約 173,340 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1029.html
研究室 恵太郎の通う大学には十三の研究室があり、それぞれが異なるアプローチで神姫を研究している 四年生は一年間研究室に所属し、卒業研究をする。一年からでも希望するならば所属できる 第一研究室 研究内容『小型アクチュエータの改良・発展』 大学で一番最初に出来た神姫専門の研究室 神姫の内部駆動系を専門に扱うところで、在籍する神姫は全て標準装備というのが特徴 また、神姫バトルで初期から参加していた人間が多いのも特徴で神姫に対する過剰な装備を嫌う そのため、第十三研究室とは仲が悪い 所属学生 ・君島ましろ 所属神姫 ・アリス 第二研究室 研究内容『神姫における格闘武器の研究』 第一研究室同様に大学最古の神姫専門研究室 ストラーフやマオチャオなどの近接型神姫の武装を専門に扱う 主な研究内容は近接武器・装備の開発やら研究やら 「拳と拳で語り合う」が合言葉だが第三研究室と仲が悪い訳ではない 所属学生 ・桜木 陽光 所属神姫 ・ティンダロス 第三研究室 研究内容『神姫における射撃武器の研究』 第一、第二研究室同様に大学最古の神姫専門研究室 第二研究室の銃火器版研究室で、とにかくロマンに溢れた研究室 代表作はリボルバーとレールガンと多薬室砲を組み合わせた複合兵器 『回転弾倉式電磁加速多薬室砲』 その他に、射撃をサポートする機器・装備にも力を入れている 所属学生 ・東 丈一 所属神姫 ・コロナ 第四研究室 研究内容『神姫における光学兵器の研究』 神姫の武装、特にビーム兵器専門の研究室 神姫サイズの荷電粒子砲を作ったり、レベルは高い しかし、完成直後に第十三研究室に持ってかれた 第五研究室 研究内容『神姫用火薬の開発・研究』 神姫が用いるハンドガンやミサイルなどに用いる火薬を開発・研究する研究室 テンションの高い学生が多いのが特徴 代表作に『収束拡散式焼夷弾』がある 第六研究室 研究内容『小型電池の改良・発展』 神姫の内部・外部問わずバッテリーの研究をする研究室 燃料電池の小型化に成功した直後、第十三研究室に持ってかれた 第七研究室 研究内容『人間に代わる労働力としての神姫』 研究内容は建前で、実は神姫と人間が同格に存在できる方法を模索する研究室 第六研究室とは深い繋がりがあったりなかったり 責任者 ・西条 進 助教授 ※この設定は三毛猫観察日記よりお借りしています 第八研究室 研究内容『武装神姫に対する衝撃緩和』 武装神姫、という機械を故障から守る為の研究をする研究室 神姫としての輪郭・機能を持たせたままで、如何に耐久性を上げるかが命題 第九研究室 研究内容『武装神姫の発声装置の改良・発展』 武装神姫の『声』に着目した研究室 15cmというサイズに合った発生装置と、ノイズの少ない音声を製作する事に心血を注ぐ研究室 研究室がら、歌う神姫やバンドを組む神姫が多い 所属学生 ・世良田はじめ 所属神姫 ・スクービー 第十研究室 第十一研究室 第十二研究室 研究内容『武装神姫の意思』 機械である筈の武装神姫が、本当に心を持ったような事例が少なからず存在する事から発足した研究室 情報的分野と心理学的分野と哲学的分野が内在する混沌とした研究室 第十三研究室 研究内容『神姫バトルに置いての有効な装備』 大学初の神姫バトル専門の研究室 大学側からは武装に必要ならあらゆる資材・部品を要求可能で、ある程度は他の研究室からの援護が受けられる 所属する学生は初めにある程度指向性を持った装備を渡され、それと同系統の装備を研究・開発し、バトルで成果を上げなければならない アル・ヴェルは『飛行性能』蒼連華は『近接格闘』、トリスは『電子戦』それぞれに特化した装備を持つ 責任者 ・荒川 法介 教授 所属学生 ・佐伯 裕子 ・佐伯 裕也 ・高野 孝也 所属神姫 ・アル・ヴェル ・蒼蓮華 ・トリス 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/493.html
戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-7 ・・・武装神姫向けクレイドル・品薄のお詫び・・・ 先日の発売以降、大変にご好評を頂いております当社の各種武装神姫 向けクレイドルシリーズは、現在当社では全力を挙げて増産しており ます。しかしながら、当社の生産能力の関係上、皆様のご希望に添え ない市場在庫の状況となっており、御迷惑をおかけしております事、 深くお詫び申し上げます。 当社は品質を何よりも重視する方針でありますので、現在の生産数が 限界となっております。生産ライン等の見直しにより、来月後半には まとまった数の出荷が出来る見込みです。 何卒、今しばらくお待ち下さいますようお願い申し上げます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ <東杜田技研・新製品のご案内-8> このたび、弊社の小型ロボット向け機器ブランド「HT-NEK」では、 ご要望が多く寄せられました「ぬくぬくこたつ」の4体用を、新たに ラインナップいたしました。 〜武装神姫簡易クレイドル・「おっきいぬくぬくこたつ」主な特徴〜 ■データ通信機能等を一切省き、「充電機能のみ」とした、簡易型の クレイドル。 ■電源には、USB3.1のみならず、ACアダプタ(付属)や、専用電池 ボックス(別売)、シガーソケットアダプタ(別売)を用いる事が 可能。いつでもどこでも、充電が出来ます。 ■デザインは、シンプルで、かつ飽きの来ない、ごく一般的な4人用 こたつ」そのもの。こたつ布団の柄は、5種類から選べます。 ■内部には遠赤外線装置が組み込まれており、実際に「暖かく」する ことができます。(寒がりの神姫に最適です。) ■本製品は、完全な充電専用クレイドルとすることで、よりお求め やすい価格に設定。 また、夏場には布団を取り外し、座卓型の クレイドルとしての使用も出来るようなデザインとしました。 ※本製品は完全な充電専用クレイドルです。オプションを用いても、 データ通信を行うことは出来ません。ご了承下さい。 ※初回生産分には、こたつ布団と同じ柄の「こたつ敷き布団」が付属 する予定です。 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 <武装神姫・簡易(充電専用)クレイドル「おっきいぬくぬくこたつ」> ・対応武装神姫 現在発売中の全武装神姫(純正クレイドルが使用可能である神姫に 限ります。) ・対応電源 USB3.1(同梱専用ケーブル)・ACアダプタ(同梱) 乾電池(別売専用電池ケース)・シガーソケット(別売専用ケーブル) ・対応オプションパーツ 弊社発売予定品 「神姫みかん」(食べられませんが、アロマ効果があります) 「おっきいこたつ布団」(色柄違い・各種) 「おっきいこたつ敷きふとん」(色柄違い・各種) 「おっきいこたつケース」(愛媛みかんの段ボール柄・1段仕様) (そのほかに付きましては、順次調査の上HPにて公開する予定です。) ・付属装置・付属品 マニュアル、USB3.1充電専用ケーブル、専用ACアダプタ、 おっきいこたつ布団(1枚) ・付属ソフトはありません。 ・動作条件(USB充電時) USB3.1を搭載し、Windows2037・MacOS12が動作可能なPC。 ・発売予定価格 (現在未定)13,820円(税込) ・発売予定時期 (来夏予定) 以上 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1890.html
B.S.L(Busou Shinki Laboratory=武装神姫研究所) スバルの父親、長月元が勤めている神姫を「研究・開発」する施設。 ここでは、新たな神姫を開発し、それを各企業に提供する。 また、既存の神姫たちのデータを研究し、俊敏性の強化や耐久力の強化などを行っている。 CSCも貴重なこのご時世に、新たな低コスト・高性能CSC「CSP(コア・セットアップ・パッチ)」も開発中。 狼型MMS KTX01W1 狼襲(ロウシュウ) 予想CV:水橋かおり B.S.Lが、Kemotech社の新商品として開発・提供した神姫。 狼をモチーフにしており、他のKemotech製神姫よりもスピードが速い。 ただし、スピードを活かすために防御力が極端に削られている。 また、コストもかかることから試作機が三体までしか作られず、商品化は見送られた。 性格上はとても明るく、自分が商品化されない境遇でも「大丈夫だから」と笑っていられる。 三体は以下の通り。 狼襲(壱型) 一番初めに作られた試作機。 スピードの調節が設定されておらず、走る内にオーバーヒートを起こし炎上した。 狼襲(弐型) 壱型の後継機。 スピードの調節を行い、冷却性能を向上。 壱型よりは幾分マシだったが、AIの処理能力の低下で、廃棄処分される。 狼襲(参型) 狼襲の最終型。 スピード・冷却性能・AIの処理能力、どれをとっても神姫としての基本性能を凌駕している。 しかし、コストと製作時間が掛かるため、量産化(商品化)されなかった。 狼襲(参型)は、元が手掛けており、「この子を大事にしてやって欲しい」との理由で、 スバルに渡された。 武装 襲牙・雷砲(しゅうが・らいほう) 中~遠距離[ランチャー] 襲牙 近~中距離[ナックル] 襲牙・雷鉄(しゅうが・らいてつ) 近距離[特殊] 甲冑・狼牙(かっちゅう・ろうが) アーマー 翔燕・速脚(しょうえん・そくきゃく) 脚部 戦乙女型MMS TSFX01 ヘルムヒルデ 予想CV かわしま りの B.S.Lが、初期(2年前)に開発した神姫。 当初予定されていた新型CSC『ダークネス※1』と共に提案され、 実戦試験を行うが、先に騎士型サイフォスがロールアウトしてしまったため、 プロジェクトは破棄され、ヘルムヒルデ自体も機能停止された。 しかし、時を経てこのプロジェクト(CSCは除く)が復活し、一体のみだが試験体が再び構築されることとなった。 名前の由来は、北欧神話の「ヘルムヴィーケ」・「ブリュンヒルデ」から「ヘルム」と「ヒルデ」をもじった。 武装 魔槌・ミョルニル 近距離[両手・打撃] 魔銃・ラグナレク 中~遠距離[片手・両銃] スキル:神々の黄昏 魔楯・ヴァルハラ シールド[防御] ニーベルンゲンの指環 アクセサリー[特殊] スキル:オーディンの加護 タロットカード 中~遠距離[特殊] ルーンの刻まれたカードが展開され、出たルーンに応じて攻撃が下る。 フレイア 頭部 エインフェリア アーマー(1) ヨルムンガンド アーマー(2) フェンリル 脚部 ※1 CSCダークネス KARASUことレイヴン…『望まれぬもの達』の共通CSC。 効果は、 1.AIの無駄な動作の禁止 2.絶対服従(逆らうことは出来ない) 3.意思に関係なく、神姫を文字通り破壊するまで攻撃し続ける 1はプラン上あったものだが、2と3はKARASUのオーナーが勝手にプログラミングをしたもの。 別の名を「亡者の叫び声」。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/789.html
戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-11 <東杜田技研・新製品のご案内-11> 注)当然ですが、以下の内容はすべて当方の脳内生成物であり、 現実には存在しませんので。。。 <東杜田技研・新製品のご案内> このたび、弊社の小型ロボット向け機器ブランド「HT-NEK」では、 ご好評頂いております「武装神姫」向けの機器に、新たに携帯型の 周辺機器を発売することになりました。 第2弾としまして、携帯型クレイドル・強化版を発売いたします。 ~武装神姫専用携帯クレイドル「ポケットスタイルHD」の主な特徴~ ・・・使用例・イメージ写真・・・ ■数多くの小型ロボット向け機器の開発で実績がる、弊社・小型機械 技術研究製作部が中心となり開発。抜群の安定性を誇ります。 ■複数神姫の移動に便利な、ひとまわり大きめサイズに仕上げました。 通常時は2体まで、最大3体まで対応します。 ■神姫を収めるポケットとは別に、ユーティリティポケットを設定。 各種装備を余裕を持って収められる容量を確保。バッテリーを収納 し、スタンドアロンクレイドルポーチとしての使用も可能!。 ■バッテリーによる充電機能のみならず、携帯電話やPDAとの接続も できる、簡易通信機能も搭載。もちろん、PCとの連動も可能です。 ■外観はポーチタイプの工具入れそのもの。 しかしながら生活防水 機能を持ち、防塵性能もばっちり。 アウトドア派の神姫にはぜひ 一台ご用意ください! ■初心者には使いやすく、達人にも飽きが来ない、独自の専用ソフト 付属。(WindowsVista2037・MacOS12 両対応。) 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 <武装神姫専用クレイドル「ポケットスタイルHD」> ・カラーラインナップ >ライトグレー、ブラック、タンイエロー、モスグリーン ・対応武装神姫 現在発売中の全武装神姫(純正クレイドルが使用可能である神姫に 限ります。) ・インターフェース 携帯機器接続時:別売の専用変換ケーブルを使用して接続 PC接続時:専用ケーブルによりUSB3.1にて接続 ・電源 Li-ionバッテリー、ACアダプタ、乾電池ボックス(別売) ほか ・対応オプションパーツ 大容量Li-ionバッテリー、アクセサリソケット用アダプター、 携帯電話用アダプタ(各社)、HD専用水中(潜水)対応化キット、 HD専用簡易保温外装 ほか ・付属装置・付属品 マニュアル、ACアダプタ、ドライバDVD、専用USBケーブル 装備用小物入れ(ユーティリティポケット用) ・付属ソフト(ドライバDVDに同梱) 「神姫といっしょLite(機能限定版)」 ほか ・動作条件(ドライバ・付属ソフト) Windows2037・MacOS12が動作可能なPC。 ・発売予定価格 >オープン価格 ・発売予定時期 >発売中 以上 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/669.html
戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-10 <東杜田技研・新製品のご案内-10> 注)当然ですが、以下の内容はすべて当方の脳内生成物であり、 現実には存在しませんので。。。 <東杜田技研・新製品のご案内> このたび、弊社の小型ロボット向け機器ブランド「HT-NEK」では、 ご好評頂いております「武装神姫」向けの機器に、新たに携帯型の 周辺機器を発売することになりました。 第一弾としまして、携帯型クレイドルを発売いたします。 〜武装神姫専用携帯クレイドル・「ポケットスタイル」の主な特徴〜 ■数多くの小型ロボット向け機器の開発で実績がる、弊社・小型機械 技術研究製作部が中心となり開発。抜群の安定性を誇ります。 ■ポケットの中に違和感無くすっぽり収まる超小型仕様。 ■バッテリーによる充電機能のみならず、携帯電話やPDAとの接続も できる、簡易通信機能も搭載。もちろん、PCとの連動も可能です。 ■種類は2種。 衝撃に強い「HS」(硬質外装仕様)と、ポケットに 入れても痛くない「SF」(軟質外装仕様)を設定。 目的、好みに 合わせてお選び下さい。(色柄には各5色を設定。) ■初心者には使いやすく、達人にも飽きが来ない、独自の専用ソフト 付属。(WindowsVista2037・MacOS12 両対応。) 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 <武装神姫専用クレイドル「ポケットスタイル」> ・カラーラインナップ ポケットスタイル-HS(硬質) >ホワイト、マットブラック、グリーン迷彩、カーボン、メッキ ポケットスタイル-SF(軟質) >ライトグレー、ブラック、サンタレッド、唐草、スカイブルー ・対応武装神姫 現在発売中の全武装神姫(純正クレイドルが使用可能である神姫に 限ります。) ・インターフェース 携帯機器接続時:別売の専用変換ケーブルを使用して接続 PC接続時:専用ケーブルによりUSB3.1にて接続 ・電源 Li-ionバッテリー、ACアダプタ、乾電池ボックス(別売) ほか ・対応オプションパーツ 大容量Li-ionバッテリー、アクセサリソケット用アダプター、 携帯電話用アダプタ(各社)、HS専用水中(潜水)対応化キット、 HS専用簡易防水フード ほか ・付属装置・付属品 マニュアル、ACアダプタ、ドライバDVD ・付属ソフト(ドライバDVDに同梱) 「神姫といっしょLite(機能限定版)」 ほか ・動作条件(ドライバ・付属ソフト) Windows2037・MacOS12が動作可能なPC。 ・発売予定価格 (現在未定) ・発売予定時期 (今夏予定) 以上 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2643.html
「何を考えているんですか!? 神姫持ってないなんて嘘もついて」 「まあ落ち着きたまえ」 「落ち着けないですよ!……あっちは負けてもここを出ればいいのに、こっちは負けたらヤバい仕事を手伝えって言うんですよ。ハイリスク・ノーリターンじゃないですか……悪条件すぎます」 胸ポケットにいるシオンを垣間見る。不安そうな、心配そうな瞳が映る。 ……そうだ。 シオンはまだ一回も勝てていない。 悲しい現実だけどシオンはバトルで勝てない。 これじゃあ、高い確率でこっちの負けじゃないか。 今から僕があの人に誠心誠意謝って許してもらおうか。それか、説得して君島さん自身にやってもらうしか……。 「長倉君は逃げるのかね」 「それ以前に君島さんが原因でしょ!……僕に非難されるいわれは……」 「長倉君はシオンを治す為になんでもやるのだろ? だったら、キミたちが私の代わりに彼とバトルをするのだ。これは私の……『授業』だ」 「ッ!?……わざとこうなるようにしたんですか。ガラの悪い人に喧嘩を売ったのも、この為ですか」 「ふふ、どうだろうな……」 ああ、絶対この人の思惑通りなんだろうな。だからって、これでどうやってシオンのバトル恐怖症を治すんだよ。 僕がすごく危ない立場になっているだけだ。 「シオン君、ちょっと出てきてくれるかな」 「……えっと、なんですか?」 君島さんがポケットから顔を出したシオンに話しかける。 目と目を合わせあう君島さんとシオン。 「シオン君はオーナーの長倉 螢斗君を……好き……いや、愛してるかね?」 「へ、ちょっと、何を……」 「長倉君は黙ってるのだ」 「……はい」 眼光が鋭くなり何も言えなくなった。 君島さんは、シオンに一体何を聞いているんだよ。 訳が分からなくなってきた。 「私は……この感情が人間の持つ好きや愛かどうかはわかりません。私は神姫ですので。……ですけど、螢斗さんは何よりも誰よりも大切なマスターです」 「……ふむ。まあ、よしとしよう」 でも、君島さんはシオンが答えた言葉にまんざらでもなさそうにしている。 シオンの答えに僕が恥ずかしくなっただけでもあるけど。 「次、長倉 螢斗君」 「え! は、はい」 今度は僕か。 何を聞かれるんだろうか。シオンの事かな。 「それでは……長倉 螢斗君は――」 ほら、それでやっぱり「シオンを愛してるかね?」とか聞くんだ。 僕はシオンを家族として愛してる。 ……それが僕の答えだ。 さあ、どこからでも来い! 「健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを誓うかね?」 「――誓いま――って!……なんでですか!? いつからここは結婚式になったんですか!? おかしいでしょ!」 「おっと、言い間違えた」 「間違いようがないですよね! セリフ長かったですよね!」 頭が痛くなってきた。この人は物事を真面目にちゃんと進められないのか。 「ゴホン、改めまして。……長倉 螢斗君、シオンは大事かね?」 あれ? なんだ、そんなことか。 そんなことは決まってる。 「大事です」 君島さんの目を真っ直ぐ見詰めて言い返す。 シオンが一番大事に決まっている。 「ふむ。だったら、あのチンピラと神姫バトルでぶつかってくるのだ。そして……勝ってくるのだよ」 「いやいや! 話が繋がっていませんよ。そもそも現実問題、シオンはバトルで一回も勝てたことないんです。不可能なんですよ」 言うと、シオンは悲しそうな顔になる。 うぅ、正論の筈なのに僕の心がすごく痛くなる。 「これまでは軽い試合だった。だから、キミもシオンも本気になりきれないのだよ。背水の陣で挑めば、おのずと勝ちが見えてくるさ」 「……う……はぁーー、わかりました、わかりましたよ。死ぬ気でやれば勝てるかも、と言いたいことはわかりました。……やろう、シオン」 身体をひるがえして、僕はみんなのいる筐体前へと戻ることにする。 もういい、君島さんなんて知らない。 「……でも、大丈夫ですか、危ないお仕事するんですよね?」 「シオンが負けなければいいさ」 「私が……ですけど……」 シオンが不安そうに言う。わかってるさ。だけど、もうどうしようもない。 主に君島さんのせいで決まってしまったけど、謝ってもバトルすることは覆らない。 そんな気がする。 