約 2,236,801 件
https://w.atwiki.jp/rakuenwo/pages/112.html
武装神姫 公式サイト http //www.shinki-net.konami.jp/ wiki http //www33.atwiki.jp/2chbattlerondo/ 自分の神姫とイチャイチャしながら頑張るげーむ 要求スペックが無駄に高いのは許してね! 楽園のプレイヤー(五十音順) FFP名 オーナー名 好きな神姫 一言 少佐 ねこきのこ パチュリー 竜瑠 ヴァローナ ライトアーマー追加はまだかい? まおちゃお 久寺筑紫 はうりん すたれてるなーなのだ・・・ ばいーん ばいーん 飛鳥 くそっ!手持ち二体ともEXになっちまった! おいしい牛乳 おいしい牛乳 フブキ ぱっつんかわいい よくあることとか 無課金でも大丈夫? はっきり言って、辛いですが、不可能ではありません。 課金神姫・課金装備で選択の幅は広がります、が 基礎的な物は無課金でも大分揃います。 それを活かしましょう。あとはマッチ運に期待しましょう。 なにこれホントに勝てるの? はっきり言って、序盤は負けゲーと思ってください いきなりポンポンと勝てるゲームではありません。耐えましょう。 勝てる気配がしないよー 負けたときの、相手の神姫のステータスや武装を参考にしてみましょう。 どんな装備だと勝ちやすくて、どんなステータスが強いのか 観察してみましょう。良いと思ったら取り入れてみるのも大事。 いいところまで行くようにはなったんだけど・・・ バトル開始の前に、相手の装備や戦闘履歴などを見てみましょう。 その人が今までにどの武装を選んで戦ったのか、勝ち負け、そして1~4番の装備等、情報が沢山あります。 装備1ばかり選んでいる人なども良く見かけます。装備1が、もし接近武器だけだったら? 遠距離武器で美味しく食べてあげる事が出来ます。もぐもぐ。 トレーニングしたのに勝てないよー? トレーニング後の神姫は実戦感覚を失い、実力は発揮できません。 主に防御・命中・回避に影響が出ます。 実戦感覚は、トレーニング時のバッテリー消費量と同じ数値で減ります。 基本値を0として、最大-16まで低下します。 (例:中級訓練→消費量1=一回につき1低下) なので、トレーニングというものはすればするだけ、パラメーターは好きな物を選んで上昇させることが出来ますが 直後の戦闘では、「まず敗北してしまう」というデメリットがある物だと思ってください。 実戦感覚って回復できないのー? 勿論出来ます。 オフィシャルバトルを一回行うごとに、4回復します。 最大低下量は16なので、どんな状態でも4回オフィシャルバトルを消化すれば 間違いなく元に戻ります。 買うならどの神姫がいい? ゲームとしてなら 天使型あーんばる!あーんばるを買えばいいと思うの! 使い勝手が良い武装が揃い、また素体も扱いやすいです。 フブキの武装と合わせられる紅緒もオススメできます。 マオチャオも分かりやすいのとプチマスィーンズが割と便利なので良いかも? しかし、愛情さえあれば・・・なんとでもなる物ですよ。 なんとなく落ち着きません! もし手元に神姫がいるなら足をひらいたりとじたりしましょう。 体育すわりをさせてもいいかもしれません。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/928.html
ガングラー鋼月の『今時の武装神姫事情』Vol.2 『神姫の構造ってどうなってるの?』 メンテナンスや装備交換で分解することの多い神姫のパーツ。だが、我々は本当に神姫の体を知り尽くしているのだろうか? ○神姫の改造やメンテナンスについて 神姫のハード本体を触るケースとして一番多いのは、手足の換装や関節部のメンテナンスだろう。これに続くのが、拡張スペーサー部や外部装備、ソフトウェア的な調整となる。 逆を言えば、それ以外のパーツはほとんど触る必要がないとも言える。 以下、主に触らない箇所を図で紹介してみた。 1.陽電子頭脳 神姫の頭脳部分。 人間で言えば頭蓋骨に相当する、頭部フレームの内側に収納されている。 陽電子頭脳の詳細については前回のコラム参照。 2.神姫顔 神姫の顔は人間と同じく、頭部フレーム表面に人工筋肉が組み合わされ、そのうえに人工皮質が貼り付けられている(モデルによって頭部の形状が異なるため、筋肉の付き方まで人間と全く同じというわけではない)。 この人工筋肉と人工皮質の動きによって、神姫は自由に表情を変えることが出来る。 3.神姫口 神姫の口には食事用の歯が付けられている。人間の義歯と同じ素材で作られているが、人間のように三十二本あるわけではない。 咀嚼の動作は表情用の人工筋肉に接続して行っているため、基本的に人間と同じように噛んだりすり潰したりする事が出来る。神姫の口の大きさもあって非常に細かいパーツ群であるため、もし歯が欠けた場合、補修はメーカー修理扱いになる。 ちなみにストラーフタイプには八重歯が付いているが、噛みつき技の使用は公式戦では禁止されているため、注意が必要だ。 4.神姫胸部 CSCとCSC基盤が納められている中枢。 5.関節 神姫素体は基本的に外骨格構造。内部にはICPF(導電性高分子アクチュエータ)を中心とした人工筋肉や、情報伝達を司る神経ケーブルが通されている。 ICPFは人間の筋肉に比べ、百倍近いパワーを出すことが出来る。神姫が自分ほどの大きさのあるライフルや、水の入ったコップを持ち上げることが出来るのは、この人工筋肉があってこその技だ。 神姫の関節は非常に大きな力を扱う丈夫なパーツだが、無理矢理な力を加えると折れてしまうこともあるので、取り扱いには細心の注意が必要。 神姫が嫌がる動かし方はしないのが大原則だ。 6.拡張スペーサー 神姫素体各所にあるハードポイント。 パーツへの給電やデータ送受信もここで行われている。 7.神姫袋 歯で噛み砕いた食事は、喉・CSC基盤の裏に通されたチューブを通り、この中に流れ込む。ただし、神姫の食事機能はあくまでもコミュニケーション用の機能であるため、消化してエネルギーに変換する事はない。 溜め込まれた水分は股間のスリット、固形物は腹のハッチを開け、主にトイレで『排泄』される。 ちなみに神姫袋はあくまでも通称であり、正式名称ではない。 8.バッテリー 神姫のメインバッテリーと充電用コネクタは、神姫袋の後ろ、腰~お尻あたりにある。お尻をクレイドルに触れさせることで、バッテリーを充電することが可能。 お尻のコネクタは非接触型の端子ではあるものの、指で触れると電位差が発生するのか、神姫が嫌がるので触らないように注意。 神姫のバッテリーは、メインバッテリー(構造は非公開)、外装を兼ねたプラスチック電池、人工筋肉のICPF(ICPFにも蓄電池の効果がある)などの複数の電源で構成されている。 基本はメインバッテリーが使われるが、バトルなどの大出力が必要になる場合は、外装・ICPFの予備電源が使われる。 9.神姫足 高いところから落ちても平気な足。 装甲強度が高いわけではなく、関節の柔らかさ等でショックを吸収する事でダメージを軽減しているだけなので、見かけほど頑丈なわけではない。 ○神姫の体はブラックボックス こうしてまとめてみると、頭部~胴体、要するに手足以外のパーツに関しては、驚くほど非公開情報が多いことに驚かされる。 特にバッテリーに関しては構造がほとんど公開されておらず、本社の完全な独占状態になっているのが現状だ。部品の取り寄せは出来るし、使用済みバッテリーの回収も行っているため、ユーザーとしての問題はないが、長時間駆動用の大容量バッテリーを望む声は多いため、メーカーには何らかの対応を期待したいところだ。 トップ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2201.html
