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みずき駅 (みずきえき・Mizuki Station)は、神奈川県茅ヶ崎市下寺尾1373番地にある、ちばドリームエクスプレス(cdx)東湘本線の駅である。 駅番号は TS35 。 当初の予定ではcdx転換時に開業する予定であったが、駅周辺が宅地造成中で何もなかったため約2年遅れての開業となった。 目次を表示 基本データ 駅構造主な設備 トイレ バリアフリー設備 のりば 駅周辺 歴史 隣の駅 基本データ 所在地 神奈川県茅ヶ崎市下寺尾 駅構造 高架駅 ホーム 2面2線 開業年月日 2007年04月01日 所属路線 東湘本線 駅番号 TS35 キロ程 46.3km(渋谷起点) ◀ TS34 文教大学(1.2km) - (1.2km)香川 TS36 ► 備考 業務委託駅ゆめチケット 無自動改札 有 駅構造 相対式ホーム2面2線の高架駅。業務委託駅でゆめチケットは設置されていないが、自動券売機で定期券や指定席特急券が購入可能。 主な設備 YuMeCa対応自動改札機・タッチパネル式自動券売機・のりこし精算機を備える。 YuMeCaチャージ端末は改札内外に設置されている。 cdxグループのコンビニエンスストア「ゆめマート」が改札外にある。 トイレ バリアフリー対応の水洗式トイレが改札内に設置されている。 バリアフリー設備 エレベータが設置されている。 のりば 1 TS 東湘本線 香川・平塚・大磯方面 2 ズーラシア・中山・渋谷・ MZ 松見坂線方面 駅周辺 新興住宅街「湘南みずき」の最寄り駅である。なお、当駅の所在地は下寺尾だが、道路を挟んだ南側の地名は「みずき」である。 湘南みずき(住宅街) 神奈川県立茅ヶ崎北稜高等学校 茅ヶ崎市立北陽中学校 フードマーケットマム 湘南みずき店 ファミリーマート みずき店 ミニストップ みずき店 スリーエフ みずき店 歴史 2007年04月01日 - 開業。 隣の駅 TS東湘本線 特別快速やまゆり 通過 直通急行・急行 通過 通勤急行・快速・区間快速・普通 文教大学駅(TS34) – みずき駅 (TS35) – 香川駅(TS36) TS 東湘本線 Tōshō Line (東京)渋谷 - 南平台 - (新宿・ゆめみや線・春前本線方面 ) 松見坂 - 淡島 - 若林 - 駒澤大学 - 深沢不動 - 上野毛 - 諏訪高津 - 洗足学園 - 高津新作 - 野川団地 - 南野川 - 北山田 - センター北 - センター南 - 池辺町 - 加賀原 - 中山 - 四季の森 - ズーラシア - 都岡下川井 - 金が谷笹野台 - 三ツ境 - 阿久和 - 下瀬谷 - 高座渋谷 - 南綾瀬 - 慶應大藤沢 - 文教大学 - みずき - 香川 - 湘南田端 - 萩園 - 新平塚 - 平塚 - 大磯高麗 - 大磯 ( 伊勢原方面) 最終更新:2021-09-23 東湘本線 横浜支部 神奈川県 茅ヶ崎市 駅 駅一覧み
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;;背景『廊下』 @playse storage="DoorOpenF@11.ogg" @wait time=1000 @bg file="rouka1_mizu_y.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=700 つやめいた光沢を放つ廊下へ出ると、鐘は大きくなった。[lr] 何なのだろうか。[lr] 胸に手を添え、深呼吸。冬夜の冷気が胸の感覚を研ぎ澄ましてゆく。ますます警鐘めいたものが大きく響く。[lr] ;;SE『足音』。ぎしっと床板が軋む感じ。BGM『雨ノ/降ル/街』。 @playse storage="f11_5.ogg" @ws @bgm file="amemati.ogg" これか!?[lr] 警鐘はこれを告げていたのだろうか。そっと角から廊下を盗み見る。[pcm] @bg file="rouka2_mizu_y.jpg" rule="左下から右上へ" time=700 ;;みずき(私服 01,6B,09,00,00,00,M 片手胸に)← 目を 6B 7B 6B と変化 次の場面まで病み目で統一 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=1 e=6a m=9 y=b] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=1 e=7a m=9 y=b] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=1 e=6a m=9 y=b] ほっと緊張がほどけた。なんのことはない、みずきが廊下を歩いていただけのことだった。[lr] 何故か電気は点けない。懐中電灯を両手で抱きながら、そろりそろりと歩を進めている。何者かに気づかれることを恐れているような慎重さだった。[pcm] @cl @bg file="rouka1_mizu_y.jpg" rule="右上から左下へ" time=500 部屋に引き返そうとして、それには襖を開けなければならないことに気づく。この無音だ。バレてしまう。[lr] トイレにでも出てきたとよそおった方がいいだろう。胸騒ぎで目を覚ましたなどとは言えない。みずきのことだ、夜通し付き添うとでも言い出しかねない。[lr] わざと眠たげに口元に手を当てて、欠伸を噛み殺しているフリをする。目を細めながら、みずきの前へと歩み出た。[pcm] @bg file="rouka2_mizu_y.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=700 ;;みずき(私服 06,9B,11,00,00,00,M 片手胸に) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=9a m=11 y=b] 「!?」[lr] ;;SE『懐中電灯を落とす音。大きな物音です。その後、転がってゆく様子も含まれているとなおベスト』 @playse storage="noise_05_monooto.ogg" @ws [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=9a m=10 s=1 y=b size=S] 懐中電灯が手から滑り落ちて、思ったよりも大きな物音を響かせた。その音に飛び上がりそうになりながら、みずきが弾かれたように後退った。[pcm] ;;みずき(私服 05,5B,03,00,00,00,M 両手胸元) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=5a m=3 y=b size=S] 「みずき?」[lr] 見てはならないものを見てしまったような反応。むしろこちらが驚愕してしまう。どこかの筋肉が突っ張ったような違和感がある。重心がどこかへなくなってしまっている。[lr] 「俺だよ、俺」[lr] 某詐欺みたいだなと思いつつ、懐中電灯を拾い上げて顔を照らしてみせた。[lr] ;;みずき(私服 05,5B,05,00,00,01,M 両手胸元) ←口変化&涙が付きます [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=5a m=5 t=1 y=b size=S] 「――!」[lr] だが、みずきの瞳はますます翳(かげ)ってゆく一方だった。怯えきった小動物のように小刻みに身を震わせ、ツインテールを乱れさせてゆく。[pcm] 「驚かせてごめんな。トイレはどこだ?」[lr] もちろん、トイレの場所くらい知っている。昨日、使わせてもらった。[lr] だが、訊かざるを得なかった。これ以上、みずきを驚かせたくなかった。[lr] ;;みずき(私服 07,7B,05,00,00,01,M 両手胸元) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=7 e=7a m=5 t=1 y=b size=S] 「あ、あっちの突き当たり」[lr] どこか素っ気ない返事。いつもなら手を引いてそのまま案内してくれるだろうところ、みずきは方向を示すだけだった。目を合わせようとさえしない。[lr] 「そうか。ありがとうな」[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=7 e=7a m=9 t=1 y=b] 傍らを抜ける際、一瞬だけ足を止めて、[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=7 e=6a m=5 t=1 y=b] 「――!」[lr] 声にならない悲鳴。伸ばしかけた手が止まった。[pcm] 「…………」[lr] 沈黙が夜をいっそう静まり返らせた。息づかいの音さえもが聞こえるようになる。[lr] 耐えかねたようにみずきが傍らをすり抜けた。思わず追いかけようとし、しかし背中が放つプレッシャーに阻まれた。[lr] @cl 我知らず、顔が歪んだ。戦慄が体を衝き動かした。[lr] ;;みずき消し 音もなく、しかし素早く角を折れる。その恐怖から身を隠すように。跳ね上がった鼓動を抑えるように、胸を押さえる。[lr] 立ち上がるのに手を貸そうとしただけだ。だが、手を伸ばそうとした瞬間、みずきの顔に走ったのは、恐怖だった。[lr] 見間違えようがない。あのまま触れていたら、泣き出していたのではないか。そう思えるほどの、紛れもない怯え。[pcm] 俺はどんな顔をしていたのだろう。みずきが目を合わせてくれなかったことが、皮肉にも幸いだった。そんな顔、自分でも見たくはない。[lr] 息を一つつく。ためらった。だが、結局は悟られないようにこっそりと振り返った。もしかしたら、みずきもまた、という思いがあったからだ。[lr] ;;みずき(私服 08,8B,01,00,00,00,M 片手胸に) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=8 e=8a m=1 y=b size=S] けれど、みずきは……心底から安堵したように、ほっと息をついていた。[pcm] [nowait][r][r][r][r][r][r][r][endnowait] [font color="0xFF0000"] ――ああああああああああああああああああああああっ![pcm] [resetfont] ;;SE『ショッキングな音』、背景をテレビを切ったみたいにしてブラックアウト(ぶん、っていう音もあったら面白いかも)。三秒くらい真っ暗? ;;みずき消し ;;背景『階段』。BGM『ある日のこと』 @fadeoutbgm time=1000 @cl @playse storage="others_07_putu.ogg" @bg file="black.jpg" rule="上下から中央へ" time=100 @wb @wait time=1500 @bg file="kaidan2.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="gakkou1.ogg" 先輩にお礼くらい言っておくべきだろう。あとは姉さんが迷惑かけていなかったか確かめてこなければ。[lr] 足取りは軽やか。何なのだろう、この満たされたような充足感は。とても身近で馴染み深い感覚のような気がする。[lr] 踊り場まで上がり、角を曲がろうとして、[lr] ;;背景『廊下』。一瞬だけ、伊万里(制服 03,3A,09,00,00,00,M)とみずき(制服 04,8A,09,00,00,00,M 片手肩に)を表示。明滅みたいな。BGM『兆候』 @fadeoutbgm time=1000 @bg file="rouka1.jpg" rule="左下から右上へ" time=500 [ld pos=rc name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=9] 「ク、見ちゃ……だ!」[lr] [ld pos=lc name="mizu" wear=u pose=1 b=4 e=8a m=9] 「れは……の、違……」[lr] @cl @bg file="kaidan2.jpg" rule="右上から左下へ" time=500 角に引っこんだ。[lr] また、だった。伊万里は瞳を伏せ、みずきは身を縮めながら震わせている。[lr] だから、どうしてこんなに鉢合わせるんだ! 運命の振るダイスはイカサマとしか思えない。会う頻度が高すぎる……。[pcm] ;;SE『ショッキングな音』 @playse storage="tm2_power000.ogg" @ws 脳裏を冷ややかな閃光が掠めた。[lr] 愕然と眼を見張った。『今まで通り』だ。伊万里とはいつも一度や二度は何かしら顔を合わせてきた。[r] ただ、今まで気づきもしなければ、あらためて考えもしなかったというだけに過ぎない。[lr] まさか伊万里がこんなにも俺の日常の中で、いや俺の中で大きな存在だったなんて。驚愕が脳に浸透してゆくにつれて警鐘が鳴り響いた。[lr] 伊万里とみずきが会話。危険だ。とても危険だ。伊万里はみずきに『嫉妬』しているのかもしれないのだから。[pcm] 「……昨日……じ、どこに……の?」[lr] 「……して……」[lr] 「だっ……のバイ……きちのだっ……んだけど」[lr] 角度が悪いのか、上手く聞こえない。単語さえ断片しか聞き取れなかった。[lr] 「……っ!」[lr] 何か癇癪めいた叫びが響き渡った。あまりに押し殺されていて全く聞こえはしない。だが、それゆえに込められた激情のほどを悟らされた。[lr] 叩くような足音がこちらに向かってきた。[lr] @fadeoutbgm time=1000 一呼吸。ためらいの息だった。足はすくんでいる。だが、次の瞬間には角から躍り出て、駆け出してきた人影の前に立ちふさがっていた。[pcm] ;;SE『衝撃音』。みずき(制服 07,8B,09,00,00,00,M 片手胸に)。BGM『雪景色』 @playse storage="ClothE@16.ogg" @ws @bgm file="yuki.ogg" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=8a m=9 y=b] 胸にぶつかったのは、ツインテールだった。[lr] 「危ないぞ、みずき」[lr] ハッとしたときには、何も知らないフリをしていた。[lr] 「…………」[lr] 鳶色の瞳が揺れ、足元をさまよう。やはり俺を恐れているのだろうか。[lr] 瞳を覗きこむ勇気はなかった。重苦しい空気に口は一向に開かなかった。[lr] ;原文 口はいっかな開かなかった 本当は訊きたかった。何を話していたんだ、と。[lr] ;;みずき(制服 07,8B,09,00,00,01,M 片手胸に)← +涙 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=8a m=9 t=1 y=b] けれど、それはみずきを、もう充分に傷ついたみずきを、さらに傷つけることになる。[pcm] 「…………」[lr] 泣きたければ、泣いてもいいぞ。[lr] 迷った挙句、唇を震わせながら囁くと、みずきはうさぎのように眼を赤くしてそっと見つめてきた。