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◆HoYWWMFJdI氏が手掛けた作品 話数 タイトル 登場人物 023 闘え!ぬいぐるまー! 袴田ひなた 025 大きな背中 アベル、香椎愛莉 030 高貴な心を忘れてはいけないよ トロン、雷、アインハルト・ストラトス 034 カードとカード 木之本桜、ドルベ、響 039 ぶるぶると震えてゴーゴー 野原しんのすけ、クロエ・フォン・アインツベルン、千歳ゆま 041 扉の向こうへ 江戸川コナン、ガッシュ・ベル 043 卑怯なお人形 藤木茂、メルトリリス 048 光 黒のアサシン、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、歳納京子、サトシ、高町ヴィヴィオ 051 白き盾のフェニーチェ 響、木之本桜、ビアンカ、佐藤マサオ 060 ひなたサンデー 袴田ひなた、江戸川コナン、ガッシュ・ベル 062 邂逅 剛田武、永沢君男、アベル、黒のアサシン、リュカ、神代凌牙 登場させたキャラ 2回 響、木之本桜、袴田ひなた、江戸川コナン、ガッシュ・ベル、アベル、黒のアサシン 1回 香椎愛莉、トロン、雷、アインハルト・ストラトス、ドルベ、野原しんのすけ クロエ・フォン・アインツベルン、千歳ゆま、藤木茂、メルトリリス、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 歳納京子、サトシ、高町ヴィヴィオ、ビアンカ、佐藤マサオ、剛田武、永沢君男、神代凌牙、リュカ 氏に寄せられた感想 名前 コメント
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《メオ(013)》 キャラクターカード 使用コスト3/発生コスト2/青/AP40/DP10 【水着】 このカードがアプローチで相手のキャラが退場した場合、デッキの上のカード5枚を見て、その中にある『神様のメモ帳』のキャラ1枚を抜き出し、表にしてから手札に加える。その後、残りのカードを任意の順番でデッキの下に移す。 (あっ、助手さん。これどうかな?) 神様のメモ帳で登場した青色・【水着】を持つメオ。 アプローチで相手キャラを退場させた時にデッキの上のカード5枚を見て、その中から『神様のメモ帳』キャラ1枚を手札に加え、残りのカードをデッキの下に戻す効果を持つ。 《歳納 京子(071)》の『神様のメモ帳』版。対象以外は全く同じ効果と言える。 APは40と高めなので、効果を生かすために確実に相手キャラを退場させるようにしたい。 《メオ(064)》と効果が同じで、あちらは登場した時に発動する。 カードイラストは描き下ろし。フレーバーは第3話「僕が二人にできること」でのメオのセリフ。 関連項目 《メオ(064)》 《歳納 京子(071)》 収録 神様のメモ帳 01-013 パラレル 編集
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(通販番組が流れている) -- 試験電波放送中 今度はドコダビッチ? -- なっしー ドコダビッチって何だ?! -- のらくろ(大津の守護神) あなたの テレビに 時価ネットたなか〜♪ -- BGM 今回お持ちいたしましたのは、ケルフォーの高圧洗浄機です!これは(以下200行にわたり高圧洗浄機の説明やら実演をやる販売員であった) -- 通販番組 もうポケモンのコトブキタウンでよろしい? -- なっしー と言うわけで…適当な代理人の意向で会場はポケモンのコトブキタウンとなりました -- ナレーション なんだこの街… -- 焼き狐アフォックス グローバルトレードセンター[ポケットモンスター ダイヤモンド・パール・プラチナ・ハートゴールド・ソウルシルバーより] -- BGM やった♪数日待った甲斐があったなぁ(種付けでヨスガシティにて大量に孵したキモリの内の1体をトゲキッスと交換してもらった/←しかも事実) -- コウガ(ご本人) ここがコトブキか・・・(ファミリーで旅行中) -- ぴかたろう(でいり〜) 久しぶりに来た気がする…つーかあのテレビずーっと付きっぱなしなのか…?消えてる所見た事無いぞ… -- ナオ(なっしー) はてさてと、にしても同族を狩るのって気がひけるよな(とか言いながら完全武装で登場) -- 神 恵介(本人) うぉっ? まさかポケモンの世界に迷い込むなんて予想GUYの展開……。くッ! 元・歩くポケモン図鑑の血が騒ぎやがる……!(腕を押さえてうずくまる) -- 神宮寺妹紅(サンダース) 「誤:コトブキタウン」⇒「正:コトブキシティ」じゃないでしょうか…? -- 陸遜フォックス(チャン) 陸遜フォックスー!ポケッチもらって来たよ!(プラチナモデル×2) -- チャン ありがとうございます。(ポケッチを左腕にはめる) -- 陸遜フォックス(チャン) な、なんだなんだ… -- アフォックス(なっしー) アフォックス!!この街を乗っ取るぞ! -- ゴリチュウ(なっしー) お、おう! -- アフォックス(なっしー) 畜生!デ杯でマナーの悪い大津軍ごときに倒されるとか不覚だ! -- WIN350 アフォックスが動き始めたようですね…。 -- 陸遜フォックス(チャン) よーし…、例のアレ、いっちゃいましょうか! -- チャン さらに今回はモブ兵士もいるのだ! -- ゴリチュウ(なっしー) どうもモブ兵士です -- バトロイマンAFOX×2 了解!(チャンと2人でどこかへ行く) -- 陸遜フォックス(チャン) フンフンフ~ン♪(登場) 今日はペコポン人スーツMk=III(前回使っていたあの八頭身スーツ)もあるし…、ん!?あれはもしや…! -- ケロロ軍曹(チャン) 役に立つのか…? -- アフォックス ヤッフ~!ポケプラ金銀御三家進化9体セットであります~!これ欲しかったんだよね~。 -- ケロロ軍曹(チャン) むっ!マフィア間の抗争か!? -- ぴかたろう(でいり〜) 手持ちのポケモンは………………『めのまえがまっくらになった』 -- 神宮寺妹紅(サンダース) WIN350さん!せっかく13勝もしたのにD-BR杯で倒してしまってすみませんでした! -- 桜庭 京子(大津の守護神) 神宮寺殿、貴方には私のコラッタ(Lv2)をお貸ししましょう。 -- トロッコ(でいり〜) (マサラタウンから開始。コラッタLv.2を所持)……なんでここまで戻されるのさ(A.世代の問題) -- 神宮寺妹紅(サンダース) 私の手持ちはピジョットLv.38、コロトックLv.47か…。(陰に隠れて確認中) -- チャン チャン先生の言っていた「アレ」というのは何なのでしょうか…。(チャンと同じく) -- 陸遜フォックス(チャン) しかもV3されるとか、けしからん。 -- WIN350 フンフン~♪(ポケプラを作っている) -- ケロロ軍曹(チャン) (ケロロ…、のんびりしすぎているよ…。(苦笑)) -- チャン (現在、クチバ船着き場。クチバは オレンジ ゆうやけいろ) -- 神宮寺妹紅(サンダース) (このポケッチ…、こんなことも出来るんですね…!(ドットアートで遊んでいる)) -- 陸遜フォックス(チャン) (現在、シンオウ行きの船の中) くそ……みんなしてメンチビーム出してやがる……(訳:めせんがあったらポケモンしょうぶ!) -- 神宮寺妹紅(サンダース) (船に偶然乗っていた)目線が凄く、気になる・・・。(メンチビームを出しながら、移動) -- 聖 白蓮(魔理沙) (ルパンとかに出てきそうなゴーグルを装備)これで目線の包囲網を抜けるぜ……! コラッタじゃ勝てないからな……(船内の自室へ向かう) -- 神宮寺妹紅(サンダース) そーいえば、自分の部屋はどこだったっけ・・・。(移動中) -- 聖 白蓮(魔理沙) しかもD-BR杯で調子に乗りすぎてしまいました! -- 桜庭 京子(大津の守護神) さてと、手持ち整理終了。(パソコンの電源を切る)[現在の手持ち]ピカチュウ♂(ピカごろう LV21) リザードン♂(リザ LV45) シャワーズ♀(シャワ LV37) バクフーン♂(バクフっち LV58) ヘルガー♂(ヘルガっち LV64) バシャーモ♀(ばいけん LV70)そーいや外が騒がしくなってきたな・・・(GTSから出る) -- コウガ(ご本人) ん?もう一匹でてきた。レックウザ(ドララLv.52)ってちょっと強すぎかな…?(ちなみにレックウザとドララは同じ声優です) -- チャン このテレビ局は我等そうめん連合が占拠した!! -- アフォックス(なっしー) …なんぞ?というかマジでなんなんぞ?新種のポケモン?何あのゴーリキーとピカチュウがくっついたみたいなやつ -- ナオ(なっしー) 逆らう奴は痛い目に合う事を教えてやる! -- ゴリチュウ(なっしー) って言うか狩りは如何なったんだ?! -- 桜庭 京子(大津の守護神) 何ぃぃぃ!?ぬぅ、許せん!所詮ロケット団の真似事、俺のポケモンでねじ伏せてやる!(ばいけんにゴリチュウを任せテレビコトブキに突入)おらぁぁ!!!でてこい陸遜とは違うアホ狐ぇぇぇ!!(階段駆け上がり+ドア蹴破りで暴れつつア狐の元を目指している・・・こりゃ、本人見つけるまでは止まらなさそうです) -- コウガ(ご本人) (…。(苦笑)) -- 陸遜フォックス(チャン) 完成したであります! ここを動かすと、こう動くでありますか~。(ポケプラで遊んでいる) -- ケロロ軍曹(チャン) (その頃、のんきにシンオウ地方に到着) あ、なんか音質が格段によくなったぞ……。 -- 神宮寺妹紅(サンダース) アフォックスは何処だ! -- 桜庭 京子(大津の守護神) ちっ、どいつもこいつも人間の言いなりになんかなりやがって…… -- ぴかたろう(でいり〜) どいつもこいつもって私も入ってる?! -- 桜庭 京子(大津の守護神) …これは俺も行かないと行けない系? 手持ち(ゴウカ/モウカザル 34LV ルッド/クロバット 34LV ムルナーク/ムクホーク 34LV スマッシュ/カイリキー 33LV アクセル/フローゼル 35LV シオン/レントラー 34LV) -- ナオ(なっしー) よし、ムルナークGO(ムルナークを出す!) -- ナオ(なっしー) な、なんだなんだ… -- ゴリチュウ(なっしー) ふきとばし! -- ムルナーク(なっしー) あーーーれーーー!! -- ゴリチュウ(なっしー) という訳であっという間に決戦だが… -- ナオ(なっしー) 中の人のやる気の無さに悩まされる今日この頃、とりあえず…くらえ!(ナオにブラスター発砲!) -- アフォックス そうはさせるかよ(ナオの身代わりに[204/278])おい嬢ちゃん!!アホ狐はこっちだ!(コウガを呼び寄せ) -- ばいけん(剣聖・聖良紅牙) でかしたぞばいけん〜〜!!よぅしみんな出てこいっ(残り5個のボールから手持ちを全部出す)覚悟してもらうぜ、アホ狐!!アサルトコマンド発令っ!!(6体に突撃命令、標的はア狐) -- コウガ(ご本人) …うわっ…ネーミングセンス悪っ… -- ナオ(なっしー) いいか成増、まずはお前の力で一匹倒してやれ。 -- アムチャ(石坂線の鬼神) わかりました。師匠。 -- 成増英二(石坂線の鬼神) おお!成増さん!始めまして! -- 桜庭 京子(大津の守護神) ああ、初めまして。 -- 成増英二(石坂線の鬼神) ちなみに聞きますがアムチャさんって何方?! -- 桜庭 京子(大津の守護神) そろそろ出番ね…。いけっ!ピジョット! -- チャン チャン先生の言っていた「アレ」って、ポケモンバトルの事だったのですね…。 私はこいつで!(ギャラドス(赤)Lv.40を出す) -- 陸遜フォックス(チャン) 戻れムルナーク、アクセル、GO!(アクセル/フローゼルを出す) -- ナオ(なっしー) 良いのか?くらえ!(赤ギャラドスにプラズマキャノンの嵐!!) -- アフォックス ギャラドス!まもる!(攻撃無効化) そしてアフォックスにたきのぼり!(ギャラドスがアフォックスにたきのぼりを仕掛ける) -- 陸遜フォックス(チャン) ピジョット、アフォックスにフェザーダンスを見せてあげて!(攻撃力2段階ダウン技) -- チャン ニックネームくらい付けてやれよ、アクセル!スピードスター!!