約 13,925 件
https://w.atwiki.jp/politika/pages/1397.html
引っ越しました! 新しいサイトはこちらをクリック
https://w.atwiki.jp/kihonsho2/
基本書まとめWikiについて アフィリエイトブログやWiki等への転載は禁止。 5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)司法試験板の基本書スレから派生したまとめWikiです。 基本書スレッドで話題になる基本書等の情報についてまとめることを目的としています。 なお、このまとめWikiは誰でも編集することができるので、内容の更新や追加などは気付いた人が自由に行ってください。 出版社による紹介文をそのまま転載するのは控えてください。
https://w.atwiki.jp/yoichishio/pages/10.html
始めに 筆者のプロフィールについて 出身ロースクールについて Bar Exam合格に必要な能力とは? Bar Exam合格に必要な準備 勉強時間について Bar Exam合格レベルとは? おわりに 始めに このページは、筆者が2004年夏のニューヨーク州司法試験(New York State Bar Exam)を受験し、合格した体験をもとに、必要な能力や、受験対策について考えてみるものです。New York Barに関しては、いつくか非常にすぐれた先駆的なサイトがありますが(Kaori's Law School Bar Exam Tips、New York Bar Exam)、合格体験記の類は数が限られており、私の体験も、今後の受験者にとってなんらかの有益な示唆を含むのではないかと思い、記録に残しておくものです。 筆者のプロフィールについて New York Barに関連する範囲で筆者について自己紹介します。私は2003年9月にワシントン州シアトルにあるワシントン大学ロースクール(University of Washington School of Law)に留学し、2004年6月に「持続可能な開発と法(Law and Sustainable International Development)」LLMプログラムを卒業、2004年7月のNew York Barを受験して合格しました。留学以前に、法務セクションに2年6ヶ月勤務した経験がありますが、日本の法曹資格は有していません。留学前の英語力は、TOEIC970、TOEFL(Paper-Based)620です。 出身ロースクールについて ワシントン大学ロースクールは、US Newsのランキングで25位前後の、中堅ロースクールといったところです。「アジア比較法(Asian and Comparative Law)」「知的財産権法と政策(Intellectual Property Law and Policy)」という2枚看板のLLMプログラムがあり、ここだけ一点狙いで出願する人も多いようです。日本法の研究で有名であり、東京大学ロースクールとの合同授業プログラムもあります。2004年のNew York Barには、9人の日本人留学生がチャレンジし、夏3人、冬2人の5人が合格しています。 Bar Exam合格に必要な能力とは? 受験準備を始める5月以前の段階で、細かい法律の知識は要らないと思います。しかしながら、 英語力 事務処理能力 法律の素養 はいずれも必要でしょう。英語力については、最低限どれだけあれば合格可能性があるか、という点は他の能力との関係もありなんともいえませんが、しかし、実際のところ、日本人受験者の合否を左右するクリティカルな要素なのではないかと思います。ほとんどの日本人受験者は、司法試験その他の国家試験などで事務処理能力を磨いてきており、また法律の素養もあります。それが同じような準備をしたにもかかわらず、ある人は素直に点数が伸び、ある人は伸び悩んでいるのを見ると、英語力の差が関係しているのではないかと思うのです。 受験者の点数の差がはっきり具体的に現れてくるのがMBEです。MBEの点数が伸び悩んでいる受験者の中には、全然時間が足りない、という人がいます。私の場合、BarBriによるMBE模試の第1回目は、午前の部でペース配分を間違え、20問解き残してしまいましたが、午後はペースアップして全問解くことができ、受験者平均点104点のところ、113点でした。自分でやる2回目のMBE模試は時間内に全問解き、自己採点で138点でした。本番では、極度の緊張からか、午後の途中で突然息苦しくなるアクシデントに見舞われ、30分ほどトイレで休憩し、残り50問ほどをもうろうとした状態で解きましたが、奇跡的に終了2分前に全問解き終わりました。点数は伸びず素点で128点に終わりました。 この結果から判断すると、私の場合、一応ペース配分をコントロールして、時間内に全問解くだけの英語読解スピードを持っていたのだと思います。どのくらいのスピードかというと、例えば、英語雑誌TIME1冊を約4時間で読み終わるスピードです。日本にいた頃、TIMEを毎週カバーツーカバーで読み終わることをノルマにし、ほぼ1年間にわたってノルマを達成したことがあります。そのときの読書スピードが、1冊を約4時間でした。 ただし、アメリカ人学生でも時間内に解けない者や、時間ギリギリまで必死で解いている者がいるので、時間内に解き終わる速さは、英語力のみでなく、素早く正解にたどり着くという別の能力も大きく影響していると考えられます。 Bar Exam合格に必要な準備 ほとんどの人が、最大手予備校BarBriのお世話になると思いますので、BarBriの活用を中心に考えます。 BarBriのPaced Programは、非常によく出来ていると思います。しかし、日本人受験者でこの通りにできる人はいないと思われます。そこで、どう手抜きするか、考えなければなりません。 まず、手を尽くして過去の講義ノートを入手されることを強くお勧めします。私の場合、友人を通じて3種類のノートを手に入れました。非常に似通っており、同じ底本から派生したバージョンと考えられます。もっとも新しいので2001年のものでしたが、2004年の受験にも十分使えました。私は講義の前にノートをプリントアウトし、ざっと目を通して知らない単語を調べることで予習とし、講義中は、ノートとにらめっこしながら講義を聴き、理解することに集中しました。ちなみに辞書は、やや高いですが、リーダーズ英和辞典と、英米法辞典の電子版をノートパソコンにインストールして、Jammingというオンラインソフトで一度に検索して使いました。英辞郎もいいですが、訳語の信頼性でリーダーズに劣ると思います。また、小型の電子辞書も持っていましたが、パソコンで辞書を引くのが一番早く、時間の節約になりました。講義の後は、すぐに講義ノートを見直し、理解を確実にするとともにおぼろげながらでも頭に入れました。次にMBE問題集を解いてみて、解説を読み、講義ノートの該当箇所を読んで確認し、マーカーで覚えていない知識を目立たせたりしながら、講義ノートの内容を頭にしみこませていきました。 日本人受験者にはBigを読む人はいないと思いますが、Miniはどうでしょうか。アメリカ人学生の中には、Miniを中心に知識をインプットしていく学生もいるようですが、私はMiniも一度も読んだことがありません。正確にいうと、New York Distinctionのページだけはちぎって使いました。過去の講義ノートは、スペルミスなどもちらほらありますが、非常によく出来ており、合格に必要な知識が十分入っていると思います。BarBriの講義は、例を豊富に使って説明しており、これだけで十分理解できるものです。読書スピードにハンディのある日本人学生の場合、講義ノート一本に絞って学習するのが効率的ではないでしょうか。講師が変わってしまって、講義の内容と過去の講義ノートが完全にマッチしないことがあります。私はそういう場合は、ハンドアウトを使ってノートを取ろうと試みましたが、結局、過去の講義ノートよりきれいなノートは出来ず、過去のノートを使って復習していくことになりました。 BarBriは、講義のまとめとして、Condense Noteなるノートを作ることを推奨しています。確かに、短時間で見直せるノートを作れば、試験直前期に絶大な威力を発揮しそうです。でも、私はうまくまとめられそうな気がしなかったので、最後まで講義ノートのままで行きました。講義ノートに載っている知識に無駄で削らなければならないものはほとんどないと思います。確かに、講師が説明に使ったたくさんの例が最後の頃には邪魔になってきますが、Ex)とか書いてある部分を読み飛ばすなどの工夫で少しでも早く回しました。 Essayについては、私は大幅に予定より遅れましたが、とにかくEssay問題集を、問題を読み、論点整理、アウトライン作成を15分で行い、同じく15分で模範解答を読んで確認する、という作業をしました。頻出ルールについては、模範解答から抜書きしてカードを作りました。最後は時間切れで、Essay問題集は70問ほどしか終わりませんでした。ちなみに、BarBriは、Essayの添削を5回してくれますが、私は一度も提出したことがありません。提出した人は、みな2点とか3点とかひどい点数が付いて返ってきたようですが、単に採点が辛すぎるだけのことのようです。精神衛生上悪いので、BarBriのEssay添削の点数は気にしないのが得策でしょう。 MPTについては、MBEやEssayの問題演習が遅れていたため、週末に2回ほど練習することしか出来ませんでしたが、それで十分でした。NewYorkMultiについては、BarBriの問題を解いてみましたが、正解率4割といったところでした。重箱の隅をつつくような細かい知識が出題され、対策のたてようがありません。BarBriも対策を立てる気があまりないようですが、それが正解でしょう。 勉強時間について 過去の合格体験記を読むと、1日に13時間、14時間勉強したというような、信じられないような話が出てきます。そこまで勉強できる人を心底尊敬しますが、私には真似できません。私は、自分の勉強時間は一体どのくらいだろうと、正確に記録をつけてみたことがあります。その結果、私がもっともよく勉強したのは、6月終わりから、7月中旬にかけてで、1日約10時間、週に55時間~60時間でした。 BarBriの授業が終わると、いよいよ最後のラストスパートになりますが、この頃には逆に勉強時間が減って、6~7時間になってしまいました。理由は、気が抜けたというのもあると思いますが、ひたすらノートを読んで覚えるという作業に、頭が拒否反応を示した、というのもあります。ノートを読むときに、根を詰めすぎたのかもしれません。 Bar Exam合格レベルとは? 勉強していていまいち分からないのが、Bar Examの合格レベルです。BarBriによれば、 Essay5点平均、MBE素点120点で合格。Essayが6点平均なら、MBE100点でも合格する。Essayが4点平均なら、MBE140点必要。 Essayは差がつかず、受験者の得点は4点から6点の間に集中する。 したがって、MBEで140点取れば、まず合格できる(MBEで140点とって落ちた者を知らない、とまで言う)。 ということです。これが、日本人にも当てはまるのかどうか、本当に日本人の書いたEssayでもアメリカ人の学生と差がつかず、4~6点の範囲に入るのか、気になるところです。 私は、MBEの素点は128点しかありませんでしたので、上の計算式では、Essayで平均4.6~4.7点必要だったことになります。合格したからには、それに近い点数を取ったのでしょう。そこで、その私のEssay答案の実態がどのようなものであったか、書いてみます。 答案は、IRACで書くことになっています。私はあらかじめパターンを決めておき、それにそって機械的に答案を書きました。すなわち、問いごとに、書き出し及びセンテンスの数は、 Issue: The issue is....(1センテンス) Rule: Under the New York law(又はCPLR),(1~2センテンス) Application: In this case,(3~4センテンス) Conclusion: Therefore,(1センテンス) です。全ての答案このパターン一本やりです。答案のボリュームとしては、大問1問ごとに、500語から750語の間だったろうと思います。英語を書くスピードは、私の場合、英文日記を書くと1時間に1500語がせいぜいといったところですから、Essay1問に30分書く時間があるとして、最大で750語だろうということです。 体裁は整えました。問いごとに(1)、(2)、(3)とナンバリングをすること、IRACは段落を分けて、改行が見やすいようにはっきりと字下げして書き出すこと、1行おきに書くこと、などです。 Issueは、ほとんどスポッティングできました。1問だけ何の問題か全く分からず、山勘で書いた答案がありました。おそらく間違えたと思います。 Ruleは、きちんと書けると印象がいいと思いますが、残念ながら、直前の知識詰め込みが甘く、あいまいにしか覚えていないものばかりでした。ルールの内容は思い出せるのですが、文言が出てこないのです。喉まで出掛かっているのに思い出せず、やむを得ず別の表現で言い換えたりして情けない思いをしました。General Ruleを書いてから、例外を書く点については、そうできるときには努めてそうしました。 Applicationは、事案に書いてあることをなるべくもらさず論じるように努めました。BarBriのMarino講師によれば、Applicationに配点の半分が割り当てられているのではないかとのことです。 Conclusionは、シンプルに一言で結論を述べるだけです。 ちなみに、全ての小問・問いについて、一通り論じました。つまり、白紙答案は作っていません。 こうして見てみると、私も全然たいした答案は書いていません。特にRuleについては、ちゃんと暗記していなかったために苦労しました。しかし、直前に膨大な量の知識を、もっぱら読むだけでインプットしなければならないので、表現についてはうろ覚えになるのもやむを得ない気がします。とにかく、Ruleについて自分の表現で書いても(中学生の作文のようになりましたが)、それが致命傷にならなかったことは確かです。 おわりに 以上長々と思ったことを書きました。私も、New York Barの準備はこれまでの人生の中で一番集中的に勉強した、といえるほどで、たいへん苦しいものがありました。アクシデントもあり、合格したのは運が良かった以上の何物でもありません。ですが、振り返ってみると、時間的に可能なことを見極めて、手を広げすぎなかったことが良い結果につながったと思います。この拙文が、これからNew York Barを受験される方にいくらかでも役に立てば幸いです。
https://w.atwiki.jp/neumann/pages/46.html
適性試験(DNC) 司法試験資料室に戻る
https://w.atwiki.jp/kihonsho2/pages/15.html
【基本書】〔メジャー〕 〔その他〕 【その他参考書】〔実務関連書〕 【入門書・概説書】 【注釈書・コンメンタール】 【判例集・ケースブック】〔判例集〕 〔ケースブック〕 〔その他判例〕 【演習書】〔伝聞法則〕 【基本書】 〔メジャー〕 宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2018年2月・第2版)……京大系学者(鈴木茂嗣門下)による共著テキスト。判例・通説をそつなく紹介しており、判例分析はとりわけ詳しい。重要な41判例の要旨を掲載しているのも特徴的である。各制度の理論的根拠を示しつつ個々の要件解釈にもきちんと触れているため、全体的に完成度が高い。特に、堀江執筆の証拠法は白眉である。全体の分量が増えすぎることのないように削らなければならなかった記述も少なくない(はしがき)とのことであり、情報量は、詳細な体系書と有斐閣アルマの中間といったところであろう。捜査・公訴・証拠パートは詳しく、司法試験の刑事訴訟法分野はこれでカバーできる。しかし、その他の手続の記述はそれほど厚くないため、予備試験の実務科目受験者はコンメンタールや講義案を併用するとよいだろう。第2版において、2016(平成28)年刑訴法改正に加え、近年の重要判例にも対応。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」刑訴1位。序章+全8章。A5判、600頁(本文573頁)。 酒巻匡『刑事訴訟法』有斐閣(2020年7月・第2版)……松尾門下。法学教室での連載(「基礎講座・刑事手続法を学ぶ(1)~(26・完)」)に大幅な加筆を行って書籍化したもの。緻密な判例の規範分析と分厚い自説論証が特徴の最高水準の体系書。酒巻説は、東大系主流学派の学説を盛り込んだ、学界通説に近い学説である。また、刑事訴訟法の解釈にとどまらず、憲法の刑事手続関連条項を踏まえるとどこまでの法改正が許されるのかという立法論まで言及しているのも本書の特徴の一つ。A説、B説があって、自説はこれであるという論述スタイルを採らないため、他説紹介がほとんどないこと、学説「名」の記述がなく、脚注もないため、オリジナルの文献に遡るのが困難であること、上訴・再審の記述が薄いことが難点。第2版において、旧版(2015年11月)刊行以降の重要な新判例と法改正が織り込まれ、編末や章末に参考文献が掲げられた。 「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」刑訴2位。序(刑事手続の目的と基本設計図)+全7編。A5判、704頁。 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2021年2月・第5版)……司法試験受験生のために執筆された体系書(はしがき)。論点は網羅的に取り扱われており、各分野について丁寧な解説がなされている。とりわけ受験生にとって「迷宮」となりやすい訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力などについては基礎から詳述されており、確実な理解が目指されている。第5版において、2016年改正および第4版(2015年2月)以降の重要判例(最判令和2.3.10まで)をフォロー。また、徹底的に記述を見直した結果、旧版よりも100頁ほどコンパクトになった。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」刑訴3位。全18章。A5判、576頁。 〔その他〕 吉開多一・緑大輔・設楽あづさ・國井恒志『基本刑事訴訟法1——手続理解編』『同2——論点理解編』日本評論社(2020年6月、2021年3月)……受験生に定評のある『基本シリーズ』の刑事訴訟法編。法曹三者と研究者による共著。「徹底的にわかりやすいテキスト」の謳い文句は伊達ではなく、予備校本を含めて分かりやすさで本書に勝るテキストはないと言っても過言ではなかろう。『1』は三井・酒巻『入門刑事手続法』に性質が近く、『2』は司法試験・予備試験の論文問題の分析を踏まえた、答案の指南書・演習書の性格が強い。全14講・16講。A5判、392頁・380頁。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2020年5月・第6版)……定評あるスタンダードなテキスト。基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめられている。初~中級者向けのテキストではあるが、薄いながらも情報が凝縮されていることから、上級者のまとめ本としても好適である。序章・1章・5章・7章・8章を長沼が、2章を田中が、3章・4章・6章を寺崎がそれぞれ担当している。寺崎担当の訴因は、やや独自色が強い。有斐閣のケースブックである『ケースブック刑事訴訟法』や『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりが良い。第6版において、刑事手続にかかわる近時の動向をふまえて各所をアップデートし、GPS捜査にかかる最高裁判決(平成29年3月15日)などの重要な新判例を収載した。序章+全8章。四六判、434頁。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2022年7月・第7版)……通称『イケマエ』。最高裁調査官や高裁長官も経験した元刑事裁判官と平野門下の刑事法学者による共著。各節毎に関連条文を提示し、図や表を多用するなどビジュアル面で読みやすい配慮がなされている。また、起訴率等の各種データを記載し刑事手続の現実的理解を図っている点も特徴。判例を豊富に取り上げており、記述も読みやすいため、初学者でも手を出しやすい。しかし、理論は精緻さに欠け、判例の分析も独自色が強い点には注意する必要がある。全体的に実務寄りの見解だが、著者の法解釈は判例・実務と完全にイコールというわけではなく、行き過ぎている部分もあるため、本書で採られている見解を鵜呑みにするのは危険である。ただし、裁判員裁判導入前の典型的な検察官寄り裁判官と警察の御用学者による警察・検察寄りの著書という意識をあらかじめ持ったうえで読めば、有用であろう。第5版で事実認定の項目が追加された。第6版において、平成28(2016)年改正に対応。序章+全9章。A5判、600頁(本文579頁)。 田口守一『刑事訴訟法(法律学講義シリーズ)』弘文堂(2017年3月・第7版)……西原門下。旧司法試験時代の定番書。あっさりとしたコンパクトな記述が特徴的である。そのため、理論的な深みに欠け、論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説しているという意味で試験対策的には良書である。短所としては、訴因変更で特異な見解が採られている点、判例の引用数こそ多いが、最新の基本書と比べると判例分析が甘い点、折衷説的でやや論理的とは言い難い記述が散見される点などが挙げられる。また、前述のように論点の掘り下げが浅く、試験頻出の論点についても記述が薄い箇所があるため、本書をメインの基本書として利用する場合は、他の参考書などを併用して適宜補充することが重要である。第7版において、平成28年改正に対応。全8章。A5判、552頁。 白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2021年3月・第10版)……田宮孫弟子(能勢門下)。白取説は徹底して被疑者寄りの少数説で貫かれており、本書では実務の世界からおよそかけ離れた独自の白取ワールドが展開されている。もっとも、判例・通説・実務の現状や原理・原則をある程度踏まえたうえでの展開となっているため、白取説を採らない者でも、刑事手続について立体的に理解するには有用である。全くの初学者が利用するのは難しいが、判例・通説をあらかじめしっかりと理解したうえであれば、本書に手を出してみるのもよかろう。また、著者が少数説を採っているということもあってか、学説の紹介に詳しく、調べものなどの役には立つ。ただし、捜査や公判についての記述は詳細であるが、証拠法、殊に自白の記述が弱い。第9版において、2016年刑訴法改正に対応。序章+全5章。A5判、588頁。 安冨潔『刑事訴訟法講義』慶應義塾大学出版会(2021年1月・第5版)……二色刷りで図表を多用し、各章末に「論点とまとめ」と題された論証カードのようなものが付されているなど、「学者の書いた予備校本」といった趣が強い。ただし、論証を含めて文章は生硬で読みづらい。また、不正確な記述も散見される。第4版において、平成28年刑事訴訟法改正に対応。序章+全19章。A5判、464頁。 椎橋隆幸・安村勉・洲見光男・加藤克佳『ポイントレクチャー刑事訴訟法』有斐閣(2018年12月)……元司法試験考査委員らによる共著。講義のコマ数に合わせ、全体が30のUNITで構成されており、講義の進み方に沿って読み進めることができるようになっている。各UNITでは、本文は従来の教科書のように法制度や理論を解説し、重要な点は「POINT」として取り上げて構成して記述にメリハリをつけており、学習しやすいよう工夫されている。A5判、514頁。 亀井源太郎・岩下雅充・堀田周吾・中島宏・安井哲章『プロセス講義刑事訴訟法(プロセスシリーズ)』信山社(2016年6月)……1.「趣旨説明」2.「基本説明」3.「展開説明」の3ステップ解説。平成28年5月に成立した刑訴法改正法の改正ポイント解説が適宜織り込まれたテキスト。全28章。A5変型判、460頁。 加藤康榮・滝沢誠・宮木康博・三明翔『ケース刑事訴訟法』法学書院(2019年11月・第2版)……元最高検検事と新進気鋭の若手学者による共著。ケース(具体的事例)を足掛かりに解説した基本テキスト。第2版において、2016年の刑事訴訟法等の改正が盛り込まれた。序章(刑事手続総観)+全4編、全19章。A5判、344頁。 植村立郎『骨太 刑事訴訟法講義(骨太シリーズ2)』法曹会(2017年10月)……著者は元刑事裁判官。刑事訴訟法に関する理論と実務の基本的な事項がすっきりと骨太に理解できるように、判例を中心とした視点からわかりやすく説明した教科書(はしがき)。実務的に興味深い見解が多々述べられており、受験生にも参考になる。もっとも、司法試験的には典型論点の理論的説明が物足りないため、初学者向けではない。また、事項索引がないのが難点。全10章。A5判、538頁。同著者による著書として、他に『実践的刑事事実認定と情況証拠』等がある。 中川孝博『刑事訴訟法の基本』法律文化社(☆2023年3月・第2版)……アクティブラーニング型授業での使用を念頭に置いた新しいタイプの教科書。著者のサイトでは、授業時間外学習が容易にできるよう講義動画が公開されているとともに、基本知識の理解・定着を図る「これだけは!シート」がアップされている。このように、著者のサイトで多くをアウトソーシングした結果、頁数を300頁ほどに抑えつつ、司法試験の準備に使えるだけの情報量も確保できたとのこと(はしがきより)。論点の網羅性は、基本的には高いものの、判例集の参照を指示するのみの箇所もある。(例えば、任意捜査の限界など。本書12-13頁。)各論点において、著者の立場が強く打ち出されているが、論拠がしっかりと書かれているので、思考を深める契機になるだろう。本書を補完する判例教材として、葛野尋之・中川孝博・渕野貴生編『判例学習・刑事訴訟法』があり、連動が図られている。序+全15章。A5判、322頁。 辻本典央『刑事訴訟法』成文堂(☆2024年3月・第2版)……函入り。A5判、418頁。 (平成28年改正未対応) 裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法講義案』司法協会(2015年12月・4訂補訂版)……通称『講義案』。裁判官による書記官向けの本だけあって、実務寄り。条文・定義・手続を淡々と説明している。証拠法には定評があるが、捜査が非常に薄く、他の本での補充が必須である。