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俺の名は谷口。泣く子も黙る私立探偵だ。探偵だが今は休暇中なので、旅情の人となっている。 休み中は家でごろごろと寝て過ごすことが多いのだが、今日は舎弟分の長門をつれて鈍行電車にゆられ、はるばる遠方の山村までお出かけしているところである。面倒くさいのでお出かけしたくはなかったのだが、50万のためだから仕方ない。 金のためだ金のためだと自分に言い聞かせ、俺は手提げ袋をもって家を出た。持参物は財布、タオル、そして上着とズボンが各1着。 下着も上着も寝る時に洗って干しとけば翌日には乾いているから、本当は財布だけで十分だったんだが、長門が嫌そうな顔をしていたので、仕方なくタオルや上着も持参物に加えたという次第だ。こんなことで長門のご機嫌を損ねるわけにはいかないからな。 そうだ。これは単なる旅行なんかじゃない。接待なんだ。50万をかけた、お持て成しの旅なのだ。 ~~~~~ ススキの野原の中を無理矢理切り拓いたように敷かれたレールの上を、ごとごと走る電車にゆられること1時間。眠くて眠くてしかたなかったから、誰もいないガラガラの車輌の中で俺はしどけなくもシートの上に横たわっていた。 せっかく旅行に来たんだからもう少し粘って窓外の風景に目を向けてみよう、と最初のうちは思っていたが、行けども行けどもススキばかりで変わり映えのない山間風景に飽きてしまい、10分でまどろんでしまった俺を誰が責められよう。これでも長門より、3分長く起きていたんだぜ。 紺の制服に身をつつんだ車掌らしき人物に起こされて、目をこすりながら時計を見ると出発から1時間が経過していた。 終点ですよと苦笑する車掌さんに社交辞令を一言のべて、どうもどうもと繰り返しつつ俺はまだ半分眠っている長門の背を押して電車を降りた。 人の好さそうな初老の車掌さんに手を振って見送られ、俺たちは廃れかけた山間村の駅を後にした。 山麓の平野に流れる空気は街中のそれと違い、コンクリートや車の排気ガス、鉄臭さがまったくない。直で草木をイメージさせる新鮮な土臭さがとても快い。四肢を思い切り伸ばしてビリビリ痺れるような感覚を感じながら、たまった疲れを一気に発散してようやく俺は旅行に来てよかったと思うのだった。 「………さむい」 木枯らしの中、長門は上着の襟首を縮めてちいさく身震いした。 このへんは近代的なビルや、ガスをぶりぶり放出する車も見かけない。ただ深々とした清澄な空気が流れているだけだ。そりゃ街中や締め切った電車の中に比べれば、ダンゼン寒いさ。 しかし実に清々しい気分じゃないか。寒さなんて忘れてしまうくらいにいい気分だ。見ろよ、あの山稜を。雄大な大自然そのものじゃないか。この鳥の鳴き声も、クラシック音楽の生演奏のように心地よい響きだと思わないか? まったく素晴らしい! いくら物質文化が進もうとも、こうして豊かな自然に直面してみれば、やはり人間はこういった草木や土や水とともにあってこそ生を満喫できるんだと実感させられるね! なあ、長門くんもそう思わないかい? 「………さむい」 ……そうだね。寒いね。 日に褪せた駅を出発して田舎道を歩いていると、ようやく長門も完全に目が覚めてきたようで、自分の荷物を俺におしつけて興味深そうに辺りをキョロキョロと観察していた。 俺はホテルのボーイじゃないんだぞと言って長門のリュックを放り投げたくなったが、そこは俺も大人だ。我慢だ、我慢。50万、50万。 「………どこに行くの?」 頭上をぐるぐる回っているトンビに目をやりながらつぶやく長門の言葉を聞いて、俺はまだこいつに目的地を告げていなかったことに気づいた。黙って俺についてこい!と事務所でタンカを切ったことは覚えているんだが。 こっから5,6km歩いたところにある、山の麓の村だよ。名前は、ええと何ていったっけ。市町村合併があって名前が変わったと聞いたのは覚えているんだが、忘れちまった。ええと、なんだったっけ。おか……おかめ……おかま……そうだ、岡部村。岡部村だった。思い出した。 その岡部村で明日、新嘗の祭があるんだ。新嘗っていうのは、稲の収穫のことだな。ネット上で知ったんだがその祭で、一大ビックイベントが執り行われるんだとさ。 「………ビックリイベント?」 そうだ。ビックリするようなイベントだ。なんでもその祭の最中、村のご神体である山神の像が100年ぶりに、一般向けにご開帳されるんだと。100年に1度しか開帳されない神様の像というだけでも驚きなのに、その像は噂によると純金製だって言うじゃないか。純金だぞ、純金。すごくね? 「………やれやれ。何かと思えば、また金ですか。賞金とか生活費とか純金の神様像とか。最近兄貴が口にするのはどれもこれも、金、金、金」 なんだよ。金に目がくらんで悪いのかよ。金、金、金と言ったって、別に俺はその金を不正な手段で得ようとしているわけじゃないんだぞ。ただただ不自由のない生活を送っていけるだけの金がほしい、と願っているだけなんだ。実にささやかであって、なおかつ慎ましやかな願望だろ。 生きることに情熱を燃やせるって、素晴らしいことじゃないか! 「………金以外に、夢はないの?」 夢なんて見ていられるのは、夢を見る余裕のあるうちだけだぞ。つまり今の俺は夢を見る余裕もない生活をしていてだな、当初の夢は金を手に入れることになっているのだ。そうだな、たとえば50万円くらいのまとまった金額だ。 わかるか? 夢=金なんだよ。ゲゲゲの鬼太郎の第二期エンディングテーマでも歌われているだろう。金がなきゃ夢もない、この町に暮らすおばけもつらい、と。 「………すごく分かりやすい夢」 だろ? 俺もそう思う。金を手に入れるのが当初の夢だが、夢も金で買える世の中だ。金さえあれば夢なんてどうとでもなるさ。夢は具体的であればあるほど現実に近づくのさ。 「………お金で夢は買えるかもしれないけど、夢のない話」 ~~~~~ 落ち葉の積もった獣道を歩き、太陽が西にかたむきかけた頃、ようやく深い木々のシルエットの合間から人里が見えてきた。 「………よ、ようやく着いた。こんな山道に入り込んで、道に迷ったのかと思った」 何を言う。地図だってちゃんと持ってきてるんだ。迷うはずがないじゃないか。黙って俺に着いてこいって言ったろ? あんまり深い森の奥に入りこんでしまったし、途中からまともな道もなくなったから、内心かなりドキドキしていたことは認めるが。それでも俺は、自分を信じ、自分の選んだ道を突き進んできてよかったと思っている。 「………私は、森の奥につれて行かれて50万円のために亡き者にされるのではないかと、別の意味でドキドキしていた」 なるほど。その手があったか。 俺たちが艱難辛苦の末、ようやくたどり着いたこの岡部村は、山間に位置する寒村……といっても過疎にあえぐ廃村寸前の集落というわけではない。山間部を移動する際には便利な交通の要所でもあり、小さな町程度には整備された、割に大きな村落だった。 数年前に市町村合併したこともあり、地図上での扱いは村から町に昇格し、いろいろと行政の手がはいっているようだったが、今でもこの辺は旧地区名で岡部村と呼称されているようだ。 俺と長門は昭和の雰囲気漂う田舎町を疲れた足で見物して回った。朽ちかけた小さなネオンが路脇にひっそりと建っているあたりが、まったくもって昭和らしい。 「………ねえ。町の見物は後回しにしない? 遭難寸前の慣れない山道で私は疲れた」 俺の段取りが悪かったと暗にほのめかす口調で、トゲトゲしく長門がぼやいた。あれもちょっとしたレクリエーションだったと割り切ってくれよ。 電話で聞いた話によれば、俺が予約している民宿はこの辺りにあるという。民宿の屋号は「おかべ」。村の名前をそのままつけただけの、実に分かりやすい安直な名の宿だ。 「………山間の村というから、見渡す限りの田園と丘陵に囲まれたゲゲゲの鬼太郎に出てきそうな村を想像していたけれど、そうでもないことに驚いた。老人しかいないと思っていたけれど、私と同い年くらいの子たちもいるようだし」 ママチャリで並列走行する女子高校生の一団とすれちがう。長門はずいぶん意外そうに、その後ろ姿を見送っていた。どんな先入観を持って来たんだよ。携帯電話やラジオの電波が届かない村とかならあるが、さすがにそんな村はないだろう。そこまでいくと村じゃなくて集落だろう。妖怪ポストでもあると思っていたのか。 そうこうしていると、村の商店街の脇に『民宿おかべ』という古ぼけた看板を見つけた。こういっちゃなんだが、長門に指摘されるまで、俺はそれがただの駄菓子屋だと思っていた。それくらい小さな民宿だった。 確かに経費をおさえるために安い宿を選びはしたが、よもやこれほど小さいとは。せっかくの旅行なのに宿が気にいらないと長門がごねやしないかと心配していたが、意外にも長門はこの民宿を気にいったようだった。 「………これこそ寒村といった風情で、イメージにピッタリ。民宿はこうでないと」 だから寒村じゃないって。こいつの感性もいまいち理解しがたい……。 民宿ののれんをくぐると、ガタイのいいスポーツマンタイプの男性が奥から現れた。 小さい民宿だとばかり思っていたが、意外にも奥行きがある。もしかしたら、ここは長屋のように細長い家屋なのかもしれない。 岡部と名乗った宿の主人は、熱血漢然とした顔を嬉しそうにほころばせ、俺たちを中に招き入れた。 「実は私、ハンドボールの全国大会で優勝したことがあるんですよ」と人の好さそうに語る岡部さんの後について板目の廊下を歩いて行くと、障子に区切られた部屋に通された。どうやらこの2階の一室が、俺たちに割り振られた寝所らしい。一室といっても部屋の間は襖で仕切られているから旅の男女2人客にも安心だ。 部屋に荷物を置き、ブラインドを開けてみる。薄暗かった部屋にさっと明るい陽の光が差し込んだ。窓を引くとサッシのすれる音とともに肌寒い空気が流れ込んできた。 この界隈にはビルなんて無粋なコンクリートの塊はなく、見渡す限り1階か2階建ての木造建築ばかりだ。2階に位置する窓から外を見渡せば、商店街の有り様が一望できる。ささやかなジオラマ景観ではあるが、絶好のロケーションだ。 「お客さんたちも、あれですか。明日の新嘗祭の見物に来たクチですかね」 物置から布団を担ぎ出しながら、主人の岡部さんがそう尋ねる。ここは観光要素などまったくない静かな山村だ。旅行客がくるとしたら、それが一番大きな理由なのだろう。 「………そう。黄金の像を見学にきた」 ふんふんと鼻息をもらしながら長門はそう答えた。あまり興味なさそうに振る舞っていたくせに、やはり長門も100年に一度しか公開されない純金の像には好奇心をくすぐられていたらしい。 「100年に一度しか開帳されないから、地元の人間も神様を見たことがなくてね。いい年した中年たちも、明日の祭は楽しみなんですよ」 長門の様子におかしくなったのか、白い歯をむき出しにして岡部さんは快活に笑った。 そりゃ100年に一度しかお目にかかれないお偉いさんなんだ。当然誰も知らないだろうよ。110年くらい生きてるご老体がいたら話は別だが。 けっこう宣伝もされてるみたいだし、さぞかし明日の新嘗祭は盛大なものになるんだろうな。今から楽しみだよ。あちこちからマスコミ関係者も集まってくるんじゃない? インスタントカメラの買い占めしておけば大もうけウハウハ間違いなしんじゃね? 「………またお金の話」 辟易した長門の横目を無視していると、岡部さんが苦笑まじりにお茶菓子の入った盆を机の上に置いた。 「村のご神体は撮影不許可なんだよ。記者が来て取材をする分には構わないが、カメラやビデオの類は持ち込みできないんだ」 「………それでこそ未開の山村の神様。霊験あらたかでありがたみがある」 神妙な顔をして長門がうなづいた。だから未開の地じゃないって。どういうイメージを持ってきたんだよ。アマゾンにでも来たつもりなのか? さわやかな笑顔の似合う主人と世間話をしていると、下の階から引き戸の開く音とごめんくださいという控えめな男の声が聞こえた。 「おっと。予約をされてたお客さんが到着したようです。お出迎えに行ってくるんで、それじゃ、ごゆっくり」 慌てた様子で岡部さんは手をふり、部屋の障子を閉めて階段を下りていった。 俺たち以外にも宿をとっていた旅行者がいたのか。俺が思った以上に、この村の収穫祭は有名なのかもしれないな。 有名で規模の大きなお祭りなら、イヤでも気分は盛り上がるもんだ。これで長門がいい気分になってくれれば、俺も50万を手に入れられる。そうなれば長門もハッピー、俺もハッピーでいいことづくめ……って、さっきから長門が部屋の窓から外に向かって手を振っているようだが、なにしてるんだこいつ。村の小学生にでも呼びかけているんだろうか。精神年齢が近い分、共感するものがあってもおかしくはないだろうが。 「………ちがう。小学生ではない。あなたもよく知っている人がいる」 俺もよく知っている人? はて。こんな辺鄙な村に知り合いなんていないが。 誰だろうと思い、俺は長門の横から窓の外へ首を出す。民宿の表庭が見渡せる。そこには、見覚えのある人物が上を向いて笑顔で手をぱたぱたしていた。 「長門さんがいたからもしかしたらと思ったら。やっぱり谷口くんもいたのね」 あぜ道に咲いた一輪のチューリップのように華やかで美しい女性がそこに立っていた。 朝比奈さんじゃないですか。こんな日本の隅っこみたいな場所で会えるなんて、奇遇ですねえ。いやあ、はっはっは。嬉しい偶然だな。 いや、ちょっと待て好青年。朝比奈さんがいるのはいいが、この人がいるということは、まさかオプションであの男もいるということでは……。 にわかに嫌な予感を感じる俺の背中を長門がつつく。後ろを向けという合図だろうか。天使のように微笑む朝比奈さんに挨拶して後ろを振り向くと部屋の入り口に、オレンジ味と思って飴を口に入れたらミント味だった子供みたいに苦々しい顔をしたキムチ男が立っていた。 「……なんでお前がいるんだよ」 ……なんでお前もいるんだよ。 ~~~~~ 以前海へ旅行に行った時に友情を固めた朝比奈さんと長門はこの思わぬ再会に喜び合い、部屋の真ん中できゃっきゃと楽しそうに話している。 俺とキョンは畑の畝みたいに狭いベランダに出て、お通夜のようにぽつぽつと話し合っていた。朝比奈さんや長門から見れば、俺たちはベランダ際で肩を並べて外の風景を眺めつつ、静かに積もる話などを訥々と語り合っている友人同士に見えることだろう。 しかし今の俺たちの会話は、そんな朴訥なものではない。偶然にも出会ってしまった2組の旅行者の今後の対応策を模索する緊急シリアス臨時サミットなのだ。 「俺も朝比奈さんもさ、仕事の合間をぬってようやく楽しみにしてた旅行に来られたんだよ。そりゃ大勢でわいわい言いながら楽しむ旅行もいいけどさ、今回は2人きりでゆっくり過ごしたいと思うんだ。