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「ごじゅう…ごじゅう、いち…ごじゅう、にっ…」 がしゃん。 素振り用の刃引きの鉄剣を、握力の抜けた両手が取り落とす。少年は思わず尻餅をついた。 声変わりをしてなお高めの声、短く切り揃えたプラチナブロンドの髪と白皙は 汗に濡れ、長い睫毛と灰青色の瞳を閉じて荒い息を吐く。娘たちや貴婦人は勿論、男色家も 放って置かなさそうな美少年が、屋敷の敷地で夜の素振りを始めたのは、そう以前からの事ではない。 オステンブルグ辺境伯家に仕える騎士の中でも、代々騎士団の重鎮を輩出してきたブルクミュラー家。 その長男として生まれた少年、ベイオウーフは、しかし古の英雄の名を与えられたにも関わらず 聡明だが繊細すぎ、美しくはあったが力強さに欠け、そして優しすぎる少年に育ってしまった。 剣を取るよりも書を読むことを好み、騎士の子ならば13で嗜むエールを苦手とするブルクミュラー家 唯一の男子を、父親は一人前の騎士にすべく厳しく指導したのだが、唯一馬術を除いては上達せぬ内に 騎士団の副団長を務める父親が逝去してしまう。姉たちと家人に懇願され、家門の名誉を保つために 一念発起し、好まぬ修行の日々を送ってはいたのだが、剣を取っては嘲笑される日々を送っていた。 へっぴり腰め。 俺の寵童にしてやろうか。 素振りの百もこなせぬのか。 お嬢様。 先輩騎士の心無い罵倒と、自分に向けられるいやらしい視線が、そのまま自分だけではなく ブルクミュラー家への侮辱に他ならない事を知っていた少年は、その無念に耐えつつ、剣を振るう。 しかしその実りはなく、苦汁の日々を送っていた。 「父上、申し訳ございません…僕が、強い男子として生まれていれば…」 ぽたり、ぽたり。汗だけではないものが地面に落ち、乾いた土を湿らせる。 と、その時、うなだれる少年の背後から、声が響いた。 「まったく…見ていられんな。ベイオウーフ・フォン・ブルクミュラー君」 夜の騎士の屋敷には在り得るはずのない、女の声。振り返るとそこには、見知らぬ女が立っていた。 背の丈は6ペス半(約190cm)、月光のみが差す薄闇の中でもはっきりと判る、 燃えるような赤い髪を頭の後ろで結んで提げ、ややきつい眼差しと整った顔立ち。 そして麻のチュニカから覗く二の腕は、歴戦の騎士にも負けぬ程に、鍛え上げられている。 「あなたは…一体…?」 突然に現れた赤毛の大女にあっけに取られたベイオウーフは、とっさに右手に剣を持ち、 眼をしばたかせながら問う。 「あなたは一体…か。くくく…」 その問いに対し大女は、こめかみに指を当て苦笑いを浮かべたが、 「…だからお前は、」 一瞬、身を屈めたかと思うと、 「甘い…」 7パッスス(10m)もの間合いを、一足で詰めるや、 「のだ!」 ベイオウーフの懐に入り、首を左手で掴み、野兎でも掲げるように、軽々と持ち上げた。 「かはっ…!」 気道を鋼の万力で締め付けられるような感覚。ベイオウーフは身動きも取れぬまま、脚が 地面から離れるのを、なすがままに見させられる。 「普通の騎士ならば、夜半の侵入者に対し、剣の一つも向けて誰何するものだろう? 女であるからと油断すれば、毒や短剣が襲い来る可能性もあるというのに、だ」 苛立ちを隠さぬ顔で、女はベイオウーフを持ち上げる。 「で、どうするのだ、ベイオウーフ君。君に対し攻撃を加えた私は、君の敵だ。 剣を振るってはどうだ? それは刃引きとは言え、私を怯ませる位は出来るだろう?」 更に高くベイオウーフを持ち上げる。だが、ベイオウーフは首を横に振った。 「だめ…です…。女性に…暴力を…振るっては…ならぬと…父の…教えが…」 その言葉に、ぴくり、と大女が眉を顰める。そしてベイオウーフの首を絞める手に、更に力が篭った。 「そうか、ベイオウーフ。ならばここで、私に縊り殺されるがいい」 「うあぁ…っ!」 苦悶に歪む美しき少年に、大女は侮蔑の視線を送りながら嘲りの言葉を投げ掛ける。 「…ふん。こんな軟弱な息子しか育てられぬとは、ゲオルグも騎士失格だな」 ベイオウーフの父、ゲオルグ・フォン・ブルクミュラー。 厳格ではあったが、不器用な愛情を注いでくれた父。尊敬する父。 自分自身への侮蔑は、辛かった。 家名を汚す自分の弱さも屈辱だった。 だが、先輩騎士でさえ敬意を払う父への、その侮蔑の言葉に、 光を失いかけていたベイオウーフの瞳は怒りと共に、意思の光を取り戻した。 「ちちうえを…ばかに…」 疲労し切っていた筈の右手に、握力が戻る。父を侮辱された怒りが少年に力を与え、 「するなあぁぁぁぁぁっ!!」 絶叫と共に、大女の胸元目掛けて剣を突き込む。刃引きの剣による腕だけの突きとは言え、 その鋭い突きは、普通なら深手を負わせるには十分すぎる鋭さを持って、大女に迫った。 ガギィン。 ベイオウーフの人生初の実戦レベルの刺突は、しかし大女の右手にあっさりと防がれた。 いや、正確には、その右手に持った掌ほどの大きさ、剣の柄ほどの太さの蹄鉄に弾かれたのである。 そして大女は、少年を片手で、茂みの上に放り投げる。 「くくく…あははは! いい殺気だ! そうだ、私はお前の父を侮辱した敵だ! 女と思わず殺しに来い!」 「ぐっ…、うわあぁぁぁぁ!!」 激情に駆られたベイオウーフは立ち上がり、大女に向かって殺気の存分に篭った剣を振るう。 少女と見紛うばかりの美しき相貌は、怒りの朱に染まり、袈裟、逆袈裟、突き、真っ向、と 剣を振るった勢いをさらに生かして剣を振るうように、四方八方から襲い掛かる。 だが大女は、いつの間にか両手にそれぞれ携えた大きな蹄鉄をマインゴーシュのように扱い、 まるでボクシングのトレーナーがミットでボクサーの拳を捌くかのように、易々とその剣を 受け、いなし、凌ぎ、そしてベイオウーフの隙を突いて足を払い、また痛烈に突き飛ばす。 少年は、何度も痛烈な一撃を腹に受け、また地面に転がされた。 だが、次第にベイオウーフは、突き飛ばしに来る蹄鉄の一撃を、剣で受け止め、 足払いを避け始めるようになっていた。腰溜めからの突きをかわされ、足を払われそうになるや 自分から飛んで体勢を立て直し、上段から斬り込んで受け止められた蹄鉄が顔面を痛打しようとするのを 剣の腹で受ける。知らず知らずのうちに、この線の細い少年は、剣による攻防を、体で理解し始めていた。 そしてもう一つ、ベイオウーフは気付いては居なかったが、自身と相手の攻防の速度が、 少しずつ速まりつつあった。それまで余裕のあった女の額を、一筋の汗が伝う。 「…そろそろか…」 女は呟くと、最初に女に向けたときの倍は速いベイオウーフの渾身の突きを、 両手の蹄鉄で、がっちりと挟み込んだ。そして… 「えっ…そんな…?!」 そのまま剣ごと、釣竿でも振り上げるかのように少年を持ち上げ、無造作に放り投げた。 握力の限界に達していたベイオウーフの手から剣だけがすっぽ抜け、遠く後ろに剣だけが飛んで ベイオウーフ本人は、チュニカの胸元から覗く豊かな胸元と、女の纏められた赤毛と、 女の背中を眼にした後に、地面に叩き付けられた。頭部こそ顎を引いて守ったものの、 背中を強かに打ち付けられ、一瞬呼吸が出来なくなる。 「……かはっ……!」 そんなベイオウーフを冷たく見下ろしていた大女の眉間が、緩んだ。口元に笑みが浮かぶ。 だがその笑みは侮蔑からの笑みではなく、労わりと、慈しみの笑み。 「ベイオウーフ、いや…ベオルブ。お前には謝らねばならない」 「…えっ?」 唐突な大女の言葉と、家族しか呼ばぬ自分の愛称に、ベオルブは長い睫毛の瞳をしばたかせる。 「お前に本気を出させる為とはいえ、お前の父、ゲオルグ卿を侮辱してしまった。 私も生前のゲオルグ卿には世話になった身でありながらな。…本当に、済まぬ」 栗色の瞳を閉じ、深々とうなだれた大女に対して、ベオルブは立ち上がり、 「ぼくこそ…あなたが女性でありながら、剣を向けてしまいました。 騎士にあるまじき事、謝罪の言葉もありません」 跪き、完璧すぎるほどの騎士の礼を以って謝罪の言葉を述べた。 「気にするな。こんな成りで、おまけにこの強さだ。淑女扱いされては却って気持ちが悪いぞ?」 その言葉にベオルブは慌てて立ち上がり、ぺこりとお辞儀をした。 そして自分を翻弄し、打ち倒した赤毛の大女をしみじみと見上げながら呟く。 「本当に、お強いのですね…羨ましいな、貴方のように僕も強ければ、父の名誉を汚さずに済んだのに…」 そこまで口にしてから、ベオルブは、ぱっ、と気付いたように、大女に問うた。 「済みません、お名前を伺っておりませんでしたね」 「私の名か。…そうだな、イシュキア、とでも呼んでくれ。 あー、それから…余り自分を卑下するな、ベオルブ」 自分よりも二回りは背の低いベオルブの柔らかなプラチナブロンドに、 ぽんぽん、と手を翳し、イシュキアが諭す。見上げるベオルブの瞳が 見開かれるのを見下ろしながら、イシュキアが言葉を続ける。 「剣の使い方は人それぞれだ。重い得物を豪快に振り回す事を得意とする者も居れば、 軽い得物を用いて素早い連撃を放つのを得意とする者も居る。己に合った戦い方で 戦えばいい。後は相手を恐れなければ、勝機はある」 「含蓄深きお言葉、為になります…」 ほぅ、と感心したような吐息を吐いて、ベオルブが礼を述べる。そして一瞬の逡巡の後、 この己よりも強く経験豊かな女武人に対して、ベオルブが申し出る。 「イシュキアさん。…その、宜しければ、ぼくに剣を教えては頂けませんでしょうか?」 その言葉に、イシュキアが笑みを浮かべる。 だが、その笑みを彩るものに、ベオルブが気付くはずもなかったのである。 「ああ、今日はそのつもりで来た。来たのだが、その前に…」 つい、とベオルブの細い顎を指で摘むと、 「……んんんっ……!?」 ベオルブの女を知らぬ唇にくちづけ、舌を割り込ませた。 くっちゅ、にっちゅ、と、舌でベオルブの口腔内を蹂躙すると、混乱するベオルブの頬が 紅を差したように薄く染まる。そのままイシュキアは、右手をベオルブの髪の毛から耳へ、 首から鎖骨を撫で下ろし、体の正中線に沿って、つつぅ、と人差し指を撫で下ろす。 人差し指は、胸元から臍へと達し、そして… 「…んんーっ!?…」 ベオルブの男性自身を、稽古着の上から、捕らえていた。それを確かめたイシュキアが、 ゆっくりと口を離していく。少年と女の、戦いの興奮の匂いが混じった銀色の糸が、 二人の舌と舌とを繋げ、そして切れる。 それを見届けると、イシュキアは、興奮と欲情に潤んだ瞳で、ベオルブに告げた。 「お前との稽古の間、私も昂ぶってしまってな。女を抱いてこそ騎士は強くなるものだが…、」 「…ぃひぃっ!?」 つつぅ、とベオルブの背骨を遡らせるように指でなぞりながら、イシュキアが宣告を下す。 「悪いが、私の昂ぶり、お前で鎮めさせて貰おう。女の扱い方の、修行も兼ねて…な…?」 初対面の強くも美しい女性に、圧倒的な力で稽古を付けて頂いた、それはいい。 