約 517 件
https://w.atwiki.jp/wiki14_tokihirosato/pages/96.html
ぶつぶつ 3月27日(火) 制作した新たな入り口(宇部カメラの)を貨物トレーラーにのせて、遥々1200キロを走り山口宇部に到着した。本日より山口大学付属病院脇の交差点付近のグリーンスペースに、2003年の宇部ビエンナーレにて受賞した作品《3,4,5角、宇部のカメラ》の常設設置作業に取り組んでいる。新たに制作したコールテン鋼の入り口も無事に接合できた。明日からは、レンズなどの設置作業。今週一杯の作業が必要だろう。夜は学芸員の藤井氏と美味しい魚とちょっとお酒。 3月26日(月) 卒業式、謝恩会。学長の式辞における“書”パフォーマンスは中々ヒートアップしている。どう受け止めるか戸惑いもするが、しかし、芸大教員ぽいアクションではある。謝恩会では、記念品として、卒業生より銅の手打ちおろし金がプレゼントされた。私を理解したとっても嬉しい逸品。手打ちのため、ケガキ線まで残った工芸品のような道具。先ずは飾らせてもらいます。本当に有り難う。近藤君、クレイグ、藪さん。修了しても変らず元気に発表活動続けてください。それから、アメリカで大学院のインタビューを続けている志甫さん、さらに元気で米国での活動が成就する事を祈ります。 3月20日(火) 19年度入試も何とか終わった。現役の受験生にはすでに平成生まれも含まれている。新たな才能に出会ったわけだが、昨年の雰囲気とはまた違う綿々が新たに入学してくるだろう。4月が楽しみである。しかし女子が多い。年度末にあたり、展覧会が錯綜していて少々オーバーワーク気味である。久々に工作室にて金属加工作業。写真の制作と実材の制作は体も頭も使う部分が違うので、まあ、バランスかな。先週はVectorWorksでどっぷり仮想世界でのプランニングをして、今週は実体化するのだけど楽しみ。 2月19日(月) 新進気鋭のビールメーカーCOEDOが5月末に行う、《写真》見えるもの/見えないもの の協賛をしてくれる事になった。本日専務取締役の方にお会いしたが、若くてやる気がありしかも良い方でうれしかった。オープニングが楽しみ。 2月18日(日) 佐藤研スキー合宿無事終了。思いきり身体を動かし、料理を作り、酒を飲んでリフレッシュできた。先端では初めての黒沢ヒュッテ行だったが、皆規則正しく小屋での生活を過ごし楽しい時間だった。岡本太郎は41歳で初めてスキーを始めたが、私は49歳でスノーボードに初挑戦し、2時間に渡る七転八倒の末(お陰で首筋と尻が痛い)無事ターンが出来るようになった!皆さんお疲れさまでした!太郎じゃないけど、スキーもスノボも全くもって自己表現である。スキーはカービングの板になって以前とは又別次元のスピードが体感できるようになったが、ボードも面白そうだ。 12月14日(木) 北海道教育大学の集中講義を行っている。雪の中でピンホール。日が短いのが難点だが、雪は何でもない景色を白の不可思議な物体として変容してくれるので、面白い写真ができあがる。青梅の後もアートパスやら各学年の講評会やら色々な催しがあって、あっという間に今年も年末になった。NYから帰国したのが去年の今ごろだから、もう既にNY滞在が2度終わってしまったような感じだ。窓からは舞う雪が見える。昨年の今頃も雪だった。雪国の人々にとっては長い暗い季節なのだが、たまに訪れる人間にとっては内省的な気分になれる貴重な時間。このままヒッキーになるのも良いか。しかし羽田に戻れば、また陽光が。戻るという後ろめたさ。 11月20日(月) 昨日と一昨日、アートプログラム青梅でサイトシーイングバスを走らせた。全くのパブリックへの開放なのだが、もう一つ工夫が必要だったな。天気はどうしようも無い。むしろ雨でも走れる事は素晴らしい。走る距離が短かく乗り降りが煩雑なので、なぜカメラバスであり、仕組みがどうなっているかなどの話ができない。結局パブリックで、こういった中へ連れ込むような装置は、楽しめる人とそうではない人がいて、そこが主催者として気持ちが揺れるところだ。プリシラのようにバスをしたてて、好き勝手に好きな場所ですきなひとに開放する、というスタイルが一番良いのだが。しかし、内田あぐりさんのバスガイドはうれしかった。 11月5日(日) 岩手。アート@つちざわ、『街角美術館』最終日だった。オープンしてから見ていなかったので、何が起こっているのかを知らなかった。こういった町を使った展覧会の中で、これまでで一番、目に見える盛り上がりがあった。何よりも小さな町に、200名のアーティスト。もちろんプロフェッショナルのアーティストばかりではなく、学生も、趣味の人も、玉石混交状態ともいえる。しかしながらそれが良い。つまり町が、何だか分からないが蠢いているのだ。単純に言って200人の出品者がいて、そのそれぞれの知り合いが10人来れば、2000人の観客が町に訪れる。実際、会期中に町に訪れた人は人口一万人の町に対して、その倍近くにのぼったようだ。寂れた町のあちこちに異物(作品)が仕込まれ、人々がうろうろうろうろ町を歩いている。だんだん、植木や何でもないトタンのめくれ、洗濯物まで作品に見えてくる。しかし、その眼こそ、アートの一歩だ。紅葉も奇麗で気持ちの良い一日だった。活性化とは化学用語だが、異質な物質が出あう事により科学反応が起こる事であり、町の活性化も、町に異物が出会う事だと誰かが言っていたがその通りだと思った。写真は私のリキシャカメラ 11月2日(木) 無事展覧会もオープンし、学校の事前審査会も終了した。岩手の土澤の展覧会も今週で終わる。事前審査で学生の作品を見ていて、私は少ない方だと思うが(笑)教員も価値観の違いはそれぞれあるから、好き嫌いも当然ながらある。しかし、評価される作品はやっぱりそれを越えて訴えかけてくる。作品から発するのっぴきならない勢いの行き所みたいなものか。写真は、青梅のインスタレーション。 10月27日(金) 青梅制作中。集中して出来る日が少なく苦労している。今日も青梅泊まり。伯耆田と泊まった東青梅の青梅シティホテルは、その名と違いデビットリンチの映画の老人のような支配人が居る、とっても怖ーいホテルだったが、昨日と今日は、隣の河辺駅前の普通のビジネスホテル、ロイヤルイン菊水に宿泊していて熟睡出来る。シティホテルから、ロイヤルへのグレードアップか?(笑)しかし、ロイヤル(王室)とイン(木賃宿)の言葉の組み合わせの落差の妙は日本ならでは。スゴイね。明日はBankArtschoolだけど、夜は再び青梅。何とか、オープニングに間に合わせよう。 10月23日(月) 青梅制作3日目。峠を越えた。女子更衣室の窓枠14コに箱をはめて、全てがカメラになった。といっても、見なきゃ分からないので、ぜひARTPROGRAM青梅に来てください。 さて、下記の写真、3点透視図法の写真です。要するに3holesカメラで撮影したものです。青梅の旧家。昨日は、石山君と伯耆田君そして日比野研の八幡さんが手伝ってくれた。明日は藤本君。皆さんありがとう。それにしても、今回のタイトなスケジュールで、順調に進んでいる。雨がチョイと困り者ですが。 10月21(土) BankARTスクールも3回目。本日より撮影。参加者の皆さんの興奮が心地よかった。しかし、だんだんと日が短くなる日々。時間帯を少し早めようかな。デジタル時代の現在に、なぜにピンホールが人気があるのか。参加者のどなたかが、ピンホールはロハスだ、といっていたのだけど、まあ廻り廻って時代の先になっちゃったんですね。 青梅の展示も、金曜日から始まった。明日から本格的に始めるのだけど、一人では作業効率が悪く、研究室の皆さんよろしく。 こないだの日曜日にピンホールで青梅を撮影したので、写真をアップしてみます。 10月16(月) 最近は、針の穴に糸を通すようなスケジュールなのだが、何とか小原君のドキュメンタリー作品『カメラになった男 写真家中平卓馬』を見た。久々に行った下北沢も学生時代以来か。小原君のレンズの距離感が絶妙だった。provoke以来常に突っ走っていた、時代と合わせ鏡だった男は、言葉を失い歳老いてチャーミングに映りながらも尚挑発的である。長期間に渡って良い空気感を漂わせる映像は監督の性格なのだろう。見ごたえがあった。 10月15(日) 青梅で久々にPin-holesの撮影をした。青梅の町も、江戸を彷彿させる町並みだが、時間の染みついた古くからの木の家と薄っぺらい今の家が混在しているところが谷中などとにている。日本の家並みは木だから欧米の石の家のように長持ちしない。したがって、芝居の書き割りのようになる。しかしながら、湿度を感じさせる古びた家は深い味わいがある。 10月13(金) 後期が始まってから、飛ぶように日々が過ぎて行く。10月29日からは青梅の町を舞台にした展覧会が始まるが、その準備で忙しい。青梅は青梅街道でずっとインプットされて来たが、奥多摩の玄関みたいな位置で、東京の周縁の町である。今回は、繊維工場の跡地にある「女子更衣室」を作品にする。特別な響きがあるが、集団就職などで全国から集まった工員の更衣室が良い味を出していて、その雰囲気に+αの部屋とする予定。しかし、学校のカリキュラムも重なっているし、後期に入れてしまったBankArtschoolも毎週土曜日に横浜であり、ああ多忙。工作室の講師をしてくれた三橋さんから便りがあり、ブログのアドレスをアップしたが、川上史也くんの近況もわかり、楽しそう。取手も楽しくしたい。 10月3(火) 昨日は、久々に学生達の懐かしい顔に会えた。佐藤研の近藤君は一年半ぶりの復帰。修了まで頑張りましょう。おととい土澤から戻ったのだが、土澤は遠野の隣ぐらいの場所に有る。土澤の成島毘沙門堂に出かけた時に出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)との関係を示す石碑があった。出羽三山と言えば、私の故郷であり、真言密教山伏に馴染みが深い。私の実家の寺は新しい日蓮宗だが、隣の真言宗海向寺にはミイラが安置されている。山伏が山脈沿いに駆け巡っていたとの説が有るが、信憑性が高いように思った。遠野物語の様々な物語の一部は、山伏達が秘密の場所に対して、デマを流して人々を立ち入らせないように封じたという説である。東北も面白い。一緒に行ってくれた、伯耆田君と投石くんもご苦労さんでした。ありがとう。 10月2(月) 9月27日に土澤にでかけ、4日間お寺に泊まりながら作業し、昨日帰ってきた。小さな町だが、色んな場所に不思議な物体(作品)が存在している。有名作家が制作した物だけではなく、200名近くの若手からベテラン作家までの作品なのだが、町全体が何となくホンワカとした感じが良い。実際には招待作家と一般参加があるのだが、何しろ、ポスターにも作家の名前が出ていないぐらい平等感が高く、町が主体であり、作家個人は問題にされていないようだ。初めての体験。久々に田中泯さんの踊りに立ちあえた。 今日から新学期。皆に会うのを楽しみにしている。 9月22(金) 10月7日より、岩手県花巻近郊で、アート@つちざわが始まる。今回は商店街に面する民家の空き店舗のような部分をカメラにする。そして,久々にリキシャをはしらせる。今日は自宅で、汚れてしまった黒カーテンを交換する。ついでに色々と整備。明日は、写真センターの公開講座でピンホール。 9月20(水) 院試中。しかし相変わらずIMAからの受験生は少ないね。他の科と同じぐらいになるのはまだ時間がかかりそうだ。 9月16(土) 父親の本葬のために実家のある酒田にきている。坊さんの葬式だから、密葬があって、今回は本葬だ。坊さんが沢山集まって壮観なんだが、自身の内なる宗教である《アート》をやってる自分にとっては、なんだか居心地が悪い。 8月は目一杯自分の仕事をしていたので、(なにしろ自分教のアート。アートは自身の哲学を信仰することだと思っている。)学校の事は一時的に脳内ポジションが小さくなる。しかし、来週から大学院試験が始まるし、少しずつ気分を教員モードに戻します。といっても、後期は忙しい。展覧会も沢山あるし。学校の行事も。まあ、皆さん頑張りましょう。 8月2日(水) 8月に突入、札幌は日中は暑いが夜になると涼しい風が吹いている。札幌大谷大学での特別講義2日目。昨日は個人のピンホールによる撮影をやってもらったが、今日は、その全員のカメラをイグルー積みして360度のパノラマ撮影を行う。どうなるか楽しみ。それにしても、お世話になっている岡部昌生氏とともに連日の飲み会は痛快。東川以来、私の胃袋にはすまないと思っているが。 7月30日(日) 東川、いよいよ本番が終わった。本日のメインは、インデペンデント参加の学生作品の講評と、午後は受賞作についてのラウンドトーク。当然ながら得意な作品も苦手な作品もある。展示された学生の作品は60%から80%の世界。その世界に留まるタイプは世の中に溢れている。そこから先の90%の内容表現に至る道は険しい。受賞作は98%の世界。その世界は例えタイプが違っていても厳然としいて、その世界に対峙する私自身の言葉によって鏡のように照らし出されてしまう。 7月29日(土) 今日から、北海道東川町の写真フェスティバルに来ている。今年の受賞者は国内作家賞:鈴木理策 新人作家賞:安楽寺えみ 特別賞:綿谷修 海外作家賞:Ketaki Sheth 昨年参加出来なかったので2年ぶりだが、初めての人や懐かしい顔、沢山の写真関係者に会えるのは嬉しい。以前よりも町のお祭り感が増しているのは、何よりも町自身の努力。今回芸大学生がボランティアに参加していないのが、ちょっと寂しい。 展覧会オープニングとともに町の方々手作りの美味しい料理の数々と上手い酒。夜は花火。安楽寺さんの作品がなんとも謎めいていて魅力的。写真は具体的なものが写っているだけに、分かりやすいものに思えるが、彼女の作品は謎だらけ。理策氏には展示スペースが狭かったかな。6×7のコンタクトの作品もデカさとの対比で興味深いが。 7月20日(木) いよいよ、夏休みに入った。天気はまだまだ梅雨だけど、それぞれ個人の制作に励んで欲しい。志甫さんはハンガリーのアーティストインレジデンスに参加中。皆も、夏休みを有効に使ってください。計画、進行中の制作などについて、報告してくれると安心できます。sato 7月14日(金) 展示空間以外を使う時や、他者の領域を侵すときは、特に神経を使わなければならない。残念ながら、屋上、そして裏側の車の場所に道具がおき忘れられていた。屋上は、伊東、小原助手が鍵のかかったフェンスの下から潜り込み片づけた。裏は私のトレーラーの上に載せておこう。sato 7月12日(水) 4年wip展。志甫さんのたっての希望の展示も無事終了。手伝ってくれた皆さんも志甫さんもご苦労さん。もうすこし、現場の作業に慣れて行かなければなりませんね。特に今回の志甫さんのように、スケジュールに余裕が無いことが解っているならば、ギリギリの計画はすべきではありません。