約 245,165 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/45491.html
登録日:2020/07/11(土) 07 44 53 更新日:2023/05/26 Fri 16 38 05 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 メランコリア ランキング ランク ヴォイニッチホテル 序列 殺し屋 道満晴明 隔月で会報も発行されているし 成績順に順位付けもされる 道満晴明氏の一部の漫画作品に登場する、殺し屋のランク付け。 【概要】 600人ほどの加入者から成る殺し屋の協会内での序列。順位が高い者ほど実力者と見倣されている。 順位は隔月で発行される会報「皆殺し」で通達され、その間の業績や欠員による繰り上げなどで変動する。 あくまで協会内の職業殺し屋の序列であり、上位ランカーでも野良の殺人鬼などに手も足も出ない場合もある。 【ランカー】 順位は上記のように変動しているため、作品内で描写された範囲で記載する。 ◆1 本人未登場。『ヴォイニッチホテル』内で語られた真偽不明の噂によるとフランス在住で3本の腕を持っているらしい。 アサルトライフルを担いだりはしない、多分。 ◆7→4→除列 クロサワアキラ 飄々とした性格の顎髭の男性。獲物はライフル。ターゲットが顔見知りでも躊躇なく殺害するが上手く出し抜かれれば深追いせず見逃す程度の情はある。 『ヴォイニッチホテル』にて麻薬の売人の始末依頼を受け、ブレフスキュ島に来訪。 ガチホモだが、島のカフェの店主に対して初めて女性に対する好意を抱き足を洗い告白しようと考えている。 ◆14→11→不明(上昇) 間宮姉妹 歳の離れた殺し屋姉妹。 姉はメンズスーツを着込んだロングヘアー。獲物は拳銃。荒っぽい性格で一般人を巻き込むことに躊躇なく代金代わりに鉛玉を撃ち込む悪癖があるが、仲の良い姉妹相手には甘さを見せる。 クロサワがホモと知らず告白した過去があり以来彼をライバル視しツンケンしているが、死んだと思っていた彼と再会した時など乙女の顔を見せることもある。 妹は腰に仮面ライダーのようなベルトを巻いているツインテール。獲物はサバイバルナイフ二刀流。殺人に躊躇がないことを除けば、幼げな外見相応の無邪気な性格。しかし、本人曰く21歳。 『ヴォイニッチホテル』にて日本のヤクザ皇龍会の依頼を受け、組の裏切り者の始末を目的にブレフスキュ島に来訪する。 ◆24 本名不明。高校生グラビアアイドルの表の顔を持つ橙髪ツインテールの少女。グラドルなのに全身傷だらけ。 『メランコリア』にて表の顔が原因で誘拐され、ボロボロになりながら自身を助けた見ず知らずの少年に恋し、敵対する未来を予見しつつヒーローとなった彼を応援している。 ◆86 本名不明。27歳男性。表の顔は24位のマネージャー。死姦は経験済みだが童貞。獲物はナイフ。 震災によって出来た底の見えない大穴「マリオ穴」を死体の始末に利用している。落とす前に殺す派。 『メランコリア』にてターゲットの少女が、自分に売りを強要した毒親の魔の手から幼い妹を護るために殺し屋を求め、一般人の自身が殺し屋と接触するためにターゲットとなるべく行動していたことを知り、目的を果たし潔く命を絶った彼女の高潔さに恋に落ちる。 彼女から受けた依頼を果たした後、それとなく彼女の妹を見守っていた。 ◆96 市 座頭市のような風貌の男。刀を獲物とする。それなりに腕は立つが殺気が駄々漏れらしい。 『ヴォイニッチホテル』にて連絡の取れなくなった間宮姉妹に代わり、皇龍会の依頼を受けリンダとGABA.ちゃんと共にブレフスキュ島に来訪。 ◆128 リンダ 学ランを着たリーゼントヘアの男。学ランの背中にはデカデカと桃黒と刺繍を入れている。市同様殺気が駄々漏れ。 ◆163 GABA.ちゃん 濃いパーマに濃い口紅の男性。オカマではなくドラァグクイーンを自称。もちろん女子トイレを使用する。上二人と同じく殺気が駄々漏れ。 間宮姉妹と過去に組んだことがあり妹の方を気にかけている。 追記・修正はランク入りしてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ぱらいぞの呪田さんとかもランキング入りしてそうな気がする -- 名無しさん (2020-07-11 10 23 45) 殺気駄々漏れの殺し屋とか使えないだろう -- 名無しさん (2020-07-11 10 55 02) ニッケルだと・・・オルグの師匠とか人食いの人かな -- 名無しさん (2020-07-11 13 47 20) ↑2 仲間たちが逃げられない状況に追い込んでからトドメ要員として出すならワンチャン -- 名無しさん (2020-07-12 09 37 11) ノーモアヒーローズ? -- 名無しさん (2020-07-12 10 06 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pixivzombie/pages/150.html
アラン・スミシー キャラクター詳細 名前: アラン・スミシー(偽名) 性別: 男 年齢: 不明 性格: 殺し屋家業の実家から逃亡中の為、偽名使用中。「逃げるタイミング失っちゃったなぁ・・・」他のハンターと違い、ゾンビ退治が目的ではない事や、争いを好まない性格の為、積極的に戦うことは無い。 ハンターになった経緯: 日用品買出しの為、モールに来店中に巻き込まれる。基本、自衛の為に戦うが、ゾンビに襲われている人が居たらできる限り、助けるようにしてる。 使用武器: 各種武器。 戦闘法: 実家が殺し屋をやっていた為、殺しについての英才教育を受けその為、各種武器の取扱いや、各種乗り物の運転技術がある。又、物心つく前からの日常的な毒物の投与により、毒物への耐性があり、ゾンビウィルスの血清が作れないかと、自ら人体実験中。人体を破壊する為に構造を把握させられた為、その知識を生かし普段は医者をやっており、トランクケースの中に医療器具が入っている為、簡単な治療なら行える。その他、骨格をいじっての変装なども行うことができる。 成功率:??%
https://w.atwiki.jp/misamisathread/pages/394.html
→参照 →参照 覇王愛人に登場する世界一腕の立つ殺し屋。 世界一の腕前を持つはずだが通行人がいるだけで狙撃ができなかったり、 ターゲットからあっさり返り討ちにされたり、拷問にかけられたら依頼人の名を吐いたりする。 技術的にも精神的にも世界一という肩書きには疑問符をつけざるを得ない。 ミサミサスレでは直下を狙撃する事が多いが、上記のような腕前であるため 狙撃はたいがい失敗する。 自分を狙撃してしまい花とミサミサを生けた花瓶になることもしばしばである。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/18581.html
