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麺料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 345 麺料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 174 雑炊 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 108 雑炊 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー 690 雑炊 丼 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー 13 鍋物 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 775 粥 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 52 煮込み料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 133 煮込み料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 138 煮込み料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー 686
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麺料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 345 野菜料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 27 煮込み料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 575 焼き物 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 85 パン 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 129 トースト 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 77 トースト 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 126 スープ 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 292 スープ 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 194 サラダ 調味料 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 795
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「明日は、女子高で練習試合。いやー、たまには癒されるのもいいもんだよなあ、ユージ」 「ま、まあ。そうですね」 「お、珍しく意見が合うじゃないか」 「まあ、ボクも一応男なんで。ただ、女子高じゃ僕らは出番ないですね」 「ウチの部の女子とは違う新鮮な女子高生。コアミルクみたいなかわいい子がいるかな~」 「アイドル級の人はさすがにいないんじゃ」 そんなバカな会話を繰り広げるコジローとユージ。 その後ろで約1名、いや2名の人物から殺気が放たれているのに 彼らは気づいていなかった。 「あれ、タマちゃんどうしたの、なんか怖いよ?」 キリノが、コジロー人形MK2に木刀で突きを繰り返しながらタマに話しかける。 「キリノ先輩こそ、冷静じゃないですね。どうしたんですか?」 タマが素振りをしながらキリノに応える。 その勢いで、ユージ執筆の「一球入魂」の掛け軸が屋外に吹き飛んだ。 「俺ら、もー、モテモテかもな~ユージ」 「何いってるんですか、先生。その先生にはキリノ部長がいるじゃないですか」 「いや~、別にキリノとは普通の教師と生徒だぜ?」 後ろで、音もなくコジローMK2人形が砕け散る。 「そういう、お前こそタマとはどうなんだよ」 「タマちゃんとは、別にそういう関係じゃないですよ。ねえタマちゃん」 ユージが後ろを振りかえってタマキに声をかける。 「うん」 タマキがそっけなく応えると、ふたたびユージはコジローのほうを向き直る。 「ほら。だいたい、俺の好みは年上のお姉さんなんで」 「お前好みのお姉さんがいるかもしれないぜ?」 風に吹かれて道場に戻ってきた「一球入魂」の掛け軸が 紙ごみと化して再び道場の外に飛んでいった。 「まあ、タマじゃお姉さんって感じはしないしな。いろいろ小さいし」 「先生。それはセクハラでは」 「タマちゃん、楽しみだね~。練習試合」 「はい。でもその前に、急にユージくんと練習がしたくなりました」 「うん、奇遇だね。あたしも先生と練習したくなってきたよ」 2匹の修羅がそこにいた。 「こ……こわいよー、ミヤミヤー、さとり~ん。道場に入れないよ~」 その様子を入口から見ていたサヤがオロオロとつぶやく。 「困りましたね……」 「あの2人、気づいてないぞ~」 「あ、あの。タ、タマちゃんが振っているもの竹刀なんですか? 木刀に見えるんですが」 「あの2人も、いい加減女泣かせな態度はやめるべきだろ~」 「う~ん。タマちゃんもキリノも、意外と自分に素直じゃないのよね……」 「え、先生と元部長って付き合ってないんですか?」 「誠。そーいうのは公然の秘密ってやつなのよ、きっと」 事情がまだ飲み込めていない新入部員たちが疑問を発する。 「あー……まあ、ね。いろいろ素直じゃないのよ。あの4人は」 サヤがつぶやいた。 「男、年上、経験者」 「タ、タマちゃん。ちょっと、落ち着いて!」 「あと、悪」 「グハアッ!!」 ユージがアトミックファイアーブレードを立て続けにくらって吹き飛んだ。 「お父さん、これは剣道じゃないです」 「剣道の練習だよ! タマちゃん!」 ユージが必死にタマをなだめる。 「せ、先生。何とかしてください!」 ユージが懇願するも、その視線の先では…… 「メェェェェェン!」 「いっててててててて、キリノ。まだ、面つけてないから、面!」 「あれえ? コジロー先生の人形と間違えちゃいましたよ~」 コジローがキリノにボコボコにされていた。 「ユ、ユージ……こいつら、いったいどうしたんだ?」 「さ、さあ……・」 え、わかってないのかいな。 サヤが心のなかで突っ込みを入れる。 しかし、怖い。今日の2人はミヤミヤのブラックが乗り移ったかのようだ。 「女の嫉妬は怖いな~、ミヤミヤ」 「あの2人が、あんなところで駄目な話してるのが悪いのよ、ダンくん」 「……誠。あんたも気をつけたほうがいいわよ」 「え? どうして忍ちゃん?」 「……」 「ちょっと、犠牲者増えるから、そこ、やめなさい」 サヤが新入生をなだめる。 「まあ、でも小説のネタになるし、おもしろいから携帯でとっとこ」 「あ、あたしもとります~」 「お、ユージがきりもみしながら吹っ飛んだぞ~」 「コジロー先生が、竹刀の束に落下しましたよ」 「あ、見てみてミヤミヤ! あのコジロー先生の顔トドみたい」 「あんな、情けない顔のユージも珍しいな~」 「た、たすけてくれぇ!」 ニブい男子2人の悲鳴があたりに響きわたった。
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飯の友 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 39 野菜料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 176 野菜料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 103 焼き物 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 86 焼き物 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 85 焼き物 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 53 炒め物 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 32 卵料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 129 丼 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 107 丼 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 140
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■修羅場? 2 とある集落の一角。酒造を営みとする男の家。 「……さて、掃除はこの程度でいいか。次は───」 「私に酒を注ぐ時間ね。一本と言わず十本ぐらいよろしく~」 箒を片付けて振り向けば、卓袱台にはいつもの姿。いつの間に来たんだ? と毎度思うが、毎度なので驚きもしなくなっていた。 「勘弁してくれ、萃香。お客に出す品が減る一方じゃないか」 俺も休憩の為に座り、卓袱台に片肘をつく。 「私が認めるぐらい質がいい証拠だよ、あんたの酒は。それに、お得意様 ならここにいるじゃない」 ありもしない胸を張って自己主張されても、苦笑にしか変換できない。 「代金払ってくれないお得意様は御免蒙りたい所なんだけど」 「だ~か~らっ、お礼は"私"でしてあげるって言ってるじゃん。手伝いだろうが 材料萃めだろうが、夜のお供だろうが、ね。夜に関しちゃどーせ経験ないんでしょ? 楽しいよぉ~?」 擦り寄ってきた萃香に背中から抱きつかれ、首筋を生暖かい息がくすぐる。 ナイ胸とはいえ、こうもぐりぐりと押し付けられると…… 「なっ……何してるんですか萃香さん!!」 障子が開けて広々と見える庭から、鬼娘を怒鳴る声。 「ん~? なによ鴉、い・い・こ・と、してるに決まって───」 「してないしてない」 さすがに頭に血が昇りそうになったので萃香をどけ、庭から来た客人を迎えいれる。 「ようこそ、文さん」 「さんはいいですよ、文で結構です。本日はよろしくお願いします」 深々と頭を下げる文を、何が気に入らないのか不機嫌な表情のまま文を睨め付ける萃香。 普段はケラケラとおどけたり笑ったりしてる彼女だが……珍しい事だ。 「今日は"取材"ってやつを受ける予定だったんだ。ウチの酒をね」 「酒の、しゅざい?」 「コホンッ……はい、そうです。最近幻想郷で人気の高まっている芋焼酎『夢みる力』と 造り手のお兄さんを我が文々。新聞で特集するのですよ」 「……おにいさん? 随分親しい呼び方だね~」 眉間の皺が更に深くなり、声色も太くなる。何がそんなに気に入らないんだろう。 「はい、以前の事なんですが。この付近でちょっとした事件があって、お兄さんがその 目撃者で情報をたくさん貰いまして、それから仲良くさせて貰ってるんです。そのツテでは あるのですが、お兄さんのお酒も……って、またですかっ」 文の言葉なんか聴いちゃいない。さっき離れたと思えば、いつの間にやら正面から抱き つかれていた。 「ね~、こんな鴉の小娘におにぃ~さぁ~ん、なんて言われて嬉しいワケ?」 「こ、こむすめって……」 萃香の語気が強い。悪い事したのか俺は…… 「いや、まぁ、そうだな。嬉しいっていうか……悪い気はしないよ」 「へぇ~、そうなんだ」 「と、とにかくです! 今日はお兄さんに用事があるので、萃香さんはお引取り下さいっ」 文が俺と萃香の間に割って入り、引き離される。 「それでですね、お兄さん。少し遠い場所なんですが、綺麗な湖畔がありましてね」 説明に入るなり俺の側面に回り、右腕にしがみついてくる。わざとか天然か、柔らかい 双丘の感触が二の腕を挟み、どうにも意識してしまう。 「二人でゆっくり歩きながら、お話聞かせてもらえませんか? ほら、ここだと五月蝿いし」 明らかな挑発の意……文と萃香の視線がぶつかっているのが嫌でもわかる。 うーむ……空気が重い。なんで仲良くできんのか、この子達は。 「まぁまぁ、どこで話しようと問題ないから。萃香、すまないけど───」 「はぁ……わかった、待ってるよ」 俺が苦笑して謝ると、ため息をつきながら萃香も苦笑で返してくる。 「たーだーし、代わりに晩酌に付き合ってよね、"兄さん"?」 「は?」 三度目? また刹那の時がそれより短いか。目の前には萃香の笑顔。 身体は密着し、少し冷たくて、それでも気が緩む気持ちよさがある細い両腕が首元を 優しく覆い…… 上唇だけが軽く触れた。かすかな酒の香りが鼻腔を伝う。 「ちょ……えぇ!?」 文の驚く声で我に返る。ただ、状況が状況だけに声を失う。 全身を凍らせる俺を笑う萃香は既に庭の外にいた。 「それじゃ、また後でね兄さん。霊夢のとこにでも行って暇つぶし───」 「待ってください! いきなりあんな、き、キキキ、キスなんてぇ! それに"兄さん"て なんなんですかぁぁぁぁっ」 「ん? だって、悪い気しないんでしょ? ならいいじゃん」 と背中で文の怒りをいなして、そのまま空へと飛び立ってしまった。 なんつー破天荒な……しかし、さっきのって、キス、だよな……なんか、妙な気分だ。 「お兄さん? お兄さんっ」 「あっとと、すまない」 「もぉ~、今萃香さんのこと考えてましたね?」 「いや、まぁ……毎度ながら騒がしい奴だなってね。えっと……湖畔に行って取材だっけ? 今日はお店休みにしたから」 「え? そうなんですか!? じ、じゃあ、えええっと、他にも色々と景色のいいスポットが あるんですよ。息抜きにもなりますし、どうでしょうか!」 瞳を輝かせて迫ってくる文。その勢いに気圧されそうな感じだけど、断るような話でもない。 むしろ、ありがたい話じゃないか。 「わかった、ありがたく教えて貰うよ。」 「はい、お任せ下さい」 快活な笑顔で頷き、小さな声で『がんばるぞ~、負けないぞ~』と気合いを入れている。 こちらもできるだけ取材に協力しないといけないな。天狗達の競争ってのもあるみたいだし、 負けたくないのも肯ける。 「よし、行こうか。せっかくだし、ウチの酒もどうだい?」 「はいっ」 歩き回るには最適な陽気だ。こりゃ、外で呑む酒もひとしおってやつだな─── ○口出しシステムで割込みできます。 A:萃香の晩酌があるんだから、早めに取材切り上げて家に戻れよ B:文の取材といいつつ、このままデートってのも悪くないんじゃないか? C:文と一緒に博麗神社に酒もって行って、巫女に恩でも売っとけ (システムを使用する場合は[たけしの挑戦状]のパスワード爺様に殴り勝って下さい) この程度の技術ですが……( ´ω`) 4スレ目 85-86 ─────────────────────────────────────────────────────────── 咲夜2 233からの続き ----------------------------------------------------------------------------------------------- ――数分後。 さて、俺が咲夜から貰ったプレゼントに舌鼓を打っていると……。 「ねえ、おつまみ持ってきたんだけど、ちょっと台所借りていいかしら」 「どうぞ。場所はわかる……ってもうかよ」 早い。早すぎ。 俺が言い終わる前には皿に切り分けられたチーズが乗っていた。 「時間が勿体無いでしょ?」 「まあ、ね。ただ、俺に待つ楽しみは無かったわけだが」 「それはまた今度のお楽しみという事で」 「期待してる」 軽く笑い合う。 ――ここまでは良かったんだ。そう、ここまでは。 「○○さーん! 今日はドアを破らずに参上ですよー! ……って、なに、してるんですか」 いきなり玄関から疾走しながら文が来訪。しっかり床にブレーキ痕を残して。しかし俺と咲夜を見た瞬間無表情に。そしてさらに……。 「あら、今日は珍しく貴方の家ににしては騒がし い の ね……」 窓からえーりんさん登場。前回はトイレから。その前は天井から。いつも思うが、貴女はマトモに出てこれんのですか。スキマ妖怪じゃあるまいし。そしてやっぱり俺たちを見た瞬間に無表情にチェンジ。 「「「…………」」」 いきなり張り詰めていく空気。これって修羅場モード? 微妙に男として嬉しいが、動けない……! この状態で動いたら、俺は間違いなく殺される……! 「残念だけど、○○はもう私と飲んでるから。どうぞ安心してお帰りになってください」 「そんな値段ばっかり高いジュースみたいなお酒じゃ○○さんは満足しません! ここは私が持ってきた天狗に伝わる大吟醸を!」 「可哀想に。二人とも舌が馬鹿になってるのね。治療ついでになんならその煩い舌、引っこ抜いてあげてもいいけど?」 「「「…………」」」 「コッチの言う事が理解できないみたいだから率直に言うわ。年齢不詳の人外はさっさと消えなさい。お呼びじゃないのよ」 「知らないんですか? 最近の世論の傾向は外見重視なんですよ。ああ、私や○○さんと違って半分ほど無職やってるお二方には関係ないお話でしたね」 「最近の若い子は短気で駄目ね。それとも知恵遅れかしら? ここまで酷いと薬どころか死んでも治らないでしょうけど。あら御免なさい。つい本音が」 「「「…………(ギリィッ)」」」 幕○内ばりに即ボディーにクる皮肉の応酬の後は痛いまでの静寂。 あ、あれ? 俺、いつ死亡フラグ立てたっけ? 「……このままだと埒が明かないわね。二人とも、表に出なさい。ここだと○○に迷惑がかかるわ」 そう静かに、しかし鋭い殺気を叩きつける咲夜は、何時の間にかメイド服を着ていた。 そしてバスケットの中にはさっきまで着ていた服が。さっきまでメイド服もこの中に入れていたのだろう。流石は瀟洒なメイド。 しかし、いつもの彼女ならこの面子での勝負、少々分が悪いだろうが、なんか後ろにやたらゴッツイ背後霊みたいなのが見える。 「ええ、こちらこそ望む所です。身の程知らずな人間のメイドと頭のネジが全部トンだ宇宙人に、本当の天狗の力というものを見せてあげます」 ふんっ、と鼻で笑う文。結構長い間生きてるだろうに、今の彼女は外見相応って感じだ。セリフは真っ黒だが。 因みに、いつも彼女の肩に留まってる烏は当の昔に逃げ出した。 今頃は根性で大結界を越え、夏の海の町で本当の自分を取り戻している事だろう。頑張れ。超頑張れ国崎住人(仮名)。 「あらあら。無知もここまでくると可愛いものね。でも……躾のなってない狗と烏には少し教育が必要かしら?」 頬に手を当て、たおやかに微笑むえーりんさん。その笑顔が今は怖い。なんか目だけ笑ってないし。二人に挑発交じりの殺気をビンッビンに飛ばしてます。これが永遠亭のドンのカリスマ……! でも一瞬だけそんな彼女にゾクゾクしてなじられたい、とか思ったのは俺だけの秘密だ。人として色々大切なものを失いかねん。 (死人が出ませんように……。いや、えーりんさんは蓬莱人だから死なないけど) ――キィィィィィン!! 瞬間、圧倒的な霊力が大気を圧迫し、空を、大地を切り裂く弾幕音がここまで聞こえてくる。 つまり、始まるのは毎度おなじみ弾幕ごっこ。……これで“ごっこ”? いやいや妖夢。俺的にそれはない。 そして(俺的)神々の黄昏が始まって数分後。 ――ガラッ。 また誰か来た。今度は玄関の反対側に位置する窓から。 「お、お邪魔しまーす」 これもまた見知った顔の一人、ミスティアだった。 実の所、俺は彼女の店の常連だったりする。 