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「貴様も魔術師か。見たところ、サーヴァントを連れていないようだが?」 「ああそうだ。あいにくと僕は一人でね」 「私はこの先に用がある。素直に通して欲しいのだが?」 「悪いが、彼女を傷つけるというのなら、この先に行かせるわけにはいかない」 「ならば、サーヴァントである私とたった一人で戦う気か。 それがどれだけ愚かな行為か理解しているか?」 「馬鹿にされようが愚かと嘲られようが、ここは通さない。 たとえ何があろうと、彼女を守り続けると己に誓ったのだから」 「そうか…、ならば仕方が無い。力尽くで通させてもらう」 「 F o r t i s 9 3 1 『我が名が最強である理由をここに証明する』。 昔の英雄である君は知らないと思うが、現代の魔術師同士が名乗り合う、殺し名のようなものだ 」 「ならば私も答えよう。 我が名はセイバー。聖杯戦争に召喚されし英霊。 行くぞ!ハァァァァッ!!」 「来い!灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!!」 「ルーン魔術の二刀流か。面白い!だが、その程度の技量では私を止める事は出来んぞ!」 「 M T W O T F F T O I I G O I I O F 世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ I I B O L A I I A O E それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり I I M H A I I B O D それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり」 「魔術詠唱!?」 「I I N F I I M S その名は炎、その役は剣」 「詠唱の暇など与えん!」 「I C R 顕現せよ」 「これで終わりだ。喰らえぇぇぇっ!!」 「 M M B G P イノケンテイウス 我が身を喰らいて力と為せ―――『魔女狩りの王』!!」 「くっ、距離を取らねば!」 「紹介が遅れたね。炎の巨神『魔女狩りの王』だ」 「貴様が使うのはルーン魔術だったな。ルーンを消せば…」 「・・・ 6万枚。魔女狩りの王に使ったカードの枚数だ。 君はアーサー王だろう。この辺一帯に撒いたカードを一瞬で消す方法は持ってないんじゃないか?」 「何!?…ならば術者を倒すまで!」 「できるかな? こちらには魔女狩りの王がいることを忘れないで欲しいな!!」 爆炎と共に、最強を目指す者の戦争が始まる。
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Date 2006/06/19(Mon) Author SS1-359 「貴様も魔術師か。見たところ、サーヴァントを連れていないようだが?」 「ああそうだ。あいにくと僕は一人でね」 「私はこの先に用がある。素直に通して欲しいのだが?」 「悪いが、彼女を傷つけるというのなら、この先に行かせるわけにはいかない」 「ならば、サーヴァントである私とたった一人で戦う気か。 それがどれだけ愚かな行為か理解しているか?」 「馬鹿にされようが愚かと嘲られようが、ここは通さない。 たとえ何があろうと、彼女を守り続けると己に誓ったのだから」 「そうか…、ならば仕方が無い。力尽くで通させてもらう」 「 F o r t i s 9 3 1 『我が名が最強である理由をここに証明する』。 昔の英雄である君は知らないと思うが、現代の魔術師同士が名乗り合う、殺し名のようなものだ 」 「ならば私も答えよう。 我が名はセイバー。聖杯戦争に召喚されし英霊。 行くぞ!ハァァァァッ!!」 「来い!灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!!」 「ルーン魔術の二刀流か。面白い!だが、その程度の技量では私を止める事は出来んぞ!」 「 M T W O T F F T O I I G O I I O F 世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ I I B O L A I I A O E それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり I I M H A I I B O D それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり」 「魔術詠唱!?」 「I I N F I I M S その名は炎、その役は剣」 「詠唱の暇など与えん!」 「I C R 顕現せよ」 「これで終わりだ。喰らえぇぇぇっ!!」 「 M M B G P イノケンテイウス 我が身を喰らいて力と為せ———『魔女狩りの王』!!」 「くっ、距離を取らねば!」 「紹介が遅れたね。炎の巨神『魔女狩りの王』だ」 「貴様が使うのはルーン魔術だったな。ルーンを消せば…」 「・・・ 6万枚。魔女狩りの王に使ったカードの枚数だ。 君はアーサー王だろう。この辺一帯に撒いたカードを一瞬で消す方法は持ってないんじゃないか?」 「何!?…ならば術者を倒すまで!」 「できるかな? こちらには魔女狩りの王がいることを忘れないで欲しいな!!」 爆炎と共に、最強を目指す者の戦争が始まる。 ステイルはイノケンティウス使えば、サーヴァントと互角に戦えると思うんだ(´・ω・`)
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名前なし名前空間 namespace { 宣言や定義の並び } namespace { double a _= 0.0; } int main() { return a; } ※名前なし名前空間で宣言・定義された識別子は、 この名前なし空間定義の翻訳単位内から参照できる。 ※名前なし名前空間は翻訳単位ごとに別のものが存在し、 翻訳単位の外部からこの名前なし名前空間内の識別子を参照することはできない。
