約 2,412,031 件
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/116.html
戦い、それが自由 ◆A6ULKxWVEc 「…少し急ぎの用事がありますのでそこを退いて下さらない?」 戦闘の現場に急行しようとしていたとき、いきなり斬撃を放ってきた人形のように無表情な少女に問いかける。 ただでさえ不調のお陰で足が遅いのだ、これ以上引き離されては追いつくのは絶望的になる。 「……」 対する少女は無言のまま構えを崩さない。 「ちょっと、聞くいてらっしゃる?私、あまり気の長いほうではありませんの。さっさと退かないと、力ずくで押し通りますわよ?」 最初の斬撃、そして今の構えを見るにかなり戦い慣れしているようだ。そしていきなり斬りかかって来たことから、恐らくこの殺し合いに乗っているのだろう 自分より強い、とは言わないが相手は刀、此方は酒瓶と人形。実力以前の問題だ。 だがそれでも下手には出ない。その様な生き方をカルラは好まない。 「好きにすればいい。あなたが何をしても、私は殺すだけ」 わかっていたことだが相手に引く気は無いようだ。そして当然自分にも引く気はない。 確かに戦闘している所でアルルゥ、エルルゥが襲われているかもしれない。 しかし、それを言うならこの危険人物を見逃したことでその二人が殺されるかもしれない。 どちらを選んでも危険があるなら楽しそうな方を選んでも問題にはならないだろう。 そして何より───挑んでくる強者に背を向けて、何が戦闘民族だ。 「では好きにさせていただきますわ。先にも述べたとおりあまり時間がありませんの。ですから───手短に行かせて貰いますわッ!!」 そう言いつつ酒瓶を投擲する。 当然そんな物は容易く切払われる、だがそれは計算の内。 砕けた破片が少女を襲い、その隙に拳で─── 「───ッ!?」 だがその計算は破られた。確かに酒瓶の破片は少女を襲った。 しかし少女はその程度の破片など恐れない。まるで痛みを感じない人形のように。 ガラスの破片は少女を傷つけ、しかしそれに怯むことなく彼女はカルラへと肉薄する。 そしてその刃がカルラの胸元へと─── 届く直前、カルラの拳が少女へと届いていた。 先に当たったとは言えその拳は振り抜きも踏み込みも足りないその場しのぎの物に過ぎない。 当然少女はすぐに立ち上がり刃を構える。 先ほどの酒瓶の所為で体中到る所に出血が見られる。しかし目の前に立つ少女はまるで痛みを感じてないかのように、気負うことなく、怯むことなく平然と構えている。 「中々いい根性してますわね。貴方、お名前は?」 故に、今こそカルラは眼前の少女を敵と認める。この闘いが終った後でも記憶に残しておく価値のある敵だと。 「アセリア。アセリア・ブルースピリット」 少女───アセリアは淡々と自分の名を告げる。 「アセリアですか。中々いい名前ですわね。私はカルラと申します。戦闘民族ギリヤギナの末裔にしてハクオロ皇の奴隷ですわ。それと───」 歌うように彼女は続ける。 「先程急ぎの用事があると申しましたが、あれはキャンセルしますわ。今はただ───貴方と全力で踊りましょう」 それで話は終わり?そう問いかける代わりにアセリアが切り込んでくる。 そう、最早私達の間に言葉は要らない。 相手はは刀、此方は拳で語るのみだ。 刀と拳。言うまでも無く絶望的なまでに不利なのはこちらだ。 だが、それでも。カルラの顔にははっきりと笑みが浮かんでいた。 体が思うように行かない苛立ちを斬撃に込め、目の前の女──カルラと言うらしい、に斬りかかる。 だがその斬撃は肌を掠るのが精々だ。 そしてその攻撃に被せて来る相手のカウンターは確実にアセリアを蝕んでいく。 しかしその攻撃はアセリアを止めるにはあまりに浅すぎる。 もう何度このやり取りを続けたのだろう? カルラの体には無数の切り傷があったし、アセリアもカルラの拳が、そして最初の破片による傷の所為で着実にダメージを負傷させていく。 もしも思う通りに体が動けばすぐにでもカルラを切り捨てられるのに。 どうもこの島に来てから思うとおりに体が動かない。 その所為で後一歩のところでぎりぎり攻撃を避けられてしまう。 そのことを疎ましく思う反面、少しだけ感謝もしていた。 本調子だったらすぐに決着がついてしまう。 それは───少しだけ勿体無い。 心底楽しそうに戦うカルラの笑顔が伝染したかのように、アセリアの顔にも小さな笑顔が浮かんでいた。 一体どれだけの時が立ったのだろう。 両者の集中力は極限に高まり、自分と相手以外の雑音は一切耳に入っていなかった。 当初両者互角に見えた戦闘は今や完全にアセリアが押していた。 出血による疲労、拳と刀の間合いの差、理由を数え上げればきりが無い。 しかし一番の決定打はアセリアの成長だろう。 当初アセリアは地獄蝶々を自らの永遠神剣“存在”と同じように扱っていた。 当然の事だが大剣と日本刀の扱いは大きく違う。 しかしアセリアは天性の才能と戦場で培った経験でその2つの武器の差を埋めていく。 少しずつ、しかし着実に彼女は日本刀を使いこなす。 徐々にアセリアの刃はカルラを捉えはじめ、カルラの拳は空を切りはじめた。 アセリアは思う。 こんなものか、と。 