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リリーさん 春じゃなくても 元気Death 困ったな 夏のゆっくり おらんがな 秋姉妹 今年はわりと 頑張った レティさん コタツにうどん 暑くない? 名前 コメント
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駄文長文詰め込みすぎ注意。 愛で&希少種優遇&独自設定だらけ。 希少種は胴付きでかつ能力がチートです。厨二です。あたま悪いです。 そしてガチのHENTAIです。どうしようもないです。 前編に虐待要素はまったくありません。 それでも構わないという方はゆっくりどうぞ。 * 暑い日が続いていた。 窓の外では、煩いくらいに蝉が鳴いている。 日差しもいよいよ本格的に強くなる正午少し前、俺と姉ちゃん達はリビングでぐったりと横になっていた。 「暑いわ~。弟ちゃん、なにか涼しくなるようなもの無いの~?」 ソファに横になり、手にした団扇で自分をあおぎながらゆかりん姉ちゃんがいつものように無茶振りしてくる。 「そんなものがあったら俺がまず使ってるよ……で、ひじり姉」 「なむさん~。暑いです~……心頭滅却しても気温は下がりませんね~」 さくっとスルーし、ひじり姉に水を向ける。 俺の言葉を聞いているのかいないのか、俺に後ろから抱きついて姉妹一の巨乳を躊躇なく押しつけながら、ひじり姉はぼやいた。 「ならさ、俺にひっつくのやめない? ひじり姉も暑いでしょ?」 「弟さんを感じていると暑さも忘れられるんですよ~」 「俺はクーラーかよ」 「私達にとってはクーラー以上ですよ?」 そう言って、ひじり姉が更に密着してくる。 ゆっくり特有の、もちっとしながらもサラサラして肌理の細かい肌が俺の身体を優しく擦って、何とも言えず心地いい。 「こぼね~。弟様の身体を抱いていると、暑さも寒さも気にならなくなるのよ~」 そして、そんなひじり姉に同意するように頷き……俺の恩師たるゆゆ先生は正面から俺に抱きついてきた。 ひじり姉よりふたサイズ上というたっぷりとした膨らみが、俺の胸板とゆゆ先生の間で柔らかく潰れる。 「ゆゆ先生まで……」 「でも、私達がこうしていると、弟様も少しは楽になるでしょう?」 「それは……」 その通りだった。 ゆゆ先生、ゆっくりゆゆこ。ひじり姉、ゆっくりびゃくれん。 捕食種と希少種、しかも胴付きゆっくりという俺の恩師と姉さんの体温は、人間である俺よりもほんの少しだけ低い。 理屈は俺も詳しく知らないが、ゆっくりというのはサイズが大きくなるほど体温は下がるらしいのだ。 赤ゆっくりは手に取ると明らかに人間より暖かいし、胴なしの成体ゆっくりで大体人間と同じくらい。 胴付きやドスは平熱の低い人間くらいになる。 まあ、と言っても36度5分が36度になる程度なのだが、これが以外と体感的には馬鹿にならなかったりするのだ。 「弟さん、涼しくないですか?」 「弟様、気持ちよくない?」 「いやそれは気持ちいいし涼しいけどさ……」 もっとも、ひじり姉とゆゆ先生に抱きつかれている時点で俺の体温が若干上昇しているからプラマイゼロな気もするが。 特に身体の一部はなんか脈打ってるし。 「で、でもこの状況はあんまり良くないと思うんだ。ね、ゆかりん姉ちゃん?」 「そう? 私には、弟ちゃんもひじりもゆゆも、すごく幸せそうに見えるんだけど? 止めると私が悪役になりそう」 自分で自分を扇ぎながら、ゆかりん姉ちゃんが寝言をゆった。 いや止めようよ姉として。 「いや止めてもいいと思うよっ? 特に今日は俺が昼食当番だから、このままじゃ飯の準備出来なくなっちゃうしさっ」 「お昼ご飯なら、お素麺でもゆがけばすぐですよ?」 「こぼね~。そうよ弟様、せっかくこうしているんだから、涼しくなるまでゆっくりしましょ?」 「ゆゆ先生……涼しくなるまでゆっくりしてたら昼食用意出来ないよ? お腹空くよ?」 「弟様とこうしていられるだけで、私はお腹いっぱいになれるから平気よ~?」 「なにそれこわい」 健啖家なゆゆ先生を満腹にさせるって俺どんだけだよ。 と言うか、俺どこか喰われてるのかひょっとして。 「私も、弟さんとこうしていられるならお昼抜きでも構いませんよっ、南無三っ」 「ひじり姉は本当に抜いても平気だもんなあ」 肉体的な欲求に弱いゆっくりの中で、ひじり姉のびゃくれん種は割とその手の欲望に対して耐性がある。 絶食や不眠はもちろん、虐待などの肉体的苦痛にもかなりのところまで耐えられるのだ。 ひじり姉曰く、びゃくれん種には餡子の中に『苦行スイッチ』なる心理スイッチ的なものがあって、それをオンにすると色々無茶が利くらしい。 ゆっくりてんこ種のように痛み苦しみを快楽に変換するわけではないが、なんだか我慢出来るようになるのだそうだ。 「で、でもさ、ゆかりん姉ちゃんはご飯食べなきゃ……」 「私は涼しくなるまで眠ればいいんだから気にしないでいいわよ?」 「寝るのかよ!?」 さすが一日の半分は眠って過ごせるゆかり種。 「ええ。その時は、折角だから弟ちゃんに添い寝お願いするけどね」 「えっと、前と後ろはもう埋まってるぞ?」 「それじゃあ……私は上で我慢してあげるわ」 「俺の上ってそれ我慢じゃないよね? むしろマウントポジションって絶対優位だよね?」 「いいじゃないの~。どうせもう、ひじりとゆゆを侍らせているんだから……お姉ちゃんも侍らせなさい」 「それ日本語的におかしいよねっ!?」 ソファから降り、ゆかりん姉ちゃんが近づいてきた。 長い金色の髪の毛が、白い肌の上で揺れる。 やばい。 このままゆかりん姉ちゃんにまで密着されたら、本当に動けなくなる。 肉体的な意味でも、オンバシラ的な意味でも。 「ゆゆ、ひじり、ちょっと体勢変えて。私達で弟ちゃんを涼しくしてあげましょう」 「判りました、ゆかりん姉さんっ」 「こぼね~。はい、ゆかり様」 「ふたりとも素直すぎでしょおおぉぉ!?」 俺の抗議も空しく、ひじり姉とゆゆ先生が俺の腕を取って優しく仰向けに寝かせてくれる。 もちろん、ふたりとも左右から俺に密着したままだ。 ゆゆ先生とひじり姉の髪の毛が腕をくすぐる。 わき腹にふたりの胸が押しつけられる。 その柔らかな感触に思わず動きを止めた俺の胸を、ゆかりん姉ちゃんの金髪がそっとくすぐった。 「ゆ、ゆかりん姉ちゃんっ……」 「さあ弟ちゃん、お姉ちゃん達のゆっくり抱き枕でゆっかりお昼寝しましょうねっ」 「無理! 子供の頃じゃないんだからこの状況で昼寝は無理!」 確かに小学校上がる前は昼寝の時にゆかりん姉ちゃんやひじり姉やえーりん姉さんに添い寝してもらってたけど! つかほとんど抱き枕になってもらってたけどっ! でも今は無理! 眠ろうにも下半身の一部がぼるけいのしてるから! 眠気とか吹き飛ぶから! 「大丈夫。ちゃんとすっきりして、眠らせてあげるから……ね?」 「容疑を否認する気まるでないよねっ!?」 ゆかりん姉ちゃんの身体が、俺の上に重なってくる。 微かな重みと、すべすべでもっちりした肌の感触が全身に伝わってくる。 普段より肌の接触面積が広いから、心地よさもドキドキ感も倍増だ。 「弟さん……お姉ちゃんも、してあげますよ?」 「先生も……弟様なら、個人授業はいつでも歓迎よ……?」 「小中通してほとんど個人授業だったよねゆゆ先生っ」 いやHENTAI的な意味での個人授業なのは判るけど! むしろ受けたいけど! でも今は駄目なんだ! だって、俺はまだ……っ! 「姉ちゃん……!」 迫り来るゆかりん姉ちゃんに向かって口を開きかけ。 同時に、リビングの扉が開いた。 「……何してるの、あなた達」 赤と青に塗り分けされたナースキャップが俺達を見下ろしている。 その口調は普段のクールを通り越して氷点下だ。 「え、えーりん姉さんっ?」 「えーりん様っ!?」 「ちょ、なんで姉さん帰ってきてるのよっ!?」 「往診で村を回っていたから、家でお昼を済まそうと思ったのよ」 慌てるゆかりん姉ちゃん達に、冷たく告げるえーりん姉さん。 「そうしたら、リビングであなた達が弟君と半裸で絡みあっているなんて……ねえ、これって一体どういう事なのかしら?」 「あー……その、ゆかりん姉ちゃんがあんまり暑いから水着になろうって言い出してさ……」 「そ、そうそうっ。半裸じゃなくて水着なのよ、水着っ。健全健全っ!」 「そうですよっえーりん姉さんっ、ちょっとビキニなだけです!」 「私もゆっかりブラジルなだけよっ!」 「今年はみんなで海に行きたいねと弟様が言われたので、それならと水着を見てもらっていたんです~!」 「待ってゆゆ先生、それじゃ俺が水着見たがったからこうなったみたいなんだけどっ!?」 「こぼねっ? 弟様、私の水着見たくなかったのっ?」 「ごめんなさい超見たかったです! だからそんな悲しそうな顔しないで!」 やいのやいの。 水着姿のままじゃれ合う俺達に、結果的にのけ者状態になったえーりん姉さんが、青筋浮かべて静かに告げた。 「あなた達……正座」 「「「「はいいぃっ!」」」」 * 1時間後。 「弟君、午後は時間ある?」 正座説教のあと、俺の茹でた素麺(薬味は葱と生姜、それに姉ちゃん達用に缶詰みかん)をみんなで手繰っていると、えーりん姉さんが尋ねてきた。 「んぐ……特に予定はないけど……なに?」 口の中の素麺を呑み込み、答える。 姉さん達の指導のお陰で、夏の課題を順調に消化している俺に時間はたっぷりあるのだが、使い途はあんまりない。 この村ではぶらりと遊びに出るという事も出来ない。 なんせ最寄り駅まで自転車で30分、街までは更に電車で1時間かかるのだ。 道路は整備されているので自動車があればアクセスは悪くないのだが、残念ながら俺は無免許。 となれば、学校の友人と遊ぶのも思いつきでは難しい。 夏休みの空いた時間は山に入るか畑に出るか、さもなきゃ家で姉ちゃん達に振り回されるくらいしか使い道がないのだ。 ……彼女がいればまた少しは変わるんだろうけど、うちの村に俺の同年代の女の子いないし、学校は男子校で出逢いもない。 合コンに誘われたりはするけれど……正直、姉ちゃん達の相手で今は手一杯なんだよなー。 ともかく。 農業と林業と加工場くらいしか産業のないこの村で若者の娯楽は枯渇しており、夏休みの俺は常に暇を持て余しているのだった。 ネットは光なんだけどね。 「御祖母様が人手を欲しいと仰ってるのよ」 えーりん姉さんの言葉に、全員の箸が止まった。 お互いに視線を交わし……そして同時に口を開く。 「ばあちゃんが?」 「ええ、そうよ」 「南無三っ……ということは、またドスでも出たのでしょうか?」 「それは不明。そうかも知れないけど、単に孫の顔が見たくなっただけかもね」 「待ってよ姉さん。もし害ゆっくり絡みなら弟ちゃんじゃなく、まず母さんかその部下が出向くべきじゃない?」 「御祖母様は弟君を指名してるの。母さんならまだしも、部下を寄越して機嫌損ねたら大変でしょ」 「こぼね~……弟様の御祖母様って、この辺りの山林の半分を所有されてるんでしたっけ?」 「ここの裏山と向こうの山の半分をね。随分前に法人化しているから、厳密には御祖母様個人のものではないけれど」 俺達の言葉にひとつひとつ返していくえーりん姉さん。 言葉の洪水をワッと浴びせられたのにまったく動じてないあたり、流石この村一番の天才ゆっくりだ。 いやまあ、実は頭の回転自体はゆかりん姉ちゃんも相当なものなんだけど……姉ちゃんはその使い方が偏ってるからなあ。 俺へのセクハラに中枢餡の8割使ってるって公言してるくらいだし。 「それで、どう? 弟君が動けるようなら、午後から御祖母様のところにお手伝いに行って欲しいのだけど」 「それって母さんからの伝言?」 「プラス、父さんよ。最初の連絡は父さんのところに来たらしいから」 「……親父、ばあちゃんには逆らえないもんなー」 婿養子の親父が母さんに泣きつくところがありありと想像出来る。 ばあちゃん相変わらず容赦ないな。 「で、俺名指しなんだよね……姉さん達は呼ばれてないの?」 素麺を一口啜る。 うん、やっぱつゆには生姜だ。 「特に来てくれとは言われてないわ。まあ……」 俺に合わせて、えーりん姉さんも素麺を口に運ぶ。 ちなみに姉さん達のめんつゆは俺特製のみりん多め甘口だ。 「来るなとも言われていないから、弟君についていくのは問題ないと思うけど?」 「はいっ! じゃあ私は一緒に行きます!」 「こぼね~。えーりん様、私もご一緒して良いのですか?」 「ゆゆこなら御祖母様もよくご存じだし、大丈夫だと思うわ」 えーりん姉さんの言葉に、ひじり姉が元気に手をあげた。 ゆゆ先生も主張は控えめながら行く気満々だ。 「ん~……御祖母様のところねえ……」 ただ、ゆかりん姉ちゃんだけは微妙な表情を浮かべる。 「ゆかりは行かないの?」 「まさか。弟ちゃんと一緒にいられる機会を逃すわけないでしょ。ただ……御祖母様のところだと、道中は一緒にいられないから」 「「あ~……」」 ぼそりと呟くゆかりん姉ちゃんに、ひじり姉とゆゆ先生が同時に頷いた。 「もちろん迎えに来ちゃいますよね」 「そうしたら、私達では追いかけるの無理ですからね~」 「そう言うこと。私達はここで弟ちゃん見送って、御祖母様の小屋に着いた辺りでスキマ移動することになるから、それはちょっと残念かなって」 素麺をちゅるんとのみ込み、ゆかりん姉さんが俺を見る。 「……なんだよ?」 「弟ちゃんが私達と一緒に歩いていってくれるなら、お姉ちゃん嬉しいんだけどなー?」 「やだよ。姉ちゃんすぐに歩くの面倒がってスキマ移動するか、俺におんぶや抱っこさせるじゃないか」 「判ってないわねぇ……そうやって道中弟ちゃんにセクハラするのが楽しいんじゃないの」 「ゆかりん姉さんは少し自重した方がいいと思いますっ。南無三っ」 「そうですよゆかり様、いくら弟様が野良仕事で鍛えていても、私達三人を交代で抱っこして山道登っていたら倒れちゃいます」 「ゆゆ先生って以外に容赦ないですよね?」 ぷちスパルタ教育なのは小学校の頃から変わらないのかー。 だけどまあ、ゆかりん姉ちゃんの言うことも判らないではない。 ばあちゃんからお呼びがかかったと言うことは、十中八九俺には迎えが来るからだ。 「それで弟君、御祖母様のところには行くの?」 「あ、うん。昼飯片付け終わったらすぐに出るよ」 「判ったわ。それじゃあ、そう御祖母様に伝えておくから」 そう言って携帯を取り出すえーりん姉さん。 どうやらばあちゃんにメールを送るらしい。 山中に住んではいるが、ばあちゃんの家の側にはばあちゃん自ら携帯会社に掛け合って建てた基地局があるからなあ。 アレのお陰でこの辺り一帯は山中でも携帯が通じるんで村のみんなもかなり助かってるんだ。 ちゃっかり基地局の保全役を携帯会社から引き受け、報酬貰っている辺りは孫として見てもどうかと思うが。 「ところで、姉さんは一緒に行かないの?」 メールを打ち終えたえーりん姉さんに、ゆかりん姉ちゃんが声をかける。 「そうね……往診は終わったし、急患が入らなければ余裕はあるけど……ゆかり、何かあったら送ってくれる?」 「その位お安い御用よ」 そう言うと、姉ちゃんはにやりと笑った。 「それじゃあ……えーりん姉さんも水着用意しなきゃね」 「水着? なんでそんなもの……」 「御祖母様のところには池があるの忘れた? 昔は夏になるたびに遊びに行って、弟ちゃんと一緒に水浴びしてたじゃない……裸で」 「ぶふっ!?」 はっ、鼻に素麺がっ!? 「なっ……ゆ、ゆかりっ! この歳で弟君がそんな事応じてくれるわけないでしょ!」 狼狽してるのか、微妙にずれたことを咎めるえーりん姉さん。 というか姉さん、俺がOKなら今でも裸でいいのか。 「だから水着を用意するんでしょ? それなら弟ちゃんも一緒に遊んでくれるし」 「俺に拒否権ないの?」 「弟ちゃん、拒否するの?」 「……そりゃまあ、水着なら拒む理由はないけどさ……」 えーりん姉さんも一緒なら、さっきみたいなことはないだろうし。 野外では常識的だからな、えーりん姉さんは。 屋内で他の人の目がない時はゆかりん姉ちゃん並にリミッター外れたりもするけれど。 「ね? だからえーりん姉さんも水着選びましょう。弟ちゃんが向こうに着くまで時間はあるんだし」 「……ま、まあ……弟君と一緒に水浴びできるのなら……仕方ないわね」 うんうんと、えーりん姉さんが自分を納得させるように頷く。 何が仕方ないのか若干判らないけど、そういうことらしい。 俺としては1年ぶりにえーりん姉さんの水着姿を見られるわけで、普通に嬉しいのだけど。 えーりん姉さん目茶苦茶スタイルいいし。 まあ、これはゆかりん姉ちゃんやひじり姉やゆゆ先生にも言えることだけど。 母さんの育成の賜なのか、それともチェンジリングという出自のせいか、姉さん達の身体は普通の胴付きと比べてもなお人間に近い。 流石に顔はゆっくりらしい丸みを帯びているから人間と見間違われることはあまりないけど、体つきは人間と変わらない。 むしろ胸とかはお尻とかは、ゆっくり特有の弾力ある皮のお陰で人間以上に綺麗な形をしていたりする。 ゆゆ先生なんて、ロケットおっぱいってきっとこういうのを言うんだろーなーって感じだしな。 さっき水着を見た限りじゃ、ひじり姉とかまた成長してたようだし……えーりん姉さんも……。 「弟君、御祖母様から返信がきたわ」 えーりん姉さんの言葉で、俺は楽しい妄想タイムから現実に引き戻された。 「え? あっ、う、うん……それで、ばあちゃんなんて?」 「かなこを迎えに寄越したから、一緒に来るようにだそうよ」 「やっぱり来るのね」 「かなこさんと会うのも久しぶりですねっ」 「こぼね~。元気なんでしょうか、かなこ様」 「この間お使いに行った時は元気だったわよ? 四代目のさなえとすわこは覚えが良いって喜んでたわ」 そう言って、ゆかりん姉ちゃんはみかんを一切れ摘み、口に運ぶ。 みかんの房を唇で挟み、少しずつ飲み込んでいく仕草が妙にエロティックだ。 「ま、それ以上に弟ちゃんは元気かとか、次はいつ遊びに来るのかとか煩かったから、そんなに気になるなら逢いに来ればと言ったんだけど」 「「「「…………」」」」 俺達の視線が、ゆかりん姉ちゃんに集まった。 「……なに?」 「いや、ゆかりん姉ちゃん……ばあちゃんが俺を名指しで呼びつけたのって……」 「多分かなこに頼まれたからね」 「あら?」 「御祖母様、かなこさんには甘いですから」 「弟様を呼びつける口実にもなりますし、渡りに船だったんでしょうね~」 「あ~……あはは、これはゆっかりしちゃったわね」 「はぁ……ま、どうせ休み中に一度は顔出すつもりだったからいいけどさ。姉ちゃん、またかなこさんを焚きつけるようなこと言ってないだろうな?」 「失礼ねっ? それじゃ私がいつもかなこをからかってるみたいじゃない」 「あんまり間違ってないと思うけど?」 「えーりん姉さんまでっ? もうっ、別に大したことは言ってないわよ? この間一緒にお風呂に入ったとか、宴会したとか、そのくらいで……」 「それどっちも俺の貞操大ピンチだった時だよねっ!?」 思わず叫ぶ。 ゆかりん姉ちゃんソレ絶対わざとやってるよねっ!? 焚きつけてるというか挑発しまくってるよね!? いくらかなこさんと同い年でライバル視してるからってそういう方向の弟自慢はよくないと思うんだ俺っ! 「南無三っ……それはかなこさんも来ますね」 「かなこ様、お仕事の都合で弟様にはなかなか逢えませんものね……こぼね~」 気持ちは判るとうんうん頷くゆゆ先生。 まあ、姉ちゃん達と違ってゆゆ先生は学校があるから、俺とはそう頻繁に逢える訳じゃないもんな。 「あは、あはははは……」 ばあちゃんのところに手伝いに行くだけの筈が、どうしてこうなった。 いや、まだなにか起こるって決まった訳じゃないけどさ。 でも……なんだろう。 嫌な予感しかしないんだが。 パインサラダを食いかけで出撃するような気分になって、俺は自棄気味に素麺を啜り込む。 その耳に。 「弟殿~~っ!」 久しぶりに聞く、かなこさんの声が届いた。 「うわ、もう来たの!?」 「これは……私がメール出す前に出てるわね」 ゆかりん姉ちゃんが呆れたように声をあげ、えーりん姉さんが携帯片手に呟く。 「あわわ……とにかく俺、迎えに出てくるよ!」 残りの素麺を一気に呑み込み、玄関に走る。 