(アクセルがアフォックスにスピードスターを放つ) -- ナオ(なっしー) ぎゃーす!(アフォックスは武器依存なので攻撃力が下がりません)(55000/60000) -- アフォックス ならば、たつまきだ!(ピジョットがアフォックスにたつまきで攻撃) -- チャン ピジョットってんなもん覚えるっけ…?アクセル!みずてっぽう!(アクセルのみずてっぽう!) -- ナオ(なっしー) ダイヤモンド&パール(プラチナ&ハートゴールド&ソウルシルバーも含む)で覚えますよ? -- チャン そうか…時代は変わったな…(爆&準レトロ派) -- ナオ(なっしー) おのれハンター連合!!(51000/60000)くらえ愚か者め!!(ピジョットにホーミングランチャー発砲!) -- アフォックス まもる! ピジョット、一旦戻って!(ピジョットをモンスターボールにしまう) 次はドララ、行けぇー!(ドララ(レックウザ)を出す) -- チャン ドラックシュン!(クシャミ) 誰かがオラのウワサをしているだな…。 -- ドララ特務兵(チャン) そんなこと君に話してる暇はないはずだ。さぁ、アフォックスが出たぞ! -- アムチャ(石坂線の鬼神) ギャラドス、もう一度たきのぼりです!(たきのぼりを仕掛ける) -- 陸遜フォックス(チャン) ざんそこ!(緊急回避) -- アフォックス ドララ、エアスラッシュ!(ドララのエアスラッシュ!) -- チャン 誰かが私を呼んでいるのか…? ん…、あれは…? -- ドララ特務兵(チャン) リフレクターッ!!(反射) -- アフォックス アフォックス、そこはひかりのかべを出してほしかったな…。 -- チャン つーかなんだいありゃ…ポケモン?(図鑑を出すが…)《音声 データ無し》……… -- ナオ(なっしー) エアスラッシュは特殊攻撃のひとつですからね。ギャラドス、交代!(ギャラドスをスーパーボールにしまう) 次はティティです!(ティティ(ネイティオLv45)を出す) -- 陸遜フォックス(チャン) 私を呼んでいたのは…、チャンだったのか…。 -- ドララ特務兵(チャン) ぬおっ!?本人が来ちゃった。 -- チャン しかしあのレックウザに私の名をつけるとは…、チャン、これは趣味でつけたのか? -- ドララ特務兵(チャン) 趣味といえば趣味ですね。ゲームでもよく使いますから…。 -- チャン そ…、それはオラも嬉しいだぁよ。(訛り) -- ドララ特務兵(チャン) 何やら騒がしいでありますな…。 ん?あの方はドララ殿!? -- ケロロ軍曹(チャン) これはこれはケロロ軍曹。お久しぶりです。 -- ドララ特務兵(チャン) ドララ殿も元気でなによりでありますな~。ところで、ドララ殿はなぜここに? -- ケロロ軍曹(チャン) 実は最近、このペコポンに不思議な生き物が出没するというウワサがあり、私はこれを調査しにやってきたのです。 -- ドララ特務兵(チャン) ケロロ小隊が現れたぞ! -- 桜庭 京子(大津の守護神) ちぃ、武器依存にアサルト外すなんてっ・・・仕方ねぇ、ばいけん以外みんな戻れ!(5体をボールに戻す)たしかあいつ、炎タイプは今一つだったな・・・ばいけん、スカイアッパーからメガトンキック!!(連携技指令) -- コウガ(ご本人) 不思議な生き物?それってアフォックスやそうめんの事かな? -- チャン そうです。あなた達とは戦う時もあれば協力する時もあります。(中立の立場) では、私はこれで失礼!(飛び去る) -- ドララ特務兵(チャン) 気をつけてねー! よし、レックウザのドララ!次はハイパーボイスで!(ドララ(レックウザ)がアフォックスにハイパーボイスで攻撃) -- チャン ティティ、アフォックスにあやしいひかりです! -- 陸遜フォックス(チャン) 本間だ!アフォックス氏から怪しい光が見える! -- 桜庭 京子(大津の守護神) 馬鹿か…?あとネーミングセンス最悪 -- ナオ(なっしー) (アホきつねは混乱している!) -- 焼き狐AFOX (わけもわからずじぶんをこうげきした!)ウボァ!(49000/60000) -- 焼き狐アフォックス ひらおも混乱している! -- 解説:ひらお(絵茶) ウボァァァァァ!(弱点属性:音) (38000) -- 焼き狐アフォックス アムチャ、いきまーす!(といって拡声器でただアフォックスに大音量を流す) -- アムチャ(石坂線の鬼神) やめておくれえぇぇぇぇ!(26000) -- 焼き狐AFOX アクセル、かみくだく(アクセルのかみくだく!) -- ナオ(なっしー) ウボァ!(20050) (アフォックスのとくぼうがさがった!) -- 焼き狐AFOX 「いくぜ、フィリップ。」「僕らは二人で一人の探偵さ。」 (登場) -- W(原作) よし、その調子! ドララはそのままハイパーボイスを続けて! そろそろコロトックのテノール、出番よ!(テノール(コロトック)を出す) -- チャン 貴様は・・・! ! 音属性いやだよぉぉぉぉぉ!(15100) -- 焼き狐AFOX ティティ、次はみらいよちで!(数分後に攻撃が決まる…かも。(ぁ) -- 陸遜フォックス(チャン) 「翔太郎。どうするつもり?」「勿論、メモリブレイクだ。」(ジョーカー!マキシマムドライブ!) (旋風が巻き起こり、Wが空に浮く) -- W な、なにっ!(あほきつねはこんらんしている!) -- 焼き狐AFOX ドララ、戻って!(ドララ(レックウザ)をしまう) テノール、むしのさざめきからシザークロス! -- チャン ま、まずい・・・・!(9800) -- 焼き狐AFOX 「「ジョーカーエクストリーム!」」(両足のドロップキックから真っ二つに分割) -- W そろそろ来ます…! -- 陸遜フォックス(チャン) やめろぉぉぉぉ!やめろぉぉぉぉ! -- 焼き狐AFOX 「たぁぁぁぁ!」「はぁぁぁぁっ!」 -- W おお!アフォックス!現れたな!アフォックスに大騒音で放送だ!(京子はアフォックスに大騒音で京都新聞ニュースを放送した!) -- 桜庭 京子(大津の守護神) 審議!(黄旗を出す) -- WIN350 「放送した!」が過去系なので、大津軍は過去系ポイント1P追加。(5Pで数回出場停止) -- 300X ゲッ!過去形ポイント入ってしまった! -- 桜庭 京子(大津の守護神) ウボアァァァァァァァァ!ファイヤー! -- 焼き狐AFOX アフォックス落ちる! -- 桜庭 京子(大津の守護神) うーむ、みらいよちは失敗に終わりましたか…。でもアフォックスも倒せましたし、次へ行きましょう。(ティティ(ネイティオ)をしまう) -- 陸遜フォックス(チャン) そうだね。よーし、次行ってみよう!(テノール(コロトック)をしまう) -- チャン あり?もう終わっちゃったでありますか?我輩の活躍はここからだったでありますのに~! -- ケロロ軍曹(チャン) 名前 コメント
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83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/08(土) 01 08 11.97 ID r7Audv9O0ゆるゆりSSのネタ思いついたの、使っていいよあかり「わぁいおちんちんランド、あかりおちんちん大好き」から始まってあかり達一行がおちんちんランドに遊びに行くのおちんちんランドでは通貨がマン毛になっていて入場料としてマン毛二本いるんだけどあかりちゃんだけマン毛生えてないから京子ちゃんが「なんだぁ?あかりパイパンなのか!よし、ここは京子ちゃんが払ってやろう」っていって追加で二本マン毛抜くんだけどあかりちゃんパイパンだから子供料金でいいですよって受付のかわいいショタ子がいうのそこで京子は余った一本を貯金ならぬ貯マン毛するっていって懐にしまうのそしておちんちんランドで遊んで帰りにお土産としてショタちゃんを20マン毛で買って帰るの最後はふと気づけばみんなパイパンになってましたーってオチ! 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/31(月) 20 30 01.85 ID QbKBRVXj0僕「ああ2012年も終わっちゃう 来年はやらなきゃいけないことが多すぎて嫌だなぁ・・・」つかさ「あれ、僕くんどうしたの?」僕「いや、もう嫌なんだ来年のことを思うとなにもかもが・・・」つかさ「そんな落ち込まないでよ!もっと明るくなろうよ!」僕「いいんだよもうどんな風に考えてもどうせ来年はいい年にならないんだ」あかり「だめだよっ、あかりはそんな僕くん嫌いだよ!」僕「えっ、あかりちゃんも?」美琴「そうよ、私達がいるんだからそんなくよくよしないの」僕「じゃあ、辛くなったらそばにいる?」ゆのっち「もちろんだよ」僕「じゃあ、もう一人で悩みを抱え込まなくていいの?」シャロ「悩みは皆で分かち合って解決すればいいじゃないですか」僕「そうか、僕は一人じゃない!」つかさ「君は一人じゃないんだよ?」ゆのっち「そうだよ、私達がいるよ」真「僕たちがついてます!」美琴「君は一人じゃないわ」サーニャ「私も君のそばにいてあげられるよ」ほむら「私達がついてるわ・・・」シャロ「君は一人じゃないんです!」あかり「あかりもいるよっ!」全員「私達がついてるよ・・・」2012年 終
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【名前】杉浦綾乃 【性別】女 【種族】人間 【出典】ゆるゆり 14歳の中学2年生。血液型はAB型。 生徒会副会長。京子、結衣、千歳とは同級生で同じクラス。 「罰金バッキンガム」や「安心アンコールワット」、 「心配はノンノンノートルダム」など、地名を絡めた独特のダジャレをよく使う。 プリンが好物であり、よく生徒会室の冷蔵庫にキープしてある。 テストではいつも学年2位の成績であり、さらに部室の不法占拠の件もあるため、 京子を一方的にライバル視しているが、本当は彼女と仲良くなりたいと思っている。 というか、一緒にいたい意識を常に………。 綾乃のギャグ一覧 罰金バッキンガム 心配ノンノンノートルダム ファイトファイトファイファイビーチ 安心アンコールワット いらないナイアガラ ぶーぶーブータン 勘弁カンベンカンボジア どうしよう東照宮 余裕ありま温泉 もんもんモンサンミッシェル たじたじタージマハル ないないナイアガラ あるあるアルハンブラ 赤赤アカプルコ 以下、ネタバレ注意 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 登場ロワ 好きな作品ベスト10でバトルロワイアル 生存中 現在の登場話数02 殺害者数00 調査・探索
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《赤座 あかり(070)》 キャラクターカード 使用コスト2/発生コスト2/青/AP0/DP10 【水着】/【ごらく部】 このカードがアプローチまたは妨害に参加した場合、このカードのAPの値を、ターン終了時まで自分の「赤座 あかり」1枚または【水着】を持つキャラ1枚のAPと同じ値に変更する。 (京子ちゃ――ん。結衣ちゃ――ん。) ゆるゆりで登場した青色・【水着】【ごらく部】を持つ赤座 あかり。 アプローチ・妨害した時にAPを自分の赤座 あかりまたは【水着】キャラ1枚のAPと同じ値に変更する効果を持つ。 数値のコピー対象はAPが高い【水着】キャラが候補に挙がる。 元々のステータスがAP0なので、リセットカードに弱く要注意。 また、コピーするのはAPのみでDPは10しか無いので退場してしまう事が多い。 カードイラストは描き下ろし。フレーバーは第4話「夏の大収穫祭」でのあかりのセリフ。 FAQ Q.このカードのテキストで、相手の場の【水着】を持つキャラを対象にすることはできますか?A.いいえ、できません。《自分の》という記述は「赤座 あかり」と【水着】を持つキャラの両方に掛かっています。(12/04/06) 関連項目 《歳納 京子(071)》 《船見 結衣(072)》 《吉川 ちなつ(073)》 《古谷 向日葵(051)》 収録 ゆるゆり 01-070 パラレル 編集