だが、彼女は自分に突然口付け、舌を絡ませた挙句、己の疚しい部位に 指を這わせている。その事実は、もはやベオルブの理解の範疇を超えていた。 「た…昂ぶるだなんて、女性の方が、そんな、不埒ですっ!」 まるで酒場に産まれて始めて放り込まれた少女のように、顔を赤くして 自分を蹄鉄で自在にあしらった女戦士、イシュキアに抗弁するベオルブ。 「あぁ…可愛いなぁ。お父上が、お前を寵愛されたのも当然というものか」 だが、精一杯の抵抗も、ベオルブより頭二つは背高で、しかも彼を軽々と持ち上げる 強力の持ち主であるイシュキアの前には、まるで無意味だった。稽古着のズボンの上から、 ベオルブの若々しい茎を、その血流が流れ込む感触を愛でるように撫で回すと、 まるで尻でも撫でられた生娘であるかのように、この美しい少年は喘がされた。 この美しい得物を、赤毛の雌獣が逃すはずもない。ズボンに手を掛けながら、 イシュキアが宣告を下す。 「さて…まずは、お前の精を飲ませてもらうとしよう」 しゅるり。 ぴたん。 イシュキアに散々愛撫されたベオルブの若茎は、まだ包皮に覆われてはいたものの、 その裡にたっぷりと興奮によって血を集め、若々しく勃ちあがっていた。 ひんやりとした夜の外気に、恥ずべき部位を晒されて、ベオルブの白皙が朱に染まる。 「だ、駄目です。生殖以外の性行為は、神の道に反します…そ、それに、結婚相手以外とだなんて…」 だが、この期に及んでベオルブの脳裡を占めているのは、神の教えであった。 戦場においては血の猛りが罪を犯すこともあればこそ、騎士達は率いる兵の手本として 神の教えを学び、己を律さねばならない。それが騎士団の規律であり、中でも ベオルブの父である副騎士団長、ゲオルグは最も厳格な騎士として知られていた。 当然、我が子への教育も、その厳格さを以って当たり、ベオルブもそれを信奉していた。 「ほう…ではベオルブ、自分で慰めたこともないのか?」 ベオルブの股間に跪きながら、上目遣いでイシュキアが尋ねる。 この美しい少年を前にした赤毛の美女の目許は高潮し、その問いは 少年を罠に嵌めるべく微笑を含んだものであった。 「あ、ありませんっ! 子種を正しくなく使い、地に零した男は神に罰せられました!」 そう、子孫を残すためではなく己の快楽の為に己を慰めた男は、神の怒りを受け 命を落とした。この一節を殊更に少年の父が強調したのは、美しすぎる我が子に 神の御名の下に男女の交わりに枷を掛けておかねば、女色に溺れるのではないか、 との親心からであった。だが、既に精を放つ事もできるベオルブにとって、それは 必死な葛藤でもあった。 だからこそ、その葛藤を突き崩す事こそが、イシュキアの望み、そして悦び。 「ふふふ…ならば一滴も地に零すことなく、私が有効活用してやろう」 赤く官能的に濡れたイシュキアの唇が、ゆっくりとベオルブの若茎にくちづけようと迫る。 「だめですっ…そんな、汚いですよぉ…」 性に対する禁忌と、鍛錬の汗と。二重の汚れへの葛藤が、ベオルブの心を揺さぶる。 だが、それこそがイシュキアを昂ぶらせる事に、この無垢な少年が気付くはずもなく。 「汚くなどないな。汗と猛りの匂いがして、とても美味しそうだ」 艶めかしく舌なめずりをしたイシュキアは、騎士が叙任式で剣の柄にするように 恭しく、そして娼婦が客の男にするように淫らに、ベオルブのペニスの先にくちづけた。 「ひゃっ…!?」 少女のように声を裏返らせて、ベオルブが喘ぐ。その反応ににんまりと目元に笑みを浮かべた イシュキアは、更なる攻勢をベオルブのペニスに仕掛けた。 「そ、そんな、イシュキア、さん、だめっ…?!」 肉の鞘に覆われたベオルブの穂先に、イシュキアの艶めかしい舌が、にゅるり、と割り込んだ。 そのまま、鞘と穂先を押し広げるように、穂先に円を描くように、舌を這わせていく。 更に、根元に指を掛け、きゅっ、と鞘を穂先から引き剥がした。 ぺりぺり、ぺり… 「うゃあぁぁっ…!? いた、いたいですよぉ…!」 イシュキアの口腔内で、包皮を引き剥かれたベオルブの亀頭が露出する。 まだ、ぴりぴりと刺激が残るその敏感な粘膜を、イシュキアは一転して、労わるように 舐めさすった。やがて、ベオルブの口元から漏れる声が、痛みに耐える調子ではなく、 未だ知らぬくすぐったさにも似た感触、そしてその先にある、未知の感覚への戸惑いへと 変わっている事に、イシュキアは気付いた。口内に含む少年の初々しいものを解放し、 跪いたまま、ベオルブに言葉を向ける。 「…男子の備える槍とは、有事にはこのように、穂先を剥き出させるものだ。 御父上も、お前に相応の年齢が来たならば男子の事を教えねばならぬと 気に病んでおられた故、な。気の早い話だが、実地で教えてやろう」 「う、ぁ…だ、だめです、こんな、いやらしい事、は…」 ――まだ、少年の心に築かれた城砦を崩すには至らないらしい。ならば、その城門を 打ち破ってくれよう―― じゅぽっ。 今度は、深々と口腔奥まで、イシュキアはベオルブのペニスを飲み込んだ。 そのまま、口腔と、舌とで、絞り上げるようにして、ペニスを吸いたて、 舌を這わせ、亀頭を嘗め回し、尿道に舌をちゅるちゅると侵入させようとする。 やがて、口腔内に、若い雄の匂いと、微かな塩気が滲み出る。上を覗き込めば、 ベオルブは頬ばかりか太ももも朱に染め、自らに襲い来る快感に喘ぎ声を あげるのがやっとという状態であった。 「あ、ふっ、ひゃ、だ、めっ、かん、いん、はっ…」 理性と、快感の狭間で必死に耐えようとする少年の言葉とは裏腹に、 ひく、ひくひくと脈動する少年の先端は、先走りをだらしなく零し、快感に溺れていた。 そして、仕上げとばかりにイシュキアが雁首を唇で包み込み、じゅるじゅると亀頭を 吸い上げた瞬間…、 「だめ、ですっ、これっ、なに、よごし、なにか、でちゃっ…!!」 ぶびゅっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅくっ… 厳格な道徳に閉ざされていた少年の男性自身は、精通を迎えた。 青臭く、苦く、甘い、少年の初めての射精を、舌先で受け止めると、 こく、こく、と喉を鳴らしてイシュキアはベオルブの精を飲み干していく。 ぴゅるっ、ぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅ…。 射精の脈動がゆっくりと弱まり、精が放たれなくなっていくと…、 じゅずずずず… 「ひゃぁあぁぁっ!?」 尿道にわだかまる命の精を、一滴残らず飲み干さんとするようにイシュキアが吸い上げる。 精の最後の一滴を、飲み干したことを舌先で確かめると、イシュキアは、ゆっくりと口を離していく。 「さあ、私はお前の精を一滴も零すことなく、滋養として受け止めたぞ。 …ゆえに、お前が気に病む問題はなくなった。そうではないか?」 口元を射精の残滓でうっすらとぬめらせながら、赤毛の美獣は、 戦争と売春を司るという異教の女神のように、淫靡に微笑んだ。 「あ、ふっ、ひゃ、だ、めっ、かん、いん、はっ…」 理性と、快感の狭間で必死に耐えようとする少年の言葉とは裏腹に、 ひく、ひくひくと脈動する少年の先端は、先走りをだらしなく零し、快感に溺れていた。 そして、仕上げとばかりにイシュキアが雁首を唇で包み込み、じゅるじゅると亀頭を 吸い上げた瞬間…、 「だめ、ですっ、これっ、なに、よごし、なにか、でちゃっ…!!」 ぶびゅっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅくっ… 厳格な道徳に閉ざされていた少年の男性自身は、精通を迎えた。 青臭く、苦く、甘い、少年の初めての射精を、舌先で受け止めると、 こく、こく、と喉を鳴らしてイシュキアはベオルブの精を飲み干していく。 ぴゅるっ、ぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅ…。 射精の脈動がゆっくりと弱まり、精が放たれなくなっていくと…、 じゅずずずず… 「ひゃぁあぁぁっ!?」 尿道にわだかまる命の精を、一滴残らず飲み干さんとするようにイシュキアが吸い上げる。 精の最後の一滴を、飲み干したことを舌先で確かめると、イシュキアは、ゆっくりと口を離していく。 「さあ、私はお前の精を一滴も零すことなく、滋養として受け止めたぞ。 …ゆえに、お前が気に病む問題はなくなった。そうではないか?」 口元を射精の残滓でうっすらとぬめらせながら、赤毛の美獣は、 戦争と売春を司るという異教の女神のように、淫靡に微笑んだ。
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2005/04/26 入院当日 当日はかなりのドタバタを予想していたが、なんのことはない比較的すんなり入院できた。 しかし入院後病棟に現れたN医師に「昨日救急外来にきましたね」とさっそく昨夜の騒ぎはバレており、いきなり内診。 しかし痛みの原因を聞いてびっくりした。 N医師「こっちが痛いんだよね~」 おれ「ああ。はい」 N医師「こっちは大丈夫だよね~」 おれ「ええ」 N医師の結論 「腫瘍がこっちのほう(直腸のやや右側)を押してますね~。 いきなり大きくなったってことじゃないですよ。 便の出が悪くなれば便秘も起こりますからおなかも痛くなります。 見たところは前回とまったく変わらず大きさは3~4cmってところですから」 あれっ。 このステージのガンって痛くないって話じゃなかったっけ? 転移とか浸潤がなくても痛いの? 痛いのが普通なの? N医師「(きっぱりと)はい。よくありますよ。 腫瘍が前に出れば膀胱を圧迫してトイレが近くなったりしますしね」 そですか。 ということで痛いのは気のせいじゃなかったそうなので座薬入れてもらいました。 現在はマラソンができそうなほど快適です。 ぼくが本当にステージ1b2で直腸転移等もなく、無事手術後の病理検査もクリアできたら声を大にして「転移じゃなくても痛いことありますよ~」とお伝えしたいと思います。 2005/04/27 飯と導尿と「私」 1. T医大病院の飯は美味い。 それは座薬によって痛みが軽減され、快適に過ごせるようになったという点も考慮しなければならないだろうが、それにしても美味い。 しかも総計1800kcalに押さえられているのだから、一生この飯を食ってもいいとさえ思った。 2. T医大病院のK看護師(上戸彩風)はカテーテルを入れるのがうまい。 以前腎盂腎炎での入院時に入れられたときは七転八倒の苦しみだったが、今回はちくちくっと1,2度痛かっただけだ。 3. 不思議なうわさが病棟内に流布しているらしい。 曰く「男性が病棟の女性用トイレから出てきたのを見たひとがいるらしい」 曰く「若い男性がトイレに入っていったという話を聞いた」 曰く「パジャマを着ていたので患者であることは間違いないようだ」 曰く「ついさっき洗面所で顔を洗っているところを目撃したひとがいる」 曰く「男性でも乳がんになるらしいからその治療患者なのではないか」 上記、すべておれとは別病室の患者が、おれと同室の患者に伝えた情報である。 