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902 :ひゅうが:2012/10/29(月) 17 48 05 提督たちの憂鬱ネタSS――「旭光の栄光~或いはある復讐の成果~」 ――西暦1947(昭和22)年11月 大日本帝国 三沢基地 空を白刃が駆けてゆく。 青空を切り裂いているのは大きな機体だった。 俗に鉛筆と称される細長い胴体の中央部から空気取り入れ口が開き、17.8メートルの機体の先端はいかにも高速を発揮できそうなふうに絞り込まれている。 見る者が見たのなら今はなきアメリカ合衆国が1920年代に大量生産したSFパルプマガジンに出てくる宇宙船のようだといったことだろう。 機首からはさらに1メートル近くもピトー管が伸びている。 そして全長の半分以下という小さな二重デルタ主翼は、コクピット横から斜め下にのびる小さな先尾翼や垂直尾翼上端から左右にのびるもうひとつのT字水平尾翼とともに全体的にシャープな印象をさらに際立たせていた。 一昔前の四発陸上攻撃機なみの大きさであるのに、一目見ただけで高速であることが分かるというのはまさにデザインの妙であるといっていいだろう。 そして耐熱合金製の機体そのままの銀色の外見はシンプルで、空気取り入れ口の左右を染め抜く日の丸を際立たせている。 工業デザインの極北を極めた機能美は見る者を一目で虜にしていた。 「音速突破!!」 地上の追跡電探をにらんでいた管制官が叫ぶ。 数十秒遅れて遠雷のような音が滑走路に轟くが、地上から空を見上げる白衣と軍服、若干の背広の集団は拍手をしない。 数年前に成し遂げられていた音速の突破は当然だと彼らは考えているのだ。 彼らが作り出したものは「その程度」ではおさまるはずがない。 倉崎・ライカミングが作り出した耐熱合金をふんだんに使用した「ネ‐1079(試作名称KRk-J-79)」ターボファンエンジンは再点火装置アフターバーナー使用時に推力8560キログラムという凄まじい高性能を発揮できる。 現在の日本海軍の主力、四式艦上戦闘機「疾風」の発動機の3倍以上というこの発動機は亡命ユダヤ人ゲルトハルト・ノイマンと空技廠の種子島時安大佐、そして耐熱合金の専門家小林速雄博士が心血を注いで完成させたもので、「疾風」用に健全さを優先させた発動機とは違い4年をかけた熟成期間の甲斐もあってその性能はまだまだ余裕がある。 音速突破は当然といったところだった。 「現在、速度マッハ1.5…」 冬の青空、はるか上空に雲を曳く「それ」はさらに速度を増していく。 「行け…」 設計主任者は拳を握りこんだ。 三菱の技術者である彼は、この機体のためにいくつもの月日を代償にした者の一人だった。 「翼面積は3割増しにした…」 男は一人呟く。 周囲の技術者や軍人たちは慣れているのか気にせずに、追跡カメラから送られてくるカラー画像やレーダーに見入ったままだ。 「翼取り付け角も工夫したし、カナードもある。機動性不足、武装取り付け箇所の不足なんてありえないはずだ…」 速度はマッハ1.9に達し、いよいよ彼は生唾を呑む。 「耐熱合金の採用、冷却機構の全面再設計。オーソドックスなJ‐79の構造はそのままにアップグレードしたのだから成熟度は十分以上…TF-30の搭載すら考慮したスペースにはいささか勿体ないが…」 「マッハ1.97…98…99!」 管制官が叫ぶ。 「マッハ2!」 おおおお!と歓声が巻き起こった。 マッハ2…時速にして2448キロ。 実用型戦闘機としてこの数字は驚異的である。 「おめでとうございます!!」 企画段階から設計主任に協力してきた陸海軍の担当者が主任に握手を求める。 「ありがとう。でもまだ…」 主任は片手で彼らを制し、最大速度に達しようとしている機体の状態を管制官に尋ねた。 「速度は?」 「マッハ2.36です。どうします?山科はまだ行けると言っていますが。」 「いや。十分だ。機動性に問題は?」 「素直なものだそうです。96式なみとはいきませんが迎撃機というよりまるで艦戦なみだと。」 主任はニヤリと笑った。 903 :ひゅうが:2012/10/29(月) 17 48 38 「速さは十分。機動性も確保。速度のみを求めてデータリンクやミサイルがないなんてもう誰にもいわせないぞ…」 「は、はぁ…。」 周囲が男が発する黒いオーラに若干引く中、彼はくつくつと笑う。 彼の「前世」において「最後の有人戦闘機」と呼ばれた「それ」の原型が持っていた欠点は、彼が作り出した新たなる翼には最初から存在してない。 「悔しかろうドイツ人…もうこの娘(こ)を未亡人製造機なんて呼ばせない。そしていくら欲しがったとしてもこの娘をお前たちは手に入れることはできないのだ!!」 完全に周囲がドン引きになる中、「静まれ、邪気眼!!」と一人芝居をしながら設計主任は高笑いした。 ――第二次世界大戦後、日本陸海軍は枢軸軍が開発中の全翼音速爆撃機「ホルテンHo-HXVIII」に対抗すべく超音速迎撃戦闘機の開発を計画した。 海軍が誇るジェット戦闘機「疾風」であれば迎撃は可能であるが、いささか不安が残る。 そのためすくなくとも超音速、可能であれば音速の二倍程度の最大速度を持つ迎撃戦闘機を軍は欲したのである。 1944年末時点ですでに実験機を用いたマッハ2の突破は為されており、技術的には容易とはいかないが可能性は十分。 構築されたばかりの自動防空システムとのリンクや対爆撃機用空対空誘導弾の搭載という新機軸を盛り込んだこの「昭和20年度試作局地戦闘機計画(20試陸戦計画)」はこうして始動したのであった。 開発を担当したのは能力に余裕のあった三菱とノースロップ社、そしてエンジンメーカーであるライカミング・倉崎発動機。 三者は高速発揮のために「中型エンジン2発を並列装備し推力を確保する」という常とう手段をとらず、あえて「大推力エンジン単発を搭載し機体の直径を絞り込む」ことを選択。 これにあわせて最新のトランジスタを用いた電子装備を長い機首に詰め込むこととした。 絞り込まれた機体の機動性を増すために技術陣は機体前部に補助翼を追加し、さらに当初設計の台形翼から翼面積を3割ほど増加させた二重デルタ翼に、これに通常の水平尾翼を垂直尾翼の上端に置くという前例のない選択をする。これは当初批判を受けたものの実機においては大きな称賛を受けることとなる。 さらに翼面積の増大と取り付け角変更で増加したハードポイントは当初から6発のミサイルを搭載することができた。 エンジンはオーソドックスな単軸式の構造を採用したかわりに圧縮機に動翼(可変ピッチプロペラのようなもの)を全面採用、さらに実用化されたばかりのチタン合金をふんだんに使用した大型のターボジェットエンジンである。 しかし開発陣はそれに飽き足らず、推力10トンを越えることを目標に新たなターボファンエンジンを開発しており、機体はある程度の余裕をもって設計されていた。 誕生時「未来を先取りした」「三菱鉛筆」と称される「キ‐104」こと8式戦闘機「旭光」はこうして誕生したのであった。 余談ながら、この機体を見たある夢幻会員は――「なんで栄光じゃなくて旭光なんだ?」という謎のコメントを残している。 ――三菱・ノースロップ 8式戦闘機(局地戦闘機/迎撃戦闘機)「旭光」12型 【性能諸元】 全長:17.8m 全幅:8.75m 全高:5.37m 翼面積:31.56平方メートル 乾装重量:8105キログラム 全備重量:15250キログラム 発動機:ネ‐1079(試作名称KRk-J-79)×1基 推力:8560キログラム 最大速度:マッハ2.3(常用時はマッハ2) 実用上昇限度:1万8300メートル 航続距離;3500km(燃料4200キログラム+増槽2400キログラム) 武装:20ミリリボルバーカノン2基(機首) 空対空誘導弾6発 904 :ひゅうが:2012/10/29(月) 17 50 54 【あとがき】――「そうだ、三菱鉛筆を作ろう」と思ったので一本投下いたしました。 緒元は発展型のものを改変しております。
