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佐々木たちに酒を飲ませてみた。 佐々木「うぅ、キョン……グスン、なんで僕を捨てたんだ」ウッウッ キョン「はあ?」 佐々木「き、グスン、君さえ『一緒の高校に行こう』って言ってくれたら、僕だって北高に──」ウッウッ キョン「馬鹿なことを言っているんじゃない」 佐々木「グスッ、そうすれば僕らは離れ離れにならずにすんだのに。思い出したら、また、う、うわぁぁん」 キョン(こいつは泣き上戸か。意外だな) 橘「ちょっと、聞いてるんですかキョンさん」ヒック キョン「何だよ。目が据わってるぞ」 橘「やっぱり聞いてない……。いいんですあたしなんて。どうせ誘拐犯でヘタレで必死ちゃんですよ」 キョン「おいおい、誰もそんなこと言ってないだろ」 橘「いーえ、皆そう言うに決まってます。フン、あたしだって好きでこんな性格してるんじゃないのです。 どうせロクな超能力だって持ってませんよーだ。誘拐のときだって背伸びしてました無理してましたー」 キョン(こいつは絡み酒か。ほっとこう) 藤原「現地民、全然飲んでないじゃないか。ほら、ついでやるよ」 キョン「おっとっと、悪いな」 藤原「……なあ、今だけでいいんだ。アンタのこと、『キョン』って呼ばせてくれないか?」 キョン「ああ、好きにしろよ」 藤原「ありがとう、キョン……」 キョン(こいつはまた随分丸くなるもんだ。ちょっと気持ち悪いが) ??「キョンさん、ほら、飲んで飲んで」 キョン「……誰だ?お前」 九曜「やだなあ、九曜ですよう。(ゴクゴク)ああ、美味しい。ほら、グイっと行きましょう、グイっと」グイグイ キョン「ぐわ、やめろ、こら。か、間接キ──」 九曜「冗談ですよう。ふふ、赤くなっちゃって可愛いっ」 キョン(こいつは饒舌になるのか。性格も軽くなりやがって) 佐々木「グスッ、聞いているのかキョン!僕は、僕は」ウッウッ 橘「ちゃんと聞いてくださいキョンさん!あなたはいっつもそうなのれす!」ヒック 藤原「キョン、僕と友達に──」 九曜「キョンさん、はい、あーんして」 鬱陶しかった。 佐々木「何が鬱陶しいだ、鈍感め!僕がこのくらいの酒でどうにかなるはずがないじゃないか」ムカムカ 藤原「全くだ。せっかく──その、なんだ、友達になってやろうと思ったのに」ムカムカ 橘「あれ?キョンさん帰っちゃったんれすか?」ヒック 九曜「……あなたは──いつも通りね──」
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佐々木さん、平凡な夏休みの一日の巻 キョン「あー、暑い。外出るんじゃなかったな」 佐々木「わざわざ人を誘っておいてそれかい、キョン。あまりにひどいと思わないかね」 キョン「いやー、中3の夏休みは受験でつぶれたし、去年はSOS団のせいで、 盛りだくさんではあったが、やけに忙しい夏休みだったもんでな。 特に目的もなくムダにすごす、本来の夏休みを過ごしたくなっちまってさ。 しかしこの蒸し暑さはヒドいな。からっとしてるならいいんだが」 佐々木「それで僕を誘うという了見がよくわからないが、まあそれは置くとしよう。 で、特にあてがないというなら、あそこの日陰のベンチで座らないかね。 せっかく新調した麦藁帽子を活用したくはあるのだが、流石に熱中症になりそうだ」 キョン「そ-だなー。よっこいしょっと」 佐々木「本気でだらけているね、キョン。君の学校には夏季講習や特別カリキュラムはないのかね」 キョン「あー、理系コースは希望であるみたいだけど、俺たちはぜんぜん」 佐々木「で、塾にもいかずこうして呆けているというわけだ」 キョン「まあ、ある意味SOS団で極度の疲労を強いられるから、その反動で弛緩状態になっているというか」 佐々木「無理やり理屈をつけなくても、毎日の授業がなくなって、ゆるみっぱなしというのが歴然だよキョン」 キョン「やっぱりバレるか。そういや佐々木、おまえさんとこは夏季講習とかあるのか?」 佐々木「それはもう。午前中はだいたい学校に行ってるし、午後は塾の特別講習だよ」 キョン「うえー、さすが進学校。俺はこっちでよかったよ」 佐々木「そんなことを言っているがね、キョン。来年になったら本格的に受験だよ。君も進学希望なんだろう?」 キョン「まあ、どっか適当に入れる大学があるといいんだが」 佐々木「相変わらずだね、君も。確か中学の時、「高校入ってからやりたいこと見つける」と言っていた記憶があるのだけれど、 今度は「大学入ってから将来のことは考える」というところかね。まあ、それが悪いことではないけれど」 キョン「なんだよ佐々木、よく覚えてるなそんなこと。俺自身そんなこと言った記憶がぜんぜんないんだが」 佐々木「覚えてるよ、全部。君の言ったことは。 それにしても、記憶にないというのなら、僕の勘違いや偽証だとは思わないのかい。証拠は何もないんだよ」 キョン「あー、佐々木がそう記憶してるんならそうなんだろ。間違いないって」 佐々木「そんなものかね」 キョン「そんなもんだよ」 佐々木「…………」 キョン「…………」 キョン「あ、セミが鳴いてら」 佐々木「あれはクマゼミだね」 ショワショワショワショワショワ キョン「……夏だな、佐々木」 佐々木「……夏だね、キョン」 ショワショワショワショワショワ キョン「……そういや佐々木、今日は塾とかなかったのか?」 佐々木「くっくっ。君は運がいいんだよ、キョン。今日はたまさか、予定のない日だったのさ」 キョン「そうか」 佐々木「そう、君が電話をかけてくれた瞬間に、そう決まったんだよ」 キョン「……そうか」 佐々木「……そうさ」 ショワショワショワショワショワ
