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次の日 物理教師「ここはなぁ、こうなるからこうでなぁー」 キョン「………(ぼーっ)」 谷口「…………」 谷口(……あいつ、またぼーっとしてやがるな) 谷口(よし、ここは俺がこの愛の消しゴム砲で……) キョン「……あ、先生」 物理教師「なんだ?」 キョン「そこ、間違ってます」 物理教師「え?どこだ?」 キョン「その右下の式です。そこは……」 谷口(…………) 夜、キョン自室にて キョン「……ふぅ」 パチン キョン(電気も消したし、早く寝るか) キョン「………」 キョン(……今日は勉強に集中できんかったな。 …いかんいかん。本番までは油断しちゃダメだぞ、俺……!) キョン(……明日は、ハルヒに会える。だから、頑張るんだ!) チュンチュン、チュンチュン ジリ バッ!! キョン(……目覚ましスイッチ、off…!) キョン「さて、起きるか」 キョン(……一日がこんなに長いなんてな) キョン「よし、今から行くぞ!」 スタスタスタ…… キョン(……自転車買い直さないとな…。徒歩だと何かと不便でかなわん) キョン「………ん?」 店員「いらっしゃいませー。美味しい手作りケーキはいかがですかー?」 キョン(……ケーキか) キョン「そうだな、一つ買っていってやるかな」 自動ドア『ウィーン』 受付B(………あ) 受付A「…ん?どうかした?」 受付B「あ、い、いえ……」 受付(…………キョン君……) 今考えれば、俺はハルヒと離れていることなんてなかった。 教室にいる時も、放課後の活動の時も、そして休日も。 はじめてあいつに会った日。 そう、あいつが宇宙人と未来人と超能力者を欲したあの日から今日と言う日まで、ほとんど一緒にいた。 そう、だから俺はハルヒと会うのを一日開けただけで、俺は舞い上がった。情けない話だけどな。 歩いてる途中、それまでの道のりが煩わしかった 早く会いたかったんだ。 あいつに。 ハルヒに。 ハルヒの、笑顔に ははは。 やっと到着した。 いつもより倍近く歩いた気がしたぞ。 このドアを開ければ、あいつが待ってるんだ。いつものあの笑顔で。 いつもはツンとして可愛くないやつだが、きっと「キョン!」って言って100Wの笑顔で迎えてくれるんだ。 ……早く、会いたい。 ガラガラガラッ! キョン「ようハルヒ!!」 キョン「ようハルヒ!!今日も来……」 バサッ……バサッ…… キョン「ハル…………ヒ……?」 その部屋には、誰もいなかった。 片付けられた机。 綺麗に磨かれ終わった床。 折り畳まれたマットレス。 開け放たれた窓。 入る風が純白のカーテンをばさばさと揺らせていた。 キョン「な、なんだよ……これ………」 キョン「どこだよ、ハルヒ………」 キョン「……はは、分かったぞ。隠れてんだろ」 キョン「ほら!ハルヒ!もうバレてんだ!早く出てこいよ!」 バサッ……バサッ…… キョン「ハルヒ、出てこい」 バサッ……バサッ…… キョン「………出て来て……くれ……」 ヒラッ……… キョン(…………?何だ……?便箋?) ……… …… … おはようキョン。 これを読んでるってことは、あんたはもうあたしの病室にいるのね。 ごめんなさい まず謝っておくわね。 だから怒らないで聞いて? ……じつは、あたしはもう長くないんだ。 騒いだりしてあんたを困らせたりしてたけど、じつはすっごく頭が痛かったの。 我慢してたんだけどね、何度かバレちゃってたかな? お医者さんの話では頭の中に血の塊ができてるらしいの。それもすっごく大きいのが。 お医者さんからは危篤状態から戻ったのも奇跡としかいいようがないと言われたわ。 そして、もう命も長くないと言われた。 あたしはね、それを聞いたとき、何で目を覚ましたんだろって思った。 単純に死が怖かった。それもあるけど、でも、あたしはそれ以上に、あんたとの別れまでの日を実感しながら死んで行くのがすごく怖かった。それなら眠ったまま、なにも分からないまま死にたかった。 だけどね、お医者さんの話を聞いたの。 あんたがどんな思いで私を看病してくれていたのか…。 ずっと寝ずに看ていてくれていたり、返事もできないのに話しかけてくれたりしてたらしいじゃない。 それで、あたしは気が変った。 ……あたしは今海外にいます。 アメリカにね、すごいお医者さんがいるんだって。 その人に手術をしてもらうの。 それでも成功する可能性は限り無く低いって言われた。 だけどね、あたしは頑張れる。 あんたと過ごした高校生活や、ちょっぴりだけど、二人でSOS団の活動をした日々。 思い出すとね、負けてたまるか!って思えるのよ …だから、あんたも頑張んなさい。 あたしを理由に、進むのをやめないで。 あんたの人生はあたしのものじゃない。 誰のものでもない。あんたのものなの。 そして将来、あんたの力を必要とする人がきっと現われるわ。 だからその力を、その人に貸してあげなさい。 その人を救ってあげなさい あたしには無理だけど、あんたにはそれができる。 だから、頑張んなさい あんたが頑張ればあたしも頑張る! だから、あんたが頑張れば、あたしは死なない。きっと。 死ねないもの。あんたを残して。 あたしは絶対帰る。約束する。 だからそれまで、SOS団は解散。団長のあたしがいないから仕方ないでしょ。 あたしが帰るまで、待ってなさい! そして、それまでにあんたは最高の医者になってること。 これが、最後の団長としての命令!絶対守るように。 それじゃあ。またね。 あたしの大好きな、キョン キョン「………はは、連絡先は書いてない……か」 キョン「………それもそうだな。……だって書いてたら全力で追いかけるもんな、俺は」 キョン「……お見通し……か……」 キョン「『ごめんなさい』……」 キョン「……俺は許さないぞ」 キョン「………こんな紙切れで謝られても許さない」 キョン「……お前が直接謝りに来い……!」 キョン「………待ってるから……」 いつまでも、待ってるからな……!! お前の命令通り……待ってるから……!! キョン「いいか、その四人に伝える」
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ハルヒ「急な事情で……か」 キョン「あぁ。お前が寝てる間にいろいろあったんだよ」 ハルヒ「気持ち悪い偶然よね。三人とも急な事情で引越しなんて」 キョン「ま、長門に関してはそのうち戻ってくるってさ」 ハルヒ「そっか。んじゃそれまで二人でSOS団を運営していかないとね」 キョン「あぁ」 ハルヒ「こきつかってあげるから、覚悟しておきなさい」 キョン「あいよ」 ……… …… … 二人だけのSOS団。 二人だけなのに団ってのもおかしい話だが、俺はほっとした。 ハルヒの中でも、きっとあいつらの籍を残しているんだろう。 5人でSOS団。 ちなみに、俺は未だに雑用の平団員だ。 なぜかって?……それはもちろん団長代行の就任が却下されたからだ。 ………… ハルヒ「………よいしょ……っと(ぬぎぬぎ)」 ガラガラガラ… キョン「おいハルヒ、頼まれてたもん買って来」 ハルヒ「え?」 キョン(……!!!) ドンガラガッシャーン!! キョン「す、すまん!俺が悪かった!!見てない!見てないぞ!!…って、おわっ!?物を投げるな!」 ハルヒ「このスケベ魔神!!死ねっ!!」ブンッ バキッ キョン「ぐほぁ!!」 お爺さん「おやおや、あんなに元気になって」 …………… ハルヒ「…………」 キョン「カリカリカリカリカリカリ……」 ハルヒ「……(じーっ)」 キョン「…?なんだ?」 ハルヒ「あ、いや、なんかあんたが勉強してるのってちょっと違和感あって」 キョン「……失礼なやつだな」 ハルヒ「ほんと、似合ってないわよ?あんたに医者とか」 キョン「ほっとけ」 ハルヒ「……ま、体壊さない程度にほどほどにしときなさい」 キョン「へいへい」 …………… ハルヒ「……キョン。起きて!キョン!」ユサユサ キョン「………んぁっ!?…なんだこんな深夜に……」 ハルヒ「病院から出るご飯は薄くて食べた気しないのよ。だから……」ゴソゴソ キョン「……?…おわっ!!なんだこれ!!」 ハルヒ「なんだこれって、見たら分かるでしょ。鍋セットよ。最近寒くなってきたし、食べ頃よー?」 キョン「ば、馬鹿!院内は火気厳禁だ!!」 ハルヒ「少しくらいいいじゃない」 キョン「駄目だって…!」 医者「涼宮さん、何を…?ビキビキ」 ハルヒ「…!!」 キョン「…!!」 二人だけの団員。 だけど俺たちは精一杯楽しんだ 狭い病室のなかで、力一杯活動した 古泉!朝比奈さん!長門! SOS団はこんなにも楽しいんだ。 だから早く戻ってこいよ…! キョン「カリカリカリカリカリカリ…」 キョン「……ふぅ」 キョン(これでセンター対策は完璧だな) ぴゅんぴゅんぴゅん ちゅどーん!!! TV『GAME OVER』 ハルヒ「あー!!もう!またやられた!!なによこのゲーム!全然面白く……」 キョン(センターはなんとかいけそうだから、もう先に二次試験対策に移っても大丈夫そうか……) ハルヒ「……!!