約 2,763,916 件
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1657.html
――隊舎廊下 当日 サーシャ「はあ、ニパさんも管野さんも、またストライカーを壊して……」 つい二日前、二人が壊したストライカーと増える仕事に両肩を落として廊下を行く。 幸いにして、何とか次の出撃までにはストライカーが揃うのは唯一の救いであったが、仕事量が減るはずもなく疲労は募る一方だった。 愛着のあるストライカーが壊れてしまうのは流石に悲しかったが、ニパと管野に怪我もなく無事に帰ってきてくれたのは喜ばしい。 あの子達は責任を全うして壊れたのだ、と彼女も胸を張って言える。 サーシャ「でも、きっちりお説教はしなくちゃ。最近はロスマン曹長と一緒に言っても聞かないんだから……!」 これは人の話を聞かない俺の影響なのだろうか。いや、聞いた上で、理解した上で自分の考えややり方を変えないのだから性質が悪い。 どれだけ言葉を尽くしても意味がない。そんな彼の影響を悪い形で受けてしまっているのではないか、と思える。 人の好き面は転じて悪しき面となる場合が殆どだ。 自信があるのはよい。しかし行きすぎれば過信となり破滅を呼び込む。慎重であるのはよい。だが、余りにも慎重になり過ぎれば、臆病と変わらず機を逃す。 俺はその辺りの調整、匙加減がサーシャですら舌を巻くほどに絶妙だ。落としどころが巧いというか、相手の言いたいことを言わせない手管に長けているというか。 サーシャ「いえ、やめましょう。俺さんのせいにしても何も解決しないもの」 益体のない思考を中断し、食堂へ向かった。 食事はいい。特に下原と俺が厨房に立つようになってから、楽しみが増した。 整備と称した機械弄りも彼女にとっては一種の娯楽と同様の要素は秘めていたが、純粋に楽しみや癒しの側面からみれば、仕事ではない一時の方が上である。 今日の夕飯は何かしら、と遊びの帰り、暖かな団欒が待つ家路を急ぐ少女のような軽い足取りで、サーシャは食堂へと足を踏み入れた。 サーシャ「あ、あら……?」 この時間ならば、夕食を待つ隊内の誰かと厨房に立つ下原と俺が居るはずの食堂は、闇に閉ざされていた。 ご丁寧にカーテンも閉められているらしく、月明かりも差し込んでいない食堂では、廊下から差し込む照明の光が入り口付近を照らすだけで全容を窺い知ることはできない。 一瞬、来る時間でも間違えたのかと思ったが、此処に来る途中で時計を確認した。間違えなく、夕食の時間であった。 ともすれば、下原と俺が何らかの仕事で夕飯の支度もままならないのだろうか、と首を傾げるが、そのような話は聞いていない。 サーシャ(うーん、今日は私が作った方がいいのかしら……? でも、下原さんが作ったものの方が美味しいし……、ともかく電気を) 暗闇の中、記憶を頼りに電灯のスイッチを探す。 それなりの時間をこの基地で過ごしていたからか、固有魔法の関係で常人以上を誇る記憶力のお陰か、目当ての感触を即座に見つかった。 電灯のスイッチをONにした瞬間、破裂音が連続する。 サーシャ「きゃあッ……!?」 反射的に顔の前に手を翳すが、何かが襲い掛かってくる様子もなく、恐る恐る目を向けると満面の笑みを浮かべる仲間達がクラッカーの成れの果てを手にして立っていた。 『サーシャ! 誕生日おめでとう!!』 突然の出来事に、目を白黒されるサーシャ。 必死で言葉を探しているようだが、喉元までせり上がったるも口を開くと引っ込んでいく。どうやら、状況整理が追い付いていないようだ。 しかし、お構いなしに伯爵は彼女の後ろに回り込み、ぐいぐいと背中を押して急かした。 サーシャ「あ、あの、中尉……ッ?」 クルピンスキー「はいはい。とにかく座って座って、今日の主役は君なんだから」 されるがまま、サーシャは普段はラルの座っている椅子――上座に座らせられた。それに合わせ、皆はそれぞれの椅子につく。 サーシャ「え、えーっと……?」 俺「おい、伯爵。熊さん、驚きすぎて状況把握できてねーんだけど」 クルピンスキー「あはは、サプライズパーティーなんだから、これくらいしなくちゃね」 俺「ようやる」 振り返れば、エプロン姿の俺が厨房の向こうで包丁をひゅんひゅんと回しながら立っていた。 非常に危険だがそれ以上に、彼の呆れかえった表情の方が印象的だ。 俺「じゃあ、こっちはこっちで作るからな」 下原「はい、今日は俺さんにお任せしますね」 はいよ、と答えて俺はコンロに火をいれる。既に下拵えは終わっているらしく、熱せられた鍋に油を引いた。 よくよく見れば、見たことのないフライパンである。底が深く、取っ手も二つついている。 サーシャの預かり知らぬ所ではあるが、このフライパン、もとい中華鍋は今日のために俺が作ったものである。 街に出向いて鍛冶屋――とはいっても半ば趣味で開いているような店で、普段は農具や調理器具の作成や修理を主にやっているらしい――の工房を借りた。 何事も全力を尽くすのが信条の彼は、どうせ中華を作るのならばと自作したのである。これでは伯爵のことを、ようやるなどと言える立場ではない。 サーシャ「た、隊長、これは……」 ラル「なに、普段から迷惑をかけている君を労ってのことだ。今日は存分に楽しむといい」 サーシャ「迷惑だなんて、そんな……」 ロスマン「いいのよ、私達がやりたくてやってるんだから。……まあ、今回は私とラルはお金を出しただけなんだけど」 クルピンスキー「いいんだよ、こういうのは気持ちさ、気持ち」 俺「俺としては、言いだした三人がろくに仕事してないのが納得できねーけどな」 管野「ああ?! 俺等だって、ケーキ作っただろうがよ!!」 俺「ははは。プレゼントも俺に買いに行かせたけどな。そっち三人なのに俺一人だぜ、仕事のバランス可笑しくね? 作ってはいたね、冷蔵庫の中のケーキ。でも、すげー不格好だったぞ。店で買ってきた方がよかったんでない?」 ニパ「うぅぅ……一所懸命、ジョゼと下原に聞いて作ったんだから、意地悪言わないでよ。……あ、味は大丈夫だからね!」 必死になって味だけは保障するニパに、下原とジョゼがフォローを入れる。その様子にサーシャはようやく笑みを浮かべた。 正直な所、ついさっきまで自分の誕生日など頭の中には存在していなかった。 幼い頃は両親が、オラーシャ軍に入ってからは仲間が、毎年細やかながらも誕生日を祝ってくれていたのに……。 心に、余裕がなかったのだろうか。 確かに仕事に負われる日々ではあったが、その分、充実もしていた。自分の仕事と戦いが、人々のためになるという自負もあった。 どうやらそれらが、知らず知らずの内に自分を追い込んでいたようだ。それこそ、生まれた日を忘れさせてしまうほどに。 サーシャ「皆さん、ありがとうございます」 サーシャの礼と共に頭を下げた。 ニパはうん、と笑みを浮かべて答え、管野は照れ臭そうにそっぽを向いた。それを微笑ましく見守る少女達。 俺「――はい、おまち」 ジョゼ「うわぁぁぁ、おいしそう……!」 俺「ジョゼのために作ったんじゃないんだがねぇ。まあ、食えないことはないと思うよ」 運ばれてきた一品目を見ると、ジョゼは涎を垂らしそうな勢いで目を輝かせる。俺はその姿に苦笑した。そしてそれを皮切りに、次から次へに料理が運ばれてくる。 俺「それが青椒肉絲、そっちが春巻き、んでこれが水餃子。…………中華はやたら数が多くてな。高級料理なんかは作れんから、家庭向けの奴ばかりだけど」 サーシャ「……俺さんは、食べないんですか?」 俺「ああ、今日は俺が作る側――って、大抵はそうか。まあ、こっちは気にせず好きに食べてくれ。冷めた中華は喰えたもんじゃないんだよ」 後に続く酢豚に小龍包、焼売、棒々鶏、乾焼蝦仁。いずれも比較的オーソドックスで癖の少ない、食べる者の舌を選ばないラインナップ。 扶桑出身の管野と下原は箸で、残りはスプーンとフォークを使って料理を口に運んでいく。 ジョゼ「んんん~♪ 美味しい!」 下原「味も濃いし、油も多いみたいですから、ご飯が食べたくなりますね」 ラル「確かにな、流石にパンには合いそうにない」 管野「使ってる調味料が近いのか? 味は扶桑の料理に近い気がするけど、結構独特だな」 ロスマン「これだけ辛味や塩気が強いと……」 クルピンスキー「お酒が飲みたくなるよね!」 俺「洋酒にゃ合わないと思うんだが。それに……」 俺は鍋を振りながら、いいのかと視線をサーシャに向けた。それに気付いた彼女は、苦笑いで答えた。 今日は自分の誕生日とは言え、一度クルピンスキーが言い出したら聞く耳を持つはずもない。 宴席で酒を飲むことが、咎められる理由もない。よく食べ、よく飲み、よく笑う。それが最も楽しい祝い方というものだろう。 今日の主役のお咎めなしと知るや、伯爵は席を立って厨房の棚を開ける。余りの速さに、ニパと管野は呆れた表情で顔を見合わせる。 ごそごそと棚の中を漁っていると、中に見慣れない二つの酒瓶を発見した。 クルピンスキー「あれ? こんなワイン、あったっけ……?」 俺「――――あ、」 しまった、という表情をする俺。 繁々とラベルを眺めていたクルピンスキーは、どのようなワインなのかを知ると、驚きの声を上げた。 クルピンスキー「うわ、二つともアウスレーゼじゃないか。しかも片方はトロッケンベーレン!」 ロスマン「あら……」 ラル「……ほう、よく見つけてきたものだな」 どちらもカールスラントのワインの肩書きである。この肩書きは原料となる葡萄の糖度によって変わり、六つに分かれる。 アウスレーゼは下から三番目、ドロッケンベーレンアウスレーゼは最上級にあたる。後者は貴腐ワインだ。 更に生産地と生産年、村名と畑名によって値段も変わってくる。二つのワインはどれをとっても最高級品であった。 カールスラントが奪われた今、新たにカールスラントワインが作られることはない。元より希少価値の高いワインであるのなら、ロスマンとラルが目を丸くするのも頷ける。 