約 19,732 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/414.html
209 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2014/06/01(日) 10 39 03 ID 857i.ddo 投下します。 木曽アナル調教(和姦)で結構ハードめ。木曽はアナルファックのみ経験有。 210 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2014/06/01(日) 10 40 45 ID 857i.ddo 気の強い女は艦尾が弱い- 木曽「我々は最高の勝利を提督にもたらすためにここにいる、無様な戦いをするな!全艦陣形整え、前進!」 雲一つなく見渡す限り青一色の大海原――その只中を往く艦隊の僚艦へ、旗艦を務める木曽は凛とした声で命を下す。 彼方の海面に白い航跡を描く艦隊――それは深海棲艦と呼ばれる敵軍の所属軍艦達。 雷撃の航跡が浪間に刻まれ、追って砲音が立て続けに澄んだ大気に響き渡る――それが戦いの開始を告げる鐘の音となった。 提督「目立った損害はなし。任務を達成し戦果も上々、ですか。素晴らしい働きに感謝します、木曽さん。」 木曽「なに、礼には及ばん。俺はそのためにいるのだからな。それにお前の立てた作戦通りの結果なのだ、お前こそもっと誇るがいい。」 提督「はは、いえいえそんな。木曽さん、ありがとうございます。」 鎮守府の一角にある士官用の執務室、そこで木曽は先の戦果報告を自艦隊の提督に伝達している最中であった。 腰の低い提督の労いを泰然と受け流してどこか誇らしげに返礼する木曽。あまり意志の強そうに見えない男とは立場の上下が逆にすら見える。 実際二人の会話を平素傍で眺めている者達には、秘書艦の尻に敷かれた座布団提督――などと揶揄されるほどであった。 木曽「――報告はそんなところだ。質問は何かあるか?無ければ俺は……」 提督「いえ、どうもご苦労様です。ところで失礼――」 木曽「?」 提督「私的な用事なのですが……これからお時間はありますか、木曽?」 木曽「――!!」 唐突に呼び方の変わった問いかけに、直前まで堂々としていた木曽の心拍が突然に跳ね上がる。 先までと変わらず温和な表情を崩してはいないが、漂わす雰囲気は一変させている男。 男がこう問う時の用事がただ一つであると、木曽は熟知させられおり……それが、二人の強弱が逆転する合図であった。 木曽「その、お前とのスキンシップは大切だとは思ってるが……ほ、程ほどで頼むぞ?」 執務室の扉に鍵がかけられる音を耳にしながら、木曽は怖気にも似た疼きが背筋に走るのを奇妙な興奮と共に感じていた。 一時間ほどの時刻がすぎた執務室―― 室内には湿った淫らな空気が漂い、その空気を断続的に震わす蕩けた嬌声が部屋の雰囲気を殊更に背徳的なものにしていた。 木曽「うっ♥あはぁッ……んぐぅっ♥ほ、おぉっ……んおっ♥…………はぁ、はぁ……なぁ。」 提督「ぷはっ……どうしました?」 木曽「一体、いつまで舐めてるつもり……なんだ。その、いつもお前は……執拗すぎる、ぞ。」 提督「いや、それは失敬。木曽のお尻がどんどん蕩けていくのが愉しいもので、つい……あむっ、れろっ」 木曽「んおぉぉっ……♥だ、だからっ……!謝るくらいなら続けるなと……ほぉぉっ♥♥」 男が唐突に動きを再開すると思わずのけぞり、男に組み敷かれた少女のように喘いでしまう木曽……実際そうなのだが。 あれから一時間――書架に手を掛けた姿勢のまま尻を剥き出しにさせられた木曽は、延々と肛門を男の口に嬲られていたのだった。 吸われ、舐められ、舌をねじ入れられ、時に指も用いて徹底的に解された肛門は既に蕩け切っていた。 木曽「いつもいつもどうして、お前は……ふぐぅぅっ♥くっ、俺のその……尻ばかりをっ!んぎっ……へおぉぉッ♥♥」 男は木曽の発情を促すために口付けの最中に胸や秘所を撫でるようなことはするが、最終的に責めるのは必ず肛門であった。 これまで幾度となく性器のように嬲られて今もまた執拗に弄ばれた孔。そこはふやけて拡がり、真っ赤に充血した腸粘膜を晒していた。 眼帯のよく似合う凛々しい造作を今は快楽に発情させ、裏返った声で悲鳴を上げさせられ続ける木曽。 提督「ぷはっ、ふぅ……木曽のお尻は特別に敏感で反応がいいもので、責め手にも熱が入ります。……木曽は嫌ですか?」 木曽「そ、そんなことはない。そんなことはないが……その。なんで後ろばかりなんだ?だって、前はまだ一度も……」 自分が羞恥的な発言をしたことに気づいてか、頬を殊更に紅潮させて段々と声を落としてしまう木曽。 男とこういう関係になって以来それなりの月日が経ち、肛門では性交すらした経験すらあるのに木曽は未だ処女のままであった。 提督「恥ずかしながら小官は、婦人の菊にしか性欲を催さない性癖ですので。けれど、後ろの好きな木曽とは丁度相性がいいと思いませんか?」 木曽「だっ、誰がアナル好きだ!?俺にはそんな性癖は……」 提督「そうですか、それなら……コレは不要でしょうか?もう収まりがつかないのですが、仕方ないので自慰で処理を……」 木曽「――ッ!!」 軍服の下を下げた提督の股間――そこには気弱そうな顔つきからは想像しがたい、凶悪な威容を誇る赤黒く充血しきった肉柱がそそり立っていた。 熱く硬くエラの張った、女を狂わすための肉杭。それで蕩けきった腸肉を穿り回される感覚を想像した途端、木曽は思わず生唾を飲んでいた。 木曽「う、あ……その、あのな……」 提督「いえね、無理強いは性分ではないので……挿入を乞われでもしない限りは自分で処理しようかと。で……どうしました?」 木曽「ッ……!」 笑みに細められた男の目が、こちらの内心を見透かすように観察していることに気づいて言葉を詰まらせる木曽。 興奮と恥辱に震える手で自らの尻肉を割り開き、ヒクつく唾液まみれの肛門を晒しながら口を開いた。 木曽「お前のソレ……こ、ココに入れて欲しい。」 提督「ソレとかココとかわかりませんね……それに、入れるだけでよろしいので?」 木曽「~~~~ッ!!くっ……チンポだ!お前のチンポっ、俺の……俺のアナルにブチ込んでっ!ズボズボ穿ってくれぇっ!」 提督「色気が足りませんね……ま、いいでしょう。はい、どう……ぞっ!」 木曽「あ゛―――!?」 腸粘膜まで拡げられた穴といえど、あまりに径の違う異物を猛然と突き入れられる衝撃に木曽が目を見開き仰け反る。 ミチミチと伸び切る括約筋。肛門に限度一杯の負荷を強いながら、肉棒は根本まで木曽の体内に埋まっていた。 木曽「お゛っ、ほお゛ぉ……む、無茶しすぎ……アナっ、さけるぅ……んぎっ!」 急激かつ強烈な拡張感に、喘ぎ声の漏れる口から舌を宙に突出して身震いする木曽。必死で書架にすがりつき、体を支える――と。 木曽「んお゛ォォォォッ♥抜ける゛ぅっ、アナルひっこ抜かれる゛ぅぅぅッッ♥♥♥」 挿入と同じ勢いで引かれる肉杭につられ、そこに絡んだ腸壁までが体外に向かって移動する。 充血した粘膜を体外まで捲れ上がらせながら首まで抜ける陰茎。木曽の腸液でヌラヌラと滑り、特有の濁った臭気を放っていた。 提督「初めて挿入したときは拡張に耐えきれず気絶してましたっけ。それを思うと随分慣れたものです、ねっ!ふんっ!」 木曽「待っ……おごぉぉッ!?ふぎぃぃぃッ♥♥おぐう゛ぅッ!!へお゛ォォォン゛ッ♥♥おぶォッ……」 精力剤を盛られた種馬のような勢いで腰を振る提督。蕩け切った腸肉は乱暴な抽挿にも快楽を覚えて肉幹に絡みつく。 カリ太の肉傘で結腸に届く奥深くから肛門ギリギリまでを抉り抜く強烈なストロークに、背骨を引き抜かれるような声で啼き咽ぶ木曽。 提督「まったく、腸襞をこんなにネットリ絡みつかせて……木曽のアナルは食いしん坊ですね、ふぬっ!」 木曽「へお゛ォォォォッ♥♥それッ、やめろ゛ォォッ♥コワれる゛ッ♥アナルごわれる゛ぅぅぅッッ♥♥♥」 引き抜いた肉幹に絡んで体外に粘膜を捲れ上がらせた木曽の肛肉、それを輪を作った男の指が握り締め上げる。 肛門の締め付け以上に陰茎へ密着させられた肛粘膜が抽挿のたびに強烈に摩擦される、その鮮烈な刺激に正気を失って悶絶する木曽。 提督「木曽のケツ穴ッ、物凄いうねり方してますねっ……そんなに力入れるとっ、ケツ穴筋肉痛になりますよっ!ふんっ、ふんっ!」 木曽「お゛ォォン゛ッ♥へお゛ォォッ♥♥お゛ッ、おまえのもお゛ッ♥ビクンビクンてえ゛ッ♥はやくっ、だしへっ♥もお゛っ、キチガイにゃる゛ッ♥♥」 交尾中の獣のような理性ない喘ぎを上げて全身をガクガクと震わせ続ける木曽。腸管が快感の強さのあまりねじ切れんばかりに顫動している。 平素は剛毅な木曽を肛門調教でこれほど狂わせていることに興奮し、射精欲が耐え難いほど高まった肉棒が破裂寸前に脈打つ。 提督「出しますよっ、木曽のドマゾなケツ穴にっ!イキながら全部っ、この淫乱ハメ穴で飲み干しなさいっ……うおぉぉっ!!」 木曽「ひゃいっ♥はひぃぃッ♥じぇんぶっ、のみま……お゛ッ♥お゛っへェェッ♥♥ドクドクきたあ゛ぁぁぁぁぁぁッッ♥♥♥」 我慢が限界に達すると同時、木曽の尻を思い切り平手で打つ。丸い臀部に真っ赤な痕が刻まれると同時、木曽の腸が極限に収縮する。 理性が飛び、気づいた時には木曽の直腸に精液をブチ撒けていた。爆発的な勢いの粘液で腸を膨張させられながら絶頂する木曽。 その痙攣する腸管を射精最中の陰茎で摩擦し続けてやると、限界を突き抜けたイキ声を発して木曽は悶え狂った。 提督「うっ……おぉぉぉっ!ぐっ……はぁはぁっ、ふぅ……。やはり、性交は肛門に限りますね。」 木曽「お゛ッ……へお゛ぉ……ッ……あ゛~~~~~♥」 脊椎が折れんばかりに背を仰け反らせていた木曽が突如、糸の切れた操り人形のように崩れる。表情筋すら弛緩しきるほど全身が脱力していた。 だらしない喘ぎと共にアンモニア臭を伴って響く水音。嬉ションしながら失神した木曽は、この上なく幸福に満ちたような寝顔であった。 提督「ふふふ、幸せそうなアヘ寝顔をして……よっと。」 木曽「ッ……お゛ほぉ~~~~~~~♥♥」 射精を終えた陰茎が引き抜かれ、木曽の肛門が無防備に腸壁を晒す――と、直後。痙攣した孔が精液を噴いた。 凛々しいという表現とは正反対の間抜けな排泄音を立て、尻穴から精液を逆流させる木曽。失神したまま、足元に白濁した池を生み出す。 提督「ふふっ、木曽は本当に可愛らしいですね……よいしょ。」 木曽「う゛、ぁ……んあぁ……♥」 肛門から射精液を漏らし続ける木曽を抱き抱えて椅子に座り、膝の上に木曽を腰かけさせる男。 蕩けた貌で前後不覚に陥っている木曽に口付けし、呆けたように開いた口腔をここぞとばかりに舐る。 木曽「んぅ……む、はふ……ぷぁ♥ふ、む……ん……ッ―――!」 自身の肛門を舐り尽くした舌でされるがまま口腔を貪られる木曽……その背がビクリと跳ねる。 ヒクヒクと肛門絶頂の余韻に口を戦慄かせる木曽の孔、そこに提督が掌を無造作に突き込んだのだ。 木曽「お゛っ……♥んお゛ぉっ……♥へお゛っ……♥」 男の四指が木曽のアナルに捻じ込まれて腸管に溜まった精汁を掻き出すたび、意識を飛ばしたままの木曽が身を跳ねさせ喘ぐ。 精液の大半を穿り出し終えた頃には木曽の肛門はすっかり閉じなくなっており、腫れ上がった腸管を外気に覗かせていた。 提督「さて、もう一仕事お願いします……よっ、と!」 木曽「~~~~~~ッ!?おッ……んお゛あぁぁぁぁぁッ!?なにっ、なにひぃっ……?!」 親指まで揃えた提督の手がメリメリと木曽の肛門に沈み……極限を超えた瞬間、一気に手首までが埋まると同時に木曽が覚醒し叫んだ。 よもやアナルフィストで起床させられようとは予想もしていなかったらしく、肛門の拡張感に隻眼を白黒させている。 提督「先ので手仕舞いというのはあまりに侘しかったもので……ドッグの艦が修復を終えたらまた出撃でしょう?もう少し逢瀬を、とね。」 木曽「だ、だからってへぇ♥けちゅ穴と腕で触れ合う奴が……お゛ッ♥あ、あるかぁッ……んぎあ゛ぁぁぁぁぁッッ♥♥」 舐り続けられ交接に射精までされ、蕩け切った木曽の調教済み腸粘膜。その神経は男根より太く硬い異物の出し入れにも悦びを覚えて脳を快感で侵す。 ぐぽぐぽと卑猥な空気音を立てて男の拳が動き、関節の硬い凹凸が腸壁を擦るたびに悶え狂いかけているような喘ぎを上げる木曽。 提督「木曽のケツ穴、ほぐれてふやけ切ってますね……腸壁もこんなにズルッズル。これならもっと奥で無茶しても十分イけるでしょう。」 木曽「待てぇっ!?今より奥なんてッ……ぎっ、ひぎゅう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ♥♥♥」 木曽の腸内で突き当りを小突いていた男の拳が向きを変え、大きく曲がった方向に続く腸管のより深くへ侵入を始めたのだ。 結腸という通常の肛虐では責めを免れ得る体内の深部まで異物に拡張蹂躙される感覚に、木曽は隻眼を見開いて全身を激しく痙攣させ身悶える。 提督「肛門切れちゃいますよ、木曽?力を抜いておきなさい……せー、のっ!」 木曽「ぃぎっ……ん゛ごお゛ォォォォォォォォッッ♥♥」 ぐぶう゛、と派手に異音を立てながら木曽の腹腔内を拉げさせた男の拳が腸の屈曲部を突き抜けて深々部にまで捻じ込まれた。 男の腕を肘まで受け入れた木曽の腸管は壊れたように腸壁をのたうたせ、凄まじい異物感に痙攣を起こしている。 木曽「お゛ッ……お゛おォッ、オ゛ッッ……お゛あ゛っ、あ゛ひぁ~~~♥♥」 切れ長の目の瞳を目一杯上反らせ、端をだらしない笑みの形に歪めた唇から舌を垂らして喘ぐ木曽。 ビクンビクンと身を断続的に引き攣らせつつ尿道から盛大に黄金色の噴水を放ち、床を小便臭く塗装していく。 提督「おやおや……貴女のこんな姿を駆逐艦達が見たら、一体どんな目を向けてくるんでしょうね。」 木曽「お゛ッ、お゛ま゛……おまへが、俺のけちゅっ……♥めちゃめちゃに゛っ……ひたんだっろ、がぁ……♥あ゛ッ、ぎぃっ……♥♥」 随喜の涙を零しながら肛門拡張の刺激の強さに震える唇で抗議の声を上げる木曽。 腸襞をネットリと腕に絡みつかせて括約筋をヒクつかせた状態で文句を言っても説得力が無いというものだが。 提督「まあ仰る通り……木曽のことを誰もが蔑む変態アナルマゾイキ中毒者堕ちさせ、結腸まで腕をねじ込んでアヘ顔絶頂させているのが私ですね。どう思います?」 木曽「こ、のぉ……少しは悪びれ、ろっ……!?お゛へえ゛ぇぇぇぇぇぇぇッ♥♥♥」 S字を描く腸管を抜けて下降結腸の天井に突き当たる男の拳。直後、男が腕を捻りながらその全長を引き抜きにかかる。 拘束するように締め付けてくる腸襞を絡ませたまま体外へ腕を逆流させる男。排泄行為を何十倍も増幅したような肛門快楽に木曽は悶絶させられる。 提督「木曽、アナルの力抜かないと肛門体外に裏返っちゃいますよ?……忠告しましたからね、そーれ。イチ、ニ、イチ、ニ!」 木曽「無理ッ、む゛り゛ぃっ……こーもんっ、おかひくなってるから゛っ!いうこときかなっ……んごお゛ォッ♥あ゛があ゛ッ♥ほごお゛ッ♥」 腸液にまみれて滑る腕を捻り回しながら規則的な長いストロークで木曽の腸内へと肘までを抜き挿しする男。 結腸の上端を突き上げ、肛肉が体外に捲れるほど引き抜く。排泄器に極限の負荷を強いる責めにすら開発されきった腸壁は快楽を覚えて木曽の脳髄を灼いた。 壊れているかのように四肢と声を震わせ、秘所より恥液を間欠泉の如く噴き散らして幾度も絶頂を迎える木曽。 提督「ケツアクメしまくりですね、前も物欲しげにパクパクしてますよ?男も知らないのに……処女のままどこまでいやらしくなるんですかねえ?」 木曽「しりゅかっ、バカあ……ん゛にぃぃぃぃッ♥♥けちゅゴリゴリしながりゃッ♥まえッ、コスるなあ゛ぁッ♥ん゛に゛ぃぃッ♥♥」 尻穴に埋めた腕を捻じり捏ね回しながら男が木曽の両脚を閉じ合させ、両腿と股ぐらの間の空間へと男根を突き込んだ。 肉の隘路を抉じ開けた陰茎の幹、それが内部から分泌された発情液で滑る秘唇を抉るように擦り立てる男のカリ首。 常軌を逸した奥深くまで菊座を穿り拡げられながら処女口にまで刺激を加えられ、正気を保ちがたい被虐の感覚に狂ったように木曽が喘ぐ。 提督「入口も興奮しているようですが、ナカはもっと凄いことになってますね……ここ、子宮ですよね?壁越しにビクンビクンしてるの伝わってますよ。」 木曽「ひぎゅあ゛ぁぁぁぁッッ♥♥そこっ♥さわりゅなあ゛ッ♥♥だいじなッ♥へやだからやめっ……あ゛びゃあ゛ぁぁぁぁッ♥♥」 腸壁ごと男が鷲掴みにした彼女の体内の小ぶりな器官、それが子宮――女の中枢であると本能的に察して必死の叫びを上げる木曽。 子宮の両脇に提がる小粒の球体……卵巣を捏ねられると木曽は最早心身ともに限界といった様で半ば白目を剥き悶絶する。 木曽「もお゛ッ♥ゆるじでえ゛ッ♥こわれり゛ゅッ♥アタマのナカッ♥ぷっつんしてッ……イキしんぢゃう゛ぅぅッッ♥」 提督「うっ……!私も、そろそろまたっ……木曽!トドメです、目一杯イキなさいっ……うおぉぉっ!」 極限に背を仰け反らせながら全身をガクガクと壊れそうに震わせ、乱れ狂い悶える木曽。 その肛門を挿入中の腕と逆の手で無理やり抉じ開けた男が自身の男根をねじ込む。次の瞬間、肉棒全体が激しく脈動しながら欲望の塊を爆発させた。 木曽「オ゛ッッ……んお゛お゛お゛お゛ッッ!!いぐう゛ッッ……ケツめちゃめちゃにされでイッぐう゛ぅぅぅ♥♥ん゛に゛あ゛ァァァァッッ♥♥♥」 解されきった腸管にマグマのような精液をブチ撒けられて断末魔のような叫びを上げ、知覚の限界を突き抜けた絶頂を迎える木曽。 尿管が壊れたような勢いで潮を噴きながら永遠にも思える長い全身の緊張を続け……突如まるで絶命したように崩れ落ちる。 木曽「ぅ゛、ぁ゛……あ、へぇ♥♥お゛、ん゛お゛~~~~……♥」 提督「お疲れさまです、木曽。さて……後片付けが大変ですね、こればかりは誰かに頼む訳にもいきませんし……はぁぁ。」 白痴のようなだらしない表情で完全に失神した木曽。本日幾度目になるか分からない小便を漏らして死んだような脱力の仕方で男の胸に身を預ける。 どこかやり遂げた満足げな表情をして木曽の頭を撫でた男は、互いの身と部屋の掃除の手間に意識を戻して自業自得の苦労に溜息を漏らすのだった。 216 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2014/06/01(日) 10 52 29 ID 857i.ddo 潮風香り波飛沫の散る大海原。航路の先を眼帯に覆われていない側の凛々しい目で見つめる木曽の姿がそこにあった。 しかし時折なにやら不調そうに腹を抑える彼女に、随伴艦の娘が心配そうに声をかける。 球磨「木曽、大丈夫クマ?なんだか出撃前に随分お腹辛そうにしてたけど……なんか悪いものでも食ったクマー?」 木曽「ああ、気にするな……あれは、その……筋肉痛みたいなものだ、激しい運動の後遺症というか……」 球磨「そうクマー?でも今もなんだか今も調子悪そうクマ。」 木曽「ッ……その、ちょっと重みがあるだけで……とにかく、心配するようなことじゃない。……ふぅ、まるでアイツのようだな。」 球磨「あはっ、提督は心配性だもんなクマ!気遣いすぎて時々木曽に怒られてるくらいクマ……でも、あまり冷たくしちゃダメだぞクマー♪」 木曽「なに、俺の勝利を疑う方が悪いのさ……それより、今日の食事当番はお前じゃなかったか?」 球磨「を゛ぉー!?そうだったクマ!じゃあ球磨は行くクマ……無理しちゃダメクマー?」 木曽「ああ……ッ……♥」 駆けてゆく球磨の背を見送って正面に向き直ろうとした木曽が、腹の内でゴリリと異物が擦れる感覚を認識して胴を押さえて呻く。 彼女以外の誰が知るだろう……凛々しく泰然と佇む彼女の肛門を自身の腕より太いアナルパールが貫いており、直腸を内部から責め立てていようなど。 木曽「問題ない、いつも通り勝利を届けてやるさ……」 震える唇を強引に笑みの形に吊り上げ笑う木曽。 彼女の気弱そうな主に勝利を持ち返ってやった後、どのような『ご褒美』を自身に施してくれるのか…… 期待と不安に密かに胸を高鳴らせながら木曽は大海原の先を見据えるのだった。 + 後書き 217 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2014/06/01(日) 10 55 11 ID 857i.ddo 以上にてどうもお邪魔しました。アナル弱そうな艦娘は魅力的ですね、長門とかビスマルクとか。 その内また何か適当に書こうと思いますのでその際もお読み頂けましたら幸い。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3423.html
875 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 05 12 日本大陸化世界 2chネタ 艦これスレッドにて 【大陸化】大陸化した艦これについて語り合うスレ 128隻目【並行世界】 1: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 大陸化して各世界線の情報が入り混じっている日本について、特に艦これについて語り合いましょう! 各世界線の記憶を持つ提督の話は大歓迎です。 イベント攻略についても語り合ってOK! ただし、荒氏は絶対にNo!なんだからね! 前スレ ttq //jbbs.shitaraba.net/tairiku/9191/5357193737098/ 198: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ところで、今日のアプデで実装された大淀型のコンバージョンってどんななん? 199: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX えっと史実における武勲における改二と、別の歴史における大淀型だな 日蘭世界における武勲艦の一隻らしい 200: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ほうほう そこんところkwsk 201: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 大淀型は史実世界だと丙型巡洋艦として建造されて、後に艦隊司令部を積んだわけだけど 日蘭世界だと最初から輸送船団を指揮するための巡洋艦として建造されているんだ 前線に赴くというよりは兵站に関わる船だな 202: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX なるほど、日蘭世界だと輸送船団もすごい数になるだろうしなぁ 203: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX さっきコンバージョンしてきたわ 雷装と火力が少し落ちた代わりに対空 索敵 装甲が向上してる おまけになんだこれ、対空誘導弾発射管? 戦闘で変なカットイン入ったんだけど… 204: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ツイッターで情報来てた 『大淀をコンバージョンすることで日蘭世界で戦争の帰結に関わる仕事を果たした護衛指揮巡洋艦として改装できます』 やっぱり日蘭世界か 205: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》203 対空誘導弾……つまり対空ミサイルか? 206: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》203 ひぇ…… 207: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》203 え、ちょ……艦載機への対空誘導弾とかどう考えても第二次大戦後の代物じゃん 米帝様だって末期にようやくターターシステムの導入だぞ? 208: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 潜水空母といい巡航ミサイル潜水艦といい、日蘭世界は進化の時計の針はやすぎぃ… 209: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX あー……日蘭世界の情報集めたサイト見てきたらあったわ、大淀型 排水量およそ14000t、護衛指揮特化、対空誘導弾および対潜ヘリコプター搭載 大戦後にはミサイル管制迎撃システムの導入、弾倉直結型垂直発誘導弾射管の試験、対潜誘導弾発射管の搭載…… ナニコレ ナニコレ 876 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 06 29 210: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》209 どう考えてもオーバーテクノロジーです、本当にありがとうございました 211: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》209 これまんまターターシステムとかVLSとかアスロックじゃねーか! 