約 2,304,152 件
https://w.atwiki.jp/renst/pages/345.html
ガオブルー 種類:Sユニット カテゴリ:ワイルドビースト BP:3000 SP:- 必要パワー:2 追加条件:なし CN:3 特徴:ブルー/男 テキスト: 【サージングチョッパー】自軍ターン中、Sユニットとバトルするとき、このユニットはBP+5000される。 フレーバーテキスト 友に伝え、友より返る絶対無敵の魔法の呪文。行くぜ、ブラック! イラストレーター:Mitsuhiro Arita レアリティ:ノーマル 作品:百獣戦隊ガオレンジャー 収録:三界の獅子 自販:パック:銀の冒険者スターター 再録:リバイヴァ 自販:パック カード評価 BP+5000はデカい。能力を発動させればそこらのSユニットでは敵わない優秀なアタッカーになれる。敵軍ターン中は効果が無いので打たれ強くはないが。 登場当時はガオブラックと共にWBデッキのバトル要員として活躍したが、Sユニット除去手段が豊富になるにつれて定番カードの座から転げ落ちた。相棒と比べると必要パワーの軽さで劣る点が痛い。 関連カード 特徴「ブルー」関連 特徴「男」関連 コメント 2ndで特徴「ブラック」とコンビネーション出来る能力にならないかな。そうすれば5色の戦士や、イカファイアが生きるのに -- 名無しさん (2009-05-27 21 28 28) レッドファルコンを見るにブラック支援はギンガブルーが持つんじゃねーかな -- 名無しさん (2009-05-28 02 45 29) イカファイアがどう生きるんだ? -- 名無しさん (2009-05-28 10 55 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/punsuka/pages/34.html
1ダブルーン・コイン 2ダブルーン・コイン 5ダブルーン・コイン 10ダブルーン・コイン 20ダブルーン・コイン 50ダブルーン・コイン 100ダブルーン・コイン 200ダブルーン・コイン プラチナ・ダブルーン 粘土のダブルーン
https://w.atwiki.jp/220yearsafterlove/pages/27.html
http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/male/1284355939/ 1 :Mr.名無しさん:2010/09/13(月) 14 32 19 http //20yearsafterlove.blog111.fc2.com/blog-entry-215.html 見てくれてありがとう(〃∇〃) 私は熊本市内のこの辺に住む、ラストJC(受験生の女子中学生って意味だよぉ o〃^▽^〃o)です がんばってブログをやってるんですけど、誰も見てくれません(ノ_・。) 悲しすぎて涙で枕と下半身ぬらしちゃってますぅ[壁]*ノノ) キャ~ ハズカシー. だからこうやって捨て身で宣伝してるんですぅ 見てくれないと・・・~・_・~ ツキニカワッテオシオキヨ! ブログ:http //20yearsafterlove.blog111.fc2.com/ それか『愛する人への恋文』で検索してね(*´∇`*)
https://w.atwiki.jp/codegeasslc/pages/17.html
アッシュフォード学園篇から派生。 注意:PS2版のみプレイ可能、PSP版はプレイ不可 学園篇が決まった後のミレイの質問(最短で7日目)に「・・・恋がしたい」と答えると、翌日からブルームーン篇となる。 ブルームーンの夜は18日目固定。最短ルート入り8日目 複数キャラ(4人)にギアスを使用するとゲームオーバー (神楽耶にギアスを使用した次の日にカレンにも使用したらゲームオーバーになったとの報告も有) (神楽耶にギアスを使用したのち、ルルーシュにも使用したらゲームオーバーになったとの報告も有) (ギアスを1度使うと、ある程度間をあける必要があるかもしれないです。) 攻略中のキャラに対してはギアスを使っても使わなくてもEDは変わらない (使用するとたぶん信頼度が上がる) ギアスを使用しても絶対にその相手とEDを迎えられるわけではない。単に信頼度がUPするという目的の模様。 (EDを迎えるためにはそのキャラクターとの会話イベントをすべてこなす必要がある。すべてこなしても信頼度がリヴァルとの会話で1位になっていなければEDを迎えられない。ここでのギアスの目的は信頼度を1位になっていなかった場合1位にさせるという目的であり、ギアスを使用すればEDを迎えられるわけではない。) ユフィや神楽耶を転入させるか否かで攻略出来るキャラが変わる。学園組狙いなら2人ともスルーでよい 教師陣のEDはまだ発見情報無し。何回かイベントはある ルルーシュ攻略は選択肢に注意。 (夜以外出て来なくなったら選択を失敗してる可能性がある。) ナナリー攻略はルルーシュの信頼度は関係ない模様。兄貴に忠告されてもスルーで。 誰ともフラグを立てられなかったらリヴァルED(CGなし) [エンディング] 現在は、 C.C.(ブルームーン篇攻略) カレン(ブルームーン篇攻略) ナナリー(ブルームーン篇攻略) シャーリー ニーナ ミレイ(ブルームーン篇攻略) ユーフェミア(ブルームーン篇攻略) 神楽耶(ブルームーン篇攻略) スザク(ブルームーン篇攻略) ルルーシュ(ブルームーン篇攻略) 以上が確認されている。
https://w.atwiki.jp/dtieasdtma/pages/243.html
酵素にはさまざまなものが存在するが、加水分解酵素、酸化還元酵素、脱離酵素、転移酵素、合成酵素、異性化酵素に大別される。 加水分解酵素:基質に水を結合させて反応を起こす。 酸化還元酵素:基質に酸素を付加したり水素を付加したりする。 脱離酵素:基質から特定の基(原子集団)を取り去る。 転移酵素:ある基質から別の基質へと特定の基を移す。 合成酵素:ATPのエネルギーを使って二つの基質を結合させる。 異性化酵素:基質の分子式は変えないまま、その立体構造を変化させる(これを「異性化」と呼ぶ)。大学受験では異性化酵素の予備知識は求められない。 個々の酵素の名称は基本的に、和名の場合はそのはたらきをそのままあらわしたもの、英名(カタカナ)の場合は基質となる物質名の語尾にアーゼ(-ase)を付加させたものになっている場合が多い。 例えばマルターゼは、マルトースを基質として分解する酵素である。 したがって英名の場合は、基質の英語名が分かれば、たいがいの名称はその場で作ることができる。 酵素(化学物質)の名称でよく使われるものに、「アーゼ」の他には「デ (=de)」があるが(例:デヒドロゲナーゼ)、「デ」とは「〜が無い」という意味である(デヒドロゲナーゼは、ヒドロゲ=hydrogen=水を取り去った、という意味)。 この意味の「デ」は、「デオキシリボース」の「デ」と同じである。
https://w.atwiki.jp/onlyword/pages/24.html