そしておれの担当医曰く。 「すみませんねえ、ここ婦人科病棟なものでいろいろあるかもしれませんが。。。」 病院伝説の主はおれかい(爆)。 2005/04/28 最大の気がかり 今日は検査がてんこもりだそうである。 連休前に検査を済ませGWど真ん中に手術という、落ち着いて考えたらかなり怖めのスケジュールだ。 まあでも今身体の中に抱えているもののほうがよっぽど怖いので、取りあえずちゃっちゃと切ってもらいたい。 そういえば入院してからあまり手術が怖くなくなったのは、きっと周囲の患者さんたちがとても元気だからだろう。 おれの部屋はすべて同系の病(つまりは婦人科系ガン)であるが、開腹手術後10日で病棟内をひょいひょい歩き回っている方もいれば、「放射線あててるんだからこれくらいの熱は当然なのよ」などと言いながら38度を越す熱にもかかわらずみんなと元気におしゃべりしている方もいるし、「抗ガン剤も副作用がないと本当に効果があったかどうか心配よねえ」などと豪語するつわものまでいる。 しかし一方部屋の隅には、今日の採尿がK看護師でないことにビビって検査をだらだらと引き延ばしている小心者もいるのですが(笑)。 【追記】 ぼくの執刀医であるN医師がさっき静脈性腎盂造影の同意サインとりにきたんですが、マスクしてめちゃめちゃクシャミしてたんですけど。 大丈夫なんでしょうか(泣)。 2005/04/28・その2 本日より外泊です すべての術前検査、無事終了。 採血後の点滴が漏れ、400ccとられたのに100ccしか戻ってないとか、少しあたまがぼんやりするとか、16:00に射つ予定の造血剤注射がコワイとか、それよりなにより昼飯抜きなので腹が減ったとか、言いたいことはいろいろあるのですが、これから5/1までは自由です。 座薬もバカバカ出してもらったので、GWの外泊を心行くまで堪能して手術への元気にしよう。 【追記】 造血剤注射をしてくれたM看護師も本日の採尿担当のT看護師も、とても上手で、痛みはまったくなかった。 検査にストレスがなかったせいか腰痛もたいへん軽く、ここ2日ばかり1日3錠ペースだった座薬が、今日は1日2錠で済みそうだ。 入院以来激しく下していた腹も、やや落ち着きを見せはじめた。 2005/04/29 生きがいってこんなもの 外出1日め。妻と池袋西武に出かける。 お目当ては妻の大好物である「551蓬莱」という飲茶チェーンの「ユーチュー焼売」だ。 このチェーンは関西方面にしかなく、今度のGWに池袋西武にくることは知っていたのだが、入院や手術で買いにくることはできないだろうと、なかばあきらめかけていた。 しかし大型外泊が可能だったので急遽襲撃。 さっそく屋上でちまきと焼売のブランチをいただく。 昨日400cc採血を行ったせいか貧血気味だったので、朝からプルーンを食ったり、カルシウムパーラーを飲んだりしていたのだが、どうも思わしくない。 立ちくらみがするし、胃のあたりもすっきりしない。 せっかくの休日だが、しかたなく近所のスーパーで買い物をして、帰って横になろうと思っていたところへ、妻の携帯が鳴った。 職場でのスクランブルが、申し送りが不足していたのではないかとひそかに一番心配していた部分で発生していた。 半べその妻をしたがえ、自宅にトンボ帰りし、クライアントに連絡を入れ職場に指示を出す。 #ったくも~こいつらは満足に仕事もできねえのかよ~ #おれがハラ切ったらその後数日間はどうするつもりなんだよ~ ところが。 怒り心頭に達したせいか、貧血はすっかり治ってしまった。 出かけたときよりも足取り軽やかでめまいもない。 そうかあ。 よくいろいろなひとから「仕事人間」だの「ワーカホリック」だのと言われてきたが、おれは「おれがいないと仕事が回らない」ということをよりどころにして生きているんだ。 早く元気になってバリバリ仕事したいなあ。 2005/04/30 妻とおさんぽ 朝、おにぎりをつくって、妻と散歩にでかけた。 近所の公園。 ゲートボールをやっているお年寄りや、ボール遊びをする家族連れでそこそこ賑わっていた。 ひなたぼっこをしながら弁当を食べ、ぼんやりとあたりのひとを眺めたり、子供たちの歓声に目を細めたり。 おれの病気が発覚してから、おれたちはほんとうに無口になってしまった。 以前はよく話題がつきないなあと呆れるくらいいろいろなことを話してきたのに。 そういえばこんなふうに公園でぼんやり過ごすなんてことも、これまではなかった。 入院したらすっかり病人っぽくなってしまったが、外泊したら外泊したでやっぱり自分が病人であることを自覚してしまう。 早く元気になりたい。 元のとおりの体調にはなれなくてもいい。 痛くなくて、普通に歩けて、ごはんがおいしく食べられて。 そんな当たり前の幸せが早く戻ってきますように。 2005/04/30・その2 笑いの効能 夕刻、出社。 会社についてみたら隣の職場のミスでセキュリティシステムが誤動作し、留守番の女の子が事務所内に閉じ込められているという。 妻への電話で「トイレにいけません~」とかベソかいてたらしいが、おれの手術当日に妻を出勤させ、有給休暇をとって帰郷するような女なのであまり同情する必要はない。 #この有給休暇は告知前に許可したもので、恨むのは筋違いだとは思うが #それにしてもひとことくらい「帰郷は中止しますからついていてあげてください」とかの #言葉を妻にかけてくれてもいいんじゃないかと思うのはおれだけか。 その後バタバタと仕事を片付け帰宅しようとしたら、生理程度の出血があり、T医大に電話。 T看護師が出てくれて、痛みや出血量などを確認のうえ外泊中断には及ばずとのこと。 帰宅後、NHKのがん医療特番を見てちょっと疲れる。 さっそくアタマを切り替えるために「エンタの神様」と「爆笑オンエアバトル」を見る。 このあとから体調が急激によくなったように思えるのは、おもいきり笑ったせいかもしれない。 笑いは万病に効くという説はあながち迷信ではないようだ。 #「天然ボケ製造機」といわれる妻のパワーがダウンしているので #ちかごろ良質な笑いに飢えています(笑) 2005/05/01 また病院へまゐります 朝起きると比較的体調がよかったのでシャワーと洗髪。 妻が髪を洗ってくれるといったが「手術までは病人ではない」をモットーに行動することにしたので、そんな過保護は不要だと断る。 しかも手術が終わったら「ケガ人として扱え」と言っているため、病人でいられる期間はない。 出血も止まっているし、久々に形のある便が出た。 さて、気合入れて行ってくるか。 2005/05/02 手術4日前となりました 麻酔科の医師がきたり、担当看護師からの術前説明を受けたりと、バタバタ一日忙しい日だった。 全身麻酔の経験はないので、気道送管とかの説明にちょっとビビる。 カテーテルも1週間ははずしてもらえないらしいし、想像していたよりも術後には大仰なことがいろいろ待っているようだ。 早く仕事に復帰したいのはやまやまだが、そういえば二十歳のころ腎盂炎を患い、ちょっと良くなったからとバイトにいったらその夜40度の発熱で救急車のお世話になり、そのまま2ヶ月ちかく入院したなどというアホな経験をしているので、今回は神様がくれた休暇のつもりで、のんびりゆっくり復活しようと考えている。 どうせ出社するなら「え~っ! ホントに開腹手術したの~!」と驚かれるほど元気な状態をお見せしたいしね。 2005/05/03 病院選択の自由 麻酔科の医師、再来。 硬膜外に入れる術後の痛み止めの説明だそうだ。 まあ痛いのは苦手なので入れてもらうことに異議はないのだが、硬膜外麻酔ではかつて「入れた瞬間、片足がビョコンと跳ね上がる」というコワイ経験をしているのでリスクはありませんかと聞いてみた。 ところがそういうことは「きわめて稀」なのだそうだ。 おれは唯一無二の硬膜外がそういう状態だったので、てっきり「よくあること」だと思い込んでいたのだが。 ということはおれがかつて入院したG県のK病院は ・硬膜外は入れそこない ・導尿はド下手 ・点滴がまともにとれたためしなし (いつも同じところからしかとれなかったため 20年経過した現在も針跡がはっきり肉眼で見える) という最悪の病院だということになりはしないか。 当時はインターネットなどという便利なものはなく、検討材料が何もないまま近所の総合病院へいくというパターンばかりだったので、そんなふうに選択ミスもあったに違いない。 もちろんネットの情報に振り回され、必要以上の不安を抱え込んでしまうケースも少なくないわけだが、どんな情報でもかき集める手段が提供されているのといないのとでは、精神的な納得感もまったく異なる。 つくづく便利な世の中になってよかったと思う。 2005/05/03・その2 賢者の贈り物 午後、妻と妻の友人が二人お見舞いに来てくれた。 おれの病棟に若い女性が訪れるのは珍しいので、ちょっと病室が華やかになる。 談話室で少しお話した後、食事のため外出することにした。 妻の誕生日が明後日ということもあり、皆さん贈り物をくださった。 かばん道楽の妻のためにArtizan&ArtistのかばんをくださったKちゃん、本当にナイスな選択です。ともすれば元気がなくなりがちな妻には最高の贈り物でした。 Mさんからはくせっ毛で毎朝自毛とむなしい格闘を続けている妻のためにマイナスイオンドライヤー。本当にありがとう。 食事の後、最年長のMさんから「お見舞い」と記された封筒を頂戴した。 現金かと思い、固辞しようとしたおれにMさんは「いいからまずはお開けなさい」。 そしてKちゃんにも同じものが渡され「あなたにはお誕生日プレゼントの先渡しよ」。 封筒の中には 2005年12月17日公演 「劇団四季・オペラ座の怪人」 のチケットが2枚。 妻が泣き出してしまった。 それは、妻と、Kちゃんと、Mさんと初めて見に行ったミュージカル。 そして「もう一度見たい」と切に願っていたミュージカル。 「Jackさん。これで病んだり死んだりしていられなくなったわよね」 Mさんの言葉はいつもおれには姉のように厳しく母のように優しい。 目前の手術に思い悩むおれに、「決してはずせない予定」という名の希望の灯が点された。 東方の3博士が見た輝く星のように。 【追記】 ところでみなさん、こういう先々のチケットの保管方法はどうされていますか。 妻は「おうちが火事になったら困る~」「貸し金庫も銀行が火事になったら困る~」と言って防火の小型金庫を東急ハンズで買ってくるとか言い出したのですが。 2005/05/05 HAPPY BIRTHDAY 誕生日おめでとう いつもうまくいえないけど おまえにはとても感謝している まだまだおれたちは お互いを手探りで理解しあいながら これからの長い人生を歩いていく そんな約束を交わしたばかりだけれど 今はただ おまえがこの世に生を受け おれの目の前に現れてくれた ただそれだけに感謝したい 誕生日おめでとう そしてありがとう 2005/05/05・その2 術前説明 執刀医であるN医師による術前カンファレンスに先立ち、まずは相方を紹介します。 