約 19,729 件
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/539.html
「翔鶴と、提督の決断」 「翔鶴と、提督の決意」 コメント 最新の30コメントを表示しています。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/359.html
87 :北上×提督:2014/04/25(金) 02 16 55.76 ID eNyf9BLw 「提督……」 か細い声に振り向くと、先日重雷装巡洋艦からさらに改二へと改造を果たした北上が立っていた。 出撃や工廠での調整以外、鎮守府では艤装の所持を許可していない。 扉の前に立っているのはただの人、北上という一人の女性でしかなかった。 ふと思い立ち、自らの懐中時計に目をやると針は日付が変わる頃を指している。 「どうした、こんな時間に。珍しいな、消灯時間はとっくに過ぎてるぞ?」 「うん、ごめん。でもなんだか眠れなくってさ~」 机に向き直って書類を集めながら、北上が起きている理由を考えてみる。 冷静に考えてみれば珍しいこともあったものだ。 大怪我して帰ってこようが、一日中ごろごろしていようが、北上はいつも決まった時間に寝ている。 もとい大井と同じ部屋に入れば、寝るなと言っても気付けば二人で抱きあって寝ている。 我らが鎮守府の名物、仲良し重雷装巡洋艦コンビ。 仲の良さが間違いなく目覚ましい戦果に繋がっているのは非常に喜ばしいことだ。 だからこそ珍しい、大井と起きているわけでもなく単独で北上が起きているのだから。 「大井はどうした?」 「んぁ~、大井っちは部屋で寝てる」 「なおさら珍しいな、いつも二人で部屋に入れば電気が消えているところしか見ないのに」 「それは少し失礼じゃない? 人の事をいつも寝てるみたいに……」 「ははは、すまんすまん。どうした? 何か俺に用があってきたのか?」 「ん~、まぁね~……少し」 書類をまとめて立ち上がり、半身振り返ったところで一瞬頭が回らなくなってしまった。 廊下からの逆光で見えなかった北上の姿が目に飛び込んでくる。 改二になったのと同時、北上は若干服装が変わった。 服の色調が全体的に明るくなり、上着の裾が短くなったおかげでへそは露出している。 艦娘にとって中破、大破で服がお釈迦になることは決して少なくない。 出撃から戻ってきた艦隊を出迎えれば、全員そろって服が破れていることもある。 「あれ、どうしたの? 提督、目が点になってるけど?」 「あ、あぁいや、何でもない。なんでもないぞ」 「……ふ~ん?」 怪しむように細められた北上の視線が突き刺さる。 見慣れていたと思っていた露出も、帰還直後ではなかったり艤装がなかったりするだけでここまで違うものか。 しかしこちらの視線を捕えて離さなかったのは、へそでも太ももでもない。 寝る前だったせいか、普段から結っている髪を全て解いた北上の姿だった。 「北上、今日はその、あれなんだな。髪の毛はまとめてないんだな?」 「髪? うん、寝る時まで結んでたら邪魔だしね~、変?」 「へ、変だなんてそんなこと――!?」 変なことなんてない、むしろ普段のそっけなさからは想像も出来ないほど綺麗だった。 長い長い黒髪は北上の腰辺りまで伸び、山の裾野のように広がっている。 歩き出した北上の動きに従い、左右に軽やかに揺れる髪は艶やさを見せつけてくる。 露出したへその背景のように広がる髪と北上の白い肌とが重なり、色白な肌は純白に輝いているようにさえ見える。 艦娘? 否、今、目の前にいる北上を確かに女性として意識してしまっている自分がいた。 「ま、待て待て北上。何か用があって来たんだろう?」 「そうだけど、提督、何慌ててるの? 顔赤いんだけど……まさか提督、私のこと気になってんの?」 ギクッ、なんてありきたりな擬音が心臓から響いた気がした。 すぐに分かる、表情どころか身体が凝り固まったように動かなくなってしまっている。 さして広くない執務室、北上が僕の目の前に来るのに時間は掛からない。 顔が熱い、普段見ない黒い長髪をなびかせる北上にここまで心が揺さぶられるとは思わなかった。 もうばれないはずがない。 北上は僕の目の前で足を止めて、まじまじと顔を見つめてくることほんの一拍。 自信に満ちたような笑みを浮かべ―― 「そりゃあ趣味いいね、実にイイよ! 提督!」 「ちょ、北上、止まって、やめっ!」 むにゅ、ふわぁ、ぎゅうう……男でよかったと思う瞬間である。 倒れこんできた北上の胸元に、柔らかなぬくもりと同時に幸せがあふれ出す。 入渠後ということもあって長く揺らめく髪から、風呂上り特有の石鹸のような甘い匂いが鼻を包む。 腰に回された北上の細い腕なら簡単に振り払えるはずなのに、万力のような力強さを感じる。 あぁ、許せ、呆れてくれ北上――僕はお前で女の子の柔らかさを満喫してしまっているのだ。 今では下がることを許さない大きな机に感謝すらしてしまい、今の状況を楽しんでしまっていた。 「あ~……なんか、すっごい落ち着く……」 「そ、そそそ、そうでございますか?」 「提督は落ち着かない? 私はすっごい落ち着くんだけどな~」 落ち着くわけがない、落ち着けるわけがない。 一歩間違えれば、露わになっている北上のへそに主砲がご挨拶しかねないのだ。 そんなことをすれば大井と北上の酸素魚雷が、愚息ごと僕を海へ葬るだろう。 しかしこちらのことも露知らず、北上は追い打ちと言わんばかりに恐ろしい事を言い放った。 「提督……」 「は、はい?」 「私とちゅーして?」 「……はい?」 「女の子に二回も言わせる気? ほら、ちゅーして」 北上はそう言いながら若干背伸びと同時に目を閉じ、唇を突き出してくる。 あまりにも無防備、そして可憐な目の前の少女に僕はどうすればいいのか分からなくなっていた。 +後書き 89 :北上×提督:2014/04/25(金) 02 18 32.66 ID eNyf9BLw 今のところはこんな感じです 駄文の癖に中途半端で申し訳ないですけど、書けるなら続き書きたいな~と思ってます キャラ崩れたりしてたらごめんなさいな
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/396.html
139 :139:2014/05/20(火) 23 21 54.02 ID FIAR9bk5 提督×浜風9-43と提督×浜風9-174に浜風ものを投下した者です。 あれの最終話を書いたのでこれから投下します。 140 :139:2014/05/20(火) 23 25 12.03 ID FIAR9bk5 1 シーツの縒れを手元に見て、せり出す嬌声は枕にくぐもる。下手な息継ぎの度、胸を満たす枕の香りがより一層の恥辱を煽っていた。 水音の響きと連動するようにして腰が婀娜やかに蕩揺し、淫らな雫がつぅと大腿を滑っていた。後には蛞蝓の這ったような光沢が一直 線に刻まれて、そのこそばゆさに思わず掌の力が強まった。浜風は四つん這いの体勢で、彼からの刺激をただただ無抵抗に受け続けて いる。 朱の孔は熱く、時折呼吸するように蠢いた。まるで童女のそれと違わないばかりであった彼女の女陰も、毎夜のように施された悦楽の 指教によって、今や爛熟の滴りである。 彼の指先は、肉芽の上を叩くようにして刺激した。まるで掌が腰を支えるように添えられて、中指の全体は陰唇に埋まっている。跳 ねた愛液は彼の手首までをも汚し、尚一向に留まりはしない。 背筋から腰にかけて、電流の流れたような痙攣が彼女の絶頂を示した。くたりと仰向けにへたり、柔らかな乳房は胴の上、重力によ って平たく潰れる。彼女は顔を背け、目尻に重なるように腕を置き、荒い息をつくだけになった。そしてやはり、提督はそれ以上手を 出す事もせず、クリネックスを取りに立ち上がったのだった。 今回で何回目の伽であるのか。終わった後にはじっとりと汗ばんでしまう季節になって、だが胸を刺す寂寥は、未だに亭々と根を張っ ている。この切なさを恋を認知するに浜風は存外時間を要した。いや、今でも深層の部分においては認めていないのやも知れない。彼 女が思い描き正道とした恋心は、春水沸き出ずる果て、清らかに咲く一輪の花のようなものなのである。微恙の際の熱と似たものが、 ぽっと胸底に燈った時、それこそが真正の恋であるのだと夢想していた。故に情欲をきっかけとしたこの想い、穢れの中に生まれた感 情を一絡げに定義するのは憚られた。 愛して欲しい。そう心の中で独り言ち、途端憂鬱に苛まれる。自身が酷く驕慢な、醜いものに思われた。求められたいという欲求が 切なく胸を締め付けて、ますます自己嫌悪の陰気に当てられる。 提督が褥に戻ったのを横目に見て、彼女は身を起こした。怪訝な視線を受けながら首に腕を巻きつけると、持ち上げた体を再び蒲団 へと寝かした。引っ張られた彼は堪らず腕立て伏せのような格好で彼女の上にしなだれて、それは端から見れば押し倒した風にも見える 状態であった。 「キスを、ください」 真剣でいて悲壮の色を湛えた瞳が、突き刺すように彼を見る。息を飲んだ提督は、だがやはりそれを憫殺した。 額に唇が押し当てられる。そうして前髪を梳くように撫でてから、彼は身を捩り隣に寝転んだ。視線を交わす事も無く、たったそれ だけで終わりである。 胸を開いて中を覗き見る事が出来たならどれだけか楽になれるだろう。諦観と少しの願望を乗せた溜め息が、口から独りでに漏れ出 した。浜風は提督を信用してはいなかったが、失望をしているのでもなかったのだ。何時か、いづれ何時かはと、彼の優しげな愛撫にその 先を幻想しながら、一方では口惜しさに歯を食いしばる。彼にパジャマのボタンを閉じてもらう度、競り上がる涙を堪えながら拳をぎ ゅっと握るのだった。 あなたを殺して私も死ぬ。この頃、彼女の頭の中にはこの短文が居座りだした。浅ましい甘ったれの、エゴイスティックな人間が使 う台詞だと自覚しながら、しかし彼の顔を見ると知らずの内に心内で唱えてしまうのである。あなたを殺して私も死ぬ。あなたを殺し て私も死ぬ。あなたを殺して私も死ぬ、と。 心中の美学は、この国に生まれた者ならば生まれつきに理解している事柄なのだろう。かつて死に行く皇国のため、仲間のために自 らも海中へ没した彼女は、それを醜悪とは思わなかった。むしろ、純粋な恋。春水の沸き出ずる……に近似した究極の白壁。微瑕一つ も有らざりき、誠の心。そう思われた。 浜風は彼の手を取ろうとして、しかし止めた。 141 :139:2014/05/20(火) 23 27 53.31 ID FIAR9bk5 2 子の刻。夜の重たい静けさを裂く、賑やかな談笑の声があった。間引きに付けられた蛍光灯が廊下を薄暗く照らす中、唯一食堂だけ は真昼と思えるほどの目映さを放つ。 限定海域攻略完了の祝いとして開かれたこの酒宴は、その姦しさの峠も越え、ぽつぽつと自室へ帰る者の姿も現れだした頃合である。 こと駆逐艦の大半はその姿を消していたのだが、唯一浜風だけは提督の隣に座り続けており、その雰囲気たるや沈欝の極みであった。 彼女は視線を虚空に固定しながら冷えたグラスに唇を当て、中のモスコミュールを舐めるように飲んでいた。他方、提督は思い出し たように声を掛けるが、どれも無視をされるか一言相槌を打たれるばかり。酔いも回りだした頃には何やら無性に苛立ちが募り、日本 酒を手酌してはその感情を無理やり腹底へ下している。 壁掛けの時計を眇め見つつ、提督はとうとう痺れを切らすと、 「僕はもう寝るけど……」 と言った。引き止めて欲しかった訳でもなく、ただ報告しておこうというような心緒である。最後に口を開いてから既に一刻は過ぎ ており、ざらついた喉が不快な音を発した風だった。 「そうですか」 果たして浜風の反応も平坦の極み、清閑な湖の水面が如く起伏の一端もありはしない。提督は憮然と立ち上がると、早足にその場を 後にした。 彼の背中を眺め、浜風の心内には猛然と湧き出すわだかまりがあった。悲観の憤怒と諦観の絶望とが、体に巡るアルコールの熱に火 をつけたようだった。上ずった気が何が何やら分からない内に涙となって溢れ、堪え切れなかった幾らかの嗚咽がしゃっくりのように 零れ出す。噛み締めた下唇は真っ白に、濡れる眼は真っ赤になった。 競り上がろうとする嗚咽を何とか飲み込んでいると、力の込もる拳や肩が独りでに震えだす。それが厭に無様に思われて、恥辱の涙 をも混ざりだした。浜風はグラスの残りを一気に呷り、うずくまる様に下を向いた。 どれほどか時が過ぎ、涙は留まる事を知らないが呼吸は落ち着いてきた頃合、隣に腰掛ける艦娘がいた。右手には冷酒の徳利とお猪 口が二口、左手には荒く千切られたキャベツ盛り。唯でさえ露出の多い服を更に乱しながら、武蔵は朗らかな笑顔で席についた。 「浜風よ。貴様、まだこういうのは知ら無いだろう。まぁ飲め」 差し出したおちょこに並々と透明の雫を注ぎ入れ、彼女は開口一番にそう言った。体中の元気がごっそりと消え去っていた浜風にと って、その絡み方は何とも煩わしいものであったのだが、わざわざ遠慮すると言うのもそれはそれで面倒くさく思われ、逡巡の後に結 局は渋々、その小さな器に口をつけた。 焼かれたのかと思えるほどの膨大な熱が、一気に胃の底へと駆け下りた。切羽詰った浮遊感が呼吸を乱し、しかし不快な感触ではな い。目の覚める強烈な苦味が舌の上で踊り続け、それは刺青のようにずっと刻まれたままであるようだった。 形容するならば、多幸感である。忘却の彼方へ打ち捨てられていた胸の温かみが、じんわりと体に広がってゆく。たちどころに良く なる機嫌をどこか不気味にも感じながら、しかし気持ちのいいことに変わりは無い。悲観や苛立ちは流され出て行き、唯一残った負の 感情は、してやられたという悔しさだけである。得意げな顔つきの武蔵を恨めしく見ながら、彼女は杯を置いた。 「もっとください」 そうして、待ってましたと言わんばかりに、徳利は傾けられたのだった。 142 :139:2014/05/20(火) 23 31 03.34 ID FIAR9bk5 「提督と何かあったのか」 自身も杯を呷りながら、武蔵は浜風を横目に見、窺う声音にそう聞いた。当人は気が付いていないようであったが、先ほどの落涙を 見た者は存外に多く、そしてその誰もが聞きたいであろう質問でもあった。 武蔵には別段、それを言いふらそうというような魂胆は無かった。あるのは好奇心と彼女への配慮のみである。しかし浜風は気丈に も顔を上げ、空元気に答えたのだった。 「いえ、別になんでもありません」 「よく言うぜ……。まず目の充血をどうにかしてから言うべき台詞だな」 「少し、酔っ払ってるだけです。提督は関係ありません」 彼女がそういった方向について厭に意固地になることを、武蔵とて心得ていた。懐柔に時間を惜しまず、兎に角酒を注ぎながら辛抱 強く聞いてゆく。どれだけ強大な意思があろうとも、本能の方は内包している思いをぶちまけたいはずであった。なれば、酒さえあれ ば何れか理性が頽れる。果たしてその目論見どおり、彼女の口はお猪口の呷られる度、徐々に徐々にと緩くなっていったのだった。 二本の徳利が空になる頃、浜風の瞳は再び潤みだしていた。口から漏れ出す提督への呪詛。最初こそは抽象的な、ただ言いたい文句 を連ねただけだったそれは、次第に同情や憐憫を売りたい為に、より事実の暴露に迫っていった。武蔵がうんうんと気前良く聞いてく れる事もあり、とうとうその全てを告白しなくてはもう恨み言も言えない段になると、浜風は意を決し、事のあらましを口に出し始め た。 あの口淫や、自慰や今の半端な同衾関係についてである。羞恥も惨めも打ち捨てて、赤ら顔に告白し続けた。 まさかそういった所にまで発展しているとは思っていなかったのだろうか。武蔵は目を見開き、唯何も言わずにそれを聞いていた。 「私、提督の事が好きみたいなんです」 最初、明るく始まったその物語も、結びの文言に至ると余りに重苦しい悲惨さ。息の詰まるような激情を冷静さの奥に見出して、武 蔵はため息をつかずにはいられない。