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(ver.1.5.0β3実装) ※ver.1.5.0系列のサブ役職です。 基本データ 特徴処刑対象の優先順位 コメント 基本データ 系統 決定者系 表示 無し 登場 サブ役職制限EASY以降 ログ表記 [燕] 特徴 最多得票数の人が自分と処刑投票先を含めて複数いる場合、処刑投票先の処刑優先順位が高くなります。 本人は自分が【燕返し】であることが表示されません。優先順位は【不運】の次です。 処刑対象の優先順位 単独最多得票者 【決定者】に投票された最多得票者 【不運】を持つ最多得票者 最多得票者に【燕返し】とその処刑投票先がいる場合における【燕返し】の処刑投票先 最多得票者に【脱落者】とその処刑投票先がいる場合における【脱落者】 【短気】に投票された最多得票者 【幸運】を持たない最多得票者 【疫病神】に投票されていない最多得票者 【出題者】に投票された最多得票者 【執行者】に投票された村人陣営以外もしくは【恋人】の最多得票者 最多得票者に【聖女】がいる場合における村人陣営以外もしくは【恋人】の最多得票者 最多得票者に【聖女】がいる場合における【聖女】の最多得票者 【扇動者】に投票された最多得票者 コメント 名前 コメント
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同じスクリプトを何度も実行(ループ)させたい場合がよくあります そのためにwhile文があります // whileサンプル var i = 0; while(i 3) { System.inform(i); i = i + 1; } これを実行すると0から2まで順に表示されます while(i 3)の3の部分を変えると繰り返される回数が変わります また、最初のvar i = 0;というのは var i; i = 0; を省略した形です。変数を宣言する時に同時に値を代入する(変数を初期化する)方法です while(条件式) { 繰り返されるスクリプト } 条件式が真の間は何度も繰り返されます。 条件式がいつまでも真であるスクリプトを書くと、いつまでもループを抜け出せない無限ループに陥ります たとえば最初のwhileサンプルのスクリプトで i = i + 1; の文を消すといつまでもループを抜け出せません このようなスクリプトは書かないように注意しましょう whileの動作 1.条件式が真ならば2.に進む 偽ならばループを抜ける(2.以降は無視される) 2.繰り返されるスクリプトを実行 3. 1.に戻る また、while文では最初から条件式が偽である場合は{}の中は一度も実行されません 最低1度は{}内を実行させたいときにはdo~while文を使います do { 繰り返されるスクリプト }while(条件式); これは一番最初は条件式が真か偽か調べず、繰り返されるスクリプトをそのまま実行します 2回目以降から条件文を真か偽か調べて真ならばdoに戻り、偽ならばwhileを抜けた次の文にいきます do~whileの動作 1.繰り返されるスクリプトを実行する 2.条件式が真ならば1.に戻る 偽ならばループを抜ける
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我が輩は猫である。名前はミケ。三毛猫だからミケ。 ひねりも工夫もないが、拾われて早2年、我が輩はこの名が気に入っている。 思い返せば2年前、死にかけの子猫だった我が輩を拾って帰ったご主人はまだ小学生。 定食屋を営む両親からは飲食店に猫なんてとこっぴどく叱られていたものだ。 それでも我が輩を家に置きたいと必死に庇ってくれたご主人のために、我が輩は一肌脱いだ。 「招き猫」―そう。我が輩はただの猫ではなかったのだ。 「ミケー!」 時刻は夕方。ご主人がセーラー服のスカートを翻して帰ってきた。 「ただいま、ミケ」 ご主人にぎゅっと抱きしめて貰う時間は、我が輩にとって何にも代え難いものだ。 「にゃあ」 我が輩は一声鳴いて店の入り口に向かう。食事時は我が輩の時間だ。 「あ、あの定食屋さん、猫がいるー!」 「可愛いじゃん」 「そういえばお腹空いたね、ここで食べていこうよ」 学校や会社帰りの人の足が、ご主人の両親の店に向く。 我が輩は彼らをちらりちらりと眺めながら時折ちょいちょいと顔を洗うふりなどして彼らを手招きする。 2年前、味は良いのだが近所の安価なファミレスに押されて潰れかけていた店を救うには、それで充分だった。 「あ、ねこちゃんだー」 「かわいー!」 夕飯時の店の喧噪には子供の声も混じりにぎやかなことこの上ない。 我が輩は満足して、ご主人の部屋にある猫ベッドで体を丸めた。 「今日もお店、大繁盛だったよ」 これならお前を大学まで行かせられるって、お母さんが言ってた。 「みんなお前のお陰だよ、ありがとう」 そういってご主人は、我が輩の長い毛をもふもふと撫でくった。 ・・・我が輩の方こそ。ありがとう。ご主人。 END 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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技名 LUPIN/3人で宇宙遊泳返し 演技者 LUPIN/3人で宇宙遊泳返し 説明 一つの技(宇宙遊泳返し)を三人で完成させるという内容となっております。 (演技者:M石九段大師匠、達人しまっち六段さん、LUPIN) 一人目がけん玉を空中に投げ上げ、二人目が空中で一回転してきたけん玉の玉をキャッチして再度空中にけん玉を投げ上げます。そして、三人目が空中で一回転してきたけん玉のけんをキャッチして最後に「ふりけん」を決めるという内容となっております。尚、こちらへこの動画を掲載させて頂く事、M石九段大師匠、達人しまっち六段さんより了承を頂 いておりますのでご安心ください(^^) 備考 特になし タグ 空中技 コメント 名前
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前へ ← 1 2 3 4 → 次へ 作品 ■▲▼ 機の音 与ひょうさんちは トントンカラリ 嫁さん貰って トンカラリ 機の音止まず トントンカラリ 日がな一日 トンカラリ トントンカラリトンカラリ 姿は見せずに トントンカラリ 与ひょうは絹売る トンカラリ 毎日酒を飲み トントンカラリ 日に日に贅沢 トンカラリ トントンカラリトンカラリ ある日機の音ぴたりと止まって 赤い鼻した酒臭い与ひょうが 嫁の織った絹抱きしめて とおい空見て呆けていたよ もう聞こえない トントンカラリ 鶴が一声 空で啼く 312 名前:機の音 [sage] 投稿日:04/10/07(木) 23 12 29 ID sEpZ/PHT 【コメント】 372 名前:イタチ小僧 ◆8rr1u/54T2 [] 投稿日:04/10/14(木) 15 10 03 ID RM81OmyV 312 どっかで読んだことある。でも展開が違うので別の人だろう。 いわずとした「鶴の恩返し」。原作を知らなければわかりにくい詩だ。 しかも原作そのまんまでパロディーにもなっていない。 リズムに乗せて叙情的に読ませるが、この作者ならではの鶴の恩返しにはなっていない。 380 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 35 09 ID cCmnRB0R 312 :機の音 ①点 民謡ぽいけどよく表せてる。歌ってみたい。 390 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 53 30 ID G2yS0JdE 312 誰もが知ってる『夕鶴』、だよね。情景描写に終始しているんで、ここ から詩が始まるように思えるんだけどねえ。 395 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 13 45 ID ujDM7PIL 312 機の音 《駄作》 ただの鶴の恩返しじゃん。表現こんなに膨らますことができるんだったらもうちょっと 違う題材選べなかったのかなー。トントンカラリの節は思わず声に出してしまうぐらい良い。 841 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/10/16(土) 03 10 49 ID ykv1JOeT で。私は機の音を書きました。イタチさんの見たことある詩は鑑定くんに書いた詩のことでしょうか? 今回は誰もが鶴の恩返しを書かないだろうからあえて裏をかこうと思ったんですけど・・・ テーブルでリズムつけながら声に出して言いやすいよう言葉を選んでも内容が安易過ぎましたね~ははっ そんな詩に点数入れてくれたGONさん、ありがとうです。民謡意識して書いてたんですよ~うれしかったです コメントしていただいたイタチさん Canopusさん Alniteさんありがとうございます。 ところでオペラの夕鶴みたとき日本語のオペラに不自然さを感じたんですが・・・・・おもしろかったけど。 【得点】 1点 GON ◆rOo2fYBBKk:1点 ■▲▼ マリンスノー 雪が降る 深海の奥底深くに 雪が降る ほとんど光が差し込まない海の中の 常夜の国に 雪が降る プランクトンの死骸―― 誰が名付けたか マリンスノーと呼ぶ あるものは深海魚の今日の命をつなぐ糧となり 残りは深海底の懐深くへと 静かに降り積もる ひとつひとつのプランクトンの死を 嘆き悲しむものはいない ひとつの命の終わりは またひとつ新しい命の始まりを育む 世界のあらゆる命を寿(ことほ)ぐ祝祭の紙吹雪のように マリンスノーは降り止むことはない 人権 生命の尊厳 地球より重いひと一人の命―― ひとはいろいろ言うけれど わたしひとりの命はプランクトンの命とどこが違う 深海の魚一匹育めないわたしの命は むしろ プランクトンひとつの命に劣る わたしひとりの死など どうして悲しむに値するだろう わたしの死に悲惨があるとすれば それは 生命の鎖から外された疎外された死 であるところの惨禍 わたしの死が何ものも育めないとしたら いっそわたしの死骸は深海底の底深くに堆積すればよい ニンゲンという種の死骸からなる堆積層が いつか地上に隆起して 美しい曲線の縞模様を描く わたしが見ることはついぞ叶わぬ 億万年の未来の日を夢想しながら わたしは わたしの言葉は 海表面のすれすれの 海と空のわずかな隙間を 海月のように漂っている 313 名前:マリンスノー NO1 [] 投稿日:04/10/08(金) 00 06 10 ID MnkZKRD2 314 名前:マリンスノー NO2 [] 投稿日:04/10/08(金) 00 11 53 ID MnkZKRD2 315 名前:マリンスノー NO3 [] 投稿日:04/10/08(金) 00 18 18 ID MnkZKRD2 【コメント】 380 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 35 09 ID cCmnRB0R 313-315 :マリンスノー NO1は図鑑の説明、NO2は説教的論文、を、改行の多様で 詩らしくしている。最終連にやっと作者のイメージが出てきて、 そこは悪くないと思うがこれじゃ足りない。 390 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 53 30 ID G2yS0JdE 313-315 ニンゲンの隆起する縞模様あたりから面白くなってくるなあ。逆に いうと、マリンスノーの説明はもっと短くならないかな。命についての考察も、 平板にすぎるかも。 395 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 13 45 ID ujDM7PIL 313-315 マリンスノー 《駄作》 言いたいことは分かる。人間の命ばっかり大切にしてプランクトンはっていう疑問は当然起こり得る。 でも、最終的に「わたし」を中心に描いたのは失敗だと思う。 人間誰しも自己中心的なんだわ、って嘆いて、自分も自己中心的になっている。 ■▲▼ オンガエシ オンガエシという妖しがいる 物の怪にしては珍しく律儀で 生真面目な性格をしている 礼には礼を以って対し 些細な恩も忘れずに返す 人のうちに在っても稀な 折り目正しい性分である それ故 オンガエシを忌む者はなかった しかしながら オンガエシを愛する者もまた 一人としていない 『受けし恩 必ず返そうオンガエシ 受けぬ恩 いかでか掛けようオンガエシ』 愛や優しさ親切心といった 桜花のような 淡雪のような感情が オンガエシには決定的に 残酷なまでに欠如していた どうか好いて下さい あなたが好いてくれた分だけ 私もあなたを好くでしょう あなたが「愛している」と言うのなら 言われた数だけ私も告げましょう あなたが私に向かう限りは 私は余所見をすることも背くこともしないことでしょう オンガエシの真っ白な心は お猪口のように薄く小さく 誰かを思い遣るだけの余裕はどこにも残されていないのだった 声を掛けてくれた事のない者に 何と声を掛けてやれば良いのか 笑い掛けてくれた事のない者に どんな顔をしてやれば良いのか オンガエシという妖しがいる 物の怪にしては珍しく律儀で 生真面目な性格をしている 泣いてくれる人間がいたなら その者の為に涙しただろう 抱いてくれる者があったのなら 同じ様に抱きすくめただろう そんな性質であったので オンガエシを忌む者はなかった しかしながら オンガエシを愛する者もまた 一人として たった一人として ついぞ現れる事はなかった 316 名前:オンガエシ(1) [sage] 投稿日:04/10/08(金) 01 14 31 ID iQzm7bje 317 名前:オンガエシ(2) [sage] 投稿日:04/10/08(金) 01 16 16 ID iQzm7bje 【コメント】 366 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/10/13(水) 11 03 46 ID dYdyhphE 316-317 オンガエシ 対人関係をただのGIVE AND TAKE 駆け引きの場としか考えない、愛を持たぬ現代人が多すぎる。 オンンガエシという怪異はまさにそれだね。友愛は本来、無償のものなのに、「もし相手が ――してくれたら、自分も――する」というヤカラ。そいつらみんなオンガエシだ。 ふだん私も思っていることをよく詩にしてくれた。私からは感謝、という恩返ししか作者に対して できないけど。 370 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/10/13(水) 23 50 30 ID HdnETWnX 1点 316 :オンガエシ(1) :04/10/08 01 14 31 ID iQzm7bje アイデアが面白かった……こういう新種の妖怪が発生する、有難いところを 見せていただいたような…… お題の言葉・意味に切り込んでいく姿勢がいい 381 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 36 09 ID cCmnRB0R 316-317 :オンガエシ ②点 こういう説教なら聞く気になる。うまいし書きなれてる。 383 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM [sage] 投稿日:04/10/15(金) 18 05 12 ID IgTrHmew 316-317 オンガエシ 6-7連での行分けによる視点の移動にのみ形式の必然性を感じた。 389 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM [sage] 投稿日:04/10/15(金) 20 47 06 ID IgTrHmew 1点 316オンガエシ 物足りない。でも他に推したい作品もない。完成度はあるがそれが枷になっている様。 391 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 54 33 ID G2yS0JdE 316-317 うん、隠喩も効いてて、いいね。ことばも意外と練られている。不 満をいうなら、詩全体の面白みが少ないと思います。それは構成であったり、 道徳の教科書を思わせるようなことば遣いであったりするのでしょう。 395 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 13 45 ID ujDM7PIL 316-317 オンガエシ 《優良》 うん、ぐっときた! 恩返し、という発想にはこういう欠点もある、ということを明確な文章で示してくれている。 比喩もいい。ちょっとくどい気もするけれど。 まぁ強いて言うなら物の怪に例えたのはどうかと思う。 860 名前:うたた寝死人 ◆WvShSU0mOg [sage] 投稿日:04/10/17(日) 00 14 50 ID qOm5gvjy 857 懐かしいなぁ、しいな様だ。ほんにおめでとうございました。 フリー・・・良さそうですが、採点基準がむっさ難しいですね。 久し振りに参加させていただきまして、316・317オンガエシを書きました。 他人への批判や戒めではなく、自嘲や自己憐憫の意味で書き始めた為 独り善がりが濃くなりそうで内面の表現が展開できず、当たり障りなく 喉ごし薄くで終わってしまいました。批評を頂いた正にその通りです。 ご意見・ご批評非常にありがたかったです。どうもでした。 【得点】 7点 ななほし ◆lYiSp4aok.:1点 GON ◆rOo2fYBBKk:2点 園川 ◆nWfXpQxHHM:1点 Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点 Alnite ◆m3UVuKrnck:2点 ■▲▼ 感謝のカタチ 今更だけど 僕の感謝しているあなたへ 恩返しをしたく思います 赤い服が似合うあなたへは 赤色にきらめく月の光のような 貝殻を 首飾りにして 感謝のカタチとして 受け取って欲しいのです ―そう 僕はそれを探しに旅にでてきます 目的地―無人島 移動手段―舟(オールを使って漕ぐ) されど 用心深い僕は 舟が沈まないように 3人のチカラを借りました 牧師は 祈りました アーメン 風水士は 飾り付けました キレイニ 魔術師は 唱えました マホウヲ ―決意を胸に秘め 舟を大海原へと― 空は雲ひとつありません 風もほとんどありません なんて なんてすがすがしい光景だろうか 漕いで漕いでしてる中 空の青を見ていると 漕いで漕いでしてる中 海の青を見ていると 四方八方 青だらけ 空も青だし 海も青 海の深さも知らないし 島までの距離も分からない 僕は心も体も 青の中へ オールを上へ上へ ドプン オールを下へ下へ ドプン どちらが上で どちらが下か 空は上で合ってるか 空と海が ぐるぐる回る 疲れ疲れて ぐるぐる回る 海の真ん中で自問自答 僕は 何のためにこんなことを? ―― 赤い貝殻を探すため 赤い貝殻とは何だ? ―― 感謝をカタチづけるもの あの人は喜ぶだろうか? ―― 喜ぶはず 本当に? ―― ああ でも分からない 分からなくなってきた 退屈な光景は そのままだ 変化が欲しくてたまらない 赤いイルカよ現れろ もし もし 赤くなかったから 赤く染めてくれようか ドプンドプンドプンドプン 僕の心は癒されたくてたまらない イライラが募ります 空が憎い 海も憎い ―そう なんだか全てが無駄なことのよう 赤い貝殻が何だろう 綺麗だから何だというのだ ほら 吐き気がしてきた ハァ ハァ 僕の気持ちの中から 感謝 とか 恩返し とか そんな綺麗な言葉は 吐き出して 失くしてしまいたい ハァ ハァ そう いっそのこと アアアア この海の上に 全部を吐き出そうか どうしようか アアアアアアア 僕の薄汚れた血で海を染めれば 少しはマシな景色になるのだろう? アアアアアア それとも血だらけの魚を釣ろうか? この舟をグロテスクに変えたい気分だ アアアアアアアアア アアアアアアアア アアアアアアアア ・ ・ 恐ろしくも冷たい光景は そのままだ 時が何なのかも分からなくなってきた だが時期に 島に着くだろう 僕は理由もなく 変テコな涙を流し あなたは喜んでくれるだろうか そればかりを考えながら まだ見ぬ島を思い続けました 318 名前:感謝のカタチ(1) [sage] 投稿日:04/10/08(金) 01 58 08 ID e0Wvhoj3 319 名前:感謝のカタチ(2) [sage] 投稿日:04/10/08(金) 02 02 13 ID e0Wvhoj3 320 名前:感謝のカタチ(3) [sage] 投稿日:04/10/08(金) 02 08 54 ID e0Wvhoj3 321 名前:感謝のカタチ(4) [sage] 投稿日:04/10/08(金) 02 10 01 ID e0Wvhoj3 【コメント】 366 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/10/13(水) 11 03 46 ID dYdyhphE 318-321 感謝のカタチ 出だしはRPGのよう。牧師と風水士と魔術師が勢揃いして、さあ冒険の始まり――。 赤いイルカが現れた! いいぞ、いいぞ。わくわく。……アレレ、おかしいぞ。三人の キャラはどこへ行った? 大海原をただオールで漕いでいるだけ。読むうちにだんだん 疲労感が増してくる。「イライラが募ります」―こっちもだ。涙なんか流すなyo。島 にはまだ着かないの? 初めの期待は急速にしぼんでしまうのでした。 373 名前:イタチ小僧 ◆8rr1u/54T2 [] 投稿日:04/10/14(木) 15 58 46 ID RM81OmyV 318‐321 いい。茫漠とした海の上と主人公の心境からしてもこの長さは必要。 もしこれが退屈させないよう場所をあちこち変えての 愛あり出会いあり戦闘シーンありの冒険ドラマなら一時間で終わってくれと思うところだが、 これなら24時間くらいやってくれてもいい。本当は嫌だけど、効果的だとは思う。 こういう海の上で襲われる虚無感ってありきたりではあるけど、 何度使われてもいいモチーフだと俺は思う。 「感謝のカタチ」という概念が出てくるが、 これが「君に贈りたいもの」から「虚無に対抗する光」に変化していくさまがおもしろい。 そして詩は途上で終わっている。ハッピーエンドなのかそうでないのか、 あるいは意外な方向へ転換して続いていくのか、 読者の好みに任されるという意味でも、この終わり方は最適だ。 主人公が妙に自信たっぷりでなくヘタレ気味なのもいい。 378 名前:イタチ小僧暗算! ◆8rr1u/54T2 [] 投稿日:04/10/15(金) 00 45 32 ID 3Oh6F9KH 318-321「感謝のカタチ」 これは饒舌なように見えて、じつはその反対。すごくなんにもないことばの群れだ。 虚無の海と感謝の「カタチ」との熾烈な戦い。しかもその戦いがなんとダイナミックに見えないことか。 そういうところがとてもいい。なんにもないのに長いのもいい。それでいて面白いのが凄くいい。 ただ、連想のままにえいっと書いただけみたいな粗雑さは否めない。 凝ったレイアウトはそれを誤魔化すための飾りにしか見えなかった。ありがちだし。 381 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 36 09 ID cCmnRB0R 318-321 :感謝のカタチ ①点 ひとつメッセージを持って書き出して、自由に楽しく表現してる感じ。 イタチ氏が流し書きしたのかと思ったら、違ったんだ。 そのメッセージがあまり好きじゃないので1点 383 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM [sage] 投稿日:04/10/15(金) 18 05 12 ID IgTrHmew 318-321 感謝のカタチ 391 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 54 33 ID G2yS0JdE 318-321 必然性のない旅って設定は面白いと思う。が、この脈絡の欠けた構 成は、作者のなかではある一貫性を保ってるんだろうか。作者の心のなかをの ぞき込むようで、なんだかコワいね。 395 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 13 45 ID ujDM7PIL 318-321 感謝のカタチ 《平凡》 この詩の情景は残酷に綺麗。最初は清らかに、後にグロテスクに。 何かクラシック音楽のようなものを感じさせる。 主人公の気持ちの変化も、ごく細かい部分まで描かれていると思うが、 最初の三人のチカラをせっかく借りたのにその後何も触れられないことが気になって仕方がなかった。 多分、細かい部分まで書き込んである詩なだけに、細かい部分が一度気になるともやもやし続けてしまうと思う。 402 名前: ◆WvShSU0mOg [sage] 投稿日:04/10/15(金) 23 57 36 ID QT9UWNUU 1点 318-321『感謝のカタチ』今回一番気になった作品です。巧いのか、巧くないのか微妙な ラインでがっかりさせたり感嘆させたりと浮動して、読み手をハラハラさせる ところがニクイです。全体的にはたどたどしいのですが、ツボだけきちんと押さえ 切っているような。しかし前半と比べると、多少の作為はあるにせよ、スタミナ 切れからの投げっぱなしはやはりもの足りなく、勿体無い。 853 名前: ◆WN8IybcvEA [sage] 投稿日:04/10/16(土) 15 42 38 ID oE8DGPXx みなさんお疲れさまですー。盛り上がってますね(?) 今回、初投稿で「感謝のカタチ」を投下してみました。 そして、チャンプさん、準チャンプさん おめでと。 そんでもって、 ◆WvShSU0mOgさんと、GONさんと、!イタチ小僧さん! 票と批評をありがとうございました。 