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「私たちって、浮いた話ないよね」 昼休みのいつもの四人組。こなたも女子高生なのだから、そんな話題を振ってくること 自体はおかしくない。 「あんた、彼氏作ろうともしてないだろ」 おかしくはないのだが、やはりこなたにこんな話は似合わないような気がして、かがみ はつっけんどんに言い返した。 「つかさなんて男受けしそうじゃん。今まで声かけられたことないの?」 「私はそんな……」 「つかさはこれで人見知りするからね」 困惑気味のつかさに、かがみは助け舟を出した。 「お姉ちゃんがガードしてるから手を出せないわけだ」 「確かに、かがみさんを見てるとそんな感じですね」 「うっ……」 こなただけでなく、みゆきにまで言われてしまっては反論できなかった。 「なるほどね、つかさを攻略したかったらかがみに認めてもらわないといけないわけだ」 「攻略言うな。それにそんな、私が頑固親父みたいな言い方……。確かに、信用できない やつにつかさを任せたくはないけどさ……」 「かがみの気持ちもわかるけどね。つかさってドジっ子だし」 「はうっ!?」 そう、つかさは抜けてるところがあるから、目を離せない。生まれてこの方、つかさか ら目を離したことはない。 「でも、かがみのハードルって高そうだよね」 「そりゃあね、よほどのものじゃなきゃつかさは任せられないわよ」 「私、そんなに……」 よくよく考えてみれば、つかさに酷い物言いをしたような気がしないでもない。 「あえて言うならみゆきぐらいなものね」 「私、信用されてないの!?」 「こなただって、どっちかと言えば誰かが世話してやるタイプじゃない」 「うっ……」 つかさが困っているときにこなたが助けたのがきっかけで、二人は友達になったと聞い ている。多少の勘違いはともかく、こなたのつかさを助けようとした行動と精神は本物で、 そこは信用している。だけど、この二人ではどこまでも堕落しそうな気がしてならない。 「しばらくは諦めたほうがいいよ、つかさ」 「え、え?」 そんなこんなでチャイムが鳴って、この話は終わりとなった。 終わりとなった、はずだった。 「すいません……こんなところまでお呼び立てして……」 放課後、みゆきからこっそり二人きりになって欲しいといわれ、かがみはそれに応じた。 「どうしたの? みゆきがこんなことするなんて、珍しいわね」 みゆきは親友だと思っているから素直に二人きりになったのだが、その理由が気になる というのも大きかった。 「一つ相談が……いえ、相談とは違いますね。お願いと言いますか……」 歯切れが悪い。頬を赤らめて、目線が定まらない。一体何がみゆきをそうさせるのか。 「あの……その……つかささんとの交際を認めて下さいっ!」 「え……?」 思いも寄らぬ申し出に、かがみの思考が停止した。脳と身体が完全に停止して、時間の 経過さえも止まってしまったかのように、一切の動きを見せない。 「すいません、御幣がありましたね。私はまだつかささんに気持ちを告げていないので、 まだ私の片思いなんです。私が言いたいのは、もしつかささんが私の気持ちに答えてくれ るならそれをかがみさんに認めてほしいということです。それと、少々身勝手なお願いな のですが、かがみさんさえよければ私とつかささんがなるべく二人きりになるように協力 していただけないかと……かがみさん、どうなさいましたか?」 「あ、うん、ちゃんと聞いてるわよ」 聞いてはいたが、対応はできてないというのが正しい。 「それで、かがみさん……お願いできますでしょうか」 訴えてくるみゆきの表情は真剣そのもの。 「みゆき……本気なの?」 それでも確認してしまうのは、自分が信じていないからなのか。 「本気です。私はつかささんを愛してしまったんです」 確かにみゆきになら任せられると言った。決してそういう意味ではなかったのだが。 「なるべく二人きりになるようにすればいいのね……?」 「はい。つかささんを振り向かせるのは私自身が努力します」 親友の真摯な瞳にあてられて断れるほど、かがみは薄情にはなれなかった。 「そ、それ以上の協力はできないからね」 「ありがとうございます。