登録日:2010/06/08(火) 23 18 27 更新日:2023/07/24 Mon 15 35 41NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 チート ハイスペック ボスキャラ ロリババア 人外 卑しい項目 外道 宇宙人 幼女 念力 日神火 羽入 職業・殺し屋。 逆レイプ 日神火とは、職業・殺し屋。の11〜12巻「非ずの村」に登場する人物。 読みは、「ひみか」。 主人公である志賀了(蜘蛛)とヘルプ(殺しの手伝い)の四条(死条)誠が殺しの依頼を受けたターゲットである。ちなみに依頼者は妹の水月。 あっさりゲロると宇宙人。殺し屋の漫画でなんで宇宙人?とか言う人は修行が足りない。昔戦国時代に事故って日本に不時着し、船が直せずそのまま定住した一族の生き残りである。 ひっそりと生きようとした一族の中で日神火だけは調和や共存を嫌い、「念」と呼ばれる力で破壊や殺戮、略奪を行っていった。 一族は抵抗したものの、最強の念を持つ日神火には適わず次々と殺され、やがて日神火と水月だけとなった。 水月は日神火を止めようと、母船に残されたテクノロジーで自分のクローンを作り、百年に渡って日神火を捕らえ、そして封印した。そのため非ずの村にいるのは全て水月のクローン。 蜘蛛達が呼ばれたのは、地震によって200年ぶりに解き放たれた日神火を殺すことだった。 日神火は骸に角を付けた正に鬼のようなものを大量に操り非ずの村を襲撃、依頼を受けた蜘蛛達と交戦する。 圧倒的な強さを見せる蜘蛛達だったが、日神火が角を通じて送る念で動く骸達はバラバラにされても死なず、逆に毒蛇と毒虫、更にそれで形成された巨人でピンチに陥る。 が、念を使い過ぎた日神火は捨て台詞を残し逃走した。 後日、母船のテクノロジーを使った岩湯で死条が入浴中、偶然念を回復しに来ていた日神火と出会う。 この間の一件でプライドを傷つけられていた死条が単独で挑むも、念の力であっさり敗北、おまけに日神火に逆レイプされた上に介入され、蜘蛛に対する嫉妬(蜘蛛は職業・殺し屋No.1であり、最強を求める死条は気に入らない)から角を受け入れ、骸にされてしまう。 その後、死条を操って村を再び襲撃。殆どの村人を虐殺したが、駆けつけた蜘蛛と、蜘蛛と交わることで念の力を取り戻した水月と最後の戦いを行う。 念と念をぶつけ合う中で蜘蛛と死条が戦う流れになり、両者死闘を繰り広げるも僅かな差で蜘蛛が勝利する。 しかし、日神火も水月との戦いに勝利しており、死条に勝った隙を突いて蜘蛛を念で倒した。 だが、最後は村の残留思念と子ども達の捨て身の一撃で死亡した。これで一族が水月ただ一人となったことに、ザマあみろと笑いながら死んでいったが… ちなみにこの日神火、見た目がどう見てもまごうことなき幼女。 それでいて宇宙人、ロリババア、牙、超能力、しかも母乳まで出るハイスペック幼女。 こんなのとヤれた死条マジ殺s…すいません 我は追記・修正を自在に使える異星人ぞ☆ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- やっぱり暴れまくったのは、一族最強故に忌み嫌われてきた自分に対し、周りにちやほやされていた妹に対する嫉妬からかなぁ? -- 名無しさん (2013-07-08 12 34 56) ZAN含めても作中最強キャラだろうなあ…不思議パワーなけりゃまず倒せなかったし -- 名無しさん (2015-06-08 20 03 06) 角をつけて洗脳(百鬼帝国)、名前が鋼鉄ジーグの敵と同じ、 後に作者がゲッターダークネスを手掛ける元? -- 名無しさん (2018-04-02 20 31 37) ↑2 1対1では間違いなく職殺シリーズで最強であろうな。 -- 名無しさん (2023-07-24 15 35 41) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sousaku_original/pages/111.html
【殺し屋集団「血染めの淑女」】 娯楽都市の地下街に居を構える、殺し屋の集団。 ギルドと区別するためにそう呼ばれる。名前の由来はメンバー全員が女性なことから。 金と引き換えに依頼を受けて人を殺す。この「殺す」というのは単純な殺人ではなく、精神的・経済的・社会的な抹殺も含まれている。が、特に依頼人からの指定がない限りは基本物理的に抹殺している。 抹殺範囲の指定は別料金。その他に殺害方法(毒殺、圧殺など)や場所、時間なども指定できる。 ちなみに、依頼内容に詐称があった場合や依頼人が彼らに不利益な行動をとった場合、依頼人は即刻抹殺される。 ≪メンバー≫ レディ・ブラッド(リーダー) エレーナ ポルタ(窓口係) シロ
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/2446.html
ボス:サザエモン 神級の腕を持つ最強の殺し屋たちだけで結成された軍団。 「殺し屋の神の大戦争」で崩壊。 サザエモン エンジェレット ランティス ソアラ アビエル
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/18959.html
忍者と殺し屋のふたりぐらし 登場人物 コメント タイプ1:あく タイプ2:むし 「電撃コミックスNEXT」(KADOKAWA)に連載されている、ハンバーガーによる漫画作品。 登場人物 モルフォンorマタドガス:草隠いさこ 色合い+使い手のアンズはくノ一繋がり ハッサム:このは 持ち物:メガネ系 「ポケモンコロシアム」に登場するワルダックは偽名繋がり コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/oretatino/pages/88.html
彼女は殺し屋イラストベーン 1章 2章-
https://w.atwiki.jp/primeval/pages/26.html
第1章第5話 空の殺し屋 "ほーら。もうすぐ家へ帰れるからね・・・。 ‐アビー・メイトランド" 第1章 第5話 空の殺し屋 登場する生物 プテラノドンアヌログナトゥス 放送 イギリス 2007年3月10日日本 2009年1月4日 シリーズ 第1章 エピソード 第5話 空の殺し屋 セッティング ウィンブルドンゴルフコース 前回 第4話 ドードーの悲劇 次回 第6話 未知なる獣 あらすじ ゴルフ場で男性客が無残に食い殺される。すぐにニックたちが調査を始めるが、犯人の生物の形跡も、“時空の亀裂”の手がかりもなかった。だが、なにか様子がおかしい。辺りは鳥のさえずりも聞こえない異様な静寂に包まれていた。ニックたちが空を見上げると、そこに“時空の亀裂”が。そして空から姿を現したのは…。 アビーの家に居候しているコナーは、留守中にレックスが逃げないように窓を閉めておくよう注意されていた。 ストーリー まだ更新していません。 キャスト 人物名 声優 日本語版声優 ニック・カッター ダグラス・ヘンシャル 堀内賢雄 スティーブン・ハート ジェームズ・マレー 川本克彦 コナー・テンプル アンドリュー・リー・ポッツ 宮下栄治 アビー・メイトランド ハンナ・スピアリット 斎藤梨絵 クローディア・ブラウン ルーシー・ブラウン 加藤優子 ジェームズ・レスター ベン・ミラー 横島旦 トム・ライアン マーク・ウエイクリング 藤真秀 ヘレン・カッター ジュリエット・オーブリー 唐沢潤 アンディ アイク・ハミルトン - ジェフ マット・カーティス - 内務省医者 アダム・G・グッドウィン - イギリスでの視聴率 不明 第1話 太古の扉 第2話 恐怖の巨大グモ 第3話 海の怪物 第4話 ドードーの悲劇 第5話 空の殺し屋 第6話 未知なる獣
https://w.atwiki.jp/orirowa2014/pages/340.html