Alniteさんと、Canopusさんと、園川さんと、MUJINAさんは批評ありがと。 ちなみにイタチ小僧さんの「しかもその戦いがなんとダイナミックに見えないことか」 とか Alniteさんの「何かクラシック音楽のようなものを感じさせる」とか ◆WvShSU0mOgさんの「巧いのか、巧くないのか微妙なラインでがっかりさせたり感嘆させたりと浮動して、 読み手をハラハラさせる」とか 嬉しかったなーw …。 それで この詩ができた経緯は、、実はこれを書く 数時間前に S・キューブリック監督(詩人)の とある映画を見ていて、 それの影響をモロに受けました。 …で、 まだ 書きたいことはあるけど。 特にイタチさんに。 とりあえず ここらへんで! 【得点】 3点 イタチ小僧暗算! ◆8rr1u/54T2:1点 GON ◆rOo2fYBBKk:1点 ◆WvShSU0mOg:1点 ■▲▼ 泣き止まぬ オーンおん恩 オーンおん恩 今まで生きてきて どれだけの人に生かされてきたのだろう 乳飲み子として母へ感謝 生徒として先生に感謝 雇われ者として経営者へ感謝 オーンおん恩、恩返し しかし時代は変わり 我々は自由だ 飛ばす、飛ばすぜ、謳歌するぜ 一陣の風が錬金術で駆け抜ける かわいいな(うるさいな) 誇りだな(かったるいな) 素晴らしいな(まだいけるな) 繰り返される 繰り返される 繰り返される オーンおん恩 オーンおん恩 返す恩はどこかへ消えて 暗い 泣き止まぬ 322 名前:泣き止まぬ [sage] 投稿日:04/10/08(金) 04 02 38 ID n4fXMXhZ 【コメント】 370 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/10/13(水) 23 50 30 ID HdnETWnX 2点 322 :泣き止まぬ :04/10/08 04 02 38 ID n4fXMXhZ なんか本物の妖怪のような、実態がある恩 ……かなぁ 381 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 36 09 ID cCmnRB0R 322 :泣き止まぬ 一連目とのギャップを狙うべきところだと思うが二連目が半端。 391 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 54 33 ID G2yS0JdE 322 泣き声と恩の語呂合わせが、ええい正直に言おう、いまイチと思うんだ よなあ…ごめんね。この詩はそこがミソなだけに、ちょっとツラい。ことばの 選び方は上手いと思う。 396 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 49 57 ID ujDM7PIL 322 泣き止まぬ 《却下》 何が言いたいのか? 確かに風刺していることは分かる。時代を嘆いているようにも捉えられる。 でもそれだけじゃ嫌だ。もっと伝えたいことはあったはず。泣く事に夢中に成りすぎ。 【得点】 2点 ななほし ◆lYiSp4aok.:2点 ■▲▼ カラマリ パンツを脱いで くれないか 俺が君にしてあげられる事と言ったら コレ位なんだ 俺は泣いている 滑稽だろう 知っている 君が笑っても俺が泣くだけだ 優しい目をして哀れむな 俺がもっと泣くだけだ コトバデハタリナイ オレノアイガタリナイ ヨルノアメヤマナイ キミノアイニナリタイ 君押し倒しパンツに #25681;みかかり 硬い陰毛が指に絡まり カラマリ それは俺の陰毛と同じ感触でざらついてごわついてあたたかでどうしようもなくて俺 社会見学ででかくてうるさい牛を見た時に異常な臭気に吐き気をもよおしながら担任の 「臭うのは牛じゃなくてその環境が臭うだけです。」って馬鹿に得意毛な話にうんうんうなづいて それどころじゃない牛の乳首に釘付けでこれからは牛乳は飲まないって誓ったちみっちゃい俺 になって 。 。 。 ポツン と雨漏り 俺の頭目掛けて 振り返ると君はふんわりと笑って 俺の背中ポンポンと叩いて 俺が 俺がやっぱり 泣くだけなんだ なあ パンツを脱いで くれないか 323 名前:カラマリ [sage] 投稿日:04/10/08(金) 04 40 50 ID 8wMIZaWl 【コメント】 367 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/10/13(水) 11 57 35 ID dYdyhphE 323 カラマリ タイトルがいいじゃない。美しい愛だなんだといって、所詮は陰毛のカラマリ。 「ざらついてごわついてあたたかでどうしようもなくて」――恋しくて恋しくて、 抱いても抱いても、どうしようもなく相手に手が届かないもどかしさがよく表現されている。 愛のMEG・MILKの生産現場、牛舎を持ってくる感覚も相当のもの。 触覚や嗅覚、家畜の臭い、といった五感の中でも言語感覚から離れた地点で恋愛を描いている 作者の手腕は、正当に評価されていいんじゃないだろうか。 371 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/10/13(水) 23 53 43 ID HdnETWnX 1点 323 :カラマリ :04/10/08 04 40 50 ID 8wMIZaWl 詩らしい。面白さ……かなぁ。 もてもてのいい男の独白(セリフ)仕立ての 板に付いてるのが羨ましくもあり…… 373 名前:イタチ小僧 ◆8rr1u/54T2 [] 投稿日:04/10/14(木) 15 58 46 ID RM81OmyV 323 歌いっぷりがとても情けなくていい。 陰毛から牛の臭さに飛ぶイメージの質感も上等にそのまま感覚。 白いブリーフを履いて彼女の前でパンツ一丁になりたい気分にさせてくれた。 381 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 36 09 ID cCmnRB0R 323 :カラマリ カタカナ部分まで非常に良かった。中盤七行で引いた。 383 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM [sage] 投稿日:04/10/15(金) 18 05 12 ID IgTrHmew 323 カラマリ リズムと行分けの意味についてもっと考えれば詩になる。 391 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 54 33 ID G2yS0JdE 323 自己中心的思想の滑稽さ、っていうのかなあ、かいつまんじゃうと。自 分の世界に浸りきっているよね。その世界が魅力的だと、結構引き込まれるこ とになるんだろうな。 396 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 49 57 ID ujDM7PIL 323 カラマリ 《駄作》 これもえろちいモノが書きたかっただけ? 混乱した心理をしっかり書き込んである。泣くのは俺っていうことの真相にも触れている。 けれどやっぱり、だから何?となってしまう。 402 名前: ◆WvShSU0mOg [sage] 投稿日:04/10/15(金) 23 57 36 ID QT9UWNUU 2点 323『カラマリ』踏まれた韻が小粋。牛の配置とその近辺の暗色のエロティシズムが 素敵でした。それを前後の、男の情けなさで濃い口にしているのも良いなぁと。 841 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/10/16(土) 03 10 49 ID ykv1JOeT 今回批評のほうまで手がまわらなかった。残念。 (どのみちすばらしい批評家が多いから私必要ないけどね) でも今回点を入れるならカラマリに入れたと思います。 こんなことで泣いちゃうあたりが。こんなことしか出来ないなんていっちゃうところが。 内容もそうだけど言葉回しも含めてよかったです。 脚立さんの脱水少女もよかったです。ただそこに居る少女との淡々とした生活。住ませてもらっている恩返しに脱水する少女 それだけの話なのに、すごくきれい。脱水をしてる女の子を思い浮かべてもきれいな図は思い浮かばないのにw きれいに出来るのはそういう文章だからなんだろうな。 844 名前:心霊写真 [sage] 投稿日:04/10/16(土) 10 08 04 ID HJFVpsVV 失礼しまーす。「カラマリ」書きました。 『してあげられる事はコレ位なんだ』 って言葉を思いついて、後はぽちぽちっと続きました。 チャンプさん、準チャンプの脚立さん、おめでとうございます。 どっちも良いですね。難題やったと思うのに。 ななほしさん、MUJINAさん、イタチさん、◆WvShSU0mOgさん、評と点ありがとうございます。 Canopusさん、園川さん、GONさん、Alnite さん、評ありがとうございます。 わにさんもありがとうございます。わーい♪ 色んな風に感想もらえてそれを読むのが楽しいです。皆様お疲れ様です。 【得点】 6点 ななほし ◆lYiSp4aok.:1点 イタチ小僧暗算! ◆8rr1u/54T2:1点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点 ◆WvShSU0mOg:2点 ■▲▼ この歌が あなたが小窓を閉めたら 私はもう帰ろうとおもう 木蓮の薫り残る小路に立って あなたの優しさ空に見上げてた 肩を抱いてくれたリフトの上 護ってくれた冬の蜂 手を取ってくれた帰り道 傘をくれた春の雨 指輪をくれた海岸通り 送ってくれた夏の車 受け取ってくれた手編みのセーター 笑顔をくれた今日のこと 私はあなたから いつももらってばかりで それでも恩とか 思いたくはなくて あなたが小窓を閉めたから 私はそっとおやすみ呟いて 木蓮の薫り残る小路を帰る あなたの知らない夜のつづき 歌をつくりながら帰る この歌が私からあなたへの 324 名前:この歌が(1) [] 投稿日:04/10/08(金) 10 00 52 ID FKa4G8ue 325 名前:この歌が(2) [] 投稿日:04/10/08(金) 10 01 43 ID FKa4G8ue 【コメント】 381 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 36 09 ID cCmnRB0R 324-325 :この歌が 中盤飽きる。受け取ってくれたセーターてのは詩の意図と矛盾してないか。 391 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 54 33 ID G2yS0JdE 324-325 可もなく不可もなく。スタンダードなイメージ世界。 396 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 49 57 ID ujDM7PIL 324-325 この歌が 《佳作》 恩返し、というタイトルぴったり。 温かいだけの詩もアリだと思う。真冬のホットココアの如く心にしみた。 終わり方も良い。適度に余韻を残してくれている。 但し「木蓮の薫り残る小路」が二回出てくるのはよろしくない。 この他にも数箇所、もう少し言葉を選んだ方が良い部分が見受けられた。 848 名前:イタチ小娘。 ◆hC.A6xTFGw [] 投稿日:04/10/16(土) 12 27 49 ID tTZZBh/w こんにちは。「この歌が」を書きました、 イタチ小僧の双子の姉でイタチ小娘っていいます。 シャム双生児で小僧と体くっついちゃってるので IDおんなじですけど、別人格ですよー。 >Alniteさん ありがとう。今回の寸評は体当たりって感じで見ていて気持ちよかったです。 「木蓮の薫り残る小路」が二回出てくるのは、 そこに立って記憶のイメージを飛ばして、またそこに帰ってくるという感じの効果を狙いました。 でも変化がないのは確かによくないですよね。 二回目を「木蓮の薫り消えかかる小路」とでもしたらどういう評価だったのかなぁ。 読んでくださった皆様、どうもありがとうございました! 次回のお題は何かな? 次回こそ頑張るぞー! 【得点】 1点 Alnite ◆m3UVuKrnck:1点 ■▲▼ 『僕の師』 白いキャンバスに滅茶苦茶に絵具を塗りたくる 形さえなく自分で何を描いてるのかさえハッキリしない ある日、僕の隣に知らないおじさんが立っていて 僕の手を取り、そのなんだかわからない竜巻のような そのキャンバスに輪郭を書き始めた 僕はその様子をじっと見つめる 僕の塗りたくったその断片が、時間をかけて一つの絵になる 赤い絵具に青を重ね、鮮やかな色を作り出す 最後のほうはおじさんの真似をして 僕一人で筆を使いこなせるようになっていた 後ろから眺めるおじさんは『うんうん』とうなずいている 最後の一筆をキャンバスに入れるとき なぜか僕の目には涙が溢れ出てきて 後ろを振り返るとおじさんが優しく言うんだ 『その気持ちを忘れちゃいかんよ、さあ前を向いて』と。 