それとこの話は泉さん以外には内密にお願いします」 深々と頭を下げるみゆきは、やっぱり誠実な人間なのだとかがみは思った。 「それで私ん家に来たってわけだ」 「今頃みゆきがつかさの部屋にいるわ。勉強会ってことでね」 こなた以外には内緒ということは、こなたには話してもいいということ。かがみは一人、 こなたの部屋に訪れていた。 先日のあの件以来、どうにもすっきりしなかった。勉強しても何も頭に入らず、好きな 本を読んでも面白いと感じず、今こうしてこなたの部屋に上がりこんでゲームをやってい ても、どこか空しさを感じる。 「みゆきさんがねえ。いつの間にそんなフラグが」 「フラグ言うな」 そんなオタク用語ばかりで会話されても困る。少しは一般人にも配慮してほしい。 「かがみは、ハッピーエンドになると思う? それともバッドエンド?」 「そんなのわからないわよ……。エンドされても困るし」 漫画にしろゲームにしろ、恋人がくっついたところで物語は終わる。しかし、現実には まだまだ人生は続くし、物語の中の彼らだってそこから幸せに暮らすはずだ。 「じゃあさ、かがみは二人のこと認めるの?」 「認めるって……」 「やっぱりいろいろと問題があるじゃん」 「それはそうだけど……」 かがみにとってはある意味不意打ちだった。こなたがそんなことを言ってくるとは思わ なかった。さっきまで攻略だとかフラグだとか言ってたくせに、考えているところは考え ているらしい。 「今までお姉ちゃんのものだったつかさにコイビトができちゃうんだよ」 「何言ってんのよ! 私はそんな」 かがみは言葉に詰まった。そんな、なんなのだろう。 「ねえ……今までつかさに恋人ができなかったのって、私のせい?」 今までなら、平然と彼氏という言葉を使っていたはずだった。おそらくこなたも同様に。 「ただフラグがなかっただけじゃない? よく知らないけど」 かがみやつかさとは付き合いが浅くてよく知らないから、完全に否定はできない。多分、 こなたはそんな意味で言ったはずだった。 つかさの姉として、いつもつかさを守ってきた。双子なんだから姉や妹は関係ないと口 では言っていたものの、つかさはいつもかがみを頼ってきて、かがみはいつもつかさを可 愛いと思っていた。双子だからこそいつも一緒にいられて、それを理由にいつも二人は傍 にいた。 でも、本当にそれはいいことなのか? いつか自分が恋人を作るということを、真剣に考えていなかった。それはつかさがいた からかもしれない。だからといって、それをつかさにも強要していいものなのか? 「まあ、みゆきさんなら任せられるわけだし」 確かにみゆきになら任せられると言った。決してそういう意味ではなかったのだが。 なかったのだが、みゆきならばつかさを幸せにしてくれるのだろうか。 「みゆきさんなら二人きりだからって悪いコトしないだろうしね」 「うちには姉さんたちがいるわよ」 悪いことって何だと突っ込みたかったが、墓穴を掘りそうなのでやめておいた。 「みゆきは……まだいるみたいね」 帰宅して、玄関の靴を確認してかがみは呟いた。みゆきの邪魔をするまいと思ってただ いまを言わずに自分の部屋に篭る。 とりあえず勉強をすることにしたが、やはり集中できず、いまいち成果があがらない。 つかさは今頃勉強しているだろうに。……いや、勉強しているとは限らない。つかさが 長続きする保証はどこにもないし、もしかしたらみゆきといい雰囲気になっているかもし れない。仲のいい二人が勉強会の途中で、というのはラブコメでもよくある展開だ。 みゆきがそんな早まった真似をするとは思えない。しかし、みゆきはつかさを愛してい るのだ。もしつかさがみゆきのことを受け入れるなら、キスの一つでもしているかもしれ ない。若い二人のこと、止める者がいないのなら、もしかしたらもっと先のこともしてい るかもしれない。もしかしたらもしかしたら―― 「こなたじゃあるまいし」 かがみは自分の発想に思わず苦笑いした。もはや完全にペンは止まっている。 「それじゃ、またねー」 部屋の外からつかさの声が聞こえてきた。もうすぐみゆきが帰るはずだから、つかさか ら直接話を聞くこともできるが、それは野暮というものだろう。 