戦うことを忘れた武装神姫 その42 ・・・初雪が噂される、12月24日の神姫センターで開かれた、公式のクリスマスイベント戦で、鬼神の如く、次々と勝利を収めるツガルの姿があった。 1戦終えるごとに、ツガルのマスターは装備のメンテナンス・調整を短時間で行い、すぐさま次の試合に送り出す。 フィールドに戻ったツガルは、再びツガルらしからぬ荒々しい、しかし華麗なバトルを展開し、わずかな時間でまた1勝を上げていた。 数年前のある日。 レンガ造りを模した建物にテナントで入る神姫ショップのショーウインドウに、武装神姫のディスプレイとして、ツガルが仮起動状態でそっと置かれた。 どうやら昨年は、アーンヴァルが同じ場所に置かれ、仲間の道しるべとなるべくこの任務をこなしていたらしい・・・。AIは起動しているツガルは、準備する店員の会話を聴きながら、初めて見る外の世界にワクワクを覚えていた。 ・・・夏から秋へと移ろいゆく季節を眺め、足を止めて自分を見てくれる人に、動くことは出来ないけれどココロでアピールをする。ちょっと退屈だけども毎日がちょっとずつ違う、そんな日々を送っていたツガルは、いつしか店の前を行く人たちの表情に興味を持つようになった。 どんなことを考えているんだろう、どんな日常を送っているんだろう・・・。 そんなことを考えるだけでも楽しくなってきた、冬の日。 ツガルは、店の前の通り向こうの街灯の下に立つひとりの男に目が止まった。 髪をきれいに整え、手にはプレゼントと思しききれいな包みを手にして、覚えている限りではもう1時間も立ち続けている・・・。 いったい、誰を待っているのだろう。時々手に息をかけて温めては腕時計に目を移したりしながらも、疲れたそぶりも見せることなくただ立っていた。 そうか、大切な人を待っているのかもしれない・・・。ツガルは、男の様子をそっと見つめていた。 しかし、周囲の店の明かりも徐々に消え始め、人通りが少なくなってきても、まだ同じ場所で寒さをこらえる男。あれからさらに2時間は経過している・・・。 北風にこらえきれなくなった男が、そばの自販機に目を向けた、その瞬間。 男の動きが、止まった。 視線の先には、楽しそうに会話をしながら歩みゆくカップル。手には、互いにきれいな袋を持っている・・・。 カップルがツガルの視界から消えたとき、待っていた男は手にした袋を落とし・・・いや、がくりと膝を落としていた。 ツガルは、男の身に何が起きたか、考えることもなくすぐに理解できた。歩みゆく人の視線を気にすることもなく、膝を地に付けたまま小さく震える男の背中。 ツガルのいる店の灯りが落とされるころ、男はようやく腰を上げ、力ない足取りでツガルを横目で眺めながら、きらめく街の中へと消えていった。 翌日。 ショーウインドゥに居たツガルは、突如指名を受けてオーナーを得ることになった。 ツガルのオーナーこそ、昨晩の姿からは想像も出来ないラフな姿で店に現れた、あの男・・・。 一部始終をツガルが見ていたことに気づいていたのか、はたまた単なる偶然か。 だが、ツガルはあえて聞くことはしなかった。いや、昨晩の姿を見てしまっていただけに、聞くことができなかった・・・。 その日から、ツガルは新たな名をもらい、男の神姫としての日常を送ることになった。 バトルあり、おでかけあり、時に叱られたり、時に涙したり。ごくごく当たり前の、とても楽しい毎日を送り、あっという間に1年が経過しようとしていた。 やがて巡ってきた12月。 ツガルは、男の様子が少しおかしいことに気づいた。 日が進むにつれて徐々に顔色が悪くなる男。 もちろん仕事が忙しくなっていることもあるのかもしれない。しかし、これは・・・。去年の出来事を、ありありと思い出したツガル。おそらく、男もまた思い出しているに違いない・・・。そこでツガルは、男にひとつの提案をした。 「クリスマスを・・・ぶっ飛ばしてみませんか?」 その日から、時間が許す限り、ツガルと男は地元の神姫センターに通い始めた。 クリスマスに開かれる、公式イベント戦を目標に、ふたりは公式・非公式問わず、出来る限りのバトル経験を積み、結果この年のクリスマスのイベント戦では、経験が浅いにもかかわらず見事3位入賞を果たした。 副賞をもらう時の男の笑顔に、ツガルは何か、サンタ型として贈る事が出来た気がした。同時に、男から、笑顔というプレゼントをもらった気も・・・。 そして。 男の神姫となってから3年。 昨年のクリスマスイベント戦では見事に優勝し、今年は防衛戦でもある。 まだまだ予選ではあるが、決して手を抜くことなくまたひとつ勝利を収めたツガル。 元々男が、小さなロボットや工業・産業機械の設計に携わる仕事をしていることもあり、非の打ち所がない完全なメンテナンス・調整が施さたツガルは、常に最高のパフォーマンスを発揮し、またツガルも男の気持ちに応えるべく、鋭く、美しく、フィールドを舞い続ける。 ギャラリーからもため息が漏れる見事な戦いぶり、今年の優勝は・・・という声すらも聞こえる中、ふたりは今年もクリスマスをぶっ飛ばすべく・・・またひとつ、勝利ポイントを上げていた。 ・・・あの日のような姿は、二度と見たくない。 私が見たいのは、笑顔。 あの人の笑顔がいつでも見たいから、私は舞う。 そう。 いつの日か、出会った日の事を笑顔で語り合える日が来るまで-。 勝つための戦うことは忘れ、笑顔を忘れないために戦う神姫がいる。 彼女は、笑顔を射止める紅き弾丸。 ~ツガルのマーヤ~ <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/377.html
戦うことを忘れた武装神姫 その6 ・・・Dr.CTa。久遠とは大学の同期であり、両人とも腐れ縁を認めている。 Dr.と付くだけあって、所属する会社に於いてはそれなりの地位にあり、特にロボット工学では相当の研究成果を出してはいる才女・・・なのだが、その実は「腐女子」だと陰で囁かれている。 そんな彼女の手元には、サイフォス型の「ヴェルナ」と紅緒型の「沙羅」の、2体の神姫が住み着いている。しかしこの2体、顔が・・・明らかに通常のタイプと違う。 「雨、降ってきたっすね・・・。」 デスクで打ち出されたデータとにらめっこするCTaの脇で、コーヒーの缶に腰掛けた沙羅が、窓の外を見ながら呟いた。 「うむ。確か今朝の予報では、降水確率は70%だったな。」 ちらりと目を窓に向け、再びデータの山に向かうCTa・・・と、彼女の袖をヴェルナが引っ張っていた。 「マスター、そろそろ休憩の時間です。お茶菓子を用意しました。」 「おぉ、ありがと。」 ヴェルナから茶菓子のあんまんを受け取ると、ちぎって沙羅とヴェルナにも分け与えた。 CTaが勤務するのは、通称「ちっちゃいもの研」。体内マイクロマシンなど超小型機器の研究施設である。仕事上のつながり・・・というより腐れ縁の立場を利用されてか、久遠の神姫のメンテナンスもCTaは受け持っている。 顔見知りなのでタダではあるが、その代わり自らの研究材料としての利用もしている。そのひとつが、久遠の神姫にも搭載されている「食事」機能。 「あっちー!!」 渡されたあんまんにすぐかじりつき、餡の熱さに思わず声をあげた沙羅。 「これこれ沙羅、餡は熱いんだから。十分冷ましてからにせぇよ。」 と言いながら、CTaも餡を冷ましている。 「ところでマスター、今日は夕刻より久遠様と会議なのでは?」 一足先に食べ終えたヴェルナは、PDAを操作して予定表を確認していた。 そこには、「久遠・緊急用件@居酒屋・時刻1830」の文字が。 「あっ! 忘れてたっ!! いっけねぇ、何も用意してないぞっ!!」 あんまんを押し込むように食べ、むせ返るCTa。 「マスター・・・。」 