とりあえずサンダルに足を突っ込んで外に飛び出し、俺は空を見上げた。 山向こうに入道雲がある以外は澄み渡った青い空。 そこを飛んでくる人影があった。 「かなこさーん!」 「おお、弟殿っ! そこか!」 赤い上着に黒のロングスカート。 そして背中にしょった一抱えもある円形の注連縄と、宙に浮かぶ四本のオンバシラ。 正直言って死ぬほど目立つその姿に、農作業をしていたご近所さんも手を止めて空を見上げている。 まあ、この村でかなこさんを知らない人間はいないので、騒ぎ立てられる事がないのがせてもか。 第一種危険ゆっくり、胴付きゆっくりかなこ。 特別な許可を受けた者か公共機関でなければ飼育が許されず、人間の保護を受け入れない野生の個体は優先駆除対象になる……。 うちの姉ちゃん達やゆゆ先生に並ぶ『特別』なゆっくりだからな、かなこさんは。 「いま行くぞ、弟殿っ!」 「お手柔らかにねー!」 大きく手を振りながら、かなこさんが俺に向かって飛んでくる。 注連縄とオンバシラが微妙に動いて角度を調整し、高度を下げていく。 どんどん大きくなっていくかなこさんの姿を見上げ、俺は両手を拡げた。 「注連縄セイル、タッキング!」 勢いよく俺に突っ込んで来ていたかなこさんの身体が、一瞬浮き上がる。 同時にスピードが殺され……そのままふわりと落ちながら、かなこさんは俺に抱きついてきた。 「おわっ!?」 勢いを殺されていたとはいえ、えーりん姉さんよりも背の高いかなこさんに抱きつかれて一瞬バランスを崩しかける。 「弟殿っ! 久しいな、弟殿~っ!」 「ととっ、たっ、はっ……! は、はは……久しぶりだね、かなこさん……梅雨前のゆっくり狩り以来かな?」 なんとかバランスを取り、かなこさんを地面におろす。 その間もかなこさんは俺に抱きつき……すりすりと、俺に頬を擦りつけ続けていた。 ぎゅっとしがみついているので、身長以上に豊かな胸が思いきり押しつけられる。 「ああ、実に二ヶ月ぶりだ! まったく、ここまで私を待たせるとは弟殿も意地が悪いぞ!」 「ごめんよかなこさん、俺も学校とかで忙しくてさ……」 「いや、判っている。判っているんだ弟殿。今のは私の我が侭……だが、こうしてまた逢えた事を何より嬉しく思うぞ!」 抱きついたまま、すりすりを止めないかなこさんの身体に手を回し、そっと抱き返した。 ぽんぽんと背中を叩いてやると、かなこさんは嬉しそうに鼻を鳴らし、更に頬を擦りつけてくる。 そこに。 背後から、悲鳴のような声がした。 「ちょっとかなこ、弟ちゃんに何やってるのっ? それもう親愛のすりすりを越えてるでしょっ!?」 「はっ破廉恥ですよっかなこさんっ! 南無三です!」 「こっこぼね~っ!? 弟様が、すっ、すーりすーりされてっ……!」 「うおっ!? ね、ねーちゃん達っ!?」 振り返ると、眉を吊り上げているゆかりん姉ちゃんに、涙目のひじり姉とゆゆ先生。 そしてその後ろに、こめかみを押さえているえーりん姉さんが立っていた。 「まったく……かなこ、いくら久しぶりに弟君に逢えたからって、表ですりすりは止めなさい。はしたないわよ」 「おお、久しいなえーりん! ひじりもゆゆこも健勝だったか?」 「さりげなく私を除外するんじゃないわよっ」 「はははっ、怒るなゆかり! お前とは逢ったばかりで、健勝なのは判っているからな! 先日の土産の赤ゆ饅頭は主殿も喜んでいたぞ!」 ようやくすりすりを止めたかなこさんが、姉さん達に笑いかける。 ……助かった。 それにしても、抱きついていた事よりすりすりの方を問題視する辺り、姉さん達もゆっくりだよな。 まあ、胴付きはすりすりによって妊娠することはなくなっているとはいえ、すりすりによるすっきりーは可能だ。 だから、すりすりに過剰反応するのも頭では理解しているんだけど……俺も人間だから、感覚的にはピンと来ないんだよな。 人間でいうと、かなこさんは俺に対して逢うなりディープキスしてるようなものらしいんだが……。 それなら姉ちゃん達には騒ぎ立てる権利ないと思うんだ、俺。 「……それで? 弟ちゃんを指名した理由はなんなの、かなこ?」 肩をすくめ……不意に、真面目な表情になって、ゆかりん姉ちゃんが口を開いた。 「弟ちゃんに逢いたいって理由だけで、御祖母様の山を守るゆっくりであるあなたが、わざわざ山を下りたりはしない筈よね?」 「あら? そうだったんですか? 私は本当に、ゆかりん姉さんが焚きつけただけかと……」 「……ひじり、あんた私をなんだと思ってるのよ……」 「普段の言動が胡散臭すぎるからでしょ、自業自得よ……それでかなこ、どうなの?」 ゆかりん姉ちゃんをたしなめ、えーりん姉さんが改めて尋ねる。 それに、かなこさんは真面目な顔になって、答えた。 「ああ。最近、山にれいぱーありすが出るようになってな……弟殿には、駆除を手伝って貰いたいのだ」 ※後編に続く※ 挿絵:おまんじゅうあき
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・夏のゆっくり山守さん(前編)の続きです。 ・駄文長文詰め込みすぎ注意。 ・愛で&希少種優遇&独自設定だらけ。 ・希少種は胴付きでかつ能力がチートです。厨二です。あたま悪いです。 ・そしてガチのHENTAIです。 ・後編では人間が肉体的に痛い目をみます。 ・それでも構わないという方はゆっくりどうぞ。 *** 「れいぱーありすの駆除?」 リビングに戻った俺は、えーりん姉さんの淹れてくれたコーヒーを啜り、改めてかなこさんに尋ねた。 「そうだ。ここのところ、主殿が管理しているお山のゆっくりが、れいぱーありすに襲われるという被害が相次いでいる」 氷の浮いたオレンジジュースを口に運びながら、かなこ様が頷く。 「それも、どうやら奴らはそれなりの数がいるようでな。私が管理している群れのひとつが半壊させられてしまった」 「それは、かなこの管理不足……と言いたいところだけど、れいぱーはどうしようもないわねえ」 オレンジフロートのアイスをストローで突きつつ、ゆかりん姉ちゃんが唸った。 れいぱーありす。 ゆっくりありす種が異常発情することで生まれる変異種であり、第三種危険ゆっくりに指定されている。 その特徴は捕食種とすら対等に渡り合える身体能力と、自分の中身を全て出し尽くすまで止まらない異常な性欲。 一度れいぱー化したありすは近くにいるゆっくりを見境なくレイプし続け、すっきり死させてしまう。 そして最終的には自分自身の中身も全て吐き出し尽くし、命を落とすのだ。 大量のすっきり死したゆっくりと、そこから生き延びて生まれ落ちた、れいぱー因子を強く受け継ぐ赤ありすを残して。 「かなこさんが管理していた群れのありすがれいぱー化したのですか?」 ゆゆ先生特製の赤ゆ饅頭をかじり、ひじり姉が尋ねた。 「いや。群れにありす種はいたが、れいぱーへの恐怖で強制れいぱー化した個体が出ていた程度だ」 「こぼね……という事は……」 「ああ。れいぱー共は、山の外からやって来たヨソ者の可能性が高い」 「それはまた……厄介ね……」 かなこさんの答えに、ゆゆ先生とえーりん姉さんが表情を曇らせる。 どんな種類のゆっくりからも一定の割合でゲスが含まれるように、ありす種には一定の割合でれいぱー化する個体が含まれている。 ただし、全てのありす種は強精発情させることで無理矢理れいぱー化させる事が可能だ。 だが、そういう強制れいぱーは餡子(カスタード)の消耗が激しく、寿命は保ってせいぜい一日。 場合によっては最初のゆっくりに全精子餡を注ぎ込み死亡する事すらあるので、自然界ではさほどの脅威にはならない。 繁殖用の精子餡を採取する時や、虐待用に使うには便利な生態だという程度だ。 それに対し、自然にれいぱー化した個体は遙かに厄介な存在だった。 何しろ、れいぱーとして活動しながらも自分の生命活動の維持が行え、過剰なカスタードの消費を抑えられるのだから。 自然発生したれいぱーは、すっきり死したゆっくりや、生まれることなく永遠にゆっくりした実ゆを捕食する。 そうしてカスタードを補充しつつ、少しでも多くのゆっくりに『とかいはなあい』を与えるべく活動し続けるのだ。 こういうれいぱーが発生した場合、最悪たった一匹のゆっくりに群れが全滅させられる事もある。 自然発生したれいぱーの集団は、群生相を生じた蝗なみに面倒な存在なのだ。 そして、なにより。 「なるほどね。自然発生したれいぱーが相手じゃ、ゆかりん姉ちゃんはともかく、ひじり姉達には応援を求められないし……」 「御祖母様の処に居る山守ゆっくりを動員する訳にもいかないわね。最悪、触れられただけで妊娠しちゃうもの」 俺の言葉に、ゆかりん姉ちゃんが頷いた。 そう、自然発生れいぱーの最も恐ろしい点……それは通常では考えられないほどに強力な繁殖能力にある。 元々すっきりーすれば妊娠率100%というデタラメナマモノであるゆっくりだが、自然発生れいぱーは更に質が悪い。 なんせ、自然発生のれいぱーは分泌する体液が全て精子餡に等し生殖能力を持つのだ。 れいぷは勿論、すっきりーでないすりすりや、最悪飛び散った体液や吐いた餡子を浴びただけで、並のゆっくりなら妊娠してしまう。 妊娠率が極端に低いはずの胴付きでさえ、自然発生れいぱーの精子餡をまともに浴びると5割近い確率で妊娠してしまうのだ。 その特性を生かし、加工場などでは胴付きゆっくりを生産する為に自然発生れいぱーの精子餡を使っていたりするのだが。 「なるほどね。俺が指名された訳が判ったよ。ま、自然発生れいぱーなら加工所に依頼してもいいと思うんだけど……」 「主殿曰く、これも弟殿と私が受けるべき愛の試練だそうだ。力を合わせ、山に侵入したれいぱーを排除せよ、と仰せでな」 「ばあちゃん……」 愛の試練ってなんだよ、愛って。 そりゃまあ、かなこさんは俺の恩人ならぬ恩ゆっくりだし、姉ちゃん達やゆゆ先生同様、大切な相手だけどさ。 「愛の試練、ね……」 「御祖母様はかなこさんがお気に入りですから、仕方ないですね」 「かなこ様を弟様に譲る気満々ですものね~」 「ま、愛とかは置いておいて」 「置くのかよ」 俺の突っ込みをスルーし、ゆかりん姉ちゃんはアイスクリームをスプーンで掬うと、ぱくりと咥えた。 「んぐ……御祖母様は他人の手を借りようとしない方だから、かなこと弟ちゃんにまず任せようとするのは当然ね……ちゅ」 ちろりと唇を舐め、微笑む。 「ま、そう言う事なら私も協力してあげるわ。かなこのオンバシラ同様、私のスキマはれいぱーに触れることなく駆除できるから」 「やってくれるか、ゆかり?」 「当然よ。弟ちゃんが前に出るのなら、せめて後ろから援護するのが姉としての務でしょ?」 「そうか……すまん、助かる。正直ゆかりの助力は欲しかったのでな」 かなこさんが神妙に頭を下げる。 「いいのよ、このくらい。それで、いつから始めるの?」 「ああ……群れの行動範囲は大体把握できているから、出来るならばすぐにでもやりたいのだが……弟殿はどうだ?」 「山の装備に着替えるだけだし、俺は構わないよ?」 ばあちゃんの山なら勝手は判っているし、携帯も大抵の場所で通じるしな。 「南無三っ! 私もお手伝いしますよっ」 「私も及ばずながら~。中枢餡さえ破壊できればれいぱーを操る事も出来ますので~」 「……弟君に対ゆっくり用薬剤を持たせなければね」 ひじり姉にゆゆ先生、えーりん姉さんも力強く頷く。 「皆……すまん、恩に着る」 「ええ、たっぷり恩を着せてあげるから覚悟しなさい?」 「……弟殿は譲らんぞ?」 「この程度の恩で譲らせるつもりもないから安心しなさい」 神妙なかなこさんと、それをからかうように笑うゆかりん姉ちゃん。 なんだかんだ言って、このふたりは仲がいい。 妙に張り合うところはあるけれど……それはふたりが同い年で、ライバルみたいな関係だからなんだろう。 「それでかなこさん、俺達はどう動けばいいんだ?」 「うむ。それはこの地図にだな……」 スカートの中から、かなこさんが1枚の地図を取り出して、拡げる。 「奴らが襲ったゆっくりの群れはここ。他のゆっくり巣で襲撃を受けていたのがこことここ……つまり、奴らの移動経路は……」 ばあちゃんの山を示した地図の上を、かなこさんの白く長い指が滑る。 顔をつきあわせてそれを覗き込み、俺達は作戦を煮詰めていった。 *** 風が頬を撫でていく。 足元がふわふわする。 見下ろせば、青々とした木々の梢。 「どうだ弟殿? 久しぶりの空中散歩は?」 「相変わらず股間がきゅーっとするよ……かなこさんは大丈夫?」 「問題ない。弟殿と一緒ならば何時間でも飛べるぞ!」 「頼もしいなあ……でも、絶対に無理はしないでね?」 力強く答えるかなこさんに、俺は引きつった笑みで答えた。 ここはばあちゃんの会社が所有する山の上空。 かなこさんに抱えられ、俺は目的地目指して飛んでいた。 「大丈夫だ、私の注連縄セイルは絶好調だからな! 今ならばジェット気流でも捉えてみせるぞ!」 「それかなこさんはともかく俺死ぬからね?」 かなこさんが第一種危険ゆっくりに指定されている理由。 そのひとつが、この注連縄セイリングジャンプ……注連縄の持つ不思議な力で風を捉え、空を飛ぶ能力だった。 高い知能を持つ胴付きで、空を飛ぶ事が出来る。 害獣となった場合、これだけでもかなりの脅威だ。 そのうえ、かなこ種はオンバシラという武器を持っている。 胴なしですら木刀並のサイズと威力を持つオンバシラだが、胴付きであるかなこさんのそれは丸太に近い。 直径約15センチ、長さは約90センチ。重量にして15キロを越えるオンバシラ。 これをかなこさんは意志の力で4本同時に自在に動かし、ある時は舵として、あるときは武器として使っているのだ。 ……どう見てもサイコキネシスです、本当にありがとうございました。 動かせるのはオンバシラ限定とはいえ、これだけの質量がある物質を自由に振り回せれば、それは十分な殺傷力を持つ。 実際、かなこさんは狩猟期間には山を飛び回って猟を行っているし、オンバシラで100キロ級のイノシシを仕留めた事さえあるのだ。 人間並の知能があり、空を飛べ、オンバシラで人を殺傷せしめるだけの攻撃力をも有している。 そんなかなこさんが第一種危険ゆっくりに指定されるのは、人間側の理屈で言えば当然の事だった。 俺にとってそれは、命を救ってくれた素敵な能力なのだけど。 「ときに弟殿っ」 背中から俺をしっかりと抱きしめて、かなこさんが耳元で囁いた。 「なに、かなこさん?」 「そのっ……街の学校に通うようになって、生活は何か変わったか?」 「何かって、なにが?」 「……そのっ……懸想する相手が出来た、とかっ……!」 「あー……! 無理無理、だって俺の学校男子校だもん! 女っ気なんて先生含めても皆無だよー!」 「そ、そうか……そうか! それは良かっ……いや、残念だったな!」 俺を慰めながらも、かなこさんは何故か嬉しそうだ。 姉ちゃん達もそうだけど、なんか俺に彼女が出来たかってことを気にするんだよなー。 やっぱりアレか、弟に彼女というのは娘が彼を連れてきた的なショックがあるんだろうか。 俺的には心配される事自体がちょっと心外なんだが。 まったく。 「もうちょっと、弟を信じてほしいよな……」 「ん? 弟殿、何か言ったか?」 「いや、なにもー! それよりかなこさん、そろそろ降下ポイントだよー!」 「了解だ! では頼むぞ、弟殿!」 「任せて! かなこさんこそ気をつけてよ!」 「案ずるな! 私はれいぱーありすなどに穢されたりはせん! 弟殿との約束があるからな!」 力強く答えるかなこさんに頷く。 目の前には木々が迫り、梢を抜けると薄暗い森のなか。 ほとんど人の手の入っていない自然林の斜面に、俺達は着地した。 「よし……ちょっと待っててね、かなこさん」 「判った」 俺を下ろしたあとで注連縄セイルを調整し、かなこさんが再び空に舞う。 その姿を見上げ、俺は携帯を取りだした。 短縮ダイヤルをコールし、三回。 『……弟君?』 「えーりん姉さん? ポイントに着いたよ。ゆかりん姉ちゃん達を待機させといて」 『判ったわ……気をつけてね』 「大丈夫だよ。かなこさんもいるし……」 通話を続けながら腹に抱えていたリュックを下ろし、中からウォーターガンを取り出す。 「えーりん姉さんが持たせてくれた甘辛ウォーターガンもあるからね」 これは2000円ほどで買った玩具を改造したものだが、ポンプアクション式で最大射程20メートルというなかなか強力な奴だ。 そして、1リットルという大容量タンクに詰まっているのは、えーりん姉さん特製の対ゆっくり用超甘味&辛味ブレンド液。 砂糖の3000倍という甘味成分はゆっくりを一瞬で虜にして動きを封じ、20万スコヴィルの辛味成分は成体ゆっくりさえ一瞬で非ゆっくち状態に陥れる。 最高のしあわせーと最悪のふしあわせーを同時に叩き込まれた中枢餡は処理能力の限界を超え、機能停止へと追い込まれる。 その威力はこの夏の畑番で証明済みだ。 『ええ。それを使えば、れいぱーに触れることなく中枢餡だけを機能停止させられるはずよ……ただ』 「ただ?」 『れいぱーは大量に大量の体液を分泌しているから、少量だと流されてしまうかも……しっかり狙って、無駄撃ちは控えてね』 「判った。じゃあ、れいぱーを見つけたらメール入れるよ」 『了解……待っているわ』 携帯を切る。 顔をあげると、空に浮かぶかなこさんと目が合った。 「それがえーりんの用意した銃か? かなり強力なものだと聞いているが」 「うん。畑番で何度か使ったけど凄いよ。一発で動かなくなって、潰れないし餡も吐かないから後片付けも簡単だしね」 「それは重畳。れいぱーを潰すと地面に残った餡でゆっくりが孕む事もあるからな」 「れいぱーってパないよね」 「だからこそ、野生の群れが崩壊する原因のひとつにれいぱーの襲撃があるのだ……さあ行こう、弟殿」 「了解」 かなこさんに先導され、歩きだす。 山の中は日の光が遮られて薄暗く、蒸し暑い。 蝉の声が煩いくらいに響いていて、いつもなら頻繁に聞こえてくるゆっくりの間延びした声もかき消されていた。 「暑いな……」 「今年は特にな。弟殿、こちらだ」 「あいあい」 山の斜面を登り、わずかに踏み分けられた山道を進む。 ぉぉぉ……。 「ん?」 そうして進んでいると、蝉の声に混じって微かにゆっくりの声が聞こえてきた。 ほおおぉぉ……! 「かなこさん」 「ああ、居たな」 んほおおおおおおおぉぉ! やめちぇええええぇぇ!! だんだんと、声がはっきり聞こえるようになってくる。 どうやら複数のれいぱーありすに、野生ゆっくりが襲われているらしい。 悲鳴の方はそれほど聞こえないから、群れじゃなく家族単位で住んでいる連中だろうか。 慎重に声のする方に歩を進め、木の影に隠れながら覗き込むを。 ……そこは、れいぱーの饗宴の真っ最中だった。 「んほおおおおおおおおぉぉ!! おちびちゃんまりさのまむまむはすっごくしまるわああぁ! とってもとかいはねええぇぇ!!」 「やめちぇええええぇ!! まりちゃのばーじんしゃんぎゃああああぁ!! おかーしゃん、おにぇーしゃん、たしゅけてえぇ!!」 「んほおおおぉ! そんなこといって、まむまむはありすのとかいはなあいをうけいれてるわよおおぉ!! つんでれさんねえぇぇ!!」 「やめるのぜぇ……みんなのあいどるすえっこまりちゃをはなすのぜええぇ……ゆぐっ、ゆがああああぁ!!」 「やっぱりおとなのまりさはいいわぁ! とってもとかいはよぉ!」 「まむまむもいいけどあにゃるもいいわあぁ! んほおおおおぉ!」 「やめてね! れいむのまむまむれいっぷっぷしないでね! あかちゃんできちゃうよ! すっきりしちゃうよ!」 「れいむのまむまむもいいわああぁ!! なかなかとかいはよおおぉ!!」 「ゆ……ぎゅ……まりしゃもっちょ、ゆっきゅり……しちゃかった……」 「んほおおおおおぉ!! とかいはなあいをうけとめられないなんて、まりしゃはいなかものねえぇ! いなかものはむーしゃむーしゃするわよおぉ!!」 「やめてね! れいむのおちびちゃんたべないでね! ゆっ、ゆゆっ、ゆんやー! す、すっきりー!!」 「んほおおおおおぉぉ! すっきりいいいいぃぃ!!」 数十匹のれいぱーありすが、まりさとれいむの家族に群がっている。 見たところ、親れいむと親まりさ、子れいむと子まりさが2匹ずつ、赤ゆがれいむとまりさ各3匹というそれなりの大所帯なようだ。 