約 173,340 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/555.html
2月14日の武装神姫-03 「ただーいま。 おとなしくしてたかな〜?」 久遠、帰着。 手にする紙袋には、半額売りされていた特大のチョコレート ケーキが入っている。。。 「おかえりなのー。」 と、出迎えるエルガ。 とりあえず室内の様子を探る久遠。 「? にゃーさん、どうしたの?」 「いや・・・去年のことがあるから・・・」 「にゃーん。 もうにゃーたちだけで作ったりはしないですよ〜。」 「良かった・・・ ってちょい待ち! 今、『にゃーたちだけで』は作らな かった、って言ったよなぁ?」 「にゃっ!! い、いってない! 言ってないのっ!」 「なんか隠しているだろう。」 入室拒否しようとするエルガをむんずと掴んで、ずかずかと部屋に入る久遠。 部屋の中で変わった様子はない・・・ 次、キッチン!・・・も異常なし、か ・・・いや、異常発見! 「チョコレートと油のニオイがするぞ。」 聴覚と嗅覚には自身のある久遠、聞き耳を立てる。久遠の手の中では、エルガ が冷や汗ダラダラ。。。 かたり 「そこだっ!!」 バタン! 戸棚の下の戸を開けると、そこにはシンメイ、イオ、リゼの3人と、 沙羅とヴェルナと・・・メイド姿のCTaが、かなり無理な体勢で収まっていた。 「・・・お前ら、何やってるんだ?」 驚くよりも、まずはそのスタイルに呆れる久遠。 「どこから説明したらいいかなー・・・とりあえずヌシさん、悪いけどCTaの ねーちゃんを引っぱり出してくれないか? 無理矢理つっこんだら、出せなく なっちゃった・・・」 珍しく困惑した表情で、かつストレートにお願いするリゼ。 確かに、CTaの 顔色も・・・良くない・・・ 「って、呼吸困難になってるじゃないかっ!」 手にしたエルガをほっぽりだし、大慌てでCTaを引きずり出す久遠。だがどの ように入ったものか、なかなか出てこない・・・ 数分後。 「はぁ、はぁ・・・ 死ぬかと思った・・・」 飛びかけていた意識がようやくハッキリしたCTaは、久遠から受け取った麦茶 を飲みながら、 「だから、バレンタインじゃない、今日は。だからちょっとどっきりイベント をしようと思って、先にあがって作業をしていたわけ。」 等と、経緯を説明していた。 「先回りも何も、俺の部屋にピッキングで入る時点でどうかと思うが。しかも 機械油くさいメイドのままだろ?」 「細かいことは気にしなーい。」 「そういうレベルじゃないって、犯罪だってば。」 「まぁまぁ、あたしとあんたの仲じゃないか。つーことで、はい義理チョコ。」 半ば強引に丸められた気が・・・と苦笑いする久遠に特大のチョコが渡された。 「あとはあんたの神姫たちの本命チョコがあるぞ。 今年はあたしが監修した から、神姫の脚とかは入ってな・・・」 と言うが否や、イオの酒瓶による一撃がCTaの後頭部に炸裂。声もあげられぬ 程の痛みなのだろうか、その場にうずくまるCTa。 その姿に沙羅がぼそり。 「イオぉ、気持ちは分かるっすけど・・・ あ、すんまそん。。。」 だが、イオの怒りの涙目に謝り小さくなる沙羅。 さらに十数分後。 久遠に冷却パックをもらい後頭部に当てて、イオたちに一言二言告げたところ で、CTaは仕事の続きがあるとのことで、メイド姿のままで帰っていった。 「はぁ・・・何だったんだ? ったく・・・。」 CTaと沙羅・ヴェルナを送り出し、再び部屋へ振り向くと、目の前にふよふよ と浮かぶイオ。 「マスター、いつもお疲れさまです。これ、私たちの気持ちです。受け取って 下さい〜!」 と、足下ではシンメイとエルガが、テーブルの上ではリゼが、それぞれにハコ や包みを用意していた。ちょっと照れたそぶりでリゼが、 「どっきり大作戦は失敗しちゃったけどねー。」 と言うと、シンメイも続けた。 「今年は昨年のようなことがないようにと、CTa姉様が手伝って下さったので 大変に良いモノが出来ましたよ。」 皆からものを受け取り、さっそく開く久遠。昨年のように大きなもはないが、 下手な洋菓子屋よりも手の込んだ「作品」であった。 リゼは、生チョコ風に仕立てたのハート型。 イオは、自らの顔をモチーフにした彫り物。 シンメイは、完全な球形のマーブル柄のチョコ。 エルガは、にくきゅう型のクランチチョコ。 いずれも食べるのが惜しいくらい。 「あんれまぁ・・・ 本当にお前たちが作ったのか?」 頷く4人。自称、彼女いない歴=年齢な久遠、 「2年連続で、こんな形でチョコもらえるなんて・・・ 俺ぁ嬉しくて・・・」 と、涙を浮かべる。 ふらり立ち上がった久遠は、自室へ入り秘蔵のシングル モルトを持ってきた。 「嬉しくてたまらない!今日は飲むぞ! つまみはチョコとこのケーキだっ!」 テーブルに、酒瓶とケーキと、神姫たちのチョコが並べられた。 「にゃーん!! そんなに喜んでもらえると、にゃーもうれしいのだ!」 久遠に飛びつくエルガ。 それを引き剥がそうとするシンメイ。 「あっ! マスターの独り占めは許しませんよっ! エルガ、離れなさい!」 片やこちらでは、 「そうだイオ、ナッツ持ってきてよ。 あたしゃ漬け物出すから。」 「そうですねぇ・・・リゼ、漬け物じゃなくて氷の支度をお願い。」 と、飲みモードに突入しているお二人。。。 かくして、久遠と神姫たちの、2月14日の夜は更けていく。。。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「どれっくらい呑んだんだろう・・・。」 深夜。 テーブルに突っ伏したまま寝てしまった久遠、のどの渇きて目を覚ま した。 散乱する酒瓶、空き缶。 ケーキの皿は見事に空っぽ。 だが、神姫 たちのチョコは・・・ すべてきれいなまま。 久遠は、勢いで食べることは しなかったようだ。 「これは・・・ 静かに、ひとりでうれしさを味わいたい時に食べようかな。」 麦茶を飲みながら、ハコや包みに戻し、自室の机の上へ置いた。 と、その時 ふと思い出した久遠は、 「そういや木野羽のやつ、何を作ったんだ? 義理チョコっていうには・・・」 先に渡されたCTaの包みを開けた。 「あいつ・・・。どこが義理チョコなんだよ。 食えないじゃないか、こんな もの・・・。」 デスクライトで照らし出されたそのチョコには、久遠の神姫たち4人と沙羅・ ヴェルナの顔が実に美しく描かれ、真ん中には小さく「Love for YOU」。。。 久遠はふっと息をつき、イスに腰掛けて笑みを浮かべると、机からミニチュア ボトルとショットグラスを取りだし・・・ CTaのチョコを目前に置き、それ を眺めながらグラスを静かに傾けた。 同時刻、東杜田の片隅。 工場に隣接する公園のベンチ。着込んでモコモコになった木野羽は、ポケット にちいさな2人を入れて、缶ビール片手に3人で夜空を眺めていた。 届け、ちいさなものに乗せた、あたしの想い-。 今日は2月14日。 大切な貴方へ、想いを伝える日-。 <トップ へ戻る<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1297.html
戦うことを忘れた武装神姫 その35 とある休日。 僕はツガルのマーヤと共に昼飯がてら近場の公園を散策していた。 穏やかな天気の午後とあって、公園内は家族連れも多い。 「そろそろ紅葉の季節だね・・・」 僕が言うと、 「・・・朝晩が涼しくなりましたから・・・。」 ポケットに収まるマーヤも木立を吹き抜ける風を感じていた。 ・・・と、突如子供の泣き声が側から響いてきた。・・・やべっ、転ばせたか?立ち止まって振り返る。 なんだ、別に転ばせたりしたわけでは無さそうだ。単に駄々をこねているだけかな。 「あの、おにいさま・・・あれ・・・っ!」 再び歩き出そうとしたとき、マーヤが僕を呼び止めた。 マーヤの視線の先には、ジュビジーが風船にくくりつけられフワフワと上昇しているではないか。 その下では子供が泣き叫び、おそらく母親と思しき女性がうろたえていた。 ・・・おいおい、何をしたんだあんたたちは。 幸いにも風船は紐が木の枝に引っかかったが、とても手が届きそうもない高さ。 母親が周囲の人に声をかけ助けを求めてはいるが、宙づりのジュビジーが半ばパニックとなり、早くしないと・・・ 「あっ!!」 様子を見ていた一人が声をあげた。 ジュビジーが暴れたことで風船の紐が枝から外れ、再び上昇を・・・こりゃいかん・・・!! 