その手元からは、沙羅とヴェルナの寒い視線がCTaに向けられていた。 沙羅とヴェルナは、いわゆる「捨てられた」神姫だった。 とある雨の日、久遠がシンメイを連れて買い物に出た帰り道だった。近道でもある河川敷を歩いていた際に、シンメイが消え入りそうな神姫のSOSシグナルを受信、周囲を捜索するとコアユニット、すなわち頭部が無惨にも破壊された 神姫を2体発見する。 それが、沙羅とヴェルナだった。 とても自らの手では修理できないと判断した久遠は、CTaに修復を依頼。コアユニットの修復はCTaも初めてであったようだが、他機種のガワを上手いこと流用し、数日後には見事に美しく修復させた。 当初、久遠が2体とも引き受ける予定であったのだが、情が移ってしまったのであろうか、CTaが自らのサポート用として、引き取ったのである。 「ふぇ・・・へぶしっ! 冷たいっ雨すねぇ。。。」 「おっと、ごめんよ。沙羅は雨が苦手だったよね。」 雨の中、待ち合わせの居酒屋へ急ぐCTaは、肩に乗せていた沙羅に小さな傘を持たせた。と、CTaの持つ鞄から、合羽を着込んだヴェルナが顔を出した。 「待ち合わせ時刻まで、残り6分と30秒です。間に合いますか?」 「だーっ!わかっとるわぃ!だからこうして急いでいるんじゃないかっ!」 「あ、マスター・・・あと20m先なんですが、私の計算ですと・・・」 「うん? なに?」 「工事に伴う歩道上の段差で、おそらく蹴躓い・・・」 どんがらがっちゃ。 ばしゃ、べっちゃり。 ヴェルナの方を振り向いた瞬間。見事、ヴェルナの予測通りの段差に蹴躓き、資材置き場にダイブするCTa。そして水のたまったブルーシートの上へ沈む。 「い、いてて・・・ ヴェルナっ!そういう事はもっと早く言うことっ!」 「も、申し訳ありません!」 鞄から転がり落ちて、ヴェルナは水たまりに填っている。 「ん、んん? あっ!沙羅っ!!」 体を起こしたCTaは、肩に乗せていた沙羅がどこかへ飛んでいったことに気がついた。ずぶ濡れのまま、あたりを見回すと・・・ 「・・・。」 目の前には、気の毒な表情を作ろうとしているものの笑いをこらえているのが一目でわかる、なんとも変な顔付きをした久遠が立っていた。そして彼の左手には、目を回した沙羅が。 「何やっているんだ? いきなり沙羅は飛んでくるし。何かしでかして思わず 投げ飛ばしたんじゃないかと思ったぞ。」 「うるさい。滑って転んだだけだ。」 むくれっ面で、ヴェルナと鞄を拾い上げるCTa。 「いえ、私の不注ぃ・・・むぐっ!」 と、CTaの手の中でヴェルナが何か言いかけたが、CTaは遮るようにヴェルナの口を塞いだ。 「沙羅じゃないけど、あたしも雨は苦手でね。目も悪いしぃ。」 「でも、私が・・・」 と、何か言いたそうなヴェルナを黙らせるかのように、どこからか取り出したタオルに包み込む。 「いんだよ。さぁ、沙羅もいつまでも目ぇ廻してないで。」 そう言いながら久遠から沙羅を受け取ると、ヴェルナを入れたタオルに併せて放り込むと、ちょっと乱暴に、がしがしと拭きあげる。そして。。。 「お前、風邪ひくぞ。」 その脇では、CTaに拾い上げた傘をずっとさし続ける久遠。 「何だよ。別にそこでつっ立っていなくて・・・ひっくしょん!」 振り返った瞬間、CTaは久遠にくしゃみをぶっかけてしまう。 「あ・・・ごめん・・・。」 「・・・。とりあえずこいつらは俺が拭いておくから。お前はそこの中武で服買ってこいや。」 久遠はひったくるようにヴェルナと沙羅の入ったタオルをCTaの手から取ると、代わりに傘を差しだした。 「くっそぉ、こんな事でポイント稼がれるとは・・・。」 ブツブツ言いながらも素直に中武へと消えるCTa。 「全く、素直じゃないんだから。」 ため息混じりにその後ろ姿を追う久遠。 彼の手元では、沙羅とヴェルナがタオルの隙間から顔を出し、ぼそっとため息混じりに呟いていた。 「あーあ、ダメっすねー。 素直じゃないのも、朴念仁なのも・・・」 「お互い様、ですねぇ。これじゃ苦労しますよ、久遠様の4人も・・・。」 そして顔を見合わせて、 『はぁ・・・。』 大きくため息の二人。 マスターの将来までをも心配する、お節介な神姫がいる。 そう、ここに居るのは、戦うことを忘れた武装神姫。。。 ・・・>その7へ続くっ!!>・・・ <その5 へ戻る< >その7 へ進む> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/581.html
戦うことを忘れた武装神姫 その20 ・・・その19の続き・・・ フィーナの次のオーナーは・・・なんとティナのオーナーの、かえで。 CTaにティナのメンテナンスを頼んだ際に、フィーナの話を聞いたかえでは、 その場でフィーナを迎え入れたいと申し出たとか。 もっとも、この流れは CTaの計らいも少なからずあったようだが、リーダーの希望もあったらしい。 そして、リーダーは本名の「フィーナ」として、かえでの元で新たな生活を 始めていた。 「あーっ! リーダー! 元気してた?」 かえでの肩の上の「リーダー」に、リゼは久遠のポケットから顔を出し手を 振って応える。 「もう、リーダーじゃないですっ。 フィーナと呼びなさい!」 と、叱るフィーナの顔は、大変に穏やかな・・・笑顔だった。 その様子に、雑誌社の一人が気づき、カメラマンを含めた数人がやってきた。 色の濃い度付きスポーツグラスをしていた久遠だったが、あっさりとバレて しまった模様。 「・・・久遠さんですよね?すみませんがバイクを降りずに、そのスタイル の写真を撮らせていただけませんか。 それと、神姫の皆様はどちらにいま すか?」 久遠はちょっと苦笑いを浮かべるも、 「ウチの連中なら・・・ほら、ここに。」 とポケットを開くと、お揃いのゴーグルを着けたエルガ、シンメイ、イオ、 そしてリゼを、ハンドルやバーパッド部分に座らせた。 彼は、神姫たちに プレス連中の希望する希望するポーズを取らせる。もちろん、彼自身も。 「どうもありがとうございます、良い絵が撮れました!」 深々と頭を下げるプレス陣。 「今回の特集ページの表紙に、是非使わせて下さい!!」 「いや・・・そんな急に言われても・・・」 困惑する久遠に、フィーナが言った。 「良いのではないですか? 久遠さんは、今回の大会の主役でもあるのです から。 もっと堂々として下さい。」 「そ、そうなのか?」 「フィーナぁ、それはにゃーさんにはできないよー。 どうがんばっても、 いっつもでれんちょだもん。」 と、間髪入れずにエルガが言う。頷くシンメイ、リゼ、イオ。 その様子に かえでたちも、プレスも笑う。 場の雰囲気がさらに和む。。。 久遠とサイトウの対戦以降、久遠の言うところの「バトルの質」が向上した という。 神姫を持つ者に、神姫のバトルとは一体何なのか?・・・という 問いかけをした対戦にもなったようだ。 もちろん、M町のセンターも大きく雰囲気が変わった。 警察沙汰にもなったあの一件で、店長は相当立場が危なくなったようだが、 久遠の働きかけもあり、なんとか公認の看板は守り通した。 神姫に詳しく ないアルバイトはいなくなり、代わって学生時代から入り浸っていたような 良い意味で「濃い」連中が正社員や契約社員の形で入り、店内も大幅に改装 された。 また上の階に東杜田技研・HT-NEKの直営店が入店し、いつでも 気軽に立ち寄って相談できる場所となり、より一層人気のセンターとなって いった。。。 「なんだ、このポスターは。。。」 センターに入ろうとした久遠、ドアに張り出されたポスターに目が止まった。 あの時の「とつげきしゃもじ」エルガと「工臨壱式」シンメイが火花を散ら している、何とも不思議なスタイル。 真ん中に書かれた文字は- 、 <第1回 カッコイイ神姫選手権> 「うはっ、本当にこのタイトル使うとは思わなかったぞ。」 