るほどね。いるらしいけど実質的には見たことが無い・・・むしろいるかも定かではない・・・か。折角TOMODATIになろうと思ったのになァ)」 ※ちなみにアルファベットにした意味は特に無い。 俺はバリバリと頭を掻き、話を続ける。 俺「まあ大体の世界情勢やらなんやらはよくわかった。わかんないところがあったらまた聞くからそんときゃよろしくたのまァ」 ケイ「ええそうして。それじゃあこのまま戦術指導だけど・・・ここからはマイルズ少佐お願いね」 マイルズ「ええ、わかったわ」 世界情勢の話もおいおいと、今度は戦術指導に入ることにした三人。だがここで講師交代でケイからマイルズへと変わる。 俺「なんで代わるん?」 もちろんここで絡まるのが俺クオリティ。俺は講師交代の理由を聞く。 マイルズ「・・・何よ?私じゃ何か問題でもあるの?」 俺「んにゃ?特に?ないよ?たぶん?おそらく?絶対?」 マイルズ「なんで全部疑問系なのよ!!」 バンと机を叩きながら俺に怒鳴りつけるマイルズ。が、そこは俺。そんなのどこ吹く風か、ふうやれやれとどこかリベリアンスタイルで首を左右に振る。 俺「やれやれ・・・そんな起こると小皺が増えるぜ?マイルズさんじゅうはっさい」 マイルズ「うっさいわね余計なお世話よ!!私はまだ十八よ!!というよりあんた同じネタ使いすぎてしつこいわ!!」 俺「同じネタで相手をイラつかせる!!それが俺のジャスティス!!」 シュパッ!!とそげふの決めポーズを取りながら俺は叫ぶ。 マイルズ「ああああああ!!もうなんかよくわからないけど、言動が一致していないような気がするわ!!」 俺「たりめえだボケ!!ジャスティスもそげふもまったくの別作品だバーカ!!」 マイルズ「逆切れ!?またここで逆切れ!?」 またもや始まった俺とマイルズの漫才・・・ケイはふうとため息を吐き ケイ「(またか・・・この二人本当は仲いいんじゃないの?)はいはい、二人とも落ち着く!!お昼までには終わらせたいんだから喧嘩しないの!!」 ケイの言葉に二人はおとなしく黙る・・・もはや完全にお母さんである。 ケイ「(なんかまた嬉しいような嬉しくないような気がするんだけど・・・気のせいかしら?)まああれよ。私もマイルズ少佐もウィッチだけど、私は航空ウィッチでマイルズ少佐は 陸戦ウィッチなの」 俺「ああそういやそんなこと言ってたな」 俺は先ほどとこの二日間に聞いたことを思い出す。確かにそんなことをいっていたような記憶はある。初日にも確か歩行脚という陸戦ユニットを履かされた記憶がある・・・ 履いた瞬間に壊れたが。 ケイ「で、あなたは航空ウィッチの適正がなかったから陸戦のプロフェッショナルであるマイルズ少佐に頼んだのよ・・・大丈夫理解できた?」 俺「は~い、ケイ先生わかりました~」 ばっと手を上げる俺に、ケイははいはいと手を振る。 ケイ「それじゃあ頼むわよマイルズ少佐」 マイルズ「ええわかったわ・・・それじゃあまずは」 こうして、マイルズの戦術講座が始まった・・・が、もちろんそんなすっぱりと聞く俺ではない。 マイルズ「それじゃあまず、哨戒中に敵ネウロイを発見したとするわ。まずどうする?」 俺「スコップで突撃!!」 ずばっと0.1秒もあけずに答える俺。まあ俺らしい答えといえば答えなのだが・・・マイルズはぴクッと米神を引くつかせる。 マイルズ「・・・相手ネウロイに発見されたとして、交戦となったわ。どうする?」 俺「スコップでコアを叩き割る!!」 これもまた予想を裏切らない答えだ。マイルズの米神がさらにピクピクと引きつく。 マイルズ「・・・・・・相手ネウロイのビームか弾丸が飛んできたとするわ。どうする?」 俺「スコップで弾く!!」 まあある意味間違ってはいない。実際スコップをそのように使う技術はしっかりとあるし、日本軍(こっちだと扶桑軍)だとスコップに小さい穴が開いており、 即席の覗き穴のある防弾盾になるスコップがあるぐらいだ(ちなみに少円匙と呼ぶ) マイルズ「(落ち着いて私。こいつは本気に相手したらだめよ冷静になるのよ私)・・・・・・・・・相手ネウロイのコアは見えたとして残弾が尽きたとするわ。近接戦でも届かないところにコアがあるとするわ。どうする?」 俺「スコップを投げてコアを叩き割る!!」 まあ、これもロシアのスペツナズなどでは教えているので間違ってはいない。が、 マイルズ「あああもうううう!!あんた何でスコップにこだわるのよ!!馬鹿なの!?馬鹿なんでしょ!?」 もちろん講師をしているマイルズはこんなスコップスコップばっか言ってる俺に対して切れるのも当たり前といえば当たり前だろう。 俺「あんだと!?馬鹿は認めるがスコップは便利な近接武器なのは確かだろうが!!」 マイルズ「うっさいわね!!第一あんたはーーー!!」 俺「なんだと!?そういうあんんたもなーーーー!!」 ギャンギャンワンワンヒャッハー!!ジャスティス!! ケイ「(ああ・・・この二人はどうしてこう・・・)」 ケイは目の前で言い争いをする俺とマイルズを見てふうとため息を吐く。 マイルズ「第一ね銃剣突撃はどこにいったのよ!!ブリタニアでは銃剣突撃は伝統で最高の戦法なのよ!!」 俺「だァから!!銃剣で相手を刺突したら抜けなくなるだろうが!!そこで縁を砥いだスコップで戦斧みたいに振り回すんだよ!!」 マイルズ「銃剣突撃ならいざとなったら銃も撃てるわよ!!そっちは近接戦だけじゃないの!!」 俺「あほか!!背中に最初ッから銃背負っときゃ問題解決するだろうが!!あと手榴弾!!てかスコップ投擲で相手を倒す!!はいこれでかつる!!」 いつのまにか話の内容が銃剣突撃とスコップの戦闘どちらが上かという話に摩り替わっていることに気付かず、二人はそのまま熱い議論を続ける。 ケイ「(これはこれで貴重なシーンね。せっかくだから撮っておきましょう)」 カシャッと熱くなってる二人が気付かぬ間にケイは愛用のライカでその貴重なシーンを撮った。 ちなみにこの熱い議論が終わったのは真美が昼食に呼びにきた二時間後だったとか。
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このSSはぺにまむ表現を含みます 一部東方キャラが出演します OKな方は戻らないでどうぞ ここ最近、私は山によく出掛ける 山に住む河童から私が商いをしている店に注文があったからだ 河童の方々は上客であるため直接出向き商品を納品することにしている そんなことが何回か続き山の妖怪達からも顔を覚えられるようになった 天狗に出くわしても会釈を交わす程度にはなり、山道では特に危険もなくなり 安心して商売に精を出していた 数ヶ月経ったある日山にもゆっくりが出るようになった 最初に私がよく出会ったのはゆっくりれいむだった 「ゆっくりしていってね!」 と、特有の挨拶をしてくるナマモノ饅頭 私は別に族に言う虐待お兄さんでもない かといって愛でお兄さんでもないので特に何もしない 気まぐれに何かくれてやることがあったがあったがそれとてお菓子ではなく 精々食べかけの私の食事だ 野生のゆっくりに人間の食事を与えると野生の食事が取れなくなると聞いたので なるべく野菜のカスを与えていた それから1ヶ月が立った 河童からの注文を受け私は商品を受け渡しに山へと赴いた 「ゆっくりしていってね!」 ちょうど山道を登り始めて5分ほどしたころに一匹のゆっくりと出会った 金色の髪、そして頭のカチューシャ ゆっくりありすだ 「とかいはなありすになにかたべものをもってきてね!」 食べ物を要求するゆっくりは数多い が、丁度この日は何も持っていなかったためゆっくりありすを素通りした その後も 「とかいはのありすをむしするなんて??!!」 「じいい??!」 とか叫んでいたようだが聞こえないふりをした そうこうしてるうちに受け渡しの場所に到着し、河童に商品を渡す そして、その代金を受け取り世間話をする 河童というのは人間を盟友と思っているらしくとても友好的であった 今では私も友人のように話をしている やれ、天狗の新聞大会がどうとか、神社ができただの、本当に他愛もない話だった 当然ゆっくりも話題に上る 「最近はゆっくりの中でもありす種が多くなってきた」 と、河童は餡子の饅頭が好きだったのになぁとぼやき始めた 「ゆっくりって全部餡子じゃないのか?」 「いやぁ、ゆっくりは種類によって中身が変わるんだ」 河童は丁寧にも私に説明してくれた。なんと、ゆっくりを使って 「「「ゆっくりしていってね!」」」 差し出されたのはれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇん 河童はまずれいむを持ち上げる 「知っての通りゆっくりれいむだ。こいつはな…」 そう言うと河童は器用にもゆっくりれいむを縦に引き裂いた 河童は人間よりも力があるためれいむは自分が死んだことに気付かぬままに死んでしまった 「でいぶぅぅぅぅう!!!」 「むぎゅうううう!!!」 「ぢーんぼ!」 「わがらないよー!」 河童が作ったケージに閉じこめられたゆっくりが口々に目の前で引き裂かれた れいむを見て悲鳴を上げる 私は精神衛生上よくないのでは?と訪ねてみた すると、ゆっくりは恐怖や絶望を味わうと甘くなるなどと言う 一体どんな構造をしているのだ 「ほら、こしあんだ」 ちぎったれいむの半身を差し出し河童はそれに口を付ける お茶まで用意されているということはどうやらそういうことらしい 試しにと私もそのれいむを食べてみた 「これは…!」 「な?美味いだろ?」 甘さ控えめ、あっさりとした餡子 皮ともベストマッチしたこの饅頭 こんなものは里でも食べたことはない 「で、まりさはつぶあんなんだ」 河童はさらにゆっくりまりさを縦に引き裂いていく しかし、今度は先ほどと違いとてもスロー、つまりゆっくりしている 「やべでええ!!ばりざがふたつになっぢゃうううう!!!」 「おいおい、ゆっくりしたいんじゃないのか?」 「ゆっくりじだいでずうううう!!!」 「いいぜ、あの世でゆっくりしな」 「いやああああ!」 まりさに深い絶望を与えて河童はまりさを引き裂いた そしてこのまりさはとても甘く、また別の美味しさを持っていた どうやら絶望を与えると甘みを増すというのは本当のようだ その後もぱちゅりーから生クリーム、ありすからはカスタードクリーム みょんからホワイトチョコクリームと数種類の甘味を味わった そしてケージの中では最後の一匹となったちぇんが失禁しガタガタと震えている 「わがらないよー!」 「もしかしてこいつはチョコ?」 「察しが良いな、その通りだ」 河童はケージからちぇんを取り出すと頭をなで始めた 「が、こいつは俺のペットなのだ」 ちぇんをあやしながら河童は自慢気な顔をする そう言われるとこのゆっくりならペットにしてもいい気がしてくるから不思議だ 河童はちぇんに「れいむ達は悪いゆっくりだからこうなった」と説明した ちぇんも渋々納得したようで「悪いことはしないよー」と言ってどこかに行ってしまった 遊びに行ったのだろうか 「おっと、山に出られないようにしておかないとな…そうじゃないとありすに…」 「ありすに?」 思わずインコのように聞き返した 野生の動物に飼っているペットが襲われる話はあるが ゆっくり同士でもあるのだろうか? 「あぁ、あんたは知らなかったのか」 ゆっくりに性別はなく、雌雄同体に近いらしい そのため交尾となれば雄役と雌役に分かれる しかし、そのため強制的に交尾を迫り好き勝手に繁殖するありすがいるというのだ れいぱーありすと呼ばれるありすは相手を雌役とし自分の生殖器を使い、ゆっくりをレイプする レイプされた方の個体には頭から茎が生えて子どもが実る 母体となったゆっくりは子どもを作る過程で体内の餡子を茎に持っていかれるため 十分に成長しないと死に至ってしまう 最近になってありす種が激増した原因はそのれいぱーと呼ばれる個体のせいらしい 特にまりさ種を好んで襲うらしい 「俺のちぇんまでそんなのに襲われたら困るからな。ちょっと見てくる」 河童は説明を終えるとちぇんを追いかけていった 私も店に戻るためにその場を後にした 帰り道、ゆっくりを見かけたがどれもありすだった もう一度言うが私は虐待派でも愛で派ではない そのため、特に気にもとめずに店へと戻った 一週間後、里ではれいぱーありすの話題で持ちきりとなった 遂に妖怪の山ではれいぱーありす以外を見かけることが少なくなった 天狗の新聞にはゆっくりは他の場所へ逃げたか隠れ住んでいると書いてあったがどうなのであろうか これが話題になったのは里の飼いゆっくりが襲われるようになったからだ 寺子屋の慧音さんの元へと相談に行く人もでるようになり騒然となった そうして里ではゆっくり駆除についての案を募集していた 人海戦術を行おうにも山は広大である 薬剤の散布は木々に影響を及ぼすために却下され、お手上げ状態となり 誰か良い案は無いか、ということになってしまった 私の店の常連客も時々何か案はないかと話していた 飼いゆっくりを殺されて怒り心頭の様子 私にまで案はないかとたずねてくるのだから 「そうですね…」 意外なことに私にはアイディアが閃いた しかし、この方法は私1人では実行できず、恐らく竹林に住む者の力を借りることになるだろう 慧音さんに話と意外なことに既に向こう側から協力の要請が来ていたらしい どうやら研究に必要だとか こうして、永遠亭の強力を得て私の案が実行されることになった 妖怪の山ではれいぱーありすの横行によってありす種が山のゆっくりの半分以上を占めるようになった そんな中一匹のありすがいた このありすもれいぱーである 流れるような美しい髪、艶やかな肌、お気に入りのカチューシャを付けた自分は山一番の美ゆっくりだと思いこんでいる そして当然目に映るもの全てがれいぱーフィルターを通される れいむが美味しそうなものを集めていればそれは自分のためだと思いこみ また、まりさがいればそれは自分を誘っているものだと思いこむ できた子どもはレイプしたゆっくりが1人で育てるのが当たり前で美しい自分の遺伝子を持ったゆっくりを一匹でも多く増やすのが 自分の使命だと考えている 西にぱちゅりーがいると聞けば行ってにんっしんっさせ、東にちぇんがいると聞けばにんっしんっさせる。 そんな毎日が続いていた その日、ありすはいつものように目を覚ました しかし、そこは木の下に作られた巣であり、自分の都会派な巣ではない が、ありすはレイプしたゆっくりの家を乗っ取ることが多かったので特に気にしなかった 「きょうもぷりちーなありすのこどもふやしにいくわ!」 ありすは日課であるゆっくり探しを行う れいぱー種に怯える他のゆっくりは隠れて生活している または徒党を組んだりドスに守られているため1人ではとても近づけない 現在、この山の群はありす種を問答無用で殺すことによって辛うじて存続を図っている そこでありすは考えた まりさが自分の気を引くために送ってきた(そう思いこんでいるだけで実際はレイプする際に奪った)帽子を被る これにより他のゆっくりはありすのことをまりさだと認識してしまう 髪飾りによる識別を逆手に取った手段だった これにちょっと演技を加えるだけでゆっくり達はダマされてありすを巣に呼び込んでしまう そうして今日もまた犠牲ゆっくりが 「ゆゆ?まりさはひとりなの?ひとりだとありすがくるからまりさのいえにおいでよ!」 「ありがとう!まりさはとってもゆっくりできるゆっくりだね!」 まりさはこのありすを1人はぐれたまりさだと思いこんだ 仲間を救うために自らの巣に招き入れるのだ 例えれいぱーが来ようとも徒党を組めば対抗できるためである (ゆゆ、まりさはつんでれすぎてありすはこまっちゃうわ!) ありすは木の下に上手く枯木と落ち葉で隠された巣まで案内された それは人間の目から見ても中々上手く偽装されている巣であり野生のゆっくりが見つけるのは到底困難なほどだ (ありすのためにこんなおうちをよういしてるなんて…まりさったらとかいはね!) 「はやくはいってね!ありすにみつかっちゃうよ!」 「ゆっくりいそいではいるね♪」 ありすが巣にはいるとまりさは急いで巣の偽装を開始する 元々地形的にも優位性があるためさほど時間はかからない そして偽装を終えたまりさが戻ってきたとき、ありすは反抗に及んだ 丁度このまりさは1人だったのだ 運悪く他の仲間は狩りに出掛けていた 普段ならゆっくり4匹が共同生活を送っているため一匹だけなら何の問題もないのだがまりさ一匹ではれいぱーありすを押しのけることもできない 「まりさ!すりすりしすぎだよ!まりさたちにはすっきりしてるよゆうはないんだよ!!」 「す?りす?り♪」 まりさから見れば敬愛の証のすりすりもありすにしてみればただの前戯 まりさをその気にさせているのである 「ゆゆゆ!だめなんだよ!あかちゃんができてもありすが!!」 「まりさあああ!!!」 まりさがその気になったと思ったありすはここで帽子を脱ぐ 「ゆ!?ありずぅぅぅぅう!!!?」 帽子の下から現れたカチューシャを見てまりさは驚いた 急にまりさがありすになったのだ 帽子を脱いだだけだがまりさがそれに気付く間もなくありすは襲いかかる 「まりさもあかちゃんがほしいのねええええ!!」 「やべでええええ!!!まりざにはでいぶがあああ!!!」 このまりさには将来を誓ったれいむがいた そのれいむは狩りと歌が上手な美ゆっくりでありすの危険が去ったら結婚しようと約束していた だが、ありすの攻めによりまりさは強制的に発情させられてしまい、体中から粘液を分泌している ありすからも粘液が分泌され互いの粘液が混ざり出す 「まりさのまむまむきちきちできもちいいわああああ!!!!!」 「いやあああああああああああああ!!!!!」 