約 128,327 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1462.html
――ローマ コロッセオ-……のゴミ収集車の中。 ここはどこだ? 体が動かねえ…… 何にも聞こえね…… 暗れ…… オレは何してたんだっけ? 何で息が苦しいんだアギェッ なんだかわからんが逃げねーと…… オレは……何だっけ? ん、何だこれは 鏡? やべえ 鏡はやべぇ!確か鏡は別の世界が…… って何だっけ?オレは何を言っているんだ? とにかく何とかしねーと!オアァァ ……or?なんでor?英語の授業か? プげッ ――トリステイン魔法学院―― 「はぁはぁ、サモン・サーヴァント!」 何度目かすら忘れつつもとにかく呪文を唱える。 これだけは失敗するわけにいかない。 偉大なるヴァリエール家のルイズが留年なんて、そんな馬鹿なことがあっていいわけがない。 絶対に成功させないと! ドサッ ドサドサドサドサドサ! やれやれ、やっと何か呼び出せたみたいね。よかった…… 「ウワァーーー!!!」 周りの奴らが騒いでいる。なんか凄いのでも出したのかしら? 「わたしだってやればできるみたいね、疲れたけど。」 「臭ぇー!ゴミの臭いがプンプンするぜぇー!」 「ゼロのルイズぅーおめー脳がマヌケかぁ?これが使い魔に見えるのか?!」 「ルイズ、[サモン・サーヴァント]でゴミの山を呼び出してどうするの?」 って、ええぇーーーーーーーー何よこれ!!!! 「ミスタ・コルベール!」 ルイズと呼ばれた少女が怒鳴った。人垣が割れて、中年の男性が現れる。 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「あの!もう一回召喚させてください!」 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!」 「決まりだよ。春の使い魔召喚は神聖な儀式なんだ。 一度呼び出したものを変えることは許されない。」 「でも……」 「よく見てみなさい。ミス・ヴァリエール」 よく見なさいって、このハゲ馬鹿じゃないの? いくらなんでもゴミなんか使い魔にできるわけないじゃない。 ……あら? ゴミの山の中から男が這い出してきた。 男が喋ったわ。ゴミよりはマシだけどとても使い魔には見えない。 「な……なんだここは?!それよりオレ、誰?」 どうも混乱しているようね。わたしも混乱してるけど。 「ゴミじゃなかったけど平民でしたぁーーー!さすがゼロだ!」 「留まる所を知らないほどの失敗率!」 後ろで誰かがわめいている。わめきたいのはどう考えてもわたしよ。 「ミスタ・コルベール!」 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「あの!もう一回召喚させてください!」 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「でも!平民を使い魔にするなんて聞いたことありません!」 ルイズがそう言うと、再び周りの笑い声が大きくなる。 睨みつけてはみたものの、笑いが止む様子は全くない。 「これは伝統なんだ。例外は認められない。」 「そんな……」 「さて、では、儀式を続けなさい。」 「えー、彼と?」 「別にゴミの方でもいいぞ。」 そんなの、絶対嫌。このよくわからない全身スーツを着た平民もかなり嫌だけど。 周りの奴らがニヤニヤしながら眺めている。ハゲは至って真面目な顔でこっちを見ている。 ルイズは自分が召喚した平民をまじまじと見た。 結構身長は高い。いい体格してるじゃない、顔はマスクのせいでよくわからないけど。 「ねえ、ちょっとこっち向きなさい。」 男がこっちを見た。こいつは本当に人間なんだろうか。 その瞳からは妙に野生を感じる。もしかすると何か才能があるかもしれない。 たとえ使い魔が平民でも留年よりはマシな気がしてきた。 杖を振る。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 ふと思う。 こいつ、さっきまでゴミの山の中にいたのよね、病気になったりしないでしょうね。 しかし、もう後戻りはできない。邪念を振り払いそいつの頭を掴み唇を重ねる。 「終わりました。」 「コントラクト・サーヴァントは一発でできたね。」 コルベールが、嬉しそうに言った。 「あぐおああああああーーあばああーーーっおれををっ あばあああああ おれの顔ををおああああああ」 熱い、いや 痛い! 痛い?痛いって何だっけ?これはヤバい、ヤバすぎる 逃げないと! どうやって?そうだ!地面だ! ……地面?そんなところに逃げられるわけがない。 おれは何を考えているんだ? しかしもう我慢ができない! 「な、何やってんのあんた!」 契約を終えたばかりのその男は、垂直に3メイルほど飛び上がり……・ そして頭から地面に落ちて倒れた。こいつ頭がおかしいのかしら? 「もう、何なのよ!いきなり死んだりしてないわよね?」 ルイズがげんなりしていると、コルベールが近寄ってきて、そいつの左手の甲(と生きてるかどうか)を確かめる。 「ふむ……珍しいルーンだな。後、彼はちょっと気絶しているだけだ。 そんなに心配しなくてもよろしい。」 「心配なんかしてません!」 心配しているのはわたしの進級よ。死んだらいくらなんでもまずいじゃない。 正直もう一回成功させる自身なんてないわ。 「さてと、じゃあみんな教室に戻るぞ。ああ、ミス・ヴァリエール?」 「何ですか?」 「使い魔も気絶していることだし、先に寮に戻りなさい。 どうせ今日はもう授業はないし、彼に無理をさせてはいけない。」 そう言うと、ハゲは火を放ってゴミを跡形もなく焼却し、校舎に戻っていった。 「わかりました、ミスタ・コルベール」 はぁ、なんで使い魔を主人が運ばないといけないのよ。普通逆でしょう? どうしようもないけど……泣きたくなってきたわ。 