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午前の授業が終わると同時に、私はいそいそと教室を後にした。 午後からバイトがあるわけでもない。 友だちと待ち合わせってわけでもない(待ち合わせをするような友だちなんていない)。 教室の空気が嫌だから私は飛び出したのだ。 「弁当なんて外で食べなさいよ」と心の中でリア充どもに吐き捨てる。 リア充どもは食堂でも、カフェでも、図書館でも、教室でも周囲の迷惑なんてお構いなし。 私のようなぼっち(べ、別に友だちがいないってことじゃないから!他人に迷惑をかける人と付き合いたくないだけなの!)の居場所を奪ってるなんて気付いてないのよね。 授業中だって最前列に座ってるメガネくんのことをキモイキモイって陰口叩いてるし。 やってることが中学生、いや、小学生レベル。 休み時間に一人でぽつんと座ってたら、何を言われるかわからない。 そんなわけで居場所を奪われた私は、休み時間突入とともに、文句も言わず(私は優しいから)、お手洗いに駆け込むの。 さて、食事でもしようかしら。 と思って半畳ほどの私の城に入ると、一枚の張り紙が目に飛び込んできた。 《トイレで食事をするべからず 学生係》 何これ! 意味分かんない! 大学側の横暴だ! 大学も授業妨害を繰り返し、私の安息の邪魔をするリア充どもの味方だったのね! 頭に血がのぼった私はその貼り紙を乱暴に八つ裂きにし、サニタリーボックスに叩き入れた。 私はにおいがするようなものは食べないし、包装を破るときだって細心の注意を払って音を殺している。 クズだって一片も残さないように何度も注意してから、ここから出ていくのに。 なのになぜ? すると城の外から聞こえてきた声に耳を疑ったわ。 「何これ? 便所飯禁止だって」 「けっこうスリリングで楽しかったのに」 リア充どもの声だ! 最近、便所飯(世間的にはこう呼ぶらしいけど、私にとっては立派な食事よ)がマスコミで取り上げられたことがあった。 それでリア充どもが面白がって真似をしていたらしい。 許せない! 教室でも図書室でもバス停でも私たち孤高の戦士(こう表現するとちょっとはぼっちもカッコ良くなるでしょ?)から居場所を奪っておいて、最後の砦まで奪うなんて! ギギギ……とトイレの入り口が閉まる音がする。 私は城を飛び出し、リア充女を追った。 入口を一歩出て右を向くとリア充女どもはいた。 派手な服装に高そうなバッグ。 大学は勉強をするところよ! あいつら絶対に許さないんだから! 結局私は食事を非常階段で済ませて、3限目の教室へギリギリ滑り込んだ。 後ろの方はリア充でいっぱい。 でも平気よ。 私は真ん中よりもちょっと前の辺りに座るようにしてるから。 でも、なんだか様子がおかしい。 あ、そうか。 今日は中間試験をするんだっけ。 リア充ネットワークはすごいわね。 試験があるってだけでいつもの2割増しだなんて。 ていうか民法I〈総則〉は必修なはずよ。 みんないつもサボりすぎ。 私だってたまにはサボりたいのに……。 ううん、1年生のうちからサボり癖がついてないだけマシだと思わないと。 というわけで私は今日は前から3列目の席に腰を下ろした。 5分位遅れて、30代半ばの准教授が登壇し、試験前に少しだけ雑談を始めた。 この先生はいつも雑談が多いのよね。 まともにはじめなさいよ!って言いたくなっちゃう。 授業はとっくに開始されているのに、試験情報を聞きつけたリア充どもが次々に入室してくる。 後ろの方は満杯なので前に押し寄せてくるのがつらい。 「えー、なんでー。人多すぎじゃない?」 ギャルイントネーションでしゃべる声が聞こえる。 どんなツラか見てあげるわ、と思って声の方へ目を向けると、あいつらだ! 私の城を奪ったあいつらだ! この授業取ってたのね! あろうことか私の真後ろに腰を下ろしやがって! 怒りの炎が燃え上がった。 普段は大人しい私も何とかして報復してやろうかと思って知恵を巡らせたわ。 でも、怒りで脳がオーバーヒートしてたみたいで妙案は浮かばない。 しかし、天は私に味方した。 「すみませーん、今日テストですよね」 ギャルAが私の背中をツンツン突く。 私は振り返って、「え、あ、はい」なんて返事をしてしまった。 このときは、「違いますよ、だから帰ってもいいですよ」とでも言えば良かったと一瞬後悔したのよね。 でもギャルAは、 「すみませんが、私たち用事があってあまり授業に出られなかったんですよ」 なんてバレバレのウソを吐く。 サボりかバイトでしょ? それはあんたたちの都合じゃないの! 「これ必修ですよね」 とギャルB。 必修と解っていながらサボったの? あんたたち救えないわね! 「解答し終わったら用紙を少しずらしてもらえませんか?」 それってカンニング? こんなんでよく大学に受かったわね! 国立よ? 入試でもカンニングしたのかしら? 許せないわ! いや、むしろチャンス! 「解りました」 私は大学入学後初めての満面の笑みを浮かべた。 准教授サマの雑談も終了し、問題用紙と解答用紙が配られた。 小問が10題と大問1題がA4の問題用紙に書かれてある。 小問は1問1答、大問は論述。 小問だけで60点もある。 後ろから、「論述のやつは大丈夫です」と声がした。 さすがに論述のカンニングは面倒な上に、丸写しだとマズイと思ったのかそんなことを言ってくる。 「解りました」 私はそう答えて開始の合図とともにシャーペンを走らせた。 一週間後、私は城で食事を済ませ(大学側の横暴には屈しないわ)、授業の開始を待った。 今日はテストがないので先週のように人は多くなかった。 むしろ普段よりも少ないくらい。 試験の翌週は安全日だと思ってるのね。 安全日と思って安心すると痛い目を見るのよね。 これはみんなには秘密だけど、つかさも大学入学直後に安全日だと思って冒険しちゃって、大変な目に合って泣きついてきたっけ。 結局は杞憂だったけどね。 そんなわけでギャルA Bはもちろんいなかったわ。 「中間テストの採点したけど珍回答があったぞ」 いつも通り准教授サマは雑談から入る。 「俺がサービス問題で六法とは何か答えろって問題出しただろ」 私の心は踊る。 「魔法、蓮舫、大鵬、白鵬、旭天鵬、超電磁砲って答えたバカが2人もいて、アハハハハ」 面白いのか途中で噴き出してる。 さすが私よね! 「自分の兄弟は何親等かって問題は2 "頭身"だってよ。アハハハハ、おまえの兄弟はドラえもんかよ、アハハ」 珍解答の紹介は20分にも及んだわ。 そう、あのとき私は小問の答えはウソを書いたの。 小問をウソの解答で埋めて、後ろの二人に見せてから論述問題を解いたの。 ギャルA Bが適当に論述問題を解答して退出(リア充の法則よね。問題を埋めたら試験中であっても帰っちゃうのよね。ぼっちの洞察力をなめてもらっちゃ困るわね)してから、私はちゃんとした答えを書いた。 ちょっとボケすぎかな、と思ったけど、あいつらが馬鹿すぎで助かったわ。 「この2人は単位なしだな。絶対単位やらん」 期待通りの結果ね。 私の城を奪おうとした天罰を下してやったわ。 私の邪魔をするリア充は絶対に許さないんだから!
