約 258,479 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/13487.html
登録日:2011/02/04 Fri 22 41 18 更新日:2024/09/26 Thu 20 45 36NEW! 所要時間:約 6 分で読めるぜよ ▽タグ一覧 80年代 80年代テレビドラマ おっさんホイホイ おニャン子クラブ アイドル カオス シリアスな笑い スケバン スケバン刑事 セーラー服 ドラマ パチンコ化 フジテレビ ヨーヨー 南野陽子 和田慎二 大野剣友会 実写化 少女漫画 岡正 忍者 斉藤由貴 映画 東映 松浦亜弥 浅香唯 特撮ヒロイン 鉄仮面 スケバンまで張ったこの麻宮サキが、何の因果か落ちぶれて、今じゃ警察(マッポ)の手先。 笑いたければ笑えばいいさ。 だがな、てめぇらみてぇに魂までは薄汚れちゃいねぇんだぜ! 本項では、和田慎二原作の漫画『スケバン刑事』の実写化作品について解説する。 1985年から1988年にかけてテレビシリーズが3本、劇場版が2本製作され、その後2006年にリメイク版の映画が制作された。 いずれも東映が制作に関与しており、テレビドラマは全てフジテレビ系列で放送された。 概要 基本的には原作漫画に準じているが、不良少女が桜の代紋入りの重合金ヨーヨーで戦うという荒唐無稽なスタイルが大いに受け、主演女優はいずれも本作で大ブレイクを果たすこととなった。 原作と異なり麻宮サキの名称はコードネームの扱いで、「少女鉄仮面~」以降は歌舞伎のように襲名するシステムとなっている。 ヨーヨーも蓋が開いて桜の代紋が出て来るというギミックもあってか玩具が多数出回り、そのほとんどがパチモンだった(公式ライセンス商品が発売されたのは2000年代以降のことである)。 そういう点では特撮的人気を誇った作品と言えよう。 3部作の完結後も路線を直接引き継いだ『少女コマンドーIZUMI』(*1)『花のあすか組!』や『セーラー服反逆同盟』などの類似作品が数多く登場し、1980年代を代表するテレビドラマ作品として今なお高い知名度を誇る。 原作漫画の連載終了後にテレビドラマ化されたため、原作漫画があったことを知らない人も多いかもしれない。 作品解説 スケバン刑事 1985年に放送。全24話。 原作の第1部をベースとしているが、登場人物の顛末など多少の差異が見られる。 演者の斉藤にとってはこれがドラマデビューで、幼さの残る容姿と役柄のギャップから次第に人気を博し出世作となった。 麻宮サキ 演:斉藤由貴 鷹ノ羽学園2年B組。サウスポー。死刑囚の母を救うためにスケバン刑事となる。 ちなみに、本作から9年後に誕生する演者の姪が後にアニメ系アイドルユニットの一員となるのは別の話。 「てめえら!許せねぇ!」 神恭一郎 演 中康次 暗闇指令のエージェントでサキをサポートする。原作と違い長髪でもないし、サキとのロマンスも無い。凡庸。 演者は後にゴーマ族と戦う道士や流星塾の創設者を演じる。 海槌三姉妹 日本征服を企む、トチ狂った「悪魔の三姉妹」。彼女達の登場によりこのドラマシリーズは一気に加速(暴走)していく。 スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説 1985~86年に放送。全42話。 原作漫画の第2部をベースとしているが、主演3人の魅力と熱く荒唐無稽な内容で、当時ちょっとした社会現象にまでなった。 原作者からは「鉄仮面によって『麻宮サキ』の持つ孤高を上手く表現できている」と絶賛され、最高傑作として挙げるファンも多い。 放送終了後の1987年には劇場版も公開され、後述する『Ⅲ』の主人公・風間唯がゲスト出演している。 五代陽子/二代目麻宮サキ 演 南野陽子 土佐出身のスケバン鉄仮面。本名は「早乙女志織」といい、十数年間、鉄仮面を着けて暮らしていた。 名前が複数ある事から察される通り、とても数奇な運命に翻弄されている。スケバンというにはかなり生真面目すぎる性格。 中の人は当時前転すらろくにできないほどの運動音痴で、スタント担当の大野剣友会に呆れられたというのは有名な話。 「おまんら、許さんぜよ!」 矢島雪乃 演 吉沢秋絵 スケバンお嬢様。二代目サキを慕い助太刀する。武器は袱紗と琴の爪。ボケ担当。 「本当にタコでございますわ」 中村京子 演 相楽ハル子 またの名をビー玉のお京。二代目サキの親友となり助太刀する。ツッコミ担当。 「このタコ!」 西脇 演 蟹江敬三 暗闇指令のエージェント。サキ達の担任でもある。キャラを使い分けている。 ウルトラマンレオを捕らえてバラバラにした過去があるかは不明。 スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇 1986~87年に放送。全42話。 風間三姉妹が悪の忍者軍団・六道衆と戦う。 原作枯渇により原作者の別作品『忍者飛翔』からモチーフのみ引っ張ってきた別モノ。 「普通の(・・・)女学生が悪と戦うのが『スケバン刑事』の醍醐味だろ!?忍者ものがやりたきゃよそでやれ!」と、原作者の激怒を引き出した。 そのため、後枠で当初計画されていた本作の第4シリーズが『少女コマンドーIZUMI』という別番組に変更された経緯がある。 ただし「東映的忍者ドラマとしては割と面白い」と評価する声もそれなりにあり、本作も劇場版が作られたことがそれを物語っている。 二代目と同様、本作の風間三姉妹の役名は演者の下の名前と同じになっている。 風間唯/三代目麻宮サキ 演 浅香唯 自称九州一の大スケバン(演者と同じ宮崎県出身である模様)。サキの名は口上の時しか使わない。 九州弁訛りのイモ娘描写が過剰。右人差し指で鼻をこするクセがある。 風魔一族の血をひく、つまりくノ一。 考えないで走る。 「あんたら、許さんかいね!」 風間結花 演 大西結花 風間三姉妹長女。鉄製の折り鶴と鶴拳が武器。 考えてから走る。 「いい加減にしなさい!」 風間由真 演 中村由真 風間三姉妹次女。リリアン棒と糸が武器。 考えながら走る。 「だって~こいつがよぉ~」 般若・依田 演 萩原流行 風魔一族鬼組頭。三姉妹を忍として厳しく鍛える。 表の顔はやはり担任で飄々を装っている。 「×ですねぇ~」 スケバン刑事/コードネーム=麻宮サキ 2006年に公開された18年ぶりの新作映画。といってもスタッフは全く違う。 雰囲気も脳天気で大らかだった80年代とはガラリと変わって、鬱であんまり爽快感が無い。むしろ60年代の不良映画に近いかも。 昔から「4をやろう」という声がスタッフやファンの間であったが、前述の通り原作者が中々首を縦に振らなかった。 そんな彼が「彼女がやるならいいよ」と推薦したのがあややこと松浦亜弥である。 セーラー服をモチーフにした妙にエロいスタイリッシュなバトルスーツや牙狼のスタッフが手掛けたアクションシーンの評価が高い。 K/麻宮サキ 演 松浦亜弥 NYのスラム街で育ち、母の釈放を条件に期間限定で麻宮サキを襲名する。 現代が舞台というのに歴代で一番スケバンらしいキャラクター。 「てめえら全員ヤキ入れるぞ」 秋山レイカ 演 石川梨華 歴代で一番リアルかつ陰湿ないじめっ子。しかもビッチ。 実は公安から派遣された学生刑事だったが裏切っていた。ボンテージの衣装で石川は熱演したものの、かなりのイメージダウン。 Kの母 演 斉藤由貴 どうやら初代麻宮サキらしいのだが、「凛としていた彼女がこんな荒んだ女性になるとは思えない…」と斉藤由貴は語っている。 暗闇警視 演 長門裕之 一応全シリーズ通して登場しているスケバン刑事達のボス。本作では原作版と同じ名義になった。 「セーラー服は学園の戦闘服だ!」 二代目「追記・修正ちゃあ、うち、初めてやき……」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] アマリリスのあとがきで、ドラマの出来に和田先生が激おこだった。 -- 名無しさん (2013-10-01 14 14 43) 一部の書籍では「特撮ヒーロー・ヒロイン」枠で紹介されてることもあるんだが、実際そういう風に受け止めて良いもんなの? -- 名無しさん (2013-10-01 16 17 12) ↑2激おこなのはスケバン刑事ⅢだけでスケバンⅡは和田先生は好評価だったよ。 -- 名無しさん (2013-10-01 16 21 54) 原作では鬼母だったサキの母親だがドラマのⅠではどえらく性格改変されて優しくなっていた。 -- 名無しさん (2013-10-01 16 37 07) そっか、激おこだったのはⅢだったか…。しかしこれといいピグマリオ(アニメ)といいなんだかなぁ。和田先生が作ったものを初めから終わりまで再現したドラマやアニメを見てみたかったなぁ。 -- 名無しさん (2014-02-25 21 47 46) これのヨーヨーが何故か「なかよし」の裏表紙に印刷された通販商品にあったよーな… -- 名無しさん (2014-02-25 21 51 38) ↑5 和田先生は「サキは苦悩の中で戦う少女なので特撮にしたければべつの作品を作れ」とカンカンだった。正直ドラマ版の1も反応が微妙で喜んでいたのは2だけだった。 -- 名無しさん (2014-02-25 23 07 31) 3は決着の仕方がなぁ・・・ねーちゃんら死にかけてるのに無視(無言を貫かねばラスボスを倒す力が手に入らないと言う何だか解らん設定)なのに単なる知人の怪我で叫んじゃってそれを台無しにし、ラスボスやっつけた方法が「純真な少女の心がもたらした奇跡の力」・・・これはちょっとなぁ・・・途中までの3姉妹の話はまあまあだとは思う。時代先取り過ぎだったけどね。 -- 名無しさん (2014-08-28 09 02 38) 2のときはお京や雪乃など魅力的なキャラが出たので和田先生が感心してプロデューサーと話が弾んだというが3ではその人がやめさせられたので和田先生が激おこになってしまい・・・ -- 名無しさん (2014-11-03 19 35 34) 文庫版だかの後書き漫画でサキのヨーヨーの許可は原作者は出してないと言ってたな、つまりブームに乗っかって売られたヨーヨーは全部バッタもんと -- 名無しさん (2015-12-16 13 25 21) 二代目と三代目は映画で共闘したことがあるぞ。 -- 名無しさん (2017-07-21 23 45 13) 当時はTV特撮ヒーローがホントにメタルと戦隊しかなくなってた関係か、特にバンダイのB-CLUB等でポスト仮面ライダーあるいはズバット的特撮物として推されていたな -- 名無しさん (2020-03-23 17 39 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/epolitics/pages/69.html
国会での審議の中継 衆議院・法務委員会(1999/05/14)/福岡宗也議員(民主党所属) 国会での審議の中継 衆議院インターネット審議中継 http //www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm 衆議院-会議録 http //www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm 衆議院・法務委員会(1999/05/14)/福岡宗也議員(民主党所属) ○福岡委員 ありがとうございました。 私もそうありたいということで、そういうような理解だということならば、私も安心をいたしたわけであります。 そこで、今のことに関連をいたしまして質問をしたいのでありますけれども、それは、児童買春の被害者となった児童、それから児童ポルノのモデルになった児童などについて、少年法のいわゆる虞犯少年、これは少年法第三条の一項三号というのがありますけれども、いわゆる少年審判に付することのできる少年としてこういう虞犯少年というのがあります。それからまた、不良少年という概念もあります。こういうものに該当するとして捜査の対象にされて被疑者的な扱いを受ける、ひいては少年審判に付される、こういうようなことはあり得るのかどうなのか。 一見しますと、児童買春の相手方となる行為は、いわば売春防止法に言うところの売春行為にも該当する可能性があるわけでありますし、それからまた、十四歳以上の児童については刑事責任能力もあるということですから、取り締まりをしようと思えば当然にできるような感じもするわけであります。そうなれば、これは、本件でもって買春した人は処罰はされますけれども、同時に、児童の方についても、そういう法的な不利益というものは当然降りかかってくる対象になりますし、捜査のやり方いかんによっては、相手方の大部分がこれにひっかかってくるような取り締まり方法というものもあるのではないか。この点が、私、本法案について一番懸念をしていたところでございますので、この点につきましては、発議者とそれから法務省、それぞれ簡単に御答弁をお願いしたいと思います。 ○大森参議院議員 今先生おっしゃられたように、少年法の審判に付すべき少年の中に、犯罪少年、触法少年、そして虞犯少年というものが類型化されております。 それで、犯罪少年が、罪を犯した少年、これは刑法の規定によりまして十四歳以上になります。それから、触法少年、十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年であります。いずれにしても、刑罰法令の構成要件に該当するような行為をした者が対象となります。 それで、このような買春の相手方となった児童の場合ですけれども、こういう行為が、先ほど福岡先生、売春行為に該当し得るというようにおっしゃったわけですが……(福岡委員「いや、私が問題にしているのは虞犯少年だけです」と呼ぶ)虞犯少年だけですか。わかりました。 虞犯少年の要件につきましては、少年法の各号に当たるその要件を満たすかどうか、これは個々に買春の相手方となった児童、それから、例えば児童ポルノの対象になった児童につきましても、日ごろの素行がどうであるかとか、そのさまざまな行為態様というものをこの虞犯少年に当たるかどうかという基準に従って判断するわけでありまして、虞犯少年等、少年法の適用によってするということについてはこれまでと変わらないだろうと思います。 ○福岡委員 ちょっと答弁の最終的な結論の部分がよく了解できなかったんですが、要するに、児童買春行為の相手方となったという場合に、この虞犯少年の要件であるところのイからニまでの事項というのがあります。例えば、保護者の正当な監督に服しない性癖があるとか、正当な理由なく家庭に寄りつかないとか、犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りする、自己または他人の徳性を害する行為をする性癖がある。 そうすると、これは、ニの徳性を害するということにも該当しますし、犯罪性のある人と交際をするというような問題、それから、両親の言いつけを聞かないというような問題もやはり虞犯少年の要件ということですから、いわば当然に、児童買春の相手方となって対償をもらったような場合には該当しそうな行為が列記されているので、こういった場合に、児童買春をした大人を処罰するのはいいんですけれども、同時に、捜査官の捜査の対象という形に取り上げられるということについては、私は取り上げてもらっては困ると思っているんですね。 そうしないと、両方とも被疑者扱いということの取り調べになってきて、児童の人権が守られないという取り扱い。単純被害者の場合ですらもいろいろな形の二重被害が起こっておるわけであります。先ほど言いましたように、証人に出る、取り調べの段階で厳しくまた道徳的な問題でも追及されるとか、先ほども御質問がありましたように、援助交際はけしからぬ、道徳観念がいかぬのだという観点は確かにあります。いわゆる純風な性道徳に反する行為をおまえしておるんじゃないかという取り調べを受けるということになると、児童を守るどころか、児童弾劾法となりかねないというところを恐れているわけですから。 その辺について明確に、ならないんならならない、なってもそういう取り扱いをしない、それはどういうことで取り扱いをせずに済むのかという点を明確にしてもらわないと、ちょっと安心できないということであります。 〔委員長退席、橘委員長代理着席〕 ○大森参議院議員 虞犯少年の要件については、今先生の方から述べていただきました。 要するに、これは認定の問題でございまして、児童買春の相手方となった児童、それから、児童ポルノの対象の児童、この行為等、振る舞い等、これが虞犯少年に当たるかどうかという判断でありますので、ある場合には当たる場合もあるでしょうし、ある場合には当たらない場合もある。したがって、言えますことは、児童買春の相手方となった児童が直ちに審判の対象とはならない、こういう言い方ができると思います。 それから、今、被疑者扱いと言いましたが、これは虞犯少年についてもということでしょうか。そこのところにつきましては、そういう懸念がありますので、捜査、公判上の注意ということで特に規定を設けております。 ○福岡委員 今の御答弁をお聞きしても、やはり虞犯少年という対象になって、場合によっては捜査ということがあり得るという可能性を残しておるというふうに私は理解をいたしたわけでありますけれども、やはりその点については、運用上において十分な配慮をなされて、いきなり買春行為をした人と同レベル的な扱いは絶対に避けるというようなことをここで確認をしておいていただきたいと思っております。 それから次に、本法案につきましては、児童買春、児童ポルノの対象とされておる児童の年齢を十八歳未満の児童と定めております。 我が国の刑事責任能力年齢というものは、刑法において十四歳と規定をされておりますし、それから、民法におきまして結婚可能年齢は満十六歳とされておる。したがって、我が国の法規としては、遅くとも十六歳においては責任能力もあるし、性的行為についての決定能力というものもあると考えているわけであります。また、外国の立法例も、いわゆる児童を買春行為から守るということについては、ドイツは十四歳、フランス十五歳、ベルギー十六歳というふうにされております。 これらの問題を勘案しますと、本案の十八歳というのは高きに失しているんではないかという感じがするわけであります。そして、それは同時に、半面的に、十分に成熟をし判断能力のある児童についての性的意思決定権というものも制約をする結果にもなっているわけであります。そういう点からしますと、やはり、一部の人が言っているような義務教育年齢までに下げる必要があるという主張ももっとものような気がいたします。 そういうような観点で、この対象の児童年齢を満十八歳と定めたその理由について発議者と法務当局、これで他の法令との整合性がいいかどうかは法務省の方で御答弁をお願いいたします。 ○円参議院議員 先生が今おっしゃったようなさまざまな国内の法律や、また諸外国の法律について、この年齢については随分議論が交わされました。その結果でございます。 ですから、今先生がおっしゃったようなことは繰り返しませんけれども、御懸念のように、子供の定義というものは必ずしも一義的に定まっているわけではございませんので、先生も御存じだと思いますが、一定の年齢に満たない者に対し特別の保護を与えることを定めた児童の権利に関する条約というのがございまして、その条約の中で、その対象となる児童を十八歳に満たない者とすることを原則としております。そして、この条約は世界的に普及しておりまして、この十八歳という年齢は、子供と大人を分ける緩やかなメルクマールになりつつあると私は思っております。 また、我が国におきましては、児童が健やかに成長するように各般の制度を整備するとともに、児童に淫行させる行為等児童買春に関連する行為をも処罰の対象とする法律に児童福祉法がございますが、同法の対象となる児童も十八歳に満たない者となっております。 これらの条約や法律の目的と今回つくります法律の目的から考えまして、対象とする者の範囲も同一ですべきであるという結論に私ども達しまして、十八歳未満の者をこの法律に言う児童としたものでございます。 ちょっと今、林議員からも指摘がありましたが、先ほど先生がおっしゃった、婚姻年齢が女性の場合我が国は十六歳でございますけれども、この十六歳ということに関しましても、児童福祉法では同法の対象となる児童は十八歳に満たない者でございますが、かつ、それは女性の婚姻による例外を認めておりませんことは先生も御承知のとおりと思いますので、そういう結論に達しました。 〔橘委員長代理退席、委員長着席〕 ○福岡委員 どうもありがとうございました。 この問題は確かに難しい問題でありますけれども、児童福祉法の関係のは姦淫をさせる行為というのが処罰の対象になっているという制約がありますので、同一ではないとは思いますけれども、問題は、諸外国について、保護すべき年齢は高く、しかしながら処罰するときは意思決定年齢にという考え方もあるものですから、運用の上でまた今後御検討をいただきたいというふうに思っております。 それから次に、本法案の第二条の三におきましては、児童ポルノを定義いたしております。 これは、ちょっと長いもので省略をしますけれども、要するにどういうことかといえば、これを見ますと三つの分類になっているわけです。まず第一は、性交とか、また類似行為というものについての姿態、それから次は、性器に接触をするというものの姿態、それからさらに、第三番目は、裸体または一部露出みたいなものの姿態、この三つの姿態ということがこれに当たるんだ、こういう考え方であります。後半の二つの問題については、それにさらに歯どめをかけまして、性欲を興奮させまたは刺激することをいう、こういう要件にしておるわけであります。 そして、これと対比する意味で、刑法の百七十五条におきましては、わいせつな文書、図画その他のものを頒布等の行為をした者、これは二年以下の懲役という形になっております。 わいせつなものというものについては、やはりいたずらに性的興奮を刺激する、善良な性的道徳観念に反するようなものとか、羞恥嫌悪の情を抱くようなものというようなことが今までの判例の積み重ねではっきりしておるわけでありますけれども、これはどう見ても、先ほど言った性的興奮をさせるような姿態だということや、それから当然性交行為自体を見ている。それで、単なる裸や一部露出であってもそういう刺激をさせないものはいいのだということだとすると、結局わいせつの概念と同じではないかという感じがするわけですよ、はっきり言いまして。したがって、わいせつ物とほとんどの場合は重複するようなものが児童ポルノであるのだ。 そこで、ほとんど違わないか、違うとすれば、両方に該当する行為はどんなものであって、例えばわいせつ罪には該当はしないけれども児童ポルノには該当するというようなものは典型的なものとして何があるか、こういうようなところをはっきりさせておきたいというふうに思うわけであります。そこで、その辺についての、両構成要件の相違点について御説明をちょっといただきたいわけであります。 ○大森参議院議員 まず、刑法第百七十五条の「わいせつ物頒布等」の中に出てきますわいせつの意義につきましては、今委員もおっしゃいましたが、最高裁の判例がありまして、正確に申し上げますと、「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」というふうに判断されております。ですから、刑法のわいせつ物頒布等につきましては、「わいせつな文書、図画その他の物」ですが、すべてに「わいせつ」がかかるという意味で、この概念において判断されることになります。 児童ポルノの方は、まず一号ポルノと言われるものにつきましては、性交または性交類似行為に係る児童の姿態に関するものでありまして、このときには、こういうものであれば、それだけで違法性が強いものとして処罰の対象としております。そして、二号、三号につきまして、一定の児童の姿態を記載してございますけれども、これにつきましては、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こういう文言を入れてございます。 そこで、最高裁判例のわいせつ概念とどこが違うかといいますと、まず、「徒らに」ということはこちらは要求しておりません。つまり、過度にという意味ですけれども、過度であることを要しないということです。それから、「普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」であるか否かについて、論ずるまでもなく規制すべきものとした趣旨でございます。 このために、児童ポルノの方につきましては、刑法のわいせつに該当しないものも含み得ることになります。 ○福岡委員 そうしますと、わいせつという抽象的概念といいますか、先ほど言いましたように、善良な性的道徳観念に反するとか「徒らに」というような要件というのはなくて、形式的にこれに該当すればいいというような感じの御答弁だったというふうに思うのです。 そこで、ついでにもう一点だけお聞きしておきます。 わいせつ行為の場合に、芸術作品かわいせつかというような問題が非常に問題になりまして、いろいろな判例がありますけれども、最高裁は、最終的な判例としては、芸術作品であってもわいせつ行為であるということを免れることはできないというような結論であるというふうに思っておりますけれども、その点については、本件の場合は多少そういった問題が論議されましたでしょうかどうか、ちょっとお答えをいただきたいというふうに思います。 ○大森参議院議員 まず、たしか前回の衆議院法務委員会の質疑でもそのような質問をいただいたかと思います。いずれにしましても、ここで言う児童ポルノにつきましては、この第二条第三項各号に該当すれば児童ポルノに当たるというふうに考えております。 それから、芸術作品の場合はとよくおっしゃるのですが、例えば、芸術作品というのは客観的な基準があるわけではございませんで、確定したものはございません。よく、これは芸術作品だと本人が思っているだけのような場合もございます。