そのせいで一匹あたりに取り付いているれいぱーの数が減り、結果的にれいぷの苦しみを長く味わう事になっているみたいだが。 「これはひどい」 思わず呟く。 最大限に控えめな表現で、精神的ブラクラ。 それでいて一部HENTAIな方々には垂涎の光景がそこに繰り広げられていた。 「……かなこさん、こいつらで全部かな?」 「判らん。いずれにせよれいぱーは潰すだけだ」 「まりさとれいむは?」 「奴らもこの山のゆっくり、助けられるものなら助けてやりたいが……」 「了解。それなら何とかしましょ」 「弟殿……出来るのか?」 「俺ひとりだけじゃ無理だけどね。でも……」 ポケットを探り、携帯からメールを送る。 そして、待つこと十数秒。 「弟ちゃん、やっほー」 「こぼね~」 俺の側にスキマが開き、ゆかりん姉ちゃんとゆゆ先生が顔を出した。 「四人寄れば文殊も越える、ってね……ゆゆ先生、俺がれいぱー何匹か壊すから、そいつら操って他のれいぱーをれいむとまりさから出来るだけ離して」 「わかったわ~」 「ゆかりん姉ちゃんはそうやって引き離したれいぱーをスキマ送りに」 「任せなさい。お姉ちゃんがゆっかり加工場に送ってあげる」 「……加工場?」 なんでそんなところに。 いやまあ、ゆかりん姉ちゃんのスキマは見知った場所や馴染み深い相手の側なら見えてなくても開けるの知ってるけどさ。 だからこうして、俺の側に来てもらえているんだし。 「自然発生のれいぱーって加工場としては欲しい素材ゆっくりだから、出来れば何匹か捕まえてって母さんがメール寄越したのよ」 「カーチャン……」 息子と娘がそれなりに危険冒して頑張ってるのにひどいや。 「……まあいいか。で、スキマから逃れた連中にはかなこさんのオンバシラをお願い」 「任せろ弟殿、れいぱー共は過たず潰してやる」 近くの枝に腰を下ろし、かなこさんが頷く。 さて、それじゃ行きますか。 ウォーターガンのポンプを動かし、空気圧を高める。 「じゃあ、いくよ……照準」 十分に空気圧が高まったところで構え、狙う。 まあ、所詮玩具のウォーターガン、そこまで正確な照準は望めないけど気は心。 出来るだけまりさとれいむ一家を避けるように狙いを定め、俺は引き金を引いた。 「発射……!」 噴射口から勢いよく甘辛液が噴き出す。 「ぼ、ぼうやべでねええぇ! ばりざずっぎりじだぐないよおおおぉ……!!」 「んほっ、んほおおおおおおぉ!! まりさはほんとうにつんでれさんねえ! からだはいやがっててもくちはしょうじきだわああぁ!!」 「それ普通に嫌がってんじゃん」 噴射を続けながら思わず突っ込む。 その間も甘辛液は迸り、途中で飛沫となりながらも、一番外側にいたれいぱー達数匹のの饅頭皮に降り注いだ。 「んほ!? あめさんかしら?」 「んほおおおおぉ! あめさんのなかのすっきりー! もとかいはねええぇ……ゆぴっ!? ゆび、ゆびいいいいいいいっ!?」 「んほっ!? ど、どうしたのありす!? そんなこえはとかいはじゃない……ゆびいいいぃ!!」 「んほっ、んほおおおぉ! あ、あんまああああぁぁがらああああああああああぁ!! ゆびびっ!!」 奇声をあげ、れいぱー達が動きを止める。 それでもペにペにはでかくなったままなのがキモイ。 「よし、と……それじゃゆゆ先生、お願いします」 「こっぼね~。任せて~」 くるくる指を回しながら、ゆゆ先生が動きを止めたれいぱー達を見つめる。 「んほおおおぉ! なにやってるのおおぉ!? ありすのとかいはなあいのじゃまをするならどいてねえええぇ!!」 「んほおおおおおおおお!!」 「んほっ!? なんでありすのじゃまするのおおおおおぉ!?」 やがて、中枢餡が壊れたありす達が、れいむとまりさ一家かられいぱー達を引き剥がすように動きはじめた。 「んほー」 「んほほー」 間延びした声をあげながら、あるありすはれいぱーに体当たりし、別のありすはペにペにをれいぱーに突き刺していく。 それも、ありすがぺにぺにですっきりー! しようとするタイミングを見計らい、すっきりを邪魔するように。 「んほおおおおおぉ、やべてねええええぇ!? ありすのまむまむですっきりー! するなんてとかいはじゃないわああぁ!!」 「んほー」 「んほおおおおおおおおお! なにをするのぉ!! ありすのとかいはなあいをじゃまするなんてとんだいなかものねええぇ!!」 「んほほー」 「ありすのとかいはなあいをじゃまするゲスはしねええええぇ!!」 「んっほほー」 れいぷを邪魔されて怒ったのか、れいぱー達は中枢餡破壊ありす達に攻撃を始めた。 「んほおおおおおぉ!! ありすのとかいはなあいをありすにもわけてあげるわああ!」 「んほー」 「とかいはなあいをうけとってしぬのよおおおおぉ! んほおおぉ!!」 「んっほー」 「んほおおおおおおおおぉ!! もうこのさいありすのまむまむでもいいわあああぁ!!」 「んーほー」 中枢餡を破壊されて感覚もなにもないありす達は、れいぱーの攻撃を受けながらも適度に反撃し、れいむとまりさ一家から離していく。 「そろそろね。行くわよ、かなこ」 「承知! いけっ、オンバシラ!」 ゆかりん姉ちゃんの声に合わせ、かなこさんの背に浮いていたオンバシラがれいぱー達に向かって飛んでいく。 そのれいぱー達は、自分達の『とかいはなあい』を邪魔するありす達への制裁に夢中だ。 れいぱーって身体能力は捕食種並みになるって話だけど、そのぶん頭は悪くなってるんだろうか? まあ、基本「んほおおおぉ!」しか喋らないんだからアレなのは確かだけど。 「ゆっかり加工場にいってらっしゃい!」 れいぱー達の足元にスキマが開く。 中枢餡破壊ありすや、れいむまりさ一家を避けるように開いているせいか、普段と比べてスキマ送りにされる数は少ない。 「んほおおおおおおおおぉぉぉ!? おそらをとんでるみたいいいいいいぃ!!」 「おちるっ、おちちゃうのねえええぇ!? おそらとんでるのおおおぉ! んほおおおおおおぉ!!」 「とかいはなあいをこのスキマにあげるわあああぁ!! んほっ、おそらにだしてるみたいいいぃ!!」 それでも何匹ものれいぱーがスキマに送られていく。 あるれいぱーはんほおおぉと叫び。 あるれいぱーはおそらをとんでるみたい! と笑顔を浮かべ。 あるれいぱーは落ちながらすっきりー! する。 「って私のスキマをなんだと思ってるのよあのれいぱー!?」 「私が潰してやろうか?」 「お願いするわ」 「判った。オンバシラ!」 そして、それ以外のれいぱー達はかなこさんのオンバシラによって容赦なく潰されていった。 「んぼおおおぉっ!?」 「どぎゃいばっ!!」 「おそらにすっきりいいぃぶべぢゃ!!」 「んほおおおおぉ! ありすはもっととかいはなあいをつたえべべっ!!」 スキマに落ちながらすっきりー! していたれいぱーを空中で貫き潰す。 中枢餡破壊ありすにのしかかっていたれいぱーを叩き潰す。 スキマから逃れたれいぱーを押し潰す。 潰す、潰す、とにかく潰していく。 ゆっくりにとって圧倒的な質量を持つオンバシラは、れいぱーを永遠にゆっくりさせる死神となって周囲を蹂躙していった。 「んっ、んほおおおおおぉ!! なんでありすのとかいはなあいがつうじないのおおおぉ……ぶべぎゃ!!」 最後のれいぱーがオンバシラに潰され、カスタードの花を咲かせる。 それを確かめ、俺は立ち上がった。 「かなこさん達はそこで待機してて」 「判ったわ~」 「いってらっしゃい、弟ちゃん」 「うーん……出来るだけカスタードが飛び散らないよう潰したら、オンバシラがドロドロになってしまったか」 「あとで私の操るありすちゃん達に綺麗にさせましょうか~?」 「すまん、助かる」 背中でかなこさん達の声を聞きながら、れいむとまりさ一家に駆け寄る。 「ゆ、ゆぐぐ……ゆべええ……」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ……」 「もっちょ…ゆっきゅり……ちちゃかっちゃ……」 「さすがに酷いもんだな」 れいむとまりさは親子赤問わず、強制すっきりーにより疲弊していた。 赤ゆや子ゆにはれいぱーにのしかかられて潰れているのもいるし、茎も複数生えている。 実ゆに餡子を吸われて死ぬのも時間の問題だろう。 親まりさと親れいむ、それに子ゆっくりと赤ゆっくりの何匹かは植物妊娠だけですんでいるのが不幸中の幸いか。 こいつらは、今すぐ茎を千切ってオレンジジュースをかけてやれば助かる見込みもあるだろう。 そう思い、手近にいた親まりさの茎を掴むと、親まりさはうっすらと目を開けた。 「ゆぐうぅ……に、にんげんさん……おねがいなのぜ……まりさよりも……れいむを、おちびちゃんをたすけてほしいのぜ……」 「ああ、出来るだけのことはしてやる。とりあえず茎は抜くぞ? でなきゃ死ぬからな」 「……わかったのぜ……ごめんなのぜ、おちびちゃん……」 再び目を閉じ、まりさは俺に身を委ねる。 流石というか……かなこさんが管理している山だけあって、ゆっくりの質はなかなかだな。 自分もすっきりーされてるのに、番や子供を優先するとは。 ま、それなら本当に出来るだけのことはしてやろう。 「よ、っと」 「ゆぎっ……」 親まりさの額から茎を引き千切る。 実ゆが小さく声をあげ……餡子供給が絶たれて、みるみる黒ずんでいく。 それをその辺に放り投げ、俺はリュックからペットボトルを取りだした。 中身はえーりん姉さん特製の加糖調整オレンジジュース。 「ほら、元気になれよ」 親まりさにオレンジジュースをふりかけ、同じように親れいむ、子れいむ、子まりさ、赤ゆ達と処置をしていく。 ……一応、胎生妊娠してるやつも茎抜いてオレンジジュースかけるくらいはしてやるか。 万が一助かる可能性はあるんだし。 「ゆ、ゆゆぅ……」 オレンジジュースのお陰か、次第に安らかな顔になっていくまりさ一家。 赤ゆも、胎生妊娠していなかった一匹は黒ずみかけていた皮が元の色を取り戻してきている。 それを確かめ、俺は親まりさ達の身体をペーパータオルで簡単に拭き取って、まだ息のある一家を抱え上げた。 「ここにいると、最悪移動しようと跳ねただけで妊娠しかねんからな……」 潰れたれいぱーのカスタードが四散している現場から、親まりさ達を連れ出す。 「ゆっ、ゆぢっ……ゆっゆっゆっ……」 微かな呻きが聞こえたので見下ろすと、そこには千切った茎についていた実ゆ達が、額から細い茎を生やして黒ずんでいる。 よく見ると、茎を放り投げた地面にはカスタードが飛び散っていた。 それが実ゆに触れて、強制妊娠させているらしい。 カスタード溜まりに浮かび、にょきにょきと細い茎を生やしては苦悶の表情で黒ずんでいく実ゆ達は、控えめに言ってキモかった。 「実ゆまで孕ませるのかよ……もう何でもありだな、れいぱー」 呟いて、慎重に現場から抜け出す。 俺は精子餡をどれだけ浴びても平気だが、うっかり精子餡身体に付けて、うっかり姉ちゃん達に触れでもしたら大変だ。 胴付きだからそうそう妊娠はしないと判ってはいるけれど、万が一にでも俺の姉ちゃんや先生やかなこさんをれいぱーなんぞの精子餡で妊娠させる訳にはいかない。 それどんな寝取られだよって感じだし。 「連れてきたよ、かなこさん。流石に全部助けるのは無理だったけど……」 慎重に戻り、抱えてきたまりさ達を地面に並べる。 親まりさ、親れいむ、子れいむ、子まりさ、赤まりさの総勢五匹。 ……つまり、この一家はおちびちゃんの半分以上が永遠にゆっくりしたことになる。 「いや、十分だ……ありがとう、弟殿」 それでも俺に頭を下げ、かなこさんはまりさ達の前に降り立った。 「まりさ、私が判るか?」 「ゆゆぅ……わかるのぜ、『やまもり』のかなこさまなのぜ……。まりさたちを、たすけてくれたのかぜ……?」 「ああ。残念ながら、おちびちゃんは全部助けられなかったがな……」 「ゆぅ……しかたないよ……れいぱーにおそわれて、おちびちゃんがぜんっめつ、しなかっただけでもしあわせー、だよ……」 かなこさんの言葉に、れいむがうつむきながらも殊勝なことを言った。 うーん、この山のゆっくりって出来てるなあ。 それに引き替え……うちの裏山に住みつくゆっくりは、なんでああもゲス率が高いんだろ……。 「『やまもり』のかなこさま……まりさたちをたすけてくれて、ありがとうなんだぜ……」 「れいむからもおれいをいうよ……『やまもり』さまがきてくれなかったら……れいむたちみんな、えいえんにゆっくりしちゃってたよ……」 「ゆぅ……まりしゃのいもうちょが……ゆぐっ……」 「れいみゅのおねーしゃんが……」 「ゆっくち……まりちゃ、れいぴゃーきょわいきょわいぢゃよ……」 丁寧に、かなこさんに向かってお礼の言葉とともにお辞儀する親れいむと親まりさ。 さすがに子供達はお礼を言う余裕はないみたいだが、変な言いがかりを付けて助けた俺達を罵倒するようなゲスではないようだ。 ……かなこさんの山は教育できてるなあ。 本当、なんで毎回駆除して新しい群れが入ってるはずなのに、うちの裏山はデフォでゲスの巣窟になるんだろう……。 「なに、私は『山守』としてお前達の危機を見過ごせなかっただけだ……ところで、ひとつ聞きたいことがあるのだが」 「ゆ? なんなのかぜ? まりさがしってることなら、なんでもはなすのぜ」 「れいむもだよ……なんでもきいていいよ、かなこさま……」 「まりしゃもなのぜ……」「れいみゅも……」「ゆっ、まりちゃも……」 殊勝な態度のまりさ達に、かなこさんが優しく微笑む。 「なに、難しいことではない……お前達が見たれいぱーは、ここにいたので全部か?」 「ゆっ……ゆーん……」 まりさが記憶を辿るように考え込む。 といっても、思い出すのは難しいだろう。 ゆっくりは記憶を保存する為に餡子を使っている。 しかし、まりさ達はれいぱーの強制すっきりーによる妊娠で餡子を消耗している。 今まりさの体内にあるのは俺が与えたオレンジジュースによって再生した新しい餡子だ。 数時間前とはいえ、記憶を呼び起こすのは難しいというかほぼ不可能だろう。 そう思っていると。 「……ぜんぶじゃないよ……なんにんかのれいぱーが、れいむたちをむしして……もりさんのおくにいっちゃったよ……」 れいむが記憶を辿るように、ぼそぼそと答えた。 記憶力いいなこいつ。 「そうか。どちらの方向だ?」 「あっちだよ……ゆっくりできないれいぱーもいっしょだったよ……」 「……ゆっくりできないれいぱー?」 「ゆゆっ……そうだよ。ペにペにがたくさんっはえてて……ゆっくりできなかったよ……」 れいむの答えに、俺と姉ちゃん達は顔を見合わせた。 「……それって」 「たぶん、テンタクルありすね」 「れいぱーだから~……テンタクルれいぱーありす?」 「寿限無かよ」 テンタクルありす。 ゆっくりありすの変異種で、あんよから触手状のペにペにが複数生えているのが特徴だ。 普通はゆっくり出来ないゆっくりとして排斥されるのだが、れいぱーの場合のみリーダー的な存在として祭り上げられることがある。 れいぱーには、ぺにぺにが複数生えているのが『とってもとかいは』と認識されるらしい。 実際、れいぱー化したテンタクルありすは一匹で同時に何匹ものゆっくりを強制すっきりーする厄介なゆっくりになる。 それが、れいぱーから見れば『ゆっくり出来る』ってことになるんだろう。 「まずいな。テンタクルありすがいるとなると、被害はそちらの方が上かも知れん」 腕を組み、かなこさんが険しい表情を浮かべる。 「かなこさん、そいつが向かった先には……?」 「群れと言うほどではないが、家族の巣が数世帯集まった集落がある……急ぐ必要があるな」 「だね」 頷いて、俺は立ち上がった。 「行こう、かなこさん。ゆかりん姉ちゃんとゆゆ先生は俺が連絡するまで家で待機してて」 「そうするわ。山を歩くのは疲れるし」 「こぼね~……弟様、気をつけてね~」 ゆかりん姉ちゃんとゆゆ先生がスキマに消える。 「ああ。急ごう、弟殿」 かなこさんがふわりと宙に浮く。 その瞬間。 どごおおおおおおおおおおおぉぉん!! んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 地面が揺れ、木々の倒れる音と……野太い叫びが山に響いた。 「っ! なんだぁ!?」 慌てて声のした方に駆ける。 獣道を走り、かなこさんの手を借りて斜面を登る。 ……すると、すぐに『それ』は見えてきた。 木々の切れ間に出来た、小さな広場。 周りには樹齢の高い樹が並び、大きなうろやゆっくりの巣穴らしきものがそこかしこに見えている。 恐らくここが、かなこさんの言っていた集落なのだろう。 だが、そこに動いているゆっくりはいなかった。 あるのは無数の餡子とカスタードの染みと、額から茎を生やして黒ずんだ、元はゆっくりだったもの。 そして。 広場の中央に陣取り、周囲に触手を伸ばして暴れている……体高3メートルはある巨大なテンタクルありすの姿だった。 「んほおおおおおおぉぉ!! ありすはクィーンになったのねええええぇぇ!! とってもとかいはだわあああああぁぁ!!!!」 「自己申告かよ!?」 思わず突っ込む。 いやそんな場合じゃないのは判ってるんだが! 「クィーンに進化したか……ますます厄介だな」 「いやもうこれ厄介とかそう言う問題じゃないよかなこさん」 とりあえずメールを送る。 これはもう電話で説明するより、ゆかりん姉ちゃん達に来て貰った方が早い。 「どうしたの弟ちゃん……うわぁ……」 すぐにスキマが開き、顔を出したゆかりん姉ちゃんがクィーンを見て顔をしかめた。 「クィーンテンタクルれいぱーありす……よりによってこのタイミングで進化するとはねぇ」 「こぼね……本格的に寿限無ですね~」 「南無三っ!? 寿限無というより怪獣ですよあれはっ」 「……これはまた、厄介なことになってるわね」 ゆゆ先生達も顔を覗かせ、息を呑む。 「まあ……自分の仲間も含めて全員すっきり死させてるみたいだから、余計な気を遣わなくていいのがせめてもだな」 とりあえず動きを止めよう。 そう思ってウォーターガンを構える俺を、えーりん姉さんが制した。 「駄目よ弟君。クィーンの体液量は普通のれいぱーとは比べものにならないから、その銃じゃ体液に流されて皮まで届かないわ」 「こちらの存在を教えるだけよ~?」 「通常サイズでさえ、テンタクルありすの触手は1メートル近く伸びる……クィーンとなればその十倍はいくぞ」 「精子餡に濡れたオンバシラ級の触手ですか……喰らえば、私達でもただじゃ済みませんね……南無三っ」 「肉体的にも、すっきり的にもね……お姉ちゃん寝取られちゃうわよ?」 「姉ちゃんそれ用法間違ってるから……しかし、それじゃどうするんだよ?」 ウォーターガンを下ろし、ぼやく。 「私のオンバシラを直撃させられれば、致命傷を与えることも出来るだろうが……」 「その為には触手が邪魔ね」 「だな。力比べでは分が悪い。オンバシラを捕まえられてはそれこそ手も足も……」 「南無三っ、クィーンが動きだしましたよっ?」 ひじり姉の声に、全員の視線が集中する。 「んほおおおおぉぉ!! クィーンになったありすには、もっともっととかいはなあいをあたえる『しめい』があるのよおおおぉ!!」 周りを探るように、クィーンの触手がうねうね動く。 やがて、それはぴたりとこちらを向いて、止まった。 「んほおおおおおぉ!! そこにゆっくりがいるわねええぇ!!」 「気付かれたか……! みんな、逃げて!!」 ウォーターガンを構え、立ち上がる。 「判ったわ……って、弟ちゃんはどうするのよっ!?」 「なんとか逃げるよ!」 「何とかって、相手はクィーンですよっ!?」 「あの触手を喰らったら、弟様でもただでは済まないわよ~!?」 「それでも妊娠しないだけマシだろっ! 俺が囮になるから、みんなはスキマで逃げて! そして加工場に連絡を!」 ゆかりん姉ちゃんのスキマは無生物とゆっくりだけを通し、一瞬で移動できる。 相手がクィーンだから準備は必要だろうが、加工場に連絡すれば今日明日には山狩りが行われるだろう。 あとは俺が何とか逃げ切れれば、それで万事問題なしだ。 「無茶言わないで下さい! クィーンと追いかけっこなんて、弟さんの体力が保つ筈ないでしょうっ!?」 「それでも! 姉ちゃん達が囮になるよりはマシだろ!」 