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火消し名人【ひけしめいじん】 「悪い噂が広がった時に、他の女の子の評価が下がることを抑えます。しかし傷ついた本人のあなたへの想いは……」 『4』で主人公が習得出来るコミュニケーション特技で爆弾が爆発した女性キャラ以外のときめき度・友好度下降率を抑えるが、その代わり爆弾が爆発した本人のときめき度・友好度下降率が上昇してしまう。 概要 必要経験値は40。 この特技を習得するためには、会話ソムリエと八方美人の習得が前提となり、 会話ソムリエは語彙センス(10)→盛り上げ巧者(20)→会話ソムリエ(30)と、八方美人は協調性(10)→八方美人(30)と習得する事で、この特技を習得出来る。 よって必要総経験値は140となる(括弧内は必要経験値)。 この特技を実践していると、爆弾が爆発したキャラ以外のときめき度・友好度下降率は-50%となるものの、爆発した本人のときめき度・友好度下降率は+50%となってしまう。 明らかに星川真希の爆弾を爆発させる事を想定して作られた特技である。 (他に好感度が上がりやすい柳冨美子やエリサ・D・鳴瀬らはクリアするために一定回数以上のデートが必要なので、そこまでする必要はない) 特に生徒会に所属した状態で皐月優を攻略しようとすると、星川の好感度が凄まじい勢いで上がり続けてしまうため、卒業式の日に伝説の樹の下にいるのは皐月ではなく星川という事もあり得る。 よって、この特技で皐月の好感度低下を最小限に抑えつつ、星川の好感度をより多く下げるという行為が必要になる訳である。 爆発させた後は、必ずデートなどで皐月のフォローを怠らないように。 他にキャラが登場している場合、『4』の爆弾爆発は好感度は下がるものの傷心度は上がらないので、用が無いのなら基本的に放置しておいて構わない。 それでも心配ならヒロインポイントで皐月が確実に星川を上回るようにしておこう。 そうすれば割り込み告白される事態は100%防げる。 爆弾が爆発してこその特技なので、カウンセラー・清廉潔白などの傷心度抑制系の特技とは全く噛み合わない。 どの特技にも言える事だが、皐月が登場している時は彼女のマイナス特技で主人公の特技を外されかねないので、心の開錠術も実践しておこう。 生徒会所属時にはこの特技を実践したうえで星川の爆弾を爆発させても、3~4発くらいまでなら友好状態をキープされてしまう。 すでに生徒会関連の皐月のイベントを回収しているなら、その後の周回プレイでは生徒会に入らない方が良いだろう。 生徒会に所属していない状態でも、2発程度の爆発では友好状態のまま(例えばハートマークがピンク→青に変わるだけ)という事もある。 一度上がった好感度が下がりにくい(下げにくい)のが星川なので、この特技を使う・使わないにしても、普段から無用に好感度(特に友好度)を上げないように心掛けたいところである。 関連項目 特技 主人公
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「かはは」 そんな、笑い声がした。 男性の、心底おかしそうな―――だが失笑のようでもある笑い声。 そこには殺し合いへの危機感など欠片も感じられない。 ――――いや、『彼』にとっては普段とあまり変わらないからか。 殺し名序列第三位。 かの《赤き征裁》《死色の真紅》哀川潤さえ関わりたくないと言わしめた悪名高き殺人鬼の一賊。或いはこの世で最も敵に回すのを忌避される醜悪な軍隊にして、この世で最も味方に回すのを忌避される最悪な群体。邪悪と冒涜の宝庫。 彼らは理由なく殺す殺人鬼だ。 家賊の繋がりは血ではなく流血。家賊に仇なす者は皆殺し。 彼らの名を、《零崎一賊》と云う。 話は変わって。D-7エリアのアミューズメントに、奇抜な少年が居た。 身長は男性にしては低く、顔面半分にはこれまた奇抜な刺墨。 無理をすれば能瀬慶子に見えなくもない。 道で見かけたなら10人中9人が目を逸らすだろう。 絡まれると面倒だ、くらいの気持ちで。 しかし実際にはもっと最悪だ。彼は先の《零崎一賊》の一人である。 殺人鬼揃いの一賊でも禁忌と称される零崎の間に生まれた鬼子。 零崎人識。 《人間失格》の殺人鬼。戯言遣いの鏡写し。 人識は結論から言って、殺し合いに乗る気はなかった。 かと言って、正義のヒーローを気取りたいなんて気もない。 要するに、中立。 襲われれば戦うし、弱者が殺されかけていたなら気分次第では助けてやるかもしれない。だが《ついうっかり》が無いとも限らない。彼は《零崎》なのだから。 しかし、人識が何故殺しを躊躇うか。それはひとえに恐怖だ。 彼はとある最強と約束をしている。 命と引き替えに、殺すことを封じられた。 だから零崎人識は殺さない。 バレないだろ、なんて考えはあの最強には通じないのだ。 「………かはは。こいつぁ上等な代物だ」 人識の手には一本の刃物が握られている。 その名を『ダーク』。人類最古の翁にしてアサシンのサーヴァント、ハサン・サッバーハの用いる武器。宝具でこそないが、刃物には詳しい人識を唸らせるだけの物。 「こいつがあれば何とかなるだろ」 曲絃糸なんかも欲しいけどな、と彼は付け足し、また笑った。 銃器よりも彼には合っている、そんな気がした。 参加者名簿に視線を落とす。 何の因果か、彼の知り合いも数人呼ばれているようだった。 《いーちゃん》―――《欠陥製品》に、恐怖の対象・哀川潤。 《人喰い》の匂宮出夢に、西条玉藻。 取り立てて挙げるならこのくらいか。 何と言っても哀川潤が怖かったが、出夢と玉藻にも注意することにする。 《欠陥製品》。 彼は殺し合いになど乗らないし、出来ないだろうと人識は断じる。 玖渚友が、あの青い少女がいる限りは。 「………さて、と」 突然だが、零崎人識はこれから戦うつもりだった。 少女を追い、手にナイフを持った《殺人鬼》と。 なのにここまで暢気にしていたのは―――零崎人識だから、としか。 少女を助ける?そんなことはどうでもいい。 ただ、《同類》と語り合いたいだけ。 「さぁて、それじゃあ一丁」 「殺して解して並べて揃えて晒してやんよ」 【深夜/D-7】 【零崎人識@戯言シリーズ】 [状態]健康 [所持品]ダーク@Fate/stay night [思考・行動] 0 別段どうする気もない。 1 《同類》と語り合いを―――もしくは殺し合いをする。 2 人は極力殺さない。 3 哀川潤には会わないようにする。見かけたら逃げる。 4 《欠陥製品》を探してみるか? ※『ネコソギラジカル』、いーちゃんと再会した直後からの参加です