したがって、言えますことは、芸術作品であるかどうかはこれとは関係なく、児童ポルノの判断につきましては、あくまで今申し上げました一号、二号、三号ポルノ、この構成要件に該当するかどうか、これで判断することになります。 ○福岡委員 ということは、端的に言うと、芸術性の有無というような問題は判断基準にはならない、そういうことで理解してよろしいですね。 ○大森参議院議員 芸術性の有無云々ということは、表現の自由との関係で、刑法のわいせつ物かどうかでは問題になるところでございます。芸術性の有無が問題にならないとおっしゃる場合に、先生がどういうことを頭の中に描いておられるかちょっとわからないので申し上げますが、例えば、本来、芸術というものは時代を超えて多くの人がその価値を認めるものというふうに言うことができるかと思うのですが、そういう真の価値が付与された場合には、この「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という、これは一般通常人を基準にいたしますから、この認定のところで多少の違いが出てくるのかという気がいたします。 ○福岡委員 私が質問しました趣旨は、先ほどの御答弁の中に、「徒らに」ということがないということだから、目的的に、芸術作品をつくるということで、客観的に多くの人が芸術作品として認めるような絵画とか写真とか、そういうものについては、やはり芸術性があるからこれらに該当しないというのではなくて、そういうものであっても、ここの要件でありますところの「性欲を興奮させ又は刺激するもの」を視覚によって認定することができるというものに該当するとすれば、芸術性があろうがなかろうが、「徒らに」という目的的な概念は判断基準にならぬということですから、判例もちょっとそれに近いですけれども、だから当然、これはもう処罰の対象のポルノというふうになるのではないかなと僕は理解したのですよ。「徒らに」というのが判断基準にないとおっしゃるから。 ○大森参議院議員 わかりました。先生のおっしゃるとおりであるとこちらも理解しております。 要するに、この構成要件に該当するか否か、この判断によって、児童ポルノであるかどうかが決まります。 ○福岡委員 はっきりしました。 客観的なそういう基準に合致するかどうかで、主観的な要素というのは加味の対象にはちょっと難しい、こういうような御主張だというふうに思いますので、理解をしておきます。 それから次に、刑法百七十五条わいせつ物の頒布等の罪の具体的な行為というのは、頒布と販売と公然陳列、この三つなんですね、行為が。ところが、今回の児童ポルノの罪は、そのほかに賃貸、製造、所持、運搬、輸入、輸出と、極めて多岐にわたっているのでありますけれども、こういった行為まで処罰するというのは、それぞれの持っておる法規のいわゆる保護法益という観点からこういう相違が出るのかどうか、また、その他の理由があるのか、ちょっとお聞かせを願いたいわけであります。 ○大森参議院議員 処罰範囲の違いというものは、今先生触れられたとおりに、それぞれの法律の目的によって影響してくると思います。 刑法のわいせつ物頒布等の罪につきましては、これは性風俗に対する罪ということです。ところが、こちらの児童ポルノ頒布等の罪は、多分時間をお気になさっているでしょうから繰り返しませんが、先ほど円委員等がその目的として述べたところでございます。このような法の目的から、今おっしゃったところでどこまで処罰の対象とすべきかということで、刑法とこの法案との差ができたものでございます。 ○福岡委員 どうもありがとうございました。 そこで、次に、本法案においては、自由刑だけで申し上げますと懲役三年以下。それから刑法では、百七十五条でやはり懲役二年以下ということで、法定刑に一年の差があるわけですけれども、これはどうしてこういう差が出てくるのか、その合理的な理由があるのかどうかということです。 ○大森参議院議員 刑法のわいせつ物頒布等の罪が二年以下の懲役なのに、児童ポルノの頒布罪というのが要するに刑罰が非常に重くなっていること、これはそれだけ違法性が重大だと考えるからでありまして、性風俗に対する罪と、それから、もう繰り返しませんけれども、円発議者として説明しました本法案の目的から考えまして、このような児童ポルノに該当するものはより違法性が高い、強いものである、こういう判断が働いております。 それから、例えばわいせつ物は、刑法の方ですと文書も入りますが、図画も入ります。その場合には漫画とか絵とかそういうものも入りますが、法律の目的の違いから、写真、ビデオテープその他の物ですけれども、これは実在する児童の姿態を描写したもの、こういう制約がありますので、児童ポルノに当たる場合にはより違法性が強いことは容易に御理解いただけると思います。 ○福岡委員 そうしますと、結局、保護法益の面が、一般的な性風俗というような抽象的なものよりも、具体的な、モデルになった児童というものの人権保障、人権侵害的な要素というものを強く取り上げて違法性が高いという判断をした、こういう趣旨でいいわけですね。 それから次に、児童買春の規定と相対応するものといたしまして、刑法においては強姦罪と強制わいせつ罪という規定がございます。そして、それぞれの規定につきまして比較検討をちょっとしなければならないかというふうに思うわけでございます。 本法案におけるところの買春行為は二条の二で規定をされておりまして、要約いたしますと、対償を供与するということがまずこの要件になっておって、性交と性交類似行為、性器等の接触または接触させる行為ということになっていると思います、一言で言いますと。そして、その行為をした者は三年以下の懲役ということに処罰される、こうなっているわけでございます。 一方で、刑法の方は、百七十七条において、十三歳以上の女子に対しては暴行、脅迫を要件として強姦罪が成立するけれども、十三歳未満の女子に対しては、暴行、脅迫をしなくても、姦淫行為をしたということだけで懲役刑に処せられるということであります。そして、その刑も重くて、二年以上の有期懲役ということで、かなり最高刑は高いということであります。 それからまた、百七十六条の強制わいせつの罪としましては、十三歳以上の婦女子に、暴行、脅迫してわいせつな行為をした場合。十三歳以下の場合には暴行、脅迫がなくてもわいせつ行為が成立する、こういう二本立てになっているわけでございます。 そこで、言うところのわいせつ行為というのをよく考えてみますと、結局、ポルノの先ほどの要件でありますところの行為、それとやはり概念的にほとんど同じような感じ。具体的に考えてまいりますと、対償を供与しというのはございませんけれども、性交は強姦の方でありますし、それからあとは性交類似行為、性器接触とか、それから性器をさわらせるというような行為も、結局強制わいせつ罪の従来の判例上で認められているような行為だと思うのですね、ほとんどすべてが。 これはどういうような相違点があるのか、重なり合うところと、それからはみ出すといいますか。それから、どちらの方がむしろ広いというふうに考えるのか。私ども検討をしましたけれども、なかなかわかりにくいので、簡単に説明をいただきたいというふうに思います。 ○円参議院議員 先生のおっしゃった本法案の児童買春罪の構成要件と、それから刑法第百七十六条、第百七十七条との違い、先生今一応刑罰の違い等はお話しなさいましたけれども、とりあえずこの児童買春罪の構成要件は、児童等に、「対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすること」でございます。 これに対し、強制わいせつ罪の構成要件は、十三歳以上の男女に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をすること、及び十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をすることでありまして、おっしゃるとおり。また、強姦罪の構成要件は、暴行または脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫すること、及び十三歳未満の女子を姦淫することでありまして、これらの罪の構成要件は、十三歳以上の者に対する場合については、暴行または脅迫が要件とされております。また、十三歳未満の者に対する場合については、対償の要件がないこと等の点において、児童買春罪とは異なるものでございます。 この児童買春罪と強姦罪、強制わいせつ罪の性質の相違についてでございますけれども、児童買春罪は、児童買春がその相手方となった児童の心身に有害な影響を与えるのみならず、このような行為が社会に広がるときには、児童を性欲の対象としてとらえる風潮を助長することになるとともに、身体的及び精神的に未熟である児童一般の心身の成長に重大な影響を与えるものでありますことから、かかる行為を処罰しようとするものであるのに対し、刑法の強姦罪、強制わいせつ罪は、個人の性的自由を保護法益とするものでございます。 ○福岡委員 そうしますと、やはり保護法益の相違点ですね。そういうような点、片方は個人の性的自由というものを保障するというのが刑罰の保護法益と私も理解しておりますけれども、そういうことよりももっと広いところがあるということだということです。それからもう一つ、今のお話を聞いておって思ったのは、やはり十三歳以上の人たちが、暴行、脅迫がない場合は野放しになってしまう、これをやはりきちっとしないといけないのだという御趣旨もあると。そこのところが違うところの主なものですね。 そうしますと、あとの、中身である性交というものについては、これは姦淫という言葉を刑法では使っておりますけれども、これは同意語でいいわけですよね。そうすると、従来の強姦罪だけでいけば、十三歳以上の婦女子に姦淫をした場合には暴行、脅迫がなければ逃げられてしまうということ、特に十八歳未満の人が逃げられるわけですね、十八歳以上の人はフリーになっちゃいますから、本法案でも。だから、十三歳以上十八歳未満の人を、いわゆる対償という構成要件を付加することによって処罰するのが目的だ、こうお伺いしていいですね。 ○円参議院議員 これまでは暴行や脅迫がなければ十三歳以上十八歳未満の児童にわいせつや姦淫をした場合に取り締まるのは難しかったということがございますが、今回はそれを対償の供与というようなことで取り締まることができるとしたものでございます。 ○福岡委員 よくわかりました。 そこで次に、児童買春については行為が列挙してありますけれども、いわゆる性交から性器接触まで、これはすべての行為というものを一括して同じ刑、三年以下としているわけです。ところが、強姦罪と強制わいせつ罪は、強姦罪の方は二年以上ということですから、上は十五年まで行く可能性があるわけでありますし、それからさらには、強制わいせつの方は六月から七年以下ということで、もう法定刑としては格段の差がある。これはどういうことかといいますと、姦淫行為そのものの自由権の侵害というようなものは極めて大きい。その他の類似行為であるとか、接触行為とかというわいせつ的な行為とは比較にならないという考え方が基本的に刑法にはあると思うのですね。 その点について、やはり児童買春の場合でも、姦淫行為にまで及んだ場合と、性器にちょっと接触をしたという場合とでは違法性において大きな違いがあるとどうしても思わざるを得ないのですけれども、この点、二つの刑に分けて規定するということは考えなかったのかどうか。また、考えなかったとすれば、その理由だけちょっと聞かせていただきたいと思います。 ○大森参議院議員 この二条二項の中には、児童買春の構成要件が規定されております。そして、これを受けての法定刑が三年以下の懲役または百万円以下の罰金でございます。要するに、いろいろな行為態様によりまして、性交した場合あるいは性交類似行為にとどまった場合、あるいは性器等にさわったような場合と、その行為態様によりましてその法定刑の範囲内で適当な刑の言い渡しがされるのであろうというふうに思っております。 それから、強制わいせつの場合で、例えば十三歳未満の児童に対しましては暴行、脅迫等が要らないわけでありまして、十三歳未満の者に対する強制わいせつ等の行為につきましてはそちらの構成要件にも該当するし、こちらに該当する場合もあり得ると思います。その場合は観念的競合になりまして、重い強制わいせつの方で処罰されることになりまして、個々具体的な事例につきましては、そんなにおかしな結論にはならないというふうに考えております。 ○福岡委員 両罪に該当して観念的競合になる場合の選択はそれでいいと思うのですけれども、一罪だけが成立をした場合の、例えば対償性の要件とかいろいろなことがありますので、そういう場合ですとそれではできないので、強姦罪が二年以上の有期懲役だということになれば、これに類するような姦淫行為だけはある程度引き上げるとか、何かそういうような配慮がないと刑法とのバランス上ちょっと据わりが悪いんじゃないだろうかなということを考えます。これ以上質問しませんので、運用上、また将来の検討事項として検討はしていただきたいなというふうに思っております。これだけ申し上げておきます。 それから、第八条の買春目的の人身売買の規定がございますけれども、「当該児童を売買した者」、こういうことで対象者が規定されているわけでございます。ここで言う売買をしたというのが、どうも概念が私としてははっきりわからないわけであります。 我々、売買といいますと、民法の規定の売買概念として、一方が財産権を相手方に移転をすることを約して、相手方がこれに対して対価を支払うということによって成立するんだ、こういうふうになっております。そうしたら、児童は財産権の対象ではありませんので、ずばりは来ないし、それからまた、さらにこの場合に、児童を引き渡しをして、それによって対償を受領したときに成立するのか、それともそういうようなことを抽象的に約束すればそれでもいいのかとか、その約束の内容はどうすべきかということについて、具体的に適用として非常に難しい問題が出てくる可能性があるなというふうにちょっと今私ども思っているわけであります。 その点についての要件の内容、非常に認定が難しくて、これによって逃げられるようなことはないのかという、そこの懸念がちょっとありますので、御説明をお願いします。 ○大森参議院議員 買春目的の人身売買の規定でございますけれども、売買とは、対価を得て人身を授受することをいうとされております。これは、刑法第二百二十六条第二項それから第二百二十七条第一項に規定する売買と同義に理解しております。 それでは売買というのはどういうものかということにつきましては、刑事局長の方から答弁させていただきます。 ○松尾政府委員 今発議者の方から答弁がありましたが、刑法にやはり売買という規定が出ております。 先生のお尋ねの中に、例えば売買の約束だとか、あるいは対価を払う約束をしたけれども現実にそれが実現していないとか人が動いていないとか、この規定の仕方からいたしますと、売買したということでございますので、予備罪とか未遂罪についてはこれは触れていないわけです。特別にそういう規定がありますれば、そこらあたりも処罰の対象に行為としては包含されるわけでございますが、この規定ぶりからいたしますと、売買した、いわば現実にそういうことが行われたということが前提になろうかと思います。 ○福岡委員 そうしますと、民法の売買みたいに意思表示主義というわけにいかないと。したがって、現実の引き渡しとかそういう具体的行為がないとなかなか難しいということでございますので、取り締まりがちょっと難しいのじゃないかななんというふうに私思うわけであります。それも一遍また御検討はいただきたいというふうに思っております。 それから、次に、第九条の児童の年齢の知情の点についての規定でありますけれども、これについて、使用した者という表現があるんですよね。この使用した者というのはどういうことをいうのかちょっと明確じゃないものですから、どういうような行為をしたときか、どういうような立場の人間を使用した者というのかということをちょっと御説明お願いします。 ○林(芳)参議院議員 御答弁申し上げます。 「児童を使用する者」というのは九条の規定にございますが、これは児童福祉法の六十条の三項に同様の規定がございまして、本法案はこれに倣って作成をいたしたところでございます。 同規定におきます「児童を使用する者」というのは、判例がございまして、「児童と雇用契約関係にある者に限らず、児童との身分的若しくは組織的関連において児童の行為を利用し得る地位にある者」、こういうふうな判例になっております。あるいは、「特にその年齢の確認を義務づけることが社会通念上相当と認められる程度の密接な結びつきを当該児童との間に有する者」というふうなことが判例になっておりまして、本法案における「児童を使用する者」の意義もこのとおりでございます。 ○福岡委員 そうしますと、今その判例に従うということですから、実際的には、法的な意味で従属制があるとか親権に服するとかということよりもっと広い概念だということですね。事実上支配をしているというような関係に立つ者がそういうことをしたということですね。わかりました。 それで、次にそれに関連しまして、第九条の規定全体を見てみますと、私は、本来、第五条ないし八条の罪というものは故意犯だと思うんですよ。故意犯を前提として、その年齢を知らなかった、十八歳未満であるということを知らなかったということに過失がある場合は処罰をするという、いわゆる過失犯を設定した規定だというふうに全体として認識するわけですけれども、それで間違いないでしょうか。 ○林(芳)参議院議員 お答え申し上げます。 結論から申し上げますと、委員の御指摘のとおりでございますが、五条から八条までに規定する犯罪は故意犯でありますから、児童である、この場合は十八歳未満でございますが、その認識がなければ処罰ができないというのがこの原則でございますけれども、児童を使用する者については年齢に関する調査確認義務があるというふうに考えられますので、このような者については、児童の年齢を知らないということを理由にしてのみ処罰を免れさせるのは妥当でないという判断をいたしまして、これらの者については、認識がないことについて過失があれば処罰するということにいたしたところでございます。 ○福岡委員 そうしますと、この規定の仕方を見ると、何か、裁かれる被告人側の者が過失がないことについて立証責任を負うというようにも読めるんですよ。要するに、原則として、知らないことは処罰される、ただし、知らないことについて過失がない場合には免れるというような感じになりますから。ところが、実際は刑事訴訟法の大原則は、すべて構成要件的なもの、過失もいわゆる構成要件ですから、それについては検察側の立証の義務があるということははっきりした事実ですね。したがって、その点をやはり変更しているというわけじゃないでしょうか。そこのところだけ明確にしていただきたいんです。 ○林(芳)参議院議員 お答え申し上げます。 これも委員のおっしゃるとおりでございまして、このような規定には児童福祉法六十条三項というのもございますが、本条はこれに倣ったものでございます。これは解釈上、学説等いろいろあるようでございますが、我々といたしましては、憲法の三十一条に規定されております検察官の立証ということの原則にのっとりまして、検察官が過失を立証すべきであるというふうに考えております。 ○福岡委員 もう大体時間になりましたので、あとちょっと省略いたしますけれども、一点だけ確認をいたしたいわけであります。 先ほど、冒頭に私の方では、買春行為の相手方になる児童がまた虞犯少年だというような取り扱いでもって審判を受ける、厳しい捜査にさらされるということは非常に問題であるということを申し上げました。私は、それとプラス、やはり我々弁護士として、被害者の場合の損害賠償その他の、その後のケアとかなんかの相談を受けたことがたくさんあるわけでありますけれども、そういう場合に、やはりそういう性的な行為というものに対する被害者といたしましては、それを公表されるということ、さらには、それが問題とされ、その場に証人に出ていく、参考人として出るということ自体が本当に、家族を含めて苦痛であるということになるわけであります。そういう意味で強姦罪の方は親告罪としたわけであります。要するに、角を矯めて牛を殺すことになりかねない、守るつもりであったのが逆に被害拡大になるということが親告罪の歯どめであるわけです。 今回は親告罪ではないという形になっております。その理由はいろいろあったでしょう。それは何かというと、犯罪の親告すること自体が自由な意思において行われたかどうかということは、問題になりやすいんですね。ところが、そういう被害というものは、成人の場合以上に二重被害というものを起こしやすいということも実態であるわけですね。 だから、そういう点についての配慮が十分なされた上で、これでいいのか、家族も子供も、取り調べを受けるのは絶対に嫌だと言って拒絶をして泣き叫んでおるときにも、あえて官憲の方で押し込んでいって捜査するというようなことがいいのかどうなのか、これが本法案についての私どもの一番心配するところではあったわけでありますけれども、この点についての御見解をちょっとお伺いいたしたいわけであります。 ○円参議院議員 先生がおっしゃるとおり、親告罪にすべきか非親告罪にすべきかという議論は随分私どももいたしましたし、また、捜査の過程においてセカンドレイプ等の人権侵害がないようにしなければいけないということも随分考慮した上でこの法案をつくったつもりでございます。 御存じのように、強姦罪や強制わいせつ罪は、犯罪の性質上、これを訴追し、処罰することによって、被害者の精神的苦痛等の不利益がより増すことが考えられますことから、被害者の保護の観点から親告罪としているものと解されております。 しかし、今回の児童買春罪につきましては、加害者やその背後の組織の報復を恐れて告訴できなかったり、保護者への金銭の支払いで示談をし、告訴を取り下げさせたりするようなことが通常の性犯罪以上に多いことも考えられますので、これを親告罪といたしますと、児童買春の相手方となった児童の保護や、児童を性欲の対象としてとらえる風潮の抑制、児童一般の心身の成長への重大な影響の防止を十分に図ることが困難になりますので、このような観点から非親告罪としたものでございます。 また、児童ポルノ頒布等の罪につきましても同様であると考えております。 捜査、公判の過程におきましては、児童買春の相手方となったり児童ポルノに描写された児童の心身に有害な影響を与えないように、本法律案は、第十二条第一項で、この法律に規定する罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならないことを定めました。もう先生のおっしゃるとおり、そのあたりは十分配慮していきたいと考えております。 ○福岡委員 どうもありがとうございました。 時間が参りましたので、質問としては終わらせていただきますけれども、今最後の点でありますけれども、了解はいたしましたが、ただ、現実の捜査の開始については、法的にできるという場合でありましても、実際に、その買春行為の悪質性、それから、被害者である児童の置かれている環境、家庭環境その他を含めて、その人の意思も十分確認をして、実際に着手するかどうかというのは、相当な程度、その意思決定権というものを児童に置くというような姿勢というもの、これは関係当局の方の実際の取り締まりのときの姿勢でありますけれども、十分それへ配慮をして運営をいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
https://w.atwiki.jp/sw-syupro/pages/11.html
プログラムコンセプト 就職活動目前の優秀な学生達へ「自分のキャリア」を考える“きっかけ”と“習慣”を提供することが、 本プログラムの目的であり私達スタッフの使命です。 本プログラムで皆さんに歩んでいただく4ステップ Ⅰ.過去の経験から、自分はどんな人間なのか、どんな強みがあるのか、 どんなことにモチベーションが湧くのかについて考え抜く。 Ⅱ.企業、業界について情報を入手する。 Ⅲ.自分と企業の価値観をすり合わせることで、就職活動、自分のキャリアについての 『軸』を決める。 Ⅳ.将来を見据えながら軸をしっかりと持ち、自分の就職活動および 今後の人生におけるキャリア選択に対して納得のいく決断をできるようにする。 プログラム内容 日時 2008年11月末~12月下旬 参加人数(就活生);45名 参加費 8,000円(施設代、資料印刷料金。4日間での費用。) 選抜方法についてはコチラ 講師プロフィール 佐々木徹氏 (有)ローラム代表取締役採用コンサルタント・就職カウンセラー 採用コンサルタントとして約300社の採用戦略立案や採用実務の代行、採用担当者やリクルーター向け研修など幅広く企業の人材採用をサポート。 取得資格一例 キャリアコンサルタント(gcdf/米国CCE,Inc認定厚労省指定試験) 日本エニアグラム学会認定アドバイザー 産業カウンセラー 石川英明氏 新卒でアクセンチュア株式会社に入社。 経営コンサルタントとして複数のプロジェクトに参画。 その後ベンチャー企業にて、キャリアコンサルタントと経営企画を兼務。 キャリアコンサルタント時には100人以上の転職活動をサポート。 その後ネットベンチャー販売戦略本部長兼人事責任者を経て、 現在コーデュケーション代表。 これまで、マッキンゼー、ADL、アクセンチュア、ゴールドマンサックス、 資生堂、インテリジェンス、JAFCO、野村総研、シスコシステムズなど 難関企業へ多数の内定者を輩出。 当ホームページ掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁止します。 Copyright ©2008-2009 SpringWater. All rights reserved.