だからさ、あれだよ。なんて言うか、空気よんでくれない?」 山端にかかる積乱雲を眺めながらキョンが湯飲みをかたむけた。 俺もかくかくしかじかなワケがあって、今回の旅はしくじれないんだよね。だから俺としても今回ばかりは慎重に行程を進めたいと思っていたところなんだ。だからさ、頼むよ。俺の顔を立てると思って手をひいてくれないかな。いや、マジで。 遠くの方で、祭の開催決行を告げる空砲の音がした。 「利害が一致するなら、話は早いな。俺もお前も互いに干渉し合わないということで行こうじゃないか」 ああ。その件については異存ない。 ある程度予想はしていたが、俺の意見もキョンの意見も基本的な部分ではまったく同じで共通していた。 例の海の件といい夏祭の件といい、とにかくこいつがからんでくるとろくなことがない(それはキョンにとっても同意見なのだろうが)。穏便に丸く収まる事も、俺とキョンが関わり合うと化学反応をおこしたように腸捻転にねじれておかしくなってしまうのだ。 それが分かっているから、互いに干渉しあいたくないという点では俺もキョンも同意見なのである。 同意見なのだから両者が協力し合ってスケジュールを円滑に運べるよううまく調節しよう、となればいいんだが、しかし積年のつらみがあって俺もキョンも相手に譲歩しようなんて殊勝な心根はないわけで。 「なあ谷口。この向こうの国道沿いにビジネスホテルがあるらしいぞ。こんな小さな民宿より、そっちの方がいいんじゃないか? きっとここより便利だと思うぞ。宿を変えてみたらどうだ?」 いやいや。俺はお前とちがって貧乏だからさ、予算的にも、ちょっとね。それに貧乏性だからさ。こういうこじんまりとした宿の方が落ち着くんだよ。うん。 お前のマンションって立派なところだよな。住み慣れたマンションに比べて、こんなボロい民宿じゃ居心地悪いんじゃない? ビジネスホテルの大きい部屋ならまだマシなんじゃね? そっちに移ったら? 「いやいやいや。こういう和風で情緒ある宿っていうのもたまにはいいじゃないか。手狭でも、自宅とまったく違う環境だと新鮮で楽しいもんだよ。お前がビジネスホテル行けよ」 お前はよくてもさ、朝比奈さんがかわいそうだよ。お前は川原で寝袋かぶって寝ても平気かもしれないけどさ。朝比奈さんも慣れない田舎旅で疲れてるだろうし、広い部屋でのびのびしたい気分なんじゃない? 彼女のためにも、お前が行けよ。 「朝比奈さんが、たまにはこういう民宿もいいだろうって言ったんだよ。つまり俺たちがここにいるのは朝比奈さんの希望なんだ。お前こそ、長門さんのためにも上等なところに宿を移すべきなんじゃないのか。彼女、見たところ運動とか苦手そうだし。ゆったりできるホテルで休ませてやるのが年長者としての義務なんじゃないのか。出てけ」 心配無用だ。あいつはああ見えて、一人でほいほいデスバレーに出かけて行くくらい神経の太いやつなんだ。富士の樹海に分け入っても平気な顔して出てくるだけのタフさはあるんだぜ。お前だけ出てけ。 「ほんと、マジで。マジだから。300円やるから出てってくれよ」 300円で宿かえるって、どんだけだよ。せっかくだからお前、人生の後学のためにもここらで野宿でもしろよ。もう、マジで。 「マジで?」 マジで。 清水寺の舞台上から眼下を眺める観光客のようにしんみりしていた俺とキョンは、障子を開けて入ってきた岡部主人の遠慮がちな声でふり返った。 お休み中すいません、と言って部屋の入り口で困ったふうな笑顔で笑っている岡部主人の手には、黒い布製の背負い袋が握られていた。 「あれ? それ、キョンくんのバック……?」 ああ、やっぱりそうでしたか、と呟きながら岡部さんはキョンの物らしい背負い袋を畳の上に置いた。 「他のお客さんが似たようなバックを持っていてですね。どうやら朝比奈さんが、そのお客さんのバックをご自分の物と間違われて持って行ってしまったみたいなんですよ」 岡部さんから受け取ったバックの中身を確認し、ああ!と素っ頓狂な声をあげる朝比奈さん。なんだかよく事情が飲み込めなかった俺だったが、目の前の状況を見ていて、なんとなく分かってきたぞ。 おそらく、朝比奈さんが間違って見ず知らずの人のバックを持ってきてしまったということなのだろう。なるほど。そこにある2つのバックを見比べてみれば、まったく同じ物としか思えないほどそっくりだ。これじゃ朝比奈が間違えるのも無理はない。 「ごごごめんなさい! キョンくんのと間違えて見ず知らずの人のバックを持ってきちゃうなんて……」 顔を真っ赤にしてぺこぺこ頭を下げながら、朝比奈さんは岡部さんに脇に置いてあったバックを差し出した。 「私ったら、なんてことを……」 誰にでも間違いはあるものですよ、朝比奈さん。気に病むことはありません。むしろ、朝比奈さんに自分の袋を持たせたこの男に非があるのです。そう、悪いのは全てこのキムチ男です。 「違うの、谷口くん。キョンくんが岡部さんと話をしている時に、私が勝手に床に置いてあったバックを持ってきちゃったの。だから、私が悪いのよ」 大げさなほど手をふってキョン悪人説を否定する朝比奈さんの前に、真剣な顔つきでキョンが膝をつく。 「違うんです、朝比奈さん。俺も朝比奈さんが背負い袋を持って行くのを知っていたけれど、それが自分の物だと勘違いしていたから敢えて口にせず任せていたんです。だからやはり俺にも責任があるんです」 「ううん。それでもやっぱり、バックを間違えた私が悪いの。ろくに確認もしなかったんですもの」 「いえ、紛らわしいところに袋を置いた俺が悪いんですよ」 なんだこの2人。俺たちの目の前で、俺が悪い私が悪いとエンドレスに自責を続けるバカップル。 なんかもう相手をするのも疲れてきたのだが、何故こうもバカップルはところかまわずイチャイチャイヤンモードに突入できるものなのか。今に始まったことじゃないとはいえ、モラリストであるところの俺には理解しかねるね。 手に手をとりあう2人の男女を前に、果たして俺たちは今どういう行動を起こすべきなのかを考えあぐねていると、何者かがドカドカと階段を上がってくる足音がきこえてきた。 階段を登ってきた足音は俺たちの部屋に近づいてくると、岡部さんの後ろにまでやって来た。やたらあわただしい様子に、さしものバカップルもウッフンヘヴンから現実世界に還ってきたようだ。 「あんたらか、俺のバックを勝手に持って行きやがったのは」 不機嫌そうな口調で、目つきの悪い男が岡部さんを押しのけて部屋の中に入ってきた。悪そうな面だが、強盗というわけではなさそうだ。もしかして、この男が例のバックの持ち主なのだろうか。 「藤原さん、橘さん」 岡部さんが手に持っていた黒い背負い袋を、藤原と呼ばれた目つきの鋭い男はふんと鼻を鳴らして奪い取った。どうやらこの男性、悪いのは目つきだけでなく機嫌も相当に悪いようだ。大事なバックを勝手に持ってかれたわけだからご機嫌斜めなのも分からないではないが、それほど怒ることもないだろう、と思う。 藤原という男の横には、同じくあまり機嫌がよくなさそうな面持ちの女性が腕をくんで並んでいた。この人が岡部さんの言っていた、橘さんなのだろう。 「俺たちはあんたらみたいな呑気な観光客じゃなくて、仕事でここに来ているんだ。大事な商売道具の入った袋を勝手に持って行かないでもらいたいもんだな」 「ごめんなさい、私たちのバックと似てたものだから、つい間違えてしまって……」 おろおろと応じる朝比奈さんに、男は眉をひそめて背をむける。 「ふん。そっちの都合で迷惑を被らされた俺の身にもなってほしいもんだ」 気をつけろよと荒い語気で言い放ち、目つきの悪い男と女性は階下へ降りて行った。 残された俺たちは、一言も言葉を発することなく、ただ呆然とそれを見送っていた。 なんだあの言い草は? いくら被害者だからって、もうちょっと言い方ってもんがあるだろうに。朝比奈さんだってわざと袋を間違えたわけじゃないんだから、そこも分かってやれよ。という気持ちが憤懣と頭の片隅にくすぶっていた。 うつむいて落ち込んでいる朝比奈さんの肩に手をかけ、キョンが慰めの言葉をかけているようだった。自分の間違いに反省して謝罪しているのに、あんな態度をとられたら、そりゃ落ち込みもするよな。 はたから見ればバックを取り間違えることくらい、大した問題じゃないから落ち込む必要もないと思うんだが、心優しい朝比奈さんのことだ。あの2人連れの機嫌の悪い気色に圧されて、必要以上に罪悪感を感じてしまっているのだろう。かわいそうに。 だが、いくら言い方が厳しいからって、あの藤原さん橘さんに非があるわけじゃない。あの2人を悪者にするわけにもいかない。朝比奈さんには自分で立ち直ってもらうしかないな。 それにしてもあの2人連れ、どこかで見たことがあるような顔だったが……思い出せない。気のせいか。 ~~~~~ 少しあわてた様子で民宿おかべの一階の部屋に戻ってきた藤原と橘は、勢いよく障子戸を閉め、滑稽なほどそわそわと畳の上に座り込んだ。 「もう、どういうことよ!? ちゃんと管理しておきなさいって言っておいたでしょ!?」 「んなことは分かってるよ。俺だけのせいかよ? お前が小銭を落として見つからないから俺にも探すの手伝えって言ったから、仕方なく手伝ってやってた間のことだろ」 「それでもちゃんとしてくれないと困るわよ。目立たないように、わざわざこんな地味でボロい民宿にまで泊まってるんだから」 黒い背負い袋をはさみ、2人の男女は早口で互いに不満をまくしたて合っていた。その様子からは、仲の良い友人や恋人、肉親関係者とは思えない雰囲気が感じられる。少なくとも、2人は良好な関係にある者同士ではないようだ。ならば、何かの目的を一にする利害関係者というところだろうか。 藤原は軽く舌打ちして背負い袋のチャックを開き、中の荷物に変わりがないかを入念にチェックする。 バレーボールが2つは入りそうな深さの武骨なバックの中には、ちょっとした器物の修繕に使えそうな工具が金物箱にごっそり詰まっていた。 「まさか、見られてないわよね……」 「大丈夫だって。素人目にはただの工具にしか見えないんだ。もし見られてたって、ただの仕事道具くらいにしか思われていないだろうよ」 袋の中身を確認し終えた藤原は乱暴にチャックを閉めなおし、バックを部屋の隅に転がした。 「でも、少しでも警戒されるようなことは慎まないと」 「だから分かってるって。もうこんなヘマはしねえよ。純金の像を盗み出して高飛びするまではな」 分かってるのならいいのよ、と言って橘はため息を漏らした。それ以上彼女は何も言わなかったが、その口はまだまだ藤原に対する不満が噴出しそうに、むずむずと小刻みに震えていた。 しばらく部屋の中にはよどんだ重い空気が漂っていたが、そんな沈黙に耐えかねたのか、藤原は最高に不機嫌な表情で机に置いてあった財布を手に取ると黙って部屋から出て行った。 ~~~~~ 俺とキョンとの、表通りのビジネスホテルへ移る移らない協議は、朝比奈さんと長門の介入のため一時中断される運びとなった。廊下をはさんで向かいの部屋同士、互いに干渉しない、冷戦もやむなしという妥協案を採用し、一応の決着としたのだった。 今回は互いにフィフティーフィフティーの妥協案で手を打ち引き分けのノーコンテストとなったわけだ。 が。しかし、俺の中ではどうにも煮え切らない沸点の高い不満がゆるゆると揺らめいていた。 俺は脇で黙々と本を読む長門に目をやる。 あっち側には朝比奈さん。こっち側には長門有希。この差は一体なんなのか。表には絶対出さないが、心の中でこう感じていることは否定できない。 なんか俺、負けてない? 朝比奈さんと長門有希を比べて、どちらが人間的に上位であるのかなんて言うつもりはないよ。同じ人間に順位なんてつけられるわけがない。法律に門地や出自で人間を差別してはいけないと決められているからNGと言っているわけじゃない。どんなに社会的地位や生活環境に違いがあっても、人間は人間。同じ体組織、同じ哺乳類、同じ生物。その存在に差異などあるはずもない。 って、なんかものすごく詭弁っぽい言い訳をこねてしまったな。 理屈なんて必要ない。同じ人間に順位なんてない。まして、一介の私立探偵ごときに人の価値を絶対的に決められるわけもない。だから俺と長門有希がこっち側で、キョンと朝比奈さんがあっち側であったとしても、それを勝ち負けなどで考えること自体がナンセンスなバカバカしいことなんだよ。アーユーオーケー? アイムオッケー! イヤー! とは言ったものの。それでもやはり……ねえ。俺の価値観の中だけで通用する絶対的ランキングで言うならば、長門よりも朝比奈さんの方が上位にランクインしているという事実もまた……… いやいやいや、負けていない! 絶対に俺はキョンごときに負けてはいないはずだ! そうだよ。俺はキョンなんかに負けちゃいないんだ。俺的ランキングで長門有希が朝比奈さんより下? そんなはずはない。ほら、よく考えてみろよ。長門は長門でいい所もたくさんあるじゃないか。長門の長所は、あれだよ。 ええと、ほら……。アレだよ。ええと……家が金持ち! いや、それは長門本人の長所じゃないか。 そうだな。思いやりがあるところとか。そう、思いやりがあっていい子だよな、長門は! よくうちの手伝いもしてくれるし、そういう意味では朝比奈さんと勝るとも劣らない長所じゃないか。そう。そうだよ。長門は思いやりがあるんだよ。 自分の脳内で二転三転する議論討論の末、自己暗示チックな屁理屈で無理に自分にそう言い聞かせると、俺はうんうんと頷きながら本に熱中する長門の顔を眺めた。そう考えると、こいつも健気でかわいらしい淑女に思えてくるから不思議なもんだ。 ひとりで腕を組んでうんうんと頷いていると、不意に長門が顔をあげて俺を見返した。 「………兄貴、お茶いれて」 ………。 ご、50万のためだ。50万のため……。俺よ、我慢するんだ。 ~つづく~
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探偵のコメント一覧 たてつく助手は即刻クビ ワンマンですが仕事は確かです。 コートの裾によく足を引っかけます。 推理は得意だが実行力無し 大広間へ集めた中に犯人がいても 決して取り押さえたりはしません。 「カンと忍耐と辛抱」が信条の 忍耐と辛抱の意味が 若干カブってはいますが 問題ありません 注意深さは諸刃の剣 きちょうめん過ぎて犯人の指紋まで 拭き取ってしまわないよう注意。
