約 2,765 件
https://w.atwiki.jp/sengakuyell/pages/66.html
★平成19年度第一回アンケート大会結果★ 第一回アンケート大会の結果を私、 あなたの愛のキューピットこと 覆面記者が発表させていただきます!(ぱふぱふ) それではまず・・・・ 【戦国学園十勇士】 1位・川澄俊三 3年 2位・風街悠仁 3年 3位・神宮寺慎 3年 3位・水樹桐弥 3年 3位・川島涼子 2年 6位・伊武龍耶 2年 7位・山口疾風 3年 8位・織笛紫乃 3年 9位・酒呑姫子 2年 9位・田尾凛子 2年 以上が、第一回目の十勇士とさせていただきます。 次点では 11位・前島都 2年 11位・西由宇 2年 11位・神薙優也 3年 11位・冷泉カレン3年 11位・春風渚 3年 16位・上山巴 1年 16位・アンドリュー 3年 16位・鳴貴門鳴 2年 16位・九頭竜秋羅 2年 16位・王崎梛智 2年 ☆☆☆☆☆☆ 以上の結果となりました! やはり武王の川澄様が一位でありました! しかし!実は1位と2位はわずか1票の差!! やはり親友と書いて『ライバル』・・・ ですね☆ 詳しいコメントもございますが、こちらに載せるのは 酷なので(自分が)もしよかったら私書まで連絡して いただけたらおくらせて頂きます 【ミスター戦国】 1位・風街悠仁 3年 <コメント> あの軟派な顔に隠されている硬派な雰囲気に包み込まれてみたい やる時はやるって雰囲気がいい 抱きしめた後も和ませてくれそうだから 2位・水樹桐弥 3年 優男が好きだから 3位・鈴木智親 3年 性根歪んだ人好きです 3位・伊武龍耶 2年 今まで遭遇した中では一番硬派っぽく見えた 3位・桧山清十郎 卒業生 立ちふさがる大きな壁。先輩として色んな意思を戴きました。 3位・松田純一 1年 学園内では珍しく常識人なところと、可愛らしいところ 3位・川澄俊三 3年 漢だから というわけでミスター戦国は風街様になりました! 実は1位と2位の差はかなりあり、圧倒的な支持率です! これだったら安部政権にも勝てます!(違) 【ミス戦国】 1位・田尾凛子 2年 何をやらせても可愛い☆ 粋でいなせを地でいっていて、カッコイ色っぽいです(クオ) すらりとしてるのに抱っこすると柔らかそうだから! 2位・上山巴 1年 愛くるしい容姿を抱きしめてあげたい 西洋のお人形みたいで可愛いから★ 3位・川島涼子 2年 女の中の漢だから 選ばれて慌てている様がその理由 3位・酒呑姫子 2年 口調のわりに可愛らしい 小さくてぎゅっとしたくなるから 4位・西由宇 2年 挑もうという気すら起きない圧倒的存在感。敬うべき御姉様。 4位・夢倉ミヒロ1年 抱き締めてみたいです。時折覗く素顔が魅力 4位・山田天 3年 学園のお姉さまにして、宇宙服の君(笑) 容姿が可愛らしくて抱っこしたいです。 4位・黒崎綾香 1年 四国弁がいい というわけで、ミス戦国は田尾様に決定であります! こちらも圧倒的な支持率でした・・・二位との差がちぃっとばかし ありやした。今日から『戦国界の黒船』と名乗りましょう(違) ☆☆☆☆☆☆☆☆ 以上をもちまして、第一回アンケート大会を終了とさせていただきます! 数々の投票ありがとうございました。 それでわ、次回またお会いしましょう!! あでゅ~~~♪ Q:あなたはこの結果をどう思いますか? 選択肢 投票 妥当 (13) 同意致し候 (0) 孔明の罠・・・ (5) ごめw忘れてた (7)
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/3738.html
等しく尊く狂い舞え。 基本情報 名前 安藤 輝三 性別 男 年齢 ??? 能力系統 魔術師 魔術体系 陰陽道 所属 【零号機関】 概要 帝国零号機関魔導歩兵第三聯隊第六中隊長の大尉。魔道、取り分け陰陽道に精通する魔術師でもあり、元陸軍軍人。軍人としての経歴は長く、遡れば帝國における維新戦争時代から新政府側の兵士として戦った老兵。派手好き且つ突拍子も無い男であり、人間として「これはやってはいけないだろう」という部分の箍が外れている。その為階級の変動は非常に激しく、嘗ては佐官にも届いたが最終的に大尉に落ち着くまでに大きく上下している。基本的に努力する人間を讃え、自堕落な人間を軽蔑する性質を持ちつつ、その何方もが派手に踊り狂うことを好んでいる。少々放浪癖があり、様々な理由で頻繁に各地を転々としている。 容姿・性格 作り自体はどこか優男的とも言える顔立ちをした男である。然しその表情は常に暴力性を隠さない笑いに溢れているため、凶相と言わざるを得ないものになっている。軍人らしからぬ長い髪を靡かせ、右目にはモノクルをかけ、軍帽を目深に被っている。帝國零号機関の軍服を纏い、その上から黒いマントを羽織る。腰の左右には軍刀、小銃を提げ、後腰には弾薬盒が取り付けられている。両手にはそれぞれセーマンとドーマンが刻まれた白い手袋を着用している。 【五行刻銃】 陰陽術、取り分け五行に精通した陰陽師である。 一丁のスナイドル銃を所有している。その構造自体は通常のそれと変わらないため、一発撃つごとに再装填のため一レスのクールタイムを必要とする。これはある種の陰陽術が刻まれた銃であり、特殊な触媒を混ぜて作られた弾丸を用いることにより、銃弾に五行いずれかの力を宿らせ発射することができる。五行どの属性も直接的に人体へ影響を及ぼすことはないが、自然の産物あるいは建造物に撃ち込むことによって効果を発揮する。たとえば地面に「火」を刻み込んだ弾を撃てばその地点が燃えだし、壁に「木」を撃てばたとえコンクリートからでも根を張り巡らせる樹木が生えて、「水」は局所的な泥濘を生み罠として機能し、「金」は大地から刃を出現させ、「土」はごく限定的ながらも地形操作を可能とするだろう。これらは単体では小さい効果としてしか発現しないが、五行は相生する。燃える「火」に「木」を撃てば更なる大火として炎上するだろうし、「金」の刃に「土」を浴びせればその剣は巨大化するだろう。ただこの五行相生は一つの現象に対して一度までが限度である。(「火」に「木」を撃ち続けて強化しつづけることなどはできない)むろん相克も発生するため、逆に「火」を「水」で打ち消すことも可能である。また、あなたは一振りの軍刀を持ち、それを扱うだけの力量を有している。戦闘技能:ともに中級者レベルの剣術、銃の腕前身体能力:軍人 【装備品】 スナイドル銃 前述の銃。内部構造各部に呪文が刻まれており、これにより銃内部で幾つかの手順を簡略化させている。 明治19年正式軍刀 愛用の日本刀仕込みの軍刀。特におかしな点はない。古い代物であり、よく手入れされている。 五行弾 五行の力が籠められた弾丸。木行は錫、火行は銅、土行hh7は金、金行は銀、水行は鉄によって作られている。安藤が有す五行相克の陰陽術の結晶。
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/3955.html
「我が名は、アモン。混沌を司る神だ」 タイトーからSFCで発売されたRPG『エストポリス伝記』シリーズに登場する「四狂神」の一人。 混沌を司る神である。ダブルドラゴンのアモンはこちら。 名前の由来は古代エジプト神話のアモン神ないしソロモンの72柱の悪魔アモンだろう。ちなみに、『デビルマン』や『マギ』は後者がモチーフ。 後にスクウェア・エニックスから発売されたDSリメイク版『エストポリス』にも登場する。 シリーズの詳細については同じく四狂神の一人であるガデスの項目を参照。 原作では、ガデスの次に地上に降り立ち、配下を使い策謀を巡らせる。 戦闘スタイルも魔法やステータス異常が主で、パワータイプのガデスとは対照的なタイプであるとも言える。 神としての位はガデスよりも上らしいが、他人を働かせるタイプのせいか、シリーズ通して妙に影が薄い。 どのくらいかと言うと、IIの序盤~中盤に何度も登場する部下の方が印象に残るんじゃないかというくらいである。 アモン本人も外見は優男風の顔に金色の全身鎧でやたらと見た目は派手なのだが。 なおDS版での声優は……何故か四狂神の中で一人だけ発売ギリギリまで公開されていなかった。 そこ、リストラされたんじゃねとか言うな。 後に担当声優が 平田広明 氏と判明。忘れられてなくてよかったね! …と思ったのも束の間、やはりガデスと比べると今回もやっつけ感が漂う残念な扱い。 特にボス戦では得意の状態異常を忘れてしまったらしく、適当に突っ込んでるだけで2分ぐらいで倒せるという驚きの弱さ。 彼が一体何をした!? + 実際に他の神と比べると… ディオス 四狂神のリーダー。ラスボスも勤める。 エリーヌ 紅一点。ある意味シリーズ通してのヒロイン。 ガデス こちらもシリーズ通してのライバルキャラ。 アモン 主に働いたのは部下。自分はあまり登場しない。 といった感じである。これでは影が薄くても仕方ないのか…。 金色の鎧でギャラクティカなんとかな技を使うなど、スタッフが狙っているっぽい所もありはするのだが。 MUGENにおけるアモン ガデスを製作したクモ丸氏のものが存在する。 ガデスと同じくSFC版のイメージを元に、高クオリティの手描きドットで製作されたキャラである。 必殺技各種もゲージを使用し、挑発でゲージを溜める。 現在はDS版のボイスがデフォルトで付いている。 AIもデフォルトで搭載されており、ブリス技にも対応している。 + 超必殺技解説 リ・デルト 1ゲージ技。対象の位置に雪女を呼び出し吹雪で攻撃する魔法。 レ・ギオン 1ゲージ技。雷獣を呼び出し、突撃させる魔法。一種の飛び道具。 イドゥラサンダー 1ゲージ技。部下のイドゥラを呼び出し、雷を落とさせる。対空が主な使用法と思われる。 カオスブラック 1ゲージ技。投げ技。出が遅めなので見てからジャンプで回避可能。 ギャラクティカランサー 2ゲージ技。槍の先からビームを三発撃ち出す。空中版と地上版の二種類がある。 混沌の波動 3ゲージ技。体から波動が徐々に広がり、最終的には全画面判定になり、当たった相手を混乱状態にする。 広がっていく判定のため、近くで当てた方がダメージは大きくなる。 プレイヤー操作 出場大会 オールスターゲージ増々トーナメント ゲージ増々タッグトーナメント R.P.Gランセレタッグフェスティバル MUGEN祭 大盛りシングルトーナメント 剣・槍・斧キャラによる三つ巴団体戦 友情の属性タッグサバイバル 【MUGEN大祭】特盛りシングルトーナメント 凍結 テメェら誰だグランプリ 陣取り合戦TAG マイナー強~並時々メジャーたまに凶大会 プレイヤー操作 アルで昇華(part164)