https://w.atwiki.jp/presenile/pages/29.html
跳べ! という が… いったい どこへ?
https://w.atwiki.jp/ryu-ki/pages/18.html
※ここではオススメな動画サイトをご紹介致します(-_-) ここからは大人の時間ですよ。子供は帰って下さい。お願いだから… アゲサゲ http //www.jp-sex.com もうここは誰でも知っているサイトですね! 説明するまでもない
https://w.atwiki.jp/niko-smile/pages/23.html
■夜のいたずら虫がわいてきたらこちらへどうぞ ■ 11/16 神回!本編ですまん。予備知識なくても多分おけ。 kf http //www.nicovideo.jp/watch/sm1541674 ■そろそろ覚えるざんす ℡ http //www.nicovideo.jp/watch/sm98161 ■怖いので自分も見てません ℡ http //www.nicovideo.jp/watch/sm261199 ■コメント求む℡ http //www.nicovideo.jp/watch/sm137455 ■みんなでアイマス!!@℡ http //www.nicovideo.jp/watch/sm175345 ■4/14 門:67へぇくらいはある http //www.nicovideo.jp/watch/am188510
https://w.atwiki.jp/afi-momo/pages/143.html
・東京カバーズのUGG 2015-11-30 「UGG」のブーツの偽物を、販売目的で所持していたとして、衣料品卸売会社の実質的経営者の男が逮捕された。 警視庁によると、人気ブランド「UGG」のブーツの偽物を販売する目的で所持していた疑いがもたれている。 運営するネットショップの「TOKYO COVERS」で販売していて、会社からは偽物と見られるブーツが少なくとも500 足、押収されたという。 おNEWなブーツ! 2015-11-19 18 34 32 https //archive.is/Dk9Uh その後、記事を削除しブログを見て買ってしまった人がいるのにスルー ・小顔製作所 2016-06-30 根拠なし「小顔矯正」広告にNo! 消費者庁、9業者に措置命令 エステサロンのウェブサイトで見かける、「戻らない小顔矯正」、「骨格矯正で頬骨を正しい位置に整えます」という、うたい文句。 消費者庁は会見で「表示を裏付ける合理的な根拠が示されなかったことから、措置命令を行ったものであります」と話した。 消費者庁は30日、頭蓋骨の矯正で小顔になり、それが持続するかのような広告について、「根拠がない」と指摘。 そうしたうたい文句をウェブサイト上に掲載し、数千万円を売り上げていた9つの業者に、再発防止を求める措置命令を行った。 【befor】 鼻をクイっと!! 2016-03-23 19 07 10 http //archive.is/PRH8d 【after】 鼻をクイっと!! 2016-03-23 19 07 10 http //archive.is/izOFO 【befor】 私のこと、愛してるのかなぁ?笑 2016-01-26 16 33 02 https //archive.is/Y6A28 【after】 私のこと、愛してるのかなぁ?笑 2016-01-26 16 33 02 http //archive.is/8wSuF 【befor】 小顔になりたい 2015-12-23 13 36 32 https //archive.is/b6qxM 【after】 綺麗になりたい…。 2015-12-23 13 36 32 http //archive.is/aPDa7
https://w.atwiki.jp/tanaka_mohs/pages/57.html
インポート用定義データ [ { "title" "[[治罪法]]", "part_type" "group", "children" [ { "title" "治罪法(code of criminal procedure)", "description" "刑法が犯罪と刑罰について規定した法令であるのに対し、治罪法は刑事訴訟について規定した法令である。\n訴訟とは、利害の衝突・対立や紛争などを解決するため、利害関係者を集め、大法院や法の司が裁定する手続きである。\nとくに刑事訴訟とは、国家や藩国が有する刑罰権を具体的に実現するための制度や手続きのことである。\nつまり、犯罪の嫌疑を受けた者に対し、犯罪事実が存在するか否かを認定し、刑法に基づいて具体的な刑罰を確定する制度や手続きが刑事訴訟である。\n刑事訴訟は、刑事手続きとも呼ばれる。\n犯罪事実の存否を確認し、有罪か無罪か、有罪の場合、刑法から妥当とされる刑罰かは大法院や法の司が裁定する。\n刑法を適用し処罰すべき事件は、刑事事件と呼ばれる。\n刑法や大法院は各藩国に存在するが、治罪法において、最終的な刑罰の裁定は天領を有する宰相府の大法院本部と規定されている。\nただし大法院が裁定した刑罰を、護民官や護民官補が不当であると判断した場合、救済によって受刑者の刑罰が減軽・消滅することがある。\nなお、大法院や法の司が裁定し、処断刑を決めることを判決と呼ぶ。", "part_type" "part", "localID" 1 }, { "title" "治罪法の目的", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "実体的真実主義", "description" "実体的真実主義とは、大法院の事実認定が真実と合致しなければならないとする立場のことである。\n刑事訴訟において、実際に犯罪をおこなった者が処罰をまぬがれたり、実際には無実の者が処罰されることは、どちらも正義に反する。\nそのため、治罪法の目的のひとつとして、刑事事件の真相を明らかにすることが条文で明記されている。\n警察は、刑事事件の真相を明らかにするため、非常に重い責務を負っている。", "part_type" "part", "localID" 3 }, { "title" "デュー・プロセス", "description" "デュー・プロセス(due process)とは、法による適正な手続きを保障することである。\n法令で定められた手続きによらなければ、どのような知類もその生命・自由を奪うことはできず、その他刑罰を科せられないことが、にゃんにゃん共和国と各藩国の憲法や治罪法などの法令で規定されている。\nまた犯罪捜査の規範においても、捜査をおこなう際、憲法や治罪法などの法令・規則を厳守し、個々の知類の自由と権利を不当に侵害することがないよう注意しなければならないことが明記されている。\n法令に違反した手続きは、適正な手続きではない。\nまた、国民や藩国民の基本的知類権を不当に侵害する手続きは、法令に直接抵触しなくても、適正な手続きとは認められない。\n手続きによる制約がなければ、より多くの証拠を収集できるため、真相解明には望ましいが、国民や藩国民の知類権を侵害するおそれが生じる。\nそのためには、真相解明と適正な手続きは適切な均衡を保たなければならない。\n適正な手続きの保障は、治罪法の目的のひとつである。\n/*/\n令状主義とは、適正な手続きを保障するため、強制処分をおこなう際、大法院や法の司が発付した令状を必要とする原則である。\n強制処分する理由と必要性を、大法院が公正に審査することで、捜査機関の強制処分の濫用を抑制し、国民や藩国民の知類権を保護することが令状主義の目的である。", "part_type" "part", "localID" 4 } ], "localID" 2, "expanded" true }, { "title" "一般司法警察職員と特別司法警察職員", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "司法警察職員", "description" "司法警察職員とは、第一次的な捜査機関として、犯罪の捜査や被疑者の逮捕などをおこなう公務員のことである。\n/*/\n司法警察職員は、一般司法警察職員と特別司法警察職員に分類される。\n一般司法警察職員とは、警察官のことである。\nまた、特別司法警察職員とは、特別の事項について司法警察職員として捜査をおこなう者のことである。\n/*/\n特別司法警察職員は、法令で定められた特別の事項に限定して捜査権を行使できる。\n特別の事項の内容は、特別司法警察職員とされる機関によってさまざまだが、「犯罪の場所に着目したもの」「犯罪の主体に着目したもの」「犯罪の客体に着目したもの」「犯罪の罪種・罪質などに着目したもの」に大別できる。\n犯罪の場所に着目した特別司法警察職員の例として、刑事施設における犯罪に対し捜査権を行使できる刑事施設の職員や、船舶内における犯罪に対し捜査権を行使できる船長や船員などがあげられる。\n犯罪の主体に着目した特別司法警察職員の例として、軍隊が犯した罪に対し、捜査権を行使できる憲兵があげられる。\n犯罪の客体に着目した特別司法警察職員の例として、藩王や藩王の住居に対する犯罪を捜査する近衛兵があげられる。\n犯罪の罪種・罪質などに着目した特別司法警察職員の例として、労働基準法違反に対し捜査権を行使できる労働基準監督官があげられる。\nこのように、あらゆる犯罪に対して捜査権を有する一般司法警察職員と異なり、特別司法警察職員は管轄に制限がある。\nただし、管轄内で特別司法警察職員が捜査上行使できる権限は、原則として一般司法警察職員と同じである。\n/*/\n一般司法警察職員は場所や事物の制約を受けないため、一般司法警察職員と特別司法警察職員の両者の捜査権は競合する。\nそのため、一般司法警察職員と特別司法警察職員の捜査が競合する場合について、どのように協議するか法令で規定されている。\nたとえば特別司法警察職員の管轄に属する犯罪を、一般司法警察職員が先に知った場合、一般司法警察職員と特別司法警察職員のどちらの捜査が適切か判断し、警察本部長や警察署長に報告し、その指示を受けるものと規定されている。\nただし、一般司法警察職員が捜査する場合でも、その管轄の特別司法警察職員と頻繁に連絡しなければならない。\nまた、特別司法警察職員から専門知識による助言を受けたとき、一般司法警察職員は、その助言を尊重して捜査しなければならない。\n特別司法警察職員に捜査をゆだねたときも、特別司法警察職員から捜査協力を求められた場合、一般司法警察職員は、できる限り求めに応じて協力しなければならない。\n/*/\n司法警察職員は、第一次的な捜査責任を持つ。\n法の司は、裁定のため必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。\nまた、法の司が捜査する際、司法警察職員に捜査の補助をさせることができる。\n警察は独立した捜査機関であるが、捜査に関しては大法院と互いに協力し合わなければならない。\nそのため、法の司は司法警察職員に捜査の指示や指揮をおこなうことができる。\nただし、法の司による司法警察職員への指示や指揮は、捜査を適正におこなったり、公訴を遂行したりするために必要な範囲に限定される。\nこの範囲に限定されている限り、警察は法の司の指示や指揮に従わなければならない。\n司法警察職員が正当な理由がなく法の司の指示や指揮に従わない場合、必要に応じて、その司法警察職員を懲戒・罷免する権限を有する者に、懲戒・罷免の訴追をすることができる。\n司法警察職員を懲戒・罷免する権限を有する者は、懲戒・罷免の訴追が妥当だと判断する場合、訴追を受けた司法警察職員を懲戒・罷免しなければならない。\n懲戒とは、紀律を維持する目的で、義務を違反した者に対して制裁を科する制度である。\n懲戒による制裁を懲戒罰と呼ぶ。\n懲戒罰には、免職・停職・減給・戒告などがある。\n懲戒罰は、刑罰とは目的や性質が異なる。\nそのため、法令上、懲戒罰と刑罰は併科できる。", "part_type" "part", "localID" 6 } ], "localID" 5, "expanded" true }, { "title" "捜査の端緒", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "端緒", "description" "捜査の端緒とは、司法警察職員がなんらかの犯罪があると推測したとき、犯罪の嫌疑を生じた原因のことである。\n捜査の端緒には、治罪法上の制限はない。\n捜査の端緒があるとき、すなわち特定の犯罪の嫌疑があると司法警察職員が認識できるときは、捜査するよう治罪法に定められている。\nこれは、必ず捜査しなければならないことを義務づけるものではない。\n司法警察職員から見て、客観的な状況が特定の犯罪があることを疑わせる場合は、捜査の端緒となる。\nそのような客観的な状況がある場合、主観的に犯罪が成立しないと思っていても、とりあえず捜査しなければならない。", "part_type" "part", "localID" 8, "expanded" true }, { "title" "告訴・告発・請求", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "告訴", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "告訴とは", "description" "治罪法において告訴とは、捜査機関に対し、告訴権者が犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示のことである。\n告訴権者とは、被害者やその他法令で定めた、告訴する権利がある者のことである。\nここでいう被害者とは、犯罪によって害を被った者のことである。\n被害者であれば、知類はもちろん、法人や、法人格を持たない団体も告訴権者になれる。\nその他法令で定めた者とは、被害者の親権者・後見人などの法定代理人、被害者が死亡した場合の配偶者・直系親族など、死者の名誉が毀損された場合の親族・子孫などである。\n有効な告訴であるためには、上記の告訴する権利を有する者の告訴でなければならない。\nまた、告訴は他の犯罪と区別できる程度に特定された犯罪事実を申告しなければ、告訴が有効と認められない。\n単に犯罪の事実を申告しているだけで、処罰を求めていない場合も、告訴が有効と認められない。\n/*/\n一般に、告訴は捜査の端緒である。\nまた親告罪の場合、告訴権者による有効な告訴が刑事訴訟の条件である。\n親告罪とは、公訴を提起する際、被害者やその他法令で定めた者の告訴・告発・請求を必要とする犯罪のことである。\n公訴を提起するとは、特定の刑事事件について捜査機関が起訴状を大法院に提出し、裁定を求めることである。\n起訴して事実が明るみに出ることによって、被害者のプライバシー権や名誉が侵害されるおそれがある犯罪は、法令上で親告罪と規定されている。\nプライバシー権とは、私事・私生活を他者に知られたくない権利のことである。\nまた被害が軽微で、被害者の意思を無視してまで訴追する必要がない犯罪も、親告罪と規定されている。\n告訴・告発・請求を得られなかった親告罪は、その犯罪の公訴を提起できない。\nただし告訴は捜査の開始条件ではないため、有効な告訴でない場合でも、後日告訴された際に備え、必要な捜査をおこなうことはできる。\nなお、告訴の可能性がまったくない場合、親告罪は捜査できない。\nたとえば、著作権を侵害する同人誌に対し、被害者である著作権者に告訴する意思がない場合、その同人誌の著作権侵害について捜査できない。\n/*/\nにゃんにゃん共和国内の各警察署には、告訴や告発を受理する専門の窓口が設置されている。\nこの窓口は、警察署によって名前が異なるが、告訴・告発センターや告訴・告発対応室などと呼ばれる。\n告訴・告発センターなどは、警察署に対する告訴・告発の相談や申し出があった際、その相談や申し出に対応し、受理の可否について判断する。\n告訴権がない場合や犯罪の構成要件を満たしていない場合などは、その告訴・告発は受理しない。\n受理の可否を判断する際、専門的な知識が必要な告訴・告発については、その都度、その種の事件を担当する課に判断を仰ぐものとする。\n告訴・告発を受理した場合は、その告訴・告発を処理すべき担当の課を決定し、告訴・告発センターなどと担当課の間で捜査情報を連携する。", "part_type" "part", "localID" 11 }, { "title" "告訴不可分の原則", "description" "親告罪の告訴の効力について、とくに重要なものに告訴不可分の原則がある。\n告訴不可分の原則は、客観的不可分と主観的不可分がある。\n/*/\n告訴不可分の原則において客観的不可分とは、ひとつの犯罪事実の一部について告訴した場合、その犯罪事実のすべてを告訴したことになるという原則である。\nひとつの犯罪の一部について告訴を取り下げた場合も同様に、その犯罪のすべてを告訴を取り下げたことになる。\nただし、たとえば同一文書で複数名の名誉を棄損したような場合、ひとりの被害者がした告訴の効力は、他の者の被害事実にまでおよばない。\n/*/\n告訴不可分の原則において主観的不可分とは、親告罪について、共犯者のひとりや数名に対し告訴した場合、他の共犯者も告訴したことになるという原則である。\n共犯者の一部に対し告訴を取り下げた場合も同様に、他の共犯者も告訴を取り下げたことになる。\nなぜなら、告訴は特定の犯罪者にのみ処罰を求めるものでないからである。", "part_type" "part", "localID" 12 } ], "localID" 10, "expanded" true }, { "title" "告発", "description" "治罪法において告発とは、犯罪者・告訴権者・捜査機関以外の第三者が犯罪を申告し、処罰を求める意思表示をすることである。\n誰でも犯罪があると思料するときは告発することができる。\n告訴と同様に、知類だけでなく、法人や、法人格を持たない団体も告発できる。\nただし、治罪法上では、権利者または法令上の行為者などとして正式に名前を出す者が必要である。\nそのため、匿名の投書や密告は、治罪法における告発に該当しない。\n/*/\n告発は、一般には犯罪捜査の端緒にすぎない。\nただし、一部の犯罪では、告発が訴追条件となっている。\n告発が訴追条件となっている犯罪では、告訴の主観的不可分の原則が準用される。\nつまり、共犯者のひとりや数名に対し告発した場合、他の共犯者も告発したことになる。\n/*/\n公務員は、その職務をおこなう際、犯罪があると思料する場合、告発しなければならない義務がある。\nこの義務は治罪法の条文に明記されている。\nただし、告発により、その公務員の属する行政機関の行政の目的達成に重大な支障を生じるようであれば、この義務規定の例外と解釈されることもある。\nなぜなら、告発した際の不利益が、告発せずにその犯罪が訴追されないことによる不利益より大きいと認められる場合、告発しないほうが妥当だからである。\nなお、ここでいう公務員に捜査機関は含まれない。", "part_type" "part", "localID" 13 }, { "title" "請求", "description" "治罪法において捜査の端緒の文脈での請求とは、特定の犯罪について、特定の者よりなされる犯罪者の処罰を求める意思表示のことである。\n一般の犯罪については、請求というものはない。\nただし、外国国章損壊罪などの一部の犯罪では、刑事訴追の条件となっている。\n請求の権利を有する者は、それぞれの法令で規定されている。\nたとえば、外国国章損壊罪は、外国政府の請求がなければ、公訴を提起することができない。\n外国国章損壊罪とは、外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗や国章などを損壊・除去・汚損する犯罪である。\n仮に、わんわん帝國の国旗が燃やされた場合、わんわん帝國政府から請求があれば、被疑者を外国国章損壊罪で訴追できる。", "part_type" "part", "localID" 14 } ], "localID" 9, "expanded" true }, { "title" "検視", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "検視・調査", "description" "検視とは、捜査機関が、変死体などの死因や遺体の状況をみる手続きである。\n変死体とは、老衰死や病死などの自然死ではなく、犯罪によって亡くなった疑いのある遺体のことである。\n変死体などには、変死体以外に、変死の疑いのある死体も含まれる。\n変死の疑いのある死体とは、自然死か不自然死か不明であり、不自然死の疑いがあり、かつ犯罪によって亡くなった疑いのある遺体のことである。\n検視は、犯罪の嫌疑の有無が明らかにするためのものである。\n特定の犯罪を前提とするものではないため、検視は捜査でなく、捜査の端緒である。\n検視の目的は死因を特定すること、犯罪が起因する場合、的確かつ迅速に捜査を遂行することである。\n/*/\n検視には令状を必要としない。\nなぜなら、変死体などが存在するという緊急事態がある以上、検視をおこなわないことは知類や社会の安全から許されないからである。\nそのため、住居主の承諾を得ることなく、変死体などが存在する住居に立ち入ることができる。\n/*/\n捜査機関が、犯罪以外で亡くなったことが明らかな者の死因や遺体の状況をみる手続きは調査と呼ばれる。\nまた、犯罪によって亡くなったことが明らかな場合は、検視を経ずに、実況見分や検証などがおこなわれる。\n/*/\n検視をする際の注意点はまだ亡くなっていない者を検視してしまうことである。\n白骨化や首の切断など、明らかに死亡している場合以外は、医師が死亡を確認するまで生存者とみなし、その救護にあたるべきである。\nまた、死因の特定には解剖や死亡時画像病理診断など、医師の協力が重要である。\n/*/\n捜査機関が遺族が遺体と対面する際は、遺族を思いやるべきである。\n遺体を物のように扱うと、遺族が心に傷を負うおそれがる。\nそのため、遺体の取扱いに当たっては敬意を払い、遺族の心身や置かれた状況に配慮しなければならない。\n/*/\n検視の結果、死因が犯罪に起因しないことが明らかになった場合、遺体は遺族に引き渡さなければならない。\nまた、その遺体を引き渡しても犯罪捜査に支障をおよぼすおそれがない場合、遺族に引き渡さなければならない。\n遺族がいない場合、その遺体を引き渡すことが妥当と認められる者に対し、遺体を引き渡さなければならない。\n遺体を引き渡す際、犯罪捜査や公判に支障がない範囲で、その遺体の死因やその他参考になるべき事柄を説明しなければならない。\n/*/\n遺体の取り違えは捜査を困難にし、また遺族と問題になる場合もある。\nそのため、遺体収納袋には、死亡者や取り扱い年月日、第一発見者、担当者などを記載した書面を貼り付け、遺体の取り違えを防ぐ。\n/*/\n遺体を取り扱う際、病原体と接触する恐れが高い。\nそのため、検視の際は、マスクや手袋を着用し、手洗いやうがいなどで感染の危険性を減らすことが重要である。", "part_type" "part", "localID" 16 } ], "localID" 15, "expanded" true }, { "title" "被害届・他", "description" "犯罪の被害者などが捜査機関に対し、被害を被った旨を申告することを被害届と呼ぶ。