自分が優位に立っているにも関わらず喜悦は何処にも無く、ただ理由の無い失望感だけがあった。 最早当初の昂揚は何処にも無い。 唯、何時ものように刃を振り下ろす。 そしてその刃は───カルラを捉えた。 悲鳴ひとつ上げることなく、カルラは崩れ落ちる。 恐らくは致命傷。 仮に死んでなくとも、これ以上戦闘する力はないだろう。 故に彼女は倒れ臥した女に背を向け、次の敵を探す。 このもやもやした感情をぶつけれる対象を。 「おまちなさい、まだ勝負は終ってませんわ」 だが。 彼女を止める声があった。 「どうして?」 立ち上がれる筈は無い。 そして立ち上がったところで意味も無い。 振り向いてみれば、カルラは立ち上がった物の、満身創痍。 特に先程の一撃を受けた右腕はだらりとぶら下がっている。 それなのに。 「どうして?」 どうして彼女は笑っているのだろう。 「どうして、と聞かれましても何のことだが分かりませんわ」 息も荒く、今にも倒れそうな眼前の女は、しかし決して崩れないのだろう。 理由も無くアセリアはそう感じた。 「そうですわね……敢えて言うなら私が私らしくあるため、でしょうか」 自分らしくあるために戦う、というのはアセリアにはある意味で尤も分かりやすく、そして尤も分かりにくいものだから。 アセリアにとって戦いは自分そのもの。そもそも戦わない自分、というものが想像できない。 「あなたも……戦い以外に自分が無いの?」 ならば何故彼女は笑うのだろう。 何故彼女はあんなにも楽しそうなのだろう? もしかしたら、自分も唯の義務や手段ではなく、戦いを楽しめるようになるのだろうか しかしそんな少女の期待はあっけなく裏切られる。 「まさか。戦って、酒を飲んで、仲間と騒いで、トウカをからかって、そして夜になったら主様にご奉仕する。それら全てを含めて私ですわ」 結局、カルラも悠人と同じ種類の人間なのか。自分と同じ様に感じていたのは錯覚だったのか。なぜかは分からない、だがアセリアはカルラに裏切られたような気がした。 何度切っても立ち上がるなら、何度でも切ろう。 理由は分からない。 それでも、もうカルラを見ていたくなかった。 カルラの声を聞きたくなかった。 だがそれでも彼女は語りかけてくる。 「あなたは、戦いしか知らないんですのね」 煩い。 普段は誰に何を言われても気にはしない。 だが何故か眼前の女の言葉はやけに気に触った。 「だったら、何?」 目の前の女は不適に笑う。 「いえ、ならそんな女相手に私が負けることは無いと安心しただけですわ」 もはや問答する気は無かった。 ただ目の前の気に食わない女を斬る。 まるで何か吹っ切ろうとする一刀両断の一撃。 その一撃はカルラの左手を捉える。 そして刀を引き、今度こそ首を飛ばそうとする。 だが、刀が動かない。 そして、カルラの目は死んでいない。 「ギリヤギナを舐めないでくださいます?この程度の一撃、最初から覚悟してれば耐えられますわ」 肉を切らせて骨を断つ、と言う言葉がある。 しかしこの行為はその程度のレベルではない。 これは、骨を断たせて骨を断つ、という行為。 恐らくもう二度とこの左手は動かないだろう。 我ながら無茶をしていると思う。 だが、この小娘に負ける訳には行かない。 自分のためにも彼女のためにも。 そしてカルラは拳を振り上げる。 もはやまともに動かない右腕を。 「私に勝ちたかったら、戦い以外の自分を見つけて出直してくることですわね。」 その拳はアセリアの顔面を完全に、捉えた。 朦朧とする意識の中、アセリアは彼女の言葉を聞く。 「ここで立ち上がってこれるかこれないかが私とあなたの差ですわ」 何故私は立てないのだろう。 そして何故彼女は立てるのだろう。 「せん……ます………。」 もはや彼女がなにを言ってるのかほとんど聞こえない。 それでも最後の一言だけははっきりと聞こえた。 「次に会うときに、まるで成長してなかったらそのときは私があなたをぶち殺して差し上げますわ」 その言葉を聞き終わると同時に彼女の意識は途絶えた。 「少々お節介が過ぎたかもしれませんわね」 アセリアとの戦闘は思ったよりも時間を食った。 そして何よりも血を流しすぎた。 意識ははっきりとしないし、歩くのもままならない。 「……まあ、武器も入手したことだし、良しとしますわ」 『戦利品としてこの刀は貰っていきますわ』 一応そう告げて武器は貰っておいたし、誰かを襲うことは無いだろう。 「けっこう歩いたのですが…戦闘の跡らしきものは見えませ───」 その言葉を言い終わる前に、弾丸が彼女の胸を貫いた。 そして倒れ落ちる間に、2発、3発と弾丸が彼女を貫いていく。 アセリアの刃を受けても挫けることなく立ち上がった彼女は、突然現れた少女、咲耶の放った凶弾を受け、二度と立ち上がることは無かった。 「ごめんなさい、とは言わないわ。あなたも誰かを殺したんでしょうし」 咲耶が殺した女は全身血塗れで、刀を持っていた。恐らく誰かと戦って、負傷はしたものの勝利したのだろう。 ───相手を殺して。 誰かを、妹達を殺しうる人間は殺さなければならない。 妹の為に、みんなでお兄様の所に戻る為に。 だから、後悔なんてしない。しちゃいけない。 全てが終る、その時までは。 【G-7海岸側1日目 早朝】 【アセリア@永遠のアセリア】 【装備:無し】 【所持品:支給品一式(ランダムアイテム残り不明)】 【状態:気絶・ガラスの破片による裂傷。