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=2a m=9 size=L] そして胸に顔をうずめると、何も言わない。俺にできたのは、ツインテールを撫でてやることだけだった。慰めの言葉一つ囁けなかった。[lr] ――こんなことでいいのだろうか。漠然とそう思う。[lr] 伊万里を泣かせたのは、アイツの想いに気づいてやれなかったこの俺自身だ。そしてみずきを泣かせたのは、俺に狂わされた伊万里だ。[pcm] 解決を先延ばしにしているだけだ。こうやって慰めているフリをしているうのも、俺自身が癒されているだけの、自己保身でしかない。[lr] ただの罪滅ぼし。これ以上、みずきの泣き顔を見たくないというだけの。[lr] ;;SE『チャイム音』 @playse storage="se3.ogg" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=7a m=9 t=1 y=b size=L] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=9a m=10 t=1 y=b size=L] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=2a m=9 size=L] 終焉の鐘が鳴る。みずきがハッとして身を離そうとした。しかし、それをぎゅっと力を込めて抱きとめる。[lr] 放したくなかった。独りは恐かった。[lr] ;;みずき(制服 07,1B,10,00,00,00,M 片手胸に) @fadeoutse time=1000 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=1a m=10 y=b size=L] 「……みのる?」[lr] 戸惑ったようにみずきが上目遣いに俺を盗み見る。まだ涙の跡も消えていない赤い目。内面を覗かれているような気がした。[pcm] 反射的に体がこわばった。[lr] ;;みずき(制服 02,2B,08,01,00,00,M 両手胸元) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=2 e=2a m=8 c=1 size=L] けれど、みずきは微笑むと、抗うのをやめて身をゆだねた。抱きしめているのに、抱きしめられているような安らぎを感じた。[lr] 視界に映るみずきがぼやけてゆく。……泣いていたのは、俺の方だった。[pcm] ;;みずき消し ;;背景『帰路』。BGM『Lunatic Lovers~X-X』。みずき(制服 04,4A,12,00,00,00,M 片手肩に) @fadeoutbgm time=2000 @cl @bg2 file="mizuki_miti_y.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="llxx.ogg" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=1 b=6 e=1a m=8] 今日はみずきと一緒に帰っていた。[lr] ;;背景『携帯のズーム』。SE『携帯のバイブレーション』 @playse storage="Vibes08.ogg" @ws 携帯を開くと受信メールが一件。『今日も早紀のところに泊まるから』と素っ気ない一文が姉さんから送られてきていた。[lr] 目の奥が熱くなり、そっと眦に手を添える。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=1 b=5 e=1a m=9] どうして泣いたのだろう。自分のことなのに信じられなかった。[lr] 伊万里とは対等なつもりだった。同じ高さを歩み、同じ目線で物事を見ていると思っていた。[lr] 昨日までそう信じてきた。全くのまやかしを盲信していた。[pcm] けれど、違った。バレンタインのときに思い知らされた。あの返事はいつまでに出さなければならないのだろう。[r] 今すぐではなくてもいい。けれど、先延ばしは永久にできたりはしない。[lr] もし、その期限が今だったとしたら。涙腺が緩みそうになり、口元を引き締める。[lr] 泣き出して伊万里を傷つける。それだけは絶対に避けなければ。[lr] ――泣く、か。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=1a m=10] 乾いた自嘲の笑みがこぼれた。高校生になって、大人になったつもりだった。だというのに涙とは、なんとも子どもじみている。結局、俺は背伸びした子どもに過ぎなかった。[pcm] 伊万里はもう大人だった。俺と真正面から向かい合うだけの覚悟を積んでいた。だというのに、俺はどうだろう。いつ、置いて行かれてしまったのだろうか。[lr] 寂寥にさいなまれる。孤独の寒さが芯まで身を侵蝕してゆく。伊万里を追いかけなければ。なのに凍りついた足は動かない。[lr] ――独りにしないでくれ。[lr] ;;みずき(制服 05,7A,10,00,00,00,M 片手胸に) @fadeoutbgm time=1500 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=6a m=10] 「だいじょうぶ?」[lr] みずきが身を乗り出して、俯いていた俺を覗きこんでくる。鼻の奥がつんと熱くなり、とっさに顔を逸らした。[pcm] ;;みずき(制服 07,1A,07,00,00,00,M 片手胸に)。BGM『13と1の誓い』 @bgm file="13_1.ogg" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=3a m=9] ぎゅっ。握りあっている手に力が入った。温もりが伝わってくる。如月の冷気の中にいながら、むしろ体は熱い。傍らに別の体温があるだけで、こうも違うものかと驚きだった。[lr] 昨日、独りで幻の視線に怯えていたときとは大違いだ。もう独りにはなれない。静謐に告げられ、沈黙に語られたくはない。あの寒さを、孤独の冷たさを味わうくらいなら……。[lr] 手の熱が腕を伝って全身を火照らせてゆく。[lr] 「……っ!」[lr] 突如、激しい衝動に襲われた。瞬間、視界が何重にも増えてよろめく。[pcm] ;;みずき(制服 05,7A,10,00,00,00,M 片手胸に) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=1a m=10] 「どうしたのっ!?」[lr] 「…………」[lr] 口を開くものの、返事ができない。意識がはっきりしない。凍えきった心と体が、病的なまでに温もりを欲していた。[lr] 脂汗が滲む。空いた手が震え出す。せわしなく吐き出される白い息。[lr] みずきは何かを言っているようだ。だが、耳を打つ透明な清音としてしか聞こえなかった。[lr] 目に映るのは、薄く紅を引いたような桜色の唇、赤く濡れた舌先、ほんのりと色づいた頬。揺れるツインテールから漂う芳香が、このうえなく情欲を刺激した。[pcm] 「みの、る……?」[lr] ;;みずき(制服 07,4A,03,00,00,00,M 両手胸元) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=7 e=1a m=9] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=1a m=10] 異変を察したのか、みずきの手の力がふっと抜けた。が、結局は再び握りしめた。[lr] 悲鳴をあげそうになる。放してくれていれば。頭の芯が痺れてゆくのが分かる。けれどどうしようもない。理性は拒んでいるのに、本能は望んでいた。[lr] 「みずき――!」[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=9a m=11] 恐ろしいほどの力で、華奢な体を力任せに抱き寄せていた。[lr] ;;みずき(制服 05,5A,05,00,00,00,M 両手胸元) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=9a m=5 s=1 size=L] 「み、み、み、み、みのっ!?」[lr] 怯えた表情ですら劣情を煽るだけの意味しか持たない。[pcm] 蹂躙しかけたところで、冷水を浴びたように血が落ちた。[lr] 大きく見張られた鳶色の瞳。そこに映っていたのは、『獣』。[lr] 憑かれたような衝動が、潮が引くように鎮まってゆく。みずきの眼に射すくめられていた。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=1a m=5 s=1 size=L] それは凍えていた。それは飢えていた。それは……怯えていた。[lr] この上なくか弱い。小さい小さい牙を精一杯に剥き、虚勢を張って唸っている。[r] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=1a m=9 s=1 size=L] 誰かに身をすり寄せたくてたまらないのにも関わらず、まっすぐに近づかれると吼えて追い払ってしまう。[lr] 愛されたいのに、愛されそうになると逃げてしまう。[pcm] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=1a m=10 s=1 size=L] 「みのる」[lr] 首を振るしかできない。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=6 e=6a m=10 s=1 size=L] 「みのる?」[lr] 首を振る。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=6a m=11 size=L] 「あたしを見て」[lr] 首を振る。[lr] ;;みずき(制服 07,8B,07,00,00,02,M 片手胸に) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=4 e=9a m=11 t=1 y=b size=L] 「どうして!?」[lr] 張り詰めた糸が切れたように、みずきが叫んだ。俺は……首を振った。[lr] みずきは優しい。優しすぎる。苦しむ俺を見ては放っておけない。手を差し伸べてしまう。今もぎゅっと手に力が入った。[pcm] けれど、俺は踏み出すわけにはいかない。誰にも身をすり寄せてはダメなのだ。――伊万里への返答が、まだだから。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=5a m=10 t=2 y=b] もう一度だけ、首を振ると、そっと手をポケットに入れて歩みを再開する。今さらのように手を振り払われたたことに気づいたみずきが『あ……』と茫然と呟いた。[r] 絡みつくような視線を背に感じたが、俺は振り返らなかった。[lr] このままうやむやにしたかった。みずきとは今までの関係でいたかった。――伊万里とはそうあれなかったから。[pcm] ;;みずき消し
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みずき 基本情報 ユーザー情報 開始年月日 2016/08/02 プレイ回数 1156 勝率 58.8% 評価ポイント 945
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Musician みずき舞 オフィシャルブログ みずき舞〔Wikipedia〕 .
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6/25日現在みずきまとめ 面倒見過剰気味で、困っている人を見ると放っておけない性格。 一方で自分の正義を人にも押しつけるところがある。本人は良かれと思って言っているが余計なお世話であることもままある。 その為、慕ってくれる友人も多いがうとましく思っている人間も多い。 教師陣などには受けが良いが、一方で高校留年という立場のみずきの扱いに困っている部分もある。本人は留年については全く気にしていない。 国語、数学、英語、物理が得意。社会系全般、物理以外の理科系全般が苦手。 特に稔に対しては常に注意を払っており、稔も最初こそみずきを小うるさく思っていたが中学に入る頃にはみずきの指摘がいちいち的確であることに気づき、はいはいと言うことを聞いてしまう。 みずきも惚れた弱みであまり強くは言わない為上手くバランスが取れている。 かなりの負けず嫌いで特にひめなどに言い負かされると捨てゼリフをはいて逃げていく。なおひめとの勝率は年齢差もあってかひめ7割みずき3割。 伊万里とは親友で、伊万里が悩みを打ち明けられる数少ない相手。 ●病み状態に入ると面倒見過剰が極端になり、逐一稔の行動を監視するようになる。 ●自作の盗聴器や監視カメラなども利用するようになる。 ●稔が最近××なのは○○のせいだ……と、稔が関わる他者に対し敵意を持つ。 ●藤宮家への侵入等、それが犯罪行為であるとわかっていても、「全ては稔の為」と自分に言い聞かせることで無理矢理納得してしまう。 ●それが最終的には、稔と関わる人間を○すことも厭わない精神状態へと落ちていく。 ●また普段は全く意識していないが、心の中では大切な10代の一年を棒に振った事への恐怖や自分が入院している間普通に生活していた同級生への妬みなどを抱えている。 ●それが何かのきっかけで暴発してしまうと、他者への無差別な攻撃に発展する危険性あり。 生い立ちまとめ 生まれた時からこの町に住む。引っ越しなどはなし。 稔と知り合ったのは小学五年生の時、同じクラスで稔とみずきが学級委員になったのがきっかけ。 当初はあまり自分から何かしようとしない稔を快く思っていなかったが、クラス内でケンカが起こった時など、友人同士の輪が乱れそうな時は積極的に(時には身体をはって)仲裁にはいる稔に徐々に惹かれていく。 しかし普段の稔はお世辞にも真面目とは言い難かった為か、「稔の面倒を見るのはあたし」と持ち前の性格を発揮して稔とよく行動を共にするようになる。 その為、ひめとは当初稔の取り合いで大げんかとなるが、伊万里の仲裁もあっていつの間にか「けんかする程仲が良い」という雰囲気になった。 高校一年の春、交通事故に遭い大ケガをしてしまう。一時期は一生病院のベッドかという状態だったが奇跡的に回復。しかし一年間をまるまる棒に振ってしまう。 両親・教師は転校を進めたがみずきは断固として拒否、一年留年という形で高校に留まる。 ※上記の交通事故について、自分としては「ひめ」か「伊万里」のどちらかを かばったことによるものという設定を考えています。みずきは普段は全く 意識していませんが心の奥底にこの時かばった相手への妬みを持っており、 みずきが病み側面に落ちるきっかけの一つとして利用することを想定しています。 この辺は重要なエピソードだと思うので、特にスレ住人の意見を聞きたいです。 →ひめの設定が濃すぎになりそうだから伊万里じゃないか。貧乏くじを引くのは伊万里なので伊万里でGO 外見まとめ追加分 【舌】 猫舌。 【手先】 子供の頃から父の木工所によく出入りしていては何か作っていた為手先は器用で、 工作全般が得意。 