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【注意】 ゆかりん いぢめ:20スレ28氏の設定をお借りした、全く別人による代物です 東方キャラの性格改変有り ゆかりん いぢめ:20スレ28の趣旨趣向が投げ出されたナンセンスな代物です 「最強のあたいをテストしようっての?らくしょーよ!」 紅魔館正門から湖に至る短い一本道、最初に知らされた時は心からそう考えていた しかしチルノは今、空前絶後の精神衰弱状態にある チルノは自分が紅魔館正門に佇んでいるのに気がついた こんな暑い日に、カエルの一匹さえ居ない所に何故自分が立っているのだろう さっさと棲家の湖に帰ろう、そう考えて透明な羽根に力を篭めるも、何故か1cmも浮くことが出来ない 思わず小首を傾げと、一人の女性がチルノに話しかけてきた 「また戻ってきましたね?ささ、とっとと先に進んでください」 彼女は門番、紅魔館の前でいつも寝ているほん・・・ちゅうごくという妖怪 チルノはそう認識している 「ちゅうごくなんか怖い…」 いつも優しい美鈴が、いつもの微笑みで話しかけただけ、今日はそれに何故か怖気が走る 「ああ…散々いじめちゃいましたからね、でも今の難易度は前代未聞の-C、門はフリーパスです」 散々いじめた…?その言葉でおぞましい感覚が一層ハッキリしてくるが、門番の言ってる事はさっぱり分からない 「ちゅうごく怖い…今日会ったの初めてだけど怖い」 チルノは普段と違う美鈴の異様さに思わず数歩後ろに下がる 「ああ、ここは夢の世界のゲームの中でループしてますからね、過去の感覚でしょう」 「門をよじ登ろうとした貴方を串刺しにしたり、制止を無視して門を開けた貴方をスコップでかき氷にしたり」 「騙されて炎天下、散々花壇の雑草を抜かさせられた後の貴方の呆けた泣き顔は最高でした」 美鈴はいままでチルノに行ってきた残酷な仕打ちを、ちょっとしたいたずらであるかのように舌をだして話した なんとはなく、そんな事が本当にあった気がしてきたが…ループ?夢?チルノの頭脳では説明を1割も理解できなかった しかしチルノにも蘇ってくる恐怖と絶望の感覚だけは感じ取る事が出来た…この場所から一刻も早く逃げたい 「やだ・・・やだ・・・」 チルノは体を縮こませ震えながら、恐怖の感覚が染み付いた門を早足で駆け抜ける 「チルノさーん、メモはちゃんと見てくださいねー!もうそれで30回ぐらい死んでるんですからー!」 美鈴は笑顔で小さなチルノの背中を見送った ________________________________________________________ 『 ミズウミ チュウオウ ノ オキニイリ ノ バショニ タドリ ツケバ アナタ ノ カチ 』 【やってはいけないリスト】 もんばんうそつき(パス) 大ちゃんもしんじられない カエルこおらせない すわこがひどいことする(パス) ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ________________________________________________________ メモの筆跡はチルノのものではない、チルノは自分で書いたヘタクソな字を自分で読む事が出来なかった 最初の数十回は、蘇りメモを見る度、何が書いてあるか分からずチルノは泣きじゃくってばかりいた 今のメモはチルノのヘタクソな字を美鈴が解読し、綺麗に書き直したものだ 裏書も丁寧なルビと噛み砕いた説明に変更されている そこそも、チルノがこのような賢者の戯れに参加しているのには理由がある …チルノのような子供の「だだっこ」を皆の前でやられる事は、賢者達にとって非常に困る事だった 「あたいを仲間はずれにした!!あたいが最強だからって逃げてるんでしょ!!」 公衆の前で泣きじゃくり足をばたつかせる子供の姿は、それを招いた周囲の年長者の人格を狭器に見せる 幼い少女のささやかな願いを撥ねつける神が、支配者が、正念場で信奉者や民草を救ってくれるものか 賢者達はここで大人の寛容を示さなければ、各々の信仰に、名誉に響くと判断し渋々チルノの参加を許可した しかしチルノの頭脳では永久に昏睡するのが関の山、神々はチルノにだけ特別な救済措置を加えたのだった ________________________________________________________ この世界は本当ではなく、プレイヤーであるあなたが見ている夢 あなたは覚えてないけど、この世界は繰り返してます、あなたが出来るまで何度でもやりなおし この世界の人はみんな毎回同じ動き、同じ動き・同じ会話しかしない(ちゅうごくだけは違う) 途中にいるみんなの言う事を聞いて、カタカナで書かれている事ができればみんな元に戻る 【ルール】 【やってはいけないリスト】に書いてある事をした場合、あなたは死にます、又は殺されちゃいます やりなおし回数が無くなると全部忘れて門からやりなおし(これをコンティニューと言う) やりなおし回数の数は表面の※の数 【この紙について】 ここに書かれてある文章は何回死んでも消えません この紙を無くしても、心に願えば何度でも戻ってきます メモで鼻をかまない事 【やってはいけないリスト】は死んだ場合にのみ、勝手に死んだ理由を書き足されます 【記録者について】 ゲームのルール説明、記録を行なう者。ゲーム中に一人だけ存在する 今は中国もあなたを助けてくれます 【やってはいけないリスト】を行なったあなたを殺す役割も持っているため注意が必要 故意にプレイヤーを妨害することは無い。手助けもしれくれない 難易度-C _________________________________________________________ 紅魔館から少し進んだ先の平原、チルノは少しでもあの不気味な門から離れようと小走りで歩く 平原を半ばまで進んだその時、そこに見慣れた親友の姿を見つけた 「大ちゃん!怖かったよ!ちゅうごくが・・・ちゅうごくが」 狼狽するチルノを大妖精はいつものように優しくなだめて…は、くれなかった 「チルノちゃん、かくれんぼしよっか」 大妖精の様子がおかしい、大ちゃんはこんな作ったような不気味な顔で笑わない チルノは少し怯えたような表情で、大妖精に尋ねる 「大ちゃん?今はそんな事より湖に帰りたい」 大妖精もあの美鈴と同じくおかしくなってしまった?一抹の不安を抱きながらおずおずと尋ねる 「しますか?しませんか?どちらでも構いません」 大妖精の口調が妙に事務的なものに切り替わる 「大ちゃん!?なんか今日は大ちゃんまでおかしいよ」 親友の大妖精の変化にチルノは混乱する、しかし 「範囲はここから湖畔まで、これから私は100数えます。その間に隠れてください」 「いーち、にーい、さーん・・・」 いきなりゲームの開始を宣言する大妖精 焦りながら近場の隠れ場所を思い出し、急いで駆け込んだ 100までカウントを終えた大妖精が辺りを見回し・・・そして数分後 大妖精はいとも簡単にチルノを見つけた それもその筈、チルノは真昼の晴天の下 大妖精から20mほどの距離の草むらに蹲っているだけだったのだから 「チルノちゃん見つけた、ゲームオーバーです」 「そんな・・・いつもは大ちゃん見つけられないのに!ずるした!」 あたいのとっておきの隠れ場所に隠れて見つかった事など無かったのに何故? そんな不条理にチルノの頭にたちまち血が上る 普段はそんなチルノを優しく宥めるのが二人の関係、しかし悪夢の大妖精は容赦無く現実を告げる 「現実世界の大妖精は恐らく見つけられないフリしてるだけです。そんな草むら、お尻丸見えですよ」 普段の戯れとは違う計算された弾幕がチルノを囲む・・・大妖精の弾幕は正確にチルノを貫いた ≪プレイヤーの知能がクリアに満たないと判断 難易度Dに変更されました≫ 残機を消費し蘇り、恐怖の門を大急ぎでくぐり抜けたチルノ 今回はコンティニューではないので、先程の暴力の記憶はそのままだ 「大ちゃんおねがい・・・いじわるしないで・・・」 先程の弾幕ですっかり怯えたチルノは震える声で縮こまった 「難易度は現在D、ここもフリーパスになりました。さ、チルノちゃん先に行って?」 大妖精は先程とは打って変わって、満面の笑みだ 普段の大ちゃんに比べたら笑顔が張り付いたようでおかしいけれど、先程の大妖精に比べたらずっとマシ 「本当はこの先にリグル、ミルティアの関門が予定されてたんだけど・・・ついにDにまで下がったからね、中止」 「あとカエルも取り除いたし蘇生回数も無限になったわ・・・あれだけ数が増えたら、コンティニューの意味無いもの」 …表情は満面の笑みなのだが、口調から難易度が下がった事に対して侮蔑の感情を持っているのが伝わってきた 「なので、次はいきなり最終関門のレティです。ともかくこれ以上難易度が下がらないように頑張ってチルノちゃん」 チルノは大妖精を視界の端に捕らえ続けたまま、湖に向かった そんなチルノを大妖精は鼻で笑っていた なんとか愛しの棲家に戻ってこれたが、湖の様子がおかしい・・・カエルが一匹もいないのだ これが先程大妖精が言っていた救済措置なのだろうか?しかし、それよりも更におかしいのは この夏の日差しの下には、絶対いる筈の無いチルノのもう一人の親友がそこに立っていることだった 「レティ助けて!さっきからみんなおかしい!」 「チルノ、なぞなぞよ」 レティの表情はいつになく冷たい 巫女が挑んできた時もレティはいつになくクールだったが、今回はその比ではない 「レティも・・・みんなもとに戻ってよ・・・」 「受けますか?受けませんか?どちらでも構いませんが」 …大妖精と同じ調子だ 今のレティはいつもの優しい彼女じゃない 大妖精と同じく彼女も私を容赦無く串刺しにするだろう 「受け・・・ます だから酷い事しないでください・・・」 恐怖に怯えいつになく殊勝な返事を返す チルノの精神が限界に達している事の証だった 「それでは問題、東から昇って西に沈む真昼の支配者、なーんだ」 思考を限界まで巡らす…東?西?東って何?真昼・・・お昼のこと・・・ 支配者・・・紅い吸血鬼や亡霊のような・・・さいきょーに近い・・・ 「・・・あたい?」 これがチルノの精一杯だった 「ハズレです」 レティは「いくらなんでもこれはない」と言った顔で呆れた 「でもあたいはさいきょーで支配者っぽいし・・・夜はねむいし」 「チルノは東から昇って西に沈まないでしょう?」 いつもの優しく諭す口調ではなく、呆れと蔑みがありありと感じられるものだった 「正解はこれよ」 レティが指を掲げると雪の結晶達がレンズを作り光を集まり、その焦点はチルノに向かう 「やだやだ!熱いよレティ!あたい死んじゃうよ!やめてやめて!」 凝縮された太陽光の熱は、氷の妖精をたちまち溶かし始めた ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ _______________________________________________ 『 ミズウミ チュウオウ ノ オキニイリ ノ バショニ タドリ ツケバ アナタ ノ カチ 』 (みずうみ ちゅうおう の おきにいり の ばしょに たどり つけたら チルノ の かち) 【やってはいけないリスト】 チルノさん、もう一ふんばりですよ、みんな応援してます!加油!(中国より) チルノちゃんがんばって!ゴールはすぐそこだよ!(大妖精より) チルノ、さっきは酷い事してごめんね もうぶったりしないから一緒にがんばりましょう(レティより) メモで鼻をかまない事 N/A _____________________________________________ 今では最終関門に、レティ自身の手取り足取りの助けだけではなく、 ついに前関門の大妖精まで出張してくる有様になっていた 「東側から踏み出せばクリアだから!大丈夫よ!」 優しい口調でレティが率直な答えをチルノに教える、もう既に関門でもなんでもなくなっていた 「ひがじ・・・わがんない!うわあああああああん」 「地図を思い出して!上が北よ!」 先程からレティと大妖精は錯乱気味のチルノをあやし、分かりやすい解説をし続けている もはやプログラムの趣旨は完全に放棄された格好だ しかし、チルノはそれでも理解できないらしく立ったまま片足を空に向かって掲げる 「あだい今飛べないからお空まであじがとどか゛ないよ!レティのいじわる!もうやだあああ」 「そうじゃないわチルノ!あとそんなに足上げたらパンツ見えてるわよ!」 ついにチルノの世話まで焼き始めるレティ、最初の無慈悲な冬の化身は何処へ消えたのだろう 大妖精はわざわざチルノの頭脳で理解できるよう、分かり易く噛み砕いて説明する 「チルノちゃんから見て右足から!右足から歩けばいいのよ!」 ひょっとしたらこの大妖精は現実より賢明で優しいかもしれない 「ぐすっふぐっ…う゛っ…み、ぎ?…」 「お箸持つ方!お箸持つ方だよ!」 大妖精が必死の様子でチルノに説明する まさかこのような事を指導させられるとは、悪夢のプログラムも考えてはいなかっただろう 「おはじも゛でない゛!うっうぐっぶええええええ」 もう底抜け状態だった プログラムはついに最終手段を採る事にした 「私が動いて見せるからマネしてみて?ね?」 優しい笑顔で模範解答を実践してみせる元試験者…いや、今は保母さんだろうか 「う゛ん・・・うんしょ・・・」 「ちょっ!レティは向かい側にいるから逆だよチルノちゃん!」 ≪プレイヤーの知能がクリアに満たないと判断 難易度-Kに変更されました≫ \やべえ/ -- 名無しさん (2009-10-14 18 31 37) だめだこりゃwww -- 名無しさん (2009-10-14 18 46 55) 最後難易度『マイナスK』かwww -- 名無しさん (2009-10-14 19 01 31) だがクリアできない、それがチルノです -- 名無しさん (2009-10-14 19 13 53) セコンド、早くタオルを…… -- 名無しさん (2009-10-14 20 22 29) 難易度Qになるまで頑張ってほしい。 -- 名無しさん (2009-10-14 20 32 26) なんか逆にほのぼのしたwww この設定シリーズ化しないかな? -- 名無しさん (2009-10-14 23 09 26) チルノwww 賢者の皆さんもさぞ困っただろうなw -- 名無しさん (2009-10-15 09 03 01) チルノとちゅっちゅしたいよ このシリーズおもしれえwww次は星蓮船勢かね -- 名無しさん (2009-10-15 10 36 42) 亜田井 チルノ(17歳) -- 名無しさん (2009-10-15 12 42 41) あれ、なんか心があったかいよ…… -- 名無しさん (2009-10-16 02 46 27) 誰か…チート使ってやれ…。 -- 名無しさん (2009-10-16 14 30 42) セカンドステージではレティと大妖精が絶望した顔になるのか まずは泣き出したチルノをあやす試練だ -- 名無しさん (2009-10-16 14 51 42) 新ジャンル「データイジメ」 -- 名無しさん (2009-10-16 21 32 56) これって大ちゃんとレティの悪夢じゃね? -- 名無しさん (2009-10-17 00 08 50) あー、もうかわいいよチルノ。 -- 名無しさん (2009-10-18 09 25 04) データざまぁw -- 名無しさん (2009-10-31 08 08 56) あんらららwww -- James Bond (2009-10-31 22 13 09) 本編のチャレンジャーは死んだら記憶が抹消されるが 逆にチルノの場合、記憶が継承されるからある意味、本編の連中より残酷なような -- (2009-11-01 00 51 50) なにこれすごい -- 名無しさん (2010-03-13 11 25 12) てゆうか、妖精の苦手ななぞなぞが出てる時点でクリア不可能だと思うが。 -- 名無しさん (2010-03-13 19 35 14) 賢者『ゆっくりした結果がこれだよ!!!』 -- 名無しさん (2010-03-16 14 22 52) データが絶望するセカンドステージ読みたいww -- 名無しさん (2010-03-23 00 57 00) Z行くんじゃね -- 名無しさん (2010-03-23 14 09 03) ≪プレイヤーの知能がクリアに満たないと判断 難易度ZZに変更されました≫ -- 名無しさん (2010-03-23 14 50 06) 挑戦者と主催者、もうどっちが試練を受けているのやらw -- 名無しさん (2010-04-16 14 44 11) このシリーズでチルノ最強だな -- 名無しさん (2010-04-16 17 45 09) 俺の母性本能がビンビンだぜ -- ウホッ!いいチルノ (2010-04-16 20 32 18) ええのぉええのぉ チルノたんかわいいよハアハア -- 名無しさん (2010-05-10 13 51 29) これはいいさるの -- 名無しさん (2010-11-02 02 24 13) ともだちをひとりにしたりしてわたしわすこしまえまで -- みこみこ (2010-12-06 20 57 03) チルノちゃん可愛い!!!食べちゃいたい!!!もちろん性的な意味で!!!! -- 名無しさん (2011-09-22 23 03 53) みんなに励まされてるww -- 名無しさん (2011-10-14 20 25 53) ざまあ -- 名無しさん (2012-11-11 02 14 17) K=-273℃なため、-K=273である。これって結構ムズくね? -- 名無しさん (2013-07-23 20 26 46) 早く! PAR使って賢さ上げて~ -- 名無しさん (2014-06-04 12 54 47) やめたげてよお! -- 名無しさん (2014-06-04 14 29 43) ワロタ -- 名無しさん (2014-07-05 19 52 19) ざまぁ、チルノ -- 名無しさん (2014-10-22 22 46 22) 最初のレティと大妖精はどこへ…www -- 名無しさん (2014-11-17 06 24 44) もうカエルを凍らせたらどうなる?でいいんじゃないかな? -- 名無しさん (2015-11-09 15 57 53) Q 蛙を凍らせたらどうなる? A あたいさいきょー! -- 名無しさん (2016-06-13 01 54 10) チルノwもっと死ねw -- フラン.sドール.M.スカーレット (2017-03-28 12 11 01) うっどはっぷ? -- 名無しさん (2017-03-28 12 13 08) チルノ「あたいって最強ね~」 大妖精「え?チルノちゃんは」 チルノ「何?大ちゃん」 大妖精「⑨じゃないの」 チルノ「え?」 大妖精「ふふふふふふ」 -- 桜🌸 (2020-02-19 16 50 00) 実際に普通教育を受けていなかったらこんなもんかもしれんね -- 名無しさん (2020-06-04 13 43 23) 名前 コメント
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マリオ&ルイージRPG3!!! part60-342~345,350~353,364 342 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/21(水) 20 56 45.44 ID QHR0LILe0 主要人物 マリオ:おなじみの赤い配管工。今回はクッパの体の中を冒険することに。 ルイージ:おなじみの大切な弟。 イエロースター:『スターの精』の少女。高飛車な性格。クッパの前では『チッピー』という偽名を名乗る。 ゲラコビッツ:マリオ&ルイージRPGシリーズ皆勤賞の悪徳科学者。 じめじめした所でコツコツ働きつつ練り上げた(前作参照)自らの計画をついに実行に移す。 343 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/21(水) 21 51 54.82 ID QHR0LILe0 最近キノコ王国の間では、ある事件が流行していた。 『メタコロ病』と呼ばれる病気により、キノピオ達の身体が真ん丸に膨れ上がり、 コロコロと転がり続けてしまうという事件だ。この事態を重く見た城にて緊急会議を開くことに。 しかし、かろうじて原因がマントを羽織った商人が売っていた「メタコロキノコ」という キノコであることは分かったものの、 現時点では患者を治すのは不可能。『スターの精』の代表として会議に参加したイエロースターも、 スターの精でもこれを治すことは出来ないという。 遅れて会議に参加してきたマリオ兄弟に商人を捕まえるよう頼もうとしたが… 呼んでないのにやってきたクッパが会場をメチャクチャにし始めた。マリオは、クッパを止めるべく勝負を挑む。 イエロースターの助けもあってクッパを撃破したマリオ。 またしてもマリオに敗れたクッパは遠くの森へ飛ばされる羽目に。 森のなかで、マリオらへのリベンジを誓いつつ進んでいくと、マントを羽織った商人に呼び止められた。 なんでも、食べればマリオにも勝てるというキノコを無料でくれるらしい。 『マリオに勝てる』というフレーズに釣られ、そのキノコを食べたクッパは突如苦しみ始め… 344 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/21(水) 22 35 13.63 ID QHR0LILe0 別の部屋で会議を続行しようとしていたマリオらだが、そこにクッパが現れる。 しかし、なんだか様子がおかしい…と思った矢先、なんとクッパは周囲のものを見境無く吸い込み始め、 マリオらはそれに巻き込まれてしまった。 周囲を吸い込み尽くしたクッパは気絶。その一部始終をみていた商人…ゲラコビッツは、 計画を次なる段階へ進めるべく部下のメタボスにクッパを運ぶよう命令する。 マリオが目覚めると、そこはクッパの体内。皆とはぐれてしまった彼は、周囲を散策することに。 道中、アメーバのようなものに取り込まれそうになっていたイエロースターやルイージと合流し、 さらに奥深くへと進むマリオ一行。進んだ先には、コブのようなものがついた太い骨が。 そのコブをハンマーで叩くと、クッパが痛がって飛び起きた。どうやら、太い神経だったらしい。 目覚めたクッパが周囲を見渡すと、そこは洞窟。しかし彼には、キノコを食べたところからの記憶が無い。 しかも、自らのアイデンティである炎が吐けなくなってしまっている。 体内から聞こえてくる声(イエロースター)に従い、とりあえず洞窟を抜けた先で彼を待っていたのは、 ゲラコビッツ。彼は、自分の目的はキノコ王国の征服であること、メタコロ病を流行らせたのも クッパにマリオらを吸い込ませたのもすべて自分の策略であること、 まもなくピーチ城とクッパ城は占領されることを告げ、部下のメタボスをけしかけてきた。 強力なパンチをメタボスにかますも、避けることの出来ないのし掛かり攻撃に苦戦するクッパ。 そんな彼を倒すまでもないとして、メタボスは去っていった。 