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書籍ライブラリ 朗らかな暮らし 侍の価値観 edit 叢書「世界認識の最前線」 名誉と順応―サムライ精神の歴史社会学 池上 英子 (著), 森本 醇 (翻訳) 内容(「MARC」データベースより) 命を懸けたサムライの真実とは? 赤穂四十七士、葉隠武士、維新の志士たちを駆りたてた情念の秘密を解き明かす、衝撃の日本社会論。 目次 社会学的アプローチ サムライの起源と暴力 解体と再編成 徳川国家形成の逆説的特質 名誉と暴力の変容 臣下官僚制における名誉の分極化 名誉型個人主義と名誉型集団主義 詳細 単行本 414ページ 出版社 NTT出版 (2000/03) ISBN-10 4757140169 ISBN-13 978-4757140165 発売日: 2000/03 商品の寸法 21 x 15 x 3.2 cm ◇ 姉妹編 edit 美と礼節の絆日本における交際文化の政治的起源 池上 英子 分断された「士・農・工・商」が「美」によって絡み合っていく過程。共通イメージとしての「日本」の誕生。 出版社/著者からの内容紹介(以下同様) 連歌や俳諧、茶の湯、歌舞伎、出版……。あらゆる階層の日本人の魂を深く鍛えてきた近世日本の伝統文化。 日本人や、日本に興味のある人なら、俳句、茶、歌舞伎…それぞれに有名人やキーワードの一つや二つは言えるだろうと思います。自分で楽しんでおられる方も多いでしょう。本書では主に江戸時代にこれらの趣味趣向がどのように民衆に広がっていき、人々がどんな様子で楽しんでいたかをありありと描き出しています。まるでテレビでも見ているかのように情景が再現されていくので、傍で「見ている」読者まで楽しくなってくるくらいです。「こんなに盛り上がってたのか」と知らなかったことばかりで驚きつつも楽しいエピソードが満載。 前著『名誉と順応』でサムライ文化の歴史社会学的分析で話題を呼んだ著者が、今回は「ネットワーク」と「シヴィリティ=市民的礼節」をキーワードに、美という結節点が如何にして市民的交際と礼節の文化を生み出し、それが日本人の政治意識やアイデンティティーにまでも深く影響を与えてきたかを分析する。 そんな人々が知らず知らずのうちに俳句なら俳句、歌舞伎なら歌舞伎を通じて、身分や藩を超えて直接間接に触れ合うことで、結果として生まれた「緩い結合」は、歴史の表舞台には出てこないが、意識の奥深いところで「日本」を規定していると著者は主張しています。この辺りの話では急にカタカナ用語が多くなり、ちょっと端折りすぎの観がありますので賛否はあるかと思います。しかしながらそれを補って余りあるのがそもそもの論点であります。 そもそも様々な地域に様々な集団が住んでいた日本で、また近世まで確固とした身分制が敷かれていたにも関わらず、日本という文化の一体性が信じらるのは何故か。全国的に共有されている日本の美というイメージ。それが出来上がっていくプロセスを画くことで「日本」とは一体何を意味しているのかが分かるのではないか。 そして著者は「日本」という一体のものが生まれたのは「幸せな偶然」だったと言います。美しい日本は必然的に、生まれるべくして生まれたとは言いません。その価値について著者は何も明言しませんが、私は「偶然」であればこそ「幸せ」だし、文字通り有り難いことだと感じます。少なくともそう感じるに値する何かがあったのだと思える一冊。 時代劇を観るつもりでダラダラ読もう 日本文化史の読み替えを迫る画期的大著。ピーター・ゲイ、アマルティア・センも推奨。 そ、そんなに凄い本だったんですか。 なお、原文は英語。著者自ら翻訳しています。日本ではあたりまえのことも敢えてそのまま残す一方、日本では一般的でない用語などについては補筆したために「かなりの分量」(568ページ)になってしまったそうですから、ちょっと論旨がボケたところもあるのかもしれません。そのかわり親切な語り口になってますので手にとってしまえば意外とスイスイ読み進められます。 ジュンク堂NTT出版フェアにて偶然手に取り購入。 目次 美と交際文化の政治学 美の国日本と徳川ネットワーク革命 市民社会なき市民的礼節―比較論的概観 ほか 結社の政治学と美のパブリック圏 美のパブリック圏の中世的起源―自由をめぐる儀礼のロジックと連歌 中世後期における座の芸能の変容―ヨコの組織原理対タテの組織原理 ほか 市場と国家とカテゴリーの政治学 浮世からのプロテスト―ファッション・国家・ジェンダー 徳川の商業出版とプロトモダン文化 ほか 変幻する日本イメージ 美の国日本の誕生 詳細 単行本 568ページ 出版社 NTT出版 (2005/7/9) ISBN-10 4757141165 ISBN-13 978-4757141162 発売日: 2005/7/9 商品の寸法 21.4 x 14.6 x 3.8 cm ◇ 葉隠入門 三島 由紀夫 Amazon.co.jp 『葉隠』は、佐賀鍋島藩に仕えた山本常朝が、武士道における覚悟を説いた修養の書である。太平洋戦争時に戦意高揚のために利用され、それゆえ戦後は危険思想とみなされることもあったが、その世間知あふれる処世訓は、すぐれた人生論として時代を越えて読み継がれている。 本書は、『葉隠』を座右の書とする三島が、抜粋した名句からエッセンスを抜き出し、中核をなす「死の哲学」に解釈を加えたもので、『葉隠』の魅力と三島の思想が凝縮された1冊になっている。 武士といえども藩の組織人であり、彼らに説かれた処世訓は今の企業人にそのままあてはまるものが多い。トップの決断の仕方、上司や部下をうまく操る方法、立身出世の条件、リストラの仕方、仕事の優先順位の決め方などは大いに参考になるはずだ。また三島による「準備と決断」や「精神集中」などのエッセンスは、このノウハウが小手先から出たものではなく、並々ならぬ覚悟から生まれていることを教えてくれる。ほかに恋愛論や子どもの教育論などもあり、生活全般におけるユニークな視点を見つけることができる。 三島は『葉隠』を、死を覚悟することで生の力が得られる逆説的な哲学としてとらえている。「死という劇薬」が生に自由や情熱、行動をもたらすとし、それらが失われている現代の生に疑問を投げかけている。本書が書かれたのは三島が自決する3年前の昭和42(1967)年。三島を「行動」に駆り立てた思想の一端に触れることができるだろう。(棚上 勉) 武士道は生きている 2008.1 というのが、初刊本の副題です。この本で「 葉隠 」に興味を持って、現代語訳なんかを立ち読みしてみましたが、どうやら退屈な部分も多いのです。この「 葉隠入門 」の方が私は好き。 詳細 出版 新潮文庫 (1983/01) ISBN-10 4101050333 ISBN-13 978-4101050331 発売日: 1983/01 英訳も出ています 葉隠入門―The Samurai Ethic and Modern Japan 三島 由紀夫 (著), Kathryn Sparling (翻訳) ◇ edit 耳袋 根岸鎮衛(著) 鈴木棠三(編) 庶民派奉行がコツコツ書き留めた珍談・奇談 渡辺京二「逝きし世の面影」で、当時(江戸時代)の人の日記などが随所で引用されているんですが、当然ながらいずれも古書。その中から比較的手に入りやすいものを買ってみました。 根岸鎮衛は下級の御家人から勘定奉行にまで出世し、南町奉行を長年勤めた人。ワハハな話が満載の筈だったんですが、現代語訳無しなのがつらいところ。 wikipedia根岸鎮衛より抜粋 鎮衛の著として有名な耳袋(耳嚢)は、鎮衛が佐渡奉行在任中の1785年(天明5年)頃から亡くなる直前まで30年以上に亘って書き溜めた世間話の随筆集である。同僚や古老から聞き取った珍談・奇談が記録され、全10巻1000編もの膨大な量に及ぶ。内容は、公方から町人層まで身分を問わず様々な人々についての事柄などについてである。 下級幕吏出身のくだけた人物で、大岡忠相や遠山景元とはまた違った意味で講談で注目を集め、平岩弓枝の「はやぶさ新八御用帳」シリーズをはじめ、小説・テレビ時代劇で題材とされている。 DATAとamazonリンク 耳袋〈1〉 (1972年) (東洋文庫〈207〉) 平凡社東洋文庫 (1972) ASIN B000J964SO 発売日: 1972 耳袋〈2〉 (1972年) (東洋文庫〈208〉) 平凡社東洋文庫 (1972) ASIN B000J964SE 発売日: 1972 ご感想などお寄せ下さい。 お名前 コメント 名誉と順応 美と礼節の絆 葉隠入門 耳袋
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価格はタダ!そんな感じのWikiというかHPです 今月の記事 New! 2010年07月号 02 - CMについて考える ようこそ! このHPは管理人が気分次第で適当になんかやってく よく分からないHPです もちろんスローペースです ▼ 価値は0円同然だと思います 世間一般的には「誰得」なるワードを使うのですか? と、いうことでフルパワーで頑張ります ここのHPの価値が1円でも上がるように… では右側の「主なメニュー」からどうぞ 主な活動内容 長い羅列文字をひたすら書いていきます (月刊方式を利用して更新していくと思います) その他いろいろ ※ここは個人HPなので管理人以外は更新できません 名前 コメント
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世代別価値観早見表の見方 横列が年代(生まれた年)縦列が価値観(アニメ、アイドルetc..)で形成されています、縦列の価値観が自分の年代の価値観だと持った場合◯を記入してください。 同じ価値観に違う年代の◯が重なった場合、そこからバトルが始まります。(バトル方法については今後検討します。) 横列、縦列ともに無限に項目を増やしていってください。(横列に関しては限界がありますが。) DIR EN GREYに関してはよくわからないのでs53からの挑戦状だと思ってください。 関連病気 学年気にしちゃう病 自分の時代輝かせたい病~昭和症候群 世代別価値観早見表検討委員会 コメントに宣言していただくか、世代別価値観早見表共有ワークシートに入力してください。ワークシートへ入力したデータは後日下の表に反映させます。 私はs53年生まれですが同級生の中には早生まれでs54年生まれもいます、どうしたらいいでしょう? -- 匿名希望 (2014-12-21 12 25 15) S44生まれ代表として参戦します。 -- 69(ロク) (2014-12-22 10 55 34) ジャンル別にシートを分けたほうがいいんじゃないでしょうか? -- panhead (2014-12-22 13 11 00) コンビニで年齢認証画面を「押すくらいなら買わネ」とグズるじじい -- Dr.KOU (2014-12-23 19 05 20) S50がみあたらないので参加しますね♡ -- うさぎ164 (2015-02-11 15 56 29) テストすいません -- 名無しさん (2015-02-20 04 46 27) 名前 コメント ご入力頂いたデータが多く1ページに表示できません。wikiでは見づらいのでワークシート版でお楽しみください。