まりさがどんなに力を掛けても覆い被さるありすは離れない その醜悪なぺにぺにでまりさを犯している 「むほおぉぉぉぉぉ!!!!!」 「だべええええええ”!!!!」 「「すっきりー!」」 ぺにぺにから精子餡を出し切るとありすはようやく勃起したぺにぺにを引き抜く 対するまりさは大粒の涙を流しながらピクピクと震えている 「でいぶぅぅぅ…ばりざよごれぢゃっだよぉぉ…」 「せかいいちうつくしいとかいはなありすのこどもがうめてまりさはしあわせね!」 まりさの頭から茎が生えて子供が出来ていく 幸いまりさが黒ずんで死ぬことはなかった そうして一匹目の子どもが出来た 「ゆっくち?」 まりさ種であり、まだ赤ゆっくりになりきっていないため上手く言葉が話せない そして二匹目が実る またまりさ種である 「かわいいありすのこどもね♪つぎはありすができてね!」 ありすはまりさの茎に実る子どもを見つめる そうして三匹目 「きたわ!ありすのこどもね!」 「ゆ?…」 だが、実ったのはなんとれいむ種だ 「ゆ?どうしてありすじゃなくてれいむなの?」 ありすははてなまーくを浮かべながらまだ実ったばかりのれいむを見定める まりさとありすの子どもなのだかられいむが出来るはずはない 「まりさったらうわきしてたのね!でもいいわ、とかいははこころがひろいのよ」 勝手なことを口走りありすは4匹目を待つ 残るはあと2つ 4匹目と5匹目が同時に実った だが、二匹ともれいむ種だった 「どぼじでありすができないのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 まりさからは5匹の子どもが産まれ内訳はまりさ2匹にれいむ3匹である 自分と同じありすが産まれなかったことに激怒したありすはまりさに体当たりする しかしまりさはそんなことなど気にとめずに自分に実った子ども達を見やる 「ゆゆ…まりさと…れいむだよおぉぉぉぉ!!」 まりさは不幸のどん底から一転幸せの絶頂を迎えていた れいぱーありすの子どもではなくれいむの子どもが出来たのだ 難しいことは分からなくてもありすの子どもが出来なかった上にれいむ種の子どもを授かったことで幸せ一杯だ 「ふん!まりさみたいないなかものにはれいむがおにあいだわ!」 ありすは帽子を拾いまりさに罵倒を浴びせながら巣を後にした ありすは不機嫌だった まりさは浮気をしていて自分ではなくれいむの子どもを実らせた すっきり出来たもののその一点だけがどうしようもなく不快だった 「つぎはもっととかいはなゆっくりにするわ!」 ぽよんぽよんとありすが山道を登っていると目の前には一匹のちぇんが 「まりさだねーわかるよー」 「ゆっくりしていってね!」 と、礼儀正しく普通のゆっくりの振りをする だが、ちぇんが気をそらした瞬間襲いかかる 「むほぉぉぉぉ!!ねこみみのちぇんもかわいいわああああ!!」 もはや帽子を取るどころではなく、一刻も早く自分の子どもを作るが優先された結果だ 「わがらないよー!まりざあああ!!!!」 ありすのギンギンにたぎるぺにぺにがちぇんを犯していきあっと言う間に絶頂に達する 「「すっきりー!」」 ありすは激しく体を動かしたために帽子が落ちていた れいぱーと気付いたちぇんだったが既に茎が生えているため動く動けない 「ゆっくりはやくかわいいありすのこどもをうんでね!」 「わからないよー…」 そうしてちぇんも子どもを実らせる だが、産まれてきたのはちぇんとれいむだった 「まだでいぶぅぅぅぅぅ!!!」 「わきゃるよおお!!とってもゆっくりしたちぇんとれいむだよおおお!!」 ちぇんはうれし涙を、ありすは悔しさや憎しみの篭もった涙を流す 「でいぶうううう!!!ありずのじゃばをずるのねえええええ!!!」 ありすはちぇんには目もくれずに叫びながら走り出した その後もありすは見かけたゆっくりを全て犯していた だが、産まれる子どもは全て犯した相手とれいむ ありすは一匹も生まれない 「どぼじでえええ!どぼじでありずがうばれないのおぉぉぉぉ!!!!」 発狂したありすは暴れ狂いながら走り続け、ついには大きな石に頭をぶつけて気絶してしまった 同じ頃、他のありすにも同様の症状が現れていた 「なんでありすじゃなくてみょんがうばでどぅのぉぉぉぉ!!!!」 「ばりざじがうばでないいいいいい!!!!!」 「ちぇんん!!!!なんでちぇんとぱちゅりーなのおおおおお!!!」 「ぱちゅりーとでいぶじがあがががああああ!!!」 「ぱちゅりーがばりざをねどっだのでえええええ!!!!!」 全くありすが産まれない 産まれるのは相手と自分ではないゆっくり ありす達は次々に発狂していった そしてそれを遠くから眺める女性が二人 一人は上白沢慧音、もう一人は 「上手くいったみたいね」 八意永琳である 彼女はありす達の様子に非常に満足しているようだ 「私から話を持ちかけておいてなんだが、少々むごいな…」 慧音は発狂するありす達をどこか憐れみを含んだ目で見つめる 「しかし、これも自業自得だ…おまえたちも反省するといい」 「そんなのする暇ないわ。これからありすは大幅に減るんだから」 永琳が指をぱちんとならすとどこからかてゐが現れてありすを袋に詰め込んでいく 袋が一杯になると他の兎たちがそれを永遠亭まで運ぶ 「けど、これを考えたの里の人間でしょう?なかなか見所のある人間じゃない」 今回の案は永琳ではなくある男がもたらしたものだ それは、ゆっくりが繁殖を行う際にありすが産まれないようにすること 具体的には繁殖時には体内の餡子を精子餡に変換してぺにぺにから射精する そこでその変換の過程でありすのカスタードから別のゆっくりの生クリームやらチョコに変わるように体をいじったのだ 山に睡眠薬を撒きありすが眠ったところを鈴仙に捕まえさせ処置を行う そうして全て元いた場所に戻されもともと無頓着なありすは何も考えずにれいぷを行う 結果、自分の子どもは一匹も生まれない 「何か小説で読んだ話だといっていたが…人間だったら殺されてもおかしくないぞ」 「あら、それはnice boat.な意味で?」 「………」 慧音の元に提案した男は小説の話をヒントに思いついたと言っていた 一件温厚そうに見える男があの様なことを思いつくとは恐ろしいと感じていた 「さて、それじゃまた次のありすを捕まえるわよ」 計画は妖怪の山を12区画に区切って行われる つまり、これと同じ事をあと11回 大々的な作業のためカラスや河童も協力をしているほど人手がいる この様な方法をわざわざ取るのは里の人間はありす以外からは実害を被って折らず まだ慣用的であったからだ それともナマモノとは言え全滅させることに引け目を感じたのか、ありす以外は残ってもよい、と決議された その様な背景もありわざわざ手間の掛かる方法を取ってある だがしかし、半分は永琳の趣味なのだが 「……妹紅、私はいつになったら帰れるのかな」 妹紅は今回の件には関与していない あくまでも里のことなので寺子屋の留守を任せてある 結局、全区画の作業を終えるまでに1週間かかり、慧音は作業の手伝いでその間寺子屋へは帰れなかった そして、妖怪の山からありすが姿を消したのはちょうど冬が訪れたときの話である by お題の人 あれ?前半書く必要あったけ? あと、規制キターorz
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Date 2006/06/19(Mon) Author SS1-169 みんなに紹介するから、と言って歩き出した言祝の後ろを、上条とサーシャは頭が回ってない状態のままついていく。軽く校内を案内するつもりもあるようで、言祝は何かある毎に立ち止まってサーシャに話しかけていた。その間、他校の制服を着た金髪美少女であるサーシャは少々どころかかなり目立ったが、横に上条がいるとわかると一転、「まあ上条だしな」という空気ができ追求されることはなかった。同学年だけでなく上級生まで同じ反応を示したのは、きっと年代の壁を越えて一致団結していることの証しだろう。幸か不幸か教師の誰かと鉢合わせすることもなく、三人は無事にある教室の前にたどり着いた。 「——って、一年七組(おれたち)の教室じゃねーか」 「そ。やっぱり持つべきものは身近な友達よねー。みんな快く承知してくれたのですよ」 「……、」 つまり被害は身内に限定されていたということか。安心すべきなのかどうなのか、上条は判断に迷う。 「でもさー言祝。今さらだけど、本気でサーシャにシンデレラやらせるつもりなのか? ウチの生徒でもない人間が主役を張るのはまずいと思うんだけど」 「何とでもなるって」 「どこから来るんだその自信! いくら監督でも出来ることと出来ないことがあるでしょーが! そしてサーシャ! お前がなんにも言わないから勝手にどんどこ話が進んでんだぞ!? いいのかそんな流されるままの人生で!」 上条は一歩下がった場所でぼーっとしている赤シスターを怒鳴りつけた。 手提げをぶらぶらさせていたサーシャはほんの少し考えるそぶりを見せ、 「確認一。私はトーマたちの演劇に役者として勧誘されていると判断してよいか」 「そうだけども、それは中庭にいるときに言っておくべきだった台詞だぞ」 なら、とサーシャは言祝の方を向いて、 「私見一。興味はある。私にできることであるなら参加してみたい」 「な——」 「そーこなくちゃ! 簡単ではないかもしれないけど、あなたなら大丈夫! 私に任せてくれれば一週間で素敵なお姫様にしてあげるわ!」 何故、という言葉は興奮した言祝の叫びにかき消されてしまったのだけど—— (『灰姫症候(シンデレラシンドローム)』のことはどーなるんだ?) 上条は思う。 『灰姫症候』 人から人へさまよう魔術、『零時迷子(ヌーンインデペンデンス)』を元に組み立てられたらしい新種の術式。 本来なら数回の移動でイメージが保てなくなり崩壊するはずの『零時迷子』を、誰もが知っている“とある物語”を媒介にすることで半永続化させたものらしい。 誰が、何の目的で作った魔術かはわからない。しかし問題なのは、それが今も学園都市の誰かの中に存在するということだ。 しかも魔術師の手に渡ってしまえば、容易に伝染病のような効果に変更して再放流することができるという。 そのような事態を未然に防ぐために、そして原因を究明するためにロシア成教とイギリス清教の両方から勅命を受けてやってきたのが彼女、サーシャ=クロイツェフである…………はずなのだが。 (これじゃあ、本当にただの学生活動じゃねーか) だんだん不安になってくる苦労人上条である。 それに気づいたのか、赤シスターは熱く語り続ける言祝から離れ、背伸びをして上条の耳元に口を寄せた。 「(説明一。問題はない。これは全て『灰姫症候』捜索のために必要なこと)」 「(はい? そう言われましても無学な上条さんにはアナタが学校生活をエンジョイしようとしているとしか見えないのですが)」 「(補足一。演目が『シンデレラ』だから。演劇を通して『灰姫症候』を誘い出せる可能性がある)」 「(……どゆこと?)」 いつまでも背伸びをさせておくのは申し訳ないので中腰になる。 「(補足二。『灰姫症候』は“童話『シンデレラ』に関する知識”をイメージの基盤に置くことで、素人の中でも構成が崩れないようにしたもの。ならば“『シンデレラ』という物語のイメージを操れれば、『灰姫症候』に干渉することができるのではないか”というのがインデックスのアイデア。問題はその手段だったのだが……演劇というのは存外に最適だったかもしれない。トーマに会いに来て幸運だった)」 「(うわー生まれて初めてかもしれないそんなこと言われたの。でもさ、それだと劇を見に来た人にしか効果なくないか? 捜索範囲は学園都市全域なんだろ?)」 「(解答一。元より『灰姫症候』の捜索メンバーは私だけではない。ブラザー土御門もそうであるし、他にも数名が何らかの手段で学園都市に入っているはず。私の役割はインデックスと共に捜索することであるから、彼女の知識から導き出された計画を実行することに問題はないと思うのだが)」 上条は身を起こし腕を組む。 言っていることはわかる。わかるんだけど………… 「おーいー? そろそろ入るよー?」 ドアの取っ手に手をかけた言祝が、首だけひねって呼んでくる。サーシャは上条より先に歩き出した。 「解答二。了解した」 「おもしろいしゃべりかただねーサーシャちゃん。かみやんくんと何ひそひそ話してたの?」 「解答三。大したことではない。今日の夕食の献立について」 「なんか深く考えるすごい意味になりそうな……そう言えば『トーマ』なんて下の名前で呼んでるくらいだもんねぇ?」 「私見二。友人がそう呼んでいるのでそれに倣っているだけなのだが」 「ほほう。三角関係というわけなのですね」 微妙な塩梅(あんばい)でかみ合っていない会話を続ける天然赤シスターとお気楽腹黒監督に置いてきぼりにされそうな上条だったが、 そんなことはどうでもいいくらい、気になっていることが一つあった。 (…………自分で気づいてんのかね。さっきの説明、妙に押しが強かったぞ) 上条は小さく“笑う”。 詰まる所、シンデレラ劇が『灰姫症候』の捜索に好都合だったとしても、実際に参加してまでどうこうするほどのものでもないはずだ。練習という手間暇、共演者という重荷、そんなものをわざわざ抱え込むメリットなんてない。 ないはずだ——魔術師には。 上条は思う。 拷問道具標準装備で、表情が読みづらい彼女だけど、好きなものややりたいことだってきっとあるのだろう。 比較的年齢の近い集団に飛び込んだことがきっかけで、そういった欲求が顔をだしたとしても不思議はない。 しかもそれがシンデレラをやってみたいってことだなんて——なんとも可愛らしいわがままじゃないか。 (ま、ちょっとは仕事の選り好みしたって罰は当たんねぇだろ。不都合が出るなら、その分は土御門にでも回しゃいい。一端覧祭は学生が楽しむためのイベントですってな。せっかく制服を着てるんだから、サーシャも楽しめばいいんだ) うんうん、とまるで父親か教師みたいに妙に嬉しい気持ちで微笑する上条当麻。 ————————————————————————その微笑が凍りつくまで0,5秒。 「「………………………………………………………………(怒)」」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。 言祝が開けたドアの向こう。スタンド使いも真っ青な闘気を無差別に撒き散らしている吹寄制理(おうじさま)と姫神秋沙(まほうつかい)がいらっしゃいました。 ◇ ◇ さて、三分後。 問答無用、とばかりに上条当麻は教室の中央に正座させられていた。その周りを五人の人間が囲んでいる。完全包囲というやつだった。 上条はおそるおそる口を開く。 「…………あの。客観的に常識的に考えてワタクシめも被害者の一人であるというのにこの扱いはなんなのでせう?」 「黙りなさい上条当麻。全ての責任が貴様にあることは明らかよだからそのまま日が暮れるまで反省していること」 一人目。吹寄制理が恐ろしく冷たく言い切った。教卓に立ち、まるで裁判官のように上条を見下ろしている。開廷直後に下された実刑判決に「被告人」上条は猛反発した。 「だって! 演劇の役者が足りなくなったのもそれで吹寄たちが強引に引っ張りこまれたのも俺のせいじゃねーでしょ!? こうなったら腹をくくってみんなでオスカー目指そうぜ!」 「とても良い言葉なのだけど。君は大きな勘違いをしている」 上条から見て左、のんびりした声に少量の怒気を含ませているのは二人目、姫神秋沙だった。座っている机と椅子を横向きにして上条に向けている。どうやら彼女の役割は「判事」らしい。 「どゆこった? 姫神」 「私達は。演劇をすることに不満があるわけではない。というか。むしろそれ自体は望むところ」 大覇星祭の時の負傷から完全回復したばかりの黒髪の巫女さんは、かねてからの憧れであった「魔法使い」にたとえ劇の役だとしてもなれることを喜んでいるようだった。 教卓の吹寄はちょっぴり口を尖らせて、 「……私はそうでもないんだけど。栞がどうしてもって言うから仕方なく」 「そやねー。吹寄さんは優しいお人やもんねー。でもボク思うんやけど、やっぱ吹寄やったら王子様より継母の方が性格的にぐばっ!?」 姫神の隣にいる三人目が超高速で投擲されたチョークを眉間に喰らい悲鳴を上げる。「判事側の証人」青髪ピアスは奈良の大仏みたいになったおでこをさすった。 「被告人」は何がなんだかさっぱりだ。 「あのさー。本気でわかんないんだけど、結局お前らは何で怒ってるわけ?」 「んーとやねー。手っ取り早く言うと」 青髪ピアスが手を挙げ、吹寄と姫神もそれに続き、三人で同じ一点を指差す。 異口同音に告げる言葉は、 「「「その子誰(やねん)ってこと」」」 彼らの示した先、上条から見て右方にいるのは、 「………………、」 何故自分が注目されているのか全くわかってない様子の「弁護士」サーシャ・クロイツェフだった。 その隣には「弁護士側の証人」言祝栞がニマニマしながら座っている。 あー、と上条は右手で顔を覆い、 「えーとこの人はですね、俺の知り合いの子で、たまたまウチの学校に見学に来てたところを言祝がスカウトしちまって」 「知り合いと認めたね。そうなるまでにどのような経緯があったのやら。裁判長。被告に無期懲役を求刑します」 「といいますかカミやん。ボクのいないところでロリ金髪しかも工具常備の大工さん属性持ち美少女とお知り合いになってるってどういうこと!? 裁判長! 無期懲役なんて甘っちょろいこと言っとらんとここは古式ゆかしい断頭台(ギロチン)の復活を提案いたします!!」 