約 3,224,551 件
https://w.atwiki.jp/fate_overheaven/pages/232.html
「んで、どうするんだ?」 悪魔を彷彿させる嫌味を含んだ英霊・無精髭のアサシンが、聖女のライダーに尋ねた。 ベンチに横たわった状態のマスター。 ソウルジェムが離れ、魂が抜かれ『死亡』状態に陥った佐倉杏子。 ライダーは、死体と化したマルターの目を伏せてから、静かに答える。 「マスターの体をこのまま運び、敵サーヴァントを補足する予定です。 敵がマスターの『魂』を所持している状態であれば、近づいただけでもマスターの肉体に反応があるでしょう」 「随分、荒いやり方で俺もびっくりだぜ。理にかなっているとは思うけどな?」 「荒っ……今回ばかりは仕方ありません」 申し訳なさを顔に出すライダー。 彼女から、恐竜使いのサーヴァントの一件や杏子の魂が収められたソウルジェムの事情を一通り聞いた少女・卯月。 しばしの間を破るよう、卯月は重々しく口を開く。 「ライダーさん……私……………ごめんなさい」 いきない謝罪を述べた卯月の表情は、気まずさ以上に 聖杯戦争という未知の戦場に導かれたが故、途方に暮れる少女らしさがある。 次に卯月が出した内容から、謝罪の意味合いを読みとれた。 「戦うのが、怖いです」 「………」 「た、戦わなきゃいけないって事も分かってます! 本当はライダーさんや杏子ちゃんを、助けたい……でも」 「いえ。構いません」 聖女は少女の言葉を否定せず、逃走という愚かな行為を蔑まなかった。 むしろ。 卯月が戦う発想に向かわなかった事こそが、正解である。 「貴方の拒絶は至極正常です。時代が異なれば、価値感や生死の捉え方も異なります。 ならばこそ、貴方はどうか最後まで罪を背負わずにあるべきです。 命を奪う行為を『当たり前』と受け入れてはなりません」 例えそれが『必要な事』だとしても。 否、必要だからと無為に人を殺めれば、それこそ人を止めたような有りようである。 一呼吸置いてライダーは言う。 「――恐らく、貴方と同様の形で聖杯戦争を強制された者がいるでしょう。 彼らと協力し合う事から始めるべきです。貴方の苦悩は、貴方ただ一人が抱えるものではありません」 聖女は清らかに卯月を導こうと助言した。 英霊たる彼女の行為こそ善性の極み。覆しようのない、卯月が歩むべき正しき道の一つ。 卯月も、ライダーの言葉は正しいと感じる。 が。 彼女の傍らで悪魔が笑うように、卯月自身それは無理だった。 ライダーに従えば、凛を助けられない。 事実として、卯月はライダーの言葉に相槌すらかけなかったのだから。 ★ 卯月たちはライダーを残し、移動した。ある意味、聖女から逃げる悪を彷彿させる。 一度休息したコンビニに近い繁華街へ差し掛かったところで 漸く、卯月は足を止めた。 「今回は赤点じゃないが、最適解でもない『40点』ってところかねぇ」 呑気にアサシンが語る。 悪魔めいた雰囲気と風貌をそのままに、卯月の傍らに存在する英霊は、聖女との別れを過去のように扱い。 違和感あるほど客観的に述べる有りようは、観客席の評論家だ。 「ライダーと同盟を組むんじゃないかって心配したけど、そこんところの判断は最善だと思うぜ?」 一応褒められているのだろう。 しかし、卯月の表情は浮かなかった。彼女自身、自らが下した行動に後ろめたさを覚えている。 彼女を余所に、アサシンは続ける。 「説明された通りの情報なら、マスターの命であるソウルジェムは敵の手中。 この宝石程度、サーヴァントの筋力で簡単に砕けちまうもんな。要するにライダーはチェックメイト状態! 放っておいても何時、敵に消滅させられるかどうか怪しい奴と同盟を組んでも利益なし!! てな」 アサシンの手元にあるソウルジェムは、 卯月がかつて手にした、聖杯戦争に導かれる切っ掛けの無色透明の宝石。 その宝石と、杏子のソウルジェムが同一ならば、まさにその通り。 だけど、卯月は自分がライダーを、杏子を見殺しにするような卑劣な手段を取ったと罪悪感を抱えた。 一つ。消沈気味の卯月にアサシンは告げた。 「向こうも、そんくらいは分かってたんじゃないかね」 「ライダーさんも……?」 「んひひ。善良だからこそって奴? 卯月ちゃんが割としっかり意志を伝えたから妥協したかも」 ライダーは変に卯月を言及もせず、運命に卯月を委ねたのだ。 何より―――ライダー自身にこの先があるか不明確な状況であったから。 理解しても卯月の中で、ライダーに対する申し訳なさは失われない。 「お、忘れてたぜ。定期チェックしてみようか―――凛ちゃんの」 「凛ちゃん?」 「こんな時間だし、凛ちゃんの寝顔見られるぜ?」 「アサシンさんっ。覗き見みたいじゃないですかっ!」 「実質覗き見だけど?」 サラッと流してるが、指摘されれば確かに覗き見である。 出現した球体状の映像に映し出された光景は―― 凛は生きていた。 加えて、この見滝原で名を轟かせている一人、アヤ・エイジアと会話する姿。 「おっと? へーこいつは予想外だなぁ」 「え……どうして……?」 「凛ちゃんのサーヴァントが情報収集に長けてるんだろうなぁ。じゃなきゃ、アヤ・エイジアの居場所を特定できねぇよ」 「そうじゃなくてッ! どうして凛ちゃんが……」 「んなこと聞かれてもねぇ。俺より卯月ちゃんの方が詳しいだろ? 凛ちゃんに関してはさ」 困惑する卯月。 映像の様子から想像できるのは、凛とアヤが同盟のような関係を結んだ可能性。 だが、どうして凛が『そのような行動』を? アヤは『怪盗X』なる悪意ある存在から命を狙われており、彼女を助けたい善意は分からなくもない。 一方で危険な行為だ。 凛自身も『怪盗X』に命を狙われる。 あわよくば、予告状が火種となって集結する他の主従から狙われる事も。 まさか凛に限って。 願いの為、聖杯を手にしようとしたり。 生き残る為、他のマスターたちを『殺す』真似は犯さない筈だ。 未来では――凛は何者かに殺されてしまった。だから、ありえない……筈……… (凛ちゃんは違う! アヤさんを助けようとしているんだよ!! だったら――) 卯月が悩み悩んだ末、一つの結論に至る。 「これ……もしかしたら、アヤさんが――凛ちゃんを殺すかもしれないんですよね」 悪意の一滴より始まった疑心感が段々と少女の心を蝕んでいる。 普通であれば真っ先に、他人を疑う前提を卯月は組み込まないだろう。 卯月も自らの決断を下す前に、落ち着いて思案し続けていた。 単純に、シンプルに考えれば『だったら凛以外全員殺せば良い』で集結する。凛の脅威となる存在の排除。 そこでアサシンが一つ告げた。 「ふーん。問題は『どう』殺すかだよなぁ」 「どう?」 「凛ちゃんと一緒にいるから、逆に難しいんだよねぇ。それとも、凛ちゃんの前でアヤ・エイジアを殺しちゃう?」 「あっ!? そっ……それは、その」 無理だ。 凛の為であっても、彼女の前で人を殺すのは……でも、凛とアヤを引き離す術とは? 流石の卯月も、妙案が湧きあがる事が無い。自然と頼みの綱たるアサシンに問う。 「アサシンさん。どうしたらいいんでしょう……」 「俺の個人的な意見でいい?」 「はい。私じゃ全然なので……」 「アヤ・エイジアの立場で考えてみたら――まず、直ぐに凛ちゃんは殺せないぜ」 シニカルに嗤い道化のような仕草をし、アサシンは語った。 「そもそも凛ちゃんと仲良くなったのは『怪盗X』対策しかない。ちょっとでも味方が欲しいんだよ。 踏まえて考慮する最低制限時間は『怪盗X襲撃後』まで、だな」 アヤは凛と戦力補充の為に同盟を組んだ。 『怪盗X』の予告。あの予告は他の主従達を引き寄せる餌の一つ。 そして、予告で発生するだろう戦火で、アヤから凛を引き離す事も叶う。 「――となれば二つ。『怪盗X』が襲撃するまでに 凛ちゃんの警備兼近づいた敵の排除か、もしくは凛ちゃんは放置しておいて他の敵を倒すか、だな」 どちらも悪くない。 どちらでも良い気さえする。 しかし、どちらを選択するかは島村卯月に委ねられている。 彼女の下した決断は…… 【C-6 繁華街/月曜日 未明】 【島村卯月アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]精神的ショック(大)、罪悪感 [令呪]残り3画 [ソウルジェム]無 [装備]なし [道具]なし [所持金]女子高生の小遣い程度 [思考・状況] 基本行動方針:友達(渋谷凛)を死なせないため、聖杯戦争に勝ち残る。 1.私は―― 2.ライダーさん。杏子ちゃん……ごめんなさい…… [備考] ※ライダー(マルタ)のステータスを把握しました。 ※杏子のソウルジェムに関する情報と教会で起きた戦闘を把握しました。 ※凛がアヤと同盟を組んだのを把握しました。 【アサシン(杳馬)@聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話】 [状態]無傷 [ソウルジェム]有 [装備]なし [道具]なし [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争をかき回す 1.マスターを誘導しつつ暗躍する 2.機会があれば聖杯を入手する [備考] ※杏子のソウルジェムに関する情報と教会で起きた戦闘を把握しました。 ※凛がアヤと同盟を組んだのを把握しました。 ☆ 「これで良し……っと」 杏子の体を抱えながらライダー・マルタが到着したのは―――下水道。 やはり、死体であり少女の肉体を抱えながら『外で』移動するには無理のある話。 人目につかず、更にソウルジェムの位置を把握するには最適な道。 他サーヴァントがここを利用しないとも限らず。 最悪、敵と遭遇する可能性すらある。 幾つか他にもマルタ自身が心残りにしている点はあった。 島村卯月の事。 彼女と共に居る悪魔を彷彿させる嫌味あるサーヴァント。 だが、マルタも卯月の本心が争いを好まない善良さのある少女だと理解していた。 不安を感じるが……可能な限りの助言は施した。 杏子の家族の事。 本来ならば、杏子の遺体を教会へ運ぶべきなのだろう。 ソウルジェムとの繋がりで、再び魂を取り戻せる希望がある限りは、やはり杏子の体を抱える他ない。 マルタ自身。 彼女と家族と交流があった以上。再度、顔を出すべきだった。 しかし―― 「時間の問題ね。マスターのソウルジェム『だけ』をわざわざ奪った以上、それを使って何かしでかす魂胆ね」 聖女らしい清らかな表情とは一変。 荒々しい気が雰囲気に纏うマルタの姿がそこにはある。 ソウルジェムを産み出したキュゥべえの如く。 そのソウルジェムを利用する為に、あるいは『調べる』為に。 丁重に扱われる保証は無い。安易にソウルジェムの破壊を行わないにしろ『何を』施すかは不明だ。 『恐竜使い』は紛れもなく杏子を利用するだけの道具として扱っている。 だからこそ、マルタは駆けた。 マスターの為であり、残された佐倉一家の為でもあり。聖杯戦争に抗う一歩の為に。 【D-8 下水道/月曜日 未明】 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]肉体死亡 [令呪]残り3画 [ソウルジェム]有 [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に乗り気は無いが…… 0.――― [備考] ※ソウルジェムが再び肉体に近付けば意識を取り戻し、肉体は生き返ります。 【ライダー(マルタ)@Fate/Grand Order】 [状態]魔力消費(小) [ソウルジェム]無 [装備]なし [道具]なし [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争への反抗 1.杏子のソウルジェムを取り戻す。恐竜使いのサーヴァントはシメ……説伏する。 2.アサシン(杳馬)は何か気に食わない。 [備考] ※杏子のソウルジェムが破壊されない限り、現界等に支障はありません。 ※警察署でXの犯行があったのを把握しました。 ※卯月とアサシン(杳馬)の主従を把握しました。 ※ディエゴの宝具による恐竜化の感染を知りません。ただディエゴの宝具に『神性』があるのを感じ取っています。