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異なる価値観 ◆8PYq/bVU8Q 「おいィィィィィ!……チィ、どこにテレポした!?」 「駄目です、見失いました!」 中野区まで爆走してきたのは聖騎士と暗黒騎士の二人、ブロントさんと混沌の騎士だ。 息を切らしながらも、二人の目は何かを探すようにあたりを見渡し続けている。 一体何を探し、そしてどうしてここまで必死なのか? 少しだけ二人の時間を遡ろう。 「ふむ、ここはどんやら杉並区らしいな」 「これからどうします?」 「やはりやはり人の集まりそんな真ん中辺り、新宿や港区や千代田区を目指すべきだろうな。 しかし殺しあいとか北海道以上に危険が危ない地域だった東京都に驚きが鬼なる……」 「この東京都が本物でも偽物でも恐ろしいですね…… 本物なら、住民の行方は最悪皆殺しか、別地域で私達と同じくバトルロワイアル…… 偽物でも、これだけ精巧な東京都を造り上げる主催者の力ははかりしれません」 「うむ……だがどちらにせよナイトを敵に回した主催者に未来はにい」 騎士二人は地図を見つつ、行き先を決めていた。 むやみに動いても時間の浪費になってしまうためである。 とりあえずは地図の真ん中に当たる区に向かうことを決めた、その時だ。 「僕と契約して魔法少女に……って中年の男から取れるエネルギーなんてたかが知れてるね」 「oi mis ミスおい何いきなり喧嘩吹っかけてきた 白い物体」 「誰が中年かゆっくりお話を聞きたいですねぇ……?」 ハルヒその他少女を求めていたキュゥべえが現れた。 彼は混沌の騎士の長髪を女性のものと勘違いし声をかけてしまったのだが…… つい本音を言ってしまったのが運の尽きだった。 「お前……メガトンパンチで一発ボコるは……」 ここでキュゥべえが身の危険を感じて逃走。騎士はそれを追跡し、冒頭へ戻る。 というわけではない。現実はもっと緊迫していた。 「やれやれ……人間はすぐに誰かにあたるね。いいかい、僕は君たちのために少女を探しているんだよ?」 「お前が何を言っているか理解不能状態なんだが? 死にたくなければちゃんと説明すべきそうすべき」 「わ、わかったよ、説明するから降ろしてくれないかな?」 口で説明するくらいならブロントさんは牙をむく。 とりあえず腹のたつ白い物体をアイアンクローの構えで持ち上げた。 そして顔を握り潰されつつ、キュゥべえは内心でブロントさんの評価をする。 (典型的な暴力で物事を全て解決しようとするタイプか…… 普通に殺人を繰り返して、少女たちを絶望させてくれるかな?) 「君たちはエントロピーという言葉を知っているかい?」 キュゥべえにとって、死は遠い遠い存在。肉体は入れ物でしかない存在。 とはいえ、勿体ないものは勿体ない。代わりの肉体も完全にタダではないから。 少しだけ有料な肉体消費か…… 別に減るものでもない、殺人者が知っても意味がない自分の仕事の内容を少し教えるか…… キュゥべえがどちらを選ぶかは、明らかだ。 「……それで魔法少女が魔女に」 それがキュゥべえの犯したミス。 この二人は殺人者どころか、弱者を守る騎士、そして女性を大切にする紳士な騎士だ。 そんな二人に、魔法少女の仕組みを解説でもしようものなら…… 「あなたは今この場で!」「俺の怒りが、有頂天になった!」「滅する!」「もう謝っても手遅れ状態!」 「え?」 「……あの白い物体は確実に仕留めるべきそうすべき」 「当然です!あんな女性の……いや、人の命をなんとも思わない生物は許せません!」 そして冒頭。 二人の騎士は同時に攻撃を仕掛けたがキュゥべえに逃げられ、後を追ったが見失ったのだった。 バトルロワイアルとは別の脅威を知った騎士は、どのような道を歩む? 【中野区・歩道/一日目・日中】 【混沌の騎士@カオスロワオリジナル】 [状態] 記憶喪失・発汗(大)、疲労(中)息切れ [装備] 漆黒の鎧 [道具] 支給品一式、アビシオンのフィギュア [思考] 基本:死者は極力出さない 0 少し休み、体力を回復したら再びキュゥべえを探す 1 ブロントに同行 2 水分の確保 3 自分の正体を知りたい 4 キュゥべえは確実に殺す ※キュゥべえとの会話により、魔法少女の仕組みを理解しました 【ブロント@ネ実】 [状態] 健康、疲労(中)息切れ [装備] 白銀の鎧(ナイトAF) [道具] 支給品一式、アビシオンのフィギュア [思考] 基本:主催者とゲームに乗った参加者はバラバラに引き裂く 0 少し休み、体力を回復したら再びキュゥべえを探す 1 混沌の騎士と行動 2 貧弱一般人は保護 3 剣と盾の早急な確保 4 キュゥべえは確実に殺す ※キュゥべえとの会話により、魔法少女の仕組みを理解しました 「はぁ……はぁ……!ま、まったく人間は本当にわけがわからないよ……! 説明しろって言うから説明したのに、殺人衝動を抑えられずに僕に殴りかかるなんて……!」 その頃、キュゥべえは渋谷区まで逃げに逃げ延びていた。 二人の騎士……とりわけカカッととんずらとか口走り猛追してくる騎士から逃げるのは一苦労だった。 壁をすり抜ける能力がなければ、やられていたかもしれない。 ……そう、殺られていたかもしれない。 「それになんで僕の体が取り換えられないんだい!?本当にわけがわからないよ!」 逃げるさい、一度だけブロントさんのホーリーをくらいダメージを受けたキュゥべえ。 彼はその時に、やむなく肉体を乗り換えようとして、できなかったのだ。 「この世界は何かがおかしい!と、とにかくノルマの問題もあるけど…… まずは僕を守って貰うためにも誰かと契約しないと……!」 そしてようやく。ようやくキュゥべえは死を身近に感じたのだ。 「あ、女の子だ……!もう素質とかはどうでもいい!あの子と契約しないと!」 そして彼は、渋谷駅の出口で震えている少女と出会う。 おそらく、キュゥべえとは違った意味で死とは無縁の世界で生きてきたであろう少女。 そんな少女に、キュゥべえはゆっくり近づき…… 「ねえ君?」 「ひっ!?だ、誰……!?」 「死ぬのが怖いかい?大丈夫だよ。 僕と契約して、魔法少女になればね……」 【渋谷区・渋谷駅/一日目・日中】 【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態] 健康、火傷によるダメージ(小)、疲労(中)焦りと困惑 [装備] [道具] ランダム支給品1~3(本人未確認) [思考・状況] 1・この殺し合いを利用して感情エネルギーを集める 2・目の前の少女と契約し、自分を守ってもらう 3・出来ればあの少女(ハルヒ)と契約したい 4・騎士(ブロントさん・混沌の騎士)を警戒 【備考】 ※キュゥべえは一度殺せば死にます ※薄い壁をすり抜けることは可能です ※肉体の乗り換えができないことを知りました ※騎士二人がバトルロワイアルに乗っていると思っています 【平沢唯@けいおん!】 [状態] 健康、バトルロワイアルへの恐怖 [装備] [道具] 基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認) [思考・状況] 1 死にたくはないが、人を殺したくもない 2 仲間を探したい 3 魔法少女……? 028 金髪少女たちのお茶会 投下順に読む 030 鬼鮫の脅威 028 金髪少女たちのお茶会 時系列順に読む 030 鬼鮫の脅威 010 夏は白・冬は黒 混沌の騎士 036 守る、その意味 010 夏は白・冬は黒 ブロント 036 守る、その意味 002 QBR~キュゥべえのバトルロワイアル~ キュゥべえ 045 奇跡にふれたよ! 初登場! 平沢唯 045 奇跡にふれたよ!
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(1)表 (2)プログラム プログラム (3)グラフ エクセル (4)出所 経済産業省 (5)メモ 事業所 (6)作業記録 11月1日 プログラム追加 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 -
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価値ある命 ◆ew5bR2RQj. 烈風を纏った日本刀が、上空から振り下ろされる。 それを横に傾けられた西洋刀が受け止め、そのまま剣先へと流す。 が、その斬撃は簡単に受け流せるほど軽くはなく、勢いを完全に殺すことはできない。 西洋刀の使い手――――ミハエル・ギャレットは僅かに押され、何歩か後ずさった。 「オラ、どうした! ヨロイがなければそんなもんかよ、てめぇは!」 「うるさい、ヴァン! 貴様のような奴がいるから暴力が無くならないんだ!」 「ああ、そうかい、だったらてめぇも同類だな!」 後退したミハエルに追撃を加えるため、右足を軸に加速するヴァン。 そのまま日本刀の柄を握り締め、横薙ぎの一撃を繰り出す。 「ぐぅっ……」 今度は西洋刀を縦に構え、繰り出される斬撃を受け止める。 だがやはり全てを受け止めることはできない。 ヴァンの一撃を受け止めた瞬間、仕込み杖を握り締める両腕に電流が走った。 (このままでは……まずい!) ミハエルは額から汗を垂らしつつ、表情を歪めるヴァンを見つめる。 戦況はヴァンの一方的な展開であり、ミハエルは剣戟を始まってから一度も攻勢に移れていない。 理由は一目瞭然だろう、彼らの間には拭い切れない実力差があるからだ。 ヴァンはカギ爪の男に婚約者を殺されて以来、ずっと復讐の炎に身を焦がしていた。 そのために元々優れていた身体能力をさらに鍛え、戦闘経験も数えきれないほど積んでいた。 一方でミハエルはヨロイ乗りの適性があるとはいえ、少し前までは一般人だった少年。 いくら才能があるとはいえ、根底に存在する実力差を覆すことはできないのだ。 さらに彼には、直前の戦闘で負わされた傷や疲労がある。 これが初戦闘であるヴァンとは、コンディションにも大きな差があるのだ。 挙句の果てに彼の得物は、強度が玩具同然の仕込み杖。 ヴァンに支給された菊一文字則宗とは、天と地ほどの差があった。 「チィ……さっきからちょこまかと、守ることしかできねぇのか!」 「くそっ……こんな奴に……」 これだけの劣勢を強いられながらも致命傷を避けていられるのは、偏に才能のおかげだろう。 彼の類まれなる才能は、ヨロイやライダーで培った技術を早くも吸収していた。 そのため実力的に差のあるヴァンの猛撃を、寸でのところで堪えているのである。 「ただ守ってるだけなら、とっととくたばりやがれ!」 とはいえ、守っているだけでは勝つことはできない。 ヴァンの猛撃を捌ききれず、致命傷を負う可能性がある。 かといって捌ききれたところで、攻撃に移れなければ意味はない。 体力の差から先に倒れるのはミハエルである。 このまま防戦一方の状況が続けば、彼のますます不利になっていくだろう。 だが彼とて無策で挑んだわけではない。 確実な勝算を持って、戦いを仕掛けたのだ。 それこそが神崎士郎が開発したライダーデッキの一つ、ナイトのデッキ。 二重の時間制限を課せられているとはいえ、一度変身すれば使用者に圧倒的な力を齎す。 これさえ使用できれば、生身のヴァンを撃破するのは容易いだろう。 が、ナイトのデッキは最後の変身から二時間経過していないため、まだ使用することはできない。 故に彼の考え抜いた作戦は、制限が解除されるまでの時間を稼ぐことだった。 「くっ……せめて東條さんの力を借りれれば……」 理想としては実力者であるヴァンに対し、自分と東條の二人で挑むことだった。 しかし東條は緑髪の女と睨み合いを続け、援護が不可能な状態にある。 結果的にミハエルは孤立し、実力的に数段上であるヴァンに一人で対抗する羽目になってしまった。 「カギ爪の次はあいつかよ、人頼りもいい加減にしろぉ!」 罵声と共に、右斜め上からの袈裟斬りが襲いかかる。 ミハエルは背後に退き、それを回避。 返す刀で繰り出された斬撃を、今度は西洋刀を傾けて受け止める。 「仲間と協力することの何が悪いというのだ!」 「てめぇのは協力とは言わねぇんだよ! 自分じゃ何も出来ないから人を頼ってるだけだ!」 「それの何が悪いというのだ! 人々は協力することで互いの欠点を補い合う、そういうものだろう!」 「何度も言わせんな! てめぇのは協力じゃねぇんだよ! 人の話はしっかり聞きやがれ、甘ったれたクソガキがよ!」 「甘ったれたクソガキだと!? 訂正しろ! ヴァン!」 宇宙空間で戦闘していた時のように、お互いを罵倒する二人。 あの時と違うのは、互いの武器がヨロイから刀に変わったことくらいだろうか。 罵倒の最中にも二人は剣を交え、己の信念を叩き付けている。 金属音が響き、汗が滴り、土煙が舞い、そして火花が散る。 打ち合った回数は三十を越え、ミハエルはその全てを捌ききっている。 膠着状態、そう呼んでも差し支えない状況だ。 そしてその状況を打破すべく、ヴァンが行動を起こした。 「ぐはぁっ!」 脇腹に衝撃を受け、数メートルほど吹き飛ばされるミハエル。 そのまま地面を数度転がり、やがて停止する。 最初は何をされたのか分からなかったが、ヴァンの体勢を見てすぐに理解することができた。 「蹴りを入れるとは……卑怯者め」 「はん、勝負に卑怯もなにもねぇんだよ」 振り上げた脚を戻しながら、ヴァンはミハエルを見下す。 彼は斬撃にミハエルの意識を裂かせた後、死角から蹴撃を叩き込んだのだ。 「だからてめぇは甘ちゃんなんだよ、バカ兄貴が……」 日本刀を構えながら、ゆっくりとした歩調で近付いてくるヴァン。 仕込み杖は蹴り飛ばされた時に、手の届かない位置に落としてしまった。 得物がない状態では、ヴァンを退けることはできない。 この場から逃げようとしても、ヴァンとの距離が近すぎる。 ヴァンとミハエルの運動能力の差では、間違いなく逃げることは不可能であろう。 ――――しかしそれは関係のない話であった。 何故ならミハエルには、逃げる気など最初から無いのだから。 