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登録日:2018/05/17 Thu 11 33 49 更新日:2024/06/07 Fri 05 50 38NEW! 所要時間:約 21 分で読めます ▽タグ一覧 エルキュール・ポワロ シャーロック・ホームズ ミステリー 刑事 古畑任三郎 工藤俊作 工藤新一 左翔太郎 探偵 探偵役 探偵物語 推理 推理小説 推理漫画 明智吾郎 明智小五郎 死神 殺人事件 毛利小五郎 私立探偵 職業 興信所 金田一一 金田一耕助 探偵とは、職業の一つ。 同時にミステリーにおける役割の一種でもある。 「私立探偵」としばしばいわれるが、じゃあ「公立探偵」とは何かと言うと、普通の刑事のことである。 ちょっと複雑だが、元々事件の捜査をする人のことを明治時代の日本では「探偵」と呼んでおり、(*1) 海外から流入したミステリーの主人公は「私人だけど事件の捜査をやる」ということで「detective」の訳語として「私立探偵」を当てた。 その後日本で普通の探偵事務所が開業するようになった際に、そちらもミステリーから引用してそのまま「探偵」と呼ぶようになった。 つまり、日本における「私立探偵」という呼称は元々はミステリーの主人公から来た単語なのだ。 現在では「公立探偵」という呼称はまず使われなくなっており、「探偵=私立探偵」という認識がほぼ完全に定着したと言っていいだろう。 ●目次 (リアルの)職業としての探偵 フィクションでの探偵有名な私立探偵たち 有名なミステリーの刑事 「探偵役」色々と変わり種の職業の探偵役たち (リアルの)職業としての探偵 他人の秘密を密かに調査することを生業とする人のこと。 あえて悪く言うなら「職業ストーカー」。 「探偵事務所」ではなく「興信所」という名前で営業していることも多い。 主な仕事は、浮気調査・素行調査など。 後述するようなフィクションでの探偵とは異なり、自ら事件に関わり解決していくようなことは基本的にない。 積極的に捜査に関わることは平たく言って捜査妨害でしかないのでむしろ犯罪であり、悪質な場合は探偵自身が逮捕されることとなる。 また、事件を知り得たとしても出来ることは通報程度である。現行犯逮捕(私人逮捕)ならば可能だがこれは探偵以外の一般人と同様である。 ただし、やっていることの関係上、「知らなくていい」ことを知ってしまう可能性の高い職業ではあるので、 犯罪行為に巻き込まれる可能性は他の職業に比べたら高いと言えるだろう。 なお、「他人を尾行してその行動を調査する」ことに関してはグレーゾーン。 また、「業務上知り得た情報を依頼者以外に公開する」「犯罪行為に使われると知りながら調査する」などは明確にアウトである。 あくまで、「依頼者が個人的に依頼した内容について依頼者と探偵の間でのみ情報をやり取りする」ことだけが認められている。 所謂、一部公務員でもよくある守秘義務みたいなものである。 調査をする権限はあるが、調査をして見つけた証拠をどう使うかは依頼者に任される。 裁判をするなどして責任を追及したり、金銭を要求したりするなら、それは弁護士などの仕事。 探偵が裁判や相手から金銭を回収する交渉の代理をすることは弁護士法に触れる犯罪である。 なお、探偵だからと言って『探偵業の業務の適正化に関する法律』で保護されているわけではなく、他の法律も守らなければならない。 つまり、探偵業にほぼ必須の盗撮の類に関してもグレーゾーンというわけ。 具体例を挙げると、盗撮については、探偵業でのみの使用・必要な部分のみ撮影・データをばら撒かない・性的な部分を撮影しないなど、 極力違法にならない様に注意する必要がある。 盗聴については、録音機材を持ち歩いて録音している程度ならばグレーで済むと思われるが、盗聴器の設置は自分の物品でも無い限り複数の法に引っ掛かる。 これは盗撮でも同じことが言えるのだが、盗撮と違ってその性質上盗聴は証拠としては役に立ちづらく(声の主が誰か分かりにくいため)、 実際のまっとうな探偵業で行われることは少ない(はずである)。 ついでにこれらが何故グレーゾーンなのか説明すると、 下手に規制すると探偵業のみならず、一般人のただの風景撮影や電波を傍受して聴くだけなどの行為にも影響を与えるためだと思われる。 合法というわけではないので、怪しい場合は一般人だろうが探偵だろうが職質されることとなる。 もちろん注意していればそうそう犯罪にならないからといって、 「趣味で探偵じみた行いをやってます」の様な動機ではストーカーや迷惑行為やら何やらとして訴えられたり、敗訴したりする可能性が飛躍的に高まるだろう。 仮に訴えられずとも周囲から不審がられるのは間違いない、というかむしろ当然そうなる。 探偵の場合はあくまでも「依頼されたので業務上やむなく」といった趣であり、 悪質でなければ事情を汲んでもらいやすかったり、頼んだ方の責任になりやすかったりというだけの話。 重ねて書くがあくまでもグレーゾーンなだけであり、細かい配慮が必要とされる。 最近は「DVをふるう夫が逃げた妻を探す」「ストーカーが逃げた被害者を探す」といったように、探偵を悪用する依頼者もいる。 ストーカーが被害者の所在を探偵に依頼して突き止め、結果として被害者が殺されてしまったという事件も起きている。 もちろん真っ当な探偵は依頼者の目的がストーカーなどと分かれば断るのだが、ストーカー依頼者がバカ正直に目的を話すはずもなく、「金を貸していた」とか「知り合い」などとごまかして依頼しようとすることもある。 最近は探偵側も神経質になってきており、依頼者に不審な点がある場合には依頼を受けないケースも少なくないようである。悪い目的がなくとも、見栄を張って嘘をつくだけでも怪しまれると思った方がよい。 一歩間違えば凶悪犯罪者に加担し、重大な責任を負いかねない以上、探偵側も融通を利かせられないのである。 眉間に銃弾を撃ち込まれないだけましだと思おう。 地味に「どうやって就職するのか」が謎な職業の一つではないだろうか? 実は日本においては国家・公的資格や免許の類は一切ない(上述の法案により、公安委員会への届け出が必要なだけ)ので、 ぶっちゃけ身近な探偵事務所のドアを叩いて採用されればそれでOK。 その気になれば自分で探偵事務所を開いたとしても全く問題はない。 フィクションでは何でも屋じみた探偵も割と多いが、ここらは現実と大差ない。 探偵事務所の設立も普通の事務所設立と大差ない(適切に運営できるかは問題だが)が、前述の件から人によっては難易度が高いだろう。 アメリカでは免許制度が確立しているなど、探偵の扱いは国によって異なる。 日本では法整備が整っていたとは言えず、上記の「探偵業の業務の適正化に関する法律」も、2007年6月1日に施行された。 免許制度が存在しないため、悪徳探偵業者も少なからずいるのが実情である。 探偵が調べれば依頼者にとって都合のいい結果が出るとは限らない。 腕のいい探偵が浮気調査をしたが、浮気が冤罪だったり、調査期間には全く浮気をしなかったりすることだってあり得る。 それをいいことに、依頼料だけもらってろくに調査もせず、「やっても成果が出なかった」と開き直る探偵は後を絶たない。 また、前記した通り探偵は調査しかできず、金銭の回収は弁護士などの仕事だが、 「悪徳商法に引っかかったでしょ?自分たちに頼めばお金を取り返せる」と突然電話をかけてきて勧誘をする探偵もいる。 こういう探偵はほぼアウトと思っていい。 探偵に裁判の結果が分かる訳がない(そういうアドバイスをすること自体が弁護士法違反)し、 そもそもそんな電話をかけてくる時点で、悪い奴らから被害者の名簿を手に入れてカモを探している可能性が非常に高い。 探偵を頼むときには、安易にインターネットの広告に頼るのではなく、探偵業の協会などに所属して紹介を受けるなど、少しでも情報を集めて信頼のおける探偵を選ぼう。 フィクションでの探偵 前述のような現実的な探偵が活躍するストーリーはあまりない。 あったとしても大抵は名前もない端役で、物語の本筋にはあまり絡まないケースが多いだろう。 もちろん本来の業務が上記のものである私立探偵自体の登場はある。本業よりも描写される殺人やら泥棒やらの事件があるだけで。 フィクションでは「難解なトリックの用いられた犯罪行為を持ち前の推理力で解き明かし、真実を見抜く」という、 よくよく考えるとどこに需要があるのか謎な 仕事をしていることが多い。 というかそんな頻繁に警察にも解けない複雑な謎に満ちた犯罪行為の起きる世界は嫌だ ライバルとしての怪盗がいるか、そうでなければ単発の殺人はじめ諸々の事件を捜査するケースが多い。 なお、探偵業務とは端的にまとめると情報収集とそれの報告なので、推理は探偵業務ではなかったりする。 一部作品では「探偵と言えば浮気調査だろ!」なんて意見がネタにされることも。まあ、それでも殺人事件とかに巻き込まれるんですけどね。 「なんで警察官が主人公じゃダメなのか」とはしばしば言われるが、 警察だとどうしても組織のしがらみや各種法制度などに縛られてしまうため、物語上の都合や、奇抜な発想で大胆に謎の本質に迫るということがやりにくいのが大きな理由だろう。 下手に好き勝手に活躍すると「組織や制度を無視し過ぎ」「そこは〇〇の担当だろ、何勝手にやっちゃってんだよ。」などの批判を浴びかねない。 警察は強い権力を持つが故に安易にそれを振るうと職権乱用などと世間の非難を受けてしまうが故、 人に依頼されたからと言ってほいほい調査するなんてことはできないため、物語の導入がややしにくいということもある。 警察が人海戦術で容易に解明できる事件では面白くもなんともないという側面もある。 フィクション作品内の名探偵達の中には「刑事事件捜査の民間協力者」という立場を認められ、警察サイドから依頼を受けて事件に関わる者も多い。 逆に警察官が主人公のミステリーだと「真実の探求と組織への従属」の二律背反に悩まされるパターンが多い。 また、「あまりに奇妙すぎて警察が相手にしてくれない」という謎に挑むケースもある。 一昔前の子供向け作品だと、「ほとんど調査も推理もしない主人公が探偵」という作品が非常に多かった(例 まぼろし探偵(*2)、名探偵シャーロックホームズ、透明少年探偵アキラ)。 この手の作品だと探偵はほぼ肩書のみで、子供受けがいいので探偵を名乗らせているだけである場合が多い。 事件が起きれば解決に努めるのはヒーローの必須条件だしね。 「探偵の七つ道具」と呼ばれる道具セットを持っていたり、それをもじった霊界探偵七つ道具や魔界777ツ能力といった神秘の道具を持っていたりもする。 有名な私立探偵たち シャーロック・ホームズ 言わずもがなの世界一有名な探偵。「探偵小説」という形式を確立した偉大な人物。 近年では英霊化したことも。 エルキュール・ポアロ 現場を徹底的に調査するホームズとは異なり、周辺人物への聞き込みや伝聞情報を主として真相を暴きだす元警官の探偵。 「灰色の脳細胞」というフレーズで有名(灰白質のことを指しており、灰色が特別さを出しているというわけではない)。 ネロ・ウルフ いわゆる「安楽椅子探偵」のひとり。 「安楽椅子探偵」とは、自身が一切事件現場に出向くことなく、助手や依頼人などから聞いた話のみをもとに事件の真相を推理する、といったタイプの探偵(または探偵役)。 「謎解きはディナーのあとで」の影山や「火曜クラブ」のジェーン・マープルなど、職業探偵ではないキャラクターにこのタイプが多いが、ネロ・ウルフはれっきとした私立探偵。 ネロの場合、助手のアーチーらを調査員として用い、彼らが集めたデータを元に事件の謎を解く。 ネロ自身は外出嫌いで、事件現場はおろか家から一歩も出てこない。 フィリップ・マーロウ レイモンド・チャンドラーが生んだハードボイルド探偵の金字塔。仕事内容は割と現実の探偵に近い。 「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というセリフは有名で、よく引用される。 このWikiに項目のあるキャラクターだとルルーシュ・ランペルージや鳴海荘吉が有名どころか(*3)。 ……実はこの日本語訳自体は誤訳、しかも出処不明の胡散臭い物だったりはするのだが(こちらも参照)。 オーギュスト・デュパン エドガー・アラン・ポーが生み出した世界初の名探偵。 短編の一つ「モルグ街の殺人」は、密室ものの元祖として有名である。 エイドリアン・モンク 金田一耕助 横溝正史が生んだ日本の名探偵の代表格。冴えない外見ながら抜群の推理力を誇る、というキャラクター像は以後の和製探偵の標準となった。 名の由来は国語学者の金田一京助。(国語学者金田一秀穂の祖父) 明智小五郎 江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズなどに登場する探偵。 当初は金田一同様のダメ男風だったが、ジュブナイル向けに展開されるに従って、スーツ姿で颯爽とスポーツカーを乗りこなすヒーロー然としたキャラに変わっていった。 ライバルの怪人二十面相の捨て台詞「さらばだ明智君」で有名。 神宮寺三郎 今は無きデコが産み出した神宮寺三郎シリーズの主人公。 彫りが深い顔付きにがっしりとした体躯、マルボロとカミュがトレードマークと、所謂ハードボイルドなキャラになっている。 本人の纏う雰囲気からは想像出来ないが、「祖父は日本初の職業探偵」「父は世界的なコンツェルンの総帥」という出自であり、実はかなりのお坊ちゃんである。勿論ともだちんこはやらない 平賀=キートン・太一 厳密には保険会社ロイズからの調査依頼を受ける探偵事務所の保険調査員。元軍人な考古学者でもある。 毛利小五郎 当初はたまに浮気調査を受けるくらいで、飲んだくれダメオヤジ状態だったが、徐々に難事件を解決した功績が評価されるようになった。 他のフィクションの探偵と比べると、事件のない時は現実の探偵に近い仕事をしているが、有名になり顔バレをしているせいで依頼が来ない日が続く事も珍しくない。 その探偵業務を行うにあたっては「私的な興味で探ることはしない」などの一定のポリシーがあるため、自身が気になる有名人の素行調査も依頼がくるまで行わなかった(無償でやっているが)。 L 空木俊介 ファミコン探偵倶楽部に登場する私立探偵で、事件の調査を主人公に頼んだりする。 八神隆之 JUDGE EYES:死神の遺言に登場する私立探偵(という体裁の何でも屋)。 元弁護士のキムタク。 JDC/日本探偵倶楽部 清涼院流水のコズミック、ジョーカーなどに登場する探偵で構成された組織。法務省から許可証が出ているので国家公認とはいえる。 どいつもこいつも変なキャラクターと変な推理法を持つ。 西尾維新・舞城王太郎・大塚英志による作品もある。 杉村三郎 宮部みゆきの小説(杉村三郎シリーズ)に登場する主人公。最初は妻の父の会社に勤務していたが、2作目である探偵と出会い死後その資料にも触れ、3作目の最後で退職 離婚した後、4作目の『希望荘』から探偵に転職した。 