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青い風 徳田秋声 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)光沢《つや》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12] /\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号) (例)ぞろ/\ 古くから馴染のあるこの海岸へ、彼は十年振りで来て見た。どこもさうであるやうに、ここも震災で丸潰れになつて、柱に光沢《つや》の出てゐるやうな家は一つも見当らなかつた。町はどこもがさがさしてゐたが、しとしとした海風は、やつぱり懐しかつた。脚の不自由な人があるので、家を出て自動車に乗るにも、駅へ来てプラツトホームへ出て行くにも、家族的旅行の楽しさの一半は減殺される訳であつたが、それはそれとして、兎に角三年目に彼自身子供たちに附添つて行かれることは、彼等に取つて久しぶりの悦びであつた。彼は昨年も一昨年も懇意な旅館へ子供たちを預けておいた。大胆といふよりか、寧ろ惨酷な家庭破壊を三年間もつづいてやつてゐる、一人の子供の襲来を妨ぐことは、傭人には出来ないことであつた。 「今年だつてあの男が少しでも、何かの手助けになるやうだつたら……」彼は思はずにはゐられなかつた。実際何か事のあるをりには、今の人数では彼一人では手不足であつたが、彼も段々主婦のない家庭を整理することに馴らされて来てゐた。そして一人で箪笥や葛籠《つゞら》の底から、台所の隅まで一切を統制することが、結局、誰を当てにするよりも安心で興味のあることを感じてゐた。ほつそりした長女もいつかさう云ふ方に気を配るやうになつてゐた。 「今年は山にしようか、それとも海にしようか、皆んなは何う!」彼は時々子供部屋へ顔を出してきいた。 「わたし海よ。」小さい京子はいつも決定的であつた。 「さうお前は海?」 「山は大人の人と歩いてばかりゐて詰んないんですもの。」 その言葉が去年四五日ゐた軽井沢を彼に思ひ出させた。 「僕はどつちかといふと山がいいけれど、しかし海岸だつて同じだ。海へは出られませんから。」 去年海岸から帰つて以来、腰の関節に結核性の骨膜炎を患つて、昼も夜もづつと長椅子に横はつてゐる三男が言つた。 長女の春代や四男の真《まこと》には、別に意見はなかつた。春代は一人で残つて家《うち》を守らうとさへ思つてゐた。一ト夏小さい妹のお友達になつてゐることも、少しづつ生活に目ざめかけようとする彼女には、時とすると退屈であつたが、姉なしには半日もゐられない京子を、男達にのみ預けておく気もしなかつた。 子供と一緒に一ト夏を暮らして見ようと思ふ海辺を、さて何処に択んでいゝかも、彼には決定しかねることであつた。彼はこの頃表皮的な都会文明に厭気がさしてゐた。総ての点で都会生活の行詰りを彼自身感じてゐた。都会悪の延長でしかない、近い海岸へなぞ行きたいとは思はなかつた。 「せめて三四時間出るところでなくちや、旅行したやうな気がしないや。」足の悪い児のさう云ふ意見が彼と一致した。 或日彼は房総の海岸で、危険の比較的少ない、そして脚の悪い児の退屈しないやうな、知辺のある場所を物色しようと思つて、到頭やつぱり此の海岸へ来てしまつた訳であつた。 彼は夕涼《ゆふすゞ》に東京を立つて、夜の九時頃に古馴染の旅館へついた。そして其の翌日、比較的海に近い新築の家を一軒かりることに決めた。そこは青田が部屋のなかからひろびろと見度《みわた》された。軟い海風が松原をこえて、そよそよと青田を波立たせてゐた。鶏や牛や、肥料溜の臭ひも通つてこなかつた。そして建築はしつかりして、木口が好かつた。檜や杉の木香がしてゐた。広さも十分であつた。 「見晴らしから言つても、綺麗なことから言つても、あの海岸では、恐らく一番好い家だらう。」彼は家へ帰ると、子供たちに話した。そして子供たちのお馴染になつてゐる旅館の娘さんが停車場までもつて来てくれた、木から※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12]《も》ぎ立ての水蜜桃を子供たちに食べさせた。その果実には、都会の店頭のものには味ふことの出来ない新しい香があつた。 一両日前から、彼は水着や帽子を買ひに、長男と小さい京子とをつれて、丸の内へ行つて見た。しかし水着は好いのが見当らなかつた。で、京子のために涼しい洋服を一着買ふことにした。京子の好きなのを択ばせることにした。そして其れが直ぐ決まつた。お盆時分のことなので、丸ビルの売店では、大抵福引券を出した。京子もそれを貰つた。 「行つて引いておいで。」 京子は兄と一緒に引きに行つた。彼は骨董の店を覗いてゐた。彼は何うかすると、そんなものを覗いてみる癖があつた。 暫くすると汚ないパナマを冠つた長男がやつて来た。 「お父さん、京子が二等を抽いたんですよ。驚いたな、ぢやらんぢやらんといふかと思ふと、二等ですつて言ふんだ。」 「さう!」彼はさう言つて振返つてみると、京子が何か水引のかかつた大きな奉書包みをもつて立つてゐた。余所の奥さんが二三人にこにこして、立止つて見てゐた。 「子供さんは無邪気ですからね。」 「京子ちよつとお見せ。開けてみよう。」 京子は兄の手に渡した。 「何に、それ。」 「債券だよ、きつと。ほらね。復興債券だ。」 「素敵だな。」彼も笑つたが、彼も長男も何かしら感激に似たヒユモラスなものを感じた。 「京ちやんは運がいいぞ。この債券が又当るかも知れないぞ。事によると三千円くらゐ。」 「それはいつ抽くの。」 「いつだか判らないけれどもね。」 「厭だ!」 「兎に角お父さん、京ちやんの洋服はただ[#「ただ」に傍点]になつてしまつた訳ですからね。パンツや何か少しばかり買つたにしても、一円いくらかのお釣が来たことになるんだからな。」 「さう。買つた家へちよつと見せてやらうよ。」 三人で又その店先きへ立寄つた。店の人達もにこにこしてゐた。 それから又そつち此方歩いて、男の子達のズボンやワイシヤツや、そんなものを少しばかり買ひ集めて、下の食堂へおりて行つた。 お盆前の或る暑い日の午后、F子か、長男と一緒に、何か嵩張つたものを持ちこんでやつて来た。それは紙に包んだままのふわふわしたものであつた。それを彼の目の前において、長男はにこにこしてゐた。 「何うしたんだい。」彼も笑つてゐた。 「お父さんの夏の寝蒲団がないんで、何か買つてあげたいといふもんですから……」 「夏蒲団? 大変だね。」 この冬もF子のところで、F子の勧めで彼は寝蒲団地を買つて来たことがあつたが、どこへ仕舞つたか、そのままになつてゐた。彼は相変らず袖のやぶけた、やたら縞の銘仙の重たい夜着を、冬も夏も通しに着てゐた。子供たちも大方三年間洗濯しないものを着てゐた。彼は子供達の寝間を覗く度に、彼等の寝道具を、今少しさつぱりした気持の好いものに取替へてやりたいと、いつも思つてゐた。それは妻の生きてゐた頃とは、まるで反対であつた。彼は妻の新らしい家庭的設備の申出に対しては、大抵の場合否定するのが常であつた。母のない子供たちは父親の前に、極必要《ごくひつえう》なものの外何も要求しはしなかつた。十九になる長女の春代に、何かほしいものはときいても、答へはいつも「あります。」とか「入りません。」とか言ふきりであつた。彼はそれを好いことにしてゐるのではなかつたけれど、最近彼の懐はいつも寂しかつた。春代の着ものを買ふやうな機会は滅多になかつた。勿論都会趣味の妻がしたやうに、子供を育てようとも思つてゐなかつた。彼は正しく生きて行く力を獲んことを子供達に望まずにはゐられなかつた。この春二年間双方の親達の監視の下に、家庭的な往来を許してあつた、あるブルヂヨウア階級の青年との婚約を破棄する決心をしたのも、春代に真実の生活を得させたいからであつた。彼自身の最近の恋愛事件のあひだ世間にも家庭的にも、いつも最も苦しい立場に立たせられたのは彼女であつた。彼はその償ひをしてやらなければならなかつた。清純な愛が、彼に湧いて来た。他の何ものを愛する余裕も今の彼には求められなかつた。それは強ち京子の保護者としてのみの考からではなかつた。 長男とF子とは、銀座のデパートで、お盆の配りものの見立ての帰りであつた。F子は部屋の入口のところに坐つてゐた。 「暑くて暑くて、私卒倒しさうでしたわ。頭脳が変になつてしまひましたわ。」 「さう。何か冷たいものでも飲んだら。」 「沢山。何んにもいただきません。」F子は女中を振返つて、 「すみませんがお冷《ひや》を一杯。」 「さう。しかし何だつて、こんなことするんだい。」 「冷蔵庫か扇風機をとも思つたんですけれど、あんなものお嫌ひだから。」 「一体何だい。」 子供が包紙を開いた。 「好いた柄がありませんでね。若しお厭でしたら取替へる約束をして来ましたの。」 「好いでせう。さつぱりしてゐて。」 それは薄い草色と、桃色がかつた赤とでぼかし出された牡丹の大模様のある絽錦紗の夏蒲団であつた。 「へえ――そんなものを僕は着ないよ。」 「好いですよ。お父さんなんか……」 「夏は少しさつぱりしていらした方がね。」 彼はそれも可からうと思つた。そして其が二三日して、春代が気分がわるくなつて、学校から二人の友達に送られて、自動車で帰つて来たとき、早速間に合つた。 二日目には春代も床を離れた。 「お父さんに麻の蒲団があつた筈だがね。あれも無くなつたかい。」彼はその贈りものから、急に思出したやうに春代にきいた。 春代は考へてゐた。 「ありますけれど、随分汚れてゐますから。」 「さう。出してごらん。」 暫らくすると春代は納戸から、それを捜し出して来た。誰か着てゐたとみえて、襟など垢じみてゐた。 「これ洗濯したら何うかね。」 「去年しようと思つたんですけれど。」 彼は又子供達の夏蒲団のあつたことをも思ひ出した。 「え、それも釈《ほど》いて洗張りしたまゝ仕舞つてありますの。去年の夏する積りで、あのお婆さん、してくれなかつたものですから。」 「みんな出してごらん。」 春代は裏地と一緒に幾枚もの皮を持出して来た。彼は避暑地へもつて行く蒲団のことが気になつてゐた。出来合ひを買はうか、古い馴染の蒲団屋に作らせようかなどと思つてゐた。 「あるぢやないか。それなら新しく買ふ必要はなかつた。綿もあるかね。」 「ございます。打返して、足りない分を買ひ足しませば。」 春代は又麻の蒲団地の反物をも持ちだして来た。 「へえ、こんなものもあるの。これ何うしたんだらう。」 「さあ。」春代にも記憶がなかつた。 「多分お母さんが買つておいたものだらう。これを仕立ててもいいぢやないか。」 「上等ですわ。」女中も笑つてゐた。 「やつぱりお父さんが見なけあ駄目だね。」 現実の泥濘《ぬかるみ》から、彼の足は恐らく永久にぬけないであらう。 「小さいお嬢さんが明日《あした》海へ行くんだつて、大悦《おほよろこ》びでお寝みになりました。」 或る晩おそく帰つて来て、ちよつと子供部屋へ顔を出して来た彼に女中のおしのは言ふのであつた。彼はちよつと面喰つたが、頬笑ましくもあつた。 「ああ、さう。持つて行くものは纏まつてゐるのか知ら。」 「え、もう大概よろしいんでせう。小さいお嬢さんは御自分のものを、ちやんとお纏めになつて……」 「明日《あした》といふ訳《わけ》にも行かないだらうけれど……」彼は呟いた。酒呑みの次男に対する防備について、彼は時々考へたことであつたが、矢張子供のいふとほり、一室に荷物を取りまとめて、錠でもおろしておくより外なかつた。妻の歿後、彼は家庭を開放的にしようと思つたが、反対に個人の家は封鎖的でなければならない事実に逢着した。二男が丸きり家にゐない時でも、色々のものが絶えず失はれて行つた。何か其処いらにあるものを持出して行くのは、あの男ばかりではないらしかつた。つひ此の頃まで彼の目の前にあつたものが、いつの間にか見えなくなるやうなことは珍らしくなかつた。彼は部屋に錠のかかる洋風建築の必要を疾くに感じてゐた。 「それから二番目のお坊ちやんが入らつしやいました。お出かけになると直ぐその後へ。」 「さう。そして何うした?」 「どこも信用もなくなつて、寝るところもないから、三晩もつづいて、上野公園のベンチに寝て、こんなに蚊に刺されたと仰つて、目を窪まして、この前おいでになつた時から見ると、悉皆お窶れになつて、お可哀さうでした。何にもしないから、御飯だけ食べさしてくれと仰つて、それから単衣ものを一枚お持になりました。」