そしてそっと最後の一筆を入れる 役目をおえたおじさんはそっと立ち上がり 僕の肩をポンと叩く 白い長めのステッキを持つ女性がバスを降りてくる バスの後ろには苛立った車クラクション、長い列ができている 女性は黄色のタイルを見つけると、その上をまっすぐ、 少しぎこちなく僕の前を歩いてゆく その女性の周りだけがゆっくりと時間が流れている たまらず僕は女性に駆け寄る 話を聞くと家から一人で出るのは初めてで 今日は冒険なんだという その唇は少し震えていて、僕にありがとうと何度も言う 僕は行き先を聞いて、そこまでゆっくりと歩いた 目的地まではほんの500m、着くと僕は『帰りもこの道を 歩けばバス停ですから。まっすぐ歩けば目的地です』 そういって彼女の肩をポンと叩いた『こちらこそありがとう』 なぜかおじさんの顔を思い出して僕はとても感謝したんだ 326 名前:『僕の師』 ① [sage] 投稿日:04/10/08(金) 10 09 08 ID G+rYW5m9 327 名前:『僕の師』 ② [sage] 投稿日:04/10/08(金) 10 09 40 ID G+rYW5m9 【コメント】 370 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/10/13(水) 23 50 30 ID HdnETWnX 2点 326 :『僕の師』 ① :04/10/08 10 09 08 ID G+rYW5m9 じっくり恩を書きこんでいる。詩かなぁ…… 381 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [sage] 投稿日:04/10/15(金) 13 36 09 ID cCmnRB0R 326-327 :『僕の師』 いい小説 383 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM [sage] 投稿日:04/10/15(金) 18 05 12 ID IgTrHmew 326 『僕の師』 連を跨ぐことによる効果をもっと自覚的に用いれば詩になる。 391 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:04/10/15(金) 20 54 33 ID G2yS0JdE 326-327 この内容だと、半分くらいの長さがちょうどいいかなあ。情景描写 の説明が長いように思う。ことばを刈り込むと、意外にドラマティックな展開 になるかも。エピソード自体ちょっとイマイチではありますが。 396 名前:Alnite ◆m3UVuKrnck [sage] 投稿日:04/10/15(金) 21 49 57 ID ujDM7PIL 326-327 『僕の師』 《平凡》 駄作に近めの平凡。 上に引き続きハッピー系統の詩なんだけど、この詩は「恩」が押し付けがましい。 言葉の一つ一つや、ストーリーは輝きを放っているだけに残念。 前へ ← 1 2 3 4 → 次へ ページ先頭へ トップページ
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第14話「解放された闇《リローデッドアヴェンジャー》」 時は少し遡り… 第二部のライブが中断され、ホールの外へと出された観客たちは自分に起こった出来事、突如、ステージ上に現れた美少女、謎の悪夢に音響設備の不具合、そして警備会社の対応、その全てを頭の中で整理することが出来なかった。ある者は頭を抱えてうずくまり、またある者はイベント主催者に対する不満をぶちまけ、またある者はイベントが続行されるか心配する。 そして、観客がホールの外に追い出されたという異常事態を軍隊蟻は見逃さなかった。ホール付近の駐車場のワゴンで電話をかける樫閑。後部座席にはユマと智暁が座っていた。 「駄目ね…警備会社も一人残らず会場の外に追い出されているみたい。」 樫閑は不満そうにスマホをポケットの中に入れた。彼女のリダイヤル履歴にはクラヴマガ社の人間の名前がずらりと並んでいた。 「どういうことですか?」 後部座席から智暁が身を乗り出す。 「それがあいつらだんまりを決め込んでるのよ。とにかく『言えないし、こっちも詳しくは分からない。』の一点張りよ。警備を別の組織に丸投げしてるみたい。とりあえず、煙草たちが客たちに事情を聴いて回っているわ。同時に出た客の中に尼乃さんがいれば恩の字ね。」 噂をすれば何とやら…タイミング良くワゴンの扉が開き、狼棺が入って来た。 「お嬢。聞いてきたぜ。音響設備の不具合だとさ。あと、出てきた客の中に尼乃って野郎はいなかった。まぁ、あの大人数だから、どっかで見逃している可能性もあるけどな。」 「ありがとう。それにしても…音響設備の不具合ねぇ?それなら、わざわざ外に出さなくても良いじゃない。」 「ああ、俺もそう思った。けど、もう一つ、観客全員が口を揃えて変なことを言ってやがった。」 妖精のような少女が現れた途端、全身を八つ裂きにされる悪夢を見た。 「…。なるほど、分からないわ。」 「お嬢が分からねえなら俺もお手上げだ。今、弐条がホールの警備システムをハックしている。監視映像が見れれば、どうにかなるかもしれないな。」 「いえ。おそらく見ても分からないでしょうね。」 樫閑は後部座席の方に振りかえり、ユマに視線を向ける。ユマは両腕を組んで鎮座しており、静かに動くべき時を待っていた。 「ユマさん。他人に、それも大勢の人間に悪夢を見させる魔術ってのもあるのかしら?」 「普通にあるよ。でも昂焚の魔術かどうかは分からない。昂焚は魔術のレパートリーが豊富だから、よく分からないし…」 「レパートリーって…、もしかして魔術ってのは一人の人間で何種類もの魔術を行使出来るのかしら?」 それを聞いたユマは「はぁ?」と唖然とした態度で答えた。同時に“そんな質問”をしてしまった樫閑は自分が魔術を科学の尺度で考えていることに気付く。能力は一人に一つを原則としている学園都市の超能力に慣れていた彼女はつい魔術も超能力と同様に一人の人間が扱える魔術は一つだけであると勘違いしてしまっていた。 「魔術ってのは理解できれば誰にでも行使することが出来るからな。ちゃんと手順を踏めば、一般人もその場で魔術を行使できる。」 「じゃあ、あなたが教えれば、私たちにも魔術を使えたりするのかしら?」 「まぁ…な。だけど、今まで私は誰かに魔術を教えたことは無いし、誰かに自分の魔術を使わせたことも無い。それに使えるかどうかはあんたらの教養次第だ。」 ユマの少し詰まった回答が樫閑には気にかかっていた。しかし、手順を踏めば誰にでも使える魔術の利点を知ったことで学園都市の歪さとアンチオカルトの本当の理由を知る。学園都市がアンチオカルトなのは科学の総本山だからではない。超能力という“異能の力”が学園都市だけのものだと信じ込ませることで学園都市の価値を高め、異能の力に憧れる者を学園都市に縛り付ける。魔術の存在は学園都市にとっては眉唾ものなのだ。 (世界を知れば知るほど、この街の全てが疑わしく見えるわ。) 学園都市に対する疑念を膨らませつつも、学生であり先端科学の恩恵を受けている限り、この街で生きるしかないのだと考えて膨らむ疑念を押さえようとする。そして、彼女のスマホに来た着信がそれを払拭する良い切っ掛けになった。相手はホールの外側、メインゲート周辺で客に紛れ込ませたメンバーの一人だ。 「何かしら?」 『主催者側の方から、設備の復旧が難しいから別のステージで第2部のライブをするそうです。観客たちもそっちに移動しています。』 「随分と手際が良いわね。分かった。とりあえず、あなたはそのまま客たちに随行して。何かあったら連絡お願い。」 『了解。』 樫閑は通話を切ると、間髪いれずに別のメンバーから連絡が入る。相手は弐条だった。 「何かしら?」 『煙草さんに言われてたホールの監視カメラの映像をゲットしたんですけど、映像が途中で途切れちゃってて…』 「途中でも構わないわ。とにかくこっちに送って。」 『分かりました。すぐに送ります。』 通話を切った後、樫閑はスマホを大画面のパッドに接続する。 「……来たわね。」 弐条から映像データが送信され、パッドを操作して映像データを開く。 パッドの画面にはホールの至る所に設置された監視カメラが写している映像を一斉に再生していた。各画面の左下に表示されている時間からして、おそらく第2部の姫野ライブが始まる直前だろう。 後部座席から身を乗り出して、智暁とユマも画面にくぎ付けになっていた。 「案の定、通路はガラガラね。メインステージのカメラに限定しましょ。」 樫閑はパッドを操作して通路を写す映像を閉じ、画面に写すのをメインステージと観客席を写すカメラの映像だけに限定した。 (かなりの人数ね…。この中から尼乃さんを探すなんて…) 「いた。」 ユマが座席から身を乗り出し、画面に指をさす。 「え?どれ?」 「ここ。金髪の左隣。」 監視カメラにバッチリと移る昂焚とディアスの姿があった。 「確かに…あの写真の面影があるわ。」 カメラの映像は、メインステージで起こった出来事をしっかりと記録していた。 ステージ上に現れた謎の美少女、悪夢を見せる歌を苦しみだす人々、歌の制止、観客の避難、その全容が映されていた。そして、昂焚とディアス、アリサがホールに残っていることも…。 ここで映像は途切れ、その後に起きたホールでの戦闘は全く映されていなかった。 (やっぱり…昂焚はあの中に居るんだ。) ユマは今にも車から飛び出したくてウズウズし、思わず力が篭もった肉体が貧乏ゆすりをすることで発散している。10年も追い求め、恋焦がれた存在が目の前にあるのだ。落ち着けと言う方が無理な話だ。しかし、今、闇雲にドームに飛び込むのは得策ではないことをユマは理解していた。軍隊蟻との同盟の件もそうだが、それ以上に…いや、最大の理由として昂焚が用心深く、イギリスでは両手両足を拘束しても逃げられたという事実がユマを慎重にさせる。 (まだ…まだ慌てる時じゃない。より確実に、正確に、徹底的に昂焚と添い遂げる。そのために必要な要素がまだ足りない。イルミナティも軍隊蟻とかいうお子様マフィアを利用してでも…。) スラム街で育ちながらも養父であるホセ・アルドゥ・バルムブロジオにありとあらゆる教育を施された彼女はその見た目や言動に反して、意外と頭が良く、魔術師なのだから当然の如く教養がある。 “尼乃昂焚と添い遂げたい”という欲望に心血を注ぎ、そのためなら熱血(ホット)にも冷血(クール)にもなれる。打算的な部分を持っている分、痴情の縺れの果てに暴走する乙女よりも厄介とも言える。 その一方で、樫閑はユマとは別の方向に悩みこんでいた。 (んむぅ…。こうも簡単に見つけられると逆に困るのよね。長期にわたって魔術に関わる情報を聞き出すつもりだったのに…。) 魔術に関わる情報を聞き出し、尚且つそれを理解して応用するにはそれなりの時間が必要だろう。尼乃昂焚が行方不明であるという事実、彼の捜索に軍隊蟻が絶対に必要だと思わせることでユマを軍隊蟻に縛り付けたのだが、こうも簡単に見つけられてしまっては魔術のことを聞き出す前に逃げられ、タダ働きになるかもしれない。信頼を示すためとはいえ、彼女に槍を返してしまったのは迂闊かもしれない。 しかし、樫閑はすぐにその考えを改める。 (いけないわね。つい打算的になってしまう。) リーダーの寅栄瀧麻とナンバー2の仰羽啓靖、もし彼らがこの場に居たのなら、尼乃昂焚が見つかったことを素直に喜んでいたに違いない。あの2人は自分とは違い、他者の幸福を自分の幸福のように喜ぶ人間だ。彼女のためにチーム総出で惜しみない支援をしていたに違いない。 (ここは突入を仕掛けるべきか否か…) 樫閑恋嬢としての打算的な思考と軍隊蟻の“リーダー代理”として筋を通した思考の間で板挟みになる。 そんな悩みから解放させてくれる厄介な報告が樫閑の元に届いた。警備員の通信を傍受していたメンバーからの連絡だ。 「はい。こちら樫閑。」 『多数の警備員にオービタルホールへの召集がかけられているッス!警備員の無線を傍受して手に入れた情報だから確実ッス!』 (警備員が動いたってことは…おそらく内部で起きた出来事、魔術の隠蔽工作は諦めたってことね。包囲網が敷かれると厄介だわ。張り込み組には持たせてないけど、この車には少し武器を積んでいるし、お尋ね者の侵入者も匿っている。検問で即刻アウトよ。) 「分かった。情報ありがとう。」 樫閑はケータイを切り、耳にインカムを装着する。 「オービタルホール周辺のメンバー全員に通達。直ちに撤退し、各自最寄りの交通機関の張り込み組と合流せよ。」 それを聞いた途端、ユマの目はかっと見開き、樫閑の肩に掴みかかる。それは尋常じゃない握力でユマの細い腕には筋肉と血管が浮き上がる。 「痛っ・・・・!!」 「撤退?目の前に昂焚がいるってのに、諦めろって言うの?」 「落ち着いて聞いて。警備員…ここの治安組織がじきにホールを包囲するわ。おそらく、ホールの内部で起きた“何か”を隠蔽することを諦めて、堂々とここで潰す気のようね。どれほど武装しても私たちはスキルアウト、外で言うギャングよ。所詮は日陰者。ここまで騒ぎが大きくなると大きなアクションは取り辛くなるわ。それにあの騒ぎの中に尼乃さんがいるって確証は無いのよ。ここで無闇に突っ込んで警備員にでも捕まったら、あなたはこの街を追い出されることになるわ。」 「そういうことか・・・。私もここのポリスの世話にはなりたくないな。」 