相方君はとてもスマートで背が高く、ちょっぴりシャイなあんちくしょうといった感じのナイスガイです。 シャイなので足元だけご紹介w 冗談はさておき、術前のカンファレンスではほぼ想像通りの説明を受けた。 (出席者はおれ・妻・おれの妹・妹の旦那の4名) 1.ステージ1b2の扁平上皮ガンであること。 2.腫瘍の大きさは3.5x4cmであること。 3.目に見える転移や他臓器への浸潤はないこと。 4.もしステージが術前予測より進んでいたら閉じること。 (骨盤内臓器全摘出へは移行しない) 5.手術は14:00開始であること。 扁平上皮ガンであることは不幸中の幸いではあるが、病理の結果はどう転ぶかまだわかったもんじゃないからうれしさは中くらい。落ち着け、おれ。 さて肝心な点の質問だが、妹ダンナと妻がほとんど行ったのには驚いた。 厳密にはどのあたりまでを摘出するのか 執刀は何人で行うのか 麻酔は術後どれくらいで覚めるのか 正味の手術時間はどれくらいなのか 手術時に起こる不測の事態で家族の同意が必要なケースにはどんなものがあるか 。。。などなど。 N医師はすべての質問にとてもていねいにわかりやすく小一時間かけて答えてくれた。 おれが学生だったら彼の講義はぜひ受けてみたいと思うだろう。 心配性の妹も、意外と甲斐性のあった(失礼なw)妹ダンナも妻も、みんな明るく帰っていった。 さて、そろそろ恒例の腰痛&肛門痛が始まったので坐薬を使い、せっかくだから眠剤などもいただいて明日のためにたっぷり眠ろう。 【追記】 今日のマグコロール(下剤)は昨夜のより濃くてマズいんですが。。。 【追記その2】 相方君を装着するにあたってえらい目にあいました。 点滴は術中もブラ下げっぱなしなので18というサイズの極太針を入れる必要があるのですが、これがなかなか入らないのです。 「はい。ちくっとしま~す」 「ぎょええええええ」 「痛いですよね~ごめんなさい~」 「ぐえええええええ」 「すみませんちょっと抜きま~す」 「どえええええええ」 上記のようなやりとりを2回繰り返したのち臨床研修医いわく H医師「ここの病院、手術のときは18じゃなきゃダメなんですよね」 U看護師「え?」 H医師「20じゃダメですかねえ。。。(気弱)」 U看護師「あ~。明日広汎なんで(バッサリ)」 H医師「そうですよねえ(半ベソ) なんとか手首近くから入れることに成功し、H医師は安堵の表情もあらわに、飛ぶような足取りで帰っていった。 気の毒だとは思うし、血管が出ない体質であることを申し訳なくも思うが、血管が出にくい札付きの患者に研修医をあてないで欲しいと思うのはおれだけか。 2005/05/06 手術前夜~当日 夜、うとうとしかけたら術部にマークを書かれるため起こされた。 現れたのは救急でお世話になったC医師である。 「起こしといてこういうこというのもなんなんですが、眠れます?」 との言葉に思わず笑ってしまったが、時刻は午後11時。 こんな時間まで延びた手術があったらしい。お疲れ様でした。 病院でくれる眠剤(Zolpidem)にも興味があったので、このさいだからすっかり目が覚めてしまったことにして眠剤を出してもらった。 服用後ふらついたりする可能性があるとのことで、ベッド脇の柵を立てられる。 朝、5 56覚醒。えらく効くな~この眠剤は。 軽い記憶の混乱がおこり、腰の痛み軽減の坐薬をもらってしまうが、朝イチはカンチョーの予定ではないか。 T看護師に頼み、1時間ほど予定を繰り下げてもらう。 カンチョー後、うとうとしていたらいきなり妻が現れた。 また昼休みにくるといっていたが、そんなに気合入れてたらおまえが疲れちゃうからほどほどにしておきなさい。 9時、術前の点滴開始。 ラインを入れるための道具を一式まで持って新人を連れた婦長がやってくる。 いや、昨日もう大騒ぎの末に取ってもらってるし。 ってか術前の人間に新人ナース見せるな。不必要にびくびくするから。 10時、執刀医の一人であるF医師の回診。 「何か心配なことはありますか。。。とはいっても心配なことばかりでしょうが。そんなに心配することはありません」てなんなんだ(笑)。 そういえば昨晩のカンファレンスで「眠れましたかと挨拶代わりに聞かれますよ~」とN医師から言われていたがそのとおり。これで朝から4人目である。 面倒なので「よく眠れましたハチマキ」とか作って巻いておけばよかった。 10時半ごろ新しい患者さんが入院してきた。 このオバハンは再入院であるうえ、たいへんなおしゃべりである。 声もデカい。 おれの隣のベッドのオバハンもそういう傾向があったが、その二人が同室でベッドを並べてピーチク始めたもんだからたまらん。 11時、痛みがひどくなってきたので念のためトイレに行ってみる。 これは手術前にあちこちのPC(職場・家・ノート)に書き散らしたものをブログに投稿したものである。 感情の起伏の激しいことといったら、もう恥ずかしくて読み返したくない。 だからほとんど推敲・修正なしのナマ原稿ですw しかも手術直前までタバコ吸ってたってんだから、もう論外な患者です。 実はこの後、手術が終わるまでの記憶は飛びまくりで、まったく定かではありません。 この時点では麻酔にかかっていたわけでもないのに、不思議なものです。
https://w.atwiki.jp/clockgrail/pages/41.html
『世界最強の男、日本人に現る!』 色豊かな号外紙が渋谷のスクランブル交差点にばら撒かれ、受け取る人々はその写真を見る。 黄金に彩られたベルトを両手に持ち、掲げる男。筋骨隆々の男の力瘤にしがみつく女と子供。白い歯を見せて幸せそうに笑う男を見て日本の国民は新たなチャンピオン誕生を喜んだ。 『世界最強の男、凶行 34人殺害』 2ヶ月後、手錠かけられる男の記事が出るまでは。 ◇◇◇◇◇ 「本件において、被告人小鳥遊照(たかなしてらす)は妻子を殺害された怨恨により………」 目の前の裁判官が俺の罪を高らかに読み上げている。確か主文後回しってやつだっけか?まあ弁護士が腕良くても流石に無理があったな。申し訳ないことしたぜ。すまんね。しっかし長いな。事件の概要全部言うつもりかよ。まあいい、それなら少し考え事でもできるもんだ。 俺は昔から………孤児院にいた時から人を殴って蹴っていた。それが好きだからだ。肉と肉が触れる感触、骨にぶつかる衝撃、苦悶の声と顔、見て聞いて感じて飽きない娯楽。今思えば、こうなる道筋はできていたんかなぁ? 子供の頃は喧嘩で済んでいたが、肉体ができてくるとそうも言えなくなる。俺が格闘技をやるのは自明だった。柔道、空手、サバット、テコンドー、ジャガラス、ムエタイ、アマレス、錬気道etc……… 一番性に合ったのはボクシングだったぜ。 ボクシングはやってる人数が多い。知名度もある。大会だって大きい。勉強が嫌いで殴打好きな俺には天職だ。だから中坊の時、地元のジム叩いて入ったぜ。 あの頃は楽しかった。一つ技を覚えれば1人倒れる。サンドバッグを殴れば簡単に吹っ飛ぶ。自分で言うのもなんだが日本人離れした体格も相まって負けなしだった。 まさかとんとん拍子で日本人初のヘビー級チャンピオンにまで行くとは思ってなかったぜ。金髪ギラギラナイスバディな美人さんとゴールインして子供も産まれた時だっけか。今思うとあんな外見で性格まで良かったから最高だった。夜も熱いし。 『世界最強の男』。いい称号だ。日本中、いや世界中の人々が俺のことをこういうからむず痒かったもんだぜ。ここからCM出てがっぽり金稼いで、ジムでも起こしてバンバンチャンピオン出して人生薔薇色!なーんて皮算用立ててたのも懐かしい。いや恨めしいか? 日本に帰国して二週間、妻と子供が死んだ。俺が留守の間に襲われた。あそこから歯車が狂った。これは間違いない。犯人は地元の警察ですら手を出せない半グレグループだった。訳がわからないぜ。何度証拠を提示したりして警察に訴えたのに丸切り無視だもんな! 俺は怒った。警察に?いや自分にだ。俺は『世界最強の男』じゃなかったのか?何故家族を守れなかった?何故力はあるのに何もしなかった?そんなことがグルグル頭を回ったもんだぜ。 で、思ったんだ。 『これ復讐って名目で人殴れるんじゃない?』 笑えるな。結局自分本位だった訳だ。色々マスコミやファンは騒ぎ立てたが、結局の所、俺は人を殴りたかった。そう思うと行動は早かったぜ。 湯水のようにあるファイトマネーで防弾ジョッキとナックルダスターや脛当て買って、半グレの城に突撃してやった!突然出てきたチャンピオンの顔見て豆鉄砲喰らった鳩のような空気はまじ最高だ。 で半グレの間抜け面に俺の剛腕ストレートがぶっ込まれたんだ。簡単に陥没して死んだよ。人を殺したのは初めてだったが拍子抜けするほどに息の根が止まるもんだから俺の暴力に歯止めが効かなくなったぜ。元々殴り飛ばすつもりだったからもう殺しても問題ないなってのがその時の気持ちかな?これ弁護士に言ったら頭抱えちゃったのは申し訳なかったが同時に面白かったぜ。 34人くらいかな?ほぼ全員息の根が止まった時、上から【アイツ】がきた。半グレのリーダーらしいが顔色が悪くてマントつけてて牙が尖ってた。自分のこと『死徒』とかわけわからないこと言ってたけど、どう見たって吸血鬼だ。アイツは強かった。影から棘出してくるし、コンクリート砕くくらいパワーあるし、しまいには異様に対空時間が長い。 現役時代『モンスター』だの『怪物』だの言われてた選手と戦ったことあるが、ガチの化け物は初めてだった。何度も殴っても再生するから相手の心が折れるまで殴って、それでも死なないから吊し上げて太陽で焼き上げたぜ。 吊るしたのはそれが一番と思ったからだ。日本の死刑は絞首刑しかない。法の裁きを受けないなら俺が受けさせてやる!みたいなイキった考えはあったね。で吸血鬼を吊るした後、他の奴らも吊し上げた。それが良くなかった。いくら復讐のためとは言え残虐がすぎるってな。 で裁判でこれから極刑を喰らうって話よ。弁護士も9割くらい諦めてたのはまあしゃーない。ここで法律からすれば俺は首吊られても仕方ないからなぁ。首吊りか。楽しかったなアイツら吊るすの。殴って蹴って吊るしてサンドバッグにする。ああいうの『奇妙な果実(ストレンジフルーツ)』なんていうんだっけか?いきった悪人が!変な怪物が!死んで吊るされている姿はスカッとしたぜ。何度も同じことを考えている気がするな………まあいい。 しかしあの吸血鬼、あれ1体だけどだったんだろうか?なんか色々ごちゃごちゃ魔術がどうのこうの言ってたの今思い出してきたぜ。魔術………まあ変な技使ってたしそういう世界があるのか? 待てよ?もしかして、他にもあんな化け物がこの世界にいるんじゃないか?何故考えもつかなかった?