約 1,185,230 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/646.html
はァハァハァハァ・・・ 「ちょっと、キョン!もっとスピードだしなさいよ?だらしがないわね!」 ハァハァ・・煩いぞハルヒ・・荷台に座っているだけのお前には判らんだろうが、さっきから延々と緩い登り坂が続いているんだ・・・。 今、俺は自転車の荷台にハルヒを乗せ、この一見平坦に見える心臓破りの坂道を往年のスポ根ドラマも真っ青なくらいの汗を流しながら登っている。 「しかし、オシリが痛いわね。自転車にも後部座席の必要性を感じるわ。」 勝手な事を。 仮にそんな自転車があったとして、おまえは一体だれに運転させる気・・・って俺か。 ああ・・本気で疲れてきた・・・もうマジメに後ろの煩い荷物に取り合うのはやめよう。 感情を捨てマシンになるんだ。 頑張れ、オーバーヒート寸前のエンジンな俺・・・ ところで、俺が何故オーバーヒートでエンジンなのかを説明する必要があるな。 話は、つい先程の放課後の部室へ遡る。 放課後、いつもの様に俺は部室へ向かった。 まあ、この妙な団体の根城をごく自然に「部室」と言えてしまうあたり、自分が周囲の言うところの「涼宮ハルヒとその一味」である事を認めざるおえなくなる要素としては十分な訳だが、最近はそれも悪くないかと思う様になっていた。 一応、朝比奈さんの生着替えを警戒(?)しつつドアをノックする。 返事が無い・・・か。 俺は少し安心してドアをあけ・・・あれ?ハルヒ? 居たのか。 「何よ、残念そうな顔して。何を期待していたのかしら?」 何も期待はしていない。 しいていうならば朝比奈さんの「癒し効果」くらいなものだ。 しかし今日のハルヒは、いつになく不機嫌・・・というよりは体調が悪いのか? 少しだけ顔色も悪い様だ。 「今日の体育の時間、バレーボールだったのよ。たぶん、やったのはその時ね。」 と、言いながらハルヒは椅子に座ったままスカートをめくりあげた。 瞬間、俺は息を飲んだ。右膝から太股の方に向かって赤く、紫が少しかかったピンクの様に腫れ上がっている。 「あ、今パンツ見たでしょ。」 断じて見てない。 しかし、どうするんだ?家に帰るにも、病院に行くにも・・・歩けるのか? 「ふっふーんww」 あ。そういうことか。 みんなを早々に解散させ、遅れて来るであろう俺・・・つまりこの場合は「帰りの足にある自転車とその動力要員」を待ち構えていたと。 「さぁ、キョン?帰るわよ!アタシを送りなさい!」 って、なんなんだよ。 だいたい俺だって、その怪我を見せられれば「送って行こうか?」と言ってやれるくらいの甲斐性はあるつもりだ。 ていうか、こいつの家は何処だっけ? 「何をボケーッとしてるのよ!とりあえず駐輪場までは気合いで歩くわっ!・・・あれ?」 ガタッ ハルヒは、勢いよく立ち上がったものの怪我をしている足を中心に姿勢を崩し慌てて机に手をついた。 こりゃだめだな。ほら、担いでいってやるからおぶされ。 「・・・な、なによ!!平気なんだからっ!」 無理だ。いいから。 「おんぶは・・・その・・・私の見た目よりも豊満な胸がアンタの背中に当たって結果的にアンタを喜ばせるからイヤ!」 ・・・。 じゃあどうするんだ?足の痛みと腫れが治まるまで部室にて引きこもり生活か? 「ち、ちがうわよ!胸が・・・胸が当たらない運び方だってあるでしょ!?よく考えなさいよ!バカキョン!」 胸が当たらない運び方・・・肩車か?いや、この場合は後頭部に胸よりもマズいあの部分が当たる計算になるな。さてさて、どうしたものか。 「だから、背中じゃなくて前で!」 前?まさか・・・ `おひめさまだっこ´の事か? 「べ・・・べつにアンタに好意的に抱き上げてもらうわけじゃないんだからねっ! アタシの貞操を守る為の不可抗力なんだからね!」 どういう貞操だかなんだか知らないが。 まあ、赤面しながら必死に言い訳する可愛さに免じて許してやろう。 よいしょっ。 痛くないか? 「ん、大丈夫。・・・キョン・・・?」 なんだよ? 「ありがとう」 少し照れくさかったので、少しだけ鼻を鳴らして答えた。 しかし、こんなとこ谷口に見られたらヤバいな。長門の一件もあることだし。 「あ、何か今イヤらしい事考えたでしょ?」 まったく何を根拠に・・・まあ、あの時の長門の事を少し思いだしたりしたが。 とにかく駐輪場まで急ごう。 駐輪場に着く頃なると、ハルヒは少し汗ばんでいた。 それが、痛みによるものなのか俺と同じく誰かに見られる可能性に対しての緊張による・・・て事は無いだろうな。 痛むか?医者に行くか? 「いい、やめておくわ。外科だったら、ここから一番近くて田代医院でしょ?あそこの親父、目とか手つきとか全てがいやらしいのよ」 以外だな、おまえでも医者にかかる事があるんだ? まあ、今日を除いてだが。 「ほら、前に草野球大会に出たでしょ?その日はなんとも無かったんだけど、次の日肩が痛くて腕があがらなかったのよ。かといって学校で隙を見せるのはポリシーに反するのよね。だから痛み止めくらいは貰えるかと思って行ったなの。」 たいしたポリシーだ。 「そうしたら、肩が痛いって言ってるのに『肩の筋肉は胸へとつながっている』とか言って胸を触ろうとするのよ!」 むう、こんなエロビデオを谷口に借りた事がある・・・いやいや、許せん医者た! で、どうした? 「アタシ言ってやったわよ!『なるほど、肩が胸ですか。良いことを聞いたわ!帰ったらお母さんに報告しなきゃ!先生に胸をイッパイ触ってもらったから、肩がすぐ治りそうってね?』ってね!」 先生、あんたもある意味災難だな。 結局、ハルヒは湿布と痛み止めを「進呈」してもらい、その場を後にしたらしい。 ん、良いんじゃないか?また行けば、きっとタダで診察してくれるんじゃ・・・ 「あんな変態に胸触らせてまで、薬なんか欲しくないわよ!