環境関連まとめ 【住居】 田舎エリア。家は昔ながらの日本家屋で広さは普通程度。庭と納屋あり。 父の経営する木工所が隣接している。 【部屋】 一人部屋。畳敷きでベッドはなく布団で寝ている。自室にTV、各種ゲーム機、パソコンあり。乱雑でマンガ・雑誌などが散らかっている。 【家族】 両親・祖母。父親は祖父の代からの木工所を経営している。職人は皆同じ町内の人々で、そのためみずきの父は町ではちょっとした顔役である。みずき自身も幼い頃からよく木工所に出入りしており、職人達に可愛がられている。 またみずきの面倒見の良さは家や木工所の手伝いをよくしていた事に由来する。 一人娘のせいか両親・祖母はみずきを大切にしているが、それほど木工所の経営が豊かではないという経済事情の為、甘やかしているという程でもない。(本当は甘やかしたいのだが先立つものが無い) 【通学】 自転車を利用。歩いて行けないことも無いがややつらい。 【財布】 月のこづかいは稔と変わらず。たまに欲しいゲームや靴などがある時は、市街地の一日短期バイトなどに参加することもある。 また夏休みにもバイトしていた為現在はやや貯金あり。 みずきイメージ集 主人公との付き合いは長そう グループの中心に入るようなイメージ ベクトルがまともな方に向けば、体調管理とかしっかりやってくれる奥さん? 盗聴&盗撮はデフォ? 盗聴器とかいいんじゃね? 遊びに来たついでに設置。 稔のことが好きでたまらない→稔のすべてを知りたい的な流れ ロリ姉に子供舌でみずきが猫舌? 本気のストーカーなら稔に対して何らかのアプローチをとりそうだな… 何度も何度もアプローチするけど稔が逃げるとか誰かに相談すると言うことを 結構な頻度を繰り返したとき チェーンソーエンドとかのイメージ… 例えばいつも一緒に帰っていたはずなのにある日突然一緒に帰らなくなる つけてみると他のキャラと一緒に帰る稔を目撃 稔に裏切られたと感じるみずきはヒロインに何かをした後 稔に対するストーカー行為開始 エンドは起きの召すままって感じで… 実はみずきへのプレゼントとか女性に喜んでもらえるような プレゼントを選ぶために一緒に帰っていた もちろん驚かせたいからみずきには秘密にしていたがためにおきた 悲劇ってイメージ 姉を惨殺してから稔に迫る ナイフだけでスパゲッティ食える 平常心のフリしてリンゴの皮むこうと(お見舞いの定番)するんだけど手が震えてリンゴメッタ刺し 持ってきた弁当を捨てさせて手作りのを無理やり食べさせたり 教科書に一緒に写ってるプリクラ張りまくられたり 他の娘の名義で体育館裏に呼び出したりみたいなのはダメ? みずき捨てゼリフ集 「こんにゃくゼリーのどに詰まらせて死ねっ!」 「キャラメル食べて詰め物とれて怒られろっ」 「アサリのおみそ汁に砂のこっててちょっと嫌な思いしろっ!」 「うっかりあめ玉丸飲みしてパニくれ!」 「きなこでむせて涙目になれっ!」 「チョコバットのヒット4枚集めたはずなのにどっかやって悔しい思いしろっ!」 「チョコバットのヒット四枚だと思ったら一枚エースバットのストライクでそのことに送ってから気付いて悔しがれっ!」(言い切るまで二回噛む) 「ボールペンのインクはあるのに空気入っちゃって使い物にならなくなれっ!」 「階段降りきったと思ったら実はもう一段あって思いっきりすっ転べ!」 「夕ご飯全部にペプシブルー混ぜて食べる気を無くしやがれっ!」 「炭酸のどに詰まらせてしんじゃえ!!」 「そっちこそちょっとだけコーラこぼして手べたべたになっちゃえ!!」 「2㌧トラックの内輪差に巻き込まれてしんじゃえ!」 「稔がつまづいたとき下敷きになってしんじゃえ!」 「お風呂入ろうとしたらちょうどお父さんがお風呂から出てきて気まずい思いしろっ!」 みずき×ひめエピソード例1 みずき「おはよー、みのる。て、あれ? 今日ひめさんは?」 稔「あー、なんかちょっと調子悪いって言ってサボり」 みずき「いい御身分ー」 稔「まぁ熱出てたから俺が休むように言ったんだけどな。休みってのは恥ずかしいからサボりにしてくれって、姉さんが」 みずき「あれ、ほんとに体調悪いんだ」 稔「一日ねてりゃ治ると思うけど、おとなしくしてくれるかだよなぁ」 みずき「……それなら、今日お見舞いに行ってあげようかな」 稔「それはいいけど、ケンカするなよ?」 みずき「うっさいなー、それぐらいの常識はあるっつの」 みずき「やっほー、ひめさん元気ー?」 ひめ「うっさいなぁ… 元気なわけないでしょ!」 みずき「あれー? サボリって聞いたのになぁー」 ひめ「うっ…、うるさいうるさいうるさーい!」by.S みずき「なによ!心配してきてあげたのにー」 ひめ「余計なお世話よ!稔くんにお世話してもらうからいーんだもん!」 みずき「なっ… それなら稔がつまづいたとき下敷きになってしんじゃえ!」←捨て台詞 ひめ「そっちこそ稔くんにシャーペンと消しゴム貸してなくされろぉ!」←売り言葉に買い言葉 稔「…なにやってんのさ」 みずき×ひめエピソード例2 ひめvsみずき ↓ みずき「2㌧トラックの内輪差に巻き込まれてしんじゃえ!」←捨て台詞 ↓ ひめ事故る←トリガー ↓ みずき「あはははははははははっはっはあはははっはははははははははは ひめvsみずき ↓ みずき「2㌧トラックの内輪差に巻き込まれてしんじゃえ!」←捨て台詞 ↓ ひめ事故る 稔「いや、どう考えても酒はまずかっただろ……」 みずき「うっさい……うっ……」 稔「ほらほら、肩貸すから」 みずき「うーぇえー……っ! おろおろおろおろおろ」 稔「吐くまで飲むなよ……」 みずき「こんなに、弱いと、は。思ってなかった……」 みずき×エピソード例1 みずき「みのる、はい、これ。あげる」 稔「ん? カギ?」 みずき「あたしのウチのカギ。好きにしていいからね!」 ←去ってく 稔「……、どうしろ、と?」 みずき「今日はあたししかいないから…」 数時間後… みずきの家にて 稔「くっ 来るな~」 みずき「だーめ♥ くっついちゃう♪」 稔「やめてくれ~!!」 みずき「ほい! 同じマスに止まってキングボンビー移しちゃうwww」 エピソード例1その後(案a) みずき「ねぇ、みのる。あたしにさ、渡すものあるよね?」 稔「あれ、なにかあったっけ」 みずき「あー、やっぱり忘れてたんだ。ひどいなぁ」 稔「あー、なんだかわからんけど、悪い。で、なにを渡せばいいんだっけ?」 みずき「みのるのウチのカギー」 稔「……なんでだよ」 みずき「だって、ほら、あたしがカギあげたんだからさ、やっぱりみのるもあたしにくれなくちゃ」 稔「いや、なにされるか分かんないし」 みずき「なんにもしないよ? 本当だよ?」 稔「ごまかすなって。ほら、お前の家のカギなら返すからさ、それでいいにしろよ」 みずき「やだよ。返されません。みのるのカギくれればそれでいいんだから」 稔「いや、だからプライバシーとかあるだろうが」 みずき「あたしとみのるの仲でしょー?」 稔「とりあえず、絶対渡さないからな。いいな」 みずき「……そう。でもあたしもカギを返される気はないから」 稔「好きに、しろよ……」 エピソード例1その後(案b) みずき「ねぇ、みのる。あたしにさ、渡すものあるよね?」 稔「んー、なにかあったっけ?」 みずき「あー、やっぱり忘れてたんだ。ひどいなぁ」 稔「あー……ゴメン、で、なに渡すの?」 みずき「みのるのウチのカギー」 稔「……なんで?」 みずき「だって、ほら、あたしがカギあげたんだからさ、やっぱりさ、みのるもさ、あたしにさ、くれなくちゃ」 稔「いや、それはちょっと、さ……」 みずき「なんにもしないよ? 本当だよ? 絶対だよ?」 稔「その…なんていうか 姉さんの事もあるしさ、コレ返すから」 みずき「ノゥ!返されません。みのるのカギくれればそれでいいんだから」 稔「いやでも鍵は… あんまりあげる物じゃないって言うか…」 みずき「あたしとみのるの仲でしょー?」 稔「と、とりあえずさ、俺一人の家じゃないし、また今度な」 みずき「ん…… …でも絶対鍵は返されないからね!」 稔「う、うん……」 みずきエピソード例2 みずき「おべんと、おべんとー」 みずき「みのるは、結構食べるかな? おにぎり3つぐらいにほしいよね」 みずき「卵といてー、隠し味入れてー、焼いてー」 稔「お、弁当作ってきてくれたのか」 みずき「一緒に食べよう?」 稔「おkk」 んで、こういうときの隠し味は、体のどのパーツよ。ストーカー型的に考えて。 爪かなあ……吉影的に考えて キモイストーカー的に考えれば唾液、愛液 明るいストーカー的に考えれば愛情 病んでるストーカー的に考えれば……皮膚? いや、血だな 見た目にやばいのは髪の毛だな うっかり食っちゃった後で気づいてダメージでかいのは液体系かなやっぱ。 真面目に考えると自分の体毛を燃やしたモノをいれるという方法もある… ヤンデレ的には唾液かな みずきエピソード例3 みずき「みのる、いいもの見せてあげるよ」 ※ロリ姉盗撮画像@みのを想ってオナ(ny中 稔「………」 みずき「はしたないよねぇ、実のきょうだいなのにこんなことして。みのるもひめさんを見る目が変わっちゃうんじゃない?」 稔「……また姉さんこんなことして………。堂々と弟をオカズにするのはやめろ、てあれほど言ってるのに……」 みずき「あ、あれ? ひめさんに引かないの?」 稔「いつものことなんだよね。注意しても聞いてくれないんだよ」 みずき「あれ、みのる知ってたの?」 稔「そうそう。やめろ、て言うたびに、俺の幻聴だから冤罪だって主張されててさ。 いや、いい証拠を見つけてくれてありがとうな。ちょっとこのテープ借りてくわ」 みずき「え、あの、みのるっ?」 稔「じゃーなー」タッタッタッ みずき「ポカーン……あっれぇ? どこで台詞運び間違えたんだろう…… ひめさんとみのるを一気に引きはがすチャンスだと思ったのに」 みずきエピソード例4 みずき「みのるー、あんた昨日夜更かししてたでしょ」 稔「そんなにクマできてる?」 みずき「ううん、クマはできてないけど。夜更かしはよくないよ」 稔「ああ、まぁ努力します」 個人的にこの例4のエピソード良い感じだと思う。
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;;SE『チャイム音』。BGM『ある日のこと』。背景『教室』 @bg file="kyousitu.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="aruhiA.ogg" @playse storage="se3.ogg" @wait time=1500 @fadeoutse time=1500 @wf 「休みは黒川、と……黒川?」[lr] ;;検索エンジン(動揺) 滅多に聞かないググレの動揺した声。寝耳に水とはこのことだ。眦をこすってから、背筋を伸ばして体を起こした。[lr] ;;ググレ(困惑) 意識を回想から引き戻す。目の前でググレが珍しく戸惑っていた。普段は超然かつ傲慢、それが今はいい気味だ。とはいえ、理由が分からなければ、旨みも半減だ。[lr] 「おい、何があったんだ?」[lr] ;;エンジン消し、毒男(デフォルト) 「珍しいよな。委員長が休みだってよ」[lr] @fadeoutbgm time=2000 「…………」[lr] 「どうした?」[lr] 何故だろう。息苦しい。胸を押さえつける。心臓が暴れていた。[pcm] ;;みずき(泣き)を一瞬だけ表示。BGM『兆候』 @bg file="black.jpg" time=500 @bgm file=choukou.ogg" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=5a m=1 t=2 y=b] @cl @bg file="kyousitu.jpg" time=500 「知るか……っ」[lr] 短く、小さく、そして鋭く吐き捨てる。[lr] 証拠があるわけではない。ただ目に見えない恐怖を、はっきりしたものに仕立てたいだけだ。[lr] ――恐怖?[lr] @playse storage="heart.ogg" @ws 心臓が一際大きく跳ねた。[lr] そうだ、俺は恐れている。俺の前からいなくなったのは、みんな俺にかかわりのある人だから……。[lr] ――関わり?[lr] 姉さん、先輩、委員長……。一つの線で繋がるとしたら、それこそ無数だ。だが、俺の知り合いであるという線もそこには含まれている。[pcm] ;;毒男(心配げ) 「おい、どうした?」[lr] 心配そうに聞いてくるが、俺は曖昧に頷くと体の向きを変えた。机の下に隠しながら携帯を開く。新着メールはなし。姉さんはおろか先輩からさえも返ってきていなかった。[lr] ひとつ、考えが浮かんだ。バレればググレに没収だが、そうはならないだろう。確信めいた予感があった。[lr] ;;背景『携帯のズーム』 委員長の携帯番号に発信した。[lr] ;;SE『電話のトゥルルルー音』 @playse storage="tm2_phone006.ogg" @ws やはり出ない。[lr] メールなら成りすましも容易だ。いや、姉さんとは電話で話した。なら成りすましではない?[lr] 思考は激流めいて矛盾を押し流す。あの電話の後で何かに巻き込まれたというのなら、筋は通る。[pcm] ;;みずき(泣き) @bg file="black.jpg" time=500 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=5a m=1 t=2 y=b] @cl @bg file="kyousitu.jpg" time=500 ……危険、なのかもしれない。首筋の産毛が逆立っていた。[lr] ;;SE『チャイム音』 @playse storage="se3.ogg" 疑問は残っていたが、それを皮切りに思考を打ち切った。[pcm] @fadeoutse time=1000 ;;委員長(デフォルト) @bg file="black.jpg" time=500 [ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=1 e=1a m=3] ググレから委員長の住所でも訊き出して訪ねてゆくか?[lr] @fadeoutbgm time=3000 否。今の俺にとって大切なのは――。[lr] ;;みずき(笑い) [ld pos=lc name="mizu" wear=u pose=2 b=2 e=2a m=2] ――すまない。[lr] 目を閉じて顔をそむける。まだ呼び出しを続けていた携帯を切った。[pcm] [ld pos=rc name="yuri" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=4] ;;委員長(哀)の後消し ;;背景『廊下』、BGM『兆候』 @cl @bg file="rouka1.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="choukou.ogg" 何故か足音を響かせないようにしていた。焦燥はあくまで足を急かしている。だが、ひそやかに廊下を馳せた。[lr] どこか足が地についていなかった。リノリウムを蹴りつけているはずなのに、泥沼に嵌まりでもしたような気がする。入っては戻れない領域に踏みこんでしまったような。[lr] いいや、そんなはずはない。足元を見つめて首を振る。眩暈がするのは、ただの寝不足だ。[lr] @bg file="kaidan2.jpg" rule="左下から右上へ" 階段を駆け下り、角を曲がる。