約 24,200 件
https://w.atwiki.jp/catreport/pages/17.html
補償とリハビリ 22. 国家補償に関する法律に被害者が補償を受ける権利が想定されているという情報を認識してはいるものの、委員会はこのような補償を実際に受けた人がごく少数であることを問題視している。委員会は、性的暴行を含む拷問、人身売買、近親者による暴力および虐待の被害者のリハビリへの有限措置についての懸念を表明する。(項目14) 中国政府は、拷問および虐待の被害者に対する十分な補償と、性的暴行を含む拷問、人身売買、近親者による暴力および虐待の被害者に対する治療、および精神的援助を含む適切なリハビリ・プログラムを保証しなければならない。 拷問執行の刑事免責および適切な刑罰 23. 委員会は、警察職員による拷問、または虐待の申し立てが、ほとんど調査・起訴されていないことを深く憂慮している。「比較的軽犯罪」とされる行為を含む拷問の事例で、懲戒処分あるいは行政処分を受けるのみにとどまるものがあることを委員会は深く懸念している。(項目2、4、12) 中国政府は、全ての拷問および虐待の申し立てを早急、効率的かつ公平に調査することを保証しなければならない。中国政府はまた、拷問執行はその深刻さを考慮に入れた上で、条約の第4条第2節にあるように適切な処罰を課されるように保証しなければならない。 拷問の定義 24. 条約第1条で「拷問」と見なされ得る範囲内の全行為が、中国においては処罰されるという中国政府の主張を認識してはいるものの、委員会は中国政府が条約の定義と全面的に適合する拷問の定義を中国国内法令に組み込んでいないという以前の結論および提案 (A/55/44, para. 123) を繰り返す。 委員会は、拷問に関する条款が、身体的虐待のみを扱い、深刻な精神的苦痛や苦悩を含まないことを懸念している。委員会はまた、刑法第247条、刑事訴訟法第43条および義務と権利の損害刑事訴訟の出願放棄の条件についての最高人民法院条款が、拷問執行の禁止を司法官および監禁施設の役人の行為に限定しており、役人の煽動、承認あるいは黙認を得た上で行なわれた行為を含む「その他の公的な立場で活動する人々」による行為を含んでいないことについて懸念している。さらに、これらの条款は自白を引き出すため以外の目的で行なわれる拷問を扱っていない。(項目1) 中国政府は、あらゆる種類の差別を含む、条約第1条が扱う要素すべてを含めた拷問の定義を法律に組み込まなければならない。中国政府は、司法官や監禁施設の役人ではないが公的資格を持って行動する人々あるいは役人の承認または黙認を得て行動する人々が、拷問の罪で起訴されるように保証しなければならない。中国政府はまた、法律によってどのような意図および目的の拷問執行も禁じなければならない。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/214.html
総括所見:イタリア(第2回・2003年) 第1回(1995年)/第3回・第4回(2011年)OPAC(2006年)/OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.198(2003年3月18日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2003年1月16日に開かれた第840回および第841回会合(CRC/C/SR. 840 and 841参照)において、2001年3月21日に提出されたイタリアの第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.13)を検討し、2003年1月31日に開かれた第862回会合(CRC/C/SR.862参照)において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、委員会の報告ガイドラインにしたがった、付属文書をともなう第2回定期報告書の提出を歓迎する。委員会は、報告書の批判的性格およびその作成に至るまでの参加型プロセスを歓迎するものである。委員会はまた、事前質問事項(CRC/C/Q/ITA/2)への文書回答が時宜を得た形で提出されたことにより、締約国における子どもの状況に関していっそう明確な理解を得られたことにも留意する。委員会はまた、締約国代表団との間に持たれた前向きな対話にも留意するとともに、条約の実施に直接従事するハイレベルかつ大規模な代表団の出席により、締約国における子どもの権利に関する理解を向上させられたことを認知するものである。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は以下のことを歓迎する。 (a) 武力紛争への子どもの関与ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の2つの選択議定書が批准されたこと。 (b) 子どもに関する特別議会委員会および国家子ども・青少年監視機関(法律第451/97号)が設置されたこと。 (c) 国家子ども・青少年資料分析センターが設置され、子どもに関する印象的な量のデータおよび調査研究を収集してウェブサイトで利用可能としていること。 (d) 子どもおよび青少年の権利および機会の促進について取り上げ、国家子ども・青少年基金の設置について定める規定を掲げた法律第285/97号が採択されたこと。 (e) 子どもに被害を与える買春、ポルノおよびセックスツーリズムの搾取を禁じた法律第269/98号が採択されたこと。 (f) 女性性器切除反対キャンペーンが展開されていること。 (g) 障害のある子どもが普通学校に広く包摂されていること。 (h) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約が批准されたこと。 (i) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約が批准されたこと。 C.主要な懸念事項および勧告 前回の総括所見 4.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/8/Add.18)の検討後に委員会が表明した懸念および行なった勧告(CRC/C/15/Add.41)の一部、とくに、パラ13~15および22に掲げられた、条約の実施の調整、差別の禁止および子どもの不当な取扱いに関するものへの対応が不十分であることを遺憾に思う。これらの懸念および勧告はこの文書でもあらためて繰り返されているところである。 5.委員会は、締約国に対し、まだ実施されていない前回の勧告およびこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 1.実施に関する一般的措置 立法 6.委員会は、多くの実体的法律が採択されてきたこと、および、その一部で条約に言及されていることに留意する。加えて委員会は、検討中の法案(少年司法および教育に関するものを含む)について締約国から提供された情報を歓迎するものである。 7.委員会は、締約国が、引き続き法律を厳密に見直すとともに、国および地方の法律が、権利を基盤とし、条約を含む国際基準に一致し、かつ効果的に実施されることを確保するよう、勧告する。 資源 8.委員会は、若い世代の育成は投資分野のひとつであるという展望を提示した、「子ども・青少年問題に関するイタリアの協力の指針」が採択されたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、条約が、条約第4条で定められているとおり「利用可能な資源を最大限に用いて」実施されていないことを、依然として懸念するものである。 9.委員会は、締約国が、子どもおよびその家族に配分される資源を引き続き可能なかぎり増加させるとともに、子どもに支出される予算の割合を分析し、優先課題を特定し、かつ「利用可能な資源を最大限に用いて」資源を配分する目的で、締約国全域のあらゆる部門別予算および総予算の分析を行なうよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、外務省の国際開発援助協力によって行なわれる活動にこの原則を適用することも勧告するものである。 調整 10.委員会は、子どもに関わる政策およびプログラムを国、州および地方のレベルで調整する国家子ども・青少年監視機関(法律第451/97号)が設置されたことを歓迎する。加えて委員会は、この国家的監視機関が、子どもに関わる優先順位の設定および子どもに関わるすべての行動の調整を目的として2年ごとに子どものための国家的行動計画を起草する責任を負っていることに、評価の意とともに留意するものである。委員会はさらに、国と州の間で諸活動を調整し、かつ州および国のレベルにおける政策の実施を監視することを目的として、国・州会議(Conferenza Stato-Regioni)の定期的会合が開かれていることに留意する。委員会は、このような調整が十分ではないこと、および、いくつかの具体的問題に関する調整がこの国家的監視機関の外で行なわれていることを懸念するものである。委員会はまた、非政府組織(NGO)との調整が構造化された形で行なわれていないことも懸念する。 11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 前回勧告した(CRC/C/15/Add.41、パラ13)ように、子どもの促進および保護のための政策の実施に関する、国、州および地方のレベルにおける政府機関内および政府機関間の効果的調整(とくに国家監視機関および国・州会議によるもの)を強化すること。 (b) とくに地方レベルで、子どもの権利のために活動しているNGOとのいっそう緊密かつ積極的な協力が行なわれることを確保すること。 (c) 国家監視機関の活動に対する子ども参加を奨励すること。 国家的行動計画 12.委員会は、子どものための新たな行動計画に関する討議が議会で行なわれる予定であること、および、締約国が、子どもに関する国際連合総会特別会期(UNGASS)の成果文書である「子どもにふさわしい世界」を実施するための別の計画を策定する可能性について検討していることに、留意する。委員会は、これらの2つの計画の間で不一致が生じる可能性があることを懸念するものである。 13.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国家行動計画を採択するため、その検討を速やかに進めること。 (b) 国家行動計画と、UNGASS成果文書を実施するための計画との調和を確保すること。 (c) 子どもに関して達成された進展の効果的な監視および評価ならびに子どもに関して採択された政策の効果の効果的評価を行なうこと。 独立の監視体制 14.委員会は、4つの州に子ども時代護民官事務所が設置され、かつ国の子ども護民官を設置するための努力(とくに議会上程中の法案を含む)が行なわれていることに留意するものの、州および地方のレベルで子ども個人の苦情を受理しかつこれに対応する権限を与えられた、条約の実施を監視するための独立した中央機構が存在しないことを、依然として懸念する。 15.委員会は、締約国が、条約の実施を監視しかつ当該実施における進展を評価するため、独立した国内人権機関の一部として(独立した人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号参照)、かつ人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(「パリ原則」、国連総会決議48/134付属文書)にしたがって、可能であれば国レベルの独立した子どもオンブズマンを設置するための努力を完了させるよう、勧告する。当該オンブズマンは、子どもがアクセスしやすく、子どもの権利侵害の苦情を子どもに配慮したやり方で受理しかつ調査する権限を与えられ、かつ、これらの苦情に効果的に対応する態勢を備えたものであるべきである。委員会はさらに、国および州の機関の間で適切な連携を発展させるよう勧告する。 データ収集 16.委員会は、とくに国家子ども・青少年資料分析センターの設置を通じてデータ収集を向上させるために行なわれている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、条約が対象とする一部領域についてのデータが不十分であることを依然として懸念するものである。委員会はまた、データ収集がいまなお家族中心アプローチに基づいて行なわれており、子どもが自律した人間としてとらえられるアプローチが採用されていないことも、懸念する。委員会はさらに、データ収集を担当するさまざまな機関およびさまざまな州の間で一貫性が欠如していることを懸念するものである。 17.前回の勧告(前掲パラ14)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 (a) もっとも脆弱な立場に置かれた集団(障害のある子ども、ロマの子ども、移住者家族に属する子ども、保護者に付き添われないままイタリアに入国した子ども、暴力の被害を受けた子どもならびに経済的および社会的に不利な立場に置かれた世帯の子どもを含む)をとくに重視しながら、条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての者に関する細分化されたデータを体系的に収集しかつ分析するための機構を強化すること。 (b) 条約の実施および監視のための政策およびプログラムを立案しかつ評価するにあたって、これらの指標およびデータを有効に活用すること。 (c) 国および州の双方のレベルで、さまざまな機関によるデータ収集プロセスの一貫性を確保すること。 研修/条約の普及 18.委員会は、とくに国家子ども・青少年資料分析センターを通じて条約普及のための努力が行なわれていること、および、とくに、公民教育に子どもの権利が含まれていることに評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、普及、意識啓発および専門家の研修に関わる活動が常に体系的かつ対象の明確なやり方で行なわれているわけではないことを、依然として懸念するものである。 19.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもおよび親、市民社会ならびにあらゆる部門および段階の政府機関の間で条約およびその実施に関する情報を普及するためのプログラムを強化しかつ継続すること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、子どものための施設および拘禁場所で働く職員、教員ならびに保健従事者)を対象とした、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。 2.一般原則 差別の禁止 20.委員会は、締約国で差別に関するいくつかの監視機関が設置されたこと、および、法律第40/98号(出入国規則および外国人の状況に関する規則)に差別についての規定が掲げられていることに留意する。にもかかわらず、委員会は、マイノリティに対する人種主義的事件、公的発言におけるヘイトスピーチの使用、および、とくに保健、社会福祉、教育および居住の分野で貧しい子ども、ロマの子ども、イタリア人以外の子ども(保護者のいない未成年者を含む)および障害児が経験している、経済的および社会的権利の享受における格差について懸念を覚えるものである。 21.条約第2条およびその他の関連条項ならびに前回の勧告(前掲、パラ17および18)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 社会の否定的な態度を防止しかつこれと闘うため、包括的な公衆教育キャンペーンのようなあらゆる適当な措置をとるとともに、人種差別撤廃委員会の勧告(A/56/18、パラ298および320)を実施すること。 (b) 人種主義、人種差別、外国人排斥および関連の不寛容のいかなる行為も犯罪とし、かつこれらの行為に対して適当な刑事制裁を科すための努力を強化すること。 (c) 子どもによる権利の享受における既存の格差を注意深くかつ定期的に評価するとともに、この評価に基づき、積極的措置を通じて差別を防止しかつ解消するための必要な措置をとること。 (d) 地方自治体への権限委譲プロセスにより、子どもが属する州の豊かさに基づく子ども間の格差の解消が増進されることを確保すること。 (e) 引き続き、もっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもへの資源および社会サービスを引き続き優先させ、かつその対象を明確化すること。 (f) 拘禁されている外国人の子どもの状況を速やかに研究し、これらの子どもの全面的権利(とくに教育に対する権利)を差別なく確保し、かつ社会への統合に対するこれらの子どもの権利を確保すること。 22.委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」(2001年)で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち条約に関わるものについて、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書で記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 23.委員会は、憲法裁判所が子どもの最善の利益の原則を憲法上の原則と位置づけたことを歓迎するものの、締約国の政策およびプログラムの実施において子どもの最善の利益の一般原則(第3条)が全面的には適用されておらずかつ適正に統合されていないことを依然として懸念する。 24.委員会は、子どもの最善の利益の一般原則がすべての法律および予算ならびに司法上および行政上の決定ならびに子どもに影響を与えるプロジェクト、プログラムおよびサービスに適切に統合されることを確保するため、締約国があらゆる適当な措置をとるよう勧告する。 子どもの意見の尊重 25.委員会は、条約第12条に掲げられた一般原則が実際上全面的には適用されていないことを懸念する。これとの関連で、委員会は、意見を聴かれる子どもの権利が、子どもに影響を与える手続(とくに親の別居、離婚、養子縁組もしくは里親養護の事案)または教育において不十分にしか保障されていないことを懸念するものである。 26.委員会は以下のことを勧告する。 (a) 裁判所における手続および行政上の手続を規律する立法において、自己の意見を形成する能力のある子どもがその見解を表明する権利を認められ、かつ当該見解が正当に重視されることが確保されるべきこと。 (b) 脆弱な立場に置かれた集団にとくに注意を払いながら、家庭、学校その他の施設および機関ならびに社会一般におけるすべての子どもの参加権がとくに重視されるべきこと。 (c) この原則の実施に関する、公衆一般の意識啓発ならびに専門家の教育および研修が強化されるべきこと。 3.市民的権利および自由 アイデンティティに対する権利 27.委員会は、養子が、成年に達した後にかつその子どもの最善の利益であることが証明された場合でさえ自己の実親の素性を知ることができないことを懸念する。委員会はさらに、婚外子が、母および(または)父によって認知されなければ、法律上は母も父も有しないことになるのを懸念するものである。 28.条約第7条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 養子であるか、いずれの親からも認知されていない婚外子であるかに関わらず、自己の親の素性を知る子どもの権利が尊重されることを可能なかぎり確保すること。 (b) (マルクス対ベルギー(Marckx v. Belgium)事件における欧州人権裁判所の決定および「母親は常に確定している」(mater semper certa est)という原則にしたがって)婚外子が出生時から法的に母を有することを確保し、かつ(「安易な」子どもの遺棄を防止する方法として)父によるこれらの子どもの認知を奨励する目的で、法律を緊急に見直しかつ改正すること。 (c) 婚外子の法的地位に関する欧州条約を批准すること。 思想の自由 29.委員会は、締約国報告書(パラ147)で述べられているように、子ども、とくに小学生の子どもが、主としてカトリックの信仰を取り上げている宗教の授業を欠席した場合に周縁化されるおそれがあることを、懸念する。加えて委員会は、親、とくに外国出身の親が、宗教の授業が義務的なものではないことを常に理解しているわけではないことを懸念するものである。 30.条約第2条、第14条および第29条に照らし、委員会は、締約国が、親(とくに外国出身の親)が関連の書式に記入する際、カトリックの信仰に基づく授業は義務的ではないことを確実に理解するようにすることを勧告する。 拷問および不当な取扱い 31.委員会は、法執行官が子どもに対する不当な取扱いを行なっているという訴えがあること、および、とくに外国人およびロマの子どもに対する虐待が蔓延していることを、深く懸念する。 32.前回の勧告(前掲パラ20)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰の犯罪を刑法に編入すること。 (b) 逮捕、尋問および警察留置の際にならびに拘禁センターにおいて行なわれる不当な取扱いについての法執行官に対する苦情を受理するための、子どもに配慮した機構を設置すること。 (c) 警察および憲兵隊ならびに拘禁センターの専門家を対象として、子どもの人権に関する体系的研修を実施すること。 4.家庭環境および代替的養護 家庭環境を奪われた子ども 33.委員会は、養子縁組および里親養護に関する法律第184/83号(法律第149/2001号による改正法)が締約国全域で広く実施されていないこと、および、いまもなお里親養護よりも施設に措置される子どものほうが多いことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、社会的保護の目的で施設に措置され、かつ時として罪を犯した少年とともに施設に措置される子どもが多いことにも、懸念を表明するものである。加えて委員会は、国家子ども・青少年資料分析センターによる1998年の研究によれば、施設入所期間がきわめて長くなる場合があること、家族との接触が常に保障されるわけではないこと、および、これらの施設のうち19.5%は適正な認可を受けていないことを、懸念する。 34.条約第20条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 法律第184/83号の実施を確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 防止措置として、親の教育およびカウンセリングならびにコミュニティを基盤とするプログラム等を通じ、子どもの養育責任に関して家族を援助するための社会的な援助および支援を向上させること。 (c) 里親養護、家庭的里親ホームおよび家族を基盤とする他の代替的養護のような、施設措置に代わる諸形態を発展させるために効果的措置をとるとともに、子どもの施設措置は最後の手段としてのみ行なうこと。 (d) 独立機関による施設の定期的査察を確保すること。 (e) 養護を受けている子どもからの苦情を受理しかつこれに対応する効果的機構を設置し、養護の水準を監視し、かつ、条約第25条に照らし、措置の定期的審査を確立すること。 養子縁組 35.委員会は、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)を締約国が批准したことを歓迎するものの、関係する認可斡旋機関によって国内養子縁組の手続および費用が異なることを依然として懸念する。 36.条約第21条に照らし、委員会は、締約国が、以下のことのために必要な措置をとるよう勧告する。 (a) 締約国全域の認可斡旋機関の間で国内養子縁組の手続および費用を調和させること。 (b) 前掲ハーグ条約を批准していない(送り出し)国との間で二国間協定を締結すること。 暴力、虐待およびネグレクト 37.委員会は、子どもの不当な取扱い、虐待および性的搾取に関する行動の調整のための国家委員会が設置されたこと、および、総合的戦略が採択されたことを歓迎する。加えて委員会は、性暴力に関する法律第66/96号およびドメスティックバイオレンスに関する法律第154/2001号が制定されたことを歓迎するものの、子どもの虐待および(または)ネグレクトに関する包括的なデータおよび情報が存在しないことを、依然として懸念するものである。さらに委員会は、子どもに対する暴力に関して法律に年齢制限が定められており、14歳または16歳(加害者との関係による)以上の子どもは同一の保護から利益を受けられないことを、懸念する。 38.条約第19条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) このような慣行の規模、範囲および性質を評価する目的で、子ども、とくに脆弱な立場に置かれた集団の子どもに対する、とくに家庭および学校で行なわれる暴力、不当な取扱いおよび虐待(性的虐待を含む)についての研究を実施すること。 (b) 子どもの虐待を防止しかつこれと闘う目的で、子どもたちの関与を得ながら意識啓発キャンペーンを発展させること。 (c) 子どもに対するあらゆる形態の暴力からの特別な保護について設けられている年齢制限に関する法律を改正すること。 (d) 現行諸制度の活動に関する評価を実施し、かつこれらのタイプの事案に関与する専門家に対して研修を行なうこと。 (e) 被害を受けた子ども(そのプライバシー権も含む)の保護の向上を確保する目的で、ドメスティックバイオレンスならびに家庭における子どもの不当な取扱いおよび虐待(性的虐待を含む)の事案を、子どもに配慮した調査手続および司法手続を通じて効果的に調査すること。 5.基礎保健および福祉 基礎保健 39.委員会は、「病院における子どもの権利憲章」の採択を歓迎するとともに、交通事故による子どもの死亡件数およびHIV/AIDSに感染した子どもの人数が劇的に減少したことに留意する。しかしながら委員会は、脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもが保健サービスの利用にためらいを覚えていることを懸念するものである。 40.委員会は、締約国が、すべての子どもを対象として保健サービスへのアクセスを促進し、かつ、すべての子どもが利用可能な保健サービスを求めるように親に対して奨励するための積極的措置をとるよう、勧告する。 思春期の健康 41.委員会は、青少年の間で心理的障害(とくに摂食障害)が広く蔓延していること、および、青少年(とくに外国系の青少年)の中絶件数が相対的に多いことを、懸念する。 42.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 精神保健サービスおよびカウンセリング・サービスを、これらのサービスが思春期の子どもにとってアクセスしやすく、かつこれらの子どもに配慮したものであることを確保しながら強化するためにあらゆる必要な措置をとるとともに、青少年の心理的障害の原因および背景に関する研究を実施すること。 (b) とくに性教育を含む健康教育を学校カリキュラムの一部とし、かつ避妊手段の利用に関する情報キャンペーンを強化することによって10代の妊娠率を削減するために、さらなる必要な措置をとること。 6.教育 43.委員会は、義務教育期間を8年から10年に延長する法律第9/99号が採択され、かつ教員の養成および研修を改善するためのさまざまなプログラムが実施されていることを歓迎するものの、後期中等教育における中退率が高く、かつ、子どもの文化的および社会経済的背景ならびにジェンダー(女子のほうが男子よりも中等教育修了証書を取得する人数が多い)、障害および民族的出身のようなその他の要因によって子どもの教育上の成果に差異があることを、依然として懸念する。加えて委員会は、学校でいじめが蔓延していること、および、教育において子どもの意見が考慮されていないことを懸念するものである。 44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 後期中等教育における中退率を削減するための努力を強化すること。 (b) 女子および男子の間ならびに異なる社会的、経済的または文化的集団の子どもの間に見られる教育上の達成についての不平等を解消し、かつすべての子どもに良質な教育を保障するために、あらゆる必要な措置をとること。 (c) 学校におけるいじめその他の形態の暴力を防止するための十分な機構および体制を、子どもたちの参加を得ながら設置するための措置をとるとともに、これらの戦略の策定および実施に子どもたちを含めること。 (d) 締約国全域の法律において、条約第12条が反映され、かつ、自己の教育に関するあらゆる事柄(学校規律を含む)について意見を表明しかつそれを正当に重視される子どもたちの権利が尊重されることを確保すること。 7.特別な保護措置 保護者のいない未成年者 45.委員会は、外国人の子ども保護委員会が設置されたこと、および、出入国管理に関する法律第40/98号で、保健へのアクセスに関わって条約への具体的言及が見られることを歓迎する。しかしながら委員会は、保護者のいない未成年者を受け入れる十分な態勢が整えられていないこと、さまざまな州で保護者のいない未成年者に対応する手続の調和が図られていないこと、法律第189/2002号の新たな規定で資格外移民の拘禁が認められていること、政令第113/99号の実施によって十分なフォローアップが行なわれない送還が増加していること、および、未成年者の在留許可に関して2000年に変化が生じたことを、依然として懸念するものである。 46. 条約の原則および規定、とくに第2条、第3条、第22条および第37条にしたがい、かつ、子どもが庇護を希望しているか否かにかかわらず、委員会は、締約国が子どもに関して以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 人身取引および(または)性的搾取の被害を受けた者に特別な注意を払いながら、保護者のいない未成年者のための特別受け入れセンターを十分な数だけ設置するための努力を強化すること。 (b) これらのセンターにおける滞在が可能なもっとも短い期間に留められ、かつ、受け入れセンターでの滞在中および滞在後に教育および保健へのアクセスが保障されることを確保すること。 (c) 締約国全域で保護者のいない未成年者に対応するための、子どもの最善の利益にかなう調和化された手続を可能なかぎり早期に採択すること。 (d) 子どもの最善の利益にかなう場合には援助をともなう送還が構想され、かつこのような子どもについてフォローアップが保障されることを確保すること。 経済的搾取 47.委員会は、締約国における児童労働について国立統計研究所が最近発表した報告書に留意するとともに、この現象が締約国で広く蔓延していることに懸念を表明する。 48.委員会は、締約国が、最近の研究に基づき、とくに意識啓発活動および関連する要因の発見を通じて児童労働を防止しかつこれを解消することを目的とする、具体的かつ対象の明確な目標を掲げた包括的戦略を策定するよう、勧告する。 性的搾取および人身取引 49.委員会は、子どもを対象とする買春、ポルノおよびセックスツーリズムの搾取を禁じた法律第269/98号が採択され、かつ、「児童虐待ならびに性的目的の未成年者および女性の人身取引に対抗する政府の行動についての省庁間調整委員会」が設置されたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、締約国において性的目的で人身取引の対象とされる子どもが多いことを、依然として懸念するものである。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 1996年および2001年の〔子どもの〕商業的性的搾取に反対する会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバルコミットメントにしたがい、性的目的の子どもの人身取引を防止しかつこれと闘うための努力を強化すること。 (b) 法律第269/68〔ママ〕号の実施状況を、とくに同法が性的搾取の「需要側」の問題を扱っている点について監視すること。 (c) この分野の政策およびプログラムに対し、十分な資源(人的資源および財源の双方)が配分されることを確保すること。 少年司法の運営 51.委員会は、少年司法制度の改革が行なわれようとしていることに留意する。委員会は、少年司法制度において外国系の子どもおよびロマの子どもに対する差別が行なわれていること、子どもの拘禁環境を監視する独立の体制が設けられていないこと、ならびに、少年司法制度関係者の研修が不十分であることを、懸念するものである。 52.委員会は、締約国が、少年司法制度の改革に際し、条約の規定および原則、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についてのウィーン指針のようなこの分野における他の関連の国際基準を全面的に統合するよう、勧告する。 53.とくに、委員会は締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 外国系の子どもおよびロマの子どもに対する差別を防止しかつ解消するため、意識啓発キャンペーンおよび関係者の十分な研修によるものも含むあらゆる必要な措置をとること。 (b) 未成年者を対象とする受け入れセンターおよび刑事施設への、公平な独立機関による定期的訪問を認めるとともに、自由を奪われたすべての子どもが、独立の、子どもに配慮したかつアクセスしやすい苦情申立て手続にアクセスできることを確保すること。 (c) 少年司法の運営に責任を負う者を対象として、子どもの権利に関する研修を実施すること。 マイノリティ集団に属する子ども 54.ロマの子どもの状況を向上させるために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、ロマの子どもが困難な社会的状況にあり、かつこれらの子どもによる教育および保健サービスへのアクセスが不十分であることを、依然として懸念する。加えて委員会は、この集団の子どもに対し、時として締約国の職員からも差別が行なわれていることを、深く懸念するものである。 55.委員会は、締約国が、社会的排除および差別を防止し、かつロマの子どもがその権利(教育および保健ケアへのアクセスを含む)を全面的に享受できるようにするための包括的かつ積極的な政策およびプログラムを、ロマのNGOと協力しながら発展させるよう勧告する。 8.報告書の普及 56. 最後に委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した定期報告書を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、委員会が提起した事前質問事項に対する文書回答、関連の議事要録および報告書について委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 9.次回報告書 57.委員会が採択し、かつ第29会期に関する報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第4回報告書の提出期限である2008年10月4日までに、単一の統合報告書として第3回および第4回定期報告書を提出するよう慫慂する。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2012年11月17日)。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/522.html