【名前】ブルー 【性別】女性 【身長】165cm 【種族】ダークエルフ 【称号】舞姫 【装備】 武器:薔薇のレイピア 薔薇の飾りがついたレイピア、MPリジェネ能力と幸運上昇能力を持つ 頭防具:薔薇の髪飾り 薔薇の飾りがついた髪飾り、HPリジェネ能力と幸運上昇を持つが防御力が上がらない 体防具:薔薇のドレス 薔薇を連想させる緋色のドレス、見かけによらず回避率と幸運を上昇させる アクセサリ:プリーステスリング 知恵と精神を上昇させる 【容姿】 赤い髪の女性型 【パッシブスキル】 歌舞Lv.100 暗黒Lv.30 魔物ならしLv.20 【アクティブスキル】 美女と野獣:【歌舞+魔物ならし】 異性に対してテイミング率が上昇する。 ワルツステップ:【歌舞】 ダンスのステップ、攻撃速度と回避率、移動速度が上昇する。 ローズエトワール:【歌舞+暗黒】 回避行動自体に攻撃判定が付加され、足による攻撃の攻撃力が上昇する。 ステップトゥステップ:【歌舞】 水の上や空中など本来立てない場所にたつ事ができるトグルスキル カレイドスコープ:【歌舞】 スキル発動中、自身に向けられたターゲットがずれる残像を発生させるトグルスキル。 ブラックアウト:【暗黒】 闇に紛れる消えることで瞬間的に移動することが可能になるトグルスキル。 ブラヴォーコール:【歌舞】 敵のターゲットを自身に向けさせ、回避率が大きく上昇するアクティブスキル カデンツァランベルセ【歌舞+暗黒】 回転しながらステップを3回行う突撃系アクティブスキル、この最中は体自体に攻撃判定と吹き飛ばし判定が存在している 3歩目のステップ中のみ1,2歩目より攻撃力が高い プレシャスレディライブ:【歌舞+暗黒】 自身の体力を消費する代わりに範囲内の味方の状態異常と体力を回復させ、さらにステータスをアップさせるアクティブスキル アンコール:【歌舞】 戦闘不能に陥っている味方1人を復活させるアクティブスキル サキュバスキッス:【歌舞+暗黒】 命中した敵1体をチャーム状態にし、さらに体力を吸収するアクティブスキル シャルウィダンス:【歌舞+魔物ならし】 挑発がかかっている魔物を服従させテイミングする、成功率は敵の状態や残HPによっても左右される。 異性に対してはさらに成功率が上がる。 女王の一括:【歌舞+魔物ならし】 テイミングが失敗した魔物に対して再びテイミングを発動する、成功率は高いが失敗すると挑発+対象の魔物の攻撃力があがる。 マリアズペイン【歌舞+暗黒】 回転し周囲に音の波を発生させて敵にダメージを与えるアクティブスキル 吹き飛ばし判定と猛毒を有しているが発動時その場から動けない。 オペラクイーン:【歌舞】 歌声で範囲内の敵にダメージを与えるアクティブスキル、命中した敵に一定確立で混乱を起こす ゴシックディーヴァ:【歌舞+暗黒】 破壊をもたらす非常に強力な歌声で攻撃するアクティブスキル、命中した敵は見惚れてしまい一定確立で一切の動きが止まる ただし発動時総ての敵のターゲットが自身に向けられる。 スカーレットローズクロー【暗黒】 暗黒の力をその手に宿し、思い切り叩きつけるアクティブスキル、発動までに長いラグがあるが威力は折り紙つき。 【設定備考】 薔薇シリーズと呼ばれる装備で固めているキャラ、薔薇シリーズはどの装備も幸運が上昇する特殊なシリーズ しかし同シリーズのアクセサリは非常にドロップ率が少なく、まだ入手できていない為プリーステスリングを装備している。 見た目に拘っており、装備品も見目が好みのものしかつけないらしい 【リアルの設定】 株をやっているスーパーニート、持て余した暇で廃人をしている。
https://w.atwiki.jp/arian-saga/pages/57.html
名前 “青を継ぐ者”ミス・ブルー クラス(大魔術師/セージ) 性別:♀ 年齢:24 種族:ヒューリン 身長:170cm 所属:マギウステイル 髪の色:ややレモンな金 瞳の色:蒼 肌の色:白 「あは☆ いっちょお相手しちゃおうか!」 「人間何時だって迷う事はあると思うの。でもそういう時は…くそ食らえってなぎ払うわ」 七色の大魔導師の一番弟子で青の色を賜っている女性。水に限らず様々な魔術を扱う。 自由奔放な性格をしており、自分自身の考え方に絶対の信頼を置いて生きている。自己発電型成長装置。 ずば抜けた魔術の才を師に買われ弟子として抱えられ、モノの数年で殆どの基礎魔術を極めた経歴を持つ。 人間としてはありえない底なしの魔力を保持しており、魔力切れが存在しなかった。 魔術以外にも近接、遠距離戦闘の才も持っており、こと戦闘においては死角がない。 自分の意思で解封戦争に参加し赤の神弓サジタリウスのマスターとなった。 ホワイトをシロ姉さんと呼び、ブラックをクロ坊と呼ぶ。 妙に東方被れをしており、色々とその辺りの知識は兄弟弟子達に広めていた。 【以下各キャラクターからのご意見】 シルヴァー「たった1度しかあったこと無いけどとっても印象の強い人だったわ、少しオーラが違くって…ちょっと怖かったの覚えてるわ…」 ゴールド「悔しいですけど、才能というモノの存在を嫌と言うほど見せ付けられましたわ……」 ジョウ「カナンで本について助言くれたねーちゃん」
https://w.atwiki.jp/ooorowa/pages/270.html
ろくでなしブルース(前編) ◆QpsnHG41Mg ラウラは黙り込んだまま、ろくに言葉を発しようともしなかった。 仲間がほかの仲間を殺したことがそんなにショックだったのか。 ラウラの表情はさながら苦虫を噛み潰したように歪んでいる。 「フン」 小さく鼻で笑うウヴァ。 役立たずが、と付け加える。 本人に聞こえてはいないだろう。 “まあいい……俺はそろそろ動くか” 傷心の子兎ちゃんにこれ以上構ってやる気なし。 ラウラが何を考えているのかは知らないが、ウヴァは勝ち残らなければならない。 そのために、一陣営のリーダーとして出来ることはいくらでもあるはずだ。 どうでもいい些事は捨て置き、ウヴァはライドベンダーに跨った。 「俺はもういくぜ、ラウラ……まっ、精々頑張ることだな」 緑陣営の……俺の駒として、なぁ――? 「……………………」 恨めしそうに、ラウラは顔だけを上げてウヴァを睨む。 昏い表情だ。相変わらず気に入らない目をしていやがる。 が、ウヴァはそんなことで貴重な部下に当たり散らすような小物ではない。 心の広い俺に感謝することだな、と心中で笑いながら、ウヴァはバイクを発進させた。 それから数分間、ラウラはそこを動かなかった。 この気持ちの整理がつくまでに、時間が必要だった。 何度、どれだけ考えようが事実は変わらない。 シャルロットはセシリアに殺された。それだけだ。 この殺し合いに乗ったのだ、セシリア・オルコットは。 “ならば……最早躊躇う必要は何処にもあるまい” セシリアは倒す。奴は最早、仲間ではない。 奴は、越えてはならない一線を越えてしまったのだ。 一応説得はするつもりだが、それでも聞かないなら容赦はしない。 仮に説得に応じたとしても、戦力を奪って拘束する必要はある。 これでもラウラは、少し前と比べれば随分と丸くなった方だ。 一夏と出会う前のラウラなら、迷いなく殺そうとしていただろう。 そして、ラウラの変化はほかでもない織斑一夏の影響だ。 一夏ならば、きっとこんな時でもセシリアを救おうとするハズだから…… アレはそういう男だ。そんな男にだからこそ、ラウラは心惹かれたのだ。 だから、その一夏に免じて、すぐに殺すことだけはしないでおいてやる。 “それに……シャルロットもそれを望むだろうしな” こんな状況でもラウラを救い、セシリアを止めようとした彼女なら、きっと。 そこでふと、ラウラはシャルロットとの会話を思い出す。 このゲームの勝利条件――ウヴァへの逆転策。 “私は……例え仮初とはいえ、これ以上ウヴァには従えん” というよりも、あんなヤツに、もう従いたくはない。 シャルロットの死を笑い飛ばしたあの虫頭に従うなど反吐が出る。 だからもう出来ない。それは、シャルロットとの友情にかけても、許せない。 だから、ラウラはここで今までの考えを改めることにした。 “ウヴァの陣営の優勝? いいや、違う……私は、私だけの陣営を優勝させるのだ” シャルロットも認めてくれた、この状況を打開するための最善策。 すべてのコアメダルを集めて、自分だけの陣営を作り、優勝すること。 危険分子だけを排除して、極力多くの仲間を引き込み、全員で生還すること。 そうすれば、殺される必要のない多くの者を救って、共に脱出が出来る。 師である千冬も、嫁である一夏も、仲間である鈴音も、みんなで一緒にだ。 その方法なら、きっと一夏も、死んだシャルロットも喜んでくれるハズだ。 ラウラは、たとえどんなことがあろうとも、彼らの思いを踏み躙れない。 ……だが。 今のままでは力が足りない。 ウヴァにも、あのセイバーにも、敵わない。 