おしのは涙ぐんでゐた。 彼も好い気持はしなかつた。海岸で家を決めて来たときも、あの男を兄弟達と一緒に夏中あすこにおいたらと、彼はそんなことも思つてゐた。彼は二男がこの頃又頻繁にこの居周りに出没して、カフヱや蕎麦屋で、酒を飲んだり、呉服店から反物をもつて行つたり、八百屋やパン屋や寿司屋や運送屋で、五円十円廿円と猟れるだけ猟りつくしてゐることを通知されてゐた。仕事が段々細かくなつて来た。そして何うかすると一日三軒もの商人の要求や哀訴に、応接しなければならなかつた。子供はすつかり行き詰つてゐた。何んなに行詰つてゐても、食ふものも寝るところがなくなつても、酒代を何うにかかうにか、潜り潜つて工夫しないではゐない彼であつた。海岸でも、きつと彼の名を悪用して飲みまはるだらうと思はれた。 「それあ止した方がいいですね。ああやつておけば益々悪くなるやうなものだけれど、それかと言つて……」長男も困惑してゐた。 「もう何うしたつて、あれは止まないやうだね。」 「収《しう》ちやんは前から僕等兄弟と一緒になれないんだもの。」脚の悪い子供も言つた。「悪いなら悪いなりに、又味方も出来るもんだけれど、収ちやんは友人の好意なんか裏切つて平気なんだもの。親しさうに見えて、誰も収ちやんのことは分らない。友達に何にも話さないからね。」 「それにあの男は己と一緒にゐるのが何んなに気づまりだか。あれが可けない。」 結局彼は一室だけ封鎖することにした。そして其の翌日錠を買ひに行くものは錠を買ひに、仕舞込んでおく衣類などを択り出すものは択り出し、運ぶものは運び、戸に鍵前を打ちつけるものは打ちつけた。別に又た運送屋が来て、海岸へもつて行く夜具などの荷造りを始めてゐた。 時間がまだあるので、皆んなは椅子の部屋に集まつた。脚の悪い児は、そのひよろ長い躯に新調の洋服を着込んで、杖にすがつて、そつちこつち歩いてゐた。彼は一昨日病院で膿を取つてもらつたばかりであつた。 汽車のなかでは、京子が独りでぴちぴちしてゐた。脚の悪い児は、一番後ろのクシヨンにもたれて、細長い首を延ばして、二年目に見ることが出来た、広い野の緑を貪り眺めてゐた。やがて其の兄をいたはるやうに、一つのクシヨンにかけてゐた京子が、父と姉の傍へやつて来た。ルードゲームが、京子によつて春代の膝のうへに拡げられた。 「去年は、おれ真先きにこゝを歩いたんだつて、三郎が僕の肩につかまつてプラツトホームを歩いてゐるとき言ふんで……」彼は今のさき、発車前の窓の下へ立つてゐた長男から聞いた言葉を思ひ出すと同時に、子供同志だけで過した一昨年と昨年と二タ夏のわびしい彼等の海岸生活を想像してゐた。一ト夏は一人の子供好きな青年をつけて、一ト夏は全く子供だけで。汽車の過ぎるところは、総て子供たちがお馴染の風景であつた。彼等は懐しさうに、その日の思出を語りあふのであつた。 しばらく続いたルードゲームにも飽きて、やがてボール紙製の盤が畳こまれた。 「何もお菓子をもつてこなかつたね。」彼は幾年ぶりかの子供たちの旅に、食べる用意のないことを物寂しく思つた。 「え、」今まで妹につられてルードゲームでいくらか燥いでゐた、春代は済まないやうな顔をした。 「お父さんありますよ。」四男は笑ひながら、網棚《あみだな》のうへを見あげた、昨日から籠に残つてゐたサンマーオレンヂが三つ四つに、メロンが一つ紙包みのまゝおかれてあつた。 「今日がちやうど、そのメロンの食べ頃なんですよ。だから己れもつて来たんだ。」脚の悪い児が、後ろから言つた。 サンマーオレンヂが先づ取りおろされた。 「海! 海!」 暫らくすると、京子が叫んで反対の側の窓へ飛びついて行つた。 汽車の鈍いこの四時間を彼も子供も退屈するやうなことはなかつた。そして彼は直きにN――町へ着いた。 「これは好い。素敵だ。」 妹と弟に扶けられて、部屋へあがつた脚の不自由な子供は、広い縁側に杖をついて立つたまま青い軟い髪のやうに風にそよいでゐる青田や松原のあなたに見える緑紫色の山やその上に棚引いてゐる蒼空の白い雲を見度しながら嬉しさうに叫んだ。 「こゝならお前もさう退屈しないだらう。」 「こゝにゐれば、僕は海へ行かなくとも可いです。」 そして彼は荷物のとどく間、旅館から今持つてきてくれた椅子にかけて、汽車の疲れを休めてゐた。 「さあ、メロンを食べよう。ちよつと冷してね。」 東京へ帰つた彼は、或る晩或る青年と外で晩飯を食べて、銀座へ出て行つた。銀座は熱い黄色い風が吹いてゐた。白い顔の男や、サムプルのやうに洋服を着た女が、相もかはらずぞろ/\歩いてゐた。 彼は三日ばかり子供と一緒に海へ行つた。そこの海岸にも、早やケープは古い型になりかけてゐた。大きい傘を持出してゐるものもあつた。震災で丸潰れになつた町は貧乏であつたが、海岸だけは赤や緑のゴム帽子に賑はつてゐた。十年前よりか十倍もの都会の人が来て、遠浅《とほあさ》をぽちやぽちや掻濁してゐた。でも、この沿岸ではここは割合落着きの好い海水浴場であつた。明治屋の支店も未だここには出てゐなかつた。コーヒらしいコーヒ一杯飲ませる家とてもなかつた。さして身分を鼻にかけるやうな人の姿も見えなかつた。 痩せた彼の肩や腕が赭く染まりかけてゐたが、四五日水道の水をつかつてゐるうちに、又褪せかけて来た。彼は入れ替りに食料品やカルムを托して、長男を海岸へやつた。 彼はその青年から農村と都会の労働者の話を聞きながら歩いてゐた。彼は大人《おとな》の話相手に渇《かつ》してゐた。 帰つてくると、家はひつそりしてゐた。彼は京子と約束したとほりに、一両日で又海岸へ行く積りであつたが、帰れば帰つたでつひ用事に絡らみつかれた。 「京橋からお電話でした。」女中は締切つた廊下の硝子戸を開けながら告げた。 「さう、何だつて……」 「若旦那からお電話で、先生にちよつと電話口まで出ていただきたいと仰やるんださうです。仕事の都合もあるんだから、強ひておいでにならなくともいいけれど、お小遣がすつかり無くなつてしまつたんですて。」 「さうかな。」彼は極りわるさうに、「さうかも知れないね。」 「お帰りになつたら、京橋のお家へちよつとお電話をおかけ下さいつてお言伝でした。」 「さう、ぢやちよつとかけて見るかな。」 彼は外へ出て行つた。 「……何だか島流しに逢つたやうだつて、ひどく心細さうな声でしたわ。それに小ちやい人達だけでは、海では寂しいし、三郎さんを独り遺して行くのは可哀さうだし、一体兄弟の人数が、かうなつてみると不足だつて……」電話へ出たF子は急きこんだ調子で言つた。 「さう。だつて一切通ひで取ることにしてあるんだがね、小遣も春代において来たんだけれど。」 「さうですか。でも何だか助船がほしいやうな声でしたよ。」 「子供のお相手が詰らんからだよ、しかし明日は行かう。」 翌日の夜彼は途中のデパートで、掻浚へるやうにして買ひ集めた食料品や菓子をもつて、海岸の家へ帰つて行つた。帰るときには、春代姉妹が、いつまでも汽車の動き出した彼に「早く来てね」と叫びながらハンケチをふつてゐたが、今度は長男と四男が迎へに来てゐた。長男の顔は焦げた煎餅のやうになつてゐた。 「何うしたんだい。」 「どうせ海へ来たからは海へ入るより外ないですから。」長男は少しやけ[#「やけ」に傍点]に答へた。 「それにしても、そんな黒いのはないだろ。」 「笑談でせう。まだまだ焦げたのが沢山ゐますよ。」 自動車のなかで、そんな話をした。やがて薄暗い子供たちの巣へ還つて来た。庭の縁台に集まつてゐた家主や近所の人達が、散らかつて行つた。電燈のまはりに、虫が相かはらず旋風のやうに渦をまいてゐた。 「おつそろしい虫だな。」 「いや、虫や蝿なんか恐がつてゐちやあ、こんなところにゐられませんよ。」長男は島流しの悲哀を吹き飛ばすやうに言つた。 「それあさうだけれど……」彼はさう言つて、一つの包みを春代に開けさせた。チヨコレートの包みや、菓子の壜が大小幾箇も出た。みんなはチョコレートを食べた。 「こんなところは、缶詰なんか持込むよりか、やつぱり新らしい魚をうんと食べた方がいいですね。」 「ところで都会といふものは悪いもんで、汽車がついてから、好い肴はみんな東京の人に食はれてしまふんでね。早晩こゝいらも逆輸入つてことになるかも知れないよ。」 チョコレートを摘みながら、彼等は土地と人との話に夜をふかした。そして十時頃に、父子六人二タ張りの蚊帳のなかで、枕に就いた。 翌日も好い天気であつた。稲は到るところ風に微笑してゐた。 彼は幾日目かに、又た京子と海へ入つた。海は赤い鬼灯《ほゝづき》や青い鬼灯で一杯になつてゐた。ボートやヨツトがその間を縫つて、櫓から銀色の雫をきらきらさせてゐた。 ふと浜へあがつて見ると、黒い長男はテントの下にも海にもゐなかつた。 「兄さんは。」彼は京子にきいた。 「兄さんはそこよ。女の人と話してゐるでせう。」京子が指さした。 つひ目の先きに、黒い彼はタオルの洋服を着た若い女と、後ろ向きに肩を並べて立ちながら話してゐた。 「あれ誰?」 「兄さんの学校にゐた人の妹さんよ。去年も来てゐたの。あの方たちのお仲間が随分多勢なの。」春代がつつましやかに話した。[#地付き](昭和4年10[#「10」は縦中横]月「新潮」) 底本:「徳田秋聲全集第16巻」八木書店 1999(平成11)年5月18日初版発行 底本の親本:「新潮」 1929(昭和4)年10月 初出:「新潮」 1929(昭和4)年10月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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No. タイトル 登場人物 000 始動-start- 坂田銀時、志村新八、高杉晋助、松尾芭蕉 001 青髪の少年と銀髪の侍 坂田銀時、相川友、リーナ 002 さよならドラえもん 青木百合、ドラえもん 003 そのころの聖徳太子 聖徳太子 004 ネカフェにて 津本二三也、人吉善吉、野比のび太 005 とある三人の友情結束 相川友、坂田銀時、上条当麻 006 メガネ、熱血男、そして 志村新八、青木林、骨川スネ夫 007 バカと妖怪ととある少女 吉井明久、小宮砕蔵、白井黒子 008 滝本先生の殺人動向 一方通行、滝本豊、加藤勇気 009 山、ふもと、無人島にて いーちゃん、鬼瀬針音 010 人類最強と狂人 哀川潤、藤本京子 011 自惚れ野郎の行動 出来杉英才、剛田武 012 また会える日まで のび太、人吉善吉、津本二三也、志賀直、若松里美 013 吸血鬼もどきと遣隋使 青野月音、小野妹子 014 第一回放送(DOL) 佐々木竜也 015 ボウソウ、カナシミ、ショウジョ 青木百合、土御門元春 016 友【ドラえもん】 野比のび太、人吉善吉、鬼瀬針音、いーちゃん 017 骨川スネ夫の間違い 相川友、坂田銀時、上条当麻、骨川スネ夫 018 Nightmare 出来杉英才、小野妹子、青野月音 019 太子よ、勇気を見せろ! 聖徳太子、相田理子、姫路瑞希、御坂美琴 020 死刑執行5秒前♪ 志賀直、若松里美、藤本京子 021 作戦を実行する! 人吉善吉、鬼瀬針音、野比のび太、いーちゃん 022 零崎人識の超絶戦闘 一方通行、零崎人識 023 銀色の侍一行、立つ 相川友、坂田銀時、上条当麻 024 愛VS狂人 青木百合、藤本京子 025 バカには死んでもわからない 吉井明久、出来杉英才 026 友の決意(トモノケツイ) 相川友、坂田銀時、上条当麻、青木百合 027 女と戦いと超電磁砲 相田理子、御坂美琴、姫路瑞希 028 決意は天才を超える 人吉善吉、野比のび太、鬼瀬針音、いーちゃん、 出来杉英才、相川友、坂田銀時、上条当麻 029 第二回放送(DOL) 佐々木竜也 030 そして戦いへ(BATTLE START !!) 人吉善吉、野比のび太、鬼瀬針音、いーちゃん、相川友、坂田銀時、上条当麻 031 三つの分かれ道 野比のびた、人吉善吉、鬼瀬針音、いーちゃん、相川友、坂田銀時、上条当麻、佐々木竜也、西東隆、高杉晋助 032 とうまブレイカ― 上条当麻、相川友、野比のび太、佐々木竜也 033 人類最悪(さいとうたかし) 人吉善吉、鬼瀬針音、いーちゃん、西東隆 034 ミライへの地図 坂田銀時、高杉晋助 035 ノーマルエンド(ふつうのおわり) 人吉善吉、いーちゃん、上条当麻 036 Dear my friend 坂田銀時、相川友、野比のび太 037 悪夢は続くいつまでも 高杉晋助、?