殴られたことによる打撲】 【思考・行動】 1:??? ※戦闘に集中していたので拡声器の声は聞いていません。 【G-81日目 早朝】 【咲耶@Sister Princess】 【装備:S W M627PCカスタム(8/8)地獄蝶々@つよきす】 【所持品:支給品一式 可憐のロケット@Sister Princess S W M627PCカスタムの予備弾61 肉まん×5@Kanon】 【状態:健康】 【思考・行動】 1:四葉、衛、千影を探し守る。 2:姉妹を傷つける可能性をわずかでも持つ者を殺す 3:脱出を具体的に計画している人物は放置。 4:脱出の具体的計画がなくとも、100%姉妹を傷つけない確証が得られた場合は殺さない。 5:3の際に脱出が現実味を大きく帯びた場合のみ積極的に協力する。 基本行動方針 自分と姉妹達が死なないように行動する ※カルラのディパックはG-8に放置されてます。 【カルラ@うたわれるもの 死亡】 [残り57人] 042 宣戦布告 投下順に読む 044 偽りの贖罪 040 希望は爆発と共に 時系列順に読む 050 夢と決意と銃声と―― 025 傀儡のアセリア アセリア 078 彼女は戦士だった 027 【二人の岐路】 咲耶 067 少女連鎖 031 魔女 カルラ
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2294.html
前ページから それから後の事はしばらく、肩身が狭いの一言。 天狗代表の天魔や、神社のもう一人の神様は勿論の事、ゆっくりの方ではない本物の八雲紫への 謝罪。 巫女さんは出向いてこなかったが、自主的に皆謝りに行った。 また、比喩でも何でもなく、本当に勇儀は山を「割って」しまったので、麓の付近にいくつかの 農家まで様子を見に行かねばならなかった。 亀裂が走った部分には、沢等が通っていなかったので、河童達の生活には問題は無いようだった が、この惨状はこれからずっと残るだろう。 なるべく知られないように穏便にはかりたいと関係者全員が思っている事だが、この深々と 山に刻まれた傷を見るたび、鬼には頭が決して上がらない事を妖怪達は思い出すだろう。 さとりがとった処理の判断は、基本的にどれも正しかった。 周りの心情を読んだだけと言えば身も蓋もないが、ヤマメ達は、改めて自分達の代表が代表たる 所以と、頭が下がる思いだった。 こうした処理に全員がそれぞれ奔走する事1週間。 当の勇儀は入院中である。 最初は、誰よりもボロボロの体で、必死に処理を手伝ったが、やがて昏倒した。 大分回復し、床で上半身だけ起こし、今は水橋が剥いてくれた桃をもしゃもしゃと噛んでいる。 鬼に、ここまで負担を負わせるとは…… たまに見舞いに現れるゆっくりのゆかりへの気持ちが、胡散臭さから、恐怖に変わりつつある。 橋守の仕事はどうなっているのか、病室に住んでいるのではないかと思う程、水橋がいつもいる。 「ゆっくりよくなってねー」 今日は件のチビゆっくりを連れて、キスメとヤマメがやって来ている。 先程まで、おりんとお空、更にはこいしもいたらしい。 ややあって、さとりもやってきた。 水橋が剥いた桃と林檎を結局全員で食べながら、ふとキスメが尋ねた 「あの技、何だったの?」 「技って?」 「柱、すり抜けてた」 ああ………「奥義」とはいうものの、正式な名前がまだできてないんだが…… と、勇儀は照れくさそうに説明する 「あれは、ゆっくりの『応用技』なんだ」 「『おうよう』?」 「ある意味邪道かもしれないんだけどな………だけど、皆驚いただろ?」 「キスメも、このちびちゃんもできるかな?」 「ちょっと練習すればできるとも!」 その原理は 「まず最初は、こちらから攻める事は一端忘れて、相手の攻撃を避ける事に専念する」 「専守防衛ってことね」 「受け止めたりどうにかするんじゃなく、避けるんだ。それもゆっくりするだけゆっくりして、 ギリギリまで我慢してゆっくりしてから避ける」 「危なくない?」 「勿論危ないけど、慣れれば相手が止まってるようにしか見えなくなるよ」 そんな世界にいたのか…… 改めて高次元な世界に戦いだったと思い知らされる。 「それを覚えてゆっくりギリギリで待った後は」 そのゆっくりしていたのをバネに、全力の速さで、攻撃を避ける 「残像が見えちゃうくらいにな」 ここら辺が、ゆっくりを利用した動きとはいえ、ゆっくりしていないには違いが無いので邪道 かもしれないと勇儀は語る。 「で、その残像が消えない内に、元の位置に戻って、何事も無かったかの様にするのさ」 実質、これでは確かに透けているのと変わりは無い。 成る程、不可解だった現象がようやく分かった。 「いや、今度練習するけど、それ口でいう程簡単じゃないよ!」 「―――それを覚えるなんて、よっぽど暇を持て余してたのね。余裕だこと!」 「がんばったね!!! ゆうぎおねえちゃん!」 「ねー」 皆が盛り上がる中、快活な咀嚼音とともに林檎を飲み込んで、何気なくさとりが言った 「『元の位置に戻る』必要ってあるんですか?」 「えっ?」 「いや、だから……」 場は静まり返った。 