約 85,671 件
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/165.html
Chapter19「消えた魔竜」 「火竜王様、お願いします! 僕が責任をもってティルを見張ると約束します! だからどうかティルを封印するのだけはやめてください!!」 ムスペ城にナープの懇願する声が響く。 新ケツァル王へと挨拶を済ませたナープたちはムスペへと戻ってきていた。 「何度も言うがそれはできぬ。初代ケツァル殿との約束なのでな」 「それはわかっています! でも、その約束は『魔竜を監視する』というもので、『魔竜を封印する』ものじゃない。そうですよね!?」 「それはそうだが…。監視するというのは危険がないか見張るということだ。封印されていた魔竜が蘇るというのは危険なこと。いくら監視することが約束だとは言え、ただ見てるだけでそれでいいというものではない」 「それでも封印する以外に方法はいくらでも…」 「あったならばすでに実行している。これは仕方がないことなのだ」 ティルを救いたい。その一心でナープは決心したのだ。 自分は自分のできることをするのだと。できるかできないかではなく、やるのだと。 なんとしても火竜王を説得して見せると意気込んで見せたまではよかった。 しかし実際はそれほど甘くはなかった。事は火竜王だけの問題ではないのだ。 初代ケツァルとの約束。そして魔竜の封印を守ることそれ自体が目的の天竜。 説得すべき相手はセルシウスだけではなかった。火竜王の一存でどうにかなる問題ではなかったのだ。 それならば全員説得すればいいだけの話。困難ではあるが天竜ゼロは説得することができるかもしれない。 だが初代ケツァルはもうこの世にはいない。いない者を説得することなんてできないのだ。 「もう諦めるんだ、ナープ。セルだって困っている」 「リムリプスは記憶を取り戻したんだろう。だったらそれはもうおまえの知ってるティルとは違う存在なんだ。ナープ、おまえが知っているのは記憶を失っていた頃のティルだろう?」 フロウもガルフも口を揃えて仕方ないのだと言った。 それでもナープはどうしても諦められなかった。 たしかに記憶を失っていた頃のティルを知っているのであって、リムリプスのことは何も知らない。 でも記憶が戻ったからといって、記憶が失っていた頃に経験したことがなかったことになるわけではない。 ティルと過ごしたあの頃の記憶が、ティルから失われてしまったわけではない。 それにナープには忘れられなかった。バルハラの牢に囚われていたティルの悲しそうな目が。 本当に魔竜が危険な存在なのだとしたら、凶暴な存在なのだとしたら、果たしてあんな目をしたりするだろうか。 ナープはティルを信じていた。 「どうして父さんも兄さんもわかってくれないんだ! もういい、頼まないよ!」 悔しさを表情に浮かべながらナープは玉座の間を後にした。 「すまん、セル。気難しい年頃なんだ」 「構わぬよ。私とてナープの気持ちがわからぬわけではないからな」 「俺は……どうすればよかったんだろうか。ナープ…」 ガルフは複雑な思いで去っていくナープの背中を見つめていた。 ナープはガルフを除く兄弟たちを集めて協力を呼び掛けていた。 ムスペ城にはようやくナープの兄弟たちが顔を揃えていた。 マリンはガルフに無理やり連れられて。リヴァーはマリンの説得のために遅くなったが、マリンがガルフに連れられてムスペへ向かったので、ようやくムスペに来ることができたのだった。 そんなマリンは機嫌が悪く、まるでナープの話に取り合ってくれない様子だ。 「そもそもティルって誰? なんで私が手伝わなくちゃならないわけ? わけわかんない」 「なんだよ、そんな言い方ってないじゃないか!」 「いい、ナープ? 私はあんたの友情物語なんてキョーミないの。持ってくるなら恋愛物語を持ってきなさいよ。そしたら、私がイッパツでくっつけてあげるから」 「姉さん、そういうけどいつもぶっ壊してばかりじゃないか…」 リヴァーがこっそりとぼやくが、マリンがひと睨みするとリヴァーは首をすくめて黙り込んでしまった。 「じゃあリヴァーは?」 「ぼくはナープを手伝ってあげたいとは思うけど…。でも火竜王様に逆らうようなことなんて…。やめたほうがいいよ。父さんにだって迷惑をかけることになる」 「それはそうだけど……! ああ。それじゃ一応聞くけど、サーフは?」 「え、ボク? よくわかんないけど、めんどくさそうだからやめとくね」 「あー、どうせそうだろうと思ったよ」 半ば予想はしていたことだったが、兄弟たちは誰も協力してくれないようだった。 それも仕方がないといえばそうだ。誰もティルと面識がなかったのだから。 「しょうがない、僕だけでなんとかするしか…」 助力を得ることは諦めて独力でなんとかしようとするナープだったが、そんなナープを引きとめる声があった。 「前から気になってたんだけど、ティルって誰のことなの?」 意外にも喰い付いてきたのはクリアだった。 「ああ、ティルっていうのは…」 ナープはティルのことを説明した。 ある日、道端に倒れていた記憶喪失の仔竜ティルのことを。 ティルを狙ってきた蒼竜ラルガのことを。 そして、ウィルオンに聞かされた魔竜ティルの真実を。 「魔竜!? ティルってあの魔竜だったの、伝説の!?」 「伝説になってるのかどうかは知らないけど、魔竜なのは確かだ。ティル自身もそう言ってた。火竜王や父さんが今封印しようとしてるリムリプスが、そのティルなんだ」 「なんということなの…。伝説のケツァル王国が突然蘇ったと思ったら、こんどは魔竜まで現れるなんて! これは奇跡ね。そう、これは奇跡に違いない」 「……えーっと、クリア?」 「あ、ごめん。ねぇナープ。わたしもそのティルに会うことはできないかな。いや、会わせてください! こんなチャンスもう一生無い気がする」 「それは僕を手伝ってくれるって意味?」 