212: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》209 ワロタ……ワロタ 213: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX お前のような巡洋艦がいるか(恐怖) 214: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX とりあえずフル改造したからスクリーンショットをペタリ ttq //dotup.XXXX.XXXX//phot コンバージョン前と比較すると、対空 索敵 装甲 耐久が向上、火力と雷装が若干低下だな あと対空誘導弾発射管を搭載していると対空カットインがはいるっぽい 215: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ツイッターからさらに抜粋 『大淀を旗艦とした場合、同じ艦隊に配属した艦娘に一部的艦艇に対する命中・回避補正が加わります。 また、航空戦時に対空値と索敵値が一定上で対空誘導弾発射管を搭載している場合には特殊カットインが入ります』 ヤンデレ金剛の軽巡版かな? 216: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 回避命中補正はマジでありがたいな 燃費とかどうなってる? 217: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》216 燃費は悪くなって重巡洋艦レベルだなー 耐久と装甲が上昇してるのは装甲をガチガチに固めて部分的だけど対8インチ防御にしたためだろうし 218: 214[sage] 投稿日:201X/XX/XX 対潜値は低いように見えるけど4式回転翼機海鷲を搭載すると埋めることが出来るな まあ、スロットの関係上弾着観測装備と兼ねることはできないみたいだが、それでも強力だわ 219: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 1-5と1-6を回るには必須になりそうだなぁ 220: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》218 でも素の火力低いからむしろ主砲とっぱらってヘリとソナーとミサイル+何かだけでもいい気がする 無理に火力積むと長所が死ぬ 221: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX しかし日蘭世界のがここまで強いと史実の大淀型が霞むな… 877 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 07 57 222: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX そこは問題ない 改二だと火力高めに設定されてるし、史実大淀バージョンだと命中と火力補正が加わるっぽい あと、日蘭世界の大淀は護衛指揮艦で軽巡には含まれない 223: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》222 どういうことよ? 224: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》222 軽巡じゃないのか? 排水量的には重巡洋艦だけどな 225: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》223 》224 あー、wikiの方に既に検証データ上がってたわ 1-5及び1-6などのマップでは日蘭大淀は護衛指揮巡洋艦というカテゴリーで判定されるから軽巡入れたのと同じ ルートが進めるみたいだ でも、イベントでは連合艦隊組むと日蘭大淀以外に軽巡一隻入れないと駄目になると推測されてる 226: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX つまり連合艦隊の第二艦隊から戦艦か重巡か雷巡を抜けと… 227: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》226 そういうこと 強力だが、バランス維持のために出撃枠で縛ってる 何処にでも軽巡として出せる史実大淀か、縛りがあるが効果が高い日蘭大淀かを選べってわけ 228: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 悩みどころだな 229: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 次のイベにもよるかな 艦隊司令部施設自体は他の艦にも乗せられるし、第二艦隊に軽巡枠で史実大淀入れてもそれなりに効果あるだろ 878 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 09 26 259: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ところで、次のイベントは日米 日蘭 日仏世界メインっぽい? 260: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 運営のツイッター見る限りその線が濃厚だな 2chの他の板によれば第二次カリブ沖海戦、第一次新須賀急行、第二次仏印救援派遣と予想が出てる 261: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 俺日米世界出身だから、残りの二つについて詳しく 262: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 日蘭世界出身の中間島所属提督がざっくり説明するぞ 新須賀急行ってのは史実のアラスカへの輸送作戦のことだな 日蘭世界でアラスカが新須賀って名前で日本領になっているのはおk? 263: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX そこら辺は散々既出だな 264: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX そこへの輸送作戦か? 265: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX そうそう、特に開戦後にはアラスカ周辺を通商破壊艦隊や潜水艦がうろうろするようになった でも戦略兵器である弾道弾や爆撃機の部品なんかは何としても運ばないといけない 必然的に激しい戦いがあったわけさ 266: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX それが新須賀急行なわけか… 267: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX どっちも母港が近いし割と激しい戦いになってさ でも日本側が基地航空隊の援護を受けやすい有利な状況だったせいでアメリカ側が徐々に撤退 判定勝ちを得た感じだな 268: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX てことはやっぱり潜水艦か? 269: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》268 いや、重巡や軽空母なんかも投入されてる 護衛船団マップかそれとも通常艦隊での出撃かは分からないけど、どっちにも対策必須かもな いずれにせよ命中と回避補正のある大淀型推奨だな 270: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ヤンデレ金剛もよさそうだが…… あ、でも日蘭世界版へのコンバージョンできる青葉型の方がいいか 271: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ツイッターでもそれっぽいこと言ってるし、日蘭世界の艦娘を集めた方がよさそうだな 879 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 10 28 272: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX さて、次が仏印救援か… 誰か知っている人おらんか? 273: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 日仏世界の吾輩参上。 分かりやすく言うとインド方面への進出作戦だ。 とりあえず質問カモン 274: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX インド方面ってことはイギリスとやり合ったのか? 275: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX イギリスの東洋艦隊と制海権の取り合いしたってことでおk? 276: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX つまり武勲艦もそっちなのか? どんな感じの作戦だったの? 277: 名前 日仏世界提督[sage] 投稿日:201X/XX/XX おおう、一気に来たな 》274 》275 そういうことだな 1回目は仏印を狙って前進してくる陸軍を迎え撃つために陸軍に補給物資を送るための輸送作戦だった。 フランス本国よりも日本の方が近かったし、イギリスとガチで欧州の制海権の取り合いしてて余裕なかったからな。 でも作戦後しばらくして、本気でインドを陥落させる必要に迫られて派遣したのが第二次だ。 だけど、米国からの援助もあって頭数を揃えていたイギリス東洋艦隊に対しては、現地の海軍だけではうち漏らしが ありえたし、そもそもインド洋の制海権をフランス東洋艦隊だけでこなすのはつらかったってのもある。 だからこそ日本へと要請したわけよ。 》277 基本的に武勲艦は空母系だな でも、マジですごかったのはフランス東洋艦隊の最新鋭戦艦 アルザス級のフランドルだな 空襲で弱らせた後に突入したんだが、イギリス海軍が本気で抵抗。そこで装甲が一番厚いフランドルが自ら前進して 盾となりつつプリンス・オブ・ウェールズ他を丸ごと吹き飛ばした。単艦での撃沈は戦艦1重巡2。共同なら重巡軽巡 あわせて3隻沈めているし、戦艦共同撃沈1。無論大破に近い中破だったけど、被害を引き受けた分それ以外の艦に 大きな被害はあんまりなかった。たぶんそれが実装だな。 278: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX アルザス級ってZ計画に対抗した奴だっけ? 279: 名前:日仏世界提督[sage] 投稿日:201X/XX/XX 他だとそうなっているけど、日仏だと条約あけに建造されたフランス版長門型って感じだな 40.6センチ3連装砲3基9門。主砲配置は大和型そっくりで、特に防御関連はガチガチよ。 フランス式水雷防御+日本の喫水線以下の防御で、一部には対46センチ防御を採用してる 280: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ひぇ…ガチに固めてるな 281: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 強い(確信 282: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX その分ちょっと足は遅めで燃費悪かったけどな 同じく砲戦に加わっていた巡洋艦戦艦の愛宕がかなり殴られて落伍してもなお戦線支えた装甲は伊達じゃない 速力に関しても1.4ノット程度しか変わらんし、艦隊決戦で殴り合いをした艦といえば筆頭の1隻として挙げられる 880 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 11 19 283: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX しかしなんでまたそんな最新鋭艦を使い捨てにするような運用したん? 284: 名前 日仏世界提督[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》283 本来はアメリカの数に勝る戦艦に対して使われるはずだったからな ま、インドに睨み効かせる都合あったしより完成された次の戦艦も出来上がってたし、出し惜しみはできなかったわけだ。 で、このアルザス級の運用方法なんだが、分かりやすく言うとガチガチに固めた防御とこれまた大口径の主砲で殴り合いつつ、 随伴する水雷戦隊や巡洋艦と共同で沈めていくってスタイルだった。鎧を固めた重装兵ってかんじだな。 前面に立って受け止めていくからこそ、日本からも技術者招いて防御区画を作って固めたんだ。 285: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX なにその霧島ネキもびっくりの武闘派戦艦 286: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX リアルアデーレかよ 287: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX メイン盾か! 288: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 戦艦界のブロンドさんかよ!これで勝つる! 289: 名前 日仏世界提督[sage] 投稿日:201X/XX/XX お前らそんなにブロンドさん好きか!吾輩もだ! ま、惜しむらくは対空兵装が若干弱かったことかな。それは次のガスコーニュ級で改善されたし、 そのガスコーニュ級があまり戦果に恵まれなかったことを考えれば間違いなくリュシリューに比肩する武勲艦だよ 881 :弥次郎:2016/04/11(月) 00 12 45 297: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX イベントが楽しみになってきたぜ しかし艦これのコミカライズも一気に復活したな 新規連載だと、海外の視点から見た奴も始まるんだっけ? 298: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX たしかに。並行世界が現実化してるわけだし、ネタには困らんわなぁ… 金剛主人公の奴も並行世界編突入だし、島風主人公の奴も再開だっけ? 299: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 世界線にもよるが島風姉妹艦が増えてるしな 日蘭は一番進んでる感じで完璧にミサイル駆逐艦だったな… 300: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 次は主人公は大和型かな? 一番差異が出てるのはやっぱ大和だし 301: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 日蘭世界とかの51センチ砲搭載型大和はどう考えても置物不可避 でもそんなんでガチで殴り合いした日蘭世界は地獄だぜぇー 302: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX うん……日蘭世界出身だから分かるが、伊吹型の方がまだかわいい(白目) 503: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX お前ら孤立大陸出身の俺らの前でおんなじこと言えんの? 504: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》503 サーセン 505: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》503 孤立大陸……あ(察し 506: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》503 調子乗ってました、すいません…… 507: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX え、そんなにやばい世界線なの? 508: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》507 全世界VS.日本大陸 敵ばっかの世界線よ…… 509: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX ジョークだよな、それ…… 510: 名前 名無しさん提督@大陸[sage] 投稿日:201X/XX/XX 》507 っttq://XXXXX.XXXX.jp ちょっとえぐいことになってるから閲覧はマジで注意な… 見ない方が幸せだから、出来れば見ない方がいい 新着レスを表示する
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4172.html
前ページ次ページゼロな提督 「この不可侵条約締結の打診は、偽装だと言うのかね?」 「はい。あまりにも不自然です。そもそも、彼等の存在意義に対し矛盾しています。トリ ステインとゲルマニアの虚を突くためのものでしょう」 枢機卿は、ヤンの進言に沈黙を守る。 真っ直ぐに向けられた視線に物怖じすることなく、ヤンは話を続けた。 「彼等はハルケギニア統一と聖地奪還を大義名分として蜂起し、王家と王党派を粛正した のです。無論、聖地奪還など単なるお題目に過ぎず、実質は王家に対する貴族連合の利権 拡大が目的だったでしょうが」 枢機卿の執務室ではデスクを挟み、椅子に座る枢機卿に対しヤンの意見が披露されてい た。ヤンの横に立つルイズは、ヤンと枢機卿の話をジッと聞いている。 部屋の隅には警護としてグリフォン隊隊長ワルド子爵と部下数名が待機している。その 横にはヤンから預かったデルフリンガーが立てかけられていた。 黙ったまま頷いた枢機卿に対し、更に推測が語られた。 「ですが、このような『期限を定めない』不可侵条約では、ハルケギニア統一をしないと 言ってるのと同じです。故に聖地奪還も出来ない…王権を打倒して神聖アルビオン共和国 樹立を宣言したとたんに彼等の掲げた大義を放棄したのでは、総司令官オリヴァー・クロ ムウェルのみならずレコン・キスタから民心は離反します。 なにしろ、始祖より授けられた王権を打倒するのですから、王権を打倒するに相応しい 大義を示し続けねば、彼等はただの逆賊と誹りを受けるでしょう」 話し続けたヤンが一呼吸を置いた所で、ワルドが一歩前へ踏み出した。 室内の者が視線を精悍な男へ向ける。 「失礼。猊下、よろしいでしょうか?」 「うむ、ワルド君の意見を聞こう」 子爵は恭しく一礼した上で、力強く反論しだした。 「確かに今回の不可侵条約の打診、いささか性急で不可解ではあります。ですが、だから と言って偽装とするのは勘繰りすぎと考えます」 「ふむ、何故に?」 「まず、アルビオンは激しい内戦で国内は疲弊し、兵達も疲れ果て、戦争継続が困難な状 況と推測されます。なにしろ国家を二分する戦いで、うち一方を完全に殲滅してしまった のですから。戦力は単純に考えても半減です。 期限については後の交渉なり、何か適当な口実を付けて条約そのものを破棄するなり可 能です。むしろ、彼等はそこまでしなければならない程に国土が荒廃し、戦力を低下させ ている、と見るべきではないでしょうか」 ワルドの反論に対し、枢機卿は大きく頷いた。 そしてヤンに視線を戻し、何か異論はあるか?と言いたげな顔をする。 これに対しヤンは、いつも通りの口調で語り出した。 「確かにそれは言えます。ですが、国力の低下は確かでしょうが、果たして戦争継続が不 可能な程かどうか、は確認しないことにはなんとも言えません。 むしろ、彼等の財政についてのみ言うなら、以前より潤っているのではないか…とすら 思うのです」 「ほう?何故かね」 枢機卿は興味深げに、ワルドは鋭い目でヤンを見る。 「はい。彼等は王党派を粛正しました。それは同時に王党派が有していた財産・利権・領 地が全てレコン・キスタに渡ったという事です。戦力が半減し、巨額の戦費を借金してい たとしても、その補充と返済には苦労しないでしょう。戦力と一緒に貴族も半減、ならば 領土から手に入る金は二倍です。 人的資源の補充と国土の回復は一朝一夕にはいきません。ですが、こと財務に関しては 健全化していると見てよいかと。ならば戦力の再編成に時間はかからないと思います」 第11話 異邦人 ヤンが召喚されてから5回目の虚無の曜日となった。 トリスティン-ゲルマニア軍事同盟条約文の署名のためゲルマニア首都ヴィンドボナへ 行っていたマザリーニ枢機卿は、先日ようやくトリスタニアへ戻った。そしてすぐに、ア ルビオン新政府である神聖アルビオン共和国初代皇帝オリヴァー・クロムウェルより派遣 された特使から両国へ打診された『不可侵条約締結』について協議に入った。王女の恋文 の一件を解決したヤンと、その主であるルイズへ城への招待状もすぐに送った。 ヤンとしては乗り気ではなかった。が、トリステイン王国の実質的最高指導者から直々 の招待を蹴ったのでは、主たるルイズの叛意すら疑われかねない不敬だ。公爵との義理も ある。渋々ながら、朝から王宮の馬車に乗り出発となった。 城で出迎えたグリフォン隊のメイジ達に案内されて来たのは、枢機卿の執務室。デスク には枢機卿が座り、部屋の隅にはルイズの婚約者であるワルド子爵が控えていた。ルイズ は王女の学院来訪時と同じように頬を染めて俯いたものの、枢機卿の前であるため、いつ ぞやのように心ここにあらずとはならなかった。 二人は、激務の果てに鳥の骨と影で呼ばれるほど痩せてしまったマザリーニへ型どおり の礼をした。そして枢機卿は挨拶代わりの始祖ブリミルへの信仰と、その加護による国民 の安寧について手短に一通り語る。始祖をブラスターで穴だらけにしてやると誓ったヤン も、とりあえずは神妙な顔で挨拶代わりのお説教を聞いていた。 で、王侯貴族に相応しいもったいぶった挨拶がやっとのことで終わった所で、枢機卿は 恋文事件解決への協力について謝辞を述べた。その上で、「ところで、君ならどう思う?」 と不可侵条約への意見を求めたのだ。 ワルドが不愉快げに鼻をならした。 「単なる憶測だな。それに貴族が半減しては戦力は半減以下だ」 その批評にヤンは頷いた。 「はい、単なる憶測ですし、メイジの質・量とも不明です。なので、急ぎアルビオンの残 存戦力を確認する必要がありますね。 ただ…もしアルビオンが実力をもって攻め入るなら、それは艦隊によるものとみて、間 違いありませんか?」 「当然だ」 何を下らぬ事を、と言いたげなワルド。 そのワルドへ更に言葉を続ける。 「ありがとうございます。 何しろ、私の故郷には浮遊する大陸というのはありませんでした。それに艦の形も機能 もかなり違いまして、ここからは本当に、書物と伝え聞いただけの話から勝手に憶測する だけのものなのです」 「待ちたまえ。異邦人の勝手な憶測と分かっているなら…」 ヤンの言葉を遮ろうとしたワルド。だが、マザリーニ枢機卿が更にワルドの言葉を手を 振って止める。 そしてヤンに対して頷いた。話を続けよとの指示と見て、ヤンは更に推測を語る。 「アルビオンは浮遊大陸。彼等が打って出るには、好きな時に滑空して降下するだけなの で楽なものです。多少地上から離れていても、お構いなしです。 対して大陸側から攻め入るには数日かけて風石を大量消費しながら上昇せねばなりませ ん。しかも、アルビオンがラ・ロシェールに近付く日に限定されます。侵攻ルートも日時 も限定され、おまけにゆっくり下から浮き上がってくる艦列…大砲の餌食ですよね」 「知れた事。だからこそ、アルビオンは難攻不落の要塞と同義なのだよ」 ワルドのバカにしたような言葉に、やっぱり満足したように頷くヤン。 「そうです。奇襲を受ける心配も少なく、防衛のための戦力はほとんど要りませんよ。