彼女の瞳に映る純真と、表情に顕れるくたびれが痛々しく思えてならなかった。 絶対に報われない恋慕である。本人にも自覚があるらしい事が、なお一層不憫であった。痛みを伴わない解決の機会は永遠に失われて おり、あとはどれだけ傷を浅く済ますかという不承の始末だった。武蔵はお猪口を呷ると、一口に飲み込んでから口を開く。 「まだこの艦隊に来て間もない頃の話だがな、今の貴様みたいに練度向上を目的として秘書艦をやっていた時期があった」 浜風はあの痛ましい眼を向け、無言に話の続きを促した。前口上を終えてしまった今の段になって今更席を立つことはできないと知 りながら、武蔵は逡巡に口を閉ざしてしまう。 果たして自らが終端のきっかけとなってもいいのかと自問した。これから話す内容によって、浜風のもしかしたらという希望は呆気 なく潰えるだろう。客観視して間違えなく最善だった。しかし苦しみの伴う事も明白である。決断は、疎ましくも自身に委ねられてい た。 十秒は経った後、彼女はおずおずと話を再開した。心内では謝罪を呟きながら、平然とそれを口にする。 「提督に押し倒された事があった。その時は酒も入っていたし、私とて別段嫌ではなかったのだがな。……まぁ、色男だ。決して尊 敬はできないが、魅力はある。まぁいいかとも思って、なされるがまま好きにやらせていたんだが……。あいつ、私が処女だと知った 途端に止めやがった」 143 :139:2014/05/20(火) 23 33 49.19 ID FIAR9bk5 そこまで一息に言い切って、武蔵は浜風を盗み見た。今、彼女の心が一体どれだけ荒れたのか。口を堅く結び、無表情に見つめるそ の様子からは一切憶測もできはしないが、尚それでも覚ろうとした。 虚ろな視線に薄ら寒い思いを抱きもする。しかし武蔵はあくまで彼女を案じ続けていた。嫌悪をされたとしても、事実の客観を意識さ せることこそが唯一残された救いへの道。そう考えていた。 「あいつは慣れすぎているんだよ。女心を弄ぶのは得意だが、気遣うことは一片もできやしない。提督職を追われたなら、まず間違 いなく男妾になるぜ」 浜風の胸の内に、男妾。その一単語がずんと響いた。今驚くほどの心の粛然。その裏に燃え上がる嫉妬や落胆はそのまま、何故だか 男妾という言葉が残響するように胸を打った。 まさしく提督の性質だと、感心にも似た清々しさが感じられた。彼女は、自身がどこか集合住宅に住まい、提督が居候している生活を イメージした。尽くせども尽くせども言い寄る女を邪険にしない彼は、ふらっと外へ出ては遊戯する。愛想尽き果て打ち捨てる事がで きたなら良いのだろうが、なまじその男妾の性質が楔である。何時までも期待を抱き続け、そして破滅。そういった物語が克明に再生さ れたのだった。 「あんな男、真剣になればなるほど損しかない。早く諦めたほうが良い」 纏められた終わりに、確かにそうだと同意した。あんな男は打ち捨てたほうが良い、何の得にもなりはしないと思えども、しかしど うしようもなく惹かれる心。……魂と呼んでもいいやもしれない。彼を欲する感情は、ひたすらに強大で堅牢だった。彼さえあればそ れでいいと、彼が愛してくれるのならばそれだけで全てが満たされるのだと、心内で増殖する渇望は、完全な理屈をもってしても制圧 叶わないように思われた。 「……どうやったら諦める事ができますか」 顔を伏せた浜風に、武蔵は間髪入れず答えた。 「まず何より、もう逢わないことだな」 144 :139:2014/05/20(火) 23 37 12.17 ID FIAR9bk5 3 蠅取り蜘蛛の足音さえ聞こえそうなほど静まり返った執務室。その窓際に立ちながら、提督は一人キャスターマイルドを喫んでいた。 一人の時にしか喫煙しないのは、勿論艦娘の健康を考えているからでもあるのだが、最大の理由は女々しい銘柄に魅せられていること への羞恥があった為である。かなりの昔、海軍兵学校にいた頃の話であるが、初めて買った娼婦から銘柄を揶揄されたことがあった。 JPSを愛喫していたその女からすれば、どんなパッケージを見たところで子供の遊びにしか思えないのだろうが、まだその時分、不 慣れの純朴な田舎上がり。精白に近い心は大いに傷ついて、以来人前でタバコを吸うのに抵抗を覚えるようになったのだった。背伸び してタールの多いものへ乗り換えようとした時期もあったが、バニラの甘みが無いと何とも口寂しく苛々も募る。中毒なほど多く吸う わけでもなく、結局はキャスターを愛飲し続け今に至る。 一人広い部屋に閉じこもると、何とも集中の切れやすい提督であった。秘書の浜風は珍しくも大破。入渠に掛かる時間を見、練度の 高まりが意識された。お小言を言う艦娘がいなくなれば元より自堕落な彼であるから、積まれた書類は見て見ぬふりをし、開けた窓か ら朱に染まる岸辺を眺める。吹き込む風の湿り気に、梅雨の気配が感じられた。 つと、扉をノックする者があった。提督は大仰に背筋を震わすと、慌てて煙を扇ぎ吸殻を外へと投げ捨てた。別段、喫煙しているこ とそのものを秘匿にしていたつもりも無いが、どこかこれは疚しい事なのだとも思えている。少し待てと大声に返答し、スプレーを吹きか けてから椅子に座った。さも執務に忙しい風を装い、万年筆を手に取って入れと言う。 戸を開け目に付いたのは、大胆な白さらしに褐色の肌。颯爽と入室した武蔵は 「邪魔するぞ」 と一言、執務机の対岸に立った。 「何か用か?」 「いや何、“浜風の奴がいる前ではできない話”だ」 「……お説教かな」 威圧を不敵な笑みに載せ、射抜く視線は凄みに煌く。提督は背筋に冷や汗が滲むのを感じながら、腕を組み佇立する彼女を窺い見た。 「何でも貴様は、私と気まずくなるだけでは飽き足りないらしい」 「別にそういう訳じゃない」 「ならどういう訳なんだ?」 提督は一瞬、何かを言いたげに口を開けたが、そのまま黙し顔を伏せてしまった。どういうつもりかと問われても、特にどういうつ もりもないのだから、答えようも無かったのだ。浜風が望んでいる事は知っていて、だがそれを叶えるのは嫌であった。ならどうして 毎夜遊戯するのかと言われれば、それもよく分からなかった。謗られるべき悪行なのだろうし、そういった自覚もある。しかし、いつ の間にか気が付いたら習慣化していたのだから、もうそれは仕様が無いじゃないかとも思うのだ。 「分からない」 静寂の意識された頃、彼は正直に答えた。 「言うと思ったぜ」 すかさずに吐き捨てたれた言葉の語調には、呆れと怒りが垣間見えた。武蔵は続けて、 「お前、そんな調子じゃいつか刺されるぞ」 「実は昔、ここに着任する前なんだけど、住んでた下宿に包丁を持った娘が来襲した事があってね」 「経験済みだったのか」 「幸か不幸か死にはしなかった。……なんで僕はこう、好かれてしまうんだろう。嫌ってくれたほうが楽なのに」 「よく言う。寧ろ積極的に関係を持ってるのはお前の方じゃないか」 提督は再び沈黙という逃避、部屋には武蔵の来るより前とまったく同じような静寂が広がった。その場に立ち続ける彼女と、ペンを 握り顔を伏せた彼の足元を、ゆったりとした時間が無意味に通り過ぎていった。 145 :139:2014/05/20(火) 23 40 18.66 ID FIAR9bk5 「貴様のせいで私は疵物」 どれほどか経ち、沈黙を破った武蔵の呟きは、耳が静寂に慣れてしまったせいかかなり大きく聞こえた。声音に怨みは無く、ただ寥々 たる響きである。 「最後までした覚えはない」 提督はすかさずにそう言った。 「だからこそだよ。あの後私は一人外で飲んで……。まぁ、顔には自信があるんだぜ。引く手は数多。一番マシな奴を見繕ってな」 「おい、冗談だろう」 珍しくも彼の顔つきは険しくなっていた。それを見ると武蔵の心内には途端、愉快な気持ちが沸いてきて、何時もの笑みから更に口 角が吊りあがった。 「貴様が処女は嫌だって言ったんだぜ?」 「別にそうとは言ってない! あれは……僕がただ臆病なだけだったって話じゃないか」 「なんだ生娘は嫌う癖に独占欲はあるんだな。つくづく度し難い奴だ」 「からかうなよ」 必死な声音にとうとう堪えきれなくなると、彼女は腹を抱えて破顔した。目尻には涙が浮かび、床へ悶え転びそうなほどにふらついて、 ひたすら喉を振るさせている。 「お前、僕を馬鹿にしてるな」 「すまんすまん」 「嘘だろう、それは。僕をからかいやがった」 「どうだろうな。……確認してみるか?」 笑いを引き摺り高い声でそう言うや、彼女は早足に机を回り、提督の側まで近づいた。狼狽し慌てて椅子を引く提督の姿。それを嘲 謔する心地に見て、横合いから体躯を滑り込ませる。肩に手をかけ背もたれへぐいと押さえつけると、情交への興奮、眠っていた嗜虐 の心が悦楽への欲望を燃え上がらせた。 「ほら、脱がせてくれ。……あの時みたいに」 彼女の体躯がしな垂れかかり、提督の胸板の上では柔らかな乳房が押し潰される。熱い吐息が頬を撫ぜ、それは次第に下へと下がっ ていった。顎を過ぎ、首筋を滑り、そして首根に到達すると温い柔らかさが愛撫を始めた。人の最大の弱点へ人の最大の凶器が迫る。不 安や恐れ、どこと無く胸騒ぎがして落ち着かないこの感覚こそ、首へのキスの本質的快楽であると思われる。信頼という保証があるに しろ、自身の生命を完全に預けるという危うさ。相手の支配に堕ちるという悦が、背筋をすぅと駆け下りた。 提督は彼女の背中に手を回し、さらしの横筋一本一本をなぞった。時折敏感な所を指が滑ると、肩が僅かにぴくりと跳ね、口の隙間 からは、か細い声が漏れ出した。どこか羞恥があるのか、そういった反応を寄こした彼女は直後には首へ強く吸い付き、朱の跡を刻み 込む。 悪戯に仕返す悪戯。子供の遊戯のような睦み合いは次第にその淫靡さを増してゆく。鎖骨にまで唾液の垂れる頃、武蔵は顔を上げる と濡れ光る唇を彼の口へと近づけた。開いた隙間から舌が探りを入れるように進入すると、彼もまたそれを向かい入れる。踊るように弄 り合い嬲り合う紅は、段々とその水音を大きくさせていった。 一度離された口の両端に、雫の橋が掛かった。それは行為への名残惜しさを代弁するが如く粘性を保ち、そして遂には自重で崩れ落 ちた。 「煙草、吸っていたんだな」 「ああ」 「……脱がせてくれ。今度は最後まで」 提督は再び彼女の口へ吸い付くと、さらしの結び目に指を掛けた。 146 :139:2014/05/20(火) 23 43 17.50 ID FIAR9bk5 4 のぼせた頭の疼痛に息を荒らげながら、浜風は服を着込んでいた。 酒宴での警告はしこりとして胸にわだかまり、尾を引いていた。夜伽は最早習慣として体に組み込まれて、今更引き剥がす事など無 理であった。彼の手を受け入れるたび危機感のようなものが心を痒がらせ、その感触は背徳の快楽を現出させる。今日こそは、今日こ そはと思い続け、しかし重ねてきた同衾の悦。今や他人の温みの無い、冷えたシーツの感触を思い出せない彼女である。さっぱりとした 体と更けた時分は、これからするであろう事にお誂え向きとも思われた。 自己嫌悪に涙することなど今の彼女には日常茶飯事で、だから幾つかの雫が目尻から頬へ流れたことにもしばらくは気が付かなかっ た。顎先がくすぐったく、服の裾で掻いてみれば小さく染みができたので、そこでようやく自身が泣いているのだと分かったのだ。 止まろうと思えば止まる事ができるのに、破滅への街道を一夜一夜と進んでゆく。そして今日とて歩は止めず、彼の手に溺れるのだ。 なんて浅ましく卑しい事だと、自嘲の言葉は心内に尽きない。 入渠施設を出て執務室へ向かう途中、廊下の果てに人影を見た。間取りからその人物は提督のの元へ行った帰りなのだと分かったが、 ともすれば幾らかの駆逐艦などは就寝している時刻である。とりとめもない用事なら明日に後回すであろうし、そして何より自身の入 渠中に会っているということが彼女の心に波風を立てていた。目を凝らしその娘の姿を見んとすると、果たして浜風は息を飲んだ。 武蔵はどこか幸福に浮かれた様子で、跳ねるように廊下を進んでいた。浜風が姿を認めてから大分遅れて彼女も気付き、何時もの微 笑みで軽く手を振ってくる。 「入渠上がりか」 声を掛けられ、すかさず 「はい。……あの、執務室に何か?」 「別に、とり止めもないことさ」 武蔵は会話に立ち止まる事もせず、呆然と立っている彼女の横を通り過ぎた。 徐々に小さくなる背を眺め、胸に切羽詰ったような苦しさが広がる。焦燥や不安に駆られ、頭に思い出されたのは男妾と言う言葉で あった。いやに上がってしまった呼吸を飲むようにしていると、今度は胸を叩く動悸が気持ち悪いほど大きく響く。そんな筈はないと 思ってみてもその根拠の薄弱さ、結局は信頼という一言に集約されてしまうのだった。信用に足らない相手であった。だのに心は夜を 重ねるたびに少しずつ、侵略されていたのである。 幾分かは落ち着いた後、執務室へ向かい戸を開いてみると、まず書類の片づけをしている提督が見えた。彼は彼女の入ってきた音が 聞こえるなり、顔を向けないまま口を開き、 「お帰り。もう僕は寝るけれど」 「あの、さっきまで武蔵さんがいませんでしたか?」 「うん。まぁ、少しちょっとした野暮用でね」 屈んだ姿勢に露出した首筋。浜風はそこに咲いた朱を見逃しはしなかった。 147 :139:2014/05/20(火) 23 46 18.56 ID FIAR9bk5 決定的であった。その瞬間彼女は、自身の願望が一片も叶えられはしないことを心底から悟った。彼の目は決して自身を向いてはい ない、例え抱かれていてもそれは好意によるものではない。今までの全ては無為であったのだと気が付き、願望は砂地に水が立ち消え るが如く霧散した。そして途端心内に、この想いを断ち切らねばならないという決意にも似た覚悟が芽生えたのだった。 嫉妬ではない。寧ろ、武蔵はそれを分からせるために提督に跡を残したのかとも考えた。だが幾ら予想を立ててみた所で、それは本人 にしか分かり得ないことであったし、わざわざ彼女がそれを告白するとも思えなかった。 提督の怪訝な視線を受けて、自身が再三泣いている事を自覚した。今度は空虚とやるせなさの涙であって、もうこの数ヶ月で全ての 涙を制覇した気にもなる。 早急に区切りをつけなければならない。そう思い至ったのは、元よりの彼女の性質の為か、或いは傷付き過ぎた心が自衛として仕向 けた事なのか。 思考の纏まるより先、言葉が口に上った。それは奇しくも、最初の夜と同じような心地であった。昂ぶった感情と、どこか冷静な客 観。そして何より、自分の楽を求める為だけにするという、エゴの自覚。 「提督、私を抱いてください」 嗚咽交じりに吐き出された言葉は、どこか床へ沈殿するようだった。 「もう、もうこれで終わりにします。抱いてくれさえしたら、もう普通だった頃に戻りますから。……抱いてください。でないと私、 何時かあなたを殺してしまう」 それから泣き声だけの静寂が、厭に長く経過した。 提督は彼女に歩み寄ると、髪を梳くように撫でてから背中へと手を回した。 褥に座り、浜風は何よりも先にキスをせがんだ。唇と口腔へ望んだ感触が得られるや、それまでの後ろめたい陰鬱は歓喜によって吹 き飛ばされた。飽きることなく吸い吸われ、いよいよ息づかいの切なさ極まり、彼女は自ずからセーラー服のボタンを外す。彼の後頭 に掌を当て一時も離れないようにすると、後は舌根が疲れ果てるまでひたすら接吻を続けた。 服を脱ぎ去るのは早かった。何時もは皺にならないように畳むそれも、脱げた側から捨てるように放る有様。提督が彼女を組み伏せ ば、下着や上着の幾らかは折られたまま背に押し付けられた。流石に気を遣い、引っ張り抜く為身を起こそうとした彼であったが、浜 風はすかさず首に手を掛け離反を許しはしなかった。そのまま怒った風に烈しく口へ吸い付き、舌の運動は益々苛烈になる。唾液の零 れるのを厭わず、どちらの物とも知れない雫が頬を滑ってもそれを掃いはしなかった。 