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「うるぉおおお!!」 そんな地獄のような光景を切り裂く咆哮。 瞬間吹き飛ぶ足軽たちの首。 「ひいい!?」 幸いにも生き残った連中が腰を抜かして、間抜けに股間の萎びた物をさらす。 それを一掃する追い打ちの手裏剣。 「なっ!?これは・・・!!」 陣に帰ろうとしていた竹中が驚愕に目を見開いた。 「何故、ここに君が・・・甲斐の若虎がいるんだい!?」 絶叫のような問いに答えるのは闇から湧き出た忍だ。 「こんなでっかい謀がどこにも漏れないとでも思ったのかい?人非人め」 いつもの飄々とした声ではなく怒りを秘めた低音で囁き、 じゃきりと手裏剣を竹中の白い首筋に押し当てる。 竹中が舌を打つ。少しでもどちらかが動けば血を見るだろう。 勢いと重量の割には軽い音を立てて着地した幸村はすっくと 立ってまっすぐに竹中を見つめる。 「某、お館様と越後の竜の関係に憧れてござる!好敵手の窮地を救うは仁義!」 「・・・思い出したよ。そういえば稲葉山で軍神を信玄公は助太刀して僕を邪魔したっけ。 ったく師弟共に面倒なときに・・・まあいいや。君は間に合わなかったんだからね、残念ながら」 それを聞くなり幸村を取り巻く空気が張りつめる。竹中の瞳が怯えを掃く。 「・・・・・・間に合わなかったならば、仇をとるまで。どけ佐助」 そう低く唸った声は地獄の釜から聞こえるようだった。 音もなく忍の気配が消える。とたんに紅蓮の風が怒濤のように押し寄せた。 「くうっ!」 とっさに関節剣を前に伸ばすが跳躍されて避けられた。 竹中は絶望した。関節剣が手元に戻るより早く鬼が落ちてくる。 「うっうわぁああああ!!!」 断末魔が木霊した。 愛別離苦10
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上田まで馬でも2日。それを普段培った乗馬の技で一日半で到達し、政宗は宿を取った。 目の前に上田城がある。 逸る気持ちを抑え、湯を使い、持参した風呂敷包みを開く。 その中には見事な藍色に染まった紬の女物の着物に赤い帯があった。 「女の格好になって、あいつを驚かせてやる・・・綺麗だと言わせてやる」 どんな顔を、どんな言葉を言うだろう?政宗はわくわくしながら十余年ぶりに女の姿になった。 城下に出、城へ向けて歩き出す。自然と足が弾んだ。 と、耳に聞き覚えのある声をとらえ、振り向く。 「あっ!」 思わず喜色満面の声を発する。 幸村が露天の団子屋の親父と喋っていた。頬が緩むのを押さえられない。 「ゆ・・・!」 しかし呼びかけた声はとぎれた。 幸村に明るい橙の髪を揺らし一人の町娘がどこからか現れて声をかけたのだ。 黄色の着物は政宗のそれほど良いものではないが娘に似合っていた。 幸村は振り向くと娘に微笑み、連れだって踵を返す。 それは、とても仲睦まじく見えた。 そして目の前で二人は自然な形で手を繋いだのだ。 愛別離苦4
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見たらちんこ立つ
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「俺はとんだうつけだ」 不思議と幸村を恨む気に離れず、ただただ舞い上がっていた己を卑下し、後悔した。 初めての失恋に呆然としてしまい、頭の中は纏まらない自分への罵倒だけが浮かぶ。 こんな痘痕だらけの女がいつまでも幸村の心を留めておくことなど出来はしなかったのだ。 娶るやら綺麗やらは社交辞令の睦言だ。それを馬鹿正直に信じた自分が阿呆なのだ。 「それでも・・・・・・」 好きという気持ちは静まらず、政宗はただ困惑した。 恋という感情は自分の中で抑えていた感情で、政宗はそれの扱いが皆目分からない。 失恋をすれば文字通り恋心は失われるのだと思っていたのに、 この焦がれる気持ちは収まらず、馬上の彼女を散々に痛めつける。 ぎゅうっと唇を噛み締めて、涙を無理に押さえ込んだ。そして大きく息を吸い、 吐き出すとともに殺伐とした声で一人強く哀しく呟く。 「俺には・・・やっぱり伊達家当主として修羅になる道しかなかったんだ・・・そうだろ?」 だから、早く修羅へ戻らなければ。政宗はやっと馬の腹を蹴り、速度を上げた。 愛別離苦6