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/6831.html
インフィノス INFINOS 0 INFINOS EXTRA STAGE 機種:PC 作曲者:RYO 制作元:ピコリンネソフト 公開年:2013年 概要 高度な文明を持つ惑星インフィノスに住む人々が第2の居住地として建造を進めていた宇宙都市が 異星人アルグスの侵略を受け制御不能に陥り、宇宙戦争に乗り出すもインフィノス軍はアルグス軍に大敗を喫する。 最後の望みとなったインフィノスの技術の結晶、AT-フォーリアは単騎で圧倒的勢力に立ち向かう…。 同人サークルであるピコリンネソフトの処女作にして「INFINOS」シリーズの初代作となる横スクロールSTG。 自機の両脇に装着されるビットとそれぞれ長所が異なる三種類の武装を使い分け敵陣を進むフリーゲーム。 80年代横スクロールシューティング、と謳う通りその時代の前後の商業STGのオマージュに溢れた作品で、使用ボタンは1ボタンと大変シンプルで分かりやすく地形ギミックが豊富な横STGの見せ所をこれでもかと詰め込んでいる。 BGMもすべて作者であるRYOの自作で、ゲームの雰囲気にあった味のある仕上がりとなっている。 本作は他にもINFINOSの家庭用風アレンジ作品との見出しで、ストーリーが理解できるオープニングデモや一部のボスが追加・変更されファミコン辺りのドットグラフィックで再現されてい『INFINOS 0』や、 本作の後日譚にあたる更なる戦いに備えての仮想戦闘シミュレーションという設定である、本編とは全く違う高難易度の1ステージを突破する『INFINOS EXTRA STAGE』がありこれらもすべてフリーソフトとなっている。 収録曲(曲名は暫定) 曲名 備考 順位 Stage 1 ステージ1 Boss ボス Stage 2 ステージ2 Stage 3 ステージ3 Stage 4 ステージ4 Stage 5 ステージ5 Stage 6 ステージ6 Last Boss ラストボス Ending エンディング Ranking ネームエントリー EXTRA STAGE INFINOS EXTRA STAGE INFINOS 0使用曲(曲名は暫定) Opening demo オープニングデモ Stage 1 ステージ1 Boss ボス Stage 2 ステージ2 Stage 3 ステージ3 Stage 4 ステージ4 Stage 5 ステージ5 Stage 6 ステージ6 Ending エンディング PV
https://w.atwiki.jp/sangoku-infinity/
三国INFINITY 現在、順次作成中になりますm(_ _)m
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1335.html
Never7 -the end of infinity- 当Wiki連絡用掲示板、差し替え・追加スレッドpart1-128~143 128名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 34 45 [ 8KT/izNg ] ギャルゲー板でリクが来ていて しかもインフィニティ インテグラルシリーズで唯一書かれていなかったので書いてみた 長期アク禁中なのでこっちに投下させてもらいます~ 129名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 39 37 [ 8KT/izNg ] 登場人物 石原誠(いしはら まこと)…オレ。もう3年生にになるというのに殆ど大学に行ってないらしい。川島班のメンバー。20歳。 川島優夏(かわしま ゆうか)…誠と同じゼミに所属する川島班の班長。班長を務めるだけあってしっかり者。 樋口遙(ひぐち はるか)…誠と同学年だが飛び級してるのでまだ19歳。感情を表に出さないタイプ。川島班のメンバー。 飯田億彦(いいだ おくひこ)…大学でも有名なちゃらちゃらした金持ちのボンボン。川島班のメンバー。 朝倉沙紀(あさくら さき)…優夏の中学時代の同級生。高飛車なお嬢様タイプ。 守野くるみ(もりの -)…17歳の高校生だがそう見えないくらい子供っぽい。 守野いづみ(もりの -)…22歳。くるみの姉。お姉さんタイプ。 「どうして…」 それはオレの言葉だったのか、それとも誰かの言葉だったのか、わからない。 目の前に誰かが横たわっている。重く垂れ下がった手の平には、褪せた緋色の紐が付いた、銀色の鈴が乗っていた。 その鈴が手のひらから零れ落ち、澄んだ音を立てる。そして、光を失った――。 130名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 42 32 [ 8KT/izNg ] ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見慣れない、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。 さて。さっきのあれは本当に夢だったのだろうか。 日付は4月6日だった。4月6日、誰かが、死ぬ…のか? ここは絶海の孤島にある、ロッジだ。昨日の夜、フェリーに乗ってここに来た。 まぁ、絶海の孤島といってもそれなりに人は住んでいるし、観光客もいるみたいだが。 オレはゼミ合宿とかいうものに来ていた。3月31日~4月7日の7泊8日の予定だ。 本当は来たくなかったんだが、サボると除名だとかいうので仕方なかった。 着替えを済ませてロッジのロビーに行く。オレの他、遙、億彦、そして班長の優夏が集まった。 しばらくして、玄関のチャイムが鳴る。 「シーフードピザ、お待たせしましたぁ~」 女の子が宅配のピザを持ってきたが、もちろん、だれも注文してない。誤配だった。 「だって、朝倉さんのお宅ってここじゃ…?」 「僕が朝倉です」 腹の減っていた億彦はそんな嘘をついてピザを受け取り、食べてしまった。 午後からはみんなでテニスをしに行くという。 そもそもこの合宿は、みんなの親睦を深めるのが目的だとか。だから遊んでいればいいのだ。 テニス場に着くなり、遙が海に行くと言い出した。億彦は遙に付いていくというので、 オレは優夏と二人で楽しくテニスをした。 夕方になって、海岸に遙たちを迎えに行った。その足で商店街の方へ向かおうとしたが、 途中にお洒落な喫茶店があったので寄ってみることにした。「ルナビーチ」という店の名前だった。 店内ではピザを誤配してきた女の子がモップがけをしていた。 女の子はくるみちゃんという名前で、姉のいづみさんが住み込みでバイトしているこの店に滞在している。 いづみさんもくるみちゃんも地元民ではないらしい。今は店長は旅行中とのことでいづみさんが店長代理だそうだ。 楽しく会話しているところへ、カンカンに怒った女の子が入ってきた。 この子が朝倉沙紀。シーフードピザの本当の配達先だ。 いづみさんは彼女に平謝りした。やがて、沙紀は優夏の知り合いだったことがわかった。 ロッジの近くの別荘に滞在中なんだそうだ。 すっかり意気投合したところで、いづみさんがピザのお詫びも兼ねて夕食をごちそうすると言い出した。 メニューはパエリアだそうだ。 「でも、お米が無いからパエリアは無理なんじゃ…?」 オレは何気なくそう言った。いづみさんはお米の残量を確認する。確かに、足りなかった。 オレと優夏は店の自転車を借りて、商店街でお米を買ってきた。 海の見えるテラスで、総勢7名でのにぎやかな食事を済ませて、ロッジへと帰る。 途中に通った砂浜で、オレは銀の鈴を見つける。間違いない。今朝の夢に出てきた鈴だ。 不吉なその鈴を、オレは海に放り投げた。 131名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 45 30 [ 8KT/izNg ] 翌日。みんなはルナビーチに集まった。ここから近い所にある、ホテルのプールに行こうという話になった。 だが、くるみちゃんは頭が痛いと言うので店で休むことになった。 くるみちゃんを除く6人でプールで遊ぶ。優夏は昼間からビールを飲んで酔っ払っていた。 午後3時頃にルナビーチに戻る。今度は釣りをしようといづみさんが言い出した。 頭痛が治ったくるみちゃんも一緒に行く事になった。ここから港へ行くには歩きでは遠いので、 いづみさんは店の近くに駐車してある軽トラックを動かそうとした。 「でも、そのトラックはバッテリーが上がってるんでしょ?」 オレの言葉に驚きつつも、いづみさんはエンジンをかけたが、やはりバッテリーが上がっているようだった。 のんびり歩いて港へ向かう。 「ねえ、釣り…やめない?」 港へ着くなり、優夏が言ったが、誰も聞かなかった。 我先にと防波堤に行った沙紀と遙。何やら言い争っているみたいだ。 と、そのとき、押し寄せた高波に沙紀は浚われてしまった。 沙紀はすぐに助けられ、診療所のベッドに寝かされた。どうやら大したことは無いみたいだった。 沙紀の付き添いにはくるみが残ることになり、残りのメンバーはルナビーチに帰った。 夕食後、オレたちは砂浜へ散歩に出かけた。いづみさんがこの島の昔話をしてくれた。 岬の灯台の下には展望公園があって、そこで想いを告げると恋が叶うとか。 また、西の方にもう一つ岬があって、そこには神社があるという。 その神社は「司紀杜(しきのもり)神社」というそうだが、一説によると「死鬼杜」と書くとか。 昔、飢饉があったりすると、神社に生贄を捧げたとか、そんな伝説が残っているという。 また、司紀杜神社に行った人が神隠しに遭うという噂もあるという。 だから、今は地元民でも神社には近寄らないのだそうだ。 そこへくるみがやってきた。沙紀は億彦に会いたがっているというので、億彦はしぶしぶ診療所にお見舞いに行った。 132名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 46 48 [ 8KT/izNg ] 翌日、3日の朝。ロッジには元気な沙紀がいた。 釣りがしたいという遙に釣りを教えてやることになった。 優夏はくるみとテニスをしに行くという。沙紀は億彦と遊ぶらしい。 夕方、オレと遙がロッジに帰って来ると、沙紀と億彦は喧嘩をしていた。 遙が止めに入ろうとすると、沙紀はますます怒ったようだった。 「何よ、クローンのくせに…!」 沙紀は遙に、確かにクローンだと言った。 クローンは9年前に法律で認められている。でも、胸の中の違和感は消えなかった。 結局沙紀は別荘に帰ってしまった。ロッジにはいづみさんがやってきて、これから夕食をつくるという。 「いづみさん、オレにも手伝わせて下さい。ジャガイモの皮むきくらい出来ますから」 「ジャガイモ…?」 「だって、今日の夕食はカレーでしょ?」 オレの口から自然に言葉が毀れた。オレの言うとおり、夕食の予定はカレーだった。 どうしてわかったのかと訝るみんなに、合宿といえばカレーだろ、と、オレは苦しい言い訳をした。 夕食後、山奥の墓地まで肝試しに行った。 133名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 50 39 [ 8KT/izNg ] 4日。オレは優夏と二人で桜並木を見に行った。 「ねぇ、誠?誠の初恋って、いつだった?私は、中学のときだった…」 満開の桜の下で、優夏は話し出した。優夏の初恋の相手は、中学3年のときのクラスメイトの男の子だったという。 「それで、その男の子とはうまくいったのか?」 「ううん。ずっと、片思いだったから。だけど、いつまでもその人のこと、忘れられないの。 