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from 佐々木 to キョン 本文 こんばんは佐々木です。 今年進級した記念に初めてNintendoDSを買おうと思っているのですが 僕の尻の穴に貴方の野太いちんぽぶち込んでくれませんでしょうか? 今が旬のオススメDSの色なんかを教えて欲しいです。 よろしくお願いいたします。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― from 佐々木 to キョン 本文 ゴメン!! 3行目に何となくコピーしてた文章が入ってしまいました 3行目だけ無視して読んでください 忘れてくれ ―――――――――――――――――――――――――――――――― from キョン to 佐々木 本文 俺ならいつでも構わんぞ。 何なら、今からお前ん家に行くぞ。 俺のをじっくり見せてやる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― from 佐々木 to キョン 本文 それはどっちの意味かな? ―――――――――――――――――――――――――――――――― from キョン to 佐々木 本文 とりあえず、家の前に着いた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― from 佐々木 to キョン 本文 早いよ!! ――――――――――――――――――――――――――――――――
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棍棒系 佐々布狼牙棒 (ササフロウガボウ) 【棍棒】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (佐々布狼牙棒.JPG) 基本性能 価値 重量 攻撃力 耐久度 5 19.2 54 68 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 -6 -6 +20 − 装備可能 侍、僧、鍛、薬 装備区分 棍棒系武器 必要Lv 11以上 付与効果 気合+30 腕力+3 備考 朝倉家の佐々布光林坊のドロップ
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ハルヒと佐々木がタッグを組んだら情報思念統合体も天蓋領域も敵じゃないような ハルヒ:こんのぉー 古泉:おおーっと、涼宮さんが天蓋領域をキン肉バスターの体勢に捕らえました 佐々木:さて、仕上げといこうか 橘:こちらでは佐々木さんが情報思念統合体にキン肉ドライバーをかけているーっ! 古泉&橘:そして、出た、必殺のマッスルドッキングだー! 情報思念統合体:げふっ 天蓋領域:ゴホッ 古泉&橘:決まったー、ジ・宇宙人ズをスーパーヒロインズがKOしましたー! キョン:やれやれ、いつからあいつらはアイドル超人になっちまったのかね。 ……最初からか
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「キョン、たまには僕が自転車を運転するよ」 くっくっくっ。いつものように後ろからキョンに触れ合うのもいいけどたまにはキョンから抱きついてほしいのさ。 「めずらしいな、佐々木が運転なんて。じゃあ頼む」 「任せてくれ。キミの命に危険がない程度の運転は心がけるつもりだ」 くっくっくっ。急ブレーキかけたらキョン急接近じゃあないか。さて・・・ キキーっ!! 「危ない!」 ギュっ ああ、キョンが僕に抱きついてきている。なんてことだろう、こんなにもあっさり、計算どおりにことが運ぶなんて それにしてもキミの体は思ったよりがっしりしているんだね。おや、この感覚は、はなぢが・・・ やべ、フラグ折るの忘れてた 佐々木「キョン、たまには僕が自転車を運転するよ」 佐々木(くっくっくっ。いつものように後ろからキョンに触れ合うのもいいけどたまにはキョンから抱きついてほしいのさ。) キョン「めずらしいな、佐々木が運転なんて。じゃあ頼む」 佐々木「任せてくれ。キミの命に危険がない程度の運転は心がけるつもりだ」 佐々木(くっくっくっ。急ブレーキかけたらキョン急接近じゃあないか。さて・・・ ) 佐々木「さ、サイドカーっ!!!??」 フラグ折るとしたらこんな感じ?
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AngelBeats! ○音無結弦/○立華奏/○日向秀樹/○仲村ゆり/○直井文人/○ユイ Fate/stay night ○衛宮士郎/○イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/○間桐慎二/○葛木宗一郎/○藤村大河 Fate/Zero ○衛宮切嗣/○アイリスフィール・フォン・アインツベルン/○雨生龍之介/○遠坂時臣/○久宇舞弥 FORTUNE ARTERIAL ○支倉孝平/○千堂瑛里華/○紅瀬桐葉/○東儀白/○千堂伊織/○東儀征一郎 G線上の魔王 ○浅井京介/○宇佐美ハル/○美輪椿姫/○浅井花音/○白鳥水羽/○相沢栄一 To Heart2 XRATED ○河野貴明/○柚原このみ/○向坂環/○十波由真/○小牧愛佳/○小牧郁乃/○向坂雄二 あっちこっち ○音無伊御/○御庭つみき/○春野姫/○片瀬真宵/○戌井榊 車輪の国、向日葵の少女 ○森田賢一/○日向夏咲/○大音灯花/○三ツ廣さち/○大音京子 ハヤテのごとく! ○綾崎ハヤテ/○三千院ナギ/○マリア/○桂ヒナギク リトルバスターズ! エクスタシー ○直枝理樹/○棗鈴/○能見クドリャフカ/○二木佳奈多/○笹瀬川佐々美/○朱鷺戸沙耶/○棗恭介/○井ノ原真人/○宮沢謙吾 58/58 意志持ち支給品 Fate/stay night ○セイバー/○アーチャー/○アサシン Fate/Zero ○ランサー/○バーサーカー/○キャスター/○ライダー/○怪魔 8/? 名簿外参加者 紅 ○紅真九郎/○斬島切彦 To Heart2 XRATED ○イルファ 3/? 主催者 Fate/stay night ○言峰綺礼 1/?
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佐々木 十吾 名前:佐々木 十吾 (ササキ ジュウゴ) 性別:男 出身地:日本 格闘スタイル(流派名):キックボクシング 武器:素手 攻撃:7 防御:8 体力:7 精神:5 反応:3 FS(中二力):0 必殺技 『連続攻撃』 【消費精神 1】 弱攻撃を2回行う。両方の攻撃がクリーンヒット(ガード回避なし)すると追加10点ダメージ 流れるような動きでローキックを入れ、拳を打ち込む。 ローキックが決まり体勢を崩した相手にパンチが刺されば通常よりもダメージはおおきい! キャラ説明 爽やかさを売りにしている実力派K1ファイター もちろん爽やかなTVCMにも出演している。 そして、その人格実際爽やか、清清しい。 なんと、生活やトレーニングに必要なお金や最低限の貯蓄以外は すべて孤児院に寄付している。 実力の向上にも余念がない。 近代稀にみるステレオタイプな清貧実直格闘家。 裏の顔はスズハラ機関の『眼』の一員(諜報エージェント) 日頃、格闘業界の動向を探っている。 職務には忠実だが格闘家としての信念は揺るがない。不正も働かない。 この大会にも様々な政治的思惑から、情報収集をするために送り込まれている。 当人は任務は大事であるが武者修行も兼ねている心持で参加している。 まだみぬ魔人格闘家に興味津々である。