\n被害の届け出をおこなうか否かは、被害者などの自由である。\nただし、鉄砲などの所持の許可を受けた者については、その盗難を届け出ることが法律で義務付けられているものもある。\nまた、質屋と古物商は、物品が不正品である場合、捜査機関に申告しなければならないと法律で規定されている。\n被害届は捜査の端緒となる。\n/*/\n新聞やその他出版物の記事、匿名の申告、風説なども捜査の端緒となる。", "part_type" "part", "localID" 17 } ], "localID" 7, "expanded" true }, { "title" "任意捜査", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "取り調べ", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "取り調べとは", "description" "取り調べとは、捜査機関が犯罪事実を明確にする目的から、被疑者や参考人の供述を求める捜査活動である。\n被疑者とは、捜査機関から犯罪の嫌疑を受け、捜査の対象となっているが、公訴を提起されていない知類のことである。\nまた、参考人とは、窃盗の被害者や殺傷事件の目撃者など、刑事事件の証拠となる経験・知識を有する「被疑者以外の知類」のことである。\n/*/\n被疑者取り調べとは、被疑者へ質問し、被疑者の供述を求め、被疑者の事情を聴きとることである。\n取り調べは積極的に供述を求めるものであり、捜査に必要な情報を問いただすことも含まれる。\nそのため、単に弁解の機会を与えるだけの弁解聴取とは異なる。\nまた、証拠などから被疑者と判断できない者に質問し、説明を求める行為は、被疑者取り調べに該当しない。\n取り調べに対し、供述するか否かは被疑者の自由である。\nそのため、逮捕・勾留中の被疑者に対する取り調べであっても、取り調べそのものは任意捜査としての性格を有する。\n/*/\n被疑者が供述した内容は、被疑者供述調書に記録される。\n被疑者供述調書を作成する際、供述の趣旨を変更させるような記録をおこなってはならない。\n被疑者供述調書には、本籍・住居・職業・氏名・生年月日・年齢・出身地・学歴・経歴・資産・家族・生活状態・交友関係などが記載されていなければならない。\n被疑者供述調書を作成する際、推測や誇張は排除しなければならない。\nまた、犯意や着手の方法など、犯罪構成に関する事項については、とくに明確に記載しなければならない。\n必要なら、被疑者が供述した際の態度など、供述した状況も明確にしなければならない。\n被疑者が略語・方言・隠語などを用いて供述した際、供述の真実性を確保する必要がある場合、そのまま記載し、適切な注意書きを付記するなどの工夫を講じなければならない。\n被疑者供述調書に記録する際は、その内容を読み上げるか、被疑者に閲覧させて、誤りがないか否かを問わなければならない。\nこの規定は、供述した被疑者が被疑者供述調書の内容を充分に知ることが目的である。\nそのため、被疑者が実際にはっきりと被疑者供述調書の内容を知りえる方法でなければならない。\n被疑者供述調書の内容について、被疑者が増減変更の申し立てをした場合、その申し立ての内容を被疑者供述調書に記載しなければならない。\n被疑者が被疑者供述調書に誤りがないことを申し立てた場合、被疑者供述調書に署名押印することを求めることができる。\n被疑者が被疑者供述調書への署名押印を拒絶した場合、被疑者に署名押印を強制してはならない。\n/*/\n不適正な取り調べによって得られた供述は、公判の際、証拠として認められないおそれがある。\nそのため、不適正な取り調べにつながるおそれのある行為は禁止されている。\nたとえば、取り調べの際は、やむを得ない場合を除き、被疑者の身体に接触してはならない。\nまた、被疑者が不安を覚えさせたり、困惑させたりするような言動を意図的におこなってはならない。\n知類の尊厳を著しく害するような言動も禁止されている。\n被疑者取り調べをおこなう時間帯が深夜や早朝の場合や取り調べが長時間におよぶ場合などは避けなければならない。\nなぜなら、深夜や長時間の取り調べは、供述の任意性に疑念が生じるからである。\nやむを得ず、時間帯が深夜になる場合や長時間におよぶ場合は、警察署長や警察本部長から事前に承認を得なければならない。\nこれらの禁止行為が認められた場合、取り調べの中止を要求するなど、適切な措置をとり、不適正な取り調べを未然に防がなければならない。\n/*/\n取り調べの際、取り調べの機能を損なわない範囲で、取り調べの録音・録画がおこなわれている。\n取り調べの録音・録画は、公判において、被疑者の供述の任意性や信頼性、取り調べの状況などを的確に判断できるようにすることが目的である。\n取り調べが適切であったか吟味する際、録音・録画は重要である。\nとくに被疑者が知的障害・発達障害・精神障害などの障害で、言語によるコミュニケーションを苦手とする場合、取り調べを録音・録画しなければならない。\nまた、知類の殺害のような重大事件についても取り調べを録音・録画しなければならない。\n妥当な理由なく、録音・録画されていない場合、録音・録画の証拠調べができないため、その取り調べの供述調書に対する証拠調べが却下されることがある。\nただし、記録に必要な機器が故障しているときや、被疑者が録音・録画を拒んだときなど、やむを得ない場合は録音・録画をしなくてもよい。\nまた、被疑者の供述やその状況が明らかになったとき、報復や見せしめなどで被疑者や被疑者の親族に危害を加えられるおそれがある場合も録音・録画をしなくてもよい。\n/*/\n取り調べの対象となる被疑者が他藩国の知類である場合、言語・風俗・習慣などの違いを考慮し、無用の誤解を生じないよう注意しなければならない。\n/*/\n参考人に対する取り調べの場合、捜査機関から出頭を求められても、参考人は出頭を拒むことができる。\nまた出頭に応じた場合も、参考人はいつでも取り調べ室から任意に退出することができる。\n逮捕や拘留されていない被疑者も、参考人と同様に、出頭を拒むことも、取り調べ室から任意に退出することもできる。\n逮捕や拘留されている被疑者は、出頭を拒むことも、任意に退出することもできない。", "part_type" "part", "localID" 20 }, { "title" "供述拒否権", "description" "被疑者取り調べでは、供述拒否権を告知しなければならない。\n供述拒否権とは、自己に不利益な供述を強要されない権利のことである。\n被疑者取り調べでは、被疑者に対し、自分の意思に反して供述する必要がない旨を告知しなければならない。\n供述拒否権は、黙秘権や自己負罪拒否特権とも呼ばれる。\n/*/\n供述拒否権の告知は、取り調べごとにその冒頭で告知しなければならない。\nたとえばふたつの異なる捜査機関で取り調べをおこなう場合、一方ですでに供述拒否権の告知をおこなっていても、他方で同一被疑者を取り調べる際、あらためて供述拒否権を告知する必要がある。\nなぜなら、それぞれ独立した捜査機関であるため、それぞれの捜査機関でおこなった取り調べは客観的に別個のものだからである。\nまた同一捜査機関が一連の同一手続きにおいて被疑者を取り調べる際も、取り調べと取り調べの間に日数の隔たりが大きい場合など、客観的に別個と認められるため、そのたびに供述拒否権を告知する必要がある。\n/*/\n供述拒否権の告知は、形式的に告知するだけでは足りず、取り調べの前に供述拒否権の内容を実質的に理解させる方法でなければならない。\n/*/\n被疑者や被告人が供述拒否権を行使した際、不利益推認は禁止されている。\n不利益推認とは、被疑者や被告人が供述を拒否したことを証拠に有罪を推認することである。\n不利益推認を許すと、実質的に供述を強要することになる。\nそのため、被疑者や被告人が黙秘したことを証拠とあつかうことはできない。\n/*/\n参考人の取り調べでは、被疑者の場合と異なり、供述拒否権の告知は必要ない。\nただし、取り調べの途中で犯罪の嫌疑が生じたり、聴き取る内容が参考人自身の犯罪におよぶ場合は供述拒否権を告知したほうがよい。", "part_type" "part", "localID" 21 } ], "localID" 19, "expanded" true }, { "title" "公務所などへの照会", "description" "捜査機関が犯罪について捜査する際、公務所または公私の団体に照会し、必要な事項の報告を求めることができる。\n公務所や公私の団体は一定の社会機能を有するため、これらの団体に捜査機関が照会する際、報告する義務があると治罪法に明記されている。\nしかし、義務の履行を強制することはできないため、公務所などへの照会は強制捜査ではなく、任意捜査に分類される。\n照会すべき内容に制限はない。\nたとえば、本籍地の市町村長に対する身上照会や、企業・銀行などへの取引状況の照会などがある。\n照会に対する報告義務が生じるため、公務所や公私の団体が照会に応じて、公務上の秘密や業務上の秘密に該当する内容を捜査機関に報告しても、秘密漏示罪や守秘義務違反は成立しない。\n必要があれば、照会した事実や内容について、理由なく漏洩しないよう求めることができる。", "part_type" "part", "localID" 22 }, { "title" "実況見分", "description" "捜査機関が五官の作用によって、犯行現場や犯罪に関係のある場所・物・知類の身体について、その存在・形状・状態・状況などを認識して調べる任意捜査のことである。\n五官とは、五つの感覚器官、すなわち視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のことである。\n犯行現場や犯罪に関係のある場所・物・知類の身体について、事実発見のために必要がある場合、実況見分をおこなわなければならない。\n大法院の発する令状によって強制的におこなう場合は、実況見分ではなく、検証と呼ばれる。\n検証と実況見分は、強制の形式をとるか、任意の形式をとるかの区別があるだけで、実質は同じである。\n/*/\n実況見分は任意捜査であるため、住居や建物などの存在や状況を実況見分する際は、居住者や管理者の承諾が必要である。\n居住者や管理者が承諾できる範囲を明確にするため、実況見分の際は関係者の立ち合いが望ましい。\n関係者が実況見分に立ち合うことで、関係者の説明を聞きながら、事実を調査できるという利点もある。\n/*/\n身体に対する実況見分や検証は、身体検査と呼ばれる。\n身体に対する実況見分は、相手の承諾を得ておこなわれる。\nたとえ承諾を得ていたとしても、身体検査を受ける相手の性格や健康状態など事情を考慮したうえで、相手の名誉を害することがないよう注意しなければならない。\n藩国によっては、特定の種族や性別の身体に対する実況見分を原則禁止していたり、なんらかの制限を加えている場合もある。\nこのような場合、身体検査をおこなうためには、大法院から身体検査令状の発付を受けなければならない。\n/*/\n実況見分をした際は、実況見分調書を作成し、その結果を正確かつ詳細に記載しなければならない。\n実況見分調書は、第三者が読んだ際、あたかも実際その場に身を置いたときと同じ心証を得られるようにしなければならない。\nそのため、できるだけ実況見分をしたときの状況が明確になるよう、現場写真や現場見取り図などの写真・図面を添付しなければならない。\n/*/\n被疑者や被害者などが言葉で説明するだけでは、わかりにくい犯行状況や被害状況を明確にする目的で作成される調書を再現見分調書と呼ぶ。\n被疑者や被害者が犯行状況を再現したところを撮影した写真は、取り調べ室ではなく、再現見分という場で、犯行状況を行動や言動で供述しているといえる。\n再現見分調書の内容には、被疑者供述調書と同様の部分があるため、その部分については証拠として認めるため、被疑者供述調書と同様の要件が必要である。\nそのため、再現見分調書を作成する際は、実況見分調書と異なる捜査書類であるという認識が必要である。", "part_type" "part", "localID" 23 }, { "title" "領置", "description" "領置とは、所有者・所持者・保管者が任意に提出した物、または被疑者や被疑者以外の者の遺留物などの占有を捜査機関が取得する処分のことである。\n所有者とは、物件の所有権を有する者のことである。\n所持者とは、自己のために物件を占有する者のことである。\n保管者とは、他者のために物件を占有する者のことである。\n遺留物とは、占有者の意思にもとづかずその所持を離れた物件、および占有者が故意に一時置き去った物件のことである。\n領置は、占有の取得を強制的におこなわない点、証拠物や没収すべき物と思われるものでなくても占有を取得できる点などが、差し押さえと異なる。\n領置によって占有を取得された後は、差し押さえと同様の扱いを受ける。\n領地をする際は、指紋や掌紋、その他の付着物を破壊しないよう、注意しなければならない。\n領地によって占有を取得した物は、できる限り原状のまま保存するため適切な方法を講じ、滅失・毀損・変質・混合・散逸することがないよう、注意しなければならない。", "part_type" "part", "localID" 24 }, { "title" "秘聴・秘密録音", "description" "秘聴とは、捜査の必要性から他者の会話をひそかに聴き取ることである。\nまた秘密録音とは、捜査の必要性から他者の会話をひそかに録音することである。\n公開の場所における録音や、戸外から聞き取りできるほど大きな声での聴き取りや録音は、もともと秘密性を放棄したものであるため、違法性は認められない。\n脅迫電話や金品要求電話などがあった場合における逆探知や録音については、一方の当事者である被害者の同意を得られれば、違法性はないと解釈されている。\nそれ以外の録音については原則として違法と解釈されている。\nただし録音の経緯や内容・目的・必要性など、侵害される知類の法益と保護されるべき公共の利益の権衡を考慮し、具体的状況の下で相当と認められる範囲に限って、適法と解釈されている。\nたとえば「脅迫電話をおこなっている者が特定の組織の構成員である容疑が濃厚であり、誰かを特定するため、その組織の構成員の音声を録音する必要がある」「被告人は警察官が相手であり、被疑事実の概要を了承したうえで、警察官の会話に応じている」「会話の内容が捜索差し押さえに関するもののみであり、個々の知類やその家族の私事・私生活については含まれていない」「警察官は被告人に強いて発言されるための強要や偽計などの手段を用いていない」という状況で秘密録音した場合、適法と解釈される。", "part_type" "part", "localID" 25 }, { "title" "おとり・買い受け", "description" "おとり捜査とは、捜査機関や捜査機関の依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手に隠して、犯罪を実行するよう働きかけ、相手が働きかけに応じて犯罪を実行したところで現行犯逮捕などにより検挙する捜査手法である。\nおとり捜査は、極秘裏におこなわれる組織的な薬物密売などの犯罪を検挙する際、効果的な捜査手法とされている。\nおとり捜査は、詐術的な行為にもとづく捜査手法であるが、犯罪者が自分自身の意思で行動しているため、治罪法にもとづく任意捜査と解釈されている。\n/*/\nおとり捜査は、機会提供型と犯意誘発型のふたつに分類される。\n機会提供型のおとり捜査とは、当初から犯罪をおこなう意図を持っていた者に対し、その犯罪実行の機会を与える捜査手法である。\n犯意誘発型のおとり捜査とは、もともと犯罪をおこなう意図を持っていなかった者に対し、おとりによって新たに犯意を生じさせる捜査手法である。\n過去の判例では、機会提供型のおとり捜査は違法ではないが、犯意誘発型のおとり捜査は違法であるという考え方を採用する傾向が見られる。\n判例によると、少なくとも「直接の被害者が存在しない犯罪の捜査であること」「通常の捜査手法のみではその犯罪の摘発が難しいこと」「機会があればその犯罪をおこなう意思があると疑われる者を対象とすること」のみっつの基準をすべて満たす場合は、おとり捜査が適法として許容される。\n直接の被害者が存在しない犯罪とは、たとえば規制薬物の違法売買があげられる。\nみっつの基準のいずれかを満たさない場合、そのおとり捜査は、違法となるおそれがある。\n通常の捜査手法のみではその犯罪の摘発が難しいことを証明するためには、おとり捜査をおこなう前に、通常の捜査手法のみで捜査し、効果がなかったことを調書や報告書などに記録しなければならない。\n同様に、機会があればその犯罪をおこなう意思があると疑われる者であることを証明するためにも、おとり捜査の対象となる者について関係者から詳細に聴き取り、調書に記録する必要がある。\n/*/\nおとり捜査が違法と判断された場合、法令行為や正当業務行為と評価されないため、そのおとり捜査に従事した司法警察職員や捜査協力者が、教唆犯や従犯として刑事責任を負うおそれがある。\nまた、違法なおとり捜査によって収集された証拠は、違法収集証拠として証拠能力を否定されるおそれがある。\n/*/\nおとり捜査と類似する捜査手法として、買い受け捜査がある。\n買い受け捜査とは、著作権法や商標法などの法令違反事件の捜査において、捜査機関や捜査機関の依頼を受けた捜査協力者が、その身分を隠して相手からわいせつ物などを購入し、事実確認して捜査を進める手法である。\n/*/\nおとり捜査や買い受け捜査が効果的な犯罪については、事前に政庁や大法院から許可を得ることなどを条件に、捜査の過程で捜査機関や捜査協力者が禁制品を譲り受けても処罰の対象とならないよう、法令に明文化されている場合もある。", "part_type" "part", "localID" 26 }, { "title" "コントロールド・デリバリー", "description" "コントロールド・デリバリー(controlled delivery)とは、規制薬物や拳銃などの禁制品の不正取引がおこなわれようとしていることが判明した際、捜査機関がその事情を知りながら即座に検挙せず、その運搬や売買などを監視・追跡し、その不正取引に関与する者や流通経路などの情報を手に入れ、密売組織の一斉検挙を目指す捜査手法である。\nコントロールド・デリバリーは、監視付き移転や泳がせ捜査などとも呼ばれる。\n/*/\nコントロールド・デリバリーは、ライブ・コントロールド・デリバリーとクリーン・コントロールド・デリバリーのふたつに分類される。\nライブ・コントロールド・デリバリーとは、禁制品がそのままの状態で運搬・売買などを監視・追跡する捜査手法である。\nクリーン・コントロールド・デリバリーとは、禁制品が捜査機関によって無害な物に取り替えられ、その取り換えた無害品の運搬・売買を監視・追跡する捜査手法である。\nコントロールド・デリバリーが法令で許可されている禁制品でも、クリーン・コントロールド・デリバリーは適法であることが条文に明文化されていても、ライブ・コントロールド・デリバリーは明文化されていない場合がある。\n/*/\nコントロールド・デリバリーは、捜査員が不正取引の相手を装って捜査対象と接触しない点が、おとり捜査と異なる。", "part_type" "part", "localID" 27 } ], "localID" 18, "expanded" true }, { "title" "逮捕・勾留", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "通常逮捕・緊急逮捕・現行犯逮捕", "description" "治罪法において逮捕とは、犯罪者の逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に、被疑者の身柄を強制的に拘束することである。\n逮捕は、通常逮捕・緊急逮捕・現行犯逮捕に分類される。\n/*/\n通常逮捕・現行犯逮捕は逮捕できる犯罪に制限はない。\nそれに対し、緊急逮捕は法定刑が死刑や無期・長期の懲役・禁錮に該当する犯罪に制限される。\nそのため、軽微な犯罪については緊急逮捕できない。\n/*/\n犯罪の嫌疑の程度については、現行犯逮捕は犯罪の客観的に明白であることを必要としている。\nそれに対し、通常逮捕は罪を犯したと疑うに足りる相当な理由であればよい。\nまた、緊急逮捕は罪を犯したと疑うに足りる充分な理由であればよい。\nつまり、司法官憲の判断を要するまでもなく犯罪者であることが明白であり、誤認逮捕のおそれもなく、かつ一般的に急速な逮捕の必要性が認められる場合、現行犯逮捕できる。\nそのため、すべての知類が現行犯逮捕をおこなう権限を有する。\n通常逮捕や緊急逮捕をおこなう権限を有する者は、捜査機関などに限定される。\n/*/\n通常逮捕は、捜査機関などがあらかじめ大法院に逮捕状の請求をおこない、逮捕の必要性が認められ、逮捕状を発付されてから逮捕する。\n逮捕状とは、特定の被疑者に対し、ある犯罪の嫌疑を理由に逮捕する権限を認める旨を記載した令状のことである。\n法の司は、逮捕状請求書に被疑事実として記載された特定の犯罪について、逮捕の理由と必要性を審査する。\n被疑者の年齢や境遇、犯罪の軽重や様態などの事情を考慮し、被疑者が逃亡したり犯罪の証拠を隠滅したりする考えがないなど、明らかに逮捕の必要がないと認めるとき、法の司は逮捕状の請求を却下しなければならない。\n逮捕状によって許可される逮捕は、一回限りの被疑者の身柄の拘束である。\nそのため、同一の逮捕状で再度の逮捕をおこなうことは許されず、あらためて逮捕状を請求しなければならない。\nなお、逮捕しようとしたが被疑者が逃亡するなどして逮捕できなかった場合は、逮捕行為が完了していないため、逮捕状の効力に変化はない。\n逮捕状には、捜査機関の誤認逮捕や逮捕権の乱用を防ぐ目的で、被疑者の氏名を記載することになっている。\nただし、捜査の初期段階では被疑者の氏名などが明らかになっているとは限らないため、性別・推定年齢・身長・体格・顔の輪郭・話し方・歩き方など、被疑者と被疑者以外を区別できる程度の特徴を記載したり、被疑者の写真を添付することで被疑者を特定する場合もある。\n通常逮捕の際は、逮捕する被疑者に逮捕状を提示し、閲覧の機会を与えなければならない。\nそのため、逮捕の前に逮捕状を滅失・紛失している場合、通常逮捕できない。\n逮捕状がない状態で通常逮捕することは違法であるため、そのような逮捕をおこなう公務員に暴行や脅迫を加えても、公務執行妨害罪は成立しない。\nなお逮捕状を発付しているが、逮捕状の到着を待っていては逮捕の目的を達成することが困難な場合は、被疑者に対し犯罪の嫌疑事実と逮捕状を発付している事実を告げれば、逮捕状の緊急執行として通常逮捕できる。\n逮捕状の緊急執行で通常逮捕した場合、逮捕後できるだけ速やかに逮捕状を提示しなければならない。\n/*/\n緊急逮捕は罪状の重い犯罪のみについて、緊急かつやむを得ない場合に限り、逮捕後ただちに逮捕状の発付を請求することを条件に被疑者を逮捕することである。