「んほおおおおおおぉ!! どうつきなんてゆっくりしてないわねええぇ!! でもあんしんしてねええぇ!!」 「来るわよっ……!!」 触手を蠢かせ、地響きを立てながらクィーンがこちらに進んでくる。 体表を流れる粘液のせいか、這い進んでいる割にクィーンの動きはスムーズで、しかも速い。 というか、俺が走るのとほとんど変わらない……!? 「ありすはクィーンだからああぁぁ! ゆっくりしてないどうつきにも、とかいはなあいをあげるわあああぁぁ!! んほおおおおおおおおおおお!!」 「くそっ! 来るんじゃねえよこのれいぱー!!」 ウォーターガンを発射する。 「んほおおおぉ!? なんだかゆっくりできないわねえええ?」 だけどそれをあっさり触手で防ぎ、クィーンはどんどん迫ってきた。 「姉ちゃん、先生! 逃げて、はやく!!」 「わっ、判ったわっ……気をつけて、弟ちゃん!」 甘辛液をものともせず、クィーンれいぱーの触手が伸びる。 ゆかりん姉ちゃんがスキマを閉じる。 ウォーターガンを発射しながら、俺は後ろに下がり――。 「っ!?」 木の根に足を取られ、体勢を崩した。 「んほおおおおおおぉ!! にんげんはゆっくりできないわあああぁ!!」 触手が、酷くゆっくりとした動きで目前に迫る。 その太さはまるで、かなこさんのオンバシラのよう。 あー……これ直撃したら打撲どころか粉砕骨折コースだなぁ。 囮になるとか逃げるとか言ってたのに、初手からつまずくとか俺めっちゃ格好悪いよなあ……。 ごめんよ、姉ちゃん……。 「つかまれ、弟殿っ!!」 不意に。 目の前に、腕が伸びてきた。 「くうっ……!」 反射的にそれを掴む。 足が地面から浮き、自重に掴んだ腕が悲鳴をあげる。 それでも腕にしがみつき、身を委ねる。 「んほおおおおおおぉぉ!!」 一瞬後、俺のいた地面をクィーンの触手がえぐった。 地面が震え、木々が揺れる。 その擦れ合う枝の間をすり抜け――俺は空を飛んでいた。 「大丈夫か弟殿、怪我はないか!?」 俺の身体に腕を回され……背中から、かなこさんの声が聞こえてくる。 「大丈夫、ありがとうかなこさん――でもなんで逃げてないんだよっ!?」 その腕に手を重ね、俺は思わず叫んでいた。 クィーン、それもれいぱーでテンタクルなんて第一種危険ゆっくりの中でもトップクラスの『害獣』だ。 ゆっくりを蹂躙し、人間にすら危害を加え、環境を破壊する天災。 そんなゆっくりと対峙して、かなこさんを危険な目に遭わせたくなかったのに……。 「弟殿に駆除を頼んだ私が、先に逃げるなど出来るものか」 かなこさんの腕に力がこもり、俺をぎゅっと抱きしめる。 「それに私は『山守』だ。この山を守り慈しむのが、主殿より与えられた私の使命で――」 背中に感じる柔らかなぬくもり。 かなこさんの身体は熱をもち、燃えているように熱い。 その熱い吐息が、耳をくすぐり……。 「――弟殿と交わした、『約束』だからな」 かなこさんの囁きに、俺の心臓が、跳ねた。 「かなこさん……」 「とはいえ、このままでは埒があかん。一度引いて応援を待とう。えーりん達が加工場に連絡しているだろうから、じきに――」 「それじゃ駄目だ」 「……弟殿?」 「それじゃ駄目だよ、かなこさん……ほら、クィーンの奴は木々を薙ぎ倒して進んでる」 足元を見下ろし、告げる。 「んほおおおおおぉ! じゃまなきさんはたべてあげるわあぁ!! ぼりっ! ぼりっ!! むーしゃ! むーしゃ!!」 「これじゃゆっくりだけじゃなく、他の生き物……山そのものが荒れる。一秒でも早く、あいつを倒さないと」 「……だが、どうする? 樫の木をもへし折る触手相手では、私のオンバシラも牽制にしか使えんぞ」 「それはそうなんだけどさ……」 精子餡を飛ばしながら、山を蹂躙していくクィーンテンタクルれいぱーありす。 その触手はあんよのように蠢いて、進行上の木々をへし折り、なぎ払い、自分の口へと運んでいる。 「……まてよ?」 あんよのように動いている触手。 長さで言えば触手も十分届きはするだろうが、それでも頭上は死角の筈。 かなこさんの能力と、俺の装備があれば……。 「どうした、弟殿?」 「……かなこさん」 訝しげに尋ねるかなこさんに、俺は唇を吊り上げて答えた。 「俺、クィーン倒す方法思いついちゃった」 眼下を這い進むクィーンを見下ろしながら、かなこさんに作戦を説明する。 「それは……弟殿が危険すぎはしないか?」 俺の話を聞いて、かなこさんは不安げに声をあげる。 まあ、それは仕方ないよな。作戦の内容が内容だし。 「でも、これならクィーンも倒せるだろ?」 「確かに倒せるだろうが……しかし、弟殿にもしもの事があったら、私は……」 「大丈夫……とは断言できないけど、何とかするさ! だから……」 俺を抱きしめる腕を優しく撫で、強く握る。 「俺を信じてよ、かなこ姉様」 「っ!? 弟殿……っ!」 かなこ……姉様が、俺をぎゅっと抱きしめてくる。 「判った! 私も覚悟を決めよう……弟殿、仕損じるなよ!」 「大丈夫、まーかせて!」 俺の軽口に、背中でかなこ姉様が笑う。 笑いながら旋回し、クィーンの背後につけ……そのまま上昇する。 クィーンの姿がだんだん小さくなり、頬を撫でる風が微かに冷たくなる。 「行くぞ、弟殿!」 「行って、かなこ姉様!」 一瞬、お互いの手を重ね。 俺達は一気に降下した。 地面が近づき、クィーンの姿が大きくなっていく。 その背中に向かって、俺は怒鳴りつけた。 「クィーンありすううううううぅっっ!!!!」 「んほっ!?」 ありすが動きを止め、振り返ろうとする。 その瞬間。 「ゆっくりっ……!!」 俺はかなこ姉様の手を離れ、クィーンめがけて落下した。 「していってねええええええええええぇぇっっ!!」 「んほおっ!? ゆ、ゆっくりしていってねええええええぇぇっ!?」 俺の挨拶に応えながら、それでも触手は俺を敵と認識したのか、迎撃すべく伸びてくる。 「いけっ、オンバシラっ!!」 それを、かなこ姉様のオンバシラが迎え撃った。 触手とオンバシラがぶつかり、互いに弾かれる。 「必殺っ……!」 そして生じた空間を俺は落下し――。 「弟キイイイイイイイイイィィィック!!!!」 「んほおおおおおおおおおおおぉぉぉっ!?」 クィーンの頭頂に、トレッキングシューズの底を叩きつけた。 落下の勢いと俺の体重に頭皮が裂け、両脚が生暖かいカスタードに包まれる。 「あがああああああぁぁ!! いだい、いだいわああああぁ!! ごんなのどがいばじゃないいいいいいいいぃ!!!!」 「あーんど……」 苦痛にクィーンの身体が震え、俺を振り払おうと触手が伸びる。 だが、それより早く。 俺はウォーターガンから取り外しておいたボトルをクィーンのカスタードの中に突っ込み……握り潰した。 「ブレイクウウウウウゥ!!」 「んぎょおおおおおおおおおおおぉぉっ!!!!」 えーりん姉さん特製の甘辛液がカスタードの中で炸裂する。 「あばっ、あばあああああああああぁぁ!! がらっ、がらああああああぁぁ!? あばがらあああああああああぁぁ……ゆびびびっ!!!!」 カスタードで直接味わう超絶な甘味と辛味に、クィーンの身体がビクビクと震え……。 ひときわ大きな叫びをあげると、クィーンは動きを止めた。 「うわっ!?」 断末魔の叫びにカスタードが収縮し、俺の身体を吐き出す。 そのまま受け身をとる間もなく、俺は地面まで滑り落ちた。 「ぶべっ!」 顔からイッて地面にキスをする。 うぅ……クィーンの通った痕で粘液なかったら鼻イッてたかも……。 一瞬だけクィーンに感謝しつつ、仰向けに転がる。 「ゆびっ、ゆび、ゆびびび……」 クィーンはまだ呻いていた。 しかし、触手がだらりと下がり、瞳は焦点を失って、ぽかんと開かれた唇からは舌と涎が垂れている。 「なんとか……なった、かな?」 クィーンを見上げ、呟く。 あとはゆゆ先生に来てもらって、こいつを安全に処理できるところまでもっていけばいいだろう。 「まったく……お前も運がなかったな。他の山なら、もう少しくらいは長く生きていられたかも知れないが……」 身体のあちこちが痛い。 特に足と肩はズキズキと脈打っている。 カスタードがクッションになったとはいえ、十数メートル上空からのダイビングを敢行したんだから当然だ。 最悪、ヒビくらいは入っているかも知れない。 「生憎、ここはかなこ姉様が……俺の命の恩人である『山守』が守護しているんだ。お前達れいぱーが好きに出来る場所じゃないんだよ」 それでも、俺はいい気分だった。 かなこ姉様と一緒に、クィーンを駆除できたから。 この山を守る事が出来たから。 思わず、厨二病満載のセリフを呟いてしまうくらいに……良い気分だった。 「弟殿~~っ!!」 空からかなこ姉様が降りてくる。 起きたら姉さん達に連絡を取らなきゃな。 ああそうだ、その時にはかなこさんを『姉様』と呼ばないよう気をつけなくちゃ。 俺はまだ、約束を果たしていないんだから。 「大丈夫か、傷はないかっ!? よくやったぞ、弟殿っ!!」 かなこさんが笑顔で降りてくる。 俺に抱きつかんばかりの勢いで。 そんな、ここの山守ゆっくりである姉様を見上げ――。 「かなこさん抱きついちゃ駄目~っ! いま俺れいぱーのカスタードまみれだから! 妊娠しちゃうからっ!!」 俺は全力で、かなこさんを避けたのだった。 ・おまけ 「はぁ……弟君、なんでそう無茶をするの?」 「まったく、弟ちゃんは仕方ないわよね~」 「本当ですっ。弟さんだけの身体ではないのですよっ!?」 「こぼね~……本当よ、弟様。先生すごく心配したんだから」 「うぅ、ごめんなさい……」 「まあまあ、弟殿も反省しているのだから許してやってくれ。それに今は、治療の方が先だろう?」 「……そうね。では弟君、患部に薬を塗るからじっとしてて」 「はい……でもえーりん姉さん、なんでみんな裸なの? そしてなんで俺、かなこさんに抱きしめられてるの?」 「動かないようによ……じゃあ、いくわよ……ん、ぺろっ」 「ちょ、ちょちょちょっと待ってえーりん姉さんっ!? なんで舐めるの!? ぺーろぺーろなの!?」 「んっ……私が『薬物を分泌できる程度の能力』をもつ第二種危険ゆっくりだって事は知ってるでしょ?」 「いや知ってるけど! 問題はそこじゃないでしょおおおおぉ!?」 「私達はゆっくりなんだから、同じ分泌塗布するにしても、こうした方が高い効果を出せるのよ……ん、てろぉ」 「待って姉さん! それゆっくり相手の話だよね? 人間の俺には関係ないよねっ!? あっ駄目、そこはマジで駄目っ!」 「ほらほら暴れるな弟殿、大人しくしていないとえーりんが薬を塗れないだろう?」 「画的には全然薬塗ってるように見えないでしょおおおおおおおぉ!?」 「ん……ほら、暴れないの。もう終わるから……ちゅぷ……」 「ううぅ……お、終わったの……?」 「ええ弟ちゃん、薬を塗るのは終わったよ~。あとはぁ……」 「私達が馬肉ならぬゆっくり湿布になって、ぎゅーっとしてあげますねっ、南無三っ」 「患部にゆっくりを当てるゆっくり湿布は、ちゃんと医学的にも効果があるって証明されているのよ~?」 「さあ弟殿、私達で包んでやるぞっ」 「みんな裸だったのはその為かあああああああああぁぁぁ!!!!」 ああ、いや。 これは治療だからね? 何もなかったからね? なんかもう最後の一線越えてるんじゃねとか、そんなことないから。 最後の一線は越えてないから。 ……それ以外全部越えてるだろとか言うな。 過去作品 anko2043 夏のゆっくりお姉さん anko2057 夏のゆっくり先生 anko2151 夏のゆっくり山守さん(前編) 感想、挿絵ありがとうございます。感謝です。
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※幻想郷はすでに外界(特に日本アルプスの近く)にさらされているとの設定でお読みください。 ※他の人の設定・パロディが多いです。そういうの嫌いな人注意。 「こんにちは。ゆっくりしていってください。」 その図書館の主、ゆっくりぱちゅりーが言った。 祖父いわく、今はゆっくり種と共生を始めて100年がたつという。 祖父は「あんな害獣と共生?駆逐の間違いじゃないのか?」とも言った。 さて、ゆっくり種は基本山中に住んでいる。 そのことについても祖父は「きっと人間を殺そうとしてんだよ」という。 祖父は、現役の農夫だったころゆっくりの駆逐を成功させたメンバーの一人であった。 幻想郷の人里にはゆっくりがいなくなった。 森にも川にもいない。ゆっくりは絶滅した。 そう思っているときに日本政府が「ゆっくりとの共生」を政策として打ち出したせいで祖父はキレてしまったのだ。 ちなみにゆっくりを1匹殺したせいで祖父は監獄生活を謳歌している。 「…そんな矛盾があったんだけど、そのことについての本はありませんか?」 私はゆっくりぱちゅりーに尋ねる。 「ああ、でしたらこの本がいいでしょう。差し上げますよ。手書きの原稿ですから読めないかもしれませんけど…」 彼女は主に人向けのゆっくりについての本を書くことで生計を立てている。 図書館には彼女の本で2棚埋まっている。3年くらいしか物書きはやってないらしいが、この量を書けるとは。 きっとその金がだぶついた部分を彼女以外の本の購入に当てているのだろう。献身精神がうらやましい。 …話がずれたが、その原稿は彼女の最新の本、「ゆっくりの歴史」の原稿だった。 「ありがとう。あとこの二冊借りていきますね。」 手早く手続きを済ませ、我が家に帰っていく。 「…さて、次の本は久しぶりに恋愛小説で…」 去り際に聞こえた彼女のハスキーな声で、彼女がどういう内容で書くかは大体想像できた。 せっかくもらったんだ。脳内の矛盾をただすために読むんじゃなくてゆっくりを理解するために「読破」するんだ! そう思って私は寝ころびながら丸い文字に目を通し始めた。 {~第一章 魔法の森のゆっくり~ 私は伝聞でしか知らないが、魔法の森はゆっくりのすみかにちょうど良かったらしい。 山の上で生まれ、山で育った私たちとその祖先には理解もできない話だが。 さて、代々私の家系に著書のネタを持ってきてくれたきめぇ丸(126)さんによると、 「森は強権者が独裁する地域だった」そうである。 彼女は新聞屋をやっていたので、このことは山のゆっくりにはすぐ伝わった。 この本の執筆に関して、きめぇ丸さんに当時の記事をいただいたので、ご厚意に甘えて載せさせていただく。} へぇ…まず祖父が駆逐したゆっくりと今いるゆっくりとは違うってことか。 あときめぇ丸さんは意外といい人だなあ。新聞の押し売りがなければ。 そう思い、次のページへと目を向ける。 {野蛮な森のゆっくり ※連載小説でないことを断っておく。 私きめぇ丸は、人里に新聞のネタを採集しに行った際に、魔法の森を通った時、森のゆっくりの虐殺による人民統制を目撃した。 以下がその写真である。 (筆者注:原典にはここに大量のゆっくりみょんを虐殺するゆっくりまりさの写真が貼ってあったのだが、全年齢向けの本であること、現在生きている上の二種類への冒とくとなることを考え白ぬきにしていることをご了承していただきたい。) 私はオフィスまで死にかけたゆっくりみょんを運び、事情を聞き出した。 彼女が言うには、 「巨大なまりさがみょんのコミュニティに襲いかかってきたれみりゃを追い払った」 「その際にリーダーが死んだのでそのまりさがリーダーになった」 「まりさは『ぜい』というものとして毎日食料を貢ぐことを全員に強制した」 「リーダーは絶対なので一生懸命働いた、貢がずに処刑されたものもいた」 みょんはここまでは普通だという。すでにおかしいと思うが。 言葉通り、さらにおかしいことが起きるのだが。 「ある月のない夜に、まりさとありすが逢引きをしていたら、次の日からリーダーまりさがありすをすべて処刑し始めた」 推測するにリーダーの息子だったのだろうが、それなら一家根絶でいいだろうに。 このみょんはその時の処刑役を任されたが、リーダーは高笑いしていたという。 「とんでもないものをリーダーにしてしまった」 「このままじゃあまりさ以外のみんなが死んじゃう」 「山には憎しみあわないゆっくりがいる」 それを知っていたみょんは夜に逃げ出し今に至っている。 (ちなみに写真のみょん種一斉処刑は逃げ出した1日後に始まった。 リーダーまりさの「1匹足りない」という言葉を盗み聞けたので間違いない) 怪奇ゴシップにも思えるかもしれないが、これは事実である。 これを読んでいる皆さんも、地上に買い出しに行った時には魔法の森には近づかないでほしい。 (原典:文文。新聞 分家 315号 (太陽暦で)1912年3月11日) 原稿と本の体裁上、上の一記事分しか載せられないが、この後に、れいむ種、ちぇん種、ゆかり種、さくや種と(難癖をつけられての)虐殺が続きこれでもともといたのはまりさ種とぱちゅりー種しかいなくなったという。 そして救出されたみょんの願いもあってきめぇ丸さんが一人でリーダーまりさを陥落させたらしい。ゆっくり史上最初の事件である。 (ただし人間からの虐殺は前に存在する。それらは地上のゆっくりが悪いので入れないことにする)} きめぇ丸さん本当にいい人。押し売りがなければ。 それと森のゆっくりと言われているやつらのあさましさがよくわかった。 祖父が殲滅したのはこいつらだろう。 ページを進めよう。 {次にあった事件は1952年の「青い石」事件である。 れいむ種の家族が人間の住み家にあがりこみ、放射性元素(ただし推測。私の学者仲間には有毒ガスというのもいる)でできた石を巣へと持ち込んだ。 ゆっくり唯一の臓器「あんこ」を放射線に侵され、居候のまりさが脱走して逃げた以外は巣で全滅し、そのまりさは「ゆっくりできない死臭」を振りまいているせいで投石による殺害が行われた。また好奇心の強いありす種が巣に入って死亡した。 その後巣は「ゆっくりできない場所」として成体まりさが封印し、近づかないようにさせたが、投石部隊と見張りは既に放射性物体になっていたので殺害され、ループが長く続いた。 森のゆっくり単体としてはこれで事件はなくなる。 ちなみにこの後1年後駆逐される。 さて次の章は水辺のゆっくり編とさせてもらおう。} なるほど。 危険物の危険の程度がわからないというのだろうか。 放射線特有の恐怖というか。 今日は眠いので続きは明日にしよう。 続く =========================================== ゆっくりの歴史を創作してもいいんじゃないかと思い。 「いじめスレ」と「愛でスレ」に同じ題材で 投稿しようとしたのが間違いだった。 もったいないので二つを混ぜて投棄場にうp。 青い石事件は「ゆっくりいじめ系149 ゆっくりと青い石_前」が元ネタです。 正直最初からまともなSSを書こうと思わんほうが良かったかも。 続き ===================================