「おにいさま、私を投げて下さい!」 さっとフル装備を整えたマーヤがポケットから飛び出した。 「おう、了解だっ!」 マーヤが何を言いたいか、目を見ればわかる- 。身を丸めたフル装備のマーヤを手に乗せ、かつてリトルリーグ時代には地区準優勝まで導いた自慢の肩で- 「どっせぇいっ!!!」 風船めがけてマーヤを放った。 どこまでも抜けるような青い空を撃つ、赤い弾となったマーヤ 。 さっくり風船を撃ち抜き、すぐさま全身の装備を展開、エアブレーキと同時にバーニア全開で反転。悲鳴を上げて自由落下するジュビジーに追いつき・・・見事にキャッチ。 重量の割には高い出力のある装備を纏うツガル型であるマーヤは、軽々とジュビジーを抱きかかえて、かの子供の手の届く高さの枝へと降り立った。 「ふぅ・・・ミッションコンプリート、ですね。」 子供の手の中に飛び込むジュビジーを確認し、ほっと一息ついたマーヤがふわりと肩へと戻ってきた。 周囲から沸き上がる歓声と拍手。 「おつかれさん。」 「おにいさまこそ、ナイスで正確なスローでしたよ。」 ・・・聞けば、母親が目を離した隙に子供が風船にジュビジーを結びつけて、振り返ったときにはあの状況だったらしい。 「今度からは悪戯をしないようにね。神姫はおもちゃじゃないんだよ。」 まだ涙目の子供に、しゃがんで声をかける。 横では母親がまるで何かの、それこそおもちゃのように頭をヘコヘコ下げている。なにも、そこまでされる柄じゃないってば・・・ん? どうしたマーヤ? 「おにいさま大変です! あと・・・15分で、これから行くラーメン屋の替え玉無料サービスが終わってしまいます!!!」 差し出された小さな神姫サイズの懐中時計を見れば、時刻は間もなく14時。 「うおぉ! い、いかん! いそぐぞっ!!」 「はいっ!」 再びマーヤをポケットに収め、僕はラーメン屋を目指し秋の風を頬に感じながら、公園を駆けていった。 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2005.html
ichguc改めレイキャストです。まだまだ表現は未熟なところはありますが、楽しんでいってください。 キャラクターの項は後々加筆する予定です。 コラボ大歓迎です!! 作品目標:「リリカルなのは」みたいに矛盾だらけになっても進める!! 主な登場人物 主な登場神姫 用語解説 最新情報 2009.8.21 最新話をうp。 2010.4.13 最新話をうp。それに伴いページ名を一斉変更。 「The Armed Princess Zero」(岡島士郎と愉快な神姫達・HOBBY LIFE,HOBBY SHOPより、勝手にキャラ抜粋) プロローグ 零之壱 零之弐 零之三 「The Armed Princess -武装神姫-」 第壱話:始まり 第弐話:戦い(微エロ注意!) 第三話:特訓 第四話:潜入 第五話:敗北と挫折(軽い破壊描写有り) 第六話:新たな始まり 第七話:ライバル登場!? 第八話:決戦前夜 第九話:虚実と現実 第壱拾話:脅威(エロ描写有り) 第壱拾壱話:押しかけ妹?! 第壱拾弐話:戦端、開かれたし 第壱拾参話:トランザム 第壱拾四話:異端者 第壱拾五話:嫉妬の炎は燃え上がる!? 第壱拾六話:話せばわかるって!! 第壱拾七話:銃声は深淵の中に 第壱拾八話:狂気渦巻くは暗闇の果て 第壱拾九話:勝者には栄光を、敗者には屈辱を 第弐拾話:復活の白き刃 第弐拾壱話:巨人と戦乙女 番外編シリーズ「出会い」 その壱:アカツキの場合 その弐:ドライの場合 その参:無頼の場合 以下の作品より、キャラ及び設定などを借用させていただいております。 魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン HOBBY LIFE,HOBBY SHOP おまかせ♪ホーリーベル 武装神姫のリン ホワイトファング・ハウリングソウル ウサギのナミダ キズナのキセキ 本日のアクセス数: - 昨日のアクセス数: - 合計アクセス数: - ツッコミ、感想その他があればジャンジャンバリバリこちらへどうぞ。 コメントが少ない事に嘆いてらした様なので、少々書かせて貰います 背景が某作などから取りすぎではないかと思いますし 其処まで風呂敷広げなくては駄目な構成なのでしょうか? その為か今一作品に入り込めないんですよねぇ それに軍用が有るってのはは行き過ぎかな 昨今のリアルな軍事状況等を考えれば、有り得る話ですから、使いたい気持ちは解りますけど、神姫なんですからねぇ 作品として面白いだけに蛇足に見えてしまい、今までコメントを書けずにいました 走り出した話は完結まで頑張って欲しいので、偉そうな事書かせて貰いました 御不快な思いをさせてしまったのでしたら謝罪いたします -- (貴作の一読者) 2010-06-09 02 04 51 一読者様> いえいえ。むしろコメントしていただいてありがとうございます。 言われてみれば今更ながら少々広げすぎた感も・・・。(^^;) 結局出せたの1勢力だけですからね・・・・。OTL これからもよろしくお願いします。m(_ _)m -- (ichguc) 2010-06-09 12 59 31 どうも、「The Armed(ry」の作者のichgucです。 突然ですが、現在文化祭ネタを考案しています。 そこで、趣向を凝らしたバトルを開催する予定ですが、皆様の作品のキャラを 「一般参加者」として出演させたいと思っています。 希望される作者様は当作品のコメントにて、お申し付け下さい。 -- (ichguc) 2010-06-19 12 10 54 スピード感が難しいですねぇ 原典アニメで見てるから解りますけど(笑) 終わってからの時間が中途半端なせいかなぁ? 逆に勢力とか以外では単語使わない方がすっきり纏まるかもしれません まぁ「トランザム」は今更引っ込め無いから仕方無いとしてもMS名の出番は減らした方がと思えます 勿論作者様がお決めに成る事ですけどね 最後に神姫募集についての質問です 作品は出してませんが以前開催されたウキウキバトルに参加した神姫でも宜しいでしょうか? 尤もリアルバトルで破壊される役とかに出されのは勘弁願いますがね -- (触神) 2010-07-08 04 41 07 なるほど・・・。検討してみます。 一般参加の件、ありがとうございます。 それと、神姫の名簿(名前とタイプなど)を書き込んでいただけると幸いです。 -- (ichguc) 2010-07-09 10 25 02 参加OKって事だと判断しましたので、書込ませて貰います ストラーフのラプラス エウクランテの六花 性格なんかは公式掲示板内「神姫達の日記」の私の投稿を読んで貰えれば(笑) リアル破壊以外でしたら使われ方に文句は言いません -- (触神) 2010-07-10 02 39 20 触神さま> そういわれて神姫NETを探してみましたが・・・ありませんでした。(TT) 具体的にはどこの掲示板でしょうか? -- (ichguc) 2010-07-14 09 53 24 説明が足りませんでしたね失礼しました 神姫net メッセージ掲示板 投稿№657 神姫たちの日記【5冊目】(二次創作トピ) 一冊目からチョコチョコ参加させてもらってました 参考までにどうぞ -- (触神) 2010-07-16 18 41 11 拝見させて貰いました。 六花は性格からして・・・偵察兵か支援兵でしょうか? ラプラスは・・・まあ、突撃兵か技甲兵にでもしておきます。 お楽しみにww -- (ichguc) 2010-07-19 08 35 56 改名しました。これからもよろしくお願いします。 -- (レイキャスト) 2011-01-10 15 51 38 他のSSで出切って無い神姫まで使っちゃうのは如何でしょうかねぇ?それもボスクラスを、向こうの作者さんが許可してたらスミマセン -- (通りすがり) 2011-03-03 13 24 38 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2229.html