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なんて開放をされた気分なのでしょう。 もう何もやる気がでなくなってしまったくらいです。 新しい人生の始まりです。 できることならもっと早く決断をするべきだったのかもしれません。 こんなことにずっと捕らわれていたなんて最初から考えていたくはなかったのですがこれでもう自由の身なのです。 これからは自分の好きなように人生を歩むことができるのです。 何事も縛られることなく生きていくことができるなんてとても有意義ですね。 もっと早くに決断をするべきでした。 これからはもっと楽しい人生を送ることができるように頑張っていきたいと思います。
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しばらく戦乱もなく、東北部は平穏だった。 「It s fine,isn t it?平和だな、小十郎。いい天気だし、今年は豊作のようだし」 煙管をもてあそびながら政宗は自慢の右腕に言う。 「は。最上も気味が悪いほど静かで」 「Ha!懲りたんだろ。伊達は祖父でも容赦なく攻めるってわかってビビってやがんだ」 「このまま静かならば、良いのですが」 眉をひそめる小十郎だが、タバコの煙を吐く政宗は至って余裕だ。 「ああ。だが向こうも稲刈り前の田を荒らしてまで今、伊達を潰そうとは思わないだろうな ちったぁウチもbreakになるだろ」 「そうですね。政宗様も休息なさりたいでしょう。 留守居はこの小十郎めが守ります故、旅行でもされてはいかがで?」 「Ah~trip・・・ねえ。Good!しばらく遠乗りでもしてくる」 つい、と立って政宗は自室へと戻るべく退出した。 そして小十郎の視界から外れた途端走り出す。 行きたい所など決まっている。上田だ! 「片倉殿、よいので?」 老臣が尋ねた。 「ああ、政宗様とてご自分の境遇は分かっていらっしゃる。必ず我々の所に戻ってくるさ。 今くらい、淡い恋をされても罰は当たるまい」 「政宗様はおかわいそうな姫じゃからな。ああ、それくらい罰などあたるまいて」 老臣が深く何度も頷いたとき、馬の嘶きが城内に響き、蹄の音が遠ざかっていった。 愛別離苦3
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「ぬぅん!」 勢いよく振り回され放り投げられる。そのまま政宗は岩に体を嫌と言うほど叩きつけた。 竹中はそれを見つめ、ため息をついた。 「秀吉・・・僕に任せて陣に居てって言っただろ」 それに眉をしかめ、そびえ立つ巨躯は豊臣の総大将、豊臣秀吉である。 「この戦は最上と伊達をぶつけ合い、最上を豊臣に刃向かわないようにさせるか 共倒れにって言う目的もあるんだから。こっちは指示だけ出せばいいんだ。 見てよ。この完全な勝ち戦。秀吉が出るまでもないったら」 衝撃にしびれ、身動きできない政宗はそのやりとりを聞いて腸が煮える気がした。 全てを盤上の遊技のように弄び、上から覗いて笑うような竹中の態度が許せない。 そして己にも腹が立つ。 ーー俺が、女の夢なんか見るから。みんなを殺してしまった。仇だけでもとらなければ。 この修羅の道を失えば・・・・・・俺は生きる意味を失う。 わき起こる衝動だけが政宗を立ち上がらせた。 「God damned!」 「おや、凄いね」 純粋に驚いて竹中は秀吉を見上げた。 「ふん、だがただの意地だ。意地だけでは勝てぬ、力が伴わねばな!」 ぶうんっと風切音。 丸太のような腕が三刀を抜き突進する鬼神のような政宗をあっさりとはじき飛ばす。 「哀れだね。そんなにもがいて。そんなに生きる意味を守りたい?」 受け身もとれず地面に激突した政宗はもうどれだけ己を叱咤しても動くことは叶わなかった。 そのうつぶせに倒れた竜に竹中はつかつかと歩み寄り、つま先で転がして仰向けにした。 途端にぐうっと睨み付けられ、竹中は肩をすくめた。 「まだそんな目をして。視線だけで人が殺せれば死んでるね。怖い怖い」 しかし竹中に浮かぶのは勝利を確信した余裕の笑み。 「知ったような口利きやがって。fuck!てめえにはわかんねえだろうよ」 「分かるさ。君のことはご母堂から聞いているよ。藤姫様」 「なっ・・・その名を・・・」 それは、五歳の時に棄てた名前だ。 「ご母堂はね、君にお嫁に行って欲しかったのに。 そうやって当主として頑張るからご機嫌斜めだ」 当主として立派になればいつかは母に認められると思っていた政宗に その言葉は何よりも鋭い針だった。 「そ、んな」 がらり、と心の柱が崩れる気がした。 ーー伊達が滅び、母が望まぬ修羅の道は絶たれた。 愛別離苦8