693 :名無しさん:2011/10/21(金) 18 46 24 とりあえずコピペを張っておく。 日本人の怒りのレベル。 ──(仏のニッポン)── Lv1 推移を見守りたい Lv2 対応を見守りたい Lv3 反応を見守りたい ──(意思表示するニッポンの壁)── Lv4 懸念を表明する Lv5 強い懸念を表明する ──(怒りを示すニッポンの壁)── Lv6 遺憾の意を示す Lv7 強い遺憾の意を示す ──(キレ気味のニッポンの壁)── Lv8 真に遺憾である ──(キレちまったよ・・・)── Lv9 甚だ遺憾である ──(大日本帝國)── Lv10 朕茲ニ戦ヲ宣ス
https://w.atwiki.jp/goodgames/pages/762.html
The Open 仕様変更5 いわゆる芋蹴り設定を行った時だったと思いますが、 過去にゲーム展開の悪化に関する懸念について記載しました。 残念ながら懸念は現実のものになっているようで、 実質的には40名程度でプレイしているのと変わらない状況に なってしまっているようです。 あまり良い傾向ではないので何らかの対策が必要ですが、 何も制限しないか入場規制にするか。 または芋蹴り方式のまま、判定基準を大幅緩和するなど。 この場合は、期限付きBanの期間を大幅に延長するべきかもしれません。 現行は12時間ですが、例えば1週間など。 本日は予想外のアクシデントにより時間を失いましたので 近日中に再検討いたします。 ( - )
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/199.html
総括所見:シリア(第2回・2003年) 第1回(1997年)/第3回・第4回(2011年)OPSC(2006年)/OPAC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.212(2003年7月10日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.子どもの権利委員会は、2003年6月3日に開かれた第883回および第884回会合(CRC/C/SR.883 and 884参照)において、2000年8月15日に受領されたシリア・アラブ共和国の第2回定期報告書(CRC/C/93/Add.2)を検討し、2003年6月6日に開かれた第889回会合(CRC/C/SR.889参照)において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、報告書の時宜を得た提出を歓迎するとともに、報告書そのものは法律偏重的な性質のものであったとはいえ、当該報告書が報告ガイドラインにしたがっていることに留意する。委員会は、豊かな情報を含んだ文書回答の提出および補足報告書を評価するものである。委員会は、ハイレベルな、きわめて適任の部門横断型代表団の出席が、締約国における条約の実施プロセスに関する理解の向上に寄与したことを評価する。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は以下のことを歓迎する。 (a) 女性に対するあらゆる形態の差別に関する条約および就業が認められるための最低年齢に関するILO第138号条約を含む諸国際文書の批准。 (b) 委員会はさらに、武力紛争への子どもの関与ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の両選択議定書、および、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約の議会承認を歓迎する。 (c) 就業が認められるための最低年齢の、15歳への引き上げ。 (d) 義務教育〔修了〕年齢の、12歳から15歳への引き上げ。 (e) 子どもの問題に関する新たな機関(すなわち文化局、乳幼児教育局および特別教育局)の設置。 (f) とくに保健および教育の分野で、子どものための世界サミットの目標の多くが達成されたこと。 (g) 子ども期高等評議会の設置(1999年)。 (h) 国内法で条約が考慮されていること、すなわち、民事訴訟法および刑事訴訟法において、シリアが加盟する国際条約に反する規定は適用できないと明示的に述べられていること。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 4.委員会は、占領下にあるシリア領ゴラン高原においてシリア人の子どもの権利を確保する際の困難に関する締約国の懸念を共有する。 D.主要な懸念事項および勧告 1.実施に関する一般的措置 前回の総括所見 5.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/28/Add.2)の検討を受けて表明された勧告および行なわれた勧告(CRC/C/15/Add.70)の多く、とくに条約の原則の法律への統合、予算配分における子どもの権利の優先および子どもの不当な取扱いに関連するものへの対応が不十分であることを懸念する。委員会は、同じ懸念表明および勧告の多くがこの文書でも行なわれていることに留意するものである。 6.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうちまだ実施されていないものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 留保 7.委員会は、第1回報告書が提示されて以降、留保に関して何の再検討も行なわれてこなかったことを遺憾に思う。報告書における締約国の理由説明に留意しつつ、委員会は、一般的留保の性質のために条約の規定の多くが無効にされる潜在的可能性がある旨の懸念をあらためて表明するとともに、条約の趣旨および目的との両立性に関わる懸念を提起するものである。とくに、第14条に関しては、当該留保は思想、良心および宗教の自由の侵害を生ぜしめるものであり、第20条および第21条に関しては、当該留保は不要である。委員会は、条約第20条3項において、代替的養護のひとつの形態としてカファラが明示的に承認されていることを指摘する。第21条は、養子縁組制度を「承認および(または)許容している」国に明示的に言及しており、締約国は養子縁組制度を承認していないのでこの規定は適用されない。 8.委員会は、締約国が、ウィーン宣言および行動計画にしたがい、かつ自由権規約委員会の一般的意見22号を考慮し、とくに第14条、第20条および第21条に関する留保を撤回の方向で精査するよう、勧告する。 立法 9.委員会は、締約国が、条約との関係で国内法を見直す旨の公約を行なっていることに留意する。委員会はさらに、子どもの権利との関連で最近さまざまな立法措置がとられかつ提案されていること(たとえば身分関係法の改正、および、義務教育法の違反に対する処罰の強化の追求)に留意するものの、これらの立法措置において、条約の実施に対する包括的な人権基盤アプローチが十分に反映されていないことを懸念するものである。さらに委員会は、身分関係の分野で、異なる宗教的コミュニティ(すなわちイスラム教徒、ドゥルーズ教徒、キリスト教徒およびユダヤ教徒)を規律する異なる法律(たとえば1953年民事関係法)が適用されており、そのために異なる裁判制度(たとえばシャリーア裁判所、madhabi裁判所およびruhj裁判所)が利用されていることから、子どもの権利の享受における差別につながる可能性があることを、懸念する。 10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 自国の法律、行政規則および訴訟規則が条約を含む国際人権基準に一致することを確保するため、その包括的見直しをいっそう速やかに進めること。 (b) 宗教法の解釈を基本的人権と一致させるため、あらゆる可能な措置をとること。 (c) 法律が、十分に明瞭かつ正確であり、公表され、かつ公衆にとってアクセス可能であることを確保すること。 調整 11.委員会は、子ども期高等評議会(1999年の決定第1023号)が条約の実施の調整を担当していることに留意する。委員会は、HCC〔子ども期高等評議会〕が県段階に支部を設置する予定であり、かつHCCに対して独自の予算が提供される可能性がある旨の情報を歓迎するものである。委員会はさらに、2003年10月に新たな国家的行動計画が採択される予定である旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、現行の調整が不十分であることおよびHCCが独自の予算を有していないことを依然として懸念するものである。委員会は、中央および地方の行政段階における部門間の調整に欠陥があるため、包括的かつ首尾一貫した子どもの権利政策を達成するのが困難になっている旨の懸念を、あらためて表明する。 12.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくにHCCに対して十分な人的資源および財源を提供することにより、HCCを、条約の実施を調整するための有効かつ効率的な機関とするための努力を継続しかつ強化するとともに、設置が予定されている支部とHCCとの間で良好な協力関係および調整を確保すること。 (b) 新たな国家的行動計画の全面的実施のために必要な支援(十分な人的資源、財源その他の資源を含む)を提供するとともに、当該計画が条約の実施に与えた影響を定期的に評価すること。 データ 13.委員会は、保健、栄養および教育の分野におけるデータ収集が改善されたことに留意するとともに、中東統計局内に子ども情報部が設置された旨の情報を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、条約が対象とする分野についての信頼できる統計データの不足および利用可能性について依然として懸念を覚えるものである。 14.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) 条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての者に関する統計(遠隔地に住んでいる子ども、虐待の被害者、障害のある子ども、思春期の健康、罪を犯した少年等に関するデータも含む)を収集すること。 (b) 子ども情報部を強化するとともに、当該部局に対して十分な人的資源および財源を提供すること。 (c) とくにさまざまな政府省庁間で統計上の定義を調和させることにより、データの信頼性を向上させるための方法を検討すること。 (d) 引き続きユニセフの援助を求めること。 監視体制 15.委員会は、HCCが、調整機能に加え、少年裁判所所長(1998年の決定第134号)および司法委員会(1999年の決定第2108号)とともに実施の監視も担当していることに留意する。委員会は、これらの種々の機構間で調整が行なわれていないことを懸念するものである。さらに委員会は、条約の実施における進展を恒常的に監視しおよび評価することを任務とし、かつ子どもからの苦情を受理しおよびこれに対応する権限を与えられた独立の機構が存在しないことを懸念する。 16.委員会は、締約国が、パリ原則および委員会の一般的意見2号にしたがい、国および地方のレベルで条約の実施における進展を監視しおよび評価するための独立した国内人権機関を設置するよう、勧告する。この機関は、十分な資源を有し、子どもがアクセスしやすく、かつ、子どもの権利侵害の苦情を子どもに配慮したやり方で受理しおよび調査しならびにこれに効果的に対応する権限を与えられたものであるべきである。 資源配分 17.委員会は、条約が対象としている分野、とくに保健、教育および子どもの保護に対する予算配分が低額であることを依然として懸念する。このことは、子どもの経済的、社会的および文化的権利を「利用可能な資源を最大限に」用いて実施することに関わる条約第4条に対し、十分な注意が払われてこなかったことを示すものである。 18.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 利用可能な資源を最大限に用いてすべての子どもの経済的、社会的および文化的権利を確保すること。 (b) 引き続き、もっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子ども(たとえば同国の北部および東北部に住んでいる子ども)を対象とする社会サービスへの予算配分を優先させ、かつその対象を明確にすること。 (c) 予算配分額が子どもの権利の実施に与える影響を体系的に評価すること。 市民社会との協力 19.委員会は、政府が開発部門および福祉部門の国内団体ならびに国際機関と良好な協力関係にある旨の情報に留意する。しかしながら委員会は、とくに市民的権利および自由の分野において、条約の実施に市民社会を積極的に関与させるための努力がほとんど行なわれてこなかったことを懸念するものである。 20.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約の実施(市民的権利および自由との関連における実施も含む)の全段階を通じて子ども団体を含む市民社会の関与を得ることに対し、組織的アプローチをとること。 (b) NGOの参加を促進しかつ強化する一歩として、NGOを規制する法律(たとえば民間団体・機関法(1958年法律第93号))が条約第15条および結社の自由に関する他の国際基準に一致することを確保すること。 研修/条約の普及 21.委員会は、条約を普及するために締約国が行なっている努力、および、これらの努力の有効性を評価するための研究を歓迎する。これとの関連で、委員会は、子どもの市民的権利および自由との関連でもっとも意識が低いことに留意するものである。 22.委員会は、締約国に対し、引き続き以下の措置をとるよう奨励する。 (a) 子どもおよび親ならびに市民社会の間でならびにあらゆる行政部門および行政段階において(市民的権利および自由に注意を向けながら)条約およびその実施に関する情報を普及するためのプログラム(非識字者であるまたは正規の教育を受けていない脆弱な立場に置かれた集団を対象とするための取り組みを含む)を拡大し、かつ継続的なものとすること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、子どもを対象とする施設および拘禁場所で働く職員、教員ならびに保健従事者)を対象とした、子どもの権利を含む人権に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。 (c) この点に関してとくにOHCHRおよびユニセフの援助を求めること。 2.子どもの定義 23.委員会は、女子の最低婚姻年齢(17歳)を男子のそれ(18歳)まで引き上げる点についてなんらの進展も見られないことを遺憾に思う。この差異は差別的であり、かつ条約第2条に反するものである。委員会は、農村部における早期婚を引き続き懸念する。 24.委員会は、締約国が、女子の最低婚姻年齢を男子のそれまで引き上げるために法律を改正し、かつ、とくに農村部でその法律を執行するためにいっそうの努力を行なうよう、勧告する。 3.一般原則 差別の禁止に対する権利 25.委員会は、条約第2条に反して、とくに以下の点に関して、子どもまたはその親もしくは法定保護者に対する直接間接の差別が根強く残っていることを懸念する。 (a) 女子、婚外子およびマイノリティに属する子ども。 (b) 保健サービスおよび教育サービスへのアクセスに関する農村部と都市部間の格差、および、とくに同国の北部および東北部が社会指標の面で後れをとっていること。 26.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 第2条にしたがい、自国の管轄内にあるすべての子どもが、条約に定められたすべての権利を差別なく享受することを確保するため、必要なときは法律を制定しまたは廃止すること、格差削減プログラムを実施すること等の効果的措置をとること。 (b) この点に関する社会の否定的な態度を防止しかつこれと闘うため、包括的な公衆教育キャンペーンを実施すること。 (c) 男女間の権利の平等に関する自由権規約委員会の一般的意見28号を正当に考慮すること。 (d) そのような努力を支援するために宗教的指導者を動員すること。 27. 委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 28.委員会は、条約第3条に掲げられた子どもの最善の利益の一般原則が、子どもに関わるすべての法律に明示的に編入されておらず、かつ、実務上、常に考慮されているわけではないことを懸念する。たとえば委員会は、ある法案において、身分関係法第146条に定められた年齢の引き上げが提案されていることに留意するものである。委員会は、監護に関する判断が、どのような取決めが子どもの最善の利益にかなうかではなく年齢のような基準によって行なわれていることを、依然として懸念する。 29.委員会は、締約国が、条約第3条を立法および実務に全面的に編入するよう勧告する。 子どもの意見の尊重 30.委員会は、間もなく子ども議会が設置される予定である旨の情報を含め、子どもの意見の尊重を促進するために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもに対する社会の伝統的態度により、とくに家庭および学校において子どもの意見の尊重が制約される可能性があり、かつ、子どもが自己に影響を与える裁判手続および行政手続において制度的に意見を聴かれているわけではないことを、懸念するものである。 31.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第12条にしたがい、家庭、学校、施設および裁判所における子どもの意見の尊重ならびに自己に影響を与えるすべての事柄への子ども参加を引き続き促進し、かつそのための便宜を図ること。 (b) 十分な情報を得たうえでの子どもの意見および見解の表明を支援し、かつこれらの意見を考慮するためのスキル訓練プログラムを、親、教員、ソーシャルワーカーおよび地方官吏を対象として、コミュニティのなかで発展させること。 4.市民的権利および自由 国籍 32.委員会は、シリア国籍法(1969年法律第276号)第3条により、外国人と婚姻したシリア人女性の子どもに対しては、父がシリア人である場合とは異なって自動的に市民権が付与されないことを懸念する。さらに委員会は、シリアで出生した無国籍のクルド人親から生まれ、かつ出生時に他のいかなる国の国籍も有していない子どもが、条約第2条および第7条に反して、シリア国籍を付与されないままであり、かつ差別の対象とされていることを遺憾に思うものである。 33.委員会は、条約第2条および第7条において、締約国の管轄内のすべての子どもが、子どもまたはその親もしくは法定保護者の性別、人種、宗教または民族的出身に関わらず、登録されかつ国籍を取得する権利を有するべきことが求められていることを、あらためて強調する。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) いずれかの親の性別に基づいて差別することなく、国籍に対する子どもの権利を確保すること。 (b) シリアで出生したクルド人親の子どもに対してシリア国籍を取得する権利を保障するため、緊急の措置をとること。 (c) 無国籍者の地位に関する条約(1954年)および無国籍の削減に関する条約(1961年)を批准すること。 表現、思想、良心および宗教〔ならびに〕結社および集会の自由、プライバシーに対する権利ならびに情報にアクセスする権利 34.委員会は、報告書において第1回報告書に掲載された情報を参照するよう求められているのは、これらの問題に関する条約第13条~17条の実施との関連でほとんどまたはまったく進展がなかったことの表れであることを懸念する。 35.委員会は、締約国が、とくにこれらの権利に関する子どもたちの意識を高め、かつ日常的実践におけるこれらの権利の積極的活用を推進することによってこれらの権利の実施を積極的に促進するとともに、次回の報告書でこの点に関する進展を報告するよう、勧告する。 5.家庭環境および代替的養護 暴力/虐待/ネグレクト/不当な取扱い 36.委員会は、家庭における子どもの不当な取扱いならびにドメスティックバイオレンスおよびそれが子どもに与える影響に関する研究および意識啓発に関して、締約国においてほとんど進展がなかったことを遺憾に思う。さらに委員会は、学校における体罰が法律で禁じられていないことを懸念するものである。 37.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの不当な取扱いおよび虐待ならびにドメスティックバイオレンスの性質および規模を評価するための包括的研究を実施するとともに、この問題に対応するための政策およびプログラムを立案するために当該研究の結果を活用すること。 (b) 子どもの虐待およびネグレクトを防止するために必要な措置(たとえば子どもの不当な取扱いの悪影響に関する教育的公衆キャンペーン、子育て教室)をとるとともに、体罰に代わる手段として積極的かつ非暴力的な形態のしつけおよび規律を促進すること。 (c) あらゆる形態の暴力(家庭、学校その他の施設における子どもの体罰および性的虐待を含む)を禁止するための立法措置をとること。 (d) 苦情を受理し、監視しかつ調査する(必要なときは介入することも含む)ための、効果的かつ子どもに配慮した手続および機構を設置すること。その際、被害者が援助を求めることの妨げとなる社会文化的障壁への対応およびその克服に特段の注意を払うこと。 (e) 虐待された子どもが法的手続において被害を受けないことおよびそのプライバシーが保護されることを確保しながら、不当な取扱いの事案を捜査しかつ訴追すること。 (f) 被害者のケア、回復および再統合を行なうこと。 (g) 教員、法執行官、ケアワーカー、裁判官および保健専門家を対象として、不当な取扱いの事案の発見、通報および処理に関する研修を行なうこと。 (h) とくにユニセフおよびWHOの援助を引き続き求めること。 6.基礎保健および福祉 障害のある子ども 38.委員会は、障害者に関する法案が作成されつつあり、かつそこで障害者評議会の設置が提案されている旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、専門的なサービスおよび教育に対する障害のある子どものアクセスが全般的に不十分であり、かつ家族への支援が不十分であることを懸念するものである。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの障害の原因および規模を評価するための調査を実施すること。 (b) 障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96)および「障害のある子ども」に関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告(CRC/C/69参照)を正当に考慮しながら、障害のある子どもに関する現行の政策および実務を見直すこと。 (c) 必要な専門的資源および財源を利用可能とするためにいっそうの努力を行なうこと。 (d) コミュニティを基盤とするリハビリテーション・プログラム(親の支援グループを含む)を促進しかつ拡大するためにいっそうの努力を行なうこと。 (e) あらゆる形態の障害のある子どもを普通教育に包摂するためにいっそうの努力を行なうこと。 (f) とくにユニセフおよびWHOの援助を求めること。 保健 40.委員会は、小児期疾病統合管理戦略の採用、および、さまざまな取り組み(共同体学校イニシアティブおよび「健康的な村づくり」など)に対する締約国の支援を歓迎するとともに、最近の複数指標クラスター調査で明らかにされた、児童保健および妊産婦保健における達成に留意する。しかしながら委員会は、以下のことをなお懸念するものである。 (a) 同国の保健センターのサービスの範囲および質が限定的であること。 (b) 訓練を受けた保健従事者の立ち会いがない出産が約14%にのぼっていること。 (c) ケアの質に関して官民の保健サービス間に相当の隔たりがあること、および、ほとんどの人は保険に加入していないために民間サービスにアクセスできないこと。 (d) 北部の母親のうち、経口保水療法を用いて子どもの下痢に正しく対応している親が25%にすぎないこと。 (e) ヨウ素添加塩を使用している世帯が約60%にすぎないこと。 (f) 農村部において、安全な飲料水および衛生設備へのアクセスが不十分であること。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 公的プライマリーヘルスケアに対する締約国のコミットメントに相応した、人的資源および財源の十分な配分が行なわれ、かつ、とくに農村部のすべての子どもが保健ケアにアクセスできることを確保すること。 (b) 小児期疾病統合管理戦略を国全域で実施するための努力を引き続き行なうこと。 (c) 乳幼児期の家庭看護実践の向上を促進するためにいっそうの努力を行なうこと。 (d) 共同体学校イニシアティブおよび「健康的な村づくり」を引き続き支援しかつ拡大すること。 (e) 引き続き、とくにユニセフおよびWHOと協力し、かつその援助を求めること。 思春期の健康 42.委員会は、HIV/AIDS啓発キャンペーンに対する締約国の支援を歓迎する。しかしながら委員会は、思春期の健康に関して利用可能な、リプロダクティブヘルスおよび精神保健関連のカウンセリング・サービスが不十分であることを懸念するものである。 43.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 青少年が、リプロダクティブヘルスその他の思春期の健康に関わる問題に関する教育および子どもに配慮しかつ秘密が守られるカウンセリング・サービスにアクセスでき、かつこのような教育およびサービスを提供されることを確保すること。 (b) 学校制度において、思春期の健康教育の分野における努力を強化すること。 (c) HIV/AIDS啓発予防キャンペーンを継続しかつ強化すること。 (d) 引き続き、ユニセフおよびWHOと協力し、かつその援助を求めること。 7.教育 44.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 初等学校および中等学校を中退する児童生徒、とくに農村部の子どもおよび女子の割合が高いこと。 (b) 教科書および教材が足りない学校が多いこと。 45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 校舎の衛生設備の不十分さ、早期婚、通学にともなう間接費用および学校送迎の欠如といった問題に対応することにより、とくに農村部におけるおよび女子による初等中等段階での学校中退の問題を食いとめるための取り組みを強化すること。 (b) 学習教材および備品の供給を確保するために必要な資源配分のため、いっそうの努力を行なうこと。 46.委員会は、基礎教育の質向上を目的とした「グローバル教育イニシアティブ」が採択されたこと、および、カリキュラム改革に向けて若干の努力が行なわれてきたことに留意する。にもかかわらず、委員会は、報告書で提示された教育の目的には条約第29条に掲げられた目的が十分に反映されていないこと、および、とくに以下のことを依然として懸念するものである。 (a) 公教育制度が、分析的スキルの発達よりも暗記学習を引き続き重視しており、かつ子ども中心のものとはなっていないこと。 (b) 人権、寛容ならびに両性間ならびに宗教的および民族的マイノリティ間の平等を発展させることおよびこれらを尊重することが明示的にカリキュラムの一部とされていないこと。 47.委員会は、締約国が、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号を考慮しながら、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 批判的思考および問題解決スキルの発達の重要性を強調する、カリキュラムおよび教授法の改革プロセスを――子どもの全面的参加を得ながら――進めること。 (b) 教育において、子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力を最大限可能なまで発達させることが指向されるようにすること。 (c) とくに人権、寛容ならびに両性間ならびに宗教的および民族的マイノリティ間の平等を発展させることおよびこれらを尊重することとの関連で、学校カリキュラムに人権教育(子どもの権利を含む)を含めること。これとの関連で宗教的指導者の動員が図られなければならない。 (d) とくにユニセフおよびユネスコの援助を求めること。 8.特別な保護措置 難民および庇護希望者 48.委員会は、とくに保護者のいない未成年者、教育へのアクセスおよび出生登録の確保との関連で、締約国が難民の子どもに関して行なっている努力に評価の意とともに留意する。委員会は、難民の子どもの保護を確保するうえで重要な一歩となるUNHCRとの了解覚書に関する進展を歓迎するものである。しかしながら委員会は、庇護に関わる問題についての立法上または行政上の規定が存在しないことを懸念する。 49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第2条および第22条にしたがい、難民および庇護希望者である子どものすべての権利を確保するための効果的な措置を引き続きとること。 (b) 難民の地位に関する1951年の条約および1967年の同議定書の批准を検討すること。 (c) 国際基準に合致した国内難民法を導入するための措置をとること。 (d) UNHCRとの協力を継続しかつ強化すること。 経済的搾取 50.委員会は、ILO第138号条約の批准を歓迎する。委員会はさらに、就労が認められるための最低年齢を15歳に引き上げることを目的とした1959年労働法の改正を歓迎するものである。しかしながら委員会は、14歳未満の子どものおよそ7%が労働者として雇用されていること、および、まさに多くの児童労働が集中しており、かつ多くの場合に危険な条件をともなうインフォーマル部門(すなわち家族経営事業、農業)での労働に従事している子どもには効果的な監察を含む労働法の規定が適用されないことを、依然として懸念する。さらに委員会は、1958年農業関係法の改正案においてこれらの懸念への対応が十分に行なわれていないことに留意するものである。 51.条約第32条にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) ILO第146号勧告を考慮し、十分な人的資源および財源ならびに研修の提供を通じて労働査察を強化し、かつ防止およびリハビリテーションのためのあらゆる必要な措置をとりながら、子どもの権利条約第32条およびILO第138号条約が法律上も実際上も実施されることを確保するための即時的かつ効果的な措置をとること。 (b) ILOおよびユニセフの援助を求めること。 少年司法の運営 52.委員会は、締約国が少年司法制度の改革プロセスを開始した旨の情報には留意するものの、この改正が子どもの権利を基盤とする包括的な計画ではないこと、および、現在、以下のもののようなさまざまな問題が存在していることを、依然として懸念する。 (a) 犯罪を行なった7~15歳の子どもが(必ずしも収監刑ではないとはいえ)刑を言い渡される可能性があること。 (b) 物乞いのような子どもの問題行動が地位犯罪として犯罪化されていること。 (c) 審判前勾留に対する厳格な制限が実際には遵守されていないように思われること。 (d) 身柄拘束刑に代わる措置の利用が稀にしか行なわれないこと。 (e) 少年を対象とする拘禁所の環境がしばしば過酷なものとなっていること。 (f) 条約で唱道されている、少年犯罪問題への対応((たとえば根本的な社会的要因への対応)に対するホリスティックなアプローチ(防止、特別手続およびダイバージョンを含む)が締約国によって十分に考慮されてこなかったこと。 53.委員会は、締約国が、条約の規定(とくに第37条、第39条および第40条)およびこの分野における他の関連の国際基準(北京規則、リャド・ガイドライン、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもについての行動に関する指針など)を法律および実務に全面的に統合した少年司法制度を設置するための、包括的な国家的戦略を策定しかつ実施するよう、勧告する。委員会は、締約国が、以下の目的のために特段の努力を行なうよう勧告するものである。 (a) 刑事責任に関する最低年齢を15歳のまま維持するとともに、法律に抵触した15歳未満の子どもに対し、刑事司法制度を通じてではなく子ども保護手続を通じて対応するための措置をとること。 (b) 18歳未満の者が成人として審理されないことを確保すること。 (c) 自由の剥奪が、最後の手段としてのみ、可能なもっとも短い期間で用いられ、かつ裁判所による認可の対象とされること、および、18歳未満の者が成人とともに収容されないことを確保すること。 (d) 子どもが法的援助および独立のかつ効果的な苦情申立て手続にアクセスできることを確保すること。 (e) 司法制度、政策および社会的支援体制の連携を強化すること。 (f) 子どもの社会的更生の分野で専門家の研修を行なうこと。 9.報告書の普及 54.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、締約国のあらゆる段階の統治機構および一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 55.報告の定期性に関して委員会が採択した勧告(CRC/C/114 and CRC /C/124参照)に照らし、かつ締約国の第3回定期報告書の提出期限が第2回報告書の検討後2年以内であることに留意し、委員会は、締約国に対し、第3回・第4回統合定期報告書を、2009年2月13日(すなわち条約にしたがって定められた提出期限の18か月前)〔まで〕に提出するよう慫慂する。当該報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2012年6月25日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/43.html
