約 1,954,193 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1024.html
ep05 飛鳥ちゃん初めてのバトル 「あーいたいた。おーい、耕介はーん」 みんなで談笑していると、下から凛奈さんが上がってきた 「あっ、凛奈さん!」 マスターが勢い良く返事をする 「飛鳥ちゃんのプレステイルの修理、終わったでー」 凛奈さんの手の平にはプレステイルが乗っていた 「あ、有り難う御座います」 「礼なら夏はんに言うたってや。はい、飛鳥ちゃん」 私の前にプレステイルを差し出す凛奈さん 「有り難う御座います。おいで、プレステイル」 ぶぁさっ! 私の指示を受け、凛奈さんの手の平から軽やかに飛び立つプレステイル 「おおっ、優雅やねぇ」 そして、私の隣に降り立つ 「おかえり、プレステイル」 首?の辺りを撫でてやる 「はえー。なんかプレステイル、嬉しそうだね」 「よかったなぁ飛鳥ちゃん。美孤ちゃん、もう壊したらアカンて」 「う…ごめんね、プレステイル…」 凛奈さんに怒られたお姉様もプレステイルを撫でる 「…ところで、飛鳥さんはバトルをしないんですか?」 不意にクロテンさんが私に問いかける 「え…私は…そのつもりですが…」 と言ってマスターの方を見る 「せっかくだから、やっていくか?武装も直ったし」 突然の展開に、私は戸惑った いくら戦闘プログラムがあるとは言っても、実戦ではなんの役にも立たなかった事はお姉様との一件で身に染みて解っている しかも、今まで武装した事さえ無い 私は少し悩んでいたが 「あたし、飛鳥ちゃんの戦ってるトコ、みたいなー」 「解りました。バトルします」 お姉様の一言で、私の考えは決まった 「では私とやりませんか?実は私、バトルは初めてなもので…」 クロテンさんもバトルした事が無かったらしい イキナリ実戦経験を積んでいる相手とやるよりは、まずはバトルの雰囲気に慣れる意味でもクロテンさんと戦った方が、お互いに良いかもしれない 「あ、クロテンちゃんも初めてなんだ。いや、ウチの飛鳥も今日が初めてなんだ。祐太朗、いいかな?」 「クロテンも飛鳥ちゃんもいいなら、俺は構わないぞ」 というわで、私とクロテンさんのデビュー戦が決まった 「あれー、飛鳥ちゃん、着ないの?」 装備をそのままプレステイルにしている私に、お姉様が不思議そうに訊ねる 「トップスピードではこの方が上なんです。クロテンさんのEXブースターが切れるまではコレでいって食らい付いてないと、遠くから撃たれて終わってしまいます」 近接戦闘を考慮して作られた私に、飛び道具はボレアスしかない 十分高性能な装備ではあるが、射撃戦を得意とするアーンヴァル型を相手にするには、私自身の技量が無さ過ぎる 防具無しでクロテンさんに近づかなければならないが、なんとか得意な接近戦に持ち込まなければ勝ちは無い 「おーい、そろそろポッドに入れー」 「あっ、コウちゃんが呼んでるよ。それじゃ飛鳥ちゃん、頑張ってねー」 私はお姉様の声援を受け、ポッドへと入っていった …現実の私の意識が消え、電子の空間に『私』が現れる 「…ここは…?」 私はビルの屋上にいた 私の傍らにはプレステイルが控えており、指示を待っている 通常のサイズではなく、私達神姫のサイズに合わせて立てられたビル しかしそれらは老朽化が進んでおり、とても誰かが住んでいるとは思えない 「ゴースト…タウン…?」 ヴァーチャルのみならずリアル戦でもよく造られる、神姫バトルに於いて最もポピュラーな戦場 「等と考えていては危険だ」 既に戦闘は始まっている 策敵に於いてもトップクラスを誇る天使型を相手にしているのに、同じ所にボーっとしてるのは自殺行為だ 急ぎプレステイルに乗り、離陸指示を出す 同時に 『ピピッ』 「やはり見つかっていましたか…」 ロックオン信号をキャッチし、警告が頭の中で鳴る 私達が離陸した直後、一条の光がさっきまでいたところを突き抜ける ドオオオンッ! 目標を失った光はそのまま、向こうのビルへと当たり、瓦解させる 「あれがレーザーライフル、とんでもない威力ですね」 リアルリーグしか無い頃にアレを作ったというのだから、島田重工のイカレっぷりが解るというものです ともかく、レーザーの飛んできた方向を見る 「…いた」 また遠い所から撃ってきたものです。小さい点にしか見えません もし通常カラーだったら見落としてかもしれません 私はランダム回避をしながら、クロテンさんへと向かって飛んだ 途中、何度もレーザーが私の脇をかすめ飛んでいく ある程度まで近づくと、クロテンさんはライフルを諦め、アルヴォPDW9へと持ち替える そして、ブースターを吹かし移動を開始する 時折PDW9を撃ちながら逃げるクロテンさん こちらも回避行動を取りながらなのでなかなか距離が詰まらない ガスッ! 時折、PDW9がプレステイルに被弾する 「頑張って、プレステイル」 さすがにこれ以上の被弾は危険かと思ったとき、それは起きた ぼすっ…ぼすっ… 「え…あれ?」 突然、ブースターが吹けなくなった事に慌てるクロテンさん 遂に燃料が切れたようだ 「よし!今だプレステイル!」 プレステイルが機首-嘴を開く そしてボレアスから直結された部分からエネルギーを受け取り、ビームを放つ 「え?そんなのアリですか~?」 ビシッ! クロテンさんの脚部へとヒット! 元々は推進システムを転用したものなので威力は知れてるが、牽制にはなったようだ 「武装コード発動!」 『武装コード発動確認。合体シークエンス実行します』 私はプレステイルの上からジャンプする その後をプレステイルが追随し、分解 そしてパーツが私へと装着されていく 各部位が私とリンクしていく 全システム異常無し! 「いきます、クロテンさん!」 ぶぁさっ! エウロスを構え、クロテンさんへと急行する 「あっ…こうなったら…」 ブゥン PDW9を捨て、ライトセイバーを構え応戦体勢を取るクロテンさん ガキィッ! セイバーとエウロスが交差し、激しい火花が散る 「なっ…その剣は…?」 「高周波ブレードです。ビームで切る事は出来ませんよ。」 ググッ ビームの刃が歪み、高周波の刃がクロテンさんへと迫る 「くぅっ…」 私に押され、苦悶の表情を浮かべるクロテンさん ボッ! 不意にウイングのスラスターを切るクロテンさん そのせいで、私と拮抗していた力が切れ、押し出されるクロテンさん ブゥン… エウロスが空しく空を切る 「くっ…落ちるっ…」 互いに空中で失ったバランスを取り戻すとする 仕掛けた側のクロテンさんが先に立て直した ハンドガンを抜きながら距離を取ろうとする 「逃がしません!」 ヒュン!…ガシッ! 「え?きゃ~!」 私は咄嗟にゼピュロスを投げつける それはクロテンさんの左足へと食い込んだ そしてワイヤーを掴み、彼女を強引に引き寄せる 「わわっ…わわっ…」 「とりゃー!」 ぐいん! 「あ~れ~…」 ブンブンブン! そのままクロテンさんを振り回す 十分に勢いがついたところで地面へと放り投げる 「きゃ~!」 キリモミをしながら地面へと向かっていくクロテンさん 「まだまだっ!」 彼女を追撃する 再びエウロスを構え、彼女に斬りかかる ザシュッ! ブースターの一本を斬る バシュゥ!バシュゥ! スラスターを吹かし、懸命に体勢を立て直そうとするクロテンさん 「コレでトドメだ!」 「…よし!」 ガキッ! あと僅かの所で、体勢を立て直したクロテンさんにガードされた 「気を付けろ飛鳥!高度が落ちてる。もうじき地表だ!」 今まで黙って見ていたマスターから注意が飛ぶ 落下しながら随分戦っていたようだ 「えい!」 「わわっ、しまった!」 注意が逸れた僅かな隙を突かれ、地面へと押される私 クルッ…シュタッ! 「あらら、残念。でもコレはどうかしら?」 そう言ってクロテンさんは私の真上へと来て… 「キャストオフ!」 「わわっ!」 なんと彼女は、自らを覆うアーマーを解除し、私へと降らせてきた ガン!ガン! 「そんな奇策…うわっ!」 どごぉっ 目の前にレーザーライフルが落ちてくる ゴオッ! 轟音に驚き上を見れば、黒い影が飛び去ろうとしていた 「逃がさない!テンペスト起動!」 私は全武装とアーマーパーツの一部を使い、最強武装『テンペスト』を起動させる 「ターゲットロック!発…」 「まて撃つな!」 え?と思う間もなく カチッ トリガーを引いてしまった バシュゥッ! テンペストの電光に照らされた物を見て愕然とした それは、黒いウイングとブースターしか無かった コン… 驚いている私の背中に何かが当たる 「チェックメイトです。降参してくれますか?」 おそらくはライトセイバーがビームを切った状態で当てられているのだろう …ビームが出ていれば勝負はついていた 私はテンペストを投げ捨て、両手を上げる 「…私の負けです、ギブアップします」 『ギブアップ確認。勝者、クロテン!』 AIジャッジの声が、クロテンさんの勝利を告げた 「やられたな、飛鳥」 「申し訳ありません、マスター…」 「まっ、最初にあれだけ出来りゃ上等だ。あとは最後まで油断しないこった」 「は、はい!」 「あらー、残念やったねぇ、飛鳥ちゃん」 「あ、凛奈さん」 「そしておめでとう、クロテンちゃん」 「ありがとうございます」 ペコリ 「…しっかし、あんな戦術、良く知っとったなぁ…?」 「ええ、さっき他の人のバトルを見てた時に、とある騎士さんが鎧を飛ばしてたのを見たのと、家で漫画を見てたら、ウイングをダミーにしてたのがあったんで」 「ああ、あの漫画か…俺も見た。しまったぁ、飛鳥にも見せておくんだった」 「なんですか、漫画って?」 「なんか、むか~~~しに書かれた漫画だよ。コウちゃん、そのキャラの名前から取ってエアルちゃんの名前付けたんだよ」 「断じて違う!エアルは『アークエンジェル』から3文字取って並べ替えたんだ!」 「あのー、エアルさんって?」 「あたしの妹で、飛鳥ちゃんのお姉ちゃんだよ。