……っつ……!!」 キョン「ん?…おい!ハルヒ!頭が痛いのか!?大丈夫か!?」 ハルヒ「あ…あはは、平気平気、ちょっと古傷が痛んだだけ」 キョン「古傷ってお前、一年前のキズだろ!?」 ハルヒ「た、たまにあるのよ。本当に問題ないから……」 キョン「…………」 ハルヒ「…ちょ、ちょっと!深刻な顔しないでよ!大丈夫っていってんでしょ?」 キョン「……ほんとか?」 ハルヒ「…ほんと」 キョン「…ならいいんだ」ナデナデ ハルヒ「ちょ、ちょっと!なに勝手に人の頭を……!」 キョン「ダメか?」 ハルヒ「……いや、まぁ………………いいけど」ボソボソ ハルヒ「あ、そうだ!」 キョン「…なんだ?」 ハルヒ「今度映画つれてってよ!」 キョン「はぁ?」 ハルヒ「どうしても映画館ど見たい映画があるのよ!ね?いいでしょ?」 キョン「いいわけあるか」 ハルヒ「…だって来る日も来る日も同じゲームばっかりでつまんない」 キョン「……買って来てやるから」 ハルヒ「ゲームはいらない。映画が見たいの!」 キョン「わがままいうな」 ハルヒ「だいたい病院から映画館近いじゃない!少しくらいいいでしょ!」 キョン「…怒られるのは俺だ」 ハルヒ「……本当にお願い!このチャンスだけは見逃したくないの!」 キョン(……そんなに見たい映画なのか…。 まぁ病院内には娯楽は少ないし……) キョン「分かった、今回だけな」 ハルヒ「!!(ぱぁっ)」 キョン「向こうでもおとなしくしてろよ?」 ハルヒ「じゃ!早速明日行くわよ!」 キョン「明日!?」 ハルヒ「善は急げっていうじゃない」 キョン「…でもなぁ」 ハルヒ「……あ、でもよくよく考えたら、誰にも気付かれずに受付の前を通るのは至難の技ね」 キョン「………?」 ハルヒ「…うーん、なにか良い方法は……。 ………あ!」 ハルヒ「今日あんたの家に泊まればいいんだわ!」 キョン「ぶっ!!?」 ………… シャミセン「………むにゃむにゃ」 カラカラカラ…… キョン(なんで自宅、しかも自室なのにこんな窓から入るなどという泥棒まがいのことをせにゃならんのだ……) ハルヒ「ちょっとキョン…!早く入りなさいよ!後がつかえてんのよ!」ボソボソ キョン「……へいへい」 ぶにゅっ キョン(…ん?なんか踏んだ?) シャミセン「ぶみゃあっ!?」 ハルヒ「……しばらくみないうちに、えらく優等生な部屋になったわね。赤チャートとかもあるし…」 キョン「おいハルヒ。もう一度言っておくがな さ わ が ず に 寝 ろ よ ?」 ハルヒ「わ、分かってるわよ!……じゃあほら、明日に備えて早く寝ましょ」 キョン「おう」ゴロン ハルヒ「……あんた床で寝んの?」 キョン「仕方ないだろ」 ハルヒ「この時期床は寒すぎるわよ」 キョン「……お前がベッド使うから仕方ない」 ハルヒ「ま、それもそうね」 キョン「………」 時計「チッ、チッ、チッ、チッ」 ハルヒ「zzz……」 キョン「…………」 キョン(格好つけたはいいが、寒すぎて寝れん…!!) スック…… キョン(仕方ない。起きて英単語でも覚えておこうか) ハルヒ「………………キョン?」 キョン「…なんだ?」 ハルヒ「……やっぱ寒くて寝れないとか?」 キョン「…………」 ハルヒ「………こっち来なさい」 キョン「あ?」 ハルヒ「さ、寒いんでしよ!?仕方ないから布団にいれてあげるわよっ…!」 キョン「!?」 ハルヒ「………………」 キョン「……………ゴクリ……」 キョン(……なんで俺はハルヒと同じ布団で寝てるんだ?) ハルヒ「………暖かい?」 キョン「……そりゃあもう」 ハルヒ「………あんた足冷えてるわね。ちょっと貸しなさい」 ぷにゅ キョン「!!!」 キョン(なんだこの絡み付く柔らかい感触は…!足なのか!?ハルヒの生足なのか!??) ハルヒ「……暖かくなってきた?」 すりすり キョン「!!?」 キョン(この血流の感触……) ┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド………… キョン(これは、マズイぞ…!かなりマズイ…!) キョン(俺のマイサンが、怒っている!!) ハルヒ「……あんた何モゾモゾしてんの?」 キョン「べ、べつにモゾモゾしてないだろ…!」 ハルヒ「………………」 キョン「……な、なんだ?黙って…」 ハルヒ「……ドスケベ」 キョン「!!?」 キョン「ま、待て。これは人間の生理的現象で……」 ハルヒ「…………もういい、寝る(プイッ)」 キョン(不可抗力だろ……) ハルヒ「…………」 次の日、映画館にて ブルース・リー「ほわっちゃあ!!!ホアーッ!!ホ、ホアーッ!!」 キョン(…………)チラッ ハルヒ「…………ボリボリ」 キョン(……今のうちに寝るか。昨日はあまり寝てないし) ハルヒ「……………ボリボリ」 ブルース・リー「ホアァ!!」バキッ ハルヒ「そう!そこよ!そこ!!」ぶんっ! バキッ キョン「ぐはっ!?」 ハルヒ「ふーっ!楽しかった!」 キョン(結局寝れんかった……) キョン「よし、じゃあ帰るぞ」 ハルヒ「……………ぇ……?」 キョン「……え?ってお前…。まだどこか行きたいのか?」 ハルヒ「ぁ、いやいや!そうじゃないんだけど。そうね、帰りましょう」 キョン「あ、あぁ…」 ハルヒ「…………」 俺たちは映画を終えた後こっそり部屋にもどろうとしたが、 結局バレて、担当医にお灸をすえられるのだった キョン「おう、じゃあまた明後日来るからな」
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ウェイター「いらっしゃいませ。2名様でよろしいですか?」 キョン「はい」 ウェイター「おタバコは…?」 キョン「吸わないです」 ウェイター「では、こちらに」 キョン「……ファミレスなんで久し振りだなぁ。ちょうど一年振りくらいか」 長門「……(こくん)」 キョン「みんなで色んなとこで飯食べたよな」 長門「…………」 キョン「…あ、あぁー、すまん。あ、好きなの食べるんだぞ」 長門「……(こくん)……じゃあ、五目チャーハン」 キョン「……ん?それだけでいいのか?」 長門「……大丈夫」 キョン「そっか、んじゃ俺は……」 キョン(……………) キョン「コーヒーでいいや」 長門「駄目…!」 キョン「あ、あんまり腹へってないんだ……」 長門「あなたは昼も食べていなかった。ちゃんと食べないと、駄目」 キョン「……………」 長門「……あなたまで病気になる」 キョン「…わかったよ。じゃあ俺はオムライスにする」 長門「……(こくん)」 ウェイター「おまたせしました。オムライスと五目チャーハンです。 オムライスの方は…?」 キョン「……(ぼーっ)」 ウェイター「…?あ、あの」 キョン「(はっ)…あ、」 長門「五目チャーハンが、私」 ウェイター「かしこまりました」ゴト… キョン「や、やっと来たな!さ、食べろ、長門」 長門「……あなたは?」 キョン「え?あ、あぁ……食べるよ」 キョン(…………) 長門「………頂きます」 キョン「…………」 長門「………(ムシャムシャ)」 キョン「………(チビチビ)」 長門「…入らない?」 キョン「そ、そんなわけないだろ。い、いただきます!ハムッハフ!バクバク」 長門「……」 ぐにゃあっ……! キョン(う……!!) キョン「う……ぐ…………!!」 長門「!!!」ガタンッ キョン「おぅ、おええぇええ!!!!」 ウェイトレス「きゃあああ!!」 長門「…大丈夫…!?」 ……… …… … ウェイター「ありがとうございましたー」 ガランガラン… キョン「すまんな、汚いもの見せちまって」 長門「……問題ない」 キョン「んじゃ、ハルヒんとこにもどるか」 長門「………待って」 キョン「…?」 長門「あの公園で、休憩したい」 キョン「もう暗くなるぞ?」 長門「お願い」 キョン「………」 夜、公園にて キョン「……夏直前とはいえ、夜はすずしいもんだね」 長門「……(こくん)」 キョン「あのベンチに座るか」 ドスン… トスン… キョン「ふう……」 長門「………(くいっくいっ)」 キョン「なんだ?」 長門「…………大切な話がある」 キョン「なんだよ、あらたまって?」 長門「明日からもう来ないで」 長門「…………あなたは抜けて」 キョン「……あ?」 長門「……あなたをこれ以上涼宮ハルヒのそばにおいておくわけにはいかない」 キョン「…………どういうことだ?」 長門「………」 キョン「……理由を言え」 長門「あなたの精神と肉体は、もう崩壊寸前」 キョン「………」 長門「……食事もろくにうけつけていない」 長門「…食事はいつからとってないの?」 キョン「知らん」 長門「…………」 長門「……この一連の事件であなたはもう疲弊しきっている」 キョン「…………」 長門「……特にあなたの精神は、もうボロボロ。拒食症の兆候も出ている」 キョン「…………」 長門「あなたまで大変なことになる」 キョン「…………」 長門「お願い」 長門「…………あなたはもうこないで」 キョン「…………嫌だ」 長門「駄目」 キョン「明日は俺の当番だ。長門は来なくていいからな」 長門「駄目」 キョン「よーし!