お金ちゃんと払ってマトモな医者に看てもらった方が遥かにマシだわ!」 目とか手つきがいやらしい→変態に進化したところで、そろそろ行くか? 「そうね。飽きの来ない走りを期待してるわ。」 なんだよそれ。 俺はハルヒを横向きで座らせると、夕焼けと呼ぶにはまだ早い午後のオレンジ色の太陽に向かい走り出した。 そして今、俺は「一見平坦に見える心臓破りの坂」を登りきり、頂上(?)付近にあるオアシスに到着した。 自動販売機と赤いベンチ、今の俺にとって最高の組み合わせだ。 少し休もう。 「まったく、アンタが必死にペダル踏んでるのを見てたら、こっちまで喉が乾いちゃったわよ!何か買ってきて。」 へいへい。 いつもの果汁100%で良いのか? 「・・・アンタと同じでいい。」 え?俺、コーヒーだぞ? 「いいから、いいって言ってるのよっ!」 やれやれだ。 しかし、さっき背中ごしに聞いたハルヒの家の場所は、「自転車でも十分行ける距離だからこのまま送ってやる」と俺に言わせるくらいの場所だったものの、いざ走り出すと想像以上に遠い。自分の距離感覚の鈍さを呪いたくなる。 まあ、あと少しだと言うし頑張るか。 とりあえず俺は冷たいのを、ハルヒには温かいのを買いベンチに戻る。 販売機からコーヒーを取りだし振り返ると、目の前にニュース番組のエンディングで流れるような夕焼けがひろがっていた。 そうだ、あの坂を登っている時は気付かなかったけど、俺達の進む方向から見て左側は斜面になっていたんだ。 すごいな・・・ 思わず口にしたあと、俺はふとハルヒの方を見た。 別に、つい口から出た感嘆の言葉に同意を求めた訳じゃない。 ただ、なんとなく。 ? ハルヒは、夕焼けではなく俺を見ていた。 今までで見せたことも無いような、優しくて切なげで・・・ 俺は何か語りかけなくてはいけないという衝動にかられ、必死に言葉を探す。 足、大丈夫か? 「大丈夫じゃないわね。」 ハルヒの表情が普段と同じになった事に妙に安心した俺は、ハルヒの隣に腰を降ろした。 無理はしない方がいいぞ? 「いやよ!明日も学校に行くわ!」 ? しかしだな、いくら行きたくても体の具合如何ではどうにもならんだろ。 コーヒーを差し出しながら、俺は諭すように語りかける。 (ハルヒは、コーヒーを飲むときでも一気に飲んで「プハーッ」てやるのだろうか) などと、くだらない事を考えながら。 しかし、ハルヒはコーヒーを手にとったもののしばらく黙っていた。 しばしの沈黙 もう日が沈むな・・・ なあ、ハルヒ。 そんなに学校に行きたいか? 「決まってるじゃない。でも、無理ね。この足じゃ電車にも乗れない・・・」 ハルヒにしては随分と弱気だな。怪我のせいでナーバスになっているのだろうか。 「でも行きたいのよ。なんとかして。」 まあ、今までもハルヒの我儘には振り回されっぱなしだった訳だが、生憎俺は「岬に住まう天才外科医」でもなければ「未来の世界の猫型ロボット」でもないわけで・・・まあ、自転車の後ろに乗せて運んでやる事くらいしか・・・ ってあれ?まさか・? まさか、この言葉をハルヒは待っていた?今、思い付いてしまったこの言葉を! しかしだ、これを言ってしまったなら明日からまた「一見平坦に見える心臓破りの坂」を登る羽目に・・・ まあ・・・いいか・・・ なあハルヒ、俺が迎えに来てやる。 自転車の後ろに座ったままなら学校に行けるだろ。 ただ、おひめさま某は確実に無理だが。 次の瞬間、ハルヒの表情は極上の笑顔変わっていた。 「まあ、いいわ!アンタがそこまで言うのなら、迎えに来なさい!」 ああ、明日から大変だこりゃ。 「・・・キョンの今回の申し出に対して、団長として私は・・・」 ん?副団長の座なら古泉に与えただろ?副副団長なんて意味不明な役職は要らないし、別に副団長ってのも要らな・・・あれ? ハルヒの顔がどんどん近付いてくる・・・ やがて唇と唇が重なった・・・ ん?ちょっと待て! 少しだけ、唇同士の距離を確保しつつ俺が言う。 (団長として!っての外せよな。) 「・・・バカ。」 ベンチには重なりあった二人の薄い影と、コーヒーの缶が二つ・・・ おわり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/652.html
三時間目は物理・・・か。 テキストを机の上に揃えながら、俺は溜め息をつく。 別に、授業が憂鬱な訳じゃない。 今日、間違いなく何らかの形で告げられる一つの最悪なニュース。 それが、溜め息の理由の全てだ。 登校してから今まで、それは告げられずにいた。 しかし、確実にその時が迫るのが判る・・・ 始業のベルが鳴る。 担当の教師が神妙な面持ちで教室へ入ってくる。 嫌な予感がした。 (今・・・来るのか・・・?) 「・・・皆さんに、残念なお知らせがあります。二年の朝比奈未来さんが、旅行中の事故で亡くなりました。」 ザワつく教室。 俺も動揺したフリをする。 仕方ないとはいえ、今の俺自身を俺は許せない。 そうだ、ハルヒは・・・? 息を飲みながら振り返る・・・ ハルヒは目を見開いたまま、呆然としていた。 「残念ながら・・・国内の事故では無い上に御家族全員が亡くなられたとの事で・・・今後の・・」 壇上でうつ向きながら教師が語り続ける。 教室の中のザワつきが激しさを増して行く。 俺は振り返ったまま、ただハルヒだけを見つめていた。 どれくらいの時が流れたのだろう。 気が付けば、教室には俺とハルヒ以外だれも居なくなっていた。 窓の外、グラウンドから野球部のかけ声が遠く聴こえてくる。 「アタシ、部室にいかなきゃ・・・」 突然、ハルヒはそう呟くと席を立って歩き始めた。 慌てて後を追う。 俺は、ハルヒを追いながら心の中で叫び続ける。 (なあ、朝比奈さん・・・いや、朝比奈さんを動かす未来の偉い人!こんなやり方、 正しい訳が無いだろ!なんとかしろ!なんとか・・・してくれっ!) 部室には、朝比奈さんの来ていた数々の衣装がハンガーに吊され、在りし日のままになっていた。 