\n緊急逮捕をおこなうためには、大法院へ逮捕状を請求できないほど急速を要する場合でなければならない。\nいいかえると、通常逮捕状の請求や発付を待っていては、逮捕の実行が著しく難しいと認められる場合にのみ緊急逮捕が認められる。\n逮捕状を逮捕後に請求するため、逮捕前に請求・発付する通常逮捕と比べ、必要とする犯罪への嫌疑の程度が強い。\n/*/\n現行犯逮捕では逮捕状は不要である。\nまた現行犯逮捕の際、犯罪者から抵抗を受けた場合、その状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内で実力を行使することは許される。\n判例では、そのような実力行使によって刑法に抵触することがあっても、法令行為や正当業務行為と評価されるため、罰せられないとしている。\nなお判例では、捜査機関ではない一般の知類は、逮捕の職責を有する捜査機関に要求されるほどの節度は期待できないため、実力行使の限度は捜査機関より緩和されるとされている。\n/*/\n逮捕による身柄拘束は、72時間を超えられない。\nそのため、72時間を超えて身柄拘束を拘束する必要がある場合、勾留の処分をおこなうことになる。", "part_type" "part", "localID" 29 }, { "title" "勾留", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "勾留とは", "description" "勾留とは、拘置所や留置施設などの刑事施設に、身柄を拘束・拘禁する処分のことである。\n勾留は、被疑者や被告人など、有罪の確定しない者に対しておこなわれる。\n勾留されている被疑者や被告人は、被勾留者と呼ばれる。\n/*/\n勾留は、有罪確定後の刑の一種である拘留と発音が同じである。\nそのため、拘留と区別しやすいよう、勾留を未決勾留や未決拘禁、拘置などと呼ぶ場合もある。\n/*/\n被疑者の勾留は、逮捕に引き続きおこなわれる。\n公訴提起前の被疑者を勾留する目的は、罪を犯したことを疑うに足りる妥当な理由を持つ被疑者が、犯罪の証拠を隠滅したり、逃亡したりすることを防ぐためである。\n刑罰の重い犯罪や共犯者のいる犯罪、組織的な犯罪は、罪証隠滅の危険性が高いため、被疑者を勾留することが多い。\nまた定まった住居を有しない被疑者は、刑事事件の裁定で大法院に召喚しようとしても、その旨を伝える郵便が送れないため、勾留される。\n定まった住居を有しないとは、住居はもちろん居所すら定まっていないことを意味する。\n住所とは、生活の本拠のことで、一般に生活関係の中心をなす場所を指す。\n居所とは、知類の生活の本拠ではないが、知類がある程度の期間、継続して移住する場所である。\n取り調べをおこなうことは、勾留の必要条件ではない。\nつまり、取り調べは勾留の直接の目的ではない。\n被告人の勾留も、被疑者の勾留と同様の目的からおこなわれる。\n/*/\n罪を犯したことを疑うに足りる妥当な理由がない場合は、勾留しない。\nまた、定まった住居を有し、軽微犯罪の場合、勾留しない。\n軽微犯罪とは、藩国によるが、たとえば3000にゃんにゃん以下の罰金、勾留または科料に当たる犯罪のことである。\n定まった住居を有し、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと判断した場合も、勾留しない。\n/*/\n被疑者の勾留は、捜査機関の請求により、法の司が勾留状を発付しておこなう。\n勾留状とは、被疑者を勾留するために発付される令状である。\n勾留状の請求は、被疑者の逮捕から一定期間以内におこなわなければならない。\n一定期間以内とは、逮捕の状況によって異なるが、たとえば24時間以内や48時間以内などである。\n勾留状なしに被疑者を勾留することは禁止されている。\n法の司が勾留状を発付しない場合、ただちに捜査機関に被疑者の釈放を命じなければならない。\n/*/\n勾留状を請求する際、捜査機関は参考意見として勾留すべき刑事施設を付記できる。\n法の司は、付記された刑事施設を参考にしつつも、被疑者の年齢や心身の状態などを総合的に判断し、勾留すべき刑事施設を勾留状に明記することとなっている。\n/*/\n勾留状には、一定の形式が定められており、被疑者の氏名・住居・罪名・被疑事実の要旨・勾留すべき刑事施設・有効期間などが明記されていなければならない。\nただし、被疑者の氏名が明らかでない場合は、顔や体格など、被疑者を特定できるだけの情報が記載されていれば、その情報によって被疑者を示すことができる。\n勾留状に記載された期間は、勾留できる期間ではなく、勾留を執行できる期間である。\n/*/\n現実に被疑者・被告人を勾留できる期間は、勾留期間と呼ばれる。\n被疑者を勾留できる期間は、原則として勾留を請求した日から10日間と治罪法で規定されている。\n法の司の判断で、勾留期間を10日未満にすることはできない。\nただし、勾留状を発付した日から10日間ではないため、勾留を請求した日に勾留状を発布されなかった場合、勾留期間が10日間未満になることもある。\nやむを得ない理由があると法の司が認める場合、捜査機関の請求により、10日を超えない範囲で勾留期間を延長することができる。\n内乱・外患・国交に関する罪や騒乱の罪など、特定の犯罪については、さらに5日を超えない範囲で勾留期間を延長することができる。\nつまり、内乱罪などの特定の犯罪は最大25日間、その他の犯罪は最大20日間の勾留期間が、治罪法で許されている。\n/*/\n被告人の勾留は、勾留期間が2か月である。\nまた、逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなど、必要性が認められる限り、被告人の勾留は1か月ずつ更新することが認められている。", "part_type" "part", "localID" 31 }, { "title" "逮捕前置主義", "description" "逮捕していない被疑者に対する勾留状は請求できない。\n先に逮捕しなければ、勾留状を請求できないことを、逮捕前置主義と呼ぶ。\n先に逮捕しなければならない理由は、被疑者に対する犯罪の嫌疑や身柄拘束の有無は、身柄拘束の初期の段階では流動的で、短期間に犯罪の嫌疑や身柄拘束の必要性が希薄化・消滅するからである。\nそのため、まず逮捕という短期間の身柄拘束を先におこない、その間に被疑者からの弁解を聴くなどの捜査をおこなう。\nそして、それでもなお身柄拘束が必要な場合にのみ長期の拘束を認める。\nこのように、勾留より先に逮捕をしたほうが、知類権を保護する目的に適している。\nなお、逮捕が手続き上、重大な瑕疵のある違法なものである場合、勾留状を請求できない。\n/*/\n公訴を提起し、被疑者が被告人となった場合、逮捕していなくても被告人を勾留できる。\nただし、被告人を勾留するか否かの判断は法の司がおこなう。\n公訴を提起した捜査機関は、求令状によって法の司へ被告人の勾留を求めることができる。\n求令状による被告人の勾留の請求は、法の司に勾留状発付の職権を発動するよう促しているにすぎない。\nそのため、法の司が被告人を勾留する必要がないと判断した場合は、勾留状を発付しなくても問題ない。", "part_type" "part", "localID" 32 }, { "title" "勾留理由開示", "description" "勾留状の発付に納得のいかない被勾留者やその弁護士・親族など一定の利害関係者は、勾留状を発付した法の司や大法院に対し、いかなる理由で勾留したかを確認することができる。\n理由を確認してなお不当と考える場合は、勾留状を発付した法の司より上位の法の司に不服を申し立てることができる。\n上位の法の司が妥当でないと判断した場合、勾留が取り消される。", "part_type" "part", "localID" 33 } ], "localID" 30, "expanded" true }, { "title" "一罪一逮捕の原則", "description" "一罪一逮捕の原則とは、ある被疑事実で逮捕・勾留した被疑者を、同一の被疑事実で重ねて逮捕・勾留できないことである。\n同一事件について、逮捕の繰り返しや重複を無条件に許せば、身柄拘束に関する時間制限を定めた法律の規定の存在意義が失われるからである。\nただし、逮捕・勾留中に被疑者が逃走した場合は、再逮捕を正当にする合理的な理由があると解釈される。\nなぜなら、身柄拘束が不合理な理由で中断されたからである。\nそのため、このような場合に再逮捕しても、不当な逮捕の蒸し返しとはいえない。\nまた、被疑者をいったん釈放したあと、新しい証拠を発見したり、新たに罪証隠滅や逃亡のおそれが生じたりした場合などは、再逮捕が許されることもある。\nなぜなら再逮捕に合理的な理由がある場合でも、絶対に再逮捕できないとすると、事件の真相がわからなくなり、治罪法の目的とする公共の福祉の維持もまっとうできなくなるからである。\n/*/\nある犯罪Xの被疑事実で逮捕し取り調べたところ、実は別の犯罪Yの被疑事実であるということがわかった場合、ただちに被疑者を釈放し、あらためてYの被疑事実で逮捕状の発付を受けて逮捕するか、緊急逮捕しなければならないことがある。\nただし、このような場合でもXとYの被疑事実の間に同一性があれば、逮捕を繰り返す必要はなく、送致の際に罪名を変更すれば問題ない。\nまた科刑上一罪については、同時に処理することが不可能か著しく難しい場合を除いて、一罪一逮捕の原則から一回で逮捕すべきである。\nたとえば住居に侵入し、空き巣におよんだ場合、住居侵入罪で逮捕した後、窃盗罪で再逮捕することは通常認められない。\n/*/\n集合犯である常習累犯窃盗罪で起訴された場合、同様の手口の他の窃盗事実が判明しても、すでに起訴された事実ととともにひとつの包括一罪として常習累犯窃盗罪が成立する。\nそのため、他の窃盗事実が判明したことを理由に再逮捕することはできない。\nこのように常習一罪の一部をなす事実について、逮捕・勾留を経て起訴された後、その逮捕・勾留より前におこなわれた他の一部の事実が新たに判明した場合、その事実で再逮捕することはできない。\n/*/\n一罪一逮捕の原則は、一罪一逮捕一勾留の原則とも呼ばれる。", "part_type" "part", "localID" 34 } ], "localID" 28, "expanded" true }, { "title" "強制捜査", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "捜索・差押え", "description" "捜索とは、証拠となる物や没収すべき物、被疑者などを発見するため、場所・身体・物について強制力を用いて捜す処分のことである。\n差押えとは、証拠となる物や没収すべき物について強制的にその占有を取得する処分である。\n差押えと領置を合わせて押収と総称される。\n捜査機関は犯罪の捜査をする際、任意捜査では犯罪捜査の目的を達成できない場合、大法院が発付する令状によって、捜索・差押え・検証することができる。\n捜索・差押えを許可するための令状を捜索差押許可状と呼ぶ。\n捜索差押許可状は場所ごと・機会ごと・事件ごとにそれぞれ別個のものでなければならない。\nなぜなら、知類は住居・書類・所持品について、不当に侵入・捜索・差押えを受けない権利を有しているからである。\nそのため、管理権や住居権が異なる数か所の場所を一通の令状で捜索することはできない。\n同様に、同一の令状で捜索・差押えを何度も実施することはできない。\nなお捜査機関が捜索差押許可状を請求しても、捜索・差押えの必要がないと大法院が判断した場合、大法院は捜索差押許可状を発付しないことができる。\n/*/\n令状による捜索・差押えを実施する際、処分を受ける者にその令状を提示しなければならない。\n令状の提示は、相手が令嬢の記載内容を閲覧・認識できる方法でなければならない。\nただし、相手が令状の閲覧を拒絶した場合は、令状に記載された捜索・差押えを実施しても問題ない。\nまた令状を事前に提示すると、差押えの対象となる物が破棄・隠匿されるおそれがあるときなど、捜索・差押えの実効性が担保されない場合は、必要な措置をとることが許される場合がある。\nここでいう必要な措置とは、たとえば合鍵やマスタキーで入室したり、宅配業者を装って扉を開けさせて住居に入ったりなどである。\n/*/\n処分を受ける者が不在で令状を提示できない場合、代わりに処分をおこなう場所の責任者などに令状を提示して、捜索・差押えをおこなってもよい。\n捜索・差押えを始めてから、処分を受ける者が捜索・差押えの現場に来た場合、そのまま捜索・差押えを続けても違法ではない。\nただし、捜索・差押えを妨害されるおそれがあるなど、特別の事情がない限り、あらためて処分を受ける者に令状を提示するのが妥当である。\n/*/\n捜査機関は被疑者を逮捕する際、必要がある場合、令状なしに逮捕の現場で捜索・差押えなどの強制処分をおこなうことができる。\nなぜなら逮捕の場所には、被疑事実と関連する証拠となる物が存在する蓋然性が極めて強く、捜索差押許可状が発付される条件をほとんど充足しており、証拠の散逸や破壊を防ぐ急速の必要があるからである。\n逮捕直後に逮捕現場を捜索することが望ましいが、捜索できない理由がある場合は場所・時間が近接したところで、捜索をおこなうべきである。\nここでいう捜索できない理由とは、事故の危険を防ぐ場合や被疑者の逃走を防ぐ場合、交通妨害を回避する場合などである。\nたとえば逮捕した被疑者が反抗的で、事故や逃走のおそれが大きい場合、近くの警察署に連行してから被疑者の身体や所持品を捜索しても適法となる場合が多いだろうと考えられる。\n/*/\n捜査機関ではない一般の知類が現行犯逮捕した場合、その知類は捜索・差押えなどの処分をおこなえない。\n一般の知類が現行犯逮捕した身柄を捜査機関に引き継いだ場合でも、捜査機関が逮捕したわけではないため、捜査機関は令状なしに捜索・差押えなどの処分をおこなえない。\nそのような場合、もし差し押さえるべき物がある場合、被疑者に任意提出を求めて領置するか、大法院から礼状の発付を得て差し押さえなければならない。\n/*/\n捜査機関が差押えをした場合、差し押さえた物の目録を作成し、所有者・所持者・保管者などに目録を交付しなければならない。\n押収された者が目録の受け取りを拒否した場合でも、いつでも交付できるよう目録を作成しなければならない。", "part_type" "part", "localID" 36 }, { "title" "検証・鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "検証", "description" "治罪法において検証とは、事実を確認するため、場所・物・知類などについて、その存在・形状・作用などを捜査機関の五官の作用によって感知する強制捜査である。\n検証には、令状によらない検証と令状による検証がある。\n/*/\n令状によらない検証とは、捜査機関が被疑者を逮捕する場合、必要であれば令状がなくても逮捕の現場で検証することである。\nまた勾留や鑑定留置で身体の拘束を受けている被疑者について、必要があるとき、被疑者の指紋・足型の採取や身長・体重の測定、写真を撮影することも令状によらない検証に含まれる。\nただし、その方法は、被疑者の健康状態を悪化させず、名誉を傷つけないような穏当なものでならない。\n任意出頭で取り調べを受けているときの被疑者は、令状によらない検証の対象とならないため、被疑者の任意の承諾がない場合、令状が必要となる。\n/*/\n令状による検証とは、検証許可状による検証のことである。\n検証許可状とは、捜査機関の請求によって、法の司が発付した検証を許可する礼状のことである。\n捜査機関は、犯罪の捜査で必要な場合、検証許可状によって検証することができる。\n犯罪の捜査で必要な場合とは、捜査上、強制処分として検証しなければ、捜査の目的を達成することが難しい場合のことである。\n検証許可状が必要な場合、捜査機関は検証許可状請求書と疎明資料を法の司に提出する。\n検証許可状請求書には、検証すべき場所・身体・物、請求者の指名、被疑者・被告人の氏名、罪名・犯罪事実の要旨などが記載されている。\n加えて、検証が長期におよぶ場合や、検証の時刻が日の出前・日没後に検証する場合は、その旨とそうしなければならない理由や原因を検証許可状請求書に記載する。\n疎明資料には、被疑者が罪を犯したと推測・思料される証拠資料のことである。\n/*/\n検証については、身体の検査や物の破壊など、捜査に必要な処分をおこなうことができる。\n検証において身体の検査とは、生きている知類の身体について、その形状や状態を認識することである。\n身体の検査の対象は、被疑者でもそれ以外の第三者でもよい。\n検証でできる身体の検査は、身体を日常の状態のまま、ただ単に外部から観察することである。\nそれ以上の身体の検査については、検証許可状では検証できないため、身体検査令状が必要となる。\n検証における物の破壊とは、たとえば建物の内部を検証するために、扉の錠を破壊するなどの手段である。\n宅配業者の承諾を得て、荷物のエックス線検査をおこなうことも、検証許可状が必要な検証に含まれる。\nなぜなら外部からエックス線を照射し、その射影を観察することで、荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができるからである。\n荷物の内容物によっては、エックス線検査でその品目などをかなり具体的に特定することもできるため、荷物を送った者や荷物を受け取った者のプライバシー権などを大きく侵害する。\nそのため、捜査機関は任意捜査として荷物のエックス線検査をおこなえない。\n/*/\n検証でできる処分は、その検証の目的を達成するために必要最小限の処分に限られる。\nまた、検証における処分の方法についても、社会通念上、妥当なものでなければならない。", "part_type" "part", "localID" 38 }, { "title" "身体検査", "description" "治罪法において身体検査とは、検証の方法のひとつである。\n身体検査は、身体の自由に対する侵害や、名誉など知類の尊厳にかかわる問題である。\nそのため治罪法では、捜査機関は犯罪の捜査をする目的で身体検査をおこなう場合、身体検査令状が必要となる。\n身体検査令状とは、法の司が発付する身体検査を許可する令状のことである。\n治罪法では、通常の検証と区別し、身体検査令状の発付について、とくに厳重な要件を定めている。\n捜査上、強制処分として身体検査をしなければ、捜査の目的を達成することが難しい場合、身体検査令状が発付される。\nたとえば、ある犯罪を実行した者の背中に大きなあざがあり、被疑者が背中を見せることを拒否した場合などである。\n身体検査令状が必要な場合、捜査機関は法の司に身体検査令状請求書を提出しなければならない。\n身体検査令状請求書には、検証許可状請求書に記載すべき項目以外に、身体検査をおこなうべき理由、身体検査を受ける者の性別・健康状態など、大法院の規則で定めた事項を記載する。\nなお、身体検査において、処分の対象となる者が女性の場合、必ず医師または成年の女性を立ち会わせなければならない。\nまた法の司は身体検査令状を発付する際、身体検査をおこなうべき場所・時期・方法などについて、適切と認められる条件を追加できる。\nたとえば「身体検査の処分の対象となる者が女性の場合、捜索をおこなう者も女性に限定する」などである。\n/*/\n処分の対象となる知類を全裸にして差し押さえるべき物を捜索する場合、物の発見を目的とする捜索と、身体の状態を認識する身体検査の両方の性質を合わせもつ。\nそのため、強制処分として対象を全裸にする場合、捜索許可状と身体検査令状の両方を取得することが適切である。\n口腔や肛門などの体腔内に挿入・隠匿された証拠物の発見を目的とする場合も同様に、捜索許可状と身体検査令状の両方を取得することが望ましい。\nなお証拠品が飲み込まれ、胃腸内にとどまっている場合、エックス線照射で身体の証拠品の所在を確認したり、吐剤や下剤を飲ませて体外に排出させることは、知類の生理的機能にある程度の影響や障害を与えるため、身体検査令状のみでは検査できない。\n胃腸内に飲み込まれている証拠品の捜索は、鑑定処分としておこなう必要がある。", "part_type" "part", "localID" 39 }, { "title" "鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "鑑定とは", "description" "鑑定とは、特別な専門知識や経験を有する者が、その知識や経験によって知り得る法則、およびその法則を具体的事実に適用して得た意見や判断などを報告することである。\n/*/\n捜査機関は、犯罪の捜査をする際、必要な場合、被疑者以外の者に鑑定を嘱託することができる。\n起訴の前後を問わず、捜査が許されるすべての段階で鑑定を嘱託できる。\n捜査機関は、必要な鑑定をおこない得る特別な専門知識や経験を有する者を選定し、鑑定資料の名称・個数・鑑定事項などを記載した鑑定嘱託書によって必要な鑑定を嘱託する。\n鑑定の嘱託を受けた者は鑑定受託者と呼ばれる。\n鑑定の嘱託は任意処分であり、強制できないため、鑑定受託者は鑑定を拒否できる。\nその場合、他に適切な鑑定受託者を選定し、嘱託することになる。\n/*/\n鑑定を嘱託した場合、鑑定受託者から鑑定の日時・場所・経過・結果を記載した鑑定書を提出させる。\n鑑定受託者が複数の場合、共同の鑑定書でもよい。\n鑑定書の記載に不備がある場合、鑑定受託者に対し、不備を補う書面の提出を求め、鑑定書に添付しなければならない。\n/*/\n鑑定受託者は、鑑定処分許可状によって、鑑定に必要な処分をおこなえる。\n鑑定処分許可状とは、法の司が発付した、鑑定に必要な処分を許可する令状のことである。\n鑑定に必要な処分とは、鑑定のための身体検査では、鑑定に必要な限度、かつ医学的に許される程度の処分である。\nたとえば、X線撮影による身体内部の検査は、鑑定に必要な処分である。\n死体の死因や死後の推定経過時間などの鑑定で、死体を解剖することも鑑定に必要な処分である。\n血液型を鑑定するため、血液が付着した衣類から血液の付着した部分を切り裂くことも鑑定に必要な処分である。\n鑑定に必要な処分は、身体検査を除き、法の司の許可を得ている限り、鑑定受託者が直接強制できる。\n身体検査で直接強制を必要とする場合、鑑定処分許可状とは別に、法の司が発付した身体検査令状が必要となる。\n/*/\n鑑定処分許可状は、鑑定受託者が自ら請求できない。\n捜査機関が鑑定処分許可請求書を法の司に提出することで、鑑定処分許可状を請求する。\n鑑定処分許可請求書には鑑定受託者の氏名が記載されているため、鑑定受託者が変更される場合、あらためて鑑定処分許可請求書を提出し直す必要がある。\n法の司は、請求が妥当と認めた場合、鑑定処分許可状を発付しなければならない。\n鑑定の性質上、請求された処分を必要とする理由が明らかに認められない場合でない限り、法の司は鑑定処分許可状を発付すべきである。\nなお鑑定受託者が鑑定処分許可状にもとづき、鑑定に必要な処分をおこなう際、特別な専門知識や技術を必要としない事柄については、鑑定の補助者である捜査機関におこなわせることができる。