「妥当なところね。大道具とかけあってみましょう」 「なんだそのスピード裁判!? 判事と裁判長がグルって最悪じゃねーか! こんな司法取引も探偵パートもない裁判なんて認められません! せめて弁護側にも発言させてくださいな!」 最初は無視していたが、あまりに「被告人」がわめき続けたため、「裁判長」はいかにも渋々といった様子で、 「しょうがないわね。……サーシャ=クロイツェフさん、といったかしら。昨日も会った気がするんだけど」 「解答一。私も貴女のことは記憶している。それと、私のことはサーシャでいい」 「……どうも」 サーシャのしゃべり方に慣れないのか——あるいは性格にか——、吹寄はわずかに怯んでいた。が、すぐに真剣な顔に戻り、 「それで、肝心なことを聞くけど。————本当に上条当麻に何もされてない?」 「おい吹寄!? それ全然関係ないだろってごっ!?」 裁判長の許可なく発言するなと言わんばかりの超速チョークが上条に炸裂し、沈黙させた。 サーシャはその様子をぼんやりと見ていたが、やがて何事もなかったかのように、 「解答二。協力は色々してもらっている。危険なことは今のところない」 「裁判長。この二人は今夜一緒に夕食を食べるそうでーす」 「言祝てめどばっ!?」 復活直後に再び撃沈。 「カーミやーん……」「上条君……」「上条……」 法廷(きょうしつ)の空気が一層凶悪なものに変わる。それはもうDIOの館くらいに。 青髪ピアスは殺意に満ちた目でにらんでくるし、姫神はなんだか嫉妬めいた瞳を向けてくるし、吹寄はそのどちらとも言えないような視線を突き刺してくる。 (うう。どうにもこうにもならん……不幸だー) 味方であったはずの「弁護士側の証人」にも裏切られ、もはや救いなしいっそこのまま楽にしてー! と叫びかけた上条当麻だったが、それを静かな声が制した。 「——提案一。この状況が私の存在によるものならば、私は演劇活動への参加表明を取り消す」 「…………え?」 突如立ち上がった「弁護士」の発言が。 呆気に取られた声を出したのは吹寄制理。しかし他の人間も彼女と全く同じ心境だった。 もちろん上条も。 「サーシャ……?」 「ちょ、ちょっと待ちなさいサーシャさ——サーシャ。あなたはそこの横暴監督とセクハラ少年に無理やり連れてこられたんじゃないの?」 せーちゃんひどーい、と口を突き出した言祝を、サーシャはちらりと見て、 「解答三。誘われたのは確か。しかし、私は自分の意思で参加を決めた。興味があったから。けれども、それが学友同士で仲違いする原因になるのなら、退くべきなのは私であると思う」 「…………う……」 吹寄が、なんとも苦い物を飲み込んだような顔になる。 それはそうだ。年下の女の子にリアルで「私のために争わないで」と言われてしまったのだから。 しかも、 「………………………………………………………………、」 口では止めると言っているサーシャの顔は、「本当はとってもとってもやりたいんです」と無言で訴えていた。そしてそれを、迷惑をかけて申し訳ないという思いで押し潰しているのまで見て取れる。 恐らく、いや確実に彼女は気づいていないだろう。自分がそんな表情をしていることを。貼り付けたような無表情を保てていると思ってるに違いない。 そして吹寄裁判長は、そんな一少女の不器用な願いを無下にできるほど非人情派ではなかった。 「あの……サーシャ? なんと言うかこれは、上条の日頃の行いのせいであって、決してあなたが悪いわけじゃないのよ?」 そうだそうだと相槌を打つ検事側。特に青髪ピアスは今にも奇声を上げてサーシャに抱きつきかねない勢いである。彼女の属性に不器用属性が加わった結果らしい。 「——だけど」 吹寄は顔を曇らせ、 「実際問題、サーシャを演劇班に迎え入れるのは難しいと思う。いくら監督のお墨付きっていっても、この学校のメインイベントの主役に他校の生徒をいきなり抜擢したら絶対に内外から反感を買うわ」 それでも冷静に物事を捉えてしまう辺り、彼女は良くも悪くも優秀な運営委員だった。 本当はこんなこと言いたくないのだろうが、役割を持つ者の責任として、吹寄は現実を突きつける。 「しかもあなたの着てる制服(それ)、近所の中学校のじゃない。ということはまだ十三か四、でしょ? 年齢(とし)も足りてないんじゃ、転入生ってゴリ押しすることもできない」 「————だったら、新入生ならどう?」 ス、っと。 その声は豆腐に包丁を差し込むように全員の耳に入った。 視線が集まる。 声の主——「弁護士側の証人」は自信たっぷりに腕を組み足を絡め、 「この高校に進学を希望している生徒から一人、特別ゲストとして舞台に上がってもらうことにしました。選ばれた子はとても可愛らしい外国人の女の子でした。その子がシンデレラの役をやりたいと言うので、優しい先輩達は快く譲ってあげることにしました……とこういう筋書きよ。これならサーシャちゃんが堂々と主役やれる上に、ウチの高校の宣伝とイメージアップにもなる。一石二鳥なのですよ」 ニカッ、と笑った。 上条達は、戸惑うような感心するような、不思議な気持ちでその笑みを見た。 言葉も出ない。 まるで運命が配役(キャスト)を決めているかのように、不利な点さえも利用してステージを完成させていくその知略。 妥協なく、恐怖なく、目的達成のためにあらゆる手段を尽くすその度胸。 これが“監督”。 言祝栞。 「……でも。校外への言い訳はそれでいいとして。校内への対応はどうするの? 一年の独断で。そんなことしたら色々面倒なことになりそうだけど」 いち早く脳に血が流れ出したらしい姫神が尋ねた。 しかし言祝は困った様子も見せず、 「そっちのが簡単よ。というかもう終わってるし」 「終わってる。とは?」 「教室(ここ)に来る前に、私と、サーシャちゃんと、かみやんくんとで校内をあちこち練り歩いといたの。みんなならこの意味、わかるよね?」 吹寄と姫神と青髪ピアスが、あっ……となる。 そうだ。たとえどれだけ不可解なことが校内で起こったとしても、 それが可愛い女の子に関することで、 その隣に、とある少年がいたというのなら、 「「「何があったとしても上条(上条君)(カミやん)のせいにできる…………!!」」」 がばっと復活。 「待ったらんかーい!! いくらなんでもそりゃねーだろ!? とどのつまり俺を生贄に捧げてサーシャシンデレラを召喚するぜってことじゃねーか! こんな扱い俺の親父が知ったら今度こそ天使が降臨しちゃいますよ!? つーかてめーら三人さっきから息が揃いすぎなんだよ! トリオか、トリオなのか!?」 「流石ね栞。そんな巧妙な作戦思いつきもしなかったわ」 「にはは。このくらいお茶の子さいさいなのですよ」 「いやーでもやっぱりボクらの言祝監督やね」 「今年の名誉監督賞は。あなたのものに決まり」 「聞いてない! 聞いてらっしゃらない!! チョークすら飛んでこない!! これがスルーか、レールガンノミコト様の祟りなのか!? サーシャ弁護士! もうあなただけが頼り……って何を両手で胸を抱いてうっとりしてますかアナタ! そんなにシンデレラやりたかったんかい! そしてそのまま言祝達の輪の中へ行っちゃうの!? 待って、その『素敵な先輩後輩の図』に俺も混ぜてーーっ!!」 結局、上条の意見は何一つ通ることのないままその日の打ち合わせは終わり、 言祝栞から吹寄制理経由で運営委員に配役変更の旨が伝えられることになった。 「シンデレラ役 サーシャ=クロイツェフ(特別出演)」 提出された文書の最上段にはそんな文章が書かれていた。
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仮面ライダーSIN 第三話「学園」 「では、現場からネオ=ロアノーク大佐に状況を説明していただきましょう」 スピーカーからイアン=リー少佐の声が聞こえてきた。受像が安定していないが、ディスプレイには会議室が映し出されていた。施設は爆散しているため、アンテナを立ててボックスワゴンからの中継である、出力が高いわけでなければ受信機の精度もいいはずがない。他にも先の大戦で地上に振りまかれたN-ジャマーが干渉しているとも考えられる。ネオとしてはお偉いさん方と顔を突き合せなくてよいぶん、幾分か気楽ではある。 「本来はそちらへ伺って直に報告すべきところでありますが、先日入手したMRの運用がうまくいっておりませんので……」 ネオがそこまで言ったところでスピーカーから声が聞こえてきた。 「前置きはいい。被害状況と経過を端的に説明してくれたまえ。この会議は君の件だけを取り扱っていればいいというわけではないのだからな」 「はっ。申し訳ありません。施設は全壊。現在データを修復中ですが、修復チームの見立てでは半数以上が修復不可能な状態だと報告がありました」 「例のMRのデータもかね」 「残念ながら」 スピーカーの向こう側がにわかにどよめいた。 「施設にいた実験体は?」 「半数が損失、行方不明者も多数。行方不明者に関しては現在全力を持って捜索に当たっています」 「報告ご苦労。この件に関しての指示はまた追って報告する」 「了解しました」 通信が終わってネオはワゴンから出た。外に控えていた部下がネオに報告をする。 「MR装着者3名の意識が安定しました」 「すぐ救護所へ向かう。歩きながら報告しろ」 「はっ!」 「今回は薬物投与はしていないんだろうな?」 「しておりません。上から来たときには機械のデカブツがなんの役に立つのかと思いましたが、意外に使えるようです」 「記憶を操作するって、例のやつか。あまりいい気分はしないな」 報告を聞いているうちに救護所に到着していた。 「君はここで待っていてくれ。続きは出てから聞く」 「了解しました」 中に入ると巨大な機械のゆりかごにMR装着者の3人が寝そべっていた。 「よう!気分はどうだ?」 ネオの声を聞いて3人が起き上がった。 「ネオ!」 金髪の少女がネオに飛びついてきた。ネオは少女の頭を優しくなでる。 「元気になったか?」 「うん、ステラ元気になった」 「おっさん、俺たちの心配はなしかよ」 頭の後ろで腕を組んだ水色の髪の少年がネオに軽口を叩く。 「ひがむなよ、アウル」 緑髪で狐目の少年がアウルの方に手をやって言った。 「ちぇ、スティングはすぐいい子ぶるよなー」 アウルがふくれっつらをしてスティングに答えた。 「皆、元気なようだな」 「元気も元気。次の任務はまだかって退屈してるぜ」 「気持ちは分かるが今はまだ休め。いきなりMRで実戦だ。自覚は無くとも体に疲労が蓄積されているはずだ」 「ちぇー。ここにいるのって退屈なんだよな」 アウルはそう言うとゆりかごに座り込んだ。そんな3人の様子を見てネオの口元は緩んでいた。 「じゃあ、俺は仕事があるから」 「ネオ、行っちゃうの?」 ステラが寂しそうにネオの顔を見上げた。ネオはポンとステラの肩を叩いて言う。 「大丈夫、すぐ帰るさ」 救護所から出ると部下がネオに声をかけた。 「無邪気なものですね」 「だが、あの子達にMRを装着させて戦わせていることを思うと、な」 「仕方ないでしょう。彼らはそのために研究費を投じて育てられたのですから」 「ここにいた奴らもそうだったのかね」 ネオは焼け落ちた施設を眺めてそう呟いた。シールドが厳重に施された特殊施設用のMAが施設を解体し、次第にそこには何も無い更地に戻っていく。薬害汚染や放射能漏れの恐れがある以上、この区画は当面閉鎖だろう。あの3人が育ったロドニアの研究所も今は更地になっている、そうネオは聞いていた。 その頃、シンは居候先のデュランダルの家から程近い学校にいた。昨夜、デュランダルとアレックス、そしてデュランダルの息子のレイが家族会議を開いてシンを学校に通わせた方がいいだろうという結論に達したのだ。当のシンは渋々という感じで乗り気ではない。唯一幸いなのはレイと同じクラスだということだろうか。 シンが通うことになった学校は文武両道をモットーにしており、進学校ながら武道や体育の時間が毎日ある。今日は格闘術の授業だった。プロテクターを付けたフルコンタクトの格闘だ。目や金的といった急所への攻撃以外は何でもありというきわめて雑多なルール。それだけを聞かされて2人のペアで戦うことになる。「訓練」を受けていたこともあり、シンはあっという間に10人を勝ち抜いていた。 「あいつ強すぎないか?」 「転入生か?アイツちょっと異常だよ。気がついたら懐に入られてて寸止めされて終わり。まるでバケモノだな」 試合開始から数十秒で勝負をつけるシンにクラスメイトはざわついていた。 (バケモノか) その声はシンにも届いていた。 「おい、やろうぜ」 ヨウランがシンに声をかけた。互いに一礼をした後ヨウランが構えた。シンは特に構えらしい構えも取らずにヨウランに近づいてくる。ヨウランはシンが間合いに入ったところで腹部を狙って蹴りを繰り出した。しかし、シンはひざから下が伸びきる前に蹴りを手ではらう。なおもシンは近づいてくる。その後もヨウランはパンチを放つが、そのほとんどが払われるか避けられるかである。シンはじっとヨウランを見ているだけで仕掛けようとはしない。ヨウランはシンが何を考えているか分かなくなっていた。 「そこまで!」 教官のフレッドの声でヨウランは構えを解いた。フレッドはこの学校の鬼教官、時代が時代なら鬼軍曹といったところだろう。実際自慢は先の大戦でMS装着者として最前線で戦い、名誉の負傷で後続の育成のために教官になったことだ。スキンヘッドで褐色の肌をしており、所々から引きつり傷がのぞいている。 「なっちゃいないな。二人ともそれでやる気あるのか?」 ヨウランは押し黙ったまま下を見ている。シンはフレッドと目をあわせようとしない。フレッドは鼻で笑ってレイの方を見た。 「レイ。シンとやってみろ」 「はい」 周囲がざわついた。学年主席のレイとの対戦だ。大人気ないことをするという声もあれば、シンの実力を認めたということなのかという声もある。皆、練習の手を止めてこの二人の対戦を見届けようとしていた。シンとレイは互いに一礼を交わし、試合を始めた。先に仕掛けたのはレイだった。ローキックがシンの軸足に入る。 (早い!!) ヨウランの時のように避けたり払ったりすることはできなかった。だが、さほど威力はなく、生身でMSと戦ったときに比べれば蚊が刺したようにしか感じない。逆に蹴ったレイの方がダメージを受けているようだ。とっさに離れようとするレイの懐にシンは飛び込もうと踏み込んだ。勢いそのままに左フックをレイのボディに叩き込んだ。だが、振り抜いたときにはレイはその場にいなかった。反応も極端に早い。 (ウソだろ!?) その速さはMS装着者としての訓練を受けている者と同等、いや、それ以上かもしれない。この調子では自分が手数だけをもらって試合には負けて終わってしまう。シンは迷わず再びレイの懐に飛び込んでいった。 その頃、理事長室では理事長のタリア・グラディスとシンの保護者であるギルバート・デュランダルが面談を行っていた。タリアは灰色の無地の封筒から取り出した書類に目を通しながら頭を抱えていた。 「彼の経歴を見せてもらったけど、これ、本当なの?」 「カナーバ議員を通して公安に調べてもらったものだ。まず間違いはないだろう」 「そう……。あの子、オノゴロにいたのね」 タリアが目を伏せてため息をついた。オノゴロは先の大戦での激戦地の一つである。軍はMS生産所であるモルゲンレーテを確保するために進軍した。しかし、当時自治区だったオノゴロ一帯、オーブの代表ウズミ=ナラ=アスハは深刻化する軍と公安の対立に加担することを嫌い、軍の駐屯に異を唱えた。オーブにはコーディネイターが多く居住していたこともあり、ブルーコスモスの代表ムルタ=アズラエルはオーブで新型MRのテストを兼ねた侵攻を行い、オーブは焦土と化した。 「モルゲンレーテを抑えるために武力侵攻したときに居合わせ、そのまま軍に捕えられたようだ」 「『主義者』が彼をコーディネイター(改造人間)だと分かって生かしておく理由があったの?」 タリアの言う『主義者』とはブルーコスモスの隠語である。「青き清浄なる世界のために」をスローガンとしたブルーコスモスはコーディネイター排斥を主張している。コーディネイターでなければ高機能なMSやMRの装着の負荷に耐えられないにもかかわらず、彼らはドーピングを初めとした、いわば後天的強化でそれを補おうとしていた。 しかし、アズラエルが戦死したことでアズラエル財団がスポンサーから降り、戦中に核兵器や国際条約を無視していた経緯もあり、過激派は軍の中枢から退けられていた。現在では昔日までの力も金も無くなり、時折過激派がテロ行為をしては逮捕者が出ている程度だ。 「『主義者』が彼にエクステンディッド(強化人間)の改良のための利用価値を見出したか、あるいは彼を探していたか。いずれにせよ何かしらの研究材料にされていたことは事実だ」 「教えてちょうだい。あの子の場合は何なの?」 「MRの装着者だ」 顔色一つ変えずに、いやむしろ微笑んでいるとも取れる表情でデュランダルが言った。タリアはしばらく黙り込んで一言こう言った。 「頭が痛いわ」 「できるだけ頭痛の種を取り除けるようには努力させてもらうよ」 「是非そうしてもらいたいものだわ。さ、用事が終わったら出て行って」 そう言ってタリアはデュランダルを部屋から追い出した。面談用のソファーから理事長の席に深々ともたれかかった。結局こうしてまた1人問題児を抱えることになってしまった。タリアは頭を抱えているうちに本当に頭が痛くなってくるような気がした。 シンとレイの試合は時間いっぱいまで行われ、延長戦に入った。手数はレイの方が多いのだが、有効打はでていないシンの攻撃を避け続けていてかなり息が上がっている。