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愛別離苦 依頼主 :ベアティヌ(グリダニア:新市街 X10-Y12) 受注条件:木工師レベル45~ 概要 :木工師ギルドのベアティヌは、なにやらひどく落ち込んでいるようだ。 ベアティヌ 「ハァァ・・・・・・私は・・・・・・ダメな奴です・・・・・・ しなびた枯れ枝以下です・・・・・・ キノコすら生えません・・・・・・。 あんな、酷いことを言ってしまうなんて・・・・・・ でも、そうしないと・・・・・・ ・・・・・・すみませんが、ちょっと、ひとりにしてください・・・・・・。 「どんぐり遊園」で、ニコリオーと 遊んであげてくれますか・・・・・・ハァ・・・・・・。」 ニコリオーと話す ニコリオー 「あ、冒険者! ひょっとしてベアティヌ先生に言われてきたのか? やっぱり、また落ち込んでるんだな。 でも今度の原因は、すらんぷじゃなくて、ケンカだよ。 ギルドに来た「ゲイルハード」って弓術士の依頼を、 先生が断っちゃって、ケンカになったんだ。 大人なのにケンカするなんて、大人気ないやつらだよ。 しかたないから、仲直りさせてやろうぜ。 お前は弓術士のところにいって、依頼をひきうけてやるんだ。 先生は俺に任せておいてよ。 弓術士は「双蛇党」統合司令部の方に行ったみたいだ。 それじゃ、頼んだぞ!」 ゲイルハードと話す ゲイルハード 「どうした、Nikuq。 ・・・・・・え? 依頼を引き受けに来たって? なぜ依頼のことを・・・・・・ なに、どんぐり遊園の子供が・・・・・・? なるほど、口論を聞かれていたのか。 本当はベアティヌに頼みたかったが・・・・・・ 背に腹は代えられん。 すまないが、代わりに引き受けてくれ。 頼みたいのは、 「ユーロングボウHQ」、「コバルトハルバードHQ」、 それと「ジェイドクルークHQ」だ。 お前の腕を疑っちゃいないが、こいつは重要な依頼だ。 作ったら、「ベアティヌ」に見てもらってくれ。 お前の作った武器を見れば、 あいつも考えを改めるかもしれんしな・・・・・・。 絶対に手を抜かず、最高の品に仕上げてくれ。頼んだぞ!」 ゲイルハード 「「ユーロングボウHQ」、「コバルトハルバードHQ」、 それと「ジェイドクルークHQ」だ。 重要な依頼だから、「ベアティヌ」に見てもらってくれ。」 ベアティヌに依頼品を見せる ベアティヌ 「Nikuqさん・・・・・・ ニコリオーから、話を聞きました・・・・・・。 ゲイルハードの依頼・・・・・・すみませんが、頼みますね・・・・・・。」 (ユーロングボウHQとコバルトハルバードHQ、ジェイドクルークHQを渡す) ベアティヌ 「ああ・・・・・・どれも・・・・・・素晴らしい・・・・・・。 何ひとつ、文句のつけようなど、ありません・・・・・・。 ユーロングボウHQは、高級木材である ローズウッド材を、ユーの枝で補強した弓です・・・・・・。 ローズウッド材の欠点である重さを、 部分的にユーの枝を用いることで補い、 丈夫なラプトルの腱を弦に張った、重厚で堅強な弓・・・・・・。 コバルトハルバードHQは・・・・・・ バイルブランド島で考案された合金「コバルト」で 穂先を作ったハルバードのこと・・・・・・。 斧を主武器とする傭兵の民ローエンガルデ族が、 チョコボ騎兵に対抗するため、斧の柄を長くしたのが ハルバードの始まり・・・・・・。 グリダニアでは珍しい武器ですが・・・・・・ 一流の木工師によって引き出される、 その攻撃性と機能性は、他の槍に決して劣りません・・・・・・。 そして、ジェイドクルークHQ・・・・・・ 素材のマホガニー材は、独特の赤みと美しい光沢から 高級家具や楽器の材料として愛されてきました・・・・・・。 