だから、今すぐにでも、なんとかして力を得たいのだが…… “いや……そう思うなら、これ以上こんなところでじっとしてはいられないな” ラウラの中で、ようやっと前向きな決心がついた。 ○○○ 夕暮れの空を飛びながら、セシリアは一人涙を流していた。 徐々に闇に染まっていくこの空のように、セシリアの心も黒く染まっていく。 セシリアは大切な親友の一人を、この手で殺してしまったのだ。 その事実が、重く昏い闇となってセシリアの内でわだかまる。 「もう……もう……ッ今更……後戻り、なんて……」 出来るわけがない。 この手は既に汚れている。 セシリアはもう、血と怨嗟の色で汚れている。 一度血に汚れたものは、水で洗い流しても完全に綺麗になることはない。 こうなってはもはや、シャルの命を背負って生きていくほか道はないのである。 「……奪った分……私が……ッ幸せに……ならないと……」 うわごとのように呟くセシリア。 これは呪いだ。絶対に幸せにならねばならない、そういう呪いだ。 殺してしまった友の分まで、自分が幸福を掴み、生還せねばならないのだ。 それがどれ程に歪で醜い決意であるか……そんなことはとうに自覚している。 だが、それでも、不器用なセシリアには、もうこれしか残っていないのだ。 「ごめんなさい……ごめんなさい……私は、もう……」 金輪際、面倒なことを考えるのはやめにしよう。 考えれば考える程にセシリアの心はすり減るばかりなのだから。 ここからはもう、一切の思考を捨てて、罪深い一人の女として戦おう。 生き残るため、女としての幸福のため、ただひたすら……目的のために。 悪鬼の仮面を被って、セシリアはただ、一夏と生還するためだけに戦うのだ。 「そのためなら……なんでもしますわ…………」 恋敵を皆殺しにすることすら厭いはしない。 だがしかし、それだけではただの無駄な殺しだ。 生き残るため、生還するために必要なことは…… 「青陣営……優勝……させなくては……」 こうなってはもう、それしかない。 虚ろな瞳でぼんやりと下界を眺めながら、セシリアは小さく呟いた。 シャルを殺したのだ、もはや残りの恋敵も皆殺しにするほか道はない。 中途半端で終わるのでは、殺してしまったシャルにも申し訳が立たないのだ。 だが、恋敵だけを皆殺しにしたとて元の日常に戻れなければやはり意味などない。 恋敵を皆殺しにして、一夏とともに帰る為には、なんとしても優勝するしかない。 「そうですわ……優勝、しなくては……なりませんわよね……? みんな、殺さなくては……殺さないと……この手で……一人残らず……」 壊れた人形のようにブツブツと呟く。 セシリアは、これ以上、物事を考えるのがつらかった。 面倒な考えの一切を放棄して、そう決断するのが楽だった。 だったら、考えは全てこの場のルールに委ねてしまった方がいい。 「……ごめんなさい……皆さん……私はもう……」 申し開きようもない、どうしようもないクズだ。 だが、どうせクズならもう何をしたっていいじゃあないか。 クズならクズらしく、開き直って好きに生きた方が気が楽だ。 だから――今の一言が、友だったみんなへの、最後の謝罪だ。 「ここから先……私は……」 悪辣な鬼となろう。 目的を成すまで、自分の感情をも殺して。 何も考えない戦闘マシーンになって、ただ殺すのだ。 そして、どんなに汚い手段を遣ってでも、絶対に優勝するのだ。 それが……冷たく深い海の底で見付けた、至ってシンプルな答え。 セシリアの表情からは、既に人らしい一切の感情が消え去っていた。 ゲーム開始から、もう五時間以上が経過しているのだ。 あのメモの場所に行ったところで、すでに誰もいないことは明白。 いいや、もうそんなことはどうだっていい。 「どうせ敵はみんな殺すんですもの……こんなもの」 メズールから貰ったメモを手の中で握り潰し、地上へ捨てる。 ただのゴミ屑となったそれは、風に煽られ何処かへ舞っていった。 「……私の敵は……どこかしら……」 死人の如き能面を張り付けて、修羅の道へと堕ちたセシリアは飛ぶ。 次の標的を見付けるために―― ○○○ 「ベーニャンが偽物って……どういうことか説明するニャ!」 ベッドから跳び起き、イカロスに掴みかかるフェイリス。 フェイリスは、友達が友達を殺さなければならない状況が理解出来ずにいた。 イカロスは一体何をもって彼女を偽物としたのだろうか。 聞いても納得する答えが返ってくるとは思っていない。 が、それでも黙っていることなど出来なかった。 「ちゃんと答えるニャ、アルニャン!」 イカロスの肩を掴んで、がくがくと揺らす。 虚ろげな目をしたイカロスは、ブツブツと、何か言っている。 私の記憶と齟齬が、とか。メモリーがどうの、とか。 出てくる言葉はそんな要領を得ないことばかりだった。 やがて、イカロスを挟んで窓に面していたフェイリスの眼が、光を捉えた。 薄暗い夕闇の中で、何かが眩く光っている。 そして、「光っている」と認識したかと思えば、 「ッ―――――――――――!?」 もうすでに、光は硝子の窓を突き破っていた。 よくSFアニメに出てくる、レーザー光線……というヤツか? それが窓硝子を一瞬で粉々に粉砕し、イカロスの背に直撃したのだ。 エンジェロイドの身体を貫通することはないが、しかしその衝撃は凄まじい。 レーザーの余波がイカロスの背で弾けて、狭い室内で吹き荒ぶ突風を巻き起こす。 軽いフェイリスの身体など容易く吹っ飛んで、壁に打ち付けられた。 「あ……アル、ニャン……!?」 フェイリスは怪我という程の怪我をしたワケではなった。 イカロスが壁になってその背中で受け止めてくれたからだ。 だが、代わりにレーザーの直撃を受けたイカロスは―― 「ア、アルニャン! アルニャン! しっかりするニャ!」 人形のような無表情のまま、うつ伏せに倒れていた。 背中の天使の羽根の付け根には、レーザー攻撃によって出来た焦げ跡。 普通の人間ならばとっくに死んでいてもおかしくはないこの状況……。 一体どうして何が起こったのか、そんなことに考えは至らない。 フェイリスはただ混乱するだけしか出来なかった。 『オイ猫女、次が来るぞぉぉぉーーーーッ!!!』 頭の中で響いたモモタロスからの警告。 だが、そんなことを言われて反応出来るわけがない。 馬鹿みたいに、え!? とか、そういう反応しか出来ないのが素人だ。 粉々に砕かれた窓から空を仰げば、次はミサイルがこの部屋へと迫って来ていた。 「ニャーーーーーーーーーーーーーーッ!?」 何をするでもない、ただの絶句だ。 しかし、そのミサイルに命を奪われることはなかった。 ミサイルが着弾する瞬間、何かがこの部屋の周囲を覆ったのだ。 見えない壁に阻まれたミサイルは、その壁の外周を爆風で粉々にする。 頭を抱えて蹲るしか出来なかったフェイリスのそばで、イカロスが立ち上がった。 「敵勢勢力を確認――殲滅します」 システム音声のように、いつも以上に感情のない声で言った。 それから、キュイ、と小さな音を立てて、イカロスの瞳の色が変わる。 翼をばさりと拡げて、イカロスは敵のいる空へと飛び立っていった。 ○○○ イカロスを強襲した敵は、容易に捕捉出来た。 ステルス機能を使うでもなく……ただぼんやりと空に浮かんでいたのだ。 青い機械の装甲を身に纏った襲撃者は、イカロスと似た空虚な表情をしていた。 その少女の身体からやや離れた場所に、数機の青いビット兵器が浮かんでいる。 その名を、セシリア・オルコットと、ブルーティアーズ。 修羅へと落ちた女の名だ。 会話などなしに、ビットの砲門が一斉にイカロスへと向いた。 “ロックオン……されてる……” すぐに対処をしようと、此方からもロックオンし返す。 イカロスの翼から、ビット兵器と同じ数の赤い弾丸が射出された。 永久追尾空対空弾「Artemis(アルテミス)」だ。 アルテミスが一度イカロスから離れると同時に、敵のビットも稼働を開始した。 それぞれが独立した軌道を描いて、セシリアの身体から離れたのだ。 “オールレンジ攻撃……” だが、命中するまで半永久的に敵を追尾し続けるアルテミスには関係ない。 ビット兵器のかく乱はすべてアルテミスに任せて、自分は加速する。 