特に他人を巻き込むならば、参加者や他者への対応、後片づけなど、全てを含めて作品としての作業ととらえるべきです。バタバタだったけれども、しかし、それでも何もやらないよりはよほど良い。 志甫さん、ハンガリーでもケガしない程度に頑張ってきてね。sato 6月29日(木) 今、北海道岩見沢。火曜から日曜まで北海道教育大学での、写真集中講義を行っている。メディア教育棟のように、引伸し機が30台近くも並んだ暗室があるわけでも無く、広い部屋に暗幕で作り上げただけの暗室で何ができるか。写真は器具、設備というメカニズムが間に入るメディア表現の原点だが、今回は、段ボールでピンホールカメラを制作し、作品を制作する。印画紙で撮影し、そのネガとさらに印画紙を密着し、20ワットの電球で感光させる。写真の基礎とはいえ、写真の全てを一週間で学ぶといえる濃い一週間。カメラも手作りなら暗室や引伸し機も手作りだから、写真メカニズムに関する極めて本質的な体験ができると思う。 カプセルホテルのように机もないウィークリーマンションに滞在している今週の楽しみは、朝や、夜に訪ねる、近くの温泉。お世話になっている先生から借りたレガシーアウトバックを駆って、北村温泉、月形温泉、新篠津温泉など巡っている。sato 6月24日(土) 出張のため、しばらく皆に会えないのだが、帰るとすぐにwip展がある。クレイグはこないだプリントの概要は把握した。藪さんは今新しく制作している作品を見る事ができないので、心配である。7月12日の4年のwip展は、志甫さんのメディア教育棟車吊りプロジェクトが今から心配、楽しみ、心配、楽しみ。心配。sato 6月20日(火) 3年諸君、今日は遅くまでプレゼンご苦労さん。 教員も10時から9時まででへとへとでしたが、徐々に皆の作品に我々も真剣に向き合う批評をして行かねばならないと思っています。 それぞれ、自身の作品について問題点や可能性など自覚できたと思うけれども、古美研以降少々頑張って行きましょう。 古美研、楽しみ、そして十全に様々なものを見てきてください。 日本の古いものにも、感動できると思います。 飲んで楽しむのも良し、研究するのも良しの2週間。 それではまた来月。sato 6月17日(土) http //www14.atwiki.jp/tokihirosato/pages/1.html に佐藤研wikiを作りました。まだまだ、途上ですが、卒業生も含めた場をつくりたいと思います。皆さんも積極的に情報など公開してください。 新しいページなどもどんどん作っていってください。 このページは、誰でも見られるように設定していますが、書き込みは研究室メンバーだけにとどめています。 登録名とアドレスを書き出しますが、携帯メールのアドレスの人は 今後、PCのアドレスに変更しますので、教えてください。 ユーザー名の表記に問題があれば、直しますので知らせてください。 それでは、よろしく!!sato 6月11日(日) 先週のミーティングの時は何だか忙しくて、せっかく映画を見てもらったのに感想を聞くことを忘れていました。 ちょっと、我々にとって距離的に遠い中米のキューバを描いた映画でした。 欧米の情報は沢山あるけれども、以外にその他の文化圏については知識が少ないと思うので先ずはドキュメンタリータッチでしかも音楽が楽しめるベンダースの作品を観賞してもらいました。 アメリカとの微妙な関係と貧しさとは裏腹な文化の高さを知ってもらいたい と思いました。次のキューバ系の映画は、「モーターサイクルダイアリーズ」と「苺とチョコレート」機会をみて。 さて、今度の水曜は「Stones and Flies」リチャードロングのアーティストドキュメンタリーです。30分ほど。特に移動、変容をテーマにしている石山くんのリファランスの一つとして。時間が許せば、ロバートスミッソンの「Spiral Jetty」も そして、wip展などが近づいてきていますので、色々な確認作業を研究室として行う必要があります。sato ●3年生はプレゼンに向けて、その確認をしたいと思います。計画等の資料を持参してください。 ●4年志甫さんは、wip展へ向けて具体的な制作計画を立てて行きましょう。 ●院一石山君も、最近の資料なども含めて何かを見せてください。 ●クレイグ、藪さんは、wip展へ向けての計画をチェックします。 14日(水)は5時からですが、早めに来てくれれば、個人的な話も可能です。 4×5に関して、さらに興味が有る場合は、もっと早い時間帯に個人的に指導します。 以上。 6月4日(日) 6月7日(水)は3時ごろから、集まってもらい、ミーティングを済ませ 午後5時から第一回映画上映会とします。 『BUENA VISTA SOSIAL CLUB』1999年 ヴィムベンダース監督、ライクーダープロデュース 私がキューバのハバナに行った年に撮影していました。 60年代のアメリカ車の走るハバナの町や、キューバ音楽にライクーダーも参加。音楽好きの佐藤研メンバーなのでとても楽しめると思います。 911 前のNYの風景も。アメリカ、沖縄、キューバ、と風土も関係もお酒も似ていて考えさせられる事が多い。この次に、『The Motorcycle Diaries』も良いかな 当日、プロジェクターの準備手伝ってください。 6月3日(土) 来週のミーティング6月7日(水)5時からの予定でしたが、 5時から、1年生のアートパスガイダンスに参加しなければなりません。 当日石山君が欠席予定ですが、水曜日来れる学生は3時ぐらいに来てください。5時にしか来れない学生はそのままで構いません。30分から1時間ほど抜けますが、すぐに戻ります。皆の予定を知らせてください。 志甫さんの作品の現場確認も出来れば3時頃から、出来ればと思います。 ●課題:月、火、時間をつくって4×5ポラの撮影をしてみてください。 沢山使って構いませんが、1枚500円以上のコストである事を解っていてくださいね。つまり、今回は絶好のチャンスって事です。出来れば都合を合わせてやれば、お互いに教えあえるでしょう。 7日のミーティング、山口さんは、4芸の報告と、見せたい作品集や写真集などの資料を持ってきてください。 これから、ボチボチと映像の作品などを見せていきたいと思います。 今後の予定 ○ストーンズ&フライ リチャードロング →主に移動をテーマにしている石山君向け ○spiral Jetty ロバートスミッソン →昨年没後35年でホイットニーで回顧展が行われたし、私も見に行ったので ○ラ・ジュテ/サンソレイユ →クリスマルケル、すでに木幡研上映会で見ていたらパス。 ○東京画 ヴィムベンダース 小津リスペクト東京風景。サンソレイユから2年後なので、比べるのも一興。 ○コヤニスカッティ コッポラが参加している映像詩。重たい文明批評なんだけど映像テクニックが84年頃驚きだった。 ○モーターサイクルダイアリーズ 97年にキューバに行ってからこの国の文化が大好きです。これは、チェゲバラの 学生時代の南米の旅を描いたロードムービー。無垢な正義感から革命家を目指すゲバラにほれる。同名の日記からわりと忠実に新人監督が描き、ロバートレッドフォードがバックアップして映画化された。キューバ映画などもあり。 まあ、その他、タルコフスキー、ジムジャームシュなども。皆もお勧めがあったら教えてください。 そういえば、昨年いなかったので知らなかったんだけど、「下妻物語」 ジス・イズ・ジャパン・トゥデイですね。面白かった。NYでは、パッチギに涙しました。フォーククルセイダーズ知ってますか? 長々と失礼。 6月1日(木) 5時より、私自身の美術史的文脈について、1980年代〜今(30分程度)のち、4×5講習 8時過ぎに終了。 5月28日(日) これまで、自己紹介と、それぞれの気にしている資料を見て、お互いの起点が少し分かったと思います。 それぞれが多様な興味を持ちながら表現活動に携わろうとしているわけです。しかし、表現とは自身の発露で有りながら、自らが時代や集団の中で 生かされているわけで、当然の事ながら自分だけのものではあり得なく さまざまな影響下にあるわけです。 したがって、なぜ今の時代があるかという事を探らなければならないでしょう。つまり歴史です。特に美術史的にお互いが存在する同時代としての美術、アートについて考えていきたいと思います。 何故美術か? なぜ写真か? なぜコンセプチャルか、なぜポップか? 突然我々が存在するのではなく、どこにその幹や根がつながっているのでしょうか? クレイグがいるので、特に日本の美術について、相対化出来ると思いますが、日本の社会は欧米の生活様式の輸入、また西洋美術の輸入によって成立しています。しかしながら、全てが西洋の文脈なのかというとそうではなく、『和魂洋才』こそがその最大の特質と言えるでしょう。しかしながら、それは日本だけではなく、ヨーロッパの印象派の画家達が日本の美術に影響を受けた事も周知の事実だし、現在は、もっと地域的な情報が身近になった結果、自然にお互いを受け入れているのかもしれません。 今後は特に戦後、アメリカ美術の全盛時代やヨーロッパとの関係もふまえて 少しずつ我々の足場について、作家検証をしながら検討していきたいと思います。先週出た美術様式用語、→アルテポーヴェラ フルクサス もの派 つねに、なぜ? という問題意識を持ってください。答えはすぐにでないかもしれませんが、皆で考えていきましょう。適宜映像資料なども見ながら。 5月26日(金) 本日は、片づけご苦労様でした。 肝心な高山研のメンバーがいなかったので、感謝されましたよ。 さて、来週は6月1日(木)5時からです。 私の見せたい歴史的な1冊、2冊、3冊ぐらいを見てもらってから、 4×5のレクチャーします。さまざまなタイプの4×5を(写真演習室の2台+私の2台)をみてもらいいじってもらいながら、4×5で取る意味、あおりの操作と意義などについてをポラを使いながら話します。これから数回やる予定です。 5月25日(木) 佐藤研に新メンバーが加わりました。 学部4年の志甫和美さんです。 志穂さんをメーリングリストに新たに登録したので、メッセージが 届いていたら返信願います。 よろしく。 5月21日(日) 金曜日3時からのミーティングに先立って招集している片づけについて、 断片的にしか、話しをしていませんでしたが、詳しくこの理由を説明します。一連のやり取りの発信元の助手石川君のメールにあるように、この片づけは、今後のメディア教育棟作業空間拡充計画の一環になっています。 音楽環境創造科の夏の移転に伴い教室として貸している場所や、野外のプレファブ、仮想現実感室も藤幡さんの移転に伴いそれぞれの使用用途を再検討し、圧倒的に不足している学生のスタジオ、アトリエに、変更して行こうというものです。以前にもあった、『場所プロジェクト』の2006年版ということになります。 現在私が中心になって、計画を進めているので、ぜひ研究室の皆さんにも力を貸して欲しいのです。 先ずは、写真スタジオの隣りの倉庫を、大きなエッチングプレス機を設置した、ちょっとした作業場所に変更しますので、それに伴い、倉庫にあるモノを、外のコンテナ倉庫や他の場所に移設しなければなりません。 佐藤研の皆さんには、写真スタジオの機材などをスタジオ内に移動したいのでその辺りを手伝ってください。 よろしくお願いします。 5月19日(木) 先ずは研究室の今年度が動き出しました。 今後も、それぞれの制作が発展するように努力していきましょう。 ☆☆注意!! 連絡なしの遅刻は、社会人として失格です。 今後繰り返さないように自覚してください。 昨日決めた日程を確認します。 5月26日(金)3 00~ 6月 1日(木)5 00~ 6月 7日(水)5 00~ 6月 14日(水)5 00~ 6月 22日(木)3 00~ ※昨日決めた7月の日程は講評会と重なっている為、再度検討します。 ●次回のゼミ内容は、それぞれが気になる、あるいはあこがれる アーティストなり、表現者の資料を持参してください。写真集や 作品集です。それについてお互いに紹介しあい、見せっこをしましょう。 また少しずつ、私の仕事も紹介していきます。 ○皆さんには、出来るだけ多くの引き出しを作って欲しいと思っています。 前期中に、下記の指導を行いますので、積極的に参加してください。 大型カメラについて 工作技術(特に金属溶接、木材加工等) 5月8日(月) 今週木曜日が教授会の日で、学科会議が行われます。 その会議上で所属研究室の最終決定が行われることになりました。 それは、現在のところ、研究室によって所属人数の多寡にばらつきが大きく 調整するためです。(佐藤研究室の場合平均的な人数なので問題無いと思いますが。) その為、研究室の初回ミーティングは来週18日(木曜日)3時より。にする事にしました。 初回ミーティングでは自己紹介と、研究室の掃除等行い、その後場所を替えて (取手駅前?)にて歓迎の宴としましょう。 必ず出席してください。 その他今週は、水、木、金と取手にいますので、個人的に研究室に顔を出してください。 初回ミーティングまでに研究室の鍵を渡しますが、研究室運営に皆さん 協力願います。 ところで、伯耆田くんと投石くんに連絡が取れていないので、3年の諸君もし連絡が とれたら伝えてください。 それでは、会うのを楽しみにしています。 よろしく。 5月3日(水) 皆さん、いよいよ研究室'06が始まります。 楽しく有意義な一年にしたいと思います。よろしくお願いします。 さて、早速ですが研究室MLを設定しますので、メールが届いたら必ず返信ください。 尚、投石君のメールアドレスが不明です。誰か知っていますか? 伯耆田君のアドレスは芸大のものですが、これで大丈夫ですか? 連休中なので連絡がつきにくいかもしれませんが。 それでは、連休明けにミーティングを始めたいと思います。 先ずはメールで調整をしましょう。 10日(水)3時から 11日(木)3時から 12日(金)3時から のうちどれかにしますが、不可能な日にちがあれば、知らせてください。 研究室メンバー'06 学部3年 投石浩次 藤本涼 伯耆田卓助 山口実加 大学院1年 石山和弘 大学院2年 クレイグキャンベル 薮乃理子 近藤光彦(現在休学中、後期より復学)
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/103.html