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~土曜日~ 佐々木「やぁ、キョン。待たせたかい?」 キョン「少しだけな。人を待ったのなんか久しぶりだな」 佐々木「キョン。そこは嘘でも、待ってない、と言うのが男じゃないのかい?」 キョン「ん、そうだな。佐々木、実は待ってないぞ?」 佐々木「君には呆れるね」 キョン「悪いな、褒めてくれて」 キョン「しかし、久しぶりだな」 佐々木「そうだね。高校進学以来まさに一年ぶりだよ?」 キョン「そんなに経つのか」 佐々木「そうさ。キョンがいつ連絡をくれるかと気長に待ってみたけど……」 キョン「みたけど?」 佐々木「ついには一年間も音沙汰無し」 キョン「悪いな、部活で忙しかったんだ」 佐々木「丸々一年間もかい?」 キョン「だから悪いって。でもお前のこと忘れたことなんて一度もないぞ?」 佐々木「……そう、そうか」 キョン「ん?どうした、俯いて?」 佐々木「そうやって女の子顔を覗くのは、デリカシーがないとは思わないかな?」コツ キョン「おっと、すまん」 佐々木「まったく」 キョン「そういやお前こそ、俺に連絡の一つでもくれればよかったんじゃないのか?」 佐々木「そこは我慢比べだよ、キョン」 キョン「我慢比べ?」 佐々木「少なくとも中学時代はまがりなりにも僕たちは親友だった」 キョン「今は違うのか?」 佐々木「一年も連絡を寄越さないやつなんて、果たして親友と呼べるかな?」 キョン「ごもっともで」 佐々木「それで先に連絡をするのは、なんだか君に負けた気がして嫌だったのさ」 キョン「それで結局、お前から電話を寄越したから、今こうしているわけだ」 佐々木「……何が言いたいんだい?」 キョン「残念だ、佐々木。お前の負けだ」 佐々木「君には一度お説教が必要のようだね?」 キョン「それで一年ぶりに会ったわけだが、なんかあったのか?」 佐々木「キョン。僕たちが会うのに理由なんかいるのかな?」 キョン「そういや、そうだな。お前と一緒にいるのはむしろスタンダードだ」 佐々木「くつくつ。そういうことさ、キョン。会いたくなったんだよ、君に」 キョン「それはなによりだ」 佐々木「……鈍感」ボソ キョン「なんか言ったか?」 佐々木「言ってないよ」 キョン「でもなんか機嫌が悪い」 佐々木「悪くない」 キョン「そうか?俺はもっと笑ってる方が似合うと思うけどな」 佐々木(……この卑怯者) キョン「まあとりあえず、そこの喫茶店でも入るか。積もる話もあるだろう?」 佐々木「そうだね」 ~喫茶店にて~ 佐々木「すると君はそのSOS団なるものに入ってるんだね?」 キョン「ああ。改めて人に説明すると恥ずかしいな」 佐々木「部長の女の子がキョンを無理やり」 キョン「まぁそんなとこだ」 佐々木「何故?」 キョン「なにがだ?」 佐々木「だって君は断ることも出来ただろ?」 キョン「何でだろうな?当時のクラス委員だったやつにも頼まれてたし」 佐々木「君は随分軽いね」 キョン「特に入りたい部活もなかったしな」 佐々木「そういうものかい?」 キョン「表向きはボランティア団体だしな。学校ではともかく、世間体はいいんじゃないか?」 佐々木「ふーん、でその部長の」 キョン「ハルヒか?」 佐々木「……」 キョン「どうした?」 佐々木「……なんでもないよ」 キョン「?」 佐々木「……キョン。君は僕が知らない異性の話を始めたらどうだい?それも楽しそうに」 キョン「……面白くないな」 佐々木「つまりそういうことだよ」 キョン「俺が軽率だった」 佐々木「くつくつ。今に始まったことじゃないけどね」 キョン「返す言葉もない」 佐々木「まぁ、いいさ。それより今日は何処かに連れてってくれないかい?」 キョン「なんだ?お前が誘ったから、てっきり行きたいとこでもあるんだと」 佐々木「僕は本来キョンに会うのが目的だったんだよ」 キョン「なんだそりゃ」 佐々木「つまり、今は用事が終って暇なんだ。もう一度言うよ?」 キョン「ん?」 佐々木「僕を何処かに連れてってくれないか?」 キョン「そうだな、つまらなくても文句言うなよ?」 佐々木「大丈夫さ」 キョン「よし、少し待ってろ」 佐々木「あぁ」 prrr ピッ 古泉「どうかしましたか?」 キョン「普通はもしもしだろうが」 古泉「気をつけます。ところで何の用です?」 キョン「数少ない友人を、そう邪険に扱うなよな」 古泉「友人?はて?」 キョン「切る」 古泉「んふ。冗談ですよ」 キョン「ったく。この間お前が聞かせてくれたCDあったろ?」 古泉「どれのことですか?」 キョン「とら、なんとか」 古泉「ふむ。Tra○isでしょうか?」 キョン「それだそれ。大阪公演って今日だったか?」 古泉「いえ、来週ですよ。行かれるんですか?」 キョン「分からん。とりあえずプランが折れた」 古泉「は?」 キョン「悪かったな。また学校でな」 古泉「?分かりました」 ピッ 佐々木「誰だい?」 キョン「同じ部活の男友達だ。この間聞いたCDが良くってな、確か今日が来日公演だと思ったんだが来週だった」 佐々木「なんていうバンド?」 キョン「Tr○vis」 佐々木「聞かない名だね」 キョン「俺もそいつに聞かされるまで知らなかった」 佐々木「へぇ」 キョン「知らないといったらすごい呆れられたよ。普通に生きてて知るかって」 佐々木「確かに、そうだね」 キョン「さて、とっさで立てた計画も頓挫したわけだが」 佐々木「お手並み拝見だね?」 キョン「そうだな……」 佐々木(私は君といるだけでいいんだけどなぁ) キョン「さすがにポンポン出てこないな」 佐々木「大丈夫さ。今は十五時を回ったところだ。公園でも行ってのんびりしないかい?」 