背中の翼をはばたかせて――一瞬のうちに音速に近い速度を叩き出す。 これには流石のセシリアも驚いた様子で、狼狽を露わにするが…… 「――え?」 しかし、イカロスの加速は、セシリアに届くことなく終わった。 翼があるのだから、空は飛べる。飛行に問題はないが、加速が出来ないのだ。 アルテミスも、敵のビット兵器との追いかけっこの末、着弾を待たずして消失。 次のアルテミスを起動しようとするも、もうイカロスの翼は何の反応も示さない。 この不可解な状況変化に、セシリアは凛とした冷たい声で言った。 「あら、メダル切でも起こしましたの……? ご愁傷様ですこと……」 そういうことだ。 イカロスは決して燃費のいいエンジェロイドではない。 確実に殺すつもりで放たれたミサイルから身を守るための絶対防御圏イージス、 レーダーを起動し、セシリアに追いすがるための加速に、果てはアルテミス……。 残り二十枚ぽっちのメダルを使い果たしてしまうには、十分過ぎる消費であった。 むしろ、たったの二十枚でここまでやれただけでも驚くほどだった。 「……あっけない終焉ですわね」 ろくな加速も出来ないイカロスを囲むように、ビットが展開されていた。 その砲門が、うち四機はレーザーを、二機はミサイルを発射する。 加速も出来ない、ただ浮かんでいるだけのイカロスに回避は出来ない。 「あ……ぁ……」 一声掃射されたレーザーが、イカロスの身体を滅多打ちにする。 身体のあちこちで爆発が起こって、エンジェロイドのボディにダメージが及ぶ。 一秒、二秒と経たないうちに、すぐにイカロスはそれ以上の飛行が出来なくなった。 落下してゆくイカロスを、それでも執拗に追撃するレーザーとミサイル。 ミサイルの着弾と同時に身体が爆ぜて、爆風に煽られる。 レーザーの直撃と同時に人形のように身体が吹っ飛ぶ。 “いたい……ッ、くるしい……――” すぐに壊れてしまえない身体を持ってしまったことが恨めしい。 激しい痛みの中にあっても壊れること叶わない。 力も使えずただ苦しむことしか出来ない、生き地獄。 だが、こんな時でも助けてくれる者は誰もいない。 “……マスターは……此処には居ないから” それを思った時、動力炉に別の痛みが走った。 それについて考える時間を待たず、イカロスはアスファルトの地面に激突した。 大きな音と、強烈な衝撃。高く舞う砂埃。 全身を打ち据えるような鋭い痛み。 身体が、思うように動かない。 「しぶとい……ですわね」 アスファルトに沈んだ身体で、首だけを動かして上空を見遣る。 喜びも悲しみもない、深い空虚のような瞳が、イカロスを俯瞰していた。 砕けた大地を引っ掴んで、イカロスはぐぐぐ、と身体に力を込める。 相も変わらず能力は使えないが、それでも何とか立ち上がることは出来た。 あの冷たい目に負けず劣らず空虚な瞳で、イカロスは空を仰ぐ。 セシリアは、それ以上の滞空をやめて、ゆっくりと地へと降り立った。 つかつかと歩み寄った少女は、動かないイカロスの額に、銃を突き付ける。 ちゃき、という音と共に、額に冷たい鉄の感触を感じた。 「これで終わりですわね」 「……撃ってみると……いい……」 眉根をぴくりと動かしたセシリアは、躊躇いなく引鉄を引いた。 ドガン、と大きな音が炸裂して、イカロスの身体が人形のように後ろに倒れこむ。 額にやや赤い痣が出来ていた。 そこから、僅かな血液がつう、と流れていた。 しかし、それだけだ。イカロスに大したダメージは見られなかった。 それどころか、腕を抑えて苦悶の声を漏らすのは敵のセシリアの方だった。 「零距離射撃の……反動……。私は……そんなものでは壊せない……」 「っ……呆れましたわ……! こんなバケモノ、一体どうやって……!」 「それしか武器がないなら……あなたには、無理……」 イカロスは、幽鬼のようにふらりと立ち上がった。 驚愕に一瞬行動が遅れたセシリアの首を、獲物に飛び掛かる蛇の如き素早さで掴む。 その首をぎり、と締め上げて、人間離れした力でセシリアの身体を持ち上げるイカロス。 この少女は敵勢勢力だ。イカロスの命を奪おうとした、正真正銘の敵だ。 排除することに何の躊躇いも感じない。 ここで、ひと思いに殺してあげよう。 「さよなら」 最期に告げる、別れの言葉。 その細い首をへし折ろうとした、その時だった。 「やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」 聞き覚えのある少女の、悲痛な絶叫だった。 思わず手から力が抜ける。セシリアの身体が、どさりと落ちた。 声の主が、息せき切らして一生懸命に此方へ走り寄って来る。フェイリスだった。 フェイリスは、まろぶようにイカロスにすがり寄り、そのあらゆる動きを掣肘する。 「こんなことやめるニャ! そんなことしたって、何にもならないニャ!」 ……この心優しい少女は、殺人を望まないようだった。 その瞳に澎湃と溜まった涙が、イカロスに後ろめたい気持ちを抱かせる。 その優しい涙が、イカロスの知る誰かの涙と、よく似ている気がしたから。 そんな思考を遮ったのは、視界の隅で銃を構えるセシリアの存在だった。 「ニャッ!?」 危ない、と判断したその瞬間には、イカロスはフェイリスを突き飛ばしていた。 その瞬間、ばん! と大きな銃声が響いて、二人の間を銃弾が通過してゆく。 今狙われていたのは、イカロスではなく……無防備なフェイリスだ。 イカロスに睨まれたセシリアは、苦々しげに表情を歪ませ、再び装甲を身に纏った。 スラスターの噴射による反動で、セシリアは一気に二人から距離を取る。 「……彼女は……無防備なあなたを、殺そうとした……」 それでも、まだそんな綺麗事が言えるのか。そう言いたいのだ。 フェイリスは、しかし、それでも意志を曲げる姿勢を見せない。 「それでも、殺しちゃ駄目ニャ! それじゃあ……駄目なのニャ!」 フェイリス自身も上手く言葉を纏められず、ただ、駄目としか言わない。 だから、イカロスには何が、どうして駄目なのかがわからなかった。 そんな混乱も冷めやらぬうちに、脳内でアラートが鳴り響く。 ――ロックされている。 空に舞い上がったブルーティアーズが、ビット兵器を射出した。 それら全てが、イカロスとフェイリスの二人をロックオンしているのだ。 もはや見境もなし、ということだろう。 とにかく殺したいのだ、あの少女は。 「……フェイリス……メダル……」 「ニャッ?」 「ロックオン、されてる……けど、メダルがない……」 「ニャ、ニャんだってーーーーーーーッ!?」 メダルがないから、防御が出来ない。 最後まで言わなくてもわかってくれたようだから話が早い。 慌てたフェイリスは首輪からオレンジ色のメダルを取り出し、投げた。 ライオンのコアメダルだ。投げ放たれたそれを、イカロスは危なげなくキャッチ。 ビットは六機全てで二人を取り囲むように展開されている。逃げ場はない。 いいや、逃げるつもりもない。 「――イージス、展開……!」 イカロスの声と、ビットによる一斉掃射は同時だった。 ○○○ ブルーティアーズの一斉攻撃による爆発を俯瞰しながら、セシリアは思う。 ああ、また防がれたのだろうな。あの爆煙は着弾による破壊の爆煙ではないな、と。 あの猫耳の女が、イカロスにメダルを分けたから、とかそんなところだろう。 案の定、爆煙から飛び出して来たのは、あの赤髪の少女――イカロスだった。 すぐにビットを向かわせようとするが…… 「……速ッ――」 ――駄目だ! そんな余裕はない……! 尋常ならざる速度だった。音速にも達しようかという勢いだった。 セシリアの反応を上回り瞬く間にイカロスが飛び込んできた。 反射神経などとうに置いてけぼりにされている。 何も出来ないセシリアの頭部を、イカロスの手が鷲掴みにした。 “なんてッ! 馬鹿馬鹿しい……! そんなゴリ押し――!” 対処など出来るわけがない。 セシリアはそこまで人間をやめてはいない。 その身体はぶんと空を切る音を立てて振り回され――地面へとブン投げられた。 