「本物の魔竜に会えるならわたし何だって手伝っちゃうよ。伝説が目の前にあるんだもの。それを見逃さない手はないね。しかもその伝説と直接関わりあえるなら、どんなことだってやっちゃうよ」 「わかった。それなら僕に力を貸してほしい。ティルを救う方法を一緒に考えよう」 クリアの動機にやや不安が残るところはあったが、今は少しでも多くの力が欲しい。 それにサーフと同じように自由すぎるやつだと思いきや、意外としっかりとした面をクリアは持ち合わせていることをナープは知っている。 少なくとも、サーフやマリンなんかよりはずっと力になるだろう。 気がつくとマリンとリヴァーはいつの間にか口論を始めていた。 他に協力が得られないとわかった以上、もうここにいても仕方がない。 ナープはクリアを伴って部屋を後にすることにした。 「あれ、クリアどこか行くの? じゃあボクもついてく」 協力者には洩れなくサーフのおまけつきだった。おまえはヒモか。 ともあれ、クリアとサーフを引き連れて部屋を後にした。 三人寄れば文殊の知恵ともいうじゃないか。 サーフにはあまり期待していないが、何かティルを助けるいい案が浮かぶことを期待して。 一方リクたちは蔦を登り切ってバルハラの王宮に到着していた。 さぁ、ウィルオンに会ってティルのことを相談しよう。絶対にティルを助け出そう。 そう意気込んでいたところに、バルハラ兵たちの慌てた声が聞こえてくる。 「リムリプスが消えただと!? ど、どういうことだ!」 「わ、わかりません! 我々が見たときにはもう牢はもぬけのカラで…」 「おのれ、魔竜め。妙に大人しいと思ったら……やられた! くそっ、ゼロ様になんて報告すれば…。と、とにかく急いで部隊を送るのだ! できればこのことがゼロ様の耳に入る前に魔竜を見つけだせ!」 バルハラの王宮は大騒ぎになっていた。 物陰に隠れてその様子をこっそり窺っていたリクとリシェ。 「魔竜がいなくなったって!」 「ティルのやつ、ここに捕まってたんだな。でもうまく逃げ出したみたいだ」 「でもどこに行ったんだ?」 「そうだな。親父たちより先に見つけて合流しないと…」 そんなリクたちのもとに一枚の羽根が舞い降りてきた。 見覚えのあるオレンジの羽……それはウィザからのメッセージだった。 羽根を手に取ると、それは手紙に変わった。 手紙を読み終えるとリクの顔色も変わった。 「何が書いてあったんだ」 「ちょうど知りたかったことだ。すぐにステイブルへ向かわないと!」 手紙を読み終えると、それはひとりでに大きく床に広がった。 広がった紙には魔法陣のような紋様が描かれている。 「これは……! 気がきくじゃないか、ウィザ」 リクたちが魔法陣に乗ると、手紙ごとリクたちの姿は消えた。 さっきまでリクたちが隠れていた場所を兵士が通りかかったが、そこに誰かがいたことにはまったく気がつかなかった。 ステイブルに光に包まれた姿が現れる。 光は徐々にもとの姿を取り戻していき、それはナープ、サーフ、そしてクリアの姿になった。 「またここに来ることになるなんてね」 「あ、あれ! ボクたちムスペにいたはずじゃ!?」 「ここは……地上?」 「あのオレンジの羽、ウィザのものだ。きっとこれもウィザの魔法なんだろう」 見回すと、予想通りそこにはウィザが待っていた。 続けてナープたちと同様にリクとリシェが光に包まれて現れる。 呼び出した面々が顔を揃えたのを確認するとウィザはおもむろに言った。 「見せたいものがあるんだ」 ステイブルから北へ。 リクはかつて一度通ったことのある道だった。 ホワイトプラトウの山、スノゥグランド村へと向かう道中。 そこには見覚えのない洞窟があった。木々に隠されるようにして口を開けているので、おそらく以前は気付かなかったのだろう。そして、その中にいたのは…… 「「ティル……!!!」」 洞窟の奥にぽつんとティルが座り込んでいた。 「無事だったんだな!」 魔竜は無言でもって応えた。 「でもどうやって?」 「へへへ、ボクが助け出したんだ。魔法でね」 「お手柄じゃないか、ウィザ!」 「修行したかいがあったというもんだね」 ウィザの働きをリクたちは喜んだが、ティルはそれを心配していた。 「よかったのかな、こんなことして…。きっと大変なことになるよ」 「もう大変なことになってるさ。バルハラは大騒ぎだった」 リクは実際に見てきた様子を伝えた。 「ああ…」 それを聞いてティルは悲しそうな表情を浮かべるのだった。 「バルハラと言えばウィルオンはどうしてた?」 「ああ、いや。まだ会ってなかった」 「オレたちバルハラに着いて、そこですぐにウィザの手紙が来たからな」 「僕は会った。ウィルオンもティルのことで悩んでたよ」 ナープは火竜王と共にバルハラへ向かったときのことを伝えた。 リクが見てきたこと。ナープが見てきたこと。そしてウィザが見てきたこと。 一同は互いに情報を共有し合った。 「ニンゲンって本当にいたんだ! オレ、伝説上の存在だと思ってたぞ」 「人間は実在するよ。魔法戦争の伝説にも出てくるし、今でも地上にいくつか住んでるみたい。わたしは会ったことないけどね」 「まぁ、それはともかくだ。まとめると、親父が勝手にやってることなんだな?」 「それとムスペの王様もね。初代ケツァルはもういないし、ウィルオンはもちろんティルの封印なんて望んでない」 天竜の役目として魔竜を封印しようとするゼロ。 初代ケツァルとの約束を守るために魔竜を封印しようとする火竜王セルシウス。 ティルを救うためには、その両方を止める必要があった。 「父親を敵に回すことになるけど……いいの?」 「構わない。それに親父とは一度、決着をつけなくちゃならないと思ってたんだ。スロヴェストでは負けたけど、今度は俺が勝つ」 リクは力強く拳を握りしめる。 「ムスペの王様は? こっちは簡単にはいかないよ。だって王様なんだもん。倒しちゃったらえらいことになるよ。それにムスペまんじゅうがなくなっちゃうのはボクはいやだな」 「火竜王には父さん……フロウやガルフも協力的な様子だった。