その人ね、とっても似てるんだぁ…誠に…」 桜並木を抜けて展望公園に着いたが、さっき聞かされた優夏の初恋の相手のことが引っかかって、オレは無言のままだった。 そのとき、地震が起こった。だいぶ大きい。倒れないように手すりに捕まった。鈴の音がしたので振り向くと、 優夏の足元にあの銀の鈴が落ちている。 地震が収まった後、オレは優夏に言った。 「この鈴、何で優夏が持ってんだよ…?」 だが優夏は答えずに、鈴を拾い上げた。 「あのね、誠、私、やらなきゃいけないことがあるから…」 そう言って優夏は去って行った。 夕方。みんなで砂浜でバーベキュー。なんと沙紀も来ていた。いづみさんが頭を下げて連れてきたのだそうだ。 バーベキューの後、ロッジに帰ってきて数時間後、いづみさんがロッジを訪ねてきた。 「くるみが…くるみがいないの」 みんなで手分けしてくるみを探すことになった。優夏がテキパキと指示を出す。 自分の割り当ての場所を一通り探した後、優夏とバッタリ出くわした。一緒に神社に行くことになった。 長い石段を登った先に、ぼろぼろの社殿が建っていた。掲げられた横書きの札は「司紀杜」と読める。 社殿の中に、くるみちゃんは茫然と立っていた。 「くるみ、ここ、覚えてる。来たことあるんだぁ…」 優夏はくるみちゃんを連れて先に外に出た。オレはもう一度ぼろぼろの社殿の中を見回した。 気になるものを見つけた。壁に貼ってある護符だ。和歌のようなものが書き付けてあった。 「はるさめや みさきのはてに なりひびく すずとともにや ときはとかれん」 134名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 53 18 [ 8KT/izNg ] 5日の朝。外はどんよりと曇っていた。みんなは既に出かけた後で、オレと優夏だけがロッジに残っていた。 二人でルナビーチに行くことになった。その道の途中で、オレは切り出した。 「優夏、あの鈴、まだ持ってんのか」 「そんなこと、誠には関係ないでしょ」 オレは優夏に鈴の危険性をわからせようと、1日の朝に見た夢の話をした。 「実は私も、同じ夢を見たの」 優夏は鈴を3日にテニスに行ったとき、砂浜で拾ったと言う。 何てことだ。遠くに投げたと思ったのに、再び砂浜に打ち上げられるとは。 そして優夏は、鈴を捨てたという。再び打ち上げられないようにと、展望公園に。 ルナビーチで食事を済ませ、コーヒーをすすった。優夏は考え事があるらしく、黙ったままだったが、突然、叫んだ。 「わかった!誠、ついてきて」 連れて来られたのはあの神社だった。 優夏はずっと、あの護符に書かれた和歌の意味を考えていたのだという。 最後の「ときはとかれん」というのは、「時は解かれん」になり、 時の流れから解き放たれて、別の時間に飛ばされる、つまり、タイムスリップするって意味だという。 優夏は横書きの札を指差した。あの札も、右から読むと「杜紀司」、「ときつかさ」と読める。 「この神社は、時をつかさどる神を祭った神社だったんだよ、ホントは…」 つまり優夏は、オレと優夏はタイムスリップした、と…?そんなバカな。 そうすると、お米が足りないのも、バッテリーが上がってるのも、高波が来るのも、カレーも… それがわかったのも、予知ではなく、過去に同じことが起こったから、ということになる。つじつまは、合う。 じゃあ、1日に見た夢、あれが夢ではなく現実だとしたら? 誰かが死んで、鈴が鳴って、タイムスリップしたとしたら? 誰かが死ぬ、その悲劇を繰り返さないように、神社には近付かないようにしようと、優夏と約束した。 夜、遙から白い紙包みを受け取った。 「くるみに会って、砂浜でいいもの拾ったから、渡して欲しいって…」 オレは紙包みを開けないでポケットに入れた。 135名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 54 30 [ 8KT/izNg ] 6日。朝から雨。優夏の部屋のドアが僅かに開いている。 不審に思ったオレはドアを開けた。優夏はいなかった。置手紙があった。 「誠へ。ごめんなさい。私、あそこに行きます。私にはどうしても行かなければならない理由があるの」 オレは雨の中を神社へと走った。歴史は繰り返すのか。誰かがまた死ぬのか…。 ぼろぼろの社殿の中に入る。ふと、壁に四角い穴が空いているのを見つけた。オレはそこをくぐった。 建物の裏のすぐ目の前は崖。そのはるか下に海があった。 優夏はずぶ濡れになって佇んでいた。 「やっぱり、来ちゃったんだ…」 寒い。ポケットに手を突っ込むと、何か入っている。紙包みだった。 その中には綿にくるまれた銀の鈴が入っていた。確か砂浜で拾ったって…。 そうだ、鈴を捨てなければ。そう思った瞬間、激しい地震が起こった。 社殿はミシミシと音を立てて崩れた。このままでは下敷きになってしまう。 優夏を助けなければ。だが、目の前は崖だ。海に飛び込もうにもこの高さでは…。 オレの口から、全身から、血が流れる。優夏も血を流して倒れていた。 間に合わなかった。オレは鈴に気を取られ、優夏を助けるのが遅れた。 「どうして…」 垂れ下がった優夏の手の中には、銀の鈴があった。一つはオレが持っている。 ということは…鈴は二つあって、優夏は鈴を捨ててはいなかったんだ。 優夏の手から鈴が零れる。その瞬間、光は失われた――。 136名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 56 35 [ 8KT/izNg ] ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見覚えある、ロッジの、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。 まさか、本当に、タイムスリップしたのか? 優夏があわてた様子でオレの部屋のドアを開ける。 話し合った結果、とにかくみんなに怪しまれないように、いつもどおりに行動することになった。 午後、海に行くと言う二人と別れ、テニス場に残されたオレと優夏。 今後のことを話し合うことにした。 とにかく、オレと優夏にだけは前の6日間の記憶があるのは確かだ。 肉体を伴わず、意識だけが4月1日に戻った。 優夏は、これはタイムスリップではなく無限ループだと言った。 このループは、3回目なのか、それとももっと繰り返しているのかは不明だ。 ループを抜け出す方法を考える。最善策としてはこの島から逃げ出すことだが、 時化でしばらく船は出ないというので、無理だ。 ならば、前と違う行動を起こして、歴史を変えるしかない。 「一緒に見ようね。4月7日の朝日を」 その後、オレたちは海に行って鈴を拾った。 2日は釣りに行かないように働きかけ、3日は二つ目の鈴を拾い、沙紀と億彦の喧嘩を未然に防いだ。 そして、肝試し。オレは沙紀とペアを組むことになった。 沙紀も、オレを見て、優夏の初恋の相手に似てる、と言った。 その夜、眠れなかったオレは部屋を出た。同じく眠れないという優夏と一緒にテラスに出た。 「過去に戻りたかった理由、教えてくれないか?」 優夏に訊く。 「私は、まだ伝えてなかったのよ。私の想いをあの男の子に、言えなかった…」 そんなことのために、この無限ループを繰り返すはめになったのか? オレは憤慨して部屋に戻った。 137名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 03 55 [ 8KT/izNg ] 「誠くん!もうお昼過ぎよ」 オレを起こしたのは沙紀だった。オレは沙紀に、優夏の初恋の男の子のことについて訊いてみた。 「その男の子、死んじゃったの。中3の6月に…」 修学旅行先のホテルで火災が発生し、優夏を含む女の子の班が逃げ遅れた。 彼は炎と煙の中に飛び込んで、女の子を助けていった。最後に優夏を運び出し、息絶えた。 死ぬ間際に彼は優夏の耳元でこう囁いたという。 「前からずっと優夏のことが、好きだったんだ…」 あのとき、優夏を助けられなかった臆病なオレが、彼と似てるだって? オレは、そんな立派な人間じゃない。 ダラダラ過ごして、6日の早朝になっていた。 「くるみがいないの…」 ロッジに来たいづみさんが言った。 きっと神社だろうと、また雨の中を走った。石段の手前に優夏が立っていた。 「来ないで!お願いだから、来ないで!」 オレは優夏の訴えを無視して、優夏に近付いた。 「オレはもう、過去には戻らない」 鈴を取り出し、足で踏み潰して壊した。優夏の脇を抜けて行こうとする。 「行ったらまた同じことになっちゃうんだよ!大切な人をもう失いたくないんだよ!」 それでも、オレと優夏は、神社の裏に来た。 「私も、誠と一緒にいく!」 優夏は鈴を放り投げた。その瞬間、地震が起こった。 もう迷わない。オレは優夏をかばうように抱きしめた。勢い余って、崖から落ちた。 優夏が投げた鈴の音を聞きながら、オレと優夏は海に落ちていった。 ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見覚えある、ロッジの、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月7日になっていた。 オレと優夏は、4月7日の朝日を見た。 優夏編 END 138名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 07 23 [ 8KT/izNg ] (遙編、沙紀編、くるみ編、いづみ編は大した複線も無いので割愛させていただきます。その方がロマンチック(ry 6日にヒロインがいろいろな理由で死んじゃうので 1日にタイムスリップしてヒロインが死なないようにする、という筋書きは一緒です) いづみキュア編 (5日から分岐) 雨が降りしきる中、いづみさんが横たわっていて、その手の中に鈴が乗っているビジョンを見たオレ。 もしかしたら、いづみさんは死んでしまうのでは? そう思ったオレは、いづみさんの監視も兼ねて、今日1日ルナビーチでタダ働きすることになった。 ひと段落した頃、くるみちゃんがトランプを持ってきて、神経衰弱をやろうと言い出した。 いづみさんも入れて3人で神経衰弱をやる。 最初、オレはテキトーにカードをめくったが、その2枚の数字は同じだった。 それからオレは次々と同じ数字のカードを引き当て、ほとんどのカードを一人で取ってしまった。 これも、予知能力なのか? 6日の朝。みんなルナビーチに集まった。 いづみさんはくるみちゃんにもらったという銀の鈴をオレたちに見せた。 オレは鈴を捨てるように言った。 「だって、オレ、見たんだよ。死んでるいづみさんの手の中に、この鈴があったのを…」 億彦はいづみさんに目配せした。 「もう終わりにしましょう…」 それを聞いて、億彦は話し出した。 「実はね、石原は僕らにだまされていたんだよ。でも、勘違いしないでくれよ? 僕らは、ある合理的な目的のために、やらざるをを得なかったんだ」 いづみさんと億彦はグルになって、オレに予知能力があるように見せかけていた、と。 オレがお米が無いと言ったら、いづみさんはお米が無いふりをする。 車のバッテリーが上がっていると言ったら、エンジンがかからないようにすぐにキーを戻す。 夕食はカレーだと言ったら、億彦がこっそり材料を買ってくる。 と、こんな具合だったらしい。 「だから、いづみさんが亡くなるなんてことは、ありえないんだよ」 怒りが湧き上がってきた。 「最初から最後まで、何もかも全部嘘だったんだな?」 「誠くん、違うの…。聞いて、お願いだから…」 オレはいづみさんの弁解に耳を貸さなかった。 いづみさんは雨の降る中、外へ飛び出した。そこでやっと冷静になったオレは、いづみさんを追いかけた。 前方を走っているいづみさんを見つけたが、距離はなかなか縮まらない。 森の中で、いづみさんの姿を見失う。