飯も食ったし戻ろうか。ハルヒも一人じゃ寂しいだろうしな!ははは」 長門「駄目…!」ガシッ キョン「……離してくれ」 長門「駄目…!」ギュ キョン「離せよ!!」ぶんっ 長門「!!」 長門「……っ!」ドサッ キョン「…………ぁ……」 長門「………平気」 キョン「す、すまん…!…な、なにやってんだ俺は…!」 長門「大丈夫。……問題ない」 キョン「も、問題ないって、あ、アザが……」 長門「……本当に平気」 長門「でもここまで抵抗があるとは、予想外」 キョン「…………」 長門「…………」 長門「………涼宮ハルヒはもう助からない」 長門「………彼女はずっとあの状態のまま、生涯を終える。それはもうほぼ間違いない」 長門「彼女の今の状態は脳死状態」 長門「……体だけが生きている状態。機械を使って」 長門「…………死んだものは」 長門「……………蘇らない」 キョン「……………」 キョン「……………そうか」 長門「…………その反応も、予想外」 キョン「………こころのどこかで予防線……、いや、整理をつけてたのかもしれない」 長門「……整理を………つけていたの?」 キョン「………あぁ」 ……多分分かっていたんだ。頭の中では。 ハルヒは助からないって。 ただ、考えようとしてなかっただけだ。 ほら……思い出してきた………… 記憶の海の中に、重しをつけて沈めた記憶。 二度と思い出したくもないから、俺は沈めた。 深く、深く……! 谷口「涼宮がトラックに跳ねられたんだよ!!」 キョン「な、なにを言って……!?」 谷口「カーブを猛スピードで入ってきたトラックに……!!」 キョン「え、演技でもない冗談はよせよ!!」 谷口「早く病院へ行ってやれ!!俺はお前のダチに連絡いれておいてやる!!」 キョン「……!!」 谷口「だから携帯を置いて…!!あ、おい!待て!!」 執刀医「………手はつくしましたが」 古泉「………」 執刀医「………ほぼ、延命措置と言っても差し支えありません」 みくる「………」 執刀医「………………回復はほぼ絶望的です」 長門「………」 執刀医「…………気長に、頑張りましょう」 キョン「………」 執刀医「………奇跡を、信じて……」 キョン「ただ、俺は現実から目を背けてただけか……」 長門「………」 キョン「心の隅では分かってたんだよな。奇跡なんておきないんだって」 長門「………」 キョン「奇跡なんてハナから信じてなかったんだ。俺は…」 長門「………そう」 長門「………じゃあ」 長門「………何故、泣いているの?」 キョン「…………………ぅっ……!……ううぅ………」 長門「何故、泣くの……?」 キョン「俺は……なにもあげてないんだ」 長門「………?」 キョン「もらいっぱなしだった…!くだらないSOS団の活動も!!夏の思い出も!! 鍋だってしたよな……!!あれだってそうだ!!楽しい時間も! 仲間を思う気持ちも!!!……俺はもらいっぱなしだった……!!」 長門「…………」 キョン「……飽食してたんだ。惰性でダラダラと……」 長門「…………」 キョン「………俺はありがとうって言ってないんだ」 長門「………」 キョン「馬鹿げてるけど、こんなにも楽しい生活をくれるあいつに…」 長門「………」 キョン「涼宮ハルヒに、まだ一言も礼を言ってないんだ」 長門「………」 キョン「………だから、ちょっとだけ」 キョン「…………本当は、ちょっとだけ、奇跡を信じた」 キョン「あいつに、ありがとうが言いたいから……」 キョン「………奇跡ってのは99%のなかの1%だよな。……だから無くて当然なんだけど」 長門「……………」 キョン「その1%がなくなることが、こんなにも不安………うっ……………なんて…………っ……!」 長門「……………」 長門「………あなたがくれたものはたくさんある」 キョン「…………!」 長門「今の私は、たくさん持ってる」 キョン「…長門………」 長門「たくさん」 キョン「………やめてくれ。身のないフォローなんか……」 長門「……違う…!!」 キョン「……!!」 長門「…………あなたはたくさんくれた」 長門「……何もない私に、感動をくれた」 長門「……あなたに見て欲しいものがある」 キョン「………?」 長門「…………これ」 渡されたのは、忘れもしないあの用紙。……俺の運命を変えたあの紙だ 一年前渡された、 第一回目進路志望。風化で少し色褪せていたが、これを見まがうことはない 俺は風化した紙に目を落とす そこには長門特有の、あのパソコンで打ったような文字はなかった。 一見すれば長門のいつものあの文字だ。明朝体フォントのような。 でも俺にはわかる。 いつもの一辺の滞りもない一本一本の線が不安に揺れていた。細かく、小さく。 第二志望、第三志望は空欄……。 第一志望の欄の片隅に、遠慮がちに……… 小さく「お嫁さん」と書かれていた。 長門「………あなたはもう苦しまなくていい。……苦しまないでほしい」 長門「私が、サポートする。ずっと」 長門「……私は、あなたのそばにいたい」 長門「職業シミュレーション…。確かに劣悪な生活環境と認識した。だけど、不幸じゃなかった」 長門「ずっと、あなたのそばにいられるから」 長門「………あなたのそばが、私の居場所たがら……」 ぐにゃあ………。 あ、まただ…。 だけど今回は心地いい。 ここまでしてくれるのか長門……。 俺はそんなイイ男じゃないぞ。 はは。 ハルヒは……こんな俺を許すのか。 お前は俺を待っててくれたんだよな。 最期のときまで、俺を待ち続けるのか……? でもな、俺はわかるんだ。 お前は多分笑って許してくれるんだ。 いつもギャーギャーうるさいお前が、こういう時だけは…… でも、俺は……… 「悪い。それは、受け取れない」 長門「…………」 キョン「その気持ちは、受け取れん」 長門「………!」 キョン「俺は奇跡を信じて、今まであいつの看病をしてきた」 キョン「でも、それを信じるあまり見失ってた」 キョン「……俺自身は、まだ何もしていない……!!」 キョン「………長門」 長門「………何?」 キョン「すまん」 長門「……………」 キョン「………また長門からもらってしまったな。懲りないな、俺も」 ……ありがとう。 長門「………問題ない」 長門「………これは、予想の範囲内だった」 長門の顔がほころんだ気がした。 ……きっと俺しか、分からないくらいに…… 深夜、キョンの自宅にて ドタドタドタドタドタドタ! キョンの妹「うーん……今何時ぃ……?」 ギッタンバッタン!! キョンの妹「キョンくんの部屋ぁ……?」 キョンの妹「……キョンくぅん……こんな時間になにやってるのぉ…?」 キョン「あれだあれ!進路志望調査の紙!!あれどこいった?」 キョンの妹「えー…?しらなぁい…」 ガサゴソガサゴソ!! キョンの妹「……もう寝ようよぅ……」 キョン「あ!!」 キョン「あったぞ!!!!!」 シャミセン「にゃっ!?(びくっ)」 次の日 職員室にて ガラガラガラっ! キョン「失礼します」 数学教師「はいはい、って君は……」 キョン「岡部先生の机は?」 数学教師「あぁ、そこだが……」 キョン「……提出、と。(ペラッ)…失礼しました!」 ガラガラガラッ ピシャッ 数学教師「……何を提出したんだ? ………進路志望調査?……なんだいまごろ提出して」 数学教師「……しかも志望が『医師(脳外科)』だと?」 俺はなにもかもに頼りきりだった。 さっきの奇跡の話だってそうだし、長門にも頼りきりだった。 それゆえに、一番簡単なことを見失っていた。 待つんじゃない。俺が行くんだ。 奇跡がハルヒを助けるのか? 長門がハルヒを助けるのか? ……違う ……俺以外に誰が助けるんだ!! 昼休み、教室にて 国木田「…………」 谷口「…………どうなってやがる…?」 キョン「カリカリカリカリカリカリカリカリ」 ある日、昼休みにて キョン「………ふぅ、チャートもやってみるもんだな。慣れればなんとかなりそうだ」 長門「…………」 キョン「おう長門!どうした?」 長門「………お弁当」 キョン「俺にか?」 長門「………(こくん)」 キョン「…助かる。すごく助かる。今ちょうど腹の虫たちが騒ぎ始めたところだ。 …で、弁当のメニューは?」 長門「カレー」 キョン「………なるほどね」 ある日、自宅にて キョンの妹「まてー!!シャミー!!」 ドタドタドタ シャミセン「………!!!」 ガチャッ キョン「ただいまー」 キョンの妹「おかえりー!」 キョンの妹「だめだよー…?キョンくんはいまからお勉強するの。だからシャミセンは騒いじゃだめ」 シャミセン「…にゃ」 ある夏休みの晴れた日 谷口「二人で遊んでてもつまんねーな」 国木田「…毎日だからね」 谷口「仕方ないだろ。高校最後の夏休みなんだからよ。……ってことであいつも呼ぶ(ピポパ)」 国木田「…えぇ!?キョンを呼ぶの!?」 谷口「あいつ急に勉強しだしたり、おかしいからな最近。 ここはひとつ景気づけに(ガチャッ)あ、もしもし?」 キョン『谷口か。どうした?今予備校なんだが』 谷口「………あいつ、金払って勉強してるぞ?」 国木田「…人間変わるもんだね」 ぐにゃあっ……!