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転がし名人(ころがしめいじん) 概要 エターニアに登場した称号。 登場作品 +目次 エターニア 関連リンク関連称号 エターニア その作品中での説明 リッドの称号。 霊峰ファロースクリア前にクレーメルボールで勝利すると取得できる。 それ以降だとプロボウラーになってしまうので期間限定である。 取得者 リッド 取得条件 霊峰ファロースクリア前にクレーメルボールで勝利する ▲ 関連リンク 関連称号 プロボウラー
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第1話:「聞こえし名の真偽」 セッション日:2009.06.12 ジャンル:シティアド…?ロールなのか?導入?(まてwww BOSS:絶滅種ファイアドラゴン 天空キャンペ第1話。 予告文 天空に遺跡有り、古代技術・魔法力の結集なり。 其の中核を手に入れし者、世界を手中に納める事、能うなり。 此を狙う者有りき。彼の者遺跡をめぐり ついには天空遺跡の中核に辿り着かん…。 世界を火の海へとかえしこの暴君は、 神の怒りに触れ、遺跡ごと海中深く沈みけり。 ~天空遺跡伝承より~ ======== 「アっちゃんが、衛兵に捕まったわ…」 けだるい午後に飛び込んできた凶報…。 外に飛び出せば、街に落ちる不自然な影 見上げた空には巨大な島が一つ浮かんでいた―――。 「遺跡の中核に今一番近いのは…」 耳に届いたのは女神の非道―――。 「生きているなら、それでもいい…」 【天空-そら-の願い】キャンペーン第1話:「聞こえし名の真偽」
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3話 《害悪細菌》 町中を歩く男が一人いた。 その姿は殺し合いの場にして奇妙と言わざるをえない。 純白のスーツ、手袋、靴、腕時計。そのどれもが着用する人によっては残念なものにしかならないものである。 そのセットを着こなしている彼の歩く姿は軽く優雅である。 彼は電子工学・情報工学・機械工学の天才技術者に 「自分の持つスペックのその全てを全て《破壊する》ためだけに費やした、 その気になれば万能の最強にすら匹敵するその能力を 全部《破壊する》ためだけに費やした、ごく専門の、ごくごく専門の、専門過ぎる極まった破壊屋」 と言わしめた男、兎吊木垓輔以外の誰でもなかった。 《街》 森を歩く男が一人いた。 その姿は田舎に住んでいる牧歌的な青年のような外見であり、 この姿も殺し合いの場にして奇妙と言わざるをえない。 スリーブレスの白シャツ、よれよれだぶだぶのズボン、 両足にぼろぼろのサンダルを履き、丸いサングラスに首にかけた白いタオル、 さらに麦藁帽子ときている完璧すぎる田舎の青年だった。 彼は究極絶無のサイバーテロリスト集団9名の天才の中にいて、 オフライン上での唯一の実働担当であり、 裏の顔として『殺し名』の中で最も忌み嫌われる殺人鬼集団『殺し名』序列3番目《零崎》に所属する、 零崎一賊三天王《零崎軋識》という顔を持つ、式岸軋騎以外の誰でもなかった。 《害悪細菌》 「何で傍系の病院坂迷路である私がこんなふざけたイベントに参加しているんですか。バックアップはバックアップなんですよ。」 愚痴りながら歩いているのは―傍系の―病院坂迷路である。 『彼女』と形容したくなる『彼』は、町中を歩いていた。 こんな殺し合いには参加する意味は全くないですからね。 こんな人が集まりそうな町中からはおさらばして隠れていよう。 まあ、私みたいなことを考える人も数多くいるかもしれませんね。 そうなったら皆殺しかも、いや、あの忍者らしい人たちがいるから大丈夫かも。 あ、なんか人がいる。かなり紳士っぽい姿なんですけど、ああいう人に限って串中先生みたいな人だったりして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ いやいや、串中先生みたいな人が多くいては困りますから、あの人は普通の紳士さんでしょう。 まあ最初から殺し合いに乗っている異常者には見えませんからね、話しかけてみましょう。 「おーい、そこの白いスーツのお兄さん。」 白いスーツの男が気づいて歩いてこちらにやってくる。 「おやおや狂った殺し合いの場ではじめて出会う人が、自分から話し合うような人とは、俺はついているな。」 「は?」 白いスーツの男はなぜか私の首に手をかけて言う。 どういうことだ、これでは私は殺人者である狼に食い殺される羊ではないか。 男の握力が強いのか首の骨から折れてしまいそうだ。 声にならない声を出しながら 「冗談はやめてくださいよ。」 「かわいそうだけど、君程度の人間にこれを使うわけにはいかないからね。このまま死んでくれ。」白いスーツの男はそういって、釘バットを見せた。 私が死ぬ?ありえない、そんなのありえない、ありえない、ありえない、 ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、 ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、 ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない。 「ふざaaけeるな。なんで俺が死ななくちゃいけN」 ゴギッ、と言う音がしてから‐傍系の-病院坂迷路は声を発さなくなった。 ふぅ、これでやっと一人か、あいつは良くこんなこと軽くやってのけるな。 まあ、しかしあのマンションがあるということは、この場所に死線がいるかもしれないな。 いたならば誰かに殺されてしまうなよ。ああ、愛しの死線、君はこのふざけた場所にいるのかな。 君がいる、いないにしろ、水倉と言うやつの思惑に乗るのはいただけない。 