「もし、負けた時は……負けた時に考えるさ」 ―――― 「お、来やがったか。待ちくたびれたぜ」 筐体に寄りかかって、その男は自販機で買ってきたであろう缶コーヒーを飲んでいた。 淳平たちは無事だ。喧嘩っ早い人ではないらしい。 その淳平が僕の傍まで駆け寄ってきた。 「螢斗だいじょうぶかよ、まじで姉御のかわりにやるのか、勝てんのかよー。俺、螢斗いなくても一生懸命生きていくからなー」 「負ける前提になってる!? ……大丈夫。死ぬ気で戦ってみせれば勝てるって君島さんが言ってたから」 「……でもよ~」 「マスター情けない声出さないでください。螢斗さんとシオンはバトルする決意してるんだから、やらせましょうよ。負けたら……マスターもお仕事付き合いましょう」 「えっ!? それはちょっと……」 「マスター」 「はい、そのつもりです!!」 ミスズがオーナーの淳平をいつもの絶対零度のような眼で睨みつけて、言いなりにさせてしまった。 ……人としてそれはどうなの。 「ミスズ、その気持ちだけ受け取っておくよ。負けたら、僕がすべて請け負うさ」 「そんな!? 螢斗さんは優しすぎます」 シオンに聞こえないように、小声で淳平に伝える。 「もしも、負けたらシオンを頼むよ」 「螢斗~……約束はしねーぞ……それでいいなら」 「うん、それでいいよ。ありがとう」 まあ、本当に負けたくはないんだけどさ、一応最悪のケースの為にそういうのは残しとかないとね。 「んじゃ、とっとと、おっぱじめようぜ。準備は済ませといたから、チビはそっちでやれや」 「はい、よろしくお願いします」 「……けっ……ほら、来い」 「…………」 舌打ちのように口から音を出すと、チンピラさんは自分の神姫を手の平に乗せて、缶コーヒーをごみ箱に捨てた後、筐体の向こう側についた。 「勝てる……戦える……勝てる……戦える……」 極度の緊張でシオンが自己暗示のようにブツブツと何か呟いている。 「僕の心配はしないで」 「勝てる……戦える……でも」 「おもいっきり、バトルしてみるんだ。今までの戦績なんて関係ない。バトル恐怖症も関係ない。夢中になって……バトルを楽しむんだ」 「……はい」 まだ緊張はしてるだろうけど、これでなんとかバトルはできるだろう。 僕は自分たちのブースについて、シオンを送り出す。 僕の命運を決める戦いに。 ―――― 周りは一面の砂。砂。砂。 砂漠のステージになっている。遠くの方に崩れて建っている、原形を留めていないビルがあるだけの簡素なステージ。 私はそこに降り立つ。 左手にフェリス・ファング「フェリスガン」と右手に「ぺネトレートクロー・烈」を持ち、構えながら、相手の方を探してみる。 「私が負けたら、螢斗さんが……」 螢斗さんに聞こえないぐらいの小声で独り言を呟く。 私なんかが、螢斗さんの人生を左右するようなバトルをすることになった。 勝てるのだろうか? でも、勝たないと螢斗さんが……。 チゥン! と、私のヘッドパーツ「フロンタルラウンダ―」に何かが掠った。 『マズイ! シオン、前から来てる!』 私の耳に、螢斗さんの声が聞こえ出した。瞬時に私はその場から駆け出す。 足を止めてたら撃たれる! チゥンッ、チゥン、チゥンッ。 相手の人が猛スピードでこちらに向かいながら、手に持った二丁の拳銃を乱射してきている。 移動している私の足元に――追尾するように弾丸が当たってきている。 負け続けてきた私はバトルですっかり逃げ足だけは速くなったみたいだ。 全力で脚部スラスター、背部ブースターを作動させて、右方向に低空でブーストしていく。 相手の方はこちらに、後、数十メートルという所で私よりも、さらに加速し出した。 でも、相手の方は撃つわけでなく、左手の拳銃、厚い銃身で殴りかかってきた。 まったく無駄のない動きだったので、右手に持っていたぺネトレートクロー・烈でガードをするしか手がなかった。 「クゥッ!」 神姫素材で出来た歯を食い縛る。 ガンッ! と重たい音が響き渡る。 相手の方の顔を見る。 左目に眼帯をしているのに、なぜか妙に尖がったサングラスもしているムルメルティア型の方だ。 サングラス越しでもわかるぐらいに、記憶にあるイスカお姉ちゃんよりも顔の表情が動かない。 今もこうして私が力を込めているのに、ムルメルティアの方は、力をまったく入れていないが如く顔のパーツが変わらない。 でも、その堅い表情の口が突然開いた。 「……貴君はどうして戦う?」 「どうしたんですか。武装神姫がバトルすること、戦うことは当然です!」 答えながら、フェリスガンもぶつけ合わせ、相手の方の持つ銃身をはじき返した。 どちらも双方間合いを空ける。 ムルメルティアの方の、無表情の口から透き通るような声が聞こえ始めてきた。 「そうだな。……では、貴君はどうだろうか? バトルが辛そうだ」 「そんなこと……そんなことはわかっています! でも私が勝たないと螢斗さんが……」 「その名が貴君の上官か? よっぽど大切なんだな。武装神姫が自分の上官を大切に思うのは当然。だが……それでも貴君はどうしてバトルができないのかな?」 双銃を擦り合わせ、弄りながら問いかけてくるムルメルティアの方。 「これは私自身の欠陥です……検査しても見つからないようなバグを持っているだけ……です」 『シオン、そう言うなよ』 通信から螢斗さんの物悲しそうな声が聞こえてくる。 こればっかりは私もわからない。武装神姫は普通、バトル拒否なんて起こさない。だったら私自身に問題があるとしか……。 「本当にそうなのだろうか?」 「? ……何を言っているんですか、私にあるとしか。あなたは何か知っているんですか? この拒否反応を」 この方は私が考え付かなかった答えを持っているんだろうか。 「そうだな、バグの問題を考えるとしたらー……貴君の上官が問題かなー? フフフ」 「は……今……なんて……言いました」 突然間延びし出した声を出した相手の方から、私の耳に信じられないような答えが聞こえ始めた。 「だって、それしか考えられない。神姫の自分が言うのもなんだが、武装神姫は世界でも有名になりつつある機械人形だ。そんな簡単にバグは残しちゃあいけない。……だったら考えられるのは……持ち主が雑に扱っているからだ。知らず知らず、貴君はその螢斗という上官によって故障させられているんだ」 ピクッと私の肩のジョイント部分が動いた。 「持ち主の人間が雑に扱おうが、神姫のCSC性格決定によっては従順であることもある。貴君が想っていても、相手の人間はどうだろうか? 嘘を並べて、キミを無理矢理強いらせているのではないだろうか――」 「それ以上、喋らないでください」 『あれ?……ねぇ、シオンどうしたの。聞こえ――プツッ――』 私は普通は切らないオーナーとの通信装置の電源を切った。 相手の方の言うことを鮮明に聞くために。 「――人間は……嘘を平気な顔して喋るからな。武装神姫は少女のような姿をした可愛い人形だ。日本中のどこかを探せば特殊な性癖を持つ上官だっているだろう? そんな神姫たちを老若男女問わず、欲の捌け口にしていることもある。それで後天的にバグが出来てしまった。そんな所だろう。……だいたい、貴君の上官だって――」 「喋るなっ!!!」 ドゴォッ! と相手の頬を武器で思いきり殴った音だ。 私は起動してから初めて“言葉”を荒げた。 間合いなんて関係ない。その場から消えるような速度で、ぺネトレートクロー・烈を相手の顔目掛けて渾身の力で殴りつけた。 CSCが熱い。 怒りという感情が込み上げてきて私はそれに身を任せていく。 ムルメルティアは当たる寸前に身体を後ろに倒し衝撃を和らげていた。 それでも、完全に衝撃を殺しきれず片目を見開きながら数メートルは吹き飛んでいった。軍帽と掛けていたサングラスは左右に飛んでいき砂に埋もれる。 吹き飛びながらも、地面からすぐに仰向け状態から態勢を立て直した。 「い痛ッ……おや、怒ったのかな?」 「言って良いことと悪いことがあります。あなたは私のマスターを侮辱するという最大に悪いことを言いました。だから、私はあなたを――“壊します”」 「……ふ、神姫が神姫を破壊するか。バーチャルだから自分は物理的に壊れはしないのだが。まあいい……来い!」 私は高速で近づきながら連続にフェリスガンを発砲。相手は走りながら距離を空けつつ双銃を撃ってくる。 私は右に左と、ジグザグ飛行、フェイントをも織り交ぜながら弾を避けていく。 さっきまで相手側のスピードの方が速かった気がしたのに、今はこちらの方が圧倒的に――速い。 「うっ……やるな!」 相手も素早い動きを続けていっているが、こちらの銃撃をかわしきれず脚部、肩部と着々と当たっていく。 身体が軽い。相手がよく見える。弾を当てていける。不安、恐怖なんて一切ない。あるのは螢斗さんを侮蔑されたことへの怒りだけ。 ――私はこの神姫を倒す。 私はフェリスガンの基部分を取り外し、リアパーツ「バリスティックブレイズ」の背面キャノンに付くバレルをも外す。 「プレシジョン・バレル、セット」 これがフェリスガン本来の姿。 ライトガンである「フェリスファング」の銃口に「プレシジョン・バレル」を装着することにより、この武装はライフルとなる。 それと予備知識、この「プレシジョン・バレル」元来出回っているものではなく、劣化版だ。なぜなら、バレルにパーツとしてある「カタマランブレード」の刃が付いていないから。 撃つだけなら支障がないからと、前マスター凛奈さんが中古で買ったものということ。こういうのはしっかりしてほしいものだ。 私はぺネトレート・烈を仕舞い込み、両手でプレシジョンライフルを構え相手に狙いを付ける。 「いけぇッ!」 右手はグリップ、左手を細い銃身に添えて、“二回”引き金を引く。 プレシジョンライフルから放たれる銃声が同時かとも錯覚する二発の弾丸。 それは相手の持つ二丁拳銃を狙ったもの。 それが持っている厚い銃身に当たる。二発ともだ。 「チィッ!!」 二つの銃は相手の後方まで、交差しながら弾け飛んでいった。 だが、主武装を失っても諦めていない眼つき。腰元に備え付けていたと思われる二振りのナイフを取りだして来た。 それを構えて文字通り特攻を仕掛けてくる。 私は怒りを感じながらも冷静に見極め双刃の斬撃をプレジションライフルで盾にして防いでいく。 「サレンダーしてください。もうあなたに勝ち目はないです」 「く、……まったく甘ちゃんだな。戦いは最後までやるものだ!」 「そうですよね。では……」 プレシジョンライフルを乱暴に扱いながらも、私は足を軸にして身体全体を捻り、それで回転させる。 腕に遠心力を乗せて、相手を横から力いっぱい持っているライフルで殴りつけた。 「グァッ!」 今度は、相手は同じ轍を踏まず、衝撃によって武器を失わなかった。が、離しはしなかったが腹部を押さえて後ろに吹き飛ぶ。 「これで、終わらします! エクストリーマ・バレル、セット!」 私はリアパーツ「バリスティックブレイズ」にあるあと一つ、最後のバレルを取り外した。 プレシジョンライフルの銃口、のさらに先にバレルを装着。バレルを繋ぎ合わせ、装着することのできるフェリスガン最終形態。 「プレシジョンエクストリーマ・シューター」 エクストリーマ・バレルは本来“機関銃”だ。それを曲げて形態変化。 プレシジョン・バレルと組み合わせることで、その力を最大限発揮することのできる武装。 私は今出せる最速で相手を追いかけていき、吹き飛んでいる相手に同じ速度で縋り付く。 CSCのある近く、その胸部に銃口を押し当てた。 「一点集中! 貫けぇっ!!」 ステージ全体に響き渡るような気合いの一声の後、引き金を引く。 銃身がバレルで細長く伸びた銃から放たれる光線。それに加えてのゼロ距離の発射は、相手のアーマーをも無意味にし胸を貫いた。 相手の背中から見える橙の残光は、遥か遠くまで伸びていき消えていく。 「…………ふ」 相手の方はなぜか不敵な笑みを残して、姿は掻き消えていった。 後に残るは砂漠に吹く風と砂塵だけだった。 「ふぅ、終わりました。……あれ?」 我を少し忘れていたけど、もしかして私は初めて勝てた? そんな、実感が持てないまま、私も足先から消えていく。 消える寸前、砂漠のステージ全体へ機械音声が聞こえ出していた。 『WINNER シオン』 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1302.html