その場合には、後掲の幕田英雄『実例中心 捜査法解説』など、実務の立場から書かれた書籍を用いるとよいだろう。序論で刑事訴訟法の基礎原理について、本論で訴訟手続について一連の流れに沿って解説がなされている。4訂補訂版において、旧版(2011年5月・4訂版)刊行以降の判例等が多数補充された。全11章。A5判、564頁。 小林充原著、植村立郎監修、前田巌改訂『刑事訴訟法』立花書房(2015年5月・第5版)……原著者の小林充は元仙台高裁長官(2013年に逝去)。第5版の改訂は現役判事の前田巌が担当し、植村立郎(元東京高裁部総括判事)によって監修者補注が付されている。実務家による著作ということもあり、取調べ受忍義務肯定説・別件基準説・証拠能力付与説などいわゆる実務説を採っており、「説得力と安定感ある論証・叙述」(改訂者あとがき)となっている。学説対立の記述はあっさりしており、東大系学説(出頭滞留義務・取調べ受忍義務区分説、実体喪失説、伝聞性解除行為説など)への言及はない。論点は広く浅く(時には深く)拾っており、判例もコンパクトにまとめていることから、まとめ用に向いている。その反面、記述があっさりしているため、初学者にはとっつきにくいかもしれない。全14章。A5判、416頁。 安冨潔『刑事訴訟法』三省堂(2013年6月・第2版)……若手法曹向けに執筆された書籍。判例を約1500件収録するなど、情報量が類書と比べ圧倒的に多い。受験生にとっては、辞書としての使用が主となるだろう。増刷の際に改訂頻繁。序章+全20章。B5変型判、712頁。 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2013年7月・第3版)……田宮孫弟子(能勢門下)。イラストや図表を豊富に使用し、重要な用語には適宜マークを付すなど、視覚的な工夫を随所に散りばめた予備校本を思わせるビジュアルが特徴的である。もっとも、肝心の内容は、判例や通説の論理に対して徹底的な批判を加える一方で、説得的な理由付けもなしに独自色の強い自説を延々と展開するなど、読者の混乱を招きかねないものとなっているため、注意が必要である。長所としては、論点および学説を豊富に取り上げており、他の基本書においてはあまり取り上げられることが少ない論点およびその意義について、学生と教授という設定で、ダイアローグ演習形式によって詳しく解説している点があげられる(ただし、女子学生F子の独特の口調のせいで、非常に読みづらいものとなっている)。A5判、582頁。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2013年3月・第5版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすい本とはいえない。序章+全7章+終章。四六判、360頁。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2012年6月・第5版)……非常に分かりやすく読みやすい叙述であり、また、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ、バランスのとれた解釈論に定評がある。序論(刑事訴訟法の意義と目的)+全9編。A5判、570頁。 川端博『刑事訴訟法講義』成文堂(2012年3月)……団藤門下。刑法学者として有名な著者による刑訴法の基本書。『刑法総論講義』、『刑法各論講義』と併せて「刑事法三部作」を構成する(はしがきより)。レジュメ調で基本事項に重点を置いて説明しているが、議論水準は一昔前のものに留まっており、論点落ちも多い。特に捜査は薄く、現在の司法試験の傾向とは合致していない。A5判、540頁。 平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月、2010年11月)……著者は元刑事裁判官。同著者による『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)の改訂版ではなく、全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習者向けテキスト。『捜査法』よりも内容の密度は濃い(文字のポイントも小さくなっている)。なお、上訴・再審はない。『捜査法』は『講義案』との組合せで用いると良いとの声あり。A5判、278頁・343頁。 光藤景皎『刑事訴訟法I・II』、『口述刑事訴訟法 下』成文堂(2007年5月、2013年7月、2005年11月)……『刑事訴訟法I・II』は『口述刑事訴訟法 上・中』の改訂版。IIIに当たる下(上訴・再審)の改訂は未定。旧司法試験時代から、証拠法分野には定評がある。IIの証拠法パートでは、アメリカ証拠法の判例・学説を多数引用しており、参考になる。自説は基本的に人権尊重であるが、判例の分析はきちんとしており、役に立つ。A5判、390頁・332頁・150頁。オーラルヒストリー『一筋——いつも今を出発点として(ERCJ選書)』日本評論社(2022年1月、四六判、176頁)も参照されたい。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……全体的にレジュメ形式で書かれており、やや読みづらい。特に前半はレジュメそのままであり、重要事項であっても説明が軽く流されてしまっている。後半からは説明が丁寧になり、詳細な理由付けがなされている。「判例の理論化」というコンセプトの通り、内容は判例・実務寄り。A5変型判、432頁。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2012年3月・第2版)……元最高検検事による教科書(概説書)。検察寄りの立場。捜査法が詳しい。A5判、448頁。 加藤康榮『マスター刑事訴訟法』立花書房(2012年10月・改訂版)……平成23年改正に対応。A5判、448頁。 大久保隆志『刑事訴訟法(法学叢書 14)』新世社(2014年4月)……元検察官による基本書。実務の一端を知るには有用だが、試験には使いにくい。身柄拘束中の被疑者取調べにおいて、出頭・滞留義務を否定しつつ、取調べ受忍義務を肯定する異説を採る。全17章。A5判、480頁。 (古典) 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』創文社(1967年・7訂版〔2023年3月:OD版〕)……著者は2012年に逝去。現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は、実務家に広く受け容れられ、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今でもなお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なり、もはや学界で支持されることはほとんどないが、平野説と並び、ほとんどの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献のひとつであることに間違いはなく、名著である。7訂版は第13刷で2ページほど文献等の追補、第17刷で最高裁判事に任命されたため、はしがきが加わっている。電子書籍版あり。 平野龍一『刑事訴訟法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1958年12月〔2006年1月:OD版〕)……著者は2004年7月に逝去。有斐閣法律学全集の中でも三ケ月章『民事訴訟法』と並び称される不朽の名著。アメリカ寄りの体系に立ち、團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の礎として、團藤・上掲書と双璧をなす存在となっている。訴因論などは、今でも一読の価値がある。A5判、373頁。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年3月、A5判、248頁)もあるが、平野説に触れたい場合には、より詳細な本書を読むべきであろう。他に、『刑事訴訟法(法律学講座双書)』弘文堂(1961年11月、OD版:2004年12月)がある。全3編、全13章。A5版、212頁。 松尾浩也『刑事訴訟法上・下(法律学講座双書)』弘文堂(上:1999年11月・新版〔2021年4月:OD版〕、下:1999年3月・新版補正第2版〔OD版:2021年4月〕)……平野門下。2017年に逝去。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからもうかがえるとおり、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、アメリカ寄りにもなっておらず、我が国の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに螺旋状に手続過程を辿っていく形になっている。網羅的で記述にムラがない分、いわゆる重要論点の論述も相対的に薄くなっている。文章は、客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられたうえで書かれているため、早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、新しい判例との親和性は概ね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11と松尾上261頁以下を比較してみれば分かる)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的に最も頼れる参考書と言えよう。なお、2004年までの法・規則改正に関する補遺は、弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。A5判、360頁・400頁。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……田口と並ぶ旧司時代の定番書。著者は1999年に逝去。制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴的であるが、本書は、教科書という特性から、我が国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務から離れているわけではない。新しい強制処分説、違法排除説で有名。増刷に伴い1998年12月までの動向が補訂されたが、それ以後の新判例、法改正、論点については記述がないため、記載内容は古く、現在は基本書とするには向かない。しかしながら、その記述は刑事訴訟法の理解に今なお資するものであり、副読本として根強い人気がある。A5判、588頁。 高田卓爾『刑事訴訟法(現代法律学全集)』青林書院(1984年2月・2訂版)……理論面は今となっては古いが、手続的規定についての記載はコンメンタール並みに詳しい。A5判、720頁。 鈴木茂嗣『刑事訴訟法(現代法律学講座)』青林書院(1990年4月・改訂版)……A5判、394頁。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。A5判、622頁。 臼井滋夫『刑事訴訟法』信山社(1992年3月)……元検事。A5変型判、410頁。 井戸田侃『刑事訴訟法要説』有斐閣(1993年3月)……訴訟的捜査観ないし訴訟的構造論、公訴権濫用論など。A5判、362頁。 内田文昭・河上和雄・垣花豊順・長井圓・安富潔『刑事訴訟法(青林教科書シリーズ)』青林書院(1993年4月)……A5判、412頁。 庭山英雄・岡部泰昌編『刑事訴訟法(現代青林講義)』青林書院(2006年7月・第3版)……A5判、約384頁。 三井誠『刑事手続法1・2・3・(4)』有斐閣(1997年6月・新版、2003年7月、2004年5月)……「4」は未刊。法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。B5判、216頁、A5判、490頁・444頁。 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…著者は2014年に逝去。反実務説・反多数説を求めるならば、渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系と用語法、そしてその拙劣な日本語により、司法試験の基本書にはまったく向かない。したがって、読むならば司法試験合格後ということになろうが、上記のとおり反実務・反通説を貫く本書を修習中に読破することの意義もまた見出し難い。もっとも、渥美説そのものはなかなか面白いので、純然たる趣味と割り切ってその晦渋な文章と付き合うならば、良き思い出ともなろう。序章+全10章。A5判、688頁。 渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2013年3月・第2版)……西原門下。田口の弟弟子。著者は2017年に逝去。ロースクールの実務家教員による司法試験受験生向けの教科書。コアカリキュラムにも対応している。著者が田口と同門ということもあってか、田口『刑事訴訟法』の記述を敷衍したような内容となっており、基本事項・重要論点の解説・系統立ても田口より丁寧である。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのがよい。全15章。A5判、684頁。なお、同著者による論点解説本として『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・第2版)がある。 【その他参考書】 斎藤司『刑事訴訟法の思考プロセス(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2019年10月)……法セミの同名連載〔735(2016年4月)-758(2018年3月)号〕の単行本化。本書の特徴は、①暗黙知の言語化を心掛けたこと、②各章の内容を「共通編(基本概念、通説・判例)」と「展開編」に分けていること、③通説・判例の思考プロセスを明示した点、④判例を説明する際、可能な限り当該判例の原文を引用したこと(以上、はしがき)、などが挙げられる(「展開編」は司法試験レベルを優に超えていることに注意)。難易度は公式には初級とされているが、東大系学説を中心とする最新学説をとても詳しく紹介しており、中・上級者にとっても参考になる(特に酒巻・川出ユーザーの副読本に適している)。斎藤説は判例実務に批判的な学説だが、本書ではそのような自説は控え目で、客観的な記述に努めている。同意録音、おとり捜査、訴因変更の可否、伝聞例外規定の一部など紙幅の都合で省略されている主要論点があるのは残念。脚注の参考文献は文献リストとして秀逸。全24章。A5判、440頁。 緑大輔『刑事訴訟法入門(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2017年9月・第2版)……書名に「入門」とあるが、初学者のための入門書というよりは、一通り基礎知識を修得した学生向けの論点解説書といった趣。基礎から応用へのステップアップとして有用。全25講。A5判、372頁。 大澤裕「刑事訴訟法の基本問題」(法学教室連載・439号~456号〔※現在休載中〕)……刑事訴訟法の基本に関わる重要問題について、制度や原理・原則の根本に立ち返りつつ、できる限り丁寧な解説・検討を加えることにより、読者の理解を深める一助となることを目指す(以上、筆者まえがき)連載。毎回「補論」として発展的内容の議論を教員・学生・院生の対話形式で取り上げている。既存の原理・原則を所与のものとせず、再検討・再構築していく高レベルな内容のため、大澤説をそのまま答案にするのは極めて難しい。しかし、頭の体操としては有用。ケースや雑談(冗談)に頼らない正統派ストロングスタイルの講義内容。 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19・完)」(法学教室連載・283号~306号)……通称「酒巻連載」(法学教室355号~394号に連載された「基礎講座・刑事手続法を学ぶ(1)~(26・完)」と区別するために「酒巻旧連載」とも呼ばれる)。捜査法・訴因論の重要論点を学生向けに解説したもので、かつて司法試験受験生に広く読まれていた。証拠法はほとんど扱っていないため、本連載のみでの学習は困難である。また、連載が2004年であることから内容が古い。各回の目次など→目次 「事例から考える刑事証拠法」(法学教室連載:469号~493号)……東大系研究者による刑事証拠法演習講義。毎回事例問題につき解説がなされるスタイルで現在の司法試験の出題傾向に合致しているので是非ともチェックしておきたい。全12講+座談会〔第1講:笹倉・伝聞証拠の意義上中下、第2講:成瀬・伝聞供述上下、第3講:池田・検察官面前調書(2号後段)に関する問題、第4講:川出・証明力を争う証拠、第5講:笹倉・犯行再現実況見分調書上中下・補講、第6講:成瀬・取引に関する書面、第7講:池田・同種前科・類似事実による立証、第8講:川出・科学的証拠、第9講:笹倉・自白法則、第10講:成瀬・取調べの録音・録画記録媒体の証拠としての利用、第11講:池田・違法収集証拠排除法則上下、第12講:川出・派生証拠の証拠能力、座談会 刑事証拠法の考え方と学び方(1)-(4)、全22回〕 井上正仁『強制捜査と任意捜査』有斐閣(2014年12月・新版、2023年10月・OD版対応)……団藤門下。大家の手による捜査法に関する論文集。捜査法における最重要文献の一つ。新版の改訂にあたっては、新たに3つの論文が追加され、既収録の論文についても、判例や文献がアップデートされるなど加筆修正が施された。捜査分野における諸論点を重要判例とともに詳細に解説している。論文集ではあるが、収録されている論文には百選や争点に掲載されたものも含まれており、また、法学教室413号の書評で「しっかり刑事訴訟法を学ぶには最適の教材」と評されていることからも、試験対策としても得るところがあるだろう。A5判、526頁。なお、同著者による『捜査手段としての通信・会話の傍受』有斐閣(1997年10月・絶版、A5判、274頁)及び『刑事訴訟における証拠排除』弘文堂(1985年12月、OD版:2015年1月、A5判、602頁)も刑訴法における最重要文献である。 井上正仁・酒巻匡編『刑事訴訟法の争点(新・法律学の争点シリーズ6)』有斐閣(2013年12月)……B5判、208頁 水谷規男『疑問解消 刑事訴訟法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2008年3月)……序章+全6章+終章。A5判、272頁。 中川孝博・葛野尋之・斎藤司『刑事訴訟法講義案』法律文化社(2012年3月・第2版)……講義パートと短答パートの2パートで構成されている。講義パートは大学の講義や教科書の副読本としての使用を目的としており、重要な点に絞った解説がなされている。短答パートは知識の定着を目的としている。全8部、全17章。B5判、230頁。 田口守一・佐藤博史・白取祐司編著『目で見る刑事訴訟法教材』有斐閣(2018年3月・第3版)……B5判、146頁。 太田茂『応用刑事訴訟法』『実践刑事証拠法』成文堂(いずれも、2017年9月)……著者は元検察官・法科大学院実務家教員。『実践~』は著者の法科大学院における講義録となっており、ソクラテス・メソッド形式で書かれている。B5判、348頁・450頁。 守屋克彦編『刑事訴訟法における学説と実務 初学者のために(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2018年11月)……法セミ同名連載の単行本化。裁判官及び裁判官経験ある弁護士・研究者が学説と実務を解説する内容であるが、現在主流の東大系学説に対する分析がそこまで多くない(深くない)こと、連載時以降の法改正・新判例につき最低限の補訂にとどまっていることがやや残念。なお、編者は2018年に逝去。序章+全15章。A5判、216頁。 粟田知穂『規範あてはめ刑事訴訟法——事案処理に向けた手続法の解釈』立花書房(2021年9月)……A5判、416頁。 (古典) 平野龍一・鬼塚賢太郎・森岡茂・松尾浩也『刑事訴訟法教材』東京大学出版会(1977年10月)……小説立ての教科書。平野がハーバードに留学した際にアメリカの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため、非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習書としての機能も備えている。読み物としても面白い。出版されてから大分経つが、今なお亀井源太郎等が参考書として挙げている。A5判、298頁。 「リレー連載 刑事訴訟法の基本問題」(法学教室連載・259号~279号)……東大系研究者による刑訴法論点講義。いまや法改正により古くなった論点もあるが、大澤「公訴事実の同一性と単一性上下」などは一読に値する。全11回〔川出・行政警察活動と捜査、酒巻・おとり捜査、池田・逮捕・勾留に関する諸原則、佐藤・被疑者の取調べ、田中・接見交通、笹倉・自己負罪拒否特権、長沼・事前準備と予断の防止、大澤・公訴事実の同一性と単一性上、長沼・科学的証拠の許容性、大澤・公訴事実の同一性と単一性下、田中・証人の保護〕 渡辺直行『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・第2版)……「基礎理論、本質論に遡って理論と実務を考えていく」との視点に立った法科大学院実務家教員のテキスト。なお、著者は2017年に逝去。全15講。A5判、386頁。 〔実務関連書〕 幕田英雄『実例中心 捜査法解説——捜査手続・証拠法の詳説と公判手続入門』東京法令出版(2019年4月・第4版)……第4版(2019年4月)から、書籍の副題が「捜査手続から証拠法・公判手続入門まで」から現在のものに変更された。第3版補訂版(2017年11月)において、平成28年の刑事訴訟法改正に対応。第4版は、平成31(2019)年1月31日現在の内容。全5編。A5判、824頁。 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(☆2023年7月・令和3年版)…司研テキスト(白表紙)。実務科目や口述対策として受験生に一定の人気を博しており、「隠れた名著」とも言われている。条文から出発して判例・検察実務の考え方を簡潔に記述した点、定義が確りしている点が特徴である。もっとも、本書はあくまで司法修習生に対して「実務的」な知識を習得させることを目的とした書籍であり、試験範囲を逸脱した内容も含まれている。また、本書には独自説も見受けられ、特に訴因については未だに公訴事実対象説を採るなど現在の学説と乖離している点には留意されたい。刑事手続を概観するための参考書として使用するのがよいだろう。全8章。A4判、256頁。 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務 上・下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分、実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり、実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。A5判、1510頁。 三井誠・渡邉一弘・岡慎一・植村立郎編『刑事手続の新展開 上・下』成文堂(いずれも、2017年9月)……三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)の実質的な改訂版。刑事手続の各論点について、裁判官・検察官・弁護士のそれぞれの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。A5判、606頁・694頁。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補 令状基本問題 上・下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月、1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため、判例時報社が引き継いだ。長らく出版社品切れ状態であったが、2020年2月に増刷された。A5判、472頁・333頁。 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月、2013年1月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。もっとも、記述があまりにも実務的かつ各論的すぎるので、司法試験受験生が読みこなせる本ではない。本書を玩味して理解を深めることのできる者は、既に合格水準を優に超えているといえるので、使いどころが難しい。A5判、600頁。なお、同著者の論文集として、『刑事訴訟の諸問題』判例タイムズ社(2014年6月、A5判、720頁)がある。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』『刑事実務上の諸問題』『刑事証拠法の諸問題上下』判例タイムズ社(1989年8月、1993年12月、2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。『刑事証拠法の諸問題上』所収の三好幹夫「伝聞法則の適用」は、伝聞法則を理解するのに有用。 ☆丸山嘉代・三井田守・武井聡士・笹川義弘・久保庭幸之介・石川雄一郎編著『任意捜査ハンドブック』立花書房(2023年11月)……渡辺咲子『任意捜査の限界101問』のリニューアル・改題版。A5判、256頁。 廣上克洋編『令状請求ハンドブック』立花書房(2021年9月・第2版)……司法研修所検察教官室の公式本で『令状請求の実際101問』の改訂版。A5判、336頁。 伊丹俊彦監修、倉持俊宏ほか著『適法・違法捜査ハンドブック』立花書房(2017年5月)……通信傍受法の改正にも対応。A5判、432頁。 【入門書・概説書】 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(☆2023年7月・第9版)……入門書の定番。最初に条文とともに読むべき1冊。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と刑事手続の制度・運用について説明する。豊富な統計・書式等により、読者の基礎知識の理解と整理に役立つものとなっている。第7版(2017年3月)において、2016年改正法に対応。全9章。A5判、454頁。 