蒼く冴え冴えとした夜だった。 ピンとした空気は張りつめ、辺りに漂うのは何処か剣呑とした刺々しさである。 ここは戦場かはたまた廃墟か、荒廃した市街地には朽ち果てた黴臭い死の臭いが蔓延していた。 この死の世界で生きることを許されているのは、積み重なった屍の山を踏み越えた者のみである。 その世界に男が二人。 ここに立っているという事は彼らもまた、多くの死を食い物にしてきた怪物なのだろう。 『…………あのさぁ』 乾いた風の吹く中で、電話の通話口から呆れたような声が漏れ聞こえた。 携帯電話を手にしているのは長身の伊達男である。 泥中に咲く蓮のように整った顔立ちはいかに傷つこうとも紛れるものではない。 身なりは所々煤けたような汚れにまみれているが、何処か余裕のある態度からか紳士然とした印象を受ける。 『放送中にかけるの止めてくれないかな。嫌がらせかい?』 「ああ、本当にそっちに繋がるんですね」 電話をかけた男は何処か納得したように頷く。 放送にかぶせるようにコールした電話は、放送が終わった少し後に取られた。 タイミングからして望みどおりの成果は得られたようである。 『それで何の用だい、ピーター・セヴェール』 「おや、驚かれないのですね」 電話先の声は平然とピーター・セヴェールと名を呼んだ。 この携帯電話は森茂から譲渡されたものである。 名乗りもしなかったのにそれを特定できたという事は、アイテムのやり取りといった細かい動向を参加者の主催者側が把握しているという事である。 だが、周囲に監視カメラらしきものは見当たらないし、これまでそれらしいものを見た覚えもなかった。 首輪に盗聴器でも仕掛けられているのかと思ったが、それにしてはいろいろと知りすぎている。 「死者の発表などもそうですが、その辺どうやって把握してらっしゃるんです?」 『ご想像にお任せするよ』 適当にはぐらかされてしまった、答えるつもりはないらしい。 まあ問うてみたものの、別にピーターとしても聞いてみただけでそれほど知りたいという話題でもない。 動向を監視されているという事実がわかれば十分だ、方法が分かったところで何がどうなる訳でもなければ。 監視されていたところでピーターにとって不都合がある訳でもない。 今更多少のズルを咎める主催者でもないだろう。 『わざわざ電話を手に入れてまで聞きたかったのはそれかい?』 「いえいえ。せっかく得た『交渉権』ですので活用しようかと」 この携帯電話は直接主催者と会話できる貴重なチケットだ。 それを手に入れた以上活用しないのは嘘だろう。 下らない躊躇など犬にでも食わせたほうがマシだ。 『交渉権ね。本当にそんなものがあるとでも?』 主催者と参加者の関係は神と人の関係に近しい。 少なくともたまたま携帯電話を手に入れただけで、おいそれと話ができるほど気安い関係ではない。 それほど立場に差がある状態で、交渉などそれこそ成立するはずもないのだが。 「あるでしょう? そうでなければ携帯電話(こんなもの)があるはずがない」 この世界に主催者の下に繋がる直通の電話があり、わざわざ電波塔まで用意して連絡環境を整えたのだ。 電話をかけられることが前提にあることは間違いない。 『普通に考えればそれは中にいる僕との連絡用だろう、参加者(きみたち)のために用意された物じゃないと思うけど?』 「そうですね。内通者や工作員もいるでしょうし、直通の電話があるという事自体は不自然ではない。 だが、あなたは電話が私に譲渡された事を理解していた。 その前提がありながらこの電話に出たという事はつまり我々の話を聞く用意があるという事ではないのですか? 参加者と会話するつもりがないというのなら、そもそも電話に出なければいい」 相手がピーターであると理解して電話を取ったのだ。 参加者と話をするつもりがあるという証明に他ならない。 『そうだとしても、ただの暇つぶしかもしれないぜ? 憐れにもがく蟻たちをを天から眺める余裕というやつだ』 「でしたらその余裕で私の願いを聞き届けて頂きたいものですね。 蟻一匹掬い上げるなんて、それこそ造作もないことでしょう?」 その回答に電話口からくつくつと楽しそうな笑い声が響く。 釣られるようにピーターも静かに喉を鳴らして笑った。 だが笑みを作る口元とは対照的にその眼は氷のように冷ややかだ。 恐らく電話越しの相手もそうなのだろう。 空々しいやり取りだった。 『まあ及第点にしておこうか。いいだろう。話を聞こうじゃないか。用件はなんだい?』 「用と言いますか、一つ聞きたいことがありまして」 許可を得た殺し屋は口を開く。 この殺し合いに巻き込まれて、今の今までずっと抱いていた疑問を口にする。 「私が死ぬ必要ってありますかね?」 何故殺し合いなのか、ではなく、何故自分が死ななくてはならないのか。 多くの人間を殺してきた殺し屋はあくまでも自分本位に、自らの死の必然性を問う。 それに対して彼らの死を望んだ主催者は答えた。 『そりゃまあ殺し合いだからねぇ。死ななきゃダメなんじゃないの?』 明言はせず疑問に疑問を返す。 答えを知らぬはずがないのだが、それははぐらかしていると言うより相手がどう答えるのか期待しているようでもある。 「いやね。少し考えたんですよ。貴方について」 『へぇ。それで? 何か分かったかい?』 答えに辿り着き、目的を理解した上での発言なのか。 電話先の声はそう期待して先を促した。 「いや全く。貴方が何をしたいかなんて私には全然分かりませんでした、これでは探偵にはなれませんね」 そう言ってため息を漏らし残念そうに肩を竦める。 もっとも、そんなものになる気もないが。 「ただ――――何をしたいかは分からなかったですが、何を求めているのかは少しだけ」 そう言って人差し指と親指で作った輪っかにほんの少し隙間を作る。 電話越しでワールドオーダーからそのジェスチャーは見えないが、へぇと感心したような息を漏らした。 「殺し合いを謳ってはいるものの、別に参加者を殺すための催しじゃないんじゃないか、とそう思ったんですよ」 『なぜそう思ったんだい?』 結論に思い至るには何らかの理由が必要だ。 まさか勘や思いつきという事もあるまい。 探偵のような推理力がないのならどうやってその発想にたどり着いたのか。 探偵ならぬ殺し屋は涼しい顔で根拠を述べる。 「だって死者を発表するときの声があんまり楽しそうじゃないじゃないですか」 快楽殺人者なんてものは組織に腐る程いるが、そう言う連中にとって死者の発表なんて唾涎物のイベントだ。 にも拘らず、ワールドオーダーは対して熱を上げる訳でもなく淡々と名前を読み上げるだけである。 「あなたの語気が強まるのはむしろ生き残った生者へ語りかける時だ。 目的が参加者を殺すことにあるのならこれはおかしい」 仮に殺人自体が目的でなくとも、死の方に比重のある目的ならば熱の入り所が違う。 探偵のような理論ではなく、殺し屋の感情でそう推察した。 『そうかな? おかしくはないだろう。連絡事項だから感情を押さえているだけかもしれないぜ?』 「だとしても別に私に私怨がある訳じゃあないんでしょう? あなたの目的は多くの死が積み重なった先にあるのかもしれない、だけどそれは私でなくともいいはずだ。 私一人死ななくたってあなたの目的は達成できるのではありませんか?」 僅かな沈黙。 自分だけが助かればいいという身勝手すぎる言い分を何の臆面もなく言い切った。 ピーターはワールドオーダーの目的がなんであるかなど微塵も理解していないのだろう。 ただ自分が生き残る目を敏感に察して突いているだけだ。 この嗅覚こそが彼をここまで生かしてきた強みである。 『面白いねぇ。君は自分が生き残ることし考えてない』 「ええ。当然でしょう。誰だってそうでしょう? ですが、生き残るのは一人だけ、というこのルールは非力な私にはなかなかに厳しい条件だ」 『その割にはなかなか生き残っているようだけど?』 「運がよかったのでしょう、どちらにせよ最後の詰めは暴力が必要になる」 最後の一人になるには最後に最低でも一人は殺す必要がある。 武力を持たないピーターとしては、そうなる前にクリアしておきたい。 