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―――――――――………… とある講演会場、舞台袖にて 司会「………では、出番です」 教授「しみじみ思うよ。君は私の誇りだ。」 医師A「教授に同感だ。お前と同期で感激だよ」 医師B「脳死状態からの回復だなんて、ほんと始めは正気の沙汰とは思えなかったぜ」 医師C「だな。俺も始めは馬鹿にしてたんだが、まさかそれを……」 司会「あの……」 医師A「おっと出番だぜ。行って来い、キョン」 キョン「はい」 司会「では、本日の主役であります方をお呼びします。どうぞ!」 パチパチパチパチ…! キョン「…………」 司会「…………」 キョン「…………」 司会「…………」 キョン「…………」 司会「……あのー……」 キョン「………」 司会(オイコラ若造…)ボソボソ キョン「…………?」 司会(弱冠30歳で医学博士か。卒業大学もアメリカのウンタラ大学で結構なことだが、テレビの前で俺に恥かかせたらただじゃおかねぇぞ…!)ボソボソ キョン「…………」 司会(これは一応歴史的会見ってことで全国ネットの生放送なんだ。時間がねぇんだよ。大物ヅラしてねぇでとっとと話せや……) キョン「…………。 それは申し訳ない」 司会「では、お話し頂きましょう!…ホラ、ハナセヤ…!」 パシャ!パシャパシャ!パシャッ…! キョン「どうも。紹介に預かりましたキョンです」 記者「……キョン?」 米国記者「……what??」 ザワザワ…ザワザワ…… キョン「……もちろん私の本名はキョンではありません。本名は別にあります。 ただこれからお話させて頂く内容をお伝えするにあたって、そう名乗らせて頂いたほうが分かりやすいと思いますので」 ザワザワ…!ザワザワザワザワ…! キョン「あと、それからもう一つ」 キョン「今日は医学関係の話をするつもりはありません」 司会「なん……だと……?」 ………ざわっ……… キョン「ではまず、私の高校時代の、進路指導の話をさせて頂きます」 記者「あ、あの…!」 キョン「あ、新聞記者さん。メモはとらなくていいですよ」 記者「え?」 キョン「今日は俺が勝手にこの場を借りるだけなんで」 記者「???」 ―――――――……… キョン「………てな具合にですね、長門が『…ご飯?お風呂?』とシミュレーションの相手である私に聞くところから、 この、全国ネットでお話させて頂くまでの経緯……そうですね、2ちゃんねるで言うならば、3スレに値する量のお話を今までずっとさせて頂いていたわけですが……」 記者「…………(ぽかーん)」 米国記者「………oh……」 キョン「……ここからが本題です。私にとっても……」 教授「あ、あの馬鹿はなにをしておるのか!!いますぐやめさせろ!!」 医師A「教授!!落ち着いて下さい!!」 医師B「……あいつ……確立される筈の絶大な権威が……文字通りパーだ……!頭も、パー……!!」 司会(……いまから本題だと?このままでは3スレだけではなく4スレ目に…!?) キョン「すみません、この番組、視聴率ってどれくらいですかね?」 ディレクター「へ?あ、あー……まだ今はデータが出てませんが、歴史的技術の進歩なんで、20%は…。ある意味、放送事故ですし…」 キョン「20%…。20%であいつらが見てるってことですね……」 ディレクター「……は?」 キョン「……今まで話してきたが、心当たりがあるやつがいるだろ」 キョン「テレビの前に、四人…!!」 キョン「いいか、その四人に伝える」 キョン「……俺たちがもっとも愛した場所に、今日中に集合だ」 キョン「これは団長…、いや、団長代行命令だ!拒否権はない」 キョン「んじゃ、今から俺は向かうから。お前らも急いで来い。以上」 都内某所 某保育園にて ワイワイ ワイワイ 男の子「あはははwwwwwwwwwwwwww」 女の子「きゃはははwwwwwwwwwwwwwwまー君が鬼だぁwwwwwwwwwwwwww」 保母さん「ちょっとー?気をつけてあそびなさーい?」 保母さん「……ふぅ、元気すぎるのも問題ね。 ………ん?」 女の子「…………」 保母さん「……遊ばないの?」 女の子「つまんない」 保母さん「どうして?」 女の子「…………」 保母さん「……ふーん、なるほどなるほど」 女の子「?」 保母さん「ヒントをあげるわ」 女の子「……何?」 保母さん「……つまらないなら、あなたが盛り上げなさい。世界を、大いに」 女の子「世界を、盛り上げるの?」 保母さん「そうよ、あなたがね」ナデナデ 女の子「うん」 男の子「ぎゃはははwwwwwwwwwwwwwwキョンだってこのひとwwwwwwwwwwwwww」 保母さん「?」 保母さん「こらー!あんたたち何やってんの!」 女の子「まー君が勝手にテレビつけるの…」 保母さん「こらっ!だめでしょ!」 男の子「このひと先生の好きな人と名前一緒だよ?」 保母さん「へ?」 男の子「このひと、キョンって……」 キョン『……今まで話してきたが、心当たりがあるやつがいるだろ』 キョン『テレビの前に、四人…!!』 保母さん「…!!!!」 ダッッ! 男の子「あれ?先生?どこいくのー?」 保母さん「……っ!」 園長「ま、待ちなさい涼宮先生!どこへ行くつもりですか!?」 ハルヒ「…すみません、急用です!」 園長「…………」 ハルヒ「……申し訳ありません。ですが――」 園長「集合場所はあなたたちが最も愛した場所です」 ハルヒ「……!」 園長「お気をつけて、いってらっしゃい」 ハルヒ「…ありがとうございますっ!」 谷口「いいかぁー?この底辺がXになるから、この面Bの値が…」
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夜、学校にて 警備員「~♪……ん?」 ササッ…! 警備員(今なにか通った…?) 警備員「………ゴクリ」 警備員「だ、だれかいるのかっ!?」 ガサッ…… 警備員「…………!!」 警備員(…確実に誰かいるぞ…!) 警備員「で、出てきなさい!いるのはわかってるぞ!!」 ???「………!!」 バッ!! 警備員「…!!!(ほんとに出て来た!?うわあああああ!!)」 猫「…にゃおー」 警備員「………」 警備員(………なんだ猫か) 猫「にゃ」 警備員「……お前可愛いな。ソーセージ食うか?」 キョン(………猫と遊んでるのか?…まぁいいや。いまのうちに…) 夜、部室前にて キョン(……………) キョン(そういやここに来るのも一年ぶりくらいか) ガチャッ…… キョン「…………」 キョン(………開いてる…) キョン(……………) キョン「…………俺たちの、部室だ」 ドアの向こうは、一年前のままだった。 ホコリの積った長机 黄ばんだカーテン ネズミやゴキブリの死骸たち 床に散らばった蛍光灯の破片 一年という歳月を感じさせる変化はたしかにあった。 だけど、そこはまぎれもなく、俺たちの部室のままだった。 まるで、ハルヒが眠り続けていたことで、時が止まっていたかのように。 そして、彼女はいた。 窓際の、あの席に 長門「……………」 キョン「……………」 長門「……………」 キョン「………また、本読んでたのか?」 長門「……(こくん)」 キョン「………俺も一冊かりていいか?」 長門「……(こくん)」 キョン「…………」 長門「…………」 キョン「……なんかさ、思い出さないか?」 長門「……何を?」 キョン「授業が終ってさ、俺が部室に来る」 長門「………」 キョン「んじゃ長門が絶対いて、ここで本を読んでる」 長門「………」 キョン「んで俺は聞くんだ。『あれ?みんなは?』って」 長門「………」 キョン「そしたら長門は答えるんだ。『まだ』ってな具合で」 長門「………」 キョン「んで次は朝比奈さんが入ってくるんだ。お疲れ様ですーってな。 朝比奈が着替えるから、俺は外に出る」 長門「………」 キョン「んで俺が外で衣擦れの音を聞いて性欲をもてあま……じゃなかった。外で窓のそとを眺めていると、古泉が来る。 遅れて申し訳ありませんーとか言うんだが、顔がニヤけてやがるもんだから、全く申し訳なさそうに見えないんだな。これがさ」 長門「…………」 キョン「朝比奈さんがお茶を淹れてくれて、俺と古泉はゲームして、長門はずっと本をよんでる」 長門「………」 キョン「そしたらな、とびきりうるさいのが入ってくるんだ。 乱暴にドアを蹴って開けて、耳を貫きかねん声で『おまたせー!!』ってな」 長門「…………」 キョン「…………俺はいまにも、あいつらがそのドアから入ってきそうな気がする」 長門「…………」 キョン「俺と長門が、こうやって一年ごしに、ここにいるように」 長門「…………」 キョン「……俺はな、確信してるよ」 長門「……何を?」 キョン「……みんな、ここが好きだから、戻ってくる」 長門「………」 キョン「いつになるかは分からん。明日かもしらんし、もしかしたら爺さん婆さんになってからかもしれない」 長門「………」 キョン「……俺は確信してるよ」 長門「………」 キョン「………だから長門」 キョン「………お前は行くな…!!」 キョン「みんなを待つんだよ!俺たち二人で!!」 長門「………」 キョン「まずは俺たち二人でハルヒの看病をするんだ…!ハルヒは俺が医師になって必ず助ける!! ハルヒが元気になったら……ほら、もう三人だ!!」 長門「………」 キョン「三人で待とう!! 三人になったらまずこの部室の掃除だ! ……ってあれ?そんときは俺は医者になってるから卒業……? あああっ!まぁいいや!卒業してもここを使おう!! だから、三人で大掃除だ!」 長門「……」 キョン「それから三人で、みんなが集まってから何をするか決めよう! そうだな…!再結成第一弾は、やっぱオーソドックスに不思議探索かな!」 