な ら、彼等は戦力が完全に揃っていなくても、トリステインへ攻め込む事を躊躇うことはな いでしょう」 ワルドは、ぐっと言葉に詰まる。 「もともと空軍力で圧倒している上に、空で上方を取るという地の利も得ています。なら ば、同盟に基づくゲルマニアからの援軍が来る前に、奇襲を持って侵攻し、一気にトリス テインを墜とす。…不可能ではないと思います。 何より、彼等は急ぎ新たなる戦乱を起こす必要があるのです」 ワルドは今度は反論しない。 代わりに枢機卿が口を開く。 「ほう…その必要とは、何かな?」 「はい。それは彼等レコン・キスタが、利権目当ての烏合の衆だと言う事に起因します。 王党派を倒し利権の分配をしている彼等は、利権の分配を巡って鍔迫り合いを繰り広げて いる事でしょう。 そんな彼等をまとめ上げるには、目前の利権から目を逸らすもの、即ち大義と敵が必要 です。急いで王党派に代わる新たな敵を仕立て上げねばなりません。そのため聖地奪還と いう美名の下、早期にトリステインへ攻め入る必要があるのです」 枢機卿は満足したように大きく頷いた。 ワルドは、少々不満げに眉をひそめた後、肩を落としながら溜め息をついた。 壁に控える騎士達とデルフリンガーは何も言わず、黙って話を聞いている。 そしてヤンの横にいるルイズは、真剣に枢機卿とヤンのやりとりを見つめていた。一言 一句を全て頭に叩き込むかのような気合いが滲み出ている。 太陽が真上にのぼったトリスタニアの正午。枢機卿の前に立つ平民は、自らの知識と経 験に基づく政戦両略を語り続けた。 既に昼食の時間だ。枢機卿ともなればランチも重要な会議の席であり、他の重臣達との 交流の場となる。だが、枢機卿はトリステインの重鎮達をさしおいて、ヤンの話を聞き続 けていた。 「なるほど…では、君はこの不可侵条約締結に反対、というわけだね?」 「いえ、実は賛成です」 前言をあっさり否定するかのようなヤンのセリフ。枢機卿はじめ室内の全員が一瞬、目 が点になった。 「さっきも述べたとおり、本来アルビオンはいつでもトリステインに攻め込めます。ただ それだと正攻法なので、国力と軍事力の十分な回復を待ってからになり、かなり時間がか かります。 ですが、条約締結は奇襲が前提なので、そこまで時間はかけなくて済みます。そのかわ り他国との信用上、安易には攻め込めません。条約を破棄するだけの相応の口実が必要で す。また、不可侵条約を信じたトリステインの油断を狙う、という意味ですから、逆に言 うと侵攻する時期が読める、と言う事です」 ルイズが「あ…」と小さく驚きの声を上げる。後ろにいる騎士達も顔を見合わせてしま う。枢機卿も感心しきりでヤンの意見に重々しく「うむ…」と声を漏らす。 ワルドは刺すような視線でヤンの横顔を射抜き続けている。 「よって、アルビオンは『条約破棄の口実』『トリステイン艦隊を奇襲可能』…この二つ の条件を満たす時に奇襲をかけてくるでしょう。 トリステインは彼等の不十分な戦力による奇襲を、周到な準備のもとで迎撃する事が可 能となるのです」 枢機卿はしばしの思索の後、ヤンの眼を真っ直ぐ見返しながら話を続ける。 「条約を締結すると、姫の結婚式にアルビオンから、大使を乗せた親善艦隊が来るかもし れんが?」 その問に先に答えたのは、さらに一歩前に出るワルド。 「姫殿下の結婚式は3週間後、新政府樹立から一ヶ月も経っていません。いくらなんでも 早すぎます。軍の補充はおろか、再編すらも厳しいでしょう。それに、そんな早期に条約 を破棄しては、いくら口実を得たとしても他国に疑念を抱かれます」 ワルドの意見に、ヤンも頷いた。 「私も同意見です。ですが、我々がそう思っているからこそ奇襲の好機とも言えます。警 戒するにこしたことは無いと思いますので、ゲルマニアの艦隊との連携を深めておくべき と考えます」 ヤンがそこまで語った所でドアがノックされた。見るからに王宮に相応しい気品ある女 官が入室し、財務卿が昼食をお待ちです、と伝える。 枢機卿はようやく椅子から腰を上げた。 「うむ。ヤン・ウェンリーよ、君の意見はとても興味深かった。実は君と似たような意見 は、将軍や大臣からも囁かれていた。どうやら、元将軍という噂は真実らしいな」 枢機卿からの讃辞に、ヤンは肩をすくめる。 「いえ、私は単に集められた情報を分析するのが仕事だっただけです。ただの後方勤務で すよ」 「ふむ、ではそういうことにしておこう。ご苦労だった」 枢機卿は威厳を持って、だが一目見て分かるほど上機嫌で、女官を連れて退室した。 後に残るヤンは、ふへぇ~…と、肺が空になるほど息を吐き、ソファーに座り込んでし まった。それをルイズが手をひっぱり無理矢理立たせようとする。 「ちょっとあんた!ここは王宮の、枢機卿の執務室よ!シャンとしなさい!!」 「いやぁ、そうは言われても…」 グイグイと腕を引っ張られるヤンだが、脱力したまま立とうとしない。 「おいおい、情けねぇなぁ。さっきまでの威勢はどうしたよ?」 デルフリンガーも呆れたような声をあげる。 「はははっ!それはしょうがないよ、僕のルイズ。僕だって猊下の前では未だに緊張する ものさ!」 ワルドは先ほどまでの鋭い眼光とはうって変わり、陽気な笑顔でヤンを見下ろした。 「それにしても、噂通りの慧眼だね。感服したよ。いやはや、軍議で熱くなるなんて久し ぶりだったな」 賞賛されたヤンは、ぃよっこらせっと、年寄りのような声を出して立ち上がる。そして 凛々しい貴族に頭を下げた。 「とんでもありません。ところで、ご挨拶が遅れました。私はヤン・ウェンリーと申しま す。先月ミス・ヴァリエールに召喚され、瀕死の所を救って頂きました」 長身の貴族もヤンへ一礼し、張りのある声で名乗り返す。 「こちらこそ、自己紹介が遅れたね。女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長ワルド子 爵だ。ルイズの婚約者だよ。まずは顔を上げてくれたまえ」 ヤンが顔を上げるのを待たず、ワルドはルイズへ視線を移した。 「そして、久しぶりだな!ルイズ!僕のルイズ!」 ワルドは人なつっこい笑みを浮かべて、ルイズを抱きかかえた。 「お久しぶりでございます…あの、人目があるので、お恥ずかしいですわ」 「おっと。これは失礼したね」 ルイズの視線の先にいる、部屋の隅で待機したままだったグリフォン隊隊員は、笑い出 すのをこらえていた。 王宮の廊下を、ワルドの案内でルイズとヤンが歩いている。ヤンは白手袋に黒服、背中 にデルフリンガーを背負っている。鈍くさそうな執事モドキが古ぼけた長剣を背負って歩 く姿はかなりヘンらしく、婚礼の準備で忙しく走り回る召使いや兵士がチラチラと視線を 向けてくる。 「やっぱり、僕に剣は似合わないよ…」 その言葉に、背中の剣が飛び出してツバをガチガチと激しく打ち鳴らす。 「うっせー!文句言うんじゃねぇ!俺だって、俺だって…まさか、ここまで剣に縁がない ヤツだなんて思わなかったぜー!」 「いや、そう言われても…君が売り込んだんじゃないか。話し相手になるって」 「だからって、限度があるだろーが!何でもかんでも口先三寸で解決しやがって!たまに は盗賊にでも襲われろー!」 「おいおい、そんなの怖いじゃないか」 別にヤンに非があるわけでもないのだが、デルフリンガーの愚痴は止まらない。何しろ ヤンに買われてからというもの、本当に話し相手以外の役に立っていないのだから。これ では武器屋にいた頃と変わらない。 そんな彼等を後ろに従えるルイズは、一人と一本の寸劇なんか耳に入っていない。彼女 は頬を赤く染めながら婚約者を見上げていた。 「まさか、婚約の事を覚えていて下さったなんて…嬉しく思いますわ」 「はは、もちろん覚えているさ。でも、父がランスの戦いで戦死し、爵位と領地を相続し てからは、ずっと魔法衛士隊にいたからね」 「領地には、ほとんど帰ってこなかったものね」 ルイズは思い出すように、目をつむった。 「ああ。一生懸命、奉公したよ。おかげで出世した。なにせ、家を出る時決めたからね」 「何を?」 「立派な貴族になって、君を迎えに行くってね」 ワルドは笑いながら言った。 だが、ルイズは浮かない顔だ。俯いてしまい、声もだんだん小さくなる。 「でも…私はまだ、あなたに釣り合うような立派なメイジじゃないし…それに、私…この 前なんか…」 暗い表情になってしまうルイズの肩に、ワルドの手が優しく置かれた。 「話は聞いているよ。でも君が気にする事じゃないさ。姫殿下の命に逆らうなど、臣下と しては本来許されないのだから」 ルイズを庇う言葉に、彼女も少し表情を明るくして婚約者を見上げる。ワルドは穏やか に微笑みを浮かべていた。 「ただ…名誉挽回のためとはいえ、政の場へ婦女子が立ち入るというのは…さすがに淑女 として慎みに欠けると思うな」 そう言ってワルドはチラリと後ろを向く。そこには未だに長剣の待遇改善について激論 をかわすヤンがいた。ルイズも同じく後ろを向きつつ言葉を返す。 「そう、思いますわ。ですが、私は未だに魔法が失敗してばかりです。なら、魔法以外で 何かを成し遂げる事も考えるべきではないか…そう、思うのです」 その言葉に、ワルドは目を丸くした。 「メイジとしての生き方を捨てるって言うのかい!?」 ワルドの問に慌ててルイズは首を振る。 「いえ!そうではなくて…ただ、メイジだからといって、魔法だけにこだわってはいけな いのかも、と思うんです。そして彼は、一切魔法を使わずに、魔法とは全く異なる生き方 を示す人物、私はそう考えてます」 二人の視線がヤンへ注がれる。半分寝ているとしか思えない目をしたヤンが、どう贔屓 目に見ても似合わない背中の長剣に、戦いに出るなんてめんどくさいのなんのと言ってる 姿を。 ルイズは、前言を撤回しようかと思った。 城の前にヴァリエール家の馬車が待っていた。お城の召使いが華麗かつ優美に扉を開け て、ルイズが乗り込む。 ヤンも乗り込もうとした時、ワルドがヤンを呼び止めた。 「済まない、ちょっといいかな?」 「はい。なんでしょうか」 馬車にかけていた手を離し、ワルドの方へ向き直る。 「先ほどの君の意見なんだが、猊下は採用なさると思うかい?」 「いえ、しないでしょう」 あっさりと当然のように否定され、ワルドは拍子抜けしたような顔になる。ヤンは肩を すくめながら、構わず話を続ける。 「どこの馬の骨とも分からない平民の意見を軽々しく採用したとあっては、他の大臣や将 軍が鼎の軽重を問われるでしょう?採用するにしても、誰か適当な貴族からの意見という 事にするでしょうね」 その言葉にワルドは数回軽く頷き、そしてヤンの肩にポンと手を置いた。 「そこまで分かってるとはねぇ。…いやはや、それだけに惜しい。君のような才覚ある平 民を生かし切れないようだから、この国は衰退の途にあるなどいわれるのだよ。 トリステインは歴史ある国家。故に伝統としきたりに固執し、その国力は年々低下して いると言われる。悲しいが、否定しきれないのもまた事実だ」 馬車の方からルイズがヤンを呼ぶ声がする。 ヤンは、そろそろ時間ですのでと言ってワルドに一礼した。ワルドも型どおりの別れの 挨拶を返し、最後に一言付け加えた。 「ルイズの使い魔である君とは僕も良い関係を築きたいと思う。次は、この国の将来につ いて語り合いたいものだよ」 こうしてルイズ達は城を後にした。 馬車からルイズがピョンと飛び降り、その後をヤンが長剣を背にしてノッソリと降りて くる。 「それじゃヤコブ、また買い物終わるまで待っててくれるかい」 「おー、ゆっくり行ってきな。昼寝しながら待ってるぜ」 「ちょっとー!何してるのよ、早く買い物行くわよ!」 ヤンはヴァリエール家の、いつもの御者に一声かけて、慌ててルイズの後を追いかけて 走り出す。 街の門の駅に、城から乗ってきたヴァリエール家の馬車を待たせ、二人はトリスタニア に入った。 城からの帰りに立ち寄ったトリスタニアは、まるでお祭りだ。 もともと虚無の曜日なのだから、露店が並び、大道芸人が技を披露し、吟遊詩人が楽器 をならしながら詩吟を語り、ボロボロになった法衣のなれの果てを来た遍歴の修道士が辻 説法をしているのはいつものこと。 その上、アンリエッタ姫の結婚式まで一ヶ月を切ったのだ。 式は来月ニューイの月、一日にゲルマニア首府ヴィンドボナで行われる。これに先立ち アンリエッタ姫の婚礼パレードはトリスタニアを通り抜け、国内へ国家的慶事を知らしめ る予定となっている。 なので、現在トリスタニアはてんやわんやの大騒ぎ。姫が乗る馬車が進む石畳の道は急 ピッチで補修中だ。街の中は裏通りに至るまで清掃作業に余念がない。各商店もそれぞれ に、特にブルドンネ街の各商店は看板を新調したり、店構えを拡張したり。そのような資 金が無くても、せめて塗装を塗り直したり。姫の婚礼の儀に粗相があってはならぬと、準 備に余念がない。 大きな商会やギルドは、まるで戦争のような勢いだ。実際、これほどの特需は戦争でも 起きないと降ってこない。毛織物ギルドなら各地から羊毛を必死でかき集める。各地方出 身者が集まる商業組合は、商会に持ち込む商品を買い叩かれまいと、連携して価格協議に 火花を散らす。塩・肉・小麦などを扱う業者は城や貴族へ最高級品を売りつけようと競争 が激しい。 そして一般家庭であっても姫殿下の婚儀への準備が進んでいる。どの家も通りの壁を飾 る色とりどりの布を準備する。子供達は紙吹雪や花吹雪を揃える算段に頭を悩ませる。奥 方達はこれを良い口実にと新しいドレスや靴を注文し、尻に敷かれた亭主達に諦めの溜め 息をつかせる。 警備の衛士達も走り回る。警備主任が街の地図を頭に思い浮かべて部下の配置図を考え 続ける。もちろん、一番姫の目に止まる重要なポイントは自分が確保しようと、ライバル の騎士達と火花を散らす。部下達は上司達のいがみ合いに辟易しつつも、不埒者や間者が 紛れていないかと街に目を光らす。ゴミのポイ捨て一つにすら怒号を飛ばすほどの気合い で駆け回っている。 で、そんな街へ何しに来たかと言えば… 「さ!この店がヴァリエール家御用達の仕立屋よ。この前寄ったから覚えてるでしょ?今 回はあんたも!ビシッとした一張羅を買いなさいよ!」 当然ルイズも婚儀にあわせてのお買い物。付き合わされるヤンは立派な店の前で、特大 の溜め息をついてしまう。 「あのさ、僕の服は関係ないんじゃないかなぁ…というか、ルイズは素敵なドレスを沢山 持ってるんじゃ?」 そんなヤンのささやかなつもりの具申は、ルイズのギロリという擬音が聞こえそうな視 線の前に跳ね返された。 「何言ってンのよ、あんた。…トリステインでも随一の歴史と格式を誇るラ・ヴァリエー ル侯爵家の三女ともあろうものが!こともあろうに、王家同士の婚儀という目出度い席 に!使い回しのドレスなんか着ていけるわけないでしょ! あんただって同じよ。ヴァリエール家の者として、主に恥をかかすような服なんか着さ せられないわ!」 ルイズのお叱りにヤンはタジタジ。 もともと彼は、軍服以外は何を着ても似合わない、と言われた人。寝たきり青年司令官 とすら呼ばれた生活無能力者。養子のユリアンが来るまではゴミの山が同居人だった、超 ものぐさ。 だいたい貴族の嗜みなんて、学院の図書館に籠もってたって身に付くわけもなし。 ルイズに政戦両略の教えを請われたヤンではある。だがそれ以外、特にハルケギニア貴 族の礼法とかは、相変わらずルイズに頭を下げて教えてもらわなければならないのは変わ らない。 そんなわけで、ヤンは渋々ルイズと一緒に店へ入っていく。店内はやっぱり街と同じで 目の回る忙しさだ。それでもルイズの姿を見るや、即座に店主が飛んできて店の奥へと案 内された。 ヤンはどこが違うのかサッパリ分からない布地をズラリと並べられ、全身をメジャーで 測りまくられ、ルイズからドレスの生地が似合うかどうか聞かれて「う、うん。とっても 似合うと思う…」と適当に答えて蹴られるのであった。 夕方、またも大荷物を抱えさせられて馬車まで戻って来たヤンは、既にフラフラ。馬車 で待ってた御者のヤコブとデルフリンガーは、同情と共に「お疲れさーん」と苦労を労っ てくれた。もちろんルイズは労いの言葉なんかかけてくれない。さっき露店で買った、蜂 蜜をたっぷりかけたパンを幸せそうに頬張っていた。口の周りを蜂蜜でベトベトにしなが ら。 「ところで、ヤンよぉ」 「ん?何かな、デル君」 夕闇が広がる茜空の下、馬車の中で長剣がヒョコッと鞘から飛び出した。 「おめぇ、あんだけ『バカバカしい』だのなんだの言ってたわりにゃぁ、随分ノリノリで 枢機卿と話してたじゃねぇか」 「ああ、それか…」 疲れた体を、窓から見える黄金色の草原で癒していたヤンは、ボリボリと頭をかく。そ して少しだけ、どう答えようかと考えてから口を開いた。 「自分でも、矛盾に満ちてるとは思うんだけどね。いつも夢中で考えてしまうんだ、どう やったら負けずに済むんだろうって。権力や戦争の愚かさを偉そうに語るくせに、おかし な話さ」 「何それ、ヘンなの」 「まったくだぜ、おでれーたな、この変人ぶりは」 反対側の窓から夕日を見ていたルイズも、おかしな事を言うわね、と呆れ顔。デルフリ ンガーも顔があったら似たような表情をしていたろう。 「そうだね、ヘンだね。…まぁ、僕が変人呼ばわりされるのは、今に始まった事じゃない さ」 「だから、そういう事を自慢してんじゃないわよ」 ヤンの変人ぶりを咎めるような事を言うルイズだが、顔は笑っていた。彼女にしても、 ヤンがハルケギニアの常識から大きく外れた人物だという事実に、今さら文句を付ける気 もなかった。 だんだんと夜が広がる草原を、馬車は学園へ向けてポックリポックリ音を立てて進んで いた。 すっかり暗くなった学院で、ヤンは御者に手を振っていた。 「んじゃ、ヤコブ。またよろしくお願いするよ」 「おー、今度はもっと荷物が少ない時に頼むぜー」 またも大荷物をルイズの部屋に運び込む手伝いをさせられたヤコブは、大仕事を終えた 疲労感と達成感を胸に去っていった。 そして寮塔に入っていったヤンが向かうのは、大荷物が小山を作るルイズの部屋、では なくその向かいの部屋。キュルケの部屋には、椅子に座ったキュルケとルイズがシエスタ の入れるお茶を飲んでいる。 壁にはデルフリンガーも立てかけられている。 「お待たせしたね。今夜はタバサさんはいないのかな?」 キュルケの室内を見渡すヤンだが、いつもキュルケと一緒にいるタバサが見えない。 「虚無の曜日はいつも部屋で本を読んでるんだけど、部屋にもいないの。朝から見かけな いのよ」 ルイズは青髪少女の事は気にせず、シエスタのお茶をグィッと飲み干した。 「ま、あの子だってたまには本以外の用事があるんでしょ。それより、早く始めましょ」 そう言ってルイズはテーブルの上にノートとペンを広げる。そんなルイズを見るキュル ケは渋い顔だ。 「ちょっとちょっと、そんなに慌てなくて良いんじゃなぁい?それより、今日のお城の事 をもっと教えてよぉ~。婚約者の事とかさぁ~」 「だっ!ダーメ!それこそ後で良いわよ」 「そーそー!そういう事はオレッちがたっぷり教えてやっからよ!」 とデルフリンガーが自慢げに言う。キュルケは、「これ、本当に剣として役に立つのか しら…」と内心感じていた。さすがに剣が可哀想になるセリフなので口にしなかったが。 そんな二人と一本をよそに、シエスタは床に置いていた籠からグラスとワインを取り出 し、グラス半分ほどに注いでヤンに手渡す。 受け取るヤンの目はキラキラと輝かんばかりだ。しきりに香りを楽しみ、ランプの光に 赤い液体を透かし見る。 「うわぁ~、これが前に言っていたタルブのワインかい?」 「そうなんです!とっても美味しいんですよ!」 というシエスタの言葉を最後まで聞かず、グラスのワインをクッと飲み干した。 「あっこら、だからそういうのは後に」 ルイズの止める言葉はヤンには届かなかった。カッと目を見開き、驚いたように硬直し ている。いくらシエスタお勧め名産ワインとはいえ、さすがにオーバーな反応に女性達は 少し怪訝な顔をする。 「どうしたよ?ヤンよ」 デルフリンガーの言葉にもヤンは答えない。 ゆっくりとワインをテーブルに置いたヤンは、大きな溜め息をついた。 「・・・美味しい」 「うわぁ!そんなに喜んで頂けるなんて!田舎から届けてもらった甲斐がありました!」 可愛いしぐさで跳びはねんばかりに喜ぶシエスタを、ヤンはじっと見つめる。 「美味しいんだけど、その、なんというか、懐かしい味がするんだ。そう、どういえばい いのか、うん…お袋の味って言えばいいのかなぁ?」 ヤンの感動しきりな姿に首を捻ったキュルケとルイズも試しに飲んでみる。 「美味しいけど・・・ワインよね?」 一口飲んだルイズは、特に目だった所のない味のどこにそんな感動をしたのか、理解出 来ないといった様子だ。 「確かに美味しいわよねぇ・・・でも、お袋の味って言うほど懐かしいのかしら?」 グイッと一気に飲み干したキュルケも訳が分からない感じ。 だがそんな二人の疑問はよそに、ヤンは既に2杯目を飲み干していた。 「うーん、よく分からないんだけど、何か、トリステインの他のワインとは違う気がする んだ。あの、シエスタさん、このワインって」 と、ヤンが尋ねようとした所で、ドアがノックされた。入ってきたのはタバサだ。相変 わらず無表情で、小さく頭を下げただけでツカツカ部屋に入り、当たり前のように着席。 そしてヤンを見上げる。 シエスタは皆に一礼し「では夜も遅くなりましたので、失礼致します」と退室した。 ヤンは「それではみんな来たようなので…」と話を切り出す。 「それじゃ、昨日までの話の続きをしようか。ええと、昨日は確かアムリッツァ会戦終結 まで話したよね。 それじゃ、その後の事だよ。帝国で起きたリップシュタット戦役と、同時期に起きたフ リープラネッツにおける『救国軍事会議』のクーデターについてだ。この救国軍事会議の クーデターは、リップシュタット戦役で門閥貴族勢力を打倒するまでの間、帝国へ介入さ せないために仕掛けられた内乱でね・・・」 ヤンは、先日ルイズに請われた通りヤン自身の事をルイズに語っていた。 だが語り始めれば、自然とそれは同盟と帝国の戦乱の現代史そのものとなる。ヤンは常 に戦局全体を見渡し、歴史における自らの立場と、民主共和制国家における一軍人として の地位を踏まえた上で行動し続けたのだから。 もちろん宇宙・超光速通信・ワープ航法等といった科学用語はルイズ達には分からな い。なので、そう言う言葉はなるべく避け、宇宙は『海』に、星は『島』に当てはめるな ど、なるべく分かりやすく語り続けた。また、なるべく同盟の政治体制である『民主共和 制』と自分の地位については言及しないよう配慮している。 そして常に最前線に身を置いてたヤンの語る物語は、単なる夢物語や妄想とは言い切れ ない迫力と臨場感を含んでいる。ローゼンリッターの斧、ゼッフル粒子発生装置という物 証もある。また、ヨハネス・シュトラウス遺物捜索に同行したギーシュの口から(かなり 自分の活躍についての誇張を含んでいたが)自慢げにクラスメートへ語られた話からも、 ヤンの話は信憑性が高いと認められていた。 そしてヤンは、そういう歴史や戦略を語らせると、長い。 で、そんな面白そうな話をキュルケが聞き逃すわけもなく、タバサも異国の将が語る兵 法講義に興味津々のようだ。結果、ヤンの話をみんなで聞くということになった。 ルイズは話の要点を手短にまとめてノートに記していく。タバサは無表情だが、ヤンの 顔をジッと見て話に聞き入っている。『微熱』のキュルケも、さすがに色気のない話だか らと退屈そうにしたりはしない。デルフリンガーはヤンの話の丁度良い所で「ふむふむ、 それからどーした?」「おお、それはすげーな!おでれーた!」と合いの手をいれたりす る。 身振り手振りを加え、ルイズから借りた紙とペンで艦隊の展開図を示したりしながら、 熱心に別宇宙の戦史を語り続けていた。 「ふぅわ~・・・それじゃ、お休みなさぁ~い」 「お休み~」 「おうよ~また明日な~」 「ではキュルケさん、失礼します」 タバサは黙って小さく頭を下げる。 夜も更けた頃、ようやくヤンの長い講義が一段落。皆キュルケの部屋を後にした。 アクビをするルイズがネグリジェに着替えようとした時、ルイズの部屋の窓がコツコツ と叩かれる音がした。 シエスタのワインでちょっとほろ酔いなヤンが窓を開けると、そこには風竜に乗ったタ バサがいた。 「おや、タバサさん。どうしたんですか?」 タバサはピシッとヤンを指さす。ルイズも何事かと窓の外の少女を見る。 「客」 それだけ言うと、タバサは二人に風竜へ乗るよう促した 学院の近くの森には、タバサの使い魔である風竜シルフィードのねぐらがある。 その辺の木を牙と爪で切り倒して作った天井と、地面に敷き詰めた藁。近くには飲み水 をいれる飼い葉桶。 その辺の木を切り倒したので、その周囲は少しだけ森が開けている。 シルフィードに乗ったタバサ、ルイズ、デルフリンガーを背負ったヤンが降り立ったそ こには、先客がいた。 薄暗い月明かりの中、その人物のシルエットは降り立った彼等の足下にポイッと何かを 投げてよこした。 一番近くにいたルイズが拾い上げると、「…何これ?」と呟く。 「これは・・・!」 ルイズの肩越しにそれを見たヤンが驚きの声を上げた。 「やはり、知っていたか」 その人物は予想通りという様子だ。その声を聞いた瞬間、自分の迂闊に自分を呪った。 「あいつは!?」 ヤンの背中のデルフリンガーは、シルエットの人物に対して驚きの声を上げる。 「それは、つい先日聖地から湧き出した『悪魔』の破片の一部だ。それだけは大地の精霊 も地の底に封じなかった。どうやら毒に冒されてはいないようなので、安心して欲しい」 そう言って客はルイズ達の方にゆっくりと歩み寄る。 双月の下に照らされた人物には長い耳がついていた。 「以前、君たちに会った時、そこの彼が同じ紋章をつけた帽子を被っていたのを思い出し たのだ。もしやと思い、そこのタバサ殿に連れてきてもらったのだ」 その人物に指し示されたタバサが、小さく頷く。 ヨハネス・シュトラウス遺物捜索の時、ヤンはまだ同盟軍の軍服を着ていた。同盟軍の 帽子は、白い五稜星マークが入った黒のベレー帽だ。 そしてルイズが持つ物体にも同じマークがある。それは黒こげの金属板で、赤・白・青 の三本線の下地。真ん中の白線中央には五稜星。同盟の国旗だ。 月明かりの下に立つのは、長い金髪を輝かせるエルフ。 ビダーシャルだ。 第11話 異邦人 END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/4250.html