他方、シンは手数は少ないものの果敢に攻め続けている。このまま続けばレイの足が止まり、自分が有利になるだろうとシンは思っていた。 「よし、始め!」 フレッド教官の声と共にシンは一気に踏み出して間合いを縮める。 (いける) シンは今度こそはと思って攻撃を繰り出すのだが、今回もむなしく空を切るだけだ。施設で訓練を受けた自分の攻撃が生身の人間に避けられている。この事実がシンにはショックだった。シンは最大のスピードで攻撃を仕掛けている。それでレイが避けられるのなら、シンが動作を始めたとき、もしかしたら動き出す前にシンの動きを予知する必要がある。 (そんなことがあってたまるかよ!!) シンは自分にそう言い聞かせて足を動かし続けた。だが、すべての攻撃がすんでのところでかわされてしまう。一発一発の攻撃が空をきるたびにシンの体力が消耗していく。だが、それは回避し続けるレイも同じだった。 レイは延長戦前には肩で息をしていた。一発でも攻撃を受ければ万に一つも自分が勝てる見込みは無い、レイはそう思っていた。実際に戦ってみて分かったのだが、シンは確かに強いのかもしれないが、攻撃パターンが一本調子で直線的だ。速さにさえ付いていければかわすのはそう難しいことではない。だが、その速さを支えている足が限界に近づいてきている。現に延長戦前からシンの攻撃が身をかすめ始めている。 「うおぉおおおお!!」 シンが腰をグンと落として突進してきた。体ごとぶつけてくる気だ。レイはギリギリまでひきつけて左に飛んだ。シンの半身がレイのそばを通り抜けようとしていた。そのときだった。シンは一気に足幅を広げてブレーキをかけ、無理な体勢から体をひねって裏拳をレイの顔面めがけては放った。レイはとっさに首をひねって顔の向きを変えたが、シンの裏拳はレイの後頭部に命中する。 「そこまで!!」 フレッド教官のドスの効いた声が辺りの空気を震わせた。シンは足がもつれて倒れこみ、レイはダメージを受けたがその場に立っていた。 「まあ、引き分けでいいだろう。これ以上延長すれば集中力も欠けてくる。あらぬ怪我をされても困るしな」 シンは飛び跳ねて起き上がった。 (引き分けかよ) シンはレイの方を見た。立ち尽くしたままじっとその場を動かない。冷静を装ってはいるが、シンの拳は確かに頭蓋骨に当たったのだ。普通の人間なら脳しんとうを起こしているはずだ。もっとも、レイの場合は普通ではないのかもしれないのだが。 「なんだ?何か不満でもあるのか?」 「……いえ」 フレッドに言われるまでも無く、シンには不満が残っていた。フレッドはそんなシンの顔を見てふんと鼻で笑う。シンはこういう態度が好きではなかった。シンの表情が更に曇ったのを見てフレッドはまた笑った。 「まあ、いい。今日の授業はこれで終わりだ。皆着替えてさっさと帰れ」 フレッドの言葉を聴いて生徒はぞろぞろと武道館を出て行く。シンも武道館を出て行こうとすると後ろから肩に手をかけられた。 「なんだよ」 振り向くと、何もしていない試合の相手、ヨウランとその隣にディーノがいた。 「すげーじゃん。レイと互角なんて」 「そうそう。オレなんて殴っても蹴ってもレイにかすりもしないのに。きっちり最後に当 ててたよな。ここのところにさ」 ヨウランがディーノの耳寄りの後頭部をさす。それがシンの警戒心を煽った。あの速さの攻撃が正確に見えているとしたら、この二人は普通の人間ではない。自分と同じコーディネイターだ。しかし、いくら社会に溶け込んでいるとはいえ、それを快く思わない人間は少なからずいる。おおっぴらに自分がコーディネイターであることを明かせば『主義者』が黙っていないだろう。特にシンは追われている身だ。だが、レイとの戦いで熱くなってついそれを忘れていた。レイとの戦いで荒くなっていた心臓の鼓動が更に激しくなっていた。 「うーん、やっぱりきついよ」 賃借ビルの15畳にも満たないワンフロアの一角にミリアリアとオレンジ色の偏光グラスをかけた金髪の男、サイ=アーガイルがいた。サイはそう言いながら背伸びをしていた。夜半にミリアリアが仕事場に押しかけてきてそれからずっと写真の解析にかかりっきりなのだ。 「どうにかならないの?」 「多少はきれいに出来るけど結局『それらしきもの』があるとしか言えないだろうね。これだけならボール紙切って着てる人かもしれないとも言えそうだし。ほら、こんな感じでね」 サイがモニターにボール紙や子供向け商品でコスプレをしている写真に次々にフィルターをかけてミリアリアの写真に近いものを再現する。明らかにMRではないものもここまでくればどちらも見分けが付かない。ミリアリアはため息をついた。 「ダメか。無理言ってごめんね」 「こっちこそ、力になれなくて悪かったな」 ミリアリアは首を回してゆっくりと立ち上がった。気がつけばもう夕方だ。時計を見ると明日の入稿には間に合いそうに無い時間になっていた。 「ニュース見ていい?」 「どうぞ」 ミリアリアはネットのニュースポータルを見た。新着ニュースの項目の一覧を見て気にかかるものをチェックする。これも仕事のうちだ。先の大戦で戦場になった地域の復興活動の話や、ブルーコスモス/コーディネイター双方の過激派の衝突のニュース。汚職事件、凶悪犯罪……日々暗いニュースで埋められていく。仕事とはいえ24時間ずっとこれを見続けたら気がめいってしまうだろう、ミリアリアはそう思っていた。 「あっ!」 突然サイが声を上げた。 「何よー。急に大きな声出して」 「そこの『軍、新造MRを運用か?』って記事」 ミリアリアはサイに言われたトピックを開いた。署名記者はジェス=リブル。フリージャーナリストの業界では自らMSを装着して戦場を駆け巡る「野次馬ジェス」として有名な人間だ。彼のレポートによれば、先日焼失した軍施設にMRが運び込まれていた疑惑がある、とのことだった。 「これが本当だとしたら……その写真……」 「今から会社回ってみて掛け合ってみる!」 「ヤバいことになってるみたいだから、気をつけろよ……。その……」 ミリアリアとサイの二人とも先の大戦に巻き込まれ、恋人を失っていた。サイの場合は家ぐるみの付き合いがあっただけにまだ時々思い出すこともあるようだ。サイは職業柄軍や公安に深くかかわって命を落とした人間を知っている。ミリアリアにはそうはなって欲しくなかった。 「分かってるわよ」 ミリアリアは取材カバンを担いで駆け出していった。外に出ると帰宅時間にさしかかっていることもあり、渋滞が始まっていた。タクシーを見つけては手を上げて合図を出すのだがなかなかつかまらない。辺りを見回していると渋滞に巻き込まれてトロトロ走っている赤いバイクを見つけた。 「あの趣味の悪い赤、もしやとは思うけど……。アレックスー!!」 ミリアリアは手を大きく振った。アレックスはすぐにそれに気付き、無視しようかと思ったが 「そこの赤いバイクに乗ってるアレックスー!!ここだってばー!!」 と叫ばれて周りからジロジロ見られ始めたのでやむなくバイクを道につけた。アレックスはミリアリアに口早に言う。 「オレは忙しいんだけどな」 「そう硬い事言わないでさ。ちょっと用事があるんだけどタクシーが捕まらなくて、乗せてってよ」 そう言いながらミリアリアは既に後部シートからヘルメットを取り出している。こうなったら問答をしているよりは目的地に向かった方が早い、アレックスはそう判断した。 「さ、準備はいいわ。早く出して」 「……」 アレックスはミリアリアを乗せて大通りから裏路地へとバイクを走らせた。
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あらすじ ケイ「魔力パネェ」 マイルズ「スコップに愛されすぎでしょ」 俺「固有魔法が身体強化だと思ったかい?残念!!スコップ強化だよ!!」 以上!! さて、俺の異常魔力とスコップ強化という独特すぎる固有魔法が判明した翌日。 マイルズ「ふあ~・・・今日も暑くなりそうね」 日が出てまだ間もなくほどよい気温になっている時、ゴシゴシと目を擦りながらこの砂漠で私室として使っているテントから出てきたのはマイルズである。昨日は驚きの連続で疲れてるのだろう、ふわァと可愛らしいあくびをする。 ヒュン、ザザッ マイルズ「・・・ん?」 すると、彼女の耳に何か物を振り回す音と、砂の上で何か動いている音が聞こえた。 マイルズ「(何かしら?まだ起床ラッパが鳴るにはまだ早いし・・・)」 途切れることなく聞こえるその音にマイルズは興味を抱いたのか、そちらのほうへと歩いていった。 ~~ちょっと離れた場所~~ マイルズが向かおうとしていたところには、すでに先客がいた。 俺「ふっ!!」 そこには上下迷彩服を着た俺がいた。 俺「シッ!!」 ヒュンッと俺は右手に持ったスコップを斜めに振り下ろす。そして、返すスコップで何かを払うかのように廻し下からスコップを突き上げる。 斜めから、横から下から上から様々な角度からスコップを振る、体を捌き、左手で何かをいなす様に動かす。スコップで捌きときたま両手でスコップを握り短鎗のように振り回す。 俺「フンッ!!」 そして両手持ちで振り下ろす。俺がしているのは対人戦用の格闘術・・・いってしまえばスコップ格闘術だ。以前某有名動画投稿サイトで偶然見つけた動画で、 スコップで相手を制圧をする方法をこと細かく教えている動画を見つけた俺は、その動画を見ながら独学でその技を習得した。まあ覚えて何になるともいえるが、 一軍用スコップマニアの俺にとってはそれは凄い有意義なもので、覚えた後も暇があればたまに練習しているのだ。 俺「セイッ!!」 今度は両手でスコップを持ち、槍で突きこむかのように突く・・・その動き一つ見ても無駄なものがない。俺は自分の想像通りに動けたことに満足したのか、 ウンと頷き、元の体制に戻る。 マイルズ「呆れた・・・あなたのいた世界じゃわざわざそんなスコップで戦う技術まで存在するの?」 すると、俺の後ろからここ数日で案外親密な仲になったマイルズがそこにいた。俺はくるっと振り返りおっと見る。 俺「おっは~マイルズ少佐。まあな、俺の居たところじゃ人同士の戦争だったし、こういう技術も自然に生まれてくるもんさ・・・まあ教えているのはほんの 一部の国だけどな」 マイルズ「ふ~んそうなの」 俺の話にマイルズはそう返した。ちなみに俺のいう国はロシア、こちらでいうオラーシャだ。特にスペツナズは非常に細かくスコップでいかに効率よく人間を バラすかを訓練している。 俺「まあそれはそれでなんだけどよ・・・マイルズ少佐、朝から随分と過激な姿じゃないかおい」 スチャッと腰のシースにスコップを入れながら、俺はマイルズのことを見る。 マイルズ「?いったい何を言って・・・!?」 俺の言ったことに最初は理解できなかったのか怪訝な顔になるが、すぐにその意味を理解してしまう・・・先ほどマイルズは何か音がすると思い、いつもの軍服を 羽織っただけなのだが・・・つまりその下は彼女が普段寝ているときの薄着で、ズボンと薄いシャツ一枚なのだ。しかもボタンは三個ほど外れておりなかなか 主張をしている胸の谷間が見えており・・・まあ朝に見るには少々過激が強い姿である。 マイルズ「な・・・な、な・・・!!」 俺「まあね?俺もねいい年した23歳の男だよ?そういうのに興味ないといえば嘘になるけど、せめて淑女らしい格好を進める・・・ってあれ?なんで拳握ってるの?」 マイルズ「こ、この・・・!!」 俺「(あ、なんか嫌な予感)」 プルプルと震えるマイルズを見てなんとなく嫌な予感を感じた俺・・・そして、 マイルズ「なに見てんのよこの変態!!」 顔を真っ赤にさせたマイルズの綺麗なアッパーカットが、俺の顎に見事に炸裂した。 俺「あべし!!」 俺はメキョッという変な音と悲鳴を上げてぶわっと宙へと舞い上がった・・・ 俺「(あれ?今のって俺が悪いの?)」 だんだんと輝きを増す太陽を見ながら、俺は短い空中散歩と洒落込んだ。 ~~しばらくして~~ さて、俺が空中散歩を楽しんだ数十分後。俺とマイルズ、そしてケイは会議等で使う少し広めのテントに来ていた。おそらくこれから行う戦術指導に使うのだろう。 ケイ「ええと・・・まあ色々と聞きたいことあるんだけど・・・とりあえず大丈夫?」 ケイは一通り使うであろう資材を集め終えた後、目の前に座っている顔面がやや凹んでるように見える俺へと話しかけた。 俺「はっはっはっ、ケイ。これが無事に見えるな眼科に行きな。見ろよ、どっかの誰かさんのおかげで顔面が絶賛凹み中なんだぜ?凄くね?」 マイルズ「な、あれはあんたが見るからいけないのよ!!この助平!!」 俺はケイの横にいるマイルズをジトッと見ながら言う。対するマイルズは顔を真っ赤にしながらそう言い返す・・・ちなみに服装はいつもの軍服である。 俺「ああん!?第一あれはあんたがシャツとパンツ・・・じゃなかったズボン一枚で外に出てきたから悪いんだろうが!!」 マイルズ「う、うるさいわね!!それをガン見したのはあんたでしょうが!!この変態!!」 俺「うっせ痴女!!」 マイルズ「な・・・誰が痴女ですって!?変態!!」 俺「うっせあんたなんか痴女で十分なんだよ!!ちーじょ!!」 マイルズ「なんですって!?このド変態!!助平!!発情犬!!」 ギャンギャンエイメンワーワークリーク!!二人は互いを罵倒しあいながら机をバンバン叩く・・・言ってる内容がアレだが、ぶっちゃけ子供の言い争いに見える。 ケイ「はいはいはい!!二人とも落ち着く!!」 そしてこの二人の仲裁に入るのがもはや自分の仕事じゃないか?と思い始めたケイはパンパンと手を叩きながら仲裁に入る。 俺「だって圭子母さんマルトーが!!」 マイルズ「誰がマルトーよ!?」 ケイ「はいはいわかったから落ち着き・・・ってちょっと俺君!?誰が圭子母さんよ!?私は独身よ!?」 俺「いやだってねぇ・・・なんか仲裁の入り方が子供の喧嘩の仲裁に入るお母さんに見えたから」 ケイ「私はまだ23よ!?」 俺「なん・・・だと!?」 ケイ「ちょっと何よその反応!?」 俺「いやだって正直23ちゅうよりは二十台後半か三十代前半に見えたから・・・メンゴ」 ケイ「ぶっとばすわよ!?まったくもう失礼しちゃうわ!!ねえマイルズ少佐」 ケイは同意を求めるようにマイルズのほうに向いた・・・が、 マイルズ「・・・」 マイルズはどこか気まずそうに視線をよそに向けていた。 ケイ「え、ちょっとなんであなたまで黙り込んでいるのよ?ねえちょっと!?」 マイルズ「だ、大丈夫よケイ!!扶桑人は実年齢よりはるかに若く見えるんだから!!」 ケイ「つまり私はかなり年上って見られたわけ!?」 マイルズ「お、落ち着いてケイ。少なくとも私より10歳ぐらい上だと・・・」 ケイ「ちょっと待ちなさい。あなた確か十八歳よね?つまり私は28に見られてたわけ?」 マイルズの年齢をかがんみて、ケイは聞くと・・・マイルズは気まずそうに首をコクリと頷かせた。それを見てケイはふうとため息をつき、 ケイ「もう怒る気もなくなってきたわ・・・でもいい?次は間違えないでよね?絶対よ?」 マイルズ「わ、わかったわ」 怒る気がなくなった・・・といってるわりにはなにやらものすごいオーラを全身から滲み出している。マイルズは思わず反射的にコクコクと首を縦に振る。が、そんなケイの圧力に気付いていないのかどうか・・・俺は何かを考え込むように中空に視線を向けていた。 俺「・・・」 マイルズ「(ちょ、ちょっとあなたも謝りなさい!!さすがにこれ以上は不味いわよ!!)」 そんな俺にマイルズは横から指摘する・・・が、俺は何かを思いついたのかぽんと手を叩き、スッとマイルズのほうへ指を差し、 俺「マイルズさんじゅうはっさい」 と言った。 マイルズ「???どういうことよ?」 ケイ「?」 マイルズもケイもなんだかわからないといった感じだ。 ケイ「マイルズさんじゅうはっさい・・・ん?・・・ぶふっ!!」 ケイは俺の言ったことを反復して何かに気付いたのか、急に噴出し腹を抱えて笑い出す。 ケイ「あっはははは!!お、俺君、なかなか面白いこと思うついたわね・・・ふふ!!」 俺「おう、俺もまさかこんなに面白いネタが浮かんでくるとは思わなかったぜ。なあマイルズさんじゅうはっさい」 マイルズ「いや、だからどういう意味よ!?・・・ん?」 俺にさらに言われ、マイルズはん?と違和感を感じた マイルズ「(ちょっと待って・・・マイルズさんじゅうはっさい・・・マイルズさん十八歳・・・!?)」 そこでマイルズはようやく気付いたようだ。俺はそれを見てにやっと笑い 俺「はい、正解はマイルズ三十八歳でした~ずいぶんと年取ったね~」 マイルズ「な、誰が三十八歳よ!?」 俺「おまえやーーー!!」 マイルズ「キイィィィィィィィィッ!!」 人差し指で差す俺に対し、マイルズはだんだんと地団駄を踏む・・・そこで仲介に入るはずのケイはいまだ笑いを収まらずヒイヒイと腹を抱えて笑っていた。 もはや、カオスの極みである。 ~~しばらくして~~ ケイ「はあはあ・・・あ~久しぶりに笑ったわ~」 ケイはふうと息を吐きながら言いつつ、目に浮かんだ涙をぬぐう。 マイルズ「冗談じゃないわよまったく・・・誰が三十八歳よ・・・」 その横ではいまだぶつぶつと文句を垂れるマイルズがいて・・・ 俺「だから・・・おまえやーー!!」 先ほどと同じようにビシッと人差し指で指差す俺がいた。 マイルズ「~~~!!」 もちろんそれに反応して地団駄を踏むマイルズ・・・もはやおなじみになった光景である。 ケイ「ふう・・・まあ落ち着いてマイルズ少佐。そろそろ話を進めないと今日中に終わらないわよ?」 マイルズ「むう・・・わかったわ」 渋々という風に引くマイルズ。俺もさすがに空気を呼んだのかケイのほうへと向く。 ケイ「準備はいい?