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WV2ジャンル分け配置系 なぞり系 科捜研系 選択系 丸付け系 数字系 時刻表系 道筋系 ブリジットシリーズ WV(前作)ジャンル分け配置系 なぞり系 選択系 丸付け系 数字系 時刻表系 道筋系 その他 分類方法とその順番は、公式サイトの「問題の種類」と「人気ランキング投票」による WV2ジャンル分け 配置系 配置系 暗号を解き正しく配置せよ! 9問 No.03 絶体絶命、地下迷宮! No.31 かくれんぼロッカー No.44 アメリカン・セーブ No.55 危機一髪、忍者伝説! No.68 注文の多い少年達 No.71 身勝手ゴッドファザー No.82 檻で生きる私の生活 No.88 タイムリミット No.95 呪われし財宝 なぞり系 なぞり系 嘘の証言をなぞって指摘! 12問 No.01 ありふれた男 No.12 僕が眉爺に怒られた訳 No.24 奇妙な我が家 No.34 彼女は知っていた No.43 若さゆえの過ち No.64 震える女 No.70 タイタンで生まれし者 No.76 ミッドナイトフェイク No.80 工事現場の安全は? No.84 まだ死なないで No.89 死にゆく森 No.93 全国泥棒連盟加入試験 科捜研系 科捜研系 科捜研で死亡理由を解明せよ 5問 No.25 クリスマスに殺人を No.53 ニューイヤーに真実を No.79 バレンタインに探検を No.90 ホワイトデーに錯覚を No.99 ウィークデーに卒業を 選択系 選択系 嘘をついている人物を暴け! 10問 No.05 宇宙より愛を込めて No.14 愛の桃を召し上がれ No.23 死者からのメッセージ No.41 空に舞う真実 No.54 憎しみからの脱出 No.65 アメリカン・ポリス No.72 天の上で鐘が鳴る No.78 男が賭けるもの No.85 キャンプ場の幽霊 No.97 虐げられたのは…… 丸付け系 丸付け系 怪しい箇所に丸をつけろ! 9問 No.02 アトリエの罠 No.15 偽りの証明 No.42 友情よ、さようなら No.52 シルバー・パッション No.62 夏休みの怪 No.66 バットの財宝探し No.74 打倒・魔王! No.83 炎の密室 No.94 盗まれた日常 数字系 数字系 謎に隠された数字を入力せよ! 9問 No.11 兄弟 No.22 宝探しマンション No.35 チャンスをつかめ! No.45 決戦は正午 No.63 鬼と呼ばれた男の苦悩 No.75 故国へ No.87 負けるな、お父さん No.91 誇りを賭けた対決 No.100 マリーと黒魔術 時刻表系 時刻表系 西村作品でお馴染みの時刻表トリック! 9問 No.21 見えない宝物 No.32 隠された裏切り No.51 見栄っ張り修学旅行 No.61 機密ファイルリレー No.69 正義の功罪 No.73 千鳥足電鉄 No.81 4人の恋人候補 No.86 6つの島 No.96 最期の依頼 道筋系 道筋系 犯人の足取りを解明しろ! 7問 No.04 スパイシーロード No.13 ブラック・ルート No.33 銭投げ騒動の一件 No.67 スコーピオン脱出! No.77 一方通行の恋 No.92 星に挑んだ怪盗 No.98 迷子のジョセフィーヌ ブリジットシリーズ ブリジットシリーズ スターライン 全ての回路を正しくつなげ! 5問 No.16~20 スターライン 難易度1~5 ブリジットシリーズ 数字探偵 推理して数字を書け! 5問 No.36~40 数字探偵 難易度1~5 ブリジットシリーズ 一網打尽!! 絵柄を揃えるパズルで一網打尽! 5問 No.56~60 一網打尽!! 難易度1~5 ブリジットシリーズ 19BOX 回転させて「19」の組を作れ! 5問 No.06~10 19BOX 難易度1~5 ブリジットシリーズ パズルポリス 泥棒と警官、数を揃えろ! 5問 No.26~30 パズルポリス 難易度1~5 ブリジットシリーズ 辺色 制限時間内に線の色を変えろ! 5問 No.46~50 辺色 難易度1~5 WV(前作)ジャンル分け 配置系 配置系 暗号を解き正しく配置せよ! 3問 No.20 毒ロシアンルーレット No.40 くるりんパズル爆弾 No.50 はっきりして頂戴っ! なぞり系 なぞり系 嘘の証言をなぞって指摘! 8問 No.01 三番街通りの殺人 No.02 僕が警察に怒られた訳 No.12 遺言 No.14 カレーと嘘と小さな恋 No.25 早朝の追走劇 No.28 創られた目撃証言 No.42 やまない雪 No.47 不完全犯罪の男 選択系 選択系 嘘をついている人物を暴け! 10問 No.04 怪しい目撃者たち No.09 泥棒シンデレラ No.17 世界の頂上で悪を裁く No.22 偽メールの証明 No.32 アメリカン・クライム No.39 鴉と燕の二つの塔 No.41 絵師殺し騒動の一件 No.44 嘘つきかけっこ No.45 極寒の決闘 No.48 死体が語ったもの 丸付け系 丸付け系 怪しい箇所に丸をつけろ! 12問 No.03 華麗なる空き巣の栄光 No.05 僕が親父に怒られた訳 No.11 不可解な写真 No.16 不幸なネズミの仕返し No.18 アメリカン・スコープ No.21 崩された正当防衛 No.26 ぶち猫マーブル事件簿 No.29 強欲な女 No.33 かおり No.35 数寄屋騒動の一件 No.37 夫の命を奪ったもの No.43 復讐の末路 数字系 数字系 謎に隠された数字を入力せよ! 4問 No.07 二人と二匹の暗号 No.13 ロッカーの忘れもの No.23 金貨の枚数 No.34 ルージュのメモ 時刻表系 時刻表系 西村作品でお馴染みの時刻表トリック! 5問 No.08 奇妙な依頼 No.24 極秘資料の行方 No.38 アメリカン・ケイブ No.46 E駅絞殺事件 No.49 どたばたアリバイ崩し 道筋系 道筋系 犯人の足取りを解明しろ! 6問 No.06 お嬢の歩いた道 No.15 義賊兄弟の一件 No.19 凶器を探せ! No.27 マリーの記憶 No.31 がんばれ、お父さん No.36 ホーンテッドハウス その他 その他 2問 No.10 命を繋ぐライン No.30 爆弾の場所