中島宏・宮木康博・笹倉香奈『刑事訴訟法(日評ベーシック・シリーズ)』日本評論社(2022年3月)……関連コラム。全30章。A5判、320頁。 池田公博・笹倉宏紀『刑事訴訟法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(2022年12月)……井上正仁門下による入門テキスト。情報の網羅性は欠けるものの、講学上重要な概念については言葉を尽くした丁寧な解説をしており、上級の基本書や演習書への橋渡し的な位置付け。初学者や刑訴法が不得意な向きにオススメできるし、理論的説明は妥協していないので上級者が読んでも新たな気づきがあると思われる。A5判、306頁。 廣瀬健二『コンパクト刑事訴訟法(コンパクト法学ライブラリ)』新世社(2017年3月・第2版)……著者は元刑事裁判官(学部時代は田宮ゼミに所属)。「判例・通説に則ったうえ、私の実務経験を盛り込んで実務の実情を踏まえて概説」(はしがき)していることが特徴。本書は初学者を念頭に執筆されたもので、本文291頁とコンパクトながらも、主要な論点はほぼ網羅している。基本的に田宮説に依拠し、新しい強制処分説(ただし、盗聴等の権利侵害性の重大なものについては立法による規制を要するとする。この立場が判例実務により整合的であるとされる)、本件基準説、違法排除説を採るが、実体喪失説にも言及している。記述は平板であるが、小文字フォントを使い分けているため、初学者もメリハリをつけて読むことができる。ただし、条文を読めばわかる箇所は記述を省略していること、判例の引用数は多いものの判決内容の引用は少ないことから、六法や判例集に当たることが必要である。上級者のまとめ用としても好適である。第2版において、2016年刑訴法等改正に対応。全15章。2色刷。四六判、368頁。 田淵浩二『基礎刑事訴訟法』日本評論社(☆2024年3月・第2版)……九大教授。A5判、348頁。 椎橋隆幸編『プライマリー刑事訴訟法』不磨書房(2017年3月・第6版)……第6版において、平成28年改正法に対応。全27章。A5変型判、392頁。 関正晴編『刑事訴訟法(Next教科書シリーズ)』弘文堂(2019年2月・第2版)……全8章。A5判、340頁。 河村有教『入門刑事訴訟法』晃洋書房(2022年3月・第2版)……A~Fレベルで例えると、C・Dレベルを目指した入門書。刑訴法の初学者が総じて学習すべき事項は何かという観点から採り上げる学説を厳選し、客観的に叙述している。海上保安大学校准教授ということもあってか、逮捕のための実力の行使(の限界)、取調べ(取調べ技法含む)に各1章を割いているのが特徴。なお、著者は学部時代は田宮ゼミに所属。第2版において、頁数が140頁ほど増加した。全27章。A5判、554頁。 津田隆好『警察官のための刑事訴訟法講義』東京法令出版(2019年4月・第4版)……著者は現役の警察官(現鳥取県警本部長、元警察大学校刑事教養部長)であり、「警察官の、警察官による、警察官のための」概説書。学説や公判に関する記述は最小限で、捜査実務の解説が中心。第4版では、実務の動向に合わせて、裁判例や本文が見直された。平成31(2019)年2月1日現在の内容。全10章。A5判、320頁。 加藤康榮編著、城祐一郎・阪井光平著『警察官のためのわかりやすい刑事訴訟法』立花書房(2019年10月・第2版)……警察官向けの概説書。編者は元最高検検事。コンパクトに刑事手続を巡る最新の動向や法改正のポイントを盛り込みつつ、捜査に関連する重要事項や判例を解説。第2版において、平成28年の刑事訴訟法改正に対応したほか、「証人出廷を求められた際の心構え」について新たに書き下ろし、証人尋問のための準備等について解説。全19章。A5判、288頁。 福島至『基本講義 刑事訴訟法(ライブラリ法学基本講義 14)』新世社(2020年4月)……概説書。「無辜の不処罰」を基本に据える立場で、全般に被疑者・被告人寄り。ただし、判例・通説と自説は分けて書かれており、混乱する心配は少ない。簡潔ながら明快で、論点の網羅性も高い。また、頁数に比して多くの判例を掲載していることも特徴。全22章。2色刷。A5判、344頁。 椎橋隆幸編者『よくわかる刑事訴訟法(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ )』ミネルヴァ書房(2016年4月・第2版)……第2版において、刑事訴訟法の一部改正(取り調べの録音・録画、合意制度の導入、通信傍受の合理化、裁量保釈判断の明確化、弁護人援助の充実ほか)を反映。全11章。B5判、226頁。 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2014年3月・第7版)……著者は元検察官。197条から国民の捜査協力義務を導くなど、独特な記述も散見されるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。記述も口語調で非常に分かりやすい。書式(34の書式例)が豊富であることも特徴のひとつ。基本書として使えないこともないが、基本的には入門書のため、メインとして据えるには情報量がやや心許ない。全9章。 事項・判例・法令索引あり。A5変型判、400頁。 福井厚『刑事訴訟法(プリマ・シリーズ)』有斐閣(2012年10月・第7版)……序章(刑事訴訟法の意義と目的)+全10章。四六判、468頁。 福井厚編著『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2013年4月・第2版)……全7章。A5判、314頁。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。訴因論については大澤裕が担当しており、分かり易い。訴因論がどうしてもわからないという人や、訴因論で特異な見解が採られている基本書を使用している人は、大澤執筆箇所だけでも読むとよい。全5編、全17Chapter。四六判、300頁。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法(αブックス)』法律文化社(2007年11月)……序章(刑事裁判の基礎)+全9章。A5判、320頁。 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要——参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。予備試験の口述対策に有用であるとの声がある。A5判、284頁。 裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法概説』司法協会(2012年9月・3訂補訂版)……全8章。A5判、120頁。 安冨潔『やさしい刑事訴訟法』法学書院(2013年4月・第6版)……全19章。A5判、324頁。 渡辺直行『入門 刑事訴訟法(入門シリーズ)』成文堂(2013年9月・第2版)……刑事手続きの全体像を鳥瞰した入門書。「です・ます調」で書かれている。基本的用語について、できる限りその定義を明らかにしており、初めて刑事訴訟法を学ぶ法科大学院未修者や学部学生向けの本である。なお、著者は2017に逝去。全15章。A5判、372頁。 岩下雅充ほか『刑事訴訟法教室』法律文化社(2013年7月)……執筆者(岩下雅充・大野正博・亀井源太郎・公文孝佳・辻本典央・中島宏・平山真理)。全8章。A5判、332頁。 渡辺修『基本講義 刑事訴訟法』法律文化社(2014年9月)……法学部生向けのテキスト。序章(概観)+全8章。A5判、318頁。 小木曽綾『条文で学ぶ刑事訴訟法』法学書院(2015年1月)……序章(現代社会における刑事手続の役割とそれが守る価値、法の文脈)+全18章。A5判、244頁。 【注釈書・コンメンタール】 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法(条解シリーズ)』弘文堂(2022年9月・第5版〔☆2024年7月・第5版増補版予定〕)……実務家必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で合議して匿名執筆しているのが特徴で、そのため、記述内容に安定感がある(顕名執筆の「大コンメンタール刑事訴訟法」や「注釈刑事訴訟法」と比べると比較的客観的な記述である。)。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略している。さらに、文字ポイントが小さく、情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば、大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、実務家が最初に参照するのは本書であろう。第5版は、第4版増補版で巻末に収録されていた大規模な法改正に係る注釈を織り込むと共に、全条文について最新の運用状況を踏まえた改訂注釈を施したもの(はしがき)。A5判、1392頁。 伊丹俊彦・合田悦三編集代表、上冨敏伸・加藤俊治・河本雅也・吉村典晃編集委員『逐条実務刑事訴訟法』立花書房(2018年11月)……現役の裁判官・検察官が執筆した実務家のための逐条解説書。近時の判例の展開(身体拘束の厳格化)等も踏まえた記述になっている。条解刑事訴訟法が刑事訴訟法改正に十分対応できていないことや、初版の記述を修正して改訂していることにより、やや古さが出てきていることから、今後は本書が実務家必携コンメンタールとして活用されていくのではないかという意見もある。条解に比べて記述が平板で読みにくく、論理性も条解より一段落ちるように思われる。A5判、1408頁。 河上和雄・中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・渡辺咲子編『大コンメンタール刑事訴訟法〔全11巻〕』青林書院(☆第1巻:2022年6月・第3版、第2巻:2010年9月・第2版、第3巻:2010年7月・第2版、第4巻:2012年4月・第2版、第5巻:2013年2月・第2版、☆第6巻:2022年8月・第3版、第7巻:2012年10月・第2版、☆第8巻:2021年5月・第3版、☆第9巻:2023年5月・第3版、第10巻:2013年9月・第2版、第11巻:2017年10月・第2版)……これまでに蓄積された膨大な判例・学説を集大成した一大コンメンタール。公判前整理手続,即決裁判手続,裁判員制度,被害者参加制度の創設など,初版刊行後数次に渡る法改正と判例・学説の最新動向をつぶさに取り入れる(出版社の案内より)。本邦最高峰の大型コンメンタール。図書館での調べ物用とするのは勿体ない。大部なのは論理展開が非常に丁寧だからであり決して難しいものではない。中途半端な引用だらけで論理展開がない予備校系のテキストを読むくらいならこちらをお勧めする。顕名形式であるが記述にややムラがあり、とくに検察官執筆部分において客観性に疑問のある記述がないではないという見解もあるようだが、主観的なものに過ぎない。第11巻は裁判員の参加する刑事裁判に関する法律、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律、国際捜査共助等に関する法律の逐条解説。A5判、第1巻〔第1条~第56条〕:730頁、第2巻〔第57条~第127条〕:526頁、第3巻〔第128条~第188条の7〕:560頁、第4巻〔第189条~第246条〕:936頁、第5巻〔第247条~第281条の6〕:516頁、第6巻〔第282条~第316条〕:706頁、第7巻〔第316条の2~第328条〕:824頁、第8巻〔第329条~第350条の14〕:704頁、第9巻〔第351条~第434条〕:944頁、第10巻〔第435条~第507条〕:514頁、第11巻〔刑事訴訟特別法〕:874頁。 河上和雄・小林充・植村立郎・河村博編『注釈刑事訴訟法〔全8巻〕(予定)』立花書房(第1巻:2011年5月・第3版、第2巻:2020年6月・第3版、第4巻:2012年8月・第3版、第6巻:2015年4月・第3版、第7巻:2012年10月・第3版)……第6巻(2015年4月・第3版)について、10年ぶりの全面改訂。新版発刊以降の法改正・制度改革等を織り込み,実務の動向を正確に記述することを主眼に,実務を支える理論的な支柱を実務の内側から明らかにする(出版社の案内より)。大コンメンタールと同じく顕名形式をとるが、こちらは一家言ある裁判官執筆部分の記述内容が特徴的であり、大コンメとは若干趣を異にしている。A5判、第1巻〔第1条~第56条〕:706頁、第2巻〔第57条~第188条の7〕:778頁、第4巻〔第271条~第316条〕:634頁、第6巻〔第317条~第350条の14〕:890頁、第7巻〔第351条~第418条〕:642頁。 三井誠・河原俊也・上野友慈・岡慎一編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法(別冊法学セミナー)』日本評論社(2018年3月・第3版)……実務家の手による比較的安価な中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計15本。弁護人の立場からの提言14本+三井によるエッセイ的コラム1本)。『条解』と比べると、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられる。逐条実務、条解、大コメに比べると論理の流れが悪く、分かりにくいため、メインには使いにくい印象がある。第3版において、第2版(2014年4月)以降の判例がフォローされ、取調べの録音録画や協議合意制度を導入する2016年法改正に対応。事項索引・判例索引あり。B5判、768頁。 後藤昭・白取祐司編『新・コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2018年7月・第3版)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。第3版は、2016年の法改正で盛り込まれた取調べの録音・録画制度や協議・合意制度等、改正法を踏まえたもの。A5判、1330頁。 井上正仁監修、河村博・酒巻匡・原田國男・廣瀬健二編集代表、大島隆明・三浦守編集委員『裁判例コンメンタール刑事訴訟法〔全4巻〕(予定)』立花書房(第1巻:2015年4月、第2巻:2017年6月、第4巻:2018年6月)……研究者執筆箇所はよくまとまっているが、実務家執筆箇所は裁判例をそのまま引用するだけで規範を抽出していなかったりする。H28年改正については、第2-4巻において付録として改正内容の概要を解説。A5判、第1巻〔第1条~第188条の7〕:720頁。第2巻〔第189条~第270条〕:720頁、第3巻〔第271条~第350条の14〕:予定、第4巻〔第351条~第507条〕:720頁。 (古典) 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となってはさすがに古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。新書判、544頁。 平場安治・高田卓爾・中武靖夫・鈴木茂嗣『注解刑事訴訟法 上中下』青林書院(1987年5月、1982年4月、1983年2月・いずれも全訂新版)……研究者執筆による注釈書で手堅い中にもアカデミックな内容。A5判、569頁、929頁、400頁。 小野清一郎、栗本一夫、横川敏雄、横井大三『刑事訴訟法(ポケット註釈全書3)上下』有斐閣(1986年1月、1986年6月・いずれも新版)……今となっては古いが条解刑訴法が出版される以前に実務家に愛用された注釈書。小野が序説を担当。残る大部分を判検事が執筆。小B6判、662頁、676頁。 小田中聰樹・大出良知・川崎英明編『コンメンタール刑事訴訟法』現代人文社(1998年1月)……刑事訴訟法の解釈・運用を、当事者主義、適正手続の保障など憲法理念から徹底的に見直した逐条解説。B5判、522頁。 【判例集・ケースブック】 〔判例集〕 井上正仁・大澤裕・川出敏裕編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(☆2024年3月・第11版 2017年5月・第10版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされているので、司法試験受験生は、事案と判旨のみならず、解説まで読み込むべきである。特に、井上正仁による6頁にも及ぶGPS大法廷判決の解説は必読である。第10版は、100件+アペンディックス56件を収録(第9版:2011年4月は、101件+上訴・再審+Appendix41件を収録)。第11版においては、「執筆者が変われば、異なった視点、異なった見方が与えられ得る」とし、解説を一新。解説者を総入れ替えした。B5判、278頁。 川出敏裕『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』『同 〔公訴提起・公判・裁判・上訴篇〕』立花書房(2021年10月・第2版、☆2023年8月・第2版)……「捜査・証拠篇」は、警察学論集誌上での全25回にわたる同名連載に追加・修正を施して単行本化したもの。捜査法及び証拠法に関する重要なテーマにつき判例を素材に検討。警察幹部向けの連載ということもあって、判例の緻密な分析がなされており、判例の内在的な理解を深めることができる。必要な限度において学説の解説も行われており、控えめながらも自説主張がないわけではない(わかる人にはわかる内容)。全体的に極めて明快かつ論理的な文章で書かれており読みやすい。捜査法と証拠法に関する重要論点はほぼ網羅されており、司法試験の論文対策として非常に有用であると思われる。第2版では、GPS捜査について新たに1講が追加された。「公訴提起・公判・裁判篇」は、刑事法ジャーナル(51号~55号)にて連載されたもの。重要判例を12講に分けて解説。第2版において、「被告人の訴訟能力」、「量刑と余罪」、「控訴審の審査」の3講を新たな項目として取り上げて「公訴提起・公判・裁判・上訴篇」と改題。2冊セットで刑事訴訟法のほぼ全分野を網羅。全20講・15講。A5判、576頁(本文547頁)・352頁(本文325頁)。 ☆松田岳士・宮木康博編著『刑事訴訟法判例集』有斐閣(2023年9月)……各判例の解説<事実の概要・裁判理由・コメント>に加え、各章の冒頭に刑事手続に関する制度・規範の内容および趣旨について解説を付す。見出し判例数計200件。本書の特徴は、通説的な説明を所与のものとしていないこと。これは無理に通説にひきつけて判例を解説しようとすると誤解を招きかねないこと、通説の立場を真に理解するためにも、通説とは異なる別解を知っておくことが有益であること、などによる(はしがき)。判例集としての使用法はもちろんのこと、解説のコメントが中上級者が読んでも新たな気づき・知見が得られる内容となっておりオススメできる。序章+全22章。A5判、498頁。 三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2015年6月・第5版)……圧倒的な判例の掲載数。解説なし。判例百選の重要判例を本書で詳細に検討する読み方が、司法試験受験生には有益であろう。A5判、770頁。 田口守一『最新重要判例250 刑事訴訟法』弘文堂(2016年7月)……単独著者による1頁に1判例の判例ガイドシリーズの「刑事訴訟法」版。最新の重要判例を中心に251判例を収載。B5判、300頁。 葛野尋之・中川孝博・渕野貴生編『判例学習・刑事訴訟法』法律文化社(2021年6月・第3版)……若手から中堅の研究者による判例教材。取り上げられた判例は、102項目。これらの判例について、主に論点と結論→事実の概要→法の解釈→法の適用→コメントという順番で書かれている。法の解釈・法の適用・コメントは、論文の際のあてはめに有用であると思われる。B5判、406頁。 平良木登規男・椎橋隆幸・加藤克佳編『判例講義 刑事訴訟法』悠々社(2012年5月)……刑訴法学者24名が執筆。平成21年9月までの187判例を収録。 前田雅英・星周一郎『刑事訴訟法判例ノート』弘文堂(2021年5月・第3版❳……1判例を見開き2頁に整理した判例学習書。刑事訴訟法講義(池田・前田)において大きく省かれてしまった学説の解説や理解に重点を置いた編集となっている。A5判、424頁。 河上和雄『刑事訴訟法基本判例解説』東京法令出版(2008年6月・改訂版)……警察官の実務に特に関連が深い重要判例を精選し、初版以来の73件に、最新判例24件を追加。A5判、280頁。 椎橋隆幸・柳川重規編『刑事訴訟法基本判例解説』信山社(2018年4月・第2版)…… 1項目見開き2頁で解説。第2版は200件の重要判例を収録。A5変型判、432頁。 〔ケースブック〕 井上正仁ほか『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2018年3月・第5版)……設問には難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。第5版において、構成・設問の見直しと最新判例の追加が行われた。執筆者(井上正仁・酒巻匡・大澤裕・川出敏裕・堀江慎司・池田公博・笹倉宏紀)。全24章。B5変型判、728頁。(第5版については、評価待ち。) 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2012年4月・第3版)……全30講。執筆者(亀井源太郎・菊池則明・木村光江・清水真・星周一郎・堀田周吾・丸橋昌太郎・峰ひろみ)。A5判、674頁。 加藤克佳ほか編者『法科大学院ケースブック 刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版)……編者(加藤克佳・川崎英明・後藤昭・白取祐司・高田昭正・村井敏邦)。なお、正誤情報あり。B5判、268頁。また、本書(第1版)の補助テキスト(学生の自習用にも)として、『刑事訴訟法(ティーチャーズマニュアル(CD-ROM版))(法科大学院ケースブックシリーズ)』(2006年7月、B5判)があった。ただし、書籍の第2版では、一部の箇所で未対応とのこと。 後藤昭・白取祐司『プロブレム・メソッド刑事訴訟法30講』日本評論社(2014年8月)……はしがきにもあるように、上記『法科大学院ケースブック 刑事訴訟法』を発展させた事実上の後継シリーズ。独習向きではない。A5判、488頁。 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というより、判例集的な性格が強い。B5判、708頁。 〔その他判例〕 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』不磨書房(2009年8月)…… 重要判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせ、当事者・裁判官としての実践的思考方法を学ぶことを目的としている。著者は元検察官だが、中立的な立場で判例分析を行っている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすいため、独習も可能。全15章。A5変型判、504頁。 田口守一・寺崎嘉博編『判例演習刑事訴訟法』成文堂(2004年9月)……刑事訴訟法の各分野における主要な重要判例32件を解説。問題の所在や判例の射程等の分析を行っている。A5判、416頁。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~340号〔全18回〕)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上掲「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。全18回〔1:刑訴法判例の読み方・学び方、2:ホテルの客室における職務質問とそれに付随する所持品検査、3:別件逮捕・勾留と余罪取調べ、4:任意同行後の宿泊を伴う取調べと自白の証拠能力、5:捜索の範囲、6:強制採尿と強制採尿令状による採尿場所への連行、7:おとり捜査、8:逮捕直後の初回の接見と接見指定、9:覚せい剤使用罪の訴因の特定、10:共同正犯の訴因と訴因変更の要否、11:再現実況見分調書の証拠能力、12:違法収集証拠の排除、13:一事不再理効の範囲、14:再逮捕・再勾留、15:コンピュータと捜査、16:検察官の訴因設定権と裁判所の審判範囲、17:類似事実の立証、18:約束による自白の証拠能力〕 川出敏裕『刑事手続法の論点』立花書房(2019年8月)…「刑事訴訟法に関わる比較的最近の裁判例を素材として、未だ最高裁による判断が示されていない問題や、今後、立法的な解決が求められる問題などを取り上げ、検討を行ったもの」(はしがき)。警察学論集(71巻5号・2018年5月号~72巻3号・2019年3月号、全10回)連載の単行本化(書き下ろしを含む)。高レベルな内容で司法試験のレベルを優に超えているが、実務でどのような論点が問題となっているかを知る意味でチェックするに値する。(GPS捜査、偽計を用いた証拠収集、採尿のための留め置き、おとり捜査、サイバー犯罪の捜査、接見の際の電子機器の使用、被告人の訴訟能力、刑事手続における証人の保護、取調べの録音・録画記録媒体の証拠としての利用、量刑と余罪)。全10講。A5判、248頁。 【演習書】 古江賴隆『事例演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2021年9月・第3版)……著者は元検察官。法学教室の連載の単行本化。学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるだけではなく、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、参考になる。検察官出身であるが、実務を追認しているわけではなく、近時の判例のみならず東大系学説の動向(それらの多くは基本書レベルを超えており、論文等を参照しなければならないので初学者が理解するのは困難である)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めて書かれている。主要論点の全てを網羅しているわけではないものの、重要なものは概ねカバーしており、演習書というよりも論点解説集といった趣が強い。また、各設問の解説の後に参考文献として当該設問に関連する主要な文献が一通り掲げられており、文献ガイドとしても至便。第3版では頁数が旧版よりも100頁ほど増えた。A5判、590頁。 