キョン「ははは、なんかこうやって話してたら楽しいな」 長門「………」 キョン「………楽しいだろ?」 長門「………」 キョン「…………………楽しいって言ってくれ……」 長門「…………ごめんなさい。その気持ちは、受け取れない……」 キョン「……………なんでだよ」 長門「………あなたはもう分かっているはず」 キョン「………………」 長門「私は本日の12時をもって削除、破棄される」 キョン「……嘘だろ」 長門「……聞いて。……これはもう決まったこと、仕方がない」 キョン「……仕方ないってなんだよ……。」 長門「………」 キョン「人が一人消えるのが、仕方ないってのか……!?」 長門「………」 長門「…………」パタン… キョン「…………」 長門「読み終わった」 キョン「…………」 長門「………もう、行かないと」 キョン「………だめだ」 長門「もう決まったこと」 キョン「だめだ!!行くな!行かないでくれ!!長門!!」 長門「……聞いて」 キョン「嫌だ!誰が聞くか!!聞きたくないぞ俺は!!」 長門「聞いて…!!」 キョン「………!!」 長門「……あなたが本当に必要としているのは私じゃない」 キョン「何言ってんだ!!俺はお前を……!!」 長門「お願い聞いて。もう時間がない」 キョン「……くっ…!!」 長門「あなたが本当に必要としているのは涼宮ハルヒ。私じゃない」 キョン「でも!!」 長門「……涼宮ハルヒは三日前、死ぬ予定だった。それは、宇宙の調和が決めた決定事項」 キョン「…………」 長門「………それを私が変えた。 あなたが、幸せに生きるために」 長門「……あなたには、悲しんで欲しくない」 キョン「でも!!長門が!!長門はどうするんだ!?お前が不幸なら俺も不幸だ!!」 長門「……私は幸せ」 キョン「……嘘だ……!嘘つけ!!」 長門「………もう、そろそろ」 ガシッ…! 長門「……!」 キョン「うわあああああ!!な゙がとぉ!!い゙ぐなァァ!!いがな゙い゙で!……いがないでくれ!!」 長門「…………」 長門「…………泣いては、駄目」 キョン「……うっ…!ううぅ……えぐっ……!」 長門「……最後は」 キョン「!!?」 長門「……最後は笑ってお別れしたい」 キョン「…………出来るわ゙げ……!ない゙だろ゙……!!」 長門「……お願い」 キョン「………ぐすっ…ぐすっ…!」 ゴシゴシゴシ…! キョン「………じゃあ、一つだけ約束しろ」 長門「…約束?」 キョン「……俺はハルヒと二人でみんなを待つ!!だから長門」 長門「………」 キョン「お前も絶対戻って来い!」 長門「………!」 長門「……でも」 キョン「動けるSOS団は俺だけになってしまった」 長門「………」 キョン「だから俺が、今から団長代行だ!!」 長門「………」 キョン「団長の命令は絶対だ!」 キョン「長門!!」 キョン「待ってるから、絶対にもどってこい!」 長門「…………」 長門「…わかった」 次の瞬間、部室ないに閃光がほとばしった。 目を貫いて、脳の奥の方まで突き刺さりそうな鋭い光 でも俺はそのなかで、目をこらし、満面の笑みを浮かべた。 眩い閃光の中で、長門もほんのちょっぴり、俺にしか分からないくらいの笑みを浮かべていたに違いない。 ―――あなたはここで立ち止まっては駄目。 そうだ。長門は帰ってくる。約束したんだ。 あいつは出来ない約束はしない。 だから、長門は帰ってくる。絶対に だってほら、長門が最後に読んでいた本。 スタンドバイミー。 あなたのそばに立つ。 ハルヒ「さ、寒いんでしよ!?仕方ないから布団にいれてあげるわよっ…!」
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キョン「ただいまー」 ハルヒ「ちょっとキョン!!今何時だと思ってんの?」 キョン「会社の付き合いだ。仕方ないだろ」 ハルヒ「会社の付き合い付き合いって…!…もういいわ。ご飯できてるわよ!」 キョン「食って来た」 ハルヒ「はぁ?食ってきたって…!!あたし食べないで待ってたのよ?」 キョン「別に待たなくていいって言ってるだろ。…寝る」 ハルヒ「ちょ、ちょっと待ちなさい!風呂は…」 キョン「うるさい」 ハルヒ「え?」 キョン「人が働いてヘロヘロになって帰ってきてるんだ。ギャーギャー騒がないでもらえるか?…おやすみ」 バタンッ ハルヒ「…………」 ハルヒ「バブルバスで遊ぼうと思ったのに……」 キョン「遅刻だ!やばいぞ!もっと早く起こせっていっただろ!!」 ハルヒ「なによ!!あんたが気持ち良さそうに寝てたから…!!」 キョン「ちっ、いってくる!」 バァン!!! ハルヒ「………なによ…」 みくる「ちょっといっちゃん、隣またやってますよぅ」 古泉「まったく喧嘩以外やることはないのでしょうか。よく飽きないものです」 たかた社長「こちらの商品はですね!!!」 みくる「あ、これ欲しい♪」 古泉「みくるは欲張りさんですね♪(ピポパ)…あーもしもしたかたさん?」 ハルヒ「……買い物いこうかしらね」 ガチャッ みくる「あ、おとなりの涼宮さん」 ハルヒ「みくるちゃん…!」 みくる「あらら…。ちょっと駄目じゃないですか!こんなヨレヨレの服着て!」 ハルヒ「あ、あたしはいいのよ」 ハルヒ(キョンにはいいスーツを着てもらわないといけないから…) みくる「鞄もこれって手作りじゃないですか!女の子はやっぱり良い鞄は一つは必要ですよ?」 ハルヒ「いいのよ……」 古泉「これはこれは、おとなりの涼宮さん。隣人、そして公務員の古泉です」 みくる「あ、おかえりなさい♪」 ハルヒ「こ、こんにちは。お帰り早いんですね……」 古泉「それはもう。定時上がりが原則の公務員ですから。五時以降は家族との愛を育む時間です」 みくる「恥ずかしいですぅ♪」 古泉「そうだ。ここからダイエーは遠いでしょう。僕が車で送りましょう。僕の愛車のポルポル君(カラーは赤・オープンカー)でね」 みくる「いっちゃんかっこいいです☆」 ブロロロロ… ハルヒ「………」 スーパー店員「ありゃしたwwwww」 ハルヒ(…昨日はキョンに悪いことしちゃったから、今日はちょっと奮発しないとね!) ハルヒ「う……重い……!買いすぎたかしら」 ハルヒ(でも、仲直りするために頑張るわよ!!) キョン「ただいま」 ハルヒ「おかえり!…あの、昨日は……」 キョン「昨日?なんのことだ?あぁそうだ。明日早いから風呂入って寝るわ」 ハルヒ「お風呂?ああ、じゃあ私も……」 キョン「一緒に入るって?はは、かんべんしてくれ。新婚じゃあるまいし」 バタン ハルヒ「…………」 キョン「……おい、もうやめようぜ。こんなの意味ないって」
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キョン「………みんな、行くのか」 古泉「僕ももう社会人ですからね。一緒にいたいのはやまやまですが…」 ハルヒ「あたしも、子供たちのことほったらかしで来ちゃったし」 キョン「子供!!?」 ハルヒ「あ、あぁ、保育園で預かってる子供ね」 みくる「私も今日無断欠勤なんで……」 長門「あなたも、記者会見をぐちゃぐちゃにした」 キョン「……分かってる。ちゃんと謝りに行く」 ハルヒ「あんたはどうすんの?」 キョン「俺はここを片付けてから行くよ。谷口に悪いし」 ハルヒ「谷口?」 キョン「いや、こっちの話」 みくる「じゃあ、私たちはこれで」 長門「…………」 ハルヒ「絶対、またみんなで会いましょう!」 古泉「連絡先も交換しましたし、今度はあんな記者会見ジャックはしないでいいですね。」 キョン「……やめてくれ」 ハルヒ「じゃ、またね!!」 バタンッ… キョン「ふぅ……じゃ、片付けるか」 キョン「…ったく、散らかしやがって…!」 キョン(…………) キョン「ま、今日ぐらいはいいか」 ガチャッ 古泉「もしもし」 キョン「うわっ!?」 キョン「…こ、古泉…! どうした?何か忘れ物か?」 古泉「……いえ、一言お伝えしておこうと思いまして」 キョン「……いやに真剣だな、どうした?」 古泉「『僕もできる限りのことはやらせて頂きました』」 キョン「……?」 古泉「『次はあなたの番。……いや、やっとあなたの出番です……!』」 キョン「………?」 古泉「……お伝えしたいことはそれだけです」 キョン「な、何の話だ?全く話が見えてこないんだが」 古泉「…ご武運を。僕はあなたを信じています」 バタン…… キョン(か、帰った…?) キョン「何言ってんだあいつ…。 ま、いいか。とりあえず片付けるか」 ガチャッ キョン「……ん?古泉?また何か」 みくる「……こんにちは」 キョン「………!?」 キョン「あ、朝比奈さん……ですか?」 みくる「はい」 キョン「で、ですが……」 キョン(『さっきの朝比奈さんじゃない』……!!) みくる「……あはは、あんまり見ないで下さい。気をつけてはいるんですが、小ジワが…」 キョン(この朝比奈さん、見た感じ……60代くらいか…?) キョン「………未来の朝比奈さんですね」 みくる(老)「…はい。お話しが早くて助かります」 キョン「……で、俺に用とは?」 みくる(老)「………ごめんなさい」 プスッ…! キョン「!!!!」 キョン(ち、注射針!!?) キョン「な、なにを………あさひな………さ……………」 みくる(老)「ごめんなさい。ちょっとの間眠ってもらいます」 キョン「!!!」 みくる(老)「安心して下さい。すぐに目が覚めます」 キョン「く…………ぅ……………」 みくる(老)「貴方達」 黒服「はっ!」 みくる(老)「ターゲットを例の場所に」 黒服「し、しかし本当に……?」 みくる(老)「命令です」 黒服「は、はっ!!」 キョン(な、なにを……朝比奈さん……… ……くぁ、い、意識が……) ――――――――………… カッ……! キョン(……!