クルピンスキー「これ、俺が買ってきたの? 料理のために?」 俺「俺が買ってきたのはそうだが、使う訳あるか」 クルピンスキー「じゃあ、飲んでもいいよね?」 俺「あー、駄目じゃないけど――――…………まあ、伯爵が開けるならいいか。ああ、アウスレーゼの方は珍しく辛口らしい、そっちの方が料理にあうみたいだぞ」 何処か迷う様子を俺であったが、歯切れの悪いまま許可を出した。 やったね、と喜色満面でワインを手に取り、席に戻っていく。 この時、彼女は気付くべきだった。酒を好きでもなく俺が、サーシャの誕生日を祝うために買ってきた訳でも、料理にも使う訳でもないのにワインを買ってきたのかを。 ――数時間後 ジョゼ「ごちそうさまでしたー」 下原「ふー、満腹です。しあわせー」 俺「腹一杯に飯くらえるのって幸せだよなぁ、その点は完全に同意」 管野「餓死寸前までいったお前が言うと重いからやめろ」 出された料理のみならず、“味はよかった”ケーキはぺろりと平らげていた。 幸せそうに顔を緩めるジョゼと下原に、机に頬杖をついて同意する俺。そしてビシリとツッコミをいれる管野。 サーシャ「んー、カールスラントワインって、こんなに甘いんですね」 ニパ「こんなに甘いとジュースと変わらないね」 ラル「いや、ここまで甘いものを飲むのは私も初めてだよ」 ロスマン「私は、辛口の方が好みね。ケーキにはこちらの方があっていたけど」 クルピンスキー「いやいや、いつも安酒ばかり飲んでいる身としては、どちらも味わい深いもんさ」 酒に手を出していた主役達は、残ったワインを名残惜しむように飲んでいる。皆一様にほろ酔い加減で頬を朱に染めていた。 クルピンスキー「さてと、宴もたけなわだけど、そろそろいいんじゃないかい、俺?」 俺「別に渡すタイミングは見計らってたわけじゃないんだがな」 単に、そういった機微が分からなかっただけである。 最終的に渡すのなら渡すタイミングなど似たり寄ったりだ、と思ってはいたが、伯爵に言わせればそうではないらしいと聞いていた。 相も変わらず、その理屈は理解できなかったが、パーティーの企画者であり経験者の助言を聞かない訳にはいかないだろう。 俺「じゃあ、ちょっと部屋まで取りに行ってくる」 管野「どっかに用意しておけよ」 俺「なかなか、ものが多くてな」 俺はそれだけ言うと食堂を出て行った。恐らくは、自室まで買ったプレゼントを取りに行ったのだろう。 しかし、プレゼントが大きいならばまだ分からないでもないが、多いというのはどういうことか。 確かに、プレゼントは一つきりなどというルールはない。が、誰でも買うのは一つきりというのが相場である。俺が、その辺りのことを分かっていない理解していない可能性もあるが、金を必要以上に使うような男とも思えない。 若干、不安げな空気が食堂に漂い始めた頃、俺が両手一杯に荷物を抱えて現れた。いや、正確にはプレゼントであるのだが。 俺「これが熊さんの分」 サーシャ「あ、ありが――――私の分?」 俺「んで、これがジョゼ、これが下原、管野、ニパ、先生、伯爵のね」 ジョゼ「え、………………え?」 ポカンと見守るだけの一同を他所に、次々にプレゼントをそれぞれの前に置いていく。 大小様々な包装の施された箱――管野に至っては大きな旅行用トランクである――に、目を白黒させざるを得まい。 下原「……いえ、あの、……え?」 俺「これ、お前等の分の誕生日プレゼントな」 ニパ「いやいやいや、私達、誕生日じゃないけど!?」 俺「いや、だってあれだろ。一度に買った方が効率いいよね?」 管野「駄目だコイツ! 誕生日プレゼントがどういうもんか分かってねぇ! つーか、効率とかじゃねーんだよ、こういうのは!!」 俺「貰う側がごちゃごちゃ言ってんじゃねぇよ。それにお互いにいつ死ぬか分からないし、先生とかもう誕生日過ぎちゃってるから渡せる時に渡しとこうと思ってさ」 クルピンスキー「さらっと怖いこと言わないでくれる!?」 確かに、誕生日が近い兄弟は一緒に祝われることもなくもないが、これはやりすぎである。 戦場に立つ以上、死の可能性はいかなる時でも付き纏う。俺としては、渡せなかったなと心残りを持ったまま逝くのが嫌だったのだろう。 だが、誕生日プレゼントは誕生日に渡すからこそ意味がある、ということをまるで理解していない行動である。これでは管野の罵倒も正当だ。 自分も他人も死なないなどと夢にも思わない。命とは散るもの、どれだけ努力を重ねようと死ぬ時は死ぬと受け入れている俺らしい行動であったが、色々と台無しだ。 俺「気に入らねぇなら捨てろよ。誕生日までお互いに生きてりゃまた買うからさ。今回は、これまでの分だとでも思ってくれ」 ロスマン「捨てはしないけど、こういう時、どういう顔をしていいのか分からないわね……」 俺「笑えばいいんじゃね? まー、お前等から貰った金を還元してるだけなんですけどね、実際」 俺なりに気を使ったのだろうが、気を使う方向を完全に間違えていた。 これはこれで俺らしいと苦笑を浮かべるしかない状況の中、落ち込んでいる人物が一人。 ラル「…………なあ、俺。記憶にないんだが、私はお前に嫌われるような真似をしたか?」 俺「はあ? いや、むしろ好きな部類だけど?」 ラル「なら、なぜ私の分がないんだ?」 ニパ「あれ、ホントだ! 隊長の分がない!?」 俺の奇行に呆気に取られていた一同は、ニパの一言でようやくラルの分のプレゼントがないことに気が付いた。 これは流石に女傑と呼ぶに相応しい実力と精神性を誇るラルと言えども、きつかった。若干、涙目でさえある。 少なからず好意を抱いている俺に除け者にされたという思いは、失望を抱かせた。勿論、自分に対してだ。 少女達の向けてくる非難の視線を俺は軽く受け流して肩を竦める。 俺「いや、お前の分は買ってある」 ラル「ほ、本当か……!?」 俺「嘘ついてどうするんだよ。お前の誕生日はたかだか4日後だろ、その時に渡す。ああ、俺が4日で死んだら部屋を漁ってみろ、ちゃんとあるから」 人生に悲観していないながらも、希望も糞もない物言いだった。 それでもラルの表情から失望を消し去るには十分。乙女心というべきか、人の性というべきか、目の前にある喜びはあらゆる負の感情を粉砕するものだ。 サーシャ「開けても、いいですか?」 俺「どうぞどうぞ、大したもんじゃないがね」 サーシャのものだけは箱に収められておらず、包装とリボンのみ。 重さもそれほどでもないところを見ると、中身は衣類かそれに類するものであることは間違いない。 ただ、衣服のセンスは兎も角として、俺がそのようなものを買ってきたとなれば、心が躍るというものだろう。不安と期待が程良くバランスの取れた状態で袋を開けた。 中から現れたのは、サーシャにイメージに合わせたのだろうか、水色のツナギが入っていた。 クルピンスキー「女の子のプレゼントにツナギってどうなんだい? 普通は、アクセサリーとかさぁ」 俺「阿呆か。俺が使えないものを買う訳がないだろうが。実用的かつ機能的、貰っておいて損はない。ふふん、理想的だろう」 アクセサリーの類は、送る相手のイメージや持っている衣服に合わせて買わねばならない。 そのようなセンスがないのは理解しているのか、俺が送ったのは普段から使え、なおかつサーシャが必要としていたものだった。 思いついたのは、軍服姿のまま整備を行っていた時。 ツナギならば、何着持っていても問題にはならない。つまり、ハズレにはならないわけである。実に抜け目のない選択だ。 ロスマン「あら、背中も凄いわね」 サーシャ「え? ―――――……あ」 俺「ただそれだけじゃ芸がないんでね。時間もあったし、かなり頑張ったよ、我ながら」 裏返してツナギの背中を見れば、502統合戦闘航空団を象徴するネウロイのコアを掴んだ鷲の部隊証が精巧に刺繍されていた。 俺は刺繍など嗜んではいなかったが、最低限の糸と針の使い方を知っていた。買った衣類を自分なりに使い易いように改造する為だ。 その点において、下地は出来ていた。後は睡眠時間を削り、失敗に失敗を繰り返して、ようやく完成させたものだ。金はかかっていないが、手はかかっている。 礼を言うことすら忘れ、サーシャは渡されたプレゼントを眺める。 単純に嬉しかった。何というか、この部隊証は此処にいる皆との繋がりように思えたのだ。 生まれた国も違い、抱く価値観も違う中、それでも共に戦った証が形になったようで……。 俺「ジョゼのは食事道具一式だ、箸だのフォークだのだな」 ジョゼ「俺さんの中で、私は食いしん坊キャラなんですね……」 俺「事実だろう? 下原のはカメラ。ガラクタだったが、直せるようだったんでね。可愛いものが好きなのは知っていたが、基準が分からん。だから、自分で可愛いと思ったものを撮ってくれ」 下原「むむ、これはカメラの勉強はした方がいいかもしれません!」 俺「好きにしろ。ニパのは懐中時計だ。蓋の方に方位磁針を埋め込んである。医療用キットでもよかったんだが、所詮は消耗品だからな。これで堕ちた時もある程度は安心だろう?」 ニパ「げ、撃墜されるのが前提なんだ。いや、嬉しいけどさぁ」 俺「確率的に仕方ないだろ。管野のは古代中国の書物だ。本を読むのは好きなんだろう。ああ、安心しろ。全部、お前の読めるように英語だぞ」 管野「…………これって、文学的にかなり価値があるんじゃ」 俺「ねぇよ。昔、馬鹿な奴が居てな。三国志とか売れば金になるんじゃないかと翻訳して売ろうとしたんだ。結果は悲惨で金の無駄遣いだったし。先生のは仕事用の眼鏡」 ロスマン「でもこれ、レンズがないけれど……」 俺「先生の今持ってる眼鏡のレンズに合わせてあるから大丈夫。それに鼈甲製だ、かなりフレームが細いから強度はないけど、何度でも直して使えるから安心して。あと、伯爵のだけど……」 大半が、俺の手の入れられたプレゼントばかりであった。管野に関しては、最早ロハである。わざわざ、シユウの村から調味料と一緒に取り寄せたので帳消しであろう。 