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/3157.html
堅物と愉快犯 「どうせお前はまた面白がってやってるんだろ」 片霧朔 2-B所属 指導回数 7回目 サラサラと小奇麗な文字がプリントを走る。ついでに溜息も一つ。 「またお前か…ちょっとは大人しく出来んのか」 眼鏡を取って目元を指で揉んでる。そんなに歳食ってない筈なのに親父臭い。 「無理っすね!てかピアスぐらい良いっしょ普通」 「馬鹿モン、没収に決まってるだろ。放課後取りに来い」 「あでっ」 ファインダーで頭を叩かれた。うちの校則厳し過ぎる。校則も厳しいが、ついでに言うとこの生徒指導の金剛はもっと厳しい。 ちょっとでも校則に違反してると一瞬でアウト。見逃してなんてくれない。怒った顔がまた怖い。「鬼の金剛」なんてベタなあだ名が付くぐらい怖い。 40、50代にありがちな熱血体育系でもない28歳優男風の癖に空手有段者だと。 皆は恐ろしがって金剛の前では大人しいけど俺は違う。だってこいつの怒るとこ見んの、面白いから。まあ後はちょっと構ってもらいたかったってのもある。ちょっとだけな。 わざと制服着崩したり髪染めてみたり、今日はピアスをしてきたら案の定捕まった。 そんなこんなで今ではすっかり生徒指導室の常連の俺は、金剛に顔と名前はしっかり覚えられたようだ。 「せんせー、ピアス取りに来ましたー」 生徒指導室に行くのが楽しみなんて奴はこの学校で俺ぐらいだろう。性格悪いのはちゃんと分かってる。 返事が無かったからキョロキョロと室内を見渡すと、珍しく金剛は奥の椅子で居眠り中だった。 イタズラのチャンス。音を立てないようにそっとドアを閉めて、忍び足で接近。目標は未だ眠ったままだ。 それにしても怒った顔は怖いとはいえ、近くで見ると中々綺麗だとは思う。イケメンが怒ると怖いってのは本当の話だったのか。 さてどうしてやろうかと考えた末、手始めに眼鏡を頂戴することにした。これだけ起きないなら眼鏡取っても大丈夫そうだし。 「失礼しまーす」 起こさないように耳元で囁いて眼鏡に手を伸ばそうとした瞬間、 「片霧」 パチリと金剛の瞼が開いた。ついでに腕もガッチリ掴まれた。 「っヤバ」 「何してる」 「えっと、その…ピアスを返してもらいに来たんすけど…寝てたんで先生の綺麗な顔にイタズラでもしようかと」 へらりと笑うと溜息をつく。本日二回目。幸せ逃げんぞ。怒鳴らないのも珍しいけど。 「お前…馬鹿だよな」 「ちょ、酷いっすよ!」 悔しいから椅子に乗り上げてやる。ついでに掴まれてた腕も振りほどいてやった。 「そんなに怒ると綺麗な顔が台無しっすよ」 女を口説くみたいに、おでこにキスの真似。さあどうだ、遂に怒るか? ニヤニヤしながら反応を見れば意外にも目を見開いていた。あれ、予想してたのと違う…と思った、ら 「どうせお前はまた面白がってやってるんだろ」 先生の顔が近くなった時には ちゅ、と 俺の唇に何かが当たー 「…え?は?!」 思わず後ずさって頭を抱える。 何今の。今の何。てか結構まつ毛長かった。いやいやそういう問題じゃない! ドアを開ける音に慌てて振り返ってみれば何食わぬ顔した金剛が去る所で。 「これに懲りたら大人しくしとくんだな」 イイ笑顔で出て行った金剛を一人見送った俺は、火照る顔を静めるために暫く蹲る羽目になったのだった。 どうやら堅物だと思っていた教師のとんでもないモノを掘り起こしてしまったと俺が気付くのは、まだもう少し先の話。 明日からずっと一緒
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/105.html
墜落 作者:東 直己 発行:角川春樹事務所 2006.6.8 初版 価格:\1,900 ハードボイルドの創生期において、ぼくがよく感じていたのは、悪党が悪党でないな、ということだった。サム・スペードやフィリップ・マーローが闘うべき相手は、多くは、性格の弱い金持ちであったり、金に困った小市民であったり、女に騙された優男であるか、縄張り争いや跡目争いにけりをつけたがるヤクザの幹部であったりした。その悪さたるや、今の東直己作品に比べたら、まるでナイチンゲールかムイシュキン公爵みたいなものである。 悪はそれだけ手に負えなくなってきた、ということなのだろうか。この日本で、この札幌で、この現代で、ということなのだろうか。それとも、ハードボイルドがこれまであまり書かなかった悪こそが、より裏側深い闇の奥で連綿と続いてきた全く別の血の異常史の上になぞられてきたものなのだろうか? シリーズ前作『熾火』のラストシーンは、平凡な日常を離れ、平凡な色欲や物欲を離れ、もっと異常で、乾いて、理解不能な、別惑星の機械による、暴力へのただ単純な性向だけが、犯罪の形として提示されてしまった。それも別シリーズの二作までをも序章として絡ませた、作者としては異様な身の入れようで書かれた題材であった。 道警がらみの闇の奥深さだけであれば、まだ読者として太刀打ちもできたのだけれど、ここのところの東作品の探偵たちは偶然とは言え、あまりにも鬼畜の世界、修羅の時に出くわしてすぎているという気がする。 しかし東作品が予言したわけではないのだろうが、現代の日本を賑わす猟奇事件の数々は、まさに色欲や物欲を超えたところの鬼畜の世界、修羅の時を現出しているものであることも、確かに否定しきれないのだ。本書に登場するリンチ殺人は、まさに手軽に仲間を殺してしまう若者の集団狂気の世界であり、これが現実に起こり得たことは、ここ数年の文化の地平では、あまりにも印象深く実証されてしまっている。 この手の現代的な(?)理解不能な悪への怒りが、東直己という書き手の根底にあるだろう。この物語の場合は、守るべき娘を3人、妻を1人抱えた私立探偵の恐怖と不安に形を変えた怒りでもある。東直己は、殺人現場には出あわさないまでも、すすきのの夜の底で、多くの殺人鬼予備軍と呼べる、異なった価値観の人種に危険の匂いをあまりに頻繁に感じ取っているのかもしれない。 しかしだからと言って、殺人者が統計学的にこれほど沢山身の回りに存在する状況ということに関しては、正直そのまま納得するわけにはゆかない。ましてや一人の探偵の行動半径内で、かくも多くの殺人事件が発生する確率といってしまえば、いくら小説の世界でも異常だろうと思う。連続殺人事件ならばまだしも、複数のモジュラー型犯罪は、87分署のような警察捜査小説であればともかく、一人称の私立探偵小説としては少し異例すぎはしまいか。 ちなみにミステリーとしてのトリックについても、本書のそれは極めてリアリティに欠ける(ネタバレになるので詳細は書きません)。プロットのダイナミズムを優先し、サービス精神に走りすぎたゆえに、トリックそのものにまで無理をかけ過ぎたかと思われる。 他のミステリー大家が同種のトリックを作品の骨子にしたときに、いかに綿密に手をかけていたかを思うと、あまりにエンターテインメントを意識しすぎ無理をやりすぎると、せっかく重みのあった本シリーズの価値も急落するのではないかと、つい心配になってしまった。 (2006/07/17)
https://w.atwiki.jp/04world/pages/36.html
【名前】アルフレッド・アインスヴェルト 【年齢】28歳 【性別】男 【種族】人間 【容姿】 金髪をオールバックに流し、ブラックスーツでバリッと決めた伊達男。 ワイシャツまで黒にするあたりかなりこだわっている。ネクタイのみが金と赤の凝った刺繍を施された柄物である。 鼻高く、彫り深いその顔は優男の一言に尽きる。ギリシャの彫刻と並べても見劣りせぬ天性の美貌は、ゴシップ紙で「銃を売るアポロン」等ともてはやされるほどである。 営業スマイルがデフォルトであり、仕事モードではそれを一部も崩す事がないが、仕事から抜けた瞬間眉間にシワがより優しげな風を醸し出していた目元にもダウナーな雰囲気が滲み出る。 【性格】 礼儀正しく品行方正。会社の代表取締役と言う地位に恥じない、どこに出しても恥ずかしくない人間――。 と言うのは表の顔で、その実極めて粗野であり、神経質。自分の美貌ばかりをもてはやす大衆は大嫌いだし、言葉の一つ一つをあげつらって勝手な批評をしやがる週刊紙はもっと嫌い。 彼の会社であるデュオニソス社の最終的な目的は「世界の兵器シェアの源流を全て手中に納め、果ては政治権力にすら食い込む」という物であるが、彼はそうなったらまずはゴシップ紙と新聞をこの世から消したいと語っている。 【能力】 幼い頃から次期社長として苛烈な訓練を受けていた為、格闘術は達人の域である。 拳銃をはじめとした現代兵器の使用も一通り可能であり、実は社長よりも兵士のが向いてるのではないかと噂されるほど。兵器の実地試験にも積極的に顔を出し、戦車や戦闘機を駆り、生の実感を経て改良や調整に臨む。 あくまでも人間単体としてのスペックであり、異能の類いは所有していない。立場的にも自己の力による戦闘は忌避する傾向があり、主に後述のESPSが彼を護衛する。 【装備】 モノトロス ・彼が開発した異能力所有サイボーグ――ESPS(イスパス)の一体。異能力所有の狼の肉体をベースに人工骨格を初めとした改造が行われ、円錐の頭部を持つ四足獣型として完成した。 獣らしい雄々しきフォルムに真紅の装甲を惑い、頭部のバイザーを蒼く光らせる。尻尾は三メートルと極めて長い上に精密動作に優れており、尖端には高周波によって常に超高速振動状態のダガー状ブレイドが着く。 特筆すべきは機動性、感知能力であり。『元々狼が持っている野生の勘を機械によって補助強化』されているため、主人の危機を誰よりも早く察知し護りに入る。至近距離で銃を向けられた状態でも、撃たれた後に動き相手の喉を噛み千切る機動性も有する。 本来、そこに銃器等の内臓を予定していたのだが、開発者であるアルフレッドが『腹ン中に拳銃を突っ込むなんざあ僕だったらごめんだね』とプロジェクトを『外付けの武装』に強引に書き換えてしまう。 よって、モノトロスは時と場合により外付けの使い捨て武器を装備することはあるが、本体自体はまだ狼としての在り方を残しているのである。 余談であるが、異能狼としての能力は『馬鹿げた察知/危機判断』に偏っている。 そもそも人間はイメージを確たる形として持つことのできる生物であり、狼をはじめとするその他生物はその限りでない。故に異能が確たる形で出現することは人間に比べて少ないのではないかと推察がされている。 【概要】 兵器開発会社『デュオニソス社』代表取締役兼開発部総帥。 豪邸に住み連夜女をとっかえひっかえしておきながらもその関心は機械や兵器以外に向くことはない。人の心よりも拳銃の放つ弾丸の方がよほど分かりやすい結果を生むからだ。