井田良・田口守一・植村立郎・河村博 編著『事例研究 刑事法Ⅱ 刑事訴訟法』日本評論社(2015年7月・第2版)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣が、かなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少ないが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば、広い範囲の論点をカバーできる。A5判、412頁。 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2014年3月・第2版)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は、似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説も概ね穏当で参考になるが、ほとんどの設問の事案が判例そのままとなっているため、上級者の実践訓練用としては、やや物足りないかもしれない。全30問。A5判、306頁。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習——理論と実務の架橋のための15講』立花書房(2018年3月・第2版)……検察官派遣教官による捜査法の演習書。憲法解釈や抽象的命題をそぎ落とし、問題をもっぱら刑訴法の条文解釈に局限することで、徹底的に捜査の便宜を重視した解釈論を展開する(同じく検察官出身でありながら、古江・演習が主流学派に依拠してバランスの取れた解釈論を展開しているのとは対照的である)。内容はかなりハイレベルだが、立場の偏りを意識して批判的に取り組めば、相当なレベルアップが期待できる。特に、本書で示されている判例の射程については、著者の見解をたたき台として、よく分析されたい。第2版は問題・設例はほとんど変わっていないが、解説において最新判例や学説の補訂がなされている。また、GPS判決やエックス線検査判決を受けた補講(強制処分と任意処分の区別をめぐる教員と学生の対話)が付されている。A5判、540頁。 廣瀬健二編『刑事公判法演習 理論と実務の架橋のための15講』立花書房(2013年5月)……公判手続と証拠法を扱う演習書。全国の法科大学院で派遣教員を務める著名な刑事裁判官らが一堂に会し、普通の教科書を読んでいるだけでは学習が難しい公判及び証拠の諸問題について解説している。下記『実例刑事訴訟法』への橋渡し的な位置づけであり、学生向け参考書としては最高水準である。内容はかなり高度であり、極めて実務的であるが、図表を駆使することで非常に分かりやすくなっている。特に、訴因や証拠法はしっかりと押さえておきたい。各問の解説の後に参考判例と参考文献(実務家による文献が多い)が掲げられており、参考になる。A5判、386頁。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ )』有斐閣(2005年4月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題が多く、問題集というよりも論点解説集に近いが、東大系主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。ただし、解説者によって解説の書き方がバラバラであるため、若干の読みにくさはある。A5判、372頁。 松尾浩也・岩瀬徹編『実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(2012年9月-11月)……定評ある演習書の全面改訂版。執筆陣には著名な刑事裁判官が名を連ねている。帯等には「刑事手続上の重要問題を掘り下げて解説」と記載されているが、内容は極めて高度であり、司法修習生向きである。もっとも、司法試験受験生にとっても、気になる論点については一読の価値はある。Iは「捜査」を、IIは「公訴の提起・公判」を、IIIは「証拠・裁判・上訴」を扱う。A5判、416頁・360頁・412頁。 新庄健二『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 新庄健二刑訴法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(2016年3月・改訂版)……著者は元東京高検検事・元司法研修所教官。辰已での新司法試験過去問解説講義を書籍化。平成18年から平成27年までの問題を収録。非常に平易な解説がなされている。特に、多くの受験生が苦手にしている伝聞については、記述が具体的かつ詳細で分かりやすい。A5判、452頁。 高田昭正『基礎から学ぶ刑事訴訟法演習』現代人文社(2015年10月)……刑事訴訟法を学ぶうえで、迷ったり、躓いたり、誤りやすい重要な論点24項目について解説したもの。B5判、464頁。 小木曽綾監修『設題解説 刑事訴訟法(二)』法曹会(2015年11月)……初学者が理解しておくべき刑事訴訟法上の一般的、基本的な問題を設題として取り上げ、具体的な事案に即して、判例・通説の立場から平易に解説したもの。全5章、全25問。新書判、320頁。 粟田知穂『エクササイズ刑事訴訟法』有斐閣(☆2021年6月・第2版)……著者は元検察官(司研教官・考査委員経験あり)。全18問からなる長文事例問題集。判例をベースとした簡にして要を得た解説が特徴。A5判、186頁。 峰ひろみ『刑事訴訟法演習』法学書院(2017年5月)……長文事例問題25問を収録した演習書。「受験新報」にて連載されていた「誌上答案添削教室」の問題と解説をまとめたものであるが、単行本化にあたり、各問題に答案構成や留意点についてコメントされた具体的な「答案例」が加えられている。A5判、445頁。 安冨潔・清水真編『事例演習 刑事訴訟法』法学書院(2013年11月)……刑事訴訟法の基本的論点について、判例を中心として、主要な学説を整理した基礎編と、具体的な事例問題を通して分析・応用能力を身に付けるための応用編を収録する演習書。A5判、424頁。 (古典) 田宮裕『演習刑事訴訟法(法学教室選書)』有斐閣(1983年6月)……2001年9月オンデマンド対応(1991.2.25初版第5刷)。四六判、374頁。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『基礎演習刑事訴訟法(基礎演習シリーズ)』有斐閣(1996年4月)……有斐閣Sシリーズ『刑事訴訟法』の執筆者による演習書。 四六判、320頁。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月)……上記『実例刑事訴訟法』の旧版。旧司時代には種本と呼ばれていた。執筆者は、法曹三者。法改正もあったが、今もなお有用である。A5判、350頁・440頁・370頁。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版であったが、オンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは、好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない。 〔伝聞法則〕 工藤昇編著『事例でわかる伝聞法則』弘文堂(2023年6月・第2版)……伝聞法則に特化した演習書。横国ローの実務演習科目における「伝聞ノック」を書籍化したもので、伝聞が問題となる事例を網羅しているといっても過言ではない。イラスト例や書式例も豊富でわかりやすい。付録として第2版では平成20年-令和3年の司法試験刑事系科目第2問(のうち伝聞関連の問題)につき著者(弁護士)による模範解答例を付している。執筆者(飯田信也・近藤俊之・鈴木大樹・成田信生・渡部俊太)。A5判、200頁。 後藤昭『伝聞法則に強くなる(法セミLAW CLASSシリーズ)』日本評論社(☆2023年12月・第2版)……伝聞法則に特化した演習書。法セミ連載の書籍化(2018年4月号・759号~2019年3月号・770号、全12回)であるが、内容は高度。非伝聞の類型(①供述でないもの、②供述ではあるが供述証拠ではないもの、③供述証拠ではあるが、政策的な理由で伝聞証拠禁止原則の対象外とされるもの)が通説的見解とはやや異なるものの、司法試験の過去問を素材にするなど豊富な例題でわかりやすく解説している(巻末に司法試験出題と例題の対応表を付している。平成18-令和5年の伝聞問題を例題として使用。)。第2版は2023年の刑訴法改正に対応。序章+全13章(伝聞法則を学ぶ意味、伝聞証拠とは何か、伝聞証拠禁止原則の意味、伝聞・非伝聞の区別、伝聞例外の体系、伝聞例外としての検面調書、検証調書の伝聞例外、実況見分調書と立会人の指示説明、供述のビデオ記録の伝聞例外、被告人の公判外供述、業務上書面・伝聞供述・再伝聞、当事者の意思による伝聞例外、共同被告人と伝聞法則、供述の証明力を争うための証拠)。A5判、224頁。 → このページのトップ:刑事訴訟法に戻る。 → リンク:刑法、刑事実務
https://w.atwiki.jp/law_study/pages/1.html
レジュメの作成方法は,基本的に,いわゆる論点本を基本として,考えております。 その他のスタイルとしては,基本書といわれる書籍の構成を基本とすることもありうると思います。 このホームページは,あくまで新司法試験対策を目指すものであり,学者として本を書くことを目的としている ものではなありませんので,あまり学術的な,内容が偏ったものはその趣旨に反します。 学術的なものは,今後考えおります法律書作成プロジェクトで,取り扱おうと考えおります。
https://w.atwiki.jp/syoshi/pages/2.html
メニュー トップページ 定番 憲法 民法 刑法 会社法&商法 不動産登記法 商業登記法 民訴執行保全 供託法&司法書士法 リンク @wiki @wikiご利用ガイド 他のサービス 無料ホームページ作成 無料ブログ作成 2ch型掲示板レンタル 無料掲示板レンタル お絵かきレンタル 無料ソーシャルプロフ ここを編集
https://w.atwiki.jp/kihonshobackup/pages/35.html
以下の書籍は,司法修習生又は法律実務家になってから読めば足りる書籍がほとんどである。受験生のうちから背伸びをして,あえて受験勉強の時間を割いてまで読むべき本は少ないことを念頭に置いて,書評を読んでほしい。 【民事実務】 〔要件事実〕 司法研修所編『新問題研究要件事実』法曹会(2011年9月)……通称「問研」。「類型別」の導入に作成された、司法研修所公式入門書。要件事実は、この本から学習を始めるべきである。なお、予備試験の要件事実問対策としては、サンプル問題,第1回ともに民法・民訴以外に本書程度の知識があれば十分である。新版で13問になり、貸借型契約において返還時期(弁済期)の合意を契約の成立要件としない立場に改説した。A5判、176頁。 司法研修所編『紛争類型別の要件事実』法曹会(2006年9月・改訂)……通称「類型別」。もともとは「1巻,2巻」の導入のために作成された、司法研修所の民事裁判教官室が修習生に要求する水準を示す、要件事実のスタンダードテキストであった。しかし、現在では、「1巻,2巻」が読まれなくなり、教科書としても大島眞一『民事裁判実務の基礎』のような優れた書籍が現れたため、本書の利用価値は大きく減っている。初心者にとっては、具体的な書き方を示しているわけでもないので、使い勝手が悪く、中級者にとっても、上記大島などより優れた書籍があるので使いどころを見出せない。さらに、賃借型契約が旧説のままであるので、ますます使い勝手が悪い。A5判、168頁。 ☆岡口基一『要件事実入門』『同(初級者編)』創耕舎(2014年9月、2015年5月)……現役裁判官による要件事実の入門書。前者は、ロースクール生及び司法試験受験生向けに、後者は、予備試験受験生向けに書かれたものである。「問研」には理論的な説明が乏しいという問題意識に基づき、「要件事実」と「主要事実」の違いや、法規不適用の原則など、要件事実論の基本について、「なぜそうなるのか」という理論的背景を明らかにしつつ、丁寧に筋道立てて説明している。前者の巻末には司法試験の過去問の解説が、後者の巻末には予備試験の過去問の解説がそれぞれ掲載されていることも、受験生にとってはありがたい。 大島眞一『完全講義 民事裁判実務の基礎 上・下』民事法研究会(2013年5月・第2版)……元神戸ロー派遣裁判官による要件事実および事実認定の教科書の改訂版。従来は一冊本だったものが、改訂版では演習問題が付いて上下巻の二分冊となった。単なるマニュアル本とは一線を画した思考過程を丁寧に追う記述が分かりやすく、情報量も充分である。読み手が行間を読まないで済むという教科書としての配慮も、行き届いている。そのため、「類型別」よりも格段に頭に入りやすく、記憶に残りやすい。上巻は、試験本番までに是非読んでおきたい。なお、本文の内容は司法研修所の見解に忠実であるが、コラムでは反対説を唱えている点もあるところが興味深い。A5判、583頁・412頁。 司法研修所編『増補 民事訴訟における要件事実 第1巻』法曹会(1986年10月),『民事訴訟における要件事実 第2巻』法曹会(1992年6月)……通称「1巻,2巻」。1巻は要件事実の総論の他,代理,条件,相殺,売買関係の要件事実を,2巻は賃貸借関係の要件事実をそれぞれ逐条解説している。昔は修習生必読と言われた。しかし,現在となっては,内容も古くなり,司法研修所が改説している箇所もあるため,修習生の中でも本書にまで目を通している人は稀である。したがって,司法試験受験生が本書を読む必要性は,皆無である。A5判、330頁・242頁。 加藤新太郎・細野敦『要件事実の考え方と実務』民事法研究会(2014年11月・第3版)……司法書士向けの連載をロー生用に加筆したもの。「問研」の次に使う本であろう。A5判、402頁。 伊藤滋夫『要件事実の基礎―裁判官による法的判断の構造』有斐閣(2000年12月、2015年6月・新版),『要件事実・事実認定入門―裁判官の判断の仕方を考える』有斐閣(2005年4月・補訂版)……著者は元裁判官で要件事実の第一人者。ミスター司研説。『要件事実の基礎』は,後記『事実認定の基礎』と対をなし,民事判決における事実判断の構造(事実認定の基礎)と法的判断の構造(要件事実の基礎)を論じた古典的名著であるが,要件事実論総論的な記述にとどまるので,本書のみで要件事実論を習得することはむずかしい。A5判、424頁・252頁。なお、『要件事実の基礎〔新版〕』は、要件事実の実務での適正な活用を目指し、基礎理論を探求する実務に裏づけられた理論的体系書。初版(2000年12月、A5判、310頁)刊行後、約15年の学説・実務の動きを踏まえ、全面改訂(約114頁増量)された。 (『要件事実の基礎〔新版〕』については評価待ち。) 伊藤滋夫・山崎敏彦編著『ケースブック要件事実・事実認定』有斐閣(2005年12月・第2版)……主張整理に加えて事実の摘示および評価を問う演習書。新司法試験の民法の論文問題との整合性が高いという意見もある。独習もできるが、解説なし・ヒントのみ掲載の練習問題が豊富にあるので、勉強会を組んで取り組むのがよいであろう。A5判、536頁。 大江忠著(法教育支援センター編)『要件事実ノート』商事法務(2007年7月)……類型別に完全準拠したQ A本。いわば教科書ガイド。独習用に。A5判、186頁。 大江忠著(法教育支援センター編)『要件事実ノート2 重要判例と要件事実論』商事法務(2010年1月)……類型別に出てくる基本的判例を解説した本。A5判、173頁。 伊藤滋夫編著『要件事実講義』商事法務(2008年2月)……創価ローの要件事実教育の内容の研究発表といった趣き(要件事実講義の実況中継そのものではない)。問研(ただし旧版)と類型別のQ A集が載っている。A5判、314頁。 伊藤滋夫編著『要件事実小辞典』青林書院(2011年12月)……要件事実(ただし民事法の要件事実のみ)の用語について平易に解説した小辞典。いわゆる司研説の立場に立つ。要件事実特有のテクニカルタームを理解するために。四六判、312頁。 大江忠『ゼミナール要件事実』『同2』第一法規(2003年6月,2004年10月)……「言い分形式」による要件事実問題集。1は典型的紛争類型、2は旧司法試験の民法、民訴法問題からの出題。平成19年5月の増刷では,かなり手を加えられているので,刷数には注意すべきである。A5判、444頁・522頁。 大江忠・辻健吾『要件事実判例演習 民法債権総論』『同 民法債権各論』商事法務(2013年5月、2014年3月)……重要判例を素材に攻撃防御の構造、要件事実を解説。A5判、108頁・160頁。 村田渉・山野目章夫編著『要件事実論30講』弘文堂(2012年3月・第3版)……岡マ著者の岡口裁判官いわく「インプット用の演習書」であり,第1部は要件事実論総論,第2部は設例形式の類型別解説,第3部に解答及び簡易解説の付された演習問題17問が収録されており,一冊で自己学習しやすい。A5判、624頁。(第3版は評価待ち。) 岡口基一『要件事実問題集』商事法務(2012年3月・第3版)……著者いわく「アウトプット用の演習書」であり,込み入っているという意味での難しめの問題が20問収録されている。2回試験対策用に釈明や失当の設問も用意されている一方,最後の方の問題には,2回試験の出題可能性は低いとの注がある。A5判、453頁。(第3版は評価待ち。) 大江忠『図解要件事実 民法総則・物権』『同債権』『同親族・相続』第一法規(2007年9月,2007年11月,2007年12月)……民法の条文ごとに要件事実をブロック・ダイアグラムで図解。同著者の要件事実民法の簡略版。辞書。B5判、民法総則・物権:308頁、債権:344頁、親族・相続:230頁。 大江忠『要件事実民法(1)総則』、『同(2)物権』、『同(3)担保物権』、『同(3)債権総論』、『同(4)債権各論』、『同(7)親族』、『同(8)相続』第一法規(総則:2005年10月・第3版、物権:2015年4月・第4版、担保物権:2015年4月・第4版、債権総論:2005年10月・第3版、債権各論:2005年10月・第3版、親族:2014年6月・第4版、相続:2014年6月・第4版)……要件事実について民法の各条ごとに、判例や学説を整理・紹介した上で、具体的事例を掲げ、原告-被告相互の証明責任を裁判の流れ(訴訟物-請求原因-抗弁-再抗弁)に沿って解説。A5判、総則:528頁、物権:528頁、担保物権:608頁、債権総論:426頁、債権各論:838頁、親族:520頁、相続:498頁。 大江忠『要件事実商法』第一法規(2011年12月・第3版)……商法の要件事実について、商法の条文に沿って簡潔に整理。平成22年4月1日施行の改正商法に完全対応。A5判、608頁。 大江忠『要件事実会社法(1)~(3)』商事法務((1):2011年1月、(2):2011年12月、(3):2013年7月)……判例・学説を紹介しながら逐条的に概説した上で、実例に基づく設例を掲げ、訴訟物→請求原因→抗弁→再抗弁等を具体的に解説。A5判、(1)〔第1条~第294条〕:1060頁、(2)〔第295条~第574条〕:1336頁、(3)〔第575条~第979条〕:1550頁。 大江忠・辻健吾『要件事実判例演習 民法債権総論』、『同 民法債権各論』商事法務(2013年5月、2014年3月)……A5判、108頁・160頁。 和田吉弘『民事訴訟法から考える要件事実』商事法務(2013年8月・第2版)……要件事実論の考え方について民事訴訟法の観点を重視しながら概説。A5判、216頁。 ☆高須順一・木納敏和・大中有信編著『事案分析 要件事実』弘文堂(2015年2月)……A5判、512頁。(評価待ち。) 伊藤滋夫 編『商事法の要件事実(法科大学院要件事実教育研究所報第13号)』日本評論社(2015年3月)……取締役の会社に対する責任など、一般民事法と異なる商事法の特色に着目して、研究者・実務家が要件事実論の視点から徹底して検討。A5判、272頁。 伊藤滋夫 企画委員代表『要件事実の現在を考える』商事法務(2006年5月)……民法学の新たな動向や時代と法制度の激しい変化に的確に対応した要件事実論からの考察の試み。民法、倒産法、労働法、保険法、著作権法、租税法、ADR法など幅広い分野に関する諸論点を検討。A5判、211頁。 坂本慶一『新要件事実論 要件事実論の生成と発展』悠々社(2011年2月)……元高裁判事が、「民法は裁判規範である」「要件事実論が前提とするもの」は何かという観点から戦前・戦後の法曹養成制度の変遷を跡づけた。要件事実論の新たな手引き。なお、本書は遺稿となった(著者は2007年12月に逝去された)。A5判、196頁。(評価待ち。) (以下は、上級者・実務家向け) 岡口基一『要件事実マニュアル(1)-(5)』ぎょうせい(2013年9月-2014年3月・第4版)……通称「岡マ」。現役裁判官による要件事実の辞書。ロー生にとっては、民法に関する(1),(2)巻及び会社法に関する(3)が有益であろう。その他の巻については、行政訴訟や選択科目についてどのような紛争類型が問題となるのかを知るため、目次をコピーすれば十分と思われる。A5判、第1巻:総論・民法1(民法総則、物件、債権総論)、第2巻:民法2(契約総論・各論、不法行為、親族・相続、不動産特別訴訟)、第3巻:商事・手形・執行・破産・保険・金融・知的財産、第4巻:過払金・消費者保護・行政・労働、第5巻:家事事件・人事訴訟・DV。なお、要件事実に関する質問は、著者のask.fm(http //ask.fm/okaguchik)にて受け付けているとのことである。 伊藤滋夫総括編集『民事要件事実講座(1)~(6)〔全6巻〕』青林書院(第1巻:2005年3月、第2巻:2005年6月、第3巻:2005年12月、第4巻:2007年3月、第5巻:2008年6月、第6巻:2010年1月)……全6巻のシリーズ中、(3)、(4)巻は民法(財産法)の要件事実を解説している。辞書。A5判、第1巻〔総論I 要件事実の基礎理論〕:408頁、第2巻〔総論II 多様な事件と要件事実〕:412頁、第3巻〔民法I 債権総論・契約〕:592頁、第4巻〔民法II 物権・不当利得・不法行為〕:484頁、第5巻〔企業活動と要件事実〕:382頁、第6巻〔民法学と要件事実論との協働〕:400頁。 新堂幸司監修・高橋宏志・加藤新太郎編『実務民事訴訟法講座(第3期)第5巻・証明責任・要件事実論』日本評論社(2012年12月)……不動産関係訴訟、動産関係訴訟、不動産登記訴訟、売買、貸借契約関係訴訟、債務不履行関係訴訟、不法行為訴訟、安全配慮義務違反関係訴訟、医療過誤訴訟、国家賠償関係訴訟、執行関係訴訟の証明責任・要件事実について解説。ただし、冒頭の「民事訴訟の現在と展望」と題する鼎談においては、過度の要件事実思考に苦言を呈する内容となっていて、興味深い。A5判、360頁。 倉田卓次監修『要件事実の証明責任・債権総論』『同・契約法上下』西神田編集室(1986年7月,1993年12月,1998年7月)……要件事実本のさきがけといえる古典的名著。司研説の立場にとらわれることなく、著名裁判官や民事法学者が自らの要件事実論を開陳し議論をたたかわせている。上級者向け。 並木茂『要件事実原論』悠々社(2003年3月)、『要件事実論概説1 総論』『同2 時効・物権法・債権法総論他』『同 契約法』信山社(2014年12月、2010年3月、2009年4月)……元裁判官が司研説とは全く異なる独自の立場から要件事実を再構成したもの。『原論』でその体系を平易に解説。『概説1』はより本格的に要件事実総論を、『同 契約法』は契約法(民法総則含む)の要件事実を解説。『同2』は時効・物権法・債権法総論・法定債権の要件事実を解説。上級者向けの辞書。 定塚孝司『主張立証責任論の構造に関する一試論 故定塚孝司判事遺稿論集』判例タイムズ社(1992年3月)……司研説とは異なる立場(I・当事者は、権利を主張するについては、最小必要限度の事実を主張立証すれば足りる。II・ある事実を一方の当事者に主張立証責任ありとした場合、これと反対の事実を他方の当事者に主張立証責任を負わせることは絶対にない。III・事実の不存在について主張立証責任を負わせることはないの3つの命題)から要件事実を再構成した意欲的な著書。民法の要件事実(総則の一部、保証債務、契約の効力、贈与契約、消費貸借契約、使用貸借契約、請負契約、委任契約、不当利得)の検討も含まれている。上級者向け。 〔民事事実認定〕 ☆司法研修所編『事例で考える民事事実認定』法曹会(2014年5月)……通称「ジレカン」。司法研修所の白表紙テキストを市販化したもの。貸金返還請求事件を題材に、民事事実認定に関する一般的かつ基本的手法を平易に解説したテキスト。裁判官Jと優秀な修習生A、Bの対話形式なのでわかりやすい。まずはここから。ひそかに処分証書につき「よってされた説」を取っていることに注意。分かり易い上に薄く、非常に読みやすいので、予備試験前に読むのもよい。A5判、138頁。 土屋文昭・林道晴編『ステップアップ民事事実認定』有斐閣(2010年12月)……ロー生,修習生,駆け出し実務家向けの事実認定入門書。第1部解説編もコンパクトで分かりやすい。特筆すべきは,第2部演習問題編で,解説付きの事実認定演習問題は,おそらく類書で初である。ただし,完結した記録の体裁ではなく,手続が進むごとに現れるであろう主張や証拠をどう捉えていくかという,読み物のような形式になっている。問題のレベルは,研修所の導入起案未満で簡単めであり,動かし難い事実,経験則,ストーリーの合理性といった基本軸を明らかにする解説であり,事実認定手法の具体的イメージが掴みやすい。いわば事実認定版の「問研」だろう。また,下記司法研究「民事訴訟における事実認定」の「副読本的な存在となることも意図している」(はしがき)というように,同書がしばしば引用されており,合わせて読むとなお有用。なお,予備試験対策としてはサンプル問題・第1回とも要件事実問以外に関しては民訴以外に本書程度の知識で十分解答可能である。A5判、278頁。 田中豊『事実認定の考え方と実務』民事法研究会(2008年3月)……司法研修所教官を歴任した著者が,司法書士向けの雑誌で事実認定のイロハを説いた連載を,法科大学院生や司法修習生のために加筆して単行本化したもの。上掲『ステップアップ』と比べると,本書はより民裁起案や判決起案に特化した内容となっている。実際の判決文をもとに,証拠から間接事実を証明し,経験則によって主要事実を推認していく過程をきわめて分かりやすく解説している。司法修習生にお薦め。A5判、272頁。 伊藤滋夫『事実認定の基礎―裁判官による事実判断の構造』有斐閣(2000年6月・第5刷補訂)……民事事実認定に関する古典的文献。「事実認定における判断の構造」の問題を主題とする。A5判、296頁。 司法研修所編『民事訴訟における事実認定』法曹会(2007年11月)……司法研究報告書が書籍化されたもの。「事実認定に関する判例法理を整理・検討するとともに、裁判実務において培われ、受け継がれてきた様々な事実認定の技法や考え方をできるだけ明確に言語化し、法曹全体の共有財産とすることを目指」した(はしがき)。