「訂正しろと……言っているだろ!」 ミハエルがそう叫ぶと同時に、伸ばした右手から棒状の物が伸びる。 咄嗟の一撃に虚を突かれ、ヴァンは捌くことができない。 直進する棒は彼の腹部を穿ち、そのまま彼を空中に弾き飛ばした。 「がはっ……てめぇ……」 腹部を抑えながら、ミハエルを睨み付けるヴァン。 当のミハエルは服の汚れを払いながら、落とした仕込み杖を拾い上げていた。 「それは……あの女の……」 「そうだ、これはファサリナさんの三節棍だ」 ミハエルは右腕の服の裾から三節棍を取り出し、ヴァンに突き付ける。 それはミハエルと同様、オリジナル7に属する一人のファサリナが所持する三節棍。 普段は布のような形状のため、非常に携帯性と奇襲性に長けている。 元々これは沙都子に支給された物であり、シャドームーン戦後は東條が所持していた。 二人が彼女のデイパックを開封している時にこれを発見。 ミハエルはそれを譲り受け、万が一の時のために右腕の部分に巻き付けておいたのだ。 「苦しいだろう、ヴァン! 私は的確に急所を突いたからな」 ミハエルが三節棍で突いたのは、人体急所の一つでもある鳩尾。 一度ここを突かれると、数分間は呼吸ができなくなる。 その状態では十分に戦えないどころか、意識を保つことすら難しい。 まさに決定打とも呼べる一撃であった。 「私は同志の夢の妨げになる貴様の存在を許容するわけにはいかない、ここで死ね!」 ミハエルは仕込み杖を振り上げ、動けないヴァンを一瞥する。 そして首元に目掛けて、仕込み杖の刃を振り下ろした。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!」 「ッ!?」 が、ヴァンは菊一文字則宗を構え、首を狙ったミハエルの攻撃を弾く。 意識も朦朧としているはずなのに、彼の一太刀を的確に防いたのだ。 「何故だ……何故意識を保っていられる!」 「残念だったな、俺はカギ爪を殺すまでは寝てなんかいられねぇんだよ!」 続いて、強靭な踏み込みを利用した一閃。 ミハエルは紙一重で回避するが、纏った烈風が彼の肌を切り裂く。 その鋭い痛みに一瞬だけ意識を奪われるが、すぐにまた次の斬撃が迫っていた。 (くっ……やはりファサリナさんのようには上手く扱えなかったか……) ヴァンの猛攻を回避しながら、ミハエルは思案する。 確かに手応えはあったが、致命傷を与えられるレベルではなかったのか。 それとも僅かに鳩尾から逸れていたのか。 どちらにせよヴァンを戦闘不能にすることはできず、今も剣戟は続いている。 しかし若干ではあるがヴァンの動きも鈍くなっているため、先ほどよりも防御は容易い。 相変わらず防戦一方ではあるものの、本来の目的へは確実に近づいていた。 時間制限を課せられたナイトのデッキ。 その時間制限の解除へと。 残り時間、二十分。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 舞台は移り変わり、フォークリフト周辺。 ここでC.C.と東條悟が、ヴァンとミハエルの剣戟を背景に睨み合いを続けていた。 「………………」 二人の間にある距離は、およそ十メートル。 互いの持つ武器から目を離さず、一歩も動こうとはしない。 C.C.が握るのは、振るうことで火球を発射する杖。 東條が持つのは、一見すると日本刀に見間違える銃。 どちらの武器も威力は十分であり、だからこそ下手に動くことはできない。 ヴァンとミハエルの戦闘を動とするなら、こちらは間違いなく静。 隙を見せれば、すぐさま攻撃される。 故に下手な攻撃は、自らを破滅へと誘う引き金と化すのだ。 (………………) 行動という形では表れていないものの、彼らの間では既に数多くのやり取りが行われている。 視線を交わし、牽制をし合い、相手の心理を読む。 言葉にすれば簡単だが、それは非常に高度な技術である。 数百年の人生経験を持つC.C.と、何度も死線をくぐり抜けてきた東條。 この二人だからこそ、行えるやり取りなのだ。 (……やっぱり……おかしいよ……) そんな彼らのやり取りを。近くから眺める者がいた。 二人が対峙している位置から、僅かに左に逸れた位置に停車されたフォークリフト。 その荷台の上で、竜宮レナは彼らのやり取りを観戦していた。 彼女は成り行き上、この場に立ち会うことになった一般人だ。 そしてこの場において、唯一の一般人でもある。 だからこそ彼らが行っているやり取りに、強い嫌悪感を抱いていた。 (なんで……みんな戦い合うの……?) ヴァンとミハエルは剣を交わし合い、相手の命を奪おうとする。 C.C.と東條も物理的な攻撃は行っていないとはいえ、やっていることは同じだ。 彼らは四人とも戦禍の中心を渡り歩いてきたため、人の死は珍しい事ではない。 だがその常識は、平和な日常を送っていたレナとは決して相容れぬものなのである。 (真紅ちゃんが死んじゃったのに……また誰か死んじゃうの?) ついに殺し合いを見ているが嫌になり、レナは視線を逸らす。 逸らした先には、紅の輝きを放つ宝石が握り締められていた。 その宝石は先ほどまで同行していた少女、真紅のローザミスティカだ。 彼女は後藤との戦闘で致命傷を負い、レナを逃がした後で絶命した。 その光景はレナも見ており、彼女に深い悲しみと絶望を与えた。 だからこそ後藤と同じように、平然と他者の命を奪おうとする四人に強い嫌悪感を抱いたのだ。 (この雰囲気に呑まれちゃ駄目だ……冷静になろう) 湧き上がる嫌悪感をなんとか抑え込み、レナは冷静であろうとする。 そうして数秒、彼女はこの場でどう動くべきかを思考し始めた。 (戦闘に参加する? ううん、ダメだ、そんなことをしても意味はない) 最初に考えたのは、戦闘に参加すること。 だが彼女は、すぐにその選択肢を切り捨てた。 まず第一に彼女は一般人であり、実力は四人と比べて大幅に劣る。 部活でサバイバルゲームなどをしているとはいえ、所詮はお遊戯なのだ。 仮に戦闘に参加するにしても、彼女はどちらの勢力にも加勢する気になれない。 ミハエルや東條側は論外だが、かといってヴァンやC.C.も信用できない。 そもそもこの戦闘に参加する目的もないため、彼女は戦う必要がないのだ。 しかし一番の理由は別にある。 (もう、誰かが死ぬのは嫌だよ……) 真紅が死んだ悲しみから、未だ抜け出すことができない。 そんな状態でまた誰かが死んでしまったら、もう耐えることができない。 もう彼女は、誰かが死んでいく姿を見たくない。 だから彼女の精神は、戦闘に参加することを拒絶しているのだ。 (……ここから逃げよう) 戦うのが嫌なら、逃げるしかない。 誰かが死ぬのが嫌とはいえ、自分の命だって惜しい。 この場で何もせずに流れ弾でも当たったら、死んでも死に切れないだろう。 だったらこの場から逃げればいい。 失敗する可能性もあるが、何もしないよりはマシだ。 そう思い、彼女が逃亡するための策を練り始めた時だった。 「ねえ」 C.C.と対峙する青年――――東條悟が口を開く。 「君はどうすれば英雄になれると思う?」 抑揚のない声で、唐突に問い掛けてきた。 「……それは私に聞いているのか?」 怪訝な瞳を東條に送るC.C.。 彼女の質問に対し、東條は言葉にでは表さず首を縦に振った。 「……そうだな、世界のために自らの命を犠牲にでもできたら、間違いなく英雄になれるだろうよ」 「へぇ……君は?」 「……ッ!」 C.C.の解答に満足したのか、東條の視線が今度はレナに向けられる。 彼の死んだ魚のような目に自らの顔が映り、思わず彼女は震えてしまった。 英雄になる方法。 自分なりの答えを模索するが、すぐに一つの結論に至った。 そんなものは存在しない、と。 英雄とは偉業を成し遂げた者が他者から呼ばれる名称であり、なろうと思ってなれるものではない。 故に英雄になる明確な方法など、最初から存在しないのだ。 だからレナは答えあぐねていた。 相手の気を引くために、何らかの解答を示さなければならないとは分かっている。 が、どうしても最初の結論を頭から切り離すことができないのだ。 「それか」 レナが黙りこくっているのを見かねてか、C.C.が再び口を開く。 「私をこのふざけたゲームから解放してくれたら、私はお前のことを英雄と呼んでやろう」 相手を挑発するように、ニヤリと笑みを浮かべるC.C.。 東條もその意図が読めたのか、能面のような顔を歪ませていく。 「君達は……英雄になるのに相応しくない」 「当然だろう、私は英雄になる気などないのだからな」 C.C.はあくまで相手を挑発することを止めようとしない。 しかし決して銃口から目を離さず、相手の一挙手一投足を見逃さない。 張り詰めた空気が辺りを支配し、数秒が経過する。 そこで――――東條が動いた。 「……?」 だが引き金を絞ったわけではない。 C.C.に定めていたはずの銃口を、彼女から逸らしたのだ。 彼女よりも、僅かに左側へと。 停車されたフォークリフトに荷台に座る、竜宮レナへと。 「ッ!? レナ! そこから降りろ!」 C.C.が叫び声を上げると同時に、引き金を絞る東條。 刹那、銃から弾丸が迸った。 「あぅっ……」 呻き声を上げるレナ。 彼女は地面に激突し、身体を強く打ち付けてしまったのだ。 しかしそれ以外には目立った外傷もなく、銃創も見当たらない。 C.C.の警告が功を奏し、間一髪のところでフォークリフトから飛び降りることに成功したのだ。 「このっ!」 C.C.はブリッツスタッフを横薙ぎに振るい、先端から火球を発射する。 が、狙った先に東條の姿はなく、火球はそのまま遠方に消えていった。 「……逃げられたか」 自分達に背中を向け、走り去っていく東條。 向かう先は、ヴァンとミハエルが戦っている場所。 おそらくは援護に向かうためだろう。 C.C.も彼と同じように援護に向かおうとするが、すぐに足を止めた。 彼女は戦闘を請け負うことはあるものの、基本的に得意ではない。 無闇に乱入し、人質にでもされたら最悪だろう。 見たところヴァンの方が優勢のようだし、東條も銃だけで援護するのは難しいはずだ。 故に、自分が行っても無駄だと彼女は判断した。 (私を助けてくれた……?) 一方でレナは、先ほどのC.C.の行動に疑問を抱いていた。 C.C.が自分のことを疎ましく思っていることに、レナは薄々気づいていた。 なのに何故、彼女は自分を助けてくれたのだろうか。 あそこで声を掛けてくれなければ、回避が遅れて間違いなく死んでいただろう。 レナのことを疎ましいと思っているのなら、あそこで見捨てればいいはずなのに。 (さっき言ってたみたいに……情報が欲しいのかな) ヴァンやC.C.は情報を欲しがっていたから、足手まといのレナを生かした。 そう考えれば、C.C.の行動にも納得がいく。 最も有用そうな情報は、既に話してあるのだが。 憂鬱そうな瞳で、虚空を仰ぐC.C.。 その姿を、小難しい顔で眺めるレナ。 彼女たちがそれぞれの思惑を交差させている時。 「おはよう、皆」 聞き覚えのある幼い声が、彼女たちの耳朶に触れた。 そう、六時間に一度の定時放送。 それを行う、V.V.の声だ。 「V.V.……ッ!」 C.C.の憂鬱そうな顔が、怒りの篭った顔へと変貌する。 だがV.V.は彼女のことなど意に介することもなく、淡々と放送を行っていく。 冗長すぎる挨拶に、禁止エリアの発表。 前者は彼女たちの苛立ちを助長させるだけだが、後者は有益な情報である。 が、一番知りたい情報はそれではなかった。 死亡者の発表。 彼女たちにとって、一番気がかりだったのがこれだった。 「じゃあ、次の死亡者の発表に行こうか。」 V.V.がそう言うと同時に、レナは祈りを捧げる。 仲間の名が誰一人呼ばれぬように、と。 そして時を同じくして、東條悟がヴァンとミハエルのところに辿りついた。 「織田敏憲」 東條が銃を構えながら、ミハエルの名を叫ぶ。 「亀山薫」 その声を聞き、ミハエルがヴァンから離れる。 「斎藤一」 東條の持つ銃から、銃弾が発射される。 「真紅」 自らに迫る銃弾を、ヴァンは見切って回避する。 「銭形警部」 その隙を突いて、ミハエルがヴァンに斬りかかる。 「園崎魅音」 ヴァンは紙一重で回避しようとするが、避けきれずに腕を掠める。 「高良みゆき」 鋭痛の走る腕で日本刀を振り上げ、東條に襲いかかる。 「橘あすか」 ミハエルが東條を庇うように立ち塞がり、ヴァンの斬撃を受け止める。 「柊かがみ」 日本刀と西洋刀、二つの刀が拮抗を開始する。 「緋村剣心」 ミハエルの腕が震えると同時に、仕込み杖の刀身に亀裂が走り始める。 「平賀才人」 ――――彼らはここに来るまで、百を超える打ち合いをしていた。 「北条沙都子」 その度に刀は衝撃を吸収し、傷を負っていく。 「北条悟史」 限度を越えれば、次第に朽ちていく。 