約 241,208 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/623.html
涼宮ハルヒの出会い 『アイツノソンザイ』 「おまたせー!皆朗報よ!聞いてちょうだい!」 またか…何度も何度も自分に言い聞かせるようだがいつ聞いてもいやだな… いつからだろうな…朗報という言葉に嫌気を感じるようになったのは… 「今度はなんだ?」 「あっキョンいたの?聞いてちょうだい!」 いたの?じゃないだろ!俺がいるから言ってきたんじゃないのか? 今日は俺だけの参加のはずだぞ? 「お前な…朝比奈さんたちは今日は不参加って聞いてなかったのか?つまりだな…」 「分かってるわよ!もうちょっとした冗談じゃない!いちいちつっこまない!」 俺がつっこまないなら誰がつっこむんだ… なんて事は言わない方がいいよな、まぁなんだ話だけは聞いてやるか 「で何だ?」 「あっそうよ!聞いて頂戴!本当は皆がそろってるときがいいんだけど今日は仕方ないわ」 「我がSOS団が結成されてからどれくらいたったか覚えてるかしら?」 そういやこんなふざけた団体はまだこうして活動しているんだよな となると半年くらいか、ずいぶん長い間無茶もしたもんだ 「で、それが朗報と何が関係あるんだ?」 「もう、ここまで言って気がつかないなんて本当に使えないわね!」 「記念パーティーよ!パーティー、もう半年になるのよ!?めでたいと思いなさい!」 おめでたいと思うのはお前の頭の中身だよハルヒ…とまぁなんにせよパーティーだと? どこでするつもりやら…どうかまともな場所でありますように… 「それで場所なんだけどね、やっぱりSOS団の記念ってことだし部室でっていうのはどうかしら?」 …我が家じゃなかったことには感謝しよう、だが部室? そりゃ問題ありまくりだろ…とまぁつっこんでもしかたないがいちを言っておくか 「学校は流石にまずいだろ?もっと他の場所しないか?」 「じゃあどこがいいのよ?」 そうなりますよね…とまぁ一通り考えたが誰かの家くらいしか思い浮かばないな… うーむ、まぁ今回はまともな朗報だったことだし少しくらい無茶に付き合ってやるか 「そうだな、誰かの家だとその人の家に迷惑もかかるかもしれないし今回は学校でもいいかもな」 おい、意外そうな顔をするな、そんなに俺がお前の意見に同意したのが気に食わないのか? といいたくなるくらいの驚きの表情を見せたハルヒなんだが… 「以外ね、熱でもあるんじゃないのかしら?」 「まっいいわ、じゃあ決定ね!明日みんなに話しましょう!もちろん放課後まで皆には内緒よ!」 といってハルヒは部室から出て行った つーこは解散か?まぁ帰るとしますか てなわけで今日は珍しく早く帰れることになった、まぁ明日のことを考えると… えぇい!やめやめ、今日はゆっくり休むことにしよう…考えるだけで疲れる あいつ喜んでくれたかな?いっつも無茶につき合わせてたからたまにはこういうのもいいわよね うん、きっと楽しんでくれるわよ! 明日は皆にも伝えて準備もしないとだから忙しいわ!今日はやめに寝ときましょう ………………ジリリリリリ バンッ 「うぉっ!」 「おっはよーキョン君!」 妹よ…おはようという表現はいささか間違いかもな… 下手したらおやすみだぞ… 「なぁ?何度言えば分かってくれるんだ?せめてもう少し優しく起こしてくれてもいいだろ?」 「えへへ、でもこうしないとキョン君おきてくれないよ?」 反論できないな…うーん自分の目覚めの悪さを恨むぞ と悠長なことはいってられないな、さっさと朝飯を食って準備した俺はいつもの ハイキングコースにいくことにした、この坂はどうにかならないかね… もう秋かと思わせる足はやな紅葉 これが唯一の救いだな とかとか考えているうちに学校だ、さーて今日の団長さんは何を考えてることやら… とまぁ教室にはいったら人目もくれずに 「キョン!今日は放課後付き合いなさい!いいわね!」 それはどっちの意味ですか? 「何がよ?」 いやデートか果し合いなのか 「バカ、昨日のこと忘れたの?」 覚えてますよ、分かった、だからそうふてくされるな 「悪い悪い、冗談だよ、で今日必要なものでも買いにいくのか?」 「もう、いっつもそうなんだから、そうよ!善は急げって言うでしょ?」 「そりゃそうだが昨日の今日ってちょっと急ぎすぎじゃないか?」 「いいの!あんたは黙ってついてきなさい!」 はぁ…まぁ分かりきっている答えなんだがこうなんでいつもなれないものか… 俺の免疫組織はきちんと働いてるのかね?ご主人様のピンチなんだぞー とバカなことを考えているうちにチャイムがなった 急いで席にすわってからは後ろの団長様はさぞ満足したかのように大人しかった 「…珍しいな」 「ん?何かいったかしら?」 「いやなんでもないぞ」 「そう」 今日はちょっと眠いわね…昨日夜中まで起きてたのがまずかったかしら… まぁキョンに用件は伝えたしちょっと寝ようかしら 「……ぉぃ、ハルヒ!ぉぃ…」 ん?キョン? 「あっおはよう、どうしたの?」 「どうしたのじゃないだろ、もうとっくに授業は終わったぞ」 えっ!1時間も寝ちゃったの?まずいなーまぁいいわ 「そう、でどうしたのかしら?」 「ん?自分で言ったことも忘れたのか、何か俺に用事があるんだろ?」 え?まさか!? 「はぁ…お前あれからいくら起こしても目をさまさないから大変だったぞ、今は放課後だ」 「だー今日は仕方ないわ!たまにはそういうこともあるのよ!」 「そうかい…」 笑うなバカ!でもそんなに私寝てたんだ…あぁキョンに寝顔みられたかな? ちょっと恥ずかしいな、変な顔してなければいいんだけど 「じゃ、早速だけどいくわよ!」 「おいおい、いくって何処にだ?場所は決まってるのか?」 「えぇ、材料は当日買うとして今日は小物買いにいくから街までいこうって思ってたの」 「そうか、じゃあ早速いくか」 キョンは準備が終わってるみたい、私も急がないと! そんなこんなで電車にのって街まできたのはいいけどこれってデートなのかな? ちょっと恥ずかしいな、制服っていうのがな~雰囲気でないけどまぁいっか! キョンも意識してるのかしら?ちょっと恥ずかしそうね 「ねぇあそこのお店どうかしら?」 「いいんじゃねーか?」 「もう気の抜けた返事ね、まぁいいわ、いくわよ」 中はいい感じに古ぼけたお店だった、どうやら個人店らしく仲がよさそうな老夫婦が経営してるらしい 物は良心的な値段でどれもいいもの安くって感じね 「これなんてどう?これもいいわね!あっキョンアレとって頂戴!」 「もう少し落ち着けよ…で、これか?」 なんだかこんなの始めて、すごく楽しい! 色々買えたし満足だな~ちょっと買いすぎちゃったかな? 「ありがとうございました、荷物多いようだけど大丈夫かい?」 「あっ大丈夫ですよ!こいつにもたせますから!」 「そう、彼氏さんも大変そうだね、今荷物をまとめてあげるからちょっとまってね」 えっ!カップルに見えたのかな?否定し…とかないであげるわ キョンもちょっと気まずそうにしてるし、今日は特別なんだからね! そんなこと考えてるうちに荷物がまとまとまったみたい 「「ありがとうございます」」 お礼をしてお店をでた、うまくおじいさん達が荷物をまとめてくれたから キョンも持ちやすそうね、あんた感謝しなさないよ?なんて思ってたらキョンから話かけてきた 「なぁ、さっきのおじいさん達いい人達だったな」 以外、カップルに間違われたことを言われるかと思ったけどそうじゃなかったみたいね 「そうね、これだけ買ったのに3000円ですんだのもびっくりよね、サービスしてくれたのかしら?」 「はは、だといいな、なぁハルヒ…そのあれだ、また一緒にこような?」 えっ?以外だった、キョンからそんなこと言われると思ってもなかったし それよりキョンにまたデートしようって言われたのがうれしかった いや、デートなのかな?これは…でも二人でまた一緒に遊べるならいいかな 「そうね!まぁどうしてもっていうなら付き合ってあげるわよ!」 「はは、じゃあどうしてもって事にしておいてくれ」 はぁ…私って素直じゃないな、でもキョンにはこれくらいで丁度いいかな? あっもう駅か、しかたない電車賃くらい出してあげるわ! 荷物持ちのお礼って事にしておいてあげる 「まってなさい、いま切符買ってくるから」 「えっいや「いいの!そこでまってなさい!」 「じゃあお言葉に甘えとくよ」 急いで切符を買ってキョンに渡したあと電車は以外とすぐにきた なんだろう、電車の中では会話できなかった… 最寄り駅が近いのもあるかもしれないけど あっおりないと! 「おりるわよ!ほら、もうあぶなっかしいわね!」 「悪い悪い、っとよし行くか」 「あぁハルヒ!そういえば荷物どうするよ」 あちゃー考えてなかった…今から学校に行くわけにもいかないしな…どうしよう… 「しゃーない、家で預かっておくよ」 「あっあんたにしちゃー気がきくわね、じゃあお願い」 「おう、あっ日程はもうきまってるのか?」 「うん、明後日にするわ、次の日が土曜日だから遅くまでなっても平気でしょ?」 「うーむ、あんまり関心しないがまぁそうだな、わかった、じゃあまた明日な」 「あっ…うん、ちょっとまって!」 あっ…勢いで呼び止めちゃった…どうしよう… 「ん?どうした?」 ほら…もう、いくっきゃないわね 「荷物重そうだし…途中まで手伝ってあげるわ!感謝しなさいよね!」 あっなによ!以外って顔すんな!バカ 「うーん今日はやけに優しいな?どうした?」 「ばか、いつも優しいわよ!」 「そうでした、じゃあよろしく頼む」 「うん」 軽い荷物を受け取って私が持つことにした、そういえばキョンの家と私の家って 少し遠いのよね、帰りどうしようかしら… まっ今日はいいわよね、少しでも長く一緒にいたいし 「おい~ここまででいいぞ~」 えっ?あっぼーっとしてた、もうついちゃったのか… 「うん…」 何か話せばよかったな… 「んーアレだ、今日はなんか俺ばっかり優しくされて不公平だな、家くるか?お茶くらいはだすぞ」 えっ?キョンの家?行きたいけど…どうしよう… 「いく!」 あっバカ!何素直にいちゃってるのよ 「おう、んじゃここからすぐだから、荷物はもういいぞ、助かった」 「うん」 それから少し歩いてすぐに家についた、結構いい家にすんでるのね 「ただいま~、おいハルヒ部屋はこっちだ」 「あっ、おじゃまします」 「今日は誰もいねーぞ、なんか母親は妹つれて友達と遊びにいったしな」 「あっあんたまさか!」 「ばっばか言うな!7時には帰ってくるとか言ってたし何もしせんわ!」 まぁキョンが相手なら…って何私考えてるんだろ! 「ちょっとからかってみただけよ、あんたにそんな勇気あるはずないしね!」 「後が怖いからな、っとお茶入れてくる、適当に座ってていいぞ~」 そういわれてリビングに通された 「ねぇ、キョンの部屋どこ?」 何言ってるんだろ私 「ん?部屋?なんでだ?」 「キョンの部屋がいい」 ほらまた… 「んー変なもの探すなよ?こっちだ」 「ばか!探さないわよ!それとも何かあるのかしらね?」 やった!キョンの部屋にはいれる! 「アホ、ないわ、ここだ~今お茶もってくるからまってろ」 そういってキョンは下にいった 「これがキョンの部屋か~以外ね、綺麗じゃない」 あっベットだ………… バフッ、キョンの匂い…いいにおいだなー…ガチャ 「おーいお茶もってきたぞ、っておい」 あっしまった! 「あっちょっと疲れたから横になりたかったの!」 うぅーしまった、見られた… 「ん、まあ飲め、冷めるぞ」 「うん」 うー気まずいな、早く飲んじゃえ 「あつっ!」 「おい!大丈夫か!みせてみろ」 うぅーばかした、舌やけどしてないかな… 「ほれ、はやくベロだせ」 「うん」 「大丈夫そうだな、あんま無理すんな」 「うん」 うん、としかいえないよ…きまずい… 「ばか…あんまり人のベロじろじろ見るな」 「あっ悪い悪い、っともう40分か」 「うん…」 どうしちゃったんだろう今日の私…なんか素直になれないな… 「送ってくよ」 「えっ?」 