苦笑いする久遠を、店長が出迎えた。 「どうも、お待ちしていました。 皆さんお待ちかねですよ。」 ・・・この日、M町のセンターで開催されるイベント、それが「カッコイイ 神姫選手権」。 リゼが叫んだ、「カッコイイ神姫」は、一部の連中の間で かなりの流行になり、それならば、とM町の店長が久遠とCTaに働きかけ、 東杜田技研に協力を得て、さらには各メディアをも巻き込み、挙げ句は公式 のお墨付きまで付いた一大イベントに仕立ててしまったのだ。 「店長・・・やるときゃやるんですね。。。」 一歩踏み入れるや否や、久遠は想像を超えた店内の盛り上がりに、半ば呆れ つつも店長の行動力に驚きを隠せなかった。 「まぁね。 それなりのネットワークは持っているつもりだから。」 店長はそう言いながら、久遠にタイムテーブルの確認表を手渡した。内容を 確認する久遠の目が、オープニング部分でいきなり固まった。 カッコイイ神姫とはどんな神姫か? 戦い続ける神姫でも、 戦いを忘れた神姫でも、 仕事に就いている神姫でも、 誰もがカッコイイ神姫になれる。 集え、我こそはと思うカッコイイ神姫たち。 今ここで、神姫の新しい歴史の1ページを造ろう-。 「ちょ、ちょっと店長、これ俺が言うんですか?」 「そうだけど。」 目が点になる久遠に、事も無げに流す店長。 「誰がこんなこっぱずかしい台詞考えたんだっ!」 「あたしだよ。」 聞き飽きるほど聞き慣れた声と共に、久遠の後頭部をどつく人物。メイド姿 のDr.CTaが、久遠の背後に立っていた。 「二晩かかったんだぞ、このオープニングを考えるのに。」 「・・・。 勘弁してくれ、俺はそういうキャラクターじゃないっつーの。 それこそ、お前が言えや。」 「やだよ、こんな台詞。恥ずかしいもん。」 「・・・ハァ・・・。」 肩をガックリ落とし、ため息の久遠に、リゼが耳元にのぼって言った。 「なぁ、ヌシさん。どうせあたしらが初っ端でデモンストレーションをする だろ? それと絡めて、あたしたちが言ってやるよ。」 「そうか? じゃ、お願いしちゃおうかな〜。」 と言う久遠に、イオが顔を出して続けた。 「そのかわり、終わったら上で何か買って下さいね、全員に。」 なんか謀られた気がすると思いつつも、自分で言うよりはマシと考え直し、 さくさくと準備に取り掛かった。 この選手権はバトル型式ではない。 各オーナー、神姫が「カッコイイ」と 思うパフォーマンスを設けられた制限時間内で行い、審査してランキングを するだけ。 審査員にはそうそうたるメンバーが並ぶ。 エルゴの店長や、 東杜田技研の社長、本名を明かさないと言う契約で神姫開発者も一人招いた とも。 そして、審査委員長に・・・なんと久遠。彼の神姫たちも、4人で 一人の扱いではあるが審査員に名を連ねていた。もちろん。CTaも審査員に なっている。。。 エントリー期間はわずか数日間だったにもかかわらず、相当数の応募があり、 事前審査を行うほどであった。事前審査を経て厳選された十数組が、普段は バトルで使われるフィールドを舞台として用い、歌に踊りに模擬戦に、果て はマスターをも絡めたお笑いまで、何でもアリの展開がなされるであろう。 カッコイイに、形はないのだから・・・。 やがて、選手権の開会時刻に。 司会・進行は、店長の神姫、白子のアスタ と兎子のコリン。 2人とも、見事なまでの司会者スタイル。審査員に続い て選手が入場し、ギャラリーが拍手で迎える。 生活感あふれるスタイル、オーナーの持つみかんの段ボール箱に入って入場 する神姫あり。オーナーが操縦するラジコンヘリに乗り、BGMまで用意して 派手に入場する神姫あり。オーナーと同じ姿、すなわちお揃いのコスプレを した神姫も。。。 その中に、かえでの姿があった。 おもしろ半分で応募したところ、見事に 選出されてしまい、選手として参加することになってしまったのだ。 当初 は乗り気でなかったフィーナだったが、かえでの熱意に負けてティナと共に 出ることにした。 PDA状態のティナと、戦闘のプロのフィーナが、高校生 オーナーのかえでと、どんなかっこよさを見せてくれるのか- 。 「それでは・・・名誉カッコイイ神姫の入場ですっ!!」 コリンの声で、最後に久遠たちが入場する。 彼は神姫たちにいちばん好評だったオフ車乗りのスタイルのまま登場。 神姫たちも、それぞれにカッコイイと思うスタイルで、久遠の肩や手に乗り、 堂々と入場。 エルガは、新調した特製バトル用ホワイトエプロンにおたま。 シンメイは、工臨壱式スタイルで、6mmレンチを背中に付けて。 イオは、あの時と同じ装備をより一層軽快にしたモードでフワフワと。 リゼは・・・マイクスタンドをくくりつけたサブパワーユニットを手に。 ギャラリーから、より一層大きな拍手がわき起こる。 フィールドに歩み寄る久遠。 そこには、ちいさな舞台がスポットライトで 照らし出されている。 彼は神姫たちをフィールドに乗せた。舞台上に上が る4人。 それぞれの考える「カッコイイ」姿をそれぞれのパフォーマンス で魅せる、このイベントの目玉の一つが始まろうとしていた。 舞台の真ん中に立ったリゼは、くくりつけたマイクを外し、オリジナル曲を アカペラで歌った。 美声に静まり返る店内。 歌い上げたリゼはパワーユニットを背負うと、3人に目で合図を送る。 エルガ、シンメイ、イオ、そしてリゼの4人は、それぞれにスタイルを決め、 あの台詞が静まり返った店内に響き渡った。 「カッコイイ神姫とは、どんな神姫か?」 変わらぬ毎日の中でも、自らを常に磨き続ける神姫がいる。 何気ない日常の中で、「カッコイイ」を目指す神姫がいる。 武装神姫であるために、目指すものがあり、忘れないものがある。 そう、ここにいるのは、戦いを忘れず、戦うことを忘れた武装神姫。。。 ・・・ 第2部「What's Battle style? -It's my Life style.」 了 ・・・ <その19 へ戻る< <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1961.html
戦うことを忘れた武装神姫 その40 時間はそろそろ18時を廻ろうとする頃。 紫色の初秋の夕暮れを背景に、色とりどりの灯りで飾られ浮かび上がる街。 行き交う人々も、クルマも、すべてが迫る夕闇の街に溶け込み、今日もまたあたりまえの景色を作り出していた。 そんな景色を切り抜く大きなキャンバスのようなショーウインドゥに・・・黒いバイクが風の如く映り込んだ。 今ではすっかり旧式となり、見ることも少なくなった久遠のバイク。 独特のメカノイズに振り返る人はいるものの、やはり都心とあってかさして珍しがって足を止める人もいない。 きれいに整備さた久遠のバイクは、シュラウドにも街の表情を映しこみながら、混みあう国道を軽やかに駆け抜けてゆく。 今宵の久遠は出張帰りであろうか・・・。 ジャケットの胸ポケットからは、マオチャオのエルガがぴょこんと顔を出し、夜風に緑色の髪をなびかせ、大きな翠色の瞳は流れ行く街の光を湛えていつも以上に輝いていた。 ターミナル駅そばの、大きな交差点の信号につかまったときだった。 まるで潮の流れのようにスクランブル交差点を通り過ぎる人間、ニンゲン。 身体を乗り出し、じーっと眺めていたエルガが、 「にゃーさん、おさかなー。」 と、ぼそり久遠に言った。 おねだりする時ともまた違った口調のエルガに、何事かと考える久遠。 どこかに焼き魚の屋台でもあるのか? いや、そんなものはない。 だいたい魚と言っても、この近辺にあるのは海鮮居酒屋くらい・・・。 「んー、おなかすいたか?」 久遠の問いかけに首を横に振るエルガ。 「ちがうの。 にゃーさんが、おさかな。」 何のことやらさっぱりの久遠に、エルガはなんとも楽しそうな笑みと共に続けた。 