https://w.atwiki.jp/gamerowa/pages/26.html
+++ その空間はまるで終わりが無いかのような永久の闇に満ちていた……。 一切の光を許さないその中心には一つのテーブルが、そしてそれを三人の男が周りの闇と同化するかの如く囲んでいた。 其処は周りの闇よりもさらに深い混沌の間。 「今から僕たちがやる『これ』はこの世の理を超えたものだということを今一度再確認してもらいたいんだけど、どうかな二人とも?」 優男が平然とした態度で、そして焦りも不安もない余裕の表情でこの場にいる他の二人に問いかけた。 「ンフフ、そんなことは言われなくても分かっていますよ。『これ』がどれほどありえないか、そして想像もつかないほどの面白さを秘めているかってことぐらいね」 「『これ』が成功した場合、僕らの今までの常識は全て覆るでしょうね。確実に」 二人の発言には恐れや不安の色は皆無であり、それを理解したのか優男はニヤリと顔を歪ませた。 「僕にも想像もつかないよ……。しかし、いいのかい二人とも?我が子も同然の彼らを『これ』に参加させちゃっても?」 「ンフフ、何を今更。それにね、キャラに愛着を持つのはいいんですけど、度が過ぎますよ。彼らは僕らの神様じゃないんだから(笑) 私は私の作品を偶像視したくないんです」 「そんなこと言ってるけど、君はどうなんだい?」 「僕かい?そんな感情はとっくに捨ててきたよ。君たちと一緒さ」 三人は互いに笑いあった。 しかしその笑みに善意などはひとかけらもなく、無限に湧き続ける悪意の塊だけがそこにはあった。 「さて、そろそろ始めようか。今より始まる宴の成功を、そして僕らの未来を祈って―――――」 +++ 薄暗い空間で男は目覚めた。 以前の記憶は無く、何故自分がここにいるかは全く理解できていなかった。 しかしそれはこの場にいる全ての者がそうであるようで、空間は不安の色で溢れていた。 (ここは何処だ?一体誰が俺をここに?) 軍服に身を包んだ中年の男は周囲を見渡した。 (……数十人はいるな。国籍も性別もバラバラなようだが……、ん?何だあの服装は?今の時代あんな格好をした奴がいるなんて…。しかも何人も…) 彼、ソリッド・スネークが視線を移したその先には全身真っ黒な鎧で身を纏った者が立っていた、が、しかしそれは一人ではなく別方向にも同じように全身真っ黒な鎧の者が。 さらに鎧を纏った者は彼らだけではなく、他にもあちこちに数人ほど確認できた。 (俺はファンタジーの世界にでも迷いこんでしまったのか……?……ん、あいつは……オタコン!オタコンじゃないか!) 自分よりも遥か前方にいる白衣に身を包んだ男、オタコンことハル・エメリッヒを肉眼で確認したスネークは、一瞬ではあるが僅かばかりの喜びに近いものを感じた。 (オタコンもここに……。しかし俺とオタコンがここにいる理由はなんだ?愛国者達か?ならあの鎧の奴らの正体は?あんなのゲームやコスプレでしか見たことないぞ……! それにこの首輪や、これだけの人間を集めるのには一体何の理由が?) スネークを始めとする多くが不可解な現状を模索し、不安や動揺、混乱に惑う空気のなか、突如、広間の最奥に今の状況を一変するかの如く光が集中した。 一斉が光の先に目を向けたそこには、不気味な雰囲気を醸し出す三人の男が立っていた。 中心に位置する男が、靴音を立てて妖しい笑みとともに歩を前に進める。そして、ゆっくりとその重い口を開けた。 「やぁ、諸君。気分はどうだい?といってもやはり大半は恐怖で怯えているようにみえるね。まずは非礼を詫びよう。いきなりこんな所に呼び出したりしてごめんね」 男は一度辺りを見渡し、それが終わると満足げな表情で再び口を発した。 「まずは自己紹介をしよう。僕の名前は桜井政博。ある会社の代表取締役をやらせてもらっている。うーん、そうだね、単刀直入に言おうか。これから君たちには―――――」 彼の台詞に注目が集まる。 次の発言に凍りつくことになるとも知れずに…… 「―――――殺し合いをしてもらう」 え? 誰もがそう思ったことだろう……。 「もういちど言うよ。こ・ろ・し・あ・い。殺し合いをしてもらいたいんだ」 一同は言葉を失った。 男、桜井が放つ言葉に嘘はないということを。彼らはその場の空気や自らの持つ感覚で感じ取ったのだ。 静まりかえっていたざわめきが男の発言によって再び溢れだした。 「じゃあ、今から詳しいルールを話そうか。まぁ、ほとんどルールなんてないんだけどね。 まず、このゲームの最終目的。それは単純かつ明解。君たち全員が最後の一人になるまで殺し合いをすること。もちろん反則は無し。ただそれだけさ。 殺し合いが怖いかい?でも、君たちの中には人を切ったり撃ったりして何人も殺したことある人いるでしょう?そんなに動揺することないと思うけどねぇ」 さらに言葉は続く。 「まず君たちには僕のルール説明のあと、一斉に会場となる場所にランダムで飛んでもらうよ。このバッグと一緒にね。 この中には食糧や水、筆記用具に時計や地図、参加者の名簿表、あとはランダムアイテムが幾つか入っている。ランダムアイテムは種類はもちろん個数もランダム。 種類も刀剣類や銃火器、トランシーバーのような便利なものから、木の棒やモデルガンみたいなハズレもあるから注意してね。 ゲームは午前零時をスタートとし、その後は六時間おきに僕たちのほうから定時放送をさせてもらう。 放送には死んでしまった者たちや、禁止エリアの発表などをしていくから注意して聞くんだよ」 口から発される言葉は止まらなかった。 「フフ、禁止エリアって何?って顔をしてるねぇ。 禁止エリアというのは、君たちに殺し合いをスムーズに行ってもらうためのシステムの一つさ。そこに入ったら何が起きると思うかい? 既に気づいているだろう?君たちには首輪をつけさせてもらっている。禁止エリアに入るとね、その首輪がドカンと爆発するのさ。 首輪が爆発したらいくら身体が頑丈でも例外なく死亡。また、無理やり外そうとしたりしても爆発するから注意するんだよ。あとは―――――」 「こ、こ、殺し合いなんてふざけるなよッッ……!」 桜井のルール説明の最中、突如拳銃を構えた軍服の男が声を上げた。 しかしながら、その姿や声は怯えに震えていた。 「あれ、君何で拳銃なんて持ってるのさ?回収し忘れかな?ええと、彼はたしか小島くんのところの……」 「ジョニーです。ジョニー君、その拳銃をこちらに渡して大人しくしてくれないかな? 君は僕にとって我が子みたいなものだからね。なるべくなら手荒なことはしないでもらいたいんだけど」 「う、う、うるさい!大人しくするのはそっちのほうだッ!も、目的はなんだ!?」 そう言って、ジョニーと呼ばれる男は拳銃の引き金に指をかけた。 彼の瞳の焦点は定まっておらず、銃身もがたがたと震えていた。 「目的かい?答えられないね……。ふぅ、残念だ。すみません桜井さん。うちのが迷惑かけて」 「いやぁ、首輪の説明の途中だったしね。みんなにもちょうどいいルール説明になるでしょ。 というわけでジョニー君、残念だけど君はここでサヨナラだ。じゃあね」 「え?」 ボンッ。 それは一瞬だった。 小さな爆発音とともに男の生首が宙を舞ったのだ。 首からは血が噴き出し続け、床にも大量に撒き散らされた。あまりの出来事に悲鳴を上げる者も現れた。 「これで分かったかい?首輪の説明の続きだけど、僕たちの邪魔やゲームの妨害、反逆なんてしたらこっちで任意に首輪を爆破するからね。絶対にこんなことしちゃ駄目だよ。 こんなところかな……。他に何か言うことあったっけ? あ、そうそう最後に一つ、この殺し合いの最後の一人、つまり優勝者には好きな願いを叶えてあげよう。何でも構わないよ。金、地位、名誉何でもOK」 発言を終えたところで桜井は今一度辺りを見渡した。 「じゃあそろそろ始めようか。諸君の健闘を祈っているよ。六時間後にまた逢おう。では『バトルロワイアル』スタート!!」 【ジョニー(アキバ)@メタルギアシリーズ 死亡】 【残り38人】 主催者 【桜井政博@有限会社ソラ代表】 【小島秀夫@開発チーム小島プロダクション監督】 【ZUN@上海アリス幻樂団代表】
https://w.atwiki.jp/onjyakyujoshi3/pages/365.html