作風的に良くも悪くもリアルの探偵に近く推理よりは調査が主で、5作目の最後では自分が達成した依頼が切っ掛けで事件が起こるという皮肉な悲劇に遭遇する事に…。 サム・スペード コンチネンタル・オプ リュウ・アーチャー スペンサー コーデリア・グレイ タカギ・ガンドー ニンジャスレイヤーに登場する私立探偵。第二部「キョート殺伐都市」におけるフジキドのパートナー。 キョートのアンダーガイオン第13層という地獄めいた環境で生まれ育ってきたためか「アンダーガイオンの闇に光を当てたい」と考えるようになり、 もっぱらアンダーガイオンの金にならない仕事を請け負う。 探偵ならではの優れた思考能力や行動力、実際広い情報網、ナンシー・リーには及ばないものの一流のハッキング能力、ピストルカラテを用いた高い戦闘能力、明朗快活な性格と カートゥーンの主人公めいた完璧超人に思えるが、重度の薬物中毒者でもありたまにヘマをやらかす。 有名なミステリーの刑事 上記の公立探偵にあたる。 ジュール・メグレ ジョーゼフ・フレンチ フランク・コロンボ ロス市警殺人課の警部補だが、日本語版では語呂の良さから警部と呼ばれる。 古畑任三郎 上記の刑事コロンボに大きな影響を受けたキャラクター。 十津川省三 十津川警部シリーズの主人公。よく鉄道がらみの殺人事件を捜査する。 杉下右京 警視庁の窓際部署である特命係の警部殿。 記憶力、洞察力、行動力、そして何より権力にも臆さない正義感の持ち主。 余りにも組織向きではなさ過ぎて、窓際部署で飼い殺しにされているが、毎回事件を聞きつけては、勝手に捜査を始めて解決してしまう。 鳴海清隆 加賀恭一郎 チャーリィ・チャン ジャック・フロスト アダム・ダルグリッシュ 「探偵役」 私立探偵や刑事が主人公となるミステリーのパターンが散々使われ、一つのジャンルとして確立してくると、 次第に「探偵」が職業ではなく物語中のポジションを表すケースが出てくるようになってくる。 あくまで物語内の謎を解き明かす役割を担っているだけであり、本来の職業は別にあるというパターンである。 しかし、私立探偵や刑事ならある程度向こうから謎が飛び込んでくるのも不自然ではないが、単なる一般人だとどうしても違和感はぬぐえず、 更に首をつっこむ行為もより違和感が強い(理由がなければ興味本位にしか見えない)ためにその辺は色々と苦労している。 例 一般人だが、多くの事件を解決した実績を持っており、警察からの覚えもいい 諸々の事情でそういう謎が多くやってくる特殊な環境にいる報道関係者・作家などの取材者 刑事の個人的な知人あるいは親族である 身の上相談・懺悔などに触れることの多い宗教家 単なる偶然 死神 なお、シリーズもの一発目や単発作品なら「偶然事件に巻き込まれただけの一般人」という形を取ることが多い。 この様な場合「自分にかかった疑いを晴らす」という目的も兼ねることが多い。 色々と変わり種の職業の探偵役たち 怪盗 アルセーヌ・ルパン 神父 ブラウン神父 平賀・ヨゼフ・庚(バチカン奇跡調査官シリーズ) 修道士 修道士カドフェル 神官 テメノス·ミストラル(オクトパストラベラーⅡ)正確には『異端審問官』であり、本人も「疑うことが仕事」と述べているほど普段から捜査の仕事をしている人物。現場の痕跡から事件をシミュレーションし、キーアイテムを見つけ出すなど探偵役としての能力は本職レベルである。 新聞記者 ジョゼフ・ルールタビーユ本名はジョゼフ・ジョゼファンなのだが、巨大な頭をしていたため、「お前の玉をころがせ」を意味する”ルールタビーユ”というあだ名が付けられている。 警察官(主人公以外) 明智健悟(金田一少年の事件簿)正確には警視。スピンオフでは学生時代や警部時代の活躍も描かれる。 安室透(名探偵コナン)正確には警察庁所属の公安警察官。現在はとある組織にも身を置いている。 ハンサム(ポケットモンスターシリーズ)『X・Y』クリア後のハンサムイベントより。正確には国際警察捜査官。 情報部員 トーマス(トミー)・ベレズフォード プルーデンス(タペンス)・ベレズフォード(トミー タペンスシリーズ) 『おしどり探偵』にて。情報機関に就職したものの事務職に回された夫と彼の冒険大好きな妻が、防諜任務として私立探偵事務所を営むこととなり、ポアロ等リアルな推理小説の探偵に自身をなぞらえながら普通の事件とスパイ関連事件に挑むことに。ちなみに家の少年従僕が助手担当。 この時はややコメディ調だったが、老境に入った『親指のうずき』・『運命の裏木戸』でも「探偵役」を務めており(従僕も継続して登場)、地道な探索や情報収集で謎に挑んでいる。 貴族 ピーター・ウィムジィ卿 ヘンリー・メリヴェール卿 給仕 ヘンリー(黒後家蜘蛛の会) 執事 影山(謎解きはディナーのあとで) 西園寺一(執事 西園寺の名推理) 弁護士 森江春策(森江春策シリーズ) ペリー・メイスン 成歩堂龍一、王泥喜法介(逆転裁判シリーズ) 成歩堂龍ノ介(大逆転裁判シリーズ) 深山大翔(99.9 -刑事専門弁護士-) 検事 柊茂(赤かぶ検事シリーズ) 御剣怜侍(逆転検事シリーズ) 岡っ引 銭形平次 半七 学者 御手洗潔(御手洗潔シリーズ)星占い師→私立探偵(犯罪研究家)→脳科学者と時代によって職業を変えている。脳科学への興味自体は探偵時代後期からあり、興味深い症例の持ち主を取材するついでに犯罪を解決したこともあった。 ギデオン・フェル博士 大学准(助)教授 神津恭介 湯川学(探偵ガリレオ) 犀川創平(S Mシリーズ) 火村英生(作家アリスシリーズ) 殺人鬼 ハンニバル・レクター(レッド・ドラゴン、羊たちの沈黙、ハンニバル)高名な精神科医でもある 学生 金田一一(金田一少年の事件簿)ただし、本格的な探偵業には元々興味がなかった為、20年後にはPR会社の主任に。 工藤新一、服部平次、世良真純(名探偵コナン) 天野 遠子(“文学少女”シリーズ)「あくまで自分は探偵でなく文学少女なので、今から話すことは妄想にすぎない」というスタンス。 白馬探(まじっく快斗、名探偵コナン) 白鐘直斗(ペルソナ4) 明智吾郎(ペルソナ5) 鳴海歩(スパイラル~推理の絆~) 藤島鳴海(神様のメモ帳) 六波羅覚(カコとニセ探偵) 桂木弥子(魔人探偵脳噛ネウロ)元々は後述の脳噛ネウロの隠れ蓑だったが、意外と適正があったことに気付いて探偵を名乗るようになった。ただしやっていることは実質ネゴシエーターに近い。 斉藤八雲(心霊探偵八雲) いーちゃん(戯言シリーズ)戯言遣いのほうが通りはいいかもしれない。 江神二郎(学生アリスシリーズ) 霧切響子(ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生) 最原終一(ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期) 探偵団 覇亜悪組(おもいっきり探偵団 覇亜悪組) 魔隣組(じゃあまん探偵団 魔隣組) 少年探偵団(江戸川乱歩) 少年探偵団(名探偵コナン) DDS(探偵学園Q) 夢が丘少年探偵団(テツワン探偵ロボタック) 電子探偵団(パソコン通信探偵団事件ノートシリーズ) CLAMP学園探偵団(CLAMP学園探偵団) 雑誌記者 キャサリン・ターナー ルポライター 浅見光彦 小説家 エラリー・クイーン著者コンビのペンネームだけでなく物語の名探偵の名前でもあるが、後々リスペクトされることが多い。父親は警視。 一色正和(鎌倉ものがたり) 法月綸太郎設定はほぼクイーンと同じ。 島田潔(館シリーズ)本来は寺の跡取り。 工藤優作(名探偵コナン) 神主兼古本屋 中禅寺秋彦(妖怪シリーズ) 古書店店主 篠川栞子(ビブリア古書堂の事件手帖) 喫茶店店主 野沢レイ(パソコン通信探偵団事件ノートシリーズ)過去編では 学生 。 切間美星(珈琲店タレーランの事件簿) 独居老人 ジェーン・マープル(ミス・マープルシリーズ)長い人生経験から来る観察力で謎を解く独身老婦人。 隅の老人 防犯コンサルタント 榎本径(鍵のかかった部屋) 標本士 九条櫻子(櫻子さんの足下には死体が埋まっている) 落語家 春桜亭円紫(円紫さんと私シリーズ) 文楽人形遣い 橘左近(人形草紙あやつり左近) 家庭教師 天斎小吾郎(PROJECT X ZONE)裏の顔は忍者だったりする。 考古学者 エルシャール・レイトン(レイトン教授シリーズ)娘は探偵だが、彼自身は探偵ではない。 ポケモントレーナー ヒロシ(ポケットモンスター)サイドストーリーより。中の人の影響もあってかまんま彼 ポケモンソムリエ デント(ポケットモンスター ベストウイッシュシリーズ)「ソムリエ探偵デント」として度々活躍。ちなみに本業はジムリーダー。 決闘者 万丈目準(遊戯王デュエルモンスターズGX)中の人の影響もあってかまんま彼 NEET 紫苑寺有子(神様のメモ帳) ホームレス マチエール(ポケットモンスター X・Y)ハンサムに拾われた後、彼の助手として活動。最終的には拠点であるハンサムハウスの二代目所長に就任した。 高等遊民 ファイロ・ヴァンス 自称・名探偵 本人たち的には「名」が付くのが大事らしい。 また、スラング的には乏しい根拠でぶっ飛んだ結論を出す人物を揶揄して「名探偵」と呼ぶ用法も(俗にいう「迷(・)探偵」のこと)。 名誉のために付け加えておくが、下記で挙げる彼らは断じて「迷」ではない。 榎木津礼二郎 夢水清志郎(名探偵夢水清志郎シリーズ) 杉薫(テツワン探偵ロボタック) ピカチュウ(名探偵ピカチュウシリーズ) ポケモン という点でも唯一無二。 エルロック・ショルメ(快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film)イギリスから来た謎の名探偵。だが、実は… 涼村暁(超光戦士シャンゼリオン)自称・何代も続く名門探偵事務所の所長を務める傍ら、シャンゼリオンとしても戦う。 なごみ名探偵 おそ松(おそ松さん)事件現場を和ませてしまうという変わった探偵。 世界一の探偵の後継者 ニア、メロ(DEATH NOTE) 刑事の母親 ブロンクスのママ(ママは何でも知っているシリーズ) (元)極道 桐生一馬(龍が如くシリーズ)『龍が如く3』のサブストーリーにて。 ウルトラ怪獣 メトロン星人マルゥル(ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA) スーパー戦隊 トゥモローリサーチ(未来戦隊タイムレンジャー)便宜上は便利屋。うち4人は20世紀に逃亡したロンダーズファミリーを追って遥か未来の30世紀から来ている。 ヒカリ(烈車戦隊トッキュウジャー)「けん玉探偵ヒカリ」として活躍。 猿原真一(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)初期設定は「シロウト探偵」だったが、次第に形骸化していき最終的にはニート「無職の風流人」という立ち位置に落ち着いた。 仮面ライダー 鳴海荘吉、左翔太郎、フィリップ(仮面ライダーW、風都探偵)上記の面々は、本業自体は私立探偵。ガイアメモリの関わる事件を、人知れず「仮面ライダー」として解決する。 ランス天堂(ライドカメンズ)カオスイズムの人体改造を受けた結果、もうひとつの人格「Q」を宿している。 プリキュア 秋元こまち(Yes!プリキュア5シリーズ) 一之瀬みのり(トロピカル~ジュ!プリキュア) 魔術師 大十字九郎(デモンベインシリーズ) ロード・エルメロイⅡ世(ロード・エルメロイⅡ世の事件簿) シャーマン リアム・ダイゼル(シャーマンキング) リゼルグ・ダイゼル(シャーマンキングシリーズ)上記のリアムの息子。シャーマンファイトの7年後にはX-LAWS時代の経験を活かし、警察官になった。 正義超人 アレキサンドリア・ミート(キン肉マン)主な活躍はコチラを参照。 能力者 夢幻魔実也(夢幻紳士/学校怪談/帝都物語等) 霊界探偵 浦飯幽助、仙水忍、真田黒呼(幽☆遊☆白書) 電脳探偵 暮海杏子(デジモンストーリー サイバースルゥース)彼女はある秘密を抱えている。 相羽タクミ/アミ(デジモンストーリー サイバースルゥース)諸事情で上記の杏子に弟子入りし、探偵事務所で働くことになる。やることはお使いレベルがほとんどであるが、電脳探偵という言葉自体は終盤で別の意味を持つことに。 退魔師 阿佐ヶ谷zippy(篠原一樹、嵯峨トオル、庵原若菜による作品名と同名のチーム)表向きの職業で描写も少ないが能力も生かしてきっちり探偵している。ただし色々な意味で何とも言えない人達なせいか関わる事件(浮気調査など)の方も微妙にアレ。 魔人 脳噛ネウロ(魔人探偵脳噛ネウロ)そもそものこの漫画自体が「推理物」ではなく「探偵物」と銘打った作品なので、自前の不思議能力にものを言わせた強引な捜査がほとんど。 神 ロキ(魔探偵ロキ) 代闘士 ハイコ決闘裁判の代理を引き受ける『代闘士』。“必ず真実を明かしてから決闘に臨む”ことを流儀とする。 魔女 古戸ヱリカ(うみねこのなく頃に散)魔女ベルンカステルによってベアトリーチェのゲーム盤に送り込まれた「探偵」の役割を与えられた「駒」。「真実の魔女」の称号も有する。当の本人は人の秘密を暴き立てることが大好きな「知的強姦者」を自称し、探偵の露悪的な面が強調されたキャラクターである。 妖怪 古明地さとり(東方Project) 猫 ホームズ(三毛猫ホームズシリーズ)前の飼い主が死んだ後、頼りなさげな刑事に引き取られ、飼い主やその妹に行動で事件の鍵を示す雌猫。事件関係者を助けもする。 カウ・コウ=クン(シャム猫ココシリーズ) 犬 ルパン(迷犬ルパンシリーズ) シャードック(探偵犬シャードック) 衣類 ホームズボンシャーロック・ホームズがはいていたズボン。ホームズゆずりの推理と行動力を持つ。 家具 アーチー(安楽椅子探偵アーチーシリーズ)文字通りの「安楽椅子探偵」。 ロボット ロボタック(テツワン探偵ロボタック) ヒューマギア ワズ・ナゾートク(仮面ライダーゼロワン) パソコン ゼニガタ(パソコン探偵の名推理) ポケモン図鑑 ロトム図鑑(ポケットモンスター サン&ムーン)金髪のカツラを被り「アローラ探偵ロトム」として活躍(厳密には、ドラマ『アローラ探偵ラキ』の主人公のコスプレ)。その姿でポケモンスクールの学芸会に出演したことも。 バーチャルライバー シェリン・バーガンディ(にじさんじ) お笑い芸人 明石家さんま(さんまの名探偵) ナインティナイン(ナイナイの迷探偵) 石田靖、間寛平、カンニング竹山、たむらけんじ、田村裕(麒麟)、真栄田賢(スリムクラブ)、澤部佑(ハライチ)、橋本直(銀シャリ)、桂小枝、松村邦弘、長原成樹、北野誠等(探偵!