それらを目にした瞬間、ハルヒは床に崩れ堕ちて・・・ 泣いた。 俺は、ただ肩を抱いてやる事しか出来ない。 「っぐっ・・・ううう・・・信じないわよ・・・信じないんだから・・・」 気が付くと、俺の頬にも涙が流れていた。 もう、朝比奈さんに会えない事には・・・変わり無いんだよな。 あれから、何時間経ったのだろうか。 酷くだるい。 俺は床に座り、足を投げ出して壁によりかかり・・・そんな俺の胸にもたれかかる様にして、ハルヒは眠っていた。 ふと、人の気配を感じ部室の入り口に目をやる。 そこには、古泉が立っていた。 そして、いつの間に現れたのか、窓際には長門も居る。 よう。 おまえ達は・・・全て知っていたのか? いや、知っていたんだろうな。 ただ、俺は・・・今回の事は言うべき時が来るまで、本気で言わないでいようと思ってたんだ。 何か、こう・・・朝比奈さんの立場がまずくなるような気がして・・・・ 古泉が珍しく神妙な面持ちで答える。 「結果的な部分で把握していました。 キョン君の判断は賢明だったと思います。 しかし、こんな野蛮な方法を彼等が用いるとは・・・」 「彼等」というのは、朝比奈さんをこの世界に送りこんだ張本人達を指すのだろう。 唇を噛み締める古泉をじっと見据えたまま、長門が続ける。 「彼等の認識には欠落した部分が有る。そしてそれは、この後起こりうる事態を悪化させる危険性を持つ。また、朝比奈みくるの召喚手段も適切では無かった。」 つまり、ハルヒにとって朝比奈さんがどれほど大切な存在だったかを把握せずに、「役目が終わったから帰れ」「後が面倒だから死んだ事にしろ」って感じか? 「そう。」 どうなるんだ、この先一体・・・ 「とりあえず、涼宮さんは、このままでは目覚めません。」 ! 「そして既に、この世界は書き換えられつつあります。」 そういえば! 外からは、あれほど野球部や陸上部の掛け声が聴こえて来たのに、校庭には誰も居なかった・・・ ハルヒの仕業か? 「例の閉鎖空間を生み出す瞬間と次元のズレ方が酷似しています。しかし、全くの・・・別物で、こんなのは初めてです。」 長門が窓際から離れ、廊下の方を指さす。 「この近く。急速に情報の連結と解除が繰り返されている空間がある。」 「そこが異世界への入り口ですね!」 長門が黙って頷く。 とにかく行くしかないな! 俺はハルヒを机の上に寝かせると、少し待ってろな・・・と呟いた。 昔、何かの余興でバットを地面に垂直に立てて、こちらに向いているバットの先端部分に額をつけたまま、ソコを中心にクルクルと回り合図とともに駆け出す・・・というのをやった事がある。 当然、足はふらつき真っ直ぐに走る事は不可能なのだが、なんとかゴールを目指し必死に走る・・・ 今の俺は、正にそれだ。 部室を出てから間もなく歪み出した廊下を俺達は必死に駆け抜ける。 「こっち」 先導する長門も、いつものスタンスは崩さないものの、相当走り辛そうだ。 そして古泉と俺が長門を追う。 そして、長門はある場所で立ち止まった。 ここは!あの茶室じゃないか! 「ここ。でも、私には無理。」 そう言って長門は古泉を見つめる。 「はい、承知してますよ。」 古泉は以前、閉鎖空間に初めて俺を連れて行った時の様に、手をゆっくりとかざし茶室の入り口に触れた。 「むっ?ぐう。」 どうした? 「どうやら並の代物では無い様です。長門さん?ここは、ひとつ力を合わせるという事で構いませんね?」 「いい」 何だってんだ?説明しろ! 「ここは、僕レベルの能力者が単体で辛うじて侵入できる程の空間です。」 それほどか! 「ええ!ですからキョン君、アナタは当然此処には入れない!」 ああ、そうだな。 「そこで僕が此処の中に入り、中で得た情報を長門さんに全て送る様にします。」 なんだって? 「長門さんには、この情報により此処の中と同じ疑似空間を構築して頂く!これで、どうでしょう!」 なんとなく、わかった!任せる! 長門も、俺の横で頷く。そして手を差し出し、古泉に「はなさないで。」と言った。 やがて古泉は、長門の手を握った右腕だけを残し、体の半分以上を異空間であろう「茶室」に沈めて行った。 「来る」 ん?長門・・・? な に が く る ん だ あ あ 周りが し ろ い し ろ い し ろ し 俺は、夕闇の中を自転車で走る。 今日はいつもより忙しく疲れたものの、得意先に貰った手土産のおかげで、ペダルがすこぶる軽い。 長い橋を渡り、少し坂を登った所にある我が家は、狭いながらも最近出来たショッピングモールに近く、小さいけれど隣に公園もあって、わりと気に入っていた。 家に辿り着いた俺は、慌ただしく自転車に鍵をかけ、同じキーホルダーに付いている鍵で玄関を開ける。 ただいまーっ 「おかえり・・・あ、なにそれ?」 ハルヒは俺の手にぶらさがった包みを目ざとく見付け、瞳を輝かせる。 ああ、海老だ。 今日、取引先でさ?貰った。 そっけなく言ってみたものの、おそらく俺は得意げな顔をしてる・・・と思う。 「けっこう沢山入ってるじゃない?ウフフ・・・そうねぇ・・・」 ハルヒはニヤニヤしながら、この海老の運命の行く末を思案中らしい。 「よおし!喜びなさい?この海老は今夜天ぷらになる事が決定されたわっ!衣のサクサク感に悶絶するのよっ!」 そう言うと、ハルヒはキッチンへと勇み足で向かって行った。 ん? おい、ハルヒ? 「なーにー?」 みくるの泣く声がしないか? 「わかんなーい、みてあげてー?」 全くこの、お気楽極楽主婦は我が家に0歳児が居ることを自覚してるんだろうか。 普段の生活が懸念されるぜ。 俺は、みくるのベットのある部屋へと急ぐ。 「ふえ~ふえ~」 やはりだ。 我が家の愛娘、みくるは器量こそ良いものの泣き声に説得力がイマイチ足りない。 とりあえず、オムツは・・・大丈夫だな。 おーい、ハルヒー? ミルクは何時にあげたんだー? 「ん~三時ー」 おいおい、もう六時だろ! 