今送っていくって言ってくれたの? 「もう外も暗いしな、ほれいくぞ」 「あっ、うん」 今日はやけにキョンも優しいわね、どうしたのかしら? まさかキョンも…?だといいな…エヘヘ 準備も終わって家をでた 「おじゃましました」 もう秋だな~って思うくらい外は暗くて涼しかった ちょっと寒かったかな そうおもってたらキョンが 「今日はちょっと寒いな、上着きてくりゃよかったな」 「バカ…じゃあ手繋ごうよ…」 何言ってんだろう…カップルじゃないんだよ? これで断られたらきまずいよ…いつも見たく勝手に繋げばよかったのに… 「んーそうだな、でもいいのか?」 あっキョンもまんざらじゃなかったのね?よかった! 「今日は特別って言ったじゃない!明日からは無しよ!」 「へいへい、じゃあ今日だけ甘えておきますよ」 どっちからとも言わずに私達は手を繋いだ… お互いちょっと無言だったのはお互い気まずいからかな? とか考えてたらもうすぐ家だ 「キョン、ここまででいいわよ」 「ん?家まで送ってくぞ」 「大丈夫、もうそこの角まがったらすぐだし、親も心配してるからさ」 「んーそうだな、こんな時間に俺がいったら親もいらぬ心配するしな」 「ばーか、まっそういうことよ、今日はご苦労様」 「おう、んじゃまた明日な」 「うん」 少し名残惜しかったけど手を離した… キョンを見送って背中が見えなくなった… なぁハルヒ?今日のお前はどうしちまったんだ? そりゃ俺としてはだな、まぁうれしくないって言ったらウソになるが あいつもずいぶん丸くなったな、にしても俺はなさけないな… 普通男からすることをほとんどあいつからか… もう少し古泉を見習うか にしても俺ってやっぱりアイツのこと意識してるのか? 今日はやけに緊張したな、そりゃ普通にまともなデートとかは初めてだが 俺もしかしてあいつのこと… キョンに対しての気持ちっていつからだったんだろ… もしかしたら始めから?でも気持ちが確かなものだって分かったのは 今日改めてかな…たぶん好きになったのは夢の後あたりからかな… ねぇキョン… 「キョンにとっての私は?…」 「ハルヒにとっての俺は?…」 「俺にとって」 「私にとって」 「「アイツノソンザイって…」」
https://w.atwiki.jp/newgenreschool/pages/476.html
『・・・じゃあ言っちゃおうかなー』 どうする?どうするよ俺?続く!! 『私は男君、あなたが好きです。』 もうこうなったら貧しい農民ごっこをするしか!! 男はとてもテンパっている! シュ「年貢を減らせー」 男「貧しい私に慈悲をー」 シューが現れた! 男「テンパりすぎて幻覚見てる?俺大丈夫か?」 シュ「失礼な私はお前の姉だ。」 男「待てい。俺に姉はいない。」 シュ「・・・じゃあ妹。」 男「じゃあ妹ってナニよ?」 シュ「って事になるし、それは誰もわからない。」 男「ヤバイ。誰にも分からないなんて凄すぎる。」 シュ「そんなヤバい米を作った昔の人超偉い。」 男「超がんばれ。もっとがんばれ。」 シュ「さて、お米の起源についての講義はここまで。来週はおいしい食べ方だ良く予習しとくように。」 男「ありがとうございました。」 ってアレ?なんかおかしくね? シュ「おかしくなくね?」 男「いやおかしくね?」 シュ「米はおいしくね?」 男「米はおいしいんじゃね?」 ええい。ラチがあかん。 男「何をしにきただー!!」 シュ「いや、なんか農民って単語が聞こえたから呼ばれたのかと思って。」 なんちゅー行動力だ。 シュ「お米様のためならエンヤコラ。」 いや、待て。何を納得してんだ俺。お前本当の目的は違うだろ。 シュ「手屁ッ★バレた?」 手屁ッじゃねえよ。かわいこぶってんだかぶってねえんだかわかんねえよそれ。 シュ「ま、確かに私がここに現れたのは理由がある。」 やっぱりな。 シュ「米わけて?」 そろそろ怒るぞコンチクチョウ。本題に入れ。 シュ「おお、これでは愛しの男に嫌われる。」 シュ「ま、冗談はそろそろ止めてだ。本題に入ろう。」 シュ「今日君は優ちゃんに告白されたよね?」 男「ハァ・・・。オーケー。わかった。なんでお前はその事を知ってるんだとか色々ツッコミ所は放置しとくわ。」 シュ「ボケ殺し?」 男「違うわ!ってか一分も真面目に出来んのかお前は?」 シュ「私はいつも真面目だが?」 男「・・・もういい。・・・。うん。そうだね。確かにそれは事実だ。」 シュ「ツン、クー、ヒー達はブチ切れですぜ旦那?」 え?マジで?明日が恐い・・・ シュ「いや、嘘だけど。てか知らないだろうし。」 じゃあなんでお前は知ってんだ? シュ「企業秘密★」 さっきから星が黒いんですが・・・ シュ「まあいつか彼女達にもバレると思うよ?」 男「それはわかってる。」 まさかバレずに済むとは思わないしな。 シュ「そちらへの言い訳・・・って言い方は悪いな。説明をする覚悟は出来てるのかい?」 。いやまだだ。 シュ「それに君は優ちゃんにちゃんと返事を返したのかな?」 。何も言葉が出ない。何も反論する余地がない。 あまりにも。あまりにも、今まで自分が色々な事から逃げてきた事がわかる。 そして今そのシッペ返しが来ている。 シュ「まあ、私も君が好きな人の中の一人なんだけどね。私の事はともかく君の周りの人に対してどうするのかね?」 やたら突き刺さるシューの言葉。 シュ「しかしだ。今の状況になったのは優ちゃんのせいだと思ってはいけないよ。バランスを取っているものはいつか崩れる。そして実際君の取っていたバランスなんてもう土台は腐っていたのだから。」 シュ「今の状況を作ったのは君自身だ。」 わかってる。それは痛い程わかってる。 シュ「ま、君への忠告はほどほどにしてね。早く優ちゃんに返事をしてあげなさいよ?」 シュ「あの子の性格知っているでしょ?」 『・・・じゃあ言っちゃおうかなー』 『私は男君、あなたが好きです。』 いくらなんでも俺だって告白されただけじゃテンパらないさ。 『えへへ。いきなりこんな事言われたら困るよねー。男君も。』 『ごめんなさい。忘れて欲しいんだよー。』 『・・・本当に・・・ゴメン・・・ねー・・・』 まるで罪の告白でもするかの様に。 自分が悪い事をしているかの様に。 彼女は、泣いていた。
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/28277.html
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ OVA ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII Vol.1 発売日:1月29日・9月25日 温泉の次は無人島! ? 少年たちに新たな危機(ピンチ)が迫る―――! ? ミアハ・ファミリアからの冒険者依頼(クエスト)で 無人島"ユージン島"に訪れたヘスティア・ファミリア。 依頼はさておき、青い海、白い砂浜を見た一行は大はしゃぎ。 さらにベルと一日遊べる権利を賭けた水着コンテストも始まり…! ? ここを編集 2020年1月発売。ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡのOVA。 http //danmachi.com/danmachi2/ 監督 橘秀樹 原作 大森藤ノ シリーズ構成・脚本 白根秀樹 コンテ 大畑清隆 演出 小野田雄亮 キャラクター原案 ヤスダスズヒト アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督 木本茂樹 プロップデザイン 吉田優子 作画監督 村上雄、坂本哲也、上田みねこ、藤部生馬 作画監督補佐 兒玉ひかる コスチュームデザイン協力 萩原弘光 美術監督 奥村泰浩 色彩設計 安藤智美 撮影監督 福世晋吾 特殊効果・ビジュアルアート 向井吉秀 3D.C.G・アニマティクスチーフ 鈴木友里恵 編集 坪根健太郎 編集助手 仙土真希 音響監督 明田川仁 音響効果 小山恭正 録音調整 根岸信洋 録音助手 鎌田佳那恵 音楽 井内啓二 キャラクター原案協力 はいむらきよたか、ニリツ アニメーション制作 J.C.STAFF ■関連タイトル ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ OVA Blu-ray ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII Vol.1 一気見Blu-ray ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 期間限定出荷商品 OPテーマ HELLO to DREAM EDテーマ ささやかな祝祭 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか13 ドラマCD付き限定特装版 Blu-ray ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか Vol.1 初回生産限定サントラ付き ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 設定資料集 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか コンプリートブック ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか8【Amazon.co.jp限定】ヘスティアグラフィグ付き限定特装版 書き下ろし4PリーフレットSS付き 原作小説 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1 ヤングガンガンコミックスダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか1巻 rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/magicbattle/pages/21.html