またしばらく引きこもると、夕食の時間になって母に呼ばれた。 「いただきまーす」 家族が一斉に唱和する。かがみは口だけ動かしたが、それを声に出せなかった。喉の奥 から自分の知らない声が出てきそうな気がして怖かった。 隣につかさが座っているが、そちらの方を見ることができなかった。つかさがさっきの 出来事で何か変化を遂げてしまったのではないか、それを見るのが怖かった。 同じ食卓に座っても、つかさに話かけることはできなかった。つかさが自分の知らない 何かを知ってしまったのではないか、それを確かめるのが怖かった。 始終黙ったままのかがみは口を食べることだけに使って、いち早く食事を終えた。 「ごちそうさま」 自分の分の食器をさっさと片付ける。 「お姉ちゃん、どうしたの?」 「別に」 妹を振り返らずに、自分の部屋に戻った。 「それでその、つかさとはどうなのよ?」 「ど、どうと言われましても……」 みゆきとかがみの二人きり。 結局、つかさには聞けなかった。つかさの口から聞いたらどんな結果だろうとダメージ を受けそうな気がした。 「勉強会よ、勉強会」 いくらなんでも『みゆき、まさかあんた二人きりなのに乗じてつかさにあれやこれやし たんじゃないでしょうね?』などと聞くわけにもいかず、曖昧な質問になってしまった。 「つかささんのおかげで大変楽しいひと時を過ごさせていただきました。あのあどけない 笑顔で見つめられるとどうしようもなく胸が高鳴ってしまいまして、やっぱり私はつかさ さんのことが好きなのだと……いえ、それ以上のことはしていませんよ。勉強はきちんと やりましたので」 聞かれてもいないのにそんなことまで逐一答えるあたり、やはりみゆきは真面目なのだ と思った。そんなみゆきを疑っていたことにかがみは罪悪感を覚えた。 親友だと思っている。信用している。それは間違いない。 しかし、薄っぺらかった。簡単に翻ってしまうほど薄っぺらかったのだと思い知らされ た。みゆきに何と言って詫びればいいのかわからない。 「今度の日曜日につかささんと遊園地に行く約束をいたしまして……かがみさんからもご 家族のほうによろしくお願いいたします」 「そう……」 よろしくというのが何のことなのかかがみにはよくわからなかった。『つかさは友達と 遊びに行ってる』と言えばいいのか、『つかさはデートしてる』と言えばいいのか。 いずれにしろ、みゆきのことを疑うのは絶対にやめようと誓った。親友を疑うようなこ とはもうしたくないし、つかさの身を心配していたらきりがない。 もし相手が欲の強い男だったらとっくにすることされていたかもしれない。そう思えば 相手がみゆきでよかったと思うべきなのだろう。 「みゆきに口出しはしないけど……もし結果が出たら最初に私に教えてよね」 「はい、そうさせていただきます」 これでいくらかすっきりしそうだった。 気に入らない。では何が気に入らないのか。自分で考えてみた。 まず、つかさに恋人ができるのが気に入らない。それは認めざるをえなかった。しかし 恋愛は個人の自由。つかさにだって恋をする権利はある。 相手が同性であることが気に入らない。だが、相手が見知らぬ男だったらイラつきは今 の比ではなかっただろう。そんな自分が容易に想像できた。 よくよく考えてみれば、今の事態が気に入らないというのは己の身勝手でしかないのだ。 つかさの気持ちがわからないからどうしようもないが、もしうまくいったら祝福してあげ よう。妹が幸せになるのはいいことなのだから。 今の段階では、ただみゆきの気持ちを応援するしかない。 「何やってんのかしら、私は」 いちいち悩まなくても、こんな答えは一秒で辿り着けるはずだった。親友を裏切らず、 妹を見捨てることにもならない、シンプルな答えだった。 学校から帰るなり自室でこんな考えに耽るには不毛な気がしたが、気にしたら負けだ。 「お姉ちゃん」 「なによ」 つかさにお姉ちゃんと呼ばれるのは何度目のことか。そのときは大抵かがみに助けを求 めてくるのだが、これからはみゆきにそれが行くことになるのだろう。そんなことを考え ながら、かがみは目を合わせずに答えた。 「今度ゆきちゃんと遊園地に行くんだけどね、お姉ちゃんは」 「ああ、それパス。