「劉鳳」 耐久力が玩具同然の仕込み杖は、ここにきて限界が訪れたのだ。 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 亀裂が入ってから数秒、音を立てながら仕込み杖が砕け散る。 「ルルーシュ・ランペルージ」 ヴァンの日本刀が、ミハエルの身体に一閃を加える。 そして、血飛沫が舞った。 「ルルー……シュ?」 口をぽかんと開けながら、空を眺めるC.C.。 今の放送の内容は、この会場で死んだ人間の名を伝えるもの。 その放送で、ルルーシュ・ランペルージの名が呼ばれた。 つまり、それの意味するものはルルーシュの死。 彼女の共犯者にして絶対服従のギアスを持つルルーシュが死んだというのだ。 「そんな……」 真紅、園崎魅音、北条沙都子、北条悟史。 レナの仲間の名は、合計で四人呼ばれた。 そして直後に見たものは、一人の少年が血飛沫を上げながら倒れる光景。 あまりに凄惨なその光景は、死という概念を忌避してきたレナの正気を奪うには十分過ぎた。 「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 悲鳴を上げると同時に、レナは走り出す。 この狂った殺し合いから逃げ出すため、ただひたすらに走り抜ける。 戦場の中心で、大きな悲鳴を上げながら。 そんな目立つ行為をした彼女を、敵方が見逃すわけもない。 ぱらら、とタイプライターが点火するような音と共に、東條の銃から大量の銃弾が放射される。 気が付くと彼女は、大量の銃弾の元に晒されていた。 「あ……」 彼女が横を向くと、そこには大量の銃弾がある。 C.C.はルルーシュの死に動揺していたため、援護は間に合わない。 途方もない恐怖がレナを支配した時には、既に銃弾は彼女の身体を貫いていた。 「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」 はずだった。 「これ以上、カギ爪の野郎の好きにはやらせはしねぇ!」 銃弾が彼女の身体を貫く直前、彼女と銃弾の間に割り込むヴァン。 刀を回転させ円状の盾のように扱い、飛来する銃弾を叩き落す。 幾度も刀と銃弾の衝突音が響き、十数秒が経過。 大量の銃弾が叩き落とされ、地面に転がっていた。 「ヴァン……さん?」 「大丈夫か? えーと……」 安心して力が抜けたのか、へなへなとその場に座り込むレナ。 彼女の身体に銃創は一つもなく、ヴァンもその姿を見てほっと胸を撫で下ろした。 「ぐっ……」 「ヴァンさん!?」 ヴァンがくぐもった声を出すと同時に、握っていた刀を落としてしまう。 その音でレナが顔を上げると、右肩を抑えるヴァンがいる。 鮮血の吹き出る肩を、苦しげに抑えるヴァンが。 「まさか……!?」 レナの顔面が、見る見るうちに青白く染まっていく。 東條が彼女に照準を定めているのを見て、彼は急いで救援に駆けつけた。 しかし彼とて万能ではなく、速さと丁寧さを両立させることはできない。 つまり駆け付けることには成功したものの、全ての銃弾を叩き落すことはできなかったのだ。 叩き落とせなかった銃弾は、そのまま彼の身体を通過する。 腹部に二発、右肩に一発。 彼は被弾していた。 「…………」 無言の東條によって、再び構えられる銃。 照準は負傷しているヴァン、刀を落としてしまったため防御する術はない。 いくら頑丈な彼でも、無数の銃弾を浴びれば死は免れないだろう。 レナが顔を覆い、ヴァンが東條を睨みつけた時だった。 「ヴァン! レナ!」 フォークリフトを走らせながら、C.C.がやってきたのは。 轟々と音を立て、最高速度を出しながら進むフォークリフト。 タイヤが転がる小石を跳ね除け、緑の装甲がそれを砕く。 その進行方向にいるのは、銃を構える東條悟。 「ッ!?」 フォークリフトの猛進を、東條は寸前のところで回避する。 だが不完全な姿勢のまま避けたため、地面に転倒してしまう。 「今のうちに逃げるぞ、早くしろ!」 フォークリフトを降り、ヴァンとレナに逃亡を促すC.C.。 彼女の背後を見ると、また立ち上がろうする東條の姿がある。 それを見て、ヴァンは苦虫を噛み潰したような顔をした。 この会場において、カギ爪の男に繋がる唯一の手掛かりはミハエルだ。 しかし今のヴァンは右肩を負傷し、著しく戦力が低下している。 先ほどの追撃は辛うじて逃れられたが、次も逃れられる保障はない。 東條が所持するレイ・ラングレンの銃の恐ろしさは、彼が一番良く理解している。 この場の支配権を持っているのは、間違いなく東條だ。 「チィッ……すぐにまたぶっ倒してやる!」 ここに残るのは危険と判断し、結局ヴァンは逃走を選択する。 追随するようにレナも彼の背中を追いかけ、C.C.はブリッツスタッフを振るう。 「さらばだ、もう会うこともないだろうな」 ブリッツスタッフの先端から発射された火球は、フォークリフトのエンジン部分に命中。 数秒後、炎はガソリンへと点火し―――― 爆発を起こした。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「はぁ……はぁ……ここまで来ればあいつらも追ってこないか」 肩で息をしながら、C.C.は背後を見る。 彼女から数百メートル先の地点では、爆炎と黒煙が立ち昇っていた。 「……あいつら生きてるだろうな? 俺はあいつらにカギ爪の野郎のことを……」 「心配ない。銃の男の方は分からないが、少なくともあの甘ちゃん坊やは生きてるだろうよ」 「そうか、ならいい」 ヴァンも右肩を抑えながら、爆心地を眺める。 少し前に西や北の方角で発生した爆発よりは小規模だが、それでも爆発には変わりない。 爆心地から離れていたミハエルはともかく、東條の方は一溜まりもないだろう。 だがヴァンとしては、ミハエルさえ生き残っていればそれで良かった。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…………」 それよりも今の彼にとって、一番の問題はレナの方だった。 先ほどから彼女はずっとこの調子なのだ。 目尻に涙を溜めながら、延々と謝罪の言葉を述べ続ける。 自分の代わりに負傷したヴァンへの罪悪感があるからこそ、彼女はずっとこうしているのだろう。 だが基本的に女性が苦手な彼としては、彼女の行動は堪ったものではなかった。 「あの……自分は本当に大丈夫ですから……」 ヴァンは渋い顔をしながらレナを宥めるが、それでも謝罪を止めない。 虚ろな表情で俯き、まるで彼の声が聞こえていない様子。 壊れた目覚まし時計のように、ずっとごめんなさいと繰り返していた。 「だあぁぁっ! もういい加減やめろって! 本当に俺は大丈夫だから!」 ついに痺れを切らし、大声を上げるヴァン。 彼の大声にレナは肩を震わし、涙で汚れた顔を上げる。 「でも……ヴァンさんは銃で撃たれて……」 「はぁ……えーと……なんて言ったっけ、お前?」 「レナだ、いい加減覚えろ、これで二度目だ」 何時までも人の名前を覚えられないヴァンに、C.C.が呆れながら補足を入れる。 「そうそう、確かに俺は銃で撃たれた、でも死ぬほどの傷じゃない、それに……」 そう言うと、ヴァンは黒いタキシードの脱ぎ始める。 突然脱ぎ出した理由が分からず、混乱するレナ。 そんな彼女を尻目に、彼は黙々とタキシードを脱いでいく。 しばらくして彼がタキシードを脱ぎ終えると、そこに現れるのは鍛え抜かれた肉体。 そしてその肉体には、鋼色の布のような物が巻き付けられていた。 「俺はこの刀を腹に巻いてたんだ、だからほとんど痛くはない」 彼が腹部に巻き付けていたのは、新井赤空の作った殺人奇剣の一つ、薄刃乃太刀。 刃の強度を保ったまま可能な限り薄く鍛え、布のように拵えた代物だ。 彼はこれを腹部に巻き付けることによって、防弾チョッキ代わりに利用したのだ。 ファサリナの三節棍での不意打ちが完全に決まらなかったのも、これが原因である。 偶然にもこの刀は、彼が愛用する蛮刀と機能が似ていた。 しかしこの刀は彼の蛮刀とは違い、本物の布のようにまでは変化してくれなかった。 数メートルにも及ぶ長さの奇剣を持ち歩く方法を彼は悩み、そこで思い付いたのが腹部に巻き付けておくことだった。 奇しくもそれは、この刀の本来の使い手である沢下条張がとった方法と同じである。 彼も剣心との戦闘でこの刀を防具代わりに使用し、致命傷を防いでいた。 「でも肩の方は……」 「レナ、ヴァンがいいと言っているのだ。謝罪の言葉もあまりしつこいと鬱陶しいだけだぞ」 未だ食い下がろうとしないレナを、溜息をつきながら宥めるC.C.。 レナは不安そうにC.C.の顔を眺めるが、彼女の視線が痛々しいほど突き刺さる。 それからしばらく二人は視線を交わしていたが、やがて観念したようにレナが項垂れた。 「…………」 三人の間で会話が止み、居心地の悪い空気が漂い始める。 彼らは元々友好的な関係でもなかったため、それも仕方のない話なのかもしれない。 (魅ぃちゃん……沙都子ちゃん……悟史くん……真紅ちゃん……) そんな中でレナは、放送で呼ばれた四人のことを思い出していた。 ゲームが始まってからたったの六時間で、四人もの仲間が死んでしまった。 魅音は唯一無二の親友であり、いつも一緒に行動していた仲だ。 沙都子は妹のような存在であり、彼女のトラップにはいつも手を焼かされた。 悟史とは長い間会っていなかったが、だからこそ会いたいと強く思っていた。 真紅の死は知っていたが、放送によって改めて認識させられた。 四人とも素晴らしい仲間であったが、もう二度と会うことはできないのだ。 そう思うと胸が張り裂け、どうしようもないほどの悲しみに襲われてしまう。 「うっ……ぐずっ……」 目尻に溜まった涙を、手で拭き取る。 真紅のローザミスティカは、いつの間にか無くなっていた。 おそらく逃げる際に、落としてしまったのだろう。 大事な真紅の形見を失った悲しみで、また涙が流れる。 だがいくら拭き取っても、涙が乾くことはない。 目の奥から、洪水のように溢れてきていた。 「お前も……誰かを失ったのか」 そんな時、C.C.が彼女の元へと歩いてくる。 ゆっくりとした歩調で、悲しげな表情を浮かべながら。 「ひょっとして……C.C.さんも……」 「ああ、大事な共犯者を失ってしまったよ」 空を仰ぎ、独白のように語るC.C.。 その表情はどこまでも悲しげで、そして寂しげだ。 「死による別離など、なんともないと思っていたのだがな」 彼女は悠久とも呼べる時の中で、何度も死別を体験していた。 その度に彼女の心は擦り切れ、摩耗していった。 そのうち人の死にも慣れ、彼女自身も死という概念に対してドライになっていた。 そう、自らに言い聞かせていた。 本当は誰かが死んでいくことが、とてつもなく悲しかった。 もう死別を経験したくないからこそ、彼女は自らの死を望んでいたのだ。 「ヴァンさん、C.C.さん」 瞼に涙を浮かべたまま、レナは二人の名を呼ぶ。 「なんであの時に、二人とも私を助けてくれたんですか?」 ずっと不思議でならなかった。 二人が自分の存在は明らかに足手まといであり、場の雰囲気も悪くしていた。 あそこで殺されていれば、二人にとっても都合が良かっただろう。 なのに何故、二人はレナを助けてくれたのだろうか。 「俺はその……これ以上カギ爪の野郎に好き勝手されるのが嫌だったから」 ヴァンが頭を掻きながら、照れ臭そうに答える。 「どうしてだろうな、私にもよく分からないんだ」 C.C.は答えると同時に、皮肉げに笑む。 それは今までレナに見せたことのない顔であった。 (ああ、そっか) 今の今まで二人のことを、冷淡な人間だと思っていた。 だけど違う、二人はただ不器用なだけなのだ。 決して彼らは、人の死に関して冷淡な人間ではない。 むしろ死に関わる機会が多いからこそ、命の価値を痛いほどに理解しているのだ。 「ごめんなさい、私……あの時、二人のことを悪く言って……」 「気にするな、大事な者が死んだ直後は誰でも冷静ではいられないんだ」 そう言って、C.C.は今度は自嘲するように笑みを浮かべる。 「なぁ、えーと……俺はそういうことはしなかったけど……」 ヴァンが帽子で目線を隠しながら、言葉を紡ぎ始める。 「本当に悲しい時は……思いっきり泣いてもいいと思うんだ」 (みんな……みんな……) ヴァンの言葉で、レナの心に閊えていた何かが解け始める。 それからゆっくりと、胸の奥から沸き上がってくるように。 「あ……あ……」 一滴、一滴と―――― 「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」 ――――彼女の瞳から大粒の涙が零れ始めた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 大声を上げながら、慟哭するレナ。 