キョン「佐々木がいいなら一向に構わんぞ」 佐々木「なら行こうか」 キョン「ああ」 ~移動中~ 佐々木「……」 キョン「さすがに休日だけあって人が多いな」 佐々木(今しかない)ギュ キョン「さ、佐々木!?」 佐々木「キョンは歩くのが早いね。つ、つかまってていいかい?」 キョン「あ、あぁ、いいぞ」ギュ 佐々木「ありがとう」ギュ キョン(佐々木の手ってこんなに小さかったけか) 佐々木(キョンの手ってこんなに大きかったんだ) キョン「……」 佐々木「……」 ~公園にて~ 佐々木「ちょうどいい木陰がある。あそこにしないかい?」グイ キョン「そうだな、上手いことにベンチもあるし」 ストン 佐々木「ふぅー、風が気持いいね」 キョン「歩き回るにはキツイがこうしてるぶんには助かるよ」 佐々木「そういえば君は何もないのかい?」 キョン「なにがだ?」 佐々木「せっかくこうやって着飾ってきたのに、こうも反応がないと」 キョン「……そうゆうことか」 佐々木「何度も言うけど一年ぶりなんだ。少しは、その、そうゆうこと言って欲しいもんだよ」 キョン「すまんな。俺の無神経ぶりは知ってるだろ?」 佐々木「よく知ってるさ。でもやっぱり、そこはキョンに言って欲しかったんだ」 キョン「しばらく会わないうちに、ぐっと魅力的になったな。周りの男共がほっとかないんじゃないのか?」 佐々木「くつくつ。そうでもないさ。ほら、僕は変な女だからね」 キョン「国木田の言ってたのは冗談だぞ」 佐々木「わかってるよ。でも心当たりがありすぎてね」 キョン「まったく」 佐々木「まぁいいさ。しかし、キョンに素直に褒めてもらうと、なんだかくすぐったいよ」 キョン「悪かったな、語呂が貧相で」 佐々木「くつくつ」 キョン「佐々木は最近どうなんだ?」 佐々木「どうとは?」 キョン「それこそ色々だ」 佐々木「そうだね。勉強に関しては君に心配されるのは心外だね」 キョン「あぁ、そうかい」 佐々木「くつくつ。冗談だよ」 キョン「事実がたっぷり含まれてる分、安心して笑えないね」 佐々木「とりあえず学校生活は充実しているよ」 キョン「そりゃなによりだ」 佐々木「ただ」 キョン「ん?」 佐々木「そこにキョンがいないのは少し寂しいかな」ニコ キョン(そこで笑顔は反則だろ。ヤバイ手が汗ばむ) キョン「ち、ちょっと飲み物買ってくる。何がいい?」 佐々木「そうだね。冷たいココアが欲しいな」 キョン「わかった。あ、佐々木?」 佐々木「なんだい?」 キョン「手を放してもらっていいか?」 佐々木「え?あ、う、すまない」パッ キョン「いや、いいさ。俺としては惜しいくらいだ。じゃあ行ってくる」 佐々木(なんで平気でああいう事言えるの?顔が熱くなってきたよ)カァァ キョン「ほら、ココアだ」 佐々木「ありがとう、キョン」 キョン「……」ゴクゴク 佐々木「……」ゴクゴク キョン「こうやって座ってるだけってのもいいもんだな」 佐々木「そうなのかい?」 キョン「そうさ。土曜になれば、やれ不思議探索だ、やれ野球大会だ、で毎週大忙しだ」 佐々木「……いやなら辞めてもいいんじゃ」 キョン「う~ん。それが案外苦痛でもないんだよ。なんというか、楽しいとか、このままこのメンバーで遊んでたいとか」 佐々木「……」 キョン「って最近思えるんだよな。まあ具合がいいってことだ」 佐々木「……そう」 キョン「そうなんだな。……ただな」 佐々木「?」 キョン「さっきのお前じゃないが、この輪の中に佐々木もいたら、もっと楽しかっただろうなぁ、とは思う」 佐々木「……うん、ありがとう」 キョン「なに、本心さ」 キョン「今は何時だ?」 佐々木「五時半だね。……もう帰るかい?」 キョン「ん?別に中学生でもないんだし大丈夫だろ。それとも門限とかあるのか?」 佐々木「いや、母さんには、キョンに会ってくる、って言ってあるから平気だよ」 キョン「ならいいか。……ちょっとCDを見に行かないか?」 佐々木「構わないけど、何か欲しい物でもあるのかい?」 キョン「ああ。これまた紹介してもらったバンドなんだけどな」 佐々木「一応聞こうか。なんていうやつだい?」 キョン「The Tell○rs」 佐々木「また知らないな」 キョン「これは逆に、一般人が知っていたら驚くようなアーティストらしいぞ?」 佐々木「へぇ。それじゃ探しに行こうよ」 キョン「そうだな」 ~移動中~ 佐々木「……」ジー キョン「それでな、その古泉ってやつがな」 佐々木「……」スッ キョン「話をする度に顔を寄せてくるんだ」サッ 佐々木「……」スッ キョン「弱冠、アッチのけがあるんじゃないかと思っちまうよ」サッ 佐々木「……」スッ キョン「まぁ、悪いやつじゃないんだがな」サッ 佐々木「……」イラ キョン「さっきから何やってるんだ」 佐々木「君はわざとやってるのかな?」 キョン「何の話だ?」 佐々木「隙アリ!」ガシ キョン「……なんだ、手を繋ぎたかったのか?」 佐々木「そ、そういうわけじゃないだが、あまりに無防備だったんで、つい」 キョン「ふ~ん。そういうことにしておくよ」ギュ 佐々木「くつくつ。よろしく頼むよ」ギュ キョン(これじゃ、恋人みたいだな。……誰にも会いませんように) 佐々木「~♪」 ~駅前にて~ キョン「悪いな、探すの手伝わせて」 佐々木「構わないよ。見つかって良かったじゃないか。今度聴かせてもらっていいかい?」 キョン「もちろんだ」 佐々木(やった、また会う約束が出来た♪) キョン「もうこんな時間か。ついでだしどっかで飯でも食ってくか?」 佐々木「そうだね。家の人に夕飯はいらないと連絡しておくよ。しかしついでとは失礼じゃないかい?」 キョン「ん?そうか?次は気をつけるよ」 佐々木「全く君ってやつは」 佐々木「くつくつ。ところで美味しい店をちゃんと知ってるんだろうね、キョン?僕の舌は以外にグルメだよ?」 キョン「そういわれてもなあ。自称グルメの佐々木と違って、俺の舌はあくまで一般のものなんだが」 佐々木「まあいいよ。きっとキョンと一緒ならどこでも美味しく感じる」 キョン「またそうやってプレッシャーを」 佐々木「くつくつ」 ~食事後~ 佐々木「それでだ、キョン」 キョン「ん?美味しかっただろ?」 佐々木「確かに美味しかったよ」 キョン「ならいいだろ」 佐々木「いや、雰囲気の問題だよ」 キョン「?」 佐々木「なんでラーメン屋?」 キョン「佐々木が美味しいもの食べたいって言うから」 佐々木「僕のせいなのかな?」 キョン「待て待て、何をそんなに不機嫌なんだ?」 