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したらば3スレ/(035-054)復讐美少女 哀しみのペナルティキック サッカー マナ 女子高生 復習 河津美麗 空手「アイさん。」ランドセルを背負った私は、仏壇の前で泣いている女性に声をかけた。 まだ新しい額には、笑顔の美少年の写真があった。 「れい君を殺した奴、死刑になるよね?」 アイさん、36歳。彼女は私の唯一の「家族」だ。 5年前、両親を震災で亡くし孤児となった私を、アイさんは里親として育ててくれた。 「死刑にはならないよ、マナちゃん。」 アイさんは言った。「あいつは、未成年だもの」 私は、びっくりした。アイさんの一人息子、中学2年生のれい君を、顔が2倍に腫れ上がるまで殴って殺した「あいつ」が死刑にならないなんて。何も悪いことをしていないれい君を、ただ目があったという理由で、「あいつ」は嬲り殺したのに。 成績優秀、スポーツ万能、そしてイケメンのれい君は私の憧れだった。5年前の震災でれい君は父を失い、それ以来お母さんのアイさんを支えてきた。そして私を実の妹のように可愛がってくれた。 不良少年の「あいつ」は、先週の日曜日、近所の路上でたまたま出会ったれい君に暴行して殴り殺した。 れい君は空手有段者。それも中学の関東大会で入賞したレベルだ。その辺のヤンキーより遥かに強い。なのに、優しいれい君は喧嘩を売られて買う様な人じゃなかった。無抵抗を貫いて殺されてしまったのか。 もし、近くに私がいたら、助けられたかもしれない。 私、マナは小学5年生。サッカー少女だ。尤もれい君みたいに何か実績があるわけでもない平凡な選手だけれど。男子と喧嘩して勝つくらい根性はある。 (その後、アイさんに凄く怒られて謝りに行ったけれど。) 私だったらやり返すのに。負けたと思うけれど、殺されることはなかったかもしれない。 れい君の遺影は穏やかに微笑んでいる。バカだと思った。れい君が本気を出せば返り討ちにできたのに。 非暴力とか無抵抗とかおかしいよ。 私の眼から涙が噴き出す。 半年後、私はアイさんと一緒に電車に乗って、裁判所に向かった。このところ様子がおかしかったアイさんの眼は赤く腫れ、真っ青な顔をしていた。 家庭裁判所から逆送致され、刑事裁判にかけられた、れいくん殺しの「あいつ」の判決公判を傍聴するためだ。 「被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。」 眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな裁判官は言った。 執行猶予、それは刑務所に入らないこと。 MHKの日刊こどもニュースの上池さんが先月テレビで言っていた話だから、小学4年生の私でも分かる。 れいくんは死んだのに、「あいつ」は自由の身になる。少年の人権が大切だ、やり直す機会を与えよ、厳罰は人権侵害だーこれがオトナたちのルールだ。 泣き崩れるアイさん。力が抜けて、れい君の遺影を床に落としてしまった。私は、床に転がるれい君の遺影を慌てて拾い上げる。 「あいつ」に殴られて地面に転がる、瀕死のれい君を連想してしまったのだ。 その時、「あいつ」の声がした。 「ぎゃーぎゃーうるせえんだよ、おばさん!」 大声をあげて泣く、アイさんが罵倒されていた。 「文句あんなら俺とタイマン張るか?まあ、女なんて一発でぶっ殺してやるけれど。俺は空手で関東大会出た奴をぶっ殺すくらい強いんだぜ!お前の、息子のれいっ奴、糞弱かったぞ!」 「退廷を命じます」裁判官の厳しい声がする。 私の世界から音が消えた。 「おい、小平キヨタカ!ウチが大きくなったらお前と決闘するから、その時まで待ってろよ」自分でも聞いたことがない太くて低い声が、私の小さな口から飛び出した。 やっと、あいつ=小平キヨタカの名前が言えた。 小平は怪訝な顔をしてこっちをみたが、すぐに職員とともに出ていった。これ以上暴れて、執行猶予を取り消されたらたまらないと思ったんだろう。 身長185センチ、筋肉ムキムキの肉体。 あいつを倒すためには、子供の私では無理だろう。 でも、私は運動神経がいい。背ももっと伸びて、サッカーで身体能力を鍛えれば戦える。 うちのクラスのやんちゃな男の子がやっている空手教室に通うのもいいだろう。 控え室で、アイさんが言ってきた。 「マナちゃん、あんなこと言って逆恨みされたら、私たち殺されちゃう。やめなさい」 私は言った。 「アイさん。私が小平キヨタカを殺してあげます。」 アイさんの身体が震えだす。「あいつ」の名前を聞くだけでいつもこうなるのだ。 「大丈夫です。私が強くなってれい君の仇を討つよ。待っていてね」 私はアイさんを抱きしめる。まだ、アイさんのほうが大きかったが。昔、両親を失った私に、アイさんがしたように。アイさん自身、あの震災で夫を亡くしていたのに。アイさんとれい君は一家の大黒柱を失って、必死で生きてきたのだ。 その絆を断ち切った小平が憎い。 私、マナは鬼になった。 れい君を殺した小平キヨヒコが自由の身になって数ヶ月後。 マナの生活は一変していた。 私とアイさんの二人きりの生活が始まった。 何事もなかったように私は学校に行き、アイさんは仕事に出掛けた。 私は、アイさんに頼んで、近所の空手道場に通わせてもらうようになった。 サッカークラブの練習が終わった後、ユニフォームを道着に着替えて、2時間の稽古に励む。 体力的にきつかったが、いつか、れい君の仇を取るためだと思って必死で練習した。 サッカーで鍛えていた私は、蹴りが得意だった。 前蹴り、まわし蹴り、足刀、三日月蹴り。すぐにできるようになった。 街で小平キヨヒコにばったり会ったら、まずは金的に得意の前蹴りを入れて倒そう。そして、倒れた小平の頭をサッカーボールのように蹴って殺してやる。 私は黒い願いに導かれ、稽古に没頭した。 組み手の相手に「マナさん怖い」と恐れられるくらいだった。 「マナちゃん」 れい君の初めての命日の夜。 サッカーと空手の練習から真っ黒に日焼けして帰ってきた私を、アイさんは呼び止めた。 「最近、身体が男の子みたいに強くなって来たわね。どうしてそんなに鍛えているの」 私は一瞬固まったが、落ち着いて言った。 「私ね、スタントウーマンみたいな強い大人の女の人に憧れているの」 口からでまかせの嘘をついた。 だが、アイさんは騙せなかった。 「小平キヨヒコを殺すためね」 「違うよ。裁判のときは私、つい怒ってあんなことを」 アイさんの眼は厳しく、そして悲しげに潤んでいた。 「嘘おっしゃい。マナちゃんのスマホの履歴みたらわかるよ。小平キヨヒコがツイッターやってんの見つけたんでしょ。東京に引っ越したんだっけ、あいつ」 私は動けなかった。全部見透かされていた。 「人のスマホ、勝手に見るなよ!馬鹿!」私はアイさんに怒鳴ると部屋を飛び出した。アイさんにこんなこと言うのは初めてだ。 自分の部屋に籠もった。 しばらくして涙が出てきた。 れい君が死んだ日から今日までのことが込み上げてきた。やっぱりあいつが憎い。 「マナちゃん。」 階段の下から、2階に向かってアイさんの声がした。 「どんなに悪い人でも殺しちゃ駄目よ。マナちゃんが刑務所に入れられてしまうの、嫌だから」 そして、最後に小声で付け加えた。 「もしマナちゃんが殺したくなったら、ママが代わりに殺してやるから。」 アイさんは普段、私に対して絶対に自分のことをママ、って言わない。震災で亡くなった私のママに配慮しているからだ。 その言葉はれい君に向けられたアイさんの心の声か。 いくつもの季節が過ぎ去り、マナは中学校に入学した。サッカーに熱中する傍ら、空手も続けた。学業でもいい成績を修める彼女は優等生として学校では通っていたが、その実態はインターネットを通してある男を追い、その命をつけ狙う刺客だった。 学年でもトップクラスの成績に、自分で言うのはどうかと思うが結構美人。でも、私は恋もせず、友達もほとんど作らず、ただれい君を殺した小平キヨヒコの命をとることを考え続けた。 小平は、ツイッターで自分の近況を書き込む。 