必死で探して、見つけた。 いづみさんは、急勾配の、ほとんど崖みたいな斜面で落ちそうになっていた。 引っ張り上げようとしたが失敗して、オレといづみさんは一緒に斜面を落ちていった。 あのビジョンと一緒だ。横たわってピクリとも動かないいづみさんの手の中には鈴があった。 鈴が手から零れて鳴った。その瞬間、光は失われた――。 139名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 09 01 [ 8KT/izNg ] ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見覚えある、ロッジの、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。 まさか、タイムスリップしたのか?いやいや、オレが寝ている間に億彦が腕時計を操作したとも限らない。 オレはロビーでくつろいでいる億彦に殴りかかって吐かせることにした。 「億彦、お前、オレをまた騙そうとしてるだろ!」 「何で知ってるんだ?それに、まだ実行に移してない…」 実行に移してない、ということは、この腕時計の表示は本物なのか? オレは外に飛び出し、ルナビーチに向かって走った。同じようにこちらに向かってきたいづみさんと会った。 「くるみに日付を聞いたら、『4月1日に決まってるでしょ』って、そう言ったの。 嘘がつけないあの子が…」 とにかくいつもと同じように振舞うことに決めて、いづみさんと別れてロッジに戻った。 優夏たちにも日付を聞いたが4月1日だという答え。何より、テレビのニュースが4月1日だと告げている。 午後、みんなでルナビーチに行った。 「先生、実験は失敗してしまいました…」 億彦はいづみさんにそう言った。 「実験?実験って何だよ!」 取り乱すオレをいづみさんは店外へと連れ出した。 停めてある軽トラックへと二人で乗り込んでから、いづみさんは話し出した。 「億彦くんに、誠くんのことを騙すように言ったのは、私なの」 「どうして、そんなこと…」 「キュレイシンドロームのことを知りたかったから。億彦くんが先生って言ったのは、 私が誠くんの大学の教授だから。この川島班のゼミを担当しているのが私なの」 いづみさんはキュレイシンドロームについて説明してくれた。 昔、アメリカにトムという12歳の、ごく普通の少年が住んでいた。 ある日からトム少年は妄想にとらわれ、奇妙なことを言うようになった。 「自分の中に死はない、だから、自分は他人を癒すことが出来る」、と。 その言葉通り、トム少年は周りの人々に病気や怪我を治すという奇跡を次々と起こした。 自分には特殊な力があるという妄想を心の底から信じて疑わなかったトム少年。 その妄想は次第に周囲の人々に伝播していった。 この周りに伝播する妄想はキュレイシンドロームと名づけられた。 キュレイは「CURE(キュア)」のフランス語読み。キュアは治すとか癒すとか、そういう意味だ。 「なるほどな…そういうことか。オレに予知能力があると妄想を抱かせて、 キュレイシンドロームに陥らせ、それが広がるのを部外者のふりをして観察していた…と。 それがこの合宿の目的…実験とやらなんだな」 オレを騙すために使ったのは億彦だけで、他のメンバーはいづみさんが教授だと知っていたが、 オレには知られないようにしていたらしい。 オレは学校にほとんど行ってないので、いづみさんの顔を知らなかった。被験者としてこれほどの適役はいない。 「でも…でもね、実験は、実際には一度もやってないの。それなのに、誠くんが言っていた予知は、全部当たってたの!」 いづみさんはキーをイグニッションに差し込んだ。 「誠くん…エンジン、かけてみて?」 キーをひねったがエンジンはかからなかった。バッテリーが上がってる。 「今日の午前中にやったときは、ちゃんとかかったの…」 やはり、オレの予知能力は本物、ってことか。 夕食後、ロッジに帰る途中の砂浜で銀の鈴を見つけた。 悲劇を繰り返さないために、壊してしまうことに決めた。 鈴を道路に置き、転がっていたコンクリートの破片を上から思いっきり打ち付けた。 コンクリート片を持ち上げると、鈴は無かった。粉々になって吹き飛んだ、というわけでもなく、 跡形もなく消えていた。まさか、消えたのだろうか。 140名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 11 25 [ 8KT/izNg ] 2日。夕食後にいづみさんはみんなに神社の話をした。 岬の先に「司紀杜神社」のがあること。 「でも、その神社はもう無くなってるけどね」 失踪したくるみちゃんがいた神社が、無くなってるだって? その後、夜遅くなってからいづみさんはオレの部屋をこっそり訪ねてきた。 昨日話せなかったが、キュレイシンドロームのもう一つの特徴があるという。 それはシュレディンガーの猫と関係があるらしい。 遙がオレの部屋に入ってきて、その話はそれでおしまいになった。 3日。遙と釣りに行ったが、そこそこに引き上げてオレは商店街に行った。 そこで優夏と会った。シュレディンガーの猫が何なのか知っていた優夏はわかりやすく説明してくれた。 シュレディンガーの猫の話自体は結構有名だと思うので詳しいことは各自調べてくれ。 簡単に言うと、完全防音の箱の中に密封された猫の生死は、箱を開けるまで確定しないということだ。 ここに猫が密封された箱があるとする。今は午後3時50分。 さて、1分経って3時51分、オレは箱を開ける。残念ながら猫は数日前に死んでいたようだ。 3時50分の猫の生死は不明。だが3時51分にオレは箱を開け、3時50分の猫の生死を、過去を確定させた。 「今、誠は過去を決めたのよ。過去に戻ることなんて、出来ないんだから」 夜、墓地に肝試しに行く。いづみさんとペアを組むことになった。 ここなら誰もいないからと、いづみさんは昨日の話の続きをしてくれた。 キュレイシンドロームのもう一つの特徴とは、「観察者の意志は、過去の事実を決める」というものだった。 とても信じられないことだが、例のトム少年はそんなこともやってのけたらしい。 トム少年の幼馴染で末期ガンで入院していたジュリアという少女がいた。 トム少年はジュリアを奇跡を起こして完治させてしまった。 ジュリアの過去を、ガンにかかっていないという事実に決めてしまった結果だった。 強固な思念は、新たな現実を創造できるのかも知れない。 どんなに荒唐無稽な妄想でも、本人、そして周りの人々も、心の底から信じて疑わなければ、それは現実となる。 「『妄想が現実になる』、それがもう一つのキュレイシンドロームの特徴…」 いづみさんは、肉体を伴わず記憶だけを持って時を遡ったことから、 今のこの状態はタイムスリップではなく無限ループだと言った。 そこからいづみさんは一つの仮説を立てた。 この無限ループに嵌る前に、実験は施されていて、オレはキュレイシンドロームに陥った。 ただし、当初の目論見では予知能力があるという妄想を抱かせる予定だったのだが、 それをオレはタイムスリップしたというふうに解釈してしまった。 6日にいづみさんが死んでしまうという想定外の現実を目の当たりにしたオレは、 いづみさんが死なない過去を創造しようとした。 そしてオレは、タイムスリップできる妄想の世界に、この無限ループに陥った。 最初の周回は、少しだけ記憶を引き継いでいた。それが予知能力として現れた。 それでもいづみさんの死を回避できなかったオレは、今度は全ての記憶を引き継いで周回を始めた。 それが、今、この周回だ。そしてオレは、この世界が無限ループだと、妄想の世界だということを否定し、 自分自身を納得させるために、タイムスリップしたという現実を創造した。 いづみさんは、神経衰弱で数字を当てまくった奇跡を目の当たりにしてしまったので、 オレに不思議な力があると心の底から信じてしまい、キュレイシンドロームに陥ってしまった。 オレといづみさんにだけ前の周回の記憶があるのはそのためだ。 オレはオレの、いづみさんはいづみさんの妄想の世界に、無限ループに生きている。 6日の悲劇を回避できれば、きっとこの妄想の世界から抜け出すことができるだろう。 141名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 12 37 [ 8KT/izNg ] 4日の昼頃。オレはくるみちゃんと一緒に岩場にいた。カニを採って遊ぶくるみちゃんをぼんやり眺める。 オレの側に寄ってきたくるみちゃんは、泳ぐのが好きだと言った。 プールに行くときに頭痛がすると言ったのは実は仮病だったと言う。 くるみちゃんは水着姿になるのが嫌なのだ。くるみちゃんの背中には、幼いときにできたという大きな傷があるらしい。 中学の頃、その傷が気持ち悪いという理由で好きな人に振られたこともあるという。 そのとき、大きな地震が起こった。くるみちゃんはオレに抱きついてきた。 予期せず、オレの手がくるみちゃんの背中に触れた。服の上からでも、傷があるのがわかる。 こんな傷跡など消えてしまえばいい、とオレは思った。 くるみちゃんを連れてルナビーチに帰る。店内ではいづみさんと遙が話をしていた。 店を出て行く遙をくるみちゃんは追いかけていった。 「誠くん、遙ちゃんはきっと、私の本当の妹なのよ…」 いづみさんはオレに以下の事実を話し始めた。 今から21年前の7月、くるみちゃんは何者かによって誘拐されてしまった。 当時くるみちゃんは0歳、いづみさんは1歳半だった。 その7日後、司紀杜神社が倒壊。中から下敷きになった誘拐犯が発見されたが、くるみちゃんは依然として行方不明。 それから1年半後、今から19年前、遺伝子工学の権威だったいづみさんの父、守野茂蔵は、 寂しさに耐えられなくなり、当時違法だったくるみちゃんのクローンが生まれた。 その翌年の7月、誘拐されてから3年後、くるみちゃんが司紀杜神社で発見された。 背中に深い傷を負っており、そして、その体には成長の跡が見られなかった。 くるみちゃんはまるで、3年後にタイムトリップをしたかのようだった。 遙とくるみちゃんのクローンとの生年月日は一致するし、昔、いづみさんがつけてしまったという額の傷まで一致する。 となればもう、疑う余地はないだろうな。 いづみさんは、くるみちゃんの空白の3年間を取り戻そうと、この島に足しげく通うようになったのだという。 うちの大学の教授になったのも、ここに合宿所があったからだそうだ。 5日。沙紀と億彦の二人が歩いているのを目撃したオレ。 二人でいかがわしいことでもしようってのか?と思い、後をつけていくことに。 神社に行く途中で二人の姿を見失った。石段を上っていった。そこに神社はなく、更地になっていた。 2日にいづみさんが神社は無いと言ったから、過去が変わってしまったのか…? その後、ルナビーチに行った。くるみちゃんが神経衰弱をやろうと言った。 また数字を当てまくってしまう。オレはそんなこと望んでないのに。トランプなんてやりたくない。 と、くるみちゃんがトランプが無いと騒ぎ出した。 まただ。オレがトランプをやりたくないと言ったから、トランプが消えた。 1日に鈴が消えたのも恐らく同じ原理だろう。 142名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 17 28 [ 8KT/izNg ] 6日。みんなでバーベキュー。遙とくるみちゃんはすっかり意気投合している。 そりゃそうだ。一卵性双生児みたいなもんだからな。 しかし、くるみの一年半後の姿が遙か。ちょっと想像つかない。 沙紀がヘマして、手に持った紙コップのビールを遙にかけてしまった。 オレはみんなより遅れてロッジに帰った。オレの部屋のドアを開けると、 女の子のつるりとした綺麗な背中が目に飛び込んできた。どうやら着替え中だったらしい。 悲鳴の声に慌ててドアを閉める。 