戦うことを忘れた武装神姫 その43 ・・・朝。 目覚ましの音に、久遠はけだるそうに体を起こした。 珍しく、神姫たちの助けを借りずともおきられたな・・・そんなことを考えながら立ち上がり、机上のクレイドルで寝ているエルガを突付いて起こす。 「おはよう、エルガ。」 ゆっくりと起き上がったエルガは、ごしごしと大きな瞳をこすりながら久遠を見上げると。 「・・・ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいでしょうか?」 着替えようとシャツを脱ぎかけていた久遠の動きが止まった。 「ちょ・・・え・・・エルガ・・・?」 「ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいのでしょうか」 セットアップの時の、まさに機械的な音声で応える・・・いや、反応するエルガに、久遠の顔色が変わった。 強制リセットがかかったのか、はたまた何かのエラーが起きたのか・・・戸惑う久遠だったが、ふと思い出したかのようにイオの姿を捜し求めた。 「あいつなら・・・神姫の技術的なことに関してはあいつが一番知っているから・・・何か、何か知っているはずだ!」 ワタワタとうろたえながら部屋を見回せば、イオは本棚に置かれたスコッチ辞典の脇に置かれたクレイドルで寝息を立てていた。半ば叩き起こすかのようにイオを起こす久遠。 眼を開いて顔を上げたイオに、久遠は少し上ずった声で話しかけた。 「イオ、起きて早々ですまないが・・エルガの様子がおかしいんだ、ちょっと診てくれないか?」 すると、イオは・・・。 「マスターの事は、なんとお呼びすればよいのでしょうか。」 再び、久遠の動きが止まった。 「イオ、い、いま何と・・・」 だがその声に対しても、 「マスターの事は、なんとお呼びすればよいのでしょうか。」 と、イオはエルガと同様に機械的な反応を繰り返した。 (まさか・・・。いや、しかし・・・) 全身の血の気が引くような感覚に襲われた久遠は、最後の望みであるシンメイを呼んだ。イオほどの知識はないけれど、神姫の損傷診断能力スキルは十二分に持つシンメイなら・・・っ! 「シンメイ、シンメイ! 起きているんだろ?」 今日は目覚まし当番のシンメイ、早めに起きて食卓辺りにいるはず・・・。だがしかし返事はない。どこにいるものかと探せば、食卓に置かれた大型の共有クレイドルの上でスリープスタイルに。 久遠の背中に、悪寒が走った。 恐る恐る声をかける久遠。 「シンメイさーん・・・。」 すると、シンメイは静かに顔を上げ、瞳を開けると。 「マスターの事は、なんとお呼びすればよいのでしょうか。」 * * * ・・・朝飯を食べることも忘れ、部屋のカーテンを開けることも忘れ。久遠は3人を食卓の共有クレイドルに乗せて再びスリープモードとして、傍らに置いたネットブックで必死に調査をしていた。だが有力な答えは得る事が出来ず。ぐしゃぐしゃと頭をかき、檻の中の熊のように家の中をグルグル歩いたかと思えば、再び座って検索・・・。 そうこうしているうちに迫る出社時間、久遠は大きなため息をつき、神姫たちと、神姫たちが寝ていたクレイドルをバッグに詰めた。 春らしくない寒空の下、神姫たちを詰めたバックを下げた久遠は、出社前に東杜田技研へ立ち寄ると守衛に頼みCTaを呼び出した。 しばしの後やってきたいかにも徹夜明けといった姿のCTaは、面倒くさそうにしながらも久遠の語った今朝の出来事をしっかりと聞くと、「調べるだけ調べてみる」と言いながら、神姫たちとクレイドルを久遠から預かった。 仕事にろくに手が付かず、どことなく上の空のまま時間を過ごし、退社時間になるや否や飛び込みの仕事もガンと拒否し、大急ぎで東杜田技研へ。 すると、図ったかのように入り口で待っていたCTa。 どうだったか、とバイクから飛び降りながら聞いてくる久遠に、CTaは軽く肩をゆすりながら笑みを浮かべて。 「基本的に異常は無しだなー。 ・・・ま、今日1日くらいは神姫たちを寝かせてやれ。明日には直るだろうよ。」 と言いながら久遠に、神姫たちとクレイドルが入ったカバンを手渡した。 そしてまた忙しそうに、工場内へと消えていった。 帰宅した久遠は、机の上にそれぞれのクレイドルを並べ、神姫たちを再びスリープ状態として並べた。 静かに眠る3人を前に、久遠は再びネットブックで、思いつく限りの調査を開始。神姫本体から、クレイドルの不調、果てはくれイドルにつながるケーブルへのノイズ干渉・・・。しかし有力な結果を得られぬまま、やがて久遠はいつの間にか眠ってしまっていた。 翌朝。 「にゃーさん、はやくおきるの! おきないと遅刻するの!!」 久遠の耳に響く聞きなれた声、そして耳たぶを引っ張る何か。 「にゃーん!! 起きないと、魚肉そせじ全部食べちゃうよ?」 ・・・間違いない、この声の調子は・・・ 「・・・エルガ!」 「うぉ・・・にゃーさんなにをするやめろくるしい・・・むぎぅ・・・」 久遠はエルガを手にしてほお擦りをしていた。 すると、今度は久遠の肘を何かが突付いた。 「あの、マスター。お楽しみのところ申し訳ありませんが、今日は早番だったかと・・・。」 そこには、タッチペンを手にながらPDAの週間予定表を指し示すイオの姿。 「良かった・・・元に戻ったのか・・・っ!!!」 イオの頭を撫でようと、久遠がエルガを開放し手を伸ばすと、 「もう・・・はやくしてください!今週は皆で朝ごはんを食べようって決めたじゃないですか。」 と、今度はシンメイが、エプロン姿でやってきた。 シンメイの姿を確認した久遠は、眼に涙を浮かべ、何も言わずに大きく頷き、神姫たち3人と共に食卓へと向かった。 ・・・しかし、昨日のアレはいったいなんだったんだろう・・・? CTaは何か知っている感じだったが・・・まぁいい、そのうち時間がある時にゆっくり教えてもらうとしよう。いまはただ、皆がいることを喜びたい・・・! そう考えながら、朝食のためのフレンチトーストを手際よく作る久遠なのであった。 * * * 「・・・ということが、3年前にあったのさ。」 H市のバー。久遠は、リゼと共に酒を楽しんでいた。 3年前の4月1日に、久遠に降りかかったエイプリルフールのネタ。今でこそ笑える話だけれどね、と〆た久遠の話を、リゼは興味深く聞いていた。 「それにしても。ずいぶんと手の込んだエイプリルフールネタを振ってきたんだねぇ・・・。」 と、小さなグラスに注がれたモルトを傾けるリゼ。 「まったくだよ。 『あの焦り具合がとってもキュートでした』なんて、しばらくの間シンメイにまで言われてたんだぜ。 しかも、その入れ知恵したのがCTaだっていうんだから、もうね・・・。」 「まー、確かに全員がリセットなんてなったら、ヌシさん悶絶して爆発するでしょ」 「そうだなぁ。爆発はしないまでも、どうかなるかもしれないな。」 久遠もまた手元のグラスを傾け、さらに数日後に、CTaの神姫である沙羅とヴェルナからネタばらしをされた時のことを教えた。 結局、エイプリルフールに絡めたネタ、演技だったわけだが、数日前から入念に準備を進め、CTaのところに駆け込むという流れまでも計算し、エルガは喋り方の練習までしたとか・・・。 それらの経緯を手元のグラスを空にしながら久遠が教えると、リゼは楽しそうにクスクスと笑った。 「ヌシさんは変に正直なところがあるからさ。向こうとしても『うわぁ!入れ食い!つられてやんの!』って感じだったんじゃないかな、クックック・・・」 「おいおい、リゼ。それはどういう評価なんだよ。」 苦笑いを浮かべた久遠に、ウインクで返したリゼ。 「で。今年のエイプリルフールは逆襲してやろうってわけだね」 久遠の意を汲んだリゼは、瞳に、隠しきれないワクワクした輝きを見せながら、にやりと笑みを浮かべた。 「そういうこと。 リゼはこういうイベント、好きだろ?」 久遠がメモ帳とボールペンを取り出しつつリゼに振ると、 「ふっふっふ・・・聞くまでもないだろう・・・ この作戦、リゼ様に任せなさい!」 自信満々な顔つきでびしっ!と人差し指を立てた。 「さぁて、逆襲として効果的で、しかし1日で毒が抜けて・・・あとで小噺のネタに出来るような、そんなエイプリルフールに出来るよう、しっかり仕込みをしようかね。」 今日は3月31日。バーの片隅、静かな時の中で。 酒を片手にした二人の作戦会議は、まだ始まったばかり-。 ニンゲンのココロに寄り添い、「嘘」をビタミンとしたいと想う神姫がいる。 そう、ここにいるのは、戦うことを忘れた武装神姫-。 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1487.html
