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作者 伊東潤 時代 戦国時代 主人公 毛利良勝 塙直政 荒木村重 津田信澄 弥助 ジャンル 歴史小説 書籍情報 単行本 文藝春秋 短編5本全1巻 王になろうとした男(2013年7月29日)(果報者の槍、毒を食らわば、復讐鬼、小才子、王になろうとした男) 電子書籍 短編5本全1巻 王になろうとした男(2013年12月20日)
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「しっかし…何処にもいねぇなぁ…あいつら…」 いくらなんでも、これだけ探していないのはおかしい…と頭をひねる次郎は 後ろを振り返って再び頭を捻った 「なんでお前らまで着いてくるんだ?」 「え?」 「ん?」 同時に声をあげたのは、田中とムーである 醜くもオレオを奪い合っていた二人は、またしても同時に声をあげた 「ひまー」 「目を合わせるとみんな逃げていくんだ…」 前者はまだしも、後者から漂う負のオーラは尋常ではない 言われてみれば、自称17位のこの人は、周りから寒い目で見られていても おかしくはないのだ。なんだが、すごく気まずい 一瞬目があったものの、あまりの気まずさに次郎は思わず眼を逸らす 「嘘だろ…?次郎、お前もなのか…?」 「気のせいッスよ、多分」 「気のせいか。なら良かった」 単純な人で良かった。そう胸を撫で下ろし、どこを探そうかと思案していると また何かしらのトラブルでも起きたのだろうか?すぐ近くで人だかりが出来ているようだった 「またかよ…」 「あら…何でしょう?」 「いそがしいね」 「暇だしさー。いってみりゃいいじゃんー」 「オレオマジうめぇ」 まぁ当てもなく探し回るよりはマシか、という事で騒ぎの中心地に向かう事にした ひょっとしたらクリブラかもしれない、という淡い期待を胸に 「あ~ら。次郎クンじゃないのぉ」 そんな彼らの期待はあっさり裏切られる そこに居たのは 聖天裏12位 ウォーカーウォーターウォーリアー 本名:御簾涼観澄美 であった。だが何やら様子がおかしい。普段と明らかに様子が違う 普段の御簾涼観は、いきなり次郎によりかかったり、流し目で次郎を見たりしない 「オイ。なんだコイツ。病気か?具合悪いのか?」 顔も赤いし、目つきもおかしいし、息も荒いので次郎は割と真面目に心配しつつ よりかかられるのは重いな、と思った。何故なら彼は常人だからだ そんな次郎に対して、古参である田中は得意気な顔で一言 「こいつは陸酔いだな」 「陸酔い?なんだそりゃ」 「こいつは陸に長時間あがってると酔っぱらう変な生き物だ」 流石田中だ。いざという時は頼りになるな、と次郎は田中に対する認識を改めた だがそんな次郎の後ろで、憎悪の炎を燃やしている人間が一人 (…はくだつする。たましいを) (もしくは海をおわらせる) 次郎に何をするんだ。という怒りでデスメタルの心は暗黒面に堕ちかけていた 眼が金色に輝くか否かのタイミングで、デスメタルを救ったのはシルヴィアである 「み、御簾涼観さん。人様の目もある事ですし、あまりふしだらな行いは…」 「なぁ~に固いコト言ってるのよ、シルヴィーちゃん」 そう言いながら、御簾涼観はスーツのボタンを一つ、二つと外していく 「御簾涼観さん!こどもだっているんですよ!」 「そぉなのぅ?知ったことじゃないケド~」 「あ、貴女は次郎さんの事を、す…す…好きなのですか!?」 「別にぃ~。そこの忍者モドキよりはマシって位かなぁ」 顔を真っ赤にしながら怒っているシルヴィアに そう言いながら、次郎と腕を組みながら、胸の谷間を次郎に押しつけて ニヤリと御簾涼観は笑う 「じ、次郎さんも何かいってください!」 「きょういくに悪い。やめさせて」 「え、あぁ…。まぁ酔ってるんだし仕方ないんじゃねぇかなぁ…」 「さっすがぁ。次郎クンはハナシがわかるわぁ…。ねぇ、奥でオトナの話をしませんコト?」 この日生まれ出でた怪物は1匹…いや、2匹 シルヴィア・フォリナーはニッコリと笑顔を浮かべると 腕を組み、聞き取れないほどの速さで何かを呟いていた 「きこえな~い。何いってるのぉ?」 「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主よ。 天と地はあなたの光栄にあまねく満ち渡る。天のいと高きところに…」 「うん?なぁにソレ?おっかしぃ~」 酔いに酔った御簾涼観は、次郎の腕を組んだまま、祈るように手を組み笑ってるシルヴィアを 指差し、ゲラゲラと笑っていた 一方、シルヴィアはニッコリと笑顔を浮かべていたが、その実――笑っていなかったのだ 「おしおきです。サンクトゥス」 上位神聖魔法の聖なる白き炎が、御簾涼観の身体を焼いていた 「あづい!あづい!ちょ、洒落にならない。死ぬ!死ぬ!死んじゃうってば~!」 「はい。