砂漠と森に挟まれたごくごく狭い草地で、一人の少女が膝を抱えていた。 まだ十にもならない幼い顔は陰鬱な色に沈み、悲しげな瞳は荒涼とした砂だらけの大地をぼんやりと見詰めている。 少女の名は、高町なのはといった。 (なんで、こんなことになっちゃったんだろう……) ジュエルシードを巡った悲しい事件から、数ヶ月の時が流れていた。 あれ以来特に大きな出来事もなく、なのはは家族や友人達と平和な日々を過ごしていた。 朝起きて学校に行き、アリサやすずか達と一緒に勉強したり遊んだりする。 友達と別れて家に帰ってからは、翠屋を手伝い、宿題に取りかかる。 普通の子供と変わらない一連の流れを済ませた後は、新しい日課となった魔法の訓練をこっそりと終え、ベッドに入った。 眠る前に思い出すのは、かつて事件の渦中で出会い、大切な友人となったユーノやフェイト達の事。 いつか彼等と再会するその日を思い描きながら、ゆっくりと睡魔に身を委ねた。 これが、なのはにとってごく当たり前の、いつも通りの一日だった。 だから、何処とも知れぬ暗い空間で我に返った時には、夢を見ているんだと思った。 周囲には大勢の人がいて、寝ていた筈の自分は何時の間にか普段着に着替えている。 何が何だか分からないで困っていると、YHVHと名乗る存在が現れた。 聖書に関する知識を持たずとも、それを「神様だ」と思ったのは、子供らしい純粋な感性が真実を半ば捉えたというところだろう。 しかしその神様は、すぐ後に現れた悪魔と一緒になってとんでもない事を要求してきたのである。 (……ころしあい、なんて) 思い描くだけでも抵抗感があるその言葉。 それは拒否権の無い命令となって、なのは達に下された。 本当に全てが夢であったなら、どれだけ良かっただろう。 しかしなのはは今、ただ殺し合いの為だけに用意された暗い世界に放り出されているのである。 日常から非日常への急速な変転は経験したことがあった。 かつてフェレット姿のユーノに出会い、導かれるままにレイジングハートを手にした事は昨日の様に思い出すことが出来る。 だが今回の不条理さ、理不尽さはそれとは比べ物にならない。 果敢にも神と悪魔に反抗した男は、無残にその命を断たれることになった。 「……!」 あの怖ろしい光景を思い出すだけで、なのはの身体は震えが止まらなくなる。 周りにいる人々の姿は暗かったり眩しかったりでよく見えなかったのに、神の悪意か、一人の人間が土くれと化し消滅する様だけは脳裏に焼き付いていた。 嫌だ。 怖い。 悲しい。 余りにも過酷な現実が、少女の心を押し潰そうと重く圧し掛かった。 ──しかし、そこで潰されないのが高町なのはである。 「……なんとか、しないと」 PT事件にまつわる一連の出来事は、普通の少女だったなのはに大きな変化をもたらした。 決して折れない不屈の心。 出来ることを全力でやるという決意。 元より頑固な面のあるなのはだったが、良くも悪くもその性質はさらに強まっている。 或いは子供ゆえの向こう見ずな愚直さに過ぎないのかも知れないが、不当で理不尽な仕打ちに抗おうとする心に、何の間違いもある筈が無い。 「止めよう。 絶対に、殺し合いなんてさせない」 誰にでもなく、自分自身に誓いを立てる。 知らず暗い空を仰いでいたなのはの顔は、幼く純粋な決意に満ちたものだった。 そうして彼女が取った行動は、現状打破の第一歩。 恐らくはこの世界に呼ばれた多くの者が最初に行うであろう行為、支給品の確認である。 (……持てるかな?) 傍らには大きなサイズのデイパックが置いてある。 なのはがこの場所に"送られた"時からずっとそこにあった物だ。 この中にたっぷり荷物を詰め込んだ場合、中学生かそれ以上ならまだしも、九歳の少女がどこまで持ち歩けるのか不安が残る。 ともあれ、中身を確かめるべくジッパーを開く。 すると女の子の顔が出てきた。 「ふぇぇぇ!?」 先程の決意の表情も瞬く間に吹き飛び、なのはは頓狂な声をあげて派手に飛び退いた。 (お、おばけ!?) 間合いを取ってじっとデイパックを睨み付けるが、特に何事も起こらない。 油断無く近付き、恐る恐るもう一度中を除くと、女の子の顔は目をぱっちり開いた無表情のまま、一切動きを見せていなかった。 何の事はない、只の人形である。 「だ、だよね、にゃはは……」 誰にともなく照れ笑いをしながら、人形を取り出してみた。 あるのは顔だけではなく、首から爪先まで全身揃っている。 「あ、かわいい」 一人で勝手に驚いたことも忘れ、年相応の声をあげるなのは。 西洋人の少女と思しきその人形は赤いドレスを身に纏い、金の髪にリボンを結っていた。 子供の目から見てもかなり精巧な作品と思え、角度を変えてあちこち眺め回していると、どこからか一枚の紙が抜け落ちた。 拾い上げると、そこには"蓬莱"という二文字だけが記されていた。 「?」 ホウライと読むが、小学三年生の知識には無い。 (でも、何でこの子が入ってたんだろう) 人形の出来に感心していても、現状を忘れた訳ではない。 殺し合いの為に用意された道具の中に、何故こんな物が入っていたのか? 考えながら、じっと少女の顔を見詰める。 不意に、なのはの感覚に触れるものがあった。 (……これって、魔力?) はっきりとは分からない。 しかし一瞬、人形の中に極めて小さな魔力を感じた様な気がした。 果たしてどういう事なのか、振ったり逆さにしたりしてみたが、それで何が起こる訳でもない。 取り合えず保留とし、支給品の確認を続けることにした。 人形をきちんと腰を下ろして座らせられたことに微かな満足を覚えつつ、再びデイパックに目を戻す。 次に出てきたのは、名簿と地図だった。 (ここに連れて来られた人の名前……だよね) まず名簿を眺めると、ざっと見るだけでも五十以上の名前が記されていた。 上から順に名前を確認していく。 知らない名ばかりがズラリと並んでおり、それも日本人らしき者は少ない。 多くは外国人か、或いは──違う世界の住人か。 程無く"高町なのは"の名に行き当たり、もし他に誰か知っている人がいたら、と考える。 こんな危険な場所にはいて欲しくないと強く願う一方で、心を許せる誰かの存在を期待している自分もまた否定できなかった。 相反する想いに揺れ動きながら名簿を読み進め、ついに、その名を見つける。 「ユーノくん……!」 なのはの運命を変えた少年、ユーノ・スクライア。 その名が、確かに名簿に記載されていた。 予想はしていた。 あのYHVHとサタンが現れた奇妙な空間で、「なのは」と呼ぶ声を聞いていたのだ。 姿ははっきり見えなかったが、異様な事態に戸惑う中で聞いた彼の声は、未だ耳に残っている。 「いたんだ…… ユーノくん……」 安堵と悲しみが胸の中でごちゃ混ぜになり、膨れ上がった感情が眼から零れ落ちそうになる。 しかしぐっと堪え、鼻を啜った。 喜んでも悲しんでも、ユーノがここにいるという事実は変わらない。 (ユーノくんに会わなきゃ) まずはそれが目標だ。 時空管理局に務め魔法に深く精通している彼は、なのはにとって何より心強い存在である。 それから残りの名前を確認したが、結局、なのはの知人はユーノ以外にいなかった。 無論、ティアナ・ランスターやジェイル・スカリエッティという人物の事も知る筈が無い。 取り合えず名簿を脇に置き、地図に目を移す。 5×5のマス目に区切られているのは、禁止エリアがどうのと言っていたやつだろうか。 「ゲームのマップみたいに見えるのは気のせいだよね」 何となく独り言を呟き、周囲の地形と地図を照らし合わせてみる。 遠くの方は暗くてよく見えないが、前方に砂漠、後方に森が広がっているとなれば、C-IVの塔を囲む森の外周であることは間違いない。 明るくなればもっと判り易くなるだろう。 さらにデイパックを覗くと、簡素な水と食料が入っていた。 特に気にすることも無くそれらを取り出し、 「──!」 下に隠れていた物を見て、なのははぎょっと目を見開いた。 拳銃だった。 それも、かなり大きい。 微かに震える手を伸ばし、両手でゆっくりと持ち上げてみる。 ズシリと重い。 手に伝わるその重さは、物理的な重量によるものだけではなかった。 先程の人形とは違う、余りにも明確な"殺し合い"の為の道具。 銃そのものには狩猟やスポーツなどの使い道もあるが、このデイパックに入っている以上は、ただ一つの用途にのみ使えということだろう。 そんなこと、出来るはずが無い。 強烈に湧き上がった嫌悪の感情に任せ、なのはは人殺しの凶器を放り捨てようとした──が、刹那、脳裏によみがえった過去の映像がその手を止めた。 白いバリアジャケットを身に纏い、空を飛んでいる。 レイジングハートから放たれるのは光の矢、狙うものは一人の人間。 周囲からかき集めた魔力は凄まじい量に膨れ上がり、ともすれば拳銃などよりもっと大きな力を、自分と同じくらいの少女に向けて全力で── 「違う!」 突如沸き起こった嫌な考えを、なのはは大声で否定した。 魔法で人を撃つことと、銃で人を撃つこと。 それはまるで異なる意味を持つ筈だ。 あの時は、彼女──フェイトと解かり合うことだけを考えていた。 対話に応じず力を振るってくるフェイトに気持ちを伝えるには、自分も全力でぶつかるしかないと思ったのだ。 拒絶や否定の為ではなく、それが相手にとっても自分にとっても良い結果をもたらすと信じたからの行動だった。 しかし今手の中にある銃という凶器は、解かり合うという言葉とはむしろ真逆の結果をもたらすのだろう。 非殺傷設定など期待できる筈も無い。 ただ他人の存在を否定する為だけに用意された武器なのだ。 (……使わない) やはり、置いて行くことに決めた。 その判断は忌避や逃避の類いではなく、なのはの明確な決意の表れだった。 先程は適当に放り出そうとしたが、後で誰かがこの銃を拾い、別の誰かを傷付けないとは限らない。 砂の中に埋めてしまおうかと思い、広大な砂漠の方に目を向けた。 直後、なのはは振り向いた。 物音が聞こえたとか、魔力を感じたとか、そういう何らかの切欠があったのかどうかなのは自身にも判らない。 ただ直感的な動作だった。 森を背に、全身銀色の怪物が立っていた。 フェンブレンは、木立の中で呆然と立ち竦んでいた。 (一体、何が起こっている……!) 現状は全く彼の理解を超越していた。 ハドラーの命により死の大地の東南を警護していた自分が、何故この様な事態に陥ったのか。 否、彼だけではない。 あのYHVHだのサタンだのいう連中が現れた得体の知れない空間の中で、確かにハドラーの気配を感じ取ったのだ。 妙に暗がりではあったが、その姿を見たような気もする。 (ワシだけではなく、ハドラー様までこの事態に巻き込まれたと言うのか……) かつては魔王と呼ばれ、現在は魔軍司令の任に就くハドラー。 親衛騎団にとって創造主であり、絶対的忠誠を誓う君主でもある。 そのハドラーを容易く捕らえることが出来る者など限られている。 となるとこの事態は大魔王バーンの意向か、もしかすると冥竜王ヴェルザーの企みか。 何れにしても早計は禁物である。 速やかにハドラーと合流し、指示を仰ぐことがフェンブレンの義務だった。 とは言っても、ハドラー自身の身を案じている訳ではない。 案じる必要など無い。 彼がそこいらの有象無象に負けることなど万一にも有り得ないことだし、どんな危機的状況をも打破できる力があると信じている。 「ふん、ならば動くか」 フェンブレンは一人ごちると、腕を一閃させて傍らに置いてあった鞄を切り開いた。 どう動くにせよ、まず最初に手持ちのアイテムの確認をせねばならない。 とはいえ、鞄を逆さにしてぶちまけた数々の物品の中で、彼が必要とする物は名簿と地図だけだった。 オリハルコンから誕生した金属生命体には水も食料も不要であるし、全身が刃物であるが故に武器を頼みにすることもない。 そうして散らかした様々な支給品には目もくれず、まずは名簿を眺め──硬直する。 もしフェンブレンの頭部がヒムやアルビナスといった仲間達と同じ造りであったなら、その顔は驚愕に歪んでいたことだろう。 「アバンだと……!?」 想像もしていなかった名前が、そこには記されていた。 ダイやポップといったアバンの使徒、そして元百獣魔団長でありながら魔王軍を裏切ったクロコダイン、小賢しいばかりの司令補佐ザボエラ。 ハドラーも含め知っている名は幾つもあったが、中でもアバンだけは別格の驚きをもたらした。 (死んだのではなかったのか……!?) かつて魔王ハドラーを倒した人間の勇者。 しかしその後、デルムリン島の戦いにおいて復活したハドラーを前にメガンテを使用、死んだものと伝えられていた。 それが、生きていたというのだろうか。 今や魔王軍にとって最大の脅威となっているダイ達を育て上げた、ある種の伝説と化していたような男が。 フェンブレンは予想外の事実に暫し言葉を失っていたが、しかし、と思い直す。 (しかし…… ワシのやることに変わりはあるまいよ) 敵の首魁とも言える男が生きていた。 ならばこの世界にいる唯一のハドラー親衛騎団として、今度こそ確実な死を与えてやれば良いだけだ。 むしろ甲斐のある仕事が増えたと言ってもいいだろう。 (勇者アバンか。 腕が鳴るわ) どうせ知った名前は少ないので、名簿はもう必要無い。 フェンブレンは地図だけを片手に歩き始めた。 飛翔呪文トベルーラによる移動も考えていたが、生い茂る木々でハドラーを見落とすという万一の失敗を想定し、まず森を抜けるまでは足で移動することにした。 そうして、どれほど歩いただろうか。 木々の向こうに砂の大地が見えてきた頃、その手前に人間の少女を発見した。 (……アレも、この殺し合いとやらに招かれたのではあるまいな) 特に意識せず、木の陰に隠れるような位置から少女の背中を見据える。 