148 :139:2014/05/20(火) 23 49 43.08 ID FIAR9bk5 「いい加減、苦しい。がっつき過ぎ」 肩を押さえ、無理やりに体を話した提督は息も絶え絶えそう言った。彼としては半ば冗談のつもりで放った言葉であったが、つと見 下ろせば彼女の眼は潤みを湛えている。やはりそういった所について、提督は浜風を好んではおらず、僅かに沸いた苛つきから表情を 保つのには労をとった。 堪った鬱憤を晴らすかのように、彼は双丘の片方を乱雑に掴んだ。指や掌が捏ね、のたうち動くと、乳房は従順に波打った。数多愛 撫を受け続けてきた浜風は、痛みと快楽の境界にあるようなこの荒々しい行為に、しかし被虐の悦を享楽している。 「もっと、ください」 嬌声の最中、自身でも羞恥を感じるほどの声音で彼女は言った。提督は白く細い首筋へ唇を近づけ、吸い舐め弄ぶ。 接吻は首筋のみに留まらず、耳の端、鎖骨の窪み、頤などにまで及んだ。その悉くが切なさを際立たせる性感帯。行為の度に思うこ とではあったが、今回は一層、そういった慣れを垣間見るといよいよ心苦しくなるのだった。 仕返しをする心緒に浜風はぐいと彼を抱き寄せ、その首筋、既に刻まれた跡を上書きするが如く吸った。充分すぎるほどに経過して 一舐めした後口を離すと、そこは虫刺されやら打撲痕やら、そういった言い訳の聞かぬほど婬猥な造形に紅く染まった。 胸のすっとするような心地に恍惚があり、蕩けた眼に再びキスをせがんだ。唾液の跳ねる音を聞きながら、まさしく恋人のような睦 み合いをしている事。それが悦びの極地なのである。呼吸の合間、浜風は身を捩ると提督の下を抜け出した。 「どうしたの」 「口でします」 言うと同時、彼の寝巻き甚平の下へ手を掛ける。 露出したそれが硬度を持っているのを見て、言い得も知れぬ満足感が湧き出した。感情は兎も角、肉体的には発情しているのだという 事実に、鬼の首を取ったような心地になる。浜風は得意なままに、肉槍へ接吻したのだった。 竿の根元から舌を這わし、時折唇で挟むようにした。膨らんだ部分に辿り着けば再び根元へ戻っていって、ぴくりと反応を寄こす所 を見つければ執拗にキスを繰り返す。 しばらくの後、陽物の先端には付着した唾液とは別の雫が、一粒の玉となって溢れていた。彼女は一旦口を離すと、とうとう陰茎の 先からを頬張っていった。 無理に喉まで押し込もうとはしなかった。苦しくなる限界までで妥協して、代わりに亀頭の返しや膨らみを舌で舐めまわしていく。 時折、口腔内に苦く潮っぽい味が広がって、彼女は眉を顰めた。とても美味しいとは言えないそれは、だが確かに幸福の味でもあった。 嚥下すると彼のものを体に取り込めたという悦が、より興奮を促してゆく。 顎の疲れに一旦の小休止のつもりで口を離すと、提督は彼女の肩を押してゆっくりと蒲団へ倒した。物足りないという気にもなった が、彼の眼光には先に進む意思が見て取れて、途端不満は消失した。 149 :139:2014/05/20(火) 23 53 12.26 ID FIAR9bk5 提督は確認するように、彼女の陰唇を指でなぞった。そこは既に湿潤に蒸れ、指には多分に愛液が粘る。竿の先を宛がって、彼女の 様子を見下ろしてみれば、肩が異様に持ち上がり掌はぎゅっと握りこまれていた。 「するよ。力抜いて」 肩や手をとんとんと叩かれ、浜風は羞恥に頬を赤くした。言われるがまま息を吐き出し、体中の力を緩めた瞬間、烈々とした異物感が 下から込み上がってくる。 臓腑を直接押されるような苦しさであった。熱さと、痛みと、圧迫感。待ちに待ち望んだ歓喜の苦痛に、だが違和感もあった。彼女は すぐにでも、また肉槍による衝撃が下腹を突くと身構えていたが、提督に一向動く気配はなかった。彼は入れたままに髪や頬へキスを し、小さい子をあやすが如く頭をよしよしと撫でている。 屈辱でもあった。元より昂ぶっていた感情が更に波風を荒らげて、冷静さが悉く消え果てる。彼女は怒りに口を開き、叫ぶようにし て言った。 「動いて、動いてください!」 「生娘が生意気言うよ。辛いでしょ。しばらくこのままでいい」 それを聞くと、途端口惜しさに詮方無く悲しいやら嬉しいやらの胸の痛み。一体彼の気持ちはどこに向かって、そして自身の気持ち は何を目指してと言った台詞が頭の中をぐるぐると巡った。 「……優しくしないでください」 か細い哀れな懇願は無視をされ、益々惨めな気になりながら、それでも確かに欣喜がある。彼は優しく接吻すると、ようやくじれっ たい速さに動き出した。 鈍痛和らいで、下半身のみが自分の体から切り離されたように感じる頃、彼の温かみが腹内に広がった。それが唯一の、この恋慕に よって得られた証でもあった。そして彼は引き抜かれ、尚浜風は死体のように動かなかった。 終端の景色を目の前に、彼女の胸中には何もない。穴の広がり続ける虚無が、ずっと地平まで続くようだった。目の前の男への愛し さは、だがそれも寝て起きれば忘却の彼方に捨て去る約束である。無常へ寂寥を思うに、体の熱が熱すぎた。 事後の処理を終え、隣に彼が寝そべった。最後に眺める事のできる横顔であるし、最後に感じられる体温でもある。何もかもが、終 わり。そう思うと途端胸が一杯になって、思わず提督の手を握っていた。果たして、握り返される事はなかったが、それでもいいと本 心から思えていた。 眠りにつくまで、枯れた涙の辛さが心を抉るように痛めつけた。 150 :139:2014/05/20(火) 23 54 25.83 ID FIAR9bk5 以上でシリーズ完結です。長々と失礼しました。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/137.html
謎の存在、深海棲艦により海路、空路が遮断されている。同時に現れた艦娘による反撃である程度には各経路は回復している さて普段はその燃費の良さを生かし遠征部隊として資材面から鎮守府を支える駆逐艦達 だが彼女らも艦船であり戦闘を欲している。遠征や日常で溜まったモノを戦闘で吐き出す事で遠征任務の効率が上がる のだが 「ふぇぇ…睦月、帰還しましたぁ」 鎮守府近海には強力な敵は出ない。だが睦月型は駆逐艦の中でも装甲が薄く改造改修を行っても時折こうしてボロボロになり帰ってくる。 「お帰り、またこっぴどくやられたな」「うぅぅ、情けないのです…」 しゅんと気を落す睦月を抱きしめる 「ちゃんて帰ってくれば上等さ」「提督…」 睦月の両手が俺の両頬に添える。これは睦月がキスをせがむ時の癖だ。 「んちゅ、はむ…」 小さな舌が必死に俺の舌を捕らえようと動く。それに応じてやればこちらを舌先で突いたり絡めたり。そのたび唾や息が漏れ口元を湿らせる チュッという音を立て唇が離れるととろけた表情の睦月が耳たぶを甘噛みしてくる これはシたいと言うサイン ヒョイッと睦月を抱き上げ司令室の隣にある私室に運ぶ。 シングルベッドに寝かせてやれば羞恥と期待が混じった視線を向けてくる そういえば初夜もこうして中破した睦月を慰めているうちに関係を持ってしまった。その時は不安な目だったが 破れた服を脱がせば見た目年齢の割に色づいた水色のブラが全貌を現す。 その上からまだ膨らみかけの胸を揉み乳首を擦る。 「ふにゃ、ああ、提督ぅ」 再び頬に手を添えられたのでキスをする 今度はこちらから舌を絡め更に睦月の口内をなめ回す 「くちゅ、はふ…ちゅる」 ブラの中に手を入れ直接弄る。先程よりびくんと大きく震え息が荒々しくなるのが分かる 「ん、ぴちゃ…」 とんとんと苦しくなった睦月が軽く叩いてくる。正直もっと睦月の口内を犯したいが無理はさせられない。 名残惜しく口を離せば唾が橋を作りぷつりと切れた 「提督…お願い」「分かった」 と次は下腹部に手を這わせる。パンティの中に指を入れれば確かに濡れた筋がある。 くち、と人差し指がゆっくり肉壁を掻き分け深く入ってゆく。 「ひうっ…指、入って、ひゃあ!」 先程より堅くなった乳首を舐め、次に中指を入れ中を軽く掻く 「ひっああああ!!」 びくんと一段と大きく跳ね指に愛液とは違う暖かな液がかかる。 「お漏らしか…悪い子だ」「提督ぅ…」「今挿れてやる」 カチャカチャとベルトを外せばはち切れんばかりにいきり立ったペニスが顔をだす。 性器同士が触れゆっくり飲み込まれてゆく。体格差もありキツい睦月の中は異物たるペニスを押し返してくる。 「睦月、ゆっくり息を吸え」「ひゃい」 呂律が回らない睦月に息を吸わせその隙に子宮口まで押し込む。 「かはっ」「大丈夫か?」 腹部の圧迫に息が詰まったようで苦しそうな顔になる。だがコクコクと頷き無理に微笑む 少し慣らせば幾分か楽になったらしい。ゆっくり腰を振る。流石に狭く浅い睦月の中にペニスが入り切りはしなかったが快楽を得るには十分。粘液や肉がぶつかる。 「てい、とくっ提督!」「っ、出すぞ」 強い締め付けと痙攣に我慢していた精ドプドプと流れだす 「皆ー!出撃準備はいいかにゃ!」 明るい睦月の掛け声に駆逐艦達がおー!と返す 「じゃ、第三遠征隊。出撃しますね!」 帰って来たら間宮のアイスでも奢ろう。そう思いながら小さくなってゆく彼女等を見送るのだった
https://w.atwiki.jp/dmorika/pages/242.html
《剛樹提督ジャステム》 剛樹提督ジャステム R 自然文明 (7) クリーチャー:ジャイアント/ミステリー・トーテム 5000 このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中にあるすべてのジャイアントとミステリー・トーテムを自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に戻す。 相手のターン中にこのクリーチャーが手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。 《剛撃戦攻ドルゲーザ》を入れるデッキなら、このカードか《戦脳提督クロリン》を入れると良い。 収録セット DMO-02 「時空編 第2弾 天魔謀略(カオス・ミッション)」 参考 [[]]
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/199.html
前回の話 ――大井―― 「北上さん、もう朝よ」 私の一日はまず相部屋の住人を起こすところから始まる。 起床時間になっても起きないのはこの親友のイメージにピッタリだろう。 「……んぁ?」 締まらない寝起きの様子は提督とよく似ている。 提督は目覚まし時計か何かの装備でもあるのか寝坊はあまりないが、 寝起きに見られる締まらない顔は日中ではあまり見られない。 ちなみにセクハラする時は下手に真剣な時よりも顔が引き締まっていたように見える。 「あーおはよー」 「今日も演習艦隊につくんだから、しっかりしてね」 「うーい」 本来このように私達艦娘の士気を上げるのは提督の役目だろうが、 さっき言ったように朝はあまり頼りにならないのでここは親友たる私の役目だ。 のそのそ布団から寝間着のまま出て行くのを見送り、手早く布団を片付ける。 昨晩は北上さんが眠ったのを確認して提督の部屋を訪れ、提督との夜戦を初めて本番込みで行い、そのまま眠った。 心許す親友の北上さんだろうと恥ずかしいものは恥ずかしいので、朝起きて提督と別れ、 昨晩のことを悟られないよう普段通り朝食を1人で済ませようとすると、珍しいことに北上さんがこの時間に食堂に来た。 ちなみに寝巻きのままではない。 北上さんは普段朝食は遅めに取っていたと思うがどうしたんだろう。 相席の誘いを受け入れ、共に盆の食事に手をつける。 まず味噌汁で口内を潤そうと啜る。 「大井っちさー、昨日の夜中どこ行ってたの?」 「ッ! ゲホッカハッ」 「わわっ大丈夫?」 味噌汁を箸でかき回す北上さんからの予想だにしなかった突然の問いかけが私にはクリティカルヒットした。 席を立って私の背中を摩り、咳き込む私が収まるまで待ってくれた。 「ケホッ、ん……北上さん、知ってたの?」 「まーね。というか大井っちが夜中抜け出したの昨日だけじゃないでしょ」 席に戻った北上さんはずずーっと音を立てて味噌汁を啜った。今日の具は大根と人参の短冊切りだったか。 私は返答に困り、とっさに返すことができない。 「えっと……」 「もしかして提督ととうとうデキた?」 「き、北上さん、何を根拠に……」 「だってさあ、あむ、提督だって大井っちのこと、好きって丸分かりだもん。 特に今日の大井っち、朝からいつもより嬉しそうな顔してるじゃん」 「――ッ!」 浅漬けの蕪をつまんで食事を進める北上さんに動揺させられた私は箸を動かすのも忘れて、左手を顔に当てる。 今日の私の顔はそんなに緩んでいるのか? 「あっやっぱり図星?」 「えっその――!」 鎌をかけられたらしい。 北上さんにここまで弄られるなんてそうそうない。 顔には出ていなかったようなのでまだ取り繕う余地はあるはずと考え冷静を努める。 もう取り返しがつかない気もするけど……。 「なっ何もないわよ? 提督はあくまでも上司なんだし……」 「ふーん?」 「……」 今日の北上さんは無駄に冴えている。 ニヤニヤする北上さんと目を合わせているとどんどん私の隠していることを暴かれそうな気がして、私は目を逸らした。 顔が熱くなってきた。 「ま、気のせいってことにしとくよ」 気のせいだと思うならニヤニヤするのをやめてほしい。 それからの私は何とか関心を逸らそうと色々な話題を持ち出すことに努めたが、結果は失敗に終わった。 食事は本来喋りながら進めるべきではないのだがそこは目を瞑っていて、って、私誰に弁解してるのかしら……。 ――提督―― 午前の演習も済み、もう少ししたら午後の演習に赴こうと思うので、執務を中断し休憩を入れる。 それにしてもたまには茶葉から離れて珈琲を嗜むのも乙なものだ。 日本人ゆえに米や味噌汁に飽きることがないように茶も飽きたわけではないが、 気分で他の嗜好品に手が出るのもまた不思議なことではあるまい。 しかしカフェインは毎日取っている気がする。 過剰摂取でなければいいのだが。 「提督、いかがですか?」 「美味いぞ」 「それは何よりです」 こうは言うがインスタントだし、大井は大した苦労はしなかっただろう。 ところで、味噌汁や煎茶などの日本食を音を立てて食すのは普通だが、そうでないもので音を立てるのはマナーによくないという。 「……はぁ」 もちろん珈琲は日本食なんかではなく、少し冷ましてから音を立てずに飲んでいたので、 今の小さな溜息を聞き取ることができた。 「……どうした」 「あっいえ、大したことじゃないんですよ。その、肩が凝ってきただけで」 この時自分はある重巡の台詞を思い出した。 悪戯心が自分を椅子から立ち上がらせ、秘書席の大井の背後を陣取る。 不審そうに首を曲げてこちらの様子を伺う大井の両肩に両手を置いた。 肩をビクつかせたのがよく分かったが、無視して手と指を動かす。 「……私、肩を揉んでくれとは言ってませんよ?」 「肩が凝ってると聞かされて無視する人間にはなれんなぁ」 「まぁ、提督らしいですね」 その呆れた声には安堵のような調子も見える。 最初は少し警戒こそされたが、手を振り払われないので用意していた台詞を意味もなく得意げに使ってみる。 「愛宕も言っていたように、やっぱり タンクが大きいと肩が凝る んだな」 要はセクハラがしたかっただけだ。 そしてそのタンクをさわさわ。 「……」 ピシッという擬音が聞こえた。 ただ触っているだけなので刺激は少ないと思う。 が、拒絶するならともかくこう無反応ではどうしたらいいか分からない。 笑えばいいと思うよ、などと頭の中で何かが、いや誰かに囁かれたがきっと気のせいだ。 おかしいな、多少なりともスキンシップは許されるようになったはずだが空気が死んでいる。 大井のタンクから手を退かすタイミングを見失った。 「……提督?」 張り詰めた空気に突然大井の声色が入れられる。 それはまるで外の冷たい空気を付与させてきたかのような声で、自分の背筋を震わせられる。 