優勝を目指す必要はない。 生存を確約できればそれでいい。 『それはそうかもね。では疑問にお答えしよう。 確かに究極的に言えば個人の死には意味がない。仮に君が死んでもその死にはきっと意味はないのだろう。 死ぬのも離脱するのも、脱落と言う意味では僕にとっては変わりがない』 殺し合いを主催し、多くの死を産み出しておきながら、死に意味はないと断ずる。 ピーター個人の生き死にはワールドオーダーの目的には影響がない。 最後の一人が選ばれるのならば、他の連中がどう脱落するかはどうでもいい事なのだ。 ピーターが「なら」と次ぐが遮るようにワールドオーダーが言葉をかぶせた。 『だがダメだ。君はダメだ。 愚にもつかないような下らない戯言を垂れ流す愚物だったなら放逐してもよかったのだけど。 君にはまだ芽がある。どうにかなる可能性を持っている』 無能であれば見込みなしと放逐してもよかったのだろうが、可能性がある以上逃せない。 ワールドオーダーの好みの有能さを示してしまった。 死に意味はなくとも、彼の生には意味がある。 「ふむ、当てが外れてしまいましたか。口が滑りすぎましたね」 元より期待はしていなかったのか、口ぶりに落胆はなかった。 生存の確立があるのならば全て試す、これはその一環に過ぎなかったのだろう。 これがダメなら次にかけるまでだ。 『まあ、そう悲観することはないさ。 君には勝ち残るだけの資格があるのだろう』 「勝つ資格ですか……それって要は貴方にいいように使われる資格って事なんですかねぇ?」 『さて。どうだろうねぇ』 声は弾むように楽し気だ。 ピーターは冷ややかに目を細め、これは当たりかなと心中でごちる。 最初の館でのやり取りといい、意外と感情はストレートな男なのかもしれない。 「資格があると言うのなら、少しは私の勝ちの目に協力してくださいよ」 『具体的に何をしろと?』 「そうですね。なら市街地の状況を教えていただけますか? 私が立ち去ってから何があったのかを詳しく」 市街地に向かうのは現状把握が目的である。 絶対的強者であった邪神の死。 そして絶体絶命の状況から生き延びたバラッド。 生死が入れ替わってる。 何があったのか、ピーターには想像もつかない。 『君が立ち去った後、邪神はオデットとバラッドによって討たれた』 「オデット?」 確か道明から聞いた名である。 幾度か交戦した怪物女の名だ。 そういえばあの場にはリヴェイラとバラッド意外にもあの女がいたんだったか。 立ち去る直後の記憶ではカエルのように潰されていたはずだが。 「それで、なんなんですあのオデットって怪物は?」 『魔族の娘さ。もとはあそこまで外れた存在じゃなかったんだが、悪食が祟って少々箍が外れてね』 魔族。大真面目な声でファンタジーでもなければ聞かないような単語が飛び出してきた。 だがあの怪物っぷりを見れば納得できない話でもない。 それに邪神なる物が実在している時点で今さらだろう。 「悪食ですか」 言われてオデットに女学生の死体を横取りされ苦い経験を思い返す。 あの怪物はピーターと同じく人を喰らう食人趣味だった。 美しい女ばかり選り好みするピーターと違って何でも喰らう雑食のようだが。 「それで何か腹に当たったんですか?」 『百万の死を内包した少女に悪党の手先のチンピラといろいろだが、一番はヴァイザーとかいう毒物だろうね』 「なるほど、それは猛毒だ」 ピーターでも腹を壊してしまいそうだ。まず喰おうとも思わないが。 だがそれで色々合点がいった。 殺気を読むようなオデットの動き、バラッドが感じ入っていたモノ、全てはヴァイザーに集約する。 奴は喰らったヴァイザーに乗っ取られでもしたのか。 それこそファンタジーだが、あの男ならやりかねない。 「つまりはヴァイザーとバラッドさんの共闘という訳ですか。それはそれは」 組織ども幾度か見られた近接が優位な室内戦においては最強の組み合わせだ。 だが、それでも足りない。 ピーターは相手の強さを嗅ぎ取る嗅覚には自信がある。 これまでピーターが裏稼業で生き延びてきたのはその匂いを敏感に感じてきたからだ。 組織最強のカードを切ってもあの邪神には届かないだろう。 そんな疑問に電話先の声が答える。 『死んだ尾関裕司の使っていた力をバラッドが受け継いだのさ』 「力? ああ、ユージーの使ったあのよくわからない超能力(?)ですね」 原理もよくわからなかったが、間違いなく強力な力だった。 あの力を今はバラッドが使っているというのだろうか。 ずぶの素人であるユージーが怪物と渡り合えるほどの力を発揮したのだ。 戦闘巧者であるバラッドが使えば確かに強力だろう。 ユージーの力を受け継いだバラッドにヴァイザーの力を受け継いだオデット。 大ゴマが二枚。これなら邪神から金星を勝ち取る可能性くらいはあるだろう。 「つまり本当にバラッドさんは勝ったのですね、あの邪神に」 『そう言っただろう』 ピーターは真剣な面持ちで薄く目を細めた。 何を考えているのか、表情の読み取れない電話越しではワールドオーダーとて理解できまい。 「バラッドさんはどうされてるんです?」 『珍しいね。君が他人を気に掛けるだんて。それとも強力な力を得たバラッドにまた守ってもらうつもりかい?』 「まあそんなところです」 曖昧な肯定。 無論生存のためと言うのもあるが、喰い逃した獲物への食欲も含まれていた。 生きることも大事だが、また食う事も大事である。 「まさかその後もオデットと行動を共にしてるなんて言いませんよね?」 『直後に別れたさ。彼女はまだ市街地にいるよ、地図で言う所のI-9辺りだ。 だが庇護を求めるのならお勧めはしないかな。 バラッドは戦いに敗れ、死んではいないモノの精霊の力を失っている。 何より途中にはオデットがいる。そちらに向かうなら出会う可能性は高い』 それは直接的な危機を知らせる有益な情報である。 だがなんとなくピーターの耳にはバラッドは諦めろと、試すような言葉にも聞こえた。 「それはそれは。気を付ける事にしましょう」 ピーターは表情を変えず、受け流すようにそう答えた。 肯定も否定もしなかった。 そこでピーターの方がちょんちょんとつつかれる。 振り返るとアサシンが手を差し出していた。 少し長電話が過ぎたようだ、いい加減電話を替われという事だろう。 一言電話先に断ってアサシンへと電話を手渡す。 「お電話代わりましたアサシンです」 携帯電話を引き継いだアサシンが淡々とした声でそう言った。 『ああ、君か。ちょうどよかった、僕も君と話をしたいと思っていたところだ』 思いがけない言葉だったがアサシンは動じる様子もなく「そうですか」とだけ答える。 そしてマイペースに自らの用件を切り出した。 「依頼の件について確認を」 『依頼? ああ……確かそうなってるんだったか』 ポツリと小さく呟く。 その呟きを聞き逃さなかったアサシンが首をかしげる。 「なんです?」 『こっちの話さ。それで? 達成が難しそうだから条件を緩和して欲しいとか言う話かい?』 放送により発表された死者を差し引けば生き残りは17名。アサシン自身を除けば16名だ。 さらにピーターや森というすでに切られた連中も含まれないとなると、12名を斬るというのは生き残り全員を斬るようなものである。 これはいかに最高峰の暗殺者とはいえ不可能に近いだろう。 だがそうではないと首を振る。 「いやいや。そうではなくて。具体的な報酬について確認していなかったなと思いまして。 報酬に拘る方でもないんですが、ただ働きと言うのもなんですしね」 何せ事前準備無し、ターゲットは複数かつ超人揃い。 これまでにアサシンが受けた以来の中でも最上級の難易度の仕事だ。 これでそれ相応の報酬がなければ張合いもないというモノ。 