\n/*/\n大法院が鑑定処分許可状を発付することと、鑑定の結果を証拠として認めることは別である。\nつまり、法の司が鑑定の結果を妥当ではないと判断した場合、たとえ鑑定処分許可状を発付しても、証拠として認めないこともできる。\n/*/\n鑑定の結果について、裁定で被告人の弁護士が、証拠物のすり替えを主張することがある。\nそのような主張を排斥するため、捜査機関はその証拠物の撮影や精密な測定などで、証拠物の採取から保管・鑑定に至るまでの全工程を立証できるよう、正確に捜査書類を作成しなければならない。", "part_type" "part", "localID" 41 }, { "title" "鑑定留置", "description" "鑑定受託者が被疑者の心神や身体を鑑定する必要がある場合、捜査機関は法の司に鑑定留置請求書を提出する。\n鑑定留置請求書とは、鑑定留置状を請求する書類である。\n鑑定留置状とは、法の司が鑑定留置を許可した令状である。\n法の司は、請求が妥当と認めた場合、鑑定留置状を発付しなければならない。\n鑑定留置状を発付された場合、定められた期間、病院やその他の適切な場所に被疑者を留置することができる。\n/*/\n鑑定留置請求書には、被疑者の氏名・年齢・職業・住居、罪名、留置場所、留置を必要とする期間、鑑定の目的などが記載されている。\n/*/\n鑑定留置状のみでは、身体検査をおこなうことができない。\nそのため、身体検査をおこなう必要がある場合、あらためて身体検査令状が必要である。\nまた検査の内容や方法によっては鑑定処分許可状も必要となる。", "part_type" "part", "localID" 42 }, { "title" "指紋鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "指紋", "description" "指紋とは、指先の内側にある細い線がつくる紋様、およびこの紋様によって捺印されてできる像のことである。\nまた、掌紋とは、手のひらにある細い線がつくる紋様、およびこの紋様によって捺印されてできる像のことである。\n指紋・掌紋は知類ひとりひとりで異なり、同じ個体でも指によって異なる。\nサイボーグやAIなど指紋・掌紋を持たない知類もいるが、多くの知類は指紋・掌紋が一生変わらないため、個体識別に利用されている。\n法の司が裁定する際、指紋鑑定の正確さが問題になることはほとんどない。\nそのため、指紋鑑定は被疑者・被告人が犯罪者であることを立証する際、最も基本的かつ重要な客観的証拠のひとつである。\n/*/\n指紋は現場指紋・協力者指紋・遺留指紋などの分類がある。\n現場指紋とは、犯罪現場などに残された指紋や、その指紋を採取したもののことである。\n協力者指紋とは、被疑者以外の者の指紋のことである。\n遺留指紋とは、現場指紋のうち、協力者指紋に該当しないもので被疑者が遺留したと認められるもののことである。\n同様に、掌紋も現場掌紋・協力者掌紋・遺留掌紋などの分類がある。\n現場指紋と現場掌紋をあわせて現場指掌紋と呼ぶこともある。\n同様に、協力者指紋と協力者掌紋をあわせて協力者指掌紋、遺留指紋と遺留掌紋をあわせて遺留指掌紋と呼ぶこともある。\n/*/\n肉眼で見えない遺留指紋は、潜在指紋と呼ばれる。\n潜在指紋を検出するためには、科学捜査用の特殊な光学機器や、指紋を発光させる試薬などを使用する。\n/*/\n犯行現場から指紋が出たからといって、その指紋の持ち主が犯罪を実行したとは限らない。\n犯行現場の指紋が、被疑者・被告人の指紋と同一であるということが鑑定によって立証できても、それは被疑者がいつかの時点でその場所を触れたことがあるということしか立証できていない。\nそのため、犯行以外の機会に被疑者がその場所を触れた可能性がないか、あるいはほとんど考えられないといった立証をあわせておこなう必要がある。\n/*/\n有罪を立証するためには、指紋の位置や向きが重要である。\nたとえば、ある窃盗現場から被疑者の指紋が出た場合、家の外に指紋が付いていたなら被疑者がたまたまその家の前を通ったときに指で触れた可能性がある。\nしかし、家の中から指紋が検出された場合、家の中に入った機会が犯行以外にあるのかという弁解が必要になる。\nそのため、指紋の位置によって、犯行以外の機会に指紋が検出された場所を触ったことがないことを立証できることもある。\nなお、実際に被疑者から供述を得る際は、まず指紋が検出された事実を告げずに、窃盗しているか否かは別として被疑者の家の中に入ったことがあるかを確認することになる。\n男女共同トイレの盗撮でも、単に壁から被疑者の指紋が検出されただけなら、被疑者がそのトイレを利用したことがあるだけの可能性がある。\nしかし、その指紋が壁の一番上の場所から検出されたなら、よじ登って隣の個室をのぞくような体勢にならなければ、その位置に指紋が付かないという立証ができる場合もある。\n指紋の向きによっては、壁をよじ登ろうとしているときでなければ、そのような向きに指紋を付けることはできないという立証ができる場合もある。\nいずれの場合でも、指紋が検出された際は、位置や向きなどに留意しなければならない。\n事案によっては、現場で同じ向きに指紋が付くような体勢をとってみて、実況見分の形で残し、犯行以外でそのような指紋が付くことがほとんど考えられないことを立証することが重要である。", "part_type" "part", "localID" 44 }, { "title" "指掌紋取り扱い規則", "description" "指掌紋取り扱い規則とは、捜査機関は被疑者の指紋・掌紋を組織的に収集・管理・運用し、犯罪捜査に役立てるための規則である。\n/*/\n捜査機関が被疑者を逮捕した際、被疑者の指紋・掌紋を、氏名などの被疑者を識別するために必要な事項とともに記録した資料を作成しなければならない。\nこの資料を指掌紋記録と呼ぶ。\n身体の拘束を受けていない被疑者について、必要がある場合は、被疑者の承諾を得て、指掌紋記録を作成する。\n指掌紋記録を作成した場合、速やかにその指掌紋記録をにゃんやん共和国内の他の捜査機関に送らなければならない。\nまた、わんわん帝國やその他の捜査機関が協力を求めた場合、指掌紋記録を提供してもよい。\n犯罪捜査上必要がある場合、遺体の指紋・掌紋についても記録を作成する。\n/*/\n現場指掌紋を採取した際は、ただちに協力者指掌紋と対照し、遺留指掌紋の有無を確認しなければならない。\n遺留指掌紋がある場合、該当する指掌紋記録があるか照会しなければならない。", "part_type" "part", "localID" 45 } ], "localID" 43, "expanded" true }, { "title" "足跡鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "足跡", "description" "足跡鑑定とは、被疑者の履物に存在する固有の特徴が、現場に残された足跡に存在するか比較・対照し、双方の相違を識別する鑑定である。\nまた、足跡のみでも犯罪者の数・行動・行動経路などを示すものとして、捜査の初期において重要な意義を持つ。\n履物に存在する固有の特徴は、製造特徴と使用特徴に分類される。\n/*/\n足跡鑑定において製造特徴とは、製造する過程でできる履物痕の固有の特徴である。\nたとえば靴を製造する途中で、金型と材料の間に空気が入ることで気泡によって模様が欠けたり抜けたりして、その靴固有の特徴を持つことがある。\nまた、模様の入ったゴム板などを履物の底の形に裁断する際、外周部の模様にその靴固有の特徴を持つ場合もある。\n/*/\n足跡鑑定において使用特徴とは、使用する過程でできる履物痕の固有の特徴である。\n具体的には、靴を使用している間に、靴底に損傷・摩耗・摩滅などで使用特徴が生じる。\n/*/\n足跡を採取する際は、携帯できる台の上を歩くなどして、現場の足跡を破壊しないよう、注意する必要がある。\n室内における足跡は、カーテンやブラインドなどを閉めたり、照明を消したりして部屋を暗くした後、様々な角度で懐中電灯を照らして床についた足跡を見つける。\n科学捜査の進んでいる藩国では、静電気足跡採取器で強力な静電気を発生させることにより、畳やじゅうたんの上に残された足跡の採取した例もある。", "part_type" "part", "localID" 47 } ], "localID" 46, "expanded" true }, { "title" "声紋鑑定・言語学鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "声紋・言語学", "description" "声紋とは、知類の音声を図示し、可視化したものである。\n具体的には、サウンドスペクトログラフやメモリースコープなどの分析装置にかけ、横軸に時間をとり、縦軸に周波数を示すことでその周波数の強度を濃淡で示した画像が声紋である。\n声紋から、声の高さを表すピッチ、および周波数成分の強弱を表すホルマントなどの特徴で、犯罪者と被疑者の声を相互に比較対照する鑑定を声紋鑑定と呼ぶ。\n声紋鑑定では、多くの場合、犯罪者が発した言葉の録音と、被疑者・被告人の言葉を記録したものを比較することになる。\n比較対照する言葉は同じものであることが必要である。\nまた、対照となる音声に雑音が少ないこと、発話の調子や速さに極端な違いがないことなど、各種の条件が満たされている必要がある。\nたとえば同じ者が発した言葉であっても、風邪をひいてのどの調子が悪い場合や、感情的になっていて口調が激しくなっている場合でも、異なる者の言葉と判断されるおそれもありうる。\n声紋鑑定を念頭に置いて捜査する際は、録音状態の良好な犯罪者の声の録音媒体を入手する必要がある。\n声紋鑑定は、検査の実施者が必要な技術と経験を有した適格者であり、使用した機器の性能・作動が正確かつその検査結果が信頼性ありと認められ、分析の経過および結果について正確な報告であるとき証拠能力が認められる。\n声紋鑑定は、犯罪者と被疑者の声が同じか否かという判断は、鑑定した者の主観的判断がある程度含まれるところがあるため、鑑定の結果のみで法の司を説得できると考えるのは早計である。\nそのため、「声紋鑑定の対象となる音声の数を増やす」「声紋の個体識別を異なった角度から研究している別の研究者にも鑑定を依頼する」「異なる分析機器で鑑定する」などして、同じ結果が導き出されることを確認し、鑑定結果の証明力を相互に補強し合うように工夫することも重要である。\n/*/\n言語学鑑定とは、話者の言葉から、アクセント・音韻・語法・語彙などの言語学上の特徴を比較することで、話者の出身地・同一性などを識別する鑑定である。\n人知類の場合、5歳から15歳までの言語形成期に育った地域のアクセントを身につけ、変動しにくいとされている。\nそのため、事件当時の被疑者の居住地のみならず、被疑者の5歳から15歳までの言語形成期における居住地がどこかということも事前に捜査しておく必要がある。", "part_type" "part", "localID" 49 } ], "localID" 48, "expanded" true }, { "title" "顔貌鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "形態学的検査", "description" "顔貌鑑定とは、顔の比較によって知類の個体識別をおこなう鑑定である。\nたとえば犯行時の防犯カメラの画像など、特定の犯罪の実行者と思われる者の顔貌写真と、被疑者の顔貌写真を対比させ、両者が同一かどうか判別する鑑定が顔貌鑑定である。\n顔貌鑑定は、身元不明の遺体を確認する際にも利用されている。\n顔貌鑑定の手法としては、形態学的検査やスーパーインポーズ法などがある。\n/*/\n形態学的検査とは、顔貌鑑定の手法の一つで、顔を構成している要素をひとつずつ比較・確認する方法である。\n形態学的検査は、どのような要素を比較の対象とするか、比較の対象とした要素をどのように評価・判断するかについて、鑑定した者の主観的判断が大きく影響を与える手法である。\n要素の同一性がどれだけ認められれば、被疑者と同一であるか判断できる定まった基準もない。\n/*/\n顔貌鑑定では、被疑者や遺体の画像を比較画像とできる限り同じ条件で撮影することが望ましい。\nここでいう条件とは、たとえば角度や光源、レンズの焦点距離、姿勢、化粧や毛髪の染色などの美容処理、表情などである。\nヤガミやクーリンガンに代表される同一存在、あるいは一卵性の多胎児など、同じ顔を持つ者もいる。\nそのため、顔貌鑑定で顔が一致したという結果のみでは個体識別をおこなうことは適切ではない。\n顔貌鑑定の証明力に疑問を呈する法の司もいる。", "part_type" "part", "localID" 51 }, { "title" "スーパーインポーズ法", "description" "スーパーインポーズ法とは、顔貌鑑定の手法の一つである。\nたとえば、同じような角度で撮られた遺体の写真と生前の写真を重ね合わせることで、顔の特徴や輪郭線が一致するか確認する。\n歯や骨格の特徴で判別する場合、遺体の写真には、死後CT画像が使われる場合もある。\n形態学的検査と同様にスーパーインポーズ法も、比較画像の顔と一致しているかの判断については、鑑定した者の主観的判断に頼った手法である。", "part_type" "part", "localID" 52 } ], "localID" 50, "expanded" true }, { "title" "刑事事件の精神鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "刑事責任能力鑑定", "description" "精神鑑定とは法の司が裁定する際、精神科医が対象者の精神状態を診断し、法的判断の基礎となる事実を精神医学的に判断し鑑定することである。\nとくに刑事事件において、被疑者や被告人などを診断し、犯行当時の刑事責任能力の有無や程度など判断する精神鑑定を刑事責任能力鑑定と呼ぶ。\n本来、刑事責任能力の有無や程度などについての判断は、大法院にゆだねられるべき問題である。\nそして、刑事責任能力などの前提となる生物学的・心理学的要素についても、法的判断の関係で、最終的には大法院にゆだねられるべき問題である。\nしかし、生物学的要素である精神障害の有無や程度、心理学的要素に与えた影響の有無や程度について、その診断は臨床精神医学の本分である。\nそのため、その分野の専門家である精神医学者の意見が鑑定などで証拠となっている場合、証拠を採用できない合理的な事情がない限り、その意見を尊重し認定すべきである。\n証拠を採用できない合理的な事情とは、たとえば鑑定した者の公平さや能力に疑いを生じた場合である。\nまた、鑑定の前提条件に問題がある場合も、証拠を採用できない合理的な事情に含まれる。\n/*/\n被疑者・被告人の弁護士から専門家の意見として、被疑者に責任能力がないという意見が出て、捜査機関の立場からその意見が不当と思われる場合、充分な論拠をもって反論する必要がある。\nそのため、まず前記の証拠を採用できない合理的な事情として凡例が挙げられた、鑑定した者の公平さや能力の疑い、鑑定の前提条件の問題などについて捜査が必要となる。\nこのうち、鑑定した者の公平性が問題となり、鑑定結果の信用性が否定されることはまれである。\nそのため反論すべき点は、鑑定した者の能力、鑑定に用いた前提条件・鑑定資料の適切さ、鑑定手法・結論に至る過程などとなる。\n/*/\n鑑定した者の能力については、専門家としての経歴、鑑定経験などを捜査し、他の専門家から能力や資格に問題がないか確認することが考えられる。\n/*/\n鑑定に用いた前提条件・鑑定資料の適切さについては、鑑定書に引用されている事実や証拠関係がなにかをきちんと読み取り、その内容が妥当であるかを確認することとなる。\nたとえば、被疑者の一方的主張のみをもとに鑑定していて、被疑者の主張と矛盾する客観的証拠を無視している場合、その点を反論する。\nまた、そもそも証拠から認定できない事実を前提に鑑定している場合も、反論すべき点となる。\n/*/\n鑑定手法・結論に至る過程については、別の専門家から意見を求め、そもそもその鑑定でおこなわれている手法は学会などで一般的に承認されているものか、鑑定書の結論に至る過程は適切なのかを確認してもらうことが考えられる。\nまた、被疑者を直接診察してもらい、鑑定するという方法もある。", "part_type" "part", "localID" 54 } ], "localID" 53, "expanded" true }, { "title" "法昆虫学鑑定", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "法昆虫学", "description" "法昆虫学(forensic entomology)とは、昆虫を証拠のひとつとして、日常生活で起こるかもしれない昆虫が関係するさまざまな問題について調査し、解決する分野である。\n昆虫が関係する問題とは、たとえば飲食店の料理や加工食品に昆虫が混入していた場合、それが調理や製造の途中に入ったのか、後から故意に入れられたのかを鑑別することが挙げられる。\nそれ以外にも、シロアリの[[木造建築]]の食害や、家畜の飼料保管・排泄物の適切な処理、感染症の病原を媒介する昆虫についての調査などが法昆虫学の扱う範囲に含まれる。\nまた法昆虫学は、麻薬についていた昆虫やダニなどの節足動物からその麻薬が国産か密輸かを判断したり、自動車に付着した昆虫から走行経路を推定したりするなど、捜査機関が利用することもある。\n/*/\n法昆虫学は、遺体に付着した昆虫から死亡した環境や時刻を推定するといった利用方法もある。\n昆虫の種類によって食料として好む軟部組織が異なる。\nたとえば死亡直後は、春・秋ならクロバエ科クロバエ属、夏ならクロバエ科キンバエ属・オビキンバエ属やニクバエ科・シデムシ科などに属する昆虫が産卵・産仔する。\nまた、死体から腐敗ガスが抜け、水分が減少していく時期は、ショウジョウバエ科・ミズアブ科・チーズバエ科・カッコウムシ科・ケシキスイ科などに属する昆虫が産卵・産仔する。\nただし死体が水中にある場合は、体の一部が水面に浮揚するか、岸に打ち上げられるなどしなければ、ハエは死体に産卵しない。\n屋内にいてハエが死体へ容易に近づけない場合もある。\nまた、不衛生な環境では、蝿蛆症に罹患する恐れがある。\n蝿蛆症とは、ハエがたかっても追い払うことのできない乳幼児や、虐待で育児・介護を放棄された者など、生きている知類の体内にハエの幼虫が寄生して起こる病気である。\nそのため法昆虫学による死亡時刻の推定は、医師が死後経過時間の推定に有用な所見を得られず、目撃証言や防犯カメラ映像などでの生存確認もあいまいな事例でなければ、有用ではない。\n死体についた昆虫は、わずかに死体を動かしただけでも、死体から大幅に移動する。\nそのため、死体を搬出する前に、死体発見現場で昆虫を採集することが望ましい。\n採集した昆虫は、死体の体の部位ごとに容器を分けて採集したほうがよい。\nまた、昆虫が捕食されないようにするため、昆虫の種類ごとに容器を分けたほうがよい。\n採集したウジは、熱湯で殺すと体が伸展し、体長を測定しやすくなる。\n/*/\n積算日度(accumulated degree days)とは、気温と昆虫の産卵から成虫の羽化までに要する日数の関係をあらわしたものである。\n単位を日数から時間に変えた積算日度は、積算時度(accumulated degree hours)と呼ばれる。\n積算日度は、農業分野において害虫防除の目的で、繁殖できる成虫の個体数を大幅に減らすためには、いつごろ殺虫剤を散布するのが効果的か、その時期を予測するために使われている。\nまた、積算時度は法昆虫学による死亡時刻の推定に利用されている。\nたとえば摂氏25度の気温では、産卵されてから成虫になるまで20日かかる種類のハエの幼虫が、死体についていたとする。\n死体から採集した昆虫の中から一番成長にしている幼虫を摂氏25度で飼育したところ、15日で成虫が羽化した場合、死体の置かれた気温が同じだったなら、採集の5日前にハエが産卵したものと推測できる。\nただし昆虫の成長速度には個体差があり、また、わずかな気温の違いで成長速度が大きく変わるため、注意が必要である。", "part_type" "part", "localID" 56 } ], "localID" 55, "expanded" true } ], "localID" 40, "expanded" true } ], "localID" 37, "expanded" true } ], "localID" 35, "expanded" true }, { "title" "弁護人", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "弁護人の選任・接見交通", "description" "被疑者や被告人は、いつでも、弁護人に弁護を依頼できる。\n治罪法において、弁護人とは、被疑者や被告人の利益を保護する目的で、被疑者や被告人の弁護を担当する者のことである。\n人知類以外の知類でも、弁護人と呼ばれる。\n弁護人は、原則として、弁護士の中から選ばなければならない。\n弁護人に弁護を依頼しようとする場合、被疑者や被告人は護民官事務所に、弁護人の選任を申し出ることができる。\n護民官事務所は、弁護人選任の申し出を受けた際、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を、すみやかに紹介しなければならない。\n被告人が貧困やその他の理由から、弁護人を選任できない場合、大法院は被告人の求めにより、被告人のために弁護人をつけなければならない。\n被告人に弁護人がおらず、かつ被告人が未成年者・高齢者・聴覚障害者などの場合やその他必要と考えられる場合、被告人が弁護人を求めていなくても、大法院は被告人に弁護人をつけることができる。\n/*/\n逮捕・勾留などで身体の拘束を受けている被疑者・被告人は、弁護人や弁護人となろうとする者と、立会人なくして接見できる。\n立会人なくして接見とは、他の誰もいない部屋で被疑者・被告人と面会して話をすることである。\n弁護人や弁護人となろうとする者は、被疑者・被告人が逮捕・勾留されている刑事施設の職員を通じて、書類や物の授受できる。\n逮捕・勾留されている被告人・被疑者の逃亡や罪証隠滅などのおそれがないよう、接見や授受には、法令や大法院の規則などで必要な措置を規定されている。\n被疑者・被告人が立会人なくして接見する際は、通常、接見室で接見される。\n接見室とは、部屋の中央にアクリル板・金網・鉄格子などの間仕切りがある、接見専用の部屋である。\n接見室の間仕切りは、被疑者や被告人の逃亡を防ぐためのものである。\n接見室がない場合や、感染症対策などで接見室が使用できない場合、テレビ電話などを介して面会することもある。\n/*/\n被告人の無罪が確定した場合、その被告人であった者に対し、弁護士費用や裁定を通じて生じた損害を、国や藩国は金銭で補償する。