待ってろな、今持って来てやるから。 バタバタとミルクの用意をしてると、ハルヒがキッチンから顔を覗かせてニヤニヤしてるのが見えた。 何だよ? 「な、なんでもないわよ・・・」 ふん。 「ただ・・・」 ? 「キョンで・・・良かったなあって・・・」 ・・・バカ ん ンくん ョンくん キョンくん 「キョン君!起きてくださいっ!」 ん・・・あがっ!? い、今のは何だっ? 気が付くと、俺は床に倒れていた。そして俺の横には、呆然自失して座りこむ長門を支える血まみれの古泉の姿があった。 どうした!何があった! 「申し訳ない・・・侮りました・・アレは閉鎖空間なんてもんじゃない・・・超現実空間です。」 なんだと? 「つまり・・・書き換えられた世界です・・・」 馬鹿な! 「今・・私たちが居る場所こそが・・閉鎖空間という事になります・・・。」 まさか・・・ 「そして、向こう側が凉宮ハルヒが望んだ・・・世界です。」 !! 確かに、さっきの・・・ハルヒが居た気がした。 しかも俺もだ。 赤ん坊も居たな・・・名前は・・・思い出せない・・・何故だ? 「もはやアナタはアナタでは無くなり始めている。いや、僕も長門さんも・・・。」 わからん、それはどういう・・・ 「つまり!アチラは現実の世界、こちらは夢の世界と・・・」 そう言いかけた途端、古泉は大量の血を吐いた。 「ハァハァ・・・体に負荷がかかり過ぎた様ですね・・・」 おい!古泉!しっかりしろ! 「大丈夫、僕は長門さん程じゃない・・・」 畜生、どうしたらいい? 俺は、どうしたらいいっ!? そうだ! あの中には、確かにハルヒが居た! ハルヒが元の世界を望めば! だが、どうする? 長門も古泉も、恐らくもう立ち上がる事も出来まい・・・しかし・・・ そうか! なあ、古泉! 向こうへの入り口を開けてくれ! 「なんですって!?」 俺が行く!行ってハルヒに言わなくちゃいけない事があるんだ! 「無理です!僕みたいに・・・肉体的に負荷を受けるだけじゃ済まない!既にアチラ側に存在する本物のアナタに取り込まれて、今のアナタは完全に消滅しますよ!」 俺は俺だ! 頼むから・・・ 「・・・解かりました。僕の手を握って・・・瞳を閉じて下さい・・・・そして・・・ゆっくりと体を・・・此方に・・ さ あ ど う ぞ 薄れていく意識の中で 俺は思ったんだ ハルヒ お前が今一番望む世界は そんなんじゃないだろ? 「ねえ、キョン!起きなさいっ!」 ん、ああ・・・今何時? 「もう十時よ?早く出掛けないと。午後になると、もう結構冷えてくるのよ。みくるに風邪ひかせる訳にいかないし。」 「陽射しが暖かいううちに・・・ね?」 ん、ああ。わかった・・・っ。 (そういえば、今日は日曜日だったな・・・。) 軽く朝食を済ませて、俺達は足早に出かけた。 十二月上旬とは思えない暖かな陽気に、少し背中が汗ばむのを感じた。 「ねえねえ、キョン?久しぶりに見晴らし台に行くってのはどうかしら!出産後のお腹のたるみを解消するには絶好のウォーキングコースだと思うのよ!」 少し遅れて歩く俺に、ベビーカーを押すハルヒが振り返りながら言う。 あの坂道を登るのか。 高校の頃は、良くハルヒを乗せて自転車でこの坂道を登ったものだが。 今は・・・正直一人で歩くのも遠慮したい。大体、日曜日に疲れてどうする?日曜日くらい体を休めなければ、我々サラリーマンは日々戦えんのだぞ? それに、ハルヒは出産前とそれほど体型は変わっていないと思うのだが。 自分の体型に過敏になるのは女の性か? 「さあ!もたもたしてると置いてくわよっ!」 やれやれだ。 おーい!初めからペース上げすぎると、息が上がるぞっ! (いいのよっ!キョン?風の伝説を感じさせる走りをするのよ!) んっ? ハルヒ、何か言ったか? 「えー?何?」 いや・・・なんでもない・・・ 見晴らし台に付く頃には、俺は汗だくになり息をきらしていた。 ハルヒは・・・そうだ、こいつは昔から無駄にパワフルでスポーツ万能・・・なんだったな。こんな坂道程度じゃ堪えない訳だ。 そういえば、色々な部活から誘われたが、飽きっぽいのが災いして結局三年間帰宅部だったんだよな・・・。 「こらっ!情けないわよっ!」 ああ。まったく、お前には敵わないよ! 「ふふん。まあ、いいわ!キョン?ちょっとベビーカーをお願い!」 そう言うと、ハルヒは販売機のある方へ走って行った。 「ちょっと!キョン?ボケーッとしているんじゃ無いわよ?ほら、コレ!」 ハルヒはそう言うと、俺に冷えた缶コーヒーを手渡した。 そして自分もカフェオレを開け、グイッと飲んで見せる。 「プハァーっ!旨いっ!スポーツの後のコーヒーは最高だわっ!」 ふん、本物のコーヒーは苦くて飲めない癖に (・・・アンタと同じでいい。) まただ。さっきから、一体なんだ・・・? 俺、疲れてるのか? とりあえずベンチに座る・・・か。 「どうしたの、キョン?」 ベンチに腰を降ろした俺の顔をハルヒが覗きこむ。 なんとなく、キスが出来る距離だな・・・と思う・・・ キス・・・ (喜びなさい?キョンの今回の申し出に対して、SOS団長として私は・・・) ああ、そうだ!俺は・・・ ハルヒ! 「な、なによ!キョン?」 俺は・・・平穏で、それなりに毎日が楽しければいいと思ってたんだ! 「?」 でも、高校に入って・・・・とんでもない女に出会っちまった! とにかく我が儘で強引で・・・でも繊細で優しくて・・・割と器用に何でもやってみせるんだ! でも、彼女は退屈してた!何をやっても楽しく無かった! だから、自分の思うままに仲間を見付けて、思うままに楽しく過ごそうと考えた! 普通なら・・・そんなに都合良くやれるもんじゃないさ! でも!彼女には、それが出来てしまうんだな! 「キョン?」 何故なら彼女は、自分の願うままに世界を変える不思議な力を持っているから! 「ちょっと、何を言っているの!?」 そんなある日、大切な仲間・・・いや!ある意味、愛してさえいたいた仲間がこの世から消えた! 