総括所見:韓国(第2回・2003年) 第1回(1996年)/第3回・第4回(2011年)/第5回・第6回(2019年)OPAC(2008年)/OPSC(2008年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.197(2003年3月18日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2003年1月15日に開かれた第838回および第839回会合(CRC/C/SR.838 and 839参照)において、2000年5月1日に提出された大韓民国の第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.14)を検討し、2003年1月31日に開かれた第862回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第2回定期報告書、および委員会の事前質問事項(CRC/C/Q/REPKO/2)に対する詳細な文書回答の提出により、締約国における子どもの状況についてより明確な理解が得られたことを歓迎する。委員会はさらに、締約国がいくつかの部門から選ばれたハイレベルな代表団を派遣したことに評価の意とともに留意し、かつ、討議中に行なわれた提案および勧告に対する前向きな反応を歓迎するものである。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、子どもの権利条約をさらに実施するために制定された法律、とくに、児童虐待事案の調査および通報について扱うドメスティック・バイオレンスの処罰のための特別法(1997年)、および、19歳未満の者からの性的サービスの購入に関与した者を犯罪化する青少年保護法(2000年)を歓迎する。 4.委員会は、2001年に国家人権委員会が設置されたことを歓迎する。 5.委員会は、委員会が過去に勧告したように、締約国がそれぞれ1999年および2001年にILO第138号条約および第182号条約を批准したことならびに最低就業年齢を15歳に引き上げたことを歓迎する。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 6.委員会は、1997年のアジア金融危機およびその後に行なわれた国際通貨基金の構造調整改革プログラムにより締約国が経済的および財政的制約に直面し、そのため経済的、社会的および文化的権利を実施する締約国の能力に影響が生じてきたことを認知する。委員会はまた、厳格な財政緊縮措置によって締約国が時宜を得たやり方で国際融資を返済できてきたこと、および、経済がおおむね回復したことにも留意するものである。 D.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 7.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/8/Add.21)の検討を受けて採択された総括所見(CRC/C/15/Add.51)の勧告のほとんど、とくに以下の事項に関わる勧告が不十分にしか対応されていないことを遺憾に思う。 (a) 留保の撤回(パラ19)。 (b) 女子、障害児および婚外子に対する差別的態度と闘うための公衆教育キャンペーンの発展(パラ20)。 (c) 家庭、学校および社会生活への子どもの参加を促進するための措置(パラ26)。 (d) あらゆる形態の体罰の禁止(パラ22)。 (e) 条約第29条に掲げられた教育の目的を全面的に反映させることを目的とした、締約国の教育政策の見直し(パラ29)。 8.委員会は、これらの懸念をあらためて表明するとともに、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するために持続的努力を行なうよう、促す。 留保 9.委員会は、第9条第3項、第21条(a)および第40条第2項(b)(v)に対する締約国の留保を、依然として非常に懸念する。 10.委員会は、犯罪を行なったことを理由として刑を言い渡された少年が上訴権を有することに留意しつつ、締約国に対し、第40条第2項(b)(v)に対して付した留保を可能なかぎり早期に撤回するよう奨励する。締約国はまた、1993年に採択されたウィーン宣言および行動計画にしたがって第21条(a)および第9条第3項に対する留保を撤回する目的で、子どもおよび親の双方が相互に接触を維持する権利を保障されるように民法改正のプロセスを進捗させること、および、国内養子縁組に対する公衆の態度を変革するための努力を強化することも奨励されるところである。 立法 11.委員会は、国内法の改正に留意しながらも、国内法がいまなお条約の規定および原則に全面的に一致していないことを依然として懸念する。 12.委員会は、締約国に対し、国内法が条約の原則および規定に全面的に一致することを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう奨励する。 調整 13.委員会は、第8次社会経済開発5か年計画(1998~2002年)に、子どもに関する国家行動計画が含まれていることに留意する。しかし委員会は、種々の行政段階においてさまざまな省庁が運営している子どものためのあらゆる政策およびプログラムを調整する全面的権限を与えられた常設の中央機構が存在しないことを、依然として懸念するものである。 14.委員会は、締約国が、2001年に策定された「子どもの保護および子育てのための包括的計画」の適用範囲を拡大し、条約に基づくあらゆる権利、および、子どもに関する国際連合総会特別会期(2002年5月)で行なわれ、かつ「子どもにふさわしい世界」と題された成果文書に記載されたコミットメントを含めるよう勧告する。加えて委員会は、締約国が、子どものためのあらゆる政策およびプログラムの調整を担当する常設の中央機構をひとつ指定するとともに、当該機構がその責務を効果的に履行するのに必要な権限ならびに十分な財源、人的資源および物質的資源を有することを確保するよう、勧告するものである。 公的機関による監視 15.委員会は、締約国が条約の実施を監視するための常設機関を政府内に設置することを検討している旨の、代表団から提供された情報を歓迎する。 15.委員会は、締約国がそのような監視機構の設置を進捗させ、かつ条約実施におけるその活動を積極的に監視するよう、勧告する。 独立の監視 17.委員会は、前掲パラ4に述べたとおり、国家人権委員会が設置されたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、同委員会が子どもの権利についての専門性を何ら有していないことを懸念するものである。 18.委員会は、締約国が、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(「パリ原則」)(国連総会決議48/134付属文書)および国内人権機関に関する委員会の一般的意見2号にしたがって、次のことをするよう勧告する。 (a) 人権委員に子どもの権利の専門家が少なくとも1名いること、または同委員会が子どもの権利に関する小委員会を設けることを確保すること。 (b) とくに、子どもによる苦情申立てを子どもに配慮した方法で受理し、調査しかつこれに対応する同委員会の権限に関する意識を啓発することにより、国家人権委員会が子どもにとってアクセスしやすいものであることを確保すること。 資源配分 19.委員会は、この2年間の経済的回復にもかかわらず、子どものための中央予算の配分が、とくに健康および教育の分野において1997年以来着実に減少していることに、懸念とともに留意する。現在の支出水準は、子どもの権利の保護および促進に関する国および地方の優先課題に対応するには不十分であり、かつ、同様の経済発展水準にある他の国々の予算配分に匹敵していない。 20.委員会は、締約国が、以下の対応をとることにより、条約第4条の全面的に実施に特段の注意を払うよう勧告する。 (a) 「利用可能な資源を最大限に用いることにより」、子ども、とくに経済的に不利な立場に置かれた集団に属する子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分を優先させること。 (b) 支出の影響を評価する目的で、かつさまざまな部門で子どもに提供されているサービスの費用、アクセス可能性、質および実効性の観点からも、公共部門、民間部門およびNGO部門において子どもに用いられている国家予算の額および割合を特定すること。 データ収集 21.委員会は、締約国がその文書回答で表明した、現行のデータ収集機構では条約のあらゆる分野における18歳未満のすべての子どもが対象とされていない旨の懸念を共有するとともに、子どもの権利指標を開発する計画があることに留意する。 22.委員会は、締約国に対し、とくに18歳未満のすべての者に関する細分化されたデータを収集するための効果的システムを確立する努力を継続しおよび強化し、かつ条約の効果的実施を目的とした政策、プログラムおよびプロジェクトの策定、監視および評価のためにこれらのデータおよび指標を活用するよう、奨励する。委員会はまた、締約国に対し、条約の実施に関して達成された進展を継続的に評価できるようにするため、子どもの権利指標に関する活動を可能なかぎり早期に完了させるようにも奨励するものである。 市民社会との協力 23.子どもに対するサービスの提供における締約国と市民社会との協力には留意しながらも、委員会は、必要な基準設定が行なわれていないこと、および、政策立案レベルまたは報告プロセスにおける市民社会との協力が限られてきたことを懸念する。 24.委員会は、委員会は、条約の規定の実施におけるパートナーとしての市民社会の重要な役割を強調するとともに、締約国が、国および地方のレベルにおける条約実施のすべての段階(政策立案を含む)ならびに条約実施に関する将来の定期的報告書の作成に、より体系的かつ調和のとれた方法で非政府組織を関与させるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、「サービス提供者としての民間セクターおよび子どもの権利の実施におけるその役割」をテーマとして2002年に開催された一般的討議の勧告(CRC/C/121、パラ121)を考慮に入れ、かつ、とくにサービス提供者の登録認可制度を改善することにより民間のサービス提供機関の監督を向上させるようにも勧告する。 普及 25.委員会は、子どもおよび公衆一般ならびに子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家集団が、条約およびそこに掲げられた権利基盤アプローチについて十分に認識していないことを懸念する。 26.子どもの権利に関する情報を普及するためにNGOおよび国際組織が行なっている活動には留意しながらも、委員会は、締約国に対し、条約の原則および規定ならびに条約の実施に関する自国の報告書を広く知らせるという、第42条および第44条に基づく自国の義務を想起するよう求める。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 一般公衆およびとくに子どもを対象とした、子どもの権利に関する公的意識啓発キャンペーンを行なうこと。 (b) 子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家、とくに教職員、裁判官、議員、法執行官、公務員、自治体職員、子どもを対象とした施設および拘禁場所で働く職員、心理学者を含む保健従事者、ならびにソーシャルワーカーを対象として、条約の原則および規定に関する体系的な教育および研修を実施すること。 2.子どもの定義 27.委員会は、女子(16歳)および男子(18歳)の最低婚姻年齢が異なることを依然として懸念する。 28.委員会は、女子の最低婚姻年齢を男子のそれまで引き上げるべきである旨の、締約国に対する前回の勧告をあらためて繰り返す。 3.一般原則 29.委員会は、差別の禁止に対する権利(第2条)、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されなければならない旨の原則(第3条)、子どもの生命、生存および発達に対する権利(第6条)、ならびに、自己の意見を自由に表明し、かつその意見を年齢および成熟度にしたがって考慮される子どもの権利(第12条)のような、条約に掲げられた一般的原則および権利が、国および地方のレベルにおける締約国の法律、政策およびプログラムに全面的に反映されていないことを、懸念する。 30.委員会は、締約国が以下の対応をとるよう勧告する。 (a) 条約の一般原則、とくに第2条、第3条、第6条および第12条を、子どもに関するあらゆる関連の法律に適切に統合すること。 (b) 政治上、司法上および行政上のあらゆる決定ならびにすべての子どもに影響を及ぼすプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいて、これらの原則を適用すること。 (c) あらゆるレベルにおける計画および政策立案、ならびに社会機関、保健福祉機関、教育機関、裁判所および行政機関による行動において、これらの原則を適用すること。 差別の禁止 31.委員会は、人種差別に関する情報が締約国報告書に存在しないこと、および、ひとり親家庭の子ども、婚外子、障害のある子ども、女子および移住者家族に対する差別行為についての情報量が限られていることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、憲法において、条約において述べられているように人種、皮膚の色、言語、政治的その他の意見、民族的もしくは社会的出身、障害、出生またはその他の地を理由とする差別が明示的に禁じられていないことも、懸念するものである。 32.委員会は、締約国が、条約第2条に列挙されたすべての事由を含める目的で、差別を明示的に禁ずる法律を制定するよう勧告する。加えて委員会は、締約国が、とくに公衆の教育および意識啓発のためのキャンペーンを通じて、とりわけひとり親家庭の子ども、婚外子、障害のある子ども、移住労働者の子どもおよび女子に対する社会的差別と闘うため、あらゆる必要な積極的措置をとるよう勧告する。 33.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの意見の尊重 34.委員会は、子どもに対する社会の伝統的態度により、家庭、学校、その他の施設および社会一般における子どもの意見の尊重がいまなお制限されていることを懸念する。 35.委員会は、条約第12条にしたがい、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 2000年に改正された児童福祉法が、自己に影響を与えるすべての事柄について自由に自己の意見を表明する子どもの権利を含めるために改正されることを確保するとともに、裁判所、行政機関、学校および教育制度の懲戒手続において、子どもに影響を与えるすべての事柄に関して子どもの意見の尊重を促進しかつ子どもの参加の便宜を図るために、立法を含む効果的措置をとること。 (b) 子どもに影響を及ぼすあらゆる事柄に関して意見を考慮されかつ参加する子どもの権利について、とくに親、教育者、政府の行政職員、司法関係者および社会一般に対し、教育的情報を提供すること。 (c) 子どもの意見がどのぐらい考慮されているか、またそれが政策、プログラムおよび子どもたち自身にどのような影響を与えているかについて、定期的検討を行なうこと。 4.市民的権利および自由 表現および結社の自由 36.委員会は、管理者による生徒会の厳格な統制、および、初等中等学校の生徒が学外で行なう政治的活動を制限しまたは禁止する校則により、生徒の表現および結社の自由が制限されていることを懸念する。委員会はさらに、10代が独自に立ち上げたインターネットのチャットルームが公的機関によって恣意的に閉鎖させられてきたという訴えについて、懸念するものである。 37.条約第12条~第17条に照らし、委員会は、締約国が、学校内外の意思決定プロセスおよび政治的活動への子どもの積極的参加を促進し、かつすべての子どもが結社および表現の自由を全面的に享受することを確保するために、法律、教育部が発する指針および校則を改正するよう勧告する。 体罰 38.委員会は、学校における体罰が公式に容認されていることに、大きな懸念とともに留意する。委員会は、体罰は、とくにそれが子どもの尊厳の重大な侵害であることから、条約の原則および規定に一致しないという見解に立つものである(経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の同様の見解も参照。E/C.12/1/Add.79, para. 36)。教育部の指針によって、学校で体罰を用いるか否かの決定が個々の学校管理者に委ねられていることは、一部の形態の体罰は受け入れられていることを示唆するものであり、したがって積極的かつ非暴力的な形態の規律を促進する教育上の措置を阻害するものである。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 関連の法律および規則を改正し、家庭、学校その他のあらゆる施設における体罰を明示的に禁止すべきであるという、国家人権委員会の勧告を実施すること。 (b) 体罰に関する態度を変革するため、子どもの不当な取扱いの悪影響について公衆教育キャンペーンを実施するとともに、そのような罰に代わる手段として、学校および家庭において積極的かつ非暴力的な形態の規律およびしつけを促進すること。 5.家庭環境および代替的養護 代替的養護 40.委員会は、締約国が、家族から分離された子どもの施設措置に代わる手段としてグループホームを設置していることに留意する。しかしながら委員会は、グループホームの設置および里親養護制度の発展が依然として限定されており、かつ民間の代替的養護施設が政府の規制または定期的査察の対象とされていないことを、懸念するものである。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに里親家庭への金銭的支援を拡充し、かつ里親家庭を対象とするカウンセリングおよび支援のための機構を増やすことにより、グループホームの数および里親養護制度を引き続き拡大すること。 (b) 公立および私立のすべての施設にいる子どもについて、子どもの意見および最善の利益を考慮に入れ、かつ可能なときは常に家庭的環境への子どもの再統合を目的とする、措置の定期的審査が行なわれることを確保すること。 (c) ソーシャルワーカーを増員し、かつ、代替的養護を受けている子どもおよび脆弱な状況に置かれた家族に援助を提供するソーシャルワーカーの技術および能力を向上させること。 養子縁組 42.委員会は、否定的な文化的伝統が蔓延していることにより、国内養子縁組が権限ある公的機関の認可または関与なしに手配される場合があること、および、そのような手配においては子どもの最善の利益または適当なときは子どもの意見が必ずしも考慮されていないことを、依然として懸念する。委員会はまた、国際養子縁組の件数が多いこと(これは、この形態の養子縁組が必ずしも最後の手段とされていないことを示唆するものである)にも懸念とともに留意し、前回の総括所見で述べた、締約国が国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)をまだ批准していないという懸念を繰り返すものである。 43.委員会は、締約国に対する前回の勧告を繰り返すとともに、以下のことを求める。 (a) 子どもの権利条約の原則および規定、とくに第21条に全面的に一致させるために国内法を改正することを目的とする、国内養子縁組および国際養子縁組の制度の包括的見直し。 (b) 国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の批准。 児童虐待およびネグレクト 44.委員会は、児童虐待およびネグレクトの通報に対応し、かつ被害者にカウンセリングおよび援助を提供する児童虐待防止センターが同国の多くの地域で設置されていることを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、児童虐待およびネグレクトの苦情申立てを受理して効果的に対応し、かつ被害者に援助を提供する全国的システムが存在しないことを懸念するものである。 45.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 児童虐待およびネグレクトの苦情申立てを受理し、監視しおよび調査し、ならびに必要なときは子どもに配慮したやり方で事案を訴追するための全国的システムを確立するために法改正を含むあらゆる適当な措置をとるとともに、法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を対象としてこの点に関する研修を行なうこと。 (b) 介入または処罰だけではなく、適当なときは家族間暴力の被害者および加害者の双方に支援および援助を提供することを目的とし、かつ暴力の被害者全員がカウンセリングならびに回復および再統合に関する援助にアクセスできることを確保する全国的対応システムを発展させる目的で、児童虐待防止センターを設置する努力を強化すること。 (c) これらの問題の規模を適正に評価し、かつこれらの懸念に対応するための政策およびプログラムを立案する目的で、虐待およびネグレクトの加害者および被害者に関する、ジェンダーおよび年齢によって細分化されたデータを収集するための機構を確立すること。 子どもの扶養料 46.委員会は、離婚した親およびひとり親(主として母親)であって、法的に受け取る資格を有する子どもの扶養料の支払いを受け取っていない者の人数が多いことを懸念する。 47.第27条および子どもの最善の利益の原則(第3条)に照らし、委員会は、締約国が、裁判所の命令または当事者間の取決めに基づく子どもの扶養債務を、子どもおよびその監護権者である親にスティグマを与えないやり方で執行するため、あらゆる効果的な措置をとるよう勧告する。たとえば締約国は、執行措置が定められるまでの間、支払期限が過ぎた子どもの扶養債務が監護権者に対して支払われることを確保するための国家基金の設置、または、子どもの扶養債務を負う被雇用者の給与から子どもの扶養料が自動的に天引きされる制度の導入を検討することが考えられる。 6.基礎保健および福祉 48.委員会は、子どもの保健指標が非常に良好であることを心強く感ずる。にもかかわらず、委員会は、保健に配分される政府予算の割合が1%に満たないこと、および、全保健ケア施設の9割は民間によって運営されていることを懸念するものである。委員会はまた、子どもを母乳で育てる母親の割合が1990年代以降顕著に減少していること、および、喫煙する青少年およびアンフェタミンその他の不法な物質を使用する青少年の人数が増えていることも懸念する。 49.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 保健に配分される資金を相当水準まで増加させるとともに、低所得家庭が費用負担なしに保健制度にアクセスできるよう公的ケア施設制度を確立すること。 (b) 生後6カ月間は乳児に母乳のみを与えることを母親に奨励し、かつその利点について母親を教育するための措置をとるとともに、母乳育児に関する国家的規則を採択すること。 (c) 子どもを母乳で育てる女性の雇用にいかなる悪影響も生じないようにするための効果的対策をとること。 (d) とくにHIV/AIDSその他の性感染症に関する教育、10代の喫煙および薬物濫用の問題ならびに他の関連する問題に対応する包括的な青少年保健政策を策定する目的で、青少年の健康に関する研究を実施すること。 障害のある子ども 50.委員会は、〔障害のある〕子どもに対する社会的差別が広範に行なわれており、これらの子どもによる、「尊厳を確保し、自立を促進し、かつ地域社会への積極的な参加を助長する条件の下で(の)十分かつ人間に値する生活」に対する権利の享受が妨げられていることを、著しく懸念する。委員会はとりわけ、相当数の障害のある子どもが毎年遺棄されており、多くは学校に通うことができず、かつ学校に通う際は他の生徒から隔離されているという報告があることを懸念するものである。 51.委員会は、締約国が、障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的討議(1997年)の勧告および障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96)にしたがって以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親、子ども、教職員および一般公衆を対象とする意識啓発キャンペーンおよび教育キャンペーン等を通じ、障害のある子どもに対する差別の文化と闘うための効果的措置をとること。 (b) 障害のある子どもの教育上のニーズおよび教育その他の社会サービスへのアクセスについて評価する、障害のある子ども(現在通学していない子どもも含む)の人数についての包括的調査を実施すること。 (c) 公共の建物および場所(学校およびレクリエーション施設を含む)に対する障害のある子どもの物理的アクセスを改善するための現行プログラムを拡大し、かつ初等前、初等、中等および高等教育段階における統合教育プログラムの数を増やすこと。 7.教育 52.委員会は、締約国の経済発展水準が相対的に高いにもかかわらず初等教育しか無償とされていないことを懸念するものの、締約国が中学校教育の無償化を進めているという情報を歓迎する。同様に、初等教育においては女子および男子の就学率に格差は存在しないものの、高等教育に進む女子は男子よりも相当に少ない。最後に、委員会は、教育制度の高度に競争主義的な性質によって、子どもが最大限可能なまで発達することが阻害されるおそれがあるという懸念をあらためて繰り返す。 53.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 学校に提供される物質的資源を増加させ、かつ授業の質を向上させることにより、私立学校に比べて低い公立学校の質を高めること。 (b) 初等前教育および中等教育の費用負担を軽減しかつ撤廃するための、期限を定めた戦略を策定すること。 (c) 女子の就学を促進し、かつ根強く残るジェンダーの固定観念に対応することにより、すべての者が能力に基づいて高等教育にアクセスできることを確保するための効果的措置をとること。 (d) 競争を軽減し、かつ条約第29条第1項ならびに教育の目的に関する委員会の一般的意見1号に掲げられた教育の目的を反映させるため、教育政策を見直すこと。 8.特別な保護措置 性的搾取 54.委員会は、子どもから性的サービスを購入した者の処罰を目的とする青少年保護法が2000年に制定されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、同法が効果的に実施されていないこと、および、子どもの性的搾取の蔓延度に関する利用可能なデータが限られていることを懸念するものである。委員会はまた、思春期の女子が金銭と引き換えに年上の男性と性的関係を結ぶ「援助交際」(Wonjokyuje)現象が広がっているという報告があることも懸念する。 55.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) それぞれ1996年・2001年に開催された第1回・第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で合意されたとおり、効果的なデータ収集措置を含む「子どもの商業的性的搾取に関する国内行動計画」を策定すること。 (b) 子どもに配慮した方法で苦情申立てを受理し、監視し、調査しかつ訴追する方法について、法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を研修すること。 (c) 性的虐待および性的搾取の被害を受けたすべての者が、回復および再統合のための適切なプログラムおよびサービスにアクセスできることを確保すること。 (d) 未成年者の性的虐待および性的搾取に関連する法律についての資料、および教育プログラム(健康的なライフスタイルについて学校で実施されるプログラムを含む)のような、性的サービスの勧誘および提供を行なう者を対象とした防止措置を発展させること。 少年司法 56.委員会は、法律に違反したとして申し立てられかつ保護処分の対象とされた少年が、刑事手続を経ることなく、かつ弁護士による援助にもアクセスできないまま自由を奪われる可能性があることを懸念する。 57.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 少年司法の運営に関する委員会の一般的討議(1995年)に照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第40条および第39条、ならびに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)の全面的実施を確保するとともに、少年司法制度に関与する職員を対象として専門的研修を実施すること。 (b) 自由の剥奪を最後の手段としてのみ用いるようにするとともに、自由の剥奪に至る可能性がある保護処分に関与するすべての少年が早期に弁護人にアクセスできることを確保すること。 (c) 未成年者を刑事手続または保護処分のいずれに付すかを決定する検察官の裁量権を撤廃するため、法律を改正すること。 移住労働者の子ども 58.委員会は、教育および社会福祉に関する法令に外国人の子ども、とくに資格外移住労働者の子どもの福祉および権利について定めた具体的規定が含まれていないことを懸念する。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国内法、とくに教育および社会福祉に関する法律を改正し、外国人の子ども(資格外移住労働者の子どもを含む)全員に対してサービスへの平等なアクセスを確保する具体的規定を含めること。 (b) すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約(1990年)の批准を検討すること。 9.子どもの権利条約の選択議定書および条約第43条第2項の改正 60.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両選択議定書に署名したものの、批准はしていないことに留意する。 61.委員会は、締約国が子どもの権利条約の2つの選択議定書を批准するよう勧告する。 10.文書の普及 62.委員会は、条約第44条第6項に照らし、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般およびとくに子どもが入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 11.次回の報告書 63.委員会が採択し、かつ第29会期に関する報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第4回報告書の提出期限である2008年12月19日までに、単一の統合報告書として第3回および第4回報告書を提出するよう促す。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年8月14日)。