「皆さーん、ここ、どこだと思いますかー? 今日は私とマスターさんは、なんと『神姫センター』にお邪魔していまーす!」 「お約束ですね」 「お約束です」 「おっと、先に『誰に言っているんですか?』とツッコむべきでした、不手際申し訳ない」 「いえいえ、そこまでお手を煩わせたらこちらこそ申し訳ないです」 というわけで、本日はマスターさんの胸ポケットにお邪魔して、初めてのお出かけです。 当然、最大のポイントは『マスターさんと一緒』だと言うことは言うまでもありませんが、初めてのお出かけで嬉しいのもありますし、見るもの聞くもの全てが目新しいって言うのもあります。 もちろん、昨今のメディアの発達からすれば予備知識に関しては十分なのですが、そこはそれ、実際に生で見ると大違いといいますか。 さっきから周囲を見回しては何かを見つけて食い入るように見つめ、ドッグテイルがオーバーヒートしそうなほどにぶんぶん振り回されている私を見てマスターさんがニコニコしていらっしゃって、それに気付いて我に返り赤面してしまう、のくり返しなのです。 そんなこんなで辿りついた、武装神姫の専門店、神姫センター。初めてのお出かけの目的地としては順当でしょう。 かく言う私もここでご購入されたという、いわば故郷なだけにとってもドキドキです。 「といっても別に、購入店だからって何か思い出があるわけでもないんですけどね」 「割とドライですね犬子さん」 「それはもう、マスターさんと出会ってからが私の全てですから」 「意味深な台詞に聞こえますが、実はそのまんまですよね」 「そのまんまです」 さてさて、件の神姫センターですが、案内を確認するに1階が新製品や基本セットと言った目玉商品に、それから関連書籍と言った比較的ライトな層向けの商品、2階と3階がパーツの販売スペース、そして4階がバトルスペースとなっているようです。 そして1階でも(おそらく各階でも)、各所に設置されたモニターで4階のバトルのリアルタイム映像や、名勝負のリプレイなどが観戦可能になっております。 今も、かなりカスタムされたストラーフタイプが、マオチャオタイプを圧倒してる映像が流れています。現在の対戦風景のようですね。 マスターさんも足を止めて、その映像に目を向けました。 「あの黒いほうは……見たことがないタイプですね?」 「アレは悪魔型MMS『ストラーフ』ですね。天使型MMS『アーンヴァル』ともども第一弾で発売された武装神姫なのですが、第6弾まで発売されている現在でも武装性能・デザイン両面で人気が高く、再販時も瞬く間に売り切れ、現在は入手困難となっております。最近武装神姫の存在を知ったマスターさんには、なじみが薄いのも仕方ないかと」 「なるほど、根強い人気の武装神姫の基本形といったところですか。 ちなみに犬子さんは第何弾だったのですか?」 「第二弾です」 「犬子さんもわりと初期に発売されていたのですね」 「ええ、わりと」 「…………………………」 「…………………………」 「私たち第二弾の場合、第一弾の売れ行きを考慮して初回生産時から安定供給が図られましたから」 「僕は何も言ってませんよ?」 「…………………………」 「…………………………」 「コミック連載との連動企画で通信販売された第二弾のリペイントバージョンは、販売受付当日はサーバーがダウンするほどに注文が殺到し、その予定生産数を大幅に上回る注文数に販売形式を数量限定から受注生産へと切り替えられたりしているのですよ?」 「ですから僕は何も言ってませんから」 「…………………………」 「…………………………」 「さて、いつまでも通路で突っ立っていては他の方の邪魔になってしまいますね。まずはぐるっと見て回りましょう」 「ええ、行きましょう」 微妙に墓穴を掘ったような気がしないでもありませんでしたが、それはさておき深く突っ込まなかったマスターさんに感謝しつつ、私はマスターさんの胸ポケットの中で「おー」と拳を突き上げます。 『Winner:ローザリッタ! これにて12連勝中! さあ! 彼女の快進撃を止めるものは誰か?!』 そんな私たちの背後で、件のストラーフの勝利コールが高らかに鳴り響くのでした。 まずは、関連書籍コーナーです。 「現在、武装神姫関連の雑誌は定期刊行誌・ムックをあわせて80誌、書籍では1,400タイトルに及ぶと言われています」 「それが一所に集まっているだけに、壮観ですねぇ。これだけあると、何から手を出せばいいのか」 「武装神姫の知識を深めるならば、現在販売中の武装神姫たちを網羅し、バトルデータも充実、さらには限定コスチュームであるナースセットもついてくる『武装神姫マスターズブック』 が初心者向けの手引書としてよろしいかと」 「ほほう」 「エンターテイメント作品ならば、7体の武装神姫とそのマスターとの交流を描いた小説『武装神姫 Always together』がネットで高評価を受けております」 「なるほどなるほど。販促義務ご苦労様です」 「いえいえ、お耳汚しを」 往来で、しかもマスターさんの胸ポケットに間借りしている身分としては、座礼が出来ないのが悔やまれます。 「ちなみにその小説だと、犬子さんの……ええと、ハウリンタイプでしたっけ? その武装神姫は活躍しているのですか?」 「いいえ、この小説におけるハウリンタイプへの言及は、同型機であるマオチャオタイプのレストアに際し、ハウリンタイプのパーツを流用した、との記述があるのみだそうです」 「……そうですか」 「そうです」 「…………………………」 「…………………………」 「ちなみに他に関しては、『ヒロインの兄が所持していた』という伝聞形式や、店頭に展示されていたという描写も含めるなら、第6弾までの全ての武装神姫の登場が確認されているとの事です」 「……そうですか」 「そうです」 「…………………………」 「…………………………」 「次にいきましょう」 「そういましょう」 泣いてなどいませんよ? 武装神姫には涙を流す機能は搭載されていませんから。 「うーん、こちらもまた色々ありますねぇ犬子さん」 「目移りしちゃいますよねマスターさん」 「……申し訳ない、目移りするほど違いがわかりません」 「……こちらこそ、話題の振り方を間違って申し訳ありません」 と、いうわけで、現在はウエポンパーツコーナーを見て回っています。 取り回しやすそうな短剣、炎を吹き上げる大剣、重厚な機関銃、神姫には長大なノーマルサイズのフォークとナイフ、ミサイルの詰め合わせ、なぜかモアイ像などなど……様々な武器が所狭しと陳列されております。 「こういったものも、いずれ買い求めるべきなのでしょうかね?」 「世間一般の評価では、基本セットだけでバトルに臨んでも遠からず行き詰ってしまい、上を目指すならばこういった装備を揃える必要があるとか」 「そういうものなのですか」 「そういうものらしいです。ですが、初めからバトル志向ならばいざ知らず、まだバトルを未体験で、どれほどバトルに力を注ぐか未知数な私たちは、慌てて買い求める必要もないかと」 「当分は、基本セットだけで十分と?」 「そうです。当面は基本セットを活用し、まずは自らのバトルスタイルの方向性を見極めることが先決かと存じます。幸いハウリンタイプの基本セットには、近距離から遠距離まで一通りの武装が揃っていますしね」 「実際に戦ってみて、要不要を見極めてからでも遅くないというわけですね、なるほど」 「ええ、それが妥当かと。マスターさん本来の武装神姫の活用目的を考えれば、バトルとは無縁になる可能性もありますし」 そこまで言って、私はいたずらっぽくウィンクなどを一つして見たりします。 「買い控えをお勧めするのは、販促義務には反するのですけどね」 「よろしいのですか、販促義務は?」 私の言葉に、マスターさんもくすりと笑って聞かれました。ですから私も、わずかに胸を張って応えるのです。 「ええ、こう見えても私も成長しているのです。初期プログラムに縛られず、『マスターさんにとって本当に必要なものは何か?』を自己判断できるようになってきているのですよ」 「『男子三日会わざれば刮目して見よ』、ですね。 いや、毎日顔をあわせてますし、男子でもないですし、そもそも武装神姫なんですけどね」 「マスターさん、そこまで丁寧に自己完結されると、ツッコミどころに困ります」 「や、これは申し訳ない……しかし、先ほどの関連書籍コーナーでは、販促義務が炸裂していましたよね?」 「そのあたりは、値段と必要度の兼ね合いの上と言いますか……ありていに言って『本の一冊や二冊、武装パーツに比べればものすごく安いですし』と言う表現が妥当なところかと」 「ぶっちゃけましたね」 「ぶっちゃけました」 こんな他愛ないやり取りをしているだけですっかり機嫌が直ってドッグテイルがぱたぱた動き続ける自分は、安上がりで幸せな武装神姫だと思うのです。 <そのろく> <そのはち> <目次>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/498.html