………ああ、仇討ちの気持ちよさでそれどころじゃなかったわ。まあそれは置いておこう。問題はあんな化け物が何体もいる可能性に行きついたことだ。 あの化け物との戦いは、めちゃめちゃ楽しかった。しかし同時にイライラした。あんな化け物がいるなら『世界最強の男』の称号が薄れる気がしたんだ。俺は空を長く飛べないし、影から棘とか出せねぇ。それで俺が侮られたら、腹が立つ。 もし、アイツより強い化け物はいたら?そいつらが表舞台に出てきたら?俺が取った『世界最強の男』という称号は過去のものとなり風化するだろう。それは俺だけでなく先人たちが目指した栄誉が穢されるものだ。 ………ムカついてきたぞ。法の裁きを受けるべき相手はまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだいるじゃねぇかぁ!!!! 「主文、被告人を死刑に処する。」 その言葉を聞くとともに俺は手錠を破壊した。この程度の鉄の練度じゃ俺を繋ぎ止めることは出来ねぇ。捕まっていたのはさっきまで心残りがなかったからだ。今はある。ならば逃げるまでだ。 俺を止めようとする刑務官の肝臓を軽く撫でてやると簡単にノックアウトだ。流石に恨みない人間を殺すのは忍びねぇからな。そのまま柵を乗り越え、扉を殴り飛ばし、カメラを持つマスコミの頭上をジャンプ、目の前のパトカーをバンパーごと破壊し、そのまま路地裏に逃げた。日本の警察は優秀だが………俺は更に逃げ切ってやった。 パクったスマホでニュースを見る。 『【世界最強の男】、逃亡!』 コメント欄はお祭り騒ぎ、その様子を見て俺は大笑いしたぜ。 ◇◇◇◇◇ そこから2年。俺は世界を一周して日本に帰ってきた。久々にやってきた母国は変わりなく、しかして俺の事は8割方忘れられていた。まあ話題は移ろうもの。結果的に好都合なわけよ。 日本に帰国したのはある噂を目にしたからだ。 『古びた懐中時計を手にすると化け物たちの戦争が勃発している別世界の東京に行く』 SNSで一瞬流れ、あっという間に情報の波に呑まれた一文。だが俺の勘はこれが事実だって訴えかけてきたのだ。魔術師は機械に疎いから、噂が本当だったことは結構ある。奴らがバンバン見つかるもんだから執行も楽なものだ。 この2年。俺は世界の裏の一端を知った。魔術、時計塔、死徒、魔眼、伝承保菌者(ゴッズホルダー)、使い魔、アルビオンetc……… この事を教えてくれた奴は俺より見るからに弱く、実力も大したことないので見逃した。あくまで俺が執行するのは、化け物と俺が決めた奴。まあフィーリング次第なところあるから理不尽かもしれんね。 で、見つけては潰して見つけては潰して。そんな日々の繰り返しは、スリルと興奮と苛立ちに満ちた最高なものだぜ。俺の命が消えるまでこの日々の繰り返しができる! 故郷に戻って俺はSNSを張った。そして化け物を見つけた。そいつは死徒ではなく魔術師だったが………弟子も引き連れて実力も確かにある。 奴らの魔術は虫だ。ホムンクルスの虫で肉を剥ぎ取ってくる。だが相手が日本人だったのが良くなかったな。俺は糸を操る魔術で虫網作って全部拘束した。 で、古い懐中時計を奪ってやったぜ。もちろんこの道具の使い道を聞いた上で吊るしてた。化け物には執行あるのみ、慈悲は少しでいい。 しかしまさか歴史上・神話上の英雄たちを使い魔にして闘わせるとは不敬じゃないかな?怪物どもの考えていることはよくわからんぞ全く。 英霊っていうやつか。英霊………もしかして英霊次第じゃ、俺は更に強くなることができるのではないか? 2年、執行していく旅で学んだことはまあ………少なくはない。しかし劇的に強くなったわけじゃない。今のままでは頭打ちだ。俺には執行したい相手はまだまだまだまだまだまだいる。強くならなきゃならん。 俺はスマホの検索エンジンを起動した。打ち込む内容はこれだ。 『神話 英雄 師匠 一覧』 何気なく見て、俺はその英雄を見つけた。彼を呼び出して、俺をコーチングしてもらう。そして俺は化け物どもに執行できる力をつける! 俺はダークウェブであるものを注文した。呼び出せるかはわからない。だが行くしかないのだ。 ◇◇◇◇◇ 架空の東京都内 小鳥遊照(たかなしてらす)は聞き出した魔法陣を糸で描き、自らの右手を確認する。赤く刻まられた三角の令呪。小鳥遊照のものはまるで首を木につるユダを抽象化したような形だった。 息を吐く。緊張しているのだ。自分が持ってきた触媒で狙ったものを引き当てることができるのかわからないが故に。顔を叩く。決意を固めた小鳥遊照は触媒を魔法陣の真ん中に置き。右手を差し出す 触媒は『インドから取り寄せた聖なる香料』。だがこれで呼び出すのは神ではない。神が持つ10人の化身のうちの1人を狙ったのだ。 小鳥遊照の口が開く。 「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。 降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ 閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。 繰り返すつどに五度 ただ、満たされる刻を破却する ―――――Anfang(セット) ――――――告げる ――――告げる 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 汝三大の言霊を纏う七天 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」 三つの光円が現れ一つに収束する。強大な魔力の塊が人の形を取り、この世界に現界した! 赤髪の長髪を纏め、赤いオリエンタルな軽鎧で身を包んだ長身の青年。その右手にはには空間を実際歪めるほどの存在感を放つ斧が握られていた。 「サーヴァント、アルターエゴとして現界した。貴公が俺のマスターか?………待てよアルターエゴ?なんだこれは」 どうやらサーヴァントは混乱しているようである。おそらく自らの望みを聖杯は汲み取ったのだろうか。小鳥遊照は呼び出したサーヴァントの霊格にも怯えず言い切る。 「ああ、俺がお前を呼び出した。俺の目的のために」 その言葉を聞いて、納得したかのように手を打つアルターエゴ。 「な・る・ほ・ど。俺が変なクラスになったわけだ。」 「申し訳ない。不満か?」 「んにゃ、クシャトリアじゃなさそうだしヘーキよ」 「そうか………」 クシャトリアという言葉に対して、憎悪が垣間見える。そして手に持つのは斧。小鳥遊照は自分の目論見が成功したのを確信した。 「貴方の真名は………パラシュラーマ、違いないか?」 「きひひ………あるわけなかろうぞ。狙ってたんだろ俺を。しかもこの霊基で!」 「霊基はよくわからんが多分な」 エクストラクラスというものがある。 本来7つのクラスのうちから選ばれて呼ばれるのが道理のサーヴァント。パラシュラーマの場合、アーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカーあたりが適性だ。だが、マスターが強く望み条件をそろえれば、稀にこれ以外のあぶれたクラスが添えられる。 アルターエゴ。英語で別人格の事を指すこのクラスは呼び出される英霊の一側面をより強調・抽出してサーヴァントを生み出すものである。それが高潔な武人ならそれが犯した唯一の卑怯を忘れる。それが恋を隠す少女なら隠し切ることができない。そんな尖ったクラスなのだ。 アルターエゴとしてのパラシュラーマは複数あり得る。小鳥遊照が求めたのは数多くの英霊に修練をつけた教育者、師匠という一面。 「アルターエゴ。世界には多くの化物がいるらしい。死を線取る目、並行世界を観測する魔法使い、人を殺す犬、水晶の蜘蛛etc………俺はどうしても執行したい。俺より強いやつがいるかもしれない。これがもう嫌で嫌でたまらないんだ!」 「ふむ………たとえ死ぬことになったとしても闘いたいのだな?」 「もちろんのことだ。だが、今行っても十死零生。そんな勝ち目のない戦いなんざお断りだ。だからアルターエゴ。俺を鍛えてくれ。頼む!」 小鳥遊照の目をじっくりと見るアルターエゴ。その澱み切った目の奥には沸々と炎が見えた気がした。過大すぎる目的、矮小な魂胆、憤怒と喜悦に酔いしれる気質、それを隠さず曝け出す図太さ。パラシュラーマは笑った、気持ちよく。 「いいよ。貴方の気質気に入った」 「本当か!?」 「ただ一つ約束、やるからには………ハードよ?」 「もちろん覚悟はできてる」 「良き!な・ら・ば、早速始めるとするよ」 アルターエゴは小鳥遊照を軽々と掴み、【その場から動くことなく】東京都内を疾走する。その最中たくさんの英霊の雰囲気を捉える。 (ほ・う・ほ・う。粒揃いの英霊たちか) 彼らを踏み台として我がマスターは跳躍できるだろうか?そう遠くない未来を思い描きアルターエゴ、パラシュラーマは高笑いを上げるのだった 【キャラクターシート】 サーヴァント 【クラス】アルターエゴ 【真名】パラシュラーマ 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力:A+ 耐久:A 敏捷:B+ 魔力:B 幸運:B 宝具:A++ 【クラススキル】 なし 【保有スキル】 対魔力A 魔術に対する抵抗力。Aランクでは、Aランク以下の魔術を無効化する。事実上、現代の魔術師が傷付けるのは不可能。 陣地作成B 魔術師として、自身に有利な陣地を作り上げる。 パラシュラーマの陣地は修行に最適な地獄のような環境である。 道具作成A 魔力を帯びた器具を作成する。パラシュラーマは神代の鍛錬器具を作り出し、弟子を鍛え上げる。 神性A 神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。神としての記憶を全て捨てているとはいえ、最高神の1柱「ヴィシュヌ」の転生体にして化身であるパラシュラーマは、Aランクという高い「神性」を有している。 カラリパヤットEX 古代インド式の武術がスキル化したもの。才覚のみに頼らない、合理的な思想に基づく武術の始祖。傾向として、攻めより守りに長けている。 地を平らげる戦車B++ ヴィマーナ・スメール。自分の弟子、ビーシュマとの戦いの際、地球を戦車として23日間戦った。パラシュラーマが足を地面、もしくはその延長線上にあるもの(例:建物の床)につけている限り、足を一切動かさずに移動することができる。 ライダーで現界した場合このスキルは宝具となりより強力なものとなる。 武人を尽く滅する聖仏EX クシャトリアを殲滅する者としての能力。クシャトリア、もしくはそれに類する階級の戦士に対して与えるダメージは21倍となる。またクシャトリアを21回滅ぼした武力を示すスキルでもあり、あらゆる武器や武術、秘術を簡単に使いこなすことができる。 