そんな高級素材に、「命の再生」を象徴する翡翠・・・・・・ 「ジェダイト」をはめ込んだのが、この杖です・・・・・・。 生命力を操る幻術士たちの妨げにならぬよう、 必要な素材のみを、最高の状態で組み合わせた逸品・・・・・・ 本当に、非の打ち所がありません・・・・・・! ハァ・・・・・・Nikuqさん・・・・・・ あなたの素晴らしい武器を、 ゲイルハードに届けてあげてください・・・・・・ この武器が必要だとは、分かってはいるんです・・・・・・ ですが、私からは、とても・・・・・・ すみません・・・・・・よろしくお願いします・・・・・・。」 ゲイルハードに依頼品を納品 ゲイルハード 「頼んだ武器は、仕上がったのか?」 (ユーロングボウHQとコバルトハルバードHQ、ジェイドクルークHQを渡す) ゲイルハード 「ああ・・・・・・見事な武器だ。 どれも、隅々まで作りこまれていることが分かる。 お前はずいぶん腕を上げ、木工師として成長したんだな。 それに比べて、ベアティヌの頑固さは相変わらずだ。 少しは弟子を見習ってほしいものだ。 俺が新しい弓に変えないのなら、 依頼を引き受けない、の一点張りでな。 それで大ゲンカになっちまった、というワケさ。 だが、お前のお陰で部下たちに最高の武器を渡せる。 これで安心して遠征に向かえるぞ。 本当に、世話になった。 しばらく会えなくなるが、元気でやれよ。 「ベアティヌ」にも、そう伝えてくれ。」 ベアティヌに報告 ベアティヌ 「Nikuqさん・・・・・・ ゲイルハードに・・・・・・武器を届けてくれたのですね・・・・・・ ええ、当然ですよね・・・・・・ 木工師ですから、依頼は、こなさなければ・・・・・・ ですが・・・・・・ 私は・・・・・・我慢できなかったんです・・・・・・ ゲイルハードが、弓を変えようとしないことが・・・・・・。 あの弓は、もう限界なんです・・・・・・ 彼自身のために、もっとよい弓を作ると言っても・・・・・・ 聞き入れてもらえなくて・・・・・・ それで、つい怒ってケンカになってしまったんです・・・・・・。 ハァ・・・・・・依頼人に考えを押し付けてしまうなんて・・・・・・ 私・・・・・・職人失格ですよね・・・・・・。 ゲイルハードは、もう発ってしまいましたか・・・・・・ 今までも窮地を切り抜けてきた彼ならば、 きっと大丈夫だと信じたいのですが・・・・・・。」
https://w.atwiki.jp/6war/pages/1269.html
概要 一月の別離酒とは、アルファ706年、ロードレア国の主要な将軍が、ベルザフィリス国、ロー・レアルス国に亡命した事件。 ロードレア国滅亡の原因の一つとして知られる。 ヴェリアの堕落 ヴェリアの大遠征は、彼にとって生まれて始めての真の敗北であった。大遠征に失敗したロードレア国軍は、軍としての統率も失ったまま本国へ戻ってゆく。 ヴェリアは、アレス戦死を聞いた日から酒量が目に見えて増え、酒に逃避しはじめたのは明らかだが、2月7日に街角で一人の少女と出会う。 その少女こそ、皮肉にもヴェリアがかつてロードレア国国主を巡って争ったデイズの娘で、ヴェリアの策により親を失い孤児となっていたルフィである。 この後、ヴェリアは酒とルフィに溺れ、彼女の言うことを真に受けて実行することとなる。 ルフィは最初からデイズの旧臣、またはルフィ自身の意思により、ヴェリアを惑わすために意図的に近づいたという説もある。その説の真意はわからないが、ルフィが稀代の悪女として歴史に名を残すことだけは紛れもない事実である。 一月の別離酒 706年1月1日、例年通り新年の宴が行われていたが、この時ヴェリアは、これまでの乱れた生活が祟って宴の最中体調を崩し、ルフィに寄り添われて席を立つ。 その姿を見たバイアラスは、一つの決意を胸に秘め、1月4日、自宅にシルヴァス、グローリヴァス、リディ、ザロといった個人的に友誼のある有力将軍を招いた。表向きは新年の宴であったが、これが後に「一月の別離酒」と呼ばれる事件となる。 この席でバイアラスは、ロードレア国を脱出する事を皆に打ち上げた。 バイアラスは天下統一よりも、自分を一兵卒から引き上げてくれたラディアの敵討ちしか興味を持っていなかった。今のロードレア国、堕落していくヴェリアの下では、それはもう望めない。