来世は日にも陸にも強い酔わない生き物になれると、いいですね」 「オ、オイ。シルヴィア。これはヤバいんじゃないのか?」 「恐らく、その人は私の知ってる御簾涼観さんじゃありません。恐らく悪魔の使いです。浄化してるんですよ」 今度はニコリと笑みを浮かべるシルヴィア。それを横から一瞥したムーは 「むっちゃ怖い。こういう大人しい子ほど怒るとヤバイねー…」 と自分の横で事の成り行きを見ていたデスメタルに、同意を促す 「こわいですね」 面倒臭いことになるのが嫌なので、一応ムーに同意したデスメタルだったが その本心は若干異なっていた 確かに、怖いことには怖いが、炎に包まれ狂ったように踊る御簾涼観を見て (スカっと&ザマ見ろだぜ) と思う心が確かにあったし、何より青白い炎はきれいだなぁ、と思った 兎にも角にも、このままでは御簾涼観が焼き魚になってしまう これはまずいなぁ。クリスマスは魚じゃなくてチキンなのに と、少しズレた事を考えながらムーは拳を一閃 音の速度に達したその拳が生み出す拳圧は御簾涼観を焼く炎を消し去ってていく 「ふぅ…。これで良し、と」 数発の拳圧で、御簾涼観の身体を包んでいた炎は全て消え去っていた 最も、その拳圧の余波で御簾涼観の身体も、少し形が変わっていたが… プスプスと音を立てている御簾涼観に一瞥すると次郎とムーは 「やり過ぎだ」「やりすぎー」 と同時に口に出していた が、それに動じる様子もなくシルヴィアは 「あら。加減してますよ。本気で撃ってたらこの建物ごと悪魔の使いは滅んでいます」 と笑顔で返す。それどころか 「ところで皆さん。悪魔の使いが抜けたようなので、御簾涼観さんを治して差し上げませんか?」 と、平然と言い放つのだった クリムゾンブロウ曰く「まるで“糞”だぜ…?今日の“秋葉”はよ…?」 ブラックパイソン曰く「キビキビ歩かないと“事故”らせっぞぉ?その“具沢山の紙袋”をよぅ…」 十六聖天外伝 クリスマスの章 何話だっけ… 完
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天鏡宮に暖かくも穏やかな時間が流れていた。 アリス 「それでね、次郎さんったらそのまま逃げてしまって」 バーバラ 「あらあら、そうなの? 困ったわね……」 時間はとうに夕刻を過ぎ辺りは暗くなっていた。 だというのに、アリスの部屋を訪れるものがあった。 楽 「邪魔をする」 アリス 「あら?えっと、楽さん…?」 楽 「うむ、夜間に失礼だな。ところでなんだその……?は?影が薄すぎて私を忘れたか?」 アリス 「い、いえ、そんなことは!」 楽 「はっはっは、何、気にしておらんよ。ところでちょうどいいカッフェが手に入ったんだが、どうだね?」 アリス 「カッフェ…?」 楽 「ム…かのエクスカリバーが今時の女子はみなそう言うと聞いていたが…違ったか?」 アリス 「え、えと、うーん……ま、まあとりあえず中へどうぞ。立ち話もなんですし…」 楽 「かたじけない」 バーバラ 「アリスさん? 誰が…あら?」 楽 「むぅ?……確かバーバラだったか」 バーバラ 「そうですよ。影が薄すぎて忘れましたか?」 アリス 「……クス」 楽 「ははっ先ほど私もそういったところだ。」 バーバラ 「ところで、何の用でしょう?こんな夜に少女のお部屋に来るとは、わたくし、あらぬ事を邪推してしまいますわ。」 楽 「アリスが泣いていたようなので元気付けてやろうと思ってな」 バーバラ 「まぁ…」 アリス 「あ、あの、その…すいません心配おかけしてしまって…」 楽 「悪いのは次郎だろう。気にするな」 大企業の社長とは思えぬほど気さくな楽にアリスは心の中で感謝する。 十六聖天という集団の絆はアリスの思う以上に強固なものだった。 楽 「まあ何だ。流行のカッフェを手に入れたのでいかがだろうか?」 バーバラ 「ええ、今淹れますわ。」 楽が入り口付近に腰を下ろそうとした時、またしても来訪者を継げる音がなる。 アリス 「あ、また…」 出ようとしたアリスを楽が引き止める。 夜の来訪者に不信感を持った楽がゆっくりと扉の前に移動する。 楽 (2、3……5人か) そして扉を素早く開けると、渾身の正拳突きを放つ。 15位とは言え、聖天を名乗る以上その威力は大地を揺るがし、岩をも破壊する威力だった。 クリムゾンブロウ 「うお!?」 ブラックパイソン 「なんだとぉ!?」 扉の外にはクリムゾンブロウ以下、忘年会を共に過ごした数人のメンバー達。 楽の拳はアルスナー・ナッシュの持つイージスの障壁により防がれた。 もしもアルスナーの障壁が無かったら、今頃クリムゾンブロウの顔面は粉々に粉砕されていたに違いない。 ただ、それでも生きていられそうな不気味さはクリムゾンブロウにはあるが… アルスナー 「随分な挨拶だな……なぜここにいる?」 楽 「……お前達こそどうした。男連中が総出でか弱い女子の家に押しかけるなど、あらぬ事を邪推してしまうな。」 椿 「んだぁ?