「分かってもらえて嬉しいわ。もし仮に尼乃さんが警備員の御用になっても問題無いわ。学園都市は基本的に外部からの侵入者に対しては強制送還と多額の罰金の措置を取っている。学園都市のゲートか空港で待ち伏せしていれば、確実に会えるわ。」 「分かった。ここは大人しく退く。」 「理解力が高くて助かるわ。」 樫閑たちを乗せたワゴンはホール組を乗せて駐車場から出た。道路に出てスピードに乗り始めた頃に急ブレーキがかかり、樫閑たちの身体が前に放り出される。 「危ねーだろうが!左右ぐらい見やがれ!」 運転手の男が窓から身を乗り出して叱責する。どうやら、誰かが飛び出してきて急ブレーキをかけたようだ。 「…ったく、誰なのよ。」 樫閑は前の座席にぶつけてしまった額を手で押さえながら前方を見る。 樫閑はそこで意外な人物の姿を目の当たりにする。ワゴンのヘッドライトに照らされて、あまりの眩しさに手で目を覆う神谷稜の姿が合った。 (何で彼がここに…?) 神谷稜が何故、オービタルホールに来たのか。樫閑は考えた。 神谷稜と言えば、昨日、斑孤月と共に不審人物との戦闘で重傷になり、病院に搬送されたと聞いている。いくら冥土返しでも昨日の今日で重傷の患者を病院から出すわけがない。彼が病院を抜け出してでも成し遂げたい何かがあのホールの中にあるということだ。 そして、ここに一つの仮説が浮上する。その不審人物が尼乃昂焚ではないかということだ。彼は外部からの侵入者であり、風紀委員である神谷稜と戦闘になる理由は十分にある。そして、ユマの語りから彼が優秀な魔術師であることも窺え、大能力者である稜と狐月を打ち負かす可能性も十分に考えられるのだ。大能力者《レベル4》2人を同時に重傷で病院送りに出来る人間など、あの辺りだと超能力者《レベル5》第3位の超電磁砲《レールガン》こと御坂美琴《ミサカ ミコト》ぐらいだが、魔術という未知の能力が相手であれば、条件は変わるだろう。 (だとすると、彼は個人的なリベンジに燃えているってことかしら。) あまりにも馬鹿馬鹿しいと考えながらも、過去の稜の行動から有り得るとも考えてしまう。無愛想でクールに見えて、その内は誰よりも不器用で頑固な熱血馬鹿だ。 それに彼が腕章をしていないとすると、今回の行動は風紀委員としてではなく一個人としてのものだと考えられる。病院から脱走しているのだから、風紀委員として堂々と活動できないはずだ。その隙に付け入ることが出来れば、昂焚探しに彼を利用できるかもしれない。 稜は叱責する運転手を無視し、そのままホールの方に突っ走る。 「あっ!待って!」 樫閑は慌てて扉を開けてワゴンの外に出る。 「待ちなさい!神谷稜!」 走りだそうとした稜は名指しで叫んだ樫閑に止められ、後方にいる彼女に振り向いた。 「あんたは…確か軍隊蟻の…」 「面と向かって会うのは初めてね。私は軍隊蟻のリーダー代理を務める樫閑恋嬢よ。」 「…くっ。スキルアウトが俺に何の用だ?」 稜は明らかに警戒して身構える。片や風紀委員一七六支部のエース、片やスキルアウト軍隊蟻の実質的なリーダー。相反する敵同士の対面だ。 「尼乃昂焚…」 樫閑が彼の名前を口に出す。稜は面食らったのがそのまま表情と態度に出て来る。樫閑の思惑通り、分かりやすい人物だ。 「図星のようね。分かり易いわ。」 「何で…あんたがあいつの名前を…」 「“私たち”もあいつのことを探しているのよ。事情は話せないけどね。」 「俺に…『協力しろ』って言いたいのか?」 「さすが大能力者。話が早くて助かるわ。これは貴方にとっても悪い話じゃない。貴方が尼乃昂焚を狙うのは個人的な理由でしょう?それも病院から脱走するほどの…。」 稜は「どうしてそこまで知っているのか?」と樫閑に問いたかったが、軍隊蟻の構築した膨大な情報網によるものという答えが返ってくるのは明白だった。風紀委員や警備員との癒着があり、数多くの研究施設や企業との関係も持っている。よほどの機密事項でもない限り、情報は彼女たちに筒抜けだろう。 「風紀委員の仲間からのサポートも無しに彼に出会えるのかしら?もし仮に出会えたとして、貴方一人でどうにか出来る相手なのかしら?斑孤月と一緒に病院送りにされた貴方が。」 「それは…」 稜は回答を詰まらせた。現状、自分一人で昂焚にリベンジを果たすのは難しいだろう。それは理解できていたが、ここで「ああ。難しいだろうな。」と答えてしまうと樫閑が軍隊蟻との協力の話に持ち込む。あの界刺得世と互角かそれ以上に渡り合う女だ。あまり認めたくは無いが、こういった交渉が苦手な自分なら簡単に言い包められるだろう。 (それじゃあ、意味が無いんだよ。) これは“自分が信じる正義”の為の戦いだ。それをスキルアウトと結託して成そうとするなど本末転倒にも程がある。 樫閑に協力体制の話を持ち込む切っ掛けを与えない。これが最善の策だった。だが黙秘を続けるのも限界があり、「黙秘は肯定と見なす」というフレーズをよく聞くように、おそらく黙秘は否定の答えにはならない。ただの時間稼ぎだ。 (どう答えるべきか…) 悩んでいたところ、ワゴンの窓が開き、狼棺が顔を出す。 「早くしろよ!お嬢!警備員に包囲されちまうぞ!」 それを聞いて、樫閑は腕時計の時間を見合わせ、稜は回答を誤魔化すチャンスが出来たと同時に警備員がここを包囲し、病院から抜け出した自分も捕まってしまう可能性を危惧する。 「そろそろ時間ね。警備員がここを包囲するから、あなたも今回は諦めた方が良いわよ。」 樫閑はそう言いながら稜に歩み寄り、彼の肩を軽く叩こうとする。 ガシッ! 稜は樫閑の手首を掴み、自分の肩に触れさせなかった。 「そうやって発信器を付けるのはベタにも程があると思うぜ。ってか、分かりやす過ぎ。」 「あれ?バレちゃった?」 稜は樫閑の掌に付いていた微小の発信器を奪うとそれを握りつぶした。 「まぁ、いいわ。今回は諦めて退散しますか。」 そう言い残して、樫閑はワゴンに乗り込み、そのまま走り去っていった。 車内では迫華がその立場を忘れて、樫閑の行動の是非を問いかけていた。 「お嬢!何考えてるんスか!?」 「それは、どういう意味で言っているのかしら?」 「あいつは風紀委員っすよ!しかも一七六支部のエースで正義漢も半端じゃない頑固者!そんな奴と協力しようって正気じゃないっす!」 樫閑は自分が稜と協力しようと持ちかけた理由とその根拠の全てを話した。納得のいく理由ではあったが、迫華はそれでも納得がいかず、智暁はその大胆さに驚嘆していた。 「本気で協力できるとは思っていないわ。けど、“神谷稜は尼乃昂焚を追っている”という情報を得ることが出来たわ。それに―――」 樫閑はタブレットを出す。画面にはこの辺りの地図が写され、赤い点が地図上を移動していた。 「彼に発信器を付けるのも成功したしね。」 「え?阻止されてましたよね?」 智暁が問いかける。おそらく、ユマも同じことを思っているだろう。しかし、運転手と狼棺、迫華はタネが分かっているようで、ニヤニヤとしていた。 「肩に付けようとした発信器はダミーよ。本丸はこの極小の自律飛行ユニットに搭載されたものがこっそりと彼の服に張りついているわ。」 樫閑の人差し指の先に付いている米粒よりも小さい黒い球体。これが発信器と盗聴器を搭載した自律飛行ユニットだ。 「これ絶対に気付きませんよね。」 「学園都市って…凄いんだな。SF映画みたい。」 樫閑の指先に止まる自律飛行ユニットを智暁とユマはまじまじと見つめていた。 「ところで、あいつに発信器をつけるメリットでもあるのか?発信器だってタダじゃねえんだぞ。」 そう言いがかりを付けてきたのは狼棺だった。 「勿論、メリットはあるわ。おそらく、彼はあのホールに尼乃さんが居ることを確信していた。だとしたら、風紀委員のネットワークとはまた別の非常に信頼性の高い情報源がある筈よ。もし彼の御用達の優秀な情報屋にでも巡り逢えたらラッキー☆って感じね。」 「あの一瞬でそこまで考えてたのかよ…。」 「ええ。」 樫閑はふとタブレットの画面を見て、稜の位置を確認する。 (どうやら、私の忠告は聞き入れたようね。風紀委員ではない彼がどう動くか…興味深いわ。) しかし、彼がどう動くか予想する間も与えず、ワゴンに積んでいる通信機に連絡が入る。 『お嬢。地下駐車場から怪しい車が2台出てきました。』 「中は見える?誰か乗ってた?」 『いえ。スモークガラスで中は見えませんでした。赤いスポーツカーと後続にシルバーのワンボックスカーっす。東の方に向かいました。今、佐倉井と吉戸のバカップルコンビが追っています。』 「そのまま付かず離れずの距離で追跡しなさい。」 『了解。』 樫閑は通信機を手に取り、スイッチを切り替えることで別の人間に繋がるようにする。 「装甲車“コウチュウ”。聞こえる?」 『はい。通信クリアです。』 「今すぐ、無人偵察機“カゲトンボ”を第六学区の東側に射出して。安定飛行に入ったら、操作と監視は波幅倫理《ナミハバ リンリ》に一任。」 『了解。』 目まぐるしいほどに仲間と連絡を取り合う樫閑、通信機を置くと、今度はスマホを取り出して別の人間に連絡した。 第五学区 風輪学園中等部 女子寮 第5学区に位置する総生徒数1000人弱のどこにでもある学園。そこの中等部の女子寮の一角。入ってはいけないようなオーラを放つそのドアの向こうには見事に散らかし放題、お菓子や漫画、ゲーム類や電子機器などで溢れかえっている典型的なぐーたら自宅警備員の部屋が広がっていた。 明かりも点いておらず、暗い部屋の中で不気味に光るパソコン画面とそれに向かう少女の姿。 身長は150㎝前後で細身の体型。無造作に伸ばした黒髪は腰まであり、服は作業着風の寝巻きを着ている。ナマケモノのような動作と、それに反して獲物を狩る獣のような目付きが特徴で、恐ろしく肌が白かった。 パソコンに向かう彼女のケータイに連絡が入り、少女は「う~ん」と唸りながら面倒くさそうに電話に出る。 「あ~。樫閑さんですか~。こちら蟻の波幅で~す。」 『今、ちょっとした仕事で“カゲトンボ”を飛ばしているわ。あなたにその操作を頼みたいの。』 「オッケーですよ~。いつものことですね~。ゲームみたいで面白いんですよ~。」 『追跡対象のデータは今から送るわ。あと、出来れば真剣にやって欲しいわね。あの偵察機、けっこう高いんだから。』 「は~い。」 そう言って、波幅は別のパソコンを立ち上げて、偵察機の操作に準備に入る。 彼女がそれに集中している最中、部屋の扉が開いてもう一人の少女が部屋の中に入って来る。 波幅と同い年だろう。艶のある黒髪を肩くらいの長さで切り揃えており、顔の両脇を隠すように伸びた前髪が特徴的だ。目は基本的に光がなく、死んだ魚の様な目をしているが表情は豊かだ。 彼女の名は犬飼遊離《イヌカイ ユウリ》。波幅倫理の世話係をやっている風輪学園中等部三年の少女だ。 手にはコンビニのビニール袋を持っており、温かそうに湯気が出ていた。 「倫理~、コンビニでおでんが安売りだったよ。…って、そのパソコンを使うってことは…」 「うん。軍隊蟻のお仕事。今から偵察機を操作するんだよ~。」 波幅のパソコンが起動し、画面が偵察機に搭載されているカメラの映像に切り替わる。波幅はパソコンに繋いだ専用のコントローラーを使ってデータを基に対象を捜索し、偵察機を動かしていく。その目は真剣そのものと言うよりは、本人の言う通り、ゲーム感覚だ。 コンビニで買ったおでんをテーブルの上に置き、遊離は後から倫理に抱きついた。しかし、倫理は気にも留めず、偵察機の操作を続ける。 「軍隊蟻ね…。倫理はこの仕事についてどう思うの?」 「まぁ…面白いと思ってるよ。他にも一杯、面白い物を持ってくるしね。」 「ふぅん。そのリーダーの樫閑さんだっけ?彼女ってどんな人なの?私は会ったこと無いのよね。」 「う~ん。『まさに参謀』って感じの人だよ。冷静で頭の回転が早くて、駆け引きとか交渉とかも凄いんだよ。あ!あとリーダー“代理”。そこをきっちりしておかないと怒るんだよね。」 「そうなんだ…。」 「最近は何か焦っているっていうか、寅栄さんと仰羽さんが居なくなってから、無理してリーダーやっている感じがするんだよね~。最近、愚痴が増えているし。」 波幅から見た樫閑の評価を聞いて、遊離は少し微笑み、うっとりとした顔をする。 彼女は傍観者であり、観察者だ。他人の人生を傍観するのが好きなだけの変わった人物であり、物珍しい感性を持った人間の物珍しい人生であればあるほど彼女にとっては素晴らしいものであり、愛おしいものである。その中でも完成しきった人間性を持つ人間の人生よりも、未熟で欠点だらけの人間性を持つ人間の人生の方が素晴らしいと思っており、いかにも完璧の様に思える樫閑恋嬢という人物像、波幅が語る彼女の脆さと弱さの片鱗が彼女のストライクゾーンを突いたようだ。 「そうなんだ。ちょっと面白そうな人だね。」 「浮気は駄目だよ~。遊離さん。遊離さんが居なくなったら、誰が私の面倒を見てくれるんですか~。」 「ふふっ。勿論、貴方も魅力的よ。」 再起か破滅か先の読めないその特異な人生が… 第六学区の東側の高速道路。学生の街ということもあってあまり車を利用する人間が少ないが、こういった自動車関連のインフラは充実している。 その高速道路上を走る赤いスポーツカーとシルバーのワンボックスカー。その背後を付かず離れずの距離で2台のバイクが並走していた。 赤いスポーツカーは持蒲鋭盛のものであり、本人が運転し、助手席にハーティ、後部座席に藍崎が乗っていた。