「どうした? やっぱミスティアも新聞読んだのか?」 「うん。それに少ない常連さんだから……」 そう言って八つ目鰻をくれた。かなり美味そうだ。 「悪いね。しかし何ゆえ窓から」 「最初は玄関から入ろうとしたんだけど、なんか凄い事になってて……」 そこまで言ってじわり、と涙を浮かべる。 ……ああ。あの中に突っ込めば妖怪でも下手すりゃ死ねるわな。 だが俺にあれを止める勇気は無い。命は惜しいのだ。 今もなお聞こえてくる怒号と弾幕音をどこか遠くで聞きながら、涙目で震えるミスティアの頭をクシャっと撫でる。深い理由は無い。なんとなくだ。乾いた心に潤いが欲しかったのは否定しない。 「じゃ、今後ともご贔屓にー♪ お誕生日おめでとー♪」 それで気を良くしたのか恐怖を忘れたのかは知らないが、ミスティアははにかみながら歌うように窓から去っていった。可愛い奴だ。 ――これで終わり。覚悟はいいかしら! ――それはこっちの台詞です! ――オーラスね。……悪いけど少し本気を出すわ! 「…………」 ――幻世「ザ・ワールド」! WRYYYY! 無駄無駄(以下略)ァ! ――疾風「風神少女」! 全ては我が戯言也! ――天呪「アポロ13」! ……私の後ろに立つな! 聞こえない。聞こえるけど今迄で一番大きい力の奔流と爆音なんて聞こえない。聞きたくない。 つーか何でこんな所でそんな高レベルスペカぶっ放すかね。家が吹っ飛んだらどうしてくれる。 この年で家無き子とかマジ勘弁。恥ずかしすぎ。 執行を待つ犯罪者のような心情でひたすら祈る。 ――しーん。 物音が聞こえなくなった。 どうやら終わったらしい。さっきのが最後の一撃か。 ――シーン。 「……?」 音が無い。誰も入ってこない。 恐る恐る外に出てみる。 「……地獄?」 簡単に言ってそんな感じ。 大地は抉られ、木々は根こそぎ持っていかれて、ナイフがそこら中に刺さり、何かよくわからない薬品で溶かされた後がある。 当然周囲に生き物の気配は無い。でも俺の家は無傷。シュールな光景だなオイ。 で、お三方は……。 ――死ーん(×3)。 「……トリプルKO。死屍累々ってか」 現実逃避気味に呟く。が、そうも言ってられない。現実は過酷なのだ。 先の選択を後悔しようにも時間は決して巻き戻る事はなく、ただ愚直に進み続けるのみ。 故に今を生きる俺に決して停滞は許されない。撤退は死を意味する。無力な俺に幸在れ。 ……さて、どうでもいい事を考えるのも止めにして、そろそろマジで現実を直視しよう。本当にどうする? ――コマンド? ――① 当然三人とも家まで送ってあげる。 ――② ここで叩き起こす。 ――③ …………紳士らしくお持ち帰り。 ①はちょっと無理。一番近い紅魔館も徒歩だと小一時間はかかる。永遠亭は当然それ以上。文の家は知らん。仕事道具はこの暗さと周囲の惨状では使えない。却下。 ②は起こす際に俺が死ぬ可能性があるので激しく却下。つーか完全に伸びてて、揺すっても叩いても起きそうにない。皆ハッスルしすぎ。 ③は……どうやら精神的に疲れた今の俺の頭はかなり膿んでいるらしい。寧ろ腐りきってる。が、現実的にこれが一番楽な選択肢だろう。はい決定。 「つまり、三人とも俺の家に泊まるのか……。今日は野宿だな。俺の家狭いし」 何が悲しくて自分の家のまん前で野宿なぞせにゃならんのだ。 ここは俺の家だぞ。しかも忘れていたとはいえ、誕生日。 しかしこの天国のような地獄の環境で俺の理性が保つとも思えない。溜息をつきながら天を仰ぐ。 (m9(^Д^)プギャー!! 男一人で寂しく野宿テラワロスwwヘタレ乙wwwwうぇうぇww) ――星が、月が、俺を嗤っていた。ジーザス。海苔巻さん家のアラレちゃんに砕かれろ。 ……ネタが浮かんだら続くかも。 4スレ目 239-240 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ねぇ~こないだの宴会で一緒に飲もうって約束したでしょ~?ね~」 「違うわよ!あたいが先に弾幕ごっこで勝負するって約束したのよ!」 「遊んでくれるって約束したよね?ね。 何 と か 言 い な さ い」 まずいことになった。先日神社の近くをフラフラ歩いてたら唐突に宴会に引き込まれたのだが、 ついつい勢いで飲みすぎて約束を全く同時にトリプルブッキングさせてしまったらしい。 ここは一つ上手いこと受け流して一人ずつ対処しようとも思ったのだが我の強い三人。 歩く百鬼夜行こと 伊吹 萃香 幻想郷の愛されし⑨ チルノ 生きる核弾頭 フランドール ・・・うん。まずい。チルノならなんとか口先三寸でなんとかできるが萃香は酒が入ると 理屈なんぞ蹂躙してナンボになるし、フランに至っては口答えした時点で死亡フラグが 成立する。さてどうしたものか・・・ 「え・・・と、な。せっかくまたこう大人数で集まれたしここは一つみんなd」 眼前で手首まで地面にめり込んだ萃香の拳。 髪を焦がしているレーヴァテイン。 場の展開の速さについていけないチルノ。 「「なんか言った?」」 「いえ・・・」 まずい。まずいの三乗だ。この二人目がすわっちゃってるよ。 どうにか・・・どうにか平和的かつ死亡フラグの立たない解決法を・・・ 「ねぇ二人とも○○が困ってるじゃない。せっかく遊んでもらうんだかられーぎを わきまえないと駄目よ!」 おぉ!いいぞチルノ!まさかこの面子でそんな常識的な言葉を聞けるとは!もう⑨ なんて言わないよ! 「誰が○○と遊ぶか弾幕ごっこで決めましょ!あたいってば天才ね!」 前言撤回。この馬鹿自分で地雷を起爆させやがった。⑨にも程がある。 次の瞬間フランがレーヴァテインを萃香に向かって振り下ろし、萃香は手に集めた超高密度の 鬼火で受け止めた。二つの超高温の力が熱波を生み チルノが蒸発した。 「チ、チルノーーーーーー!!」 「「そんなの放っときなさい!」」 「お、お前ら鬼だ!悪魔だ!人間じゃねぇ!」 「鬼よ!」 「悪魔よ!」 「「人間じゃないわ!」」 さてどうしよう。このままいくとここら一帯焦土になりかねん。どちらか片一方にブッ飛ばされる覚悟で A・萃香と飲ま飲まイェイ B・フランちゃんとウフフ C・チルノを復元すべく頑張ってみる D・パチェ萌え 4スレ目 296 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「・・・というわけなんだ。なんとか頼めないか魔理沙。」 場所は魔法の森霧雨亭。妖怪退治の依頼中である。 「ん~まぁお前の頼みと来れば・・・そう無下に断るわけにもいかないぜ」 「すまん。助かる。この礼はいつか必ず。」 「いつかなんて言わずに明日にでも蒐集に付き合ってもらうぜ」 「・・・ハイ」 魔理沙の蒐集と来ると半ば強奪まがいのことにもなりかねないので正直 気が進まない。しかし今は村の危機なのだ。個人的感情で皆を巻き添えには出来ない。 「ちょっと・・・その蒐集ってどこに行くつもりよ?」 玄関から声をかけてきたのは動かない大図書館ことパチュリー・ノーリッジ。 何度か宴会でも顔を突き合わせているし、何度か蒐集という名の強奪の被害者 になっていただいたこともある。話していてもすぐに真っ赤になって俯いてしまうく らいに病弱のようでなんとも不憫なことである。 「人の家に勝手に入るのはよくないぜ。」 「無理やり入るのもよくないわ。っていうか誤魔化さない。」 「お察しの通り真っ赤な館の大図書館までな」 「そうは行かないわ・・・そこのあなた。今回の妖怪退治は私が請け負うわ。 その代わり報酬として魔理沙から魔道書の奪還を手伝ってもらう。いいわね?」 「ぞっとしない話だぜ。・・・で、どっちに頼むんだ?」 「え、と・・・。先に頼んだのは魔理沙だけど心情的にはパチュリーにというか・・・」 「煮え切らないわね。」 「煮え切らないぜ。よし。こうしよう。今から全員で村まで下りる。そこで妖怪を待って 仕留めたほうがこいつを一日自由にできる。」 「乗ったわ。」 ・・・成功報酬が悪化してる。ともあれこうして三人で村まで行くことになったのである。 「で、あれが村の存亡を脅かす妖怪ってわけか?」 「アレ・・・うちの館の前の湖にいる氷精よね?」 「そうだけど・・・」 今の季節は農作物の収穫時だし、稲の成長期である。そんな時期に氷を降らされたり 気温を急激に下げられたりしたら最早死活問題である。氷精にしてみれば遊んでいる つもりかもしれない。現に何やら妙に楽しそうである。 「まぁ普通の人間には荷が重いわね。」 「普通の魔法使いには丁度いい相手だぜ。」 「先手!」 「必勝!」 二人の手に急速に魔力が集まり高まっていくのが素人目にもわかる。やはりこの二人 普通じゃない。 「ロイヤルフレア!」 「マスターァァァァァ!スパァァァァァァァクゥ!」 目をくらまさんばかりの閃光が巻き起こり、気付くと氷精は消えていた。 「さて。」 「どっちの勝ちかしら?」 じっとこちらを見る二人。見えてるわけねぇだろあんな光の中。 「ごめん。さっぱり見えなかった。」 「やっぱりか・・・まぁいきなりあんな大技出したし仕方ないといえば仕方ないぜ」 「じゃあどうするの?」 「ま、ノーゲームが妥当だろ。ロイヤルフレアなんか撃ったんだから体調も良くないだろ? そんな中蒐集に行くのも気が引けるしな。」 「まさかお前からそんな台詞が聞けるとはな・・・愛してるぜ魔理沙」 「お前・・・その台詞アリスにも吐いたろ?」 「いいだろ?挨拶みたいなもんだ。」 くいくいと服の裾を引っ張られる。振り向くとパチュリーがこちらを・・・睨んでる? 「どうしたパチュリー。自分の顔なんか指差して」 「ん」 「・・・別に何も付いてないよ?」 「ん!」 「顔色も悪くないし・・・っていうかいつもよりいいくらい」 ごきり。と足を踏まれた。それもかなり思い切り。 「あたしもう帰るわ!さよなら!」 「???」 突然に怒り出したパチュリーとは対照的に魔理沙は妙にいい顔である。・・・よくわからん。 途中で休憩にネコソギラジカル読んだのがいけなかった。 展開の薄っぺらさをどうにかしたいな。 4スレ目 448-449 ─────────────────────────────────────────────────────────── 姉さん大変ですぼくの家では今とんでもない修羅場に見舞われています それはもう地獄の閻魔も裸足で魔界のアホ毛の元へと身投げせんばかりの殺気殺気殺気で ぼくだって逃げ出したいけどこの二人の女の子が一心不乱に紅魔館のキッチンでチャーハンを 炒めに炒めているのを逃げるなんてそれはさすがに逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ 「いくら門番だからって、チャーハンの腕でなら私に勝てると思って?」 「負けないわよ。恋もチャーハンも!」 それにしても炒めてる量が半端ではありません茶碗にしてそれは13杯は堅いでしょう いためてしまうのは米でなくそれはおそらくぼくの胃でしょう 「あ、あの…俺もうお腹一杯」 「「なんか言った?」」 「い、いえ…」 ねえさんぼくは大変です胃とか貞操とか財布の中身とか たった今匂いを嗅ぎつけた博麗の巫女とかルーミアとか@がもの凄い勢いでこちらに向かっています かゆ うま 「さぁ!」 「どっちが!」 「「美味しいの!?」」 頼んでない頼んでないよぼくそんな修羅場たのんでないよ 喉から出そうなその悲鳴をぐっと堪え目の前の二つの山脈を睨みつけますが涙で見えません これは嬉し涙と愛しさと切なさと糸井重里くじけそうな心をぐっと慰めあらためて涙を拭くと そこには「ダバダー」でおなじみのアルピニスト・野口健すらも泣いて許しを請うほどの超高層チャーハン 明らかにもう喫茶マウンテンのメニューなんて敵じゃない二人の熱意にぼくはもう声も出ません 「人形使いごとき、チャーハンでは私の腕に敵うわけないですよ? アンタもそう思うわね?」 「あんたの作ったチャーハンを食べるくらいなら、バーミヤンの冷凍チャーハンでも食べたほうがマシよ!」 「ムカッ……、言ったわね!?ほらアンタ!早く完食して甲乙つけて頂戴!」 「さっさと食べなさい!さあ!さあ!!さあ!!!」 ずいずいと顔を寄せてくる二人の怒り顔もまた可愛くて僕はおもわず…… その頬に一度ずつフレンチに口付けをするのですがそれが大きな間違いだったことにたすけてえーりん! 「なななな! なにすんのよぉおおお!」 「ちょ!?い……キヤァァァーーー!!」 頬を染めているのは照れか怒りかもうぼくにはわからないけどおっきしたちんちんが裁かれた 4スレ目 518 521 ─────────────────────────────────────────────────────────── 幽々子の恋心の真偽クエストフラグ その1 眠りというのは生物にとって重要な行為であり快楽さえ伴うものである。 故に寝ることを趣味とするものも少なくない、俺がその例である。 他にもスキマの埃くせぇ女とかもかなり寝まくってる。 だからだろうか、あの女とは初対面からかなり気が合った。 ともかく、布団の中で意識を落とすというのは俺にとって唯一の趣味なのである。 そんな幸福なる惰眠を貪りつくす予定であった俺は、いつも通り危機に直面している。 「ん……くー……んぅ……」 いつの間にか幽々子が布団の中に入って寝ています。 ここで問題なのは涎をだらしなく垂らしていることではありません。 えぇ、もちろん複数形で揺れる何かが無地の薄い浴衣から自己主張激しくこんにちはしていることであって。 あぁ、見えそうで見えねぇ。だがそれがいいってけーねとかが言ってた、たぶん。 もちろんコレを目にして寝付けるわけもなく。俺は貴重な惰眠の時間を失ってしまうわけです。 これで寝れるなんていう奴はいるわけがありません。見つけた瞬間に俺が殺しますから。 ともかく重要なのは抱き枕にされているとか寝言で俺の名前呼んでて可愛いなって所ではなく。 とても絶妙なタイミングで遭遇する愛しき妖夢なのである。 「……こ、来ない……な?」 「くー……すー……」 いつもならお約束のように飛び込んでくる彼女が今日は来ない。 俺はとりあえず息をつくとゆっくりと身を起した。 あぁ妖夢、俺が早くも言い訳と事後の機嫌を悪くしたお前への対応をシュミレートしたというのに。 いや、来ないなら来ないで凄く助かるけどね。 「……さて、どうしたものか」 このまま放置して別の部屋で寝てもいいのだが幽々子の手がしっかりと腕を掴んでらっしゃるので不可。 しかし、無防備に眠る姿を見ると寝るのが好きな俺にはどうも起すのが躊躇われた。 当然、俺が取る行動に選択肢は無いのだった。 掴まれていない方の手で幽々子の綺麗な髪を撫でる。 幽々子は眠りながら、ほんの少しだけ嬉しそうに寝息をたてている。 その無防備な寝姿は普段の優しい微笑みにも、時折見せる聡明さにも負けぬ程に魅力を感じさせた。 俺は知らぬうちに微笑みながら、落書きでもしてやろうかと子供のようなことを考えていた。 それも、何だか気分が良いので勘弁してやる。 俺はもう一度布団に転がると幽々子の隣で眠りへと落ちていく。 堕ちる意識の端で、唇に柔らかな感触が当ったような気がした。 ◇ 「……仲が、好いのですね」 低く唸るような、死を感じさせる声が目覚ましだった。 嫌に冴えた目で捉えるのは俺の愛しい妖夢さん。 あぁ、何故そんなに手入れの行き届いた刃物を抜身で持ってらっしゃるのさ。 何故そんなに素敵な風切音を鳴り響かせてらっしゃるのさ。 そして幽々子よ、あんたは何で着物の意味が無いほどに寝乱れてながらも俺を掴んでいるのさ。 あぁ、ごめんなさい、違うんです、俺は悪くないんです、きっとあれだアホ毛の神様が悪いんだよ全部。 「……貴方が私に云った“好き”とは、どうも私が捉えていた意味とは違うものだったのですね」 妖夢は呟きながら、俯く。表情は俺からは見えない。 ただ殺傷力の高そうな刃物を達人を感じさせる構えでこちらに向けている。 「ちが……誤解……だびゅっ!」 あぁ、なんて素敵な……ニチジョウ。 通信が途絶えました。再接続のパスワードを入力してください。 【ヒント:パスワードは幽々子の今日の下着の色】 5スレ目 86 ─────────────────────────────────────────────────────────── 酒樽、酒樽、さかだる。 己の視覚に伝わってくる情報は、一面の酒樽。薄暗い大部屋は樽ばかり。よほどの物好 きでなければ、ただの殺風景な場所。 中身といえば、古き伝統を守って造り続けた透明の宝。心と身体に夢と悦を与えたもう 良質の酒。自分で言うのも変な話だけど、自身と自負の為。 「今日の仕込みはこの程度かな。次は、と」 「私に酒を注ぐ時間」 部屋に響く少女の声。辺りを見渡しても、酒樽。九十九神でも宿ったのかと思いたい所 だけど、生憎とコレの持ち主を知ってしまっている。 「どこだ、萃香。入る時は挨拶しろって毎回言ってるだろうに」 呼びかけると、視界に上下逆の童顔。天井の木材に足をひっかけ、器用に身体を揺らし て遊んでいる。 「かたい事言わないでよ、毎回なんだから」 「なら、そろそろ覚えてもらいたいよ。……でだ」 ぶら下がりで身体が逆なら受ける重力も逆。上着がめくれて白い帯が堂々と存在を主張 している。残念ながらその先にある物は主張以前の話。 「胸のサラシが見えてるぞ」 「みせてるの」 「あのなぁ……大概にしてくれ」 額を抱えて嘆息する俺をケラケラと悪意なく笑い、地に降りてすぐさま蔵を出て行く萃 香。そのまま廊下を直進すれば居間があり、いつも彼女はそこで勝手に寛ぎはじめる。 案の定、蔵を閉めて戻ると、卓袱台のそばで寝転がっていた。毎度のこと。 「ねね、仕事は終わりでしょ? 一杯いこうよ。あ、十本でも百本でもいいよ!」 「勘弁」 俺も休憩の為に座り、卓袱台に片肘をつく。ただ、表情は休まらない。 「少しぐらいなら味見って事で問題ないさ、酒に詳しい鬼に味見してもらって意見貰える のは非常にありがたい。ただ、呑まれ続けたら客に出す品が減る一方だ」 「うんうん、私が認めるぐらい良くなったよ、あんたの酒は。それに、お得意様ならここ にいるじゃない。ほらほら」 ありもしない胸を張られても、苦笑にしか変換できない。 「金を支払ってくれないお得意様は、ご遠慮願いたいのですが?」 「だ~か~らっ、お礼は"私"でするって言ってるじゃん。手伝いだろうが材料萃めだろう が、夜のお供だろうが、ね。どーせ夜に関しちゃ経験ないでしょ? 楽しいよぉ~?」 擦り寄ってきた萃香が勢い良くおぶさってくる。首筋の生暖かい息がくすぐったい。 豊かさが無い故に伝わってくる"ふたつ"の感触が、精神に支障をきたしそうで…… 「なぁにしてるんですか、萃香さんっ」 開かれている障子が広々と見える庭から、萃香を咎める大きな響き。鬼娘を睨め付ける 少女の語気は冷静を装っているが、強い。 「ん~? なによ鴉、い・い・こ・と、してるに決まって──」 「してないしてない」 頭に血が昇りきってしまいそうなので萃香から離れ、庭から来た客人を迎えいれる。 「ようこそ、文さん」 「さんはいいですよ、文で結構です。それでは、本日はよろしくお願いします!」 深々と頭を下げる文。途端、何が気に入らないのか萃香の表情が曇る。普段は、どんな 時であれニヤけているか笑っているかのどちらかなので、珍しい事だ。 「萃香には伝えて無かったっけ。今日は"しゅざい"というのを受けるって約束だったんだ よ。新聞にウチの酒を載せてくれるんだってさ」 「取材? 鴉の出鱈目新聞に?」 「むっ、出鱈目は余計です。説明しますと……最近人里の方々や妖怪の間でも非常に人気 を得ている芋焼酎『夢語り』と造り手のお兄さんを我が文々。新聞で特集するのです」 簡単な説明をしてくれた文の言葉に反応したのか、萃香の眼光が鋭くなった。ここまで 機嫌の悪い萃香は初めてだ、空気が重い。 「……お・に・い・さ・ん。だって? 随分と親しい呼び方ね」 眉間の皺が更に深くなり、音は低く太くなる。 「はい、以前ちょっとした事で知り合いまして。それから仲良くさせて貰ってまして、そ のツテではあるのですが、お兄さんのお酒の人気が……って!」 