https://w.atwiki.jp/warawara08/pages/41.html
藁谷郁美研究会 2008年度春学期 メディア発表【s07870mm 】 更新履歴 更新はまだありません。 個人研究 分類タグ [2008年度][-] 本文はまだありません。 メディア発表内容 分類タグ:[2008年度][経済・企業] Arbeit Thema 原油価格高騰によるアメリカの経済不安 ■使用したメディア■ 読売新聞、日本経済新聞、、朝日新聞、FAZ.NET http //www.faz.net/s/homepage.html 6月27日 新s(あらたにす)http //allatanys.jp/ 6月28日 ■調査期間■(もしくは日付) 6月28,29日 ■国・地域■ アメリカ ■概要■ FAZ.NET 失業率の高さを懸念 政府の動き次第で(公定歩合の引き上げで)改善される希望がある 新s(あらたにす) 70年代の石油危機と比較 →80年代世界経済が停滞したように、中印を始めとする急成長中・一次加工産業の盛んな国々の経済停滞がくるのでは 読売新聞(6月20日) ドルの暴落懸念 日本経済新聞(6月28日) 「米景気 停滞長期化も」「原油高 個人の購買力そぐ」 米消費者信頼感指数は1992年以来最低値を記録。社会全体の購買意欲が急落。 朝日新聞(6月30日) 他国に比べて日本は現状では差し迫っていない。今後より厳しくなる。デフレから回復しきれていない日本経済の後退を懸念。 物価上昇 欧米→3~4% 日本→1,5% ロシア→10%以上
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/87.html
総括所見:インドネシア(第2回・2004年) 予備的所見(1993年)/第1回(1994年)/第3回・第4回(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.223(2004年2月26日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2004年1月13日に開かれた第920回および第921回会合(CRC/C/SR.920 and 921参照)において、2002年2月5日に提出されたインドネシアの第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.23)を検討し、2004年1月30日に開かれた第946回会合(CRC/C/SR.946)において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、提出が遅かったとはいえ締約国の第2回定期報告書が提出されたことおよび詳細な補足報告書が提出されたことを歓迎する。委員会はとくに、さまざまな分野の権利に関するほとんどのパラグラフに、達成された進展、締約国が直面している困難および今後5年間の優先事項に関する所見が記載されていることを評価するものである。委員会はさらに、締約国が大規模かつハイレベルな代表団を派遣したことに評価の意とともに留意し、かつ、率直な対話、ならびに議論の最中に行なわれた提案および勧告に対する前向きな反応を歓迎する。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、報告書が参加型プロセスを通じて起草されたことを歓迎する。とくに、委員会は、非政府組織(NGO)および大学が関与したことならびに最終草案が公刊されたことを歓迎するものである。 4.委員会は、拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約(1998年批准)、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(1999年批准)、国際労働機関の最低年齢条約(1973年採択、第138号)および最悪の形態の児童労働条約(1999年採択、第182号)(それぞれ1999年および2000年に批准)のような多くの人権文書が批准されたこと、ならびに、憲法が改正されたこと(2002年)および人権の保護に関わる多くの法律が採択されたことを歓迎する。 5.委員会は、子どもの権利条約が翻訳されたことならびに相対的に広く公刊されかつ頒布されていることを心強く思う。 6.委員会は、民主化プロセスが進行中であり、かつ法律および政策に人権問題(子どもの人権を含む)が含まれていることをおおいに心強く思う。 7.委員会は、以下のような、子どもの権利および保護の促進を目的とした法律の採択およびさまざまな機構の設置を歓迎する。 (a) 2002年憲法に、子どもの権利を含む権利章典が盛りこまれたこと。 (b) 子どもの保護に関する2002年の法律第23号。 (c) 全国的教育制度に関する2003年の法律第20号。 (d) 「子どものための国家行動計画」。 (e) 子ども保護庁(1998年)。 (f) インドネシア子どもの保護委員会(Komisi Perlindungan Anak Indonesia)。 (g) 少年裁判所に関する1997年の法律第3号。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 8.委員会は、国内武力紛争、テロリズム、および、1万7000以上の島々から構成される締約国の地理的形態の特有の性質といった、締約国が直面する課題を認知する。 D.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 9.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/3/Add.10)の検討時に行なった懸念表明および勧告(CRC/C/15/Add.25)の一部、とくに児童労働に関する国内法改正(パラ17)、子どもの権利の実施を監視する必要性(パラ19)、少年司法制度の包括的改革(パラ20)、子どものための十分な資源の配分(パラ21)、子どもに対するあらゆる形態の差別と闘うために必要とされる緊急の措置(パラ22)および子どもに対する暴力(失踪および恣意的拘禁を含む)を防止するために必要とされる措置(パラ24)に関わるものの実施が不十分であることを遺憾に思う。 10.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 留保 11.委員会は、子どもの保護に関する2002年の法律第23号によって、締約国が条約第1条、第14条、第16条、第17条、第21条、第22条および第29条に関して行なった留保が不必要になり、したがってすべての留保がほどなくして撤回されるであろう旨の情報を歓迎する。 12.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.25)にしたがい、かつ1993年のウィーン宣言および行動計画に照らし、締約国が、すべての留保の撤回を優先的課題とし、かつそのために必要な手続的措置をとるよう勧告する。 立法 13.委員会は、現在行なわれている、民主義および人権(とくに子どもの権利)を基盤とする国家の基礎を整備するであろう重要な法改正を歓迎する。委員会はまた、条約の批准が議会法による裏づけを得ていないという、締約国が表明した懸念も共有するものである。 14.委員会は、締約国に対し、議会法によって条約の批准を裏づける可能性を検討するよう奨励する。 15.委員会はまた、締約国に対し、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的および政治的権利に関する国際規約ならびに国際刑事裁判所ローマ規程のような他の人権文書の批准を検討し、かつ、その際は議会法による裏づけを得ることも奨励する。 地方分権化 16.締約国が進めている地方分権化のプロセスは歓迎しながらも、委員会は、それが人権および子どもの権利の保護に悪影響を及ぼす可能性があることを懸念する。 17.委員会は、締約国が、州の法律および実務が条約に一致することを確保するための対応を行なうよう勧告する。 調整および国家的行動計画 18.委員会は、子どもに関する国連総会特別会期の成果文書「子どもにふさわしい世界」を考慮した「子どものための国家行動計画」が起草されたことを歓迎するとともに、女性エンパワーメント省が条約および「子どものための国家行動計画」の実施を調整する担当機関とされたことに留意する。 19.委員会は、以下のことを勧告する。 (a) 「子どものための国家行動計画」が条約のあらゆる分野および規定を網羅し、かつ同行動計画の規定が州および地区のレベルのプログラムに編入されるようにすること。 (b) 女性エンパワーメント省が州および地区のレベルの初機構を調整すること。 (c) 調整機関にNGOのような他の関係主体の関与を得ること。 独立の監視 20.委員会は、インドネシア子どもの保護委員会(Komisi Perlindungan Anak Indonesia)および最悪の形態の児童労働撤廃国家委員会の設置を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、国家人権委員会(Komnas HAM)の独立性および公平性の保障が不十分であることにより、同委員会がその任務を全面的に遂行することが妨げられるのみならず、国家子どもの保護委員会の活動も阻害される可能性があることを懸念するものである。 21.委員会は、締約国が、国内人権機関に関する委員会の一般的意見2号にしたがい、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国家人権委員会、国家子どもの保護委員会および最悪の形態の児童労働撤廃国家委員会の間の調整を確保すること。 (b) とくに、調査を実施しならびに子ども(とりわけ紛争の影響を受けている子ども)からの苦情を受理しおよびこれに対応する権限を国家子どもの保護委員会および最悪の形態の児童労働撤廃国家委員会に与えることにより、これらの機関が子どもにとってアクセス可能であることを確保すること。 (c) 国家子どもの保護委員会および最悪の形態の児童労働撤廃国家委員会に対して十分な資源が提供されることを確保すること。 (d) 国家人権委員会(Komnas HAM)、国家子どもの保護委員会および最悪の形態の児童労働撤廃国家委員会の独立性、客観性、実効性および公的説明責任を強化するために即時的措置をとるとともに、検事総長に対するこれらの機関の報告書が時宜を得たやり方で公表されることを確保すること。 データ収集 22.委員会は、とくに保育、教育、ネグレクトされている子ども、ストリートチルドレンおよび障害児に関するさまざまなデータが補足報告書で提供されていることを歓迎する。しかしながら委員会は、条約が対象とするすべての領域に関する、細分化された質的および量的データの体系的かつ包括的収集を可能とする十分なデータ収集機構が締約国に存在しないことを、依然として懸念するものである。 23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約のすべての分野を網羅するため、データ収集システムを引き続き改良すること。 (b) すべてのデータおよび指標が、条約の効果的実施を目的とした政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保すること。 (c) これらの統計および情報を広く配布すること。 (d) この点に関して、とくにユニセフとの連携を継続すること。 条約の普及 24.委員会は、条約の原則および規定を幅広く広報誌、かつ子どもとともにまたは子どものために働くさまざまな専門家集団の研修を行なうために締約国が行なった努力に、評価の意とともに留意する。たとえば委員会は、2003年7月23日の全国子どもの日のテーマを歓迎する。しかしながら委員会は、これらの措置をさらに強化し、かつ継続的、包括的および体系的に実施する必要があるとの見解に立つものである。 25.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約の普及および関連のすべての専門家を対象とした条約に関する研修についての措置を強化するとともに、当該措置を継続的かつ体系的に実施すること。 (b) 条約をすべての子ども、とくに民族的マイノリティに属する子どもに対して利用可能としかつ周知するために具体的措置をとること。 2.子どもの定義 26.委員会は以下のことを懸念する。 (a) 委員会の前回の勧告にも関わらず、法定婚姻年齢(女子16歳・男子19歳)が依然として差別的であること。 (b) 15歳までに婚姻する子ども(とくに女子)の割合がきわめて高く、かつ、これらの子どもがこれによって成人とみなされ、すなわち条約の適用対象ではなくなること。 27.委員会は、法律が条約の原則および規定と一致することを確保するため、締約国が、さまざまな法律によって定められた、子どもに影響を及ぼす諸年齢制限を見直すよう勧告する。委員会はまた、具体的に、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 性別を理由とするいかなる差別も残存しないこと、および、女子の婚姻年齢が男子のそれと同一であることを確保すること。 (b) 早期婚を防止するため、他のあらゆる必要な措置をとること。 (c) 早期婚から生じる害および危険性に関する意識啓発キャンペーンを行なうこと。 3.一般原則 28.委員会は、子どもの保護に関する2002年の法律第23号の第2条で条約の基本原則に言及されていることを歓迎する。しかしながら委員会は、差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)および子どもの意見の尊重(第12条)の一般原則が、締約国の法律ならびに行政上および司法上の決定、ならびに、連邦、州および地方のレベルならびに紛争の影響を受けている地域における子ども関連の政策およびプログラムに全面的に反映されていないことを、依然として懸念するものである。 29.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約の一般原則、とくに第2条、第3条、第6条および第12条を、子どもに関するあらゆる関連の法律に適切な形で統合すること。 (b) 政治上、司法上および行政上のあらゆる決定ならびにすべての子どもに影響を及ぼすプログラム、サービスおよび復興活動においてこれらの原則を適用すること。 差別の禁止 30.委員会は、女子ならびに脆弱な立場に置かれた他の集団の子ども、とくに貧困下で暮らしている子ども、婚外子、紛争により避難民となった子どもおよびマイノリティの子どもに対する社会的差別が根強く残っていることに、懸念とともに留意する。 31.委員会は、締約国に対し、国内法における差別の禁止の原則の適用および条約第2条の遵守を全面的に保障する目的ですべての法律の詳細な見直しを行なうとともに、すべての事由に基づくおよび脆弱な立場に置かれたすべての集団に対する差別を撤廃するための積極的かつ包括的戦略を採択するよう、促す。 32.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号も考慮にいれながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの最善の利益 33.委員会は、条約第3条に掲げられた子どもの最善の利益の一般原則が、家族法に関する事柄(たとえば、法律上の監護権は子どもの最善の利益よりもむしろ子どもの年齢によって決定される)も含め、子どもに関わるすべての行動において第一義的に考慮されていないことを懸念する。 34.委員会は、条約第3条が法律および行政上の措置に適正に反映され、かつ領域内のすべての場所で実施されることを確保するため、締約国が法律および行政上の措置を見直すよう勧告する。 子どもの意見の尊重 35.委員会は、子どもが、条約第12条に反し、家庭、学校およびコミュニティにおいて、子どもに関わる事柄についてさえ、めったに意見を聴かれていないことを懸念する。 36.委員会は、「自己の見解をまとめる力のある」いかなる子どもも、自己に影響を与えるあらゆる行政上および司法上の手続における場合も含めて自由に意見を表明できるよう、締約国が、法律を改正して条約第12条を全面的に反映させるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、とくに地方レベルおよび伝統的コミュニティにおいて子どもの参加権に関する公衆の意識を高めるための全国的キャンペーンを発展させるとともに、家庭、学校ならびにケア制度、行政制度および司法制度における子どもの意見の尊重を奨励することも、勧告するものである。 4.市民的権利および自由 出生登録および国籍に対する権利 37.委員会は、出生証明書が政府によって無償で発行されると定めた、子どもの保護に関する2002年の法律第23号に掲げられた規定を歓迎する。しかしながら委員会は、出生登録率が低く、かつそれを高めるための具体的措置がほとんどとられていないことを依然として懸念するものである。 38.1999年人権法により国籍に対する子どもの権利が保障されていることには留意しながらも、委員会は、場合によって以下のような状況が生じ得ることを懸念する。 (a) 婚外子が父を知る権利を否定される可能性があること。 (b) 外国人の父を持つ子どもがインドネシアの市民権を否定される可能性があること。 39.委員会は、締約国が、出生登録に関する国および地方の法律をすべて改正するとともに、ユニセフその他の国際機関と協力すること等も通じ、2015年までに100%の出生登録を達成するための包括的戦略を実施するよう、勧告する。 40.委員会は、母系および父系の双方により市民権が継承されることを確保するため、締約国が、国籍に関する1958年の法律第62号を含む市民権法を改正するよう勧告する。 子どもに対する暴力 41.委員会は、学校、公共の場所、拘禁センターおよび家庭において暴力、虐待およびネグレクト(性的虐待も含む)の被害を受ける子どもの人数が多いことを懸念する。 42.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの虐待およびネグレクト(性的虐待も含む)の問題に対処するために現在行なっている努力を拡大するとともに、苦情を受理し、監視しおよび調査し、ならびに、必要なときは、子どもに配慮した、かつ被害者のプライバシーを確保するやり方で事件を訴追するための、全国的システムが存在することを確保すること。 (b) 暴力の被害を受けたすべての者がカウンセリングならびに回復および再統合のための援助にアクセスできること、ならびに、虐待の訴えを理由として家庭から分離された子どもに対して代替的な保護および養護が提供されること、および、施設措置が最後の手段としてのみかつ可能なかぎり短い期間で用いられることを確保すること。 (c) 子どもに対する暴力の加害者が適正に訴追されることを確保すること。 体罰 43.委員会は、家庭および学校における体罰が広がっており、文化的に受け入れられており、かついまなお合法的であることを深く懸念する。 44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校および子どものケアの現場を含むすべての場所で体罰を禁止するため、現行法を改正すること。 (b) 子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公衆教育キャンペーンを実施するとともに、体罰に代わる手段としての積極的かつ非暴力的な形態の規律およびしつけを促進すること。 5.家庭環境および代替的養護 親の責任 45.委員会は、インドネシアのイスラム教徒に適用されるイスラム法にしたがい、離婚手続において、子どもの監護権に関わる決定が子どもの最善の利益よりもむしろ子どもの年齢に基づいて行なわれることを懸念する。委員会は同様に、子どもは実親が法律上の婚姻関係になければ法律上の父を持つことができないことを懸念するものである。 46.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての決定が、条約第3条および第12条にしたがって子どもの最善の利益の原則に基づいて行なわれることを確保するため、子どもの監護に関する法律を見直すこと。 (b) 子どもの親子関係の確定を促進し、かつ、可能なかぎり実の両親を知りかつ実の両親によって育てられる子どもの権利を保障するため、あらゆる必要な措置をとること。 家族の再統合 47.委員会は、家族から分離された東ティモールの子どもに関する持続的解決の促進に関して締約国が表明した決意および締約国が行なっているいっそうの協力を歓迎する。しかしながら委員会は、1999年以降、これらの子どもたちの帰還がどちらかといえば限定されていることを依然として懸念するものである。 48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親から分離されたすべての子どもが迅速かつ安全に東ティモールに帰還できることを確保するための措置を強化すること。 (b) この点に関するUNHCRとの連携を継続すること。 家庭環境を奪われた子ども 49.委員会は、施設に措置される子どもの多さおよび当該施設における生活環境、ならびに、親によって遺棄される子どもの増加について懸念を表明する。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 施設に措置された子どもの状況(その生活環境および提供されているサービスを含む)を評価するための包括的研究を行なうこと。 (b) とくにもっとも脆弱な立場に置かれた家族に支援および指導を提供しかつ意識啓発キャンペーンを実施することによって子どもの施設措置を防止するためのプログラムおよび政策を発展させること。 (c) 施設に措置された子どもが可能なときは常に家族のもとに復帰できるようにするためにあらゆる必要な措置をとるとともに、子どもの施設措置を最後の手段と見なすこと。 (d) 既存の施設に関する明確な基準を定め、かつ、条約第25条に照らし、子どもの措置の定期的再審査が行なわれることを確保すること。 養子縁組 51.委員会は、現行養子縁組法制が、民族的出自の異なる集団間で差別を行なっており、濫用的慣行(子どもの人身取引を含む)に対して十分な保護措置を用意しておらず、かつ、子どもの最善の利益の原則を十分に考慮していないことを懸念する。 52.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 養子縁組に関する現行法が条約第2条および第3条に一致することを確保するため、その改正を行なうこと。 (b) 子どもの最善の利益の原則にしたがって子どもの養子縁組制度を効果的に監視しかつ監督するために必要な措置をとること。 (c) 国際養子縁組における子どもの保護および協力に関するハーグ条約に加入すること。 6.基礎保健および福祉 障害のある子ども 53.障害のある子どものための特別サービスおよびリハビリテーション・センターの発展は認知しながらも、委員会は、ごく少数の障害児しかこれらのサービスにアクセスできていないことを懸念する。 54.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 障害のある子どものための政策およびプログラムの発展のため、十分に細分化された包括的なデータが収集されかつ活用されることを確保すること。 (b) 適切な保健ケア、教育サービスおよび雇用機会へのアクセスの観点からこれらの子どもの状況を見直すとともに、障害のある子どものためのサービスを強化し、その家族を支援し、かつこの分野における専門家の研修を行なうため十分な資源を配分すること。 (c) 障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96付属文書)および障害のある子どもに関する一般的討議の日に採択された委員会の勧告(CRC/C/69、パラ310-339)に留意すること。 (d) とくにユニセフおよびWHOの援助を求めること。 保健および福祉 55.保健ケア部門に対する予算配分が改善されていることは認知しながらも、委員会は、妊産婦死亡率、子どもの栄養不良発生率、低出生体重児の割合ならびに感染症および蚊媒介性疾病(マラリアを含む)の有病率が高く、予防接種率が低く、かつ、とくに紛争の影響を受けている地域で安全な飲料水および衛生施設にアクセスできないことを、依然として懸念する。 56.委員会はさらに、健康問題および保健ケアに関する政策がばらばらであるため、子どもおよび青少年の健康に対する包括的アプローチの調整および実施が阻害されていることを懸念する。 57.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 農村部および紛争の影響を受けている地域におけるものも含め、プライマリーヘルスケア、とくに母子保健に関するサービスおよび便益への完全なアクセスを確保すること。 (b) 飲料水および衛生サービスの提供に優先的に取り組むこと。 (c) 栄養不良、マラリアその他の蚊媒介性疾病を予防し、可能なかぎり多くの子どもおよび母親に予防接種を行ない、コンドームその他の避妊手段を国全体で入手できるようにし、かつ母乳育児を促進するために現在行なっている努力を強化するとともに、紛争の影響を受けているすべての地域にこれらのプログラムを拡大すること。 (d) 子どもおよび青少年を対象とするホリスティックかつ包括的な保健政策の策定を通じ、子どもおよび青少年の健康および発達に関してライフコース・アプローチがとられることを確保すること。 (e) この問題に関してとくにWHOの協力を求めること。 思春期の健康 58.委員会は、とくに思春期の健康、HIV/AIDS予防および家族計画の問題を取り扱うリプロダクティブヘルス委員会が1999年に設置されたことに留意する。にもかかわらず、委員会は、これらが依然として思春期の子どもにとっての問題であり、かつ、若者向けに、リプロダクティブヘルスに関する相談およびサービスのためのシステムも、HIV/AIDSおよび性感染症(STI)に関する教育も整備されていないことを懸念するものである。委員会はさらに、青少年の喫煙者が多いことを懸念する。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮しながら、思春期の健康に関する包括的な政策および計画を策定すること。 (b) リプロダクティブヘルス委員会の勧告の実施を強化すること。 (c) HIV/AIDSおよびSTIならびに性教育に関する公式・非公式の教育制度を確立するため、国の機関とNGOとの連携を促進すること。 (d) HIV/AIDSに感染した子どもおよびHIV/AIDSの影響を受けている子どもの権利を促進しかつ保護するため、HIV/AIDSと子どもの権利に関する委員会の一般的意見3号(2003年)およびHIV/AIDSと人権に関する改訂国際指針を考慮すること。 (e) すべての青少年を対象として、リプロダクティブヘルスに関する相談および情報ならびにサービスへのアクセスを確保すること。 (f) タバコの使用の有害な影響に関する正確かつ客観的な情報を青少年に提供するとともに、タバコの広告を包括的に規制することにより、誤った有害な情報から青少年を保護すること。 7.教育、余暇および文化的活動 60.委員会は、教育に対する権利および教育への最低予算配分が憲法に盛りこまれていることを歓迎する。委員会はさらに、初等教育年限を6年から9年に引き上げ、かつ授業水準の向上を試みている、締約国が1994年に会した教育改革も心強く思うものである。委員会はさらに、貧困家庭出身の子どもに対して奨学金が授与されることも歓迎する。 61.しかしながら委員会は、以下のことを非常に懸念する。 (a) 教育が初等段階においてさえ無償ではなく、かつ高等教育の費用が多くの家庭にとって負担可能ではないこと。 (b) 中退率および留年率が高いこと。 (c) 婚姻した子どもおよび妊娠した10代は教育を継続しないのが一般的であること。 (d) 教員ひとりあたりの生徒数が多く、かつ教員の能力水準が低いこと。 (e) 学校における子どもへの暴力(生徒間のいじめおよび喧嘩を含む)の発生件数が多いこと、ならびに、学校の規律を規制しかつ学校における暴力および虐待から子どもを保護するための特別法が存在しないこと。 62.委員会は、マドラサ〔イスラム学校〕および寄宿学校における教育の質を監視するために締約国が行なっている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、これらの学校で提供されている教育の幅が狭いことおよびそのカリキュラムの監督が行なわれていないことを懸念するものである。 63.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 無償の完全初等教育を達成するための措置を強化すること。 (b) 都市部、農村部およびもっとも発展が遅れている地域の女子および男子がいかなる金銭的障壁もなく教育機会に平等にアクセスできることを、漸進的に確保すること。 (c) すべての子どもが乳幼児期教育にアクセスできるようにするための追加的措置を実施すること。 (d) 中退率、留年率および非識字率を低下させるための効果的措置をとること。 (e) 婚姻した子どもおよび妊娠した10代に対して教育機会を提供すること。 (f) 教員が十分な訓練を受けることを確保するための努力を追求すること。 (g) 子どもの権利を含む人権を学校カリキュラムに導入するために適当な措置をとること。 (h) 学校における暴力を減少させるための措置をとること。 (i) 教育部門を向上させるため、ユネスコ、ユニセフ、アジア開発銀行および市民社会と引き続き協力すること。 64.委員会は、マドラサおよび寄宿学校が普通公教育とより両立したものとなることを確保し、かつ良質な教育を確保するためにより教育な監視システムを確立する目的で、締約国が、これらの学校における教育を合理化するための努力を継続しかつ強化するよう勧告する。 