佐々木「……しいて言えば、過大評価をしてしまった自分にかな?」 キョン「?」 佐々木「……はぁ、もういいよ。僕の負けだよ」 キョン「?なんだか知らんが俺が勝ったのか?」 佐々木「……やっぱり一回叩かせてくれないかな?」バシ キョン「背中が痛い」ヒリヒリ 佐々木「自業自得だね」 キョン「納得いかん」 佐々木「君はもう少し自分以外の人にも、感情があるのを学んだ方がいいよ」 キョン「む、気をつけてみるさ」 佐々木「まったく」 キョン「もう八時か」 佐々木「そうだね。さすがに帰らないとまずいよ」 キョン「送ってくぞ」 佐々木「悪いね」 キョン「……」テクテク 佐々木「……」トテトテ 佐々木「……次はいつ会えるかな?」 キョン「さぁな。でも連絡くれればいつでも会いに行くぞ?」 佐々木「キョン……」 キョン「この辺りも懐かしいな。佐々木の家が近いってことだな」 佐々木「……」 キョン「どうした?」 佐々木「さっき、いつでも会いに来てくれるって言ったよね?」 キョン「言ったな」 佐々木「何故だい?」 キョン「親友の頼みは断れないだろ?」 佐々木「……親友か」 キョン「不満か?」 佐々木「……不満だね。僕はね、もう君との友情は終わりにしたいんだ」 キョン「佐々木?」 佐々木「今回連絡を取って、今こうやって会ってるのもそのためさ」 キョン「どういうことだ?なにか嫌われるようなことしたか?」 佐々木「……一年間会わないうち色々考えたよ。今日、僕の答えを出したいんだ」 キョン「……」 佐々木「僕がキョンを嫌うと思う?逆だよ、好きなんだ」 キョン「佐々木」 佐々木「もちろん親友としてではなく。異性として。キョンという男の子を」 キョン「……」 佐々木「この一年間ずっと悩んだよ。でも言わないままは、これから先、辛すぎる」 キョン「そうか」 佐々木「僕でも一年悩んだんだ。キョンには一週間の猶予をあげるよ」 キョン「一週間?」 佐々木「うん。だから来週の土曜日にまた……会ってくれないかな?そして……答えはその時に」 キョン「……あぁ、分かったよ」 佐々木「それじゃあ、もう家まで目と鼻の先だ。もうここまででいいよ」 キョン「あぁ」 佐々木「またねキョン」 キョン「またな」 タタッ キョン「……」 ~月曜~ ガラ キョン「おぉ珍しく早いな。どうした?」 ハルヒ「べ、べ、別にどうしよもないわよ」 キョン「?そうか」 キョン「土曜は長門と一緒だったんだろ?どこ行ったんだ?」 ハルヒ「……」 キョン「なに、お前と長門の組み合わせでなにをやってるのか、気になってな」 ハルヒ「……」 キョン「お~い。聞いてるのか?」 ハルヒ「キョ、キョン!?」 キョン「ん、なんだ?」 ハルヒ「一昨日、有希と一緒に歩いてたら……駅前で……」 キョン「駅前で?」 ハルヒ「あ、あんたが……その、女の子と歩いてるの見たんだけど……」 キョン「ん?あーその、見られたか」 ハルヒ「そりゃ、あんな地元ならね」 キョン「だよな」 ハルヒ「……彼女?」 キョン「いや、ただの腐れ縁の友達だったんだ」 ハルヒ「だった?」 キョン「あの時点まではな。あの後帰り道でな、まあ、恥ずかしい話だが告られたんだ」 ハルヒ「!!!」 ハルヒ「そ、それで?」 キョン「で、一週間後にまた会おうって。その時に答えがほしいって、言われた」 ハルヒ「……それで、どうするの?」 キョン「さぁな、せっかく一週間も猶予もらったんだ。ゆっくり考えるさ」 ハルヒ「あんた、そのコのこと……好きなの?」 キョン「あぁ、大事な友達だからな。嫌いになれるはずがない」 ハルヒ「……そう」 キョン「?」 ~帰り道にて~ 国木田「どうしたの?」 キョン「ん?いや今日、ハルヒのやつが変だったんだ。それでな……」 谷口「おいおい、涼宮が普通の時なんかあんのか?」 キョン「そいつは言いすぎだぞ」 キョン(まぁ考えすぎかな。明日になれば直ってるだろ) ~次の日の昼休み~ ハルヒ「キョン!!」 キョン「おう。どうした?」 ハルヒ「後で話しがあるのよ。だから放課後、部室行く前に屋上に来なさい!」 キョン「ここじゃ言えんのか」 ハルヒ「放課後ったら放課後なのよ!いい?必ず……必ず来るのよ」 キョン「あぁ?わかった」 ハルヒ「じゃああたし行くとこあるから」ダッ キョン「行っちまった」 キョン(なんだか思いつめてたみたいだけど……気のせいか?) ~放課後の屋上にて~ キョン「待たせたな。なんか谷口のやつに絡まれてな」 ハルヒ「そ、そう」 キョン「それで、話ってなんだ?」 ハルヒ「……」 キョン「他の連中に聞かれたくない話なんだろ?」 ハルヒ「……」 キョン「まあ、これで案外口が堅い方なんだ」 ハルヒ「……」 キョン「だから信用してくれていいぞ?」 ハルヒ「……」 キョン「……そんなに言いづらいことか」 ハルヒ「……」 キョン「大丈夫か?」 ハルヒ「……」 キョン「おい、顔真っ赤じゃないか?熱でもあるのか」 ハルヒ「……」 キョン「別に無理しなくていいぞ?」 ハルヒ「無理なんかじゃない!!!」 キョン「うぉ!いきなり大声出すなよ」 ハルヒ「キョン!聞いて!」 キョン「さっきから聞いてるって」 ハルヒ「最初はそんなことなかった」 キョン「?」 ハルヒ「あんたの提案でSOS団を作って、今のみんなが集まった」 キョン「……」 ハルヒ「あたしがわがまま言ったときも、あんたは口では文句言いながらも着いてきてくれた」 キョン「わがままな自覚はあったんだな」 ハルヒ「お願いだから、今は変な横槍いれないで」 キョン「すまん」 ハルヒ「みんなと、あんたと出会って一年。色んなことがあった」 キョン「……」 ハルヒ「昨日あんたが昔の友達に告白されたって言ったわよね?」 キョン「あぁ」 ハルヒ「それを聞いて、あたしは、生きた心地がしなかった」 キョン(そういうことかよ) ハルヒ「あたしは、あたしは……」 キョン「……」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「あたしは、あんたのことが好きなの。好きになっちゃったのよ」 キョン「……そうか」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「……もう覚悟は出来てるわ。なんか言ってよ」 キョン「……スマン」 ハルヒ「……そっか」 キョン「……」 ハルヒ「この間のコ?」 キョン「あぁ、俺はあいつが……」 ハルヒ「好き?」 