「バイクに乗って、街の中を駆けてくにゃーさんがおさかな。 にゃーさんはね、ひかりのうみのなかをおよぐおさかななんだよ!」 ・・・あぁ、なるほど・・・。 歩行者用の信号点滅を始め、これから進もうとする道が開けつつあるとき、久遠はエルガの言わんとしていることを理解した。 「光の海を泳ぐお魚、と・・・。」 久遠は呟きながらクラッチを握り、ギアを入れる。 その振動はエルガにも伝わり、半身を乗り出していたエルガは再びポケットに身体を深く納めた。 「にゃーさんも、ひとつの光になって、海を作って、海を泳ぐの。 このおっきな街からみたら、にゃーさんはちっちゃな光のひとつだけど、にゃーにとっては・・・みゅぅ・・・その、あのね・・・街よりもおっきな光なの!」 そういうと、顔を赤らめてぎゅっとジャケットに顔を埋めるエルガ。 前を見る久遠はエルガの動きを知ってか知らずか、使い込まれたグローブをはめたままの右手でちょんとエルガのアタマを突付いた。 「それじゃ・・・珊瑚の脇での休憩はおしまい。 ぼちぼち大海原へと泳ぎだそうか。」 信号が変わり、前方には広い道路が・・・いや、海の回廊がひらけた。 「いくぞっ!」 「うにぁー!」 エルガの声にあわせるかのごとく久遠はアクセルをひねり、光があふれる大海原へと再び飛び込んでいった。 透きとおる眼差しで、街を見つめる神姫がいる。 そう、ここにいるのは、戦うことを忘れた武装神姫・・・。 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/505.html
戦うことを忘れた武装神姫 その16 ・・・その15の続き・・・ 何年前になろうか。 ・・・武装神姫、一般発売。 その翌年、バトルサービス開始。 各地で繰り広げられる熱い戦い、築かれてゆくつながり。ペアが生まれ、 チームが編成され・・・ 楽しむために戦う、仲間と集うために戦う。 そして・・・ 名誉と、賞金のために-。 スポンサーが付き、賞金のかかる試合もぼちぼち増えてきた頃。 とある町の、小さなチーム。彼らもまた、神姫バトルで賞金を稼ぐ者たち のあつまりであった。 彼らは、全員がストラーフのみを所有し、「黒い嵐」とも呼ばれた強豪で あった。 その中で、試合へ出向く神姫たちの、トレーニングをする際の 相手だけを務めるストラーフが居た。 特定のオーナーを持たず、 名前も与えられず。 表舞台へと向かう仲間が、新たに編み出した技を確かめ、オーナーたちが 試作した武器や技術を試すため・・・。 勝利を収めても、誉めてくれるオーナーはいない。 負傷しても、慰めてくれるオーナーもいない。 ただ独り、ひたすらに、黙々と、与えられた仕事をこなす。心を持つこと なく、まさに「機械」としての日常-。 そんな毎日を送る彼女を、一人だけ「仲間」と呼ぶ者がいた。 チームのリーダーで、最も成熟した心を持つストラーフ。 手加減のない 模擬戦のあとでも、必ず彼女のことを気にかけ、破損があろうものなら、 自らの損傷は後回しにして、真っ先に彼女の修復を申し出ることも。 「貴方のおかげで、私たちは常に頂点に居ることができるんですから。」 これが、リーダーの口癖だった。 しかしオーナーたちの中で、その意味を理解していた者は-、いなかった。 「毎日のように貴方は私たちと、対等の戦いを繰り広げ、次々に渡される 新型機器を、いとも容易く扱える。 もっと自信を持ちなさい。 ソロの 対戦なら、貴方が最も強い神姫かもしれませんよ。」 ある日、模擬戦で彼女が勝利を収めた際、リーダーが彼女に言った言葉。 いつも日陰者と自称していた彼女にとって、今までにない程の、暖かく、 熱い言葉-。 胸に、こみ上げる思い。 オーナーを持たない彼女に「こころ」が、芽生えた瞬間-。チームリーダー の証である、蠍のマーキングが施された自らの頬を指しながら言った。 「いずれ貴方も、表舞台で先頭に立てるといいですね。」 そして、この会話が、彼女とリーダーの最後の会話となった。 翌日の公式戦終了後、リーダーを収納したボックスが、何者かに持ち去ら れてしまったのだ。 リーダーのストラーフを失ったチームは、徐々にランクを下げていった。 それに比例するかのように、彼女への仕事-、いや、仕打ちと言った方が いいかもしれない- は、凄惨なものへと変化を遂げた。 勝つために作った力任せ・反則スレスレの改造武器を持たせ、彼女を動く 標的として-。 たとえ装備が破損してもそのままに、自らでの簡易修復 が限界の毎日-。 やがて、彼女自身が損傷を受け、まともに動く事すら 出来なくなった。 鍛錬の相手が居なくなり、チームはついにランク外へ と陥落。。。 ここで、ようやく彼女の存在意義、存在の大きさに気づいたオーナー連中。 息も絶え絶えの彼女を、大急ぎで東杜田の片隅にある工場へと持ち込んだ。 どんな損傷を受けたロボットをも生き返らせる技術者がいるというウワサ を聞いて・・・。 だが。 そこの技術者の答えは「修復不可能」との返答。長期間、内部損傷を放置 したため、コアへも損傷が生じてしまった、というものだった。 オーナー連中が出した結論は-、 チーム解散。 リーダーを失い、陰の立役者を失ったチームが、勝ち続けることは不可能 だった。 オーナーたちは、それぞれの所有する神姫を手に、それぞれの 道へと戻る-。 オーナーを持たない彼女は・・・ 研究所へ残された。 オーナー連中が立ち去り、静かになった研究室の片隅。 彼女を診断した技術者が、彼女を手に取り、にやりと笑みを浮かべた。 「・・・お前のことはよく知っているぞ。 リーダーが、徹底的に誉めて いたからな。」 いきなりのその言葉に、彼女は目を丸くした。 「時折来ていたんだよなー、あいつ・・・。 本当にいいやつだったよ。 無事でいてくれればいんだけど・・・ お前もそう思うだろ?」 彼女に、涙がわき上がった。 機械の身体であるはずなのに、何故、涙が 出るのだろう・・・。訊かずとも、技術者がすぐに答えた。 「泣いたな。 お前は、今や機械じゃない。 立派なひとりの『神姫』と なったからだよ・・・。」 ぼろぼろの身体をそっと撫でる技術者。はじめて、信頼できる「人間」が、 目の前にいる・・・。 自らの動力は、もう息絶えようとしているけれど・・・。 今までがんばってきて、良かった・・・。 「さて。と・・・って、こらこら! 一人で感動シーンをやってるんじゃ ないよ。 お前はまだ終わっちゃいないんだから。」 ごりごりと、ちょっと乱暴に頭を撫でる技術者。 「ああ言えば、あいつらはスンナリ納得して、お前を置いて帰るだろうと 思ったんだ。 ま、それもこれもあたしの腕と信頼があっての事だけど。」 そう言いながら、技術者は彼女を作業台へと運んだ。山と積まれた工具、 機材、そして素材。 「お前を見捨てるようなやつらは、ホンモノの神姫使いじゃないよ。私が ホンモノの神姫使いと巡り合わせてやる。 そうさ、これからがお前の、 本当の『武装神姫』として生きていく時間になるんだ-。」 と、技術者が言った。 彼女はそれが何を意味するかすぐに理解できた。 まだ、いける。 明日が、ある・・・!! 「・・・なんだけどねー。 あんたを救う代わりに、あたしの実証実験に 少し協力しなさーい! それがあたしへの報酬さっ!」 突如、小悪魔のような笑みを浮かべた技術者。 だが、そこに悪意は一切 なく、むしろ彼女への愛情のある顔付きだった・・・。 先とはうってかわり、機材を駆使してのテッテー的な破損個所の洗い出し を行い、詳細な修復計画を立てた技術者。まずはメインボディの修復作業 を行こととし、いったん動力を落とす旨を彼女に告げた。音声回路も破損 しかけ、かすれた声しか出せななくなっていた彼女は、ノイズ交じりの声 で、ひとつのお願いをした。 -いままでの記憶を、全て残してほしい- その願いに、技術者が目を丸くした。 