『へぇ、だったらどうして受けようと思ったんだい?』 「どんな依頼も断らないが信条ですので」 その上で成功率100%だというのだから恐れ入る。 それはどんなガキの使いでもやるという意味ではなく、アサシンに依頼を出せること自体がステータスだ。 もっとも今回のように勝手に依頼だと思い込んで勝手に行動したという事案も少なくないが。 彼にとっての殺しとは挑戦や探究の類である。 報酬以上に彼は、己の能力を駆使することに拘っていた。 殺しには己の天才を出し尽くせる全てがある。 彼は生まれながらにして万能の天才だった。 世界中に掃いて捨てるほど存在する凡百の神童と違って彼は挫けることもく順調に全ての能力を人の極限に迫らせていった。 出来ないことなどなかったし、敵うものなどいなかった。 産まれたばかりの赤子は無限の可能性持っていると言うが、人は生きるたび何かを選択するたび可能性を失っていく。 だが彼の場合はその可能性を維持したまま育ったようなものである。 彼にはなんにでもなれた。 成功の約束された人生だった。 それがどうしてこうなった。 「それで確認しておきたいんですけど、達成したときに頂けるスペシャルな報酬とはなんでしょう?」 『一応こちらの想定したものはあるけれど、別の報酬を望むならそれでもいいよ、変更は可能だ。望みはあるかい?』 望みを聞かれるがアサシンだが、依頼と同じく報酬も依頼者の言い値で受けてきた。 報酬自体を指定したことはないが、アサシン相手に足元を見て報酬を出し惜しむような輩はいない。 不満が残る結果になった事はなかったが。 「ちなみに想定した報酬とはなんでしょう?」 『僕の首をくれてやろう、と思ったんだけど、いるかい?』 「いやまったく」 アサシンはシリアルキラーではない。 殺人はあくまで仕事である。 それでも普通ならば殺し合いに巻き込まれた怨みを持つものだが、生憎アサシンは普通ではない。 『だよねぇ。僕としてもこれだけ斬れるなら相応しい相手になると思ったけれど、どうにもそうはなりそうもないようだ。 この辺はこちらの見込みが少々甘かった、反省点だね』 「はぁ…………?」 それは誰に向けるでもなく自省するような呟きだった。 ただ何やらアサシンに不満を持っているのも分かった。 『なら代わりの望みを言えばいい。なんだったら生存をくれてやってもいいよ。 君が望むなら達成できた時点でこの殺し合いから生きて離脱させてあげよう』 ピーターならば飛びつきそうな条件だが、アサシンは首を捻りうーんと不満気な声を漏らす。 「いや自分で帰るので結構です」 あっさりと断りを入れる。 この報酬も最高峰の殺し屋にはあまり魅力的には感じられないようだ。 そもそもアサシンに死ぬ気などない。 幾らアサシンでも死ぬつもりなら呑気に仕事なんて受けていないだろう。 死が隣り合わせの仕事など彼の日常と何の違いがあるというのか。 難易度に差はあれどサラリーマンが毎日会社に出社するようにアサシンにとってはこれも何でもない仕事の一つだ。 それは「お前の目論見なんて無視して帰還する」と主催者に直接言っているようなものだが、気づいてないあたり天然の恐ろしさだろう。 『じゃあ何を望むんだい?』 「そうですねぇ……」 問われアサシンが考え込む。 元より物欲にかける男で、欲しい物などあまりなかったし、彼に手に入れられないモノもほとんどない。 生きるために金は必要だが、金ならすでにたんまりあるし、アサシンならばこれからいくらでも稼げる。 他に欲しい物と言えば…………。 『すぐに思いつかないようなら先にこっちの話を済ましてしまおうか』 考え込むアサシンの結論を待たず、ワールドオーダーが切り出した。 そういえば話がしたかったと言っていたのだったか。 「はい? なんでしょう」 『今君のやっている仕事だが中断してもらえるかな? 契約の変更と言うやつだ。』 突然の申し出だった。 アサシンは表情を変えぬまま目を細める。 「理由をお聞きしても?」 声にこもる不満を隠そうともしなかった。 任された仕事はやり遂げるが信条のアサシンにとって中途半端で投げだすのは納得いかないのだろう。 『君のまき散らしてるその病気は、困難を克服できるかどうかの選別でもあるのだけれど、どちらかと言うと状況を動かすための仕込みのようなものでね。 状況がこちらの想定以上のハイペースで進んでしまったので、この段階ではあまり意味のある物ではなくなってしまったのさ。潜伏期間もあるしね。 まあ依頼者都合の契約変更と言うやつだ君の失点ではないさ。実に見事な仕事だった、おそらく君以外には不可能だっただろう』 取ってつけられたような褒め言葉だが、一応本心からの評価だろう。 事実ここまでやれた存在はアサシンを置いて他にない。 「変更、という事は別の依頼があるのですか?」 『ああ、今度は単純だ。参加者を五人殺してほしい。方法は何でもアリだ、獲物も問わない、君にとってはこっちの方が簡単だろう?』 確かに、殺さないというのはアサシンにとっては枷でしかない。 その枷を解かれたほうが仕事がしやすいのは確かである。 「いいでしょう。新たに依頼を受け直しましょう」 アサシンは少しだけ考え、これを受ける事にした。 その前に「ただし」と条件を付けくわえる。 「改めて依頼を受け直すとして、この依頼の報酬とは別にこれまでの働き分の報酬を頂きましょうか」 違約金として当然の請求であると言える。 だが何が欲しいのか決まりもしなかった男が追加の報酬を持ち出すのは意外と言えば意外だった。 『まあそれは構わないけれど、望むものは決まったのかい?』 「ええ。決まりました」 これまでの会話の間も考えていたのか、迷いなくはっきりと言う。 何を望むのか、願いを受け届ける支配者は興味を引かれた。 「あなたの事を聞かせてください」 『…………そう来たか』 予想外の要求に支配者は電話越しの口元を歪めた。 『君はあまり僕に興味を持つ性質だとは思わなかったんだけどね』 「興味はありますよ。好奇心だけは人一倍ですから、見えません? とはいえ別に、知ったからと言ってどうこうするつもりもありませんが」 解決のためのヒントが欲しいという話ではなく、自分が何に巻き込まれたのかただ気になる。 彼にとってはそれだけの話だ。 野次馬根性とでも言うべきか。 『なら”僕”と『僕』どちらの話が聞きたいんだい?』 「はぁ、何がどう違うので?」 その疑問には答えず、ワールドオーダーはつらつらと己についての話を始めた。 『パティシエ見習いの21歳。容姿は中肉中背のどこにでもいるような平凡な男で、学業はやや苦手、英語が得意で数学が苦手。 日本の岩手県という片田舎出身で農家を継いでほしい親とは喧嘩別れで半ば家出同然に3年前に上京。 修行している店の店主とは比較的良好な関係を気づいているが、内心はあまり尊敬していない。 恋人とは3か月前に別れ、復縁しようと画策中。こんな所かな』 一息で捲し立てる様に語られる。 それは世界を巻き込む男にしては余りにも不釣り合いな平凡すぎるパーソナリティだった。 「なんですそれ?」 『僕の話さ』 思わず問い返すがあっさりと返される。 そして皮肉めいた口ぶりで言う。 『なんだい、さして珍しい経歴でもなかったと思うが、理解できなかったな?』 「いや、要するに貴方が取り付いたその体の話でしょう?」 こちらも負けじとあっさりと返した。 とぼけた男だが、頭脳も天才のそれだ。 余りにもイキ過ぎて浮世離れしているだけである。 常人であれば持っているような常識や先入観もないため、こういった不可思議な事態に対する理解も早い。 『そう。理解が早くて助かる』 「それはどうも。けど何か誤魔化してます? そういうことを聞いてるんじゃないってわかりますよね?」 『さて、どうだろう。