今は下で色々見てるの。バトルよりも機械いじりが大好きなんだよ」 「そいや長いこと放置しちゃったな。そろそろ下に戻るか」 「んじゃ俺達も降りるか。クロテンもエアルちゃんに会ってみたいだろうし」 「だなー。私も久々に会いたいし」 小鉄さんも同意する 「んじゃ戻るか」 「はーい」 私達は再びエルゴの売場へと降りていった 「あの、エアル姉さん、何を…」 「あ、おかえり飛鳥ちゃん!丁度良かった!」 工具を見ていたはずの姉さんは、なぜか服に埋もれていた 「コレなんて飛鳥ちゃんに似合うと思うのよ!あ、こっちも!さすが『TODA-Design』よね!」 「あのーもしもし?」 「あ、コッチもいいわよ!國崎の『M-collection』なんだけど…」 「…なんかスイッチ入っちゃってるな」 「そだね…こんな状況でこてっちゃんやクロテンちゃん見たら…」 マスターとお姉様ななにやら悩んでいる 「あーいたいた。エアルー、久しぶりー!」 「「あちゃー…」」 「あっ!小鉄さん良い所に!この服、貴方にピッタリだと思いません?」 「いや私はゴスロリはちょっと…」 「ゴスロリってなんですか?」 「あーっクロテン、来ちゃダメッ!」 「どうしたのです、姉さん?」 「あっ!この可愛い子誰?」 小鉄さんの願いも空しく、クロテンさんはエアル姉さんに見つけられてしまった 「こんにちわ、私は柳家祐太朗の神姫、「クロテン」と言います。貴方がエアルさんですね?」 「はいそうです。えーと、貴方に似合うのは…コレかな?」 「わーっ!可愛いですっ!」 「…なんか見事に意気投合してるな」 「…そうだな」 二人でワイワイ騒ぎながら服を物色している 「あのー耕介はん、祐太朗はん?」 「「ハイナンデショウ」」 「あの二人が漁ってる服、勿論全部買うてくれるんやろね(にっこり」 「「すいません!全部は無理です!」」 帰り道、ホクホク顔のエアル姉さんとクロテンさんの顔とは対照的に、ため息ばかり付いている男二人であった…
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2153.html
ウサギのナミダ ACT 1-27 □ ゲームセンターは大歓声に包まれた。 東東京地区チャンピオンが繰り広げた死闘に誰もが興奮していた。 純白の女王が、醜聞にまみれた神姫をうち負かした。 ギャラリーの多くは、そんな英雄譚を目の当たりにしたと思っているのだろう。 観客達の興奮をよそに、俺も高村も呆然としていた。 あまりに劇的な結末に、思考がおいつかない。 フィールドの映像が消える。 死闘の舞台となった廃墟は消え去り、無機質な筐体の姿に戻る。 アクセスポッドが軽い音を立てて開いた。 「……ティア」 俺は自らの神姫に声をかける。 ティアは立派に戦った。 全国大会でも優勝候補と名高い、あの『アーンヴァル・クイーン』をあそこまで追いつめたのだ。 せめてねぎらいの言葉をかけようと、アクセスポッドをのぞき込む。 ティアは膝を抱えて、うずくまっていた。小さな肩が震えている。 「ティア……どうした」 うるさいぐらいの歓声がいまだやまない。 ティアは何か言っているようだが、俺の耳には届かない。 「お前はよく戦った。そんなに落ち込むこと……」 「……った」 「え?」 「勝ち……たかった……勝ちたかった、勝ちたかった! 勝たなくちゃダメだったんですっ!!」 「ティア……?」 突然振り向いて叫びだしたティア。 驚いた。 こんなに感情をむき出しにしたティアを見たことがない。 俺は気後れしながら呟くように言った。 「なんでだよ、こんなただの草バトル一つが……」 ティアは大きく頭を振った。 ティアの顔は泣き顔に歪んでいた。大きな涙が瞳から流れては落ちていく。 いつもの可愛らしさは微塵もなかったが、感情を顕わにした表情が生々しくて、かえって美しかったかもしれない。 「だって……あのひとに勝てれば、証明できるから……マスターが正しいって、みんな認めてくれるはずだからっ……!!」 「……っ!」 俺は言葉を失った。 俺のため、だと? 「……マスターが作ったこのレッグパーツも、マスターが考えたこの戦い方も……クイーンに引けを取らないって。 わたしがマスターに教えてもらったものは、なんの罪もなく、正しく、つよいんだって!」 激しい口調で言い募っていたティアは、不意に顔を伏せた。 静かな口調になりながら、なおも言葉を紡ぐ。 俺は驚いた表情のまま、聞いていることしかできないでいる。 「……そうしたら、みんな認めてくれます、マスターのこと……。きっと、マスターのこと悪く言う人はいなくなる……わたしだけが汚いって、そう言われればいい……。 嫌だったんです……マスターはわたしに優しくしてくれて、とっても優しくしてくれて……後ろ暗いことなんて何もしてないのに……だけど、だけど……わたしのせいで、みんながマスターを傷つける……そんなこと、耐えられなかったんです……」 いつしか、歓声はなりを潜めていた。水を打ったように静まり、ゲーム機のデモ音だけが遠くから聞こえてくる。 気がつけば、その場にいる観客達すべてが、ティアの言葉に耳を傾けているようだった。 「だけど、わたしにはできることもなくて……マスターに返せるものも、なにもなくて……。 だから、雪華さんとのバトルは、わたしにとっては最初で最後のチャンスだったんです。 彼女ほどの強くて有名な神姫にわたしが勝てれば、みんながマスターを認めてくれるはず……だから、どうしても、マスターを勝たせてあげたかった……でも!」 透き通った滴は、次から次へと、ティアの瞳から生まれては落ちていく。 ティアの心から溢れ出した、悔しさや悲しみや情けない気持ちが、まるで形になっているかのように。 「負けてしまった……わたし、マスターの言いつけを破ってまで、雪華さんと戦ったけど、負けてしまいました……。 ……ごめんなさい、マスター。ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」 もう、そこから後は声にならなかった。 ティアは泣きじゃくって、何度も何度も瞳を手でこするが、そのたび涙がこぼれてきて止まらなかった。 ◆ ティアのすすり泣く声だけが、店に響いていた。 誰もが押し黙り、居心地を悪くしながらも、泣きじゃくる神姫から目が離せずにいる。 そんな静寂を甲高く小さな足音が破った。 カツン、カツンと、規則正しく鳴り響く。 雪華だった。 彼女はアクセスポッドから出ると、筐体を横切ってティアに近づいていく。 その顔は平常と変わらず、誇りと決意に満ちていた。 誰もが、マスター達すら身動きが取れずにいる空気の中、彼女だけが決然とした歩みを進めていく。 ティアのアクセスポッドの前にやってくると、歩みを止めた。 ティアもその気配を察し、涙をボロボロとこぼしながら、雪華の方を振り向いた。 雪華と目が合う。 すると、雪華は真剣かつ厳しい表情で、ティアを見つめた。 何をするのか、その場にいる全員が緊張して見つめている中で。 なんと雪華は、その場で膝を地について、右手を胸に当てて、ティアに礼の姿勢を取ったではないか。 『クイーン』の二つ名を持つ誇り高き神姫が、自ら膝を折り、最上級の敬意を払っているのだ。 そしてさらに。 「ティア……わたしの負けです」 その場にいた人々、そして神姫達の間に動揺が走った。 いや、誰よりも驚いていたのは、雪華のマスター・高村かも知れない。 大きく目を見開いて、雪華の背をみつめている。 あの誇り高い神姫が、ジャッジAIの判定を自ら覆し、敗北を認めたのだ。 そんな周りの様子など目にも入らないかのように、真剣な顔つきで、それでいてとても優しい声で、雪華は続けた。 「わたしも、今の戦いの中で疑問に思っていました。たかが草バトル。どうしてあなたはそうまでして戦うのか、と。 でも、そんなことは考えるまでもない、当たり前のことでした。 マスターのために戦う。 それは、わたしたち武装神姫にとって、もっとも根元的で、もっとも尊い思いです。 わたしは、強くなることにこだわるあまり、そんな当たり前のことさえ気がつかなかったのです。 その思いこそが、一番大切な支えであることすら忘れて……」 雪華はティアから視線を逸らし、うつむいた。 美しい顔に苦渋が滲んでいる。 「ティア……わたしは恥ずかしい。 あなたの大切な戦いを、たかが草バトル、とあなどっていました。 ……思い上がっていました。 わたしこそ、武装神姫としてあるまじき存在です。 どうか……お許し下さい」 雪華はさらに頭を深く下げる。 ティアはしゃくりあげながら、あわてた様子で声をかける。 「そんな……ひっく、せつかさ……かお、あげて……ひっく、えぐ」 一拍の間をおいて、雪華がゆっくりと顔を上げた。 そして、再びティアをまっすぐに見つめて言う。 「武装は神姫のアイデンティティ、技はマスターとの絆」 雪華の赤い瞳に、泣きはらしたティアが映っている。 「あなたは武装ではなく、技を持ってわたしと渡り合った。そして、わたしをギリギリまで追いつめた。公式戦でも、あそこまで追いつめられたことはありません。 あなたとマスターの絆こそがあなたの強さ。 ならば、あなたのマスターは、正しくそして強い。少なくとも、このわたしを負かすほどに」 雪華の声は真剣そのものだった。 雪華は心からティアを賞賛し、自らの敗北を当たり前の事実として受け止めているようだった。 「そして、ティア。武装神姫として、誰よりもあなたを尊敬します。 そんなあなたと、わたしはライバルであり、友達でありたいと思っています。 もし、許されるのであれば……わたしなどでよければ……認めてくださいますか?」 ■ 雪華さんの言葉に、わたしは驚いて目を見開いた。 とんでもないことだった。畏れ多いことだった。 泣くことすら忘れて、首を横に振った。 「だ、だめですっ……そんな、わたし、みんなからなんて言われているか……雪華さんに迷惑がかかります……っ」 「いいえ」 彼女はゆっくりと立ち上がると、アクセスポッドに身を乗り出した。 