こなたと出かける用事があるのよ」 後でこなたと口裏を合わせなければならない。心の中でメモをつけておいた。というか みゆきは二人きりって約束にしなかったのか、とやはり心の中で突っ込む。 「一緒にどう? 今度の日曜日なんだけど……って、なんで知ってるの?」 「みゆきから聞いたのよ」 つかさが鈍いことを今更ながら確認した。この期に及んで他人を誘っているようでは、 好意に気づかれてないわけで、みゆきも苦労することだろう。 「そうなんだ……それじゃあ、その前の土曜日に」 「ごめん、それもパス」 「なんで?」 しまった、と思った。反射的に答えたものの、理由を用意していなかった。 「とにかくダメなの」 「うん……」 それっきり用は済んだのか、少し落ち込んだ様子のまま、つかさは部屋を出ていった。 みゆきと一緒になれば、もしならなくてもいつかの未来には、二人はべったりというわ けにはいかなくなる。お互いのためにも、今から慣らしていってもいいはずだ。 ――それにしても。かがみは思う。つかさがみゆきをどう思っているのかは全くわから ない。つかさに恋愛経験はないし、好みのタイプすら知らない。だから想像しようにも手 がかりすらない。 自分が一番よく知っているはずだと思っていた妹。本当は何も知らなかったのだ。 つかさはかがみだけのものではない。今更ながらそれを思い知った。 その次の土曜日。つまり遊園地の前日。 「それで私ん家に来たってわけだ」 この日は都合が悪いという嘘を現実にするため、かがみはこなたの部屋に来ていた。 「私としては嬉しいんだけど、私を口実にするってどうよ」 「しょうがないじゃない。これしか思いつかなかったんだから」 「かがみが来てくれるのは嬉しいんだよ。でも勉強会はやめよーよ」 ついに耐え切れなくなったようで、こなたは机に突っ伏した。二時間はこなたにしては よくもった方だ。 「今頃つかさとみゆきだって頑張ってるのよ」 日曜日にちゃんと遊ぶために土曜日は頑張るらしい。そうみゆきから聞いた。 「それはどーかな?」 こなたは顎に手をやって怪しげな笑みを浮かべた。机に突っ伏したままなので様になら なかったが。 「二人っきりだよ二人っきり。もしかしたら別のことを頑張ってるかも」 「やめろ」 まるっきりこなたと同じことを考えていたわけで、それが恥ずかしくなった。 「ん? かがみ赤いよ。何考えてるのかナ?」 「何も考えてないわよ!」 考えていないというのは本当だ。それなのに必要以上にうろたえて誤解を与えてしまう。 「私たちもお年頃だからね。何かあってもおかしくないよ」 「やめろって言ってんでしょ!」 このまま不毛な争いが続くかとも思ったが、インターホンとそれを鳴らした来客が二人 を止めさせた。 止めざるをえなかった。やってきたみゆきは泣き崩れていたのだから。 「まさか、みゆき……」 うまくいかなかったのか、と思った。つかさのことを好きな人がいるというのが気に入 らなかったはずなのに、こうして泣き崩れるみゆきを見ると、自分の心が何かで締め付け られるような感覚を覚えた。 「かがみさん、ごめんなさい……私のせいでこんなことに……」 「どういうこと?」 「つかささんが泣いてたんです……最近お姉ちゃんが冷たいって……」 「――っ!」 全くの予想外だった。 「かがみさんたちの仲を裂くつもりはなかったんです……ごめんなさい……」 妹離れしようと決意した。 間接的にみゆきの恋を応援した。 つかさが誰かと幸せになれればいいと思っていた。 みゆきが幸せになれればいいと思っていた。 つかさのために。みゆきのために。そのはずだった。 そのはずだったのに。 「私がつかささんを好きになったせいで、こんな……」 「みゆきさんは悪くないよ」 こなたはみゆきを胸に抱き寄せ、頭を撫でた。こなたの方が小さいのに、みゆきが幼子 に見えてしまうような、そんな錯覚がした。 「かがみとつかさのことは私に任せて……みゆきさんは自分のことを頑張って」 かがみには何も言えなかった。なんで私がこなたに任されなきゃいけないんだ、などと いう疑問はわいてこなかった。 みゆきは悪くない。悪いのは、自分だ。――そんな思いが頭から離れない。 