2011年1月19日 中国で2010年に始まったSFの賞、「星空賞」で翻訳小説賞を日本の作品が受賞!(※半年前の話です) 2011年1月18日、伊藤計劃の『ハーモニー』英訳版がアメリカのSFの賞フィリップ・K・ディック賞の候補になったとの情報がもたらされ、Twitter上で話題となった。 (追記:その後、2011年4月、『ハーモニー』のフィリップ・K・ディック賞特別賞の受賞が決まった) ミステリ界ではかつて、桐野夏生が『OUT』英訳版でアメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)の1つであるエドガー賞の長編賞にノミネートされ話題になったことがある(2004年)。今回のニュースをきっかけに、以前から気になっていた中国版「星雲賞」(注1)で日本の作品の扱いはどうなっているかなどについて調べていると、中国にはほかにも「銀河賞」(注2)や「星空賞」があり、前者では外国作家を対象とする賞、後者では翻訳作品を対象とする賞があるということをTwitter上で @biotit さんに教えていただいた。 「星空賞」について調べていると、なんと第1回の翻訳小説賞は日本の作品が受賞していた。このことはあまり知られていないようなので、今回このページでまとめてみることにした。 *注1 中国版「星雲賞」…以前にこのニュースをたまたま見つけてから気になっていた。公式サイトはこちら:世界華人科幻協会。 *注2 「銀河賞」…公式サイトはこちらだが、ここ5年ほどデータが更新されていない。百度百科の銀河賞のページで、受賞作・受賞者を最新のものまで一覧することができる:銀河賞。 関連リンク:中国のSF翻訳事情まとめ(09'版) - 千篇万化(2010年6月6日、 @biotit さんのブログ) 「星空賞」基本データ 原表記:中文幻想星空奖 (中文幻想星空奨) - 直訳すると、「中国語幻想星空賞」 略称:星空奖 (星空奨) 公式ブログ:中文幻想星空奨 長編・中編小説賞、短編小説賞、翻訳小説賞、特別貢献賞の4部門がある。前年1年間に刊行された作品(特別貢献賞については、前年1年間の活動)が対象になる。長編・中編小説賞および短編小説賞SFファンの一次投票を参考に、SF作家、SF雑誌編集者、SF関連出版社の編集者らで構成される評議委員が最終候補をそれぞれ5作品選出。決選投票に参加するのは一般のSFファン及び評議委員。SFファンによる中国のSNSサイト「豆瓣」(douban)での投票の得票率と、評議委員内での投票の得票率を足し合わせて結果を出す。 翻訳小説賞SFファンの一次投票の上位5作品が最終候補となる。受賞作は、一般のSFファンの決選投票によって決まる。 特別貢献賞実行委員が5人(or団体等)を最終候補として選出。受賞者(団体)は、一般のSFファンの決選投票によって決まる。 星空賞は以下の出版社・団体等からオフィシャルな支持を受けている。《九州幻想》编辑部 《九州志》编辑部 《今古传奇奇幻》杂志社 《科幻大王》杂志社 《科幻世界》杂志社 《新幻界》编辑部 万榕书业 新星出版社 翻訳小説賞 原表記:最受欢迎翻译小说奖 (最受歓迎翻訳小説奨) - 直訳すると、「最も人気のある翻訳小説の賞」 2011年1月20日 追記 『S-Fマガジン』に毎号掲載されている「世界SF情報」を確認したところ、2010年7月号で星空賞設立のニュースが扱われていた。「ファンの投票を中心に選ばれる最終候補から、プロの作家や編集者ら十人の審査団が選定する」とされているが、これは4部門のうち、長編・中編小説賞および短編小説賞の最終候補5作品を決定する際の手順であり、受賞作・受賞者(団体)の実際の選出方法は上に示した通りである。 なお、見落としているかもしれないが、第1回星空賞の受賞作決定のニュースは『S-Fマガジン』には未掲載のようである。 翻訳小説賞 決選投票 星空賞の翻訳小説賞は、2010年の3月頃から5月13日まで一次投票があり、上位5作品が決選投票へと進んだ。対象となっているのは、2009年に中国語で刊行された翻訳SF作品。決選投票は計331票の投票があった。決選投票の結果が発表されたのは、2010年7月18日。 首届中文幻想星空奨(2009年度)最終結果詳細説明(2010年7月18日)より 順位 得票数 タイトル 対応する日本の漢字 日本語タイトル 著者 英題 地域 1位 114 《穿越时空的少女》 穿越時空的少女 『時をかける少女』 (1967) 筒井康隆 - 日本 2位 78 《雪崩》 雪崩 『スノウ・クラッシュ』 ニール・スティーヴンスン Snow Crash (1992) アメリカ 3位 50 《呼吸——宇宙的毁灭》 呼吸―宇宙的毀滅 「息吹」 テッド・チャン Exhalation (2008) アメリカ 4位 48 《黑暗的左手》 黒暗的左手 『闇の左手』 アーシュラ・K・ル=グウィン The Left Hand of Darkness (1969) アメリカ 5位 41 《碟形世界·大法》 碟形世界・大法 - テリー・プラチェット Sourcery (1988) イギリス 「息吹」『S-Fマガジン』2010年1月号掲載(大森望訳) ※作品タイトルはAmazonへのリンク。日本の作品については、現行のものにリンクしている。 並みいる強敵をおさえ、筒井康隆『時をかける少女』中国語版が受賞! 中国語版書誌データ 2009年度中文幻想星空奨終選投票開啓!召喚幻迷投票!(2010年5月21日)より タイトル 著者 訳者 出版社(or掲載号) 《穿越时空的少女》 筒井康隆 丁丁虫 上海訳文出版社 《雪崩》 尼尔·斯蒂芬森 郭泽(郭沢) 四川科学技術出版社 《呼吸——宇宙的毁灭》 特德·姜 耿辉(耿輝) 《科幻世界·訳文版》2009年11号 《黑暗的左手》 厄休拉·勒古恩 陶雪蕾 四川科学技術出版社 《碟形世界·大法》 特里·普拉切特 郭卫文(郭衛文) 《科幻世界·訳文版》2009年12号 翻訳小説賞 一次投票 星空賞翻訳小説賞の一次投票結果 最受歓迎翻訳小説奨首輪投票最終結果(2010年5月21日) 眺めてみると、決選投票には進めなかったものの、上位の方に日本の作品らしきタイトルがいくつか見られる。下に3つだけ挙げたが、他にもあるかもしれない。 夏天·烟火·我的尸体 (乙一『夏と花火と私の死体』) 看海的人 (小林泰三「海を見る人」か?) 废园天使 (飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』) - 書籍刊行は2010年4月なので、雑誌掲載の段階で候補に挙がったということだと思われる。 星空賞とはなにか ※未完成。とりあえずリンクだけ…。 星空賞とはなにか 什么是星空奖?为什么要星空奖? (2010年2月23日) 投票の対象となる作品についての補足説明 2009年度首届中文幻想星空奖作品候选资格补充说明 (2010年2月19日) おまけ 第1回「星空賞」全4部門の受賞作・受賞者 2009年の作品等が対象 【快訊】首届中文幻想星空奨獲奨者掲暁!(2010年7月18日)より 長編・中編小説賞:《上海堡垒》(上海堡塁) / 江南 / 万卷出版公司 短編小説賞:《暗室》 / 韩松(韓松) / 《新幻界》2009年6月刊 翻訳小説賞:《穿越时空的少女》 / [日]筒井康隆 / 丁丁虫 译 / 上海译文出版社 特別貢献賞:《九州幻想》編集部 「銀河賞」の外国作家部門受賞者 中国のSFの賞銀河賞(银河奖)(1986年~)の、「最受欢迎的外国科幻作家」(最受歓迎的外国科幻作家/最も人気のある外国SF作家)部門受賞者。 データは百度百科の「銀河賞」より。この部門が始まったのは2004年からの模様。 2004年(第16回)(アメリカ) L・M・ビジョルド 2005年(第17回)(イギリス) ダグラス・アダムズ 2006年(第18回)(カナダ) ロバート・J・ソウヤー 2007年(第19回)(イギリス) ニール・ゲイマン 2008年(第20回)(イギリス) ニール・ゲイマン(2年連続??) 2009年(第21回)(アメリカ) ジョージ・R・R・マーティン 中国版「星雲賞」の長編賞受賞作 2010年の第1回世界中国語星雲賞(全球华语星云奖 / 全球華語星雲賞)、長編賞受賞作 王晋康(おうしんこう/ワンジンカン) 『十字』 譚劍(譚剣/たんけん/タンジェン) 『人形軟件』(人形ソフト) ※作家名はWikipedia中国語版にリンク、作品タイトルはAmazonにリンク。 「アジアSFメモ」に戻る
https://w.atwiki.jp/kokodakejujutsu/
いらっしゃいませー気軽に読んでってね 必読事項 大事ですので、一度は開いて見て下さい スレまとめ 本編スレやネタスレのまとめです 少し時系列やあらすじ等もあります キャラ一覧 ネームドキャラがまとめて見れます 入っていないネームドも少し居ます 三次創作 イラストやSSのまとめが載ってます まとめてあるURLが載っている感じ 避難所 名言. 迷言等 ネームドが自身で考えた、または実際にスレ内で発言された名言・迷言集。 + 一覧 + 動物達の友達 「悪人が善人の礎となる世界が私の幸福だ!」 + 盗賊(後の情報提供) 「うるさい!さっさと俺に幸せを見せてくれよ!俺は皆を幸せにするまで止まらないって決めたんだよ!!!」 「だからさ、生きる意味?価値?そんなの知らないし見つけることなんてできないよ でも、『幸せ』それを見てみたいと願う事は誰だってできるんだよ」 「なんでそんなに幸せを求めるか?あぁ、俺は盗賊は盗賊でも義賊だからね」 「さっさと幸せになれ〜!!!(クソデカボイス)」 + 超生存特化術師 「大切なんだ、何よりも、どんなものよりも... 絶対に傷つけさせない、奪わせはしない だからお前は、ここで確実に殺す!!」 「どうでもいいよ、君の偏見に染まった思想とか 君がそれが正しいと思って行動しているとしても、それは大衆的に見たら悪でしかない そんなアホみたいな思想に誰が興味を持つと思ってたんだ? まあ、そんなバカだから殺されるんだよ」 「知ってる?猫ってさ何よりも神よりも尊くて、何よりも神よりも大切な存在なんだよ? つまり猫こそが至高ってことだよ」 + いとめぐり 「隠していいので、僕と一緒にいてください。一緒に隠しますので。」 「覚えていましょう。大切な人のこと、自分のこと、誰かのこと。生かしてあげられるのは自分だけです。」 + 以前? 「為すべきことを為す。例え目の前が何も見えなくても、歩き続ける他に出来ることはありません。 僕らは止まってはいけない。動かなくてはならない。 それが人間のできるたった一つのことであり、今の僕にできる最大限です。」 「...幸せを望む。そんな簡単なことができたらいいのに。」 + 感度3000倍術師 「幸せも不幸も感度3000倍の前では皆等しく塵芥ってことやね」 + 激重狐娘 「………アンタらの人生見守ってやっから。だから精一杯、生を謳歌しな。」 「狐は君如きに化かされないさ、逆に化かされた気分はどうだい? ………もう聞こえちゃいないか。 言ってやる、2000年生きてから出直しきな。」 「あのさぁ、責任感持つと人生きついよ〜? ………みんなの責任は全部、私が背負うから、“貴方のせいじゃない。”」 「貴方がいた世界…もう一度愛せるようになるからさ、見守っててね。」 「自分の生き方は自分で決めたら良いよ、後悔するよりは良いから …でも他人は巻き込むな。」 「呪いは廻る、世界も回る、善行も巡り巡っていつかは君の元に来るさ。」 「どけ!俺はお母さんだぞ!」 + 万年四級 「もちをくえ!!おちつけ!!」 「自分の尺度で他人のことを測っちゃダメだよ」 「やばいな。これは……お餅教が出来上がってしまうかもしれない……」(餅を食べながら) + 絵文字 「目を逸らすな…!見失うな…!それがどれだけ汚いものでも!悍ましいものでも!もう、目は閉じない!」 「クソみたいな俺はクソみたいな人間を殺して、ちょっとマシなクソの役に立つんだよ」 「人の生死とかに興味はないけどさ。 俺は今、幸せだよ?」(臍を食む エピローグより) 「綺麗事を言うなら、何かを為さないと」 「俺はヒーローになれない。それの何が問題?」 「うるせぇ!薬飲ますぞ!」 「(´・ω・)つ🏩」 「うちの子って天与の関係上、ずっと薄ーく呪力強化してるんですよ だから、行為中に黒閃が出てもおかしくないなぁって」(中の人) ガチの閲注→https //telegra.ph/絵文字-骸闇堕ちのキモセリフ-02-24 + 賭け一級 「賭けと恋愛の本質は同じさ」 「Mではない!辛辣なのが楽しいだけだ!」 「ちーたん…w」 「確かにそうだ…君の意見に乗ろうじゃないかちーた…ンフw」 特攻1→レイジクン特攻 特攻2→いとちゃん特攻 + 伝書桜 「知ってる?桜は人を狂わせ惑わせ、最後にはその身に引き摺り込んで殺すの」 「はなから期待しちゃいないよ、君は所詮その程度なの お分かり? ああ、もう聞こえてないよね」 「うん、知ってる。うちだって術師にゃ不向きだって思うもん。 でもねやらなきゃいけないの。なんでか? 簡単だよ。自分で決めたことだもの。 自分で決めたことを違えてはならない。 術師やるんならそれ突き通すのが大事じゃない?」 「ざぁんねんでしたぁ〜!!そっちはうちじゃねぇよばぁ〜〜〜〜か!!!」 「よく言うよ、人を陥れることでしか生計を立てられない不憫な奴のくせに」 「・・・さっさと付き合っちまえよ、焦ったい!!!!!」 「何言ってんの???バカ????それともうちの耳がおかしいだけ???」 「神、好き、最高、愛してる」 + 天秤術師 「私が正義だ!」 「大切な人を繋ぐ縁、手は大事にしませんとね」 「誰かに腕を引き千切られる位求められてるなら崖から持ち上がるまで耐えてください!」 + 泥団子術式のワイ 「泥団子…弱いと思ったやろ?なめてかかるからこうなるんやで?^ ^」 「今日は小麦様に頬擦りをする日だ!」 「小麦を崇めよ…」 + 炎の銃使い 「それが偽善だろうと、エゴだろうと、傲慢だとしても それで救われて助かった人がいるなら、それは否定されるべきじゃない」 「この気持ちは偽りたくない!!」 「はは、傲慢だよな俺もそう思う だけど変えるつもりは無いよ。俺の手が届いて何とかできるのに、それをしなくて後悔するなんて 俺にはごめんだね」 「俺を、虐めないでください!何でもするので!! あ嘘です冗談です何でもはしません。」 「ハンバーガーってエロいよね…」 「サンドイッチはエロい」 + 猫天与 「死んだら残るのはただの食べ物だ」 「生きてるか死んでるかの違い?動くか動かないか」 「この世は殺されず殺していい奴を殺すだよ」 「そもそも助けられないのなら助からなかった奴が悪くね?」 「ゴキブリを食って無い奴は生命として劣ってるからな」 「改造人間は人間じゃ無いから気にすんな!!」 「ゴキブリは食材だが?」 「それは黒閃じゃなくて白閃では?」(中の人) + お米教団 「純白の煌めきを見せつけろ、食わせてやれ ご飯貧者に救いを 適当につくるな、Kubotaでやれ」 + 賭けラブ1000% 「あたしの大事な人の大事だからあたしの大事っす」 「人らしい生き方って簡単じゃあないっすね」 「愛はいつでもハリケーンってね」 「誰かを一途に愛し続けることだって楽じゃないんすよ」 ふわっとキャラがわかる感じのキャッチフレーズ + 一覧 わんテレグラフ つーテレグラフ その他まとめ + 学パロ時空 一旦テレグラフ https //telegra.ph/%E5%AD%A6%E3%83%91%E3%83%AD%E6%99%82%E7%A9%BA%E3%81%AE%E7%9A%86%E3%81%95%E3%82%93-03-20 + その他のURL + 生得領域 石川紫苑 太陽が差し込む青空と桜並木 伊集院春秋 マリカーのレインボーロード 泉明寿 前→真っ暗な空間に光と共に天から吊るされる首吊り縄 後→理解のできないサイコデリックでカオスな空間 糸居志零 一面血が張られた地面に7本の花が咲いている宵闇 大葉透浮 真っ暗な地面に生える林檎の木が、枯れては生い茂るを繰り返す 恐神零士 赤子が過ごす胎内 狐花紫 彼岸花が咲き誇り、小川が流れるぼろい神社に縄が付けられた一本の椿がある たまに血の雨が降るらしい 加茂愛人 肉で出来た天蓋ベッド 救零 一面に水のようなナニカが張ってある暗闇 坂野政 大量の眼が見つめる暗室に光が差し込む階段がある 坂野廻 落語の舞台 朔日隼人 結婚式場 桜宮礼佳 真っ暗な森で桜が咲き誇っている シラヤマ 黄金の宮殿 泰良光輝 夕暮れで廃墟になった学校の屋上 冬河勝 曇天の下に浸水した住宅街 焔陽介 快晴の空の下にある平和と調和が体現された白銀の装飾が施された街 ヨウ 動物園(罰呪時) レインちゃん プラネタリウムの空間に地球と惑星がぶら下がって動いている 領域まとめ 術式まとめ 誕生日一覧 誕生花一覧 身長と体重 それぞれの印象表 カップリング ※こちらは非公式となっております。 _