眩しい……!) キョン「…!!!」 ガバッ キョン「………ここは…?……くっ……?」 キョン(まだ意識がもうろうとする……!!) みくる(老)「…お目覚めですか」 キョン「!!! 朝比奈さん……!」 キョン「……朝比奈さん、ここは? これはどういうことですか…?」 みくる(老)「私、組織のお仕事を頑張って、一つの部隊を動かせるようになるまで、昇進したんです」 キョン(……?) みくる(老)「……私は長門さんからバトンを頂きました」 キョン「………バトン?」 みくる(老)「はい」 キョン「………?」 みくる(老)「『…次は、あなたの番』」 キョン「…!」 みくる(老)「『……キョンくん、やっとあなたが舞台に上がる番です…!』」 キョン(……朝比奈さんまで、古泉と似たようなことを…!) キョン「は、話を逸らさないで下さい…!俺には一体何がなんだか…!」 タッタッタッタ…… バァン!! みくる(老)「何事?ドアは静かに開けなさい」 黒服「ターゲットB、搬入完了との連絡が入りました」 みくる(老)「そう」 キョン「………???」 みくる(老)「時間がありません。手短に話します」 みくる(老)「ここは12年前のアメリカ。 ……涼宮さんが日本から搬入されてくる病院です」 キョン「な、なんだって!!?」 みくる(老)「キョンくん」 ガシッ みくる(老)「涼宮さんの執刀医は貴方」 みくる(老)「ついに来たのよ。この時が」 みくる(老)「あなたが、涼宮さんを救うのよ……!!」 キョン「!!!!」 キョン「……しかし、どこの誰かも分からない人間にオペをさせる病院は……」 「それについては心配無用です」 キョン「……!?」 「なぜなら、ここは」 ガチャッ 古泉「機関が運営する病院ですから」 キョン「こ、古泉…!!」 キョン「……お前は……歳をとってない……のか?」 古泉「ええ。僕はこの時系列の『僕』ですから」 キョン「……………!」 キョン(……ってことはこいつがハルヒのもとを離れたのは……!) 古泉「まぁ機関の病院とはいえ、僕に数人の有志が勝手に協力して頂いているだけですが」 キョン「……え?」 古泉「……つまり、この病院は僕が不法占拠しています」 キョン「なんだって!?」 古泉「ははは、多分上から大目玉ですよ」 キョン「……お前…!」 古泉「いや、そんなことはいいんです。 ……大事なことは」 長門さんから、朝比奈さんへ… 朝比奈さんから、僕へ… 僕から、あなたへ… 古泉「バトンが…。希望というバトンが受け渡された結果ということ」 キョン「……!」 古泉「僕たちはそれぞれ、持てる力をだしきりました」 古泉「次は、あなたが走る番です」 キョン「は………はは……………」 古泉「……どうかしました?」 キョン「なるほどな。そういうことか、『古泉』…!」 古泉「……はい?」 キョン「答えは出た」 古泉「………答え?」 医師「古泉くん、そろそろ…!」 古泉「あ、はい。では、そろそろ…」 キョン「……あぁ」 医師「あなたが……」 キョン「はい、涼宮ハルヒの執刀医です」 医師「あの、患者さんがあなたのお名前を知りたがっていました。 命を預ける相手だから、是非名前を聞いておきたいと」 キョン「そ、そうですか、えっと……」 キョン(…本名はまずいよな。……あとアメリカだから日本名もおかしいし………ん?) キョン(……!) 医師「彼女の為にお名前を聞きたいのですが…」 キョン「…………スミスです」 医師「は?」 ジョン・スミスと、伝えて下さい…! fin
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正午、部室前にて キョン「すみません、なんか急におしかけてしまって」 教師「いやいやとんでもない!あなたのような偉大なOBが来て頂ける方が恐縮です。 ……あ、こちらの教室でしたね。すぐに開けますので」 ガチャッ……! 教師「……うおっ…!ほこりまみれ…。 ……本当にこんなところに用が?」 キョン「はい、しばらくお借りしてよろしいですか?」 教師「え、えぇ…。ご自由にどうぞ。 では…」 スタスタスタ…… キョン「…………」 キョン(一番のりは、俺か……) キョン「…………」 モクモクモク…… キョン(ほこりがすごいな…) キョン「よし、あいつらが来るまでに掃除でもするか!」 ………………… 谷口「いいかぁー?この底辺がXになるから、この面Bの値が…」 ガラガラガラッ 谷口「だれだぁ?社長出勤かぁ?おい、名前と出席番号を……」 キョン「おっとすみません、ホウキ借りに来ただけなんでおかまいなく」 谷口「は、はぁ……」 ガラガラガラ、ピシャ 谷口「いいかー?続けるぞー?この面Bがなー!!」 ……… …… … クラブ生「イッチニーサンシーイッチニーサンシー」 カァ……カァ…… キョン(……もう夕方か。掃除してると早いもんだね) キョン「………」 キョン「変わってないな、この学校も」 キョン「この町も」 古泉「そして、あなたも」 キョン「!!!」 キョン「……古泉…」 古泉「……お久し振りですね」 キョン「……………っ……」 古泉「………………」 キョン(……………やべ、涙が……) 古泉「………しませんか?」 キョン「え?」 古泉「ボードゲームですよ。しませんか? みんながそろうまで、いつもやってたじゃないですか」 キョン「…………」 古泉「どうです?ひと勝負」 キョン「…ああ!望むところだ!」 ………… キョン「ぐあっ!?足を骨折、3000ドル支払うだと!?」 古泉「これはこれは、今日はついてないですね」 キョン「……足の骨折ごときで3000ドルはない。よって医者である俺は自分で治す」 古泉「ダメですよ。ゲーム内での職業はタレントなんですから」 キョン「くっそ……!」 ガチャッ… みくる「お邪魔し……ひゃあああっ!?」 ドサッ!! キョン「……!!!朝比奈さん!」 みくる「あはははぁ……転んじゃいました」 キョン(特盛なのに……この歳で垂れてない……!)ゴクリ 古泉「大丈夫ですか?」 みくる「はい、転んだりするのには慣れてますのでぇ…悲しいですけど」 キョン「……朝比奈さん」 みくる「お久し振りです。……お医者さんになったんですね」 キョン「はい」 みくる「……頑張ったんですね」 キョン「…はい!」 みくる「ふふ、安心しました。…私も頑張らないといけませんね」 キョン「なにをですか?」 みくる「えへへ、……色々です」 ガサ…! キョン「その袋は?」 みくる「百貨店で美味しいお茶を買って来たんです。 すぐに淹れますね」 みくる「~♪」 ドポポポポ…… 古泉「はい、あがりです」 キョン「な、何故だ…!」 古泉「タレントに就職したのがそもそもの間違いですね。時代はタレントのような不定給ではなく、固定給を欲しているんですよ」 キョン「くっそお……!」 みくる「もう一杯どうですか?」 キョン「あ、ありがとうございます」 ズズズ…… キョン(……やっぱり朝比奈さんが淹れてくれたお茶が、世界で一番美味しいな) キョン「……………」 キョン「……二人ともに、この場で謝りたい」 古泉「…?」 みくる「………」 古泉「………謝る?」 キョン「……古泉、朝比奈さん。済まなかった」 みくる「………」 古泉「……謝るのはこちらの方です」 みくる「…はい」 古泉「理由はどうあれ、僕はSOS団のもとを去りました」 キョン「………」 古泉「仲間が苦しんでいる時に……。そばにいなくてはならない時に、去りました。 ……仲間より、組織をとったんです」 みくる「私も……そうです」 キョン「……………」 キョン「……それはもういいんだ。 あの時は俺もあんな状況で精神がどうかしてた。 ………みんなに八つ当たりしただけさ」 みくる「や、八つ当たりだなんて…」 キョン「いいや、そうです。……もはや綺麗事なんて言いません。 ……あの時は自分で自分の気持ちに気付いてませんでしたが……」 古泉「………」 キョン「……苛立ってたんです。きっと。自分が何もできないから」 みくる「………」 キョン「普段の生活でもそうだった。 古泉、お前は超能力が使える。 朝比奈さん、あなたは未来の知識を持っている。 ……長門だってそうだった。あいつはすごい力を持っていた」 キョン「……だから不安だったんだ。何もできない自分だけ残されるのが。 そして……何で俺は何もできないのかと苛立った…!」 キョン「……俺はみんなに逃げてた。そう言えるかもしれない」 古泉「…………」 キョン「俺はうすうす気付きながらも、それを気付こうとはしないでまた逃げてた。……自分から進もうとしない、『待ち』の状態を続けた。 ……結果、それが長門を追い詰めた」 みくる「…!それは違……!」 キョン「いいえ、聞いて下さい朝比奈さん。 ……俺のとるにたらないプライドを持たせるために……。 こんなこと、考えるのも恐ろしいが、俺がハルヒの看病を続けたのも、もしかしたら『ハルヒの看病を献身的に続けた』という事実が欲しかっただけかもしれない……。」 古泉「…………」 キョン「……キョンは確かにやった。精一杯やった。だからもういいぞ。 ……これが言われたかったのかもしれないな」 古泉「………もしや、長門さんは……?」 キョン「あぁ。消えた。……俺のせいでな」 みくる「!!?」 古泉「…………」 古泉「………脳死状態から回復という奇跡の事例。しかも前日までは危篤状態という……」 キョン「…………」 古泉「……機関では様々な憶測が飛び交いました。涼宮ハルヒが『望んだ』のか、それとも他の何者かがアプローチをしかけたのか、はたまた、ただのデマか」 古泉「涼宮ハルヒは昏睡状態なので、望むことはできない。まずこれは確実。