文句あんのか?泣いてる仲間を元気付ける為に来るのがおかしいってのか?」 リーン 「おい、恥ずかしいから真顔でそういうこと言うなよ。」 楽 「目的は同じか……アルスナーまで一緒とは珍しいな。」 アルスナー 「いや、俺は……」 ギデオン 「いいケツの女に敷かれて仕方なく来たんだよな!分かる、分かるぜぇ!」 健吾 「あらやだ、おじいさま。またその顔面に風穴開けられたいのかしら?」 リーン 「全くとんでもない女だ……これだから三次元は…とんだ大惨事だ」 健吾 「悪かったわね。あたしだってこんなに大勢になるとは思わなかったっての。」 ガクガクと震えるギデオンを横目で見つつ、アルスナーはため息をつく。 なぜこんなことになってしまったのか、アルスナーの表情には苦悩の色が浮かんでいた。 アリス 「どうしたんですか…?ってあら?どうしたの?」 一度別れたはずの仲間がそろって家の前にいるのだ。 この状況に驚かない方が難しい。 クリムゾンブロウ 「よう、アリスちゃん。んん?元気そうじゃないか」 ブラックパイソン 「ちっ……こりゃ当てが外れちまったか…?」 ギデオン 「いいから貴様らはしゃべるな。虫唾が走るわ男どもが」 リーン 「ギデオン一人で行かせられるわけないだろう…」 椿 「常識的に考えてそうだわな…」 見ると各々、小さな包みやシャンパンを持っている。 アリスは一目で彼らの気持ちを察して、泣きそうになった。 アリス 「あの、ありがとうございます……あ、ど、どうぞ中に……」 ブラックパイソン 「んん?何がありがとうなんだ?」 クリムゾンブロウ 「勘違いするなよ?俺たちは二次会の場所を探してきただけだぜ。」 アリス 「……ふふ、どうぞ中へ。でも酔って吐いたりしないでくださいね。」 健吾 「アルスナー……いいの?こんなに大勢でさ」 アルスナー 「お前が皆で行こうって言ったんじゃないか……」 健吾 「うーん、まあそうだけど。」 アルスナー 「………」 表裏の聖天が集まる忘年会は次郎の逃亡と共に終わりを告げた。 それ自体は特に大したことではなく、まあよくあることで片付くのだが…… 会場となったホテルを出るとき誰かが言った。 『アリス泣いてなかった?』 その一言はまたも十六聖天を集めて二次会、と言う形になる。 短い時間しか自分として生きていない、アリスにとって思いがけず大切な思い出となるのだった。 アルスナー 「ところで何でお前までいるんだ?」 健吾 「か弱い女の子の部屋に男連中で突撃させるわけに行かないでしょうが。」 そう言うと広い部屋へと先陣を切って入っていった。 アルスナー 「おかしな女だ……勝手にするといい……」 バーバラ 「あらあら、まあまあ……こんなに大勢集まるだなんて……」 健吾 「あ、はじめまして。アルスナーの恋人の岩淵健吾です。いつも彼がお世話になって……」 アルスナー 「違う!勝手に変な自己紹介をするな……」 健吾 「えー?だっていつまでたってもアルスナーったら返事してくれないし……」 アルスナー 「それは……別にいいだろう……」 バーバラ 「まぁ……無口で根暗な子だと思ってたのにいつの間にこんなに立派になって……」 アルスナー 「あんたの方が年下だろうが…」 アリス 「いいなぁ……恋人かぁ……」 楽 「ふむぅ、しかしこう女性の部屋に男が多いといささか問題があるのではないか?」 椿 「かてぇこと言うなよ。ま、何だ?まずは乾杯といこうや」 紙コップに適当に飲み物を注ぎ、全員に配る椿。 アリスと楽はバーバラの淹れたコーヒーを持っていたのでそれで乾杯となった。 リーン 「おい、未成年に酒は勧めるなよ?」 椿 「分かってる分かってる。えーっと、多分アルコールは無ぇ!この程度なら問題無ぇ!」 ギデオン 「本当に大丈夫なのかこいつ……もう酔ってるんじゃないのか?」 リーン 「否定できないな……」 クリムゾンブロウ 「それじゃ、皆グラスは持ったかなぁー?」 ブラックパイソン 「はぁーい!」 椿 「うぉぉぉぉぉ!!!!」 アルスナー 「やかましい奴らだ…」 と、そんなことをやっている間にまたしても来訪者を告げる音。 一番外に近いところにいたアルスナーが扉を開けることになる。 アルスナー 「………何をしに来た?」 いっけい 「二次会」 アルスナー 「入れ」 あいか 「お邪魔するよお兄ちゃん!」 ブリュンヒルデ 「お邪魔します…」 もう扉は開け放しでもいいか、とアルスナーは考える。 どうせここに来る者など決まっているし、これだけの戦力が集中しているのだから何があっても問題は無い、とも。 それに自分が輪の中に入っても浮くだけだし、元々酒を飲みに来たわけでもない。 それならば、一時の平和を守る門番となるのも悪くは無い。 あいか 「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!???????」 ギデオン 「うわぁ……」 あいか 「ご主人様ぁ!