そして、優しく、強く、わたしをを抱きしめてくれた。 「迷惑なんてかかりません。誰がなんと言おうと関係ない。あなたと戦った神姫ならみんな分かっているはずです。あなたは素晴らしい神姫であると」 雪華さんは断言する。 「そんなあなたを育てたマスターは間違ってなどいない。正しく、理想のマスターであると思います」 ……わたしは雪華さんの胸にすがりついた。 もう止まらなかった。 大きな声で、子供のように泣きじゃくった。 伝わった。 わたしの大切な思い、このひとには伝わった。 マスターのこと、わたしのこと、信じてくれた。 ありがとう、と。 口に出そうとしたけれど、うまくいかなかった。 □ バトルロンドのコーナーは喧噪に包まれている。 俺たちがバトルしていた筐体の周りに人が集まり、いまだ誰もバトルを始めようとはしない。 誰もが今のバトルの話に夢中だった。 筐体の上では、ギャラリーしていた神姫たちが集まり、ティアと雪華をもみくちゃにしていた。 そんな中、俺は考え事をしながら、のろのろと片づけを行っていた。 すると、筐体の向こうから、にこやかな笑顔がやってきた。 「ナイスファイトでした」 高村が俺に左手を差し出す。 俺は椅子から立ち上がると、彼の左手を取って握手した。 俺の右手は、いまだ包帯が巻かれている。 「……こちらこそ。……変な幕引きになってしまって、すまない」 俺が頭を下げると、高村はゆるゆると首を振った。 「いいえ……僕たちには実りの多い幕引きでした。価値ある敗北だったと思います」 「敗北? 君たちの勝ちだろう?」 「いえいえ。雪華が負けを認めたのです。彼女の意志は、マスターの僕であっても覆せない」 高村の笑顔からはそれ以外の意志は読みとれなかった。 雪華は自分の意志を曲げないし、頑として譲らないらしい。相手がマスターであっても。 誇り高いというか、融通が利かないというか……。 「でも、雪華も少しは考え方を変えるでしょう。 いままでの雪華は、試合に勝つことを一番に考え、それこそが強くなることだと思ってきました。 でも、今日、それでは計り得ない強さがあることを知った。 あなたたちのおかげです。ありがとう」 高村は素直に頭を下げた。 俺の方こそ恐縮してしまう。 「……試合前は、失礼なことを言って、すまなかった。 俺たちとバトルすれば、君たちが中傷されるかも知れないと思った。 だから、バトルを断るつもりで……あんなことを言ったんだ。 本当にすまない……三枝さんも、すみませんでした」 俺が謝罪して頭を下げると、三枝さんは驚いていた。 まあ、あれだけ嫌味を含めて断っていたのだから、信じられないのも無理はないと思う。 高村は、やはり笑って、 「わかってますよ」 と頷いた。 そんな彼に、俺は思っていたことを口にする。 「高村……今度、もう一度バトルしてもらえないか? それから、もっとゆっくり話がしたい。今日はずっと変な流れで、俺自身、納得がいっていないから……」 「喜んで」 高村はポケットから名刺を取り出すと、俺に差し出した。 「僕の連絡先です。気が向いた時にでも連絡してください」 「ありがとう」 俺は素直にそれを受け取った。 必ず連絡しよう。高村とも雪華とも、話したいことがたくさんある。 そして、今度は何のしがらみもなくバトルがしたい。 その時のティアも雪華も、きっと今とは違っているだろう。同じバトルにはきっとならない。 「……だけど、再戦したら、秒殺されそうだ」 「それはないでしょう。だって、あなたは雪華用の戦略をすでに考えているでしょう?」 「ちがいない」 俺と高村は笑った。彼に笑いかけたのは、これが初めてのような気がする。 俺はつくづく失礼な奴だ。 だが、許して欲しいと思う。俺たちを取り巻く問題が一応の解決を見たのは、今朝の話だったのだから。 そして、気がついていた。 俺にはまだやらなければならないことがあった。 ◆ 虎実は、筐体での喧噪には混じらず、大城の肩の上で一人物思いに耽っていた。 ティアは、一戦交えたときから、虎実の憧れであり、目標だった。 いつもオドオドした態度にいらつくこともあったが、バトルでの彼女を純粋に尊敬していた。 虎実はいつもティアを無視していた。 自分が決めた最大のライバルとなれ合うのはごめんだと思っていた。 だけどそれは、彼女の素直でない性格からくる考えだった。 今日のバトルを見て、虎実は思った。 やはり、自分の目に狂いはない。ティアはすごい神姫だった。 クイーンの最大攻撃をかわせる神姫なんて、他にいるはずがない。 そして、雪華がティアに「友達になってほしい」と言ったとき。 虎実は自分の気持ちに気がついた。 そう、友達になりたかったのだ。 ティアに自分を認めてもらいたかったのだ。 自分がティアにとって、胸を張って友でありライバルであると言える神姫だと、そう思って欲しかったのだ。 だから、納得のいく自分になったときに、バトルしてもらいたいのだ。 自分のすべてを見てもらうために。 虎実は雪華がうらやましかった。妬ましくて仕方がない。 でも、虎実は自覚する。自分はあの二人の足下にも及んでいない、と。 「なあ、アニキ……」 「ん?」 「アタシ……トオノにあんなえらそうなこと言ったけど……ティアと戦う資格、あんのかな……」 ミスティにはその資格があると思う。このゲーセンで実力を示し、三強をもひとにらみで黙らせる。 その実力を持って、今日、遠野とティアをここに招いたのだ。 悔しいが、認めざるを得ない。 それに比べて虎実は、やっとランバトの上位に食い込んだところだ。 だが。 「……ばっかじゃねぇの?」 彼女のマスターである大城は、呆れた声で言った。 虎実は大城に振り向く。 「資格とか、そんなもの、必要なモンかよ。 バトルロンドは、お前が考えてるほど堅苦しくないぜ? バトルやりたきゃ、遠野にそう言えばいい。 そんなこと考えてるのはよ、虎実、お前だけだ。 意地っ張りはやめて、ティアとバトルしたいって、言えばいいんだよ」 虎実は大城の言葉にむっとした。 でも、反論できなかった。アニキの言うことは正しい。 結局、虎実の意地っ張りな性格が、素直な気持ちに邪魔をしているだけなのだ。 それでも、と虎実は思う。 それでも、納得のいく自分になって、ティアに挑みたい。 その気持ちは本当だった。 もしかすると、納得のいく自分になるために、ティアを目標にしているのかも知れない。 「それでも……やっぱり、自分に納得がいってから、ティアと戦いたい。 そうじゃなきゃ、またはじめの時みたいに、悔しい思いをすると思う」 それは約束だ。 あの日、遠野に必死でお願いをした、約束。 遠野は約束を守って、ティアをバトルロンドに連れ戻してくれた。 その約束を守るためにも、半端な自分ではだめだ。 虎実は決意を新たにする。 納得いくまで、自分のスタイルをつきつめよう、と。そして強くなろう、と。 大城はため息をついたようだったが、気にもならなかった。 □ バトルロンドコーナーでの喧噪が、ようやく収まってきた頃。 「ティア、帰るぞ」 頃合いを見計らい、俺はティアに手の甲を差し出す。 ティアはまだしゃくりあげながら泣いていた。 そばにミスティがついていて、まわりを四人のライトアーマーの神姫たちが囲んでいる。 神姫たちはティアに道をあけてくれた。 ティアはまだ震えながら、俺の手に乗る。 ミスティたちは気遣わしげな表情で、俺を見た。 俺の心に、彼女たちの優しさが染みた。 ティアをこんなに思ってくれている仲間がいる。認めてくれている友がいる。 そしてもう、それを捨てようなどと、俺たちは考えなくてもいいのだと。 そんな小さな幸せを噛みしめる。 俺が少しだけ笑顔を見せて頷くと、五人の神姫たちは華やぐように笑ってくれた。 ティアを定位置の胸ポケットに収めて、俺は振り向く。 そこには久住さんと仲間たちがいた。 今回のことでは、久住さんには世話をかけっぱなしだった。 本当に、感謝してもしきれない。 今朝の事件の顛末も、話をしておきたいところだった。 だけどその前に、今すぐに、俺はどうしてもやらなくてはならないことがあった。 「ほんとうは、ゆっくりお礼をしたいんだけど……」 「分かってる。また今度でいいから」 「ありがとう」 「……でも、連絡くれなかったら、承知しないわよ?」 「……肝に銘じておくよ」 いたずらっぽくウィンクなんかした久住さんに、俺はドギマギしてしまった。 同時に、「承知しない」の一言に肝を冷やし、後で絶対に連絡を入れようと固く誓った。 俺はつくづく、久住さんに頭が上がらない。 俺はまだにぎわっているゲームセンターから、みんなに隠れるようにして帰宅の途についた。 高村と雪華との話もそこそこに、久住さんへの報告もそのままに、俺が急いで帰るのには理由がある。 俺がティアのマスターとして、やらねばならないこと。 さっきのティアの言葉で気づかされた。 ティアを本当に俺の神姫にするために、それはきっと必要なことだった。 だから俺は家路を急ぐ。 あたりはもう夕暮れに赤く染まっていた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2632.html