本当にいいのか?と、問いかける 技術者に、彼女は強い意志を持った眼差しで答えた。 -記憶を消したら、私ではなくなってしまう- その答えに技術者は再びにやりと笑みを口元に浮かべると、彼女をそっと 撫でて、やさしく言った。 「へっ・・・泣かせる神姫だなぁ、お前は。 よーし、わかった。あたし がお前を、世界で一番の神姫にしてやる。 人間をオーナーにしてしまう くらいの、強く、かっこいい神姫に-。」 数日後。 彼女が目を覚ますと、初めて見る顔の人間がいた。 彼の肩や 胸のポケットには、3人の神姫が。猫、犬、白・・・。 「・・・なーるほどね。 そりゃー大変だったねぇ。」 「いいやつだよー。・・・ちょっと意地っ張りだけど。」 「いやぁ、構わない構わない。 話を聞いたら、なおさらウチに居て欲し くなったよ。」 その男は、技術者と親しそうに会話をしている。 やがて一段落付いたの だろうか、彼女の元へとやってきた。 と、彼女はひとつの異変に気づいた。 彼は、私のマスターだ・・・。 すぐに、認識が出来た。 そう、正式な 起動を行い、造られてから、はじめての「マスター」を得たのだ。。。 ・・・私の・・・マスター・・・ もう、独りでは・・・無いんだ・・・!!! 「どうも、はじめまして。 君のマスターになる、『ヒサトオ』っちゅー 者ですわ。 んで、こっちがエルガ、シンメイ、イオ・・・。」 それぞれの神姫が、彼女の前に降りて会釈をする。 「・・・ところで、君の名前は?」 うれしさがこみ上げる中、彼がふと尋ねた。 返答に困る彼女。 今まで、 名前で呼ばれたことなど無い・・・。 すると、技術者がさらさらと紙に文字を書いた。 「日はまた昇る、の『Rise』から音だけもらって、ちょいと綴りを変えた んだけどねー。 どお? いいでしょ。 なんたって、この数日かけて 考えた名前なんだからねっ!」 涙でにじむ視界に、ぼんやりと、しかしはっきりと浮かび上がった文字。 それは-。 「 -Lize- リゼ=ストラーフ 」 ・・・>続くっ!>・・・ <その15 へ戻る< >その17 へ進む> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/526.html
2月14日の武装神姫-02 ・・・2月14日の武装神姫-01の続き・・・ 「このくらいかにゃ? ・・・それじゃ、次〜。」 一個目、無事流し込み完了。2個目、3個目・・・一度上手くいけば、あと はラクチン・・・すんなりと完了。・・・チョコが余ったので、一旦ボウル を湯煎の上へ戻し、先の分に、3人であれやこれやと飾りを着けて、文字を 書いて。 ワイワイやっているところへ、ようやくイオが起きてきた。 「あー!! おそーい!!」 エルガが声をあげた。 「あ・・・すっかり忘れていました・・・今日は14日でしたね。。。」 まだ眠そうにあくびをするイオ。 「忘れていましたって・・・。 まぁいいや。 今年は一人一個作るから、 イオも作ること。」 リゼが言うと、目をこすりながらリゼはボウルの方へ。 「はーい。それで、チョコレートはどちらに? あら、美味しそうな香り。」 まだ寝ぼけているのであろうか、フラフラ〜と、足下も怪しいまま・・・ どべちゃっ!! 「いやーーーーーー!!! あ、熱い、熱いぃぃぃっ!!!」 見事・・・というかお約束というか、よりによって湯煎の湯の方ではなく、 チョコレートの方へ転落したリゼ。 「な、何やっているんですかっ!!!」 慌ててシンメイが駆け寄る。 エルガがすでに飛び上がり、ワイヤーを引き ボウルを持ち上げている。 ひとまず(もったいないとのリゼの一言で)、 イオの分の型の上へイオ入りのチョコレートを流す・・・と。 「あ・・・。」 受け側でボウルを動かしていたリゼが絶句。型に流すまでの間が仇となった のだろうか、出した途端にリゼごとチョコは固まってしまった。 「あ、あの・・・ 固まってしまいました・・・。」 「見れば解る。」 「そ、そんなぁ〜! リゼ、冷たいこと言わないで、何とかしてっ!」 「何とか、ねぇ・・・。 寝坊して、残りのチョコレート使い果たすはめに なった原因を作ったヤツが言うことか?」 「ちょっとリゼ。そこまで言うことはないでしょ?」 と肩を叩くシンメイに、リゼは無言で、後に座り込むエルガを示した。 「イオが悪いわけじゃないけれどね・・・ にゃんか納得行かない・・・。 せっかくみんなで、一個ずつ渡そうと思ったのに・・・。」 大きな目に大粒の涙をためてぐずるエルガ。 「・・・。」 さすがのシンメイも、どう声をかけたら良いか解らない様子。 文字通りに 固まったままのイオも、(おそらく)申し訳なさそう目をしている。 「ん? むむ・・・ あぁ、いい方法があるぞ。」 固まったイオを見ていたリゼがポンと手を叩いた。 「ぬっふっふ・・・」 小悪魔のようなにやりとした笑み。 エルガ、シンメイもちょっとゾクッと 走ったモノがあった。 そして。。。 「ただいまー。 いやぁ、今日は久々の定時上がりだよ。」 まだ早い時間に久遠帰宅。 きれいに片付けられたキッチンに・・・何やら 見慣れないハコが4つ。 「おかえりなさーい!」 と、エルガ、シンメイ、リゼがぴょっこり顔をだした。 「あのね、今日は伴天連隊員の日だか・・・ぶにゃっ」 豪快にシンメイがエルガをどつく。 「もう・・・バレンタインでしょっ!」 「っつーことだ、ヌシさん。 あたしたちも作ったよ。」 片目をつむって、イオがハコを差し出した。 続いて、エルガとシンメイも。 聞けば、皆でちっちゃい身体を駆使し、一人一個、人数分作り上げ、なんと 片付けまでも済んでいるというではないか。 「あんたら、ようやるねぇ・・・ いやー、こりゃ嬉しいよ!さっそく開け させてもらうよっ!!」 満面の笑みで久遠は包みを開ける。 ・・・エルガのチョコはでっかい肉球。 リゼのチョコにはLOVEとでかでかと書いてある。 シンメイのチョコは・・・ アーモンドがちょこんとひとつだけ。 でも、よく見ると・・・濃淡で見事 なハートが描かれ、隅には小さく「愛は最強」・・・って何が言いたいんだ? ・・・とここで久遠が気づいた。 「そういえば、イオ・・・は?」 「あ、あの娘なら疲れて先に寝ちゃったよ。」 リゼが答える。 「こんな早い時間からか?」 「ま、まぁね。 それはそうと、これ。イオの分のチョコレート。」 「をを、何やら豪華そうな大きさだ!」 3人とは違い、高さもあるハコ。 開けてみると・・・そこには、イオその ままの姿のチョコレートが! 「こりゃぁすごい! 時間かかっただろう・・・。」 「チョコを彫って作ったそうですよ。」 何か言いたげなエルガの口を塞いで、シンメイが言った。 「そうかそうか・・・。嬉しいねぇ、こんな立派なモノをもらえるなんて。」 そう言いながら久遠はひとしきり写真を撮り(銀塩)、フィルムを1本使い 切ったところで、まずはイオのチョコレートに手を伸ばした。 「ありがたく頂くよ。 今日の夕食はこれで決まりだなっ!」 嬉しそうに、満面の笑みを浮かべた久遠。 イオのチョコレートの台座部分 をまずは食し、足から食べようとして、一口かじった・・・ その瞬間。 「ぎゃーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」 今まで、誰も聞いたことがないほどの悲鳴。 そう、イオ型のチョコは、中身がイオのチョコだったのだ。 何も知らない (当然だけど)久遠は、容赦なく、思いっきりイオの足にかじりついた形に なったのだ。 あまりの痛さに、大暴れするイオ。 剥がれ落ちるチョコ。 さらに、片足を久遠にくわえられたまま、久遠の顔面に猛烈な殴る・蹴るの 暴行を加えている。 そして。 ・・・ぽとり。 イオが久遠の口から落ちた。久遠の顔面は真っ赤に腫れ 上っていた。