……けど、僕も覚悟はできてる」 ナープの目にもう迷いはない。 「なんとか戦わずにすむ方法はないのかな」 「説得できればそれが一番いいんだけど……あの様子じゃ難しいだろうね。ケツァル王国の現国王であるウィルオンが何を言ってもまるでだめだったぐらいだからな」 「親父のほうは俺がなんとかするよ。息子責任だ。ムスペの王様のほうをどうするか考えよう」 「セルシウスにも子どもはいないのかな。なんとか説得してもらえるといいんだけど」 「一度、ムスペについて詳しく調べてみたほうがよさそうだね」 「ムスペ!? じゃあボクが行くよ!」 「サーフはムスペまんじゅうが食べたいだけだろ」 「ムスペまんじゅうはいいんだよ! 甘いのも辛いのもどっちも楽しめるんだから! ああ、あれはいいものだ」 「聞いてない」 一方でティルは複雑な心境だった。 自分という存在があるから争いが起こってしまう。これは避けられない運命だ。 そこに仲間たちを巻き込みたくないから、ティルは自ら封印されることを望むのだ。 自分さえ封印されれば争いは起こらない。争いがなければ仲間に危険が及ぶこともない。 しかし、そんな自分の思いとは関係なしに周囲が勝手に運命を決めてしまう。 巻き込みたくないのに。 巻き込みたくなかったのに。 それでも、運命は争いへと向かってしまう。 リクは父親であるゼロと敵対する。ナープは父親であるフロウと敵対する。 さらにムスペという大国を敵に回してしまう。 それなのに、それでもなおリクたちは歩みを止めようとしない。戦いを避けようとしない。 「僕なんかのために、どうしてそこまで…」 巻き込みたくなかった。 でも巻き込んでしまった。 ティルがいなくなったことに気がついた天竜はすぐにでも兵を送ってくるだろう。 そして兵たちが自分を連れ戻しに来てもリクたちは諦めずに反抗することだろう。 もう争いの運命は避けられない。国を相手にしては、リクたちは手も足も出ない。 「どうしてこんなことに…。やっぱり僕がいたから…。封印さえ解けなればこんなことには…」 リクたちがティル助ける方法を必死に考える一方で、ティルはどうすればリクたちを巻き込まずに済むかを必死に考えていた。 「そういえば」 ふとリクが言った。 「ムスペの王様は初代ケツァルとの約束があるからなんだよな。まぁそれはわかる。けど、なんで親父はそんなにティルにこだわるんだ?」 「天竜ってケツァルの部下なんでしょ。だったらこっちも初代ケツァルの命令だからってことなんじゃない?」 「それはそうだけど、だったら今のケツァル王ウィルオンの命令に従わないのはおかしいだろ」 たしかに天竜とはケツァル王国に仕える者だ。 ケツァル王国には兵士隊とは別に天竜隊があった。 先代天竜であるオーシャンは初代ケツァルに仕えて魔竜の封印を護り続けてきた。本来、天竜の役目は封印を護ることであって、魔竜を封印することではない。 しかし、ゼロは明らかに魔竜を封印することにこだわっている。 その命令を下した初代ケツァルがもういないにも関わらず、魔竜に固執し続けている。 それは一体なぜなのか。 「たぶん……昔のことが関係しているんだと思うよ」 魔竜と天竜の因縁を知るティルは、それを静かに語り始めるのだった。 一方その頃。 「この馬鹿者がッ! 何をやっていたんだ! せっかく捕らえた魔竜に逃げられただと!?」 バルハラにはゼロの怒声が鳴り響いていた。 「ゼ、ゼロ様。ですが、そ、その。我々が見たときにはもう姿が消えていて…」 「魔法壁は完璧だったはず。壁を壊して逃げ出した様子もなく、逃げた痕跡が全く見当たらないんです。ですのでその、逃げたと言うより本当に消えてしまったというか…」 「やかましい! どちらでも同じことだ! それにリムリプスは空間を操る魔法に長けているのだぞ!! なぜ魔封じを牢の中に施しておかなかったのだ!!」 「わ、我々はそのような指示は…」 「黙れ! とにかく魔竜の見つけ出すのだ! 今すぐに!!」 「は、はいッ」 バルハラ兵たちは慌てて駆けて行った。 「くそっ…! 魔竜め、ナメた真似をやってくれるじゃねぇか」 そんな騒がしい王宮内とは対照的に、バルハラ屋上には静かな風が流れていた。 屋上ではウィルオンがナープと別れてからそのまま思案に暮れていた。 「おお、ウィルオン様。こちらでしたか。まったく城内は騒がしくていけませんね」 「相変わらず兵たちには落ち着きというものが足りん。如何なる時にも心を平静に保ち、どっしりと構えて事に臨むべきだ」 城内の喧騒から逃れるかのように、屋上へはラルガとヴァイルが姿を現す。 「おや、いかがなさいました? 顔色が優れないようですが」 ラルガが訊いた。 「あぁ…。ティルのことなんだが、あれは本当にどうにもならないのか」 「それは……我々には如何ともし難いですね」 「初代様の命令だかなんだか知らないが、俺はその初代様には会ったこともなければ、どんなやつだったかも知らない。俺のじいさんはそんなに凄かったのか?」 「ええ、それはもう。初代様の右に出る者はいないという程でしたよ」 ラルガは初代ケツァルの武勇伝をいくつも語ってみせた。 「じゃあヴァイル。おまえはどう思う?」 「俺にはわからん。俺が忠誠を誓うのは火竜王様だ。火竜王様の命だから俺はこうしてバルハラの兵をまとめている」 「あのゼロってやつは?」 「よくは知らん。かつて初代様には天竜という部下がいた。だが、当時の天竜はあいつではなかった。あの頃はゼロはたしか天竜の部下の一人だったはずだ。どういうわけで今あいつが天竜を名乗っているのかはわからんがな」 「そうか…」 ゼロがリクの父親だということはウィルオンも知っていた。 今リクがどうしているのかは知らなかったが、ティルを助けようとしていることだけはウィルオンにもわかった。 そうすると、このままではリクとゼロが親子でありながら敵同士になってしまう。 「それは避けたいよな…」 火竜王はムスペの王だ。 