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月曜の朝はいつにも増してうだるい朝だった。俺は基本的に冬より夏のほうが好みの人間だが、こんなじめじめした日本の夏となると、どちらが好きか十秒程度考え直す可能性も否定できないくらいに微妙である。途中で出くわした谷口や国木田とともにハイキングコースを登頂したが、校門に辿り着く頃にはシャツが既に汗ばんでいた。ハルヒの判断は懸命である。長門がいない上にこの暑さでは、映画撮影などやってられん。 二年の教室に入って自分の席に着くと、後ろでスタンバっていたハルヒが肩を叩いてきた。 「ねえキョン、夏休みにやらなきゃいけないことって何だと思う?」 「ああ、そういや、もうそんな季節だな。俺にとってはどーでもいいことだけどよ」 「何よそれ」 「失言だ。忘れてくれ。それで何だって?」 俺は教室内を見回しながら訊いた。今日もとりあえず危険人物はいないが、このままいったら夏休み中の俺はブルー一色に染まること間違いなしだ。 「夏休みにやらなきゃいけないことよ。時間は刻一刻と過ぎていくんだから、常に次のことを考えてないと生きていけないわ」 「次のことまで考える余裕があるなんてうらやましいね。そんなもん、夏休みが来たときに考えればいい」 ハルヒは俺の意見を無視して一人で目を輝かせ、 「とにかく合宿は不可欠よね。てか、決まっちゃったし。そしてプールと花火大会とバイトと……」 「あと宿題な」 「何よそれ、夏だってのにシケてるわねえ」 そんなこともない。永遠に終わらない夏とどっちがいいかって言われたら俺は迷わず宿題を選択するぜ。 「やっぱ夏よ、夏! 高校に入るまでこんなに夏休みを待ち遠しく思ったことなんてないわ」 「へえ。高校の夏休みってのはそんなに面白いもんだったか?」 ハルヒは俺の問いに自然に――本当にごく自然に――答えた。 「SOS団で騒げるんだもん。楽しいに決まってるじゃん!」 俺は一瞬言葉を失って、妙な空白があった後にああそうだよなと相槌を打った。俺の笑顔は引きつっていたことだろう。 古泉の言っていたことはそんなに的外れではないのかもしれなかった。 楽しさの対象が宇宙人でも未来人でも超能力者でもないことを、ハルヒは自ら断言したのだ。悪いことじゃない。俺の目の前でハルヒが屈託なく笑ってやがるのも一年前にはありえなかった光景だと思えば、ハルヒの状態は確実によくなりつつあるということになる。 そこで俺ははたと考え込む。 しかしそれは、いったい誰にとってなんだろうか。ハルヒの精神が落ち着いてきていい状態だというが、それは誰にとっていいんだ? 俺にとってか。それともバイトが減る『機関』にとってなのか。 ハルヒがどこにでもいるフツーの女子高生になっちまうことを俺は本当に望んでいるか? 俺だけではない。朝比奈さんも古泉も、本当にそう望んでいるのだろうか。もし個人個人の持つ雑多な事情から解放されたとしたら、その答えは変わるかもしれん。少なくとも古泉はそう言っていた。 SOS団という謎の団体に俺は何かを感じていたのだった。もちろんそのSOS団は休日に遊ぶ仲間の集まりなんかではない。宇宙人の長門と未来人の朝比奈さんと超能力者の古泉と、ハルヒと、そして俺がいる団体こそがSOS団なのだ。いつの間にヒマな高校生の集まりに成り下がっちまったんだ。 そう思ってから、俺はまた頭をかきむしった。たった今、俺は、成り下がるという言葉を無意識に用いて、休日に遊ぶ仲間の集まりという意味でのSOS団を否定してしまっていたのだった。肩書きはどうあれ朝比奈さんと長門と古泉がいればいいという、そのきれい事のような考えだけでは割り切れないような感情が俺の奥底に、確かにあった。 ハルヒは何の迷いもない顔をしている。ただ、その銀河群が入っていそうな瞳の輝きが少し薄れているだけだ。惜しみなく部室専用スマイルをふりかけるハルヒを、俺はただぼんやり眺めていた。 * ハルヒの一年時のメランコリーをリアルな感じで悟りつつある俺は、結局昼休みまで動く気力が出なかった。 一年前の春、何で宇宙人に固執するんだと訊いた俺に、そっちのほうが面白いじゃないのと当然のように答えたハルヒはどこへ行っちまったのか。窓の外を眺めているとなぜか思考が巡りに巡ってしまうようなので、俺はシャーペンをつかんで黒板に焦点を合わせ、授業を受けるべくしていた。 昼休み、俺が後ろを振り向くとハルヒはすでにおらず、おそらく学食か購買へ行ったものと思われる。 俺もそろそろ部室に行かねばならんだろうと思っていると、谷口と国木田が近づいてきた。 国木田は俺の顔をまじまじ見て、 「キョンさあ、最近疲れてるのかなあ」 唐突な指摘の質問に俺は多少びっくりしながら、 「そうかもしれんな。ハルヒといれば誰だってこうなるぜ」 もっとも昨日今日の疲れはハルヒパワーが全開であるための疲れではないというのは胸の内に収めておく。むしろハルヒが騒ぎ立ててくれていたら俺の疲れも多少は癒されていたというか、俺の心のわだかまりも忘れることができたのかもしれん。 谷口が俺の頭をポンポンと叩いてきた。 「まったく、うらやましい野郎だ。たとえ相手が涼宮だとしても、女と一緒にいて遊び疲れたってのは贅沢の極みをいく悩みだぜ。ああくそ、俺、もういっそのこと涼宮でもいいから狙っちまおうかなあ。おめーら、まだ付き合ってねえんだろ?」 何を血迷ってるんだ。他の女なら俺が紹介できる限りでしてやるから、ハルヒだけはやめておけ。あの狂気にやられて、生活を狂わされちまった実例がお前の目の前にいるんだよ。ハルヒは常人が相手にできるような奴ではない。奴と同じくらい狂ってる人間か、あるいは釈迦並の寛大さを持ち合わせた奴じゃないと無理だ。 「いいや、そんなことはない。あいつだって一応は女だ。ひっくり返せばけっこう常識的な人間だぜ。これはなあキョン、涼宮と五年間も一緒のクラスでいる俺の境地に達したから解ることなんだ。あいつは、けっこうまともな人間だ」 まともな人間ね。谷口の言葉すら煩わしく感じた。そんなことは俺だって知ってるんだよ。 そりゃよかったなと適当に返事をして、俺は弁当箱を持って立ち上がった。 「あれキョン、教室で食べないのかい?」 「部室で食うよ。悪いな」 とにかく今はハルヒのことで頭を悩ませている場合ではない。いや、そういうと何か変わりつつあるハルヒに後ろめたいのだが、俺の頭のデキは誰もが知るとおりである。そんなたくさんのことに気を回していたらパンクしちまう。 チープでありきたりな描写で申し訳ないのだが、俺にはこの時すでに予感があった。 窓の外の世界が、二年五組の風景が、ハルヒが、もっと言うと俺の目に入るすべてのものが妙な嘘っぽさを纏っていた。平べったい風景となって不協和音を奏でていた。嵐の前の静けさというアレである。 そしてまた、その静けさは嵐によって吹き飛ばされるのである。空虚な時間は現実のどんな出来事によってでも、軽く夢世界のものになり得る。 俺は弁当を持って部室に向かった。心臓が知らぬ間に激しく鼓動していた。理由は解らん。 長門のクラスをのぞいてみたが、やはりというか、長門の姿は発見できなかった。 最初は歩いていたのがやがて早足になり、小走りになったところで部室に到着した。部室棟二階コンピ研の横、木製の扉。 そこで、地獄を見た。 * 俺は愕然とした。発する言葉もない。口をあんぐりと開けて首を回し、最後には頭を抱えて床に崩れ落ちた。 予感は当たった。当たってしまった。 ハルヒの精神が変わりつつあるという俺の憂鬱の発生源は瞬く間に消え去って、代わりに暗い未来予知が的中してしまった予言者のような沈黙が俺の心を支配した。 俺に否はないと断言できるが、それでどうしたという話である。現実は淡々と、ただし深く突き刺さる。 部室から、朝比奈さんのコスプレ一式がハンガーラックごと消え失せていた。 誰かが動かしたのだろうか。まとめてクリーニングに出したとしてもハンガーラックまでなくなることはないだろうし、俺はそんなのが楽観論にすぎないことを知っている。もしそのクリーニング説が本当だったのだとしたら、俺はそのクリーニングに出した奴をすぐさま訴えてやろう。精神衛生上よろしくないにも程があるぜ。 何をするともなしにゆらゆらと部屋の中を徘徊する。 ハードカバーがどっさり入っていたはずの本棚はがら空きである。遠い昔の記憶のような錯覚を受ける先週の金曜日、長門がいたときにやった七夕の竹だけはいまだに部室の窓にもたれかかっているが、長門と、そして朝比奈さんの願い事が書かれた短冊だけはなくなっていた。朝比奈さんが長門と同様の現象に見まわれたという証拠だった。 さらに、横の棚には急須がない。ポットだけはあるものの、よく見ると棚に乗っているのは茶葉ではなくてインスタントコーヒーである。普段は誰が淹れているのか知らんが、朝比奈製のお茶よりもおいしいようなことはないだろうね。ハルヒでも俺でも古泉でも、朝比奈さんのスキルはそう簡単に獲得できるものではない……。古泉? ハッとして振り向いた。そこには古泉が持ち込んだ古典的ボードゲームの数々が―― あった。 俺は深く息を吐いた。消えた長門の例からすると、そいつにまつわる物体がなくなっていると本人も消えているらしいから、古泉がこよなく愛するボードゲームがあるということは、古泉はまだ消えていない可能性が高い。 カチャリ。 突如、ドアノブを回す音がして部室の扉が開いた。 「やあどうも」 軽快を気取るような声をして入ってきたそいつには、いつものハンサムスマイルに少し苦笑が混じっている。すべてを知り合った仲間に自らの失態を告げるときのような、自嘲めいた微笑みである。 「よほどあなたに連絡を取ろうかと思っていましたよ。もうその必要もないでしょうが。さて、お気づきですか?」 ああ。嫌なことにたった今気づいてしまったところだ。 「ええ、そうです。とうとう二人だけになってしまいました」 その言葉はどう解釈すればいいんだろうかね。場合によっては殴るぜ。 「冗談です」 古泉は肩をすくめるお決まりのポーズを取り、団長机に置かれているデスクトップパソコンに歩み寄った。 俺は古泉にうさんくさい視線を投げかけながら、 「何が起こってるんだ。朝比奈さんもいなくなっちまったのか?」 「ええ、どうやらね。それに朝比奈さんだけではないようです。僕の組織が監視していた何人かの未来人が、今朝を持って一度にいなくなりました。ついでに橘京子の組織からも連絡を受けました。藤原という未来人もいなくなったらしいですよ。情報統合思念体製のインターフェースが消えたときとまったく同じ状態です」 しかしそこは未来人だから、未来に帰ったとかそういうことはないのかな。 「あなたは朝比奈さんから何を聞いたんでしょうか。時間平面がねじ曲がっていてTPDDの使用は不可能、と朝比奈さんは言っていたように思いますが。未来にも過去にも逃げることはできません。朝比奈さんも、まず間違いなく誰かに消されたんですよ。おそらく、周防九曜にね」 そんくらい俺も解ってる。 「じゃあ仮に犯人を九曜だとしても、あいつはいったい何を企んでるんだ。宇宙人を消し、未来人を消してさ。世界征服か?」 古泉はデスクトップパソコンを操作して立ち上げてから俺に目を戻すと、さあどうでしょうと首を傾げた。 「周防九曜が犯人であるということに異論はありませんが、目的がそんな単純なものだとは信じがたいですね。そうだったら、長門さんが以前やったように世界改変を行えばいいだけの話です。重ねて言いますけど、今回のこれは世界改変ではありませんよ。元の世界から宇宙人や未来人を引き抜いただけです」 じゃあ何のためにやったんだ。目的もなしに行動するような奴は少ないぜ。あいや、九曜ならその少ないの中に入るかもしれんが。 「目的は僕には解りませんね。涼宮さんに近づこうとしているのか、SOS団を崩壊させようとしているのか、あるいは邪魔者を排除してから何かをするつもりなのか。どちらにしろ、どうせ僕たちには対抗策などありません。長門さんや朝比奈さんを活殺自在にできるような存在にはね」 「お前にしては珍しく悲観的な意見だな」 「そうでしょうか。これも一種の作戦だと思いますけど。僕だったら無駄な対抗策を打って時間稼ぎをするよりも、残されたヒントを使って謎を解き明かし、新たな可能性を模索するほうを選択しますよ」 そう言って古泉がワイシャツのポケットから取り出したのは紛れもない喜緑メッセージである。生徒会議事録の最終ページで見つけたその文章には何かのパスワードが書かれているが、それはとうとう答えが解らなかったんじゃないのか? 土曜日に貸してやったのに解らないって言ってきやがったじゃねえか。 「そんなことはありません。この世にはね、深く考えてみれば解ける問題と絶対に解けない問題があるんですよ。たとえば宇宙の真理を一般人に答えろと言ってもまず無理でしょうが、この地球上で証明されている簡単な計算なら一般人でも……」 いいから解答が出たのか出ないのか答えやがれ。