\nただし、被告人の落ち度で生じた費用については、補償しなくてもよい。", "part_type" "part", "localID" 58 } ], "localID" 57, "expanded" true }, { "title" "証拠", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "証拠とは", "description" "法の司が裁定する際において、証拠(evidence)とは、事実の存否を認定するために基礎となる資料のことである。\nとくに犯罪の有無を明らかにする証拠を、罪証と呼ぶ。\n原則として、法の司が裁定する際、事実の認定は、証拠によってなされなければならない。\n/*/\n刑事事件の際、法の司は、捜査機関が存在したと主張する過去の出来事について、それが本当に起きたのか判断しなければならない。\nたいていの場合、法の司は、その出来事に関わっていないため、なんらかの方法でその出来事が本当に起きたか判断する必要がある。\nそのため、法の司は、過去の出来事の痕跡を残す証拠を確認し、自然法則や経験則から過去の出来事が本当にあったのか推測する。\nたとえば遺体に刃物で刺したような傷口があり、遺体の近くに被告人の指紋が検出された血まみれの刃物がある場合、「この刃物は過去に被告人が握ったことがあるものだろう」「遺体はこの刃物で刺されたことによって亡くなったのだろう」「被告人が殺害を実行した行為者だろう」と推認を重ねていく。\nなお、推認とは、すでにわかっていることから推し量って、「事実はこうであろう」と認定することである。\n/*/\n要証事実との関係による分類では、証拠は、直接証拠と間接証拠に分類される。\n/*/\n直接証拠とは、要証事実を直接証明するために役立つ証拠のことである。\n間接証拠とは、間接事実を証明することによって、間接的に要証事実を証明するために役立つ証拠のことである。\n間接証拠は、状況証拠とも呼ばれる。\n/*/\n間接事実とは、要証事実を推認させる事実のことである。\nたとえば、犯行を目撃した者の供述や被疑者の自白は直接証拠である。\nそれに対し、犯行現場付近にいた被疑者を目撃したという供述や、動機に当たる借金の存在を示す信用証書などは間接証拠である。\n犯行現場に残されたDNAや指紋・掌紋などは、被疑者が犯行現場にいたことを証明する間接証拠であるが、高い証明力を有している。\n証明力(evidentiary value)とは、事実を認定させるための証拠の実質的な価値のことである。\nいいかえると証明力とは、証拠が法の司の心証におよぼす力、法の司の判断を動かす力のことである。\n/*/\n直接証拠は犯罪者を直接認定できる強い証拠である。\nそのため、間接証拠より先に直接証拠から要証事実を推認していくと、弱い間接証拠の評価が直接証拠の評価に誘導されるおそれがある。\n誰が犯罪をおこなったかを検討する際、慎重に事実を認定しなければならない。\nそのため、先入観や偏見を減らす理由から、原則として、直接証拠より先に間接証拠から要証事実を推認する。\n/*/\n証拠は、供述証拠と非供述証拠に分類できる。\n供述証拠とは、知類の知覚・記憶・表現などの心理的な過程を経て大法院に到達する証拠である。\nたとえば、裁定の場に呼ばれた証人の証言や、警察署での取り調べの内容をまとめた供述調書などが供述証拠に該当する。\n非供述証拠とは、供述証拠以外の証拠のことである。\nたとえば、凶器や指紋などが非供述証拠に該当する。\n供述証拠と非供述証拠の分類は、伝聞法則や自己負罪拒否特権の適否で重要である。\n/*/\n証拠は、実質証拠と補助証拠に分類できる。\n実質証拠とは、要証事実の存否の証明に向けられた証拠のことである。\n補助証拠とは、証拠の信憑性に影響をおよぼす事実を証明する証拠である。\nたとえば、視力は目撃証言の信憑性に影響をおよぼす。\n視力の悪い者の目撃証言は、視力の優れた者と比べ、見間違えのおそれが大きいからである。\n/*/\n補助証拠は、さらに、弾劾証拠・増強証拠・回復証拠に分類できる。\n弾劾証拠とは、証拠の証明力を弱める証拠のことである。\n増強証拠とは、証拠の証明力を強める証拠のことである。\n回復証拠とは、弾劾証拠で弱められた証明力を回復する証拠のことである。", "part_type" "part", "localID" 60 }, { "title" "要証事実", "description" "法の司が裁定する際において、要証事実とは、証明を必要とする事実のことである。\n刑事事件の場合、要証事実とは、犯罪事実のことである。\n証拠は多くのがあり、様々な事実を推認させる。\n同じような証拠でも、なにが論点として争われているか、他にどのような証拠があり立証済みなのかといった事情がわからなければ、その証拠がどのような事実の立証に向けられているのかがわからない。\nそのため、要証事実は重要である。\nたとえば被告人による殺害を裁定する際、被害者を凶器で攻撃したことを被告人が認めているものの、殺意は否定している場合、凶器の殺傷能力の高さから被告人に殺意があったことを裏付けられるかもしれない。\n同じように被告人による殺害を裁定する際でも、被害者を凶器で攻撃したことを被告人が認めていない場合、他の証拠で被告人が凶器を入手した記録を立証することで、その凶器は被告人の所有物であるため犯行を実行できたことを裏付けられるかもしれない。\nこのように、同じような凶器が証拠として提出されても、要証事実が「被告人の殺意」か「被告人に犯罪を実行できた」かによって、立証される事実が異なる。", "part_type" "part", "localID" 61 }, { "title" "厳格な証明・自由な証明", "description" "証拠によって証明すべき事実の範囲や程度については、「厳格な証明」と「自由な証明」の分類がある。\n「厳格な証明」とは、治罪法によって証拠能力が認められ、かつ適法で有効な証拠調べを経た証拠によって、犯罪事実を証明することである。\n「自由な証明」とは、「厳格な証明」の要件のすべて、または一部を免除した証明のことである。\n犯罪の構成要件に該当する事実、違法性・有責性の要件を満たす事実、責任阻却事由の不存在を証明する事実については、「厳格な証明」が必要である。\nまた、処罰の条件や刑の加重・減免の理由となる事実についても、「厳格な証明」が必要である。\n刑の加重・減免の理由となる事実とは、たとえば前科の存在や過剰防衛・未遂などである。\n取り調べによって明確にしたい犯罪事実とは直接関連しない事実については、「自由な証明」で足りる。\n取り調べによって明確にしたい犯罪事実とは直接関連しない事実とは、たとえば親告罪において有効な告訴があるかといったことである。", "part_type" "part", "localID" 62 }, { "title" "証拠能力", "description" "刑事事件において証拠能力とは、その証拠が控訴された犯罪事実を認定する際、法律上必要な資格を満たしていることである。\n証拠能力は、証明力とは異なる。\n証拠能力があると認定されても、実質的に法の司の心証に影響を与えない場合もある。\n逆に証明力の富む証拠でも証拠能力がなければ、法の司が裁定する際、証拠として提出すること自体、許されない。\n/*/\n治罪法では、自白や伝聞証拠の証拠能力に一定の制限を定めている。\nまた法令で明文化されていないが、違法な捜査によって収集された証拠についても、証拠能力が否定される。\nなぜなら、将来の違法捜査を抑制する観点から、証拠能力を認めることが妥当ではないからである。\nただし、令状主義の精神を没却するような重大な違法でない場合、証拠能力が認められる場合もある。", "part_type" "part", "localID" 63 }, { "title" "直接主義", "description" "直接主義とは、法の司が裁定する際、大法院が自ら直接取り調べた証拠だけが事実認定の基礎となりうるという原則である。\n直接主義は、裁定をおこなう大法院と証拠との関係を規律する原則である。\n他の者に証拠の取り調べを代行させることは、原則としてできない。\nまた知類の知覚した内容を証拠とする場合、できる限り、その知類を裁定の場に呼び、直接尋問する形式で供述を聞かなければならない。\n/*/\n証拠調べ(examination of evidence)とは、大法院が証拠方法を取り調べ、その内容を把握し、要証事実の認定について心証を形成する行為である。\n証拠方法とは、法の司が要証事実の存否を判断するための資料として、取り調べることができる物や知類である。\n取り調べることができる物は、証拠書類と証拠物に分類される。\n証拠書類(documentary evidence)とは、記載された内容だけが証拠となる書面のことである。\n治罪法において、証拠物(article of evidence)とは、証拠書類以外の物的証拠である。\n刑事事件の証拠調べにおいて、証拠書類は朗読のみでよいのに対し、証拠物は展示が必要である。\n証拠書類に類似する証拠方法として、書証がある。\n治罪法において書証は、文書の存在または記載内容を証拠資料とする証拠方法である。\n書証は、「文書の存在が証拠となるもの」「文書の内容が証拠となるもの」「証拠物たる書面」に分類される。\n「文書の存在が証拠となるもの」は、証拠物として、書面が存在するという事実や、書面の紙質・形状、書面に記載するために使用された筆記具などが証拠資料となるものである。\nまた、「文書の内容が証拠となるもの」は、証拠書類として、記載された意味・内容が証拠資料となるものである。\n「証拠物たる書面」は、証拠書類でもあり、証拠物でもある書証である。\nたとえば脅迫文書や名誉毀損文書は、記載された内容と書面が存在する事実のどちらも、犯罪の証拠資料となるため、「証拠物たる書面」である。\n取り調べることができる知類とは、たとえば、証人・鑑定人・当事者本人などである。\nこのような知類を尋問してその陳述を聴取したり、物的証拠の閲読・検査したりする手続きが証拠調べである。\n証拠方法から得られた証言や鑑定などの証拠の内容は、証拠資料と呼ばれる。", "part_type" "part", "localID" 64 }, { "title" "自由心証主義", "description" "自由心証主義とは、裁定において法の司が事実を認定する際、証拠をどのように評価するか、法律上の拘束なく、法の司の自由な判断にゆだねる主義である。\n自由心証主義に対立するものとして、法定証拠主義がある。\n法定証拠主義とは、たとえば被告人の自白や一定数の証言があれば必ず一定の事実を認定しなければならないなど、法令によって証拠の評価を規定し、法の司の自由な判断を認めない主義である。\n法定証拠主義は、法の司が裁定に対し、恣意的な判決をくだすのではないかという不信が背景にある。\nしかし、法定証拠主義では、自白偏重を生み、被告人を自白させるための拷問や冤罪のおそれがある。\nそのため、にゃんにゃん共和国では、自由心証主義によって裁定がおこなわれている。", "part_type" "part", "localID" 65 }, { "title" "補強証拠", "description" "刑事事件において、自由心証主義に一部制限が設けられている。\nそれは、被告人の自白が唯一の証拠である場合、有罪にすることはできないという規定である。\nなぜなら、たとえば客観的にどこにも殺害された被害者がいないにもかかわらず、被告人の自白だけで殺害の罪が作られるようなことを防ぐためである。\nそのため、自白を理由に被告人を有罪とする場合、自白を補強する証拠が必要となる。\n自白を補強する証拠は、自白の補強証拠と呼ばれる。\n/*/\n客観的な他の証拠と自白の間に矛盾や齟齬がある場合、自白の信用性は大きく低下する。\nたとえば、会合に出席したという自白があるにもかかわらず、会合に出席できない客観的な証拠が存在する場合、その自白は信用できない。\n/*/\n自白の内容が、常識から考えて明らかに不自然・不合理である場合も、自白の信用性は大きく低下する。\nたとえば、便宜供与の内容に見合わない高額の賄賂金を自供した場合、その自白は信用しにくい。\n/*/\n被疑者の記憶の欠落・錯覚などでは説明できないほど、自白の内容に不自然な変遷がある場合も、自白の信用性は大きく低下する。\nたとえば、供述が合理的な理由もなく毎日のように変遷するような場合や、重要な部分が通常記憶違いがありえないような部分で頻繁に変遷する場合、自白の信用性は大きく低下する。\n/*/\n自白に秘密の暴露がない場合も、自白の信用性は大きく低下する。\nここでいう秘密とは、事件についてあらかじめ捜査機関が知りえなかった事柄で、捜査の結果、客観的事実であると確認されたもののことである。\nたとえば被疑者が犯行に凶器を用いたと供述しているにもかかわらず、凶器を投棄した場所の供述が得られない場合や、凶器が発見されず供述が裏付けられない場合、自白の信用を疑わせる要素のひとつとなる。", "part_type" "part", "localID" 66 }, { "title" "伝聞証拠", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "伝聞法則", "description" "伝聞法則とは、伝聞証拠は原則として証拠になり得ないこと、証拠能力がないことである。\n/*/\n伝聞証拠とは、供述内容が事実か否かが争点となる、反対尋問を経ていない供述のことである。\n知類が見聞きした事実を立証する目的で、その者の供述を証拠として用いる場合、知覚・記憶・表現などの心理的な過程で誤りが生じやすい。\nたとえば悪意から嘘を言わなくても、思い込みで真実からかけ離れたことを言うかもしれない。\nまた嘘や思い込みがなくても、見間違い・聞き間違い・記憶違い・言い間違い・書き間違いなど、誤りを生じる要素が多い。\nそのため、伝聞証拠は、一部の例外を除き、原則として証拠能力が否定される。\nなぜなら、法の司が裁定する際、伝聞証拠によって事実を誤認し、誤った心証を形成するおそれが大きいからである。", "part_type" "part", "localID" 68 }, { "title" "反対尋問", "description" "反対尋問とは、法の司が裁定する際、供述の信用性を争う目的で、供述に現れた事項を中心に吟味するための証人への尋問である。\n起訴した側から提出された供述は弁護側が反対尋問をおこない、弁護側が提出された供述は起訴した側が反対尋問をおこなう。\n供述を提出した側と反対の立場の者が尋問をおこなうため、反対尋問と呼ばれる。\nなお、反対尋問の際、妥当な理由もなく、供述者の名誉を害する事項について尋問してはならない。\n反対尋問を経て、内容が吟味された供述は、証拠能力が認められる。\n/*/\n刑事事件において証人とは、裁定の際、大法院や法の司の面前で、尋問された内容について自身が知ることについて供述する者のことである。\n人知類以外の知類でも証人と呼ばれる。\n大法院は、法令に特別な定めがある場合以外、原則として誰でも証人として尋問できる義務がある。\n法令に特別な定めがある場合とは、たとえば公務員や公務員であった者など、国家機密のような公的な秘密を取り扱う知類は、証人になることを拒むことができる。\n証人は、大法院や法の司の面前で供述する前に、偽証罪の説明を受けたうえで、虚偽の証言をしないことを宣誓しなければならない。\n偽証罪とは、法令の規定に従って宣誓した証人や鑑定受託者などが、虚偽の証言や鑑定をすることによって成立する犯罪である。\n/*/\n証人を尋問する際、大法院は証人が強い不安や緊張を覚えるおそれがあると認められる場合、証人が証言している間、証人に付き添いをつけることができる。\n証人が不安や緊張を覚えるおそれがあるか否かは、証人の年齢や心身の状態・その他の事情から、大法院が判断する。\n証人の付き添いとなれる者は、証人の不安や緊張をやわらげることができ、証言を邪魔しない者である。\n/*/\n証人が強い不安や緊張を覚えるおそれがあると認められる場合、または証人や鑑定受諾者が遠隔地にいる場合、証人は裁定の場に現れることなく、テレビ会議や電話会議などのシステムを通じて証言できる。", "part_type" "part", "localID" 69 }, { "title" "例外", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "伝聞例外", "description" "伝聞例外とは、伝聞法則の例外として、伝聞証拠であっても証拠能力が認められることである。\nたとえば法の司の面前で被告人以外の者の供述した内容を録取し、供述者の署名・押印がある書類は、その供述者が死亡・心身の故障・所在不明などにより裁定の場で供述できない場合、伝聞法則の例外として証拠能力が認められる。\n同様の理由により裁定の場で供述できない場合、供述内容を書面に記載するのではなく、録音・録画したときは、供述者の署名・押印がなくても証拠能力が認められる。\nなぜなら、録音・録画は機械的に記録されるため、書面よりも誤りが混入するおそれが小さいからである。\nまた、音声や映像から誰が発言したか判別できることも、供述者の署名・押印がなくてもよい理由と考えられる。\n/*/\n鑑定書や捜査機関の検証調書は文書の性質上、反対尋問の範囲が極めて制限される。\nそのため、裁定の際、鑑定書や検証調書の作成者が真正に作成されたものであることを供述した場合、伝聞法則の例外として証拠能力が認められる。\n「鑑定書や検証調書の作成者が真正に作成されたものであることを供述する」とは、鑑定書や検証調書に作成者として名義された者が証人として尋問を受け、その書類を自分が作成したこと、および鑑定・検証したことを正しく記載したことを供述することである。\nただし供述の代わりに自己の身体などを用いて犯行や被害の様子を再現した写真による報告書は、形式的には検証の結果であっても、実質的には供述を録取した書類であるため、伝聞法則が適用されると考えられている。\n同様に酒気帯び運転の検証調書で、飲酒日時・飲酒の動機・どこで誰となにを飲んだかなど、被疑者へ質問し応答した結果を記載した箇所については供述証拠として伝聞法則が適用される。\n/*/\n虚偽の介入するおそれが小さく、正確に記載されていると考えられる業務文書についても、伝聞法則の例外として証拠能力が認められる。\n伝聞法則の例外となる業務文書は、たとえば工事現場での作業日報や漁船の操業位置に関する無線受信記録、商業帳簿、医療関係者が作成した診療に関する記録、レジスターから出力されたレシートなどが該当する。\nまた、公務員が法令上の義務として作成した公務文書、たとえば戸籍謄本・公正証書謄本・不動産登記簿謄本・印鑑証明書・前科調書・身上調書なども該当する。\nこのように、反対尋問をおこなわなくても、事実を誤認するおそれが低い供述については、それぞれ伝聞法則の例外となる条件が法令に明記されている。\nなお手書きの領収書は、虚偽を介入させることが容易であるため、記載された通りの金額の金銭授受があったかを立証したい場合、伝聞法則の例外とはならない。\n/*/\n再伝聞とは、伝聞証拠の中に伝聞証拠が含まれていることである。\nたとえば、被告人Xは犯罪を計画したが、犯罪の実行者は共犯者Yである場合、Xが「あとでYから犯罪を実行したことを聞いた」旨の供述するといったものが再伝聞である。\n伝聞例外で伝聞証拠が証拠として認められた場合、その伝聞証拠の中に伝聞証拠も証拠として認められる。", "part_type" "part", "localID" 71 }, { "title" "特信性", "description" "被疑者や参考人を取り調べたときの供述を司法警察職員が録取した書面を司法警察職員面前調書と呼ぶ。\n通常、司法警察職員面前調書は伝聞証拠である。\nしかし、一定の要件を満たした場合、例外的に司法警察職員面前調書の証拠能力が認められる。\nたとえば捜査段階で犯行状況を詳細に供述していた目撃者が、その後、何者かに脅迫され、証人として裁定の場に呼ばれた際に異なる内容を証言したとする。\nこのような状況で、司法警察職員面前調書が伝聞法則によって排除されると、有効な目撃証言を証拠にできなくなる。\nそのため、相反性と特信性がともに認められる場合、伝聞例外として、司法警察職員面前調書の証拠能力が認められる。\nここでいう相反性とは、裁定の際の供述が、司法警察職員面前調書の内容と相反することである。\nまた、特信性とは、司法警察職員面前調書の内容が、裁定の際の供述よりも信頼できると判断される特別な状況のことである。\n相反性は、必要性と呼ばれることもある。\nまた、特信性は、特信情況とも呼ばれる。\n/*/\n特信性を安易に認めると、捜査段階で誘導・強要された虚偽の供述が証拠として採用されるおそれがある。\nそのため、特信性を認めるか否かについて、法の司は慎重に判断する必要がある。\n司法警察職員面前調書の内容が理路整然としていることのみを理由に、特信性を認めてはならない。\nなぜなら司法警察職員は、業務として供述調書を作成する機会が多いため、その書面の内容は理路整然となりやすいからである。", "part_type" "part", "localID" 72 }, { "title" "同意・合意", "description" "訴訟関係者の間で争点となっていない事実については、法令に明記された条件下で起訴した側と弁護する側が証拠とすることを同意や合意がある場合、証拠能力が認められる。\n同意とは、他者の行為や提案に対し、賛成の意思を表示することである。\nまた、合意とは、関係者の間で意思が一致することである。\nどの範囲について同意・合意するか、明記した書面を作成することによって、証拠とする。\n書面を作成する際、当事者や関係者が同意・合意を強要されたと、法の司がみなした場合、その同意・合意は無効となる。\n/*/\n同意や合意によってなぜ証拠能力を認めるのかについての説のひとつは、反対尋問の権利を放棄したとみなすものである。\nしかし、反対尋問の権利を放棄したと解釈すると、同意や合意をしたうえで証人尋問をして、その証明力を争うことができなくなってしまう。\nそのため、実務では、同意や合意は「証拠能力を付与する積極的な訴訟行為」と解釈されている。\nなお、同意や合意をしたとしても、必ずしも証拠能力が認められるとは限らない。\nなぜなら、違法収集証拠として証拠能力が否定されることがあるからである。\n違法が著しく重要なものでない場合、同意や合意によって、証拠能力が認められることもある。", "part_type" "part", "localID" 73 }, { "title" "非伝聞", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "非伝聞とは", "description" "知類が話した内容や書いた文書から、その内容どおりの出来事が過去にあったか認定しようとする場合、伝聞法則が適用される。\nしかし知類が話した出来事自体、または知類が書いた出来事自体を証明したい場合、その内容の出来事があったか否かは問題にならないため、伝聞法則が適用されない。\nこのような、供述証拠に伝聞法則が適用されないことを非伝聞と呼ぶ。\n非伝聞は「言語の非供述的用法」や「伝聞法則の不適用」とも呼ばれる。