「キョン、やめて!」 彼女は悲しくて悲しくて、今までの世界を終らせて新しい・・・世界を望んだ! 「いや・・・」 彼女の名は涼宮ハルヒ! 瞬間、俺とハルヒの周囲から全てが消えた。後に訪れたのは・・・ 闇 ハルヒの声がする 「願いは、叶うのかしら。」 叶うさ 「でも・・・アタシは・・・」 わかってる 「キョンは?」 ハルヒの・・・願うままに。 気が付くと俺は部室のドアの前にいた。 とりあえず、例によって朝比奈さんの生着替を警戒・・・ ん? 朝比奈さん? 俺は慌ててドアを開けた! 少し丈の短いチャイナドレスを纏った、朝比奈さんが居る! 今更敢えて言う事も無いだろうが・・・物凄く良い! 大満足のハルヒが腕を組んで頷く。 「うん!完璧ね!いますぐフカヒレスープを注文してあげたくなるわ!」 相変わらず、訳が解らない。 ところで、何でチャイナドレスなんだ? 「アンタ、知らないの?ミクルちゃん、一週間ほど南町の来来軒でバイトするんですって!」 何っ? ハルヒっ!お前、また何か!? 「何よっ!紹介料代わりに餃子無料券10枚貰っただけでしょ?アンタなんかには餃子あげないんだからっ!」 ・・・・お前なあ! 「餃子・・・十枚」 長門が呟く。 そして、古泉がニヤけながら上手くまとめた。 「まあまあ、皆さん!帰りにでも来来軒によって行きましょう!ね、朝比奈さん!」 終わり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/631.html
三時間目は物理・・・か。 テキストを机の上に揃えながら、俺は溜め息をつく。 別に、授業が憂鬱な訳じゃない。 今日、間違いなく何らかの形で告げられる一つの最悪なニュース。 それが、溜め息の理由の全てだ。 登校してから今まで、それは告げられずにいた。 しかし、確実にその時が迫るのが判る・・・ 始業のベルが鳴る。 担当の教師が神妙な面持ちで教室へ入ってくる。 嫌な予感がした。 (今・・・来るのか・・・?) 「・・・皆さんに、残念なお知らせがあります。二年の朝比奈未来さんが、旅行中の事故で亡くなりました。」 ザワつく教室。 俺も動揺したフリをする。 仕方ないとはいえ、今の俺自身を俺は許せない。 そうだ、ハルヒは・・・? 息を飲みながら振り返る・・・ ハルヒは目を見開いたまま、呆然としていた。 「残念ながら・・・国内の事故では無い上に御家族全員が亡くなられたとの事で・・・今後の・・」 壇上でうつ向きながら教師が語り続ける。 教室の中のザワつきが激しさを増して行く。 俺は振り返ったまま、ただハルヒだけを見つめていた。 どれくらいの時が流れたのだろう。 気が付けば、教室には俺とハルヒ以外だれも居なくなっていた。 窓の外、グラウンドから野球部のかけ声が遠く聴こえてくる。 「アタシ、部室にいかなきゃ・・・」 突然、ハルヒはそう呟くと席を立って歩き始めた。 慌てて後を追う。 俺は、ハルヒを追いながら心の中で叫び続ける。 (なあ、朝比奈さん・・・いや、朝比奈さんを動かす未来の偉い人!こんなやり方、 正しい訳が無いだろ!なんとかしろ!なんとか・・・してくれっ!) 部室には、朝比奈さんの来ていた数々の衣装がハンガーに吊され、在りし日のままになっていた。 それらを目にした瞬間、ハルヒは床に崩れ堕ちて・・・ 泣いた。 俺は、ただ肩を抱いてやる事しか出来ない。 「っぐっ・・・ううう・・・信じないわよ・・・信じないんだから・・・」 気が付くと、俺の頬にも涙が流れていた。 もう、朝比奈さんに会えない事には・・・変わり無いんだよな。 あれから、何時間経ったのだろうか。 酷くだるい。 俺は床に座り、足を投げ出して壁によりかかり・・・そんな俺の胸にもたれかかる様にして、ハルヒは眠っていた。 ふと、人の気配を感じ部室の入り口に目をやる。 そこには、古泉が立っていた。 そして、いつの間に現れたのか、窓際には長門も居る。 よう。 おまえ達は・・・全て知っていたのか? いや、知っていたんだろうな。 ただ、俺は・・・今回の事は言うべき時が来るまで、本気で言わないでいようと思ってたんだ。 何か、こう・・・朝比奈さんの立場がまずくなるような気がして・・・・ 古泉が珍しく神妙な面持ちで答える。 「結果的な部分で把握していました。 キョン君の判断は賢明だったと思います。 しかし、こんな野蛮な方法を彼等が用いるとは・・・」 「彼等」というのは、朝比奈さんをこの世界に送りこんだ張本人達を指すのだろう。 唇を噛み締める古泉をじっと見据えたまま、長門が続ける。 「彼等の認識には欠落した部分が有る。そしてそれは、この後起こりうる事態を悪化させる危険性を持つ。また、朝比奈みくるの召喚手段も適切では無かった。」 つまり、ハルヒにとって朝比奈さんがどれほど大切な存在だったかを把握せずに、「役目が終わったから帰れ」「後が面倒だから死んだ事にしろ」って感じか? 「そう。」 どうなるんだ、この先一体・・・ 「とりあえず、涼宮さんは、このままでは目覚めません。」 ! 「そして既に、この世界は書き換えられつつあります。」 そういえば! 外からは、あれほど野球部や陸上部の掛け声が聴こえて来たのに、校庭には誰も居なかった・・・ ハルヒの仕業か? 「例の閉鎖空間を生み出す瞬間と次元のズレ方が酷似しています。しかし、全くの・・・別物で、こんなのは初めてです。」 長門が窓際から離れ、廊下の方を指さす。 「この近く。急速に情報の連結と解除が繰り返されている空間がある。」 「そこが異世界への入り口ですね!」 長門が黙って頷く。 とにかく行くしかないな! 俺はハルヒを机の上に寝かせると、少し待ってろな・・・と呟いた。 昔、何かの余興でバットを地面に垂直に立てて、こちらに向いているバットの先端部分に額をつけたまま、ソコを中心にクルクルと回り合図とともに駆け出す・・・というのをやった事がある。 