でもまあ不幸中の幸いね。このゴミの山を一人で片付けさせられるのかと思って怯えたわ。 「う……」 なによこいつ!無茶苦茶重い!これを3階まで担いで上がれって言うの? 無理 絶対無理よ!起こすしかないわ! そもそもフライやレビテーションを使えないことに問題があるのだが、 もちろんルイズはそんなところまで頭が回らない。 水を汲んできて、倒れている男に思いっきりぶっ掛ける。 「おああ 冷てえ!……オメー誰だ? いや、そもそもオレは誰だっけ?ここはどこだ?」 男が凄い勢いで起き上がった。 この様子だと体は大丈夫そうね、頑丈なのはいいことだわ。 「使い魔のくせに失礼ね、まあいいわ。 わたしはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 長いしルイズと呼びなさい。後、ここはトリステイン魔法学院よ。 で、あんた誰?」 男は意味がわからないといった感じの顔で私を見た。失礼な奴だ。 「いいから早く答えなさい、貴族が先に答えてやってんのよ? あんた名前は?」 男は奇声を発しながら頭を抱えている。やっぱり知覚障害者?記憶喪失? 勘弁して欲しいわ。これからの自分を考えてまた泣きたくなった。 もう放っておいて戻ろうかと思っていたころ、男がようやく口を開いた。 「セッコ」 To be continued…… 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/321.html
凶~運命の使い魔~第一岩 凶~運命の使い魔~第二岩 凶~運命の使い魔~第三岩 凶~運命の使い魔~第五岩
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/623.html
新世界の使い魔-1
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/779.html
「俺の名はペイジ」 ドォッシュウウウ 「ジョーンズ」 ボシュウッ 「プラント」 ジュウウウウウウウ 「ボーンナム 血管s」 デロリン 「ルン!ルン!ルン!」 ゴシャァアッ 「ズラ!」 ボシ─── 「え!?…オレ? 外に居たのは……おれだったァ── 棺桶の中に居たはずなのにィ~~~~」 ゾバゾバッ 爆音が響き、土煙を巻き上げて何かを呼び出す閃光。 そして、土煙が晴れる度に日光を浴びる度に呼び出した使い魔が溶けて消えていく。 それが今日の『ゼロのルイズ』の『サモン・サーヴァント』の晴舞台であった。 「おいおい、一体何回死なせるんだよ!」 「ゼロじゃなくて死神のルイズか!?」 「十回超えてるじゃねぇェかよぉぉお! なあ、帰っていいだろぉぉおお? なぁぁああ、こく……コルベールの先生よぉぉおお!」 爆発と召還と消滅の一連の動作を遠巻きに見ている外野もいい加減飽きてきたらしい。 最初は囃し立てるような大きな声で野次を飛ばしていたが、 今はもうささやきのようになっている。 「……ミス・ヴァリエール」 生徒に比べて比較的近く、しかし爆発に巻き込まれない絶妙な位置に立っていたハゲが ルイズと呼ばれた少女に話しかける。 「予定時間を考えると今日は次で最後です。 それで駄目だったら、翌日にしましょう。まだ猶予はありますからね」 声を掛けられた少女は、その言葉に一際表情を引き締めた。 ここで失敗したら明日は余計にバカにされると分かっているからだ。 人一倍プライドの高い彼女にとってそれだけは許してはならない事なのだ。 「どーせ駄目なんだからやるだけ無駄だって。 なんせ『ゼロのルイズ』なんだからなァアア!」 最後、という言葉に勢いを取り戻した野次を無視し、 ルイズは呪文を口にし、意識を集中させていく。 「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ…… 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ 私は心より求め、訴えるわ 我が導きに……答えなさいッ!!」 ドッグォオオオン! 何度目か分からない呪文の後、 一際強い爆発と共に派手に土煙が上がった。 ───────ゼロのメイジとアホの使い魔 「んだァ?こりゃあ?」 冬の寒さがいよいよ到来してきた頃、 仗助や康一と『トラザルディー』で昼飯を食っての帰路、 心身共に健康になった億泰は『ソレ』に眉を顰めて無い脳みそを回転させていた。 『ソレ』は家の扉の真ん前に出ていた『鏡』だった。 高さ2メートル、幅1メートルはありそうな楕円形で、しかも宙に浮いている。 スタンド使いならすぐさま警戒しそうな所だが、 吉良吉影が倒されて以来スタンド使いによる目立った事件が無かったために 億泰はすっかりと油断していた。 一般人でもやりそうな何かを投げつけるような行動もせず、いきなり鏡に触れた! 通らないと家に入れなかったため、さっさと潜り抜けようと思ったのだ。 バリィ! 「うっ、うおおおおおおおお~~~~~~~ッ!?」 かつて『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に地下ケーブルへと 引きずり込まれた時のようなショックを受け、 そのまま倒れこむようにして鏡へ飛び込んでしまった! そして絶え間なく続く衝撃に意識を手放してしまう。 油断とはいえこの男、オツムが足りないのだろうか。 「っつ~~~~~~~~」 「あんた誰?」 誰かに呼びかけられた気がして、頭を抱えながら億泰は目覚めた。 まず、地方とはいえ五万三千の人口を抱える杜王町では 見る事のできないような澄んだ空が目に入った。 次に、ピンクが強く出たブロンドの髪をした少女が覗き込んでいる事に気がつく。 よく見ると黒いマントに杖を持っていて、 まるで昔兄貴に読んでもらった絵本に出てきた魔法使いのような格好だ。 遠くにはお城まで聳え立っている。 (おいおい~~~!