そんなわけでなんとか命拾いしたクッパは、どこかの海岸へとたどり着く。 続く 345 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/22(木) 00 03 38.96 ID gUX0m/9p0 そこを進んでいくクッパは、海岸からの橋が崩落してしまい、浮島に取り残されてしまったブリロックという男性に遭遇。 お礼になんか良さそうなブロックがもらえるらしいので、島からでているロープを引っ張ることにした。 一方、強い反応がでた腕のあたりに来たマリオ達。 そこでは、放たれる電気信号を筋肉にを当てることで活性化できるようになっていた。 島を引っ張るクッパを筋肉を活性化させて手伝うマリオ達。 クッパは島を海岸へ引っ張ることに成功したのはマリオらのおかげであることを、本人は知らない。 ブリロックから吸い込みを自由に扱えるようになる『バキュームブロック』をお礼にもらったクッパは、存分にその力を発揮しつつ、海岸の奥地にたどり着いた。 そこにあったのは、ゲッソーのような石像がのった『マリンパイプの像』。 クッパを城に帰したくないゲラコビッツによる改造が施されたその像は、彼を倒さんと襲い掛かる。 なんとか像を倒したクッパ(と、像を倒すために吸い込んだゲッソー像の相手をする羽目になったマリオ達)は、喉が渇いたので、像から出てきた大量の水をがぶ飲みする。 するとクッパの体内に水が貯まり、今までいけなかった場所にいけるようになった。 マリオらはクッパの体内を突き進む。 進んだ先に巨大な平ぺったい虫はいた。 クッパが炎をはくのを邪魔していた虫をマリオらが人知れず駆除してくれたおかげで炎がはけるようになったクッパは、 海岸をぬけ、広大な森に入る。 続く 350 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/22(木) 21 45 55.02 ID gUX0m/9p0 クッパが森の中を進んでいくと、大きな原っぱでマグナムキラー砲台とそれを運んでいた三人の部下に出会った。 彼らの話によれば、ゲラコビッツの配下により城が襲撃され、自分達はそのとき砲台をもって 命からがら逃げてきたという。マグナムキラーがあれば占領されたクッパ城に攻撃することも可能だろう。 と高笑いをあげるクッパだが…「肝心のマグナムキラーを忘れたというか…」 「バカモン~~~!!」 ってなわけでクッパは部下たちにどっかに落ちているであろうマグナムキラーを探すように命令するが、 体の中からの声改めチッピーに諭され渋々自分も探しにいくことに。 途中でゲラコビッツにより捕らえられていたクリボー軍団を味方につけ、クッパが行き着いた先は、 王家御用達の野菜が育つ農場。彼はそこにあった巨大ニンジンをマグナムキラー代わりにしよう とぶっこ抜いたところ、 農場の主であるハナチャンに「先祖代々育ててきたニンジンを抜いたからには食え」と命令されるわ、 食ったもののさらにクッパの態度にギガギレしたハナチャンに襲われるわと散々な目に遭うが、 今度は急に腹痛に襲われるという泣きっ面に蜂な事態に見舞われる。 マリオらが調べた結果、巨大ニンジンにくっ付いていたイモムシが体内で白血球的なものを食べ巨大化し、 暴れまわっていたのが原因だというのが判明した。それを倒し、元の大きさに戻すマリオ達。 さらに奥にあった神経に刺激を与えたところ、クッパの腕力が強化され、硬い岩をも砕けるようになった。 腹痛が治ったばかりか新たな技が使えるようになったことに大喜びなクッパは、 チッピーを自分の子分に勝手に任命しつつ(本人は全力で断ったが)、 ハナチャンからもらったマグナムキラー片手に部下達のもとへと向かう。 砲台の影でクッパの悪口大会をしていた部下達を黙らせ、クッパは砲台にマグナムキラーをセット。 自らの火で点火し、城へと発射する。 城に迫るキラーを確認したメタボスは、ゲラコビッツが城に仕込んだ秘密兵器を発動する… マグナムキラーを発射したものの、どうやら避けられてしまったらしい。しかも空が急に暗くなってきた。 突然の出来事に戸惑うクッパに、部下達は焦りながらこう伝える。 「「「クッパ様!! 上です!!」」」 彼の真上には、ジェット噴射で空中に浮かび上がるクッパ城。 それを確認する間も無く、彼は自らの城に潰されてしまうのだった。 終わり…ではない、続く。 351 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/22(木) 23 10 04.22 ID gUX0m/9p0 かろうじて息はあるものの、このままではクッパの命が危ない。 マリオたちは、 最後の望みを賭け反応があった場所に向かう。そこにあったのは、『アドレナリバー』という川のようなものと、 クッパの体内に棲む生命体が進化した『ヘモグロじん』の姿。 彼らの指示に従い、マリオたちはボードでアドレナリバーを渡りつつ、 光弾でそこを流れる『アドレナリン』を撃ち、クッパの体に注入。 すると… メタボスの指示も無しに突如浮かびだすクッパ城。いや、浮かんでいるのではない。 何か巨大なものに『持ち上げられて』いる。 メタボスは、城を持ち上げた『それ』をみて驚愕した。 そこにいたのは、たった今潰したはずのクッパ。しかも、城の全高に届かんばかりにデカイ。 必死の抵抗も空しく、クッパ城は巨大クッパによって中破し、撤退を強いられた。 その後、クッパは元の大きさにもどる。どうやら、巨大化は蘇生の反動による一時的なものらしい。 クッパは自らの力(本当はマリオたちの協力があってのものなのだが)に感心しつつ、改めてクッパ城へと急ぐ。 続く 352 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/23(金) 23 28 29.10 ID AN1SvMOK0 その後、クッパはクリボー軍団と同じく捕らえられていたヘイホー軍団を仲間に加え、城に到着。しかし、クッパ城はゲラコビッツによって彼好みに改装されており、部下たちも完全に洗脳されてしまっていた。 変わり果てた自らの城と部下の姿に怒りを隠せないクッパは、丁度始まったゲラコビッツによるコンサートに乗り込むことにするが、 彼が乗り込んだことは既にゲラコビッツに知られており、無理やり舞台に上がらされ、コンサートの余興としてメタボスとのヘビー級デスマッチを強いられる。 これまでの戦いで身に着けた甲羅による防御でメタボスののし掛かりを防ぎ、彼を倒して 見事リベンジを果たしたクッパ。 彼は城を返す前に是非勝利を祝いたいというゲラコビッツの希望により、 城にあるVIPルームに案内される。が、案の定それは罠。そこで彼の作った超高カロリー料理を 食べさせられまくった結果、クッパはブクブクに太ってしまい、床に嵌まって動けなくなってしまう。 チッピーに助けを求めるクッパだが、チッピーことイエロースターはそれを無視し、 マリオとルイージと共に貯まった脂肪によって行けるようになった場所へ行く。 マリオ達は、少し進んだ先複雑な迷宮の果てで怪物を撃破。 そのころ、床から抜け出そうと必死になっていたクッパに、床の下からゲラコビッツが謎の光線を当ててきた。 彼の目的を悟ったマリオ達にキノコ王国に封印された『禁断の黒き星』の伝説を語る。 【遥か昔、大地から一つのスターが掘り出された。 しかし、そのスター、『ダークスター』は 悪しき心の持ち主が手にすれば世界を暗黒に包み、支配できるほどの凄まじい暗黒の力を秘めていた。 その力を恐れたかつてのスターの精は、長い年月と多くの犠牲を払い、その力を封印し、 キノコ王国の地下に閉じ込めた…】 ゲラコビッツの目的は恐らく、『ダークスター』を手に入れ、その力の封印を解くこと。 その手中に収めたゲラコビッツは、今度は『ダークスター』を手に入れるべく、 クッパのためにダイエットマシーンを用意して去っていった。 光線を浴びせられた衝撃でそのダイエットマシーンの上に落っこちたクッパは、 動き出したそれにより無理やり走らされる。 その結果、彼の脂肪は文字通り燃え、元の体型を取り戻すことが出来た。 「ところで、ここはどこだ?」クッパが近くにあった看板を確認すると、どうやらここは火薬(ボム兵)庫らしい。 『火気厳禁!』としっかり書いてある。 と、そこでクッパは気づいた。 脂肪の燃焼によって自分の体中から火がでていることに。 しかし、気づいたときにはもう遅く、彼の近くにあったたくさんのボム兵に火がつき、大爆発を起こした。 続く 353 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/24(土) 23 02 52.11 ID OSz+Uh1c0 ボム兵の爆発に巻き込まれ、クッパが飛ばされたのはまたしても洞窟の中。 そこで彼は、自分の部下であるチョロプー兄弟が洞窟の壁にドリルタンクで穴を開けようとしている場面に遭遇する。 クッパの命令でクッパ城への抜け道となる地下トンネルを掘っていたらしい (本人はそんな命令をしたことなど忘れていた)が、土壌が硬くて難航している様子。 クッパはドリルタンクを押して穴掘りを手伝い、マリオ達が足の筋肉を刺激してくれたこともあって キノコタウンの地下までトンネルを貫通させることができた。 その後、地上に出ようとするが、、近くの部屋に入った瞬間警報が鳴り響き、周囲から電撃を浴びせられ、 気絶してしまう。「ねぇ!!どうしたの!!」イエロースターがいくら呼びかけても、クッパは反応しない。 仕方なく、マリオ達はその衝撃で行けるようになった場所にあるクッパが過去に吸い込んだ土管に入り、 彼の体内から脱出する。 土管の先はキノコタウンの地下。 やっとクッパの体内から出られた彼らだが、今は喜んでいる場合ではない。 ゲラコビッツはここにあるダークスターを奪おうとしている。ダークスターがある部屋へと急ぐマリオ達。 しかし、そこに着いた頃には時すでに遅く、ゲラコビッツはダークスターを手にしていた。 そして、自らの居城となったピーチ城に逃げ込んだ後、ダークスターの力を完全に 解放するまでの時間を稼ぐべく城とキノコタウンを結ぶ道を暗黒の力で作った隔壁で塞いでしまう。 ピーチ城へ続く唯一の道を断たれてしまったマリオ達は、一旦キノコタウンのショッピングモールで 体勢を立て直した後、キノコタウンの有名な医者兼占い師であるDr.コキノに隔壁を どうにかできないか訊くことにした。彼女の経営するクリニックで助手に病気のフリをして 彼女のいる診察室に向かうと、彼女は必死に水晶玉を睨んでいた。 助手曰く、Dr.コキノはこうやって患者の悪いところを見つけるらしい。 と、そのとき、Dr.コキノはマリオ達の体にいる悪いウイルスを発見したと言い出した。 マリオ達がダークスターをゲラコビッツから取り返そうとしているという情報をいつの間にか つかんでいたクッパは、先にそれらを手に入れるのは自分だと彼らに襲い掛かるが、 電撃のダメージが抜けきっていないため返り討ちにされた。 その後、マリオ達はDr.コキノに事情を説明し、どうにかできないか尋ねたが、 「無理でしょう!!!(ビシッ」と断言されてしまう。 しかし、隔壁を破壊する方法ならあるらしい。 三人の賢者が持っているとされる、あらゆる悪しきパワーをふきとばす三つの『スターワクチン』。 その全てを集めれば、ピーチ城への道を塞ぐガードを打ち破ることも、メタコロ病を治すこともできるらしい。 彼女の占いの結果、賢者の一人が森にいることが分かったところで、話を盗み聞きしていたクッパは、 マリオ達より先にワクチンを集めるべく去って行く。 その後、さらにその賢者がどんな容姿をしているのかが明らかになった。 水晶玉に映し出されたのは、何と森でクッパにニンジンと共に食べられ、 彼の腹の中で暴れまわっていたであのイモムシではないか。 確かにかつては森の中にいたが、今はクッパの体の中にいる。彼女の占いは外れまくりだ。 ともかく、賢者の居場所が分かったところで、マリオ達はワクチンをもらうために、 クッパの体内にまたしても入ることになるが… 続く 364 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/26(月) 23 02 18.74 ID cA88Xm530 キノコタウンにあった土管からクッパの体内に侵入すると、いきなりそのイモムシにご対面。 早速ワクチンをもらおうとするが、イモムシはそんなマリオ達を無視し、 奥にあったブロックの隙間から奥に逃げ込んでしまう。 仕方が無いので、マリオ達はクッパの体内に何か変化がおこるのを待つことにした。 自分の探している賢者が自らの体内にいることなど露知らず、 クッパはDr.コキノの間違った占いを信じて森へと向かっていた。 途中、捕らえられていたノコノコ軍団を仲間に加え、 進んだ先には大きな湖があり、水面からプロペラのついた何かが突き出ているのを発見。 何なのか確認しようと近づいたところ、そこにあった花の花粉によって大きなクシャミをしてしまう。すると… 湖から何かが飛び出したかと思うとまたも急に空が暗くなってきた。 「前にもこんなことがあったような…」といやな予感を覚えるクッパ。 次の瞬間、彼はその何か…クシャミによるプロペラの回転で動力を得た巨大ロボットに踏み潰されてしまう。 マリオ達は前と同じようにクッパを蘇生。その反動で巨大化したクッパはそのロボットを徹底的にボコボコにした。 元の大きさに戻ったクッパは、動きを止めたそのロボットの中に入ってみる。 そこには、テレサが映し出された謎の装置の数々と一冊の本があった。 クッパがその本を開いてみると、そこから一人の男の幽霊が飛び出してきた。 『イビッキ』という名のその男は、生前はテレサの魅力に取り付かれ、その生態を研究していた科学者だったらしく。 自分が完成させた『テレサライトマシン』のテストをしてくれと頼んでくる。 このマシンはそれから発せられる光を対象に当てることでその体をスケスケにさせるというものだが。 その光によって体内のブロックが消滅し、イモムシが逃げ込んだ先に進めるようになっていた。 マリオ達は、改めてイモムシを追う。 長い追いかけっこの末、ついにイモムシを追い詰めるマリオ達。するとイモムシは、 何と「もお~~~~!!! あなた達とてもしつこいですぅ~!!」と喋りだした。 マリオ達はやっとコンタクトがとれたイモムシ改め『賢者イモーヌ』に事情を説明するが、 彼女は彼らが信用できないらしく、とりあってくれない。 それでも必死に頼むと、彼女はマリオ達がスターワクチンを持つに相応しいか確かめるため、 彼らに勝負を挑んできた。 相手を小さくしたりといった摩訶不思議な攻撃をしてくるイモーヌを何とか倒したマリオ達。 イモーヌはそんな彼らを認め、自分のもつスターワクチンをマリオに渡し、 「もう私を追いかけるのは止めて頂戴ね…」と去っていった。 さらに、進んだ先にあった神経をマリオ達が刺激したことで、 クッパは新たな技、『ボディアタック』を使えるようになった。 その力で新たな道を切り開き、森へと向かうクッパだが… 続く
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汗でTシャツが張り付く、いくら拭っても吹き出てくる汗にVIPは疲れたような溜息をついた。 夏は好きだけどこの暑さはなんとかならないものかとVIPは思いつつ大きいクーラーがあったら世界中冷えるのか、なんて妄想をしていた いやいや、クーラーなんか使ったら大変なことになるような気がする、日本をガラスで囲んでクーラーを・・・ VIPは扇風機を抱きかかえながら妄想で暑さから逃げようと頑張っていた 「あっちぃ・・・」 「うるさいなぁ・・・お兄ちゃんどっかいけば?」 こうしてVIPは家から追い出された 行く宛ても無いのに追い出されたんじゃ干からびると言わんかの如くVIPはシベリアの家に向かった 向かう途中、何故か不思議な感覚に襲われる 何かを忘れている気がする、夏休みに入って1週間経ったのに最初の3日くらいは何してたんだっけ? いくら考えても何をしていたのか思い出せず、VIPは額に手を当てながら唸る 虫の鳴き声と鳥の囀り、車の走る音がすぐ横で聞こえていて車の排気ガスの臭いが少しだけこちらに漂ってきていた 何をしていたんだろう?それよりも暑い、シベリアならわかるかな? VIPはシベリアの家のインターホンを鳴らす 居ないのか?VIPは深いため息をついて、他にクーラーなんかがありそうな家を思い出す ラウンジの家があるじゃないか! 「それで、家に来たの?」 「うんっ!僕、ここの家の子になる!」 VIPはクーラーの前で両手を広げてクーラーの前を陣取っている 「・・・あのねぇ・・・普通クーラーの為に女の子の家に来る?」 「お前女だったのかっ、いったぁ」 「もう!!出て行けこの馬鹿VIP!」 ラウンジに首を掴まれてVIPはやっと来た理由を思い出してあわててラウンジに言う 「ちょっちょっちょ!まってwwwあれだよww夏休みの最初の3日って何してたっけ?」 「?何って・・・?あれ・・・?」 ラウンジは顔を顰めて考え込み、VIPも自分で何をしていたのか思い出そうと考え込む ラウンジの部屋は木のテーブルが中央にあり、青空の模様の布団が使ってあるベット 背の低いタンスには鳥?のようなぬいぐるみとウサギの少し汚れたぬいぐるみが置いてあった ジュースを飲みながら二人は向かい合ったまま無言だった 「えっと・・・お前と一緒に居たよな?」 「うん・・・たしか・・・」 「何してたんだ?」 「わかんない」 そこで二人は悩む、何か大切なことを忘れてないか?何かを落としてる気がする VIPとラウンジの記憶には誰かに消されたかのようにその場所だけが全く抜け落ちているのだ クーラーを丁度良い温度で止めると虫の鳴き声が部屋の中まで聞こえてきた 「・・・なんだろう?何を忘れた?」 「・・・うーん?あ!!私、日記書いてた!」 今まで本当に忘れていた 日記の存在を思い出してラウンジは急いで机の引き出しの中を漁る ノートが綺麗に入れられた引き出しの中にその日記はあった 布の表紙で綺麗な色をしたその高級そうな日記帳にはラウンジの綺麗な文字が並んでいた 「えっと・・・ここ・・・?」 ラウンジはその日記を読んで自分の顔が真っ青になっていくのが自分でもわかった気がした 日記にはこう綴られている ―― VIPと付き合うことになった。小さい頃から喧嘩していたのに・・・不思議な気持ちだ ―― 「ちょ、これ変じゃないか?」 VIPはその日記を手に取ると文字を指でなぞる・・・微かにだが、文字とは別の言葉が書かれていた形跡があった 誰かが書き換えたということなのだろうか?それに、文字数と次の日の日記までに開いた行数が明らかに違う 「それに、俺がラウンジなんかに告白するわけがねぇ!」 「こんのっ!」 VIPが殴られた頬を抱えてのた打ち回っている間にラウンジは鉛筆を手に取ると鉛筆の芯を斜めにしてゆっくりと色を付けていく 薄らと浮き上がった文字に読み取れるのはたったの単語3文字だった ―― オカルトの母親 化け物 死 ―― その3文字を見た瞬間ラウンジの頭に何か電流のようなものが走ったような気がして放心状態になる VIPも放心状態になっているラウンジから日記を受け取るとその三文字をゆっくりと読み上げた 「オカルトの母親・・・化け物・・・死・・・」 頭が割れるんじゃないかというほどの痛みが走る VIPは日記を床に落とすと悲鳴にならないような声を上げて家の壁に頭を叩きつける 「うぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」 一瞬、何秒かの内に3日分の記憶が一気に流れ込んでくる そんな感覚に吐き気とめまい、それに激しい頭痛がVIPとラウンジに襲い掛かる 「ああああああ!!!!」 VIPの頭から血が流れる、それでもVIPは壁に頭をぶつけることをやめなかった ラウンジの家族は幸い今日も仕事でいない、だが階段を駆け上る音が聞こえていた 「お姉ちゃん!?VIPお兄ちゃんやめて!!」 クラウンがVIPの体を押さえて何とか止めようとするがクラウンの力ではどうにもならない ラウンジの方は胸を押さえながらベットに上半身だけを乗せて苦しそうに唸っていた 「やだ・・・救急車呼ばなきゃ!!救急車・・・」 そう呟きながらクラウンはその場で泣き出した 暫くして、先に落ち着きを取り戻したのはVIPだった 頭から血を流して朦朧とした意識のままでラウンジとクラウンを見下ろしていた 「俺・・・なにやってんだ?」 「VIPお兄ちゃん・・・?」 「血が出てる・・・やべ!これ!血が付いちゃった」 ラウンジの部屋の壁に少しだけ付いた血の後にVIPは焦ってティッシュで拭く 何とか取れたは取れたが少しだけ跡が残ってしまった 「はぁ・・・はぁ・・・」 ラウンジが苦しそうに起き上がり涙目を拭きながらクラウンを抱きしめた 「怖かったね・・・ごめんね・・・」 「うんっ・・・怖かったぁぁ・・・」 もっと泣き出すクラウンにラウンジは優しく宥める VIPは自分の頭を撫でながら自分の記憶をゆっくりとたどっていく クラウンは泣く事が忙しくて聞いていないようだ 「俺達は、オカルトやオカルトの母親と戦った。で間違いないよな?」 「うん・・・」 「それで、赤い粉を手に入れたところで削除人に奪われた」 「そう、私が渡しちゃったんだよね」 「・・・てことはその後に記憶を消されたってことかな・・・」 VIPとラウンジは二人の記憶が間違いないことを確認して溜息をついた 記憶が消えるっていうのは本当に違和感がないことなんだという恐怖が後から付いてくる まるで昨日の夕飯のメニューを忘れるかのようにオカルトのことを忘れてしまうんだ 「・・・シベリアは・・・?」 ラウンジが不思議そうな顔でVIPの顔を見上げる 「・・・出かけてたと思ったんだけど・・・」 まさか・・・、二人に嫌な予感が過ぎる 「行かなきゃ・・・!クラウン、ちょっとお留守番しててね?」 小さい子に言い聞かすようにラウンジが言うとクラウンは何も言わずに首を横に振る 一人にしないで、そう言ってるのが良くわかる、あの光景は確かに不気味だっただろう 「・・・ラウンジ、俺だけで行く」 「でも!」 「でもじゃないっつーの、お前、クラウンを連れて行く気かよ」 VIPの言葉にラウンジは何も言えずに小さく、渋々というよう感じに頷いた 「んじゃ、後で連絡する」 階段を下りるとVIPは玄関から飛び出して行った シベリアの家は真っ暗で灯りも付いていないようだ VIPは携帯を取り出すとシベリアの番号を急いで押す 「もしもし!おい!シベリア!!」 「・・・・・来るな・・・絶対に・・・きちゃ・・・」 電話が切れる、何度かけても電源が入っていない・・・らしい シベリアの家の周りの街頭すら電気が消えていて、まさに暗黒の世界という雰囲気だった いつ幽霊なんてものが出てもおかしくない、そんな空気があたりにはあった VIPは役に立たないだろうがシベリアの家の玄関でバットを手に取る 玄関のノブに手をかけると鍵はかかってなく、簡単に扉を開けることが出来た 玄関の中は更に暗い、今にも闇の中から何かが出てきそうな雰囲気だ VIPは近くの電気のスイッチに手を伸ばしスイッチを入れるが、灯りはつかない ただ、パチンパチンと虚しく音を鳴らすだけだった 「・・・シベリアァァ!!!