大井が今どんな顔をしているのか、分からない。 「愛宕さんの胸も揉んだのかしら?」 「いやそういう意味で言ったんじゃない」 嫉妬深い大井の地雷を踏んだかもしれない。 この苦しい状況から抜け出すべく、自分は素早く手を退かせ思わず早口でまくし立てた。 触ってみて改めて大井も愛宕ほどではないが中々の大きさだと分かる。 それと、大井にも言った通り愛宕のタンクを触るどころか、揉んだという事実はないので誤解しないでほしい。 「過剰なスキンシップはお前にしかやらないよ」 「……ふふっ、二十発撃ちますよ?」 お馴染みの警告台詞を使う――注釈しておくと、秘書の執務席に座るため艤装は全て外されている――が、その口調はいつもの柔らかいものだった。 冷えた空気も冬の寒空へ帰っていったのか呼吸しやすいものへと戻る。 一旦落として上げる、とでも言うのか、 自分の精神は大井の小さく笑ったような声もあってすっかり緩みきり、再びタンクに手を伸ばした。 先よりもスキンシップ度高めで。 「あっ」 「うーん、確かにこの大きさだと肩に来そうだな」 「ちょっ、提督、手つき……っあ、まだお昼、あんッ」 「何食ったらこうなったんだー?」 「知らな……いやっ、ぁ、んん……」 「提督ー……あ」 ノックもなしに入って来られては取り繕うこともできず、タンクを揉まれる大井、揉む自分、 そして扉を開けた北上が固まり、再び執務室は妙な静けさに包まれる。 閉めた窓のさらに遠くの工廠から喧しそうな音が僅かに聞こえ、自分を少しのあいだだけ現実逃避させてくれた。 今日も中々に寒い。 インテリア重視で設置したダルマストーブは管理に手間がかかるが、流石に火を起こすべきだろうな。 ついでにスルメや餅でも焼いてしまえば割に合うだろう。さて。 まだ日は沈んでいないのでこのまま夜戦というか夜伽に突入するつもりはなかったが、 他の艦に見られてはあまり良くないことには変わりないわけで。 見られた相手が北上ならまだよかったかもしれないが、これが例えば金剛だったりしたらどうなっていただろう。 いや、金剛だったらノックはしていた。ノックをしない艦はいないわけではないが少ないので油断してしまったのだ。 「あー……北上、これはな」 「……やっぱりデキてたんだね、大井っち」 「きっ北上さん!!」 急に椅子から立ち上がったので手を退ける。 平手の一つでも飛んでくるかと身構えたがそんなことはなかった。 「あっあのね、これはそのっ――」 どうやら自分以上に動揺しているのか手をわたわたよく分からない動きをさせるだけで弁解はできそうにない。 しかしこちらもパッと都合のいい弁解の言葉が浮かばない。 イレギュラーにはすぐに対処できなければ戦場の艦娘は死ぬというのに。 「あーいいって恥ずかしがらなくても、これからはノックするよ。あたしは後でまた来るからごめんねー」 まずどう助け舟を出すか悩む時間も与えられないままに、ニヤつかせた顔で北上は気を遣って退出していった。 とりあえずノックは至極当然の行動だとツッコミたい。 扉が閉まる音を最後に残るは、嵐が去った後の静けさと、呆然と立ちんぼする大井と自分。 「……提督、演習の準備しましょう」 「……そうだな」 悪戯心を二度も叩かれては流石に起き上がってこない。 意気消沈と少しの罪悪感を胸に、次の演習の相手艦隊の情報が書かれた文書を確認しに行く。 珈琲は冷めていた。デジャヴ。 午後の演習も勝てた。 破損した艦は上から支給される演習用の高速修復材と資源を使って即刻修復される。 大井が工廠で修復を受けている僅かな時間に被弾せずに済んだ北上が声をかけてきた。 「提督ー」 「なんだ」 「昨日大井っちとえっちした?」 「ブッ」 呑気な顔で何を言い出すんだ!? あまり鋭いイメージのない北上からダイレクトにそんなことを当てられるとは思わなかった。 北上からすれば演習前に大井のタンクを揉んでいたところしか手がかりはないはずなのに。 「……提督。そのリアクションは古典的だよ」 「うるさいっ」 「で、やったの? やってないの?」 元々北上にならあまり明かすことに抵抗はなかったし、興味津々の北上に気圧された自分はポツリと漏らした。 「……やった」 「おっ、昨日で何回目?」 「……三回目かな」 「あれ? 意外と少ないな」 なんだその反応は。 話を聞くと、大井が夜中に部屋を抜け出すところを度々確認しており、 提督、つまり私の様子も最近変わったように見えたのでそのような推測に至ったのだという。 そこで自分は大井が私のためを思って度々工廠を訪れていたということを話した。 「へぇー、提督も隅に置けないね~」 「しかし、大井はともかく私はそんなに分かり易かったか?」 「うん。提督、スキンシップはするけどあっさりしたのばっかりだから本気で手を出そうとしてるようには見えなくてさ。 硬派だと思ってたから分かり易いんだよ。白い画用紙に絵の具で点をつけた感じにね」 なるほど、と、ここで大井が戻ってきた。 小破した大井の服や艤装は綺麗に元通りになっている。 「北上さん、何を話してたの?」 「んー? 大井っちとのえっち気持ちよかったかなって話」 「!?」 ハリケーン北上の一言で大井の顔が瞬時に赤く染まった。湯気でも出ていそうだ。 「ちょっ北上――」 「提督言ったんですか!?」 「うおっ」 顔は赤くしたまま少し怒った顔で自分の服に掴みかかってきた。上目遣いで睨まれる。 勢いが強くて少し後ずさりした。 「あははっ、じゃーねー」 またも取り残される、軍服を掴む大井と掴まれる自分。 しかしここは隅っこながらも工廠なのでそれなりにうるさい。 だから先までの会話が他の者に聞かれていることはないと思うが……。 「もーっ! なんで言っちゃうのよー!」 数秒の硬直の末再起動した大井に突然揺さぶられる。 暴れる視界の中どうにか捉えた大井は少し涙目になっていて、割合可愛かった。 …………………… ………… …… 端から、というより主に工廠妖精から見れば巷で言われる『バカップル』にしか見えなかっただろう寸劇の後、 しばらくはつーんと素っ気なくする大井に自分が泣きを入れる羽目となった。 手を合わせて頭を下げる。 「すまん! そこまで恥ずかしがると思わなかったんだ。 今度一緒に出かけて何か欲しいものでもあれば買ってあげよう。 それで許してくれないか」 なにぶん女性の扱い方など素人なので、 言い方を悪くすれば好きな物で釣って機嫌を直してもらうしか思いつかない。 恥を知らず想い人との夜伽の話を人に喋ったり想い人を物で釣ったりと迷走しているな自分は……。 そっぽを向いていた大井がゆっくりこっちを向いてくれた。 「……提督は、今夜もここにいますよね?」 「うん? 確かにいるが夜に出かけ――」 少し思い至るのが遅かったな。 それでも昨日行った夜戦の事が頭になかったら察することのできない朴念仁に成り切るところだった。 思い至ると同時に唇に当てられるほっそりとした人差し指。 「外出しないでください」 「……ああ」 「……それで手を打ちます」 短い肯定だけで顔付きが優しいものへと変わった。 それは普段の顔付きとも少し違う、嬉しさと恥ずかしさを織り交ぜたようで、不覚にも心臓が跳ねた。 大井は離した指を自身の同じところに持っていく。 やはり……そういうことなのか。 明日も北上にからかわれないといいがな。 「提督……っあ……」 「なんだ」 時は更に進み深夜。 大井はベッドに腰掛ける自分の足の間に腰掛け、後ろからタンクを好きなようにされ、縮こまっている。 昼のセクハラのおふざけ気分とは違い、今の自分は至って真剣だ。 静かな情欲が一周回って自分を真剣にさせているのだ。 「ん……や、やっぱり、愛宕さんくらい、あっ、大きい方が、いいん、ですか? っく……」 「胸で選んだんじゃないんだから、大井はこのままでいいんだよ」 「そう……ですかっ……」 昼の戯れで何気無く吐いた台詞を未だに気にしているようだ。 大井のそれは愛宕に及ばないまでもそこそこ、いや結構な大きさだ。触り心地も、服越しでも瑞々しく柔らかいのが分かる。 「て、提督……胸弄るのもいいけど……また、抱きしめてくれます……?」 「……」 出た。甘えたがる大井。 さっきから何度か言われる度にやってあげているのだがまだ足りないらしい。 タンクから手を離し、腕とタンクを包み込むように柔らかい体を抱く。 「はあっ……」 ある程度力を込めて抱きしめられた大井は息を吐き出した。 首筋に顔を近づけて深呼吸してみる。 やはり香水か何かの匂いがするわけでもないのに、癖になりそうだ。 鼻息を当てる度にビクつかせる反応が面白いのもそうだし、 大井の空気を肺に取り入れているという少し変態じみた自分の勝手な妄想もある。 大井も呼吸の間隔が長くなってきた。 またずっと密着していることもあって寒さが和らいできている気もする。 密着部分が体温で温まってきたのか? 体温そのものが上昇してきたのか? 「あの……」 上昇しているのが体温だけではないのも分かっている。 自分のモノには欲望に忠実になった血液が集まり、 ウィンナーの出来損ないから魚雷へと変化を遂げようとしているのだが、大井の尻肉に阻害されていて最早痛い。 「……私がしてあげます」 そう言うので腕を離し解放すると、ゆっくり腰を持ち上げていく。 邪魔だったものが遠ざかるにつれ、ある程度までは魚雷が天を仰いだ。 しかしこれだけではまだ不完全である。 ズボンの股間部に出現した山がそれを表している。 振り返った大井はそれを見るや足の間に跪き、山のファスナーを降ろし、できた火口に手を突っ込みまさぐる。 ひんやりとした手で握られ、外に引っ張り出された。 「あ……、昨日出したのに……」 感嘆の言葉をもらうが、一日も経てばそれなりに回復はするので何も不思議なことではない。 ちなみに聞いた話によると、精液は三日分まで溜められるらしいので満タンではないかもしれない。昨日で出し切っていればの話だが。 見つめるのも程々に愛撫を始めた。 これについては既に二回させられているので口出しする必要はなさそうだ。 この行為以外にも自分が大井に口出しする機会が果たしてあったかという疑問はさておき。 「ん……」 俯いた口から潤滑油を垂らされた。 思えば大井が私のを口でするところを最初から見るのは初めてだった。 なので率直に感心した。 まだ魚雷の方から潤滑油が滲み出ていないうちは口内にある油を使うことで摩擦係数を適度まで落とし、 最初から高度な快楽を与えようというのだ。 早速大井の潤滑油に塗れ、動きが良くなった魚雷を、手が汚れることなどお構いなしに扱き始めた。 ねち、くち、と、淫らな潤滑油による演奏が夜戦の始まりを告げる。 最初はそれを握る手で上下に擦られるだけだが、それだけでも充分な快感だ。 「……」 快感に抗おうと自分の顔には自然と力が入る一方、大井の少し赤い顔はそれをじっと見つめるだけ。 手は扱くだけでなく、落とした潤滑油をカリなどの伝い辛いところも含めて満遍なく塗り広げようと奔走する。 カリに指を這わせられた時は腰がビクついた。 ここまで細かい気の回しぶりに疑問が湧く。 「っ、お前、そういうの何処で覚えてきたんだ……」 「……演習の後の自由時間で聞く機会があるんです」 なるほど。 演習後は艦娘同士の情報交換を目的として相手艦隊と任意で交流する時間が設けられているのだが、その時に聞いているらしい。 というか、そういった情報を交換するための時間ではないのだが。 そして相手艦隊の艦娘がそういうことを知っているということはその艦達の提督は……。 いや、何も言うまい。 やがて扱いていた手が私の腿に添えられた。 「……んくっ、……ぅ……」 心の準備でもしたのか、喉が動いてから顔が近づく。小さな舌をそれに触れるべくおずおずと伸びてくる。 ぺちゃ、と触れると舌を動かした。 舌から逃れようと左へ右へ暴れる魚雷に唇を押し付け離すまいと追いかける。 暴れる魚雷を追うように大井の頭が左に向いたり右に向いたり、偶に上目遣いでこちらの顔を伺う光景は庇護欲を掻き立てられ、穏やかに頭を撫でた。 魚雷と大井の動きが止まる。 とりあえず二撫でのみで終えると口が離れた。 「今の、もっとしてください……」 そんなことをしているくせにその程度の望みを恥ずかしげな声で伝えるとは、 こちらの庇護欲を狙ってやっているんじゃないか? 大井が喜ぶならできることであれば何だってしてやる。これくらいで喜ぶならずっと撫でてやるさ。 大井が自分に尽くし、自分が大井に尽くす相互関係が生まれ、心が満たされていく。 早速茶髪の頭から毛先まで隈なくさらさらした手触りを楽しむ。 大井もそれで満足なのか、微笑んでから次のステップに踏み込んだ。 口を開いて目を瞑り、魚雷はぬめぬめと温かい口内に格納された。 根元までは届かないながらも一生懸命やってくれているのが伝わる。 伝えられる想いと快感が腰や手足を震わせる。 「んー……、んふ、ふっ」 撫でる手が頭からなんとか外れない程度の速度で、前後に動かされる。 咥えたことで明確な声を発することができなくなり、ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅく、ぢゅ、といった空気混じりの水音だけが部屋に充満する。 「んぷ、んく、ちゅる、ん~……」 舌もしっかり動かし根元近くから頭までをちろちろ舐められている。 大井としては以前とやっていることは同じだろうが、自分としては仰向けで寝た状態でされた以前とはまた違った景色に映る。 そもそも以前された時はまだ心を交わせていなかった事もあるだろう。 その時の大井には焦りの様子がちらちら見え隠れしていたが、今はとても落ち着いた様子に見える。 頭を撫でる自分のこの手がそれに貢献できているのかもしれない。 「れい、ろ、く……、んくっ、きもひ、いい……?」 「くっ、喋るな……」 「むうっ……、ふっ、んっ、んん、ちゅく、んむっ」 「うっ、あ、はあっ……」 ぶっきらぼうに返してしまったがそれが気に食わなかったのか、先より速度を上げられる。 気持ちいいに決まってる。 その証拠に手がびりびりと震え、足腰ががくがくと留まらない。 少し腰が引けたが、すかさず大井の両手が腰に巻き付き離さない。 「あはっ、逃げないで、我慢しないで……」 優しい声で叱られる。 口を離した代わりに片手で擦られる。 しかし我慢しないでと言われても、自分は、もう―― 「ぐっ……」 「え?」 びゅるっ! 「きゃっ!? あむっ」 「くはッ!!」 びゅくっ! びゅっ! びゅっ、びゅる…… 魚雷は暴発し、白い油が一発大井の頬に直撃、以降はすぐに咥え直した大井の口内で無事(?)処理された。 手はもうちゃんと頭を撫でてはいなかった。 頭を掴んで押し付けてしまう衝動を抑えていてそれどころではなかったのだ。 「う……ん……んん、んく、ん、ぐっ……」 口内に撒かれたものを、目を瞑って眉を顰めた苦い顔で少しずつ嚥下していっている。 こうして自分の種子が大井に飲み込まれているのだと脳裏で反芻すると、背筋がぞくぞくと震える。 この顔を見るのはこれで三回目だが、ふと、もしかすると自分が知らないだけで、 実際にはこういうことを三回以上はされていたんじゃないだろうかとの考えが浮かぶ。 寝込みを襲われ自分のモノを口で弄ばれた挙句射精しても目が覚めないほど神経は図太くないつもりだが……。 「はーっ……、はー……」 大きく息を吐きつつ頭を撫でる事を再開する。 大井は砲に密着させていた唇を広げ、歯が砲に当たってしまわぬようゆっくりと口を離していった。 荒い呼吸のためか口は完全には閉ざさずに少し開けておき、ぼんやりと惚けた顔で頬に着弾した白いものを指でつまみ取る。 それを目の前に持っていき何を思ったか、それがついている親指と人差し指の腹をくっつけたり離したり。 指と指の間で餅のようにびよびよと伸び、千切れることはない。 大井は、そうして私の種子を弄ぶ。 「……」 「……面白いか? それ」 「……よく見るのは初めてですから……」 それがどんなものか確認せずに今まで飲み込んできたというなら、それは勇気の無駄遣いだと言おう。 