それじゃあ今日は俺君に色々と教えるんだけど・・・この世界の情勢について少し触れるわよ」 俺「ああ、そうしてくれると助かる」 ケイの言葉に、俺は頷く。大体のことは最初の尋問のときに(その4 尋問でもスコップをもたせましょう参照)説明を聞いたのだが、改めて聞いておきたいと 思ったのだ。ケイもそれがわかっていたのか、はい、と頷き ケイ「それじゃあ説明をするわよ。そうねまずはーーーー」 ケイの説明が始まった。 ~~一時間後~~ ケイ「ーーーとまあ大体こんな感じかしら?何かわからないところある?」 大体の説明を終えたところでケイは俺に聞く。俺はう~んと呻き 俺「・・・まあなんだ?ようはあれだろ?ネウロイ来たから人類みんなで倒すぞ~みたいな感じだろ?」 ケイ「・・・大体合ってるけど何かしら?このもっとまともな答えが欲しいと思う心は?」 せめて、もっとまともな説明はなかったのだろうか?ともケイは思ったが、残念ながら馬鹿な俺にはこの表現が精一杯である。 俺「いやいやいや、でも大体こんなんだろ?んでそのネウロイに対抗しえるのが魔力を持った少女・・・ウィッチでそこのマイルズさんじゅうはっさい「誰が三十八歳よ!!」・・・十八歳 のマイルズ少佐とかだろう?」 ケイ「ええそうよ。でも魔力は無限に続くわけではないわ・・・ウィッチは歳を取るごとに魔法力が衰退していくの。そして二十歳を越えると戦闘に参加できる魔法力はほぼ完全になくなるわ」 俺「?でもケイは確か23だよな?それと俺もそうだし」 ケイ「あくまで戦闘ができるほどの魔法力よ。空を飛ぶくらいの魔法力は味噌っかす程度だけどは残ってるの。あなたは・・・異世界人だからじゃない?」 ふ~んと、俺はケイの説明を聞いて自分の拳をぐっぐっと握り締めする・・・また何か考えてるのだろう。 俺「(まあ俺はこの世界じゃイレギュラーだからな・・・わからないのは当たり前か)そういや、ウィッチってのは女だけらしいけどよ。男である俺もそのウィッチ の才能があるんだから他にも何人かいるんじゃないのか?」 そこでふと俺は疑問に思ったことを口にした。まあ俺の疑問ももっともだ。この世界にも男のウィッチの一人ぐらいはほかにいるだろう。ケイはその質問を受けええと頷く。 ケイ「いい質問ね。確かにあなたのほかにも何人かはいるわ・・・でもそれだってほんの一つまみで国に一人いるかいないかとなのよ。扶桑陸軍にもいるって話は聞いたことあるけど・・・あったことは一度もないわね」 マイルズ「ブリタニアもそうね。名前やコールネーム、男性ウィッチの噂は聞くけど実質その姿は見たことが無いわ」 二人の答えに俺はうむうむと頷く。 俺「(な~るほどね。いるらしいけど実質的には見たことが無い・・・むしろいるかも定かではない・・・か。折角TOMODATIになろうと思ったのになァ)」 ※ちなみにアルファベットにした意味は特に無い。 俺はバリバリと頭を掻き、話を続ける。 俺「まあ大体の世界情勢やらなんやらはよくわかった。わかんないところがあったらまた聞くからそんときゃよろしくたのまァ」 ケイ「ええそうして。それじゃあこのまま戦術指導だけど・・・ここからはマイルズ少佐お願いね」 マイルズ「ええ、わかったわ」 世界情勢の話もおいおいと、今度は戦術指導に入ることにした三人。だがここで講師交代でケイからマイルズへと変わる。 俺「なんで代わるん?」 もちろんここで絡まるのが俺クオリティ。俺は講師交代の理由を聞く。 マイルズ「・・・何よ?私じゃ何か問題でもあるの?」 俺「んにゃ?特に?ないよ?たぶん?おそらく?絶対?」 マイルズ「なんで全部疑問系なのよ!!」 バンと机を叩きながら俺に怒鳴りつけるマイルズ。が、そこは俺。そんなのどこ吹く風か、ふうやれやれとどこかリベリアンスタイルで首を左右に振る。 俺「やれやれ・・・そんな起こると小皺が増えるぜ?マイルズさんじゅうはっさい」 マイルズ「うっさいわね余計なお世話よ!!私はまだ十八よ!!というよりあんた同じネタ使いすぎてしつこいわ!!」 俺「同じネタで相手をイラつかせる!!それが俺のジャスティス!!」 シュパッ!!とそげふの決めポーズを取りながら俺は叫ぶ。 マイルズ「ああああああ!!もうなんかよくわからないけど、言動が一致していないような気がするわ!!」 俺「たりめえだボケ!!ジャスティスもそげふもまったくの別作品だバーカ!!」 マイルズ「逆切れ!?またここで逆切れ!?」 またもや始まった俺とマイルズの漫才・・・ケイはふうとため息を吐き ケイ「(またか・・・この二人本当は仲いいんじゃないの?)はいはい、二人とも落ち着く!!お昼までには終わらせたいんだから喧嘩しないの!!」 ケイの言葉に二人はおとなしく黙る・・・もはや完全にお母さんである。 ケイ「(なんかまた嬉しいような嬉しくないような気がするんだけど・・・気のせいかしら?)まああれよ。私もマイルズ少佐もウィッチだけど、私は航空ウィッチでマイルズ少佐は 陸戦ウィッチなの」 俺「ああそういやそんなこと言ってたな」 俺は先ほどとこの二日間に聞いたことを思い出す。確かにそんなことをいっていたような記憶はある。初日にも確か歩行脚という陸戦ユニットを履かされた記憶がある・・・ 履いた瞬間に壊れたが。 ケイ「で、あなたは航空ウィッチの適正がなかったから陸戦のプロフェッショナルであるマイルズ少佐に頼んだのよ・・・大丈夫理解できた?」 俺「は~い、ケイ先生わかりました~」 ばっと手を上げる俺に、ケイははいはいと手を振る。 ケイ「それじゃあ頼むわよマイルズ少佐」 マイルズ「ええわかったわ・・・それじゃあまずは」 こうして、マイルズの戦術講座が始まった・・・が、もちろんそんなすっぱりと聞く俺ではない。 マイルズ「それじゃあまず、哨戒中に敵ネウロイを発見したとするわ。まずどうする?」 俺「スコップで突撃!!」 ずばっと0.1秒もあけずに答える俺。まあ俺らしい答えといえば答えなのだが・・・マイルズはぴクッと米神を引くつかせる。 マイルズ「・・・相手ネウロイに発見されたとして、交戦となったわ。どうする?」 俺「スコップでコアを叩き割る!!」 これもまた予想を裏切らない答えだ。マイルズの米神がさらにピクピクと引きつく。 マイルズ「・・・・・・相手ネウロイのビームか弾丸が飛んできたとするわ。どうする?」 俺「スコップで弾く!!」 まあある意味間違ってはいない。実際スコップをそのように使う技術はしっかりとあるし、日本軍(こっちだと扶桑軍)だとスコップに小さい穴が開いており、 即席の覗き穴のある防弾盾になるスコップがあるぐらいだ(ちなみに少円匙と呼ぶ) マイルズ「(落ち着いて私。こいつは本気に相手したらだめよ冷静になるのよ私)・・・・・・・・・相手ネウロイのコアは見えたとして残弾が尽きたとするわ。近接戦でも届かないところにコアがあるとするわ。どうする?」 俺「スコップを投げてコアを叩き割る!!」 まあ、これもロシアのスペツナズなどでは教えているので間違ってはいない。が、 マイルズ「あああもうううう!!あんた何でスコップにこだわるのよ!!馬鹿なの!?馬鹿なんでしょ!?」 もちろん講師をしているマイルズはこんなスコップスコップばっか言ってる俺に対して切れるのも当たり前といえば当たり前だろう。 俺「あんだと!?馬鹿は認めるがスコップは便利な近接武器なのは確かだろうが!!」 マイルズ「うっさいわね!!第一あんたはーーー!!」 俺「なんだと!?そういうあんんたもなーーーー!!」 ギャンギャンワンワンヒャッハー!!ジャスティス!! ケイ「(ああ・・・この二人はどうしてこう・・・)」 ケイは目の前で言い争いをする俺とマイルズを見てふうとため息を吐く。 マイルズ「第一ね銃剣突撃はどこにいったのよ!!ブリタニアでは銃剣突撃は伝統で最高の戦法なのよ!!」 俺「だァから!!銃剣で相手を刺突したら抜けなくなるだろうが!!そこで縁を砥いだスコップで戦斧みたいに振り回すんだよ!!」 マイルズ「銃剣突撃ならいざとなったら銃も撃てるわよ!!そっちは近接戦だけじゃないの!!」 俺「あほか!!背中に最初ッから銃背負っときゃ問題解決するだろうが!!あと手榴弾!!てかスコップ投擲で相手を倒す!!はいこれでかつる!!」 いつのまにか話の内容が銃剣突撃とスコップの戦闘どちらが上かという話に摩り替わっていることに気付かず、二人はそのまま熱い議論を続ける。 ケイ「(これはこれで貴重なシーンね。せっかくだから撮っておきましょう)」 カシャッと熱くなってる二人が気付かぬ間にケイは愛用のライカでその貴重なシーンを撮った。 ちなみにこの熱い議論が終わったのは真美が昼食に呼びにきた二時間後だったとか。
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シナリオの描き方が 面白いほどよくわかる原稿 Yui こんにちは、由衣です。実質引退済みですが部誌のみ投稿することになりました。 今回のテーマは「シナリオの書き方」。一口にシナリオの書き方と言ってもいろいろな方法が存在しますが、最も一般的な方法を紹介します。 少々かじっている方にとっては物足りない内容かもしれませんが、そのような方は、巷にあふれているシナリオ解説書をお読みになってください。図書館でも借りられますし(一般的な公立図書館で探せば見つかります。都立中央図書館には全部ありました)。 ちなみに、私はこの3冊を参考にしています。 「ゲームシナリオライターの仕事」 著者:前田 圭士 「ゲームシナリオの書き方」 著者:佐々木 智広 「シナリオの虎の巻」 著者:新井 一 読み物として一番面白いのは「ゲームシナリオライターの仕事」だと思います。実際のCRPG(=コンピュータRPG)のシナリオを題材にして解説している他、即座に役立つ実践的なテクニックが多く載っています。下2冊は概要から詳しく書いてあり、真面目にシナリオを勉強するならこちらの方を薦めます。 目次 1:TRPGのシナリオとCRPGのシナリオの違い 2:最重要要点 3:導入入門 4:TRPGのシナリオ傾向 5:おまけ ~1:TRPGのシナリオとCRPGのシナリオの違い~ 何故これを最初に書くのかと言う理由を説明します。それは、一般的なTRPGのシナリオと一般的なCRPGのシナリオは全く違うからです。細部の技術では一部共通した所がありますが、基本的な技術は全く違います。 実際にCRPGに近いシナリオを書いた場合、TRPGのシナリオとしては使えない、もし使えるとしても駄作になる可能性が非常に大きいです。一方逆も然りです(正確に言うと、コンピュータの特性上選択肢以外が無理である為再現が難しい) 例えば、「ドラゴンが住んでいる迷宮があり、そこに財宝がある」としましょう。そして製作者はこのイベントを絶対にこなして欲しいとします。CRPGなら話は簡単です。主人公達がそこに行ってドラゴンを倒さない限りイベントが攻略できず、ゲームが進みません。そしてゲームが進まないというコトはプレイヤーにとっては退屈なコトなので、プレイヤーは(渋々と)迷宮に潜ります。 つまり、CRPGでは「どんなに理不尽な要求やおかしい行動でも製作者の意に沿わないといけない」訳です。 逆にTRPGではプレイヤーには自由裁量権があります。正確に言うと、GMが出した情報の中で、各プレイヤーが一番有利と考えた(またはキャラクターのロールプレイに従う)行動を取る事がTRPGの行動の前提条件です。 その為、一般的なTRPGシナリオ製作法においては「矛盾」をなくして行動をある程度縛るコトが重要になります。 これは、CRPGの場合「設定に多少無茶でいいから、スリルとドラマとサスペンスが必要(映画に近い)」、TRPGの場合は先ほど述べたように「矛盾点を無くし、できるだけ行動を縛る一方(ゲームブックに近い)」が重要なわけです。 さっきの例だと、 ここで「現在金がなく、稼がないと野垂れ死にする」という設定を付け加えるとどうでしょう?ダンジョンに潜らないといけませんね?金がないので土木工事でダンジョンを埋め立てる事はできません。 つまり、TRPGでは設定で行動を縛る事が必要です。そうでもしないとプレイヤーはGM(シナリオ作成、司会進行をする人)の言うとおりに行動しません。そう行動するメリットがないのですから(ダンジョンを埋め立てるのはやりすぎですが、精々焚き火で中のモンスターを燻し出すくらいがよいです。)。 ここでプレイヤーに一言。 ダンジョンシナリオを考えてくるということは逆に言うとダンジョンしか作っていない(ことが多い)という事です。プレイヤーが奇策を使いダンジョンを放棄するとGMの労働が完全に報われない事になります。流石にそれは可哀想なので、最終的にはダンジョンに潜ってあげましょう。 とあるTRPGもCRPGもそれなりにやっている人の台詞。 「TRPGのシナリオ作成というのは無限に近い選択肢の中から取れる行動を選別する作業、CRPGのシナリオ作成というのは一つの選択肢からできるだけ取れる行動を増やす作業」 由衣の台詞 「CRPGではプレイヤーが製作者に合わせる必要があり、TRPGでは製作者(=GM)がプレイヤーに合わせる必要性がある」 ~2:最重要要点~ 極端な事をいうなら、ここさえ読めばシナリオを書けます。約3ページです。 ① テーマ プロ(orセミプロ)のシナリオライターはシナリオを書き始める前にまずこれを考えます。実際には、単発なら必要ないかもしれませんがね……。 これは「気合」「根性」「勧善懲悪」「大衆の反逆」など、シナリオの要素を一言で表せるものです。キャンペーン等の長いシナリオの場合、「どうやってこのテーマをプレイヤーに理解させるか」という事のみを考えてシナリオを考えればよくなります。 例えば、「愛と正義の板挟み」というテーマで、PCが正義感の強い刑事の場合を考えてみます。この場合で、PCが探している殺人事件の犯人が自分の恋人であると考えます。プレイヤーは恐らく愛と正義の板挟みで葛藤することでしょう! (ちなみに、この場合は事前にPCと恋人がお互いに信頼しあっていることを示しておかないといけません。そうしないとプレイヤーは笑いながら正義を取るでしょう。 何故なら、プレイヤーがその「恋人」を知っているのは卓の時間―精々数時間―しかないからであります) ② 長さの割合 起承転結とは、一般的にシナリオの基本と呼ばれています。では、一般的なシナリオで、起承転結のそれぞれの要素の長さ(実際のプレイor観賞時間)はどの位でしょうか。恐らく馬鹿正直に全て同じ比率と考える人が多いと思われます。しかし、実際には大きく違います。具体的には映画のシナリオで「30:60:25:5」・、一般的なCRPGで「5:82:10:3」位の比率です。連続ドラマについては調べていないので分かりませんが、恐らく「5:35:10:1」位でしょう。 この比率が重要な理由は、実際にプレイヤーが楽しむ部分は「承&転」であり、起はそれまでの過程に過ぎなく(いや、一番重要な部分ですが)、転は後日談にすぎない(つまり、無くても構わない)からです。TRPGの単発卓では「30:130:45:5(単位:分)」位を薦めます。 なお、キャンペーンの場合は最初の一回を起、最後の一回を転結に使い、残りを承で埋めることが有効です。 序破急も起承転結と構成的にはあまり変わりません。違うところを遭えて挙げるなら、どれくらいシナリオの「肉」となる部分を用意するのかということでしょう。 ③ 自由性 これはTRPGのみ関わる事です。いわば、プレイヤーが自由に行動できる範囲(=遊び)を作っておくことです。ガチガチにシナリオを固めてGMの主観の一本道にするなということだけです。はい。 ~3:導入入門~ 最近のCRPGには、初め主人公は一般人であり、何らかのイベントにより冒険に出るというオープニングがよく見られます。主人公が初めから勇者で、世界を救うために問答無用で冒険に引き込まれる数世代前のCRPGとは大違いです。 しかし、TRPGを見る限りではまだ「主人公=冒険者」という物が主流です。何故なら、冒険者等のある程度の危険を冒すことが前提の職業の場合、PCは進んで危険に突撃していってくれます。つまり、何故自ら危険に突っ込むのかという理由を作る手間が省けるのです。 一般的な導入(=オープニング、起)は、「一般人が何故冒険をするのか」という理由を付けることが目的です。さらに、この時点で他のメンバーと関わることも必要となります。余裕があればラスボスをここで(名前だけでも)出しておく事でプレイヤーがラスボスに対する憎しみを抱いてくれます。 ~4:TRPGのシナリオ傾向~ ① ダンジョン探索 「洞窟に行って宝を取って来い」等のようなダンジョンを突破する事が目的の伝統的なRPGです。初期のTRPGは基本的にこれしか行えない(というよりGMがこれしかシナリオを考えなかった)です。 利点はシナリオを書きやすい(ダンジョン作ればいいだけ!)事ですが、これは即ち欠点でもあります。シナリオが書きやすい→皆が作る→ダンジョン突破法が固定化されるという傾向がある為、ある程度以上慣れたプレイヤー相手には一筋縄ではいかなく、結局他のシナリオを作った方が楽な場合が多いです。 これのバリエーションとして、「ダンジョンで迷った一般市民を護衛して脱出する」「2パーティーに分けてダンジョンを突破する」などという物があります。 ② シティアドベンチャー 町を舞台にした冒険で、何らかのミッションをこなすことが目的の冒険です。コンピュータゲームではアドベンチャーRPGに最も近いでしょう。 ダンジョンと比べてPCへの障害は「規則に忠実すぎる警官」「私服を肥やしている悪徳商人」「怠惰な官僚」等、モンスターや罠が障害であるダンジョンよりもやや間接的な傾向にあります。 