実際の所、それぞれに手を入れたかったわけではなく、半分辺りでプレゼントを買う金がなくなり、仕方なしで安くすませたのではあるが。 クルピンスキー「いやぁ、悪いね。僕をトリにしてくれるなんて、俺ったら、僕のことがそんなに好きなのかい?」 俺「…………そういうわけじゃないんだけどね。トリというかオチだし」 ハハハ、と笑いながら周りのものより一際大きいプレゼントを、優越感たっぷりに広げる。 何が入っているのか。柄にもなくドキドキと期待に胸高鳴らせながらゆっくりと開いていくとそこには――― クルピンスキー「…………………………俺、これ、渡すの間違えてる」 俺「え? 間違ってねぇよ?」 クルピンスキー「だって、中身が何もないじゃないか!?」 俺「入ってる入ってる、よく見ろ」 はあ!? と困惑しながらも中身が空だった箱ごとひっくり返すと、一枚の紙がひらひらと降ってきた。 たかが一枚の紙切れの、何がプレゼントだというのか。 俺がこんな悪質な悪戯をするわけがない。そうさ、これもサプライズの内なんだと自分に言い聞かせながら、机の上に落ちた紙切れを拾って見ると――― 『お前に送るものは、一握りの自制心。それはきっと、お前の人生をより良いものとしてくれるだろうさ』 クルピンスキー「俺ぇぇぇぇぇッ!! これはないよ! これは酷いよ!」 俺「酷くない、事実だ事実。お前に必要なものは、間違いなく“それ”だ」 ロスマン「なになに……? ――――あはははは! これはアンタに必要よね!」 ラル「く、クク……た、確かにな」 紙に書かれた言葉を見てロスマンは腹を抱えて笑い、ラルは何とか笑いを噛み殺す。 しかし、笑っていたのは二人だけで他の皆は俺には非難の、伯爵には同情の視線を向けていた。それでも言葉にしないのは普段からの彼女の行いが問題だ。 俺「まあ、それだけじゃない……というか、なかったんだけどなぁ……」 クルピンスキー「――……ッ! だ、だよね! 僕だけこんな……!」 僅かな希望を糧に、瞳を輝かせ思わず椅子から立ち上がりクルピンスキーを見て、俺はおもむろに席を立った。 そして、手に取ったのは開いた二つの瓶。つい数時間前に彼女が発見し、彼女の手によって開封されたワインである。 クルピンスキー「………………………………え?」 俺「だから、これがアンタへのプレゼント――だったものだな、正確には」 残念だったな、とばかりに首を振る俺を見て、伯爵は今度こそ膝を折って床に四肢をついた。 そう、あの時に俺の言葉を聞いていれば、伯爵が開けるのならという言葉を疑問を持っていれば、ほんの少しの自制心が働けば、ここまで期待を裏切られはしなかったものを。 まさに箱の中に入っていた紙に書かれていた言葉は、的を射た真実だったのである。 クルピンスキー「こ、こんなのないよ。こんなの絶対おかしいよ!」 俺「おかしくねぇよ。全て自業自得だ。墓穴を掘ったんだよ、伯爵は。…………ここまで俺の予想通りだと、いっそ笑えてくるがな」 管野「ここまで予測してやったのかよ。えげつねぇ」 俺「ある程度だがな、ああも早く見つけられるとは思わなかったし。ここまでやらにゃ、反省も糞もないだろ、伯爵の場合」 ニパ「まあ、そうだよね」 クルピンスキー「誰も味方がいない……!」 他人が言っても反省しないなら、自分自身で反省して貰えばいい。そう考えて、こんな悪質な罠を仕掛けていたらしい。 その効き目は十二分。目に見えて落ち込んだ伯爵は、いつぞや、ナインテ――ロスマンにきつく絞られた時の如く、壁に向かって膝を抱えて座っている。 クルピンスキー「ふ……いいさ、人なんて孤独なものなんだから」 俺「拗ねるなよ、うっとおしい」 クルピンスキー「ふーんだ、俺が悪いんだよ」 俺「やれやれだ。……実は、もう一つあるんだけどな。管野、中の本を部屋に持ってったら、そのトランクをくれてやれ」 管野「あー、やたらと大きくて頑丈そうだと思ったら、そういうことか」 クルピンスキー「ふふ、何? そのトランクを使って、此処を出てけって? 鬼畜だなぁ、俺は」 俺「違う。いつだか言ってただろ、旅がどうのと」 その言葉を聞いて目を丸くする。 クルピンスキーが軍へと入った理由の一つは、様々な国を回れるからという夢のため。 彼女はバルト海に面したブラウンスベルクと呼ばれる港湾都市で育った。海を渡り、国を旅して回るという夢を持つのも、至極自然な流れだったのだろう。 始めは海軍への入隊が目的であったが、魔法力の適性検査の結果、空軍に身を置くこととなった。 今でも夢を捨てた訳ではない。いつか――それこそ、ネウロイの脅威を退けた後にでも、自分の足で文化の異なる国を回ろうとさえ思っている。 しかし、自分の夢を俺に語った憶えなどなかった。 俺「いつだか、酔い潰れた時があっただろ、その時に聞いた」 クルピンスキー「そんな酔っ払いの戯言を憶えていてくれるんだから、ほんとズルいなぁ」 俺「ははははは、肩にゲロぶちまけられてから言われて忘れられる奴がいるなら是非見てみたいものだがなぁ!」 俺は笑いながら言った。笑ってはいたが、目が笑っていなかった。誰だってそんな経験をすれば、忘れたくても忘れられないというものだ。 その様を見て、同じく乾いた笑みを浮かべる伯爵。そして、照れと己の愚行を誤魔化すために、俺に向かって突進した。 クルピンスキー「もう、何のかんので男の子だなぁ! 惚れちゃいそうだよ!」 俺「ちょ、この! だー! 来るな近寄るな抱きつくなぁぁぁぁッ!!」 顔を赤くして、何とか腰に抱き着いてきたクルピンスキーを引き剥がそうとする俺。 食堂いっぱいに皆の笑い声が響き渡る。俺の初めての参加した誕生パーティーは、どうにか成功を修めたのだった。 ――食堂 深夜 俺「ッたく、仕度だけじゃなく始末まで俺任せとはね」 あー、と精神的な疲れ故にみっともない声を上げて、宴の始末が済んだ食堂の椅子へと座る。 あの後は、酷い様だった。 皆テンションが上がったのか、新たに酒を飲みだしたのだ。珍しいことに、管野やニパ、ジョゼや下原までもが。 普段、酒など飲まない四人が普段から飲み慣れているラルやクルピンスキー、ロスマンのペースについていけるはずもない。 ニパはおいおいと泣き出し、管野は絡み酒。ジョゼは身体が熱いと服を脱ぎ始め、下原は理性を失ったように馬鹿笑い。 決して、嫌なだけな時間ではなかったが、好きこのんで味わいたいものでもなかった。 俺「そういや熊さん、酒に強かったなぁ。オラーシャの人間は、あんなもんなのか」 何と、あのサーシャも無礼講ということなのか、酒を煽っていた。だが、最初から最後まで全くの素面であった。 「世の中には醜女はいない、ウォトカが足りないだけだ」というオラーシャの言葉を思いだし、俺は一人納得する。 だが、そんなものは勘違いだ。単なる個々人の肝機能の差である。オラーシャの人間だから酒に強いのではなく、サーシャが酒に強かっただけ。 面白い勘違いをした俺であったが、その時、食堂の扉が開いた 俺「……熊さん?」 サーシャ「やっぱり、此処でしたね」 開いた扉の間から顔だけを出してニッコリと笑うサーシャに、何か用事でもあったのだろうかと首を傾げる。 サーシャ「俺さんには、一番初めに見て貰おうと思って」 そう言いつつ、入ってきた彼女はプレゼントとして渡したツナギが纏っていた。 貰ったその日の内に着るなんて気の早い姉ちゃんだ、などとも思ったが、決して顔にも口には出さない。 少しはにかんだ表情で、その場でクルリと一回転。実に可愛い、実にあざとい。狙ってやっていないのが素晴らしい。 しかし、可憐な姿を見て、俺は何とも言えない表情で一言。 俺「ああ、熊さんは可愛いんじゃない?」 サーシャ「そ、そういう恥ずかしいことを言うのは禁止です! それにこのプレゼントが似合っているかを聞いているんです!」 照れながら、本来求めていた評価と言葉に期待する。 が、俺が似合っているといったところで、それは俺のセンスが良いと自画自賛しているようなものだ。 自己の評価は正当に、過大も過小も許さない。仕事の良し悪しは人任せ、己が求めるのは納得だけ、と考える彼には耐え難い。 サーシャ「もう、そんなこと言うと着てあげませんよ、…………なぁんて」 俺「いや、別にいいけど? 気に入らないなら、無理に着てくれなくてもいいよ」 意地悪げな口調でサーシャは言ったが、俺に素で返され慌てて否定する。 好意を無碍にされるのに失望しない。自分の尺度で買ったものだから、相手がどう思おうが相手の自由と割り切っている。そして、次があるのなら気に入られるよう努力しようとでも考えている。 あらゆる事象を割り切って前向きに生きていても、ここまで来るともう病的でさえあった。 その癖、優しくされるのが慣れていないらしく、少しでも優しくするとにやけるし、よく笑う。サーシャはそのギャップが可愛くもあったが、もう少し適度とバランスを知って欲しかった。 俺「その様子なら、気に入ってくれた……?」 サーシャ「ええ、とても。正直、女性へのプレゼントとしてはどうかと思いましたけど、俺さんらしいですから」 俺「そうか。なら、次はもう少し勉強するさ」 彼女の言葉を聞き、ようやく顔を綻ばす。 好意を無碍にされるのは構わないが、好意を受け取って貰えれば、安堵はするようだ。面倒な性格である。 正味な所、俺としても緊張と難儀の連続であった。 ブレゼントも何も送ったことのない人間が、自分で考え、自分で決定する。確かに無理難題といって差し支えない。 しかし、安易に他人を頼るのも違った気がしたし、どうせ送るのならば一から十まで己の決定を下そうと決めていた。 サーシャ「少し、嬉しそうですね」 俺「嬉しくは―――あるか。こういうのも悪くない」 サーシャ「悪くないなんて、中途半端な言い方、相手に失礼ですよ?」 俺「そうか、……それもそうだ。いい、とてもいい経験をした」 素直に認め、にっと笑みを浮かべる。 思えば、不思議な少年である。冷血かと思えば優しさを見せたり、素直だと思えば難解な性格をしていたり。