王に対抗できるのは同じく王のみ。セルシウスは自分がなんとかするしかない。 しかし、ゼロがリクと戦うようなことも避けたい。 天竜はケツァル王の部下にあたるのだ。それならばケツァル王として何かできることがあるはずだ。 「ラルガ、ヴァイル。おまえたちにやってもらいたいことがある」 「ふむ。それはケツァル王としてのご命令ですか?」 それが仲間のためになるのだというなら、俺は受け入れよう。 ケツァル王としての運命を。 「ああ……その通りだ。おまえたちにはゼロの過去を探ってもらいたい。できるだけ早くだ。頼めるか?」 ラルガは少し嬉しそうに頷いた。 「王の命令でしたら従わなければなりませんね。ヴァイル?」 「無論。御意だ」 「よろしい。ではウィルオン様、我々は速やかにゼロを調査してまいりましょう」 「ああ、頼む。あと前にも言ったけどウィルオン様はやめろ。なんか気持ち悪いぞ」 「努力します。それからウィルオン様、少しは王らしくなってきたではありませんか。私は嬉しいですよ」 「ああもう、うるさいな。いいから早く行けよ」 「はいはい、承知しました。くっくっく…」 「笑うな!」 ラルガとヴァイルは命令を遂行しに向かった。 新たなケツァル王の新たな側近たち。彼らはウィルオンの言葉をしっかりと聞いてくれた。 側近とは王の右手、そして左手。王にとって最も信頼できるべき存在だ。 それが王の力だというなら、それもいいだろう。 「俺は俺にできる方法で仲間を助ける。王の手段で仲間を救う」 蒼竜と紅竜はゼロの過去を探り、魔竜はゼロの過去を語り出す。 今、天竜ゼロの過去が明らかになる―― Chapter19 END 竜の涙20
https://w.atwiki.jp/n4908bv/pages/1087.html
【防具アイテム:革鎧】亜氷飛竜の革鎧 品質C+ レア度5 Def+18 重量7 耐久値290 ブレス耐性[中] 亜氷飛竜の皮製の革鎧。表皮を一旦剥いで別々の加工をしている。 ブレス攻撃に対する耐性を備える。 初出:341話
https://w.atwiki.jp/n4908bv/pages/2158.html
称号の1つ。 ・取得条件 取得条件は金紅竜と王家の誓約を繋ぐ証たる建国王の宝冠を取り戻しサビーネを女王とすることだと思われる。 ・効果 不明だが取得後5頭目竜が召喚可能となっていた。 また、しばしば出てくる建国王との関係では「誓約と盟約」と言われるが、この時点で共にキースは取得したことになる。 ・下位称号 【金紅竜の誓約】 キース獲得:773話
https://w.atwiki.jp/9o8i7u6y5t/pages/322.html
冥王竜の断罪 (メイオウリュウノダンザイ) 罠カード・永続 相手がコントロールするカードの効果を無効にする度に、フィールド上のカード1枚を破壊する。
https://w.atwiki.jp/clubshiny_technote/pages/54.html
window.dataLayer = window.dataLayer || []; function gtag(){dataLayer.push(arguments);} gtag( js , new Date()); gtag( config , UA-107423102-1 ); ポケモン別色違いの粘り方/リザード ポケモン別色違いの粘り方/リザード基礎データ 色違い粘り可能な世代と作品各世代共通 第二世代 第六世代 第七世代 第八世代 他のポケモンを検索 基礎データ 全国図鑑No 005 分類 かえんポケモン タイプ ほのお 高さ 1.1m 重さ 19.0kg 性別比 ♂:♀=7:1 特性 もうか、(夢)サンパワー 色違い粘り可能な世代と作品 各色粘りの手法名がリンクになっています。詳細を見たい場合クリックしてください。 ※配布イベント等、常時色違い厳選できない方法は含めない。 各世代共通 ヒトカゲから進化(Lv16) 第二世代 初代VCからタイムカプセルで輸送する。輸送粘りを参照のこと。 第六世代 XY:フレンドサファリ(炎タイプ)で自然遭遇粘りを行う。 第七世代 初代VCからポケモンバンクで輸送する。輸送粘りを参照のこと。 第八世代 SWSH:マックスレイドバトル(逆鱗の湖/ナックル丘陵)※いずれも紫の柱★2または3で出現 他のポケモンを検索 検索
https://w.atwiki.jp/clubshiny_technote/pages/72.html
ポケモン別色違いの粘り方/ハッサム ポケモン別色違いの粘り方/ハッサム基礎データ 色違い粘り可能な世代と作品各世代共通 第三世代 第八世代 他のポケモンを検索 基礎データ 全国図鑑No 212 分類 はさみポケモン タイプ むし、はがね 高さ 1.8m 重さ 118.0kg 性別比 ♂:♀=1:1 特性 むしのしらせ、テクニシャン(夢)ライトメタル 色違い粘り可能な世代と作品 各色粘りの手法名がリンクになっています。詳細を見たい場合クリックしてください。 ※配布イベント等、常時色違い厳選できない方法は含めない。 各世代共通 ストライクから進化(メタルコートを持たせた状態で通信交換) 第三世代 コロシアム:固定リセットによる厳選。(ダークポケモンをスナッチ) Ver レベル 場所 Co Lv.50 フェナススタジアムカードe+ルーム(肉体派のワーバンが所持、要カードe+) 第八世代 固定リセットによる厳選。 Ver レベル 場所 SWSH Lv.60 鍛錬平原(砂嵐)※日替固定シンボル SWSH Lv.60 チャレンジロード(砂嵐)※日替固定シンボル マックスレイドバトルによる厳選。 Ver レベル 場所 SWSH ★5 一礼野原 ※通常の柱 ★5 一礼野原 ※紫の柱 ★5 集中の森 ※通常の柱 ★5 集中の森 ※紫の柱 ★5 鍛錬平原 ※通常の柱 ★5 ワークアウトの海 ※通常の柱 ★5 ワークアウトの海 ※紫の柱 他のポケモンを検索 検索