北斗悠本人ほか、双子の弟勇海や兄妹達についても記す 最終更新日時 2017/12/10 14 04 08 このページを編集 【名前】 北斗悠 【容姿】 身長:172cm 体重:66kg バスト:86cm 赤味が強い濃いピンクの逆立ったベリーショート 筋肉質かつスマート 素晴らしい広背筋 【生年月日】 2000/4/21 【所属】 中京大学附属中京高等学校→福岡ソフトバンクホークス 【利き腕】 右投両打 【守備位置】 遊撃手 【能力】 3BBBDDD 広角打法 アベレージヒッター 【背番号】 6 【性格】 ガッツ溢れる熱血漢 【その他】 デストラーデ、セギノールなど往年の両打大砲に憧れる中京大中京のやべーやつ。 中学時代は捕手であり蒔村とバッテリーを組んでいたが、お互いが超えるべき壁でありたいという約束を交わし別々の高校へ進学した。 そのため現在はお互いをライバル視している。 蒔村のシンキングファストは、左打席に立つ北斗を抑えるために磨き上げたものと言われている。 2人のぶつかり合いは愛知県高校野球ファンの間でも人気が高い。 強靭な背筋力を初めとした体幹の強さと、肝の座った物怖じしないバッティングが持ち味で、広角に長打を打ちまくる。 打っても守っても安打製造機。 パワーの源である体幹の強さは、姉真琴の伝手で始めたレスリングを取り入れたトレーニングによるもの。 右打席ではヘッドをやや前に向けてオープンスタンスで構える 左打席ではスタンスを広くとって重心を落とし、神主気味に構える (右打席 清宮、左打席 森友哉のイメージ) 【名前】 北斗勇海(ほくといさみ) 【容姿】 赤髪のショートカット。プライベートではソフトモヒカン。 【生年月日】 2000/4/21 【所属】 東邦高校 【利き腕】右投右打 【守備位置】 一塁手、捕手 【能力】 2 FEEDDE 【背番号】 14 【球歴】 【性格】 マイペース、蒔村LOVE、常に笑顔 【その他】 北斗悠の双子の弟(二卵性)、蒔村を愛してやまないナイスガイ。 付き合い始めたのは高校進学後。 よく蒔村や伊東の頭を撫でる撫でフェチ。 悠、蒔村とは中学時代チームメイトであり3人でよくつるんでいた。 二人が別々の道を選ぶ事を決めた時は、迷わず愛する蒔村についていき東邦高校へ入学した。 強豪東邦高校野球部へ入ったものの、蒔村の専属マネジャー兼モチベーターとしてベンチ入りすることがやっとであり公式戦に出場したことはない。 伊東の引退により決め球シンキングファストを封印された蒔村の苦悩を目の当たりにした結果、東海大会終了後に捕手へのコンバートを決意。 正捕手(というより専属捕手)の座を掴み取るべく愛の力で奮起する。 勇海「楓ちゃんの為なら僕はどこまでも進化できる気がする。必ずシンキングファストを万全で使えるようにするよ」 なお打撃は...... 悠曰く「スパイ」 本人曰く「ストーカー」 蒔村曰く「変態」 長女:北斗真琴:1994年生まれ 青山学院大時代の雪村の同級生。居合道部・拳法部を兼部していた他、高校まではレスリングをしていた。弟二人の童貞を奪った 長男:北斗一星:1997年生まれ 大学生。経済学部に通っている優男。実は末妹の結花と付き合っている 次女:北斗悠:2000年生まれ 次男:北斗勇海:2000年生まれ ↑参照 三女:北斗結花:2003年生まれ 北斗家の末子、三つ編みが愛らしい引っ込み思案な中学生。実は兄の一星と付き合っている
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4525.html
▽▽▽▽▽ あたしはタクシーを飛ばし、ようやく目的地の図書館にたどり着いていた。もうすぐ夜21時になろうとしているが、 さんさんと施設の明かりがついているところを見ると、古泉くんがうまくやってくれたみたいね。 「やあ涼宮さん、お待ちしていました」 「ありがと、古泉くん」 入り口で待っていた古泉くんと言葉を交わすと、あたしは図書館に駆け込んだ。 さすが古泉くんと言ったところだろうか、図書館の全てが開放状態になっていて、どこでも本を取り出せる状態になっていた。 しかし、礼を述べている暇はない。今はとにかく情報をかき集めないと。 「余り時間はありません。見るべきなのは医療関係のものでしょうから、そのカテゴリを集中的に探しましょう」 「そうね」 あたしと古泉くんは、医療の本が並んでいる場所に入り、一つずつ片っ端から開き始めた。 ただ、内容を一つ一つ読んでいる時間はとてもないから、とりあえずそれっぽい本の目次を見て、必要そうなところを 洗い出していく。 そんな作業をひたすら続けていたが、ふと時計を見てみるとすでに0時を回っていた。キョンが発病したのは 大体15時ぐらいだったから、あと15時間ぐらいしか残っていないことになる。 「これじゃ間に合わないわ。あたしは向こうの机で本を片っ端から読んでいくから、古泉くんはそれっぽい本があったら じゃんじゃんこっちに持ってきて」 「わかりました」 古泉くんの了承を確認すると、床に置いた本の山を持って机に向かった。 午前3時。あたしはすでに30冊以上の本に目を通していた。だけど、ダメ。治療法どころか、キョンの症状と 一致する病気の情報すら見つからない。 あたしは困り果てて、思わず天を仰いでしまった。あと、12時間しかないってのに、まだ手がかりすらつかめていない…… 「新しいのを見つけましたので、お持ちしました」 そう古泉くんが10冊ほどの本をあたしのそばに置く。あたしは弱気になっている自分の頭を一回こづいてから、 その本を手に取った。 この程度で参ってどうする。一番辛いのはキョンなのよ。あたしがしっかりしなくてどうする。 と、ここで古泉くんがじっとあたしを見つめているのに気がついた。時間がないので、あたしは本に視線を向けたまま、 「なに? 何かあったら教えて。どんな些細なことでもいいから」 「いえ……」 あたしの耳に返ってきたのは、ばつの悪そうな古泉くんの声だった。 しばらく答えるべきか迷っていたようだが、やがて意を決したようにまじめな口調で、 「涼宮さんに確認しておきたいことがあるんです」 「なに?」 「その……涼宮さんは恐らく心の底から彼のことを助けたいと思っているんですよね?」 またその話か。病院でもみくるちゃんに聞かれたのに、いったい何だって言うの。あたしの心はもう決まっている。 「それは十分承知しています。涼宮さんは彼を助けるためにはどんな努力も惜しまないでしょう。 その決意がどれだけ固いのかも理解しているつもりです」 「ならどういう意味なのよ」 ここであたしは古泉くんの言っていることの意図が読めず、一旦本から目を外し彼の方を見る。 古泉くんはどこか困ったような表情を浮かべていた。 「言い方を変えてみましょう。涼宮さんは彼をどうしたいのかと聞かれた場合、どう答えますか?」 「どうって……そりゃ、キョンを助けたい。他に言葉なんてないわ。約束したんだもん、絶対に助けるって。 それ以上に出せる言葉なんてないし、それで十分のはずよ」 「そう……ですか……」 古泉くんの表情は、病院でみくるちゃんが見せた物と同じだった。何か期待していた答えと違うという落胆。 わけがわからない。一体二人はあたしに何を期待しているってのよ。 「悪いけど、今はそんな話をしている場合じゃないわ。禅問答みたいなのはキョンを助けてからにしましょう。何か異論ある?」 「いえ……」 そう古泉くんは答えると、また本棚の方に戻った。 あたしが気がついていないだけで、実はどこか気持ちの問題があるのかも知れない。だけど、それがどうしたというのか。 そんなこと、キョンが助かれば何の関係もないはずだ。今はとにかくそれに全力を尽くす。あたしにできるのはそれだけだ。 翌朝7時。あたしたちは全ての本に目を通し終えた。 だが、結局何の手がかりも見つかっていない。 「ダメでしたね……」 古泉くんは疲れ切った表情で、床に座り込んでいた。あたしも本ばかり読んでいたせいか、目がチカチカしているのを 押さえ込むようにこすりつつ、 「……まだよ、まだまだ! 消去法は決して無駄じゃない。図書館がダメなら次に行けばいい。それだけの事よ!」 あたしたちは図書館を後にし、一旦部室に向かうことにした。 まだ諦めてたまるか。絶対に何か方法があるはずよ。それを見つけてやるわ。 ▼▼▼▼▼ 俺は朝日と物音に気がつき、目を開けた。 昨日は団長席で写真を眺めていたのまで憶えていたが、どうやらそれのまま眠ってしまったらしい。 頭を上げると頬にくっつていたハルヒの写真がへろりとはがれ、床に落ちていった。 それをすっと誰かが手に取り、俺に差し出してくる。 「落ちましたよ。大切な写真だからきちんと持っておかないとダメです」 少し間延びしたような声。見れば、朝日も反射してしまうような美しく可愛らしい笑顔があった。 メイド服に身を包んだその人は、朝日をバックにまさに天使といってもいい神々しさを醸し出している。 「昨日は大丈夫でしたか? 生徒会長の方には、僕の方から対応をお願いしておきましたので、 恐らく何の問題もなかったと思うんですが」 せっかくのエンジェル降臨を楽しんでいたというのに、優男のニヤケ声が俺の気分をぶちこわしてきやがった。 おいおい、せっかくだからもうちょっとエンジェルボイスの余韻に浸らせてくれよな。 「涼宮さんは少し遅れてくるそうです。病気の進行を少しでも遅らせられればと、コンビニでサプリメントを買ってくると 言っていました。昨日は一睡もしていないのに本当に大した体力ですよ」 ハルヒの奴、得体の知れないドリンクや薬物を買ってきたりしないだろうな。そんなものを呑まされたら病状が加速しそうだぜ。 部室にはすでに3人いた。唯一、俺に声をかけていない奴は無言のまま部室の入り口付近で俺の方をじっと見ている。 やれやれ。これは一体どうしたことか。 俺は一番近くにいた天使降臨な少女を呼び止め、 「またハルヒが何かやらかしましたか? そうでもなければ、こんなへんぴなところにある文芸部室なんかに 来たりはしないでしょう。人手不足とかいってその辺りに歩いている人間をとっつかまえて、強引に勧誘したんでしょうけど」 「えっ……?」 その可憐な少女の表情が困惑にゆがんでしまった。いかん、何かまずいことをいっちまったか? 少女は無理に取り繕ったような笑顔を俺に見せ、 「や、やだなぁ。