https://w.atwiki.jp/thecircleofdaybreak/pages/301.html
映画監督 「そうだ、映画を撮ろう。」 「藩王、正気ですか?」 L:映画監督 = { t:名称 = 映画監督(職業) t:要点 = 監督,むっつり,キャメラ t:周辺環境 = 撮影現場 映画監督映画の夜明け 映画監督のお仕事 映画の作成環境づくり(アイドレスのゴージャス化) 作品たち超速サッカー!!! 戦国武勇伝 ~暁山頂上決戦~ 産声の後 ~藩王の思い~ スタッフ 暁の民+理力建築士+幻影使い+映画監督 映画の夜明け それは本当にちょっとした思いつきだった。 「そうだ、映画を撮ろう。」 白石藩王のその発言を横で聞いていた時雨野椿はこう言っている。 「藩王、正気ですか?」と。 一方、またあるときに摂政である風杜神奈の所へ行き同じ発言をしたときには、 「……電気もないのにどうやって取るんですか?」 と胡乱気な目で見られていたのである。 しかし、風杜は宰相府に勤めていることが多い。元々吏族工部の尚書であったし、その他にも様々な仕事を宰相府にて行っているからだ。 そして宰相と会談している際に、ふと思い出して、冗談交じりに話題に出した時だった。 「いや、そうでもないよ。映画というものはちょっとした化学薬品とバケツだけで撮れるんだよ。」 宰相が諭すように言っていたのである。 「あ……ピンホールカメラの原理……」 曲がりなりにも風杜はアイテム作成ギルドのギルドマスターである。自国の状況を鑑みて使用できそうな技術に関しても調べてはいた。 そう。フィルムを作るのに電気は必要ない。様々な自動化をするためには確かに電気は必要かもしれないが、それでも大規模な発電施設を必要とするようなものではない。 フィルムそのものは感光液の上に像を結ぶように感光させ、それを暗室にて現像することによって作ることができるのである。 自動現像器がなかった時代においては手作業による現像作業が当たり前であった。 そのことを白石藩王に告げた翌日、皆を集めて宣言されることになる。 「暁に、映画産業を作り出す」、と。 /*/ スクリーンに映し出される映像。暁の円卓に最近できはじめた映画館というものの光景だ。どんなに技術には技術がすぐれていてもスクリーン上で表現するかぎりにおいてはいくら立体的にみせても二次元に過ぎない。 だからといって深みに意味がないというわけではない。ようは見せ方というわけだ。 例えば前後のアクションを多く取り入れることで、動きを大きく見せることができる。 これはカメラに対して近づいていく動きというのは拡大されて映ることから、アクションは前後へ行うようにするとより動きが大きく見えるのである。 ―『活劇映画技術論 ~実録 暁映画界の夜明け~』より― 映画監督のお仕事 監督の一言によりカラカラと廻るキャメラの回転音が断ち切れ、撮影が中断する。 高い椅子より現場を睥睨する監督の姿は堂に入っており、まさに撮影現場においては神にも等しかった。 むっつりと気難しい顔で役者とスタッフにリテイク指示を伝える。 その姿は託宣を告げる預言者のようである。 こうしてまたひとつの作品が作られていくのだ。 そして作品が完成すればすべてのスタッフに労いの言葉を大なり小なりかけるのも監督の役目だ。 適切な人員割り当てをし、バラバラに描いてる絵を自分の中にある絵に組み込み最高の作品にするためには意志疎通は欠かせないからだ。 勿論終わりだけではなく途中でもそうだ。程度の差こそあれ同じことをしている。 だからこそ孤高なだけでも、才能があるだけでもだめであった。 監督とは難儀な仕事なのである。 映画の作成環境づくり(アイドレスのゴージャス化) 燃料グループに加盟してそれなりの時間がたったが、 この映画産業の立ち上げにあたっても有効に機能している。 即ち、潤沢な燃料でもって、作品以外の余計なことを考えなくて済む様、 最高の環境を用意することが可能となったのだ。 勿論、人から与えられるものだけで良い作品ができるかと言われれば そうではないだろう。だが、選択肢が多いというのはそれだけで良いことだと思うのだ。 戦場で戦うことも映画を作ることも人が行うことに変わりはない。 映画監督達もこの最高の環境で、存分に腕を奮い、戦っている。 作品たち 暁の映画界はまだ若い。そして若いが故に色々な監督が日夜様々な作品を作り出している。 ここではそんな作品の一部を紹介しよう! 超速サッカー!!! 空間を自由自在に操り、超高速で飛び交う球を超人的なスピードで展開される 究極のプレイの数々。この球技に限界はない! この映画を作り出したのは、俳優や映像作家としてマルチな活躍を見せる茶円 新地リオン。 茶円の号をトレードマークにして、それを姓として名乗るようになったアクション映画界のスーパースターの一人だ。 今まで主演した映画はいずれも高集客で知られ、スーパースターの呼び名に恥ない活躍をしているのである。近年になり、自ら映画監督としても活動を始め、次々とヒット作をリリース。そしてついには自身が培ってきたノウハウを総結集させて作ったのがこの『超速サッカー』だ! この作品は世代を問わず幅広い支持を受け、夢と希望をもたらす超ド級のエンターテイメントである。 -解説より- 戦国武勇伝 ~暁山頂上決戦~ 事態は風雲急を告げる。扶桑弐槍流で知られる銀星国の英雄、宗伯・シユウに挑むは二刀使いの青年、呉福・タイシ。 嵐の吹き荒れる中、両雄は激突する! 名だたる英雄が現れては消えていった戦国の世の中に煌くシユウとタイシ。飽くなき戦いは続き、高まる決着への機運。 だが、そんな時北から雷の如き速度で進撃を始める謎の一団の姿があった。 手に汗握る天下一バトルアクション、『戦国武勇伝』! 最後まで立っていられるのは誰だ! -解説より- 産声の後 ~藩王の思い~ 暁での映画第一作目を見ながら藩王は思う。 映画産業育成の提言を行ってから13年と半年ほど、随分とかかったなと感じる。 ただ、戦士という生き方しか許されなかった暁の地において、 新たな選択肢が出来たのは非常に喜ばしかった。 しかし、まだまだ万全とは言い難いとは思う。 今はやっと作品を作ることの出来る土台が出来ただけだ。 更なる市場の拡大や監督ら製作者や作品自体を守る制度の確立、他国の不当介入の防止etc… 考えることはまだまだある。 自分が健在な内は出来るだけのことをやろうと思った。 さて、後世に伝えられるくらいの仕事をしようか。 スタッフ イラスト:岩澄龍彦、八重垣慶 設定文:風杜神奈、白石裕 その他:白石裕 暁の民+理力建築士+幻影使い+映画監督 継承:暁の民、理力建築士、幻影使い 評価: 能力値 体格 筋力 耐久力 外見 敏捷 器用 感覚 知識 幸運 暁の民 5 5 5 0 2 3 2 0 0 理力建築士 0 -1 -1 0 0 1 1 2 0 幻影使い 0 -1 -1 0 -1 2 2 1 0 映画監督 6 7 7 2 3 9 9 5 3 合計 11 10 10 2 4 15 14 8 3 特殊: 暁の民の特殊能力 = ,,,正義心を持つ。 暁の民の特殊補正 = ,歩兵,,{体格,外見}、評価+3。 暁の民のイベント消費 = ,,,(一般行為判定を伴うイベントに参加するごとに)食料-4万t。 理力建築士の詠唱戦闘行為補正 = 詠唱戦闘行為,,条件発動,(詠唱戦闘での)攻撃、評価+2、燃料-1万t。 理力建築士の陣地作成能力 = ,,条件発動,燃料-2万t。<理力建築士の陣地>を作成することができる。 幻影使いの詠唱戦闘行為補正 = 詠唱戦闘行為,,条件発動,(詠唱戦闘での)攻撃、評価+2、燃料-1万t。 幻影使いの幻惑能力 = ,,任意発動,詠唱戦闘行為で攻撃の対象となった者のうち一人に<幻影使いの幻惑>を付与する。燃料-2万t。 L:理力建築士の陣地 = { t:名称 = 理力建築士の陣地(定義) t:評価 = なし t:特殊 = { *理力建築士の陣地の定義アイドレスカテゴリ = ,,,判定補正。 *理力建築士の陣地の使用制限 = ,,,使用制限(塹壕の中に居る場合)。 *理力建築士の陣地の人数制限 = ,,,自分を含む3人までの仲間にしか入ることはできない。 *理力建築士の陣地の判定補正 = ,,,(塹壕内での戦闘での)全判定、評価+2。 *理力建築士の陣地の効果時間 = ,,,戦闘が終わるまでの間。 } } L:幻影使いの幻惑 = { t:名称 = 幻影使いの幻惑(定義) t:評価 = なし t:特殊 = { *幻影使いの幻惑の定義アイドレスカテゴリ = ,,,能力補正。 *幻影使いの幻惑の能力補正 = ,,,感覚、評価-3。 *幻影使いの幻惑の効果時間 = ,,,戦闘が終わるまでの間。 } }
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/312.html
俺のミズハミシマ滞在は、リクガメ風のおじさま改めツキヤマさんのおかげで予想外に 長く、それでいて快適なものとなっていた。 一宿一飯の礼に、手持ちのフィルムを全部この島のPR用に使い切ろうと思うと伝えた 俺に対し、ツキヤマさんは感涙にむせびながら撮影が終わるまでツキヤマ邸の一室を俺に 貸し与え、食事まで無償で提供すると言ってくださったのだ。 勿論感謝はしてるんだけど、思いつきと下心で言ったことにそこまで感激されると正直 罪悪感が芽生えてしまう。おじさん、ねずみ講とかに騙されちゃダメだからな…。 で、俺がなぜミズハ最大の観光地である水没都市に向かう予定を潰してまでこの小島に 残り続けているかといえば、答えは至極かんたんであった。 「セージさん、お待たせしました」 お弁当包みを持った月光さんが俺の名を呼び、ぱたぱたと駆けてくる。 「や、どうも毎日すみません」 「いいえ、毎日とても楽しいですから」 微笑む月光さんに先導され、今日の撮影場所に向かう。 ツキヤマさんのはからいで、月光さんはこの島での俺の案内役になってくれていた。 彼女はここに奉公して長いので島のことは大体わかっているし、目印の少ない田舎道で また俺が迷ってしまうことも危惧されたのだろう。俺にとっても願ったり叶ったりだった。 《セージ、へんなかおー》 「お前にゃ負けるよ」 俺のにやけ顔を茶化すように頬をむにーっと引っ張る光精霊に軽口を返す。 まあ、結局そういうことだ。俺はこうして月光さんとデートを楽しむためにあんな提案 をしたのである。まさかこうして毎日ご一緒できるようなお膳立てを整えてもらえるとは 正直思ってなかったが。 「…もしかして見透かされてたかな」 「? どうかされましたか?」 「いや、なんでも」 不思議そうに振り返る月光さんを適当にごまかし、俺はゆっくり予定の場所を目指した。 初日に俺が夢中になって撮りまくった海を臨む棚田も勿論だが、この島は実に風光明媚 で撮影場所には困らなかった。月光さんとのデートの口実を維持するには、意識しないと あっという間にフィルムを使い切ってしまいそうだった。 「こちらが、かつて龍神シマハミスサノタツミノミコト様が荒ぶる神であらせられた頃に ひと時休まれるため籠もられたという言い伝えの残るミユキ洞です」 「うわ、入り口から既にでけぇ…」 洞内からは清廉な空気が流れ出し、周囲には外の暑気が洞窟からの冷気で冷やされてか 濃密な霧が立ち込めてなんとも幽玄な雰囲気を演出していた。 「無闇に支洞に入らなければ、中もさほど危険なところはありません。入ってみます?」 「あーいや、やめときます…」 危険でないといってもどんな生き物がいるかわからないし、滑って機材ダメにしたくも ないなあ。とりあえず入り口の撮影だけして次に向かう。 《根性なしー?》 「慎重だって言いなさい」 「こちらはこの島を拠点に近海を荒らしまわった鬼たちが根城としていた砦の跡ですね。 ツキヤマさまの先々代が討伐を命じられた際、鬼たちとのさいころの勝負で見事蛇の目を 当てて追い出すことに成功したと伝えられています。…実はさいころには細工がしてあり いかさま勝負だったそうですけどね」 「ひでー話」 「ふふっ、そうですね」 「うまっ、月光さん料理も上手なんすね」 「あ、ありがとうございます」 「景色のいいところで弁当ひろげて食べるなんて、何年ぶりかなー…」 「天気のいい日には、この岬から遠くスラヴィアの地がうっすらと見えるんですよ。もし 夜だったらここから《地上の太陽》が見えることもあるんです」 「《地上の太陽》って?」 「スラヴィア建国の大戦(おおいくさ)、大敗して船で敗走するミズハの兵たちに追撃の 手が伸びた際に、おしのびで参戦していらっしゃったラ・ムールの金獅子王が自らの命と 引き換えに太陽神のお力を地上に顕現して助けてくださったそうです。それ以来ミズハを 臨む岬には二つ目の太陽が生まれ、灯台のごとく船乗りの行く手を照らしているとか」 《しってるしってる、すっごいあかるいんだよーあれ》 「へー…」 楽しい時間というものは本当に飛ぶようにすぎていく。 気づけば、手持ちのフィルムの残量は最後の一枚となっていた。 「名残惜しいが、こいつで最後か…」 「そうですね…えっと、あの…」 「ん、なに月光さん?」 「またいつか…写真を撮りにきてくださいますか?」 