どうやら自分の支給品を確認しているらしく、鞄の中から色々と取り出しているところだった。 どうでも良いか、とフェンブレンは踵を返す。 今の彼には目的があり、ザコ一匹に関わっている暇は無い。 (いや、だが) 去ろうとした足を止める。 後姿を見るだけでは何の変哲も無い人間の少女だが、本当にそうだろうか。 自分やハドラー、アバンなどといった一流の戦士が"殺し合い"の名目で集められたというのに、一方でただの獲物にしかならないであろう小娘を浚って来るという事は有り得るのだろうか。 外見では判らない何か特殊な資質を秘めているのかも知れない。 或いはYHVHやサタンについて、価値のある情報を持っている可能性もある。 (何も無ければ、殺せばいいだけか) それは本当に様々な可能性を考慮した上での結論か、或いは彼の嗜虐的な欲求を正当化する為の理屈か。 フェンブレンは再び少女に向き直り、何やら一人で大声をあげているその背中に歩み寄って行った。 背中に腕を突き付ける。 その状態で尋問する。 良い情報が得られなければ色々と痛い目に合わせ、さらに尋問する。 必要が無くなれば殺す。 考えるとも無しに脳裏に浮かんだ、簡素な予定。 それは一瞬後に破綻することになった。 少女が唐突にこちらを振り向いたのだ。 「!」 少女はフェンブレンの姿を見、目を見開いた。 銀色に煌く全身刃の怪人──その姿は人間からはさぞ脅威に見えることだろう。 しかし、少女の顔に浮かんだ驚きや動揺の気配は長続きしなかった。 少し経てば彼女は真っ直ぐな目でじっとフェンブレンを見詰め、 「あ、あの、わたし、高町なのはっていいます」 そんな風に話しかけてきた。 (……何だ、この小娘は?) フェンブレンは微かに苛立ちを覚えた。 先程、少女──タカマチナノハと名乗った──は背後から近付く彼の存在に気付いた。 硬質なオリハルコンの身体ではあるが、一介の戦士として気配を隠すことぐらいは出来る。 それがアバンの使徒ならまだしも、何の変哲も無さそうな小娘に悟られたのだ。 さらに、こちらを向いてからの反応も気に入らない。 弱者を痛めつける嗜好を持つフェンブレンからすれば、驚き戸惑い腰を抜かして悲鳴をあげる程度のリアクションがあれば内心楽しめるところだ。 しかし実際はその真逆、少女の対応は冷静なものだと言っても良い。 (ただの小娘ではないのか、やはり) 考えながら、なのはが抱えている物体に意識を向ける。 この形は、確か"銃"と呼ばれる武器ではなかったか。 実物をその目で見るのは初めてだったが、かつてアバンが製造した魔弾銃のことは、彼の弟子達に関する情報として親衛騎団全員が知るところとなっている。 「あ、あの」 なのはが何か言いかけた瞬間、フェンブレンは動いた。 両者の間にあった幾らかの間合いは秒も経たずに消え去り、一瞬後には超金属で出来た刃の腕が少女の首に突き付けられていた。 「小娘、貴様は何か知っているか? あのヤハウェだのサタンだのいう連中は何だ? この銃はどこで手に入れた?」 相手の言葉など無視し、一方的に問う。 なのはの顔にも流石に恐れの色が浮かび、喉元に迫った冷たい刃を見た。 しかしすぐにその視線をフェンブレンの顔に戻し、 「……あの人たちのことは知りません。 鉄砲は、鞄の中に入ってました」 微かに震えてはいるものの、ハッキリとした声音で答えた。 「本当か? 見ての通り、ワシの身体は全身がよく切れる刃物でな…… 指先だけでもこの通りよ」 突き付けた手からゆっくりと指を伸ばし、なのはの左頬に触れる。 そのまま柔肌に沿って動かすと、一筋の赤い線が後を引いた。 幼い顔が苦痛に歪む。 しかしそれはフェンブレンが期待するよりも遥かに小さな反応であり、なのはは尚も目を逸らすことなく「本当に知りません」と告げたのである。 (ほう……) フェンブレンは内心、感嘆の声をあげた。 小さく、か弱そうな見た目からは想像もつかない精神力。 本当に恐怖や危機感というものが無いならば、それはただ心の壊れた人間でしかない。 しかし未だ十歳にもならぬなのはは、恐怖を感じ、なおそれを乗り越える意志の強さを有しているのだ。 ……なんと、いたぶり甲斐のある娘だろうか。 しかし、と思い直す。 現在はゆっくり趣味に興じていられる様な状況ではない。 小娘で遊んでいる時間があるなら、一刻も早くハドラーを探すべきだろう。 本当に何も知らないのであれば、残念ではあるが、楽に死なせてやることにしよう。 フェンブレンがそう考えて腕を突き出そうとした瞬間、 「じゃあ、次はわたしが質問します」 なのはがそんなことを言った。 「な……に?」 「あなたは、その…… 殺し合い、をするつもりなんですか?」 フェンブレンは絶句していた。 相手に命を握られているこの状況で逆に問いかけるとは、彼の常識では考えられないことだった。 「もしそうなら、絶対にやめて下さい。 他の人とも、ちゃんと話せばなんとかなると思います」 「……ワシがどう動こうと、貴様には関係の無いことだ」 「関係あります。 わたしだって、ここに連れて来られたんですから」 まるで眼前の刃が見えていないかの様に、なのはの抗弁は早い。 フェンブレンの中には、彼女の正気に対する疑いすら浮かび始めた。 「みんなで力を合わせれば…… ユーノくんもいるし、外に連絡が取れればきっと逃げ出せます。 ヤ…… えっと、ヤハヴェ? さんもサタンさんも、どうしてこんな事をするのか、話を聞ければ……」 なのはは更に話を続けている。 その内容は聞き流しつつ、フェンブレンはほんの僅かな時間を思索に費やした。 今は親衛騎団として動くことに集中すべきである。 しかし個人的な嗜好からすれば、目の前の小娘に対する興味もまた捨て難い。 そのタフな精神が無残に崩れ去り、泣き叫ぶ姿を是非見てみたい。 「あと、それと……」 すぐに結論は出た。 行動目的を幾つか追加しつつ、後は運次第というところだ。 「あ、あなたの名前を教えて下さい」 その要求に、フェンブレンは低く笑った。 つくづく面白い小娘だと思う。 「いいだろう小娘。 ワシはフェンブレンだ、覚えておけ」 オリハルコンの腕が一閃した。 「う……ん」 数分後、草むらの中に伏していたなのはは唸りながら上体を起こした。 左頬にズキズキと重い痛みが残り、ひどく腫れ上がっているのが分かる。 フェンブレンと名乗った怪物の指で傷を付けられた後、さらにその腕で──刃ではなく側面の平面部で──強く打たれたのだ。 鏡を覗けば大変な有り様になっているだろう。 (でも……殺されなかった、よね) 自分の命が相手に握られている事はよく分かっていたが、それでも何か言わずにはいられなかった。 目の前にいる人(?)が他の誰かを殺し、誰かに殺されるかも知れない──そう考えると黙っていることなど出来なかった。 ユーノが見ていたら、無茶し過ぎだと怒るだろうか。 ぶたれて意識を失っている間に、フェンブレンはどこかへ行ってしまった様だ。 殺そうと思えば殺せた筈なのにそうしなかったのは、少しは想いが通じたのかも知れない。 (それに、名前も教えてくれたし。 へん…… ブレン? さん、だよね) 正確な名前は後で確認することにして、なのはは立ち上がった。 そこでふと妙な違和感を覚え、周囲を見回し、すぐにその原因に思い当たる。 銃が無かった。 (持って行っちゃったんだ……) 肩を落としそうになるが、今更どうしようもない事だった。 弾が入っていたかは判らないが、とにかくあの銃口が誰かに向けられない事を祈るしかない。 「……行かないと」 いつまでもここにはいられない。 ユーノを探し、殺し合いを止めなければならない。 どうやらフェンブレンは他の支給品には手を付けていないようだった。 放り出されたままになっている各支給品をデイパックに詰め直そうとして、なのははもう一つの事に気付いた。 奥にまだ何か入っている。 中身を調べた時は拳銃の方に気を取られ、どうやら意識がそちらに向かなかったらしい。 取り出してみると、それは液体の入った青い瓶だった。 円筒状の本体に奇妙な形の蓋が付いており、一見は香水か何かを思わせる。 底の部分に折り畳んだ紙がセロハンテープで貼り付けてあり、開いてみると簡単な説明が書いてあった。 『ポーション HPを50回復する ※飲み物です』 「……???」 今一つ解かり難い。 飲料であることはハッキリと書かれているが、どうにも飲もうという意欲を湧かせにくいデザインである。 なのはは暫くその真っ青な外観を凝視した後、意を決した。 蓋を取り、中にある液体を一気に喉に流し込む。 ……微妙な味だった。 (栄養ドリンクか何かかな…… でもこれから大変そうだし、力を付けておかないとね) どうにも誤った選択をしたという思いを捨て切れず、頭の中で理屈を付けて正当化しておく。 それから空になったポーションの容器も含め、目ぼしい荷物は全てデイパックに収めた。 何の役に立つかは判らないが、件の人形も手足が曲がり過ぎないよう注意して丁寧に入れておいた。 「う~ん、やっぱり重い……」 色々な物が入ったデイパックは、やはりなのはの小さな身体では少々きつく、学校の鞄の様にはいかない。 とは言え銃が一つ無くなったことを考えれば、最初の状態よりはマシになっているのかも知れなかった。 取り合えず、砂漠に対し右へ進んで行けばいつかは絶望の町が見える筈である。 なのはは幼い顔に決意を浮かべ、ゆっくりとではあるが、歩み出した。 頬の傷がずいぶんマシになっていることには、暫く気付かなかった。 【C-IV/森と砂漠の境 1日目 深夜】 【高町なのは@リリカルなのはシリーズ】 【状態】:疲労(小) 【装備】:なし 【道具】:共通支給品、蓬莱人形、ポーションの空瓶 【思考・状況】 基本行動方針:ユーノとレイジングハートを探し、脱出の方法を考える。 1;絶望の町へ向かう。 2:参加者を見かけたら協力を求める。 3:殺し合いに乗ろうとしている人は止める。 【備考】参戦時期は一期終了後、A s開始前です。 フェンブレンの名前と容姿を記憶しました。 【蓬莱人形@東方Project】 アリス・マーガトロイドが所有する人形。 アリスなら生きているように操ることが出来るが、彼女の手を離れれば只の人形。 「……幸先の悪い」 同じ頃、フェンブレンは真っ暗な山中に佇み、人間で言うところの舌打ちの様な仕草をしていた。 彼は飛翔呪文トベルーラを使用して北へ向かった。 しかし希望の塔とやらが眼下を通過し、高い山を越えようとした所でその効果は急速に失われていった。 本来の自分であれば、この程度の距離を飛んだところで魔力を使い切ることは無い筈である。 飛行中も妙な圧迫感の様なものを感じ、魔力を存分に消費できなくなっていた。 (呪文の効果を抑制する力が働いているのか…… つくづく面倒なことだ) とりあえず、当分は足を使うしかないだろう。 遠くに見える湖の様な大きな穴を眺めつつ、フェンブレンは高町なのはの事を思い返していた。 度胸がある、と見て良いのだろうか。 嗜虐趣味を持つ身で言うのも何だが、やや異常性を感じなくもない。 人間という生物を高く評価しているハドラーなら彼女の事を褒めるのかも知れない。 しかし他の親衛騎団はともかく、フェンブレンは彼に忠誠を近いつつも、その思想や価値観までそっくり自分のものにしようとは思っていない。 フェンブレンにとってなのはは、例えるなら調理の難しい食材と言ったところだろうか。 その分、料理として完成させ食したならば上質の味を楽しめそうだ。 『ユーノくんもいるし』 その言葉だけは明確に記憶している。 あの後なのはに支給されていた名簿を確認してみれば、確かにユーノという名前があった。 あの希望的観測に満ちた話の中でその名を挙げるということは、少なくともなのははユーノとやらを状況を打開する有力な戦力と見ているか、或いは個人的に信頼を置いているものと考えても良いだろう。 本当にユーノが使える者だったならば、ハドラーの前に引き立てて巧く利用するのが良いだろう。 しかしそれほどの価値も無いザコだった場合は……自分の趣味の方に利用させて貰う。 (己だけならば恐怖にも苦痛にも耐えられるかも知れん。 しかし目の前で他人が同じ目に遭わされるとなれば…… どうかな) もしフェンブレンの頭部がヒムやアルビナスといった仲間達と同じ造りであったなら、その顔は残酷な笑みに歪んでいたことだろう。 とは言え、この想定は全てが都合の良い方に流れた場合のものだ。 なのはもユーノも他の参加者に呆気なく殺されるという可能性の方が高いかも知れない。 親衛騎団としての己の立場も忘れてはいない。 なのはが抱えていた銃を奪って来たのは、これがアバン達が造った新武器であった場合、その威力や構造を調べておくべきだと思ったからだ。 まずは責務を優先させるべく、フェンブレンは北に向かって山を降り続けた。 【C-III/山中 1日目 深夜】 【フェンブレン@ダイの大冒険】 【状態】:健康、魔力消費(大) 【装備】:なし 【道具】:地図、トンプソン・コンテンダー(残弾0) 【思考・状況】 基本行動方針:ハドラーと合流し、指示を仰ぐ。 1:北へ向かって下山する。 2:参加者を見かけたら尋問して情報を集める。 3:アバンの使徒や仲間達は必ず殺しておく。 4:ユーノとかいう人間を探す。 5:全てがうまく運べば、なのはの前でユーノをいたぶってみる。 【備考】高町なのはとユーノ・スクライアの名前を記憶しました。 【トンプソン・コンテンダー】 衛宮切嗣が使用していた単発拳銃。 元々は狩猟用に開発された銃であり、改造によって30-06スプリングフィールドという大口径弾を撃てるようになっている。 ※C-IVの森の中にフェンブレンの支給品(共通支給品、未確認×3)が放置されています。デイパックは切られて使い物になりません。