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -07 楽屋 リゼ「どーもー。主演のリゼだよーん。」 イオ「監督のイオです。」 リゼ「この話、細かい設定一切なしなのねん。 皆様で、どういう場面かをどうぞ考えてくださいって方向で。」 イオ「それから・・・マスターが勢いで作ったということなので、お見苦しいこと、どうかご容赦を。」 リゼ「そろそろ本編も進めてもらわないとね。ねぇ、ヌシさ・・・あれ?」 イオ「ふとんの中はマオチャオのぬくもりとか言いながら寝てしまいましたよ・・・」 リゼ「まぁ、いっか。 あたしもヌシさんと寝るー!」 イオ「あ、こら! 監督の私をさしおいて・・・」 かくして、夜は更けてゆく。 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/269.html
武装神姫 コメント コナミデジタルエンタテインメントから発売されているフィギュアシリーズおよびオンラインゲームサービス。 トゲキッス アーンヴァル(天使型) ストリンダー ストラーフ(悪魔型) オーバードライブ必須。 テッカニン フブキ(忍者型) ルカリオ ハウリン(犬型) ニャース マオチャオ(猫型) ミミロップ:ヴァッフェバニー(兎型) エルレイド:サイフォス(騎士型) カモネギ:紅緒(侍型) デリバード:ツガル(サンタ型) ロズレイド:ジルダリア(花型) フシギダネ:ジュビジー(種型) オクタン:フォートブラッグ(砲型) 発射系の攻撃が多いので ムクホーク:エウクランテ(セイレーン型) ミロカロス:イーアネイラ(マーメイド型) ジュゴン:ヴァッフェドルフィン(イルカ型) ライコウ:ティグリース(寅型) ミルタンク:ウィトゥルース(丑型) エレキブル:グラップラップ(建機型) 色だけなら似てるよ! ハッサム:アーク(ハイスピードトライク型) マニューラ:イーダ(ハイマニューバトライク型) マニューバだけにマニューラ・・・ってちょっと苦しいか バタフリー:シュメッターリング(蝶型) オオスバメ:飛鳥(戦闘機型) メタグロス:ムルメルティア(戦車型) ブーバーン:ゼルノグラード(火器型) ヘラクロス:ランサメント(カブト型) カイロス:エスパディア(クワガタ型) グライオン:グラフィオス(蠍型) ドラピオンじゃないのはグラつながりだから クロバット:ウェスペリオー(蝙蝠型) エレキブル:ベイビーラズ(エレキギター型) コロトック:沙羅檀(ヴァイオリン型) ピクシー:ウェルクストラ(天使コマンド型) ムウマ:ヴァローナ(悪魔夢魔型) サーナイト:ハーモニーグレイス(シスター型) ハピナス:ブライトフェザー(ナース型) オオタチ:パーティオ(フェレット型) パチリス:ポモック(リス型) フーディン:メリエンダ(スプーン型) 無理やりだがスプーンを握っていることから コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る ストリンダー ストラーフ(悪魔型) オーバードライブ必須。 -- (ハ!) 2021-07-25 21 05 31 草案 主題歌 OPテーマ ガラガラ:孤高のカタルシス EDテーマ ラブカス:か弱き十字架の愛 -- (ユリス) 2021-07-17 16 59 27 トロピウスorハリテヤマorダグトリオorゴマゾウ アーンヴァル(天使型) -- (ハ!) 2021-07-17 15 44 37 草案 フーディン:メリエンダ(スプーン型) 無理やりだが キュウコン:蓮華(九尾の狐型) レパルダス:アーティル(ヤマネコ型) ジュカイン:オールベルン(剣士型) エアームドorトゲキッス:ヴェルヴィエッタ(ビックバイパー型) -- (ユリス) 2016-03-04 22 30 18 オスしかいないポケモンは論外じゃないか -- (名無しさん) 2011-10-21 02 08 43 ヴァッフェドルフィンにジュゴンはどうかな? -- (名無しさん) 2010-12-18 09 30 23
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/277.html
BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(前編) ◆U1w5FvVRgk. きっかけは一人の少年の呼びかけであり、それを聞いたのは全部で十四人だった。 狂人、アルター使い、復讐鬼、三人の高校生、二体の人形、騎士、弁護士、侍、大泥棒、二人の中学生。 実に多種多様な顔ぶれである。 この内、弁護士、侍、大泥棒、三人の高校生は遠ざかるか死亡した。 残る出演者は少年を加えた九名。時間は十分間。 この間の出来事はどのように表現するのが正しいだろうか。 悲劇? 喜劇? 惨劇? 活劇? 運命劇? 群集劇? いやいや、狂人――浅倉威ならばこういうだろう。 『楽しい愉しい祭りの始まりだ』と。 ■ ■ ■ 「ぎゃあっ!」 予期せぬ横合いからの衝撃に、織田敏憲は見た目通り蛙の潰れるような声を上げて吹き飛んだ。 桐山が追いかけてこないかと背後ばかりに気を取られ、それ以外への注意を怠ったのが不味かった。 何が起きたのか解らないまま、彼は受身を取る間もなく地面にその身を打ちつけて数度転がる。 脇腹が痛む。いつも自然としている呼吸を行うのすら苦しい。 もしかしたら、肋骨にヒビでも入ったのかもしれない。 衝撃を受けた際の感触からして、何者かに横腹を蹴られたのだとは判った。 絶え間なく襲う痛みに呻きながら、彼は襲撃者へと顔を向けた。 そこに立っているのが桐山でありませんようにと祈りながら。 普段の織田ならば、ここまで弱気な心持ちになりはしないだろう。 むしろ高貴なる自分に蹴った下品な存在に怒りを向けるはずだ。 しかし、こうなるのも無理は無い。 何しろ、彼は一度桐山に殺されているのだから。 しかも、倒れた状態で股間にサブマシンガンを打ち込まれるという無様な死に様である。 これでトラウマにならない方がおかしい。 果たして――織田が目にした襲撃者は男だった。だが、桐山ではない。 内心ほっとしたが、次に湧き上がってきたのは怒り。 何故、選ばれた存在である自分が地べたに這い蹲らなければならないのか。 彼にはそれが許せなかった。 目の前に佇むは暴力を奮ってきたことからも分かるとおり下品な奴僕。 加えて男には織田の怒りを増幅させる要素がいくつもあった。 織田敏憲の嫌いな奴その一 顔の良い男。 男の顔は良かった。目鼻が整った、凛々しいと言える顔立ち。 間違いなく美形に分類されるだろう。 着ている白い騎士服がさらに顔の良さを引き立てている。 織田の土塗れになった学生服とはえらい違いだ。 嫌いな奴その二 背の高い男。 男は背も高かった。162センチの織田と比べても15センチは上背がある。 自分を高い位置から見下ろされるのが、織田には堪らなく不快だった。 嫌いな奴その三 下品な人間。 これは言うまでもない。いきなり人を蹴り飛ばす輩を下品と言わずなんと言うのか。 結論として、男は織田が一番嫌いなタイプだった。 「下品な暴力奴僕の分際で高貴なオレを跪かせるなんて……許されるわけないだろ!」 人並み外れた自尊心と怒りが痛覚すら忘れさせたのか、織田はよろよろと立ち上がった。 相手は見たところ無手。デイパックすら背負っていない。 対する織田の右手には、まだワルサーP38が握られていた。 弾はまだ一発だけ残っている。 あれほどの蹴りを受けて銃を離さなかった自分を心中で賞賛した。 躊躇せず銃を男に向けて、左手も添えて狙いを付ける。 織田と男の距離は精々数メートル。外す確率は低い。 銃を持つ者と持たざる者。この差が高貴な存在と下品な奴の差だと、織田は悦に浸る。 いくら格闘技に優れようが、銃相手ではどうしようもない。 次の瞬間には男は恐怖に顔を歪ませ、見っとも無く命声を上げるはずだと織田は予測した。 しかし、男は銃を向けられても微動だにしない。 ただ能面のような無表情を織田に見せるだけだ。 その無表情が織田に一瞬だけ桐山を思い出させたが。 (ふん、どうせただの強がりだろ。下品な奴僕の精一杯の下品な抵抗という訳だ) さして気にせず、薄ら笑いすら浮かべる。 そして、高貴なる存在を傷付けた愚か者に天誅を与えようと引き金に力を込めて。 ふと、織田の脳裏にある光景が過ぎった。 桐山の印象が強すぎて、彼は忘れていた。 前の殺し合いで棍棒しか携えていなかった杉村弘樹に背後から銃を向けた事。 