司法修習生は、大体読む。巻末の高裁裁判官へのインタビュー(14名)が参考になる。A5判、422頁。 司法研修所編『現代型民事紛争に関する実証的研究-現代型契約紛争(1)消費者紛争』法曹会(2011年4月)……司法研究報告書を書籍化。消費者契約紛争の特徴を踏まえた事実認定、訴訟運営の方法など。A5判、130頁。 司法研修所編『民事訴訟における事実認定-契約分野別研究(製作及び開発に関する契約)-』法曹会(2014年1月)……司法研究報告書を書籍化。上記民事訴訟における事実認定の各論編。建築工事契約、ソフトウェア開発契約、プラント建設契約といういわゆる開発型契約についての事実認定の問題点を詳解。各業界関係者へのヒアリング資料が付されており、参考になる。A5判、350頁。 伊藤眞・加藤新太郎編『〈判例から学ぶ〉民事事実認定(ジュリスト増刊)』有斐閣(2006年12月)……百選の事実認定ヴァージョン。民事事実認定の基礎理論(総論パート)と民事事実認定の諸相(各論パート・民法総則、物権・担保物権、債権総論、契約、不法行為)という分類で民事事実認定にまつわる判例を解説(全50項目)。新司法試験には不要。B5判、264頁。 田尾桃二・加藤新太郎編『民事事実認定』判例タイムズ社(1999年4月)……民事裁判官による事実認定にまつわる講演録(6本・田尾桃二、吉岡進、今中道信、後藤勇)と事実認定にまつわる対談・座談会(4本)を収録。歴々の修習生がコピーして収集していた著名な講演録をまとめて単行本化したもの。絶版。 後藤勇『民事裁判における経験則』『続・民事裁判における経験則』判例タイムズ社(1990年11月,2003年4月)……元裁判官。経験則違反として破棄された最高裁判例を素材として経験則を抽出・体系化した著書。経験則の体系化の方法としては一部に批判があるものの有用である。絶版。 加藤新太郎編『民事事実認定と立証活動(全2巻)』判例タイムズ社(2009年10月)……ベテラン裁判官・弁護士が実際の事件(エピソード)を題材に心証形成や訴訟(立証)活動のノウハウについて座談会形式で語った著作。いずれもこれまで実務家が実務経験を通じて習得してきた実践的なノウハウであり、これが書籍化されたことの意義は大きい(はしがきには「暗黙知を形式知に」とある。)。修習生必読。全2巻で分量は多いが、座談会形式なので気軽に読める。ただし、基本的な知識の理解が不十分であると、紹介されているエピソードの意味を十分には理解できないため、基本的な書籍を読んだ後に読むことが望ましい。A5判、492頁・472頁。 加藤新太郎『民事事実認定論』弘文堂(2014年6月)……著名な元民事裁判官による事実認定にまつわる論文集。民事事実認定にかかわる議論群を事実認定本質論、事実認定対象論、事実認定方法論、事実認定過程論、事実認定基盤論に整理して考察。A5判、368頁。 ☆奥田隆文・難波孝一編『民事事実認定重要判決50選』立花書房(2015年2月)……A5判、664頁。評価待ち。 ☆大阪地裁民事事実認定研究会編『判例からみた書証の証拠力』新日本法規出版(2015年3月)……A5判、484頁。評価待ち。 ☆村田渉編著『事実認定体系 契約各論編1』『同2』第一法規(2015年5月)……A5判、412頁・372頁。評価待ち。 〔要件事実・民事事実認定〕 河村 浩・中島克巳『要件事実・事実認定ハンドブック ダイヤグラムで紐解く法的思考のヒント』日本評論社(2015年7月)……民事裁判の基礎理論に根ざして、要件事実・事実認定・判決・判例研究・和解に関する総合的な解説を行うハンディな事典。A5判、584頁。(評価待ち。) 〔民訴法実務書〕 (理論と実務) 渡辺弘ほか『民事裁判実務の基礎/刑事裁判実務の基礎』有斐閣(2014年6月)……法学教室の連載「民事裁判実務講座」、「刑事裁判実務講座」に、渡辺弘先生による「民事裁判の流れ」(同誌381号掲載)を加えて単行本化したもの。裁判官が執筆している。まずはここから。A5判、250頁。 加藤新太郎編著『民事訴訟実務の基礎』弘文堂(2011年9月・3版)……資料編と解説編の2分冊。具体的な資料を通して民事訴訟手続きを平易に解説。A5判、464頁。 藤田耕三・小川英明編『不動産訴訟の実務』新日本法規出版(2010年10月・7訂版)、小川英明編『貸金訴訟の実務』新日本法規(2008年1月・5訂版)……新日本法規の『実務』シリーズ。実務家向けの書籍であり、改訂頻繁。ロー生や司法修習生が買う必要は全くないが、司法修習生は民裁修習中に図書館で参照すると便利。A5判、1,132頁。 井上繁規『民事控訴審の判決と審理』第一法規(2013年4月・第2版)……現役裁判官による民事控訴審の判決書作成マニュアル。弁護士も、上告(受理)理由を発見するための手がかりになるだろう。A5判、496頁。 瀬木比呂志『民事訴訟実務と制度の焦点』判例タイムズ社(2006年6月)、『民事訴訟実務入門』判例タイムズ社(2010年12月)……ベテラン裁判官による民事訴訟実務の指南書。著者曰く「実務の技術やノウハウ」の体系書。どのように訴訟運営すべきか、どのような文書が説得力があるかなど民事訴訟理論ではなく民事訴訟実務の指南書。このような類書はほとんどないため、任官希望者のみならず弁護士志望者にとっても参考になる。『焦点』は、民事訴訟実務パートと民事訴訟制度についての提言パートの2部からなり、前半パートの概説書が上記『入門』であり、後半パートの概説書が後記『法曹制度・法曹倫理入門』である。後記『ケースブック』は上記2冊の実践編といえる。 瀬木比呂志『ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断─心証形成・法的判断の過程とその解説』判例タイムズ社(2010年11月)……同名の判タ連載を書籍化したもの。著者である元裁判官が担当した事例の判決書を中心に設例、解説を付すスタイル。直ちに司法試験・二回試験に役立つものではないが,筆者のこだわりが滾々と語られる等,名物部長に捕まったときの民裁修習を疑似体験できる本である。 現代民事法研究会『民事訴訟のスキルとマインド』判例タイムズ社(2010年9月)……実務家と研究者が新民事訴訟法下でのあるべきプラクティスについて研究した論文集。判例タイムズ誌に長期連載(1996-2005年)されたものなので、現在の実務慣行からするといささか内容が陳腐化した論文もあるが(最新の民訴法実務については、瀬木『民事訴訟実務入門』などを参照)、新民訴法の理念を理解するためには、今でもなお有用である。修習生が民訴法実務をより深く理解するためにも使えるだろう。 ☆林道晴・太田秀哉編『ライブ争点整理』有斐閣(2014年5月)……裁判官・弁護士が争点整理手続の実際を紹介した著書。4事例を題材に準備書面などの書面を掲載し会話形式(各当事者の心証付き)であるため、実務をイメージしやすい。A5判、338頁。 ☆土屋文昭『民事裁判過程論』有斐閣(2015年2月)……元民事裁判官による著書。京大ローにおける「民事裁判過程論講義」の草稿を大幅に増補改訂したもの。「民事裁判の裁判過程について、裁判官の内的な視点から、その動態を分析解明しようとするもの」(はしがき)であり、このことは、本書の洋題(Nature of the Judicial Process in Japan inside view of a civil judge)に明らかである。内容は、裁判官の役割論から民事裁判過程解説、民事判断の構造論、事実認定論、判例の位置づけ、裁判官の法的判断形成過程論と多岐にわたる。「すぐれた先達のことば」(はしがき)を多数引用していることも、本書の特徴である。(民事)裁判官志望者必読である。四六判、274頁。 ☆小山弘『設例と設問で学ぶ 民事訴訟実務』日本加除出版(2015年1月)……A5判、244頁。 京野哲也『クロスレファレンス 民事実務講義』ぎょうせい(2015年1月・第2版)……ロースクール生、司法修習生及び若手弁護士のための民事弁護実務入門。B5判、頁。 山本和彦・須藤典明・片山英二・伊藤尚 編『文書提出命令の理論と実務』民事法研究会(2010年8月)……A5判、524頁。 岡口基一『民事訴訟マニュアル―書式のポイントと実務― 上・下』ぎょうせい(2015年9月・いずれも第2版)……訴状の作成・提出から訴訟終了(判決言渡し等)までの一連の民事訴訟手続について、基礎知識や注意点等を紹介しながら解説。また、各場面で必要な主要書式についても本文中に掲載し解説。第2版において、新たに「事実認定」の編が設けられ、その他、民事訴訟法等の改正、家事事件手続法の施行、新たな判例等を踏まえ、全面的に内容を改めるとともに、「当事者の会社更生」「国際裁判管轄」「提訴前証拠収集処分等」といった新たな項目と約20の書式が加えられた。A5判、頁・頁。 裁判所職員総合研修所 監修『民事実務講義案Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』司法協会(Ⅰ:2014年2月・4訂補訂版、Ⅱ:2014年5月・4訂再訂版、Ⅲ:2015年6月・5訂版)……裁判所職員総合研修所の教材として、また、民事実務に携わる裁判所書記官等必携の参考資料。B5判、Ⅰ〔民事訴訟〕:410頁(本文364頁)、Ⅱ〔送達事務、訴訟費用、人事訴訟、手形訴訟手続等〕:286頁(本文256頁)、Ⅲ〔簡易裁判所における民事手続等〕:286頁(本文252頁)。 升田純『実務 民事訴訟法─訴訟展開の予測と技術─』民事法研究会(2008年8月・第4版)……A5判、529頁。 瀬木比呂志『民事訴訟実務・制度要論』日本評論社(2015年7月)……民事訴訟の実務とそれを支える制度のエッセンスを理論的見地もふまえて解説。A5判、604頁。(評価待ち。) 森冨義明・東海林保 編著『新版 証拠保全の実務』きんざい(2015年8月)……東京地裁の現役裁判官による本格的体系書。損害賠償請求訴訟で用いられる証拠保全手続について書式例に基づき解説した9年ぶりの全面改訂版。A5判、336頁。 三好一幸『民事訴訟の理論と実務』司法協会(2015年9月)……B5判、218頁(本文175頁)。 (ノウハウ・OJT) 圓道至剛『若手弁護士のための民事裁判実務の留意点』新日本法規出版(2013年5月)……民事訴訟の第一審・控訴審の手続の流れにそって、訴訟代理人弁護士が「ありがちな失敗」をすることなく訴訟活動をするための「実務上の留意点」を解説(はしがき)。なかなか人には聞けない実務慣行が詳しく載っている。書式例も充実している。修習生、新人弁護士にお勧め。A5判、408頁。 東京弁護士会春秋会編『実践訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる』民事法研究会(2014年2月)……若手・中堅・ベテラン弁護士の座談会形式で、法廷マナーから訴訟戦術まで、類書の少ない暗黙知を解説する著書。A5判、275頁。 佐伯照道ほか『有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行』清文社(2015年2月)……ベテラン・中堅弁護士による、「訴訟経験の浅い若手弁護士や、その卵である司法修習生、法科大学院生に対し、日本の民事裁判においてどうすれば裁判官の心証を依頼者にとって最大限有利に形成してもらうことができるのかを、できる限り普遍的・客観的視点にて解説し、もって、若手弁護士の訴訟技術の向上を図ることを目的」(はしがき)とした著書。供述の信用性をどう判断するかという民事事実認定の参考書としても使える。A5判、240頁。 中村直人『訴訟の心得-円滑な訴訟進行のために』中央経済社(2015年2月)……著名なビジネス弁護士が、企業の代理人を担当する弁護士を想定に訴訟の心得を説いた本。A5判、180頁。 升田純『実戦 民事訴訟の実務 ─必修知識から勝つための訴訟戦略まで─』民事法研究会(2015年7月・第5版)……A5判、621頁。 ☆原秋彦『法律実務家が知っておきたい作法』商事法務(2015年10月)……ベテラン弁護士が「比較的経験年数の少ない若手の企業関連の法律実務家を中心的な読者対象(はしがき)」として書いた論考。雑誌NBL連載の単行本化。面談、資料収集整理から法務文書の起案、用語法、引用作法、法務リサーチ、契約書案の起案、周辺専門家、海外弁護士との共働まで多彩な内容を含む。文章内にたびたび英単語が挿入されているのはご愛敬。 (書式) 裁判所書記官研修所監修『書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究』法曹会(2010年2月・補訂版)……実務家必携の和解条項例集。法曹会のHPには在庫表示がないが、同会から直販できるので、電話して購入するとよい。 ☆田中豊『和解交渉と条項作成の実務―問題の考え方と実務対応の心構え・技術・留意点』学陽書房(2014年12月)……和解条項作成の注意点のみならず和解交渉の手法(裁判官、当事者代理人双方)についても論じられている。A5判、272頁。 星野雅紀編『和解・調停モデル文例集』新日本法規出版(2011年2月・改訂増補3版)……和解・調停条項例集。 新保義隆・栗原由紀子『訴訟上の和解モデル文例100』三協法規出版(2012年2月・改訂版)……和解条項例集。 大島明『書式 民事訴訟の実務 ―訴え提起から訴訟終了までの書式と理論』民事法研究会(2012年5月・全訂9版)……A5判、620頁。 法曹会編『民事判決書集』法曹会(1981年11月)……民事判決書の記載例集。 塚原朋一編『事例と解説民事裁判の主文』新日本法規出版(2006年3月)……裁判主文例集。 神崎満治郎『判決による登記の実務と理論』テイハン(2001年4月・改訂)……不動産登記関連の主文例掲載。 青山正明編著『民事訴訟と不動産登記一問一答』テイハン(2008年12月・新訂)……不動産登記関連の主文例掲載。新不動産登記法に対応。 【刑事実務】 〔刑訴法実務書〕 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……普通に基本書として使われることもある。A5判、1510頁。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。ほぼここにしか書かれていない論点が出題されたこともある(平成23年度刑訴の準現行犯逮捕)。 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月,2013年1月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。上記令状基本問題の実質的な後継本。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・5版)……元裁判官による実務所。証拠法の分野では他の追随を許さない。実務家必携本。A5判、600頁。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2013年4月・平成24年版)……司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。予備試験の刑事実務や口述対策に役立つという声もある。A4判、238頁。 法曹会編『刑事裁判書集上下』法曹会(1984年3月,1985年5月)……刑事裁判書事例集 小林充『刑事控訴審の手続及び判決書の実際』法曹会(2000年6月)……元裁判官による控訴審判決書作成マニュアル書。控訴審弁護人にとっても有用。A5判、204頁。 石井一正『刑事控訴審の理論と実務』判例タイムズ社(2010年5月)……元裁判官による刑事控訴審実務書。A5判、496頁。 門野博『裁判員裁判への架け橋-刑事裁判ノート』判例タイムズ社(2012年10月)……元裁判官が自身が担当した高裁刑事事件について解説したケースブック(裁判例も収録)。判例タイムズ連載に、布川事件、少年事件編を追補して単行本化したもの。裁判官志望者は必読。 虎井寧夫『令状審査・事実認定・量刑-刑事裁判官の思索と実践』日本評論社(2013年9月)……元刑事裁判官が簡裁裁判官の研修用にまとめた令状審査、事実認定、量刑に関するQ A集。とくに令状審査に関する文献はあまりないだけに貴重。任官希望者はもちろん刑事弁護人志望者にも役立つだろう。A5判、340頁。 ☆佐藤嘉彦『刑事裁判覚書-裁かば裁かれん 念ずれば花ひらく』成文堂(2014年3月)……同志社ロー教授(元裁判官)による刑事論文集。第1章・事実認定論、第2章・量刑論が読みどころ。古今東西の文献を参照しつつ自らの裁判経験に基づく事実認定論、刑の量定論を展開しており参考になるし、読み物としておもしろい。A5判、328頁。 裁判所職員総合研修所 監修『刑事実務(公判準備等) 講義』司法協会(2012年5月・4訂補訂版)……B5判、450頁(本文431頁)。 三好一幸『略式手続の理論と手続』『簡易裁判所における刑事公判の理論と実務』☆『令状審査の理論と実務』司法協会(2012年9月、2013年9月、2014年4月)……簡裁判事による刑事手続マニュアル本。 前田雅英 編、青木英憲・藤井俊郎・丸山哲巳・峰 ひろみ 著『刑事訴訟実務の基礎』弘文堂(2013年3月・第2版)……A5判、520頁。 司法研修所刑事裁判教官室『プラクティス刑事裁判』法曹会(2015年6月)……本書は、司法研修所の教材として用いられている「プラクティス刑事裁判」とその別冊を合冊したもの。これらの教材は、「当事者及び裁判所は、公判前整理手続においてどのように争点及び証拠を整理し、公判手続において何をなすべきなのだろうか。本書は、これからの司法を担う修習生に、これらの点を考えてもらうために作成したものである。」(「はしがき」より)というコンセプトのもと、司法修習生に提供されているもの。A4判、168頁。 〔刑事事実認定〕 石井一正『刑事事実認定入門』判例タイムズ社(2015年7月・第3版)……(元)刑事裁判官による刑事事実認定テキスト。この分野において最初に読むべき本であろう。A5判、181頁(本文170頁)。 木谷明編著『刑事事実認定の基本問題』成文堂(2010年5月・第2版)……木谷古稀記念。刑事事実認定の基本テーマ15題を解説。 小林充・香城敏麿編『刑事事実認定上下』判例タイムズ社(1992年9月,1992年11月)…… 小林充・植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選 上巻・下巻』立花書房(☆2013年10月・第2版)……判例タイムズ社の方が改訂されないまま古くなったので、現在は、こちらが代表格である。重要論点に関する重要判例を多数収録しており、そこにおける判例の準則やあてはめの指針を見極める上で、非常に有益。司法試験対策にも直結するので、ロースクール生も読むべき本である。第2版では8項目追加、対象判例の変更・執筆者変更15項目(全63項目)。A5判、480頁・480頁。 大阪刑事実務研究会「事実認定の実証的研究(1)-(13)」(判例タイムズ227-322号)……刑事事実認定に関する古典的文献。 司法研修所編『自白の信用性』『情況証拠の観点から見た事実認定』『共犯者の供述の信用性』『犯人識別供述の信用性』法曹会(1991年7月,1994年5月,1996年7月,1999年6月)……刑事事実認定に関する司法研究報告書4部作。なお『自白の信用性』については、再審無罪が確定した布川事件(自白の信用性を否定)を自白の信用性を判断する一事例として掲げているという難点(http //www.hosokai.or.jp/item/annai/etc/book_use.html)がある。A5判、280頁・612頁・404頁・408頁。 最高裁判所事務総局刑事局監修『自白の任意性・信用性に関する刑事裁判例集』司法協会(1997年9月)……絶版。 守屋克彦『自白の分析と評価─自白調書の信用性の研究』勁草書房(1988年12月、OD版2005年4月)……(元)刑事裁判官による著作。A5判、394頁。 渡部保夫『無罪の発見─証拠の分析と判断基準─』勁草書房(1992年3月)……(元)刑事裁判官による著作。A5判、448頁。なお、同著者による一般人向けの著書として『刑事裁判を見る眼』岩波現代文庫(2002年8月)、『刑事裁判ものがたり』日本評論社(2014年6月)。 木谷明『刑事裁判の心』『事実認定の適正化』『刑事事実認定の理想と現実』『刑事裁判のいのち』法律文化社(2004年8月・新版,2005年7月,2009年8月,2013年8月)……元刑事裁判官による著作。調査官時代の論文、講演録、小論等からなる。いずれも冤罪防止という観点から論じられており、刑事裁判に関わる者ならば必読。A5判、296頁・310頁・252頁、四六判、180頁。 植村立郎『実践的刑事事実認定と情況証拠』立花書房(2011年12月・第2版)……刑事裁判官による著作。刑事事実認定にも要件事実的思考が有用であるとする論文及び情況証拠に関する論文からなる。改訂頻繁。A5判、216頁。なお、刑事裁判官志望者は、同著者による「実務現代刑事法(その3)・刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」(判タ1345号74頁)を読むべきであろう。A5判、216頁。 原田國男『逆転無罪の事実認定』勁草書房(2012年7月)……量刑法の第一人者である元刑事裁判官が、自身が担当した控訴審で逆転無罪となった16件の判決文とその解説をまとめた書。A5判、264頁。 〔刑事弁護〕 大木孝『和光だより-刑事弁護教官奮闘記』現代人文社(2010年10月)……刑事弁護教官が横浜弁護士会のメーリングリストに寄稿した「和光だより」を書籍化したもの。司法研修所の刑事弁護科目に関する解説内容が充実しておりとても参考になる。修習前に読んでおくことを強くお薦めする。 佐藤博史『刑事弁護の技術と倫理─刑事弁護の心・技・体』有斐閣(2007年5月)……刑法学者藤木英雄の元助手である弁護士による著書。刑事弁護のスピリットを伝える。A5判、410頁。 『刑事弁護ビギナーズ』現代人文社(2014年9月・Ver.2)……季刊刑事弁護増刊。刑事弁護のいろはを学ぶ本。実務家になったら、最初に参照する本。 大出良知・高田昭正・神山啓志・坂根真也編『新版 刑事弁護』現代人文社(2009年10月)…… 三木祥史『Q A類型別刑事弁護の実務』新日本法規出版(2010年3月・改訂)……元刑事弁護教官による著書。A5判、638頁。 東京弁護士会刑事弁護委員会編『実践刑事弁護当番弁護士編』現代人文社(2010年6月・新版補訂版)、同『国選弁護編』現代人文社(2011年12月・新版2版)……東京における刑事実務の運用につき詳しく載っている。 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『国選弁護活動の手引き 上訴審編』第一東京弁護士会(2013年7月・改訂版)……上訴審国選弁護のマニュアル本。 東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『刑事弁護マニュアル』ぎょうせい(2012年3月・全訂)……犯罪被害者への対応、外国人・少年事件の弁護など、効果的な弁護を実現するための留意点を随所に解説。A5判、頁。 山内久光『Q A刑事弁護の理論と実践-実務における基本的思想』日本加除出版(2012年10月)……元刑事弁護教官である弁護士が公判前整理手続・裁判員裁判時代における刑事弁護の標準を明らかにした著書。刑事弁護人であれば必読。A5判、404頁。 宮村啓太『事例に学ぶ刑事弁護入門-弁護方針完結の思考と実務』民事法研究会(2012年10月)……「最善努力義務」を果たすための思考とノウハウを書式等豊富な資料を織り込み平易に解説。A5判、216頁。 荒木和男ほか編著『はじめての刑事弁護Q A実務書式58』青林書院(2013年5月)……東弁刑事弁護委員会の有志によるQ A+書式集。A5判、392頁。 日本弁護士連合会編『法廷弁護技術』日本評論社(2009年3月・第2版)……裁判員制度をふまえた日弁連公式の弁護技術テキスト。修習生以上なら必携。しかし、著者は、おおむね修習所教官と世界観を異にしている。A5判、308頁。 日本弁護士連合会編『裁判員裁判における弁護活動─思想と戦略』日本評論社(2009年1月)……上記「法廷弁護技術」の続編。自由と正義連載の単行本化。公判前整理手続についての解説は特に詳しく、「証拠開示の最前線」と題する章は司法試験受験生にも役立つだろう。修習生以上必携。A5判、244頁。 丹治初彦・編、丸田隆・春日勉・斎藤司・著『保釈-理論と実務』法律文化社(2013年7月)……保釈実務に関する記載が詳しい。罪名ごとの保釈金額調査表が載っている。A5判、210頁。 櫻井光政『刑事弁護プラクティス-新人弁護士養成日記』現代人文社(2013年9月)……雑誌季刊刑事弁護連載の単行本化。実際の刑事弁護事件の事例が豊富であり、その事件処理についてはとても参考になる。修習生・刑事弁護士必読。 後藤 昭・高野 隆・岡 慎一 編著『実務体系 現代の刑事弁護 第1巻 弁護人の役割・第2巻 刑事弁護の現代的課題〔全2巻〕』第一法規(2013年9月)……A5判、434頁・472頁。 ☆『刑事弁護フロンティア 季刊刑事弁護新人賞全作品(2004-2015)』現代人文社(2015年9月)……季刊刑事弁護新人賞の歴代の最優秀賞、優秀賞、特別賞の受賞作品(レポート)をまとめたもの。修習生・刑事弁護士必読。 〔裁判員裁判・公判前整理手続〕 司法研修所編『裁判員裁判における第一審の判決書及び控訴審の在り方』法曹会(2009年4月)……平成19年度司法研究報告書。A5判、142頁。なお、控訴審の運用については、東京高等裁判所刑事部陪席裁判官研究会(つばさ会)「裁判員制度の下における控訴審の在り方について」(判タ1288号5頁)、東京高等裁判所刑事部部総括裁判官研究会「控訴審における裁判員制度の審査の在り方」(判タ1296号5頁)もチェックすべし。 司法研修所編『裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方』法曹会(2008年4月)……平成18年度司法研究報告書。A5判、352頁。 司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』法曹会(2009年4月)……司法研究報告書。「裁判員に分かりやすい審理の実現のために、専門用語の平易化という道を選ぶのではなく、各用語・法律概念の本当に意味するところを、刑事法に関するこれまでの研究成果と裁判例を分析することによって検討し、これを裁判員に伝えるための説明方法を考えようとする」司法研究。A5判、304頁。 〔量刑理論〕 原田國男『量刑判断の実際』立花書房(2008年11月・第3版)、『裁判員裁判と量刑法』成文堂(2011年11月)……量刑研究の第一人者である刑事裁判官による二部作。『実際』に収録されている論文はいずれも重要文献だが、とくに「量刑基準と量刑事情」、「量刑判断の実際」は、刑事裁判における標準的な量刑実務を解説したものであり、修習生ならば必読である。