それならば、ロッド国と戦う為にベルザフィリス国へ行くと彼は述べた。 しばしの沈黙の後、グローリヴァスが最初に同意し、それにシルヴァス、ザロも続いた。最後まで沈黙を守ったリディは、バイアラスの前に膝を付くと、この瞬間より自分はバイアラス直属の隠密になると告げた。 隠密は、国ではなく個人に忠誠を誓う。アレス死後、自らの主を持たなかったリディは、バイアラスを新たなる主とした。 こうして4人は家族と自分に忠誠を誓う部下を連れて国境を突破するが、この裏切りに怒ったヴェリアが討伐隊を派遣、盲目の娘を守るために一行からはぐれたグローリヴァスのみロー・レアルス国へ向かうが、バイアラスたちは、1月26日にベルザフィリス国へ到着する。 この頃ディルセアは、ルーディアの眼帯を貰い、二代目独眼竜という名を継いでいた。ルーディアは、志を息子ガイヴェルドに、名を軍師ディルセアに継がせ、自らは隠居生活を送っていた。 そのルーディアが、バイアラスとリディを突如自宅に招く。降伏を認められ、ベルザフィリス国の将となっていた彼らだが、何しろ彼らほどの人材である。「降伏は偽りであり、ヴェリアの奇策」を警戒する者は多く、未だ猜疑の目で見られる日々を送っていた。 互いの存在だけが唯一の支えとなっていたバイアラスとリディは、この招きに応じてルーディアの元へと赴く。 僅かな供と山奥の館に静かに暮らしていたルーディアは、二人を手料理もてなすと、昔話に花を添えた。直接関わったことはなくとも、同じ時代を生きた者同士、バルディゴス討伐連合軍からディースの戦いまで、それぞれ違う立場で、その戦いをどう見ていたのか、話は盛り上がっていた。 ルーディアの影響力はいまだ絶大であり、「ルーディアが認めたのならば…」と、諸将も、次々とバイアラス達への警戒を解いた。 なお、この時ルーディアは、もしガイヴェルドに将来皇帝となるべき器があれば彼を補佐してほしい、しかし権力という波に飲み込まれる様な器なら、息子を殺してほしいと二人に告げたというが、これは後世の創作説もある。 それぞれの理由 彼らが亡命を決意した理由は、以下の様に推測されている。 バイアラス前述の通り、ラディアの仇であるロッド国と戦う為。 リディこの頃、ルフィの矛先は、リディにも向けられていた。彼女の無表情さがルフィを苛立たせ、私用といえる不条理な命令を何度もされていた。彼女自身はそれに耐え続けていたが、バイアラスが見かねて、何度か守っていた。その為、ルフィはバイアラスも敵視、このままでは彼に危害が及ぶと考えたリディは、バイアラスの直属隠密になることで、「貴方が国を出るのなら、無条件で自分もついていく」という状況を作り出した。 グローリヴァス彼は、世代的に直接ラディアと接することはなかったが、それでもバイアラスと同じく、ロッド国に対する嫌悪感を抱いていた。その為この脱出に同意するが、結果的にロー・レアルス国に流れることとなる。 ザロバイアラスと同じく、ラディア、アリガルの仇であるロッド国に対して、激しい怒りをもっていた為、彼の説得に心が動かされ、脱出を決意した。 シルヴァスルフィが国内で作りつつあった派閥と、シルヴァス達武断派は、水面下で激しい派閥争いを行っていた。ルフィによる武断派の追い落としは日に日に増し、彼自身の立場も苦しくなっていた。 忠臣の亡命 蜉蝣戦記、というより、この時代のロンドーナ大陸東部における特徴として、「元々同じ国だったものが分裂している」、という考えがある。 その為、「国」を名乗っておきながら、「文化も歴史も違う他国」ではなく、「同じ国の別の区」という考えが、この大陸の人々の心の底に根付いていた。 バルドの国替えがその一例で、国替えといいながら、移動したのはボルゾックを代表とする上の人間だけであり、民衆はそのまま動くことがなく、民からすれば、あくまでも「上司が入れ替わった」という感覚に近かったという。 また、サリーアやフィリスといった国主が、簡単に国を託しているのも、彼らにとっては他国に併合されるというより、同じ国内における「都市合併」に近い感覚があった為である。 ベルザフィリス国は、ルディック帝国の区ではなかったものの、この思想は大陸そのものに根付いていた為、彼らの亡命は、他の時代、他の大陸でいう「亡命」とは、若干意味合いが異なる。 関連項目 蜉蝣戦記