文が息を詰まらせたかのように、口が止まる。同時に俺の身体も即席の石像と化した。 一寸先は顔。 宙に浮いた萃香の顔面が目の前にある。少しでも動けば……違う。既に鼻の先端同士は 触れている。 「ねぇ、こんな鴉の小娘におにぃ~さぁ~ん、なんて言われて嬉しいワケ?」 「こ、こむすめって……」 萃香のジト目が妙な恐怖を与えてくる。明らかに怒っている。萃香の気分を損ねる事 をしたなら素直に謝るが、思い当たる節がない。 「う、嬉しいっていうか……悪い気はしないよ。その前に、顔が近すぎる」 「近寄ってるんだから当然じゃない。ふぅん、悪い気はしないかぁ~」 この距離でまじまじと凝視されると落ち着かない。相手はヒトでなくとも女の子なんだ。 これが男でも、別の意味で落ち着かないが……考えたくもない。 「と、とにかく離れて下さい! 今日はお兄さんにいろいろと用事があるので、萃香さんは お引取り下さいっ」 文の怒っているだろう気迫は居間中に伝わるが、萃香で視界が満たされていて文の表情 を窺い知る事ができない。 「とりあえず、萃香。悪いが今日は先約ありだ」 「……どのぐらいかかるの?」 ふと、今までの物々しから一変、普段に近いそれに戻った。気がする。 「そんなにかからないと思うけど」 「そう。なら、いいかな」 萃香の笑顔。 「ただしっ、代わりに晩酌に付き合ってよね、"兄さん"?」 「は?」 身体が密着し、少し冷たくて、それでも気が緩む気持ちよさがある細い両腕が首元を優 しく覆う。 上唇だけが触れた。かすかな酒の香りが鼻腔を伝う。 なんだろう。気分が、白い。 「ちょ……えぇ!?」 文の驚く声で我に返る。ただ、状況が状況だけに二の句が告げない。 全身を凍らせる俺を笑う萃香は近場の襖を抜けて既に家の外にいた。 「それじゃ、また後でね兄さん。霊夢のとこ行くから、お酒よろしく~」 「待ってください! いきなりあんな、き、キキキ、キスなんてぇ! それに"兄さん"て なんなんですかぁぁぁぁっ」 「ん? だって、悪い気しないんでしょ? ならいいじゃん」 と踵を返さずに文の怒りをいなし、そのまま空へと飛び立ってしまった。 なんという破天荒な……しかし、やはりあれは、キス……キスって確か、接吻…… 「お兄さん? お兄さんっ」 「あっとと、すまない」 「もぉ~、今萃香さんのこと考えてましたね?」 文が膨れている。正直に不謹慎な思考だったと反省。 「いや、まぁ……毎度ながら騒がしい奴だなってね。えっと……取材はどうしようか。今 日は店休みにしてあるし、余裕はあるよ」 「え? そうなんですか!? じ、じゃあ、えええっと、この周囲でも景色のいいスポット が結構あるんですよ。二人でゆっくり歩きながら、お話聞かせてもらえませんか? 息抜 きにもなりますし、どうでしょうか」 瞳を輝かせて迫ってくる文。その勢いに気圧されそうな感じだけど、断る話でもない。 むしろ、ありがたい話じゃないか。 「わかった、お願いするよ」 「はい、お任せ下さい」 快活な笑顔で頷き、右腕にしがみついてくる。柔らかい双丘が二の腕を挟み、否応もな く意識させられてしまう。 「あの、文。ちょっと」 「ささ、行きましょうお兄さん!」 聞いてない。これは、腕放せって言っても駄目かもしれない。 今日は萃香といい文といい、人の調子を狂わせてくれる。精神的によくない。 ◆◆◆ 「──ということで、芋はこの品種を使ってる。造り方の詳細は、企業秘密かな」 「えーっ、そこが独占取材の醍醐味なんですけど……まぁ、仕方ないですね」 酒造方法まで新聞に載ってしまうと商売にならないから、苦笑交じりにコメントは 控えさせてもらった。文も笑って諦めてくれた辺り、理解してくれている。 「さてと、到着だ。悪いね、俺の我侭聞いてくれて」 長く長く続く階段を昇りきった所で立ち止まり、文に礼を言う。一通りの取材の後、 色々とお勧めの絶景スポットを紹介してもらう予定だったが、位置的に近かった事もあっ て博麗神社に直行したのだ。やはり、酒は大勢で囲むモノだし、もうすぐ日が暮れる。時 刻も丁度ころあいじゃなかろうか。 先程の、萃香と文の険悪に思えた雰囲気の建前、少々心配ではあるのだけど。。 「もう、謝らないで下さいお兄さん。さっきの事心配してるみたいですけど、あんなの普 段の会話と変わりありませんし、天狗も鬼もあれで怒るような器じゃないですよ」 疑うべき事柄は全く無いぞ、とにこやかにウィンクを見せてくれる。案じていた事が晴 れたか、自分も気分が和らいだ。文の笑顔を見たのも、和らぐ要員の一つだろう。 「わかった、ありがとう」 「あ、でも……我侭を聞いてあげたわけですし、貸しが一つ、ですよ。今度は私の我侭も 聞いて下さいね」 「俺にできる事なら」 文と手を繋ぎ、神社の奥へと向かう。一緒に歩く文は随分と嬉しそうだ。 地も天も鬼灯色に染まる先、神社の奥に明かりが見える。卓袱台と片手で数える程度の 家具があるだけの質素な和室。敷き詰められた畳の良き匂いを纏っているだろう空間に二 つの、憩いを楽しむ人の形。 「おーい、久方ぶり。萃香、ちゃんと酒持って来たぞー」 挨拶をすると、萃香と茶を啜っていたもう一人が顔をこちらに向ける。巫女の少女は目 を丸くし、パタパタとこちらに駆け寄ってきた。 「珍しいわねぇ、あんたが来るなんて。私、あんたのトコのお酒好きなんだよねぇ~」 結構な勢いで来るもんだから体当たりでもしてくるのかと思いきや、酒だけかすめ取ら れ、「あっ」と無意識の言葉が出た時には、霊夢は部屋で瓶を開ける準備をしていた。 俺達が立つ位置と部屋の距離は、少なくとも三間は離れているのだが…… 「……どう考えても今の速度に納得がいかないんですが」 「知らぬが仏、ということにしとこう」 呆然と霊夢の笑顔を見つめる文の肩を軽く叩く。同じく俺も、鏡を見たら相当苦い顔を しているかもしれない。そのまま頭の上で閑古鳥を鳴かせてても仕方がないので、さっさ と部屋に上がらせてもらった。 既に一本目の半分が消えていた。霊夢も萃香も出来上がっている。 「霊夢さん、今のはどう考えても礼儀知らずです。貰い物にはそれ相応の──」 「はいはい、五月蝿い鴉ね。大丈夫よ、ねぇ? 私とあんたの仲なんだから」 先ほどの見事な酒掠め取りを注意する文を適当に流す霊夢。悪ぶれた素振りもなく、俺 に返答を求めてくる。 「ん? 親しく想われてるなら、ありがたいけど」 「え……」 素直に返答したのに、霊夢はこちらを見つめたまま口を空回せている。 「どうした?」 「霊夢さん、顔赤いんですよ」 「ひぇ!? ち、ちょっと! 真面目に答えないでよっ。もう、冗談通じないなぁ」 「あ、今の表情カワイイですよぉ~。一枚撮っちゃおうかな」 「なによこのカラスッ」 がわざとらしく撮影器を向けるにやけた文を、キッと睨み付ける霊夢。 「いいぞ~もっとやれぇ~。かわゆ~い霊夢きたいあげぇ~」 「萃香、煽るなよ」 瓢箪をぐるぐると振り回して楽しんでいる萃香。面白可笑しい事が好きなのは構わない が、火に油を注ぐのも好きなのが困りモノ。 「文もそのぐらいにしてくれ。俺の酒をマズく呑んで欲しくはないぞ」 険悪な雰囲気で呑む酒は美味くない。誰がそんな状況で飲みたがる。 「はぁ~い。折角カワイイ霊夢さんの顔が撮れると思ったのに」 「あまり悪乗りすると後がこわ──ってうぉっ!」 注意を促すも後の祭り。霊夢の周囲は大量の陰陽玉が宙を泳いでいる。俺も文も青ざめ て喉が絞まった。殺意に満ちた鋭い眼光が涙すら流させてくれない。 さすがの萃香も、顔が引きつった。 「あんたら人の事おちょくるのもいい加減に……」 「かわいい霊夢が見れると聞いてスキマを歩いて来たわよぉ」 緊張感皆無の声と共に現れる空間の亀裂。まさかこんな噴火直前の火山にくるのか!? 「……あら?」 割れ目のできた天井から逆さまに顔を出す紫。好奇心で霊夢を見に来たはずが、そこに いるのは──人の鬼。 「ムッコロス」 「え? えぇっ? ちょ、れいむ!? いやあああぁぁぁぁ、いたいたいたたたたたぁぁぁぁい!!」 剛速球でぶん投げられた陰陽玉が紫ごとスキマに吸収され、間抜けた断末魔が響く。 「うわぁ~……」 文から漏れる、複雑に表現の混じった音。意味するのはおぞましさか、おそろしさか。 「あ~、スッキリした。何か食べる物あったかな」 一転、清々しく背伸びをして御勝手に向かう霊夢。怒りの矛先が明後日? の方向に向け られたので救われたものの……ご愁傷様。 「へ……へびぃだわ……ガクッ」 服も身体もボロボロでて天井から畳へ落下する紫。痛々しい傷はないものの、服が破れ て見え隠れする白い肌のせいで、目のやり場に困る。 「何言ってんのよ、紫。狙ってたクセに。好きモノだね」 卓袱台に片肘に当ててため息をつく萃香。 「これが私の逝きるみちぃ~、でも流石に、やりすぎちゃったかも」 「何が面白いのかサッパリわかりませんけど……『衝撃。晩酌の惨事』とでも銘打って記 事のネタにしようかな。れいむ~、あいよ~、ギャーの構図で」 「あら嬉しい、また私の記事? もうちょっと服が破けてた方がいいかしら?」 ふざけているのか本気なのか、自分の太股部分に空いた穴を自ら裂こうとし始めたので 「やめて下さいよ」と制止した。これ以上露出されたら、正気がどうのって状態から逸脱 しそうで怖い。このまま劣情に流され続けたら、森近さんの店で見た本の"大盗賊の男が胸 の大きな女性に水泳の飛び込み"をする図を地でやってしまいそう。 「とりあえず、ここで紫に倒れられてるのも放置っぽくて見た目悪いな。隣の部屋に運ば せてもらいますよ。ちょっと失礼」 「優しくしてねぇ」 ゆっくりと紫を抱き上げる。途端、首元に両腕を絡められてぎゅっと寄り添われ、漂う 妖艶な女性の色香に意識が引き込まれそうになり、眩暈に似た感覚に陥った。 「何遊んでるんですか、紫さん。怪我人は安静に休んでて下さいよ」 言うが早いか、文が隣の部屋で布団の準備を始めていた。これ幸いと紫を布団に横たわ らせ、強引に毛布を被せた。 「少しの間静かにしてて下さい。大丈夫、酒はちゃんと残しておきますから」 「いっちゃうの? 寂しいわ……こういう時は、お粥を食べさせてくれたり、手厚く看病し てくれたりするのが殿方ではなくて?」 怪しい微笑を浮かべ、俺の手の甲を指でなぞる刺激がまた脳内を揺さぶる。 が、文の咳込みで我に返り、部屋から出て襖を閉めた。 「あまり、あの人に遊ばれてると取り返しがつかなくなりますよ? お兄さんでも、何とな くはわかるでしょ?」 「なんとなく……そうだな、なんとなくわかる」 寧ろ──わからないなら、あの膨よかな桃色世界に飛び込んでしまっただろう。 己の助平根性を反省していた所にお盆を持った霊夢が戻ってきた。 「漬物ぐらいしかなかったけど、十分よね。それじゃ、続けましょう」 「はい、そうですね。ささ、お兄さんも座って下さいっ」 文に肩を押され、卓袱台に湯飲みが差し出される。杯やら徳利といった洒落たものよ りは、コレでぐいっと呑む方が俺達らしいやり方だ。 「そうそう、あんたも私みたいに豪快に呑みなさいよ」 「お前に合わせられるわけないだろ……豪快さの比が違う」 胡坐をかいた足に萃香の頭が寝転がってくる。随分と酒悦を堪能しているようで、悪態 はついているものの、嬉しい姿。 「仕方ないなぁ、私が呑ませてやろうか。口移しで」 「おふざけがすぎるぞっ」 足元で接吻の真似をする萃香の角を握ってやると「ひゃん」と素っ頓狂な音が出た。ふ ざけている時の"まいどのこと"。 「うわ、気持ちわるっ」 「亜空間にバラまくぞ鴉」 ◆◆◆ 開けた神社の庭を通り過ぎる風は、軽くこめかみに来る痛みを緩和してくれる。他の面 子は部屋で騒ぎ立てながら未だに楽しむ声が漏れている。目を盗んで外に逃げれたのは運 が良かった。 鳥居の先に広がる暗き藍を纏った木々と大地、その天井に浮かぶ白き光の点。人の手に も、妖怪でさえも作る事はできないだろう絶世の絵画。 ──くっさい考えだな、柄にもない。 少々、勢い良く呑み過ぎてしまった……あいつらのペースに流された自分が悪い。 「なに仏頂面してんのよ。今日のデキは気に入らなかったって所?」 近づいてくる足音。少々おどけた声色の霊夢。 「涼んでるだけ。他のみんなは?」 振り向かず、景色を眺めたまま訊き返す。 「ま~だドンチャンやってるわよ。萃香と紫が詠いだして五月蝿いから出てきたの」 「そうか」 足音が自分の真後ろで止まった。霊夢の手のひらが背中をさする。 「また、大きくなったね」 「どうだろう……酒樽って重いのも結構あるから、自然と鍛えられてるのかもしれない。 なんだ、俺の肉体美を目に焼き付けたいのか?」 「冗談。そんなゲテモノ見たらお酒戻しちゃうじゃないの」 霊夢に皮肉を倍返しされて、少々顔が引きつる。酷い言い様だ。 「そんなに気持ち悪いか俺は……」 「わざわざ見る物でもないでしょう。そうね、鍛えられてるって言うなら」 霊夢は俺の腕を掴み、自分に振り向かせた。「持ち上げてみて」と、両手を左右水平に 広げ、人の十字架になった。 「私ぐらいなら簡単でしょう?」 「酒樽に比べたら、霊夢ぐらい朝飯前……」 ささっと手軽く十字架霊夢を持とうと、両の腋を支えようとして、気付いた。そうだ、 霊夢の服装って…… 「腰は触らないでよ」 「……わかってて言ってるだろ」 「はやくやってみせて。それとも、できないって言い訳でもする?」 頭にきた。直接肌に触れないよう気を使おうとしたのが莫迦らしい。 「それこそ、冗談はやめてくれ」 手を宛がい勢い良く担ぎ上げた。力を入れすぎたか、霊夢の身体が少し浮きすぎてしま い、小さく驚く声が聞こえた。 自分の手のひらに伝わる生々しい柔らかさ。こと、先刻の萃香や文の時とは違って自ら 触れている事実が、どうにも穏やかになれない。 「さぁ、わかっただろ」 「一応、認めてあげる」 「そりゃどーも。酒樽と霊夢じゃ重さが違いすぎるしな、当たり前のこ、と……」 二の腕の力を緩め、霊夢の身体を降ろす……が、肝心の身体がない。見上げれば、同じ 位置に"足を付けず停滞する"姿。 「何、してんだ?」 「……」 無言。 先ほどまでの人を挑発する顔は消え、物悲しい瞳に貫かれる。こんな表情、今まで一度 も見せた事がない。 「れいむ……?」 「くぉの」 は? なんだそのやたらデカい玉は。 「酒樽ぶぁかぁぁぁ!」 「ふぉああああああっ!!」 顔面殴打、加えて強打。わけがわからないまま吹き飛び、気付いたら先ほどの場所から かなりの距離を吹き飛ばされていた。酔いは完全にさめたが、非常に強烈な一撃のせいで 更に頭の中が混沌。視界が歪んで気持ち悪い…… 霊夢がこちらに歩いてくる。一歩一歩が地響きを立てているかのよう。まずい、次また 殴られたら、三途の川まで吹き飛ばされる。 とはいっても、こちらは立つのがやっとでどうこうするのは無理。 霊夢が俺の目の前で立ち止まった。顔も歪んで見えたままだが、どう考えても滅茶苦茶 に怒ってる。理由が全くわからないけど、尋常じゃなく怒ってる。 終わった……か? 「ねぇ、痛かった? 物凄い痛かったでしょう?」 「洒落に……ならん」 冷えた霊夢の手のひらが、盛大に腫れた俺の頬を包む。更に痛い。 「は・ん・と・し」 「はんとし? あだだだだだだっ」 なんのことかさっぱりわからないだけなのに、頬を抓られた。酷すぎる…… 「私も痛かったのよ、半年」 「……?」 軽く、胸板を叩かれる。力は、全然入っていない。ただ、許されたという気はしない。 なんで怒られたり殴られたり許されてなかったりと、身に覚えの無い事ばかりなんだ。 「まったく。酒だの酒樽だのって熱中するのはいいけど、人のこと完全放置になる性格ど うにかしなさいよ」 「は? つまり、俺が足繁く霊夢に会いに来いと」 「違うわよ! ほら、ここは神社なんだしあんたの酒を奉納しにくるのが筋じゃない? 一週間に一度……いえ、三日に一本は必要ね」 「んなことしたら店が潰れる」 萃香といい霊夢といい……いや、この周辺の連中全員、大酒呑みが多すぎる。紅魔館の 連中も、冥界の連中も、そしてこいつらも。 なんでこう、やたらめったらとタダ酒を欲しがるか。金を払えと小一時間。 「ふぅん。あんたが酒以外でどう落とし前つけるわけ?」 「あのなぁ、落とし前って俺は何も──」 手に、デカ玉。 「……ミミソロエテキッチリ」 「よろしい」 脅迫もいいとこだ、酷すぎる。 こうなれば、萃香のように妙ちくりんな話を持ち出して呆れさせて、話を無かった事に すればいいだけだ。頬は麻痺してるが脳味噌はまだ生きている。 「よし、お詫びは"俺"でしよう。酒はもちろん晩酌から食事まで。夜のお供だってしてや ろう。どうせ夜に関しちゃ経験ないだろ? 愉しい夜伽にしてやるぜ?」 知り合いの魔理沙っぽく悪びれて、今日萃香に言われた台詞を改変して謳ってみせた。 これで呆れて部屋に戻るだろう。 こんな助平な話すれば、お約束の二つ返事なんて来るわけがない。 「それ、本気で言ってるなら……」 失敗した。 デカ玉が出てる。霊夢の背後から赤い空気が漂ってる。霊夢の周囲がゴゴゴゴゴゴって 唸ってるように見える……! 俺オワタ。 「なんてね。驚いた?」 騙されたのは俺の方だったらしい。霊夢の周りには、見えた物は一切ない。 大きくため息をつき、うな垂れる。霊夢に小さく笑われた。 「……心臓に悪い、最悪心臓麻痺で死ぬ所だった。って、自業自得か」 「そんな見え透いた嘘をつくからよ。私がそれでいいって言ったらどうしてた?」 「謝って素直に酒瓶出したろうな」 「でしょうね。でも、面白くないなぁ」 指を下唇に当て、空を見て耽る。 「ほんの少しだけ。夜の一片だけ、しよっか」 霊夢が俺に身を委ねて来る。抱いた俺の腕に流れ込む、最良の絹の生地と錯覚してしま う肌の感触。霊夢全体が絹と言った方がいいのかもしれない。 「これで許してあげるから、感謝してよ」 瞳を瞑る。これがどんな意を介するのか、いくらなんでもわかる。 「わ、わかった……」 ──何をたじろいでいるんだ、俺は。ちょっと、くっつけるだけじゃないか。相手は赤 の他人じゃないし、霊夢なら高嶺の花みたいな話だろ、周りの男達にしたら。それにこれ は霊夢に許しを得る行為だ、まったく、まったく問題ない! 「霊夢……失礼」 「うん」 小さな返答を合図に目を閉じ、意を決して唇を押し付けた…… ……? 霊夢にしちゃなんか小さいような気が。まぁ、女の子だしな。 って、俺の方が押し付けられてないか? 目を開けて、全て把握。 「おぅあっ!?」 抱き合っていた対象を突き放す。霊夢に"角"が生えてるわけがない!! 「何すんだ萃香!!」 「私とした時は破天荒なやつ~とか言っておきながら、霊夢とは心臓高鳴らせてしちゃう わけ? 扱い方の差別が気に入らないなぁ~?」 うっ、聞こえてたのか……破天荒って罵ったのを。 「これは、なんだ。霊夢に悪い事をしたお詫びってやつでな、他意は……って、そっちは そっちで何やってるんですか紫さん」 もう片方の夢の方はといえば、紫と壮絶な愛情劇を演じていた。ただ、紫が霊夢の口を 強引に吸い上げているように見えて、苦しそうだが。いや、これは苦しい。 「んー! んんーっ!!」 「あの、紫さん? そのぐらいにしないと霊夢が」 蛸の吸盤よろしく、軽快な音と共に二人が離れた。名残惜しそうな紫と苦い顔で咳き込 み続ける霊夢の対照的なこと。 「もう、いい所だったのよ? あ、代わりに貴方が情熱を下さる?」 「全力で断ります」 「その前に私が許さないよ、紫」 「なぁに? 萃香まで。ないがしろにするなんて悲しいわ」 どこが悲しいのか、クスクスと笑っている。 「と、とりあえず萃香……どう言えばわからないんだけど、その」 「はいはい、あんたは嘘ついてないよ。ただ、もっと私の見方を改めて欲しいなぁ?」 霊夢と同じように、萃香が俺の腕の中へ入ってくる。さっきので、舌が絡む程分厚くキ スをしてしまったからか、緊張感もへったくれもなくなってしまった。 「善処するよ、萃香が満足するまでなんなりと」 「じゃあ、もう一回しよ」 また、押し付けられる。首に絡められた両腕で固定され、押し付け合いになった。 