仲間の死をひたすらに悲しみ、ただ泣き続ける。 (…………) そんな風に一途に泣き続ける姿は、C.C.にとってどこか羨ましかった。 悠久の時の中で幾度も死を経験するうちに、彼女の涙は枯れ果てていた。 死別に逢遇したくないがために、無意識に他者との接触を避けていた。 そうして幾年の時が過ぎ、久々に巡り会ったのがルルーシュだった。 それは魔女の気まぐれか。 彼女はレナの離脱を確定事項だと思っていたし、早く別れたいと思っていた。 だが、今は何故かそんな気が起こらない。 仲間の死に悲しむレナに、深い共感を覚えていた。 "大事な者が死んだ直後は誰でも冷静ではいられないんだ" 先ほどレナに投げ掛けた言葉。 それがそのまま自分にも当て嵌ることに気付き、C.C.は自嘲する。 (なぁ、ルルーシュ?) もうこの世にはいない共犯者に向けて、C.C.は語りかける。 (私も……泣いていいのだろうか……) そう、天に問うC.C.。 彼女の頬には、一筋の涙が伝っていた。 【一日目 朝/G-1 道】 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】 [装備]:無し [所持品]:支給品一式、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、サタンサーベル@仮面ライダーBLACK 空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、真紅の下半身@ローゼンメイデン [状態]:疲労(小)、悲しみ [思考・行動] 1:泣く。 2:圭一、詩音と合流する。 3:翠星石と蒼星石も探す。 4:ミハエル、東條、水銀燈、後藤を警戒。 [備考] ※この会場の西端と東端、北端と南端は繋がっています。 どこかの端からエリア外に出ると、逆の端の対応する位置へとワープします。 【ヴァン@ガン×ソード】 [装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- [所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード [状態]:疲労(小)、右肩に銃創、右上腕部に刀傷 [思考・行動] 0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。 1:体勢を整え、ミハエルをぶっ倒しに行く。 2:レイが気にならない事もない。 [備考] ※23話「みんなのうた」のミハエル戦終了後より参戦。 ※ヴァンはまだC.C.、竜宮レナの名前を覚えていません。 【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2】 [装備]:ブリッツスタッフ(二回使用)@ヴィオラートのアトリエ [所持品]:支給品一式、エアドロップ×3@ヴィオラートのアトリエ、ピザ@コードギアス 反逆のルルーシュ R2 [状態]:疲労(小) [思考・行動] 1:今後どうするかを考える。 2:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない。 3:後でピザを食べる……つもりだったが、今はそんな気分ではない。 4:後藤は警戒する。 [備考] ※TURN11「想いの力」終了後、日本に戻る前から参戦。 ※不死でなくなっていることに気付いていません。 ※真紅のローザミスティカは、F-1の辺りを浮遊しています。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 時系列順で読む Back 真実を惑わせる鏡なんて割ればいい Next ガラスの友情 投下順で読む Back 真実を惑わせる鏡なんて割ればいい Next ガラスの友情 077 命の価値 ヴァン [[]] C.C. [[]] 竜宮レナ [[]] ミハエル・ギャレット 084 ガラスの友情 東條悟
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良心の価値 ◆2Y1mqYSsQ. ボイルドはビルの屋上へと辿り着き、追跡対象とすれ違ったことを知る。 林が広がる間にそびえるビルの入り口に、複数の足跡を発見、突入を開始して、今に至る。 重力を制御し、一気に跳躍をしなかったのには理由があった。 制限……重力の制御に、リミッターがかけられている。 V3との戦いで感じた重力の壁の出力の弱さ。過去のボイルドのように、銃弾を逸らしきれない状況が生まれるだろう。 もっとも、ボイルドはそれでも構わなかった。 軍人としての経験が自分にはある。かつてのコーチより教わった、捜査技術がある。 何より、すべてを塗りつぶす、虚無がある。新たな化け物銃、ハカイダーショットを手に、階段を昇り、人の気配がしないことを確かめ辿り着いた屋上。 無駄足ではなかった。明らかに争った形跡がある。 あの面子……十代後半の少女一人。十代になるかならないかの少女。多脚戦車一台。 戦闘力は全員保有している。しかし、血痕があるということは、被害者は二人の少女の内、誰かと見ていいだろう。 なら、実行犯……裏切り者は誰なのか。 小型戦車が暴れた跡にしては、部屋はそれほど荒れていない。 小型戦車の暴走の線は薄いだろう。 短髪の十代半ばの少女なら? 彼女の主な武器は炸薬だが、仲間を裏切り、刃物を使って襲えば、破壊はこの規模で収まる。 悪い線ではない。しかし、問題はある。そのことを語るのは後だ。 あのゴシックロリータ服少女ならば? 三人と対峙して、一番危険を感じたのは彼女だ。見た目だけなら、戦闘力は少ないように見えるが、身のこなしは一流の軍人に劣るものではない。 引き際を心得た動き、とっさに腕を犠牲に最小限の被害で抑えた判断力。 その彼女が、あの未熟な動きが目立つ少女に遅れをとるとは、考えにくい。 彼女が残した右腕も、気になる。掌に移植された金属端子での変形の指令を正確に受け取り、形を変える金属だ。 と、なると犯人はゴシックロリータ服の少女である可能性が高いだろう。 ボイルドが膝をかがめて、痕跡を探る。 明らかに一時間かそこらにできた傷。なら、まだ遠くへ入っていないはず。 そう思考するボイルドの耳朶を、大型車のタイヤと地面が擦れあう、悲鳴のような音が打つ。 音は僅かだったゆえ、距離はある程度は離れているだろう。今向かえば間に合う。 いかなるものも虚無を訪れさせる。重力を展開、すぐに現場へ向かおうと跳躍の準備をする。 視界の端に、青い影がよぎった。とっさに、全身に重力の壁を張り巡らせる。 周囲に銃弾が降り注ぐ。一発、逸らしきれずボイルドの頬に血が流れた。 瞳の色と同じく、冷徹な眼差しで、小型戦車を射抜く。 空洞のような心に何も響かない。虚無に塗りつぶすべく、小型戦車へとボイルドは跳躍した。 □ 「ひゃ~、あの黒い人と赤い人、強いねー。近寄らないようにしよっと」 得たレアメタルを抱えて、タチコマは四本足を駆使し移動をしている。 ドラスの必要といったレアメタルの回収中にハカイダーとゼロの戦いを目撃していたのだ。 激闘を繰り広げる二機を尻目に、すたこらさっさと逃げて現在に至る。 (非常識な戦いだった……あんな人ばかりなのかな?) タチコマの思考が、戦闘をしていた二人に向く。どちらが仕掛けたのかは会話を聞き取れなかったため、分からない。 しかし、今構っていられないのは真実だ。早く二人の下に向かい、安全を確保するように進言しよう。 そう考えていたタチコマは、建物の陰に隠れる。雑居ビルの窓に、重力を操る男がいたのだ。 彼の男の戦闘力を知るタチコマはドラスたちの安全の確保のため、逆側に存在する雑居ビルの壁をワイヤーを駆使して登る。 レンズを伸ばし、ドラスたちがいたはずの場所を見るが、彼等はいない。退避したのだろう。 ホッとするタチコマが、大型車のタイヤが軋む音を捉える。同時に、ボイルドが動こうとしていた。 ドラスたちはあそこにいるのだろうか? 一つの疑問と共に、タチコマは跳躍、チェーンガンをボイルドに向ける。 完全な奇襲だ。なのに、チェーンガンの弾は重力の壁に逸らされていった。 対応能力の高さにタチコマは人間のように戦慄しない。 次の策をとるため、跳躍するボイルドを誘導するように退いていく。 「こっちだよー」 突進してくるボイルドを、挑発するように屋上から飛び降り、路地へとめがけて駆けていく。 それなりに横幅のあるタチコマでも、余裕で通れる道だ。 タチコマの、恐怖の鬼ごっこが今始まる。 □ 『――インフォメーションメッセージ』 ボイルドが保有するPDAより、電子音が響いた。 情報を聞き漏らさず、且つタチコマ――四脚の戦車――を逃がさないように、地面を蹴り続ける。 速度差より、接近戦を仕掛けるのは難しいと判断した。 左手にデザートイーグルを構える。マグナム弾が吐き出され、タチコマが存在していた地面を抉る。 『06 00時点における本プログラムからの脱落者をお知らせします』 右手に鈍く光る、ハカイダーショットはまだ使わない。 一撃必殺のモンスター。虚無への入り口。 四脚戦車は、まだ間合いに入っていない。銃口はピタリと、脚の一つへと向けている。 重力で腕を支えて反動に備える。引き金に指をかけた。 死んだ人間に、バロットはいない。ならウフコックも無事であろう。 『なお、進入禁止エリアは【C-2】、【H-8】の2ブロックとなります』 禁止エリアを頭に入れて、ボイルドは猟犬のごとくタチコマへと迫る。 瞬間、タチコマがワイヤーを引き上げる。ボイルドの頭上に、瓦礫が降り落ちた。 トラップ。重力の殻が瓦礫を逸らす。遮られる視界。一瞬の間でタチコマの姿が消える。 逃げたか。否。 ボイルドはコマのように回転しながら、地面を離れる。刹那、ボイルドがいた地点に無数の火花が散った。チェーンガンによる掃射だ。 ボイルドはビルの壁に、重力を横方向に発生させて『着地』した。照準が再びつけられる前に、タチコマに向かって発砲。 デザートイーグルのマグナム弾はタチコマの体表で跳ねる。左腕と共に、ボイルドはデザートイーグルを収め、ハカイダーショットの銃口を向けた。 破裂。超高周波炸裂弾がハカイダーショットの銃身から爆発的に加速する。 タチコマのボディに漆黒の穴が開く。 小型とはいえ、戦車の装甲を貫いたことに戸惑っているのだろう。 とはいえ、機械的な動きは変わらない。痛みを感じないからだ。 故障も恐れず、体当たりをしてくるタチコマを醒めた目で見つめる。大質量に任せた、のしかかり。 制限下でもトンを越える衝撃を生み出す、V3キックに耐えた重力の壁に、加速を得たタチコマのボディの衝撃がのしかかる。 逸らしきれない。刹那の間に、ボイルドは判断。 衝撃を流すように重力の範囲を球状へと変形させる。丸みの重力壁に沿って、タチコマのボディが流れていく。 自分の身体もタチコマの流れるボディにあわせて回転、すれ違いざまにハカイダーショットを一発放った。 炸裂<エクスプロード> タチコマの四脚のうち一本が吹飛ぶ。 残った三本足でタチコマは器用にバランスをとり、カメラアイをボイルドに向ける。 機銃の掃射。跳弾すらも重力の壁で防ぐ。 数発が逸らしきれず、ボイルドの身体に傷を刻む。痛み、傷の深さ、共に軽い。動きに支障はない。 ゆっくりとタチコマに近づくが、油断はしない。タチコマの機動をまだ殺しきれていないからだ。 ボイルドは目の前の多脚戦車を虚無で塗りつぶさんと、迫った。 タチコマはレンズに近づいてくるボイルドを映しながら、この後の行動を予測をする。 もし、ボイルドを逃がしたとするならば、彼はドラスやスバルを追いかけるだろう。 彼らが自分をおいてどこかに行ったとしても、そう遠くに移動するとは考えにくい。 人間という奴の理不尽さは何度も見てきた。ドラスなんて、他人を銃弾から庇うような性格の持ち主。 彼らが離れた理由を推察するなら、怪我人を抱えたスバルが何らかの方法でボイルドの接近を察知、ドラスを連れて逃げたのだろう。 もしも公安9課でのミッションだと仮定するなら、自分の役割は決まっている。 (囮だよね) なるべくボイルドを引きつけて、仲間の撤退路を確保する。命のない多脚戦車なら当然行うべき任務だ。 ドラスやスバルに置いていかれたタチコマが判断した、任務の内容。迅速に、確実に行うためのボイルドとの対峙。 まだ時間は充分に稼げていない。稼げる手段は、まだ尽きていない。 「ねえ、おじさん」 タチコマの声に、ボイルドは無反応。徹底して警戒を緩めず、臨戦態勢を解かない。 手負いの多脚戦車にだ。ありがたくてレンズからオイルが漏れそうになる。もっともそんな機能はないが。 タチコマは話を続ける。 