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アクトレーラー ブルーアース。日本。地方都市、榛原 何の特徴もない、寂れたその街に 今、7つの欠片を持つ魔人たちが集う 彼らの望みは様々ながら、目的はただ一つ 他の6人を鏖殺し、6つの欠片を奪い取る事 莫大な魔力を秘めた、その欠片が7つ揃い完成したならば ただ一度きりとはいえ、おおよそ人が望みうるすべてがかなうだろう 不老不死、死者の蘇生、過去の改竄、進化…… 必ず勝ち取る その為なら、自身の全て所か、それ以外の全てだって犠牲にしてやる そんな覚悟を決めた魔人達が、その全身全霊を以って必滅の闘争を開始する ヴァルプルギス・ナハト それは、千年に一度、ただ七日間だけの奇跡 設定 聖杯戦争。以上 もう少し付け加えると ヴァルプルギス・ナハトとは 千年に一度行われる魔術儀式がある 参加証は、莫大な魔力を秘めた特殊な黒曜石の欠片 これに導かれ、参加者は儀式の舞台に集められる 開催期間は7日間。これを過ぎ、欠片が7つそろっていなかった場合、参加者は問答無用で死ぬ 誰かが欠片を完成させると、欠片を持っていない参加者は問答無用で死ぬ 儀式の期間中に舞台の外に出ると問答無用で死ぬ 期間中は、強力な結界が敷かれ、儀式の舞台がどれだけ破壊されようが儀式期間後に全て修復される 舞台はリーフワールドレベルで毎回変わる 願いは、本当にかなう。 い ち お う 参加枠 PCは3人以上を想定 以下の枠の内、好きな枠を選んでもらって構わない 一つの枠に複数人、或いは、一人も選択していない枠があっても構わない ただし、不正規参加枠のみ0~1人となる 正規の欠片を持つ者は、通常参加枠と巻き込まれ枠のみ 後述になるが、切り札はどの枠でも取得可能 ヴァルプルギス・ナハトの舞台は世界レベルで毎回違うので 異世界人どころか、人でなくともOK 通常参加枠 皆殺しして願いをかなえるよ でも、なんか嘘くさいって疑念は抱いてるよ 参加者の関係者枠 願いなんてないよ。 or あるけど別に皆殺ししてまで叶えるようなもんじゃないよ でも、知り合いが頑張るなら手伝ってあげるよ。or でも、知り合いだから止めるよ 巻き込まれ枠 願いなんてないよ デスゲームとかふざけんなよ 不正規参加枠 不正行為で無理やり参加したよ。8人目の参加者だよ。みんなには内緒だよ こんな儀式ぶっ壊してやんよ 切り札 PCは一人一つずつ切り札を持つ 以下は、取得できる切り札の一覧である これは、欠片の力でもいいし、PC独自の力でもいい 1:シーン(選択)。ネームド以外無条件殺傷。ネームドは10D6の神ダメージ。シーン1回 2:対象自身以外の全ての対象をシーン(選択)に切り替える。シナリオ1回 3:他者の再行動時、自身も再行動する。1ラウンド持続。シナリオ1回 4:クリット7固定。クリット失敗するまで続く。2シーン1回。 5:全達成値+5。常時 6:シーン(選択)。ファンブル6固定。ファンブルを起こしたものに10D6の神ダメージ 7:シナリオ内で削られたHPの5分の1が、基礎攻撃力に+修正 PCが選択しなかったものを敵PCが取得 レギュレーション クエスターレベル30 ただし、取得できる特技は8つまで 前提条件が必要な特技は全て取得しているものとする クリット系の特技や、達成値上昇系のように 同じような特技があり効果が累積するものは 高レベルの一つを取得すると低レベルのもの全てを取得していたことにしてよい (常時クリットー1の特技が、3レベルと7レベルにあったとしたら7レベルの方を取得した段階でー2) 好きな武器一つ、好きな防具一つ、好きな一般装備一つを取得していい(計三つ) スキル制限レベル制限に引っかからなければありとあらゆる武器防具一般装備OK 経験点400点を与える レベルアップ以外なら好きに使って構わない PCはサクセサーである。2つほど好きな加護をつけて構わない 切り札>加護、という図式になっている。オーディンで切り札は消せない 最後に GMは錆 システムはアルシャードガイア というか、超高レベルのサプリがガイアしかないための措置なので セイヴァーと混ぜて使ってもよし シナリオはキャラを見てから作るのでのんびり待つがよろしい
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フォルカー・ヴァルプルギス 性別 男 年齢 27歳 外見 181㎝、全体的に逆立ち短く整えられた青紫色に染めている髪の毛と左頬にある大火傷の痕が特徴。また火傷の影響で左目の色は右に比べ薄くなっている。 性格 他人を信用しない懐疑主義者。自身にも対しても絶対の自信を持っておらず常にリスクを最大限に削れるだけ削り確実性を求める。非常に残忍冷酷でもあり手段を問わない主義でもあるが、時には手段のためなら目的は選ばない極めて自己中心的な一面も持ち合わせる。また仕事よりも自身の命が最優先する傾向があるが一度請け負ったら確実に遂行する。時間に五月蠅い律儀な部分もある。 経歴 ドイツのベルリン出身のプロのスナイパー。仕事を求めて日本の大和市に在日したときに偶々ESP能力が覚醒、その後能力を使い更に暗殺を繰り返している。現在は南区に潜伏し着々と仕事を完遂しているアウトローの殺し屋。火傷は幼少時に火災に巻き込まれたときに負傷したらしく火事を見ると疼くらしい。 武器 仕事内容によって逐一変更する。愛用品はH K PSG-1(ドイツ、ヘッケラー コッホ社製)。他にはドラグノフ狙撃銃(ロシア、エフゲニー・F・ドラグノフイズマッシュ製)、SR-25(アメリカ合衆国、 ナイツ・アーマメント製)、非常時用としてワルサーP22(ドイツ、カール・ワルサー社製)、左裾に隠しているデリンジャーを所持している。 能力 物体を「誘導」する事が出来る能力。主にこれは銃弾を標的に射程外、それも完全な軌道から即死する箇所に撃ち込むことに使用する。ただし完全に死角から撃ち込むにしても何カ所かを有り得ない軌道を描いて進ませなくては行けないため本人は地形を完全に把握しておくしておく必要がある。しかもその時の体調と天候に左右されほんの少しだけ逸れることもある。また誘導可能な距離は誘導対象の銃弾のサイズや速度なども関わってくるが誘導可能範囲ならば極端な話ミサイルでも運ぶことが可能。ただし本人は負担が極端に脳に掛かることや入手の難しさ、人目に付きすぎることなどを理由に実際には使っていない。
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ワルプルガ キリスト教の聖女。 ドイツで8世紀ごろに活躍した。 5/1が記念日。
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←その1 ほむら「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 まどまど「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 ほむほむ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 仔ほむ3「・・・・・ホミュゥ・・・・・・ミャドカァ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」・・・・・・・・ネェ・・・・ミャドパンッテニャニ・・・・・・・・? ほむら「あら、この糞虫まどパン知らないの?やっぱ殺した方が良かったかしら」ガチャリ・・・ ほむほむ「ホビャァッツ!!!!!!!ホビャッ!!ホビャッ!!ホビャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」シッテマス!!シッテマス!! まどまど「マギョォォォッ!!!!!!!マギョッ!!マギョォッ!!!マギョォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」コドモタチニハオシエマスカラ!!!!!!!!! ほむら「あらそう良かった。別に貴方達に無理難題を押し付けて虐めようとそういうのじゃないのよ。 共にミッションを行うと決まった以上最大限協力するわ。 作戦もちゃんと用意する。番、貴方達はそれに沿って行動するだけよ。」 ほむまど「ホムゥッ!!!!」「マドォッ!!!!」コクコクコク!!!! ヤルキマンマン!! ほむら「気合十分じゃない。頼もしいわ。 じゃあ作戦を言うわね。まずはターゲット。 まどパンと言っても、どれも一緒ではないわ。