A5判、448頁。 大阪刑事実務研究会編『量刑実務大系(全5巻)』判例タイムズ社(I・2011年9月、II・2011年10月、III・2011年11月、IV・2011年12月、V・2013年7月)……判例タイムズに連載された実務家・研究者による共同研究「量刑に関する諸問題」(判例タイムズ1183号-1325号・全26回)を単行本化したもの。第5巻は裁判員裁判該当罪種のうち代表的なものについて、当該罪種において特に重視すべき量刑因子についての類型的研究で書き下ろしで判例を収録したCD-ROM付き (第1巻『量刑総論』、第2巻『犯情等に関する諸問題』、第3巻『一般情状等に関する諸問題』、第4巻『刑の選択・量刑手続』、第5巻『主要犯罪類型の量刑』)。A5判、416頁・376頁・448頁・320頁・352頁。 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『量刑調査報告集』第一東京弁護士会(I・2000年8月、II・2008年8月、III・2010年4月、量刑不当破棄編・2011年3月、☆IV・2015年3月)……一弁の「国選弁護結果報告書」を基礎資料として、罪名ごとに量刑その他の関連情報を集めた資料集(現時点で4冊+量刑不当破棄編1冊)。量刑不当破棄編は上訴審における量刑不当による破棄自判事例を集めたもの。刑事弁護人ならば必携。一般書店では市販されていないが、弁護士会館ブックセンターや至誠堂書店などで購入可能。 日本弁護士連合会裁判員本部編『裁判員裁判の量刑』現代人文社(2012年5月)……裁判員裁判における量刑データ集。 司法研修所編『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』法曹会(2012年10月)……司法研究報告書。裁判員裁判に相応しい量刑評議の在り方、判決書の在り方、審理・公判前整理手続の在り方についての考察。第4章、量刑事情の考慮の在り方は、様々な量刑事情の意義を検討していて興味深い。A5判、300頁。 【法廷技術】 〔法廷技術〕 スティーヴン・ルベット著、菅原郁夫・小田敬美・岡田悦典訳『現代アメリカ法廷技術』慈学社(2009年4月)……米国の法廷技術指南書の邦訳。陪審裁判を念頭においた法廷技術であるため、尋問技法のみならずプレゼンテーション技法まで解説が及んでいるのが特徴。日本の裁判においても参考になるだろう。 八幡紕芦史、辻孝司、遠山大輔『入門法廷戦略-戦略的法廷プレゼンテーションの理論と技術』現代人文社(2009年12月)……裁判員裁判におけるプレゼン技法を題材とした(つまり、法律論ではない)、おそらく本邦初の本。著者は弁護士とプレゼンの専門家。 『DVDで学ぶ裁判員裁判のための法廷技術(基礎編)1-3巻』現代人文社(2011年2月、2013年2月、2014年2月)……法廷技術をテーマとしたDVD教材。 社(2000年3月)……英米の弁護士資格を有する著者による尋問技法マニュアル。原著:Keith Evans, "The Golden Rules of Advocacy" なお、同書には実質的な改訂版("Common Sense Rules of Advocacy for Lawyers")が出ており、「書面における弁護技法」や「ハイテク時代における弁護技術」などの章が追補され、合計100個のルールが掲載されているので、購入するなら後者がおすすめである。 フランシス・L・ウェルマン著、林勝郎訳『反対尋問の技術上下』青甲社(1973年2月,1973年6月)、梅田昌志郎訳『反対尋問』旺文社文庫(1979年10月、本書は電子書籍化されている。)……反対尋問実例集。古典。※両方とも原著:Francis L. Wellman "The Art of Cross Examination" は同じ。 ダイヤモンドルール研究会ワーキンググループ編著『実践!刑事証人尋問技術―事例から学ぶ尋問のダイヤモンドルール』現代人文社(2009年4月)……季刊刑事弁護への連載の単行本化。実際の刑事裁判を題材に仮想尋問失敗例と実例を対比しており実践的で参考になる。 大阪刑事実務研究会「証人尋問,被告人質問に関する諸問題」(判例タイムズ1318-1322号、全7回)……関西の刑事裁判官による共同研究。公判前整理手続・裁判員裁判を念頭においた証人尋問・被告人質問についての論点総まとめ。 大阪弁護士会刑事弁護委員会公判弁護実務部会『実践!刑事弁護異議マニュアル』現代人文社(2011年11月)……刑事公判における異議について網羅的に解説したマニュアル本。巻末付録の「尋問における異議申立一覧カード」は役に立つ。 大塚武一『30問30答 証人尋問ノート』東京図書出版(☆2014年10月・第2版)……ベテラン弁護士による新人弁護士向けの証人尋問指南書。とはいえ小手先のテクニック集ではなく、尋問を成功させるには丁寧な下準備が必要であるとされている。2版では20カ所以上を加筆・補正し、証人尋問実例に反対尋問の構造を付した(はしがき)。 〔供述心理〕 菊野春雄『嘘をつく記憶―目撃・自白・証言のメカニズム』講談社選書メチエ(2000年1月) 浜田寿美男『自白の心理学』岩波新書(2001年3月)、『<うそ>を見抜く心理学』NHKブックス(2002年3月)、『取調室の心理学』平凡社新書(2004年5月)……冤罪事件に積極的に関わっている心理学者による著作。供述調書の変遷等から供述の信用性を判断する供述分析を提唱。『自白の研究―取調べる者と取調べられる者の心的構図』北大路書房(2005年7月・新版)は大著。 高木光太郎『証言の心理学─記憶を信じる、記憶を疑う』中公新書(2006年5月)……自白の信用性判断につき浜田の供述分析と異なるアプローチを提唱。 エリザベス・F・ロフタス著、西本武彦訳『目撃者の証言』誠信書房(1987年9月)……目撃者証言の信憑性の乏しさについての心理学者による古典的文献。キャサリン・ケッチャムとの共著『目撃証言』岩波書店(2000年3月)は一般向けなので読みやすい。 ギスリー・グッドジョンソン著、庭山英雄・渡部保夫・浜田寿美男・村岡啓一・高野隆訳『取調べ・自白・証言の心理学』酒井書店(1994年9月) 渡部保夫監修『目撃証言の研究―法と心理学の架け橋をもとめて』北大路書房(2001年3月) 厳島行雄・仲真紀子・原聡『目撃証言の心理学』北大路書房(2003年8月) 法と心理学会・目撃ガイドライン作成委員会編『目撃供述・識別手続に関するガイドライン』現代人文社(2005年10月) ブライアン・L・カトラー著、浅井千絵・菅原郁夫訳『目撃証人への反対尋問─証言心理学からのアプローチ』北大路書房(2007年8月) 【法曹倫理】 小島武司・田中成明・伊藤眞・加藤新太郎編『法曹倫理』有斐閣(2006年11月・第2版)……法科大学院において「法曹倫理」を体系的に教育するという、初の試みに資するために刊行されたテキスト。第2版において、「弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)」の制定、関連法令の改正等にあわせ内容が改められた。B5変型判、436頁。 塚原英治・宮川光治・宮澤節生編著『プロブレムブック法曹の倫理と責任』現代人文社(2007年3月・第2版)…… 高中正彦『法曹倫理』民事法研究会(2013年4月)……同著者の『法曹倫理講義』の実質的な改訂版。200ケースにつきQ A形式で法曹倫理について解説。裁判官倫理・検察官倫理についても載っている。A5判、457頁。 森際康友編『法曹の倫理』名古屋大学出版会(☆2015年4月・第2.1版)……実務家執筆箇所は読みやすいが、法哲学者である編者の執筆箇所は、はっきりいって意味不明な箇所も多い。A5判、426頁。 小島武司・柏木俊彦・小山稔編『テキストブック現代の法曹倫理』法律文化社(2007年9月)……法科大学院の法曹養成教育において必修科目として位置づけられている「法曹倫理」の実践的・意欲的テキスト。A5判、310頁。 日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著『解説・弁護士職務基本規程』日本弁護士連合会(2012年3月・第2版)……日弁連公式の弁護士職務基本規程の逐条解説。B5判、204頁。 東京三会有志・弁護士倫理実務研究会・編著『弁護士倫理の理論と実務-事例で考える弁護士職務基本規程』日本加除出版(☆2013年11月・改訂)……弁護士倫理研修用テキスト。A5判、304頁。 日本弁護士連合会弁護士倫理に関する委員会編『注釈弁護士倫理(全弁協叢書)』有斐閣(1996年3月・補訂版、OD版2002年4月)……日弁連公式の旧弁護士倫理の逐条解説。弁護士が職務にあたり、とるべき行動の基準を示した倫理規定の注釈書。95年に改訂された「報酬等基準規定」の改正を織り込む。A5判、288頁。 飯島澄雄・飯島純子『弁護士心得帖(1060の懲戒事例が教える)』レクシスネクシス・ジャパン(2013年1月)……弁護士会の懲戒事例集。同著者による『弁護士倫理─642の懲戒事例から学ぶ10か条』の増補版。弁護士志望者なら必読。 田中宏『弁護士のマインド-法曹倫理ノート』弘文堂(2009年10月)……弁護士による弁護士倫理テキスト。読み物としてもおもしろい。ただし企業内弁護士、弁護士広告といった最近のトピックには言及されていないので注意。四六判、432頁。 平沼高明法律事務所編『弁護士のためのリスクマネジメント-事例にみる弁護過誤』第一法規(2011年7月)……弁護士にまつわる紛争民事裁判例を題材に解説をくわえたもの。懲戒事例を集めた類書はあるが、民事裁判例を素材としている点が目新しい。紛争予防のためのKey Pointを付しているのが特徴。 高中正彦『判例弁護過誤』弘文堂(2011年7月)……弁護過誤(や弁護士業)にまつわる公刊裁判例を、類型毎に分類し「事案の概要」、「判決結果」、「判決要旨」、「コメント」を付したもの。上記『リスクマネジメント』と同様、公刊民事裁判例を素材としている。弁護過誤の防止策7か条をまとめており、参考になる。A5判、384頁。 加藤新太郎編『ゼミナール裁判官論』第一法規(2004年6月)……裁判官倫理から裁判官のストレス解消法まで。任官希望者必読。A5判、308頁。 瀬木比呂志『民事訴訟実務と制度の焦点』判例タイムズ社(2006年6月)、☆『法曹制度・法曹倫理入門』判例タイムズ社(2011年7月)……ベテラン裁判官による法曹制度についての提言、後輩へのアドバイス等を含む。上記『入門』は上記『焦点』の法曹制度等のパートを概説したもの。任官希望者必読。 日本弁護士連合会倒産法制等検討委員会・編『倒産処理と弁護士倫理』きんざい(2013年7月)……倒産処理にまつわる弁護士倫理問題について検討。弁護士必携。A5判、368頁。 髙中正彦ほか編著『弁護士の失敗学 冷や汗が成功への鍵』ぎょうせい(2014年7月)……弁護士業務にまつわるヒヤリ・ハット事案、懲戒事案を題材に失敗の防止法を考えるための著書。弁護士必携。A5判、頁。 ☆宮澤里美『弁護士倫理の勘所 ~信頼される弁護士であるために~』第一法規(2015年3月)……七五調の格言・標語でわかりやすく弁護士倫理を説く。弁護士(岡口)必携。A5判、248頁。 〔アメリカの法曹倫理〕 藤倉皓一郎監修、日本弁護士連合会訳『〔完全対訳〕ABA法律家職務模範規則』第一法規(2006年8月)……アメリカ法曹協会の法律家職務模範規則(Model Rules of Professional Conduct)2004年版の対訳。B5判、300頁。 ☆ロナルド・D・ロタンダ著、当山尚幸ほか訳『アメリカの法曹倫理 事例解説』彩流社(2015年4月・第4版)……米国の法曹倫理テキスト、ABA法律家職務模範規則の解説書を邦訳したもの。A5判、391頁。原著:"Legal Ethics In A Nutshell Fourth edition"
https://w.atwiki.jp/annai/pages/23.html
〔平成19年改正対応〕 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……第5版から横書き・脚注付きに変更。第3版まではコンパクトな記述が特徴だったが、現在では通常の教科書と変わらない厚さになっている。理論的な深みはなく論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説しているという意味で(受験的)良書である。判例の引用数も多い。試験頻出の論点についても記述が薄いため、本書を基本書として利用する場合は判例集や演習書での勉強が特に重要となる。旧司法試験の頃から変わらずシェアNo.1の基本書である。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2012年2月・第4版)……ほぼ全面的に捜査実務を肯定する立場。国民全体の利益を最大化する刑事訴訟法解釈という独自の視点で書かれている。判例を豊富に取り上げているため初学者が手を出しやすいが、実は判例の分析も独自色が強く荒っぽいため、本書の記述を「判例」と考えて依拠するのはやや危険ではある。 ☆白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2010年10月・第6版)……田宮孫弟子。平易な記述でコンパクトにまとめてある。判例や法解釈について的確に検討しているほか、刑事訴訟法の運用の歴史や実務の現状についての記述が比較的充実している。自説は徹底して被疑者寄りだが、判例・通説・実務の現状や原理原則をしっかり踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。田宮とは相性が良い。 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2010年12月・第2版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したことを明言している。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述。確実に理解する方法を示す。碩学が受験生向けに基礎からみっちり説いた親切な本である。田口に不満を覚える学生を中心に、近時シェアを伸ばしつつある。他に『有斐閣Sシリーズ』(2006年4月)有斐閣、『基礎演習刑事訴訟法』有斐閣(1996年4月) ☆総研『刑事訴訟法講義案』司法協会(2011年5月・4訂版)……裁判所職員総合研修所監修。実務寄り。条文、定義、手続を淡々と説明。証拠法には定評があるが、捜査が薄い(3訂版)。4訂版は評価待ち。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法』有斐閣アルマ(2008年4月・第3版)……基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめている。記述が平板なので本書のみでの理解は困難だが、最初の一冊として最適。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりも良い。近時シェアを伸ばしてきている。現在改訂作業中(2012年秋発売予定とのこと)。 ☆渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2011年3月・補訂版)……刑事弁護士による司法試験受験生向けの本。基本事項・重要論点の解説・系統立てが丁寧で、人気が出始めている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのが吉。重要論点を摘出して解説したものとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・2版)。田口と同門(西原門下)。 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19)」(法学教室連載・283号~306号)……東大系(松尾弟子)・京大教授・司法試験考査委員。捜査法・訴因論の重要論点について近時の理論を学生向けに説明。「酒巻連載」と呼ばれ受験生に広まりつつある。証拠法は殆どない。各回の目次など→酒巻連載 〔マイナー・平成19年改正対応〕 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2008年12月・第2版)……「学者の書いた予備校本」との評価と、「理論的でアカデミック」との評価が混在している。論点・学説が豊富に取り上げられている。また、他の基本書においてはあまり取り上げられる事のない論点やその意義について、生徒と教授という設定でダイアローグ演習形式によって詳しく解説しているのが特徴である。取調べ受認義務についての記述は難解(一般的には肯定説といわれるものを否定説としている)。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2009年5月・第4版)……非常にわかりやく、よみやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ等に定評がある。またバランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすくはある。以下、著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2009年4 月・第6版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2・第2版月)『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2009年6月) 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…反実務説・反多数説を求めるならば渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系・用語法および文章が難解なため普通の受験生には不向きだが、司法試験合格後などに是非読んでおきたい名著。 安富潔『刑事訴訟法』三省堂(2009年1月)……文字どおり研究者が書いたシケタイ。B5サイズで1冊で判例もカバーするというコンセプトまで同じ。情報量が多いため辞書として使用できるが(はしがきによれば、修習生や若手弁護士も読者として意識しているとのこと)、初学者には不向き。増刷の際に改訂頻繁。著者は他にも演習書の著書多数あり。概説書として『刑事訴訟法講義』慶應大学出版会(2007年6月) ☆平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』の改訂版ではなく全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習向けテキスト。旧著よりもページ数がグッと減ったが内容の密度は増した。ついでに文字のポイントの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)……総研との組合せで用いると良いとの声あり)。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という志の低い帯がついている。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2009年4月)……元最高検検事による教科書。自説が強すぎて試験には使いづらい。 〔その他参考書〕 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』(創文社、7訂版、1967年)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は実務家に広く受け容れられるところとなり、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今なお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なりもはや学界で支持されることは殆どないが、平野説と並び、殆どの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献であることに間違いはない、名著。 平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月・民訴と並び有名であり、かつ人気のある一冊。きわめてアメリカ寄りの体系に立って團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の出発点となった。團藤・上掲書と並び称される名著である。訴因論などは今でも一読の価値があるだろう。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合にはより詳細な全集を読むべきであろう。 松尾浩也『刑事訴訟法上下』弘文堂(上1999年11月・新版,下1999年3月・新版補正2版☆下巻は改訂中)……東大の指定教科書。2冊組。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからも伺える通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、また、アメリカ寄りにもなっておらず、本書の内容は日本の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに、ぐるぐるとらせん状に手続過程をたどっていくかたちになっている。網羅的で記述にムラがないが、その分、いわゆる重要論点も相対的に薄くなっている。文章は客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられて書かれているため、うかつに早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、近年孤立を深めていく田宮と違い、新判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11および松尾上261頁以下を見よ)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的にもっとも頼れる基本書は今なお本書であると言え、まだまだ現役で使える。2004年までの法・規則改正に関する補遺は弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴だが、本書では教科書という特性からわが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務からかい離している訳ではない。著者が1999年に他界しているため、平成12年以降の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典としての性格を強めつつある。もっとも、2009年度新司1位合格者もアルマ刑訴の副読本として利用しているなど、根強い人気があるのも確か。 光藤景皎『刑事訴訟法I』『口述刑事訴訟法中、下』(2007年5月,2005年4月・補訂版,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、詳しくなりすぎたため、上は「刑事訴訟法I」として改訂。中・下の改訂・合本は今のところ未定。旧試時代から証拠法分野には定評がある。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。 石丸俊彦『刑事訴訟法』成文堂(1992年5月)……裁判官出身。判例ベースで判例引用多数。全体の半分弱を証拠関係が占める。 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。 平野龍一=鬼塚 賢太郎=森岡茂=松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野龍一がハーバード留学の折りにあちらの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習本としての機能も備えている。そもそも読み物としても面白い。出版されてから大分経つが今なお亀井源太郎教授等が参考書として挙げている。 「刑訴三昧」……井上正仁教授の東大での講義が(無断)録音され講義録として出回った物。400頁に及び、刑訴全体が網羅されている。稀にインターネット上にアップロードされるのを見かけるが、今となっては内容は古い。 (刑訴法実務書) ☆石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。石丸、川上らの影響により、早稲田ローには本書を愛読する学生がちらほらいる。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月~08)……一行問題~簡単な事例問題。かつて司法試験・二回試験のタネ本といわれていた。捜査法など、新判例・法改正によって古くなってしまった部分も多々あるが、実務家の考え方を知ることの出来る良書。改訂の噂あり。 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。 ☆石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 ☆司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)…司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。 〔入門書〕 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2008年9月・第5版)……元検察官の著者による入門書。197条から国民の捜査協力義務を導くなどたまに独特な記述もあるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調でわかりやすい。書式が豊富。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法』有斐閣S(2006年4月・第4版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。しかし、コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすくはない。 小林充『刑事訴訟法』立花書房(2009年4月・新訂版)……元刑事裁判官。 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2010年5月・第5版)……入門書の定番。