「一度避けて、また何で気づかれないように戻る必要ってあるんです? ちょっと読めないん ですが」 「相変わらず、何を 言っているのか さとり様は 解らないよ」 ゆっくりした分、早く動けるのは理解できる。原理も解る、とさとりは前置きして 「でも、それだけ早く動けるなら、他の攻撃がまず当たらない場所に行くか、その勢いで相手を 攻撃するとか色々使えると思って」 今度は、寝台の上の勇儀まで、憐れむような目でさとりを見つめ始めた。 誰も言わないので、嘆息しつつ水橋が代表して言う 「それじゃあ、すり抜けたように見えないでしょう」 「そう見せる必要がどこにあるんです」 「さとり様、本当に面白い事言うね」 「ゆっくりできないじゃないか!!!」 ややあって、さとりは全員の心を能力で読み始めた様子だった。割と慣れているし、これなら一々愚かな質問を受ける事もないだろうと思って皆抵抗はしなかった。 少し気まずそうに、しかし思い切ったようにさとりは言った。 「ゆっくり なんて戦いのほんの一要素に過ぎないじゃないですか」 ガタッ と勇儀は思わず立ち上がろうとしたが、激痛でまた臥せってしまう。水橋が慌てて介抱 し、キスメとチビゆっくりは目を見開いてさとりを睨んでいる。 ヤマメは、何とか口に出せた 「言って良い事と、悪い事がありますよう。姐さん、そのゆっくりした末に、ここまで体を鍛え 上げて、結果入院してるんですよ!?」 「ゆっくりの重要性は解りますが、全てではないでしょう」 チビゆっくりは、心底他者を見下しきった顔を浮かべ、キスメと目を合わせて頭を振った。 「元々、戦いにどうしても必要なのはスピード。それを適所適所で効率よく、かつ瞬発的に最大 限引き出すために、ゆっくりがあると思っていたんですが」 「「「「全然違うな」」」」」 ここで5人の声が揃った。 流石にさとりも耐え兼ねたのか、珍しく怒りを含んで言い返した。 「ゆっくりする だけなら私にだってできますし」 「ほほう……」 病室は一気に険悪に。 うず高く積まれた見舞客からもらった土産の箱の山の一角が崩れ、花瓶の花が、何故か、枯れた。 「やってもらおうか」 「ここが個室で良かった。ちょっと、どかしてもらいますね」 さとりはテーブルその他、色々な器具と勇儀の寝台も少し動かして室内に大きなスペースを作り、 その中央にテーブルを、そしてその上に、林檎を一個だけ置いた。 「では行きます」 そして、その周りをグルグルと走り始めた。 そう――――歩いてすらいない。たったっ―と軽快な靴音を立てて。 あれだけ馬鹿にされてこの光景であるから、皆容赦はしなかった。 「ぎゃはははははははは!!!」 「ううぇっうぇっうぇ」 「見たあ? ゆうぎおねえちゃん。あのさとりさんのゆっくりしてなさっぷり」 「さとり様早過ぎ 馬鹿じゃねーの?」 「そのゆっくりしてなさが嫉ましいのを通り越して笑えて来て、更に一周して嫉ましいんだけど そこから笑いがこみあげてまた嫉ましくなってくるわ。あははははは」 惨めな敗残者を見つめる眼差しの5人。 対して、さとりは茸の仲間を魚の一種だと勘違いしておりそれを指摘されたにも関わらずむきに なって自説を押し通す、愚かで頑固な学生でも眺める、妖艶な女教師の様な目つきで悲しそうに 5人を見返している。 それにしても早い。 最初はランニング程度だったが、その勢いは止まらず加速していく。 「あー腹痛い」 「何よ何よあの速さ」 「ああーあ…… ついに残像まで見え始めちゃったよ」 「あんなに早く動けるんだねえ 逆に尊敬しちゃうわ」 そう、本当に早すぎていつしか約10人程度の分身したさとりが、テーブルを囲んでいる状態だ。 「さとり様、もういいですよ。ゆっくりなんて……」 「あなた達の目は本当に節穴。いっそ無い方が良いんじゃないですか?」 さとりは、なおも自説にしがみついて図書館にも行けなくなってしまった哀れで愚鈍で矮小な 男子生徒を結局捕食する寸前の妖艶な女教師の様な冷酷かつ熱っぽく見下しきった眼で嘆息した。 「―――ここまで言って分からないとは…… 地底生活も平和になりすぎたのね」 「何を………」 「皆それなりに修羅場をくぐってきた者達ばかりだと思っていたのに…… どれ」 誘う様に、思わず全員鳥肌が立つような流し目で声のトーンまで変えて続けた。 「私を触ってごらんなさいな」 「そんなに早いんじゃ、けがするんじゃ……」 「いいから」 恐る恐る、ヤマメから軽く触れた。 「―――……えええ」 驚きの声。 続いて水橋も気になって触ろうとしたが、さとりは反対方向から触るように促した。 そして悲鳴があがる。 キスメと、チビゆっくりもそれぞれ別の場所から。 動けない勇儀は目を見開き、大汗を流しながら見守っている。 「こ、これは………!」 「信じられない………」 「さ、さとり様が」 「た、たくさん?」 高速で移動しているため、多少の怪我は覚悟していた。 しかし、ヤマメはゆっくりと、さとりの体温も、柔らかい肌も感じる事ができたのだ。 それは、殆ど移動することなく、ずっと手の中に 同じことが、別方向の3人にも起こっているのだ。 すなわり、さとりが本当に10人テーブルの周りを囲んでいることになる。 「い、一体どういう現象なのですか!?」 「言ったでしょ……ゆっくりするだけなら、私にもできるって」 最初は、高速で動いていたはずだ。 