居るんだろ!?」 闇に吸い込まれていく声は誰にも届いていないのか、静かな家の中に響く VIPは靴を脱ぐとバットを構えながら部屋の中へゆっくりと入っていった 暗闇の中では何があるのかもわからない、ただ、自分の足音と時計の音が聞こえている シベリアはどこにいるんだろうか?可能性としては部屋だろうか・・・? VIPは来た道を戻り階段をゆっくりと登り始める 自分の踏んだ階段がギシギシと声をあげ、まるで誰かが来ることを拒んでいるかのようだ 心臓の音がやけにでかく聞こえる、このまま逃げて帰ったらどれだけ楽だろうか ただ、このまま帰ることは絶対に出来ない、そう思えた 逃げれば逃げた自分が許せなくなるだろう いつの間にか、VIPの周りから虫の声が消えていた・・・ VIPは慎重に右手で扉を少しだけ開けると両手でバットを構えて扉を足で蹴るようにしてあけた 開けた瞬間に目の前に今まで見たこともないような奴が立っていた 頭には角のような物が一本、まるでユニコーンの角のように生えていて、手には鋭い爪がある 見た目は人間だが、一番違うのが顔だ・・・ 本来目があるべき場所に口があり、口がある場所には目が・・・顔が逆さまになっているのだ その逆さまの顔は暗闇の中でVIPの姿を見てニタニタと笑う 爪の伸びた手には半分で折れた携帯がぶら下がっているのが月明かりで見えた 「・・・シベリア・・・」 「ヒヒヒ・・・キヒィィィ!!!」 何が起こったのかも判断できなかった 気が付くと腹が切り裂かれ血があふれ出す 最初に戦った化け物ほどの破壊力は無い、ただ、どうしても相手を倒すという行動に移ることが出来なかった 顔が逆さまになっているだけで、その化け物は間違いなくシベリアそのものだった・・・ シベリアは死んだのか?いや、生きてるはずだ 「お前が・・・シベリアなわけねぇ!!」 VIPは自分の考えを振り払うように化け物が振り下ろす右腕にバットを殴り上げるように応戦する 一撃目はバットで防ぐことが出来たが、相手の腕は二つあるのだ、左手がVIPの腹に突き刺さる 「あぁぁあぁぁあああ!!!」 痛みは感じない、ただ、自分の腹を貫かれたのは解っていた VIPはバットを握り締めると化け物の顔に思いっきり上から振り下ろして顔面を殴りつける ああ、死んだな・・・そう思った 足元に自分の血が水溜りみたいになるくらいある事は暗闇の中でもわかっていた 化け物の腕が止めを刺そうという体制に入る 腹から爪が抜けると急に自分の下半身に力が入らなくなり膝を床に着いた 床についた膝にまだ少し暖かい血がある感覚があった 呼吸をするたびに壊れた笛みたいにヒューヒューと音がしているのに気が付いた 勝手にそう声が出ているのか、良くわからない、ただ痛みだけは感じなかった それだけで救われた気がする 痛い思いをして死ぬのはごめんだ それに、ラウンジだって巻き込まなくてすんだ 誰の記憶からも自分の存在が消えて、みんなが生きていくんだと思うと少しだけ名残惜しい 「シベリア・・・お前の・・・友達になって・・・」 声が上手く出ない、少しずつ痛みが呼び出されたように戻ってきて、VIPは肩で息をする シベリアとラウンジとこんな短い時間なのに仲良くなれて・・・多分今まで一番幸せだと思えた 自分では解ってた。誰からも嫌われていることくらい。 それでもシベリアは一緒に居てくれた、それだけでも十分嬉しかった 「は・・・っ良かった・・・っ」 笑顔を作ろうと思ったのに苦笑いしか出来なくて、涙で視界がゆがむ きっと、これが最後の言葉になるんだろう もう喋れない・・・苦しいから楽にしてくれ・・・そう思いながらVIPは顔が逆さまになっているシベリアに呟いた シベリアの腕がVIPの頭に向かって振り下ろされる 全部が真っ暗になった、そう思ったが自分がただ目を閉じているだけだったようだ 恐る恐る顔を上げるとシベリアの腕がVIPの少し前に振り下ろされ、床が砕けている 「・・・できるわけないだろ・・・友達なんだっ!」 一瞬、自分の耳を疑った 化け物になれば、人間だった頃の意思は無くなるものだと思っていたのに・・・ シベリアの体がバキバキと音を立てながら砕けていくように見えた 手を伸ばしたいと思ったのに、体が動かずVIPの体は倒れる 「・・・役立たずが」 「俺は・・・これ以上あんた等についていけない」 黒いローブを着た男が暗闇から浮き上がる 「今までの演技を無駄にするのか?こんなゴミの所為で、全ての計画が狂った」 削除人はVIPの体を蹴り上げる、その蹴りでVIPの呼吸は完全に止まった 「もう、死んだ」 「・・・っ!」 シベリアは右手を伸ばし削除人のローブを掴む 「殺したのは私ではない・・・お前だ」 「うあああああああああああああああああ!!!」 闇に溶けて消える削除人にシベリアの声は届かない ただ、暗闇の中でシベリアの叫び声だけが響いていた・・・ 虫の声は、いつまでも聞こえることは無かった 「シベリア・・・貴方が・・・」 「・・・こうするしかなかった。VIPが気づくとは思わなかったんだよ!」 シベリアはラウンジに向かって今まで溜まっていた怒りを吐き出すように言う 「全部が上手くいくはずだった!赤い粉の研究成果を確認して、全てが終わりになるはずだったんだ」 「みんなの記憶を操作するつもりだったのにVIPと私の記憶を消すことが出来なかった」 ラウンジはそう言いながらシベリアを睨み付け、逃げようともしていない これはシベリアなりの覚悟があってのことだ VIPが自分を犠牲にしてまで助けようとした友人が、裏切っていると気が付かなかったとは・・・ 「潜在意識の中に、あの光景が酷く入り込んでいて、すぐに消すことは無理だった」 二人の間に沈黙が流れる VIPの緊急手術はまだ終わりそうに無かった ただ、怒りをぶつけ合っていただけの二人にとって、時間が経つのがこれほど長く感じたことはなかった 「返してよ・・・」 ラウンジは弱弱しくそう言うと、本当に短い間だった、夏休みにVIPと過ごした時間を思い出し涙を流す 「返してよ!!全部・・・」 シベリアの声は、ラウンジに最後まで届かなかった 手術室の扉が開く、N速が容態を聞きに医者に駆け寄る ラウンジの顔は散々泣き続けたお陰で真っ赤になってひりひり痛いくらいだった 「・・・今のところ、大丈夫でしょう・・・ですが・・・」 医者の話にN速は驚いた表情を隠しきれていない 拾えた言葉によると、体中に普通では出来ない傷が多いから虐待をしていないかという話のようだった 流石にそれは無いだろうと思ったが、その程度の問題はN速が自分で解決できるだろう 天国は運ばれていくVIPの姿に溜息をついて、馬鹿じぇねーの、なんて呟きながら泣いているのが見えた 「VIP・・・あんた、ほんと馬鹿だよ・・・」 今だけは、シベリアを恨む気持ちにはならなかった ただ、VIPが生きていてくれたのが、それだけで今は十分だ 化け物と戦うよりも、自分が殺されそうになるよりも、今さっきまでの時間が一番怖かった 「一人になりたくないよ・・・」 ラウンジは何故か自分が一人だけ取り残されるのではないかという考えに陥っていた VIPは目の前のベットの上で人工呼吸器を付けられたまま目を覚まさない あの事があってからシベリアは一度も見舞いには来なかった それはラウンジが毎日のように見舞いに来ていたからかも知れないが、ラウンジも必死だった 自分の所為でVIPが怪我をしたんだ、そう思えてならない あの時、クラウンを置いてVIPを追いかけていれば・・・こんな怪我をしなかったかも知れない 頭の中でグルグルと自己嫌悪だけが回っているような気分だった 「お姉ちゃん・・・?」 「クラウン・・・」 弱々しい声だった ラウンジの疲れた表情がクラウンにも伝わってくる 白いカーテンが風で揺れて、外の空気が生暖かくてクラウンは少しだけ目を細めた その窓から見える景色は、ラウンジが目の手術のときの景色と同じもののように思えた 「お姉ちゃん、全然変わってないね」 「え?」 ラウンジは首をかしげる クラウンがこんなに刺々しい言葉使いで、睨み付けながら言ってくることは喧嘩した時しか見たことが無い なのに、何がクラウンを怒らせているんだろう?ラウンジにはわからなかった 「お姉ちゃんって、何がしたいの?」 何もいえなかった、言い返す言葉が思いつかなかった そうだ、ここでずっとVIPが起きているのを待ってるのは・・・何を待ってるの? 「お姉ちゃんは、どうしたいの?」 私は・・・どうしたいんだろう・・・? 「・・・どうしたらいいんだろ・・・VIP・・・一人になったら・・・どうしたらいいの・・・?」 虫の音が聞こえなくて、病室はやけに静かだった それから2日後にVIPは意識を取り戻した 担当医はVIPの回復力に驚きながら、ラウンジのお陰だだなんて茶化す ラウンジはそれに苦笑いをしながら、ラウンジは少しだけ雰囲気が変わったと言われる様になったのを思い出す それにしてもクラウンがあんなに身軽に動けるだなんて思わなかった 「・・・。俺、もうこの事件を追いかけるのやめようと思う」 「いいよ」 ラウンジは優しくそういうと窓を開けて風を部屋の中に入れる VIPはラウンジの顔に日の光が当たっているをみて、深く溜息をつく このまま一緒に居たら、ラウンジもきっと化け物に変わってしまう いや、もしかしたらVIPの方が化け物になってラウンジを・・・そう考えるだけで怖かった 体の震えを止めることが出来ず、VIPは両腕をぎゅっと抱きしめるように体に引き寄せた 「私、一人でもこの事件を解決する」 「え?は!?」 「私は、VIPの為に一緒に居たわけじゃないんだもん。私はこの事件を解決するためにあの場所に居たんだから」 VIPは何も言えなかった そうだ・・・自分が止めたとしてもラウンジはやると言うだろう ラウンジはにっこりと微笑むとVIPに一礼する 「今までありがとう。バイバイ」 病室のドアが閉まる 虫の鳴き声が窓の外で響いいるのをVIPは久しぶりに聞いた気がした
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155 :ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/06/13(金) 12 37 52 ID uiNhgbuT 吉野町に着くと、そのまま町役場へ行き、すぐにポポとのパートナー契約の書類を作って申請した。 ポポは今まで野生だったため住民票が存在せず、そのために若干手続きに手間取ってしまったが、一応つつがなく契約を終えた。 その後は、もうほとんど日が暮れていたこともあり、ポケモンセンターに向かうことにした。 その途中。 通りの左前方に、たくさんの服が陳列されている建物が目に入った。確認するまでもない、服屋だ。 それでようやく思い出した。 ポポ服着てねえ。 危なかった。ここ数日でそれがナチュラルだったもんだからすっかり慣らされていた。 役場の受付の人がやたら不審な目でこっちを見てくると思ったらそういうわけか。 まあ羽毛で素肌はほとんど見えないから問題ないって言ったら問題ないんだけど、気分的なものもあるし。 というわけで、香草さんに頼んでみることにした。 「あのー、香草さん?」 「……なによ」 振り向いた香草さんの顔は夕日で紅に染まっていて、思わずドキッとしてしまう。 それを表面に出さないように押し込んでから、口を開く。 「ポポって服着てないよね」 「うん」 「だからさ、服買ってきて欲しいんだよね」 ほぼ無表情だ。それは拒絶のようにも取れる。 「……予算は?」 一応聞いてみるだけ、という口調で香草さんが聞いてきた。 「に……二千円以内で」 「二千円!? 少ないわよ!」 「だってしょうがないだろ、食料とか道具とか補充しないといけないし。それに、田舎なんだからリーズナブルなものもあるはずだし」 「道具って?」 そういえば、早急に補給する必要のある道具ってあったっけ……? いや、たとえなくてもお金は大事だよ。 「ね、眠り粉とか」 苦し紛れに、つい先日使い切ってしまった眠り粉を挙げてみる。 「いらないわよそんなの」 もちろん一蹴された。まあしょうがない。僕もどうしても今補給しなきゃならないと思っているわけでもないし。 「いるって! アレなければ死人が出てたかもしれなかったんだから」 しかし、一応必要性を強調しておく。これに関しては香草さんも負い目があることだろうし。 「大体アンタは消極的過ぎんのよ! 何で何よりも逃げること優先なのよ!」 う、痛いところを突かれた。確かに、僕は基本的に臆病だ。だから何よりも逃げることを優先して物事を考えてしまう。 「死んだら元も子もないからに決まってんだろ!」 気にしていることを言われたことで、思わず語気が荒くなる。 「ケンカはやめるです! ポポは服いらないです!」 僕達を見かねたのか、ポポが僕らの間に割って入った。 「いや、そうもいかない」 「そうよ、いるに決まってるじゃない」 「なんでです?」 沈黙。なんでって言われても……。 「も、モラル的な問題かな」 「モラルって何です?」 「こう……なんというか、とにかくダメなんだよ」 その後も服屋の前でもめ続けること数分。なんとか香草さんに折れてもらった。 そして待つこと数分。香草さんがビニール袋を提げて店から出てきた。 早速中を見れば、黒のワンピースが一着に、女児用のパンツが二枚。 僕は可愛らしいパンツを見た瞬間、思考と行動が停止した。そして香草さんに目潰しを喰らった。 「ギャー!」 「何女の子の服をチェックしてんのよ、この変態!」 至って正論だ。でも、これはなんというか、不可抗力というか。 袋を受け取ると、僕は激しく瞬きを繰り返しながら歩き出した。痛いが目は無事らしい。 ほどなくして、ポケモンセンターに到着した。 ポケモンセンターはポケモントレーナーとそのパートナーに対して無償で寝床と風呂、そして食事を保障している施設のことだ。まさに僕達旅のトレーナーとポケモンの味方だ。 156 :ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/06/13(金) 12 38 15 ID uiNhgbuT 久々にまともな寝床と食事にありつける。施設に踏み入った僕は、それだけで少し浮かれていた。 ジョーイさんに簡単な施設利用の説明を受けると、そのまま与えられた個室に移動した。 与えられた部屋は二段ベッドが二つあり、それだけでほとんどのスペースが埋まってしまっているくらいの小さな部屋だ。 でも、久々の布団だ。文句はない。 荷物を置くと、すぐに浴場へ向かった。 浴場は当然ながら男女に分かれている。 「じゃあ、ここで。香草さん、悪いんだけどポポのことお願い。今まで風呂に入る、なんて習慣無かっただろうし」 まあ思ったとおり、香草さんは思いっきり顔をしかめている。 「……なんで私がそんなことを」 「香草さんしか頼れる人がいないんだよ。このとおり!」 そう言って頭を深々と下げた。 チラ、と上目遣いで顔を覗き込めば、相変わらずの渋い表情だ。 「……しょうがないわね」 しかし渋々という感じながらも承諾してくれた。 「ホントに!? ありがとう! じゃあよろしくね。ポポ、ちゃんと香草さんの言うことを聞くんだぞ」 「はーいです!」 元気よく返事するポポに、今日買った黒のワンピースと、下着を持たせた。タオルや体を洗うものは備え付けになっているとのことだ。 脱衣所で服を脱いで、浴場の扉を開くと、そこには銭湯のような光景が広がっていた。 先客も数人。皆同じ年頃だ。よく見れば、出発前に見たような、見なかったような顔もある。 簡単に体を流すと、すぐに浴槽に入った。 暖かなお湯が、疲労と怪我の溜まった体を優しく包み込む。 ああ、なんという至福……。 筋肉痛で痛む全身を優しく癒してくれるようだ。 つい目を閉じ、ぼーっとしてしまう。 「コラッ! ちゃんと体洗いなさい!」 「目が染みるです! いやです!」 そこそこに厚いはずの浴室の壁の向こうから聞こえてきた大声で、僕の穏やかな時間は強制終了した。 その後もドタバタという音と黄色い声が断続的に聞こえてくる。 「ダメよ! ちゃんと体洗いなさい!」 「ひゃ! くすぐったいですー」 「暴れないの……きゃ! 何するのよ!」 「お返しですー!」 「く、くすぐったわよ! あっ……」 だんだんこちら側にいる野郎共が前かがみになってきているぞ、オイ。 僕も、前かがみになる前に出よう。 煩悩を鎮めるためと、彼女達との今後の旅を憂う、二重の意味でのため息を吐いて、僕は風呂から上がった。 さっさと体を拭き、さっさと着替え、さっさと備え付けの洗濯機を回し、さっさと部屋へ戻った。どう考えてもあの場に留まることは得策ではない。 部屋に戻った僕は、そのままベッドに仰向けにダイブした。 スプリングが硬めで、少し痛かった。 それでも、地面とは雲泥の差で、快適なのは言うまでも無い。 数日間野宿をしただけで、これほどまでに快適に感じるとは。 このまま眠ってしまいたい。でも夕食は食べたい。それに洗濯物も回収しなきゃ。 そう思っていても、意識は意思とは無関係にどんどんと沈んでいく。 あっという間に僕は心地よいまどろみに呑まれ。 「ゴールドー!」 そのまどろみはドタバタという激しい足音と、バターンという勢いよく扉を開く音と、そして腹部に与えられた衝撃で霧散させられた。代わりに失神という形で意識を失いそうになったけど。 「ど、どうしたんだよ」 僕は激しく咳き込みながら起き上がり、ポポを腹の上から下ろした。最近の僕の腹部にかかる衝撃は明らかに過剰である。 「すごいですー! スースーするですー! 水浴びと違うですー!」 トコトコと静かな足音が部屋に入ってきた。 「石鹸使ったからね、当然よ」 ああそうか、そりゃあ自然界には石鹸なんてないもんなあ。ポポは今まで味わったことの無い感覚にすっかり興奮しているというわけか。ならしょうがない。僕の腹部の痛みもしょうがない。しょうがない……。 「よ、よかったね」 僕は腹部の痛みで引きつる頬をなんとか誤魔化す。 「どうしたの?」 誤魔化しきれてなかったのだろう、香草さんに不思議そうに尋ねられた。 僕は、なんでもないよ、と誤魔化した。 157 :ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/06/13(金) 12 38 58 ID uiNhgbuT 香草さんは納得していないようだったが、それ以上尋ねてくることは無かった。 僕が興奮してはしゃいでいるポポを適当になだめたり相槌を打ったりしていると、食事の時間が来た。腹痛も大分治まってきたことだし、夕食を食べに食堂へ向かうことにした。 食事はポケモンの種族のことを考えてか、野菜オンリーのAコース、野菜肉魚なんでもありのBコース、肉類のみのCコースの三コースに分かれていた。 僕はBコースに、それプラス御飯と味噌汁で定食化する。久々のちゃんとした食事に胸が躍る。考えただけでよだれが出てきた。 ポポと香草さんも僕とまったく同じものを頼んだ。……香草さんはともかく、ポポは箸を使えるんだろうか。 配膳に並んでBコースのおかずを受け取る。肉野菜炒めに鯖の味噌煮のようだ。ああ、なんという真っ当な食事。なんか感動してきた。 僕に続いて、香草さんが受け取り、さらにポポが両の翼で抱えるようにして受け取った。……あれぇ? 冷静に考えたら箸どころの問題じゃないような。そもそもポポには手が無いんだから。 空いているテーブルを見つけ、僕とポポは座った。香草さんはというと、僕達から離れたテーブルに一人で座った。うーん、少しは仲がマシになったと思ったんだけど、中々道は険しいな。 「いただきます」 両手をあわせると、僕は料理に手をつけた。まずは鯖の味噌煮から。 うん、口の中でとろけるようなよく油の乗った鯖に、甘辛い味噌がよくあって……うまい! と、僕が至福に浸っていると、ポポが泣き出しそうな顔で料理と箸と僕とを交互に見ていた。 可愛いからこのまま少しほうって置こうかな、なんて少し意地悪な思考が頭をよぎったが、そんな思考に従うことなく、ポポに声をかけた。 「どれから食べたい?」 ポポは僅かな逡巡の後、鯖の味噌煮を指差した――いや、指じゃなくて翼だから、翼指したとかになるのだろうか。 僕は箸で適当な大きさに鯖の味噌煮を割ると、そのままポポの口に運んであげる。 「はい、あーん」 「あーん…………おいしーです!」 ポポの顔がパアッと明るくなった。うん、やっぱりポポはニコニコしてるのが一番似合うな。なんだかこっちまで和やかな気持ちになってくる。 そんな調子だから食事にいつもの倍以上の時間がかかってしまった。 食事を終えた後、食堂を後にしようと食堂の出入り口へ向かうと、扉の陰から緑の葉っぱが覗いて見えた。 食堂を出ると、そこには不機嫌そうに両腕を組んだ香草さんが立っていた。 僕達が食べ終わるのを待ってくれていたのだろうか。 「ご、ごめん、遅くなっちゃって」 「……いいわよ、別に」 ……いいわよ、と言っている割には、その口調も不機嫌そのもので、まったくいいという感じがしない。 微妙に気まずい空気のまま、三人で部屋に戻った。 そして沈黙。僕は、とか何を言ったらいいのか分からず、あー、とか、えっと、とかしか言えないが故に。ポポはそんな必死な僕と不機嫌そうな香草さんの顔を不安そうに交互に見ているが故に。そして香草さんは……多分話したくないが故に。そういうわけでの沈黙。 「あ! そうだ! もう洗濯と乾燥終わっただろうから、服とってくるよ!」 逃げではない。ちょうど今思い出したんだ。……うん。 「……じゃあ私も取りに行くわ」 ……ほら、逃げではなくなった。 「ポ、ポポもついていくです」 そういうわけで、僕達はまた三人で部屋を出た。 そして無言。沈黙は長引けば長引くほどその痛さを増していく。 「ご、ごめんね」 「……どうして謝るのよ?」 「い、いや、香草さんを怒らせちゃったかなー……なんて」 「……別に怒ってなんか無いわよ」 「……そ、そう」 本当に怒ってないなら、もう少し普通に話して欲しいものだ。……怒ってるんだろうけどさ。 浴場と部屋との往復の間に交わした言葉はそれだけである。 さて、部屋に戻ったわけだが。 することがない。 158 :ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/06/13(金) 12 39 44 ID uiNhgbuT することが無いなら、することは一つだ。 「よし、寝よう。じゃあ僕はここで寝るね」 そう言って、左の二段ベッドの上に上がり、毛布に包まった。 それに続くように、ベッドの梯子を上る音が聞こえた。 そして、その音を発していた物体はそのまま僕の隣で停止した。 「ぽ、ポポ?」 「どうしたです?」 「い、いや、ベッドは四つあるのに、わざわざ僕と一緒に寝なくても」 「……ここがいいです。……だめです?」 ポポは僕が包まっている毛布に半分包まり、潤んだ瞳で僕を見つめながらそう言った。 しかし同時に香草さんの、僕を非難するような鋭い瞳で見つめられているのもひしひしと感じる。 ……ぼ、僕は……僕は! 叫び声を上げながら逃げ出したいという衝動を何とか押さえ、笑顔を作って言った。 「いや、ポポがそうしたいっていうんなら、いいよ」 不安気だったポポの顔がほころんだ。そして一層僕に密着してくる。 