私達が狙うのは、今日の午後7時25分にまどかが脱ぎ脱ぎして、洗濯籠に放り込まれるまどパンよ。 このまどパンは3日前のスーパセル(ワルプルギス来襲)で、市民体育館に避難していた鹿目一家が嵐が収まった後、家に帰って、ライフラインも復旧してまどかが 「あー怖かった。ティヒヒ♪安心したら今月の女の子の日がちょっと早くきちゃったよティヒヒ♪ガスも水道も復旧してお風呂も久しぶりティヒヒ♪ティヒヒヒヒ♪」 とか言いながら、あ、そうそう。まどかはああ見えて既に初潮が始まってるのよ。 ちなみにまどかの初潮が来たのは中学入学直前の春休みよ。 びっくりしたまどかはママに相談しようとしたけど仕事でいない。パパには恥ずかしくて言えなくて、顔を真っ赤にして美樹さやかの家まで行ったのよ。 で、美樹さやかと美樹さやかの母親に面倒を見てもらって、お赤飯をご馳走になって黙って家に帰ったの。 それを夜家に帰ってきたママに「お願い!パパには内緒にしておいて///」って話すのだけど、まどかが寝た後、パパとママはその事を喜んで乾杯したの。 この事からわかるとおりこのまどパンにはまどかのいろいろな成分がバランス良く濃縮されているわ。 その栄養バランスはまどかが履いているまどパンを目の前で脱ぎ脱ぎして手渡ししてくれるまどパンに匹敵するのよ。 え?スーパセルから三日間履きっぱなしだったのか?ですって?殺すわよ? 水が出なくて洗濯出来なくてもまどかは毎日まどパンを交換しているわ。当たり前じゃない。マジ殺すわよ? でも、お風呂には3日間ちゃんと入れてないわ。まどかの家は断水区域に含まれてしまったからね。 それと、そういう、なんと言うか私が僕が考えた最強設定みたい妄想はおやめなさい。そういうのを世間一般では中二病と呼ぶのよ。 3日間お風呂に入らず履きっぱなしのまどパン。そんなものチートよ。あるわけないじゃない。 夢見がちな事は言うもんじゃないわよ。もっと現実的で神々しく事実上最強のまどパン。 3日お風呂に入れなかった+安心したら女の子の日が早くティヒヒ♪成分が程よくブレンドされた、この薄ピンク色まどパン。 これを、まどかがお風呂に入っている時を狙ってゲットするのよ。外から脱衣所に入るルートはこの換気扇。ほむまど達なら楽勝よ。 え?寝静まった深夜を狙えばより安全だろって?何処まで貴方は愚かなの? 更にまさか、深夜までにパパが洗濯したらどうするんだって言うのが理由とか思ってないかしら? 救えない。本当に救えないわ。パパが洗濯をするのは次の日の午前中よ。例外はないわ。私の統計と几帳面なパパの正確から計算すると間違いなの。 じゃあ何でかですって?あなた義務教育受けているのかしら?鮮度よ鮮度! 最高の状態を保持するには脱ぎ脱ぎ後90分。たったこれだけしか時間がないの。 3日お風呂に入れなかった+安心したらティヒヒ!+ぬぎぬぎ後90分以内に真空パック。 この3つの条件を全てクリアして、ようやくその場で脱ぎ脱ぎ手渡しまどパンと同等と言えるのよ。 遊んでるんじゃないのよ?真面目にやってほしいわ。7時25分に脱ぎ脱ぎするのが解るのは、これもパパの几帳面な性格と統計からの逆算よ。 この計算からいくと、7時20分に「まどかーお風呂が沸いたからご飯の前に入りなさい。」「はーいパパァ」で、7時25分に「ティヒヒ♪安心したら~」ヌギヌギ・・・となるの。 その時すでに貴方達は換気口の中に潜んでいなきゃいけないの。スピードが肝心よ。 貴方達をまどホーム近くまで連れて言ったら私はここに戻ってきて、貴方達の帰りを待つわ。 貴方達はまどパンをもって8時30分までには何があっても戻ってきなさい。 え?何よ?!時間停止でてめえで取って来い?そんなもんとっくに使い果たしたわよカス!! 以上。これが作戦よ。理解したかしら?」 ほむほむ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 まどまど「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 仔ほむまどs「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・ホミィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」・・・・・・・・・ネェ・・・・コノヒトニャニイッテルノ?・・・・・・・ボソ・・・・・・・ ほむら「あらこの糞虫ったら理解できなかったの?やっぱ殺したほうが良かったかしら」ガチャリ・・・ ほむほむ「ホビャァッツ!!!!!!!ホビャッ!!ホビャッ!!ホビャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」リカイシテマス!!リカイシテマス!! まどまど「マギョォォォッ!!!!!!!マギョッ!!マギョォッ!!!マギョォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」コドモタチニハオシエマスカラ!!!!!!!!! ほむら「あらそう良かった。それとね。もし失敗して手ぶらだったり、8時30分まで戻って来れなかったら・・・・・」 ズドンッ!!!!!!! ガッシャーン!!!!!!!!!!!!!!! ほむまどs「ホビャアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」「マギョォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「ミャ・・・・・ミ、ミャ・・・・」「ミ・・・・・・ミ・・・・・・」ガクガクブルブル ジョワワワワワワワワワー ほむら「仔供達はあの花瓶と同じ運命よ。番、貴方達もね・・・・。わかったかしら?」 ほむほむ「ホ、ホーー・・・・・ホホ・・・・・・・」コクコク ガクブル ジョワワワワワワワワワー まどまど「マデェヨ・・・・・・・・・・・マ・・・・・・・・・・」ガクブル コクコク ジョワワワワワワワワワー 仔ほむまどs「ミ・・・・・・・・・・・・・・・・」「ホ・・・・・・・・・ホミャ・・・・・・・・・・・・」コシヌケ ジョワワワワワワワワワー ほむら「何よ仔供達。腰を抜かして呆けてる暇があると思っているの?貴方達は元通り綺麗になるまで台所の掃除よ。しないの?なら・・・・・・」ガチャリ・・・・・・・ 仔ほむまどs「ホミギィゥァワァァアアアアァアアァァ!!!!!!!!!!!!!!!」「ミョドォォォォォォーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ヤリマチュヤリマチュ!!! フキフキハキハキ!! ほむら「全く頭数ばっかり多くて本当にグズね・・・・。さぁ番!貴方達は行くわよ。仔供達の為に気合を入れ直しなさい。」 ほむほむ「ホムゥ・・・・・・ホンムゥ・・・・ホム、ホムゥ!!ホムホム!!!!!」コドモタチ・・・・ ガンバルヨ!!! まどまど「マドォ・・・・・マドドォ・・・・マギョ!!マドドドドド!!!!!!!!!」コドモチャン・・・・ セイコウサセル!!! 仔ほむまどs 「ホミュ・・・・」「ミャドォ・・・・」「ミィ・・・・」 「ホミャ・・・・」「ミャ・・・・・」オカアサンタチ・・・・ ポロポロ・・・・ フキフキハキハキ・・・・ 進まねば死。だが続く道の先には、全てのほむまど達が夢見る飼いほむまどライフ。家族の幸せの為、やるしか無い!!絶対に成功させる!!番はお互い見つめ合い頷いた。 ほむほむとまどまど、どちらの眼も今までに無いほどに決意に溢れていた。午後6時30分、番はほらに連れられまどホームへ向かう。ミッション開始だ!!! ほむらの説明が長い!脱線しすぎ!安定の変態が!!と、お思いの方が多いだろう。もう一度お浚いする事にする。 まず、鹿目家の生活サイクルはほむらのリサーチにより把握されている。 知久がまどかにお風呂に入るように言うのが7時20分だ。 で、まどかが「あー怖ティヒヒ♪安心女の子の日~」とか言いながら、ターゲットのまどパンを脱いで、脱衣所の洗濯籠にまどパンを放り込むのが7時25分。 ほむまどは7時丁度に外の排気口からまどホーム内に潜入。ダクトを伝って脱衣所上の換気口上に7時25分まで待機。 まどかがバスルームに移動したらターゲットを捕捉し、また換気口から脱出。 8時30分までにほむホームに帰還すれば、ミッションクリアだ。 →その3
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Copyright © 2009 Frontier Works Inc./All Way Co.,Ltd. All rights reserved. 人名辞典/ま 聖少女