まさか…… 「そう。そのまさか」 「徐々に……ゆっくりと速度を落としたんですね!?」 「解らないように、ゆっくりと、ゆっくりを始めたんです。 今の私は、あまりにもゆっくりし過ぎて、早く動いているようにしか見えないでしょうね ―――まあ、あなた達にとっては、 最初が早かったから『邪道』とか『応用』という 事になるんでしょうが」 高速からの、ゆっくりへの転換――――そして、残像が産まれるほどのゆっくりとは! あまりにゆっくりし過ぎて、この残像はもはや残像ではなく、本当にさとり本人がいる事と 変わりはないのだ。 「すごい、こんなにゆっくりできるんですね、さとり様!」 「馬鹿にしてすみませんでした!」 「いえいえ。私もあの男前のゆっくりに教えてもらっただけですから」 ややあって、さとりは懐から果物ナイフを取り出した。 そして、中央の林檎を切る。 一瞬で、林檎は皮をはぎ取られ、綺麗に切断され、10個の兎がテーブルに並ぶ。 もの凄い技術だ。 「――――!!!!!!!!!!!」 「こ、この林檎がもし……」 対戦相手だったら。 これ以上の恐怖はないだろう。 恐ろしい応用技があったものだ。 同時に、さとりはゆっくりをあまり良くは思っていない様子だが十分な脅威を見せつけてくれた。 「さとりさm………」 それを訪ねようとした時――――ヤマメは、自分が既に10人のさとりに囲まれている事に 気が付いた。 早い。 そして、もうゆっくりとし始めている。 「い、いやあああああああああああああああああああああああ!!!!」 「さ、さとり様、何て事を!」 「おい、そりゃ無いぜ!!!」 「今まで酷い事を言った事は本当に謝ります! だからヤマメをそんな目にだけは……!」 「ごめんなさいごめんなさい………」 全身が吸い込まれそうな深い目で見つめられ、思わずヤマメは座り込んだ。 これ程の恐怖は、あの巫女さんとの対戦でも感じなかった。 ガタガタと振るえる自分をみっともないとは思ったが、このゆっくりから逃れられる自信は無い。 「心から反省している様ですね……」 「そりゃあもう!」 「ならば……………せいぜい抵抗してごらんなさい?」 「う、うわあああああああああああああ!!!」 全力で病室の中だというのに弾幕も、体内の糸も発動させ、さらに迫りくる周囲のさとりに、 全力で蹴りと拳を見舞った。 「きゃんっ」 そのまま、きれいに10人分のさとりが後ろにのけぞったのは、一瞬だった 弾幕・糸・拳・蹴り・その他の能力全て、ヤマメの持つ技術を総動員させた攻撃が綺麗に当たった 痕跡が顔面にあった。 「あ………」 「そうか…………」 心を読む能力は無くとも、皆、もう理解していた。 勇儀は、寝台でとにかく脱力仕切ったやる気のない顔になっている。 周囲に、実質分身しているのと同じ状態で、相手が10人。 それも、ゆっくり動いているのだとしたら…… 「どこを狙っても、ダメージが………」 「高速での残像だと、避けられる確率の方が高いですし、攻撃した側が負傷する恐れがあるん ですけどね……」 このまま一緒に入院するべきではないかと思う程怪我をしたさとりは、ゆっくりと穏やかに立ち 上がった。 その目は、あの妖艶な女教師のそれではなく、優しい皆の母の様な暖かさがあった。 「さ、さとり様、その事を私達に教えてくれるために……」 「理解してくれたなら本望です」 さとりが、再び卒倒するのと同時に、4人の地底の妖怪達は――――夢から覚めた。 そして、ここに至ってようやく重要な事に気が付いたのだ。 ―――――実戦中に、ゆっくりし過ぎてはいけない――――― 「そうなの?」 寝台の上から、気まずそうに勇儀はチビゆっくりに尋ねた。 元気よく、チビゆっくりは可愛らしく応えた。 「そうだよ!!!」 了 登場キャラの一人ひとりに魅力を感じました 何気なく勇儀のことを思っているパルスィとか、すごく良い 姐さんとかギャグかと思ったら山割る辺りやっぱ侮れないわ そして突っ込み役だと思ってたさとり様が真の力を発揮したあたりから色々おかしくなったw 展開が転がってぶっ飛んで斜め上にすっとんでいったような感じw -- 名無しさん (2011-06-18 01 10 03) このシリーズは、妖怪の陰鬱な側面→ゆっくりとの出会い→変化する常識の流れが秀逸すぎる。 ちょっと頭抜けています。 -- 名無しさん (2011-06-18 13 06 47) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/6153.html
このページはこちらに移転しました 女の戦い・子の戦い 作詞/215スレ23 腐女子 腐女子 うっせーぞ てめえらの定義する腐女子って何だよ ヲタク女の子とか? BL好き女の子とか? それともBL好きと夢見腐女子を合わせたものか? 腐女子腐女子腐女子貴腐人 腐女子腐女子腐女子汚超腐人 ゆとり ゆとり うっせーぞ てめえらの定義するゆとりって何だよ バカ発言するガキか? ゆとり教育を受けたこどもか? それとも自分より年下で気に入らないやつらか? ゆとりゆとりゆとりゆとりこども ゆとりゆとりゆとりゆとりおとな
https://w.atwiki.jp/alokonpeito/pages/12.html