「熱いわねぇ……私の身体まで熱くなりそう。昔を思い出すわぶっ!」 勝手に身悶えしてた紫が倒れた。 鬼がいる。 「萃香も……アンタも……!! 三途の川に旅立つ前の命乞いをする準備はOK?」 「う、わぁ……霊夢、人から道外れちゃってるよ……」 夜叉になった。 そして、もう一人…… 「み、見ましたよ。全部見ちゃいましたよ!! お兄さんも! 萃香さんも!!」 「あ、文。待て、ちゃんと全部説明するからとりあえずその扇はしまって──」 俺と一緒にいた萃香の身体が、ない。逃げられた…… 「いっぺん冥界に逝ってこぉぉぉい!!」 「破廉恥なのはよくありませぇぇん!!」 玉と風っておい、死ぬって、なんでこんなひど アーッ!! そーらを じゆうに とっべましたー はい! じゆうらっかー 【次回・3種3様 看病の仕方】 ※続きません 6スレ目 744 ─────────────────────────────────────────────────────────── 幽々子様が縁側で桜を見ながら茶を啜っていると、背後から抱きしめる。すると幽々子様は 「うふふ。春の匂い、感じる?」 『春爛漫ですよ。とてもやわらかな匂いです』 と、うなじを嗅ぐ。 「口説いているつもりなの?」 『しばらくこのままで…』 ドタドタッ!バタバタ! 「こここ、こんな昼間から何をしてるんですか!!イチャイチャしないでください!」 庭師登場。 「あらあら妖夢、春のお話をしていただけよー?」 「とにかく!二人とも離れてくださいっ!貴方も貴方です。幽々子様と談笑してないで、私の仕事を手伝ってください!」 「妖夢も大胆ねー。そんなに二人っきりになりたいのぉ?」 「そ、そんなわけないです!!とにかく失礼します。ほら、行きますよ」 『はーい』 6スレ目 945 ─────────────────────────────────────────────────────────── ある晴れた日のこと。縁側であぐらかいてぼんやりとひなたぼっこをしていると… (のしっ…) 猫形態の橙が、あぐらの中にもぐりこんできた。 そしてそのまま膝にアゴまで乗せてすやすやと寝息をたてはじめる。 さて困った。身動きが取れなくなったぞ。 このままではきっと日が暮れるまで寝ているかもしれない。 まあ、いいか、こんな日があっても。と、のほほん決め込んでいると… (ガシャン…) と、湯のみ茶碗の割れる音。 音のした方を振りかえると、藍が恐ろしい形相で睨んでいるではないか。 (ゴゴゴゴゴゴ…) あぁ、なんとも禍禍しい妖気を放たれて、とってもお怒りのご様子です。 藍「(ぼそぼそ…)…って、言ったくせに!」 ○「おk、藍。時に落ち着け(´ _`;) これはだな…」 うああ、身の危険をこれでもかと言うほど感じるぜ。 チックショウ。弁解しようにも橙はとっくに屋根の上にとんずらしてるし! 藍「『俺の膝はいつもお前の為にあけておく』って言ったくせに!」(うω;`) (少女殴打中。しばらくお待ちください。)ピチューン… 翌日… 藍「(あぁ…流石にやりすぎた…)」 藍様、猛省中。 藍「(そうだよな…私が選んだ○だもの、橙が○になつくのも当然だよな… うん、むしろ橙に冷たかったら、その方が許せない。)」 藍の手にはヤゴコロ印の傷薬と、ガーゼと包帯があった。 昨日あの後、わざわざ永遠亭まで貰いに行っていたようだ。 さて、その頃俺はというと… 紫「橙と藍から聞いてるわよ。」 ○「う゛…もしかして…」 紫「あなたの傍の寝心地を試させなさい♪」 (ぼふっ!) ○「あぁ!なぜこんな所にフトンが!?」 紫「細かい事は気にしない~♪」 ○「わ、私の腕枕なんかより、藍の尻尾の方がモフモフして気持ち良いよ!」 紫「気持ちよいのと、寝心地いいのは別物よ。そして、それを決めるのはわ・た・し。」 (むぎゅっ…ばふっ!) 紫に抱きつかれ(同時に眠気、抵抗する力の境界を操作)て、フトンに押し倒された まさにそのとき、昨日も感じたあの攻撃的な妖気ががが。。。 (ゴゴゴゴゴ…) 藍「お前と言う奴は…」 ○「おk、藍。話し合おう、な?(´ _`;)」 紫「ぐうぐう…(zzz…)」 7スレ目 243 ─────────────────────────────────────────────────────────── 幻想郷…そこは、人と人外が共存……共存? …住む場所は分かれてるし退治したりされたりする関係だから、 厳密には共存とは言えないが…。 ともかく!その割には平和な……。 ……たまに事件起きるよな。しかも結構大規模で大変な。 「今更ながら、大変なトコに来たな俺」 「いきなりどうしたのよ?」 まぁ、そんな場所でも何とか暮らしていってるわけだ、俺は。 「んにゃ、なんか色々思うところがあってな」 「ふーん」 で、今俺と話してるのは博麗 霊夢。 幻想郷に住む巫女さん。某人曰く、頭の中が春らしい。 「…何か失礼な事考えてない?」 「滅相もない」 頭の中が春と言われてる割には勘が鋭いんだよな…腋巫女め。 ゴンッ! 「~~~~っ!!」 「今失礼な事考えたでしょ」 「断定かよっ!? ってか殴るなよ!!」 「失礼な事考えた罰よ」 くっ…図星なだけに強く言い返せない…! ただでさえ霊夢には頭が上がらないのに。何故かは分からないけど。 「まったく…ほら、さっさと掃除終わらせるわよ」 「くっ…いつかギャフンと言わせてやるっ」 へーへー、分かりましたよ。 「……本音と建前が逆になってるわよ」 「しまった、根が正直だから!」 「もう一回殴られたい?」 「ごめんなさい」 だからその強く握りしめた拳を解いてください。 ======== 「ふぅ…労働の後のお茶は格別ね」 「出涸らしだけどな」 「文句があるなら飲まなくていいわよ」 「冗談だよ、冗談」 今日も朝からこき使われたからな…流石に疲れた。 ちくしょう、こんな事なら家でゴロゴロするなり香霖堂に冷やかしに行くなり 図書館で本読むなり永遠亭にゲームしに行くなりすればよかった。 ……後ろ二つはダメだな。一人じゃ辿り着けるか分からない上に、 下手すりゃ迎撃されるかもしれないし。 「くっ…無力な俺を許してくれ、本とゲーム達よ…!」 「訳分かんない事ばっかり言わない」 「こいつが訳分からないのは今に始まったことじゃないぜ」 「ん? 霊夢と俺以外にもう一つ声が聞こえる」 「よう、○○」 「…誰だっけ」 「マスタースp」 「オーケー落ち着こう魔理沙。流石に冗談だ」 「私も冗談だぜ」 その割にはもの凄い威圧感を感じたんだが。 こいつは霧雨 魔理沙。普通の魔法使いらしい。 たまにここでお茶を飲んだり図書館まで連れていってもらったりする仲だ。 「今日も図書館の帰りか?」 「いや、これから行くところだぜ」 「あら、珍しいわね。いつもなら図書館を荒らしてから来るのに」 確かに。何か用事でもあるのかね? 「荒らしてるとは人聞きが悪いな。正当防衛だぜ」 「図書館の本を盗んでいくやつのどこに正当防衛を主張できる要素があるのよ」 「盗んでるとは心外だぜ。借りてるだけだ」 「無許可・無期限でな」 何にせよ碌なものじゃない。 「話がずれたな。今日は何で先にこっちに?」 「うん? あぁ、折角だからお前も連れていってやろうと思って家まで行ったんだが」 「……荒らしてないよな?」 「探検しただけだぜ」 「おいっ!?」 「安心しろ、何も無くなってないから」 「盗むような物も無いしね」 悪意の無い言葉が痛いぜ…。 「…まぁいい。んで?」 「お前がいなかったから多分こっちにいるだろうと思って来た」 大当たり。今日は何故か神社に来てしまったんだよな。 そのせいで朝から重労働を強いられて…あぁ、不運な俺。 「で、どうする?」 「? どうするって、何が?」 「私と一緒に図書館に行くか、ここで年寄りみたいに茶を飲むか」 さて、どうするかな…朝から慣れない掃除で微妙に疲れたからなぁ。 「……その年寄りに私も含まれてるのかしら?」 「想像に任せるぜ」 「売られた喧嘩は買うわよ?」 「喧嘩を売った覚えは無いな。自意識過剰なんじゃないか?」 ……あれ? 何やら不穏な空気が漂ってきたぞ? 何でこの二人が一触即発な雰囲気になってるんだ? 「相変わらず減らず口ね……」 「口が減ったら怖いぜ。喋れなくなるな」 空気が重い。流石幻想郷の異変をいくつも解決してきた猛者達、 素人の俺でも分かるくらい殺気ってやつが溢れてるぜ…! しかし尻込みしてるわけにはにはいかない。 この二人が戦うとこの辺一帯が壊滅するし、 何より俺の命が危ない。冗談抜きで。 そうなるとこの二人を止めなければいけないわけだが…。 「………」 「………」 さてどうやって止めようか。二人を抑える力なんて俺には無いし。 下手に割り込んでややこしくなるのは勘弁したい。 となると、簡潔に俺がどうするかを伝えた方が良いか。 …後で後悔するかもしれないけどな。 そうと決まればさっさと伝えよう。この空気は非常によろしくない。 「魔理沙ー」 できるだけ平静を装う。内心はガクブルだけどな! 「お、行く気になったか?」 「○○……あんたも私が年寄りだって言うのね?」 矛先がこっちに向いた?! いやいや、まだ間に合う。二人がこれ以上何か言う前にさっさと言え俺! 「あー、悪いけど今日は疲れてるからやめとくわ」 「そうよね、ここでお茶を飲んでる方が良いわよね」 「ほう…○○は折角の私の厚意を無碍にするわけだな?」 あぁもう、あっちを立てればこっちが立たない状況ってのはこういうことを指すのか! くそっ、それなら……。 「いや、今日はもう帰るわ。魔理沙に荒らされた家も気になるし。じゃ、また今度な!」 言い終わると同時に走り出す。 ……そこ、逃げたとか言うな。 ――――青年逃亡中―――― 「ふぅ…あーあー、後が怖いなぁ…」 きっと後日埋め合わせだとか罪滅ぼしだとかで掃除やら蒐集やら付き合わされるんだろうな。 「まぁ、どっちかを選ぶよりはマシ……だと思うし…」 いつまでも考えてても仕方ない……後の事は後で考えよう。 問題を先送りにしただけと言うなかれ、これがここでの生きる術なのさ。俺限定だけどな! 「さて、帰る前に昼飯と晩飯を調達しないと」 くぅ、魔理沙が来なけりゃ昼飯まで霊夢のとこで粘って なし崩し的に昼飯食わせてもらおうと思ってたのに…。 「香霖堂…ダメだ、金がない……村行って食料貰えるかなぁ…」 ダメ元で行ってみるか。 ――――青年交渉中―――― 「いや、頼んでみるもんだな~」 風呂敷の中には村で作られた作物や近場の山で採れた山菜。 対価として後日畑仕事を手伝うことになったが、まぁ仕方ないだろう。 「おまけに昼飯まで食わせて貰ったし」 うん、久しぶりに人の温かさに触れた気がする。 普段の交流範囲内で人間って霊夢と魔理沙だけだもんな…あとは人外。 霊夢と魔理沙も普通じゃないし……。 ……これ以上考えるのはやめよう。 「さて、さっさと家に帰るか。ぐずぐずしてると逢魔ヶ時になっちまう」 まだこっちに慣れてなかった頃はそのせいで酷い目にあったからな……。 喰われそうになるは凍らされそうになるわ……。 まぁ幸い喰おうとした方は偶然通りかかった魔理沙が追っ払ってくれたし、 凍らせようとしてきた方はすぐに飽きたのか勝手にどっか行ったし。 ――……ぁ……―― 「ん?」 ……気のせいか? 何か聞こえたような……。 ――ぉ……ぁ……ゃぁ―― 「…赤ん坊の泣き声…?」 いやいや、そんな馬鹿な。いくら人里が近いからってこんなトコに赤ん坊がいるわけ……。 「…っていたよ!?」 「おぎゃあ、おぎゃあ!」 えええええっ!? な、何でこんな所に赤ん坊が?! 「おぎゃあ、おぎゃあ!」 「わ、ちょ、し、静かに! あんまり騒ぐと妖怪が…っ!?」 「おぎゃあ、おぎゃあ!!」 って、赤ん坊に言っても分かるわけねーーーっ!! 「くそっ、ここからじゃ村まで遠いし……もう日も暮れるし……」 「おぎゃあ、おぎゃあ!!!」 「えぇぃ、流石に見て見ぬ振りはできないよなぁ!」 翌朝この辺が血塗れだったら寝覚めが悪い上に罪悪感に苛まれそうだ。 「よっ、と……はぁ、やれやれ……」 厄介なもの拾っちまったなぁ……。 ――――青年帰宅中―――― 「ただいまー、っと……おぉ、魔理沙が来た割には荒れてない」 何気に酷いことを言ってるような気もするが、気にしない。 「おぎゃあ、おぎゃあ!」 「っと、忘れてた…」 さて、こいつは何で泣いてるのかね? 1、お腹が空いた 2、おむつが汚れてる 3、親が恋しい 3番だったらどうしようもないな。明日まで我慢してもらおう。 いや、この場合我慢するのは俺か? 「とりあえず、2番から確かめるか……」 …見た感じ、汚れてるようには見えない。 やはり脱がせて確認しなければいけないのだろうか? しかし、抵抗がある。何故に赤の他人の子にそんなことをせにゃ……。 「おぎゃあ、おぎゃあ!!!」 「あぁもう分かった! 確認すりゃいいんだろ確認すりゃ!!」 えーっと、ここがこうなってて……? ……あ、全部脱がせなくてもいいのか。つーかおむつじゃないのね。 …そりゃそうか。見たところ化学製品なんて無いし。 香霖堂ならあるかもしれないが……。まぁそれはともかく。 うん、おむつ代わりの布も濡れてないし、大もないみたいだ。 「となると腹か? しかし、当然ながら母乳なんてないし粉ミルクもない……」 普通に牛乳温めて飲ませればいいのかね? いや、それしか方法が無いわけだけどさ。 「えーっと、人肌程度に温めるんだっけか……」 「おぎゃあ、おぎゃあ!」 はいはい、今作りますよ、と……。 ――――青年料理中―――― あの後。どうやら腹が減っていたのが正解らしく、 適当に温めた牛乳を凄い勢いで飲んで、しばらくしたら寝てしまった。 あ、心配せずともゲップはさせたぞ? させないとダメらしいからさせただけだが。 で、俺の方も貰った食材を適当に調理して、今食い終わった。 「さてさて、こいつは何か持ってないかね…」 …別に物取りじゃないぞ? こいつの身分が分かる物が無いか探すだけだ。 んー……お? お守り……でも何も書いてないな。 中には……お、手紙。えーっと、何々…? 『どなたでも構いません。不甲斐ない私の代わりに、この子をお願いします』 ……これは……もしかして、もしかしなくても…。 「捨て子、か…」 ふぅ…厄介なことに巻き込まれた。こっちは平和に暮らしたいのに。 しかし、親は一体どうしたのか。こんな手紙を残すくらいなんだから、 あの場所がどういう場所か知っていたとも思えないし。 「となると、この辺の住人じゃないよなぁ」 しかし、この辺以外に人間が住んでる場所ってあるのか? 「うーむ……ま、考えても仕方ないかぁ」 あーあー……どっと疲れた。今日はもう寝るかぁ。 「ふふふ……これは…これは、特ダネですよ……!」 眠気のせいで、窓の外から覗いてる存在には気がつかなかった。 そのせいで、翌日俺は大変な目に遭うのだった…。 前略、向こうの世界にいる父さんと母さん。 お元気ですか?俺は今―― 「どういうことかきっちり説明してもらおうかしら」 「今なら穏便に済ませてやるぜ。私なりにな」 ――ライヴで大ピンチです。助けてー。 ――ほんの数時間前―― 「おぎゃあ、おぎゃあ!」 「はいはい分かってる今作ってますよー…」 昨日俺が寝てから。 …親の偉大さが身に染みて理解できた。 もう、夜泣きするわおむつ換えさせるわ――ちなみに女の子だった。ごめんなさい親御さん――、 好き放題やってくれるんだよ赤ん坊ってのは。 見つけたのも拾ったのも俺の責任とは言え、 少しばかり殺意を覚えたのは仕方ないと思う。 「ふぁ…あー…」 そのせいで寝不足だ。 だと言うのに、この赤ん坊様はミルクをご所望だと申される。 つくづく親の偉大さを実感する。 「うー……あとは人肌まで冷まして…」 良い感じの温度になった。 さっさと飲ませて寝て貰おう。 「ミルクですよー、と…」 「ぁー……」 …うん、黙ってミルクを一心不乱に飲んでる姿は可愛いと思う。 ふと、こいつの親の事を考える。 赤の他人である俺ですら可愛いと思うんだ、 実の親ならそれこそ目に入れても痛くないくらいだろう。 にも関わらず、だ。こいつは捨てられた。 あの手紙の一文を読んだ限り、望んで捨てた訳じゃなさそうだ。 きっと、やむにやまれぬ事情があったんだろう。 「問題は、その親がどうなったか、だよなぁ」 生きてるのならいいが、もし死んでるのならこいつは正真正銘孤児だ。 「だぁー……ぅー……」 「…っと、もう腹一杯か」 「ぁー」 やれやれ、当の本人は気楽なもんだ。 や、赤ん坊だから仕方ないけどな。 「ほれ、さっさとゲップして寝ちまえ」 「ぅー……けぷっ」 やべ、何今の音可愛くない? 思わず顔が綻んで―― 「「○○! 今日の文々。新聞のこ、と……なん、だ、け、ど…」」 ――俺の平穏な時間は終わりを告げるのであった。まる。 ――冒頭に戻る―― 「や、あのですね、白状も何も状況が把握できてないわけですが」 「あら、白を切るつもりかしら? その腕の中の子が何よりの証拠じゃない」 意味が分からないです霊夢さん。 ちなみに、赤ん坊はこんな状況にも関わらず、 すやすやと穏やかに眠ってらっしゃる。 ちくしょう、当事者(仮)のくせに…! 「えーっと…何? 文々。新聞? がどうしたって?」 「なるほど、あくまでもしらばっくれるつもりだな?」 「いや、マジで分からないんだけど……」 「これよ」 えーっと、何々……? 『外界からお越しの○○さんに隠し子発覚!?』 昨夜未明、○○さんの自宅から赤ん坊の泣く声が聞こえたとの情報が寄せられた。 早速確認のため、○○さんの自宅へ。するとそこには、赤ん坊をあやす○○さんの姿が!! 真実を突き止めるため、張り込みを開始。中からは○○さんの声が聞こえてきた。 生憎壁越しだったので一部聞き取れなかったが、 「……腹か? ………母乳も…ぃし、粉ミルク……」 「……人肌程度に温め……」 と、立派な父親振りをうかがわせてくれた。 その後―― ~以下略~ 「…………は?」 何だこれは。いや、新聞か。いやいや、そうじゃなく。 「隠し子? 誰が? 誰の?」 「その子が」 「お前の」 ……………。 「はあああぁぁぁぁぁっ?!」 「きゃっ! もう、いきなり大声出さないでよ!!」 「いやいやいや待て待て待て! なんでこいつが俺の子ども?!」 「認知してやらないのか。そいつは流石に酷いぜ」 「認知とかそれ以前の話だ!」 「まぁ、それはどうでもいいのよ」 いや、どうでもよくないだろ、俺にとっては! 「問題は…」 「そいつが…」 「「あんた(お前)と誰の子どもか、ってことよ(だ)」」 「だから俺の子どもじゃないって……」 「さぁ、早く相手の名前を言いなさい」 「さっさと言えば楽になれるぜ?」 「田舎のお袋さんも泣いてるわよ?」 「安心しな、どこぞの閻魔みたいに一方的な判決はしないぜ」 人の話を聞けよ。つーかどこの犯罪者ですか俺は。 いやそれ以前に。 「何で俺はお前らに責められてるんだよ? 仮にこいつが俺の子だったとして、何か問題あんのか?」 「別にその子があんたの子でも『私は』構わないわよ」 「あぁ、『私は』問題ないぜ」 何か、私は、って部分をやけに強調してた気がするけど…いや、そうじゃなくて。 「百歩……いや、万歩譲ってこいつが俺の子だとする。相手もいたとする。 そのことがお前らに何の関係があるんだ?」 「それは……」 「その……」 「ほら、ねぇ?」 「そうそう、アレだぜ」 意味が分からないし。 「てかさ、何でお前らこいつが俺の子だと思い込んでるんだ? あの文々。新聞だぞ?」 「そりゃ私も見たときはそう思ったけど」 「写真もバッチリ、来てみればこの状況」 「疑う余地は」 「無いぜ」 何でこんな時ばっかり息ぴったりかなこの二人は…。 いや、そんな事考えてる場合じゃない。 現状ははっきり言ってよろしくない。 何故この二人に責められてるかは甚だ疑問だが、 ここで下手を打てば多分恐ろしいことになる。 それだけは避けたい。 「さぁ、分かったら」 「きりきり白状してもらうぜ」 「だからそれは誤解で――――」 誤解を解こうとしたそのとき。 「はぁ~い、○○。ちょっといいかしら?」 