少し呆れていると、大井は一頻り観察してもう充分だと判断したのか、その指を口に咥えた。 ちゅる、と指が口から出されたとき、指に付着していたはずの白いものは消え失せていた。 そしてやはり苦そうな顔。 懸命に体内に収めようとするその様を、自分は終わるまで黙って見据えてから、問いかける。 「……なあ、私が大井とこういうことをするのって三回目か?」 「……そうですよ?」 大井は質問の意図が分からない、と言った様子だったが、自分はこれで一つ疑問を解消できた。 私も人並みに繊細さは持ち合わせていたようだ。 そして大井はこの鎮守府で生まれ育ったので、他の男は、という質問はあり得ない。 するとやはり、こういったことは決して慣れているわけではないのだ。 予習だけしていれば大丈夫、というものではないだろう。 「無理して飲まなくてもいいのに」 純潔を散らせた夕べに伝えたように、艦娘として華々しく活躍し、目の届くところにいてくれればそれで満足なのだ。 自分でさえ口にしたいと思わない精液が飲めなかったくらいで嫌いになったりはしないし、 むしろ無理強いさせているようでこちらが不安になる。 しかし大井はこちらの心配などいらないと言うようにこう返した。 「……でも、やっぱり好きな人のだから、ちゃんと受け止めたいんです」 このとき、自分ははっと感動を覚えた。 提督をやっていてなんだかんだ自分について来てくれる艦娘はそこそこいるが、大井は最早特別だ。 私のために体を捧げ、嫌だと思うことも受け入れてくれる。 こんなことをできる人はそうそういまい。 贔屓はしてはいけないことなのに、今ばかりは他の艦娘のことなど忘れて大井のことしか考えられなくなる。 目の届くところにいてくれれば満足と言ったな。ありゃ嘘だ。今嘘になった。 目の届くところでなく、互いに目を合わせられるような、そしていざというときすぐ寄り添えるようなところにいてくれないと駄目だ。 「……提督?」 大井が黙り込んだ私に問いかけてくるが、少し待って欲しい。 今自分の内側からこみ上げてくる熱いものをどうやって発散すべきか頭の中で軍法会議を執り行っているところなのだ。 そのあいだ目の水門を閉じて零れ落ちそうになるものを必死に止める自分の顔は、大井にはどんな風に見えているのだろうな。 水門を閉じているので大井がどんな顔を、反応をしているのかは分からない。 いつの間にか頭を撫でる手を止めてしまっていたが、今は自分のことで精一杯なので許して欲しい。 唇も震え始めたので閉じている口に力を入れてそれを抑えたと同時、大井の頭が不意に上へ上がっていった。 大井の頭に乗せていた自分の手が滑り落ちる。 一体どうしたのかと門を開くと、視界はぼんやりしていてよく分からなかった。 それでも一秒二秒ほどで何とか晴れたとき視界に大井の顔はなく、あるのはクリーム色を基調とした装甲に覆われた二つのタンク。 それがどんどん大きくなって次第に視界を暗くしていき、ぴと、と自分の顔が二つのタンクの間に収められたのが分かった。 自分の頭はふわりとした腕に包まれ、やんわりと柔らかい体に押し付けられる。 「……何が悲しいんですか?」 そう問いかける声はとても優しい。 それはまるで小さな子供でも宥めるかのような声で、大井の持つ「母性」というものを自分は今初めて見つけた。 ただ愛されていると改めて実感しただけで泣き出す子供みたいな自分は、抱かれたままふるふると軽く首を振ることしかできなかった。 そんなことで泣くなんて、大の大人が恥ずかしい。 自分は膝に置いた両拳と顔に力を入れて我慢するのに精一杯で、言葉で返す余裕はなかった。 「泣いて、いいんですよ。ここには私とあなたしかいないわ」 「提督」ではなく「あなた」と呼ばれることでその意味は強調される。 単にこの部屋には、という意味なのに、どうしてか「この世界に二人しかいない」という意味に聞こえる。 やはり言葉で伝えたいことができた自分は、涙なぞ目の前の布地に染みても構わない一心に固まった。 溢れ出る想いは大井と同じように背中へと自分の両腕を回させた。 「ありがとう……」 自分の声は想像以上に掠れて震えていて、正直聞こえているか怪しかった。 背中にやった腕や手も震えていて力が入らない。 「愛してる……」 この言葉を皮切りに水門を閉じたが、意味を成さなかった。 漏れ始めた水のことなど無視して、大井の体の温もりを感じることだけ考える。 大井は聞こえたのか聞こえていないのか頭を撫でてくれるだけだった。 聞こえていなかったら少し残念だ。 しかし聞こえていなかったのなら後で伝えればいいのだから、残念なのは少しだけ。 大の大人の割に中身は人肌恋しい子供だった自分はそれからしばらく涙を流した。 …………………… ………… …… 感動の雨が止み、萎んだ自分の下腹部が冷えてきてそういえば夜戦の途中だったことを思い出した。 少し勇気の要ることだが湿った空気にしてしまったまず自分が言葉を発しなければこの状態から動くことはできない。 背中に回した手でとんとんと軽く叩き、合図を送ると頭に巻きついた腕の力が抜けたので顔を上げる。 大井を見上げるのは新鮮だ。優しい眼差しをしている。さながら聖母のよう……は大袈裟か。 「このまま続けたいんだが、いいかな?」 大井は思い出したように一瞬はっとしつつも、優しい顔は崩さなかった。 「提督の好きにしてください」 こんな台詞、日が沈んでないと聞けないだろうな。 受け入れられたことが嬉しくて、遠慮なく大井のスカートの中に手を伸ばした。 いつも怪物と戦っているにしてはすべすべな太腿を撫で回す。小さく震わすも抵抗はされない。 内股の方を触ってみると意外なことに、すぐそこの魚雷発射管から出ただろう潤滑油が既に伝ってきていた。 驚きを隠しつつ管の方へ手を持っていく。 そこを覆うたった一枚のカバーはぐっしょりと湿っていた。でもそんなに熱くない。 自分のを口で愛撫している時に濡らし、自分が泣き出した時に少し鎮まったのかもしれない。 太腿と管のカバーを濡らしている潤滑油をなるたけ掬い取り、手についたそれを口で舐めとる。 「提督! 何して――」 「お前だって私のでやったろう?」 「そ、そうですけど……」 だから御相子だ。 舐めた潤滑油は少ししょっぱかった。 濡れ具合を確認して一度口に運んだだけだが、自分のソーセージもどきが再び魚雷へと改装されるには充分な材料だった。 大井の装甲を外しにかかる。 上着は中央を縦に走る深緑の帯の裏に隠されたボタンを下から外していき、一番上の襟の中を通る白いスカーフも解く。 男にとってスカーフなんてのは無縁な装飾品で――いや、これはただの言い訳だな。 とにかくスカーフの解き方でやや迷った。格好悪くてこっちが恥ずかしくなってくる。 それでも大井は自分の拙い手付きをやや緊張しているような目でじっと見守るだけで、口出しもしてこない。 手際が悪くも時間をかけて前を開けた。 やはりカバーがつけられていない大きなタンクが二つ姿を現した。 顔が緩まないようにと自然と力が入る。 恥ずかしいのを隠すように目を逸らす大井に問いかける。 「……ブラとか、しないのか?」 大井は目を合わせてくれた。 「……肉体が普通の人より強化されているのは知ってますよね?」 それは知っている。 実態がよく分かっていない敵でも砲撃に使ってくる弾は演習とは話が違い、殺傷することしか考えられていない実弾だ。 直径が小さかろうが普通の人間が食らったら即死だ。 「だからブラがなくても垂れたりはしないんですよ」 なるほど。 直接上着に擦れたりして痛かったりしないのかとも思うが、痛くないからカバーをしていないのだろう。 深く考えないことにする。 今世にある常識をもって疑問を解決へ導けないのならいくら考えたって分からない。 「私の胸がそんなに心配だったんですか?」 「……まあな」 「さっきから子供みたいですね」 「男はいくつになっても子供だ」 男はいくつになっても子供らしさを失うことはない。 いくつになってもあれよこれよと色々なものを欲しがる。 それでも大井本人も気にしなかった母性の象徴が垂れるか垂れないか気にするのは子供が過ぎるかもしれない。 うふふ、と面白げに生暖かい眼差しで見下ろす大井を無視して上着を完全に脱がし、スカートのホックに手をかけた。 母性の顔もそれまでで、スカートを下ろし下穿き一枚に仕立て上げた時にはまた女の顔に戻っている。 最後に濡れそぼって使い物になっていない魚雷発射管のカバーにも手をかけようとすると、 流石に恥ずかしさが勝ったのか自分より早くカバーに手をつけた。 色気のない真っ白――だがそれがいい――なカバーが下ろされ、 クリーム色の靴下も下ろされた。 そういえば靴下の存在を忘れていた。 少しの茂みに隠れる入り口を探す余裕も与えられずこちらへと歩み寄ってくる。 「あまりじろじろ見ちゃいけませんよ?」 そう言われても目を逸らすことはできない。なんたって産まれたままの姿を見るのは初めてなのだ。 どちらかといえば白い方の肌色が視界一面に広がる。 こうして見ると本当に普通の女の子のようだ。 もちろんこれは普通の人間でないと愛せないという意味ではない。 特に深い意味もなくそう思った。 「綺麗だな」 綺麗なものはそれがなんであろうと心奪われるだけだ。 自分は大井の裸体を見て感じたことをこの一言に込めた。 が、別に大井の体にもし傷痕があったとしても自分は大井の体を醜いとは感じなかっただろう。 痛々しい、とは思うかもしれないが、それはそれで庇護欲が湧くだけで嫌悪感は絶対に生まれない自信がある。 「あ……ありがとうございます」 大井は緊張していた顔を少し緩め、こちらと同じく短く返す。これ以上の言葉は不要だ。 ファスナーから顔を出しているだけの魚雷を一度引っ込め、ズボンのホックとベルトを外して下腹部を露出させられるくらいまで下ろす。 殆ど脱いでいない自分は大井にとってフェアでないだろうが、そんなことよりも自分は早く大井と一つになりたかった。 準備が整ったので大井の手を取り、やんわりとこちらへ引っ張る。 大井は私の膝に跨り肩に手を置いた。私は自分のモノを掴んで狙いを定める。 そして―― 「ん……ぁ、あ、あ!」 自分の魚雷は大井の発射管にとても容易く装填された。 昨日よりはすんなり入ったが締める力は緩んでいない。 自身の体重もかかっているのか、まだ挿れただけなのに少し目線上の大井は喉を見せて啼く。 「はあっ……」 「っ……、まだ痛むか?」 「い、いえ……、昨日ほどの痛みは……」 大井は体を震わせる。 一切の装甲をなくした状態だが、その体は熱く、寒さの心配は無用のようだ。 別に寒くて震えているわけではないことくらい分かる。 「痛くはないんです……お腹の中で提督のが、っん、ビクビク、して……苦しい……ふふ」 苦しいと言うのに笑っている。 女性の心理は自分には分からないが、今の大井を見てやめようとは甚だ思わなかった。 それどころか自身の腹を掌で愛おしげに撫でていてはこちらも我慢できないわけで……。 「あっ!!」 足に力を入れて腰を突き上げると、 ただでさえ大井の体重で入れるところまで入っている自分の魚雷はさらに中を抉ることとなり、 大井は強く息を吐いた。 「ちょ、提督いきなり、いぃっ!」 大井の健康的な体重がかかって速く動かすことはできないが、大井の感度は良好だ。 綺麗にくびれた腰を掴んでぐいぐいと押し付けてみる。 「あはぁっ……、くぅ……ん、や……あっ!」 今度は手を尻にやって持ち上げる。 魚雷の凸部分が内部を抉りながらずろろろろと外気に身を晒し、 潤滑油に塗れた魚雷を再び内部に収めるべくむんずと腰を掴み落とす。 「ふあっ!!」 深く楽しむために速度は求めない。その喘ぎに現れた艶を更に磨き上げるメンテナンスは慌てずに確実に……。 「くっ、……おおっ……」 「はあ……ぁー……」 ずん。 「あんッ!」 ずるう……。 「ぁぁぁああ……」 ずん! 「かはっ!!」 ズボン一枚を挟んで肉同士が軽くパンッと音を鳴らす。 まだこれからだというのに、肩に置かれた手から力でも抜けたかふらりと倒れこんできた。 まあこんなでも一応二回目だ。慣れていないのなら焦らず時間をかけて体をほぐすといい。 「はーっ、ふぅー……」 肩に顎を乗せて息を整えようとする大井の背中を片手間で撫でる。背中に広がるさらさらした後ろ髪も混じえて。 大井の肌は背中も滑らかですりすりしていた。 「はあ……提督も脱いでくださいっ」 やはり抗議されたか。 しかしそうやって目を合わせてまで言われても、右手は大井の腰に、左手は背中にやっていて手が空いていない。 ……生憎と空いていない。 しかし、ここで、我、妙案思い付くせり。 「脱がせてくれ」 「脱がせる、ですか?」 「そうだ」 「……私がやることに何の意味が」 「いいから」 「はぁ……」 大井はよく分からないといった具合に、面倒臭いボタンを一つ一つ解いていく。 これはこれで奉仕されているかのような演出だ。 間もなくして腕も袖から出され、真っ白で皺なく整えられた軍服はベッドに放られた。下着は流石に自分で脱ぐ。 「自分で脱げるじゃないですか」 別に脱げないとは一言も言ってない。 ぶつくさ言われながらも、日頃ほとんど鎮守府に篭って全く鍛えていない胸板に豊満なタンクが押し付けられた。 間の抜けたやり取りをしながらも、先ほどから繋がったまま潤滑油は追加され続け、 魚雷の威力を最大限まで引き出す準備が着々と進められていた。 抱きつかれ抱きとめて人肌を交換している状態で、ぐっと腰に力を入れ直した。 「……ぁ、あ、あっ! んっ、ん、ふぁっ!」 動きやすいよう小ぶりな尻を掴んでテンポよく発射管をほぐしていくと、 あまり時間も経たずに下からじゅぷじゅぷと音が聞こえてくる。 漏れた油がぱた、ぱた、と下腹部を中心として周りに飛び散る。 「ふっ、ん、ほら、聞こえるだろっ? 大井の中っ、もうぐちょぐちょだっ」 「んーっ、ん、うぅっ、てい、提督のがっ! ……大きい、から、ぁあっ!」 別に自分の魚雷が大きいのではなく、大井の発射管が小さいだけだと思う。 そういう謙遜する気持ちと、女から見れば至極どうでもいい男の誇りが認められて喜ばしい気持ちが葛藤する。 これまた行為中にどうでもいい議題で開かれた頭の中の軍法会議は、一瞬で後者が可決され気分は高揚。 もっと聞かせてやろうなどと調子づいた自分は、魚雷の更なる性能向上を図る。 発射管の中で魚雷は早く攻撃を放ちたいと疼く。 「んっ! んっ! んん!」 胸板に押し付けられたタンクは熱暴走を起こしていて、部屋の中にも居座ろうとする冬将軍を物ともしない。 先端部なんか自己主張がひどくて形がよく分かる。 一切の装甲を解いた大井の体が熱いのだ。こちらまでその熱に犯される。 密閉された発射管の中なんて熱が篭るから下腹部周りがむれっとする。 軽口とか言葉攻めとかをしている余裕なんかない。 全ての感覚を自分の中心部に集めてひたすらに欲の行き場を求めるだけ。 くらくらしてきて自分の顔の横から発せられる艶めかしい喘ぎさえも聞こえなくなりそうだ。 うるさいくらいの喘ぎよりも自分の心臓の音のほうがうるさい。 気分も、心拍数も、貪欲も、昇り詰めていく。 「出、そ、っ……」 最低限残しておいた理性をもって、一応知らせておいたほうが何かといいだろうと考えたのはいいが、 体が強張ってちゃんとした言葉にならなかった。 しかし聞こえていたらしく、すぐにその啼き声に心の底から叫ぶような懇願を乗せられ、 結果、ずん! と大井の体を勢いをつけて落とし込み、最奥で魚雷はスクリュー全開で炸裂することとなる。 「中にっ! 下さ、くらさいっ! 提督っ! ていとくぅっ!!」 びゅっ! びゅるっ! びゅくびゅくっ!! 「ふぁぁぁああああ……!!」 自分と大井の体は震わせて共鳴しあった。 射精が終わり、自分は大井を抱きしめたままゆっくりとベッドに倒れこんだ。 大井の体重がのし掛かるがその苦しささえも心地よく感じる。 「抜かないで、ください……このまま……」 抜こうとしてないし、体を動かしたくないし、何より大井と同じく行為の余韻をまだ感じていたかった。 …………………… ………… …… 体を重ね合ったまま、互いの息が整うまでに短くとも五分以上は要したと思う。 昨日と違い服を纏わない状態で――自分はズボンだけ履いているが―― 一枚の布団を被った。 寒くないかと問いても提督がいるから大丈夫と言う。畜生、一々つぼをついてくるな、こいつは。 「提督……私も愛しているわ」 「どうした、急に」 「さっき言われた時、言いそびれてしまいました」 「聞こえていたのか?」 「提督の声を聞き漏らすはずがないもの」 ソナーか何かをつけているわけでもないのに何を根拠に、とは返せなかった。 あの時は息が詰まるほど嬉しくて苦しくて、絞り出すように発したので聞こえていないだろうと本気で思っていたのに。 「提督が泣き出すなんて初めて見ましたから」 「……艦娘の前で泣いたのは今日が初めてだね」 「今日の提督、本当に子供みたいでした」 クスクスと笑い始めた。からかわれているこの状況から機転を効かせ話題をすり替える。 「……お前もここに来た頃とはまるで正反対だ、あの時はぐちぐち言われて結構……」 「そ、それは……」 ほら、狼狽え始めた。 こいつも時が経つにつれ初期からは想像できない面も見せるようになったものだ。 「男性にはあまり素を出したくない、って考えるのが私ですから……、今提督にそうは思っていませんけど、今更態度も変え辛くて」 「……」 「……変えたほうがいいですか?」 なんだ。大井はそんな悩みを持っていたのか。 しかし、自分は大井の内面は充分、とまでは行かなくとも半分くらいは理解しているつもりだ。 答えは聞かれる前から決まっている。 「無理して変えなくていい。私は今の大井も好きだし、本当は優しい いい子なのも分かっているから」 そう言って儚げに見つめる大井の頭を撫でることで不安を拭おうと心掛けた。 自分は時が経つにつれ、一見キツそうな性格の中から優しい面が垣間見られるところに魅力を感じていくようになったのだ。 そもそも大井は別に人をいびるのが大好きとかいう性格の悪い子じゃない。 あくまでも大井は歯に衣着せぬ一面もあるだけに過ぎず、こうして気にしすぎなまでの気配りもできる一面だってある。 他提督から聞いた話ではこれを確かギャップ萌えとか言うんだったか。 「まあ、大井がどうしても変えたいなら止めはしないが……」 「分かりました、このままで行きます」 なんだよ。その掌の返しようは。 「やっぱり私は、今の関係が一番気に入ってますから。山や谷がないと飽きちゃいます」 「……私もそう思うよ」 顔が緩んで、笑みが零れる。 やはり大井も同じ考えだったのだ。 悪友のように言葉遊びで互いを突っつき合う関係もよし、愛を求め合う関係もよし、自分はその両方の関係が好きだ。 どちらも欠けてほしくない。 「……提督」 「うん」 「ここまで育ててくれて、感謝しているわ。これからも、ずっと……」 そうだ。大井に惹かれていくようになったのは最終的な改装を施してからだ。それも随分前の話。 過保護な提督ならば戦闘に行かせずに隠居させるかもしれない。 しかし限界まで練度を極めた大井は現在最高の戦力だし、大井も艦娘としての誇りを持っているはず。 ならば最前線まで送り出して、華々しく活躍させてやるのが提督の役目。 別に敵陣地へ特攻を仕掛けろなどと言っているわけではない。 伸び伸びとやりたいことをやらせてやるが、必ず帰って来いということだ。 色々言いたいことはあるが、自分は大井を抱き寄せるだけの返事にそれらを込めた。 大井もそれ以上は何も言わなかったし、何も求めては来なかった。 そして、泥のように眠りについた。 …………………… ………… …… 流石にほぼ全裸で布団一枚は寒く、幸か不幸か寝過ごすようなことにはならずに済んだ。 装甲を着込んだ大井が起こしてくれたおかげもあるがさておき。 開き直って二人で顔ぶれの少ない――いずれも珍しいものを見たような反応をされた――朝早くの食堂に顔を出し、単横陣でカウンターに座る。 しかしやけににっこりとした間宮にお勧めの一膳を出すと言われたので甘んじ、出てきたものを見て固まった。 大井も同じものを出されて顔を引きつらせている。 「あ、あの……何かな、これは」 食べ物は聞いて判断してないで何でも食べろと両親から教育されたが、 それでも、この四角い箱に盛られた主食料理を指差して聞いてみる。 他には―― 「はい。鰻重、滑子のお味噌汁、餃子、秋葵と若布の御浸しと、北上さんの計らいでお二人のために特別に考案した精力料理でございます」 「それはまた朝から濃いものを……」 あれこれがどういう料理だなんてそんな眩しい笑顔で説明されなくても見れば分かる。 ちらと横目で見ると、大井は寒いはずの冬の朝どきに顔から火どころか炎上している。 「それと……夕べも、お楽しみでしたね?」 おのれ北上。しばらくの間アイスクリン供給過多だ。 「だ、ダメです! 提督の自業自得ですっ!」 むう。大井に言われちゃ仕方が無い。 大井に免じて大目に見てやった優しい提督に感謝するんだな北上め。 こちらを見る間宮の生暖かい眼差しと生暖かい問いかけを流し、自分は鰻重にかけるための山芋のとろろを追加で注文した。 大井、いつまでも顔赤くしていないでさっさと食べなさい。今日も第一艦隊の旗艦をしてもらうんだからね。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/172.html
12月も半ばを過ぎ寒い日が続く。 今日の洗濯当番は長門だったらしい。 PUKAPUKAエプロンをつけて洗濯物を干しているのだが…… 「なんだあれは……」 なにやらどでかい靴下が干されている。 少なくとも人間が履けるサイズではない。 しかも片方だけだしどう見ても不自然だ。 しばらく靴下を見ながら首をひねっていると洗濯物を一通り干し終わった長門が近づいてきた。 「どうしたのだ提督、何か用か?」 「いや、用というほどのものでもないんだが……あのでかい靴下は誰のだ?」 別に隠すようなことでもないので好奇心半分に聞いてみる。 「ああ、あれは私のだ」 「何!? いや、待て。どう見てもサイズが大きすぎるだろう!?」 「フッ…早とちりをするな。履く為に持っているわけではない」 「じゃあなんだ?」 「もうすぐクリスマスだからな、西欧の風習とは言え楽しみなのだ」 「はぁ……」 クリスマスとでかい靴下と長門がイマイチうまく組合わさらない。 「そして!」 ビシッとこちらに指を突きつける長門。 「クリスマスといえばサンタさんの贈り物! あれはそのために私が一年をかけて縫ったものだ!!」 「………」 言葉を失いつつも靴下の方に目を凝らしてみる。 「ま、まぁ慣れない事をしたので多少不格好ではあるが完成時にはかなり汚れていたのでな。 そこで一旦洗濯したというわけだ!」 言われてみると縫い目の幅やら縫い方がかなりめちゃくちゃで 靴下というわかりやすい形でなければなんだかわからない出来である。 「つ、つまり…あれはプレゼントをもらう用のモノと?」 「その通りだ! 今までも貰えていたがやはりサイズ的に限界があったのでな!」 思わず頭を抱えそうになる。 大和ほどではないが長いあいだ箱入り娘状態で過ごしていた彼女は 戦場でこそ勇猛なもののどこか世間ずれしているところがある。 おおかた今までは陸奥あたりがプレゼントを入れてやっていたのだろう。 「これだけ大きければいいものがもらえるに違いない。提督もそう思うだろう?」 「お……おう……」 「どうした?覇気がないな! サンタさんは元気な子にしていなければ来てはくれないぞ! ハッハッハ!」 「そ、そうだな」 たぶん貰っていない(買っていない)陸奥あたりのことを言っているのだろう。 乙女()の夢を壊すのも悪いと思い、提督はそそくさとその場をあとにするのであった。 そしてクリスマス当日の夜になった。 「ん? どうした陸奥」 秘書官をしていた陸奥が突然立ち上がり頭を抱えたのだ。 「ど、どうしよう……」 「何かあったのか?」 「え、いや…その……あーっ、もう、い、一応秘密にしてね?」 しどろもどろになりながら説明をはじめる陸奥。 「あー……つまり長門へのクリスマスプレゼントを買い忘れたと」 「あら、驚かないのね?」 「この間でかい靴下干してるの見たからな」 「そうなのよ……今年は特に楽しみにしてたから。でも最近忙しくてつい忘れちゃってて」 「しかしなにか買いに行くにしてももう時間が時間だしなぁ……」 「そうなのよね……ね、ねぇ提督なんでもいいからプレゼントにできそうなもの持ってないかしら?」 「無茶ぶりをするな、とはいえまぁ最近秘書官として突き合わせてたというのも原因だしなぁ……」 「お、お願いだから」 「とりあえず探してみる、中元やら歳暮の残りやらを探せばなんか出てくるだろう」 「ありがとう、助かるわ……って、あ」 「そういえばお前これから遠征だったか、こんな時期にすまんとは思うが」 「そうなのよね……プレゼント届けるのもお願いしていいかしら?」 「それはいいが……誰かに見つかって妙な誤解をされると困るんだが」 「下手にほかの娘に頼んで話が広まっちゃっても困るし……お願い」 「はぁ……了解。何とかしておくよ」 そう言うと陸奥は遠征の準備のため慌ただしく部屋を出ていった。 「とはいったもののクリスマスプレゼントにふさわしいものねぇ……」 中元や歳暮等で残っているものといえばせいぜいが酒とかそんなものである。 「さすがサンタのプレゼントには苦しいよなぁ……」 しかし陸奥からいつもどんなものを送っているかを聞いていなかったために 何を送ればいいのか見当がつかない。 本人に聞こうかとも思ったが棚をあさっているあいだに就寝時間が過ぎていた。 あれで長門は早寝早起きだ、既に寝てしまっているだろう。 「ああもうこれでいいか」 あの靴下にはとても見合わないが無いよりはいいだろう。 とりあえず一番高そうな酒とツマミのセットを持って長門の部屋に用心深く進む。 なんとか誰にも見つからず長門の部屋に到着し、軽くノックする。 全く反応はない。 既に長門は熟睡しているようだ。 普段なら鍵をかけているはずだが陸奥曰く「サンタさんが入ってこれなくなると困るから鍵は空いてるはずよ」 との言葉通りノブを回すとあっさりとドアが開いた。 ドアを閉め、ソロソロと忍び足で侵入する。 薄暗い中目を凝らすと眠っている長門の横に例の靴下が置いてあるのがわかった。 (さて、とりあえずこれ置いてさっさと帰るか) 靴下に潜り込み奥にプレゼントを置こうとしたのだが…… (ちょっ、なんだこれ、い、糸が絡みついて進めん! というか戻れん!!) 荒く複雑な裁縫のせいで魔境と化していた靴下に捉えられ、身動きが取れなくなってしまった。 (ど、どういう縫い方してるんだって、うわっ!) ガン!! もがいていると足を滑らせて膝を床に強く打ちつけてしまった。 同時に傍の長門から起き上がる気配がする。 (ヤ、ヤバイ、どうしよう) 「な、何者だ!? って靴下が動いてるだとっ!?」 (か、完全に気づかれた!) 同時にグイっと靴下が持ち上げられる。 「ま、まさか……」 ゴクリと唾を飲み込む。 「サンタさんかっ!?」 ズコーッ!! 思わず持ち上げられた靴下の中で盛大にずっこける。 ビリッ… (げ!) ビリビリビリドサー! 「いってぇ!」 ズッコケたところの縫い方が甘かったのか靴下の下が空き、プレゼントを中に残したまま床に放りだされてしまった。 「て、提督だと!?」 (か、完全にバレた! すまん陸奥!!) 「ま、まさか……そんな……」 「な、長門……そのだな……」 無駄とは分かりつつも経緯の説明をし、夢を壊した罰は受け入れよう。 そう思って口を開きかけ…… 「こ、今年のプレゼントは提督だったのか……」 硬直 (え、なんでそうなんの!? というか俺がプレゼントって(意味深)なことになってしまうじゃないか!?) どう説明をしようかと長門を見ると珍しく顔を赤くし、手足をもじもじさせている。可愛い。 「そ、その……私は初めてなのだ……や、優しくして欲しい」 「あ、ああ……(い、いいのか?)」 しかしここでやめてしまっては色々な意味で酷い事になるだろう。 なにより目の前の長門は普段の凛々しさなどどこへやら、不安げな中に期待を込めた視線を送ってきてる。可愛い。 長門の腰に手を回しゆっくりと抱き寄せる。 「あっ……」 抵抗することなく簡単にこちらの胸に収まってしまう長門。 そして顔を近づけると察したのか上を向き目を瞑る。 そのまま長門の唇を奪うと柔らかい感触が脳に刻まれる。 唇を離すと「これが……接吻というものか。悪くない、な」 うっとりとした顔でそうつぶやいた。 そっと長門の体を布団に横たえる。 横になった体をほぐすようにゆっくりと撫でていく。 「あ……んっ」 見た目通り引き締まっているがそれでもやはり柔らかい女の肌を堪能したあと、さらに柔らかい箇所へ手を伸ばす。 二つの双丘がムニムニと面白いように形を変える。 その刺激に耐えるように顔を赤らめながらも口をギュっと結ぶ彼女に再び唇を合わせる。 「ンンッ!」 突然の事にびっくりしたのか長門の体がビクリと跳ね、同時に揉まれている箇所からの反応が強くなる。 そっと上着をまくると形の良い乳房が露わになり、吸い寄せられるように舌がその先端へと向かってゆく。 チュッチュルルッレロレロレロチュゥゥゥー 「ふぁっ!? て、提督!? そ、そこを吸っても乳はでな……あんっ!」 初めて味わう未知の感覚に体を震わせる長門。 そんな彼女を昂ぶらせるように手でもうひとつの乳房に手を伸ばし、絞り上げ先端をつまむ。 コリコリと乳首を甘噛みしてやると長門の口から甘い吐息が漏れるようになってきた。 そろそろ大丈夫か、とそっと両足の付け根に手を伸ばす。 胸への刺激に夢中になっている長門は気づかれずにそこに手を這わせることに成功する。 「んくっ……あぁっ!? て、提督、そこは!」 返答を待たずに既に湿り気を帯びているそこを下着の上から何度もなぞるとどんどん湿り気が強くなってきた。 下着をずらし直接触れてやると既にヌルヌルとした愛液が割れ目の中から溢れ出てきていた。 指で押し広げながら中指の腹で擦ってやると普段の彼女からは聞くことのできない嬌声が耳に飛び込む。 「あっ…ダ、ダメだ……提督、そ、そこを触られると私は……私はっ!」 その反応がたまらず、今度は頭の位置をそこまで下げ、直接舌を這わせる。 さすがにびっくりした長門が頭を押して離そうとするが、舌の触れる方が早くその刺激で手に力が入っていない。 「や……ぁ……提督……そこは……汚……あぁっ!!」 ピチャピチャとわざと音を立てて舐めてやるとただでさえ赤くなっている長門の体が羞恥でさらに赤くなる。 そして同時に秘裂の奥からはどんどん蜜があふれてくる。 それを舌ですくい上げ、音を立てて飲み干す。 ジュル、ジュルルルル 「は、恥ずかし……やっ……て、提督! それ以上されたら……や、やめ……あ、あぁぁぁぁ!!」 舌で皮をむいたクリトリスを強く吸い上げてやると体をビクビクと跳ねさせながら長門が絶頂を迎えた。 愛液が秘裂より吹き出し提督の顔を汚す。 快楽の余韻に浸っている長門をみてゴクリと喉を鳴らしつつ、カチャカチャとズボンを脱ぎこれ以上ないほど勃起したそれを取り出す。 「す、すごい……これが殿方の性器か……」 「長門……いいか……?」 最後にもう一度だけ確認すると長門は微笑みながら頷いた。 十分に濡れた割れ目に肉棒を押し当て、愛液をまぶしながら徐々に挿入していく。 「くっ…くううぅ!!」 さすがに痛みが勝るようだ、一旦動きを止め、長門の体が落ちつくのをまってからまた少しだけ進む。 この繰り返しで処女膜を破り、ようやく彼女の一番奥深くまで肉棒が差し込まれた。 「全部……入ったぞ……」 「はぁ……はぁ……不思議なものだな……痛みは感じるのに全く別の感触も感じる……」 そういう長門の体を愛撫しながら注意深くピストンを開始する。 最初はうめき声だった長門の声に徐々に甘いものが混じりつつある。 同時にきつかった中も分泌された愛液によってだんだん滑りが良くなってくる。 「長門……大丈夫か?」 「ああ……まだ少し痛むが……」 「ならゆっくりにしたほうがいいか」 「フッ、ビッグ7を侮るな。この程度の痛み道ということはないさ それに、その……激しくしてもらうほうがその……気持ちいい」 可愛い リクエストに応えるべく荒々しく奥につきこんでやると締りの良い膣がもっともっととでもいうように肉棒を締め付けてくる。 もともと長門を痛がらせないように我慢していたのでそろそろ限界に近い。 「クッ……長門、すまん。そろそろ限界だ!」 「あっあっ! 提督! 私も何か変な感じが来る! あっ! あぁぁぁぁぁぁ!!」 「グッ!!」 ドクン!! 長門の一番奥に叩き込んだ瞬間、我慢していた欲望が解き放たれ彼女の子宮を白濁液が満たしていく。 その感触を長門は体中を震わせながら受け止めていた。 そのまま眠ってしまった長門の体を拭き服を着せてやり、酒とつまみセットを持って提督は長門の部屋を出た。 下手なものを置いたままにしておくよりは後腐れがなくていいだろう。 そしてクリスマスの夜は静かに更けていった。 ───翌朝 「おお、陸奥か。遠征は成功だったようだな!」 「え、ええ。お陰様でね。と、ところで昨日サンタさんは来てくれたのかしら?」 もし失敗していたらどうしよう。 そう心配する陸奥の杞憂を吹き飛ばすように長門は豪快に笑った。 「ああ、サンタさんも粋なことをするものだな。最高のプレゼントだったぞ!」 「そ、そう。なら良かったわ」 一体何を渡したんだろう。 「ねぇ提督、姉さんったらすごく喜んでたけど結局何を渡したの?」 「すまん、ノーコメントで」 「?? まぁ問題なかったみたいだから別にいいけど」 釈然とはしなかったが姉が満足してるみたいだしいいか 無理に頼んだのは自分なのだからいちいち追求するような権利もない。 こうして今年のクリスマスの夜に何が起こったのかを知るのは幸いなことに二人だけの秘密となったのであった。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/72.html