https://w.atwiki.jp/japan-twitter/
2011年 異性に対してのあがり症克服術 #bf #bf #bf 本日 - 昨日 - ※当HPの無断転用・転写は禁止ですので絶対にしないように見つけ次第、厳重注意します。
https://w.atwiki.jp/lovebianca/pages/35.html
尋さん 文月さん 「こ、これは・・・まさか・・・・・・」 リュカは己が右手に握られた白き秘宝を見つめ、呟く・・・ 結婚なんてそのようなものだ―――― そんな言葉が頭を廻っていた。そう自分に言い聞かせて。 天空の盾を求め訪れた町で、いつしか自分は結婚の為の冒険へと目的を移すことになる。 別にフローラのことが嫌いなのではない。寧ろ過ぎた位の女性だ。 彼女をひと目見たときから、心の奥に懐かしい何かが揺れ動くのを感じていた。 それは同時にもう一人の少女を思い出すきっかけとなった事は、言うまでも無く・・・ 「ビアンカ・・・!」 静寂だけが辺りを包む―――― そこには誰もいない・・・。 山奥の村にある、ひときわ立派な一軒家。僕はひとり立ち尽くした。 水のリングを求め立ち寄った村で、不意に幼馴染の名を耳にする。 アルカパで出会いそびれたときの寂しさは、いまでも心にのこっている。 それからだろうか、自分でも信じられないくらいの勢いで脇目も振らずに駆け出していた。 「ビアンカ・・・!」 僕は、どうしてしまったのだろうか・・・? ただ立ち尽くす家の中で、僕は自分に呟いた。 なぜ、ここまで走ってきたのか。なぜ、こんなにも胸が高鳴るのか。 なぜ、会えないことがこんなにも辛いのか・・・。 それでも、動揺する心を鎮め辺りを見回しリュカは気がついた。 幼き頃、アルカパの宿屋で見た花束が壁に掛けられている事に。 「そうだ間違いない。彼女はここにいる。」 少し落ち着きを取り戻したリュカは、彼女の部屋をゆっくりと見回した。 彼女の本棚を、暖かな陽の指す窓際を、飲みかけのティーカップを、 衣服の収まった大きなタンスを・・・、 「タ、タンスかよ・・・!?」 つい、いつもの癖で開けてしまった。気がつけば物色もしているではないか。 「フ、フフ・・・。僕ってホント、冒険者気質だよなぁ。」 大丈夫。自分を慰める術は完璧だ。このまま下の段も・・・・・・ 「・・・!!」 僕は驚愕した。全身が激しく震えるのが自分でも理解できる。 「こ、これは・・・まさか・・・・・・パ、パ、パ、パンチィーか?」 発音さえ流暢になるほど、僕は己が右手に握られた白き秘宝を見つめ呟いた。 白く美しく、小さなリボンがちょっと幼さを醸し出していて・・・たまらない! 広げてみる。陽に透かしてみる。嗅いでみる。舐めて・・・・・・ 「おや、そこに誰かいるのかね・・・?」 リュカは硬直した。ビアンカの父親、ダンカンだ。 おのれダンカン、いいところで・・・!リュカは下着を強く握り締めた。 「も、もしかして・・・パパスの息子のリュカか?生きて・・・・・・」 奴の言葉などは、最早どうでもいい。この場は何とかしないと・・・・・・ 「お父さん、ただいま~」 早っ!・・・最悪だ、ここでビアンカまで帰ってくるとは。 「おお、ビアンカ。リュカだよ、リュカが生きて・・・・・・」 「え、リュカ? 本当にリュカなの・・・?」 や、やめろ! 僕を見ないでくれ!! な、何か隠れる所は・・・隠せるものは・・・・・・ 顔を・・・・・・・・・・・・。 私は、どうしてしまったのだろうか・・・? 腰が抜け、しゃがみこむ自分に私は呟いた。 なぜ、こんな事になったのか。なぜ、こんなにも怯えているのか。 なぜ、リュカに逢えたはずなのに・・・。 それでも動揺する心を鎮め、リュカに問い訊ねる。 「あ、あの・・・どこのチマキ星の方ですか?」 ・・・!! わ、私ってば何を言っているの!? 「残念。それは私のマダオだ・・・・・・」 ・・・わからない。何を言っているのか。そもそもマダオって・・・ 「マダオとは、『まるでダンディなおいなりさん』の略だ」 ・・・読まれてる?心の中を!? ・・・いや、そうじゃなくて・・・ 「どうしたんだいビアンカ? 幼馴染のリュカじゃないか・・・?」 お父さんは黙ってて! そもそも、これのどこがリュカよ!? なんで、そんなにマジマジとマダオを見てるのよっ!? ・・・って、なんで頬を赤らめているのっ! 心なしか息遣いも荒いし!! やめて、お父さん。 その人は・・・その人は私たちの・・・・・・ ・・・私たちの知ってるリュカでなく・・・お父さんと同じ変態さんなのよ! 「・・・ほうら、おいなりさんが太巻きになった」 「いやあああああっ!! へ、変態っ!!」 や、やめて! こっちにこないで!! ふたりとも。 な、何かいい方法は・・・あの変態をどうにか・・・・・・ 何か・・・・・・・・・・・・。 「リュカ・・・どうして・・・・・・」 ビアンカはリュカを見つめ、呟く・・・ 再会はきっと素晴らしいものに―――― そんな期待が胸で踊っていた。そう、昨日までは。 この状況を打破するために見上げたその先で、ビアンカはリュカの顔に目を移した。 そして気付いてしまった。・・・・・・ある事に。 これを言ったら全てが終わってしまうと感じていた。 一人の少女の秘めてた想い、それでも言わずにはいれなかった・・・ 「そ、それ・・・お父さんのパンツ・・・・・・」 静寂だけが辺りを包む―――― そのマダオ(まるでダメなオトコ)は、もうピクリともうごかない・・・。 山奥の村にある、ひときわ立派な一軒家。私はひとり立ち尽くした。 何か、そばで必死になってる赤い(頬の)豚もいるが気にしない。 「リュカ・・・私たちどうしてこんな事になっちゃったんだろうね・・・・・・」 ビアンカはリュカ(だったもの)を見つめ、小さく呟いた・・・ 彼女は最大級の火炎呪文を放ち、燃え盛る家を後にする。 想い出の町、アルカパで出会わなくて良かったのかもしれない。 想い出は美しいままで。 もう振り返ることも無く、母親の眠る墓に向かって歩き出していた。 「・・・さようならリュカ。 ・・・さようなら幼かった日の私。」 テレレテッテッテッテ~~ッ♪ ビアンカはザラキをおぼえた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/820.html
第三話 『出会いのち晴れ間』 不意に目が覚めてしまった。窓の外を見るとどんよりと曇っている。一雨来るか、と考えながら身を起こす。背骨が小気味良い音をたてながら伸びた。 時間は・・・まだ大分早いようだ。もう一眠りしようかと思ったが、またあんな姿勢で眠ったらそれこそ背骨が歪みかねないと思い直し、洗濯カゴをひっ掴みルイズが脱ぎ捨てた衣類をまとめて外に出た。 「さて・・・出たはいいが場所がわからないな・・・」 監獄にも洗濯所はあったがあいにくここは魔法学校なのだった・・・。 「とりあえずぶらつきがてら、な」 階段を降りて寮の出口に立つ頃には結構な雨が降り始めていた。しかしウェザーは気にした素振りもなく外にでる。しばらく歩いていると黒い給仕服を着た少女が目についた。 (ちょうどいいから尋ねてみるか) ウェザーはその少女の肩を叩いた。一瞬びくりッと肩を震わせたがすぐに振り向いてくれた。だが心なしか警戒しているのが見てとれた。 「あ、な、なんでございましょうか?」 「すまないんだが洗濯できる場所を聞きたいんだ」 「洗濯・・・ですか?」 「ああ、ルイズって魔法使いに頼まれてな」 それを聞いた少女は納得したらしく、微笑んだ。 「じゃああなたがミス・ヴァリエールの使い魔の・・・」 「知っているのか?」 「ええ、平民を呼び出したと噂になっていますから。私はシエスタと言いまして、ここでご奉公させてもらっています」 「俺はウェザー・リポート。ウェザーでいい・・・」 やはり平民の使い魔は珍しいのか。もっとも、俺は平民じゃないがな。 「それで、洗濯でしたよね?でしたらご案内しますわ」 「そうか?すまないな」 親切な娘だな。そのままついていき、ついでに洗濯まで手伝ってもらってしまった。さすがに悪いな・・・ 「でもあいにくの天気で残念ですよね」 洗濯も終わり簡単な世間話(とは言ってもウェザーはこちらのことを知らないので殆んど聞き手に回っていた)をしているとシエスタが窓を見ながら呟いた。 「確かにな。これも陰干しか。・・・乾くか?」 水気を切った洗濯物をカゴに詰めてシエスタを見ると、嫌な汗をだらだらと垂らしながらカタカタ震えていた!ゲドゲドの恐怖面とでも言えばいいのだろうか? 「どうしたシエスタ?」 「わ、私・・・洗濯物を取り込まなければならなかったんです・・・貴族様に頼まれたもので・・・雨が降るからって・・・すっかり忘れて・・・」 「何?」 「失礼しますッ!」 弾けるように飛び出したシエスタの背をしばらく見ていたが、ゆっくりとウェザーは立ち上がった。 シエスタは焦っていた。ウェザーとの会話に夢中になるあまり仕事を忘れてしまうなんて!と。 しかもまだ料理長たるマルトーからのものだったら頭を下げれば笑って許してくれるだろ。しかし・・・しかし今回は貴族様から頼まれたのだ。明日までにと再三言われたのだ。もしこれで雨の中放り出してあったなどとバレればただではすまない。 「ひっ・・・く・・・あ」 慣れない全力疾走に肺がひきつる。脇腹が痛い。喉がおかしい。足がもつれる。 正直もう間に合わないだろうとはわかっていた。 けれど、一縷の望みに賭けずにはいられなかった。きっと大丈夫。ほんの少し濡れた程度なら室内で火に近づければなんとかなる! だが、もう手遅れなら?太陽が出てるならともかく、こんな天気じゃ無理だ・・・ 最後の角を曲がり扉の外を見ると―――― 「・・・ふふ・・・当然ですよね・・・」 竿にかけられた洗濯物は見事にずぶ濡れだった。シエスタが俯くと足下に涙がこぼれた。 「どうした?」 不意に後ろからかけられた声に振り向くと、ウェザーが立っていた。ウェザーはシエスタ見、後方の洗濯物を見た。 「・・・俺のせいか・・・」 「いえ・・・いえ、私が忘れたのがいけないんです」 だからお気になさらずに。そう言おうとした所で肩を掴まれた。ビクリとしてウェザーを見るとモノスゴク顔を近づけてきた。 