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再度、ヤードー 回復魔法とチャクラで目に付くような傷はふさいだものの、 ひとりで四連戦を切り抜けたラムザの消耗は激しかった。 「ラムザ、水は飲む?」 濡らしたタオルの下からラムザが上目遣いで「ほしい」と目で言う。 アグリアスは助け起こしながら口元に水を近づけて飲ませる。 「起きられるなら少し食べましょうか?」 亜麻色の頭がゆっくり縦に揺れる。 ほうほうの体でリオファネス城を脱出した一行はライオネルにルカヴィが顕現したとき同様、 「リオファネス城の怪異」がおさまるまでの間ヤードー滞在を余儀なくされた。 一度は死んだはずのマラークが案外と元気で、 侘びの意味も込めてかいがいしく一行の面倒を見て回っていた。 重傷をおったラムザには回復魔法やチャクラの相性がよいアグリアスがつききりとなり、 たまにムスタディオが汗だくの身体を拭いたり着替えを手伝う。 さいわいなことに食欲はあった。 食事の世話くらいさせてくれとのマラークの申し出はラムザが断った。 アグリアスが粥を食べさせようとしたところ、むっつりとして口を開こうとしない。 「アグリアスさんは僕を無謀だとよく言いますが」 グローグの丘での傷はいまやあとかたもないが、更なる傷が上書きされたその手がアグリアスの短くなった髪に触れる。 「貴女のほうこそ、自分がどれだけ危うい目にあっているのかも気にしないでいる」 レディと呼ばれた人外のものは確かにナイフのような刃物を手にしていたが、 音もなく断ち切られた髪の先端はふわりと柔らかく頼りない感触だった。 「せっかく長くて綺麗な髪の毛だったのに」 ラムザの指先がそれをもてあそぶ。 「僕はあいつに嫉妬しているんです。堂々とねだったら髪の毛をもらえたし。 あとはもう誰にもやりたくない」 アグリアスは髪からのろのろとカチューシャをはずす。 裏に小さく、「わたしの可愛いセリアのために」と刻まれている。 あの人外のものたちはどこか、ヤードーのセリア姉妹の面影が、あったかもしれない。なかったかもしれない。 異様な事態から生き残るだけで精一杯だったアグリアスは、彼女達の髪や瞳の色など思い出すことも叶わなかった。 カチューシャを外して肩までの長さになってしまった髪を下ろせば照れて火照った顔が隠せて丁度良かった。 「ラファから聞いたんだけど、セリアちゃん、だったっけ。 まだ居るかもしれないし折角だから会いに行ってはどうですか」 まだいくらか遠慮ののこるマラークが、先程からアグリアスとの間にぎこちない空気が漂うラムザの世話を申し出てきた。 肩までの髪を揺らしながら歩く。 夕暮れ時、アグリアスの透き通る金髪があかがね色に染まる。 つたの絡まる食堂の裏手、濃密な香りを漂わせる花々を押しのけて小さな木戸を探す。 ない。 再度、スイカズラのなかに埋もれながら手で外壁をたどる。 どこまでもなめらかな漆喰の壁が続く。あの木戸はどこにもなかった。壁の色合いはつい最近塗り込められたものではなかった。 表の食堂にまわり扉をあければそこは、一仕事終えた職人達が大声で呑み、歌い、活気にあふれている。 「へい、らっしゃい!お嬢さんひとりかい?!」 ひょろりと背丈ばかりがありあまる、顔の部品で耳が妙に大きい中年の男が景気良くジョッキを配って回る。 これまたひょろりとして耳が大きい娘と青年が、酔客に負けじと元気な声で注文を復唱し、父親の仕事を手伝っている。 店の壁には見覚えのある時計がかけられ、時を告げてからくりが動き出す。 古い流行歌にあわせて、赤ら顔で固太りのアコーディオン弾きとぽっちゃりした女房、 しっぽの先がくにゃりと曲がった白いネコ、金色の瞳のネコの人形がくるりくるりと回る。 褐色の肌の少女がそのちいさな手にのせた人形ではないかたちで、どこかで見たことのある面々が。 辻占いのたぐいなど山師も同様、いつもならば気にも留めないはずだったがその日、 ふらふらと吸い寄せられるように卓についていた。 以前入ったときよりもずいぶん広く感じる食堂、奥まった場所に女の占い師がおさまっていた。 ところどころ歯が抜け落ちた口でニィ、と笑ってアグリアスを手招きする。50絡みの痩せぎすな女だった。 毒々しい真っ赤な色に髪を染めている。 耳が飛び出したように大きい親子と職人達の喧騒をさして気にせず、 骨ばった指は手際よくカードを切りまぜ、並べていく。 何を占ってほしいのかもいわないまま座り込んだ客が勝手に話し出すのを待ち、カードを読み解く糸口が現れるのを淡々と待つ。 「ここの店は、いつからこの御主人なんですか」 「そうさね、アタシはこの店だとアンタくらいの娘のころからの馴染みさ。 おふくろさんが隠居した後はあいつが倅と娘連れて戻ってきてやってるから、かれこれ14、5年くらいかね」 「ここの裏口から入れる部屋を誰かに貸していたりはしませんでしたか」 「裏口?ああ、裏口ね」 ありもしない裏口を話題にしたアグリアスを、おかしな娘だと決めてかかるような聞き返し方ではなかった。 「裏口はふさいで表の店の部分を広げたからもうないわな。 ほれ、ここ、このあたりは丁度、その裏口から入れた部分だった。何年か前に総ざらいしちまって壁ぶちぬいたからね」 いつから切っていないのかもわからないくらい長いツメが卓をつつく。 「あんときゃアタシもおこぼれにあずかってさ、面白いものを沢山貰ったよ。 インチキ臭い錬金術の本やら古代の失われた魔法書やらがわんさか出てきたさ。 なんでも、魔力で動く機械仕掛けの人間だとか、魔のものの力を借りて死人を再生するだとか。 ウソっぱちだとわかってても面白かったね」 シューシューと歯の隙間から酒臭い息を吐きながら赤く染めた魔女の指がカードを並べてゆく。 「ああ、お嬢さんの恋愛運は申し分ないね。いい人がもういるんじゃないかね。それと、尋ね人はもう少ししたら会えるかもしらん」 思ったようなかたちでの再会ではないかもしらんがね、と、魔女はツメの先でカードをひっくり返す。 その4へ
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ヤードー アグリアスお姉ちゃん、「こい」って、したことある? ブロンドというには赤みの強い髪の少女は興味津々、 小首をかしげてアグリアスの顔を覗き込む。 10歳。 大体の意味をわかりながらおませな言動をしかける少女は、 あまり見かけない不思議な金色の瞳をクルクル輝かせる。 アグリアスに甘えて飛びつき、あかがね色の髪が揺れる。 少女とは年の離れた妹がよくわからない顔をしてふたりを見比べる。 「お姉ちゃんみたいな美人は『ひくてあまた』だって八百屋のおじさんが言うの」 少女のおませな言動には冷や汗をかかされることも多いが これが彼女の本来の姿なのかもしれない。 アグリアスは苦笑しながらかつて憧れた人の話、その背に憧れるだけだった話を少しだけした。 「そうじゃないの!いまいるお姉ちゃんのコイビトの話をして!」 リオファネス 夏の陽が遅い時間におちてゆく。 真白い服をまとった褐色の肌の兄妹は血のあたたかさに染まる。 日没と共に急速に冷えてゆく。 「兄さん・・・兄さん・・・」 「ラファ、そこにいちゃダメだ・・・逃げろ…・・・・・・・」 がたがた震える自分の体と動かない兄の体を寄り添わせたラファの目が宙を泳ぐ。 返事をしない冷たい兄、他人の命は何度も奪ってきた。だけど。 そして、人ならざるものたちが軽々と養父を投げ捨てた異様な光景。少女の心身が凍る。 「助けないと・・・」 亜麻色の髪の「異端者」は剣を杖代わりに必死になって身を起こそうとする。 あえなくくずおれる。連戦で負ったいくつもの深手が生命を削りかけている。 透き通った金髪の女性騎士が彼の脇腹の傷に手を添え、チャクラを流し込む。 「バカ者!そんななりで剣をとるな!お前は休め!」 「でも・・・」 とび色の髪の青年が間に入る。 「魔力はまだあるみたいだし、ラムザは後方支援させるか」 血に染む兄妹を前に放心していた白濁気味のブロンドの娘が強く頭を振って立ち上がる。 ラムザの剣を取り上げる。 「わたしもラッドに賛成。わたしが前衛やるから」 「ラヴィアン、大丈夫・・・?しばらく後方ばっかりだったし・・・」 「ほかに誰もいないよ?アリシアは前衛向きじゃないし」 「ごめんなさい、あんまり魔力ももたないかも」 魔導士のローブから栗色の髪を一筋のぞかせる娘が済まなそうに目を伏せる。 「わり、アグねえ、オレも集中力の限界だ。