https://w.atwiki.jp/bdueloflegendwikidol/pages/181.html
No177邪竜の襲来 CP100単発魔法選択した相手の場に【No002 水の魔道士】を攻撃表示で2体、自分の場に【No070 邪竜ファフニール】を攻撃表示で1体、擬似召喚 仕様 解説・考察 邪竜ファフニールを少ないCPで召喚できるマジック。 ファフ素出しがCP200に対し、このカードはCP100と軽いので、LP回復による強化に繋げやすい。 相手の場に水の魔道士を2体召喚してしまうが、LPドレインを装備させればいい餌になってくれる。 ただし足止め・回避されたり、水の領域やAP⇔DPで魔道士の強化をされると、こちらが餌になってしまうので扱いは難しい。 戦況や伏せを読んで、使い所を間違えないようにしたい。 夜叉神の竜殺しとだいたい同じカードなので似た使い方になる。参照 夜叉神の竜殺し ユグドラシルの葉を使った回復の連続攻撃デッキで使う使い方と 連続攻撃せずに生体転送欠片ソーマなどでファフを守りながらlp回復で強化するデッキと 大地の加護と組み合わせたロマンコンボのデッキくらいがメインの使い道。
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/132.html
「サクレ! おい、サクレはいるか!!」 シレスティアルに天竜ゼロの声が響き渡る。 「は、はいゼロ様! こちらに」 ゼロに呼ばれた側近サクレは慌ててゼロのもとへと馳せ参じた。 「はいこちらに……じゃない! 魔竜リムリプスはまだ見つからんのか!!」 「も、申し訳ありませんっ。私はもちろん、火砕竜を中心に親衛隊たちにも四方に手を尽くさせているのですが……」 「これ以上時間をかけるわけにはいかんのだ! ……ええい、わかった。ならば俺も出る。俺がリムリプスを見つけてやる!」 「て、天竜様自らが動くなんてそんな…! それに国王様も後継ぎも不在の今、あなたが国を放り出してしまっては誰も国を守る者がいなくなってしまいます!」 「フン、何が国か。城は廃墟も同然、民たちも既に方々に散ってしまって久しい。王国が滅んでもう何年になる!? 王の側近どももどこかへ行ってしまったきりで、後継ぎの所在も一向に不明! 王国はもう死んだ!! それをおまえは何をいつまで過去の栄光に縛られているのだ!!」 「で、ですが……! それに……いや、それならばこそです。ゼロ様はなぜまだ魔竜に固執するのですか。その命令を下された国王様だってもういらっしゃらないというのに……」 「王の命令など知ったことか! 俺はただ先代様の遺志を継ぎたいだけなのだ! 先代天竜オーシャン様のためにも俺はリムリプスを封印しなければならんのだ……天竜としてな!!」 先代天竜のオーシャンはもういない。国王ももういない。しかし、ゼロが忠義を尽くすのは王ではなくオーシャンだった。 「オーシャン様……。見ていてください。リムリプスは必ず……!」 Chapter5「親」 それはある夜のことだった。 空には顔を出し始めたばかりの月、瞬く星々、そして未確認飛行物体。 「や、やめるのだリク君操縦が……あわわゎゎわゎわわわ」 UFOはしばらくの間ふらふらと不安定に宙を漂った後にステイブル付近に墜落した。そして、その中から姿を現したのは奇妙な姿をしたインゲン星人……もとい、タネはかせであった。 「な、なんてことをしてくれたのだ! お陰でバランスを崩して落ちてしまったじゃないか! ああ、可哀想なUFO君……。そうだ、こいつにも名前を付けてやらないと。ああ、可哀想なリクオトシ君……」 「何がリクオトシだ、待ちやがれこの!」 続いてUFOだった鉄くずからリクが飛び出し、逃げるタネはかせを追いかける。 「はっはっはー、私を捕まえようなど1世界ほど早いのだ!」 「うるせぇ、煮詰めて甘納豆にしてやる! 変な発明も煮詰れ!」 さらに他の乗員たちもぞろぞろと外に出てくる。すなわちウクツ、ウィルオン、ティル、リシェ、メタメタだ。 「やれやれ、えらい目にあったな……。アースガーデンまでもたなかったか。孫が迷惑をかけたな」 「いや、こっちこそ。うちの自称保護者が迷惑をかけたな」 「きゃー、落ちた落ちたー!」 「な、何が起こったんだ? オレは生きてるのか? ここはどこなんだ?」 「そんなことより、腹へったからリシェ焼いて食おうぜ」 UFOはもう動きそうにもない。タネはかせのことだから、またわけのわからないトンデモ技術であっという間に直してしまうのかもしれないが、リクに追いかけられながらどこかへ行ってしまったので一行は今晩はステイブルのお世話になることになった。 タネはかせは翌朝、簀巻きにされてリクに引きずられながら帰ってきていた。 牧場の朝は早い。それはステイブルでもそうだった。まだ陽も昇り切る前から既にステイブルは馬であふれ返っている。 「あ、あれがウマってやつか。初めてみたぞ。で、でっかいな」 リシェは初めて見る馬という生き物に驚いていた。ウィルオンがそれをそっとなだめる。 「たしかに身体はリシェよりでかいかもしれないけど、タネはかせよりはずっと安全だぞ」 当のタネはかせはステイブルの片隅で、また何やら危険な発明品をこしらえているのだった。 「あ、リク。最近見なかったけど、どこか行ってたの?」 ステイブルの馬たちのうちの一頭がリクに声をかけた。どうやら親しい仲らしい。おそらく、かつてナープがここを訪れた頃からの顔なじみなのだろう。リクは懐かしそうにそれを迎える。 「ピエール! 久しぶりだなぁ。遺跡がなくなっちまったから、今はじいちゃんとアースガーデンのほうにいるよ」 「ふうん。ところで今日はナープいないの? 最近またアキレア竜が来てるんだけど」 「アキレアっていうとたしかナープと同じ種類のやつか。もしかして捜してたっていう親父さん?」 