エージェントからの報告なのでデマということもない」 キョン「…………」 古泉「……僕もまさかとは思いましたが……」 キョン「あの長門がまさか。そう思っていた。……だろう?」 古泉「……えぇ」 古泉「……ですが、今考えれば、長門さんには『まさか』なんて無かった…」 キョン「…………」 古泉「……長門さんは、やはり……あなたを?」 キョン「…………………あぁ」 みくる「…………」 古泉「……長門さんは、もはや命令を忠実に遂行する『だけ』の存在ではなくなっていた」 キョン「………」 古泉「……あなたが、いたから」 キョン「………」 古泉「…………長門さんは、僕らよりもずっと人間的であったのかもしれないですね」 キョン「……気付くのが遅すぎたんだ。俺が、気付くのが……」 古泉「………」 キョン「……俺が長門に頼りすぎたから、あいつは……」 みくる「………」 キョン「…俺が長門に頼られるくらいになっていれば……」 古泉「………」 古泉「……でも、今は」 キョン「……?」 古泉「今は、今のあなたは違う」 キョン「………」 みくる「……そう」 みくる「今のあなたは、涼宮さんを救う力を持っている」 キョン「…………」 古泉「……僕の超能力は涼宮さんそのものを救うものではない」 みくる「………私と長門さんもそうです。私にはそんな力はありませんし、長門さんもその力を使うには色々と制約があります」 古泉「……あなたの持つ力だけなんです。涼宮さんを救えるのは」 キョン「…………」 キョン「………………馬鹿いえ」 古泉「………?」 キョン「……力だけもってても仕方ないんだ」 みくる「………」 キョン「………」 キョン「二人とも」ゴソゴソ 古泉「……?」 みくる「…なんでしょう?」 キョン「この手紙を見てくれ」 古泉「これは?」 みくる「……ものすごく古い手紙…ですね」 キョン「あぁ。俺とあいつとの、約束だ」 キョン「……俺が頑張れば、あいつは死なない」 キョン「俺が頑張ってさえいれば、あいつは死なないんだ」 古泉「………」 キョン「それが、あいつとの約束だ」 キョン「………俺の中で意味が変ったんだ。医者になることは」 古泉「………意味、とは?」 キョン「俺ははじめ、あいつを救う為に医者を目指した。救う為に医者になりたかった」 古泉「……」 キョン「……だが、今の俺は違う。あいつとの約束を守る為だけになった医者だ。 なりたかったんじゃない。約束を守りたいからなっただけだ」 古泉「………」 古泉「……違いますよ」 キョン「…?」 古泉「あなたのその力は、いずれ必要になります」 キョン「……何言ってんだ」 古泉「そう、近い将来…」 キョン「いやに確信めいた言い方だな」 古泉「……ですから、その答えはまだ出さないで下さい」 キョン「……?」 古泉「その力は、あなたが欲したものなのか、それとも、必要ないものなのか」 キョン「…………」 古泉「いずれ来る、その時まで」 キョン「………」 古泉「おっと、折角の旧友との再会なのに、少し湿っぽくなってしまいましたね」 キョン「……だな」 古泉「…………」 みくる「…………」 キョン「朝比奈さん」 みくる「は、はい?」 キョン「お茶……もう一杯いただけませんか?」 みくる「え?」 キョン「お茶、いただけませんか?できればお茶菓子も頂きたいです。 ……残りの二人を待たなくちゃいけないんで」 みくる「…!」 古泉「はは、そうですね。出来れば僕も頂きたいですね。 少し小腹が空きまして…。 彼女たちを待つのは長丁場になりそうです。腹が減ってはなんとやら……」 みくる「……は、はいっ! すごく美味しいケーキがあるんですっ!すぐ用意しますねっ!」 キョン「古泉、朝比奈さん」 古泉「?」 みくる「はい?」 キョン「お互い、これでわだかまりはナシだ」 古泉「……そうですね」 みくる「はいっ!」 古泉「…こうやってまた一つ集まった」 キョン「それだけで、十分だ」 ……… …… … 古泉「はい、あがりです」 キョン「なん……だと……?」 みくる「ふぇぇ…負けちゃいましたぁ…」 古泉「今回の敗因もまたキョンさんがタレントに就職……」 キョン「分かってるよ!くっそ……人生ゲームは向いてないのか俺は…」 みくる「じゃあ私の番ですね。ルーレットを回して…(カラカラカラ……) あ、3ですね。1、2、3っと………ぁ」 キョン「どうしました?朝比奈さん」 みくる「ご、ごめんなさいキョンくん……私もあがっちゃいました」 キョン「……ぐはっ!?」 古泉「買い出し係は決定ですね。 僕はおにぎりとペヤングをお願いします」 みくる「……あのぅ、私はサンドイッチを……」 キョン「………なんで殴られたか、分かるか?」
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………… ……… …… … キョン「カリカリカリカリカリカリ……」 ハルヒ「……あんたがノロマすぎるからばれちゃったじゃないの…!」 キョン「すまんすまん」 ハルヒ「……………」 キョン「カリカリカリカリカリカリ……」 ハルヒ「……どうなの?」 キョン「ん?なにが?」 ハルヒ「…勉強よ。最近どうなの?」 キョン「……?順調だぞ」 ハルヒ「……。ふーん。ひょっとすると、ひょっとするかもしれないわね」 キョン「なにが?」 ハルヒ「うちから、SOS団から有名なお医者さんが出ちゃうかもね!」 キョン「…………」 キョン「……いや、俺は有名になるとかならないとか、そんなのには興味ないんだ」 ハルヒ「………どうして?」 キョン「俺にとって医者になることは手段でしかない」 ハルヒ「………?」 キョン「ハルヒ、お前を救うための手段だ」 ハルヒ「……………」 ハルヒ「…………そっか、ありがとう。素直に嬉しいわ」 キョン「な、なんだよ気持ち悪い。素直なハルヒなんてハルヒじゃないだろうが」 ハルヒ「なんですって!?」 キョン「冗談だって、怒るなよ(パタン)…じゃ、そろそろ寝るか」 ハルヒ「あ、待って」 キョン「ん?どうした?トイレか?」 ハルヒ「違うわよ!……今日は帰ってほしいの」 キョン「え?何故?」 ハルヒ「……最近ちょっと病室が散らかって来たから掃除でもしようかと思って」 キョン「ほう、突然だな。で、何故俺は帰らなくちゃならん?」 ハルヒ「…そりゃ、掃除してる課程で見られたくないものがあるからでしょ…!」 キョン「なるほど」 キョン「明日掃除するのか?」 ハルヒ「うん」 キョン「………ま、そう言われたら仕方ないか。……俺もちょっと物理見直したいとこあったし、今日は帰るとするかね」 ハルヒ「………うん、お願い」 キョン「おう、じゃあまた明後日来るからな」 ハルヒ「………………」 キョン「……ハルヒ?」 ハルヒ「え?あ、あぁ……うん」 キョン「じゃあ……次俺が来るのは明後日でいいのか?」 ハルヒ「……うん、そうね」 キョン「わかった。んじゃ、早く寝ろよ」 ガラガラガラ… ハルヒ「………ま、待って!!」 キョン「…?なんだ?」 ハルヒ「……やっぱりもう少し話そ?」 キョン「もう時間的にも遅い」 ハルヒ「お願い!」 キョン「……うーん、 ……少しだけだぞ? ……… ハルヒ「もう高校生活も終わりね」 キョン「そうだな。あと半年……もないか」 ハルヒ「……名残惜しいわね」 キョン「あぁ」 ハルヒ「……最後の最後でみんなちりぢりになっちゃってさ、それもちょっと残念」 キョン「………お前が望んだら、みんな帰ってきてくれるさ。きっと」 ハルヒ「あはは、そうだといいわね」 キョン「………」 ハルヒ「……最高の高校生活だったわ」 キョン「…………あのさ」 ハルヒ「何?」 キョン「……こんなときでもなかったら多分言えないだろうから、言っておく」 ハルヒ「何よ?」 キョン「『約束破って、すまなかった』」 ハルヒ「約束?」 キョン「………図書館の」 ハルヒ「え?あ、あぁ……あれね」 キョン「……お前、俺のために色々データを…」 ハルヒ「そ、そんなことしたっけ?覚えてないわそんなこと!!」 キョン「………ありがとうな」 ハルヒ「………! べ、別にどおってことないわよ、あんなの……」 ハルヒ「…別に事故のことも謝らなくったっていいわ」 キョン「なんで?」 ハルヒ「あんたはその分、ずっとあたしのそばにいてくれたじゃない」 キョン「そ、そうなのか?」 ハルヒ「今だって、最後までこうやって私のそばにいてくれてる」 キョン「あ、あいつらは仕方ないんだ。急な事情で引越しを……」 ハルヒ「そ、そうなんだけどね。それでもあんたが最後まで残ってくれてて嬉しかった」 キョン「………そうか」 ハルヒ「………。 ねぇキョン、ちょっとへんなこと聞いていい?」 キョン「……?あぁ」 ハルヒ「もしあたしが………ずうーっと遠くの場所に行ったら、どうする?」 キョン「遠く?………もう今日みたいに病院抜け出したりは…」 ハルヒ「違う。あたしだけ、ずっとずっと……遠い場所に行っちゃうの」 キョン「遠い場所ってどこだよ?」 ハルヒ「え?ぁ、あー……うーんと……。 あああっ!もう!!とにかく遠い場所」 キョン「……………」 ハルヒ「……あんたは、どうする?」 キョン「……もうおいてけぼりはたくさんだ」 ハルヒ「…………」 キョン「……俺もついていく」 ハルヒ「…………」 ハルヒ「……それは駄目よ」 キョン「………」 ハルヒ「あんたはあんたのやることがあるでしょ」 キョン「………」 ハルヒ「……医者になりたいんじゃないの?」 キョン「だからそれはお前を助ける……!」 ハルヒ「そんなのいらない」 キョン「……え?」 ハルヒ「そんなの、あたしにはいらない」 ハルヒ「……それじゃあんたがあたしのために何でもやってるみたいじゃない」 キョン「お前の為だ。こうやって勉強してるのも全部」 ハルヒ「……あんたはあたしのために人生棒にふんの?」 