確実に仕留めたと思ったのに、直後に銃弾を避けられた上に手痛い反撃を受けた事を今さら思い出す。 弾丸が放たれる直前、織田は眼前の男の瞳が赤く輝くのを見たような気がした。 ■ ■ ■ パチパチと拍手が鳴る。 スザクはそちらに目を向けて、対象を認識した途端、今までの無表情が穏やかな相貌に変化した。 拍手を鳴らすのはローゼンメイデン第一ドール・水銀燈。 スザクの【最愛の存在】である。 「お見事ねぇ。それが貴方の言っていたギアスの力?」 「うん。あまり使いたくはなかったけど。君の為なら喜んで使わせてもらうよ」 本当に好ましくないと思ってるのだろう、スザクの言葉には自嘲と嫌悪が混じっていた。 もっとも、水銀燈にはスザクの気持ちなど知ったことではない。 手駒としてスザクが使えるのならどのような力であろうと関係ないのだ。 水銀燈の視線の先には、スザクの傍らで倒れ伏す少年があった。 鮮やかな手並みだった。 銃弾を避けたと思ったら、次の瞬間には首筋に当身を入れて気絶させたのだ。 スザクと戦っていたら、こうなっていたのは水銀燈だったかもしれない。 改めて敵に回さなくてよかったと、水銀燈は本心から思った。 「落ち込む必要は無いわ。むしろそれだけの力を持つことを誇るべきよぉ」 「ありがとう。そう言ってもらえたら嬉しいよ」 【最愛の存在】に褒められ、スザクは照れ臭そうに微笑んだ。 単純だなと考えながら、水銀燈は戦果の報告を求める。 「それで、そいつは銃以外に何を持ってたの?」 「ああ、これとこれなんだけど」 スザクが少年の支給品を見せ付ける。 それらを目にした途端、不満げに水銀燈は顔を顰めた。 「どっちも私は使えそうにないわねぇ。そいつの持ち物はあんたが持ってなさい」 「じゃあ、遠慮なく頂いておくよ」 スザクは銃のみ弾丸を込めてから携え、残りの支給品をデイパックに戻した。 後は少年の処遇を決めるだけだ。 「それで、彼はどうするの?」 「そうねぇ……放っておきましょう。そんな醜い男の死体なんて見たくないわ」 白目を剥いて気絶している少年の顔を見ると、水銀燈に嫌悪感がありありと浮かんだ。 スザクは水銀燈の言葉に逆らわずに頷いた。 元から彼に逆らう自由など無いのだが。 「そうだね、弾が勿体無い。鎌を使っても血で切れ味が悪くなるかもしれないからね」 本人が聞いたら憤慨しそうな言葉を言い捨ててから、スザクと水銀燈は歩みを再開した。 後に残されたのは、無様な顔を晒す少年のみだった。 「そういえば、ルルーシュ、だったかしら? あんたにギアスを掛けたのは」 「……ああ、そうだよ」 「友達……だったのよねぇ?」 「うん。友達だった。でも、あいつがユフィを殺し、僕が彼を皇帝に売った事でその関係は終わったんだ」 「ふーん……それじゃあ、私が仲直りしなさいと言ったらできる?」 「ッ!? ……君と会ってから、何故か彼への恨みが少しだけ薄れたんだ。 どうしてもというなら、できると思う」 「そう」 スザクの言葉に素っ気なく答えながら、水銀燈は思った。 ああ、自分と真紅に似ているなと。 ローゼンメイデン第一ドール・水銀燈。 彼女が目覚めたのは姉妹たちの中でも一番遅かった。 本来なら長女である水銀燈は最初に誕生して、最も長く活動しているはずだ。 しかし、彼女の父であるローゼンは水銀燈を未完成の状態で放置した。理由は不明だ。 未完成品に核であるローザミスティカが与えられる事もなく、彼女はそのまま眠り続けるはずだった。 だが、ローゼンに会いたいという一念から水銀燈は動き出してしまう。 歩くことも出来ず、亡霊のように彷徨う果てに出会ったのが真紅だった。 水銀燈は真紅から様々な事を教えられ、そのおかげで歩けるようにまでなった。 水銀燈は真紅に感謝していた。 それが哀れみから来ているとも知らずに。 真紅はアリスゲームの存在を水銀燈に教えなかった。 ローザミスティカが無い水銀燈は、いずれ機能を停止してしまう。 真紅は当時の媒介に水銀燈を預ける際に迷惑にならないよう、水銀燈に優しくしてきたのだ。 それを知ったのは、Nのフィールドでの真紅と蒼星石の戦いに巻き込まれ、水銀燈が死ぬ間際だったが。 されど、水銀燈は死ななかった。 Nのフィールドに沈んでいく水銀燈に、ローゼンが現れローザミスティカを与えたのだ。 今度こそ水銀燈はローゼンメイデンとして復活し、真紅と再会した。 が、真紅は水銀燈を未完成という理由からローゼンメイデンであることを否定した。 激昂した水銀燈は、真紅がローゼンから与えられたブローチを破壊した。 それで二人の仲は決裂。今ではお互いに敵愾心しか抱いていない。 聞いた限り、スザクとルルーシュも最初は仲が良かったが、今では敵対しているという。 そんな二人が薬の効果もあるとはいえ、同行しているのは何の因果だろうか。 (もし、真紅がスザクと同じ状態で仲直りしたいとかほざいたら、私はどう思うかしら…… 絶対に良い思いはしないわねぇ。むしろ真紅をそんな風にした奴に怒りを向けるわ) ルルーシュと会ったら殺しておこうかと考えながら、水銀燈は操り人形と一緒に進む。 その心配が杞憂であることを彼女はまだ知らない。 ■ ■ ■ 振り下ろされる橙色の鋏を蛇の尾を模した黄金の剣が受け止める。 戦闘開始から何度か繰り返された光景がまた作られた。 互角の鍔迫り合い――とはいかない。 「……つまらん。この程度か?」 「ッ!」 受ける側である王蛇――浅倉威が攻める側であるシザース――蒼星石に失望を告げた。 軽い。蒼星石の一撃一撃は浅倉にしてみればあまりにも軽かった。 右手一本で受け止めてまだ余力が余るほどだ。 仮面ライダーに変身しているとはいえ、蒼星石の背丈は浅倉より一回り小さいことに加え女の子だ。 力比べとなると分が悪くなるのは当然だろう。 そんな事情など浅倉からすれば知ったことではないが。 余裕がある浅倉は、追撃とばかりに鍔迫り合いの状態のまま左手に持つ杖を蒼星石に叩きつけようとして。 「見え見えなんだよ!」 右手のベノサーベルで鋏ごと蒼星石を弾き飛ばすと、連続した動きで体を左に半回転させて杖を振るう。 浅倉に背後から迫っていた八つの宝玉。 橘あすかの操るエタニティ・エイトだ。 地面に落ちた蒼星石が転がっていくのを尻目に、浅倉は自分に迫る宝玉を叩き落そうとして、 「甘い!」 宝玉と杖の先端であるコブラの頭を模した部分が衝突する間際、あすかは一纏めだった宝玉を散開させた。 今度は撹乱を目的としたのか、変則的な動きを見せる。 しかし、浅倉には、仮面ライダーには通用しない。 強化された視力をもってすれば宝玉の軌道を追うなど容易いことだ。 一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ 浅倉は右手のベノサーベルと左手のべノバイザーを振り回し、宝玉を次々と落としていく。 さながらハエ叩きの要領か。 蒼星石が起き上がり空中に浮遊した頃には、宝玉は全て砕かれていた。 「そんな、僕の玉が……でも、まだ!」 瞬間的に呆然としたあすかだが、すぐさま気を持ち直すと周囲の木や地面を分解して宝玉を構成していく。 蒼星石も再び攻撃を開始しようと鋏を構えるが。 「もういい」 地の底から響くような、浅倉の低い声が静止を命じた。 思わず、あすかと蒼星石の動きが止まる。 それほど、浅倉の声には凄みがあった。 怒り、失望、飽き。 三つの感情を混ぜて言霊として吐き出したようにも感じられた。 (イライラするぜ……) 戦いで発散されるはずだった浅倉の苛立ちは、益々募っていた。 同じ仮面ライダーだから楽しみにしていれば、浅薄で軽薄な攻撃しかしてこない体たらく。 もう一人の男が操る宝玉も変則的な動きを楽しめたのは最初だけだ。 明らかにこの二人は力が足りなかった。 これなら先ほど戦った大剣の男の方が歯応えがあった。 浅倉が食してきたものに例えるなら、あの男が生卵、二人はそこらへんで捕まえたトカゲだろうか。 ルルーシュを殺しそびれた直後なら、まだ苛立ちを発散できただろう。 しかし、一度実力者と戦った後でこの二人と戦っても物足りなさが残るだけだ。 故に浅倉はこの戦いを終わらせ、なおかつ次の獲物を探せる方法を取ることにした。 ■ ■ ■ (どうしよう……) 右手のシザースピンチを構えたまま、蒼星石は思案する。 このままでの勝算は低い。 蒼星石はここまでの戦闘をそう分析した。 数の上では二対一と勝っている。 蒼星石とあすかの総合的な力量が浅倉に劣っている訳でもないはずだ。 問題は経験と相性か。 