ナイトスクープ)自らの足や電話・テレビ局の情報網で依頼人の知りたい情報や人物を探り出すリアル系探偵たち。だが「子供のしつけ」等調査しない依頼も引き受けるため何でも屋に近い面もある。 スーパーヒーロー バットマン 犯罪都市・ゴッサムシティで日夜悪と戦う、アメコミヒーローの筆頭であるバットマン。 日本では映画等の影響により「悪に対して生身で立ち向かうタフガイヒーロー」という印象が強いが、彼はれっきとした探偵であり、同時に「世界で最も偉大な探偵の1人」とみなされている。 そもそもを言えば、バットマンが初めて登場した雑誌名にして出版社名が『Detective Comics』なので、さもありなん。 しかしながら、探偵業の花形である犯人捜しはあまり行わない。 なぜなら、彼が相対するのは多くの場合、犯行声明を出してきたり素性を隠さずに顔バレ上等で犯罪を行ったりするスーパーヴィラン達だからである。 そのためバットマンの推理は「犯行の目的は何なのか」「次の犯行予定地は何処か」「何処を拠点にしているのか」を探るために行われる。 バットマン自身が天才的な知性とありとあらゆる分野に関する知識を持ち合わせる上に、 優秀な執事であるアルフレッドや(シリーズによっては)ブレインとしてサポートする天才ハッカー・オラクルといった協力者の存在、世界企業であるウェインテック社の技術の粋を集めたオーバーテクノロジー気味な多種多様なガジェットの数々により、証拠品や痕跡を見つけた時点でほぼ解決したも同然という事も多い。 探偵の皆様、その明晰なる頭脳で、謎に包まれたこの項目を是非とも追記・修正して下さいませ。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 書き出すとキリないからいらないと思うけど、日本だと探偵役として女将、タクシードライバー、学者とか色々いるね。あとは解剖医が推理役をすることがあるけど、これは警察関係者か。 -- 名無しさん (2018-05-17 12 01 51) ああ探偵事務所は比較的現実的か -- 名無しさん (2018-05-17 12 56 14) 「撃っていいのは」の元ネタは推理小説だったのか、初めて知ったよ。 -- 名無しさん (2018-05-17 13 42 13) ミステリーの探偵が本来の探偵業もこなしている作品もそこそこあるよね -- 名無しさん (2018-05-17 15 45 27) コナンのコミックで一刊につき一人探偵が紹介されてたな -- 名無しさん (2018-05-17 16 23 37) JDCシリーズとかいう探偵の質・量ともに世界一のミステリ(?)シリーズ なお犯人側はいつも彼らの30手先を行くので基本やられ役の模様 -- 名無しさん (2018-05-17 17 38 29) 四半世紀を超えてゲーム業界を生き残ってきた、神宮寺三郎を忘れちゃいけないだろう -- 名無しさん (2018-05-17 18 51 46) 「まったく最近の探偵ときたら」は現実の探偵に近い作品だけどかなり面白い -- 名無しさん (2018-05-17 20 31 42) 小さいころ読んだ推理クイズの本では私立探偵に対して刑事探偵、弁護士探偵、検事探偵、スパイ探偵、科学者探偵、素人探偵とか章立てされてたなあ -- 名無しさん (2018-05-17 21 02 38) 古典部シリーズの折木奉太郎なんかも殺人事件ではないとはいえ割と頻繁に探偵役やらされるよな。みんな奉太郎のことあてにしすぎだろと思うがw -- 名無しさん (2018-05-17 21 39 17) 探偵を生き様にしてるキャラというと「無理は承知で」シリーズの山田太一郎君が思い浮かぶな。ドマイナーだけど。まあ彼の場合は方向性はフィリップ・マーロウだけど。 -- 名無しさん (2018-05-18 09 01 51) 元々シャーロキアンが高じて(こじらせて?)の探偵志望だしな。とはいえおっちゃんの日常目の当たりにしてるからある程度分かってはいるはずでは -- 名無しさん (2018-05-18 09 54 31) 探偵じゃないけどスーパーマンやウルトラQも報道関係者という「謎が多くやってくる特殊な環境」。探偵とヒーロー全般に通じるものがあるのかも知れない。 -- 名無しさん (2018-05-18 20 51 31) 違反コメント及びそれに触れるコメントを削除しました -- 名無しさん (2018-05-19 11 02 37) 荒らしの書き込みを削除 -- 名無しさん (2018-05-22 20 15 05) 個人的に猫犬ロボット魔人といった人外勢を最後に(意外性・オチ的な意味で)最後に回したかったが、ナイトスクープ社の面子に吹かざるを得ず彼らにオチを任せることにした -- 名無しさん (2018-05-22 20 54 32) エレメンタリーのシャーロックはモグリの探偵だよな。顧問やってるだけで親の資産で食ってるし、ワトソンの方はシーズン3からは独立開業もしてるけども。 -- 名無しさん (2018-06-03 12 38 35) 霧切さんと最原くん -- 名無しさん (2018-10-04 09 18 38) 「重要参考人探偵」は「なぜか毎回死体の第一発見者になる」というのをメインに据えたパターンだったな。職業としてはモデルだけど、ここまでくると「死体の第一発見者」という分類をしたいくらい -- 名無しさん (2018-10-04 09 34 28) あやつり左近 -- 名無しさん (2018-10-05 08 52 32) 古戸ヱリカはどのポジションになるのかな?強いて言うなら魔女? -- 名無しさん (2018-10-05 12 37 12) かまいたちの夜の透はちょっと弱いか。解決したの二件だけだしなあ -- 名無しさん (2018-10-05 17 39 36) 現実の探偵はストーカーで警察が動いてくれない時に証拠押さえてくれるので重宝されるそうな。 -- 名無しさん (2018-10-23 10 13 34) リアルにも二次元にも当てはまるのは「先入観だけで捜査はしない」これに尽きる。「聖クラリス探偵団」という漫画でよくわかった。 -- 名無しさん (2018-12-11 10 00 35) 明治以前の新選組にも「国事探偵方」という役職があったと聞いたことが -- 名無しさん (2019-01-26 10 05 46) EVEの天城小次郎とか -- 名無しさん (2019-02-15 22 42 32) 素敵探偵ラビリンスの主人公は? -- 名無しさん (2019-11-02 23 15 56) 探偵に就職するには自動車免許が必要らしい。 -- 名無しさん (2020-02-15 09 44 11) P5の明智は認知関係ない探偵業はちゃんとやってたらしい。頭いいのは本当だしな。 -- 名無しさん (2020-02-15 12 51 33) ↑自作自演で被害者加害者作って自分の手柄にしてたのは変わらないけどな。頭いいならもっと別の道あっただろうに -- 名無しさん (2020-02-15 13 00 24) カオティクス探偵所の皆さん。シャー田一ホー助は小五郎のような迷探偵だな。 -- 名無しさん (2020-04-04 07 38 49) 依頼者から事件のあらましを聞いて、そこから真相を導き出すのはセーブなんだよね? それが真実となりえるかどうかは別問題で -- 名無しさん (2020-09-08 16 33 59) 透明少年探偵アキラ=推理パート即終了 -- 名無しさん (2020-09-08 17 27 53) ミルキィホームズも能力者じゃね? あと小林先生も -- 名無しさん (2020-09-08 19 18 42) カゲマンに推理の星くん、あとアリス探偵局も!!名探偵コシンも忘れるな。 -- 名無しさん (2021-01-04 09 21 07) ネロ·ウルフはプライベート(蘭の品評会やグルメ)でわりかし事件に出会う -- 名無しさん (2022-03-24 17 42 22) 日本でも免許制度とか更に整えられたりしないんだろうか 無いか -- 名無しさん (2022-08-30 22 16 13) 犬にホームズ(名探偵ホームズ)の追加をお願いします -- 名無しさん (2022-09-21 09 38 26) ↑あの人は普通に職業が探偵でしょう。あくまで種族が犬人なだけで。 -- 名無しさん (2022-09-21 10 07 31) 探偵の露悪的な面から「我が物顔して秘密をベラベラ喋りたてる奴等」と探偵を憎みJDCに爆破テロを仕掛けようとした元探偵もいる一方、「探偵は皆が幸福になる解決を探す者」を信条として「皆が解決を望む事件に関わった人物や場所に別の謎が隠されていることを察しても、解決を望まれている事件に関わらない限りは他人に言及しない(秘密を知っている相手以外にはわからないよう秘密の持ち主と対話することはある)」ことを心がける夢水清志郎“教授”……。あと「何らかの方法で相手が犯行計画を練っていることに勘付き、犯行を実行に移す前やめるよう説得する 」「対話から既に起こってしまった事件を見破り、自首を勧める」なんて探偵もいたなあ -- 名無しさん (2023-01-31 13 42 52) 名前 コメント
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探偵 花咲太郎は閃かない 探偵 花咲太郎は閃かないとは入間人間による日本のライトノベル。およびそれを原作としたアニメ作品。ここではアニメ版について記述する。 スタッフ 各話リスト 放送局 スタッフ 原作:入間人間(「探偵 花咲太郎」シリーズ メディアワークス文庫 刊」) 監督:狩野淳 助監督:橋山守弘 シリーズ構成:高市秀憲 キャラクターデザイン/総作画監督:三谷勇 キャラクターコンセプト:左 美術監督:東潤一 色彩設計:笠原美穂 撮影監督:須賀彰一 編集:文倉颯太 音響監督:岩浪美和 音楽:片瀬孝平 プロデューサー:大月俊倫、白井雅子、川﨑とも子 アニメーションプロデューサー:大野宏 プロデュース:ガンジス アニメーション制作:ロフト甲府支社 製作:新東京テレビ、ガンジス、ロフト 各話リスト 第一話「探偵の登場」高市秀憲、狩野淳、狩野淳、三谷勇 第二話「探偵はロリコン」高市秀憲、橋山守弘、橋山守弘、橋山守弘 第三話「探偵のパートナー」藤原和代、新井はむ、金田四郎、西山啓典 第四話「探偵の自慢」周防裕、木下隼作、保谷聡史、飯田勝 第五話「探偵に一撃」藤原和代、川村裕康、川村裕康、栗原麻奈美 第六話「探偵の不調」高市秀憲、水島精二、水島精二、中谷希/望月啓 第七話「探偵の秘密」周防裕、狩野淳、森川徹、三谷勇/大場定行 第八話「探偵が驚く」藤原和代、飯島正文、金田四郎、大山博/手島光一/西川慶 第九話「探偵の涙」木原玄、川村裕康、保谷聡史、橋山守弘 第十話「探偵は振り向く」高市秀憲、狩野淳、大森優花、西山啓典/沖康博 第十一話「探偵のペース」高市秀憲、橋山守弘、廣井浩史、栗原麻奈美 第十二話(最終話)「探偵はやっぱり閃かない」高市秀憲、狩野淳、狩野淳、橋山守弘/三谷勇 放送局 新東京テレビ/2011年1月7日~2011年3月25日/金曜25時00分~25時30分/地震の影響で10話と11話を一挙放送 新四国放送/2011年1月12日~2011年3月30日/水曜25時30分~26時00分
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「バター犬って知ってますか」 「イエ」 「物知らずですね。いいですか……」 そんな会話から数分後。 「はぁ……ふふ、いいですよ、ほら。もっと犬みたいにぺろぺろして下さい」 「ハイ……」 足を大きく開き、ソファに腰を下ろした少女が一人。 そして、彼女の足の間に蹲り、舌先でその身体を舐めるもう一人の少女が、そこにいた。 「ヱリカ。これで満足デスか」 無表情で奉仕を続けた少女――ドラノールは顔を上げて、主人である少女を見つめた。 「ちっとも。まだまだ続けなさい」 「構いませんガ」 続けた所で、何か喜ばせることが出来るのだろうか。 きっと無理だ、とドラノールは思っていた。 でも。こういった方面に知識がないため、その考えに自信が持てない。 だから、せめて彼女が請い続ける限りは従おうと、そう思い直した。 「んむ……むちゅ……っはふ……」 「ふうぅっ……、ん、ほらぁ、ちゃんと犬っぽくしなさいっ……」 「それは、どのようにしたらいいノデスか」 ドラノールの言葉に、ヱリカは善がりながらも顔を顰めるという器用な表情を作った。 「んっ。それぇ、犬は人間の言葉喋っちゃだめ、ですよぉ」 「ハァ。では、わん」 鳴き声を真似て見せると、主の機嫌が少しだけ上を向いた。 「うふ、ふふふっ。そう、そうですよ、ドラノールっ。ほら、手を休めない!」 「わぅん……ちゅうっ、ちゅーっ」 沁み出してきた液体を躊躇うことなく吸い上げると、少女の小さな身体がふるふると揺れた。 「あっ……ぁあん、そんなに吸って……意地汚い、駄犬ですね……っ」 「くうぅん……?」 小首を傾げるドラノールに、少女は舌打ちをした。 「や、やめていいなんて言ってないですよ!」 「わん」 了解、を犬語風に呟くと、ドラノールは舌をヱリカの身体に這わせた。 「ひぁん!あ、舌、はい、ってぇ……あぅうッ」 彼女の、ざらついた舌が、濡れたヱリカの股間に。 だけど、これだけでは足りない気がした。 「やっ、手、さわっていいなんて、言ってな……あひぁあっ」 指が埋まり、少女の小さなそこは、それだけでいっぱい。 だから、ドラノールは滴り落ちた汚れを拭う事を思いついた。 「っひぅ?や、やだぁ、そっち舐めないでぇッ!あひっ、あ、ひゃううう!」 「わんわんわんっ」 「ちょ、ちょっと、も、いいですっ、やめ……うひぁあっ、あ、あう」 静止しようとしても、もはや意味を成さない喘ぎ声しか漏れない。 1 「ちゅぷ、ちゃっん、っむうぅ……はむ」 「あ、ひあん、ひゃううっ。も、あぁ……」 足を押さえつけ、一心に奉仕を続けるドラノール。 がくがくと全身を振るわせる少女に、向ける視線は優しかった。 ――彼女には決して届かないが。 「ひくっ、あ。あくうぅ、いっちゃう、あぁ!」 少女の瞳には、何も写らない。 彼女の主に似た、ガラス玉の様なそれは、濁り、澱んで何も見えない。 「いひゃあぁあっ、くあああああ!!」 甲高い悲鳴を上げながら、少女の絶頂は訪れた。 ふかふかのタオルで、汚れを拭いて。 新しい服に着替えさせて(体格差で少しばかり大変だった)。 最後によいせ、とソファに主の身体を預けて、おしまい。 まるで、先程のことはなかったように。 ヱリカは健やかな寝息を立てて眠っていた。 それでも。 「甘いデス……」 口づけた指には、彼女の味が残っていた。 ドラノールに自分の足舐めさせたい・・・ -- (名無しさん) 2014-05-20 22 08 41 名前 コメント すべてのコメントを見る