あんなに甘い時を一緒に過ごしたのにどうして迎えに来てくれないのぉ!?あいか寂しくて毎晩濡れ濡れなのにぃ!」 ギデオン 「変わらんなぁお前さん……そのためのいっけいだろうが」 いっけい 「き、貴様!やっぱりそうだったのか、ちくしょう!最初からこいつを押し付けて逃げる気だったんだな!?」 ギデオン 「はっは、そう怒るなよ。お前も今日はアリスの為に来たんだろう?それなら主役の顔を立てようじゃないか?」 いっけい 「ぐぐぐ…お、覚えていろよ!」 もちろん、この後意識を失うまで酒を飲まされた上にあっさりと逃げられることになるとは思わなかったわけだが。 いずれにしても、もうしばらく御影あいかと明楽いっけいの共同生活は続くことになるのだ。 ブリュンヒルデ 「ギデオン様。ご無沙汰しております。」 ギデオン 「よう、今日も綺麗だな。」 言葉と同時にブリュンヒルデの尻を撫で回すギデオン。 そんなギデオンをまるで無いものとして扱うように続ける。 ブリュンヒルデ 「そうですか。ありがとうございます。ところで、私はいつになったら『母親』になれるのですか?」 ギデオン 「あー……その話な」 アリス 「ギデオンさん?何の話ですか?」 ギデオン 「あ、アリス!?さっきまで楽と話していたんじゃ…いや、何でもないんだ。ちょっと大人の事情がだな…」 ブリュンヒルデ 「私は何時になったら『母親』になれるか…と。ギデオン様のお話によるといっけい様に『ふぇらちお』というのをすれば後はいっけい様がやってくれると」 アリス 「えええええええ!!??」 ギデオン 「ぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 ガクガクと震えるギデオンとは対照的に、冷静そのもののブリュンヒルデ。 そして一人で真っ赤になってあたふたするアリスは明らかに異色な存在だった。 クリムゾンブロウ 「どうしたどうした?」 ブラックパイソン 「姉さん…事件です?」 ギデオン 「ま、まずい……貴様ら、余計なことを言う……う!?」 いつの間にかギデオンの首元にシーク・ハイドが居た。 彼女の存在に気付かなかったギデオンは平行世界を移動する間もなくあっさりと気を失った。 アリス 「ナンデモありませんよ……ちょっとお酒を飲みすぎて気分が悪くなっただけですよ」 シーク 「デタラメ吹き込むなんてサイテーね!次やったら死ぬかもね!」 その様子を間近で見ていた二人は一気に酔いが覚めたようで顔を青くして震えだす。 ブリュンヒルデに適当な性知識を叩き込んだ者がどうなるか、たった今目の当たりにしたところだ。 クリムゾンブロウ 「……そ、そう?」 ブラックパイソン 「……や、やっぱり?そうだと思ったZE」 いっけい 「やっぱりあいつが吹き込んでいたのか……ははっざまぁ!」 あいか 「お兄ちゃん、彼女だけじゃなくてあいかのことも愛してね?」 いっけい 「お前、今のあいつを見ていたか?ぶち殺すぞ?」 あいか 「死姦が好きだ何て初めて聞いたわ。でも……お兄ちゃんなら…いいよ」 いっけい 「………」 もはやいっけいには呆れる他無く、続く言葉が出てこなかった。 そもそも御影あいかは既にその生涯を終えており、肉体関係を持つことはそれすなわち死姦と変わらない。 ブリュンヒルデ 「あの……いったい何が……男性は皆喜ぶと言っていたのですがいっけい様は正直怒っていたようでしたし……」 そして一人困惑したままのブリュンヒルデ。 何も知らないアンドロイドは、頼れる誰かを探してその銀の瞳を辺りに巡らせた。 バーバラ 「あなたはまだ若いし焦ることは無いわ。ゆっくり勉強していきなさい。」 ブリュンヒルデ 「はぁ……失礼ですが、あなたは?」 バーバラ 「バーバラよ。よろしくね。」 ブリュンヒルデ 「そうですか。ブリュンヒルデです。よろしくお願いします。……しかし私にはゆっくりすることなど出来ません。」 バーバラ 「あら、どうして?」 ブリュンヒルデ 「時間がありません。お父様のように、一人で生きていける強さを身に着けなければ、またすぐに捨てられてしまいます。」 アリス 「そ、そんなことないよ!」 あまりにも悲しい物言いにアリスはつい大声を出してしまう。 そんな様子に驚いた様子も無く、淡々とブリュンヒルデは答えた。 ブリュンヒルデ 「アリス様……でしたか?なぜそんな事が言えるのです?」 アリス 「な、何故って……いっけいさんもあいかちゃんもそんな人じゃないもん!」 ブリュンヒルデ 「私も以前はそう思っていました。 しかし、現実はどうしようもなく残酷で他人の言葉など当てにしてはいけないと身をもって知ってしまいました。 今更どうして軽々と人を信じることが出来ましょう。」 バーバラ 「そういえば…あなたは以前は別の所に居たんだったわね。」 バーバラは思い出す。 クリフォトの十大悪と言われる組織が所有するアンドロイドが明楽いっけいと共に暮らしている、と。 