少し寂しそうにそうたずねる月光さんに、俺はなんだか胸がいっぱいになった。 「次は、月光さんに会いに来る」 「えっ…!」 「あ、いや…かな」 勢いでえらいことを言ってしまった。謝って言い直そうかと思う俺の前で、月光さんの 白い膚がうっすら桜色に染まり、首が小さく横に振られた。それって、つまり…。 「また、会いに来てください……待ってます」 無言でうなずく俺。今度は俺も真っ赤になった。 「え、えっと! それじゃ、最後の一枚なに撮ろっかなー!」 気恥ずかしさからつい大声でどうでもいいことを宣言してしまう。 《あ、そういえばボクとってもらってないー》 さっきまで赤くなってうつむく俺らをによによと眺めていた光精霊が、ふとそんな事を 言い出す。そういえばそうか、ってちょっと待てよ。 「お前らって写真に写るの?」 《しらなーい》 「知らないってお前…」 精霊ってのは俺が認識できてるこいつ以外にもそこらにわらわらいるようなものの筈だ。 もしそれが写真にばっちり写るものだったら、それこそ心霊写真撮り放題みたいなことに なってるんじゃないのか? 《もー、いいからやってみようよー。おとこは度胸! なんでもやってみるのさ!》 「おいこら、どっから仕入れたそのセリフ」 「あの、なんでしたら私も一緒に写りますから」 俺と光精霊のやりとりを苦笑しながら見ていた月光さんが助け舟を出す。そうか、仮に こいつが写らなくても月光さん単独の写真ってことにできるなら問題ないな。 「あーすみません、じゃあお願いします。ほれ、月光さんの隣に並べ」 《わーい♪》 嬉々として月光さんに抱きついてピースする光精霊。だからほんとどっから仕入れてん だよそういう知識。やれやれと思いつつ、肩の力は抜けた。 「はい、撮るよー」 《はいっ ちぇだーっ♪》 苦笑しつつシャッターを下ろす。 いつもの聞き慣れたシャッター音がして、 光精霊は消えた。 精霊ってのはよくわからん連中だ。 興味をもってほいほいついてきたかと思えば、急に消えちまうこともある。 手の中のボタン電池をころがしつつ、荷造りの済んですっきりした部屋の中を見渡す。 とりあえず気持ちの整理をつけるため一泊させてもらったが、やることが終わった以上 ここにはもういられないのだ。ボタン電池を懐にしまうと、しばらく世話になった部屋に 軽く頭を下げた。 あいつの消えたあとには驚き立ち尽くす月光さんと、あいつの飲み込んだボタン電池が 転がっていた。チェッカーで見たら電池残量はきれいに空っぽになっていた。契約の通り 電池が切れるまでの付き合いだったのか、と思うのもこっちの自由だが、俺の頭の中では それよりも悪い考えがぐるぐると回り続ける。 もしかしたら、俺はあいつを…。 「心配いりませんよ」 しょげる俺に、月光さんは別れ際そういって微笑んだ。精霊との日常的な係わり合いが 多い彼女の方がこういうことはわかってるのかもしれない。それでも俺の胸は晴れぬまま、 なんとなくしこりの残る別れになってしまった。残念至極だ。 地球に帰り、現像作業をしても、やっぱりネガには月光さんしか写ってはいなかった。 暗室の中、深々とため息をつく。助手としてはたいして役に立たなかったが、あいつの 騒がしさは随分俺の励みになってたんだなと振り返る。 しかし、どうしてあいつは消えちまったんだろう。月光さんも消えるのを目撃していた 以上、ただ俺に見えなくなったんじゃなくいなくなったというのは多分間違いない。ただ 写真に撮っただけだっていうのに…。 『月を…捕まえるんですか?』 不意に、月光さんとのいつかの会話が脳裏をひらめいた。 いや、まさかな……だけど、うーん…。 俺はしばし悩んだ挙句、ネガから写真に現像してみることにした。 これが正解だとしたら、まったく人騒がせなやつだと思いながら。 その二日後、ツキヤマ邸に一人の蟲人が訪ねてきた。 「こちらのゲッコウさまに、地球のヨシカワ セイジさまより電報です」 「電報?」 訝しげに首を傾げつつ、ゲッコウは蟲人より便りを受け取る。 内容を一読するや、ゲッコウは頬をほころばせた。 写真を現像して 満タンのボタン電池をちらつかせたら あの馬鹿が出てきました 撮影したときに あの場の光と一緒に 誤ってフィルムに取り込まれていた模様 今度訪ねるときにでも 一緒に連れて行きます <前回の話 微笑ましいというか恐るべき鈍感というか思わずニヤニヤしてしまうキャラ関係 -- (としあき) 2012-09-20 23 31 18 空想慣れしている日本人は異世界でどんな相手にも分け隔てなく自然に接することができそうだなーこれはもてても仕方が無いわ -- (tosy) 2012-09-21 22 07 27 広げ方とまとめ方が光る連作なので次をどうしても期待してしまう -- (名無しさん) 2012-09-22 00 55 34 微笑ましい旅先の様子と国にまつわる名所歴史の紹介が自然に流れていくのがきれいでした。再開を約束したセイジですが今回の宿泊や滞在の費用はそこそこの金額になっているのではとふと思いました -- (名無しさん) 2013-07-07 19 13 58 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3258.html
【種別】 人名(通称)・神名 【元ネタ】 「僧正」という呼称は僧官のランクの一つから。 魔術思想の元ネタは仏教の即身仏、すなわち木乃伊(ミイラ)。 なお、作中での説明は「即身仏」と「即身成仏」を混同している部分があるので注意が必要(Wikipedia記事も参照のこと)。 Wikipedia - 僧正 Wikipedia - 即身成仏 【初出】 新約十巻 【CV】 津嘉山 正種 【概要】 真の『グレムリン』に所属する『魔神』の一柱。 枯れた古木のように固められた皺の数々と、そんな痩せこけた体を覆い隠し、輪郭を膨らませる紫の法衣に彩られた高僧。 杖のように地を突く剣や法衣の上に重ねた絡子のギラギラとした黄金はしたたる欲を感じさせる。 即身仏、つまり自らの意思でもって餓死する事により、人の身が六道を超えて僅か一代で仏に成ることを目指した果ての形。 即身仏として完成したにもかかわらず、当時の政治的圧力によって仏と認められず、仏への道を閉ざされた代わりに魔神と化した。 その華美な装束も「仏として認めない」というネガティブキャンペーンを僧正自身が受け入れた結果である。 ネフテュスや他の『魔神』からは『他者への評価が甘い』と言われているが、あくまで上から目線で見ており、悟りを開けている訳ではない。 アレイスター=クロウリーをわざと挑発するような台詞を吐くなど、悟りには程遠い、傲慢で欲望にまみれた性格である。 また、感情のままに自身の正義の定義を塗り替えてしまう性質があり、一言後には発言の内容が180度逆を行っていることもある。 例えばアレイスターが『隠世』に踏み込んだ際には最も感情的になって殺害しようとしていたにもかかわらず、 娘々が「アレイスターをしっかり殺しておけば良かった」と発言した際には、やんわりと彼女をなだめるような発言をしている。 当人はこの性質について全く自覚がないため、非常にタチが悪い。 さらに、手に入らない物は欲しがるが、いざ手に入ってしまったものには興味がなくなってしまう性分でもあり、 例えば彼は上条当麻に『採点者』となることを求めたが、上条がその要求に屈していたらその場で首を切り飛ばされていただろうとの事。 この点についても僧正自身は自覚していないのでやっぱりタチが悪い。 【能力・スキル】 『鏡合わせの分割』に加えて大幅な弱体化術式を掛けられた状態であっても尚圧倒的な力を持ち、 変異型妖精化を携えたフィアンマすら一撃(わずか数ページ)で撃破している。 「生きたまま地下の暗室に籠り、自らの意志で餓死した」即身仏であることから、「土」を用いた魔術を主に扱う。 作中では ビルを引っこ抜き振り回せる巨大な泥の腕を作り出す 地面に足をついた対象の位置を正確に探知する この二つの魔術を主に使用した。 なお探知魔術は土に足を着けなければ普通の人間のように視界で対象を捉えるしか無く、上条はこの性質を利用して船に飛び乗って一時的に僧正の手から逃れていた。 また、魔神由来のマグマを浴びせても宇宙空間に放り出しても普通に生きていられる不死性も有している。 作中では遊びのため全力を出さなかったが、その本質は一代で仏となったことによる六道交差にあるという。 上条は、誰も見た事のない六道の価値やランクをレールの切り替えのように操り、破壊される側、向かってくる側を「弱体化」させるという、左方のテッラの「光の処刑」に近い術式ではないかと推測したが、実際のところは不明。 【作中での行動】 他の『魔神』達同様『隠世』に潜んで暗躍していたが、上条当麻とオティヌスの戦闘が決着した際、 オティヌスが消滅しそうになったのを見て現世に干渉した。 本人曰く、『オティヌスに執着は無いが、彼女の死は上条当麻の今後に影響を与えるので、彼の方向性が変わるのを防ぐ為』とのこと。 オティヌスが「完全に消滅せず、肉体が再構築された」ことには当のオティヌスも疑問を抱いていたが、これは彼の介入の結果である。 アレイスターに『隠世』を破壊されたため、 ゾンビが生み出した『鏡合わせの分割』の術式を用いて学園都市・第一一学区へと降り立った。 この術式によって「無限の力」を失ったものの、 「現世を壊さない程度に制限した力を無限に持つ」状態に移行。 アレイスターやサンジェルマンの行動を予見しながら傍観に徹していた。 『鏡合わせの分割』が体に馴染んだ頃、行動を始めようとしたところにアレイスターが現れる。 『魔神』達は、先日の邂逅からアレイスターを完全に見下していたが、アレイスターは先行してゾンビを撃破して『鏡合わせの分割』を解析しており、 油断しきっていた僧正ら三柱は改変したパラメータを埋め込まれ、可殺状態に追い込まれてしまう。 新約13巻にて遂に本格的な行動を開始。 下駄箱にラブレターを仕込み、学校の屋上に呼び出し、自らの想いを上条に告げ、理解者を得たオティヌスに嫉妬し、「私達を見て採点して!」と迫る…というなかなかのヒロイン体質であったことが判明する。 「採点者」となることを拒みアクロバイクで逃げ回る上条を追いながら、土を操る術式で街中に被害を撒き散らした。 その後、逃げ回る途中で上条が御坂美琴と合流し、二人の計略によってマグマを被ってしまうが、元々の体質から全くの無傷で済む。 攻撃を仕掛ける美琴に対し、歯牙にもかけないばかりか、上条の口真似をして、「上条当麻が力を出せないのは御坂のせい」「だから、影で隠れていろ」等、まるで上条の代弁者のように美琴に追い払おうとするが、上条は大反発。「取り消せよ」と上条は怒るが僧正はそんな彼をつまらんと憤り、「神浄の当魔は何処だ!」と叫ぶ。 その後も上条がストッパーをかけているのが美琴であることを苦々しく思いながらも彼らを追跡。 そして最後は土の無い状態に追い込むため、美琴は第二三学区の地下サイロ式マスドライバーをジャックして僧正を大気圏外に打ち上げたが、 アローヘッド彗星を取り込んで大気圏に再突入。 これに対し上条は右手の底の「奥の手」を使うそぶりを見せたが、その直前に対魔術式駆動鎧(アンチアートアタッチメント)が彗星を破壊し、僧正は撃破された。 この際、木原脳幹からアレイスターの伝言を聞いていて、 「済まなかったな」 と答えようとしたが、時既に遅く僧正は彗星ごと消滅した。 【余談】 登場期間の短さに反して作中の様々な部分に影響を与えている。 まず上条は僧正が乗ってきた彗星が破壊された衝撃で上条の部屋のガラスは粉々になっただけでなく 上条の「進級不可能一歩前」な出席日数を補う防犯オリエンテーションでの点数稼ぎチャンスを逃す等の日常に痛打を与えている。 また、美琴は、僧正の操る彗星が学園都市と激突する間際に上条の右腕から『何か』が現れそうになった瞬間を目撃。 闘いにおける格の違いの凄まじい衝撃と能力が通じない味わったことのない挫折を受けてしまう。 上条視点の地の文では 「つくづくくたばってから存在感を増していくジジィ」 「すでに終わった過去編でしか登場を許されないすげえ美化されたヒロイン枠」 などといった評価を受けている。 また「美琴から見た上条」と「美琴から見た美琴」の価値観に多大な変化を僧正は与え、特に美琴は上条に対しての悩みから新たな力を渇望するあまり、狂気に染まる程の精神異常を及ぼさせた。 他にも、倒壊したとある高校に通っていた青髪や吹寄を始めとする生徒達を揃って他校へ異動させ、 間接的に上条と上里を再び邂逅させ(たついでに軽く殺しあわせ)だ。 更にはこれに応ずるかのように上里に恨みを持つ唯一が上里へ邂逅したことで、上条や美琴が巻き込まれただけでなく、美琴の通う学校にも多大な影響を及ぼす余波を与えた。また唯一によって僧正が美琴に対して言った「上条当麻のお荷物」と言ったことを覆される出来事も起きている。 更には彼によって起きた二つの邂逅によって、美琴とは犬猿の仲の少女が理想送りを巡る戦いの後に、美琴と共に戦う足掛かりにもなった。 本格的に活動したのは事実上新約13巻だけだったにもかかわらず、幻想殺しと理想送りを一気に接近させ、様々な箇所に多大な影響を与えたキーパーソン。 またアレイスターとの具体的な接点や過去等、今なお謎に包まれた部分が多く、今後も何かしらの形で本編に影響を及ぼしてくると考えられる。 【口調】 しわがれた肉声で、老人のようなしゃべり方をする。 例)「うん。介入するとすればこの辺りかの?」 「ありゃあ完全な失敗作じゃよ、若造。じきにお主も頭を抱える事になるじゃろうがな」 かと思えば、戦闘(などと本人は思っていないだろうが)の際には自身の絶対的優位を確信しているからか、妙なハイテンションで楽しげに声を上げることもある。 文末に☆とか付いちゃう辺り、余裕のある時は案外お茶目である。 こんなんだからいつまで経っても悟りが開けないのだろう。 例)「うほほーい☆ 待ったー?」
https://w.atwiki.jp/princess-ss/pages/120.html