前へ 先頭ページへ 次へ 出撃~接敵 1223時 114サーバー、ブリーフィングルーム(VR空間) 最初のブリーフィングタイムは特にこれといった話し合いも無く、ほとんど気の合った仲間内での自己紹介に終始した。小さな体育館ほどの広さのブリーフィングルームに二百体近くがいるのである。とても全員の顔や名前は覚えられないし、ましてや誰がどのような戦い方をするのかも不明瞭。結局はかねてからの知り合いを呼び出したり、たまたま側にいた者たちでくっついたり、マイティたちのようにアクセスポイントが同じであるがゆえに成り行きで一緒になったりして、各々個別に飛行隊を結成するくらいであった。ほとんどが飛行隊と呼ぶには間に合わせの体たらくであったが、それでも気取ってソロプレイをさせようとするオーナーはまったくと言ってよいほどいなかった。 実際の戦争かバーチャルバトルかに関係なく、多数と多数がぶつかり合う戦いは徒党を組んだ方が明らかに強い。長い人間の戦争史がそれを何度も何度も懲りずに証明してきたし、また一般人に身近なオンラインゲームの多人数戦闘でも、草創期からそのセオリーは絶対に崩れなかった。一騎当千などスタンドアローンゲームの中の存在でしかないのだ。 全員がホビーショップ・エルゴからの接続神姫で構成されたエルゴ飛行隊(ERGO Squadron)と名づけられたマイティたちのグループは、そもそもエルゴのバトルスペースを利用する神姫たちのレベルが比較的高くまとまっているからか、だいたいまともな構成員が揃っていた。 まず、飛行隊の主宰がファースト、セカンド各リーグにおいてトップクラスの神姫が揃っていた。飛行隊長はファーストランカーのシヅ(ここで断っておくが、ランクはオーナーではなく神姫自体に付与される。複数所有していればそれぞれの神姫にそれぞれのランクが与えられるのである。所有神姫が一体のみならば、神姫のランク、イコールオーナー自身のランクと読み替えてもかまわない)が務め、副隊長にはセカンド強豪の一体であるアーンヴァルのスノーボウ、またセカンドでは中級ながらも神姫自身の気違いじみた超重装備とオーナーのマニアックが功を奏した戦術指揮能力を買われ、ヴァッフェバニーのバーニング・ブラック・バニー、二体が就任した。 彼女らは五つに分割されたフライトのうち三つのフライトリーダーも兼任した。この時点でシヅのオーナー、バセットにより、フライト(四機編隊)、そしてエレメント(二機編隊)が振り分けられ、飛行隊としての体裁が整いつつあった。彼女に比べればほとんどヒヨッコである他の十九人のオーナー、そして彼らの神姫は、実戦経験豊富な文字通り老練の隊長に従った。 が、それでも、間もなく始まる第一次会戦においてバセットが作戦会議として言ったことは、 「自由に戦いなさい」 これだけであった。 シヅがオーナーの言葉を継いだ。 「大規模空中戦は誰もが初心者です。経験やランクの差、リーグの違いはあっても、スタート地点は同じなのです」 飛行隊員をぐるりと見渡す。 「大事なのはまず誰よりも早く慣れることです。ブルーチームの一人として、飛行隊の一員として何ができるのか。最初の戦いはおのずと模索の段階となります。リラックスして望みましょう」 要するに一番大事なのは怖がらないことなのだ、とマイティは自分なりに噛み砕いていた。 それでも彼女は漠然とした不安を完全に消すことができなかった。初めてのことはやっぱり怖い。ここにアクセスしたとき悲鳴を上げそうになったのも――別の理由で実際に上げてしまったが――いきなり体験したことの無い環境にほっぽり出されたからなのだ。 自分が新しい環境にこうも適応しにくいというのをマイティは初めて知った。今までは、オーナー登録も、バトルも、何もかもが「武装神姫としてすべきこと」としてあったために特に拒否反応を起こさなかっただけなのだ。どんなにトリッキーな対戦相手が現れようとも、それがバトルであるかぎりマイティは自然に闘えた。それが武装神姫の根底に根付いているのだ。ただの「神姫」ならともかく、「武装神姫」に戦いの嫌いな個体など無い。「武装神姫」として生まれた以上、戦いは陽電子頭脳の根底に刻み込まれた本能なのだ。人が毎日ご飯を食べるように、息を吸うようにできることなのだ。腕前は別として、戦うという行動自体に何ら弊害は存在しない。 このイベントは仮想空間の構築実験としても史上初ならば、武装神姫にとっても前代未聞だった。 目の前に展開された環境は何もかも、ここにいる神姫全員にとって、大規模空中戦以前に初めてのことばかりなのだ。 よく発狂しなかったものだとマイティは自分に感心した。むしろどうしてみんな平然としていられるのかという方が不思議だった。自分が感じやすいだけなのだろうか? こんなんで空中戦に出たらお先真っ暗だ。ナーバスになっているうちに天井のスピーカーからアラームが鳴った。 「ひっ!?」 それでマイティはまた叫びそうになった。察したシエンがマイティの肩を抱いて、安心させた。 『これよりハンガーへ移動します。総員、そのまま動かず待機してください』 放送からきっかり十秒後、ブリーフィングルームが消失した。エルゴ飛行隊以外の神姫も。 ◆ ◆ ◆ 1225時 11番コンソールルーム バーチャル空間が移動しハンガーに移動するのが画面に展開されると、マスターのところにも指示が来た。 『オーナーの皆様はカードを開封してください。カードは現在より以後、カードリーダーに差し込むことでいつでも使用できます。使用回数は一回のみ、再使用はできませんのでご注意ください。カードの効果については表面をご参照ください。なお、カードの効果は複数種類あります』 画面にビジュアルつきで説明される。 マスターは封を裂いた。プラスチック製のカードが出てきた。 カードの表面を見て、ちょっと困ったような表情を浮かべた。 そのままコンソールの横に置いて、マスターは再び椅子に深く腰掛け画面に注意を向けた。 マイティが心配だった。もちろんのことだが、彼女の新たな問題を、マスターも初めて知ったのだ。 ◆ ◆ ◆ BGM Hangar 1(エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー オリジナルサウンドトラックより) 同時刻 ハンガー(VR空間) 空中空母、と呼ぶに相応しい空間だった。 先のブリーフィングルームよりもはるかに広かった。 格納庫兼着艦デッキらしく、壁のあるほうから見て、カタパルトの付け根が乗ったエレベーター、その後ろには格納庫としてのだだっ広い空間があり、半透明のシールドシャッターを隔ててさらに後方には、尻尾のように長い着艦路が伸びていた。着艦路の末端の両側には尾翼らしき羽がある。 ハンガーは吹きさらしではなく、ちゃんと天井があった。カタパルト付エレベーターに乗せられた戦闘機はそのまま天井のハッチの向こう側にあるカタパルトデッキに上げられ、そのまま射出されるのだ。 全てが等身大サイズであった。つまり、エレベーターが実際の戦闘機サイズ(もちろん神姫スケール、つまり神姫が人間の大きさだとしてなのだが)、大きすぎるのだ。 二百体以上のブルーチームメンバーが散り散りに広がっていた。それでもなお十分すぎる余裕があった。本来ならば数十機の戦闘機が整然と並んでいるはずなのである。 カタパルトだけが神姫を射出するための構造であった。普通はエレベーター一台に付き一基しか無いが、ここではエレベーター一台に八基も取り付けられている。二フライト単位で打ち出せるというわけだ。 そのエレベーターが壁際、つまり空母の進行方向の壁にずらりと十台ほど並んでいる。発艦シーケンスを三回繰り返せば全員射出できる計算だ。 時間は調整されることは無いから、つまり急いで発艦しないと戦場に出遅れるというわけだ。ブリーフィングタイムのラスト五分にドックに移されるわけである。 そうと分かれば急がねばならない。もう周囲ではメイン装備の呼び出しが次々と行われ、終わった飛行隊からどんどんカタパルトに向かっている。 エルゴ飛行隊は一番はじっこのカタパルトのまん前を占拠し、装備の呼び出しにかかった。 戦闘開始まで残り四分を切っていた。 「準備の整った隊員から順次発艦してください。合流はフィールドで行います」 シヅの指示が飛ぶ。メンバーは口々にオーナーに装備呼び出しを請うた。 マイティはおろおろしながらも、 「マスター、メインボード展開です」 と震えの抑え切れない声で要請。 『分かった、もう操作している。出るぞ』 マイティの体を光るポリゴンの粒子が包み込む。 あらかじめ設定しておいた装備が顕現し始めた。 リアウイングAAU7を背負いありったけの推進装備を付けた従来の装備とは、今回は大きく様相を異にしていた。 まずAAU7の推進器付き主翼が、脚部に普通に履かれたランディングギアAT3の側面に直付けされている。翼表面にはスティレット短距離ミサイルが四発。膝ジョイントにはガードシールドが取り付けられ、これだけでデルタ翼戦闘機の主翼と垂直尾翼だとすぐに分かる。 両手にはそれぞれアルヴォLP4ハンドガンとカロッテP12ハンドガンを持ち、両手首にはM4ライトセイバーを装備。このように手に持ちかえず、装着箇所から直接光刃を発生させるやり方は、ライトセイバー使いの間ではもはや常套手段である。いちいち外して手に持つ手間など無いほうが良い。 つづいて上半身の武装が現れる。 胸部装甲はスラスターの付いたホーリィアーマージャケット、頭部はオーソドックスにヘッドセンサー・アネーロ。バックパックが最後に出現し、それはレインディアアームドユニット・タイプγだったが、リアスラスターユニットの代わりに戦闘補助としてシロにゃんが乗っかり、フォービドブレイドは外されてAAU7のバインダーとハグダンド・アーミーブレードがあった。 素体にそのまま羽をつける飛行タイプ神姫のシルエットはほとんど残っていない。まるで体全体がそのまま、機首の二つに分かれた未来的デルタ翼戦闘機を髣髴とさせていた。どこからともなく「ビックバイパーみたいだ」という声が聞こえた。 もうエレベーターはいっぱいで、マイティは次の発艦を待つ。 その間にシエンが、少し離れた場所でメインボードの呼び出しを行っていた。 頭甲・咆皇、ドッグテイル、ヴァッフェバニーのアーマー類。 シエン自身の装備はそれだけで終わってしまった。 「あれ? シエンちゃん、飛行装備は?」 「ああ、マイティ、ちょっと離れてて」 シエンが手をかざしてマイティを制止した直後、シエンの周囲の空間に一瞬ジャギーが発生した。 ガカカカカカカカカカカカカカ。 重たそうな処理音とともに、なにか巨大なものがシエンの前に呼び出されようとしていた。 明滅するポリゴンが下から集まってくる。 まるで映画「アヴァロン」の多砲塔戦車ツィタデルの出現シーンである。 メインボード展開としてはかなりの時間をかけ、現れたのは確かにある意味、戦車であった。 神姫換算四メートルちょっとはあろうかという、真っ赤な頭をした一つ目のロボットが鎮座していた。 「これが私の戦闘機、『クリムゾンヘッド』さ」 誇らしげにシエンは言った。 シエンがバトリングクラブで使っている、1/12フルモータライズスコープドッグを、専用の飛行装備に換装して持ってきてしまったのだ。 