香草さんは……見えないのでよく分からないが、多分しばらく僕に対して軽蔑の目を向けた後、音からして右の下段のベッド――つまり僕達のベッドから一番遠いベッドだ――に入って、そのまま蔓の鞭を伸ばして電気を消した。 僕はいろんな意味で眠れなくなりそうなので、できるだけ何も考えないようにしていた。 だが寝れない。隣のポポはすぐにすやすやと安らかな寝息を立てているというのに。 それから、どれくらい経ったのだろう。 「ねえ、起きてる?」 香草さんが、話しかけてきた。 「起きてるよ、どうしたの?」 僕は動揺しつつも、大きな声を出さないように注意しながら答えた。 「……どうしてあの子ばかり大切にするの?」 か細く、弱弱しい声。 「……あの子? もしかしてポポのこと?」 「そうよ」 僕がポポばかり大切にしている? そうなのだろうか。確かに大切にしてはいるだろうけど、だからといって香草さんをぞんざいに扱っているつもりはなかったんだけど……。 「そんな、特にそんなつもりは……というか香草さん、あの子、はないんじゃないか? ちゃんとポポっていう名前があるんだし」 「鳥の名前なんてどうでもいいじゃない」 険のある声が返ってきた。嫌悪の念。よく分からないが、そういうものが滲んでいるように感じられる。 「良くないよ。それに、鳥だとかいうのも良くない……と思うよ」 「な、なによ! そんなにあの子が大事なの?」 冷静だった語気が荒くなった。でもこれは怒っているというより取り乱している、というほうが正しいような感じだ。そんなにまずいことを言っただろうか? 僕は普通のことしか言ってないと思うんだけど……。 「大事といえば大事だよ。長旅のパートナーになるんだし」 「それなら私だってそうじゃない!」 「え……マジで?」 「なによそのリアクション……私と一緒にいたくないってこと? だからあの子……ポポのことばかり」 まずい! 香草さんの声色は今にも泣き出さんばかりな感じだ。いくら驚いたからって、マジで? はないだろ僕! 最低だろ! 「い、いやいやいや、そんなことはないよ! ただ、香草さんは……その……」 「……その?」 どうする? ここで僕の本心を言ってしまっていいものだろうか。しかし、それ以外にこの場をなんとかできるようなものは考え付かないし……。ええい! どうせダメなら同じことだ! 「その……石英高原で殿堂入りするまで一緒に旅する気は無いんじゃないか、って思ったから」 「……私、そんなこと言った?」 泣き出しはしなかったものの、まだ声は潤んでいる。 「い、言ってないよ! でも、その、態度とか、そういうのから、その……」 「私は絶対に殿堂入りするわ。それで、『私の種族こそ最強!』ってことを、草ポケモンは弱いって言っている世間に知らしめるのよ」 思わぬ独白。まさか彼女がこんなことを考えていたなんて。 「そう……なんだ」 「……ごめんなさい」 「え!?」 「私……そんな誤解されるような態度とってたなんて思わなかった。私、自分の種族以外の人とまともに話したこと無くて、それで、人付き合いとか、そういうの、どうしたらいいか分からなくて」 159 :ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] :2008/06/13(金) 12 40 50 ID uiNhgbuT 不安そうな声で僕にそう告白した。 ああ、なんだ。 僕は馬鹿だ。 勝手に思い込んで。勝手に決め付けて。 彼女はただ、自分の種族に誇りを持っている、ちょっと不器用なだけの女の子だったんじゃないか。 小手先だけの、額面上だけの知識を身につけて、色々あらぬ想像巡らせて。 そんなので賢しいつもりになっていた。 ……実際は、ただの自信過剰で、無駄に妄想力豊かなだけの、最低なガキじゃないか。 こんなんじゃ、ポケモンの研究に携わるなんて夢のまた夢だ。 「僕のほうこそ、ごめん。勝手に香草さんのことを決め付けて」 「いいわよ。私が悪かったんだから」 もうその声はいつもの彼女のものに戻っている。 「じゃ、じゃあ、悪かったついでに、一つお願いしても……いいかな?」 「何?」 「色々あるし、あったんだと思うけどさ、せめてこの旅の間だけは、種族による差別とか、そういうの、やめようよ。……難しいってことは分かってるけどさ、それでも……」 「…………頑張る」 「え?」 「私、できるだけ頑張るわ」 静かな、しかし凛とした声で彼女は答えてくれた。 香草さんは、それきり黙ってしまった。 「ありがとう!」 僕も気が楽になったのもあって、それからすぐに眠りに落ちてしまったから、本当は何か言っていたのかもしれないが。 「……ねえゴールド? 私、人間もそんなに悪くないかな、って思えてきたの。きっと、ゴールドのお陰かな。……ゴールド? 寝ちゃったの? ……ふふ、まったく、やっぱりダメね、ゴールドは」
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汗でTシャツが張り付く、いくら拭っても吹き出てくる汗にVIPは疲れたような溜息をついた。 夏は好きだけどこの暑さはなんとかならないものかとVIPは思いつつ大きいクーラーがあったら世界中冷えるのか、なんて妄想をしていた いやいや、クーラーなんか使ったら大変なことになるような気がする、日本をガラスで囲んでクーラーを・・・ VIPは扇風機を抱きかかえながら妄想で暑さから逃げようと頑張っていた 「あっちぃ・・・」 「うるさいなぁ・・・お兄ちゃんどっかいけば?」 こうしてVIPは家から追い出された 行く宛ても無いのに追い出されたんじゃ干からびると言わんかの如くVIPはシベリアの家に向かった 向かう途中、何故か不思議な感覚に襲われる 何かを忘れている気がする、夏休みに入って1週間経ったのに最初の3日くらいは何してたんだっけ? いくら考えても何をしていたのか思い出せず、VIPは額に手を当てながら唸る 虫の鳴き声と鳥の囀り、車の走る音がすぐ横で聞こえていて車の排気ガスの臭いが少しだけこちらに漂ってきていた 何をしていたんだろう?それよりも暑い、シベリアならわかるかな? VIPはシベリアの家のインターホンを鳴らす 居ないのか?VIPは深いため息をついて、他にクーラーなんかがありそうな家を思い出す ラウンジの家があるじゃないか! 「それで、家に来たの?」 「うんっ!僕、ここの家の子になる!」 VIPはクーラーの前で両手を広げてクーラーの前を陣取っている 「・・・あのねぇ・・・普通クーラーの為に女の子の家に来る?」 「お前女だったのかっ、いったぁ」 「もう!!出て行けこの馬鹿VIP!」 ラウンジに首を掴まれてVIPはやっと来た理由を思い出してあわててラウンジに言う 「ちょっちょっちょ!まってwwwあれだよww夏休みの最初の3日って何してたっけ?」 「?何って・・・?あれ・・・?」 ラウンジは顔を顰めて考え込み、VIPも自分で何をしていたのか思い出そうと考え込む ラウンジの部屋は木のテーブルが中央にあり、青空の模様の布団が使ってあるベット 背の低いタンスには鳥?のようなぬいぐるみとウサギの少し汚れたぬいぐるみが置いてあった ジュースを飲みながら二人は向かい合ったまま無言だった 「えっと・・・お前と一緒に居たよな?」 「うん・・・たしか・・・」 「何してたんだ?」 「わかんない」 そこで二人は悩む、何か大切なことを忘れてないか?何かを落としてる気がする VIPとラウンジの記憶には誰かに消されたかのようにその場所だけが全く抜け落ちているのだ クーラーを丁度良い温度で止めると虫の鳴き声が部屋の中まで聞こえてきた 「・・・なんだろう?何を忘れた?」 「・・・うーん?あ!!私、日記書いてた!」 今まで本当に忘れていた 日記の存在を思い出してラウンジは急いで机の引き出しの中を漁る ノートが綺麗に入れられた引き出しの中にその日記はあった 布の表紙で綺麗な色をしたその高級そうな日記帳にはラウンジの綺麗な文字が並んでいた 「えっと・・・ここ・・・?」 ラウンジはその日記を読んで自分の顔が真っ青になっていくのが自分でもわかった気がした 日記にはこう綴られている ―― VIPと付き合うことになった。小さい頃から喧嘩していたのに・・・不思議な気持ちだ ―― 「ちょ、これ変じゃないか?」 VIPはその日記を手に取ると文字を指でなぞる・・・微かにだが、文字とは別の言葉が書かれていた形跡があった 誰かが書き換えたということなのだろうか?それに、文字数と次の日の日記までに開いた行数が明らかに違う 「それに、俺がラウンジなんかに告白するわけがねぇ!」 「こんのっ!」 VIPが殴られた頬を抱えてのた打ち回っている間にラウンジは鉛筆を手に取ると鉛筆の芯を斜めにしてゆっくりと色を付けていく 薄らと浮き上がった文字に読み取れるのはたったの単語3文字だった ―― オカルトの母親 化け物 死 ―― その3文字を見た瞬間ラウンジの頭に何か電流のようなものが走ったような気がして放心状態になる VIPも放心状態になっているラウンジから日記を受け取るとその三文字をゆっくりと読み上げた 「オカルトの母親・・・化け物・・・死・・・」 頭が割れるんじゃないかというほどの痛みが走る VIPは日記を床に落とすと悲鳴にならないような声を上げて家の壁に頭を叩きつける 「うぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」 一瞬、何秒かの内に3日分の記憶が一気に流れ込んでくる そんな感覚に吐き気とめまい、それに激しい頭痛がVIPとラウンジに襲い掛かる 「ああああああ!!!!」 VIPの頭から血が流れる、それでもVIPは壁に頭をぶつけることをやめなかった ラウンジの家族は幸い今日も仕事でいない、だが階段を駆け上る音が聞こえていた 「お姉ちゃん!?VIPお兄ちゃんやめて!!」 クラウンがVIPの体を押さえて何とか止めようとするがクラウンの力ではどうにもならない ラウンジの方は胸を押さえながらベットに上半身だけを乗せて苦しそうに唸っていた 「やだ・・・救急車呼ばなきゃ!!救急車・・・」 そう呟きながらクラウンはその場で泣き出した 暫くして、先に落ち着きを取り戻したのはVIPだった 頭から血を流して朦朧とした意識のままでラウンジとクラウンを見下ろしていた 「俺・・・なにやってんだ?」 「VIPお兄ちゃん・・・?」 「血が出てる・・・やべ!これ!血が付いちゃった」 ラウンジの部屋の壁に少しだけ付いた血の後にVIPは焦ってティッシュで拭く 何とか取れたは取れたが少しだけ跡が残ってしまった 「はぁ・・・はぁ・・・」 ラウンジが苦しそうに起き上がり涙目を拭きながらクラウンを抱きしめた 「怖かったね・・・ごめんね・・・」 「うんっ・・・怖かったぁぁ・・・」 もっと泣き出すクラウンにラウンジは優しく宥める VIPは自分の頭を撫でながら自分の記憶をゆっくりとたどっていく クラウンは泣く事が忙しくて聞いていないようだ 「俺達は、オカルトやオカルトの母親と戦った。で間違いないよな?」 「うん・・・」 「それで、赤い粉を手に入れたところで削除人に奪われた」 「そう、私が渡しちゃったんだよね」 「・・・てことはその後に記憶を消されたってことかな・・・」 VIPとラウンジは二人の記憶が間違いないことを確認して溜息をついた 記憶が消えるっていうのは本当に違和感がないことなんだという恐怖が後から付いてくる まるで昨日の夕飯のメニューを忘れるかのようにオカルトのことを忘れてしまうんだ 「・・・シベリアは・・・?」 ラウンジが不思議そうな顔でVIPの顔を見上げる 「・・・出かけてたと思ったんだけど・・・」 まさか・・・、二人に嫌な予感が過ぎる 「行かなきゃ・・・!クラウン、ちょっとお留守番しててね?」 小さい子に言い聞かすようにラウンジが言うとクラウンは何も言わずに首を横に振る 一人にしないで、そう言ってるのが良くわかる、あの光景は確かに不気味だっただろう 「・・・ラウンジ、俺だけで行く」 「でも!」 「でもじゃないっつーの、お前、クラウンを連れて行く気かよ」 VIPの言葉にラウンジは何も言えずに小さく、渋々というよう感じに頷いた 「んじゃ、後で連絡する」 階段を下りるとVIPは玄関から飛び出して行った シベリアの家は真っ暗で灯りも付いていないようだ VIPは携帯を取り出すとシベリアの番号を急いで押す 「もしもし!おい!シベリア!!」 「・・・・・来るな・・・絶対に・・・きちゃ・・・」 電話が切れる、何度かけても電源が入っていない・・・らしい シベリアの家の周りの街頭すら電気が消えていて、まさに暗黒の世界という雰囲気だった いつ幽霊なんてものが出てもおかしくない、そんな空気があたりにはあった VIPは役に立たないだろうがシベリアの家の玄関でバットを手に取る 玄関のノブに手をかけると鍵はかかってなく、簡単に扉を開けることが出来た 玄関の中は更に暗い、今にも闇の中から何かが出てきそうな雰囲気だ VIPは近くの電気のスイッチに手を伸ばしスイッチを入れるが、灯りはつかない ただ、パチンパチンと虚しく音を鳴らすだけだった 「・・・シベリアァァ!!!居るんだろ!?」 闇に吸い込まれていく声は誰にも届いていないのか、静かな家の中に響く VIPは靴を脱ぐとバットを構えながら部屋の中へゆっくりと入っていった 暗闇の中では何があるのかもわからない、ただ、自分の足音と時計の音が聞こえている シベリアはどこにいるんだろうか?可能性としては部屋だろうか・・・? VIPは来た道を戻り階段をゆっくりと登り始める 自分の踏んだ階段がギシギシと声をあげ、まるで誰かが来ることを拒んでいるかのようだ 心臓の音がやけにでかく聞こえる、このまま逃げて帰ったらどれだけ楽だろうか ただ、このまま帰ることは絶対に出来ない、そう思えた 逃げれば逃げた自分が許せなくなるだろう いつの間にか、VIPの周りから虫の声が消えていた・・・ VIPは慎重に右手で扉を少しだけ開けると両手でバットを構えて扉を足で蹴るようにしてあけた 開けた瞬間に目の前に今まで見たこともないような奴が立っていた 頭には角のような物が一本、まるでユニコーンの角のように生えていて、手には鋭い爪がある 見た目は人間だが、一番違うのが顔だ・・・ 本来目があるべき場所に口があり、口がある場所には目が・・・顔が逆さまになっているのだ その逆さまの顔は暗闇の中でVIPの姿を見てニタニタと笑う 爪の伸びた手には半分で折れた携帯がぶら下がっているのが月明かりで見えた 「・・・シベリア・・・」 「ヒヒヒ・・・キヒィィィ!!!」 何が起こったのかも判断できなかった 気が付くと腹が切り裂かれ血があふれ出す 最初に戦った化け物ほどの破壊力は無い、ただ、どうしても相手を倒すという行動に移ることが出来なかった 顔が逆さまになっているだけで、その化け物は間違いなくシベリアそのものだった・・・ シベリアは死んだのか?いや、生きてるはずだ 「お前が・・・シベリアなわけねぇ!!」 VIPは自分の考えを振り払うように化け物が振り下ろす右腕にバットを殴り上げるように応戦する 一撃目はバットで防ぐことが出来たが、相手の腕は二つあるのだ、左手がVIPの腹に突き刺さる 「あぁぁあぁぁあああ!!!」 痛みは感じない、ただ、自分の腹を貫かれたのは解っていた VIPはバットを握り締めると化け物の顔に思いっきり上から振り下ろして顔面を殴りつける ああ、死んだな・・・そう思った 足元に自分の血が水溜りみたいになるくらいある事は暗闇の中でもわかっていた 化け物の腕が止めを刺そうという体制に入る 腹から爪が抜けると急に自分の下半身に力が入らなくなり膝を床に着いた 床についた膝にまだ少し暖かい血がある感覚があった 呼吸をするたびに壊れた笛みたいにヒューヒューと音がしているのに気が付いた 勝手にそう声が出ているのか、良くわからない、ただ痛みだけは感じなかった それだけで救われた気がする 痛い思いをして死ぬのはごめんだ それに、ラウンジだって巻き込まなくてすんだ 誰の記憶からも自分の存在が消えて、みんなが生きていくんだと思うと少しだけ名残惜しい 「シベリア・・・お前の・・・友達になって・・・」 声が上手く出ない、少しずつ痛みが呼び出されたように戻ってきて、VIPは肩で息をする シベリアとラウンジとこんな短い時間なのに仲良くなれて・・・多分今まで一番幸せだと思えた 自分では解ってた。誰からも嫌われていることくらい。 それでもシベリアは一緒に居てくれた、それだけでも十分嬉しかった 「は・・・っ良かった・・・っ」 笑顔を作ろうと思ったのに苦笑いしか出来なくて、涙で視界がゆがむ きっと、これが最後の言葉になるんだろう もう喋れない・・・苦しいから楽にしてくれ・・・そう思いながらVIPは顔が逆さまになっているシベリアに呟いた シベリアの腕がVIPの頭に向かって振り下ろされる 全部が真っ暗になった、そう思ったが自分がただ目を閉じているだけだったようだ 恐る恐る顔を上げるとシベリアの腕がVIPの少し前に振り下ろされ、床が砕けている 「・・・できるわけないだろ・・・友達なんだっ!」 一瞬、自分の耳を疑った 化け物になれば、人間だった頃の意思は無くなるものだと思っていたのに・・・ シベリアの体がバキバキと音を立てながら砕けていくように見えた 手を伸ばしたいと思ったのに、体が動かずVIPの体は倒れる 「・・・役立たずが」 「俺は・・・これ以上あんた等についていけない」 黒いローブを着た男が暗闇から浮き上がる 「今までの演技を無駄にするのか?こんなゴミの所為で、全ての計画が狂った」 削除人はVIPの体を蹴り上げる、その蹴りでVIPの呼吸は完全に止まった 「もう、死んだ」 「・・・っ!」 シベリアは右手を伸ばし削除人のローブを掴む 「殺したのは私ではない・・・お前だ」 「うあああああああああああああああああ!!!」 闇に溶けて消える削除人にシベリアの声は届かない ただ、暗闇の中でシベリアの叫び声だけが響いていた・・・ 虫の声は、いつまでも聞こえることは無かった 「シベリア・・・貴方が・・・」 「・・・こうするしかなかった。VIPが気づくとは思わなかったんだよ!」 シベリアはラウンジに向かって今まで溜まっていた怒りを吐き出すように言う 「全部が上手くいくはずだった!赤い粉の研究成果を確認して、全てが終わりになるはずだったんだ」 「みんなの記憶を操作するつもりだったのにVIPと私の記憶を消すことが出来なかった」 ラウンジはそう言いながらシベリアを睨み付け、逃げようともしていない これはシベリアなりの覚悟があってのことだ VIPが自分を犠牲にしてまで助けようとした友人が、裏切っていると気が付かなかったとは・・・ 「潜在意識の中に、あの光景が酷く入り込んでいて、すぐに消すことは無理だった」 二人の間に沈黙が流れる VIPの緊急手術はまだ終わりそうに無かった ただ、怒りをぶつけ合っていただけの二人にとって、時間が経つのがこれほど長く感じたことはなかった 「返してよ・・・」 ラウンジは弱弱しくそう言うと、本当に短い間だった、夏休みにVIPと過ごした時間を思い出し涙を流す 「返してよ!!全部・・・」 シベリアの声は、ラウンジに最後まで届かなかった 手術室の扉が開く、N速が容態を聞きに医者に駆け寄る ラウンジの顔は散々泣き続けたお陰で真っ赤になってひりひり痛いくらいだった 「・・・今のところ、大丈夫でしょう・・・ですが・・・」 医者の話にN速は驚いた表情を隠しきれていない 拾えた言葉によると、体中に普通では出来ない傷が多いから虐待をしていないかという話のようだった 流石にそれは無いだろうと思ったが、その程度の問題はN速が自分で解決できるだろう 天国は運ばれていくVIPの姿に溜息をついて、馬鹿じぇねーの、なんて呟きながら泣いているのが見えた 「VIP・・・あんた、ほんと馬鹿だよ・・・」 今だけは、シベリアを恨む気持ちにはならなかった ただ、VIPが生きていてくれたのが、それだけで今は十分だ 化け物と戦うよりも、自分が殺されそうになるよりも、今さっきまでの時間が一番怖かった 「一人になりたくないよ・・・」 ラウンジは何故か自分が一人だけ取り残されるのではないかという考えに陥っていた VIPは目の前のベットの上で人工呼吸器を付けられたまま目を覚まさない あの事があってからシベリアは一度も見舞いには来なかった それはラウンジが毎日のように見舞いに来ていたからかも知れないが、ラウンジも必死だった 自分の所為でVIPが怪我をしたんだ、そう思えてならない あの時、クラウンを置いてVIPを追いかけていれば・・・こんな怪我をしなかったかも知れない 頭の中でグルグルと自己嫌悪だけが回っているような気分だった 「お姉ちゃん・・・?」 「クラウン・・・」 弱々しい声だった ラウンジの疲れた表情がクラウンにも伝わってくる 白いカーテンが風で揺れて、外の空気が生暖かくてクラウンは少しだけ目を細めた その窓から見える景色は、ラウンジが目の手術のときの景色と同じもののように思えた 「お姉ちゃん、全然変わってないね」 「え?」 ラウンジは首をかしげる クラウンがこんなに刺々しい言葉使いで、睨み付けながら言ってくることは喧嘩した時しか見たことが無い なのに、何がクラウンを怒らせているんだろう?ラウンジにはわからなかった 「お姉ちゃんって、何がしたいの?」 何もいえなかった、言い返す言葉が思いつかなかった そうだ、ここでずっとVIPが起きているのを待ってるのは・・・何を待ってるの? 「お姉ちゃんは、どうしたいの?」 私は・・・どうしたいんだろう・・・? 「・・・どうしたらいいんだろ・・・VIP・・・一人になったら・・・どうしたらいいの・・・?」 虫の音が聞こえなくて、病室はやけに静かだった それから2日後にVIPは意識を取り戻した 担当医はVIPの回復力に驚きながら、ラウンジのお陰だだなんて茶化す ラウンジはそれに苦笑いをしながら、ラウンジは少しだけ雰囲気が変わったと言われる様になったのを思い出す それにしてもクラウンがあんなに身軽に動けるだなんて思わなかった 「・・・。俺、もうこの事件を追いかけるのやめようと思う」 「いいよ」 ラウンジは優しくそういうと窓を開けて風を部屋の中に入れる VIPはラウンジの顔に日の光が当たっているをみて、深く溜息をつく このまま一緒に居たら、ラウンジもきっと化け物に変わってしまう いや、もしかしたらVIPの方が化け物になってラウンジを・・・そう考えるだけで怖かった 体の震えを止めることが出来ず、VIPは両腕をぎゅっと抱きしめるように体に引き寄せた 「私、一人でもこの事件を解決する」 「え?は!?」 「私は、VIPの為に一緒に居たわけじゃないんだもん。私はこの事件を解決するためにあの場所に居たんだから」 VIPは何も言えなかった そうだ・・・自分が止めたとしてもラウンジはやると言うだろう ラウンジはにっこりと微笑むとVIPに一礼する 「今までありがとう。バイバイ」 病室のドアが閉まる 虫の鳴き声が窓の外で響いいるのをVIPは久しぶりに聞いた気がした