「………八雲さん?」 「紫?」 目の前にニュッと八雲さんが生えてきた。 訂正、現れた。スキマから出てきたっぽい。 「あら霊夢に魔理沙。朝から男のところに入り浸るなんて、はしたないですわ」 「誰がよ」 「その理論でいくならお前も同じだぜ」 幻想卿に住んでる人は皆血の気が多いなぁ…。 「えーっと……それで、八雲さん。何か御用で?」 「あら、紫と呼んでくださいな。知らぬ仲でもないのだし」 「へぇ…」 「その辺のことも聞きたいなぁ…○○?」 今日は死亡フラグ乱立デーですか!? 「いや、前に偶然森を歩いてたときに橙がさ、 マタタビに酔ってたらしくて倒れてて。 意識はあったんだけどな。 で、放っとくわけにもいかないから、とりあえず介抱してたら………」 「ちょ、ちょっと、どうしたのよ震えだして!?」 「…………藍さんが……」 「あー……」 あの時は死を覚悟した。冗談抜きで。 「橙を攫うとは良い度胸だ」とか「楽に死ねると思うなよ人間」とか。 橙の説明が無ければ、今頃俺は……。 「ま、まぁ、うん、過去は過去。俺は今生きてるんだ。しっかりしろ、俺…」 「うふふ……まぁ、その時に知り合ったのよ。 それで、その後も橙が懐いちゃって時々、ね」 「ふ~ん、なるほどな」 後から聞いた話だが、八雲さんは一部始終を見て笑ってたらしい。 で、事態が収拾したところで出現、二人を連れて帰っていった、と。 「…っと、忘れるところでした。八雲さん、何か御用で?」 「あら、そうだった。すっかり忘れてたわ」 「紫、後にしてくれない? 今はこいつにこの赤ん坊のことを……」 「そうだぜ。さぁ、○○、さっきの続きといこうか」 「私もその赤ん坊のことで来たのよ」 へ? 「紫が? どうして?」 「まさか食料にでもするつもりか?」 「まさか、いくら私でも赤ん坊を食べるなんてことしませんわ」 「じゃあ何よ?」 「それは……」 そう一旦区切り、八雲さんは霊夢と魔理沙を見て。 そのあと、俺の方を見て。 ――にやり、と笑った。それはもう、面白い玩具を見つけた、と言わんばかりの―― ダメだ、それ以上口を開かせてはいけない。 俺の勘がそう告げている。てか、この人が絡むと厄介なことにしかならない。 「それは?」 「その子は……」 嫌な予感しかしない。止めなければ……! が、そんな俺の思いなんてどこ吹く風、八雲さんは爆弾を落としてくれた。 「私と、○○の子なのよ」 「…………え?」 「…………は?」 「「ええええええええ(はああああああああ)!?」」 向こうの世界にいる父さん、母さん。 「ねぇ? あ・な・た♪」 俺に、平穏な日は無いのでしょうか? 「あの……八雲さん?」 「いやん、紫って呼んでくださいな♪」 「いや、あの、八雲さん?」 「ゆ・か・り♪」 ダメだこりゃ、まったく話を聞いてくれそうにない。 こうなったら霊夢達―――― 「いつ紫に手を出したのよっていうかなんで紫なのあんな年増のどこがいいの そりゃ私はまだお子様体型かもしれないけどでもだからって妖怪で年増で 子ども(式神)が2匹もいるのに――――」 「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」 ……ダメだ、今話しかけたらこっちが危ない。 って言うか二人とも、八雲さんにからかわれてるだけって何故気づかない…。 「うふふふふふふ……」 現に八雲さん凄い笑顔じゃないか。もう、楽しくて楽しくて仕方がない、って感じで。 相も変わらず張本人は寝てるし……くそぅ、出来ることなら俺も夢の世界に逃げたいぜ……。 「愛されてるのね、○○」 「いや、訳分かんないです……」 「うふふ。まぁ、おふざけはこれくらいにして……そろそろ本題に入りましょうか」 「最初からふざけないでくださいよ……」 「あらいやですわ、私はいつでも真面目よ?」 さっきと言ってることが違いますよ八雲さん。 「真面目にふざけてるのよ♪」 「心を読まれた!?」 「…………随分と仲が良いわねぇ、二人とも……」 ゾクリ、と背筋に悪寒。声のした方を向くとそこには―――― 「ふ、ふふふ……この際紫と○○なんか関係ないぜ……一切合財全部消し飛ばして……」 ――――紅白ト黒白ノ夜叉ガ立ッテマシタ。 「いや、ちょっと待って二人ともってか特に魔理沙!」 「安心して○○、骨は拾ってあげるわ」 「残ればの話だがな」 塵も残さないおつもり!? 「あらあら、大変ねぇ○○」 「あんたのせいでしょうがっ!?」 「人のせいにするのはよくありませんわ」 「人のせいも何も100%八雲さんが原因なんですけどっ?!」 「いやだわ、あんなにも愛し合ったのにこの言われよう……悲しくなっちゃう」 「そんな事実ありませんってばぁぁぁあああああっ!! てかさっき『おふざけはここまで』って言いませんでしたっけ!?」 「あら、言ったかしら? そんなこと」 「この期に及んでまだイチャつくつもりなのね……」 「ひぃっ!?」 やばいやばいやばい八雲さんに抗議してる場合じゃない!! でも俺が何言っても聞きそうにないしかと言って八雲さんが助けてくれるわけないし……。 せめてこの場に常識人がいてくれればと思うけど、そんなご都合主義みたいな展開が―――― 「紫様、一体いつまでお話を――――何をしているんだ?」 救世主キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!? 「藍さん、丁度いいところに!! 後生ですからこの二人をどうにかしてください!!」 「話の流れがよく分からないんだが……」 そう言って、霊夢達を見て、俺を見て……最後に、満面の笑みを浮かべた八雲さんを見て、 「はぁ」と溜息をつき、事態を理解してくれたようだ。 「紫様、冗談も過ぎればとんでもないことになるといつも……」 「はいはい、分かってるわよ。まったく、藍はお堅くて面白くないわ」 「紫様……」 また溜息をつく藍さん。あ、額に青筋。苦労してるんだなぁ……。 「霊夢に魔理沙、少し落ち着け」 「藍……邪魔するんなら、あなたも容赦しないわよ?」 「橙が懐いてる人間を冗談で死なせるわけにはいかないのでな。橙が悲しむ」 「それはつまり橙が悲しまなかったら……」 「どうでもいいってことね」 分かってはいたけど……こう、改めて認識させられると、辛いなぁ……○| ̄|_ 「分かった、なら紫だけにしとくぜ」 「私は紫様の式だぞ? 主に仇為す者を放っておくわけがないだろう」 「そう、どうあっても邪魔する気なのね?」 「そちらが引かないのであれば」 あれ? 何か話がおかしい方向に……。 「いいわ、それなら二人まとめて相手してあげる」 「笑止。貴様らごとき、私一人で十分だ」 「ってちょっと待って藍さん!? 何故に戦う気満々ですか?!」 「無駄よ、○○」 八雲さん? 誰のせいでこんなことになったと思ってんですか? 「無駄、って……なんでですか?」 「藍ってば最近、ストレス溜まってたみたいだから」 「ストレス、ですか?」 「えぇ」 意外……でもないか。あれだけ真面目な人だし、きっと八雲さん以外にも苦労することがあるんだろうな。 「この前だって、白玉楼と紅魔館までお使いに行かせた帰りに香霖堂に寄って 珍しいお酒買ってこいって言ったんだけど『ウチにそんな余裕はありません』なんて言うものだから 問答無用でスキマ送りにしてついでに人里から美味しいもの貰ってこさせたんだけど……」 「やっぱりあんたが原因ですか!!!」 「ちなみにその日は橙は私が独占したわ」 「そりゃストレスも溜まりますよ……」 唯一の癒しである橙が……おいたわしや、藍さん……。 「だから、一度ストレス発散も兼ねて戦ってもらおうかしら、って」 「せめて俺の家じゃないところでやってくれませんかねぇ……」 言っても無駄なんだろうな……あの3人、もう臨戦態勢に入ってるし……。 「この状況でも寝てられるこいつがすげぇよ……」 そう呟き、腕の中で寝ている赤ん坊を見る。 しっかりと服を握られてるせいで、下ろすに下ろせない状況だったんだが……。 よくもまぁ、この状況で寝てられるもんだ。 「仕方ないわよ。その子にとって、こんな状況が当たり前だったのだから」 「え……?」 ……今、何て言った? 『この状況が当たり前』? この、今にも戦いが始まりそうな険悪な雰囲気が? 「……どういう、意味ですか?」 「……そうね、いい加減その説明もしないといけないし……」 そう言うと八雲さんは、今にもスペルカードとやらを発動させようとしている3人に向かって―――― ――――スキマから、大量の水を浴びせた。 「って八雲さん何してくれやがりますか?! 俺の家が水浸しに……!」 「心配しなくてもいいわよ、ほら」 「……って、あれ? そんなに濡れてない……?」 「床に到達する前にスキマを開けて別の場所に飛ばしたわ」 「は、はぁ……」 ……何て言うか、反則な能力だよな……。 「ふぅ……それで3人とも、頭は冷えたかしら?」 「……まぁ、頭は冷えたけど」 「元はと言えば……」 「紫様が原因なのですが……」 「…………まぁ、それはともかくとして」 うわーい見事にスルーしたよこの人。 「霊夢も魔理沙も。さっきのは冗談よ?」 「あー…………まぁ、そうだよな」 「…………よく考えてみれば、時間が合わないものね」 そう。実際、俺がこっちに来てからまだ半年も経っていない。 まぁ、妖怪と人間じゃそういう部分で違うかもしれないから、当てにはならないかもしれないけど。 だけど、霊夢がそう言う以上は、きっとそれほど変わらないんだろう。 「……すまない、私もついカッとなってしまった」 「別に、いいわよ……私達も随分と熱くなってたし」 「藍さんすみません、俺のせいで……」 「いや……私が自制できていればよかっただけの話だ」 「そうよねぇ、藍ってば堪え性が無くて困りますわ」 「「あんた(お前)のせいでしょ(だろ)」」 はぁ……朝から、疲れた……。 「さて、改めて……この子について聞かせてもらおうかしら」 「と言うか、○○はどこでこいつを拾ってきたんだ? ……まさか、誘拐か?」 「んなわけないだろ!! 村からの帰り道で、森の入り口部分……のちょっと脇にそれたトコ? そこに……まぁ、捨てられてたんだ」 「ふ~ん。よく無事だったわね?」 「あの森、昼でも妖怪出るからな」 まったくだ。いつ捨てられたのかは分からないが、よく無事だったもんだ。 「こいつの周辺しか見てないが、見た限りじゃ親の影も形も無かった。 もちろん、食われた跡も」 「ってことは、こいつの親が囮になって逃げたってことか?」 「多分、そうだと「残念、外れよ」……八雲さん?」 「何よ、この子のこと知ってるの、紫?」 そう……そういえばさっき、この子のことを知ってるような事を言ってた……。 「この子はね……○○と、同じ世界の子よ」 「え?」 「しかも、人間と妖怪の混血児」 「えぇ!?」 俺のいた世界に……妖怪が? 「何を考えてるのかは予想がつくが…………幻想卿にも人間がいるんだ。 お前の世界に妖怪がいても不思議ではないだろう?」 「それは……まぁ、そうですけど」 だけど、文明と科学が発達したあの世界に妖怪が、なんて……信じられない。 だって、彼らは自然と共にあるとばかり……。 「確かにあなたの世界に自然は少ないけれど、無いというわけではないのよ?」 「……なんで考えてることが分かるんですか?」 「うふふふふ……」 いや、うふふふふ、じゃなくて……。まぁ、いいや……。 「……そろそろ話を元に戻してほしいんだけど?」 「あぁ、悪い。八雲さん、続きをお願いします」 「私が会ったのはその子の母親だったのだけど……父親が人間だったらしいわ。 子どもが生まれるまでは普通だったのだけれど、その子が生まれて…… 日毎に増していく妖力……周囲はそれを恐れたんでしょうね」 「相手は赤子。いつその力が暴走するか分からない」 「なら今のうちに……ってところか?」 「そんな……」 酷ぇ……こいつは何も悪くないのに……。 「……仕方ないわよ、○○。人は異端を恐れるものなの。 それは、本能からくるもの。簡単には割り切れないわ」 「霊夢……」 「…………それで、その子の両親は逃げ出した。その子を連れて。 だけど追いつかれて……父親が囮になって……多分、殺されたらしいわ」 「…………」 「母親の方も、何日も逃げ続けて……とうとう、追いつかれたそうよ。 それで、子どもを隠して……今度は自分が囮になって逃げた」 「……で、そのときにこっちの世界に迷い込んだ、ってわけか?」 「えぇ。奇跡的に、二人とも。もっとも、迷い込んだ位置が別々だったから、出てくる場所も別々だったけど」 「あの、八雲さん」 「何かしら?」 「……こいつの、母親は……」 「私に全て話して、そのまま」 …………ってことは、やっぱこいつ……孤児になっちまったのか……。 「本来なら別にその子を助ける義理も義務も無いのだが……」 「あら、藍ってば冷たいわね」 「このとおり、紫様が興味を示してしまわれてな」 「で、俺のところに来た、ってわけですか?」 「あぁ」 はぁ……何と言うか……重たい、な。 「本当なら昨日来てもよかったのだけど……」 「だけど?」 「今日にした方が面白そうだったから♪」 「……紫、あんたね……」 一気に脱力した。まったく、この人は……真面目な空気を保ってられないのか? 「それで、どうする気なの?」 「どうするって?」 「その子のことよ。引き取りに来たんじゃないの?」 「うーん、そうねぇ……」 「言っておきますが、ウチに赤子を養う余裕はありませんよ」 「って藍は言ってるのよ」 まぁ、3人暮らしだしなぁ……たまに大食いの人が遊びに行ってるみたいだし。 ……今度遊びに行くときは食料持参で行こうかな……。 「ならどうするの? 里に預けるわけにはいかないでしょ?」 「そうだな、こいつが追われてた理由を考えるとそういうわけにはいかないぜ」 「そうねぇ……なら、○○に預かってもらうわ」 「……は?」 いきなり何を言い出すかなこの人は。俺が預かる? いや、既に一晩預かってるけど……。 「……一応、理由を聞いても?」 「拾ったからには責任を持ちなさい」 「って簡単すぎますよ!! 犬か猫じゃないんですから!!」 「というのは半分冗談」 半分ですか。いやまぁ、確かに拾った手前他人任せにするのはアレだと思うけど。 「理由は分からないんだけど、あなたと一緒にいると、その子の妖力が安定するみたいなのよ」 「は? どういうことですか?」 「推測でしかないのだけれど……その子の両親は、あなたの世界の存在。 その子自身もあなたの世界で生まれた。だから、こっちに来たときに一瞬妖力が乱れたのだけど、 あなたが拾ってからはその妖力が安定してるのよ。 おそらく、無意識にあなたが向こうの世界の存在だと分かってるんでしょうね」 「あー……自分の知ってる雰囲気に安心してるってこと?」 「簡単に言えばそうね」 ……だからか? いつまでも服を握り締めた離さないのは。 「ってわけで、○○、よろしくね♪」 「はぁ……まぁ、それはいいんですけど…………俺にしても、こいつを養う余裕無いですよ?」 それに、俺にだって里の手伝いとか仕事あるし。 「あ、あのさ、○○」 「ん? どした、魔理沙」 「あー、その、だな……」 何だ? 魔理沙が言いよどむなんて、珍しいな。 「その……お前がよければ、だが……私の家に来てもいいぜ?」 「は?」 「なっ!?」 「あら♪」 思わず声を上げてしまう。上から俺、霊夢、八雲さんの順だ。 「いきなりどうしたんだ?」 「あー、ほら、私の家ならいろいろあるし……食べるのも困らないぜ?」 「ダメ! 絶対ダメ!!」 「れ、霊夢?」 何だ? 何で霊夢が反対するんだ? 「別に霊夢には関係ないぜ。これは私と○○の問題だ」 「あんたに任せたらその子がどうなるか分かったもんじゃないわ」 ……確かに、魔理沙の家っていい具合にカオスになってるからなぁ……。 衛生上悪いかもしれないな……。 「その……だから、もしあれなら……私のところ、来る?」 「へ?」 「はぁっ!?」 「あらあら♪」 先ほどと同じ現象が……今度は霊夢に代わって魔理沙だったけど。 「霊夢に子守ができるとは思わないぜ!」 「その台詞そっくりそのまま返すわよ!」 「残念だな! 私は意外と子どもに懐かれやすいんだぜ!!」 「思考が同レベルだしね!!」 「…………オーケー、表に出ろ霊夢。私の方が器量良しってことを思い知らせてやる」 「上等よ……あんたなんか私の足元にも及ばないってことを教えてあげるわ……」 ってちょっと待て!? 「ちょ、二人とも落ち着け! なんでいきなり決闘みたいなことになってるんだ?!」 「うふふふふふ……♪」 「はぁ……」 「○○……」 「あんたは……」 「「黙ってなさい(黙ってろ)!!」」 本日の騒動は、まだ終わらない。 うpろだ250・261・349 ───────────────────────────────────────────────────────────
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名称:(必殺)【修羅】ヒョウの妖精 レアリティ:☆3 属性 火 一覧番号 1639 入手先 入手先1:入手先2:入手先3: レベル HP 攻撃力 治癒力 コスト 売却価格 ??? 進化必要素材 進化先 必殺技:双背逆葬 必要ターン数 24(14) 効果(Lv1) 発動したターン、100%の確率で敵の攻撃を無効化する。無効化した時、反撃を行う。 効果(Max) 2ターンの間、100%の確率で敵の攻撃を無効化する。無効化した時、反撃を行う。 リーダースキル:
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神無月の巫女 エロ総合投下もの 修羅場と嫉妬   「いつもありがとう」 学園帰りの放課後、病院前の光景に唇を噛み苛立ちを見せる千歌音 今日は生徒会の仕事や弓道部が早く終わったので姫子を探していた、といっても姫子に声をかけるわけにはいかない 千歌音は容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群という目をつけどころのないお嬢様 学園内では宮様と呼ばれるほどのアイドル、姫子に簡単に声をかけると姫子が女生徒から確実に嫉妬の目で見られる、それだけは避けたかった そういうわけで後を着けた姫子がいつものように近くの病院に入るのを目撃して後を追った 毎日・・・毎日だ、早乙女真琴を看病する姫子を見る、病室前で2人の声に耳を傾けた 早乙女真琴は松葉杖片手に頭に軽く包帯を巻いている、その姿が妙に可愛く思えてしまう 「わ・・・私の責任だから」そう言うと顔を暗くする 「ううん、もういいんだ・・・もういい」 その光景を見ているだけで苛立ちを明らかに覚えるのが千歌音には分かった 「それじゃあ・・・そろそろ行くね」 病室から立ち去ろうとする「あ・・・姫子、いつものおまじない」 その一言で病室の影に隠れた私は拳を握り締めた いつものように姫子がベッドに腰を掛けているマコトに顔を近づけると姫子の頬に軽くマコトが唇を触れる 「あ・・・姫子、もう一度いい?」 「え・・・う・・・うん」 姫子が目を軽く閉じると一瞬の出来事が起きた、マコトが姫子の頬ではなく唇に自分の唇を軽く触れるた、姫子が気がついた頃にはもうマコトはベッドにいた 「え・・・マコちゃん!?」唇を慌てたように手で押さえた姫子が頬を真っ赤に染める 「ご・・・ごめんね・・・間違えちゃった・・・あはは・・・私何考えてんだろ」 2人が病室で触れ合っていた一方、病室の影で女の子同士の接吻を目撃した千歌音の怒りの形相が渦巻いていた 私の大事な陽の巫女・・・いえ、私の大事な姫子の唇が他の女に奪われた・・・・・・!!! まるで見せ付けられた格好で腹立たしくなる ファーストキスの相手が私だなんて覚えてないだろう・・・そう、姫子にあの時私はキスした、でも・・・姫子にとってみればこれがファーストキス・・・ 外から病室の様子を伺っていた私はその場を離れ病院を後にすると姫宮邸にすぐさま戻る 「お嬢様、お帰りなさいませ」と乙羽に迎えられるが一言話すと部屋に篭った 気分を紛らすようにピアノを弾きまくった、邸全体に響き渡るほどに弾いた・・・! 乙羽が訪ねてきたのは数分後だった「失礼します、お嬢様・・・来栖川様がお戻りになられました」 「そう・・・分かったわ」 色んな思いがよぎったが乙羽や使用人の前で恥を晒すわけにはいかないだろう 私は心を落ち着かせると優しく微笑み姫子に駆け寄ると声を掛けた 「来栖川さん、お帰りなさい」 「千歌音ちゃん・・・ただいま」 姫子はいまの私の気持ちなど察してはいないだろう、どんなに気を紛らそうとしてもあの行為がどうしても頭をよぎる 早乙女真琴がふいと姫子の唇を奪った行為・・・考えただけでもおぞましいばかりの憎悪が湧いてくる・・・ 「来栖川様お着替えになられては?」 乙羽の言葉を私は止めた「来栖川さん、いまから大事な話があるから私の部屋にいらして」 「だ・・・大事な話?」 姫子が戸惑う、それを見た私は乙羽に目を向ける 「乙羽さん、2人だけでお話したいの、部屋に来るのを控えていただけないかしら?あと貴女に仕事を頼みたいのだけれど・・・」 「か・・・かしこまりました」 乙羽は千歌音を占領される嫉妬心からか不服そうだったが主人の言うことは絶対服従、意義を唱えることなどあってはならない 仕事内容を聞かされた乙羽は静かに目を閉じると千歌音に頭を下げた 「さ・・・来栖川さん遠慮することないわ、部屋にいらして」 天女のような優しい笑顔で姫子に微笑んだ、その表情に安心したのか姫子が自然と笑顔になる 「う・・・うん、それじゃあ・・・」 乙羽の横目を気にしない素振りでゆっくりと階段を上ってきた 「さ、来栖川さん・・・どうぞ」 「千歌音ちゃん・・・は、入るね」 姫子が部屋に入るのを見届けると静かにドアを閉める 2人になったのを改めて確認した千歌音は優しい宮様から一変し冷たい瞳の姫宮 千歌音になった 明らかな千歌音の変化に姫子が動揺する「ち・・・千歌音ちゃん・・・?あの・・・大事な話って?」 「姫子・・・今日いつもより遅かったけど・・・どこで何をしていたの?」 私は無表情のまま静かに告げた 「え・・・今日?」 「そう・・・どこで寄り道していたの?」 千歌音が冷たい瞳で見つめる もうその表情は先程の優しい宮様とは別人のようだった 「あ・・・あの、マコちゃんと」 「マコちゃん?」その名前に嫌悪感を示すが顔には出さない 「あのね、早乙女真琴さんって言うんだけど、私が寮生だった頃に同じ部屋でお世話になってた子なの」 「そうなの・・・」私の知らない姫子を知ってるのね・・・ 「マコちゃん千歌音ちゃんのこと憧れてるんだよ、宮様に凄く尊敬してるって・・・」 それについて特に驚くことはない、全生徒が私を慕ってることは知ってる 「話を誤魔化すのはやめなさい、それで?その早乙女さんがどうかしたの?」 「う・・・うん、マコちゃんね・・・私のせいで入院してるの、だから毎日お見舞いに行ってあげてるの、今日はいつもより長居しちゃって、千歌音ちゃん遅くなってごめんね」 「それだけじゃないでしょ・・・」 「え・・・?」明らかに姫子が戸惑う 私は力の篭った声で静かに呟いた 「早乙女さんと・・・キスしたこと・・・なんで黙ってるの?」 その言葉に姫子の表情が強張り凍りつくと慌てて唇に手を触れる 「千歌音ちゃんなんで・・・?どうしてそのこと知ってるの?そんなまさか・・・私のこと着けてたの・・・?ずっと見てたの?」 「私見てたのよ・・・生徒会の仕事が早く終わったのよ、だから姫子の後をこっそり着けたの・・・」 姫子が千歌音にずっと見られていることを想像し怯えた表情をする 「なんで・・・?なんで千歌音ちゃんそんなこと・・・」 姫子にぐいっと距離を詰めると腕を取り真正面から見下ろすと優しく微笑み呟いた 「姫子が心配だからに決まってるでしょ・・・」 「だ、だからって・・・!後を着けるな・・・んん・・・」 姫子の言葉を遮るように唇を乱暴気味に塞いだ 「ん・・・や・・・やだぁ!」 突然のキスに目を大きく開けると慌てて突き放す 「やめて・・・!はあ・・・千歌音ちゃんどうして・・・?」 「ふふ・・・姫子・・・貴女は誰にも渡さないわ・・・私のもの・・・それをいまから証明してあげる」 そう呟きながら妖しく微笑み再び姫子にゆっくりと距離を詰めた (怖い・・・なんだか今日の千歌音ちゃん怖い・・・こんなの私が知ってる千歌音ちゃんじゃない) 姫子は部屋を出ようとドアに向かった しかし普通に考えると姫子より千歌音が足は速い、簡単に追いつき掴まえると背後から抱き締めた 「あ・・・」 そのまま姫子を足から持ち上げる、姫子の体は軽い、千歌音には簡単に持ち上げられた 「きゃ!?やだやだ!やだよう!離して!」 暴れる姫子を抱えたままベッドに近づきそのまま放り込む 「あ・・・!千歌音ちゃんどうしたの?さっきから何を言ってるの?」 勢いそのまま姫子に覆いかぶさると両手で姫子の腕をがっちり押さえつけた 姫子が逃れようと必死に抵抗するが弓道で鍛え上げた千歌音と体が弱い姫子では腕の力の差は歴然だった 「ち・・・千歌音ちゃん・・・」 「ふふ・・・可愛いわよ、姫子・・・私の姫子」 「千歌音ちゃん変だよ、おかしいよ・・・いつもはあんなに優しいのに」 「そうかしら?私は私よ・・・」 今日も優しい宮様で姫子に接するつもりでいた、あのキスを目撃するまでは 姫子は苦悩した、いつも優しく微笑みかけてくれる千歌音ちゃん・・・ 何があっても私を護ってくれた・・・どんなときでも・・・ オロチが襲ってきたときでも真っ先に私を護って戦ってくれた アメノムラクモの儀式に失敗したときも、私が足を引っ張ったせいで失敗したのに千歌音ちゃんが庇ってくれて それなのに・・・今日の千歌音ちゃん変、なんだか怖い・・・だいたい女同士なのにこんな・・・ 「好き・・・好きよ姫子・・・」千歌音の呟く言葉が姫子の頭にぐさっと突き刺さる 抵抗しようにも千歌音の長い腕で両手をがっちり押さえつけられているため身動きが取れない 手に力を入れて必死に突き放そうとするがたんに千歌音の体が揺れるだけでびくともしない 「千歌音ちゃん・・・どうしてこんなこと・・・」 「どうして・・・?どうしてかしらね・・・姫子・・・早乙女さんとのキスの味を忘れさせてあげるわ」 静かにそう呟くと千歌音は瞬時に姫子の唇に自分のを重ね強く押し付けた 「ん・・・」 唇を完全に塞がれ満足に声を出すことができない その上両手をがっちり押さえつけられているため身動き1つ取れなかった これは夢だろうか? 姫子の親友であり憧れで月のように眩しく輝く綺麗な黒髪・・・成績優秀で運動神経抜群で絶世の美少女・・・宮様こと姫宮千歌音・・・ その千歌音に無理矢理唇を奪われている・・・姫子は現実を逃避したかった 女同士のキス・・・それは姫子が感じたことのないキスの味だった・・・同じ女でもマコトとは違う味がした・・・ 「ん・・・や!」 一度は隙を見て千歌音を突き放しキスから解放されるが ベッドから逃げようと考える暇すらなく千歌音の上体が覆いかぶる・・・ そして両手をがっちり押さえられしばらく見つめられると再び唇を塞がれた 「ん・・・・・・・!」 少し唇を離し妖しく微笑むと千歌音が呟く 「ふふ・・・姫子・・・姫子の唇・・・柔らかくて甘いわね・・・」 今度は足も絡まれる、もう姫子の体は完全に抑えつけられてしまった、もうびくともしない ふいだった・・・千歌音にぎゅっと唇を強く押し付けられていたがそのままゆっくりと姫子の口内に舌を入れてきた 「ん・・・・・・!!」 もう姫子の頭は混乱しもう抵抗する気力すら失っていた、もう私このまま千歌音ちゃんに・・・ そう思った時だった、千歌音が突然唇を解放すると姫子を押さえつけていた手足も外しベッドから降り乱れていた黒髪を直す 「ち・・・千歌音ちゃん・・・?」 「ごめんなさいね・・・怖かったかしら?」 そこには先程まで姫子を襲っていた千歌音とは別人のような優しい瞳をした千歌音がいた 何事もなかったかのように長い黒髪に手をやりながら静かに微笑んでいる   それはいつも姫子に優しくしてくれる千歌音そのものだった 「あ・・・あの千歌音ちゃん」 「ん・・・?どうしたの」 優しく微笑んでくれる、姫子がいつも慕っていた・・・ 「あら・・・そろそろ夕食の時間かしらね・・・」 時計を見た千歌音がそう告げる 「姫子、行きましょうか、そろそろ乙羽さんもお戻りになられる頃だわ」 「千歌音ちゃん・・・!うん!」 つい笑顔になる、先程までの光景が嘘のようだった・・・ すっかり元気を取り戻した姫子が部屋を出ようとする 「・・・・・・」 ふいに近づいた私は声をかけた 「姫子・・・」 「え?なに千歌音ちゃ・・・!」 振り向いた姫子を抱き寄せると戸惑う姫子の唇を強引に奪った 「ん・・・・・・!」 数条後・・・キスから姫子を解放すると一度突き放し姫子の頬を平手ではった 「きゃ・・・!」 あまりの痛さに勢いあまって姫子が倒れる、それを助け起こすと真っ赤になった頬を手で押さえた姫子に冷たく告げる 「姫子・・・もう・・・私を怒らせたらだめよ・・・今度私の前であんなことしたらお仕置きだけじゃ済まさないわ・・・!」 「千歌音ちゃん・・・」 私は姫子を鋭く睨みつけると部屋から突き放すように追い出した 「・・・・・・」 「・・・・・・」 千歌音と姫子は食事中まったくの無言だった 姫子は時より千歌音の様子を伺う 逆に千歌音は静かに目を閉じゆっくりと食事を口に運んでいるだけ 姫子に目を向けようともしない、姫子には分かる、いま千歌音はあまり機嫌がよろしくない ただ千歌音の隣に乙羽が立っており姫子の隣に使用人数人がいるのには少し心が和らぎほっとした もし2人だけなら姫子にとってこの状態は耐えられないだろう (今日の千歌音ちゃんなんだか凄く怖い・・・) 先程、千歌音に何度も無理矢理唇を奪われたこと、ベッドに押し倒されたこと、頬を強く叩かれたこと・・・ 姫子は全てを振り返り苦悩した、なんで・・・千歌音ちゃんなんであんなこと・・・ 目の前にいるのは乙橘学園の生徒の皆が憧れている美少女・・・その千歌音にあんなことをされた・・・ まだ先程はたかれた頬が少し痛む・・・ 鈍感な姫子には早乙女真琴とのことに対してなぜそこまで千歌音が怒っているのか理解できずにいた ふと姫子は思うつく、千歌音ちゃんに謝ろう・・・そうだ、謝らなきゃ・・・ 「あ・・・あの」 「ごちそうさま・・・」 姫子が考えていた間に千歌音は食事を済ませていた所だった ナフキンで口を丁寧に拭くと目を閉じゆっくりと手を合わせ立ち上がる 「え・・・?あの千歌音ちゃん?」 それに対して姫子の方はまったく箸が進まずにいた 千歌音がテーブルから立ち上がると姫子に目を移し食事が進んでないことに少し首を傾げる 「来栖川さん、箸が進んでないみたいだけど・・・どうかしたの?」 「え・・・ううん!なんでもないよ、美味しい・・・」 「そう・・・なら・・・ゆっくり食べるといいわ、私は部屋に戻るから」 「あ・・・私のことなら気にしないで千歌音ちゃん」 「それじゃ乙羽さん、来栖川さんのことおねがいするわ」 乙羽に丁寧な口調で伝えるとその場を去って行った 「あの・・・千歌音ちゃん?少しいい?」 部屋で想いにふけっていた所に姫子が訪ねてくる 「なにかしら?」 「あの・・・あのね?」 鏡の前で・・・乙橘学園全生徒が憧れる黒長い髪を整えると姫子の下までやってくる 「姫子・・・黙ってちゃ分からないわ、ゆっくりと話して」 「あのね・・・マコちゃんとのことなんだけど・・・あれは違うの・・・あれはマコちゃんから急に・・・!」 「そう・・・で、それを私に話してどうするつもりなのかしら?」 驚くかずに冷静に聞いてきた千歌音に少し戸惑う 「だ・・・だから、そのことで千歌音が怒ってるのなら謝ろうかなって・・・」 それまで無表情だった千歌音の顔が優しく微笑む 姫子に近寄ると優しく抱き締めた「いいわ・・・信じてあげる」 「それよりさっきは叩いたりしてごめんなさい、痛かったかしら・・・?」 「え・・・?あ、ううん!もう痛くなんてないよ」 と頬をさすって笑う姫子、その表情が物凄く可愛い 「姫子・・・さっきはびっくりしたでしょ・・・?」 そう・・・千歌音はこの部屋で姫子に対して自分がした行為について言っているのだった 「私が姫子を好きってのは友達とかじゃなくて・・・ああいうことなのよ・・・」 「千歌音ちゃん・・・」 「軽蔑したかしら?女同士で気持ち悪いって思うでしょ・・・?でも姫子を想う気持ちはほんとなの、それだけは分かってほしいの・・・」 「・・・・・・」姫子はもうどう言えばいいか戸惑っていて口には出せずにいた あの宮様が・・・私に対して愛の言葉を囁いている・・・それは信じられないことだった 「姫子・・・今日のことは全て忘れて、またいつも通り・・・今まで通りの関係でいましょう・・・」 その言葉は偽りだった、本当ならいますぐにでも姫子を押し倒し抱きたい、姫子の服を力ずくで引き裂き強引に犯したい・・・ 「うん・・・そうだね」 でもそこまでするともう完全に終わってしまう気がする・・・私は気持ちを完全に抑えた 私は月の巫女、姫子は陽の巫女・・・私達にはやらなければならない使命がある 私達は一心同体でなければならない・・・心も体も・・・でも私の想いはそれ以上・・・ 運命なんて塗り替えたいものだ・・・前世のことなんてもうどうでもいいじゃない、そうよね姫子・・・ ただ、いまの状態の姫子だとアメノムラクモ復活の儀式には厳しいだろう・・・なんとかしないと そんな思いにふけながらも私は姫子を優しく送り出すと入浴するように進んだのだった そして長い長い色んなことがあった1日が終わった   翌日の放課後、乙橘学園が終わり姫子はいつも通りに早乙女真琴のいる病院に向かった あの事故でマコトを傷つけたのは私のせい・・・だからこうして毎日お見舞いに行ってる それにマコトとこうして毎日話していると楽しい嫌なことを何もかも忘れそうで・・・ オロチのこととか巫女のこととか運命や使命のこととか・・・ 学園内では千歌音から監視されているかのように何度も見られていて気になったが 千歌音とはできるだけ視線を合わせないようにしてきたつもりだ そもそも学園内では赤の他人で接している、学園内では千歌音のことは普通に宮様と呼んでいる 他の生徒から白い目で見られないためだ、学園内で千歌音ちゃんなどと口にすると大変なことになるだろう・・・ 「昨日のようなことはないよね・・・」 昨日の出来事が頭をついよぎる・・・女友達であるマコトからの突然のキス・・・ 姫子にとってはそれだけでも衝撃だがあろうことかその現場を着けられていた千歌音に見られていた・・・ その後姫宮邸で当然のごとく千歌音に詰め寄られ責められるのだった、千歌音の嫉妬の怒りは相当なものであった 唇を何度も無理矢理奪われ、ベッドに押し倒され、頬を叩かれ・・・姫子にとっては恐怖の連続だった そして深夜、姫子が千歌音の部屋を出る寸前に言われた一言 「姫子・・・これだけは覚えておいてね・・・姫子の唇、姫子の心と体・・・貴女の全ては私のものよ・・・誰にも・・・誰にも渡さないわ」 その言葉が今日も残っていた、まるで束縛されてるみたいで嫌な気分になる・・・ 千歌音のことは大好き、それだけは確か、月の巫女と陽の巫女という関係だけではなく大切なお友達 ほんとに乙橘学園で出会ってから心身ともに大切にしてもらってるしまるで我が身のように気遣ってくれてる、姫子も千歌音のことが大好きだ 千歌音は大変なお立場なのに・・・姫子にとってはこの世で一番の友達、でも最近千歌音が怖く感じるのだ・・・いつも監視されてるような・・・ 姫子は気分を取り直すように病院に向かった「あ・・・ち・・・千歌音ちゃん?」 姫子の行く先に千歌音が冷たい表情で立っている、その表情は明らかに怒っている 昼間の優しい宮様とは完全に別人だ・・・昨日のあの怖い千歌音だった 「姫子・・・どこに行くつもりなの?」 「え・・・?あ、あの・・・マコちゃんのお見舞いに行こうかなって・・・」 千歌音がずしりと近づいて来ると乱暴気味に姫子の腕を掴む 「姫子、帰るわよ」 「え・・・千歌音ちゃん?生徒会のお仕事は?」 「途中で抜け出して来たわ、いいから帰るわよ!」 「え・・・?や!ちょっと千歌音ちゃん!?」 抵抗気味の姫子を強引気味に姫宮邸に連れ帰った 「や!やだ!やだよう!離して!離してよ千歌音ちゃん!」 「駄目よ、絶対に離さないわ」 姫宮邸に帰る途中、逃げようと必死にもがく姫子の腕を私は決して離なかった はっきり姫子を引っ張った状態のまま姫宮邸まで登るのは苦労した つい自分の大きな胸や長い黒髪が邪魔に覚えてしまう・・・やっぱり女なのね私・・・ 姫宮邸に入り真っ直ぐに姫子の部屋まで連れて行く 途中で使用人に「お嬢様・・・お帰りなさいませ!・・・あの・・・そんなに息を乱されてどうなされました?」 と激しく息を乱した2人の状態に呆気に取られ聞かれてしまった 「はあ・・・はあ・・・突然どうしたの千歌音ちゃん!?」 体の弱い姫子はまだ少し息が上がっているようだった 「姫子・・・貴女のプライベートについてとやかく言うつもりはないのだけれど・・・今日も早乙女さんにお会いになるつもりだったの?」 「え・・・うん、マコちゃんがああなったのは私の責任だから・・・毎日お見舞いに行ってあげてるの、それにマコちゃん寮にいた頃からよくしてくれてる友達だから」 姫子が言ってるのは初めてこの村のオロチが攻めてきたときのことだろう・・・姫子はほんと友達思いなのね・・・ 私には友達なんて存在しないから分からないのだけれど・・・ 「そう・・・でも友達にキスなんかされるかしら・・・?」 その言葉に姫子が慌てふためく「だ、だからあれは違うの!マコちゃんほんの冗談のつもりだったんだと思う・・・」 冗談・・・?冗談ですって・・・!!!冗談ですまされるはずはない・・・あの子は・・・早乙女さんは私の大事な姫子の唇を奪った!それだけは事実なのよ・・・! あまりの怒りに私の中のオロチが目覚める・・・なんてことは当然なかったけれど私の中で嫉妬の憎悪が渦巻いていたことは確かだった 「だいたい女の子同士だし・・・冗談でなきゃおかしいよ・・・」 「あら・・・おかしくなんかないわ・・・私と姫子は昨日私の部屋でキスしたわよ?それも何度も・・・私・・・姫子の唇の味今でもはっきり覚えてるもの・・・」 そう言うと私は舌で口を嘗め回す、昨日の姫子の唇の味をまるで思い出すかのように 千歌音の言葉に昨日の光景を思い出した姫子が顔を真っ赤に染めると必死に首を振り否定した 「あ!あれは千歌音ちゃんが無理矢理!」 「そうね・・・でも私と姫子がキスしたことには変わりないでしょ・・・?」 「そ・・・それはそうだけど・・・」 姫子のスカートが少し捲れ生足が少し見えている・・・それに気付いた私は・・・食い入るようにじっと目で追っていた・・・ 「・・・・・・!」私の視線に気付いた姫子が慌ててスカートを隠す・・・ 姫子の下半身から目を逸らすと乙橘学園全校生徒が憧れる黒い長髪に軽く触れながら千歌音は告げた 「そうよ・・・たとえばこんなふうに・・・」 姫子に自然と顔を近づける・・・しかし唇が重ねられる寸前、姫子が突然嫌がり距離を離すとはっきり拒絶した 「千歌音ちゃんやめて・・・!いまそんな気分じゃないよ・・・」 「そう・・・ごめんなさい、あ・・・私一度学園に帰らないといけないのよ・・・」 そうだった、私・・・生徒会の仕事をそのままにして姫子を追っていたのだった、それに弓道部にも顔出さないといけないし 「うん、千歌音ちゃん私なんかと違って大変が立場なんだもん・・・仕方ないよ」 「それじゃあ行ってくるけれど・・・邸内のものは姫子が好きに使っていいから・・・なにかあったら乙羽さんに言ってね」 「で・・・でもいいのかな、私なんて居候の身分だし、千歌音ちゃんがいないのに1人だけここにいるなんて図々しくないかな?」 