バーバラ 「なるほど……残念ね。あなた、そんなに綺麗な姿なのに、信じることを知らないのね。」 ブリュンヒルデ 「それは何ですか?生きるために重要なことですか?」 アリス 「重要かどうかは知らないけれど……とても素敵なことだと思うわ。」 ブリュンヒルデ 「そうですか。私にはよく分かりません。……いつか私にも理解できる日が来ますか?」 バーバラ 「そうねぇ……難しいことだけどあなたならきっと分かってくれると思うわ。ところで、あなたは明楽君とあいかちゃんのこと、好き?」 ブリュンヒルデ 「質問の意味が分かりません。」 バーバラ 「もうしばらく一緒に暮らしてればきっと分かるようになるわ。あなたもとっても素敵な女の子だものね」 ブリュンヒルデ 「………」 黙ったままのブリュンヒルデは何かを考えるように、しかしどこか納得した様子でぺこりと礼を返すとその場を後にした 銀の髪と透き通るような白い肌が、この時僅かに輝いた気がした。 アリス 「……大丈夫かな」 エクスカリバー 「さぁね~こればっかりは本人次第じゃない?」 アリス 「あっ」 澄美 「お邪魔しております。アルスナーさんが入れというので勝手ながらお邪魔させていただきました。 これ、私の作ったスイーツです。よろしければどうぞ。」 アリス 「あ、ありがとうございます……すいーつ?」 秋太郎 「何でも、今は菓子をそのように呼ぶのが流行だとか。」 アリス 「秋太郎さんまで……あ、ありがとうございます」 エクスカリバー 「それと半蔵とヴェノムタイガーから、何かいい夢が見られる薬だって。精神安定剤みたいなものかな。」 小さな小瓶の中には液体が満たされており一回一本!ぐいっとどうぞ!と書いてある。 見るからに怪しげな液体にアリスは少しいやな予感がした。 エクスカリバー 「まあせっかくだから飲んでみたら?さすがに死にはしないと思うし。」 アリス 「は、はぁ……あの、い、今…?」 澄美 「別に今ではなくてもいいと思いますが……一応使用期限が短いそうなので早めに服用することをお勧めします」 秋太郎 「せっかくですから飲んでみては?」 何故か皆が勧める状況に怪しさを感じつつも、場に流されやすいアリスは蓋を開けてしまった。 意外にも甘いにおいに誘われてアリスは一気に薬を飲み干した。 アリス 「あ、あれ?何か結構美味しいです。」 エクスカリバー 「ねえねえ!何か変わった感じしない?」 アリス 「え?……うーん……特に何も…」 言われてちょっとドキリとしたものの、特に体に異変は感じない。 気ままに飛び回っているシークにも特に何も無いようだ。 秋太郎 「そうですか。いえ、何事も無くてよかったです。」 エクスカリバー 「あーあ、つまんなーい」 アリス 「つまんないって…え?あれ?」 澄美 「エクスカリバーさん。そんなことを言ってはいけませんよ。」 エクスカリバー 「だってあの二人の薬じゃん?おっぱいがばーん!ってなったり背が一気に伸びたりすると思ったんだけどなー」 アリス (あ……それはちょっと嬉しいかも) 自分の小さな胸を両手で覆うと、アリスはため息を吐く。 そんな様子を見て、澄美はいたたまれなくなったのかフォローを入れる。 澄美 「アリスさんは今のままでも十分魅力的ですよ。それより、あちらはそろそろ止めたほうがいいのでは?」 澄美が指差した方向を見ると青い顔をした椿がぐったりとしていた。 その横ではクリムゾンブロウとブラックパイソンが気を失ったギデオンを神輿のように担ぎ、二人でボロ雑巾のように振り回していた。 いったい何があったらこんな状況になるのか分からないまま、楽もバーバラも、健吾やいっけいのような多少はまともに見える者さえ傍観している。 おそらく、まともな精神を持っているものは今、この場に居ないに違いない。 アリス 「何、あれ……」 さすがにそろそろ盛り上がりすぎてヤバイと思ったのか、ただ疲れただけか、止めに入るものが現われた。 アルスナー 「お前たち。そろそろ終わりにしないか?」 リーン 「ようやく止める奴が出てきたか……待ってたぜ、アルスナー」 健吾 「あたしもうお腹いっぱい……アルスナー……お姫様だっこー」 楽 「いや、さすがにもう遅いので言おうとは思っていたのだが……」 と、何とも歯切れの悪いセリフを残す面々。 一際元気な二人が声を上げる。 クリムゾンブロウ 「マジか!?」 ブラックパイソン 「落ち着け!!」 アルスナー 「落ち着くのはお前等だ。俺はもう付き合ってられん。」 そう言ってさっさと一人で出て行くアルスナー。 興醒めだと言わんばかりにそれぞれが後に続く。 アルスナー 「すまんなアリス。どうやらただ騒がしただけのようだ。」 アリス 「いえ、その……嬉しかったです。また皆で来て下さいね。」 楽 「今日は気分が良かった。また機会があったら共に一時を過ごそうではないか。」 アリス 「ふふ、お仕事、頑張ってくださいね。お待ちしてます。」 バーバラ 「じゃあね。