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マリオ&ルイージRPG3!!! part60-342~345,350~353,364 342 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/21(水) 20 56 45.44 ID QHR0LILe0 主要人物 マリオ:おなじみの赤い配管工。今回はクッパの体の中を冒険することに。 ルイージ:おなじみの大切な弟。 イエロースター:『スターの精』の少女。高飛車な性格。クッパの前では『チッピー』という偽名を名乗る。 ゲラコビッツ:マリオ&ルイージRPGシリーズ皆勤賞の悪徳科学者。 じめじめした所でコツコツ働きつつ練り上げた(前作参照)自らの計画をついに実行に移す。 343 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/21(水) 21 51 54.82 ID QHR0LILe0 最近キノコ王国の間では、ある事件が流行していた。 『メタコロ病』と呼ばれる病気により、キノピオ達の身体が真ん丸に膨れ上がり、 コロコロと転がり続けてしまうという事件だ。この事態を重く見た城にて緊急会議を開くことに。 しかし、かろうじて原因がマントを羽織った商人が売っていた「メタコロキノコ」という キノコであることは分かったものの、 現時点では患者を治すのは不可能。『スターの精』の代表として会議に参加したイエロースターも、 スターの精でもこれを治すことは出来ないという。 遅れて会議に参加してきたマリオ兄弟に商人を捕まえるよう頼もうとしたが… 呼んでないのにやってきたクッパが会場をメチャクチャにし始めた。マリオは、クッパを止めるべく勝負を挑む。 イエロースターの助けもあってクッパを撃破したマリオ。 またしてもマリオに敗れたクッパは遠くの森へ飛ばされる羽目に。 森のなかで、マリオらへのリベンジを誓いつつ進んでいくと、マントを羽織った商人に呼び止められた。 なんでも、食べればマリオにも勝てるというキノコを無料でくれるらしい。 『マリオに勝てる』というフレーズに釣られ、そのキノコを食べたクッパは突如苦しみ始め… 344 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/21(水) 22 35 13.63 ID QHR0LILe0 別の部屋で会議を続行しようとしていたマリオらだが、そこにクッパが現れる。 しかし、なんだか様子がおかしい…と思った矢先、なんとクッパは周囲のものを見境無く吸い込み始め、 マリオらはそれに巻き込まれてしまった。 周囲を吸い込み尽くしたクッパは気絶。その一部始終をみていた商人…ゲラコビッツは、 計画を次なる段階へ進めるべく部下のメタボスにクッパを運ぶよう命令する。 マリオが目覚めると、そこはクッパの体内。皆とはぐれてしまった彼は、周囲を散策することに。 道中、アメーバのようなものに取り込まれそうになっていたイエロースターやルイージと合流し、 さらに奥深くへと進むマリオ一行。進んだ先には、コブのようなものがついた太い骨が。 そのコブをハンマーで叩くと、クッパが痛がって飛び起きた。どうやら、太い神経だったらしい。 目覚めたクッパが周囲を見渡すと、そこは洞窟。しかし彼には、キノコを食べたところからの記憶が無い。 しかも、自らのアイデンティである炎が吐けなくなってしまっている。 体内から聞こえてくる声(イエロースター)に従い、とりあえず洞窟を抜けた先で彼を待っていたのは、 ゲラコビッツ。彼は、自分の目的はキノコ王国の征服であること、メタコロ病を流行らせたのも クッパにマリオらを吸い込ませたのもすべて自分の策略であること、 まもなくピーチ城とクッパ城は占領されることを告げ、部下のメタボスをけしかけてきた。 強力なパンチをメタボスにかますも、避けることの出来ないのし掛かり攻撃に苦戦するクッパ。 そんな彼を倒すまでもないとして、メタボスは去っていった。 そんなわけでなんとか命拾いしたクッパは、どこかの海岸へとたどり着く。 続く 345 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/22(木) 00 03 38.96 ID gUX0m/9p0 そこを進んでいくクッパは、海岸からの橋が崩落してしまい、浮島に取り残されてしまったブリロックという男性に遭遇。 お礼になんか良さそうなブロックがもらえるらしいので、島からでているロープを引っ張ることにした。 一方、強い反応がでた腕のあたりに来たマリオ達。 そこでは、放たれる電気信号を筋肉にを当てることで活性化できるようになっていた。 島を引っ張るクッパを筋肉を活性化させて手伝うマリオ達。 クッパは島を海岸へ引っ張ることに成功したのはマリオらのおかげであることを、本人は知らない。 ブリロックから吸い込みを自由に扱えるようになる『バキュームブロック』をお礼にもらったクッパは、存分にその力を発揮しつつ、海岸の奥地にたどり着いた。 そこにあったのは、ゲッソーのような石像がのった『マリンパイプの像』。 クッパを城に帰したくないゲラコビッツによる改造が施されたその像は、彼を倒さんと襲い掛かる。 なんとか像を倒したクッパ(と、像を倒すために吸い込んだゲッソー像の相手をする羽目になったマリオ達)は、喉が渇いたので、像から出てきた大量の水をがぶ飲みする。 するとクッパの体内に水が貯まり、今までいけなかった場所にいけるようになった。 マリオらはクッパの体内を突き進む。 進んだ先に巨大な平ぺったい虫はいた。 クッパが炎をはくのを邪魔していた虫をマリオらが人知れず駆除してくれたおかげで炎がはけるようになったクッパは、 海岸をぬけ、広大な森に入る。 続く 350 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/22(木) 21 45 55.02 ID gUX0m/9p0 クッパが森の中を進んでいくと、大きな原っぱでマグナムキラー砲台とそれを運んでいた三人の部下に出会った。 彼らの話によれば、ゲラコビッツの配下により城が襲撃され、自分達はそのとき砲台をもって 命からがら逃げてきたという。マグナムキラーがあれば占領されたクッパ城に攻撃することも可能だろう。 と高笑いをあげるクッパだが…「肝心のマグナムキラーを忘れたというか…」 「バカモン~~~!!」 ってなわけでクッパは部下たちにどっかに落ちているであろうマグナムキラーを探すように命令するが、 体の中からの声改めチッピーに諭され渋々自分も探しにいくことに。 途中でゲラコビッツにより捕らえられていたクリボー軍団を味方につけ、クッパが行き着いた先は、 王家御用達の野菜が育つ農場。彼はそこにあった巨大ニンジンをマグナムキラー代わりにしよう とぶっこ抜いたところ、 農場の主であるハナチャンに「先祖代々育ててきたニンジンを抜いたからには食え」と命令されるわ、 食ったもののさらにクッパの態度にギガギレしたハナチャンに襲われるわと散々な目に遭うが、 今度は急に腹痛に襲われるという泣きっ面に蜂な事態に見舞われる。 マリオらが調べた結果、巨大ニンジンにくっ付いていたイモムシが体内で白血球的なものを食べ巨大化し、 暴れまわっていたのが原因だというのが判明した。それを倒し、元の大きさに戻すマリオ達。 さらに奥にあった神経に刺激を与えたところ、クッパの腕力が強化され、硬い岩をも砕けるようになった。 腹痛が治ったばかりか新たな技が使えるようになったことに大喜びなクッパは、 チッピーを自分の子分に勝手に任命しつつ(本人は全力で断ったが)、 ハナチャンからもらったマグナムキラー片手に部下達のもとへと向かう。 砲台の影でクッパの悪口大会をしていた部下達を黙らせ、クッパは砲台にマグナムキラーをセット。 自らの火で点火し、城へと発射する。 城に迫るキラーを確認したメタボスは、ゲラコビッツが城に仕込んだ秘密兵器を発動する… マグナムキラーを発射したものの、どうやら避けられてしまったらしい。しかも空が急に暗くなってきた。 突然の出来事に戸惑うクッパに、部下達は焦りながらこう伝える。 「「「クッパ様!! 上です!!」」」 彼の真上には、ジェット噴射で空中に浮かび上がるクッパ城。 それを確認する間も無く、彼は自らの城に潰されてしまうのだった。 終わり…ではない、続く。 351 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/22(木) 23 10 04.22 ID gUX0m/9p0 かろうじて息はあるものの、このままではクッパの命が危ない。 マリオたちは、 最後の望みを賭け反応があった場所に向かう。そこにあったのは、『アドレナリバー』という川のようなものと、 クッパの体内に棲む生命体が進化した『ヘモグロじん』の姿。 彼らの指示に従い、マリオたちはボードでアドレナリバーを渡りつつ、 光弾でそこを流れる『アドレナリン』を撃ち、クッパの体に注入。 すると… メタボスの指示も無しに突如浮かびだすクッパ城。いや、浮かんでいるのではない。 何か巨大なものに『持ち上げられて』いる。 メタボスは、城を持ち上げた『それ』をみて驚愕した。 そこにいたのは、たった今潰したはずのクッパ。しかも、城の全高に届かんばかりにデカイ。 必死の抵抗も空しく、クッパ城は巨大クッパによって中破し、撤退を強いられた。 その後、クッパは元の大きさにもどる。どうやら、巨大化は蘇生の反動による一時的なものらしい。 クッパは自らの力(本当はマリオたちの協力があってのものなのだが)に感心しつつ、改めてクッパ城へと急ぐ。 続く 352 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/23(金) 23 28 29.10 ID AN1SvMOK0 その後、クッパはクリボー軍団と同じく捕らえられていたヘイホー軍団を仲間に加え、城に到着。しかし、クッパ城はゲラコビッツによって彼好みに改装されており、部下たちも完全に洗脳されてしまっていた。 変わり果てた自らの城と部下の姿に怒りを隠せないクッパは、丁度始まったゲラコビッツによるコンサートに乗り込むことにするが、 彼が乗り込んだことは既にゲラコビッツに知られており、無理やり舞台に上がらされ、コンサートの余興としてメタボスとのヘビー級デスマッチを強いられる。 これまでの戦いで身に着けた甲羅による防御でメタボスののし掛かりを防ぎ、彼を倒して 見事リベンジを果たしたクッパ。 彼は城を返す前に是非勝利を祝いたいというゲラコビッツの希望により、 城にあるVIPルームに案内される。が、案の定それは罠。そこで彼の作った超高カロリー料理を 食べさせられまくった結果、クッパはブクブクに太ってしまい、床に嵌まって動けなくなってしまう。 チッピーに助けを求めるクッパだが、チッピーことイエロースターはそれを無視し、 マリオとルイージと共に貯まった脂肪によって行けるようになった場所へ行く。 マリオ達は、少し進んだ先複雑な迷宮の果てで怪物を撃破。 そのころ、床から抜け出そうと必死になっていたクッパに、床の下からゲラコビッツが謎の光線を当ててきた。 彼の目的を悟ったマリオ達にキノコ王国に封印された『禁断の黒き星』の伝説を語る。 【遥か昔、大地から一つのスターが掘り出された。 しかし、そのスター、『ダークスター』は 悪しき心の持ち主が手にすれば世界を暗黒に包み、支配できるほどの凄まじい暗黒の力を秘めていた。 その力を恐れたかつてのスターの精は、長い年月と多くの犠牲を払い、その力を封印し、 キノコ王国の地下に閉じ込めた…】 ゲラコビッツの目的は恐らく、『ダークスター』を手に入れ、その力の封印を解くこと。 その手中に収めたゲラコビッツは、今度は『ダークスター』を手に入れるべく、 クッパのためにダイエットマシーンを用意して去っていった。 光線を浴びせられた衝撃でそのダイエットマシーンの上に落っこちたクッパは、 動き出したそれにより無理やり走らされる。 その結果、彼の脂肪は文字通り燃え、元の体型を取り戻すことが出来た。 「ところで、ここはどこだ?」クッパが近くにあった看板を確認すると、どうやらここは火薬(ボム兵)庫らしい。 『火気厳禁!』としっかり書いてある。 と、そこでクッパは気づいた。 脂肪の燃焼によって自分の体中から火がでていることに。 しかし、気づいたときにはもう遅く、彼の近くにあったたくさんのボム兵に火がつき、大爆発を起こした。 続く 353 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/24(土) 23 02 52.11 ID OSz+Uh1c0 ボム兵の爆発に巻き込まれ、クッパが飛ばされたのはまたしても洞窟の中。 そこで彼は、自分の部下であるチョロプー兄弟が洞窟の壁にドリルタンクで穴を開けようとしている場面に遭遇する。 クッパの命令でクッパ城への抜け道となる地下トンネルを掘っていたらしい (本人はそんな命令をしたことなど忘れていた)が、土壌が硬くて難航している様子。 クッパはドリルタンクを押して穴掘りを手伝い、マリオ達が足の筋肉を刺激してくれたこともあって キノコタウンの地下までトンネルを貫通させることができた。 その後、地上に出ようとするが、、近くの部屋に入った瞬間警報が鳴り響き、周囲から電撃を浴びせられ、 気絶してしまう。「ねぇ!!どうしたの!!」イエロースターがいくら呼びかけても、クッパは反応しない。 仕方なく、マリオ達はその衝撃で行けるようになった場所にあるクッパが過去に吸い込んだ土管に入り、 彼の体内から脱出する。 土管の先はキノコタウンの地下。 やっとクッパの体内から出られた彼らだが、今は喜んでいる場合ではない。 ゲラコビッツはここにあるダークスターを奪おうとしている。ダークスターがある部屋へと急ぐマリオ達。 しかし、そこに着いた頃には時すでに遅く、ゲラコビッツはダークスターを手にしていた。 そして、自らの居城となったピーチ城に逃げ込んだ後、ダークスターの力を完全に 解放するまでの時間を稼ぐべく城とキノコタウンを結ぶ道を暗黒の力で作った隔壁で塞いでしまう。 ピーチ城へ続く唯一の道を断たれてしまったマリオ達は、一旦キノコタウンのショッピングモールで 体勢を立て直した後、キノコタウンの有名な医者兼占い師であるDr.コキノに隔壁を どうにかできないか訊くことにした。彼女の経営するクリニックで助手に病気のフリをして 彼女のいる診察室に向かうと、彼女は必死に水晶玉を睨んでいた。 助手曰く、Dr.コキノはこうやって患者の悪いところを見つけるらしい。 と、そのとき、Dr.コキノはマリオ達の体にいる悪いウイルスを発見したと言い出した。 マリオ達がダークスターをゲラコビッツから取り返そうとしているという情報をいつの間にか つかんでいたクッパは、先にそれらを手に入れるのは自分だと彼らに襲い掛かるが、 電撃のダメージが抜けきっていないため返り討ちにされた。 その後、マリオ達はDr.コキノに事情を説明し、どうにかできないか尋ねたが、 「無理でしょう!!!(ビシッ」と断言されてしまう。 しかし、隔壁を破壊する方法ならあるらしい。 三人の賢者が持っているとされる、あらゆる悪しきパワーをふきとばす三つの『スターワクチン』。 その全てを集めれば、ピーチ城への道を塞ぐガードを打ち破ることも、メタコロ病を治すこともできるらしい。 彼女の占いの結果、賢者の一人が森にいることが分かったところで、話を盗み聞きしていたクッパは、 マリオ達より先にワクチンを集めるべく去って行く。 その後、さらにその賢者がどんな容姿をしているのかが明らかになった。 水晶玉に映し出されたのは、何と森でクッパにニンジンと共に食べられ、 彼の腹の中で暴れまわっていたであのイモムシではないか。 確かにかつては森の中にいたが、今はクッパの体の中にいる。彼女の占いは外れまくりだ。 ともかく、賢者の居場所が分かったところで、マリオ達はワクチンをもらうために、 クッパの体内にまたしても入ることになるが… 続く 364 :マリオ&ルイージRPG3!!!:2012/03/26(月) 23 02 18.74 ID cA88Xm530 キノコタウンにあった土管からクッパの体内に侵入すると、いきなりそのイモムシにご対面。 早速ワクチンをもらおうとするが、イモムシはそんなマリオ達を無視し、 奥にあったブロックの隙間から奥に逃げ込んでしまう。 仕方が無いので、マリオ達はクッパの体内に何か変化がおこるのを待つことにした。 自分の探している賢者が自らの体内にいることなど露知らず、 クッパはDr.コキノの間違った占いを信じて森へと向かっていた。 途中、捕らえられていたノコノコ軍団を仲間に加え、 進んだ先には大きな湖があり、水面からプロペラのついた何かが突き出ているのを発見。 何なのか確認しようと近づいたところ、そこにあった花の花粉によって大きなクシャミをしてしまう。すると… 湖から何かが飛び出したかと思うとまたも急に空が暗くなってきた。 「前にもこんなことがあったような…」といやな予感を覚えるクッパ。 次の瞬間、彼はその何か…クシャミによるプロペラの回転で動力を得た巨大ロボットに踏み潰されてしまう。 マリオ達は前と同じようにクッパを蘇生。その反動で巨大化したクッパはそのロボットを徹底的にボコボコにした。 元の大きさに戻ったクッパは、動きを止めたそのロボットの中に入ってみる。 そこには、テレサが映し出された謎の装置の数々と一冊の本があった。 クッパがその本を開いてみると、そこから一人の男の幽霊が飛び出してきた。 『イビッキ』という名のその男は、生前はテレサの魅力に取り付かれ、その生態を研究していた科学者だったらしく。 自分が完成させた『テレサライトマシン』のテストをしてくれと頼んでくる。 このマシンはそれから発せられる光を対象に当てることでその体をスケスケにさせるというものだが。 その光によって体内のブロックが消滅し、イモムシが逃げ込んだ先に進めるようになっていた。 マリオ達は、改めてイモムシを追う。 長い追いかけっこの末、ついにイモムシを追い詰めるマリオ達。するとイモムシは、 何と「もお~~~~!!! あなた達とてもしつこいですぅ~!!」と喋りだした。 マリオ達はやっとコンタクトがとれたイモムシ改め『賢者イモーヌ』に事情を説明するが、 彼女は彼らが信用できないらしく、とりあってくれない。 それでも必死に頼むと、彼女はマリオ達がスターワクチンを持つに相応しいか確かめるため、 彼らに勝負を挑んできた。 相手を小さくしたりといった摩訶不思議な攻撃をしてくるイモーヌを何とか倒したマリオ達。 イモーヌはそんな彼らを認め、自分のもつスターワクチンをマリオに渡し、 「もう私を追いかけるのは止めて頂戴ね…」と去っていった。 さらに、進んだ先にあった神経をマリオ達が刺激したことで、 クッパは新たな技、『ボディアタック』を使えるようになった。 その力で新たな道を切り開き、森へと向かうクッパだが… 続く
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【初出】 禁書SS自作スレ>>365-369 みんなに紹介するから、と言って歩き出した言祝の後ろを、上条とサーシャは頭が回ってない状態のままついていく。軽く校内を案内するつもりもあるようで、言祝は何かある毎に立ち止まってサーシャに話しかけていた。その間、他校の制服を着た金髪美少女であるサーシャは少々どころかかなり目立ったが、横に上条がいるとわかると一転、「まあ上条だしな」という空気ができ追求されることはなかった。同学年だけでなく上級生まで同じ反応を示したのは、きっと年代の壁を越えて一致団結していることの証しだろう。幸か不幸か教師の誰かと鉢合わせすることもなく、三人は無事にある教室の前にたどり着いた。 「――って、一年七組(おれたち)の教室じゃねーか」 「そ。やっぱり持つべきものは身近な友達よねー。みんな快く承知してくれたのですよ」 「……、」 つまり被害は身内に限定されていたということか。安心すべきなのかどうなのか、上条は判断に迷う。 「でもさー言祝。今さらだけど、本気でサーシャにシンデレラやらせるつもりなのか? ウチの生徒でもない人間が主役を張るのはまずいと思うんだけど」 「何とでもなるって」 「どこから来るんだその自信! いくら監督でも出来ることと出来ないことがあるでしょーが! そしてサーシャ! お前がなんにも言わないから勝手にどんどこ話が進んでんだぞ!? いいのかそんな流されるままの人生で!」 上条は一歩下がった場所でぼーっとしている赤シスターを怒鳴りつけた。 手提げをぶらぶらさせていたサーシャはほんの少し考えるそぶりを見せ、 「確認一。私はトーマたちの演劇に役者として勧誘されていると判断してよいか」 「そうだけども、それは中庭にいるときに言っておくべきだった台詞だぞ」 なら、とサーシャは言祝の方を向いて、 「私見一。興味はある。私にできることであるなら参加してみたい」 「な――」 「そーこなくちゃ! 簡単ではないかもしれないけど、あなたなら大丈夫! 私に任せてくれれば一週間で素敵なお姫様にしてあげるわ!」 何故、という言葉は興奮した言祝の叫びにかき消されてしまったのだけど―― (『灰姫症候(シンデレラシンドローム)』のことはどーなるんだ?) 上条は思う。 『灰姫症候』 人から人へさまよう魔術、『零時迷子(ヌーンインデペンデンス)』を元に組み立てられたらしい新種の術式。 本来なら数回の移動でイメージが保てなくなり崩壊するはずの『零時迷子』を、誰もが知っている“とある物語”を媒介にすることで半永続化させたものらしい。 誰が、何の目的で作った魔術かはわからない。しかし問題なのは、それが今も学園都市の誰かの中に存在するということだ。 しかも魔術師の手に渡ってしまえば、容易に伝染病のような効果に変更して再放流することができるという。 そのような事態を未然に防ぐために、そして原因を究明するためにロシア成教とイギリス清教の両方から勅命を受けてやってきたのが彼女、サーシャ=クロイツェフである…………はずなのだが。 (これじゃあ、本当にただの学生活動じゃねーか) だんだん不安になってくる苦労人上条である。 それに気づいたのか、赤シスターは熱く語り続ける言祝から離れ、背伸びをして上条の耳元に口を寄せた。 「(説明一。問題はない。これは全て『灰姫症候』捜索のために必要なこと)」 「(はい? そう言われましても無学な上条さんにはアナタが学校生活をエンジョイしようとしているとしか見えないのですが)」 「(補足一。演目が『シンデレラ』だから。演劇を通して『灰姫症候』を誘い出せる可能性がある)」 「(……どゆこと?)」 いつまでも背伸びをさせておくのは申し訳ないので中腰になる。 「(補足二。『灰姫症候』は“童話『シンデレラ』に関する知識”をイメージの基盤に置くことで、素人の中でも構成が崩れないようにしたもの。ならば“『シンデレラ』という物語のイメージを操れれば、『灰姫症候』に干渉することができるのではないか”というのがインデックスのアイデア。問題はその手段だったのだが……演劇というのは存外に最適だったかもしれない。トーマに会いに来て幸運だった)」 「(うわー生まれて初めてかもしれないそんなこと言われたの。でもさ、それだと劇を見に来た人にしか効果なくないか? 捜索範囲は学園都市全域なんだろ?)」 「(解答一。元より『灰姫症候』の捜索メンバーは私だけではない。