よろしく頼むわ」 つなぎ姿の青年は枯れ草色の頭を壁にもたせかける。 「分かった。ラッド、ラヴィアンが前衛、私は中距離から支援、ラムザはムスタディオ、アリシアと回復魔法を頼む!」 夕日に燦然ときらめく黄金の髪をみつめ、 女の皮をかぶった人外のものの一方がが舌なめずりする。 「キレイね。ふふ、あの髪、欲 し い な」 グローグからヤードーへ グローグの丘を抜けた一行は満身創痍だった。 異端者の烙印を押されようが、どこまでもお人よしなラムザの本質はなにもかわらない。 南天騎士団の脱走兵たちとの交戦は、 これ以上無駄な血を流したくないからと必死になって説得していた。 いつも以上に。 首を狙われ、銃の照準を定められ、それでもけっして自分から攻撃を加えようともせず、 自分よりもいくぶん幼さが残る見習い戦士たちに命がけで呼びかけた。 習ったことを忠実になぞろうとしたあげくにその渾身の攻撃をあっさりいなされ、 追い詰められた、と思い込んだ見習い兵の少年たちは聞く耳をもたなかった。 「お前ら殺して家にかえるんだあ!」 ひとりの少年が血走った目で持ちなれない銃をふりまわした。 「ああああ!」 「バカ!やめろ!兆弾するぞ!」 銃の扱いに慣れたムスタディオが絶叫するが少年はもはや言葉を解さない。 狭い場所で闇雲に放たれた弾丸は彼の敵ではなく朋友たちを貫く。 「もうよせ!」 銃を奪おうとラムザは少年に飛びつく。 「うああああああ!」 「・・・・・ッ!」 「ラムザ!」 「やばい、暴発だ!ラムザ離れろ・・・」 耳をつんざく轟音と同時に肉の焦げる、 彼らにはもはやおなじみとなった臭いがたちのぼってゆく。 少年の頭部とラムザの両の掌から。 ヤードー 自分の初恋は11歳だったから少女をませていると怒ることもできない。 ただの憧れというよりなかったけれど。 オークス家とは遠縁にあたる26歳の青年だった。 自分のような子供にも真摯に接してくれ、使用人たちにすら思いやりを忘れない。 そんな温かみのある人だった。 一見気弱そうなその人は、ひとたび剣を握れば誰にも負けない腕前で、 五十年戦争の末期、ただ友のため部下のため懸命に戦場を駆け抜けた。 最期もあの人らしかった。 初陣の少年を庇った、とだけ葬儀の場で知ることができた。 どこまでも高い冬の空を見上げながらわあわあ泣いた。 彼の妻は泣かなかった。 彼が残したおなかの子を立派に育てると一言高らかに宣言した彼女は美しかった。 以後は彼女がアグリアスの目標になった。 「んもう!それじゃあまるで、憧れのお姉さんの話になっちゃってるじゃない。 好きな人がいた話じゃなくってコイビトの話をしてよ!」 「あなたがもう少し大人になったらね」 学者だという少女の祖母が何年もかけて収集した古書を、蔵書目録と引き比べながら丁寧に荷造りする。 一般教養として古代語をある程度読みこなせるアグリアスにはうってつけの仕事だ。 それというのも彼女の金銭感覚が疎いから、一般の儲け話に不向きだからめぐってきた話だからとは なんとも奇妙なめぐり合わせもあるものだとひとりごちる。 ここのところ軍資金に不足しがちな一行にとっては願ってもない働き口だった。 「ダメ!いますぐ!」 学者の命ともいえるような内容のものはそこになく、奇想天外でいんちきくさい内容のものばかりが並ぶ。 ムスタディオが見たら喜びそうな失われた多色印刷の技法もあざやかに、 かつてイヴァリースで隆盛したといううさんくさい錬金術の技法をつらつらと解説している。 科学と魔法の架け橋となるものだったらしいがその技法は科学技術もろとも失われたという。 「ほら、いい子だから、お仕事の邪魔をしないで」 「悪い子でいいもん!」 なぜかむきになった少女は箱から乱暴に本をつかみ、投げ出してゆく。 「やめなさい!おばあさまの大事な御本でしょう?!」 貴重な古書が蝶々のかたちにひらめいては無様な格好で床に落ちる。 「いいもんおばあちゃんなんかだいっきらい!」 「やっていいことと悪いことがあるでしょう!」 「せっかく友達ができたらいつもなんだもん!またお引越しなんてもういや!」 やめさせようと手首をつかんだときにはあらかた古書はひっくり返されていた。 「ホラ見て!ぜんぶ初めからやりなおし!」 「いいかげんになさい!」 「だってこのおしごとが終わったら、アグリアスお姉ちゃん、 旅にもどっちゃうんでしょ?もう会えないかもしれないでしょ?」 「そうね。だけど今の旅ももしかしたら、あと何年もしないで終わるかもしれないわ」 ぽつりと本音をこぼした少女を抱きしめ、金色の瞳を覗き込む。 「なら約束しない?そうね、五年。 あと五年してあなたが素敵なレディになれたらそのときまた会いましょう。 この町で、あなたのお誕生日を祝うの。ね、どうかしら?」 「うん、そうする・・・」 でもね、おばあちゃんがいうの。もう逃げているのも限界だって。 お前たちは連れ戻されてしまうだろうって。 少女のつぶやきは古書特有の黴臭い空気に静かに飲み込まれ、 アグリアスの耳には届かない。 リオファネス 「このお!」 女たちに渾身で打ちかかったラッドとラヴィアンはあっさりと手の甲で受け止められる。 踊り子装束に身を包んだしなやかなその体で想像できるようないなす動きではなく、力押しで攻撃を捌かれる。 パーティで一番体格がいい彼が競り負けている。 「ハ、なんつうバカ力だよ・・・」 「ラッド!」 肘をねじられたラッドは剣を落とす。 黒い踊り子衣装の女がそのおとがいをとらえ、両の目を熱っぽく見つめる。 「目を閉じろ!チャームだ!」 アグリアスの言うまま目を閉じたラッドが突き飛ばされる。 「クソ!」 銀髪鬼の髪が暮れなずむ空と同じ色調で変化してゆく。 異形の女たちふたりに任せてあるじのエルムドアは悠然とたたずむ。 「森羅万象の生命を宿すものたち 命分かち、共に在らん! リジェネ! 」 背中をしたたかに打ちつけたラッドに魔法の加護が加わる。 「よかった、間に合ったね・・・」 「何やってんだこのスットコドッコイのお人よしは!お前の回復が先だろうが!」 「ははは・・・。アリシア、頼むよ・・・」 しょうがないな、とため息をついたままアリシアの詠唱が完了する。 「水晶に砕けた陽光のすべてをその薄羽に捧げる… フェアリー! 」 「まったく!うちのぼっちゃまどもきたら情けない!!」 屋根の上ではひとり小柄なラヴィアンが女の姿をしたものを相手に切り結んでいる。 力押しはあきらめ、関節と腱に狙いを定めた剣が夕焼けに赤く染まる。 文句を垂れるだけの余裕があるうちに援護しなくては。 ジャンプの不得手なアグリアスは横目で彼らの無事を確認しつつ、攻撃をしかける。 「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん! 無双稲妻突き! 」 「くッ・・・・・・」 黒い服を着たほうが聖剣の光に飲み込まれる。 「あらっ、意外にできるのね!」 ピンク色のほうが感嘆しながらラヴィアンの背後にまわる。 攻撃はせず、肩の下くらいで揺れるその髪をひとすじ掬い上げる。 「んー、一応はブロンドの範疇、かしら?でもね、欲しいのはあっち!」 「何をゴチャゴチャ・・・あ!!」 頭をつかまれたラヴィアンがそのまま放り投げられる。 ヘアピンで留めていたシーフの帽子をくっつけたまま宙に舞う。 「―――――――ッ!!」 必死になって手を伸ばした先のガーゴイル像と雨樋が、黒装束の両肘から下をぼろぼろに切り刻む。 「ラヴィアン!」 ラムザが新たに詠唱していたリジェネの光が動かなくなった体を包む。 「やべえ、おっこっちまう!」 雨樋が割れる。かろうじてアグリアスがローブの襟首をひっつかむ。 「な、に・・・・・・」 援護に向かおうとしたラッドは首筋に奇怪な感触を覚える。一撃で倒れる。 「ラッド!」 黒い服のほうだ。 「間に合うか?!」 ラヴィアンを助け起こし、ラッドのもとへ。 首筋に奇妙な感触を覚える。全身の神経をからめ取られたように動けない。 「ふふふふ、近くで見るともっとキレイな髪ね」 ピンクの衣装のほうがいつの間にかアグリアスの真横から耳打ちする。 アグリアスのお下げを持ち上げ、指を這わせた。 「ねえっ、キレイな金髪の騎士さん、取引しないこと?」 「取引?」 「そ、取引」 「レディ、何をしているの?!」 黒い衣装のほうが、顔をこわばらせる。 「んもう、姉さんは黙っててよ!」 「アグリアスさんに何をするんだ!」 傷を完全に塞いでいないラムザがよろけながらアグリアスに迫るほうを睨みつける。 「あらあら嫌な言い方ね。ただちょっと彼女とお話してるだけよ。それに、損はないと思うけれど?」 捕まれているのは髪だけのはずなのに。 異形のものの気配がアグリアスの足を麻痺させる。 