まず浅倉は仮面ライダーの力を使いこなしている。 ここまでの間に何度か使用したのか、元々の持ち主なのかは分からない。 いずれにしろ、体捌きや武装などの扱いから使い慣れているのは間違いない。 対する蒼星石はこの戦闘が初めての変身だ。 戦闘経験こそ豊富だと自負しているが、どうにも突然向上した身体能力に振り回される。 加えて人間相手の戦闘経験も全く無く、体格差から力ではかなわない。 次にあすかの宝玉。 見た限りでは戦闘では変則的な動きで惑わし、相手を拘束なりして戦うのが主な戦法だろう。 汎用性の高さは認めるが、蒼星石同様パワーに欠ける。 だから浅倉のように力押しで攻めてくる相手には弱い。 器用貧乏という言葉が適している能力だ。 同時に攻撃しても、蒼星石をあっさりといなした後に宝玉に対処されてしまう。 このままでは明らかにジリ貧だ。 それでも、まだマシな状況とも言えた。 周囲に反射物が無いので、浅倉は切り札を使えない。 あすかも出来る限り反射させないように宝玉を操ってくれている。 使えないのは蒼星石も同じだが、互いに切り札の撃ち合いになる方が不味い。 撃ち合った結果、蒼星石が負けてしまえば前線で戦う者がいなくなってしまう。 生身で宝玉の拘束を破ってくる浅倉に、あすか一人では対処できないだろう。 一般人である桐山と悟史に頼る訳にもいかない。 いっそのこと時間切れまで粘り、生身の状態の浅倉と戦うべきかとまで考えていたときだった。 浅倉が持っていたサーベルを上方に放り投げたのは。 「「え?」」 蒼星石とあすかの声が重なる。 態々自分の武器を手放す理由が思い浮かばず、思わずサーベル目でを追ってしまう。 サーベルはクルクルと回転しながら高度を増していき、とうとう森の木々を突き抜け空に躍り出た。 木々の隙間から見える、白み始めた空に浮かぶサーベルは僅かに昇る朝日を反射して輝いている。 そう、まるで鏡のようにキラキラと。 (しまった!?) 浅倉の考えに気付き、蒼星石は止めようとしたがもう遅い。 既に浅倉はカードをベルトから取り出し、杖にセットしていたのだから。 『ADVENT』 無機質な機械音声が杖から奏でられ、直後に上空を巨大な影が覆った。 「あすか君、下がって!」 自分の後方に居るあすかに退避を促しながら、蒼星石も後ろに飛ぶ。 二人が跳び引いた次の瞬間には、彼女らの立っていた場所から5メートルほど先にそれは落ちてきた。 ドンッ! と地響きが轟く。 蛇だ。現れたのは浅倉の纏うライダースーツと同色の、紫色の体皮の蛇だった。 しかし、蒼星石もあすかもこのような蛇は見たことがない。 当たり前だ。6メートルを超える大蛇などそう簡単にお目にかかれる代物ではない。 (これが、ミラーモンスター……) 仮面ライダーと契約しているミラーモンスター。 蒼星石のシザースのデッキもモンスターと契約しているが、この状況では出しても仕方ない。 シザースの説明書にはこう書かれていた。 【ボルキャンサー:身長2メートル24センチ、体重165キロ】と。 目の前の大蛇はボルキャンサーより4メートルは巨大だ。 例え出したとしても大蛇に絞め殺されるのがオチだろう。 呆気に取られる二人に構わず浅倉は跳躍し、大蛇の頭頂部に着地。 途端に大蛇が頭上の木々にぶつかるギリギリまで身を起こし、高所から蒼星石たちを見下ろし始めた。 大蛇が鎌首をもたげる様は、主の命令を今かと待ち構えているようにも見えた。 蒼星石が背後を見てみれば、橘あすかが自分と同じく顔を青ざめていた。 戦況は絶望的だと、蒼星石は思う。 (でも、やれる事はある) 意を決し、蒼星石はあすかに生き延びる手段を告げる。 「あすか君、ここを離れよう」 「……そうですね。この状況では逃げるのも止むを得ません。では桐山と北条さんにも言わないと」 「いや、逃げるのは僕たちだけだよ」 「ええ!?」 蒼星石の返答に、あすかは驚きの声を上げた。 予想もしていないことを言われれば当然か。 「な、何を言ってるんですか! 二人を見捨てろと!?」 慌てるあすかの問いに、蒼星石は首を振る。 「違う。ここであの蛇に暴れられたら彼らにも被害が及ぶかもしれない。 それにこれは僕たちが勝つ手段でもあるんだ」 「どういうことですか?」 「彼の持っているのが僕のデッキと同じ物なら10分経てば変身が解けるはずだ。 そして、変身が解ければモンスターは消える」 「そうか、それまで逃げ切れば……」 蒼星石が頷くとほぼ同時に、浅倉の命令が大蛇に放たれた。 「餌だ。食っていいぞ」 希望が叶えられ、大蛇は歓喜の雄叫びを響かせる。 それが合図となり、蒼星石とあすかは後方に駆け出した。 「鬼ごっこか? いいぜ、少しでも楽しませろよ」 頭頂部に浅倉を乗せたまま、大蛇もまた地を這いながら二人を追いかけ始めた。 変身解除まで、あと五分。 ■ ■ ■ 歩みを進めていた水銀燈とスザクは、突如として響き渡った地響きと咆哮に足を止めた。 音の発生源は自分たちの前方、つまり目的地の方角だ。 この先で何かが起こっているのは間違いない。 緊張感が漂い始めた矢先、二人は森の中をこちらに向かって走ってくる二人組みを捉えた。 スザクと同年代ぐらいの少年と、水銀燈と同サイズの鎧を纏った誰か。 水銀燈は少年の方に見覚えがあった。 確か、蒼星石と同行していた男だ。 ならば、小さい方の正体は自ずと予想が付いた。 「まさか、蒼星石?」 「あれが? 君の言ってた外見と随分違うな」 「ええ、何であんな格好してるのかは知らないけど、とにかく止めるわ……よ……?」 「駄目だ、逃げよう!」 蒼星石たちの背後から追随する紫色の大蛇を認識した途端、水銀燈たちは転進した。 スザクは己の身体能力を限界まで発揮させて走り、水銀燈は漆黒の翼をはためかせて全速力で飛ぶ。 そんな二人に橙色の鎧を着た蒼星石が近づいていく。 少年の方は少し後方を走っている。気のせいか息が荒い。 もう少し速度を緩めれば、今にも大蛇のごはんと化しそうだ。 「水銀燈。君も来たのか」 「やっぱり、あんた蒼星石ねぇ。あれは何なのよ。誰か乗ってるようだけど」 「浅倉って名前らしいよ。僕も詳しいことは分からない。でも、今はとにかく逃げた方がいい」 「あら、心配してくれるのぉ? ダッサい格好になって性格まで変わったんじゃない」 「……別に。同じローゼンメイデンが食べられるところを見たくなかっただけだ。 それより、さっさと飛んで逃げたらどうだい。君は僕より軽いんだから」 「……へぇ、言ってくれるわね。そういえば、ご自慢のシルクハットはどこいったのぉ。 鎧の中で潰れてるのかしらぁ」 「無事だよ。期待外れでごめんね」 「あらあら、別に期待なんてしてないわよぉ。無駄に邪推するなんてお馬鹿さんねぇ」 姉妹が話してるだけなのに、二人の間には険悪な空気しか存在せず、不機嫌な様子を見せ付けている。 一方、彼女たちの傍らを走る男たちも言葉を交わしていた。 「そ、そこの貴方! どうして水銀燈と一緒に居るんですか!」 「決まっている。僕が彼女を守る騎士だからだ!」 「なっ……どうしてそういう話になるんですか!? 彼女がどれだけ危険なのか分かってるんですか!」 「理由なんかない。ただ、彼女が愛しいだけだ」 「理解できません。馬鹿ですか貴方は!」 「よく言われるよ」 「それに相手はどんなに綺麗でも人形ですよ。解ってるんですか!」 「そんなことは最初から受け入れているさ。それよりも、もう少し早く走らないと危ないよ」 「わ、分かってます!」 喋りながらでも気遣う余裕を見せながら走るスザクと、息も絶え絶えに走る少年の姿は対照的だった。 そして、最後尾の大蛇に乗る浅倉は、 『ADVENT』 カードを杖にセットしていた。 走る四人から見て西南の方向にある水溜りから、赤紫色のエイが飛び出してくる。 エイは空中を緩やかに旋回したかと思うと、四人目掛けて前方から突っ込んできた。 新たな化け物の出現に四人は驚きを露にするが、気を取られて回避に失敗する間抜けな結果にはならない。 水銀燈は高度を上げて、男二人は右に、蒼星石は左に飛んでそれぞれエイの突撃を避ける。 エイは誰も居ない地点を通過すると、再度上昇して空に浮かぶ少女に狙いを定めた。 「何でこっちに来るの、よぉ!」 不運にも獲物として認識された水銀燈は、牽制代わりに羽の弾雨をエイに向ける。 しかし、表面に当たった羽は弾かれ、ヒレに当たると真っ二つにされてしまう。 ヒレの切れ味を見せ付けたエイの勢いは衰えず、真っ直ぐ水銀燈に向かう。 水銀燈も更に高度を上げて避けるが、正直冷や汗ものだ。 