\n/*/\nたとえば要証事実が被害者Yの殺害の場合、「XがYを殺した」と記載された文書は、伝聞証拠であるため、証拠能力がない。\nしかし、要証事実が被害者Xへの名誉棄損の場合、「XがYを殺した」と公表した文書は、非伝聞であるため証拠能力が認められる。\nなぜなら、このような文書が書かれたこと自体が名誉棄損行為だからであり、文書の内容が真実か否かは名誉棄損の立証と関係がないからである。\n同様に脅迫罪・強要罪・恐喝罪などにおける脅迫行為も、脅かす行為自体が問題であり、内容が真実か否かは問題ではないため、非伝聞として証拠能力が認められる。\n/*/\n非伝聞は、広義の伝聞例外に含まれる。", "part_type" "part", "localID" 75 }, { "title" "自己矛盾供述", "description" "自己矛盾供述とは、たとえば法の司が裁定する際、ある者が供述をしたが、同じ者が裁定以外の場面でまったく異なる供述をするようなことである。\nこのような供述は信用できない。\nそのため自己矛盾供述は、その内容が真実であったか否かは問題にならず、矛盾する供述をすること自体が信用できない者なのだと推認していくことになる。\n/*/\n裁定の場で供述された内容の信用性を減殺するため、供述者の自己矛盾供述を立証する場合、その際に提出された供述証拠には伝聞法則が適用されない。\nこのように、証拠の証明力を争う目的に限定される場合、弾劾証拠や回復証拠は伝聞法則が適用されない。", "part_type" "part", "localID" 76 }, { "title" "供述過程の一部欠落", "description" "流用可能", "part_type" "group", "children" [ { "title" "供述時の内心の供述", "description" "知覚・記憶・表現などの各段階で誤りが生じやすく、事実を見誤るおそれが大きいため、伝聞証拠は原則として証拠能力が否定される。\nしかし、知類の心の状態は外部から観察することができない。\nそして、法の司が裁定する際、被告人や被害者の精神状態が重要となる場合がある。\nたとえば被害者が亡くなったとき被疑者・被告人に殺意があったか、性犯罪において被害者の同意や合意があったか、被疑者・被告人が心神喪失や心神耗弱でなかったかなどを確認したい場合である。\nそのため、心については、当時の当事者の発言や表現が最良と考えられる。\nなぜなら、供述時の内心の供述はなにかを見聞きしたり、思い出したりしているわけではないからである。\nつまり、内心の供述は、誤りが生じやすい知覚と記憶の段階がなく、供述者が思いついたことを表現・叙述しているに過ぎない。\n見間違い・聞き間違い・記憶違いのおそれがないため、事実を見誤る危険性は低い。\n表現・叙述に誤りがないか否かは、内心の供述を聞いた者からその当時の周囲の状況の詳細などを調査することで確認できる。\nまた内心を文書に記載している場合は、文書の外形や表現方法、発見された状況などから、事件に関して真摯に作成されたものか吟味することで確認できる。\nそのため、供述時の内心の供述は、伝聞証拠に該当しないと考えられる。\nたとえば被告人が日記に被害者への殺意を記していた場合、日記記載当時の内心を供述していると考えられるため、伝聞証拠に該当しない。\nただし、過去を振り返って「あのときこう思っていた」という供述は、記憶の段階が欠落していないため、伝聞証拠に該当する。", "part_type" "part", "localID" 78 }, { "title" "自然反応的供述", "description" "とっさになされた発言も非伝聞と考えられる。\nたとえば被害者が殺される際、犯罪者の顔を見て相手の名前を叫んだ場合、ほとんど記憶の過程を経ずに、知覚からただちに表現・叙述がなされるため、記憶違いや虚言のおそれは小さいと思われる。\nそのため、とっさになされた発言は伝聞法則が適用されないと考えられる。\nとっさになされた発言は、自然反応的供述とも呼ばれる。", "part_type" "part", "localID" 79 } ], "localID" 77, "expanded" true } ], "localID" 74, "expanded" true } ], "localID" 70, "expanded" true } ], "localID" 67, "expanded" true } ], "localID" 59, "expanded" true } ], "expanded" true, "localID" 0, "description" "流用可能" } ]
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/161.html
被告人を懲役11年に処する。 未決勾留日数中210日をその刑に算入する。 理 由 (犯行に至る経緯) 被告人は,平成13年ころ,行きつけのゲームセンターでAと知り合って,以後,共にゲームセンターで遊んだり,後記A方居室を訪問するなどして親しく付き合っていた。そのうち,被告人にとって,Aが弟のような存在と感じられるようになったこともあり,被告人は,Aのことを心配して,身なりを整え,部屋を掃除し,貯金をするように注意したり,ゲームセンターでのマナーを叱りつけたりするようになった。 被告人は,平成16年8月6日午前0時30分ころから,別の友人と居酒屋で酒を飲み始め,同日午前2時過ぎころ,いずれ一緒に飲む約束をしようとして,Aの携帯電話に繰り返し電話をかけたが,着信拒否のアナウンスが流れるのみでつながらなかった。被告人は,以前にも,Aから着信拒否をされたことがあったため,今回も再び自分からの着信を拒否されたと思い込んで,無性に腹が立ち,直接問い質すなどして自分の怒りをぶつけようと考え,Aの住む加須市内の後記社員寮に向かった。 被告人は,Aの住む寮に到着した時点で,Aの住むa号室には明かりがついていなかったが,1階b号室には明かりがついており,駐車場にも二,三台の車がとまっているのを現認して,時間帯も深夜であったため,寮内に何人かの人がいることは認識していた。被告人は,Aが寝ているかもしれないと考えて,無施錠の玄関から同室内に上がりこんだ。室内は暗く,被告人が,所携のライターをつけて,その明かりで辺りを見渡すと,室内には,紙くずやビニール袋,雑誌,衣類,ごみ等が散らばっており,足の踏み場もない状態であった。被告人は,以前にも,Aに部屋を片付けるように注意していたのに,Aがそれを無視したとして,一層腹を立てた。 (罪となるべき事実) 被告人は,友人のAが,携帯電話の着信を拒否したり,自己の忠告を無視して部屋の片付けをしていないことに憤慨し,同人が不在のため,やり場のなくなった怒りを晴らすとともに,同人を脅して懲らしめるためにも,その場に散乱していたごみ等に火をつけて,埼玉県加須市内のAほか8名が現に住居に使用している株式会社B社員寮(木造スレート葺2階建共同住宅,床面積合計約198.74平方メートル)a号室のA方居室を焼損しようと企てたが,同室に放火すると,上記社員寮の他の部屋にまで延焼し,ひいてはその居住者の生命にも危害の及ぶおそれのあることを認識していたのであるから,厳にこれを慎むべき注意義務があるのにこれにも違反して,平成16年8月6日午前2時40分ころ,同室内において,ごみ袋等4か所に,所携のラ イターで点火して火を放ち,さらに,同所に置かれていたライター用オイル約20ミリリットルを室内の壁等にまき散らして引火させるとともに,その火を同室内の壁,柱,天井等に燃え移らせ,よって,同室及び同室直上のc号室のC(当時25歳)方居室を全焼(焼損面積合計約39.74平方メートル)させるとともに,上記放火行為をした重大な過失により,そのころ,上記c号室内において,Cを焼死するに至らせた。 (証拠の標目) 省 略 (補足説明) 1 弁護人は,①本件犯行当時,被告人は火災をぼや程度にとどめる考えであり,人の死亡については予見可能性がなかった,②仮にその予見可能性があったとしても,被告人の行為と被害者の死亡との間には,消防当局の過失行為が介在しており,因果関係が遮断されるとして,被告人については結局,重過失致死罪が成立しない旨主張しているので,これらの点に関する当裁判所の判断を示すこととする。 2(1) まず,死の結果の予見可能性の点についてみるに,関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。すなわち, ア 本件建物は,木造スレート葺2階建共同住宅で,壁面や天井は石膏ボードが張られ,界壁内や天井の上には断熱材が入れられているなど,防火措置は施されていたが,床,柱,梁等の構造材,下駄箱,ミニキッチン等の建具等は木製であり,その一室に火を放てば建物全体に延焼する可能性の十分にある木造集合住宅であった。そして,これが,通常の火災による火熱に長時間耐えられるような耐火建築物ないし準耐火建築物に該当しないことは,その外観からも,容易に看取できるものといえる。 イ また,被告人は,Aによる着信拒否等に強く憤慨して,A方居室の中にあったごみ袋等4か所に見境なく火を放った上,ライター用オイル約20ミリリットルを壁等にまき散らして引火させようとまでしており,しかも,この放火の際に,消火用具等の用意も全くしておらず,オイルに引火して炎が燃え上がったときには,慌てて布でたたくことしかしていないのである。 (2) この点,被告人自身,捜査段階では,本件建物が鉄筋コンクリート造りの建物などではなく,一室から火が出れば,建物全体にまで燃え広がる危険性があることは分かっていたことを認めており,そのことは,公判段階でも,否定していない。しかも,被告人は,公判段階でも,1階b号室には明かりがついており,駐車場に車がとまっているのを現認したことを認めているほか,犯行時刻が,午前2時40分という深夜で,居住者の中には当然就寝中の者が多いと考えられることにも照らすと,被告人としても,A方居室に火を放てば,他の部屋にも延焼して,場合によってはその居住者らの生命に危害の生ずるおそれのあることを認識していたと優に推認することができる。 そして,被告人は,本件犯行に際し,延焼防止のための措置を特に講ずることもなく,憤激の赴くまま,室内4か所の可燃物に火を放ったにとどまらず,わざわざ燃え広がるようにライター用オイルまでまき散らしているほか,炎が燃え上がった際には,完全に消火しようとすることもなく,衣類等でたたいて消そうとしたのみであったというのであるから,このような被告人の行動は,延焼のおそれや他の部屋の居住者の生命への危険について頓着することもなく,感情の赴くままに犯行に及んだことをうかがわせるものであり,このことも,上記推認を客観的に裏付けるものである。 (3) この点,被告人は,捜査段階では,ごみ袋等に火をつけて,A方居室の壁や床に燃え移らせ,同室を多少燃やしてぼや騒ぎを起こしてやろうと思った,同室の広い範囲が燃えてしまう可能性があることや,火が他の部屋にまで燃え移って,その部屋の人が火事で死ぬ可能性があることも分かっていたなどと供述しており,この供述は,上記推認に沿うものであって,高い信用性を認めることができる。 (4) これに対し,被告人は,公判段階では,最初から自分で消すつもりであり,ぼや程度になればいい,周りが焦げていればいいという考えで火をつけただけで,Aの部屋の中を燃やしてしまおうという気持ちはなかったとして,延焼の可能性さえ認識していなかったかのような供述をしている。 確かに,被告人が直接に意図したものがA方居室にぼや程度の火災を起こすことであったことは,オイルに引火して炎が燃え上がった際,被告人が狼狽して,慌てて消火しようとしたことからもうかがわれる。しかし,前認定のように,被告人は,あらかじめ延焼防止のための措置を講じていないばかりか,火の範囲を限定しようとすることなく,わざわざ燃え広がるようにライター用オイルまでまき散らしており,しかも,炎が燃え上がった後も,水を掛けるなどして容易に消火できたはずであるのに,そのような措置もとっていないのであるから,被告人として,自ら放った火を確実に消火しようとする意図があったなどとは到底認められない。 したがって,被告人の上記公判供述は,前記推認に反するばかりか,自らの行動にもそぐわない不自然・不合理なものであって,これを信用することは困難である。 (5) そうすると,被告人は,前記推認のとおり,A方居室に放火すると,本件建物の他の部屋にまで延焼し,ひいてはその居住者の生命にも危害の及ぶおそれのあることを認識しながら,殊更この点には頓着することなく本件犯行に及んだものと認められるのであって,その居住者の死亡の結果についても予見可能性があったことは明らかである。 3 次に,因果関係の点についてみるに,弁護人は,被告人が犯行当日の午前2時57分と午前3時4分に119番通報をした際,消防当局がいたずら電話と即断せず,直ちに出動していたならば,消防車が来る二,三分前まで生存していた被害者が助かっていた可能性が極めて高かった旨主張している。 しかしながら,関係各証拠によれば,被告人は,その日の午前2時57分に,「加須のBの寮が火事です」など,午前3時4分には,「B,火事になってんですよ。早く消しに来てください。」などと119番通報をしたものの,その通報内容自体,上記程度にとどまり,自らの氏名も名乗らず,火災現場の住所はおろか,その手掛かりさえも明らかにしないまま,一方的に電話を切っており,しかも,被告人は,犯行の発覚を恐れて,自分の携帯電話ではなく,公衆電話から電話したために,消防士が発信元に確認の電話をかけ直しても通じなかったことが認められる。さらに,電話を受けた消防士が,その通報がいずれも早口のため内容をほとんど聞き取れなかったと述べていることも考慮すると,その消防士が被告人の上記通報をいたずらと認めたこと はやむを得なかったというべきである。 したがって,被告人の上記通報の処理について消防当局に過失があったとはいえないから,被告人の放火行為と被害者の死亡との間の因果関係も優に認めることができる。 (法令の適用) 省 略 なお,弁護人は,重過失致死罪は現住建造物等放火罪に吸収され,別罪を構成しない旨主張する。しかし,重過失致死罪は,人の死亡という極めて重大な結果を構成要件とするものであって,公共危険犯である現住建造物等放火罪が,放火行為により生じるそのような重大な結果まで当然に評価しているとして,重過失致死罪を吸収するものと解することは困難である。したがって,本件においては,両罪の成立を認めた上,これらが1個の行為によることから,観念的競合の関係に立つものと解するのが相当である。 (量刑の理由) 1 本件は,被告人が,友人から携帯電話の着信拒否をされたと思い込み,その怒りを晴らすなどの動機から,社員寮の1室である同人方にぼや騒ぎを起こそうとして放火し,寮の2室を全焼させるとともに,その火災により,寮の居住者1名を焼死させたという現住建造物等放火及び重過失致死の事案である。 2 被告人は,深夜2時半過ぎに,友人の留守宅に無断で立ち入った上,紙くずやビニール袋,雑誌,衣類,ごみ等の可燃物の散乱する室内でぼや騒ぎを起こすことを企て,室内4か所の可燃物に火を放ち,たまたま目にしたライター用オイルをまき散らすことまでして,一般住宅の建ち並ぶ中に所在し,9名が居住する木造の社員寮の2部屋を全焼させており,他人の迷惑はもとより,人の生命や財産,公共の安全への配慮をも全く欠いた反社会的な言語道断の犯行である。 しかも,被告人は,オイルに引火し大きく燃え上がった炎を見て,その場にあった布類でたたき消そうとしたのみで,確実な消火活動もせず,鎮火も十分に確認しないまま,すぐに現場を逃走しており,無責任極まりない対応であって,厳しい非難に値する。しかも,被告人は,その後も,119番通報はしたものの,犯行の発覚を恐れて,公衆電話から,早口で断片的な情報を話しただけで,一方的に電話を切ったため,消防士が内容を把握できず,確認のすべもないまま,いたずら電話として処理せざるを得なかったのであり,結果発生の防止に向けて真摯誠実な努力をしたとも言い難い。加えて,被告人は,オイルを散布する際には,指紋が付かないようにオイル缶をハンカチで包み,また,十分な消火もしないまま立ち去る際でさえ,ドアノブの指紋 を拭き取ることは怠らないなど,自己の犯跡隠蔽工作は抜かりなく行っており,その態度は狡猾かつ悪質でもある。 なお,被告人は,犯行の動機について,判示のとおり,友人から携帯電話の着信拒否をされたことや,友人が自己の忠告に従わず部屋を片付けていなかったことに立腹したというのであるが,たかだか携帯電話の着信を拒否されただけで,相手の事情を聞くことさえせずに立腹するというのは,余りにも短絡的である。まして,部屋の片付けの問題は,被告人に迷惑を掛けるわけでもなく,その母親の供述からもうかがわれるように,自分の部屋も片付けようとしなかった被告人には,友人を非難する資格などないというべきである。ところが,被告人は,平成13年にも,交通トラブルから暴行事件を起こし,起訴猶予処分となった前歴があるというのに,上記のような些細で愚にも付かない動機から,一時の怒りに任せて,本件のような重大な犯行に及ん でいるのであって,犯行の経緯に酌量の余地が皆無であることはもとより,身勝手にもこのような犯行を安易に敢行する被告人の犯罪性向は,顕著というほかない。 3 本件の結果も,極めて重大である。 (1) まずもって,本件犯行によって,寮の居住者1名が死亡するという誠に痛ましい結果が生じている。被害者は,本件の前日,夜勤を終えてから上司や同僚らとプール遊びに出掛け,飲酒することもなく,買い物や食事を済ませて帰宅したのは午後7時半ころであり,本件の起きた深夜2時を回ったころは,疲労しきって眠りについていたことがうかがわれる。ところが,その睡眠中,突然,階下の部屋から出火して,またたく間に延焼し,被害者は,燃えさかる炎に逃げ場を失い,「助けてくれぇ」,「どっちに逃げればいいんだ」,「どっちに出ればいいのか分からない」などと悲痛な叫びを上げながら,助けを求めてさまよった末に,その火に巻かれて死亡してしまったのであり,その被ったであろう精神的・肉体的苦痛や衝撃,恐怖感や絶望感は想 像するに余りある。 被害者は,就職のため,北海道から単身,埼玉県内の社員寮に入り,母親に夜勤の苦労を訴えつつも,精一杯真面目に仕事に励んできており,周囲からも厚い信頼を得ていたものである。そして,いずれは家庭を持って,子供が生まれたときには,その子とキャッチボールをするというささやかな夢を抱いていた前途ある青年が,本件犯行の巻き添えを食って,無惨にもその夢を断たれ,僅か25歳という春秋に富む年齢で生涯を終えることを余儀なくされたのであり,余りに理不尽で,被害者の無念さは計り難いものである。 被害者の遺族も,遠方に長男を送り出し,年数回の帰省を待ち望んでいたところ,事件当日,突然の悲報を受けて,警察署に駆け付けると,焼けただれ,変わり果てた姿の長男と対面するに至ったものである。最愛の長男の最期をこのような形で迎えざるを得なかった被害者の両親の衝撃と苦悩もまた,甚大なものであるが,被告人は見るべき慰謝の措置も講じていないのであり,被害者の父親が,「なぜ,何の落ち度もない息子が死ななければならないのでしょうか。法が許されるなら,私はこの場で息子の無念を晴らしたい気持ちです。」などと述べ,母親も,「犯人は,息子の夢を一瞬にして断ち切り,私たち家族をどん底に突き落としたのです」などと述べて,異口同音に被告人の極刑を望むなど,その被害感情が峻烈であることも,当然というべき である。 (2) また,社員寮の居住者らは,それぞれに,間近で起きた火災に多大の恐怖を感じ,家財道具が煤や消火時の放水で使えなくなるなど,有形無形の損害を被っているほか,転居による不便も強いられている。とりわけ,自宅に放火された被告人の友人は,家財道具のすべてを火災で失った上,被告人が逮捕されるまでの2か月足らずの間,失火の張本人として周囲から疑惑の目を向けられ,結果的に,勤務先を退職するに至るなど,その被害は甚大である。 建物の損害についてみても,本件火災により,上記2部屋の床面積合計約39.74平方メートルが焼失しただけでなく,火災や消火活動の影響で建物全体が使い物にならなくなって,本件建物自体の解体が余儀なくされている。その結果,本件建物の所有者は,建築費3600万円の本件建物のみならず,月々40万円余りの賃料収入も失い,100万円を超える建物解体費用も負担するのやむなきに至るなど,その被害は重大である。そして,建物を賃借していた被害者の勤務会社も,解体費用の一部を負担するなど,相応の財産的損害を受けている。 (3) 以上みてきたとおり,本件犯行では,被告人の意図した範囲を大きく超えて燃え広がったように,重大な公共の危険が現実化している。さらに,本件建物には,これにわずか約2.7メートルの距離で隣接する民家があるように,住宅街の真ん中に位置する共同住宅が炎上したことで,消防隊員等が合計180名以上,消防車等が22台出動する騒ぎとなり,しかも,それが放火によるものであり,死亡した犠牲者も出たことが判明しているのであるから,付近住民に与えた恐怖心や不安感も相当のものであったとうかがわれる。 4 加えて,被告人は,事件後,警察官の来訪を受けて本件との関係を尋ねられた際,友人と飲酒していたため知らない旨虚偽の供述をした上,その友人にアリバイ供述を依頼するなどしており,犯行後の情状も芳しいものではない。 5 以上に照らすと,被告人の刑事責任は誠に重大である。 6 他方,犯行当時,被告人が意図していたのは,友人方にぼやを起こす程度であり,被告人は,意図した以上に炎が燃え上がるや,極めて不十分ではあるものの,一応の消火活動を行っており,逃走後も,再び火が燃え広がることを懸念して現場に引き返し,被告人なりに消防への通報を試みた上,遅きに失したとはいえ,消火・救命活動に出た様子もうかがわれる。また,被告人は,重過失致死事件の被害者の遺族に宛てて謝罪文を作成し,遺族の代理人弁護士がこれを保管するに至っている。建物の損害については,建物所有者の加入していた火災保険により,被害金額のうち2300万円余りが填補されている。さらに,被告人は,意図したものとはかけ離れた重大な結果を生じさせたことについて,被告人なりに悩み苦しみ,反省している様子がう かがえる。そして,被告人と二人暮らしをしていた病身の母親が,被告人同様に被害者への謝罪文を作成して,被告人の帰りを待っている。その他,被告人のために酌むべき事情も認められる。 7 しかしながら,本件犯行の結果の重大性,犯行態様の危険性・悪質性,犯行動機の余りの身勝手さ,被告人の犯罪性向等にかんがみると,被告人に対しては厳罰をもって臨むほかはなく,以上の諸事情を総合考慮すると,被告人を懲役11年に処するのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第二刑事部 (裁判長裁判官中谷雄二郎,裁判官蛯名日奈子,裁判官髙嶋由子)
https://w.atwiki.jp/src_c_material/pages/276.html
無責任艦長タイラー ガラナアイコンページ 管理人 ガラナ素材区分 PU 備考 アニメ版 光流のSRCSITE 管理人 光流素材区分 P 備考 SRC普及委員会 管理人 MMZK素材区分 PU 備考 アニメ版 真・無責任艦長タイラー ガラナアイコンページ 管理人 ガラナ素材区分 PU 備考