「おじさんは何で人を殺すの?」 構わず、ボイルドが銃弾を吐き出させる。タチコマは跳躍、大穴の開く鉄板を見届けて、油断なく銃口を移動させるボイルドを視界に入れる。 タチコマはワイヤーを射出。己の身体を巻き上げて、銃弾から逃れる。 機銃をボイルドに向け、ばら撒きながら三本足で器用に退避。 ボイルドを振り切らない程度の速度で、ひたすらドラスたちが逃げたであろう方向とは逆に移動を続ける。 身体を掠める銃弾にひやひやしながらも、冷静にボイルドを誘導していった。 何せ、今機能停止すればドラスたちの身の安全は保障できないからだ。だから、これはきっと人間で言う「ひやひや」した状況なのだろう。 タチコマはビルにワイヤーを撃ち込む。無機質なカメラアイが陽光を反射、眼下に存在するボイルドを見つめた。 殺人者……いや、すべてを塗りつぶす捕食者は、局地重力の壁をまといながら迫る。 彼の行動を制限させる。タチコマは己の任務を理解した。 ボイルドはタチコマを逃がさないように重力の力場をコントロールして加速を続ける。 タチコマが全力で逃げない理由を推察。そして、タチコマを逃がす確立がほぼ零になる結果をはじき出す。 誰が最初に虚無に飲み込まれようと関係ない。すべて等しく虚無が飲み込む。 (いたぁ……い、の?) とっくに死んだはずの……いや、殺したはずの良心がかすかに蘇る。 自分を殺しても守りたかった良心。自分を拒絶したウフコック。眠らない代償に現れるようになったビジョンがボイルドの耳に、言葉を蘇らせる。 『羊じゃねえんだ』 ウフコックすらも飲み込もうとした街の欲望。守るには自分の良心を殺すしかなかった。すべてを虚無に飲み込むよりほかなかった。 ふと、タチコマに視線を向ける。脚を砕かれ、傷を追っていく姿はかつての自分たち……街の欲望の生贄となった羊のようだ。 彼は裏切り者がでたことを知らない。知ったらどうするのか、僅かに疑問が沸く。 自分のように、良心を殺すか。 ウフコックのように、良心であり続けるか。 その自らの気持ちも、刹那の間に虚無に飲み込ませ、軍人としての本能を前に出す。 破壊。 ただその一点をタチコマに殺気と変えて放つ。表面上のメタルボディからは感情の波は読み取れない。 やがてタチコマは、小さな工場へと入っていった。 自ら逃げ道を断つ。大柄ではあるが、機動力のあるタチコマの能力を考えれば、明らかな判断ミス。 ボイルドもそのまま工場内へと突入する。タチコマが工場内の中央で、待ち構えていた。 攻撃を防ぐ準備、ハカイダーショットを撃ち込むために銃口の移動、タチコマが回避行動をとる際に、着地する位置の予測。 すべて次の行動のために一瞬で準備し、威嚇のためハカイダーショットの一撃をタチコマの残った三脚のうち一脚を撃つ。 ボイルドは次のタチコマの闘争経路を予測して、そこにデザートイーグルの銃口を向けるために左腕を動かす。 結果は、タチコマの脚が吹飛んだだけだった。逃げることも、抵抗することもない。 何を考えているかと、ボイルドが思考をする。 決して、敵が諦めたからだとは油断しない。何らかの反撃の手段がある。 今までその慎重さと、相手を侮らない軍人としての生き様が、カトル・カールとの戦いを生き延びる結果を生んだ。 油断なく構えるボイルドの前に、タチコマが身体を震わせる。 恐怖でおびえているのか? 否。 「僕の勝ちだよ。おじさん」 勝利を確信した、振動。 飛び上がる巨大な影。ミサイルを確認。工場の天井に到達した。 炸裂<エクスプロード> 瓦礫が落ちて、虚無の雨となり襲ってきた。 タチコマはPDAに残る、最後の支給品の使いどころを見定める。 PDAに記された道具……『スプリットミサイル』。 十五メートルクラスのロボットに使われているミサイル。威力も凄まじいものがあるだろう。 その分、サイズが大きく、PDAから取り出すタイミングを見極めなければならない。 それに、このミサイルの威力をもってしても、ボイルドをしとめ切れるか予想がつかない。 タチコマはこのミサイルの使いどころを見つける。地図によれば、小さな工場があった。 だから、ここで待ち伏せて、ボイルドが近づくのをひたすら待った。 ハカイダーショットの弾丸が脚を砕く。二脚ではさすがに身体を支えきれず、崩れる。 PDAを操作する手が生きていることに感謝をしながら、タチコマはタイミングを計った。 ボイルドが油断なく迫る。―― 射程距離。 その思考を読み取ったがごとく、ボイルドが構えを取る。もう、遅い。 「僕の勝ちだよ。おじさん」 PDAから召還されるミサイル。天井に飛んでいくそれを、止めることはもうできない。 タチコマの狙いは、あくまで足止め。ボイルドというモンスターを、ドラスやスバルに近づけないこと。 そのため、建物の内部にボイルドを誘導。天井を破壊と共に、瓦礫にボイルドを埋める。 そして、あらかじめ外に向かって射出していたワイヤーを巻き取り、自分は工場から脱出する。 早速、タチコマは脱出のための行動に移った。 しかし、タチコマはその行動を中断。 重力の壁を展開するボイルドに、タチコマが突進をする。重力の壁ごと、ボイルドの身体を僅かによろめかせた。 ボイルドは落ちてくる瓦礫にすら、興味なさそうに見つめていた。そして、デザートイーグルの銃口をワイヤーに正確に向けている。 それは、確実に生き残れることの証拠。逃げれる証。―― タチコマを逃がさないサイン。 脱出不可能。ただし、ボイルドは瓦礫を逃れることができる。 そうタチコマが判断した瞬間、脱出を放棄、ボイルドを押さえ込むことにする。 その行動が生きた。刹那の猶予が、ボイルドの逃げる隙を殺す。 振り落ちる瓦礫が、タチコマの身体にのめり込む。傘のように重力の壁を展開するボイルドとは対象的だ。 「ドラスくん、スバルさん、逃げてね……」 誰にも届かない声。心にすら届かないことを知らずに、タチコマは言う。 ただ一人、虚無を抱えたボイルドにのみ、その声が届いた。 □ ボイルドにはパートナーがいた。 宇宙戦略研究所にて、万能兵器として開発された金色のねずみ。ボイルドが心を許した、小さな生命。 殺しきれなかった良心。守りたかった良心。 09法案にもとずく法執行機関のメンバーとなり、人に触れ合うウフコックには希望があった。 パートナーである自分も、日々自分の存在意義を持っていき、人とのつながりを増やしていく彼に希望を持った。 カトル・カールとの激闘、仲間の死、裏切り、街の欲望、法執行機関の乗っ取りの開始、守るべき価値のない証人。 虚無がボイルドを塗りつぶす。 ボイルドを動かしたのは、決して怒りではない。ただただ、守りたかったのだ。 残されたたった一人のパートナー、ウフコックを。 そのために……虚無を己の中に取り込む。すべてを虚無へと塗りつぶす。 闇の中で、重力の壁を展開したまま、重力の出力を上げる。 瓦礫がいくつか飛びのいた。差し込む光の向こう、青い多脚戦車が視覚に入る。 機能停止しているのだろう。彼の持つPDAにウフコックは存在していなかった。 「お前の仲間は裏切った。それを知ったら、今のように守るために動くのか?」 答えが欲しかったわけではない。ただの独り言。ただの呟き。 だからこそ、答えがあったのには驚いた。 「ドラスくんたちが裏切ったって、どういうことさ?」 「まだ生きていたか」 「うん、さすがにもう持たないけど……数分くらいは起動できるよ」 「抵抗もできないようだな」 「悔しいけどね」 ボイルドはタチコマに背を向けて、瓦礫を跳ね飛ばす作業に戻る。 そのままの姿勢で、タチコマに先ほど得た推察を語った。 「現場には争った跡があった。人の血も。つまり、どちらかが裏切ったということだ」 「現場検証か。少佐ならやるね。おじさん、僕たちと同じく警察の人?」 「法執行機関に所属していた時がある」 「ふーん。それじゃ、ドラスくんとスバルさんが喧嘩したのかな……」 「悲しいか?」 「よく分からないや」 タチコマの検索結果、『sad』に関する説明を得たことをボイルドは知らない。 タチコマはその結果、人間の感情であることを知るが、どう判断していいか分からなかったのだ。 「僕には悲しいって概念を理解できない。 僕に『死』がないからなのかな。でもドラスくんもスバルさんも、僕は仲間だったから助けた。 僕を裏切られて悲しいって感情は分からないから、それでいいや」 だからこそ、死をも覚悟する戦術を取ったのか。 ボイルドはそう理解をした。死を恐れぬのなら、瓦礫に自分ごと、敵を埋めようだなんて考えもしないだろう。 もっとも、それほど想っている仲間を守るためなら、己を殺すことができる人種もいることをボイルドは理解しているが。 タチコマの生き様は、一つの概念を思い出す。 『羊! 羊! 羊じゃねえんだ!』 ワイズの幻影が、またも蘇る。タチコマは羊なのだろうか? 本人はどう思っている。 かつて、良心に殺されたであろう自分と、タチコマを重ねた。虚無に身を任せなかった自分を。 何より、生きた良心、ウフコックに。 「『道具』であり続けたといいたいのか?」 「僕はAIだから死なないけど、『道具』ってのは異議あり! 機械にも愛を!」 「そうか」 「クスリともしないんだね。笑いは人生の……オアシス……だって……さ……」 タチコマが起動停止する様をボイルドは見届け、空気を吸い込む。 無知ゆえに、仲間を守り続けたタチコマに、死んだはずの良心が重なった。 物言わぬタチコマに、この殺し合いでのウフコックの未来を見たような気がした。 バロットに支給されていないのなら、この殺し合いの誰かにもたらされているかもしれない。 その人物が、バロットのようにウフコックを気遣ってくれる保障など、ない。 ウフコックが道具としての存在のみを要求され、強要されれば。 かつてボイルドが行ったように眠らせ、その力だけを振るうようになれば、ウフコック自身虚無に飲み込まれる。 ボイルドが一歩歩み寄り、薄暗い瓦礫の山の中、重力を展開。 同時にハカイダーショットを撃ち放つ。 崩れていく瓦礫。吹飛ぶ瓦礫。暗い視線がそれらを射抜く。 V3は言った。世界にはマルドゥック・スクランブルと理想を共にする仲間が存在すると。 この世界に、ウフコックがいる。 殺し合いで消耗される前に、ウフコックを救い出す。ウフコックを消耗するものをすべて、虚無に塗りつぶす。 希望など見えない。明るい未来など既にあきらめている。 いや、夢想すらしたことない。 ハカイダーショットを向ける。 デザートイーグルをPDAに送った。 左腕の重力発生装置を瓦礫に向ける。 (おお、炸裂<エクスプロード>よ――!) 醜い犠牲者たちのビジョンが蘇る。ハカイダーショットの銃口が火を吹いた。 爆心地――瓦礫を虚無に返す。 この殺し合いの参加者すべてを、零にするかのように。 【タチコマ@攻殻機動隊 破壊確認】 【残り 36人】 【G-1 小さな廃工場跡/一日目・朝】 【ディムズデイル・ボイルド@マルドゥックシリーズ】 [状態]:中程度の疲労、全身に中~小程度のダメージ、胸部に中程度の打撲 [装備]:デザートイーグル(5/7)@魔法先生ネギま! 、弾倉(7/7)×1+(0/7)×1 ※弾頭に魔法による特殊加工が施されています ハカイダーショット@人造人間キカイダー(8発消費) [道具]:支給品一式、ネコミミとネコにゃん棒@究極超人あ~る ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス×2(チンクの支給品) ドラスの腕、PDA×2(ボイルド、タチコマ) [思考・状況] 基本:ウフコックを取り戻す 1:瓦礫をどかす。 2:ウフコックを濫用させないため、参加者をすべて殺す。 3:バロットと接触する。死んでいる場合は、死体を確認する 4:ウフコックがいないか参加者の支給品を確認する 5:充実した人生を与えてくれそうな参加者と戦う 6:もっと強力な銃を探す。弾丸も。 [備考] ※ウフコックがこの場のどこかにいると結論付けています。 ※ドラスの腕を武器として使うことを検討中 [共通備考] G-1エリア内の小さな廃工場が瓦礫となり、ボイルドが埋まっています。 瓦礫をどかすのにどのくらい時間がかかるかは、次の書き手にお任せします。 【支給品紹介】 【スプリットミサイル@スーパーロボット大戦OG】 パーソナルトルーパーが装備できるミサイル。 時系列順で読む Back missing you true Next 密林考察にうってつけの時 投下順で読む Back 怪人タイプゼロ C-6ブロックの決斗! Next 密林考察にうってつけの時 044 A/B LIVED タチコマ GAME OVER 044 A/B LIVED ボイルド 101 クロ電話――劇的皮肉