ダンジョンに次ぐシナリオの作りやすさと、シティアドベンチャー自体の自由性の高さにより固定されたミッション突破法が作りづらい為マンネリ化が起きにくいコトにより、現在のRPG研の主流になっています。しかし、プレイヤーとGMの双方に一般常識が無いとシナリオが厨臭くなる、とんでもない行動を取りシナリオが崩壊するなどという問題が発生しますのでご注意を。 ③ 推理物 私の十八番。「事件の犯人を探し出す」か「事件のトリックを暴く」のどちらかが殆どです。前者は一般的な推理小説、後者は「逆転裁判」に近いです。実際にはトリックを暴いてしまえば犯人はおのずと推測でき、犯人を見つけたらトリックを自白させればいいのでどちらをプレイヤーがとっても問題ないです。 トリックとキャラクターさえ作ればシナリオが完成しますが、逆に適性が無いと全く作れません。そういう意味では後述の「人間ドラマ」に近いです。 最後に、密室殺人の一般的なパターンを紹介しますね。 1:「犯人が密室内で被害者を殺した後脱出し、何らかの方法で鍵を閉めた」 2:「罠を仕掛けて密室内部の被害者を殺し、殺害後罠を回収する」 3:「犯人に襲われた被害者が密室に逃げ込み鍵を閉め、力尽き息絶えた」 確かもう1つパターンがありましたが、それは忘れました。 ④ 人間ドラマ 人間ドラマで感動する事を主目的においたシナリオです。実際には他のシナリオ(主にシティアドベンチャー)に組み合わされて使われることが多いです。要は連続ドラマに近いものをTRPGで再現することですか。私の専門外なので詳しい記述は控えておきますが、一般的なシナリオ教本が最も参考になる部類です。その為、独学には困らないでしょう。 特徴として、本当に成功したときのプレイヤー、GM双方の感動は大きいが、準備に労力がかかる点(全部のキャラクターに過去設定が欲しいです)、製作には物事に感動できる感性(=現代文の能力)が必要な点、失敗するとギャグシナリオに昇華(笑)する点等あります。 要は、初心者にはお勧めできません。 ⑤ ギャグシナリオ プレイヤー、GM双方が爆笑する事を目的としたシナリオです。意図的に作られる事は少なく、主に失敗した人間ドラマが昇華(笑)する事があります。 一般的には「キャラの名前、設定が既存の何かから取られてきており、それに爆笑する」と「キャラクターの行動が面白くて爆笑する」の2通りがあります。前者は厨とも呼ばれます。 ~5:おまけ~ この章は、所謂「既にTRPGを経験している or 元からシナリオを勉強していて、ある程度書ける」人向けです。他の原稿を呼んだ後に読む事をお勧めします。 ① ご都合主義マンセー! 明確な定義は行いませんでしたが、1章で述べた所謂「ご都合主義」に関して、再びここで述べます。 まず、「ご都合主義」の定義です。これは緒論あります。私が無理やりに定義するとしたら「伏線や世界観との整合が無いにも関わらず、いきなり都合の良い物事を持ち出して安易に問題を解決すること」でしょう。この点を見るとラテン語の「デウス・エクス・マキナ」と非常に似ています。 定義のみだと分からない場合もありますので、実例を出しましょう。 実例 「典型的?ゴブリン退治」 (一般的ファンタジー世界でのシナリオで、森の中にあるゴブリン(=雑魚の魔物)の群れが住んでいる洞窟を壊滅させるというもの。プレイヤー達は近くの猟師の支援を得てゴブリンの洞窟の出入り口を全部潰した。正面入り口以外) コリンキー:ゴブリンの洞穴の入り口を全部塞いだぞ、諸君。 カリン:まるで火攻めをして下さいといっているようですね。 キリン:僕は燃やす木材をゲットします。周辺が森なのでいくらでも手に入るはずです(ニヤリ) アイスクリン:行くぜファイアボール!よし、クリティカルだ! (中 略) GM:ちょっと待て!我輩が5時間掛けたダンジョンをどうしてくれるのだ!GMが望むとおりにダンジョンに潜るのだ! ケリー:何故、我々が元気なゴブリン共と直接殴りあいをしないといけない?敵を弱らせてから戦うのは戦術の常道だ。 (そして、30分ごねる) GM:えぇい、分かったよプレイヤー諸君。どうやらゴブリンのアジトの中には空気清浄機があったようだ。これで分かっただろう。ダンジョンに潜れ。さあ、今すぐ。 カリン:鬼。 キリン:悪魔。 アイスクリン:オーガ。 ケリー:デビル。 コリンキー:ご都合主義GMめ。修行が足りん! GM:と・に・か・く。ダンジョン内には空気清浄機があった。潜れ、今すぐ。 (その後、冒険者はGMのご都合主義を罵りつつもダンジョンに潜ってゴブリンを叩きのめしましたとさ、おしまい。) このプレイヤー達の行動に対するGMの行動は何が問題だったのでしょうか。 まず、舞台は一般的ファンタジー世界で、剣と魔法の世界です。空気清浄機などはまだ発明されていません。仮に魔法の物品でそのような物が存在したと仮定したとしても、下級の魔物であるゴブリンのアジトに魔法の物品(しかも、洞窟……)があるのは流石に可笑しいですね?他の対策法として「実は抜け道があった」という事も可能ですが、この例だと通れる穴を全部潰されているのでPCにいったことがうそになります。 では、大幅なご都合主義に走らないとシナリオが進まない場合にはどうするか?単発の場合はそこで終らせる(先ほどの例だと、ゴブリンを追い出して終了)、キャンペーンの場合はそこで切り、次の卓までにシナリオを考えるとよいでしょう。 極論言うなら、ご都合主義に走ってシナリオを書くとすれば誰でもできます。例えそれが大作長編RPGであったとしてもです。適当な物事をつなげて行けばいいんですから。 ② そもそも、何故RPG=戦闘なのか (注:TRPGのみではなく、CRPGのコトも含みます) 一般的にRPGというと大抵の人間は「戦闘」がメインの物だと考えるかと思われます。実際、市販のCRPGの中に「戦闘」の要素が全く無いものはまず存在しません。私が現在までに見た事のあるTRPGのルールにおいても、「戦闘」が一切ルール化されていないものは存在しませんでした。 では、何故戦闘が重要なのでしょうか。 私個人の考えでは、本来「役割(注:個性ではない!)を演技するゲーム」において、戦闘という手段が最もそれに有効な手段であったから導入されたと考えられます。具体例をあげるなら、「ファンタジー世界で戦闘が起きた。戦士が敵の攻撃を食い止め、その隙に魔法使いが敵を倒す。そして戦闘終了後に僧侶で回復を行い、盗賊で宝を鑑定する」という物です。 要は、「非日常の行為で、スリルを得られ、なおかつ流用が効く」という物として戦闘があり、その戦闘を盛り上げる為には冒険が一番有効であるというだけでしょう。 ③ キャラ作成入門 例えどんなに面白いシナリオであろうとも、そのシナリオに登場するキャラクターに魅力が無いとプレイヤーに飽きられてしまう事があるかもしれません。その事を考えて、キャラクターの作り方をここで扱う事にします。 * キャラクターの役割 キャラクターには、「ストーリーを進める」役割と「キャラクターそれ自体の魅力でプレイヤーを楽しませる」という2通りの役割があります。 例えば、「鉄板○女ア○ネ」で主演が掘北真希だったり「14○の○」で主演が志田未来であったりするのは後者の理由です。キャラ自身の魅力を最大限に生かすために彼女らが選ばれただけであり、逆に言えばストーリーを進める為だけなら誰でも問題は無いでしょう。 TRPGでは余裕があった場合のみキャラクタ-に凝ればよいでしょう。まずはシナリオからです。 * 個性って? 一般的なTRPG1卓において、登場するNPC(GM側が操るキャラクター)は約10人にも及びます。この中で実質的にシナリオに関わってくるのは6人くらいでしょうが、即座に6人ものキャラクターを理解するのはなかなか大変です(ラノベを読む時、キャラが大量に出てきて理解できなくなり目次付近のキャラ紹介文を読み直した事位ありますよね?)。 かといって、複雑な裏設定(人間ドラマシナリオの時には必然的に必要ですが)を組み込むとGM自身が混乱する危険性があります。 その為、手軽に個性を付ける方法をここで紹介します。 A:特殊な口調で話す キャラクターに特殊な口調で話させる方法です。基本的には口癖を付ける方法と語尾に何かを付ける方法の2通りがあります。 例:「ぐふっ」「~でヤンス」「うぐぅ」 B:特技を付ける 少年マンガでおなじみですね。キャラクター毎に1つ特技を持たせ、それをメインにして活躍させる方法です。昔のRPG(D&D、ウィザードリィ、DQⅡ等)は戦闘能力や戦い方に極端なまでの特徴を出すことで、システムの面からこれを行っていたと言えるでしょう。 現代のRPGにおいては、「相対評価では確かに強さの差があるけど、絶対評価では十分に戦える」というようにキャラクターの戦闘能力面の万能化が起きてきているため、「航海」「料理」「医術」などの特殊技能で差をつけるべきでしょう。理想はONEPIECEです。 C:特殊な名前を付ける キャラクターは基本的に名前で呼ばれます。それを利用して、名前でキャラクターに印象をつける方法もあります。日本名だと、名字を4文字にすると有効です。名前を3~4文字にする方法もなかなか捨てがたいです。 西洋名だと、ドイツ語系にすると格好良くなり、フランス語系にするとギャグ系、英語系にするとありきたり、ロシア語系にするとやたら長くなるという傾向があります。でも、特殊な名前をつける方法は思いつきませんね……。 例:「ジャッキーチュン」「小中大(こなかまさる)」「諸平野貴雅(もろへいやたかまさ)」 詳細はシナリオ教本でも読めば載っている(無責任な態度) おわりに 現在印刷日当日午前10時です。眠いです。
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167: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 12 39 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp 戦後憂鬱版鋼鉄のガルーダ 1950年、日本海の荒波を切り裂くかのように増速する二隻の空母、太平洋戦争を生き抜いた 翔鶴型空母の2隻はアメリカが接収しその後日本で海軍が再編成されることによって返還され そして北方からの侵略者を迎え撃つ為に出撃した。翔鶴と瑞鶴の甲板に並べられた烈風(※1)と 流星改(※2)が次々と飛び立つ、その光景を憮然とした表情で江草隆繁は見つめていた。 「君も、飛びたいのだろ?」 口には出してないがそんな表情をしている江草を見た加来止男(※3)は気さくに声をかける 「ええ、全く…歳は取りたくないものですよ」 自分がもう少し若ければ飛行隊隊長として流星に乗って(※4)、北からやってきた熊のお得意プロパガンダである 「悪辣なる資本主義者達から人民を解放すべく建造された最強の戦艦(※4)」と称する張りぼてに 容赦なく爆弾を叩きこんでやるものの…そう思いながら、自分が知る全盛時代には及ばないものの 綺麗な編隊を組んでソビエト義勇艦隊に強襲をかけようとする航空隊を見つめた。 そしてその航空機にはガルーダのエンブレムが描かれていた 昭和15年において空技廠の実験部長の無謀とも言える命令によって99式艦爆に 80番爆弾を乗せて急降下爆撃させると言う無謀な試みは当然の如く大失敗を犯して 試験機と貴重な熟練パイロットを損失した。(※5)これによって99式の後継機は中止かと思いきや 待ったをかけた人物達がいた、ドイツに派遣されて後に日本の航空界の怪物と呼ばれる倉敷 そして「戦艦が難しくても他の艦艇に対して有効な打撃を与える、そして後の技術発展もあれば 99式を超える爆撃機も開発出来るので今後を考えると開発は不可欠」と後押ししてくれた将官達(※6)である 彼らの尽力がったからこそマリアナで彗星をそして沖縄では出番の遅かった傑作機である流星(※7) を投入することが出来たと言われている。 開戦当初艦爆ならびに艦攻隊は不遇とも言える立場だった、マーシャル沖では日本側が投入した 空母には対潜哨戒用の97式艦攻以外には零戦もしくは96式戦以外乗せられていなくて 残った艦爆部隊はボーっとしている暇はないとフィリピン・南方方面に投入され陣地破壊や 飛行場爆撃に投入され陸軍の侵攻の手助けとなった。(※8)特にインドネシア戦線において オランダ軍の陣地や施設を次々破壊する艦爆隊は現地民達から「ガルーダ」と呼ばれた それに溜飲をさげた江草達は自分達の愛機にガルーダの絵を描き、後の米英両軍に 「鋼鉄のガルーダ」と呼ばれることになる だが彼らは不満だった、本来なら襲来する米太平洋艦隊の主力戦艦群に爆弾や魚雷を 叩きつける為に必死に技量を磨いてきたはずであったが、当然出来ず華々しい戦果も挙げられず ならばせめて東南アジアに残された4カ国連合艦隊への攻撃も精々軽巡1隻と駆逐艦数隻を 落ち武者狩りのように沈めただけ(※9)であり添え物切りみたいな任務で戦果こそあげられるが それでも敵の抵抗で消耗し続けるのも「ふざけるな」と叫ぶのもしょうがなかった その中心人物となったのが江草と村田であった 168: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 15 36 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp そんな彼らの不満を解消すべく、日本海軍はポートモレスビー攻略を決定し第8艦隊を編成 そして飛龍、蒼龍は臨時に第1航空戦隊に編入された龍驤と共にオーストラリアに存在すると 思われる米南太平洋艦隊(※10)のレキシントン級巡洋戦艦に魚雷や爆弾を叩きこんで 撃沈することを夢見ていた…が結果は最悪だった 知将スプルーアンス率いる米南太平洋艦隊は真正面からぶつかることなく、あえて自分達を囮にして 第8艦隊を煽りそれに近藤が乗ってしまった(※11)ことで翻弄されてしまい 気がつけば上空には米英豪の爆撃機部隊に、水中には潜水艦が手ぐすねを引いて待っていた。 文字通り第8艦隊は地獄の釜に飛び込んでしまったのだ。飛龍こそ適切な回避をあって被弾はなかったが 蒼龍と龍驤は優先目標として航空隊の袋叩きを受けて被弾炎上し、龍譲は耐えきれず沈没 蒼龍も行動不能に陥り自沈し、飛龍の航空部隊だけではとても第8艦隊のエアカバーを行えるわけでも なく次々と戦艦群も被弾炎上していく、そしてトドメと言わんばかりに米南太平洋艦隊が突入し 統制のとれない第8艦隊の戦艦群は次々と討ち取られていく、あわや第8艦隊は全滅と思われたが 残る飛龍から飛び立った攻撃隊が米南太平洋艦隊に攻撃を与え少なくない打撃を与えたことや 水雷戦隊が刺し違える覚悟で放った魚雷がスプルーアンスの乗るサラトガに命中したことで戦艦喪失を恐れたスプルーアンスが撤退を選んだ(※12)ことで第8艦隊は辛うじて生還することが出来た。 幸いと言うか飛龍に乗る山口の判断で蒼龍や龍驤のパイロットや乗組員の殆どは救助されており これがトラック、マリアナ沖海戦に繋がっていくことは大いに評価された。だが江草や村田に とってようやく待ち望んだ戦いは不本意であり、戦友である友永も空母ヨークタウンに刺し違える形で戦死し 敗北と言う名に打ちひしがれた(※13) その後のトラック沖海戦では彼らの復讐戦とも言われ、米機動部隊に大打撃を与えたが 戦闘機を優先して搭載しており(※14)、攻撃機は少なくて機動部隊を撃破するだけで精一杯だった。 そして双方大打撃を蒙った所で太平洋は一応平穏となり、江草と村田はそれぞれ帰国ではなく 江草率いる艦爆隊は陸海軍の協定(※15)により東南アジアに派遣されることになった 彼らは新鋭機である彗星を装備し、40㎜機関砲を搭載した機体は少なくない犠牲を払いながらも イギリス軍の地上部隊にとって恐怖の代名詞となりとなり次々と戦車や砲や輸送船を撃破していった(※16) そしてイギリス軍の攻勢を阻止した彼らは本土に戻りついに空母をひとまとめにした第3艦隊に配属され マリアナに進撃する米海軍を迎え撃った 169: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 19 04 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp サイパンの陸海軍航空部隊が米機動部隊の攻撃部隊と殴り合っている間(※17)に山口率いる第3艦隊は 第1目標である米海軍空母部隊を強襲する。戦艦を狙えない事に不満はあるがモレスビーでの悪夢を体験した 2人はそれを表に出さずに各基地攻撃隊の飽和波状攻撃を受けて右往左往する米機動部隊の隙をつきこの戦いで 投入した空母7隻の内4隻を撃沈、残る3隻を撃破するという大戦果を挙げる 攻撃隊も少なくない損害を受けていたがまだ攻撃が出来る数も揃っており、士気が鰻登りの攻撃隊は今度こそ 戦艦を狙うことを意気込んでいたが、次の指示はサイパンを攻撃する米海兵隊並びに輸送船団の攻撃であった。 当然の如く猛抗議する江草と村田を始めとする各飛行長達であったが山口は断固として戦艦攻撃を認めずに 命令を守るように命じた。がっくりと肩を落とす各員の気持ちを山口は誰よりも理解していた。 当然だった、海軍内では次の戦争は空母と航空隊が活躍すると常に言っていた航空主義者であり 航空機による戦艦撃沈を誰よりも望んでいたのも彼だしエアカバーのない米戦艦群を今なら食えると判断していたが 上層部、敷いて言うなら古賀と栗田はそれを断固として認めなかった。