正体や性格が掴みがたい、そういう人間なのだろう。 それでも最近は、こうして年相応の笑みを見せてくれるようになった。 その分だけ容赦――主な被害者は伯爵である――もなくなってきているが、彼を育て、共に育った誰かのように心の距離が近くなったと思いたい。 サーシャ「これからは、もっと頑張りますね!」 俺「こりゃ参ったな。心労で倒れられたら、俺のせいか!?」 サーシャ「もう冗談をばっかり、………………冗談、ですよね?」 俺「三割は本気」 サーシャ「じ、自分の体調管理くらいできますよ!?」 俺「つってもなぁ、熊さんは俺と違って自分の限界を把握しているわけじゃないだろ?」 サーシャ「それでも、止めろとは言わないんですね?」 そりゃあね、と漏らす。 俺は無茶と無理を通してきた故に止める資格などない。それでも止めろと口にするほど恥知らずではなかったし、当人が望むのであるのなら最良の道だと信じている。 見るからに参ったと両手を上げそたそうな表情に、これは一本取れたかしらと微笑む。 自分のことも仲間のことも、よく見ているのは分かっていた。何せ、今着ているツナギなど身体にピッタリである。身体のサイズを把握されているのは気恥ずかしくあったが、反面、嬉しくもある。 そんな人が傍に居てくれることが。時に疲れ果てて、寄りかかっても何も言わずに身体を支えてくれる人が居ることが、堪らなく嬉しかったのだ。 じんわりと暖かな何かが心に広がっていくのを感じたが、彼女が口にしたのはただの一言。 サーシャ「俺さん。……誕生日プレゼント、“ありがとうございます”」 俺「ん? …………クク、――――ああ、“どういたしまして”」 それはサーシャと俺にしか分からない、言葉以上の意味を持つ魔法の言葉であった。
https://w.atwiki.jp/chaken_archives/pages/386.html
「地球を守れ!」にて、地球の危機を救うため一時的な協力を申し出てきた魔王様に対して研が放った台詞。 研にしては珍しく普通に格好良い台詞だが、あくまでもジュラルは敵、という認識は変わらず、 「宿敵が共闘する内に仲間になる」という王道展開にならないのはやはりチャー研クオリティである。 ちなみに研と魔王が協力したのは(描写された部分のみを数えれば)ほんの2、3分程度。本当につかの間である。 一応空耳で、「誓いの場の握手だ」という説もある。
https://w.atwiki.jp/edn48/pages/63.html
【眠たかった】 (作詞:@sakulux) 会見全力でマイク持ちながら記者に話す 顔に浮かんでる汗も今は気にしない やっと気づいた 本当の疲れ 正直にゆくんだ たったひとつ答弁を語れ 眠いなら眠いと言おう誤魔化さず 疲れをとろう 辛いなら布団へ行こう 胸の内さらけ出そうよ (作詞:@maiyuzuki) 眠いなら眠いと言おう 誤魔化さず 素直に寝よう 眠いのに無理をしないで その気持ち伝えておくれ 眠たかった×3 Yes! 眠たかった×3 Yes! 枝野~♪ 眠たかった~♪
https://w.atwiki.jp/aspurand1106/pages/41.html
25話 秘められたる欲求 「殺し合いなんてしたくねぇ……」 狐獣人の青年、蒲生重勝は森の中で途方に暮れていた。 別に道に迷ったと言う訳ではなく殺し合いに巻き込まれた事に対してである。 彼はアダルトビデオで、女優に精液をかけたりするだけのいわゆる「汁男優」として出演し生計を立てていた。 本番こそ無かったが有名なAV女優に自分の精液をかけられるだけでも良かったし、 何より気持ち良くなれて金も稼げるのだから汁男優の仕事に満足していた。 そんな自分がまさか殺し合いなどに巻き込まれるとは予想だにしていなかった。 「死にたくねぇ……どうすっかなあ」 「あの……」 「えっ……うお! いつの間に」 いつの間にか背後に、学生服姿の少女が立っていた。 金髪で、中々の美少女だった。 ここで重勝は自分が油断し過ぎていた事を自覚する。 もしかしたら声も掛けられず殺されていたかもしれないのだから。 「あ、驚かせてすみません……私は殺し合いには乗っていないです」 「本当か? ……俺も乗ってはいないけど」 「私は、神楽坂雪子と言います」 「俺は、蒲生重勝」 「あの、蒲生さん……もし良ければ一緒にいては駄目でしょうか? 一人だと、怖くて、不安で……足手纏いにはならないようにしますから……」 「え? うーん……」 可愛い少女に一緒にいて良いかと訊かれ、重勝は少し悩む。 こんな殺し合いに巻き込まれ、不安なのは十分に理解出来る。 自分だっていつ襲われるか分からない恐怖はあった。 頼みを無碍に断るのも気が引けたので重勝は雪子の頼みを聞いてあげる事にする。 「別に良いぜ。俺も一人じゃあれだったし」 「本当ですか、ありがとうございます……あの、宜しくお願いします」 「ああこちらこそ」 「……蒲生さん、何を支給されたんですか? 私は、これなんですけど」 雪子が重勝に見せた物はグルカナイフ。 ククリとも言う「く」の字型に曲がった刀身を持った大型の刃物だ。 「でっけぇナイフだな……俺は、これなんだが」 「サブマシンガン、ですか」 重勝が雪子に見せた物は、フィンランド製の短機関銃、タンペレーン ヤティマティック。 少し上を向いた銃口とコッキングハンドルを兼ねた折り畳み式のフォアグリップが大きな特徴。 「セロテープで説明書きが貼っつけてあったから、使い方は大体分かった。 でも……これで人を撃ちたくはねぇな……脅しに使うぐらいにしてぇよ」 「人なんて殺したくない……ですよね」 「そりゃあそうだろ、いきなり殺し合いに放り込まれたからってはいそうですかって殺し合い出来る訳ねぇよ。 ……ただ、自分の身は守らなきゃいけないしな……そのためにもしかしたら相手を殺しちまう時も、あるかもしれない」 「そんな時が来なければ、良いんですが」 「だな……」 その後、二人は取り敢えず森を抜ける事にした。 この時、神楽坂雪子はある欲望を隠していた。 (滅茶苦茶にされたい……) 男に、蹂躙されたい。 身体をまさぐられ、犯されたい。 純潔を奪って貰いたい。 たっぷりと精を注がれたい。 殴られたい、首を絞められたい。 小便をかけられても肛門を舐めさせられても良い。 滅茶苦茶にして欲しい。 (蒲生さん……頼めるかなあ) その欲望を、蒲生重勝に叶えて貰おうと、雪子は考える。 【D-3/森/早朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。 《人物紹介》 【蒲生重勝】 読み:がもう・しげかつ 25歳。茶色の狐獣人。AVの汁男優として女優に精液をぶっかける仕事をしている。 本番こそ出来無いが気持ち良くなれて金も稼げ、本番程技量も必要無いのでこの仕事に満足している。 ジムに通っているためそこそこ引き締まった身体を持つ。 【神楽坂雪子】 読み:かぐらざか・ゆきこ 17歳。高校二年。金髪をポニーテール風に纏めている。某無双シリーズの王元姫に似ている。 家は資産家で、裕福な家庭に育つ。聡明で温厚、礼儀もしっかりしている上、巨乳でスタイルも良いと言う才色兼備。 だが、乱暴に男に犯され蹂躙されたい、奴隷になりたいと言うマゾな欲望を抱えており、 しかしその欲望が叶えられず人知れず悶々としていた所、今回の殺し合いに巻き込まれた。 024:占い師、妖狐、賞金稼ぎ 目次順 026:頭がパーン ゲーム開始 蒲生重勝 034:抑えきれぬ欲求 ゲーム開始 神楽坂雪子 034:抑えきれぬ欲求
https://w.atwiki.jp/undercurrent/pages/386.html
【2ch】 36 名前: ポソタ ◆8P545JGfUk Mail: sage 投稿日: 05/11/22(火) 05 59 50 ID: bAmcDeXq0 先日、うちの弟(工3)が自衛隊に合格したとの通知が来た。 弟は大喜びでぬこにも「ポンタ、俺、自衛隊に受かったぞ!すごいだろ。 来年からは駐屯地に住むんだぞ!!」と自慢したそうだ。 ぬこはしばしポカ――(゚Д゚)―――ン そして少し寂しそうに「おにゃ。」と鳴いたとのこと。 その日、ぬこは弟にべったりで同じ布団に潜り込んで寝たそうだ。 (普段は布団の上で寝るのが好み) 俺が大学に受かったときは添い寝もしてくれなかったのに…(´・ω・`)
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4159.html