8.特別な保護措置 子どもの難民 65.委員会は、難民キャンプで暮らしている子どもの難民および国内避難民の状況を非常に懸念する。 66.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての子どもの避難民および難民ならびにその家族が基礎的な保健サービスおよび教育サービスにアクセスでき、かつ、条約に掲げられた、このような子どものすべての権利(出生時に登録される権利を含む)が保護されることを確保するため、即時的措置をとること。 (b) 家族から分離されたすべての東ティモールの子どもが迅速かつ安全に東ティモールに帰還できることを確保するための措置を強化すること。 (c) 1951年の難民の地位に関する条約および1967年の同議定書、無国籍者の地位に関する条約ならびに無国籍の削減に関する条約に加入すること。 (d) とくにUNHCRとの連携を継続すること。 武力紛争の影響を受けている子ども(子ども兵士を含む) 67.委員会は、アチェ、西カリマンタン、中部スラウェシ、マルクおよびアンボンにおける死亡者の多さならびに1999年の東ティモール紛争における紛争による死亡者について憂慮する。委員会はさらに、武力紛争の影響を受けている子どもが依然としてとくに脆弱な立場に置かれた集団であること、および、これらの子どもの人権を(とくに紛争中に)侵害した加害者が稀にしか訴追されないことを懸念するものである。 68.委員会は、アチェにおける戒厳令が子どもの権利の保護および実施に悪影響を及ぼす可能性があることを懸念する。 69.委員会は、とくにアチェおよびマルクならびに1999年までの東ティモールにおける子ども兵士の使用の報告について、深い懸念を覚える。 70.委員会はさらに、武力紛争の結果、非常に多数の子どもが避難民化していることに重大な懸念を覚える。 71.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 子どもの生活および権利に影響を及ぼす暴力、とくにアチェ、マルクおよび西パプアにおける暴力を防止しかつ終わらせるための措置をとること。 (b) アチェにおける戒厳令の適用が、いかなる状況においても、子どもの権利条約で保障された権利と矛盾しないことを確保すること。 (c) 国内外の援助機関および人道機関がとくにアチェにおいて子どもおよびその家族にアクセスできるよう便宜を図るための即時的措置をとること。 (d) 正規軍、準軍事集団および反政府集団が武力紛争において子どもを使用することを防止すること。 (e) 人権法および国際人道法の原則ならびにインドネシアが締約国となっている条約を誠実に遵守すること。 (f) 兵士としてもしくは性奴隷として子どもを使用しまたは子どものいずれかの権利を侵害する軍事作戦または準軍事活動を後援し、計画し、扇動し、これに資金を提供しまたは参加したすべての者(上級職員を含む)が、1999年の東ティモールで虐待を行なった者も含め、訴追されることを確保すること。 72.委員会は、締約国が、紛争の影響を受けてきた子どもの権利を実施するための包括的な政策およびプログラムを発展させるよう、勧告する。とくに、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 紛争の影響を受けた子ども、とくに子どもの戦闘員、保護者のいないIDP〔国内避難民〕および難民、帰還民および密輸された子どもに、そのプライバシーも確保しつつ心理社会的支援および援助を提供する包括的システムを、NGOおよび国際機関と連携しながら発展させること。 (b) 紛争の影響を受けた子どもが、非公式の教育プログラムを提供すること等も通じ、かつ紛争の影響を受けた地域で校舎および学校施設の再建ならびに水、衛生設備および電気の供給を優先させること等により、教育制度に再統合できることを確保するために効果的措置をとること。 (c) いかなる軍隊または武装集団によるものであっても、軍事目的で子どもを徴募することおよび使用することを犯罪とすること。 (d) とくに難民としての離散状態および部族地域にあって脆弱な立場に置かれている子どものための就労機会および教育機会を増やすことも含め、軍隊等への入隊に代わる選択肢を提供すること。 薬物濫用 73.委員会は、薬物または麻薬を使用している子どもが多く、かつこれらの子どもが被害者ではなく犯罪者として扱われていることを懸念する。 74.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもに対し、有害物質濫用の有害な影響に関する正確かつ客観的な情報を提供すること。 (b) 薬物および麻薬を使用する子どもが犯罪者ではなく被害者として扱われることを確保すること。 (c) 有害物質濫用の被害者である子どもを対象とする、回復および再統合のためのサービスを発展させること。 (d) WHOおよびユニセフの協力および援助を求めること。 少年司法 75.委員会は、少年司法に関する1997年の法律第3号の採択を歓迎する。 76.委員会は、たとえ軽罪であっても、かつ人権に関する1999年の法律第39号第66条4項の規定にも関わらず、収監刑を言い渡される子どもが非常に多いこと、ならびに、これらの子どもがしばしば成人とともに拘禁され、かつたとえ子ども用の拘禁センターであっても劣悪な条件下で拘禁されていることを、非常に懸念する。 77.委員会は、刑事責任に関する最低年齢(8歳)が非常に低いことについての深刻な懸念をあらためて表明する。 78.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 刑事責任に関する最低年齢を国際的に受け入れられる水準まで引き上げること。 (b) 拘禁された子どもが成人から常に分離されること、および、自由の剥奪が最後の手段として、もっとも短い適当な期間で、かつ適切な環境においてのみ用いられることを確保すること。 (c) 自由の剥奪が避けられない場合は、逮捕の手続および拘禁環境を向上させるとともに、法律に触れた子どもの事案を取り扱う特別部局を警察内に設置すること。 (d) 少年司法の運営に関する委員会の1995年の一般的討議にも照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)ならびに第40条2項(ii)-(iv)および(vii)、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)の全面的実施を確保すること。 ストリートチルドレン 79.委員会は、「ストリートチルドレンのための社会的セーフティネット・プログラム」および「バンドン・ラヤ・ストリートチルドレン解放プログラム」の導入を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、路上で生活している子どもが多いこと、および、このような子どもがとくに一斉摘発活動中に暴力を受けていることを懸念するものである。 80.委員会は、締約国が、以下の目的のためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 (a) 国の機関がストリートチルドレンに対して行なう暴力、恣意的逮捕および拘禁を終わらせること。 (b) このような暴力の責任者を裁判にかけること。 (c) とくにストリートチルドレン(とりわけ家出をしている子ども)が公式の身分証明カードを入手できることを確保することにより、ストリートチルドレンの社会的再統合を容易にすること。 性的搾取 81.委員会は、「子どもの商業的性的搾取撤廃のための国家行動計画」の開始(2002年)を歓迎する。しかしながら委員会は、現行法が効果的保護を提供しておらず(たとえば性的同意の年齢制限が12歳に定められているのは低すぎる)、かつ、性的搾取の被害を受けた子どもが十分な保護および(または)回復のための援助をしばしば受けていないことを懸念するものである。委員会はまた、国家行動計画が州および地区のレベルでどのように実行されているのかに関する情報が存在しないことも懸念する。 82.委員会は、性的虐待および搾取の被害を受けた子どもがその行為の責任または罪を問われることはあり得ないという見解をあらためて表明したい。 83.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 人身取引、ポルノグラフィーおよび買春を含む性的搾取の被害を受けた子どもを十分に保護する法律(性的同意に関する最低年齢の相当の引き上げも含む)を策定しかつ実施すること。 (b) 被害者のプライバシーを尊重する、子どもに配慮したやり方で苦情申立てを受理し、監視し、調査しかつ加害者を訴追する方法について、法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を研修すること。 (c) 回復のための援助を優先し、かつ被害者に対して教育および訓練ならびに心理社会的援助およびカウンセリングが提供されることを確保するとともに、家族のもとに帰ることができない被害者に対して十分な代替的解決策が用意され、かつ当該被害者の施設措置は最後の手段としてのみ行なわれることを確保すること。 (d) 「子どもの商業的性的搾取撤廃のための国家行動計画」に対してその実施のための適当な資源が配分され、かつ当該計画が州および地区のレベルで効果的に実行されることを確保すること。 経済的搾取 84.委員会は、「最悪の形態の児童労働の撤廃に関する国家行動計画」が策定され、かつ、締約国がそれぞれ1999年および2000年にILOの第138号条約および第182号条約を批准したことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、いまなおインフォーマル部門で、魚の水揚げ場で、工場で、家事労働者として、プランテーションで、製靴・食品・玩具産業で、採鉱・採石部門でならびに路上で働いている子どもが多いこと(その多くは15歳未満である)を、依然として懸念するものである。 85.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 最悪の形態の児童労働の撤廃に関する国家委員会が、インフォーマル部門で就労している子ども、とくに家事労働者、買春されている子どもおよびその他のタイプの搾取的労働に従事している子どもを対象としかつ保護することを確保すること。 (b) 「最悪の形態の児童労働の撤廃に関する国家行動計画」に対して十分な資源が配分され、かつその実施が適切に監視されることを確保すること。 86.委員会は、締約国が、とくに貧困根絶および教育へのアクセスを通じて子どもの経済的搾取の根本的原因に対処することにより、かつNGO、コミュニティ団体、法執行官、労働監察官およびILO/IPECと連携しながら包括的な児童労働監視システムを発展させることにより、児童労働を撤廃するための努力を引き続き行なうよう勧告する。 売買、取引および誘拐 87.委員会は、子どもの商業的性的搾取に反対する東アジア・太平洋地域の地域的コミットメントおよび行動計画(2001年)ならびに横浜グローバル・コミットメント(2001年)のような、関連の国際的および地域的合意に対する締約国の支持を歓迎する。委員会はさらに、子どもの商業的性的搾取の撤廃ならびに女性および子どもの人身取引の撤廃に関する両行動計画の開始(2002年)を歓迎するものである。 88.にもかかわらず、委員会は、締約国においてこの現象に関する意識が欠けていること、人身取引被害者の法的保護が不十分であること、および、売買、取引および誘拐を防止しかつこれらの行為から子どもを保護するための措置がほとんどとられていないことを懸念する。 89.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) あらゆる形態の子どもの売買、取引および誘拐を網羅するためにデータ収集システムを改良するとともに、すべてのデータおよび指標が政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されることを確保すること。 (b) 人身取引の適切な定義を確立し、被害を受けた子どもの法的保護を増進させ、法執行を強化するための効果的措置をとり、かつ、子どもの売買、取引および誘拐に関するコミュニティの意識を高めるための努力を強化すること。 (c) 子どもの売買、取引および誘拐を防止するために近隣諸国と二国間および多国間の協定を締結するよう努めるとともに、子どもの保護および家族のもとへの安全な帰還の便宜を図ること。 (d) とくにユニセフおよびIOMの協力および援助を求めること。 マイノリティまたは民族的集団に属する子ども 90.委員会は、宗教および礼拝の自由に対するすべての者の権利を認めた1999年人権法の採択を歓迎する。しかしながら委員会は、マイノリティまたは民族的集団に属する子どもの権利が同法で認められておらず、かつ、これらの子どもが教育、保健サービスおよび社会サービスにも十分にアクセスできていないことを、なお懸念するものである。 91.委員会は、コミュニティ社会福祉プログラムをさらに実施するとともに、民族的集団に属する子どもに特別に配慮しながらこのようなプログラムをさらに発展させるよう、勧告する。 9.条約の選択議定書 92.委員会は、締約国が条約の両選択議定書に署名したものの批准はしていないことに留意する。 93.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の両選択議定書を可能なかぎり早期に批准するよう勧告する。 10.文書の普及 94.条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 11.次回報告書 95.委員会は、締約国の報告の遅れを認識しつつ、条約第44条に定められた規則を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調したい。子どもの権利の実施における進展の定期的審査を担当する国連委員会がその機会を有することは、子どもたちの権利である。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、締約国が条約上の報告義務をふたたび全面的に遵守できるようになることを援助するため、締約国に対し、例外的に、条約に基づいて定められた第4回報告書の提出期限である2007年10月4日に次回報告書を提出するよう慫慂する。当該報告書は第3回および第4回定期報告書を統合したものとなろう。当該統合報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/118参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年9月28日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/151.html
総括所見:デンマーク(第4回・2011年) 第1回(1995年)/第2回(2001年)/第3回(2005年)OPAC(2005年)/OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/DNK/CO/4(2011年4月7日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2011年1月24日に開かれた第1594回および第1595回会合(CRC/C/SR.1594 and 1595参照)においてデンマークの第4回定期報告書(CRC/C/DNK/4)を検討し、2011年2月4日に開かれた第1612回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、第4回定期報告書および事前質問事項(CRC/C/DNK/Q/4/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎するとともに、多部門からなる締約国代表団との建設的対話を評価する。しかしながら委員会は、締約国の第4回定期報告書が条約に関する報告ガイドラインにしたがっていなかったことに留意し、締約国に対し、今後の定期報告書は現行ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2)にしたがって提出するよう促すものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2006年9月29日に採択された総括所見(CRC/C/OPSC/DNK/CO/1)および武力紛争への子どもの関与に関する議定書に基づく第1回報告書に関して2005年9月30日に採択された総括所見(CRC/C/OPAC/DNK/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 4.委員会は、以下の法律が採択されたことに評価の意とともに留意する。 (a) 不利な立場に置かれた子どもおよび若者への特別な支援をともなう事案の処理において子どもの最善の利益への対応がよりよく行なわれるようにするために社会サービス法を改正するとともに、子どもが危険な状況に置かれている場合に職権で事案を取り上げる国家社会不服審査委員会(Ankestyrelsen)の権利を強化した、2010年子ども改革法(Barnets Reform、2011年1月1日施行)。 (b) 親責任法(2007年10月施行)。 (c) 代替的養護環境にある子どものケアの水準の向上を目的とした養護措置改革法(2004年12月22日の法律第1442号、2006年1月1日施行)。 5.委員会は、以下の人権文書が批准されたことを歓迎する。 (a) 性的搾取および性的虐待からの子どもの保護に関する欧州評議会条約(2009年11月)。 (b) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する、陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書(2006年12月)。 (c) コンピュータ・システムを通じて行なわれる人種主義的および排外主義的性質の行為の犯罪化に関するサイバー犯罪条約の追加議定書(2003年)(2005年9月)。 III.主要な懸念領域および勧告 A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項) 委員会の前回の勧告 6.委員会は、締約国の第3回定期報告書の検討後、2005年9月に採択された委員会の総括所見(CRC/C/DNK/CO/3)を実施するために締約国が行なった努力を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、委員会の懸念および勧告の一部が不十分にしかまたはまったく対応されていないことを遺憾に思うものである。 7. 委員会は、締約国に対し、第3回報告書に関する総括所見の勧告のうち未実施のものまたは十分に実施されていないもの(立法、調整、国家的行動計画、普及、データ収集および代替的養護に関するものを含む)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 留保 8.子どもの権利条約第40条2項(b)に付された締約国の留保を継続することで影響を受けうるのは少数の事件に過ぎないと締約国が指摘していることには留意しながらも、委員会は、軽罪で刑の言い渡しを受けた子どもの上訴権を制限し、公正な裁判に対する権利を侵害する当該留保が維持されていることを、依然として懸念する。 9.1993年の世界人権会議で採択されたウィーン宣言および行動計画(A/CONF.157/23)に照らし、委員会は、締約国が、条約第40条2項(b)に対して付した留保の撤回を検討するよう、勧告する。 条約の地位 10.裁判所および行政機関による条約の援用および適用が可能であることには留意しながらも、委員会は、限られた数の事件でしか条約が参照されておらず、かつ、司法機関および行政の意思決定機関による条約の適用も限定されていることに、懸念とともに留意する。これは主として、条約が締約国の国内法に全面的に編入されていないことによるものである。 11.委員会は、締約国が、条約を国内法に全面的に編入するための措置をとる等の手段により、裁判所および行政の意思決定機関が子どもの権利条約を適用することを促進するよう勧告する。 立法 12.委員会は、締約国によってとられた、子どもの生活に直接関係する立法措置を関係する。これには、親の責任および保育に関するものならびに2010年子ども改革法およびその目的(個人の発達および健康に関わる機会均等を確保するため、特別なニーズを有する子どもおよび若者に対する支援を増強させること)が含まれる。しかしながら委員会は、条約の適用範囲を完全に網羅した、より包括的な性質の立法上の枠組みが存在しないことを依然として懸念するものである。委員会はまた、グリーンランドおよびファロー諸島における子どもの権利立法の、条約の原則および規定との調和がまだ図られていないことも懸念する。 13.委員会は、締約国全域の立法および行政規則が条約および2つの選択議定書の原則および規定に全面的に一致し、かつ、新規立法が子どもに対する影響の観点からしかるべき事前評価および事後評価の対象とされることを確保するため、締約国(グリーンランドおよびファロー諸島の当局を含む)があらゆる必要な措置をとるとともに、条約上のすべての権利を包含した、権利を基盤とする子ども法の起草を検討するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、国連児童基金(ユニセフ)の支援を得て行なわれる予定の、グリーンランド子ども・若者支援法について提案されている改革が、子どものすべての権利および意見を全面的に考慮に入れた包括的実践となることを確保するよう、促すものである。 調整 14.2007年自治体改革法が、社会(市民)サービスの資金拠出および実施を自治体に移管することによって国レベルと地方レベルとの責任配分の合理化を目指していることには留意しながらも、委員会は、条約の実施の横断的かつ縦断的な全般的調整を担当する、国レベルの明確な機構が存在しないことを依然として懸念する。さらに委員会は、新たな責任配分によって資源のより少ない自治体および(または)発展の遅れている自治体(グリーンランドおよびファロー諸島の自治体を含む)に悪影響が生じ、それによって、異なる自治体の子どもが権利を全面的に享受面することに関わる格差が深まる可能性があることを、深く懸念するものである。 15.委員会は、締約国に対し、領域全体における子どもの権利の実施を包括的なかつ首尾一貫したやり方で確保することを目的として、部門を横断し、かつすべての地域圏および自治体を対象とする上級レベルの調整システム/機関を明確に特定するよう、求める。さらに委員会は、このような調整において、自治体改革法の実施を理由として生じる可能性がある自治体間格差の問題に対し、時宜を得たかつ開かれた対応が行なわれるべきことを勧告するものである。 国家的行動計画 16.委員会は、子どもに関して策定されたさまざまな部門別戦略(グリーンランドの2010年の戦略「安全な子ども時代」を含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が、条約を領域全体で全面的かつ効果的に実施するための、権利を基盤とする包括的な政策および調和のとれた行動計画をまだ採択していないことを遺憾に思うものである。 17.委員会は、締約国が、条約を全面的に実施するための包括的な政策および調和のとれた行動計画を策定するよう勧告する。委員会は、締約国がその際、このような包括的政策および行動計画が権利を基盤とし、かつ、とくにグリーンランドおよびファロー諸島の領域におけるさまざまな地域的文脈を全面的に考慮した国レベルの開発計画における不可欠な構成要素とされることを確保するよう、勧告するものである。委員会はさらに、調和のとれた行動計画には、すべての子どもによるすべての権利の享受に関する進展を効果的に監視するための、具体的な、期限の定められた、かつ測定可能な目標および達成目標が掲げられるべきことを、勧告する。この国レベルの行動計画については、その実施のために必要な財源、人的資源および技術的資源の適切な配分を確保するため、国、諸部門および自治体の諸戦略および予算との連携が図られるべきである。 独立の監視 18.委員会は、デンマーク国家子ども評議会に対する資金拠出額の増加を代表団が発表したことに満足感とともに留意するものの、同機関がオンブズマンの役割を果たしていないことに留意する。さらに委員会は、条約の実施を監視する独立機構の設置を求めた以前の勧告がフォローアップされていないことを深く遺憾に思うとともに、子どもがまたは子どものための苦情を提出することができるデンマーク議会オンブズマンが存在することにかんがみ、デンマークで子どもオンブズマンを設置する意思はないという締約国代表団の発言に、懸念とともに留意するものである。 19.委員会は、人権の促進および保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)の諸原則に基づき、グリーンランドに独立の子ども評議会を設置する提案が行なわれていることを歓迎する。しかしながら委員会は、ファロー諸島では子どもの権利に関する独立機構を設置するための措置がなんらとられていないことを、依然として懸念するものである。 20.委員会は、締約国が、同国のオンブズマン制度において条約が全面的に考慮されること、および、子どもの権利の実施を監視するための、透明性および十分な資源を有する、専門の、かつ個別の苦情に対応する権限を与えられた部局が設けられることを確保するための措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。その際、委員会は、締約国が、現在設けられている独立の監視制度の評価を実施し、かつ、子どもの権利に関するこのような部局の設置にあたってその知見を適用するよう、勧告するものである。ファロー諸島およびグリーンランドの状況について、委員会は、前回の勧告(CRC/C/DNK/CO/3、パラ21)をあらためて繰り返す。委員会は、締約国に対し、子どもの権利の促進および保護における独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を想起するよう求めるものである。 資源配分 21.委員会は、2007年自治体改革法により、高負担事案について国が部分的償還を行なうのみで、社会サービスの資金拠出、供給および配分について自治体が全面的に責任を負うこととしたために、一部自治体、とくにもっとも不利な立場に置かれた自治体の子どもが必要な社会サービスを全面的に享受できない状況が生じかねないことを懸念する。さらに、そのような格差が生じるような事態に国家不服審査委員会が対応できることには留意しながらも、委員会は、実際にはこのために資源配分の平等に対する権利が不服審査手続の遅延および不確定性の影響を受ける可能性があることを、懸念するものである。委員会はまた、グリーンランドおよびファロー諸島の子どもの教育に対する権利を実現するためおよび締約国全域の精神保健サービスのための資源配分が不十分であることも、懸念する。 22.委員会は、締約国に対し、すべての子どものすべての権利が実現されることを全面的に確保するために財政支援が必要な自治体に対して当該支援を行なう必要性を念頭に置きながら、子どもの権利を扱うすべての部門に対する資源配分が高水準のまま維持されかつ公平であることを確保するとともに、とくに教育および精神保健サービスにおける予算の要求が全面的に満たされることを確保するよう、促す。 データ収集 23.グリーンランドの領域におけるデータ収集システムが改善されたことは評価しながらも、委員会は、ファロー諸島における条約実施に関する統計データを効果的に収集するための十分な資源が存在しないことを依然として懸念するとともに、いずれの領域についても貧困および虐待事案に関する統計が作成されていないことに留意する。 24.委員会は、締約国に対し、ファロー諸島およびグリーンランドにおける条約実施についての統計システムおよび分析を強化するとともに、貧困、暴力および虐待に関連する政策およびプログラムの参考とする目的でデータが体系的に収集されかつ活用されることを確保するよう、促す。全体として、委員会は、締約国が、領域全体で、条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての者に関するデータ(とくに年齢別、性別および民族的背景別に細分化されたもの)を体系的に収集しかつ分析するための能力を引き続き強化するよう、勧告するものである。 普及および意識啓発 25.初等学校および中等学校のいずれの段階においても人権および民主主義が学校カリキュラムの一部とされている旨の締約国の情報は歓迎しながらも、委員会は、とくに子どもの間で条約に関する意識が低いことを懸念する。 26.委員会は、締約国に対し、条約に関する教育を特定の科目として学校カリキュラムに編入するよう促す。委員会はまた、締約国に対し、とくにマスメディアを通じ、公衆一般の間で条約に関する知識を促進するよう促すものである。 研修 27.委員会は、子どものためにおよび子どもとともに働く者(教員を含む)の研修カリキュラムに条約が含まれていないことを懸念する。 28.委員会は、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての者(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、教員、ソーシャルワーカーおよび保健従事者)およびとくに子どもたち自身を対象とする、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させるべきであるという、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/DNK/CO/3、パラ23)をあらためて繰り返す。 子どもの権利と企業セクター 29.委員会は、デンマーク財務報告書法を改正する法律(大規模事業者の企業責任および社会的責任の説明)が2008年12月に採択され、デンマークの企業規模上位1100社に対し、企業責任および社会的責任に関する政策および取り組みについての報告が義務づけられたことに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、同法の報告枠組みの一部として子どもの権利または子どもの権利条約が具体的に言及されていないことに留意するものである。 30.委員会は、締約国が、デンマーク企業(デンマークに本社を置く多国籍企業を含む)が子どもの権利について報告するための枠組み、および、国別窓口がデンマークの多国籍企業による違反事案に対応する(国外的対応を含む)ための枠組みを設けるよう、勧告する。委員会は、締約国がその際、条約の関連規定を適用するよう勧告するものである。委員会はさらに、締約国に対し、とくに国連「保護・尊重・救済」枠組みを民間企業および公共企業体の活動に(とりわけ子どもの権利との関連で)適用することに関する世界中の経験を正当に考慮するよう、奨励する。 B.一般原則(条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 31.委員会は、締約国の新移民法(2010年8月1日施行)について、とくに、国民でない者が在留権を取得するための基準がいっそう困難な水準のものとなったこと、および、ポイントに基づく新たな基準のもとでポイントと引き換えに公的手当の受給権がなくなることを理由として、懸念を表明する。委員会は、このことが、移民に対する差別、とくに教育その他の必須社会サービスへのアクセスに関わるロマの子どもに対する差別を悪化させる事実上の効果を有する可能性があることを、懸念するものである。この文脈において、委員会はまた、不利な立場に置かれた家族のうち締約国に新たに到着した家族(その大多数は民族的マイノリティに属している)に対して提供される国の援助に、同様の状況にある他の住民に提供される援助と比べて格差があることも、懸念する。 32.委員会は、締約国が、不利な状況に置かれた家族が社会サービスおよび国の援助に公平にアクセスできることを確保するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、その際、事実上の差別(民族的マイノリティに属している男子および女子ならびに(または)特別なニーズを有しておりもしくは被害を受けやすい状況に置かれている男子および女子にとりわけ影響を及ぼしている可能性がある複合差別を含む)の監視およびこれへの対応を包括的に行なうための、細分化されたデータを収集しかつ分析するよう促すものである。 33.