そろそろ話してもいい頃合いではあるんだがね。 まあ、そっちはもう一つの仕事が終わった時にしようか。お楽しみは取っておこう。 別に構わないだろう? どうせ君にとっては成功する仕事だ』 確実に仕事が成功するというのなら報酬は確実に手に入る。 早いか遅いかの差でしかない。 つまりは、ここで喰らいつけばそれは完遂する自信がない、という事になるという訳だ。 そんな挑発めいた言動にも感情を動かすことなくアサシンはそうですねと淡々と同意する。 何故ならそれはアサシンにとって当たり前の事実なのだから。 『じゃあ、そういう事でいこう。そろそろ切るよ、あまり暇でもないのでね』 「ええ、了解しました。依頼が達成できたらまた連絡しますね」 そう言って電話を切る。 携帯電話をピーターに返そうとして振り返った所で、アサシンは間の抜けた声を上げた。 「おや……?」 ピーターの姿は消え去っていた。 一人目の標的として電話を渡すと見せかけて、近づいた拍子に首でも折ろうかと思ったが、どうやら危機を察知して逃げ出したようだ。 あっさりと殺しにかかろうとするアサシンもアサシンだが、それを察していち早く立ち去るピーターもピーターである。 弱者たるピーターがここまで生きてこれたのはこういう立ち回りの巧さ故だろう。 「楽には行きませんか」 この場が一筋縄でいかないのは十分に理解している。 一般人ならまだしもこの場の5人殺し切るというのも簡単ではないだろう。 それでもやりきるまでだ。 最高峰の殺し屋として完全な仕事を成すために。 【H-7 市街地/夜】 【アサシン】 [状態]:疲労(小)、右腕負傷、右足裂傷、左足に火傷 [装備]:妖刀無銘、悪党商会一般戦闘服 [道具]:基本支給品一式、携帯電話、爆発札×2、S WM29(0/6) [思考] 基本行動方針:依頼を完遂する 1:5人殺す ※正式に依頼を受けました ※5人斬りを達成した為、刃の伸縮機能が強化されました。 ※6時間の潜伏期間が4時間に短縮されました バラッドは遠く沈んだ空を見ていた。 目に映るのは心の不安を煽るような先の見えない暗黒。 その闇を見る。 ここからは星ひとつ見えない。 彼女に相応しい、慣れ親しんだ暗闇の時間が来る。 『……大丈夫?』 小鈴のように響く心配そうな声が聞こえた。 その呼びかけにバラッドは「ああ」と応えるが心ここにあらずと言った風である。 彼女が呆けているのは今しがた流れた放送によるものだ。 訪れたいくつかの死は彼女に衝撃を与えた。 亦紅――ルカの死。 裏切り者の元仲間、いやバラッドも組織を裏切った以上裏切り仲間か。 死亡タイミングからしてあの女に敗れたのだろう。 僅かに交戦した限り強敵であることも理解しているし、バラッドもその相棒に敗れたのだ、意外と言う程の結末でもない。 だが、あの冷たい殺し屋を知る者としては受け入れがたい結果である。 天然の怪物ヴァイザーに匹敵する純粋培養の怪物。 至高の殺し屋から生まれ、妄執の殺し屋に育てられた『完成された殺し屋』。 恐ろしく強く、恐ろしく冷たい、およそ人間らしさのない殺すための機械。 だが、奴は変わった。再会したルカはまさしく別人だった。性別すら変わり果てていた。 それは堕落なのか、それとも我らにはたどり着けない境地にたどり着いた到達者なのか。 奴の歩んだ道程を知らないバラッドには分からない。 分かるのはルカは敗北したという事実だけである。 ヴィンセントの死。 保護対象とした少年を護れなかった無念に己の無力を思い知らされる。 誰かを護ろうとすること自体が烏滸がましいことだったのだろうか。 所詮この手は人を斬ることしかできない血に塗れた人斬りの手でしかないのかもしれない。 そんな後悔に拳を握りしめる。 ヴィンセントを殺した下手人として一番怪しいのは森茂とかいう男である。 見た目からして胡散臭いあんな男に託した判断は間違いだった。 止むに止まれぬ状況だったとはいえ、己の浅慮さに歯噛みする。 ヴィンセントを殺された借りは必ず返すと誓う。 それだけがバラッドのできる弔いである。 こうして殺す事でしか己が価値を見いだせない。 自らを拾い取り立ててくれた恩人に対してだってそうだった。 アヴァンの役に立とうと、ただひたすらに己の腕を磨き、青春や思春期のすべてを人殺しの技術を磨くことに費やした。 そういう形でしか恩を返せなかった。 そういう方法しか知らなかった。 それが相手の望むことなのかなども考えずに。 これがバラッドという女の真実だ。 だが、これらの死よりも衝撃的に、彼女を打ちのめしたのは別の名だ。 これは予測していなかっただけに完全に不意打ちだった。 ――――サイパス・キルラが死んだ。 組織最強の鬼札すらあっさりと脱落したのだ。 ここが誰が死んでもおかしくない戦場であるなんてことは理解したはずなのに。 それでもサイパスが死ぬなどとバラッドは欠片も想像すらしていなかった。 好きだったわけでもないし、個人的に親しかったわけでもない。 巌のように頑ななあの男と親しい人間などバラッドの知る限りサミュエル翁くらいのものだ。 それでもあの男が死んだというのはバラットにとってヴァイザーが死んだという事実以上に信じがたい。 街一つ半壊させる怪物を目の当たりにしようとも、自身がそれに対抗しうる力を手にしようとも、あの男にだけは勝てる想像ができなかった。 それは単純な強さだけの問題ではなく、組織に属するものはまずあの男によって『教育』されるからだろう。 子が父に逆らえないようなものだ。 組織に属する人間はサイパスに畏怖の念を抱いており、誰も逆らうことはできない。 傍若無人なヴァイザーですらサイパスには伺いを立てていたほどである。 そしてそれはバラットも例外ではない。 面と向かって意見できるのは身の程知らずのイヴァンか古株の面々くらいのものだ。 組織の面子を追い返してそこでふと気づいた。 バラッドが組織を抜け、サイパスが死んだという事はつまり。 ここに連れてこられた組織の面々で生き残っているのはピーターだけになったという事だ。 バラッドに付き合い組織を抜けるなどと言ってい気もするが、本気にはしていない。 組織を抜けた今となってはどうでもいいと言えばどうでもいいことだが。 人生の半分以上を過ごした古巣が無残に散ったというのはどこか虚しい物がある。 組織の中でも軽んじられてきたピーターが最後まで生きこったというのは何の皮肉か。 戦闘力はヴァイザーやサイパスと比べるべくもないが、危機を察し流れを読む嗅覚は組織でも随一だった。 実際、奴は多くの危機から逃げ延びてきた。多くの死者を出した現場から一人だけ生き残ったこともある。 それを逃げ腰だと揶揄する者もいたが、サイパスだけが高く評価していたことを覚えていた。 当人は称賛も侮蔑も気にせず飄々と立ち回りっていたようだが。 邪神を前に逃げ出した時もそうだ。 あの邪神を前に逃げ出すのは正常な判断だろう、むしろ意地になって挑んだバラッドがバカであるくらいの自覚はある。 ピーターの判断を責める気はない。 今頃どうしているのか。 少しだけ気にかかった。 「…………バカらしい」 振り払うように首を振る。 何の未練だこれは。 下らないと思考を断ち切る。 「ユニ、もう一度戦えるようになるにはどれくらいかかりそう?」 『ゴメン。まだあと2時間くらいは必要』 申し訳なさ気にユニは言うが、ユニが謝るようなことではない。 敗北し純潔体が解かれたのはバラッドの落ち度だし、再生力に時間がかかるのも妄想力の低さゆえだ。 思春期に妄想に耽ることなど無く、刃と硝煙の臭いがする世界で現実と戦い続けてきた。 それはバラッドにとっての誇りではあるのだが、今はそれが足を引っ張っている。 あの力に頼り切るつもりはないが、怪物たちが跋扈するこの戦場で必要な力である事もまた確かだ。 