楽しかったわ。」 ブリュンヒルデ 「アリス様……あなたと私はどこか似ているかも……気のせいかもしれませんが。 ……またお話する機会があればいいのですが。」 アリス 「ありがとうバーバラさん。本当に、楽になりました。ブリュンヒルデさんもいつでも来てください。」 いっけい 「ギデオンはどこだ!?どこに消えやがった!?」 あいか 「あぁん、お兄ちゃん待ってー」 アリス 「………」 秋太郎 「いやはや、若いというのはうらやましいですな。」 椿 「うう……俺もあと30年……ぐふっ」 秋太郎 「私が責任を持って抱えていきますので」 アリス 「あはは……お願いしますね。秋太郎さん。」 リーン 「だらしねぇな……よし、最後にいい物を見せてやるよ。」 アリス 「?」 健吾 「?なぁに坊や?」 リーン 「坊やって言うな!あんまり年変わんねぇだろ!?」 健吾 「あっはっは!ごめんごめん、で、何さ?」 リーン 「ちょうどいいや、一人だけ場違いなあんた。こいつを投げてくれよ。上に」 健吾 「私が?もっと適役が居るでしょ?……それに何これ?」 リーン 「いいから。」 リーンが手渡した黒い塊を健吾が軽く空に放り投げると、瞬く間に色とりどりの炎が舞った。 真冬の空に輝く炎は儚くも力強い光を放つ。 エクスカリバー 「おぉぉー」 澄美 「花火とは…綺麗なものですね」 アリス 「わぁーすごい!すごい!!」 リーン 「自作の花火さ。まあ爆弾の失敗作なんだけどね。」 椿 「また危ないもん作ってやがるな…」 リーン 「空間をずらして爆破の衝撃を目標のみに与えられるように改良を重ねてるんだが中々ね。 これが成功すれば往年のアニメのようにダイナマイト腹巻で特攻することも出来るぜ?」 椿 「そんな危ないマネをお前にさせられるか」 リーン 「じゃあ椿が代わりにやってくれ」 リーンの言葉に椿は飲みすぎて青くなった顔をさらに青くして震えだした。 きっとリーンはいざとなったら本気でやるということが分かっているのだろう。 エクスカリバー 「仲が良いのう」 クリムゾンブロウ 「何だ居たのかエクスカリ婆」 ブラックパイソン 「気付かなかったぜ」 エクスカリバー 「やかましいわ。騒ぐしか能の無い下郎が」 澄美 「花火、終わってしまいましたね……エクスカリバーさん帰りますよ?」 エクスカリバー 「待ってよーみみちゃん。いいか、お主ら。二度と我の前でそんな口叩くでないぞ」 クリムゾンブロウ 「ち、口のへらねぇ婆だ……」 ブラックパイソン 「俺たちも帰るか……」 花火が終わると静寂が訪れる。 一人、また一人と家路につき、最後にはアリスだけが残る。 アリス 「皆帰っちゃった……」 時刻は既に深夜2時 あれほど賑わっていた時間が嘘のように寂しい時間が訪れた。 冬の冷えた空気にぶるりと身を震わせるとアリスは逃げるように部屋に戻った。 アリス (あれ……意外に部屋は綺麗なままね) バーバラや楽や秋太郎がこまめに片付けてくれていたのをアリスは知っていた。 おかげで自分ひとりで片付け無くて住んだことを今は感謝した。 アリス (私もなんだか眠くなって来ちゃった…) せっかくの次郎のプレゼント。 そのドレスにしわを付けてはもったいない。 そう思いながらも、眠気に抗えず瞳を閉じた。 アリス (……………ん………?) 皆が帰ってからまだそれほど時間は経っていないはず。 それなのに誰かが部屋の呼び鈴を押している。 アリス (誰かが忘れ物でも取りに来たのかな…) そう思ったアリスはのろのろと体を起こし、半分寝ぼけた頭で扉を開けた。 そこには予想していなかった人物の姿があった。 次郎さん→普通のエロ デスメタル→百合エロ
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「ねぇ、クリステル」 「どうしたの?ネリー」 「あれってやっぱりワンダーワールドだよね?」 「…そうだね」 クリステルの脳裏に、ネリー達が来る前に彼女と交わした会話が思い出される 「ワンダーワールド?」とクリステルが聞くと、彼女は「そうだよ」と短く返し 自分に一枚の鏡を託して夜の闇に紛れて消えた 「そうだよ」と答える彼女は、どこか悲しそうで、今にも泣きだしそうな、そんな顔に見えたのだ 常に強気で、勝気で、絶対者として存在していたかつての彼女からは想像もできない、そんな姿… あれは本当にワンダーワールドだったんだろうか… 「…テル!クリステルってば!」 「え、あぁ。ごめん。考え事してた」 「怪我の手当てしないと。ジーンとジニスの家にあがらせて貰お?」 「うん」 クリステルはワンダーワールドが消えたあたりを見て、一人祈った 恐らく今もまだ戦っているであろう、自分たちの姉に 恐らく今もまだ戦っているであろう、自分たちの姉に似た少女に ◆ アリス・ザ・ワンダーワールドの周りには5体のナイトメアコードが それぞれ彼女を囲む形で立ち塞がっていた 「アームズグレイブ!」 