イカロスの怪力に重力も手伝って、セシリアの身体はとんでもない速度で急降下。 スラスターを全開で噴射させ、ようやく姿勢制御をしたのは、 “……ッギリギリ! ですわ!!” 固いアスファルトの地面に激突する数センチ手前だった。 即座にレーザーライフル――スターライトを構え直すセシリアだったが、 「……えっ!?」 イカロスを相手に、姿勢制御をしてからの構えではあまりに遅すぎた。 放たれた無数のアルテミスは、既にセシリアの視界の中で円を描いて迫っていた。 円形に展開された一発一発、その全てがセシリアを取り囲むように拡がり、急迫。 横方向の移動は全て封じられたし、下には地面、上にはイカロス、逃げ場がない。 次の行動を起こす前の一瞬のうちに全弾がブルーティアーズに着弾した。 短い悲鳴ののち、セシリアの身体が吹っ飛んで、地面に数度バウンドする。 見たところ直撃だが――しかしセシリア本体へのダメージは今の所存在しない。 ISとはエネルギーが切れるまではどんな攻撃からも装着者を守ってくれる鎧だ。 今回のダメージも全てISが打ち消してくれたのである。 が、しかしだからといって望ましいことはなにもない。 本来ならシールドエネルギーが消費される筈が、急激な勢いでメダルがなくなっていた。 今のダメージをメダル消費なしで受け止めていたらと考えると背筋が寒くなる。 “どうして……あんなバケモノが参加していますの……!?” 頭を抱え、ううんと唸るセシリア。 戦力差がありすぎる。不公平じゃあないか。 零距離射撃でもロクな怪我をしない奴に一般人が勝てるわけがない。 勝てるとするなら、高威力のエネルギー攻撃で一瞬で蒸発させるくらいか。 もしかしたら、それ以外にも幾らでも倒す手段はあるのかもしれないが、 何にせよ、今のセシリアにはそれをやりとげるだけの力がない。 いいや、武装がない、どころか―― “……私のデイバッグが!?” なくなっていた。一瞬前まで肩にかけていたのに。 どうやらさっきの衝撃で、転がりながら落としてしまったらしい。 すぐにスラスターを噴射させそれを回収しようとするが―― 「あなたにこれは回収させない……」 頭上に天使の輪を浮かべた少女が、デイバッグの前に降り立った。 デイバッグの前に立つイカロスが、セシリアにはまるで絶壁のように見えた。 「……殲滅……する……」 まるで脇に大砲を構えるようなイカロスの動作。 その所作に合わせて、光が集束してゆき、そこに巨大なエネルギー砲を顕現させた。 イカロスの超兵器――超々高熱体圧縮対艦砲(ヘパイストス)だ。 “あんなものまで……ッ!!” 絶句するセシリア。 アレの砲身にすさまじい熱量を感知したブルーティアーズがアラートを鳴らす。 アレの威力はおそらく、一撃でセシリアのメダルをすべて刈り取って余りあるだろう。 ISが消失したセシリアに、あのバケモノを倒す手立てはない。 だが、諦めて死を受け入れるワケにもいかない。 「くぅ……ッ」 ビットは駄目だ。アレを飛ばしている間、自分はろくに動けない。 スターライトも駄目だ。今からでは遅いし、威力でもおそらく勝てはしない。 だったら残る道は――ISの機動力を活かしての回避しかあるまい。 セシリアはスラスターを全力噴射して、大空へと舞い上がった。 周囲のどのビルよりも高く上昇したところで、ヘパイストスが火を吹いた。 滅茶苦茶な軌道で飛んでいたセシリアに、へパイストスは――直撃、しなかった。 セシリアの身体の左側に浮かぶビットを蒸発させ、IS本体を掠めて空へと通過してゆく。 「きゃぁぁぁぁ――――――ッ!!?」 ビットの半分が爆発し、その爆風に身体を煽られる。 許容範囲を超えた衝撃に、空での姿勢制御が不可能となる。 くるくると舞いながら、セシリアは落下していった。 地面に激突して、小さなクレーターが出来上がる。 そして、またメダルが減ったことを認識する。 “……これでは……もうこれ以上の戦闘は――” 不可能か……と、一瞬考えたセシリアであったが。 いいや、勝利の女神はまだセシリアに微笑んでくれている。 セシリアの目の前で、イカロスの頭上の天使の輪がすうっと消失したのである。 さっきと同じだ。赤くギラついていた瞳も、ぼんやりとした緑へと変わる。 どうやら、戦闘形態の維持が不可能になったらしい。 実のところ、ヘパイストスも、コアメダルで補ったメダル残量では足らなかった。 今の一撃は、これでも大幅に威力が抑えられたものだった。 それも今の一撃でセシリアが一瞬で蒸発しなかったことの要因の一つである。 もっとも、ソレを差し引いてもセシリアが助かったのは奇跡と呼べるレベルだが。 “とにかく、彼女は今のでメダルの補助分を使い切ってしまったようですわ” それを理解したセシリアの頬がにやりと緩められる。 イカロスはその高性能さゆえ、メダル消費に関しては最悪の燃費なのだろう。 欠点などないかと思われた強敵だが、それはこの場においては致命的な弱点である。 ビットの半分は失ってしまったが、これはISの自動修復機能に任せておけばいい。 メダルを失ったイカロスをなんとかすれば、いくらでもやりようはあるのだ。 一気に逆転したとばかりに笑みを浮かべたセシリアは、 「そのデイバッグを返しなさい。さもなくば、そのメイドを殺しますわよ」 スターライトの銃口を、今も無防備なフェイリスへと向けて要求をする。 どうせイカロス本体を殺すだけの威力はない。こっちの方が脅迫としては上出来だ。 イカロスの表情がぴくりと動くが、しかし思いのほか、イカロスは返答をしなかった。 「私とフェイリスは……関係ない……」 「では、そのメイドさんをお見捨てになりますの?」 「……フェイリスは……私の記憶にない……。必要な人間じゃ、ない……から……」 「あら、そうですの」 ちらと見れば、フェイリスは絶句した様子で口を小さく開いていた。 この状況で唯一の味方に見放されたのだから、もうフェイリスに未来はない。 「憐れなメイドさんですこと」 そういってスターライトを発射しようと照準を合わせる。 その瞬間、フェイリスは転がるようにその場を離れ、イカロスの背後に飛び込んだ。 落ちていたデイバッグを拾い上げ、それを胸に抱きかかえ、また地面を転がる。 立ち上がると、デイバッグを胸元に携えて、フェイリスは精一杯の脅しをかけてきた。 「フェ、フェイリスを撃ったら……このデイバッグの中身まで吹っ飛ぶニャ!」 “ふふっ……何かと思えば、なんて可愛らしい” そんなものは、セシリアにとって脅迫にもなりえない。 自分の身は自分で守るしかないと判断しての行動だろうが…… 悲しいかな、その行動は裏目でしかない。 イカロスから離れさえしたなら、フェイリスなどどうとでもなる。 銃口を降ろしたセシリアは、ブルーティアーズを急加速させ突撃。 驚くフェイリスに次の行動を許さず、激突するような勢いでデイバッグを奪い取る。 ……だが! 「は、離さない……ニャ! 絶対に! 離さないのニャ!」 フェイリスもまた、相当な力でバッグを掴んでいた。 滑空するブルーティアーズに数十メートルも引き摺られて、それでも離さないのだ。 長いスカートが高速で地面に擦れて、どんどんすり減っていくのが目に見えた。 「ええい……しつこいですわ! とっとと! 落ちなさいなッ!」 ついでにその衝撃で死んでくれれば尚いいのに、と表情を歪めるセシリア。 次にフェイリスの身体を襲ったのは、セシリアのIS越しの蹴りだった。 「ッニャァ!?」 猫のような悲鳴を漏らしたフェイリスが、ようやっと落下しごろごろと地面を転がる。 が、計算外の出来事というのはつくづく繰り返されるものだ。 よっぽどの力で掴んでいたのだろう、デイバッグの口も同時に開いてしまった。 フェイリスと一緒に、荷物の凡そ半数がぶちまけられて、地面に散乱する。 “何処までも鬱陶しいメイドですこと……!” 支給品と一緒に転がっている、ボロボロのメイド服を着た女に苛立ちの視線を向ける。 フェイリスもすぐに周囲に転がる支給品に気付いたのか、それらへと手を伸ばしていた。 ――まずい、奴らに支給品を回収されてしまう。 