あの服にあの声、くるみちゃんか。でも、あの傷の無い背中は…? しばらくして、オレの部屋からくるみちゃんが出てきた。 「誠くんに覗かれちゃった」 その態度はなんだか急に大人びて見えた。それを指摘すると、くるみちゃんはこう答えた。 「私ももう、今年で21歳だよ。誠くんと同い年なんだから、別にいいじゃん」 まさか、くるみちゃんの過去が変わっているのか? オレがあのとき、傷なんか消えてしまえと思ったから、空白の3年間は無かったことになり、 背中の傷が消え、そして、遙も存在しなくなる。 オレは外に飛び出して、遙を探し回った。海岸沿いの道路で遙を見つけた。 いづみさんが道路の上に倒れていた。すごい熱だった。と、そのとき、向こうから車が近付いてきた。 オレは車の前に飛び出して、いづみさんの代わりに、車に撥ねられた。 遙が倒れているいづみさんに駆け寄る。 「お姉ちゃん、どうして…?」 「だって、遙のことが、心配だったから」 良かった、いづみさんは無事だ。そこで意識が途切れた。 オレは足を骨折し、肋骨も何本か折ったが、松葉杖で歩くことができた。 「だいたいなぁ、お前がややこしいことを言うからだぞ」 オレに付き添って歩いているくるみちゃんに文句を言った。 オレが見たつるりとした背中は遙のものだった。隣にくるみちゃんもいて、くるみちゃんが悲鳴を上げた。 遙の服にビールが引っ掛けられてしまったため、二人は服を取り替えているところだったのだ。 くるみちゃんが21歳だと言ったのは戸籍上のことで、それは遙から知らされた事実だった。 つまり、くるみちゃんの過去は変わっていなかった。 海岸沿いの道路に来た。オレが撥ねられた場所だ。あのときのコンクリート片がまだ転がっている。 その側に何かキラリと光るものが落ちていた。それはペチャンコになった銀の鈴だった。 ペチャンコになったから見つけられなかっただけだった。 やっとルナビーチに着いた。いづみさんはチラシを差し出した。 「シキノモリ神社」と「トキツカサ神社」、この島にはもともと二つの神社があって、そこでお祭りをするというチラシだった。 オレが見た更地はトキツカサ神社だった。 「私もこの島のことを知り尽くしたと思ったのに、まだまだね」 結局、最後の6日間で起こった奇跡のようなものは、全て奇跡でもなんでもなかった。 ここは妄想の世界ではない、紛れも無い現実。オレは今、それをかみしめていた。 END 143名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 29 48 [ 8KT/izNg ] おまけ いづみキュア エンディングB 海岸沿いの道路で見つけた遙は存在が希薄だった。 触ろうとしたがすり抜けてしまった。そして、消えてしまった。 くるみちゃんの過去は本当に変わってしまったらしい。 いづみさんを助けようとしてオレは車に轢かれて、瀕死の重傷を負った。そこで意識が途切れた。 ※物語の舞台は2019年らしい。 ※トム少年の奇跡を受けたジュリアの中には キュレイと呼ばれる、宿主のどんな病気もたちどころに治してしまうウイルスが発生しているらしい。 そしてキュレイは次回作(Ever17)以降に大活躍、です。 次回作のあの人はジュリアちゃんからキュレイをもらったらしいですよ? ※キュレイシンドロームのせいではなく、本当にタイムスリップは起こっている、という解釈も成り立ちます。 特に空白の3年間はの謎は明確な答えがありませんし。 また、いづみキュアエンディングBが真実で、全ては誠が死に際に見た夢だったとか、 あるいは全てがサイコ野郎の妄想だったという解釈もありです。 ※遙の声優は????になってますが紛れも無くくるみと同じ人です。 二役とは思われないくらい上手い。それと比べて次回作に出てくる伏字キャストはかなり失敗くさい。 個性的な声なのが裏目に出てしまいましたね~残念。
https://w.atwiki.jp/bemani2sp/pages/4922.html
CS INFINITAS(202403版) SP十段 STAGE TITLE BPM notes LEVEL 1st Super Rush(A) 190 1791 12 2nd IMPLANTATION(A) 145 1163 12 3rd Colorful Cookie(A) 180 1773 12 FINAL reunion(A) 184 1677 12 コメント・攻略 現行と比べると流石に見劣りするが、クッキーリユニで一定の難易度は保たれており、かつ前2曲も決して弱くない。似た曲目のBis十段と比較して、扇子よりはインプラの方が認識しやすい分癖もつきやすいので注意。 -- 名無しさん (2024-03-13 13 21 01) 初手スパラはビビったがそれ以外がパッとしない...アケの難易度が上がってるんだからもう少し難易度上げても良かったって思う。 -- 名無しさん (2024-03-13 15 47 59) クッキーがパッとしないのは地力がなさすぎるかありすぎるのか -- 名無しさん (2024-03-15 13 54 58) ACのが難しいとは思うけどほぼプリズナーのせいだしなあ 正直クッキーリュニオンの流れはそこまで難易度に差があるとも思わん -- 名無しさん (2024-03-15 18 32 50) 1,2曲目は終盤難でトータルBP少なくてもゲージを削られやすいので油断大敵。そして実家のような安心感のクッキーリユニ。十段はこれくらいが適切だと思う。 -- 名無しさん (2024-03-15 19 22 08) AAが消えたことで大幅に簡単になった。 -- 名無しさん (2024-07-22 22 14 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/infinitesky/pages/1.html
空LS inifiniteskyのHPです。何か足りないところがあったら報告してください。 トップページ ルール メンバーリスト NM BBS トリガー取得状況 希望品
https://w.atwiki.jp/bioshocki/pages/38.html
バグ 敵消失バグ たまに起こるバグ。イベント戦で敵がどこかに埋まってしまっているのか、 全滅させることが出来ずチェックポイントからやり直すしかない。 お金&ロックピック稼ぎ 英雄ホールでショック・ジョッキー入手後。 英雄ホール前の広場にある自販機にポゼッションを使う。 スカイラインに乗ってすぐの場所で降りてロックピックを拾う。 英雄ホールに戻る。 すると自販機へのポゼッション、ロックピックともに復活しているというもの。 お金を稼ぎたいならそのままスカイラインに乗ってスカイロード駅まで行く。 →自販機が2個とチケット売り場内にレジが2個。2階のゲーム機の下にもお金あり。 さらに女子トイレ左側奥から2番目の左側にロックピックが1つ さらにソルジャーズフィールドまで行く。 →自販機が2個とアイス店内にキャッシュバッグが2個あります。 ギア稼ぎ 上の延長線上のバグ。 ソルジャーズ・フィールドのおもちゃ屋にあるギアまで復活している。 Bioshock Infinite Raffle Square Glitch/Shortcut 抽選会場からブルーリボン・レストランまでの戦闘を回避できるが、 ボックスフォン1個とデビルズ・キスが入手できない。 Bioshock Infinite Speedrun Tutorial Bioshock Infinite Speedrun in 1 43 14 Bioshock Infinite 1999 Mode Speed Run 1 56 19
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1349.html
Never7 -the end of infinity- 当Wiki連絡用掲示板、差し替え・追加スレッドpart1-128~143 128名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 34 45 [ 8KT/izNg ] ギャルゲー板でリクが来ていて しかもインフィニティ インテグラルシリーズで唯一書かれていなかったので書いてみた 長期アク禁中なのでこっちに投下させてもらいます~ 129名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 39 37 [ 8KT/izNg ] 登場人物 石原誠(いしはら まこと)…オレ。もう3年生にになるというのに殆ど大学に行ってないらしい。川島班のメンバー。20歳。 川島優夏(かわしま ゆうか)…誠と同じゼミに所属する川島班の班長。班長を務めるだけあってしっかり者。 樋口遙(ひぐち はるか)…誠と同学年だが飛び級してるのでまだ19歳。感情を表に出さないタイプ。川島班のメンバー。 飯田億彦(いいだ おくひこ)…大学でも有名なちゃらちゃらした金持ちのボンボン。川島班のメンバー。 朝倉沙紀(あさくら さき)…優夏の中学時代の同級生。高飛車なお嬢様タイプ。 守野くるみ(もりの -)…17歳の高校生だがそう見えないくらい子供っぽい。 守野いづみ(もりの -)…22歳。くるみの姉。お姉さんタイプ。 「どうして…」 それはオレの言葉だったのか、それとも誰かの言葉だったのか、わからない。 目の前に誰かが横たわっている。重く垂れ下がった手の平には、褪せた緋色の紐が付いた、銀色の鈴が乗っていた。 その鈴が手のひらから零れ落ち、澄んだ音を立てる。そして、光を失った――。 130名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 42 32 [ 8KT/izNg ] ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見慣れない、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。 さて。さっきのあれは本当に夢だったのだろうか。 日付は4月6日だった。4月6日、誰かが、死ぬ…のか? ここは絶海の孤島にある、ロッジだ。昨日の夜、フェリーに乗ってここに来た。 まぁ、絶海の孤島といってもそれなりに人は住んでいるし、観光客もいるみたいだが。 オレはゼミ合宿とかいうものに来ていた。3月31日~4月7日の7泊8日の予定だ。 本当は来たくなかったんだが、サボると除名だとかいうので仕方なかった。 着替えを済ませてロッジのロビーに行く。オレの他、遙、億彦、そして班長の優夏が集まった。 しばらくして、玄関のチャイムが鳴る。 「シーフードピザ、お待たせしましたぁ~」 女の子が宅配のピザを持ってきたが、もちろん、だれも注文してない。誤配だった。 「だって、朝倉さんのお宅ってここじゃ…?」 「僕が朝倉です」 腹の減っていた億彦はそんな嘘をついてピザを受け取り、食べてしまった。 午後からはみんなでテニスをしに行くという。 そもそもこの合宿は、みんなの親睦を深めるのが目的だとか。だから遊んでいればいいのだ。 テニス場に着くなり、遙が海に行くと言い出した。億彦は遙に付いていくというので、 オレは優夏と二人で楽しくテニスをした。 夕方になって、海岸に遙たちを迎えに行った。その足で商店街の方へ向かおうとしたが、 途中にお洒落な喫茶店があったので寄ってみることにした。「ルナビーチ」という店の名前だった。 店内ではピザを誤配してきた女の子がモップがけをしていた。 女の子はくるみちゃんという名前で、姉のいづみさんが住み込みでバイトしているこの店に滞在している。 いづみさんもくるみちゃんも地元民ではないらしい。今は店長は旅行中とのことでいづみさんが店長代理だそうだ。 楽しく会話しているところへ、カンカンに怒った女の子が入ってきた。 