アリス・ザ・ワンダーワールドのその声に呼応するかのように ハートのトランプの真の力が解放され 大地を割り、夥しいほどの刀剣が天に向かって伸びる 4体のナイトメアコードが足元から伸びてくる刃に貫かれ 文字通り、その剣は彼らの墓となった 『油断したわね!雑魚だけじゃないのよ!ギガンテックフェザアァァーッ!』 何ものをも粉砕する時空振が周囲を粉砕する だが 「そう。それで?」 『馬鹿な…避けれるはずが…』 「鏡の国の力、ルークの技の一つ。これ自分と鏡の位置を入れ替えるの」 勉強不足だったね。とアリス・ザ・ワンダーワールドは笑う そして 「スカーフェイス」 と、これまで倒して来たナイトメアコードと同じく、その命を完全に打ち砕いた 奴ら“赤の女王達”は、死んだナンバーズを再生させれる 何度もナイトメアコードを倒したアリス・ザ・ワンダーワールドの結論がそれである ナイトメアコードの素顔は皆、データで見覚えのあるナンバーズと同じ顔だった 見覚えのない顔など一人もいない つまりナイトメアコードとは、過去に死んだナンバーズに 偽の神器を植え込み再生させているだけの模造品にすぎない その証拠に、ナイトメアコードはオリジナルのナンバーズを襲撃 殺害してその身体を回収していたようだし アリス・ザ・ワンダーワールドが戦えば戦うほど 彼女の前に立つナイトメアコードの数は日を重ねるごとに減っていった オリジナルのナンバーズ、最後の生き残りであるクリステル達を助けれて本当に良かった アリス・ザ・ワンダーワールドは心からそう思う 生まれは違えど、同じ血を引く姉妹には違いないのだから 姉妹。その言葉を脳裏で浮かべると、今はいない自分の半身が思い出されて胸がズキズキと痛む それと同時に、奴らへの怒りがその身を焦がす 「行ってくるね」 と、今はいない自分の半身、双子の姉妹に告げ アリス・ザ・ワンダーワールドは最期の戦いに向けて歩き出した そんな彼女を見守る影が二つ 「マスター。“あの子”を手伝わなくて良いのかね」 「…あれは“あの子”の戦い。私がするべき事は見守ってあげるだけ」 これは、十大聖天の戦いから2ヶ月。真・十大聖天が宣戦布告をして間もない頃 そして彼女たちの仲間が彼女たちを戦わせまいとしていた時期の出来事である 十六聖天外伝 夢と、もう一つの世界 二話
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作者 司馬遼太郎 時代 戦国時代 主人公 長宗我部盛親 ジャンル 歴史小説 書籍情報 単行本 講談社 全1巻 戦雲の夢(1961年8月20日) 単行本新装版 講談社 全1巻 戦雲の夢(1981年10月1日) 新書判 ロマン・ブックス 全1巻 戦雲の夢(1965年1月1日) 新書判 カッパ・ノベルス 全1巻 戦雲の夢(1967年1月1日) 文庫化 講談社文庫 全1巻 戦雲の夢(1984年11月1日) 新装版 講談社文庫 全1巻 新装版 戦雲の夢(2006年5月16日)
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―前回までのあらすじ 九州を強襲した暗黒躁魔17人衆に向けて ヴェノムタイガーが出撃する 彼は、圧倒的戦闘力と、類まれなる残虐性で 暗黒躁魔17人衆の一人高田とその愛機ソニックシーカーを腐食破壊させる事に成功するが そんな折、彼の身体を焼き払う一条のビーム。砲機神バルカンとその操者ダ・スィラである 相性の問題もあり、焼き払われるタイガーの身体。タイガー危うし そんな時、バルカンが動きを止めた。バルカンのコクピットの中で一人の聖天士が刀を剣に収めた 服部半蔵…。彼もまた、この地に派遣されていたのだ 「馬鹿な、バルカンが…落ちる…!?」 暗黒躁魔17人衆の兵士達の眼に信じられない光景が飛び込んでくる 砲機神バルカン…。躁魔機最大火力とうたわれるバルカンの巨体が火を噴き、崩れていくのだ 「あ、ぁ…ダ・スィラ様…!」 躁魔機の主の名を呼んだ忠実な兵士の足に何かが絡みつく 否、絡みついた時、その足はもうボロボロに腐り、崩れおちている バルカンのビームで焼かれたヴェノム・タイガーは即座に再生し、その領域を再び広げ出したのだ 「惨い…が、これも任務故、許せ」 毒の領域に飲まれる兵士の絶叫を向こうでは 音もなく兵士達が首から血を噴き出して倒れていく 卓越した忍、服部半蔵の手にかかっては、恐らく兵士達は自分に何が起こったかすら、理解していまい 「あらかた片付いたようダネ」 「無益な。敵の中枢だけを潰せばよいものを…何故このような殲滅戦を…」 「半蔵、考えてもみたマエ。彼ラは九州を占領した。武力でダヨ。ならばそれを取り除く 十六聖天の領土みたいな物だかラネ。当然じゃないカネ」 ―ほう。領土だから取り戻す、か。面白い。ならば九州は我らの領土。取り戻させて頂こう ―ソニックシーカーとバルカン。躁魔機2機と二人の優秀な操首を失った。この埋め合わせはさせて頂く 鋭く、濃密な殺気があたりに充満する その男はいつから其処にいたのであろう 禍々しい鎧に身を包んだ男は、二人の聖天士に向い名乗りをあげる 「このアレックス・F・ハープがな」 「何…?その名はまさか!」 「暗黒躁魔17人衆首席…!」 アレックスと名乗った男は“その名”を口にする そう、それこそは最強の躁魔機 『偽神・ナイトオブアルガス…!』 十六聖天外伝 ~九州戦域の章~ ナイトオブアルガス クリムゾンブロウ曰く「最近ジョギリ屋ジョーが面白ェ」 ブラックパイソン曰く「今週は特にいい。幼い身体がヘレンを失った我が心の傷を癒してくれるようだ…」