彼女の周囲に落ちているのは、銀色のアタッシュケースと、赤い携帯電話と用途不明のカードが一枚、 ビニール袋に入ったIS学園の男女制服が一式と、シャルの橙色のネックレスが一つ…… 残りは自分のデイバッグに入っているが、重要な支給品は全てぶちまけられているではないか。 ファイズギアはまだいいとしても、 “たとえ他は犠牲にしてでも、ISだけは……!” ラファール・リヴァイブだけは渡すワケにはいかない。 優先順位トップは、迷いなく断然シャルのネックレスの形をしたISである。 幸いにも、フェイリスが最初に手を伸ばしたのはあの銀色のアタッシュケースだった。 セシリアはすぐにビットを展開して、フェイリスと、その周囲目掛けてビームを乱射。 「ニャッ、ニャニャニャァァァ~~~~~ッ!?!?!?」 ビットの展開と同時、フェイリスは慌てて逃げまどった。 ちょろちょろと、まさしく俊敏な猫のように逃げ回るフェイリスに直撃はしない。 が、その周囲で炸裂したビームの爆風に、フェイリスの身体は吹っ飛んだ。 体重の軽い少女を吹っ飛ばすには十分な爆風だ。 フェイリスはそのまま動かなくなった。気絶したのだろう。 ISに引きずられ、IS装着者に蹴られ、果ては爆風だ。無理もない。 何にせよこれで障害は一つ排除した。 支給品はそのまま。チャンスは今だ。 他の支給品には目もくれず、セシリアは真っ先に地表を滑空。 ISのマニュピュレーターがアスファルトで削れることも厭わず、 セシリアはシャルのネックレスをその手に掴み取り、そのまま飛翔。 しかし……それだけで「やりましたわ!」などとは思うまい。 この一瞬の間に、今度はイカロスが、銀のアタッシュケースに手を伸ばしていた。 セシリアはイカロスとはもうこれ以上は戦いたくはなかった。 が、かといってイカロスにファイズギアという戦力を渡すのも嫌だった。 “くっ……仕方ありませんわ……悪足掻きといかせてもらいますわ……!” 展開していたビットが、四方八方からアタッシュケース目掛けてビームを発射した。 イカロスの手が届く前に、ブルーティアーズの煌めきがケースを幾重にも貫いてゆく。 「……あ」 別にどうでもよさそうな、無感動なイカロスの呟き。表情の変化もなし。 イカロスが掴もうとしていたケースは、中身に引火したのか、内部から爆裂した。 爆発の中に、赤の粒子がきらきらと煌めいて舞い上がり、散っていくのが見えた。 それは、ファイズギアが内包していた赤きフォトンブラッドの煌めきだった。 「有害物質の散布を確認……すぐに全焼……消滅。人体に影響はなし……」 イカロスのシステム音声のような報告。 ファイズギアの完全破壊を確認したセシリアは、ほっと一息ついた。 これでもう、あの厄介な鎧が敵の手に渡ることはなくなった。 どうせ自分が使う日が来ることもなかったろうし、 誰かに奪われるくらいなら……ということだ。 他に落ちている物も、セシリアにとってはガラクタ同然。 玩具みたいな携帯電話と意味のわからないカードのみだ。 その携帯電話は気絶したフェイリスのそばに落ちていて…… カードは、風に吹かれてイカロスの足元にぱさりと落ちていた。 イカロスがそれを拾い上げるのを見て、セシリアは寧ろ諦めがついた。 “……まあ、アレらはもう諦めましょう。ISは守り通せたことですし” どの道、あのガラクタ二つを持っていても邪魔だとしか思えなかった。 今はそんなことよりも、自分の首輪の中のメダル残数の方が心配だった。 もう既に、セシリアのメダルはいつ切れてもおかしくないところまできているハズだ。 これ以上戦闘を続けてもしメダル切れを起こせば、勝ち目は絶対になくなってしまう。 口惜しい思いだが……それだけは避けたい。 ここは一旦退いたほうが賢いだろうと判断した。 空中で踵を返したセシリアは、そのまま急速離脱。 あっと言う間にイカロス達から逃げ果せた。 ○○○ 突然奇襲をしかけられた。 短い戦いののち、すぐに去っていった。 ……結果だけを述べれば、こんなところだろうか。 まさに嵐のような戦いであった。 「あの子は……」 戦場だった場所に一人ぽつんと佇むイカロスは考える。 あの青い装甲の少女はほとんど無言だったから、目的はわからない。 ……いいや、ここで人に襲い掛かる目的など知れている。 殺し合いに乗った以外に、一体どんな理由があろうか。 「でも……自分の意思で……?」 虚のような瞳をしたあの少女は、果たして自分の意思で戦っていたのか? 感情を押し殺したようなあの少女は、何を求めて戦っていたのだろうか。 自分と何処か似たあの子ですら戦っているというのに。 この場に来てから、自分は一体何をしているのだろう。 「私は……こんなことをしてる場合じゃ……」 じりじりと、何かがイカロスの心を焦がす。 みんな必死だ。ここにいるみんなが、何かをかけて戦い、殺し合っている。 今この瞬間にも、マスターが何者かに襲われ、殺されそうになっているかもしれない。 そう思った時、イカロスの心を焦がしていたソレが、一気に燃え上がった。 「マスターに……会いに、いかないと……!」 会いにいかねばならない。今すぐにでも。 そのためには、あらゆる万難を排して、戦う必要がある。 さっき戦ったあの子のように、自らの意思で、道を切り拓く必要がある。 「偽物の世界は……全て……破壊してでも……戦わないと……」 イカロスの頭脳は、それが最大の近道であると判断した。 地面に横たわるフェイリスの元まで歩み寄ったイカロスは、その首に手をかけた。 少しでも力を加えれば、ヤワな人間の身体などすぐに破壊してしまえる。 「……フェイリス……」 しかし――イカロスはフェイリスを殺すことは、出来なかった。 いざ殺そうとしたその瞬間、さっきのフェイリスの涙を思い出してしまったから。 あのマスターに似た優しい涙を思い出して……それでも殺せるワケがない。 「違う……私が……殺すまでもない、から……」 だから殺さないのだ。そう言い訳をする。 フェイリスはどうせ、力を持たない一般人だ。 ここで放置していけば、イカロスが手を下さずとも誰かが殺す。 そうだ。何も自分でやる必要はどこにもないのだ。 「さよなら……フェイリス」 イカロスはフェイリスに背を向けた。 もうこれ以上何の得にもならないお守りをするつもりはない。 ここからは自分のためだけに……精一杯、戦って行こう。 イカロスは、自分の意思で歩き出した。 ○○○ 「おい! おいッ! 大丈夫か、しっかりしろッ!」 身体が揺さぶられている。 瞼は重たい。全身の筋肉が、やけに疲れを感じている。 だが、どうにも起き上がれないというほどでもなかった。 ちょうど昼寝のまどろみから目覚めるような感覚だった。 「おいっ、起きろ――」 「――ンニャ……」 幾度となく呼ばれる声に、フェイリスはようやく答える。 そしてフェイリスの視界に飛び込んできたのは―― まず第一に、細くきめ細かに艶めく銀髪。 そして、燃えるルビーのような真っ赤な虹彩。 極めつけて目を引くのは、その片目を覆う黒の眼帯。 ――フェイリスは、彼女の容姿に目を奪われた。 「……素晴らしい……中二魂を感じるニャ……!!」 それが少女を見たフェイリスの正直な感想だった。 「……は? ちゅう、に……?」 「ハッ……!? も、申し訳ないニャ、思わず……」 少女は一瞬怪訝な顔をしたが、それ以上の追及はしなかった。 それよりも、周囲に散らばった支給品や、あちこちに出来た焼け跡を見て、 「私の名前はラウラ・ボーデヴィッヒ。ここで何があったのか教えて欲しい」 短い自己紹介に次いで、状況の説明を求めてきた。 あちこちのアスファルトが、焦げたり、砕けたりしているのだ。 ここで戦闘が起こらなかったという方が無理がある話だ。 フェイリスもまた周囲を見渡して、ことここに至るまでの経緯を思い出す。 そして次に自分自身の身体を見回して、大した外傷もないことに安心する。 “アルニャン……フェイリスには手を出さなかったみたいニャけど……” この場所で出来た友達――イカロスのことが何よりも心配だ。 今のイカロスが何をしでかすかは、フェイリスにも皆目見当がつかない。 