[lr] @bg file="rouka1.jpg" rule="左下から右上へ" ;;伊万里(驚き)を一瞬だけ表示 [imar f="驚き" pose=1 pos=c] @cl 人影。前進をためらった刹那、重心の乱れで左足首が挫けた。膝が折れ、右足で床を蹴って体を跳ばす。辛うじて人影との衝突を避けつつ、床へとダイブした。[pcm] ;;伊万里(驚き) [imar f="驚き" pose=1 pos=c] 「みのりんっ!?」[lr] 「……痛っ!」[lr] とっさに衝いた左手首が鈍痛を訴えている。いつだったか、こんなことがあったような気がする。[lr] 痛みを無視して立ち上がった。[lr] ;;伊万里(真面目) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=4] 「話を聞いてほしいんだ」[lr] 「後にしてくれっ!」[lr] 掴まれた裾を乱暴に振った。[lr] ;;伊万里(必死)。BGM『crazeforyou』 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=5a m=7 s=1] 「今じゃないとダメなんだっ!」[lr] 怒りと焦りと後悔と躊躇。無数の感情がごちゃ混ぜにされた一声だった。[pcm] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=4 s=1] 自然と動きがとまっていた。沈黙に荒い息づかいだけが響く。伊万里の力が緩んだところで、裾からその手を引き剥がした。[lr] ;;伊万里(デフォルトかほっとした笑み) 「少しだけだぞ」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=1 e=4a m=2] 右足一本で廊下に背を預けた。[lr] ;;伊万里(真面目というかシリアスというか) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=5] 「でね、話っていうのは――」[lr] 跳ねる心臓を右手で押さえつける。俺はまだ伊万里と向き合えない。すくんだ足は今も走り出そうとする。[lr] 「――みずきちのことなんだけど」[lr] あっと驚きの声が漏れかけた。みずきのことを心配していたはずなのに、いつの間にか保身のことしか考えていなかった。[pcm] ――これだから、伊万里と向き合えないのだろう。痛む手首を気にするフリをして、視線を逸らした。[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=5 s=1] 「だ、だいじょうぶ?」[lr] ――なんで心配するんだ。[lr] 理不尽だ、とても理不尽だ。けれど理不尽なことを思ってしまう。[lr] 思考するのがイヤになる。[lr] 「それより、話? みずきのことでか?」[lr] ;;伊万里(浮かない) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4] 「うん……」[lr] 頷いたっきり、沈黙する伊万里。[pcm] 唇は震え、全く動きを止めてはいない。けれど、なかなか言葉は出てこなかった。[lr] 言葉が見つからないわけではない、何か途轍もなく重々しいものを紡ぎ出そうとしていていた。[lr] すうっと、息を吸う音が明瞭に聞こえた。[pcm] ;;伊万里(シリアス) ;「ひめさん、いないよね?」 ;「早紀先輩もいないよね?」 ;「百合さんもいないよね?」 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=3a m=5] 「ひめさん、いないよね? 早紀先輩もいないよね? 百合さんもいないよね?」[lr] 矢継ぎ早に放たれた三つの質問。首が勝手に頷き、たじろぐ。[lr] 「だからみずきが危な……」[lr] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4] 「みずきちなんだ」[lr] 次のターゲット、か。[lr] 「分かってる分かってる。みずきが危ないんだろ?」[lr] ;;伊万里(怒) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=7] 「そうじゃないんだ!」[lr] 「どう、いう?」[lr] みずきが危ないわけじゃない?[pcm] 血が落ちて首筋が冷える。脳の奥深く封じこめておいた仮説がよみがえった。[lr] 「……まさか」[lr] 止めろ言うなそんなはずはない![lr] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=5] 「みずきちがやったんだ」[lr] 奇妙なほど滑らかに言う伊万里。最初の雨粒が地面を叩くように、ぽつり、と。[lr] 「……なんで?」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4] 「それはボクにも……」[lr] 「なんでこんな嘘をつくんだ?」[lr] ;;伊万里(困惑) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=2a m=5 s=1] 「……え?」[lr] 分かっている。けれど認めるわけにはいかない。[pcm] モノマネ娘。紅茶色に紛れていたペールグリーン。夜な夜な外出してはまとってくる鉄錆びたような異臭。今朝、見かけたMTBの泥だらけのタイヤ。[lr] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=4a m=5 s=1] 「嘘なんて……」[lr] 「嘘に決まってるだろ! みずきが、そんな……」[lr] ;;伊万里(必死) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=7 s=1] 「だって!」[lr] 感情が爆ぜたように上履きが床を叩いた。[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=5a m=7 s=1] 「だってそうなんだ! 仕方ないんだよ!」[lr] 静謐に叫びの余韻だけが立ち込めた。伊万里はしばし黙ってから、やがて呟いた。[pcm] ;;伊万里(哀) [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=4a m=4] 「ボクがそんな嘘をつくと思うの……?」[lr] 「それは……」[lr] 伊万里が俺にそんな嘘をついて何の利益がある? みずきを犯人に仕立て上げて……。[lr] 気づいていた。ただ気づかないフリをしていただけだ。とても残酷な覚悟を決めた。[lr] 「思う」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=2a m=5 s=1] 「――!?」[pcm] ;;伊万里(シリアスな驚き。ショック) 「伊万里、お前はみずきに嫉妬してるんだろ? だからこうやってみずきを貶めようとする。みずきの家にいるのは、別にお前が勘繰ってるような理由からじゃない。もう嘘は止めろ。今なら水に流してやるから」[lr] あってはならないものを見てしまったように、伊万里は目を見開いて言葉を失っていた。唇が震えるものの、言葉ではなく白い息しか漏れなかった。[pcm] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=4 e=3a m=5 s=1] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=5 e=2a m=5 s=1] 「そんな……ボクがそんなことっ!?」[lr] 固まった伊万里の視線が俺ではなく、俺越しの誰かを見つめていることに気づいた。[lr] @cl ぱっと振り向くが、窓があるのみ。いや、そこに一瞬、空気抵抗になびいた紅茶色のツインテールが映っていたような気がした。[lr] ;;みずき(怯え)を一瞬だけ表示。 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=7 e=9a m=5 t=1] @cl 「……みずきっ!?」[lr] [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=2 e=2a m=7 s=1] @cl 伊万里が袖を掴んでいたが、振り払って猛然と駆けた。[lr] ;;BGM消し、伊万里消し、画面を赤く明滅。 @fadeoutbgm time=1000 @bg file="red.jpg" time=300 @bg file="kaidan2.jpg" time=300 激痛。ふわり、と浮遊感が襲った。左足が階段を踏み外していた。[lr] ハッと思い出す。さっき伊万里とぶつかりかけたとき、左足首を挫いていた。[pcm] 気づく頃には段差を転げ落ち、床へ叩きつけられていた。間の抜けた笛の音のような音が喉からこぼれる。[r] ダメージを受けた肺は空気を押し出されていて、酸欠状態だった。だが、肺を広げようとすると、いきなり強烈な痛みを訴え出す。満足に呼吸さえできない。[lr] なおかつここに来て左の手首と足首の痛みまでもが蘇った。早くみずきを追いかけなければ。だが激痛が全身を灼き尽くし、一人で起き上がることすらできない。[lr] 絶望的に時間が過ぎてゆく。[pcm] ;;BGM『13と1の誓い』 @bgm file="13_1.ogg" 「……!?」[lr] 実は頭も打っていたのかもしれない。視界に小さな上履きが入りこんだ。かすかに震えている。一瞬、引き返そうかと動くのも見えた。だが、最終的には近寄ってきた。[lr] 「みの、る……?」[lr] ためらったような、怯えたようなソプラノは、間違いなくみずきのそれだった。[lr] 支えてやらなければならなければ。だが、俺は起き上がることすらできない。むしろ助けを求めていた。[lr] 軋んだ頬骨が痛むものの、なんとかして言葉を発する。[lr] 「俺はみずきを信じてる」[lr] びくん、と空気が波打ち、動揺しているのが伝わってきた。[pcm] 「本当に?」[lr] 「信じてくれないのか?」[lr] 俺の返答に再び黙りこむ。[lr] 「……信じてる」[lr] 「…………」[pcm] ;;みずき(泣き) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=3a m=9 t=1] ややあって、助け起こされた。併せて全身の力を振り絞る。右足は膝が痛かったものの、足首はそれほどでもない。なんとか階段へと座りこんだ。[lr] 「保健室に」[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=2a m=9 t=1] @cl 言い終わる前にみずきが首を振った。携帯を出して電話をかけると、怒鳴るような声で早口にまくしたててからあっという間に切った。[r] 途端に静謐が立ちこめる。華奢な輪郭が小さくなったように見えた。[lr] 「車、手配してもらったから」[lr] 背中越しに投げられたのは、感情のこもっていない報告。[pcm] ;;みずき(怯え) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=3a m=10] 「あたしのこと、信じてる?」[lr] 限りなく虚ろで、しかし異なる重みの問い。[lr] 「……もちろん」[lr] 間髪入れず、というには間が空きすぎてしまったかもしれない。実際、揺らぎがないとは言えなかったから。[lr] 俺は本当に信じているのだろうか。伊万里が嫉妬して、みずきを貶めようとしたなんて。[lr] いや、そうでないはずはない。そうでなければ、みずきは……。[pcm] ;;みずき(泣き笑い) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=6a m=8 t=1] 「ありがと」[lr] その笑顔はとても痛々しかった。むしろすがりついてきてくれた方がまだ安心できた。[lr] 俺は気づいてやれなかったのに。どうして? どうして? どうしてなんだっ!?[lr] 何も語らない。みずきはただ花のように微笑むばかりだった。[pcm] ;;BGM『Lunatic Lovers~xxx』。背景『みずき宅の客人用の部屋』 @fadeoutbgm time=3000 @cl @bg2 file="wafuu_kositu00.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=3000 @bgm file="llxxx.ogg" ベンツに乗せられた俺はそのまま病院へと連れていかれた。それもかなり規模が大きかった。[lr] とはいえ、正直、過剰すぎると思った。出血もなければ、頭を打ったわけでもなし。保健室の処置で間に合うレベルだ。[lr] 極めつけは料金。俺が保険証を持ち合わせているはずもない。請求金額はぼったくられてるのかと思うほどだった。[lr] しかし、そこでみずきの父はすべて代わりに支払ってくれた。その姿に感謝と尊敬を覚えたものの、一抹の疑念が胸に宿った。[pcm] よくよく考えてみればおかしな話とも言える。年頃の娘が男を連れてきて、しばらく泊める。それもいきなり。[r] だというのに、全く怪訝そうな顔もせず、むしろ後押しするような雰囲気だった。[lr] 人柄、と言ってしまえばそうなのだろうが、本当にそうなのだろうか。元々、あの人はあんな感じの紳士だっただろうか。思い出せない。分からない。[lr] そもそも会話をほとんど交わしていなかった。泊めてもらっておきながら食卓を囲んでいない。いつも俺の食事はみずきと二人で……みずきと二人で?[lr] そういえば、みずきも家族と食卓を囲んでいなかった。[pcm] 「痛っ!」[lr] 傷の痛みが思考を引き裂いた。[lr] 布団の中から手を出し、携帯を引きずりこむ。その仕草だけでも傷に障る。[lr] 眠りに落ちる前までは、布団の傍にみずきが張りついていたはずだったが、もういなくなっていた。代わりにスポーツドリンクと丁寧に畳まれた着替えが置かれていた。[lr] ;原文 ベッドの傍に ――ありがとうな。[lr] 心の中で礼を言い、そして謝罪する。俺はこれからみずきへ嘘をつく。いや、嘘にする。さっきみずきへ宣したことを。[pcm] ;;みずき(病み)一瞬だけ表示。 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=1 e=3a m=10 y=b] @cl @fadeoutbgm time=1500 「あたしのこと、信じてる?」[lr] 「……もちろん」[lr] 信じてはいる。信じてはいるが。[lr] ;;背景『携帯のズーム』。BGM『雪景色』 @bgm file="yuki.ogg" 張り詰めていた息を吐ききると、携帯の電話帳を開いた。[lr] 『伊万里寿司』[lr] ;;SE『トゥルルルー音』 @playse storage="tm2_phone006.ogg" 本当に、そうなのだろうか。伊万里が嫉妬でみずきを貶めようとしたのだろうか。[lr] 有り得ない。そう思う。アイツが嘘をついて人を中傷するはずはない。なら、本当にみずきが……。[pcm] いや――と、独白で思考を中断させる。