そして、エイはまた旋回して向かってこようとするだろう。 厄介なものに懐かれたものだと、水銀燈は溜め息を吐いた。 「しつこいわねぇ」 エイが来る前に羽で剣を形作る。 効くかどうかは分からないが、現状で使える武器ではこれが一番だ。 ちらりと真下を窺ってみれば、スザクが蒼星石の同行者と共に大蛇に立ち向かっていた。 協力している風ではないが、どちらにしろ水銀燈の援護には来れそうもない。 既に大蛇の頭頂部に浅倉は居ない。 どこにいるのかと目を周囲に向ければ、彼は蒼星石の前に佇んでいた。 (そのままジャンクにしてくれれば手間が省けるわねぇ) そんなことを考えながら、水銀燈は三度目の回避に成功した。 ■ ■ ■ 「おい、新しいのも見つかった。お前とはそろそろ終わりにしようぜ」 手前勝手なことを言いながら、浅倉がベルトからカードを引き抜く。 浅倉を挟んだ反対側では、あすかが大蛇相手に戦っていた。 宝玉を飛ばしてはいるが大蛇の口から放たれる粘液が溶かしている。 水銀燈と一緒に居た少年も銃を撃つが表面に傷一つ付いていない。 逃げる余裕は無さそうだ。 (まさか、もう一体モンスターが居たなんて) 見通しが甘かったかと蒼星石は歯噛みした。 自分にはモンスターが一体しか居なかったために、他のライダーもそうだと思い込んでしまった。 結果はご覧の有り様だ。 まだ、浅倉の体から限界時間を知らせる粒子は立ち上っていない。 逃げられないなら、覚悟を決めるしかない。 決意を固め、蒼星石はベルトからカードを引き抜く。 『FINAL VENT』 『FINAL VENT』 機械音声が重なる。 カードをセットするのはほぼ同時だった。 蒼星石から西に数メートル先の水溜りから橙色の蟹――ボルキャンサーが現れる。 蒼星石はそちらに駆け出し、浅倉も頭上を見上げた。 赤紫色のエイ――エビルダイバーが降下してきていた。 今まで相手をしていた水銀燈が驚いていた。 蒼星石がボルキャンサーの前に立つと、浅倉も跳躍してエビルダイバーに着地する。 ボルキャンサーの両腕の鋏が重ねられ、その上に飛び乗った蒼星石が跳ね上げられた。 体を丸めた蒼星石が前方回転しながらエビルダイバーに体当たりを仕掛ける。 浅倉はエビルダイバーをこちらに飛んでくる蒼星石に突っ込ませる。 そして、両者が衝突した爆発音が辺りに響き渡った。 シザースの【FINAL VENT】シザースアタックのAPは4000。 王蛇が使う【FINAL VENT】ハイドベノンのAPは5000。 数字だけ比べればシザース――蒼星石は撃ち負けるだろう。 されど、ここに一つの事例がある。 本来のシザースである須藤雅史は同じAP5000のナイトの飛翔斬に勝っているのだ。 これは須藤がボルキャンサーに数名の人間を食わせたことで、能力が底上げされたからだと思われる。 つまり、カード状での数字で負けていても勝つ可能性はあるのだ。 はっきり言おう。スペック的に弱いと言われているシザースでも、このままぶつかれば王蛇に勝てる。 但しこれは人間同士でぶつかった場合であり、人形が使った場合はその限りではない。 そもそも、カードデッキは成人を対象に作られているので、人形の使用は想定されていない。 なので人間より一回り小さい蒼星石が使ったとしたら、威力は削減されてしまうのは当然であり、 結果的に撃ち負けた彼女が弾き飛ばされて木に衝突し、変身が解けても何の不思議も無いのである。 そして、障害を排除したエビルダイバーが突き進み、ボルキャンサーを真っ二つにするのも当然の結果だ。 次の瞬間にはボルキャンサーは爆散し、残ったエネルギーはエビルダイバーに吸収された。 カードデッキも衝突の際に砕け散ってしまった。 ここに最弱と呼ばれたライダー、仮面ライダーシザースは最期を迎えたのである。 【仮面ライダーシザース&ボルキャンサー 破壊】 「蒼星石!!」 あすかの悲痛な呼びかけが森にこだまするが、蒼星石はうつ伏せに倒れたまま反応を示さない。 嫌な予想図があすかの胸中を駆け巡るが、確かめるまでは諦めないとそちらに駆け出そうとする。 しかし、あすかの進路に大蛇が立ちはだかった。 丸呑みにしようと口を開いて襲い掛かってくるが、間一髪横っ飛びに回避できた。 潜り抜ける方法を考えるが、全く思いつかない。 それに万が一大蛇を突破しても、後ろから撃たれるだろう。 水銀燈の同行者である少年があすかを撃たないのは、大蛇の注意が自分だけに向かないようにする為だ。 それに水銀燈の仲間であるなら、蒼星石を助けに行くのを良しとはしない。 更に上空の水銀燈から攻撃される恐れまである。 だが、あすかに迷っている暇は与えられなかった。 蟹のモンスターのエネルギーをエイに吸収させた浅倉が、蒼星石のもとにエイを向かわせたのだ。 間違いなく止めを刺すつもりだ。 (駄目だ。ここで動かなければ僕は絶対に後悔する。 ここからでもエタニティ・エクストラショットなら届くはずだ!) エタニティ・エクストラショットは二つの宝玉で弓を作り、残りの六つの宝玉を弾丸として射出する技だ。 エタニティ・エクストラショットを浅倉に使えば、あすかは完全に無防備になる。 しかし、後の事を考えている余裕はあすかに無かった。 とにかく蒼星石を救わねばと無謀な特攻を慣行しようとした時、不釣り合いなエンジン音が聞こえてきた。 その場の全員が音のする方向を向いた。 何かが猛スピードで近づいてくる。 それは一台のバイクだった。 バイクはその場に居る者たちに振り向く暇を与えないほどのスピードで到来すると、 蒼星石に迫るエイに突き進んでいく。 予期せぬ存在の到来にさしもの浅倉も対応できず、エイにバイクの体当たりを許した。 浅倉は直前にエイから飛び降りたのでダメージを負わなかったが、エイは錐揉みしながら遠ざかっていく。 エイを弾き飛ばしたところで漸くバイクは停止。 あすかたちにまざまざとその姿を見せつけた。 全ては一瞬で終わり、あすかたちはただ呆然とバイクのワンマンショーを観ているしかできなかった。 バイクの乗り手は黒い鎧を纏っていた。 どことなく浅倉や蒼星石のものに似ているので、恐らくは仮面ライダーだろう。 しかし、あすかには彼、もしくは彼女の正体に全く心当たりが無かった。 (誰でしょうか? 蒼星石を助けてくれたなら敵ではなさそうですが) そんなことを考えている間に、黒いライダーの後ろから誰かが降りようとしている。 もう一人搭乗者が乗っているらしい。 黒いライダーのインパクトが強すぎて、そっちに注意が行かなかったのだ。 誰が現れるのかとあすかが見ていると。 「むぅ。振り落とされるかと思った。桐山さんスピード出しすぎですよ」 「大したことはない……お前は蒼星石を連れて離れていろ」 「え?」 もう一人のバイクの搭乗者は北条悟史だった。 そして、目の前のライダーを桐山と呼んでいる。 つまり、黒いライダーの正体は。 「桐山、そこの貴方は桐山ですか!」 悟史が蒼星石を抱えて離れていくのを確認してから、黒いライダー――桐山和雄は首肯した。 ■ ■ ■ 時系列順で読む Back 二人の黒い殺し屋 Next BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(後編) 投下順で読む Back 二人の黒い殺し屋 Next BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(後編) 064 危険地帯 浅倉威 069 BATTLE ROYALE 世界の終わりまで戦い続ける者たち(後編) 桐山和雄 蒼星石 織田敏憲 橘あすか 北条悟史 047 スザク と 銃口 水銀燈 枢木スザク
https://w.atwiki.jp/jyumawiki/pages/5682.html