先の戦闘で足をくじいたままなのも糸を引いている。アグリアスも無理を重ねていた。 「ほらぁ、お仲間はもう全員ボロボロじゃない?今日は顔見せに来ただけなのよ、私達。 ねっ、それはそうと、この髪、頂戴?」 「髪・・・・・・?」 「そう、この髪、透き通っててとってもキレイだもの、欲しくなっちゃった。 ね、頂戴?」 「アグリアスさんに触れるな!」 「んもう、うるさい坊やねえ。もっと話がわかりそうなのはいないの?」 「レディ!もうやめて!」 「ねぇっ、そこのお嬢さん」 ざん、と奇妙な音ともにレディが兄の亡骸に取りすがっていたラファの前に現れる。 屋根を駆け上る姿は誰も目にしなかった。 「今ここでお兄さんとおなじようになっちゃいたい?」 「あ、あ、あ・・・・・・」 「ね、なっちゃいたい?」 「やめろ!分かった!私のことは好きにしろ、だからその子には手をだすな!」 その言葉を待ってましたとばかりにレディは身を翻し、再びアグリアスの背に姿を現す。 喜色満面でお下げを持ち上げる。 「それじゃ、頂戴ね」 音も無くレディの腕がしなったかと思うと次の瞬間にはその手にお下げ髪がぶら下がる。 「アグリアスさん!」 「ああもう何度もうるさいわねえ、もう何にもしないわよぉ。これが欲しかっただけだから!」 子供っぽく頬を膨らせたレディに、アリシアが詠唱を完成させる。 「陽光閉ざす冷気に、大気は刃となり骸に刻まん! クリュプス!」 「きゃあ!もう、乱暴ねえ!」 ケロッとした顔ながら、いくぶんよろける。 「こっちだって痛い思いしてラーニングしたんだから!ちょっとは喰らってくれなきゃ困るのよ!」 「もう!」 あかんべをしたレディはセリア、エルムドアと合流する。 「…なるほど、キュクレインやベリアスがやられるわけだ…。 セリア、レディ、今夜は引き上げるぞ!」 「じゃあねッ」 レディがうれしそうに戦利品を掲げてみせる。 「異端者ラムザよ、我が聖石が欲しくば、ランベリー城へ来るがいい!待っているぞ…!」 三人の姿が掻き消えたかと思いきや、アグリアスはもう一度背に異形の気配を察知する。 「!」 悲しげな表情の黒衣の女が、セリアと呼ばれたほうがアグリアスの短くなった髪に触れる。 「ごめんなさい、アグリアス、あの子は何も覚えていないの・・・」 疑問を問いかけられる前にセリアの姿も冬の夜空に消える。 軽くなってしまった頭に何かを感じてアグリアスがそっとふれてみると、 セリアの身に着けていたカチューシャがあった。 グローグからヤードーへ 「やばい!オレ右、アグねえ左な!!」 誰もが異様な事態に茫然としているなか、一人ムスタディオが冷静だった。 左手で皮袋の中身をぶちまけながら、右手に掴んだエクスポーションの蓋を歯でこじ開ける。 「手ぇ貸せラムザッ」 薬を注いだ皮袋にラムザの右手を押し込める。 われに返ったアグリアスも遅れて同じことを左手に施す。 「チャクラ頼むな!」 言われたとおりにアグリアスはラムザに寄り添い、ふたりの身体をめぐるチャクラを解放する。 表情をこわばらせたままだったラムザがようやく己の身に起こったことを理解しはじめる。 「ありがとう・・・」 「まだ安心するな!ラヴィアン、ラッド、そのへんこいつの指落ちてないか見てくれ!」 死体を見ても動じることが少ないふたりが、あわてて少年の体をひっくり返す。 「あ・・・指、ゆび、だね・・・大丈夫。両方とも五本ずつ感覚があるよ・・・・・・」 いまさらながらラムザの顔にどっと脂汗が噴出す。 「それ、当分そのままにしとけよ。皮膚と肉がちゃんと再生するまで、魔法も併用してるし結構早く取れるだろうけどな」 ラムザの両手は、回復薬をしみ込ませたガーゼを何重にも載せたあげく包帯で厳重に巻かれている。 「うん、心配かけてごめん」 傍らではアグリアス、アリシアがひたすら回復魔法に集中している。ラムザ自身も詠唱を繰り返す。 ヤードーに入りすがら出会った異邦人の少女、ラファは隣の部屋でずっと寝込んだままでいる。 出会いがしらに助けをもとめられ、おもにアグリアスやラッドたちが追っ手からかばって助けた。 リオファネスからの逃避行や兄との断絶で心身ともに疲れがたまっていたらしく、 風呂と食事のとき以外はほとんど眠りこけている。 一行の中心であるラムザも重傷をおっているいま、休息を必要とする者は休めるだけ休んでおけばよい、と、 ラッドの判断でずっとそのままにさせてある。 「ゴーグじゃたまーにだけどあることだからな、慣れててよかったよ。 まさかオレの暮らしの知恵がこういうときに役立つとはな。ラッドやアグねえ差し置いてさ」 人なつこい笑みをみせるムスタディオは手元の紙に両手の機能回復訓練の方法を書き出していく。 「焦るのは仕方ないけどこれだけは言わせてくれ。焦って手の筋肉や神経がおじゃんになってからじゃ遅いんだからな。 オレの知ってる機工士でバルクさんって人がいたんだけどさ、その人も仕事中に両手がメチャクチャになったんだ。 で、焦ってムリに動かした結果がな。普通に暮らす分にはいいんだけど自慢の器用な細工は二度とできなくなっちゃったんだよ」 機工士として満足な仕事ができなくなった、ゴーグを去ってしまった男を偲び、いつも陽気なムスタディオがそれきり黙る。 ラムザが銃の暴発に巻き込まれた直後、なにもできなかったアグリアスも黙りこくる。 「あの、ちょっといい?いつものことだけど、あんまり大人数で長逗留していたら人目につきやすいでしょ? そろそろラッドかラヴィアンが酒場で何か儲け話を受けてくるかもしれないから、私もしばらくは」 「そうだな。行っといで。回復はアグねえがやるし、コイツの世話はオレがするからさ」 ふたたび人懐こい笑みをみせたムスタディオが、任せておけ、と請け負う。 「いいのか?私ひとりでラムザの身の回りはどうにかできそうなものだが」 ようやく回復魔法の詠唱以外のことを口にしたアグリアスの耳元にムスタディオが素早く何事か囁く。 頬を染めたアグリアスは再度だんまりを決め込んでしまう。 「ムスタディオ、何言ったのさ?」 「風呂のかわりに身体をふいてやる必要もあるだろ、いまのお前」 その2へ
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ヤードー、数日のち アグリアスの献身もあってほどなく両の手の傷跡までが消えてきたラムザは、 ムスタディオとつきっきりで剣を握れるようになるまでの、手指の機能を回復させる訓練を続けている。 ラムザが単調な作業を黙々とこなすおかげでその回復は目覚しかった。 ラファの心身の疲れや塞ぎの虫もいくらか良くなり、リオファネス城の見取り図を描くと申し出てそれを仕上げている。 ただ、大量に回復薬を消費したこと、大怪我をしたラムザを受け入れてくれた宿への口止め料、 破損した装備品の新調などで彼らの懐具合は少々心もとない状況だった。 教会に名前を公表されていないラッド、アリシア、ラヴィアン達が儲け話から戻るまでの間をつなげるかどうか、 流れ者の暮らしに相応な金銭感覚に恵まれないアグリアスですら危機意識を抱きかけていた。 ラムザには適当に休みを入れることを約束させ、いまだに慣れない庶民相手の酒場まで恐る恐るひとり足を運ぶ。 武家の娘でもなり手が限られる女騎士の服装はどうあっても目立ってしまうので、 地味ながらも清楚なブラウスとスカートを日頃から用意してある。 「あのなー、アグねえ。はじめに言っとくけどあんたに向いてる仕事なんてないと思うぜ?」 ムスタディオはわざわざ例を挙げてもみせた。 モンスター退治や護衛などの剣をふるっていればいいようなものでも、使い手の特定される聖剣技を使えばそれだけで足がつく。 かといって秘境探検やサルベージのような一種独特のカンが求められるものには向き不向きもある。 こういったことにやたらと鼻のきくラッドなど、 食うに困らぬ貴族の出のうえ質実剛健な武家育ちのラムザやアグリアスには一生克服できない性質のものとまで断言している。 傭兵くずれや何でも屋風情を想定して頼まれるお使いの類では、貴族としては申し分ない品のある立ち居振る舞いが邪魔になる。 どうあっても高貴な佇まいが隠しきれない女騎士は、日没を待たずにふざけて脱ぎだす酔客らのどんちゃん騒ぎにすっかりあてられてしまった。 酒には手をつけず、料理をいくつか腹に収めるのがせいいっぱいだった。 これまでの旅路、ラムザ達がそれとなく自分の苦手とするような空気から遠ざけていてくれたことに今さらながら気付く。 頭痛をこらえながらふらりと酒場をあとにしてもまだ、夕暮れ時だった。 アグリアスの白い頬や透き通る金髪すらすべて朱に染めるような。 ふと、酒場のはす向かいに鬘屋を見つける。 