「ごめんね。同じような人がいて、つい嬉しくなっちゃって」 「……はぁ、そうなんですか」 やっちゃったなー、これは。絶対変な人だと思われてるよ。僕も逆の立場だったらそう思うし、なんでこんな暴走したのかな、僕は。 「あはは、面白いマスターさんだね」 少女の肩の神姫がシオンに話しかけてくれている。あれは火器型の神姫だったかな。 「でも、お優しいです。とり乱したのも、お友達が来なくて寂しかったんでしょう」 シオンは本心でそう言ってくれてると思うけど、それがかえって痛かったりして。 「それじゃあ、改めて。僕は長倉 螢斗。この子はアーティル型のシオンです」 「よろしくお願いします」 「私は、その……」 「リミちん、ちゃんと自己紹介しなくちゃー。ほらほら」 「あ、うん。私は霧静 璃美香です。この子はゼルノグラード型のアリエ……です」 霧静さんは言い終わったら、顔を俯かせてしまった。 「アリエでーす、どうもー。すまんねぇー、この子ちょっと人見知りなもんで」 「いえいえ大丈夫ですよ。僕も少しそういうのありますし」 「本当かなー? がっついて、リミちんに話しかけてきた時はそうは見えなかったけどなー」 「あれはっ!……ただ、お友達になれそうだなーって思ったから勢いで」 「いや、あれは一歩間違えば、ナンパの部類だね。うん」 「ナンパって。それはないよ……」 なぜかこのアリエって神姫ものすごく馴れ馴れしい。オーナーの霧静さんもオロオロとことの成り行きを見守ってるだけだし。 「とりあえず!……ここにいるという事は神姫バトルが目的なんですし、バトルやってみませんか?」 「そう――」 「そだねー。ケートん、シーちゃんとも仲良くなれそうだし。交流を深めようではないか」 霧静さんが言う前に勝手に決めている。口は開いた状態で止まった。 そしてなぜか、あだ名みたいのも了承も取らず決められている。 シオンもなにも言わないし、僕も、それはいいのだけど。 ゼルノグラード型はみんなこうなのか? それともこのアリエだけがこういう性格なだけなのか。 「ハァ……すいません。この子、誰でもこんな感じで。すいません……」 霧静さんはものすごく申し訳なさそうに頭を下げている。見た感じ、いつもこうやって苦労させられているのだろう。 「霧静さん、ちょっといいかな?」 話を聞けば僕と同じ高校一年らしいので、敬語はいらないと言っていた(主にアリエが) 霧静さんにも一応は了承もとったし、これで少しは仲良くはなれただろう。 それにまず僕はシオンのことを話しておこうと思った。 「シオンはちょっとバトルがしにくいというか……えっと、なんて言えばいいのか」 「螢斗さん、私は大丈夫ですよ」 そう言うが、実際に僕はシオンのバトルを見てはいないけど……心配なのだ。 「シオンちゃんがどうしたんですか?」 「なになに、私と同じになんか訳有りかい」 私? アリエもなにかあるのだろうか。霧静さんを伺うと、 「アリエ。それは……」 霧静さんは何か言いづらそうに口をつぐんでいる。 「まあまあ、全てはバトルをしてみればわかることさね。はーい、それじゃあみんな、台について」 アリエはそう言うと霧静さんの肩から降り立って、一人で向こう側のブースに行ってしまった。 「まったく、アリエは。とりあえず、長倉……くん」 「……なにかな」 「まずはお互い、バトルさせてみて……その後色々話してみないかな?」 頭のリボンを指で触りながら、目線は横を向いている。話すのは得意そうに見えないけど、霧静さんはそう言ってくれる。 勇気を出して言ってくれてるようにも見える。 霧静さんもなにか抱えているようなそんな感じ。 なんて、さっき知り合えた人にこんなこと思っちゃいけないよね。 「そうだね。シオン、僕たちもバトルの準備しようか」 「はい! 頑張ります!」 ―――― バトルのステージは廃墟街になっている。 さびれた廃屋やビル。むき出しのコンクリート。ボコボコ穴の空いた道路にへし折れた信号機などなど。 リアルであったなら、不気味としか言えないな。 いまそこでシオンが廃ビル群の一角に潜んでいるのが画面からは見える。 僕はオーナーブースから、シオンに語りかける。 「怖くない?」 「……大丈夫です」 大丈夫と言うが、本当だろうか。 フェリス・ファングを両手で構え、その場には緊張感が漂っているように思える。 「火器型はその名の通り、銃器を使う戦闘が得意だと思う」 僕がいままで見てきた情報では、ゼルノグラードは火力のある武装を念頭に置いている武装神姫だというのは知っている。 だけど、 “訳有り”とはどういうことだろうか。 それがさっきから引っかかる。 ――いや、でも、そんなことは後回しにしよう。 まずはシオンのバトルを見ておかなくちゃ。 僕が冷静に指示できて、シオンもバトル恐怖症が起きなかったら、初バトルで勝利できるんだ。 よし、そうと決まれば。 「シオン、敵の気配は?」 「まだ確認は出来てません。まだ近くにいないのかと」 「それじゃ、危ないけど周りを索敵してみよう」 はい、とシオンは答えると、銃を構えたまま細い通路といえる路を進んでいく。 障害物が多いバトルなら、身を隠して攻撃する戦法が有利だろう。派手さはないけど、真っ向からやりあって勝ち目はあまりないと思う。 僕の経験も少ないし、シオンはちゃんと戦えるのか心配でもある。 でも、バトルに勝てれば自分の自信にも繋がるだろうし、バトルの拒否感も和らぐかもと思った。 「螢斗さん、あの、奥にいました」 「え、気付かれた?」 「いえ、その、なんと言いますか。アリエさん……くつろいでます」 「……なんで」 見ると、開けた道路にアリエが座っていた。崩れた、腰掛けるのにちょうどいい大きさのコンクリートに座り、のんびりとしている。 軍隊の兵士みたいにペイントされているアーマー。それに身を包んでいるアリエの姿があった。戦闘状態の筈なのだけど、暇そうである。 ……そんなに時間をかけたわけではないのに。 傍らには腹にパイプみたいな筋の入った奇妙な大剣がある。武器はそれだけしかない。銃みたいな武装は見当たらない。 「どうしますか?」 シオンが訪ねてくる。どうしようかな。あんな油断している姿をみせられるなんて、よほど余裕があるのか。 弱いと思われているのか。……実際そうなのかもしれないけど。 こっちが考えていると、アリエが動きをみせた。 立ちあがり、あくびをしてから背筋を伸ばしている。リラックスしているな、と思うけど、あれは相手の罠なんだろうか。 「バレバレだよー。出てきても、いいんじゃないー!?」 片手に大剣を持ち、声を張り上げている。 いる方向に声は向けてないけど、――なんて言った? アリエはシオンが近くにいるのがわかっている。 そんなミスはしていないと思ったけど。 「しょうがない。不意をつくのは止めて出よう。真っ向から挑むけど、いける?」 「いけ……ます」 その震えは恐怖なのか、武者ぶるいなのかはまだ僕にはわからないけど、 「いくよ」 戦いを楽しめるようになればわかるのかな。 シオンが路地に飛び出す。 スラスターを作動させて駆けながら、アリエに狙いを定めてフェリス・ファングを構える。 その後の動作は引き金を引くだけなのだけど。 ――引かない。 いや、シオンは引けないのか。 やっぱり、うまく戦えないのか。あっちはもうすでに臨戦態勢に入っている。 「シオン! 接近戦に変更して!」 なにもしないのなら、ただの動く的だ。 ここは相手の武装も考えて、接近戦に持ち込んだ方がマシだ。 武器で打撃を与えるなら誰だってできる。 フェリス・ファングをしまわせ、腰からナイフを取りださせる。 宮本さんから預かった武装には、近接用の武器がなかったから、淳平から神姫用のを譲ってもらった物だ。 シオンはそれを振りかぶって、勢いのままアリエに攻撃を加える。 「おりょ。なんか、勢いのわりに軽いね。銃でなんでか何もしなかったし」 ガンッ! と場に大きな音を響かせた。 大剣で攻撃を防ぎ、少し後ずさったアリエが疑問に思っているみたいに言う。 「そっちも、なんで、その大剣しか使わないんですか? チャンスだったと思いますけど」 「うーん、私も使いたいんだけどねー。使えない理由があるん……っだ!」 言葉を途中で切らし、腕に力を込めて、気合いの声を発する。アリエは詰め寄り大剣を振るう。 シオンはそれを危なげに避けていってるが。 「なんか焦ってるねー。それじゃあ戦えないよー……」 「くっ! わかってます!」 僕から見ても、確かに顔は焦っていて辛そうに見える。 「ほらほらー」 避けきれなくなってきたシオンは、アリエが振るった大剣にナイフの刃が当たった。 ナイフは明後日の方に飛んでいく。 「バトルが楽しくなさそうだねー。それがシーちゃんの悩みなんだねー。うんうん」 「……アリエさん、わかるんですか」 「私もさー。昔に色々あってさー火器型のクセに重・軽火器類が一切使えないんだ。笑えるけどホント。だから、私の武器はこれ一本!」 どうやらそれがアリエの“訳”らしい。 自慢げに大剣を掲げて見せる。――見るとやっぱり奇妙だ。 剣の腹に細いパイプの入ったような筋、根元部分には片刃の方にだけ同じ材質みたいので覆われている。 そして、握りの鍔の方にトリガーが付いてある。 「あれって、もしかしてガンブレード?」 今も続いているテレビゲームの超大作にアレに似た武器を使う主人公がいたはずだけど。今はもう18作目に突入しているらしいゲームだ。 僕はやったことはないが、学校の友達はよくゲームの話題をする人がいるので知っている。 「オリジナルの武装なんだけどねー。公式の場でもレギュレーション以内の優れ物。それじゃあ、これの仕掛けも見せとくかー。リミちん!」 『……うん』 筐体の向こうからは霧静さんの声が聞こえる。何かを送ったんだ。 アリエの手元には、手の平サイズ、厚さのあるカード状のような物がある。 それは、赤。イスカの大剣と同じような赤色だ。 「『エレメンティア・ヒート・カートリッジ』セット完了! いくよーん!」 そう高らかに楽しそうに声をあげる。 片刃の覆われた部分を下にスライドさせて、そこに持っていたカートリッジなるものを差し込んだ。 スライド部分を引き戻すと、その瞬間パイプに赤色が現れ始めた。 「よーっし。来たー!」 パイプに溶岩のようなのが先端まで行き渡ると、鋼鉄の大剣の刃も真っ赤になり始めた。 高熱を発しているみたいだが、実際に燃え盛っているような錯覚がする。刃の周りの空気がゆらゆらと揺れてきている気が。 「覚悟してね。いっくよー」 「シオン、何か危ない、後退して! ……シオン!?」 「……あ、あ……あ」 シオンの様子がおかしい。腰を抜かしている。 どうやらシオンの焦点が集まっているのは大剣みたいだけど。 ――もしかして、イスカの、お姉さんの大剣を思い出しているのか!? でも、反応が異常すぎる。 「あ~、えーと……そっちのマスター。ケートん、見えてる、聞こえてるー! サレンダーできるー!?」 大剣を、八双の構えに留まったままのアリエが、僕に叫ぶ。このまま、やっても無駄だと思ったのだろうか。 「……わかったよ」 あっちには聞こえていないだろうけど、受け応えはしておく。 アリエの優しさに感謝しつつ、僕はサレンダーのボタンを押した。 ―――― 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」 「……シオン」 私は謝り続ける。全ては虚勢だったんだ。 戦う前は確かに自信はあった。螢斗さんの為に戦えると思った。 でも、やっぱりダメだった。アリエさんの武器がお姉ちゃんの大剣に見えてしまった。その後はもう無理だった。 こんな私なんて、武装神姫じゃない。 こんな私なんて、ただの人形だ。 そして、螢斗さんの手が私の頭に移動してきて、 「大丈夫だよ。大丈夫」 「……あ、」 優しく指で頭を撫でられる。 不思議だ。 この人に撫でられると安心する。凛奈さんとお姉ちゃんの所で、まだ仲が良かった、時にも感じたことのない安心感。 なんで私は螢斗さんの為に戦えないのだろうか。 今はそれが悲しくて仕方なかった。 ―――― 謝るのは止まった。 でも、慰め続けているけど、なかなか泣き止んでくれない。 僕も多少はショックだったけど、バトルがうまくできないのはわかってはいたし。 過剰反応したのは、驚いたけど、しょうがないのかもしれない。 バトル恐怖症に加えて、凛奈さんとイスカの頃の記憶がトラウマにもなっているのかな。 なんとかこれを乗り越えさせないといけないのか。 僕にできるのか。 だけど、しなきゃシオンが幸せになれないんだ。 しないといけないんだ。 「ハロー、ケートん、シーちゃん」 アリエと霧静さんが近くに来てくれていた。 あんなシオンを見たらそれは心配になるだろうな。 「シオンちゃんは……大丈夫?」 「うん、まあ、大丈夫だよ」 多分と付け加える。 「バトルして、こっちのことも、わかってくれただろうけどさー……なんかそっちの方が深刻そうだねー」 「……確かに、そうみたい」 シオンとアリエを交互に見て、考え込む様子の霧静さん。 火器類の武装を使えないらしいアリエと戦うことができないシオンはどっちが辛いのだろうか。 このままバトルはしない方がいいのだろうか。 でも、それは――。 だめだ。やっぱり、うまくいかない。 「長倉くん。ともかく、私たちに話してみないかな。ほら、アリエもこんな神姫だけどなにかアドバイスできる……かも」 「こんなのとは酷くないですかい」 そう言われても、アリエは別段気にしてないように見える。 あんな風に気楽なのはもう割り切っているからなのかも。 「シオン、いいのかな。話しても」 「……はい……大丈夫……です」 なんとか涙を止めたシオンが頷いてくれた。 ――シオンのことをちゃんと話しておこう。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/2chbattlerondo/pages/190.html
CSC交換 CSC交換は神姫ショップで行える。神姫ポイントは不要。 神姫に組み込んでいない未使用のCSCをGEMに交換し、GEMをCSCやアイテムに交換する事が出来る。 GEMの最大所持数は65535個、CSCは255個。 画面の見方や手順、注意事項などはマニュアルを参照。 ※「神姫に組み込んでいるCSCの入れ替え」ではないので注意。 交換レートCSC→GEM/GEM→CSC GEM→アイテム CSCの入手概要 CSC稼ぎ コメント 交換レート CSC→GEM/GEM→CSC レアリティ CSC CSC CSC CSC CSC→GEM GEM→CSC ★ CSC/ルビー エメラルド サファイア トパーズ 1 2 ★★ CSC/ガーネット ブラッドストーン アクアマリン ラピスラズリ 1 2 ★★★ CSC/ペリドット マラカイト アメジスト オニキス 5 10 ★★★★ CSC/ジルコン オパール ジェード アンバー 10 20 ★★★★★ CSC/ムーンストーン ダイヤモンド ブラックオパール キャッツアイ 30 50 数字はGEM数。 基本的に左から右、上から下の順に並んでいるが、 ジェードとアンバー、ムーンストーンとダイヤモンドの順番は逆である。 これは、ジェードとアンバー(それとブラックオパールとキャッツアイ)が後から追加されたCSCだからである。 GEM→アイテム アイテム GEM 備考 スクウェアイヤリング(緑)L/R 10 WF景品 パールイヤリング(白)L/R 10 WF景品 サンタ帽 30 WF景品 ツリーランス 30 WF景品 大筆 50 WF景品 ダーツ 50 WF景品 コンみみ(白)(黄) 80 白 WF景品 ナインテイル(白)(黄) 100 白 WF景品 スクールバッグ(紺)(緑) 25 紺 WF景品 スポーツバッグ(赤)(緑) 25 赤 WF景品 ピコピコハンマー(緑) 30 WF景品 ターバン(ピンク)(青) 10 ピンク WF景品 ローズブーケ(黄) 25 1st Anniversaryで全配布 忍刃鎌“散梅” 25 初期配布・WF景品 教鞭 25 WF景品 黒板消し 25 出席簿シールド 25 湯呑み 10 アチーブメント 土鍋 20 WF景品 竹槍 20 WF景品 ボールボム 25 WF景品 ウイングブレード 50 WF景品 “スティンガー”レーザーライフル 100 WF景品 ジェムバレット 100 WF景品 レインボーアーチ 100 WF景品 ウインビームガン 100 WF景品(未配布) クリスタルソード 150 雪ダルマ 20 WFで全配布 ダブルコットン 100 たんぽぽの髪飾り 20 たんぽぽのイヤリング L/R 20 つくしスピア 25 桜スピア 40 ゴム長ぐつ(黒)(水色)(ピンク)L/R 60 ディアホーン 80 鯉のぼり 30 ロングボウ 75 つりざお 10 アスパラスピア(グリーン)(ホワイト) 25 正しくは○○アスパラスピア 鼻メガネ 20 1周年感謝祭の罰ゲームで使用当然、任意で着脱可能 ジャージトップス 100 トンファー 100 ホットパンツ 25 腕時計(白)(ピンク)(水色) 20 白 バトルロンド1周年感謝祭で全配布 しましまテイル(白) 80 バトルロンド一周年感謝祭で配布 まるみみ(白) 60 バトルロンド一周年感謝祭で配布 バレーボール 50 バトルロンド一周年感謝祭で配布 天女の羽衣 100 バトルロンド一周年感謝祭で配布 愛のムチ 150 バトルロンド一周年感謝祭で配布 ススキセイバー 50 パンプキンヘッド 50 イヤリング(キャンディー)L/R 25 キャンディー髪どめ 25 ローズブーケ(青) 25 イヤリング(もみじ)L/R 25 ジュラルミンシールド 80 スノーゴーグル 30 パピヨンパンツ 50 ネックファー 25 薔薇の髪飾り 20 もみじの髪飾り 20 ヌンチャク 100 ポケットティッシュ 30 消費アイテム ポケットティッシュ×5 120 消費アイテム 牡丹(ピンク) 30 イヤリング(イースターエッグ/シアン) 25 イヤリング(イースターエッグ/カーキ) 25 イヤリング(イースターエッグ/レッド) 25 怒りのブドウ 100 ジャージボトム 100 コンしっぽ(白)(黄) 80 木刀 200 香水 50 消費アイテム 香水(青薔薇) 100 消費アイテム CSCの入手 概要 CSCの入手方法は2つ。 素体の追加素体1つにつき自動的にルビー・サファイア・エメラルド・トパーズを1個づつを入手。 神姫ショップのフルセットまたは素体、フィギュア付属のアクセスコードが該当する。 アチーブメントCSCパックを入手できる繰り返し達成可能なアチーブメントがあるので、これを狙う。 該当するアチーブメント アチーブメント 報酬 神姫を成長限界まで育成 CSCパック/スタンダード1 ダメージを一度も受けずに勝利する CSCパック/スタンダード2 LP差3倍以上の状況から逆転勝利する CSCパック/アッパークラス1 スキルを5回以上使用して勝利する CSCパック/アッパークラス1 残りSPが1桁で勝利する CSCパック/アッパークラス2 ※詳細はアチーブメントのページを参照 ミッションバトル 相手が固定なので、パターンができれば確実にアチを取れる。成長限界に達していない神姫をオフィシャルバトルに出すと、ステータスの成長によってパターンが崩れる場合があるので注意。 バトルシミュレーター バッテリーを消費しないので、時間のある限りチャレンジできる。暇な時に。ついでにシミュ累計300戦のアチを狙うのもよい。 CSC稼ぎ ノアくじ 比較的簡単に倒せる上に、調整がしやすい。 ASを習得している神姫で、スキル5回アチを狙う。 SPを毎ターン回復させる・SP切れを避けるために、AS以外のスキルは出来る限り控えた方がいい。 スキルを調整して、SP1桁アチを狙う。 SPが50の倍数ずつ回復するのでスキルの調整がしやすい「SPのMAX値が250の倍数+端数1桁」 またはチアリーダーコーディネイトを使用した時限定になるが「SPのMAX値が200の倍数+端数1桁」(同上)になった時点で 成長限界までトレーニングでレベルを上げきってミッション専用に育てる方法がある。 1ターン目にSP50があるので、最初に使うスキルと2回目以降で使うスキルの調整は必要。 また、上記の通りのSPにならなかったとしても、序盤で「スキルを使うな」と指示を出しておき、中盤で一気に叩き込むという方法で調整する事も可能。 