アニメ アニメ(は行検索) 武装神姫 作品・スタッフ・キャスト・サブタイトル・主題歌・関連商品・関連リンク あらすじ:海外生活から帰国した理人は、高校入学初日、アーンヴァル型の神姫・アンに起こされ慌しい朝を迎えた。 大量の引越し荷物の中から出てきたのは、アルトアイネス型のアイネス、アルトレーネ型のレーネ。マスターのためにはりきる3人が、掃除や片づけを一生懸命進めていると、「大切」と書かれている箱が…。 (公式より) 作品 タイトル:武装神姫 よみ:ぶそうしんき 区分:TV スタッフ 原作 - 株式会社コナミデジタルエンタテインメント 監督 - 菊地康仁 シリーズ構成 - 横谷昌宏 キャラクターデザイン - 岸田隆宏、江畑諒真 神姫デザイン - 浅井真紀、島田フミカネ、羽音たらく、柳瀬敬之、kem、間垣リョウタ、BLADE 総作画監督 - 江畑諒真 CGIアニメーションディレクター - 井野元英二 色彩設計 - 村上智美 美術監督 - 加藤恵 美術設定 - 青木薫 撮影監督 - 荒幡和也 編集 - 木村佳史子 音響監督 - 飯田里樹 音楽 - 織田哲郎 音楽プロデューサー - 河田将司 音楽制作 - ポニーキャニオン プロデューサー - 田中豪、髙取昌史、浦城義明 アニメーションプロデューサー - 葛西励 アニメーション制作 - エイトビット 制作協力 - ポニーキャニオン、エイトビット、BS-TBS 製作 - 武装神姫プロジェクト、TBS キャスト アン - 阿澄佳奈 ヒナ - 茅原実里 アイネス - 水橋かおり レーネ - 中島愛 クララ - 加藤英美里 理人 - 水島大宙 サブタイトル 第01話 - 大切なもの見つけました。 第02話 - 隠し味は硝煙の香り 主題歌 OP1 曲名 - Install×Dream 歌 - アン(阿澄佳奈)、ヒナ(茅原実里)、アイネス(水橋かおり)、レーネ(中島愛) 作詞 - azusa 作曲・編曲 - 織田哲郎 ED1 曲名 - 太陽のサイン 歌・作詞・作曲・編曲 - azusa アニソン情報 関連商品 武装神姫 1 Blu-ray 武装神姫 2 Blu-ray 武装神姫 3 Blu-ray 武装神姫 4 Blu-ray 武装神姫 5 Blu-ray 武装神姫 6 Blu-ray 「 武装神姫 」 オープニングテーマ Install x Dream (武装盤) 「 武装神姫 」エンディングテーマ 太陽のサイン (神姫盤) 関連リンク 公式サイト 作品・スタッフ・キャスト・サブタイトル・主題歌・関連商品・関連リンク アニメ アニメ(は行検索) 武装神姫
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2016.html
戦うことを忘れた武装神姫 その41 係長という肩書きにより、取引先からいただく事が出来た高級ビールが、いくら探しても見当たらない。昨晩まで、たしかにこのテーブルの上にあったのに。 諦めて、麦茶にしようと冷蔵庫へ向かったそのときだった。 がたん、どす! 中身の入った飲料缶が落ちる音がした。 振り返ると、そこには小さなロボットがビールの缶に半ば押しつぶされるかのごとく倒れている。 「・・・ディーニャ・・・ お前、何してたんだ?」 マオチャオ型をベースに東杜田技研で試作されたMMS、type T-TAK「ディーニャ」。 白色に緑色のペイントが施された素体、髪はロングのアップポニー。アタマには大型のはんぺんネコミミを装着し、手にはにくきゅうグローブを装着しつつも、目と口元にはマオチャオの面影が色濃く残る。 ビールの缶をのけて、まだ目を廻しているディーニャを摘み上げた。 「起きろっつーの。 狸寝入りしてるのバレバレだぞ。」 ふにふにとネコミミを突付くと、くすぐったさを我慢できなくなったのだろう、もぞもぞと動き始め・・・ 「にゃ、や、やめるのだ! やめろー!!!」 手の中でジタバタと暴れるディーニャ。 摘んだまま顔の高さまで持ち上げ目線を合わせると、バツが悪そうに目を泳がせるディーニャ。 「さて、今何をしていたのか。 正直に言いなさい。」 眼力で迫ると、ディーニャはネコミミをふにゃりと垂らし、 「にゃは・・・びーる、のみたかったのだ・・・」 相変わらずの酒好きめ・・・。 「だから、びーるかくしてたの。こかげのだいじ。 あきかんと、いっしょにするとわからにゃいの。」 本来は、旅のお供のサポート神姫としての研究開発が進められていたディーニャ。 しかし、マオチャオ型をベースとしてしまった上、我侭に育った小型ロボットのAIを用いてしまったが故に。 妙なところで知恵の廻る、いまひとつ使えない旅サポート神姫となってしまったのだ。 かといって、ある程度は成果をあげているこのプロジェクト、ひとまずはディーニャの育成を進めてみることに・・・なったのである。 そして。 プロジェクトに関わっていながらも神姫を持っていなかった俺が、当面の教育係となってしまった、というわけだ。 「にゃーさん、ごめんにゃさい。」 テーブルの上で、素直に謝るディーニャ。だがこいつの場合は「素直に謝ればビールが飲める」ことを期待しての行動に他ならない。 ポニーテールを揺らして謝る姿はかわいいが、ここは心を鬼にしなければならない。 「ふむ。だが、独り占めしようとしたことは罪である。よって、このビールは俺が飲み干す。」 泣き出すのではないかと思うほどに目を潤ませ、ビールの口を開けて飲もうとする俺を凝視するディーニャ。 耐えろ、耐えるんだ・・・っ! ディーニャの視線を痛いほどに感じつつも、俺はビールをぐびっとひとくち。すると、ディーニャはぴょんとテーブルから降りて。 「いいもーん! まだかくしてあるびーるはいっぱいあるんだからー!」 そういいながら、俺の散らかりきった部屋へと駆け込んでいった。 ・・・まだ・・・隠してある・・・?! 「ちょっと待て! お前いつの間に!!! どうりで最近、酒の減りが早いと思ったよ・・・! こらディーニャ!どこへ隠しているんだ!!」 「にゃはー! それはひみつにゃのだー!」 -今宵も、ディーニャとの追いかけっこは続く-。 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2769.html
マイナスから始める初めての武装神姫[20xx] 20xx年某所。神姫バトルプレイヤーになりたい貧乏学生、武井峡次。 だがそこにやってきた神姫は、ある欠陥を抱えていた。 書いた人:新井しーな(ドキドキハウリンの中の人) 登場人物一覧 引越編 八畳一間のアパート、巴荘。そこに、新しい住人が越してくる。 マイナス☆その1 20xx.4.4 マイナス☆その2 20xx.4.4 前編 20xx.4.5 後編 マイナス☆その3 20xx.4.5 前編 20xx.4.5 後編 >エロあり マイナス☆その4 20xx.4.6 マイナス☆その5 20xx.4.6 秋葉原編 鳥小の勧めで、秋葉原に向かう事にした峡次。だが、そこでは……? マイナス☆その6 20xx.4.6 前編 20xx.4.6 後編 >エロあり マイナス☆その7 20xx.4.6 前編 20xx.4.6 後編 マイナス☆その8 20xx.4.6 >エロあり バイト探し編 活動資金を稼ぐため、バイトを探す事にした峡次。果たしてノリコは無事戦えるようになるのか。 マイナス☆その9 20xx.4.中旬 前編 20xx.4.中旬 後編 マイナス☆その10 20xx.4.下旬 >エロあり >犬子さんの土下座ライフ。と設定的リンクあり マイナス☆その11 20xx.4.下旬 前編 20xx.4.下旬 後編 マイナス☆その12 20xx 一学期中間テスト >エロあり トイズ編 バイト先での研修を始めた峡次。けれど研修先の面々は、一筋縄ではいかない連中ばかりで。 13話時点での登場人物一覧 マイナス☆その13 20xx.5.下旬 >微エロあり マイナス☆その14 20xx.5.下旬 前編 20xx.5.下旬 後編 マイナス☆その15 20xx.6.初旬 マイナス☆その16 20xx.6.上旬 >エロあり マイナス☆その17(New!) 20xx.6.中旬 番外編 鋼月十貴のケース ケース☆その1 20xx.4.2 前編 20xx.4.2 後編 >微エロあり ケース☆その2 20xx.4.6 前編 20xx.4.6 後編 フラグメント フラグメント 01 >エロあり・ダーク系設定あり フラグメント 02 >エロあり・ダーク系設定あり フラグメント 03 >神姫破壊描写・エロあり・ダーク系設定あり フラグメント 04 >エロあり・ダーク系設定あり 今日 - 昨日 - 合計 - 名前 コメント すべてのコメントを見る フラグメントの続きが気になります。なんとなく空気が好きな作品です。 -- (通りすがり) 2012-12-10 13 59 02 ありがとうございます! ぼちぼちペースになるかと思いますが、よろしくお願いします -- (あらい) 2012-11-05 16 47 32 復活おめでとうございますヽ(^0^)ノ、続きが読めるとは嬉しいです -- (ナナシ) 2012-10-30 20 02 05