キョン「ああ。やろうと思えば」 ハルヒ「絶対駄目。そんなの嬉しくない」 キョン「……?なんで?」 ハルヒ「そしたらあんたが不幸になるでしょ」 ハルヒ「あんたが不幸なら、あたしも嬉しくない」 キョン「……何が言いたいんだ?」 ハルヒ「……医者ってね、そうそうなれる職業じゃないのよ」 キョン「そうだな」 ハルヒ「でもあんたはこの短時間で、大きな一歩を踏み出せた」 キョン「…………」 ハルヒ「……大学ももうほとんど合格確実なんでしょ?」 キョン「……あぁ」 ハルヒ「……気持ちはうれしいわ。だけどあんたのその可能性をあたしで潰して欲しくない」 キョン「…………」 ハルヒ「……あたしの話はそれだけ。だから」 ハルヒ「あたしについてくるなんて言うのはやめて」 ハルヒ「ご、ごめん暗い話しちゃって!……あはは、なにやってるんだろ」 キョン「………」 ハルヒ「ふ、深い意味はないのよ!あんたが医者になったら団長であるあたしも鼻が高いんだから頑張りなさいってこと!」 キョン「……あ、あぁ」 ハルヒ「話はそんだけ!!はい、終わったから暗い顔はナシね」 キョン「………」 ハルヒ「暗い顔はナ・シ!!」バシッ キョン「うぉあ!」 ………… ガラガラガラ… キョン「見送りサンキュー」 ハルヒ「とは言っても、病室のドア出ただけだけどね」 キョン「はは、そうだな。……んじゃ、帰るな」 ハルヒ「………う、うん」 キョン「どうした?」 ハルヒ「な、なんでもないわよ!!」 キョン「……じゃあまた明後日来る。それまで大人しくしてろよ」 ハルヒ「……………」 キョン「じゃあな」 ハルヒ「………………」 ハルヒ「ま、待ちなさい!」 キョン「…まだ何かあんのか?」 ハルヒ「そ、そのっ………!あ、あたしに………キっ………」 キョン「………?」 ハルヒ「キ、キスしても……い、いいわよ…?」 キョン「………は?」 ハルヒ「だっ……だから、キス……していいって……言ってんのよ……!」 キョン「な、何言って……」 ハルヒ「目瞑るわ」 キョン「!?」 ハルヒ「…………」 キョン「な、なにやってんださっきから」 ハルヒ「……早く」 キョン「!?」 ハルヒ「……早くして」 キョン「…………!」 ドクン…… キョン(ゴクリ……) ドクン…! ハルヒ「………っ……!」 ドクン…! キョン「………」 ドクン…! ……… …… … ナデナデ… ハルヒ「……!??」 キョン「……馬鹿。するわけないだろ」 ハルヒ「………ぇ…?」 キョン「……キスってのは恋人どうしがするもんさ、それに」 キョン「雰囲気も大事だ。こんなとこでキスなんて俺にはできん」 ハルヒ「……………」 キョン「………ハルヒ?」 ハルヒ「かっ、勝ち誇った顔してんじゃないわよ!あ、あたしだってあんたが鼻のした延ばして顔近付けてきたところをからかってやろうと思ってたんだから!!」 キョン「ははは、そりゃ危なかった! んじゃ、ほんとに帰るから。ちゃんと寝るんだぞ」 ハルヒ「……ぇ?…あ、う、うん……」 キョン「また、明後日な」 ハルヒ「う、うん。バイバイ…」 キョン「……お前は」 ハルヒ「…………うん?」 キョン「どこにも行かないでくれ」 ハルヒ「……………」 ハルヒ「………わかった」 ハルヒ「だから、頑張んなさい」
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学校、校庭にて チュンチュン、チュンチュン キョン(……もう朝か。夜通し人生ゲームはさすがにハードだな…) 警備員「これはこれは先生」 キョン「あ、どうも」 警備員「昨夜はおたのしみだったようで」 キョン「あ……申し訳ありません、ちょっと騒ぎすぎました…」 警備員「いえいえ、久し振りの友人との再会なんでしょう? 夜の学校ならいくら騒いでも近所迷惑にはならないので」 キョン「……ありがとうございます。 ところで、この近くでコンビニはありませんか?」 警備員「コンビニ?」 キョン「ええ、ちょっと頼まれものを……」 警備員「あぁ、コンビニなら近くにありますよ。 校門を出てまっすぐ突き当たりの交差点にあります」 キョン「分かりました。ありがとうございます」 警備員「…あ、そうそう」 警備員「朝方は特にトラックが多いんで、気をつけて下さいね」 ………… ……… …… キョン(……ずっと歩いているんだが) キョン(……コンビニなんて一軒もないぞ) キョン「仕方ない。大通りの方に出てみるかな」 ブゥーン……ブゥーン…… キョン(警備員さんが言ってたようにトラックの交通量が多いな…。タクシーでも居ればコンビニの場所を聞けるんだが……。 ………ん?) キョン「お、あったあった。……場所が全然違うじゃないか」 キョン(………コンビニは道路の向こう側か) キョン「横断歩道はないもんか。……ん?」 キョン(……なんだあの人?こんな朝方からエプロン着て走って…) エプロンの女性「………ハっ…!ハっ…!」 キョン(………あれ?あの人どこかで……) ドクン… エプロンの女性「………!(キョロキョロ)」 信号機のスピーカ『赤に変わりました。横断をやめて下さい』 キョン「……!」 キョン(……あ、あの人、まさか……!!) キョン「は、ハル……ヒ……?ハルヒ……なのか?」 キョン「ハルヒ!!!おい、ハルヒ!!」 ブゥーン……ブゥーン…… キョン(くっ…!車の音でかき消されるか……!もっと近くへ…!!) キョン「………?」 エプロンの女性「………(キョロキョロ)」 キョン(……なにやってんだ。キョロキョロして…) ドクン… エプロンの女性「………(キョロキョロ)」 キョン(……ま、まさか!!) エプロンの女性「……!今だ…!」 タッタッタッタ…! キョン「……なっ!!?」 ドクン…! キョン「馬鹿!!!ハルヒ、戻れ!!!」 エプロンの女性「…!え……?」 ブゥーン…! キョン「!!!」 キョン(トラック!!?) キキーッッッ!! エプロンの女性「……え……?」 キョン「危ない!!!」 ―――――――…………… ……… …… … 運転手「ゴラァ!!!信号良く見ろ!!!あぶねぇだろうがボケっ!!!」 キョン「す、すみません、すみません…!!」 エプロンの女性「……いたたた……」 キョン「…!」 エプロンの女性「ちょ、ちょっとあなたね!急に体当たりしないでくれる!?痛いじゃ……」 パンッ…! エプロンの女性「あぅ……っ!?」 ブゥーン……ブゥーン…… エプロンの女性「いった……!な、なにすん……!……ぇ……?」 キョン「…………」 エプロンの女性「あ、あなた、まさか…キョ」 キョン「………なんで殴られたか、分かるか?」 エプロンの女性「…………!」 キョン「………………」 エプロンの女性「………………」 ブゥーン……ブゥーン…… キョン「……ハルヒ」 ハルヒ「……!」 キョン「……心配……っ…!……あんま゙り……っ…!心配……かけさぜ……るな゙………っ……。 この……大馬鹿野郎………!」 ハルヒ「……ごめん」 キョン「おま゙え゙のこと……っ……!どれだげ……っ……!心配したと……ぐっ………おもっでんだ……っ!!」 ハルヒ「………うん」 キョン「バガ……や゙ろ゙……!!」 ハルヒ「……うん」 自動ドア『ウィーン』 コンビニ店員「いらっしゃーせwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwwwwww」 ハルヒ「何買うんだっけ?」 キョン「……忘れた」 ハルヒ「はぁ!?」 キョン「……お前のせいでな」 ハルヒ「う、うるさいわね!謝ってんでしょ!!」 キョン「ま、適当でいいだろ。食えるもんなら。 ……お、この冷凍ギョーザとか古泉好きそうだぞ」 ハルヒ「………」 キョン「朝比奈さんには無難にサンドイッチでも……」 ハルヒ「……お医者さん、なれたのね」 キョン「ん?あぁ」 ハルヒ「……頑張ったのね」 キョン「お前との約束だ」 ハルヒ「……あたしも、頑張った」 キョン「………あぁ」 コンビニ店員「zzzz……」 キョン「すいません、これ下さい」 コンビニ店員「しゃーしゃーせwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwかしゃこまりしゃーしたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ハルヒ「………」 キョン「………」 ハルヒ「……ぷっ」 キョン「……何だよ?」 ハルヒ「あんた、老けたわねっ……くくっ……」 キョン「お前もな」 自動ドア『ウィーン』 コンビニ店員「ありゃーしたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwまたおこしくだしゃーせwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 キョン「ふぅ、何か色々買っちまったな」 ハルヒ「そうね…。ん?なにこれ。カレールウ?」 キョン「それは確実に必要だ」 ハルヒ「…?そうなの?」 キョン「あぁ」 ハルヒ「……ふーん」 ハルヒ(………) タッタッタッタ…! キョン「あっ、コラハルヒ!先行くな!危ないぞ!」 ハルヒ「(ピタッ)………キョン!」 キョン「あぁ?」 ハルヒ「……すぅ……」 ハルヒ「キョン!!ただいまっ!!」 キョン「おわっ!?」コケッ キョン「な、なんだいきなり!」 ハルヒ「何って…。帰ってきたらいうもんでしょ」 キョン「……?」 ハルヒ「あたしは帰ってきた。SOS団に」 キョン「……!」 ハルヒ「…………キョン」 キョン「なんだ?」 ハルヒ「……ただいま!」 キョン「…………」 すぅ…… キョン「おかえり!ハルヒ!!」 長門「……ただいま」