921: 第三帝国 :2017/01/01(日) 19 11 20 艦これ×神崎島ネタSS――――閑話「絆」 「・・・どうしてこうなったし」 「はっはっはっはっ、提督よ。 良いではないか、男子が夢見るハーレムだぞ」 「武蔵が言う通り、 これは皆が同意した上での話です。 大和も提督とこうした形で関係を深めることに異論はありません」 「その通りよ!姉妹の間で色々ありましたけど納得しました!」 「はい、それはこちらも同じです。 金剛姉さま達とはじっくりOHANASIしました」 「ええ、榛名の言う通り、 この霧島も姉妹の間でじっくり語り合いました」 「納得って・・・ガラさーん、その顔の痣は? それ榛名も霧島もその生傷はいったいなんなんだ?」 「提督ゥ、女の戦いに容赦という言葉はナッシングデース!」 「容赦なしって・・・金剛も何やっているんだ」 「何やってるって、全部提督のせいですわ。 この熊野だけでなくみんなを惚れさせた提督が根本的な原因なのですから」 「みんなしれぇの事が大好きなのが原因だから、 しれぇはみんなを惚れさせた責任を取るべきだと雪風は思います」 「雪風の言う通りです。 陽炎型駆逐艦、1番艦陽炎が陽炎型を代表して提督に報告するわ。 私たちは提督との関係をより一歩進めることを切に希望している次第であります!」 「あ、暁はレディだから夜戦だってこなせるわ、だから・・・」 「それ以上は言わない方が良いと思うな、暁。 ほら、提督が罪悪感やら世間体とかで百面相を浮かべているよ」 「何言っているの響。 これから毎日提督と夜戦ができるじゃん! 夜戦しよう夜戦!アンアンキシムサウンドで―――」 「下品ですよ。 少し静かにしましょうか、姉さん」 「ちょ、神通――――ぐぇ」 「あのすみません提督。 夜戦馬鹿な姉がいつもいつも騒いで・・・」 「あーうん、知っている。 川内がいつも騒がしいのは知っているから大丈夫。 だから那珂ちゃんは頭を上げていいし、神通はそろそろその手を緩めた方がいいと思うなぁ」 「全く、皆好きに騒いで・・・すまない、提督。 見ての通り全員提督との関係を深めたいと希望しているんだ。 それで艦娘同士で色々話し合った結果、こんな形になったんだ。 ・・・提督には負担を掛けて申し訳ないとこの長門は深く思っている」 922: 第三帝国 :2017/01/01(日) 19 11 56 「なんて言いつつ長門、私は知っているのよ。 緊張してそのセリフが言えなくならないように事前に練習していたこと、 それに下着は新品のを用意したのと、何時もはしない化粧もばっちりして来たのを」 「む、陸奥っうぅぅ!!?」 「お、それはスクープですね、青葉聞いちゃいました! タイトルは『暴かれたケッコンカッコカリ、衝撃!ビックセブンも乙女だった!』で行きましょうか~」 「・・・というか、青葉。 このこと新聞に掲載するつもりなの? 衣笠さんはまあ、いいけど提督の世間体とか・・・」 「僕たちが提督の事に好意を寄せているのは既に知られている事実。 例えそれを非難されても人の噂なんて雨のようにいつか止むさ・・・」 「・・・噂される事実は否定しないんだな、時雨」 「ふふん、提督よ。 堪忍するのじゃな! 吾輩らはそなたを逃がすつもりはないし、 提督以外の男など眼中にないと言っておこう」 「能代も提督にしか興味はありません。 阿賀野姉ぇも矢矧、酒匂も今更提督以外の人間に今更好意なんて沸きません」 「覚悟を決めた方が良いっぽい! なんて夕立は考えているっぽい、ぽーい!」 「す、末永く宜しくお願い致しますにゃあ、提督ぅ!」 「睦月ちゃんだけでなく如月の事も不束者ですがよろしくお願いいたします」 「提督・・・私、加賀と赤城さんも同じ気持ちです。 貴方の隣に居たいという気持ちに偽りはありません、だから、どうか―――」 「だからケッコンしましょう提督さん! ちょ、痛っ!?そこの一航戦。何で叩くのよ!」 「頭に来ましたので」 「そうよ駄目よ瑞鶴、加賀先輩の一世一代の告白を邪魔しては」 「う、そうだった、ごめん」 「・・・・ゴホン、さて。 加賀さんまでもが顔を真っ赤にして司令官に告白しました。 もちろん私も司令官の事が大好きです、だから聞かせて下さい、司令官の答えを――――」 「吹雪・・・」 艦娘たちの注目を浴びる中、 神崎提督は意を決して口を開き、自分の答えを口に出す。 その答えは、部屋の外まで響く歓喜の声から詳しく語らずとも判るだろう。 おわり 923: 第三帝国 :2017/01/01(日) 19 17 58 以上です。 指輪を持つに至った経緯について想像してみました。 これを機に艦これネタが盛り上がると嬉しいです。 さらにネタ提供者のひゅうが氏の創作意欲を沸きたてることが出来たら幸いです。 では
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3939.html
前ページ次ページゼロな提督 第6話 ロングビルの都合 フーケ、と呼ばれてもロングビルは驚きも怒りもしなかった。 ただヤンの前に立っている。半身を引き、鋭い視線を投げつけながら。 ゆっくりと、彼女は口を開いた。 「・・・なぜ、私がフーケなのか、教えて頂けませんか?」 ヤンもゆっくりと、言葉を選ぶかのように答える。 「まぁ、まずは…ここに来た事ですね。僕に余程の用が無い限り、この非常時に呼ばれて 来るわけ無いでしょう」 「あらあら。宝物庫のケースの中にある『破壊の壷』を見た事の無いはずのあなたが、な ぜあの模様を知っていたか…気になって来たんですよ」 「なるほど、そうも言えますね」 ロングビルはニッコリと笑って反論した。だが眼が笑ってない。 そしてヤンも、既に普段の寝ぼけた雰囲気は消えている。 「ちょっと長い話なんですが、よろしいですか?それと、もしおかしいところがあったら 遠慮無く言って下さい。何しろ僕は魔法やこの国については無知ですので」 「分かりましたわ。どうぞ」 ロングビルに促され、ヤンは語り出した。 「そもそも気になったのは、どうしてフーケは斧を奪う事が出来たのか、と言う事ですよ。 斧を乗せる馬車が、ヴァリエール家の長女が乗る馬車がなぜ分かったんでしょうね?」 「さぁ?何しろフーケは神出鬼没ですから」 とぼけたように肩をすくめるロングビル。 構わずヤンは語り続ける。 「それは、フーケが王宮にいたからですよ。王宮で、エレオノールさんが斧を受け取った のを知ったからです」 「あらあら、それじゃあフーケは王宮に以前から忍び込んでいたんですわね」 「ええ、その通り。そして王宮を出るエレオノールさんの馬車をコッソリ追っていったの ですよ」 頷くヤンに、女は不敵な笑みを浮かべて反論する。 「でも、もしかしたら王宮に忍び込んでいたのは使い魔だけかもしれませんわね?そして 使い魔から共有した感覚で、斧の所有者を見た。もしくは、『遠見』の魔法を使ったかも」 その反論に、ヤンは首を左右に振った。 「でも、私達が斧をいつ、どこに持ってくるかは予めには分からないのです。ミス・ヴァ リエールと僕は前日の夕方、いきなり王宮に呼ばれたのですから。 斧の受け渡しをした部屋に使い魔らしき生物はいませんでした。斧をケースから取り出 したのは、あの部屋の中だけでしたし」 「でもまぁ、王宮の深くまで潜入していれば、分からないと言うほどではないですわね」 女は腕組みして、ヤンの推理を鼻で笑った。 「ええ、全くです。その場合、フーケは王宮の中で働く誰か、もしくは王宮に自由に出入 り出来る誰か、と考えるのが自然です。 でも、それではおかしいのですよ」 「何が、かしら?」 ロングビルは本当に分からない風で首を傾げる。 「フーケは、斧を奪って次の日に、学院を襲撃し『破壊の壷』を奪いました。なぜでしょ うね?」 「なぜ…かしらね?」 傾げていた首をゆっくりと元に戻すロングビル。油断無くヤンの姿を見据える。 「学院から王宮へ行く途中で、あなたが自分で話してくれたでしょう?『狙うのは貴族が 所有する、強力な魔法が付与されたマジックアイテム』だと。 魔力を全く含まない斧の持ち主は、平民である私です。つまり、フーケのターゲットで は本来なかったのですよ、あの斧は。本来の目的は『破壊の壷』なのです。だから斧を奪 わなかったのです」 「あら、事実奪ったじゃありませんか?」 「ええ、奪われました。あの斧の所有者が僕からヴァリエール家、いえトリステイン王家 に移ったとたんに、まるで待っていたかのように。そして次の日、即座に学院を襲いまし た。 つまり、待っていたのですよ、フーケは。僕が斧をヴァリエール本家か王宮に売りつけ るのを。学院からずっと、僕らと一緒に城へ向かいながら、ね。 恐らくは、あの斧をゴーレムに振らせて宝物庫の壁を破ったのでしょう。宝物庫を破る ために斧が必要だったのですよ」 「あらあら、それはおかしいわよ。さっきあなたは『フーケは王宮にいる』と言ったじゃ ないですか」 クスクスと、相変わらず笑わぬ眼で笑うロングビル。 冷たい目で射られながらも、ヤンは全くの平静を保っている。 「そう、そこですよ。問題は『フーケは王宮と学院、どちらにいたのか』ということです。 どう考えても、学院と王宮の両方にいなければ、斧を奪えない。そして学院の当直が油断 しきっていて、夜には番をせず寝てしまう事も分からない。宝物庫の場所も壁の強度も、 です。 でも知っていたから斧を奪えた。堂々と学院の壁を壊して『破壊の壷』を奪えた。 つまり、フーケは学院にも王宮にもいた人物です」 ロングビルは、口元だけで笑うのを止めた。 変わりに、手を胸元へ伸ばした。自分の杖へと。 それでもヤンは平静を保ったまま、動こうとしない。動かすのは口ばかり。 「学院にいた人物で斧の行方を、王宮の部屋の中で所有者の移転を正確に知る事が出来た 人物は3人だけ。僕と、ルイズと、頼んでもいないのに城までついてきた君だよ…ミス・ ロングビルこと、『土くれのフーケ』さん」 フーケの杖が、真っ直ぐにヤンへ向いている。 ヤンを見据える眼に、一点の迷いも容赦もない。 それでもヤンは、全く動じる様子がなかった。杖が眼に映っていないかのように、淡々 と口を開く。 「もう、反論はしないのかい?他に『複数犯』とか、『以前学院で働いてたけど、今は王 宮で働いてる』可能性とか…まぁ、低い可能性なんだけどね」 「やかましい!ああ、そうさ・・・あたしが『土くれのフーケ』さ!さぁ、さっさと本題 にはいろうじゃないかっ!」 秘書は知的な顔を醜く歪ませ、忌々しげに毒づいた。 「んじゃ、そんなワケで、あなたがフーケだと判明した所で…素直に壷と、ついでに斧を 返して欲しいんだ」 「イヤだ…と言ったら?」 殺意を含んだ微笑みが、端正な女の顔を歪める。 「その時は、しょうがないので」 ヤンは、フーケの眼を見据えながら、堂々と宣言した。 「追わないから逃げていいよ」 「はあっ!?」 フーケは、大きく口が開いたまま、閉じる事が出来ない。 もう一度、よーくヤンの眼を真っ直ぐ見た。 だが、どうみても冗談を言っているように見えない。 「お、追わないから、逃げろって…あんた、真面目に言ってるのかい!?」 「もちろん。だって、よく考えてごらん。僕が君を死闘の末に捕まえて、壷と斧を取り戻 して、何の得があるのか」 「は、はぁ!?いや、何の得って・・・」 フーケは真剣に考えた。ヤンが自分を掴まえて、どんな利益が得られるか。 何か自分が見落としている事があるのかと、必死で考えた。 「そりゃ、王宮から報奨金が出て、名誉と名声を得て、それから…壷はどうすんだよ!? 危険なモノだからって、わざわざこうして返してもらいにきたんだろう!?それと斧だっ て、あの値打ちモノを、まだあたしが持ってるんだよ?」 そんなフーケの困惑とは裏腹に、ヤンは落ち着いてゆっくりと答えた。 「報奨金も名誉も、僕には届かないのさ。何しろ僕はルイズのツカイマだからね。どっち もルイズのものになるんだよ。 そして僕は、あの子が嫌いじゃないんだけど、あの子の金と名誉なんかのために君と命 がけで戦う事はないよ。命を助けてくれた恩はあるんだけど、治療費は君の言ったとおり 倍返ししたし、ヴァリエール家の三女様に今以上のお金は必要ない。 何より僕は平民なので、貴族の名誉なんか興味ない。というか、僕自身が名誉ってやつ に意義を感じないんだ」 ハルケギニアの常識を丸めてゴミ箱に捨てるかのようなヤンの言葉。 フーケは二の句が継げない。杖を持つ手の力まで抜けて、下を向いてしまう。 継げたのはヤンの方。 「斧なんだけど、あれは君も知っての通り、王宮に売ったんだ。もう僕の物じゃない、だ から知らない。王宮が代金を支払わないかも知れないけど、支払うにしても受け取るのは 公爵家。僕には小分けにして、月々に給金の如く支払われる事になっていたんだ。つまり 本当に払うかどうか、公爵の気分次第ってわけだ。残念だけど平民の立場では、これに文 句を言う事はできない。 確かに給料は魅力だね。でも、命をかけてまで、とは思わないよ。むしろ、給金欲しさ にヴァリエール家へ縛られる方が、僕にとっては問題さ。それに、既に伯爵からまとまっ た金を受け取ったしね。 それにあれは、壷と違って危険物じゃないんだ。せいぜい売るなりなんなり好きにする と良いよ。 あ、言っとくけど。あれの加工方法は僕に聞いても無駄だよ。あれは『絶対壊れない』 ことが必須の条件で作られた武器なんだ。戦場で敵と切り結んでいる時に、手持ちの武器 が壊れました、なんて笑えないからね。 『錬金』で別の物質にすれば別だけど、多分よっぽど気をつけてやらないと、斧がダイ ヤごとパーになっちゃうから、気をつけてね」 もはやニコニコと楽しそうに語っているヤン。 フーケは、力がヘナヘナと抜けていく。 「そして、肝心の壷なんだけどね。あれ、さっきも言ったとおり、とっても危険な物なん だ…使ったら、ね。 でも、当然ながら、そんな危険な物がうっかり間違って使用されたりしたら、誰だって 困る。だから絶対間違って使われないよう、厳重な安全装置がかけられているんだ。だか ら、普通の人には使えない。事実、あれは誰も使用方法が分からず飾られていただけだっ たろ。 では、もし誰かが何かの拍子に偶然使ってしまったら?その時は使用者、つまり君が、 周囲の物全てを巻き込んで消し飛ぶ。 つまり、君はあの壷を売る事は出来ない。危なくて触る事も出来ない。持ってるだけ無 駄な物になったね」 フーケはヤンに向けていた腕をダランと下げてしまう。 「じゃ、じゃあ…あんたは、何しにここへあたしを呼んだんだい!?」 「君のためだよ。危ないから壷を不用意に触るなって忠告に来たんだ」 顎までダランと下がってしまう。 「と、言うわけで。伝える事は伝えたから、君は逃げて良いよ。僕は追わないし他言もし ない。斧があれば収穫は十分だろ?」 ヤンはベレー帽を被り直し、フーケの横を通り過ぎて学院の門へ向けて歩き出した。 だが、ヤンの背から地面を踏みしめる音がする。 「…待ちなよ」 フーケの声に、ヤンは歩みを止めた。肩越しに彼女を見る。 そこには気合いを入れ直し、杖をヤンに向けるフーケがいる。 「まだ、何か納得出来ないかな?」 「出来ないね」 「ふむ、何かな?」 「二つ、納得出来ない。 一つは、壷の使い方をあんたから聞き出せば、壷を売れるって事。 そしてもう一つは、あたしの正体を知った人間を、生かしてはおけないってことさ!」 立ち直ったフーケは、殺意を込めてヤンに杖を向けている。 だがそれでも、ヤンはフーケに背を向けたままだ。 「口は固いつもりだけど、信用してはもらえないかい?」 「人間ってのは、気が変わる事もあるからねぇ」 ヤンは聞き分けの悪い子供を躾けているかのように、腕組みして困った顔を向けた。 「ちなみに…壷の使い方を聞いた、その後は?」 聞かれたフーケは、うぐっと小さく呻いた。 ヤンは溜め息混じりに、フーケの代わりに答えた。 「やっぱり、殺すしかないよね?じゃ、しゃべっても僕に得はないなぁ」 「…だったら、あんた、今あたしに殺されるって分かってるって事だよね?」 今度こそフーケは笑った。殺意を込めて、優越感と共に。 ヤンは半身だけフーケに向き直る。 そして、今度は冷然と、たしなめるように言い放った。 「そして、僕の死体が発見される。もしくは失踪。メイド達の証言から、いなくなる僕と 直前まで会っていたはずのミス・ロングビルも失踪。 立て続けに発生したフーケによるヴァリエール家周辺での犯行。 さて、僕と同じ推理をした人が、君の人相書きをハルケギニア中に張り出すのに、どれ くらいの時間が必要かな?」 フーケの腕が、またも力なく垂れ下がってしまう。 「それでも殺したいのなら相手をするけど…あの斧を生み出す程の技術で作られた銃。そ の目で威力を確かめてみるかい?」 ヤンの右手がジャンパーの左胸へ、ビーム銃へと伸びる。 フーケは、腰が抜けた。無様にへたり込んでしまった。 ヤンは、悠然と彼女を見下ろしている。 そして、彼女に歩み寄り 笑顔で手を差し伸べた。 「壷と斧、返してくれるかな?」 フーケは、力なくコクコクと頭を上下させた。 ヤンは彼女の手を取り、優しく立ち上がらせる。 ヤンが鼻歌交じりに学院へ歩くのを、フーケことロングビルはトボトボついてくる。 「ねぇ、あんたさぁ」 「うん、なんだい?」 俯いて上目遣いにヤンを見つめるロングビル。 「こんな手間のかかる危険な事しなくったって、あんたなら楽にあたしを捕まえられたん じゃないのかい?」 「うーん、楽に捕まえるのは、さすがに無理だと思うんだけど。でもね」 ヤンは振り返り、軽くウインクした。 「あの斧の存在を教えてくれたお礼に、助けてあげるよ」 はあぁ~…と大きな溜め息をつき、肩を落としてしまった。 学院に戻る間、ヤンはロングビルに何をする気だったか尋ねた。そして彼女の ――『近所の農民に聞き込んで、フーケの居所が分かった。徒歩で半日、馬で4時間の場 所にある森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たとの事。彼はフーケで、廃 屋はフーケの隠れ家だ』と嘘の報告をしてヤンを連れ出し、ゴーレムで襲わせたりして壷 の使い方を知るつもりだった―― という話を聞いた。 即座にヤンは、なんで黒ずくめのローブの男が正体不明のフーケだと断定出来るのか、 馬で4時間の距離からの情報を朝一番に手に入れてくるのは無理がありすぎる、等のダメ だしをしてしまう。 ロングビルは、ますますションボリしてしまうのだった。 そんなこんなで、森の奥にやって来たのはフーケ捜索隊ご一行の荷馬車。 御者のロングビル。荷台にはルイズ・ヤン・キュルケ・タバサ。 ノンビリ無駄話をしながら廃屋へと向かっている。 宝物庫に戻った二人は、ロングビルの作り話を少々手直しして教師達に告げた。それは 『以前から正体不明のメイジが出入りしている廃屋がある、と農民達が話しているのを耳 にした事がある。その周辺で巨大なゴーレムの目撃されたという噂もあった。試しに調べ に行ってみないか?』 という、非常に曖昧なものだ。 そんないい加減な情報では動けない、と言う内心怖いからフーケに出会いたくない教師 達。代わりに、フーケを必ず捕まえると勇ましく杖を掲げるルイズ、ヴァリエールには負 けられないというキュルケ、心配の一言で付いてくるタバサ、そしてヤンとロングビルが 行く事になったのだった。 教師達も、まさかフーケと鉢合わせするとか『破壊の壷』と斧が見つかるなんて上手い 話はないだろう、と判断して許可した。 何のトラブルもなく森の廃屋に到着。 あっけなく廃屋の中で見つかる『破壊の壷』とローゼンリッターの斧。 事情を知らない生徒3人は、こんなんでいいのかー!と納得出来ない様子だ。 ヤンはすぐに『破壊の壷』へと駆け寄り、状態を確認した。 金属の壷の表面には、銀河帝国軍章である翼を広げた双頭の鷲が描かれている。 他にも帝国の公用語で、様々な警告文や注意書き等が記されていた。 そして、壷の上にあるバルブや安全装置の電子ロック、メーターを調べる。 そんなヤンの姿に、他の女性4人は興味を隠せない。 ロングビルが、こわごわと後ろから声をかけた。 「ね、ねぇ…大丈夫なの?それ、一体何なのですか?」 ヤンは答えず、すっくと立ち上がった。そして ゴンッ! と金属の壷を叩いた。 とたんに首をすくめて身をかがめるロングビル。他の3人は何をしてるのだか、さっぱ り分からない。 「ぷ…くくくっく…あは、あははっはははっ!」 突然ヤンが、腹を抱えて爆笑し始めた。 女性達は、一体何なのか全く分からず、顔を見合わせてしまう。 ロングビルが、今度は少し怒って声を上げた。 「ちょっと、いい加減教えて下さいな!それは、一体何なのですか!?」 ようやく笑いが収まったヤンは、壷をペチペチ叩きながら説明を始めた。 「いやぁ、ゴメンゴメン。 これはね、僕の国ではタンクって呼ばれていてね。中に気体を詰める物なんだ。例えば、 今僕らが吸ってる空気とか、戦場で使う毒ガスとか、ね」 毒ガス、と聞いて4人の表情がこわばる。 だがヤンの顔は、いまだに大笑いの余韻をひいた笑顔のままだ。 「ああ、でもこのタンクに入っていたのは、どちらでもないよ。この表面に書かれている のは、入っていた気体の名前と取り扱いの際の注意書きさ。 入っていた気体の名前は、予想通りゼッフル粒子。早い話が、気体状の火の秘薬…爆薬 だよ。これはゼッフル粒子発生装置なんだ」 爆薬、と聞かされても4人には何のことだか分からない。彼等には火の秘薬とは、硫黄 や火薬のような物しか思いつかないのだから。 イマイチ話が見えないルイズが、胡散臭そうにヤンに尋ねた。 「空気が…爆発するって言うの?」 「あーと、空気が爆発するって言うより、そうだなぁ、火薬を目に見えないほどの粉に磨 り潰して風に乗せる、と言ったらわかるかな?」 顎に手を当ててヤンの言葉を理解しようとしているキュルケも尋ねる。 「まぁ、あなたの国にそう言う物があるとして、それってどれくらいの威力があるの?」 聞かれたヤンは大げさに両手を広げる。 「この中のゼッフル粒子を一気に撒いたら、この森を一瞬で灰に出来るよ」 ヤンの言葉に、全員目が丸くなる。 今度は、今までずっと黙っていたタバサが口を開いた。 「どうして、笑ってた?」 「簡単な事さ!これはねぇ」 ヤンは笑いをこらえながら、再びタンクをゴンッと叩いた。 「空っぽなんだよっ!」 女性達は、今度は眼だけでなく口まで丸く開きっぱなしだ。 「このタンクの内圧メーター、ゼロを指してるよ!ついでに言うと安全装置は解除されて て、バルブ…ああ、栓のことだけどね、これが開きっぱなしになってた。 つまり、とっくの昔にこのタンクの中のゼッフル粒子は全部漏れてしまっていたんだ。 今やこのタンクは、いやずっと前から、ただの鉄の壷なんだ!」 ロングビルが、ガックリ肩を落とした。 彼女の魔法学院に潜入するためのあらゆる努力は、学院長のセクハラに耐えた毎日は、 全てが無駄だったのだ。 「トリステイン魔法学院は、この鉄くずを秘宝と言って崇め奉っていたわけさ!」 うららかな午後の森に、ヤンの大爆笑が響き渡るのであった。 夕暮れの学院に5人を乗せた荷馬車は学院へ帰還した。 学院長室で、オスマンとコルベールは報告を聞き、『破壊の壷』改め空のゼッフル粒子 発生装置を受け取った。オスマンは一応全員の無事とタンクの奪還を喜びはした。だが、 とうの昔に空っぽだったという事実は、相当にショックだったようだ。 「まあ、フーケは取り逃がしたが、盗まれた物は戻ってきたんじゃ。