お前と話していると無駄な思考能力ばっかりついていって、肝心の答えが見つからないような気がしてならん。 「申し訳ありません。答えというか予測ですが、たぶん正しいというものなら出ましたよ。もちろん、このパスワードの在処がね。」 古泉が黙ってデスクトップパソコンを指さしているので、俺は近づいてのぞき込んでみた。 画面の真ん中にキテレツなマークがあって、ページにはメールアドレスとカウンタだけが取り付けられている。モニタが嫌々表示しているように見えるそれは、SOS団のサイトページだった。 「これか?」 と俺。 「そうです。ここのページは過去にも疑似情報操作のようなものを受けていますからね、もしやと思っていましたが、当たってしまいましたよ。長門さんが消される直前か消された後か、どちらにしろ仕掛けを作りやすかったんでしょう。ほら、カーソルをここに当てると」 古泉はカーソルをハルヒ作のSOS団エンブレムに乗せた。すると矢印のカーソルが手の形のカーソルに変わる。なんと、いつの間にかクリックできるようになっていた。ハルヒが俺にやらせずにこんな芸当ができるとは思いがたいし俺はこんな仕様にはしていないし、第三者の仕業で間違いない。 クリックすると案の定パスワード入力ページが現れた。password? と書かれているだけの、質素なページ。 「とまあ、この画面までは昨日までに『機関』のメンバーで考えて判明していたんですが。ただしこのパスワードというのがどうにも解らなくてね。このコピーには『password・すべての始まりを記せ』と書いてあるもので、ビッグバンやら宇宙やら、そのままこの文を入力してみたりもしたんですが、どれもダメでした。ちょっとこれは僕にはお手上げですね」 よくここまで辿り着いたもんだと感心していたが、それを聞いて呆れ返ったね。 すべての始まり? そんなもんは最初っから解っている。 それはビッグバンなんかじゃない。宇宙意識があったことでも、未来から人間がやってきたことでも、赤玉に変身する超能力者が現れたことでもない。少なくとも、俺にとってはな。 喜緑さんのこのメッセージは他の誰に宛てられたものではないのだ。生徒会長でも長門でも朝比奈さんでも古泉でもなく、そしてハルヒにでもない。俺が見つけたのだから、おそらく、俺が読むことを想定して書かれたものだ。 そうとなったら答えは一つである。すべての始まりは、こいつと出会ってからさ。 俺は古泉をどかしてキーボードに手を伸ばすと、その名前をタイプした。 つまり、『涼宮ハルヒ』と。 エンターキーを押すと、ロックが解除されたというメッセージが流れて別のページにジャンプした。 「ほう、さすがですねえ。なるほどあなたにとっての始まりは涼宮さんですか。なるほど、周防九曜や他の宇宙意識には抽象的で理解できない質問と解答です」 古泉がほざいているが、無視して液晶を食い入るように見つめる。ロードの時間がもどかしい。マウスを指でカチカチ叩く。とっととしろ。 出た。 『橘京子を連れてこの場所へ。わたしはここにいる』 それだけだった。ページのほとんどが白で埋め尽くされており、その真ん中あたりにかのような文字が活字体で羅列されていた。何だこれは。 わたしはここにいる。 ハルヒ(実際には俺)が四年前、東中のグラウンドにラインカーで白線引いて書いたアレだ。どっかの宇宙に宛てた奇妙な絵文字の意味がこれだったらしい。 俺は長く息を吐いた。間違いない。このメッセージは長門が作成したものだ。わたしはここにいる、と書かれていると教えてくれたのは他ならぬ長門だったのだ。 しかし、どういうことだ。 わたしはここにいる。 そして、橘京子。古泉とは異なる力を持つ超能力者。今回は共闘宣言をしてきたが、信用しきれない部分もある。そいつを連れてこの部室に来いと言うのか。意味が解らん。 もう少しヒントが欲しかった。そうでなけりゃ、パスワードなんかいちいちかける必要もなかろうに。スクロールしてみたが隠し文字はなかった。 「これだけですか?」 俺に訊くな。 「しかし、これだけでも取るべき行動の情報は得られましたね。長門さんらしいと言うべきか、最低限でも必要なことだけは明記してくれています。二文目はオマケのようなものですよ」 「橘京子をここに連れてくるってか」 あまり気分のいいことではなかった。当然気乗りもしないし、疑心暗鬼にさえ陥るかもしれない。 なにしろ、橘京子はついこの間まで敵対していたのだ。古泉の組織とは平行線で交わることはないなどと抜かしてやがったが、今になって急に考えを変えてきた。 しかし、さすがにほいほい信用できるものではないね。SOS団の命運がかかっているのだから、ついこの間までの敵を味方としてアジトに連れ込むのはどうかと思うぜ。 「あなたはそう言いますけど」 古泉が反論した。 「昔の立場関係というのは現在になってみればまったくどうでもいいことなんですよ。大切なのは現状です。特にこの場合はね。橘京子が味方になってくれる。客観事実だけを受け止めるのなら歓迎すべきことじゃないですか」 「確かにそうだけどな。けど俺が言いたいのはそこんとこじゃないんだ。土曜日に橘京子と会って話して、SOS団側につくって言われた。そんでもって今日はこのメッセージを見つけたんだ。橘京子を連れてこいってな。まるであいつが味方なのが前提みたいに書かれてるじゃないか」 「なるほど。それで」 言わなくても解るだろう。都合がよすぎるんだ。 古泉は数秒だけ首を捻っていたが、やがて微笑に戻るとどうでしょうねと言った。 「都合がいいのはあなたの仰るとおりですが、それはあくまで都合という観点で見たらの話です。あなたは、その都合というのは低確率が連続する問題だと信じているようですが、そうでなかったらどうでしょう。確率など関係なく、誰かの手によってそうなるように仕組まれていたとしたら」 「何が言いたい」 「これは僕の予想に過ぎませんが、橘京子の一派は何かをつかんでいると思うんですよ。もちろん彼女のつかんでいる情報はこちらには回ってきませんし、それはあくまで敵対組織同士だからです。ただ、彼女はそれをつかんだ上で合理的に行動している。SOS団に味方するというのも何か意味があるからです。おそらく、彼女はこのメッセージがなくとも、真相を知っていたんですよ。この事件を解決するためには自分の存在が必要不可欠だとね。たぶん土曜日、あなたと会って話す前から」 俺は土曜日の橘京子を思い出していた。 そういえば奴は佐々木に謝罪していたな。俺たちと会うために時間とルートを調整させてもらっていた、とか。さらにあの日の目的は俺たちに共闘を宣言することにあったといっても過言ではないだろう。 それもすべてを見越しての行動だったのか。ということは、あいつは長門がどんな目に遭っているかの詳細を知っていたということなのか。土曜日の時点で。 「いえ、これはあくまでも僕の推測に過ぎませんから。あまり深く考えないで下さいよ」 「そりゃいいが、どっちにしろやることは決まったな。橘京子に連絡を取るんだ」 「それが……」 古泉は困ったような顔になった。 「できないんですよ」 「…………何っ?」 できない。橘京子と連絡を取れないってのか。おいおい、どういうこった。 「彼女たちの組織に実体はありません。ですから正確に言えば組織ですらないんですけどね。いつも、ばらばらなんですよ。僕たちの『機関』に情報を提供してくれる場合でも匿名性のある手段しか使いませんからね。もちろん、自慢ではありませんが僕や『機関』は彼女の携帯電話の番号は知りませんし、どこに住んでいるかも知りません」 そんな……。じゃあ、あいつをメッセージ通りここに連れてくることなんか不可能じゃないか。 俺が顔面蒼白なのに比べ、古泉はずいぶんと落ち着き払っていた。おかしいくらいに。 「ですから、彼女たちからやって来るのを待つだけです。彼女は長門さんが作ったと思われるこのメッセージは知らないでしょうが、もっと核心に近いことをつかんでいるはずです。おそらく、土曜日にあなたの前に現れたように、何か必要があったらここにも現れるでしょう。自分が僕たちにとって必要不可欠の存在であるということも見通しているでしょうから。ただし、それがいつかは解りません。ですから、僕たちはひたすら待つわけです」 何をお前、そんなすがすがしい顔してやがる。いつかも解らねえ救助を待ってたら、大抵はのたれ死ぬぜ。そんなのは、白骨死体となって発見されたあまたの冒険者が証明してくれてるだろうが。それでもいいのかよ。俺は嫌だね。 「ふふ。どうしてだろう、不思議と怖くはないんですね。こういうスリルに憧れていたのかもしれません。――あなたは『二年間の休暇』を知っていますよね」 「いきなり何を言い出しやがる」 「本のタイトルですよ。『十五少年漂流記』とも呼ばれますが」 「それがどうかしたか?」 「分析してみると、僕の感情はあれに近いものなのかもしれないと思いましてね。彼らが辿り着いたのは孤島ですから、まっとうな手段では脱出不可能です。最終的には外部の人間に発見されて助けられるわけですが、僕のおかれた状況もちょうどそんな感じだと思ったんですよ。推察を巡らして手を尽くし、自分の力ではどうしようもないと悟ったとき、僕は、以前は、絶望するに違いないと思っていました。しかし意外でしたね。違いました。全然そんなことはない。むしろ気が晴れましたよ」 気でも狂ってるんじゃないかと言いかけてその言葉を呑み込んだ。マジで気が狂ってるんだろう。俺か古泉か、どっちかがな。 古泉はしばらく部室の窓の外を眺めていたが、やがて振り返ると真面目な表情に戻っていた。 「長門さんが突然消えて、その原因がはっきりしないまま朝比奈さんまで同様の現象に見まわれてしまったらしい。いや、宇宙人と未来人が、と言ったほうがいいでしょうね。そこまでいったら次に何がくるか、あなたなら解りますよね」 「超能力者か」 「あるいは、あなたです」 古泉のいつになく刺々しい声が冷酷に響いた。俺が目を逸らすと、古泉は真面目な話ですよと言った。 「土曜日にお話しした僕の最後の仮説――覚えてますね。僕たちは何者かに消されるのを待つ身なのかもしれない。それが、もしかすると真相なのかもしれません。時間の差はあっても、僕もあなたもやがては消されます」 古泉の複雑そうな横顔を、俺はぼーっと眺めていた。 超能力者が消えるなら橘京子も一緒に消されちまうんじゃないかと言おうかと思ったがやめた。そんな仮説に意味はないし、そういう仮定をする必要もない。古泉の言うとおり、橘京子が現れるのをただ待っているしかないのだ。先方が事情を承知しているなら、後は奴の慈悲深さに期待するだけである。しかしきっと、いるかも解らん神様よりはアテにできるだろうよ。いや微妙なところか。 「じゃあ」 俺がしばらくだんまりをやっていると、古泉がドアに向かって歩き出した。ドアノブに手をかける。 俺は咄嗟に口を開いた。 「古泉、てめえ明日もここにいろよ。消え失せたりするなよ」 一瞬古泉の手が静止したが、それでも特に答えることなく扉を開けて出ていった。その背中を見送って、しばらくSOS団サイトを表示しているパソコンを眺めていた。やがてチャイムが鳴ったので帰ろうかと思ったところで、弁当を食っていないのに気づいた。 * 「遅かったじゃないの。あんた昼休み中何やってたのよ」 授業開始直前にスライディングセーフを果たした俺は、特に何もすることなくそのまま五時限目六時限目をやり過ごした。もう少ししたら授業も夏休み前モードに切り替わって楽になるのだが、今のところは追い込み漁的な授業が続いていてちっとも心が安まらん。俺の場合、課外活動とその他の時間が一番疲れるのだから、授業中は睡眠学習を許可するよう教師も取りはからうべきである。 疲れという概念を本気で知らなさそうなのはハルヒくらいであって、俺の苦労も知らないハルヒの問いに、俺はだれた声で部室とだけ答えた。 「お前は何やってたんだ、昼休み中」 何となく訊いてみる。 「学食から帰ってきたら、ずっと窓の外眺めてたわ。気分で」 「何考えてたんだ。明日の天気か?」 「合宿のことよ。何して遊ぼっかなーと思って」 明日の天気と答えられても困るが、合宿のことと答えられても俺はなんだかため息を吐きたい気分だった。UFO召喚の儀式について、と答えられたら反応が違っていたかもしれない俺を一瞬思って、何を血迷っているのだと頭を振った。 「話は変わるけどさ」 俺はそう切り出し、 「去年の文化祭のときの映画撮影を覚えているよな。朝比奈さ……じゃない、どんな映画だったか言ってみてくれないか?」 「映画撮影?」 俺の予想が正しければ、ハルヒは間違ってもみくるちゃん主演の、とは言い出さないはずである。古泉の仮説通りなら、朝比奈さんはもとからこの世界にいなかったことになっているのだ。いないはずの人物が映画の主演をできるわけがない。というか、朝比奈さんがいなかったらハルヒは映画撮影なぞをやる気はなかったかもしれん。 やはり、ハルヒはいぶかしげな顔をした。 