「晴れれば、大丈夫か?」 何を言っているのかわからなかった。 「・・・ええ。でも、今日はもうずっと雨ですよ」 「そうか。なら君は『ついてる』な」 ウェザーに肩を回され再び外を見ると―― 「ウソ・・・」 パアァァァ 何と晴れ間が見えているではないかッ!それも洗濯物のところだけに暖かい陽射しがッ!一体何が起きたのだろう?まさか―― 「ウェザーさん?」 再び振り向いたとき、すでにウェザーの姿はなかった。 部屋に戻ったウェザーがまずしたのはルイズを起こすことだった。 最初に声をかけたが起きない。次に揺すってみるが唸るだけ。そして最後に彼がとった行動とはッ!洗ったばかりの洗濯物をルイズの顔に『貼り付ける』ッ! 「む・・・ぐ・・・ぅん・・・・・・ぷはぁっ!」 ルイズが呼吸ができずに跳ね起きると同時に洗濯物をカゴに放り投げる。 「お早うルイズ」 「ちょ、何か息苦しかったんだけど!」 「うなされていたからな。悪夢でも見たか?」 「え?う~ん・・・そう言われるとそうかも・・・」 ルイズはあっさりと丸め込まれた。しかし『試練』はこれからだった! ベッドから降りたルイズはネグリジェを脱ぎながら「服」と指示を出すので制服を取って投げる。 「下着」 「・・・自分でやれ」 「いーから!クローゼットの一番下!」 「・・・」 下着を取って投げる。その際にルイズの体のラインが確認できたが、机の上の花瓶のほうがグラマーってどうだ? 「着せて」 「・・・拒否権は?」 その問いにルイズは憮然とした上目遣いで答えた。拒否権はないらしい。仕方なく着せる。 「しかし貴族ってのは自分の管理もできんのか?」 「下僕がいる時は下僕を使う。これ貴族の常識よ?ま、アンタは平民だから知らないか」 着替えを終えたルイズと廊下にでると別のドアが開き、中から赤髪の女が出てきた。背が高く彫りの深い顔立ち。スタイルは花瓶なんぞ相手にはならなかった。しかもその胸元がこぼれるギリギリまでボタンを開けている。 何から何までルイズとは対照的だった。 「あら、お早うルイズ」 「お早うキュルケ」嫌そうな顔のルイズ。 キュルケと呼ばれた女がウェザーを見ると、バカにしたように笑う。 「あっはっは!あんたホントに人間の使い魔呼び出したのね!しかも平民!さすがゼロのルイズ!」 ルイズが急にムキになる。 「うるさいッ!」 「使い魔っていうのはね・・・こういうのを言うのよ!」 キュルケが指を鳴らすとキュルケの部屋からのそりと、真っ赤なトカゲが現れた。デカイ。監獄にはワニもいたがそれより二回りはデカイぞ。何より尻尾が燃えているのが一番驚いた。 「サラマンダー?」 ルイズが悔しげに尋ねた。 「そうよー。見てこの尻尾!これはね・・・」 嬉しそうに自分の使い魔を自慢するキュルケにルイズは歯軋りをするばかりだ。対抗心からかキュルケが胸を張ると自分も負けじと胸を張り返すが、花瓶に劣る凸凹では勝負にはならなかった。負けず嫌いなのだろう。 キュルケはルイズを適当にあしらうとこちらを見つめてきた。 「あら、こうしてちゃんと見るとハンサムね、カッコイイわ。ルイズに飽きたらこの『微熱』の所にいらっしゃいな」 そうは言ってもどこか見下したふうな物言いだった。そのままキュルケは颯爽と去り、サラマンダーが後をちょこちょこついていった。不覚にも可愛いと思ったのは内緒だ。 「ムキー!なんなのよあの女!アンタも絶対アイツになびいちゃダメだからね!」 「それは無理な相談だな。お前とアイツじゃ比べるべくもないだろう?」 「うるさいッ!」 「しかし・・・奴の二つ名が『微熱』なのはいいが、お前の『ゼロ』はなんだ?」 すると途端にルイズはバツが悪そうになり、視線を外してしまった。 「知らなくていいことよ」 「・・・そうか」 ウェザーは追及しなかった。別にどうでもよかったし、ルイズも踏み入ってほしくはなさそうだからだ。 「なら早く食堂に行くわよ!」 トリステイン魔法学校の食堂はバカでかかった。監獄の施設のどれよりもデカイんじゃないかと言うぐらいに。その中には百人は座れるテーブルが三つ、その上には豪華絢爛な食事が並んでいた。 「ほぉー。大したもんだなコイツは」 ウェザーの感嘆を聞いたルイズは自分の手柄のようにふんぞり返っている。 「ここで学ぶのは魔法だけじゃないわ。貴族としての教育も受けるのよ」 「確かに、貴族って感じの食卓だな。で、俺たちの席は?」 待ってました!と言わんばかりにルイズが目を光らせた。 「わたしはココ。アンタはソコ」 指差した床には皿が一枚。「あのね?ほんとは使い魔は外。アンタはわたしの特別なはからいで、床」 「・・・・・・・・・」 ウェザーは黙ったまま床の皿を見つめる。チラリと、ルイズの食事を見たが観念したらしい。床に座り粗食を口に運ぶ。 「ふっふ~ん♪」 勝ち誇ったルイズは上機嫌で席につき、祈りを唱和してパンを頬張る。 「って、なにこれ・・・ふやけてるじゃない!ワインも水っぽいし、食品管理がなってないわよ!」 「そうだな・・・『湿気』には気を付けたほうがいい・・・特に生物は」 後ろでウェザーが何か言っている。何だか呪詛みたいでルイズは一気に食欲をなくした。 本当はルイズが後ろを向いてる間に『ウェザー・リポート』でルイズの食事にだけ雨を降らせたのだ。もちろんルイズは気付かない。 腹いせがすみ粗食を再び食べ進んでいると、どこからかガラスの割れる音が聞こえてきた。何事か叫んでもいる。 「君のせいで二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」 何が貴族の教育だ。ただの調子に乗ったジャリガキどもの巣窟だなコリャ。などと呑気こいていたウェザーももう一つの声に思わず立ち上がってしまった。 「も、申し訳ありませんミスタ・グラモン!」 シエスタ?何事だ? 「謝ったところで彼女たちの名誉は戻らない!落とし前はつけてもらわないとなぁ・・・」 恐れおののいて土下座しようと膝を折ったところでウェザーに止められた。そのまま引っ張られてウェザーに抱かれるように庇われる。 「君は・・・ああ、あのゼロのルイズの平民使い魔か。あいにくとおよびじゃあないんだ、どきたまえ」 バカにしたようなニヤケ面で命令してくる少年に対してウェザーは無表情のままだ。 「耳が聞こえないのかい?それとも君が代わりに落とし前をつけるのかい?」 「ああ」 一瞬周りがザ・ワールドしたがすぐに大爆笑となった。 「あっはっはっは!君、落とし前は『決闘』だよ?平民風情が僕と決闘できるのかい?」 「場所はここでか?」 「・・・いや、ここは決闘には相応しくない」 いたってマイペースなウェザーに少年もイラッときたのか憮然として言い放った。 「ヴェストリの広場で待っている」 少年の取り巻きたちが一斉に騒ぎだして少年の後を追っていく。一人だけこちらを見ているのはどうやら見張りらしい。 「う・・・ウェザーさん・・・あなた殺されちゃう・・・」 シエスタはそれだけ言うとウェザーの腕から逃れて奥に消えていった。 「ちょっとアンタッ!何したかわかってるのッ!」 「広場はどこだ」 ルイズの怒声をスルーしながら見張りに聞く。先に歩き出したということはついてこいの意味らしい。 「無視すんなーッ!本当にアンタ死ぬわよ!」 するとウェザーは立ち止まり首だけ振り返る。 「それが望みだろう?」 するとまた歩き出していってしまった。 一人残されたルイズは呆然としていた。 「アイツ・・・死ぬ気?」
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/962.html
―――とあるパブにて 「お、こんな時間に軍人さんかい、珍しいな、何飲む?」 「ウイスキー、水割りで」 「了解」 「…」 「…」 「はい、どうぞ」カチャン 「ん」ゴクゴク 「…お前さん、天災のウィッチ、って知ってるか?」 「……いんや、聞いた事ねえな、詳しく聞かせてくれよ」 「ああ、構わんよ。最初に言っとくが”てんさい”っつっても黄の14や黒い悪魔とかとは別の、災害を意味する方の天災なんだけどな 何でもなぁ、そいつはウィッチの中でも珍しい男なんだとよ 扶桑のでっけえ船を使って欧州各地をぶらぶら放浪してて、どこからともなく戦前にいきなり現れちゃあネウロイを一掃して消えちまうらしいんだ」 「ふぅん…ミラージュウィッチーズみたいなもんか」 「ハハハ、違うな、ミラージュウィッチーズが伝説なら、天災は噂の域だ」 「……噂、か」 「それに、どうもそいつからはあまり良い噂を聞かなくてな… ネウロイを撃墜するだけならともかく、関係の無い民家やウィッチ達を巻き込む事もあるらしい」 「それですぐ消えちまうって訳か…たしかに、天災だな」 「ああ、ホント天災だよ、ロマーニャ人にとっちゃ害悪以外の何モンでもねぇ」 「害悪ねぇ…」 「……そういやお前さん、よく見てみれば扶桑の軍服じゃないか、こんな所まで大変だねえ」 「ああ、まぁな」 「いいねえ、やっぱよ、ストライカーユニットの整備とかしてたらウィッチとお近づきになれるもんなのか?」 「んあ? 俺は整備兵じゃねーよ」 「え? だったらもっとお偉いさんだったかい?」 「ハッ、偉い事に変わりはねぇな。俺はな……ウィッチだ」 「…ハハハハ、扶桑人にしちゃレベルの高いジョークだな」 「ジョークのレベルをもう少し上げてやろうか?」 「は?」 「俺がその害悪だ、糞ったれ」 「…」 「ウイスキー、おかわり」 「奢らせてもらいます」 ―――数日後、海上にて 坂本「く…まだ沸いてくるか!」 エーリカ「ぜんぜん減んないよー」ババババババババ リーネ「弾数残り僅かです!」 シャーリー「糞! どんだけ沸いてくんだ!」 ミーナ「…不味いわね」 坂本「ああ、徐々に戦場をロマーニャ方面に動かされている。このままじゃ町を襲撃されるのも時間の問題だな」 ミーナ「ええ…でも…」 坂本「分かってる。諦めたりするものか、ここで何としても食い止めるぞ」 ミーナ「…そうね」 エイラ「駄目だ! キリが無い!」 サーニャ「ロケット弾もうありません!」 ルッキーニ「ハァ…ハァ…」 ミーナ(だけど皆の体力を考えてもここに居続けるのは―――万が一誰か怪我でもしたら) ミーナ(でも、それじゃ少なくともロマーニャに被害が…) バルクホルン「く…! 撃ちもらした!」 エーリカ「ミーナ! 危ない!」 ミーナ「へ?」 ミーナ(はさまれた!? 早くシールドを…駄目、間に合わない…!?) 「―――ロケット花火」 ミーナ「な!? きゃあ!」ドゥーン 坂本「ミーナ!!」 バルクホルン「ネウロイを吹っ飛ばした…?」 エーリカ「だ、誰?」 サーニャ「…上空に反応あり、ネウロイじゃありません!」 「ぼさっとしてる暇があったらシールドでも張ってろ愚図」 そんな声が聞こえた。 思わず見上げようとすると、ソレは太陽を下に火を噴きながら高速で急降下し、敵陣に突っ込んだ。 敵の増援か、とは思わなかった。 何故なら一瞬だがストライカーユニットの側面に扶桑のエンブレムを確認出来たからである。 坂本「何だ!?」 「鼠花火」 そう呟くとその男を取り囲むように、まるでガソリンでも撒き散らしたかのように炎が噴出した。それは一瞬で男の姿を視界から遮る。 まるでフラフープのようだ、と坂本は思ったがそんな可愛い物では無いとすぐさま思い知らされた。 摂氏3500度にも及ぶフラフープはゴゴゴ、と酸素を吸い込む轟音とともにそのまま範囲を広げ、ネウロイ達、そしてウィッチ達をも巻き込んだ。 シャーリー「あちちちち!」 バルクホルン「誰だか知らんが周りの事も考えろ!!」 男がいた中心部は太陽のように白く輝き、まともに目視出来るものではなかった。 しかし、その輝きこそが爆炎の激しさを物語っている。 サーニャ「ネウロイの反応、消えていきます!」 ペリーヌ「ネウロイが退いていきますわ…」 宮藤「い、一体誰なんでしょうか?」 ネウロイの大群がいなくなった事を確認すると、男を取り囲んでいた爆炎も消えウィッチ達はその男の姿を確認する事が出来た。 