『あらあら、大胆ねえ』 バセットは笑っていた。シヅは相変わらず、忍者型MMSフブキ特有の表情の無さで、驚くことなく見ていた。 マイティをはじめ、周囲の神姫たちはぽかーんとしてその巨人を見上げていた。 「シエンちゃん、これ・・・・・・」 大丈夫なの? とまで言えなかった。ここにあるということは、少なくとも「許可された」ということなのだから。 シエンは誇らしげに巨人の体をひょいひょいと登り、あっという間に乗り込んで始動をかけてしまった。 「準備ができました。行きましょう」 シヅの一声で我に返る。彼女はもう装備を終えていた。リアウイングに必要十分に武装を引っさげた、かなりの軽装である。射撃武装はスティレット短距離ミサイルとカッツバルゲル中型ミサイルだけで、両腕はシェルブレイクパイルバンカーと忍者刀・風花という完全近接戦闘武装である。 マイティも一応ライトセイバーを腕に取り付けてはいるものの、これはサブ機能のレーザーガンとして主に使う算段であった。ライトセイバーとして至近距離で切るなんてことは、空中戦ではほとんど無いだろうと考えていたのだ。 マイティがシエンのスコープドッグを見つめている間に、他の隊員は空いた隣のカタパルトも使って皆すでに飛び立っていた。エルゴ飛行隊で残っているのはマイティとシエンとシヅの三人だけだった。 ぎこちない歩き方でカタパルトに両足を固定する。ランディングギアは歩行には向かない。 右隣のカタパルトにはシヅが立ち、左隣にはカタパルトを片足ずつ、二つも使ってシエンのクリムゾンヘッドが立った。 ガコン。エレベーターが動き、せり上がる。 同時に天井のハッチが開いてゆく。外は晴天。 上がりきると、本当にまぶしいくらいの晴天だった。雲ひとつ無い。いや、雲は空母の下に流れているのだ。風は強かったが、慣れているから気になるほどでもない。 なんというハイクオリティの空間構築だろう。マイティは思わず驚嘆した。 突然ガクンとカタパルトが前に傾き、マイティはびっくりした。 倒れるかと思ったが、体がほとんど水平になって止まった。シヅもクリムゾンヘッドも、同じようにうつぶせに近い状態になっている。 なるほど、こうして飛びたつのだ。 《エンジン推力を最大にしてください》 管制官からの指示が来る。 マイティは言われたとおりに、主翼のスラスター、ランディングギアの補助バーニア、そしてエレクトロマグネティックランチャーの後部電磁推進器の出力を上げた。 途端に凄まじいGがかかった。カタパルトが射出されたのだ。すぐ下のデッキが目にも留まらぬ速度で流れ、気がつけば空中に投げ出されていた。 《姿勢を安定させて!》 慌ててマイティは背筋を伸ばして飛ぶ。通信で呼びかけたのはシヅだった。彼女はマイティのやや右後方を飛んでいる。 これ以降ほとんどの会話は通信で行われることになった。肉声ではほとんど聞こえないのだ。戦っている間に会話するなどということも、ほとんど無いことだった。 ぐうん、と体に影かかかる。左情報に陽光をさえぎってシエンのクリムゾンヘッドが、大きな主翼を展開させて白い飛行機雲を引いていた。 《フィールドとは空間続きです。全速で合流しましょう》 三人はアフターバーナーで高空を飛ぶ。 1234時 特設フィールド「諸島」 そのフィールドは輪をかけて広大だった。ヘッドセンサー・アネーロの見慣れたHUD(※ヘッドアップディスプレイ。速力や高度、状態表示、武装のコンディション、レーダー、マップなど、必要情報が視界に重ねて表示される)を操作し全体マップを表示しても、いつものバトルフィールドと違って自分の居場所が本当に点に見え、アイコンはちまちまとしか移動しない。 二百体以上のブルーチームメンバーが、青いアイコンで固まっている。全員南から北上する。進路上、マップの中心域には大小さまざまな島が点在していた。 全開出力で赤いアフターバーナーをちらつかせながら、チームはそのまま北上した。予想するにレッドチームは北から諸島上空目指して南下しているに違いなかった。時刻は1235時をまわった。接敵まで最大五分以上かかる。実際の戦闘時間は一時間いっぱいではなく、どんなに長く見積もっても五十分少々ということだろう。ブリーフィングタイムも実質二十五分なのだから、全ての所要時間はマイナス五~十分と見積もればよい。 島の上空に到達するまでに、マイティたちは飛行隊の編隊を組んでおく。 各フライトずつ四機、フライトリーダーを戦闘にして傘型陣形。主戦闘部隊のヘッド、アームズ、トルソー三フライトが前に出て、チェスト、レッグスの支援系フライトがその後方につく。シヅやスノーボウの的確な指示で素早く編隊が組み終えられた。おのずとエルゴ飛行隊が最前列につく。 他の飛行隊もエルゴを見真似ていそいそと編隊を組み始める。が、もう下には諸島が見え始めていた。 今回は諸島上空の制空権確保がその任務である。 《こちらニーズ1、敵集団をレーダーに補足》 亀の甲羅のようなレーダードームを背負ったレッグスフライトリーダー、オーリーエンダーが報告する。 まだ視界には捉えられない。 《ヘッド1了解。全機このまま前進しましょう》 すかさずシヅの指示が来る。が、オーリーエンダーが反論した。 《待ってください。敵の数が・・・・・・》 《どうしました?》 《アルタ、全員に私のスクリーンを送って》 《ラジャー》 ニーズ2、アルタを通じて、エリント機であるオーリーエンダーの捉えた広域レーダー映像が飛行隊全員に送信された。 「これって・・・・・・!」 マイティは息を呑んだ。飛行隊全員がこわばる空気を感じた。 《多すぎるよ!》 隊員のだれかが悲鳴を上げた。 レーダー映像には、ブルーチームよりもはるかに大きな赤い塊が映っていた。敵、レッドチームである。 《戦力は拮抗してるんじゃなかったんですの!?》 チェストフライトの二番機、パーシモンケープが抗議した。 その答えはアームズフライトリーダー、スノーボウがすぐに出した。 《カードを使ったんだわ》 《ねぇさま、カードって?》 ショルダー2、千乃が暢気そうな声でリーダーに訊くと、 《おばか、オーナーが一枚ずつ持ってる特殊効果が出るカードのことです》 四番機のマリオンがうんざりしたように教えた。 他の飛行隊も状況を悟ったらしく、混乱が広がり始める。 通信がうるさくなった。 どうするんだ、このままじゃやられちゃう、逃げたいよう。どれをとっても弱気な内容しか聞こえない。 そうしているうちに向こう側にぽつぽつといくつもの点が見え始める。 「てっ、敵です、敵! 肉眼で確認!」 あわててマイティが全体通信で叫ぶ。 半ば口論に近い言い合いをしていたチームはいっせいに前を向いた。 1236時 諸島上空 接敵 《戦闘機だ》 クリムゾンヘッドの望遠カメラで確認したらしく、シエンが言った。 マイティもヘッドセンサーの望遠機能で見る。 確かに戦闘機だった。レッドチームの神姫に混じって、本当に戦闘機が飛んでいる。 総数およそ四百機。 『こりゃあ、アレだぜ』 呆然としてシエンのオーナー、ケンが言った。 『ポーカーで席に着いたばっかで、まずは様子見と思っていたら、隣のヤツがいきなりフォーカードを出しやがった、って状況だ』 《敵機、ミサイル一斉射!》 オーリーエンダーが怒鳴った。 ビーッ! ミサイルアラート。HUDが真っ赤に染まる。 《回避! 高度を下げて!》 シヅの命令が飛んだ。 戦力差三倍、記念すべき初戦が始まった。 前へ 先頭ページへ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/704.html
鳳凰杯詳細設定 えぇ~鳳凰カップに多くの作品からのご参加に感謝しつつ、ちょっとまとめてみようと思いまして… 各作者様とのコラボ用のメモ代わりにしていただければと思います 参加者はまだまだ応募しておりますのでみなさまドシドシおこし下さい なお、バトル、ブース出店の追加参加、及び私の記入漏れなどありましたら各作者様での自主更新は自由となっておりますので皆さんのメモページとして自由にお使いください ここの設定に関する疑問、質問などは私のほうまでご連絡下さいますよう @神姫の父 鳳凰杯全体の基本設定 ・2035年から始まった鳳条院グループ主催の武装神姫バトルカップ ・春と秋の年二回開催されていてそれぞれ〈春の陣〉と〈冬の陣〉と呼ばれている ・会場は鳳条院グループ本社ビルから近いドーム状のイベント広場 ・2037 春の陣 の日程は三月の中旬、二日間にわたり開かれる ・イベント本部、総合会場案内所は鳳条院グループの企業ブースに設置してある バトルカップ基本設定 ・全試合バーチャルバトル ・リーグランクによるランク分けはない ・当日に違法改造及び違法パーツ使用神姫でないかの審査を受けなければならない ・抽選によりA~Pまでの十六組に分かれての予選リーグ(一日目) ・予選リーグでは各グループに二台ずつV.B.B.S.筺体の設けている ・予選リーグは全四回戦 ・予選リーグを勝ち抜いた者達による決勝トーナメント (二日目) ・決勝リーグでは超大型V.B.B.S.筺体を設ける ・決勝リーグは一回戦(八試合)が午前の部、二回戦(準々決勝)と準決勝と三位決定戦、決勝(合計八試合)が午後の部となっている ・午前の部が終了すると勝者八名での再抽選がおこなわれる ・毎年上位優勝者には多額の賞金と豪華副賞が送られる ・今回の 春の陣 副賞には東杜田技研と國崎技研より提供との申し出がある ちっちゃい物研・鳳凰カップ編-01 神姫ちゃんは何歳ですか? ・テレビ中継がおこなわれるのは決勝トーナメントから ・鳳凰杯での戦績はオフィシャルバトルライセンスのランキングポイントに加算される ・オフィシャルバトルライセンスがなくても参加は可能 ブース出店基本設定 ・武装神姫関係の各企業や研究所、私営の神姫ショップなどと協力しており、企業ごとのブースを設けることで、バトルをしない神姫ユーザーにとってもお祭り気分で楽しめる ・出店スタイルは自由 作品別バトルカップ参加者名簿 O=オーナー名/性別/登録リーグ(ファーストランカーは順位も)/予選グループ S=神姫名/タイプ/登録リーグ 橘明人とかしまし神姫たちの日常日記 O アルティ=フォレスト/女性/セカンド/グループA (決勝リーグ進出 S ミュリエル/ストラーフ/セカンド O 鳳条院 葉月/女性/セカンド/グループB (決勝リーグ進出 S レイア/ストラーフ/セカンド O 花菱 昴/男性/サード/グループJ (三回戦敗退 S ランスロット/サイフォス/サード O 水無月 香憐/女性/サード/グループM (四回戦敗退 S 孫市/紅緒/サード O 草薙 雄也/男性/セカンド/グループC (二回戦敗退 S リャン/ヴァッフェバニー/セカンド 神姫ちゃんは何歳ですか?