「いや、そうじゃないっぽいけど……」 そう言いながらピエールが振り返る。その先にはナープとは色違いのアキレア竜が何かを叫んでいた。 「愛の戦士マリーン!! そして、その忠実なるシモベ……あ、違った。一番弟子のモミジさんじょーう!! さぁ、モミっち、今日こそ告白するのよ!」 「モップくん……」 モミジと呼ばれたあの赤毛の馬を弟子にしているらしい。一体何と戦うつもりか知らないが、少なくともナープの父親でないことは確かだ。マリンは薄桃色の鱗に金の鬣のアキレア竜だ。ナープは緑鱗の赤髪、そしてガルフは青鱗に金の髪だ。あまり似たような色はしていない。 「なんだよ、あの『愛の戦士』って」 「よくわからないけど今はヤナギんとこの姉さんモミジと、モッブとをくっつけようとしてるみたい。モップくんもいい迷惑だよね」 「ふーん……。どうでもいいや」 なんとなくマリンの様子を眺めているとこんどはそこにまた別の竜がやってきてなにやら言い合いを始めた。褐色の鱗に緑髪のアキレア竜だ。遊んでないでちゃんと捜せだの、遊びじゃなくて本気だのそんな話だった。 聞いていると、どうやらやってきたのはリヴァーという名でマリンの弟にあたるらしいことがわかった。さらにマリンにはガルフという兄がいて、リヴァーの下にはサーフとナープという弟がいるということも。体色や毛色はあまり似ていないが、リクたちのよく知っているあのナープのことなのだろうか。 「ちゃんと捜してるわよ! 今は……モミっちの運命の相手をね!」 「父さんはどうなるのさ!」 「どうせもう死んじゃってるわよ。ガルフしか会ったことないんだし、それもずっと昔の話でしょう? 私は今に生きるの、そんだけ。はい、話はおしまいね。さーあ、モミっち! 当たって砕けろ、5度目の正直、突撃ィー!」 「ぽ、ぽへー!」 そう言うなり、マリンはモミジを引き連れてそのモップくんとやらのところへ走り去ってしまった。 「ね、姉さん…! ああ、まったく姉さんもサーフも全然だめだ。兄さんはすぐ迷子になるしマトモなのはナープぐらいだ。それこそ親の顔が見てみたいもんだよ、まったく……」 文句を言いながらリヴァーもどこかへ飛び去って行った。 「変なやつだな。あんなのがナープの兄弟なのか」 「それを”リクさん”が言うなよ。おまえも変なやつじゃん」 「うぉお!? やっ、やめてくれー! それは俺の黒歴史だ、若気の至りだッ、うぐぁぁああああ!!」 リクは精神的大ダメージを受けた。 リクの黒歴史とはすなわち数年前、ティルがさらわれたりしたあの頃の言動のことだ。 「へへへ…。まぁ、あの頃はみんな子どもだったよね。いつの間にかウィルオンもでっかくなってるし。……ティルはあんまり変わってないや。ナープにも久しぶりに会いたかったけど、いないんじゃしかたないね。あのマリンとかいうやつをどうにかしてほしかったんだけどなぁ」 「お、おう…。そうだぜ、リクさんも少しは大人になったんだぜ……。ま、まぁ、その話は置いといてだな」 なんとか話題を変えようとして目をそらすと、すぐそこにいたリシェと目が合った。 (えっ。オ、オレ!?) リクは助け舟を求めてリシェに目で合図する。 「え、えーっと……。そういえばさっきの話を聞いてたんだけど、そのナープってやつは父親を捜してるんだな。それで、えーっと……そ、そうだ。リクさんやピエールの親はどうしてるの? オレの親はフェザーっていうここから東のほうの海を渡った先にある国にいるんだ」 「親かー。うちの親はこのステイブルにいるよ。まぁ、当然と言えば当然か」 ピエールがリシェの問いかけに答える。話題が変わってくれたことでリクが、なんとかフォローできたことでリシェがそろって安堵する。 リシェの頭をがしがしと撫でながら続いてリクが答えた。 「俺の親父はゼロっていうんだ。よくは知らないけど、なんでも天竜とかいう仕事をしてていつも家にいなかったからあんまり記憶にないな。じいちゃんは知っての通りあそこにいるウクツ。他の家族は大樹の近くにあるホーン大陸ってとこのホーンズホーン村にいる」 近くにいた仲間たちもこの親についての話題に乗った。次に口を開いたのはウィルオンだ。 「俺は前にも話したかもしれないけど、物心ついたときからタネはかせと暮らしてたからよくわからないな。まぁ、あんなやつだけど一応育ててくれた恩もあるし、俺は家族だと思ってるよ。変なやつだけど」 「変じゃなくて天才なのだ! いや、天才というのはみんなどこか変だったりするものなのだよ。いいだろう、私は変だ。しかしそれゆえに天才なのだ!」 「ああ、はいはい。そうだな、たしかに変だよおまえは」 「そうなのだ。だから私は天才なのだ」 ウィルオンは慣れた様子でタネはかせを適当にあしらう。 「ウィルオン君はある日突然、なんと空から降ってきたのだ。きっと空の国に棲んでいたんじゃないかな」 「空にも国があるのか?」 リシェは雲を見上げながら言った。 「ああ、あるとも! 空には雲の海があって巨大な火山や氷の塊が乗っかっていたり、大樹の頂上にはたしかお城もあると聞いたことがあるのだ。この私が言うんだから間違いないのだ」 「おまえが言うとなんか嘘っぽいけどな。さっき言った親父もその空にいるんだ。天竜はその空にある国での仕事なんだってさ。大樹を昇れば俺たちでも空が飛べなくたって空にいけるぞ」 遠くに薄らと見える大樹を指さしながらリクは言った。大樹の幹の上方は分厚い雲の向こうになっていて、その様子をここから窺い知ることはできない。 「へぇー、空の国かぁ……。オレ初めて知ったよ。世界は広いんだな。オレもいつか行ってみたいな」 「なんというかロマンだよな。いつか行こうぜ、大樹を昇ってさ」 リシェは遥か遠くの大樹を見上げてまだ見ぬ空の世界に思いを馳せるのだった。 「空と言えばおれも空で生まれたぞ」 そう言うのはメタメタだ。たしかに、メタメタのアメーバのような独特な姿は地上では見かけたことがない。さらにメタメタに小さな翼が生えていることがより空をイメージさせる。 