この子が朝倉沙紀。シーフードピザの本当の配達先だ。 いづみさんは彼女に平謝りした。やがて、沙紀は優夏の知り合いだったことがわかった。 ロッジの近くの別荘に滞在中なんだそうだ。 すっかり意気投合したところで、いづみさんがピザのお詫びも兼ねて夕食をごちそうすると言い出した。 メニューはパエリアだそうだ。 「でも、お米が無いからパエリアは無理なんじゃ…?」 オレは何気なくそう言った。いづみさんはお米の残量を確認する。確かに、足りなかった。 オレと優夏は店の自転車を借りて、商店街でお米を買ってきた。 海の見えるテラスで、総勢7名でのにぎやかな食事を済ませて、ロッジへと帰る。 途中に通った砂浜で、オレは銀の鈴を見つける。間違いない。今朝の夢に出てきた鈴だ。 不吉なその鈴を、オレは海に放り投げた。 131名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 45 30 [ 8KT/izNg ] 翌日。みんなはルナビーチに集まった。ここから近い所にある、ホテルのプールに行こうという話になった。 だが、くるみちゃんは頭が痛いと言うので店で休むことになった。 くるみちゃんを除く6人でプールで遊ぶ。優夏は昼間からビールを飲んで酔っ払っていた。 午後3時頃にルナビーチに戻る。今度は釣りをしようといづみさんが言い出した。 頭痛が治ったくるみちゃんも一緒に行く事になった。ここから港へ行くには歩きでは遠いので、 いづみさんは店の近くに駐車してある軽トラックを動かそうとした。 「でも、そのトラックはバッテリーが上がってるんでしょ?」 オレの言葉に驚きつつも、いづみさんはエンジンをかけたが、やはりバッテリーが上がっているようだった。 のんびり歩いて港へ向かう。 「ねえ、釣り…やめない?」 港へ着くなり、優夏が言ったが、誰も聞かなかった。 我先にと防波堤に行った沙紀と遙。何やら言い争っているみたいだ。 と、そのとき、押し寄せた高波に沙紀は浚われてしまった。 沙紀はすぐに助けられ、診療所のベッドに寝かされた。どうやら大したことは無いみたいだった。 沙紀の付き添いにはくるみが残ることになり、残りのメンバーはルナビーチに帰った。 夕食後、オレたちは砂浜へ散歩に出かけた。いづみさんがこの島の昔話をしてくれた。 岬の灯台の下には展望公園があって、そこで想いを告げると恋が叶うとか。 また、西の方にもう一つ岬があって、そこには神社があるという。 その神社は「司紀杜(しきのもり)神社」というそうだが、一説によると「死鬼杜」と書くとか。 昔、飢饉があったりすると、神社に生贄を捧げたとか、そんな伝説が残っているという。 また、司紀杜神社に行った人が神隠しに遭うという噂もあるという。 だから、今は地元民でも神社には近寄らないのだそうだ。 そこへくるみがやってきた。沙紀は億彦に会いたがっているというので、億彦はしぶしぶ診療所にお見舞いに行った。 132名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 46 48 [ 8KT/izNg ] 翌日、3日の朝。ロッジには元気な沙紀がいた。 釣りがしたいという遙に釣りを教えてやることになった。 優夏はくるみとテニスをしに行くという。沙紀は億彦と遊ぶらしい。 夕方、オレと遙がロッジに帰って来ると、沙紀と億彦は喧嘩をしていた。 遙が止めに入ろうとすると、沙紀はますます怒ったようだった。 「何よ、クローンのくせに…!」 沙紀は遙に、確かにクローンだと言った。 クローンは9年前に法律で認められている。でも、胸の中の違和感は消えなかった。 結局沙紀は別荘に帰ってしまった。ロッジにはいづみさんがやってきて、これから夕食をつくるという。 「いづみさん、オレにも手伝わせて下さい。ジャガイモの皮むきくらい出来ますから」 「ジャガイモ…?」 「だって、今日の夕食はカレーでしょ?」 オレの口から自然に言葉が毀れた。オレの言うとおり、夕食の予定はカレーだった。 どうしてわかったのかと訝るみんなに、合宿といえばカレーだろ、と、オレは苦しい言い訳をした。 夕食後、山奥の墓地まで肝試しに行った。 133名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 50 39 [ 8KT/izNg ] 4日。オレは優夏と二人で桜並木を見に行った。 「ねぇ、誠?誠の初恋って、いつだった?私は、中学のときだった…」 満開の桜の下で、優夏は話し出した。優夏の初恋の相手は、中学3年のときのクラスメイトの男の子だったという。 「それで、その男の子とはうまくいったのか?」 「ううん。ずっと、片思いだったから。だけど、いつまでもその人のこと、忘れられないの。 その人ね、とっても似てるんだぁ…誠に…」 桜並木を抜けて展望公園に着いたが、さっき聞かされた優夏の初恋の相手のことが引っかかって、オレは無言のままだった。 そのとき、地震が起こった。だいぶ大きい。倒れないように手すりに捕まった。鈴の音がしたので振り向くと、 優夏の足元にあの銀の鈴が落ちている。 地震が収まった後、オレは優夏に言った。 「この鈴、何で優夏が持ってんだよ…?」 だが優夏は答えずに、鈴を拾い上げた。 「あのね、誠、私、やらなきゃいけないことがあるから…」 そう言って優夏は去って行った。 夕方。みんなで砂浜でバーベキュー。なんと沙紀も来ていた。いづみさんが頭を下げて連れてきたのだそうだ。 バーベキューの後、ロッジに帰ってきて数時間後、いづみさんがロッジを訪ねてきた。 「くるみが…くるみがいないの」 みんなで手分けしてくるみを探すことになった。優夏がテキパキと指示を出す。 自分の割り当ての場所を一通り探した後、優夏とバッタリ出くわした。一緒に神社に行くことになった。 長い石段を登った先に、ぼろぼろの社殿が建っていた。掲げられた横書きの札は「司紀杜」と読める。 社殿の中に、くるみちゃんは茫然と立っていた。 「くるみ、ここ、覚えてる。来たことあるんだぁ…」 優夏はくるみちゃんを連れて先に外に出た。オレはもう一度ぼろぼろの社殿の中を見回した。 気になるものを見つけた。壁に貼ってある護符だ。和歌のようなものが書き付けてあった。 「はるさめや みさきのはてに なりひびく すずとともにや ときはとかれん」 134名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 53 18 [ 8KT/izNg ] 5日の朝。外はどんよりと曇っていた。みんなは既に出かけた後で、オレと優夏だけがロッジに残っていた。 二人でルナビーチに行くことになった。その道の途中で、オレは切り出した。 「優夏、あの鈴、まだ持ってんのか」 「そんなこと、誠には関係ないでしょ」 オレは優夏に鈴の危険性をわからせようと、1日の朝に見た夢の話をした。 「実は私も、同じ夢を見たの」 優夏は鈴を3日にテニスに行ったとき、砂浜で拾ったと言う。 何てことだ。遠くに投げたと思ったのに、再び砂浜に打ち上げられるとは。 そして優夏は、鈴を捨てたという。再び打ち上げられないようにと、展望公園に。 ルナビーチで食事を済ませ、コーヒーをすすった。優夏は考え事があるらしく、黙ったままだったが、突然、叫んだ。 「わかった!誠、ついてきて」 連れて来られたのはあの神社だった。 優夏はずっと、あの護符に書かれた和歌の意味を考えていたのだという。 最後の「ときはとかれん」というのは、「時は解かれん」になり、 時の流れから解き放たれて、別の時間に飛ばされる、つまり、タイムスリップするって意味だという。 優夏は横書きの札を指差した。あの札も、右から読むと「杜紀司」、「ときつかさ」と読める。 「この神社は、時をつかさどる神を祭った神社だったんだよ、ホントは…」 つまり優夏は、オレと優夏はタイムスリップした、と…?そんなバカな。 そうすると、お米が足りないのも、バッテリーが上がってるのも、高波が来るのも、カレーも… それがわかったのも、予知ではなく、過去に同じことが起こったから、ということになる。つじつまは、合う。 じゃあ、1日に見た夢、あれが夢ではなく現実だとしたら? 誰かが死んで、鈴が鳴って、タイムスリップしたとしたら? 誰かが死ぬ、その悲劇を繰り返さないように、神社には近付かないようにしようと、優夏と約束した。 夜、遙から白い紙包みを受け取った。 「くるみに会って、砂浜でいいもの拾ったから、渡して欲しいって…」 オレは紙包みを開けないでポケットに入れた。 135名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 54 30 [ 8KT/izNg ] 6日。朝から雨。優夏の部屋のドアが僅かに開いている。 不審に思ったオレはドアを開けた。優夏はいなかった。置手紙があった。 「誠へ。ごめんなさい。私、あそこに行きます。私にはどうしても行かなければならない理由があるの」 オレは雨の中を神社へと走った。歴史は繰り返すのか。誰かがまた死ぬのか…。 ぼろぼろの社殿の中に入る。ふと、壁に四角い穴が空いているのを見つけた。オレはそこをくぐった。 建物の裏のすぐ目の前は崖。そのはるか下に海があった。 優夏はずぶ濡れになって佇んでいた。 「やっぱり、来ちゃったんだ…」 寒い。ポケットに手を突っ込むと、何か入っている。紙包みだった。 その中には綿にくるまれた銀の鈴が入っていた。確か砂浜で拾ったって…。 そうだ、鈴を捨てなければ。そう思った瞬間、激しい地震が起こった。 社殿はミシミシと音を立てて崩れた。このままでは下敷きになってしまう。 優夏を助けなければ。だが、目の前は崖だ。海に飛び込もうにもこの高さでは…。 オレの口から、全身から、血が流れる。優夏も血を流して倒れていた。 間に合わなかった。オレは鈴に気を取られ、優夏を助けるのが遅れた。 「どうして…」 垂れ下がった優夏の手の中には、銀の鈴があった。一つはオレが持っている。 ということは…鈴は二つあって、優夏は鈴を捨ててはいなかったんだ。 優夏の手から鈴が零れる。その瞬間、光は失われた――。 136名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 16 56 35 [ 8KT/izNg ] ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見覚えある、ロッジの、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。 まさか、本当に、タイムスリップしたのか? 優夏があわてた様子でオレの部屋のドアを開ける。 話し合った結果、とにかくみんなに怪しまれないように、いつもどおりに行動することになった。 午後、海に行くと言う二人と別れ、テニス場に残されたオレと優夏。 今後のことを話し合うことにした。 とにかく、オレと優夏にだけは前の6日間の記憶があるのは確かだ。 肉体を伴わず、意識だけが4月1日に戻った。 優夏は、これはタイムスリップではなく無限ループだと言った。 このループは、3回目なのか、それとももっと繰り返しているのかは不明だ。 ループを抜け出す方法を考える。最善策としてはこの島から逃げ出すことだが、 時化でしばらく船は出ないというので、無理だ。 ならば、前と違う行動を起こして、歴史を変えるしかない。 「一緒に見ようね。4月7日の朝日を」 その後、オレたちは海に行って鈴を拾った。 2日は釣りに行かないように働きかけ、3日は二つ目の鈴を拾い、沙紀と億彦の喧嘩を未然に防いだ。 そして、肝試し。オレは沙紀とペアを組むことになった。 沙紀も、オレを見て、優夏の初恋の相手に似てる、と言った。 その夜、眠れなかったオレは部屋を出た。同じく眠れないという優夏と一緒にテラスに出た。 「過去に戻りたかった理由、教えてくれないか?」 優夏に訊く。 