&騎士子のヴァレンタイン大作戦 O 國崎 観奈/女性/ファースト72位/グループC (決勝リーグ進出 S ミチル/ストラーフ/ファースト O 斗小野 水那岐/女性/未登録(特別参加)/グループI (決勝リーグ進出 S 花乃/ジルダリア/未登録 O ???/男性/サード/グループ? S フランチェスカ/アーンヴァル/サード O 健ちゃん/男性/セカンド/グループK (四回戦敗退 S ナナミ/マオチャオ/セカンド 妄想神姫 O 槇野 梓/女性/サード(槇野 晶(女性/サード)の代理)/グループH (決勝リーグ進出 S ロッテ/アーンヴァル/サード 幻の物語 O 上岡 修也/男性/ファースト192位/グループP (決勝リーグ進出 S リュミエ/アーンヴァル/ファースト 凪さん家シリーズ O 凪 千空/男性?/サード/グループJ (決勝リーグ進出 S 弁慶/ハウリン/サード O 早坂 未来/女性/サード/グループ? S 義経/ストラーフ/サード O 渡瀬 美琴/女性/セカンド/グループO (決勝リーグ進出 S アーサー/アーンヴァル/セカンド O 柊 咲矢/男性/セカンド/グループG (決勝リーグ進出 S ハンゾー/マオチャオ/セカンド O 歌南瀬 クオウ/女性/サード/グループ? S 晴明/ジルダリア/サード アールとエルと O 陽元 治虫/男性/セカンド/グループL (決勝リーグ進出 S エル/ストラーフ/セカンド 武装神姫のリン O 藤堂 亮輔/男性/セカンド/グループF (決勝リーグ進出 S 燐/ストラーフ/セカンド 岡島士郎と愉快な神姫達 O 鶴畑 興紀/男性/ファースト54位/グループM (決勝リーグ進出 S ルシフェル/ストラーフ/ファースト O 鶴畑 大紀/男性/ファースト144位/グループE (決勝リーグ進出 S ミカエル/アーンヴァル/ファースト O 鶴畑 和美/女性/サード/グループO (四回戦敗退 S ジャンヌ/サイフォス/サード 魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン O 鋼月十貴子/女性(現状、女装とはバレていない)/ファースト・ランキング圏外/グループK (決勝リーグ進出 S ジル/ストラーフ/ファースト 剣は紅い花の誇り O 川原 正紀/男性/セカンド/グループD (決勝リーグ進出 S クイントス/サイフォス/セカンド O 深町 昭/男性/サード/グループN (決勝リーグ進出 S ウインダム/アーンヴァル/サード Gene Less O 解体屋さん/男性/セカンド/グループP (1回戦敗退 S シビル/サイフォス/セカンド O 靴屋さん/女性/サード/グループP (1回戦敗退 S トゥールー/アーンヴァル/サード 対戦表メモ 一回戦 第1試合 書いた人:神姫の父 アルティ=フォレスト&ミュリエル(勝 VS 鳳条院 葉月&レイア 第2試合 書いた人:ぬえ 國崎 観奈&ミチル(勝 VS 川原 正紀&クイントス 第3試合 書いた人:リンのマスター 鶴畑 大紀&ミカエル VS 藤堂 亮輔&燐(勝 第4試合 書いた人:妄想の人 柊 咲矢&ハンゾー VS 槇野 梓&ロッテ(勝 第5試合 書いた人:優柔不断な人(仮) 斗小野 水那岐&花乃 VS 凪 千空&弁慶(勝 第6試合 書いた人:アールのマスター 鋼月 十貴子&ジル VS 陽元 治虫&エル(勝 第7試合 書いた人:ぬえ 鶴畑 興紀&ルシフェル(勝 VS 深町 昭&ウインダム 第8試合 書いた人:幻の人 渡瀬 美琴&アーサー VS 上岡 修也&リュミエ(勝 二回戦(準々決勝) 第1試合 書いた人:アールのマスター 鶴畑 興紀&ルシフェル(勝 VS 陽元 治虫&エル 第2試合 凪 千空&弁慶 VS 槇野 梓&ロッテ 第3試合 書いた人:神姫の父 アルティ=フォレスト&ミュリエル(勝 VS 上岡 修也&リュミエ 第4試合 國崎 観奈&ミチル(勝 VS 藤堂 亮輔&燐 作品別ブース参加者名簿 出店スタイル/企業名or店舗名/代表責任者名 橘明人とかしまし神姫たちの日常日記 本社製品展示、販売/鳳条院グループ/営業二課 渡辺 透 神姫ちゃんは何歳ですか? 國崎技研商品展示/斗小野グループ 國崎技研/國崎技研社長 國崎 悠人 展示内容(予定) ヘンデル及びグレーテルのデモ、体験 グレーテルを使ったお菓子作りコンテスト(優勝商品はグレーテル通常版) 審査速報 妄想神姫 オリジナルアクセサリー(※)展示、販売/MMSショップ“ALChemist”/槇野 晶 ※:パンフレット上の表記。実際は衝動的な種類の増加によって、 “アクセサリ”の枠に収まらない状況となっている。[by 妄想の人] 「数がそう多い訳ではない、売り切れる前に来る事だな。有無」 神姫“アルマ”ミニライブ(※)/“ALChemist”内部ブース“KEY.”/アルマ ※:特に進行役やスケジュールのない、ストリート風ゲリラライブ。 初日午後、二日目午前と午後の計三回+αを予定します。[by 妄想の人] 「えっと……精一杯唱ってますので、一度聴いてみて下さい!」 凪さん家シリーズ 喫茶店/喫茶店『LEN』/真凪 京都 『LEN』所有の大型トレーラー型移動店舗「轟号」(ごうごう)を二日間(前日乗り入れのため都合三日間)にわたって使用。 形式は可動式トレーラーコンテナをキッチン兼住居とし、オープンカフェとなる。 コンテナを下降させているので本店さながらにカウンタも設置されている。 :臨時のアルバイトさん募集中!!(元からいるアルバイトが時間によって大会出場等でいなくなったりするため) 条件 期間~大会期間中 形態~接客等 時間~一時間~応相談 三食食事、休憩有り 大会期間中の轟号への泊り込み可能。(遠方の方は泊り込み推奨、最大三泊四日~四泊五日) 大会開始前と大会終了後の送り迎え有。 京都「そうね…関西くらいまでなら前日に迎えに行って、終わったらお家まで送ってあげる」 レン「うむ」 時給1200~1500円以上(売り上げと頑張り次第で上昇も???) 『LEN』お食事割引券配布 アルバイトとして(凪千晶、白羽玖乃以外は全員短時間+大会出場) 凪千晶 、凪千空 、渡瀬美琴 、早坂未来、柊咲矢、 クオウ歌南瀬 、白羽玖乃 臨時アルバイトとして 青葉かすみ幻の物語 を登録済み。 「byチアキの人」 戦うことを忘れた武装神姫 出展企業名:東杜田技研 出展形式:4セクション使用・展示および物販 ほか (詳細はこちらをご参照ください) 出展責任者:Dr.CTa(東杜田技研・小型機械技術研究製作部) 剣は紅い花の誇り 出展店舗 魔剣匠工房『鬼奏』 出展責任者 神浦琥珀 武装神姫用の刀剣の展示、販売 注 在庫は無し、展示されている一振りずつのみ。全て売切れの時点で撤退 お気軽に、ただしお早めにお越し下さい ラインナップ 徒然続く、そんな話。 出展パフォーマンス サーカス『四堂』 出展責任者 獅堂麻遊利 神姫、人間、動物によるパフォーマンス。 13:00から屋外特設テントにてイベント開始。 神姫と人間の空中ブランコなど。 その他大手企業 武装神姫・企業一覧 EDEN-PLASTICS 島田重工 BLADEダイナミクス カサハラ・インダストリアル 篠房製鉄、六郎製作所 GOLIフューチャーデザイン バイオエンジニアリングOKAMA (株)柳瀬建機 *オフィシャル武装神姫第六弾の先行展示も行われております。 その他アマチュア参加 アマチュア・個人製作武装一覧 『F-Face』 三屋八方堂 ??? EXECUTION アメリカ、ロサンゼルスより違法神姫調査官が緊急来日。 一般人の関与を一切禁ずる。 メインページへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2510.html
MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 9」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 大阪港の端、貨物船やフェリーが静かに停泊している。その一角に真っ黒の巨大な豪華客船が停泊していた。 豪華客船には明々とまばゆい光が窓から零れ落ち、桟橋をうっすらと照らす。 桟橋に数台の観光バスが到着する。 バスからは数十人の取りまとめのない老若男女、スーツ姿のサラリーマン風の男や、杖をついた老人、制服を着た高校生、ガタイのいいスポーツマン風の男、ギャル、はてには小学生としか思えないような女の子などなど・・・ぞろぞろとバスから降りてくる。 年齢も服装も性別もまったく何一つ共通点がない集団であったが、一つだけ共通しているある物をみんな持っていた、アルミ製のカバンである。 海原「おーーーおーー今日もぎょうさんきよったな!見てみ、グロリア」 海原は最上階のスィートルームのべランダから桟橋を覗き込む。 グロリア「あそこにいる集団はすべて武装神姫オーナーですね」 スクルド「目でわかります」 青い武装を纏った2体の神姫が桟橋を覗く。 海原「ああ、そうや!ジジイやババア、サラリーマンのお兄ちゃんも折れば、女子高生もおる、熟した団地妻もおんな!!おっ!!!みてみい、あそこにおるんの小学生のガキやで!」 グロリア「ふふふ、神姫のオーナーになるのは年齢や性別は関係ありませんからね」 海原「そうや、武装神姫は平等や、差別はせえへん!大事なのは強かったらいい・・・ただそれだけのことだな、なあ!!瑠璃よ」 海原はベランダのテーブルで、酒を飲む瑠璃に話題を降る。 瑠璃「・・・・ああ、そうね」 。 瑠璃は真っ赤なミニチャイナを着ており、長い足をえらそうにXに組んで興味なさそうに酒をあおる。 海原「どーした、瑠璃?なにか不満か」 海原は瑠璃のとなりの椅子に座り、瑠璃のスラッとした生足をスリスリとさする。 さも当然のように、まるで挨拶でもするかのように海原は瑠璃の豊満な胸を揉み、体を舐めるように触る。 瑠璃「・・・・」 もう慣れた。3日前にこの男と交わってから毎日、隙があればこうやって私の体を触り弄ぶ。 最初は悪寒が走るほど嫌だったが、人間慣れると恐ろしいもので三日も毎日、昼夜を問わずされると何にも感じなくなってきた。 瑠璃はそっぽを向く。 瑠璃「別に・・・」 海原「へっへへ、また今夜も激しくやろうぜ、瑠璃ちゃん」 海原はそういうと瑠璃の顎をくいっと上げると深くキスを行う。 瑠璃「ん・・ちゅ・・・んん・・・・く・・・」 自分のマスターが好きでもない男に蹂躙されるのをみてスクルドは顔を背ける。 グロリア「スクルド、下にいこうか・・・さっきの連中の下見に行こう」 スクルド「ええ、そうですね」 海原「グロリア!今日は一日、好きに遊んできていいぞ、喧嘩売られたら全部買って分捕っちまえ!」 海原が叫ぶ。 グロリア「イエス、マイマスター」 海原「ふへっへ、その方が瑠璃ちゃんも喜ぶだろう?