「羽化」 蛎崎季広と言えば、あの南部晴政を下野させていつの間にか配下に加え、 更に東北地方を南へ南へ領地を広げる勢いのある大名である。季広の最初 の勝利の裏には、南部家の勇将を裏切らせた事が大いに寄与していると言 われている。裏切りを唆した武将は蛎崎繭と言う。蛎崎季広の長女だったが、 人材不足の父親の為に志願して武将となったのであった。 繭はその後も領地経営に外交の使者に大商人との商談にと多くの功績を 上げ、今では家老となった。実の娘と言う事で多少季広に過大評価されて いる所もあったが、功績については誰もが認めている。蛎崎繭、未だ20 歳にも達していない。 ただ、繭にも悩みがあった。繭の仕事ぶりはその若さと不釣合いな勢い で完成されていったが、どうしても越えられない壁が出始めた。短い間に よく成長したが、そこから先に更に発展すると言う事ができなかった。そ れは領地経営や外交や商談だけでなく、戦争の腕前についてもであった。 戦場では死に繋がりかねない。季広は比較的直接敵に攻撃されにくい鉄砲 隊を率いる事を命じた。東北で鉄砲隊を率いて大きな効果を挙げた武将は まだいない。繭は試行錯誤を繰り返しながら鉄砲隊を指揮した。繭の顔に 陰が見え始めた。 そんな時、繭の妹の茜が髪上げを迎えた日に、思いもよらぬ事を言い出 した。 「父上、茜も配下に加えて下さい。男にも負けぬ働きぶりをお見せしま しょう。」 「茜よ、家来なら足りている。それに間もなく精強で知られる伊達軍団 との戦いが始まる。お前とて無事で済むとは思えん。大人しくせよ。」 「しかし姉上もまだ武将を続けているではありませんか。何故私はいけ ないのです。私も姉上と助け合って戦い抜きたいです。」 「わかった。だが、無茶はするな。」 かくして、蛎崎茜は蛎崎家の武将として数えられるようになった。武将 、蛎崎茜が繭に顔を見せた。 「姉上、これで私も姉上と一緒に仕事ができるようになります。」 「茜、皆の言う事をしっかり逃さず聞いて、立派になりなさい。私も期 待していますよ。」 茜は繭とは母が違う。季広によるアイヌとの和睦の一環として娶った女 性が母親だと言われている。茜は心優しく、また勇猛な子供であった。親 が違う二人は時に姉妹の様に、時に年の離れた親友の様に仲良く育った。 繭は目を閉じて思う。 (茜と横に並んで働く日が待ち遠しい。) と。 茜は姉や父、そして蛎崎家の軍門に下ったかつての東北各地の名君達の 指導の下、めきめきと頭角をあらわしていった。街づくりに、開拓に、築 城に、兵の訓練に、遣使に、交渉に、茜は蛎崎家の中でも特に目立った功 績をあげて行った。それはあの繭の神童ぶりに勝るとも劣らない物だった 。 「茜、よくできました。」 「ありがとうございます姉上。姉上どうなさいました?悲しそうな…。」 繭は一瞬驚いて、しかし微笑んで言った。 「きっと、疲れていたの。」 繭は優秀とは言えその能力の伸びが途中で若くして止まった。だが、茜 は伸びた。伸び続けた。身分もまた上がり続けた。侍大将を経て部将にな った。25歳にもなれば家老になっているのは確実だとされている。今の 繭と同じ年頃になれば、蛎崎軍団の花形、騎馬隊を率いるだろうと言われ ている。あの、南部晴政を師匠として。 「まあ、茜そんな事どこで思いついたの?」 年が経つにつれ、次第に、繭のかける褒め言葉に驚きが多く含まれるよ うになった。茜が髪上げをした時の繭の年と同じ年に茜がなった。繭は驚 くばかりだった。繭の翳りも深さが増した。 「姉上…。」 「大丈夫。ありがとう。本当に茜は優しいのね。」 「ちくしょう!!」 或る夜、繭が机を蹴り飛ばした。 「繭…、俺に出来る事なら何でもする。俺が助けてやる。俺がそばにいる 。俺はお前の笑顔の為なら命だって惜しまない。」 「うるせえっ!!出来る事!?そんな物ありゃ苦労しない!!」 繭がその若き頃、いや幼き頃に内応の誘いをして見事寝返らせた男、九 戸実親は繭と肉体関係にならない程度に密かに仲睦まじくなっていたが、 繭の酷くなる悲しみや憤激に心を痛めていた。それが今日、爆発した。 「わたしは、わたしは、どうしてこれ以上出来ないんだ!!」 「繭…。酒でも茶でも呑んで…。」 「のめるかっ!!一人でのめっ!!」 実親はそっと部屋を出た。 「繭、最近な、実親がお前の事を心配しているようだ。お前…。」 「父上、わたしは健在です。どこにも悪い所はありません。講義を続けて ください。」 「繭、そうだったな。」 繭は季広から算盤の講義を受けていた。大陸から貿易で入手したこの道具 は、単純で簡素な道具でありながら仕事の効率を飛躍的に上がらせる極めて 役立つ道具であった。 算盤の珠を指で繭は弾いて、弾いて、弾いた。どれくらい講義を始めてか ら時間が経ったかわからなくなった頃、ふと、繭は奇妙な光景を見た。珠と 珠の間に、人の姿があった。 「どうした繭?」 その時、繭の頭の中を、暗室が四方の壁と天井が一斉に取り除かれた時に 部屋を光で満たす勢いそのままに、無数の思考が駆け巡った。体重が鶯張り の床に乗せられた時発する音の大きさ、身長と飛び上がる力と携行 した道具で飛び越えられる高さ、守衛の持ち回り間隔、毒の調合比率、刃を 振り下ろす力と速さ、灯りが作る影の方向、そして、標的の生活習慣…。 「繭!!正気に戻れ!!」 季広が抱きかかえていた。 「大丈夫です父上。この講義ありがとうございました。きっととても役に 立つ事でしょう。」 繭の目が、光っていた。見た事が無い光だった。 それから、季広の元に信じられない手紙が届けられた。茜暗殺の予告だっ た。季広は怒りを面に出さず、しかし強く命じた。 「茜の警護を厳重にしろ。蟻の子一匹通すな。羽虫一匹通すな。可能な限 り厳重にしろ。」 暗殺者はすぐには現れなかった。そもそも予告して暗殺に来る者などいな いのではないかと言う意見も出たが、季広は警戒を続けさせた。何日も経っ たが解かなかった。 「敵が優秀な忍者を配下に入れ、その力を見せ付ける為にした事かも知れ ぬ。だとすればここで警戒を解いた所を狙われる事もありえる。すぐ現れな いと言うだけでは油断は出来ない。」 茜は厳重な警護の中で眠っていた。厳重な警護のはずだった。その部屋に 、一つの人影が現れた。 「姉上…。」 寝言を言う茜の枕元に人影が立った。人影が、一気に小さくなった。 「むぐっ!!」 茜の口が塞がれ、体が押えつけられた。 「蛎崎茜様、茜様のお命を頂戴に来た私は、誰でしょう。」 「そんな、何で…。何で姉上が…。」 部屋の外に聞こえない大きさで繭が語りかけ、繭が震えて返す。 「わたしね、わたしの優秀さを、気づいてもらいたかったの。あれはわた しの手紙。暗殺が出来るようになったとはいっても、慣れてないし警護が厳 重だから隙が無くて苦労したわ。今日までに何度も近づいては諦めたの。」 「姉上…、助けて…。」 それを聞いて、繭の目が光った。 「勿論よ…、わたし達…、仲良しだもんね…。」 繭の顔が茜の顔に近づけられた。そして、唇が重ねられた。 強い、密な口づけだった。少し茜が苦しんでいる。繭が口を離した。 「静かにしてね茜…。」 再び繭が口づけした。唇を重ねるだけでなく、茜の口の中を犯すように 繭の舌と唇が動いた。茜の頬がますます赤くなった。茜の体の震えを繭の 体が受けて喜んだ。 「ぷはっ。茜、遊びを続けましょう…。」 茜の口が再度塞がれた。繭の片方の手が動き、茜の胸に這わされた。茜 の胸の上をかるく掌が滑り、乳首を指先が触れた。 「茜、大きい声出すとバレるよ…。」 繭の顔が一瞬険しくなってまた元に戻った。茜の胸をもてあそぶ繭の手 の動きは更に巧妙に、繊細に、茜を震わせる動きに変わって言った。 「そろそろ、わたしも思いっきり楽しもうかな。」 繭が茜に体を重ねた。胸と胸が合った。両手を握り、茜が足を絡めてき た。 「茜、くれぐれも、声は出さないでね。」 「伊達輝宗…我が第一軍団に登用しよう。期待しておるぞ。」 伊達家は蛎崎家の猛攻の前に多くが捕虜となった。当主は野に下り、大名と しての伊達家は滅亡した。 「茜よ、繭を知らないか。」 「いいえ…。」 「そうか。頼み事があったのだがな。他の仕事をしながら探す。」 季広は立ち去った。 「行ったみたいね。」 茜の首の後ろから繭の首が現れた。 「二人羽織って、興奮しない茜?」 繭の手が茜の胸を撫でる。 「姉上、もっと…。」 (完)
https://w.atwiki.jp/83452/pages/10939.html
黒魔術研究会、部室前 澪「なぁ、帰ろう?帰ろう?」 律「まだ言ってるのか?」 唯「今の私達は誰にも止められないよ!」 澪「ゆいー」ユッサユッサ 紬「それじゃ、入ろう?」 梓「待てぇー!」タッタッタッ 律「んー?あれ、中野じゃん。どうした?」 梓「どうした?じゃないし、置いていかれると思ってなかったし」 律「よし、入ろうか」ガチャッ 梓「ムギせんぱーい、デコ中デコがいじめますー」 律「ゴキ野ちょっとうるさい」 紬「どうしょうもないデコねー」 律「って、ムギ!?」 唯「ほら、入ろうよー」キィィ・・・ 律「うわ、暗室になってるのか?随分と暗いn」 「ピドホル・ガリア・ピドアル・ガラリア・ピドホル・ケプラル」 律澪唯紬梓「」 「ピドホル・ガリア・ピドアル・ガラリア・ピドホル・ケプラル」 「ピドホル・ガリア・ピドアル・ガラリア・ピドホル・ケプラル」 「ピドホル・ガリア・ピドアル・ガラリア・ピドホル・ケプラル」 「ピドホル・ガリア・ピドアル・ガラリア・ピドホル・ケプラル」 律「いやいやいやいやいや」 唯「帰ろう?ねぇ、帰ろう?」 澪「・・・」フラッ・・・ 「ファーボーアーノー」 「ファーボーアーノー」 「ファーボーアーノー」 律「え、ええ、え、この人達何してるの」 梓「見りゃわかるじゃないですか、黒魔術ですよ黒魔術」ガタガタ 黒1「あなた達・・・見たわね?」 律澪唯紬「!!?!?」 梓「あ、私見てません。何も見てません。それじゃ」ダッ 律「おいこら待て中野ぉぉ!」ガシッ 黒1「・・・見られてしまったなら、しかたがない」 澪「ごめんなさいごめんなさい」 黒2「この黒魔術は失敗ね」フゥ 唯「えっ」 黒3「他者に見られてしまったら失敗なのよ」 唯「あ、そうなんですか・・・」 黒1「あなた達よね?見学希望っていうのは」 紬「えぇ、そうです」 律「おい、思ったより本格的だぞ」ボソッ 唯「ね。怖いよ・・・」ボソッ 梓「この赤い液体・・・まさか人間の血液・・・」 黒1「いやね。そんなの手に入るハズないじゃない」ウフフ 律「・・・」ホッ 黒2「えぇ、安心して。人間じゃなくて豚の血だから」 律「安心できるポイントがどこにもねぇよ!」 唯「むしろ不安でいっぱいだよ」 紬「え、えっと・・・今のは何の儀式なんですか・・・?」 黒2「私がしていたのは噂を口封じするおまじないよ」 澪「騙されない。『おまじない』なんて可愛い言葉に私は騙されない」 唯「噂って、どんな?」 澪「馬鹿っ!なんでそれ聞いちゃうんだよ!」ボソッ 黒2「例えば、オカルト研と敵対してる、とか」 唯「それはちょっと嫌だねー、本当は仲いいんだ?」 黒2「それもうすっごく。毎週呪いあってるからね」 律「どう考えてもそれが噂の原因だと思うぞ」 黒2「あと、私達が誰かを呪い殺そうとしてるんじゃないかって噂があるみたいなの」 梓「そら、そんな噂もたちますって」 律「中野静かにしろ、お願いだから」 黒2「ひどいわよね。全然怖くないのよ?イメージだけで噂が一人歩きしちゃうんだもの」 唯「あはは、そうだよねー。そういうのって失礼だよねー」ガタガタ 澪「えっと、あなたは何を・・・?」 黒3「私がしていたのは憎い人を病気にさせる黒魔術よ」 律「普通に怖ぇよ!」 梓「ん・・・?これ、なんですか?」 黒1「今日は綺麗な月夜なの。それで・・・今日に合わせて試してみたい黒魔術があって」 梓「その準備なんですか」 黒1「えぇ。よかったら今やってみる?」 梓「それ、どうやってやるんですか?」 黒1「これをこの容器の中に入れて、燃やすの」 律澪唯紬「」 梓「も、燃やすんですか?」 黒1「えぇ。そして燃えている間、ずっと呪文を唱え続けるの」 梓「呪文、ですか?」 黒1「えぇ。一緒にやろっか?」 梓「えっ」 黒1「じゃあ、火をつけるわね」 律「っちょちょちょちょい待ち!!」 シュボッ 律「無視!?」 黒1「じゃあ一緒に唱えてね」 梓「あ、はい」 黒1「ゼールム・アパリーシュ・スミタニル」 梓「ゼールム・アパリーシュ・スミタニル」 黒1「松葉の精よ、○○○○に災いあれ」 梓「○○○○ってなんですか?」 黒1「憎い人の名前を唱えるの」 梓「なるほど・・・松葉の精よ、田井中に災いあれ」 律「おいこら中野ぉぉぉぉ!!!」 黒1「田井中・・・?わかった、私も手伝うわ」 律「何言ってんの!?」 梓&黒1「ゼールム・アパリーシュ・スミタニル、松葉の精よ、田井中に災いあれ」 律「おい、やめろって」 澪「これ、どういう効果があるんですか?」 律「悪い効果に決まってるだろ!『災いあれ』とか言ってるんだぞ!?」 黒2「これは報復の呪いと言って、効果絶大の黒魔術よ。相手が失脚又は病気もしくは死亡すると言われているわ」 律「ごめんなさい今すぐやめてください本当にやめてください」 軽音部、部室 唯「あー、面白かったー」 紬「すごい本格的なのね。ちょっとびっくりしたけど楽しかったわー」 澪「・・・」 唯「澪ちゃん、怖くないよ?元気出そう?」 澪「あ、あぁ。ちょっと、怯え疲れた」 唯「そりゃあれだけ震えてたらね」 律「・・・」 梓「律先輩、どうしたんですか?」 律「・・・お前、私が死んだら責任取れよ」 梓「はーい♪わかりまんぷー」 律「中野ぉぉぉぉ!!」 紬「ティータイム部とか」 律「それじゃ普段の私達と変わらないだろ」アハハ 澪「軽音部、ここ軽音部だからな」 律「わーかってるって」 唯「私、いいのを思いついたんだよ」 律「んー?なんだー?」 唯「私たちは、どうしてさっきの黒魔術研究会に興味を持ったと思う?」 梓「え?」 唯「私はね、『黒』だったからだと思うんだ」 澪「確かに。なんかわかる」 律「あぁ、青魔術とかじゃなー」 梓「ゴブリンパンチ」ガスッ 律「いてっ」 梓「ごめんなさい、間違えました」 澪「何が!?」 律「いてー・・・ゴキリンパンチすげぇ効いたわー」 梓「可愛い後輩をゴキブリ扱いですか」 律「尊敬に値する先輩をガチで呪った後輩なんて可愛くもなんともないな」 梓「尊敬に値する?私、唯先輩やムギ先輩や澪先輩や和先輩を呪った記憶はないんですが・・・」 律「あぁ?」 紬「はい、そこまで。で、唯ちゃん」 唯「うん、話を戻すよー?」 律「あ、そうだったな、ごめん」 唯「黒○○部って、すごく魅力的だと思うんだ」 澪「・・・」 律「おー!わかる!黒軽音部とかかっこいいかも!」 唯「全然わかってないね」 律「」 梓「そんなにその黒軽音部とやらに入りたいなら一人で入れ」 律「お前ぜってー泣かす」 唯「私が考えたのは黒歴史部です!」 紬「黒・・・歴史?」 唯「そう!どうして黒魔術研究会があって黒歴史調査部がないんですか!」 律「唯、お前・・・絶望先生みたいなこと言うなよ・・・」 唯「とにかく!人の黒歴史を暴いたり晒したりするのです!」 紬「っていってもねぇ・・・」 澪「あ」 梓「どうしたんですか?」 澪「一人いるじゃないか。大きな黒歴史を抱えた人が」 律紬唯梓「あ」 次の日 律「色々やってみたけど・・・やっぱり掛け持ちなんて面倒だな」 唯「そうだよー、昨日のアレは結構楽しかったけどねー。月に一回くらいでいいよ」アハハ 律「あぁ、だなー」 ピンポンパンポーン♪ 放送部『山中先生の学生時代の写真を校内に貼りまくった生徒は大至急職員室にくるように』 律「お、思ったより呼び出しかかるの早かったな」 澪「さわ子先生、カンカンだろうな」 放送部『繰り返しま、きゃっ!?』 さわ子『貸しなさい!・・・軽音部の部員は大至急職員室に来るように!わかったわね!!』 律「うお・・・おっかねー」 唯「この放送も日々のマイクチェックあってのものだよね、うんうん」 紬「で、この呼び出し行くの?」スクッ 律「行くしかないだろー?」ガタッ 澪「そうだな、ちょっとめんどうだけど」ガタッ 唯「でもなんで私達だってわかったんだろうね?」テクテク 律「そりゃ、軽音部でしか撮れないさわちゃんのオフショットも混ぜたからじゃないか?」 唯「えー?なんでそんなの混ぜたのー?」 律「澪がやったんだよ」テクテク 澪「ごめんごめん。楽しくなっちゃってつい」アハハ 紬「もう、澪ちゃんったら」ウフフ 律「っていうか、もうバンドの件は生徒にバレてるんだし・・・そんなに怒ることかー?」 唯「歯ギターでとんでもない顔の写真とかあったからね、怒るでしょ」 澪「・・・っと、着いたな」 ガチャ 律澪「失礼しまーす」 さわ子「おーまえらがくるのをー待っていたー・・・!」 律「」ビクッ 唯「え、えっと・・・あずにゃんは?」 さわ子「聞いたわよ。梓ちゃんは止めたのに・・・りっちゃんが・・・!」 律「えええぇぇぇぇ!?」 澪「あいつ・・・」 律「いやいやいや!?っていうか、歯ギターの写真貼りまくったのも梓d」 さわ子「言い訳は聞きたくないわ!」 律「うひゃい!?」 さわ子「全く、あなた達には受験生としての自覚というものがないのかしらそもそも高校生という自覚からして」ガミガミ 律「・・・な、中野ぉぉぉぉぉぉ!!!!」 おわり 戻る