「何よそれ。そんなのはやった覚えがないわね。あ、でも面白そうじゃない。映画撮影かあ。なあにキョン、今年の文化祭か何かで映画を発表でもするつもりなの?」 「別に」 適当に受け流す。 どうやら古泉の仮説は正しかったらしい。朝比奈さんは長門と同じように消えちまっているという証明である。 俺は質問を変えた。 「じゃあ、SOS団の団員は最初っから三人だけだったかな。俺とお前と古泉。違うか?」 「何なのよ、キョン。そんな当たり前なことを訊いて。机の角に頭をぶつけて記憶喪失にでもなってるんじゃないの? あるいは頭がおかしくなってるのかしら」 ああ、その可能性は今回はまったく考慮してなかった。しかし古泉たちも記憶が俺と同じなのだから、黙殺でいいと思うね。 「なあハルヒ。俺さあ、金曜日の朝もこんなことを訊いてなかったっけ? あの時は長門有希って女子のことについてだった気がするが」 「どうだったかしらね。そうねえ……言われてみればそういう気がしないでもないけど……ところでキョンあんたいったい何なのよ。言いたいことがあるならはっきり言いなさい。遠回しな訊き方されるとすっごく気持ち悪いんだから」 一瞬、いっそのことすべてを率直にゲロってしまおうかと考えてから放棄し、ため息とともに何でもないと常套句を吐いて前に向き直った。 不意に、恐ろしいまでの虚無感が押し寄せてきた。感覚はそろそろ麻痺しちまっているが、時々、思い出し笑い並の唐突さでやってくるこれは吐き気を伴うまでになっている。 ホームルームが終わったら朝比奈さんと仲のいいはずだった鶴屋さんのところに行ってみようかとも思ったが、面倒になってやめた。 ホームルーム中、俺は机に伏せて微動だにしなかった。 * この日の放課後は特に何もなかった。 もっとも、長門や朝比奈さんがいなくなる以上に何かあってもらっては困るのだが。 この日は本当に、朝比奈さんがいないと部室で腹に入るものがとたんにまずくなることを実感したね。物理的にも、精神的にも。インスタントコーヒーだってたまにはいいだろうが、朝比奈さんのいないこのSOS団では、コーヒーは欲しかったら自分で淹れろという規律が存在しているようであり、自分で淹れたコーヒーを自分で飲んだところで味も素っ気もない。 無論そう感じるのは俺のコーヒースキルが劣っているからということにとどまらず、部室にいる人員にも問題があった。やっぱりこの部屋にいるのがハルヒと男二人だけってのは寂しいものなのだ。長門の読書姿でも、朝比奈さんのお茶汲み姿でも、それがSOS団の象徴になっていたということを改めて思い知らされた。 結局この日は喪失感が大きすぎて何もやる気がしなかった。古泉がヤケ気味に囲碁対戦を申し入れてきやがったが、今日ばかりは断らせてもらうぜ。 そんなこんなで、ハルヒはパソコンに向かっていたり雑誌を読んでいたりで、古泉は完全に持て余して詰め将棋状態、俺はパイプ椅子で半分以上茫然自失としているという、ある種異常とも言える本日の部活動は、うだうだの暑さが引いてきた頃に校内に響きわたったチャイムをもって終了した。 そうとなればもうこの部室にいるわけにもいかず、やがてして俺らは大量の生徒とともに校門から吐き出されることになった。俺はハルヒの後をセンサーで感知して動くロボットみたいに追い続ける。三人で、今の俺にとってはくそどうでもいいようなことを会話しながら、いつもの駅前に着くと、そこでまた明日と言って二人と別れた。 古泉もハルヒも、やがて街の雑踏の一部と化す。 * 家に戻った俺は、それでもまだ茫然としていた。ショックが大きすぎたのだろうか。 そんなのは言うまでもなく当たり前である。ただでさえ長門と朝比奈さんが消えてしまったショックはひどいのに、さらにこれ以上誰かを失う可能性が示唆されているというのだ。古泉はそう言っていたし、それは俺も納得せざるを得ない。明日仮に古泉が消えていたとしても、それはもはや、俺にとって驚愕すべき事態ではなくなっているのだ。 ではそうならないために俺は何ができるか。それはただ、待つことである。橘京子が助けに来るのを待つだけである。今日、それを自覚されられてしまった。 正直言って、俺は参っていた。 だだっ広い暗闇の中に置き去りにされて、それでも俺はそこから一つの希望を見いだした。その糸をたどっていって、ようやくはっきりした光明が差したのだ。SOS団のウェブページに現れた文章がそれである。橘京子を連れてこい。 それが俺たちの力では不可能だと悟ってしまった。橘京子の連絡先も所在も一切不明なのだ。どうしようもない。ただ俺たちは、橘京子が早く現れてくれることに運命を託したのだ。橘京子がライオンで俺たちは狙われたシマウマといったところか。別に橘京子が俺を殺そうと思っているわけではないだろうし立場関係的には間違っているだろうが、それでも活殺自在という根本において大差はない。手を下すのが自分か別の誰かかという違いがあるだけである。 だがシマウマというのは決して気分のいいものではない。俺は人間であるが故に知性というものに持ち合わせがあり、いいんだか悪いんだか知らないが、無抵抗に殺されるような真似はできるだけ回避するようにできちまっている。 そこで俺は思いついた。人智の発想さ。 誰か、橘京子の連絡先を知っていそうな奴はいないか、と。 思いついたね。そんときはおおいに笑みがこぼれた。 俺はそんなことを夕食を食べながら、風呂につかりながらずっと考え倒していた。おかげで、食事中はひたすら黙し続けて体調を心配されたり、風呂から出たときは全身がゆでダコのように真っ赤になっちまった。 風呂上がりですぐさまコードレスフォンを手にして自室にこもった。妹がふとどきにも俺の部屋でシャミセンと戯れてやがったがエサで釣って追い出してやった。たやすいもんだ。 電話は何回かコールした後、繋がった。 『もしもし』 「もしもし。ああ、俺だ」 とか言ってからナントカ詐欺を思い出したが、相手には無事に伝わったようだった。 『ああ、キョンか。こんな時間に、しかも僕に電話してくるとは珍しいね。何か急な用件でもあるのかな』 「まあな」 物わかりがよくて助かる。 俺が電話をかけたのは土曜日に再開を果たした人物の一人――つまり佐々木だった。 当然である。橘京子と俺の共通の知り合いで、しかも俺が絶対的な信用をおける奴など佐々木をおいて他にいないのだ。 「佐々木、お前にも用件の心当たりはあるだろ」 佐々木はしばし考えるふうな沈黙をおいて、 『そうだな、未来人が突如として消え去ってしまったことについて、かい? 橘さんから聞かされたよ。いやあ驚いたね。みんながみんなこういうののジャンルはファンタジーだと言うが、僕にしてみればホラー以外の何者でもない』 「ああそうだ。そのことについてだ。お前に訊きたいことがあってな」 『ほう、何だい。僕はそんな重要情報は持っていないと思うけどね』 それでも佐々木は好態度を示してくれるので俺は話しやすかった。こういうのがコミュニケーションスキルにおいて佐々木と他の連中との違いなんだろうね。 とはいえ、いくら佐々木でもパスワードの内容とか詳しいことまで喋るわけにはいかなかった。そこらへんは適当にごまかして、いろいろ手を尽くした末という表現に変換し、長門のものらしいメッセージを発見したこと、それによると長門を救うには橘京子が必要不可欠であるらしいことを話した。そして肝心の橘京子の連絡先を俺たちの誰もが知らないという、一見コメディである。 「ということでだ佐々木。率直に訊くがお前、橘京子の連絡先を知らないか?」 『それが用件というわけかい』 「その通りだ。知ってたら教えてくれ、頼む」 『いや、知らないんだ。お役に立てなくて申し訳ないが』 ちくしょう。 頼みの綱がまた一本切れた。残ったのはもはや、ただの恐怖でしかない。 「橘京子から教えられてないってのか」 『まあそういうことになるだろう』 「電話番号とかそういうのじゃなくていい。住所とか地名とか、名前でもいい。何か知らないのか?」 『申し訳ないが』 佐々木は同じ言葉を繰り返し、俺が黙り込んでいると電話の向こうで少し笑った。 『驚いたことに、僕から橘さんに連絡したことは一度もないんだ。さすがは橘さんと言うべきかな。味方にも連絡先を教えずに警戒するとは周到だよ』 暗い心のまま佐々木の言葉を聞いていたら何だか呆れてきた。 「お前は、そんな奴を信用してつるんでたのか。自分の連絡先も教えないようなヤツを」 『それはしょうがないことだ。誰にも、これは譲れないというものはあるからね。人はみんな、そういうことを承知した上で他人と付き合っている。承知できないか、承知できる範囲が狭い人間はどうしても他人と距離が開いてしまう。だから僕は橘さんのそういう考え方をできるだけ理解しようと努めているんだ。仲間としてね。キョン、たぶんそれはキミにも言えることなんじゃないかな』 俺は半分頭を素通りする情報を捉えようと電話機を握り直した。 「俺があの超能力者と一緒にされるのはあまり気分がいいもんじゃねえな」 『キョンが橘さんだと言っているわけではない。キミは橘さんの立場にも僕の立場にもなりうるだろうね。SOS団という団体の中で』 だったら俺は間違いなく佐々木よりのスタンスである。三者三様の理屈と考えを噛み砕いた上で俺の考えというものを構築していかねばならんのだから大変極まりない。さらに俺にはハルヒの理屈と考えまでもがのしかかるのだ。もちろんあいつにはあいつなりの理屈があってその上で理論ができているのだから、黙殺するわけにはいかない。 『だからさ、キョン。SOS団の人員と同じように橘さんにも事情がある。もちろん僕や僕の仲間の未来人、周防九曜さんにもね。個人の理屈や考えという観点から考えるのなら、彼女が連絡先を教えてくれないというのに許せないという感情を抱くのは彼女がかわいそうだ』 しかしそうは言ってもな、佐々木。事実は事実だし義務というものもある。俺にとって橘京子は信用をおけない存在で、SOS団のメンツは仲間なのだ。 『言っておくが、キミにとって橘さんは敵だろうが僕にとっては仲間だ。それに僕からすればキミたちの団体のメンバーは信用のおけない存在かもしれない。キョン、常に条件は対等なんだ』 俺がどう反論を試みようかと思っていると、佐々木は急に声を詰まらせた。次に発せられた声が涙声のように聞こえたのは、さすがに俺の耳がおかしいのだと思う。 『橘さんを信じてやって欲しい。これは橘さんの仲間であって、キミが信用してくれている僕からの願いだ。だからキミは今日、僕に電話をかけたんだろう。……頼むよ、彼女はきっとすぐに現れる。だから彼女を責めないでくれ』 「しかし……じゃあ、お前は完全に橘京子を信用してるんだな。すぐに現れると言い切れるんだな?」 『それは少々語弊があるけどもね。ここで人生論を持ち出すほど僕はえらい人間じゃないが、しかし僕には僕の人生があって、僕は仲間についていくことしかできない人間だ。彼女の思っていることを全部見通せる気はしない。だけれど、僕にはそう信じる義務があるのだと思うよ』 俺は嘆息した。これで俺は佐々木を信用する気になった。橘京子を頼る決心ができちまった。 それからしばらく、佐々木と人生論について語り合った後電話を切った。何となく、これから先も佐々木には到底かないそうにない気がしたね。あいつはとんでもない人間だ。 ついでに古泉にも電話してやろうかと思ったが、突如津波が押し寄せるように睡魔がやって来たのでやめた。携帯電話をしまってから部屋の電気を消すと、部屋には静寂がおとずれた。俺はだるい暑さに抱かれて暗い天井を見ながら、さっきの電話のことをしきりに考えていた。 人の事情を承知できる範囲が狭い奴は、どうしても他人と距離が開いちまう。 橘京子と連絡を取るのが不可能だと思い知った後しばらくして熱が冷めたら、その言葉だけがまだ、いやに熱を持ち続けていると気づいた。ハルヒのことが真っ先に頭に浮かぶのはどうしてだろうね。ハルヒにももちろん事情はあるのだ。あいつにはあいつなりの考えがあるし、それは常に変化している。一年前と同じことを考えているわけもない。どこぞのペットの猫よりも気まぐれに、妙な情にほだされることもある。それがいっそう俺をいらだたせるのだ。 考えるべきは消えてしまった長門と朝比奈さんの謎についてであるべきが、なぜかそのことに頭が取られているうちに眠りに落ちた。