(※18)当然である、サイパンを防衛するには 戦艦なんかよりも占領する為の兵員や武器を運搬する輸送船であり上陸し湾岸にいる海兵隊だ、後の事(※19)を考えると 戦艦を狙うだけ無駄である、その古賀からの命令を受け取っている山口は輸送船団と海兵隊の攻撃の為に航空隊を出撃させて 文字通り弾薬燃料尽きるまで攻撃をし続けて、輸送船団の殆どを沈め、上陸した海兵隊に大損害を与えて フォレイジャー作戦の中止に持ち込んだ。マリアナ沖海戦は攻撃隊を殆ど潰したとの引き換えに勝利を得た海戦であったが 江草も村田も亡き同僚達に誓った戦艦撃沈を果たせず、輸送船の攻撃によって次々と撃墜されていく同僚達を想い涙した(※20) 後の日米による合同研究で日本海軍が航空隊で戦艦を撃沈出来る唯一の機会とも言えた海戦であった 特に輸送船団護衛に付いていた旧式戦艦部隊は対空火器の増設がおなざり(※21)であり エアカバーを失った米新鋭戦艦群も護衛する巡洋艦や駆逐艦の不足(※22)もあり 最低でも1,2隻、上手くいけばミズーリ級の撃沈もいけたかもしれなかった しかし仮に戦艦の撃沈に成功してもそれに見合う以上の損害を受けることは確定しており(※23) 当然輸送船の攻撃も中途半端に行えず、待ち構える米戦艦群を突破できる戦力もない以上 輸送船を集中攻撃するのは当然であった、それに対する批判の声もあったが後世の戦史家達は 古賀や栗田、山口達の判断は間違っていなかったと評価された。 170: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 21 36 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp この海戦で攻撃部隊は実質の壊滅状態に陥り、江草達はレイテ沖海戦に参加することなく本土に戻って 新米に対する訓練に明け暮れていた、この海戦で日本は勝利を収めるも武蔵を始めとする戦艦やかつて 江草達が乗っていた飛龍も撃沈されたことに彼は涙を流した、だがそんな暇はなくアメリカ軍は 沖縄・硫黄島占領という無謀な賭けに等しいアイスバーグ作戦を開始する。それに対抗すべく 日本も持てる全ての力を以って迎え撃つ、当然江草達も空母瑞鶴とガルーダのエンブレムが描かれた 流星のパイロットとして搭乗する。 江草も村田もこの戦いが最後であることを知っており、だからこそ戦艦への攻撃を1航戦司令の 小林少将に求めたが、彼はそれを認めず空母群への攻撃を第1として戦艦への攻撃は厳禁とされた。 これに対しパイロット達はなんと第2艦隊司令である宇垣の下まで行き、切腹覚悟(※24)で猛抗議した 大艦巨砲主義者の宇垣でさえもパイロット達の気持は十分に理解していたが第2艦隊が沖縄に突入する為には 空母を潰さなければならない宇垣も涙ながらに抗議するパイロット達に同情を示していたが命令は覆せないとして 空母への攻撃を厳命した(※25) 沖縄へ突入する第2艦隊は巨大台風の影響で大混乱状態の米英機動部隊への航空攻撃を開始する 切り札である連山から離れた日本海軍初のASMである桜花はエセックス級空母に大ダメージを与える そしてその混乱の隙をついて江草達も鬱憤を晴らすかのように空母エセックスに50番爆弾を叩きつけて撃沈追い込む だが帰還した江草は愕然とした。長年の戦友である村田がバンカーヒルへの雷撃に成功するが 被弾し帰還不能となって道連れとして重巡ピッツバーグに激突し最終的に撃沈においやる(※26) その悲しみにくれる暇もなくイギリス機動部隊への第2次攻撃隊を送り込むが混乱から立ち直れなかった 米機動部隊に対して立ち直った英機動部隊は死に物狂いで抵抗する。この戦いの為に英海軍は 多数のダイドー級を投入しており、さらに上空には最新鋭機であるスパイトフル(※27)が 紫電改相手に有利に立ちまわっていたこともあって攻撃隊は次々と撃墜されていく それでも江草は必死の抵抗を掻い潜り、最新鋭空母であるインファガティブルに爆弾を命中させることに成功し 最終的に撃沈に追い込むことに成功した 辛うじて生き延びた江草は戦友の死、長年の目標が果たせないことに無念を感じながら無傷だった瑞鶴に 帰還し本土に戻る…せめてもの慰めは米英海軍からガルーダのエンブレムが描かれた爆撃機部隊が称賛されたことであろう。 だが江草の戦いはまだ終わってはいなかった。 171: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 24 35 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp 日本は確かに連合国に降伏した、しかし領土欲も隠しもしない赤い熊が様々な言いがかりをつけて 南樺太や満州に侵攻してきたのだ。ソビエトは当初何も出来ないはずとタカをくくっていたが 武装解除が遅れていた関東軍や南樺太駐留軍は決死の抵抗を見せる。GHQは真岡に避難した 日本の民間人保護を名目にまだ残存していた日本海軍艦艇に出動を命令、江草もまた 瑞鶴を旗艦とした南樺太救援艦隊(※28)に乗り込み、ガルーダのエンブレムを描いた流星(※29)は 樺太のソ連軍の戦車のみならず野戦指揮所を空爆で破壊する等の時間稼ぎを行い民間人脱出の時間稼ぎを行い 漸くここで江草の太平洋戦争は終わったのだ。 終戦後も日本は対ソ防波堤の役割として再軍備が行われ、江草もその豊富な技量を買われて航空参謀として瑞鶴に配属された(※30) そして彼の教えを受けた新たなガルーダを受け継いだ海鷲達は第二次日本海海戦においてソビエト艦隊に痛打を与え(※31) 朝鮮半島においてもガルーダのエンブレムを描いた航空隊は幾度となく地上軍の支援を行い、鋼鉄のガルーダの翼は健在であることを 世界にアピールした。 その後江草は国防海軍航空隊の重鎮を務め退役後、老齢にも関わらずアメリカの航空ショーに 呼ばれた時はアメリカにあった流星改(※32)の操縦桿を握って衰えを見せない腕前を見せて 観客を沸かせ、そして同じく招待されたハンス・ルーデル(※33)と語り合う姿を見せた… その後はマレー、インドネシア、ポートモレスビー、トラック、ビルマ、サイパン、樺太 韓国と散って行った多くの戦友や教え子の姿を浮かべながら冥福と慰霊の献花の旅を続け 1984年10月、最後の目的だったフィリピンのサンベルナルディノ沖で献花を済ませた後に 心残りはないようにかつての部下や教え子たちに囲まれて静かに息を引き取った 後に国防海軍においてガルーダのエンブレムは誇りと精鋭の代名詞であり、カンボジアや湾岸戦争でも 多大な戦果を挙げて、後の極東危機において江草の教えを受け継いだガルーダ達は江草や村田が望みながら もついぞ適わなかった夢を果たすことになったことになるのはまだ先の話である 173: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 27 11 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp ※1 F8Fベアキャット ※2 改と銘打っているが中身は殆どアメリカ製、従来の流星を遥かに超える性能の高さから 「畜生!こいつが太平洋戦争中にあれば」と操縦桿を握った古参兵は涙を流した ※3 海上保安隊第1航空戦隊司令、後の国防海軍でも重鎮を担う ※6 ソビエツキー・ソユーズ ※5 戦後、この実験部長側の派閥は国防海軍や空軍から冷遇された ※6 古賀や栗田をはじめとした転生者や山本や小沢や山口といった航空主義者 ※7 レイテ沖前に完成した、一応天山(火星搭載)も存在 ※8 お陰で陸海軍に対立解消の一歩となり後のマリアナや沖縄に生かされる レイテ?はは。陸軍側があまりにパラッパーすぎた ※9 実質栗田のせい、彼のせいでオランダ艦隊は全部海の底に送られた ※10 レキシントン級巡洋戦艦4隻と空母ヨークタウンを運用する、当初は大西洋から持ってきた ニューメキシコ級やニューヨーク級を配備する予定なのだが、オーストラリアがこれじゃ本土守れないと 猛抗議で編入された ※11 レキシントン級4隻という大きな獲物を沈めれば、後の有利に繋がると判断した ※12 特に神通の暴れっぷりは凄まじく、魚雷を撃ち尽くした後も撃沈される 最後まで砲撃を続けていた、それに戦艦5隻を一方的に沈めたこともあり 下手に犠牲を出さない方がいいと判断した、この行動は賛否両論となった ※13 当初上層部は敗北を隠ぺいすべく、残存の水兵やパイロット達を前線に 放り込んで口封じを行おうとしたが、山本海相や古賀GF長官等が怒鳴りこんだお陰で 有耶無耶に ※14 何よりも制空権確保が最優先とされたことや、ポートモレスビー海戦で攻撃隊に かなりのダメージを受けていたこともあった ※15 南方における江草達の活躍を知るビルマ方面軍が熱心に要請した 陸軍に貸しを与える為もあって海軍側の渋々と承認 ※16 イギリス陸軍にとって一番不味かったのが任務中のウィンゲート准将と幕僚達が 江草達の攻撃で揃って爆死してしまったことで撹乱作戦が行えなくなったこと ※17 陸海軍共用機にして傑作機と呼ばれた雷電(陸軍名「飛燕」)や紫電の活躍は大きく、米海軍航空隊にかなりの出血を擁した ※18 キルヤンキーキルヤンキーキルモアヤンキー、兎に角屍の山を積み上げさせて 厭戦気分を増やさせるには輸送船沈めた方がコスパはいい ※19 これにより少なくないマリーンが死亡したことにより硫黄島攻略で優位に立てることに ※20 輸送船護衛の護衛空母の抵抗は凄まじく、紫電より性能が劣るF4Fとはいえ凄まじい抵抗を見せた 日本も大損害を受けたが、アメリカ側の損害も凄まじくパイロットの質低下はレイテや沖縄でも悪影響を見せる ※21 新造戦艦を最優先とされた為に、コロラド級以下の低速戦艦の改装は後回しにされて精々対空機銃を増設したぐらいであり 対空砲火はお寒い状態であった 174: 名無しさん :2019/10/20(日) 18 31 26 HOST HODcd-04p3-61.ppp11.odn.ad.jp ※22 ニューギニアを巡る戦いで栗田に殆ど沈められて熟練のセイラーを失ったことと 折角再建した巡洋艦部隊もトラック沖で大損害を受けており特にアトランタ級やクリーヴランド級 投入すれば即撃沈されており、これが大きな痛手となったがクリーヴランドだけは生き延びている ※23 事実スプルーアンスは戦艦部隊を囮にしてもサイパン攻略を続行するつもりだった、1,2隻の損失は許容としていた ※24 特に機動部隊に関わっていた山口からもそこをなんとかと言う嘆願もあった ※25 亡き宇垣が残した戦藻録においても江草達に只管詫びる文章があった ※26 村田のカミカゼを喰らった後に魚雷を喰らってダメコンの暇なく沈没、後のハイチ危機において 米大西洋艦隊参謀クレイグ・パターソンもCICにいたにも関わらずただ一人無傷で生還して「ラッキーのC」と呼ばれた ※27 ドイツに留学した倉崎が残した倉崎ノートによって質が若干向上したドイツ空軍に苦戦した イギリスが史実より早期に開発し実戦投入した、攻撃機もターポンことアベンジャーではなく ファイアブロンドを投入しており転生者を驚かせた ※28 空母瑞鶴、軽巡洋艦鹿島、駆逐艦数隻 ※29 横流しされた米製エンジン等を搭載したスペシャルカスタム機 ※30 淵田や柴田は史実同様宗教に走った為、他には生き残った高橋や板谷あたりも候補だったが 加来や山口や大西は彼を押したため ※31 戦艦撃沈こそいかなかったが、各戦艦に魚雷や爆弾を直撃させた為に戦闘能力を低下させ 信濃が4隻相手に渡り合えた ※32 朝鮮戦争使用の流星改、後でこれを乗ったルーデルが流星とパイロットの腕前として 江草を絶賛していた、等の本人は「俺艦爆乗りなんだけどなあ」と苦い顔していた ※33 航空ショーの繋がりで手紙を何回かやりとりする仲となり、江草が死亡する1年前に ルーデルは死亡するがその時の江草は少しさびしそうで「次は俺かな」と呟いていた 以上です、次はメロスだな、いちおう予定ではメロスとレヴァイアサンとオリジナル話の鋼鉄の○○ と幕間1,2話ぐらいをやるつもりです、モチベあれば
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379 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 34 53.66 ID ia4L0EA0 どんだけ☆エモーション(その11) (※サトシ視点) 「ミヒロちゃん!」 俺は走り去っていく少女の名を呼んだ。 彼女の後を追おうと俺も走る。 しかし速い。信じられない事だが彼女の脚の速さは尋常でない。 ミニゲームでも感じていた事だがドリブルさばきとかフェイントをかけた後の ダッシュとかうちのサッカー部の誰よりあんな動き出来る奴いないって。 …全然追いつけない。 「なんなんだろう…あの子」 見た目の女の子らしさとは裏腹に妙なところで男っぽかったり、その辺の男以上の 運動神経だったりあれだけ意外性を感じさせる女の子は初めてだ。 追うのを諦めた俺は荷物を取りにグラウンドに戻る。 「あれ?」 俺のスポーツバッグの横に見慣れぬ学生鞄が置いてある。 鞄の横には可愛らしい人形が括りつけられていた。 「ミヒロちゃんの鞄か。あの子忘れていったんだ。」 結構取り乱していたからな。慌ててしまって忘れてしまったんだろな。 「…でもこれでミヒロちゃんに会う口実が出来たな。」 ミヒロちゃんの鞄を持ち上げる際についつい呟く。 …不思議と笑みも浮んでくる。何でだか分からないがあの子に会えるかと思うと ワクワクしてくる。 380 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 35 47.83 ID ia4L0EA0 何だか妙に惹かれるんだよな、ミヒロちゃんって。 初対面のときから感じていた親近感。 見た目は実由ちゃんを高校生にしたような感じで正直可愛い。 いや、かなり可愛いと思う。ダチの吉田が騒ぐのも分かる。 だけど俺には外見的なところだけであの子に惹かれているわけではない。 今日のサッカーの動きもそうなんだけどミヒロちゃんに会っていると 彼女の話し方や仕草の諸々が俺の中で身近に感じる存在とダブっているのを感じる。 そう、今は居ない親友の存在を。 「…ハハハ、まさかな。」 馬鹿馬鹿しい考えに自分自身つい笑ってしまう。 ミヒロちゃんはどこをどう見ても女の子にしか見えない。 「よいしょ」 俺は二人分の荷物を抱えると帰路に向かう。 帰る最中も俺はミヒロちゃんについて色々考えてみる。 ヒロアキと入れ替わりで現れたミヒロという女の子。 晴子さんの話では親戚の子という事でヒロアキの家に住む事になったそうだが 考えれば考える程あの子の存在は謎としか言いようが無い。 とにかく不思議なのはあの子の言動だ。俺がヒロアキの事について色々聞こうとすると 何かを隠しているようであったり、話題を避けようとする割りにはヒロアキについて 熱く語ったりするし、何らかの関係があるような気がする。 そして今日のミヒロちゃんの言った言葉。 「俺はもうサトシとサッカーは出来ねぇんだよ!」、 「こんな、…こんな姿になってどうする事も出来なくて、唯でさえ訳が分かんないのに!」 彼女は俺に対して何が言いたかったんだろう? サッカーのミニゲームに負けたのが悔しかったからもうしたくないとか、 制服姿でサッカーをしているのが嫌だったとか? …そんな訳ないよな。 これまでの彼女の言動を改めて考えてみると俺が彼女に対して抱いている疑問が ひょっとしたら解けるのかも知れない。 でも確かなものが無いんだよな。 381 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 37 36.85 ID ia4L0EA0 色々な事を考えているうちに目的の家にたどり着いた。 「さて、ヒロアキの家というかミヒロちゃんの家に着いたわけだが…」 とりあえず俺は彼女の忘れていった荷物だけでも渡しておかないとならない。 さすがにあの後なので気まずい感じもするが俺は多少考えた後 インターホンを鳴らす。 「はい~? どなたです~?」 この間延びした話し方は晴子さんだ。 ミヒロちゃん本人が出てくるかも知れないとちょっと期待していたが… 多少落胆、でもかなりホッとしたりする。 「サトシです。ミヒロさんの鞄を届けにきたんですけど…」 「あら~サトシちゃん? ちょっと待っててね~」 ぱたぱた、ガチャ。 家の玄関ドアが開く。 「サトシちゃん~ありがとうね~、ミヒロちゃんの鞄持ってきてくれて~! 全くあの子ったら、どうしちゃったのかしらね~?」 晴子さんが現れるなり嬉しそうに俺に抱きつく。 「ち、ちょっと晴子さん!?」 「あらあら、ゴメンねぇ、ついつい抱きついちゃったわ~」 戸惑う俺に対し全くのマイペースな晴子さん。 「えーと、分かりましたんでとりあえず離して頂けると…」 「え? サトシちゃんひょっとして嫌なの~?」 晴子さんの表情が若干曇る。 「いや、そうでなくって…恥ずかしいんですよね」 「うふふっ、照れちゃってやだわ~」 俺の答えに嬉しそうに顔を赤らめるとようやく俺を開放してくれる晴子さん。 いつもの事ながらこの方には振り回される。 しかし何時見てもこの人若いよな。 俺の母さんと同じ位の歳のはずなのに20代そこそこにしか見えない。 