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これは投棄場の ゆっくりの歴史 森のゆっくり編 の続きです。 歴史と言いながら俺設定、パロディが満載です。 そして投棄してるからには虐待が皆無です。 それが気に入らない人はお戻りください。 ちなみに今回は大概のSSで死んだゆっくりの帽子をかぶると 「おまえとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!」 とほざき始めるので、その理由の脳内保管を文章化した感じです。 さて、続きだ。「水辺のゆっくり」と銘を打たれていたが、川のゆっくりと言ったほうが正確か。 幻想郷に海はない。紅魔館のほとりにいれば某知恵足らずの妖精やカリスマならぬカリデカな館の主に駆逐されてしまうだろう。 ゆっくりも学習能力はある。 { 水辺に棲むゆっくりのもっとも恐怖したもの、それは辻斬りだった。 事実、辻斬りは毎年現れ、ゆっくりが駆逐されるまで続いた。 初めに辻斬りを始めたのはみょん種だった。 「ゆっくりしていってね!!!」と大声で叫んで近くのゆっくりを足止めし(地上のゆっくりには「ゆっくりしていってね!!!」というと本能的に挨拶を返す習性がある)ゆっくりとは思えない速さで真っ二つに切り裂く。人間のいう辻斬りそのものであった。 彼(もともと人間に家族を殺された父親役のゆっくりであったそうだ)は自分に勲章として死臭のついた髪飾りをはぎ取り、カチューシャにしていたようだ。 川辺のゆっくり達は死臭を感じると出来る限りの避難をした。 しかし無駄だった。本能に従い叫んで殺された。 辻斬りのみょんは天寿を全うした。その年の11月のことだった。} へえ、祖父が言ってた「死臭がするゆっくりは殺される」というのはここから来てるのか。 しかし毎年ってことは模倣犯がいたのか。 {その後は模倣犯が大量に現れた。 共通するのは「群れではゆっくりできなかったゆっくり」というところである。 最初に模倣したのは「おれまりさ」というまりさ種の変種であった。 一人称が「俺」であるがために偽物扱いされて爪弾きを受けていた。 (後述するが、最初に地上に降りたまりさの一人称は「俺」である。普通の地上まりさが偽物) 私怨が強かったらしく、周辺のまりさ、れいむをすべて虐殺した。 その際命と引き換えに放った「ゆっくり奥義 ますたーすぱーく」はおれまりさを怒らせるとこうなるということで現場にいたゆっくりに畏怖の念を感じさせた。 その後、おれまりさは仲良くなる…と思いきやありす種の提案で殲滅された。 不憫である。 後にふらん種、れみりゃ種、ありす種が毎年川辺で辻斬りの模倣をしては殺された。 そしてこれが地上のゆっくりが言っていた「死臭のするゆっくりはゆっくりできなくなるから殺す」という本能に従っての行動に繋がったのだろう。 (ちなみに私の先代は地上のゆっくりの解剖本を出していたのだが、その51Pにこんな記述があった。 「地上のゆっくりに死んだゆっくりの飾りの臭いを嗅がせると、餡幹部(人間でいう脳幹のようなもの)が沸騰する」 沸騰を続けると餡幹が融けて死ぬ=ゆっくりできなくなるということだろうか。 先代の本ではそこは解明されていなかった。) さて、次章は私たち山の上のゆっくりの歴史を紹介する前に、私たちと地上のゆっくり、及び人間との戦いを紹介しようと思う。} なるほど。地上のゆっくりは自己中心的だから殺してしまうのか。 ぱちゅりーさんたちは大丈夫なのだろうか。 それにしても水辺のありすは許せない。 全部川に落ちて死ねばいいのに。 それと・・・ゆっくりとゆっくりの戦い?聞いたこともないが。 そう思ってページを進める俺であった。 あとがき---------- 今回短くてすいません。 水辺のゆっくりはほとんど人間に屠殺された先行があるから 事件一つしか書けなかった。 このシリーズはあと上のゆっくりや人間との戦い、山のゆっくりの歴史、あと何かもう一ネタとエピローグの 1~3回で締めくくられると思います。 あ~家族のPCだからリビングにあるから 頭の中にあるゆっくり大虐殺の文が 書き表せない。 書いたら確実にパソ禁食らう。
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「きゃあ!」 妖怪の山に悲鳴がこだました。 覆面の集団が少女を襲っていた。 正確に言うと、彼女が抱えているゆっくりれいむを狙っているのだ。 こいつらはゆっくり強盗団。 ゆっくりを捕まえては高値で売りさばく、巷で評判の悪いやつらだ。 「なんなんですか、貴方達!」 少女――東風谷早苗が叫んだ。 「何だと言われても、俺たちゃゆっくり強盗団だからなぁ」 「なぁ」 男達はうなずくと、早苗に向き直った。 「時にお前……最近引っ越してきた東風谷早苗だな?」 「え、ええそうですが」 「とてもゆっくりを可愛がっているな?」 「はぁ、そうですが」 「寝食をともにしたり、一緒に風呂に入ったりしてるんだろう?」 「ええ、まあ……」 強盗団はニヤリと笑った。 「という事は、あんたのゆっくりには、あんたの入った風呂のエキスがたっぷり染み込んでいる訳だ!」 「!」 「そいつをもどした湯を片手に、アンニュイな午後の始まりというわけさ」 「げっげっげっ」 「なっ、なんて事を考えるんですかっ ///」 早苗は顔を真っ赤にして怒鳴った。 しかし、御幣(あの紙を挟んだやつ)は家に置いて来ている。 あれがないと、奇跡を起こす力を制御できないのである(多分)。 ジャージにチャリンコスタイルで散歩気分でサイクリングのつもりが、 ノンブレーキで麓まで駆け下りた挙句に大木に激突してお釈迦になった自転車を キュウリ5本で修理をお願いしたにとりのところに預けっぱなしなのが運の尽きだった。色々と。 今度から御幣の一本くらいは、谷間にでも仕込もうと心に決めた、東風谷早苗じゅう○○さいであった。 「くやしいっ。でも……」 強盗団はにじり寄ってきた。 「さぁ、そのゆっくりを渡してもらおうか。 なに、あれだ、仮にゆっくりをとろうとしてそのふくらみに手が触れたとしても、それは不可抗力というものだよ……」 フフフ、と紳士的な笑みを浮かべる強盗団。どこが紳士なのだ。 その時。一陣の風が、通り抜けた。 「さ「とぅッ!」」 強盗団の一人が吹っ飛ばされる。 「な、なんだなんだ」 慌てて周りを見回す一堂。 何かに気付いたらしい男の一人が、木の上を指差した。 「あ、あれは!」 「な、なんだ天狗か?」 いやさ、違う。 あ、 天狗のようで、天狗でない。 ゆっくりのようでゆっくりでない。 人を見下ろすニヒルなあいつ。 天上天下唯我独尊を地でいく、その生き様は! 「き「清く!」ごふっ」 「げh「正しい!」」 強盗団2人を吹っ飛ばして、そいつは地に降り立った。 これすなわち、 「きめぇ丸ちゃん!」 その口元から、キラリ、白い歯がのぞいた。 「ちゃんは余計ですよ、サマエさん?」 直後、体格のいい男が、角材片手に踊りかかる。 「この野郎、どこから沸いてきやg「風に聞いたのさ」べきょっ」 しかし、気だるげに首を振って攻撃をかわすや否や、逆に一撃で鳩尾を貫いた。 その動き、まさに扇風機ッ! 「……このキュートなおにゃのこさんをいじめるワルがいるってなぁ!!!」 すると、数人の男が、四方からつっかかる! 「 ラ デ ィ カ ル グ ッ ド ゆ っ く り 頭 部 限 て ぇ ゐ ! ! !」 瞬間、あたりの岩が爆ぜ、きめぇ丸の体が虹色に輝いた。 見れば、先ほどの男どもはあらぬかたへ、みな吹っ飛んでいた。 「フッ それなりに人数だけはそろっているようだな?」 「畜生! ええい、かかれ、ものどもかかれぇい!」 リーダーらしい男が、悪事の露見した代官ライクにメンバーをけしかける。 何人かやられたとはいえ、残りはまだ十数人。 並のゆっくりならば、瞬く間に殲滅されているだろう。 だが、 「だが、まだ足りない!」 彼女は風。 「足ァりないぞ!」 一陣の、風。 「お前達に足りないもの! それは――ッ情 熱 "ここからはダ 思 ストでお送りします" (便宜上、強 想 バーをそれぞれアルファベットで呼ぶことにしよう) AとBはまと 理 飛ばされた。 C~Eは浣腸 念 絶した。 Fは泥饅頭を 頭 れた。 Gは恥ずかし 脳 露された。 まだ息のあっ 気 Cに文々。新聞を突き刺した。 HとIを向かい 品 制ぶちゅーさせた。 Jはそれを見 優 嫉妬した。 Kがそれを助 雅 た。 Lの立てた計 さ 通り、完全犯罪を目論んだ。 Mと愛の逃避 勤 についた。 しかし、Nは 勉 優秀な刑事だったので、崖に呼び出し自白させることに成功した。 と、ここまで さ 聞連載の小説が終わってしまったので、Cの臀部に突き刺した。 ちなみにJ~ ゆ は、本当は木につるしておいた。 Oはまったく っ 正攻法で殴り倒した。 何だか飽きて く の臀部に3本目を突き刺した。 Pはどこかよ り ったのでCに4本『もうやめてCのおケツのHPはもうゼロ さ そしてェなによりも!!!!!!!」 掻き消える風神少女。 「ゆっくりが足りない!!」 「あべしッ」 最後まで残ったリーダー格の男。しかし、その一撃を受けて崩れ落ちる。 恨みがましい声で、 「頭部、限定って、元から、頭しかねぇじゃ、ねえかっ ……それに、ゆっくり、2回、言うn「大事なことだから2回言いました2回言いました!」 ――ガクリ。 悪は、去った。 きめぇ丸の手によって。 「ありがとうございました、きめぇ丸ちゃん」 「フッ、当然のことをしたまでです」 ゆっくり強盗団は、簀巻きにして川に流した。 トラウマになってゆっくりを襲うことももうあるまい。 「では、これで失礼します」 「え? そんな、まだお礼もしていないのに……」 そういって顔を曇らせる早苗に、きめぇ丸はニヤリと笑った。 「貴女はとてもいい被写体だ。その表情こそ、キャメラマンへの報酬ですよ。……サマエさん?」 ウインクするきめぇ丸に、ハッとする早苗。 「サマエじゃありません、さなえです!」 「おおこわいこわい」 大袈裟に肩を竦めると、きめぇ丸は去っていった。 これから記事を書くのか、写真を撮るのか、はたまた救いを求める声に再び手を差し伸べるのか……? 名前を間違えた事に怒っては見せたものの、早苗の表情はどこか晴れやかだった。 「私も、もっと強くならなくっちゃね」 早苗は、ぎゅぅっっとゆっくりれいむを抱きしめる。 幻想郷は、まだまだ不思議でいっぱいだ。 ――ところでその腕の中のれいむといえば、人知れず目を回していたりする。 きめぇ丸のゆっくりは、おこちゃまなれいむにはビター過ぎるようだった。 “風のゆっくり”fin 『次回予告』 きめぇと人には罵られ、 うぜぇと人には叩かれる。 ああだがしかし、彼奴は絶対に止まらない おのれの信念口笛に乗せて、我が者顔で闊歩する。 なぜならあいつは風、風なのだ。 風の行方は、風が決める。 次回予告が秀逸すぎるwww 若本ボイスで再生余裕でした。 -- 名無しさん (2009-02-06 14 09 32) 早苗です! あってるでしょう? こんな感じになるのかな -- 名無しさん (2010-09-30 17 12 15) ちょっと待て。守矢一家の風呂に入る順番を考えてみよう。 一番風呂は当然、上位者たる神奈子さま・諏訪子さまが入るよな・・・ と、すると、早苗さんは三番風呂・・・ つまり、このゆっくりれいむには、 早苗さんだけでなく、神奈子さま諏訪子さまのエキスもしみ込んでいるのではなかろうか。 守矢三柱のエキスがしみ込んでいる・・・ゴクリ・・・ -- 名無しさん (2010-11-27 16 31 22) 名前 コメント
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※初めまして、最初で最後のゆっくり虐待に挑戦してみます。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』1 「おちびちゃんたち、じじいのあたまにしーしーしてね! くそじじいにはもったいないけど、あんまりきたないから しーしーできれいきれいしてあげるんだからね!ありがたくおもってね!」 「ちーちーしゅるよ!ちーちー!」 「ゆっ!くちょじじい、もっちょあちゃましゃげちぇね! りぇいむのちーちーできりぇいにしちぇあげりゅ!」 額を床につけている俺の頭に、正面から横から、 赤れいむのしーしーがびたびたと打ちつけられる。 気持ちよさそうに震えながらしーしーをしている赤れいむは四匹。 土下座の姿勢では見えないが、俺の正面では、 一匹のゆっくりれいむが嘲笑を浮かべながらこちらを見ている。 「ゆゆ?じじい、さっきからだまりこくってどうしたの? なにかいうことがあるんじゃないの?ばかなの?しぬの?」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 親のれいむが罵るのを聞くと、すぐに赤れいむたちが口を合わせて合唱を始める。 「ばかなじじいはいわれなきゃわからないみたいだから、 しんせつなれいむがゆっくりおしえてあげるね! きれいきれいしてもらったらおれいをいうんだよ! さあ、いいこだからおちびちゃんたちにおれいをいってごらん?」 俺はしーしーの水たまりに頭を伏せたまま黙って体を震わせていた。 握り込んだ手のひらに爪が食い込む。 「どうしたの?いいたくないの? それともばかだからおれいのしかたをしらないのかな? いいこだからよくきいてね。 「ぐずでのろまの、きたないくそじじいに しーしーをめぐんでくださってありがとうございます」っていうんだよ!」 「いうんだよ!」 「はやきゅいえ!ごみくじゅ!」 「…………」 「ゆ?どうしたの?いえないの? ばかにはむずかしかったね。 だったらいいんだよ!おねえさんにおしえてもらおうね!」 「ぐ……」 歯茎から血が出るんじゃないかと思うほど震えている顎を 苦労してこじ開けながら、俺は絞り出した。 「ぐずで、のろまの…」 「おそいんだぜ!」 俺の後頭部を衝撃が襲う。 バスケットボール大の饅頭、ゆっくりまりさが飛び込んできたのだ。 「ちゃっちゃというんだぜくそじじい! いちにちはみじかいんだぜ?ごはんとそうじがまってるんだぜ! あさのしゃわーぐらいてばやくすませるんだぜ!」 後頭部で飛び跳ねられる度に、俺は顔面を床に打ちつける。 床に鼻血が滴る。 背中のほうでは、ソフトボール大の赤まりさたちが飛び乗り、 親に便乗して俺の上で飛び跳ねはじめている。 「はやきゅすりゅんだじぇ!」 「まりしゃしゃまたちはおなきゃしゅいたんだじぇ!」 「ごはん!ごはん!」 「ぐずでのろまの汚いクソ爺に、 しーしーを恵んでくださってありがとうございます」 「ゆはははは! いったよ、ほんとにいったよこのじじい!」 親れいむが爆笑した。 それに合わせ、赤れいむ、まりさ親子、 そして奥のほうから眺めているありす親子が笑い出す。 「ほんのじょうだんだったのに、 ほんとにいうなんておもわなかったよ!じじいはばかだね! それともほんとにうれしかったのかな? おちびちゃんたちはやさしいから、たのめばまいにちしーしーくれるかもね!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「おい、しーしーじじい!ごはんをよういするんだぜ! まりささまのせわをさせてあげてるんだから、 ごみくずはかんしゃしてちゃっちゃとうごくんだぜ!はやくしろ!」 尻に親まりさの体当たりを受け、再び俺は床のしーしーに顔を打ちつけた。 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 話は二か月前に遡る。 「「ゆっくりしていってね!!」」 大学から帰ってきた俺を出迎えたのは、 居間の真ん中に転がる二つの饅頭だった。 部屋中は惨憺たる有様で、 あちこちひっくり返して見つけ出し食べ散らかした食べカスや、 排泄物らしき餡子、砂糖水、びりびりに破られてまき散らされた雑誌類などが そこらじゅうにぶちまけられていた。 冷蔵庫も開けられ、中の食材がすべてやられているようだ。 カーテンは半ば引きちぎられ、ポットも炊飯器も倒され、 寝室から引きずり出された毛布が汚れを吸って無数の染みを作っている。 案の定、窓ガラスは割られて床にガラス片が四散していた。 ここはマンションの一階。 お定まりのパターンというやつで、 石を投げてガラスを割り、侵入してきたようだ。 その時、俺が部屋に帰ってくるのは三日ぶりだった。 友人が婚約したとかで、 その祝いでひとしきり飲み騒ぎ、外泊が続いたのだ。 その間中、このゆっくり二匹が部屋を蹂躙していたわけだ。 最近になって、俺の住むこの街でも ゆっくりの被害が幾度となく取り沙汰されるようになった。 ゆっくりの数は全国で着々と増え続けているらしい。 被害に遭った知人の話を聞くにつけ、俺も対策しなければとは思いつつ、 もう少し後でいいだろうとたかをくくり、ずるずると先延ばしにしていた。 きちんと対策していれば。思い起こすたび後悔で身をよじる。 侵入してきたのは、ゆっくりまりさとれいむの番いだった。 野良のゆっくりらしく、二匹はひどく汚かった。 成体になりたてのようで、大きさは共にバスケットボール大。 全身にこびりついた土の汚れが、そのまま部屋中に足跡を残している。 「ゆ!ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!!」 「にんげんさんはたべものをもってきて、ゆっくりしないででていってね!!」 さっさと追い返せばすむ話だった。 だが、この時はさらに不幸が重なっていた。 「きゃあ、可愛い~!!」 恋人の由香を同伴していたのだ。 友人との飲み会でもずっと一緒に騒いでいた。 騒ぎ疲れてこの家に帰ってきて、ついでに一戦交えるつもりもあったが、 ゆっくりに水を差された形になった。 悪いことに、由香は筋金入りのゆっくり愛好家だった。 「かっわいいわあ~。すーり、すーりっ」 「ゆゆっ!おねえさんなにしてるんだぜ!?」 小汚いゆっくり二匹を両方抱え上げ、頬ずりを始めた。 「ゆ、ゆっくりやめてね……すーり、すーり♪」 「まりささまのびはだによいしれてるんだぜ!」 ゆっくりの方もまんざらではなさそうだ。 「お、おねえさん!まりささまはおなかがすいてるんだぜ。 とっととたべものをもってくるんだぜ!!」 まりさの方が早くもしびれを切らし、食事を要求してきた。 「あ、ごめんね!」 由香がゆっくり共を床に下ろし、周囲を見渡した。 しかし部屋の様子はすでに記述した通りである。 仕方なしに由香は立ち上がった。 「ちょっと待っててね。食べ物持ってくるからね」 「ゆゆっ、さっさとするんだぜ! ぐずにいきるかちはないんだぜ!!」 まりさの方はゲスなんじゃないか、と思っている俺に由香が言う。 「コンビニ行こ!」 この部屋の様子を見て、部屋の主を目の前にして なんで呑気にそんな事が言えるのか。 由香も承知の上らしく、俺の反論を封じるように 腕を引いて外へぐいぐい引っ張っていく。 「とっととするんだぜ!!」 背中から苛立たしい声が聞こえてきた。 「なに考えてるんだよ!?」 「ごめん、圭一!」 圭一は俺の名である。 部屋からある程度離れた路上で、由香は俺に手を合わせた。 「あんまり可愛いものだからつい……」 「どこが!?」 「全部!」 由香のゆっくり愛好ぶりはただごとではなかった。 ゆっくり愛護会だかなんだかの会員である。 携帯電話にはゆっくりキーホルダーがごちゃりとぶら下がり、 ゆっくりバッグの中には他にもゆっくりグッズが満載だ。 いつもゆっくりショップの前を通るたびに立ち止まり、 陳列されているゆっくり共を前にため息をついている。 俺には苛立たしいだけなのだが、 彼女の目には天使のように映っているらしい。 「ね、飼お!」 「はあ!?」 えらいことを言い出した。 あんなゲス(俺の中では決定)は一刻も早く追い出したいのだが。 「人間の手がついちゃったゆっくりより、 野生のゆっくりとお友達になりたかったの」 「あんな尊大な奴らと?おかしいんじゃないか?」 「おかしいのは自分でもわかってる。 でも、あのわがままさがたまんない……わかってもらえないと思うけど」 このあたりが筋金入りなのだ。 そこらにいる半端なゆっくり愛好家なら、 人の手でしつけられたゆっくりを愛護し、ゆっくりショップを利用する。 野生のゆっくりと付き合うほどの忍耐力を持つ者はそうはいない。 しかし、あのゆっくりならではの傍若無人ぶりをこそ愛する 本物の愛好家が稀にいる。 俺に言わせれば物好き、あるいはキワモノ好きだが。 「お前の家で飼ったら?」 「だめ。うちはもうゆっくりでいっぱいだし、 飼いゆっくりと野生のゆっくりを一緒に置いておくと 喧嘩になったりするらしいの」 由香の家族もゆっくり愛好家で、 家に何十匹のゆっくりを飼っていた。 由香の家庭についてはあとで触れる。 由香は飼いゆっくりは十二分に堪能できているはずだが、 野生のゆっくりと触れ合いたい欲求もあったようだ。 つくづくマニアである。 「あたしも毎日通ってお世話するから、お願い!」 俄然、揺れた。 ここまで読まれた方にはとんだ我儘女に見えたかもしれないが、 由香は本当にいい女なのだ。 可愛く美人、スタイルもよくて理知的だ。 飲み会でも出しゃばらず、いろんなところによく気が回る。 そして家が金持ち。 いつも周囲の友人に羨まれる、極上の女であった。 