「はい……でもこれ以上引き伸ばしたくありませんから……」 みゆきは涙を流したまま、決意を表明した。 「明日、つかささんに告白します」 「で、結局つかさに何て言ったのよ」 その翌日、みゆきとつかさが遊園地に行く日、かがみはやはりこなたの部屋に来ていた。 今では自分の部屋よりこなたの家のほうが居心地がよかった。 もっとも、自分の部屋の居心地を悪くしたのは自分自身――かがみは自嘲した。 「かがみのことは私に任せて、遊園地を楽しんでって、それだけだよ」 「その任せるってのをどうするのかって聞いてんのよ」 「収まるように収まるよ」 そんなんでいいのか。かがみは不安になってきた。 「つかさから聞いたよ。お姉ちゃんと話しても上の空だとか頼みごとを聞いてすらくれな いとかお姉ちゃんのほうからは全然話しかけてこないとか」 「それは、つかさのためなんだから……」 はぁ、とこなたはため息をついた。 「かがみってほんっと、不器用だよね」 「……悪かったわね」 その必要もないのに妹と親友の板挟みに悩んで、行動が全て空回りした挙句にその二人 を苦しめてしまった。つまりは不器用である。 「ツンとデレを上手く使い分けられないんだよね、かがみは」 「ツンデレじゃないっつの」 「つかさは誰かがフォローしてあげなきゃいけないけど、かがみはいつも誰かをフォロー してなきゃいけないんだよね。その役目をみゆきさんにとられちゃうかもしれないから、 こんなふうになってたんだよ」 ツンデレ云々はともかく、多分こっちは正しいのだと思った。 「みゆきさんがハッピーエンドかトゥルーエンドを迎えたらかがみはどうする?」 「トゥルーって何よ」 それを言うなら、何がハッピーなのだろうか。恋が成就するのは幸せなことだが、それ はかがみにとっては妹が離れてしまうことでもあるのだ。 恋愛が全ての人間にとって幸せとは限らないから、こんなにもかがみは悩んでいる。 「私は、みゆきさんがつかさとうまくいっても私たち四人がいつもどおりでいられるのが トゥルーエンドだと思う」 こなたは真面目に言っているようだった。この親友は時々底が知れない。 「もちろんうまくいかなかったとしても元通りになれたらいいって思うよ。そうなれるよ うにかがみがフォローしてやってよ」 「無理よ。もう少しでみゆきの気持ちを台無しにしてたところだったのよ」 「大丈夫だって。私も協力するし」 こなたの口からそんな言葉が出てきたのは意外だった。それでもなんとなく嬉しかった。 一人で悩み続けて荒れ気味だった心に、すっと染み込んでいったような気がした。 「……うまく行ったらどうするのよ」 「かがみは誰かをフォローしてなきゃいけないからさ、私をフォローしてよ」 「――ったく、あんたってやつは」 かがみは苦笑いを浮かべた。時々どうしようもないヤツだとも思うが、こんなヤツだか らこそ友達でいられるのだろう。 妹が離れるんじゃないかとか、親友を傷つけてしまうんじゃないかとか、さんざん悩ん できたけれど、そんなことはかがみがどうにかすればどうにかなる。こなたはそう言って くれている。 「なんかさ、今のあんたは気が利いてるわよね。利きすぎなくらい」 そのおかげで助かったとは言えない。照れくさくて。 「決意したことがあるんだ。もしみゆきさんがうまくいったら私もやろうって」 「それで張り切ってるのね」 かがみは再び苦笑した。現金なやつだと。 「それで、決意って何よ。何するつもり?」 「……姉妹揃って鈍いよね。私も苦労するかも」 「はあ?」 かがみには何のことだかわからなかった。 「いずれにしてもみゆきさん待ちなわけだよ。実はさっきからドキドキしてるんだよね」 「あんたでもそんなことがあるのね。……結果が出たら真っ先に私に知らせるようにって 言ってあるけど」 かがみも言われたら急に気になってきた。態度には出さないがそわそわし始める。 「かがみはうまくいってほしいって思ってるの?」 「……今はそう思ってるわよ」 「でも、女の子同士だよ? いいの?」 「つかさがいいんなら、それでいいわよ」 つかさが幸せになれれば何でもいい。随分と遠回りしたあとにようやくその答えに辿り ついた。もし親から反対されたら自分が助けてやろうかとも思っている。 