キョン「……」コク ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「……もしよ?」 キョン「あ、あぁ」 ハルヒ「もし、そのコの前にあたしがあんたに告白したら、どうした?」 キョン「……」 ハルヒ「……」 キョン「……それでも断ってた」 ハルヒ「そのコのことが好きだから?」 キョン「そうだ」 ハルヒ「……わかったわ、ありがとね」 キョン「ハルヒ……その」 ハルヒ「今は!ごめん、今は一人にしてくれない?」 キョン「……わかった」 ハルヒ「ごめんね」 キョン「先に……部室戻ってるぞ」 ガチャ ハルヒ「……戻れるわけ、ないじゃない」 ~部室にて~ キョン「遅くなったな」 古泉「今日は随分遅かったですね」 キョン「あぁ。野暮用があってな」 長門「……」 古泉「そうでしたか。ご苦労様です」 キョン「男からの労いの言葉はないな」 古泉「それはすいません」 みくる「あのぉ~」 キョン「なんですか?」 みくる「涼宮さんは一緒じゃないんですかぁ?」 長門「……」 古泉「……」 キョン「……あいつは。……長門」 長門「何?」 キョン「ちょっと廊下にいいか?」 長門「……」コク ~廊下にて~ ガチャ キョン「あのよ、あいつ今屋上にいるんだ」 長門「……」 キョン「あいつのそばに行ってやってくれないか?」 長門「何故」 キョン「ん?」 長門「何故、彼女ではダメだったの?」 キョン「なんだ、知ってたのか」 長門「何故?」 キョン「先に好きになっちまったやつがいるんだ。ほんとに、ただそれだけだ」 長門「そう。行ってくる」タタッ キョン(悪いな) ~部室にて~ ガチャ 古泉「随分お疲れのようですね」 キョン「ちょっと精神的にな」 古泉「そうですか」 キョン(……あいつの方が辛いよな) みくる「大丈夫ですかぁ?」 キョン「俺は平気ですよ。俺は」 みくる「でも辛そうですよ?」 キョン「大丈夫ですよ。朝比奈さんのお茶を頂ければすぐ良くなります」 みくる「キョン君がそういうならぁ」トテトテ 古泉「……」 キョン「……」 みくる「どうぞ、キョン君」 キョン「ありがとうございます」ズズ みくる「……なんだかよく分かりませんけど、元気出してくださいね?」 キョン「……えぇ」 キョン(俺が言われるべき台詞じゃないよな) 古泉「……朝比奈さん、たまには一緒にオセロでもいかがです?」 みくる「いいですよぉ」 古泉「では早速」カタ みくる「手加減してくださいねぇ」 古泉「ふふ。盤面には男も女も関係ありませんよ」 ~一時間後~ 古泉「……」 みくる「やった♪また勝ちましたぁ♪」 ガチャ 古泉「……おかえりなさい、長門さん」 長門「……」 キョン「長門……」 長門「大丈夫。でも今日はもう帰る」 キョン「そうか。わかった。よろしくな」 長門「……」コク ガチャ みくる「え?あのぉ~、どういうことですかぁ?」 古泉「ふむ。朝比奈さんがご存知ないということは、今回のことは未来で想定の範囲内ということですか」 みくる「ふぇ?」 キョン「おい、古泉。お前もしかして」 古泉「いったいどうしました?」ニコ キョン「……なんでもねぇよ」 みくる「わ、わたしにも教えてくださいよぉ~」 キョン「今回はいくら朝比奈さんでもちょっと」 みくる「仲間はずれですかぁ?」 キョン「禁則事項です」 みくる「……そう言われると言い返せませんよぉ」 キョン「はは、スイマセンね。来たばっかで悪いですけど、俺帰ります」ガタ 古泉「一つだけいいですか?」 キョン「なんだ?」 古泉「長門さんに感謝してくださいね?」 キョン「分かってる。じゃあな」 ガチャ ~次の日の朝~ キョン(昨日の今日だし顔合わすのは辛いな) ガラガラ ハルヒ「……おはよ」 キョン「お、おう」 ハルヒ「……」 キョン「……」 キョン(ダメだ、耐えられん) ハルヒ(……今言わないと) ハルヒ・キョン『き、昨日のことだけど』 キョン「あ」 ハルヒ「な」 キョン「あ、あぁっと。先いいぞ」 ハルヒ「う、うん」 ハルヒ「昨日のことだけどね、やっぱり忘れてなんて言えない。言いたくない。でもね、気にしないでほしいのよ」 キョン「……」 ハルヒ「あたしたちがギクシャクしたら、SOS団にも迷惑かかる」 キョン「そうだな」 ハルヒ「だから今まで通りでいてほしいの。あたしが馬鹿やったら、あんたがそれを止めて、有希や古泉君に助けてもらって、みくるちゃんは……よくわかんない」 キョン「それは朝比奈さんに失礼だろ?」 ハルヒ「冗談よ」 キョン「ったく、とはいえそれには賛成だ」 ハルヒ「……」 キョン「虫のいい話だが、俺も同じ事を言おうと思っていた」 ハルヒ「うん」 キョン「そういうわけだ。これからもよろしくな。団長さん?」 ハルヒ「よろしく。今まで以上に引っ張りまわしてやるわ」ニコ キョン「それは勘弁してくれ」 ~放課後・部室にて~ ハルヒ「昨日は来れなくって悪かったわね!」 古泉「いえいえ。団長にも休みは必要ですよ」 みくる「はい、涼宮さん。お茶です」 ハルヒ「ありがと。そうだ、みくるちゃん!」 みくる「ふぇ?なんですかぁ?」 ハルヒ「昨日、ネットで面白いもの見つけたのよ!」 みくる「面白いものですかぁ?」 ハルヒ「ふふ、そのうち届くから楽しみにしといてね」ニヤ みくる「なんだか、笑い顔が怖いですよぉ~」アセ ハルヒ「それと今週末も団活は中止」 古泉「おや?」 ハルヒ「キョンが用事あるんだって。でしょ?」 キョン「あぁ、悪いな」 ハルヒ「悪いと思ってるなら今すぐにみんなにジュース買って来なさい。あたしは百パーセントのオレンジね」 キョン「な!」 古泉「ぼくはコーヒーを。微糖がいいですね」 キョン「おい」 長門「カルピス」 キョン「長門まで」 みくる「わ、わたしは何でもいいですよぉ」 キョン「はぁ、分かったよ」 ガチャ ~廊下にて~ キョン「全く人使いが荒いな」 キョン(……今日は火曜日か、佐々木は俺の返事を土曜まで、どんな気持ちで待ってんのかな) キョン(俺の腹は決まってるのにな) キョン「……」 キョン「よし!」 prrrrrprrr…… ピッ 佐々木「も、もしもし」 キョン「よう」 佐々木「……やあ」 キョン「お前に電話かけるのがこんなに緊張したのは初めてだ」 佐々木「僕も電話に出るのをためらったのは初めてだよ」 キョン「そうか」 佐々木「うん」 キョン「昨日な」 佐々木「え?」 