純潔体の回復を待たねばまともに戦うことはできないだろう。 これまで自分が積み重ねた力、ここで得た新たな力。 そのどちらに頼り切ってもならないし。 そのどちらも欠けてはまともに戦えない。 復讐対象のイヴァンは死に、保護対象のヴィンセントも死んだことにより当面の目的は失われた。 探すべき仲間も知り合いもない。 新たな目標を考えなくてはならい。 先ほど敗れた相手を探し出してリベンジマッチを申し込むか。 ヴィンセントを殺したであろう森を探し出し落とし前をつけさせるか。 それともいい加減、あの怪物女との決着をつけるか。 そこまで考えて苦笑する。 どれもこれも血生臭い。 そんな選択しか思いつかない辺り、これでは何のために組織を抜けたのか分からなくなる。 そもそも考えてみればこの場の目標だけじゃなく、生きる目標も曖昧である。 部屋の隅の埃のように死が積み重なりいろんなものが見えなくなる。 この生き方しか知らない自分が、組織を抜けどう生きるというのか。 何が何でも生き延びたいかと問われれば疑問は残る。 これまで殺し屋として多くの人間を手にかけてきた。 そんな自分が穏やかで幸せな生活を送れるとも思えない。 ユニとの契約により子をなす未来もない。 それならば、この場で誰かを護って上等な死に方をした方がいくらかマシだ。 そんな自罰的な破滅願望がないとも言い切れない。 だから優勝を目指すでも脱出を目指すでもない曖昧なまま。 ヴィンセントを気にかけていたのもそういう理由だったのかもしれない。 そう思えば、別人のごとく変わり果てたルカは立派に新たな人生を歩んでいたのかもしれない。 あれほど殺し屋としての機能以外を持たなかった人間が殺し屋以外の生き方を見つけたのだ。 それは得難く尊いものだったのかもしれない。 そんな生き方が自分にもできるだろうか? 分からない。 そんなものを望んでいいのかすら。 分からなくとも、己にできることは剣を振るう事だけだ。 己の矜持に殉じる覚悟はあれど、バラッドだって死にたいわけではない。 無駄死にはごめんだ。 先があるかないかは精いっぱい生き延びた後に見えるものだろう。 「……とりあえず休むとするか」 純潔体の回復まで2時間。 素直に身を隠して息をひそめることにした。 それまでの間、何事もなければいいのだが。 【I-9 市街地/夜】 【バラッド】 [状態]:ダメージ(中) [装備]:ユニ、朧切、苦無(テグス付き) [道具]:基本支給品一式 [思考・行動] 基本方針 殺し合いに乗るつもりは無いが、襲ってくるのならば容赦はしない 0 純潔体の回復まで身を休める 1 オデットと決着をつける 2 森茂に落とし前をつけさせる 3 りんご飴に借りを返す 4 アサシンに警戒。出来れば早急に探し出したい。 ※純潔体修復完了まで2時間 ※3時間以内に参加者を一人殺害、9時間以内に参加者三人殺害しなければ死亡します オデット。 それは人間に与した父を殺され、呪いをかけられて打ち捨てられた美しき魔族の名だ。 呪いに身を焦がし彷徨う中、勇者カウレスと運命の出会いを果たし共に長い旅をした。 怨みではなく人間と魔族の融和を求めた心優しき少女。 だが、今のオデットにかつての姿は見る影もない。 今の彼女は優しさとは無縁の暴虐と暴威を振るう怪物だった。 彼女の存在はもはや別の何かに成り果てた。 存在の証明とは何によって成されるものなのだろう。 肉体か精神かそれとも、魂か。 心優しき少女の存在は、どこに行ってしまったのか? 魂どこにが存在するのか証明できた人間はいない。 だが少なくとも丸ごと喰ったのだから、どこにかに魂も含まれていたのだろう。 その魂がこうしてオデットを苛み蝕んでいるのかもしれない。 だが、豚を食べて豚に意識を乗っ取られる人間はいないだろう。 例えば喰人鬼であるピーター・セヴェールは多くの人間を喰らってきたが喰った相手の意識なんて微塵もない。 では、彼女の中に取り付いたこれらはなんなのか。 全てを許す穏やかな海のような彼女の心は、荒れ狂う嵐によって千切れんばかりに張りつめていた。 その嵐の正体はノイズのように幾重にも積み重なった声。 声。声。声。声。声。声。声。声。声。声。声。声。声。声。 聴覚ではなく意識に直接叩きつけるような不協和音を防ぐ手立てはない。 絹を割いたような女の絶叫が響く。 呻くような子供の断末魔が聞こえる。 低く唸るような怨嗟の声が染み渡った。 それは怨嗟であり歓喜であり渇望であり悲観の声である。 多くの人生が瀑布のように流れ込み、ドロドロの血と肉を煮詰めたスープのように意識が砕かれぐちゃぐちゃに溶けた。 こんな世界で正気を保っていられるだなんて、それこそ正気ではないだろう。 死に廻る。 死とは人生の総括だ。 百万の死があるという事は百万の人生があったという事。 百万の人生が一人の体と脳に刻まれる。 刻まれたエピソード記憶から多くの経験が思い返される。 彼女は魔族であり冒険者であり学生であり奴隷であり作家であり赤子であり貴族であり聖職者であり娼婦であり病人であり数学者であり少年兵であり詐欺師であり教師であり技術者であり剣闘士であり医者であり小市民であり政治家であり世捨人であり英雄であり野生児であり魔法少女であり社会人であり映画監督であり領主であり超能力者であり商人であり罪人であり巫女であり侍であり踊り子であり航海士であり大富豪であり悪党であり殺し屋だった。 自分で自分が分からなくなる。 自分が自分であると分からなくなる。 100万分の1になれば、どれが自分かわからなくなる。 己はただ一人の我であるという強い自我がなければ、誰にも負けない強い個を持たなければ、あっという間にこの奔流に押し流されてしまうだろう。 それを持っていたのがヴァイザーであり、茜ヶ久保である。 この二人は何事にも染められず己が黒ならば世界が白でもそれを貫く強さを持っていた。 だからこそ彼らは全てが薄まる奔流の中でも色濃く表立つ。 それが己の人生だと錯覚するほどに。 だが、その一つに揺らぎが生じていた。 揺らいだのは第一支配権を握るヴァイザーだ。 きっかけはワールドオーダーに為す術なく敗北したことである。 道明にはめられ死亡したときとも感じなかった敗北感が彼の精神を打ちのめした。 道明がヴァイザーに勝ったのは殆ど偶然のようなもの、一発限りの賭けに勝っただけである。 実力では負けていない、次があれば確実に勝つ。 森にも一杯喰わされたが、明確な決着には至らなかった。 あのまま続ければどうなっていたかはわからない。 どちらもまだそういう逃げ道(いいわけ)が残されていた。 だが今回ワールドオーダー相手に喫した敗北は違う。 恐らく10回やっても10回負ける。 言い訳のしようもない完膚なきまでの敗北だ。 それどころか、いいように顎で使われようとしている。 己にできたことは負け惜しみのような言葉を残して立ち去ることだけ。 このような屈辱を味わったのは生まれて初めて、いや死んでからも味わったことがない。 ヴァイザーの人生は最底辺の溝の中で勝ち続けた人生だった。 勝利こそがアイデンティティ。最強である事こそがヴァイザーと言う男の人間性だ。 それが否定された。 加えてサイパス・キルラの死亡。 ヴァイザーとしての記憶はなくとも感じ入る物があったのか。 その悲報が届いた瞬間、ダメ押しのように精神性が揺らいだ。 逆に活気づいたのは茜ヶ久保だった。 茜ヶ久保は負け慣れている。 良く言えば敗北を糧にして奮起する人格だ。 故に滾って燃えていた。 この屈辱を返すとリベンジに燃えていた。 頂点が下がり、次点が上がる。 上手くボトムとトップが釣り合って、溶けたアイスクリームみたいに意識が混ざり合う。 