こんなプログラムは壊してしまおう。参加者もろとも壊してしまおう。 クラックは俺の専売特許だからな。そのためにまず、この忌々しい首輪だな。首輪と言えば《二重世界》ダブルフリック「日中涼」が思いだされるな。なつかしいな、友達の自慢は最高だからな、誰かに自慢したくなる。 ここで考えを深くしていく。 一見無機質な首輪をはずすとなるとサンプルの首輪が必要となるな。首を切断できるような道具があれば、さっきの奴のをもらえたのにな。 だがマンションにいけば、刃物のぐらいあるだろう。 あとは機械類だが、これはマンションに必ずあるだろうな。 あのマンションが玖渚友が住んでいたマンションならば。 しかし先ほどのことを考えると、自分の知らないことも多くありそうだな。 白いスーツの男、『裁く罪人』『害悪細菌』こと兎吊木垓輔はマンションに向かった。 【-傍系の-病院坂黒猫@世界シリーズ 死亡】 【1日目 深夜 G-4】 【兎吊木垓輔@戯言シリーズ】 [状態] 健康 [装備] 懐中電灯、コンパス [道具]愚神礼賛(シームレスバイアス)@戯言シリーズ、支給品一式×2、ランダム支給品(1~5) [思考] 基本 害悪細菌としてうごく 1 とりあえずマンションへ 《街》 式岸軋騎は悩んでいた。 彼は皆がいた部屋で家族の、家賊の気配を感じていたのだ。「レン」こと自殺志願の零崎双識ほど出ないにしろ、彼にも零崎の気配を感じ取ることは出来た。 さらに、彼の視界には見たくはないがある男が見えた。 純白のスーツ、手袋、靴、腕時計のあの男を見たのだ。 そうなると、他にも《仲間》がいるかもしれないし。何よりも彼女がいるかもしれない。 「どちらを優先するべきかが問題だな」 確かに家族のやつらはこの殺し合いの場でもっとも輝くだろうし、普通に考えて負けることは少ないだろう。 それにかわって玖渚友―死線の蒼―には戦闘能力は皆無である。普通に考えてここは――――しかし、いるかもしれないという可能性だけで家賊を見捨てることは出来ない。 しかし彼女がもしいたら。しかし、、、、、、、、、、 その姿を隠れてみていた姿があった。 さすがに数多の戦場を越えてきた彼は気づいた。 「そこにいるのはだれっちゃか。」 しまった。つい演じていた方の零崎軋識の口癖が出てしまった。 出てきたのは学生服を着た女であった。 「いやぁー、びっくりしましたよ、こんなところでどこぞかの雷娘みたいな口調の人を見るなんて。」 「うっ、口が滑っただけだ。そんなことより手を上げてゆっくりとこちらに来い。変な様子を見せたら殺す。」 ジェリコ941をみせて言う。 「分りましたよ。こんなか弱そうな学生が雷神様に勝てるわけないじゃないですか。」 何だこのガキは、殺し合いの場だというのに、へらへらしすぎている。 「うるさい、しゃべるな。」 「さあ、このぐらいでいいでしょう。この後はどうしたらいいですか。痴態をみせろとでも。」 「誰もそんなことは言っていないまずバックをよこせ。」 もしかしたら、自分のように裏の世界の人間なのかもしれない。 「わかりましたよ。それっ。これでいいですか。ここまでしたんです。お願いがあるんですけど。」 「自分がいつ殺されてもおかしくない状態でよくそんなことがいえるな。」 「だって主催者のことを知っている人を、あなたは情報を聞く前から殺すのですか。」 「なにっ、でもその事が本当かは分らないだろう。」 何を言い出すと思ったらふざけたことを。 「でも本当のことだろうと、嘘だろうと、殺してしまっては分りませんよ。」 こいつは馬鹿な学生ではないようだな、利用できるかもしれないな。これから俺がどう動こうとこいつに殺されるとは思われんしな。 「いいだろう、殺さないでやる。だが変な様子を見せたらすぐに殺す。 おれについてこい。歩きながらお前が話しを聞いて嘘吐きか、そうでないか調べる。」 「分りました。ではまず周囲を歩いてここがどこだか調べましょう。」 「ああ。バックはこちらで預かる。」 「ちなみにさっき言ったことは嘘ですから。」 …意味がわからない。へらへらしていたのは頭がおかしかったから、ここが殺し合いをする場所だとわからなっかたのか。 「は、なにを言ってる。そんなにすぐばらすやつがいるか。なんでばらした。」 「だって嘘吐きだと思われるのは心外ですからね。 それにあなたが少しは冷静そうですから、今言っても問題ないかと。 僕みたいな使える人間を切り捨てるのはもったいないと思いますよ。僕は将棋で例えるなら【王】ですから」 「お前はとことん人を馬鹿にしてるな。まあ、いい。近くの建物にでも行くぞ。お前の名前はなんて言うんだ。俺は式岸軋騎だ」 「串中弔士です。これからよろしくお願いしますね。」 ここに奇妙なペアが生まれた。 しかしこの狂った殺し合いの中で対極的な行動を示した二人の天才はいったいどう動くのか。 【1日目 深夜 B-5】 【式岸軋騎@戯言シリーズ】 [状態] 健康 [装備] 懐中電灯、コンパス [道具]ジェリコ941@戯言シリーズ、支給品一式×2、ランダム支給品(1~5) 串中弔士のバック [思考] 基本 家賊といるかもしれない玖渚友どちらを・・・ 1 とりあえず今いる場所を串中弔士と確認 【串中弔士@世界シリーズ】 [状態] 健康 [装備] なし [道具] なし [思考] 基本 どんな面白いことがおこるだろうか。 1 とりあえず今いる場所を式岸軋騎と確認 002← 003 →004 ← 追跡表 → ― 傍系の病院坂黒猫 ― ― 兎吊木垓輔 ― ― 式岸軋騎 ― ― 串中弔士 ―
https://w.atwiki.jp/nishiparo/pages/89.html