キョン「昨日な俺、学校で告白された」 佐々木「……」 キョン「でも、無理だって言ったよ」 佐々木「……」 キョン「俺は他に好きなやつがいる、ってな」 佐々木「……」ポロ キョン「そしたら、もし自分が先に告白したらどうだったか聞かれた」 佐々木「……」ポロ キョン「そう言われてやっと気付いたよ。……ずっとお前がいたんだな、って」 佐々木「……」ポロポロ キョン「俺の横に、俺の自転車の後ろに、俺の今までの思い出に、いつもな」 佐々木「……」グス キョン「電話なんかですまない。どうしても今すぐ言いたかったんだ」 佐々木「……」ポロポロ キョン「俺と付き合ってくれないか?」 佐々木「な、何年、何年待ったと、おも、ってるんだい?」グス キョン「恋は精神病なんだろ?お前を病気にするのは気が引けてな」 佐々木「……ほんとに馬鹿だよ」 キョン「どうだ?なかなか頭の回転も早くなっただろ?」 佐々木「……キョン?」 キョン「なんだ?」 佐々木「会えなかった一年分、甘えさせてくれるかい?」 キョン「喜んで」 佐々木「……待っててよかった」 キョン「光栄だ」 佐々木「大好きだよ。キョン」 キョン「俺もだ」 ~Fin~
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それは高校二年を前にした春休み。 まどろみ、私は夢を見た。 ところで人が夢を見る仕組みをご存知だろうか。 まず睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、周期的に繰り返されている。 体は眠ってるが、脳が軽く活動しているレム睡眠時に我々は夢を見るのだ。 だから、これは私の思考の管轄外。 思考から切り離され、混在する記憶が勝手に過去へと遡行させる。それは私が忘れるべき記憶。 中学時代のおぼろげで不確かなメモリーズ…………。 『佐々木。おまえ、回りくどくて理屈っぽい言葉遣いを直せばさぞかしモテるだろうに』 『面白い事を言うね、キョン』 キミが言う。私は違和感なく返答する。 違和感? そんなものはない。これはただの日常。中学生である僕の日常。 隣の机に肘をつき、身を乗り出して語りかける。それは僕にとってありふれた日常の一コマ。 忘れもしない、でも忘れるべき日の一コマ。 『モテるモテないとかがこの人生において重要視される意味が解らないね。恋愛感情なんてノイズ、精神病さ』 『そうなのか?』 彼は不思議そうな顔をする。 くく、まあね。特殊な思考である事は熟知しているよ。 でも僕はそれで良いんだ。 何故なら僕の夢は「思考」の先にある。僕は思考し続けたい。 僕は、自ら生み出した言葉、思考、なんでもいい、自らが思考した証をこの世に残したい。 気恥ずかしいから言うつもりはないが、僕の大それた野望さ。 だから僕の思考は「中立」でありたい。 女には女の、男には男の言葉と思考で対等な立場を気取る。 思考にノイズは禁物だ。情緒的な思考、特に恋愛感情なんて精神病の一種とさえ言っていい。 『おやキョン、まさか愛情がなければ結婚、子供、家族なんて作れない、なんて血迷った事は言わないだろうね。 ならば野生動物を見てみたまえ。まれに「家庭」のようなものを作る種もあるだろう。 しかしそれは愛情によってのことではない』 唇の端だけを釣り上げ笑ってみせる。 キミを誘う僕の合図。 『じゃあ何によってだ?』 ふふ。意図を理解してくれる。好ましいよ、キョン。 そうとも。こんな考え方だってキミは笑わずに聞いてくれる。キミは僕の「思考」を楽しませてくれる。 『本能によってさ』 僕は思考し続けたいね。 それが僕の夢に続く道だから。 僕は死ぬまで考えたい。もし「思考」を止めたならそれは「僕」の死だ。動物的な生が残るだけなのさ。 僕は「動物」ではなく僕でありたい。 キミは「本能」が人の脳にどこにあるか知ってるかい? それは視床下部、人を人たらしめる大脳に覆われた下部構造に属している。 食欲・睡眠欲・性欲という本能、そして情動の中枢もまた、視床下部にあるという。 くく、情緒的感情、特に恋愛なんてノイズなのさ。 本能に直結する動物的思考なのだから。 だからモテるモテないなんて意味は無い。 動物的に在りたい奴は勝手に動物になればいい。 だけど僕はそうではない。誰かに好かれようとしたり、好意を振舞うなどもっての他なのさ……。 『お二人さん。これ、進路希望表。先生から預かってきたから書いて』 『この班で出してないの、あなたたちだけだから』 また一つ声がする。 中学時代、忘れもしない、キョンに恋愛は精神病だと豪語した日。そして「…の日」の事だ。 クラスメート。とても可愛いオンナノコ。岡本さんの声。 僕らは思考を中断する。 進路希望表。 僕の思考にノイズが走った。 『なんだか二学期になってますます仲が良くなっているみたいだね』 今度は国木田くんだった。隣のクラスの風変わりな人。 また同じ日、あの……の日、プールサイドで交わした会話。何故こんなにあの日を思い出すのだろう。 それはきっとあの日が僕らの分水嶺だったからだろう………。 彼の言葉は「僕とキョンとが仲良くなった理由」を問うていた。 そうだね。キョンは自覚していなかった。 僕は答えを拒否した。 彼は「それが模範解答だね」と笑った。 僕には僕の解答がある。そうさ、僕は僕の未だ至らぬ思考に付き合ってくれるキョンが非常に好ましかった。 これは理性の判断。恋愛感情なんて「本能」と一緒にされてはたまらない。 だけど国木田君の求める答えはきっと違うだろう。 だから僕も笑い返した。 それから僕らはキョンに語った。 どうでもよい四方山話。他意はないよ。ただ、僕はキミに知って欲しかっただけさ。 歌は良いよね、と。 『遠慮しとくよ。洋楽なんだろ? 日本語以外は解んねえよ』 くく、そうだね。 でもこれは僕と国木田くんの意見なんだが、歌詞はそこまで重視する必要はない。 旋律の一部、音の響きと考えて心地良さに浸ってみたまえ。 メッセージなんて伝わらなくても良い。 そう、理解する必要なんて無い。 心地良い旋律……心地良い空間、心地良さに、意味を求める必要なんて無いのさ。 そうさ「理解する必要」なんて無いんだよ、僕。 ……僕? 思考にノイズが走る。 『参ったな。キミは雨男なのか?』 僕の声がした。中学時代、あの忘れえぬ、けれど忘却の底に沈めた雨の日の私。 キミと歩いた通学路。「佐々木お姉ちゃん。遊びに来てくれたのーぉ?」と笑うキミの妹。食べかけのおせんべい。 