俺は家の前に居た筈だよなァ~~~! なんだこの状況はよォ。外人さんに囲まれてんじゃねえかぁあ~~!) 「貴族を無視していいと思ってるの! 私が誰かと尋ねてるの!さっさと答えなさい!」 珍しく思考に没頭する事となった億泰だったが、 その女の様子にプッツン由花子を連想してしまい、 ふくらんだ風船が萎んだような気分になった。 答えないのも面倒くさそーな気がして、投げやりに答える。 「俺は虹村億泰…だ」 起き上がりながら周囲を見渡すと、 ルイズと同じような格好をした少年少女と、ハゲ。 そしてその周りには……何体ものモンスターが! 「ニジムラオクヤス?変な名前ね。 一体どこの平民n」 「ってなんだってェーーーーっ!! 『ザ・ハンド』!」 ズギュン! 他の使い魔達を見て思わずスタンドを発現する。 「プッ!」 「アハハハハハ!流石『ゼロのルイズ』だ!」 「フッフッフッフハハハフフフフヘハハハハフホホアハハ」 「ウケッウケッウケコッウコケウコケ ウヒャホコケコケコケケケケケケケケコケコ」 「『サモン・サーヴァント』で平民を! それも頭の飛び切り悪そうなのを召喚したぞ!」 「いや、頭がおかしいんじゃないか!? いきなり叫んでるぞアイツ!」 その様子を見て周囲の生徒で笑いが巻き起こった。 確かに頭悪いのは事実だけどよォー、 としょんぼりしながらスタンドを解除する億泰。 どうやらこの中にはスタンド使いも敵もいないらしい。 その裏でルイズは億泰のスタンド発現に続き、 他の生徒の爆笑のせいで完全にセリフがぶった切られてプッツンしていた。 「ミ、ミミミミミスタ・コルベール! 再召喚させてくだs」 「NO!NO!NO!NO!NO! 君はこの儀式を愚弄するのかね!ミス・ヴァリエール! それも!今日の最後の猶予で! 平民とはいえ成功したならやり直しは有り得ないィイイ!」 だが、更にセリフを潰されながら拒否されてしまった。 「でも平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 「例外は認めないィィイイ! だから彼を君の使い魔にするんだ。早く続けなさい」 さらりと言われ、ルイズは諦めたように返事をした。 「………分かりました」 立ち尽くしている億泰へと改めて目を移す。 180サント近い背に、間の抜けた顔つき。 どうやったって好意的には見れないが、諦めたようにルイズは歩み寄りながら呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 杖を億泰の頭に乗せ、力ずくでしゃがませて額に移す。 「イテ!イテェ!なにしやが…」 (さよなら、私のファーストキス) ズキュウウウウウウウウン! 喚く億泰を無視して!心で涙を流しながらも強引にルイズはキスをした! ただし、一瞬だけ。触れるなり思いっきり突き飛ばすように離れてだが! 「終わりました……」 「………」 ブワァァ! と、急激に億泰が涙を流しだした。 「お、俺が…女の子から…チューされた…?」 スタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃を身をもって味わい、 そんな事で幸せを噛み締めている億泰だったが… 「くぁ!?」 その余韻は左手に突如襲い掛かった熱にかき消された。 焼けた鉄板に押し付けるような熱さに思わず億泰は草原の上を転げまわる。 「あづ、あち、アチィイイ!」 「五月蝿いわね……使い魔のルーンが刻まれてるだけよ」 そう言いつつも、ルイズの心はやっと安堵できていた。 『サモン・サーヴァント』も『コントラクト・サーヴァント』も成功した。 だが、その一方で平民という事実がルイズに重くのしかかっている。 この男が今日召喚された使い魔の中で『最も恐ろしい』という事も知らずに……
https://w.atwiki.jp/marsdaybreaker/pages/262.html
古いテレビ(ふるいてれび) ここ最近まったく見ないような型の古いテレビ 望んだ人物の近い未来の姿を映し出す あくまで可能性の姿であり、実際の未来とは異なる可能性がある? しばらくすると壊れて使い物にならなくなるが、叩くとほんの少しだけ寿命が延びる ヨシフキンの店で売っている 吏族ダンパの余興で使用されたテレビと同じもの L:古いテレビ={t:名称=古いテレビ(アイテム)t:要点=いまどきみない古臭いテレビ、いまにもうつらなくなりそう、未来がうつるt:周辺環境=ヨシフキンの店t:評価=なしt:特殊={ *古いテレビのカテゴリ=非消費型マジックアイテムとしてみなす。 *古いテレビの位置づけ=マジックアイテムとしてみなす。 *古いテレビの効果=望んだ人物の近い未来の姿を映し出す。 *古いテレビの側面1=あくまで可能性の姿であり、実際の未来とは異なる可能性がある *古いテレビの側面2=しばらくすると壊れて使い物にならなくなるが、叩くとほんの少しだけ寿命が延びる 。 *古いテレビの側面3=ヨシフキンの店で売っている。 *古いテレビの側面4=吏族ダンパの余興で使用されたテレビと同じもの。}→次のアイドレス:未開示} 解説 ここ最近ではまったく見られないような古い型のテレビの形をしたアイテム。 常に大破寸前のようで使用開始してしばらくすると壊れて使い物にならなくなる。 ちなみに手刀斜め45度……かどうかは知らないが、叩くと少しだけ寿命が延びる。 テレビ画面に映るのは望んだ人物の近い未来の姿だが、『このままではこうなる可能性が高い』未来であるようで、プレイヤーの行動次第で未来は変えられる模様。 吏族ダンスパーティの余興で使われたテレビはこれと同じものである。 しかし、その際は内容に関して重度の情報規制とペナルティがかかっていたにもかかわらず、プレイヤーによる情報漏洩が発生してしまった。 未来を知ることができると言う事は必ずしも良い事ではないということなのだろう。 なお、このアイテムはヨシフキンの店で購入できるが、2008年7月中旬の段階でヨシフキンが行方不明であるため入手することは難しいと思われる。 保有国一覧 藩国名 入手履歴 使用履歴 現在所持数 保有国なし 入手履歴なし 使用履歴なし 0 参考資料 みんなで夏祭りにいこう! 吏族ダンスパーティー卓ログ置き場 上へ 戻る 編集履歴 矢上麗華@土場藩国 (2008/07/26) 解説 那限逢真・三影@鍋の国(2008/07/26) イラスト製作 松井@FEG (2007/4/30)