扶桑皇国の海軍の制服を着ているようだ。 だが、坂本とは違いその制服のボタンは上から下まで一つも閉じられておらず、ばたばたと風に揺られている。 そして、何よりウィッチ達の目を惹きつけたのは片手で肩に背負うようにした長い棒。その全長はゆうに男の二倍を超えるだろう。 どこの不良だ、と坂本は思った。 「――――――かませ犬にしちゃあ、上出来だ」 呆然としていたウィッチ達を他所に男はそう、どこか楽しげにそう呟いた。 一時はあっけに取られたミーナだが、何とか冷静を装い男に尋ねた。 ミーナ「…救援を感謝します。あなたは何者ですか? 所属と階級、氏名を述べて下さい」 花火「名前は…花火だ。階級は大佐。所属は今日からこの、501だ」 ―――帰還中 バルクホルン「おい貴様、ネウロイを撃墜するのはともかく何だあれは、私達まで落とす気だったのか」 花火「あん? 誰だ」 バルクホルン「…ゲルトルート・バルクホルン、階級は大尉だ。それよりさっきの質問に答えろ」 花火「…確実にネウロイを堕とすにはあの程度の火力は必要だ。それにお前らははあれで落ちる訳でもねえだろうが」 バルクホルン「たしかにそうだが…それでも配慮という物があるだろう」 花火「んなもん、面倒だ…」ブゥン バルクホルン「貴様、どこに…」 花火「触れんな」スッ バルクホルン「なッ…何だその態度は!!」 エーリカ「まぁまぁトゥルーデ、さっき会ったばっかで階級も上なんだし、ね?」 バルクホルン「たしかにそうだが…」 花火「…余計な真似すんじゃねえよ」 エーリカ「」ニコ バルクホルン「…?」 ―――基地 宮藤「てんさい…ですか?」 坂本「ああ、それが奴に付いた通り名だ」 エイラ「あ、聞いた事あるぞ」 ペリーヌ「わたくしも噂だけなら…」 ミーナ「私も聞いた事はあるけど…知り合いなの?」 坂本「直接会った事は無いが艦は違えど所属が同じ遣欧艦隊なもんでな、噂はよく聞いていた」 宮藤「噂?」 ミーナ「たしか、急に現れてはネウロイを全滅させてすぐ消えてしまう…だったかしら」 ペリーヌ「それに撃墜数は五百機を越えているとか…ま、所詮噂ですからあてになりませんけど」 宮藤「何だかかっこいいですね、それに撃墜数五百って…」 坂本「それだけなら良いんだがな…奴は周りを気にしなさすぎなんだ」 宮藤「え?」 ペリーヌ「あの時も見たでしょう宮藤さん? わたくし達がシールドを張ってなかったら今頃大火傷ですわ」 エイラ「シールド張っても煤まみれになっちゃったけどナ」 ミーナ「酷い時は火事も起こした事があるそうね…もう少し周りに目を配っていれば天災、なんて呼ばれなかったと思うんだけど…」 宮藤「え? え? てんさいってそっちの意味だったんですか? てっきり凄く優れたウィッチなのかと…」 坂本「いや、そっちの意味でも間違いでは無い…と思う」 宮藤「えええ?? どっちなんですか?」 坂本「天災と天才、両方の意味を掛けてるらしいと私は聞いたんだが…詳しい事は私もよく知らん」 宮藤「うー…何だかややこしいですね」 エイラ「そう言えばその当の本人はどこ行ったんだ? 挨拶もせずに」 ペリーヌ「たしかにハンガーから出てったきり見てませんわね」 坂本「あいつなら風呂だ。私も止めたんだが入らなければ死ぬとか言い出してな…一応入れといた」 ミーナ「就任早々何考えているのか…頭が痛いわね」 ―――風呂 花火「ふぅ…まさか風呂があるとはな…」カポーン ガラララ シャーリー「よお! 花火!」 花火「………誰だお前」 シャーリー「あれ? 反応薄いな」 花火「まぁな」 シャーリー「入るぞ」チャポン 花火「……おい」 シャーリー「え?」 花火「さっきあったばっかの見ず知らずの男が風呂に入ってんだぞ、警戒のけの字もねえのかお前には」 シャーリー「そうだなー、警戒は一応してるぞ? ちゃんとタオル巻いてるしな!」 花火「そうかい、じゃあ何で入ってきた」 シャーリー「ちょっとお礼が言いたくてな」 花火「…」 シャーリー「ロマーニャはな、ルッキーニの故郷なんだよ」 シャーリー「あ、ルッキーニってのは髪の毛を両サイドで結んだちっちゃい子なんだけど」ブク シャーリー「今日結構私達危なかっただろ? あのままだとルッキーニの町がネウロイに襲われてたかも知れないんだ」ブクブク シャーリー「でもそこにお前が助けに来て…」ブクブクブク シャーリー「熱!!」バチャン 花火「あ、悪りい、ちょっと温度上げすぎた」 シャーリー「お、お前そんな事まで出来んのかよ…」 花火「礼は受け取った、さっさと出ろ」 シャーリー「はぁ…分かったよ、邪魔して悪かったな」 花火「ああ、邪魔だ邪魔、どっかいけ」 シャーリー「はいはい」 ―――数時間後、花火部屋 花火「眠…」 バルクホルン「おい、夕飯だ起きろ」ガチャ 花火「ん、ああ」 バルクホルン「全く…自分の階級を考えろ、貴様はそれでも大佐か」 花火「生憎これで大佐だ。お前の上官になる」 バルクホルン「…そんな事、わざわざ言われなくても分かっている」 花火「それよりも夕飯だったな」 バルクホルン「ああ、さっさと着いて来い」 ―――食堂 花火「こいつは…」 宮藤「あ、出身が扶桑って聞いたから扶桑料理多めにしてみたんですが…」 花火「…戴きます」カチャ 宮藤「ドキドキ」 花火「モグモグ」 宮藤「ドキドキ」 花火「モグモグ」 エイラ(…何か喋れよ) リーネ(あ、納豆も食べてる…やっぱ扶桑だと平気なのかな) 宮藤「あの、おいしいですか?」 花火「モグモグ」 宮藤「ショボン」 バルクホルン「おい貴様! 宮藤の質問に答えたらどうだ!」 花火「モグモグ」 バルクホルン「ッ…貴様!」 花火「バリボリ」 リーネ「バリボリ?」 宮藤「別に魚の骨まで食べなくても良いんですよ!?」 花火「…ゴクン……お茶だ」 宮藤「は、はい!」 坂本「良い顎をしてるな…」 バルクホルン「…」イライラ サーニャ(…ねぇエイラ、あの人は) エイラ(サーニャは近づいちゃ駄目だぞ) 宮藤「はい、どうぞ」コト 花火「ん」ズズズ 花火「ふう………ご馳走様」 宮藤「…あ、どうも…」 バルクホルン「おい、他に何か言う事は無いのか!?」 花火「何だ? デザートまで用意してんのか?」 バルクホルン「ち・が・う!! あれだ…こう…おいしかった、とか…とにかく色々あるだろ!」 花火「そいつぁお前の感想だろ、自分でその宮藤ってのに伝えたらどうだ」 バルクホルン「違う!! からかうのもいい加減にしろ!!」」ガチャン サーニャ「きゃ」 エイラ「アッチデヤレー!」 坂本「おい、バルクホルン」 バルクホルン「もう我慢ならん! 営倉にぶち込んでやる!」 花火「ハッ、やってみろよ!」 宮藤「バ、バルクホルンさん落ちついて…」 ミーナ「もう! やめなさい二人とも!!」 ミーナ「バルクホルン大尉、あなたはとりあえず頭を冷やしなさい」 バルクホルン「う…」シュン ミーナ「花火大佐、あなたはバルクホルン大尉に謝りなさい」 花火「別に俺は悪い事なんて」 ミーナ「謝りなさい」 花火「…嫌だ」 シャーリー(マジか…否定しやがったよあいつ) ルッキーニ(私しらないよ!) ミーナ「…そうですか、だったら今日はもう部屋に戻って寝なさい」 花火「…りょーかい」 「「「…」」」 ミーナ「…ハァ」フラ 坂本「おい、大丈夫かミーナ」 ミーナ「え、ええ、大丈夫よ。ちょっと頭が痛いだけ…」 坂本「全く…あいつは何を考えているんだ…」 エイラ「…隠者の逆位置か」ペラ エーリカ「…」 ―――夜、バルコニー 花火「…………で、どうしててめえがここにいる」 エーリカ「それはこっちのセリフだったりして。部屋に戻るんじゃないの?」 花火「ハッ、そんな馬鹿正直に戻ってられっかよ。それより俺の質問に答えろ、どうしてここに来るのが分かった」 エーリカ「勘かな」 花火「勘か、すげえな、その勘で今まで何機のネウロイを殺してきたんだろうな、黒い悪魔」 エーリカ「…嫌な言い方すんなよ」 花火「本当の事をそのまま伝えただけだろ?」 エーリカ「むぅ…まぁ今はいいや、実はキミにちょっとした用があってね」 花火「ああ? 用?」 エーリカ「うん、今日さ、ミーナが危なかった時助けてくれたでしょ? あのままだったら絶対怪我してたと思うんだよね。だから助けてくれて有難う」 花火「また礼か…」 エーリカ「え? またって?」 花火「いや、何でもねえよ」 エーリカ「あ、それとさ、帰還する時トゥルーデを遠ずけたよね、あれも実は怪我させないためだったりしない?」 花火「…ちげえよ、愚痴愚痴とうっとおしかっただけだ」 エーリカ「別に照れなくて良いって~。あの時さ、キミの体は凄く熱くなってたでしょ? だから触ると危険だからーとかじゃないの?」 花火「な…どうしてそこまで分かる」 エーリカ「ニャハハ、私って結構空気の流れとかに敏感だからさ、分かっちゃうんだよね」 花火「……苦手以上に、厄介だなてめえは」 エーリカ「酷い事言うなーもう。ま、言いたい事は言ったし、私はそろそろ寝るね?」 花火「勝手に寝ろ、二度と起きてくんな」 エーリカ「素直じゃないね、そんなんじゃ疲れちゃうよ?」 花火「…」 エーリカ「ありゃりゃシカトだよ。まぁ、おやすみ」 エーリカ「あんまりトゥルーデやミーナを苦労させんなよな」 花火「…分かってる…分かってんだよ俺がどんなに迷惑掛けてるかなんて……」 花火「でも今そうしとかないと…いつか折れる」
https://w.atwiki.jp/infinitynet/pages/159.html
登場LBX AX-00 アキレス アマゾネス(Lマガの表紙) ウォーリアー(Lマガの表紙) オルテガ(ジョン専用) タイタン(Lマガの表紙) タイタン(ポール専用) デクー ハンター ムシャ キャラクター 青島カズヤ 川村アミ 山野淳一郎 山野バン 店長の豆知識
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/644.html
涼宮ハルヒの出会い 『アイツノソンザイ』 「おまたせー!皆朗報よ!聞いてちょうだい!」 またか…何度も何度も自分に言い聞かせるようだがいつ聞いてもいやだな… いつからだろうな…朗報という言葉に嫌気を感じるようになったのは… 「今度はなんだ?」 「あっキョンいたの?聞いてちょうだい!」 いたの?じゃないだろ!俺がいるから言ってきたんじゃないのか? 今日は俺だけの参加のはずだぞ? 「お前な…朝比奈さんたちは今日は不参加って聞いてなかったのか?つまりだな…」 「分かってるわよ!もうちょっとした冗談じゃない!いちいちつっこまない!」 俺がつっこまないなら誰がつっこむんだ… なんて事は言わない方がいいよな、まぁなんだ話だけは聞いてやるか 「で何だ?」 「あっそうよ!聞いて頂戴!本当は皆がそろってるときがいいんだけど今日は仕方ないわ」 「我がSOS団が結成されてからどれくらいたったか覚えてるかしら?」 そういやこんなふざけた団体はまだこうして活動しているんだよな となると半年くらいか、ずいぶん長い間無茶もしたもんだ 「で、それが朗報と何が関係あるんだ?」 「もう、ここまで言って気がつかないなんて本当に使えないわね!」 「記念パーティーよ!パーティー、もう半年になるのよ!?めでたいと思いなさい!」 おめでたいと思うのはお前の頭の中身だよハルヒ…とまぁなんにせよパーティーだと? どこでするつもりやら…どうかまともな場所でありますように… 「それで場所なんだけどね、やっぱりSOS団の記念ってことだし部室でっていうのはどうかしら?」 …我が家じゃなかったことには感謝しよう、だが部室? そりゃ問題ありまくりだろ…とまぁつっこんでもしかたないがいちを言っておくか 「学校は流石にまずいだろ?もっと他の場所しないか?」 「じゃあどこがいいのよ?」 