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月) 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。 総研『刑事訴訟法概説』司法協会(2011年5月・3訂補訂版) 〔コンメンタール〕 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版)……実務必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で執筆しているのが特徴(そのため実務の現状を肯定する記述がほとんどである)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略しており、文字ポイントも小さいため情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を、丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、価格の安い新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が第一に参照するのは本書であろう。受験生が使うには、価格の面で新基本法コンメンタールの方に分がある。 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2011年7月)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。最高裁の刑事局課長も執筆者として重要条文を解説している。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計10箇所。全て弁護人の立場からの提言)。平成22年までの法改正に対応、平成23年改正については改正条文(案)を掲示。『条解』に比べ、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。本書においては『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられるが、これは本書(及び『条解』)が刑裁教官室、検察教官室の事実上の公式見解であることに由来すると思われる。 後藤昭・白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』(2010年7月)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。1184頁で条解(1272頁)の3分の1の価格が最大の売り。 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮先生が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となっては流石に古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。 〔判例集〕 ☆井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされており,解説まで読み込むべきである。 ☆三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2011年2月・第4版)……圧倒的掲載量。解説なし。 〔ケースブック〕 井上正仁他『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2009年9月・第3版)……設問は難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2008年4月・第2版) 加藤克佳他編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版) 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年9月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケースブックである。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~不定期連載)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。 〔演習〕 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2010年3月)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとんどの設問で事案が判例そのままとなっているため、実戦訓練にはやや物足りないだろう。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法』有斐閣(2005年7月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題の類が多く問題集というよりも論点集に近いが、東大系の主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。一時期増刷されなくなりプレミアがついていたが、1年余りの停止期間を経て再度増刷された。改訂の噂有り。 井田良=田口守一=植村立郎=河村博『事例研究刑事法2』(2010年9月)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣がかなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少なめだが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーできる。上記の特徴を有する『演習刑事訴訟法』と比べると、本書の方がより実践的と言えるが、長文事例問題集というよりは中文事例問題集とでも言うべき水準で,別の言い方をすれば、ロースクールの期末試験には出題されそうだが、司法試験には出題されそうにないといった類の問題が多い。編著者に東大系の学者がおらず解説も玉石混淆であるが、実務家の解説は実践的で役に立つ。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版だったがオンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない部分もある。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習本。条文・判例を重視した手堅い解釈論は非常に参考になる。 ☆古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』有斐閣(2011年2月)……法学教室の連載の単行本化。3問をプラスし、学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるほか、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、その意味でも参考になる。実務家(検察官)出身ではあるが、実務追認というわけではなく、近時の判例を踏まえているのはもちろんのこと、学界の動向(とくに東大系学者の最新知見)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めてある。主要論点をあまねく網羅しているわけではないものの、概ね重要論点はカバーしており、論点勉強としてもなかなか使える。
https://w.atwiki.jp/kihonshobackup/pages/42.html
【要件事実】 〔受験生向け〕 司法研修所編『新問題研究要件事実』法曹会(2011年9月)……通称「問研」。「類型別」の導入に作成された、司法研修所公式入門書。要件事実は、この本から学習を始めるべきである。なお、予備試験の要件事実問対策としては、サンプル問題,第1回ともに民法・民訴以外に本書程度の知識があれば十分である。新版で13問になり、貸借型契約において返還時期(弁済期)の合意を契約の成立要件としない立場に改説した。A5判、176頁。 司法研修所編『紛争類型別の要件事実』法曹会(2006年9月・改訂)……通称「類型別」。もともとは下記「1巻・2巻」の導入のために作成された、司法研修所の民事裁判教官室が修習生に要求する水準を示す、要件事実のスタンダードテキストであった。しかし、現在では、「1巻・2巻」が読まれなくなり、教科書としても大島眞一『民事裁判実務の基礎』のような優れた書籍が現れたため、本書の利用価値は大きく減っている。初心者にとっては、具体的な書き方を示しているわけでもないので、使い勝手が悪く、中級者にとっても、前述の大島などより優れた書籍があるので使いどころを見出し難い。さらに、賃借型契約が旧説のままであるので、ますます使い勝手が悪い。優れている点を探すとすれば、薄く持ち運びが容易なことくらいではないか。A5判、168頁。 和田吉弘『民事訴訟法から考える要件事実』商事法務(2013年8月・第2版)……定番書。要件事実論の考え方について民事訴訟法の観点を重視しながら概説。A5判、216頁。 岡口基一『要件事実入門』『同(初級者編)』創耕舎(2014年9月、2015年5月)……現役裁判官による要件事実の入門書。前者は、ロースクール生及び司法試験受験生向けに、後者は、予備試験受験生向けに書かれたものである。「問研」には理論的な説明が乏しいという問題意識に基づき、「要件事実」と「主要事実」の違いや、法規不適用の原則など、要件事実論の基本について、「なぜそうなるのか」という理論的背景を明らかにしつつ、丁寧に筋道立てて説明している。前者の巻末には司法試験の過去問の解説が、後者の巻末には予備試験の過去問の解説がそれぞれ掲載されていることも、受験生にとってはありがたい。A5判、206頁・A5判、118頁。 ☆大島眞一『新版・完全講義民事裁判実務の基礎[入門編]]─要件事実・事実認定・法曹倫理─』民事法研究会(2015年12月)……法科大学院生・司法試験予備試験生に向けてわかりやすさを追究した解説。訴訟構造・訴訟物を理解し、要件事実・事実認定の基礎知識を学び、法曹倫理の重要ポイントまで解説した実践講義。民法改正法案にも対応。A5判、566頁。(評価待ち。) 大島眞一『完全講義 民事裁判実務の基礎 上・下』民事法研究会(2013年5月・第2版)……元神戸ロー派遣裁判官による要件事実および事実認定の教科書の改訂版。従来は一冊本だったものが、改訂版では演習問題が付いて上下巻の二分冊となった。単なるマニュアル本とは一線を画した思考過程を丁寧に追う記述が分かりやすく、情報量も充分である。読み手が行間を読まないで済むという教科書としての配慮も、行き届いている。そのため、「類型別」よりも格段に頭に入りやすく、記憶に残りやすい。上巻は、試験本番までに是非読んでおきたい。なお、本文の内容は司法研修所の見解に忠実であるが、コラムでは反対説を唱えている点もあるところが興味深い。A5判、583頁・412頁。 大江忠『ゼミナール要件事実』『同2』第一法規(2003年6月、2004年10月)……「言い分形式」による要件事実問題集。1は典型的紛争類型、2は旧司法試験の民法、民訴法問題からの出題。平成19年5月の増刷では,かなり手を加えられているので,刷数には注意すべきである。A5判、444頁・522頁。 大江忠著(法教育支援センター編)『要件事実ノート』『同・2 重要判例と要件事実論』商事法務(2007年7月、2010年1月)……類型別に完全準拠したQ A本。いわば教科書ガイド。独習用に。A5判、186頁・173頁。 〔修習生・実務家向け〕 岡口基一『要件事実マニュアル(1)-(5)』ぎょうせい(2013年9月-2014年3月・第4版)……通称「岡マ」あるいは「要マ」。現役裁判官による要件事実の辞書。ロー生にとっては、民法に関する(1),(2)巻及び会社法に関する(3)が有益であろう。その他の巻については、行政訴訟や選択科目についてどのような紛争類型が問題となるのかを知るため、目次をコピーすれば十分と思われる。A5判、第1巻:総論・民法1(民法総則、物権、債権総論)、第2巻:民法2(契約総論・各論、不法行為、親族・相続、不動産特別訴訟)、第3巻:商事・手形・執行・破産・保険・金融・知的財産、第4巻:過払金・消費者保護・行政・労働、第5巻:家事事件・人事訴訟・DV。なお、要件事実に関する質問は、著者のask.fmにて受け付けているとのことである。 岡口基一『要件事実問題集』商事法務(2016年6月・第4版)……司法研修所の「民事裁判」科目で行われていた要件事実教育を、ややレベルを落としして再現した解説書。著者いわく「アウトプット用の演習書」であり、込み入っているという意味での難しめの問題が20問収録されている。2回試験対策用に釈明や失当の設問も用意されている一方、最後の方の問題には、2回試験の出題可能性は低いとの注がある。A5判、496頁。(第4版は評価待ち。) 村田渉・山野目章夫編著『要件事実論30講』弘文堂(2012年3月・第3版)……岡マ著者の岡口裁判官いわく「インプット用の演習書」であり,第1部は要件事実論総論,第2部は設例形式の類型別解説,第3部に解答及び簡易解説の付された演習問題17問が収録されており,一冊で自己学習しやすい。A5判、624頁。(第3版は評価待ち。) 加藤新太郎・細野敦『要件事実の考え方と実務』民事法研究会(2014年11月・第3版)……司法書士向けの連載をロー生用に加筆したもの。「問研」の次に使う本であろう。A5判、402頁。 伊藤滋夫『要件事実の基礎―裁判官による法的判断の構造』有斐閣(2015年6月・新版),『要件事実・事実認定入門―裁判官の判断の仕方を考える』有斐閣(2005年4月・補訂版)……著者は元裁判官で要件事実の第一人者。ミスター司研説。『要件事実の基礎』は,後記『事実認定の基礎』と対をなし,民事判決における事実判断の構造(事実認定の基礎)と法的判断の構造(要件事実の基礎)を論じた古典的名著であるが,要件事実論総論的な記述にとどまるので,本書のみで要件事実論を習得することはむずかしい。A5判、424頁・252頁。なお、『要件事実の基礎〔新版〕』は、要件事実の実務での適正な活用を目指し、基礎理論を探求する実務に裏づけられた理論的体系書。初版(2000年12月、A5判、310頁)刊行後、約15年の学説・実務の動きを踏まえ、全面改訂(約114頁増量)された。 (『要件事実の基礎〔新版〕』については評価待ち。) 伊藤滋夫編著『要件事実講義』商事法務(2008年2月)……創価ローの要件事実教育の内容の研究発表といった趣き(要件事実講義の実況中継そのものではない)。問研(ただし旧版)と類型別のQ A集が載っている。A5判、314頁。 伊藤滋夫編著『要件事実小辞典』青林書院(2011年12月)……要件事実(ただし民事法の要件事実のみ)の用語について平易に解説した小辞典。いわゆる司研説の立場に立つ。要件事実特有のテクニカルタームを理解するために。四六判、312頁。 伊藤滋夫・山崎敏彦編著『ケースブック要件事実・事実認定』有斐閣(2005年12月・第2版)……主張整理に加えて事実の摘示および評価を問う演習書。新司法試験の民法の論文問題との整合性が高いという意見もある。独習もできるが、解説なし・ヒントのみ掲載の練習問題が豊富にあるので、勉強会を組んで取り組むのがよいであろう。A5判、536頁。 伊藤滋夫企画委員代表『要件事実の現在を考える』商事法務(2006年5月)……民法学の新たな動向や時代と法制度の激しい変化に的確に対応した要件事実論からの考察の試み。民法、倒産法、労働法、保険法、著作権法、租税法、ADR法など幅広い分野に関する諸論点を検討。A5判、211頁。 伊藤滋夫編『商事法の要件事実(法科大学院要件事実教育研究所報第13号)』日本評論社(2015年3月)……取締役の会社に対する責任など、一般民事法と異なる商事法の特色に着目して、研究者・実務家が要件事実論の視点から徹底して検討。A5判、272頁。 伊藤滋夫総括編集『民事要件事実講座(1)~(6)〔全6巻〕』青林書院(第1巻:2005年3月、第2巻:2005年6月、第3巻:2005年12月、第4巻:2007年3月、第5巻:2008年6月、第6巻:2010年1月)……全6巻のシリーズ中、(3)、(4)巻は民法(財産法)の要件事実を解説している。辞書。A5判、第1巻〔総論I 要件事実の基礎理論〕:408頁、第2巻〔総論II 多様な事件と要件事実〕:412頁、第3巻〔民法I 債権総論・契約〕:592頁、第4巻〔民法II 物権・不当利得・不法行為〕:484頁、第5巻〔企業活動と要件事実〕:382頁、第6巻〔民法学と要件事実論との協働〕:400頁。 新堂幸司監修・高橋宏志・加藤新太郎編『実務民事訴訟法講座(第3期)第5巻・証明責任・要件事実論』日本評論社(2012年12月)……不動産関係訴訟、動産関係訴訟、不動産登記訴訟、売買、貸借契約関係訴訟、債務不履行関係訴訟、不法行為訴訟、安全配慮義務違反関係訴訟、医療過誤訴訟、国家賠償関係訴訟、執行関係訴訟の証明責任・要件事実について解説。ただし、冒頭の「民事訴訟の現在と展望」と題する鼎談においては、過度の要件事実思考に苦言を呈する内容となっていて、興味深い。A5判、360頁。 大江忠『図解要件事実 民法総則・物権』『同債権』『同親族・相続』第一法規(2007年9月,2007年11月,2007年12月)……民法の条文ごとに要件事実をブロック・ダイアグラムで図解。同著者の要件事実民法の簡略版。辞書。B5判、民法総則・物権:308頁、債権:344頁、親族・相続:230頁。 大江忠・辻健吾『要件事実判例演習 民法債権総論』『同 民法債権各論』商事法務(2013年5月、2014年3月)……重要判例を素材に攻撃防御の構造、要件事実を解説。A5判、108頁・160頁。 大江忠『要件事実民法(1)総則』、『同(2)物権』、『同(3)担保物権』、『同(3)債権総論』、『同(4)債権各論』、『同(6)法定債権』、『同(7)親族』、『同(8)相続』第一法規(総則:2005年10月・第3版、物権:2015年4月・第4版、担保物権:2015年4月・第4版、債権総論:2005年10月・第3版、債権各論:2005年10月・第3版、法定債権:2015年10月・第4版、親族:2014年6月・第4版、相続:2014年6月・第4版)……要件事実について民法の各条ごとに、判例や学説を整理・紹介した上で、具体的事例を掲げ、原告-被告相互の証明責任を裁判の流れ(訴訟物-請求原因-抗弁-再抗弁)に沿って解説。A5判、総則:528頁、物権:528頁、担保物権:608頁、債権総論:426頁、債権各論:838頁、法定債権:512頁、親族:520頁、相続:498頁。 ☆大江忠『新債権法の要件事実』司法協会(2016年1月)……民法改正法案をもとに、その内容を簡潔に解説するとともに、主要な改正条文について、その要件事実及び主張立証責任の所在について、設例を設けて検討を加えた著書(はしがき)。 大江忠『要件事実商法』第一法規(2011年12月・第3版)……商法の要件事実について、商法の条文に沿って簡潔に整理。平成22年4月1日施行の改正商法に完全対応。A5判、608頁。 大江忠『要件事実会社法(1)~(3)』商事法務((1):2011年1月、(2):2011年12月、(3):2013年7月)……判例・学説を紹介しながら逐条的に概説した上で、実例に基づく設例を掲げ、訴訟物→請求原因→抗弁→再抗弁等を具体的に解説。A5判、(1)〔第1条~第294条〕:1060頁、(2)〔第295条~第574条〕:1336頁、(3)〔第575条~第979条〕:1550頁。 司法研修所編『増補 民事訴訟における要件事実 第1巻』法曹会(1986年10月),『民事訴訟における要件事実 第2巻』法曹会(1992年6月)……通称「1巻・2巻」。1巻は要件事実の総論の他,代理,条件,相殺,売買関係の要件事実を,2巻は賃貸借関係の要件事実をそれぞれ逐条解説している。昔は修習生必読と言われた。しかし,現在となっては,内容も古くなり,司法研修所が改説している箇所もあるため,修習生の中でも本書にまで目を通している人は稀である。したがって,司法試験受験生が本書を読む必要性は,皆無である。A5判、330頁・242頁。 坂本慶一『新要件事実論 要件事実論の生成と発展』悠々社(2011年2月)……元高裁判事が、「民法は裁判規範である」「要件事実論が前提とするもの」は何かという観点から戦前・戦後の法曹養成制度の変遷を跡づけた。要件事実論の新たな手引き。なお、本書は遺稿となった(著者は2007年に逝去)。A5判、196頁。(評価待ち。) 倉田卓次監修『要件事実の証明責任・債権総論』『同・契約法上下』西神田編集室(1986年7月,1993年12月,1998年7月)……要件事実本のさきがけといえる古典的名著。司研説の立場にとらわれることなく、著名裁判官や民事法学者が自らの要件事実論を開陳し議論をたたかわせている。上級者向け。 並木茂『要件事実原論』悠々社(2003年3月)、『要件事実論概説1 総論』『同2 時効・物権法・債権法総論他』『同 契約法』信山社(2014年12月、2010年3月、2009年4月)……元裁判官が司研説とは全く異なる独自の立場から要件事実を再構成したもの。『原論』でその体系を平易に解説。『概説1』はより本格的に要件事実総論を、『同 契約法』は契約法(民法総則含む)の要件事実を解説。『同2』は時効・物権法・債権法総論・法定債権の要件事実を解説。上級者向けの辞書。 定塚孝司『主張立証責任論の構造に関する一試論 故定塚孝司判事遺稿論集』判例タイムズ社(1992年3月)……司研説とは異なる立場(I・当事者は、権利を主張するについては、最小必要限度の事実を主張立証すれば足りる。II・ある事実を一方の当事者に主張立証責任ありとした場合、これと反対の事実を他方の当事者に主張立証責任を負わせることは絶対にない。III・事実の不存在について主張立証責任を負わせることはないの3つの命題)から要件事実を再構成した意欲的な著書。民法の要件事実(総則の一部、保証債務、契約の効力、贈与契約、消費貸借契約、使用貸借契約、請負契約、委任契約、不当利得)の検討も含まれている。上級者向け。 高須順一・木納敏和・大中有信編著『事案分析 要件事実』弘文堂(2015年2月)……A5判、512頁。(評価待ち。) 【民事事実認定】 〔受験生向け〕 司法研修所編『事例で考える民事事実認定』法曹会(2014年5月)……通称「ジレカン」。司法研修所の白表紙テキストを市販化したもの。貸金返還請求事件を題材に、民事事実認定に関する一般的かつ基本的手法を平易に解説したテキスト。裁判官Jと優秀な修習生A、Bの対話形式なのでわかりやすい。まずはここから。ひそかに処分証書につき「よってされた説」を取っていることに注意。分かり易い上に薄く、非常に読みやすいので、予備試験前に読むのもよい。A5判、138頁。 土屋文昭・林道晴編『ステップアップ民事事実認定』有斐閣(2010年12月)……ロー生,修習生,駆け出し実務家向けの事実認定入門書。第1部解説編もコンパクトで分かりやすい。特筆すべきは,第2部演習問題編で,解説付きの事実認定演習問題は,おそらく類書で初である。ただし,完結した記録の体裁ではなく,手続が進むごとに現れるであろう主張や証拠をどう捉えていくかという,読み物のような形式になっている。問題のレベルは,研修所の導入起案未満で簡単めであり,動かし難い事実,経験則,ストーリーの合理性といった基本軸を明らかにする解説であり,事実認定手法の具体的イメージが掴みやすい。いわば事実認定版の「問研」だろう。また,下記司法研究「民事訴訟における事実認定」の「副読本的な存在となることも意図している」(はしがき)というように,同書がしばしば引用されており,合わせて読むとなお有用。なお,予備試験対策としてはサンプル問題・第1回とも要件事実問以外に関しては民訴以外に本書程度の知識で十分解答可能である。A5判、278頁。 〔修習生・実務家向け〕 田中豊『事実認定の考え方と実務』民事法研究会(2008年3月)……司法研修所教官を歴任した著者が,司法書士向けの雑誌で事実認定のイロハを説いた連載を,法科大学院生や司法修習生のために加筆して単行本化したもの。上掲『ステップアップ』と比べると,本書はより民裁起案や判決起案に特化した内容となっている。実際の判決文をもとに,証拠から間接事実を証明し,経験則によって主要事実を推認していく過程をきわめて分かりやすく解説している。司法修習生にお薦め。A5判、272頁。 伊藤滋夫『事実認定の基礎―裁判官による事実判断の構造』有斐閣(2000年6月・第5刷補訂)……民事事実認定に関する古典的文献。「事実認定における判断の構造」の問題を主題とする。A5判、296頁。 司法研修所編『民事訴訟における事実認定』法曹会(2007年11月)……司法研究報告書が書籍化されたもの。「事実認定に関する判例法理を整理・検討するとともに、裁判実務において培われ、受け継がれてきた様々な事実認定の技法や考え方をできるだけ明確に言語化し、法曹全体の共有財産とすることを目指」した(はしがき)。司法修習生は、大体読む。巻末の高裁裁判官へのインタビュー(14名)が参考になる。A5判、422頁。 司法研修所編『現代型民事紛争に関する実証的研究-現代型契約紛争(1)消費者紛争』法曹会(2011年4月)……司法研究報告書を書籍化。消費者契約紛争の特徴を踏まえた事実認定、訴訟運営の方法など。A5判、130頁。 司法研修所編『民事訴訟における事実認定-契約分野別研究(製作及び開発に関する契約)-』法曹会(2014年1月)……司法研究報告書を書籍化。上記民事訴訟における事実認定の各論編。建築工事契約、ソフトウェア開発契約、プラント建設契約といういわゆる開発型契約についての事実認定の問題点を詳解。各業界関係者へのヒアリング資料が付されており、参考になる。A5判、350頁。 伊藤眞・加藤新太郎編『〈判例から学ぶ〉民事事実認定(ジュリスト増刊)』有斐閣(2006年12月)……百選の事実認定ヴァージョン。民事事実認定の基礎理論(総論パート)と民事事実認定の諸相(各論パート・民法総則、物権・担保物権、債権総論、契約、不法行為)という分類で民事事実認定にまつわる判例を解説(全50項目)。新司法試験には不要。B5判、264頁。 田尾桃二・加藤新太郎編『民事事実認定』判例タイムズ社(1999年4月)……民事裁判官による事実認定にまつわる講演録(6本・田尾桃二、吉岡進、今中道信、後藤勇)と事実認定にまつわる対談・座談会(4本)を収録。歴々の修習生がコピーして収集していた著名な講演録をまとめて単行本化したもの。絶版。 後藤勇『民事裁判における経験則』『続・民事裁判における経験則』判例タイムズ社(1990年11月,2003年4月)……元裁判官。