ブラザー土御門もそうであるし、他にも数名が何らかの手段で学園都市に入っているはず。私の役割はインデックスと共に捜索することであるから、彼女の知識から導き出された計画を実行することに問題はないと思うのだが)」 上条は身を起こし腕を組む。 言っていることはわかる。わかるんだけど………… 「おーいー? そろそろ入るよー?」 ドアの取っ手に手をかけた言祝が、首だけひねって呼んでくる。サーシャは上条より先に歩き出した。 「解答二。了解した」 「おもしろいしゃべりかただねーサーシャちゃん。かみやんくんと何ひそひそ話してたの?」 「解答三。大したことではない。今日の夕食の献立について」 「なんか深く考えるすごい意味になりそうな……そう言えば『トーマ』なんて下の名前で呼んでるくらいだもんねぇ?」 「私見二。友人がそう呼んでいるのでそれに倣っているだけなのだが」 「ほほう。三角関係というわけなのですね」 微妙な塩梅(あんばい)でかみ合っていない会話を続ける天然赤シスターとお気楽腹黒監督に置いてきぼりにされそうな上条だったが、 そんなことはどうでもいいくらい、気になっていることが一つあった。 (…………自分で気づいてんのかね。さっきの説明、妙に押しが強かったぞ) 上条は小さく“笑う”。 詰まる所、シンデレラ劇が『灰姫症候』の捜索に好都合だったとしても、実際に参加してまでどうこうするほどのものでもないはずだ。練習という手間暇、共演者という重荷、そんなものをわざわざ抱え込むメリットなんてない。 ないはずだ――魔術師には。 上条は思う。 拷問道具標準装備で、表情が読みづらい彼女だけど、好きなものややりたいことだってきっとあるのだろう。 比較的年齢の近い集団に飛び込んだことがきっかけで、そういった欲求が顔をだしたとしても不思議はない。 しかもそれがシンデレラをやってみたいってことだなんて――なんとも可愛らしいわがままじゃないか。 (ま、ちょっとは仕事の選り好みしたって罰は当たんねぇだろ。不都合が出るなら、その分は土御門にでも回しゃいい。一端覧祭は学生が楽しむためのイベントですってな。せっかく制服を着てるんだから、サーシャも楽しめばいいんだ) うんうん、とまるで父親か教師みたいに妙に嬉しい気持ちで微笑する上条当麻。 ――――――――――――――――――――――――その微笑が凍りつくまで0,5秒。 「「………………………………………………………………(怒)」」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。 言祝が開けたドアの向こう。スタンド使いも真っ青な闘気を無差別に撒き散らしている吹寄制理(おうじさま)と姫神秋沙(まほうつかい)がいらっしゃいました。 ◇ ◇ さて、三分後。 問答無用、とばかりに上条当麻は教室の中央に正座させられていた。その周りを五人の人間が囲んでいる。完全包囲というやつだった。 上条はおそるおそる口を開く。 「…………あの。客観的に常識的に考えてワタクシめも被害者の一人であるというのにこの扱いはなんなのでせう?」 「黙りなさい上条当麻。全ての責任が貴様にあることは明らかよだからそのまま日が暮れるまで反省していること」 一人目。吹寄制理が恐ろしく冷たく言い切った。教卓に立ち、まるで裁判官のように上条を見下ろしている。開廷直後に下された実刑判決に「被告人」上条は猛反発した。 「だって! 演劇の役者が足りなくなったのもそれで吹寄たちが強引に引っ張りこまれたのも俺のせいじゃねーでしょ!? こうなったら腹をくくってみんなでオスカー目指そうぜ!」 「とても良い言葉なのだけど。君は大きな勘違いをしている」 上条から見て左、のんびりした声に少量の怒気を含ませているのは二人目、姫神秋沙だった。座っている机と椅子を横向きにして上条に向けている。どうやら彼女の役割は「判事」らしい。 「どゆこった? 姫神」 「私達は。演劇をすることに不満があるわけではない。というか。むしろそれ自体は望むところ」 大覇星祭の時の負傷から完全回復したばかりの黒髪の巫女さんは、かねてからの憧れであった「魔法使い」にたとえ劇の役だとしてもなれることを喜んでいるようだった。 教卓の吹寄はちょっぴり口を尖らせて、 「……私はそうでもないんだけど。栞がどうしてもって言うから仕方なく」 「そやねー。吹寄さんは優しいお人やもんねー。でもボク思うんやけど、やっぱ吹寄やったら王子様より継母の方が性格的にぐばっ!?」 姫神の隣にいる三人目が超高速で投擲されたチョークを眉間に喰らい悲鳴を上げる。「判事側の証人」青髪ピアスは奈良の大仏みたいになったおでこをさすった。 「被告人」は何がなんだかさっぱりだ。 「あのさー。本気でわかんないんだけど、結局お前らは何で怒ってるわけ?」 「んーとやねー。手っ取り早く言うと」 青髪ピアスが手を挙げ、吹寄と姫神もそれに続き、三人で同じ一点を指差す。 異口同音に告げる言葉は、 「「「その子誰(やねん)ってこと」」」 彼らの示した先、上条から見て右方にいるのは、 「………………、」 何故自分が注目されているのか全くわかってない様子の「弁護士」サーシャ・クロイツェフだった。 その隣には「弁護士側の証人」言祝栞がニマニマしながら座っている。 あー、と上条は右手で顔を覆い、 「えーとこの人はですね、俺の知り合いの子で、たまたまウチの学校に見学に来てたところを言祝がスカウトしちまって」 「知り合いと認めたね。そうなるまでにどのような経緯があったのやら。裁判長。被告に無期懲役を求刑します」 「といいますかカミやん。ボクのいないところでロリ金髪しかも工具常備の大工さん属性持ち美少女とお知り合いになってるってどういうこと!? 裁判長! 無期懲役なんて甘っちょろいこと言っとらんとここは古式ゆかしい断頭台(ギロチン)の復活を提案いたします!!」 「妥当なところね。大道具とかけあってみましょう」 「なんだそのスピード裁判!? 判事と裁判長がグルって最悪じゃねーか! こんな司法取引も探偵パートもない裁判なんて認められません! せめて弁護側にも発言させてくださいな!」 最初は無視していたが、あまりに「被告人」がわめき続けたため、「裁判長」はいかにも渋々といった様子で、 「しょうがないわね。……サーシャ=クロイツェフさん、といったかしら。昨日も会った気がするんだけど」 「解答一。私も貴女のことは記憶している。それと、私のことはサーシャでいい」 「……どうも」 サーシャのしゃべり方に慣れないのか――あるいは性格にか――、吹寄はわずかに怯んでいた。が、すぐに真剣な顔に戻り、 「それで、肝心なことを聞くけど。――――本当に上条当麻に何もされてない?」 「おい吹寄!? それ全然関係ないだろってごっ!?」 裁判長の許可なく発言するなと言わんばかりの超速チョークが上条に炸裂し、沈黙させた。 サーシャはその様子をぼんやりと見ていたが、やがて何事もなかったかのように、 「解答二。協力は色々してもらっている。危険なことは今のところない」 「裁判長。この二人は今夜一緒に夕食を食べるそうでーす」 「言祝てめどばっ!?」 復活直後に再び撃沈。 「カーミやーん……」「上条君……」「上条……」 法廷(きょうしつ)の空気が一層凶悪なものに変わる。それはもうDIOの館くらいに。 青髪ピアスは殺意に満ちた目でにらんでくるし、姫神はなんだか嫉妬めいた瞳を向けてくるし、吹寄はそのどちらとも言えないような視線を突き刺してくる。 (うう。どうにもこうにもならん……不幸だー) 味方であったはずの「弁護士側の証人」にも裏切られ、もはや救いなしいっそこのまま楽にしてー! と叫びかけた上条当麻だったが、それを静かな声が制した。 「――提案一。この状況が私の存在によるものならば、私は演劇活動への参加表明を取り消す」 「…………え?」 突如立ち上がった「弁護士」の発言が。 呆気に取られた声を出したのは吹寄制理。しかし他の人間も彼女と全く同じ心境だった。 もちろん上条も。 「サーシャ……?」 「ちょ、ちょっと待ちなさいサーシャさ――サーシャ。あなたはそこの横暴監督とセクハラ少年に無理やり連れてこられたんじゃないの?」 せーちゃんひどーい、と口を突き出した言祝を、サーシャはちらりと見て、 「解答三。誘われたのは確か。しかし、私は自分の意思で参加を決めた。興味があったから。けれども、それが学友同士で仲違いする原因になるのなら、退くべきなのは私であると思う」 「…………う……」 吹寄が、なんとも苦い物を飲み込んだような顔になる。 それはそうだ。年下の女の子にリアルで「私のために争わないで」と言われてしまったのだから。 しかも、 「………………………………………………………………、」 口では止めると言っているサーシャの顔は、「本当はとってもとってもやりたいんです」と無言で訴えていた。そしてそれを、迷惑をかけて申し訳ないという思いで押し潰しているのまで見て取れる。 恐らく、いや確実に彼女は気づいていないだろう。自分がそんな表情をしていることを。貼り付けたような無表情を保てていると思ってるに違いない。 そして吹寄裁判長は、そんな一少女の不器用な願いを無下にできるほど非人情派ではなかった。 「あの……サーシャ? なんと言うかこれは、上条の日頃の行いのせいであって、決してあなたが悪いわけじゃないのよ?」 そうだそうだと相槌を打つ検事側。特に青髪ピアスは今にも奇声を上げてサーシャに抱きつきかねない勢いである。彼女の属性に不器用属性が加わった結果らしい。 「――だけど」 吹寄は顔を曇らせ、 「実際問題、サーシャを演劇班に迎え入れるのは難しいと思う。いくら監督のお墨付きっていっても、この学校のメインイベントの主役に他校の生徒をいきなり抜擢したら絶対に内外から反感を買うわ」 それでも冷静に物事を捉えてしまう辺り、彼女は良くも悪くも優秀な運営委員だった。 本当はこんなこと言いたくないのだろうが、役割を持つ者の責任として、吹寄は現実を突きつける。 「しかもあなたの着てる制服(それ)、近所の中学校のじゃない。ということはまだ十三か四、でしょ? 年齢(とし)も足りてないんじゃ、転入生ってゴリ押しすることもできない」 「――――だったら、新入生ならどう?」 ス、っと。 その声は豆腐に包丁を差し込むように全員の耳に入った。 視線が集まる。 声の主――「弁護士側の証人」は自信たっぷりに腕を組み足を絡め、 「この高校に進学を希望している生徒から一人、特別ゲストとして舞台に上がってもらうことにしました。選ばれた子はとても可愛らしい外国人の女の子でした。その子がシンデレラの役をやりたいと言うので、優しい先輩達は快く譲ってあげることにしました……とこういう筋書きよ。これならサーシャちゃんが堂々と主役やれる上に、ウチの高校の宣伝とイメージアップにもなる。一石二鳥なのですよ」 ニカッ、と笑った。 上条達は、戸惑うような感心するような、不思議な気持ちでその笑みを見た。 言葉も出ない。 まるで運命が配役(キャスト)を決めているかのように、不利な点さえも利用してステージを完成させていくその知略。 妥協なく、恐怖なく、目的達成のためにあらゆる手段を尽くすその度胸。 これが“監督”。 言祝栞。 「……でも。校外への言い訳はそれでいいとして。校内への対応はどうするの? 一年の独断で。そんなことしたら色々面倒なことになりそうだけど」 いち早く脳に血が流れ出したらしい姫神が尋ねた。 しかし言祝は困った様子も見せず、 「そっちのが簡単よ。というかもう終わってるし」 「終わってる。とは?」 「教室(ここ)に来る前に、私と、サーシャちゃんと、かみやんくんとで校内をあちこち練り歩いといたの。みんなならこの意味、わかるよね?」 吹寄と姫神と青髪ピアスが、あっ……となる。 そうだ。たとえどれだけ不可解なことが校内で起こったとしても、 それが可愛い女の子に関することで、 その隣に、とある少年がいたというのなら、 「「「何があったとしても上条(上条君)(カミやん)のせいにできる…………!!」」」 がばっと復活。 「待ったらんかーい!! いくらなんでもそりゃねーだろ!? とどのつまり俺を生贄に捧げてサーシャシンデレラを召喚するぜってことじゃねーか! こんな扱い俺の親父が知ったら今度こそ天使が降臨しちゃいますよ!? つーかてめーら三人さっきから息が揃いすぎなんだよ! トリオか、トリオなのか!?」 「流石ね栞。そんな巧妙な作戦思いつきもしなかったわ」 「にはは。このくらいお茶の子さいさいなのですよ」 「いやーでもやっぱりボクらの言祝監督やね」 「今年の名誉監督賞は。あなたのものに決まり」 「聞いてない! 聞いてらっしゃらない!! チョークすら飛んでこない!! これがスルーか、レールガンノミコト様の祟りなのか!? サーシャ弁護士! もうあなただけが頼り……って何を両手で胸を抱いてうっとりしてますかアナタ! そんなにシンデレラやりたかったんかい! そしてそのまま言祝達の輪の中へ行っちゃうの!? 待って、その『素敵な先輩後輩の図』に俺も混ぜてーーっ!!」 結局、上条の意見は何一つ通ることのないままその日の打ち合わせは終わり、 言祝栞から吹寄制理経由で運営委員に配役変更の旨が伝えられることになった。 「シンデレラ役 サーシャ=クロイツェフ(特別出演)」 提出された文書の最上段にはそんな文章が書かれていた。 Back Next
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このSSはぺにまむ表現を含みます 一部東方キャラが出演します OKな方は戻らないでどうぞ ここ最近、私は山によく出掛ける 山に住む河童から私が商いをしている店に注文があったからだ 河童の方々は上客であるため直接出向き商品を納品することにしている そんなことが何回か続き山の妖怪達からも顔を覚えられるようになった 天狗に出くわしても会釈を交わす程度にはなり、山道では特に危険もなくなり 安心して商売に精を出していた 数ヶ月経ったある日山にもゆっくりが出るようになった 最初に私がよく出会ったのはゆっくりれいむだった 「ゆっくりしていってね!」 と、特有の挨拶をしてくるナマモノ饅頭 私は別に族に言う虐待お兄さんでもない かといって愛でお兄さんでもないので特に何もしない 気まぐれに何かくれてやることがあったがあったがそれとてお菓子ではなく 精々食べかけの私の食事だ 野生のゆっくりに人間の食事を与えると野生の食事が取れなくなると聞いたので なるべく野菜のカスを与えていた それから1ヶ月が立った 河童からの注文を受け私は商品を受け渡しに山へと赴いた 「ゆっくりしていってね!」 ちょうど山道を登り始めて5分ほどしたころに一匹のゆっくりと出会った 金色の髪、そして頭のカチューシャ ゆっくりありすだ 「とかいはなありすになにかたべものをもってきてね!」 食べ物を要求するゆっくりは数多い が、丁度この日は何も持っていなかったためゆっくりありすを素通りした その後も 「とかいはのありすをむしするなんて〜〜!!」 「じいい〜〜!」 とか叫んでいたようだが聞こえないふりをした そうこうしてるうちに受け渡しの場所に到着し、河童に商品を渡す そして、その代金を受け取り世間話をする 河童というのは人間を盟友と思っているらしくとても友好的であった 今では私も友人のように話をしている やれ、天狗の新聞大会がどうとか、神社ができただの、本当に他愛もない話だった 当然ゆっくりも話題に上る 「最近はゆっくりの中でもありす種が多くなってきた」 と、河童は餡子の饅頭が好きだったのになぁとぼやき始めた 「ゆっくりって全部餡子じゃないのか?」 「いやぁ、ゆっくりは種類によって中身が変わるんだ」 河童は丁寧にも私に説明してくれた。なんと、ゆっくりを使って 「「「ゆっくりしていってね!」」」 差し出されたのはれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇん 河童はまずれいむを持ち上げる 「知っての通りゆっくりれいむだ。こいつはな…」 そう言うと河童は器用にもゆっくりれいむを縦に引き裂いた 河童は人間よりも力があるためれいむは自分が死んだことに気付かぬままに死んでしまった 「でいぶぅぅぅぅう!!!」 「むぎゅうううう!!!」 「ぢーんぼ!」 「わがらないよー!」 河童が作ったケージに閉じこめられたゆっくりが口々に目の前で引き裂かれた れいむを見て悲鳴を上げる 私は精神衛生上よくないのでは?と訪ねてみた すると、ゆっくりは恐怖や絶望を味わうと甘くなるなどと言う 一体どんな構造をしているのだ 「ほら、こしあんだ」 ちぎったれいむの半身を差し出し河童はそれに口を付ける お茶まで用意されているということはどうやらそういうことらしい 試しにと私もそのれいむを食べてみた 「これは…!」 「な?美味いだろ?」 甘さ控えめ、あっさりとした餡子 皮ともベストマッチしたこの饅頭 こんなものは里でも食べたことはない 「で、まりさはつぶあんなんだ」 河童はさらにゆっくりまりさを縦に引き裂いていく しかし、今度は先ほどと違いとてもスロー、つまりゆっくりしている 「やべでええ!!ばりざがふたつになっぢゃうううう!!!」 「おいおい、ゆっくりしたいんじゃないのか?」 「ゆっくりじだいでずうううう!!!」 「いいぜ、あの世でゆっくりしな」 「いやああああ!」 まりさに深い絶望を与えて河童はまりさを引き裂いた そしてこのまりさはとても甘く、また別の美味しさを持っていた どうやら絶望を与えると甘みを増すというのは本当のようだ その後もぱちゅりーから生クリーム、ありすからはカスタードクリーム みょんからホワイトチョコクリームと数種類の甘味を味わった そしてケージの中では最後の一匹となったちぇんが失禁しガタガタと震えている 「わがらないよー!」 「もしかしてこいつはチョコ?」 「察しが良いな、その通りだ」 河童はケージからちぇんを取り出すと頭をなで始めた 「が、こいつは俺のペットなのだ」 ちぇんをあやしながら河童は自慢気な顔をする そう言われるとこのゆっくりならペットにしてもいい気がしてくるから不思議だ 河童はちぇんに「れいむ達は悪いゆっくりだからこうなった」と説明した ちぇんも渋々納得したようで「悪いことはしないよー」と言ってどこかに行ってしまった 遊びに行ったのだろうか 「おっと、山に出られないようにしておかないとな…そうじゃないとありすに…」 「ありすに?」 思わずインコのように聞き返した 野生の動物に飼っているペットが襲われる話はあるが ゆっくり同士でもあるのだろうか? 「あぁ、あんたは知らなかったのか」 ゆっくりに性別はなく、雌雄同体に近いらしい そのため交尾となれば雄役と雌役に分かれる しかし、そのため強制的に交尾を迫り好き勝手に繁殖するありすがいるというのだ れいぱーありすと呼ばれるありすは相手を雌役とし自分の生殖器を使い、ゆっくりをレイプする レイプされた方の個体には頭から茎が生えて子どもが実る 母体となったゆっくりは子どもを作る過程で体内の餡子を茎に持っていかれるため 十分に成長しないと死に至ってしまう 最近になってありす種が激増した原因はそのれいぱーと呼ばれる個体のせいらしい 特にまりさ種を好んで襲うらしい 「俺のちぇんまでそんなのに襲われたら困るからな。ちょっと見てくる」 河童は説明を終えるとちぇんを追いかけていった 私も店に戻るためにその場を後にした 帰り道、ゆっくりを見かけたがどれもありすだった もう一度言うが私は虐待派でも愛で派ではない そのため、特に気にもとめずに店へと戻った 一週間後、里ではれいぱーありすの話題で持ちきりとなった 遂に妖怪の山ではれいぱーありす以外を見かけることが少なくなった 天狗の新聞にはゆっくりは他の場所へ逃げたか隠れ住んでいると書いてあったがどうなのであろうか これが話題になったのは里の飼いゆっくりが襲われるようになったからだ 寺子屋の慧音さんの元へと相談に行く人もでるようになり騒然となった そうして里ではゆっくり駆除についての案を募集していた 人海戦術を行おうにも山は広大である 薬剤の散布は木々に影響を及ぼすために却下され、お手上げ状態となり 誰か良い案は無いか、ということになってしまった 私の店の常連客も時々何か案はないかと話していた 飼いゆっくりを殺されて怒り心頭の様子 私にまで案はないかとたずねてくるのだから 「そうですね…」 意外なことに私にはアイディアが閃いた しかし、この方法は私1人では実行できず、恐らく竹林に住む者の力を借りることになるだろう 慧音さんに話と意外なことに既に向こう側から協力の要請が来ていたらしい どうやら研究に必要だとか こうして、永遠亭の強力を得て私の案が実行されることになった 妖怪の山ではれいぱーありすの横行によってありす種が山のゆっくりの半分以上を占めるようになった そんな中一匹のありすがいた このありすもれいぱーである 流れるような美しい髪、艶やかな肌、お気に入りのカチューシャを付けた自分は山一番の美ゆっくりだと思いこんでいる そして当然目に映るもの全てがれいぱーフィルターを通される れいむが美味しそうなものを集めていればそれは自分のためだと思いこみ また、まりさがいればそれは自分を誘っているものだと思いこむ できた子どもはレイプしたゆっくりが1人で育てるのが当たり前で美しい自分の遺伝子を持ったゆっくりを一匹でも多く増やすのが 自分の使命だと考えている 西にぱちゅりーがいると聞けば行ってにんっしんっさせ、東にちぇんがいると聞けばにんっしんっさせる。 そんな毎日が続いていた その日、ありすはいつものように目を覚ました しかし、そこは木の下に作られた巣であり、自分の都会派な巣ではない が、ありすはレイプしたゆっくりの家を乗っ取ることが多かったので特に気にしなかった 「きょうもぷりちーなありすのこどもふやしにいくわ!」 ありすは日課であるゆっくり探しを行う れいぱー種に怯える他のゆっくりは隠れて生活している または徒党を組んだりドスに守られているため1人ではとても近づけない 現在、この山の群はありす種を問答無用で殺すことによって辛うじて存続を図っている そこでありすは考えた まりさが自分の気を引くために送ってきた(そう思いこんでいるだけで実際はレイプする際に奪った)帽子を被る これにより他のゆっくりはありすのことをまりさだと認識してしまう 髪飾りによる識別を逆手に取った手段だった これにちょっと演技を加えるだけでゆっくり達はダマされてありすを巣に呼び込んでしまう そうして今日もまた犠牲ゆっくりが 「ゆゆ?まりさはひとりなの?ひとりだとありすがくるからまりさのいえにおいでよ!」 「ありがとう!まりさはとってもゆっくりできるゆっくりだね!」 まりさはこのありすを1人はぐれたまりさだと思いこんだ 仲間を救うために自らの巣に招き入れるのだ 例えれいぱーが来ようとも徒党を組めば対抗できるためである (ゆゆ、まりさはつんでれすぎてありすはこまっちゃうわ!) ありすは木の下に上手く枯木と落ち葉で隠された巣まで案内された それは人間の目から見ても中々上手く偽装されている巣であり野生のゆっくりが見つけるのは到底困難なほどだ (ありすのためにこんなおうちをよういしてるなんて…まりさったらとかいはね!) 「はやくはいってね!ありすにみつかっちゃうよ!」 