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有銘の存在価値 2010年の昨年、ブラウン監督の下で活躍した楽天イーグルスの 三人の抑え、青山・片山・小山。 以前から先発転向の話しは出ていたが2011年の今年、 星野監督の下で其々に先発の機会を得た。 が、揃って炎上。 そしてまた何事も無かったかの様に元の中継ぎのポジションへ・・・。 横浜の尾花監督が良く「(先発)五回まで持ってくれれば・・・」などと こぼしているが、 投球回数が増えるにつれ、やはり制球が不安定になって来るのか。 しかし今季、楽天ベンチ入り投手達は皆、 適度に登板機会を与えられていた様だったが、 ただ一人有銘のみがベンチ入りしながら余り登板機会にも恵まれず 不気味な沈黙を保ちつつ、 2011/6/7時点での成績が防御率0.00。(但し投球回数2.2) これはまさかの覚醒か・・・!? と、期待したシーズン終了後の成績が防御率1.35。(但し投球回数13.1) 防御率1.35!・・・何と! 投球回数13.1ながらこれはキャリアハイの成績。 この成績で何故もっと彼が起用されなかったのか? それとも故障? ”星野監督激怒 四球の有銘に「バカヤロウ!」”(スポニチ) ・・・などという事はなく、 投球回数が少なかったのは対左打者用ワンポイントでの活用が 主だったからみたい。 (始めからそこまで求められてはいなかった?) 確かに元々コントロールに大きな不安を抱えたピッチャーだったのだが 最近の彼の登板数の少なさはどうも、 危なっかしくて気安くは使えないというのが実情の様だ。 防御率の低さも詰りワンポイントなので、 大炎上を喰らう前に降板させられてしまっている疑いが強い。 佐藤Pコーチがいてもコントールはダメなのだろうか? ワンポイントの起用では延長12回、188球を一人で完投する彼の 脅威のタフネスさも宝の持ち腐れとなってしまう。 しかし座右の銘が”闘志前面”でそれで今年の目標が ”一年間、ケガなくチームの勝利に貢献する”って一体・・・。 確かにケガはないが、 同じく丈夫が取り得の下柳投手も、彼も元々はノーコンだった そうなのだがその頑丈さを利用して 「毎日打撃投手、毎日中継ぎ登板」という荒療治を経て、 遂にその難点を克服したと言う。 有銘が下柳にさえ化ければ、 実働まだ10年は活躍出来る計算になる。
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命の価値 ◆7WJp/yel/Y 気がつくと、ベンチに座っていた。 目を擦りながら眼前を見ると、そこに広がるのは熱気と歓声が渦巻くグラウンド。 このグラウンドには見覚えがある。忘れようにも忘れられない、甲子園のグラウンドだ。 上等な黒土が敷かれ、地方の球場よりも綺麗に整備されている。 自分はここに立ったことがある、今覚えばあれが自分の全盛期だったのだろう。 そんなことを考えながら、バックスクリーンを眺めた。 そこには極亜久高校と聖皇学園という文字、そして幾人かの名前と数字が羅列されている。 どうやら今の状況は甲子園決勝戦のようだ。 そして、ふと『ああ、これは夢なんだな』と確信する。 今までも夢の途中で夢だと気付くことはあった。 そんなときは夢なのにひどく冷静で、せっかくだから夢の状況を楽しんだりと思ったりもした。 ただ、今は到底そんな気分にはなれない。 どうせなら夢だなんて認識せずに、良い夢を見ながら幸せに浸りたかった。 たとえ、目を覚ました後に待っているのが悪夢を現実にしたかのような出来事でも、今は逃げたかった。 それでも、今の現実はマシだと思うことにした。 ひょっとすると今までのことが夢だったのかもしれないとか、そんな馬鹿なことも考えておくことにした。 「どうしたんでやんすか、急に声だししなくなって? ひょっとして何処か悪いんでやんすか?」 「……ん、大丈夫だよ亀田くん。ちょっとばてただけだから」 プロテクターとキャッチャーミットをつけたまま話しかけてきた亀田 光夫。 六時間ぶりに見たその姿に、三橋は笑いながら言葉を返す。 その返しに亀田は怒ったように顔を真っ赤にさせ、怒鳴りつけるように大声を出す。 これは甲子園の決勝なんだから怒るのも当然だよな、と少し自分の態度を反省する。 夢とは言え久しぶりに親友と野球をするのだ、自分はもちろん親友にも楽しんでもらいたいものだ。 「三橋くんはキャンプテンなんだからしっかりしてくれでやんす! 鋼とアルベルトが■んじゃっただから、ここが正念場なんでやんすよ!」 「ははは、ごめんごめ……ん?」 突然聞こえた、野球場にふさわしくない単語。 いや、もっと言ってしまえば脈絡もなにもあったものではない唐突な言葉。 一瞬耳を疑うが、亀田はそれに気付いているのか居ないのか。どんどんと言葉を投げかけてくる。 「どうしたでやんすか? 鋼とアルベルトを▲したのは三橋くんじゃないでやんすか。 ほら、隣を見るでやんすよ」 気付くと、隣には帽子を目深に被り俯いた状態のままピクリとも動かない鋼とアルベルトが座っていた。 鋼はわき腹を抉られたまま胸から血を流し、アルベルトは肩からわき腹にかけて大きな傷を負っている。 「残りはまだまだ居るでやんすよ、早く殺してくるでやんすよ。そのための鬼の手じゃないでやんすか」 「あ……」 今までグローブをつけていたはずなのに、気がつくと禍々しい赤色をした鬼の手へと摩り替わっている。 呆然としたまま手を見つめる。 十秒ほど見つめた後、やっと視線を上げるとそこには衣装を変えた亀田がにんまりとした表情で立っていた。 「ほら、まだまだ生きてる人間は残ってるでやんすよ。 平山くんに村上くんに水原くんに三鷹くんに武田くんにボブくんに佐藤くんに鈴木くんに田中くんに 荒井三兄弟に明日香ちゃんに由紀ちゃんに智美ちゃんに外藤さんにようこ先生に紀香さん。ヒナコちゃんや 火星オクトパスの連中も、もう数えるのも面倒なぐらい居るんでやんすから……って聞いてないでやんすか」 亀田の言葉通り、何も聞いていなかった。 甲子園のグラウンドには大勢の人間が居る。 そこには亀田が言わなかった人間も、大勢居る。 父が居る、死んだはずの母も居る、生まれる前に死んでしまった弟も居る、猪狩進も居る、倉刈さんも居る、 たかゆきも居る、服部も居る、立花も居る、ドミオも居る、社長も居る、火星オクトパスの社員達も居る。 それだけじゃない。 野球に関係のない知り合いも居れば、スーツを着た人間も居れば、学生服を着た人間も居る。 どの人間も悲しそうな、それでいて憎むような目をしていない。一緒だ、鋼やアルベルトと。 ただこちらをじっと見ている。 三橋にはそれがどんな気持ちで見ているのかは分からない。 ただ、やっと一つだけ理解出来た、夢も現実も大して変わりがないってことを。 どうやら自分は当分の間、この悪夢に悩まさなければいけない。 いっそのこと、自分を憎んでくれれば楽だと言うのに。 ◆ ◆ ◆ 『おはよう、諸君!』 三橋は不快な甲高い声で目を覚ます。 辺りを見渡すと清潔な床が広がっている、どうやらあの後に水族館の廊下で眠ってしまっていたようだ。 我がことながら無用心極まりないな、と思いながら体を起こす。 隣には一人の人間が居た。 一瞬、身構えてしまうが、直ぐにそれが死体だと思い出す。 薄く漂ってくる血の臭いも、僅かに見える裂けた肉も、先ほどよりも青くなったように感じられる顔も。 全てがリアルでグロテスクだった。 現実も夢もどちらが特別辛いわけではない。 夢でも現実でも休めないことが辛いのだ。 変わりがあるとしたら現実は痛みがあるということぐらいだろう。 (……これが放送って言う奴かな?) 頭を夢のことや鋼のことではなく、機械を通して聞こえてくる妙にはしゃいだ声へと無理やり持っていく。 そして同時に、鋼から逃げるように走って立ち去る。 声の感じも違うし、何より口調からして亀田ではないことは明らかだ。 死者と禁止エリアの発表、この二つが主なはずなのにそれを始める気は感じさせない。 三橋は小さなため息をついて、水族館の奥へと進んでいく。 念のために充電をしておいたほうが良いだろう、予備電池はどうしても、と言うときのために使うべきだ。 行くべき場所は充電も出来るであろう事務室。 入り口にあった内部地図ではここからさほど遠くもない場所にあったはずだ。 早足で事務室へと向かっていると、ようやく禁止エリアの発表に移ったようだ。 (A-2、C-8、H-4……近い場所に禁止エリアは無いな) A-2・C-8・H-4、A-2・C-8・H-4……と頭で呟きながら歩いていると、ようやく事務室を見つける。 疲れた表情で扉を開くと同時に、死者の発表が始まった。 (死者……死んだ人間、か) そう考えた瞬間、頭にアルベルトと鋼の顔が思い浮かぶ。 二人は無表情だ。死んだ魚のような目で俺を見ているのかその先を見ているのかよく分からない。 いや、どれも見ているわけが無い。二人は死体なのだから。 『青野 柴夫、アルベルト=安生=アズナブル……』 「……」 自分が感じた感傷を打ち払うように、軽く頭を横に振る。 これから多くの人間を殺さなければいけないのに、こんな調子じゃ先が思いやられる。 三橋は素早く椅子に座りメモを書きなぐっていく。 恐らく当の三橋でも読み返すのが難しい字だが、三橋にはそんなことを気を使っている余裕なんて無い。 『教頭……』 「……教頭」 頭に過ぎったのは、高校時代の恩師……とは口が裂けても言えないオカマ口調の気持ち悪い教頭。 教頭としか言ってないので、別の学校の教頭の可能性もある。 しかし、三橋は理解している。 亀田が開いた殺し合いなのだから、教頭といえば極亜久高校の教頭である可能性が高いということを。 嫌な奴だった、好きになれる要素が微塵も無かった、どれだけ邪魔をされたかなんて数えたくも無い。 それでも、死んだと聞かされるのは嫌な気分だった。 『たかゆき……』 「……ッ」 自分が殺していない、自分の大事な仲間の名が呼ばれる。 人間と言い張る何処から見てもロボットな外見のたかゆき。 先に博士に作られたのだから、自分は兄貴、つまり偉いと言って三橋をこき使ったたかゆき。 度々殴ってきてパーツを壊してきたりショートにしてきたりしたロボット。 そのたかゆきが、死んだ。 『鋼 毅、平山 紀之……』 「平山くんも……か」 鼻に絆創膏をつけた高校時代のチームメイト。 少し臆病なところもある大事な仲間。 それは亀田にとっても同じだったはず。その平山が殺し合いに参加させられ、そして死んだ。 「……」 メモを取り終え、どうするでもなく椅子に腰掛けて事務室を見渡す。 薄汚れた天井、整頓されているわけではないが物が散乱しているわけでもない机、毛布を敷かれたソファー。 いや、敷かれているのではなく先ほどまでソファーで眠っていた人間が居るのだろう。 考えることでもない、明日香か鋼かスーツの男か……いずれにしろ、ここには人が居たのだ。 確かに監視カメラもあることを考えるとここに篭るのは良い作戦だろう。 そんな風に考えている三橋を無視して、頭上から流れてくる放送ではチバヤシ公爵が楽しそうに喋っている。 (そう言えばチバヤシ公爵って誰だ? 亀田くんの知り合いだろうけど、俺は知らないぞ。まあ、そんなことは今までも何回もあったけど) 亀田は三橋にいつも詳しい話をしているわけではない、むしろ何も話さないときの方が多い。 いつものことだと思い、もう少しだけ休んでからここを出ようと決めると――― 『プルル、プルル――――』 突然、電話が鳴り出した。 三橋は少し考え込む。 ここで出るべきか出ないべきか。 誰が電話をかけて来たかは分からない。 (……ひょっとすると、亀田くんか?) 頭に過ぎったのは自身の親友にして、自分を含む大勢の人間に殺し合いを強要した亀田光夫。 第一回放送終了という区切りの良いところで、何か命令を言ってくるのは不自然なことではない。 少しだけ考え込み、とりあえず電話に出てみることにした。 さすがに電話に出たから即死ということはないだろう。 「はい」 『あ、あの、鋼さんですか?』 だが、電話越しから聞こえる声は聞きなれた親友のものではなく、声の高い若い女性と思われるものだった。 ◆ ◆ ◆ 少しだけ時間を遡ったスーパーの一室に、一人の眼鏡をかけた小柄な少女が居た。 端から見ても苛立っている、恐らく眼鏡の奥の瞳はひどく鋭いものだろう。 「……名簿なんてものがあるなら最初に渡しておきなさいよ!」 少女、浜野朱里は苛立ちのままに並べられた棚を思いっきり蹴り付ける。 何か硬いものがいくつか砕けた感触がしたが、別に関係ない。 そんなことを気にかけている余裕なんて朱里にはない。 なぜなら、殺し合いをしている人間の名前が書かれた名簿が全員に渡されたのだから。 夜明けまではここに居て、体を休めることは出来た。 