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/213.html
法皇は使い魔~法皇の使い魔第二章~ 「我が名は花教院典明」 なぜ僕は生きているのかという疑問はもはや頭の中に無かった。 DIOのことだから能力は時間を止める事だけでは無いかもしれない。 殺してからも相手に死を与え続ける、そんなえげつない能力があってもおかしくは無い。 とても恐ろしい能力だ。しかし、だからこそ彼は誇り高く名乗った。 スタンドでは負けても心で負けないために。 そしてDIOの恐怖に打ち勝つために。 「ハイエロファントグリーン」 彼のスタンドが現れ臨戦態勢に入る。 するとなぜだろう、 「なに叫んでるんだ?」 「変な髪形だなあ」 「あんな服見たこと無いぞ」 見下されている感じはあれど殺意もなさそうだし、スタンドも見えていないようだ。 「カキョーイン?発音しにくいわね、何でも良いけど動かないでね」 名前を聞いてきた少女が近づいてきた。 相手がスタンド使いで無いと思って油断していたそのときだった 唇を奪われた いつもは冷静な花教院だがこのときばかりは動揺した。 髪型は独特だがイケメンといってなんら差し支えの無い彼だが、 承太郎達と出会うまで真の友達いなかったのである。彼女などいるはずが無い。 つまりファーストキスだったのである。 「な、なによ、私だって初めてなんだからね」 少女が赤面して叫んでいる。 彼はとりあえず話題を変えようとした。普段の冷静なイメージを崩したくなかったのである。 「そういえば、あなたの名はなんというのですか」 口調はあくまで冷静だった。 「私はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 ルイズ、自分のファーストキスを奪った相手なのか。 こんな事を考えていると急に体が熱くなっていった。 これは恥ずかしいというれぜるじゃ無い、これはもう明らかな痛みだ。 「まずい・・・意識が・・・遠・・・のい・・・て・・・いく・・・」 油断していた、キスで動揺していたとはいえこんなに簡単にやられてしまうとは・・・ 夢を見た。承太郎たちと日本へ戻る夢だ。 承太郎はいつものように静かで、ジョースターさんとアブドゥルは仲良く酒を飲み、、 ポルナレフはいつものように騒がしく、イギーもこころなしか幸せそうな顔をしていた。 そして僕は・・・ 「こ、ここはどこだッ」 いいところで夢から覚めるとそこは西洋風のベッドの上だった。 なぜ僕はこんなところにいるんだ・・・そうか、DIOの第2の能力で・・キ・・ス・・をされて・・・ 彼は少々赤面しながら彼は大体の事を思い出した。 「もう手遅れかもしれないがとにかく逃げるしかないッ ハイエロファントグリーンッ壁に穴を開けろッ エメラルドスプ・・・」 「もう起きたの?それに何叫んでるのよ」 ピンク色の髪をした少女ルイズが部屋にはいってきた。 「お、お前はッDIOのスタンドだか手下だかわからないが、 さっきのキスで君を敵と確信した、女の子だが倒させてもらおうッ、 ハイエロファントグリーン、エメラルドスプラッシュだッ」 彼のスタンドの手から宝石が放たれる。 「な、何なのよ、何で急に空中から宝石なんかが出てくるのよ?」 「何?やはり君にはハイエロファントグリーンが見えていないのか?」 そういえば彼女がDIOの仲間なら寝首をかく事だって容易だったはずなのになぜ自分を殺さなかったのか。 冷静になって考えればこちらの勘違いかもしれない。 「一応聞くが、君はDIOという男は知っているか?」 「DIO?だれよ?それと君って呼ぶのはやめなさい、使い魔のくせに無礼よ!」 「使い魔だと?いったい何なんだ?それは。」 花京院という男は冷静である。 「使い魔」と呼ばれに明らかに目下に思われているのに現状把握に努めている。 その結果ルイズから、この世界の事、使い魔とは何か、などを聞き出すことに成功した。 「つまり、僕は君、失礼、ルイズの執事となればいいのだろう? だが断るッ といいたいところだが、DIOの仲間と間違えて攻撃してしまった以上、 謝罪の気持ちの表れとして当分はルイズ、あなたの言う通りにしよう。」 もちろん、彼の心の中には、まだDIOの手下である可能性はぬぐいきれなかったが、 元の世界に帰るためにルイズの近くにいることが最善であるのも確かだ。 「それじゃこの下着洗っといてね」 早速ルイズが仕事を申し付けてくる。 それにしてもあまり親しくも無い男に下着を洗わせるのは恥ずかしくないのだろうか? 承太郎で無くてもこういうだろう。 「やれやれだ」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/374.html
愚者(ゼロ)の使い魔-1 愚者(ゼロ)の使い魔-2 愚者(ゼロ)の使い魔-3 愚者(ゼロ)の使い魔-4 愚者(ゼロ)の使い魔-5 愚者(ゼロ)の使い魔-6 愚者(ゼロ)の使い魔-7 愚者(ゼロ)の使い魔-8 愚者(ゼロ)の使い魔-9 愚者(ゼロ)の使い魔-10 愚者(ゼロ)の使い魔-11 愚者(ゼロ)の使い魔-12 愚者(ゼロ)の使い魔-13 愚者(ゼロ)の使い魔-14 愚者(ゼロ)の使い魔外伝 愚者(ゼロ)の使い魔-15 愚者(ゼロ)の使い魔-16 愚者(ゼロ)の使い魔-17 愚者(ゼロ)の使い魔-18 愚者(ゼロ)の使い魔-19 愚者(ゼロ)の使い魔-20