当然、足はふらつき真っ直ぐに走る事は不可能なのだが、なんとかゴールを目指し必死に走る・・・ 今の俺は、正にそれだ。 部室を出てから間もなく歪み出した廊下を俺達は必死に駆け抜ける。 「こっち」 先導する長門も、いつものスタンスは崩さないものの、相当走り辛そうだ。 そして古泉と俺が長門を追う。 そして、長門はある場所で立ち止まった。 ここは!あの茶室じゃないか! 「ここ。でも、私には無理。」 そう言って長門は古泉を見つめる。 「はい、承知してますよ。」 古泉は以前、閉鎖空間に初めて俺を連れて行った時の様に、手をゆっくりとかざし茶室の入り口に触れた。 「むっ?ぐう。」 どうした? 「どうやら並の代物では無い様です。長門さん?ここは、ひとつ力を合わせるという事で構いませんね?」 「いい」 何だってんだ?説明しろ! 「ここは、僕レベルの能力者が単体で辛うじて侵入できる程の空間です。」 それほどか! 「ええ!ですからキョン君、アナタは当然此処には入れない!」 ああ、そうだな。 「そこで僕が此処の中に入り、中で得た情報を長門さんに全て送る様にします。」 なんだって? 「長門さんには、この情報により此処の中と同じ疑似空間を構築して頂く!これで、どうでしょう!」 なんとなく、わかった!任せる! 長門も、俺の横で頷く。そして手を差し出し、古泉に「はなさないで。」と言った。 やがて古泉は、長門の手を握った右腕だけを残し、体の半分以上を異空間であろう「茶室」に沈めて行った。 「来る」 ん?長門・・・? な に が く る ん だ あ あ 周りが し ろ い し ろ い し ろ し 俺は、夕闇の中を自転車で走る。 今日はいつもより忙しく疲れたものの、得意先に貰った手土産のおかげで、ペダルがすこぶる軽い。 長い橋を渡り、少し坂を登った所にある我が家は、狭いながらも最近出来たショッピングモールに近く、小さいけれど隣に公園もあって、わりと気に入っていた。 家に辿り着いた俺は、慌ただしく自転車に鍵をかけ、同じキーホルダーに付いている鍵で玄関を開ける。 ただいまーっ 「おかえり・・・あ、なにそれ?」 ハルヒは俺の手にぶらさがった包みを目ざとく見付け、瞳を輝かせる。 ああ、海老だ。 今日、取引先でさ?貰った。 そっけなく言ってみたものの、おそらく俺は得意げな顔をしてる・・・と思う。 「けっこう沢山入ってるじゃない?ウフフ・・・そうねぇ・・・」 ハルヒはニヤニヤしながら、この海老の運命の行く末を思案中らしい。 「よおし!喜びなさい?この海老は今夜天ぷらになる事が決定されたわっ!衣のサクサク感に悶絶するのよっ!」 そう言うと、ハルヒはキッチンへと勇み足で向かって行った。 ん? おい、ハルヒ? 「なーにー?」 みくるの泣く声がしないか? 「わかんなーい、みてあげてー?」 全くこの、お気楽極楽主婦は我が家に0歳児が居ることを自覚してるんだろうか。 普段の生活が懸念されるぜ。 俺は、みくるのベットのある部屋へと急ぐ。 「ふえ~ふえ~」 やはりだ。 我が家の愛娘、みくるは器量こそ良いものの泣き声に説得力がイマイチ足りない。 とりあえず、オムツは・・・大丈夫だな。 おーい、ハルヒー? ミルクは何時にあげたんだー? 「ん~三時ー」 おいおい、もう六時だろ! 待ってろな、今持って来てやるから。 バタバタとミルクの用意をしてると、ハルヒがキッチンから顔を覗かせてニヤニヤしてるのが見えた。 何だよ? 「な、なんでもないわよ・・・」 ふん。 「ただ・・・」 ? 「キョンで・・・良かったなあって・・・」 ・・・バカ ん ンくん ョンくん キョンくん 「キョン君!起きてくださいっ!」 ん・・・あがっ!? い、今のは何だっ? 気が付くと、俺は床に倒れていた。そして俺の横には、呆然自失して座りこむ長門を支える血まみれの古泉の姿があった。 どうした!何があった! 「申し訳ない・・・侮りました・・アレは閉鎖空間なんてもんじゃない・・・超現実空間です。」 なんだと? 「つまり・・・書き換えられた世界です・・・」 馬鹿な! 「今・・私たちが居る場所こそが・・閉鎖空間という事になります・・・。」 まさか・・・ 「そして、向こう側が凉宮ハルヒが望んだ・・・世界です。」 !! 確かに、さっきの・・・ハルヒが居た気がした。 しかも俺もだ。 赤ん坊も居たな・・・名前は・・・思い出せない・・・何故だ? 「もはやアナタはアナタでは無くなり始めている。いや、僕も長門さんも・・・。」 わからん、それはどういう・・・ 「つまり!アチラは現実の世界、こちらは夢の世界と・・・」 そう言いかけた途端、古泉は大量の血を吐いた。 「ハァハァ・・・体に負荷がかかり過ぎた様ですね・・・」 おい!古泉!しっかりしろ! 「大丈夫、僕は長門さん程じゃない・・・」 畜生、どうしたらいい? 俺は、どうしたらいいっ!? そうだ! あの中には、確かにハルヒが居た! ハルヒが元の世界を望めば! だが、どうする? 長門も古泉も、恐らくもう立ち上がる事も出来まい・・・しかし・・・ そうか! なあ、古泉! 向こうへの入り口を開けてくれ! 「なんですって!?」 俺が行く!行ってハルヒに言わなくちゃいけない事があるんだ! 「無理です!僕みたいに・・・肉体的に負荷を受けるだけじゃ済まない!既にアチラ側に存在する本物のアナタに取り込まれて、今のアナタは完全に消滅しますよ!」 俺は俺だ! 頼むから・・・ 「・・・解かりました。僕の手を握って・・・瞳を閉じて下さい・・・・そして・・・ゆっくりと体を・・・此方に・・ さ あ ど う ぞ 薄れていく意識の中で 俺は思ったんだ ハルヒ お前が今一番望む世界は そんなんじゃないだろ? 「ねえ、キョン!起きなさいっ!」 ん、ああ・・・今何時? 「もう十時よ?早く出掛けないと。午後になると、もう結構冷えてくるのよ。みくるに風邪ひかせる訳にいかないし。」 「陽射しが暖かいううちに・・・ね?」 ん、ああ。わかった・・・っ。 (そういえば、今日は日曜日だったな・・・。) 軽く朝食を済ませて、俺達は足早に出かけた。 十二月上旬とは思えない暖かな陽気に、少し背中が汗ばむのを感じた。 「ねえねえ、キョン?久しぶりに見晴らし台に行くってのはどうかしら!出産後のお腹のたるみを解消するには絶好のウォーキングコースだと思うのよ!」 少し遅れて歩く俺に、ベビーカーを押すハルヒが振り返りながら言う。 あの坂道を登るのか。 高校の頃は、良くハルヒを乗せて自転車でこの坂道を登ったものだが。 今は・・・正直一人で歩くのも遠慮したい。大体、日曜日に疲れてどうする?日曜日くらい体を休めなければ、我々サラリーマンは日々戦えんのだぞ? それに、ハルヒは出産前とそれほど体型は変わっていないと思うのだが。 自分の体型に過敏になるのは女の性か? 「さあ!もたもたしてると置いてくわよっ!」 やれやれだ。 おーい!初めからペース上げすぎると、息が上がるぞっ! (いいのよっ!キョン?風の伝説を感じさせる走りをするのよ!) んっ? ハルヒ、何か言ったか? 「えー?何?」 いや・・・なんでもない・・・ 見晴らし台に付く頃には、俺は汗だくになり息をきらしていた。 ハルヒは・・・そうだ、こいつは昔から無駄にパワフルでスポーツ万能・・・なんだったな。こんな坂道程度じゃ堪えない訳だ。 そういえば、色々な部活から誘われたが、飽きっぽいのが災いして結局三年間帰宅部だったんだよな・・・。 「こらっ!情けないわよっ!」 ああ。まったく、お前には敵わないよ! 「ふふん。まあ、いいわ!キョン?ちょっとベビーカーをお願い!」 そう言うと、ハルヒは販売機のある方へ走って行った。 「ちょっと!キョン?ボケーッとしているんじゃ無いわよ?ほら、コレ!」 ハルヒはそう言うと、俺に冷えた缶コーヒーを手渡した。 そして自分もカフェオレを開け、グイッと飲んで見せる。 「プハァーっ!旨いっ!スポーツの後のコーヒーは最高だわっ!」 ふん、本物のコーヒーは苦くて飲めない癖に (・・・アンタと同じでいい。) まただ。さっきから、一体なんだ・・・? 俺、疲れてるのか? とりあえずベンチに座る・・・か。 「どうしたの、キョン?」 ベンチに腰を降ろした俺の顔をハルヒが覗きこむ。 なんとなく、キスが出来る距離だな・・・と思う・・・ キス・・・ (喜びなさい?キョンの今回の申し出に対して、SOS団長として私は・・・) ああ、そうだ!俺は・・・ ハルヒ! 「な、なによ!キョン?」 俺は・・・平穏で、それなりに毎日が楽しければいいと思ってたんだ! 「?」 でも、高校に入って・・・・とんでもない女に出会っちまった! とにかく我が儘で強引で・・・でも繊細で優しくて・・・割と器用に何でもやってみせるんだ! でも、彼女は退屈してた!何をやっても楽しく無かった! だから、自分の思うままに仲間を見付けて、思うままに楽しく過ごそうと考えた! 普通なら・・・そんなに都合良くやれるもんじゃないさ! でも!彼女には、それが出来てしまうんだな! 「キョン?」 何故なら彼女は、自分の願うままに世界を変える不思議な力を持っているから! 「ちょっと、何を言っているの!?」 そんなある日、大切な仲間・・・いや!ある意味、愛してさえいたいた仲間がこの世から消えた! 「キョン、やめて!」 彼女は悲しくて悲しくて、今までの世界を終らせて新しい・・・世界を望んだ! 「いや・・・」 彼女の名は涼宮ハルヒ! 瞬間、俺とハルヒの周囲から全てが消えた。後に訪れたのは・・・ 闇 ハルヒの声がする 「願いは、叶うのかしら。」 叶うさ 「でも・・・アタシは・・・」 わかってる 「キョンは?」 ハルヒの・・・願うままに。 気が付くと俺は部室のドアの前にいた。 とりあえず、例によって朝比奈さんの生着替を警戒・・・ ん? 朝比奈さん? 俺は慌ててドアを開けた! 少し丈の短いチャイナドレスを纏った、朝比奈さんが居る! 今更敢えて言う事も無いだろうが・・・物凄く良い! 大満足のハルヒが腕を組んで頷く。 「うん!完璧ね!いますぐフカヒレスープを注文してあげたくなるわ!」 相変わらず、訳が解らない。 ところで、何でチャイナドレスなんだ? 「アンタ、知らないの?ミクルちゃん、一週間ほど南町の来来軒でバイトするんですって!」 何っ? ハルヒっ!お前、また何か!? 「何よっ!紹介料代わりに餃子無料券10枚貰っただけでしょ?アンタなんかには餃子あげないんだからっ!」 ・・・・お前なあ! 「餃子・・・十枚」 長門が呟く。 そして、古泉がニヤけながら上手くまとめた。 「まあまあ、皆さん!帰りにでも来来軒によって行きましょう!ね、朝比奈さん!」 終わり
https://w.atwiki.jp/clr1862/pages/18.html
コーヒー牛乳の生い立ち 現在、日本人に愛されている飲み物の1つであるコーヒー牛乳(コーヒー入り乳飲料)は、湘南生まれである。そこで今日現在も営業・製造を続けている守山乳業の創業者であることもご存知だろうか。 (上図)コーヒー牛乳の宣伝用ポスター そもそも農家生まれの守山謙が農家を救うことから始まる。当時、乳製品は、一般的ではなく、病人の栄養食とイメージされていた。ここで注意して欲しいことは、乳製品は、ぜいたく品ではないことである。しかし、現在のように一般人に普及しなかった理由がもう一つある。それは、保存期間の問題である。それは、今現在の私たちの生活にも大きく影響している。 その当時の牛乳は1日しか日持ちがせず製品化は困難であった。そこで彼は、注射器を熱湯で消毒することからヒントを得て食料品に対する煮沸消毒法を可能にした。ホームページでは、珈琲牛乳が、1週間日持ちするようになったのです。と、紹介されているが、恐らく他の乳製品も賞味期限を飛躍的に延ばすことが出来たと考えられる。また、1920年、守山は、JR国府津駅で販売したところ大成功したことによりコーヒー牛乳が世に知れ渡ることになった。