そして、放送で十六人死んだことが分かり黒猫に蹴られた痛みをほとんど引いた。 さあ、ここからが本番だ、という時に名簿が配られたのだから、出足でつまづいてしまったのだ。 名簿を見れば朱里が数時間前に語った偽名が早々にばれる。 つまり、自分の言ったことが嘘だと疑われる可能性が大いにある、ということだ。 しかも、内容が『黒い服の女に襲われてパニックになって電話をした』と言ってしまった。 頭を働かせれば、パニックに陥った高校生が簡単に偽名を使うことは少しおかしいと気付く。 はっきり言ってしまえば、朱里の作戦の一つは墓穴を掘る結果になってしまったということだ。 (終わったことは仕方ないわ。今ならまだ間に合うかしら?) ただ、その二つはおかしいだけであって確実に敵だと判断できる材料ではない。 鋼が黒猫に会っていなければ、少ないとはいえ疑心を埋め込むことも出来る。 (そうと決まれば早速連絡ね。ここから出るのはそれが終わってからでいいでしょ) 水族館に居る鋼がどんな対応取るのかは予想できない。 ひょっとすると朱里が殺し合いに乗っていることに気付くかもしれないし、気付かないかもしれない。 向こうも殺し合いに乗っている可能性も0ではない。 そんな風に考えながら、相手が出るのを待つ。 中々出ないのはこちらを警戒しているのか無視しているのかそもそも其処に居ないのか。 もう、水族館から逃げたかもしれないと判断して電話を切ろうとした瞬間。 『はい』 鋼と少し違った男の声が聞こえた。 鋼ではない、鋼はもう少し低かったような気がする。 「あ、あの、鋼さんですか?」 だが、ここで慌ててはいけない。 あくまでパニックに陥って保身のために偽名を名乗ってしまった女子高生を演じるべきだ。 『いや、鋼じゃなくて、俺は……鋼の知り合いだよ』 「鋼さんの知り合い……」 どうやら鋼はチームを組んでいたようだ。 確かに一人よりもチームの方が外敵からの対応は楽だろう。 その仲間が裏切る危険も高いが。 「あ、あの、謝りたいことがあって……鋼さんに伝えてくれませんか」 『……とりあえず聞いておくよ』 「その高科奈桜っていうのは嘘でして……私、浜野朱里って言うんです」 『浜野……朱里? えーっと……確かに名簿にあるね』 「私、怖くて……友達以外信用できなくて、思わず嘘を言ってしまったんです! すいませんでした!」 とにかく勢いで謝っておく。 出来るだけ、自分の言ってることも本当かもしれない、と思わせておきたい。 どうせ高科奈桜の名前を使うのは親切高校の同学年だと当たりはつけられる。 『そっか……友達、か』 どう出るか様子を見ようと思っていたが、妙なところに食いついてきた。 少し慌てるが、何とか言葉を返す。 「はい、友達ですけど……」 『……友達は、連れて来られているのかい』 男は朱里が偽名を使ったことを責めるでも問い詰めるでもなく、世間話をするように聞いてくる。 朱里は迷うが、隠す必要もないし同情を買いやすい可能性が高いので素直に答えておく。 「ええ、神条紫杏って言う子と……一応大江和那っていう子が」 『そうか、大変だね……ところで、君は何処に居るんだい?』 「さっき電話したときから移動していません」 『……そっか』 男はそこで言葉を切り、ごくりと唾を飲み込む小さな音が聞こえた。 『……一つだけ聞きたいことがあるんだ』 「なんですか?」 『君は殺し合いに乗っているのかい?』 突然の質問。 同情されているのかと思っていた朱里には虚を突かれたことになる。 疑われている可能性は高いと思っていたが、ここまでストレートに来るとは思わなかった。 「わ、私は殺し合いになんか――――」 『俺は乗ってる。鋼を殺したのは俺だよ』 「え?」 『君が殺し合いに乗っているのなら協力しよう、殺し合いに乗っていないのなら殺す。 君の友達の神条さんも大江さんも乗っていないのなら殺す。 殺すんだ。鋼も鋼の仲間も、殺し合いに乗っていないからね。 もう一度聞くよ、君は殺し合いをするつもりはあるかい?』 それは殺し合いに乗っているのかと問い詰めるのではなく、自分は殺し合いに乗っているという告白だった。 瞬時に頭を動かしてどうするべきかを考える。 ……答えは一つだ。無闇に自分が殺そうとしていることをアピールする必要は無い。 どうせ乗っていると答えても、向こうが乗っている以上紫杏とカズは殺されてしまうのだから。 「……私は殺し合いなんて出来ませんし、したくもありません」 『そうか……』 プ、という間抜けな音の後にツーツーという無機質な音が響く。 どうやら鋼は三橋という男に殺され、同行者は逃亡したと思われる。 その同行者は既に黒猫と出会った可能性も低からずある。 恐らく朱里の誤報は失敗するだろう。 そして、携帯電話を持っている相手には気をつけろ、という情報も回るだろう。 つまり朱里の策はこれ以上とないぐらい完璧に失敗した。 しかも、殺し合いに乗っている男に目をつけられた。 もっともあくまで自称なため、こちらの態度を窺うだけだった可能性もないわけではない。 (かと言って、携帯を簡単に捨てるのも惜しいわね。今回は失敗したけどまだ使えはするんだから) 隠しておけば大丈夫だろう、多分、きっと。 そんな風に呑気に考えて、いつも銃を隠しておいたところへと隠しておく。 (さて、それよりもまた別の問題があるわ) 少し、冷静になれた。 部屋を出て、近くにあった駄菓子の封を切って口に含みながら考え込む。 その内容はデイパックのことだ。 正確な時間は分からないが、放送が終わると名簿はデイパックの中に入ってあった。 殺し合いが始まってから六時間の間でしっかりと確認したのにも関わらず、だ。 有りえない、普通ならば。 だが、朱里はこれを可能にする方法を知っている。 (殺し合いにワームホールが、ジャジメントが絡んでいる……?) ワームホール、自分の体と自分の行ったことのある場所を繋げるジャジメントに所属する超能力者。 特Aクラスと呼ばれる強力な超能力者、今日も便利な移動手段として世界中を駆け回されているのだろう。 そのワームホールの能力を使えば、先ほどまではなかったものがあってもおかしくはない。 ただこのデイパックの謎が、全てワームホール関係として片付けられない部分もある。 その理由として、どんなにデイパックを探しても名最初に見つけたもの以外が出てこない、ということだ。 ワームホールの能力は自分の体と自分の行ったことのある場所を繋げるもの。 つまりワームホールの能力ならば、デイパックは『ワームホールの体の付近』に繋がっているはずなのだ。 それならば、デイパックの中を隈なく探せばこれ以外のものが一つぐらいは見つかっても良いはず。 なのに名簿と最初の支給品以外の物が全く見つからないと言うのはおかしな話だ。 このことからワームホールとはまた違った能力、もしくは技術が使われていると見るのが妥当だろう。 そして、それがはっきりとしない状態で詳しく調べるのも危険。 どんなしっぺ返しが来るか分かったものでない。 (ワームホールが関係しているのならジャジメントも絡んで……いや、それはないわね。 ジャジメントが関連してるのなら紫杏とカズが殺し合いをさせられるのは明らかにおかしいわ) 今、ジャジメントはオオガミグループと戦争をしている。 比喩でもなんでもなく、文字通り戦争をしている。 細菌兵器を世界中に撒き散らし合い、サイボーグなどの戦闘員で重要な部署を急襲し合う戦争。 健全な戦法も汚い戦法も関係なく、お互いがただ勝つためだけに争い合っている。 今の戦争の状況はジャジメントが圧倒的に不利、だというのに終わりが見えない。 泥沼だ、ジャジメントとオオガミのような怪物同士の潰しあいは莫大な時間と金と人員がかかる。 警察や政府もジャジメントやオオガミの前では意味を成さない。 税金対策に国を持つようなグループだ、国への影響力なんて考えるだけ馬鹿らしい。 その二つがぶつかり合っているのだ。 ジャジメントとオオガミはもちろん、日本や外国だって被害が数えるのも億劫なほど出るだろう。 ボロボロの戦争をしているジャジメントが戦争に繋がるとは思えない殺し合いなんて開くとは考えづらい。 民間人も巻き込んでいることを考えるとリスクも大きいのだから。 やるなら自分達の作ったアンドロイドだけでやるだろう。 そう、それこそ朱里がかつて体験した時のように。 (……ということは可能性は大体三つね。 ワームホールが個人的に協力しているか、ワームホール以外の私の知らない超能力か。 まあ、間違いなく後者でしょうね。ワームホールに個人的に協力出来るような時間があるわけがないわ) 自由な時間があるのかも怪しいワームホールが個人的に協力できるわけがない。 あったとしてもジャジメントが許すとも思えない。 結論として、ワームホールは関係ないという結論に達する。 朱里はスーパーから一歩出て、久しぶりに見た太陽に目を細める。 空は青く澄んでおり、これが殺し合いなんてふざけたものじゃなければ良かったと心の中で愚痴る。 そして、殺し合いという単語にひどい不快感を覚える。 (……私の命は安くなんて無い。 最初から死ぬ予定だった? ショーの見せしめ? 作られたアンドロイド? そんなこと関係ないわ。 私は皆を殺して生き残った。その私の命が安かったら、私も皆もとんだピエロじゃない) 今でも思い出す、無残に笑いながら死んでいった姉妹の顔を。 その姉妹達の死体の上で自分は生きている。 だから、自分の命は安くなんてない、安いわけがない。 さて、まずやるべきことは神条紫杏との合流だ。 朱里にとって紫杏は守り抜きたい人間だ。 神条紫杏の騎士となる、というようやく見つけた自分の役目を放棄することはしたくない。 大江和那は……少々複雑な思い入れのため保留にしておく。 だが、他の人間は正直どうだって良い。 殺しに来るのなら殺すし、危うい思考をしていたら殺す。 たとえそのことで紫杏から何かを言われようと関係ない。 だから、殺し合いに乗れ、なんてこちらから乗り気なのだ。 紫杏と出会えば紫杏の方針に乗り換えれば良い、 もっとも、紫杏の性格から考えるに方針自体は今の自分と同じようなものだろうが。 朱里は歩き出す。 サバイバル形式、武器は六尺棒だけ、敵の情報はほとんどが不明。 状況は前の殺し合いよりも分が悪い。 だけど、死ぬわけにはいかない。その気持ちだけで歩いていく。 ◆ ◆ ◆ ガチャリ、と電話を切ってから椅子に座りなおす。 「友達……か」 ポツリと呟いて空を見上げる。 浜野朱里という少女が放った、友達以外は信用できない、という言葉。 その言葉になんとも言えない気持ちが三橋を襲う。 「……今はやるしかないよな」 とにかく考えることを先延ばしにするために、名簿に目を通す。 名簿に目を通すと知り合いがそれなりに居る。もっとも、ほとんどの人物は既に死んでいるようだが。 残った知り合いは四路智美、進藤明日香、荒井紀香の三人。 この三人も、殺さないといけない。 「辛いのは、今だけだ。そう、今だけだから……」 【H-6/水族館/一日目/朝】 【三橋一郎@パワポケ3】 [状態] 健康 エネルギー75% [装備] 鬼の手、パワーと走力の+パーツ一式、豪力 [道具] 支給品一式×2、予備バッテリー、野球ボール数個、ランダム支給品 [参戦時期]亀田の乗るガンダーロボと対決して敗北。亀田に従わされしばらく経ってから [思考] 基本:亀田の命令に従いバトルロワイヤルを円滑に進めるために行動する。 1:少しだけ休んでから移動する。 2:参加者を積極的に探して殺す。 3:もしも相手がマーダーならば協力してもいい。 4:亀田に対する恐怖心。 [備考] ※萩原(名前は知らない)は死んだと思っています。 【G-7/スーパー/一日目/朝】 【浜野朱里@パワプロクンポケット10】 [状態]腹に打撲(痛みは引いた) [装備]六尺棒 [道具]支給品一式、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター [思考] 基本:優勝して紫杏の元に帰る。 1:紫杏を優先して探し出す。カズをどうするかは……保留よ。 2:携帯はとりあえず今は使わない。 3:黒猫(真央)を警戒。 ※携帯電話に登録されていた水族館以外の施設は後の書き手に任せます。 投下順に読む 063 TEMPS← 戻る →065 思い出の場所 時系列順に読む 063 TEMPS← 戻る →065 思い出の場所 前へ キャラ追跡表 次へ 033 電話が鳴ってすぐにでる~狂気の鋼毅 浜野朱里 072 FALLEN GIRLS Ⅰ 053 紅に染まった、この俺を 三橋一郎 072 FALLEN GIRLS Ⅰ
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