キョンくん、冗談が過ぎますよ。あたしは朝比奈みくる、いつもここにいたじゃないですか」 「はい?」 何を言っているんだ、この少女は。こんな超絶美少女がいたら、SOS団に俺は喜んで参加しているぞ。 大方が俺がハルヒの奴に引っ張り回されるだけだからな、ここの活動は。 ……しかし、朝比奈みくるさんか。いい名前だ。 「えっと、まだ寝ぼけているみたいですね。目覚ましに良いお茶を買ってきたから、すぐにそれを入れますね」 そう言って手慣れた手つきでお茶を入れる準備を始めた。待て待て、お客さんにそんなことをやらせるわけにはいかないだろう。 「ちょっと待ってください。お茶なら俺が入れますよ。せっかく来てもらったってのに、それじゃ立場が逆じゃないですか」 「いいんですっ……良いから、あたしにやらせてくださいっ……!」 そうそのエンジェル少女は俺の言葉にとりつく島もない。 ほどなくして、お茶を入れ終えた少女はお盆に湯飲みを乗せ、俺に差し出してくる。仕方がない。 せっかく入れてくださったんだから、ここは素直にごちそうになりますよ。 俺はその熱々だが、喉を通すには熱すぎない絶妙なバランスの保たれたお茶をすすり始める。 これはうまい。俺が適当に入れたお茶とはまさに天と地の差だ。冗談抜きでSOS団の入って欲しくなってきたぞ。 とはいえ、ハルヒの強引な勧誘に俺が乗っかるわけにも行かないので、お茶を飲み終えるとその少女に深々と頭を下げつつ、 「ハルヒに変わって謝ります。こんな朝っぱらにそんなけったいな服装で部室に来させるなんて非常識にもほどがありますからね。 最近は大人しくなってほっとしていたんですが、また調子に乗りだしたみたいだから一つ言い聞かせておきますよ――」 がたん。 突如、その少女は手に持っていたお盆を床に落とした。そして、それを拾おうともせず…… 今度は部室中に、まるで小学生になるまえの子供が泣くような泣き声が響き渡る。 その少女がどでかい声を上げて泣き始めたのだ。 俺は突然のことに気が動転し、近くでこっちを見ているだけだった優男の方に近づいて、 「お、おい、俺ひょっとして何かまずいことをいっちまったのか。すまねえ、妙な病気にかかっているせいで、 ちょっと記憶が混乱しているんだ」 ――自分の言葉で思い出した。そうだ、俺は記憶と意識が徐々になくなっている病気にかかっているんだ。 何でこんな重要なことを忘れていたんだ? そうなるとまさか今ここにいる人たちは…… あたふたとする俺に、その男は答えようともせず目頭を強く押さえ、そのまま壁に寄りかかってしまった。 少女はひたすら泣き続けるだけだったが、優男の方はようやく口を開き、 「……覚悟はしていたつもりですが、この現実はあんまりです……いえ、あなたは何も悪くないんですよ。 全部、あなたを蝕む病気が悪いんです……」 苦悩に満ちたうめき声のような言葉を吐いてきた。 俺はさらに混乱を加速させてしまったが、さっき泣いている少女から返してもらった写真を見て、ようやく事態が飲み込めた。 そこにはどこかの海辺で泣いている少女・優男・じっと見つめるだけの無表情少女が映っていた。 全員水着姿で楽しそうに微笑んでいる。 ……そうか、俺はこの人たちのことをわすれちまったんだな。このくそったれな病気のせいで。 俺は軽く頭を抱えつつ、 「すまない。どうやら全員SOS団のメンバーみたいだな。俺がすっかり忘れちまった……だけで」 「キョンくんっ! 本当に憶えていないんですかっ!? あんなに一緒に……ずっと!」 泣いていた少女が俺の胸に飛び込んでくる。うれしさよりも罪悪感の方が強く募った。こんな事をされても、 俺はこの少女に対する感覚・記憶ともに何も呼び起こされないからだ。 「すいません。写真を見る限り、一緒にいたのはわかりますが、俺自身はもう……」 少女は、俺の言葉に床に崩れ落ちて泣きじゃくり始めた。 何もできない。何もして上げられない。 そして、何もしてあげようと言う気にもならなかった。人間らしい感情も酷く欠落しているのか。 今ならまだはっきりと認識できる。俺は着実に死に向かって進んでいるってな。 ほどなくして、優男が少女を抱きかかえるように立たせ、椅子へ導く。しばらく子供をあやすように少女に何か話しかけていた。 ようやく徐々に落ち着きを取り戻した少女を確認すると、その優男は俺の元にやってきて、 「状況を確認したいんですが、いいですか」 「……あ、ああ」 そいつはメモ帳を取り出し、 「まずここはどこですか?」 「SOS団の部室だ。元々は文芸部の物だったけどな」 「なら文芸部員は一人だけいましたが、誰だかわかりますか?」 「ん……すまん、憶えていない」 「では、今この部屋にいるあなた以外の人で、憶えている方はいますか?」 「さっきも言ったが、誰も知らない――思い出せない」 「ならば、このSOS団の団長は?」 「それは忘れたくても忘れないだろうな、我らが団長涼宮ハルヒ様だよ」 この答えに優男ははっとして、 「涼宮さん、涼宮さんのことは分かるんですか?」 「ああ、あいつのことならはっきりと憶えているぞ。それはもう入学式にぶっ飛んだ自己紹介をした時から、 昨日散々励ましてくれたことまでな」 俺が今言ったとおりでハルヒのことだけは、鮮明に記憶が残っていた。今記憶の糸をほじっても、ハルヒのことばかり 脳裏にかすめてくる。 ここで、ずっと黙ったまま俺を見つめていた無表情少女が俺に近づいてきた。そして、俺の両腕をつかむと、 「聞いて。突破口が見えたかも知れない」 ……どういうことだ? その無表情少女は瞬き一つしない瞳で俺を見つめながら続ける。 「わたしたちは記憶から消去されるほどプログラムによる浸食が続いているが、それでも涼宮ハルヒの事だけは はっきりと憶えているのはあまりに不自然。涼宮ハルヒが情報フレアを発生させ、あなたに干渉を行っているとしか 考えられない」 「悪い。思考能力も落ちているみたいだから、わかりやすくいってくれ」 頭の中が飽和状態のようになっているせいか、まともに考えられない。無表情少女はしばらく黙っていたが、 「プログラムの浸食を涼宮ハルヒは止めることができるかも知れない」 「つまり、ハルヒがあの神的変態パワーを使えば、俺を助けられるってのか?」 「そう」 俺は後頭部をかきながら、 「だが、どうしろってんだ。今からお前には凄い力があって――なんて説明しても信じるような奴じゃないぞ。 それに、あいつが願って俺が助かるっていうなら、とっくに助かっているはずだ。あいつの思い――俺を助けたいっていう気持ちは 鈍い俺だって強く感じ取っているからな」 「恐らく涼宮ハルヒの介入はプログラム内部で想定されていて、対抗措置が執られている。 だから、それを越える形で涼宮ハルヒがあなたの生存を願わなければ、効果はない」 助けたい以上の願い? なんだそりゃ、俺も思いつかないぞ。 だが、無表情少女の言葉に、エンジェル少女と優男がはっと気がついたように顔を上げる。 「あとは涼宮ハルヒにかけるしかない。彼女があなたをどうしたいのか、それを認識できるかが鍵となる」 ――そう無表情少女が言い切ったタイミングでハルヒが部室に現れた。 「ごめん、遅くなったわ!」 両手には山のようなコンビニの袋を抱えている。おいおい、どれだけ買ってきたんだよ。 「この際何でも買ってきたわ。贅沢いっている場合じゃないもんね。ほら、ビタミンとか亜鉛も大量に買ってきたわよ。 今すぐ残らず食べなさい」 「ちょっと待て。そんなチャンポンで喰ったら、別の病気でしんじまいそうだぞ」 ハルヒはコップに複数のサプリをじゃらじゃらと詰め込みながら、 「あんたの病気は一筋縄ではいかない、非常識な物なのよ! だったらこっちも非常識で対抗するしかないわ。 ほら、どんどん食べなさい。みくるちゃん、手伝ってあげて」 そう呼ばれたエンジェル少女が俺に来て、ハルヒの手伝いを始める。 その間に、優男がメモ帳片手にハルヒと話し始めた。一言一言を聞くたびに顔色が変わっていくのは、 俺がハルヒ以外のSOS団のことをすっかり忘れてしまったことを聞いているからだろう。 ――次にハルヒがとった行動は、ある意味必然でハルヒらしかった。 パアァンと気持ちのいいほどに、ハルヒが俺の頬をひっぱたいた音が部室内をこだまする。 「あんた……あんたって奴は……!」 続いて、俺のネクタイを締め上げ、 「どれだけみんながんばっているかわかってんの!? なのにあんたはホイホイと病気に任せて何でもかんでも忘れて! キョンを助ける、キョンを助けたいの! だから、あんたも少しはがんばってよ!」 「やめてくださいぃ!」 ここでエンジェル少女――ああ、朝比奈さんだったな――が俺とハルヒの間に割って入ってきた。 激高しているハルヒを盛んになだめようとしている。 だが、ひっぱたかれても罵られても、俺は怒りどころか反論すらわき起こってこなかった。 俺は朝比奈さんの肩をつかむと、 「いいですよ。ハルヒの言っていることは事実ですから。俺がこんなんだから、病気が簡単に進行――っ」 突然――俺の周りの世界が回転した。まるで回転型の絶叫マシンに乗ったかのように足下と視界がふらつき、 そのまま床に倒れ込む。 「キョンっ!」 そのまま頭から落下しそうになるが、すんでの所でハルヒがキャッチしてくれたおかげで難を逃れる。 しかし、強烈なめまいは収まる気配を見せず、もう立つことすらままならない。 「ああっ……どうしよう。ごめん、キョン。あたし、バカなことしちゃった。ごめん、本当にごめんなさい!」 ひっぱたたいたことについてだろう、ハルヒはしきりに謝罪の言葉を並べた。 だが、俺はハルヒを責める気なんて全く起きず、揺れる視界のなか、ハルヒの頬にすっと手を当てる。 「いいんだ。気にするなよ。お前は悪くないさ。あっさり忘れちまう根性なしの俺が悪いんだよ……」 「キョン……!」 ハルヒは痛いくらいにぎゅっと俺の頭を抱きしめてきた。かすかに触れた肌を通して、活発に動くハルヒの心臓の鼓動が 俺にまで伝わってくる。 「助けてあげる――絶対に助けるから!」 