ギルド名 こんぺいとう サーバー ゼウス 所属国 聖光城 ギルド設立者 erond
https://w.atwiki.jp/hengokurowa/pages/23.html
赤く光る歪な夜が彩る平安京のどこか。 そこには、この町を照らす赤とは違う、別の赤い人影が立っていた。 いや、そもそもこれは人ではない。 全身が赤と黄色の、まるで焔のような彩りを持った人間はいないだろう。 ならば何か、と問われればその答えは誰も知らないが。 頭には小さな角、胸と背中には大きな尖った何か。 そして両手の先には剣になる、鋭さを持った手。 こいつの正体は何なのか、それは誰も知らない。 ロボットか、精霊か、それとも他の何かか。その答えに意味などない。 こいつの名前はDragonClaw。 PC用フリー2D格闘ゲームエンジン、MUGENにて製作されたキャラクターの一つだ。 そんな彼―そもそも性別があるのかすら不明だが―の目的はただ一つ。 戦うことのみ。 格闘ゲームのキャラとして製作された彼ができることなど、戦うしかない。 意思も示さず、言葉も発さず、ただ戦い続ける彼のやることは変わらない。 MUGENの2Pは伊達ではないのだから。 【DragonClaw@MUGEN】 [状態]:体力バーMAX、技ゲージ0 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3 [思考・状況]基本方針:戦う [備考] 電池切れの記述は主催者により削除されています。 ※電池切れとは DragonClawに搭載されているAIに記述されている、一種のハンデ。 DragonClawが試合中に著しく有利になるとしゃがんで動かなくなる状態のこと。 ◆ 赤い夜の中を迷いなく進むDragonClawを、少し離れたビルの屋上から眺める女がいる。 彼女は衣服こそシスター服なものの、豊満な胸の谷間が下からさらけ出されている姿は聖職者には到底見えない。 更には普通の女性には到底持てないであろう巨大な剣を持ち、黒い棺が傍らに浮かんでいる。 彼女もまたMUGENで製作されたキャラクター。 名前を、ナイア・ルラトホテップという。 彼女のことを詳しく知る者はいない。 これは彼女自身が意図して定まっていないが故に。 性格も、強さも、時には声さえも。 それでも彼女もまたMUGENのキャラクター。 戦う以外の道など知らぬ、聞こえぬ、興味もない。 「DragonClaw。あなたも楽しめるといいわね。 あの世界よりも不自由で、されど定まっていない戦いを」 眼下にいる同類に小さく呟くと、彼女もまた殺し合いへと向かっていく。 【ナイア・ルラトホテップ@MUGEN】 [状態]:健康 [装備]:剣と棺@mugen [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本方針:この殺し合いを楽しむ 1:DragonClawとは違う方向へ向かう 2:あの世界(mugen)とは違う戦いは、楽しめるかしらね? [備考] 自身含むmugenで作成されているキャラクターの知識があります。 どの程度知っているかはこの話が当選した場合、次の人にお任せします。 【剣と棺@mugen】 ナイア・ルラトホテップに支給。 彼女本人が武器として用いているもの。 人が持つには巨大な剣と、持ち主の意志で自在に浮かび、中からあらゆるものが飛び出す棺。 何で出来ているかは誰も知らない。
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/5169.html
クリアフォース・ドラグーン 火文明 R コスト 5 1000 ティラノ・ドレイク ■バトルゾーンのクリーチャーはすべて、可能ならば相手のクリーチャーを攻撃する。 ■このクリーチャーは攻撃されない。 (F)「本物の戦いとはこういうことだ。」----クリアフォース・ドラグーン 作者:セレナーデ 収録 宝玉編 第一弾(デストラクション・ジュエル) 評価
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/4726.html
autolink() AB/WE10-36 カード名:影との戦い カテゴリ:クライマックス 色:赤 トリガー:2 【永】あなたのキャラすべてに、ソウルを+2。 ノーマル:馬鹿やってないで、援護し合って! パラレル:チェックメイト。手を上げなさい レアリティ:C illust. Angel Beats!では初めての全体ソウル+2CX。 対応キャラのCXシナジーはキャラ回収である。 Angel Beats!はソウルが低くなりやすく、また手札も増やしにくいため、採用を検討する価値のあるカードといえる。 ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 神を許せないゆり 2/1 8000/1/1 赤
https://w.atwiki.jp/keito/pages/50.html
いとでんわwiki/2005年07月14日/ロック #blognavi
https://w.atwiki.jp/keito/pages/75.html