https://w.atwiki.jp/rnext/pages/271.html
流されぬ者は 時刻にして、午前十一時五十五分過ぎ。 沈黙を守る回廊の果て、男の歩行に合わせて靴が床を何度も踏みしめ、木霊する。 一見何も考えずにテンポ良く歩いているように見える彼なのだが、実は違うらしい。 彼が一歩を進める度に見られる無数の仕草は、死角を可能な限り減少させ、広範囲を彼の支配下においているのだ。 男――橘はぐるりと施設を一周し始めた過程で、一つの疑問を抱く。 それはこの放送局の位置付けについて、である。 放送局と言えば、テレビ局を筆頭とする放送関連の事業が、電波を発信する施設。 これが彼の認識だった。この放送局にも、島をどの程度カバーできるのかは不明だが電波塔がある。 (案外、ここで放送が行われていたりしてな……有り得ないか) 思考の最中、ポケットに忍ばせていた携帯から送られた唐突な振動に、橘は足を止める。 停止したことを彼は過ちだと理解。思った瞬間には、携帯から電子音が問答無用で流れだした。 持ち主に対しての主張としてはあまりに高音量なそれの解放にワンテンポだけ遅れて、彼の右が床板を蹴った。 左の視界に含まれている扉を開き、有無を言わさずに進入する。 放送が直に行われると悟った上で行動を開始したというのに、この様である。 自嘲気味にフッと笑うと、彼は室内を見渡す。 突入した先は、狭い空間だった。続けて、言い表しようのない悪臭が鼻孔を突いてくる。 ここがトイレだということは、彼の瞳に映る景観から容易に判断できた。 だからといって、トイレに飛び込んだことに対するリアクションをとる暇は無い。 放送は始まっているのだから。 ◆ 放送を聞き終えた橘だが、改めてゾル大佐へ思いを馳せはしなかった。 これ以上何を思っても無駄なのだ。今更何を思ったところで、偉大なる軍人は戻ってこない。 剣崎も、三輪も、禍木も……戻らないのだ。 だからこそ、志村が未だ生存しているという事実は素直に喜ばしかった。 新世代ライダーの中にあっても、扱い辛いじゃじゃ馬二人を上手く纏めて戦っていた優秀な部下だ。 この島でも、志を同じくする参加者達と行動している姿が目に浮かぶ。 彼はそう思う一方、自分の立場に危機感を感じ始めた。 ――あまりにも、他の参加者達と面識がない。 橘がこの島でまともな会話を交わした相手は、ゾル大佐ただ一人だった。 更にその大佐に加え、関係者である本郷猛までもが死んだと放送されている。 二度本郷の名が呼ばれた以上、「死んだのは別人」という希望的観測を使うことも不可能だ。 しかし、面識を広げよう、と一口に言ってもどうするのが最良なのか、彼は図りかねていた。 単純に接触するだけならば、難しくはない。他の施設を目指せばよいのだが。 会うべき、会いたい参加者と接触できるのだろうかと聞かれれば。 (ノー、だな) 今回の放送でも七人の死者がコールされた。残り人数との関係を考慮すれば、前回と死亡者の出るペースは大差が無い。 スマート・ブレインの命令通りに殺しを行っている連中が、未だ複数残っているのだ。 安易に外をうろついていては、格好の獲物というものだろう。 ギャレンへの変身を行使したとしても、変身制限がある。 かと言えば、他に変身手段がある訳でも、武器を持っているわけでもない。 非常時のバックアップ無しで暴挙に出る程、今の橘は愚かではなかった。 (……せめて、こいつが扱えれば別なんだがな) デイパックから橘が取り出したのは、相変わらず使い道の分からないトランクボックス。 詳細不明の一品とはいえ、各種支給品同様スマートブレインの刻印が刻まれている以上、意味のあるものなのだろうが。 気付いたことと言えば、ハードポイントが一箇所設けられていること。 そして、数字のキーボタンが支給された携帯と酷似したデザインだということまでだった。 (しかし、理不尽だ……) 現在参加させられているのは『殺し合い』である。 そのために、戦うために支給品は与えられていると考えるのが普通だ。 使ってもらうことを前提としながら、使用法を説いてこない……理解に苦しむ行為だった。 その気が無いなら、始めから使える奴に渡せなどと心の奥底でぼやく。 (始めから……待て) ここで橘が、自身に『ラウズアブゾーバー』が支給されていない事実を思い出していれば、流れは変わったかも知れない。 ギャレンに対するアブソーバー同様、このボックスも他のライダーが持つことで真価を発揮するのだと気付いたかも知れない。 (そうか、これは――) 使用法は一切不明、適当な動作には反応せず、スマートブレイン製であることを示すロゴ。 放送前から持ち続けていた一つの支給品の扱いに対する疑念が、橘の中で確信へと変わる。 (――首輪の解除に必要不可欠なものという訳か) 全くもって、的外れな結論だったのだが。 (つまり、首輪を解除するには現物の構造をいくら調べたところで無駄。 このトランク・ボックスへ収められたデータを解析した者が、突破口を開けるということか) 橘が、スマートブレイン製のライダーズギアを一つでも目にしていれば。 この場に、スマートブレインと関わりを持つ参加者が一人でも居合わせていれば。 間違いなく、この結果は生まれなかったというのに。 どちらの要素も欠けているから、結局は勘違いに至る。 一つ救いだったのは、具体的な行動プランに欠けていた彼に、当面の目的を授けたことだろうか。 (協力者と共にこのボックスを調査し、首輪を解除する…… 金居が、カテゴリーキングが本当に死んだのなら、その秘密も隠されている……ッ) 後はいかにして仲間を得、作業に入るか――放送局の探索を継続しつつ、身の振り方を厳選する。 橘の出鼻を挫くかの様に、『それ』はやってきた。 歯を食い縛り、デイパックもファイズブラスターもその場に置き捨て、彼はタイルを蹴っていた。 目の前にある便所内では大きめの――――バリアフリー仕様の、個室へと。 いかに悪食の橘朔也とて、限度が在る。 どの程度の期間開け放たれていたかも不明な無人のコンビニで、彼は朝方、寿司を食べていたのだ。 むしろ、違和感無くここまで過ごして来たのが可笑しい。可笑しすぎたのだ―― ◆ エレベータが、目的地への到着を示すベルを打ち鳴らす。両サイドへ展開するドアを見届けてから、橘は三歩前へ進んだ。 眼前の壁に貼付けられたボードに、3Fの案内が記されている。デイパックを彼はすとん、と落として、板を凝視する。 2F探索時に再び身につけたサングラスの、内側から。 「……」 『現在地』と示されたエレベータ前から、ゆっくりと人差し指をスライド。橘にとって、2Fに続いて二度目の行為だ。 自分が廊下を歩き、角で左に曲がる様子を想定するため、右に幾秒か動いた後に上方へターンしていたそれが、唐突に停止した。 「島内向け……放送室?」 常に周囲を警戒していた筈の自身により、あっさり一言漏れたことにすら、橘は気付かないでいた。 目を丸くしながら、再度の確認。『島内向け放送室』。見間違いではない。 (数刻前の考えが、現実に? いや、まさかな。……だが、本当に放送を行う場所なのであれば) 脳内を思案に費やす一方、デイパックを落としたっきり御役御免と化していた左腕は、瞬時にポケットへ突っ込まれていた。 別に、携帯を引き出してどうのこうのしようというつもりはなく、ただ『放送』という二文字に過剰反応しただけに過ぎなかったのだ。 彼はぞんざいにそれを開いて待受を表示させるが、そこまで。特にそこから起こせることもなく、あっさり閉じる。 (見てみる価値はある、か) 畳まれた携帯を元の位置に戻し、ポケットから抜き出された指先がデイパックを掴む。 流れるような動作を終えると、橘はようやく息を入れた。爪先を右へ向け、左足から歩み出す。 ボード上での指先を再現するように、両足が繊細な足どりを披露する。 暗色系のスーツにサングラスという姿は、否が応でも不審者というワードを見るものに連想させていた。 ――お目当ての一室は、案内通りの位置に配置されていた。銀のプレートに、黒く室名が彫られている。 異常なまでに厚みのある引き戸が、数秒の沈黙に続いて彼を認識すると同時に、自動でレールに沿ってスライドするに従い、内部の暗闇が解放される。 カーテンか何かで遮断されているのか、或いは窓がそもそも無いのか。廊下を照らす日光も届いていなかった。 (さて……) 取り出したギャレンバックルに、ダイヤのカテゴリー・エースに位置するラウズカード『チェンジスタッグ』を差し込む橘。 ロビーで休息を挟んだ時同様、有事の際に備えて万全を期した格好だ。バックルの装着を確認すると、彼は暗室へと侵入を開始。 やけに広いようだな、と彼はマグライトで足元を照らしながら部屋へ向けて、心中で一言。 死角を減らすため、隅へライトを当てながら近寄り、適当な荷台に自身の荷物を降ろす。 (この部屋も、やはり無人か) 橘は円形に形作られた明かりを更に踊らせると、割と身近にスイッチの存在を認識し、無表情のままにそれを押した。 部屋に光が満ちる。それでも仕様なのか、控え目な光源ではある。故にサングラスで防ぐ程の輝きではないが、外そうとはしなかった。 それまでは断片的にしか分からなかった暗室の全景が、点灯によって明確にされた。 やはりこの部屋には外界と密室を隔てる窓がなく、空調により室内の空気を安定させているということがまず一点。 続けて、四方の壁には無数の孔が開けられており、防音機能を持つこと。 床には無数のコードが束となり大蛇の如く這い回っていて、それは調整用機材に、更にはガラス張りを隔てたスペースに配置されたカメラへと伸びている。 橘は機材に備えられたモニターへと近づき、「よくできている」と評した。防音室という安心感が、彼に独り言の余地を齎している。 詳しくは分からないが、殆どの作業をこの機材が受け持ってくれるらしい。 放送室と謳っておきながら、調整室――コントロール・ルームの機能も兼ね備えた一室に、彼は好印象持つ他ないだろう。 その気になれば、今すぐにでもスイッチを入れてカメラの前に立ち、自らの主張を島中へ流すことが可能なのだ。 タッチパネルを操作していくと、携帯電話へのワンセグ放送すら成し得ることができることが明らかになった。 主催者側と同様の放送を行える設備を何故整えておいたままなのかが疑問ではあったが、これも挑発だろうと思考を打ち止め。 マニュアルに従い下準備を終えると、サングラスを吊り上げ、スイッチを眼下に臨む。 「……上手くいけば良いのだが」 呟き、橘はスイッチを入れる。島内に散らばる支給携帯群へと、同時に発信が行わ始めた。 受信をするという点において、彼のそれもまた例外ではない。 邪魔になるとの判断から、機材上に電子音を鳴らすそれを放置する。 前奏はスマートブレインの放送と同様だ。これならば皆反応を示すと彼は確信し、ドアを開く。 放送室のメインスペースから防音ガラス越しに写る彼の姿は、紛れもなく新生BOARDの指導者『橘朔也』であった。 ◆ スイッチを入れてからカメラの前に立つまで、七秒。そして三秒の後、レンズ付近のランプが色を変えた。 『まず、この放送を目にしている参加者の皆様に突然の無礼を詫びさせてもらう』 俺は一言吐いて、サングラスを改めて右中指で吊り上げる。 なんとなく、間が欲しかったのだ。それ以上の理由は無い。 次に、簡単な自己紹介を済ませようと思う。 『私……橘朔也は、君達と同様、このゲームの参加者だ』 参加者としての立場を明確にすることで、放送の主がスマートブレインではないと聞き手に理解させる。 突然の放送で混乱しているであろう者のためにも、ここで再び間を置く。 『君達の中には、既に私の名を聞いている者もいるかも知れない。 が、できることならばこれからの話はそれらによる先入観を持つことなく聞いて欲しい』 志村やアンデッド達が俺の情報をどれだけ明かしているかは不明だが、事前知識だけで判断を下す存在を求めてはいない。 『単刀直入に言わせてもらおう。……私は、ゲームの終了に必要な鍵を所有している』 ただ、事実を俺は述べた。わざわざ放送を行ってまで公表する『鍵』の存在を、「馬鹿馬鹿しい」の一言で切り捨てる存在もまた、求めてはいない。 それどころか、気付いて欲しい。俺は『鍵を持っている』に過ぎないと語っていることに。一人で鍵を解き明かすのは無理だというサインだ。 実際の所では解析の自信もあるが、同行者への欲に偽りは無い。頭は回れば回る程良いのだ。 『そこで、だ。……協力者を募りたいと思う。我々の結束なくして、脱出という悲願の達成は有り得ない』 今度は、伏せることなく本題を突きつける。馬鹿でも俺の言いたいことを察するに違いない。 また、脱出を望まず、純粋に殺しに乗っている者の存在は、敢えて無視しなければならない。 『こちらの現在地は――――君達も察しがついているだろう。……そう、放送局だ』 俺は『放送局』をやや強調して発音した。 この放送に当たって、『放送局』と『研究所』。これらのワードを、参加者達に意識付ける必要があった。 現在地としての放送局、鍵を解くがための施設としての研究所を示せば、この放送に対してアクションを起こす者の大半はこれらの施設へと向かう。 ――そして。少数の優れた者達が、真の合流地点へと気付く。 言葉の表面に踊らされる者達が向かうであろう二箇所でなく。 『鍵』を首輪の解除へと昇華させることが可能な設備を持ち。 俺の現在地、放送局から安全に向かえる範囲へ位置している。 ――会場においてただ一つ条件を満たす、『大学』の存在に。 