「私は、まだ伝えてなかったのよ。私の想いをあの男の子に、言えなかった…」 そんなことのために、この無限ループを繰り返すはめになったのか? オレは憤慨して部屋に戻った。 137名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 03 55 [ 8KT/izNg ] 「誠くん!もうお昼過ぎよ」 オレを起こしたのは沙紀だった。オレは沙紀に、優夏の初恋の男の子のことについて訊いてみた。 「その男の子、死んじゃったの。中3の6月に…」 修学旅行先のホテルで火災が発生し、優夏を含む女の子の班が逃げ遅れた。 彼は炎と煙の中に飛び込んで、女の子を助けていった。最後に優夏を運び出し、息絶えた。 死ぬ間際に彼は優夏の耳元でこう囁いたという。 「前からずっと優夏のことが、好きだったんだ…」 あのとき、優夏を助けられなかった臆病なオレが、彼と似てるだって? オレは、そんな立派な人間じゃない。 ダラダラ過ごして、6日の早朝になっていた。 「くるみがいないの…」 ロッジに来たいづみさんが言った。 きっと神社だろうと、また雨の中を走った。石段の手前に優夏が立っていた。 「来ないで!お願いだから、来ないで!」 オレは優夏の訴えを無視して、優夏に近付いた。 「オレはもう、過去には戻らない」 鈴を取り出し、足で踏み潰して壊した。優夏の脇を抜けて行こうとする。 「行ったらまた同じことになっちゃうんだよ!大切な人をもう失いたくないんだよ!」 それでも、オレと優夏は、神社の裏に来た。 「私も、誠と一緒にいく!」 優夏は鈴を放り投げた。その瞬間、地震が起こった。 もう迷わない。オレは優夏をかばうように抱きしめた。勢い余って、崖から落ちた。 優夏が投げた鈴の音を聞きながら、オレと優夏は海に落ちていった。 ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見覚えある、ロッジの、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月7日になっていた。 オレと優夏は、4月7日の朝日を見た。 優夏編 END 138名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 07 23 [ 8KT/izNg ] (遙編、沙紀編、くるみ編、いづみ編は大した複線も無いので割愛させていただきます。その方がロマンチック(ry 6日にヒロインがいろいろな理由で死んじゃうので 1日にタイムスリップしてヒロインが死なないようにする、という筋書きは一緒です) いづみキュア編 (5日から分岐) 雨が降りしきる中、いづみさんが横たわっていて、その手の中に鈴が乗っているビジョンを見たオレ。 もしかしたら、いづみさんは死んでしまうのでは? そう思ったオレは、いづみさんの監視も兼ねて、今日1日ルナビーチでタダ働きすることになった。 ひと段落した頃、くるみちゃんがトランプを持ってきて、神経衰弱をやろうと言い出した。 いづみさんも入れて3人で神経衰弱をやる。 最初、オレはテキトーにカードをめくったが、その2枚の数字は同じだった。 それからオレは次々と同じ数字のカードを引き当て、ほとんどのカードを一人で取ってしまった。 これも、予知能力なのか? 6日の朝。みんなルナビーチに集まった。 いづみさんはくるみちゃんにもらったという銀の鈴をオレたちに見せた。 オレは鈴を捨てるように言った。 「だって、オレ、見たんだよ。死んでるいづみさんの手の中に、この鈴があったのを…」 億彦はいづみさんに目配せした。 「もう終わりにしましょう…」 それを聞いて、億彦は話し出した。 「実はね、石原は僕らにだまされていたんだよ。でも、勘違いしないでくれよ? 僕らは、ある合理的な目的のために、やらざるをを得なかったんだ」 いづみさんと億彦はグルになって、オレに予知能力があるように見せかけていた、と。 オレがお米が無いと言ったら、いづみさんはお米が無いふりをする。 車のバッテリーが上がっていると言ったら、エンジンがかからないようにすぐにキーを戻す。 夕食はカレーだと言ったら、億彦がこっそり材料を買ってくる。 と、こんな具合だったらしい。 「だから、いづみさんが亡くなるなんてことは、ありえないんだよ」 怒りが湧き上がってきた。 「最初から最後まで、何もかも全部嘘だったんだな?」 「誠くん、違うの…。聞いて、お願いだから…」 オレはいづみさんの弁解に耳を貸さなかった。 いづみさんは雨の降る中、外へ飛び出した。そこでやっと冷静になったオレは、いづみさんを追いかけた。 前方を走っているいづみさんを見つけたが、距離はなかなか縮まらない。 森の中で、いづみさんの姿を見失う。必死で探して、見つけた。 いづみさんは、急勾配の、ほとんど崖みたいな斜面で落ちそうになっていた。 引っ張り上げようとしたが失敗して、オレといづみさんは一緒に斜面を落ちていった。 あのビジョンと一緒だ。横たわってピクリとも動かないいづみさんの手の中には鈴があった。 鈴が手から零れて鳴った。その瞬間、光は失われた――。 139名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 09 01 [ 8KT/izNg ] ガバッと思い切り布団を蹴飛ばして目覚めた。 しばし茫然として虚空を眺める。 見覚えある、ロッジの、天井…。 大きく息を吸い込み、そして吐き出す。 これを3回繰り返したおかげて、ようやく状況を把握することができた。 デジタル式の腕時計を見る。日付は4月1日になっていた。 まさか、タイムスリップしたのか?いやいや、オレが寝ている間に億彦が腕時計を操作したとも限らない。 オレはロビーでくつろいでいる億彦に殴りかかって吐かせることにした。 「億彦、お前、オレをまた騙そうとしてるだろ!」 「何で知ってるんだ?それに、まだ実行に移してない…」 実行に移してない、ということは、この腕時計の表示は本物なのか? オレは外に飛び出し、ルナビーチに向かって走った。同じようにこちらに向かってきたいづみさんと会った。 「くるみに日付を聞いたら、『4月1日に決まってるでしょ』って、そう言ったの。 嘘がつけないあの子が…」 とにかくいつもと同じように振舞うことに決めて、いづみさんと別れてロッジに戻った。 優夏たちにも日付を聞いたが4月1日だという答え。何より、テレビのニュースが4月1日だと告げている。 午後、みんなでルナビーチに行った。 「先生、実験は失敗してしまいました…」 億彦はいづみさんにそう言った。 「実験?実験って何だよ!」 取り乱すオレをいづみさんは店外へと連れ出した。 停めてある軽トラックへと二人で乗り込んでから、いづみさんは話し出した。 「億彦くんに、誠くんのことを騙すように言ったのは、私なの」 「どうして、そんなこと…」 「キュレイシンドロームのことを知りたかったから。億彦くんが先生って言ったのは、 私が誠くんの大学の教授だから。この川島班のゼミを担当しているのが私なの」 いづみさんはキュレイシンドロームについて説明してくれた。 昔、アメリカにトムという12歳の、ごく普通の少年が住んでいた。 ある日からトム少年は妄想にとらわれ、奇妙なことを言うようになった。 「自分の中に死はない、だから、自分は他人を癒すことが出来る」、と。 その言葉通り、トム少年は周りの人々に病気や怪我を治すという奇跡を次々と起こした。 自分には特殊な力があるという妄想を心の底から信じて疑わなかったトム少年。 その妄想は次第に周囲の人々に伝播していった。 この周りに伝播する妄想はキュレイシンドロームと名づけられた。 キュレイは「CURE(キュア)」のフランス語読み。キュアは治すとか癒すとか、そういう意味だ。 「なるほどな…そういうことか。オレに予知能力があると妄想を抱かせて、 キュレイシンドロームに陥らせ、それが広がるのを部外者のふりをして観察していた…と。 それがこの合宿の目的…実験とやらなんだな」 オレを騙すために使ったのは億彦だけで、他のメンバーはいづみさんが教授だと知っていたが、 オレには知られないようにしていたらしい。 オレは学校にほとんど行ってないので、いづみさんの顔を知らなかった。被験者としてこれほどの適役はいない。 「でも…でもね、実験は、実際には一度もやってないの。それなのに、誠くんが言っていた予知は、全部当たってたの!」 いづみさんはキーをイグニッションに差し込んだ。 「誠くん…エンジン、かけてみて?」 キーをひねったがエンジンはかからなかった。バッテリーが上がってる。 「今日の午前中にやったときは、ちゃんとかかったの…」 やはり、オレの予知能力は本物、ってことか。 夕食後、ロッジに帰る途中の砂浜で銀の鈴を見つけた。 悲劇を繰り返さないために、壊してしまうことに決めた。 鈴を道路に置き、転がっていたコンクリートの破片を上から思いっきり打ち付けた。 コンクリート片を持ち上げると、鈴は無かった。粉々になって吹き飛んだ、というわけでもなく、 跡形もなく消えていた。まさか、消えたのだろうか。 140名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 11 25 [ 8KT/izNg ] 2日。夕食後にいづみさんはみんなに神社の話をした。 岬の先に「司紀杜神社」のがあること。 「でも、その神社はもう無くなってるけどね」 失踪したくるみちゃんがいた神社が、無くなってるだって? その後、夜遅くなってからいづみさんはオレの部屋をこっそり訪ねてきた。 昨日話せなかったが、キュレイシンドロームのもう一つの特徴があるという。 それはシュレディンガーの猫と関係があるらしい。 遙がオレの部屋に入ってきて、その話はそれでおしまいになった。 3日。遙と釣りに行ったが、そこそこに引き上げてオレは商店街に行った。 そこで優夏と会った。シュレディンガーの猫が何なのか知っていた優夏はわかりやすく説明してくれた。 シュレディンガーの猫の話自体は結構有名だと思うので詳しいことは各自調べてくれ。 簡単に言うと、完全防音の箱の中に密封された猫の生死は、箱を開けるまで確定しないということだ。 ここに猫が密封された箱があるとする。今は午後3時50分。 さて、1分経って3時51分、オレは箱を開ける。残念ながら猫は数日前に死んでいたようだ。 3時50分の猫の生死は不明。だが3時51分にオレは箱を開け、3時50分の猫の生死を、過去を確定させた。 「今、誠は過去を決めたのよ。過去に戻ることなんて、出来ないんだから」 夜、墓地に肝試しに行く。いづみさんとペアを組むことになった。 ここなら誰もいないからと、いづみさんは昨日の話の続きをしてくれた。 キュレイシンドロームのもう一つの特徴とは、「観察者の意志は、過去の事実を決める」というものだった。 とても信じられないことだが、例のトム少年はそんなこともやってのけたらしい。 トム少年の幼馴染で末期ガンで入院していたジュリアという少女がいた。 トム少年はジュリアを奇跡を起こして完治させてしまった。 ジュリアの過去を、ガンにかかっていないという事実に決めてしまった結果だった。 強固な思念は、新たな現実を創造できるのかも知れない。 どんなに荒唐無稽な妄想でも、本人、そして周りの人々も、心の底から信じて疑わなければ、それは現実となる。 「『妄想が現実になる』、それがもう一つのキュレイシンドロームの特徴…」 いづみさんは、肉体を伴わず記憶だけを持って時を遡ったことから、 今のこの状態はタイムスリップではなく無限ループだと言った。 そこからいづみさんは一つの仮説を立てた。 この無限ループに嵌る前に、実験は施されていて、オレはキュレイシンドロームに陥った。 ただし、当初の目論見では予知能力があるという妄想を抱かせる予定だったのだが、 それをオレはタイムスリップしたというふうに解釈してしまった。 