お金をいっぱい稼がないとな・・・俺のグロリアと瑠璃ちゃんのスクルドがいれば無敵だ。怖いものなんかねえ・・・・2人で頑張ってゆうすけ君を助けようぜ、へへっへ」 海原はそう言ってニヤつくと、瑠璃の股間に手を沿わす。 瑠璃「ん・・・く・・・」 瑠璃の口から甘い吐息が漏れ出す。 グロリア「・・・・では、行ってきます」 スクルドは海原に嬲られる瑠璃をただ呆然と眺めている。 スクルド「・・・・・」 グロリア「・・・行こう、スクルド」 グロリアは軽く敬礼すると、スクルドの手を優しく引いて部屋から出て行く。 海原「・・・ふっ・・・すいぶんとご執心だな・・・」 海原は瑠璃の体を揉み解しながらそっと瑠璃の耳元で囁く。 瑠璃「はあはあ・・・ん・・・何が・・・」 瑠璃が荒い息を吐いて聞き返す。 海原「グロリアだよ、アイツはどうやら俺以上にやり手だな」 瑠璃「ぐっ・・・・なにが・・・あっ・・・」 海原は野太い指を瑠璃の蜜の滴る秘所に這わす。 海原「寂しがりやでな、一緒にそばにいてくれる『誰か』がほしかったんだよ」 瑠璃「ん・・・あ・・・・なんのこと・・・」 海原「アイツは強い、恵まれている。だが、それだけだ・・・強い奴は多いが、孤独に耐えれる奴はそうそういない、己の寂しい心を紛らわせてくれる『誰か』がほしかったんだよ・・・アイツは」 瑠璃「・・・・・ふっ・・・・あっははは!!」 瑠璃は突然、笑い出す。 海原「・・・・何がおかしいんだ瑠璃?」 瑠璃「それってあなたのことでしょう?・・・・お金持ちで、権力もあって強くてやりたい放題、でも孤独、だから『お金』で私を縛って一緒にいたいってことでしょう?」 海原「・・・・」 海原の手がぴたりと止まる。 瑠璃「グロリアもあなたも一緒よ・・・お互いそっくりだわ・・・」 海原「ふっふ・・・ふは・・・そうだな、結局は奴も一緒だ・・・言われて始めて気がついたよ」 瑠璃が自分から海原の首に手をかけてキスをする。 海原「んぐ!?」 瑠璃「そんなに・・・そんなに寂しいなら・・・一緒にそばにいて欲しいなら・・・そばにいてあげるわよ・・・」 海原「・・・・瑠璃」 海原は瑠璃の細い腰をぎゅっと抱きしめるとベッドに倒れこんだ。 アヴァロンの一階ロビーで受付を行うオーナーたち、老若男女のオーナーたちはアルミケースを空けて自慢の神姫たちを見せて登録を済ませる。 ルカ「24、25、26・・・うわァ・・・まだまだいっぱい来ますねマスター」 天使型のルカはロビーの横にあるテーブルの上で、受付に訪れる神姫たちを確認して騒ぐ。 神代は腕を組んで、アヴァロンに乗船するオーナーたちをじっと確認する。 アヴァロンに乗り込んだ新たな乗客は全部で60人、大型の観光バスが一台あたり30人を乗せてそれが2台来たのだから、けっこうな数だ。 そして、最後の乗客の姿に神代は顔をしかめる。 アヴァロンに最後に乗船したのは、神代と同じ若い女だった。 濃い紫色の胸元が大体に開いたタイトな女性用スーツ。スカートは酷く短く、スラッとした長い足がカツカツとタラップに音を立てる。 受付には若いスーツ姿のボーイが名簿を見て女の登録を行う。 ボーイA「いらっしゃいませ、ようこそアヴァロンへ」 若い女はさっと、携帯のパスワードを見せる。 □ 重邀撃戦闘機型MMS「リカルダ」 SSSランク 二つ名「ミョルニル」 オーナー名「春日 凪」♀ 20歳 職業 神姫マスター ボーイは名簿と女のパスワードを照会する。 ボーイA「確認しました。春日様であられますね」 春日「そうだ、しばらくここで稼がせてもらうよ」 春日と名乗る女はにやっと笑う。 神代「・・・・春日!」 神代は椅子から立ち、叫ぶ。 春日「麗・・・あは♪なんでこんな所に?2年ぶりかな?生に会うのは?」 テーブルの上でルカが目をぱちくりさせる。 ルカ「あれれ?マスターのお知り合いですか?」 春日「おやおや、これが麗の新しい神姫かい、アンヴァールの初期型か・・・これまたクラシックだね」 神代「ルカだ。私の新しいパートナーさ・・・」 春日「そうかいそうかい、いいね。素敵な神姫じゃないか」 春日はルカをまじまじと見る。 神代「案内しよう。私は4日前に乗船しているんだ」 春日「まさかこんなところで昔の友達にあえるなんて思ってもいなかったよ、麗」 神代「・・・私はなんとなく春日がきそうな気はしていたけどね・・・」 春日「・・・ふふふ・・・・」 神代は船内の中央にあるバトルロンドの観客席に春日を案内する。 シャンデリアがきらびやかに光輝き、赤い絨毯が敷かれ、何十人もの神姫やオーナーでごった返していた。 いかにも怪しい風体をしたオーナーたちはテーブルを囲み、立食をしたり神姫の話をしたりして騒いでいる。 春日「なるほど、これがアヴァロンか・・・噂には聞いていたが、なんともまあ贅沢な非公式のバトルロンドの会場だな」 神代「考えたものよ、豪華客船をまるまる一隻使って裏の非公式バトルロンドの会場にするなんて・・・」 春日「これだけ派手に豪勢にやってるってことは、スポンサーと主催者はさぞかし羽振りがいいんでしょうね・・・神代」 春日の目がキラリと光る。 神代「・・・・」 ルカがくすりと笑う。 ルカ「最初、ここに来たときもオーナーは同じこと言いましたよね」 神代「羽振りがいいのは、スポンサーと主催者じゃない、参加するオーナーよ」 春日「なるほど、なるほど・・・ここでは一日に何億って金が動くって聞いたけど」 神代「ここは他の非公式のバトルロンドの会場とはわけが違う、ホンモノの金持ちとMMSマスターが来る場所よ」 春日「なるほど、なるほど・・・で・・・私はホンモノのMMSマスターかしら?」 神代「・・・・さあ?それはこの会場で生き残れたら、ホンモノってことじゃないかしら?」 春日「あはッ!!そうねその通りだわ」 神代と春日は二階の観客席に座る。 神代がボーイを呼ぶ。 神代「ワインと軽い食事を・・・」 ボーイB「かしこまりました」 春日「羽振りがいいのは、麗・・・あなたもいっしょみたいだね」 神代「そうかな?」 ボーイが上物のワインとサンドイッチ、スープやパン、クリームの乗ったデザートを持ってくる。 神代「では、頂ましょうか?」 春日「ああ、美味そうだ。さすがは豪華客船贅沢だな」 神代と春日はバトルを観戦しながら食事を楽しむ。 ルカは春日が大事そうに持っているアルミケースをチラチラと見る。 神代「そのアルミケースの中には、アイツがいるのかい?」 春日「っと・・・そうだった・・・改めて御紹介しないとね・・・」 春日はテーブルの上にアルミの頑丈なスーツケースを置く。 鍵を開けて、ゆっくりとフタを開ける。 ケースの中にはドライアイスが詰められ、一体の完全武装の神姫が静かに眠っていた。 ルカ「ふわああ・・・すごい武装ですね・・・・」 ルカが感嘆の吐息を漏らす。 神代「・・・さすがだな、春日、見事な武装だ」 春日は自慢げに自分の神姫を語る。 春日「そうだろう!!ほら、私の神姫をぜひもっとよく見てくれ、また新しい機構のエンジンを仕上げてみたんだ。非常に精密で複雑なんだが・・・動作も精度も確実でね、すばらしいだろうまるで芸術品のようだろう美しい・・・ここまで実用段階に仕上げるのには、大変な労力がかかったんだ」 たいていの一般的なレベルのMMSオーナーは、既存のMMSの装備を改造するのが関の山で、精密な素粒子エンジンを工作できる腕前を持ったMMSオーナーは極めて稀である。 春日は軽い外見に寄らず、天才的な才能と頭脳と腕前を持っている一流のMMS職人である。 春日「一般人が精製できる素材といえば、たかが知れているが、私の工廠には業務用の射出生成機があるし、より複雑な加工が可能なマルチベンダー(サル○ニーニ、超高級加工機械)も数台ある。樹脂や軽合金、複合素材やクチクラなども扱える。それにかのカタリナ社のバックアップもある。私の「リカルダ」は一級の素材と最先端技術で作られた最高級の武装神姫だ」 神代「・・・カタリナ社製の次世代型の最新鋭MMSか・・・前にまして凄みが増したな」 春日は興奮しつつ、そして冷静に話しを続ける。 春日「私は武装神姫が大好きだ。武装神姫を愛しているし、それらが動いて戦う姿を見るのは無上の喜びだ。愛する神姫には活動の機会を与えてやりたい。それが武装神姫の存在を証明するものだと私は思っているからね」 神代「戦うための、純粋な武装神姫か」 春日はうなずく。 春日「そうだ純粋な武装神姫だ・・・麗、武装神姫の本懐とはなにか?考えてみたことがあるかね?」 神代は肩をすくめる。 春日「武装神姫の本懐とはなにか?いろいろとそれについて考えを持っている奴はいるだろう。だが私にとってそれは一つしかない!!正しいのは一つだ!!」 ルカ「・・・・」 春日は興奮して机を叩く 春日「武装神姫にとって本懐はなんだ? 武装神姫に武装を施させずに、可愛らしいドレスやお洋服を着せて着せ替え人形をさせることかね? 下種な男共の慰み者として、性欲処理をさせるための自慰の道具か? それとも、神姫同士でリアルで戦うのは危険だからといってバーチャルの仮想空間でピュンピュンピコッピコと電子音とCGで出来た弾丸で戦うことかね? お店で店番をしてレジ打ちをさせて、バイトでもやらすことか? 可愛いエプロンでも着せて飯でも菓子でも作らせることか? 歌でも歌わせて踊ってアイドルの真似事でもやらせるか? 近所の公園で空き瓶を並べて射的でもやるか? それとも家にいるネズミやゴキブリを駆除でもするか? 冗談じゃない。そんな連中は武装神姫じゃない、絶対に武装神姫とは呼ばせない。ぶっ殺してやる!!! 武装神姫は獲物を仕留めるハンターでなければいけない。 それも己の全てを賭けた本当の戦いだ。 私の武装神姫が仕留めるべき獲物とはね、もっと危険で狡猾で、倒すべき価値のある獲物でなければならない。 では武装神姫にとってもっとも恐ろしく強大な天敵とは何か? それは同じ武装神姫以外、他ならない、武装神姫の敵は武装神姫以外にはありえないのだよ 私はこの非公式のバトルロンドこそが武装神姫によって与えられた最高の舞台だと思っている。 ここではなんでもが「自由」だ!!! 下らない武装神姫を縛るようなルールもなければ、制限もない!! 持てる力を全て出し切って戦う場所だ!!」 ダン!!と机に拳を振り上げて叩きつける春日。 春日「ハァハァ・・・んく・・・」 春日はワインを掴むとゴクゴクと流し込む。 春日「麗!!!私の言っていることが何か間違えているかね?」 神代はやれやれといった感じで春日に手を振る。 神代「ああそうかもな、そうかもしれないな」 ルカが小声で神代に囁く。 ルカ「こ、この人・・・なんか怖いです」 神代「昔からだ・・・気にすんな」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「敗北の代価 10」 前に戻る>「敗北の代価 8」 トップページに戻る