もしかしたら、フェイリスは見逃されたが、ほかの参加者は殺している、かも。 そんなことを考えると、フェイリスはいてもたってもいられなくなった。 がばっ、と身を起してラウラに掴み掛り、フェイリスは早口に捲し立てる。 「こ、ここに天使の羽根の女の子がいなかったかニャ!?」 「いいや……私が来た時には、すでにこの状況だった。何も変化はない」 「そんニャ……」 「それよりも私の質問に答えろ」 苛立たしげに眉根を寄せるラウラだった。 フェイリスは慌てて一言謝罪をして、ことのあらましを説明した。 イカロスという友達がいたこと、彼女がニンフを殺してしまったこと。 そこへ突然襲いかかってきた青い装甲の少女のこと、それらを簡潔に、だ。 大体の状況を把握したラウラは、次に二、三質問を投げかけてくる。 その青い装甲の少女は、金髪で、丁寧な敬語を喋ってはいなかったか、とか。 それらの質問に、フェイリスは首肯で答えた。 「あの馬鹿がッ、やはりこれはセシリアの仕業か……!」 ラウラは、憎々しげに拳を握りしめていた。 「そのセシリアって子……ラウニャンの知り合いなのニャ?」 「知り合いどころか。セシリアは……私の仲間、だった」 苦い表情のラウラに、不躾を自覚しながらも質問する。 「だった……? どういう、ことニャ……?」 「……仲間の、ハズだったんだ」 ラウラは、セシリアという少女と、一夏という少年の話をしてくれた。 恋敵を殺し、おそらくは生還するため、殺し合いに乗ったセシリアという少女―― フェイリスは、セシリアとイカロスはとてもよく似ていると思った。 「そんなの悲しいニャ……その子は……止めなくちゃならないニャ」 「そのつもりだ……あの馬鹿は、私が絶対に止める」 たとえ殺すことになったとしても―― まるでそう言っているように、ラウラの瞳は怒りに熱く燃えていた。 友達だから、これ以上間違いを犯す前に止めなくてはならない。 そう考えているのであれば、ラウラもまたフェイリスの仲間になれる。 “でも……この子、危ない目をしてるニャ” 友達が友達を殺すことは、これ以上もなく哀しいことだ。 さっきそれを体験したばかりだから、その悲痛さはよくわかる。 フェイリスはもうこれ以上、そんな悲劇を見過ごしたくはないのだった。 この少女は放っておけない。 このフェイリスが、一緒に行動してストッパーにならなくては…… そう思い、フェイリスはどんと自分の胸を叩き、胸を張って言った。 「ラウニャン……出会ったばかりニャけど、フェイリスたちはもう仲間ニャ!」 「なんだと……?」 「フェイリスはアルニャンを止めなくちゃならニャい…… そして、ラウニャンもまた、同じようにセシニャンを……そう、 よく似た運命を背負いし者同士が出会ったとき、物語は再び動きだすのニャ! ここで終わりじゃないニャ! 何度でも、挫けずに、食らいつくのニャ!!」 そう言って、すっくと立ち上がるフェイリスの眼には……正義の炎が宿っていた。 何度挫けそうになっても、たとえ報われなくとも、諦めることは出来ない。 言葉がどんなにふざけていても、フェイリスの考えは真剣そのものだった。 それを感じ取ったのであろうラウラもまた、背筋を伸ばして立ち上がる。 隣に並び立つと、ラウラはまるで子供のように小さかった。 「そうか……一夏もきっと、そういうのだろうな」 「なら、そのイチニャンともきっとすぐに仲間になれるニャ!」 「フッ……お前ならば信用出来そうだ」 誰とでも友達になろうとするフェイリスが、敵であるワケがない。 そう判断してくれたのだろう。ラウラは小さく微笑んで、 「これから仲間になるなら……私のもう一つの目的を、聞いてくれるか?」 神妙な面持ちでそういった。 「ニャ?」 「私は……このバトルロワイアルで優勝するために戦うつもりだ」 息を呑むフェイリス。 「ソレってまさか……殺し合いに乗るってこと……ニャ!?」 ラウラはやおら首を横に振り、それを否定した。 「……最初はそのつもりだった。……が、今は違う」 「どういうことニャ?」 「死んだ仲間と誓い合った……全員で生還するための方法だ。 私はすべてのコアメダルを集め、陣営のリーダーとなるつもりだ」 そこでフェイリスは、ラウラの言わんとすることを何となく理解した。 このバトルロワイアルは、陣営リーダーとその配下の参加者のみが生還出来る。 いかに上手く参加者を多く引き込んで勝利するか、そういう陣取りゲームだ。 ラウラは……このゲームのルールの穴を突こうというのだ。 元よりこういった頭脳戦ゲームには強いフェイリスは、 「ニャるほど……確かにそれなら!」 胸の前でぽむ、と手を打ち合わせた。 「察しがついたようだな。出来る限り多くの仲間を引き入れて、グリードを排除、そして生還する……!」 決然と言い放たれたラウラの言葉に、フェイリスは光が見えた気がした。 殺されたくはないが、殺したくもない…… そんな二進も三進もいかない状況を打開するための最善策がここにある。 どうして今までそんな簡単な理由に気付かなかったのか、と自分を謗りたくなる。 だが、今はそういった小さなことどうでもいい。 「重要なのはコアメダル……それさえあれば帰れるニャ!」 するとなると、これから二人が挑んでいく戦いは、もはや殺し合いではない。 いかに多くのメダルを手にし、陣営を一つに纏め上げ、優勝するか。 言わばコレは――コアメダルの争奪戦、というワケだ。 “でも……フェイリスのメダルは、アルニャンが……” さっきまで所持していたライオンのメダルは、すでにここにはない。 イカロスが立ち去る前に返してくれていれば……とも思うが、 いいや、この場でそんな上手い話があるハズがないじゃあないか。 フェイリスはこれから、ラウラと共に、一からメダルを集めなおさねばならないのだ。 決意も新たに、ラウラを引き連れ歩き出そうとしたフェイリスだったが、 「……ちょっと待て、フェイリス」 ラウラがフェイリスの肩をつかみ、引き止める。 「その服……着替えないか?」 「ニャ?」 言われて見てみれば、確かにフェイリスの服装はもうボロボロだ。 あちこち黒く汚れているし、引きずられた影響でスカートは破れまくっている。 これでは清潔感など望めようはずもない。薄汚くすらあった。 それに加えて、動きづらいという理由も、ラウラの指摘にはあるのだが。 「ニャゥゥ……フェイリスのアイデンティティが……」 嘆くフェイリス。 二三歩歩いたラウラが、近くに落ちていたビニール袋を拾った。 中に入っているのは――何かのコスプレのような、白い制服。男女用、二着だ。 それは、男女両方の制服を着こなすシャルロットに支給されていた支給品。 さっきの戦いで、セシリアが落とし、そのまま放置していったものだった。 そしてそれは、一目みればわかる。ラウラと同じ衣装だった――! 「これに着替えるといい。私と同じ学校の制服だ。メイド服よりは動き安いだろう」 「……コレ、ラウニャンとおそろいニャ!?」 「まぁ……そうなるな」 フェイリスの表情が、ぱっと明るくなった。 この可愛らしいラウラと同じコスプレ衣装がそこにあるのだ。 元々フェイリスはコスプレが好きだ。メイド衣装は惜しいが…… しかしこれを着ることでこの可愛いラウラとお揃いになれるなら、悪くない。 フェイリスは喜んで着替えを受け取ると、近場の建物の物陰へ走った。 ――と、その途中で、赤い携帯電話のような玩具があることに気づき、 『ってオイ! お前、オイ! ソレッ!!』 それに意識を向けた瞬間、頭の中でモモタロスが声を荒げた。 拾えというのだろうか。一度立ち止まり、それを手に取って眇める。 液晶画面が透明になって透けているソレは、玩具にしか見えない。 「この玩具がどうかしたのニャ? モモニャン」 『どうしたもこうしたもねぇ! そいつぁ玩具なんかじゃねーんだよ! そいつぁなぁ! 俺たちの……俺たちのッ! ケータロスじゃねーかッ!!』 頭の中で騒ぎ立てるモモタロス。 ウラタロスやリュウタロスらも、何処かざわついていた。 なんだってこんなところにケータロスが、とか。 