6日にいづみさんが死んでしまうという想定外の現実を目の当たりにしたオレは、 いづみさんが死なない過去を創造しようとした。 そしてオレは、タイムスリップできる妄想の世界に、この無限ループに陥った。 最初の周回は、少しだけ記憶を引き継いでいた。それが予知能力として現れた。 それでもいづみさんの死を回避できなかったオレは、今度は全ての記憶を引き継いで周回を始めた。 それが、今、この周回だ。そしてオレは、この世界が無限ループだと、妄想の世界だということを否定し、 自分自身を納得させるために、タイムスリップしたという現実を創造した。 いづみさんは、神経衰弱で数字を当てまくった奇跡を目の当たりにしてしまったので、 オレに不思議な力があると心の底から信じてしまい、キュレイシンドロームに陥ってしまった。 オレといづみさんにだけ前の周回の記憶があるのはそのためだ。 オレはオレの、いづみさんはいづみさんの妄想の世界に、無限ループに生きている。 6日の悲劇を回避できれば、きっとこの妄想の世界から抜け出すことができるだろう。 141名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 12 37 [ 8KT/izNg ] 4日の昼頃。オレはくるみちゃんと一緒に岩場にいた。カニを採って遊ぶくるみちゃんをぼんやり眺める。 オレの側に寄ってきたくるみちゃんは、泳ぐのが好きだと言った。 プールに行くときに頭痛がすると言ったのは実は仮病だったと言う。 くるみちゃんは水着姿になるのが嫌なのだ。くるみちゃんの背中には、幼いときにできたという大きな傷があるらしい。 中学の頃、その傷が気持ち悪いという理由で好きな人に振られたこともあるという。 そのとき、大きな地震が起こった。くるみちゃんはオレに抱きついてきた。 予期せず、オレの手がくるみちゃんの背中に触れた。服の上からでも、傷があるのがわかる。 こんな傷跡など消えてしまえばいい、とオレは思った。 くるみちゃんを連れてルナビーチに帰る。店内ではいづみさんと遙が話をしていた。 店を出て行く遙をくるみちゃんは追いかけていった。 「誠くん、遙ちゃんはきっと、私の本当の妹なのよ…」 いづみさんはオレに以下の事実を話し始めた。 今から21年前の7月、くるみちゃんは何者かによって誘拐されてしまった。 当時くるみちゃんは0歳、いづみさんは1歳半だった。 その7日後、司紀杜神社が倒壊。中から下敷きになった誘拐犯が発見されたが、くるみちゃんは依然として行方不明。 それから1年半後、今から19年前、遺伝子工学の権威だったいづみさんの父、守野茂蔵は、 寂しさに耐えられなくなり、当時違法だったくるみちゃんのクローンが生まれた。 その翌年の7月、誘拐されてから3年後、くるみちゃんが司紀杜神社で発見された。 背中に深い傷を負っており、そして、その体には成長の跡が見られなかった。 くるみちゃんはまるで、3年後にタイムトリップをしたかのようだった。 遙とくるみちゃんのクローンとの生年月日は一致するし、昔、いづみさんがつけてしまったという額の傷まで一致する。 となればもう、疑う余地はないだろうな。 いづみさんは、くるみちゃんの空白の3年間を取り戻そうと、この島に足しげく通うようになったのだという。 うちの大学の教授になったのも、ここに合宿所があったからだそうだ。 5日。沙紀と億彦の二人が歩いているのを目撃したオレ。 二人でいかがわしいことでもしようってのか?と思い、後をつけていくことに。 神社に行く途中で二人の姿を見失った。石段を上っていった。そこに神社はなく、更地になっていた。 2日にいづみさんが神社は無いと言ったから、過去が変わってしまったのか…? その後、ルナビーチに行った。くるみちゃんが神経衰弱をやろうと言った。 また数字を当てまくってしまう。オレはそんなこと望んでないのに。トランプなんてやりたくない。 と、くるみちゃんがトランプが無いと騒ぎ出した。 まただ。オレがトランプをやりたくないと言ったから、トランプが消えた。 1日に鈴が消えたのも恐らく同じ原理だろう。 142名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 17 28 [ 8KT/izNg ] 6日。みんなでバーベキュー。遙とくるみちゃんはすっかり意気投合している。 そりゃそうだ。一卵性双生児みたいなもんだからな。 しかし、くるみの一年半後の姿が遙か。ちょっと想像つかない。 沙紀がヘマして、手に持った紙コップのビールを遙にかけてしまった。 オレはみんなより遅れてロッジに帰った。オレの部屋のドアを開けると、 女の子のつるりとした綺麗な背中が目に飛び込んできた。どうやら着替え中だったらしい。 悲鳴の声に慌ててドアを閉める。 あの服にあの声、くるみちゃんか。でも、あの傷の無い背中は…? しばらくして、オレの部屋からくるみちゃんが出てきた。 「誠くんに覗かれちゃった」 その態度はなんだか急に大人びて見えた。それを指摘すると、くるみちゃんはこう答えた。 「私ももう、今年で21歳だよ。誠くんと同い年なんだから、別にいいじゃん」 まさか、くるみちゃんの過去が変わっているのか? オレがあのとき、傷なんか消えてしまえと思ったから、空白の3年間は無かったことになり、 背中の傷が消え、そして、遙も存在しなくなる。 オレは外に飛び出して、遙を探し回った。海岸沿いの道路で遙を見つけた。 いづみさんが道路の上に倒れていた。すごい熱だった。と、そのとき、向こうから車が近付いてきた。 オレは車の前に飛び出して、いづみさんの代わりに、車に撥ねられた。 遙が倒れているいづみさんに駆け寄る。 「お姉ちゃん、どうして…?」 「だって、遙のことが、心配だったから」 良かった、いづみさんは無事だ。そこで意識が途切れた。 オレは足を骨折し、肋骨も何本か折ったが、松葉杖で歩くことができた。 「だいたいなぁ、お前がややこしいことを言うからだぞ」 オレに付き添って歩いているくるみちゃんに文句を言った。 オレが見たつるりとした背中は遙のものだった。隣にくるみちゃんもいて、くるみちゃんが悲鳴を上げた。 遙の服にビールが引っ掛けられてしまったため、二人は服を取り替えているところだったのだ。 くるみちゃんが21歳だと言ったのは戸籍上のことで、それは遙から知らされた事実だった。 つまり、くるみちゃんの過去は変わっていなかった。 海岸沿いの道路に来た。オレが撥ねられた場所だ。あのときのコンクリート片がまだ転がっている。 その側に何かキラリと光るものが落ちていた。それはペチャンコになった銀の鈴だった。 ペチャンコになったから見つけられなかっただけだった。 やっとルナビーチに着いた。いづみさんはチラシを差し出した。 「シキノモリ神社」と「トキツカサ神社」、この島にはもともと二つの神社があって、そこでお祭りをするというチラシだった。 オレが見た更地はトキツカサ神社だった。 「私もこの島のことを知り尽くしたと思ったのに、まだまだね」 結局、最後の6日間で起こった奇跡のようなものは、全て奇跡でもなんでもなかった。 ここは妄想の世界ではない、紛れも無い現実。オレは今、それをかみしめていた。 END 143名前:Never7 -the end of infinity-投稿日: 2009/08/23(日) 17 29 48 [ 8KT/izNg ] おまけ いづみキュア エンディングB 海岸沿いの道路で見つけた遙は存在が希薄だった。 触ろうとしたがすり抜けてしまった。そして、消えてしまった。 くるみちゃんの過去は本当に変わってしまったらしい。 いづみさんを助けようとしてオレは車に轢かれて、瀕死の重傷を負った。そこで意識が途切れた。 ※物語の舞台は2019年らしい。 ※トム少年の奇跡を受けたジュリアの中には キュレイと呼ばれる、宿主のどんな病気もたちどころに治してしまうウイルスが発生しているらしい。 そしてキュレイは次回作(Ever17)以降に大活躍、です。 次回作のあの人はジュリアちゃんからキュレイをもらったらしいですよ? ※キュレイシンドロームのせいではなく、本当にタイムスリップは起こっている、という解釈も成り立ちます。 特に空白の3年間はの謎は明確な答えがありませんし。 また、いづみキュアエンディングBが真実で、全ては誠が死に際に見た夢だったとか、 あるいは全てがサイコ野郎の妄想だったという解釈もありです。 ※遙の声優は????になってますが紛れも無くくるみと同じ人です。 二役とは思われないくらい上手い。それと比べて次回作に出てくる伏字キャストはかなり失敗くさい。 個性的な声なのが裏目に出てしまいましたね~残念。
https://w.atwiki.jp/infinity_blade2/
ここは、ChAIR EntertainmentからリリースされたiPhone/iPod touch/iPad専用ゲーム『Infinity Blade2』の攻略などのまとめサイトです。 このサイトは自由に編集することができます。 当方まるでwikiに詳しくない為、センスと知識がある方が格好良い感じにしてくれる事を願います。 ※多くのプレイヤーから愛されたInfinity Bladeシリーズはサービスを終了し、現在ではストアから新規ダウンロードができなくなってしまった…が、過去にアプリを購入したプレイヤー達はダウンロード履歴から今まで通りダウンロードし、プレイする事が可能である。 ゲームの配信は終わってしまったが、これまでInfinity Bladeの世界で剣を振ってきたプレイヤー達の心の中には、常にInfinity Bladeと彼らの物語が”永遠”に在り続けることだろう。 Infinity Blade2 (iTunes storeが開きます) http //itunes.apple.com/jp/app/infinity-blade-ii/id447689011?mt=8 前作 Infinity Blade Wiki http //www44.atwiki.jp/infinity_blade/pages/1.html 2ch現行スレ ttp //anago.2ch.net/test/read.cgi/iPhone/1346680692/l50 最新アップデート情報(暫定) ver1.31において、ver1.30で発生していた通称「命乞い君」における重大なバグは修正されました わからない人はわからなくていいです。ゲーム進行不可になるバグに怯えなくて良くなっただけです iOS6とiphone5への最適化 ジェム専用ルーレットの追加 新装備が追加されました。(マイナス転生関係) 一部装備でセット効果が発生するようになりました。ステータス画面で確認可能。実績もあります。 ヴァイルシリーズ+ホーリーバンド(レアドロップ30%) ゲーム開始時装備+イリディックス(パリィ時体力1000獲得)今のところ以上2点のみ判明 マイナス転生装備:武器は3種どれでも(条件付戦闘成功時、ジェム作成完了) マイナス転生要素が追加。詳細は専用ページにて バグ?:一部SE、BGM再生時にノイズが発生する
https://w.atwiki.jp/infinity_jpn/
Infinity Wiki Japanへようこそ このWikiはCorvus Belli社から発売されているゲーム、Infinityを楽しむために作られました。 現在準備中です。 ■翻訳協力者募集中! 翻訳作業中のルールを公開中。 ルール翻訳に協力してくれる方を募集中です(要ユーザー登録) ユーザー登録はこちら ■クイック・スタート・ルールを公開中! ダウンロードはこちら (Wordファイル形式) Infinity 公式サイト http //www.infinitythegame.com/infinity/en/ Infinity 公式wiki http //infinitythegame.wikispot.org/Home