後続のワンボックスカーは駐車場に停めてあったものを拝借し、彼の付き人であるジェフリーが運転している。尊とアリサも同乗していた。 「後ろのバイク。明らかに私たちを尾行していますね。」 ハーティはミラーで後方を確認し、並走して走る2台のバイクを視認する。 「イルミナティの奴らか?」 藍崎もミラーで後ろを見る。 「分からないわ。けど、このまま尾行されるのも好くないでしょう。私たちもホテルの位置を知られたくありませんし…」 ハーティがジャラジャラと鎖のような霊装を取り出した。 「スキルアウトの連中かもしれないな。まったく、イルミナティに逃げられるわ、死人部隊は殲滅させられるわ、帰りにスキルアウトに狙われるわで今日は厄日だな。」 「スキルアウトって、要するにギャングよね。だったら、迎撃しましょう。」 「なるべく穏便に済ませたいね。後続車のこともある。」 拘束・拷問が専門のハーティには穏便に済ませる手段に相応しい霊装を持ち合わせていなかった。そもそも彼女は穏便の加減を知らないのだ。“穏便に”と命令されて、昂焚に“少なくとも死なない程度に拷問”する人間だ。 「だったら、ボクがやりましょうか。ボクの魔術だったら、バイクの視界を潰して振り切ることが出来ます。」 藍崎は申し訳なさそうにゆっくりと手を挙げる。 藍崎の提案に対して持蒲とハーティに異論は無く、迎撃は彼の担当になった。 背後から追跡する2台のバイク。両方ともピンクと白を基調とし、ハートマークや「I love you!」の文字が大量にデコレーションされたいかにもラブ!らぶ!LOVE!なバイクだ。 「今日も最高の走りだぜ!瀬那《セナ》!惚れ直しそうだ!」 「私はいつもあなたに惚れ直してるわ!逢琉《アイル》!」 甘々な言葉を互いにかけ続ける。 2人は軍隊蟻で随一のライディングテクニックを誇るメンバー、吉戸愛琉《ヨシト アイル》と佐倉井瀬那《サクライ セナ》の通称“バカップルライダー”だ。 「よっしゃあ!行くぜ!」 「ええ!今日も決めるわよ!」 「「“貴方を絶対に離さない!愛のラブラブ追跡走法!”」」 2人で息を合わせて必殺技っぽいものを叫ぶが、普通に静かに尾行するだけの走りである。 突然、前方から黒い霧が噴出し、一気に高速道路を包み込む。 「くそっ!前が見えねえぞ!」 「これじゃあ、追跡出来ないわ。」 2人は急停車し、早々に追跡を断念する。 「まぁ、私たちはダミーだから良いのだけれど。」 2人が空を見上げると、遥か上空を1台の小さな航空機が通り過ぎて行った。細長い胴体に4枚の翅を持ち、闇夜に溶け込むような黒いトンボのような機影だ。 カゲトンボと呼ばれる軍隊蟻が保有する偵察機であり、学園都市の企業が開発し、軍隊蟻が運用することで実戦形式のテストを行っている。 バカップルライダーはダミーであり、2人が撒かれるのは計算の内だった。追跡者が2人だけだと思わせ、警戒を怠っているところを真の追跡者であるこのカゲトンボが追いかけるのだ。 カゲトンボが優雅に飛行し、2台の車を追跡し続ける。 「んっふっふ~♪丸見えなんだよ~」と操作している波幅は鼻歌交じりに言っているに違いない。それほど余裕のある偵察だった。 ガンッ!ガンッ!…ドォン!! 突然、カゲトンボに2度衝撃が走り、黒煙を上げて墜落していく。そして、機密保持のための自爆システムを用いて空中で爆散し、粉々になった。 波幅の部屋でもその異常は感知しており、「システムエラー」「接続先が見つかりません」などの警告文を上げて、パソコン画面が真っ暗になった。 「うわぁ~。撃墜されちゃったよ~。」 カゲトンボは最新鋭の特殊装甲で構成されており、非常に軽量ながらも高い防御力を誇り、ミサイルでも当たらない限りは撃墜されることはない。そして、この特殊装甲は完全なステルス性を持っており、誘導ミサイルによるロックオンは不可能だ。撃墜される可能性を極力減らした仕様だ。 頭を抱えて毛布に包まり、波幅は現実から逃避する…が、現状報告はしっかりと樫閑にしていた。 「お嬢。すみません。カゲトンボ、撃墜されました。」 『そう…分かったわ。』 カゲトンボの撃墜の一報を機に樫閑は軍隊蟻の全部隊に撤退命令を下した。 高速道路付近の建物の屋上、カール・ブルクハルトは大口径のスコープ付きの対戦車ライフルを構え、スコープを覗いていた。銃口から微かに煙が上がっている。 「目標《ターゲット》の、撃墜を確認。」 『よくやってくれた。カール。迎えが来るまで少し待っててくれ。』 イルミナティ対策チーム、いや、必要悪の教会の中では随一の狙撃能力を誇る彼は狙撃によってカゲトンボを撃墜したのだ。 1発目でカゲトンボに衝撃を与えて傾かせ、2発目に特殊装甲の部分ではないカメラのスコープを撃ち抜いて弾を内部の機材まで貫通させて撃墜した。魔術的な補正も誘導弾もなく、ロックオンも出来ない最新鋭の特殊装甲を装備した偵察機相手に時代遅れの対戦車ライフルで撃墜した彼の腕前は神業としか言いようが無かった。 「もう、追跡者はいない…か。」 * * * 第十学区 留置所 薄暗く、夢も希望の欠片も無い、清潔だけど冷たさのみを感じさせる留置所。数多くの牢屋が並び、その中の一室に一人の女性が俯いていた。 年齢は20代後半だが、やつれているせいで30代に見えなくもない。スタイルが良く、顔も美人だが、クールな印象が残る。髪型は茶髪のショートヘアーで左目側の前髪が長く、右目側の前髪が短い。 彼女のいる部屋には“桐野律子”《キリノ リツコ》と書かれたネームプレートがあった。 その牢屋の前に一人の少女が佇んだ。周囲には美男美女の数人の付き人を連れている。 どう見ても小学生、大きく見積もっても中学生ぐらいにしか見えない少女だ。茶髪のツインテールに赤いリボンを付けており、ヘソ出しルックに短いスカートというチラリズム絶対主義な服を着ている。 「やっほ~!律ちゃん!元気してた~?」 律子の現状など気にも留めず、少女はハイテンションで元気に挨拶をする。 「組濱衿栖ね。予定より遅かったじゃない。」 律子は面を上げる。 「仕方ないじゃない。第三次世界大戦のゴタゴタで研究に支障が出たんだから。」 「そんな与太話をしにわざわざ来たわけじゃないんでしょう?もう“あれ”は完成しているのよね?」 「勿論!ここにあるよ!」 衿栖は付き人が持っていたケースを取り上げ、中身を開けてそれを律子に見せる。 「ふふっ…。本当に完成したのね。」 「けっこう手間暇かかったんだから、絶対能力者《レベル6》が生まれた暁にはその利益もこっちに廻してよね。」 衿栖に指示され、付き人の一人がカードキーを取り出し、律子が収監されている部屋のロックを解除し、扉を開けた。 「仮釈放おめでとう。桐野律子ちゃん。」 律子と衿栖は不敵な笑みを浮かべた。 過去の欲望は目覚め、再び少年の正義に立ちはだかる。
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Last up date 2011-05-17 21 47 57 (Tue) [部分編集] クエストチュートリアルメインクエストサブクエスト繰り返しクエスト指定時間クエスト クエスト>繰り返しクエスト +データの編集について @wikiのプラグインはソート対応ではないためデータとデータの間に新規のデータを入れる場合、現状では直接編集しか出来ません。 お手数ですがデータの直接編集をされる方はコチラより編集してください。 直接編集の方法がわかりにくい方はそのままデータを追加していくかコメントにデータを残してくださると助かります。 クエストタイトル 開始、報告NPC 報酬 内容 備考 編集 始:報: Lv15以上且つ特定クエ(看板クエ?)クリアで出現。ふぬけたリーファン、ベアロード絡み。詳細失念; 編集 日陰でのみ育つ力 始:依頼掲示板報:ネッシュ G:540EXP:11240【B】白色文様 1.遺跡廃墟に到着。2.骸骨を倒して汚染された月光エーテルを20個獲得。3.ネッシュに報告。 Lv17で出現。他に条件があるかも。 編集 始:報: 雷フロッグスター絡み。詳細失念; 編集 始:依頼掲示板報:バレット G:EXP:【B】白色文様 1.遺跡地帯に到着。2.とっくり(仮)を10個獲得。3.バレットに報告。 Lv19以上且つ特定クエ(マリエッタ?)クリアが出現条件。 編集 始:依頼掲示板報:バレット G:EXP:【B】白色文様 Lv19以上且つ(ryオイモンの繭、トッパシーズ絡み。詳細失念; 編集 神が降臨した森の子 始:依頼掲示板報:バレット G:1476EXP:31040【B】白色文様×2 1.桜の丘-入口に到着。2.任意のモンスター30匹討伐かつ幼い桜の種子を15個獲得。3.バレットに報告。 Lv21以上且つ閃光のM絡みの桜の丘-入口クエクリアが出現条件。 編集 美しい桜森のために 始:依頼掲示板報:キティ G:1476EXP:31040【B】白色文様×2 1.桜の丘に到着。2.汚染された桜苗木を5個浄化。3.キティに報告。 Lv21以上且つ桜の丘のクエ(種類不明)クリアが出現条件。 編集 始:報: Lv21以上且つ(ry黒羊とふぬけたリーファンのアイテムを集めるクエ。詳細失念; 編集 遺跡入口を浄化せよ! 始:依頼掲示板報:バレット G:2220EXP:46360【B】白色文様×3 1.遺跡入口に到着。2.任意のモンスター20匹討伐かつベアロードを5匹討伐。3.バレットに報告。 Lv23以上且つ特定クエ(トリシュのキノコクエ?)クリアが出現条件。 編集 始:報: 編集 ▲ コメント 過去のコメントはコチラ わかるのだけ書いてみた。管理人さん手直しお願いします。 - 名無しさん 2011-07-01 10 35 45 名前
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とある2人の春休み 1 春休みの初日、学園都市は雲一つない快晴だった。 御坂美琴は桜舞う公園のベンチで上条当麻を待っていた。 特に約束したわけでも無く、特に用があるわけでもなかったが、もはや習慣となった上条探し。 春休み中という事もあり、見つけたら声をかけて少しでも一緒にいたいと思う程美琴は上条に惚れ込んでいた。 そんな中、遠くの方で見覚えがあるツンツン頭が目に入る。 それは待ちに待った上条当麻の頭で、近づいてくるたびに胸がドキドキと高鳴ってくるのが分かる。「(あぁ…ど、どうしよう。顔絶対に真っ赤になってるよ…うぅ……な、なんて声をかけようかしら…)」 しかし当の上条を見て美琴は真っ赤な顔を一瞬にして青くした。 なにやら上条の様子がおかしい。おかしいというか何にかに座りながらこちらに向かってくる。 上条は車椅子に乗っていた。 その左足にはぐるぐると包帯が巻かれており、左手にも包帯がきつく巻かれているようだ。「ちょっとアンタ! ど、どうしたのよ一体!! 何があったの!? …まさかまたどっかに行くとか言うんじゃないでしょうね!?」 美琴はそんな状態の上条を見るなり、一気に駆け出して彼の前まで行った。 よく見ると上条の顔には絆創膏が何枚か貼ってあり、他にも生傷がいくつかあって痛々しい有様になっていた。 美琴は以前のように上条がまた誰かの為に戦いに行くと思い、車椅子の手すりの部分を掴んでその動きを止めた。 しかし、彼女にとって救いだったのが上条から返ってきた返事だ。 それは元気そうな声で、顔を覗くと顔色もいいみたいなので心底ホッとした。「おぉ。御坂。どした? なんか用か?」「あ、アンタね! 用が無くたって知り合いがそんな格好で出歩いてたら気になって話しかけるでしょうが!」「あー、コレね。実は昨日猫助けようとしたら木から落ちちまってさ。まぁ猫は無事だったが俺は無事じゃなかった」「……………………はぁ。何やってんのよ、ホントに。でも本当にこれからどこに行くとかじゃないのね?」「あ? いや、スーパーに行くよ。その為に頑張ってここまで車椅子転がして来たんだから」「そ、そう…よかった。本当によかったよぉ…うぅ…う、うぅ……」「お、おいおい。何いきなり泣き出してるんだよ!」 上条が変な事件に巻き込まれて無い事に安心したのか、美琴は上条の太ももの上で顔を伏せて泣き出してしまった。 そんな美琴を見て上条は慌てる。いきなり泣き出したのもそうだが、自分の下半身に美琴が顔を埋めている。 この状況は、周りから見たらとても勘違いされやすい構図になっているのではないのか。「だっ、だってぇ…安心したら……うぅ。涙、が……うぅ、う…」「…ったく、おまえな。心配しすぎだっつうの」「……あ」 上条は唯一まともに動く右手で美琴の頭に手を置くと、よしよしと優しく頭を撫でた。 頭に手を置かれた事で顔を上げた美琴は、顔を真っ赤にした泣き顔だったが、撫でられると嬉しそうに笑った。 そんな美琴を見て、上条は目に溜まった涙を指で払ってあげるとニコっと笑顔を見せる。「落ち着いたか?」「………もうちょっと」「はいはい」「うぅ…、また泣き顔見られた…」「上条さんの中で、御坂さんの涙がどんどん安くなっていきますよ」「なっ! 全部アンタの所為でしょうが! 人の気もしらないで自分だけ傷ついて!」「す、すみません」「はぁ…。いいわよ、もう。アンタが無事なら……それで」「まぁ無事では無いんですけどね」 上条自身は記憶に無いが、インデックスと出会った頃にステイルとの戦いで学生寮の階段から飛び降りた事があった。 