そうなりますよね…とまぁ一通り考えたが誰かの家くらいしか思い浮かばないな… うーむ、まぁ今回はまともな朗報だったことだし少しくらい無茶に付き合ってやるか 「そうだな、誰かの家だとその人の家に迷惑もかかるかもしれないし今回は学校でもいいかもな」 おい、意外そうな顔をするな、そんなに俺がお前の意見に同意したのが気に食わないのか? といいたくなるくらいの驚きの表情を見せたハルヒなんだが… 「以外ね、熱でもあるんじゃないのかしら?」 「まっいいわ、じゃあ決定ね!明日みんなに話しましょう!もちろん放課後まで皆には内緒よ!」 といってハルヒは部室から出て行った つーこは解散か?まぁ帰るとしますか てなわけで今日は珍しく早く帰れることになった、まぁ明日のことを考えると… えぇい!やめやめ、今日はゆっくり休むことにしよう…考えるだけで疲れる あいつ喜んでくれたかな?いっつも無茶につき合わせてたからたまにはこういうのもいいわよね うん、きっと楽しんでくれるわよ! 明日は皆にも伝えて準備もしないとだから忙しいわ!今日はやめに寝ときましょう ………………ジリリリリリ バンッ 「うぉっ!」 「おっはよーキョン君!」 妹よ…おはようという表現はいささか間違いかもな… 下手したらおやすみだぞ… 「なぁ?何度言えば分かってくれるんだ?せめてもう少し優しく起こしてくれてもいいだろ?」 「えへへ、でもこうしないとキョン君おきてくれないよ?」 反論できないな…うーん自分の目覚めの悪さを恨むぞ と悠長なことはいってられないな、さっさと朝飯を食って準備した俺はいつもの ハイキングコースにいくことにした、この坂はどうにかならないかね… もう秋かと思わせる足はやな紅葉 これが唯一の救いだな とかとか考えているうちに学校だ、さーて今日の団長さんは何を考えてることやら… とまぁ教室にはいったら人目もくれずに 「キョン!今日は放課後付き合いなさい!いいわね!」 それはどっちの意味ですか? 「何がよ?」 いやデートか果し合いなのか 「バカ、昨日のこと忘れたの?」 覚えてますよ、分かった、だからそうふてくされるな 「悪い悪い、冗談だよ、で今日必要なものでも買いにいくのか?」 「もう、いっつもそうなんだから、そうよ!善は急げって言うでしょ?」 「そりゃそうだが昨日の今日ってちょっと急ぎすぎじゃないか?」 「いいの!あんたは黙ってついてきなさい!」 はぁ…まぁ分かりきっている答えなんだがこうなんでいつもなれないものか… 俺の免疫組織はきちんと働いてるのかね?ご主人様のピンチなんだぞー とバカなことを考えているうちにチャイムがなった 急いで席にすわってからは後ろの団長様はさぞ満足したかのように大人しかった 「…珍しいな」 「ん?何かいったかしら?」 「いやなんでもないぞ」 「そう」 今日はちょっと眠いわね…昨日夜中まで起きてたのがまずかったかしら… まぁキョンに用件は伝えたしちょっと寝ようかしら 「……ぉぃ、ハルヒ!ぉぃ…」 ん?キョン? 「あっおはよう、どうしたの?」 「どうしたのじゃないだろ、もうとっくに授業は終わったぞ」 えっ!1時間も寝ちゃったの?まずいなーまぁいいわ 「そう、でどうしたのかしら?」 「ん?自分で言ったことも忘れたのか、何か俺に用事があるんだろ?」 え?まさか!? 「はぁ…お前あれからいくら起こしても目をさまさないから大変だったぞ、今は放課後だ」 「だー今日は仕方ないわ!たまにはそういうこともあるのよ!」 「そうかい…」 笑うなバカ!でもそんなに私寝てたんだ…あぁキョンに寝顔みられたかな? ちょっと恥ずかしいな、変な顔してなければいいんだけど 「じゃ、早速だけどいくわよ!」 「おいおい、いくって何処にだ?場所は決まってるのか?」 「えぇ、材料は当日買うとして今日は小物買いにいくから街までいこうって思ってたの」 「そうか、じゃあ早速いくか」 キョンは準備が終わってるみたい、私も急がないと! そんなこんなで電車にのって街まできたのはいいけどこれってデートなのかな? ちょっと恥ずかしいな、制服っていうのがな~雰囲気でないけどまぁいっか! キョンも意識してるのかしら?ちょっと恥ずかしそうね 「ねぇあそこのお店どうかしら?」 「いいんじゃねーか?」 「もう気の抜けた返事ね、まぁいいわ、いくわよ」 中はいい感じに古ぼけたお店だった、どうやら個人店らしく仲がよさそうな老夫婦が経営してるらしい 物は良心的な値段でどれもいいもの安くって感じね 「これなんてどう?これもいいわね!あっキョンアレとって頂戴!」 「もう少し落ち着けよ…で、これか?」 なんだかこんなの始めて、すごく楽しい! 色々買えたし満足だな~ちょっと買いすぎちゃったかな? 「ありがとうございました、荷物多いようだけど大丈夫かい?」 「あっ大丈夫ですよ!こいつにもたせますから!」 「そう、彼氏さんも大変そうだね、今荷物をまとめてあげるからちょっとまってね」 えっ!カップルに見えたのかな?否定し…とかないであげるわ キョンもちょっと気まずそうにしてるし、今日は特別なんだからね! そんなこと考えてるうちに荷物がまとまとまったみたい 「「ありがとうございます」」 お礼をしてお店をでた、うまくおじいさん達が荷物をまとめてくれたから キョンも持ちやすそうね、あんた感謝しなさないよ?なんて思ってたらキョンから話かけてきた 「なぁ、さっきのおじいさん達いい人達だったな」 以外、カップルに間違われたことを言われるかと思ったけどそうじゃなかったみたいね 「そうね、これだけ買ったのに3000円ですんだのもびっくりよね、サービスしてくれたのかしら?」 「はは、だといいな、なぁハルヒ…そのあれだ、また一緒にこような?」 えっ?以外だった、キョンからそんなこと言われると思ってもなかったし それよりキョンにまたデートしようって言われたのがうれしかった いや、デートなのかな?これは…でも二人でまた一緒に遊べるならいいかな 「そうね!まぁどうしてもっていうなら付き合ってあげるわよ!」 「はは、じゃあどうしてもって事にしておいてくれ」 はぁ…私って素直じゃないな、でもキョンにはこれくらいで丁度いいかな? あっもう駅か、しかたない電車賃くらい出してあげるわ! 荷物持ちのお礼って事にしておいてあげる 「まってなさい、いま切符買ってくるから」 「えっいや「いいの!そこでまってなさい!」 「じゃあお言葉に甘えとくよ」 急いで切符を買ってキョンに渡したあと電車は以外とすぐにきた なんだろう、電車の中では会話できなかった… 最寄り駅が近いのもあるかもしれないけど あっおりないと! 「おりるわよ!ほら、もうあぶなっかしいわね!」 「悪い悪い、っとよし行くか」 「あぁハルヒ!そういえば荷物どうするよ」 あちゃー考えてなかった…今から学校に行くわけにもいかないしな…どうしよう… 「しゃーない、家で預かっておくよ」 「あっあんたにしちゃー気がきくわね、じゃあお願い」 「おう、あっ日程はもうきまってるのか?」 「うん、明後日にするわ、次の日が土曜日だから遅くまでなっても平気でしょ?」 「うーむ、あんまり関心しないがまぁそうだな、わかった、じゃあまた明日な」 「あっ…うん、ちょっとまって!」 あっ…勢いで呼び止めちゃった…どうしよう… 「ん?どうした?」 ほら…もう、いくっきゃないわね 「荷物重そうだし…途中まで手伝ってあげるわ!感謝しなさいよね!」 あっなによ!以外って顔すんな!バカ 「うーん今日はやけに優しいな?どうした?」 「ばか、いつも優しいわよ!」 「そうでした、じゃあよろしく頼む」 「うん」 軽い荷物を受け取って私が持つことにした、そういえばキョンの家と私の家って 少し遠いのよね、帰りどうしようかしら… まっ今日はいいわよね、少しでも長く一緒にいたいし 「おい~ここまででいいぞ~」 えっ?あっぼーっとしてた、もうついちゃったのか… 「うん…」 何か話せばよかったな… 「んーアレだ、今日はなんか俺ばっかり優しくされて不公平だな、家くるか?お茶くらいはだすぞ」 えっ?キョンの家?行きたいけど…どうしよう… 「いく!」 あっバカ!何素直にいちゃってるのよ 「おう、んじゃここからすぐだから、荷物はもういいぞ、助かった」 「うん」 それから少し歩いてすぐに家についた、結構いい家にすんでるのね 「ただいま~、おいハルヒ部屋はこっちだ」 「あっ、おじゃまします」 「今日は誰もいねーぞ、なんか母親は妹つれて友達と遊びにいったしな」 「あっあんたまさか!」 「ばっばか言うな!7時には帰ってくるとか言ってたし何もしせんわ!」 まぁキョンが相手なら…って何私考えてるんだろ! 「ちょっとからかってみただけよ、あんたにそんな勇気あるはずないしね!」 「後が怖いからな、っとお茶入れてくる、適当に座ってていいぞ~」 そういわれてリビングに通された 「ねぇ、キョンの部屋どこ?」 何言ってるんだろ私 「ん?部屋?なんでだ?」 「キョンの部屋がいい」 ほらまた… 「んー変なもの探すなよ?こっちだ」 「ばか!探さないわよ!それとも何かあるのかしらね?」 やった!キョンの部屋にはいれる! 「アホ、ないわ、ここだ~今お茶もってくるからまってろ」 そういってキョンは下にいった 「これがキョンの部屋か~以外ね、綺麗じゃない」 あっベットだ………… バフッ、キョンの匂い…いいにおいだなー…ガチャ 「おーいお茶もってきたぞ、っておい」 あっしまった! 「あっちょっと疲れたから横になりたかったの!」 うぅーしまった、見られた… 「ん、まあ飲め、冷めるぞ」 「うん」 うー気まずいな、早く飲んじゃえ 「あつっ!」 「おい!大丈夫か!みせてみろ」 うぅーばかした、舌やけどしてないかな… 「ほれ、はやくベロだせ」 「うん」 「大丈夫そうだな、あんま無理すんな」 「うん」 うん、としかいえないよ…きまずい… 「ばか…あんまり人のベロじろじろ見るな」 「あっ悪い悪い、っともう40分か」 「うん…」 どうしちゃったんだろう今日の私…なんか素直になれないな… 「送ってくよ」 「えっ?」 今送っていくって言ってくれたの? 「もう外も暗いしな、ほれいくぞ」 「あっ、うん」 今日はやけにキョンも優しいわね、どうしたのかしら? まさかキョンも…?だといいな…エヘヘ 準備も終わって家をでた 「おじゃましました」 もう秋だな~って思うくらい外は暗くて涼しかった ちょっと寒かったかな そうおもってたらキョンが 「今日はちょっと寒いな、上着きてくりゃよかったな」 「バカ…じゃあ手繋ごうよ…」 何言ってんだろう…カップルじゃないんだよ? これで断られたらきまずいよ…いつも見たく勝手に繋げばよかったのに… 「んーそうだな、でもいいのか?」 あっキョンもまんざらじゃなかったのね?よかった! 「今日は特別って言ったじゃない!明日からは無しよ!」 「へいへい、じゃあ今日だけ甘えておきますよ」 どっちからとも言わずに私達は手を繋いだ… お互いちょっと無言だったのはお互い気まずいからかな? とか考えてたらもうすぐ家だ 「キョン、ここまででいいわよ」 「ん?家まで送ってくぞ」 「大丈夫、もうそこの角まがったらすぐだし、親も心配してるからさ」 「んーそうだな、こんな時間に俺がいったら親もいらぬ心配するしな」 「ばーか、まっそういうことよ、今日はご苦労様」 「おう、んじゃまた明日な」 「うん」 少し名残惜しかったけど手を離した… キョンを見送って背中が見えなくなった… なぁハルヒ?今日のお前はどうしちまったんだ? そりゃ俺としてはだな、まぁうれしくないって言ったらウソになるが あいつもずいぶん丸くなったな、にしても俺はなさけないな… 普通男からすることをほとんどあいつからか… もう少し古泉を見習うか にしても俺ってやっぱりアイツのこと意識してるのか? 今日はやけに緊張したな、そりゃ普通にまともなデートとかは初めてだが 俺もしかしてあいつのこと… キョンに対しての気持ちっていつからだったんだろ… もしかしたら始めから?でも気持ちが確かなものだって分かったのは 今日改めてかな…たぶん好きになったのは夢の後あたりからかな… ねぇキョン… 「キョンにとっての私は?…」 「ハルヒにとっての俺は?…」 「俺にとって」 「私にとって」 「「アイツノソンザイって…」」