いとでんわwiki/2005年08月02日/9月の予定 #blognavi
https://w.atwiki.jp/asparagusbisque/pages/18.html
剣術 剣術(けんじゅつ)は、日本刀で相手を殺傷する武術である。 概要 現代日本の武道である剣道の母体となった。なお術の名称については中国では、片刃の刀と両刃(諸刃)の剣が明確に別の武器であると認識されているが、日本では刀と剣の認識が混ざってしまい曖昧となってしまった。日本では中国から伝来した刀剣が両刃(諸刃)の剣(つるぎ)から片刃の日本刀(かたな)へ完全に移行してしまったためである。「刀術」という名称もあるが、『本朝武藝小傳』など極少数の江戸時代の文献に使用されているが定着はしなかった。なお中国の剣術に対しては中国の剣を参照のこと。 日本の剣術と世界各国の剣術を比較すると、刃長60cm以上の刀を両手で持ち、互いに盾を用いずに戦うという形式は珍しく、中世のドイツやイタリアで両手剣による剣術があるくらいである。 戦乱のなかった江戸時代に大きく発展したため、戦場で着用する甲冑は前提とされず、平時の服装での斬り合いを想定している形が多い。実際の戦場での斬り合いは形通りではなく、袈裟(鎖骨・頚動脈)に斬り込むことが主流であったともいわれている。また、ジゲン流(自顕流や示現流)を習得した薩摩藩士の戦いぶりにおいて、その斬殺死体のほとんどが袈裟斬りを受けて即死に至っていたともいわれる。 歴史 古代 日本において青銅製の武器の製作が開始されたのは、出土品から見て早くても紀元1世紀以降とされているが、この時代の日本にはまだ文字がなかったため、この時代の剣術については伝わっておらず、その有無・詳細は不明である。 鉄製の剣の使用は軍事的優位の源泉であった。しかし国産の鉄製刀剣が盛んになったのは7世紀以降であって、推古天皇が「太刀ならば句礼(中国の呉)の真鋤(刀剣の意味)」と詠っているように、古代は大陸からの輸入品が主流であった。刀鍛冶である「鍛冶戸」が朝廷によって各地に置かれたのは8世紀以降である。これ以降、日本国内でも直刀や蕨手刀などの多種多様な鉄の剣が作られるようになっていった。 平安時代 [編集] 平安時代になると、日本国内での製鉄技術は大陸と遜色ないレベルにまで達した。さらに、従来の真っ直ぐな剣から、湾曲して人を斬りやすく、また馬上での戦いに適した形に進化し、やがて現在まで伝わる日本刀の原型ともいえる刀が登場する。 平安時代中期に武家が台頭すると、刀の柄が長くなり、「片手持ち」から「両手持ち」へと変わり、現在にいたる。 平時の戦闘において、刀で攻防し、敵を殺傷するための技術(すなわち剣術は)この頃には確立された。 源平時代 『平家物語』や『平治物語』に、剣術の技名のような記述が見られる。 鎌倉時代 武士が国家の中心勢力としての地位を確立するにいたって、日本は大陸の儒教文化圏からは異なった、武芸と為政者がその習得を行うことに上位の価値を認める文化の形成を開始した。 戦国時代 戦国時代における剣術は、戦場での総合的な戦闘技術である「兵法」の一種であった。 戦場では刀は主武器ではなく、鉄砲や弓矢などの飛び道具を第一とし、白兵戦においては、槍をはじめ薙刀、長巻、野太刀や大太刀など、長いリーチを持つ刃物を優先して使用した。多くの戦国大名が巨身の「力士」を雇い入れることに熱心であったのは、彼らでなければ振り回せない長刀を装備した上で、力士隊として編成して身辺警護や特殊兵力に用いるためであった。甲冑を装着した武者同士の太刀による戦闘方法は、当然、巨人がただ刀を振り回せばよいものとは異なり、介者剣術と呼ばれ、深く腰を落とした姿勢から目・首・脇の下・金的・内腿・手首といった、鎧の隙間となっている部位を狙うようなスタイルであった。甲冑武者同士の戦闘は最終的には組み討ちによる決着に至ることが多く、その技法が組討術であり、後の柔術の源流の1つとなった。現代武道の柔道や合気道は、その柔術より派生したものである。 南北朝時代は、「笑切・袈裟切・雷切・車切・片手打・払切・撫切・下切・立割・梨子切・竹割」等が『太平記』をはじめ諸文献に見えており、縦・横・斜めの基本形に止まっている。南北朝期の鎧兜の重装備では動作も敏捷性を欠くため、技術よりも武器のリーチや体力が重要であった。室町時代から戦国時代にかけて、足軽や雑兵が出現し、重装備から軽装備へと変わっていき、敏捷な動作が可能となった。永禄九年五月吉日 上泉伊勢守信綱の柳生宗厳宛新陰流相伝自筆伝書に「上古の流有り、中古に念流、新當流、亦復陰流有り。」と三大流派(兵法三大源流)を記している。しかし、この三流も卒然として成立したのではなく、先行の技法を体験した上に工夫考案されたものであることは言うまでもない(今村嘉雄『図説日本剣豪史』)。 新當流は「関八州古戦録」に依ると「鹿伏兎刑部少輔より、刺撃の法を伝授された」となっており永禄年中「新當流」から「天真正伝香取神道流」を名乗る[1][2]。また陰流の愛洲久忠が誰から兵法を学んだかは明らかではないが、関東ではすでに飯篠家直の天真正伝神道流が盛行しており、三河国高橋庄には中条長秀が百年も前に中条流を流布させていた[3]。