ハルヒはそう大声で俺に呼びかけた後、まるで周りに聞かれたくないのか、俺の耳元に口を寄せてきて、 「どこまでもついていってあげる。だから安心して……」 ▽▽▽▽▽ 午前8時。リミットまで残り9時間を切っている。 あたしはみくるちゃんと古泉くんにキョンを託すと、有希と二人で街に出た。登校してくる生徒の逆送して走るあたしたちの姿を 周りの人間が奇異の目で見てくるが気になんてしていられない。今日も平日だから授業はあるけど、 そんなものに出ている場合じゃないんだから。 あたしはもう藁にもすがる思いだった。医者もダメ、図書館で調べてもダメ、こうなったら有希の知っている古本屋をめぐって それっぽいものを探すしかない。神社で祈ったり、境界に駆け込んだりもしてみたらと頭を過ぎったけど、 それでキョンが直るとはとても思えないから止めた。今あたしがやらなければならないことは、 キョンを助ける方法を探すこと。祈っていても見つかるわけがない。 幸いなことに有希は本好きだったので、たくさんの古本屋を知っていた。それこそ、魔術書まで置いてありそうな物まで 置いてありそうな怪しげな店もあった。あと、昔あたしがいろいろ調べて回ったときに見つけていた、 民間療法も治療薬を売っている店も廻って効果のありそうな物を手当たり次第に確保するつもりだ。 駅前までつくと、あたしは有希を連れてタクシーに飛び乗った。とりあえず、メモを片手に行き先を運転手に指示する。 時計を確認すると、もう午前8時20分になっていた。この調子だと廻れる店はかなり限られてくる。 近場からどんどん目的地を潰して起きないと…… と、有希があたしの方をじっと見ていることに気がつく。 「なに? 有希」 「一つ確認したいことがある」 あたしはメモから目を離さず、口だけで答えた。 有希は続ける。 「あなたは彼のことをどう思っている?」 「好きよ」 何というかあっさりと本心が口に出てしまった――というか出てしまった。はっきり言ってしまえば、照れている余裕も あたしにはないと言うことである。 「キョンが好きだから助けたい。でなきゃ、ここまでやれないと思う。そう――あたしはキョンが好き。だから、助けたい」 「わかった。それを聞いて安心した」 そう有希は答えると、あたしから視線を外してじっと前を見つめ始めた。 ……この子がこんな事を聞いてくるなんて。やはりキョンの死が近づいて酷く動揺しているんだろうか。 まず一番近くにあった古本屋数軒を廻ってみたが、こぢんまりしているだけで、並んでいるのは大手の新古書店と 大して変わらない本ばかり並んでいた。時間をかけている余裕もないので、軽く本のタイトルだけを見回すと、 また次の目的に向かう。 「有希、もうちょっと変わったところはないの? こんなところじゃ図書館と大差ないわ」 「少し離れた場所に、変わった本を集めているところがある。そこに行けばいい」 そう言って、あたしが持っている地図を指さす。今の位置からかなり離れているところか。 それなら漢方薬とか売っている店を廻りつつ、そっちに向かった方が効率がいいか。 ――だが、こんな時に限って問題が発生する。乗っていたタクシーが渋滞に捕まってしまったのだ。 「裏道はないの!?」 あたしはどうにか回避できないのかと訪ねるも、この周辺ではこの時間帯は局地的に渋滞が発生していて、 例えここをうまくかわしても、他の場所で引っかかるだけらしい。なお目的地を記した地図を見せて食い下がったが、 運転手が出した結論は至って簡単な物だった。あたしの行きたいところへ最も早く、かつたくさん廻るなら走った方が早いと。 あたしは運賃を払うと、タクシーから飛び出し一目散に走り出した。息を切らせながら、全速力で走ること10分、 一番近くにあった薬を売る店に飛び込んだ。 ▼▼▼▼▼ あー、なん……だろ、か。頭が……ぼーっとしてきた。 「古泉くん! キョンくんの様子が!」 耳元で朝比奈さんの声が響く。しかし、それもまるでトンネルの中で話しているように、乱反射して聞こえてきた。 しばらくして、古泉と呼ばれる優男が、不安げな表情で俺をのぞき込んできた。 「大丈夫ですか? 何かしゃべれますか?」 「う、あーううあーいいい……」 俺の口は完全にろれつが回らなくなって来ていた。考えがまとまらない上に、まともにしゃべることもできなくなるとは。 いよいよ俺も終わりが近いらしい。 「死なないでください! お願いだから死なないでっ」 朝比奈さんが俺の頭をぎゅっと抱きしめてきた。全く俺は幸せ者だったんだな。 こんな人と一緒にずっと高校生活を送っていたんだから。 次第に視界も濁り始めた。もう二人の顔もまともに見えなくなってきている。 ……ハルヒ。もう俺はダメだよ。せめて最期にお前の顔は拝んでおきたい。だから、もう諦めて帰ってきてくれ…… ▽▽▽▽▽ 「そう……わかった。できるだけ早く戻る」 あたしは古泉くんからの連絡を聞き終えて、携帯電話を閉じる。 キョンの状態が限界に達しつつある。今は午前12時半。タイムリミットは3時間を切っていた。 しかし、目的の半分しか廻れていない上に、手に入った物と言えば適当に買いあさった漢方薬だけの状態だ。 古泉くんは電話の中でこういっていた。 キョンはあたしに会いたがっていると。少しでも顔を見たいと。 「…………っ!」 あたしはどうすればいいのか分からず、ただ無我夢中に走り出した。心臓が破裂するほどになっても足は止まらず、 肺は悲鳴を上げて酸素を求め続けている。 嫌だ。キョンに死んで欲しくない。 でも、このまま街中をさまよっていてももう解決策が見つかるとは思えない。 でも、ここで部室に戻ってもただキョンの死んでいく姿を見続けるだけになる。 あたしは……あたしはどうすればいいのよ! ――ふいに、限界に達した足がもつれ、アスファルトの道路の上を転がるように倒れ込んだ。 全身に強烈な痛みが走り、全神経にしびれが駆け抜けていく。 全身の酸素も足りないせいか、あたしは道路の上に突っ伏したまましばらく動けなくなった。 ほどなくして、あたしが倒れたのと見た野次馬たちがあたしを取り囲み始める。 あたしはある程度呼吸が落ち着いたことを感じると、すぐさま立ち上がろうとした――が足に来ているらしく、 全く立ち上がることができない。 と、ここで遅れてきた有希があたしの肩に手をかけ、 「手を貸す。立って」 「あ、ありがと……」 あたしは有希と二人三脚のように歩き出した。周りの野次馬たちも、無事を確認したのか次第に散っていく。 そのまま数十メートル歩いたところで、有希が突然立ち止まった。そして、あたしをじっと見て、 「部室に戻ることを推奨する」 「なにバカなこと言ってんのよ。今戻ったって何もできることがないじゃない!」 帰るならせめて手がかりだけでも見つけたかった。そうでなければ、必ず助けるというキョンとの約束を破ることになる。 だけど、有希は迷いのない口調で言った。 「このまま探しても手がかりが見つかるとは思えない。このままではあなたは彼の生きている姿を見ることなく、 別れを迎えることになってしまう。そうなればあなたはきっと後悔する。それに」 ――ここで一拍置いて―― 「彼の最期を見届けるのはあなたしかできない。わたしはあなたがそうするべきだと思っている」 あたしは有希の言葉に反論できなかった。 はっきり言ってしまえば、もうこれ以上街中をさまよったところで無駄だろう。ただの自己満足的な行為になってしまう。 例え手がかりが見つかったとしても、今からでは準備ができるとは思えない。突然、空から万能薬が降ってきて キョンがそれを飲んだらたちまち直ったなんて言うことにはなるわけがない。 それに本音を言えば、あたしはキョンと一緒にいたかった。これ以上離ればなれになっているのは耐え難くなってきている。 このまま最期まで逢えないという事態になれば…… アスファルトの乾いた地面に多数の水滴が落ちる。気がつけば、いつの間にか空は真っ黒に染まり、夕立がやってきていた。 その中の水滴にあたしの涙も混じって、地面に叩きつけられる。 あたし……何もできなかった。キョンがあんなになっているのに、なにもできなかった……! 「近くでタクシーを拾う。迂回していけば20分で部室まで戻れるはず」 有希の言葉にあたしはただ黙って頷くことしかできなかった。 猛烈に続く土砂降りの中、あたしたちは屋根付きのタクシー乗り場にたどり着き、そこでタクシーがやってくるのを待つ。 あたしはどうしようもない喪失感に染まり、有希の肩にしがみついたまま動けなかった。 辺りはまるで夜のようになり、自動車のライトがあたしたちを照らしていく。 ふと思い出す。みくるちゃんと古泉くんが言っていたことだ。 あたしはまだキョンに対して 何か遠慮しているところがあると言っていた。わからない。あたしはキョンが好きであることも認めているし、 助けたいというのは嘘のかけらもない心の底からの願いだ。なら、あたしに足りない物はなに? 「わたしも古泉一樹や朝比奈みくると同じ気持ちを持っている。彼に対して決定的に足りない何かがあなたにはある」 まるであたしの心を読んだかのように、有希がしゃべり出した。 足りない物。わかんないよ、有希。あたしの一体どこがいけないって言うの? 「あなたの彼に対する感情は全く問題ない。助けたいという気持ち、好きであるという愛情、どれをとっても固く強いもの。 過不足なく最良の感情を形成している」 「……ならいいじゃない。それがあたしの気持ちなんだから」 「それは違う。あなたはまだ到達できていない部分がある。その原因は恥ずかしさから来るものなのかもしれないし、 自分に対して――彼に対して遠慮しているからかも知れない。具体的なことはわたしにはわからない。 しかし、確実に言えることはあなたはもう一歩踏み出だせることに気がついていない」 あと一歩。好き、助けたい。この先がまだある……? 有希は続ける。 「これはわたしの推測。あなたはずっと彼に対して奇跡が起きることを望んでいた。 でも、あなたはその先が見えていないように感じる。