【宝具】 梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ) 種別:対軍・対国宝具 クラスがアーチャーなら弓、他のクラスなら別の飛び道具として顕現する。 ブラフマー神の名を唱えることで敵を追尾して絶対に命中する。 アルターエゴの場合、斧による飛ぶ斬撃のような飛び道具となる。 梵天よ、世を断て(ブラフマーストラ・パラシュ) ランク:A++ 種別:対国宝具 レンジ:2~90最大捕捉:600人 カルナなど有力な戦士たちにさずけ与えた対国宝具。クラスがアーチャーなら弓、他のクラスであれば別の飛び道具として再現されるが、アルターエゴ時は「斧に極限まで魔力を込めて薙ぎ払う」宝具となる。 もとより広い効果範囲を持つブラフマーストラの効果範囲を自らの魔力を付与することでさらに広め、威力を格段に上昇させており、その一撃は核兵器に例えられるほどの規模と破壊力を持つ。 聖仏よ、人を育て呪え(リシ・ダーシャヴァターラ) ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 英雄の師匠としてのアルターエゴによりスキル『英雄作成』が宝具へと昇華した。 人の身を英雄に仕立て上げる宝具であり、どれだけ強くなるかはその人の素質による。 存在格を上げるだけでなくスキルを身につけさせることも可能。パラシュラーマの場合は戦闘技術全般のスキルとなる。 英雄にするにはパラシュラーマが修行方法を考え、実践させなければならない。一つ乗り越えることに対象者は強くなっていく。この宝具はサーヴァントにも使用可能。ただしその場合、ステータスアップはなくスキルの習得のみにとどまる。 真名解放を行うことで、呪いを受ける代わりに宝具を授けることが可能になる。呪いが強力的かつ致命的な者であるほど宝具の威力や効果が高まる。一度の現界につき一度のみ可能。 自らの弟子、カルナが素性を偽ってたことが発覚した際、呪いとして「格上にらパラシュラーマによって教えられた技は使えない」と「戦車の車輪が地面に埋まる」を与えるも、カルナの才能や武勇を認めており、自らの持っていた最高の武器であるヴィシュヌの弓矢ヴィジャヤを与えている逸話から。 【weapon】斧 パラシュラーマとは【斧を持つラーマ】という意である。ランサーの場合この斧は宝具となり真名解放が可能となる。 【人物背景】 インド神話における三神トリムールティの一柱ヴィシュヌの6番目の化身(アヴァターラ)。 様々なインド神話の英雄と関わりがある非常に強力な英霊。驕り高ぶったクシャトリアを21回殲滅する凄まじさを持つ。 【外見・性格】 赤髪の長髪を後ろで纏めている オリエンタルな赤い鎧 斧を持つ 粗暴だが人の良いところを褒めることができる心はある。 【身長・体重】 199cm・体重99kg 【聖杯への願い】 なし。闘いたい。 【マスターへの態度】 色々ぐちゃぐちゃしているこいつを非常に強い英雄へと仕立て上げてぇ……… マスター 【名前】小鳥遊 照(たかなし てる) 【性別】男 【年齢】28 【属性】混沌・善 【外見・性格】 日本人とは思えない筋肉質な体型をしている 銀髪のポニーテール ガッチリとした顔つき 自分より強そうで害になる者に対抗心と敵意を見せる戦闘バカ 【身長・体重】 身長180cm・体重95kg 【魔術回路・特性】 異常 質B 量C 特性吊るす 【魔術・異能】 糸を操る ボクシングをベースとした格闘技 【備考・設定】 ボクシングヘビー級チャンピオン。幼少期、親がいない時期、殴る蹴るなどの暴力が好きだったが、養子に出された際、猫をかぶることを学んでその気質が治る。その後数々の格闘技を経験したのちボクシングを選択。才能を見る見るうちに伸ばしてチャンピオンにまで上り詰める 私生活も妻にも子供にも恵まれ、順風満帆だった。 その生活が全て壊れて日本から逃亡して以降、魔術師や怪物、死徒を絞首刑に処すことに囚われた。 【聖杯への願い】 あらゆる怪物がいる場所を示した地図が欲しい 【サーヴァントへの態度】 コーチ。めちゃめちゃ強いが自分で呼び出したので処刑の対象外として尊敬と嫉妬の目を向けている。
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防御 防御行動回避 ECM (メックのみ) 盾ブロック 迎撃 (メックのみ) 受け流し 合気道 (キャラクターのみ) スタント運転技術 (メックのみ) 防御行動 攻撃を受けた場合、以下の順番で防御を試みる。防御に成功すると1 / 3の確率でSPを1消費する。 いくつかの防御行動はスケールファクターの差による無効化を受けない。 自分よりも大きな敵に挑むつもりなら考慮に入れておこう。 回避 キャラクターであれば回避スキル、メックであればメック操縦スキルで回避を行う。 メックの場合はMVの値や走り屋・歩行バランス・天性の飛行士のタレントでボーナスを得られる。 回避はスケールファクターの差による無効化を受けない。 ECM (メックのみ) Gun, Beam Gun, Missile Launcherによる攻撃を受けた場合、ジャミングによる回避を行う。 電子対抗システムをメックに積んでいる場合に有効。 判定には電子対抗システムのクラスと電子戦スキルを使用する。 ECMはスケールファクターの差による無効化を受けない。 盾ブロック 盾でブロックを行う。Flail属性の武器はブロックできない。 盾が使用可能であれば有効。ブロック後の盾は再使用待ちになる(SPD = 3)。 Beam GunやEnergy WeaponをEShieldでブロックした場合、盾がダメージを受ける。 Melee Weaponや格闘攻撃をEShieldでブロックした場合、相手の武器やモジュールがダメージを受ける。 迎撃 (メックのみ) Missile Launcherによる攻撃を受けた場合、ミサイル迎撃を行う。 Intercept属性を持つ武器が使用可能であれば有効。使用した武器は再使用待ちになり、火器であれば弾薬も消費する。 受け流し 白兵戦武器や格闘攻撃による攻撃を受けた場合、自分の白兵戦武器で受け流しを行う。Flail属性の武器はブロックできない。 白兵戦武器が使用可能であれば有効。使用した武器は再使用待ちになる。 Melee Weaponで受け流した場合、受け流しに使用した武器がダメージを受ける。 Melee WeaponをEnergy Weaponで受け流した場合、相手の武器がダメージを受ける。 合気道 (キャラクターのみ) 武術スキルを使用して回避を行う。 成功・失敗にかかわらず追加でSPを1消費する。 合気道はスケールファクターの差による無効化を受けない。 スタント運転技術 (メックのみ) 走っているか全速運転している場合のみ、回避をやり直す。 成功・失敗にかかわらず追加でSPを1消費する。
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加賀見 悠(かがみ はるか) 年齢:現在時で10歳。 キャラ設定 冷静沈着で、感情を殆ど表に出さない性格。 冷静な上に豪胆で、めったなことでは動じない。 自分をどんなに傷つけられても動じないが、愛する人間や大好きな人たちを傷つけられると キレる性格の持ち主。 母親のことで虐められていたが、動じない性格のため、逆に友達が増えた。 裕人のことは嫌い。 キャラ設定(6年後) 冷静沈着で、大人しい性格の女の子に育つ。 長い黒髪が似合う。 性格は、冷静沈着活豪胆な上空手&合気道2段なので、友達は多い。 ただし、 自分をどんなに傷つけられても動じないが、愛する人間や大好きな人たちを傷つけられると キレるのは相変わらず。 しかも、遠慮なくぶちのめすので何度も警察のお世話になる乱暴娘。 運動神経抜群で運動部から助っ人として呼ばれることも。 裕人とは反目している。 キャラ設定(大人時代) 冷静沈着で、大人しい性格の女性。 長い黒髪が似合う。 性格は、冷静沈着活豪胆な上空手&合気道2段なので、友達は多い。 ただし、 自分をどんなに傷つけられても動じないが、愛する人間や大好きな人たちを傷つけられると キレるのは相変わらず。 警視庁に入り、現在はSAT(特殊急襲部隊)の一員になっている。 唯一女性SATで習志野での空挺レンジャー試験を好成績でパスしている 裕人とは敵対関係。
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baevvasn /// / 合気道 baev\vasn \ 16 seren klel \
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【名前】エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル 【出展】ネギま! 【種族】吸血鬼の真祖(この世界において魔術的儀式により吸血鬼になった者) 【性別・年齢】女・600歳以上 【外見】10歳の少女、長い金髪 【性格】傲岸不遜で自信過剰。アウトローな思想を持つ偽悪者だが女子供を殺すのは嫌い。 【特異能力】合気道、糸使い、魔力の回復に伴う運動能力上昇&吸血鬼の力(再生等)、冷却系の魔法 【備考】 自称『最強の悪の魔法使い』だが、アウトローではあるものの極悪人ではない。 本気で憎悪で人を殺したのは最初の一人だけの可能性も有る位で。 戦いの場に立つなら女も子供も無いと言っているが、結局女子供は殺してないともいう。 ネギの父親サウザンドマスターに破れある学園に登校し続ける呪いを掛けられた。 この呪いに加え学園に結界が張られていたせいで普段は魔力弱の上に肉体能力10歳である。 しかも花粉症で冬場は風邪を引く。 ただ合気道と糸使いとしての技術も有り、中学生位の運動能力を回復すれば十分に戦える事が後に判明した。 実はサウザンドマスターに惚れていたり、魔法を発動させる時のキーである 「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!」のライラックの花言葉がなんか純だったりするツンデレ。
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名前:時峰 翠月(ときみね みづき) 色:翡翠色(&黄色) 能力:「物質強化」 触れた物の強度を増加させる能力。(やろうと思えば割り箸で鉄パイプを受け止められる) また、多少の欠損や傷を直す事もできる。しかしあくまで命の無い『物質』にしか効果がなく、人間や動物等の『生物』には使えない 『時間跳躍』(シーンジャンパー) 『1秒先の未来へ行ける』という特殊能力 気付いている者本人を含めほぼいない。彼女はこの能力を意識せずに使っているが、陸上の短距離走や、合気道の心得があるためか、瞬歩をEXMで行っている。程度の認識らしい この能力の対応色は『黄色』 性格:体を動かしたり、アニメ鑑賞が趣味の地球出身ハツラツ17才 反面、勉強など頭を使う事は苦手で、可愛いモノを好み、気味の悪いモノを嫌う また、父親が合気道の師範らしく、彼女も鍛錬を怠らないストイックな面もある 相棒である戦乙女型EXM『ヴァルキリー・スー』は、人工知能(女性型)を搭載し、普段は1/144サイズに縮小していたりと謎多き存在 翠月からはスーと言う相性で呼ばれ、単独でも戦闘可能だが全力を出すには彼女の搭乗が必須となる 一人称: 二人称: 所属: 機体:ヴァルキリー・スー