目下の難題は、今も開封さえできずにいるチョコレートへの答えだ。断るしかないのだろうか。それとも欺くか。[lr] 断ったところで、それは『愛』がまだ分からないから。欺いたところでそれも『愛』が分からないから。結局のところ、決めてしまえば理由は後付けできてしまう。[lr] それとも、俺は本当にアイツを……。[pcm] ;;SE『電話に出る音』。伊万里(落ち込み)表示。 @stopse @playse storage="tm2_phone006.ogg" @bg file="black.jpg" time=500 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4] @cl @bg file="wafuu_kositu00.jpg" time=500 @stopse @playse storage="others_10_mikenoize.ogg" @ws 「今日は悪かったごめんっ!」[lr] 開口一番、早口に言葉をほとばしらせた。[lr] 「……いいよ、信じてたから」[lr] いともあっさりとしていたが、言葉を呑ませる一言だった。こんな俺を、どうして信じてくれるのだろう。[pcm] 「お前の言うことを信じたわけじゃない。ただ本当じゃなくても間違いっていうことはあるからな。お前がその結論に至った経緯を教えてくれ」[lr] 恐らくは、かつての俺と同じだ。混乱するうちに証拠らしいものを見つけては都合の良い仮説を立てて、強引に憎むべき対象を見つけてしまっているだけだ。[r] そう、そうに違いない。なぜなら……。[lr] そうでなければ、困るから。みずきが犯人だなんて、思いたくないから。[lr] ;;伊万里(デフォルト) 「うん、分かってる。こんなこと、なかなか信じられるとは思わないし」[lr] 伊万里は一息置いてから、話し始めた。[pcm] 「あの後――みのりんにチョコをあげた、あの後」[lr] 冷や汗で手が滑る。今はまだそのときじゃない、そう言い聞かせるものの、心拍は跳ね上がってゆく。[lr] 「だ、だいじょうぶ? なんだか息が荒いけど」[lr] 「気にするな。続けてくれ」[lr] 左手で心臓を押さえながら、深呼吸を繰り返す。[lr] 「あの後、ボクはすぐには家に帰らなかったんだ。……その、なんていうか」[lr] ;;伊万里(苦しげ) 「言わなくてもいい。分かってるから」[lr] 告白直後というのは、顔を合わせ辛いことこのうえない。だが、俺と伊万里の場合、家は隣同士だ。[pcm] 「ありがと。ちょっと山に行こうと思ったんだ。自然と接するっていうか、その……一人になりたくて」[lr] 「独りに?」[lr] 聞きに徹するべきところだったが、舌が勝手に問い返していた。[lr] 「いや、続けてくれ」[lr] 独りになりたい? 俺には理解できなかった。[lr] 「なら続けるけど、山に入ったら、みずきちを見つけたんだ。でも、ちょっと声をかけづらくて。みずきち、泣いてたんだ……」[lr] みずきが泣いていた? どうして? 口を挟みそうになるのを必死でこらえる。[lr] 「道もないところを進んでくし、大きなバッグを運んでたから、ちょっと気になってついてったんだ。そした――っ!?」[pcm] ;;SE『伊万里の殴られる音』 @playse storage="tm2_hit002.ogg" 突如、鈍い音が響いたかと思うと、伊万里の声が途絶えた。[lr] 「伊万里っ!?」[pcm] ;;SE『ブツッ。電話が強引に切られる音。ツーツーツー』 @playse storage="others_07_putu.ogg" @ws @playse storage="TelephoneA@08.ogg" @wait time=700 @fadeoutse time=700 「伊万里! おい、返事をしろっ!」[lr] @stopse @playse storage="tm2_phone006.ogg" 叫ぶ。かけ直す。出ない。かけ直す。五回ほど繰り返して携帯を投げ捨てた。[pcm] @stopse ;;背景『みずき宅客人用の部屋』 すでに頭は冷えていた。もう、驚かなかった。[lr] 今の俺こそがそうなのかもしれない。みずきを信じたい。だからどんな証拠を突きつけられても、ことごとく耳を貸さない。[r] 強引に真実から目をそむけ、都合の良い虚構にすがりついているのではないだろうか。[lr] 揺るがぬ確証を得た。得てしまった。伊万里は嘘をついていない。とすれば……。[lr] 心に氷が張り詰めてゆく。冬の湖のように薄氷がすべてを覆い隠し、波紋はない。何一つを弾き、受けつけない。思考は凍りついていた。[lr] そのまま、待った。[pcm] ;;ホワイトアウトの後、しばらく停止。この間BGMはなし。 ;;SE『床板が軋む音。ギシッ』。BGM『13と1の誓い』 @fadeoutbgm time=2000 @bg file="white.jpg" @wb @bg2 file="rouka1_mizu_y.jpg" time=1000 @playse storage="f11_5.ogg" @ws @bgm file="13_1.ogg" どこかから帰ってきたみずきがこそこそと廊下を歩んでいる。[lr] ひそやかに。誰かに見つかるのを恐れるように縮こまりながら、歩を進めている。[lr] 角に隠れているこちらにまで押し寄せる鉄錆びた刺激臭。もうその正体が何なのかは推測できていた。[lr] いや、そんなはずはない。それを打ち消そうとする囁きも聞こえる。[pcm] @bg file="black.jpg" @snowinit forevisible=true 夜の闇に細雪が降り積もり、黒く閉ざされた視界が白くけぶってゆく。[pcm] ;;背景『雪景色』と伊万里(シリアスかつ照れ) @snowinit backvisible=true @bg file="white.jpg" [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4 c=1] 伊万里。俺は今こそ答えを出そう。[lr] ;;選択肢。A『みずきを愛している』B『伊万里を愛している』 [nowait] [r] [link target="*mizuki"]1.『みずきを愛している』[endlink][r] [link target="*imari"]2.『伊万里を愛している』[endlink] [endnowait] [s]
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みずき 『晴れときどきお天気雨』 属性:敏 コスト:白 MHP500 武300 敏300 知200 器300 穏100 神隠しの扉 コスト:赤 バトル中に使用できない。 このキャラを除く味方前衛「晴れときどきお天気雨」キャラ1体を持ち主の手札に入れる。 (1ターンに1回まで宣言可能) 『好き』という気持ち コスト:赤白 相手ターン中に使用する。 「晴れときどきお天気雨」キャラ1体に穏+200する。 (1ターンに1回まで宣言可能) ねえ、ユウ。あなたの幸せは…どんなこと? No0394/U
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;;背景『廊下』。BGM『ある日のこと』 @fadeoutbgm time=2500 @cl @bg2 file="rouka1.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=2500 @bgm file="aruhiA.ogg" 結局、昨日はなんやかんやで先輩のところに行くのを忘れてしまっていた。[lr] 弟が礼に行くのも変な話かもしれないが、姉さんが姉さんだ。俺がしっかりしないと。[lr] ;;背景『教室の扉』 ;教室内で良さそう てか変更しなくて良いんじゃね ささっと慣れた動作で扉を引き開ける。と、ちょうど目の前に女生徒が立っていた。[lr] 「君って……」[lr] その三年生は考え込むようにしてから、[lr] 「確か、ひめっちの弟だっけ?」[lr] 「あ、はい、そうです。姉さんいます?」[lr] はきはきと答えたつもりだったが、返ってきた視線は訝しげだった。[pcm] 「本当に弟さん? ひめっちは休みなんだけどなー」[lr] 「……え?」[lr] 姉さんが休み? どういうことだ。[lr] 色をなくして廊下から教室を覗きこんだが、姉さんの席はやはり空だった。[lr] 「ね。まあクラスも半分は休んでるんだけど」[lr] 他の席も同じように空いている。疑問があちこちから噴き出し、眼が回りそうだった。[lr] 「と、とにかく、先輩に会わせてください」[lr] 「先輩?」[lr] 「よ、蓬山先輩、です」[lr] 動揺で舌が上手く回らない。言い直すのすら、もどかしかった。[pcm] 「そんなこと言われても。早紀も休みなんだけどなー」[lr] 一拍置いてから、台詞は耳に飛びこんできた。[lr] ――なんだって?[lr] 「昨日から二人とも。先生も管理がなってないよね」[lr] 肩をすくめて教卓を見やる三年生。ぱっと駆け出した。[lr] どういうことだ。携帯を掴みだそうとする手を、前後に振って自制する。教師に見つかれば没収だ、今、連絡手段を断たれるわけにはいかない。[pcm] ;;背景『トイレ』。BGM『兆候』 @bg file="wc_m.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" 校内で教師の目が絶対に届かない場所といったら、ここくらいしか思いつかなかった。個室へと駆けこみ、片手で鍵をかけつつ、片手で携帯を引っ張り出す。[lr] ;;背景『携帯のズーム』 『休みってどういうこと?』[lr] 狂ったような速度で打ちこんだソレを送信して、待った。いつもどおり、すぐに帰ってくるはずだ……。[pcm] ;;五秒くらい空白。 ;;ウェイトより…はさんだ方が良いかなと思ったのでそっちで。 ……。[lr] …………。[lr] ………………。[pcm] 帰ってこなかった。[lr] 十分の時点でおやっと思った。十五分の時点で胸騒ぎがし始めた。二十分の時点でメール送信が失敗したのではと、未送信メールのフォルダを何度も何度も見直した。[lr] カチカチ。小刻みに硬い音が響く。何の音だ。隣の個室に耳を澄ませてみるが、そちらではない。手元を見て、ようやく音源に気づいた。意味もなく指がボタンを連打していた。[lr] ;;SE『チャイム音』 @playse storage="se3.ogg" だが、無情にも予鈴の音が殴るように頭蓋の中で打ち響いた。[pcm] ;;背景『校門』。BGM『雨ノ/降ル/街』 @fadeoutbgm time=2000 @fadeoutse time=1000 @bg2 file="kyousitu.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=2000 @bgm file="amemati.ogg" @bg file="rouka1.jpg" rule="左下から右上へ" time=500 @bg file="kaidan2.jpg" rule="左下から右上へ" time=500 @bg file="syoukouguti.jpg" rule="左下から右上へ" time=500 @bg file="gra.jpg" rule="左下から右上へ" time=500 @bg file="soto.jpg" rule="左下から右上へ" time=500 SHR(ショートホームルーム)が終わると同時、寄ってくる毒男や長岡を振りきって廊下を馳せた。[r] 無人の昇降口につくや否や、素早く靴を履き替えてグラウンドを走破。息を荒らげながらも、何とか校門までたどり着いた。一歩出た瞬間、携帯を握った手をポケットから出す。[lr] 姉さんはメールの返事が早いので、これまで電話を使ったことは数えるほどしかなかった。それが裏目に出たのかもしれない。[pcm] ;;背景『道路(信号あり)』 @bg file="bg005.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" 歩きながら電話番号を呼び出す。[lr] ;;SE『電話のトゥルルルー音』 @playse storage="tm2_phone006.ogg" @wait time=1000 ――頼む、出てくれ。[lr] 掌の汗をズボンで拭いつつ、必死で耳を澄ます。一秒、二秒、三秒……。歩いているうちに横断歩道までたどり着き、赤信号に立ちどまった。[lr] ;;SE『電話に出るときの音』 @stopse @playse storage="tm2_phone006.ogg" @wait time=1000 @stopse @playse storage="others_10_mikenoize.ogg" @ws 「電話なんて珍しいね、稔くん」[lr] 小さかったものの、確かに聞きなれた姉さんの声だった。ほっと息をつく。安堵のあまり、危うく携帯を落としそうになった。[lr] 「姉さん、メールは見た?」[lr] 車の騒音が邪魔だった。声を逃さないよう携帯を両手で強く耳に押しあてる。信号が青になっていたが、歩き出す気にはなれなかった。[pcm] 「見た」[lr] 素っ気ない返事。声のトーンが跳ね上がりかけた。[lr] 「休みってどういうこと?」[lr] 「どういうことって?」[lr] 動揺もなければ、やましさを感じている様子もない。平静な声だった。ついにかっと血が上った。[lr] 「どうして休んでるのか訊いてるんだ! まさか学校サボって遊び呆けてるんじゃないだろうね!?」[lr] 「……あのねぇ、稔くん」[lr] キッと姉さんの声音が豹変した。氷刃めいた鋭いソプラノ。[r] あっと口を押さえるも、既に遅かった。風邪でも引いたのか、交通事故にでもあったのか。それを確かめたかったはずなのに。[pcm] 「どうしていちいち稔くんに許可貰わないといけないの? ひめはお姉ちゃんなんだよ? 稔くんは弟なのに、どうして保護者ぶるのかな? ひめは稔くんのドレイなの?」[lr] 「それは……」[lr] 何か言わなければ。焦りが舌を動かすものの、紡ぐべき言葉が見つからない。[lr] 「お父さんとお母さんが帰ってくるまで、ひめも帰らないから」[pcm] ;;SE『ツーツー』 @playse storage="TelephoneA@08.ogg" @wait time=3000 @fadeoutse time=1000 いつの間にか止めていた息を吐くまで、携帯を耳から引き剥がせなかった。[lr] 姉さんに、捨てられた……。[lr] ひたひたとしたつめたいものが胸中に広がる。刺すような如月の冷気がぞっと寒さを増したように感じられた。[lr] 伊万里にも置いていかれてしまったのに、今度は姉さんにまで。[lr] そんな、そんな![lr] 目元を拭いながら駆け出そうとする。しかし信号はもう赤。目の前を行き過ぎる無数の車を睨みつけ、地団駄を踏む。[lr] 震える指で履歴を開き、一縷の望みを託して掛け直す。が、出てくれない。もう一度だ。出てくれない。もう一度、もう一度だけ……。[pcm] 信号が青になっても俺は渡れなかった。[pcm] ;;BGM『13と1の誓い』 @fadeoutbgm time=2000 @bg2 file="wafuu_kositu00.