「なるほどな。空にはおまえみたいなのがたくさんいるのか?」 「似たようなのはけっこういるけど、おれと同じ仲間っていうのはあまりいないんじゃねえかな。えーと、まずメピックだろ、メガだろ、それから……まぁ、数える程度しかいねえな。おれの親にあたるやつは……そうだなぁ。なんて説明したらいいかわからないけど、なんか黒かったな」 「腹黒いの?」 ティルが思ったことを素直に口に出した。 「いや、色が。まぁ、何考えてるのかよくわからないやつだったし、もしかしたら腹黒いのかもしれねえけどな」 「メタっちにもちゃんとお父さんがいるんだね。あれ、お母さん?」 「そういうアレじゃないんだよなー。まぁ、強いて言えば母体というかマザーというかクイーンというか……産み出す存在みたいな。そういうティルは?」 「ボクは記憶ないからわかんない」 「そうなんだよな……。俺はナープと一緒にいたから今でもよく覚えてるぞ、ティルを見つけたあのときのことを」 ウィルオンはかつてティルを見つけたときのことを説明し始めた。 話は冒頭に遡る。数年前、ティルは当時ウィルオンと共に父親を捜して各地をまわっていたナープに、偶然道端に倒れていたところを保護された。なぜそこに倒れていたのか、それ以前に何があったのかさえ全く覚えていなかった。さらに自分の名前すらもわからない様子だった。 ティルという名前はあくまで仮の名前だ。そう呼んでいるのはティル自身が、本当の名前ではないがティルと呼ばれていたような気がすると思い出したからに過ぎない。もしかしたらあだ名か何かなのかもしれないが、ティルの本当の名前は誰にもわからなかった。 ナープたちはティルを見つけた周囲の集落にティルのことを聞いてまわったが、不思議なことにティルの親はおろか、ティルのことを知っている者すら見つからなかった。ティルの正体は未だわからないままだ。 「きっとティル君も空から降ってきたのだ」 タネはかせが口を挿む。 「うーん、そうなのかなぁ。たしかに空っぽい色をしてるしなぁ」 ティルは大空の如く蒼い鱗を持つ仔竜だ。青いから空という考え方はあまりにも安直過ぎるが、たしかに自然界に青い生き物というのは珍しいものだ、少なくともこの地上の世界においては。だとすれば、空からやってきたという可能性も十分に考えられた。 「それに昔ティルが原種竜にさらわれたことがあったしな。……一体何者なんだ、ティルは?」 「それを言ったらウィルオン、おまえだってその竜に用があるみたいなことを言われてたじゃないか。おまえだって何者なんだ」 「知らねぇよ、俺は俺だ。きっと誰かと間違えたんじゃないか? そういえば、あのティルをさらった竜も蒼かったぞ。何か関係があるのか…」 親の話題はいつの間にかティルについての話題に変わっていた。 ティルの記憶は発見されてから数年を経ても未だに戻らない。これまで共に過ごしてきた”ティル”のことはみんながよく知っていたが、”本当のティル”のことについては誰もが知らなかった。 「なぁ、なんとかしてやれないかな」 リクがそう切り出した。リクは常々、ティルの記憶や親のことを気にしていた。 ナープが父親捜しに集中できるように、リクはティルのほうは自分に任せてもらってもかまわないと、水門の城の一件のあとでナープに提案した。ティルはリクによく懐いていたので、ナープもそれを快く承諾したのだった。 「私がさっき発明したこの新作『タチドコロニー・オモイダース』を試してみるのだ?」 タネはかせがまた怪しげな薬を取り出してみせるが、ウクツがそれを制止する。 「やめておけ。そういうのは薬でなんとかなるものじゃない。それに無理に思い出させるのはかえって負担になるだけだ」 「つまんな……いや、それは仕方ないのだ。じゃあ、とりあえずウィルオン君。はいこれ」 飲めと言わんばかりにタネはかせはウィルオンの鼻先にさっきのオモイダースを突き付ける。 「なんで俺なんだよ! それにタネはかせの薬じゃ、逆にもっとひどいことになりそうだけどな。ところで、ステイブルに来て思い出したんだけど、昔ここでウィーってやつに会ったよな。そういえばあいつ、ティルにちょっと似てたな。何か関係あるのか?」 ウィーはティルの鱗を赤くしたような姿をしていた。もしかしたら同じ種族の竜なのかもしれない。 「臭いを嗅いだだけでこの効き目! 効果抜群なのだ! ああ、やはり私は天才だ…」 勝手な解釈で一人で喜んでいるタネはかせを完全に無視してウクツが答える。 「ウィーはグランディア種の仔竜だったな。大地の加護を受けた種族だと言われている。しかし、グランディア竜からは蒼い鱗の竜は生まれないはずなのだが」 「突然変異とか?」 「可能性がないとは言えないが、なんとも言えないことも確かだ」 考えていても一向に答えは出なかった。やはりティルの正体はわからない。 「とりあえず、そのウィーに会いに行って話を聞いてみるのはどうだ? ワシらにはわからないが、グランディアたちには何かわかることがあるかもしれん」 それならば、とピエールがこの近くにグランディアの暮らすスノゥグランド村があることを教えてくれた。 スノゥグランド村はステイブルの近くに流れるフリー側を遡り、ステイブル北西のホワイトプラトウの山を登って行った先にある。ホワイトプラトウは年中雪が降り積もっている万年雪の大地だ。 「そういえばウィーのやつが去り際にそんな感じの名前の村を言ってたな。それからまた遊びに来いとも」 「ふむ、ちょうどいいじゃないか。ウィーのお袋さんの病気がよくなったのかも気になるところだ。行ってみようではないか、そのグランディアの村に」 「よし、行こう。スノゥグランド村に!」 こうしてリクたち一行はピエールに見送られて、グランディアの暮らすスノゥグランド村を目指してフリー川沿いを遡行しホワイトプラトウへと入山するのだった。 遥か上空、火竜の国ムスペ。 その入り口の雲のところには3匹の竜の姿があった。 「……終わった?」 