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スティーヴン・セーガル(Steven Sagal) 1951年4月10日生まれ 男 ミシガン州ランシング市出身。身長193cm。代表作は「沈黙の戦艦」。元軍人や刑事など、凄腕かつ冷静な主人公を演じる事が多い。一般的なアクション映画と異なり、困難もピンチもほとんどないまま、ひとりで一方的に敵を壊滅させるストーリーが大半である。 その圧倒的な強さが人気の理由。 17歳で来日し、英語を教えながら禅、合気道、剣道、柔道、空手を学ぶ。合気道8段。 日本語は堪能(大阪弁)で、淀川長治とは日本語で対談を行った。2005年公開の映画、「イントゥ・ザ・サン」では大阪弁をふんだんに使っている。 Aマホではとある人物が「俺は大ファン」発言から火がつき一気にブレイク、いろいろなセッションに登場することになる。 下手するとそこいらのNPCなんかよりも強いので圧倒的な壁として登場することが多い。 ネタとしては「実は元特殊部隊のコックさん」「むちゃくちゃ刑事」等 またの名を「ケーシー・ライバック」 キャッチコピーは「このおやじ最強」 主な作品 沈黙シリーズ グリマーマン DENGEKI アウト・フォー・ジャスティス 確認事例 初出:No170初心者SDによる突発!! 最強コック「ケーシー・ライバック」として初登場。下田龍雄を大いにビビらす No178セガールと鬼ごっこセッション ロス市警の最強刑事S・セガールとして再登場。強盗団を追い詰め、絶技で“完全撃滅”した
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日々の未来(2) ◆gFOqjEuBs6 仮面ライダーカブトが、短剣を片手にコーカサスに迫る。 凄まじい速度での攻防。カブトが剣を振るえば、その全て叩き落される。 圧倒的な戦力差。完全にカブトの動きが見切られているのだ。 やがて、カブトが振るった攻撃を受け止め、コーカサスが破壊剣を一閃。 「ぐぁっ……!」 ヒヒイロノカネをまたも切り裂かれたカブトが、数歩後退。 よろめくカブトの首根っこを掴んだコーカサスが、カブトの首をギリギリと締め上げる。 ライダースーツ越しに気道を圧迫された天道が、呻きにも似た呼吸音を漏らす。 このまま首を握りつぶされれば、天道の命は潰える。 「おおおおおおおおおおおおおおおッ!」 そうはさせないとばかりに響く雄叫び。 天道の命が潰えるより先にコーカサスの懐に飛び込んだのは、アンジールであった。 バスターソードを振り上げて、コーカサスへと突貫する。 されど、コーカサスも黙ってやられはしない。 物言わぬカブトを放り投げ、アンジールに激突させる。 カブトとアンジール、二人揃って崩れ落ちた。 「――シュートッ!」 「本当にキリがないな」 次に行動を起こしたのは、高町なのはだった。 なのはが放ったアクセルシューターが、無数の光弾を生成し、コーカサスへと迫る。 放った半分は破壊剣によって打ち砕かれ、うち半分はコーカサスを直撃。 コーカサスの体表で爆ぜる無数の魔力弾。されど悲しいかな、威力が足りない。 最強のアンデッドの一角たるコーカサスに、非殺傷設定付きの魔法など通用しない。 コーカサスが、お返しとばかりに腕を突き出した。同時に生成されるエネルギー弾。 刹那の内に人一人を殺せるだけの威力に膨れ上がったエネルギー弾が、上空のなのはに迫る。 「ヘァッ!」 「ミライ君!!」 だが、その間に割り込んだのは、赤と銀と金の戦士――ウルトラマンメビウスだ。 空を駆け抜けて、誰よりも早くなのはの正面へと割り込んだメビウスの身体に、エネルギー弾が直撃。 上級アンデッドの持てるエネルギーの爆発が、メビウスの体表で発生する――が。 それは、メビウスにとっても計算済みの事。 「シュアァッ!!」 その場の全員が、メビウスの身体に起こった変化に気付いた。 コーカサスの放ったエネルギー弾。それによる爆発が、不自然なまでに大きく拡がって居た。 言うなれば、まるで自分の意思で燃え上がる炎の様に――メビウスの身体に纏わりつく爆煙。 やがて爆煙は、メビウスの意思に応える様に激しく燃えあがり……その身に吸収された。 「へぇ、僕の力を利用して自分の炎に変えちゃったんだ」 楽しそうに笑うキングを睨み付ける、銀色の視線。 仲間達との絆の力で体得した、メビウスのタイプチェンジ。 メビウスの全身に浮かび上がる、真っ赤な炎のファイアーシンボル。 どんな困難にも絶対に諦めずに立ち向かう、勇気の力――約束の炎。 どんな窮地に立とうと、最後まで仲間を信じて戦い抜く、俺達の翼。 ウルトラマンメビウス――メビウスバーニングブレイブ。 「デュアッ!」 メビウスが突き出した両腕から、真っ赤な火球が飛び出した。 さながら燃え上がる爆炎を凝縮したような、全てを焼き尽くす炎の塊。 ウルトラマンタロウですら倒せなかったインペライザーを、一撃で破壊した攻撃。 反射的に生成されるソリッドシールド。その表面で、大爆発が巻き起こった。 その衝撃で噴き上がった爆煙が、周囲の全てを飲み込まん勢いで燃え上がる。 「ジュワァァァッ!!」 爆煙を突き破って現れたのは、炎の弾丸と化したウルトラマンメビウスだ。 その両足に勇気の炎を纏わせて、ドリルの如き激しい回転を加える。 ウルトラマンレオと、GUYSの仲間達との修行の末に編み出した、必殺技。 どんな防御ですら打ち破る、炎のメビウスピンキックだ。 「チッ……」 メビウスの両足がドリルとなって、ソリッドシールドを抉る。 燃える炎の身体となったメビウスとの摩擦熱で、シールドから炎が噴き上がる。 噴き上がった炎はそのままメビウスに吸収され、メビウスに更なる力を与える。 やがて、メビウスのキックがソリッドシールドを突き破り―― 「でもっ……!」 ――RIDER KICK―― 「えっ……!?」 振り向いた時には、もう遅い。 コーカサスの死角。赤き装甲が月夜に飛び上がって居た。 タキオン粒子を加速させ、その右脚に稲妻を纏わせる。 対象を原子崩壊させる程の威力を誇るライダーキックが、コーカサスの目前まで迫って居た。 「ハァァァァァァァァァァァァッ!!」 「デュァァァァァァァァァァァッ!!」 燃えるメビウスピンキックと、必殺のライダーキック。 メビウスの脚が、コーカサスの胸部装甲を焼き尽くさん勢いで砕いた。 カブトの蹴りが、コーカサスの背部装甲を粉々に粉砕せん勢いで砕いた。 バチバチと、音が聞こえる。その身に受けた炎と稲妻が、せめぎ合っているのだ。 「やったか!?」 歓喜の声を上げるアンジール。 コーカサスの身体から二人分のエネルギーが溢れ出し、その身をよろけさせる。 爆発する前に飛び退いたメビウスとカブトが、二人並んで構えを取った。 ウルトラマンと仮面ライダーの、完全勝利だ。 この場にいる誰もがそう思った。が―― 「こんな所でやられてたまるかよ! ディアン・ケトッ!!」 コーカサスが叫んだ。 同時に、今し方砕いた装甲が、みるみる内に回復して行く。 デュエルディスクによる、ディアン・ケトの連続使用。 先程メビウスに敗北した直後も、同じ方法で回復したのだ。 戦闘中にこれが出来るのだから、尚更タチが悪い。 「どうやらあのディスクを破壊しない限り、俺達に勝利はないらしいな」 「なら、あのディスクを破壊して、奴を倒すまでです!」 これで当面の攻撃対象は決定した。 コーカサスの左腕に装着された白のディスク。まずはあれから破壊する。 でなければ、いくらダメージを与えて痛めつけた所で、何度だって回復されてしまう。 されど、この場に居る全員が解って居た。それが簡単な事では無いと言う事に。 デュエルディスクを破壊されてしまえば、キングは圧倒的に不利になる。 それが解っていて、黙って破壊などさせる訳がないからだ。 「……こっちの弱点にも気付かれちゃったみたいだし、そろそろこっちも本気で行かせて貰うよ」 言いながら、コーカサスが歩き出した。 ゆっくりと、絶対に負けないと言う余裕を見せるかの様に。 カブトが、ガンモードに変型させたクナイガンから無数の弾丸を発射する。 同時に、なのはが無数の魔力弾を発射。カブトとなのはによる弾幕が合図となった。 メビウスとアンジールが同時に駆け出した。それに続いて、カブトも駆け出す。 コーカサスの盾に全ての弾丸が弾き落されると同時、メビウスがその拳を突き出した。 燃え上がる爆煙によって攻撃力を数倍に上げた炎のパンチ―― 「ハァァッ!!」 「フンッ!」 されど、コーカサスに届く前に……それどころか盾に届く前に、破壊剣によって叩き落された。 拳を叩き落され、体勢を崩したメビウスに迫るのは、コーカサスが振るった破壊剣。 びゅん、と。重たい剣が空気を切り裂いて、メビウスの身体を弾き飛ばした。 コーカサスの正面からメビウスが崩れ落ちた頃には、カブトとアンジールによる追撃。 カブトの短剣と、アンジールの大剣を、コーカサスの両の腕が掴み取った。 狼狽するよりも先に、二人が取った行動は、コーカサスに対する前蹴りだ。 「「ハッ!」」 「効かないっての!」 二人の蹴りはソリッドシールドによって阻まれる。 だが、それで終わりはしない。次いで繰り出される、二人の剣戟。 短剣と大剣が、激しい軌道を描いてソリッドシールドを何度も傷つける。 がきん、がきん……と、何度か音が響いた後で、コーカサスが行動に出た。 「うざいって」 一閃。 カブトの装甲がまたしても引き裂かれ、アンジールの胸板を切先が掠めた。 二人纏めて崩れ落ちた先には……桜色の魔法陣を展開した高町なのはがそこには居た。 赤の宝玉を基部に、金色の装飾が成された魔法杖を突き出して、桜色の魔法陣を幾つも描く。 不屈のエースオブエースの魔法攻撃。それも先程とは比べ物にならない程の砲撃らしい。 「ディバイィイイイイイン……! バスタァァァァァァァァァァァァァァ!!!」 そして、放たれる一撃。 桜色の光の奔流が、黄金の身体を飲み込もうと迫る。 されど、キングも黙ってやられはしない。もう一度右腕を突き出し、エネルギー弾を生成。 今までよりも力を凝縮して、それを一気に突き出した。 加速するエネルギー弾と、なのはのディバインバスターが激突する。 そして巻き起こる大爆発。お互いのエネルギーが相殺しあって起こった事象。 コーカサスのエネルギー弾には、なのはの砲撃と違ってチャージがない。 故に、コーカサスはすぐに次の砲撃へと移れるのだ。