奇跡の向こう側に存在しているものが」 ――奇跡の先にある……もの? ▼▼▼▼▼ あー、あはーははーハルーヒ、ハルー…… ▽▽▽▽▽ あたしは部室に戻ってキョンの変わり果てた姿を見て、思わず床に膝をついてしまった。 顔面蒼白になり、目は明後日の方を向き、口からはだらだらとだらしなくよだれが垂れている。 「あ……ああ!」 あたしは無我夢中で飛びつくようにキョンを抱きかかえた。 ごめん……こんなになるまで何もできなくて! 「ごめんなさい。いろいろ手を尽くしたんですけど、あたしにはなにも……」 そうキョンのそばでずっと看てくれていたみくるちゃん。ううん、もう十分よ。ありがと。 あとはあたしがキョンのそばにいるから。みくるちゃんは少し休んで。 すでに時間は午後13時半を廻っていた。あと2時間半でキョンの命は尽き果てることになる。 ……だけどもう打つ手はなくなった。少なくともあたしがここに戻ってきた時点で、キョンが助かる見込みはなくなった。 いや、最初から助けられる可能性なんて存在していなかったのかも知れない。あたしはただ自分を納得させるためだけに 街中を走り回っていただけで。 嫌な沈黙が流れる。時計が針を刻む音が耳につき、それがあたしの喪失感をじわりじわりと広げていった。 誰もなにも言葉を口にしない。 「あー、あハルはるひ……?」 唐突にキョンがあたしを見て口を開いた。たどたどしく、もう言葉として成り立っていない 「なに? キョン。大丈夫、あたしはそばにいるから大丈夫……」 「かか、かえ、かえ……って……き……くれ……た」 キョンはあたしの腕をつかみ、たどたどしい言葉を重ねる。次第にその手の力が入ってくるのを感じると、 まだキョンのあたしのことを憶えていてくれていることを感じ取り――たまらなくなった。 「帰ってきたよ。もうどこにも行かないから大丈夫……ずっとあんたのそばにいるから……!」 あたしは思わず強くキョンの頭を抱きしめ、止めどなく涙を流した。 助けられない。 約束を守れなかった。 キョンはこんなになってもあたしを見て……信じてくれている。 でも、あたしは何もできない…… ふと、あたしの脳裏にあることが過ぎった。 あたしにできること。 最後にできること。 それは…… 唐突に校内放送が流れ、有希、みくるちゃん、古泉くんの名前が呼ばれ、職員室へ来るように指示が出る。 3人とも微動だにせず、じっと黙ったままうつむいていたが、 「……大丈夫。キョンはあたしが看ているから行ってきて。向こうからこっちにやってこられて、 こんなキョンを教師たちが見つけたら大騒ぎになるから」 あたしは3人にそう告げると、ほどなくして部室から出て行った。 しばらくして、3人が戻ってこないことを確かめると、あたしはキョンを背負い部室から出る。 「あー、ああ……」 「大丈夫よ。ちょっと場所を変えるだけだから」 そう言ってキョンを安心させると、人目につかないように学校から外に出る。 そのまま平日昼であまり人通りのない坂道を降りていった。雨は上がったものの、未だに薄暗い空は まるで虚脱感で真っ黒に塗りつぶされたあたしの心を表しているかのようだった。 ……一緒よ、キョン。絶対にあんたを一人で逝かせたりしないから…… ▽▽▽▽▽ 午後2時半。あと30分でキョンはこの世からいなくなってしまうだろう。 あたしはキョンを背負ったまま、数十階の高層ビルの屋上に立っていた。北高からタクシーで 一時間ぐらいの場所にある新築のものだ。別にここを目指していたわけではなかったが、街中をさまよっているときに ふとこの高層ビルが目にとまったからここを選んだだけである。警備員やビル関係者に見つかるかと思ったが、 幸いなことに誰一人としてあたしの姿を気にとめる人はいなかった。まるであたしたちの姿が見えないのかと思ったぐらいだ。 夕立の湿気の篭もった冷たく強い風が自分の身体を叩きつけてくる。 「あーあー」 キョンはたまに声を上げるが、完全にものを言えなくなってしまっていた。たまに思い出したようにうなり声を上げるだけだ。 意識が混濁しているのか、あたしに背負われているということすらわからないらしい。 「あんたと出会ってからいろいろあったわね……」 あたしの脳裏に様々な思い出が過ぎる。 北高に入学した初日に見たあんた。 あたしの自己紹介に唖然としてマヌケな顔をこっちに向けていたわね。 あんたがあたしの髪型の変え方を見抜いたとき。 正直ちょっと悔しかった。前の席に座っていたからといって、ただの凡人のあんたに見破られたんだから。 SOS団設立のきっかけをキョンがくれたとき。 当時は余り考えなかったけど、今では凄く感謝している。あれがなければ、あたしは中学のときと同じ状態だったと思うから。 それからはいろんなことをした。 野球もした。 七夕もした。ついでにコンピ研の部長も探したっけ。 合宿で孤島にも行ったわね。あれは古泉くんにしてやられたわ。やり返してやったけど。 夏休みの終わりはこれでもかってぐらいに遊んだ。 映画の撮影もした。あれは……ごめん、ちょっと調子に乗りすぎたかも。 文化祭で歌うことになるとは思っていなかったわ。でも、結構気持ちよく歌えたからいいけどね。 コンピ研とゲーム対決して。 ラグビーを見に行って。 冬は…… 今までのことを思い出していくたびに、瞳から流れる涙の量が増大していく。もうぬぐう必要も感じない。 あたしは時計で時間を確認する。午後2時55分。思い出に浸っていたら、もうこんな時間になっていた。 すぐにキョンを背中から降ろし、抱えるようにして屋上の縁の部分に立った。真下には細い路地が通っている。 人通りも全くなく、自動車も走っていない。誰かにぶつかってしまうことはないだろう。 「あ、あー」 下を見つめていたあたしに、キョンが手をかけてきた。あたしの顔を確かめるように頬をなで回してくる。 あたしはとびっきりの笑顔を作って、 「大丈夫よ、キョン。あたしはここにいる。この高さならどうやってもたすかりっこないわ」 涙が瞳の中に溢れかえり、キョンの顔がゆがんで見える。瞬き一つするたびに、水滴が飛散することを感じた。 あたしはキョンをぎゅっと抱きしめると、 「一緒に逝こう……キョン」 そう言って空中に身を投げた―― ▽▽▽▽▽ ゆっくりと落下感が加速し始めるのを感じたとき、あたしの脳裏にあの言葉が過ぎった。 みくるちゃんが言った。 あたしがまだキョンに対して何か遠慮しているのではないかと。 古泉くんが聞いてきた あたしはキョンをどうしたいのかと。助けたいと素直に答えたら落胆した表情を浮かべていた。 有希が言った。 あたしの思いはまだ到達できていない部分があると。 最期まで分からなかった。 あたしはキョンが好き。 あたしはキョンに生きて欲しい。 生きてくれれば、またSOS団して楽しくやっていけるから 死んでしまえば、もうあのキョンのいる楽しい生活は戻ってこないから。 なにが問題だったのだろう。 なにが足りなかったんだろう。 ――不意に有希の言葉が脳裏に蘇る。 「これはわたしの推測。あなたはずっと彼に対して奇跡が起きることを望んでいた。 でも、あなたはその先が見えていないように感じる。奇跡の向こう側に存在しているものが」 奇跡の先にあるもの。 奇跡って言うのはキョンが生き延びるってことよね。 じゃあ、その先になにがある? 奇跡が起これば、続きができる。 だから、奇跡が起こって欲しい。 だから―― ――あたしの思考がはじけた。 あたしは…… 本当にバカだ…… こんな時になるまで気が付けないなんて本当にバカだ…… あたしはずっとキョンが生きて欲しいことばかり考えていた。 キョンが生きてくれれば、結果としてまだまだキョンと一緒にいられる。 SOS団として楽しく生きていける。 でもそれは違う。 間違っている訳じゃないけど、あたしの本心じゃない。 あたしは何を望んでいる? あたしは何を望んでいるから、奇跡が起こって欲しい? あたしは何を望んでいるから、キョンに生きて欲しい? 答えなさい、あたし! ――ゆっくりと身体が降下していくのを感じた―― ……一緒にいたいから。 キョンとずっと一緒にいたい! あたしの前の席に座っていて欲しい。 部室でぶーたら文句を言っていて欲しい。 不思議探検でどこかでこっそりとさぼっていて欲しい。 あの中途半端な笑みを見たい。 あたしの無理難題に文句を言って欲しい。 それだけじゃない。 ずっとそばに立っていて欲しい。 その内キスもしたい。 キスしてほしい。 抱きしめられたい。 抱きしめてあげたい。 キョンと一緒に、またみんなで孤島に行きたい。 キョンと一緒に、またみんなで映画を撮りたい。 キョンと一緒に、またみんなで文化祭を楽しみたい。 キョンと一緒に、また遠くに行きたい。 キョンがいなきゃダメなの! だから! お願い! ▼▼▼▼▼ 「――生きて!」 俺の頭に、ハルヒの声がはじけた。 どこからか吹き付けられる風が、痛みを憶えるほどに俺の全身にまとわりついてきている。 ゆっくりと目を開けてみる。 目の前にはなぜか涙が上に飛んでいくハルヒのドアップがあった。 その顔は涙でぐしゃぐしゃになってしまっている。 で、俺が真っ先に口に開いたのはこれ。 「……なんて顔してんだ、お前は」 俺に言葉に、ハルヒは反発して睨みつけてくるかと思ったが、逆に信じられないほどの笑顔入りの感激の表情に様変わりし、 「キョン……キョン……!」 そう言って俺の胸元に、抱きついてきた。 ああ、もう状況が分からん。なんなんだこれは。だれか説明してくれ。 ――って、今更気がついたんだが、俺たちもしかして落ちているのか!? 俺が素っ頓狂な声を上げると、ハルヒはおずおずとこちらを見上げて、 「ご、ごめん、ちょっと早まっちゃった……」 そう反省しきりのハルヒ。 おいおい、勘弁してくれ。じりじりと地面が近づいてきているぞ。あと十数秒で三途の川に落ちちまう。 だが、何となく見上げた上空を見て、俺はほっと胸をなで下ろした。 「あー、でも大丈夫だな。さすがはSOS団副団長様だよ」 「え?」 