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刺激に満ちた、楽しくも大変な日々とも今日でお別れだ。最も、彼が涼宮さんと恋人同士になってからは、閉鎖空間 が発生することはなく、「機関」もその役目を終え、僕は「機関」を解散することにした。 今、涼宮さんにがあの”力”を発揮することはない。彼女は今や普通の少女――もう少女という言葉は卒業する時期だが― ―でしかない。あの明るさと活発さはそのままだが、不思議な事が起こることももうない。非日常は終わりを告げたのだ。それに 合わせるように、涼宮さんはSOS団の解散を告げた。 僕は彼女を好きだった。その想いは伝わることはなかった。 彼は僕の想いを知っていた。彼はなかなか鋭い男だ。それでも、彼は僕を親友だと言ってくれた。彼以上の親友は、これ から先、そう現れることはないだろう。 卒業式のあと、元団員や、国木田君、谷口君、それに橘京子も加えて、僕等は卒業記念パーテイを行うことにしていた。 橘京子。かつて、僕等の”機関”と対立し、彼の”親友”佐々木さんを”神”とした能力者。 あの事件のあと、彼女の組織は消え、ただの一人の女子高生に戻った橘京子。どういうわけか、その後、紆余曲折を得て、 僕と橘京子は付き合うようになってしまった。世の中おかしなものだ。 彼女は、彼の親友、佐々木さんとも友人として付き合っていた。 あの春の事件のあと、佐々木さんは彼女に告白したという彼女の学校の男子生徒と交際したというが、すぐに分かれてしまった そうだ。その前に同窓会があり、彼と再会したそうだが、おそらくそれが影響しているのだろう。結局、卒業するまで、佐々木さ んには彼氏はいなかったそうだ。 正直、僕はいつも疑問に思っている。なぜ、佐々木さんではなく、涼宮さんだったのか?彼から涼宮さんとの馴れ初めを聞いた 事があるが、明らかに未来人の介入による割合が大きすぎるのだ。 彼ら未来人勢力が過去に、現在の僕らに介入する事に、僕は不快感を持っている。他人の手のひらで踊るのは好きじゃない。 そんなことを考えながら、集合場所である北高の校門前に向かっていると、一人でいる涼宮さんの姿が目に入った。 「?」 何か様子がおかしい。かなり慌てた様子だ。 「涼宮さん?どうされましたか、彼と一緒じゃないんですか?」 僕が声をかけると、涼宮さんが振り向いた。その顔が青くなっている。一体何があった? 「古泉君、キョンが消えたの!」 「消えた?彼がですか?」 「そう、いきなり。何が起こったの?ほら、キョンの友達とかいう佐々木さん?。彼女が現れたかと思うと、キョンと一緒に 煙みたいに消えたの、一体、これはどういうこと?」 かなり涼宮さんは焦っている。それに、どうして、佐々木さんがここに出てくる? 「!!」 突然、僕の頭に膨大な情報が流れこんでくる。この感覚は、前に一度味わっている。 二年の春先。二つに分かれた世界。融合した記憶。そして・・・・・・ 「涼宮さん!」 突然、目の前で、涼宮さんが倒れる。 「涼宮さん!」 慌てて抱き起こすも、涼宮さんが何故か眠っているだけだとわかり、少しホッとする。 ”誰のしわざだ” 何者かの、おそらく未来人か宇宙人関係か。流れ込む分裂した世界の情報が彼女に流れ込まないにしたのか。 と、同時に、僕は目の前にあるモノが存在していることに気づく。 「閉鎖空間・・・・・・」 久しぶりの感覚。だが、すぐにそれが少し違う事に気づく。 ”佐々木さんの閉鎖空間だ” もうひとりの”力”の器。神たる存在。 そして、この中で、何かが起きている。感がそう告げている。だが、僕には確認出来ない。ここに入れるのは、ただ、一人。 スマートフォンの画面を操作し、一番に登録している名前を表示する。 「橘さん。古泉です。すぐに集合場所に来てください。緊急事態です!」 橘京子はすぐに来た。どうやら近くまで来てはいたらしい。 「何かあったんですか、一樹さん」 その呼ばれ方に違和感を感じる。付きあっているとは言え、いつも”古泉さん”と呼ばれ、”一樹さん”と 呼ばれた事は無い。だが、すぐに納得する。あの世界の記憶――僕と京子が幼馴染であり、婚約者である世界 ――が彼女にもあるのだ。気のせいか、彼女の、僕を見る目が熱を帯びている様に見える。 「京子さん、これが何か解りますか」 あの世界の僕の様に 、京子と呼ぶ事は、まだこの僕には無理だ。二つの記憶がミックスされるというのは、厄介な ことなのだ。 京子の顔色が不安なモノに変わる。 「閉鎖空間……佐々木さんの、でも。変です。こんなに荒れ狂って禍々しいエネルギーを感じるのは初めてです。 中で大変な事が起こっているのかも しれない、急いだ方がいいです!」 僕の不安は的中したようだ。 「京子さん、すぐになかへ連れて行って下さい。お願いします」 僕は彼女の手を握り締める。 「任せて下さい!」 何故か嬉しそうに、京子はそう言って、彼女の”能力”を発揮した。 「きゃああああああ!!!!」 「うわあああああああああ!!」 すざましいエネルギーの衝撃波を浴びて、僕らの体がはじき飛ばされる。 京子の体を掴み、かき抱いて、彼女が地面に叩きつけられる衝撃を、かろうじて和らげる事ができた。 ”閉鎖空間が破裂した” そう表現するのがぴったりくる。溜められていたエネルギーが、一気に解放されたのだ。 ”なんて、エネルギーだ。神人の比じゃない。まるで世界を破壊しかねない威力だ” 気を失う寸前、そのエネルギーの中心に、佐々木さん、そして倒れている彼の姿を、僕は視界の隅にとらえていた。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 人の体の温かさを、彼のたくましさと優しさを、私は全身で受け止めていた。 目を開けると、中河君の寝顔が視界に入って来る。普段は男らしいのに、今の寝顔はまるで子供のようだ。思わず、 私は笑みをこぼした。 卒業式の後、二人で待ち合わせ。夜にある文芸部兼SOS団の卒業パーティまで時間はたっぷりあった。 いまごろ、キョン君は佐々木さんと校門で再会しているだろう。二年前の約束。離れていても、二人の想いは変わら なかった。 嬉しいと思う反面、長門さんの事を思うと、少しだけ悲しい気持ちになる。 佐々木さんのいない二年間、キョン君の側に一番いたのは長門さん。涼宮さんもキョン君に猛アタックしてしていた けど、残念ながら、想いは通じなかった。長門さんはキョン君の信頼を得ているけど、あくまでも立場は友人。恋人じ ゃない。 ”!!” 私の頭に情報が流れ込んで来る。膨大な記憶、別の世界の、本来の私の姿。融合する世界。 ”ああ、そうか。実験は終わったのか” 自律進化の過程。情報統合思念体、天蓋領域。二つの陣営が興味を持ち、異常な関心を寄せた事例――長門有希の進化 。彼女の変容が、情報生命体の未来に重大な示唆を与えていると考えた彼らは、有る実験――そう表現するしかない―― を行う事を決めた。そして、天蓋領域・周防九曜、情報統合思念体・長門有希、喜緑江美里、そして私、朝倉涼子は、この 世界へ組み込まれた。 情報生命体でもない、ただの人間、ただの女子高生。その世界で、私達は楽しく、時には切なく、彼らと同じように学生 生活を送り、人を愛したのだ。 だけど、いつかは終わりが来る。この世界にさよならを告げる時が来たようだ。 私はまだ眠っている、中河君の額に手をあてる。 ”情報操作開始” この世界での出来事を、彼の融合した記憶から消して、記憶情報の書き換えを行う。彼は元の世界では、私達 情報生命体にアクセス可能な能力を持っていたらしいが、それは長門さんにより消失させられた。この世界では 私達同様、ただの高校生だ。 彼が私に一目ぼれをしたのは、本当に偶然の出来事。それ以来、私と彼は交際を始め、今や恋人の仲だ。 でも、それも今日で終わりだ。世界が完全に融合した時、彼の記憶から、私との思い出は消失している。 私の目から、涙があふれて来る。 彼との時間。大切な記憶。人間の女子高生として、友人として、恋人としての時間。かけがえのない想い出。 男の子の部屋にしてはキレイに整理され、掃除が行き届いた彼の部屋。何度もお邪魔した彼の部屋。 それらを、そして彼を愛した時の記憶を私は刻み込む。 ”長門さんが呼んでいる” 緊急事態の呼び出し。何か異常が発生したらしい。ひどく胸騒ぎがする。 情報操作終了。いよいよ、彼とはお別れだ。”実験”が終了したいま、私自身、また地球上に派遣されるかどうか も分からない。情報統合思念体に取り込まれ、分析されたまま、そこで終わるかも知れない。私はまだ、長門さんみ たいに、自律進化したとは言えないからだ。 ”中河君” 彼の名前を呼ぶ。そして眠ったままの彼にキスをする。 私はその場から姿を消した。 ---------------------------------------------------- 「一体何がおこっているの!?」 非常事態。この場に突然出現した朝倉涼子の問いに、そうとしか答えようがない。 私――長門有希、喜緑江美里、そして朝倉涼子。三人とも、今の状態には手も足も出せない。 強烈な破壊と怒り、そして悲しみに満ちた、暴走状態の次元エネルギーの噴出。すでにいくつかの時空間が消滅し、 時間軸が崩壊している。 未来人による改変、涼宮ハルヒと佐々木による時空改変により、この時間軸には歪んだエネルギーが蓄積し、それは ”不胎介入化(活用されず、蓄積化する事)”し、なんらかの作用が有った場合、一気に活性化し、膨大なエネルギー 奔流をうみだし、時空間に多大な影響をもたらす。 その危険な状態が、いままさに進行していた。 そして、その中心にいるのは、”力”の行使者にして”扉”――佐々木と、”鍵”たる彼。 彼は死にかけていて、彼女は彼の体にすがって泣き叫んでいる。それが、彼女の”力”を暴走させ、次元崩壊を引き起 こしている。 ”一体、何がおこった?” 「!!!」 私達三人の前に、突然、姿を現したのは、天蓋領域の情報端末、周防九曜だった。 周防九曜。自律進化の謎を解く為、我々と共に、佐々木の世界へ送り込まれた、情報生命体。我々と同じように 普通の人間として過ごし、人を愛した。 その彼女から、我々に情報が送りこまれる。 「!!」 彼と佐々木の身に何がおこったのか、瞬時に理解する。改変工作により自らの未来を作り上げた未来人たちは、 その時間軸を守ろうとして、致命的なミスを犯したようだ。おそらく、この時間軸は崩壊する。未来人たちは、 皮肉なことに、未来を守ろうとして、自ら滅びの笛を吹いたようだ。 「なぜ、彼を助けなかった。彼が死ねば、佐々木を止める力は消滅したも当然。このままでは世界は崩壊する。 我々情報統合思念体も天蓋領域も無事には済むまい。崩壊の軛からは逃れることは出来ない」 「私には出来ない。私の力の行使に対し、天蓋領域本体より枷が掛けられている。試みたが、行使出来なかった。 あの破壊エネルギーから逃げるのが精一杯だった」 「天蓋領域は滅びを望むと言うのか」 「おそらくそうだ。我々を観察し、自律進化を調べていた天蓋領域は、進化の果てが滅びと結論付けた。無限が 有限に代わり、すべてが消失する虚無の定めからは何者も逃れることは出来ない。人と交わることにより、進化を 遂げた者は、人として終わりを迎える。その結果、天蓋領域は滅びの定めを受け入れたようだ。それに伴い、私も消滅 する」 そう言って、周防は自分の左腕に眼をやり、少し悲しそうな顔をする。 手首に巻かれた時計。彼女を愛した谷口が彼女に送ったもの。何も言わないが、その時、周防の悲しみが私にも理解 できた。 天蓋領域側はともかく、情報統合思念体は沈黙したままだ。むざむざ滅びるつもりはないようだが、今の状態では誰も 佐々木の破壊エネルギーに手は出せない。ちかづけば、我々は消滅する可能性がある。彼の命の火は消えつつある。そう なれば、本当にあらゆる時空間が滅亡する。 ”!!!!” 誰かが、破壊エネルギーの中心部に向かって飛んでいく。彼と佐々木がいる所へ。 「優希!」 人間としての私。彼に愛され、愛した私が生み出した、自律進化の生命体。あの世界で彼と共に過ごしたもう一人の私。 彼女は世界が融合した時に、私の中に取り込まれて、バックアップとして保存されていた。その彼女が私の意志より独立 して目覚め、動き出したのだ。 「優希!やめなさい、あの破壊エネルギーの前ではすべてのものが消滅してしまう!貴方も消えてしまうのよ!」 「私はどうなってもいい!キョン君を助ける、絶対に!」 すべての力を振り絞り、優希は破壊エネルギーに抗らいながら、彼のもとへ、近づいて行く。 キョン君の元にたどり着いた時、私の姿は人間としての形を保てず、情報生命エネルギー体の姿になっていた。 キョン君の命はまさに尽きようとしていた。 私のエネルギーも後少しで消えようとしている。急がなければ。早く彼を助けないと。 ”?” その時、私はある物に気付いた。金属の棒。未来人の道具。それにはキョン君の生命情報が刻んであった。 ”そうだ、これを使って、私のエネルギーを、キョン君の生命情報エネルギーに増幅変換すれば、彼を助けられる” 彼と共に生きた世界。私が愛した彼が生きた世界。彼の命と共に、私はすべてを守る。 図書館での出会い、文芸部、シャミセン、夏休み旅行、恋愛小説、体育祭、学園祭、二人で行った大学、彼からもらった プレゼント、クリスマスの事、色々な思い出、一緒に受験して、四月からは一緒に大学生になる―― すべての事が一瞬にして蘇ってくる。 ”さようなら、キョン君。私が大好きな人”