その一連の様子を見ながらリゼは笑いこけ、シンメイとエルガ は口を開けたまま、どうして良いのか手も出せずに・・・ただ見ているしか できなかった。 その夜。 仕組んだリゼは、顔を氷で冷やす久遠にこってりとしぼられ、イオはチョコ まみれであったため、失神するまで洗浄された。エルガとシンメイは、その 間どうにも気まずく、2人とも部屋の隅で並んで反省モード。 さらには、 その話が何故か翌日にはCTaの所へ漏れ、輪をかけて大騒ぎに。結局、全て が笑い話になるまで、数ヶ月を要することになった。 そんなこんなで、去年の2月14日はとんでもない騒ぎになってしまった久遠。 「・・・今年はチョコレートらしきモノは全部探して没収したから、大丈夫 だと思うんだけどなぁ・・・。」 ぼそりつぶやく。手には、皆で食べようと思い買った、値引きされたチョコ レートケーキ。 しかし、不安の中に、ちょっと期待があるのもまた事実。 (あんなに嬉しい2月14日ははじめてだったっけ。。。) しだいに足が速くなる。 ・・・自宅はもうすぐ・・・ そう、今日は2月14日。 大切な貴方へ、こころを伝える日-。 <トップ へ戻る<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/413.html
戦うことを忘れた武装神姫 その8 ・・・その7の続き・・・ 「・・・ロクな武装神姫にならないとは聞き捨てならないなぁ。」 振り向いた久遠は、M町センターのトップランカーに言った。 「別にこいつらは戦わせるだけが全てじゃないんだし。俺に言わせりゃ、あんな戦い方をする神姫こそロクでもない育ちをしている思うんだけどな。」 「言いたい事いってくれるっすねぇ、オッサン。」 と、言われたときだった。 「ヌシさんをオッサンと呼ぶなー!! このクサレ神姫使いがー!!!」 久遠の肩の上でリゼが叫んだ。あまりの声の大きさに周囲の目が一瞬にして彼ら に集まる。 側ではかえでがどうして良いのかオロオロ・・・。 「り、リゼ・・・肩の上では大声出すんじゃない・・・。」 片耳を押さえもだえる久遠。元々、耳が良い久遠にとってはかなりのダメージのようで、しきりに頭を振っている。一方のトップランカーもリゼに「クサレ」と呼ばれたことに動揺を隠せない様子。 「な、なんだよ神姫のくせに、偉そ・・・」 ヒュッ! さくっ、さくさくっ!! 作業台に降りたリゼの投げたデザインナイフの刃が数本、トップランカーの手にしていたケースに突き刺さった。恐ろしい形相で、さらにデザインナイフの刃を数本手にしている。 「神姫のくせに、だって? てめぇ、あたしらを何だと思ってるんだっ!!」 「お前らは機械なんだぞ! 人間に刃向かったらどうなるか、わかっ・・・」 ヒュッ! さくさくっ! 再びデザインナイフの刃が投げられ、ボックスに突き刺さる。・・・だんだんと刺さる位置が、ボックスを持つ手に近づいている。トップランカーの額には脂汗がにじんでいる。 「ほぉ・・・『機械』ねぇ。 そうかそうか。」 替え刃がなくなり、リゼは転がるナイフから刃を取り外し- ヒュッ! さくっ! 投げた最後の1枚は、ボックスの持ち手に刺さった。彼は完全に硬直した。リゼは彼を指差し、堂々と言い放った。 「なら、あたしたちが機械と神姫の違いを教えてやるよ。 よーし、準備期間を1週間与えてやる。対戦方式はそれぞれ4体、1vs1が4戦でいいな?」 「お、面白いじゃないっすか・・・。 やるっす、受けるっすよ!」 トップランカーはちょっぴり震えながら答えた。 「じゃ、決まりだな。 あたしじゃ正式な申し込みは出来ないから、ヌシさんが ・・・って、いつまでも耳押さえてるんじゃないよ!」 のっそり立ち上がった久遠だが、まだ耳鳴りは治まっていない模様。 「お前の所為だろ、この耳と頭痛とめまいは・・・。はいはい、対戦の申し込みするんだね。 受付に行って来るから、リゼはここでちょいと待ってろや。」 ちょいちょいとリゼの頭をなでつつ、片手は久遠は耳をさすっていた。 「本当にいいんすね、オッサン・・・」 と、トップランカーが言いかけたとき。「オッサン」という言葉を聞き逃さなかったリゼは、 ぶんッ! べちん!! 手元のマスキングテープを投げつけトップランカーの手にブチ当てた。 「ってー!! わかりました、いいんすね、ストラーフのマスターさん!」 「わかればよろしい。」 作業台上で仁王立ちするリゼの姿に、再び動揺するトップランカーは、ちょっと申し訳なさそうにする久遠に促され、共に受付へ向かった。 受付を終えた久遠が戻ると、心配そうにまだうろたえるかえでとティナに何やら語っている。 「・・・大丈夫だって! まー、見てなって。あんたとかえでちゃんの『痛み』 は、何が何でもあいつらに味わわせてやるから! あ、ヌシさんおかえりー。」 「お話中だったかな。ごめんなさいね、かえでちゃん。ちょっと待っててね。」 久遠はちょっとため息をつくと、リゼをひょいとつまみ上げた。 「リゼの気持ちはわからんでもないが・・・」 と、つまみ上げられて周囲を見回し、リゼはここで初めて、何をしでかしたか、事の重大さに気づいた。 廻りを取り囲むギャラリー。そのギャラリーの前で、このセンターのトップランカーに勝負を挑んでしまった・・・ だんだんと表情がこわばり、膝ガクガクになったリゼを久遠はじっと見つめる。 「わかった? いまの状況が。」 「や、やばい・・・ す、すまない、ヌシさん・・・ど、どど、どうしよう?」 久遠はリゼの動揺する姿をかえでに見られないよう、リゼを手のひらでちょいと包むように持った。 「まー・・・俺の言いたいことをリゼが全部言ってくれた感じかな。結局、俺が話しても対戦申し込んだだろうし。だから・・・」 手を顔の高さまで持ち上げ、リゼにそっと耳打ちするように、 「リゼ、お前は・・・何があろうと、かえでちゃんとティナちゃんのヒーローであり続けること。いいね。」 と付け加えた。しおしおになりかけ、悔恨と焦りと申し訳なさの涙がいっぱいになっていたリゼの瞳に、別の涙が湧いてきた。 「ありがと、ヌシさん・・・。」 「いいから、いいから。ささ、涙を拭いて。 そーだ。いい顔になったか?」 リゼはぎゅっと久遠の指に抱きつき、ぐぐっと涙を拭き取った。 いい目つきが戻ったリゼを久遠は手のひらに立たせ、ギャラリーの方を振り向き-。 「じゃー、やるぞー。リゼもいっしょに合わせてくれよっ!!」 ・・・ 「んで、その時の記事がこれかい。」 久遠から渡されたミニコミ紙の記事をつつきながらCTaが言った。 そこには、肩の上にリゼを載せた久遠が、リゼと同じ格好を決めている写真が。 「こんなトコロにまで宣戦布告と取り上げられているけど、どうすんの?」 山と積まれた皿や器、ジョッキに囲まれたCTaは、竹串で久遠を指していった。 「だから、それを相談しようと思てっ呼んだんだけど・・・」 いつものこととはいえ、つれないCTaにゲンナリの久遠。 「自分でまいた種なんだ、お前らが何とかしろ。 ・・・と、いつもなら言うところだけど。あたしゃ、こいつらを『機械』呼ばわりした事が許せないね。是非、あんた達には勝利してもらわないと。」 CTaは、新たに運ばれたジョッキカクテルを一気に半分呑み、続けた。 「だけど相手はM町のトップランカー、要は戦うことのセミプロだ。でもって 戦うことに関しちゃ、お前のところの4人は全くの素人。だろ?」 黙って頷く久遠。 「普通なら『勝率0%』と考えるだろう。だけどな、武装神姫は『戦うこと』を忘れていても、『戦い』を忘れているわけじゃないんだぞ。」 CTaの目が、さっきまでの酔っぱらいから、技術者としての目に変わった。 「いいか、あたしに言わせりゃ日常ってのは常に『戦い』なんだよ。 時間と戦う、食材と戦う、仕事と戦う、害虫と戦う・・・ どうだ?」 