ああ、本当にこの日は分水嶺だったのだ。キミの家に遊びに行くという話。 あれから一年も経ったけれど、今も実現していない。 それは、本当は大切になっていたかもしれない一年。 僕が一年も……いや決して無為じゃない。無為なんかじゃない。僕は僕の夢の為の一年を過ごした。 でもそれは傍らにキミがいない、そして「僕」を見てくれる人の居ない一年。 また思考にノイズが走る。 キミが自転車を引き出し、僕が荷台に乗る。走り出してしばらく経ってからの事だ。 一天にわかに掻き曇り、まるで誰かの演出のようにゲリラ豪雨が降った。 でも僕は、この時、まだ面白がっていた。 まるで青春映画みたいだと。 『キョン、このままじゃパンツの中まで濡れ鼠だ。どこかで雨宿りしよう』 勢いの余りまた口が滑る。 我ながらなんてはしたない台詞。……ああ、彼の前では何故か口が良く滑っていたのは……。 いや、先を続けよう。 雨の中の軒先。 シャッターを下ろした何かの店舗の前で、僕らはイモリの類似品のように軒先に張り付いてた。 内心、ちょっと嬉しかった。それはちょっとした非日常であったし、 このちょっとした猶予期間、モラトリアム自体も嬉しかった。 またキミとの時間を過ごせるのだと。 とりとめもなく語り合う。まるで歌詞の意味も知らず洋楽を聴くように、意味も解らない、けれどとても大切な時間。 そう「理解する必要」なんてなかった。なのに僕は気付いてしまった。 思えばこれは分水嶺。 『ところでキョン。あまりこっちを見ないでくれないか』 『何でだ?』 『……やれやれ』 キョンの目線。 キョンは目を合わせるように喋る。それはとても好ましいことだ。だけど、ね? 『キョン、キミは時々忘れるようだが、僕は遺伝子的に紛れもなく女なんだよ』 さすがの僕でも、こんな姿……解りやすく言うと下着の下すら露になりかけているような、 破廉恥な格好を人目にさらして平気な顔ができるほど無神経じゃないんだ。 いつもと同じ目線。 僕は、ふと、その目線と、今日、プールで岡本さんの水着姿を見ていた彼の目線を重ねた。 それは決して同じ視線じゃなかった。 そっか、キョンは、僕を「女」と見てはいないんだ。 『僕の貧相な胸部なんてマジマジと見たところで益にはならないだろう? 岡本さんのならまだしもさ』 言い継ぎ、二つ目の衝撃が襲った。 僕は今なにを言った? 待て、僕はなんで「岡本さんへの目線」でキョンに見て欲しがった? そうか、僕は、キョンに「女」として見て欲しかったんだ……。 『まったく、本当にやれやれだよ。この雨に対しても、僕自身にもね』 体温すら感じあえるような距離で、僕らは黙り込んだ。僕は黙り込んでしまった。 自嘲する。キョンは決して悪くない。 だって僕は、再三彼に「女と見るな」とアピールしたはずだ。 そうさ、僕は、こんな姿を見ても欲情しない、そんな人こそが「友達」に欲しかったはずだ。 本能、性別を越えた本当の友達。「僕」という仮面を見てくれる人。 僕に干渉しない、心を分かち合わない人。 中立を求める僕に最高の友達。 なのに僕は、キミに性欲を求めてしまった。 なのに僕は、キミに本能を求めてしまった。 僕はあの心地良さの理由を理解した。それは「動物」としての心地良さだったのだ、と。 僕は「理性」ではなく、「本能」で彼を求めていたのだと。 自分で気付いて愕然とした。 それきり僕らは、生返事をし合いながらただ空を見上げていた。 ふと、キミがちらちらと僕を見ていると気付く。その視線が岡本さんを見るそれに、近付いたように思えてしまって…… 『何か?』 ことさら冷たく言ってしまう。 ああ、私は、キミに女として見られたいのか? それとも見られたくないのか? 自分で自分が解らない。だから、じっと雨を見ている。 すると、彼が困ったように呟いた。 『やれやれ』 どきりとした。それは僕の口癖の一つだったから。 ぐさりとした。堪らなく嬉しかった自分自身の愚かしさに。 覚えるべきことが山のようにあった中学時代。そのおぼろげで不確かな記憶の中に、ひっそりと眠る僕の分水嶺。 『どうも自覚がないようなので、この件は追求しない方がいいのかな?』 プール際で国木田くんは「僕に」言った。 それは、キョンの中にも「僕と仲良くなりたい理由」が眠っている事への示唆。そして「僕」への問いかけだった。 それは問いかけ。「佐々木さんはどうしたいの?」という問いかけ。 僕の本質への問いかけ。 僕はキョンに「女」として見て貰いたいのか? 僕は、築き上げた「僕」を放棄して、いまさら「女」になるべきなのか? それとも「僕」は「僕」であるべきなのか? 国木田くんに悪意なんてない。きっと彼にあったのは善意。 僕らを後押しする為に、自覚させる為に……。 『『『なんだか二学期になってますます仲が良くなっているみたいだね』』』 うるさい! それから僕は、進路希望表を提出した。 キョンとは違う高校へ、己を高める進学校へ。 僕が僕である為に、「思考」という僕の夢に進む為には「こんな感情」はノイズだと思いたかった。 『僕は誰かに好かれるような事はなにもしない。誰かに好意も振舞わない』 僕は決意を新たにする。特にキョンには振舞わぬよう……。 だからこれは封じた記憶。キミの「荷台」から勝手に降りてしまった理由。 物事にifなんてない。 あの晴れた日。 もし、あの通り雨が降らなければ、きっと当分気付かなかった。 ほんの数日だけでいい。進路希望表を書き込む間だけ。それだけでも気付かないでいたならば。 僕は、あの心地良い猶予期間を楽しむ為に、キミと同じ学校を選んでいただろう。 そしたら、きっと…………。 でも、「もし」なんて思っちゃいけない。 それは「佐々木」らしい思考じゃない。キミが知ってる「佐々木」じゃなくなってしまうから。 キミを振り切ってまで守った僕の思考規範、パラダイムを僕は守りたいから。 僕は僕であるべきだから。 分水嶺を振り返るべきじゃない。 だから、これは封じた記憶。 中学三年のある日のメモリーズ…………。 )終わり 佐々木さんの仮面と驚愕シリーズ 66-178 佐々木さんのRainy Noise(驚愕(前)、Rainy day、中学時代)。 66-209 佐々木さんの戸惑い(分裂) 66-236 佐々木さんの踏ん切り(分裂~驚愕(前))。 67-9xx 佐々木さんと「じゃあね、親友」(驚愕(後)時間軸)。 67-9xx 佐々木さんと「やあ、親友」「そして」(驚愕(後)時間軸)、完結。