ナープはうんざりしたような顔で、もう何度目かもわからない問いかけをサーフとクリアに送る。 「待ってったら! もう少し、あと10分。いや、5分でいいから! ここからが面白いところなんだから! それでそれで? そのあとフレイ王子はどうなったの!?」 「ふふふ、気になるー? しかーし、ここで場面はムスペ側に切り替わる! なんとこんどはムスペの王子が…」 クリアの『失われたケツァル国』講義はいつの間にか終わっていたらしい。そしてこんどはいつの間にか『失われた第3世界の伝説』講義が始まってしまっていた。正直言ってキリがない。 「あのな、サーフ。何度も言うけど僕たちは遊びに来たんじゃないんだ。そろそろ我慢の限界だ。もう置いてくぞ」 「そんなこと言うなよぉ。あとでムスペまんじゅうおごるからさぁ……。あっ、クリアごめん。なんだって? さっきのとこもっかいよろしく!」 「はぁ……」 全然だめだとため息をつく。とうとう陽も暮れてきてしまった。あれほどたくさんいたメーたちも蜘蛛の子を散らすかのようにどこかへ行ってしまった。サーフは慣れた様子で手近なメーを捕まえて、生のままでまるかじりしながらクリアの話を聴き入っている。あるいはメーが逃げてしまったのもこのせいか。自称メーマスターのクリアも、メーを食べられることには抵抗はないらしい。 「そういえばさぁ」 唐突にクリアが話しかけてきた。サーフに似て行動が読めないやつだ。仲良くなるのは類は友を呼ぶというやつだろうか。 「はいはい、こんどは何?」 「ナープとサーフはどうしてムスペに来たのかな、と思って。観光?」 すかさずサーフが答える。 「ムスペまんじゅうおいしいよね!」 それに呆れながらナープが答える。 「…………親を捜しに」 「ふーん。いなくなっちゃったの? なんか大変なんだね。わたしの知ってる竜かな。名前は?」 「フロウとオーシャン。オーシャン……母さんはもう死んだよ」 「あらら、なんかごめんね」 「そういうわけだから、僕たちは行かなくちゃならないんだ。ほら、サーフも遊んでる場合じゃないだろ。さっさとする!」 「えー、いいところだったのに。ナープが頑固でごめんね。じゃあクリア、またね」 ようやくサーフが動く気になってくれたサーフを引き連れてナープはムスペの入り口をくぐる。入国に審査や検問などはない。 ムスペの入り口は雲だ。ムスペの国を覆っている雲の上方が一部だけ薄くなっており、そこを突き抜けることでムスペの国内に入ることができる。そこが唯一の入り口であり出口だ。 その出入り口の真下にはムスペの大火山の火口が位置し、空の飛べない者がうっかりムスペに入ろうものなら火口に一直線で真っ逆さまだ。またムスペの内部は非常に高温で保たれていて、鱗を持たない生き物や熱に弱い生き物には辛い環境だ。そうした環境そのものがムスペへと寄り付ける者を既に選択し切り捨てている。その結果、ムスペの住民のほとんどは火竜に限定される。それゆえにここは火竜の国と呼ばれるのだ。かつては火竜以外の種族が暮らしていたこともあったが、今ではほとんど火竜しか見かけない。 今は大火山が活発化する時期であるのも原因だろう。こんな時期は観光客も熱に強い種族やサーフのような物好きぐらいだ。 「それにしても熱いな……。厳しい場所だ。これは僕たちでもあまり長くはもたないぞ。さすがにこんなところに父さんはいないか?」 「はい、ナープ。これ、深海で獲れる海メー。ちょっと生臭いけど、抱きしめるとひんやりして気持ちいいよ。喉が渇いたときは食べちゃえばおっけー」 「メェ~」 クリアに青いメーを手渡された。 「ああ、ありがとう…。ってクリア、ついて来たのか! 無理してついて来なくてもいいよ。クリアみたいにもふもふしてるとこういうところはキツそうだし」 「ううん、平気。わたしは火山に棲むメーを研究しにムスペに来たんだから。とくにこの時期じゃないと見られないような行動が観察できるかもしれないし、このくらいの暑さで参ってちゃメーマスターはやっていけないもの」 「へぇ…。けっこう熱心なんだな。そういう自分の目標にまっすぐなのはいいことだと思うよ。おい、サーフも少しはクリアを見習えよな」 そうサーフに言おうとして振り向いたがそこにサーフの姿はない。周囲を見渡すがどこにもサーフがいない。 「サーフならさっき、ムスペまんじゅうぅぅぅううう!! …って叫びながら飛んでっちゃったよ」 「あ、あいつぅぅぅううう!!」 こうして父親フロウと同時にサーフも見つける羽目に陥ってしまったナープなのであった。 もっとも、サーフはすぐにムスペまんじゅう屋であっさり見つかるのだが。 Chapter5 END 竜の涙6
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/31923.html
竜の電脳 ハルナ C 水 (2) クリーチャー:リキッド・ピープル/竜の一族 1000 ■マナ・セイバー ■このクリーチャーが自身の効果によって破壊された時、カードを1枚引く。 作者:翠猫 DMAE-15「絶対極度!トリニティ・ザヴァイア!」収録のリキッド・ピープルの竜の一族。 マナ・セイバーを持ち、それにより破壊されると1ドローできる。 名前は日本海軍の巡洋戦艦「榛名」から。 収録エキスパンション DMAE-15「絶対極度!トリニティ・ザヴァイア!」 関連(DMAE-15「絶対極度!トリニティ・ザヴァイア!」収録のマナ・セイバー持ちサイクル) 《竜の電脳 ハルナ》 《竜の勇騎 ミノガメ》 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/10336.html
竜の叫び声 R 自然 2 ■自分の山札を見る。その中から名前が異なるドラゴンを3体選んで相手に見せる。山札をシャッフルしてからその3体を好きな順序で山札の一番上に戻す。 作者:神風弐千 フレーバーテキスト 仙界に、竜の声がこだまする。 評価 名前 コメント