もうクライマックスフォーム? になれないかと思っていたよ、とか。 っていうかケータロスなくなってたんだ、気付かなかったー、とか。 ちなみにみんながそうやって騒いでいる間、キンタロスは居眠りをしていた。 「これ、みんなにとってそんなに大切なものなのニャ?」 ケータロスの何度かかぱかぱと開け閉めして遊ぶフェイリス。 フェイリスは、この玩具の有用性がまったくもって理解出来ていなかった。 それでまたイマジンたちは騒ぐのだが―― 『なんだ、騒がしい……我の眠りを妨げるでない!』 「え?」 聞いたことのない声が、フェイリスの頭の中で響いた。 男の声だ。静かで、それでいて何処か厳かで、高貴な声。 四人のイマジンのうち、誰のものでもないその声は―― 『わー! 鳥さんだー!』 『お前、いないと思ったらこんなとこにいやがったのか!』 『おお、誰かと思えば我の家来ではないか。こんなところで何をしているのだ?』 紫のイマジンと赤のイマジンに、その「白いイマジン」が答える。 今まで眠っていたのであろうそいつは、状況をまるで理解してはいない。 おそらく、ここが殺し合いの場であることにさえ気付いてはいないのだろう。 フェイリスは小首をかしげながら、頭の中の白いイマジンに質問する。 「……鳥さん、ニャ?」 『なんだ貴様は? 頭が高い! 我は王子であるぞッ!』 「えっ!? ご、ごめんニャさい……ッ!」 『あははー! ニャンニャンが鳥さんに怒られてるー!』 どういうワケか怒られた。 どうしてリュウタロスに笑われているのかわからなかった。 何が何だかわからぬうちに、フェイリスの脳内はまた賑やかになった。 元からフェイリスは重度の中二病を患っているのだ…… 見る人によっては、更にヤバく見えるかもしれない。 ○○○ 地表を車ほどの速度で滑空していたISが、光となって消失した。 高さにして一メートルほどの地点から、セシリアは飛び降り着地する。 周囲を見渡すが、セシリアを追ってくる影は見られなかった。 あの天使の姿をしたバケモノは追いかけてきていない。 ほっと胸をなでおろしたセシリアは、首輪の中のメダルに意識を向ける。 「……消耗、しすぎましたわね……」 手の平に、セルメダルが五枚転がった。 これが今のセシリアが持てるありったけのセルメダルだ。 五枚。少なすぎる。 完全にメダルが尽きる前にISを解除したのだが、これでは無いも同然ではないか。 ISの自己修復にも時間は掛かるだろうし、もうこれ以上はISにも頼れない。 今後は拳銃一つでなんとかメダルを集めていかねばならないなと思った。 その為にも、さっきのような考えのない戦いをしてはいられない。 「ああ……いけませんわね……私としたことが」 さっきはシャルのことで、気がどうにかなりそうだった。 とにかく前に向かって動いていないと、気が狂いそうだった。 だから手当たり次第に襲いかかって、殺そうとしたのだ。 だが、相手の戦力を見計らわずに挑むのは無謀すぎる。 今回のミスは、教訓として先に活かしていこう。 「……これからは……もっと賢くいきませんと……ね」 賢く……そうだ。 殺し合いに乗っていない人のフリをしよう。 なんとか集団に取り入って、油断してるうちにこっそり殺そう。 一人でも殺せばセルメダルもどっと補充できるだろうし、そうなればあとは簡単だ。 ISを起動して、残りのチームメイトも殺せそうなら一気に殺してしまうのがいい。 「ええ、それがいいですわ……そうしましょう……ふふ」 騙し打ちで賢く、確実に殺していくのだ。 そうやって殺せば、きっとちゃんと殺せる。 もっと殺すためにも、それで殺していくのが一番だ。 ああ、殺すのがいい。それで殺して、もっと殺していくのだ。 だから、殺そう、殺そう。一人でも多く、どんな手段を使ってでも、殺そう。 もっと殺せば、一夏とセシリアだけでも幸せになることが出来る。 たくさん殺したから、幸せになる権利を得ることができる。 ここはそういう世界だ。だから殺さなくては……! 「ああ……そうですわ……早く……誰か……殺しませんと……」 見開かれた目は笑っていないのに、口元だけが緩く微笑んでいる。 セシリアの心は、もうとっくに壊れていた。 人の心というものはそれほど強いものじゃあない。 今まで平和に暮らしていた人間が、いきなり人の死を見せつけられて、 その上親友の一人をこの手で惨殺してしまって、それでPTSDに陥らないワケがない。 だが、それも元をたどれば、すべてたった一人の愛する男のため。 「そうですわ……これも全部、愛する一夏さんのためですもの…… 一夏さん……ああ、一夏さん……何処にいらっしゃいますの? 私、殺しますから……沢山殺しますから……一緒に……ふふっ」 早く会いたい。愛する殿方に、一刻も早く会いたい。 だが、そのためには一人でも多くの敵を殺さなければならない。 だから、殺すための武器は常に万全の状態に整えておかなくては。 うわ言を呟きながら、セシリアは拳銃に予備の弾丸を詰めていく。 そんな倫理観の狂ってしまった少女の耳朶を打ったのは―― 悲痛な事実を告げる、定期放送の音声だった。 【一日目-夕方(放送直前)】 【D-5/市街地 北西寄り】 【セシリア・オルコット@インフィニット・ストラトス】 【所属】青 【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、精神疲労(極大)、倫理観の麻痺、一夏への依存 【首輪】5枚:0枚 【装備】ブルー・ティアーズ@インフィニット・ストラトス、ニューナンブM60(5/5 予備弾丸17発)@現実 【道具】基本支給品×3、スタッグフォン@仮面ライダーW、ラファール・リヴァイヴ・カスタムII@インフィニット・ストラトス 【思考・状況】 基本:一夏さんと二人で生還したいので、邪魔者は殺しますね? 1.一夏さんが欲しい。ので、敵は見境なく皆殺しにしますわ! 2.一夏さんのためなら何だって出来ますの……悪く思わないでくださいまし。 3.一夏さんのために行動しますの。殺しくらいなら平気ですわっ♪ 【備考】 ※参戦時期は不明です。 ※制限を理解しました。 ※完全に心を病んでいます。 ※一応、青陣営を優勝させるつもりです。 ※ブルーティアーズの完全回復まで残り6時間。 なお、回復を待たなくても使用自体は出来ます。 NEXT ろくでなしブルース(後編)
https://w.atwiki.jp/kazu392h/pages/344.html
autolinkTOP>【ま】>マジブルー マジブルー (まじぶるー) 分類4【人称】 ジャンル5【その他・作品・番組】 たゆたう水のエレメント青の魔法使い! 成績優秀で心優しい小津麗が変身。 得意魔法は占いで、未来の予知ができるが、限られたことしか分からない。 聞き役に徹する優しい次女で、長女の芳香を『芳香ちゃん』と呼び、下の男二人からちいねえと呼ばれる。 20歳という実年齢より上の設定ではあるが、その幼い風貌からは魁や翼の姉というよりも末っ娘みたいな感じ。 普段はおとなしいが一旦爆発した時の瞬発力はすごい。 そのギャップも魅力のひとつ、ピンクより断然こっちかな! 『水の様に清らかに癒しを与える自愛の色・青の魔法使い』 登録日 2005/06/05 【ま】一覧 マーガリン マイティフォーム 前向き マカロニほうれん荘 牧野塁 槇村さとる マクドナルド 枕営業 枕詞 負けるもんか! 誠直也 誠のつけ麺 マザー マジイエロー マジグリーン マジシャイン マジピンク マジマザー マシンハヤブサ まじっく快斗 マジブルー マジレッド まぜちゃう派 マットプレイ 松浦亜弥 まっしぐら マッハバロン マドロス マニア マニュアル 魔破羅 マフラー 魔法戦隊マジレンジャー マメ 真弓明信 真弓ダンス マヨネーズ マルチフリース赤星バージョン ■ トップページへ移動 ▲ このページ上段に移動
https://w.atwiki.jp/vipokemonzukan/pages/30.html
No.209 ブルー 208 ハガネール ← 209 ブルー → 210 グランブル