その時は特には大きな怪我はなかったが、今回はどうやら落ち方がいけなかったらしい。 左足と左腕の骨を完全に持っていかれて全治3ヶ月の重症だった。 しかし上条の命を幾度と無く救ってきた冥土返しを持ってすれば、春休み中には全快するくらいにしてくれた。 これより縮めてしまうと、人が本来持つ自己再生能力に影響があるらしい。 本来こんな状態なら一人暮らしなどまともに出来るわけがなく入院するはずなのだが、 彼の安らかな休息よりも不幸が勝り、病室はいっぱいだった。 上条は何とかなるんでと言って退院したらしい。「で? 昨日怪我して夜はどうしたのよ。色々と不都合あったんじゃないの?」「まぁ、まず料理が出来なかったからコンビニに弁当買いに行った」「春休み中ずっとコンビニ弁当なんか食べてたら、アンタの財布が火を吹くどころじゃないんじゃないの?」「そうなんですが…作れないし」「あ」 美琴の頭の上に小さな豆電球が出た。 しかし彼女は電撃使い。そんな豆電球は一瞬にして電力を抑えきれなくなり粉々になってしまった。 まぁ何かいい事を思いついたらしい。「(こ、これはチャンスだわ! この状態なら部屋に行って色々お世話するって言っても何も不自然じゃないし。何より家庭的なスキルを見せれる!)」「あ、あのさ…」「ん? どうした?」「治るまで…私がアンタのお世話してあげようか?」「…はい?」「だから料理とか洗濯とか! 家事を手伝ってあげるって言ってんの!」「とてもありがたいんですが…おまえも新学期の準備とかで色々忙しいだろ?」「学年が上がるだけの春休みにどんな準備があるっていうのよ」「まぁ、そうだな。でも…本当にいいのか? 俺マジでこんなだから何も出来ないけど」「いいのいいの♪ アンタだって困った人は助けないと気が済まないんでしょ?」「……やばい。なんか御坂さんにちょっとだけ惚れちゃいましたよ」「んなっ!」 そんな上条の言葉に美琴は一瞬にして顔を赤くした。 表情をにやけないようにしているが、誰が見ても分かるくらいにやけているはずだ。 もちろん外見でそんな状態なら、内心はもう超電磁砲を全方位から撃たれたような衝撃を受けていた。「(こ、ここコレは! い、いいいきなり好感度アップじゃないの!)」「ほ、ほら! ほ、ほほ惚れるのはいいから今は買い物に行くんでしょ? 回復しやすい料理作ってあげるから行くわよ」「ありがとー、美琴さーん」「(さ、さささり気なく名前で呼んでるし。あぁ…こうして車椅子押して街中を一緒に歩くっていうのもいいわね。今のコイツには私しかいないわけだし♪)」「えへへ…」「ん? どうした御坂? 何か楽しい事でもあった?」「わっ! こ、こっち向くな! 今は顔が大変な事になってるから!」「はぁ? なんだよ大変な事って」「いいから! ところでタダでお世話するというのは、いかに寛大な美琴さんでも少々腑に落ちないのよねー」「……ま、まさか御坂さん。日給バイトみたいにしろとか言い出すんじゃ」「お金の無いアンタにそんな事言わないわよ」「じゃあなんでせうか?」「簡単よ。これから私のこと美琴って呼んでくれればそれでいいわ♪」「――――――へ? そ、そんなんでいいの?」「い、いいの! それ以外は自分で色々頑張るから!」「……? ま、まぁ…みさ、美琴がそれでいいなら上条さんとしては大万歳ですが」「えへへ。ね、ねぇ。もう一回呼んでみて」「美琴?」「えへ…も、もう一回」「美琴」「ふにゃ…」「…? 変な奴だな」 上条と美琴はスーパーで買い物をして寮に帰ってきた。 さすがにスーパーでは注目の的。 包帯ぐるぐる巻きの重症患者に、常盤台の制服を着た美少女が車椅子を押していたら誰だって目に止まるだろう。 しかし、恋は盲目というかそんな視線を美琴は全然気にしなかった。 好きな上条当麻に頼られて、この上なく幸せだったから。 上条の寮には幸いエレベーターがあり、それに乗れば自分の部屋がある階まで行ける。 問題は部屋に入る時で、車椅子に備え付けてある折りたたみ式の松葉杖を支えに入っていかなければならない。「ほら。無理しないの。私が支えてあげるから」「何から何まですみませんね、美琴さん」「いいから。ほら、もっと体あずけてもいいよ?」「お、おぅ」 そういって上条は少しだけ美琴に体をあずけた。美琴はそんな上条を頬を染めながら頑張って支えてくれている。 上条も美琴の優しさと柔らかさに赤くなってしまっていた。「(うう…なにか。美琴さんの慎ましいなにかが当たっているような気がする…)」「(あうあうあう。こ、こいつ…包帯の匂いしかしないけど…なんかとても気持ちいい…)」 そんなこんなで御坂美琴と上条当麻の春休み、ドキドキ!? 美琴お嬢のホームヘルパー大作戦!!! が始まったのだった。 ちなみに後付けの様だが、インデックスは小萌先生宅で春休みの間は住み込みで飯を食らうらしい。 上条がこの状態であるのは知らないし、春休みが終わるまで戻ってこないかもーとも言っていた。…うん。後付けじゃないよ? 部屋に入ると美琴は上条を支え手洗い等をさせた後、ベットへと座らせた。 そして車椅子をたたみ玄関に入れる。 その後美琴は、冷蔵庫の中に先程買った食材を入れて上条の右隣に座った。 もちろん彼のフリーな右手で頭を撫でてもらうために。「どう? これならなんとかやっていけそう?」「いや、なんとかなんてもんじゃないですよ。本当に感謝感謝です」「い、いいのよ。それより私だってちゃんとアンタの支えになれるって気付いたでしょ?」「あぁ。ちゃんと支えになってるよ。ありがとな、美琴」「ふにゅ…」 美琴は名前+頭なでなで攻撃に完全に顔が緩みきった。とても幸せな顔をしている。 だから美琴は頑張る。この幸せな気持ちがずっと続くように。春休みが終わっても、上条が自分を頼ってくれるように。 …まぁしかし、とにかく美琴は今この瞬間の幸せを噛み締めようと、上条の肩に頭をあずけた。「お、おい…」「いいじゃない。肩くらい貸しなさいよー」「何かおまえ今日は全然ビリビリしてこないな。怪我人だから?」「そうねー。これ以上重症になられたらさすがに手に負えなくなっちゃうしね」「普段もこれくらい優しかったらいいのにな、おまえも」「え!? ……じゃ、じゃあいつも優しくしてたら意識してくれるの!?」「い、意識って、…まぁ誰でも優しくされたら、ちょっとは気にかけるんじゃないのか?」「そっか…そうなんだ。えへへ」「あの…美琴さん? そろそろ離れてくれないと、上条リミッターが解除されてしまうんですが」「……したらどうなるの?」「そ、それは色々…美琴さんが大変な事に……って! 何を言わせますか!」「ねぇ? どうしたいの?」「お、おい…みこ……」「ねぇ…」「か、顔…ちか…」「聞かせて?」「あ、あうあう…お、俺……あの…」「…………なぁ~んてね♪」「――――――――――――――――――――はい?」「あっはっは! 顔真っ赤にしちゃって可愛い奴! うりうり」「て、てめぇ…純情な男心を弄びやがって……」「弄んだなんて人聞きが悪いわね。今までのツケをはらっただけだわ」「なんだよツケって…」「私もうウジウジするのやめる。素直になる。自分のやりたい事やるって決めた」「そ、それはとてもいい事だと思いますが…、上条さんは」「いいの。この春休みの間で絶対に絶対に絶ぇぇぇっ対に、その気にさせてみせる」「もうさっきので半分その気だったんですが…」「あら。それじゃもう落ちるのはすぐそこね。迫られるのが弱いとか、いい事を聞いたわ」「やべぇ。何この圧力。美鈴さんの面影を感じる」「母子だもん。その辺りは似てるのかもね?」「何でもいいけど、こっちは怪我人なんだからお手柔らかに頼むぜ?」「じゃあさっさと私を好きになる事ね♪」 何かを吹っ切った御坂美琴は凄かった。鈍感大王の上条も分かるくらいに、これまで以上に上条へアタックしてくる。 そんな上条はフラグ男と言われているが、実際は女の子の体にタッチ的なイベントでさえ顔を赤らめてしまう純情な男の子。 そんな彼がちょっとでも意識をし出そうものならこれから先は予想がついた。 美琴も自分に後悔しないようにどんどん攻めてくる。春休みが明けるまであと2週間。 はたして上条は何日間美琴の猛攻に耐える事が出来るのか。それは上条自身が一番良く分かってしまっていた。「(はぁ…、もはや今夜辺りにも間違いを起こしそうだ…)」 美琴は十分に上条を堪能したのか、立ち上がり台所へと歩いていった。 途中でエプロン借りるわよといい、今は鼻歌混じりで料理をつくっている。 料理の手際はよく、とてもお嬢様とは思えないほどの腕だ。 上条はさっきの事も相まって、すっかり美琴から放たれる好き好き電波を受信し、ぽけーっと見入っていた。 時々美琴が上条の方を向くが、それに上条はビクッとし慌てて顔を逸らす。 そんな上条を見て美琴は満足気な顔をして料理に戻る。 何故ならそれらの行為は、美琴が今まで上条に対してしてきた事であり、相手を意識したいけど恥ずかしすぎてまともに見れない というまんま恋する乙女そのものだったから。「(ふふん。上条当麻破れたり! あとはこの愛が沢山詰まった料理で止めというところね!)」 美琴が小さく笑う度に上条は打ち震える。この先待っているであろう未来を想像しながら。 もちろん今の上条にとっては恥ずかしいが、嫌ではない未来なのだが。「出来たよー」「おぉ。待ってましたよ、美琴…さ、ん?」「なに? どうしたの?」「こ、この料理の完成度はなんでせうか? 上条さん、こんなのテレビとかでしか見た事ないんですが」「ん? こんなの常盤台の子なら誰でも作れるわよ。授業で習うんだもん」「マジかよ…どんだけお嬢様なのかっつーね」「問題は見た目じゃないわ。味よ!」「そ、それは見た目が悪い時に使う言葉であってですね…この完璧な見栄えの料理に言うことでは」「まぁまぁ。なんでもいいから早く食べましょ♪」「そうだな。もう食いたくて食いたくて上条さん辛抱たまりませんわ…って、アレ?」「…? どうしたの?」「………ふ、美琴よ。おまえは料理に集中するあまり肝心な事を忘れているようだな」「な、なによ! 何か気に入らない事でもあったって言うの!?」「気に入らないっつーか…箸がねぇんだけど」「あぁ。そんな事」「そんな事って箸無かったら食えねぇだろうがよ。それともアレですか? 素手で食えって事ですか?」「お箸なら私が持ってるよ」「…………………………………………ん?」「ほら、あーん♪」「えええええええええ!!!???? い、いやいいですよ! 右手は使えるわけだし、何より恥ずかしい!」「ふぅーん。……えい!」「えっと…美琴さん? 何故に上条さんの右手を握っておられるので?」「アンタ左手使えないでしょ? だから残った右手を封じればもう私に食べさせて貰うしか無いわね」「こ、こいつ…出来るぞ! こ、これが……レベル5っ!」「ほら。諦めて、あーん♪」「うぅ…」「あーん♪」「ぅ…」「あれ、箸じゃダメなのかな。じゃあしょうがない口移し―――」「あ、あーん! 美琴すぐくれ! 今すぐ! もちろん箸で!!」「わかればいいのよ。ほら。あーん♪」「…あむ」「おいしい?」「……うめぇ」「えへへ。そりゃそうでしょ。誰が食べても美味しいと思うけど、アンタだけは更に美味しいはずよ」「んぁ?」「だって私の愛が、たくさん詰まってるもの♪」「――――――」 上条当麻の理性の壁。現在47%崩壊。ここ小一時間だけでこの崩壊率。 彼が本能の赴くままに行動するのは、そう遠くない――― 料理を全て食べ終え、美琴は食器を洗っている。その表情は幸せそうだったがちょっと不満なところもあるような。 美琴としては上条は先程の料理で完全に落ちるはずだったのだ。 しかしそこは上条の理性が勝った。何故理性と戦っているかというと、もちろん美琴が中学生だと言うところにある。 仮に美琴を受け入れ、付き合ったとしよう。しかしあのテンションじゃそれだけに止まらずに上条を求めてきたらどうするか? 完全に惚れたとなれば頭のネジが全部飛んで、気付いたら美琴は裸になっているだろう。そんな展開だけには持って行ってはいけない。 まだ全部に責任が取れる年じゃないし、純情の上条さんはそういう事は結婚前夜にするものだと思っていた。 そんな自分との感情に勝利した上条はテーブルに顔を伏せ微動だにしない。 先程の料理、一番の難関にして一番の楽しみ。 家庭の料理に飢えていた上条が一番欲していたのは、お味噌汁だった。 美琴もその事は重々承知だったのか、きちんと用意してくれた。しかし――― 問題は、その飲み方だった。左手は負傷中、右手は握られて使えないとなれば…美琴に飲ませて貰うしかない。 美琴は最初からいきなり飛ばしてきて、自分の口の中に味噌汁を飲んで溜め込むと「ん」と言って上条に唇を差し出した。 その様を見ていた上条は理性の壁を53%まで崩してしまったのだが、なんとか思いとどまり普通にしてくれと促す。 美琴もこれ以上は無理と思ったのか諦めて飲み込むと、今度はちゃんと茶碗を差し出してくれた。もちろん、ふーふーした後で。 そんなこんなで上条は精神的に大ダメージを受けつつも食事を取った。 しかしこれ以上にないくらい気疲れし、今はテーブルの上で無になっている。「洗い物終わったわよ。っと、よいしょ」「お、おぉ。ありがとな、美琴」「全部食べてくれるなんて頑張って作った甲斐があるわね」「ホント美味かったよ」「…」「…?」「…」「……なでなで」「えへへ…、んん……」 もちろん美琴は『よいしょ』の時点で既に上条の隣に座って頭をあずけてきており、撫でて貰って満足気なのだ。 