「…」 親戚だけあって実由ちゃんは当然にしてもミヒロちゃんに似ている。 多分彼女が成長したらこんな感じになるのかな? 性格は全然違うだろうけど。 382 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 38 42.63 ID ia4L0EA0 「どうしたの~私の事ジロジロ見ちゃって~?」 「いえ、こうして見ているとその…ミヒロさんが晴子さんに似ているなって。」 「それはそうでしょ~、だって同じ血筋だものね~。ふふっ、二人とも可愛いって事かしら~?」 「ええっ!? いやまあその…」 「もう、サトシちゃんたら~ww」 …同じ血筋か。それはそうだよな。可愛いって事については否定はしないけど…。 「そういえば気になっていたんですけど、どうしてミヒロさんは晴子さんの家に 来たんですか?」 この際だからミヒロちゃんの事を色々聞いてみようと思う。 「そうね~あの子の両親が仕事の都合で海外に行く事になったのよね~、 だけどミヒロちゃんは海外に行くのが嫌だったので色々あって私の家に来たのよ~」 「ふーん、そうなんですか。海外ですか。」 海外と聞くとヒロアキの事を思い浮かぶ。今頃奴は何してるのかな。 と言ってもまだ三日しか経ってないのだけれども。 「じゃあ、高校の間はずっとこの家に住むんですね。」 「そうね~、ミヒロちゃんもその方が良いって言ってるしね~」 「そうですね」 ヒロアキが居ない状況なのであまりこの家に顔を出す機会は少ないかなと思っていたが ミヒロちゃん絡みで意外に機会は多いかも知れない。 俺の家も近いし、ひょっとしたら同じクラスになるかも知れないから高校の間は 彼女に会う機会が多い? ミヒロちゃんがどうなのかは分からないけど俺にとっては嬉しい話だ。 「…ねぇ、サトシちゃんってミヒロちゃんの事好き?」 「え? いきなり何ですか?」 突然の晴子さんの言葉に驚く。 「好きも何もまだ会ってからそんなに経ってないのに…」 「時間なんて関係ないでしょ~? 好き嫌いなんて~? ねぇ、好き?」 戸惑う俺に対しニッコリ微笑みながら尋ねてくる晴子さん。 「…わかりませんよ、いきなりそんな事言われたって。確かに気にならないと言えば 嘘になりますけど。」 本当は結構気にはなっているが気の無い態度を貫く。 「ふ~ん、そう。まぁ、いいわ~」 意外にあっさりとそう言うと晴子さんは俺からミヒロちゃんの鞄を受け取る。 383 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 39 43.55 ID ia4L0EA0 「ところでミヒロさんの様子はどうですか? 鞄を置いたまま帰ってしまうし、 気になるんですけど。」 「そ~なのよね~、どうしたのかしら~? すごい勢いで帰ってきたかと思えば ずっと部屋に篭りっきりなのよ~。呼んでも反応が無いし、困っちゃうわ~」 俺の問いに首を傾げて答える晴子さん。 この状況だと晴子さんに頼んでもミヒロちゃんには会えそうも無い。 この場は素直に引き下がった方が良さそうだと判断する。 「…そうですか。それじゃ今日はもう会え無さそうですね。じゃ、帰ります。」 「あ、待って~」 晴子さんは帰ろうとする俺を呼び止める。 「どうしたんですか?」 「あのね、サトシちゃん、ミヒロちゃんの事よろしくね~」 「え?」 いきなりの晴子さんの言葉が理解できずにいる俺。 「あの子、いろいろあって心身ともに大変な時にあるのよね~。 私や実由もあの子を支えているんだけど私達だけじゃ足りないのよ~。 だから、お願い。サトシちゃんもミヒロちゃんを支えてあげてね~」 何で晴子さんがそのような事を言ったのか分からなかったが ミヒロちゃんの面倒については俺には断る理由が無い。…いや、むしろ。 「そういう事ですか。お安い御用ですよ。」 俺は晴子さんのお願いに笑って答えた。 384 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 40 38.05 ID ia4L0EA0 ◇ (※ミヒロ視点) …朝になった。 俺はどうやらあのまま寝てしまったらしい。 目を覚ますと部屋の中がカーテン越しからの陽の光で淡く射し込んで来て すっかり明るくなっていた。 「…」 …頭がぼんやりしている。 昨日の事は何もなかったかのように、まるで夢の中の出来事のように感じる。 妙に気分が晴れたように感じるのは俺の気のせいか。 あれだけ泣いたんだスッキリしないほうがおかしいのかな? 「…朝か」 ボソッと独り言。 「そうだよっ♪ お姉ちゃん♪」 「…え?」 気がつくと俺のベッドの中にもう一人寝ていた。 「実由?」 その存在に気付いてちょっと驚く俺。 「実由?じゃないよ! もーヒドイんだから!!」 実由はぷくーっと頬を膨らませると俺に抱きつく。 「昨日あれだけお母さんとあたしが呼び掛けたのに全然返事無いし、一緒に食べなきゃ なんない晩ごはんも全然食べないで寝ちゃうし!」 「え…。そ、そう、ゴメン…」 実由の癇癪に押されついつい謝る俺。 「でもマル姉ちゃんがお姉ちゃんの代わりに一緒にご飯食べたりお風呂入ってくれたから 許すけど…てへ♪」 そう言うと実由は怒っていた顔を変え、頬を赤らめてはにかんで笑う。 「…そう、マルさんがね…」 考えてみれば俺の意識の無い時にはマルさんが俺の代わりに身体を動かすことが 出来るんだったよな。 385 :vqzqQCI0 :2008/11/28(金) 23 44 23.35 ID ia4L0EA0 「…」 そう考えるとこの格好も納得がいく。 確か制服のままベットに飛び込んで寝たはずなのに今の格好は可愛らしい ピンクのパジャマを着ている。 歯もしっかり磨かれていて昨日の寝る前と違う状態なのは実感できる。 待てよ。…という事は。 …マルさん。 (……) …マルさん? (……) …返事がない。どうやら彼女の意識はまだ寝ているようです。 マルさんは元々の身体の持ち主ではないので俺の代わりに身体を動かすと 消費が激しく、復活するのに時間がかかるようだ。 普段俺と共に行動するときは自分自身の意思で身体が動かせるわけでは無いので 不自由を強いられるのかなと思ったが、実のところ俺とマルさんの行動は 融合しているとのことで何も問題が無いそうで。 真っ昼間から寝てしまった俺の代わりに夜まで一人で活動していたので 相当疲れてしまったようだな。 俺もあれからずっと寝ていたのが不思議でならないが考えてみれば 昨日は学校で色々と緊張した時間を過ごし、その後身体が動かなくなりそうな程 サッカーをして、家でひたすら泣き続けたから俺自身もかなり疲労していたようです。 一体何時間寝ていたんだか。 386 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 05 04.67 ID EqF9HFg0 「お姉ちゃん、…目が腫れぼったいよ。」 実由が俺の顔をそっと触れる。 「ん…昨日色々あったから、そのせいだよ。そんな心配そうな顔すんなよ、実由らしく ないぞ」 俺は実由の髪をくしゃくしゃと撫ぜつけるとそのまま実由の頭を自分の胸に抱え込む。 実由の甘く良い香りが俺の鼻をくすぐる。 「…」 実由は何も言わず俺に抱きついたままじっとしていた。 実由の柔らかくて暖かい感触を抱き締めていると 俺自分の気持ちが和らいでくる事に気付く。 この様子を見ると実由は俺が昨日何をしていたのか事情を知っているようだ。 多分マルさんが実由や母さんに話したんだろうな。 別に知られたところで俺は別に構わないけど、あまり気を遣わないで欲しいなぁ。 「別に気なんて遣ってないよ? あたしはお姉ちゃんが好きだから側にいるだけ。 …それだけだよ?」 上目遣いで俺を見る実由。 「ふーん、そう。 まぁいいけど。…って、心の中読まないでくれる?」 「ほら~二人とも起きなさい~? 朝ごはん出来てるわよ~」 母さんが俺の部屋に向けて呼び掛けている。 「うん? もうそんな時間か」 ベッドの横の目覚まし時計を見る俺。 「あ~あ、今日が休みだったらなぁ、ゆっくりお姉ちゃんに抱きついていられるのになぁ~」 残念そうに実由は呟くと俺から渋々離れた。 どうやら母さんは実由が俺の部屋にいる事は知っているようだ。 「とにかく起きるぞ、実由」 「うん♪」 ぱたぱたと着替えた後、リビングで朝食をとる。 俺は今日は何も用事は無い。実由は学校なので準備を済ますと忙しそうに 学校へ出かけて行った。 387 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 06 43.58 ID EqF9HFg0 「どう、落ち着いた~?」 朝食後リビングでぼんやりとテレビを観ていると母さんが二人分のコーヒーを 準備して持ってきた。 「ありがとう。…母さんや実由は事情は知っているんだよね? 多分マルさんから 昨日あった事は聞いていると思うけど。」 俺は渡されたコーヒーに大量にミルクと砂糖を入れてから飲む。 でないと女の子になってから味覚の変わってしまった俺には苦くて飲めないから。 「そうね~まぁ、大体は聞いているけどね~」 「そうなんだ…」 そうだよなぁ、知らないわけないかぁ。 この母娘に隠したところで意味がないのは分かってはいるけれどもね。 「そうそう、昨日の夕方にサトシ君がミヒロちゃんの鞄を持ってきてくれたわよ~、 駄目よ~、忘れ物しちゃ~」 「う、うん…」 そういえば昨日鞄を置いたままで帰ってしまったんだ、すっかり忘れていたよ。 「サトシ君に会ったらちゃんとお礼を言っておくのよ~」 「うん…」 …サトシに会わなきゃなんないのか。 あんな事があったので正直サトシと顔を会わす気になれない。 気を紛らわそうとコーヒーをぐいっと飲む俺。 「あとミヒロちゃんに高校から電話があって来週の月曜日から学校に通って下さいって 連絡があったわよ~」 「そうなんだ…これも母さんや千絵先生が色々手を尽くしてくれたお陰だよ」 「そうね~、今回は千絵ちゃんが協力してくれたからね~。お礼を言っておかないと ならないわね~」 母さんは俺と取り留めの無い話をした後、用事があるからと言って出かけてしまった。 取り残された俺はまたぼんやりとリビングのソファに横たわる。 388 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 07 49.43 ID EqF9HFg0 …学校は来週の月曜日からか。 今日は金曜日だから3日後という事になる。 そういえば高校の試験期間も今日で終了だよな、…という事はサトシは今日から サッカー部の活動再開ってところかな。 昨日のサトシとのやりとりを頭の中に浮かべるが俺の中ではあまり良い記憶ではないので 直ぐに思い起こすのを止める。 まぁ、いいや…俺にはもう関係無いことだし。 (…う~ん) 俺の頭の中でもう一人の声がする。 お? ようやく目覚めたようですね。 (…ミヒロちゃん、お早う。私、すっかり眠っていたようね) まだぼんやりとした感じでマルさんの意識が俺の中に流れ込んできた。 ―いや、昨日は俺に代わって母さんや実由の相手をしてくれてありがとう。 お陰で説明する手間が省けたよ。 (いえいえww 私もミヒロちゃんの役に立ちたいもの、そう言ってくれると嬉しいww) 照れくさそうなマルさんの意識。 「…ん?」 俺一人の時には昨日のマルさんと母さん達との状況が分からなかったが、 マルさんが目覚めてから昨日の夜に何があったのか浮かんでくる。 さすがに4日も意識を共有してくるとどちらかが寝ていても何をしていたのかが 記憶として残っていて確認することが出来るようになってくる。 …これでは隠し事なんて出来ないよなぁ。って、もう本人同然な感じなので 別にいいんですけど。 (そうですねww) それはともかく昨日の状況が浮かんできたのだが、…マルさんはさすが 本物の女の子(と言っても意識体)だけあって母さんや実由が感激する位 可愛いミヒロを演じていて、俺には出来ないところだよなぁ。 (大丈夫よ、ミヒロちゃんww ミヒロちゃんには私には無い"萌え"を醸し出しているからww) …何ですか、それ? 389 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 10 05.53 ID EqF9HFg0 ◇ (再びサトシ視点) 終業のベルが鳴った。 クラスメイト達は1週間ほど続いた試験がようやく終わってホッとした表情、 開放されて晴れ晴れとした表情、駄目だったのか暗い表情…と様々であったが それなりの感慨に浸りつつも帰り仕度をしていた。 「サトシ、お前はこの後どうするんだ?」 友人の吉田が話しかけてきた。 「一応、部活かな。部活は今日までは休みなんだけど俺としてはブランクを埋めるべく 活動に励まなくてはならないし。」 「え~、ホントかよ? いいじゃん、今日くらい羽目外して遊びに行こうぜ? もう約束しちゃったしさ。」 「約束?」 吉田の言葉に怪訝とした顔をする俺。 こいつは女好きだから大体の予想はつく。 「そう、E組の仲畑さんと高野さん。サトシを連れていくという条件で彼女達と遊びに行く 約束しちゃったんだよ」 「ふ~ん」 やっぱりな。俺が女子から人気がある(らしい)のをいい事にうちのクラスのみならず 他のクラスの女子にも声をかけている。 俺が行くのであれば女の子達はついてくるらしいが…勘弁して欲しい。 ヒロアキも言っていたが俺は結構モテるらしい。 確かに思い当たる節は多々あるが実際に女の子と付き合ったことは無い。 せいぜい日常会話をしたりするのがほとんどでそこから発展することは今まで無かった。 そんなこれまでの状況なので俺としてはそんな意識は全くないのだが、 今の俺は他に打ち込まなければならない事があるので恋愛どころじゃ無い。 390 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 17 40.33 ID EqF9HFg0 「悪いな。大会が来月あるから遊んでいる場合じゃないんだ」 「お~い! そんな事いうなよ~っ!! 頼むからさ~!」 つれなく断る俺に必死で頼み込む吉田。 「はいはい、みんな~席に着いてー!」 賑やかな教室内に千絵先生が帰り際のホームルームをしにやって来た。 みんなパラパラと騒がしくも席に着いていく。 「ホラ、早く自分の席に着けよ」 「頼むって~!」 これ幸いに冷たく吉田を追い払う俺。吉田は未練がましく頼み込み続ける。 「吉田君、早く自分の席に着きなさいね」 「う…分かりました」 千絵先生に指摘され渋々自分の席に戻る吉田。 「ふう」 俺は吉田から解放されホッとして教壇の千絵先生を見る。 そう言えばミヒロちゃんの面接を担当したのって先生なんだよな。 …俺の頭の中に昨日の彼女の姿が思い出される。 昨日泣きながら帰ってしまった彼女。 あの後彼女の家まで行ったが会う事は出来なかった。 正直なところあの子が泣いた原因はずっと考えたが全然思い浮かばない。 ひょっとしてサッカーに勝ってしまったのがいけなかったと思ったが… 結構負けん気が強い子だしな。 まだミヒロちゃんと出会って数日しか経ってないけど彼女の事が頭の中から 離れない事が多い。 初めて出会った時の印象、一緒にマックに行った時の事、 ヒロアキの家で勉強した時の事、そして昨日のサッカーと どれも一悶着遭って大変ではあったが俺の中では彼女と居て 自分でも分からないけど充実して楽しかったという印象しか浮ばない。 391 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 19 07.57 ID EqF9HFg0 でもミヒロちゃん自身はどうなんだろ? 俺の事をどう思っているんだろうか? …気になる。 昨日のサッカーでは多分俺が原因で泣かせてしまった。 そういえばその前の日も泣かしてしまったよな…。 ああっ、そうだ。マックの時は怒らせてしまったぞ? ひょっとして俺って、ミヒロちゃんを怒らせるような事ばかりしていたのだろうか? 「う~む…」 これでは彼女の俺に対する印象はきっと最悪だよな。 昨日の家に行って会ってくれなかったのは多分そのせいかも知れない。 …自分の恋愛経験の無さを今更ながらに痛感するよ。 「…で、連絡事項は以上ね。あと、皆さんにお知らせがあるわ」 俺がぼんやりと考え事をしている間にも千絵先生の話が続いている。 教室内は相変らずざわついているが先生の話が聞こえない程では無い。 さて、ホントにこの後どうするかな。 吉田に付き合ってこの後他のクラスの女子と出かけてみるか? 少しは異性について慣れておく必要があるのかもしれないし。今後の為にも。 392 :vqzqQCI0 :2008/11/29(土) 00 21 08.32 ID EqF9HFg0 サワザワ。 ―ん? 俺は一瞬騒然となった教室内の状況に意識を傾ける。 数人の驚きの声と一部の女子の騒ぎ声。 皆、千絵先生の話を聞いて反応している。 「おい、どうしたんだ?」 俺は思わず自分の座席前のクラスメイトに話しかける。 「先生の話、聞いてなかったのかよ?」 俺の問いかけに驚きの表情を崩さないクラスメイトが答える。 「海外留学に行ったヒロアキが事情があって学校を辞めるって」 「え?」 一瞬彼の言った事が理解出来ない俺。 学校を辞める? 誰が? 「だから日本に帰れない事情が出来て、ヒロアキがうちの学校を辞めるんだってよ? この場合は何て言うんだ、退学? いや、海外に留学したままだから転校か」 日本に帰れない? ヒロアキが転校? …何故? 俺は頭の中が真っ白になった。