私の様な「カタキ」がいることを知らないのだろう。馬鹿な奴だ。 空手道場は勉強と部活で忙しくなったから辞めたけれど、毎晩のように突きや蹴りの練習はしていた。 れい君が殺されて3年がたった秋の日曜日、私はインターネットで知り合ったある女性の自宅へ行った。 河津美麗さん、28歳。身長170センチという女性としては相当な長身に、長く伸ばした綺麗な黒髪。 物腰は柔らかく、一見おとなしそうに見える。 彼女は被害者遺族だった。15年前、シングルマザーだった母親を不良少年にレイプされて殺されたのだった。 私と彼女は去年出会った。心理カウンセラーの仕事をしていた彼女をアイさんが私に紹介した。 私の良きお姉さんのような存在にしようと思ったか。 河津さんは留守だったのでその間、私は庭で空手の練習をした。小平キヨヒコはキックボクシングのジムに通っているらしい。身長185センチの20歳そこそこの格闘技経験のある大男を倒すためには、もっともっと強くならなきゃ。 寒い日だったが、私は気合を入れるため、革靴と白のソックスを脱ぎ捨てる。宙に小平の憎たらしい顔を思い浮かべて、蹴りを繰り出す。裸足の足裏は冷えるが、れい君の無念を考えたら何ともない。 「かっこいいわね。でもそんなんじゃまだ憎い奴は殺せないよ。」後ろで声がした。 私は、振り返る。 黒髪ロングの美しい女性。私より15センチも背が高い河津美麗さんだ。 「すいません。私、空手やっているんで、つい練習したくなってしまって。」私は謝る。恥ずかしい。 「何のために空手やってんの?」河津さんは聞いてきた。 「護身のためです。れい君の事件もあって私、怖くて。」咄嗟に答える。れい君のカタキウチだなんて言えない。 でも河津さんは知っていた。アイさんが、インターネットで出会った心理カウンセラーの女性。 騙せない。 「嘘ね。あなたが空手を習うのは、れい君だったかな?兄代わりだった優しい男の子の仇を取るためね。」 バレてしまった。 これから、この人は、復讐は何も生まないだとか、何があっても人を殺しちゃいけないとか言うだろう。 小平を殺してもれい君は帰らないとか。 綺麗事を言うのがこの人の仕事だ。 「河津さん、私を止める気でしょ?私、誰になんて言われてもやるからね。れい君の命は、奪っても刑務所に入らなくていいような軽いものじゃない!私、絶対小平に報いを受けさせるの。」 「ヤーッ!」 その時、河津さんは庭の大きな石を素手で叩き割った。硬そうな石がバラバラになった。 「河津さん?」私は言った。一体どうしたのか。 「マナちゃん、私も空手やっていたの。」 河津さんは表情を変えずに言った。 「今のマナちゃんと同じ年齢からね。同じ動機でね。」 河津さんの眼が潤む。 いつもの冷静なカウンセラーではなく、最愛の母親を殺された少女の顔だった。私と似てる。 「お母さんにあんなことして殺した少年が死刑どころか3年で社会復帰するって知った時、私は決めたの。私の手で死刑にするって。相手は強そうなヤンキーだったから、私はもっと強くならなくてはと思って。ずっと必死で空手をやってきたの。」 河津さんは話し続ける。いつもと違う、低い声だった。 「朝から晩まで身体鍛えて、高校も行かなくて。 あいつは出所して、近所に帰ってきたことが分かった。私は17歳になってた。けれどね殺さなかったんだ。」 「何故ですか」私は尋ねる。心臓の音が自分の胸からはっきりと聴こえる。喉が乾いた。 臆病な私は、自分が人を殺す計画は平気で考えられる癖に、他人の殺人の話を恐れるのだ。 「怖かったの。人を殺すってことが。あいつと同じ悪魔になりたくなかった。そしたらね。」 河津さんの眼から涙がこぼれ落ちる。 低温で押し留められてきた氷が春先に融解するような感じだ。 私達の季節は逆にこれから凍って行くのに。 「あいつは、再犯したの。3人も女性を襲って、殺害したの。私みたいな孤児がまた出てしまった。」 河津さんは震えていた。 「私が仇を討っていたら、罪なき人の命が救えたのにね。あいつはもうすぐ死刑よ。もう私の手では復讐できない。」 それから、河津さんが言った。マナちゃん、絶対仇を討とうね。再犯を未然に防ぐのは私たち遺族の義務よ。私の鍛えた空手技を教えるから、と。 私と河津さんの鍛錬の日々が始まった。 「マナ!もっと気合入れろ!そんな突きで男を殺せるかよ!」 河津さんの大声が耳を劈く。髪を短く縛り、空手着を着た彼女は、いつもの大人しい河津美麗じゃない。 「押忍!」私は力を込めて正拳突きを繰り出す。 私の苦手だった突きは次第に速く、鋭くなる。 毎週末、河津さんの自宅で続けた空手の稽古。 実戦的な武道に精通している河津さんは、私のサッカーと空手で鍛えた手足を殺人兵器に変えてくれる。 「女の身体は、男より脆くできている。けれど、女は男より痛みに強くできている。女の根性を発揮すれば絶対勝てるわ。」 河津さんの言葉を私は励みにした。 れい君、仇はもうすぐ取るからね。 私は決めていた。18歳まで待つと。 18歳になれば、大人と変わらない刑罰を受ける年長少年。自分は少年法を利用して己の罪を軽くした小平キヨヒコみたいにはならないと。 「俺、17歳だから死刑になるわけねえじゃん!」 アイさんの「犯人を死刑にしてほしい」という必死の意見陳述を嘲笑った、小平キヨヒコの下品な笑い顔が思い浮かんだからだ。 河津さんから空手を教わり、サッカーでは県高校大会でベスト4まで進み、そして勉強に励んだ私は、東橋大学に合格した。東橋大学は東京にある難関大学だった。よくあそこまで勉強したと、我ながら感心する。 でも私の目的は、勉強でも研究でも就職でもなかった。アイさんに頼んで上京させてもらうためだ。 「マナちゃんが東橋大学に合格するなんて思いもしなかったよ。本当に嬉しい。」 アイさんは笑顔で喜んでくれた。 これまで以上に頑張ってお金を貯めるから上京させてくれるらしい。 私は、胸が苦しかった。上京したらすぐ、私は殺人犯になるつもりだから。 出発の前日、私は寂しくなってアイさんの寝室で一緒に寝た。れい君が殺された日から数週間、憔悴するアイさんを元気づけるために四六時中一緒に行動していた時期以来だ。 アイさんの寝顔を見ていた。もう40過ぎなのに美貌は全く衰えない。河津さんのクールな美人顔とは一味違う、人懐っこそうなかわいい顔だ。 れい君に似ている。 私は、仏壇の前に行き、れい君の遺影を見た。 毎晩のように、このかっこいい顔を見て、うっとりしていた自分がいた。 「れい君、私は東橋に受かったよ。けれどね、すぐ辞める気なんだ。れい君の仇を討つんだ。」 備えてあった、れい君の愛用のミサンガ。 10年近く前、アイさんがれい君の空手の大会のときに買ってきたものだ。これを足につけて、れい君は戦っていた。 それを今度は私が足につけた。 絶対やり遂げる。 早生まれの私は、その日が18歳の誕生日だった。 上京して3週間たった雨の夜。 夜10時、東京でも郊外の住宅街は人通りが絶える。 私は、小平キヨヒコの住むマンションの前にいた。 河津さんが、小平の住所を私に教えてくれた。 私は小平の生活習慣を知っている。今日は平日の夜、小平はこれから24時間営業のスポーツジムへ行く。 彼が家から出て来たら襲いかかるつもりだ。 4月にしては寒い夜。静かな雨だ。 