「よーし、今日の作戦はもうない。明日に備えて休め」 夜戦を終えて帰投した艦隊の旗艦から概ね良好との戦果報告を受け、 全ての艦に労いの言葉をかけ、この言葉を最後に提督は執務室に帰って行った。 それを皮切りに各々の面子も自室へと帰っていく。 「はー、今日も疲れたなーっと」 その艦隊の中にいた龍驤も疲れたと零しながら伸びをしただけで会議室を後にした。 ここからは艦載機の手入れをするなり寝るなり自由である。 (ちょーっち遅い時間やけど、外行って涼もう) 日付が変ろうとしている時間ゆえ、桟橋にも岸壁にも誰もいなかった。 外に出てきて鎮守府を振り返ってみると、もういくつか光を放出していない窓もある。 (でも提督は絶対起きてるんやろな) 書類関係の面倒臭そうな執務がまだ残っているだろうから、 任務を終えた第一艦隊の面子は眠ることができても、提督はまだ眠ることはできないだろう。 お疲れなこったと他人事のように考えつつフラフラと岸壁を歩いていると、 何か硬いものを踏んづけた。 足を退けて拾うと、それは最近建造された潜水艦「伊168」が持ち歩いていたものだった。 彼女はこれのことを確か「スマホ」と言っていたような。 「そういえばイムヤは今夜遠征だったっけ。 2時間ほどで帰ってくるとはいえ無用心やなぁ」 それを拾ってから、長い時間は経っていないが日付が変わった。 龍驤は人より好奇心が大きい。 そのため、目新しいものに自分の時間を奪われるのも無理はなかった。 テレビなどと違い画面に直接触るという操作には少しの慣れを要したが、 もうそれを色々弄くりながら1人笑うようになっていた。 今一度付け加えておくと、それは人(?)の私物なのだが。 「あっはっは! あーっ、ホンマおもろいなーこの話」 スマホにはごちゃごちゃとアプリが入っていて、 その中にある、笑える話をまとめたアプリを見ていた。 一通り楽しませてもらったのでアプリを閉じ、 他の面白そうなアプリを探していると一つ目に止まったものがある。 「……ん? Hな話?」 何の躊躇いもなくそれを指で触れて開いた。 そこには人によっては抵抗があるかもしれないタイトル文、 あるいは誰でも開いてしまいそうなタイトル文などが多く羅列していた。 このアプリを目にして頬を染める者、先ほどの龍驤のように笑う者など 人によって反応は異なるだろうが、龍驤は苦笑いという反応を見せた。 「うわぁ……、あんまりイメージできんけど、イムヤもこういうの見るんやなぁ」 しかし、あまり興味なさそうな顔で羅列している文章を流し読みしていた龍驤も 一つ気になるものがあったので手を止めた。 「『好きな人に胸を揉まれると大きくなる』?」 龍驤は日本では唯一のフルフラットの空母であると語られてきた。 他の多くの空母は豊満な肉体でこの現代に蘇ったのに対し、 龍驤だけこのような肉体として蘇ったのもそういう根拠があるためである。 この文にある唯一という言葉は褒め言葉にも貶し言葉にもなりうるが、 龍驤にとっては貶し言葉としか受け止められない。 「へぇ……」 実際、胸など血行が良くなるかどうかか重要であって誰が揉むかは重要ではないのだが、 あいにくとそのことはそこには書かれていなかった。 「帰れ」 今日の執務はもう終わっており、手伝っていた秘書艦も自室へと戻っていた。 秘書艦の自室にその主がいたことを確認した上で、龍驤は執務室へ出撃したのだ。 ノックもせずに入ってきたものだから、 部屋の片隅に敷いた布団に横になって本を読んでいた提督は、 避けることもできずに馬乗りにされた。 下から見上げてみても確かにフルフラットだなと心の中で失礼なことを呟きつつ、 口にした言葉はとても短いものだった。 「なんやつれないねぇ」 「明日に備えて休めと言ったろう」 まあ浮いた話も聞かないこの提督だし、押し倒しただけではダメだろう。 こう判断し、その口を実力行使で黙らせる作戦に出た。 実のところ馬乗りをされたときも不快感を感じたわけではないので、拒絶するのが遅れた。 その結果サンバイザーを頭から外し、上半身を倒してきた龍驤にあっけなく唇を奪われた。 龍驤は目を閉じそのままでいるが、提督は目を閉じずに目の前の顔をぼんやりと見ているだけだ。 唇柔らかいな、とか、上半身全体に体温を感じて心地よいだとか、 心の中では並の男とそう変わらないことを思っているが、唇を開放されたあともそれは口に出さない。 提督は少しずつ、静かに欲望に灯した火を燃え上がらせていたが あくまで冷静であることを努める。 「なぜ俺なんだ」 「ウチは別に百合趣味じゃないし」 それもそうだ。 この現代に蘇った艦娘の数ある不思議の一つに、艦娘はなぜみな「娘」なのか。というものがある。 そういえばこの鎮守府でも提督以外に男を見かけなかった。 「それに男なら誰でもええってわけでもないんよ?」 「ウチは提督のこと好きやから」 突然の告白。 しかし提督はなんと返したらいいか分からない。 今まで艦娘にはみな平等に接してきたし、異性を本気で想うということもなかったからだ。 「提督がウチらのことみんな好きなのも知っててやってるから、 今はどうこう言わなくてもええ」 そして二度目の接吻。 今度は提督も目を閉じた。 「ん、ん、ちゅ」 お互い相手の唇の感触を堪能していると龍驤の方から舌を入れてきた。 流石の提督も冷静さを欠く。 「ぇう……んんー、ふっ」 口内をかき回されて提督も自分の舌を差し出し、龍驤の舌に捕まえさせた。 提督も段々と投げやりな思考となっていき、このまま行くところまで行ってしまえという考えに至らせてしまう。 唾液もどんどん分泌されていき、それもまた提督の理性を崩すことを促した。 「はあっ……」 唇を離すやいなや顔を下のほうに移動させていき、 ベルトを外した上で提督のズボンと下穿きを下ろした。 膨らませた陰茎が外気に触れて少しスースーする。 「わあっ。……提督ぅ、もうこーんなにしてぇ……」 自分の体には自信を持っていなかったので 提督の陰茎が既に膨らんでいることは予想外だった。 「胸ないから挟むとかは無理やけど、できることはあるんやで……!」 「ぁむ、……ん、んう、んー、んちゅ、うう、ぇろ」 色々と吹っ切れた龍驤は行動に移すのが早かった。 陰茎をいきなり口に含み、拙いながらも舌を使い顔を上下させ快感を与えようとする。 提督もまた抵抗することはなかった。 「ん、う、ぐ、んぐっ、んむっ」 「……んあ、提督の、大きすぎや……」 「……ぁむ、えう、ちゅ、ちゅ」 「んぢゅううううッ」 「ッ!」 先ほどのイムヤのスマホで他のこともそれなりに予習した龍驤は 早速その知識を総動員すべくバキュームにかかる。 提督は歯を食いしばって繰り返し訪れる快感の並に抗った。 バキュームをしている間陰茎に歯が痛くない程度に無意識に添えられ、 それもまた快感を呼んだ。 「ん、ふぅ……」 一旦息継ぎをし事を再開する。 バキュームをしたかと思えばまた舌での愛撫に戻ったりと緩急をつけた。 「ふ、んんっ、ちゅる、ちゅる、ちゅう」 「んう、ううっ、ふ、んむ、ん、れろ」 「レロレロレロ……」 「ああ……」 予習したとはいえこんなことをするのは初めてなので 拙い動きでも仕方がないのだが、確かに提督は快感を感じていた。 ここ最近は処理をしていなかったことも手伝い、普段よりもすぐに限界が見えてきた。 「う、そろそろ出るぞ……」 「んんっ、ええんやへ、らひても」 「く、ああッ!」 「ん、んうううううッ!」 「はあっ……はあっ……ああ……」 「ん……う……うう……」 「……ああ? おい?」 陰茎を抜くこともせず、龍驤の口にそのまま放出した。 しばらくして陰茎から口を離したが、 龍驤は一向に生臭いはずのそれを吐き出そうとしない。 「龍驤? 無理して飲むことはないんだぞ? 出しちゃっても……」 「んんっ! ……ん、んぐ、ん、ごく……」 声をかけても首を振り、吐き出さずにそれらを嚥下したようだった。 「ん……はーっ、はーっ……」 「んもー、提督、量多いで……。どれだけ溜めとったんや」 「あ、ああ……その、3日ほど……。 というかお前、なんで飲んじまうんだよ、あんな汚いもの」 「いやあ……確かにまずくて濃いだけだったけど、 汚いとは思わんで? だって提督のやから……」 普段の凛々しい軽空母からはかけ離れ、 今やその顔は誰が見てもただの女の顔だった。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/504.html
(序) ――本当のことを伝えれば、助けてくれるとでも云うのだろうか。 瞬時の褪めた疑いの後、嘘を吐く意味など無い事に気付き――波蹟を刻んだ敷布、淫靡な濤に乱れた寝台の上に 長髪を纏せた汗ばむ裸身を横たえた女はやがて囁くような声で応えた。 「眠れないのです。提督にこうして戴いた後は、少しは――揺蕩えるのですけれど」 口調は丁寧。しかし全身を慄せる絶頂から解放された後、急速度に冷えゆく肉体と興心の齎す気怠さはその声色 から拭えようがない。 男の隣に転がったまま、俯臥せの視界を塞ぐ黒髪を無意識に片手で掻きあげると、その感が一層強くなった気が して――赤城は自躯を笑った。 終わってしまえばその行為には甘美も夢酔も幻想も、まして清廉さなど絶対にない。まるで排泄と同等の無意味 で動物的なものにすら――そう。賢者の思考は、女にだって訪れる。 まるで十重も二十重も齢を重ねたかのような、どこか白鬱とした気分だった。最も、艦娘が歳を重ねられるのか は自分にも分からない。 生温いような温度に包まれた春先の深夜、提督の部屋。 二人だけの情事が終わり、脱力した身体を男の寝台の上に丸めるように背を向けた赤城に対し、多分に気遣いを 含んで発せられた提督の問いには、彼女はそう答えるしかなかった。 「そうか。……といっても、僕も赤城くんと毎日一緒に寝てあげられるとは限らないからな。実際、明日の夜は 遠方へ一泊の予定になった」 「そう……ですか」 では一人でまた、震えながら長い夜を過ごさなければならないのか――思わず俯き、赤城は無意識に掌中の白い 敷布を握りしめた。 慣れぬ深酒に強かに酔った彼女が介抱される所から済し崩しに始まってしまった、本当に、身体だけの関係。 好意を囁かれたこともない。しかし仮令偽りであっても構わないと思う程に、彼女の精神は安寧に飢えていた。 相手はまるで将棋や花札の対戦をするかのように、淡々と、日を置かず寝所に来る女の相手を勤め上げる男。 雅な顔立ちと軽口好きの裏に、どこか乾いたところを持つこの上司は、そのような関係には適切と言えるのかも 知れなかった。 「少しお休みを取るかい?加賀くんも言っていたが」 「加賀さん…が?なんと?」 性格は天地ほど違えど同じ一航戦の同期、気が置けない親友。だからこそ、彼女が今の自分をどう見て、どんな 言葉を自分の評価として持っているのか、赤城の心は不安に沈む。 「それがいきなり珍しくも司令室に来て、『赤城さんを前線から下げてあげてください。危険です』。ってさ。 ……今の似てた?」 戯けた言い方にしてくれてはいるが、つまりはやはり自分は戦力外である、と彼女が見做して居るということに 違いはない。 「『超えられない壁を心に残したまま戦っては、本人も僚艦をも危険に晒すことになります』と。……心配して くれているんだと、僕は思うけれど」 「…そう…ですか…」 「一体、何が君の不安定の元であるのか。そろそろ聞かせてくれないかな。僕にも、何かできることがあるかも しれないし」 提督が僅かに見せた心遣いに(それすらも上司と部下の延長線でしかない内容だが)、赤城は重い口を開く。 「………桜、が」 「桜。そういえば、そろそろ綻び始めて来たね。それが?」 「桜の花が、怖いんです」 そう呟いた彼女の瞳は絶望の淵を滲ませ、文字通り何も見てはいなかった。 (二) 一体如何なる意志と力が自分を此処に蘇らせたのかは、分からない。 しかし心形ある艦娘として太平洋戦争の終わった後の時代に現れたいま、彼女はかつての戦闘や、戦争の流れに ついて多くの資料に自ら触れた。 単に航空母艦・赤城亡き後の戦争の流れについて知りたかったこともあるし、敗戦に至る人々の思いも知りたく 資料室や街の書店・図書館までも許される限り訪れ、読み続けた。 そこに記されていたのは、悲惨そのものだった。 飢餓に苦しむ兵士たち。片道切符を手渡された飛行士たち。本土への度重なる爆撃、多くの民間人の犠牲。 戦争とは殺し合いではあるが、一流の軍人たち、最新の兵器たちによる力比べではなかったのか。 そして――その引き金を引いたのは、真珠湾攻撃部隊たる、自分たち。 その戦争の行方を決定付けたのも、あの悪夢のような南方の一戦に沈んだ、自分たち。 何故、始めた。何故、続けた。何故――負けた。 街中でふと見上げた、まだ蕾にもならないそれが桜の木であると悟った瞬間。 聞こえた気がした。頭の中に、声が。 それから、まるで自己犠牲精神の象徴とされたような薄血色のあの花が開くのを見るたびに、風に揺れる一片を 見つけるたびに、亡魂の声を感じ、怨嗟がそこに還ってきているのではと感じた。 ならば満開の桜には、かつての自分の搭乗員を含めたどれほどの犠牲者たちの、無残な死を強いられた者たちの 心が乗っているのか――それに責められる自分を想像すると、気が狂いそうだった。 何故、始めた。 何故、続けた。何故、負けた。 執務中。窓の外に目を向けるのが、怖くなった。 出撃時、帰還時。この花のある陸に、鎮守府に戻りたくないとすら最近は思う。 そんな自分を嘲り、嬲るように、徐々に桜は綻び始める。ただ蹲り、耳を塞いで盛りの時期を越えたとしても、 次の春も、その次の春も、無限にそれは訪れる。 「――こんな思いを、するのだったら」 敗戦も何も知らずに海底に沈んでいたほうが、よほど幸せだったのかも知れませんね。 そう抑揚のない声で赤城は呟いた。 