ショーウィンドウにはいくつもの大仰な見本のかつらが並べられている。 どんな時代でも金をもてあまし、くだらない虚飾を好む輩はいる。 自分の髪は腰までとおあつらえむきな長さがある。金髪はとりわけかつらに好まれる。売り物になるかもしれない。 アグリアスは鬘屋の戸をたたこうとした。 「ねえ、切っちゃうの?髪」 幼い声に振り向けば子供がふたりいた。 ひとりは十歳前後の女の子で、もうひとりはその妹らしい5歳になるやならずやの更に小さな子供だった。 ツン、とした唇のかたちや目元がよく似ている。 「ねえお姉ちゃん。そこって、髪の毛を売ったり買ったりするお店でしょ。知ってるもん。 お姉ちゃんは髪の毛、切っちゃうの?」 茜さす時刻、全てが真っ赤に染められた世界でもなお、子供達の髪はもとからして相当に赤みがかった色あいのようだった。 確かに鬘屋に髪を売るということはそういうことになる。 「切っちゃうの?ねえ、せっかく綺麗な髪の毛なのにもったいないよね」 アグリアスは子供の目線に合わせてしゃがみ、声をかけてきた姉のほうの金色の瞳を見つめ、柔らかく微笑んだ。 「そうね。かつらにする為に髪の毛を売るから、そういうことになるわね」 「もったいないよ。だってこんなに綺麗な色でさらさらで」 「仕方がないわ。お金に困っているのよ」 「じゃあセリアがお金あげるよ」 はい、とポケットを探った子供は自分のこぶし大の塊をアグリアスの手のひらに載せた。 「これは・・・純金?」 「おばあちゃんが言ったの。これをお店で出してご飯たべてきなさいって」 いくらなんでも子供ふたりの食事に金塊などありえない。 子供達の着ているものは色あせ、ほつれやほころびも多い古着で、裕福な家の子供ではないどころか 親か祖母にちゃんと面倒を見てもらっているとさえ言いがたい格好だった。 「ね、ね、お姉ちゃん教えて。サカバ、ってこういうお店のことを言うのよね?」 道の反対側からでさえ賑わいが伝わる酒場の方向を、まだぷっくりとした丸みが残る指が指し示す。 「おばあちゃんがね、さかばでご飯食べて、それから、お仕事をしたい人をつれてらっしゃいって言ったわ」 「おねえちゃん、あたしおなかへった」 妹の方が無邪気な仕草でおなかをさする。 「じゃあオムレツ食べようよ。サカバにもオムレツあるかな」 「おねえちゃんおねえちゃん、とろとろのタマゴのがいいな」 「金色がきれーいな、とろとろのタマゴのがいいね」 姉妹はぎゅっとかたくお互いの手を握りあい、そのまま意気揚々と酒場へ向かう。、 「待って、セリア、待って。そこは大人しか入っちゃいけないのよ」 アグリアスが姉のほうを呼び止めると、素直に立ち止まってこちらを振り返る。 「どうして?」 子供が大人に、空は何で青いの、と聞くのと同じ調子だった。 「おばあちゃんがサカバでご飯を食べて、もうけばなしのぼしゅうをしてらっしゃいって言ったもん」 アグリアスは頭を抱える。 「セリア、一つ聞いてもいいかしら」 「なあに?いいよ」 「あなたのおばあさまは今どこかしら」 ついいつもの動きやすい騎士装束のならいが出てしまい、ずかずかと大股で暮れなずむ町をつっきってゆく。 姉妹の両親はなく、祖母は学者として研究に必要な知識をもとめ、姉妹を伴い旅から旅の生活をしている途上だという。 幼いセリアの話を総合すると、この近くの食堂の、勝手口から入れる部屋に三人で間借りしているらしい。 それにしても学者という生き物はまったくもって不可解だ。 仕官学校時代色々な意味で世話になった、退屈すぎる話を延々と続けて本人以外の全員を眠らせた伝説も持つ名物教授を思い出す。 セリアたち姉妹の面倒をろくに見ないどころかなんと、セリアの妹には未だに名前がないのだという。 「この子はねえ、セリアの妹よ。3さい。セリアは10さいよ。名前?しらなーい。 おばあちゃんはいつも、私のかわいい赤ちゃんって呼ぶよ」 まわりの大人たちの意見が一致しないせいで、首がすわる頃まで名前が決まらなかった赤子もいないことはない。 だが、セリアの連れ歩く妹は、姉のセリアが言うように少なくとも3、4歳にはなっている。 赤の他人ではあるが、幼い子供達をこれだけほったらかしにしておく保護者には一言言ってやらねばなるまいと、 アグリアスは両の手に姉妹のまるっこい手を引き、祖母と孫たちの下宿先へと向かう。 一階建ての白い漆喰の外壁を、屋上の露台に植えられたスイカズラが覆いかぶさるように咲き誇る。 食堂からは和やかな談笑が漏れ聞こえる。子供の食事に手が回らないのならこちらで食べさせれば良いものを。 たしかに、人手がほしいときに呼びかけるのであれば酒場のほうがふさわしいかもしれないが、 それはそれ、大人だけで募集をかけにゆけば済む。 酒場に比べればはるかに穏やかな空気が外まで伝わってくる。 甘く、人を惑わせる初夏の香りにくらりときながら裏手へ回った。 スイカズラのつたが絡みつくのを押し分け、セリアと妹はほとんど隠れたような具合の小さな木戸を探り当てる。 カギのかかっていないその扉をセリアが開け、さっさと入ってゆく。 「こっちよ」 灯もない部屋から手招きする姉妹に続き、アグリアスは腰をかがめながらその身をすべりこませた。 つん、と刺激の強い薬品くさいにおいが満ちている。 「おばあちゃんいないみたーい」 「みたーい」 孫達を放っておいてどういうつもりなのか問いただす気でいたアグリアスは拍子抜けしてしまう。 「セリアのおうちはねえ、いつも食べるものはなーんにもないのー。セリアがもっとちいちゃい頃からそうなのー」 「おなか減ったようおねえちゃん。ご飯たべたいよう」 セリアの妹がぐずり始め、やむなくアグリアスは二人の手を引いて表側の食堂に戻る。 ぽっちゃりした女将がせわしなくテーブルを行き来しては料理が増えていく。 居合わせた客の注文をすべて片付けた赤ら顔の亭主がやおらアコーディオンを持ち出し、 固太りの腹をゆすりながら古い流行歌をなかなかの美声で歌い上げる。 しっぽの先がくにゃりと不思議な格好に曲がった白いネコが亭主の足元に摺り寄り、金色の目を閉じて甘える。 「オバチャンおかわり!」 「セリアも!」 セリアと妹は瞬く間にいくつもの皿を空にしていく。 アグリアスはその旺盛な食欲にあっけにとられた。 確かに成長期というものはよく食べるものなのだと、 自他の経験を思いだしてどうにか納得しようとするが、それにしても姉妹の食欲はとどまるところを知らなかった。 まだまだ逞しくなりつづける年齢のうえよく動くラムザ、ムスタディオ、ラッドの食べる量をしのぎかねない。 財布の中身で果たして足りるかどうか。 セリアから渡された金塊は返そうとしても子供特有の頑固さで突っ返されてしまった。 やむなく手巾でくるんだまま財布といっしょに手提げバスケットにしまいこんである。 おまけにセリアの言い分をそのまま信じるとすると、 不可解な事に「おうちにはこういうのがいっぱいある」のだそうだ。 この手の貴金属類は山賊盗賊の類を撃退したときやサルベージのおりに手に入れることもある。 職人のはしくれとしてギルドへの出入りに慣れているムスタディオに一括して任せているので、 津々浦々の宝飾商人や職人のギルドに売って軍資金にするのはたやすい。 この場は自分が払ってやるよりなかろうと腹を決めたところ、あどけない声がふたたびおかわりをねだる。 「あっ、おかえりなさい、えと、アグリアス、さん」 「アグリアスさん、お帰りなさい」 「アグねえおかえりー。・・・・・・ちょっと待っててな。ラファちゃん、これ、付け直すまでなくさないように持っていてくれるかい?」 「何だいそれ、人形?」 宿にもどると、ラムザの部屋にいる面々は、昼間までの空気がうそのように和気藹々としていた。 なんでも、ムスタディオも仕事を探してヤードーをうろうろしたあいまに面白い機械の修理を請け負ったらしい。 「キカイ仕掛けのおもちゃみたいなものらしいですよ。ゴーグからここまではるばる売られてきたんでしょうね」 「カラクリ時計っていうんだ。ネジをまいておいて、決められた時刻がきたら人形が動いたり音楽が聴ける仕掛けなんだ。面白いぜ」 ムスタディオとラムザ、ラファが機械のつめられた木箱を覗いている。 ラファの手のひらには小さな白いネコの人形がのっていた。 「わあ、このネコちゃんかわいいですね。しっぽが面白いかたち!これが動くんだあ」 「こいつの絵の具塗りなおすの、やってみるかい?」 「うん!」 年相応の少女らしい笑顔を見せるラファに安堵したアグリアスは、 少なくとも出かける前の気がかりはなくなったことに安堵し、 そのまま放心して椅子に座り込んだ。 「で、どうだったのさ、仕事」 「・・・・・・見つかったわ・・・」 「ウソだろ!!