古い流儀で体系的に確認出来るのは『武備誌』に掲載された影目録の陰流、また天正年間に外他氏より御子神氏へ出された外他流の目録などが確認されている。鹿島神宮の御祭神武甕槌命は武神・軍神であると云うのが神道学上の定説であるが、『本朝武芸小伝』で日夏繁高が説く「常陸鹿島の神人の刀術」に就いて[4][5]、宮本武蔵は『五輪書』の「地の巻」で「兵法の道と云事で常陸の国、鹿島・香取の社人共、明神の伝えとして流流をたてて、国々を巡り、人につたゆる事ちかき頃の儀也。今寛永二〇年(一六四三)一〇月上旬に記す。」と記し、「鹿島・香取の社人たちが鹿島の神・香取の神の名を語って全国をわたり伝えているがこれは最近行われ始めたことだ」と述べている。武芸など芸能を司るのは、天宇受売命である。天岩屋戸の前に立ちて巧みに「俳優を作し(おきわざをなし)」、以来「諸芸」の元祖として仰がれている(ただし、江戸時代に京八流・関東七流から剣術の由来を説く伝説があった。) 安土桃山時代 国内再統一の後、兵農分離、刀狩が行われた。これ以前に、武士でない庶民が平素から帯刀していた習慣があったことは、日本人と剣術との関わりの深さを認識する上で重要である。 戦場ではなく日常での戦いが前提とされた剣術が主流になったのは、この頃からである。 江戸時代 甲冑着用が前提の介者剣術から、平服・平時の偶発的な個人戦を前提とする素肌剣術へと変わった。 また、平和な江戸時代において、禅など心法に重きを置く流派がでるなど変化していった。 殺人刀と活人剣 「殺人刀」(せつにんとう)と「活人剣」(かつにんけん)とは、元来は禅の『無門関』・『碧巖録』などの公案での用語である。 上泉信綱が1566年(永禄9年)2月に肥後国の丸目蔵人佐に与えた印可が「殺人刀・活人剣」とあり、また一刀流の本目録十四に「卍・殺人刀・活人剣」という名前が見られるように、武術に対して、他の禅の用語と同じく大きな影響をあたえた。 兵法家伝書 江戸時代初期の柳生宗矩が『兵法家伝書』において、次のように禅とは異なる意味で使用した。 「一人の悪に依りて、萬人苦しむ事あり。しかるに、一人の悪をころして萬人をいかす、是等誠に、人をころす刀は人をいかすつるぎなるべきにや」、「人をころす刀、却而人をいかすつるぎ也とは、夫れ亂れたる世には、故なき者多く死する也。亂れたる世を治めむ爲に、殺人刀を用ゐて、已に治まる時は、殺人刀即ち活人劔ならずや。こゝを以て名付くる所也」 仇なす悪に打ち勝って確実に殺すのが殺人刀であって、その悪を殺したゆえに万人が救われ「活きる」のが活人剣だと言う。兵法、すなわち刀で人を斬る行為にはこの両面がないとならないと諭し、日本の剣術が殺人技法にとどまらず昇華したことを示す。ここで臨済宗の沢庵宗彭が柳生宗矩に『不動智神妙録』を与えたことにより、江戸柳生で「剣禅一致」が説かれた結果として「刀法の尾張柳生」に対して「心法の江戸柳生」と言われたことは史実であり、禅の考え方が影響を与えたことは否定できない。 なお現代の新陰流に伝わる、柳生宗厳の書状に「当流に構える太刀を皆殺人刀という。構えのなき所をいずれも皆活人劔という。また構える太刀を殘らず裁断して除け、なき所を用いるので、其の生ずるにより活人劔という」とある。 上記に挙げられている新陰流の刀法および兵法の武術的解釈では、活人剣と殺人剣という言葉に別の意味が存在する。新陰流には「転(まろばし)」と呼ばれる「相手の仕懸に対して転じて勝つ」根義がある。まず構えずに(新陰流ではこれを「無形の位」と呼ぶ)相手に仕掛けさせ、それに応じて「後の先」を取るわけである。ここでの活人という言葉は「相手(すなわち人)が動く」という意味で用いられている。この場合の活人剣とは逆の意味で、自分から構えを取って斬り込むことを殺人剣と呼ぶ。また「転」の根義により「浅く勝つ」こと、主に小手へ小さく鋭く打ち込む斬撃が多用されるため(技法、魔の太刀、くねり打ち、一刀両段、西江水などにも見られるが、最も典型的な技法は「転打ち」である)、結果として相手に致命傷を与えず勝つことも多く、その結果として「活人剣」と呼ばれることもある。 竹刀と防具の発明 古くから多くの流派で独自の袋竹刀(ひきはだ撓)や小手を使用した稽古は行われていた。しかし多くの場合形稽古が中心であり、試合稽古は技が乱れる、理合の習得が出来ない等の理由によりあまり行われていなかった。江戸時代中期から後期にかけて、現在の剣道の防具と竹刀の原型が直心影流で発明され、続いて中西派一刀流でも防具が発明された。 それ以降、防具を着用し竹刀で打ち合う試合稽古が流行し、門弟の数が増えた。逆に尾張藩の新陰流や岩国藩・長州藩の片山伯耆流、弘前藩の當田流などといった形稽古中心で試合稽古を取り入れなかった流派では、門弟の数に著しい増加はなかった。また流祖以来試合を禁じていた流派が、やむなく試合稽古を行うようになった記録も残っている(島津家中における示現流などの例外はある)。 参照:ウィキペディア「剣術」より http //ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%A3%E8%A1%93 次回:幕末 より 榎本劍修堂 / 劒人倶楽部 埼玉県さいたま市見沼区大谷399 剣道 通販 / 竹刀 通販