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1498.html
「おあ?」 廊下を人が歩く音でセッコは覚醒した。もう朝らしい。 記憶が無いなりに自分の状況を再確認する。 どうもこの今一つ理解できない状況は、夢ではねえようだ。 なんせ目の前のベッドに自分を使い魔?にした女が眠っていやがる。 確か起こせと言っていた気がする。 「起きろぉー、ルイズ起きろ」 ぴくりとも動かねえ、だが息はしてるようだ。 「起きろつってんだろがよおおおお!」 ベッドを思い切り揺らして叩き起こしてやるか。方法は言われなかったし。 「な、なによ!何事?」 「朝だ起きろぉー」 「あー……はいはいおはよう。……あなた誰だっけ?」 記憶喪失って伝染性の病気だったかぁ?んなわけねえよなー? 「セッコ」 「ああ、使い魔ね、昨日呼んだ!」 「頭の病気か。」 「ちょっと寝ぼけてただけよ!あ、ついでに服を着せなさい。」 言うが早いか服一揃いを投げつけられた畜生。 それにしてもどうも逆らう気がしねーのは何故だ? やっぱりこの印になんかあるのか? 「できね。」 「ちゃんとやってくれたら飴ちゃん一個あげるわよ。」 「着せ方が判らねえ。」 「……」 仕方なく自分で服を着るルイズ。 貴族ってのは人前で着替えるのが普通なのかぁ? 全く理解できねー。 「ちょっと早いけど朝ご飯食べに行くわよ。」 そういえば、昨日トリステイン魔法学院?に来てから何も食べてねえ。 「うん、うん。」 ルイズに付いて部屋を出ると、胸のでかい赤髪の女が目の前にいた。 なんだか挑発的な表情をしてやがる。敵? 赤髪はルイズを見るとにやりと笑った。 「おはよう、ルイズ。」 「おはよう、キュルケ。」 ルイズが心底嫌そうにだが挨拶を返している。敵ってほどではねえみたいだ。 「あなたの使い魔って、それ?」 「サモン・サーヴァントで平民を呼ぶなんて、さすが[ゼロのルイズ]ね」 ルイズの表情が険しくなっている。 「うるさいわね!」 そもそもオレを使い魔と呼ぶこと自体どうも腹が立つ。 別の二つ名があった気がするが、思い出せねえ。気にしても仕方ないか。 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねえ~。フレイム!」 キュルケが勝ち誇って叫ぶと後ろから赤い獣が現れた。 でかいが目が妙に可愛い。 ルイズが今にも暴れ出しそうだ。オレは飯が欲しい。 「ルイズ、飯……」 「わかったわよ!こんなのほっといて先に行きましょ!」 やった、飯が食える。 「ちょっと、この微熱のキュルケ様を無視とは何事よ。」 「朝ご飯が早く食べてえ、後で聞く。」 正直関わりたくねえ。大体使い魔なんて、正体不明のほうが有利なんじゃねえの。 まあ飯だ飯。食堂はもうすぐらしい。 「うおあ、無駄に豪華だなあ」 「無駄は余計よ。貴族が使うんだからこれで普通なの。」 「オレは何を食えばいいんだ」 「それよ。」 指差した先の床にパンとスープの皿が置いてあった。 腹が減っていたので平らげる。甘いもの以外の味はよくわからねえ。 「量が足らね。」 ルイズは困っていた。平民の、しかも使い魔に貴族の食事を与える訳にはいかない。 それに「教育」にも悪そうだ。だが、確かに足りない気もする。 どうせ残す物ならいいかしら? 「少しだけよ。」 鳥の皮とハシバミ草のサラダを渡してやる。 セッコはそれをあっという間に食べてしまった。 この食欲ぐらい役に立ってくれるといいんだけど。 授業があるとかいうので付いていく。こいつ学生だったのか。 偉そうだから先生かと思っちまったぜ。 魔法学院っつーからには魔法を教えたりするのか? とはいえ、ルイズが魔法を使っているとこを見たことが無いのでなんとも言えない。手品かもしれねえし。 「ここよ。」 「オレも授業受けなきゃいけねえの?」 「一応ね、適当に流してていいからその辺の床に座ってなさい」 石の床はなんとなく落ち着く。 それにしても、どうやら魔法学院というのはウソじゃねえらしい。 変な生き物がいっぱいいる。これ全部使い魔か。 「私は赤土のシュヴルーズ……土は・・基礎の…… トライアングル……錬金……だから……その…… スクウェアが……」 授業は全く理解できねえ。諦めて目の前の変な生物をからかって遊ぶ。 目玉お化けも6本足のトカゲも、形以外は普通の動物としか思えねえ。 なんで使い魔が人間だと困るんだぁ? オレならこんな珍獣の部下はこっちから願い下げだ。 と、突然爆発が起こった。こいつが魔法かぁ? 「うわあああ!」 「ゼロのルイズがまたやりやがった!」 どうも失敗らしい。失敗にしてはえらい威力だ。 また爆発があったら嫌なので外に出よ。それがいい。 「セッコ!セェッコ!!」 おかしいわね、あいつどこ行ったのかしら。 「セッコ!」 「なんだ。」 やっと現れた。主人が呼んだらもうちょっと早く来なさいよ。 「掃除を手伝いなさい。」 「わかった。」 やれやれ、なんとか昼までに終わりそう。 けど自分で指名しておいて、失敗したから一人で掃除しろなんて、あのババア今に見てなさいよ。 何とか終わらせて食堂についてみると、テーブルにはデザートのケーキ(の残り物)しかなかった。 甘いものは好きな方だと思う、でも昼食がケーキのみというのは耐え難い。 半分セッコに投げてよこすと大喜びしていた。 ハシバミ草を平気で食うくせに、甘いもの大好きなんて不思議な奴。 セッコがまた何か騒いでいる。優雅な昼休みがぶち壊しだ。黙らせないと。 「オレは悪くねぇ!謝るのはオメーだ!」 「貴様のせいでモンモランシーが!」 「脳みそにカビ生えてるのか?足元に転がってきた物を拾って何が悪りい!」 「貴族に対する礼を知らないのか平民が!」 「オメーのどの部分に貴族の要素があるんだ小便のシミ野郎!!!」 「このギーシュ・ド・グラモンを侮辱したな!決闘だ!」 「望むところだ、ボロ雑巾にしてやるよおおオオオオ!」 