25話 秘められたる欲求 「殺し合いなんてしたくねぇ……」 狐獣人の青年、蒲生重勝は森の中で途方に暮れていた。 別に道に迷ったと言う訳ではなく殺し合いに巻き込まれた事に対してである。 彼はアダルトビデオで、女優に精液をかけたりするだけのいわゆる「汁男優」として出演し生計を立てていた。 本番こそ無かったが有名なAV女優に自分の精液をかけられるだけでも良かったし、 何より気持ち良くなれて金も稼げるのだから汁男優の仕事に満足していた。 そんな自分がまさか殺し合いなどに巻き込まれるとは予想だにしていなかった。 「死にたくねぇ……どうすっかなあ」 「あの……」 「えっ……うお! いつの間に」 いつの間にか背後に、学生服姿の少女が立っていた。 金髪で、中々の美少女だった。 ここで重勝は自分が油断し過ぎていた事を自覚する。 もしかしたら声も掛けられず殺されていたかもしれないのだから。 「あ、驚かせてすみません……私は殺し合いには乗っていないです」 「本当か? ……俺も乗ってはいないけど」 「私は、神楽坂雪子と言います」 「俺は、蒲生重勝」 「あの、蒲生さん……もし良ければ一緒にいては駄目でしょうか? 一人だと、怖くて、不安で……足手纏いにはならないようにしますから……」 「え? うーん……」 可愛い少女に一緒にいて良いかと訊かれ、重勝は少し悩む。 こんな殺し合いに巻き込まれ、不安なのは十分に理解出来る。 自分だっていつ襲われるか分からない恐怖はあった。 頼みを無碍に断るのも気が引けたので重勝は雪子の頼みを聞いてあげる事にする。 「別に良いぜ。俺も一人じゃあれだったし」 「本当ですか、ありがとうございます……あの、宜しくお願いします」 「ああこちらこそ」 「……蒲生さん、何を支給されたんですか? 私は、これなんですけど」 雪子が重勝に見せた物はグルカナイフ。 ククリとも言う「く」の字型に曲がった刀身を持った大型の刃物だ。 「でっけぇナイフだな……俺は、これなんだが」 「サブマシンガン、ですか」 重勝が雪子に見せた物は、フィンランド製の短機関銃、タンペレーン ヤティマティック。 少し上を向いた銃口とコッキングハンドルを兼ねた折り畳み式のフォアグリップが大きな特徴。 「セロテープで説明書きが貼っつけてあったから、使い方は大体分かった。 でも……これで人を撃ちたくはねぇな……脅しに使うぐらいにしてぇよ」 「人なんて殺したくない……ですよね」 「そりゃあそうだろ、いきなり殺し合いに放り込まれたからってはいそうですかって殺し合い出来る訳ねぇよ。 ……ただ、自分の身は守らなきゃいけないしな……そのためにもしかしたら相手を殺しちまう時も、あるかもしれない」 「そんな時が来なければ、良いんですが」 「だな……」 その後、二人は取り敢えず森を抜ける事にした。 この時、神楽坂雪子はある欲望を隠していた。 (滅茶苦茶にされたい……) 男に、蹂躙されたい。 身体をまさぐられ、犯されたい。 純潔を奪って貰いたい。 たっぷりと精を注がれたい。 殴られたい、首を絞められたい。 小便をかけられても肛門を舐めさせられても良い。 滅茶苦茶にして欲しい。 (蒲生さん……頼めるかなあ) その欲望を、蒲生重勝に叶えて貰おうと、雪子は考える。 【D-3/森/早朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。 《人物紹介》 【蒲生重勝】 読み:がもう・しげかつ 25歳。茶色の狐獣人。AVの汁男優として女優に精液をぶっかける仕事をしている。 本番こそ出来無いが気持ち良くなれて金も稼げ、本番程技量も必要無いのでこの仕事に満足している。 ジムに通っているためそこそこ引き締まった身体を持つ。 【神楽坂雪子】 読み:かぐらざか・ゆきこ 17歳。高校二年。金髪をポニーテール風に纏めている。某無双シリーズの王元姫に似ている。 家は資産家で、裕福な家庭に育つ。聡明で温厚、礼儀もしっかりしている上、巨乳でスタイルも良いと言う才色兼備。 だが、乱暴に男に犯され蹂躙されたい、奴隷になりたいと言うマゾな欲望を抱えており、 しかしその欲望が叶えられず人知れず悶々としていた所、今回の殺し合いに巻き込まれた。 024:占い師、妖狐、賞金稼ぎ 目次順 026:頭がパーン ゲーム開始 蒲生重勝 034:抑えきれぬ欲求 ゲーム開始 神楽坂雪子 034:抑えきれぬ欲求
https://w.atwiki.jp/histoire123/pages/18.html
~でででっていう~ 悪魔の生き残りフォーテュムや夫ウェルカミンと仲間達が処刑されたから数年 その間、王は病に倒れ王座に就いたのは娘の雪璃 国からの追っ手を考え教会で過ごすアモーレ、プレーヌ。 そして教会を管理しているトート。 しかし、雪璃からの手紙で誰かを側近にしたいとの要望を数年考え自分の意思でアモーレが行く事に。 そして、昔から言い伝えられている得体の知れないモノから身を守る為にトートからプレーヌは武器を授かったのだった ~海老蔵どや pt.3 言えなかった事~ アモーレの事で、雪璃宛てに手紙を書いて送ったが翌日、雪璃には届いていた。 「姫様、教会への迎えの者の手配は出来ました。いつでも行けます」 「そうか!しかし、童が行きたいのじゃが・・・同伴でもダメじゃろうか?」 雪璃はどうやら配下の者ではなく自身がどうしても行きたいようだ。 しかし、一国の主がそうは簡単に外へ出ることは許されるわけも無い。 王が生きていた頃は人目を盗んで良く抜け出していたらしいが。 「ふむぅ・・・そう言えば、あ奴には手紙を出しておいてくれたのか?」 「はい、翌日には出しておいたので、もう届いている事かと思います」 「ご苦労!あ奴も来れば良いのじゃがのぅ」 雪璃は外を眺め、そう言った。 その頃、教会ではと言うと・・・ 「うーん・・・もう食べられないよー・・・うえへへへ」 掃除をさぼり、外で居眠りするプレーヌ。 「・・・はぁ、バレてないとでも思っているのかしら」 それをいつも見つけ、呆れ顔で起こすトート。 「ま、まぁまぁ!プレーヌもきっと疲れが色々・・・ね?」 毎回、トートをなだめるアモーレ。 普段と何ら変わらない日常を過ごしていた。 そんな時だった。 道を集団で歩く屋敷の者達の姿が、彼女らの目に映ってきたのだ。 「何かしら?まさか今更私らを、捕まえに来たとは考えられないし」 トートはそう言い、集団を見つめていた。 すると集団の中から一人、手を振っているのが見えた。 「あれって・・・雪璃?と、なると・・・アモーレさんを迎えに来たのじゃないかしら?」 そう言っていると集団は、三人目の前まで来ていた。 その集団を掻き分けて、目の前に現れたのは雪璃であった。 「久しぶりじゃな!何とか説得して童も来てみたぞ!しかし、外はやはり良いのう!ははは」 久しぶりに会うのか、やたらテンションが高い雪璃。 だが彼女が動くとこぞって、周りの連中らも姫を守るように動く。 「久しぶり。じゃ今日なの?アモーレさん迎えに来たのって」 そう言うと雪璃は頷き、そして少し離れた所に居たアモーレは、ゆっくり近づいてきた。 「あ、あの・・・アモーレです。よろしくお願いします」 深々と礼をするアモーレ。 本来の雪璃なら構わぬ構わぬ、と明るく振舞うのだったが、アモーレが礼をすると雪璃も礼をしてた。 「こちらこそ宜しく願い申す。募る話も多いのじゃが・・・後ほど頼む」 姫の一礼に、辺りは驚いていた感じだった。 無理もない、一国の主が見知らぬ人に頭を下げたのだから。 そして二人は、握手をしたのだった。 「あートートーん?パン食べちゃダメー・・・それ私のぉー」 プレーヌは、お構いなしにまだ寝ていた。 トートは、プレーヌを揺さぶって起こそうとしていたが、起きなかった。 「プレーヌも相変わらずじゃなぁ。良いのか?起こさなくて」 「あ、起こさないであげてください。幸せそうな夢見てるんで」 そう言うと、アモーレはニコっと笑顔を作る。 「多分、プレーヌ泣いちゃうから・・・それに、このままの方が私も辛くないから」 「そうなのか・・・じゃこのまま屋敷に戻った方が良いのか?」 そう雪璃は言うと、アモーレは頷いた。 トートも理解し、プレーヌを起こさずアモーレを見送り、姿も見えなくなりプレーヌを起こそうとすると、ムクっと起きたのだ。 「んーおっはよぅー」 起きたプレーヌに対して、トートは溜息をし、メガネをクイっと上げなおす。 「揺さぶった時、既に起きてたくせに。これで良かったの?」 「うん。ニーニが言った通りだよー?顔見ちゃうと泣いちゃうから・・・えっへへ」 気丈に明るく笑うプレーヌ。 だけど、薄っすら目は潤んでいたのは分かっていたトートだった。 「泣いてるくせに何言ってるのかしら・・・先、戻ってるから」 「こ、これはアクビしたからだもん!泣いてないからね!あー!待ってよぅ!」 パタパタと二人は、教会へと戻っていき、来る日に向けて二人は実践訓練を始めた。 とは言うものの、プレーヌは実戦経験があるトートには手も足も出無ずにいた。 「それで終わり?私を倒すーって言ってたけど、これじゃ到底無理だけど・・・諦める?」 トートは挑発気味に言う。 「いや!倒すー!一度地面の味を知らせるー!」 その挑発に、負けん気でのってくるプレーヌ。 何度か武器を交えて、トートは彼女が人一倍負けず嫌いと知ったのだ。 すると、トートはプレーヌの妙な癖を見つけていた。 「プレーヌ、何でいつも変に下向いたり後ろ気にしてるの?」 構えるプレーヌは、幾度となくソワソワしている。 んーっと言った顔で、足元を見たり、背中を気にしたり落ち着きがない。 「んーんー?この服動きにくくてー」 言われ見れば彼女の格好は、ワンピースに掃除で汚れるからとエプロンを着けた格好だ。 トートは、着替えて来なさいという仕草で、プレーヌを行かせた。 数分経った頃、彼女はすぐ戻ってきた。 「・・・な、何その格好」 「へっへっへー!これなら羽根も尻尾も出せるし動きやすいー!」 戻ってきたプレーヌの格好はというと、少し丈の短い薄紫のティアードワンピースだけだった。 「ま、まぁ、身軽なら良いけど・・・葉廉恥」 「ん?何か言ったー?」 溜息ついて、首を軽く横に振り、再び武器である大鎌を構えるトート。 「よし!いっくよー!」 踏み込みから詰め寄るまで、先ほどより明らかに速くなっていた。 しかし相手はトートだ、一筋縄ではいかないのは分かりきってる事。 無論、勢いを付けた踏み込みからの一閃は防御された。 そして、攻撃を鎌で返しすかさず反動を利用し、クルっと返り攻撃へと移行するトート。 「良い速度だけど、詰めが甘い」 トートは確信し、攻撃を当てれると思っていた。 だが、鎌を水平に払った時、プレーヌの姿が目に映ってなかったのだ。 「え、上?」 攻撃を避けられ、上に飛んだかと思い、軽く上を見るが姿は無く、気づくと急に懐に飛び込んできたプレーヌの姿があった。 「へっへー!倒すー!」 「なっ、どこから!」 プレーヌは、勢いを付け武器を斬り上げたが、トートは転んでも良いくらいに、後ろに体を引いた。 次の瞬間、プレーヌの攻撃は空を斬っていた。 「あー!おしいっ!」 攻撃を避けられ、頭を抱え悔しがるプレーヌ。 トートは体勢を戻し、一呼吸すると、冷静にメガネを掛け直す。 「・・・今のは危なかった。