「なぁ兄貴、俺のPCに何か変なソフトがインストールされてるんだが、こりゃなんだ?」 椅子に座ったまま、自殺志願─零崎双識の方へと振り返ると彼は楽しそうにパソコンを弄っていた。 「それはね人識くん、United Devices Cancer Research Project、ユナイテッド・デバイシス社のがん研究計画に参加するためのソフトだよ」 当たり前のように、サラッと答えた。 「あぁ?何でそんなのを入れてるんだよ。悪いが消すぞ、タダでさえCドライブが危ないんだから」 「それなら問題はない、人識君のPCに有ったゲームは殆んどアンインストールしたから20G空いているはずだ」 「うわ、マジだ。フリーセルしかねぇ。なんだこりゃ、何で勝手なてことするんだこの野郎!」 「そもそもゲームなんてのはね、トランプやサイコロさえあればそれで10年は遊べるんだよ」 「んなこと言って、兄貴のデスクトップに並ぶそのアイコンの量は何だ!殆んどエロゲーじゃねぇか」 「エロゲーとは心外な、そんな風に一括りにしちゃ失礼というものだよ。つるぺたコスプレADVも有れば麻雀+ハチャメチャドタバタAVGだってある。 それこそ零崎と時宮を一括りにするようなものだよ」 「黙りやがれ、ころころと理屈を弄びやがって、何が『ADV』だ、気取ってんじゃねえぞこのやろう」 「うふふ、ちゃんとシューティングだって格闘だってタイピングソフトだって有るよ」 「うっせえ!そもそもひとのデータ消していいと思ってんのか、消すにしても一つや二つ消せばいいだけだろうが!」 「うん、それはおかしなことを言うね。人識くんのデータ?P2Pで持ってきているのにかい? アレは悪いことだ。だからやめた方がいい、わざわざ死に急ぐ必要は何処にもない」 「殺人鬼が何を言ってやがる。存在自体がこの上なく悪じゃねえかって、そうじゃなくてこのソフトを何で入れてんだ。みてみりゃ100MBも要らねぇじゃねえかよ」 「人識くんが将来ガンに侵されたときの予防だよ、これで抗ガン薬ができてたら安心じゃないか」 「……それ、マジでいってんのか、クソ兄貴」 「あぁ、決して殺し名と呪い名同士の対立からではない。純粋に人識くんを思ってだね、」 「──アンインストールしちゃる」 「おっと、それは出来ないよ。出来ないようにトラップを仕掛けておいたからね、うふふ、いくら人識くんでも今はむりだよ。 それと、他にも色々とセキュリティー機能を強化しておいたから安心して楽しいネット生活をおくりたまえ」 「うお、刃物関連のサイトにも行けねえなんて、ありえねぇだろ」 この次の日から、半年間に及ぶ鬼ごっこが始まったとか始まらないとか── ……打ってて途中で飽きてきたのが本音 興味が有る方は参加してみてください Team2ch@eroparo ■UD-Team2chWiki(UDの概念から補助ツールまで情報満載) http //ud-team2ch.net/ ■UDがん研究プロジェクトについて@2ch -PCでできるボランティア- http //www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/3969/index2.html 定期検診用メタボ対策! ★年末の航空券はサーチャージ無しも有り[冬休み]★ ニコ動のお気に入りを1クリック保存!・エコカー抽選で100万円サポート・テイルズ オブ バーサス(DVD付き) ワーキングホリーデーに出かけよう 出張 無料クレジットカード 戻る
https://w.atwiki.jp/ln_alter2/pages/245.html
人殺しの話――(ひとごろし野放し) ◆EchanS1zhg 【0】 人が死ぬ時にはね―― そこには何らかの『悪』が必然であると、『悪』に類する存在が必然であると、この私はそんなことを思うのだよ。 【1】 朝という時間も過ぎ、街も暖め始められた午前の頃合。 本来ならば人通りも少なくないだろうに、しかしそんな気配を僅かにも感じさせない通りをひとりの少年が歩いていました。 深夜の散歩のような人気のなさと、活気を想像させる午前の風景。 その矛盾を楽しんでいるのか、足取りも軽くブロックの敷き詰められた歩道をとんとんと歩いています。 少年はかなり背が低くそして愛らしい顔をしており、それだけならば場合によっては少女と言っても通じるかも知れませんでしたが、 しかしその他の全てがそれを否定していました。 裸の上半身にそのままタクティカルベストを纏い、下はタイガーストライプのハーフパンツを穿いており、足元は物騒な安全靴。 手にはオープンフィンガーグローブと、これだけでも相当なものですが、 頭に注目してみれば、斑に染めた髪の毛。右耳には3連ピアス。左耳にはピアス代わりに携帯のストラップが吊られています。 そして、なにより少年の印象を強く変えているのが顔面の右半分に彫り込まれた凶悪なデザインの刺青でした。 顔面刺青――そんな代名詞を入れられちゃう少年の名前は零崎人識。 零崎の中の零崎。零崎と零崎の零崎。零崎の申し子。少年は――殺人鬼でした。 そんな顔面刺青であり殺人鬼でもある少年は、午後に入る前のまだ軽やかな空気を吸いながら道を行きます。 取り立てて行き先があるわけでもなく、そぞろと、なんとなしの感覚で太陽を右側に北へと向かっていました。 そして河に架かる橋に到達したというところで少年は橋の真ん中あたりに誰かがいるのに気づきました。 「何してるんだ、ありゃあ……?」 年季の入った茶色のコートと目深に被った飛行帽。 背丈はやや小柄で少年とも少女とも判別のつかないその人物は、どうやら大きな箱を橋の上から押し出そうとしているようです。 近づきながら見れば、どうやらそれはぐるぐると縄を巻かれた中ぐらいの冷蔵庫でした。 「不法投棄じゃねぇか……! おい、ちょっとそこのお前っ!」 当たり前かつ場違いなことを言いながら少年は、どちらともつかない人物へと駆け寄ってゆきます。 しかし、冷蔵庫を投棄しようとしていた人物は少年を一瞥すると、躊躇うことなくそのまま押し切り、それを落としてしまいました。 ふわりと冷蔵庫が宙に飛び出し、すぐに水面にぶつかって大きな音を立て、そして泡だけを残して沈んでゆきます。 少し濁った水面からはすぐに冷蔵庫の姿は見えなくなり、引き上げようにもできないだろうとそんな感じです。 「なにやってんだそこおおぉぉおおおっ!!」 顔面刺青であり殺人鬼でもある少年からの厳しいツッコミが何者かへとぶつけられます。 それは、こんな殺し合いの場面でという意味なのか、ただその行為に対してなのか、色々と意味を取ることはできますが、 少年にとっては後者でした。 不思議な話ではありますが、殺人鬼であっても少年はそれなり以上の常識も持ち合わせているのです。 「そういうのはリサイクル業者に頼むもんだろうがよぉ……あーあ、もうこれどうするんだ……?」 