消費SPが30の倍数になるピアスドナイトメアや120の倍数になるシュプリーム・ヴェイングローリー、出すタイミングは非常に難しいものの、消費SP230の反撃スキル桃源の舞などでも調整可能なので、遠距離(200~300)での戦闘の可能性を模索してみるのも一考の余地あり。 パシュミナ相手にSP性能△の素体でサンドスプラッシュフィーバーによる勝利、もしくは次のターンでの勝利を狙う方法もある。 ■武装神姫_BATTLE_RONDO>>PART_107 722 名前:名も無き冒険者[sage] 投稿日:2008/01/30(水) 19 47 27 ID MhnKuFq7 いよいよCSC交換を明日に控えたわけだが 先日発見したノア、パシュミナ以外のアチ稼ぎミッションを紹介しよう LP2300前後の娘にハリセン二刀持たせてコーディネートプラン2 コルク銃か箒を出してもらえたら最速1ターンでLP3倍アチが取れるよ ※ハリセンこと「センス・オブ・ユーモア」の二刀流には、アチーブメント(侍型Sクラス)、ウィンターフェスタの報酬(終了済み)、イベントミッションの報酬(シークレットアチーブメント)のうち、いずれか2つ以上の達成が必要。 ■武装神姫_BATTLE_RONDO>>PART_109 200 名前:名も無き冒険者[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 14 14 38 ID IkCJZF2X とりあえず、簡単スキル5回使用 なるべく中距離で戦うように教育する ボールと雪だるまで、あとは回避でも防御でもいい(防御の場合ダウン値調整要) あとは威力と相談しながら、命中装備にするなり、チア装備にして少しでも多くSP稼ぐようにするなり。 SPが余程低くない限りは、これが一番手っ取り早いと思われます。 どうしようもないと思った150子もこれでなんとか再生できるのでお試しあれ。 コメント 神姫技能試験/CクラスⅡのバラライカ 相手の機動が低いので、こちらにある程度機動があれば、 回避指示を出して遠距離武器のみ持たせると LV0でも「ダメージを一度も受けずに勝利する」が狙えます。 シュラム・RvGNDランチャーを撃ってくることもありますが、 それが回避できれば。 -- (名無しさん) 2010-11-25 12 51 13 個人的に成功したCSC大量入手方法紹介です 用意するもの「悪魔型Mk2装備」「アーク型装備」「SP:900~909の神姫」 使用スキル「ダスビダーニャ(以後DD)」「ファントムアクセル(以後FA)」 この2種を使えるように育成し、それ以外のスキルはなるべく装備しないようにする 9ターンまで敵の攻撃に耐えられる十分な守備力とLPを持っていること。 さらに、DD使用により900前後のダメージを与えられる攻撃力を持っていること。 攻撃力は高すぎてもいけないのでDDでダメージ1000行かないようにする。 この条件を満たし、「ミッションバトル・エキストラⅥ:マッシブに」に通常の武器を装備せず挑む。 すると、FA1回・DD4回使用し、最終SP一桁で終了することができる。 結果アッパークラス1、2のCSCが同時に入手できる。 以上、なかなか難しい条件ですが、これらがそろえば揃えば安定してCSCを入手できます ただし、敵がごく稀に予想外の動きをするため2、30回に1回くらいは失敗します 長々とすいませんでした -- (名無しさん) 2011-04-13 01 50 20 上にある「ハリセン二刀でコーディネートプラン2」の方法は、スクールバッグ二刀 で代用可能。2~3ターンでLP3倍差逆転アチが取れる。 敵が最初の攻撃でホウキかコルク銃を使用するのが条件で、スプーンとグローブだと 失敗に終わる。ホウキも2ヒットしないとダメ、長期戦になってコルク銃を連射され ると負ける可能性もあるため、運要素がかなり絡む。 スクールバッグそのものがGEM交換かアチなので、いきなり二刀揃えるのが難しい のも難点。自身があるなら似たようなミッションのリンゴを殴る方がいいかも -- (名無しさん) 2011-04-14 13 51 33 自身→自信。リンゴ→りんご。失礼 -- (名無しさん) 2011-04-14 13 55 16 べっ、べつにアンタのためじゃないんだからね!d(´∀`*)グッ★ http //m-s.e29.mobi/ -- (俺だ) 2011-12-29 11 32 52 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/960.html
八幕。再度上幕。 新しくなった琥珀色に染まるコーヒーから立ち上る薄く白い湯気。そのカップに視線を向けることも無く、未だ信じられぬといった感じでアキは相槌を打った。 「そっか。だから『姉妹』て事・・・」 よもや・・・それこそ在り得ない確立と言えるかもしれない。 あの『ゼリスさん』のボディを受け継いだ他の神姫に会えるとは思っていなかった。 会う可能性さえ想定していなかったアキは、高校一年生であるという・・・彼女にしてみれば4つほど年下になるのか。その年齢不相応に落ち着いた感のある先の少年、マコトの説明を受けてようやく理解した。 当のルクスと、先ほどまで見事な舞を見せていたアーンヴァル「フェスタ」は何やら親しげに話している。 (あ、いいなぁ) 姉妹かぁ。と、心中続けて、アキは正に運命的に巡り合った自身のパートナーの『姉』にもう一度目を向けた。 いわゆるアーンヴァルタイプのノーマルスーツカラーであるが、確かに腿のスペーサージョイントから先の色が違う。鮮やかな翠色のリングラインが一本だけ入り、その先・・・爪先までのパール部分にはうっすらと草色が混ざっている。 「あ。そういやぁ。ルクスは、いつ気付いたん?」 ふと疑問に思い訊ねた声にルクスは顔を上げる。 「初見で、違和感のような物がありました。どこかで聞いた事がある『音』だと」 「音? で気付いたの?」 「はい、足音です」 フェスタの問いに小さく頷きながら。 「私は、母様は勿論。姉様の足音も、今まで一度も聞いた事がありませんが。しかし」 目を閉じ、思い出すように続ける。 「確かに解りました。この足音を知っている。いえ、正確には音ではなく、何と言えばいいのか解りませんが」 困ったようなルクスの声を聞き、今まで話を聞いていたマコトがカップティーを下ろしながら小さく言った。 「きっと、オレ達には解らなくても。解るものなんだと思います」 確信を持った、しっかりとした言葉。 「・・・。うん? そうやね」 その一言に納得したらしいアキをルクスは嬉しげに見上げていた。 「ルクスが、お母さんから貰ったのは。『瞳』なんだよね」 「はい?」 声に振り返れば、フェスタがぐっと身を乗り出して来ていた。 驚いたルクスが身を引く暇も無く、すっと両の頬に手、そして細い指を回されて。そのままフェスタは顔を寄せてくる。 じっと真正面から眼を覗き込まれ、目が近いことにはっと気付けば鼻が触れ合う程の距離にある・・・端整な姉の顔と瞳。 「あ・・・」 抵抗する事も出来ず、そのまま美しい姉と見詰め合う。 ・・・しばらくの沈黙の後。フェスタが口を開いた。 「綺麗な銀色」 「あ、はい。ありがとうございます」 「うん。お母さんの色・・・」 心なしか、どことなく。うっとりと言うフェスタ。アーンヴァルタイプ特有の、深みのある青い・・・僅かに潤んだ瞳。山吹色の美麗な髪が揺れ、神姫用のコンディショナーの淡い香りが鼻をつく。 屈託無い柔らかな笑みを口元に浮かべてはいるが、そこには天使というモチーフがそうさせるのか、不思議と艶やかな印象さえ見え隠れしていた。 「あ・・・のっ、姉様」 困ったようにそう言って顔を逸らそうとする。が、その瞳はそれを許してくれない。 「うん? 解ってるよ。今は・・・『ルクスの眼』、だよね?」 体躯は同じであり、既に半分押し倒される形になりながら。しかし、そう言って相も変わらず嬉しげに微笑む姉。 (いえ。それは解ってないのです。ですから。そうではなくて) そう言えば良いのだろうか。他の神姫との関わりが少ないルクスはどうすれば良いのか迷っていた。 もっと良く見たいのか、更に近づけられる顔。 整った目鼻が、ルクスの視界を覆う。 「・・・ぁっ」 思わず声が漏れてしまった。普通のアーンヴァルよりも僅かに血色が良い肌、仄かに薄桃色が差した唇は、今や触れるか否かの所にある。そのまま届くほどの吐息。 「・・・っ」 流石に息が詰まる。無論、ここまで他の神姫と近く接した事は無い。 フェスタ自身は恐らく無意識なのだろうか? 恐らくは他の神姫ともスキンシップ的にこういう行為は取っているのかもしれないが、しかし・・・。 何かを言いたげに、しかし下手に口を開く事も出来ない距離の顔と唇。 それでも視線だけでも何とか逸らしつつ、顔を赤くしているルクスを見かねたのか。マコトが頭を抱えてフェスタを指で引き離した。 「そこまで」 「・・・あれ? なんで?」 少し離された場所に置かれて、今尚解っていない様子のまま。きょとんとしてフェスタはマコトを見上げる。 長く。失礼かもしれないが安堵に近い息を吐くと。ルクスはゆっくりと体勢を直した。 「抵抗しても良いからね? 困っているようだったし」 苦笑して言うマコトに、力なく笑い返す。 「いえ・・・」 そういう行為、こういう関係は。彼女は知らない世界なのだ。仕方ない。 ・・・。 『知らない』。 その単語が胸に突き刺さった。 「ん、そのままにしといても面白いのに」 笑っている主に思わず非難の目を向けながら。 マスター二人が飲み物と、軽食を取りに行くのを見送ると、フェスタはくるっとルクスに向き直った。先のこともあって、思わず身を引く妹に、彼女は気にせず問いかける。 「ねぇねぇ。ルクスは、バトルが好きなの?」 「・・・え」 突如として、意を介せぬ質問をぶつけられ。 姿勢を直しながら、しかし彼女は、ふっと宙に視線を漂わせた。 「あの」 心が、きゅっと締め付けられるような。