その彼女の唯一の欠点が、病的なほどのゆっくり好きという点だ。 それでも俺にとっては、 ひとつぐらい欠点があったほうが安心するぐらいのもので、 そこも含めて愛する気満々だった。 俺の家で飼いたい、というのにはさすがに躊躇したが、 家に毎日来てくれるという。 ゆっくりを餌にすれば、いつでも家に連れ込める。 これはなんとも魅力的だった。 結局、俺は首を縦に振ることになった。 ちゃんと世話しろよ、と釘を刺しつつ。 「やった、ありがと!圭一大好き!」 俺の肩に飛びつき、熱烈なキッスを浴びる。 たまに見せるこういうところが可愛い女なのだ。 「ゆっくりおそいんだぜ!!おねえさんはぐずだね!」 「ごめーん」 「ゆ、さっさとたべものをおいてでていくんだぜ!」 由香はゆっくりに詫びると、 コンビニで買ってきたプリンの蓋を開けてゆっくり共の前に置いた。 ゆっくり共はわき目も振らずにプリンに突進し、容器を突き倒した。 床にぶちまけられたプリンにゆっくり共は顔を突っ込み、 涎やらプリンやらをまき散らしながらむさぼり食う。 「うっめ!!これむっちゃうっめ、まじうっめ!ぱねぇ!!」 「むーちゃ、むーちゃ……ししししあわせえぇぇ!!」 感涙しながら食べ尽くしたまりさとれいむは、 顎の下にあるあにゃるを突き出していきみ始めた。 「うんうんするのぜ!」 「うんうんするよ!」 たらふく食べて満足したあとは、排泄である。 俺の部屋の床に、二匹のゆっくりはうんうんをひり出した。 「ゆっ!にんげんさんはまりささまのうんうんをそうじするんだぜ!! さっさとするんだぜ!!」 「おぉ、くさいくさい。ゆっくりしないでかたづけてね!!」 臭いうんうんの前から自分は一歩も動こうとせず、 片付けるように命令してきたゆっくり共。 由香は文句も言わず、にこやかにティッシュにくるんで捨てた。 「ゆっくりできた?」 「まりさはゆっくりしてるのぜ!!」 「れいむはとってもゆっくりしてるよ!!」 由香の質問に答えるまりさとれいむ。 「よかった。これからもここでゆっくりしていってね」 「ゆ?あたりまえなんだぜ!! ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ?」 「あ、ごめん。そうだったね」 「ごはんはたべたからにんげんさんにようはないんだぜ!! とっととでていくんだぜ!!」 「あ、あたしたちもここでゆっくりさせて!」 手を合わせてお願いしはじめる由香。 ゆっくり相手にこんなことをする人間は他にいるまい。 「ゆゆ?なにいってるんだぜ?おねえさんはばかなんだぜ? やくにたたないくずをおいておくよゆうはないんだぜ!!」 これだけ広い部屋を、饅頭二匹で占拠するつもりらしい。 「そろーり、そろーり」 まりさの背後に、れいむが大声で何か言いながら近寄る。 そして耳打ちした。 「まりさ、ちょっとこっちにきて!」 「ゆっ!なんだぜれいむ!ばかなにんげんをいまおいだすところなんだぜ!」 そう言いながられいむに促され、まりさはこちらから離れていった。 俺たちから離れていくと、二人はこちらに背を向けながら相談を始める。 「ひそひそ、これくらいはなれれば ばかなにんげんさんたちにきこえないよ!」 1メートルしか離れていない。 当然丸聞こえであるが、まりさは気づく様子がない。 「ばかなにんげんにきかれてこまることなんてないんだぜ?」 「まりさ、よくきいて!このにんげんさんたちはたべものをもってるよ! まりさがかりにいかなくてもこいつらにもってこさせれば、 このゆっくりぷれいすでずっとゆっくりできるよ!」 「ゆ!めいあんなんだぜ!! まりさがちょっとおどしてやれば、 にんげんどもはばかだからいくらでもごはんをさしだすんだぜ!!」 「まりさ、むちだけじゃだめだよ! あめとむちをじょうずにつかいわけて、にんげんたちをしつけるんだよ。 こんきよくがんばれば、にんげんだってきっとやくにたつよ!」 「れいむはあまいね!でもわかったんだぜ。 いかさずころさず、なるべくながいあいだつかってやるんだぜ!!」 そんな会話を、由香はニコニコしながら聞いていた。 俺のほうは、聞いていて気分のいいものではなかったが、 ゆっくりの馬鹿さ加減はよく知っていたし、 あとで躾けてやればいいだろうぐらいにその時は考えていた。 「おねえさんたち、よくきくんだぜ!!」 密談らしきものを終え、まりさがこちらに向かって声をはりあげた。 「まりさたちのゆっくりぷれいすにいたかったら、 まいにちまりさたちにごはんをもってくるんだぜ! そうじもするなら、とくべつにここでゆっくりさせてあげるんだぜ!」 「やったあ、よろしくね!」 大げさに喜んでみせる由香。 話を合わせて、このゲスぶりを堪能するつもりらしい。 ゆっくり愛好家を称する人間は多いが、 ゲスをすら楽しむほどの物好きは、 日本中探しても五人もいないのではなかろうか。 その日から、ゆっくり共との生活は始まった。 二匹のゆっくりは部屋の中で傍若無人に振舞った。 「まりささまにごはんをもってくるんだぜ!!」 「かわいいれいむにあまあまをちょうだいね!!」 腹が減ればいつでもどこでもわめき出す。 「ゆっくりうんうんするのぜ!!」 「しーしーするよ!!」 うんうんとしーしーも、気が向いたときに垂れ流し、 それが終わると俺たちを呼びつけて片付けさせた。 「それはなんだぜ!?まりささまにさっさとよこすのぜ!! ここのものはぜんぶまりささまのものなんだぜ!!」 ちょっと興味が沸くと、すぐに俺たちが持っているものを差し出させた。 勉強中には鉛筆を奪われる、掃除をしていれば掃除機を奪われる。 そのうち飽きて放り出すからまだいいが、 何をするにも中断させられるはめになり、邪魔でしょうがない。 「ゆ~♪ゆ~♪ゆっゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪」 突然大声で歌い出すのでうるさくてかなわない。 「ゆぁああああ!!なんだぜこれぇえええ!!?」 「おにいさあああん!!はやくきてかわいいれいむをたすけてねぇえええ!!」 慣れない家の中で勝手に動き回るものだから、 本の山に押しつぶされたりそのへんの隙間に挟まったりして、 しょっちゅう俺たちを呼びつけた。 「おそすぎるんだぜ!!もたもたなにしてたんだぜぇええ!? やくにたたないにんげんはごみくずなんだぜぇ!!」 「なんでもっとはやくたすけないのおおぉ!? かわいいれいむがくるしんでてもへいきなの!?ばかなの!?しぬの!?」 助けてやったところで、礼を言われたことは一度もない。 何度となく叩きつぶしたくなったが、その度に由香に止められた。 「この子たちは好きにさせてあげて、ホントにごめん!」 その可愛い顔のために、俺は耐えつづけた。 もともと俺は、愛護派でも虐待派でもなく、ゆっくりに興味はなかった。 思い入れがないぶん、ただの饅頭の言うことだと聞き流し、 まじめに取り合うことなく一歩引いて接することができていた。 とはいえ、それでも我ながらたいした忍耐力だったと思う。 結局、おれも変人だったのかもしれない。 ゆっくりという生物は、甘やかせばどこまでもつけあがる。 後日、このゆっくり達の存在は日本中に知れ渡るのだが、 そのつけ上がり具合に、誰もが驚愕することになる。 よくもそこまで、殺さずにつけ上がらせつづけたものだと。 ある日、由香が祖父を伴って俺の住むアパートにやってきた。 「やあ、圭一くん。こんにちは」 「こ、こんにちは。おじい……長浜さん」 この老紳士、長浜氏は政財界では名の通った名士である。 建築業の重鎮で、大企業長浜建設の名誉会長を務めると同時に、 多くの著作をものした社会学者でもある。 すでに述べたように、恋人の由香の祖父であり、 可愛い孫の恋人である俺の動向にさりげなく目を光らせている人だ。 お祖父さん、と一瞬呼びかけた俺に対する視線が一瞬きらりと光ったのは気のせいではあるまい。 人当りがよく、理知的な人であり、俺との関係もひとまず良好だ。 安アパート住まいとはいえ、自分で言うのもなんだが、 俺が国立有名大学に通い、トップクラスの成績をマークしてそれなりに優秀なことも大きいだろう。 これほどの人だから、孫の相手には、 トップクラスと言わず首席級の男をと言いだしても不思議はないが、 そこは孫の意思を尊重してくれている。 漫画に出てくるような偏屈爺とは違う、ごく普通に良識的な紳士というわけだ。 とはいえ、やはり会うたびに緊張してしまう。 「どうぞ、何のおかまいもできなくて」 「いやいやいや、こちらこそ。急に押しかけてすみませんでした」 若輩の俺に対しても、長浜氏は礼儀正しく頭を下げる。 「孫の話を聞きましてな。ぜひ見せていただきたいと思いました」 そう言い、長浜氏はさっきから喚いているゆっくり共のほうを見た。 「おじいさんはゆっくりできるひと? かわいいれいむにあまあまをちょうだいね!!はやくちょうだいね!! きこえないの?ばかなの?ばかなにんげんさんなの?」 「くちょじじい!!さっさとあまあまをよこすんだぜ!! よこしたらまりさのゆっくりぷれいすからでていくんだぜ!!」 「これはこれは……」 長浜氏は目を細めて笑い、懐から飴玉を取り出すとゆっくり共に投げ与えた。 わき目もふらずに飴玉に食いつくゆっくりを見届け、彼は俺に向きなおった。 「いやはや、大したものですな」 「いや、どうも毎日大変で……まあ」 挨拶を交わしながらソファを勧めようとしたが、 ゆっくり共のうんうんやしーしーで汚れきり、とても人を座らせられる状態ではない。 来るとわかっていればせめて洗濯していたのだが。 床にありあわせの座布団を敷き、座ってもらう。 それまでのやりとりで大体の事情はわかったが、一応話を聞くと、 孫がゆっくりを全力でゆっくりさせることに挑戦していると聞き、興味を抱いたらしい。 この長浜氏、やはり非常なゆっくり愛護派である。 大きなゆっくり愛護団体の会長をも務めるほどで、 日々ゆっくりを苦しめる虐待派のふるまいに心を痛め、ゆっくり愛護を市井に呼びかける一方、 都市部に繁殖するゆっくりへの対処問題に腐心している。 由香の住む家は長浜氏所有の邸宅であり、 家族ぐるみでゆっくりと付き合っているのはこの人の影響によるものだ。 「ね、とっても可愛いでしょ!!」 「いやはや……こら、じいちゃんは圭一くんと話してるんだ。 ちょっと静かにしていなさい」 孫娘に飛びつかれ、やや困り顔ながらもこぼれる笑みを抑えられないようだ。 しかし由香を引き離すと、改めて俺に向きなおると、深々と頭を下げた。 「このたびは、孫娘のわがままでまことにご迷惑をおかけしとります」 「あ、いえいえいえ!」 予想外の成り行きに慌ててしまう。 まさか俺ごときが、この人に頭を下げられるなんて思っていなかった。 「我儘放題なゆっくりの言うことを聞き続け、自由にさせる。 なんと馬鹿なことをと、わしは説得しました。 わし自身、なんとも困ったゆっくり狂いという悪癖を持っておりますが、 それでもわがまま放題にさせるなんてことは、 人間にとってもゆっくりにとってもためにならん。 それぐらいはわきまえとるつもりです」 「……はい」 「しかし、こやつは言うのですな。 人間の都合でゆっくりを飼う、いや、飼わせてもらっている。 だから、人間は全力でゆっくりをゆっくりさせる義務があるのだと。 わしは……返答に困りましたわい」 「ですが……人間の社会で生きていくんだったら」 「もちろん、そうです。 ここで生きるならここのルールを教えるのがゆっくりのためだ、 そんな御託はいくらでも並べられますし、正論です。 しかし、それでも、わしは答えられませんでしたわ。 確かに、わしらは飼わせてもらっておる。ここで生きることを強要したのはわしらだ。 強要しておいて、そのための忍従を強いるのは、やはり横暴でしょう。 ゆっくり狂いの馬鹿な戯言とお思いでしょうがな」 「…………」 答えられなかった。 事実、そう思っていたからだ。 良識ある人かと思っていたが、子供じみたセンチメンタリストなのか。 「甘やかされきったゆっくりの行き着く末路は、もちろん想像がつきます。 しかし、こやつは全力でゆっくり達を守るという。 圭一くんも協力してくれるからと。 それなら、一度、やってみる手かもしれんと思いました。 無茶な実験をするようですが、これもまた、ゆっくり研究の一環ではありましょう。 なにしろ愛護者でさえ、そんな事をやり通した者はほとんど聞きませんからな。 ゆっくりのわがままにとことん付き合うのは非常に、非常に骨の折れる話です。 それに挑戦してみることは、ある意味、こやつの為になるかもしれんです」 長浜氏はそこで、再び居住まいを正して、俺にふかぶかと頭を下げた。 「どうか、孫娘に付き合ってやってはくださらんか。 ゆっくり馬鹿、孫馬鹿の耄碌爺の戯言ではありますが、聞いて下されませんか」 一瞬、慌てながらも言葉に詰まった。 少々意外だったからだ。 良識と常識ある人かと思っていたが、孫娘のこんな暴挙、 しかも他人である俺を巻き込んだ暴挙、止めるのが普通というものだろう。 しかしこの人は、他人の俺に、我慢して共に耐え忍んでくれという。 ずいぶんと非常識な願いと思わざるをえない。 いや、一応、結婚すれば他人ではなくなるのだが…… あ。 そうか。 俺はそこで、老人の目論見がわかった。 この人は俺を試しているのだ。 可愛い孫娘の恋人、あるいは夫として、俺がふさわしい男かどうか。 甘やかされて育った娘を受け入れられる忍耐強い男かどうか、 このゆっくり共を試金石にして確かめようというのだろう。 確かに、忍耐力を試すのにゆっくりほどお誂え向きの存在もない。 また、由香の家族と付き合うのならば、ゆっくりとの付き合いもできたほうが断然いい。 そういう方向でも試す目論見がありそうだ。 そういうことならば、迷う理由はない。 あなたの孫娘を任せられる男であることを、見事証明してみせようではないですか。 俺は笑うと、力強く言い放った。 「万事お任せください」 頭を上げ、俺の表情を確かめた長浜氏は、満足げに目を細めた。 続く
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おんだんか けしてゆるさぬ あきしまい てるよさん ガイアはたらけ いってゐる カサカサと へんなあしおと りぐるさん ひるねする めーりんねらう さくやさん 俳句なら思いついたときに簡単に書ける、そう思っていた時期が俺にもありました。 実際には季語とゆっくりの両立が難しいのでゆっくりを季語の代わりにしました。 (季節ゆっくりを季語にするのはありですが)なめてかかった結果がこれだよ! 今まで書いた作品 本格派モチモチリボンレスリング 【ゆイタニック号のゆ劇】およげ!らんしゃま 小ネタ249 Journey through the ディケイネ ゆっくりみすちーと土用の丑の日 ゆっくりリグルの日常 夏のゆっくりチルノとレティの洞窟 小ネタ314 ゆっくりリリーと過ぎ去りし春 小ネタ316 ゆっくり俳句 名前 コメント
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※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。虐待は次回から。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※今回は人間が悲惨な目に会う描写があり、気分を深く害される恐れがあります。 一応、今回だけ読み飛ばしてもいいように書いていく予定です。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』4 ずっと俺には疑問だった。 突如として現実世界に現れた不可解な存在、ゆっくり。 こいつらは一体なんなんだ。 中身に詰まっているのは餡子のみ。 他のどの生態系にも類を見ない不可思議な機構で動いている。 小麦粉と甘味でほとんどが構成されたその肉体はひどくもろく、衝撃や苦痛でたやすく餡子を漏らして死ぬ。 なにより不可解なのはその知能だ。 言語を話す、という時点で他の動物とは比較にならないほど知能は高い。 ところがその行動は単細胞生物のそれで、 思考力や学習能力にひどく乏しく、目先のゆっくりしか目に入らず、 野生動物なら最低限あってしかるべきはずの危機管理能力が決定的に欠けている。 おそろしく弱いくせに自信に満ち溢れ、無謀なことばかり繰り返す。 こんな生物は、生態系としては下の下で、 とっくの昔に絶滅していておかしくないはずなのだが、 並はずれた性欲に支えられた繁殖力、ただそれだけを武器に、 ゴキブリ以上のしぶとさで地球にしがみついている。 俺にはわからなかった。 大学で少々生物学をかじった身として、 ゆっくりの生物としての整合性が理解できなかったのだ。 性欲以外のほぼすべての特徴が、生物としてマイナス要素しかない。 なぜ、そんな生き物が生まれてきたのだろうか。 生物に意味などあるはずはない。 しかしどの生物も、進化の過程を経て、 思わず感心してしまうほどの適合力を見せて、自らの生活圏とぴったりと結合している。 しかし、ゆっくりは見たところ、どの生活圏にも結合していない。 森に繁殖すれば、たちまちそこの食物を食べつくしてしまう。 町に住めば、人間どもに追われ、迫害されている。 こいつらはなんのために生きているのだろう。 どんなゆっくりプレイスも、例外なく破綻する。 生まれては死に、繁殖しては滅び、流れるようにあちらこちらをさまよう。 こいつらが生物としてぴったりとはまり、安定していられるのはどういう環境なのだろうか。 「何か月かね?」 「は、はい……三ヶ月ちょっとらしいです」 長浜氏はソファに身を沈めたまま、険しい表情をしていた。 「ゆぅ~ん、おじいちゃんどうしたの?なんだかこわいよ?」 「なんでもないよ。あっちへ行っていなさい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 絨毯の上を跳ねながら、開け放したドアを出ていくゆっくりれいむ。 長浜氏の邸宅。 広い居間でテーブルをはさんで向かい合い、俺は恐縮しきっていた。 俺の隣には由美。 向かい合ったソファの正面には由美の祖父長浜氏が座り、 その隣に由美の両親が座っていた。 俺の返答を聞いたあと、長浜氏は黙ってこちらを見つめていた。 俺はうつむいて冷や汗をたらしながら、つけ慣れないネクタイの位置を直した。 由美の妊娠を知らされたときには、すでに受胎してから二か月半ばを経過していた。 毎日俺の部屋に通っていたはずの由美が、ある時を境に数日間来なくなった。 心配になった俺は電話で連絡した。 すると、由美は震える声で、産婦人科に行ってきたことを告げてきた。 妊娠を知らされ、俺の喉がひりついた。 ゆっくりの世話に追われてこのところすっかりご無沙汰だったが、 ゆっくりをここに迎える直前、すでにご懐妊なさっていたらしい。 どうする。 俺はしばらく悩み、時間をかけて由美と相談し、結論を出した。 「こういう事柄に関しては、君には忍耐力がなかったようだね」 やっとのことで、長浜氏が仏頂面で言った。 俺は恐縮して頭を下げるしかない。 「大切な孫娘なんだよ。たったひとりの……つい先日、成人式を挙げたばかりだ」 「は。はい」 「君はまだ働いていない学生の身分だろう」 「……はい」 「とんだことをしてくれたよね」 「は」 「嫁入り前の、人の娘に……娘というのは君、宝だよ」 「……」 「おじいちゃん」 「黙っていなさい!」 由美が口を挟もうとしたが、長浜氏がぴしゃりと遮った。 これほど険を含んだ長浜氏は初めてだった。 あの礼儀正しい老紳士が、静かに怒っている。 耐えがたい、重苦しい沈黙。 「どうするのかね」 やがて、ぽつりと長浜氏が聞いてきた。 震える手で膝を握りながら、俺は声を絞り出した。 「……由美さんを、僕にください」 「……今、なんと言ったのかね?」 「僕に由美さんをください!必ず幸せに、幸せにしてみせます!!」 俺は叫びながら顔をあげた。 長浜氏は、顔中をくしゃくしゃにして笑っていた。 