少年は冷蔵庫を落とした人物の隣まで来ると橋の欄干から河を見下ろして深い溜息をつきました。 そして、あらためてその犯人(しかも現行犯)をまじまじと観察します。 年齢は少年よりも低そうに見えました。もっとも少年自体が相当に低く見られるので傍から見れば同じくらいです。 格好は黒のジャケットに黒のズボン。その上に茶色のコートを羽織って、頭にはゴーグル付きの飛行帽。 短めの黒髪に、精悍な顔つき。ここまでだと一見すれば男性だと思ってしまいそうですが、しかしよく見れば少女でした。 そして、少女は少年よりも少しだけ背が高いようでした。 そんな少年のような少女の名前はキノ。 旅人であり、パースエイダー(注・パースエイダーは銃器)の名手。少女は――人殺しでした。 殺人鬼は人殺しに対して、いかに君が行ったこと――不法投棄は悪辣非道なことかを説きます。 どれだけ反社会的な行動で、どれくらい非エコロジーで地球環境を省みない行為なのか、滔々と語ってみせます。 そんな彼に対して人殺しの少女は、「はぁ、そうなんですか」などと曖昧な返事を繰り返すばかりでした。 じゃあ、もういっそこんな不届き者は殺して解して並べて揃えて晒してしまおうかと少年が思った時、 少年のおなかがぐぅと鳴りました。 【2】 「”死なない”人間の首ねぇ……」 場面は変わって先ほどの橋より程近い場所にある庶民的なラーメン屋さんの中。 少年と少女は向かい合って同じテーブルにつき、朝食と昼食を兼ねた食事――お洒落に言えばブランチをいただいてました。 「変な話だな」 「ええ、ボクもそう思います。とても驚きましたし」 ラーメンをすすりながら少年は言い、少女は餃子をパクパクと平らげながら答えました。 かくかくしかじかと略さずに説明すると、先ほど少女が投棄した冷蔵庫の中には死なない人間の首が入っていたそうです。 正確に言えば、殺しても生き返る人間。なので、少女は首だけを持ち去りどこかに捨てればいいと考えたのです。 「まぁ、魔法がありならなんでもありか」 「そうなのかもしれませんね」 少年は先の放送で聞かされたことを反芻し、そして自身が出会ってきた人物達のことを思い出しました。 虎の様な少女。卑怯な軍人。超電磁砲。戦うメイド。真白なシスター。男と女と、燃えカスと魔法使い――無茶苦茶でした。 生き返る。つまりは死んだふりかもしれないし、特殊な蘇生技術かもしれないそれ。 殺し名と呪い名の名前と例をあげればある程度は理屈が考察できそうでしたが、以下省略。考えても無駄だと割り切りました。 「しかし、お前も人の情ってのがないのかよ。割り切り……いや、この場合は切り捨てのプロだな」 「うーん……」 かははと笑い少年は分厚く切った焼豚を口に放り込みました。少女は無愛想な表情でまだまだと餃子を平らげてゆきます。 ふたりは橋の上で出会った後、少年が食事をとろうといったのでここまで移動してきました。少女に断る理由はなかったからです。 そして、当たり前ですが店内は無人でしたので少年がそれなりの腕を振るって食事を並べ、 今は無言で食事を進めるのも寂しいという少年の言により、それぞれの経緯を話し合っているという訳です。 その中で少年は自身が出会ってきた変テコな人々の話を、少女は自分が切り捨てた4人の話をしました。 「なんであんたはそいつらを殺したんだ?」 全くもって誰に対しても愚問でしたが、殺人鬼は人殺しに対してそんなことを聞いてみました。 「自分が生き残るため、ですね」 少女はその理由を、そもそも理由なんか持たずに人を殺してしまう少年に答えました。少年はかははと笑います。 「最後の一人になっても生きて帰れる保障なんかないぜ? 嘘かもしれないし、その時はどうするんだ?」 「その時は、その時になってから考えます」 「気のきかない回答だな」 「ええ、そう思います」 少年は息をひとつついてまたラーメンをすすりました。少女は大量にあった餃子の最後を名残惜しそうに飲み込みます。 殺すことに関しては真逆の殺人鬼と人殺しでしたが、先の展望のなさに関しては似たもの同士でした。 そしてなにより、 「ごちそうさま」 「ごちそうさま」 ふたりはハラペコキャラでした。 【3】 ところで、と殺人鬼は話を切り出しました。 「俺も殺すのか?」 人殺しは何も答えません。しかし場面を取り巻く空気の色が変わりました。緊張の糸がピンと張り詰めます。 「俺は別にどっちでもいいんだが……」 少年は少女を観察していました。おそらくは相手も同じです。なんてことのない食事の風景でしたが、両者ともプロのプレイヤーでした。 生粋の殺人鬼は目の前の人殺しを分析します。 4人殺したというのは本当でしょう。むしろ、ここに来る前はもっと殺していたに違いありません。それが”匂い”でわかりました。 性質としては『薄野』か、それとも『天吹』が近いのか、『零崎』と同じ殺し名を浮かべて少年は考えます。 「まぁ、俺はちょっとした契約があって自分から手は出せないんで、そっちが決めてくれ」 切欠を与えれば目の前の少女は確実に自身を殺しにかかってくる。その確信がありながら少年は緊張の糸を引きます。 はたして殺し合いが始まったとして勝てるのか? それは少年にとって問題ではありません。問題となるのはそこではなく、やはり死色の真紅との取り決め。不殺の誓いでした。 「あぁ、別に食事を奢ったことに関しては気にしなくていーぜ。どうせ無銭飲食だしな」 だけど、あの真っ赤な鬼殺しはこの場所にはいません。未だ不明の登場人物の中にいるとも思えません。 たったこれっぽちの世界の端。開始より半日足らずも経過した今。行き遭ってないという事実が彼女の不在を証明していました。 零崎人識の物語が零時から開始したとして、未だ欠陥製品とも遭遇を果たしていない。これは零崎人識だけの番外編と断言できます。 「………………」 だったらいいんじゃないか? そんな気持ちが殺人鬼の中でむくむくと起き上がってきます。 緊急事態。殺し合いを強要され一人しか生き残れないという状況。殺害の匂いを濃く漂わす者が目の前にいるという場面。 つい先ほどもそんな存在と遭遇し、そんな現場を目の当たりにしたばかりで、みんながそうしているのを見せられて、 勿論、他人は他人、自分は自分、人の殺しは人の殺し、自身の殺しは自身の殺しと言えるのだけど、どうして我慢するのかとも思えます。 