顔に雨粒がかかって、私は昨夏の女子サッカー県高校大会の準決勝の日を思い出した。 相手チームは全国優勝経験もある強豪だった。後半40分まで1対0で負けていた。フォワードの私が途中出場でピッチに入った。準々決勝で怪我をしてベンチスタートだった私。3分後に味方が得たフリーキックを私は蹴った。自分でも惚れ惚れするような美しい軌道を描いてボールがゴールに入った。あんな強烈なシュートを打てたのは、小さい頃からやってきたサッカーの練習だけでなく、河津さんとやってきた空手の稽古も功を奏したのかもしれない。 私の起死回生のゴールで駆け寄ってきたチームメートたちの笑顔を思い出し、胸が熱くなる。 マナ、勝てるって!という声が聴こえる。 だが、約30分後に私たちの最後の夏は終わった。 延長後半4分、私たちのキーパーのミスから勝ち越された。途中出場で体力が有り余っていた私は、味方を鼓舞しながら走った。延長後半アディショナルタイム。 私は相手からボールを奪い、ゴールへ走った。自分で決める。この仲間とまだサッカーを続けたい。 後ろから倒された。怪我していた右脚を痛めて私は転がった。相手チームのディフェンダーが反則覚悟でぶつかって来たのだ。 私は脚を抑えて、位置を確認した。やった!ペナルティーエリア内だ。審判は、ペナルティースポットを指さすに違いない。私が同点のペナルティーキックを叩き込んでやる。 ところが、審判はPKを取らなかった。どうして? 私たちは信じられない。逆にイエローカードを提示された。 シミュレーションだと判断されたらしい。 思い当たる節があるとすれば、私は既に怪我をしていたので、相手と接触した直後、重傷を恐れて踏ん張らずに倒れ込んだ。審判からしたらわざと転んだように見えたかもしれない。 もしもあのとき、日本の田舎の高校サッカー大会にVARがあったら私たちは決勝戦に進めたかもしれない。 判定に納得できない私の耳に笛の音が聞こえた。 試合終了。夏が終わった。 今日のような優しい雨が、ピッチに崩れ落ちた私たちを包み込んでくれた。 「PKを決めても誰も覚えていないが、PKを外したら誰も忘れない」って言った偉大なサッカー選手がいた。 もらえるはずのPKを蹴らせてもらえなかった私を、誰が覚えてくれるのだろうか。 ロッカールームでみんなで抱き合って泣いていた。 こんなに泣くのはれい君が死んだ時以来だ。 もしも雨が降り続けるとしてもやまない雨はないと思うより他はなかった。 刑務所に行くつもりの私の、青春の思い出を心に浮かべてみたら、玄関から小平が出て来た。間違いない、あの男だ。 さあ、れい君。強くなった私が仇を討つよ。見ていてね。 小平キヨヒコ、24歳。身長185センチ体重78キロの筋肉質の身体。金髪。格闘技で鍛えた丸太のような太い腕に入れ墨を入れ、不気味なまでに凶暴そうな風体の大男。 私は、7年前裁判所で見たときよりさらに強く怖そうな男に成長した小平に恐怖を抱いた。 だが、私だって成長した。私の拳は岩だって砕けるし、私の蹴りに耐えられる男なんていない。 背は小さいが私の身体は今や筋肉の塊なのだ。 「小平キヨヒコさんですか?」私は男に声をかける 「あ?そうだけどなんか用か」男は応える アイさんの門前でれい君を侮辱したあの日の声と変わっていない。 「私の名はマナ。あなたが殺した少年の母親に育てられた女よ」 「てめえ!」 小平は一瞬怯んだがすぐに調子を取り戻す 「大きくなったら決闘するとか言っていた奴か」 見かけによらず記憶力がいいやつだ。 もしかしたら小学生だった私の殺意表明にビビっていたのかもしれない。 「そう。私、空手強いからあんたをぶっ殺せるよ。あんたがれい君を殺したみたいにしてやるからタイマン張ろうよ」 小平は言った。 「おう、受けて立とうじゃん。俺はムショ行きたくないからお前を殺さないよ。ボコボコにしてエロいことはするけれどな!」 私は小平を睨みつけた。こいつ、どこまで舐める気だろう。 「ここじゃ近所の人に通報されちゃうからどこでやる?」 私が尋ねる。 「俺の行っているジムでやろうぜ。逃げるんだったら今のうちだぞ!」 私は小平についていった。逃げる気なんて毛頭ない。 5分ほど立って、住宅街を抜けた。 近くには公園があるだけ。夜だから誰もいない。 雨の音と小平の傘の音がするだけ。 私は笑えてきた。 殺し合う相手と相合い傘をする自分が滑稽だった。 小平に至っては私を倒したあとのことを妄想してニヤけている。 その時だった。 目の前に何かが光り、私の腹に入った。胃が熱くなった。 私はあっさりと転倒する。 小平が鋭利な刃物を持って、私の方を見ていた。 油断していた。 「馬鹿野郎、俺が決闘するとでも思ったか? ここで殺してやるんだよ」 私は腹を突かれて力が入らない。ピンチだ。 信じた私が馬鹿だった。 小平は私の上着を脱がせ、靴とソックスを取った。 私は抵抗できない。血はだらだらと流れる。 情けないけれど刺された位置が悪かった。 全く手足が動かない。 アイさん、れい君、仇を討てなくてごめんね。 お父さん、お母さん、2人がくれた健康な身体をこんな男に汚されてすいません。 私の目から涙が滴り落ちた。 「本当に馬鹿だな、無抵抗主義のれいとかいう奴と一緒だな。武道やってる奴なんて、やられてもやり返さないカスとかお前みたいなお人好し馬鹿ばっか」 小平が笑う。 れい君を馬鹿にした。 優しいれい君をまた馬鹿にしやがった。 私の身体が軽くなった。 もう自分のことなんてどうでもいい。 「れい君の仇、いい加減にしろ!」 私は叫ぶと小平の胸に跳び蹴りを入れた。 自分でも信じられないほど身体が動く。 「クソ!」小平はナイフを取り落とす。 私の蹴りを受けて気絶しないのはそれでもこいつは余程の格闘家だからだろう。 着地した私に小平はストレートパンチを入れる。 私はすんでのところで交わし、逆に河津さん秘伝の突きを小平の金的に入れた。 「うわあ」小平の情けない声。 私の腹から痛みが消えた。腹の切り傷から流れる私の血より目の前の憎い男から多くの血を流させてやる。 小平の必死のハイキックが飛んでくる。 私は小平の足を手刀で受け止める。 その辺の格闘家の蹴る力より、毎日逆立ち腕立て伏せを続けた私の腕力のほうが強い。 「小平キヨヒコ!れい君の痛み、アイさんの悔しさ、全部思い知らせてやるから覚悟せえよ」 私は小平の顔面にまわし蹴りを当てた。 小平の鼻は折れ、歯が吹っ飛ぶ。 小平は私の腕を掴む。足をかけて投げる気だ。 もしかけられたら形勢逆転していただろう。 しかし、サッカーで鍛えた私の俊敏さがここで活きた。 私は逆に小平のもう一方の腕を捻じ曲げてやった。 小平はなすすべなく離れる。 私は裸足の足を自らの頭の上に上げた。 得意の踵落とし。 頭にバッサリと決めたら小平は、泡を吹いて倒れてしまった。 素足で壁や岩を蹴り続けた私の足を舐めたらいけない。 それでも小平は私に抵抗してくる。 私は小平の首を締め上げる。 真っ青な小平の顔。まだまだれい君の苦しそうな死に顔に比べたら甘い。 私は小平の腹を何度も殴った。 卑怯にも私の腹を刺した仕返しだ。 小平の口から血が溢れる。 「汚えな」私は嘲笑う。汚いのは私の言葉遣いなんだが。 「私の力を思い知ったか」 小平は手を合わせてきた。 命乞いか。しかし、もう遅い。 「私はあんたが思うほどお人好しじゃない。れい君を殺した報いは受けてもらうよ。」 倒れる小平を近くの公園の木にもたれさせた。 私はトドメを刺すことにした。 足に力を込めた。 審判(裁判所)の判定は間違っている。 こいつは更生しない。 私が、ペナルティーキックをこいつにお見舞いしてけじめをつける。 私の頭に、ペナルティーキックの笛がなる。 私は小平の首に鋭い前蹴りを入れた。 私の足は小平の喉を突き、その息を止めた。 人生で最も上手く決まった蹴りだったと思う。 小平は硬直して崩れ落ちた。 脈と呼吸が止まった。やった。 私は息絶えた小平の顔を踏みつけた。 腹の傷の痛みが戻ってきた。