上条は…もう、何か色々ダメになりそうだった。撫でた後の美琴の笑顔で「あー、もう可愛いな! 畜生っ!」と言いそうな表情をしていた。 そんな幸せな時間はあっという間に過ぎて行き、気付けばもう美琴の寮の門限まで30分となっていた。 しかし美琴はと言うと全く帰る気を見せない。…と言うか時計を見ない。 ただ上条の肩に頭をあずけ、腕を取って話しているだけ。「美琴」「やだ」「…………まだ何も言ってないんですが」「どうせ『そろそろ門限だろ? 帰らなくていいのかよ?』って言うに決まってる」「一字一句間違えない所が凄いな…」「だから、いや。今日は泊まる。もっとアンタのお世話するの」「えっと…気持ちはありがたいんですが、そんな事して美琴が叱られちゃ俺が嫌なんだよ」「うー…、で、でもちょっとくらい遅れても黒子が入れてくれるもん」「そんな事言わないで。今日はもう十分に世話になったから。また明日お願いするよ」「………わかった。じゃあ起きたらすぐ来るから、合鍵ちょうだい」「な、なんですと!? なんで? チャイム鳴らしてくれたら出るって!」「怪我人は動いちゃダメなの。だから、ちょうだい」「…わーったよ。………………ほら、失くすなよな」「あは、うんうん。絶対絶対失くさない。アンタがこの部屋に住んでる限りね」「あのな…」「えへへ。じゃあ帰ろうと思うんだけど」「うん?」「離れても寂しくないおまじないやって欲しいかも」「えっと…………ちなみに聞きますとそれは一体なんなんでせう?」「もちろん、チュウよ♪」「ち、ちう…だと」「してくれないなら帰らないー」「…くっ、しかし……それはあまりに度が過ぎるというかなんと言うか…」「外国じゃ普通よ? こんなので恥ずかしがってるのは日本人だけなんだから」「いや。きっと昨日のおまえもその中の一人だったよな、絶対」「昨日の自分なんか知らなーい。時間は進んでるの。先に目を向けなきゃ」「うぅ…」「わかったわよ。じゃあほっぺでいいわ。それくらいなら出来るでしょ?」「……ほっぺくらいなら。それでもかなり恥ずかしいですが」「じゃ、どうぞ♪」「――っ」「ん…」 上条は美琴の頬にキスをした。軽く触れるだけのキスだったが美琴はとても幸せそうな表情をした。 そして頬を染めて上目使いで言い放つ。「ありがと。じゃあコレは私のお礼♪」「へ? ――――ん」「――っちゅ」「…」「えへへ。また明日ね♪ バイバイ」 そう言い残し美琴は帰っていった。 残された上条はしばらくフリーズし、我に返ったかと思ったら某テレポーターの様に額をテーブルに叩きつけ煩悩を退散しようと試みる。 しかし、とてもじゃないが無理だった。 頬のキスなんかとは比べ物にならない程、甘く、熱いものだったから。 上条当麻の理性の壁。現在77%崩壊。春休み1日目終了。 残り23%で約2週間持ちこたえられるのか? 答えは、否。上条は感じていた。 もしかしたら明日にでも御坂美琴の完全なる虜になってしまうのだと。 翌日。時刻はもうすぐ7時になろうとしていた。 普段学校がある日なら上条も起きる時間だが、昨日から春休みという事で目覚ましを切っていた。 インデックスがいない事で、久しぶりのベットでの睡眠に上条はすっかり寝入っている。 上条のベットの上には薄い毛布と厚めの掛け布団があったが、なにやら暑いらしく毛布を引き剥がした。 しかも何やらいい匂いまでする。その匂いに反応に上条は起き上がろうとするが全然体が上がらない。 そういえば左の腕と足を骨折していたのだと思いだす。 しかし、動かないのは左側だけだ。右手右足は動くはずだが… 上条は恐る恐る自分の右側を見ると、まず最初に目に入ったのは茶色の頭だった。「……………これ、は」「あ、起きた?」「みさ、み、みこ…と? なにを…」「うん? おはよう」「お、おはよう…ございます? ってそうじゃねぇ! 何でおまえが布団の中で俺に抱きついてるのか」「寒かったから」「…あのな。いいですか美琴さん。ちょっと離れて正座しなさい」「いや」「い、いやって! そこから否定されたら上条さんは何も出来ないんですが?」「じゃあ離れてもいいわ。その代わり」「…よもや?」「ん」「いやいやいや!! そんな事したらお説教が出来なくなるでしょうが! いいから離れなさい!」「してくれなきゃ離れませーん」「ぐっ…、でも…」「いいじゃない昨日もしたんだし♪ まぁ、私としてはずっとこのままでもいいけどね」「…わ、わかりましたよ。じゃあまたほっぺに…」「いや」「はいぃぃぃ? み、美琴さんは何をお望みなのでせう?」「ほっぺじゃ、いや」「ぶ! お、おまえ…それは……」「…ホントにいやなら諦めて離れるけど」「……い、いやじゃない、けど」「あは。素直じゃないわねー、アンタも♪」 上条は美琴に完全に丸め込まれていた。 美琴は上条の首に腕を絡ませると、真っ赤な顔をしながら目を閉じた。 上条と美琴の距離は、もう鼻が触れるような位置まで迫っている。 しかし、そんな美琴を見て上条は理性の壁が少し壊れたが、それ以上に罪悪感に駆られる。「おまえな。そんな無理しないでもいいん――」「無理なんか、…してない」「嘘つけよ。唇めちゃくちゃ震えてるじゃねえか」「だって…心配だから」「は? 上条さんは今はこんなナリしてますが、全然治るんだから大丈夫だって」「だから、心配なの。治ったら、またどこか行っちゃいそうで」「美琴…」「…」「まぁ確かに、俺は治ったらまたどこか行くかもしれない」「っ…」「でも絶対に帰ってくるから心配するなって」「なんでそんな事言い切れるの? 絶対帰ってくるなんて」「大丈夫」「なんで?」「俺はなんつったって、都合のいいヒーローだからな」 そう言って上条は美琴の唇にキスをした。美琴はその瞬間こそ目を見開き驚いたが、やがて眼を閉じ、上条を感じる事に専念する。 上条のキスは昨日の頬にしたようなキスではなく、美琴が安心できるような甘いキスだった。 その甘さに美琴は完全にやられて、上条が唇を離そうとすると、首に絡めていた腕で頭をホールドし何度もキスをする。 上条は官能的な気分になったが、理性の壁は崩れなかった。 それは美琴の唇から伝わる愛と信頼を感じたため、それを返すように、安心を与える事に集中していたから。「…もぅ、朝から激しいんだから」「えっと美琴さん? この部屋ではいいけど、外では決してそういう事言ってくれるなよ?」「いいじゃないー。惚気っぷりを見てもらうのも」「あぁ…あのモジモジしてた美琴ちゃんはどこにいっちまったんだ……」「私ってば典型的なツンデレキャラだと思わない?」「いやデレすぎだろ。ちょっとはツンしろや。こっちが持たねぇから」「気が向いたらね」「…向く気ねぇな」「そんな事より、アンタ今日暇でしょ?」「あぁ…こんな状態だし、宿題もないし」「じゃあセブンスミストに買い物に行かない? 車椅子押してあげるし、一日中部屋の中にいることも無いでしょ?」「ああ、いいよ。部屋にいてもやること無いから」「えへへ。じゃあ決まりね♪ ささっ、着替えた着替えた。すぐ行くわよ」「はいはい」 朝食を取り終わり、少し食休みしていたら美琴が買い物に行きたいというので上条はそれに付き合う。 周りから見たらそれはカップルもしくはとても仲のよい兄妹。美琴は制服を着ているので夫婦には見えないだろうが。 それでも美琴は楽しそうに車椅子を押しながら歩く。 上条も背後から聞こえる鼻歌を散歩のお供にし、気持ちよく移動を楽しんでいた。「そういえば、私まだアンタに好きって言われてないんだけど」「そういえば、俺もまだおまえに好きって言われてないな。愛とか何とかは散々言われた気がするけど」「そうだっけ? …ま、いっか」「そうだなー」「えへへ」「はは」 上条の寮を出たのが9時過ぎくらい。 途中いつもの公園で桜を楽しんだ2人はセブンスミストに着いたのが11時くらいだった。 美琴は買うものは決まっているらしく、他の物には見向きもせずに歩いていった。「なに買うか決めてんのか?」「うん。エプロン買うの」「エプロン? おまえの寮、飯は出るんじゃなかったっけ?」「出るわよ。そうじゃなくてアンタの部屋で使う用に買うの」「ふーん。俺の使えばいいのに、昨日も使ったんだからさ」「それでもいいんだけど…可愛くないし」「女の子だなぁ」「知ってるくせに」 美琴はエプロン売り場に向かうと、そこには色々なエプロンが置かれていた。 上条はエプロン達を見て、自分じゃ一生使いそうにない使いそうにないなと思って美琴を見る。 そんな美琴は目をキラキラさせて一個一個自分に合わせて「どう? 似合う?」と聞いてくる。 上条は溜息を吐きつつも全部に答える。 結局美琴はピンクのフリル付きのエプロンを購入した。 買う前に美琴の好きなゲコ太がプリントされているエプロンを見つけたが、しばらく悩んでフリルの方にした。 上条は何でゲコ太エプロンにしなかったのか分からなかったが、その理由は後日知る事になる。 買い物が終わると、正午を回ったところでクレープを買って帰る事にした。「アンタ何がいい?」「んー、チョコバナナ」「わかったー。買ってくるからここで待っててね」 美琴は桜の木の下に上条を待たすと、クレープ屋の車に走っていった。 上条は桜の木を見上げると、心地よい春風が流れてきてウトウトしてしまう。 しかし意識が切れそうになると美琴の声が聞こえたので顔を向けた。 …とそこには美琴の他に、上条には見覚えがない女の子2人が美琴の隣に立っていた。「…?」「御坂さんが待たせてる人ってこの人だったんですか!?」「うん、そうよ」「おー、男ですか。さすがです! 御坂さんっ!」「???」 上条はこんな展開に混乱してしまい、美琴に助け舟を出そうとする。「美琴…? この人たちは?」「キャー! 美琴だって! 聞きました? 佐天さん!?」「聞いた聞いた! 確かに聞いた!」「あの…」「あ、は、はじめまして。私御坂さんの友達の初春飾利と」「さ、佐天涙子ですっ! あの失礼ですが、お2人はどういったご関係で…?」「か、関係つってもなぁ…」「…あれ? 彼氏じゃないんですか?」「やーねぇ、佐天さん。コイツは彼氏じゃないわよ」「え?」「えぇ!?」「おい、みこ――」「コイツは彼氏じゃなくって、私の旦那様なの♪」「え…?」「……ん?」「なん…だと……」 上条と美琴は初春達と別れると、寮に向かって帰っていた。 さっき買ったクレープを頬張りながら歩いている。チョコバナナ美味し。 しかし上条は溜息を吐いた。美琴が自分の事を旦那と言うもんだから、初春達に質問攻めにされ1時間くらい動けなかった。 やっと開放された頃にはクレープのクリームがとろっとろになっていた。「おまえなー、いいのかよ。あんな事言っちまって」「私は全然いいけど。…もしかして嫌だったの?」「いや、俺はいいけどさ。変な噂たっても知らねぇからな」「アンタとの噂なら大歓迎よ。これで堂々と一緒にいられるようになるしね♪」「俺はその噂が広がらない事を願うよ。常盤台のお嬢様を娶ったなんて確実に他の男達に殺されかねん」「大げさねぇ」「おまえはもっと自分の立場的な事を考えるんだな」「あら。そんな事言っていいの? その男達がみんなアンタに向かってくるわよ? 誰が止めるのかしら?」「す、すみませんでした」「ん。よろしい。明日ちゃんと初春さん達には話しとくからさ。だから明日は夕方にならないと行けないと思う」「あぁ大丈夫だ。明日は丁度補習だし、どっちみち夕方にならないと部屋にいない」「1人で準備出来る? 朝だけでも私行こうか?」「いいよいいよ。でも一個だけお願いしたい事がある」「いいわよ。なに?」「お金渡すからさ、何か食材とか買ってきてくんない? もう今日の分で無くなっちゃうから。帰り1人で寄るのもつらいし」「おっけー。任せといて。早く帰ってきてね? 私もなるべく早く行くから」「ああ」 その後、上条の部屋に帰った2人は夕食を済ませると昨日みたいに話をして、美琴は自分の寮に帰っていった。 もちろん昨日の帰り際のやりとりも忘れずに。 上条当麻の理性の壁。現在81%崩壊。春休み2日目終了。 今日は外に遊びに行ったせいかそれほど理性は崩壊しなかった。 明日も美琴とはあまり一緒にいる時間が無いから、そんな崩壊はしないだろう。 しかしおかしい。今日の美琴は上条のエプロン姿だった。何故か? その理由を鈍い上条は知らない。美琴は例のアレをするつもりだ。 美琴とエプロンが交差する時、上条の理性は崩壊する―――
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カールからお返しのスカーフ(かーるからおかえしのすかーふ) スカーフ 大変薄いすけすけの広くて長い布で、幾重にも重ねて使うタイプ 保有国一覧 藩国名 入手履歴 保有者 使用履歴 現在所持数 レンジャー連邦 09/03/14:入手 むつき・萩野・ドラケン 1 参考資料 イベント掲示板 No.29291 上へ 戻る 編集履歴 矢上麗華@土場藩国 (2009/05/07) イラスト むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦 (2009/05/07)
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配列要素数を繰り返し比較する while (($i ${#array[*]})) do if [$array[$i] = 1 ]; then echo 一致 else echo 不一致 if i = $i + 1 done