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俺と長門が岡部村の祭りに到着したのは、さんさんと陽の照りつける11時過ぎだった。午前10時に長門にたたき起こされた時には自分が不幸のどん底にいるような心持ちになっていたが、顔も洗ってサッパリ完全に目覚めた今にしてみれば1時間前の自分がだらしなさすぎて恥ずかしい。 もし自分が長門の立場だったなら、遅くとも朝の8時には問答無用で布団を剥ぎ取って水をぶっかけていたに違いない。長門にもこんな優しい一面があったのだなと思って感心していたが、話を聞いてみると長門も朝の9時50分頃に目が覚めたらしい。結局俺は長門よりも10分遅く目覚めてしまったばっかりに、まるで非常識人のごとくこき下ろされてしまったのだ。10分って……。 こんなことなら、長門より10分早く起きるべきだった。早起きは三文の徳ということか。 俺が長門にはやし立てられて階下へ下りて行くと、晴れやかな笑顔の岡部さんが出迎えてくれた。話によれば、どうやら俺たち以外の客はみんな祭へ出かけてしまったらしい。キョンと朝比奈さんも、藤原に橘とかいう2人連れも出かけてしまったわけだ。 「予定では、確か11時からだったかな。流鏑馬があるから、見に行くといいよ」 客間の布団を虫干ししながら岡部さんがそう言った。時計に目をやると、もう10時15分を指している。 「………黄金の神さまも見たいが、それ以上に馬を見たい。流鏑馬は必ず見なければならない必須項目」 またふんふんと鼻息をもらしながら坂道を登る長門のあとを、俺はズボンのポケットに手をつっこんでついて行く。セメントがところどころ剥げた舗装道はでこぼこにうねっており、道路上というよりも硬い土の上を歩いてるように歩きづらい。 遠くから聞こえてくる祭囃子を聞きながら、上り坂のむこうに見える神社に目をやった。鬱蒼と生い茂る深い森の麓にひっそりたたずむ神社の石段の前には、大勢の人とずらりと並ぶ出店が軒を連ねている。うっすらと鼻に漂ってくる香ばしいにおいをかいでいると、祭りにやってきたんだなという気分になってくる。 「………土のにおいがする」 いつの間にか土塀の列が途切れていて、気づくと一面にひろがる田畑の中を歩いていた。 ~~~~~ 俺もこの村へ来る前までは、岡部村は過疎の進んだ一般的な田舎の村落だと思っていたが、こうしてその村の祭りに参加してみると、とても過疎化しているとは思えないほど大勢の人が押し寄せていた。もちろん人口密度で言うなら都会の表通りに比べくもないが、それでも中心地からだいぶ離れた片田舎の催し事にしては驚くほどの人が集まっているように思う。やはり百年に一度しか一般公開されない神秘的な神様の像がご開帳されるから、民俗学好きの好事家あたりが大挙してやってきているのだろうか。 そういえばさっき、路肩にラジオ局のワゴン車が停まっていた。撮影はNGだが実況中継はOKと宿の主人も言っていたから、ラジオのレポーターや新聞記者が大勢詰め寄せていても何の不思議もない。 やがて祭の屋台道に入り、俺たちは人混みをさけるように沿道を歩いていく。空は雲ひとつない快晴で、湿気のない乾いた冬風が吹いているが、足元の草は瑞々しくやわらかかった。 長門の手には、すでにわた飴とリンゴ飴が握られている。起きて1時間も経っていないというのに、よくもまあ飴ばかり食べられるものだ。男と違い、女は糖分さえ吸収できればエネルギーが補充できるのだろうか。 「………これは起き抜けで、激しい運動をして体力を消耗しないための糖分補給」 言い訳がましくそう呟くと、長門はかりかりちまちまとリンゴ飴をかじっていた。ネズミが木材をかじっているみたいだ。 俺は湯気をたてるコーヒーをすすりながら、木々の合間から神社へつづく石段を眺めた。肩幅2mほどの石段を、新年開店バーゲンセールを開いたデパートのエスカレーターなみにぎゅうぎゅう詰めになった人の群が押し合いへし合いで登り下りしている。この上に百年に一度しか顔を見せないシャイな神様がいらっしゃるのだ。見物人が長蛇の列をなすのも当然といえば当然の現象か。 定員オーバーでブザーが鳴り出しそうなほどぎゅうぎゅうに詰まった石段を、蠕動運動のようにじぐざぐでスローペースにトロトロと階段を登っていく。正月に琴平宮の石段を登る参拝客の映像をテレビで見たことがあるが、ちょうどこんな感じだったような気がする。あの時は自分のアパートで布団に入って餅を食いながら 「こんなクソ寒い中、よくやるよ」 と思っていたものだが、いざ自分がその状況に身を置いてみると、意外にこれはこれでいいなと思えてくるから不思議なものだ。 ようやく階段の頂にたどり着く頃には、長門のわた飴とリンゴ飴も芯の割り箸だけになっていた。まったりゆっくり長時間かけて昇降運動をしたものだから、疲れてはいないがじっとりと汗をかいてしまった。なんだか太極拳みたいだ。 石畳のつづく境内にも、やはり見物人がびっしり詰まっていた。あまり広い境内ではないのも理由のひとつだろうが、そんな事情を差し引いても人は多い。人ごみから少し離れた場所でラジオの取材班らしきクルーとレポーターが必死になにかをしている。ラジオの取材なのだからこの神社の現場生中継をしているのだろうが、境内の喧噪が大きすぎてどうにもこうにも難儀しているようだった。 長門はまた鼻息を荒くしながら神社の本殿へ向かおうとしていたが、この混み具合じゃ思うように前へ進めない。しばらくは様子見していた方が無難だろう。助手の首根っこをつかんだ俺は黄土に色づいたケヤキの下で、屋根しか見えない神社の社を見つめていた。 時計の針が10時40分をお知らせする頃になると、次第に人の波が引き始めた。相変わらず見物客は多いが、これくらいならさほど窮屈な思いをせず社へ入ることができるだろう。 「………早く見に行こう」 我慢ならないという様子でうずうずしていた長門が小走りに本殿の方へ向かって行った。もうそろそろ流鏑馬の時間だし、早いところ観覧を済ませて沿道に行きたいのだろう。やたら馬を見る馬を見るとはしゃいでいたからな。 俺は空になったカップをゴミ箱に放り込み、ざりざりと音を立てる砂利を踏みしめてだいぶ小さくなった長門の背を追った。 ぎしぎしと軋むベニヤの足台を踏んで扉を開け放った神社の本殿内へ入って行くと、ごった返す人ごみの向こうに急誂えの木柵が設けられており、これ以上奥へ進むことは許さん、という風に人の足をおしとどめていた。その柵の向こう側には3人の神主と巫女さんがじゃらじゃらと鈴のついた棒を持ち、一辺1m四方の箱を囲んで畏まっていた。 大勢の観覧者の注目は、その箱の中に注がれている。真新しい注連縄を張り巡らせた木箱は、本来は固く閉じているであろう鉄飾のついた扉を観音開きに開いており、中身を誇示するように堂々と壇の上に据えられていた。 産まれたての赤ん坊ほどの大きさだろうか。大きな箱には似つかわしくないほど小さな人の形を象った像が、そこに大仰に座っていた。 黄土色を思わせる鈍い光沢を持つその像は、髪の長い女性を想像させる形をしていた。一目で分かる。これが噂の純金の神様なのだ。 袴のようなひだのある衣服を身にまとい、胸の前にそっと手をかざしたその女性神は、感情を隠したような愛想のない無表情で宙を見つめていた。 インゴットなんてテレビドラマでしか見たことのない俺でも一発で分かる。土をイメージさせる色合い。ざらざらとした陰を浮かべる表層。派手さも華やかさもまるでない。お肌の手入れなんてまったくしていなくても、ある種の神々しさは厳として示されている。あれが本当の黄金なんだ。 学識なんてまるでない俺だが、アゴに手をあてて 「ほほう」 などと嘯いてみると、ちょっと物知りの有識者になれたような気がして妙におかしかった。 隣に立つ長門を見てみると、またこいつは暴れ馬のようにふんふんと鼻息をもらしながら食い入るように神さまのお姿に見入っていた。この村へ来て以来、どうもこいつの興奮スイッチが入りっぱなしのようだ。いや、興奮しているから鼻を鳴らしているのではなく、滅多にお目にかかれない黄金のニオイをかごうと必死に空気を吸っているのかもしれない。目測で10mは離れているのに、ニオイなんて嗅げるわけないだろうに。トリュフを探すブタじゃあるまいし。 カメラ撮影が厳禁とされているわけだから、どうしても観覧者たちは神様の像を脳内に記録しようと目を血走らせている。必死になって金塊をねめているのは、なにもうちの助手だけではないのだ。 そうだ。それでいいんだ。神様なんていうのは、頭の中にいるからこそ価値があるもんなんだ。写真やビデオに記録してしまったら、それはただの人の形をしただけの金の塊になってしまう。単なる被写体になりさがった二次元の神様を誰が崇めようか。神様は頭の中でモヤモヤと不明瞭な姿をしていて、なんとなく曖昧でありながらも粛々と存在しているからこそ、尊いもんなんだ。 だから神様の像なんてのは、観覧用として作られる物以外は神社や仏閣の奥深くにひっそりと隠されていて、決して公開されることはない。 崇められる人物とは、軽々しく人前に姿を現すものじゃない。常に雲の上の存在であるべきなんだ。そう言ったのは誰だったっけか……。ああ。アンドレ・ザ・ジャイアントか。 ~~~~~ たっぷりと山神様のお姿をまぶたの裏に焼き付けて、俺と長門は神社の石段を下っていった。 ダッフルコートの襟を詰める長門は山の神様が女性だったことがやけに意外だったらしく、なにやらぶつぶつと呟き続けていた。神様にだってイザナギイザナミの2柱のように男女の性別があるんだから、女性の山神様がいたっておかしくはないだろうと言っても、まだ納得しきれていない様子だった。 「………山の神様まで女性化が進んでいたとは。萌文化がこんなところにまで波及していたことは甚だ意外。きっとオヤシロ様の影響に違いない」 萌文化ってなんだよ。何百年も前からこの地域を守護してきた山神様に向かって不遜極まりない物言いだな。らき☆すた人気につけいって一儲けした埼玉の商工会じゃあるまいし。山の神様ってのは日本じゃたいてい女性神だって相場が決まってるんだよ。山岳信仰の岳参りとかあるだろ。それに山のお寺ってのは女性の立ち入りが禁止で、男の坊さんや小坊主しかいなくて、BL全開ワールドだったんだよ。ホモの嫌いな女はいないとか言うだろ? 山の神様もBL見て喜んでたんだよ。 「………思い切り不遜なこと言ってる。兄貴は今すぐ全国の山の神様たちに謝まるべき」 表の舗装道の沿道であるあぜ道では、既に流鏑馬の準備が整えられていた。白と黒のツーコントラストの垂れ幕が締められ、ダーツの的みたいな射的が田の土くれの上に立てられていた。 きれいに掃き整えられたあぜ道の周囲に、大勢の観客がざわざわと群がっていた。彼らはみんな、流鏑馬を見学にきたのだろう。俺たちもそうだからよく分かる。駅伝の走路の脇に並ぶ応援者のようなものだ。流鏑馬開始の時間ギリギリに到着した俺と長門もその列の中に、すまんすまんと言いながら潜り込んでいった。 沿道の脇には数人の警備員らしき私服の人物が一定の間隔をあけて立っていた。この新嘗祭の実行員か何かの人だろう。 「………馬はまだ?」 長門は道脇に張られた黄色いロープに手をかけ、馬の到着を今や遅しと待ちわびている様子だった。その姿が滑稽で、少し噴き出してしまった。 どかっどかっと遠くの方から土を蹴り上げるような重々しい音が聞こえてきた。観客から喝采の声が上がる。どうやらお待ちかねの馬がやってきたようだ。俺たちの位置からはまだ馬の姿は確認できないが、人垣の向こうでは大人たちのどよめきや子どもたちの甲高い喜声が響いている。 ドップラー現象に忠実に従うかのように、歓声と蹄の音が徐々に近づいてくる。 「………馬がきた、馬!」 やたら盛り上がっているのか、身を乗り出すようにして音のする方へ首を伸ばす長門。人垣が大きすぎて、なかなか思うように視界が広げられない。 もどかしいもどかしいと言っていると、ひときわ大きな喝采と共に、見事な毛並みの赤駒が土煙を上げながら駆けて来るのが見えた。その背には、直垂を身にまとい片手に弓、片手に矢をつがえた中年の男性が乗っている。 「………暴れん坊将軍がきた!」 あれは将軍じゃありません。地元のおっちゃんです。 うなるような風を巻き上げ、一瞬にして俺たちの目の前を赤駒が疾駆して行く。テレビの中でしか見たことのない憧れの有名人を目の当たりにした少年のような心持でワクワクした。なかなか面白いじゃないか。 ゴール手前に差し掛かった暴れん坊将軍は手にしていた弓の弦を大きく引き、田に構えられた射的に矢を射た。馬上からの弓とは思えない正確さで、放たれた矢はするりと宙を突き進み、わずかに弧状の軌跡を描き的の真ん中に突き刺さった。 瞬間、あたりから湧き上がるような拍手と歓声が起こった。見事な馬術と射的に対する賛歌だ。気づけば俺も感嘆をもらしながら手を叩いていた。爽やかな風が、ひょうひょうと田に吹き渡っていた。 いやいや、実に面白かった。素直に感動したよ。 田舎ならではの面白い催しだったと満足し、この感動を共に分かち合おうと長門に目を向ける。長門は沿道に張られたロープを両手でつかみ、上下に激しくシェイクしているところだった。まるでライブハウスの最前列でノリノリになっているトランス野郎みたいだ。 ~~~~~ まだ興奮覚めやらぬという様子の俺たちは、まだまだにぎわい続ける祭りの屋台道をぶらぶらと歩いていた。 見る物は見たし、後はそこらをうろうろ徘徊して宿に戻り、荷物をまとめて帰路につくだけだ。いやあ最初はどうなるかと思ったけど、終わりよければ全て良し。実に有意義な旅だった。今なら素直に来て良かったと思えるね。期待以上の成果だったよ。なあ、そうは思わないかね長門くん? 「………帰りはどうするの? またあの駅まで森の中を横断して行くの?」 それを思い出させるなよ……。駅へ向かうバスとかないかな。 「………あの森を再び抜けて行くくらいなら、私はこの村に永住する」 無茶言うな。それに住むにしたって住民票を移したり引っ越しの作業したりで、結局は帰らないといけないんじゃないか。 木々の合間を縫うように木枯らしが吹き渡っていく。乾いた冷たい風が肌をなでていくが、それも火照って熱くなった体には涼しく心地よい感触だった。 「………あれ?」 その時。 異変に最初に気づいたのは、後方の森をふり返った長門だった。 「………兄貴。あれ。神社が」 長門に袖を引っ張られ、いい気分で歩いていた俺は無粋な呼びかけに腹を立てることもなく、寛大な心でふり返った。 