「ゆっくりいそいではいるね♪」 ありすが巣にはいるとまりさは急いで巣の偽装を開始する 元々地形的にも優位性があるためさほど時間はかからない そして偽装を終えたまりさが戻ってきたとき、ありすは反抗に及んだ 丁度このまりさは1人だったのだ 運悪く他の仲間は狩りに出掛けていた 普段ならゆっくり4匹が共同生活を送っているため一匹だけなら何の問題もないのだがまりさ一匹ではれいぱーありすを押しのけることもできない 「まりさ!すりすりしすぎだよ!まりさたちにはすっきりしてるよゆうはないんだよ!!」 「す〜りす〜り♪」 まりさから見れば敬愛の証のすりすりもありすにしてみればただの前戯 まりさをその気にさせているのである 「ゆゆゆ!だめなんだよ!あかちゃんができてもありすが!!」 「まりさあああ!!!」 まりさがその気になったと思ったありすはここで帽子を脱ぐ 「ゆ!?ありずぅぅぅぅう!!!?」 帽子の下から現れたカチューシャを見てまりさは驚いた 急にまりさがありすになったのだ 帽子を脱いだだけだがまりさがそれに気付く間もなくありすは襲いかかる 「まりさもあかちゃんがほしいのねええええ!!」 「やべでええええ!!!まりざにはでいぶがあああ!!!」 このまりさには将来を誓ったれいむがいた そのれいむは狩りと歌が上手な美ゆっくりでありすの危険が去ったら結婚しようと約束していた だが、ありすの攻めによりまりさは強制的に発情させられてしまい、体中から粘液を分泌している ありすからも粘液が分泌され互いの粘液が混ざり出す 「まりさのまむまむきちきちできもちいいわああああ!!!!!」 「いやあああああああああああああ!!!!!」 まりさがどんなに力を掛けても覆い被さるありすは離れない その醜悪なぺにぺにでまりさを犯している 「むほおぉぉぉぉぉ!!!!!」 「だべええええええ”!!!!」 「「すっきりー!」」 ぺにぺにから精子餡を出し切るとありすはようやく勃起したぺにぺにを引き抜く 対するまりさは大粒の涙を流しながらピクピクと震えている 「でいぶぅぅぅ…ばりざよごれぢゃっだよぉぉ…」 「せかいいちうつくしいとかいはなありすのこどもがうめてまりさはしあわせね!」 まりさの頭から茎が生えて子供が出来ていく 幸いまりさが黒ずんで死ぬことはなかった そうして一匹目の子どもが出来た 「ゆっくち〜」 まりさ種であり、まだ赤ゆっくりになりきっていないため上手く言葉が話せない そして二匹目が実る またまりさ種である 「かわいいありすのこどもね♪つぎはありすができてね!」 ありすはまりさの茎に実る子どもを見つめる そうして三匹目 「きたわ!ありすのこどもね!」 「ゆ〜…」 だが、実ったのはなんとれいむ種だ 「ゆ?どうしてありすじゃなくてれいむなの?」 ありすははてなまーくを浮かべながらまだ実ったばかりのれいむを見定める まりさとありすの子どもなのだかられいむが出来るはずはない 「まりさったらうわきしてたのね!でもいいわ、とかいははこころがひろいのよ」 勝手なことを口走りありすは4匹目を待つ 残るはあと2つ 4匹目と5匹目が同時に実った だが、二匹ともれいむ種だった 「どぼじでありすができないのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 まりさからは5匹の子どもが産まれ内訳はまりさ2匹にれいむ3匹である 自分と同じありすが産まれなかったことに激怒したありすはまりさに体当たりする しかしまりさはそんなことなど気にとめずに自分に実った子ども達を見やる 「ゆゆ…まりさと…れいむだよおぉぉぉぉ!!」 まりさは不幸のどん底から一転幸せの絶頂を迎えていた れいぱーありすの子どもではなくれいむの子どもが出来たのだ 難しいことは分からなくてもありすの子どもが出来なかった上にれいむ種の子どもを授かったことで幸せ一杯だ 「ふん!まりさみたいないなかものにはれいむがおにあいだわ!」 ありすは帽子を拾いまりさに罵倒を浴びせながら巣を後にした ありすは不機嫌だった まりさは浮気をしていて自分ではなくれいむの子どもを実らせた すっきり出来たもののその一点だけがどうしようもなく不快だった 「つぎはもっととかいはなゆっくりにするわ!」 ぽよんぽよんとありすが山道を登っていると目の前には一匹のちぇんが 「まりさだねーわかるよー」 「ゆっくりしていってね!」 と、礼儀正しく普通のゆっくりの振りをする だが、ちぇんが気をそらした瞬間襲いかかる 「むほぉぉぉぉ!!ねこみみのちぇんもかわいいわああああ!!」 もはや帽子を取るどころではなく、一刻も早く自分の子どもを作るが優先された結果だ 「わがらないよー!まりざあああ!!!!」 ありすのギンギンにたぎるぺにぺにがちぇんを犯していきあっと言う間に絶頂に達する 「「すっきりー!」」 ありすは激しく体を動かしたために帽子が落ちていた れいぱーと気付いたちぇんだったが既に茎が生えているため動く動けない 「ゆっくりはやくかわいいありすのこどもをうんでね!」 「わからないよー…」 そうしてちぇんも子どもを実らせる だが、産まれてきたのはちぇんとれいむだった 「まだでいぶぅぅぅぅぅ!!!」 「わきゃるよおお!!とってもゆっくりしたちぇんとれいむだよおおお!!」 ちぇんはうれし涙を、ありすは悔しさや憎しみの篭もった涙を流す 「でいぶうううう!!!ありずのじゃばをずるのねえええええ!!!」 ありすはちぇんには目もくれずに叫びながら走り出した その後もありすは見かけたゆっくりを全て犯していた だが、産まれる子どもは全て犯した相手とれいむ ありすは一匹も生まれない 「どぼじでえええ!どぼじでありずがうばれないのおぉぉぉぉ!!!!」 発狂したありすは暴れ狂いながら走り続け、ついには大きな石に頭をぶつけて気絶してしまった 同じ頃、他のありすにも同様の症状が現れていた 「なんでありすじゃなくてみょんがうばでどぅのぉぉぉぉ!!!!」 「ばりざじがうばでないいいいいい!!!!!」 「ちぇんん!!!!なんでちぇんとぱちゅりーなのおおおおお!!!」 「ぱちゅりーとでいぶじがあがががああああ!!!」 「ぱちゅりーがばりざをねどっだのでえええええ!!!!!」 全くありすが産まれない 産まれるのは相手と自分ではないゆっくり ありす達は次々に発狂していった そしてそれを遠くから眺める女性が二人 一人は上白沢慧音、もう一人は 「上手くいったみたいね」 八意永琳である 彼女はありす達の様子に非常に満足しているようだ 「私から話を持ちかけておいてなんだが、少々むごいな…」 慧音は発狂するありす達をどこか憐れみを含んだ目で見つめる 「しかし、これも自業自得だ…おまえたちも反省するといい」 「そんなのする暇ないわ。これからありすは大幅に減るんだから」 永琳が指をぱちんとならすとどこからかてゐが現れてありすを袋に詰め込んでいく 袋が一杯になると他の兎たちがそれを永遠亭まで運ぶ 「けど、これを考えたの里の人間でしょう?なかなか見所のある人間じゃない」 今回の案は永琳ではなくある男がもたらしたものだ それは、ゆっくりが繁殖を行う際にありすが産まれないようにすること 具体的には繁殖時には体内の餡子を精子餡に変換してぺにぺにから射精する そこでその変換の過程でありすのカスタードから別のゆっくりの生クリームやらチョコに変わるように体をいじったのだ 山に睡眠薬を撒きありすが眠ったところを鈴仙に捕まえさせ処置を行う そうして全て元いた場所に戻されもともと無頓着なありすは何も考えずにれいぷを行う 結果、自分の子どもは一匹も生まれない 「何か小説で読んだ話だといっていたが…人間だったら殺されてもおかしくないぞ」 「あら、それはnice boat.な意味で?」 「………」 慧音の元に提案した男は小説の話をヒントに思いついたと言っていた 一件温厚そうに見える男があの様なことを思いつくとは恐ろしいと感じていた 「さて、それじゃまた次のありすを捕まえるわよ」 計画は妖怪の山を12区画に区切って行われる つまり、これと同じ事をあと11回 大々的な作業のためカラスや河童も協力をしているほど人手がいる この様な方法をわざわざ取るのは里の人間はありす以外からは実害を被って折らず まだ慣用的であったからだ それともナマモノとは言え全滅させることに引け目を感じたのか、ありす以外は残ってもよい、と決議された その様な背景もありわざわざ手間の掛かる方法を取ってある だがしかし、半分は永琳の趣味なのだが 「……妹紅、私はいつになったら帰れるのかな」 妹紅は今回の件には関与していない あくまでも里のことなので寺子屋の留守を任せてある 結局、全区画の作業を終えるまでに1週間かかり、慧音は作業の手伝いでその間寺子屋へは帰れなかった そして、妖怪の山からありすが姿を消したのはちょうど冬が訪れたときの話である by お題の人 あれ?前半書く必要あったけ? あと、規制キターorz
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登録日:2021/04/16 (金) 00 52 19 更新日:2023/11/08 Wed 23 59 35NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 GRIDMAN UNIVERSE SSSS.DYNAZENON いじられキャラ お人好し もう一人の主人公 よも君 アルバイト カシワギルティ ガウマ隊 グリッドマン ユニバース ダイナゼノン ダイナソルジャー ダイナミックキャノン フジヨキ台高校 ムッツリスケベ? ヨモギルティ 南さん係 夢芽のヒーロー 夢芽の夫 夢芽の旦那 榎木淳弥 理解のある彼君SSR 複雑な家庭事情 高校生 麻の中の蓬 麻中蓬 守れる者は……守る! 出典:SSSS.DYNAZENON、2話『戦う理由って、なに?』、21年4月2日から放送中、TRIGGER、「DYNAZENON」製作委員会、©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会 ■概要 『麻中(あさなか)蓬(よもぎ)』とは、『SSSS.DYNAZENON』の登場人物である。 CV:榎木淳弥 本作におけるもう一人の主人公で、青髪で黄色い瞳をしている。あだ名は『よも君』(Byらんか)、『よもさん』(By飛鳥川ちせ)。 フジヨキ台高校に通う高校一年生で、南夢芽とはクラスメイトにあたる。 放課後はスーパー『ゆりマート』でアルバイトをしている。 普段はコンタクトをしているようで、自宅にいる時は眼鏡をかけている。 そんなごく普通の日常を送ってきたが、『怪獣使い』を自称する青年ガウマと出会い、 更に怪獣が現れ、ガウマが召喚した謎のロボット『ダイナゼノン』の搭乗者となったことで、彼の日常に変化が訪れる事となった。 ■人物 特に特徴のないごく普通の少年。 ただ日常的に会話する同級生が複数おり、社交性は悪くはない。というかむしろEDではその友人とバスケをしていたり、女子から平然とボディタッチをされたりとリア充っぽい。 その友達である淡木、なずみ、らんか、金石とのLINEグループ名が『kmkrえんそく』であることから、 どうやら4月の鎌倉遠足の際の班分けを契機に仲良くなったようだ。 ただ、ややお人好しすぎる傾向があり、不審者全開だったガウマから逃げる事はせず、空腹だった彼にスペシャルドッグを差し出したり、 「人を呼び出しては放置する」怪しい噂のある同級生・南夢芽に待ち合わせを約束され、それがわかっていても律義に待ち続け、それをすぐに許した。 このように表面上は社会性に富んでいる一方で、脚本の長谷川圭一氏曰く「人に合わせるが、実は壁を作る性格」と答えており、 雑誌の見出しには上記の対応は「柔和な対応は処世術?」とまで書かれている。 その反面で壁が無くなった、もしくは「このくらいの対応でいいな」と判断した相手には一気に遠慮が無くなる模様。 10話でガルニクスによって周りの人間が過去に囚われた際、暦が思いの丈を話そうとしたら(急いでる状況とはいえ)名前を威圧的に呼んで黙らせたり、 夢芽と交際を始めた後、「女の子と遊ぶ際には自分にひと声かけてほしい」という約束を破ったことで彼女の逆鱗に触れた時も、 最早慣れっこと言わんばかりに電話越しの夢芽の怒声をスプラでガチマしながらで聞き流していたりと、かなり図太い一面も見せている。(*1) また、家族に対しての言葉遣いも現代っ子ぽく割と荒っぽい。 ダイナゼノンに関しては「もっとふさわしい人に任せるべき」と乗り気ではなく、一応悪いとは思いながらも操縦訓練よりもバイトを優先していた。 しかし、夢芽に戦場跡地に連れていかれ「ルールばかり守っていたら守れないものもあるかも」という現状を認識した後は、その考えを改め始めている。 雨宮哲監督直筆によるボイスドラマ1.1回『カシワギルティ』では、 学園祭の出し物について話し合う際、友人である淡木&なずみの男子陣から「カシワギルティ」と評されている。(*2) シリーズ開始の前日、バイト中だった蓬がいないことをいいことに、男子陣とらんか&金石の女子二人組が、 蓬の話題で持ちきりだった際にノリで言ってしまうが、当の蓬本人は意味が分からず困惑していた。 劇場版『グリッドマン ユニバース』では、『SSSS.GRIDMAN』のグリッドマン同盟と初共演することとなったが、 初登場時からして夢芽とデート中にツツジ台に飛ばされているなど、未だ進展のない響裕太・宝多六花と対照的に夢芽と一緒にいる場面が多く、 元々落ち着いた性格であることも相俟って、(裕太側の事情が事情とはいえ)本来ならば裕太から見ての続編の主人公なのに「前作の主人公」めいた雰囲気を纏っている。これがリア充か 裕太とも「蓬くん」「裕太くん」と呼び合ってタメ口で話すなど、距離感はかなり近く、「なんで(六花に)告白しないんすか?」とツッコんで彼を慌てさせる場面も。出来たら苦労しねぇよ! 本編後の設定のボイスドラマ『アクセプターは鳴らない』では最早裕太の恋愛的な師匠ポジになっており、妙にテンションの高い彼女共々ノリノリで恋愛相談に応じていた。 ちなみに、『GRIDMAN』と『DYNAZENON』は別次元なのだが何故か電話は普通に通じる(*3)らしく、そのおかげか、裕太とは名前で呼び合い、タメ口で話すなどさらに仲良くなっている。 ■家族 小学三年生の頃両親が離婚し、現在は母と祖母との3人暮らし。実家も母方の祖母のもの。 ボイスドラマ2.2回『優しい家で育ったから』によると、蓬自身は別に大変とかはないし、経済的にも問題もなく、 ただ離婚時に苗字が変わってめんどくさくなったり、小学生の頃苗字の方のあだ名で呼ばれていたため、周りに気遣うようなクセがついたとのこと。 母には現在上条さんという恋人がいるが、ボイスドラマ2.2回では(母にも上条さんにも)それとなく気遣われているのが分かり、「俺が単純に嫌なのかもな」と思うと居た堪れないと感じている。 その反発心は、彼から貰った入学祝いを募金箱にこっそり入れている場面も見せている。 そんな感じで家族とはやや距離があり、アルバイトをしているのも速く独立したいからという思いもあるようだ。 ■ダイナソルジャー アクセスモード!ダイナソルジャー!!! 出典:SSSS.DYNAZENON、2話『戦う理由って、なに?』、21年4月2日から放送中、TRIGGER、「DYNAZENON」製作委員会、©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会 ガウマから託された、ダイナゼノンのコアユニットとなる小型の竜人型ロボット。 ダイナゼノンおよび変形後のダイナレックスの頭部・胸部を構成し、ダイナレックス時には腕部分にも変形する。 普段は手のひらサイズに縮小されているが、上記の台詞と共にぐんぐんカットで巨大化する。コクピットは頭部にある。 コアユニットなのでダイナゼノン/ダイナレックスになる際には合体の中心になる。 インナースペースは背後以外の視界は良好なため、合体時には自分の周囲に他機が迫ったり、怪獣の顔がアップで映る場面を見る事になる。かなり怖い! 構成メカで唯一四肢が存在し、それを使った格闘戦を得意とすると思われるが、蓬がバイトで訓練をしていないため、序盤はその能力を十全に引き出せていなかった。 実際、人型で操縦が複雑なのか第2話における初の分離戦ではなんと両腕しか動かせなかった。まあ、夢芽のフォローで何とか勝利できたからいいが……。 第4話では蓬が風邪をひいてダウンしていたため、飛鳥川ちせが急遽操縦することに。 しかし、いざ乗ってみると相手とは逆方向に歩いて行ったため、結局蓬に頼る羽目に……さすがにゲームのようにはいかないか。 ただ『誰でも乗れる』という特性の為か、ちせもパイロット補欠として今後の訓練に参加。飲み込みが早いのか、第5話冒頭ではダッシュからのきりもみジャンプを披露している。 ……が、ちせがパートナーの怪獣・ゴルドバーンを生み出したため、彼女がダイナソルジャーに乗るのは少なくなりそうである。 なお自宅にいる時は小型化したソルジャーをエアコンの上に隠してある。ボイスドラマ4.4回で堂々と机の上にダイナウイングを置いている南さんとは大違いである。 ■派生形態 ダイナソルジャー・ウイングコンバイン 初披露は第2話。 夢芽の操縦するダイナウイングと単独で合体することで完成する、高機動形態。 前作における大空合体超人 スカイグリッドマンに該当する形態で、飛行能力も追加されている。 第8話ではこの状態でソルジャーがダイバーを持って飛行する場面も見られた。 ダイナソルジャー・ダイバーコンバイン 初披露は第3話。 ガウマの操縦するダイナダイバーのミサイルハッチから展開した保持グリップを掴むことで水上移動が可能となる。 ……が、この形態だと両手がふさがる上にダイナダイバーがバーストミサイルを撃てなくなるのが弱点といえる。 ダイナソルジャー・ストライカーコンバイン 初披露は第5話。 ちせの提案を受け渋々山中暦が操縦するダイナストライカーと合体した姿。 前作における剛力合体超人 マックスグリッドマンを思わせる巨腕が目を引く。 右から「ストライカーストームα」、左から「ストライカーストームβ」という超高熱火炎を放出する。 バランスに問題があるため初合体時にはバランスを崩して後ろに転倒してしまった。 ダイナミックキャノン 初披露は第8話。 ナイトが変身したグリッドナイトに適応反応するかのように、ダイナソルジャーが大型バズーカ砲に変形した姿。 グリッドナイトがターゲットをロックした後、インナースペース内の蓬がトリガーを引くことで必殺の火炎「ダイナミックファイヤー」で怪獣を焼き尽くす。 ダイナゼノンとグリッドナイトの合体形態であるカイゼルグリッドナイトでも使用可能。 この時は「レックスグリッドファイヤー」という超強力な光線を発射する。 ■余談 演じる榎木氏は、前作『SSSS.GRIDMAN』でYouTuber『Arcadia』のタカト役で出演していた。オーディション時は「前作の出演者は受けられない」という噂があり、それを聞いた榎木氏は愕然としたが、特に何事もなくオーディションを受けられ、蓬役に選ばれたという。ちなみに榎木氏は飛鳥川ちせ役の安済知佳氏とはリアル従兄妹である。 名前の由来は故事成語の1つ「麻の中の蓬」だと思われる。意味は「まっすぐに伸びる麻の中に生えれば、曲がりやすい蓬も影響を受けてまっすぐに伸びるように、善人と交われば、自然に感化されて善人になる」ということ。 キャラクターコンセプトは「器用に上手くやってる奴」。男子化した六花の要素も加えられている。 ダイナソルジャーのぐんぐんカットは背部に浮かぶサイン(*4)と共にロボット玩具サイズのものが巨大化するものであり、長谷川氏がシリーズ構成を務めた『ウルトラマンギンガ』のウルトライブ(*5)を思わせる。実際、ガウマ役の濱野大輝氏も4月9日にて自身のtwitterで「ギンガ味もある。根岸さん(*6)に観て欲しい」というコメントを残している。また、左拳を突き上げるポーズも原点である『電光超人グリッドマン』のグリッドマンを意識している模様。 『電光超人グリッドマン』の時からグリッドマンを演じた緑川光氏は、榎木氏の演じる蓬役について「演技なのか素なのか分からないほど自然に(蓬を)演じている」と評価しており、それを緑川氏に直接言われた榎木氏は「そこが拘ったポイントなので嬉しいです」と返したという。ラジオ「よもゆめインパーフェクト」でも、夢芽を演じている時と声が割と違う若山詩音氏に対し、榎木氏は蓬を演じている時とほぼ同じ声で話していることが多い。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ボイスドラマとかも含めて結構可愛い性格してるなこの少年 -- 名無しさん (2021-04-25 21 42 08) 割とまっとうに青春しているけど、夢芽さんの周囲が不穏なので頑張って支えてやってほしい -- 名無しさん (2021-05-01 00 38 32) 夢芽さんにもう告ったも同然じゃないですか蓬くん -- 名無しさん (2021-05-15 00 17 51) ここにきて何かヤバそうなフラグが。何が見えてたんだろうか -- 名無しさん (2021-05-21 22 34 06) やばそうなフラグかとも思ったけど勝利するための鍵を握ってるのはヨモくん? -- 名無しさん (2021-06-12 00 02 17) まさかド直球に告白するとは思わなかったぞ。前回といいホントまっすぐに成長してんな -- 名無しさん (2021-06-12 00 06 52) 第9話のガルニクス内でぐんぐんカットっぽい突撃シーンかましたのは良い場面だった。裕太と違った意味で「どこにでもいる少年」だからこそできた覚悟っぷり -- 名無しさん (2021-06-12 01 17 35) 頑張ったな…名前呼び! -- 名無しさん (2021-06-18 22 59 07) すごく綺麗に夢芽さんとくっついたな。なんかほんと王道の青春物の主人公って感じだ -- 名無しさん (2021-06-18 23 01 22) もう恋人というかオカンになってるような -- 名無しさん (2021-06-19 09 00 35) 終始2人の関係性にキュンキュンしっぱなしでした。末永く爆発しろ -- 名無しさん (2021-06-19 09 21 34) 終盤の主人公力のとんでもねー爆発っぷりよ… -- 名無しさん (2021-06-19 21 51 44) 円盤最終巻のボイスドラマ聞くと夢芽と結婚する前には同棲してそうだなってニヤニヤする -- 名無しさん (2021-10-22 11 11 27) 映画予告ポスターでも夢芽さんとイチャイチャしてる。この子主人公ではあっても「世界を守るヒーロー」じゃなくて「夢芽のヒーロー」だから親近感沸いてわかりやすいんだな。 -- 名無しさん (2023-01-26 09 55 27) 作品としては後発なのににじみ出てた先輩主人公感 -- 名無しさん (2023-03-24 15 02 53) ↑ 男女関係に関しては明らかに裕太より上だったからなのか裕太の前だと後輩なのに先輩感出てる感じはある -- 名無しさん (2023-03-24 16 30 40) ここは俺に任せて先に行けとか完全に歴戦の主人公ムーブ -- 名無しさん (2023-03-25 08 59 48) 裕六がようやく関係進めたのを尻目に、嫁に実質プロポーズかました漢 -- 名無しさん (2023-03-25 12 26 58) テレビの時はまだ照れてたが、映画じゃすっかり落ち着いて恋人ラブ。それ以外の立ち振る舞いもしっかりしてる。 -- 名無しさん (2023-03-25 18 17 03) ↑3裕太は2ヶ月間眠っていたせいで他二人と違い成長できず、いわばガワだけ同じの新規主人公みたいなものだから、ダイナゼノンで成長した蓬の方がそう見えてしまうのかも。 -- 名無しさん (2023-03-25 18 40 45) ↑ガウマと実質ダブル主人公だった蓬と違って、SSSS.GRIDMANの主人公ってグリッドマンだったのよね -- 名無しさん (2023-03-26 13 38 50) 仮面ライダーとかのVS映画も組み合わせによっては後発主人公の方が貫禄ある場合あるし、彼もそんな感じだったな。 -- 名無しさん (2023-03-27 20 42 28) DYNAZENONの世界がグリッドマンが作った世界である事から、ガウマと怪獣優生思想を除いた蓬達はグリッドマンが交流してきた現実世界の直人やレプリコンポイドの裕太を基に生み出した人間である模様。蓬は蓬のまま、戦っていたのだから2ヶ月間グリッドマンの依代で記憶のない裕太とは差があって当然。 -- 名無しさん (2023-03-29 17 51 42) どちらかというと、ガウマよりこっちのほうが主人公っぽく見える。ドラえもんにおけるのび太君ポジションと言ったところか。 -- 名無しさん (2023-03-30 17 27 30) 実際もう一人の主人公だから間違ってないよ、ガウマさんはどっちかというとグレンラガンのカミナポジだよね -- 名無しさん (2023-03-31 14 37 58) 円谷史上きっての漢。南さんがベタ惚れになって当然、こんな優良物件ほかにいない -- 名無しさん (2023-03-31 15 01 18) 今から行くと言って、何か嫁と一緒に普通に次元の壁を突破してくる男 -- 名無しさん (2023-03-31 18 24 47) 何気に自分の世界を作った神様がグリッドマンであると知った人物。蓬からすればGRIDMANの話は世界創造前の神話も同然。 -- 名無しさん (2023-04-01 13 54 21) ガ…レックスと夜の会話中に釣られて涙が出てしまった。見たかったんだよこういうの… -- 名無しさん (2023-04-01 20 26 18) 日常を「かけがえのない不自由」として大事にしてるから実は裕太ほど自分を投げ出したヒーロームーブはないんだよな。それが親近感あって共感しやすいんだけど。 -- 名無しさん (2023-04-03 21 52 45) 血まみれで過去の世界へ殴り込んだり映画でも裕太以上身体張ってボロボロなりながらも一貫して夢芽のために戦うのがかっこいい、過去に囚われたりしないところも良き。 -- 名無しさん (2023-04-07 01 58 15) 嫁を振り切って無茶をするのは裕太と同じ。まあ事前に謝っている分、こっちの方がいくらかマシだが -- 名無しさん (2023-04-07 09 43 24) 裕六の賞味期限が切れないように押せ押せしてあげてるから3つの誓いはちゃんと守ってるんだよね -- 名無しさん (2023-04-07 11 00 09) ボイスドラマなどでもわかるが、基本的に陽キャで空気読むのもそれに乗っかるのも引き際を見極めるのも上手い。器用なんだよね。 -- 名無しさん (2023-04-07 22 37 44) 映画を良く見ると分かるが、世界がおかしいことを最初から気付いてるんだよな。それこそ裕太より先に -- 名無しさん (2023-04-10 10 02 49) もしガウマと出会わなかったら人と深く関係を持つ方法を知らないままで、アカネや武史とも別ベクトルにおかしくなっていた危うさもあった -- 名無しさん (2023-04-10 11 27 33) ↑なまじ「誰かの人生に関わればその人はもう他人じゃない」という情の深い子だから、人と壁作らないとやっていけなかったんだろうね。だからってずっと一人でいられるもんでもないし。 -- 名無しさん (2023-04-10 11 42 51) ↑3 裕太たちの学校行こう!って時に他がノリノリのなかでずっとちょっと困った素振りみせてノリきれてないんよな。 -- 名無しさん (2023-04-10 11 49 55) バカップルぶりに辟易したクラスメイトたちから生卵とすっぽんの生き血を送りつけられそう -- 名無しさん (2023-04-13 18 13 13) 名前 コメント
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前ページ次ページゼロのミーディアム さてさて、水銀燈がルイズにミーディアムの契約を、ルイズが水銀燈に使い魔の契約を交わして一週間がたった あの夜の出来事は確かに水銀燈に多大な衝撃を残したが。彼女は至って普通に(文句は言うものの)ルイズの世話を続けてる 水銀燈はこの地でアリスゲームは行われないとは言え契約を破棄しなかった。何故なら彼女がルイズの保護なしにこの見知らぬ異邦の地を生きていくのは難しいからだ そして……水銀燈はあの夜の事をルイズに知らせていない 彼女らしからぬとお思いだろうが水銀燈はそれを伝えるのをためらっていたのだ 理由?それは彼女にも説明できない。元の世界に帰るのが正しいのだろう、だが……何故かルイズをほっといておけない そう言う考えを彼女は何度も何度も自問自答した。だがその結論は毎回決まって答えの出ない平行線のまま…… もっとも、とうのルイズは水銀燈がそんな悩みに苦しんでいること等知ることもなく毎日を過ごしている ただ…最近少しだけ水銀燈の様子がおかしい事に気づいた それは彼女が買い物に行った虚無の曜日の翌日から、時おりまるで何かを考えるように呆けるようになったこと 無論それは水銀燈の結論の出ることのない自問自答の事。だが困ったことに水銀燈、仕事の最中にも呆けだすことがあるのだ 今朝もそんな1コマから物語は始まる…… 薔薇乙女の朝は早い。規則正しい生活、早寝早起きが彼女達の信条。淑女の嗜みとでもいったところか まあどこかの第1ドールは時々夜に出歩き月夜の散歩と洒落込んだりすることもあるのだが 部屋の片隅にある鞄がガチャリと開き中から黒衣黒翼の少女が出てくる。だがげんなりとした表情の彼女、水銀燈の顔は夢見最悪と言った模様 ちなみに今回彼女が見た夢は。ツナギを来た無駄に男前な顔立ちのルイズがベンチに座り 「私の使い魔を 『やりますか?』 『や ら な い か』」 とニ択を迫ってくる物だった。………え?ニ択? 実に珍妙極まりない夢だが水銀燈の心中、すなわちルイズを捨てられないと言う彼女なりの良心の叱責から来る物なのかもしれない そんな陰鬱な気分で1日の始まりを迎えた水銀燈だが、作業着とも言えるシエスタからもらったメイド服に着替え始める 正直お父様からいただいたドレス以外の服を着たくはなかったが…… それと共にドレスを少しでも汚したくないと言う事もまた事実。勿体無いと言う理由も付け加え、結局彼女はそれを着ることにしたのだ なお、シエスタには語頭に「か、勘違いしないでよね!」と付け加えその事をありのままに説明したのだが とうのシエスタはただ鼻血をダラダラと流しながらうんうん頷くだけだった 一言余計だったらしい。水銀燈の言いたかったことは多分彼女には、伝わって、ない (まったく……こんな奇っ怪な夢を見るなんて…私、疲れてるのかしらぁ……?) そう考えベッドで寝息をたてているルイズに近づく。その寝顔はさっきの夢に出たいい男ではなく愛らしい少女の物 「う~ん……今こそあんたをぶったおして…過去の落ちこぼれだった私と決別するのよ~」 だがルイズはその幸せそうな寝顔に反して穏やかでない寝言をぼそぼそとつぶやく そんな夢の世界を堪能しているルイズに水銀燈が声をかけた 「ルイズ!朝よぉ。起きなさぁい!」 ルイズは「ん……」と小さく声をあげ…… 「あの世で私にわび続けろツェルプストーーーーーーーッ!!!!」 突然ガバッと起き上がったかと思いきや、かっ!と目を見開き絶叫した そしてその後きょろきょろと周りを見回した後にため息をつく 「なんだ…夢だったんだ……あ、水銀燈。おはよ…」 「ええ、おはよう。…ってどんな夢見てるのよぉ…貴女」 「せっかくキュルケのあれに匹敵する物を手に入れたのに……」 残念そうにルイズはつぶやいた (胸か、胸なのね)とは水銀燈の心中の弁。無論それを口に出せばご飯抜きと言う重罰が下されることが確実であるため黙っておいた まあ最悪そうなってもシエスタに言えば食事を手配してくれるのだろうが ゴシゴシと目をこすりルイズはいつものように水銀燈に言った 「したぎ~」 「はいはい…」 クローゼットの下の棚をしぶしぶ開けて下着を取り出す (やっぱり解約して帰っちゃおうかしらぁ…でも帰る手段がねぇ……) 彼女の呆け癖が始まったらしい……水銀燈はぼーっと考え事をしながら下着をルイズの頭から着せた そんな彼女にルイズが声をかける 「ねぇ、水銀燈……」 ルイズの冷ややかな、そして何故かくぐもった声 (……でもなんかほっとけないのよね。少し素直じゃないけど根は悪い子じゃないし。いや、だからと言ってそれでお父様をないがしろには……) だがその声は水銀燈の耳には入ってなかった。彼女の頭はそれどころではなかったのだ 「水銀燈!」 ルイズは今度は強く、怒気をこめて水銀燈を呼びかける 「え?何かしらぁ?」 我に返った彼女の目に飛び込んできたルイズの顔に水銀燈は唖然とした もう一度説明させて頂く。水銀燈はぼーっと考え事をしながら下着をルイズの頭から着せた …下着(パンツ)をルイズの頭から着せた 「……あんたの認識じゃパンツは人の顔に被せる物なの…?」 ヒクヒクと顔を引きつらせながら言うルイズ。パンツの足穴から怒りに満ちた瞳で水銀燈を睨みつける 「あ……」 水銀燈は口を閉ざしぼーっとした表情でルイズを見つめた 「……」 ルイズもまた水銀燈を無言で睨みつける。場は気まずい沈黙に包まれるが…… 「…」 「…」 「……」 「……」 「………」 「………」 「…………」 「…………」 「………プッ」 「!!!!!」 その沈黙を破ったのはルイズの間抜けな格好に思わず吹き出してしまった水銀燈 これにはルイズの怒りも極限に達した 「クロスアウッ!」 謎の掛け声と共にルイズは近くの棚から乗馬用の鞭を引っ張り出す その後「フオオオオォォォォォォ!!!」と言う凄まじい気迫と共にパンツを被ったまま鞭を振り回し追いかけてくるルイズから水銀燈は必死こいて逃げ回る羽目になったとさ…… 深刻な悩み事を抱えているのは分からないでもないが呆け癖もほどほどに…水銀燈 「はぁ、はぁ…と…とにかく、あんたにそうやって…頻繁に呆けられると困るのよ…使い魔の品評会が…近々行われるのに……」 「ぜぇ、ぜぇ…品評…会…?な、何なのよ…それぇ……?」 壮絶な追いかけっこの末、疲れ果てた二人。朝っぱらから全力で走り回って息も絶え絶えだ ルイズは一つ深呼吸をし水銀燈をビシッと指差して言った 「文字通りよ!二年生進級時に召喚した使い魔を御披露目するの!それで芸とかやってみんなにアピールするのよ!」 「芸って…貴女私をペットか何かと勘違いしてないかしらぁ?」 水銀燈が思いっきりジト目をつくりルイズを睨む。その不機嫌な眼差しに少しルイズがたじろいだ 「べ…別にあんたをペットとは思ってないけど……仕方ないじゃないの…… 普通使い魔で出てくるのはハルケギニアに住む生き物であんたの言うペットみたいな物だし…あんたみたいなケース初めてらしいし……」 ルイズは言った通り使い魔とは言え別に彼女をペット扱いしている訳ではない。そのため水銀燈の抗議にちょっと罪悪感を感じた 「でも、私だけ品評会に使い魔を出さないなんて訳にはいかないのよ…お願いだから……」 そして少しうつむき、彼女にしては珍しく申し訳なさそうにそうつぶやいた 「はぁ……仕方ないわねぇ…命令だなんて言ったら即刻突っぱねてたけど……お願いじゃ仕方ないわぁ」 水銀燈もルイズの心情を理解したらしい。少々顔をしかめ渋々了承する この返答に感極まったルイズは曇った顔を輝かせ水銀燈に抱きついた 「本当?ありがとー!水銀燈ー!」 「ちょ、ちょっとぉ!大袈裟なのよ貴女!」 まんざらでもない水銀燈だが。それと同時に彼女に後ろめたさが芽生える ……何故なら彼女はルイズを捨てて元の世界に帰ることになるかもしれないのだから 水銀燈はブンブンと首を振りその事を一時置いておく。とりあえず今は品評会の話だ 「一つ貸しにするわよぉ?でも何をすればいいのかしら?」 ルイズもそこまでは思いついていなかったらしい。うーんと唸って腕組みして考え始める 「うーん…どうせだから他の使い魔と違ってあんただけにしかできないことを……そうだわ!」 ルイズが何かを閃いた 「あんた歌うまかったわよね?なんか歌いなさい!」 ルイズは自分が錬金に失敗した時、水銀燈がそれを歌いながらからかっていた事を思い出したのだ 「歌?そんなにうまかったかしらぁ?あれが?」 「ええ、腹立つぐらいにね……。でも、あの時のアレ歌ったら…分かってるわよねぇ?」 アレを思い出してルイズはちょっと不機嫌になった 「待ちなさいよぉ。私は別に歌なんて…他にも何か考えられそうな事あるじゃないの」 「え~。あんたの声聞いてると歌って踊れそうなイメージあるのに~」 「歌はともかく踊りって何よぉ……まぁ案としては考えといてあげるけど……」 まだ品評会までの時間は十分にある。とりあえずまだ決めつけるには早いと言う事で、この案は保留と言う形をとり今回の品評会の話はおひらきになった 「追いかけっこしたり品評会の話をしてるうちに朝ご飯終わっちゃったじゃないのよ……」 「あら本当。災難ねぇ」 水銀燈が他人ごとのように言う 「誰のせいよ誰の…。もういいわ、私ちょっと早いけど教室に行くわね。後の掃除とかよろしく」 「はいはい、行ってらっゃい……」 ルイズは自分の鞄を取り部屋から出て行く。水銀燈はその後ろ姿を手を振って見送った バタンとドアがしまりルイズの足音が遠ざかっていく 「歌、か……」 自分以外誰もいなくなった部屋で水銀燈が一人つぶやく 「そう言えば昔はあの子の歌をよく聞いていたものね……病室の窓から空を見上げながら」 あの子と言うのはずっと昔に水銀燈のミーディアムとなった一人の病弱な少女 病院の一室から聞こえる彼女の歌声が水銀燈は好きだった。目を瞑れば今も少しだけ思い浮かぶ。穏やかな表情で静かに歌うあの子の優しげな表情が 「懐かしいわね、確か…こんな歌だったかしら……?」 瞳を閉じたまま水銀燈は過去の記憶をたどるように小さく静かに歌い始めた あの時はただ聞いているだけだった歌。それを今度は水銀燈自信が歌っている 水銀燈は歌いながら思う。あの子が聞いたらなんと言うだろうか?今思えば自分はあの子に何もしてやれなかった、 せめてもっと優しくしてあげてれば…自分も一緒に歌ってればあの少女はきっと喜んだ事だろう…… だがそれはもう叶わぬ夢…。月並みな言葉になるが失ってからこそ初めてその存在の大切さを知るとは言ったものだ。水銀燈はそれを痛感していた。今更後悔しても遅いのにだ 遠い記憶を思い起こし、水銀燈の胸の内に郷愁の念が生まれた。アリスゲームを抜きにしてもやはり元の世界に帰りたい。 だが……もしルイズを捨てて帰ってしまえば自分はその事を一生後悔するかもしれない 今、昔のミーディアムを思い、自分が悔いているように……。彼女の中であの少女とルイズが重なった。 もうこんな思いをするのは嫌だ、だが帰らねば自分の存在意義を否定する事になる。ならばどちらを選ぶ? ルイズか?お父様か? 歌い終わった水銀燈の表情はどこか弱々しく見えた。結果的にこの歌がもたらしたのは更なる葛藤だった。彼女の中で問題への答えが更に遠くなっていくのを感じた 「おでれーた!あんたにんな才能があったたぁな姐さん!」 突然声をかけられて水銀燈が驚く。ルイズがいない今自分以外ここには誰もいないはずなのに 彼女は忘れていた。この部屋に住んでいるルイズと水銀燈意外の住人…いや、住剣(?)の事を 「私とした事がうっかりしてたわぁ…貴方の事を忘れてたなんて」 そう言って彼女の目線は鞄の横に立てかけられた一本の剣に向けられる 「おいおい、そりゃねーぜ!自分の舎弟を忘れるなんてよ~」 鞘から少しだけ抜かれて。鍔の上の金具をカタカタさせながらそう言うのはインテリジェンスソード、デルフリンガーだった 「別に舎弟にした覚えはないのだけれど…まあいいわぁ、それより恥ずかしいとこ見られちゃったわねぇ……」 「んなこたぁ無いさ。俺は長いこと剣やってるがよ、こんな綺麗な歌聞いたのは初めてだぜ!いや、ホント見事なもんだよ。おめぇもそう思うだろ?娘っ子!」 「娘っ子?」 水銀燈が首を傾げて聞き返した。後ろからするとパチパチと誰かが拍手する音が聞こえてくる。思わずその方向に向き直り見た先にいたのは…… 「ええ、見事なものだっわ水銀燈。やっぱり私の目…いや、耳に狂いは無かったようね」 そう言って微笑みながら手をパチパチ叩くルイズの姿 「ルイズ…教室に行ったはずじゃ……。いいえ、それよりいつからそこにいたのよぉ」 恥ずかしいところを見られたとでも思っているのか、水銀燈はルイズから視線をそらす 「ちょっと忘れ物しちゃってね…部屋に戻ってきたらちょうどあんたが歌い始めたとこだったの。 でもあんたの歌、本当によかったわ。これはお世辞抜きでね」 「や、やめなさいよ……そんな事言われたって私は別に……」 水銀燈が頬を朱色にそまらせうつむく。だが背中の黒翼をパタパタさせている様子からして悪い気はしていないようだ 「でもこれで決まり!あんたのこの歌声をもってすればかなりの高評価を得られるはずよ!品評会はいただきね!」 そう言ってルイズがガッツポーズをとるが…… 「ルイズ……悪いけどこれは歌えないわ」 水銀燈がどこかばつが悪そうに言った 「え~なんでよ~?」 「それは……とにかくこれは駄目。私にだって色々事情はあるのよ……」 悪く言うつもりは無いが、この歌は自分を惑わせる。更なる悩みを生み出すかもしれない そして何より、できれば自分の思い出の中でそっとしておきたかった 色々と言いたげなルイズだったが水銀燈のどこか悲痛な面持ちの前に問いただす事をやめた 日頃わがままな所もある彼女だがこういう所に限ってはそれを理解しているのだ 「わかったわ、何か思うところがあるのね……それを強要するのも悪いしね」 仕方がないといった表情だが少しだけ笑ってでルイズはきびすを返す 「でも本当に良い歌だった。恥じる事なんか無いわ、もっと自信もちなさいよ!!」 そう言うとルイズはまたドアの向こうに消えていった 「まったく…別に恥じてる訳ではないのだけど…」 水銀燈が一つため息をはいて呟く 「でも気にかけてもらうと言うのも悪くないわね……」 そしてて少しだけ微笑んだ 「あー勿体ねー勿体ねー。姐さんの歌声なら品評会とやらも優勝できるだろうによ~」 デルフリンガーが残念そうに言った 「別に優勝なんかいらないわよぉ。それに品評会みたいな大勢の人間に歌を披露するならこういう歌はあまり合わないわ」 「そーなの?俺、剣だからそこんとこよくわからねーんだけどさ」 「そんなものよぉ。アイドルなんかはもっと明るくてノリの良さそうな歌を歌って会場を湧かしたりするらしいわぁ」 「アイドルってなんだ?姐さん?」 デルフリンガーからの質問。どうやらこのハルケギニアの地ではアイドルなんて概念は無いらしい 「えーっとねぇ、どう説明すれば……大勢の人の前で歌ったりするのが仕事の人間の事よ」 「よくわからねーな~。酒場で歌ったりしてる歌姫みたいなもんか?」 「酒場の歌姫とは違うけど、舞台とかそういった広いとこに人集めて歌ったりするらしいわぁ…」 「オペラみたいなもんか?」 「近いけどなんか違うのよねぇ……オペラよりもっと堅苦しくなくてファンを湧かせたり…」 水銀燈は今一つ自分が説明したいことを伝えられずにいる。デルフも剣でなかったら首を傾げていることだろう 「ああもう!アイドルってのはこういうことするのよ!」 言葉で伝えられなければ実際に見せるしかない 水銀燈の手に黒い羽が集まり星形の板を作り出しそれを頭につけた。どうやらこれ、髪飾りらしい そして胸に手を当て発声練習 「ゴホン…あー、あー」 いつもの彼女の声より高めの声、俗に言う裏声と言うものだ そして高らかに声を上げた 「トリステイン魔法学院のみーなさーん!水銀燈で~す!今日は私達の為に集まってくれて有難う!!」 なんと言う事だ……この人形実にノリノリである。ちょっとハイテンションになっている水銀燈 デルフが唖然としている事にも気づいていない デルフに口があればポカーンと大口を開けていることだろう。だが水銀燈の暴走は止まらない 「そーれ♪そーれ♪乳酸菌飲料~♪はいっ!!」 水銀燈はなんだかよくわからない歌を歌いながら奇妙なポーズをとる。多分彼女の脳内ではバックで五色の爆炎が派手に上がっている事だろう。儚かった。故に美しかった ちなみに水銀燈がとっているポーズ、昔の文献によると『死刑!』と呼ばれる伝説のポージングらしい。 だが、それは悲劇の始まりだった 水銀燈がそのポーズでビシッと指差した先にいたのは一度はここに戻り、そしてまた出て行ったはずの人影 再び部屋に戻ってきたルイズがあんぐりと口を開け無言で立っていた 「ル、ルイズ…また、なんでここ、に……」 水銀燈から感じられる明らかな動揺。肩をわなわなさせながら途切れ途切れに言う 「えーっと、そ、その……さっきは忘れ物取りに来たんだけど…。あ、あんたの歌声聞いて満足してその事忘れてて……。また取りに戻ってきたんだけど……」 ルイズがそう言いながら水銀燈から顔を逸らして忘れ物の教科書を鞄に入れる 「…」 「…」 「……」 「……」 朝一番以来の気まずい沈黙が再び。だがある意味あの時以上に空気が重い。今度はルイズから口を開いた 「……銀ちゃん連日働き過ぎて疲れてるアル。今日の仕事は免除してあげるからゆっくり休むヨロシ」 どこの国?と言うかどこの星?と言った感じでカタコトに言うルイズ 「水銀燈、今日の仕事は免除。水銀燈、覚えた……」 その瞳からは生気が感じられない。水銀燈もまたカタコトの抑揚の無い声で答えた 「それじゃ、私、授業があるアル。私は別に何も見てないアル。気にすることないアル」 そう言ってルイズは走り去っていく。あと、あるのかないのかどっちなんだ ルイズが去っていった部屋の中央で、水銀燈の体がまるで糸の切れた操り人形のようにガタリとに崩れた 皮肉な物だ、彼女は操り糸を必要としない自立式の人形なのに 「お、おい…姐さん?」 デルフリンガーの心配そうな声も彼女の耳には入らないそして…… 「いっそ殺してぇぇぇぇぇ!!」 水銀燈の魂の叫びが、部屋にかけられたサイレントの魔法すらぶち抜き学院内に響き渡った 尚、これがトラウマとなり水銀燈とルイズは品評会で歌を披露するのを断念したことを追記しておこう 前ページ次ページゼロのミーディアム