良しとするしかない のぉ…。 さて、ともかく今夜は『フリッグの舞踏会』じゃ!予定通り行うぞい」 舞踏会と聞いて顔を輝かせた生徒達は、オスマンに礼をして出て行こうとした。だが、 退室しようとしないヤンの姿に気が付いた。 「ああ、私は学院長と少し話があるんです」 少し心配そうな顔をしたルイズだが、頷いて部屋を出て行った。 ワクワクといった顔でヤンの話を聞こうとしていたコルベールと、意気消沈したロング ビルは、学院長に退室を促されて出て行った。コルベールはかなり渋々だったが。 「さて、何か私に聞きたいことがおありのようじゃな」 ヤンは頷いた。 「前置きは止めましょう。あれをどこで手に入れましたか?」 オスマンは、溜め息と共に語り出した。 「あれは、私の命の恩人の遺品なんじゃ。 30年前、森を散策していた私は、ワイバーンに襲われた。そこを救ってくれたのが、 あの壷の持ち主じゃ。その人は壷の口らしきモノをワイバーンに向けたんじゃ。すると大 爆発が起こり、ワイバーンは粉々になってしもうた!だからあれは『破壊の壷』と命名し たんじゃ。 だが彼は、怪我をしておってのぉ。その場でパッタリたおれてしまった。学院で手厚く 看護したんじゃが、その甲斐無く死んでしもうた。以後、あの壷は恩人の形見として宝物 庫に置いていたんじゃ」 「そうですか…恩人の形見だったんですか」 ヤンは大爆笑した非礼を心の中で詫びた。 同時に、なぜバルブが開きっぱなしでタンクが空になっていたのかも理解した。オスマ ンを救うためにゼッフル粒子をワイバーンに吹きかけたものの、怪我をして倒れたために バルブをキチンと閉め直す事ができなかったのだ。 ゼッフル粒子は可燃性だが、少々の火花では引火しない。 レーザーやビーム砲くらい の温度でないと発火しないのだ。オスマンを助けた時はワイバーンがブレスを放ったか、 負傷した帝国軍兵士が銃を撃ったかしたのだろう。 あとは火種が無いので、粒子は虚しく垂れ流され続け、大気の中に飛散していったわけ だ。 遠い目でオスマンは語り続けた。 「彼はベッドの上で、死ぬまでうわごとのように繰り返しておった。『ここはどこだ。ど この星なんだ。オーディンへ帰りたい』とな。オーディンというのは、君の国の地名なの かね?」 「いえ、隣の国の首都ですよ。それで、その人はどうやってこの国へ来たんですか?」 「それは分からん。彼がどんな方法でやって来たのか、最後までわからんかったよ」 「そう、ですか」 ヤンは、少しがっかりした表情ではあった。だがそれほどのショックを受けていない事 に、オスマンは僅かな疑念を感じた。 「その、君は、元の国に帰りたいんじゃないのかね?」 「ええ、それはもちろん。ですが、自力では不可能ですよ。助けが来れば良いんですが」 ヤンの言葉を聞き、オスマンは躊躇しながらも尋ねた。 「それで、その…救助が来る見込みは、あるのかね?」 「ええ、もちろんあります。何しろ、私以外にもこの世界へやって来た人物がいる事が分 かったんですから。 どうやらハルケギニアと私の国は、意外と近い位置にあるかもしれない、ということで す。見込みは十分ですよ」 「そ、そうかね…」 ヤンの言葉を聞いたオスマンの頬に、汗が一筋流れてしまう。さして暑くもないのに。 誤魔化すようにオスマンはヤンの左手を見た。 「ところで、お主の左手のルーンなんじゃが」 「ああ、これですか。これが、何か?」 ヤンも自分の左手に刻まれたルーンを見つめる。 「それはガンダールヴと言って、伝説の使い魔の印なんじゃ」 「伝説の使い魔?」 「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる『武器』を使いこなしたそうじゃ。何か 思い当たる節はないかの?」 「いえ、別に」 ヤンは肩をすくめてとぼけてみせる。 正直、ルーンの情報は欲しい。だが、自分の切り札になりうるものを気軽に晒すほど、 彼は不用意な人間ではなかった。 オスマンはオッホンと咳をする。 「まぁともかくお主が、人間が召喚された理由とか、帰る手段とか、私なりに調べるつも りじゃ」 「ええ、よろしくお願いします」 ヤンは一礼して学院長室を後にした。 ヤンが閉じた扉を見つめる学院長は、頭を抱えてしまった。 「はぁ…何が『いえ、別に』じゃ。コルベール君から銃に触れたらルーンが光る事は聞い ておるわい。とはいえ彼に、我々を信頼してくれ、など言えた義理ではないからのぉ」 オスマンは、どちらかというと悪人ではない。 セクハラが酷いエロじじいだが、教育者としての自覚と誇りもある。 だからこそ、己の未熟と偏見による失敗にも気付き、反省出来る。 学院長は必死に、彼が抱いているであろう貴族やメイジへの不信と嫌悪を溶かす方法を 考えていた。だが、ヤンのルーンを消さなければヤンは納得しないだろう。それはミス・ ヴァリエールのメイジとしての地位と相反する選択だ。他に次善の策を考えてみるが、そ れらは即ちハルケギニアの貴族制度を、ゲルマニアのごとく突き崩すようなものになって しまう。 「新しい時代が来るという事か…」 自分が旧時代の遺物であることを思い知らされ、天を仰いでしまうのだった。 その日の夜。舞踏会は予定通り開かれた。 アルヴィーズの食堂の上の階がホールになっていて、『フリッグの舞踏会』はそこで開 かれている。楽団のバロック音楽に似た演奏に合わせて、きらびやかに着飾った若い貴族 達が、優雅に手を取り合って踊っていることだろう。 だが、そこにヤンの姿は無かった。 「おーい、ヤン。これも洗っといてくれ」 「はーい。そこ置いといてください」 厨房で、ヤンは運ばれてきたグラスや皿を洗っていた。 遠くから舞踏会の音楽が届いてくるが、彼は全然意に介していなかった。 「おーい、ヤンよ」 傍らから声がする。 彼の横に立てかけられていたのはデルフリンガーだ。 「おめー、舞踏会に行かなくていいのか?」 「ダンスは下手なんだ。第一、僕は貴族でもないよ」 「ま、そりゃそーだわな・・・はあ、せっかく出会えた『使い手』が、こーんな冴えない ヤツだとはねぇ」 「残念だったね。まぁ、仕事のあとで『使い手』って何の事か教えてもらうさ」 そんな無駄口を叩きつつ、ヤンはノンビリとナイフやフォークを洗っていく。 その周囲では、平民のメイドやコック達がトレイを運んだりケーキを盛りつけたりして いる。 「あ、シエスタさーん!グラス洗い終わりましたよー」 「はーい。あ、ヤンさん。入り口で呼ばれてましたよ」 「ん?」 厨房の入り口を見ると、黒のドレスを着て長い緑の髪を髪飾りで頭上にまとめたロング ビルが立っていた。 本塔下の広場。 見上げれば舞踏会場の光がテラスから漏れてくる。 ロングビルはヤンを広場の真ん中へ連れてきた。舞踏会場を見上げながら、ヤンに背を 向けている。 先に口を開いたのは、ヤンの方だ。 「どうして未だに学院にいるんです?もうここに用はないでしょ。ここにいると、学院長 のセクハラに耐える毎日ですよ」 それほど派手ではないが上品な髪飾りをつけた髪が僅かに揺れる。 「…あんたのことだ、分かってて言ってンだろ?今、あたしが学院から消えれば、フーケ との関連性を疑うヤツが現れるって」 「まぁ、ね」 誤魔化すように頭をかくヤン。 ロングビルは肩越しに振り返り、チラリとヤンへ視線を送る。 「そんなわけで、ほとぼりが冷めるまでジジイのセクハラにも耐えなきゃならない。だか らしばらくは、あんたとも仲良くしておかなきゃあ…て思ったわけさ」 「…舞踏会へのお誘いなら断るよ。僕は、ルイズや君たちメイジに敵意や悪意は持ってい ない。でも、貴族制度に甘んじる気はない。 ま、必要な時や使える時は利用させてもらうけどね」 ヤンの言葉を聞いて、ロングビルはクスクスと笑い出した。 今までの事務的な物とは違う、朝方のような悪意剥き出しのものでもなく、心からの素 直な、ゆえに影を含む笑顔で。 「あたしも同じさ。あたしゃ、貴族や王族ってヤツが大嫌いなのさ。詳しくは言いたくな いけどね。 だから狙いは貴族だけ、メイジの魔力の象徴であるマジックアイテムだけなのさ」 ひとしきり心の底から笑ったロングビル。 笑いが収まると、ヤンに向けて腕を伸ばした。 細くしなやかな白い腕を差し出されたヤンだが、恥ずかしげにモジモジしてしまう。 「どうしたんだい?将軍様ともあろうお方が、ダンスの一つも出来ないってか?」 「いや、その、実は…うん。凄く下手なんだ。多分、君の足を踏みまくってしまうよ」 赤くなって俯くヤンをみて、今度は腹を抱えて爆笑してしまう。 「きったはったでタマの取り合いしてるあたしらが、足くらい気にしてどうするよ!ほら さっさと来な!」 そういうやロングビルはヤンの腕を強引に掴む。 頭上から流れてくる音楽に合わせて、無理矢理ヤンを振り回すようにダンスを始めた。 広場の中、ロングビルはヤンに足を何度も踏まれながらも、楽しげに踊っていた。 ヤンは大汗をかいて必死だったが。 そんな彼等を、厨房の入り口から眺める人たちがいる。 シエスタやローラといったメイド達だ。シエスタに抱えられたデルフリンガーもいる。 「あーら、あの二人、仲良くやってるじゃないか。シエスタぁ~、あんたもうかうかして られないねー」 「な!何よローラったら!あたしは別に何とも無いわよ!あんな冴えないオジサン、全然 眼中に無いんだから」 シエスタは真赤になって否定するが、周囲のメイドがキャイキャイとからかい続ける。 そのシエスタに抱かれたデルフリンガーは、ぼやきが止まらない。 「はぁ…なんて情けねぇ使い魔なんだ。こりゃ、武器屋でくすぶってた方がマシだったか もしんねぇや」 テラスからも、ルイズとキュルケが広場で踊る二人を見下ろしていた。 「むぅ~、何よヤンったら!舞踏会に来ないと思ったら、主ほったらかしてロングビルと 遊んでるだなんて!」 ルイズは長い桃色掛かった髪をバレッタでまとめ、ホワイトのパーティードレスに身を 包んでいる。肘までの白い手袋が、ルイズの高貴さをいやになるぐらい演出し、胸元の開 いたドレスがつくりの小さい顔を、宝石のように輝かせている。 が…口にしているセリフもプリプリ顔を赤くして怒る姿も、演出では隠せなかった。 キュルケがルイズをニヤニヤとからかう。 「ふっふーん♪いいのかしらぁルイズぅ~。このままほっといたら、あんたの大事な使い 魔、あの秘書さんに取られちゃうかもよぉ~」 「なっ!何よそれは!そんなの、あたしの知った事じゃないわよ!」 そう叫んでキュルケに背を向けるルイズ。腕組みしながら広場から視線をそらすが、だ んだん肩が震えてくる。 「…で、でも、メイジとして、自分の使い魔が、他のメイジにギャクタイされてるのは、 見過ごせないわよね」 小声で呟くと、ドスドスと足音を響かせてテラスを後にする。 「ホントにそれだけなんだかんね!」 最後に一言強がりを残して。 ほどなくして、楽団のゆったりとした音楽が流れる広場では、ロングビルとルイズがヤ ンの腕を引っ張り合いし始め、それをシエスタが割って入って止めようとする姿がみられ た。 第6話 ロングビルの都合 END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/7743.html
覇神提督<R(アール)>・ライジング・ガン UC 火文明 (6) クリーチャー:ヒューマノイド/ウルトラ・チャンピオン 6000 ■W・ブレイカー ■相手のカードの効果によって、このクリーチャーが手札から捨てられる時、かわりにバトルゾーンに出してもよい。そうした場合、名前に《T》または《R》とあるウルトラ・チャンピオンを1体、自分の墓地または手札からバトルゾーンに出してもよい。 ■ウルトラ・ウイニング(バトルゾーンに、名前に《U》《L》《T》《R》《A》とある自分のウルトラ・チャンピオンがそれぞれ1体ずつあれば、自分はゲームに勝利する)) 作者:赤烏 収録 DMW-25 「テンプレア編III テンペスト・ミスター」25/55 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/732.html
769 :名無しの紳士提督:2016/03/14(月) 18 05 25 ID 8GQyF2h. ホワイトデーという事で鹿島SSの続きを投下します 独自設定があったり、タイトルがネタ切れ気味ですがご了承ください 770 :未来の為にするべき事は:2016/03/14(月) 18 06 07 ID 8GQyF2h. 3月14日はホワイトデーだ。一部の恵まれた男にとって懐が寒くなるものだ。 提督となって最初のバレンタインだったが、提督となると同時に結婚した為か、 俺への贈り物はそれほど多くはなかった。 まあ結婚したからこそ貰えた物もあったが、それはそれである。 しかし俺にはお返しを悩んでいる暇などなかった。 「まず!秋月型と防空巡洋艦はサミット会場の近海を固めてもらう」 俺達は二ヶ月ちょっと後の国際サミットの警備の担当を決めていた。 「次に軽空母と軽巡洋艦多数、金剛型戦艦と明石と速吸、秋津洲と瑞穂は湾内、 戦艦と正規空母、装甲空母に少数の軽巡洋艦に 重雷装巡洋艦、千歳と千代田は沖合に配置する。 駆逐艦と重巡洋艦、航空巡洋艦に、潜水艦達は湾内と沖合に満遍なく分ける。 大鯨と大和と間宮と伊良湖はホテルで料理人兼警備員を担当、 金剛とプリンツ・オイゲンとイタリアとアイオワは海外の要人の警護を担当してもらう。 鹿島と大淀は艦隊指揮のサポートの為に俺と一緒にいてくれ」 「サミットの警備配置は以上ですね」 「ああ」 「では観艦式の時の警備はいかがなさるおつもりで?」 「観艦式の時の警備は観艦式に参加する艦が決定次第、 不参加となった艦から編成する」 「わかりました。では本日の会議はこれにて終了しますね。お疲れ様です」 「お疲れ様です」 「ふー」 俺達の鎮守府がサミットの時の海上警備の担当と知らされて十日余り。 全国の鎮守府どころか海外からも艦娘達がやってきて大本営の本気さをうかがわせる。 故に俺が提督業をお役御免になるかと思ったが、そういった話は一切聞かない。 遠征や船団護衛等の業務に限定されているというわけでもなく、 この鎮守府の最高責任者は相変わらず俺という事なのだろう。 「提督、そろそろ遠征隊の編成を」 「わかった」 今はサミットの警備の訓練と鎮守府の通常業務、 両方をこなさなければならないのがつらいところだ。 「我ら東京急行艦隊、準備完了だ」 「『いともった?』」 「『いと』……ああ、応急修理女神だね」 「ちゃんとみんな…………持ってます」 「確かに……持っているな」 「補強増設して女神を装備してから一度も外してないから大丈夫だよ」 「だが気付かぬ内になくなっているかもしれぬ。確認は大切だ」 「それじゃ確認したところで、行ってくるよ。 帰ってきたボクを見て驚かないようにね」 こうして遠征部隊の睦月型の六人は東京へ向かった。 いつもの遠征のついでに皐月の更なる改造も施されるのだ。 「あの……思ったんですけど、何で応急修理女神を持ったかの確認が 『いともった?』という言葉なのです?」 「何となく元ネタはわかりますけどね。 あるゲームで脱出用アイテムを用意したかの確認の言葉でしたか?」 「ああ。シンプルですぐに言えるだろ? 命を繋ぎ留めるアイテムを持ったかどうかの確認の合言葉に相応しい」 「それはわかりましたけど…この一週間の間の提督、少しおかしいですよ。 補強増設とかしてなかったのに急に補強増設しだして… それも元々この鎮守府に所属していた艦娘だけでなく、 サミット関係でやってきた艦娘にまでして、 応急修理女神だって大量に仕入れて……」 「先週の土曜と日曜が休暇だったので 私に艦隊指揮を任せて実家にお帰りになりましたけど、 私も無理してでも一緒に帰った方がよかったのでしょうか…… ねえ……何があったのですか?」 「それとも雛祭りの時に強いお酒を飲んだせいかしら?」 俺を見る鹿島の目が物凄く俺を心配していると訴えている。他の艦娘もそうだ。 「…………田舎だと近所の付き合いも大切にしなけりゃならん。 義理事があったら出かけなければならない。 俺は一人っ子だからこれからは特にそれが大事になる」 「はぁ?何それ?意味わかんない」 はっきりと言わない物言いに霞がキレた。 まあ正直キレるのも無理はないだろう。 「……俺の故郷の近所の人に突然不幸な事があってな… 最近はともかく昔は俺にとって関わりのある人だった。 だけど、記憶の中と今とでは違っていた。 記憶の中のあの人とはもう二度と会えない…… 誰もが皆、その事に悲しんでいた…… 俺はそんな悲しみを背負うのは嫌だし、誰にも味あわせたくない……」 「…………だからあんなに補強増設もして、女神をたくさん仕入れたのですね」 鹿島が察したかのように言った。 鹿島にすら帰った時の事は話さなかったが、 鋭い彼女は俺の言わんとする事がわかっていた。 「ああ。俺達は人々を悲しませない為に戦っている。 だけど俺達にだって、全ての時間を閉ざしてしまって、 悲ませてしまう立場になってしまうかもしれないから…」 「おかげでこの鎮守府の資材や予算に余裕がなくなってきてますよ」 「すまない、俺のエゴに付き合わせてしまって…」 大淀の苦言には何も言い返せなかった。 正直もっと他にやりようだってあったと思わなくもない。 「あなたは前々から命というものの尊さをあなたなりに知っていたけど、 まさかこの鎮守府所属じゃない艦娘にまで施すとはね。 しかも今までこの鎮守府の艦娘にさえ行っていなかったのに極端すぎね」 霞の言葉も突き刺さって耳が痛い。前々から自覚している分なおさらだ。 「ま、あなたがやけに極端なのは前々からわかっていたし、 今回はそれが割と良い方向に向かっているからいいわ。 前の司令官を否定するわけじゃないけど、前の司令官は応急修理道具をしまい込んでいたからね。 もっとも、前の司令官は応急修理道具を持ち出す必要のないような的確な采配ができたとも言えるけどね」 「霞……」 「だからといって、あなたのやり方を否定はしないわ。 あなたに前の司令官のようなことをしろと言っても無理でしょうからね」 「ぐ……」 霞の言葉は正しい。俺に前の提督と同じ事をしろと言われても無理だ。 だが経験が未だに浅いという言い訳は許されないだろう。 霞がその事を知らないわけはないだろうし。 「艦娘を失わないための気持ちを持つのは結構なこと。 でもね、鎮守府の資材のことも考えなさい。 応急修理女神は資材と引き換えに手に入れたわけだから、 資材がなくなっちゃえば戦うことも出来なくなって、 結果守れなくなっちゃって本末転倒よ」 「……一応、資材も予算も鎮守府の機能には影響がない程度にはあります」 「そこら辺は俺も考えていたさ」 「でも演習や開発を繰り返したりすればなくなる可能性が高いです」 「だから遠征を繰り返すことになって、 そのせいで遠征部隊の警護練習がままならなくなるわ」 「そこは私に任せてください。私が彼女達の効率的な練習プランを立てます。 練習巡洋艦として、提督さんの秘書艦として、私の力、見せてあげます」 俺の行動の結果、鹿島にいらぬ負担をかけてしまう事になろうとしている。 だけど鹿島は嫌な顔一つ見せずに俺の力になるべく頑張ろうとしている。 ならば尚更俺も提督として頑張らなければな。 「思ったよりもいい提督みたいね。新任提督と聞いて少し不安だったけど」 「鹿島が認めた提督だからね。少なくともこれからにも期待できるわ」 ローマとザラが口々に言った。彼女達に限らないが 多くの新着艦娘は最初の頃は俺の力を不安視していたが、 この数日の俺の艦隊指揮を見てある程度は信頼できると思っただろう。 「ただ……よくわからない人でもあるのよね。 サミットの警備という重要な任務にはまったく物怖じする気配がないのに、 日常の小さなことで気分が落ち込んだりするんですから」 「大体はキャンペーンのおまけを手に入れられなかった時とか…… 連装砲ちゃんグラスを探し回ったあげく手に入らなかった時は結構落ち込んでたし……」 「昔からこうなんです。凍った路面をためらうことなく全力疾走して走りきったかと思ったら、 なんの変哲もない、ちょっとした段差で思いっきり蹴つまずくような人なのですから」 大淀は俺がまだ提督ではなかった時からの知り合いである為、 俺がどういう人間なのかを概ね知っている。 大淀に限らず鹿島や霞など、この鎮守府が元々の所属の艦娘は大体そうだ。 人が良く力はないわけではないが精神的に若干不安定だから 艦娘達が一生懸命サポートしようとして頑張れているんじゃないかと よその鎮守府等では噂になっているらしい。 本当のところはどうなのかはわからないが、 みんなが頑張ってくれて鎮守府が上手く動く分には嬉しいが 提督として安定して力を出して働けないのはプライドが許さないので、 一人前の提督になる為に自分一人でも鎮守府を動かせるようにならないとな。 「まあ私たちだけでも鎮守府運営ができるようになって 提督なんてもういらないなんて言われないように頑張りなさい」 俺の心のうちを見透かしたかのように霞が言った。 あまりきつい物言いでないのはやる事はちゃんと出来ているからなのか、 それとも俺に対して諦め気味だからなのか…… 少なくとも今は何とか期待されているのだろうと思いたい。 見切りを付けたのならもう何も言わないはずだろうし…… 「あっ、提督、まだこちらにいらしたのですか」 「明石か…いけない、これから工廠で開発を行うんだった」 「何やってんのよもう…」 「そうですよ。今日開発を手伝う鳳翔さんも待ちくたびれてますよ。 提督がいなかったら開発も改修も勝手に出来ませんから」 「わかった。今から急いで行く」 「ちゃんと資材のことも考えてやってくださいね。 開発資材は満杯ですけど基本資材は少なくなってますから」 「改修は開発とは違って失敗しても貴重な改修資材を消費しちゃうから、 失敗のリスクを犯してでも節約するか、 大量消費してでも確実に結果を出すか、 今ある物や必要な物を考えてやりなさい」 霞の忠告を胸に俺は工廠で待っている鳳翔の所へ急いだ。 「今日も一日お疲れ様です。はい、ユンケルです」 「ありがと……」 早速ゴクンゴクンと飲んだ。たまった疲れがとれる気がしてくる。 ちなみにユンケルは鹿島のおかげで一日で約10万本以上も売れたらしく、 このユンケルはその御礼として鎮守府に送られたものである。 「ふー、疲れが一気にとれた気分だ。まだもうひと頑張り出来そうだ」 「それじゃあ、私にホワイトデーのお返しをください。 チョコカツ丼も珍しいものでよかったですけど、 他のみなさんだってもらっていますし」 今日の夕食は俺のポケットマネーによるチョコカツ丼だった。 カツの調理は手間を考えて男性の料理係に任せたが、 ソースとなるチョコに関してはアドバイスを受けながらも俺が作った。 チョコカツ丼は鎮守府のみんなに出したが、 2月14日時点で在籍していた女性にはバレンタインデーのお返しとして カツを一つ多く乗せ、ソースも多めにしておいた。 どこの鎮守府に夕食を作る提督がいるのか。 いや、どこかにはいるだろうけどさ、 俺は明日の仕事を頑張るつもりで今日の仕事を早く切り上げ、 男性スタッフ達と共に夕食の調理に携わったのだった。 仕事を早く切り上げたとは言っても休んだわけではなかったので、 結局疲労がたまっていた事を考えたら彼女の気遣いはありがたい。 「そうだな。君からもらったものは特別なものだったからな。 だからお返しも……特別なものじゃなけりゃな……!」 「あっ…ちょっと、いつもより大た…ん……」 彼女を背後からぎゅっと抱きしめ、驚いて顔を振り向いた瞬間唇を唇で塞いだ。 「ん……ん…………」 互いの柔らかくて温かいところ同士が触れ合う。 たったそれだけでも甘くてドキドキするものだが、 それだけでは飽き足らず、更に舌も相手の口内に入れた。 一瞬驚かれたが、すぐに彼女も舌を絡めてきた。 唇と唇を重ね合わせるだけのキスが甘酸っぱい果実なら、 舌と舌を絡め合うキスは禁断の果実だろう。 「ん…ん……んー…」 口で禁断の果実を味わっている頃、 手を服の中に忍ばせて胸にたわわに実った果実…… いや、今の時期ならまだジューシーな肉饅と言うべきか…… それをブラジャー越しに揉んでいた。 そしてブラジャーを上にずらし、直接胸を愛撫した。 「んんんっ、んん……」 深いキスをしていた為に漏れるような声しかたてなかったが、 彼女はしっかりと感じているようだった。 たっぷりとしながら程よい弾力と柔らかさのある乳肪とは対象的に 乳首はグミみたいに固くなっていた。 右手を彼女のパンティの中に入れ、秘部に直接触れた。 そこは全体的に濡れていて、パンティもかなり湿っていた。 俺はクリを手の平で軽く刺激しながら中指を濡れた穴に入れた。 三ヶ月ちょっと前は十分濡らしても 小指の先さえも入らないような感じだったのに 今は割とすんなりと入っていく。 「んっ…あああっ!!」 これには彼女も耐えられなかったのか、口を話して大声をあげた。 彼女の穴がきゅんと指を締め付ける。 