「ギーシュもセッコも何やってんのよ!」 「これはこれは[ゼロのルイズ]、君の召喚した無礼な平民にちょっと教育をね。」 「何がゼロですって?!既にあんたの方が無礼よ!大体決闘は禁止されてるでしょう。 何だか知らないけどセッコも謝りなさい!」 「禁止されているのは貴族と貴族の決闘だろう?こいつは平民だ。」 「そうだそうだ!」 「オレが謝る理由がひとつもねーよ!」 既に観衆までヒートアップしていてとても止められそうにない。 「セッコ。」 「何だ。」 「もう勝手にしなさい。でも殺したらダメよ!殺されそうになっても逃げなさいよ!」 「わかった。」 これは多分勝とうと負けようと「わたしが」謹慎だ。勘弁してほしい。 一応主として見届けるべく広場へついていくものの足取りは重い。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/287.html
監督教官のコルベールはほぼ満足していた。 新2年生のほぼ全員が使い魔の召喚と契約を無事済ませていたからだ。 (なまじ高等な幻獣を召喚されたら契約するだけで一苦労ですからねぇ) 生徒達が自分の力量と特性を見極め、それに見合う使い魔を召喚し、メイジとしての自分自身のあり方を見定める。 これが2年生最初の授業にして伝統の儀式「春の使い魔召喚」の目的だった。 とはいえ、 (まあ、やっぱりというか、予想に反してというか…) 今年度最大の問題児のみ、まだ使い魔との契約を済ませていない、という点だけは不満足だった。 その問題児、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが問題児たる所以は、通常のように 素行不良や成績不振、または対人関係といった人間的な部分には無い。 魔力はあれど術を一切使えないという、メイジとしての存在意義そのものを危うくするほどの欠点を、 彼女が持ち合わせていた事、ただそれだけ。 コルベールの予想通りだったのは、ルイズの召喚魔法が常識外れの結果に終わった事。 コルベールの予想と異なっていたのは、ルイズが一発で使い魔の召喚に成功した事。 そしてコルベールの予想を遥かに超えていたのは、召喚した使い魔が人間だった事。 「ミスタ・コルベール!もう一回だけ召喚させて下さいっ!」 嘆願、と言うよりもわめき散らすルイズを前にして、 (さてどうしたものか) 極力表情を表に出さないように、コルベールは悩む。 召喚した使い魔が気に入らないという理由でのやり直しなぞ、到底認められるものではない。 それは使い魔召喚という儀式とその目的を、ひいてはトリステイン魔法学園の伝統を、乱す事に他ならないからだ。 一方、自分が知る限り、人間を使い魔として召喚、使役したメイジなぞ聞いた試しもない。 コルベールはより無難な回答を出すことに決めた。 「それは駄目だ。召喚に成功したのなら、それが君の使い魔となるべき者なんだ。例えそれが…」 改めてルイズが召喚した人間を観察する。 がっしりとした筋肉質の若い男。立ち上がると身長は2メルテもありそうだ。 どこか気品のある、それでいて垢抜けない仕草は辺境出の貴族のようにも見える。 杖は持っていない。衣装も見慣れぬ物だ。身分を示すような装飾品も見当たらない。 「…平民だったとしても例外ではない。これがこの儀式のルールであり伝統だと説明したはずだがね」 目に見えて落胆するルイズ。他の生徒達は口々にはやし立てる。 「さあ、契約を済ませ、儀式を完遂するんだ、ミス・ヴァリエール」 召喚した平民のもとへ渋々と戻り、その場に座らせてから、杖を振り、口訣を結ぶ。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」 唇を合わせようとルイズが顔を近づけると、平民の男が突然立ち上がる。 「な、何をするだァーッ!ゆるさんッ!」 「ちょっと!じっとしてなさいよ!」 「何てふしだらなんだ君はッ!こんな人目のある所で、見ず知らずの男である僕にッ!」 「あんたは私の使い魔なんだから言うこと聞きなさいよ!」 「僕は紳士だ!愛してもいない女性から誘惑されるなど願い下げだッ!」 「いいから座りなさい!あたしが届かないじゃないの!」 「君の言うことを聞くつもりはないッ!」 まるで会話が噛み合っていない。 (ああ…もうどうしたもんだか) コルベールは頭を抱える。授業時間はとっくに終わっているのに、これ以上面倒を増やして貰いたくはなかった。 「結構いい男じゃないの、ねぇタバサ?」 赤髪の女生徒キュルケの問いかけに、 「…」 青髪の女生徒タバサは特に答えを返さない。 早々に自分の使い魔と契約を結んだ二人はルイズと使い魔のちぐはぐな口喧嘩の推移を見守っていたが、 「それにしてもいつまでやってんだか」 まるで話が進まないのでいい加減飽きてきた。 「さっさと押し倒してキスしちゃえばいいのにねぇ」 「相手が大きすぎる」 「あなたなら『風の槌』でブッ倒しちゃうんじゃない?」 「手助け禁止」 「あ」 男の眼前で小さな爆発が生じる。 怯んだ男が膝を屈した所でルイズはその頭を両手で掴み寄せ、強引にキス。 「うわお、情熱的ぃ」 にやにやと嫌な笑みを浮かべるキュルケ。 ジョナサンは目の前で拳銃を発射されたような衝撃と爆音にもうろうとしていた。 (な、何を…?) 視覚と聴覚が白く塗り潰された中で、頭を掴まれ、唇に何かが触れる。 「はっ、離すんだッ…」 掴まれた頭をふりほどき、どうにか立ち上がろうともがくが、 「うおおおおおお!」 左手に生じた焼け付くような痛みにうめき声を上げ、またその場に膝まづく。 「終わりました、ミスタ・コルベール」 ルイズは複雑な心境で一礼した。 失敗魔法の爆発で使い魔の平民-ジョナサンに目くらましを浴びせ、その隙に契約を成功させたのは 我ながら胸がスカッとする機転だった。 が、そもそもその魔法が失敗だったこと、そして何よりも自分の使い魔がどこの馬の骨とも知らない平民であることは はなはだ不服でならなかった。 更に悪いことに、コルベールはジョナサンの左手に刻まれた使い魔のルーンを一目見るなり、 「ふむ…珍しいルーンだな」 とだけ呟き、後はまったく関心を払わなかった。 (せめて魔法の系統ぐらい教えてくれても良かったのに) 「ほら『ゼロ』!早く来ないと次の授業が始まっちまうぜ?」 「頑張って走りなさいな!グラウンドは広くてよ!」 「飛行」の魔法で易々と校舎に戻るコルベールと級友達を苦い思いで見送ってから、その光景にぽかんと口をあけて 見とれているジョナサンに 「ほらっ!あたし達も校舎に戻るわよ!」 と声を掛ける。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/877.html