「いやいやいやいや、さあさあどうぞどうぞ」 「いや、あの、僕は車なんで」 「いやいやいいじゃないか。帰りは送らせるよ、まあどうぞ」 俺の手に持ったグラスに、高そうな酒がどぼどぼと注がれる。 「いやあうん、懐かしいな。私もそうだったんだよ。 圭一くん、私も君といっしょでね、深窓の令嬢を結婚前に孕ませてしまった。 相手方のオヤジさんにはぶん殴られたよ」 「そうでしたか」 長浜氏は浮かれまくっている。 由美の両親はそれほど浮かれる気にはなれないようだったが、ともかく笑顔を作っていた。 「もしも君が逃げ出すようだったら、ただではおかなかったよ、うん。 しかし、これで全て丸く収まりそうだ。君なら大丈夫だろう、うん、ね。 困ったことがあるならいつでも言ってきたまえよ、我々は家族になるんだからね」 「ありがとうございます!」 「本当に、頼んだからね。由美、いい人を見つけたね」 「うん!」 涙を浮かべ、由美が頷いた。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!」 場の雰囲気を察知し、長浜氏の飼っているゆっくり共が嬉しげに絨毯の上で飛び跳ねている。 この時ばかりはゆっくりが可愛く見えた。 しかし多いな。大小さまざま、何十匹いるんだ。 「由美から聞いているよ」 「え?」 「例の、ゆっくりの事だよ。君の家で飼っている」 「あ、はい……」 声のトーンがわずかに沈んだ。思い出すことさえ不快だ。 「ものすごく大変らしいね。床のうんうんを舐めたんだって?」 「あ、いや、まあ……」 そんなことまで耳に届いていたとは。 あの姿だけは見られたくなかったなあ。 「君は今、ゆっくりが好きかね?」 「…………」 「嫌いだろうね。無理もないよ」 「はい……」 長浜氏の声は穏やかだった。 彼は由美に向きなおって言った。 「なあ、由美。もういいだろ。解放してあげなさい」 「……うん。圭一、今まで本当にごめんね」 「圭一君。そもそもは私までがぐるになって君に頼んだことだったが、 これまで本当に、よく由美に付き合ってくれたね。心から感謝しているんだよ。ありがとう」 ストレートに「試していた」と言ってくるわけじゃないが、 やはりあの計画で、俺が試されていたのは確かのようだ。 夫として由美と向き合っていく忍耐力を、俺は証明したのだ。 「ともかく、君たちは近いうちに夫婦になるのだろ?」 「はい、そのつもりです。準備は大変だと思いますけど……」 「もちろん手伝うよ。それでだ、そういう準備もあるし、 もうゆっくりに一日中かかずらっているわけにはいくまい」 「は……そうですね」 「あのゆっくりはこちらで引き取ろう。 もちろん最低限の躾は必要だろうが、責任をもってできるかぎりゆっくりさせるよ」 「あの、私が面倒見るから!」 「どうするつもりだい、由美。これまで通り自由奔放にゆっくりさせるのかい?」 「できれば、そうしたいんだけど」 長浜氏はしかしかぶりを振った。 「もうよしなさい。結果は出ているだろう」 「結果……」 「圭一君。君たちはゆっくり達の言うことをすべて聞いてきた。 すべてゆっくり達の思うままにさせた。そうだね?」 「はい」 「では改めて聞くが、あのゆっくり達は、 他のゆっくりに比べてゆっくりできていたと思うかね?」 俺は少し考え、答えた。 「いいえ」 「子供を殺したんだって?」 「えっ」 自分のことを言われてるのかと思い、一瞬どきりとした。 「れいむとありすがいがみ合い、互いに子供を殺し合ったそうじゃないか」 「あ、はい」 「そして結局、増えすぎた子供たちは間引かれていった」 「……はい」 「まりさ達は他のゆっくりを虐げた。 甘味を与えるたびに、その甘味を家族で奪い合った。 互いに憎み合い、相手の隙を窺い、強者の存在に怯え、強者は反発に苛立つ。 いつ子供たちが殺されるか虐められるかわからず、戦々恐々とする生活。 由美。そんなゆっくり達が、ゆっくりしていると思うのかい?」 由美は眼を伏せた。 「ゆっくりしていなかっただろう?」 「……うん」 「今回のことはいい経験だったな、由美。 ゆっくりという生物は、自分にとって一番いい選択をする判断力が足りていないんだ。 ただ目先の欲求だけで行動し、結局はそのつけが回ってきて面倒事を増やし、苦しむことになる。 ………もしかしたらそれは人間も同じことかもしれないね。程度は大きく違うが」 俺は頷いた。 まあ、ゆっくりと一緒にされたくはないが。 「お前の計画は、ここで終わりにしよう。 今回のことを糧に、改めてゆっくりが本当にゆっくりできる為にはどうすればいいか考え直してみればいい。 あのゆっくり達はこちらで引き取るよ。 もちろん一旦味をしめさせた責任はあるから、できるかぎりは贅沢をさせてやる。 他のゆっくりに悪影響が出るだろうから、個室で飼おう」 「うん。わかった」 由美は頷いた。 「でも、あたしも面倒見てもいいよね」 「うん。好きにしなさい」 好々爺の笑みで、長浜氏は頷いた。 すべて終わった。 運転手のハイヤーに乗せられて長浜氏の邸宅をあとにした今、俺はようやく肩の荷が下りた。 いや、これから結婚や求職もろもろで本当に忙しくなるのだが、 そんなものはあのゆっくり共の相手をすることに比べれば些細なことに思えた。 本当に大変だった。 しかしそれは報われた。 長浜氏は俺を認めてくれ、俺は由美と結婚できることになった。 こうして結果が出てみれば、自分でも驚いたことに、 あのゆっくり達に感謝の念さえ湧きあがってきた。 なにはともあれ、やつらは俺にチャンスをくれたのだ。 「今まで本当にごめんね。大変だったよね」 隣に座る由美が改めて詫びてきた。 「うん。大変だった。すごく」 強がってみせる余裕もなく、俺は正直に苦笑した。 「あんなゲスゆっくりが、本当に可愛いのか?」 俺はここで初めてゲスという言葉を使ったが、由美は否定しなかった。 「うん。おかしいよね」 「どこが可愛いの、あんなの」 「それは、ええと、ゆっくりと人間と同一視してるから可愛くないんだと思う」 「え?」 いつになく真面目な顔をして、由美は言った。 「礼儀とか思いやりとかは、人間のルールだよね。 そういうのがない人は、私も嫌い。 でも、ゆっくりは、人間とは違うルールで生きてる。 ふつうの人間にとっては不愉快かもしれないけど、私は人間とは別物だと思ってるから、腹が立たない。 私ってゆっくりオタクだから、人間の手垢がついてない純粋な子ほど可愛いと思っちゃうんだね」 「そんなもんか」 共感はできなかったが、素直に受け止めることができた。 「でも、今回の失敗でまたわからなくなっちゃった。 ゆっくりのルールって一体なんだろうね。 人間のルールを押しつけたほうが幸せになれるのかな? ゆっくりって、ゆっくりするために生きてるんじゃないの? どうしてなかなか、自分たちでゆっくりできないのかなあ……」 毎日ものすごい数が生まれ、そのほとんどが死んでいくゆっくり。 わざわざ人里に下りてきて、家や畑を荒らしては潰されるゆっくり。 ゲスやレイパーや共食い、同族で殺し合うゆっくり。 ゆっくりとは、一体なんのために生きているのだろうか。 「ゆっ、おそいよ!!ごみくず!!」 由美と一緒に家に戻れば、甲高い挨拶が飛んでくる。 「ぐずぐずしないであまあまをもってきてね!!」 「そのめはなんなの?ばかなの?たちばわかってるの?ばぁーか!!」 「まま、かちくがもどってきたわよ」 「あらそう、どこをほっつきあるいてたのかしら。 そろそろしつけなおしたほうがいいかもしれないわね」 「ゆっくりしないでしね!!げらげらげら!!」 「とっととうんうんをなめるんだぜ!!たっぷりためといてやったんだぜ!!」 子ゆっくり共は成体サイズになり、滑舌もまともになっていた。 改めて眺めると、よくもこんな連中と付き合ってきたものだと思う。 しかし終りが見えた今は、そんな声も耐えて受け流すことができた。 ゆっくり共の罵声を無視し、鞄を放り出して横になる。 無視できることがこんなに有難いとは。 「ゆっ!?ごみくず!!なにゆっくりしてるのぉ!?さっさとおきてせいざしてね!!」 「あまあま!!あまあま!!きいてるのかだぜ!?ゆっくりするんじゃないのぜぇ!!」 「くちをあけるんだぜ!!うんうんをじかにたべさせてやるんだぜ!!」 無視無視。 よじ登ろうとしてきたゆっくり共を適当にあしらって追いやる。 潰してやりたいところだが、こいつらは長浜氏の家に飼われるのだからそうもいかない。 「ぎいでるのがああああああああゆっぐりごろじいいいいいいいいい!!!?」 その言葉にはさすがにどきりとした。 一緒に来ている由美のほうを見る。 しかし由美はそれには触れず、かがみ込んでゆっくり達に言った。 「れいむちゃん、まりさちゃん、ありすちゃん。みんな聞いて。 明日、みんなでお引越ししましょうね」 「ゆっ!?」 「ここではもうゆっくりできないの。 もっとゆっくりできるゆっくりプレイスに連れていってあげる」 ゆっくり共は一瞬きょとんとしてから顔を見合わせ、その後げらげらと笑い合った。 「げらげらげらげら!!ばかがなにかいってるのぜぇ!?」 「ゆっくりプレイスはここなんだぜ!!まりささまがきめたんだぜ!!」 「いいのよ、おねえさん。かちくがむりにあたまをつかわなくてもいいの。 かんがえることはとかいはなありすたちにまかせておきなさいね」 「むのう!!のろま!!ばぁーか!!ろどん!!」 予想できていた反応に、由美は困ったように笑った。 「ね、これからは人間さんの話を聞いて。 今度のゆっくりプレイスでは、人間さんがみんなをゆっくりさせてくれるわ。 でも、人間さんの言うことを聞かなくちゃだめよ」 ぼひゅっ、という音が響く。 ゆっくり共が吹き出したらしい。冗談じゃないという驚き、ちゃんちゃらおかしいという嘲笑の両方だろう。 「ばかなの?しぬの?あたまつかってる? そんなところでゆっくりできるわけないでしょぉぉ!!」 「いーい?にんげんさんはごみくずでのろまな、かとうなせいぶつなの。 ゆっくりがみちびいてあげなきゃいけないの。いうことをきくのはにんげんさんのほう。 わかるかしら?もういちどいってあげましょうか?」 「かわいがってやっていればつけあがるなだぜ!! にんげんのいうことをきくぐらいならゆっくりするんだぜぇ!!」 最後の発言は意味がおかしい。 「勝手よね、私たち。今更しつけようなんて」 「そうだな」 由美に頷いてやる。 虐められているうちは、叩き潰してやりたいと渇望していたものだが、 このゆっくり共もある意味では被害者、もとい被害ゆっくりなのだ。 そう思うとなんだかどうでもよくなった。 ただし、あくまで「ある意味で」という前置きつきでの穿った見方だ。 ガラスを割って侵入してきたこのゲス、追い払ったところで別の人間に潰されるか、 群れの中で孤立して自滅するかだろう。 まあifの仮定なんかしたって無意味だが、こいつらが不幸だなどとは言わせない。 最低限のルールは課されることになるが、これから行くところだって、 死ぬまで存分にゆっくりできる夢のようなゆっくりプレイスだ。 とにかく、明日の昼には迎えが来て、 こいつらは長浜氏の邸宅に移されることになる。 その旨を伝えると、ゆっくり共は俄然騒ぎ出した。 「なにいってるのぉおお!?ばかなのぉぉぉぉ!!!」 「まりささまはここにすむんだぜぇぇぇ!!しねぇ!!!しぬんだぜぇぇぇ!!!」 「このかちくはもうだめね! そこのおすにほかのつがいをさがさせましょう」 「おい、なにゆっくりしてるんだぜぇ!! このばかをなんとかするんだぜ!!あのことをいわれてもいいんだぜぇ!!?」 「あのことって?」 由美が聞いてきた。 「全部話すよ。それより、もう出よう。 もう一晩だってこいつらといたくないよ」 俺は由美を近くのファミレスへと誘った。 「おいぃ!!にげるなだぜぇ!!ごみくず!!もどれぇぇ!!」 「ゆっくりごろし!!ゆっくりごろし!!あかちゃんごろしいいいい!!」 結局、俺は子殺しに加担した全てを、ショックを与えないように細部は省いて話した。 俺がゆっくり愛好派ではないことはもともと承知の上だし、 計画が失敗に終わったという結論が出た今、取り繕うこともなかった。 由美は悲しんだが、結局は許してくれたようだ。 「全部、私のせいよね」 「よせよ。みんな悪かったんだ、俺もお前もおじいさんも、もちろんゆっくりも。 後悔したって始まらない。みんなでやり直そうぜ」 「そうね」 あのゲスどもに関しては、俺はもう関わらないけど。 その日は、由美を送り返したあと近くのビジネスホテルに泊まった。 問題は山積みだが、それでもあのゲスのいない生活を考えるだけで心は浮き立った。 翌日から、俺はそれまでの鬱憤を晴らすかのように勉学に打ち込んだ。 もともと勉強好きな俺は、遅れを取り戻すべく、大学でも自宅でも猛烈に並び、 一時落ちていた成績を再び大学トップクラスにまで戻した。 同時に、就職活動も行った。 有名大学で優秀な成績を収める俺にとって、そう難しいことではなかった。 だが、結局は長浜氏の強い勧めで、長浜グループ関連の建築会社に内定が決まった。 コネを使うことになってしまったが、実力的にも不足はない。 在学中に結婚までしてしまった。 長浜氏の願いで、俺が婿養子として迎えられることになった。 由美は一人っ子だし、家柄を考えれば無理もないか。 順風満帆だった。 我ながらなんというシンデレラボーイ。 あの地獄に堪えた報酬は、十分見合ったものだった。 だが、そんな地位や収入などよりも、 俺は何より、由美との結婚生活が楽しみだった。 愛する妻、子供、ピクニックやキャッチボール。 陳腐だが愛にあふれた家庭生活を想像するだけで、俺はすでに幸福の絶頂にいた。 俺は長浜氏の邸宅に一時的に住んでいた。 就職するまでは、という長浜氏の強い勧めだった。 あの人はなんだかんだで、いろいろと強引に勧めてくる。 一人ではしゃいでいる祖父に比べ、 由美の両親のほうは少々ぎこちなかったが、おいおい打ち解けていけるだろう。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「ごはんのじかんになったらあまあまをおねがいね!!」 長浜氏の邸宅には、ゆっくりが大量にいた。 れいむ種、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種、ちぇん種やみょん種などレアなものも。 正直うざったかったが、あのゲスどもに比べれば天地の差。 これだけしつけが行き届いていれば問題なく付き合っていけそうだ。 問題のゲス共は、ひどいものだった。 ここに連れてこられてすぐに個室に移されたが、 しつけをしようとしても全く言うことを聞かない。 人間は自分たちの奴隷だ、黙って言うことを聞け、あまあまをもってこいの一点張りで、 そればかりか嬉々として嫌がらせをしてくる。 少々強く言うと、ものすごい剣幕で火がついたように暴れまわった。 長浜氏の知人である有名ゆっくりブリーダーに見てもらったが、これはダメだろうとのことだった。 「ここまでつけ上がったゆっくりは、多分もう無理だと思います。 人間をなめているばかりか、明確な悪意を向けてきている。 しつけるにしても、ものすごく強烈なやり方でないと。 もしかしたら死んでしまうかもしれませんよ」 さすがにそこまですることもない、という長浜氏や由美の意見で、 結局このゆっくり共は、郊外に外出する時以外は個室から出さずに寿命まで勝手にやらせることにした。 といっても、こいつらは外出することはあまりないが。 「しかし、よくもまあここまでつけ上がらせましたね。びっくりしました。 ここまでの個体は初めて見たかもしれません。 逆にゆっくりブリーダー向きかもしれませんよ、あなた」 俺はそう言われたが、勘弁してくださいと首を振った。 そんなゲスどもを、由美は相変わらず面倒を見ている。 長浜邸では、家族だけでなく使用人も大勢のゆっくり共の面倒を見ているが、 あのゲスは使用人でさえ関わりたがらず、結果としてほとんど由美が面倒を見ることになった。 結局相変わらず甘やかしているようだ。 「おねえさんはゆっくりしないでおうたをうたってね!!」 「きたないうたなんだぜ!!ゆっくりできないからとっととやめるんだぜぇ!!」 「げらげらげらげら!!」 しかし、ついに別れのときがやってきた。 俺が就職し、なかなか広いアパートに住むことも決まった。 子供が生まれたら、最初は自分たちの家に迎えたい。 そういう俺の希望で、出産の前に引越しの手続きを済ませることになった。 一応、出産前後は由美の母がアパートに通っていろいろ手伝ってくれる。 由美のお腹の子は五か月になっていた。 お腹の膨らみもはっきりとわかる。 俺の宝だ。 引っ越し前日の夜になって、 由美はあのゲス共に別れの挨拶をしてくると言った。 俺は挨拶などする気も起らず、寝室で由美を見送った。 俺はずっと疑問だった。 身体能力や耐久性はあまりに弱いゆっくり。 しかし、その自意識は身の丈をはるかに超え、 危険な場所やより強大な敵に、自分から飛びこんでいく。 その構造は一体なんなのだろう。 生物として、全く理にかなっていない。 何度考えても、生物学的にまったく説明がつかなかった。 ゆっくりとは一体なんなのか? 由美はいつまでも帰ってこなかった。 十二時時を過ぎて深夜になっても、由美は二人の寝室に戻ってこなかった。 由美がゲス共に会いに行ってからすでに三時間。 いくらなんでも別れを惜しみすぎではないのか。 俺は立ち上がり、ゲス共の部屋に向かった。 「由美。俺だ。いるのか?」 ドアをノックしたが、返答はなかった。 しかし気配はあった。 中でわめき声が聞こえている。ゆっくり共が騒いでいるのだ。 いつもの事だった。 しかし、その声に俺はどこかいつもと違う空気を感じた。 なんだ? 俺はドアを開けた。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 「んほぉおおおおおおおおすっきりいいーーーーーーーーーっ!!!」 「ゆっくりするなだぜぇ!!さっさとおきるんだぜぇ!!!」 由美と娘はそこにいた。 「ゆっ!!ごみくずがやってきたんだぜ!!」 「ゆゆっ!?いまごろきてもおそいよ!!げらげらげらげら!!」 「んっほぉぉぉぉおおお!!!きもちいいわああああああ!!!」 俺は膝をついた。 言葉が出なかった。 脳が思考を放棄し、体が震えて動かなかった。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 執拗に飛び跳ね、踏みつけていたれいむは、 俺を認めると、そこに乗ったままで罵ってきた。 「くそじじいのあかちゃんはしんだよ!! れいむだっておちびちゃんをころされたんだからね!! ゆっくりりかいしてくるしんでね!!ざまぁ!!」 まりさ共が、由美の体に体当たりを繰り返している。 「まりささまのゆっくりベッドでゆっくりするんじゃないんだぜぇ!! くそどれいにそのふかふかはもったいないのぜ!!おきるんだぜえぇ!!」 由美は動かなかった。 頭をまりさ用の天蓋つきベッドに突っ込んだまま、ぴくりともしなかった。 天蓋は一部の骨組が折れ、由美の頭の下に敷かれている。 「あかちゃんのおはだすべすべよぉぉぉぉぉ!! なんかいでもいけるわあああああんほおおおぉぉぉすっきりいいいいいーーーーっ!!!」 ありす共が粘液にまみれながら絶叫している。 親子五匹のありす共が、それにまとわりついて蠢いていた。 地獄。 無間地獄。 こいつらは。 俺は泣きながら這いずっていった。 震える喉からやっとのことで絞り出したのは、次の問いかけだった。 「どうして」 それは、このゲス共に向けた質問ではなかった。 俺は何に向かって問いかけたのだろうか。 「ゆっ!!ごみくずはばかすぎてあきれるんだぜぇ!! ごみくずのたくらみなんてまりささまはすべておみとおしなんだぜ!? おきのどくなんだぜぇ!!げらげらげらげら!!ふっきんほうかい!!」 まりさが笑っている。 「ゆふぅ~……とかいはなせれぶのありすには、 いなかもののかんがえることなんておみとおしよ」 「ままはおみとおしよ!あてがはずれたわね!!んほっ、んほほぉぉ!!」 