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=2000 @bgm file="13_1.ogg" ;@playse storage="tm2_counter001.ogg" ;@ws カチカチ。昨日に引き続いて宛がわれた一室にこもり、ただその音を聞く。震える歯がこすれる音であり、携帯のボタンが沈む音だった。[lr] 『ごめんなさい』[lr] ダメだ、異常だ、送りすぎだ。そう考えるものの、うねるような焦燥に指は止まらなかった。[lr] ……やはり、返ってこない。[lr] なんなんだ、なんなんだ![lr] イヤな汗が掌に滲み始める。焦燥が心拍を暴れさせ、でたらめに震える指がボタンを連打していた。[lr] 俺は必要ないのか。頼られてはいなかったのか。[lr] ……俺の居場所はないのか。[pcm] ;;SE『携帯が落ちる音』 @playse storage="tm2_put001.ogg" @ws 携帯が滑り落ちた。意外に大きな音が、虚ろな内面に響いた。[lr] 姉さんにとっては俺なんてなんでもない、ただそれだけのこと。あれだけはっきり告げられたのに、なんて未練がましかったのだろうか。[lr] 今までみずきのことが全く分からなかった。どうして進んで苦労を背負おうとするのか、と。[lr] 今ようやく分かった。人に頼られない苦しみ。生まれて初めて、その虚しさに冒された。[lr] 胸を締めつけられるようなせつなさ。血を流したくなる。流せば注意を浴びることができるだろうか。居場所を認めてくれるだろうか。[pcm] 考えがまとまらない。考えられたのは、ひどく寒いというだけだった。[lr] 暖房は効いている。寒さとは比喩だ。……『獣』が目覚めかけていた。[lr] ――みずきは。[lr] どこにいる、と考えかけて、激しく頭を振った。抗う理性。今度こそはこの獣欲を。[lr] けれど、求めてしまう。欲してしまう。[lr] 気づくとマリオネットのように布団から起き上がっていた。ふらつきながら宛がわれた部屋を出た。幽体離脱したらこんな感じなのかもしれない。[lr] ああ、みずき、お前が悪いんだ。[lr] 猛る衝動を叩きつけたい。恐ろしい思考が一閃、思考を切り裂く。[pcm] ;;背景『廊下』 @bg file="rouka1_mizu_y.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=700 足音にびくっと物陰に隠れた。襖の隙間から廊下を覗く。[lr] ;;みずき(微病み) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=7a m=9 y=b] みずきがひそやかに歩いていた。[lr] ああ。悲鳴を上げそうになる。どうしてこのタイミングで……。運命を呪う。[lr] いくら嘆こうと、今の俺は獣の意のまま。おぼつかない足取りで闇に歩を進めようとして、[lr] ;原文 おぼつかない足取りで病みに ;;みずき(病み泣き) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=7a m=5 t=1 y=b] 空気に圧し戻された。[lr] 波打ったように、濃密な異臭が押し寄せてきた。金属のような匂いが鼻の粘膜を冒してゆく。[r] みずき自身、顔を蒼白にしていた。体が疲れているのだろうか、それとも精神的にくたびれているのだろうか。[r] ふらふらとした足取りで、時折り、吐き気をこらえるように掌を眺めては胸を押さえていた。[lr] そして……何よりその表情が俺を押しとどめた。[pcm] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=5a m=1 t=2 y=b] 「…………」[lr] ;;みずき(怯えハイライト消し) 泣いているのに、笑っている。何か売ってはならないものを悪魔に売り払ってしまったような。取り返しのつかないことをしてしまったような、その表情。[r] 後悔してももう遅い。その大切なひとつを得るためにすべてをベットし、ダイスを放り投げてしまっていた。[lr] 動けない俺のすぐ手前を、何かで汚れたツインテールがゆっくりと通り過ぎてゆく。[lr] @cl そのまま、みずきはバスルームへと消えていった。[pcm] ;;背景『みずき宅の客人用部屋』。BGM『Lunatic Lovers~xxx』 @fadeoutbgm time=2000 @bg2 file="wafuu_kositu00.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=2000 @bgm file="llxxx.ogg" 明日は――いや、今日は土曜日。学校は休みだ。[lr] 次の日になったという実感がなかった。結局、一睡もしなかったのだから……。自室に戻った後も結局メールを送り続けてしまった。[lr] けれど、やはり返信は来なかった。ふと気づいて先輩の携帯にも送ってみたが、結果は同じだった。電話しても、繋がらない。電源を切られていたようだった。[lr] 眼球が膨らんだような違和感があった。多分、隈ができているだろう。こんな顔で応対すれば、幽霊も逆にびっくりだ。[pcm] 夜明けのことだ。とはいえ、締め切られた部屋は真っ暗。メールを送り続けていると、こちらへ近づいてくる足音が聞こえた。[r] ;↑原文 夜明けのことだ。とはいえ、カーテンで部屋は真っ暗。メールを送り続けていると、ノックの音が聞こえた。 おっかなびっくり部屋に入ってこちらを見るなり、みずきはびくりと後退った。衝撃が行き過ぎた後は、哀しそうな表情を浮かべていた。[lr] 驚かせて悪いことをしたな、と思う。電灯を消した暗闇の中、液晶の光だけを黙々とメールを送り続ける。異常だ。狂気だ。もちろん俺は狂ってなどいないけれども。[pcm] 時計を見る。そろそろ行動すべき時間だった。[lr] 電話したときのことを考えると、姉さんは先輩と遊びまわっているらしい。田舎と都会の中間とも言える夜見市。遊べそうなところは限られる。[lr] 探してみよう、と考えていた。謝るしかない。俺は……姉さんに捨てられたくないから。[lr] もやもやした何かに手をかけるように、シャツの裾を掴んだ。悩みを脱ぎ捨てるような気持ちで着替えを始めた。[lr] ……あちこちから刺すような視線を感じた。[pcm] ;;伊万里(哀)を一瞬だけ表示 [imar f="悲しみ" pose=1 pos=c t=1] @cl 分かっている。罪悪感がつくりだした幻に過ぎないことくらい。[lr] ――すまない。[lr] 手を止めるわけにはいかなかった。[lr] 答えは出さなければならない。なるべく早く。こうしている間にも、伊万里は苦しんでいるだろうから。答えを告げて楽にしてやりたい。そうは思う。[lr] けれど、答えは出ない。いくら悩んでも。[lr] そして今したいことといえば、姉さんに謝ること。そしてすがること。俺は……独りでは立てないから。[lr] これは俺自身の問題だ。みずきにはバレないよう、こっそりと部屋を後にする。[pcm] @playse storage="DoorOpenE@11.ogg" @wait time=2500 @fadeoutse time=500 @wf ;;背景『廊下』、みずき(デフォルト) @bg2 file="genkan_mizu.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" [mizu f="真顔" pose=1 pos=c] 「じゃ、行こっか」[lr] が、玄関まで行くと待ち構えていたようにみずきと鉢合わせてしまった。[lr] ;↑が、廊下に出ると待ち構えていたようにみずきと鉢合わせてしまった 「ひめさん探しに行くんでしょ? あたしも行く」[lr] とっさに、断ろう、と思って口を開いた。[lr] ;;みずき(泣き) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=3a m=10] その空気を察したのか、みずきが眉を哀しげにひそめる。[lr] 喉が引きつった。脳裏を青白い冷光が掠めた。[lr] 今となってしまっては最後の。俺が頼り頼られることができるのは、みずきだけ。[lr] 伊万里も、姉さんも。俺は置いていかれてしまった。[lr] 「……行こう」[lr] ;;みずき(笑み) [mizu f="笑顔" pose=3 pos=c m=8] ぽつりと言い、俺はみずきに手を差し出した。[pcm] ;;背景『街』。BGM『』 @fadeoutbgm time=1000 @cl @bg2 file="mati.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" ;;みずき(笑み) [mizu f="笑顔" pose=2 pos=c] 「二手に別れるっ! みのるはあっちね」[lr] 手さえ繋ぎながら街につくや否や、みずきが地図を広げた。[lr] 正直なところ、ほっとした。男女が二人だけで街に外出。傍から見ればデートにしゃれこんでいるようにも見えるだろう。[r] 実を言えば、みずきが無用の気を利かせて、落ち込んでいた俺を励まそうと考えているのかと思っていた。[lr] しかし、地図のコピーを押しつけると、みずきは意外にもあっさりと背を向けた。見ると、コピーには既に蛍光ペンで姉さんの立ち回りそうなところがマークされていた。[pcm] @cl 「……ありがとな」[lr] 届きそうで、しかしきっと届かない距離で呟くと、みずきに倣って背を向けた。[lr] 俺はもうみずきしか頼れない。[pcm] ;;背景『雑踏』。BGM『Lunatic Lovers~xxx』 @bg2 file="syoutenngai.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1000 @bg2 file="game.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1000 @bg2 file="eki.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1000 @bg2 file="konbini2.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1000 @bg2 file="mati02.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="llxxx.ogg" かなりの数があったマーク箇所をすべて歩き回った。[lr] けれど、見つからない。酷使に酷使を重ねた脚は痛みさえ訴え始めていた。[lr] ふと気づくと肩を落とし、俯きながら歩いていた。けれど、直すのさえ億劫だった。[lr] 気が進まないものの、疲労の息を吐いて顔を上げた。その一瞬、頬を撫ぜるすべらかなものがあった。[lr] そよ風かと思った。けれど違った。柔らかでしなやか、そしてさらさら。風になびいた誰かの髪が、肌を優しく愛撫する。甘いフレグランスが鼻腔をくすぐった。[pcm] @fadeoutbgm time=1000 「――!?」[lr] ;;BGM『兆候』 @bgm file="choukou.ogg" 疲労にぼうっとしていた意識が、冷水を浴びせられたように覚醒する。一気に血が落ちてゆくのが分かった。[lr] この鮮烈な香気。忘れもしない。姉さん愛用の逸品だ。[lr] 慌てて視線を右へ左へ転じる。だが、人の壁が厚すぎた。そのうえ雑踏は香気を散らした。唯一の手がかりが台無しにされてゆく。[lr] 無理やりに体をねじ込んで、段差へと上った。[lr] ;;ひめ(デフォルト)を一瞬だけ表示。 [hime f="真顔" pose=1 pos=c] @cl 姉さんは背が低い。見つかったのは、奇跡のようなものだった。段差からジャンプした一瞬、角を曲がろうとする一人の後ろ姿が、吸い込まれるように目に飛び込んできた。[lr] 透き通るようなペールグリーンの後ろ髪。滅多に外さない愛用のリボン。[pcm] 「姉さんっ!」[lr] 喉も破れよとばかりに絶叫した。一瞬、細い肩が震え、足が止まったように見えた。のも一瞬、人の壁がせり上がり、地に足がついた。[r] 周囲からはうっとうしげな視線が向けられた。あからさまな舌打ちさえ聞こえる。[lr] かまうものか。腕を大きく振りつつ、無理やりに駆けた。ぶつかり、押しのけ、突き飛ばしながら人込みを抜ける。[pcm] 時間こそかかったものの、角までたどり着いた。曲がると同時に視線を刃であるかのように一薙ぎする。[lr] 「…………」[lr] 息さえ止めて視線をめぐらす。見つからない。けれど、諦めるわけにはいかない。[lr] 疲労した脚を前へ突き出し突き出し、がむしゃらにフレグランスを探した。[pcm] ;;背景『夕暮れ』。BGM『13と1の誓い』 @fadeoutbgm time=1500 @bg2 file="sora_a.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=1500 @bgm file="13_1.ogg" 陽はほとんど沈みかけている。藍色を帯び始めた空では、月が真っ白い光を放っていた。[lr] ;;みずき(落ち込み) 「ごめんね」[lr] 「……いや」[lr] @bg file="mati_a.jpg" rule="下から上へ" [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=7a m=9] すまない、と言いかけて違和感を覚えた。場違いではないのだが、場違いであるような気がしてしまった。[r] 言葉を切ったことでみずきは黙り、俺も言葉を失う。居心地の悪い沈黙が辺りを支配した。[lr] 結局、あれから姉さんは見つからなかった。あの一度、後ろ姿を見ただけだった。[pcm] 合流してからずっとツインテールは縮こまっている。無言は一番ひどい選択肢だ。みずきは悪くないのに、身勝手にも責めているのと同じ。けれど、言葉を返せなかった。[lr] 沈黙に耐え切れなくなったように、みずきが再び口火を切った。[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=6a m=10] 「後ろ姿だけなんだよね。見間違いってことは――」[lr] 「姉さんの髪は珍しいし、それはない」[lr] ;;みずき(ショック) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=4 b=5 e=6a m=5 s=1] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=7a m=9 s=1] 言葉をさえぎって断言する。――ああ、また。悔やむと同時、みずきがびくんと震えた。罪悪感にさいなまれているのが、目に見えて分かる。[lr] 逆に疑問さえ浮かんできた。俺が悪いのに、どうしてみずきが苦しんでいるのだろう。[pcm] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=6a m=11 s=1] 「みのるが大声で呼んだんだよね。なのに振り返ってくれなかったんなら――」[lr] 言われずとも分かっている。認めたくないだけだ。