ハルヒがきょとんしたタイミングで俺たちの落下速度が大幅に落ちる。上空から降りてきた古泉が、 俺の身体をつかんでパラシュートを開いたのだ。 「……ぎりぎりでしたね。さすがにちょっと肝を冷やしましたよ」 古泉がはにかんだニヤケ顔を浮かべてくる。顔が近くて気色悪いが、まあ、今日は勘弁してやるか。 ほどなくして、地上の方で騒ぎが起こる。オフィスの窓や通行人たちが俺たちを指さして、何事かと言っているようだ。 そりゃ、いきなり高層ビルの屋上から人が落ちてきて、さらにパラシュートが開けば目立つだろうからな。 古泉は器用にパラシュートの進行方向を操作して、できるだけ人気のない方に向かって移動を始める。 「全くこんな大騒ぎを起こして、機関だけではもみ消すのは困難ですね。長門さんに助力を願わないと」 「おい、ハルヒがいるそばでその話は……」 俺が焦って古泉の口を止めようとするが、逆に古泉は俺の胸元のハルヒを指さしてきた。 見れば、さっきまでの泣き顔はどこへやら、幸せそうな顔ですーすーとハルヒが寝息を立てている。 俺はしっかりとハルヒを抱きかかえると、 「全く……こいつは人をこんなところに突き落としておいて……」 「涼宮さんはあなたのために徹夜で走り回っていたんですよ。まさか忘れたと言いませんよね?」 「言われんでもわかっているさ、そんなことは」 ついふてくされたように返す俺に、古泉は素直になったらどうです?と苦笑を浮かべる。ええい、無視だ無視。 俺の顔に太陽光が当てられる。見れば、分厚い雲の隙間から徐々に光が差し込み始めていた。 ふと、俺は思いつき、 「なあ古泉。お前ハルヒを付けていたのか? でなけりゃ、こんなタイミングで俺たちを助けられないだろ?」 「ええ、涼宮さんとあなたが部室から姿を消したときは卒倒しそうになりましたが、何とか再発見できましてね。 いやあ準備もぎりぎりでしたよ。高層ビルに入る姿を発見したとき、これはもう飛び降りしかないと思い、 あわててパラシュートの準備をしてもらいましたからね。昔にちょっと機関の訓練絡みでやった経験がこんなところで 役に立つとは」 お前の自慢話なんてどうでもいい。俺が聞きたいのは一つだけだ。 「もし――もしもの話だが、俺が復活しなかったら、ハルヒを助けたのか?」 「……さあ、どうでしょうか? きっとその時僕が感じたままに動くと思いますよ」 そう俺の問いかけをはぐらかして、苦笑を浮かべるだけだった。 ▼▼▼▼▼ 「で、何で俺は助かったんだ?」 俺は病院のベッドで、見舞いに来ていた長門に尋ねる。 その後、どうにかして現場を逃げ出した俺たちは、そのまま病院に直行することになった。 危機的状況は脱したとは言え、まだどこかに悪いところがあるかも知れないということで、現代医療の先端技術を駆使した 検査を片っ端から受けさせられ、その後には能力が戻った長門による未知の病原体・何とかプログラムが 残っていないかの検査も受けた。 結果はオールグリーン。俺は至って健康体であるということだ。やれやれ、ようやく一件落着か。 ただ、体力的な問題や念には念を入れてと言うことで、数日入院することになった。翌日、ようやく連絡の取れたオフクロ達も ついさっき見舞いに来たところだ。変な物を喰って食中毒になったということにしているが。 その後、朝比奈さん・古泉が見舞いにして、それと入れ替わりで長門がやってきた。で、俺はせっかくなんで、 ハルヒの奴がどうやって俺を救ったのか聞いてみることにした。 長門は首を少しだけ傾け、しばらく考える素振りを見せた後、 「抽象的な話になる。また事実ではなく推測でしかない。それでもいい?」 「構わん。教えてくれ」 俺の了承を確認すると、長門は続ける。 「あなたを蝕んだ破壊プログラムはあなたの生命活動を奪うという、その一点のみを狙った。 その点を標的にあなたの時系列的存在存続を切断するという手段。同様に涼宮ハルヒも途中までは あなたの生命活動が存続して欲しいという一点のみを願い続けた。点の消滅を避けようとしていた。 だが、それを予測していた破壊プログラムはそれを受け付けないように細工されていたと思われる」 何が変わって、俺は助かったんだ? 「涼宮ハルヒは、最後にあなたに未来があること願った。それは点ではなく線となる。破壊プログラムが点を抜き去ろうとした 点に対して、涼宮ハルヒはその上から線を引いた」 本当に抽象的な話だな、おい。 「現段階に置いても涼宮ハルヒの情報創造能力の詳細は不明。これはわたしの推測に過ぎない話。 だが、彼女があなたとともに先に進む――あなたが助かるという奇跡の先の存在に気がついたのは否定できない事実」 なるほどね…… ところでこんなふざけたことを仕掛けた奴は一体どこの誰なんだ? 長門は少しうつむき加減になり、 「情報統合思念体はわたしに情報操作能力を復元させた後でも、何も教えようとはしない。 しかし、有機生命体の死を点でしか捉えられないことを考えれば、仕掛けたのは情報統合思念体に他ならないと思う。 急進派が仕掛けたのか、主流派が考えを変えたのか。それとも別の意志が働いたのか。どちらにしても わたしがそれを知るすべはない」 長門の口が少しだけ重くなっていることに、俺は責任を感じていることを感じ取って、 「気にすんなって。お前を責めるどころか、責任があるとすら思ってねえよ。はっきり言わせてもらうが、 お前とお前のパトロンは完全に別物だ。俺の中ではな」 長門はこくりと頷く。ありがとうという感謝のサインだろう。 しかし、ハルヒが俺の未来を願うとはね。全くハルヒはまだ俺を引っ張り回したりないってのかよ。 どんだけ突っ走ればこいつは止まるんだか。 「今度はあなたが気がついていない」 はい? 「何でもない」 唐突にかけられた長門の言葉の意味が分からず間の抜けた声を上げる俺だったが、長門はそれ以上語ろうとしなかった。 しばらくして、長門はすっと立ち上がると、 「帰る」 そう言って外に出て行こうとする。俺は待てよ、と声を上げて、 「いろいろ心配かけちまったな。ありがとよ」 「わたしは何もしていない。お礼を述べるなら、涼宮ハルヒに言うべき」 そう言って俺の寝ているベッドのすぐ横を指さす。 そこには寝袋にくるまったハルヒの姿があった。幸せそうな笑顔で寝息を立てている。 まあ、なんだ。冬に入院したときと同じってことさ。俺が回復するまでここで一緒に寝泊まりするんだと。 俺はすっとハルヒの頬に手を当ててやる。あの時はここで起きたが、今は深い眠りに落ちているのか 目を覚ます気配を見せなかった。 ――お前が願ったとおり、ずっとそばにいてやるよ、ハルヒ。 ~~完~~
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/595.html
76 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/03/26(月) 23 02 03 とりあえず、コペンハーゲンの新しい店員というのが気になった。 何しろ自分のバイト先だ、これから関わることも多いだろう。 「バゼット、新しい店員って、知り合いか?」 知り合いと書いて危険牌と読む。 バゼットが店員になっただけでもメンタンピンドラドラの満貫状態なのだ。 コレに更に知り合いが加わったりしたら、裏ドラが乗って跳満になりかねない。 「いえ、初めて見る方でしたが」 だが、意外にもその危険牌はあっさり通った。 「え、違うのか? じゃあ、普通の人?」 「そうですね……私も挨拶程度しかしていませんから、よくわかりませんが」 そう前置きしてから、バゼットは自分の所感を述べた。 「眼鏡をかけた、線の細い若い男性でした。 性格的には、割と軽い方で、オーナーたちともすぐに打ち解けていました。 あまり力仕事に向いているようには見えませんでしたね。 むしろ、バーのカウンターで接客をしているほうが似合いそうな雰囲気でした」 つまり……少し悪い言い方をすれば、優男、ということか。 女なのに力仕事が得意なバゼットとは正反対だ……げふんげふん。 「ふうん。普通の人みたいだな。 大丈夫なのかバゼット? 一般人の前でカウンターとか破壊しちゃったら絶対引かれるぞ?」 主に給料とかな。 「だっ、だから好きでしているわけではないと言ったじゃないですか! ……本当に、こういうところだけ似ているんですから……」 ああ、そうだそうだ、そっちの人のことも聞こうと思ってたんだ。 続けてバゼットをからかった人について尋ねようとした、が……。 「……士郎、そろそろいい加減に……」 ふと隣を見れば、腕組みしている水銀燈のジト目が。 マズイ、もう時間切れか。 「わかった、悪い、水銀燈。 ……バゼット。俺はもう行かなきゃならないから。 バゼットは……これから俺の家に?」 「あ、はい。そのつもりでしたが」 「じゃあ、悪いけど、家で待っててくれ。 用事が済み次第、俺もすぐに戻るから」 「わかりました。では、お邪魔させていただきます」 頷くバゼット。 それに軽く手を振って、背を向けて走り出……そうとして、いきなり踏み止まった。 「っと、そうだ、肝心なことを聞き忘れてた。 そのコペンハーゲンの新しい店員さん、名前はなんていうんだ?」 いかんいかん。 よりによって一番大切なところを忘れるところだった。 振り返った俺に、バゼットは相手の名前を告げた。 「白崎、と名乗っていましたが」 「白崎か……わかった、ありがとう」 白崎。 次にバイトに行く時は、その名前を覚えておこう。 そう心に決めてから、俺は再度、水銀燈を伴って走り出した。 走ることしばし。 俺と水銀燈は、眼前に遠坂邸を仰ぐ場所に立っていた。 「……ふう。着いたか」 「ここが真紅のハウスね……」 走り詰めで少し息を切らせる俺と、どこかで聞いたようなフレーズを呟く水銀燈。 そんな俺たちに――。 α:「……来たか小僧」不意に、屋根の上から声が降ってきた。 β:「あら、士郎」扉を開けて、中から私服の遠坂が出てきた。 γ:……おかしいな? だれも出てくる様子がないぞ。 投票結果 α 4 β 1 γ 5 決定