「どうしてわかったかおしえてあげましょうか? ありすがまえにすんであげていたゆっくりぷれいすのにんげんは、 はじめはありすにぞっこんで、かいがいしくありすにほうししていたわ。 ありすがいえば、すっきりようのゆっくりをつぎつぎともってきた。 にんげんがあれこれやってくれというから、 やさしいありすはおのぞみのぷれいをみせてあげもしたわ」 このありすの飼い主が、あの技術を教えたのか。 「でも、そのにんげんは、あれほどかわいがってもらったおんもわすれて、 このありすをうらぎった。 にんっしんっしたのよ。 にんっしんっしてこどもがうまれたたとたんに、 そのにんげんはありすをゆっくりぷれいすからほうりだした。 じぶんのこどもにかまけて、 ほんらいのしごと、ありすのどれいのせきむからにげだしたのよ!」 「んほっ、まったくにんげんはいなかもののかとうどうぶつよね! ちゃんとみてないとすぐににげだすんだから!!」 「このおねえさんがにんっしんっしたときから、 ありすにはこうなることはわかっていたわ。 あなたたちにんげんは、こどもができると、まわりがみえなくなる……」 「だからまりささまがまびいてやったんだぜ!!」 まりさが引き継いだ。 「こどもをみてしこうていしするまえに、 まりささまがまよいのたねをつみとってやったんだぜ! ごみくずどもはいままでどおり、つよくてかっこいいまりささまにしんすいして、 まりささまだけにつかえていればいいんだぜ!!」 「あらりょうじだったけど、れいせいになってよくかんがえなさい。 おちついてかんがえればこれがただしいとわかるはずよ。 いなかもののかとうせいぶつでもね!!」 「れいむはおまえにこどもをころされたんだよ!! こどもをころされるくるしみがわかった!?もっとくるしんでね!!げらげら!!」 ゆっくり共は、悪意の塊のような表情を浮かべてせせら笑っていた。 それはひどく醜く、どれほど憎んでも足りなかった。 「こどもはありすにおかされてしんだよ!! くやしい?くやしい?ねぇねぇ、いまどんなきぶん?どんなきぶん?ゆっゆっゆ~♪」 震えて泣きながら、俺はゆっくりと疑問が氷解していくのを感じていた。 「ざまぁ!!ざっまぁぁぁぁ!!くやちぃくやちぃ~~~~~♪」 ああ。 「げらげらげら!!そしてこのかお!!ないてるときがいちばんばかみたいなんだぜぇ!!」 そうか。 「ごみくずはむせびなき~♪れいむたちはいいきぶん~♪ゆっゆ~~ゆゆゆ~♪」 お前たちは。 「このおねえさんひっどいかおよねぇ、みっともないったらありゃしない! とかいはにこーでぃねーとしてあげるわ!んほおおぉぉすっきりいいーーーーーー!!!」 苦しむために生まれてきたんだな。 由美は死んではいなかった。 しかし、病院で医師に宣せられたことは死と同義だった。 頚椎骨折。 あの部屋で倒れたとき、首の部分がちょうどまりさの天蓋つきベッドを下敷きにして、 その骨組をなしていた木材にぶつかり、頚椎を折っていた。 脊髄を損傷して由美は全身不随となり、意識も失ったまま戻らなかった。 病院のベッドで点滴を受け、なにも映さない目で天井を見つめるだけの生活になった。 子供は女の子だった。 発見したときにはすでに手遅れになっており、 その亡骸は、長浜家の墓に埋葬された。 俺が決めてあった名前が、その墓には彫られた。 長浜氏と俺の意向を受け、 その事件は日本中に大々的に報道された。 その主犯であるあのゲス共は事情聴取を受け、 警察やテレビの取材班に喜々として自分の所業を語り、 その様子は日本中に放映された。 「まずまりささまがあしにまりさしゃいにんぐあたっくをくらわしたんだぜ!!」 「そしたらおねえさんがぶざまにたおれたんだぜ!!おとうさんはつよいんだぜ!!」 「たおれたところにれいむがおなかのうえでぴょんぴょんしたんだよ!! ごみくずのあかちゃんはすぐにでてきたよ!!にんげんさんはもろいね!ぷげら!!」 「あかちゃんのおはだはとってもすべすべもちもちしていてとかいはだったわ。 またもってくるならすっきりしてあげてもいいのよ?」 「おなかすいたあああ!!れいむおうちかえるうううう!!」 それは飼いゆっくりによって人間が殺された日本史上初の事件だった。 日本中がその事実に震撼し、愛護派の多くが認識を改め、虐待派がさらなる気炎をあげた。 その日から、日本中で捨てゆっくりの数が増大し、 同時にむごたらしく殺されたゆっくりの死骸が町に散乱し、市民はその処理に追われた。 だが、殺されるゆっくりに同情する者はいなかった。 日本の法律では、ゆっくりを罰する法は制定されていない。 人を殺し、全身不随に追いやったそのゆっくり共を憎み、処刑を望む声は高かったが、 俺はそのゲス共を手元にとどめた。 長浜氏は憔悴しきってうなだれていた。 俺はあの居間でテーブルをはさんで向かい合い、黙っていた。 居間にゆっくりの姿はない。 長浜氏の邸宅から、ゆっくりの姿は一掃されていた。 すべて加工所に送られていた。 もはやゆっくりの姿を見るのも嫌なのだろう。 先日は、道端で出会った野良ゆっくりにあまあまを要求され、 長浜氏らしからぬ激昂を見せて踵で一息に踏みつぶしていた。 いまではゆっくり愛護会の会長も退いている。 重苦しい沈黙が流れたが、 やがて長浜氏が言った。 「すべて私のせいだ」 孫と同じ事を言う老人が悲しかった。 「ただ一度だけ、一度だけ叱りつけてやればよかった。 強くたしなめれば、あの素直な孫は言うことを聞いてくれ、あんなことはやめたろう。 私がそれをせず甘やかしたために、たった一人の孫娘とひ孫を、君の妻と娘を死なせてしまった」 「お祖父さん」 「私を恨んでくれ」 震える老人はひどく小さく見えた。 「それは僕の言う事です……あなたの孫娘を守れなかったこと、深くお詫びします。 このことは、一生をかけて償うつもりです」 「圭一君」 俺は長浜氏に向かって、毅然として言い放った。 「僕は誰も恨んでいません。 僕の恨みは、あのゲスゆっくり共に全て向けられています」 「君の注文どおり、やつらは元の個室でのうのうと贅沢三昧の日々を送っておるよ」 「そのようですね。ありがとうございます」 「どうするつもりかね?」 「どう、とは」 「やつらをどうするのかね」 「質問で返すことをお許しください。 お祖父さんはどのようにしたいとお思いですか?」 「殺してやりたい!」 テーブルに拳を叩きつけて長浜氏は叫んだ。 「この手で引き裂いてやりたい、踏みつぶしてやりたい!! やつらは、やつらは……私は今まで………今ごろになって………」 すべては遅すぎた。 長浜氏は自分を責めていた。 あの日から眠れた日がどれだけあったろうか。 「僕に任せてくださいませんか」 「……どうするのかね」 「一息に殺したところで、この恨みは晴れるものではないでしょう」 俺はノートを取り出し、長浜氏の前に置いて言った。 「僕は人をやめます。どうぞ軽蔑してください」 俺の顔を見てから、長浜氏はゆっくりとページをめくった。 彼は眼を見開いた。 ノート一冊分にびっしりと書き込まれたそれは、俺の計画書だった。 「これは……」 「あの日から書き続けていました。まだ未完成ですが」 眉をひそめてそのノートを食い入るように見つめていた長浜氏は、 自分の頬を掴みながら呻いて言った。 「……わたしはかまわない。 しかし君は……それでいいのか」 「はい」 「君にはまだまだ先の人生が残っている。 こんなことに……こんなことで……人間を捨てることはない」 「僕はこれから先の人生を、あのゆっくり共に捧げるつもりです」 「私がやる。これは私がやろう。しかし君は」 「これから先、同じ犠牲者を生まないためです。 そしてこれは、ゆっくり達のためでもあります」 「こんなことが?」 俺は頷いた。 狂人と思われようとかまわなかった。 「ゆっくりは苦しむために生まれてきたんですから」 「……それは」 「あの生物がどういう生き物なのか、ようやくわかったんです。 あいつらは弱い。痛みに弱く、耐久性もなく、ひどく簡単に苦しみ、壊れる。 そのくせ悪意や闘争心が強く、強い外敵に向かって無謀な喧嘩を売り、執拗に挑発する。 どこにも根付くことができないくせに、どこにでも入り込む。 そんなゆっくり共が生物として安定している状態は何か、ずっと考えていました。 そしてそれは、苦しんでいる状態でした」 「それは、君……いくらなんでも」 「そう考えれば、すべてにつじつまがあいました。 やつらの行動はすべて、苦しむというただそのことに向けられている。 生まれては死に続け、憎まれ虐げられつづけるゆっくり共は、 そのことですでに生物としての目的を達しているんですよ」 「………」 「僕は残りの一生を、やつらのために捧げます。 今こそ僕は、苦しむために生まれてきたやつらの奴隷になりましょう。 人間のために、ゆっくりのために、お互いの種の安定を目指そうと思います」 「圭一君」 力なくうなだれ、長浜氏は言った。 「君は変わったな」 「変わりました」 俺は答えた。 計画は実行されることになった。 計画には長浜氏が全面的に尽力してくれることになり、 さらに二か月間が準備期間にあてられた。 都心からそう遠くない、しかし奥まった山奥の廃墟が選ばれ、 目的のために改築された。 その間、ゲスどもはあの個室で贅を尽くしていた。 長浜氏や俺の指示に従い、使用人たちは毎日やつらの面倒を見ていた。 実行の日。 今、俺は改築された建物の中で、 大きなテーブルの前に立っている。 テーブルの上には、睡眠薬を食事にまぜられた十三匹のゆっくりが眠っている。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 あの日、俺の部屋に侵入してきたまりさとれいむ。 まりさが外から連れ込んできたありす。 それぞれが50cmのバランスボール大だった。 そしてその子供、子れいむが三匹、子まりさが三匹、子ありすが四匹。 十匹とも30cm大のバスケットボール大。 テーブルを囲むのは、計画の実行に関わる人々。 長浜邸の使用人やゆっくりの研究者たち。 計画のリーダーは俺だ。 俺の計画を、これからこの手で実地に行うことになる。 こいつらのために、持てるすべてを捧げよう。 涎を垂らしながら泥のように眠りこむゆっくり共に向かって、 俺は静かに声をかけてやった。 「ゆっくりしていってね」 続く
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森の中で元気よく跳ね回る二匹のゆっくり。 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だ。 今日は朝から二人でお出かけ、お母さんたちと朝ごはんを食べた後にお隣の魔理沙と一緒に別行動。 他の家族はお隣さんとお散歩、今日は天気がいいので川の方へ行くらしい。 「まりさ、ゆっくりはしってね!!」 ピョンピョンと勢いよく進んでいく魔理沙を懸命に追いかけていたが、やっぱり疲れる。 抗議するでもなく、何時もの口調で話しかける。 「ゆっ! ごめんね、れいむといっしょにゆっくりあるくよ」 てへへ、と申し訳なさそうに笑いながら霊夢の側に駆け寄る魔理沙。 今日は久しぶりのお出かけ。 久しぶりに二人だけで、舞い上がるのも頷ける。 「「ゆっくりさせてね!!!」」 森の中心の辺り、鬱蒼と木が生い茂り緑色の空が何処までも続く場所。 薄暗いここは、普通のゆっくりなら近づかない。 そんな場所にある一つの空洞。 斜面と木の根と岩が生み出したその空洞内は、木の根のおかげで光が入り、岩のおかげで夏は涼しく、斜面に生えたコケのおかげで冬は暖い。 そんな空洞に向かって言葉を発する二匹。 「ゆっくりちてってね!」 直ぐに返事が返ってきた。 どうやら、ここにゆっくりが住んでいるらしい。 「ぱちゅりー! きょうはゆっくりあそびにきたよ♪」 「れいむもきたよ。ゆっくりしようね!!」 「うん。ゆっくりちていってね!!」 賑やかに挨拶をして、奥へと進んでいく。 そこにはもう一匹のゆっくりの姿。 「おそいよふたりとも! とかいはのありすは、じかんにるーずなゆっくりはきらいだよ」 既に来ていたアリスは、笑顔で二匹に向かってしゃべる。 その目の前には、パチュリーが集めている本が開かれていた。 パチュリーは本を集めて自分の家に蓄えている。 中心部のこの辺りには、何故か時々本が落ちている。 落ちているのは聖書や哲学書、稀に漫画なども落ちてはいるが、殆どが人が読むにも苦労する代物だ。 だが、ぱちゅりーはそんな事は関係ない。 勿論ある程度文字はよめる。 ただ、本を読む、事がしたいのだ。 だから内容は二の次三の次だ。 「ごめんね!! れいむたちでみんなそろったね」 「きょうはみんなでゆっくりあそぼうね!!!」 魔理沙が高らかに宣言する。 体が弱く本を読みたいパチュリーは、あまり遠出できないため、時々皆でここに集まる。 そして泊りがけでゆっくりするのだ。 「きょうはなにをしてゆっくりしようか?」 「ぱちぇりーもゆっくりできるようにしようね」 「むきゅ~、みんなとゆっくりするよ!」 「ありす、おもしろいあそびしってるよ!!」 その一声で、興味津々になった三匹に説明しながらある物を見せる。 どうやら風船らしいそれはアリスが頭で押すと、ふわっと浮き上がりゆっくりと落ちていく。 「すごーい!! ふわふわのもふもふだぁ!!」 「ありすはすごいね!! まりさもやりたい!!!」 「むっきゅ~!! すごい! すごい!」 「いいよ! せっかくだから、みんなでゆっくりするのにかしてあげるよ!!!」 霊夢が高くあげる、負けじと魔理沙がもっと高くあげる、パチュリーも頑張って上げる。 空洞内では高さが足りなくなって、外に出る。 制限が無くなった風船はもっともっと高く上がる。 「れいむのほうがたかくあげられるよ!!!」 「まりさだってたかくあげられるよ!!!」 「ふーせんくらいでおとなげないよ。 とかいはのありすはこんなのみあきたもん」 しれっと答えるアリス。 しかし、しっかりと視線で高く上がる風船を追い続ける。 「むっきゅー! ふたりともしゅっごーい!!」 対するパチュリーも見る事に専念している、高く上がる風船を見て喜んでいるようだ。 「そうだ!! ふたりであげたらもっとたかくあがるよ!!!」 霊夢が魔理沙に提案する。 いっぱい飛び跳ねた所為か、少し息があがっている。 「れいむあったまいい!! そうしようそうしよう!!」 風船を軽く上げて、二匹はタイミングを合わせる。 「「せーーの!! ……ゆっくり~~!!!」」 二匹の期待通り、風船は高く高く上がる。 フワフワ上がって、緑の空に届きそうなくらいまで上がったその時。 パァン。 と乾いた音と共に破裂した風船。 そうやら枝にでも刺さったようだ。 突然の音にびっくりする一同。 しばらく固まっていたが、均衡を破ったのはアリスの泣き声だった。 「うわーーん。ありずのふうせんがーー!!!」 ペナペナになった風船に駆け寄って号泣するアリス。 「ふーせんでみんなどゆっぐりしたがったのに。ふーせんがあればみんなどゆっぐりできるとおもっだのに」 初めて見た風船で、皆とゆっくり遊びたい。 そう思ってアリスは意気揚々と持ってきていたのだ。 心配そうに駆け寄る三匹。 それぞれが、思い思いに励ます。 「ありすごめんね。でもふーぜんがなくてもみんなでゆっくりできるよ」 「ごめんねありす。でもまりさたちはふぃーせんでゆっくりできたよ」 「むきゅ~、たのしかったよ。ありすありがとうね!」 「ぐすっ、……ほんとぉ?」 「「「うん、ゆっくりできたよ!! ありがとうありす!!!」」」 「……うん、ありすもうなかない! みんなよろこんでくれてありすもうれしいよ♪」 その後はゆっくりとパチュリーのお家へ戻って、皆でゆっくりとお話しする。 性格は女性なのだろうか、三匹ならず四匹集まれば随分と姦しい。 一匹が自分の話をして他の三匹が聞く。 いつの間にか、そんなスタイルで話が始まっていた。 霊夢がお母さんに叱られた事をはなせば、皆が励まし。 魔理沙が何処そこに冒険に行った事を話せば、ハラハラしながら聞き入り。 パチュリーが何とか読めた本の内容を話せば、時に笑い時に泣いて終いには感動した。 アリスが都会の話をすれば、スゴーイと言う歓声が沸き起こった。 あっという間に夕日が沈み、月明かりが辺りを照らし始めた。 「ゆゆ! もうゆうがただよ。ごはんをたべようね!!!」 「ゆっくりたべようね!!」 「むきゅ~! ごはんじゅんびしたよ! みんなでたべようね!!」 パチュリーが昨日一日かけて集めたご馳走を見せる。 美味しそうな木の実や果物、そしていい香りの舞茸。 どれもこれもゆっくり達にとって、ご馳走と呼ぶに相応しいものが並んでいた。 「ゆゆ!! すごい!! ありがとうぱちゅりー!!!」 「みんなでゆっくりたべようね!!」 「すごい、みつぼしほてるのでぃなーみたい!!!」 「「「「ゆっくりいただきます!!!!」」」」 そう言って仲良く食べ始める。 家族で食べる時も楽しいが、やっぱり友達同士で食べるのはもっと美味しい。 「ぱちゅりー。これおいしいよ、じゅんびしてくれたおれいにあげるよ!」 「こっちもおいしいよ、ぱちゅりーもたべてね」 「これもおいしい、でもありすはきらいだからぱちゅりーにあげる」 「むっきゅ!! おいしい!! おいしい!!」 三匹は、より美味しいもの、栄養の有るものをさり気無くパチュリーに食べさせる。 美味しそうに食べるパチュリーを見ながら、ニコニコと食事の時間を満喫した。 「「「「ゆっくりごちそうさま!!!」」」」 夜。 ふかふかの苔の上で、お互い向かい合うように横になる。 三匹は、自分達のお家にはない苔に興味津々のようだ。 「ふかふかだね!!」 「まりさのおうちにもほしいね! こんどおかあさんにはなしてみるよ!!!」 「かぁぺっとみたいね」 「むきゅ~、きょうはつかれたけどたのちかった!! みんなありがとうね!!」 三匹を見ながら、興奮気味に話すパチュリー。 今日は、普段は自分以外誰も居ないこの家が賑わったもが随分と嬉しい事。 なにより、こんな所まで遊びに来てくれた皆が嬉しかった事。 その気持ちを全てひっくるめてありがとうの言葉を出した。 一瞬ぽかーんとした表情を浮かべたいた三匹も、直ぐに口を開いて。 「ぱちゅりーはともだちだもの!! れいむもたのしかったよ!!!」 「ぱちゅりーがゆっくりできてよかったよ!! またゆっくりしようね!!」 「ぱちゅりーが、こっちまでくるときゅうにたおれると、こっちがわるいみたいだから、きてあげただけだよ。べつに、ぱちゅりーのからだをしんぱいしているわけじゃ、ないんだから!!」 三者三様の答えだが、皆が自分を大切にしてくれていることが伝わったパチュリーは涙をこぼした。 ちょうど月が隠れて漆黒が訪れたおかげで、その顔は三匹に見られなかった。 「また、ぱちゅりーのおうちでゆっくりしていってね」 「「「うん、ゆっくりするよ!!!」」」 そう言った四匹は、月が隠れたの合図に目を閉じた。 夢の中では未だ四匹で楽しくゆっくりしていることだろう。 Fin ゆっくりした時間をありがとう。 -- 名無し (2009-03-27 02 01 40) これは癒されるゆっくり達♪ こんな風にゆっくりしたいもんですねぇ -- 名無しさん (2009-03-31 01 55 37) こういうゆっくり同士で和気あいあいという話は大好きです -- 名無しさん (2009-09-11 19 37 21) なんていいゆっくりなんだろうか -- 名無しさん (2010-06-07 18 27 44) ゆっくりはかあいいな -- 名無しさん (2010-11-27 13 09 39) ゆっくりしていってね!! -- カマキリちゃん (2011-07-28 12 28 16) 風船を持って森に行く俺、プライスレス。 -- 名無しさん (2012-08-10 22 12 07) ツンデレってるとこもずでぎだばあああ -- 名無しさん (2012-08-11 10 17 40) 超イイネ!! -- 名無しさん (2012-12-02 11 51 51) あらかわいい -- 名無しさん (2013-01-29 01 45 40) 名前 コメント