提督はその重過ぎる問いに答える言葉を持たず、ただその細い肩を抱くことしか出来なかった。 (三) 濃紺に濃紺をただ只管に重ねて作られたような、蒼黒の世界。 重い水圧が、鉄の総身を軋ませる。 気が付くと、赤城は仄暗い水底にいた。 加賀さんもきっと、私の事を嫌いになったに違いない。 いいえ――提督だって、戦えない空母に用は無い。といって愛人の立場でいるなど、自分にも彼にも似合わない だろう。 でも。鎮守府を去ったとしても、何処へ行けば佳いというのか。ならばもっと頑張って――しかし一体、何を、 どうやって? 虚ろな心で仮初めの秘書艦として一日を過ごしたのち、提督不在の一人寝の夜。そんな堂々巡りの迷妄に鬱々と 嬲られながら、自室の暗闇の中、膝を抱えて寝台の上にいた――はず、なのに。 魚影以外に訪れる者もなく、多くの死を抱えたままの永遠の静寂――海底。何十年も見慣れたその世界に自分は 再び還っていた。 ここがやはり、愚かにも挑み、敗けて沈んだ、私の正しい居場所なのか。 冷たい海水と安らかな暗闇に身を任せた消失寸前の意識が、そう悟った途端―― ――轟、と。 かつて沈降し着底して以来の、はるか遠くまで響く鐘のような一瞬の鈍く低い音が、暗い海中の静寂を破った。 聴き違えではない――その証に、やがて物言わぬ重たい鉄の塊であるそれ自身が静かに震え、軋み、水圧の牢獄 に泥を舞わせながら数十年ぶりに、海底に蠢いていた。 そして何か力強い意志に引かれるように、それは冷たい海の底から離れ――灯火の無い隧道のような暗黒の世界 の中、静かにその巨大な残骸は浮上を始めた。 見えぬほどに、ゆっくりと。しかし、確かに。 暗い海中を彷徨っていた、小さな小さな海蛍のような灯光が、其に次々と寄り添い、身に溶け込むように消えて ゆく。そのたび、微かに暖かい何かが錆びた精神を照らした。 無限にも感じた時の果て、鏡のような水面が見えてきた。 両手。両脚。――黒髪。乳房。 近づくにつれ、そこへ映る自身はいつしか錆び尽くした醜い鉄塊から、瑞々しい斯良多麻の肌と射干玉の髪とを 持った娘の裸形の像を結んでゆく。 やがて世界の際、極限まで近づいたその鏡像とひとつになり――そして深海と同じく暗闇の支配する夜の海上へ 艦娘の姿をもって坐々と静かに浮かび上がる。 そう思った、次の瞬間。 赤城は、満開の夜桜の下にいた。 「……!」 見渡す限り。 はるか遠方までの視界を埋め尽くし、まるで大質量の雲霞のように咲き誇る、夜櫻華の群生。 雅な芳香を運ぶ、あたたかな春の柔らかい風。揺れる薄紅の花々を密やかに照らす、霞雲を薄衣のように纏った 朧月の光蔭。 風に揺れる枝。宙に比良比良と漂う、無数の花片。月の光。 衣髪をそっと撫でゆく風の他には落針すらも捉えない補陀落の静寂のなか、唐突に自身を包み込んだその光景に 圧倒された赤城は絶句して地に立ち尽くし、動くことさえ出来なかった。 ――夢。なのか。 桜。 桜。 あれほどまでに恐れ慄いていた花々であったはずが、最早奇矯を超えて壮観の域に達したこの場ではそんなもの 微塵も感じ得ない。 目をめぐらした彼女は、やがて一際大きな盛櫻の樹元に、会いたくて堪らなかった白制服姿のその人影が立って いるのを発見し、再び息を呑むこととなった。 「提……督……?」 「やあ。赤城くん」 住の江の、岸に寄る波よるさへや、という奴かな。いつもの動じない軽口は、紛れも無い本人のものと思えた。 しかし。私の夢ならば、何故私の知らない言葉がその口から出てくるのか。…赤城には、分からなかった。 「これは、夢、なのですか。私は」 「そうかもしれない。そうではないのかもしれない。僕は先刻、亡くなったはずの、写真でしか知らない祖父に 逢った。これから此処に赤城くんが来るから、いくつか伝えてくれと言われたよ」 ちなみに孫の僕に対しては一言も無しだ、と提督はにやりと笑った。 「まあそんなことはどうでもいいんだがね。君たちの存在がある以上、奇妙な事もあるものだ、としか言えない だろう」 そう言った年若い提督は、軽く笑って制帽を脱ぎ、穏やかな口調で続けた。 「――まず、ひとつ。僕の隠し事を明かせと言われた」 僕の祖父は、航空母艦・赤城の乗組員だったんだ。提督が事も無げに言った言葉は、赤城に砲弾直撃以上の衝撃 を与えた。 提督は構わず――笑みさえ浮かべて――続ける。 「真珠湾にも参加して、ミッドウェーで被弾して死んだ。……だから僕がこの道を進んだのは、幼い頃から母に 聞かされた、まさに彼らと貴方の姿に憧れてのものだったんだ。憧憬れの『赤城』に会えた時の歓喜と刻眩き。 君に悟られないように苦労したよ」 「そんな……そんなこと、では、私は……」 貴方の祖父を戦争に巻き込み、この世界から永遠に奪った、呪われた――青褪めた赤城が己の存在に止めを刺す ような、その絶望を口にする前に。 「ふたつめ。祖父その人から、愛する母艦への伝言だそうだ。…いいかい」 提督の静かな口振りが、その言葉が、取り乱す既の所で彼女を押し留めた。 「『貴女の世界を精一杯、生きて欲しい。我々に、堂々とした生を全うさせてくれたように』」 「……!」 ざぁっ、と静かなざわめきを立てて、吹き抜ける風が桜の花びらを舞わせた。 両手で口元を覆い、震える瞼を静かに閉じた赤城の眦から、一滴の涙が静かに零れ落ちた。 「……どうも羨ましいね。君も、爺さんも。妬けるよ、僕は」 ――ああ。 私は、なんと愚かだったのだろう。 この桜を、亡くなった魂を、怖ろしいなどと。 かつての自分と仲間たちが精一杯、信じることのために為そうとしたこと。少なくとも自分には、そこに恥じる べき偽りは無かったのだ。 「…分かったかい。航空母艦、赤城くん」 「はい……はい。上手に言葉には出来ませんが……受け取りました。――確と」 開いた眼差しは、滂沱と感謝とに濡れて――しかしそこに、最早迷いの蔭は寸も無かった。 「よろしい。ではここからようやく、僕の言葉だ。折角だから最後に、もう一つの隠し事を明かそうと思う」 「はい?…きゃっ」 急に右手を引かれよろめいた赤城が、桜の大樹にその背を受け止められた瞬間。 逃がさないと言わんばかりに片手を幹につき、提督は目を丸くして驚く赤城に顔を近づけ―― 「好きだ。赤城。どうしようもなく、大好きだ。――僕のものになってくれ。今、ここで」 ……この人はどうしてこう、真剣な心を格好良いのだか悪いのだか分からない戯けに包むのが好きなのだろう。 心中で苦笑しつつも、赤城は本当に久しぶりに軽くなった心持ちで頬を染め、提督の気持ちを静かな接吻と共に 受け入れた。 「私も。貴方が大好きです。…貴方のものにして下さい。今、ここで」 桜の樹だけが、再び唇を合わせる二人を観ていた。 (四) 併せから進入した掌が、赤城の片方の乳房を揉みしだく。 合わせたままの唇、絡む舌から唾液と嗚咽が漏れる。 やがて緋の襦袢の奥、提督の指先が色付いた胸の尖端を摘み、鳥が啄むように軽く引くような愛撫を始めると、 樹に背を預けた赤城の身体は快感に揺れた。 「可愛いよ。赤城」 「…っ、ふぁ…っ、」 返事もままならない、熱く小刻みな甘い呼吸が、提督の牡を高める。 着崩れた併せに手を掛け、そっと左右に開くと、両肩に続いてふたつの白い乳房がまろびでた。それぞれの尖端 は硬く屹立し、谷間は汗に濡れている。 「汗かきだね。赤城は」 「…え…もう何度も、お相手を…」 「御免ね、今更気付いた。ちゃんと赤城のこと見てなかったみたいだ。…今日は見てるよ。赤城がこんなにも、 僕で感じてくれていること。一つも洩らさず、全部見る」 「はい…はい、私の凡てを…見てください…」 「勃ってる」 ぴん、と指先で感じる胸先を弾かれ、思わず声を上げて仰け反った裸の背を桜の幹が擦る。痛みもなく抱き止め てくれたそれに、震える膝に力が入らなくなってきた赤城は完全に裸の上半身を預ける。 谷間の汗を舐め取られ。 尖端を口内で転がされ。 そして再びの接吻に朦朧としつつも、指先で首先や胸元の感じる処を幾重にもなぞられ。 その度に絶頂に達するのではとさえ思われる快楽が赤城の娘体を震わせ、雌声を上げさせた。 やがて淫らな熱を帯びてきた陰間の感覚が切なく、赤城は下帯のじっとりとした熱い湿りを感じながら、気づく と無意識に自らの大腿を何度も擦り併せていた。 「感じてるね。本当、もう何度も抱いたはずなのに――今日は特別、君と君の身体が、愛しくて堪らない」 「はい――はい、わたし――も、きょ、今日は、もっと――ん、あっ…」 提督の指先が、手慣れた動きで赤城の袴を解く。 さらさらとそれを地に落とすと、布地の少ない純白の薄絹による下帯をも綻び、解き落とす。 赤城の、微かな茂みに飾られた女陰が、外気に露になった。 「あっ…」 乳房への愛撫に熟れ切った赤城の肉体は、直接触れられてもいない秘裂を欲望に熱くたぎらせ、肉感的な陰唇を 物欲し気にひくつかせていた。 「み…見ないで下さい…恥ずかしいです…」 「全部見ると言った。大丈夫。綺麗だよ、赤城」 しゃがみこんだ提督の右手が、女陰を更に開かせるように赤城の白く柔らかな左腿を軽く持ち上げる。 「は…はい…赤城は、提督に愛して戴きたく、こんなにも…はしたなく…」 慣れぬ羞恥と、それがもたらす快楽に震える赤城の多汗と多情の雫が、白い健康的な太股を伝い落ちる。 男の視線が堪らないのか、充血した肉襞がひくりと動くたび次々と新な雫を溢れさせる情景は、女の相手に慣れ ているはずの提督の劣情をも著しく刺激した。 提督は華に誘われる獣のように淫らな性器の中心、真珠のような薄紅色の赤城の陰核に近付き――遠慮無く蜜を 味わうべく、秘肉に舌を這わせた。 「――――-っ!」 電流のような極上の快楽に激しく赤城が叫び、悶える。しかしその身は逃げる事はせず、更に快楽を求めるかの ように、自らの秘所を愛する男に押し付ける。 幾度も啄み。 容赦無く舐め上げ。 音を立てて吸い。 髪を乱して指を噛み、思わず提督の頭を鷲掴みにして小刻みに震え始めた赤城が気を遣るかと思われた寸前―― 提督は、舌での愛撫を止めた。 「赤城。…抱かせて貰うよ。僕ももう、我慢ならない。今日の君は、愛し過ぎる」 「はい。私も、なんだか嬉しすぎて、気持ち良すぎて、おかしくなりそう、です…」 もっと、乱れさせて下さい。 赤城はそう言いながら桜の幹を抱くように自ら後背を向けると、両脚を建たせたまま肉付きの良い臀と熱い秘所 とを愛する男に差し出した。 期待に息を荒げ、汗の雫を背の窪みに、揺れる両乳の先に滴らせ、軽く開いた内股をも淫らに光らせたその姿は 堪らなく扇情的で。 提督は劣情に完全に飲み込まれ、言葉を掛けることも忘れて取り出した自らの屹立したそれを、赤城の柔らかな 女陰にあわせ―― 一気に飲み込ませ、突き入れた。 互いの呻きが、薄紅の森に染み入ってゆく。 めくるめく夢のような、悦楽と、至福の時。 突き入れ、引き出し、その度に接合部から伝わる熱く滑る感覚が、脳天から脚先までもを、幾度も幾度も、甘く 痺れさせ。 子宮の口を先端に突かれ、恐ろしいほどの快楽に赤城が悶えると。 膣肉にきつく締め付けられ、全身で吐精を要求された提督が呻く。 幹を揺らされた桜の木から、花びらが幾重にも赤城の乱れ姿を飾った。 叫ぶように互いの名を呼び、愛を伝え合う。 更なる快楽と頂点を求め、本能のままに腰が、脚が、誘い犯すため妖しく揺れる。 ――やがて。 絶頂の嬌声が夜桜の杜に高く高く響き、尾を引いて消えていった。 (五) 翌朝。 何らの奇異もない、至っていつも通りの鎮守府の朝。調理場の匂いが、一日の始まりを告げていた。 「あ、いたいた。加賀さーん」 鎮守府食事処の長脚台の隅、他の艦娘から若干の距離を置いての朝食中に背後からいきなり抱きつかれた結果、 加賀は左手に持った白飯盛りの茶碗に不可抗力で思い切り顔を突っ込むこととなった。 「…赤城さん。今朝は随分と元気な様子ね」 赤城とは対照的に感情表現の苦手なはずの彼女は茶碗から憮然とした表情を持ち上げ、非難を込めて彼女を軽く 睨みつける――が、赤城はそれを至近距離で平然と受け止め、隣いい?などと聞いてくる。 「どうぞ」 「ありがと。間宮さん、いつもの大盛りね~」 赤城の軽やかな声が、食事処に響き渡る。以前と全く同じ、気軽さと優しさの奥に凛とした強さを感じる、加賀 の好きだった彼女の声。 「どうやら完全復活したみたいね」 「うん。心配かけてごめんね、もう大丈夫」 心配なんかしていないわ、と右隣りの椅子に着席した赤城のほうも見ず、抑揚のない地声で加賀は続ける。 「二航戦や五航戦の娘の前で、無様な姿は見せないで欲しい。それだけよ」 済ました顔で味噌汁など啜る。何故だろう、今日のは久々にとても美味しい。 「ええ。私たちは栄誉ある一航戦だものね。提督とは、ちょっと恥ずかしいことになっちゃっていたけれど…」 「関係を精算する気になったのなら、手伝うから言って頂戴」 「いいえ。私が元気になれたのは結局、提督のお陰なの。提督ともっとずっと一緒にいたい。今は心の底から、 本気でそう思ってる」 折角、気を効かせて小声で訊いたというのに。食堂にいた何人かの好奇の視線を瞬時に集めたことを本人以上に 感じつつ、加賀は思わず溜め息をつく。 「あの男は天性の浮気性よ。にも関わらず金剛さんに雷さんにと好敵手も多いわ」 「知ってる。――諦めさせたい?加賀さんは」 私の答は変わらない、と加賀は言った。 「貴女の選んだ航路を援護するわ。出来ることがあったら何でも言って頂戴」 かがさーん、と戯けて感極まった風に再び抱きついてきた親友を今度は右手で的確に阻止しつつ、加賀は僅かに ――本当に微かな――安堵と満足の笑みを浮かべていた。 (結) 幾許かの薄紅の片を乗せた晴天の春風が、爽やかに頬を撫でる。 折しも前庭に植樹された見事な数本の桜が、今にも見頃を迎えようとしていた。 蒼穹の柔らかな日差しが、木々と舗装道路と自分とを照らしている。 春の朝、大好きな人を迎え待つ時間ほどに、心を浮き立たせるものがあるだろうか。 やがて黒塗りの高級車が、正門から鎮守府正面玄関へと音もなく滑り込んできて――後部席から降車した提督を 秘書艦である赤城は笑顔で迎えた。 「戻ったよ。――桜は平気になったようだね、赤城」 「お帰りなさい。――はい、お陰様で」 互いの顔に何かを確かめるかのように、僅かな距離で立ち尽くして見つめ合う二人。 憧憬を伝達し在った記憶、そして想いを交わした記憶の幸せな共有は、そこに疑い様は無かった。 「これからも宜しく。頼りにしてるよ、赤城」 「はい、提督。全て私にお任せくださいませ」 交す微笑に情愛を伝えあうは、言下の囁き。 廻る新たな時代を祝福するは、桜花の寿ぎ。 (完) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/37088.html
熱風提督インフェカイト 火文明 (7) クリーチャー:フェザーノイド/アーマード・ワイバーン 5000 ■相手のターン中、このクリーチャーが手札から捨てられる時、墓地に置くかわりに出せる。 ■マナドライブ4(火) 自分のマナゾーンにカードが4枚以上で火文明があれば、このクリーチャーは「騎乗」を得る。 ■このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中からフェザーノイドとアーマード・ワイバーンを全て手札に加え、好きな順序で山札の下に置く。 ■アクセル(このクリーチャーにクロスギアがクロスされている時、このクリーチャーは次のAC能力を得る) AC-相手の呪文やクリーチャーの能力で、自分の手札は捨てられない。 作者:白山羊 騎乗を持つフェザーノイド。 旧型マッドネスで場に出せて、cipで手札補充を行ういわゆる提督。 さらにアクセルにより、自分の手札が相手のカードの能力で捨てられなくなる。 マナドライブを達成すれば騎乗による踏み倒しも行える。 関連項目 機動 騎乗 カードリスト:白山羊 評価 騎乗の条件をマナドライブ4に調整しました -- 白山羊 (2022-01-13 20 18 26) 名前 コメント