「間違ってはいないと思うけど、なんかピンと来ないな。」 と久遠が言うと、CTaは久遠の手にした手羽先に、ざっくりとフォークを突き立てた。 「だーかーら! お前んとこの4人、あたしが見る限りでは、そんちょそこらの戦闘マニア神姫よりは強いって事だよ!」 「そ、そうなのか?」 「そう! どうせ何でもありのフリーバトルでしょ? ならば、いつもの事をいつも通りにさせてみろ。絶対に勝てるから。」 「いつもどおりと言われてもなー。どうすりゃいいのかさっぱりわからんぞ。」 フォークの刺さった手羽先を持ったままの久遠・・・ と、その時。 「何? あたしのアドバイスがわからない、だぁ?」 技術者の目から、再び酔っぱらいの目に戻ったCTaは、久遠に絡みだした。 「あらしのはらしをらぁ、よくけけってんらよ! らぁ? わかっれんろか?」 「・・・はいはい、わかりましたわかりました。 ・・・全く、どのっくらい呑んだらすっ飛ぶか、統計でもとって管理しろよ、技術者なんだし・・・。」 どうやら、CTaの酒が閾値を超えたらしい。酒を飲むと途中まではむしろ冴え渡るくらいなのだが、閾値を超えるととたんにオヤジギャル(古)に豹変する傾向があるCTa、今宵もしっかり発揮している。 「ぉらー!! もぃっけんいくろー! つれてけひらろー!」 腰砕けの状態で、久遠の袖を引っ張り外へ行こうとする。 「ちょ、ちょい待てってば。イオ!沙羅!ヴェルナ!ちょっ・・・え?」 CTaに絡みつかれて困惑する久遠の目に入ったものは、積まれた食器の谷間で、呑み比べ大会に興じている沙羅、ヴェルナ、そしてイオ。 「おまえらー! 混乱したりつぶれたりの俺らをさしおいて何やってるんだ!」 「あれ、マスター。CTaさんとのお話は終わりました?」 名実ともザルのイオが、いつものペースで杯片手に振り返った。 「ったく・・・イオ、帰るぞ。でないと、こいつが寝ゲロする恐れがある。」 荷物をまとめた久遠は、沙羅、ヴェルナをとりあえず自らのジャケットのポケットへと押し込んだ。 「えー?もう終わりなんすか?」 「まだイオさんと勝負がついておりませんのに・・・。」 不満そうな沙羅とヴェルナ。 「ばかっ! イオと勝負するんじゃない、こいつはザルだっ!」 物欲しそうに指をくわえるイオを最後に自らの肩の上へ載せると、ずるずると崩れそうなCTaを反対の肩に支え、如何してもって帰るか、頭を悩ませる久遠だった。 ・・・この数時間後-日付が変わってからと言った方がいいだろうか-、久遠はちっちゃいもの研の仮眠室へ、CTaと沙羅・ヴェルナをほっぽり込んだ。心配そうに見る守衛に後を任せ、研究所を出る。 久遠の手には、背中についた「何か」を洗い流したジャケット。肩には、疲れきった様子で寝息をたてるイオ。 雨が上がり、広がる星空を見上げながら思い返すは、CTaの言葉- 「戦うことを忘れていても戦いを忘れてはいない」- 。 これが何を意味するのか。 ・・・また眠れぬ夜になりそうだ・・・ 久遠は一人つぶやき、傾きかけた月の下、家路へと急ぐのであった。 ・・・>その9へ続くっ!!>・・・ <その7 へ戻る< >その9 へ進む> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1016.html
武装神姫飛鳥ちゃんエウクランて 登場神姫 飛鳥(エウクランテ型) 本編の主人公 起動直後は「武装神姫は戦う為の存在。勝つためには心なんて不確実な物は不要」と思っていたが、美孤の愛情に触れ考えを180°改める 亜矢華から美孤の事を頼まれ責任を感じている (ちなみに亜矢華から受け取ったツールは、本来BMAから美孤に「処方」された物) 美孤(マオチャオ型) 飛鳥にお姉様と慕われる神姫 実際、柏家の神姫では一番の年長で長女と言える存在 明るく元気だけが取り柄のようで、意外と気配り屋さん こう見えて実はファーストランカー(上がったばかりであるが) フブキ、マオチャオ、アーンヴァルの武装を組み合わせた装備をメインにしてる (全てチューンナップされている) ちなみに、紫蘭には隠しポケットが付いており、この中にヴズルイフ2丁とアーマーシュナイダー2本が隠されていて、高回避型を相手にするときはギガンテスをウイングにマウントしてハンドガンとナイフで戦う 「マッドネスキャット(狂気の猫)」と呼ばれ、一部では恐れられている 実は『神姫性性同一障害』という厄介な症状に冒されている エアル(アーンヴァル型) 柏家の次女神姫 一応セカンドランカーなのだが、戦うよりも機械いじりが好き そしてなにより可愛い服が好き シミュレーターの操作をする等、裏方に回って姉妹を支援する 小鉄(ハウリン型) 耕介の友人、祐太朗の神姫 セカンド上位なのだが、なぜか美孤と対戦での相性が悪く、勝てない日々が続いている それを晴らそうと会うたびに対戦を挑むが、それがポイントを落としている原因となっている クロテン(アーンヴァル型ブラックヴァージョン) 耕介の友人、祐太朗の神姫 あまりといえばあまりなネーミングだが、祐太朗もクロテン本人も可愛いと気に入っている 飛鳥とほぼ同時期に起動している その実力は…? 亜矢華(あやか・ジルダリア型) 一太郎の神姫 バトルには参加しないが、実力はカナリある、との噂 通常、ジルダリア型はそのせくしぃな容姿から服を着ている事が多いのだが、亜矢華は服を着ず、下着姿で店内をウロウロしている 前の髪飾り2個を通常の物に偽装した「あなたも狼に変わりますか」と交換している 実はBMA公認の神姫心理カウンセラーだったりする 結構えっちだが、あくまでレズっ気であり『神姫性性同一障害』では無い 宝華(ほうか・フォートブラッグ型) 一太郎の神姫 一太郎の助手として頑張っている神姫 よく亜矢華にいぢめられる(性的な意味で) 相当えっちだが、あくまでレズっ気であり『神姫性性同一障害』では無い 魔土華(まどか・ジュビジー型) BF三姉妹と呼ばれているが、実は一太郎の妻である千奈乃の神姫 よく一太郎の仕事を手伝ったりしている良く出来た神姫 でも亜矢華と共に宝華を(性的な意味で)いぢめたりしてる 割とえっちだが、あくまでレズっ気であり『神姫性性同一障害』では無い 登場人物 柏 耕介(かしわ・こうすけ) 美孤・エアル・飛鳥のマスター。顔は並(飛鳥談) ごく普通のサラリーマン。家は若干裕福な方 両親と三人で暮らしていたが、急に「海外で暮らす、あとはまかせた」といって両親が海外へ移住(戸籍は日本のまま)してしまった為、広い家に一人で暮らす事になった 実は神姫ちゃん~の香田瀬の大学の先輩であった メカ部に所属していたが機械いじりは得意ではなく、操作の腕を買われての在籍であった 柳家 祐太朗(やなぎや・ゆうたろう) 小鉄・クロテンのマスター。メガネを掛けている。顔は良いようだ(飛鳥基準) 耕介の幼なじみだが、大手商社に勤めていて耕介よりも収入が良い が、並の賃貸アパートに一人で暮らしている 今井 一太郎(いまい・いちたろう) ワークショップ『MACHINE FRIEND』のオーナー 大学時代、弱小だったメカ部を全国区レベルまで上げた伝説の人 その為、OBとしてちょくちょく顔を出していた為に香田瀬と面識があったりする (余談だが、香田瀬が入った頃には弱小部に戻ってしまっていたが、香田瀬の活躍でメカコンテストで優勝するまでになった。この時、メカを操作していたのが耕介だった) 彼の祖父はかつて大企業グループの下請けとしてメカ工場を経営していたが、突然のグループ解体により工場を閉鎖せざるを得なくなってしまった 父は現在、大企業の技師として働いているが、祖父の話を聞いて育った一太郎は『マシンフレンド』を現在に復活させた 今井 千奈乃(いまい・ちなの)※現在未登場 一太郎の妻 仕事には一切口出しをしないので、今後も出番が危ぶまれている