委員会は、締約国に対し、諸保護法の効果的執行を確保すること、あらゆる形態の差別を防止しかつこれと闘うための研究を行ないおよび包括的な広報キャンペーンを開始すること、ならびに、社会およびとくに家庭における子どもの状況およびニーズについての社会の感受性を強化することを、求める。これとの関連で、委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画を、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)を考慮に入れながらフォローアップし、かつ、その際、いかなる事由(ジェンダー、民族的出身、出入国管理上の地位、障害、性的指向その他)に基づく差別とも無縁な価値および行動を促進するための努力を強化することを目的として締約国が実施した措置およびプログラムに関する具体的情報を、次回の定期報告書に記載するよう要請するものである。 子どもの最善の利益 34.子ども改革法によって子どもの最善の利益への新たな焦点が包含されたことは歓迎しながらも、委員会は、とくに自治体による子どもの家庭外措置の決定および保護者のいない子どもの庇護希望者の申請においてこれが十分に考慮されていないことを、依然として懸念する。 35.委員会は、締約国が、とくに家庭外措置について決定する際および難民認定手続において、自治体が子どもの最善の利益を考慮することを確保するよう、勧告する。 子どもの意見の尊重 36.委員会は、子ども改革法(2010年)、親責任法(2007年)および養護措置改革法(2004年)のような新法が、意思決定への子どもの関与の強化につながってきたことを歓迎する。しかしながら委員会は、行政手続および法的手続(措置を含む)において意見を聴かれる子どもの権利が十分に明確にされておらず、かつ、上述の法律で求められている自治体子ども政策を起草する際、自治体が子どもの十分な関与を得ていないことに、留意するものである。 37.委員会は、(a) 締約国が、(i) 自治体が自治体子ども政策を起草する際、措置に関わる事柄についても含めて、かつ、(ii) 障害のある子どもの教育、保健および福祉に関わるすべての問題について、子どもの意見が考慮されることを確保するための措置をとること、および、(b) 委員会に対する次回報告書についても含め、自己の権利に関わるすべての事柄に関して子どもが意見を聴かれるためのいっそうの機会を設けることを、勧告する。委員会はまた、締約国が、適切な研修を通じ、子どもの問題に対応するすべての専門家およびスタッフが子どもの意見表明の支援に関する見識および能力を有することを確保するよう、勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、意見を聴かれる子どもの権利に関する委員会の一般的意見12号(2009年)を参照するよう求める。 C.市民的権利および自由(条約第7条、第8条、第13~17条、第19条および第37条(a)) 拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰 38.委員会は、ファロー諸島で家庭および代替的養護環境における体罰が合法とされていること、および、学校規律に関する政府通達第1号(1994年1月12日)が体罰は用いられるべきではないと述べているにも関わらず、法律に明示的禁止規定がないことに、懸念とともに留意する。 39.委員会は、締約国に対し、体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利に関する委員会の一般的意見8号(2006年)を正当に考慮しながら、すべての場面においてかつ領域全体で体罰が禁止されることを確保するための措置をとるとともに、子どもの固有の尊厳に一致した、規律およびしつけのための代替的措置の使用を奨励する目的で、意識啓発および公衆教育のためのプログラムを実施するよう、促す。 子どもに対する暴力に関する国連研究のフォローアップ 40.子どもに対する暴力に関する国連研究(A/61/299)について、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう奨励する。 (a) 子どもに対する暴力に関する国連研究の勧告の実施を確保する等の手段により、ジェンダーにとくに注意を払いながら、子どもに対するあらゆる形態の暴力の撤廃に優先的に取り組むこと。 (b) 同研究の勧告、とくに子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表が強調した以下の勧告を締約国がどのように実施しているかに関する情報を、次回の定期報告書で提供すること。(i) 子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対処するための国家的な包括的戦略を各国で策定すること。 (ii) あらゆる場面における、子どもに対するあらゆる形態の暴力の明示的な法的禁止を、国レベルで導入すること。 (iii) データを収集し、分析しかつ普及するための全国的システムおよび子どもに対する暴力に関する調査研究事項を強化すること。 (c) 子どもに対する暴力に関する事務総長特別代表と協力するとともに、とくにユニセフ、国連人権高等弁務官事務所、世界保健機関(WHO)、国際労働機関、国連教育科学文化機関、国連難民高等弁務官事務所および国連薬物犯罪事務所ならびに非政府組織の技術的援助を求めること。 D.家庭環境および代替的養護(条約第5条、第18条(1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(4項)および第39条) 家庭環境 41.女性および子どもに対する暴力に対抗する締約国の諸行動計画(2002~2004年および2005~2008年)、ならびに、代表団が述べたようにファロー諸島で家庭における暴力に対抗する行動計画が採択されたことは歓迎しながらも、委員会は、被害者であるか目撃者であるかに関わらずドメスティックバイオレンスの行なわれている状況下で暮らしている子どもに対し、焦点化された必要な注意が向けられていないことを懸念する。とくに委員会は、ドメスティックバイオレンスを理由としてクライシスセンターにおけるショートステイを必要としている子どもが、適切な形で登録されておらず、かつ自治体による支援またはフォローアップも提供されていないことを懸念するものである。委員会はさらに、ドメスティックバイオレンスの行なわれている状況下で暮らしている子どもに関連した自治体の取り組みが不十分であることを懸念する。 42.委員会は、締約国が以下のことを確保するよう勧告する。 (a) ドメスティックバイオレンスを理由としてクライシスセンターのサービスを必要とする子どもに対し、自治体が十分な支援を提供するとともに、そのような支援が子どもの入所中にかつ退所後のフォローアップにおいて提供されること。 (b) 子どもがドメスティックバイオレンスの被害を受けておりまたはそのような暴力を目撃している旨の報告があるときは、公的機関がその子どもの状況を一貫して検討すること、および、そのようなすべての事案が適正に記録されかつ登録されること。 (c) ドメスティックバイオレンスの被害を受けた成人に対しても心理的支援が利用可能とされること。 家庭環境を奪われた子ども 43.委員会は、家庭外養護、とくに施設養護に措置される子どもが多数にのぼることを引き続き懸念する。2007年自治体改革法により、家庭支援および家庭を奪われた子どもの養護に関する責任は、地域圏当局の技術的支援を得ながら自治体が負うことになったことには留意しながらも、委員会は、地方当局が十分な指導および監督を受けていないことを懸念するものである。委員会はさらに、個別行動計画を作成されることなく養護措置の対象とされる子どもが依然として多数にのぼることに、懸念とともに留意する。個別行動計画においては、2004年養護改革法にしたがい、とくに子どもまたは若者の発達および行動、家庭の状況、学校、健康および余暇時間に関わる目標および細目標が定められなければならない。 44.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもが養護措置を受けることにつながるリスク要因に対応することにより、子ども改革法(2010年)に関する措置の実施において家族に適切な支援が提供されることを確保すること。 (b) 最善の利益の保護のために養護措置を受けた子どもの指導、監督および監視について中央および地域圏の公的機関による十分な支援が行なわれることを確保すること。 (c) 養護措置改革法(2004年)にしたがい、養護を受ける子どもについて個別行動計画が定められることを確保し、かつ養護を受ける子どもの意見を全面的に考慮するために必要な措置をとること。 (d) 家庭環境を奪われた子どもに提供される養護の形態として施設養護よりも家族型養護の方が優先されることを目的とした行動計画を策定しかつ実施すること。 (e) 上記の勧告を履行するにあたり、総会が決議64/142によって採択した子どもの代替的養護に関する指針〔PDF〕を全面的に考慮すること。 E.基礎保健および福祉(条約第6条、第18条(3項)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3項)) 障害のある子ども 45.障害のある子どもの権利の充足状況を改善するために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、障害のある子どもの親であって子どもの養育のために労働市場から撤退しなければならない者に対する手当の減額が構想されていることを、懸念する。教育に関して、委員会は、隔離された状況下で教育を受けている障害児の人数が多いことに関して締約国が行なった分析に評価の意とともに留意し、かつこの点に関わる締約国の懸念を共有するものである。委員会はまた、教員養成シラバスが最近改訂されて特別ニーズ教育に関する必修単位が盛りこまれたことにも評価の意とともに留意する一方で、障害のある子どもの学業成績が他の子どもに比べて顕著に低いことを依然として懸念する。委員会は、全般的に、学校においても養護施設および里親家庭の現場においても、障害のある子どもの意見が頻繁に聴かれていない(監督のための訪問中も含む)ことを懸念するものである。 46.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう強く勧告する。 (a) 障害のある子どもの親であって障害児の養育のために労働市場から撤退しなければならない者に対する手当の減額の計画を再考すること。 (b) 条約第12条および障害のある人の権利に関する条約第7条3項にしたがい、あらゆる現場(精神保健の現場を含む)における子どもおよび若者が処遇、サービスおよび支援に関わる事柄について自由に自己の意見を表明する権利および機会を保障され、かつこれらの権利を行使するための年齢および障害にふさわしい支援にアクセスできることを確保する目的で、法改正を行なうための措置をとること。 (c) 必要に応じ、障害のある子どもに対して代替的コミュニケーションのための便益を提供すること。 (d) 障害のある子どもが受ける教育の質がすべての子どもの教育の質と平等の水準であることを確保する目的で、すべての教員を対象として障害のある子どものニーズに関する十分な研修を行なうための措置をさらに強化すること。 (e) 障害のある子どもを小学校に移籍させる計画を迅速に実施するとともに、その際、障害のある子どもの権利に関する委員会の一般的意見9号(2006年)を考慮すること。 母乳育児 47.委員会は、母乳代替品の販売促進に関する締約国の法律が、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」および世界保健機関決議がその後採択した関連の決議に一致していないことに留意する。 48. 委員会は、締約国が「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施するよう勧告する。締約国はまた、赤ちゃんにやさしい病院をさらに促進し、かつ看護師研修に母乳育児を含めることを奨励するべきである。委員会はさらに、締約国が、国際規則にしたがった体系的な方法で母乳育児に関するデータを収集するための措置をとるよう勧告する。 思春期の健康 49.委員会は、18歳未満の者に対するアルコールの販売が締約国で禁じられる予定であることを歓迎する。委員会は、とくに不利な状況に置かれた子どもの間で、子どもの肥満率が高く、かつこれに関連して生活習慣病およびいっそう高い死亡率にさらされる状況が強まっていることを、依然として懸念するものである。委員会はさらに、グリーンランドおよびファロー諸島の女子の間で望まない妊娠が生じていることを懸念する。 50.委員会は、締約国が、健康上の助言およびケア(学校で提供されるものを含む)、健康的な食料ならびに十分な運動の機会へのアクセスを確保する等の手段により、子どもおよび青少年の肥満と闘うための努力を強化するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、マスメディアおよび食品業界が子どもおよび青少年による健康的なライフスタイルおよび消費習慣に貢献することを確保するため、これらの業界の関与を得るよう勧告するところである。委員会はまた、グリーンランドおよびファロー諸島の当局が、望まない妊娠を防止しかつこれに対応するための適切なプログラムおよび戦略を迅速に作成しかつ実施することも、勧告する。 精神保健 51.委員会は、精神医学的評価および治療を必要とする子どもへの治療の保障が確立されているにも関わらず、治療を提供する地域圏の能力が依然として不十分であり、かつ、精神保健上の問題に関する評価および治療を必要とする子どもが長期間待機しなければならない状況が根強く続いていることに、懸念とともに留意する。加えて、国家保健委員会が注意欠陥・多動性障害(ADHD)および注意欠陥性障害(ADD)に対する診断および処方を監督し、かつ必要に応じてこれに介入する権限を有していることには留意しながらも、委員会は、ADHDおよびADDの診断を受けた子どもに対する精神刺激薬の処方が増加していることを依然として懸念するものである。 52.委員会は、締約国が、子どもおよび若者のための包括的な精神保健ケア制度(予防、一般的な精神保健問題のプライマリーヘルスケアにおける治療および重度障害の専門的ケアを含む)を引き続き発展させるとともに、精神保健サービスにおける待機期間を短縮するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもに対する精神刺激薬の処方を注意深く監視するとともに、ADHDおよびADDの診断を受けた子どもならびにその親および教員に対し、より広範な心理的、教育的および社会的措置および治療を提供するための取り組みを行なうことも、勧告するものである。委員会はまた、締約国が、子どもが行なう可能性のある精神刺激薬の濫用を監視する目的で、全国的な有害物質濫用ホットライン(Giftlinjen)を通じ、物質の種別および年齢にしたがって細分化されたデータの収集および分析の実施を検討することも、勧告する。 生活水準 53.委員会は、締約国において相当数の子どもが貧困下で暮らしているという報告があることに懸念を表明する。委員会はまた、いわゆる300時間ルール(2008年現在は450時間ルール)がとくに子どもおよび女性に及ぼす影響についても懸念を覚えるものである。当該ルールにより、給付を2年以上受けている婚姻している夫婦のそれぞれが通常の雇用条件下で最低450時間労働しなかった場合、補足給付が減額されまたは廃止されることになる。とくに委員会は、このルールが民族的マイノリティの女性に主としてかつ不相応に影響を及ぼす効果を有しており、このような女性の子どもに重大な影響が生じていることを懸念するものである。 54.委員会は、締約国に対し、経済的に不利な立場に置かれた家族(ひとり親家庭の子ども、国の福祉を受けている親の子どもおよび新規在留家族の子どもを含む)を支援し、かつ十分な生活水準に対するすべての子どもの権利を保障するための努力を強化するよう、求める。委員会はまた、締約国が、450時間ルールが子どもおよび女性に及ぼす影響を地方当局と協力しながら監視するとともに、これらの子どもおよび女性が社会的不平等および排除の対象とならないことを確保するための措置をとることも、勧告するものである。さらに委員会は、締約国に対し、子どもの貧困に効果的に対応する目的で、グリーンランドおよびファロー諸島におけるものも含む子どもの貧困についてのデータを包括的に収集しかつ分析するために必要な措置をとるよう、促す。 F.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 55.「いじめを見張ろう」および「いっしょにいじめに対抗しよう」キャンペーンのような取り組みが行なわれており、かついじめ対策行動計画を定めている学校の割合が高いことは歓迎しながらも、委員会は、学校でいじめが蔓延しており、かつ、行動計画が遵守されなかった場合の学校当局の責任およびフォローアップ措置について法律が明確さを欠いていることを懸念する。委員会はさらに、現行教育プログラムのもとでは、欧州連合または欧州経済領域の市民の子どもしか母語による教育を受ける権利を有していないことを懸念するものである。 56.委員会は、締約国が、とくに親の関与を得る一連の教育手法および社会教育学的手法ならびに適切な学校計画モニタリングを導入することにより、学校におけるいじめを防止しかつこれに対応するための努力を継続しかつ強化するよう、勧告する。委員会はまた、自治体が組織する母語授業を受けていないバイリンガルの生徒を対象とする母語教育の再導入も勧告するものである。 G.特別な保護措置(条約第22条、第30条、第32~36条、第38~40条および第37条(b)~(d)) 子どもの庇護希望者および難民 57.委員会は、保護者のいない子どもの庇護希望者の受入れセンターの水準が高いこと、および、このような子どもが、デンマーク外国人法改正によって庇護申請を却下する決定が行なわれた後も引き続き法定代理人にアクセスできることを、歓迎する。しかしながら、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 庇護申請の最終処分前に失踪する子どもの庇護希望者がいること。 (b) 庇護を希望する家族の子どもの多くが、その置かれた状況により引き起こされたまたは当該状況に関連するトラウマを経験した結果、心理的または精神医学的問題を有するようになったと診断されていること。 (c) 年齢判定に協力しない子どもが手続上の結果に直面することになること。 (d) 学齢にある子どもの庇護希望者の大多数が、デンマークの普通学校よりも相当に教育の質が低い別の学校で教育を受けており、かつ、これらの学校では、子どもに進学の資格を与える履修単位が付与されないこと。 58.上述の一連の懸念に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) とくに18歳に達すると同時に行なわれる在留権の取り消しが失踪に及ぼしている可能性がある影響との関連で、保護者のいない子どもの庇護希望者の失踪に関する体系的調査を実施するとともに、そのような状況下にある子どもの権利が全面的に尊重されることを確保するための締約国の政策の立案にあたってその知見を統合すること。 (b) 保護者のいない子どもの庇護希望者の失踪を防止することを目的とした、時宜を得た、実際的かつ適切な措置を開始すること。そのための手段には、(i) ダブリンII規則の適用を、それが子どもの最善の利益に一致する事案に限定すること、および、(ii) 保護者のいない子どもの庇護希望者全員に対し、子どもの最善の利益ならびに情報および表現の自由に対する権利を正当に考慮しながら、到着後直ちに、かつ庇護手続が終了するまで、訓練を受けた後見人および必要なときは法的援助が提供されることを確保することが含まれる。 (c) デンマーク外国人法について行なわれている改正の提案を見直すことにより、子どもが年齢判定手続に協力しないときは手続上の結果が生じるようにする旨の提案を削除するとともに、そのような手続の実施方法に関する国際基準が導入されることを確保すること。 (d) デンマーク外国人法を、トラウマを負い、かつ心理的または精神医学上の問題を有すると診断された子どものために法律上の地位および持続可能な解決策を確保するようなやり方で適用するとともに、このような子どもの精神的リハビリテーションのために必要な社会上および健康上の措置を提供すること。 (e) 子どもの庇護希望者および難民が、デンマークの学校に通っている子どもと同一の質の教育を受けることを確保すること。 性的搾取および虐待 59.締約国が性的虐待と闘うための行動計画(2003年)の改訂中であることには留意しながらも、委員会は、改訂計画の作成プロセスにおいて子どもの意見が直接考慮されまたは求められていないことを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 性的虐待の被害を受けた子どもが利用可能な心理社会的支援が不十分であること。 (b) 性的虐待に関する現行の通報制度に、子どもの虐待およびネグレクトの発見および通報への専門家の関与に関する指針が欠けていること。 (c) ファロー諸島において、ネグレクトまたは虐待を受けた子どもの迅速な回復および再統合のための公的措置について統合的調整が行なわれていないこと。 (d) ファロー諸島において、訓練を受けた専門家が子どもの虐待または暴力が関係する事案について関連の当局に通知を行なわない例が報告されていること。 60.上述の懸念に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもに対し、性的虐待と闘うための行動計画(2003年)の改訂について意見を提出するための直接の回路を提供すること。 (b) 改訂行動計画において、性的虐待の被害を受けた子どもを対象としたホリスティックかつ長期的な心理社会的支援の提供を強化すること。 (c) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書がグリーンランドおよびファロー諸島で適用されることを確保するための措置をとること。 (d) ネグレクトまたは虐待を受けたファロー諸島の子どもの迅速な回復および再統合を支援するための公的措置の調整が図られること、および、子どもとともに働く専門家が、子どもが虐待またはネグレクトを経験していることが疑われるすべての事案について、関連当局に一貫して通報することを確保すること。 (e) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(2005年7月22日の経済社会理事会決議2005/20付属文書)を全面的に考慮しながら、犯罪の被害を受けたおよび(または)犯罪の証人であるすべての子ども(虐待、ドメスティックバイオレンス、性的および経済的搾取、誘拐ならびに人身取引の被害を受けた子どもを含む)が司法に効果的にアクセスでき、かつ条約で求められている保護を提供されることを、十分な法律上の規定、手続および規則を通じて確保すること。 人身取引 61.委員会は、子どもの人身取引と闘う締約国の努力は歓迎しながらも、デンマークが依然として、人身取引関連の犯罪(強制的な児童売春および児童労働を含む)の被害を受ける子どもにとって重要な通過国および目的地国のひとつであることを懸念する。委員会はまた、人身取引を行なった者ならびに子どもに強制労働および強制売春をさせた者を訴追するための努力が引き続き強化されなければならないことも、深く懸念するものである。委員会はさらに、人身取引の被害を受けた子どもに対する在留許可の付与を促進するための法的枠組みが存在しないことに、懸念とともに留意する。 62.委員会は、締約国に対し、子どもが人身取引の餌食とされないことを確保する目的で、領域内の子どもの権利、とくに保護者のいない子どもの権利を保護するための効果的措置をとるよう促す。委員会は、締約国に対し、その際、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 人身取引の被害者である疑いのある子どもが、人身取引の対象とされたことの帰結である状況の結果として収監されず、かつ専門的援助サービスを提供されることを確保すること。 (b) 性的目的および労働目的で人身取引を行なった犯罪者を精力的に訴追し、有罪とし、かつ刑に服させること。 (c) このような犯罪に対する制裁が、この深刻な人権侵害および子どもの権利侵害の重大性に相応するものとなることを確保すること。 (d) 法執行官ならびに子どもとともにおよび子どものために働くその他の社会サービス職員が、被害者の発見および処遇の手法に関する効果的研修を受けることを確保すること。 (e) 広範かつ全国的な公衆意識啓発プログラムを奨励しかつ支援すること。 (f) 子どもの人身取引に対する政府の対応を改善するため、人身取引対策の取り組みのモニタリングを増進させること。 (g) 適切な立法上の措置を通じて、人身取引の被害を受けた子どもが、送還がその最善の利益にかなう場合を除いて送還されないことを確保すること。 ヘルプライン 63.委員会は、子どもヘルプライン(ボーネ・テレフォン)が十分な資金を得ておらず、かつ毎日24時間開設されているわけではないことに、懸念とともに留意する。 64.委員会は、締約国が、子どもヘルプラインが毎日24時間開設されることを確保するとともに、当該ヘルプラインに対し、その運営のための十分な財源および人的資源(領域全体を通じた意識啓発のための資金拠出を含む)を提供するよう、勧告する。 少年司法の運営 65.委員会は、少年司法の運営に関わる以下の問題について深い懸念を表明する。 (a) 司法運営法により、14~17歳の者を、(i) 8か月までの未決拘禁(この期間制限は、締約国が例外的事情と考える事件においてはさらなる延長の対象となる)および (ii) 4週間までの独居拘禁の対象とすることが認められていること。 (b) 刑事責任年齢が15歳から14歳に引き下げられたこと。 (c) 刑法改正により、子どもが関わる事件における収監刑の期間の上限(8年)が廃止されたこと。 66.上述の懸念に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 少年司法における子どもの権利に関する委員会の一般的意見10号(2007年)にしたがい、そのような基準、とくにとくに条約第37条(b)、第39条および第40条、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国連規則(ハバナ規則)が全面的に実施されることを確保すること。 (b) (i) 未決拘禁の条件を明確に定め、かつ (ii) その期間を可能なかぎり制限するとともに、18歳未満の者を独居拘禁の対象とすることを禁止するため、司法運営法を改正すること。 (c) 18歳未満の者に言い渡される収監刑の上限(8年)を削除した最近の刑法改正の廃止を検討すること。 (d) いかなる子どもも、状況に関わらず、普通刑務所制度下で成人とともに収監されることがないことを確保するための措置をとること。 マイノリティ集団または先住民族集団に属する子ども 67.委員会は、国際的規範にしたがって伝統的権利を主張することのできる独自の先住民族コミュニティとしてのイヌイットのアイデンティティを確認するべきであるという自由権規約委員会(2008年、CCPR/C/DNK/CO/5、パラ13)および人種差別撤廃委員会(2010年、CERD/C/DNK/CO/18-19、パラ17)の勧告を、締約国がまだ全面的に実施していないことを遺憾に思う。 68.委員会は、自由権規約委員会(2008年、CCPR/C/DNK/CO/5、パラ13)および人種差別撤廃委員会(2010年、CERD/C/DNK/CO/18-19、パラ17)の勧告をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、先住民族の子どもとその条約上の権利に関する委員会の一般的意見11号(2009年)にしたがって、イヌイットの子どもが、いかなる資格も奪われずかついかなる差別も受けることなく、安全な文化的環境で成長し、自己のアイデンティティを維持しおよび発展させ、ならびに自己の言語を用いる権利を行使できることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 H.国際人権文書の批准 69.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書、および、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書の適用可能性をグリーンランドおよびファロー諸島にも拡大するよう、促す。委員会はまた、締約国が、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約(1990年)および障害のある人の権利に関する条約の議定書(2006年)の批准を検討することも、勧告するものである。 I.フォローアップおよび普及 70.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国家元首、最高裁判所、議会、関連省庁および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 71.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第4回定期報告書および文書回答ならびに関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが同国の言語で(デンマークに在留する移民および難民がもっとも一般的に使用している言語への翻訳を含む)広く入手できるようにすることを勧告する。 J.次回報告書 72.委員会は、締約国に対し、次回の定期報告書を2016年2月1日までに提出するとともに、この総括所見の実施に関する情報を当該報告書に記載するよう、慫慂する。委員会は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2)に対して注意を喚起するとともに、締約国が、今後の報告書は当該ガイドラインにしたがうべきであり、かつ60ページを超えるべきではないことを想起するよう求めるものである。委員会は、締約国に対し、報告ガイドラインにしたがって報告書を提出するよう促す。ページの制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲ガイドラインにしたがって報告書を見直し、かつその後再提出するよう求められることになる。委員会は、締約国に対し、報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できないことを想起するよう、求めるものである。 73.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された統一報告ガイドライン(HRI/MC/2006/3)に掲げられた共通コア・ドキュメントについての要件にしたがい、最新のコア・ドキュメントを提出するよう慫慂する。条約別報告書および共通コア・ドキュメントは、一体となって、条約に基づく調和化された報告義務を構成するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年1月20日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/280.html