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彼が放つのは、共鳴できる魂に縛られぬ、怒りに満ちた力だ。 He wields the full power of wrath unfettered by the sympathies of a soul. 闇の隆盛 【M TG Wiki】 名前
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imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Demigod of Revenge.jpg) 「彼は天を切り刻みながら、それが死人のような叫び声を上げて血を流すのを見て笑ったのだ。」 ――「予見者の寓話」 "His laugh, a bellowing, deathly din, slices through the heavens, making them bleed." ――The Seer's Parables シャドウムーア 【M TG Wiki】 名前
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1 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 22 31 04.38 ID eMVtxjq5] 二岡「(モップの上下を)切り替えていく」 2 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 22 32 00.23 ID URRR+P/Z] 二岡「ウェルカムですよ」 4 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 22 34 40.77 ID 75HeoJuF] ちょうど今スラムダンク読んでたwww 5 名前:どうですか解説の名無しさん mailto sage [2007/11/19(月) 22 37 41.93 ID qlEl9bU0] 木暮「Why」 6 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 23 06 37.49 ID FQ9qyhGZ] 二岡「原監督…野球が…したいです…」 8 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 23 14 06.84 ID ykl/nvpD] リュウケツあるで 11 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 23 22 16.61 ID C+MBDYuB] おう、俺は二岡。あきらめの悪い男 12 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 23 24 49.04 ID 678SiryV] ナカニチは俺が倒す! by天才二岡 14 名前:どうですか解説の名無しさん [2007/11/19(月) 23 33 40.88 ID nWuqQ+y7] 流川「(流血対策は)やってねぇよ」
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黒い何かを当てられる。 瞬間、額から鉄特有のひんやりとした無機質な冷たさが波音の様に広がっていく様な感触が広がる。 広がる、広がる、広がる、広がる、広がる、 広がる、広がる、広がる、広がる、 広がる、広がる、広がる、 広がる、広がる、 広がる、 体全体に確実に広がる冷たさだ。 この冷たさは体のどの位置まで伝わっただろうか? 「うわああああぁぁぁぁぁぁ」 銃から逃れる様に俺は彼女から遠ざかる。 しかし、当然主導権を握っているのは彼女であり……、 引き金を引く指を止める事は出来ない。 バーン! 「ぐぁ……」 腕からは今までの人生で何度見たかわからない血の色がまた流れていた。 「……いてぇ」 頭を狙った一撃であったのだが、離れたおかげで隙が生じ、なんとか腕でガードくらいは出来た。 よってなんとか右腕の流血程度で済んだ。 「日本人は……殺さないと……、殺さないと、殺さないと」 しかし未だ彼女の催眠術の様なものは消えない。 おそらくこれは彼女の意志での攻撃ではない。 先ほど髪の長い少女からの攻撃を助けてくれた時。 今の暴走して日本人を殺すと呟いている今。 別人の様な人格だ。 「殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと殺さないと日本人、日本人、日本人、日本人……、ダメ殺しちゃ……、守らなくちゃ日本人は。守る、殺す、守る、殺す殺す殺す」 彼女からは2つの意志が見える。 殺すか守るか。 「ただの悪人ではないみたいだな……」 それなら良かった。 ただの悪人なら恐らくもう死んでいただろうしな。 「日本人は……」 そして彼女の葛藤。 恐らくよほど強い催眠術なのだろう。 細い体の肉体には、どれだけ強い意志が混ざっているのだろう。 俺達一般人には計り知れないほどの強い意志だろう。 「まも……殺さないと!」 そして完全に目が赤く浸食する。 くそっ、だが予告があったぶんなら対抗出来る。 彼女は銃を構えるので、俺は目の前に立つ。 弾切れは多分次かその次くらいだ。 それまで耐えられれば……。 「来いっ!」 「……」 彼女は無抵抗の様に立つ俺を警戒している。 ただ暴走するだけでなく知能まである暴走だ。 やりにくいったらないな。 「殺さないとぉ!」 引き金が放たれる。 俺は横に飛ぼうと両足に力を入れる。 人生最大の力で。 「しまっ……!?」 だがそれがアダになった。 力が強過ぎて砂浜に埋まりそうになりタイミングが失った。 足場が悪い砂浜はさっきからマイナス面にしか働かない……。 「ちくしょぉぉぉぉ」 砂浜に倒れようとする。 動けないならば倒れる。 こちらは逆にアスファルトよりも衝撃を和らげる砂だ。 ようやくプラス面に働く。 が。 銃弾はそこまで俺を待ってはくれなかった。 「がぁぁ!?」 脇腹に命中。 血がまばらに吹き出され、辺りを少量の血がばらまかれる。 しかも2発、同じ場所を抉られる。 着ていた制服も防弾チョッキの様な役割を果たす事なく、見る影のない形に風で流された。 「日本人は殺さないと!」 また銃を構えられる。 倒れている俺はもはや逃げられない。 「ジ・エンドか……」 既に俺は死んでいてもおかしくない目に合っていた。 