しかしそれは拒むように異物の挿入を防ぐようなものではなく、 入ってきたものを逃がすまいと咥え込むかのようだった。 俺はすんなりと指が入ったのでもう十分と思い愛撫を止めた。 彼女の顔もいつものようなキリっとした目つきではなく、 快楽にとても蕩けているような目つきだった。 「あっ……」 「もう…いいか……」 「ええ…お好きなように…」 彼女の言葉を聞くや否や、 俺はズボンの中で固くなっていたちんちんを出した。 そして彼女を壁に手を突かせ、 パンティを少しずらしてちんちんを秘部にあてがい…… じゅぶりっ! 「くあっ!?」 躊躇いなく一気に突き入れ、 根本まで一瞬で彼女に飲み込まれていった。 「ああ……あなたのが…入ってきて…る……」 力のないような声とは裏腹に 彼女の身体は俺を逃がすまいと言わんばかりに強く締め付けた。 「うあっ…温か過ぎて、強く締め付けて…もう…溶けてしまい…」 「はい…私の中に……好きな…だけ… 熱いのいっぱい…奥まで満た…」 「もう出…」 びゅるん! 堪え性のない俺は言葉が終わらない内に出してしまった。 体位といい時間といい、これではまるで野生動物の交尾だ。 確かに誰もがいつ死ぬのかわからず、 行為に及ぶという事はなくはない。 しかし人間は子孫を残す為だけでなく、 お互いの愛を時間をかけて確かめ合う為にも行為に及ぶ。だのに…… だがそんな考えは彼女の中を俺の想いで満たそうと言わんばかりに 中に注ぎ続ける快楽に頭を支配され、消えていった。 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」 「気持ち良さそうでよかったです…… 私の中があなたのでいっぱい…… ぐふふ……これだけ出されたら私はママに… あなたはパパになっちゃいますね…うふふ……」 「そうだな……俺の両親を祖父母に出来そうだな……」 「…………」 俺の言葉に彼女の顔がほんの少しだが曇った。 「……これだけ出されても排卵日じゃなかったら意味がありません…… 艦娘は仕事柄ストレスが溜まりやすく、 二次成長に影響が出たり、生理周期も安定しなかったり……」 「君は悪くない。君達艦娘は平和に暮らす人々の為に戦っているんだ」 「でも…」 「だったら頑張って早く戦いを終わらせよう。 そして人々も艦娘も、みんな平和に暮らせるような世界にするんだ。 誰もが安心して暮らせる世界をさ」 「ええ……頑張りましょう……」 「だけどもし今できたら…」 「大丈夫です。そういう時のため…じゃないですけど、 子供の育て方とか、あやし方とか、ちゃんとわかってますから」 「できるのか?」 「鎮守府で働いているスタッフの子供達の面倒を昔見たこともありますからね。 いつか私自身もそういう立場になるかもしれないだろうと思って、 しっかりと子供の見方とかも学んでおきました」 「君は本当に凄いな……」 「うふふっ……それはそうと…… こっちの方も頑張れそうですね。とっても元気そうです」 「ん……そうだな…」 出したばかりだというのに俺のものは全然萎えていなかった。 ドリンクのせいなのか、俺の性欲がまだ尽きないのか…… なんにしろ彼女もまだまだ満足していないだろう。 「よし、やるか」 「言っておいてなんですけど、大丈夫ですか?」 「大丈夫。夜はまだまだ長いしさ」 「そうですね。明日は徹夜しますから起きる時間も遅い頃でいいでしょうし。 せっかく始めたんですから、もっと楽しみましょう」 人間は自分がいつどうなるかなんて誰にもわからない。 だから俺達は出来る時にするべき事をしておきたい。 取り返しがつかなくなって公開する事がないように。 ―終― + 後書き 779 :名無しの紳士提督:2016/03/14(月) 18 24 43 ID 8GQyF2h. 以上です 今回は本当はもうちょっとだけ軽い話にしようと思ってましたが ちょっとしたことがあったので少しだけ重くなりました でも重い話は好きじゃないのでなるべく軽い感じになるようにしました 本当はすぎのこ村とかのネタもやりたかったんですけどね…… それではまたいずれ これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4231.html
前ページ次ページゼロな提督 トリステイン魔法学院図書館。 そこには始祖ブリミルがハルケギニアに新天地を築いて以来の歴史が詰め込まれている、 と言われている。本塔の大部分を占める図書館は、高さ30メイルの本棚が壁際にずらりと 並んでいる。その光景は壮観であるのだが、フライを使えないルイズとヤンには困り種でも ある。 その本塔図書館の中でも教員にしか閲覧が許されない重要文書管理区画『フェニエのライ ブラリー』。かつてコルベールは、この区画で発見した書物『始祖ブリミルの使い魔達』か ら、ヤンのルーンがガンダールヴのそれと同一だとオスマンへ報告した。 だが、フェニエのライブラリー内をオスマン・コルベール・ロングビルが飛び回っても、 ルイズとヤンが上から渡された所蔵書籍をひっくり返してみても、今回はさしたる成果は上 がらなかった。 「う~む、ダメじゃ。結局何もわからずじまいじゃな」 本の背表紙を眺めるオスマンの諦めの言葉に、コルベールも本を閉じる。 「ですなぁ・・・いくら調べても、虚無とその使い魔について、御伽噺程度のことしか書か れていませんぞ」 ロングビルはパラパラとめくっていた本をポイっと投げ出した。 「結局、虚無がどんな魔法なのか、手がかりがどこにあるかすら分からずじまいですわね」 ヤンは床に寝っ転がってしまった。 「は~…でも、ビダーシャルは『かつて何度も虚無が揃いそうになった』て言ってたから、 虚無の使い手はこの6千年の間、何度も存在したはずなんだ。そして、虚無の量と『門』の 活性度が比例するなら、この数十年かつてないレベルで活性化してるなら、数十年前から虚 無の使い手が存在するはずなんだよ。それも複数で。彼の言う事が全て正しいとするなら、 最大で4人だね」 ルイズはテーブルの上に広げた書物の山に、のへ~っと体を投げ出してしまう。 「でも、結局『虚無は伝説です』ってことがわかっただけかぁ…ねぇ、あんたのルーンをも う一度見せてよ」 「ん~、これかい?」 めんどくさそうにヤンは手袋を取り、ルーン文字が書かれた手の甲をルイズに向けた。 「結局、一番の手掛かりは、それじゃない?」 本棚の上の方を飛んでいたオスマン達もふわりと舞い降り、寝っ転がったヤンが掲げる左 手をまじまじと見つめる。 「ガンダールヴ、かぁ・・・」 誰ともなく呟く。 第十三話 ときのかなた ヤンは『門』を封じるため『虚無』を追う事にした。 聖地の召喚ゲート『悪魔の門』が『虚無』の力で開かれたものなら、同じく『虚無』の力 で封じれるはず、と睨んでの事だ。 さて、それでは『虚無』とは何なのか、というところから始めたのいだが…即座にヤンは 困った。彼には図書館の本棚の下の方しか手が届かない。ハシゴを持ってきても、せいぜい 数メイル。 その上、彼の図書館使用許可は学生閲覧可能範囲まで。『フェニエのライブラリー』には 入れない。 そんなわけで、ヤンはロングビルとオスマンに相談してみた。二人ともヤンが予想する 『大災厄』は想像も出来なかったが、ビダーシャルが告げた聖地の姿には漠然とした不安を 感じていた。また『始祖ブリミルの使い魔達』を発見したコルベールも、ロングビルに笑顔 でお願いされると、二つ返事でOKしてくれた。 そんなワケでヤンが『虚無』を追う決心をして三日目の放課後になったのだが、結局大し たことは分からなかった。 ――始祖ブリミル。 正式なフルネームは、「ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ」。 虚無の魔法を扱い、強力な使い魔達を従えていた。ハルケギニアでは神と並んで崇拝され る伝説の偉人。その姿を描写する事は畏れ多い事とされており、大陸に多数存在する礼拝用 の始祖像は「両手を前に突き出した人型のシルエット」という曖昧な姿のみで再現が許され ている。 聖地に降臨した、との伝承を信じるなら、6千年前に『門』を通過してヤンの世界から来 たことになる。もちろんヤンはそんな人物は知らない。知っていても、おとぎ話の類だった ことだろう。もしかしたら、ハルケギニアとも古代地球とも異なる世界から来たかも知れな いし、単に聖地周辺で生まれただけかもしれない。 現在ハルケギニアに存在する4王家、トリステイン・アルビオン・ロマリア・ガリア、 これらはその力を受け継いだ3人の子供と1人の弟子の子孫。ただし始祖が用いた虚無の 使い手は確認されていない。 ブリミルの使い魔の一人がガンダールヴ。その本来の役割は敵を倒すことでなく、虚無と いう強大な力を発動させる為に長い詠唱を行う間、無防備になってしまう主を守ること。 あらゆる武器を自在に扱える使い魔、という記述から推測されるに、人間用の作り出す武器 を全て使いこなすことが出来るらしい―― なお、ヤンは現在に至るまで本格的な戦闘をした事がない。また、ルイズはじめハルケギ ニアの誰も、ヤンが「首から下は要らない」とまで言われた人とは知らない。なので、彼は 常々「僕が銃を撃っても当たらないのさ!」と言ってはいるが、謙遜か、彼なりの冗談だと 思われている。いくら鈍くさそうな冴えない中年男でも、平民出の軍人が剣も銃も使えない など、常識外れの極みだから。 ヤンもぼんやりと自分の左手を見上げている。 「ともかく、伝承が正しいなら、ガンダールヴというのは僕と同じ人間か、少なくとも体格 の似た亞人だったようだ。でないと弓とかナイフとか人間用の武器が使えないからね」 ぃよっこらしょ!と体を起こしながら彼は視線を左手の甲からルイズへ移した。 そしてその場の全員が、ルイズへ視線を集中させる。 「だとすると…じゃなぁ」「うん、そうですわよね…」「どうも、そう考えるのが自然ではあ るのですぞ…」 ルイズは大人四人に見つめられながら、じっとり汗に濡れた手を握りしめた。 「それじゃ・・・ヤンを召喚した私の系統って、虚無になっちゃうんだけど・・・」 慌ててオスマンがしぃっと口に人差し指を当てる。ルイズも慌てて口を手で塞いだ。ロン グビルやコルベールも周囲を見渡す。 夕方の図書館には誰もいない。本の虫のタバサも今日は来ていなかった。 虚無の再来。軽々しく口にするわけにはいかない一大事だ。 ヤンは頭髪の寂しい教師を見た。 「あのー、ミスタ・コルベール」 「何ですかな?」 実のところ、ヤンはあまりコルベールに良い印象を抱いていない。自分を使い魔にせよと ルイズに命じた張本人。立場上しょうがないし、根は誠実な教師と分かっていても、納得は 中々難しかった。 だからといって、その事でコルベールを忌避するほどにはヤンも大人げなくは無い。 「魔法が全部爆発する原因とか、前例とかについては?」 尋ねられたコルベールは残念そうに首を振った。 「全くわからんのですよ…恥ずかしながら。まず前例がありませんし、調べても何故なのか さっぱり…」 ヤンはオスマンを見るが、白髪の老人も首を横に振った。 「トリステインの歴史上、そのような魔法の失敗例は無いのじゃ。もしあれば、絶対に記録 なりなんなり残っとる。『家の恥』として、学院はおろか世間にも出さなかったなら、話は 別じゃが」 オスマンは、単に推測を語っただけだが、ルイズはやっぱり視線を落としてしまう。慌て てオスマンはゥオッホンと誤魔化し、ヤンもさりげなくルイズの隣へ来る。 次いでオスマンに尋ねたのはロングビル。 「では、虚無の可能性を考えませんでしたか?4系統に属さないなら、残るは『虚無』だけ ですが」 学院長は、今度は肩をすくめた。代わりに答えたのはコルベール。 「無論、その可能性も彼女が入学した当初から考えました。ですが、それこそ全く分からん のです!なにせ、この三日間調べた通りです。虚無がいかなる魔法なのか、呪文はどこに記 してあるのか、もはや時の彼方なのです。そして、軽々しく『虚無』を口に出すわけにはい きませんでした。 なので、ミス・ヴァリエールが魔法を爆発させるのは失敗なのか系統のせいなのか、手掛 かりすら掴めませんでしたぞ」 ルイズはガックリして机の上にへばってしまった。 オスマンも、よいしょっと椅子に腰掛けながら学院長としての知識を披露する。 「トリステイン王家には、『始祖の祈祷書』というものが伝わっているそうじゃ。現物は見 た事はないが。 六千年前、始祖ブリミルが神に祈りを捧げた際に詠み上げた呪文が記されている、と伝承 には残っているものでの」 瞬時に体を起こしてパァッと明るくなるルイズへ、オスマンは手の平を向けた。 「まぁ、この手の伝説の品には、よくあることでのぉ。一冊しかないはずの、その祈祷書… わしは各地で幾つも見た事があるんじゃ。 内容は、もっともらしいルーン文字を並べ立てただけで、どれもこれも紛い物じゃ。金持 ち貴族、地方の司祭、それぞれに自分の書が本物と主張しちゃおるが、一つとして内容が一 致せん。 その各地の『始祖の祈祷書』を全部集めれば、図書館が出来るほどじゃぞ」 オスマンの語る無慈悲な事実に、ルイズは再び本の山の中へヘナヘナと崩れていく。 「そんなぁ…それじゃ、失敗でも虚無の系統だとしても、どっちにしても私は相変わらず魔 法が使えないままじゃないのぉ~」 まぁまぁ、とヤンがルイズの肩に手を置く。 「ところで、トリステイン王家の『始祖の祈祷書』ですが、どうにかして見る事は出来ませ んか?」 ヤンの頼みに、オスマンはやっぱり首を横に振った。 「そりゃあ無理じゃ。真贋が不明とはいえ、あれは王家の秘宝じゃ。軽々しく見れる物じゃ ないぞ。 それと、あれはトリステイン王族が婚姻の儀を執り行う際、立ち会う巫女が使用する物な のじゃ。選ばれた巫女が書を手に持ち、式の詔を詠み上げる習わしでの」 それを聞いたロングビルが首を捻る。 「では、今回の姫殿下の婚儀では、誰が巫女を?」 今度はオスマンが首を捻る。 「ええと、確かモット伯がいってたんじゃが…クルデンホルフ大公国の…ああ、そうじゃ、 ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフとかいうたかの?その姫君が選ばれたそ うじゃよ」 「あらやだ、ゲルマニア生まれの成金じゃないの」 顔をしかめたのはルイズ。 「ああ、なるほど…」 と頷いたのはコルベールとロングビル。 「?」 何を納得したのか分からなかったのはヤン。そんな彼にコルベールが教師らしく講釈をし だす。 クルデンホルフ大公国。 初代大公が先代トリステイン王フィリップ三世より大公領を賜り、新興した国家。 軍事・外交ではトリステイン貴族として王政府に依存しているが、名目上とはいえ独立国 である。席次ではヴァリエール家にも引けを取らない。何より経済力が有名で、借金してい るトリステイン貴族も少なくない。 クルデンホルフ大公国の大公家親衛隊として編成された竜騎士団、空中装甲騎士団(ル フト・パンツァー・リッター)を有す。その強さはアルビオン竜騎士団に次ぐとされる。 「…名前からも分かるとおり、ゲルマニアとの縁も深い大公国ですので、今回の婚儀では巫 女として相応しいことでしょうぞ」 と説明されて、ヤンも「ふ~ん」と納得した。 「いずれにせよ、じゃ…既に祈祷書は大公国へ送られているじゃろうが、虚無の呪文なんか 書かれていたら、婚儀の度に巫女に持たせるなんてせんじゃろ」 ごく当然なオスマンの言葉に、皆ウンウンと頷く。 5人が本の山に埋もれている所へ、入り口から司書の女性がやってきた。 「お取り込み中、失礼します。学院長、王宮よりモット伯が参られたそうです」 「はて、こんな時間に珍しいの。すぐ行くと伝えてくれ」 「分かりました。ですが、ミス・ヴァリエールとミスタ・ウェンリーとの面会も求めておい でです」 ルイズとヤンは顔を見合わせた。 「僕をアルビオンへ!?」 学院長室の入り口に立つヤンは、目の前の怪しい雰囲気を持つモットの言葉に、敬語も忘 れて聞き返してしまった。 だが整いすぎたカールが特徴的な口ひげを生やした中年のメイジは、特にその事を気にす るでもなく話を続けた。 「うむ。お主は先日枢機卿へ自分で進言したそうではないか、『急ぎ戦力の確認が必要』 と」 「え、ええと、はぁ、それは…確かに」 ヤンはモット伯の言葉に目を白黒させてしまう。確かにアルビオンの現戦力確認を勧めた のは本当だが、それはあくまで意見を言っただけ。自分を派遣してくれなんて意味では決し てない。 そんなヤンの困惑を知ってか知らずか、赤いマントに七三分けな貴族は話を続けた。 「無論、お主が先月トリステインに召喚されたばかりの異邦人であることは知っている。こ の国ですら右も左も分からぬのに、いきなり遠い異国など…というところであろう? 実際、アルビオンへ行った所で、内戦前とどこがどう変わったか、など分かるはずもない しな」 「え、ええ…まぁ」 ヘンな眉毛ともみあげにしては、意外と気の付く人だなぁ…いや見た目は関係ないか、な んてどうでもいい所に気が行きつつも、黙ってモット伯の話を聞く事にした。 「だから、別に強制ではない。ミス・ヴァリエール」 「は、はい!」 ヤンの一歩右前に立つルイズは直立不動で返事をした。 「枢機卿からの言葉です。彼はあなたの使い魔であるゆえ、あなたの意思に反してまで派遣 することはない、とのこと。彼の意見も聞いた上で決めて欲しい、と。 ただ、私見ですが、ミス・ヴァリエールと彼の実力に期待しての人選と思います。先日の 枢機卿への進言、中々の深慮遠望ゆえ王宮でも同意する者が見受けられるとか。恐らくこれ は、見識を深める機会として欲しい、という意味かと」 「はい!承知致しました!」 元気よく快諾するルイズに、モット伯は爽やかに笑った。 いや、爽やかな笑い声ではあるのだが、顔だってなかなかの美形だが…七三わけの頭に、 華麗にカールしすぎた眉尻・髯の先・もみあげが、全てを台無しにしている…ヤンには正直 ハルケギニアと美的感覚がずれているとか、流行廃りは世の常ということを差し引いても、 そうとしか思えなかった。 「いやはや、さすがヴァリエールの名に恥じぬ気迫ですな。ですが明日の昼に再び学院へ来 るゆえ、その時に返事を頂きたい。もしお受けして下さるなら、そのまま出立になるでしょ う」 「はい!」 「では、私はまだ学院長との話があるので」 ルイズは勢いよく、ヤンは不承不承という感じで礼をして、二人は秘書用机につくロング ビルの視線を受けながら学院長室を後にした。 「へぇ~、それじゃアルビオンに行くのねぇ」 「ええ。良い機会なので、是非とも浮遊大陸を見ておこうと思うんです」 ルイズの部屋で学院長室での話を聞いているのはキュルケ。鏡台の前に座り、どうにか飲 めるレベルにまでなったヤンのお茶を飲んでいる。 壁に立てかけられたデルフリンガーも鍔を鳴らす。 「んでよ、命じられたのはヤンだろ?なんで娘ッコまで荷物まとめてんだ?」 服やらナイフ類やらを袋に詰め込んでいくヤンの横では、ルイズがクローゼットから下着 やら旅行用のコートやらを取り出していた。 「決まってるじゃないの!ヤンは道が全然分からないじゃないからよ。あたしは昔、姉さま 達と旅をした事があるから、地理は明るいわ」 しゃべっている間にもクシに手鏡に、どんどん荷物が増えていく。 「つっても…歩いて旅したわけでも、お前さんが馬車を操ってたわけじゃねぇだろ?」 「そうよねぇ。しかも、内戦終結したばっかで、相当危険だと思うんだけどねぇ」 そんなデルフリンガーとキュルケの疑問は、あーどーしよ!これもいるかな、あれもいる かなぁ…と頭を悩ますルイズには届かなかった。 チラリとキュルケが視線をずらすと、ヤンが苦笑いする。 「大丈夫だよ。アルビオンの地理に詳しくて、腕利きの人に心当たりがあるんだ。少なくと も、僕とルイズだけで行く事はないよ」 床にどんどん荷物が山積みされていくルイズの部屋に、コンコンとノックの音がした。 「はーい、どなたですか?」 と言ってヤンが扉を開けると、そこには暗い顔のシエスタと、彼女を連れてきたらしいロ ングビルがいた。 次の日、お昼休みの学院長室ではモット伯がルイズ達の承諾の返事を聞いていた。 ついでに、シエスタをヴァリエール家が引き取る、との宣告も。 「と、言うわけで。シエスタはヴァリエール家三女ルイズと、その使い魔ヤン・ウェンリー の専属メイドにさせて頂きますわ」 ぐぬぬ…と悔しさで呻くモット伯だったが、さすがにヴァリエール家の威光に逆らえるワ ケも無し。そして、目の前の机の上にドンッと置かれる金貨の詰まった袋にも。 平民の若く美しい娘に目を着けると自分の屋敷に買い入れ、夜の相手込みのメイドとし て雇っていると裏で評判なスケベ中年貴族モット伯。彼の野望と欲望は、自らが頼みとして いた金と権力の前に敗れ去った。 結構な大金を前にしつつ、モット伯は動揺を隠し威厳を保ち続けていた。 「やむを得ません…しかし、ヴァリエール家の姫殿下御自らが、このような大金をつぎ込む ほどに入れ込まれるとは…果報者の娘ですな」 「あら、そのお金は私のではありませんわ。ヤンのポケットマネーですの」 ルイズの後ろで右手を胸に当て深々と礼をするヤンを指さされ、今度こそモット伯は動揺 が隠せなかった。 「う、うむ。そういえばお主は、ダイヤの斧で王宮より大金をせしめていたな?」 「はい。ですので今回のアルビオン行も自費で行こうかと思います。…ですが、私は本来こ のような手段をとりたくはなかったのですが…郷に入りては、と思う事にします」 口の端が引きつるモット伯の軽い嫌味は、ヤンに軽く流されてしまった。同時にモット伯 は、ヤンの歯切れが悪い語尾を捉えたりはしなかった。 「そう、か。まぁ、よいとしよう。 ところでアルビオンまでの足だが、こちらで竜騎士を呼んでおいた。身分証明書とアルビ オン政府への身元保全依頼書も、ここに準備してある。 だが平民一人で行くわけにもいくまい?よければアルビオンでの道案内と警護を兼ねて 人選を」 「いえ、私も参りますわ!」 と、話を遮り杖を掲げるルイズ。 モット伯はひっくり返らんばかりに仰天してしまった。 「お!お待ち下さい!!…ご存じでしょう?アルビオン内戦が終結したばかりなのです。そ のような焦臭い場所に、あなたをいかせるなど」 「ご配慮痛み入ります。ですが、こちらでアルビオン出身の優秀なメイジを依頼しておきま したの」 と言ってルイズが振り向いた先では、ロングビルがにこやかに微笑んでいた。 お昼の太陽が少し傾いた頃、学院正門には若い風竜を連れた、少年と言えるほど若い竜騎 士が待機している。 そして旅装束に着替えたルイズとロングビル、そして黒服に白手袋で背にデルフリンガー を背負ったヤンがいる。それを見送るのはモット伯に、オスマンとコルベールとキュルケ、 そしていつの間にやら現れたタバサ。 そして更に彼等の横には、やっぱり旅装束のシエスタがいた。 シエスタは深々とルイズとヤンに礼をした。 「本当に、本当にありがとうございました!これからはミス・ヴァリエールとヤンさんに、 一生懸命仕えさせて頂きます!」 「当然よ。全身全霊をもって忠義を示しなさい」 「ハイッ!頑張ります!」 心からの感謝と共に頭を下げられて、ルイズも悪い気はしない。鼻高々で反っくり返って いる。 そんなルイズへシエスタは控えめに、しかし熱い視線を向ける。 「ですので…その、お二人にお供して、私もアルビオンへ…」 そんなシエスタのお願いは、ヤンの横に振られる首に跳ね返された。 「ダメだよ、今のアルビオンは内戦が終わったばかりで、かなり危険だと思う。とても一般 人の女性を連れて行ける場所じゃないよ」 「あうう…」 ヤンの言葉にシエスタはがっくり。対してロングビルはニッコリ。 「そう言うわけですので、アルビオンでのお二人の事は、私にお任せ下さい。故郷の知人を 頼って行けば安全に旅が出来ますし、私も少々魔法が使えますから」 微笑みと共に言ってるハズのセリフ。なのに、ロングビルから微妙に冷たい気が立ち上っ ているのを、その場の全員が感じていた。 そしてシエスタもニッコリ笑った。微妙に引きつった口元で。 「そうですね。ミス・ロングビルがいれば安心ですわよね」 「もちろんですわよ。ミス・ヴァリエールもヤンさんも、私が守って見せますわ」 シエスタの引きつった笑顔を向けられるロングビルは、笑顔が冷たい。 「でも、心配ですね。ヤンさんって素敵だから、どこかの悪い虫が狙ってくるんじゃないか なって」 「大丈夫よ、そんな悪い虫も蹴散らしてあげますから。アルビオンへ言ってる間、あなたは 気兼ねなく故郷のタルブで休暇を取って下さいな」 学院のメイドからルイズ・ヤン専属メイドになったが、アルビオンへは危険なので連れて 行けない。丁度良いので、その間、休暇を出す事になったのだ。 「ですけど、その悪い虫が、トリステインから既に取り付いているんじゃないかと、もう心 配で心配で…」 「そーんな心配はしなくていいんですよ。