総括所見:インド(第3~4回・2014年) 第1回(2000年)/第2回OPAC(2014年)/OPSC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/IND/CO/3-4(2014年7月7日)/第66会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2014年6月2日および3日に開かれた第1885回および1886回会合(CRC/C/SR.1885 and 1886参照)においてインドの第3回・第4回統合定期報告書(CRC/C/IND/CO/3-4)を検討し、2014年6月13日に開かれた第1901回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、インドの第3回・第4回統合定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/IND/Q/34/Add.1)の提出を歓迎する。これにより、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させることが可能となった。委員会は、他部門にまたがる締約国の代表団との間に持たれた前向きな対話について、大いなる評価の意を表する。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の立法措置がとられたことを歓迎する。 (a) 国家食料安全保障法(2013年9月10日)。 (b) 性犯罪からの子どもの保護法(2012年11月14日)。 (c) 無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年8月)。 4.委員会はまた、以下の文書が批准されたことにも評価の意とともに留意する。 (a) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2005年11月)。 (b) 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書(2005年8月)。 (c) 障害のある人の権利に関する条約(2007年10月)。 (d) 国際的な組織犯罪の防止に関する条約、ならびに、同条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書ならびに陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書(2011年5月)。 5.委員会はまた、以下の制度上および政策上の措置がとられたことも歓迎する。 (a) 国家乳幼児期ケア・教育政策(2013年9月27日)。 (b) 国家子ども政策(2013年4月26日)。 6.委員会は、締約国が国際連合の諸特別手続による訪問を常時受け入れる意思を明らかにしたこと(2011年)に、積極的対応として留意する。 主要な懸念領域および勧告 A.一般的実施措置(条約第4条、第42条および第44条(6)) 委員会の前回の勧告 7.第2回定期報告書に関する委員会の総括所見(2004年、CRC/C/15/Add.228)をフォローアップするために締約国が行なってきた努力は歓迎しながらも、委員会は、そこに掲げられた勧告の一部について全面的な対応がとられていないことに、遺憾の意とともに留意する。 8.委員会は、締約国に対し、条約に基づく第2回定期報告書についての総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものまたは部分的にしか実施されていないもの(とくに、差別の禁止、養子縁組、有害慣行、性的搾取、教育、保健、児童労働および少年司法の運営に関するもの)に対応するため、あらゆる必要な措置をとるよう促す。 第32条に関する宣言 9.委員会は、条約第32条に関する締約国の宣言は不必要である旨の見解をあらためて表明する。 10.委員会は、締約国に対し、委員会のこれまでの勧告(CRC/C/15/Add.115、パラ66およびCRC/C/15/Add.228、パラ8)にしたがい、条約第32条に関する宣言の撤回を検討するよう促す。 立法 11.委員会は、第2回定期報告書(CRC/C/93/Add.5)の検討以降、締約国が、子どもの権利に関する立法上の枠組みを強化するために多くの連邦法を採択しまたは改正してきたことに留意する。しかしながら、立法ではいまなお条約の適用される範囲が完全に網羅されていない。委員会は、締約国の連邦体制内でさまざまなレベルの権限および権能が定められていることにより、子どもの権利に関する法律が異なるやり方で適用され、かつ、締約国全域で子どもの権利の実施に断片化および矛盾が生じていることを懸念する。 12.委員会は、締約国が、連邦および州のレベルで、子どもの権利に関する立法上の枠組みが条約の原則および規定と一貫したかつ矛盾のないやり方で調和されることを確保するため、子どもに関連するすべての立法の再検討および改正を進めるよう勧告する。締約国は、締約国においてすべての法律がすべての子どもに同一のやり方で適用されることを確保するべきである。 包括的な政策および戦略 13.委員会は、2013年に国家子ども政策が採択されたことに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 同政策を実施するための国家行動計画がまだ策定されていないこと。 (b) 州および県のレベルで進められている、国家子ども政策にのっとったそれぞれの行動計画の策定の進展に関する情報、および、同政策の効果的実施を確保するために配分される資源についての情報がないこと。 14.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) あらゆるレベルにおける国家子ども政策の適用を可能にする要素を含んだ、国家行動計画ならびに州および県のレベルでの同様の計画の策定を優先的に進めること。 (b) 国家子ども政策を効果的に運用するための十分な人的資源、技術的資源および財源が時宜を得たやり方で配分されることを確保すること。 (c) 子どもおよび若者、親、非政府組織(NGO)および関心のあるその他の関連機関の積極的関与を促進し、かつその便宜を図ること。 調整 15.委員会は、締約国が、旧女性・子ども発達局を女性・子ども発達省に格上げして財源および人的資源も増やすことにより、その権限および調整の役割を強化したこと、および、国家子ども政策の実施の監視を任務とする国家調整行動グループを設置したことに留意する。しかしながら委員会は、これらの措置がまだ、子どもに関連する政策およびプログラムを実施するための、あらゆるレベルにおける省庁間の調整の改善につながっていないことを懸念するものである。 16.委員会は、締約国が、条約の実施に関連するあらゆる活動を省庁間、連邦および州のレベルで調整する十分な権限を女性・子ども発達省が有すること、および、国家調整行動グループがあらゆるレベルで有効に機能することを確保するための努力を強化するよう、勧告する。締約国は、同省および同グループの双方に対し、その効果的活動のために必要な人的資源、技術的資源および財源が提供されることを確保するべきである。 資源配分 17.委員会は、計画策定および予算編成のプロセスを改善し、かつ子どものための制度およびプログラムに配分される予算を増額するために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、予算配分において子どもの保護のニーズが十分考慮されていないことを懸念するものである。委員会はまた、配分された資源の不適切な管理が生じており、かつそれが高水準の汚職によって悪化させられていること、ならびに、監視および評価のための効果的な制度が存在しないことも懸念する。 18.「子どもの権利のための資源配分――国の責任」に関する2007年の一般的討議ならびに条約第2条、第3条、第4条および第6条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての社会部門、とくに教育、保護および子どもの保護に対する予算配分(連邦および州のレベルで子どものために用いるものとして使途指定される資源を含む)を相当に増額すること。 (b) 関連の部門および機関における子どものための明確な配分額を具体的に定め、かつ具体的な指標および追跡システムを備えた、子どもの権利の視点を有する予算編成プロセスを確立すること。 (c) 連邦および州のレベルで条約の実施のために割り当てられる資源の配分の十分さ、有効性および公平性を監視しかつ評価するための機構を設置すること。 (d) 汚職を防止しかつこれと闘うためにあらゆる必要な措置をとること。 データ収集 19.委員会は、15~18歳の子どもに関して利用可能なデータが乏しいこと、および、収集されるデータのタイプが制約されていて条約の全分野を網羅するものになっていないことを、とりわけ懸念する。 20.子どもの権利条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)に照らし、委員会は、締約国に対し、データ収集システムを速やかに改善するよう促す。すべての子ども(とくに、被害を受けやすい状況に置かれた子ども)の状況についての分析を容易にするため、データは、条約の全分野を網羅し、かつ年齢、性別、地理的所在ならびに民族的、国民的および社会経済的背景別に細分化されるべきである。さらに委員会は、データおよび指標が関連省庁の間で共有され、かつ、条約の効果的実施を目的とする政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価のために活用されるべきことを勧告する。この文脈において、委員会はまた、締約国が、とくに国際連合児童基金(ユニセフ)との技術的協力を強化することも勧告するものである。 独立の監視 21.委員会は、2007年に、とくに自己の権利侵害に関する子どもからの苦情を受理する権限を有する国家子どもの権利保護委員会が設置されたこと(州および連邦直轄地域における委員会の設置を含む)に留意する。しかしながら委員会は、パリ原則に全面的にのっとった委員会の委員の選任手続が定められていないこと、予算配分が不十分であること、独立機関として任務を遂行する自律性が欠けていること、および、このような委員会がまたすべての州に存在するわけではないことを、懸念するものである。 22.独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を考慮に入れながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) パリ原則が全面的に遵守されることを確保するため、国家委員会およびあらゆるレベルに設置される他のすべての委員会の独立性を、資金、権限および不処罰特権の観点も含めて確保すること。委員会は、この目的のため、締約国が、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)およびユニセフとの技術的協力を強化するよう勧告する。 (b) このような委員会を締約国全域で速やかに設置すること。 普及および意識啓発 23.委員会は、条約を普及し、かつ条約についての意識を高めるために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、公衆一般およびとくに子どもたちの間で条約に関する意識が低いこと、ならびに、とられた措置の評価が実施されていないことを懸念するものである。 24.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.228、パラ24(a))をあらためて繰り返し、締約国に対し、公衆一般が子どもを権利の主体として認めることを確保する目的で、条約を普及するための努力、ならびに、意識啓発プログラムを通じて子どもの権利に関する公衆一般およびとくに子どもたちの感受性を高めるための努力を強化するよう促す。このような意識啓発プログラムには、メディアなどあらゆる形態の情報伝達手段、および、社会経済的にもっとも不利な立場に置かれた地域における意識啓発のための対象を明確にした介入策が含まれるべきである。委員会はまた、締約国が、地方言語で作成された子どもにやさしい条約の訳が入手できることを確保するためにあらゆる必要な措置をとることも勧告する。 研修 25.委員会は、子どもの権利に関連する研修の実施および能力増進のために締約国が行なっている努力が不十分であり、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家の需要に対応しきれていないことを懸念する。 26.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.228、パラ24(c))をあらためて繰り返し、締約国に対し、子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家(とくに法執行官、裁判官、検察官、教員、メディア、ヘルスワーカー、ソーシャルワーカー、あらゆる形態の代替的養護に従事する職員および出入国管理機関)を対象として、子どもの権利に関する十分かつ体系的な研修を実施すること。これとの関連で、締約国は、とくに、意識啓発キャンペーンを実施し、具体的なマニュアルを開発し、能力構築ワークショップを実施し、かつ子どもの権利を学校カリキュラムに編入するべきである。 市民社会との協力 27.委員会は、さまざまな分野のサービス提供において締約国がNGOとの調整を図っていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、そのような協力が組織的なものではないこと、ならびに、締約国が、子どものためのサービスの提供を各州が契約したNGOに委託しているように思われること、および、しかし提供されるサービスの質の監視および評価は行なっていないことを、懸念するものである。 28.委員会は、締約国に対し、国が支援して行なわれる子どもの権利関連のすべての政策、計画およびプログラムの計画立案、実施、監視および評価に、コミュニティおよび市民社会(非政府組織および子ども団体を含む)の組織的関与を得るよう求める。委員会はまた、締約国が、NGOによって子どもに提供されるサービスの質および提供範囲を効果的に監視するための措置をとることも勧告するものである。 子どもの権利と企業セクター 29.委員会は、製造業関連企業の操業のために多数の子どもおよびその家族(とくにPOSCO社の製鉄所がある地域およびオディシャ州の港湾施設がある地域で暮らしている家族および子ども)が強制的に立ち退かされ、かつ先祖伝来の土地を失っていることを懸念する。委員会はまた、条約および国際人権基準が遵守されるようにするための保障措置についての情報がないことも懸念するものである。 30.企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)、および、人権理事会が2008年に全会一致で採択した国際連合「保護・尊重・救済枠組み」に照らし、委員会は、締約国が、企業セクターが国際的および国内的な人権基準、労働基準、環境基準その他の基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を遵守することを確保するための規則を定め、かつ実施するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 締約国で操業する産業を対象とした、その活動が人権に悪影響を及ぼしまたは環境基準その他の基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を脅かさないことを確保するための明確な規制枠組みを確立すること。 (b) 企業(とくに製造業関連企業)が国際的および国内的な環境基準および健康基準を効果的に実施することを確保し、これらの基準の実施状況を効果的に監視し、違反があった場合には適切な制裁を科すとともに被害者に救済を提供し、かつ、適切な国際的認証が追求されることを確保すること。 (c) 企業に対し、自己の企業活動により生ずる環境面、健康関連および人権面の影響ならびにこのような影響に対処するための計画についてのアセスメント、協議ならびにその全面的な公的開示を行なうよう、要求すること。 B.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 31.委員会は、さまざまな集団の子どもの間で、教育、保健ケア、安全な水および衛生設備ならびにその他の社会サービスへのアクセスに関して、また条約に掲げられた権利の享受に関して格差があることを懸念する。委員会はまた、指定カーストおよび指定部族の子ども、障害のある子ども、HIV/AIDSに感染・罹患している子どもならびに子どもの庇護希望者および難民に対する差別が根強く残っていることも懸念するものである。 32.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 周縁化された状況および不利な立場の状況に置かれたすべてのカテゴリーの子どもに対するすべての形態の差別(複合的形態の差別を含む)に対処するための包括的な戦略を採択しかつ実施するとともに、社会的および文化的変革を促進する目的で、広範な関係者と連携し、かつ社会のあらゆる層の関与を得ながら当該戦略を実施していくための十分な人的資源、財源および技術的資源を確保すること。 (b) 周縁化された状況および不利な立場の状況に置かれた子ども(指定カーストおよび指定部族の子ども、障害のある子ども、HIV/AIDSに感染・罹患している子どもならびに子どもの庇護希望者および難民など)が、基礎的サービスにアクセスでき、かつ条約に基づく自己の権利を享受できることを確保するとともに、この目的のために十分なプログラムを採択し、かつその結果を評価すること。 33.委員会は、締約国において女子および女性に対する差別が蔓延しており、かつ、女子に対する差別を固定化する家父長制的な態度ならびに深く根づいたステレオタイプおよび慣行が根強く残っていることを深く懸念する。委員会はさらに、男子の優先および女子の不平等な地位を固定化する積年の伝統および文化的影響により、男女産み分けのための中絶、女子の嬰児殺および遺棄が依然として広く行なわれており、その結果、とくに女子に対する男子の比率が高まっていることを懸念するものである。 34.委員会は、締約国に対し、条約の規定と一致せず、かつ女子に対する差別を固定化する根本的原因、社会的および制度的規範および慣行も考慮に入れるなどして、女子および女性に対する社会的、文化的および経済的差別を防止しかつこれと闘うために、包括的なアプローチの採択および効果的かつ組織的な行動を進めるよう促す。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 第12次国家5か年開発計画にしたがい、男女比の達成目標(男子1000人に対して女子950人)の達成を確保するために緊急の措置をとること。 (b) 意識啓発、ならびに、女子差別につながる文化的規範および慣行を強化する諸要因への対処等の手段により、女子の嬰児殺および遺棄を防止するために法律上および政策上の即時的措置をとること。 (c) 男女産み分けのための中絶を防止するため、受胎前・出生前診断技術法の効果的実施を確保するとともに、規制のための機構を強化すること。 子どもの最善の利益 35.国家子ども政策(2013年)に、子どもに関連するすべての行政上および司法上の手続、政策ならびにプログラムにおける指導的原則として子どもの最善の利益の原則が編入されていることには留意しながらも、委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利が、子どもに影響を及ぼすすべての分野で、子どものためにおよび子どもとともに働いている専門家によって実際に一貫して適用されることを確保するためにとられた措置についての詳しい情報がないことを懸念する。 36.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) すべての分野で子どもの最善の利益について判断することおよび子どもの最善の利益を第一次的考慮事項として正当に重視することについての指針を、権限を有する立場にあるあらゆる関係者に対して示すための手続および基準を策定するとともに、これらの手続および基準が、裁判所、行政機関および立法機関、官民の社会福祉施設ならびに伝統的指導者および宗教的指導者ならびに公衆一般に対して普及されることを確保すること。 (b) この点に関わる効果的な監視および評価のための手続を確立すること。 子どもの意見の尊重 37.委員会は、子どもの社会参加を増進させるために締約国が行なっている取り組み(「子どもレポーター」イニシアチブなど)、および、自己の権利およびウェルビーイングに影響を与える民事手続への子ども参加を増進させるために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、社会が一般的に子どもを権利の保有者と見ていないこと、ならびに、公的領域への子どもの参加、ならびに、家庭、学校、コミュニティおよび中央レベルで子どもが意見を聴かれる機会が不十分であることを懸念するものである。 38.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が、条約第12条にしたがって当該権利を強化するための措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) ソーシャルワーカーおよび裁判所がこの原則を遵守するようにするための制度および(または)手続を確立する等の手段により、関連の法的手続において意見を聴かれる子どもの権利を認めた法律の効果的実施を確保するための措置をとること。 (b) 子どもにとってもっとも重要な問題を特定し、これらの問題に関する子どもの意見を聴き、自己の生活に影響を与える家庭の決定において子どもの意見がどの程度十分に聴かれているかを明らかにし、かつ、国および地方の意思決定において子どもが現にまたは潜在的に最大の影響力を行使しうる回路を見出すための調査研究を実施すること。 (c) 国家的政策の策定に関する公的協議(子どもに影響を与える問題に関する子どもたちとの協議を含む)を、高い水準のインク―ジョンおよび参加を前提としながら標準化するため、このような協議のためのツールキットを開発すること。 (d) 女子および被害を受けやすい状況に置かれた子どもに特段の注意を払いながら、家庭、コミュニティおよび学校(学校評議会機関を含む)において、すべての子どもが意味のある形でかつエンパワーメントされながら参加することを促進するためのプログラムおよび意識啓発活動を実施するとともに、これらのプログラムおよび活動に関する定期的な事前事後の評価を確保すること。 C.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条) 出生登録 39.委員会は、締約国全域で全体として出生登録率が低いことおよび出生登録率に格差があること、ならびに、すべての者の出生登録の重要性に関する関連当局および住民の意識が不十分であることに、懸念を表明する。委員会はまた、出生登録率と出生証明書の発給件数が一致していないことも懸念するものである。 40.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促す。 (a) 出生および死亡登録法(1969年)の改正を速やかに成立させ、出生登録を住民にとってアクセスしやすいものとし、かつ、出生の登録および出生証明書の速やかな発給の双方を保障すること。 (b) とくに農村地域で移動登録事務所を設置し、かつ、まだ登録されていない子どもおよび出生証明書を持たない子どもを全員登録することを目的としたキャンペーンを実施する等の手段により、出生登録率を高めるためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 定期的な大衆キャンペーンを通じ、出生登録の重要性に関する親および関連当局の意識を促進するとともに、出生登録の手続ならびに出生登録によって生じる権利および資格についての情報を提供すること。 アイデンティティに対する権利 41.委員会は、締約国の一部地域で、とくに条約第6条~9条および第19条に違反する、匿名のままの子どもの遺棄を可能とする「ゆりかご赤ちゃん受け入れセンター」が運営されていることを深く懸念する。 42.委員会は、締約国に対し、匿名のままの子どもの遺棄の慣行を終わらせ、かつ可能なかぎり早期に代替的選択肢の強化および促進を図るために、あらゆる必要な措置をとるよう促す。さらに委員会は、締約国に対し、家族計画サービス、十分なカウンセリングおよび計画していなかった妊娠に関する社会的支援を提供すること、ならびに、ジェンダーもしくは障害を理由とするまたは婚外子が受け入れられていないことによる乳児の遺棄を防止するための措置をとること等の手段により、乳児の遺棄の根本的原因に対処するための努力を強化するよう、促すものである。 国籍 43.委員会は、締約国とパキスタンとの国境地帯に位置する村落で生まれた子ども(カッチ・コミュニティに属する子どもなど)が無国籍になっていること、および、その結果、条約が対象とするすべての分野でその権利が制限されていることを懸念する。 44.委員会は、締約国に対し、条約第7条にしたがってこれらのコミュニティに属する子どもに国籍を与えるためにあらゆる必要な措置をとるとともに、無国籍者の地位に関する条約の批准を検討するよう勧告する。 思想、良心および宗教の自由 45.委員会は、締約国の憲法では宗教の自由に対する権利が保障されているものの、法律では、子どもが親と異なる宗教を選択することが認められていないことを懸念する。 46.委員会は、すべての子どもが親の宗教にかかわらず宗教の自由を享受する権利を確保するため、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 D.子どもに対する暴力(第19条、第24条(3)、第28条(2)、第34条、第37条(a)および第39条) 体罰 47.委員会は、すべての教育施設およびケア施設で体罰が法的に禁じられていることに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを依然として懸念するものである。 (a) 教育施設における当該禁止規定が6~14歳の子どもについてしか適用されないこと。 (b) 施設以外のケア現場では体罰がいまなお合法的であること。 (c) しつけおよび規律の維持のための措置ならびに犯罪に対する刑としての体罰が締約国全域で禁止されているわけではないこと。 (d) 締約国の努力にもかかわらず、家庭、代替的養護の現場および学校現場ならびに行刑制度において体罰が引き続き広く用いられていること。 48.体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)およびあらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 18歳未満の子どもに対する、すべての場面におけるすべての形態の体罰を領域全体で明示的に禁止すること。 (b) 体罰に対する一般的態度を変革する目的で、この慣行の有害な影響(身体的影響および心理的影響の双方)に関する包括的かつ継続的な公衆教育、意識啓発および社会的動員のためのプログラムを、子どもたち、家族、コミュニティならびに伝統的指導者および宗教的指導者の関与を得ながら導入すること。 (c) 子どもの不当な取扱いを行なった者に対して法的手続が組織的に開始されること、および、これらの者が適正に訴追されることを確保すること。 (d) 積極的な、非暴力的なかつ参加型の子育てならびにしつけおよび規律の維持を促進すること。 (e) 既存の苦情申立て機構を、秘密が守られ、かつ子どもにやさしいものとなることを確保する目的で強化すること。 虐待およびネグレクト 49.委員会は、締約国において、家庭、代替的養護施設、学校およびコミュニティ等における子どもの暴力、虐待(性的虐待を含む)およびネグレクトが広く蔓延していることへの多大なる懸念をあらためて表明する(CRC/C/15/Add.228、パラ50)。委員会は、以下のことを深刻に懸念するものである。 (a) 刑事(改正)法(2013年)上、15歳以上の既婚女子の性的虐待は犯罪とされておらず、性犯罪からの子どもの保護法(2012年)との整合性を欠いていること。 (b) 利用可能なデータによれば、締約国における強姦被害者の3人に1人が子どもであり、かつ、虐待者の50%が、子どもが知っている者または信頼および権威を有する立場にある者であること。 (c) 社会的スティグマへの恐れから、子どもの性的虐待の事案のほとんどが通報されておらず、かつ、通報された事案の訴追率に関する情報がないこと。 (d) 性的虐待の被害を受けた子どものための、子どもに配慮した治療および専門的検診サービスが不十分であること。 50.前回の勧告(CRC/C/15/Add.228、パラ51)にのっとり、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 18歳未満の女子に対するあらゆる形態の性的虐待(婚姻間の強姦を含む)が全面的に犯罪化されることを確保すること。 (b) 身体的、性的および情緒的虐待を含む子どもの虐待を防止しかつこれと闘うことを目的とした包括的な戦略を、ジェンダーの側面を考慮に入れながら立案するため、子どもたちの関与を得ながら、意識啓発および教育を目的としたプログラムおよびキャンペーンをさらに強化しかつ促進すること。 (c) 性的虐待およびあらゆる場面(とくに学校)における体罰をとくに重視しながら、子どもに対する暴力のあらゆる事案に関する国家的データベースを設置するとともに、このような暴力の程度、原因および性質に関する包括的評価を行なうこと。 (d) 子どもの性的虐待のあらゆる事案が義務的に通報されることを確保するための機構、手続および指針を確立するとともに、加害者の適正な捜査、訴追および処罰を確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (e) 子どもの性的虐待を防止し、かつ性的虐待被害者に対するスティグマに対処するための意識啓発活動を実施するとともに、アクセスしやすく、かつ子どもにやさしい効果的な通報制度を整備すること。 有害慣行 51.委員会は、児童婚禁止法(2006年)が制定されたにもかかわらず、締約国において児童婚が広く蔓延していることを深く懸念する。委員会は、同法の全面的実施を妨げる障壁(社会的規範および伝統の蔓延、それぞれの宗教的コミュニティに適用される独自の最低婚姻年齢を定めた種々の人事法の存在、ならびに、同法に関する法執行官の意識の欠如)について懸念を覚えるものである。委員会はまた、ダウリーおよびデーヴァダーシーの慣行など、女子にとって害となるその他の有害慣行が蔓延していることも懸念する。 52.委員会は、締約国に対し、同法が宗教上のさまざまな人事法に優越することを強調する等の手段により、児童婚禁止法(2006年)の効果的実施を確保するよう促す。委員会はまた、締約国が、女子の健康およびウェルビーイングにとって有害な児童婚を防止する目的で、態度の変革ならびにカウンセリングおよびリプロダクティブヘルス教育の開始を目的として意識啓発プログラムおよびキャンペーンを実施する等の手段により、ダウリーの要求、児童婚およびデーヴァダーシーの慣行と闘うために必要な措置をとることも勧告するものである。 ヘルプライン 53.委員会は、締約国が、チャイルドライン・インド財団と連携しながら子どものための24時間ヘルプラインを運営していることに留意する。しかしながら委員会は、当該ヘルプラインが国レベルですべての子どもにとってアクセスできるものになっていないことを懸念するものである。 54.委員会は、締約国が、国、州および県のレベルですべての子どもが24時間ヘルプラインを無償で利用できることを確保するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、ヘルプラインへのアクセス方法に関する子どもたちの意識を高め、サービスの効果的運用のために必要な人的資源、技術的資源および財源を提供し、かつ、助言およびカウンセリング、付託サービスに関する情報ならびに必要な場合の救出活動を含むフィードバックを確保するよう、勧告するものである。 E.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条(1および2)、第20条、第25条および第27条(4)) 家庭環境を奪われた子ども 55.親が乳幼児のケアを改善できるようにすることを意図した国家乳幼児期ケア・教育政策(2013年)は歓迎しながらも、委員会は、その実施がまだ開始されていないことを懸念する。委員会はさらに、子どもの養育義務の履行にあたって親および家族を支援するための国家的な戦略およびプログラムが存在しないこと、ならびに、家族カウンセリングおよび子育て支援のためのプログラムが存在しないことにより、家庭における子どものネグレクト、不適切な取扱いおよび虐待のリスクが高まっていることを懸念するものである。委員会は、代替的養護制度を向上させようとする締約国の努力には留意するものの、締約国において、いまなお家庭を基盤とする養護ではなく施設措置が支配的であることを懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) ニーズを有している子ども、サービスを提供されている子どもおよび種々の形態の代替的養護を受けている子ども、親および親族養育者のための支援サービス、子どもの遺棄、ネグレクトおよび虐待ならびにとられた措置(立法措置を除く)についての細分化されたデータが存在しないこと。 (b) 里親および親族養育者のアセスメント、選抜、研修、報酬および監督、養護を受けている子どもに関する再審査手続、ならびに、子どもホームの認証、最低要件および監督ならびに公的養護を受けている子ども(国、民間、NGOまたは教会が運営する施設に措置されている子どもを含む)のための苦情申立て機構についての情報が存在しないこと。 