避けれたのが奇跡だわ」 悔しがるプレーヌの元へ近づき、頭にポンっと手を乗せる。 「んもー!当たってよねー!せっかく倒せると思ったのにー!あーもーっ!」 どうやらかなり悔しかったらしい。 近づいても、あーっと天を仰いでいる。 「当たるわけにはいかないでしょ?けれど、どうやって今の攻撃をしたの?」 トートは、一回視界から消えたプレーヌの攻撃に疑問を持っていた。 「ん?こう、トートんが回った時に、こうやって!」 そう言うと、プレーヌはバッと一瞬で地面に寝そべったのだ。 それを見たトートは深い溜息をした。 「それは確かに見えないわ・・・発想では負けてたのね、私」 「えっへっへー!当たらなければどうと言う事はなーい!」 するとトートは、距離を取り武器を構える。 「さ、もうタネは分かったから、再戦ね」 「って、あー!私の秘策だったのにー!ずるーい!」 二人はその後も、しばらく闘っていた。 勝敗の方はと言うと、自称秘策も言ってしまったお陰で全く通用しなくなり、地面の味は毎回プレーヌが味わう羽目に。 しかし、トートは思っていた。 -あの時、後一歩踏み出して攻撃されていたら・・・- ど素人の発想程読みにくい事は無いと。 一方その頃。 アモーレと雪璃は、屋敷へと着いたはいいものの、アモーレはやはり両親の事を思い出し、浮かない表情をしていた。 「到着じゃな。ここからは童がアモーレに説明するから、お主らは解散して良いぞ」 そう雪璃が言うと、周りに居た付き人らは、頭を下げ、各自、屋敷内へと散って行った。 「色々すまぬ。思い出させてしまって・・・」 「あ!いえ、大丈夫です!私こそ暗くなってて申し訳ないです」 そう言い、互いに頭を深々と下げていた。 どうも気まずい雰囲気が流れる。 辺りが沈黙が包み込んだが、沈黙を破るかのように、アモーレがゆっくり口を開いた。 「それに、いつまでも囚われてちゃいけませんよね」 前向きな姿勢に、アモーレは笑顔を作る。 その笑顔に、一安心した雪璃。 「じゃな・・・さぁ!少し中を案内しようぞ!着いてきて参れ」 はいと、アモーレは頷き、二人は、大きな屋敷へと入っていった。 すると中へ入るやいなや、大勢の人が雪璃の帰りを待っていたのだ。 「姫様!お帰りなさいませ!」 そう言われると、雪璃は笑顔で待っていた連中に声をかけ、一人、一人に目をやる。 「出迎えご苦労!ただいまなのじゃ!紹介する、今日からお主らと共に働く、アモーレじゃ。よろしく頼むのじゃ」 雪璃は出迎えの人たちに言葉を掛けると、アモーレはすぐ深く一礼しすぐ自己紹介をしたのだった。 その表情は、緊張に溢れガチガチに固まっていた。 すると雪璃はポンっと肩へ手をやり、笑顔で緊張をほぐすかのように言葉をかけた。 「何もそんな緊張せんでも大丈夫じゃ。気楽にいこうじゃないか」 「あ、はい。あの、私はどういった仕事をすれば良いのですか?」 アモーレは、そう言い、辺りをキョロキョロしていた。 何せよ大きな屋敷だ。出迎えをした人達からすると、お手伝いさんも沢山居る。 「そうじゃなー。取り敢えず着いて来てまいれ」 雪璃はアモーレに来い来いと、手招きし、二人は屋敷の奥へと歩いていった。 途中、何度も人とすれ違う。その都度、雪璃へお辞儀をしてゆく。 しばらく歩き、1つの部屋へと着いたのだった。 「ここがアモーレの部屋じゃ。ささっ、入ってみるのじゃ」 通された部屋は、教会に居た頃の部屋とは比べ物にならないくらい広く、綺麗であった。 一人で過ごすには広すぎると思ったアモーレ。 「あ、あの、広すぎて・・・私何かが、こんな素敵な部屋は勿体無いんじゃ・・・」 無理も無い。 軽く数人で2~3人で過ごしても、余裕がある程度だ。 けれど、雪璃は構わん構わんっと笑っていた。 「さて、と。少し時間もある事じゃ。聞きたい事があるのじゃが宜しいか?」 「え、えぇ。どうぞ?」 アモーレはそう言い返す。 雪璃は、部屋にある椅子へ腰を掛け、アモーレも座る。 「単刀直入に言わせてもらおうぞ。お主、妙な力を持っておらぬか?」 「へ?妙な力・・・ですか?」 アモーレは、いきなり雪璃に妙な力と言われ、意味が分からなかった。 目が点になっていたアモーレに対し、雪璃は真剣な面持ちだった。 「あの事件の時、お主は童を介抱したじゃろ?止血だけじゃが、止血だけで痛みが無くなるとは思えぬのじゃ」 「その事は覚えていますが、私は姫様の出血が酷かったので、まず血を止めないと!って動いただけですよ」 雪璃は、納得のいかない顔をしていた。 しかし、アモーレは何か引っかかったような顔をしている。 「トートから聞いたのじゃが、プレーヌも、その時に酷い傷を負ったが、すぐ治ったと聞いておるのじゃ。お主、自覚が無いだけで何かあると童は思っておる」 アモーレは雪璃に言われ、薄々感じていた。 言われて見れば、小さい頃から軽度の傷くらいならすぐ治っていた事。 プレーヌが、あの時にあれ程酷い目に遭っていたのに、ただの打撲程度だった事。 それに、今話している雪璃の時もそうだ。 止血をし、傷口を見た時には、傷が無かったのだ。 アモーレは、それらの事を思い出し黙ってしまった。 「アモーレよ。もし、何か心当たりがあるなら教えてほしいのじゃ」 嘘は付きたくない。 アモーレはそう思い、ゆっくり小さく頷いた。 「私、確かに小さい頃から、怪我とかすぐに治るって怪我した時に思っていたんです」 「それが、実際には本当に治ってしまう・・・というわけじゃな?」 「はい、確信は無い・・・ですけど」 アモーレはまた小さく頷いた。 「分かった。それと童は、どうしても言っておきたかった事があるのじゃ」 そう言い雪璃は立ち上がり、頭を下げたのだ。 「童を助けてくれて、心から感謝する」 しかし、アモーレはうつむき小さく震え、泣くのを我慢していたが、我慢出来ず涙が頬を伝った時だった。 「けど、姫様を助けれてもパパとママは!」 アモーレは、つい怒鳴ってしまったのだ。 しかし、雪璃は頭を下げたまま何も言えずに居た。 アモーレは泣きながら、雪璃に近づき顔を上げさせた。 「なんとか言って・・・ひ、姫様」 雪璃は、下唇をかみ締めて泣いていて、手はグッと握り震えていた。 「すまぬ。童が父上を無理にでも止めていれば・・・童は約束も果たせなかったのじゃ・・・すまぬ!」 そう言うと、雪璃は泣き崩れてしまった。 アモーレは、そんな雪璃の姿を見て、また怒鳴ってしまう所だったが、約束と言われ思いとどまった。 「姫様。あの、約束って何ですか?」 泣き崩れている雪璃に、そっとアモーレもしゃがみ、約束とは?と聞いた。 「や、約束とは・・・お主の母上との約束じゃ・・・」 アモーレはしばらく雪璃が泣き止むのを待ち、約束の事を聞いた。 フォーテュムが捕らえられていた時に、雪璃はフォーテュムに会っていた事。 そして、処罰されないようにすると、雪璃が言っていた事。 子共の時の約束が、今の今まで引きずっていた事。 辛かったのは私だけじゃないと知ったアモーレ。 「童にもっと力があればっと、何度思ったか分からぬよ」 「すみません。そんな事情もあったなんて知らずに・・・」 怒鳴った事を悔やんだアモーレだったが、雪璃は軽く笑顔に戻った。 「構わぬよ。怒られても仕方のない事じゃ」 そう言われ、うつむいていたアモーレは立ち上がり顔を上げ、深呼吸をした。 「はい・・・。これからは振り返らない事にしなくちゃ!ですね」 「そうじゃな。さて、時間も時間じゃ。お主に色々紹介しておかぬとならん」 雪璃は立ち上がり部屋の戸を開けた時、アモーレは雪璃を呼び止めた。 そして、近づき手を差し伸べたのだった。 「ん?どうしたのじゃ?」 「あの、その・・・また握手良いですか?」 どうやら握手をしたいらしい。 雪璃は素直に握手に応じた。 「これで、仲直りです」 「仲直り、か・・・ふふ。これからも宜しくじゃぞ?」 雪璃はそう言うとアモーレは笑顔になった。 そして元気に 「はいっ!」 と、明るい声が部屋に、こだました。 そして、アモーレが屋敷へ行った、その日の夜の教会。 草木も眠る深夜にプレーヌは目を覚ました。 「ぅん・・・トイレ・・・トートーん・・・トイレぇ」 同じ部屋で寝ているトートを起こそうと、ランプに明かりを灯しトートの側に近づき、名前を呼んだ。 普段なら、すぐ起きて呆れてしぶしぶ着いてきてくれるのに、その日は違っていた。 話しかけても起きない。 不思議に思ったプレーヌだったが、静かにすると鼻をすすり、うわ言の様に耳を澄まさないと聞こえない声で、何か呟いているのが分かった。 「・・・おじいさん・・・」 どうやら夢を見てるらしい。 無理に起こすのも悪いと思い、プレーヌはトートを起こすのを止めた。 「だ、大丈夫。お、お、お、お化けなんか出無い!出無いもんねー!出無いもんね・・・」 扉を開け一歩踏み出したが、次の一歩が踏み込めない。 言葉では強がっていても、やはり怖いのだ。 「あーん!やっぱダメだっ!トートん助けてぇ!」 今にも泣き出しそうな勢いで、またトートへ近づき揺さぶり起こし始めるプレーヌ。 すると、ゆっくり起き上がりメガネをかけるトート。 「あ・・・もう、またお手洗い?いい加減に一人で行きなさいよ」 やはり呆れていた。 お化けなんて現実的じゃないと、言い聞かせていたが。 プレーヌはいつも、怖いものは怖い、と言っていた。 トートは深く溜息をし、トートは渋々明かりを借りて、プレーヌの手を引き、トイレへと向かった。 道中は暗く、月明かりすら入ってこない。 ランプの灯だけが明かりの頼りだ。 プレーヌはトートに手を引かれ、辺りを警戒しながら歩いてゆく。 トートはというと、そんな怖がるプレーヌをお構いなしにどんどん歩む。 そして、無事トイレへと到着した。 「ぜ、絶対居てよ?!一人で戻っちゃ嫌だからね!」 はいはいと頷き、プレーヌを見送った。 「何だろう。凄く・・・眠い」 そう言うとトートは、その場に座り込み、寝てしまった。 