[lr] ;;みずき(落ち込み) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=7 e=6a m=10] 「やっぱりそっとしといた方がいいと思う」[lr] 「……だよ、な」[lr] 結局はそこに行き着く。焦っているのに、選択肢は待機しかない。じれったすぎる。[lr] ;;演出で画面全体を一瞬白く発光。みずき(デフォルト) @cl @bg file="white.jpg" time=100 @bg file="mati_a.jpg" time=100 [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=5 e=7a m=9] と、みずきのツインテールがちかっと瞬いた。[lr] 「そのままにしてろ。ゴミとってやるから」[lr] [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=1a m=10] 糸くずがくっついていた。そっとマイルドな紅茶色の中で、その一本だけが白く光を放っている。[r] 摘むとすぐに振り捨てようとしたが、冬の静電気が災いしてまたくっついてしまった。[pcm] もう一度摘み上げたとき、ふと違和感に気づいた。[lr] ただの糸ではない。しなやかで手触り滑らか。まるで同化するように肌になじむ。[lr] やはりそうだ。髪だ。それも白髪とは違う。白に近いが、色はあくまで翠緑。ペールグリーン。[lr] @playse storage="wind.ogg" @ws ハッとした瞬間、その髪は風にさらわれて飛んでいってしまった。[lr] 「……!」[lr] 息さえ忘れて手を伸ばす。が、虚しく空気を掴むだけだった。[pcm] 見間違えようもない。毎日毎日、目にしてきたのだから。クォーターの隔世遺伝の証し。[r] 街を歩けば誰もの目を引き、ゴシック・ロリィタが生まれ持った衣装のように似合う。まさに中世の姫君のような。[lr] 姉さんの髪に間違いない。直感だったが、確信だった。[lr] ;;みずき(青ざめ=動揺=照れから頬の赤らみを抜く?) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=1a m=6 s=1] 「ど、どしたの?」[lr] みずきの髪の中から姉さんの髪? 混乱する思考。返事ができなかった。[lr] 乱れた思考は手を離れ、ひとつの仮説を導き出した。[lr] ――まさか。[lr] 俺は頭を振ってその考えを打ち消した。みずきを疑うなんてどうかしている。[pcm] 今日もみずきは俺の自己満足に付き合ってくれた。今までもそうだ。そして、きっとこれからも。頼り頼られることのできる最後の希望。[lr] 俺を孤独にしない、たった一人の人。[lr] @playse storage="ClothE@16.ogg" ;;みずき(驚き) [ld pos=c name="mizu" wear=u pose=3 b=6 e=9a m=11 s=1 size=L] 「み、みのるっ!?」[lr] とっさに振り払おうともされなかった。懐へ入ると、まるで予想していたように受け止められた。[lr] 体温。凍えた体に火が灯る。[lr] パズルのピースのように互いが上手く噛み合う。やっぱりそうだ。みずきこそが、俺を受け止めてくれる唯一の――。[pcm] ;;伊万里(哀)を一瞬だけ表示。 [imar f="悲しみ" pose=1 pos=l t=1] @cl pos=l ――え?[pcm] ;;背景『真っ黒』。BGM『Lunatic Lovers~xxx』 @fadeoutbgm time=2000 @cl @bg file="black.jpg" rule="縦ブラインド(左から右へ)" time=2000 @bgm file="llxxx.ogg" 流動する闇を漂っていた。粘ついた暗黒はひそやかに息づいている。それはゆっくりとうねり、蠢き、俺の体を地面から引き剥がしていった。[r] 無重力状態。手足があるのかさえ分からなくなる。意識は深く沈んでゆき、眠りとの境界線を揺らめいていた。[lr] ;;白いもやもやを表示 @bg file="white.jpg" rule="右渦巻き" ふと暗黒に白いものが浮かんだ。黒に白の絵の具を流したように、どこからともなく白い靄が立ちこめて視界を覆ってゆく。次の瞬間、それはスクリーンと化した。[lr] ;;イベント絵『伊万里チョコ』表示。 [ld pos=c name="imar" wear=u pose=1 b=3 e=3a m=4 c=1] 思い出さないようにすればするほど、思い出してしまう。けれど、まだ向き合うことすらできない。答えを聞かれたら、そんな恐怖に駆り立てられるだけだ。[pcm] 息苦しかった。口に手を入れて喉を通し胸の奥を掻き回したかった。[lr] 好きなのか。愛しているのか。問いが浮かぶ胸を、滅茶苦茶にしたかった。[lr] 愛しては、いない。[lr] 今までそんなこと考えたことがないから。柔らかなものを抱いてはいる。けれど、それが恋心なのかというと言い切れはしない。[lr] そもそも今まで生きてきて、女性と付き合ったことがない。だから分からない。この気持ちは恋なのかどうか。[r] どうなのだろう。顔を見るだけでどぎまぎする、それだけが恋なのではないと思う。だからといってこの気持ちが恋心だとも言えない。[pcm] 分からないことが多すぎる。どうすればいいのだろう。どうすればすべてを丸く収めることができるのだろう。[lr] ――欺く。[lr] 唐突すぎて、一瞬、意味が分からなかった。欺く。欺く。誰を……?[lr] ;;伊万里(哀) [imar f="悲しみ" pose=1 pos=c t=1] アイツの笑顔を失わずに済む。[lr] ;;伊万里(笑み) [imar f="笑顔" pose=1 pos=c] 甘美な妄想だった。愛していると言えば、それですべて収まる。偽り騙し欺く。ただそれだけで俺はあの笑顔を失わずに済む。[pcm] ;;背景『携帯のズーム』 @cl @bg file="black.jpg" 憑かれたように手が携帯を開き、メールを打ちこんだ。[lr] 『大切な話がある。明日の放課後、学校の屋上で』[lr] 屋上を選んだのは、自分を追い込むためだった。告白の返事をする場として、これ以上の場所はないだろう。呼び出せば逃げるわけにはいかなくなる。[lr] ためらうわけにはいかない。偽り騙し欺く。そう決めたのだから。――アイツの笑顔を失いたくないから。[lr] 優柔不断に震える指が、ゆっくりとゆっくりとボタンへ近づいていった。触れた。沈めてゆく押しこんでゆく。[lr] ;;SE『ギシッ。床板が軋む音』。背景『ブラックアウト』 @fadeoutbgm time=2000 @playse storage="f11_5.ogg" @ws 弾かれたように布団へ潜りこんでいた。胸板の奥では、心臓が暴れていた。[lr] 通り過ぎてくれ。切に願って、手を拳に固める。肩透かしを受けたようで、決意がうやむやになりかけていた。[pcm] ;;SE『ギシッ』『扉の開く音』。BGM『13と1の誓い』 @playse storage="f11_5.ogg" @ws @wait time=1000 @playse storage="DoorOpenE@11.ogg" @ws @bgm file="13_1.ogg" 悪夢が歩き出したとしか思えない。このタイミングで、なぜ。喚きそうになる。みずきの足音が室内へと入ってきた。[lr] 何か途轍もなくイヤな予感がした。ひたひたと胸の中に夜の海が満ちてゆく。底知れぬ深さ、一筋の黎明も射さない全き闇。決して明けない夜。[lr] だというのに、海鳴りはしない。耳の痛くなるような、むしろ静か過ぎる静かさ。まるで暴風の吹く一瞬前のような。[lr] 寒々とした悪寒が、背筋を駆け抜ける。[pcm] ;@fadeoutbgm time=1500 ;@wb @wait time=2000 [nowait][r][r][r][r] [endnowait] 「好き」[lr] ;;SE『大海嘯(FFのリヴァイアサンではないです)』。とにかく激しく大きな波の音。 ;@playse storage="se-049.ogg" [nowait][r][r] [endnowait] 「好きなの。愛してる。だから――」[lr] [nowait][r][r] [endnowait] 「捨てないで。置いてかないで」[pcm] 初めの言葉を受け入れるまでに時間を費やすと同時に次の言葉が耳に入り、凄まじい衝撃に体がばらばらになりそうで失禁しそうなほど震える自分に気づかされて闇悪寒闇闇闇![pcm] ;↑原文 初めの言葉を受け入れるまでに時間を費やすと次の言葉が同時に耳に入り凄まじい衝撃で体がばらばらになりそうで失禁しそうなほど震えている自分に気づかされて闇悪寒闇闇闇! ぷっつりと記憶が途切れた。[pcm] ;↑原文 ふっつり ふっつりであってるけど、ぷっつりの方がわかりやすいかなと。 ;;三秒ほど空白。 ;@fadeoutse time=2000 @fadeoutbgm time=2000 @wb @wait time=2000 @playse storage="se-049.ogg" 何があったのだろう。みずきは何をしでかしてしまったのだろう。[lr] 追わなければ。だが体は震えるのみで、どんな命令も受けつけない。[lr] ;;BGM停止。SE『波の音』 ;@playse storage="se-048.ogg" 夜が波のように打ち寄せてくる。沈黙の重圧を感じた。闇に潜む悪魔が俺を嗤っている、そんな妄想を打ち消せない。[r] 意識がぼやけてゆくのがむしろ心地よかった。夜の波が高く高く打ち寄せてくる。[lr] ;;SE『激しい波の音』 ;@fadeoutse time=700 ;@wf ;@playse storage="se-049.ogg" 荒波にもみくちゃにされながら、俺の意識は闇に閉ざされた。[pcm] @wait time=1500 @fadeoutse time=1500 @wf @wait time=1500
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< 【back】 【next】 > 追記、修正をかけた本編組み込みver.ではありません タイムカプセルep 原文 車輪は回る。くるくる回る。みずきの押すマウンテンバイクの車輪だ。 俺たちは商店街を抜け、住宅地に入っていた。ここを抜ければすぐにでもみずきの家だ。 だが、その先頭を行く少女はこちらを振り向かない。 みずきは、俺たちの数歩前を無言で行く。あの活発なみずきがさっきから黙ったままだった。 俺は隣を歩く伊万里にそっと聞いてみた。 「なぁ、伊万里……みずきのやつ、いったいどうしたんだ? お前、なんか心当たりないか?」 「あ、あるわけないよ! ……ボクだってあんなみずきちを見たのはじめてだよ……」 こそこそと小声で話す俺たち。伊万里もみずきのあまりの消沈っぷりにどう接していいのかわからないらしい。 「みのりんこそ、なんか言っちゃいけないこと言っちゃったんじゃないの? そもそも今日はどういう話だったのさ?」 「どうもこうもない。みずきが家にゲームしに来ないかって言ったからお前も呼んだだけだ」 「そっかぁ……、むーん……むーん……」 いきなり、伊万里は頭を抱えて何かを考えだした。 「なんだよ。やっぱり心あたりあるのか」 「うーん……なんか引っかかる気がするんだけど……みのりんもうちょっと待っててね」 そしてそのまま数瞬考える。考えた後、笑顔で顔を上げた。 「何か浮かんだか?」 「全然! ……っひゃん!」 俺はすぐさま伊万里の額に必殺のデコピンを見舞った。 「ひ、ひどいよ! みのりん! ボクのおでこはそんなに何度も弾いていい所じゃないよ!?」 「うるさい」 「あうっ! ま、また弾いたぁ!」 まったくこの馬鹿は……。 向こうが黙っているなら、こっちからアクションを起こすしかないだろう。 とりあえず、まずは当たり障りのない話題から始めることにしよう。 「あー、そういえばあれだ、伊万里。あれ、面白かったよな? ほらこないだ姉さんがさ――」 「……え!? あ、うん。そうだね!」 「だよなー! いくら弟に指摘されたからって、あの狼狽っぷりはないよなー!」 「そうだよね! あれはないない! でもかわいかったよねーって……」 いつの間にか、みずきがこちらを向いていた。 「もうすぐ、家だよっ!」 「お、おう」 振り向いたみずきはいつも通りのみずきで、少し拍子抜けしてしまう。 なんだ、機嫌が悪いと思ったのは、気のせいだったのか……。 「伊万里」 「え、どうしたのみのりん。――あうん! ま、またやったぁ! 今日だけでもう四回目だよ!?」 「うるさい。全部お前のせいだ」 「ひ、ひどいよぉ」 全ての責任を伊万里に転嫁して八つ当たりする。まったく、余計な気を揉ませやがって……。 「こらっ! みのる、伊万里をいじめちゃだめ」 「苛めてない。愛情ゆえのスキンシップだ」 「あ、愛情!?」 伊万里が大げさに驚く。頬染めんな、寿司のくせに。 「おおーい。みずきちゃん」 そこで、声をかけられた。気がつくと俺たちは、みずきの家のそばにある木工場の前まで来ていた。 「あ、玄さん! お疲れ様っ」 みずきが笑顔で手を振る。 声をかけたのは、良く日に焼けた壮年の職人さんだった。玄さんと呼ばれたその人は笑顔でこちらに近づいてくる。 みずきの実家は木工所も経営している。きっと、ここがそうなのだろう。大きな倉庫のような場所に、沢山の材木が並べられていた。 木を切る電気のこぎりの音が聞こえる。腕利きの職人がかけるかんなの滑る音が聞こえる。舞い散るかんな屑。木工所内は活気に満ち溢れていた。 「おや、お嬢。いま帰りですかい」 そして職人さんがもう一人。首にかけたタオルで汗を拭きながら現れた。 「こんにちわ、鈴木さん。作業はかどってる?」 「はぁ、もちろんでさぁ。お嬢の為なら、わしら何でもしますからな」 「あはは、もう、調子いいねっ。……何か問題とかない? あったら何でも言ってね」 「日々順風満帆ですよ。あったとしても、とてもみずき嬢ちゃんには言えませんよ」 「そうそう、お嬢に相談なんかしたら、わしらの仕事全部取られちまいますからな」 「そりゃそうだ。それに何より、嬢ちゃんに怪我させたとあっちゃ、わしら親方に申し訳がたちませんわ」 「そんな事、気にしなくてもいいのにー」 みずきが親しげに数人の職人さんと会話をしている。職人さんたちの表情はみんな穏やかで、みずきは愛されているのだと感じた。 「みずきち、楽しそうだね」 伊万里が言う。 「そうだな」 俺たちは少し離れたところからそれを眺めていた。 俺は安心した。みずきはお人よしのおせっかい焼きだ。頼まれるとなんでも引き受けてしまう。 それゆえに危うい所があるのだが、この木工所の人たちはそんなみずきの性質をしっかり理解しているようだった。 「お待たせっ! それじゃあ、行こっか」 みずきがツインテールをはためかせて戻ってくる。 いつの間にか職人さんたちはそれぞれの仕事に戻っていた。 「みずきは木工所の人たちと仲がいいんだな」 俺は何気なく聞いてみた。 「そうだよ。子供の頃からよく見に行ってたからね」 みずきは無邪気に笑う。その笑顔に一切含むところは無い。心からこちらを信じきっているからこそ出来る表情だ。 「じゃあ、みずきちもあんなふうにがーって豪快に木を切ったりできるんだ」 伊万里も乗ってくる。大仰な身振りで真似る。 