感覚。 「うん?」 「・・・そう、です」 「?」 その。多少煮えきらぬ声調と、どちらとも取れぬ回答に首を傾げるフェスタ。 「いえ。あの、姉様のように。そのような・・・その」 神姫バトル。それは、確かに・・・嫌いではない。だが。 ルクスは自分の膝を抱き寄せた。そこに顔を埋めるようにして、姉から顔を背けた。 「・・・すいません」 いきなり身の置き場所が無いような想いに捉われ、小さく呟く。 「え、どうして?」 ルクス以上に、困ったような顔でフェスタはルクスを覗き込んだ。 「・・・」 姉は。周囲に笑顔を咲かせていた。 神姫バトル。 自分を磨き、アキの愛に答える為に戦う・・・手段ではない。戦う事が、不器用な自分が出来る・・・たった一つの行為。 自分が自分である事の確かな表現の場。アキのへの愛を形にする行為のステージ。 ・・・それに、迷いは無い・・・はずだった。 黙りこんだ妹に、フェスタもまた少しの間、口を噤んでいたが。その沈黙に耐えかねたのか。 「えっと、確か・・・強いんだよね? ルクスって。以前神姫ジャーナルで見たよ?」 「はい・・・あの。一応は」 高みに行きたい。しかし、その名誉を欲してはいない。 「・・・ルクス? どうしたの? さっきから変だよ」 はっと気付けば。四つん這いの形を取るようにして、姉が身体を近づけて来ていた。髪が柔らかく孕んだ山吹色の光が目の中に舞う。 「あ・・・いえ。バトルが強くても・・・余り自慢にはなりませんし」 しどろもどろに言うルクスに。フェスタは首を傾げた。 「そんな事、ないよ?」 そう言ってくれる姉の声が辛い。 彼女は思わず姉の姿を見ないように目を閉じた。 「ですが・・・私の瞳は、母様の瞳は。ターゲットスコープを覗く為に使われています」 姉は母より受け継いだ脚で、笑顔の花を満開に咲かせているのに。 自分は。 「姉様と違って、私は『母様の瞳』で・・・何をしているのでしょう」 自分は、そんな事しか出来ない。それしか出来ないんだ。 それしか知らない・・・何て不器用なんだろう。 膝に顔を埋めて下を向くルクスを、しばし疑問符を浮かべながら見つめていたフェスタは。 やがて妹の思う所を介したのか。はっとした表情を浮かべて。そして、思わず吹き出した。 「っ・・・あははっ」 きょとんとして、顔を上げる妹に。肩を竦めて笑いかける。 「ねぇ、ルクス?」 ぴっ、と。人差し指でおでこを押さえられ、くっと下を向いていた顔を僅かに上げられた。そのままフェスタは先と同じく、瞳の奥を覗くように顔を近づけてくる。今度もまた、逃げる事もかなわないまま、しかしフェスタも少し先よりは離れた場所で止まった。 「『ルクスの瞳』・・・でしょ?」 「?」 指を外し、そのまま彼女はルクスの真前に身体を起こすようにして、座り直した。 「バトルだからいけないの? ダンスだったらいいの?」 「え、いえ。しかし」 「何でダメなの? バトルの一番を目指す事。それの何が悪いのか、私は解らないよ」 自分が行っている行為は。他の誰の為にもならない。 自分の為だけ。自分とマスターの勝利以外、何も、誰の為にも・・・紡がないじゃないか。 そんな事を考えていると。フェスタは小さく笑った。 「ルクスは強くて。そんなルクスにようになりたい、って思う『武装神姫』が、きっといると思う。それは、決して嫌な事じゃないよ」 「・・・?」 思わぬ言葉に、ふっと。顔を上げる。フェスタは妹の、その美しい銀色の瞳を真っ直ぐに見つめてきた。 「前ね、『武装神姫である前に。神姫である事を自覚しなさい』って私、言われた事があるの」 「・・・神姫である事、ですか」 そうだ。 私達は神姫。武装をまとう以前にヒトのパートナーであるべき存在。 「だけどね? ルクス」 黙りこんだままの彼女に対し、姉は首を左右に振る。 「神姫であると同時に。武装神姫である事を忘れちゃ駄目だよ?」 目を見開いて、ルクスは姉を見つめた。 「私もバトルが好きだよ? それは嘘じゃない。強くないけど、きっとマコトのお陰で勝ててる」 「・・・」 バトルが好き。 「これが武装神姫だから、だとか。そうじゃないの。マコトと一緒に戦ってる。それが好きなの、きっと」 「『好き』、ですか」 その言葉に嬉しげに頷く。 「『マスターの気持ちに答えたい』。『マスターと一緒に戦って、勝ちたい』」 両手を広げて、胸の前に静かに重ね、フェスタは自分にも言い聞かすように言った。 「だから、戦う技術を高めたい。強くなりたい・・・あの人の笑顔の為に。『武装神姫』なら、きっと一度は考えると思う」 『武装神姫』。 オーナーの意志に従い。武装し、戦場に赴く神姫達。 主の誇りを背に背負い。自分の想いを旗として掲げ。 負けたくないと思う瞬間。武装神姫が武装神姫である証。 誰もが求める、その先の世界。 「そう考える神姫達が「あんな風になりたいな」って。ふっと想う時・・・」 想いが生まれ出るその時に。ふと、顔を上げる場所。 その上の高み。 「その視線の先にルクスが立っていたら、それはとても『ステキな事』だと思うな」 「・・・」 それは嘘じゃない。 バトルが好きだから。 そこが。ずっと、マスターと駆け抜けてきた場所。どんな時も。あの人の愛が燦々と。降り注いでいた場所。 その場所で。誰かが続く場所で、想いを受け止める。 未来に繋げる、次の誰かの視線の先で。 あの人の愛を。 ・・・笑顔に換える事が出来る場所だから。 「姉様・・・」 ぽつっと呼ぶ。 「うん?」 美しい髪を揺らせて首を傾げる姉の顔を見て、ふと気恥ずかしくなり、ルクスは顔を赤くして下を向いた。 「あ、すいません。その」 「ふふ」 (・・・そうか) そうだ、うん。好きだったんだ。 武装神姫として、マスターと共に戦ってきた。その事が、何よりも好きだった。 だからこそ。誰よりも。高みに行こうとしていた。それしか出来ないのではなく。 それが自分自身を、一番輝かせる場所だった。 フェスタは優しく笑いかけた。 「頑張ろうよ。一緒に」 「・・・姉様と?」 彼女は強い意志を秘めた視線で、強く頷いた。 「私も、好きなダンスで一番を取るつもりだから。・・・好き、誰にも負けたくない。その想いを叶えたい」 きっと姉もまた自分と同じ。 ただ、自分とは歩む道が違うだけで。その、誰もを幸せにする舞踏で。 「きっと、きっとマコト様と、姉様なら。一番になれます」 嬉しくなり、笑顔でそう言うルクス。フェスタも笑い返す。 「ルクスもね」 「姉様・・・」 もう、一度。今度は言えるはずだ。 「うん」 「・・・ありがとうございます」 ・・・。 すっくと立ち上がると、フェスタはマコトが置いて行ったケータイを開けて、何やら操作しはじめた。 そのまま何事かと見ているルクスに背越しに声をかける。 「ねぇねぇ? 踊ろうよ、ルクス」 「は・・・?」 微笑みを浮かべて振り返る姉。手を後に回し、山吹色の髪を整えながら。 「いいよね?」 「いえ、しかし。私は・・・そんな、その。あの」 脈絡も無く言われて、彼女は慌てて手をぱたぱたと振る。 ダンスなど、全くやった事も無く。余り見たことさえ無い。 「大丈夫だって。リードしてあげるからっ」 そんな事を気にする様子も無く、フェスタはとっとっ、と脚で拍子を整えながら真っ直ぐに近づいてくる。 「いえ、ですから・・・」 引き攣った表情を浮かべていると、ケータイのミュージックプレイヤーから伴奏が流れ出した。 あぁっ。あんなに大きな音量で。 「うん? 気にしないで? 次の機会にルクスからバトルを教えてもらうから、それでお相子。遠慮しないで」 そう、こちらの意を全く介さぬ事を言って。フェスタはこちらに手を伸ばす。思わずルクスが手を出してしまうと。 すっと指を絡めて、ほとんど力がこもっていないのに、そのまま指だけで、立ち上げられた。 (!?) 唖然とするヒマさえ与えてくれない。 任せて? と小さく呟きながら。フェスタは妹を軽く引き寄せて、その腕を自分の腰に回させるようにして抱かせた。 已む無く、そのしなやかな胴に手を回し、姉を抱く形になってしまうルクス。普段、銃を持ち慣れている彼女にしていれば、そこは余りにも華奢で、おっかなびっくり触ってしまう。 それがくすぐったかったのか。フェスタは少し身を捩った。 「あの・・・姉様。私はダンスなど、出来は・・・」 一応の姿勢は取らされたが。そのまま困ったような顔を浮かべる彼女に。 姉は妹の腕の中でくすくすと肩で笑い、その臙脂色に近い髪に優しく指を通す。 「大丈夫。きっとルクスなら『見える』はずだよ?」 そう言って一度、眼を瞑り。 こつん、と、おでこ同士を付けて。 「私も。姉さんの『声』を、この『脚』が知っていたから・・・」 何気なく口にしたその言葉に。ルクスは瞳を丸くした。 (・・・え?) 音楽の主旋律が始まった。フェスタがくるっと回りながら腕から抜け出て、そのままルクスの手を取ると。ドレスの裾を持ち上げる仕草をしながら一礼をする。 ことん。 姉が爪先でテーブルを叩く音と共に、視界に音が舞った。 (・・・) 自分は足運びも知らない、手の動作も知らないはずだ。 しかし・・・明確なリズムが体に伝わり。そのまま音が引き込む流麗な流れに身を任せる。自然と、手が姉を導くように、そして脚が姉を追う様に動いていく。 テンポの良い音楽が耳を通り抜け・・・そして、何よりもその『眼』に届く。 身体がフェスタに誘われるように、風の流れるままに運ばれていく。姉は嬉しそうに、ルクスの腕で遊ぶかのように身を舞わせた。 と、たん。た・・・たたん 二人がテーブルというステージの上・・・刻んでいく二つのステップの音。 その水無き水面に描かれた小さな波紋がやがて一つになるように。フェスタが自分の中に重なっていき、意識が広がっていく。 (・・・姉様が刻むリズムが、見える) 銀色の瞳がはっきりと。自分の腕の中で舞うフェスタを捉えている。 妖精か、いや。天使か・・・軽やかに、優雅に反らされた腕、そして『脚』。そう。その脚は、元々はこの眼と同じ持ち主の元で・・・。 (・・・母様・・・) しなやかに、ゆったりとした音の流れに身を抱かれて楽しげに踊るフェスタ。その美麗なる肢体を舞わせる可憐なる姉の脚から・・・溢れるほどのリズムが流れ出し、瞳を通してルクスに届く。 それに従い、身を波にただ託して。 彼女達は、互いに互いが誘われるように舞った。 やがて、音楽が静かにフェードアウトし。妹をリードしながら踊っていたためか、随分と疲れたような・・・だが、優しい表情を浮かべたフェスタは上体を、とさりとルクスの胸に任せた。 「・・・大丈夫ですか? 姉様」 いつしか。肩の力が知らず抜けていた。 「うん・・・」 その、明るい暖かな銀色を湛える、透き通る瞳を下から覗き込むようにしながら、フェスタは嬉しげに微笑む。 ・・・と、何かに気付き。ルクスの背中に回した手の指で、つんつんと叩いた。 「ルクス。笑顔笑顔っ」 「?」 ふっと顔を上げれば、気付かぬうちに出来ていた人だかりから、拍手の雨が彼女達に降り注いだ。フェスタは慣れた様に、妹に抱かれながらにこやかに手を振っているが。 当のルクスはどうして良い物かと困惑するだけであった。 「いやぁ、ビックリした。可愛かったよ?」 「・・・」 無言で、顔を首まで真っ赤にして。 「うん、ダンスの達人ってのは、ダンスの相手も達人にしてまうってのは聞いてたんやけど」 「・・・物の見事に、男性用のダンスじゃないか」 アキの賞賛を受けながら、縮こまるルクスを見ながらも。 苦笑しながらマコトはそう言って、フェスタのおでこを突付く。 「あは、ごめんごめん」 頭を掻きながら、しかし悪びれる様子は無くフェスタは笑った。 「・・・アキさん、今から予定は?」 ふっと、マコトがアキに顔を向けた。 「ん? いや別に。ホテル泊まって、明日アキバ寄って・・・帰るつもり。何? ナンパ?」 「いや。そうじゃなくて」 苦笑を一度浮かべたが、すっと真顔に戻って腕時計に目を落とす。 「今から行けば。閉店までに間に合うかな、って」 「間に合う?」 「あのね・・・」 フェスタが言おうとした言葉を。ルクスが引き継いだ。 「もう一人・・・姉様がいるのですね?」 あれ? 言ったっけ。と言いたげに、不思議そうな顔を向ける姉。 「それって・・・そういうこと?」 「はい。少し遠いのですが。よかったら」 「行きます」 はっきりと。 「・・・会いたいんです。マスター」 アキは常では無い程に。自身の意志を明確にするパートナーに少し驚いたような顔を浮かべていたが。やがて笑って答えた。 「ん、ウチもえぇよ。案内してくれる?」 ・・・。 『神姫』として、そして『武装神姫』として。其処を目指そうとする神姫がいる。 その道を真っ直ぐに、瞳は見つめ、脚で歩き続けて。 ・・・いつしか其処に達しようと迷い無く。 「角子さん? ニックネーム?」 「はい。そう呼ばれてます」 向かい合う座席に座り、マコトとアキが話をしているのを聞きながら。窓の縁に立ち電車の中から後方に飛んでいく風景を見やる。 「その神姫の名前は、何て言うの?」 アキの問いに。マコトはしばらく腕を組んで何かを考えていたが。 「いえ。それは・・・。本人から、本人の声で聞いてください」 「?」 ルクスは冬故に早くも夕暮れ迫る地平を眺め、ふっと気付き目をやると、隣にいつしかフェスタが立っていた。 彼女らが進む道に吹く『風』は。時に厳しく打ちつけようとも、想いを紡ぐ力に変える。 強い意志を持って高みへと。誓いを運び決意と共に。 銀色の瞳に宿る強い意志。彼女はそのまま暮れゆく空を見上げた。 (母様の眼を受け継いだ、私である事) 私自身が『武装神姫』である事を恥じたりはしない。臆したりもしない。 この道を歩み続けて、まだ見ぬ神姫達が上を見上げたとき。そこに自分の姿がある時。それを誰かが追いかけるとき。 そして・・・。誰かの『瞳』に私が映るとき。 それは、きっと。紡がれていく強い想いとなるだろう。 姉が小さく声を上げた。つられて見やれば、鯨を思わせる大型飛空船が遠く・・・雲かかる夕焼け空にその身を煌かせ、のんびりと上天を泳いでいく。 「・・・」 水晶を思わせる銀眼が、金色の光を包み込んだ赤い空を照り返していた。 フェスタが、ふっと思い出したように顔を前にすると、ルクスに近寄り一言だけ『ある言葉』を耳打ちした。 その言葉に驚いたような表情を浮かべ、やがて小さく、しかし強く頷く。それを見て、フェスタも嬉しげに頷いた。 姉妹はまだ見ぬ場所へと、その風に乗せ、己の姿と想いを馳せていく。 確かに背を押す、その小さな胸に抱える風がある。 吹き渡る空の名は未来・・・その風の名は。 夢。 第八幕。下幕。 第八間幕
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1759.html
「では二本目です」 「引っぱる価値は皆無な話題ですけどねワン」 「……まさにスレの無駄遣い」 「暖かい声援を背に、行きます。 ……1人の男が、武装神姫を買おうと思いました。 そこで男は、武装神姫を持つ友人たちに、どんな武装神姫を買えばいいか相談する事にしました。 1人目の友人は、自分の武装神姫を示してこう言いました。 『こいつはね、バトルがすごく強いんだ! 色んな武器を使いこなすし、どんな敵と当たってもすぐに弱点を見破っちゃうんだ! やっぱり武装神姫といえばバトルだからね! こいつは最高の戦友さ!』 2人目の友人は、自分の武装神姫を示してこう言いました。 『こいつはね、生活サポートが優秀なんだ! メールやスケジュールの管理から最新情報のチェックまで、なんでも卒なくこなしてくれるんだ! やっぱり、武装神姫といえばサポート能力だからね! こいつは最高のパートナーさ!』 3人目の友人は、自分の武装神姫を示してこう言いました。 『こいつはね、とにかく一緒にいて楽しんだ! 歌や踊りが得意でよく見せてくれて、着替えも大好きで、話題も豊富で飽きさせないんだ! やっぱり、武装神姫といえば萌えだからね! こいつは最高の親友さ!』 男は、友人たちの言葉をよく吟味し、彼らの勧める武装神姫を慎重に比べて、そして。 一番おっぱいの大きい武装神姫を購入した。 ……おや、どうしました?」 「(胸元を押さえつつ)……いえ、マスターさんが胸の多寡を基準に購入を考えるお方でなかった幸運に感謝いているところですワン」 「……逆に、貧弱さが決め手とか」 「おお、その線もありえますね」 「! ……いえ、そんな、その、まさか……」 「……語尾忘れてる」 「よほどショックなようで」 「男って……男って……!!」 「いや、まぁ、あくまでジョークだし、男のくくりで考えて欲しくないなー、なんて……」 「(にこにこ)」(←何か言うと自分に飛び火がきそうなので、曖昧な笑みで誤魔化している) 「ちなみに元ネタは、結婚の相手を選ぶために、お金を渡してそれぞれの女性の反応を見た男の話だね」 <戻る> <進む> <目次> 犬子さんの土下座ライフ。 クラブハンド・フォートブラッグ 鋼の心 ~Eisen Herz~
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2588.html
フブキ型神姫「与一」 燃えないゴミ捨て場に廃棄されていたところを義弘によって拾われ再起動した神姫。「アテナ」「キュベレー」にとっては姉的存在。 普段は言って聞かせる程度だが本気で怒らせると恐怖の人となる。 アーンヴァルmk2型神姫「アテナ」 「キュベレー」とともに義弘がどこからか手に入れてきた神姫。まじめな性格で表裏のない性格とても恥ずかしがりやで頂点に達すると、 手近なものを投げつける習性がある。 ストラーフmk2型神姫「キュベレー」 「アテナ」とともに義弘がどこからか手に入れてきた神姫。冷静さを常に保とうと表面上そう努めてているが、「アテナ」と違い天邪鬼 なところがあり、本人も気にしている。その点について「アテナ」をうらやましく思っており、その反動からかアテナをよくからかっては 物を投げつけられている。 マオチャオ型神姫「たま子」 天真爛漫でマオチャオ型を絵にかいたような神姫でいつも笑顔を絶やさず楽しそうにしている。が、時にズバリと的を得たことを口にし、 侮れない一面を持つ。甚平とともにいろいろなところにいくのが大好き ストラーフmk型神姫「リリス」 いつも冷静さを崩さないが、マスターである「千歳」のことを第一に強く幸せを思っている。「強くなりたい。」という 「千歳」の願いにこたえ、ともに神姫バトルを戦う。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/436.html
Y.E.N.N 第1幕 「未熟な利己主義者」 第2幕 「はるか遠くの始まり」 第3幕 「同じ錯角が生じる位置」 第4幕 「視線を移した先」 第5幕 「心の指し示す場所」 第6幕 「思惟の共鳴現象」 第7幕 「意思の同調状態」 最終幕 「其の求める名は」 もどる
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4056.html
作者は◆PKyKffdMew 2012/10/8 スタート NNWバトルロワイアル・本編目次 NNWバトルロワイアル・参加者名簿
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3798.html
作者・◆jZCpcbFowc 主催進行役・白宮雨雲 裏方・『時空研究局』 ――――――――鬨を超えろ。 ――――――――己が過去を変えろ。 ――――――――今日ここに神はなく、あるのは希望だけだ。 ――――――――さあ、始めようか。 時間跳躍バトルロワイアル・SS目次 時間跳躍バトルロワイアル・参加者リスト 時間跳躍バトルロワイアル・参加者リスト/脱落者表示 時間跳躍バトルロワイアル・脱落者詳細 時間跳躍バトルロワイアル・ルール、マップ