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今日は年に一度のハロウィンの日 私がクリスマスと誕生日とお正月の次くらいに好きな日です 私は、おとうさんやおかあさん、それに一部の仲間しか知らない秘密があります だから、ほとんどの人に顔を見せたことはありません だけど、今日はみんながいつもの私と同じようなかっこうをするので、少しごまかせます だから私はあえて普通の服を着ます。お菓子も貰えます。本当にいい日 「ん…?誰だ?何処かで逢ったことあるか?」 「…ううん」 「えーっと…で、何かな…」 「あ…。とりっく・あ・とりーと…」 「…?」 「オイ次郎。今日が何の日か知らんのか。ハロウィンだぜ。トリック・ア・トリートってのはお菓子をくださいって事だ」 「先輩。もう二日酔いは良いのかい?」 「あぁ。俺の家と違って何もないから逆に落ち着いて寝れるぜ、お前の家はまるで虚無の世界だ」 「あの…。とりっく・あ・とりーと…」 「よし!お菓子はないから、変わりにこの田中茂がお嬢ちゃんにコレをあげよう!」 「…なんですか?これ…」 「鎖鎌だ。大事にしてくれよ」 「…ありがとうございます」 「先輩、こんな可愛い子に鎖鎌はねェだろ…。な?」 「ぁ…!」 「チョット待ってろよ。何か探してきてやるからな」 「どうも…」 「鎖鎌、嬉しいよなぁ…?」 「…はい」 「おぉ、すまねェ。待たせちまったな。んで、だな…こんなもんしか無かった…」 「酢昆布じゃねぇか次郎。これなら鎖鎌のがマシだぜ」 「…すまねェ…。後はこんなのしか…」 「茎わかめに、梅昆布…海苔?海藻ばっかじゃねぇか次郎」 「面目ねェ…ごめんな、お嬢ちゃん」 「ううん、嬉しい。ありがとう…!」 「良い子だなぁ…」 「ありゃ鎖鎌のよく似合う美人に育つぜ。賭けてもいい」 好きな人に可愛いと言われました。頭を撫ぜてもらえました それだけで十分私は幸せなのに、お菓子まで貰えました 食べた事のないこの国独自のお菓子のようです。家で食べるのが楽しみです 鎖鎌はすごく邪魔です。重いし…正直、捨てたい 十六聖天外伝 ハロウィンの章 死霊使いと鎖鎌編 完
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作者 司馬遼太郎 時代 戦国時代 幕末維新 主人公 大村益次郎 岡田以蔵 古田重然 塙直之 所郁太郎 後藤基次他 ジャンル 歴史小説 書籍情報 文庫本 新潮文庫 短編8本全1巻 人斬り以蔵(1969年12月17日)(鬼謀の人、人斬り以蔵、割って 城を、おお 大砲、言い触らし団右衛門、大夫殿坂、美濃浪人、売ろう物語) 朗読CD 新潮CD 短編8本全1巻 人斬り以蔵(2000年4月1日)
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作者 安部龍太郎 時代 戦国時代 主人公 長谷川等伯 ジャンル 歴史小説 受賞歴 2013年 第148回直木賞 書籍情報 単行本 日本経済新聞出版社 全2巻 +日本経済新聞出版社 全2巻 ▲日本経済新聞出版社 全2巻 等伯上(2012年9月15日) 等伯下(2012年9月15日) ダイジェスト版 日本経済新聞出版社 全1巻 絵物語 長谷川等伯(2012年9月15日) 電子書籍 全2巻 +電子書籍 全2巻 ▲電子書籍 全2巻 等伯上(2013年5月31日) 等伯下(2013年5月31日)
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作者 司馬遼太郎 時代 戦国時代 主人公 徳川家康 ジャンル 歴史小説 書籍情報 単行本 新潮社 全3巻 +新潮社 全3巻 ▲新潮社 全3巻 関ヶ原上(1966年10月25日) 関ヶ原中(1966年11月1日) 関ヶ原下(1966年11月20日) 単行本新装版 新潮社 全1巻 関ヶ原(1992年12月1日) 文庫化 新潮文庫 全3巻 +新潮文庫 全3巻 ▲新潮文庫 全3巻 関ヶ原上(1974年6月24日) 関ヶ原中(1974年6月27日) 関ヶ原下(1974年7月2日) ドラマ 全3話 関ヶ原(1981年1月2日)