姫子の顔が沈む・・・そんなことを気にしてるなんてバカな子・・・ 姫子を優しく抱き締めると微笑みながら呟いた 「姫子ってほんと優しいのね・・・そんなこと気にする必要なんてないわ、ごゆっくりなさい」 「あ・・・あの乙羽さん」 外出したいと乙羽に申し出る、いまは千歌音が邸にいない 病院にいるマコトに会いに行きたい、いま彼女は姫子が来ないので不安になってるかもしれない 「申し訳ありませんが・・・お嬢様から来栖川様は邸から出さないようにきつく言われておりますので」 乙羽は目を閉じると頭を下げ申し訳なさそうにしていた 「え・・・?千歌音ちゃんが・・・?」 「お気持ちは充分分かりますが邸内に留まりますようお願いします、来栖川様を外出させた場合お嬢様からお叱りを受けるのは私ですので・・・」 でも実際は乙羽以上にお叱りを受けるのは姫子だろう。。。。あんなに優しい千歌音が乙羽にそこまできつく言うとは思えない でも・・・千歌音が怒ると怖いのはあの日お仕置きを受けた姫子が一番分かっている 特に姫子のことになると千歌音はいつもの清楚なお嬢様から完全に豹変する・・・ 「そうですか・・・分かりました」 はあ・・・仕方ないかな、私なんて居候の身分だもん、乙羽さんに意見なんて言える立場じゃないよ、それに千歌音ちゃんはこのお邸で一番偉いし・・・ 私は大人しく部屋に戻ることにした 「はあ・・・」1人部屋のベッドの中で大きなため息をつく、千歌音ちゃんなんであんなことしたんだろう・・・ 昨日のことを思い出すと自然と唇に手をやる、何度もキスをされた、ベッドに押し倒され力ずくで無理矢理唇を奪われた ああなったら非力な姫子には抵抗しようとしても逃れることはできない力はない。。。。 武術にも長けてる千歌音に体が弱い姫子ではされるがままになるのは自然だろう 怖い・・・怖いよ・・・昨日の千歌音ちゃん怖かったよ・・・千歌音ちゃん・・・ もしあのまま続けていたら・・・私完全に千歌音ちゃんに体を奪われていたよね 「千歌音ちゃんどうしちゃったのかな・・・」 「姫子・・・私がどうかしたの?」 「え!千歌音ちゃん!?」 突然千歌音の声が聞こえたものだから心臓が止まりそうになる 黒長い髪で清楚で学園のアイドルでもあるこの世のものとは思いえないほどの美少女はベッドの隣で微笑み姫子を見守っていた 実は姫子が思いにふけっていた頃にはもう千歌音は姫宮邸に戻ってきていたのだった 確かに長い時間ぼうっとしていた気はするけど・・・こんなに早く戻ってくるなんて思いもしなかった 「あら・・・少し驚かせてしまったかしら?」 千歌音が微笑みかけてくる 「だ、だって!突然声かけてくるんだもん!私びっくりしちゃった」 「そう・・・ごめんなさいね」 「ううん、そんな、別にいいんだけどね・・・」 「私ね・・・姫子に聞きたいことあるんだけど」 「な、なにかな?」 「昨日の早乙女さんとのキスの味教えて・・・早乙女さんの唇・・・どんな味がしたの?」 その言葉に姫子はベッドから飛び起きた 「キスの味・・・・・・?そ、そんなこと言えないよ!!それにマコちゃんとのことはほんと一瞬の出来事だったし・・・」 「いいから教えて頂戴、あの時のこと聞きたいのよ・・・」 姫子が顔を朱に染めると観念したかのように丸くり思い出すと小さく呟いた 「そ、そんなにはっきり覚えてないんだけどね!・・・れ・・・レモンのようなすっぱい味・・・」 「そう・・・」 いまでも覚えているの・・・まだ早乙女さんとのキスの味が忘れられないみたいね 「なら・・・なら私とは?私とのキスの味はどんな感じだった?」 突然の問いに姫子は戸惑った・・・ええ!?あれは・・・ 「千歌音ちゃん!?だ、だってあれは・・・無理矢理気味だったしあまり覚えてないかな~」 姫子が思い出しながら言う、千歌音はその言葉を聞いて目を静かに閉じ少し考えると、鋭い形相で顔を明けると姫子を威嚇するように睨みつけた 宮様からこの目で威嚇された女生徒は完全に怯えて誰も逆らえない(といってもこの表情はイズミと姫子とオロチ相手にしか見せたことはないが) 「・・・・・・!!」(こ、怖い・・・怖いよ千歌音ちゃん) 「そう・・・つまり姫子にとっては私より早乙女さん・・・あの小娘とのキスのほうが姫子にとっては大事ってことなのかしら・・・!」   千歌音がずいっと迫ってきたので恐怖で怯えた姫子は慌てて後退した 「な!?ちょ!ちょっと違うってば千歌音ちゃん!」 「私とのキスを忘れたのなら思い出させてあげるわ・・・!早乙女真琴のことを忘れさせるくたいにね!」 ち・・・千歌音ちゃん・・・ 逃げるように後退する姫子 しかし距離を詰め迫り来る千歌音の方が動きは速かった 口を大きく明けた千歌音は姫子の言葉を遮るように・・・ いや、姫子の口に唇を無理矢理重ねまるでそれを食べるように大きく押し付けた 「・・・ん!嫌ぁ!」 大きく目を明けた姫子は慌てて突き放し千歌音の唇から一瞬逃れようとする しかし千歌音は姫子の唇を・・・まるで獲物を逃がさないように完全に素早く捕まえると、両腕で姫子の体全体を抱き締め再び強引気味に唇を塞いだ まるで食後のデザートを楽しむかのように目を閉じながら姫子の唇の感触を楽しむ (ふふ・・・姫子の唇・・・何度吸っても柔らかくて甘いわ・・・ほんととても美味くてよ姫子) 一方、千歌音に唇を完全に塞がれているために声を出せないでいる姫子 それでなくとも姫子の小さな体全体を、弓道で鍛えられた千歌音の長い両腕でがっちり固められているため身動き1つできないでいた そのまま身動き取れない姫子を床に押し倒す (姫子・・・貴女の処女・・・今日で終わりね、姫子の初体験の相手は私よ・・・ 姫子が他の誰かのものになるなんて耐えられないわ!) 「ん・・・・・・」 叫ぼうにも唇を塞がれているため声が出せない 足をばたばたとするが千歌音の体はびくともしなかった (姫子・・・これからは大人のキスよ、もう普通のキスでは満足できないわ) 姫子は口内に生暖かいものが・・・千歌音の舌が入ってくるのを感じた そのまま姫子の口内を容赦なく嘗め回す 「んん・・・・・・!」 口の中でそれか絡んできた 姫子はもういま何が起きているのか把握できていなかった つい千歌音が口の中の位置を変えようと腕の力を抜いたときだった 「ん・・・嫌ぁ!!!」 油断した千歌音を突き倒す 千歌音が床に転んでいる隙を付き立ち上がると千歌音の唾液でべたべたになった唇を何度も手で拭った 「く・・・!姫子!」 部屋の奥まで逃げようと走り出すが千歌音に簡単に追いつかれてしまう 姫子の腕を優しく掴む 「や!・・・離して!・・・うう」 部屋の壁に追い詰め両腕で姫子の体を押さえつけると私は微笑んだ 「もう逃げられないわよ・・・姫子」 「やめて!千歌音ちゃんなんでこんなこと!こんなことするの!?」 「姫子、言ったでしょ?貴女の全てが好きなのよ・・・他の子に貴女が汚されるなんて耐えられない・・・!貴女を手に入れるためなら私・・・何でもするわよ、だから静かに・・・してね?」 姫子の首筋に軽くキスし姫子の香りを何度も嗅いだ、早乙女さんにはこの温もり渡さないわ・・・絶対に! もうやだ・・・あ・・・あれ? 「あの・・・千歌音ちゃん、私・・・」 「何かしら・・・どうかしたの?」 姫子の体を少し引き離すと静かに問う 「千歌音ちゃん、私・・・トイレに」 「ふふ・・・ムードのない子ね・・・姫子は」 はっと私は考えた 「そ・・・それじゃあ千歌音ちゃん私行ってくるね」 私の体は自然と動いていた、部屋を出ようとした姫子の腕を捕まえ背後から優しく抱き締めた 「きゃ!ち、千歌音ちゃん!?」 「駄目・・・行っちゃ駄目よ姫子・・・」 「や!やだ!やだ!ちょっと!何するの千歌音ちゃん!?」 暴れる姫子を床に押し倒しす 「千歌音ちゃん!離して!私早くいかないと!」 千歌音をどかそうと両手で引き離そうとするが姫子の細い腕は力が弱く千歌音の体はびくりともしない、 「あら・・・そうやって姫子・・・私から逃げようとしてるんじゃないかしら?」 「ち!違うよ!ほんとだってば!」 姫子の下半身がばたばたしている・・・どうやら本当みたいね・・・ 「そう・・・ならここでなさい・・・」 姫子は耳を疑った「え・・・?ここで!?」 「ええ・・・そうよ、ここで・・・ここで用を足しなさい、私が見ててあげるわ」 姫子の顔から血の気が引いた・・・そんな、千歌音ちゃんの口からそんな言葉が飛び出すなんて・・・ 「な・・・!千歌音ちゃん・・・自分が何言ってるか分かってるの!?」 ええ・・・分かってるわよ姫子・・・私は妖しく微笑んだ 目の前にいる黒髪の美少女、姫宮千歌音の言葉に対して姫子は・・・この人は気が狂ったのかと思った 千歌音はいま自分が何を言ってるのか分かってるのだろうか? ここで・・・姫子の部屋で・・・下着を着たまま用を足せと言っているのだ 「どれくらい出そう?」 その言葉に姫子は恥で頬を赤く染め消え去りそうなくらい小さな声を放った 「え・・・?えと、その・・・す・・・少しだけ・・・」 「そう、よかった・・・着替えは使用人に用意させるから心配ないわ、さあ・・・姫子・・・出して?」 姫子は耳を何度も疑った、あの学園のアイドルである宮様の口から出た言葉とはとれも思えない 「千歌音ちゃん本気で言ってるの!?」 「なにを言ってるのかしら?私は本気よ・・・」 「そんな・・・千歌音ちゃんは皆から宮様って慕われていて、綺麗で清楚な千歌音ちゃんに私も憧れてるのに・・・こんなっ!」 必死に声を出して叫んでいる姫子に目を静かに目を閉じると冷たく告げた 「それは・・・外から見た私でしょ?」 「・・・・・・」 「さ・・・もうそろそろ我慢できないんじゃないかしら?私が見ていてあげるから・・・姫子」 「で・・・でも!私出来ない!」 「あら・・・それなら私の腕をどかして行けばいいわ・・・姫子に出来るかしら?それにこの部屋を例え出れたとしても・・・それとも乙羽さんの前で・・・」 姫子はいまの状況を確認してみた、千歌音の長い両腕で体全体をがっちり押さえつけられている、女同士といっても姫子と千歌音の腕の力は歴然の差だろう、つまりは・・・ まず脱出不可能だよね・・・千歌音ちゃん・・・うう・・・考えているうちにも苦しくなってきたよ・・・うう~ 「うう・・・私もう最近の千歌音ちゃんの考え理解できないよ・・・」 小さくため息をついた姫子はその場所に力を入れた 「さ、見ててあげるわ・・・姫子の・・・見せてね・・・」 姫子の制服のスカートを捲っている千歌音の声が聞こえた ポタ・・・ポタっと音がすると同時に・・・姫子の下着が青く染まっていくのが千歌音の目にはしっかり見えていた うう・・・なんでこんなことに・・・目に微かに涙を滲ませながら姫子は用を足して行く 千歌音ちゃん軽蔑してるよね・・・上を見上げた姫子の目に映っていたのは・・・ 姫子のそれを見ながら微笑む・・・まるで我が子に対する千歌音の瞳だった 「あっ・・・・ああ!」 ああ・・・気持ち悪いや・・・下着が肌がぬるぬると塗れて行くのを感じる・・・暫くするとそれは止まった 「もう・・・終わりかしら?」 「う・・・うん」 「そう・・・」 千歌音が姫子に下半身を見下ろすと下着に顔を近づけ瞳を閉じそれを感じていた 「な・・・何をしてるの千歌音ちゃん?」 「姫子の・・・それの・・・匂いを嗅いでるの・・・」 微笑み嫣然と言う千歌音に姫子は血の気が引く思いだった 「や・・・やだ!やめて!」 「いい香りね・・・」 現実を逃避したかった、信じがたい光景だった あの宮様が姫子が足した用の匂いを嗅いでいる それもまるで楽しんでるかのように 姫子はその行為を直視できないでいた 外から見た宮様との別の一面とはこのことだろうか、それにしてもこれはさすがに・・・ 「千歌音ちゃん汚いからもうやめて!私恥ずかしいよ!」 千歌音はその言葉に反応するかのように捲り上げていた姫子のスカートを直すと顔を上げた 「そう・・・?姫子がそう言うなら分かったわ」 もう私は姫子のものならなんでも欲しいの・・・だって私、もう貴女しか見えないもの・・・好きよ姫子、貴女はほんとに可愛くてよ?私の大事な姫子・・・ 「うう・・・千歌音ちゃん、私下着着替えてもいいかな?出来ればシャワーも浴びたいんだけど・・・」 「そう・・・なんなら私が洗ってあげてもいいわよ?」 千歌音はまるで姫子を子供扱いだ 千歌音から体を洗ってもらう・・・当然千歌音も全裸の状態で・・・想像しただけで顔が真っ赤に染まった 「な・・・!いいよ!いい!いいです!自分でそれくらいできます~!」 「そう?それは残念ね・・・」 シャワーを浴び下着も使用人に用意してもらいすっきりした表情の姫子は自分の部屋で思いにふけった ベッドの横にゆっくりと座る うーん・・・今日はもうマコちゃんに会えないのかな・・・ ほんと最近の千歌音ちゃんなんだか凄く怖い・・・ 「あら・・・すっきりしたみたいね・・・可愛いわよ姫子」 「あ、千歌音ちゃん」 千歌音が様子を見に入ってくる、その表情は優しい千歌音だった そう・・・それはまさしく皆がいう宮様だった 姫子の側まで近寄ると優しく抱き締めた 「あ・・・千歌音ちゃん・・・」 「好き、好きよ姫子・・・」 「え・・・?あ・・・あの・・・」 千歌音に好きと言われ顔を赤く染めた さっきも言われた言葉だがこう真っ直ぐに好きと言われると照れてしまう うーん・・・どうしよう・・・姫子が言葉に戸惑っていたときだった、ノックが聞こえたのは 「来栖川様、乙羽ですが失礼します」 姫子とのひと時を邪魔された、ドアの方向を睨んだが・・・千歌音は心を少し落ち着かせると主人の顔になり応答した 「乙羽さん?なにかしら?」 「え・・・?お嬢様!?こちらにいらしたんですか!?」 「ええ、来栖川さんの気分が悪いようなので付き添ってたのけれど・・・」 乙羽は腹が立った(きーーーー!!!お嬢様に少し可愛がられてるからって!どうせお嬢様を色仕掛けでたぶらかして部屋に上げてるんだわ・・・どこまでも図々しい小娘・・・私のお嬢様に・・・私のお嬢様に・・・!!! あの小娘の料理の中には毎日キノコを仕込んでやろうかしら・・・!) 「乙羽さん?黙ってちゃ分からないわ、どうかしたの・・・?」 妄想にふけっていた乙羽は慌てて主人に応対した 「え・・・?い、いえ!なんでも!なんでもございません!!!」 「それより・・・来栖川さんになにかご用かしら?」 「あ、はい・・・あの来栖川様」 部屋に入ると姫子に駆け寄り「あの・・・来栖川様にお・・・」 次の言葉を睨んだ千歌音に遮られた「まさか・・・個人的なご用なの?」 乙羽に姫子との時間を取られた上 乙羽が姫子に馴れ馴れしく接してきたのを見て嫉妬心で千歌音は一瞬我を忘れた 「え・・・?いえ、あの私は」 「まだ貴女の仕事は終わってないはずよ?」 姫子を護るように前に立った千歌音が怖ろしい形相で睨んできたので乙羽は明らかに動揺し驚いた 何より自分に対してこんな表情を見せた千歌音は初めて・・・いやこんな怒った表情をした千歌音を見るのは初めてだ 「乙羽さん・・・仕事をさぼろうだなんて貴女も随分と偉くなったものね・・・!」 「いえ、お嬢様私は!」 「そんなに邸の仕事が楽しくなかったのならここを出て行ってもらって結構よ・・・!私としても曖昧な態度でメイドとしていたれるのは迷惑だわ・・・!」 (あわわ・・・どうしよう!!!) 姫子は大変な場面に遭遇してしまった 16歳の女の子とは思えない千歌音の邸主人としての風貌に驚かされた (千歌音ちゃんが乙羽さんのこと叱るなんて・・・始めてみたよ) といって居候である姫子が口を挟める立場ではない。。。。 「いえ、私は来栖川様にお電話がありましたのでお伝えしようと・・・」 その言葉に千歌音は我に返った 「え・・・?」 「あの・・・はい」 千歌音は自分がいま言った言葉に恥を覚え頬を赤く染めた 「あら・・・そうだったの・・・私勘違いして貴女に酷いこと・・・ごめんなさい乙羽さん、言い過ぎたわ・・・」 「とんでもないお言葉です、こちらこそ誤解を招く行動を取ったりして申し訳ありませんでした」 乙羽が深く頭を下げた、それをやめさせると私は優しく微笑んだ 「いいの・・・さっきの言葉は全て忘れて・・・乙羽さん、これからも姫宮邸をよろしくおねがいするわ」 「お嬢様・・・・・・も・・・もったいないお言葉にございます・・・あ、来栖川様、早乙女様というお方からお電話が入っております・・・ 来栖川様にご用があると伺っておりますが・・・」 姫子は驚いた「マコちゃ、いえ早乙女さんからですね?分かりました」 彼女は松葉杖があるから電話先まで歩くことくらいはできる おそらく今日姫子がお見舞いに来ないので心配して掛けてきたのね・・・ 私にとっては彼女はライバルってことになるのかしら・・・? 「それでは失礼します」 乙羽が去ったあと・・・「そ、それじゃあ千歌音ちゃん私行ってくるね・・・」 姫子が私の様子を気にしている、機嫌でも確認しているのかしら 私は姫子に背中を向け小さく呟いた 「姫子、怪我人の早乙女さんを電話先でいつまでも待たせるわけにはいかないわ、早く電話に出てあげなさい・・・」 「うん・・・明日?明日は行けるかな・・・え?ううん、心配ないよ、宮様良くしてくれてるよ、うん、それじゃお大事にね」 「・・・・・・・・・」 姫子の会話を隅でこっそり聞き終わると私は足音を立てることなく髪に手をやりながら部屋に戻って行った   夕食や入浴も済ませネグリジェに着替えた私は夜、姫子を部屋に呼んだ もう乙羽さんも使用人も全て寝ているほど深夜・・・ 「千歌音ちゃんあの・・・何か用かな?」 姫子のパジャマ姿似合っててとても可愛らしく感じた その上姫子は下着の上からパジャマだけを着た状態 姫子にとってはその姿は普通なのだが千歌音にとっては無防備状態以外の何者でもなかった 「姫子、今日は一緒に寝ましょう」 そう言って姫子を手招きした 「え・・・?でも私・・・」 姫子が頬を赤く染め照れながら迷っている 眠いのかときより目に手をやる姫子、その仕草があまりにも可愛いので少し見惚れる 「心配ないわ姫子・・・貴女は私が・・・私が守るわ、この命の代えても・・・だから一緒に寝ましょ、それとも私と寝るの嫌かしら?」 「え・・・?ううん、そんなことないよ!千歌音ちゃんがそこまで言うのなら・・・私甘えちゃう!」 「なら・・・着て・・・」 そういえば最近ピアノを弾いてない気がするわね・・・私の腕落ちてないかしら・・・ そんなことを考えながら姫子がシーツの中に入ってくるのを待った 「千歌音ちゃんのベッドって大っきくてとても広いけど・・・女の子二人じゃ少し狭くないかな?」 「平気よ・・・さ、いらっしゃい姫子・・・」 姫子はベッドに居る千歌音に見惚れた・・・ 千歌音ちゃんやっぱり綺麗だな・・・私自身なくしちゃうよ 千歌音の美貌に色っぽいネグリジェ姿がまっちしている 正しく清楚で綺麗なお嬢様という言葉にぴったりだった 「姫子?どうしたの・・・?」 ベッドに突っ立ったままの姫子を気にしたのか声を掛けてきた 「う、ううん!それじゃあ・・・失礼します、あ!窮屈になったらいつでも言ってね、私自分の部屋に戻るから」 貴女と2人きりなのにそんなこと言うわけないでしょ・・・私は姫子に微笑んだ 姫子は戸惑いながらも・・・いそいそとベッドの中に入った 「千歌音ちゃんの体・・・とっても温かいや・・・」 「あらそう・・・?」 「う・・・うん」 千歌音との腕が触れ合う度に姫子は赤面した たまに千歌音の大きな胸が腕に当たることもある 千歌音は巨乳なので接近していると腕に当たったりする 「姫子・・・姫子はその・・・いつもその格好で寝てるの?」 「え・・・?うん、そうだよ、これ私のお気に入り、寮にいる頃から愛用してるの・・・」 「そう・・・」 下着の上からパジャマだけを着た状態、時より見える姫子の生肌・・・そして露出度の高さ・・・生足に生腕・・・ 姫子は気付いてないかもしれないけど・・・その格好 はっきり私に・・・襲ってくださいって言っているようなものよ姫子・・・ 姫子は天然だから気付かないかもしれないけど・・・ そう・・・もう乙羽さんも眠っている、邪魔するものは誰もいない・・・ これからは姫子と2人だけの時間 「あ・・・千歌音ちゃん、私そろそろ寝るね・・・」 「夜はまだこれからよ姫子・・・」 寝ている位置を変えた私は姫子に急接近すると後ろから優しく抱き締めた 「・・・え?