絶対にウソだ!!」 「・・・・・本当ですか」 「私に丁度いい内容で、ね」 その割には嬉しそうでもないアグリアスを逆にラファが気遣う。 「あのう、随分お疲れみたいだけど、どんな仕事だったんですか?」 「イヴァリース古語で書かれた本を、蔵書目録と照らし合わせて整理と箱詰め。来週の引越しまで毎日」 端的に聞かれたことしか応えないその声音は疲労感にみちていた。 「ああ、それならアグリアスさんにぴったりですね。 確かお父上も趣味の範囲を超えて古典文学の研究をなさってましたよね」 無言で肯くアグリアスの体がふらりとゆらぎ、持っていた手提げバスケットからごろりごろりと大きな金塊が次々こぼれてくる。 「うわあ何だコレ、純金か!?」 背景に異様なものを感じ取った三人に、頭痛をこらえながらアグリアスはことの顛末を途切れがちに語った。 「はあ、学者さんねえ。そんなに沢山本を抱えて旅ガラスなんてまたすげえ生活だな。 こんだけゴロゴロ金塊持ってるっつうのもまた」 アグリアスから渡された金塊をじっくり鑑定していたムスタディオは、全てほんものの純金だと判断した。 「で、その子達のおばあさんは結局最初から家にいたんですか」 話す気力もなくなってしまったアグリアスがだるそうにまたうなずく。 ひどいなあ、そんな小さな孫をほったらかしだなんて、と、本来のお人よしな面をのぞかせたラムザも、 このおかしな家庭環境を初めて知ったときのアグリアス同様に腹をたてる。 この、年齢に不相応な修羅場を幾多もくぐり抜けた異端者もあの老婆にはかなうまいて。 老婆のらんらんと光る金の両目を思い出し、アグリアスは本日何度目なのかもわからないため息をついた。 くさい。 ただしそれは、例えば何日も歯を磨いていないだとかにおいのきつい食べ物を食べた直後というたぐいではなく、 およそ生き物らしい要素とはかけはなれた薬のそれ、薬品くさいという表現がぴったりだった。 目も耳も悪くなってきた老人なら仕方ないかもしれないが、 アグリアスの眼の前まで顔を近づけ、薬くさい息を吹きかけながら腹のそこから轟わたる大声で問いただす。 「あんたぁ!セリアが連れてきたってことは仕事をしに来た人かね!」 おくれ毛のひとつもなくきちんとまとめられたあかがね色の髪にはいく筋かの白髪が混じる。 染み一つ見当たらない白いローブ、口が動いていなければ一見理知的で品性すら感じる顔立ちと、 少女達の祖母は何から何まで容姿とその中身がかみあっていなかった。 明かりもない薄暗い室内でも猫の目のように輝く金色の両目、あかがね色の髪が、 かろうじてセリアたちとの血のつながりを示した。 「ああ!うちぃ!来週には引っ越すからね!これ!目録!あんたぁ!古代畏国語は読めるかね! 人ぉ!探すなら酒場だけど!酒場はどうにも文盲も多いからね!」 貴族の一般教養としてたしかに古代語はある程度なら読みこなせる。 がっしりと両の二の腕をつかまれたアグリアスはつい老婆の勢いにのみこまれ、首を縦にふってしまった。 「そこ!となりの部屋!全部の本頼むね!」 蔵書目録を押し付けられ、そのまま背中を押されてしまったついでに、ふたたたび金塊を握らされた。 「報酬は!一日あたり!これ一つ!いいね!」 また、その場の勢いで首を縦に振ってしまう。 「契約成立だね!」 くるりくるりと人形がまわる。 昔はやった歌が流れるや、扉からネコと夫婦の人形が出てきてダンスを披露する。 「よっし、直った!」 ラファが興味しんしんに人形を見つめる。 「凄いね。ムスタディオの手は魔法の手なのね」 ラファはすっかり一行の妹分として溶け込み、初対面のときの険しい表情もなりを潜めた。 それに安堵して微笑むラムザの両の手もまた、 アグリアスとムスタディオの尽力ですっかりもとの動きを取り戻した。 「さ、これを届けてきたらオレの仕事はおしまいっ。 ラッドたちも今日中には帰ってくるよな」 ラムザはムスタディオと目をあわせ、うん、と肯定する。 「アグリアスさんも今日あたりで仕事がおわりますよね」 行こう、リオファネスへ。 久方ぶりに剣を手に取り、素早く抜刀したラムザがそれで空を斬る。 「うん、大丈夫。すっかり元通りだ」 アグリアスは、セリアにもう一度別れを告げることを思うと胸が痛んだ。 「僕も、できるだけこの戦いに早く決着をつけます。 貴女がセリアちゃん達との約束を守れるように。 もちろん、オヴェリア様の元に無事に戻るためにも」 「ありがとう、ラムザ」 「つき合わせているのは僕のほうじゃないですか。ありがとう、アグリアスさん」 ねえ、お姉ちゃん。セリアの妹、名前がついたのよ。 レディ、っていうの。ね、ステキでしょ。セリアがつけたのよ。 アグリアスお姉ちゃんみたいな立派なレディになれますようにって。 その3へ
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「なあムスタディオ、ゴーグに埋まっている失われた科学文明って、キカイ以外にもあったのかな」 「そうだなあ、うーん、たまに状態がいい古文書みたいなのが出るときもあってさ、 オレら機工士もたしなみとしてそれを解読するくらいはやってるんだ。ちょこちょこそういう文章は読んでる。 科学と魔法の架け橋になった錬金術っていう技術とか、ちょっとお前らが試してみてもよさそうなのもあるらしいな」 「何で僕らが試してみてもよさそうなんだい?」 「あー、なんと言うかな、機械を造ったり直したりするのって、経験とか手先の器用さとか技量なんかの勝負だけどさ、 錬金術だと魔法の知識や魔力の方がものをいうらしいんだ」 「へえ、カガクと魔法は案外相性がいいものなのかな」 「そうかもな。たとえば、禁呪のたぐいだって忌み嫌われた技術で死者の蘇生なんかもやったヤツがいたみたいだな」 「アレイズの魔法やフェニックスの尾とはどこが違うのかな」 「ああ、オレらがお世話になってるそういうのって、ついさっき心の臓が止まったばかりの人間に息を吹きかえさせるもんだろ。 オレもお前がムチャクチャなこと言い出したときゃ、死んだおふくろとじいちゃんばあちゃんが河の向こうから手ぇ振ってたの一瞬見たけどな!」 「ハハハハハむすたでぃお君何ノ事ヲ言ッテイルノヤラ僕ニハサッパリ判ラナイナア?」 「ま、そういうのじゃなくって、墓場に埋もれて骨も朽ちてきたようなホントの死者を復活させようって試みなんだ。 いわゆるリビングデッド系のモンスターにさせるってのとも違って、本当に生身の状態でよみがえらせる、と、いうこと、らしいんだ」 「僕は・・・神様だとか信仰なんて持ち出すのはもううんざりだけど、神の領域、としか言いようがないあたりまで手をだしたってことかな」 「戦乱の時期とかはやり病がひどかった時期とか、その何年か後に流行ったらしいぜ」 「やっぱり、家族や恋人や、親しい人をよみがえらせたかったんだろうね」 「そのまた応用でさ、好みの姿かたちをして知恵もある人工の人間を無から作ってみせる技術とか、 ルカヴィのたぐいと契約して・・・って、オレもあんなゆかいな枢機卿倪下見るまで信じちゃいなかったけど。 なんでも、そいつらをこの世に召還するための器にするかわりにその力を使って死者を復活させるとか。 『やってみたヤツがいた』って記録は結構あるな」 「あまり考えたくないけど、不老不死を求めた権力者の命でそういうことをした人もいたかもしれないね」 「悲惨な結果に終わったって後日談があったりなかったりでまちまちでさ。 成功するにはしたけど、術者がルカヴィとの契約を出し抜くのに失敗して正気を失ったりとか、そんな『実例』もあったけか。 ま、ほとんどが結末ぼかしててあんまり信用ならないけどな。 実は娯楽小説のたぐいで出版されたのかもしれないし」 ランベリー ひらひら極彩色の南国の蝶がレディの鼻先をかすめ、背中のほうへととんでゆく。 異国から取り寄せた植物についてきた、ランベリーの中庭でいつの間にか増えていったそれは、 ある女性とおなじ名をもっていた。 燐粉を振りまかれたレディは二、三のまばたきしたのち、素早い身のこなしで蝶を捕らえる。 くしゃりとつぶす。 「レディ!やめなさい、命をなんだと思っているの?」 レディの耳は常人のそれをはるかに超えた聡い耳であったが、この手の姉の苦言はとりこぼす。 もう1匹蝶をとらえ、一枚一枚羽根をむしってぽいと捨てる。 「は、何だって言うのよ。私たちがここにこうしている事自体、生命への冒涜もへったくれもないわ」 ゼルテニア 「ね、そこの騎士さん、少しお話できないかしら」 教会内にラムザとディリータを残し、一行は抜かりなく周囲を警戒していた。 ディリータの連れだという若い女がアグリアスに声をかけた。 