さっさと食事を終えて食堂に戻ってみてもルイズの食事は未だに終わってなかった。 仕方がないので億泰はボケ~っと出口で待つ事にしたが、 食事を終えた生徒が通りがかりに億泰を見てクスクス笑っていくのが腹立たしい。 『見世物じゃねーぞコラァー!』とでも叫びたい気分だったが、 どうせろくな事にはならないのが目に見えていたので無視する事にした。 十分後に出てきたルイズまで無視してしまい、思いっきり蹴られるハメになった。 ルイズと合流し、連れてこられた所は大学の講義室のような石造りの大部屋だった。 見渡しても談笑している生徒が殆どで、この辺りはぶどうヶ丘高校と大して違いがない。 高校生の億泰にはどちらかというと視聴覚室だな~と思ったりしている。 二人が入っていくと、談笑していた生徒達が一斉に振り向き、 そして億泰を連れたルイズを見るとクスクスと笑い出す。 ルイズがそれを無視して席につこうとすると、 男子に囲まれていた一人の女子生徒がグループから離れて近づいてきた。 「あらルイズ、本当に平民が使い魔なの! すごいじゃない!あははあはは!」 燃えるような赤い髪に、ルイズよりも高い身長、ルイズよりも色気の漂う肉体、 とりわけルイズよりも突き出た胸元を、ブラウスのボタンを二つ程外して覗かせている。 ルイズと比べると、『負けた……スタイルのレベルで……』と若い頃のジョセフさんが言いそうな程だ。 勿論億泰はビミョーにヨダレを出しながらその胸元に視線を向けている。 「キュルケ……なに?なんの用なの? 嫌味言いに来たならアッチ行きなさいよ」 そう言ってシッシッと手で払うような素振りを見せるが、 当然キュルケはそんなのを無視してもの珍しそうに億泰を眺めだす。 「別に良いじゃない、見て減る訳じゃないでしょ? ふ~ん………… なんだかポカンとした瞳の奥に『何かを隠してる』ような気がするわね。 ねえ、お名前は?」 途中口をつぐんだのは、 直接『何だか締まりの無い顔ね』と言うのは流石に酷だと思ったからだろう。 だが、億泰はそんな事にも気づかない。 いや、二つの胸の谷間に生じる歯車的砂嵐の小宇宙に魅入って気づく余裕さえないのだ。 「あ、アッー!億泰ッス!虹村億泰!」 「オクヤス?変な名前。ま、覚えておいてあげるわ。 ねぇ、それよりルイズぅ。やっぱり使い魔ってのはこういうのよねぇ? フレイムー?」 キュルケが勝ち誇った声で使い魔を呼ぶと、 教室の後ろからゆっくりと巨大なトカゲが現れる。 「!! これってサラマンダーじゃない……!」 「そうよー、火トカゲ。 ほら見て!この鮮やかで大きい炎の尻尾! きっと火竜山脈のサラマンダーよ!」 と、そう言って自慢を始めるキュルケとそれを悔しげな瞳で睨むルイズの横で、 ポカンと億泰はフレイムを見つめていた。 (なっなんか規格外が出てきてるぜ~~~~ 燃えてるじゃねーかァ~~!?) 平気なのかよォ~という目で見ていると、 フレイムがきゅるきゅる、と他の皆もそんなモンだから気にするな。 という意味で鳴いたように聞こえた。 (ほぉ~、やっぱ使い魔ってスゲーんだな) きゅるきゅるきゅる 微妙に意思疎通ができているらしい。 そうしてフレイムと対話?をしながら椅子に腰掛けようとして、 ルイズに思いっきり突き落とされた。 「ドピ!?」 「何座ろうとしてるのよ。 ここはメイジの席なの、使い魔なんだからアンタは床。 す、座りたいならお願いくらいしなさいよ」 「あんだと~~!? ……フンッ、分かったぜ、床に座ってりゃーいーんだろ? ケッ邪魔しねーよーにしといてやンよ!」 と、そう言って壁際に移動してドッカと腰掛けた所で 紫色のローブに身を包んだ中年女性が入ってきた。 「はいはい、お喋りはそこまで。 授業を始めますよ」 どうやら教師のようだ。 「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ。 ……あら?ミス・ヴァリエールは変わった使い魔を召喚したと聞いていたのですが、本当のようですね」 シュヴルーズが億泰を見てとぼけた声で言ったのを引き金に、教室中がどっと笑いに包まれる。 「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 「それに、同じ平民でもせめてもう少し賢そうなのにしな!」 キュルケの自慢を聞かされて相当苛立っていたルイズは、 机をバンッ叩いて大きな声で怒鳴りつける。 「違うわ!きちんと召喚したの! でもこいつが来ちゃっただけよ! だいたいマリコルヌ、なによその格好!脂汗と包帯でまるで光ったメロンね!」 「なんだと!? 何度も『サモン・サーヴァント』をミスっていた分際で! このクサr……モグッ!?」 二人が口汚く口論しだすと、 突然ルイズをバカにしていた包帯メロンの口に赤土の粘土が叩き込まれる。 口を塞ぐだけではなく、口の中一杯に頬張らされているようだ。 「ミスタ・マリコルヌ。 貴方はその格好で授業を受けなさい。 少々口調が乱暴すぎますよ?」 窒息しそうな程にウーウー呻くマリコルヌの不気味さに教室の笑いが収まった。 それを見てこほん、と咳払いをするとシュヴルーズは杖を振る。 