そんなふうに思うようになるまでの、何が最終的な決め手になったかと考えてみれば、 みゆきの涙だった。我ながら単純だと思った。 「認めるんだね……いい傾向だ」 「何がいい傾向なのよ?」 「いや、こっちの話」 またもや、かがみには何のことだかわからなかった。 「まあ、みゆきになら任せられるって言ったの私だしね」 「今にして思えばあれがフラグだったね」 「あのな――」 反論しかけたそのとき、かがみの携帯電話に着信があった。発信者はみゆきだった。 「みゆきからよ」 恐らく、結果を報告してくれるのだろう。こなたではないがドキドキしてきた。うまく いっていたらおめでとうって言ってやろう。うまくいかなかったら―― 「うまくいってなかったら何て言おうかしら」 「そんなの考えなくていいよ。早く」 結果を聞くのは楽しみではあるが不安でもある。なんといっても事は妹と親友に関わる のだから。少し躊躇ったあと、こなたに再び急かされ、親指で着信ボタンを押した。 「もしもし――」 つかさのために。みゆきのために。 何かをするために、かがみはみゆきの答えを待った。 -おわり- コメントフォーム 名前 コメント 私には見える…これは2カプ誕生の後、トゥルーエンドになると! -- 名無しさん (2011-04-29 20 49 09) これって続きないかな? メッチャ気になる... -- 名無しさん (2010-10-28 17 02 05) タイトルでキノの旅が浮かんだw -- 名無しさん (2008-04-05 07 15 42)
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勝利がすべてでは、ありません。 しかし、やるからには勝ちを目指して、試合に臨みたいですね。 適当に思いついたことを書き込んでおきますね ttss20022000 戦うときの基礎テクニック! 多くの人が知っている、戦うときの基本的なテクニックです。 ただ、これを常に実践できている人は、少ないはず... 昼飯の角度 敵車輌の発砲する弾に対して、車体を斜めに傾けます。 これだけで、今まで貫通されていた弾の何割かは、弾けるようになります。 とても、初歩的なテクニックですが、走行間射撃時にも実践できると理想的です。 (もちろん、一刻も早く、敵に詰め寄らなければならない場合などの例外はあります。) 偵察と偵察中の射撃 偵察は、軽戦車の大切な任務で、置き偵察と走り偵察の2つ偵察方法があります。 置き偵察は、草むらに車輛を隠して、見ているだけの偵察で、走り偵察は、足の速い車輛により敵が潜んでいそうなエリアを覗き見て、素早く安全エリアへ戻る偵察です。 置き偵察時は、基本的に射撃を行ってはいけません。(射撃を行うと、隠ぺい率が大幅に下がり、敵に見つかってしまうためです。) でも、戦いの終盤にどうしても撃たなくてはならない場面に遭遇することもあります。 そんなときは、草が透過しないところまで下がってから撃つと、発見されにくくなります。 戦うときに心がけたいこと 1.たとえHPが少なくなっても、1人で突っ込まない HPが少なくなっても、攻撃力が低下するわけではありません。 このような場合、味方の後方に下がり、支援に徹しましょう。 また、小隊で試合に挑む場合、最前線の狙われる車両を、被ダメージを見ながら定期的に入れ替えることは、とても有効な戦法です。 2.敵に見つからないこと、先に見つけること。 草陰に隠れながら、敵を見つけた場合、距離を測りましょう。 (tire10の場合)敵との距離が、350m以下で発砲すると、非常に高い確率で見つかってしまいます。 敵を発見しても、すぐに発砲せずに味方の支援攻撃を待ちましょう。 (アシストダメージを稼ぐことを心がけましょう!) また、先に敵戦車を見つけるために、双眼鏡(通称:カニ眼鏡)を装備しましょう。 高価な装備ですが、索敵には非常に有効です。 軽戦車や中戦車は、必須な装備といってもよいでしょう。 (Waffentrager auf Pz. IVなどの見つかってはならない車両にも、有効な装備です。) 3.味方の位置を把握する。 味方の射線は絶対に塞いではいけません。 攻撃するチャンスを失うだけでなく、同士討ちにもなる危険な行動です。 