「そんなこわい顔しないでったら。何もとって食おうってワケじゃないのに」 魔女、バルマウフラ・ラナンドゥはくすくす笑う。 「貴女は・・・うん、そうね、剣より魔法の方が実は得意みたいだけど、ん、貴女の本質はあくまでも騎士ね」 「何が言いたい」 「私も魔女のはしくれだから判るのよ。貴女、最近私のご同類と妙に縁があるみたいね」 ポエスカス 「このあたり。ランベリー城は地下にわりあい大きな空間があるんだ」 マラークとラファが大きな紙を広げて熱心に見取り図をかきこんでいく。 前の「仕事」がら、バリンテンの政敵になりうる人物の居城や邸宅の見取り図がいくつも 彼らの頭の中にははいっていた。 悲惨な過去を思い出すばかりの記憶を無理に引っ張り出す事もないとアグリアスは気遣ったが、 みんなの役に立てるなら嬉しい、とラファは屈託なく笑ってみせた。 手持ち無沙汰なアグリアスは、つい、頭に手をやってカチューシャをはずし、 ぷらぷらともてあそぼうとしていた。 ない。 つい最近の戦闘で破損してしまったことにようよう思い当たる。 野営している彼らが囲む焚き火が風をおこし、肩までの金の髪をなぶる。 「領主がマトモだったときなら普通に城門前の防衛を突破でいいんだけどな。 どうやら奴さんたちゃじめーっとした場所の方がお好きみてぇだし、 どうせあの銀髪鬼も地下でルカヴィになっちまうかもな」 学がないかわりラッドの野生のカンはずば抜けている。 「でも、地下といってもあそこは地下墓所よね。 死者を愚弄したくはないけれど、最悪の場合、 先に向こうが死者を穢してアンデッドのたぐいに仕立てて来るかもしれないのね」 レーゼが眉をひそめる。 「あそこは先代、つまりはいまのエルムドア公の父君にあたる方のときまでだな、 騎士よりも優秀な魔導士を多く擁していたというが、おそらくそういう人間の相手はもう出ることもないだろう」 ベイオウーフの発言に一同は覚悟をあらためる。 「ランベリーの魔女、ですね」 父の語ってくれた昔話。 ランベリー城の勇猛果敢な女性魔導士は騎士以上に騎士らしかったと、 バルバネス・ベオルブの末息子は父の声を思い出す。 「金色の瞳とあかがね色の髪、知略と魔力で歴戦の名将をもしのいだ伝説の魔女ですね」 「なあ、あすこって実は結構五十年戦争でお城が傷んでるっていうよな」 一行の最年長者である剣聖オルランドゥがムスタディオの言葉に追加する。 「あそこは先代当主のとき篭城戦も経験しているからな。二十年ほど前の事だ。 当主一族や騎士、あかがねの髪の女魔導士はもちろんのこと、 近くの領民達も城に逃れて持久戦になったことがある。 いくさの死者に加えて、食糧不足で餓死した者も多かったらしいな」 「それって・・・あんまり考えたくもないですけど、やっぱり・・・・・・」 「役に立たないからってことで子供やお年寄りが真っ先、ですか」 おそるおそる切り出すアリシアとラヴィアンに、オルランドゥが無言でうなずく。 「現当主がおかしくなったのってさ、そういう光景を見ちまったのがひとつにあるかもしれねえな。 ホレ、当主のご子息さまさまはほかのガキとは扱い違って別格になるし、な」 ラッドがキセルをぷかっと吹かし、ひとりごちる。 ランベリー くるりくるりと指先に髪の毛をまきつけては、レディは不満げに鼻を鳴らす。 「もうあのインチキ薬師はーっ。 全然キレイな金色に色が抜けないじゃない、地の色が丸見えだわ。 やっぱり生まれつきの金色には叶わないのね、もう、つまんなーい」 おおむね金髪に見える彼女と姉の髪は、うっすらと赤い地の色がところどころ見える。 セリアの耳が侵入者達の足跡を聞きつける。 「・・・・・・・くるわ、レディ」 妹に警戒を促すよりもむしろ己に言い聞かせ、瞑目して心を静める。 さようなら、アグリアスお姉ちゃん。 ランベリー城内 その優しげでたおやかな女の姿を脱ぎ捨てたアルテマデーモンたちは 断末魔の咆哮とともに灰と化した。 白くさらさらした残骸から、アグリアスはバレッタを見つけ、拾い上げた。 裏に小さく「まだ名前を与えることも叶わなかった私のかわいい娘へ」と刻まれていた。 「何してんだアグねえ、早く!」 バレッタをそっと懐にしまう。ムスタディオに促されるまま地下墓所へと急ぐ。 髪留めもなく、短くなった金の髪が揺れる。 地下墓所にたどり着いた一行が見たものは、 魔のものに全てを喰われたエルムドア公とかりそめの生を与えられた死者たち、 そして、無数の人骨。 「私の手よりちいさいね」 詠唱のため天に伸ばした手の影は、壁に埋め込まれるようにしまわれた子供の手の骨よりも大きかった。ラファが小声で兄に囁く。 マラークは、妹を守る立ち位置をとったその姿勢で詠唱を続けつつ、くしゃりと頭をなでてやる。 「ハッ!いまさらルカヴィなんざ珍しくもなんともないって!あらよ、邪心封印一丁あがりっとぉ!」 おびただしい数の朽ちた墓標、一歩ごとに踏みしめて砕いてしまう白いもの、 それらが語る悲惨な歴史、重苦しい空気をムスタディオとラッドが快活に払いのける。 「うちの大将、ボンボン育ちだって舐めんじゃねぇぜ、この面白銀髪オニさんよ!って、あ、もう髪なんかねぇか。 なんせアイツは素手でお前らのお友達をぶっつぶしたこともあるんだぜぇ? ここまできたら神も悪魔もどっちもこわかねぇや!」 「不謹慎・・・」 背後から迫る亡者を忍者刀でなぎたおしざま、ニヤリ、と笑ってラッドは振り向く。 呆気にとられていたメリアドールがつられてくすりと笑う。 可愛らしい笑みのまま穢された死者を自慢の剣で迷いとともにたたき斬り、前進していく。 歴戦の勇士でありながら、その生涯で初めて人から魔の眷属へと化したものと対峙したオルランドゥも苦笑しつつ、 ラムザ、アグリアスらと素早く目配せしあう。 亜麻色の髪、金の髪が跳ねる。 「そう、私もちょっと前にここの記録を読む権限をもらって読んだ事があるわ。 ランベリーの篭城戦はね、最終的には聖職者たちばかり何一つ失うことなくのうのうと生き残ったそうよ。 領主の母親と妻。つまりはメラズーマ・エルムドアの祖母と母親にあたる人ね、 その人たちすら食べる事を遠慮して、結局当主の母は亡くなったそうよ。 それで聖職者たちはどうしていたかって言ったらもう、ね。 自分の手を汚すのはイヤだけど食べる量は確保したいしってことで、、 いくさの役に立たない子供は親の手でアジョラの御許に送ってやってはどうかって、 信仰をダシにそうけしかけたバカな聖職者もなかにはいたらしいわ」 ラムザに聖石を託して肩の荷が下りたメリアドールは、 初対面のときからすれば考えられないくらいあっけらかんと教会組織の腐食に思うこと、 彼女自身が己の経験から信仰やグレバドス教会の体制に疑問をもったときのことを一息にぶちまけた。 「アハハ、かえってすっきりしちゃった。 確かに私と弟と・・・父さんは、信仰が国の柱になった新しい世界をつくりたいと思っていた。 けどね、だからといって信仰に身を捧げた、ううん、表向きそういうことにしている人間を 全部が全部肯定することもできないと思っていたわ」 ずんずん早足でランベリー城を探索しつつカラリと笑う。 アルマ・ベオルブの姿はなく、激しい戦闘が繰り広げられたはずの大広間にもその痕跡は何一つ残っていなかった。 打ち砕かれた調度品、アグリアスが叩きつけられた壁、ラムザがアルテマデーモンを斬りつけたときの返り血、 魔法の炎が灼いたカーペット、全てがなにごともなかったかのように元通りの状態だった。 セリアとレディだったものの残骸もなかった。 ただ一つ、懐にレディのバレッタだけが残る。 取り出してもう一度それを握り締める。 ――――ねえ、それでアグリアスお姉ちゃん、いまコイビトはいるの? 子供達の無邪気な笑い声、丸みの残るぷっくりとした二組の手の感触を首筋近くに感じる。 急に頭が少し重くなったように感じたアグリアスの背に、ふわりと腰までの黄金の髪がかぶさる。 「僕がそうだと言ったら気に入らないかい?」 もとの長さの髪に背後からラムザが触れる。 ――――もうちょっと頼りがいのある男の人のほうがいいんだけど、いいわ、今回はセリアが許してあげる! 「はは、手厳しいな」 篭手と手袋をはずし、素手になったラムザがその髪をもとの通りのお下げに編み込み、バレッタで留める。 ――――ね、コイビトならキスしてみせて! 「あらら。私はお邪魔かしら」 面白がるメリアドールが小さくスキップしながら大広間を去っていく。 「どうする、アグリアスさん?」 「ばか」 「セリアもレディも、素敵なレディになれたと思うわ」 無数の子供達の生、母たちの嘆きの墓標となった白亜の城を、 信仰を失ったものたちは彼らなりの哀悼の意を表して去る。 .