どうした、ぽんぽん痛いのか? トイレならさっさとそこらの簡易公衆トイレにでも……あれ? 流鏑馬が終わり喧噪も落ち着いていた神社前が、なんだか騒々しい。遠目にも分かるくらい、浮かれたお祭りさわぎとは異質な雰囲気が漂っている。 一足先にさわぎの方へ歩き出した長門の背を追うように、俺もどよめき返る野次馬の中へ入って行った。 火事だ、という言葉があちこちから聞こえてきた。 ~~~~~ 祭から帰ってきた俺たちが今日見た山の神様の像の話や流鏑馬の話をしているうちに、気づくと夕暮れ時になっていた。本当は今日のうちに午後の電車で帰る予定だったのだが、別に俺にも長門にも急ぎが用があるわけでもなく、どうせならもう一泊して行こうかという話になり、予定を延長して明日の午前中に帰ることにしようという決定が下された。 あまり予算面での余裕はないのだが、あと一泊すれば50万はくれてやるという長門側の提案があったため、俺としてもそれを受け入れることで穏便に事が収まるのであれば妥協もやむなしという結論にいたったわけだ。 これでようやく当初の俺の目論見通り、俺もハッピー長門もハッピー、みんなハッピーエンドという幸福な結末に行き着くことができたのだ。めでたしめでたしの大団円。 いやあ、長い道のりだった。50万を得るためとは言え、なかなかに大変なイベントであった。しかしそれも楽しかったなと思える今の俺は仕合せ者に違いない。 ひそかに自分自身の苦労をねぎらうように、小さく背伸びをして窓の外に目を遣る。すっかり暗くなった夕闇の中、遠く山の中腹にぼんやりとした豆粒大の光源が見えた。今日祭があった神社の明かりだ。あれは電気の光なのだから強さは一定のはずなのに、なぜかその光が弱々しく明滅しているように感じられた。 祭の終わり間際に起こった火災騒動。あれは結局、原因不明の不審火から起こったボヤだったことが消防隊員が駆けつける前に判明した。神社の関係者、あと有志の観覧客たちが総動員で消火したそうだ。 火元は境内の裏手にある神社の勝手口だった。関係者以外はほとんど使わない人気のない場所だし、発火するような物は置いていなかったという話だ。日陰になった場所だから、可燃物が自然発火したとは思えない。どう考えても祭の日を狙い撃ちした悪質な放火だろう、というのが誰もが思っているシナリオのようだ。 ご多聞にもれず、俺もそう思っている。ボヤで済む程度の火だったことから考えても、人の集まる時にこっそり悪いことをしてみんなを驚かせてやろう、という愉快犯の犯行に違いない。そういう頭のネジのゆるんだヤツってのは、どこにだって1人や2人はいるものだ。 と、ここで話が終わっていれば、熱に浮かされ祭の勢いで暴走したどっかのバカが地元新聞の地方欄の隅っこあたりに載る程度で済んだだろう。だが事はそれだけで終わらなかったである。 神社の関係者や観覧者は全員、その時に起こったボヤ騒ぎに意識がむかい、一時の間、神社の表には誰の目も向いていなかった。その一瞬の間の出来事だった。 黄金のご本尊が消えたのだ。忽然と。 俺と長門はその時すでに宿へ戻っていたから、この件は民宿に戻ってきて朝比奈さんたちから聞いた又聞きになる。 ボヤ騒ぎが大したこともなく沈静化した直後の弛緩時のことだったので、現場は大混乱に陥っていたらしい。そりゃそうだ。百年に一度の本尊公開の祭で、あろうことか奉られていた黄金の神像が蒸発してしまったのだ。銀行に強盗が押し入って紙幣が強奪されるのとはわけが違う。 神社側はこれを警察に盗難事件として届けを出したようだ。神様の像が二本の足でヒョコヒョコ歩き出してシャバの空気を満喫しに行ったんじゃない限り、盗まれたと見て間違いないだろうからな。 あの夜闇の遠くに灯っている神社の明かりは、きっとその件についての審議だか討議だかをやっている首脳会議の物だろう。 平和で辺鄙を絵に描いたような村で起こった謎の窃盗事件。一大事だしお気の毒なことだとは思うが、しかし旅ガラスの俺たちにとっては関係のないことだ。 下っ腹にきりきりと締め付けられるような感覚が走り、低い音が鳴った。俺の腹の虫の音だ。今日は起きてからずっと歩きとおしだったから、エネルギーが不足してしまったのだ。早く夕食を食べなければ。 よし、今夜こそは国道沿いのファミレスに行こう。そう決心して座卓の上に載せていた財布を手に取り立ち上がると、広辞苑みたいな本を読んでいた長門がやおら顔を上げた。 「………またあの居酒屋に行こう。あそこのおこわがまた食べたい」 露骨に嫌な顔をする俺を尻目に、長門はぱたんと本を閉じて立ち上がった。 ~つづく~
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◆名探偵を騙る村情報 分類 ゆるガチ 村開始予定時期 参加希望者7人確認でき次第 人数(見学) 16人(10人) 更新時間/間隔 /24h 役職配分 G編成 投票方法 記名投票 登場人物 東方/白百合/霧雨/トロイカ/城下/もふぉれすと 発言制限 査問(1000pt)予定 閲覧制限 グロ注意 備考 最小11人編成での開始 ◆名探偵を騙る村詳細 当主バーレイ様を殺すと狼から脅迫状が届きました。 当主様は自分が殺されようとも、狼を捕まえていただきたいと各世界の名探偵に助けを求めております。 どうか名探偵の皆様、狼を捕まえて主人の仇を取ってください(マダシンデナイヨー) /*勝利を目指すのがガチですが、騙る名探偵らしくを心がけてください。 熱血漢な探偵であれば村人の犠牲は望まないでしょうし、連続猟奇殺人犯ならそんなものは気にしないでしょう。 元ネタ作品に失礼な行動、騙り探偵の世評を下げる行為はお止め下さい。 ◇細かなルール 本参加者は名探偵を騙るのを必須。 見物人は名探偵か、助手キャラを騙るのを必須。 見物人と参加希望者が使用したいチップ、名探偵が重複した場合、見物人はキャラチェンジをお願いします。 騙り先名探偵とRPと異なるからとの推理は禁止します。妖怪知識に自信なくても拝み屋さん騙って全然OKです。 形式は「(肩書き)○○騙り (名前)××」 ○○には騙る名探偵名、××はキャラ名となります。 参加CO表 編集の仕方が分からなければコメント欄に必要事項を書き込んでください。 番号 使用希望キャラチップ 騙り予定探偵 参加可能期間 何か一言 00 バーレイ 当主 いつでも 狼に殺すと脅迫されています。名探偵の皆さん、狼を捕まえてください 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 名前 コメント すべてのコメントを見る
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神坂 怜の固有スキル。 スキルの使用宣言が必要。 「注視」「聞き耳」「精神分析」 上記スキルをSP消費無しで使用出来る。 精神分析を使用した際、 対象が「拒絶」スキルを持っていたとしても その本心を暴き出すことが出来る。
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■うごめく毒樹(うごめく-どくじゅ) 世界樹の迷宮シリーズ皆出席の名物モンスター。ガンリューさんを倒した事で有名に(?) 1ではFOEとして、2・3では雑魚モンスターとして登場。 FOE→雑魚に格下げされた…かと思いきや、毒のダメージが大幅アップ、毒以外の攻撃もしてくるようになるなど、体感的な強さは大幅に上がっている。 1では基本的に毒付与以外使用してこず、FOE中では非常に弱い印象を受ける。ガンリューさん そのためこれに負けたガンリューさんの威厳が消し飛んだ人も少なくない。途中送信失礼 結構触手的な外見をしている 後のメデューサツリーである。両者とも火力を集中させれば1ターンで終わる。 3のメディカIIIは事もあろうにこいつから取れる素材から抽出して作られる。…毒とか大丈夫なのだろうか。 ↑ きっと加工の時にテリアカBを混ぜて毒を抜いてるんだよ きっとガンリューさんを屠ったのは、2か3の毒樹がエトリアに迷い込んでたんだよ 3だとメデューサツリーの技を手に入れて5階層雑魚敵に。・・・メデューサさん6階層雑魚なのに弱すぎるだろ メデューサなのに石化技使わないしな 樹液は毒らしい さすがに食えないか 1→2→3と「カッコつけるより、コンパクトに画面に収まるポーズの方が数で冒険者を苦しめられる」と模索した様子が見てとれる。『世界樹の毒』の看板を背負った堅実な努力家である。 4でも順当に強化されてしまった。生息域が生息域なので、これ以上の出世はさすがに難しいか… 4ではとあるイベントで出るが、前口上がちょっと怖い。「絶対に 触れない事」 4では6層雑魚として登場。同時に毒+封じ状態にする攻撃を使ってくるが、6層にはもっとヤバイ雑魚が多いのでどうにも影が薄い。 モリビトやウロビトと植物同士通じるものがあったりするんだろうか 6層の中ではまだ優しい方である、とりあえず頭さえ縛れば倒すのは後回しでも良いと思う もうめんどくさくて燃やすだけ、燃やされるだけの焚き木さん。 確かに6迷宮では与し易しだが、縛り+毒は迅速に対処しないとPT壊滅の危険も有り得る 初見だと毒喰らった上に全縛りされて回復出来ずに図鑑通りそのままやられかねない。慣れた冒険者にとってはただの木だが ドロップ品からは最強の兜が作れる。あまり被りたくないような気もするが……。 ↑なんかのゲームでトリカブトって頭装備があったなぁ。 枝葉に該当するであろう触手の先端が、手から目玉になっている ↑いいえそれはメデューサツリーです 斬属性が弱点なので???のコンバーター&フィニッシャーの餌食である… 思えば、第6迷宮の中で他のモンスターとのシナジーが薄いのはコイツだけ。なぜ…? ↑毒樹本人がFOE時代のイメージから抜け切れておらず、そのために周りのモンスターとイマイチうまくいってないとか・・・ないなw 標本要いn・・・いや、なんでもない ↑また破滅さんか…とgkbrしながら開いたら、コイツで拍子抜けした覚えがある。そこそこ強いモンスターなんだけどねぇ こいつに猛毒の投刃が決まった試しがないのだが、フグが自分の毒で死なないのと似たようなものなんだろうか ↑耐性が高いんだろうな。毒蛇の中には毒が強すぎて自分の毒で噛みつかれるとしぬってのがあるらしいが 多くの場合EATブースト導きMAXルーンマスターのフレイムウォールで一掃される運命にある FOE時代はおどろおどろしかったが、雑魚モンスターになることで多少愛嬌を手に入れた FOEから雑魚に降格したが必ず四階層以上に生息している実力者 新ではメデューサツリーと役割が逆になり6層に登場 新世界樹ではダメージが300を超える毒を全体にふりまく。下手すればあっという間に全滅しかねない強敵だがこれでもまだ今回の6層ではぬるい方というのが恐ろしい。 新だと奇襲されたらPTがほぼ半壊する FOEから雑魚になるのはランクダウンだが出現階層が深くなるのはランクアップといえる、ならば一体彼はランクアップしたのか?はたまたランクダウンしたのか 雑魚でも下手なFOEより強い奴いるからなあ・・・上の階のバビルサとかバビルサとかあとバビルサとか FOEから雑魚に転落したとはいえ根本的に強いし出現階層も深くなったしランクアップでいいのでは? コーパスル×2毒樹×2の組み合わせは何度もhageた。一戦ごとに泉で全快してるんだけど。 新では4の汚名を返上と言わんばかりの猛毒をバラまいてくる。しかも全体。 毒ダメ300ってさあ…メディがフルから一撃でお亡くなりになって精神的hage食らったわww ↑追記 のみならず、ヘルパピとのパーティでうっかりフリーズ直撃→全員毒→漏れなくhageのコンボは清々しくさえあるhage加減。ちょっと頭おかしくなりそうなので、今日の探索はここまでにしよう と言うか、毒アゲハの項目で言われてた『全体に300毒ダメ』実現である。てか寧ろ、もっと凶悪になってる。スタッフはこの用語辞典を愛読でもしてんのか?ww パーティが毒のダメージに耐えられるようになってきたと思ったら、今度は前衛赤血球&後衛毒樹という編成で登場して絶妙なサポート役として活躍したりする。 本当にシリーズを経るごとに強化されていく。メデューサツリーは律儀らしいがこいつも結構真面目なのかもしれない 毒樹「では教育してやろう。真の世界樹の毒の恐ろしさと言うものを」 バランスよく毒を撒いたぜ 2、4、新セカと、六層での出演が今のところ一番多いザコ ↑呪われし飛南瓜も一応2、3、4と6層に出演している。…3では名前が変わってるし、2、4では雑魚じゃなくてFOEだが。 バランスのいい全体毒とバランスのいい全縛りをしてくる。半壊して逃走連打とか建て直し図るときに全縛りが飛んできてhageる 後方撹乱が効くのが唯一の救い さっきこいつのせいでhageたんだけど・・・ 毒樹「バランスよく冒険者を育てたか?いい加減なパーティーじゃ、この階層でhageることになるぜ」〉毒の息 『ギルド長の因縁の敵(笑)』というネタ設定が最初に無ければ、後作品での優待は無かったかもしれない。 むしろ雑魚になった事で逆に格上げされとる 何か、FOEだった旧の頃よりもずっと生き生きしてるような気がする。全体300ダメの毒を撒く姿が輝いて見える。 6層の初戦闘がこいつで1ターンで4人死んでラクーナさん全力逃走した。久しぶりに笑った 3の頃は全体に80程度の毒をばら撒いていた。同じ5階層に出る4のアゲハが倍の160前後の毒を撒くのと比べたらいかにぬるいかがよく分かる。 全体に300なら呪言方陣クラスだから次はスプレッド毒刃クラスだな ↑全体700ダメ毒とか先読み後出しリフレッシュ必須じゃないですかー ↑↑むしろ単体にアナコンダクラス毒をですね ↑それは毒吹きアゲハさんの役目じゃないですかーやだー 攻撃が飛んでくると無効化+毒付与という光掌の術式っぽいのも驚異な気がするが。 毒は普通くらいにしてその次のターンに状態異常だと即死攻撃とかは?毒弱いwwwとか言って回復しないと…みたいな 毒と攻撃大幅ダウンとかのデバフを同時にとか むしろ全体アナコンダクラス毒をですね(自重 次は触手をいかして、全体縛り&猛毒だ☆ ↑それ4の毒樹さん 赤獅子とメイガスと組まれてると高確率でhage確定 4のこいつは微妙に他の面倒なメンツと組まないことが多いところが弱点である 4は瓶を開けた時が一番の荒ぶり。先制全体縛り&力溜め→棘の雨で軽くhageる さらに発展させるなら毒状態の対象にのみ起動する大ダメージor全縛りorデバフとか? そこまでやるとなるともうボスクラスのギミックになりそうだけど。 