ちゃーんと帰りには、タルブの村へ寄ってあげる からねぇ」 「あらあら、お土産を楽しみにしていますね」 「あらあら、あんたにはアルビオン名物、魚のフライでも買ってきてあげようかしらねぇ、 たっぷりと」 「うわぁ、嬉しいです!あれ、不味くて体に悪いって評判なんですよね!」 「良く知ってるじゃないかぁ!あんたのために、たっくさん買ってきてあげるわ!」 「うふふふふ、期待して待ってますわ」 「おほほほほ、あんたなんか助けるんじゃなかったって思えてきたよ」 笑顔で殺気をぶつけ合う二人は、既に周囲の人々から見て見ぬふりをされていた。 オスマンにコルベール、キュルケとタバサが、ルイズとヤンに旅の無事と再会を誓う言葉 を掛けている。 「二人とも、無茶してはならんぞ。命あってのことじゃからな」「ミス・ヴァリエール、ミ スタ・ヤンも、体には気をつけるのですぞ」「ルイズ、夜盗なんか来たら、あんたの失敗魔 法で吹っ飛ばしちゃいなさいよ!」。そして無言で杖を掲げるタバサ。 「安心なさい!このルイズ様の実力、アルビオンの逆賊共に見せつけて来るわ!」 「まぁ、危ない場所には行かないつもりだからね。何事もなく帰れるように気をつけるとす るよ」 ヤンの言葉に、背中の長剣がかみつく。 「いや!安全な場所でぬくぬくしてたって敵情視察にはなんねーぜ!ちったーヤベェ場所に も行けよな!そしたら俺を」 「ぜーったい使わないからね」 「使えー!」 門の外で彼等のやりとりをじーっと見ている若き竜騎士は、この人達ホントに大丈夫なん だろうか、と一抹の不安を感じていた。 風竜へ乗ろうと踵を返したしたルイズを、モット伯が呼び止めた。 「念のために伺いますが、どうしても行かれるのですか?」 「もちろんですわ」 ルイズの目に迷いはない。 モット伯は、諦めの溜息とともに懐から封書を出した。 「分かりました。では、これをお持ち下さい。ヴァリエール公爵からのお手紙も入っており ます」 「父さまの!?…もしかして、私が行くのを見越して…」 目を丸くするルイズに、怪しい姿の伯爵は優しく微笑んだ。 「ええ、もちろんです。この一件が講じられた時から、公爵はあなたがアルビオンへ行くと 言い出すであろう事は気付いておりました。もし勢いだけで無茶をするようなら止めて欲し い、と依頼されていたのです。ですが、オスマン氏が推薦するアルビオン出身メイジがいる なら、よしとしましょう。 お父上からの言伝です。『世界を見てきなさい、そして必ず無事に帰ってきなさい』との ことです」 「父さま…」 ルイズは、ヴァリエール公爵からの封書を胸に抱きしめた。 ルイズとロングビルとヤンは、騎乗した風竜に学院上を何度か旋回してもらった後に、南 の空へ旅立った。シエスタもついでに、ということでラ・ロシェールまで同乗する事になっ た。 キュルケとタバサは風竜が飛び去ったのを見送って戻っていく。モット伯も馬車で学院を 去っていった。 だがオスマンとコルベールは南の空を見上げたまま、なかなか動こうとはしない。 コルベールは、隣のオスマンに聞こえるかどうかという小声で呟いた。 「恐らくはハルケギニアの各王家に伝わっているであろう、虚無の手掛かり…まぁ、見つか りはせんでしょう」 「じゃろうな。こんなあっさり見つかるくらいなら、6千年も伝説とされてはおらんじゃろ て」 ルイズとヤンが今回のアルビオン行を引き受けた真の理由――アルビオン王家に伝わる はずの虚無を追う。見つかる見込みはほとんど無いにしても、とりあえず行ってみたいとい うのがルイズとヤンの希望。それにヤンにしてみれば、浮遊大陸なんてあり得ないモノを見 れる絶好の機会だ。 二人とも、これを逃す気は無かった。 だが、そんな理由とは関係なく、残った男と老人の顔は暗かった。 「・・・のう、コルベールよ」 「なんですかな?」 「今夜は、一杯付きあわんか」 「いいですね。飲み明かしましょう」 何故に二人とも表情が暗いのか、お互いに聞くまでも無い事。 「我らの女神に、乾杯!」「くたばれ、ヤン・ウェンリー!」 二人のやけくそな叫びが、夜遅くまで響いた。 若い竜騎士が操る風竜の上には、ルイズとヤンとロングビル。シエスタは、かなり渋って いたが、予定通りラ・ロシェールでタルブ行きの駅馬車に乗った。 そして彼等はそのままアルビオンへ向かっている。 「うわああああ、本当に大陸が飛んでいるう・・・」 ヤンは開いた口が塞がらない。 「驚いた?」 ルイズがヤンに言った。 「うん…こんなの、見た事無いよ… と、言うか…何故だ、どうしてなんだ!あり得ない!どこかに重力制御装置でも埋まって るんじゃないのかー!?」 「何よそれ。とにかく、落ち着きなさいよ」 ルイズに肘で突かれたものの、ヤンは全く落ち着く様子はない。 例え彼がいた宇宙の、帝国と同盟の総力を結集したとしても、地球のイギリスに匹敵する 大陸を重力圏内、大気圏内で恒久的に浮遊させるなど、出来るはずがない。いや、やればで きるかもしれないが、絶対にやらない。意味がない。 だが、彼の目の前では、それが起きていた。何の意味があってか知らないが、実行されて いた。意味を考える事自体が無意味なのかも知れない。地震や台風と同じく自然現象の一つ なのか、それとも精霊のきまぐれか。 とにもかくにも、アルビオンは浮いていた。 雲の切れ間から、黒々と大陸が覗いていた。大陸は、遙か視界の続く限り延びている。地 表には山がそびえ、川が流れていた。 ヤンは口をポカンと開けて、間抜けのように呆然としていた。 「おいおい、シャキッとしろよ!」 背中のデルフリンガーの言葉にも、何の反応もない。 普段よりさらにぼんやりしながら目の前の大パノラマに目を奪われるヤンに、ロングビル が得意げに解説を始めた。 「驚いたようね。あれが『白の国』アルビオンよ。トリステインほどもある大陸が、主に大 洋の上を彷徨ってるの。大陸から落ちた水が霧になって大陸の下半分を覆うから、『白の 国』の別名が付けられた、と言われてるの」 そんな解説も右から左に流れるかのように、ヤンはアルビオンを凝視している。 大陸の下半分を覆う霧が雲となり、ハルケギニアを潤す雨となる…いつもなら脳裏に焼き 付けるはずの知識が、全然頭に入らない。 彼は、ルイズに思いっきりつねられるまで、アルビオンを眺め続けた。 第十三話 ときのかなた END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/319.html
63 :名無しさん@ピンキー:2014/03/03(月) 21 30 23.67 ID S2ZLU26X 今日は三月三日だ。夜にはみんなで雛祭りをする予定だったが、生憎と急な仕事が入ってしまった。 ただ別に俺でなくてもできる仕事だったので、俺が雛祭りの主催者ということもあり秘書の弥生に全てを任せ、俺は雛祭りに行った。 雛祭りの最中も弥生のことが頭から離れなかった。だが一応主催者というわけで帰るに帰れず、結局終わったのは10時を過ぎた頃だった。 一応予定通りではあったが、早く切り上げることはできなかった。 弥生に仕事を押し付けてしまった俺は弥生が待っているであろう司令室にすぐに戻った。 司令室はカーテンが閉められ、明かりも灯っていなかった。 鍵もかかっていなかったが鍵は俺が持っているわけだからまあ不自然ではない。 微かに香る桃の香りは弥生がついさっきまでいた証――弥生は他の言い方で桃月とも言う――である。 ふと見たら布団が敷いてあった。きっと弥生が気を利かせてくれたのだろう。 俺は弥生のそんな心遣いに感謝し、すぐに布団に入り横になった。 疲れ果てていたこともあり、割とすぐに眠りについた…… ふと、俺はちんちんに痛みにも近い感覚を感じ目が覚めた。痛みだけではなくなんだか気持ちいい感覚もだ。 俺は枕元に置いておいた電気スタンドをつけ、布団をめくった。 そこには銀混じりな青紫の綺麗な髪の少女、弥生がいた。 「あ……起きた……?」 「や…弥生……うぅ…」 「じっとしてて。私が……」 弥生はそう言って俺のちんちんに舌を這わせた。童貞の俺にとっては感じたことのなかった気持ちよさを感じる一方、 俺は剥けるとはいえど元々包茎であり、今日は風呂に入ってないため全く洗ってなくて、 それを舐める弥生に対して申し訳がなくなる。 「ん……もういいね……それじゃ…」 「弥生………まさか!」 「大丈夫。ずっとここで準備していたから」 「準備って、お前、俺が任せた仕事が終わってもここに…」 俺の言葉にそれ以上答えず、弥生は俺のちんちんに跨がった。 そして一度は腰を落とそうとしたが何かの抵抗にあった感じがした。 まさか、と思い俺は止めようとしたが、弥生はもう一度腰を浮かせ、そのまま勢いをつけて腰を落とした。 ブツッ………という音がした気がした。俺のちんちんが根元近くまでくわえ込まれていた。 結合部からは赤い血が流れていた。弥生が大切にしていた処女を奪ってしまったのだ。 「ッ……!」 「弥生…………」 弥生の顔を見ると、その顔は痛みに歪み、涙を流していた。 中破した時でさえこれほど表情を崩すことはなかったのに、今、俺のせいで弥生に苦しみの表情をさせてしまっている。 「弥生……」 「ん……大丈夫…………痛くなんて………ないよ…………それじゃ…………動くね………」 自分の表情の変化に気付いていないのか、それとも俺に気を遣っているのか、弥生は平静を装おうとしていた。 その姿が俺の心を益々締め付ける。弥生の処女を結果的に苦しめて奪ってしまった形になったことに 俺の抵抗心はなくなってしまった。弥生が腰を動かすことをもはや止めもしなかった。 やがてその時はすぐに来た。女性経験なんて全くない俺だ。ましてや相手は男性経験のない小さな女の子だ。 我慢なんてできるはずもない。 「弥生…もう……」 「司令…官……ッ………!」 俺が達しそうになったため思わず声を出したのを聞いた弥生は最後の一撃といわんばかりに腰を思いっきり落とし、 ちんちんを根元まで飲み込んだ。 「あぅっ!…あ…」 「………あ………司令官の……おちんちん……びくん…びくん……って………弥生の中に……出てる………」 今まで体験したことのない暖かさに俺はかつてないほどに射精した。 それはまるで、弥生は俺のものであるという証を深く塗り込め、刻み付けようとするように………… 「はぁ……はぁ………司令…官……気持ち…良かった……?」 「ああ………………でも…どうして……どうしてこんなことを………?」 「………ごめんなさい……弥生は……司令官のことが…好きだったんです……… でも……弥生は表情が硬くて……司令官に…気持ちが伝わらない気がして……それで………」 なんてことだ。俺は彼女の気持ちを推し量れなかったためにこんな辛いことをさせてしまっていたのか。 確かに弥生は表情から感情を読み取りにくい。だがそれゆえに俺は自分から深く切り出せず、 今の関係が壊れることを恐れ、それゆえに弥生に辛い思いをさせてしまった。大好きだった弥生に…… だから、俺は…… 「弥生、聞いてくれ」 「え…」 「お前にこんなことをさせてしまって、言える立場ではないけど……俺はお前のことが好きなんだ」 「……本当に……?」 「なんでこんな時に嘘を言わなくちゃいけないんだ。好きでもなければ必死で抵抗していたさ。 ……俺がお前の気持ちを分かりきれなかったためにお前にこんなことをさせてしまって…… もし…もしお前の気持ちがまだ俺と交わる前と同じ気持ちだったなら…」 「うん、大丈夫……弥生はずっといるよ……司令官の側に……」 「ううっ……ありがとう…………」 俺は一見無愛想に見えて、だがとても心が温かい弥生の優しさに涙が止まらなかった。 それから数ヶ月が過ぎた。 今日も特にこれといったことはなくまあまあ平和だった。 俺はそんな平和な時を噛み締めながら、いつも隣で頑張ってくれている弥生に目をやった。 彼女は意図しているのかどうかは知らないが、ヘソを見せつけていることが多い。 ほっそりとしたウエストからバストに上がるラインの美しさ、可愛いおへそなのだから見せたら周りのみんなが喜ぶだろう。 お腹に顔を押しつけ、そのままセーラー服の中に顔を上げていきたいって思うことも誰にだってあると思う。 でもそれは恋人である俺だけの特権である。 ん……よく見てみると弥生のお腹が少し膨らんでいる気がした。太ったのかな?ちょっとだけ残念…… でも幸せ太りならまあいいか。あ…………もしかしたら…… 「あの……司令官……最近すっぱいものが無性に欲しくなってきたの……」 「最近ねえ……ん?……まさかな……」 「司令官?」 「まあ定期健診がもうすぐあるし、そんときにでも見てもらうとするか」 そして定期検診の結果………… 弥生は妊娠していた。なんの間違いもなく俺との子供だろう。 「司令官……ごめんなさい…戦えない体になって……」 「いや、なにも前線に出たり、遠征に出たりすることだけが戦いじゃない。 お前は提督の仕事という俺の戦いのサポートをしてくれる。 それだけじゃなく、俺の生きるという戦いのサポートも」 「//////」 流石にクサすぎたか。弥生は顔を赤らめてしまった。 この数ヶ月間俺と一緒にいたためか出会った頃よりも感情表現が豊かになった気がする。 俺がストレートに感情表現をできるからというのもあるだろう。 「弥生。改めて言うよ。ずっと……ずっと俺のそばにいてくれ。俺もずっと、弥生のそばにいるから……」 「うん、大丈夫だよ。弥生はずっといるよ……あなたのそばに……この子と一緒に……ずっと……ずっと…………」 +後書き 66 :名無しさん@ピンキー:2014/03/03(月) 21 37 04.20 ID S2ZLU26X というわけで弥生ちゃんとのはじめて同士なSSを書かせていただきました 雛祭りなのに雛祭りネタがそんなにないことをお許し下さい 画像認証システムのせいで携帯から書き込めなくなったのがなあ PCからだったらちょっと手間取るってだけで済むのに……
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4518.html
前ページ次ページゼロな提督 ガリア領、アーハンブラ城。 ハルケギニアとエルフ領の境界線上に位置する丘の上の城。城壁は細かい幾何学模様に 彩られている。現在は廃城となっており、軍事拠点としては機能していない。丘の麓にオ アシスがあり、城下町は交易地として栄えている。 炎天下の中、無人であるはずの城には沢山の人が立っていた。その中には背が高く耳が 尖った人々も多く見える。 エルフと人間が争いもせずに同じ場所に集まっていた。 彼等は巨大な鉄の塊を取り囲み、数名が鉄の塊の上によじ登っている。 よじ登っていたうちの一人が軽やかに飛び降りて、囲んでいた群衆の中で最も豪華な衣 装をまとった、30歳くらいの美貌と逞しい肉体の男性の前に駆けてきた。 「陛下!遺体と遺留品の回収、全て終了致しました!」 「うむ、ご苦労」 ガリア王ジョゼフは、目の前に並べられた物を一瞥した。 今、ジョゼフの目の前には巨大な鉄の塊がある。ただしそれは錆び付き、穴があいて、 あちこちに大きな歪みがある。右側のキャタピラも外れていた。そして穴からは塊の内部 を覗き見る事が出来た。沢山のコンソールとモニター、そして操縦桿やスイッチ類が見え ている。 30年前、ヨハネス・シュトラウスが操縦していた装甲輸送車だ。 第二十一話 神の手 そしてジョゼフの足下には車内に残されていた物が並んでいた。ほとんどは小型ヴィー クルに載せ替えられてシュトラウスが持ち去ったため、大した物は残っていない。残され たそれらも錆び付き、朽ちかけていた。 その横には砂の中でミイラ化した遺体も並べられていた。全員ハルケギニアの人間と同 じ人種だ。服装は銀河帝国軍人の軍服だが。 王は群衆の中の一人に声をかけた。 「ビダーシャルよ。確かお前の話では、エルフの死体もあるはずだが?」 長身のエルフは浮かない顔で振り返る。 「砂漠の地下から引き上げた際、先に回収させてもらった。お前達には必要なかろう」 ふん、と王はつまらなそうに鼻を鳴らした。 彼は目の前に並べられた器具の幾つかを手に取り、あちこちを触ってみる。だが、どれ も何の反応も示さない。 装甲車を見ると、穴から顔を出した騎士が首を横に振るのが見えた。「やはりダメだ。完 全に壊れているようだ。何の反応もしない」と他の騎士へ叫んでいる。 ビダーシャルが中を覗き込むと、一人のメイジがあちこちのボタンをカンカン叩いてい た。しかし、砂の中に30年埋もれていた装甲車は、もはや何の反応も示さなかった。 だが、反応を示さず幸いだった事は彼等には分からない。何しろ叩かれていたボタンの 一つは装甲車に搭載されたレールガン発射ボタンで、その銃身は折れ曲がっていたから。 エルフと人間に囲まれた装甲車は、30年の時を経て、既に単なる鉄屑と化していた。 ビダーシャルはジョゼフの正面に立った。 「これで例の蛮人が遺した品々は全て集まったはずだ。『生存者』の足取りも確認し終えて ある。お前の要求は全て満たした。交渉の権利を得たと解釈してよろしいか?」 「よかろう。お前の話が真実であると認めよう」 答えるジョゼフは手にした遺留品をジッと見つめたままだ。新しいオモチャを手にした 子供のように、しきりにあちこりいじくり回している。 「…言っておくが、それらが全て動かない事は確認済みだ。引き上げ時に我らエルフが総 掛かりで調べ上げたのだからな」 「ほう。で、どうであった?何か分かったか」 見上げる王に、ビダーシャルは沈痛な顔で首を横に振る。 「…信じがたい高度な技術、としか言いようがない。理解の範疇を超えた代物だ」 「そう、か…。エルフの技術すら大きく凌駕するとはな。やはり、分かるのは例のヤン・ ウェンリーという男だけか…」 ビダーシャルは頷いた。暗い顔で。 ジョゼフはいい加減、目の前のエルフが今にも溜め息をつきそうな程に陰鬱な顔をして いるのが気になった。 「さっきから気になっているのだが、一体お前は何をそんなに落ち込んでいるのだ?」 答えるエルフの舌は、まるで鉛の様に重そうだった。 「実は、『シャタイーンの門』の事だ」 「門?…聖地はどうなっているのだ。悪化の一途を辿ってるとのことだったが」 ビダーシャルの声も、あまりにも重苦しい。 「門が、閉まらないのだ」 「・・・何ぃ!?」 一瞬、ジョゼフは彼が何を言ったのか理解出来なかった。 「最近は門が開きっぱなしだ。連日連夜、休むことなく何かが飛び出そうとしている」 「何と…では、例の激しい嵐も、か」 「いや、それがそうではない。今までとは異なる、小さな爆発がひたすら延々と続いてい るのだ。大地の精霊が余裕を持って押さえ込める程度のものだ」 説明されたジョゼフは首を捻る。果たして門から生じる爆発の頻度と規模の変化が一体 何を現すのか、を。 「…召喚される物が、変化している?」 「恐らく、そうだ。今までは大きいものをたまに召喚していたのが、今は小さな物をひっ きりなしに召喚しているのだろう」 「何故、そうなるのだ?」 「わからん…。虚無に関する情報が少なすぎることもあるしな。 ともかく、協力を求めておいて悪いが、我々はすぐに再びネフテスへ戻らねばならん。 諸部族でも連日対応のため会議が開かれているのだ。 言っておくが、ヤン・ウェンリーという男に軽々しく手を出すな。彼にはいずれ老評議 会からの招待状を届けるだろうからな」 「おっと、それはこちらの台詞だ。下手にお前達に手を出されて、ロマリアに嗅ぎ付けら れるとやっかいだぞ。トリステインで教会が動くと、余の愛らしい姪だけでは手に余るだ ろうからな」 「言われるまでもない。では、そろそろ帰らせてもらう。今後の事は会議で諸部族の方針 が決まってから相談させて欲しい」 「そうか。まぁ、ご苦労だったな。また会おう」 エルフ達はビダーシャルに率いられ、砂漠の中へと消えていった。 その背を見送る王は、誰にも聞き取れぬ程に小さな声で呟く。 「…暇つぶしに世界を手の平の上に乗せて遊ぼうかと思っていたが、どうやらもっと面白 そうなモノが現れそうだな」 押し殺した笑い声が砂の中に吸い込まれていく。 砂漠の中の廃城。朽ちかけた装甲輸送車。 もはや干からびきった銀河帝国軍人達は、何も答える事はなかった。 所変わりトリステイン城のうららかな午後。 警護の騎士が数名控えるマザリーニの執務室では、ルイズが椅子に座る枢機卿に報告を していた。 「・・・以上、アルビオンでの調査結果です」 黙って話を聞き続けていたマザリーニは満足げに深く頷く。 「そうか…ご苦労。皇太子生存の件についてはド・ポワチエ将軍からも同様の調査報告が 示された。また、皇太子が公の場に姿を現さなかった件については君たちと同意見だ」 やせ細った枢機卿からの評価に、ルイズも緊張から解き放たれると同時に誇らしさで身 体が軽くなるかのようだ。後ろのヤンも、そんな主の姿を嬉しげに見つめていた。 村人達に手を振られ、セブランの風竜でルイズ一行はタルブを飛び去った。 学院にロングビルとシエスタを降ろし、荷物を部屋に放り込んだルイズとヤンは、即座 にトリステイン城へ報告に向かった。アルビオン行についての学院長への報告はロングビ ル、シエスタは学院の仕事をしにいった。ヴァリエール家のメイドになったハズなのだが、 この辺は結構いい加減なものらしい。 そして早速枢機卿にアルビオン調査報告を行った。内容については先日手紙に記したも のと変わりはないが。 一息ついたルイズが、少し躊躇った後に口を開いた。 「あの、差し出がましい事なのですが…皇太子の件、姫さまへは?」 とたんに、満足げだった枢機卿の顔は苦々しげに変わった。 「伝えずともよい…と言いたい所だったのだが、既に知られている。まったく、小雀達め が、余計な事を」 その言葉に、ルイズとヤンも顔を見合わせてしまう。 二人には、心労の果てにやせ細った枢機卿が、溜息と共に更に細くなった気がした。 ルイズの手紙は枢機卿とヴァリエール公爵に送ったが、彼等が軽々しく重要情報を口に するとは思えない。恐らくは慌てて情報収集に走った大使一行、機密を保てはしなかかっ たろう。 意に沿わぬ政略結婚を前にしてマリッジブルーに入ってるかもしれない若き姫。その心 を乱すような情報、出来るなら遮断したかった事だろう。 そしてジロリとルイズを睨んだ。 枢機卿としてはルイズを恨むのは筋違い承知しているだろうし、睨んでる気は無いのだ ろうが、やせ細った男の視線を真っ直ぐ向けられると、どうにも眼光鋭く思えてしまう。 「で、その件で姫はミス・ヴァリエールから報告を受けたい…との事だ。 まぁ、皇太子と直接会ったわけでもないのだし、今の報告以上の事はないだろうが。と りあえず心安らかに婚儀まで過ごして頂けるよう、姫に会って行かれてはくれまいか?」 「はい!承知致しました!」 ルイズにしてみれば渡りに船だ。姫から直接王家の秘宝について話を聞けるのだから。 「では、よろしく頼む。時間が良ければすぐにでも」 「もちろんですわ!すぐに姫さまの下へ参ります!」 というわけで、ルイズは侍女に案内されて執務室を後にした。 だがヤンは出て行かなかった。 まるで当然のように部屋に残ったヤンを見て、マザリーニは怪訝な顔をする 「主について行かぬのか?」 ヤンはコホンと小さく咳払いをする。 「私は平民です。故に、姫殿下のご尊顔を許しもなく拝謁する地位にありません」 「そうか。ではヤンよ、大義であった。学院への…」 ヤンに退室を命じようとした枢機卿の言葉を、ヤンの小さな咳払いが遮った。 「失礼。猊下、無礼を承知で伺いたい事があるのですが」 「ふむ?よかろう。手短に申してみよ」 ヤンは恭しく頭を垂れてから、少々演出を交えつつ話を切り出した。 「私が召喚され、時が過ぎました。良き主に恵まれ、仕事も友も得ました。帰郷の目処も 立ちません。ゆえに、この国にて一介の平民として暮らそうかと思うのです」 「ほう、そうか。それは目出度い事だ」 マザリーニは頬を綻ばせた。その表情に裏があるようには見えず、率直にヤンがトリス テインで生きる事を喜んでいるようだ。 「ただ…この国で生きるには、私には一つ足りない物があるのです」 「足りない物?」 「はい。ハルケギニアの民として、決定的に欠けた物があります。それ無しにはトリステ イン国民として生きる事が叶いません」 「ほう、それは?」 ヤンは、持てる最大限の演技力を駆使して仰々しく、かつ簡潔に一言で語った。 「始祖への、信仰」 その言葉に、マザリーニも威厳をもって答えた。 「なるほど、確かに始祖への信仰心無しにハルケギニアで生きていく事は、暗黒の洞窟を 目隠しで歩くに等しい」 「御意」 まるで立体TVの役者のような演技を心がけてるヤンだが、どうも自分のやってる安っ ぽい演技に気付いて嫌気がしてくる。 祈祷書の情報が欲しい。だが、ルイズが虚無の系統という可能性には気付かれるわけに はいかない。虚無の系統には安全装置がかけられており、これを解除する鍵が指輪と始祖 の秘宝であることにも。 ヤンは『始祖への信仰を司る教会の人間であるマザリーニは、虚無も秘宝も全て知って いる』という可能性は低いと見ている。もしそうなら、ルイズに始祖の秘宝を持たせ、テ ファのように虚無の系統を使えるようになるかどうか確かめるはずだ。