少々話が先走ったが、後は研究所の名を放送の中に含めれば全てが上手くいく。 『ここから我々は――!?』 異変に気付いたのは、正に研究所の名を聴衆の脳裏に焼き付けようとした瞬間。 俺の姿を映していた筈のカメラから、ランプの灯が消えた。 反射的に調整器具へ視線を流す。モニターもまた、暗くなっている。 紛れも無く、放送が途絶えたことを示していた。 「どういうことだ」 声を荒げて俺は、元いたスペースへと踵を戻した。 パネルに接触をするが、反応の一切は見られなくなっている。 ならば、とスイッチを一度切り、再び起動。 数秒の沈黙が俺と放送室を襲い、空調音だけが弱弱しく室内を彩っていた。 俺は放送が失敗したと結論付けた。 放送局というワードの単発提示では、知恵者に研究所の選択肢を弾かせることができない。 それどころか、ただ俺の居場所を『放送局』とみすみす教えただけだ。 こうなってしまったからには、急いで此処を去る必要がある。 放送終了につき元の画面へと戻った携帯を掴み、デイパックを持ち上げると、入室の際跨いだ敷居へ向かう。 ――――その時、だった。 『いけませんよ~、そんなイタズラしたら。どうやら、社長さんもお怒りみたいです♪』 天井方面から響いてくる、嘲笑含みな女の声。一文字一文字が強調されている。 ――やかましい。それ以上のことを考えずに俺は躊躇せずドアの前へ立つ。 五秒程度待機すれば、認識音と共に道を開くはず……だった。 「何……?」 『勝手にお友達へ呼びかけちゃうおじさんには……罰を与えちゃいますよぉ』 罰……だと? ……「放送してください」と言わんばかりの用意をしておきながら、か? 完全に想定外――そう、今までの放送には、主催者側からの余裕が見て取れていたのに。 このタイミングで……唐突に、何故放送とはいえ介入する? (俺が、これを持っているからか?) デイパックに眠る鍵を持つ俺が、放送することに問題があったのか? この場を発つと困るのか? 俺が自問自答に明け暮れる間にも、気色悪い女は続きを紡いでいく。 『あなたも参加者なら……罰ゲームの内容、分かりますよねぇ?』 『参加者なら』。参加者である証―― 「首輪……」 『正解で~す♪ ……ふふ、おじさんには、これから「あの二人」とお~んなじ目に、あってもらいまぁす』 俺に対して「あの二人」と言っているのだ。十中八九、三輪と禍木のことを指しているのだろう。 心の奥底から這い上がってくる死への恐怖心は、紛れもなく本物のソレだった。 「……………………」 『……なぁ~んて。ウソですよ、ウ・ソ。俯いてるとせっかくの凛々しいお顔が台無しです♪』 この言葉を聞いた時、俺はかつてない開放感と、行き場のない嫌悪感を同時に感じた。 加速していた胸中の鼓動が瞬時に落ち着き、上方のスピーカーを見やる。 『でも、イケナイことをしたことに違いはありません。なのでしばらく、ここで反省しててもらいます』 扉がいつまでもスライドしないのは、俺がここに閉じ込められることを意味しているらしい。 『お姉さんからのお叱りタイムはここまででぇす。心を入れ替えたら、しっかりゲームに参加してくださいネ。 あ、途中までの放送ですけど、ちゃ~んと皆さんに伝わってますから、ご心配なく♪』 ……この上なく不愉快な時間は、ここで終わりを告げた。 扉は閉ざされたまま、深い沈黙を守っている。 腰にはレバーさえ引けばすぐにでも変身可能な、ギャレンバックル。 強行突破する手もあるにはあるが、変身を使えば俺は二時間丸腰だ。 あくまでも俺の策は、戦力を温存した状態でここを出ることで成り立つ。 これは思惑を潰すがための挑発。安易に、乗るものか。 「とにかく、これ以上俺の邪魔立てはさせない……!!」 状態表 【橘朔也@仮面ライダー剣】 【1日目 現時刻:午後】 【現在地:G-3 放送局-3F、島内向け放送室】 【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後) 【状態】:悲しみ。顔・背中・腹部に打撲。生きる決意 【装備】:ギャレンバックル 【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1~6、9)、レトルトカレー、ファイズブラスター 【思考・状況】 基本行動方針:ゾル大佐への責任をとり、主催者を打倒する為、生き残る。 1:放送室からの脱出法を探る。変身は状況次第で使用。 2:信頼できる参加者と大学でトランク(ファイズブラスター)を解析する手筈を整える。 3:死神博士にゾル大佐の遺言を伝える。 4:アンデッドを死亡させたメカニズムの解明。 備考 ※自分の勘違いを見直しました。仮想現実と考えるのはやめることにしています。 ※牙王の生死を確認していませんが、基本的には死んだものとして考えてます。 ※ファイズブラスターを首輪解析に関連するツールだと考えています。 ※自身の知り得る参加者の立場について以下の様に位置づけています。(※付きに関しては名前を知りません) 味方(積極的に合流):志村純一 不明(接触の余地有):一文字隼人、城光、死神博士、※一文字隼人(R)、※ハナ 危険(接触は避ける):※東條悟、※牙王 ※放送室には個人で参加者の携帯、もしくは全島各所にあるスピーカーへの放送が可能な準備が整っています。 ※午後二時に各参加者の携帯へ向けて放送が行われました。 ※橘は自身の姿を映して放送を行ったつもりですが、主催者側の介入でスノーノイズが発生しています。ただし、音声はクリーンです。 ※放送室のロックがいつ解除されるかは不明です。後の書き手さんにお任せします。 099 激突! 二人の王 投下順 101 藪をつついて黒龍を出す 000 前の作品 時系列順 102 この言葉を知っている(前編) 079 restart 橘朔也 105 病い風、昏い道(前編) 088 LONG WAY HOME スマートレディ 113 Crisis(前編)
https://w.atwiki.jp/mobamasshare/pages/417.html
362 名前: ◆cAx53OjAIrfz[saga sage] 投稿日:2013/07/17(水) 02 25 15.16 ID 0o/+YsS+0 [2/9] 未来は不確定である、という科学的論述が出てきたのは何年前の話だろうか。 基本的には世の中の出来事は、観測するまでは物事は確定しないという話だ。 不確定性原理、説明としては猫箱がよく引用される。 茄子「要するにですね、神様というのは暇じゃないんです、一日中世界を見て回ることは出来ません」 茄子「ここでいう世界というのは、地球全体ではなく、限定的な密封された観測地点と考えて下さい」 茄子「もっと分かりやすくいいましょう、所謂宗教が伝播した場所そこが神様における観測地点です」 П「へぇ」 茄子「そして、その伝播した世界を見て回る際、ある法則を共同で設けました、物事の事象の確定です」 П「うーん?」 茄子「所謂各世界に伝播する物事は、朝日の上りと共に確定します」 П「詰まり、Aという事象が起きたとして、干渉できるのは太陽が出てくるまでということか?」 冷えたそうめんをすすりながら、茄子の『講義』に耳を傾ける。 茄子「うーん、分かりやすく言うと『過去に起きたこと』も、実際には何一つ確定できない事象なので、ハッキリ言うと『その場における人の生き死にだけ』なのですよ、確定できるのは」 П「随分ズボラじゃないか、ってことは世界中の死神しか働いてないってことに、ズズッ、なるじゃないか」 茄子「まあ、ぶっちゃけるとですね、昔々、時の神様ってのは一応居たんですけどね、何分人間の味方につきすぎたせいで、神様方は偉いお怒りになって」 П「どうしちまったんだ?」 茄子「一度天界に行ったんですが、結局地獄勤務にされちゃったんですね、体の良い左遷です」 П「まるでハーデスみたいだな」 茄子「まあ、良い人なんですけどね、それ以降誰もまともにやらなくなっちゃいましてね」 П「ズズズッ……まあ、兎に角基督教本やらなんやらが、関係してるってことか?」 最後のそうめんをすすりながら、質問をする。 茄子「天界移住後はただ農耕に精を出す人だったんですけど、その中から勝手に役目を決められて、まあまだ人を見守れるからいいかと静観してたんですけど…」 ここで、精一杯おどろおどろしい声(実際には無理をした上ずった声)で、話し始める。 だが、幸福の女神というのは幸福に溢れすぎてて、恐ろしいものの表現が壊滅的に下手くそらしい、怖くなかった。 茄子「ここで、ある人々と人々に差異が生まれちゃったんですね、言うならば富める者、貧しい者そこでとある神様は考えました、宗教を作ろう、と」 П「まあ、世紀末とかにはよくある話だな」 茄子「まあそこから今まで続く話に続いちゃうんですが、兎に角その宗派は生まれたてで、どんな力でも欲しかった」 П「まあ、そりゃあそうだな、0からものを作るんだから、人手は必要だな」 茄子「それが、少し理想論に傾きすぎてたみたいで……結局宗派は分裂、人間同士のいざこざの種になってしまいましたとさ」 茄子「そこでその、勝手に役割を与えられてた神様は怒って、役職を辞任、そしたら地獄に落とされちゃいました」 П「で、結局何が言いたいんだ?」 そうめんの汁を流しに持ってゆき、コーナーポストに流しながら結論付ける。 割りとこいつは会話が流れていきがちなので、一々戻してやらないと話が終わらないのだ。 茄子「あれ?何の話でしたっけ?あ、そうそう分かりやすく噛み砕くとですね、神様は人が死んだら死人帳簿というのを書くんですが、それを書き始めるのが夜明け」 茄子「だから、人の死が魔術で不変(基本的には)になるのは、『その日の夜明け』と言うことになります。」 茄子「それを死神に手渡して、人の魂を回収させるんですよー」 П「割とさっぱりした内容だったな、ともあれ、人が死んだら出来るだけ早く蘇生させろってことか?」 茄子「ですねー、タイムマシーンがない限りはそーなりますねー」 П「そんな内容をクドクドと長話にしやがって……兎に角、過去に死んだ生き物が帰って来ない、ってだけでだいぶ安心だな」 茄子「割りと昔から多方面に喧嘩売ってますもんねぇ、Пさん」 П「あーそうだな、地上げ屋とか、ヤクザとか……兎に角、平穏であるならいいってのに、何だってあいつらは一々喧嘩を売ってくるのやら……」 目の前で正座で『治療中』の新田美波(大学生)を見つつ、何気なく麦茶を飲み込む。 茄子「あ、邪魔しないでくださいね、まだ終わってないので」 П「……効果あるのかこれ?」 和室に正座し、目の前の小さな十字型に波羅蜜多を唱える、という何とも不思議な光景を見れば、どんな人間も効果を疑いたくもなるものだ。 茄子「あります、鰯の頭も信心からという言葉があるように、恐らくカースは魔界産なので、こうやって心からのお祈りが心の防御力をあげて、カースを追い出す…筈!です!」 何となく強い語気に押され、何も言えなくなってしまう。 とはいえ、この十字からここまで話が伸びるとは思わなかった。 兎にも角にももうそろそろ30分経過で、今日のお祈りは終わりのはずだ。 美波「……ふぅ」 П「終わったらとっとと帰れー」 麦茶を飲み干しながら、手を振りとっとと帰宅を促す。 夏のうだるような暑さの中、よくもまあ平気な……わけでもないらしく、汗を流しコチラをチラチラ見てくる。 П「何だ気持ち悪い……」 美波「ふふふ……聞きましたよ!Пさんが女性が苦手だという話!」 П「あ?」 美波「だから、反撃されないって……」 立ち上がりケツを蹴り飛ばした、話の元は茄子だろうが、そりゃあ残念俺よりか弱ければの話だ。 美波「な、なんでぇー」 П「ケッ、健康優良大学生がふざけやがって……」 美波「だからあの3人を見逃してると思ったのに……」 П「…は?」 美波「え?知らないんですか?女子寮の私の部屋の隣の、変なきのこ栽培してる3人組」 П「…はっ?、いやまて、アソコは一人だけのはずじゃあ」 変な汗が出てきた、ヤバイ何この感覚、部屋できのこ?え?カビ?部屋ヤバくない? П「あば、ばばばばああばばっば」 美波「あ……行っちゃった……」 全力で家を飛び出し、目的の部屋に走り駆け込む。 マスターキーでドアを開けると、そこは床に広げられたブルーシートの上に、黄色いドロドロした泥にキノコが無作為に繁殖している。 暗室の中、ホラー映画を見る3人の少女の姿が見て取れるが、今はどうでもいい、急ぎ壁周辺を探索するがどこもカビては居ないようだ。 П「部屋にはなんとも無い……良かった」 心の底から安堵する、と言うか何か小便臭かった。 П「…ん?」 寝癖のような、跳ねっけの頭の少女が小便を漏らしていた……え、ナニコレ。 幸子「あーっ!あーっ!あー!」 小便まみれのスカートが、顔目掛けて飛んできた、ションベン臭い汁が口に入る。 しょっぱかった、ただただしょっぱかった、というかションベンだった。 Пは激怒した。 П「……」 幸子「何でボクがこんな……」 ぶつくさ言いながら目の前の少女が、自分のスカートをよくわからない袴を履いて手洗いしている。 別に友達を作るのは良い、俺もあーだこーだは言わん、だがな部屋で、しかも大体的にキノコを栽培するのはやめろ。 と言った内容の説教を3人にして、服を小便汁まみれにした少女に自分で服を洗わせる。 洗濯機もあるが、正直ションベン臭いまま入れられると俺が困る。 というか、ホラー映画を見ていて、突然現れた俺が死体みたいだったとか、小梅に言われて余計腹が立つ。 幸子「大体おかしいんですよ、ここら辺だとボクの能力が使えないし……」 П「偶にはお前らの服の洗濯してる、機械類の気持ちになるですよ……」 幸子「何でこんなに!カワイイボクが!手洗いで洗濯をしなくちゃあいけないんですか!」 П「カワイイは関係ないだろ!とっとと洗え!」 幸子「あれれ?今カワイイって否定しませんでしたね?いいんですよ?カワイイって言っても」 П「あんまりうるさいとスカイダイビングやらせんぞ、女子寮の屋上から」 そう言うと、またぶつくさ言いながら服を洗いにかかる。 その間、隣の部屋で吸血鬼ごっこをやり出した小学生(?)二人を見つつ、口の中を液体ハミガキですすぐ。 まだ取れない、本当にイライラする。 茄子「あ、Пさん、食事出来ましたよー」 そう、こいつらは食費を稼ぐ宛がないのだ、マジかよ家帰れよと言いたいが。 小梅に言う直前に頭を横に振られた、何でアイツ俺の言うこと分かんの? というか、茄子は何処から服を用意してんの?何なのあの和服。 輝子「ふ、フヒヒ……あ、新しい、トモダチ……」 小梅「Пさん、今度肝試し……ゾンビ役やろう……」 П「うるせぇ」 幸子「カワイイボクに食べて貰えるなんて、光栄な食事ですね!」 П「とっととスカートを、洗濯機に放り込んでこい」 幸子「あれれ?管理人さんはまだ食べないんですかぁ?」 コイツ……今度絶対スカイダイビングさせる、絶対だ。 段々口の中の不快な味が消えてくる中、そう考えるПだった。