そのためにも、味方の位置は、狙っている目標を把握しておくことは大切です。 4.みんなで、同じ目標を狙う。(ダメージ集中) 複数の敵と打ち合う場合、同じ目標を狙い各個撃破することを心がけましょう。 "敵の数が減る ≒ 被ダメージすくなくなる"と考えてもらってかまいません。 飛んで来る弾の数を減らすことで、自分や味方の被ダメージを減らすことにつながります。 小隊を組もう! 小隊組んで、同じ目的を持って行動をするだけで、勝率は大幅に上がります。 ボイチャなどを利用すれば、連携がとりやすくなり、さらに勝利に近づくでしょう! 参考動画 トッププレイヤーの動画 その1 https //www.youtube.com/user/StraikWOT
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第32話 『俺が俺であるために』 クリア後入手物資 強化パーツ バリア・フィールド(ノーマル) ミノフスキークラフト リニアシート アイテム --- 機体 --- 資金 80000(ノーマル) BS 300(ノーマル) 第31話『引き裂かれる過去』 第33話 探す『ロンリー・ランナウェイ』 留守番『遠き友へ』
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試合をするためには まず基本的な試合は5人対5人(5-5,5on5)だ VCいるやつに試合やるぞこらはやくしろって言えば試合ばっかやってる廃人が集まるだろう そしたらクラン戦サーバーというサーバーに入って試合を準備する 基本的に試合はD2(de_dust2)という爆破マップで行われる
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青葉モカ[期待を超えるために]☆4 属性 ハッピー スキル名 これが『いつも通り』 左エピソード名 モカのチラシ作り 前編 右エピソード名 モカのチラシ作り 後編 左エピソード概要 本屋で鉢合わせるモカと美咲。お互いバンドメンバーには頑張ってるところを見せたくないという点で意気投合。 右エピソード概要 左エピの続き。美咲もなんだかんだモカのノリがわかってきて、足並みを揃えつつ陰で頑張る。 左エピソードオススメ度 ☆☆ 右エピソードオススメ度 ☆☆
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~第3話 生きるために 朝日の差し込む森の奥にある山に面した洞窟前で、少女の荒い息遣いをしながら息を整えようとする。 少女は、咳き込みながらも身を隠すように暗い洞窟の中に入り、尻餅をついた。 「はぁ、はぁ、げほげほ…っ!」 少女は治まらない動悸を落ち着けようと、水の入ったペットボトルを取り出すと、煽るように飲む。 彼女の名前は、篠原百花。 百花は、生まれつき喘息を患っており、あまり激しい運動は耐えられない身体だった。 500ml入りのペットボトルを半分ほど飲み、ふたを閉める。 自分じゃ、確実に殺されてしまう。 普段は明るく、友人と馬鹿騒ぎをしている彼女も、目の前でクラスメイトが殺さたのを見て、動揺せずにはいられなかった。 どうすれば生きて帰れるか、そこが問題であった。 元々身体が弱く、体格も小柄な自分がクラスの男子や、極悪そうな(百花からはそう見えた)転校生、 下手したら、クラスの女子にも正面から戦っていては勝てないかもしれない。 だが、彼女は諦めない。 身体が弱く、不利の多い自分だからこそ、頭を使ってクラスの中でも上手くやってこれた。 周りに可愛がられる自分を見せることで、相手の庇護欲を誘う。 それが彼女の自己防衛だった。 ならば、今回もそうすればいい。 そうしなければ、生き残れない。 「生きたい…死にたくない」 考えが落ち着いた百花はデイバッグに入った自分の支給品を取り出した。 百花は、デイバッグに入っていた棒状の、それでいてずっしりとした支給品を両手で持つ。 「やけに重いと思ったら…」 それは、刃渡り60センチの日本刀、十分に人を殺せる武器だった。 