今更ながらⅡの彼はかなり素早く、レベル71カスメの睡眠の呪言レベル5より先に毒を放ってくる事がある。面倒極まりない 探偵の手筈が防いでくれるのは1度だけ。こいつが2体出てきたら……後はわかってるな? 猛毒の息をグリモア化してメデューサツリーを毒殺するとどこか滑稽 ボウケンシャーを毒殺するだけでは飽き足らぬのか、新2ではなんと味方にも毒をばら撒くようになった。一見するとこちらから殲滅する手間が省けてありがたいのだが…… 組み合わせによってこちら即hageさせてくるはめにええ気付いた時には全員が針で串刺しでしたよ 浅い階層の古代ヤドカリは大体こいつとセット、こいつの毒で死ぬからその頃は古代ヤドカリの召喚に気付けない。そしてその後出てくる古代ヤドカリ×3…。よくできてると思った。 新1の即死レベルダメの毒じゃない上、蠢く枝葉もなくなった。もっとやらかして欲しかった ↑全縛りを後輩のイモムシに譲った毒樹先輩パネェっす 古代ヤドカリ狩りのエキスパート 死に際の毒はこっちにも撒いてきてもよかったんじゃないだろうか 毒で4桁とか洒落にならないw(ヤドカリを見るに確定付与みたいだし…) ヤドカリの異常耐性は劣悪だから 毒アゲハといい毒樹さんといい今作古株の毒使いが不憫で堪らない。 毒樹さんの相方には巫剣もどきかもしくはエクスタシーみたいなスキル持ってるモンスターが来ればトラウマになると思うんだ… 新2の禁忌ノ森はこの人と言いお猿さんと言い味方巻き込む奴大杉内 バランスブレイカー Ⅴ以外で皆勤賞だったのにXに出れなかった可愛そうなやつ 世界樹が初RPGだった私は新1の彼のせいで他ゲーの毒のぬるさに驚く羽目に。毒ってすぐ治さないとやられちゃうんじゃないの!? ↑新1でブイブイ言わせた彼も初代では毒を無視して高火力で殴り続ければまず負けないクソザコFOEだったという… 倒したときに燃え上がって自爆すると思ってた、ゲームが違った 世界樹2リマをプレイ中だが、こいつだけ異様にアイテムドロップ率が低いような気がするんだが。しかもそのアイテムw しかも必要なアイテム数がやたら多くて困る。大地の斧はうごめく樹材x20個必要なのに、1時間プレイして1個しか落とさなかった。 カスメの博識LV5を持たせているのに何も落とさなかったり、命の蜂蜜とか落としてコレジャナイ感を醸し出したり・・もう一人カスメを育てようか真剣に検討中。 3では昼間しか出現しないため、場合によっては表ラスボスを倒してもメディカⅢが販売開始されなかったりする。 コメント ■関連項目 ガンリュウ(NPC)
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アレンシス (アレンシス ロンズディール邸 内部 アレンシス (阿笠一葉が「進路選択に備えた家庭訪問」を行い家の人間を引き付けて時間を稼いでいる間に、 アレンシス (残る生徒達が邸宅内を捜索する手筈だ。 エメル 「学生、即ち子供の私室は二階にあるもの…というのが青春小説での定番だけれど。」 エメル 「どうやら名家の邸宅もそのお約束に則っていそうだねえ。」 エレア ……あそこがニカの部屋。 エレア (少し考え事をして、軽く首を振る。 エメル ああ、なんとか使用人を撒いて辿り着けたね。 エメル 空太郎氏には尊い犠牲になってもらったよ。 エメル (彼等がいる二階の窓の外…吹き抜けの中庭では、 エメル (ドローンが飛び交い、使用人の注意を一手に引き付けている エミリー 結構ハデにやったのね。ま、別にいいけど。 エメル まあ、入ろうか。あまり時間を掛けてはいられないしね。 エレア …お、おじゃまします。(小声で エメル フフ、年頃の青年の私室に忍び込むなんてねえ。(小声エレアの様子になんか楽しそうに エメル (続けて部屋に入っていく エレア 変な言い方しないでよ…、。(少し顔を紅くしながら アレンシス (年頃の青年の私室とは思えないくらい片付いている部屋。定期的に使用人の清掃が入るのだろう。 アレンシス (ベッドに勉強用デスク。ソファ。本棚が三台ほど壁際に並び、その傍にミニテーブル。 アレンシス ミニテーブルの上にはチェス盤が置かれ、駒が並べられている。綺麗に整えられた部屋の中で、ここだけ片付けられていないようだ。 エレア ……。チェス、好きだったんだ。 アレンシス (テーブルの上にはチェスの問題集も置かれている。明らかに途中のため、使用人もここだけ片付けずに置いておいたのだろう。 エメル …(ふーむ。と見て エミリー …ふーん、エロ本でも探すか。(あちこちガサゴソ物色しながら エメル おやおや、可哀想に。(やれやれと笑って肩を竦める エレア ちょ、ちょっと…!! エレア そういうの、プライバシーの侵害じゃない…? エミリー しのごのいってる場合じゃなくない? エミリー エロ本隠してる場所探すくらいしっかり調査したらなんか見つかるでしょ。 エミリー なんかヤケに焦ってるじゃん? エレア ………、。(黙り込んで怒りを露わにする エメル まあまあ、落ち着きたまえよ。今私達は「ニカ君が残しただろうヒント」を探してるんだ。 エメル ならばわざわざ官能写本と同じような所には隠さないんじゃないかな? エレア ……! エレア あ、ありがとう…。 エミリー ちっ。なんでアンタがお礼言うのよ! エメル という事で…(ミニテーブルの方に歩いてって 空太郎 いっっ今っ、、!!(部屋に駆け込んでくる男 エメル おや? 空太郎 みんなで「エロ」い話とかしてたんですか?!!?! 空太郎 (ぜえはあ息を切らしながらやってくる功労者 エメル おやおや。無事逃げ果せたのは立派だけれど。君はドローンに盗聴機能でも付けてるのかな? 空太郎 いやいやいやいや!?!?!? 空太郎 僕は純粋にエロい話をしている所に遭遇したいなというピュアな気持ちで急いでやって来た次第でしてそのえっとですね。 空太郎 (色々とここまでの道中やってる技術は凄いが台無し感万歳の男 エメル まあ、そのモチベーションは置いておこうか。話は次に進んでいるとも。 空太郎 なる、ほど・・・ エメル 露骨なコレが気になるね。 必勝局面問題集…か。(駒の並べられた盤を見下ろして 空太郎 あ!? エミリー キモっ エメル 所謂次の一手問題って奴だね。必勝の局面から勝ち切る手順を考えるもの。(無駄に説明したがるキアシス学生 空太郎 確かにこの綺麗な部屋で、あの真面目君がやりかけの問題を放置して出かけるのもおかしーーーキモって何のことですかねえ!? エミリー アンタのことだけど? 空太郎 ととととととにかく、、、 エミリー はい、説明つづけて。 空太郎 この問題には意味がある。。そういう事ですかねえ!? エメル あぁ、問題そのものに意味があるのか…それともコッチかな?(傍の本を手に取って エメル (パラパラと捲る 空太郎 問題…ふむ?? エメル えっと、…これか。 (該当の問題が載ったページを見つける 空太郎 問題のページと…… 空太郎 並んでいる盤面の駒を見比べて…… エメル … 配置が違う駒が一つあるね。 空太郎 まさかの並べ間違え!!? エメル どうだろうねえ? えっと、そうか。 エメル 「白のビショップ」が一路ズレてるんだね。 エメル (ひょい、と該当の駒を拾いあげる 空太郎 それじゃあ問題として成り立たなくありませんか!? エレア 白のビショップ…… エレア あやしいね。ニカのことだから無意味な練習問題はしないと思うけど…。 エメル だろうねぇ。これじゃ詰まないし。 …(ズレていた駒を手に取って調べると エメル …あぁ。コレか。(「ビショップ」の裏側を皆に見せる エメル (紫色の…マーカー?で六芒星が描かれている エメル 六芒星か。ありふれた記号ではあるけれど。 ドローン (ディスプレイ付きドローンがフワフワと部屋に飛んでくる エメル コレに心当たりがある者は―― ん。 コロン 「あー。あー。みんな聞こえる?」 コロン (ディスプレイに映るコロンの姿) エレア コロン先輩…? コロン 空太郎センパイから緊急の着信を受けた所なんだけど、 コロン 「このカメラ…今ドローンの一基に接続されているのかな?部屋のみんなが見えるよ」 エメル おや。名探偵へのご依頼というわけか。 エミリー ……… コロン 名探偵??へぇ……何何? コロン ドローン越しで何処まで出来るかわからないけど……もしかして謎のメッセージとかある感じ? エメル あぁ。今ニカ君の部屋を捜索中なんだけどね。あからさまに謎解きめいたヒントが残されていて。 コロン ………(カメラから部屋の様子を注視する エメル 文殊の知恵を貸して貰えると助かるね。(カメラに触れ、チェス盤や駒、問題集がきちんと映るように コロン なるほど……ニカセンパイの部屋にやりかけのチェスがあるわけね。 コロン いいよ……センパイからの挑戦状……解いてあげようじゃん! コロン この……ジーニアスシックスがね!(瞳が光って視力向上~~~! コロン まずはそのビショップだね。問題文と違う場所にあるという。 エメル そうだね。「コレ」が描かれている事までは突き止めたよ。(カメラに「白のビショップ」の駒の裏…紫の六芒星を向けて エレア うん。ビショップだけがズレてるんだよね。 コロン なるほど!手の込んだメッセージを残してくれて助かるよセンパイ! コロン ~♪(コロン君が学生探偵団に説明するときのBGMがドローンから流れ出す エミリー うわっ。うざっ。 エメル フフ、あまり目立つ真似は控えた方が良いんだけれどねぇ。(言いつつ笑ってる コロン 「いや、ボクが流したわけじゃないからね!?」 コロン 「と、とにかく進めるよ!」 エメル ああ。是非とも。 コロン 「ニカセンパイの残したメッセージはシンプルなサインのはずだよ。」 コロン 「つまり、自分が、誰と、何処に、行かなきゃ行けなくなったか。」 コロン 「ビショップ………このコマが示す人物を僕らは全員1人思い浮かぶはずだよね?」 エミリー 何もったいぶってんのよ! エメル …『司教 ビショップ 』、か。なるほどねぇ。 エメル 何、そのまま、先の会議でも浮上していた人物じゃないか。 コロン 「そう。スバリその名で呼ばれている教員がこの学園にはいる。」 コロン 「『司教 ビショップ 』イオン教授だ。」 エレア キングが学園長、クイーンが阿笠先生… エレア そっか、そう言うことだったんだ。 コロン 「あぁ。ココまでは誰を示すサイン。」 コロン 「じゃあ何処に?って事なんだけど………」 コロン 「その六芒星のマーク。それがヒント2つ目。」 エメル フフ、という事はだ。 エメル 君はこの印に心当たりがあるんだね。 コロン 「うん。何の変哲もない。このキアシスでは毎日見かけるマークだけど、」 コロン 「特定の教団ではもう一つの意味合いを含む。」 エメル 教団。 コロン 「上下左右対照にして、古来より使われる伝統ある魔法印。」 コロン 「PUREの教団の隠れシンボルさ。」 エミリー ……(わからないので靴で音をコツコツ鳴らしながらイライラ話を聞いている エミリー PURE… エミリー へぇ。思ったよりイカれた名前が出てきたわね。 エメル PURE、か。その名と思想は耳にした事があるね。 コロン 「あぁ。少しコレだけだとこじつけだけど、」 エメル フフ、なかなか……このキアシスでは審議を呼びそうな教義を掲げていた筈だけれど。 エレア PURE…そいつらがニカを… コロン 「イオン教授がそこの教団に出入りしてる…なんてのは噂話の一つでしかないし、確度も高くない。」 コロン 「でも。ほら。ココにニカパイセンが残してくれたヒント3を足してみてよ。」 エメル ヒント3。それは… コロン 「えっと、チェスでは1プレイヤーあたり2個のビショップを使うんだ。」 エレア 3…? コロン 「ほら、白のビショップ、もう片方はすでにその盤面に配置されているでしょう?」 コロン 「そして…更に付け加えると…」 コロン 「チェス盤は白のマス32マスと黒のマス32マスに別れた64マスで構成されてて…」 コロン 「チェスのコマで唯一ビショップだけが、」 コロン 「最初に置かれたマスの色とは別の色に、決して移動しないんだ。」 エメル あぁ、ビショップは斜めにしか動けないし。似たボードゲームと違い新たに打ち込まれる事もない。 コロン 「そうそう!!」 コロン 「それで…すでに設置されているビショップは…黒いマスの上に置かれているよね?」 コロン 「じゃあ、ニカセンパイが残してくれたビショップを置くべき場所は・・・・・・・・」 コロン 「白。」 コロン 「白のマスに。六芒星の。司教 ビショップ を置く。」 エミリー ……それがどうなるって言うのよ! エメル 決して他の色に染まらない「白」。故に「PURE」…って事かな。なんだか詩的だねぇ。 コロン 「うん。そうそう。でもちゃんと場所の答えになるのさ。」 コロン 「ニカセンパイの作ったヒント、オシャレだよねえ。」 コロン 「白のマス…真っ白の立方体の建物。」 コロン 「・・・実はこの割と近くにあるって知ってた?」 エミリー ……! エミリー ちょっとアンタら、マジであそこ行く気? コロン 「不気味に浮かぶ真っ白の立方体。」 コロン 「それこそがPUREの総本山。今、イオン教授とニカセンパイが居る場所さ。」 エメル フフ、そんな奇怪な建物がある事も、そこが宗教団体の本部だとも知らなかったよ。 エメル けれど、そんな場所があるのならそれはもう答えが出たようなものなんじゃないか? コロン 「うん。今日日ケータイでも近影を調べる事が出来るらしいんだけど、」 コロン 「ちゃんと浮遊した立方体の下には六芒星も描かれているらしいからね。」 エレア うん…行くしかないね… コロン 「ニカセンパイはそれも示していたんじゃないかな?」 エメル なんとかマップって奴かな? …やれやれ、個人の邸宅よりもよほど警備が厳重そうだけれど。 エメル フフ、乗り込む気満々みたいだね? エミリー はぁ…… コロン 「行くって言うなら止めやしない…というか止めるつもりなら推理なんて披露しないしね。」 コロン 「でもそこの人達だけで突っ込むのは危険だよ。ちゃんと合流して向かおう。」 エミリー そうね。数が多いし、何より全員イカれてるわ。 エメル フフ、冷静だねぇ。まあ同意だとも? エメル という訳で、だ。逸る気持ちはもう少し抑えてくれたまえよ。(エレアを向いて エレア ……わかった。 エレア 一人でも行きたいくらいだけど、その方がニカを助けられる可能性が増えるならそうする…。 コロン 「じゃあ、集合場所をグループにポストするね。」 コロン 「一旦そこに集合して…」 コロン 「今度こそニカセンパイに会いに行こうか!」 エレア ………、ニカ…。 エレア みんなで、助けに行くから…