視線の先には、先ほど玄さんと呼ばれた職人さんが一抱えもある電気のこぎりで材木を切断しているところだった。 「もちろん! 一通りの作業出来るよ。こんど伊万里にも見せてあげる」 「……えっ。あ、うん、今度ね」 伊万里がしまったという顔をする。険しくなる眉間。この馬鹿……。 「おい、伊万里」 「わかってるよぅ……失言したんだよぅ」 まったく、みずきの性格を考えてものを喋れってんだ。 みずきにそんなことを言ったら、たとえ不慣れでも無理して見せようとするに違いない。それで怪我でもさせたら大変だろう。 みずきは優しい。どんな時でも自分より他人を優先する。人の為になら、自分を省みない。故に、危うい。 俺と伊万里はあの事故からそれを学んだはずだ。 だから、俺たちはみずきの身を案ずる。ここの人たちはそれを知っている。 けれど、学校でみずきの危うさを知っているやつは少ないのだ。 みずきは、俺たちが守らないと……。 不意にどこからか携帯のバイブが聞こえた。反射的にポケットの携帯を探る。 ……違った。姉さんからでもかかってきたのかと思ったがどうやらそういう訳では無いらしい。 見ると、みずきでもないらしい。ふるふると首を振る。ツインテールがそれにあわせて揺れた。 「あれ……じゃ、ボクの携帯かな?」 伊万里が怪訝な顔をしてカバンを漁り始める。その間にも振動音は鳴り続ける。 カバンの底から発掘された携帯は、はたしてその音の発生源だった。 「うー……あーんー」 携帯の画面を確認し、唸り声をあげる伊万里。 「ううう~~~」 そして、急に涙を流しはじめた。なんだなんだ? どうしたんだ、いったい。 「どうした伊万里」 「うー……」 伊万里は言いよどむ。なんだ? 何かやましい事でもあるのだろうか? 「んー? どうしたの? 伊万里」 みずきも疑問に感じたのか、伊万里の顔を下から覗き込む。 「う~、みのり~ん! 遊びにいけなくなっちゃたかも~!」 ◇◆◇◆◇ 「伊万里、残念だったねっ!」 台詞とは裏腹に、みずきの声は弾んでいた。 俺たちは如月家の所有する山の中を進んでいた。目的地はわからない。みずきだけが知っている。 二月の山はとても冷えて寒かったけれど、首に巻かれたマフラーが風を阻んでくれた。 「でもちょうど良かったよね。結局ゲームはできなかったんだし」 そのマフラーは俺の首を包み込み、そのまま隣をいくみずきの首筋に巻きついている。 両手はそのマフラーの端を大切そうに握り締めている。顔には満面の笑みが浮かんでいた。 「みのる、寒い?」 俺が無言でいることを怪訝に思ったのか、みずきが聞いてくる。いや、そうじゃないんだが……。 「なぁ、なんで俺たちはこんな恋人同士みたいなことしてるんだ?」 みずきは数瞬考えていたようだが、少し困ったような笑顔で聞いてくる。 「みのるは……嫌?」 「いや……」 確かに恥ずかしい。だが、別に誰かが見ているわけではない。ここは人気の無い山の中で、みずきと俺の二人しかいないのだ。 ここに伊万里や、姉さん。それに毒男や長岡でもいようものなら全力で逃げ出すところだが、幸いにして本当に二人きりだ。 そう、二人きり――。 「嫌なわけじゃないんだが、ちょっとはずかし――」 「じゃあ気にしないっ!」 みずきはそう言って笑った。 本当に上機嫌らしく、ツインテールがぴょこぴょこ跳ねている。本当にウサギの耳のようだと思う。 伊万里にかかって来た電話は母親からだったらしく、どうしても手伝って欲しい用事が出来たから至急帰ってこいというものだった。 すぐに家にかけ直した伊万里だったが、抵抗の甲斐なく『ボクもみのりんと遊びたかったよ~~』という叫びを残しながら、後ろ髪を引かれまくりで帰っていった。 そしてその後、みずきの家へ向かおうとした俺たちを「おおーい、お嬢」と、先ほど鈴木さんと呼ばれていた人が呼び止めた。 そういえば、とこちらへやって来た彼が言うには、今日はどうやら地元の名士同士の会合がみずきの家であるらしい。 「あー、それじゃあ無理だねー」 みずきは困ったという顔をしながら言った。 「そんなに凄いものなのか?」 「家の前に黒塗りの車がたくさん止まってたり、私もよく知らない大人たちが大勢いてね、とてもじゃないけどお邪魔できる雰囲気じゃないと思うよ」 「黒塗りの車……もしかして田舎のお金持ちって、ヤクザのお偉いさんとあんまり変わんないじゃないか?」 「うーん、そうかもね。少なくとも車の趣味は似てるんじゃない?」 そう言って苦笑いした後、今度はにっこり笑って目の前の職人にお礼を言う。 「うん。ありがとうね、鈴木さん!」 「いやいや、礼を言われるほどのもんでもないでさぁ。にしても、お嬢。隣の兄ちゃんが例の――」 「うん、みのる」 「へぇ、君が稔君かぁ」 鈴木さんが品定めでもするかのように、上から下へ下から上へと俺を見る。 こういう風に見られることは正直気分のいいものではない。 「あの、何か……?」 「ああ、いや、すまんねぇ。噂の稔君がどんな色男かと思ってねぇ」 「い、色男なんてとんでもないです……」 「いやいや、お嬢が君の話をよくするもんでね。今日のみのるはこうだった、ああだったってね」 「はぁ」 「あんまり楽しそうに話すから一部では――」 「すーずーきーさーん!」 唐突に、大声を上げてみずきが会話をさえぎる。 「おっと、こりゃいけねぇ。ははは、それじゃあ邪魔なおっさんは戻りますかな」 豪快に笑って鈴木さんは木工所の方へと踵を返す。そうして去り際に、 「稔君、お嬢を頼んだよ」 と、俺にしか聞こえないような小声で言い残していった。 「もう。鈴木さんってね、ああやっていつもあたしのこと――」 そうやって文句をたれるみずきの顔は穏やかで、どこか楽しげで、本当に優しい人たちに囲まれているのだと実感した。 しかしそれもつかの間、みずきの家へ行くことができなくなったため、どうしたものかと思案しなければならない俺たち。 みずきも良いアイディアがすぐには思い浮かばないようで、しばらく二人で突っ立って考えをめぐらす。 やはり少し時間はかかるが、街にでも行ってゲームセンターにでも行くしかないのだろうか。 あまり良い案ではないが、そう提案しようと口を開こうとした瞬間、パッと顔を上げたみずきが言い放った言葉が――。 「じゃあさ、みのる、裏山にいってみようよ!」 であった。 「みのる、マフラー暖かい?」 「ああ、暖かいよ」 「よかった。長いの買った甲斐があったね」 「……しかし、みずき。いきなり山に行こうだなんてどうしたんだよ。ここに何かあるのか?」 俺は少しばかり呆れ気味に聞く。 ざく、ざく、ざく 山の景色は無味乾燥としていて、葉っぱ一枚残らない裸の木が目立つ。二人分の土を踏みしめる足音だけが聞こえる。 寒風吹き荒む景色に、曇天の空はどこか物悲しげだ。いったいこんな寂しい場所に何があるというのだろう。 俺にはわからない。 「あれ? みのるは覚えてない?」 「何のことだよ」 「みのるは何度かここに来たことあるよ?」 「そうだったかな。覚えてないけど」 「もうすぐすれば、みのるも思い出すっ」 俺たちは荒れ果てた山道を登る。みずきのマフラーで俺たちは繋がっていた。だから二人ぴったりと並んで歩いた。 すこし開けた場所に出る。そこは森の境目で、ずいぶん長く放置されたのだろうか、変色した材木が積んである切り出し場の入り口だった。 材木の隣には小さな小屋が立っている。昔、ここが使われていた時の作業小屋だ。 「ここは……」 「みのる、思い出した?」 「ああ、そうだ。ここは確か……」 そうだ、ここは確かに何度か来たことがある。 それは、まだ俺たちが子供の頃の記憶。 まだ内気で人見知りだったみずきが初めて俺を遊びに誘い、今のように二人だけで訪れた思い出の場所……。 いつの間にか姉さんと伊万里が加わり、4人の秘密基地みたいになってたっけ。 「そうか。タイムカプセルか」 「あったり!」 ぴょこん、とウサギの耳が跳ねる。 するするとマフラーを解くと、みずきはそれを俺に押し付け「ちょっと待ってて」という言葉を残して走っていく。 走っていく先は、うら寂れた小屋。 みずきは小屋の扉の前まで行くと、しばらくガチャガチャと物音をたて、そして扉を開き、中に入っていった。 おそらく、家に寄ったときにでも鍵を預かってきたのだろう。 俺はそれを見送ると周りの風景に目を移した。 まぶたを閉じれば思い出す。これもまた小学生のころ。 俺とみずきは、それぞれ自分の宝物を持ち寄って、大きめのクッキー缶に入れてタイムカプセルとしてこの場所に埋めたのだ。 どちらが言い出した事かは忘れてしまった。忘れてしまったけれど、いつか大人になった時にそれを二人で掘り出しに来ようと誓ったのだ。 そうだ、確か埋めた場所は……。 「みのるー、ほらスコップ!」 『小屋、大きい木、そこから五歩、珍しい石』頭の中でリフレインする言葉。その言葉どおりに歩く。場所はすぐに見つかった。 小屋から数歩も離れていない。ただ、目印の大きな木は大きな切り株になっていたし、当時珍しい石だと思っていた岩も、いま見ればどうということもない変哲もない形をしていた。 「……子供の頃の記憶って、変わっちゃうものだね」 帰ってきたみずきが言う。 まったくだ。あの頃と俺たちの関係は何も変わっちゃいないのに、周りばかりがどんどん変わっていく。 「じゃ、日が暮れて寒くならないうちに掘り出しちゃおうよ」 「ああ、そうだな」 「おっけー、おっけー! 穴掘りはあたしにまっかせなさい!」 おなじみの台詞を口にすると、みずきは勢いよく、スコップを地面に突き立てた。 ◇◆◇◆◇ 「ふう、結構簡単に出てきたね」 「そうだな、子供の力だからな。そんなに深くまでは埋めれなかったんだろうな」 掘り出したそれは、やはり記憶とは微妙に違う小さな金属の缶だった。縁が微妙に錆びている。こんな薄っぺらな入れ物でよく今まで無事に埋まっていられたものだ。素直にそう思った。 「これはこのまま持ってて、小屋の中で開けようぜ」 二月という冬場でも運動をすれば少しは汗もかく。自分はともかくとして、このままここに居ればみずきが風邪を引きかねない。 それに、俺が風邪を引いたって、どうせみずきは世話を焼きに家までくるだろう。そこでうつしてしまっては元も子もない。 「そうだね……あ、でも」 素直にうなずくかと思ったみずきは少し悪戯っぽく笑って、踵を返した。 「みのる。ちょ~っとだけ、そこで待ってて」 そしてそのまま小屋まで駆けていくと、一抱えもあるやたら物騒な代物を抱えて帰ってきた。 「はい、みのるこれ持つ! 危ないから落としちゃダメだよ」 「お、おまえこれって……」 どしり、と確かな重量が両手にのしかかる。それは作業用の機械のようだった。 ただの機械じゃない。仄かに香るガソリンと、オイルのにおい。錆びた鉄。エンジンがついていた。 そしてそこからにょっきりと生えた剣呑で、黒光りするブレード――。 こ、これは……。 「チェ、チェーンソーじゃないか! なにすんだよ、こんなもん持ってきて!」 「みのるにあたしの特技見せてあげるっ!」 「と、特技ってお前……」 みずきは手早く、やたら厚手で丈夫そうなエプロンをかけ、手袋とゴーグルを装着した。 そして、材木置き場の方へ行くと、少し大きめの丸太を転がしてくる。それを手ごろな切り株の上に乗せた。 「本当は音がすごいからイヤープロテクターもつけなきゃいけないんだけど、今日は持ってきてないから」 みずきは俺からチェーンソーを受け取る。 「なんか……すげー格好だな」 俺は困惑していた。急にそんなものを持ち出したみずきの考えがわからなかった。 「大丈夫、大丈夫。あたしに任せておきなさいっ!」 そんな俺を無視して、みずきは得意そうに笑う。 「危ないから、みのるは離れててね」 そういって、エンジンスタータを一気に引っ張る。 どるんっ 低い音が鳴る。それに続き、ドッドッドッドという断続的なエンジン音が山間に響く。 「何するつもりなんだ?」 「えへへー、ひみつ~。みのる、しっかり見ててねっ」 みずきはそう宣誓するや否や、エンジンの回転をブレードに伝えるスイッチを入れた。 ギュアアアアアアァン 瞬間、悲鳴のような轟音が場を満たす。みずきの操る高速で回転するブレードが丸太の端に触れた時、その音はひと際高まった。 接地点が木屑で霞む。みずきはぐっと踏み込むと、押し返されないように力を込めた。 そしてそのまま、振りぬく。ぽーんと、切断された木片が飛んでいった。 みずきはブレードを器用に操り、丸太を寸断していく。さらに破片が飛び、粉が舞う。 その中でみずきは楽しそうにブレードを振り続けた。俺はそれを見て、まるで踊っているようだと感じる。 みずきが右にブレードを振れば、頂上部の出っ張りがあっさりと落ちる。みずきが左にブレードを捻れば、中ほどに大きな裂け目が生じた。 そして、見ているうちに、丸太が何がしかの形を取りはじめる。 最初に大まかに粗が落とされ、饅頭のような概観が見えてきた。次に、ブレードの先端を薄くあて、線が入れられる。 それに沿って、薄く表面を撫で削っていく。 いつの間にか、丸太は台座の上に座った立派なウサギの彫刻にかわっていた。 「よし、出来上がり!」 ぐいっと、ゴーグルをあげたみずきの頬には汗がにじんでいた。 「こ、これは……」 「すごいでしょ! チェーンソーカービングっていうの。チェーンソーを使って彫り物をするスポーツなんだけど、あたし最年少で大会だって出たことあるんだよ」 「た、確かに……これはすごいな」 本当にあっという間のことだった。時間にしても二十分もかかっていないだろう。その間にみずきはこのウサギの像を作り上げてしまった。 「でしょ? 家にある椅子だってあたしが作ったんだから」 そう胸を突き出すみずきは誇らしげだ。 「お前、昔からこんな事を?」 「そうだよ。木工所のみんなにだって、チェーンソーの取り扱いなら負けないの。新しく入ってきた人に教えてあげる事だってあるんだから」 俺はあっけに取られる。こいつ、こんな危ない事までしてたのか……。 「みずき、お前どうでもいいけど、怪我だけはすんなよ」 「んー? なになになにぃ? みのる、あたしのこと心配してくれるの? うれしい!」 チェーンソーを下ろし、プロテクター類を外したみずきが腕にしがみついてくる。ツインテールがまたぴょこんと跳ねた。 「ば、ちがっ……俺は前みたいな事故はごめんなだけだっ」 「んー、いいのいいの。あたしはちゃーんとわかってるから! ありがとう、みのる」 もう、みずきは俺の言葉なんか聞いちゃいない。 ひたすら笑顔で俺の腕に、その少しふくらんだ胸を押し付けてくる。 「う、あ……」 顔面が熱をもっていくのが自分でもわかった。俺は少し乱暴な態度でみずきを振り払う。 「と、とにかく! 危ない事はするな! 以上!」 急に引き離されたみずきはしばらく呆然としていたが、俺の顔に浮かんだ照れを理解したのか、にんまりと微笑んだ。 「うん……わかったよ、みのる。これから気をつけるね」 「お、おう……わかったのならいいんだよ。わかったのなら……」 「それじゃ、わかったところで、そろそろ帰ろうか! ほら、お日様も沈んじゃうよ?」 言われてみれば、周りはもう一面オレンジ色の光につつまれていた。 冬の日の入りは早い。ぼやぼやしていれば、あっという間に闇夜に包まれることだろう。 「それじゃあ帰るぞ。ほら、そのチェーンソー片付けてこいよ」 「おっけー、おっけー! 行ってくるからすこーし待っててね」 そう言い残して、みずきは駆けていく。俺はその後ろ姿を眺めながら、少し笑った。 < 【back】 【next】 >
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みずき / 雨風雪 呼び名:みずき、みずきち どんな時でも外さないハチマキがトレードマーク