経験則違反として破棄された最高裁判例を素材として経験則を抽出・体系化した著書。経験則の体系化の方法としては一部に批判があるものの有用である。絶版。 加藤新太郎編『民事事実認定と立証活動(全2巻)』判例タイムズ社(2009年10月)……ベテラン裁判官・弁護士が実際の事件(エピソード)を題材に心証形成や訴訟(立証)活動のノウハウについて座談会形式で語った著作。いずれもこれまで実務家が実務経験を通じて習得してきた実践的なノウハウであり、これが書籍化されたことの意義は大きい(はしがきには「暗黙知を形式知に」とある。)。修習生必読。全2巻で分量は多いが、座談会形式なので気軽に読める。ただし、基本的な知識の理解が不十分であると、紹介されているエピソードの意味を十分には理解できないため、基本的な書籍を読んだ後に読むことが望ましい。A5判、492頁・472頁。 加藤新太郎『民事事実認定論』弘文堂(2014年6月)……著名な元民事裁判官による事実認定にまつわる論文集。民事事実認定にかかわる議論群を事実認定本質論、事実認定対象論、事実認定方法論、事実認定過程論、事実認定基盤論に整理して考察。A5判、368頁。 ☆奥田隆文・難波孝一編『民事事実認定重要判決50選』立花書房(2015年2月)……A5判、664頁。(評価待ち。) ☆大阪地裁民事事実認定研究会編『判例からみた書証の証拠力』新日本法規出版(2015年3月)……A5判、484頁。(評価待ち。) ☆村田渉編著『事実認定体系 契約各論編1』『同2』第一法規(2015年5月)……A5判、412頁・372頁。(評価待ち。) 【要件事実・民事事実認定】 河村浩・中島克巳『要件事実・事実認定ハンドブック ダイヤグラムで紐解く法的思考のヒント』日本評論社(2015年7月)……民事裁判の基礎理論に根ざして、要件事実・事実認定・判決・判例研究・和解に関する総合的な解説を行うハンディな事典。A5判、584頁。(評価待ち。) 【民訴法実務書】 〔理論と実務〕 渡辺弘ほか『民事裁判実務の基礎/刑事裁判実務の基礎』有斐閣(2014年6月)……法学教室の連載「民事裁判実務講座」、「刑事裁判実務講座」に、渡辺弘による「民事裁判の流れ」(同誌381号掲載)を加えて単行本化したもの。裁判官が執筆している。まずはここから。A5判、250頁。 加藤新太郎編著『民事訴訟実務の基礎』弘文堂(2011年9月・3版)……資料編と解説編の2分冊。具体的な資料を通して民事訴訟手続きを平易に解説。A5判、464頁。 藤田耕三・小川英明編『不動産訴訟の実務』新日本法規出版(2010年10月・7訂版)、小川英明編『貸金訴訟の実務』新日本法規(2008年1月・5訂版)……新日本法規の『実務』シリーズ。実務家向けの書籍であり、改訂頻繁。ロー生や司法修習生が買う必要は全くないが、司法修習生は民裁修習中に図書館で参照すると便利。A5判、1,132頁。 井上繁規『民事控訴審の判決と審理』第一法規(2013年4月・第2版)……現役裁判官による民事控訴審の判決書作成マニュアル。弁護士も、上告(受理)理由を発見するための手がかりになるだろう。A5判、496頁。 瀬木比呂志『民事訴訟実務と制度の焦点』判例タイムズ社(2006年6月)、『民事訴訟実務入門』判例タイムズ社(2010年12月)……ベテラン裁判官による民事訴訟実務の指南書。著者曰く「実務の技術やノウハウ」の体系書。どのように訴訟運営すべきか、どのような文書が説得力があるかなど民事訴訟理論ではなく民事訴訟実務の指南書。このような類書はほとんどないため、任官希望者のみならず弁護士志望者にとっても参考になる。『焦点』は、民事訴訟実務パートと民事訴訟制度についての提言パートの2部からなり、前半パートの概説書が上記『入門』であり、後半パートの概説書が後記『法曹制度・法曹倫理入門』である。後記『ケースブック』は上記2冊の実践編といえる。 瀬木比呂志『ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断─心証形成・法的判断の過程とその解説』判例タイムズ社(2010年11月)……同名の判タ連載を書籍化したもの。著者である元裁判官が担当した事例の判決書を中心に設例、解説を付すスタイル。直ちに司法試験・二回試験に役立つものではないが,筆者のこだわりが滾々と語られる等,名物部長に捕まったときの民裁修習を疑似体験できる本である。 現代民事法研究会『民事訴訟のスキルとマインド』判例タイムズ社(2010年9月)……実務家と研究者が新民事訴訟法下でのあるべきプラクティスについて研究した論文集。判例タイムズ誌に長期連載(1996-2005年)されたものなので、現在の実務慣行からするといささか内容が陳腐化した論文もあるが(最新の民訴法実務については、瀬木『民事訴訟実務入門』などを参照)、新民訴法の理念を理解するためには、今でもなお有用である。修習生が民訴法実務をより深く理解するためにも使えるだろう。 林道晴・太田秀哉編『ライブ争点整理』有斐閣(2014年5月)……裁判官・弁護士が争点整理手続の実際を紹介した著書。4事例を題材に準備書面などの書面を掲載し会話形式(各当事者の心証付き)であるため、実務をイメージしやすい。A5判、338頁。 土屋文昭『民事裁判過程論』有斐閣(2015年2月)……元民事裁判官による著書。京大ローにおける「民事裁判過程論講義」の草稿を大幅に増補改訂したもの。「民事裁判の裁判過程について、裁判官の内的な視点から、その動態を分析解明しようとするもの」(はしがき)であり、このことは、本書の洋題(Nature of the Judicial Process in Japan inside view of a civil judge)に明らかである。内容は、裁判官の役割論から民事裁判過程解説、民事判断の構造論、事実認定論、判例の位置づけ、裁判官の法的判断形成過程論と多岐にわたる。「すぐれた先達のことば」(はしがき)を多数引用していることも、本書の特徴である。(民事)裁判官志望者必読である。四六判、274頁。 小山弘『設例と設問で学ぶ 民事訴訟実務』日本加除出版(2015年1月)……A5判、244頁。 京野哲也『クロスレファレンス 民事実務講義』ぎょうせい(2015年1月・第2版)……ロースクール生、司法修習生及び若手弁護士のための民事弁護実務入門。B5判、頁。 山本和彦・須藤典明・片山英二・伊藤尚 編『文書提出命令の理論と実務』民事法研究会(2010年8月)……A5判、524頁。 岡口基一『民事訴訟マニュアル―書式のポイントと実務― 上・下』ぎょうせい(2015年9月・いずれも第2版)……訴状の作成・提出から訴訟終了(判決言渡し等)までの一連の民事訴訟手続について、基礎知識や注意点等を紹介しながら解説。また、各場面で必要な主要書式についても本文中に掲載し解説。第2版において、新たに「事実認定」の編が設けられ、その他、民事訴訟法等の改正、家事事件手続法の施行、新たな判例等を踏まえ、全面的に内容を改めるとともに、「当事者の会社更生」「国際裁判管轄」「提訴前証拠収集処分等」といった新たな項目と約20の書式が加えられた。A5判、頁・頁。 裁判所職員総合研修所監修『民事実務講義案Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』司法協会(Ⅰ:2016年6月・5訂版、Ⅱ:2014年5月・4訂再訂版、Ⅲ:2015年6月・5訂版)……裁判所職員総合研修所の教材として、また、民事実務に携わる裁判所書記官等必携の参考資料。B5判、Ⅰ〔民事訴訟〕:408頁(本文365頁)、Ⅱ〔送達事務、訴訟費用、人事訴訟、手形訴訟手続等〕:286頁(本文256頁)、Ⅲ〔簡易裁判所における民事手続等〕:286頁(本文252頁)。 升田純『実務 民事訴訟法─訴訟展開の予測と技術─』民事法研究会(2008年8月・第4版)……A5判、529頁。 瀬木比呂志『民事訴訟実務・制度要論』日本評論社(2015年7月)……民事訴訟の実務とそれを支える制度のエッセンスを理論的見地もふまえて解説。A5判、604頁。(評価待ち。) 森冨義明・東海林保 編著『新版 証拠保全の実務』きんざい(2015年8月)……東京地裁の現役裁判官による本格的体系書。損害賠償請求訴訟で用いられる証拠保全手続について書式例に基づき解説した9年ぶりの全面改訂版。A5判、336頁。 三好一幸『民事訴訟の理論と実務』司法協会(2015年9月)……簡易裁判所判事による著作。B5判、218頁(本文:175頁)。なお、民事調停については、『民事調停の理論と実務』司法協会(2016年6月、B5判、212頁(本文:166頁))がある。 ☆門口正人『民事裁判の要領-裁判官の視点から』青林書院(2016年8月)……元裁判官が法務担当者ら非法曹に向けて、裁判官の立場から民事裁判の実情を質疑応答形式で解説した著書。金融法務事情連載「裁判最前線」の単行本化。裁判官らしく建前論が多く、もう少し本音が聞きたかったところではあるが、参考になる。A5判、291頁(本文288頁)。 〔書式〕 裁判所書記官研修所監修『書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究』法曹会(2010年2月・補訂版)……実務家必携の和解条項例集。法曹会のHPには在庫表示がないが、同会から直販できるので、電話して購入するとよい。 ☆田中豊『和解交渉と条項作成の実務―問題の考え方と実務対応の心構え・技術・留意点』学陽書房(2014年12月)……和解条項作成の注意点のみならず和解交渉の手法(裁判官、当事者代理人双方)についても論じられている。A5判、272頁。 星野雅紀編『和解・調停モデル文例集』新日本法規出版(2011年2月・改訂増補3版)……和解・調停条項例集。 新保義隆・栗原由紀子『訴訟上の和解モデル文例100』三協法規出版(2012年2月・改訂版)……和解条項例集。 大島明『書式 民事訴訟の実務 ―訴え提起から訴訟終了までの書式と理論』民事法研究会(2012年5月・全訂9版)……A5判、620頁。 法曹会編『民事判決書集』法曹会(1981年11月)……民事判決書の記載例集。 塚原朋一編『事例と解説民事裁判の主文』新日本法規出版(2006年3月)……裁判主文例集。 神崎満治郎『判決による登記の実務と理論』テイハン(2001年4月・改訂)……不動産登記関連の主文例掲載。 青山正明編著『民事訴訟と不動産登記一問一答』テイハン(2008年12月・新訂)……不動産登記関連の主文例掲載。新不動産登記法に対応。 〔ノウハウ・OJT〕 圓道至剛『若手弁護士のための民事裁判実務の留意点』新日本法規出版(2013年5月)……民事訴訟の第一審・控訴審の手続の流れにそって、訴訟代理人弁護士が「ありがちな失敗」をすることなく訴訟活動をするための「実務上の留意点」を解説(はしがき)。なかなか人には聞けない実務慣行が詳しく載っている。書式例も充実している。修習生、新人弁護士にお勧め。A5判、408頁。 藤井篤『弁護士の仕事術I~VII(全7巻予定)』日本加除出版(I〔法律相談マニュアル〕・2013年7月、II〔事件の受任と処理の基本〕2013年7月、III〔依頼者との契約と弁護士報酬〕・2013年9月、IV〔交渉事件の進め方・和解〕・2013年10月、V〔不動産事件処理の基本〕・2013年11月、VII〔法律事務所運営のポイント〕・2014年1月)……公設法律事務所の所長弁護士が、スタッフ弁護士指導のため作成した教材を書籍化したもの。OJT経験の少ない即独や若手弁護士向け。A5判、171頁、235頁、177頁、179頁、181頁、-頁、169頁。 東京弁護士会春秋会編『実践訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる』民事法研究会(2014年2月)……若手・中堅・ベテラン弁護士の座談会形式で、法廷マナーから訴訟戦術まで、類書の少ない暗黙知を解説する著書。A5判、275頁。 佐伯照道ほか『有利な心証を勝ち取る民事訴訟遂行』清文社(2015年2月)……ベテラン・中堅弁護士による、「訴訟経験の浅い若手弁護士や、その卵である司法修習生、法科大学院生に対し、日本の民事裁判においてどうすれば裁判官の心証を依頼者にとって最大限有利に形成してもらうことができるのかを、できる限り普遍的・客観的視点にて解説し、もって、若手弁護士の訴訟技術の向上を図ることを目的」(はしがき)とした著書。供述の信用性をどう判断するかという民事事実認定の参考書としても使える。A5判、240頁。 東京弁護士会編『事務所経営・事件受任のポイント-若手弁護士のための法律事務所運営術』創耕舎(2015年2月)……若手弁護士のための独立マニュアル。A5判、133頁。 中村直人『訴訟の心得-円滑な訴訟進行のために』中央経済社(2015年2月)……著名なビジネス弁護士が、企業の代理人を担当する弁護士を想定に訴訟の心得を説いた本。A5判、180頁。 升田純『実戦 民事訴訟の実務 ─必修知識から勝つための訴訟戦略まで─』民事法研究会(2015年7月・第5版)……A5判、621頁。 高中正彦・市川充・堀川裕美・西田弥代・関理秀『弁護士の周辺学-実務のための税務・会計・登記・戸籍の基礎知識(東弁協叢書)』ぎょうせい(2015年8月)……税務会計の基礎知識や登記・戸籍の見方、取り方を伝授する即独向け参考書。A5判、226頁。 門口正人・末吉亘・中村直人・佐藤久文『訴訟の技能-会社訴訟・知財訴訟の現場から』商事法務(2015年9月)……会社訴訟、知財訴訟の専門弁護士及び元裁判官が、訴訟の技能について座談会形式で語る。A5判、244頁。 原秋彦『法律実務家が知っておきたい作法』商事法務(2015年10月)……ベテラン弁護士が「比較的経験年数の少ない若手の企業関連の法律実務家を中心的な読者対象(はしがき)」として書いた論考。雑誌NBL連載の単行本化。面談、資料収集整理から法務文書の起案、用語法、引用作法、法務リサーチ、契約書案の起案、周辺専門家、海外弁護士との共働まで多彩な内容を含む。文章内にたびたび英単語が挿入されているのはご愛敬。 東京弁護士会親和全期会編著『こんなところでつまずかない!弁護士21のルール』第一法規(2015年12月)……新人弁護士がキャリアをスタートさせるにあたり、一般にどんなところに気を付けたらよいのか、先輩弁護士はどんなことに気を付けているのか(はしがき)を、21のルールで説く。伝統的街弁の理想像を説いているにすぎないが、参考にはなる。 ☆長瀬佑志『若手弁護士のための初動対応の実務』レクシスネクシス・ジャパン(2016年4月)……評価待ち。 ☆中村真『若手法律家のための法律相談』学陽書房(2016年5月)……評価待ち。 【民事執行法・民事保全法】 民事執行法(昭和54年3月30日法律第4号) 最終改正:平成25年12月11日法律第96号 ※最終改正までの未施行法令あり。 民事執行規則(昭和54年11月8日最高裁判所規則第5号) 最終改正:平成27年4月8日同第4号 民事保全法(平成元年12月22日法律第91号) 最終改正:平成23年6月24日法律第74号 民事保全規則(平成2年5月16日最高裁判所規則第3号) 最終改正:平成27年4月8日同第4号 〔基本書・入門書〕 和田吉弘『基礎からわかる民事執行法・民事保全法』弘文堂(2010年4月・第2版)……図表を駆使し、簡潔明瞭な文章で徹底的に分かりやすさを追求した学生向け入門書の決定版。学習のはじめに間違いのない一冊である。その分中身は薄いが、学部やロースクールの定期試験なら本書を数回通読するだけでも乗り切れるだろう。A5判、272頁。 中野貞一郎『民事執行・保全入門』有斐閣(2013年4月・補訂版)……民事手続法の第一人者による入門書。好著『民事裁判入門』の姉妹版であり、同様のコンセプトに立つ。適度にくだけた文章により分かりやすく解説する。和田・基礎よりも内容は充実しているが、標準的な概説書と比べるとやはり多少の物足りなさもある。四六判、380頁。 上原敏夫・長谷部由起子・山本和彦『民事執行・保全法(有斐閣アルマ)』有斐閣(2014年3月・第4版)……入門書と概説書を兼ねたスタンダードテキスト。コンパクトなれども事項索引・判例索引・条文索引が付されている。コラムも面白い。判例は最決H25.1.17判時2176.29まで収録。四六判、374頁。 平野哲郎『実践民事執行法民事保全法』日本評論社(2013年9月・第2版)……著者は元裁判官の研究者。判例・通説の解説はもちろん、東京地裁や大阪地裁での実務レベルの処理についても学習に必要な程度で触れている。レベルはやや高く、理解するには民法・民事訴訟法の基本的な理解が必須。しかし、これらの関連法とのクロスリファレンスは徹底している。A5判、544頁。 中西正・中島弘雅・八田卓也『民事執行法・民事保全法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2010年3月)……スタンダードな民事執行法・民事保全法のテキスト。記述に安定感はあるが、リーガルクエストシリーズらしく発展的な知識も随所にちりばめられている。民法・民事訴訟法の知識があるのは当然の前提としているため初学者には向かない。和田・基礎や中野・入門などを経てから取り組むべき本である。A5判、390頁。 生熊長幸『わかりやすい民事執行法・民事保全法』成文堂(2012年5月・第2版)……本文そのものは条文の引き写しに終始したいささか無味乾燥なものとなっているが、理解を助ける図表や実際の書面のサンプル、読者の興味を惹くコラムなどが随所に散りばめられており、学生向けの教科書を強く意識した作りとなっている。レジュメ調の構成はやや好みが分かれるところであろう。著者が専門とする担保物権とのつながりも強く意識されている。A5判、390頁。 福永有利『民事執行法・民事保全法』有斐閣(2011年3月・第2版)……名著である山木戸克己『民事執行・保全法』(1999年5月)の叙述を利用しつつ(はしがきで明記されている)、現行法に即して書き下ろされた、民事執行法の大家の手による教科書。自説は抑え気味。文章は平明で、注も少なく読みやすい。発展的な内容はコラムに回されている。2版の改訂箇所は判例の追加、ゴシック体への変更などごくわずか。A5判、326頁。 中野貞一郎編『民事執行・保全法概説(有斐閣双書)』有斐閣(2006年6月・第3版)……おそろしく豪華な執筆陣による概説書。平均年齢の高さもあってか文章は硬くて平板。図表の類も少なく、意外とボリュームもあるため、初学者が手を出すと失敗するタイプの本。四六判、440頁。 藤田広美『民事執行・保全』羽鳥書店(2010年4月)……A5判、352頁。(評価待ち。) 松本博之『民事執行保全法』弘文堂(2011年12月)……A5判、624頁。(評価待ち。) 京野哲也・今井隆一『基礎から実務へ 民事執行・保全』日本加除出版(2013年4月)……A5判、440頁。(評価待ち。) <民事執行法> 三谷忠之『民事執行法講義』成文堂(2011年12月・第2版)……A5判、460頁。(評価待ち。) <民事保全法> 斎藤和夫『民事保全法 民事紛争最前線』慶應義塾大学出版会(2014年12月)……学者本だが、学生のみならず実務家も対象とされており実務運用についても詳しい。設例・図解を多用しておりわかりやすい(くどく感じるかも)が、レジュメ調の文体は好みがわかれるかも。A5判、320頁。 戸根住夫『民事保全法要論』法律文化社(2015年3月)……元裁判官。ドイツ法に依拠し実務慣行を批判する、いわゆる体系書(辛口で骨太な概説教科書)。初学者には向かない。A5判、134頁。 〔体系書・実務書〕 佐藤歳二『実務 保全・執行法講義 債権法編』民事法研究会(2006年10月)……A5判、590頁。 <民事執行法> 中野貞一郎・下村正明『民事執行法』青林書院(2016年1月)……民事手続法の第一人者による決定版。まさに孤高の体系書。A5判、883頁(本文844頁)。 齊藤隆・飯塚宏編著『民事執行(リーガル・プログレッシブ・シリーズ4)』青林書院(2014年2月・補訂版)……東京地裁民事第21部(執行部)経験裁判官による民事執行の概説書。A5判、398頁。 東京地方裁判所民事執行センター実務研究会 編著『民事執行の実務 債権執行編 上・下』きんざい(2012年6月・第3版)……債権執行編では債権執行の申立てから配当まで、実務上の論点を東京地裁執行センターにおける実際の運用や取扱いをQ Aで詳解。A5判、360頁・360頁。 東京地方裁判所民事執行センター実務研究会 編著『民事執行の実務 不動産執行編 上・下』きんざい(2012年6月・第3版)……不動産執行編では不動産競売の申立てから配当まで、実務上の論点を東京地裁執行センターにおける実際の運用や取扱いをQ Aで詳解。A5判、484頁・428頁。 園部厚『書式 債権・その他財産権・動産等執行の実務―申立てから配当までの書式と理論(裁判事務手続講座)』民事法研究会(2013年3月・全訂13版)……A5判、1040頁。 園部厚『書式 不動産執行の実務―申立てから配当までの書式と理論(裁判事務手続講座)』民事法研究会(2014年11月・全訂10版)……A5判、692頁。 <民事保全法> 瀬木比呂志『民事保全法』日本評論社(2014年7月・新訂版)……民事保全の第一人者である元裁判官による体系書。実務家必携。判例タイムズ社から出版されていた同名著書の改訂版。A5判、708頁。 須藤典明・深見敏正編集『民事保全(最新裁判実務大系3)青林書院(2016年3月)……A5判、740頁。 須藤典明・深見敏正・金子直史『民事保全(リーガル・プログレッシブ・シリーズ1)』青林書院(2013年4月・三訂版)……東京地裁保全部経験裁判官が同部の運用を解説した著書。三訂版は国際裁判管轄に対応。A5判、300頁。 梶村太市・西村博一・井手良彦編『プラクティス 民事保全法』青林書院(2014年9月)……A5判、876頁。(評価待ち。) 八木一洋・関述之編著『民事保全の実務 上・下』きんざい(2015年7月・第3版増補版)……東京地方裁判所民事第9部(保全部)の裁判官と書記官が、各種保全命令の申立てから保全執行までを詳説。A5判、616頁・544頁。 東京地裁保全研究会編『書式 民事保全の実務―申立てから執行終了までの書式と理論(裁判事務手続講座)』民事法研究会(2010年3月・全訂5版)……A5判、629頁。 原井龍一郎・河合伸一編著『実務民事保全法』商事法務(2011年2月・3訂版)……民事保全手続の体系的解説書。実務に影響すると思われる課題をできるだけ広く取り上げ、解釈の方向性を示すなど、初版以来のスタンスを踏襲。「三訂版」では、気鋭の執筆陣を加え、民事執行法・不動産登記法の改正、人事訴訟法・会社法の制定などのほか、最新の裁判例、実務の動向を踏まえアップデート。A5判、637頁。 菅野博之・田代雅彦編『民事保全の実務(裁判実務シリーズ3)』商事法務(2012年10月)……現役裁判官が実務上の重要な論点を解説する「裁判実務シリーズ」の第3巻。本巻は、民事保全手続の専門部である東京地方裁判所民事第9部で豊富な経験とノウハウを蓄積した裁判官および書記官が、実務上重要な30の項目につき、事例を設けて分かりやすく最新の解説を行う。保全命令の申立てから、審理、調書、保全執行、不服申立てにいたる基本的事項につき、具体例や書式を交え、それぞれの基本と留意点を解説。A5判、322頁。(評価待ち。) 〔入門書・概説書〕 小林秀之・山本浩美『やさしい民事執行法・民事保全法』法学書院(2013年4月)……A5判、324頁。 松村和徳『民事執行・保全法概論』成文堂(2013年4月・第2版)……A5判、288頁。 野村創『事例に学ぶ保全・執行入門─権利実現の思考と実務─』民事法研究会(2013年9月)……A5判、252頁。 〔その他参考書〕 高須順一『民法から考える民事執行法・民事保全法』商事法務(2013年10月)……A5判、350頁。(評価待ち。) <民事執行法> 山崎恒・山田俊雄編『民事執行法(新・裁判実務大系12)』青林書院(2001年6月)……強制執行、競売などの、民事執行に関する訴訟上の諸問題に関し、理論的・実務的見地からの解明を図る。A5判、450頁。 小野瀬厚・原司編著『一問一答 民事訴訟法・非訟事件手続法・民事執行法』商事法務(2005年3月)……法務省立案担当官による新法解説。民事訴訟手続申立て等のオンライン化、簡裁における少額訴訟債権執行制度、最低売却価額制度の見直し、養育費等の間接強制制度、公示催告期間の短縮等について解説。A5判、350頁。 小野瀬厚・原司編著『一問一答 平成16年改正民事訴訟法・非訟事件手続法・民事執行法』商事法務(2005年3月)……民事訴訟手続のオンライン化、最低売却価格制度の見直し、少額訴訟債権執行制度、養育費についての間接強制制度の創設など、平成16年改正について、経緯、内容を一問一答形式により解説。A5判、388頁。 <民事保全法> 門口正人・須藤典明編『民事保全法(新・裁判実務大系13)』青林書院(2002年3月)……民事保全手続における諸問題を理論と実務の両面から解説する。A5判、448頁。 〔コンメンタール〕 <民事執行法> 山本和彦・小林昭彦・浜秀樹・白石哲編『新基本法コンメンタール 民事執行法』日本評論社(2014年4月)……研究者・裁判官・弁護士の共同による新しい注釈書。東京地裁民事執行センターが全面協力している。平成23年改正まで対応。判例索引等がないのが残念。図書館での参照用。B5判、500頁。 <民事保全法> 山本和彦・小林昭彦・大門匡・福島政幸編『新基本法コンメンタール 民事保全法』日本評論社(2014年4月)……研究者及び裁判官による注釈書。東京地裁保全部が全面協力している。平成23年改正まで対応。判例索引等はない。学生は図書館で参照すれば十分である。B5判、272頁。 加藤新太郎・山本和彦編『裁判例コンメンタール民事保全法』立花書房(2012年7月)……A5判、664頁。 〔判例集・ケースブック〕 上原敏夫・長谷部由起子・山本和彦編『民事執行・保全判例百選』有斐閣(2012年3月・第2版)……民事執行・民事保全手続の基本原理や基礎概念を理解するために特別の重要性を持つと思われる判例102件(最判平成23・9・20まで収録)ほかコラム2件を収録。B5判、220頁。 伊藤眞・上原敏夫・長谷部由起子編『民事執行・保全判例百選』有斐閣(2005年8月)……百選の初版。民事執行法・民事保全法の解釈・運用にかかる重要判例125件を解説。B5判、268頁。 古賀政治編、霞総合法律事務所著『民事執行・保全判例インデックス』商事法務(2009年11月)……見開き2頁で,判例のエッセンスを関係図とともにコンパクトに整理。162件の民事執行・保全判例を概観する。A5判、332頁。 浦野雄幸編著『判例民事執行法』三省堂(2005年2月)……現行民事執行法に関し、その施行から今日まで数次に亘る法改正の経緯と当該法改正前後の判例の流れ、それを巡る条文の解釈、運用について、実務の処理を正確に理解をするため、2千件を超える判例の要旨(執行実務協議会等の協議結果、国際関係の判例も含む)を細項目に分類しタイトルを付して収録。付録(判例・先例索引)。A5判、688頁。