現にクラスメートや先生も殺された。 みんな、みんな惨い死に方だった。 生き残れたのがたまたま哲志、中嶋、篠崎、由香ちゃん、俺であっただけ。 しかも由香ちゃんは既に見せしめの役割でまた惨い死に方で命を経った。 首が飛んだのだからな。 「次は俺か……」 ごめんなみんな……。 篠崎……、お前を守って、死にたかったな……。 また銃口を当てられる。 広がる冷たさは未だに慣れてはいない。 多分何回当てられても慣れるはずないな。 「日本人は殺さないと……」 ――引き金が引かれる。 ようやく俺は死んでしまうらしい。 ――――― 「……」 岸沼良樹とユフィ。 勝敗はユフィの勝利となるはずであった。 だが、その勝利は未だに勝ち取ってはいなかった。 「弾が……」 カチカチと彼女が引き金を引くがどうやらニードルガンの弾である針が無くなったらしい。 これはユフィにはどうする事も出来ない。 弾を詰め替えていたら彼女は岸沼を逃がしてしまうのだから。 「き、奇跡だ……」 岸沼は冗談なのではないかという疑問が沸いていたがどうやら杞憂であった。 岸沼はその場から逃げ出す。 貴族の少女である自分は追いつけない。 ユフィはわかっていた。 なのでユフィの選択肢に岸沼を追う行動はなかった。 「……あれ?私は一体?」 そして岸沼が居なくなってようやくギアスが解ける。 自分が殺し合いに乗った髪の長い少女を金髪の少年を助けてからの記憶が曖昧であり、しかもその金髪の少年は居なくなっている。 「……やっぱり私は最近、変だなぁ」 ギアスの影響に気付いていない。 ユフィは疲れた顔をして何故か弾切れになっていたニードルガンの弾を詰め替えた。 「待っててルルーシュもスザクも。必ずお父様の暴走を食い止めましょう」 自分の暴走に気付かない少女は父親の暴走を止める為、立ち上がった。 【A-7 砂浜/黎明】 【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【装備:ニードルガン6/6@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【所持品:支給品一式 ニードルガンのトゲ6/12@コードギアス 反逆のルルーシュ ランダム支給品×2】 【状態:健康、ギアス】 【思考・行動】 1:ルルーシュやスザクと共に父親を説得し、バトルロワイアルを終わらせる。 【備考】 ※死亡後からの参戦です。 ※彼女は現在『日本人を殺す』ギアスの呪いにかかっています。このギアスは人を強制させるものなのでユフィに抑える事は不可能です。 ――――― 「さっきから踏んだり蹴ったりじゃねぇかよっ!クソッ!」 一度は諦めた命。 だが、助かってしまった為にまた命が惜しくなってしまう岸沼であった。 「俺も武装とかしていた方が良いかもしれないな」 デイパックを漁る。 先ほどは名簿しか見ていなかった岸沼なので中身はまだよくわからなかったのだ。 「なんだこれ?長ドスか?」 中からは細い刀の様な長ドスが出てきた。 この長ドスを片手に持っていつでも襲われても良い様に準備をした。 「篠崎を見つけてやらねぇと」 殺し合いなんかはしたくない。 もう血を見るのはごめんだ。見せるのも嫌だ。 だから篠崎を俺が護ってやらねぇと。 無意識に岸沼の手に力が籠もり手汗が出てくる。 「っと、また参加者だ」 開始2、3時間ぐらいしか経ってないはずなのだが既に岸沼はこれで3人目との邂逅であった。 しかもまた女性。 岸沼は声をかけるのを躊躇った。 (あいつは信頼出来るのか?……しかし今日の俺は女難の相があるしな……) これぐらい不幸が続くと流石に自分の不幸に気付く岸沼であった。 (クソッ!あぁ、どうすれば良いんだよっ!) と、彼女に振り向かれ気付かれてしまった。 女性の名は水瀬名雪。 先ほど『岸沼良樹』に殺された女である。 ――――― 「あと……、どうも」 岸沼が頭を下げる。 まずは自分から刺激をしない様にである。 彼女は長ドスに目が行っていたが、急に襲いかかる者ではなかった。 「私は水瀬名雪だよ」 「お、俺は……岸沼良樹だ」 名乗った瞬間。 名雪の眉がピクリと動く。 彼女にとっての『岸沼良樹』は執事服を着たちょっと美形の人。 彼女はこの岸沼良樹が偽名を名乗っている事にすぐに気付いた。 実際は先ほどの『岸沼良樹』の方が偽物であるのだが……。 (また岸沼良樹か。この人は信頼出来ないけど……、襲うつもりはないみたいだね。ならこの人と行動して必ず殺しチャオ♪) 名雪の心の中で目の前の『岸沼良樹(偽)』に対し憎悪の炎がメラメラと燃え上がる。 (利用するだけ利用して必ずこの『岸沼良樹(仮)』を殺してオリジナルの『岸沼良樹』も殺す) 名雪は岸沼を心の中であざ笑った。 「俺は殺し合いをするつもりはない」 「私も殺し合いなんかしないよ〜」 間延びした様な声。 そんな声を出された時には岸沼の中では水瀬名雪は信頼出来る人物と認識していた。 「俺は篠崎あゆみって奴を探しているんだ」 「私は相沢祐一を探しているんだよ〜」 お互いがお互いの探し人を聞く。 この探し人なら信頼出来るという証にも繋がるのであった。 (よし、仲間が出来たぜ!こうやって順調に仲間を集めていこう!) 信頼する者。 (利用出来る人は出来るだけ利用して祐一の探索に付き合ってもらう。岸沼良樹(仮)は嘘を付いた罰で利用するだけでなく目の前で篠崎あゆみを殺してあげるよ) 信頼しない者。 両者が顕著に現れていた。 (バトルロワイアルを終わらせてやる!/祐一と私だけがこのゲームで生き残る!) お互いが心の底で笑いあった。 本当に笑う時がくるとすればどちらが笑う瞬間がくるのか、この段階ではまだ誰にもわからない。 誰にも、誰にも、誰にもである。 【岸沼良樹@コープスパーティー】 【装備:長ドス@Angel Beats!】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:右腕、脇腹に銃痕】 【思考・行動】 1:篠崎を探して護る 2:殺し合いには乗らない 3:水瀬と協力する 【備考】 ※本編クリア後からの参戦。 ※ユフィになんらかの催眠術がかけられていると思っています。 ※名雪に信頼されていない事に気付いていません。 【水瀬名雪@Kanon】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式 白いハンカチ@現実 ランダム支給品×2】 【状態:健康、憎しみ】 【思考・行動】 1:祐一と自身の生存 2:参加者を利用して殺す。特に『岸沼良樹』だけは自分が殺す。 3:『岸沼良樹(偽)』は誰より利用して、目の前で篠崎あゆみを殺す。 【備考】 ※名雪ルート後からの参戦。 ※瀬川虎鉄を岸沼良樹と誤認しています。 ※岸沼良樹本人を偽物だと思っています。 【長ドス@Angel Beats!】 死んだ世界戦線の藤巻の武器。普段は木の棒みたいだが、実は刀になっている。 「ミッションスタートだ」 時系列 終わりのクロニクル とある最強の一方通行 投下順 朱く染まれ、すれ違い綺羅の夢を 俺の救世主さま 岸沼良樹 [[]] 這い寄る混沌 水瀬名雪 [[]] 俺の救世主さま ユーフェミア・リ・ブリタニア [[]]