56.子どもの代替的養護に関する指針(総会決議64/142付属文書)を想起しつつ、委員会は、金銭的もしくは物質的貧困またはこのような貧困を直接の原因とする環境が、子どもを親による養育から分離することの唯一の正当化事由とされるべきではないことを強調する。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 親のための十分な支援サービスを確立するとともに、子育てのスキルに関する意識啓発プログラムおよび研修プログラム(体罰に代わる手段についてのものを含む)を採択しかつ実施すること。 (b) 子どもの施設措置を少なくする目的で、可能な場合には常に家庭を基盤とする養護を支援しかつ促進するとともに、代替的養護を受ける子どもの親族養育および里親養育の制度を確立すること。 (c) 子どもを代替的養護の対象とするべきか否かの判断に関する、子どものニーズおよび最善の利益を基礎とした十分な保障措置および明確な基準を確保すること。 (d) 里親養育および施設への子どもの措置が第三者により定期的に再審査されることを確保するとともに、子どもの不適切な取扱いおよび虐待に関する通報、監視および救済のためのアクセスしやすい回路を提供することなどにより、当該措置における養育の質を監視すること。 (e) 施設入所児のリハビリテーションおよび社会的再統合の質を可能なかぎり最大限に高める目的で、代替的養護施設および関連の子ども保護サービスに十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。 養子縁組 57.委員会は、「子どもの養子縁組を規律する指針」(2011年)が出されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 締約国において養子縁組が非公式に行なわれ続けており、かつ養子縁組手続の監督が行なわれていないこと。 (b) 養子縁組に関して異なる法律が効力を有しており、かつこれらの法律の間に矛盾があること、および、養子縁組行為の完結との関連で少年司法(子どもの養護および保護)改正法(2006年)に法的抜け穴があること。 (c) 民族的および宗教的つながりに関わらない、子どもおよび家族一般の養子縁組に関する法律がないこと。 (d) まだ適正に規制されていない代理出産の商業的利用が広く行なわれており、子どもの売買および子どもの権利侵害につながっていること。 58.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 養子縁組に関する法律を、子どもの権利条約および国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)に一致させる目的で見直すこと。 (b) 「子どもの養子縁組を規律する指針」(2011年)の効果的実施を確保し、直接または仲介者として養子縁組に対応しているすべての個人および機関の効果的な監視機構および認証制度を確立し、これらの個人および機関の数の制限を検討し、かつ、国内および国際養子縁組の手続がいかなる当事者にとっても金銭的利得をもたらさないことを確保すること。 (c) 養子縁組の過程全体を通じて子どもの最善の利益が最高の考慮事項とされ、かつ、子どもの意見が、その年齢および成熟度を正当に考慮しながら、最大限可能な範囲で考慮に入れられることを確保すること。 (d) 生殖補助医療(規制)法案(2013年)およびそれに続くその他の法律に、代理出産の斡旋の定義、規制および監視について定めた規定が掲げられることを確保するとともに、不法な養子縁組を目的とする子どもの売買(代理出産の不適切な利用を含む)を犯罪化すること。締約国は、不法な養子縁組に関与したすべての者に対して対応がなされることを確保するべきである。 親が収監されている子ども 59.委員会は、6歳未満の子どもは刑務所で母親とともに暮らせること、および、締約国が最近、受刑者の子どもに金銭的援助を行なう制度を導入したことに留意する。しかしながら委員会は、親に刑を言い渡すときを含めて、子どもの最善の利益が常に考慮されているわけではないことを懸念するものである。 60.委員会は、親に刑を言い渡す際には子どもの最善の利益が第一次的に考慮されるべきであること、および、親が子どもから分離されることにつながる刑は可能なかぎり回避されるべきであることを勧告する。委員会はまた、子どもが収監されている親とともに暮らすべきか否かを決定する際、締約国が、子どもの最善の利益を正当に考慮することも勧告するものである。その際、刑務所に関わる全般的環境および乳幼児期における親子の接触の特別な必要性に対する正当な配慮が全面的に考慮されるべきであり、かつ司法審査の選択肢も認めることが求められる。 F.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条(3)、第23条、第24条、第26条、第27条(1~3)および第33条) 障害のある子ども 61.委員会は、親による障害児の遺棄率が高いことを深く懸念する。委員会はさらに、障害のある子どもを対象としたプログラムの計画および実施に際して関連省庁間の調整が行なわれていないこと、および、障害のある子どもに対する締約国のアプローチにおいて、もっぱら施設ケアおよび医学的治療が中心に位置づけられていることを懸念するものである。 62.条約第23条および障害のある子どもの権利についての委員会の一般的意見9号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、障害に対して人権基盤型アプローチをとるよう促すとともに、具体的には以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約のあらゆる規定および成果測定のための指標を統合した、障害のある子どものための国家的行動計画を策定するとともに、その実施に関して関連省庁間の効果的な調整を確保すること。 (b) 障害のある子どもの遺棄の防止を目的として、障害のある子どもの親を支援するために十分な人的資源、技術的資源および財源を配分すること。 (c) 障害のある子どもが条約に掲げられた権利(教育、保健ケアおよび社会サービスへのアクセスを含む)を全面的に享受できることを確保するために十分な措置をとること。 (d) 締約国全域で障害のある子どもに対する差別を防止しかつ解消することを目的として、障害のある子ども、公衆一般および特定の専門家集団を対象とした意識啓発キャンペーンおよび教育キャンペーンを実施すること。 健康および保健サービス 63.委員会は、締約国に、子どもの健康および保健サービスへの子どものアクセスを向上させるためのさまざまな政策およびプログラムが存在することに留意する。しかしながら委員会は、都市部と農村部との間に保健サービスの質および保健サービスへのアクセスに関する格差が根強く残っていること、ならびに、締約国が保健サービスの提供をますます民間セクターに依存するようになっていることを、深く懸念するものである。委員会はまた、住民にとって保健サービスの費用が高いこと、および、提供されるサービスの質の規制が行なわれていないことも懸念する。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 新生児死亡率が高く、かつ、締約国で毎年死亡している140万人の5歳未満児の50%が新生児であること。 (b) 締約国が行なっているさまざまな取り組みにもかかわらず妊産婦死亡率が高く、かつ、15~49歳の女性の55.3%が、子どもの出生時の低体重につながる貧血症を有していること。 (c) 子ども(とくに5歳未満児)の間で、妊産婦の栄養不良および貧血ならびに乳幼児に対する不十分な栄養の与え方と密接に関係している慢性的栄養不良(発育阻害)、消耗症(急性栄養不良)および低体重が高い水準で生じていること。 (d) 生後6月未満の子どものうち46%しか完全母乳育児の対象とされておらず、かつ生後1時間以内に母乳を与えられる子どもはわずか24%にすぎないこと。この状況は、調製粉乳が利用されていること、および、これに関連して乳児の健康状態に悪影響が生じていることをうかがわせるものである。 (e) 予防接種率の向上が芳しくなく、かつ、予防接種を完全に受けているのは子どもの21%にすぎないこと。 (f) 急性呼吸器感染症、下痢性疾患および熱病(マラリアに関連する熱病を含む)などの感染症が子どもの間で蔓延しており、いずれもが子どもの罹患および死亡の主たる原因となっていること。 (g) とくに農村部において安全な水、公衆衛生設備および個人衛生のための便益へのアクセスが不十分であり、これにともなって、屋外排泄が広く行なわれており、かつそのために子どもの健康に悪影響が生じていること(下痢性疾患による5歳未満児の死亡の約88%はこれらの要因に関連したものである)。 64.到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 保健サービスへのアクセスおよび保健サービスの負担可能性を向上させるために民間セクターとのパートナーシップを確立し、かつ民間セクターが提供するサービスを規制する等の手段により、保健サービスへのアクセスおよび保健サービスの質に関して祖存在している格差に緊急に対処するための努力を強化すること。 (b) 子どもの健康状況を向上させるための、とくに急性呼吸器感染症、栄養不良および下痢性疾患の高い発生率に対応するための具体的な母子保健ケア政策、プログラムおよび制度に特段の注意を払いながら、保健部門に適切な資源が配分されることを確保すること。 (c) 子どもの低栄養と闘うための規定を含む国家食料安全保障法(2013年)の効果的実施を確保すること。 (d) 完全母乳育児の実践(出生時からの授乳を含む)、補完食の与え方(固形食による補完の有無を問わない)および母親のための微量栄養素補給支援を促進するための努力を増進させ、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」(WHO、1981年)の効果的実施およびその遵守を確保し、当該基準の違反を特定するために監視および通報のシステムを整備し、かつ、当該基準の違反が行なわれたあらゆる状況(調製粉乳の販売促進および配布に関与している民間企業による、調製粉乳のサンプルおよび宣伝資料の広報および配布を含む)に対して厳格な措置をとること。 (e) すべての子どもの完全予防接種を確保すること。 (f) 屋外排泄の慣行が有する健康上のリスクに関して公衆一般を対象とした意識啓発キャンペーンを実施し、とくに農村部および最貧困地域で安全な水および衛生設備へのアクセスを確保するための措置をとり、かつ、安全な水源の改善に投資すること。 (g) この点に関してとくにユニセフおよび世界保健機関(WHO)との技術的協力を強化すること。 思春期の健康 65.委員会は、締約国が思春期のリプロダクティブ/セクシュアルヘルスに関する戦略を採択したことに留意する。しかしながら委員会は、国全体におけるその実施およびそれが思春期の子どもの健康に及ぼした影響についての情報が乏しいことを懸念するものである。委員会は、締約国において、思春期の女子がセクシュアル/リプロダクティブヘルスに関する情報およびサービス(現代的な避妊手段を含む)にアクセスできておらず、かつその結果として10代の妊娠率が高いこと、ならびに、女性の不妊手術および安全性を欠いた中絶が広く行なわれていることを、深刻に懸念する。 66.思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年)を参照しながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 思春期のリプロダクティブ/セクシュアルヘルスに関する戦略が効果的に実施されること、ならびに、セクシュアル/リプロダクティブ教育が、若年妊娠および性感染症の予防にとくに注意を払いながら、学校の必修カリキュラムの一部とされ、かつ思春期の女子および男子を対象として行なわれることを確保すること。 (b) 思春期の女子および男子が、セクシュアル/リプロダクティブヘルスについての秘密が守られる情報およびサービス(現代的避妊法および女子のための合法的中絶など)に実際に効果的にアクセスできることを確保するための措置をとること。これとの関係で、締約国は、中絶に関する決定において妊娠している10代女子の意見が常に聴かれかつ尊重されることを保障するべきである。 (c) 男子および男性にとくに注意を払いながら、責任のある親としてのあり方および性的行動についての意識を高め、かつそのようなあり方および行動を促進するための措置(ライフスキルへのアクセスおよび有害物質濫用の防止を含む)をとること。 HIV/AIDS 67.委員会は、「子どもとAIDSに関する政策枠組み」が2007年に採択されたことに留意する。しかしながら委員会は、手役国のHIV/AIDS感染者の相当数が子どもであること、および、これらの子どもに対する抗レトロウィルス薬の供給に関する情報がないことを懸念するものである。委員会はまた、出産前ケアサービスの対象範囲ならびにカウンセリングおよび検査へのアクセスが限られていることから、HIV陽性である多数の妊婦が特定されておらず、そのため子どもの感染リスクが高まっていることも懸念する。 68.HIV/AIDSと子どもの権利に関する一般的意見3号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 2006年以来保留のままとなっているHIV/AIDS法案を採択するとともに、同法に、HIV/AIDSに感染した子どものニーズに条約にのっとって対応する具体的規定が掲げられることを確保すること。 (b) HIV/AIDSの母子感染を予防するためにとられている措置を維持するとともに、効果的な予防措置の実施を確保するためのロードマップ(行程表)を策定すること。 (c) 早期診断および早期の治療開始を確保するため、HIV/AIDSに感染した母親およびその乳児のフォローアップ治療を向上させること。 (d) 良質なかつ年齢にふさわしいHIV/AIDS関連およびセクシュアル/リプロダクティブヘルス関連の保健サービスへのアクセスを向上させること。 (e) HIVに感染した妊婦および子どもを対象とした、抗レトロウィルスによる治療および予防法へのアクセスおよびその提供範囲を向上させること。 (f) この目的のため、とくに国際連合合同エイズ計画(UNAIDS)およびユニセフとの技術的協力を強化すること。 生活水準 69.委員会は、締約国における国内総生産(GDP)の増大にもかかわらず、貧困線以下で生活している人々の割合が高いことを懸念する。委員会は、都市部および農村部のいずれにおいても子どもの貧困が蔓延していること、ならびに、子どもの生活水準に大きな格差があり、不利な立場および周縁化された状況に置かれた子どもがとりわけ脆弱な状態にあることを懸念するものである。 70.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 貧困と闘うためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) とくに、とりわけ貧困に陥りやすい状況にある子どもおよび家族のための社会的保護および対象特化型プログラムを通じて、子どもの生活水準に関する都市部/農村部の格差、社会的格差ならびにカーストおよび部族に基づく格差を解消するため、あらゆる必要な措置をとること。 (c) 第12次国家5か年開発計画に掲げられている子どもの権利充足のための戦略および措置を強化する目的で、子どもの貧困の問題に焦点を当てた協議を、家族、子どもたちおよび子どもの権利に関わる市民社会組織との間で持つことを検討すること。 G.教育、余暇および文化的活動(条約第28条、第29条、第30条および第31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 71.委員会は、無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年)が採択されたこと、および、第1学年における子どもの就学率がほぼ100%に達していることを歓迎する。しかしながら委員会は、とくに指定カーストおよび指定部族出身の子どもならびに女子の脱落率が高いことを懸念するものである。委員会はまた、通学していない子どもが多数にのぼること、第5学年における脱落率が高いこと、計算能力および識字能力が貧弱であること、教育の質が低いこと、ならびに、資格のある教員および教室が不足していることも懸念する。 72.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年)にのっとって学校開発計画を策定する等の手段により、連邦および州のレベルで同法を全面的に実施するための努力を強化すること。 (b) とくに州レベルおよび農村部において、教育の質を向上させ、かつ教員を対象として十分な研修を実施するために必要な措置をとること。 (c) 全国の学校カリキュラムに子どもの権利教育を導入すること。 (d) 周縁化された状況に置かれている子どもに対して教室の後ろに座るよう強要することなど、教育現場で行なわれているさまざまな差別的慣行に対応すること。 (e) 就学準備および乳幼児期教育プログラムの拡大を向上させること。 (f) 高い脱落率を下げるための具体的プログラムをさらに採択するとともに、通学していない子ども、児童労働者、不利な立場および周縁化された状況に置かれた子どもならびに女子が、教育に対する自己の権利を行使するにあたって支援および援助を与えられることを確保すること。 (g) 効果的な計画立案および対応のために、通学していない子どもを追跡するためのデータ情報システムを向上させ、質および学習の成果を測定し、かつ教育に関するデータと子どもの保護に関するデータの関連づけを図ること。 (h) 思春期の子どもによる中等教育へのアクセスを増進させるための措置をとるとともに、学校から脱落した子どもを対象とした、子どものスキル増進のための良質な職業訓練を促進すること。 73.委員会は、国以外の武装集団による学校施設への攻撃および治安部隊による学校の占拠について深刻な懸念を表明する。 74.委員会は、締約国に対し、あらゆる手段を用いて学校、教員および子どもを攻撃から保護するとともに、攻撃および暴力からの学校の保護を向上させるための措置の策定にコミュニティの関与を得るよう促す。委員会はまた、締約国に対し、治安部隊による学校の選挙を禁止し、かつ、必要に応じ、損した学校の再建および修理を緊急に進めることも促すものである。 乳幼児期の発達 75.国家乳幼児期ケア・教育政策が2013年9月に採択されたことには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、無償の義務教育に対する子どもの権利法(2009年)において乳幼児期のケアおよび教育の提供が要求されていないこと、および、前掲政策がまだ実施されていないことを懸念する。 76.委員会は、0~6歳のすべての子どもに対して普遍的なかつ質の高い乳幼児期教育およびケアサービスを確保する目的で、国家乳幼児期ケア・教育政策にのっとり、乳幼児期のケアおよび教育を、教育制度の一環として無償の義務教育に対する子どもの権利法に編入するとともに、すべてのレベルにおける同政策の実施のために十分な資源を配分するよう、勧告する。 H.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)、第38~40条) 子どもの庇護希望者および難民 77.委員会は、難民が長期査証および就労許可を申請できるようにする決定ならびにヒンズー教徒およびシーク教徒の難民による市民権取得手続を簡略化する決定など、締約国がとったいくつかの措置を歓迎する。しかしながら委員会は、たとえば言語上の障壁のためにサービスへのアクセスに関して子どもの庇護希望者および難民が苦境に直面しており、子どもの庇護希望者および難民が、教職員および同級生による学校での差別および保健サービス施設での差別を受けており、かつ、差別的態度のために公共空間で遊ぶ権利を制限されているという報告があることを懸念するものである。委員会はさらに、ミャンマーから来たロヒンギャ人庇護希望者(子どもを含む)の、締約国への不法入国を理由とする収容が常態化していることを懸念する。 78.出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての一般的意見6号(2005年)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 保護を必要とする子ども、とくに保護者のいない子どもの難民および庇護希望者を特定しかつ援助する目的で、子どもの保護のために現在設けられている制度(子ども保護統合制度を含む)を強化すること。 (b) 子どもの難民および庇護希望者に対し、社会的障壁およびこれらの子どもに対する差別を解消するための措置をとる等の手段により、教育および保健ケアへのアクセスを保障すること。 (c) 収容されている子どもの難民および庇護希望者を放免し、かつこれらの子どもが国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)にアクセスできるようにすること、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに子どもの難民および庇護希望者が締約国への不法入国/締約国における不法滞在を理由として収容されないことを確保すること、ならびに、これらの子どもに対し、庇護を求める権利および庇護手続が完了するまで締約国に滞在する権利を付与すること。 (d) 子どもの難民および庇護希望者をUNHCRに付託するための適正な付託制度を内務省のもとに設置し、かつ、このような子どもの迅速な特定および付託を促進するための標準運用手続を策定すること。 (e) 難民の地位に関する1951年条約およびその1967年議定書への加入を検討すること。 宗教的マイノリティ、指定カーストおよび指定部族に属する子ども 79.委員会は、宗教的マイノリティ、指定カーストおよび指定部族の不平等に対処し、かつその生活条件ならびに教育、保健サービスおよび社会サービスへのアクセスを向上させるために締約国が行なっている取り組みにもかかわらず、これらの集団に属する多数の子どもが条約上の多くの権利を奪われ続けていることを、深刻に懸念する。 80.委員会は、締約国に対し、すべての子どもが、その宗教的背景にかかわらず、または子どもが指定カーストもしくは指定部族の出身か否かを問わず、条約に掲げられた全範囲の権利を享受できることを確保するための努力を強化するよう促す。 経済的搾取(児童労働を含む) 81.委員会は、締約国が行なった若干の努力にもかかわらず、危険な条件下における児童労働(採鉱業、家事労働者のようなインフォーマル部門での債務労働および農業におけるものなど)を含む経済的搾取に、いまなお多数の子どもが関与させられている旨の懸念をあらためて表明する(CRC/C/15/Add.228、パラ72)。 82.前回の勧告(CRC/C/15/Add. 228、パラ73)にのっとり、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 児童労働(禁止および規制)改正法案(2012年)を速やかに採択するとともに、児童労働に関与した個人に対する制裁を含む、あらゆる形態の児童労働の防止および根絶のための包括的戦略を策定すること。このような戦略には、児童労働(そのほとんどは家事労働のようなインフォーマル部門で生じているが、危険な労働にあたる採鉱場および採石場での労働でも生じている)の態様および手度に関するデータベースの設置も含むものとする。 (b) 国際労働機関(ILO)の、就労のための最低年齢に関する第138号条約、最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関する第182号条約ならびに家事労働者の適切な仕事に関する第189号条約の批准を検討すること。 (c) これとの関連で、ILO・児童労働撤廃国際計画との技術的協力を発展させること。 路上の状況にある子ども 83.委員会は、締約国の「ストリートチルドレンのための統合プログラム」の利益を多くの子どもが享受してきたことに留意する。しかしながら委員会は、締約国において路上の状況にある子どもが多数にのぼることに鑑みて同プログラムの効果が限定的であること、および、これらの子どもの多くが被害者とみなされるのではなく犯罪者として扱われていることを、深く懸念するものである。 84.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 路上の状況にある子どもの現状に関する体系的な評価に基づき、かつこれらの子どもたち自身の積極的関与を得ながら、この現象を防止しかつ少なくする目的でその根本的原因に対処するための包括的政策を策定しかつ実施すること。 (b) 路上の状況にある子どもを犯罪者として扱わないようにすること。 (c) NGOとの調整を図りながら、路上の状況にある子どもに対して必要な保護(家庭環境、十分な保健ケアサービス、社会サービスおよび通学の便宜を含む)を提供するとともに、この目的のために必要な人的資源および財源を配分すること。 (d) 子どもの最善の利益に合致する場合、家族再統合プログラムを支援すること。 売買、取引および誘拐 85.委員会は、「人身取引の防止ならびに商業的性的搾取を目的とする人身取引の被害者の救出、リハビリテーション、再統合および補償に関する包括的計画」が2007年12月に採択されたことに留意する。しかしながら委員会は、子どもの国内人身取引が高い水準で行なわれていること、ならびに、締約国が、労働および性的搾取(セックスツーリズムおよび児童ポルノを含む)を目的とする子どもの人身取引の送り出し国、目的地国および通過国になっていることを懸念するものである。委員会は、締約国において、子どもが物乞い、婚姻および不法な養子縁組のために人身取引の対象とされているという報告があることを懸念する。委員会は、子どもの売買、取引および誘拐に対処するための効果的措置がとられていないこと、ならびに、これらの活動に関するデータがないことに懸念を表明するものである。 86.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの売買、取引および誘拐に関する包括的かつ体系的なデータ収集機構を設置するとともに、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた子どもに特段に注意を払いながら、当該データがとくに性別、年齢、国民的および民族的出身、州または自治地域、農村部または都市部における居住、先住民族としての地位および社会経済的地位別に細分化されることを確保すること。 (b) 国内人身取引および国際的人身取引の双方の危険性について親および子どもが認識できるようにするための意識啓発活動を実施すること。 (c) 二国間および多国間の協定を締結すること等も通じ、国の枠を超えてで子どもの人身取引と闘うための南アジア諸国との協力をさらに強化すること。 少年司法の運営 87.委員会は、締約国全域の660県のうち608県で少年司法委員会が設置されていること、および、刑事責任に関する最低年齢を18歳と定める少年司法規則が2007年に出されたことなど、少年司法制度を強化するために締約国が行なった努力に留意する。しかしながら委員会は、刑事責任に関する最低年齢がいまなお刑法で7歳とされており、これによって少年司法規則の適用が排除されることを深刻に懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。 (a) 少年司法規則(2007年)で、締約国が刑事責任に関する最低年齢の引き下げを計画していると述べられていること。 (b) 少年司法委員会で働く職員の、法律に抵触した子どもが関わる事件を扱うための知識、感受性および能力がきわめて限られており、かつ、これらの委員会が十分に監督されていないこと。 (c) 法律に抵触した子どもに関するデータを収集するための情報管理システム、処理が終了していない事件にかけられる時間、委員会の全般的運用(委員会が発する命令の性質および質を含む)ならびに特別少年警察部の役割および運用が不十分であること。 (d) 鑑別ホーム(調査が完了するための一時的受け入れを目的とするもの)および特別ホーム(刑を言い渡された子どもを対象とするもの)において、法律に抵触した子どもが年齢にふさわしい形で分離されておらず、かつ、法律に抵触した子どもが保護を必要とする子どもとともに収容される場合があること。 88.委員会は、締約国に対し、少年司法制度を、条約(とくに第37条、第39条および第40条)、その他の関連基準および少年司法における子どもの権利についての委員会の一般的意見10号(2007年)と全面的に一致させるよう促す。とくに委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 刑事責任に関する最低年齢を18歳と定めた少年司法規則(2007年)を実施するとともに、国際的に受け入れられる水準に当該最低年齢を維持すること。 (b) 少年司法委員会に対して十分な人的資源、技術的資源および財源を提供し、子どものための専門裁判官を指定し、かつ、これらの専門裁判官が適切な教育および研修を受けることを確保すること。 (c) 法律に抵触した子どもに対し、手続の早い段階でかつ法的手続全体を通じて、資格のある、独立した、無償のまたは補助がある弁護士およびその他の適切な専門家による援助が提供されることを確保すること。 (d) 必要なときは常に、ダイバージョン、保護観察、調停、カウンセリングまたは地域奉仕のような拘禁に代わる措置を促進するとともに、拘禁が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間で用いられること、および、拘禁がその取消しを目的として定期的に再審査されることを確保すること。 (e) 拘禁が必要なときは、鑑別ホームおよび特別ホームにおいて年齢にふさわしい形での子どもの分離を確保するとともに、法律に抵触した子どもが保護を必要とする子どもまたは成人とともに収容されないこと、および、拘禁環境において国際基準が遵守されること(教育および保健サービスへのアクセスとの関連を含む)を確保すること。 (f) この目的のため、少年司法に関する機関横断パネルおよびその構成機関(国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)、ユニセフ、OHCHRおよびNGOを含む)が開発した技術的援助ツールを活用するとともに、少年司法の分野で同パネルの構成機関の技術的援助を求めること。 I.国際人権文書の批准 89.委員会は、締約国が、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書など、まだ加盟国となっていない中核的人権文書を批准するよう勧告する。 J.地域機関および国際機関との協力 90.委員会は、締約国が、とくに東南アジア諸国連合(ASEAN)・女性および子どもの権利の促進および保護に関する委員会と協力するよう勧告する。 K.フォローアップおよび普及 91.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第3回・第4回統合定期報告書、締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。 L.次回報告書 92.委員会は、締約国に対し、第5回・第6回統合定期報告書を2020年7月15日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2010年10月1日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.2 and Corr.1)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短くするよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出することができないときは、条約機関による検討を目的とした報告書の翻訳は保障できない。 93.委員会はまた、締約国に対し、2006年6月の第5回人権条約機関委員会間会合で承認された調和化報告ガイドライン(HRI/GEN/2/Rev.6, chap. I)の共通コアドキュメントに関する要件にしたがい、最新のコアドキュメントを提出することも慫慂する。共通コアドキュメントの語数制限は、総会が決議68/268(パラ16)で定めたとおり、42,400語である。 更新履歴:ページ作成(2017年1月19日)。