寝てしまった間、プレーヌは何度も話しかけたが反応が無く、用を済ませたプレーヌは怒りながら出てきた。 「ちょっとトートん?!居るなら返事してって言ったじゃんーってアレ?寝ちゃってるの?」 プレーヌがいくら名前を呼んでも揺さぶっても、トートは起きる気配が無かった。 「ど、ど、どうしよう?!こんな所で寝てちゃ風邪ひいちゃうし・・・おんぶして帰るしかないのかな」 おぶろうとした時、トートがプレーヌの腕を掴んだのだった。 「トートん?起きてるの?」 だが返事はない。 すると、先ほど部屋で寝ていた時と同じように、小さな声で同じ事を呟いていた。 「私、おじいさんじゃないよぅ。もぅ」 そっと掴んでいた手を離し、トートをおぶると、カチャーンっと、トートから何か落ちた事に気づいた。 「な、何か落ちた?ん?これ、時計?」 落ちたものを拾い上げ、明かりで見てみると、手のひらより少し小さいくらいの懐中時計が落ちていた。 おもむろに懐中時計のフタを開け、見てみるとガラス面の表面はヒビが入っており、時は進んでおらず、止まっていた。 「は、はわわわ・・・も、もしかして、こわ、壊しちゃった?!」 どうしようと泣きそうになっていたが、取り合えずトートを部屋へ運んでから考えようと、手にした時計を自分のポケットへ入れた。 「うー・・・怖いけど、トートを早く寝かせなくっちゃ」 そう言い、何度も大丈夫、怖くない。と言い聞かせ部屋へ戻り歩く。 足取りはゆっくりだったが、一歩一歩着々と進んだ。 トートを早く布団へ、という事が一番に頭を過り、恐怖感はさほど感じなかったようだ。 「はふー、着いた。トートん寝かせなきゃ」 何とか部屋に着き、全く起きる気配が無いトートを、そっと横たわらせ、先ほどの時計を手に取る。 「これ、どうしよう」 時計を見つめながら溜息を付いて、時計を裏にした時、裏面に何か彫ってある事に気づいた。 「何か掘ってある、けど、ここしか読めないなぁ。えっと・・・え、んげる?名前?」 どうやら何か文字と、名前が掘ってあったようだ。 文字の方は、擦れて読めない程になっていたが、かろうじて名前らしき文字だけは読めた。 プレーヌは首を傾げ、起きたら壊した事を謝ろうと再び時計をしまい、立ち上がろうとした時、トートが再度腕を掴んできたのだった。 一瞬驚いたが、プレーヌは先ほどとは違う事に気づいた。 「トートん・・・泣いてるの?」 先ほどと違い、泣き声で呟いていたのだった。 プレーヌは一度トートの手を離し、自分の枕を取ってきた。 「一緒に寝よ。おじいさんじゃないけど、きっと、トートん寂しいんだよね」 そう言い、プレーヌはトートの手を握り、眠りについた。 気がつくと、トートの泣きすする様な呟きも無く、二人は眠り、翌朝、プレーヌは揺さぶられ起こされた。 「ちょっと。何で私のところで寝てるの?」 プレーヌはゆっくり目を開けると、トートが不思議な顔をして、プレーヌを見ていた。 「あーおはよぅ。んっとねー寂しそうだったから!」 トートは溜息をついて、目頭を押さえ、やれやれとした感じだった。 「はぁ、お化けが怖いからって、そういう理由が出るとはね。けど、お手洗いに連れて行ってから記憶が無い」 「ん?だって、トートんね、トイレの外で寝ちゃってたよ?」 え?っとした表情で本当?と聞くトート。 だが答えは、うんっとしか無かった。 「凄く眠かったのは何となく覚えてはいるけど・・・まさか寝てたなんて」 「後、頑張って部屋帰って寝せた時に、トートん泣いてた・・・よ?」 泣いてたと言われ、更に不思議な顔に。 普段ではありえないから、無理もない。 詳しく聞くと、トートは顔を下に向け黙ってしまった。 「トートん?どうしたの?」 うつむいた顔を覗き込むプレーヌだったが、すぐ顔上げた。 「いや、何でもないよ。朝ごはん作りましょう」 そう言い素っ気無く部屋を出る時、プレーヌはトートに抱きついた。 「何でもないわけないじゃん。言ってよー」 プレーヌは若干泣き声で言った。 しばらくトートは黙っていたが、溜息をついてプレーヌを引き離す。 「私は、人に自分を言えるような人間じゃないから」 そう言い放つと、逃げるようにその場を離れたかったトート。 しかし、プレーヌが手を掴み、離そうとしなかった。 「何?離して」 「ヤダ」 無理やり引き離そうとしても離せない。 すると、プレーヌは泣き始めた。 「トートんさ、いっつも一人で考えててさ、私だって何か何でもいいからトートんの力になりたいのにー!」 そう言うとプレーヌは、ボロボロ涙を流してしまった。 その姿を見てトートは、離そうとするのをやめて、また下を向いてしまったのだ。 しばらく時間が過ぎた頃、トートは言いにくそうに口を開いた。 「・・・プレーヌが言ったとおりだよ。寂しかったの」 するとプレーヌは掴んでいた手を降ろし、涙を拭いいつものような笑顔に戻った。 「えへへ、じゃ私と一緒だね」 プレーヌはそう言い、ゆっくり後ろを向き、布団が敷いてあるベットに倒れこみ、そしてトートの方を向いて笑っていた。 「じゃあねえ、今日から一緒に寝るっ!」 トートは一瞬悲しそうな目をして、戸惑ったが、軽く頷き部屋を出た。 だが、プレーヌはその目を見逃さなかった。 「やっぱり、私じゃダメなのかな」 ガクッと枕に顔を埋め、しばらく考えていた。 トートは、まだ何かを引きずっている。 その時、思い出したくもない事を思い出した。 -神父殺しの子共- あの時、痛みで意識が薄かったけれど、ぼんやり覚えていた国王が言った事だ。 本当なのか絶対知らなくちゃいけない事だけれども、流石に聞けないのだ。 「そういえば、私ってトートんの事ほとんど知らないや。あーもうーって時計っ!」 うーっとまた顔を埋め、足をバタバタさせ、時計の事を思い出した時、戸が開いた。 「ちょっと、何やってるの?ご飯出来たから食べましょう」 トートは、朝ごはんを作ってたらしい。 プレーヌは、そう言われると、引きつった笑顔で、ゆっくりポケットに入れていた時計を、トートへ差し出した。 「ちょっと、それ」 トートは急いでプレーヌへ歩み寄り、時計を彼女が手にした時計を、奪い取るかのように取った。 すると、プレーヌは土下座をしていた。 「ごめんさい!私が壊しちゃってごめんなさい!」 大声で謝っていたが、トートは深い溜息をするだけで、時計を懐にしまい、何ら変わらぬ表情で居た。 「これ、初めから壊れてるから。プレーヌが壊したんじゃないよ」 すると、プレーヌは顔を上げて、不思議な顔をしていた。 「え、だ、だって、落とした時に壊れたんじゃないの?」 そう言われるとトートは、首を横に振る。 「これは、これで良い時計なの。取り合えず気にしない事ね」 プレーヌは、それ以上聞くことが出来なかった。 いつか、全部話して貰える日を願って、今日もまた来る日に向けての一日が始まる。 第三話 完
https://w.atwiki.jp/dqff1st/pages/505.html
《午前8時20分前後》 「……お早う。」 「…おはよ。」 …何が「おはよう」なんだろうと思いつつ、バッツは寝ぼけた頭を降って起きあがった。 ぐっと上半身を起きあがらせた次の瞬間には、もうすでに意識は覚醒している。 …狭い、石畳の殺風景な部屋。その隅っこの方に寝ていたみたいだが…。 ぐるりと頭を巡らすと、こっちに駆け寄ってくるクーパーと、つい今さっきまで(バッツの感覚では)背負っていた少女。 それに見知らぬ青年と少女の姿も見えた。 こっちに駆け寄ってくるクーパーに右手を上げて挨拶し、自分の近くに座っている緑の髪の少女に笑いかけてやる。 「おお、気がついたのか。ええと…。」 「リディア。私、リディア。」 「そっか、リディアちゃん、よかったな。」 バッツの笑顔に、リディアは精一杯の笑顔で答えた。バッツも、もう一段階笑顔を明るくしようとして…。 「バッツ兄ちゃん、起きたんだ!」 クーパーの声に遮られた。 何となく、リディアとの笑顔の交流を妨げるような意図がある感じなのは気のせいだろう。きっと。 「ああ、起きた……いつから眠っちまったのかわかんねぇけど。」 「ずいぶん寝てたよ。もう次の場所に移動したんだ。」 そんなに寝ていたのか……。 「悪いな。苦労かけた。」 「ううん。ゆっくり移動したおかげで知ってる人にも会えたから。ピピンって言うお城の兵士なんだよ!エーコって言う女の子も一緒でね!それで…。」 「ん、大体分かった。」 クーパーの言葉から大体の状況を把握して、バッツはすっくと立ち上がった。 そのまま見知らぬ男…ピピンとエーコの方に歩み寄ると、軽く手を挙げて礼を言う。 「なんか…クーパー達を助けてくれたみたいだな。サンキュ。」 「いえ…実を言うと私もクーパー様に助けてもらったんですよ。兵士として情けない事です。ホントに。」 「クーパー…様?」 バッツの疑問の声…ピピンが予想していたのとは違う場所に疑問点を上げられて、ピピンは一瞬戸惑って…すぐに意味が分かって笑った。 「クーパー様はグランバニア王室の王子であらせられます。普段はそんな事気にも止めてないみたいですけど。」 ピピンの隣に座っていたエーコが、ウソぉ、と声を上げる。 だがバッツは「ふーん…。」と生返事を返しただけだった。周りが王女様だらけだったので、そう言う感覚が麻痺してしまったのだ。 クーパーもそう言う事を気にしていないのなら、別に対応を変える必要も感じないし。 ふと、泳いでいたバッツの視線がピピンの脚で止まった。 めくり返したズボンの下の脚が、赤く腫れ上がっているのが見えた。 「おい、ひょっとして…。」 「はい、足が折れてるんです。エーコちゃんの呪文のおかげでだいぶ良くなりましたけど。」 と、ピピンがそう言って脚をさすった。 (…脚…か。) バッツが一瞬思案する。 今は三日目。人数は五人で内3人が子供。一人が負傷…。 ぎり…と歯がみする。 もうすこし早めにレナ達を捜索して、見つけだしておくべきだったか…。 もう三日目、人数はどれくらいだろう?二人は生きているのか?