「私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。 『土』系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します」 授業が始まると、億泰はボーっと眺めていた。 億泰にとってはいくら興味深いものでも教師の言葉は眠りの魔法なのだ! きゅるきゅる、きゅーきゅー、キョォォーン、ぎゅーぎゅー、ゲロゲロ アギ…… と、暫くすると何匹かの使い魔が億泰の所へと集まりだした。 億泰はそれらの相手を適当にしながら、意識を半分眠りに委ねる。 まあ、それでも化け物状態から治る前兆すらなかった頃の父親の世話をしていたため、 猫草をすぐに手なづけるような事ができたりするのだ。 一方でルイズはその光景をチラチラと見て、ムカッ腹を立てていた。 (何よ!他の使い魔とかなんかと仲良くしてるんだか! そいつらの主人はみんなアンタに陰口叩いてんのよ!?) 「聞いていますか?ミス・ヴァリエール」 「ふえ!?」 「全く、授業中には集中してください。 そうですね……あなたにやってもらいましょうか、ミス・ヴァリエール。」 「え、わ、わたしが?」 「そうです、この石ころを望む金属に変えて貰いましょう」 それを聞いて意気揚々とルイズは立ち上がった。 ここで成功させてマイナスイメージを払拭してやる! 億泰にも!ここの皆にも! 大丈夫、私ならやれる筈よと誰にも聞こえない位の小声で呟いた。 そのやる気の満ちた様子にクラス中が恐怖に覆われる。 蛇に睨まれたカエルのようにガタガタ震える者も居れば、 カタカタと涙を流しながら意識を手放す者もいた。 「先生、やめさせてください」 「それだけはやめといたほうが……」 「危険です」 「お慈悲を」 「ダメダメダメダメダメダメダメダメダメ……」 しかし、その声が耳に入らないかのようにルイズは教壇へと歩いていく。 その様子にシュヴルーズはにっこりと笑顔を浮かべ、 周囲は余計に引きつっていく。 「周りの声など気にしてはいけません。 さあ、錬金したい金属を心に強く思い浮かべるのです」 促されてルイズは可愛らしく頷き、手にした杖を振り上げる。 ざわっという声が教室に広がり、慌しく生徒達が思い思いの対策を取り出した。 「Hail 2 me……願いを三つ。 ルイズが錬金を成功させる。 それが無理なら錬金が失敗しても何も起きない。 それも無理なら爆発が避けていく。 Hail 2 me……」 「こ、此処は僕達が隠れるんだ! 君が入ったらスペースが埋まる!他に回ってくれマリコルヌ!」 「いやよ!こっちこないで!」 「こんな教室にいられるか!俺は部屋に帰るぞ!」 そんな様子すらも無視し、絶好調誰にも止められない状態のルイズは 唇をギュッと結び、真剣な顔で短くルーンを唱えて杖を振り下ろした。 瞬間!石ころは大爆発! 爆発の煙と臭いが充満し、平和な教室が一瞬で戦争最前線へと姿を変える! 至近距離の直撃を受け、シュヴルーズは吹っ飛ばされて叩きつけられた。 ルイズは真っ黒な煙の中に居て様子が分からない。 机に隠れた集団は無事だった。 願いを言っていた奴は地獄を!自分に!になった。 ギーシュに蹴りだされたマリコルヌはどこにも隠れられず、 吹っ飛ばされて使い魔の集団に叩きつけられた。 そのあまりの光景に驚いた使い魔は恐怖の対象のマリコルヌをボコボコにしだす。 フレイムが火炎を吐き、犬猫が噛み付き、鳥が引っかき、 マンティコアが飛び上がって鳩尾に体当たりだ。 「ゲェッ! なっ何だッ! イヒィイイイイイイ~~~~っ なんだこいつわぁあああ!」 アギ…… そして、衝撃で目覚めた億泰が不気味な形相のマリコルヌに驚いて蹴飛ばすと、 最後に衝撃で倒れてきた人面岩がマリコルヌを押し潰したのだ。 ほんの数秒で前線から阿鼻叫喚の地獄へとシフトして混乱が起きる。 状況を把握した先から被害者の姿を見てしまい、彼方此方で悲鳴と怒号が上がった。 「メイジは許可なく死ぬことを許されない! 死ぬな!死ぬなマリコルヌ~~~!」 「だから嫌だったのよ!もう二度とやらせないで!」 「ええい!学園は何をやってるんだ! 早くヴァリエールを退学にしろぉおお!」 「ピッツァー!マリコールヌ!気を確かに持てぇぇ!」 億泰はただ呆然としていた。 一言で表すのなら、 『あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 『おれ居眠りの階段を登っていたと 思ったらいつのまにか爆発が起きていた』 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが おれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった… 二股だとか死亡フラグだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…』 という感じだ。 暫くして頭の再起動が終わり、教室を見渡す。 前の方でシュヴルーズ先生が倒れて痙攣していた。 歯が全部折れているような気がした。 マリコルヌが岩の下から引っ張り出されてた。 誰の使い魔だかわからないが何処かで見覚えのある人面岩だ。 ルイズはそんな阿鼻叫喚を意に介さずにハンカチを取り出すと、 煤で真っ黒になってはいたが涼しい顔でこう言った。 「あら、おかしいわね?」 当然、その一言に他の生徒達がプッツンする。 「おかしいのはお前の魔法だ!」 「おかしくないって言うなら、 このマルコメルくっつけて治してよ!」 「マ・ルコ・メル!マ・ルコ・メル!」 状況が殆ど分からないが、億泰にもこれだけは分かった。 ルイズがなぜ『ゼロ』なんて呼ばれているのかが。 マリコルヌ&ミセス・シュヴル-ズ →治療を受けて全治数日。 他の生徒 →軽傷or無傷 ルイズ&億泰 →掃除を命令される 授業 →中止