な、なに?」 「姫子・・・まだ寝るには少し早いんじゃないかしら・・・?」 「や・・・ちょっと・・・」 突然抱き締められたので驚いた姫子は慌てて離れようとしたが強く抱き締められていて逃れられなかった 「・・・きゃ!?」 生暖かいような感触が姫子の体全体を痺れさせる・・・ 姫子の首筋に千歌音が背後から唇を当て息を吹きかけながら優しく舐め始めた 「ち・・・千歌音ちゃん・・・」 姫子の小さく発した声を無視するかのように千歌音の行為は続けられた 「だ・・・だめだよ・・・千歌音ちゃん・・・やめ・・・」 体を揺らして必死に逃れようとするが両腕で抱き締められ 足も絡まれているため身動きが取れない・・・ まるで姫子を見透かすように千歌音の行為はエスカレートしていく 私はふいと姫子のパジャマの胸元から中に手を入れると姫子の胸を自然と揉みはじめる ピアノによって鍛えられた・・・スラリと伸びた指が・・・姫子の胸に絡まる 「やっ!ちょ・・・ちょっと・・・」 「ふふ・・・姫子の・・・ちっちゃくて可愛いわ」 「ち・・・千歌音ちゃんの胸が大きすぎるんだよ」 手は姫子の胸に・・・そして唇は首筋に 千歌音の行為は休まることなく続けられた 「好き・・・・・・好きよ姫子・・・」 耳元に囁きかけられる言葉が心に強く突き刺さる 姫子の体を力任せに振り向かせると・・・顎を掴み覆いかぶさると姫子の唇に自分のを重ねた 「んっ・・・・!」 不意打ち気味のキスに目を大きく明け驚いた 目の前にいる学園のアイドル、そして超が付くほどの美少女・・・宮様こと姫宮千歌音の行為に困惑した なにか言うにも唇を千歌音に塞がれ声を発することが出来ない それでなくとも体全体を千歌音のリーチの長い両腕、スラリと長い両足に絡まれ身動きすら取れない・・・ 自然と姫子の体は固まった (姫子の唇・・・蜜のように甘くて柔らかくて・・・なんどキスしても飽きないくらい美味しいわ・・・) 唇から姫子を解放した千歌音の手は自然に・・・姫子のパジャマのボタンに向けられた 「や・・・ちょっと・・・こんなことされたのマコちゃん以来だよ・・・」 姫子のパジャマを脱がそうとした私は姫子の言葉にはっとして慌てて起き上がる 「姫子・・・いまなんて言ったのかしら??早乙女さんとも・・・こういうことしてたの・・・?」 「え・・・・?ああ!違うよ!マコちゃんとは寮の部屋が同じだったから・・・その・・・たまに一緒に寝たりしてたから・・・」 「一緒に・・・早乙女さんと寝たりしてたの?」 「う・・・うん、あのねマコちゃん部活してて疲れてるからいつもはすぐ寝るんだけれど・・・寒いときにね・・・『姫子、風邪引くから私のとこおいで!』 ってマコちゃんがベッドから手招きしてくれたりしてく・・・」 私は愕然とした・・・姫子が私以外の子と・・・ 早乙女さんは姫子の温もりを感じていたのね・・・ 何より姫子が他の子の近くで寝息を立てていたなんて それもこの無防備な状態で早乙女さんと1人の部屋で2人きり・・・ 早乙女真琴は一瞬とはいえ姫子の唇を奪った子だ・・・ 随分長い期間、寮で一緒だった2人・・・あの子が姫子と2人きりで寝ているのに一切手を出してないとは考えづらい・・・ 私は早乙女真琴に対して完全に女として嫉妬した・・・ 「・・・・・・・・・・」 姫子を離したくない・・・そういう想いが強くなっていく 「千歌音ちゃん?」 姫子がきょとんとした表情で千歌音の表情を伺う 千歌音の行動は素早かった 今までの優しい宮様とは打って変わったような顔色になると姫子に覆いかぶさりパジャマのボタンを強く外し始めた 「私もう我慢できないわ、姫子・・・貴女は私のものよ・・・どんなことがあってもね・・・!!」 ボタンを全て外すとパジャマを乱暴気味に脱がしベッドの外に放り投げた 姫子の下着が露になる・・・ブラジャーもくっきり見えている・・・上から姫子の下着を見下ろし食い入るように見つめつい・・・鼻息が荒くなる 千歌音の視線に気付いた姫子は頬を真っ赤に染めると慌てて胸元を両手で隠した 「やだ!やめて千歌音ちゃん!おねがいだから・・・」 胸元を隠そうと必死になる姫子の両手に優しく触れる 「姫子・・・お願いだから手をどけて頂戴・・・」 「嫌!恥ずかしいもん・・・千歌音ちゃんはいいよ!綺麗だし胸も大きくてスタイルもいいし・・・!それに比べて私なんて・・・」 「姫子・・・恥ずかしがらないで・・・自分に自身を持ちなさい・・・それにもう抵抗なんてやめて、それにもう私達もう普通の友達なんかじゃないわ、分かるでしょ・・・?」 そう・・・もう千歌音には何度も唇を奪われてる・・・そして今日も・・・もう普通の友達とは言えないだろう 千歌音とのキスが頭に何度も過ぎる 「あ・・・あれはでも!全部千歌音ちゃんが・・・無理矢理私を・・・!!」 姫子が目に涙を浮かべながら必死に訴えた 「やだ!いまの・・・いまの千歌音ちゃんには見られたくない!」 姫子が胸元を隠しながら訴え 「いまの私ってどういうことかしら?」 「私の好きな千歌音ちゃんは・・・薔薇の園で私の話を聞いてくれる存在・・・私の悩みを黙って微笑みながら聞いてくれて、ほんと清楚で落ち着きがあって月が似合いそうな綺麗なお嬢様だった・・・薔薇の園が千歌音ちゃんのイメージにぴったりはまってた あれが私の好きな千歌音ちゃん、でもいまの千歌音ちゃんは私の知ってる千歌音ちゃんじゃない!!私が知ってる千歌音ちゃんはこんなこしないもん!」 私は小さくため息をつくと口を開いた 「その私は・・・ほんとの私じゃないわ・・・感情を閉ざした・・・いえ、心を閉ざしてる姫宮千歌音よ」 「そんなこと・・・!そんな・・・」 私は二の口を言わせないように言葉を切ると静かに微笑み、再び姫子の両手に優しく触れた 「ねえ姫子、手をどけて頂戴、貴女が好きなの・・・姫子の全てを私に見せて・・・」 「嫌!絶対嫌!・・・いやだよ・・・」 「そう・・・」 必死の訴えを聞き流すと姫子の首筋を舐めるように位置を変えながら何度もキスを続ける 「や・・・やだ・・・やめてよ千歌音ちゃん!女の子同士なのにこんな・・・」 「そんなの関係ないわ、私・・・姫子のこと好きだもの・・・」 好きという言葉に姫子の脳裏にぐさっと突き刺さる 姫子が固まって抵抗できないのをいいことに千歌音の行動は続く 「さっき・・・私じゃないって言ったけれど・・・私変わってなんかないわよ、ただ・・・」 「んっ・・・やっ!・・・た、ただなに?」 「姫子と早乙女さんのキスを見てから・・・私の中で眠っていた感情が目覚めたの、姫子に対する気持ち・・・」 「んっ!や!ちょっと・・・!」 「なんでかしらね・・・金も名誉もいつでも手にあるのに姫子はいつも私の手の中から逃げようとするわ・・・」 「あ・・・!んん・・・」 「私ね・・・姫子のためならこの邸なんて要らないわ・・・全てを捨ててもいいの・・・」 その言葉に姫子が大きく反応した「え・・・?」 千歌音ちゃんそこまで私のこと・・・私の憧れの存在だった千歌音ちゃん・・・私、私ね千歌音ちゃん・・・貴女となら・・・ 「分かってくれないかしら・・・?姫子と暮らせるならどこにでも行くわ、姫子がどこに行っても私は付いていくわよ」 姫子が千歌音の想いを確認したあと、小さなため息をつき・・・ゆっくりと手を動かした 「千歌音ちゃん、私・・・」 「姫子?」 両手をゆっくりと胸元から取り外すと、先程まで隠していた胸元を露に千歌音の前に見せた その行動を不審に思った私は名前を呼ぶ 「姫子・・・?」 両手を下の位置に戻すと姫子が千歌音に向けて静かに目を閉じた 「姫子・・・?抵抗しないの・・・?」 姫子がその言葉に頭をゆっくりと傾け頷いた 「う・・・うん、千歌音ちゃんが相手だったら・・・私は・・・いいよ・・・?」 私はその言葉に驚き一瞬耳を疑った 「姫子、いいの?私・・・・・・姫子と同じ女の子よ・・・」 「ち・・・千歌音ちゃんが言ったんじゃない、そんなの関係ないって」 私は姫子の言葉に驚きながら、少し微笑むと小さく息を吐きベッドから降りる 「そう・・・わかったわ・・・」 自然と自分のネグリジェを脱ぎ始めた 入浴時でもないの人前であの宮様が服を脱いでいる・・・ 姫子は直視できないでいた それもまったく恥じらいを見せない 少しも表情を変えずに下着姿になる黒髪の美少女に対して口に手を上げながら声を掛けた 「千歌音ちゃん・・・は、恥ずかしくないの?」 恥・・・?貴女の前よ、姫子・・・私ね・・・貴女に私の全てを見てほしいの・・・ 「姫子が相手ですもの・・・恥じらいなんて少しもないわ」 やはり千歌音は下着姿だろうがどんな姿も絵になる 胸の大きさが半端ではなく体付きのスタイルも抜群でモデルのような美貌だ 姫子は完全に見とれる 千歌音ちゃんやっぱり綺麗・・・はあ・・・私いつも自信なくしちゃうな 千歌音が下着に手を掛けたときだった 「千歌音ちゃんやめて!」 「姫子・・・どうしたの?」 「いい・・・千歌音ちゃんはそのままで・・・そのままでいいよ・・・」 ふっと驚いた千歌音は微笑むとブラを外そうとしていた手を止めて頷いた 「そう・・・分かったわ」 ベッドの中に入ると姫子に覆いかぶさると上から姫子を抱き締めた 「姫子、怖がらないでね・・・優しくするわ」 「私・・・千歌音ちゃんが側にいるから・・・怖くなんか・・・ないよ」 私はその言葉に胸がどきどきして頬が赤く染まるのが分かった 腕が胸が・・・姫子の体と絡まる それから姫子の唇に自分のを重ねた 「んっ・・・んん・・・」 それも普通のキスではない姫子の口内に舌を入れる 同時に姫子が付けてるブラのホックを外すと生で胸を強く揉み始めた 「や!・・・千歌音ちゃん!」 胸を揉まれ叫び声を上げる姫子にキスをやめた千歌音が胸の乳首を舐めながら呟く 「好き・・・好きよ姫子・・・」 千歌音の言葉が姫子の脳裏に・・・頭の中に電気のように痺れながら伝わってきた まるでデザートを楽しむかのように姫子の乳首を嘗め回し左手でもう1つの胸を揉み回す 姫子も逆らわない、されるがままになっていた 「千歌音ちゃん!ああっ!!」 姫子はたまらず悲鳴を上げ続ける 「好き・・・好きよ姫子」 乙橘学園全生徒の憧れの宮様こと姫宮千歌音に何度も愛の言葉を囁かれている そのうえ自分の体を踊るように舐めまわす千歌音に姫子はつい快感まで覚えた 「ん・・・気持ちいいよ千歌音ちゃん・・・」 私は実感した・・・いま私・・・千歌音ちゃんに抱かれてるんだね・・・ 千歌音ちゃんの暖かさを肌で感じるよ もう私ね・・・女の子同士とか全然気にしないよ ふと千歌音が胸から顔を上げ姫子の顎を掴む 「姫子の唇・・・柔らかくて好きよ・・・頂いてもいいかしら・・・?」 「うん、千歌音ちゃんとなら私・・・いいよ」 獲物を食い入るような千歌音の熱い口付けが姫子に襲いかかった いままで千歌音と何度もしてきたがそれまでのキスとはまったく違う情熱的なキス 姫子にとってはマコトとのキスとは比べものにならないくらい美味しい快感だった 寮通いの頃にもマコトとはキスを一度だけしたことがある 部活など色んなストレスが溜まっていたマコトは 寮部屋で帰りを待っていた姫子にぶつけるように突然抱きつくとそのまま・・・ マコトのキスの味はすっぱいレモンの味がした・・・ しかし千歌音の唇の味は言葉では言い表せない・・・ 濃厚的なキスで千歌音の唾液が姫子の唇からはみ出しているほど激しい 「んっ・・・んん・・・」 両手両足が姫子の体全体に絡み千歌音の胸が姫子の体にギュっと押し付けられるのが分かる そして姫子は・・・上の覆いかぶさりキスいている千歌音の背中に自然と両手を回していた 「姫子起きて、もう朝よ姫子」 あれ・・・?私・・・私は 「う・・・うーんと、あ!」 私は飛び起きた 「あ、あれ?千歌音ちゃん・・・あっ!!」 私は自分の姿を確認して絶句した 下着も全てベッドの外に放り出され全裸になっている つまりいまは全裸状態、その事に気付いた私は慌ててシーツで体を隠す 「千歌音ちゃん・・・私・・・?」 千歌音はすっかりネグリジェを着ていた 「姫子・・・覚えてないの?」 「え・・・?なんとなく記憶はあるんだけどね、思い出せないの・・・でも千歌音ちゃん・・・私この格好ってやっぱり・・・その・・・私は千歌音ちゃんとしたんだよね?」 千歌音が目を閉じると静かに頷いた「ええ・・・そうよ・・・ごめんなさい・・・」 「ううん・・・いいの・・・そうなんだ・・・私の初めての相手は千歌音ちゃんなんだ・・・」 「私も始めてよ・・・キスも初めてだし・・・初体験の相手も始めての相手が・・・姫子よ」 「そうなんだ、千歌音ちゃん綺麗で人気あってモテるからそんなのしてるのかなって・・・あ、ごめんね千歌音ちゃん」 「いえ、いいの・・・いいのよ姫子」 「ねえ千歌音ちゃん・・・私の下着は全部・・・その、千歌音ちゃんが・・・?」 千歌音が小さく頷く「そうよ、姫子の下着を全てはがしたのは私、ごめんなさいね姫子」 「ううん、いいの・・・私も千歌音ちゃんのこと好きだし・・・したかったから」 千歌音の頬が染まるのがはっきり姫子の目に見えた 「それで・・・これからはどうするの?」 パジャマに着替えた姫子に千歌音が問いかけてきた 「これからって?」 「これからの私と姫子についてに決まってるでしょ・・・」 「え?私と千歌音ちゃんはいつも通り友達の関係でいようよ?学園内では赤の他人として・・・」 「姫子、そういうわけにもいかないのよ・・・私達昨日何したか分かるでしょ・・・?私達もう普通の関係じゃないわ」 「え・・・っとそれは・・・せ・・・せ・・・!い、言えないよ!!」 「ふふ・・・でしょ、私の口からも言えないわね」 はっとする、そうなのだ・・・姫子は千歌音に抱かれた・・・千歌音と・・・寝たのだ 言葉に詰まる姫子を見透かし嘲笑うように千歌音の言葉は続く 「だから・・・そうね、恋人ってことになるのかしら・・・?」 姫子は耳を疑った 「こ・・・恋人!?で・・・でも私と千歌音ちゃんは女同士だし・・・恋人って表現楽しいのかな?」 「さあ、どうなのかしらね・・・」 千歌音は姫子の慌てふためく態度が可愛いのか微笑みながら見守っていた これで・・・これで身も心も姫子は私のものだわ・・・ あの一夜で私は確信した、これからは姫子がいつでも側にいる 姫子が私に好きだと言ってくれた・・・ 「姫子、アメノムラクモ復活の儀式は成功するわ・・・」 乙橘学園の下校途中、千歌音はそう呟いた つい思っていた言葉が口に出る 「え・・・?千歌音ちゃんなに?」 「え・・・?ううん、なんでもないわ・・・」 全ての気持ちを振り切ったからもう大丈夫よ姫子・・・私は心の中でそう呟いた アメノムラクモには私が乗るわよ姫子・・・姫子は私が護るわ 「大神と三の首を真っ先に血祭りに上げてやるわ・・・」 姫子に聞こえないように私は静かに呟いた 「姫子~遅いぞ!」 「ご・・・ごめんねマコちゃん・・・」 「はあ・・・しょうがない子だね、あんたは・・・って!?」 早乙女真琴は病室内で見舞いに来た姫子の背後に居る綺麗なお嬢様風の美少女を見て絶句した 姫子を手招きすると耳元で静かに呟いた(姫子!な・・・なんで宮様がいるわけ・・・!?私聞いてないって!) (し・・・知らないよ!わ・・・私だって止めただけどね、どうしてもついてくるって聞かないから・・・) 「何を2人でこそこそしてるの・・・?」 宮様こと姫宮千歌音に声を掛けられぎょっとするマコト 「早乙女さんだったわよね?来栖川さんのお友達だそうね・・・お礼を言わせていただくわ」 つい言葉に戸惑うがそこはマコトの性格!笑顔になると大きく声を発した 「お~これは宮様!こちらこそ私の姫子がお世話になってるそうで、迷惑なんてかけてないかと心配で心配で!」 「わ・・・私の姫子ですって・・・?」 「はい・・・私の姫子です!」 宮様に負けずと笑顔でマコトが言葉を返した 火花を散らしている女の子2人の前で姫子が1人心の中で呟く (マコちゃん・・・千歌音ちゃんはね・・・色々あったけど私の永遠の恋人だよ、好きだよ千歌音ちゃん、月の巫女・・・ううん私の月のお姫様) 後日談 早乙女さん、貴女には感謝しなくてはいけないわね、貴女のあのキスが私の沈んだ心を目覚めさせたのかもしれないわね アメノムラクモ復活が成功したのも姫子と貴女のお陰よ、前世を吹っ切ったから被害は大神さん1人で足りたわ・・・   ~END~
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飯の友 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 39 雑炊 トースト 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 270 野菜料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 647 炒め物 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー【2】 32 炒め物 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 811 パン 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 56 パスタ料理 調味料 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー 681 パスタ料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 317
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調味料 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 659 肉料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 266 パスタ料理 調味料 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー 681 デザート 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 41 デザート 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 105 デザート 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 438 デザート 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 272 デザート 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 267
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米 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 561 煮込み料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 133 煮込み料理 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマー 17 煮込み料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 818 煮込み料理 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 575 スープ 修羅場の時の食事 (゚д゚)ウマーの3 38 スープ 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 294 お雑煮 修羅場の時の食事(゚д゚)ウマー 287