零崎にとって殺人とは生き様――ですらありません。 必要だからというわけでもなく、息をするように以下の心臓を動かすように程度の生態であり性質であり、生の有様。 生き焼かれた獣の咆哮か、魔術師の含む冷たい笑いか、旅人の見つめる無感情な目にか、 少年の中の『零崎』が僅かに”洩れ”ました。 たったそれだけで、始まりました。 殺人鬼である少年にも、人殺しである少女にも、それだけで十分だったのです。 【4】 ――さぁ、零崎を《再開》しよう。 【5】 瞬間。少女によってテーブルが蹴り上げられ、その上に乗っていた食器ごと少年へと降りかかってきました。 瞬間。ひうんと音がして、テーブルが乗っていた食器ごとバラバラに寸断され床に派手な音を立ててばら撒かれました。 ここまでおよそ1秒。 少年はポケットになにかを仕舞うと、ゆっくりと椅子から立ち上がりながら店の奥にまで移動していた少女を見ます。 そこにはこちらへと向けられた無骨なリボルバーの銃口があり、そうだと認識する前にそれが火を噴きました。 がぃうん――と、今度はそんな奇妙な音が響きました。 見れば、何時の間にちょろまかしていたのか少年が心臓を庇うかのように分厚い中華包丁を構えています。 そしてその刃の真ん中に小さな、まるで銃弾を受け止めたかのような痕ができており、それはそのままその通りでした。 少年は発射された弾丸を見切り中華包丁でガードした――ということでした。 再び銃声。今度は奇妙な音は響かず、ただ少年の座っていた椅子の背に穴が開く音だけが小さくしました。 回避を成功させ椅子から通路へと出ていた少年の手には新しい刃物が握られており、中華包丁はもう床の上です。 3発目の銃声。これも少年には当たりません。ただ、その後ろにあった入り口のガラスを砕いただけでした。 決して少女の射撃技術が低いというわけではありません。 少女は正しく心臓や当たれば致命傷となる場所を撃ちました。避けなければ少年が死んでいたのは間違いありません。 けれども、『零崎』の少年はそれを容易く避けてみせるのです。 普通は避けれません。発射された銃弾が人間の運動能力以上の速度を持っているという現実は決して覆りません。 しかし、銃には狙いをつけて――つまりは”殺気”を発してから発射されるまでのどうしようもないタイムラグが存在します。 コンマ数秒。熟練していればそれ以下。少女は熟練者ではありましたが、しかしどうやってもそれを零にすることはできません。 そして、そのタイムラグが零でないとするならば、殺気を感じることのできる『零崎』にとっては無限にも等しい時間なのです。 故に、『零崎』に銃は通用しません。ですが、 「かはは」 少年はカウンターの上に”飛び移されて”いました。 3発目の銃撃を避けカウンターの上に飛び移ったのは紛れもなく少年の意志です。しかしそこに少女の誘導がありました。 まるで”銃弾を避ける者との戦闘の経験がある”かのように、彼女はそれを前提とした牽制射撃を行ってみせたのです。 たった2発で少年に銃撃が通用しないと知ると、 少女は3発目にお腹より少し下――大きく動かないと次の回避に支障が出るような場所を狙ったのです。 これには少年も舌を巻きました。 『零崎』の前で拳銃を構える者はことごとく屠られるだけの雑魚キャラくんでしかなかったはずなのです。 しかし、別世界からやってきたのかもしれない少女――キノは違いました。少年――人識はとても傑作なことだと思いました。 4発目の銃声が鳴り響きます。 カウンターの上を突進していた人識はそれを軽く跳躍することで回避”させられ”ます。 着地の際に発生するこれもコンマ以下のタイムラグ。 無限とは言わないまでも、キノが扉を潜って店の奥へと退くには十分な時間でした。 零崎を再開してより5秒ほど。状況は再びニュートラルなものへと戻りました。 キノは決してひとつの殺しに執着するタイプではないだろうと人識は理解しています。 ”必要”の為に殺す者は不必要や無駄、それにリスクを忌諱します。ここで無理や無茶をするとは思えません。 つまり追わなければ再開した零崎は終了です。誰も殺していませんので死色の真紅の約束を破ったことにはならないでしょう。 それに、溜まっていた鬱屈も多少は晴れました。食後の運動としても今のでちょうどいい具合です。 「また、放浪するかな……?」 戦場のど真ん中で人識は余裕たっぷりに5秒ほど思考して、 その次の瞬間――爆炎に吹き飛ばされました。 再開より合わせて10秒。それで人識の零崎は完全に停止してしまいました。 【6】 粉塵やら瓦礫やらが積もり積もった”廊下”の上に血塗れとなって横たわる人識の姿がありました。 その傍らには油断なくショットガンを構えるキノが立っています。 どうやら、致命傷を負った人識に介錯の一撃を放つか、それをキノが逡巡しているという場面のようです。 口からごぼごぼと血を吹く人識は目線だけでキノの申し出を断りました。 キノも弾丸が勿体無いからでしょうか、それを承諾して――そして抜け目なく彼のデイパックを回収してその場を去ります。 去り際にただ一言、 「あなたは今まで出会った中で最悪の敵でしたよ」 そう言い残して行ってしまいました。 これが殺人鬼と人殺しの邂逅の始まりから終わりまでの全てでした。 【7】 ずたぼろとなった人識ですが、全身の傷は爆炎――いきなり撃ちこまれたロケット弾によるものではありません。 さすがにそれが店内に飛び込んで来た時には人識もひどく驚きましたが、そんなもので殺される彼ではありませんでした。 ロケット弾の軌道は見れば察することは容易でしたし、 そうだと解れば避けながらすれ違い、背後からくる爆風で”自身を加速させる”なんて芸当も難しくもありません。 ですが、故に人識は次のショットガンの一撃を避けることができませんでした。 なにせそこには全く”殺気”がなかったのです。 自分がどのようにして人殺し――キノにしてやられたのか、気づいた時には無数の散弾が身体にめり込んでいました。 ロケット弾は人識を仕留める為の攻撃ではありませんでした。 キノが人識と自分との間に煙幕という”目隠し”をする為の手段でしかなかったのです。 そして、ロケット弾を撃ち放ったキノはすぐさまに”煙”を撃ちました。 