確かめようにも、ピピンの脚がこれでは動く事も出来ない。 「大丈夫…か?」 「はい、もうしばらくすれば、動けます。」 ピピンは答えて、立ち上がった。とんとんと軽くジャンプしてみせる。 むう、としばらく考え込んでから、バッツは何となく狭い部屋…ロンタルギアの祠の外に出た。 つめたい外気。凍てついた風。足の踝までが埋まる。ほとんど隙間無く生えた樹木のせいで、3メートル先も直視できない。 ロンタルギアの大地を踏みしめながら、バッツは慎重に辺りを観察した。 どうやら、ここは狭い島のようだが…。 そう思いながらバッツは振り返って…唖然とした。祠が無い。 ついさっきドアを開けて出てきたはずなのに、彼の真後ろにはただ森が広がっているだけで…。 何となく、つい今さっきまで祠のあった空間に手を伸ばしてみる。 じゃりっと、石壁の感覚が掌に伝わる。しっかり見なければ分からないほどに、祠は周囲に溶け込んでいた。 「カモフラージュにしても凄いな…全然分かんなかった…。」 呟きながら、バッツは『何もないように見える』空間を手探りでまさぐった。 その内に、ドアのノブが手に触れて、ソレを引っ張るとがちゃりとドアが開いた。 ロンタルギアの祠は、魔性のモノを退けるべく周囲と同化する呪文がかけられている。 ロトの血を引くモノ以外が見ても、それは周囲に溶け込んでほとんど分からなくなってしまうのだ。 全然分からない、と言うほどでもないけれど。 【ピピン(脚を負傷。ほとんど回復) 所持品:なし 第一行動方針:ジタンを探す、できれば他の仲間にも会う】 【エーコ 所持品:なし 第一行動方針:ジタンを探す、できれば他の仲間にも会う】 【バッツ@魔法剣士(アビリティ:時魔法、睡眠) 所持品:ブレイブブレイド 第一行動方針:パパス、アリーナ、アニーとの合流 第二行動方針:レナとファリスを探す 基本行動方針:非好戦的だが、自衛はする 最終行動方針:ゲームを抜ける】 【クーパー 所持品:天空の盾、ロングソード 第一行動方針:父親、アニーとの合流】 【リディア(幼児化・記憶退行) 所持品:なし 第一行動方針:セシルを探す?】 【現在位置:ロンタルキアの祠】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV リディア NEXT→ ←PREV バッツ NEXT→ ←PREV エーコ NEXT→ ←PREV クーパー NEXT→ ←PREV ピピン NEXT→
https://w.atwiki.jp/tenkai_cr/pages/444.html
915 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 18 55 14 ID eAyNZxML 俺も昔はよくRPGクリア直前で積んでたなぁ。 その世界を終わらせたくないんだよ。魔王倒すより。 ポケモンはその辺上手くやってる印象。 いつまでも遊べるおもちゃとしての設計が功を奏したと言うか。 925 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 39 01 ID lZVVhQZn 915 終わらせたくない、と言えば時オカは相当な物だった 926 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 40 28 ID 8oE4y8YY 終わらせたくない度で言えば夢島が凄かった。 切なくてクリアしたくないのなんの。 928 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 44 31 ID NtqNxNWf 私がせつなくてクリアするの躊躇ったゲームリスト ゼルダの伝説~夢を見る島~ MOON テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン1 風来のシレンGB~月影村の怪物~ 風のクロノア 929 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 48 16 ID 8oE4y8YY 928 あれ?俺がいる? 930 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 48 52 ID 6uS9s08n 928-929 おいおい、俺が二人もいるぞ 931 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 54 05 ID NtqNxNWf 後、プレイ中に感極まったのが 星のカービィSDX あれはやばかった 932 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 19 55 36 ID 2NfdjBo0 928 なりダン1はヤバイ。 マジ泣きしたのはあれが初めてだった。 935 :名無しさん必死だな :2006/03/30(木) 20 13 58 ID SDekYCu/ 前地獄スレで夢を見る島のネタを書いたらたくさんレスがついて驚きました ゼルダ初体験でしたが、一番好きです 時のオカリナ以降はやってませんがね シレンGBは最初した時ストーリー忘れるくらい月影村出口に苦戦しました 46階や48階で死んだ時は泣きそうでした
https://w.atwiki.jp/kisuitosuuki/pages/168.html
カカシの元から移動し、ナルトと話していたレイスケを拾って、現在は紅班がいるであろう演習場所を目指している。 ナルトが瞬身で現れた私に吃驚していたが、やはり主人公。 強がって「自分一人でどうにかできるってば!」なんてことを言っていた。 カカシが苦労するはずだ。 全くと言っていい程、まとまりがない。 クラスで大縄跳びがずっとできないような状態だろう。 これが暗部の部隊なら、私が直接指導しているところだ。 「ナルト、大丈夫かなぁ」 『あの状態なら心配も無理ないだろうけど、任務が始まったら何とかなるでしょ。それでも駄目なら、彼に合った職業になるだけの事』 「うん、わかった」 素直に頷くレイスケは物分かりがいい。 昔の私では下せなかった判断だ。 大丈夫。 今はそう信じれる。 ナルトは陰で支援し続けてきたからな。 ま、当の本人に身体的ないじめが行かないようにしただけだ。 言葉などの精神的な苦痛は、一睨みくらいしかできない。 元一般人で、それらを受けることの方が多かった私には、その苦痛がどれほどのものなのか、よくわかっている。 悔しいさ。 自分がそれらを防ぎきれないことが。 だから、レイスケに頼んだ『言葉と目線に気を付けてあげて』って。 ごめんね。 レイスケはまだ幼いというのに。 大人には見えない部分があるだろうから、君に頼むんだ。 三人のうち唯一の子どもである君に。 ため息を一つついて、気持ちを切り替える。 『次は紅班。ヒナタがいる班にいきましょう』 「メンバーは、確か……あんま好きではない子がいたなぁ……」 『ナルトがらみか?』 「それもあるけど、彼の気質がなぁ……なんていうか。いいイメージで言うとノリがいい?わるーいイメージで行くとつけあがる」 『良い様にも悪い様にも慣れるっていうわけか。実に人間らしいじゃない。味方でいてほしいものだねぇ』 「うん。彼くらいなら大丈夫。でも……ナルトのチームメイトの彼は難しいかも」 『サスケ君か。確かに彼にはいろいろとあるからね。……ま、なんとかするさ』 最終的にだが。 そう言いかけた言葉を喉の奥に押しやり、移動を続ける。 今、言っても彼にはやって欲しい事があるのだ。 願いの為に。 『これからよろしくお願いします』 「んじゃ、キバ!もっと落ち着いて行けよ!そのテンションがシノと半分っこならいいのに」 紅班について自己紹介をした後。 口々に私達はそう言った。 「うっせぇよ」(キバ) 「落ち着けという事だな」(シノ) 「ああ、なんだとぉ!」(キバ) 「ふ、ふたりとも?!」(ヒナタ) あー、なんかコントっぽいことしてるけど、癒しだなぁこの班。 人間性がいいわぁ。 和む。 「まぁまぁ、落ち着いてよ」(レイスケ) 「お前が火付け役だろう」(シノ) 「う?」(レイスケ) 『……レイスケ、それ地?それともワザと?』 「何が……?」(レイスケ) 『地か』 助け舟にならんなぁ。 「でも、私もびっくりしたわよ」(紅) 『なにがでしょうか』 「火影様がゼロ班を作った事よ。今まで、そんなものは無かったからね」(紅) あのクソじじい。 やっぱり無茶してでも私を活用する気だ。 いや、こき使う気だ。 なにこれ、完全なるブラック企業? 睡眠時間は3時間あれば足りるけどさぁ……。 『私はどのような意向で作られたかわかりませんが、出来るだけの事はしようと思います』 半分くらい理由は分かってはいるが、それをきっちりと隠して表の顔で紅上忍に対応する。 ……この美人があのイケメンの妻になるのか。 泣かしたら、往復ビンタかまして来よう。 ま、既に往復ビンタで何人か犠牲になってるけどな。 紅班と別れ、アスマ班へと向かう。 幸い紅さんは私達の事は全く疑ってはいないようだ。 疑いは三代目の方にいっている。 「瑠威おねえちゃん。さっきの上忍、分身で追ってきてるよ」 『あー……やっぱかぁ。班の編成云いだけ警戒していたからねぇ。疑いは私達ではなく、その背後なんだろうけど……』 コソコソと喋るのもなんだが、追って来ている以上結界はずっと使用できない。 「次のアスマ班って、シカマルがいるところだよね?」 『ええ、そうね。彼は頭いいというから、将来有望でしょう。それに奢りさえしなければ』 作戦の要にして、事実上の要人クラスになれる人物だ。 序盤でコケておいた方が奢りは断ち切られるが……な。 ともかく、寄り道なしでアスマ班へと向かうと、二人とも暗黙の了解であった。 次ページ:信頼へ