泥のように、絵の具のように、意識と意識がマーブル模様を描く。 それは美しいと言うよりも禍々しく吐き気を催すようなおどろおどろしい狂気だった。 『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!』 弾けるような哄笑が高らかに響く。 それは怨嗟や渇望の声をかき消すような歓喜の声だ。 入り混じる。 人生が入り混じる。 人格が入り混じる。 人間性が入り混じる。 誰が誰なのか分からなくなる。 自分が誰なのか分からなくなる。 自分が自分でなくなるのはたまらなく悍ましく、たまらなく空虚で、たまらなく愉快だった。 自分は誰だ。 問いかける。 私はオデットだ。 本当に? 少なくともそういう名前のモノだった。 なら今は? (こんな、違う…………こんなの、私じゃ) それはか細く、逃避するような小さな声。 その細い糸はうねりを上げる死の奔流に掻き消されてゆく。 残ったのは何物にも負けず轟く誰かの笑い声だけだった。 【I-8 市街地跡/夜】 【オデット】 状態:首にダメージ。神格化。疲労(中)、ダメージ(大)、首輪解除 装備:なし 道具:リヴェイラの首輪 [思考・状況] 基本思考:気ままに嬲る壊す喰う殺す 1 西側の殲滅? ※ヴァイザーの名前を知りません。 ※ヴァイザー、詩仁恵莉、茜ヶ久保一、スケアクロウ、尾関夏実、リヴェイラを捕食しました。 ※現出している人格は????です。 アサシンとワールドオーダーの会話に不穏な気配を察していち早く立ち去っていたピーター・セヴェールは足早に夜の市街地を歩いていた。 端くれとはいえ殺し屋である。 足音を殺しながら、最低限気配を悟られぬよう隠密行動をとっていた。 さすがにアサシンのような規格外の化物には無意味だろうが、素人相手なら夜の闇に紛れてそうは見つかるまい。 主催者に取り入るプランは失敗に終わった。 そのプランは最初から考えていたものだったが、交渉手段を得たのは偶然に過ぎない。 携帯電話の交換材料もアサシンが用意したためピーターの払った代償はないも同然である。 別段落胆するほどの結果ではない。 だが次のプランを考えねばならないのも事実である。 ミル博士も死亡したようなので、首輪解除の当てはなくなってしまった。 どちらかと言うとこちらの方が痛い。 禁止エリアで行動が制限されるだけではなく、そう言う当ても減っていく。 状況が進むにつれ追い詰められていくのを感じる。 多分これはあの男のしつらえたそう言うシステムなのだろう。 あの男は誰かを殺したいわけでも殺し合いを完遂したいわけでもない。 何か条件に見合う人間を探している。 ピーターはあの短いやり取りでそう察した。 つまりこの殺し合いを終わらせる方法は二つ。 ピーターが条件を察してそれに見合う人間になるか。 誰かが条件を満たし取り立てられるかだ。 前者はあの男に利用される可能性が高いためできれば後者だが。 後者は後者で選ばれなかった人間がどうなるのか分かった物ではない。 なんとも痛し痒しである。 やはり横貫で帰る方法を見つけ出したほうが利口か。 生き残りの中にもそう言う方向を目指している面子もいるだろう。 そこに取り入るのが無難なのかもしれない。 そうなると顔見知りがいると便利なのだが。 生憎、組織の面々は壊滅、生き残った知り合いはバラッドくらいの物である。 まあ組織の人間がそんな平穏な方針のチームにいるとは思えないが。 組織と言えば、バラッドに組織を抜けるという話をしたことを思い返す。 あの時はバラッドに合わせた説き文句、リップサービスのような物だったが今は本気でそうしようかと考えている。 契機となったのはサイパス・キルラの死だ。 サイパスはピーターが食欲以外で興味持った初めて人間だったといえる。 異常者を束ねるモノが、誰よりも正常な人間であったという皮肉。 その事実がたまらなく愉快だった。 その矛盾と妄執の末路を見てみたいと思っていたが、どうやらそれはもう叶わないようだ。 「……残念ですね」 心の底から呟く。 ピーターが組織にいた理由は三つ。 そのうち二つはこの地で失われしまった。 去る理由が残る理由を上回ったのなら立ち去るのが道理だろう。 追手は差し向けられるだろうが、ヴァイザーもサイパスも欠けた組織など正直それほど怖くはない。 怖いと言えばボスは怖いが、積極的に追手を差し向けるような性格でもなかった。 あの男は組織の内側にしか興味がない。組織の外に逃げた相手など興味を持たないだろう。 「まあ後処理やいろいろ段取ってくれるのは、便利ではあったんですが」 その最後の理由もサイパスが消えた以上どうなるのか分からない。 イヴァンも同時に消えてくれたおかげで下手なことにはならないとは思うが、今のボスはピーターでも読み切れないところがある。 今後の組織はどうなるのか。 「ま、どうでもいい話ですが」 無感情な声でつぶやく。 本当にどうでもいいと言った色のない声だった。 サイパスと違いピーターは組織自体には何の思い入れもない。 組織に育てられたアザレアやイヴァン、バラッドなどとも違う。 確かに便利で面白くはあったが、それだけだ。一時の腰かけでしかない。 あの組織は元より5人の男の妄執で保たれた張りぼての船である。 サイパス・キルラという竜骨が折れた時点で破綻は免れない。 いや、それを言うのならアヴァンが死んだ時点で崩壊は始まっていた。 組織の行く先はとっくに暗礁に乗り上げている。 既に始まっていた崩壊に人を殺すしか取り柄のない連中は気付いてもいなかったようだが。 イヴァンは色々方策にひた走っていたようだが、それも実ることなく無意味に終わった。 そんなところに付き合う義理もない、この地でなくなった。 なら沈む前にさようなら。 ピーター・セヴェールは普通の喰人鬼に戻ります。 ひとまず離脱を目指すとして、この地に未練があるとするならば一つ。 バラッド。彼女を食せないのは未練だ。 一度諦めたご馳走を喰えるかもしれないとなるとむくむくと食欲が鎌首が擡げる。 とは言えワールドオーダーからの忠告に合った通り、オデットと出会ってしまうのは美味くない。 一対一で出会ったら間違いなく殺される。 あれが本当にヴァイザーの気質を受け継いでいるのなら見逃されることはないだろう。 禁止エリアで行動範囲が狭まった今では避けて通るのも難しそうだ。 かと言って引き返してアサシンに出会うのもまずい。 僅かとはいえ行動を共にしただけだが分かる。 対人に関してあれはオデットを超える怪物だ。 殺すつもりになったあの男に出会った時点で、否、出会ったことに気づくことなく殺されるだろう。 不意打ちを受けるような状況だけは絶対に避けなければならない。 進むも地獄戻るも地獄。前門の虎後門の狼である。 つまりはいつも通りの日常だ。 いつものように人を喰った笑顔で乗り切りながら、地獄を渡り歩くとしよう。 【I-7 市街地/夜】 【ピーター・セヴェール】 [状態]:頬に切り傷、全身に殴られた痕、マーダー病感染(発病まで1時間) [装備]:MK16 [道具]:基本支給品一式、MK16の予備弾薬複数、焼け焦げたモーニングスター、SAAの予備弾薬30発、皮製造機の残骸とマニュアル本、『組織』構成員リスト、エンジンボート [思考・行動] 基本方針 女性を食べたい(食欲的な意味で)。手段は未定だが、とにかく生き残る。 1 バラッドを探す? 2 脱出を目指す参加者を探して潜り込む 145.復讐者のイデオロギー 投下順で読む 147.!緊急クエスト! ― 悪党をやっつけろ ― 時系列順で読む Negotiation アサシン 死なずの姫 ピーター・セヴェール さあ、ラスボスの時間だよ オデット 炎のさだめ バラッド 人でなしの唄