百花は、ゆっくりと日本刀の鞘を抜き、直ぐに鞘に戻そうとして、洞窟入り口から聞こえた物音に気付く。 そして、その物音の主へ意識を集中した。 「誰か、居るの?」 その少女の声に百花は聞き覚えがあった。 「私だよ、万理ちゃん」 だから、物音の主である聞き覚えのある声の少女――千田万理に、百花は闇から顔を見せた。 すると、万理は安心し百花の名を呼び胸に抱く。 万理は百花の頭一つ分程高かったからだ。(万理は取り分け背が高いわけではないが) 「良かった……百花に会えて。あたし、凄く不安で…」 余程一人で心細かったのだろう。 万理は震えていた。 そんな彼女を、百花はいつもの調子でよしよしと言いながら頭を撫で続けてやる。 「ね、奥に行こうよ」 万理が落ち着いたところで、百花は提案する。 「ここに居たら、誰か通りかかったらすぐに見つかっちゃうし」 百花の言葉に最もだとうなづき、万理は奥へと歩みを進め、その隣に並ぶように百花が続く。 万理も気のおける友人と再会でき、最初の頃と比べかなり安著の表情を浮かべていた。 「ねぇ、万理ちゃんは何を支給されたの?」 何気ない百花の言葉に万理は「ちょっと待って」と言い、デイバッグをごそごそと調べる。 「あ、これみたい」 えへへと照れ笑いを浮かべながら万理が出したのは、木刀であった。 「あぁ~…」 その頼りない武器に、百花は少しだけ落胆したが、それを表情に引き摺らないようにする。 「百花は?」 万理の問いに「あたしはねぇ・・・」とデイバッグから日本刀を出し見せた。 「すごい…やっぱ本物?」 興味津々という風に万理は、百花の持つ日本刀に釘付けになる。 彼女の問いに対し、百花は日本刀を鞘から抜き「うん」とだけ答えた。 「え?」 万理は、日本刀を振りかぶる百花を見ながら今何が起ころうとしているか解らない声を上げる。 まるで小さな百花が刀に振り回されるかのように放たれた渾身の斬撃。 それは、万理の左肩から腰に斜めに刻まれた。 傷はとても深く、傷口から滝のように血が流れている。 ――なんで…? 万理の目は訴えるかのように疑問符を浮かべていた。 そして、ごぼっと血を吐き出しながら、ひざから崩れ落ちた。 「ごめんね。役立たずは抱えたくないんだ」 良心が痛まないかと思えばうそになる。 とめどなく血を流しながら、信じられないというような目を向けてくる万理から目を逸らす。 少しだけチクリと心が痛んだ。 少しだけ視界が歪んだ気がした。 武器は回収しないでおく。 食料には手をつけず、飲み掛けのペットボトルだけを交換した。 余剰分のそれらの所持は、他に怪しまれるからだ。 力の弱い自分は疑われたら、おしまいだ。 相手の命を刈り取るその時まで相手の油断を誘わねばなるまい。 万理はクラスでも仲の良い娘だったから、良かったが、他の相手が上手くいくとは限らない。 もっと気持ちを引き締めないと…。 まずこれからの第一目標は、自分を守ってくれるだれかに会う。 クラスメイトの中で冷静に話が出来、人の良さそうでいて強い人がいい。 日本刀に付いた血糊を万理のデイバッグで拭うと、彼女は立ち去ろうとして万理を見た。 突っ伏し倒れたソレは、もう身動き一つしない。 それは彼女の死を意味すると悟る。 百花は、彼女は自分を裏切ったりしなかったかもしれないという考えを抱きかけ、首を振った。 そして、その考えを払うかのように百花は洞窟を足早に出て、お日様の下にその姿を晒す。 その時、百花は初めて自分が泣いている事に気付いた。 百花は涙を手で拭うと、血の付いた靴を雑草に擦りつける。 作業が終わると、彼女は『仲間』を探すべくその場を立ち去った。 ~女子7番 千田 万理 死亡 残り25人 【篠原百花】《所持品》日本刀《場所》2-C 洞くつ ※ 洞窟に木刀・食料・飲みかけの水を放置されました。
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ストーリー プロローグ 世界の存亡をかけた、神々による混沌と調和の争い。 戦士たちはわずかに残る己の記憶を頼りに、 戦いを終わらせるため、 元の世界へ帰るため、 戦い続ける……
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