だがルイズには、 そんな記憶は無いとの事だった。過去に試された事をルイズが忘れてるだけかも知れない が。 虚無の危険性を正確に知っているため、あえて虚無について黙殺しているという事もあ りえないわけではない。もしくはルイズは虚無の系統ではなく、本当にただ魔法が失敗し ているだけと早期に判断した、とも。 いずれにせよ、ヤンは虚無に言及する事なく祈祷書の情報を引き出す必要がある。その ためヤンは心にもない始祖への信仰を口にした。 アンリエッタの方は今頃ルイズが行っているだろうと期待して。 そんなヤンの企みを知ってか知らずか、かつて教皇の地位をすら争った男は顎に手を当 てて思考を巡らせる。 「そう言う事であれば、学院のある教区担当の司教に紹介状を書いておこう。始祖ブリミ ルの教義について落ち着いて学ぶと良いだろう」 「いえ、実は教義について、枢機卿より教えを賜りたく思うのです」 「ほう…私から、かね」 ヤンは胸一杯に大きく息を吸ってから、練習したかのように淀みないセリフを長々と語 り出した。 「無論、身の程を弁えぬ平民の過ぎた望みとは承知しています。 ですが、『忠誠は報いるところがあってこそ成り立つ』というのも事実です。なれば、ア ルビオン調査の褒美として、三年前に教皇選出会議から帰国要請すら受けた猊下より、始 祖について教えを賜りたく思うのです。 無論、猊下はトリステインの為に日々身を粉にしておられる身です。時間が無いのであ れば、諦める所存です」 言い終わったヤンは、自分の歯がフワフワと宙に舞っているのではなかろうかと苦笑い しそうになるのを、必死で我慢した。始祖について時期教皇と黙された人物から話を聞き たいのは嘘じゃない、と自分を必死で納得させながら。 マザリーニは警護の騎士のうち一人を呼び寄せ、小声で何事かを囁く。それを受けた騎 士は少し考えてから、同じく小声で返答する。 ほどなくして、騎士がヤンに向き直った。 「喜ぶがよい。猊下はお前のために後の予定を変更してくださるそうだ」 「恐悦至極。感謝の言葉も見つかりません」 いっそわざとらしいと言えるほど深々と礼をする。話を受けた騎士は予定変更を伝える ため退室した。 もともとヤンは士官学校時代の校長から「穏和な表情で辛辣な台詞を吐く」と言われた 人物。ある政治家の愛国的演説で、数万人の聴衆が起立して拍手と歓声の協奏曲を奏でて いる中、ただ一人黙々と座り続けた事も。 つまり、腹芸だの面従腹背だのは苦手…というか単純に少し大人げない。処世術はお世 辞にも長けていない。 そんなヤンの精一杯の演技。自分に自分で嘘をつくくらいしないと、とてもやり遂げら れそうにないと自覚していた。神への信仰心はおろか、「『こんな面倒臭い運命の糸を学院 に張り巡らさなくても、ルイズを城の宝物庫へ呼び寄せればいいだけだろ!』と、おバカ のブリミルに文句を言いたい」のが本音なのだから。 そんな始祖への恨み言は飲み込んで、あくまで始祖の教義について口にした。 「実は、私も始祖について学ぼうとオールド・オスマンに教えを請い、また学院の図書館 で本を漁ったりしました。ですが勉強不足のためか、どうにも始祖の教義について詳細が 分からないのです」 「ほう…さすが向学心旺盛だな。続けたまえ」 マザリーニは椅子に深く背を預け、ヤンの言葉を待つ。 祈祷書については、ヤンも学術的な観点のみから語れるので気が楽だ。なので、ヤンは 自分の考えを率直に示した。 そもそも始祖ブリミルの偉業とその教えは『始祖の祈祷書』に記されているはず。この ため始祖の教えを学ぶにあたり、まず祈祷書を読む事から考えた。だが、この点からいき なり躓いた。 オールド・オスマン曰く、『一冊しかないはずの祈祷書が各地に幾つも存在する。内容は、 それらしいルーン文字を並べ立てただけ、全て紛い物。貴族、司祭、それぞれが本物と主 張するが、内容が一致しない。各地の祈祷書を集めれば図書館が出来る』とのこと。この ため神官達が様々に教義解釈を導き、各地の寺院や貴族が都合良く治世に利用している。 腐敗の温床とすら言われる。 この点を批判し、『始祖の祈祷書』の解釈を忠実に行う『実践主義』運動がロマリアの一 司祭から始まった。こうした腐敗寺院の改革を目指す運動を行う人々を総称して、新教徒 と呼ぶ。この改革のうねりは国境を越え、市民や農村部に広まり、教会からは権力や荘園 が取り上げられつつある。 ちなみに現教皇である聖エイジス三十二世は『新教徒教皇』呼ばれることがある。だが これは現教皇が各宗派の荘園を大聖堂直轄にしたり、各寺院へ救貧院の設置を義務づけた り、免税の自由市を作るなど、腐敗一掃と教会改革に積極的なため。教義解釈とは無関係 と思われる。 実のところ、『実践主義』とか新教徒とは言っても、要約すれば利権の再分配を求めてい るだけでしかない。目先の利益に汲々としているのは、今の神官や修道士やレコン・キス タと変わる事はない。 いずれにせよ祈祷書の記述が不明なので、どの解釈が妥当なのか誰にも分からない。祈 祷書の解釈を忠実に行うべし、と唱える『実践主義』の新教徒にすらも。 「・・・結論として、『始祖の祈祷書』の正しい内容が不明という点が、そもそもの問題と 思われるのです」 聞いているマザリーニは黙ったまま、何も口を挟まなかった。目も閉じてヤンの話を聞 き続けている。この反応はヤンには意外だった。 ヤンが口にした内容は教会批判。これを口にしたのがヴァリエール家三女ルイズの使い 魔であり、始祖とは無縁な遙か異国から先月召喚されて、トリステイン王国に有意義な献 策や情報をもたらした人物という事情がなければ、異端審問という名の処刑もあり得ただ ろう。 マザリーニは、ゆっくりと目を、そして口を開いた。 「…トリステイン王家にも『始祖の祈祷書』が伝わっている」 やった!とヤンは心の中で拳を握りしめた。 「はい。ですが現在はクルデンホルフ大公国へ送られていると聞いています。確かベアト リス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ姫殿下が巫女に選ばれたとか」 「その通りだ。…まったく、貴公の聡明さと向学心には恐れ入る。僅か二ヶ月足らずで教 会の暗部と、その根本原因までも見抜くとはな」 「とんでもありません。日々自らの無知を思い知らされ、精進を重ねる毎日です」 ヤンは深く頭を下げる。 もっとも、ヤンはもちろん地球におけるキリスト教宗教改革初期の指導者ジャン・カル ヴァン(Jean Calvin、1509-1564)は知っている。聖書の内容が伝わってるキリスト教で すら、聖書に立ち返り、教会における権威の所在を「聖書のみ」とし、聖書を正しく解釈 すべきとするマルティン・ルター(Martin Luther、1483-1546)もいる。彼の教えを祖とする プロテスタントだの、ピューリタン革命(1642-1649、イングランド・スコットランド等で 起きた内戦・革命)だのが起きるのだから、教義の内容が伝わっているかどうかは主たる 問題ではないと理解している。 結局は祈祷書についての情報を得るための方便でしかない事をヤンは自覚していた。 「そして、貴公の望みは…真の祈祷書であるはずのトリステイン王家に伝わる『始祖の祈 祷書』。そこ記された教義内容の原文を知りたい、という事か?」 「御意」 頭を垂れたままのヤンを、マザリーニはジッと見つめる。 そして、ゆっくりと椅子から立ち上がり背を向けた。遠く窓の外に見えるトリスタニア へ目を向ける。姫の婚儀とパレードに向け準備が進み、既にお祭り騒ぎが始まっている城 下町の喧騒も城の執務室までは届かない。 しばし、重苦しい沈黙が流れる。 下げたままの頭を僅かに上げ、チラリと枢機卿を見る。だがやせ細った男は相変わらず 外を見つめたままだ。 ヤンの腰が痛み出した頃、ようやく返事が帰ってきた。苦々しげな、そして申し訳なさ そうな声で。 「済まぬが、貴公の願いには応えられそうにない」 その言葉に、ヤンは別に驚かなかった。幾つかの理由で予想した回答だったから。まず はそのうちの、主題から外れる理由について述べてみる。 「やはり、下賤な平民ごときが枢機卿から直接教えを賜るなど、恐れ多い…ということで しょうか?」 「そのような事はない。貴公の働きは報いるに値する。少なくとも私自身は伝えられるな らば伝えたいと思う」 「ならば、王権の基礎を為す始祖の秘宝ゆえ、軽々しく口の端に乗せるなど憚られる、と いうことでしょうか?」 「それもない。祈祷書自体は秘宝だが、その内容を隠す事は始祖の教えを広めるべき教会 の意義に反する。枢機卿という地位にある以上、そのような事はせぬ」 「なれば、何故に?」 尋ねるヤンの脳裏に残る選択肢は二つ。祈祷書が、真か…それとも、偽か。 答えを待つ彼に、老人のように髪も髭も白くなってしまった男は、更に老けてしまうか のごとき深い溜め息をついた。そして僅かに振り返り、警護の騎士達に退室を命じる。騎 士達は一礼して退室した。後に残るのはマザリーニとヤンのみ。 再び窓の外へ向き直ったマザリーニは、諦めたかのように淡々と語った。 「何故なら、貴公に伝えるべき内容が、無いからだ」 ヤンはゴクリとツバを飲み込み、恐る恐る再び尋ねる。 「それは、他の祈祷書と同じく、それらしいルーン文字を並べ立てただけの紛い物…とい うことでしょうか?」 「だったら、まだ良かったのだがな…」 「…もしや、白紙…?」 「聡明すぎるのも考え物だな。まったく、その通りだ」 「失礼ながら、インクが6千年の間に消えたとか、偽物とすり替えられたとか、そういう 事は?」 「無い。王家の記録上、最初から白紙なのだ」 沈痛な面持ちのマザリーニとは対照的に、ヤンは踊り出したい気分だった。 紛い物を通り越し白紙。それがヤンの求めた答え。トリステインの祈祷書が真たる証。 ティファニアが虚無の魔法を得たのは、音が鳴らないはずの古ぼけたオルゴールから。 始祖の秘宝自体も虚無の秘密を守るために、一見して鍵とは分からないように偽装してあ ると見ていた。それが書であれば、書として体裁を為していない、つまり白紙だろうと。 そしてこれこそが、紛い物の祈祷書が出回る理由でもある。オリジナルがオリジナルに 見えない、誰にも真贋が見分けられない。なら偽物は造り放題。 加えて、祈祷書の原本が白紙だとしたら、現在の教会の教えは捏造された大嘘というこ と。教会の権威を傷つけぬように解釈するには、トリステイン王家の祈祷書が偽物とする しかない。今度は王家の権威に傷が付く。 だが、ふとヤンの脳裏に今度は疑問が湧いてくる。 教皇の地位すら得る事の出来たマザリーニ枢機卿の信仰心は、何を拠り所とするのか… 「あまり残念そうに見えないが、全ては予想の範囲内かね?」 演技を忘れて推理に没頭していたヤンは慌てて我に返った。 「いえ、滅相もありません。ですが、祈祷書の内容が全く一致を見ない事から、可能性の 一つとして考えてはいました」 「そうか。では貴公は、こう考えたのではないかな?『教会が説く始祖の教えは、全て偽 りか』とな」 「いえ、そのような…」 やはり、虎の尾を踏んでしまったか、とマザリーニの顔を見たヤン。だが、マザリーニ は別に何の感情も現してはいなかった。彼の疑問は当然の事であり、それに対する答えは 用意してあるかのように。 「貴公の疑問は当然だ。 だが、重要なのはトリステインの祈祷書ではないのだ。祈祷書とは始祖の偉業と教えを 記した物だ。つまり、始祖の時代に生きた人が書いた、始祖の御言葉と偉業を記した全て が本物の『祈祷書』なのだよ。 白紙なのは残念であり不可解だ。だが始祖の聖遺物であることに変わりはないので、重 大な問題ではないのだ。あまり口外はして欲しくないがな」 「なるほど…」 ヤンは素直に感心したが、それは始祖の偉大さを実感したからではない。ものは言いよ うだという点についてだ。第一、記された時期が始祖と同時代でも、内容の真偽が不明な のは同じだ。 だが、次の言葉にはヤンも目が点になった。 「そして、教義にも信仰上のさしたる意味はないのだよ」 「教義に、意味がない?」 マザリーニは深く頷いた。 「何故なら、始祖が我らにもたらした系統魔法こそが、常に我らを守り導くからだ」 その言葉に、ヤンは一瞬唖然とした。ハルケギニアの宗教は魔法と深く結びついている 事に、今さらながら考えが至った。 「・・・つまり、系統魔法という奇跡が常に身近にあり、人々に祝福を授けている。だか ら始祖の偉大さと人々への加護を知るために、言葉に囚われる必要はない…ということで しょうか?」 「簡単に言うと、その通りだ。魔法を使えぬ平民の貴公には納得出来ぬ所もあるだろう。 だが、その貴公も魔法の恩恵は受けていよう?」 水魔法により一命を取り留めたヤンとしては反論しにくい。 ヤンは祈祷書に関する必要な情報は得たので、それ以上疑問をぶつける事はなかった。 枢機卿はヤンに、ある司祭への紹介状を手渡してくれた。教会の教義についての細かな 成立の経緯や、解釈の変遷等は彼が詳しいので教えを請うとよい、とのことだった。 それでも彼の脳裏には抑えの効かない推理と考察が飛び交う。 ブリミル教はキリスト教のような唯一神信仰の様に見えるが、その真実は魔法そのもの という自然崇拝に近いのだろうか。だが古代エジプトのアテン信仰やペルシアのゾロアス ター教、また地球教徒のような純粋な自然崇拝ではないように思える。いや、地球教は信 徒を麻薬で洗脳して自爆攻撃に使用するテロ集団だ。ブリミル教は自然崇拝というより、 科学信仰に近い性格を持つのかも知れない。科学が人間の意思に従って恩恵も災いも等し くもたらすように、同じく魔法も人間の意思に従って恩恵も災いも等しくもたらす。これ は人の力が及ばない大自然を崇め恐れる自然崇拝とは大きく性格を異にする。人智の及ば ぬ絶対的存在である虚無とブリミルを畏怖すると同時に、生活の役に立つ系統魔法への感 謝を忘れない…という事だろうか?単に魔法万能主義の象徴としてブリミルが存在するの かも知れない。 どうであれ、ブリミルへの畏怖と魔法の利用価値を統治に都合良く利用しているのは間 違いない。統治そのものの矛盾と腐敗が新教徒という形で噴出しているのか…。 「この辺は研究の価値があるなぁ…いずれじっくり調べてみようかな」 退室するヤンの呟きは誰にも聞かれる事はなかった。単なる情報収集の素材として口に したブリミル教だったが、意外に灰色の脳細胞を刺激する題材と気付かされた。 枢機卿の執務室を出て、警備の騎士からデルフリンガーを受け取ると、アンリエッタと の話が終わったばかりのルイズがワルドに警護されて戻ってきた。 小さな主に、ヤンは胸に手を当て大仰にお辞儀する。 「お疲れ様でございます、お嬢様。姫殿下のご機嫌はいかがでしたか?」 ルイズも胸を張り澄まし顔で応じる。その手は優雅に窓へと伸ばされた。 「些か気が晴れぬご様子。ですが婚儀の日には、あの空のように晴れ渡る笑顔を下々に示 して下さるでしょう」 それを横で見ているワルドはクスクス笑い出した。 「君たち、演技過剰だよ」 「今さら気持ちわりーんだよ!二人とも」 ヤンの背中のデルフリンガーもきつい突っ込みを入れる。照れるヤンとコロコロ朗らか に笑うルイズ。 そんな二人を見てるワルドもついつい頬が緩んでしまう。 「二人とも、アルビオンでは中々の活躍だったじゃないか!ウェールズ皇太子生存の情報 は貴重だよ。いや、時間さえあればアルビオンでの話を君たちからじっくり聞きたいね」 「あら、子爵様。私はいつでも構いませんわよ。ねぇ?ヤン」 「ええ、もちろんです」 二人の返事を聞いたワルドは素直に残念そうな顔をした。 「うーん、すぐにでも話を聞きたいところなんだが、何しろ姫さまの婚儀が近いからね。 元々の姫殿下護衛任務に加えて、式典警護に衛兵の訓練にと、てんてこ舞いなんだ。 だけど、近いうちに必ずまとまった時間を取るよ。ヤン君とは是非とも天下国家につい て語り合いたいと思ってたんだ。それに…」 鷹のように鋭い目が、ルイズに向けて陽気なウィンクをする。 「姫殿下の婚儀が済んだら、次は僕らの婚儀だからね」 「そ!そんなワルド様!私は、まだ、そんな…」 ルイズは頬を染めて俯いてしまう。 「ははは!ゴメンゴメン、別に急ぐ話じゃないよ。公爵とも話をしないといけないしね。 それじゃ、また!」 城の正門でヴァリエール家のいつもの馬車に乗り込み、ワルドと別れた。 ヴァリエール家のトリスタニア別邸へ向かう道中、ヤンは枢機卿との話をルイズとデル フリンガーに語った。 「…というわけで、祈祷書は恐らく本物だよ。あとは指輪だね」 「指輪も大丈夫よ!姫さまが右手薬指に『水のルビー』を着けてらしたの!なんでも、古 くから王家に伝わる秘宝だそうよ!」 「ほほー!おでれーたな!これで、虚無の封印が解除出来るわけだな!?」 床に置かれた長剣の言葉にヤンは頷く。 「可能性は十分だよ。あとは婚儀の後に適当な理由を付けて借りて試せば良いだけだ」 「やったわ!あぁ~、早く祈祷書を見たいなぁ~」 ルイズは舞い上がらんばかりに大喜びだ。ヤンの手を取ってブンブン上下に振り回し、 勢い余って足下のデルフリンガーがガンガン蹴られる。 狭い車内で大はしゃぎしていると、馬車が停まった。 飛び降りてきた御者のヤコブが扉を開けると、二人の目の前には別邸。それを見たとた んに二人とも、盛大な溜息とともにカクッと肩が落ちた。 その有様にヤコブも困ってしまう。 「あの、お嬢様…ヤンも、ほら、公爵様が待っておられるんだからよ!」 せめて公爵の機嫌を取ろうとルイズが買ってきたタルブのヴィンテージワインをヤンが カゴに入れ、長剣を背負う。二人は判決を受ける被告人のようにトボトボと別邸の門をく ぐっていった。 「おお!ルイズよ、無事に帰ってきたか!うむ、手紙は読んだぞ!立派な功をあげたでは ないか!城でもお前のこれまでの働きと合わせ、大変な話題になっていたぞ! ウェンリーも、よく娘を守りきってくれた!大義であった、礼を言うぞ!」 公爵の部屋に入るやいなや、公爵は満面の笑みでルイズを抱きしめて再会を喜んだ。 二人とも、公爵はすっかり激怒しているものと思っていたので、驚いて言葉がしばらく 出てこなかった。 ようやく父君の抱擁から解放されたルイズが、目を白黒させながら尋ねる。 「あ、あの、父さま。怒っていたのでは、なかったのですか?」 今度は尋ねられた公爵が目を白黒させた。 「何?…あ、ああ、無論だ!怒っているとも!まったく、学業もあるというのに何を遊び 回っておるか!任務が終わったのなら早くもどらんか! ウェンリー、貴様が付いていながら何たる失態か。今後このような事は無いようにな!」 慌ててルイズから離れて背筋を伸ばし、二人を叱責する公爵。が、その顔は明らかにニ ヤけていた。 ヤンの背で長剣が小声で呟く。 「おでれーたな。どーやらルイズが手柄あげて帰ってきたのが相当嬉しかったらしいぜ。 早く褒めたかったのか」 二人も慌てて直立不動で公爵のお叱りを受けるが、チラリと横目で互いを見て、クスリ と笑ってしまった。 結局その日は二人とも別邸に泊まる事となった。 晩餐ではルイズから聞かされるアルビオンの旅に公爵は感心しきりだ。特にサウスゴー タの酒場で聞いた兵士達の話には思うところが多かったようだ。ちなみにヤンは執事らし く、他の執事やメイド達と共にデルフリンガーを立てかけた壁に控えている。 「そうか…四年前の、モード大公の一件が…」 神妙な顔のルイズがチラリとヤンを見た。 「ええ…ヤンに言われましたわ。『魔法で戦争は出来ても、政治は出来ない』と。目から鱗 が落ちる思いでした」 「ほう、そうか…ウェンリーよ、そのような事をルイズに言ったのか?」 問われたヤンは小さく頷く。 大公は深くゆっくりと頷く。 「そうか…ウェンリーよ」 「はい」 「これからもルイズにお主の知恵を授けてやってくれ」 「御意」 ヤンは、今度は深々と礼をした。横のメイドや執事からは不審・好奇・嫉妬その他の視 線が向けられる。 そのやりとりを見たルイズが、ふと呟く。 「お抱え学者みたいね」 「執事より適職であろう」 公爵は当然のように答えた。 その後も公爵は愛娘の話に頬が緩みっぱなしだった。 次の日の早朝、ヤコブの馬車に乗って二人は学院への帰路についていた。 ヤンは学院までの話のネタにと、ふと気になった事を聞いてみた。 「ところでルイズ、姫様の様子はどうだったんだい?」 「うん、それなんだけど…どうみても憂鬱なご様子だったわねぇ」 ルイズは宙を見上げながら、姫との謁見の様子を語り出した。 「――以上が、アルビオンでの事です」 「それでは、ウェールズ様には会えなかったのですね?」 「はい。残念ながら」 「そうですか。ご苦労様でした」 そう言ってルイズの労をねぎらうアンリエッタだが、どこか虚ろな表情をしている。心 ここにあらずといった感じだ。 「あの…姫さま?」 声をかけられて急に我に返る。 「あ、あら、いやだわ。私とした事が」 といった姫だが、すぐに再び視線が宙を彷徨い出す。 さすがにルイズも怪訝そうに姫殿下の顔を覗き込んでしまう。 「…姫さま。もしかして、ウェールズ様とお会いになりたいのですか?」 とたんにアンリエッタの目が見開かれ、そして寂しげに俯いた。 「今も、愛しておいでなのですね」 憂いを含んだ青い瞳が、ゆっくりと鳶色の瞳へと向けられる。 「私はトリステインの姫です。好きな相手との結婚など、最初から有り得ないのです。私 がゲルマニアに嫁ぐ事で同盟は結ばれ、トリステインの平和が保たれるのですから。 第一、私たちが愛を誓い合ったのは、昔の話なのですよ…」 そう言ってアンリエッタは哀しげに微笑んだ。姫の言葉は、まるで自分に言い聞かせる かの様だった―― 「・・・というワケなの」 ヤンは黙ってルイズの話を聞いていた。代わりに床に置かれていたデルフリンガーが口 を開いた。 「ふーん。やっぱ姫さんは政略結婚なんて、したくないわけだ。おまけに皇太子への未練 タラタラなわけかね」 「何て事いうのよ!」 ルイズはガシャッと長剣を踏んづけた。 「考えてみれば、アンリエッタ姫も不憫だよね…」 ヤンがようやく口を開いた。 「愛した人に会う事も許されず、政治の道具にされ、好きでもない皇帝の下へと嫁がされ るんだから。王家の定めとはいえなぁ…」 「確かに、ね。でも、私達のような貴族だって家の為に結婚をするのは当然の事よ。町娘 みたいに気楽な人生は送れないわ」 ルイズの言葉に、ヤンは頭をボリボリかいてしまう。 「そうだねぇ…貴族制度に自由を奪われるのは平民だけじゃなく、貴族もなんだねぇ」 「へへ、おでれーたな、ヤンよ。おめーにも分からねー事があんだな」 「デル君、そんなの当たり前だよ。知らない事の方が遙かに多いに決まってるさ」 「んで、娘ッコよ。おめーの方はどうなんだ?あのワルドって貴族との婚約だけどよ」 長剣から話を振られたルイズは目を白黒させてから、頬を染めて顔を伏せる。 「そんな、その…そりゃ、昔は憧れてたわよ。今も素敵だと思うし…でも、すぐに結婚な んて言われても…今は虚無の事で頭が一杯だし…」 その言葉に、ヤンもちょっと困った顔だ。 「まぁ、子爵も言ってたけど、公爵に話を聞かないといけないし、まだ学生の身だしね。 ゆっくり考えてからで良いと思うよ」 そんな話をしつつ、馬車は学院へ向けて進んでいた。 お昼前に学院に着くと、馬車を降りたルイズもヤンも、うにゅぅ~っと伸びをした。 ルイズが感慨深げに校舎を見上げる。 「ふぅ~、とにもかくにも、これでアルビオン潜入任務は全て完了よ!」 「そうだねぇ。いやー楽しかったなぁ」 そんな二人の後ろで荷を降ろし終えたヤコブが手綱を繰り、馬車を方向転換させた。 「それではお嬢様、失礼致します。ヤンも元気でなー!」 「ご苦労でした」「毎回ありがとぉ~」 手を振るヤンに見送られ、ヤコブの馬車は去っていった。 ヤンが大荷物とデルフリンガーを背負ってルイズの後をついていく。 学院のそこかしこから「おー!久しぶりじゃねーか!」というマルトーの威勢の良い声 や、「あらぁ、ルイズも使い魔さんも、ようやく帰ってきたのねぇ」というキュルケの甘っ たるい挨拶、「やぁやぁ、二人とも無事で何よりだねぇ。早速アルビオンでの話を聞かせて くれないか?」というギーシュの声など、二人を出迎える様々な声が響いてきた。 その日の深夜。 トリステイン城では、薄い肌着のみを身につけたアンリエッタが、巨大な天蓋付きベッ ドで眠れぬ夜を過ごすしていた。 そんな彼女の耳に、コツコツ…と何かを叩く音が届く。 身体を起こして窓の方を見ると誰もいない。だが、窓に何か紙片が張り付いている。 ふと気になり、ベッドを降りて窓に寄ってみる。よく見ると、その紙片には短い文章が 書き殴ってあった。 「風吹く…夜、に!?」 紙片に書かれた文章を読み上げたとたん、王女の目は驚愕のあまり大きく見開かれた。 慌てて窓を開け放ち、窓に張り付いていた紙片を手に取ってみる。 それは、蝋封に花押が押された手紙だった。 第二十一話 神の手 END 前ページ次ページゼロな提督