もし人識が突進してくるとしたならば通らざるを得ないルート。人識ではなく、あくまでルートをキノはただ無意で撃ったのです。 そこに人識がいてもいなくても関係なく、仮に人識が店から出て逃亡していたとしても関係なくキノは撃ちました。 人識がいると確信があれは殺気が生じてしまう。目で確認できてしまっても殺気が生じてしまう。 故に、キノはあえて不確定な状況をつくることで、そこにただの撃つだけ状況を作り、無意の一撃を放ったのです。 こんなものが避けられるはずがありません。意図のない弾丸。殺気のない弾丸。 ましてや人識は爆風により加速中。煙幕を抜けた時にはそれを避け得る猶予は全くの零でした。 傑作だと、人識は顔を笑いの形に歪めます。 ”撃ち殺された”零崎など前代未聞もいいところでしょう。おそらく、この先にも出てくることはないと思われます。 もしも死んだ兄がこれを聞いたらどんな表情をするのか。もし大将に聞かれでもしたら殺されてしまうだろう。 そしてあの生まれたての妹がこれを知ったらあいつはどうするのか。人識は想像して、笑う代わりに血を吐きました。 自分を狙っていない弾丸――殺意ゼロの弾丸に撃ち殺される。 乗することも除することもできない零を撃ち抜くのはゼロの弾丸。まさにこれが零崎殺し。 両手が動くならば拍手喝采ものだとそう思い、そしてそれができないことが少し残念なことだと人識は思いました。 あいつは、あの欠陥製品はこないのだろうかと死に瀕した人識は思います。 もう死ぬということは避けられません。どうしようもない致命傷です。いくつかの弾丸が内臓を食い破っていました。 このまま退場して零崎人識の物語は幕を閉じる。それは避け得ないことです。 だったら、ここにあいつがこないと場がしまらないんじゃないか――なんて期待。 しかし、せっかく介錯を断ってまで苦痛に耐えているというのに、待てども待てどもその気配はありません。 まったくこちらが何度あの欠陥製品の危機に駆けつけたことか。人識は心の中で毒づきます。 もっとも約束があるわけでもなく、またこちらが駆けつけてない危機がある以上、それはお門違いもいいところなのですが。 そろそろ人識の意識も遠くなってきました。 死色の真紅と遭遇したあの時に零崎が終わっていたのだとしたら、こんなところで死ぬのがむしろ相応しいのかもしれない。 「それも悪くない」――ある零崎の言葉が人識の中に浮かんできます。 そして、最後に……自分のことを最悪だと言い残して去っていったあのキノという少女のことを思い、 「知ってるよ」 と呟いて息を引き取りました。 【零崎人識@戯言シリーズ 死亡】 【8】 「ただいま……と言っても君は返事してくれないんだよね」 最初に人識と出会った橋のたもと。 スクーター(注・モトラドではない)を停めていた所まで戻ってくるとキノはようやくふぅと一息つきました。 「まったく、恐ろしい相手だった……」 来た道を振り返りキノは誰となしに――スクーターは返事をしてくれないので本当に誰となしに呟きました。 零崎人識――あの奇抜な格好の少年はキノが今まで出会った敵の中でも最悪のものでした。 どんな殺人者にも殺す理由というものがあります。殺すという意志がいつもこちらを向いていました。 復讐の為に刃を向ける男。 国と家族を守る為に銃を掲げる兵士。 僅かな金品の為に襲い掛かってくる野党。 感情の発露のままに酒瓶を振り上げる酔っ払い。 己のテリトリーを守る為に唸り声をあげる森の中の獣。 どれもこれもが同じようにそれを持っていましたが、しかしあの少年の殺意に指向性は零(ありません)でした。 存在そのものが殺人という現象。まるで人を怖がらせるための物語の中に登場する殺人鬼。 まだ背中に残っていた僅かな怖気にキノは身体を震わせます。 「餃子おいしかったですよ」 そういえばご馳走の礼をしていなかったことを思い出し、一応はと声にするとキノはスクータに跨りました。 「神社か……なにか手ごろな武器を調達できるといいんだけどな」 言うと、少年から人が集まっていると話を聞いていた神社へと向かいスクーターを発進させます。 そしてエルメスのものとは比べくもない軽い音をたて、太陽を背に河を右手に西へとそのまま走り去って行きました。 殺人鬼と人殺しが殺しあったなどとは想像もできない青い空がその上に広がっており、吹く風はとても爽やかなものでした。 【C-4/路上(南側)/1日目・昼】 【キノ@キノの旅 -the Beautiful World-】 【状態】:健康 【装備】:トルベロ ネオステッド2000x(12/12)@現実、九字兼定@空の境界、スクーター@現実 【道具】:デイパックx1、支給品一式x6人分(食料だけ5人分)、空のデイパックx4 エンフィールドNo2x(0/6)@現実、12ゲージ弾×70、暗殺用グッズ一式@キノの旅 礼園のナイフ8本@空の境界、非常手段(ゴルディアン・ノット)@灼眼のシャナ、少女趣味@戯言シリーズ 【思考・状況】 基本:生き残る為に最後の一人になる。 1:神社に向かう。交渉か襲撃かは状況しだい。 2:エルメスの奴、一応探してあげようかな? [備考] ※参戦時期は不詳ですが、少なくとも五巻以降です。 8巻の『悪いことができない国』の充電器のことは、知っていたのを忘れたのか、気のせいだったのかは不明です。 ※「師匠」を赤の他人と勘違いしている他、シズの事を覚えていません。 ※零崎人識から遭遇した人間についてある程度話を聞きました。程度は後続の書き手におまかせです。 ※ C-4北部にあるラーメン屋さんでロケット弾が炸裂し、周囲にその音が響き、家屋の一部が倒壊しました。 その中に零崎人識の死体が残っており、ポケットの中に「七閃用鋼糸x6/7@とある魔術の禁書目録」が入っています。 ※ 「薬師寺天膳の生首」は冷蔵庫に入れて縄でぐるぐる巻きにした状態で河に捨てられました。 投下順に読む 前:死者・蘇生(使者・粗製) 次:CROSS†CHANNEL 時系列順に読む 前:何処へ行くの、あの日 次:「謀反が起きた国」― BATTLE ROYAL IXA ― 前:「契約の話」 ― I m NO Liar ― キノ 次:ペルソナヘイズ 少女には向かない職業 前:愛憎起源 Certain Desire. 零崎人識 死亡