なのはが砲撃を放ってから、まだ1秒程。 この一瞬で、なのはが気付くよりも先に決める。爆煙が晴れる前に、コーカサスがエネルギー弾を放った。 『GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!』 「チッ……またお前か」 されど、それを阻んだのは白き飛竜・フリードリヒ。 その身にエネルギー弾の直撃を受けて、苦しそうに悶えていた。 無慈悲なコーカサスは、そんなフリードに連続でエネルギー弾を放つ。 一発、二発と、身体が爆ぜる度に悲鳴にも似た叫びを上げる。 やがて、三発目を放とうとした、その時であった。 「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 懐に飛び込んできたのは、ウルトラマンメビウス。 タックルの要領で飛び込んできたメビウスの背中に、肘の一撃を叩き込んだ。 アンデッドの刺々しい装甲と、力を象徴するスペードスートの王の怪力。 そこから繰り出される肘打ちは強烈で、一撃でメビウスをアスファルトに叩き落した。 同時に、背後から飛び込んでくる回し蹴り。仮面ライダーカブトによる攻撃だ。 それを振り抜いた破壊剣で叩き落し、もう一撃、カブトの装甲に破壊剣を叩き込む。 崩れ落ちるカブト。すかさず、アンジールがバスターソードを振り上げた。 ソリッドシールドで防ぎ、右脚の重たいキックを見舞う。 アスファルトを転がるアンジールを尻目に、立ち上がったメビウスがその拳を振るう。 コーカサスがその腕を絡め取って、勢いそのままに、立ち上がり様のカブトへとブン投げた。 「「ぐぁっ……!」」 メビウスと激突し、再び崩れ落ちるカブト。 同時に響く獣の咆哮。その身に鞭打って、空を翔けて来た飛竜による尻尾攻撃だ。 だが、それは既に一度コーカサスに使った手段だ。そう上手くいく筈も無く――。 尻尾がコーカサスの身体を打つ前に、コーカサスがその尻尾を掴み取った。 そのままジャイアントスイングの要領で振り回し、投げ飛ばす。 その先に居るのは―― 「フリード!!」 高町なのはだ。 何度も振り回され、平衡感覚を失ったフリードに、自ら回避など出来る訳がない。 かといって、なのはが回避してしまえば、フリードは硬いアスファルトに激突してしまう。 そこでなのはが取った行動は、魔法によるフリードの身体の保護であった。 アクティブガード。まずは低速の爆風でフリードの加速を和らげる。 ホールディングネット。魔力で構成されたネットが、フリードの身体を優しく受け止めた。 咄嗟の状況でもこれらの判断を一瞬でこなしたあたり、流石エースオブエースと言える。 やがて、体力を使い果たしたフリードの身体は、小さな竜のそれへと戻って行った。 仮面の下でつまらなさそうな表情を浮かべるコーカサスであったが、しかし退屈はしない。 「えいっ!」 連続で繰り出される無数のエネルギー弾。 空を駆け抜け、それらを回避するなのはであったが……エネルギー弾は、何処までもなのはを追尾する。 いくら空を駆け抜けても脱げ切れぬ事を悟ったなのはは、自らの魔法で相殺に掛る。 が、大量に発射され続けるエネルギー弾全てを撃ち落とす事など不可能。 数発を自らの魔法で叩き落すも、残りは交わしきれず、シールドで防ぐしかなくなった。 されど、無慈悲なコーカサスはエネルギー弾の発射を止めはしない。 「ハァァァァァッ!!」 もう一度起き上がったアンジールが、その大剣を突き立てた。 切先の無いバスターソードはコーカサスの盾にぶち当たり、大幅に減速。 その隙にコーカサスが、アンジールへと破壊剣を振り下ろした。 咄嗟にバスターソードを構え直し、それに備えるアンジール。 防御の為に一瞬だけがら空きになったアンジールのボディに叩き込むのは、重たいキック。 黄金の脚がアンジールの胸板を強打し、その肋骨をへし折る。 アンジールが、盛大に真っ赤な血液を吐いて吹っ飛んだ。 それと同時に、上空で巻き起こる爆発音。コーカサスのエネルギーが、なのはのシールドを破ったのだ。 白いドレスを回転させながら、アスファルトへと落下して行く高町なのは。 「アンジールッ……! クソッ!」 「なのはちゃん!! うわぁぁぁぁぁぁ!!」 もう一度駆け出したカブトとメビウス。 カブトが振り抜いた短刀を破壊剣で弾き返し、その仮面に拳を叩き込んだ。 カブトの頭が揺れて、真っ赤なマスクに亀裂が入る。さらに、追撃とばかりに振り抜かれる破壊剣。 ヒヒイロノカネを叩き割って余りある衝撃が、天道の身体を襲う。 アンジール同様肋骨をへし折られたカブトが、盛大に吹っ飛んだ。 そこに迫りくる真っ赤な炎の闘士、ウルトラマンメビウス。 メビウスの拳を黄金の盾で受け止めて、下方から破壊剣を振り上げた。 ボディを切り裂かれたメビウスが、大きく仰け反り――隙だらけになった身体に、キックを叩き込む。 呻きとも取れる叫びを上げながら、メビウスが後方へと吹っ飛んだ。 「どんなものかと思ったら、この程度? 正義のヒーローが聞いて呆れるね!」 最早立ち上がらなくなった一同を嘲笑うように、コーカサスが両手を広げた。 かろうじて意識を保って居た一同が、よろめきながらも立ち上がる。 メビウスに、カブト。アンジールに、なのは。満身創痍ながらも、その身に鞭打って。 ここで自分達が負けたら、こいつはきっともっと多くの災厄を撒き散らすことだろう。 そんな事は、絶対に許せない。もう二度と、こんな奴の為に、誰かが悲しむ涙を見たくはないのだ。 「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」 メビウスが、自らを奮い立たせるように、咆哮した。 夜の街に、ウルトラマンメビウスの雄叫びが響き渡る。 両腕を振って、最早立つ事すらままならない身体で、アスファルトを蹴った。 全速力で、コーカサスに向かって駆け出すメビウス。 対するコーカサスは、右手を突き出し、無数のエネルギー弾を発射。 ――するも、命中はしない。メビウスの炎によって、軌道を逸らされたエネルギー弾が、メビウスの後方で爆発するのみ。 メビウスが駆け抜けた道を……アスファルトが、瓦礫が。炸裂、爆発――爆煙を振り払う様に、メビウスは叫んだ。 「絶対に守るんだッ! 皆の命を、皆の思い出を……! 僕達の、未来をッ!!!」 メビウスの叫びをその耳に聞いたカブトが、僅かに顔を上げた。 メビウスの思いに心揺さぶられたアンジールが、その眼光でコーカサスを捉えた。 そうだ。命を守る為に戦い続けてきた自分達が、こんな所で負けていい筈がない。 生きとし生ける命を……アメンボから人間まで、全ての命を守ると誓ったのだ。 人々を救い、その命を守る為に、揺るがぬ決意と共に、神羅に入ったのだ。 それが天道総司と、アンジール・ヒューレーという男の生き様なのだ。 気付いた時にはカブトとアンジールも、メビウスに続いて走り出していた。 「デュァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」 燃え盛るメビウスの剣が、ソリッドシールドに激突した。 メビュームブレードが、ソリッドシールドに食い込んだ。 絶対に諦めない。守りたい気持ちがあれば、こんな盾だって壊せる筈だ。 メビウスの魂の炎が燃え上がると同時に、メビウスの剣が爆煙の如き炎を噴き出した。 ソリッドシールドを侵食して、焼き尽くさん勢いで燃え上がるメビュームブレード。 そして――ついに、ソリッドシールドが焼き裂かれた。同時に、迫りくる破壊剣。 ソリッドシールドの破壊と同時に、メビウスの胸部を破壊剣が強打した。 その場に崩れ落ちるメビウス。だが、その想いは絶対に無駄にはしない。 「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」 両腕で大剣を構えて、真っ直ぐにアンジールが飛び込んだ。 片手で短刀を構え、コーカサスの直前で腰を屈め、一気に振り抜いた。 二人が狙った標的は、キングの左腕に装着されたデュエルディスク。 これさえ破壊すれば、この勝負は貰ったも同然――なのだが。 「フンッ!」 キングが、左の腕を――その掌を自ら突き出した。 掌にエネルギーを集中させて、二人の刃を受け止めたのだ。 黒金に煌めくバスターソード。黄金に輝くカブトクナイガン。 その二つの切先を、掌一つで受け止めて、二人分の力と拮抗する。 それでも、負けてなるものかとカブトとアンジールが構えた刃に力を込める。 同時に、二人の攻撃に応える様に――キングが、掌に集中させたエネルギーを解き放った。 「なっ……うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」 「ぐぁ……ぁぁぁぁああああああああああああああああっ!!」 カブトとアンジールの身体が、まるで紙きれの様に吹き飛んだ。 数十メートル吹き飛ばされた二人の身体が、後方のコンクリートの壁に激突。 力無く崩れ落ちる二人。今度こそ全ての力が抜け落ちていくようだった。 これだけの攻撃を加えても、少し本気になられただけで、こうも実力差が開いてしまう。 守るだけでは、勝てないのか――そんな考えを振り払う様に、カブトが頭を振った。 カブトの仮面の亀裂からは血が溢れ出している。アンジールはその口から血液を流し、倒れ込む。 メビウスは最後の力を振り絞った攻撃でカウンターをくらい、立ち上がる事すらままならない。 なのはは先程の攻撃に次いで、無駄に魔力を消耗した事、コーカサスの攻撃を防ぎきった事で、魔力残量など無いに等しい。 最早この場に居る全員が、満身創痍。最強のアンデッドの一角たるコーカサスには、誰も勝てはしなかった。 「あれ? なのはだけなんかダメージ少ないよね。バランス悪いなぁ」 「……キング……貴方と言う人は……っ!」 「いいね、いいよその眼! じゃあ最初に死んでね」 コーカサスを睨み付けるなのはに放たれた一言。 それは、なのはに絶望すら与える言葉であった。 最早、キングの攻撃を防ぎきるだけの魔力は無い。 かと言って、もう自分を守ってくれるものはいない。 今度こそ、チェックメイトだ。 「ばいばい」 コーカサスが、その腕を突き出した。 今度はエネルギー弾では無い。エネルギーを光線にして吐き出す攻撃。 全ての上級アンデッドが持つ、エネルギー派による攻撃だ。 そんな物を受ければ、いくらバリアジャケットを装着していようと、耐えられる筈がない。 (ごめん、フェイトちゃん……ヴィヴィオ……) 自分の最期を想像し、目を瞑る。 最期に大切な親友と、掛け替えのない娘を心に思い描いて。 出来る事なら、最期にもう一度だけ会いたかったな、と思う。 誰よりも信頼出来る親友に、守ると誓った一人娘の笑顔を思い浮かべて―― Back 日々の未来(1) 時系列順で読む Next 日々の未来(3) 投下順で読む アンジール・ヒューレー 高町なのは(StS) 天道総司 クアットロ ヒビノ・ミライ キング