当時、東海道線は、国府津から先の小田原、熱海、伊東方面が開通しておらず、1934年12月の丹那トンネルの開通まで現在の御殿場線のルートを用いて沼津方面へ向かっていた。しかし、御殿場線ルートは急勾配であるため、当駅で機関車を接続していたことから、当時の国府津駅は重要なターミナル駅であった。その待ち時間に駅弁が販売されていただろう。 余談であるが、守山はさらに珈琲牛乳の研究を重ね、蒸気でゆっくり消毒する新たな殺菌法を考案し、3、4ヶ月の保存期を実現し、そして昭和18年には、軍人の眠気覚ましにと、軍事品として常備されるまでになりました。と記載されている。これは、俗に言う「ロングライフ牛乳」の開発に成功したのだろう。現在では、殺菌時間や充填方法やパッケージ構造の違いによって大体、牛乳の質にこだわる低温殺菌牛乳は5日、一般的な牛乳は1週間程度、最近よく聞くようになったカナダ発祥のESL製法の牛乳は約2週間、主にレジャーなどに用いられているロングライフ牛乳は2ヶ月と分かれている。各種の違いについては。テーマと離れてしまうため割愛させてもらう。 飲み方の違い ここでコーヒー牛乳とカフェ・ラテ、カフェオレとの違いについて触れておく。 カフェ・ラテ(カフェラッテ)・・・熱いコーヒーに泡立てた牛乳をいれた飲み物。イタリア語 カフェオレ・・・コーヒーに同量の熱いミルクを入れた飲み物。フランス語 コーヒー牛乳・・・牛乳などの乳製品にコーヒーで味付けした飲料の通称 以上のことから、コーヒー牛乳とカフェ・ラテ、カフェオレの違いは、牛乳の量で決まることが分かる。 商品名について 冒頭にコーヒー牛乳(コーヒー入り乳飲料)と表記した訳は、現在では、表示名に「コーヒー牛乳」と表記できないからである。その経緯として、2000年に日本で起きた雪印集団食中毒事件が大きく関係している。これにより、2003年の飲用乳の表示に関する公正競争規約により、生乳100%のものしか「牛乳」と表記してはならないことになった。同じ状況に置かれているものとして、「フルーツ牛乳(フルーツ入り乳飲料)」が挙げられる。 まとめ 守山は、コーヒーだけでなく、乳製品を普及させた 参考文献 守山乳業―はじめてものがたりー (http //www.fujimilk.co.jp/about/story.html) 一般社団法人 日本乳業協会 (http //www.nyukyou.jp/dairy/milk/index.html) ごてんばせんネット(http //www.gotembasen.net/g-story/) 雪印乳業食中毒事件の原因究明調査結果について(最終報告) 厚生省 (http //www.mhlw.go.jp/topics/0012/tp1220-2.html
https://w.atwiki.jp/mustnotsearch/pages/2955.html
登録タグ:ゲーム 危険度2 料理 汚物 真実 言葉の核兵器 豆知識 鳥 黙読注意 ピジョンミルクとは素嚢乳(そのうにゅうと読む)。ひなを育てるのに必要であり、吐き戻しによって子に与える液体のこと。栄養価がとても高い貴重なミルクのようである。 これが鳥が作る自然のミルクなのだが、知るとショックを受ける可能性がある。 ちなみに『どうぶつの森』にある喫茶店『きっさハトの巣』で常連客になると、このピジョンミルクをコーヒーに入れようか?とマスターが言うようになる。ただそれがなんなのかを調べようとしたりすると後悔したりするかもしれない。 分類:真実、汚物 危険度:2 コメント もう どうぶつの森で ピジョンミルク 入れてもらいたくない← -- 名無しさん (2018-10-27 16 04 45) 汚い -- 名無しさん (2018-10-27 21 07 45) オエー!ゴクゴク!(AA略) そのうの内側の皮膚が剥がれるんだっけ? -- 名無しさん (2018-10-27 21 25 55) 名前は素敵だなあと思っていたら……そんな綺麗なものじゃなかった…(^_^;) -- 名無しさん (2018-10-27 21 43 54) オスも出るのですよ…父乳… -- 名無しさん (2018-10-28 09 54 50) 真実系は興味深いものが多くていいね -- NB (2018-10-28 12 04 18) 案外美味いやもしれん -- ゆうていみやおうきむこう (2018-10-28 14 36 27) まさか、任天堂は分かった上で・・・ -- 名無しさん (2019-07-01 22 46 01) ハトよめで知ったけど実物見るとなかなかにエグいなw -- 名無しさん (2019-09-10 21 08 18) 割とほのぼのした結果がひっかかる -- 名無し (2020-05-23 18 13 06) ☆G☆E☆R☆O☆ -- メタトンNEO (2020-06-26 20 30 52) マンガ版どうぶつの森のホヒンダ村でもあったよね。コタロウが親の愛情(?)とか言ってて、さよりんからは「単なる嘔吐だろ」とツッコミし、挙句の果てには住民のバズレーからマスターやさよりんをいじり倒すハメに。 -- kzk (2020-09-02 23 28 40) ほぼ鳥のゲロやん -- 🤪🤪🤪🤪🤪🤪 (2020-09-11 13 21 57) マスターそんなの勧めてこないで… -- 名無しさん (2020-11-30 23 33 59) なぜどう森でも出したし -- 名無しさん (2021-02-14 09 31 43) ポケモンのピジョンかと思ったのは僕だけ? -- ゲーム太郎 (2021-04-24 09 18 15) マスターって結構ヤバい奴だったんだね・・・ -- 名無しさん (2021-08-16 15 18 23) 赤ちゃんのミルクを買おうとして調べてしまう人いそう -- 名無しさん (2021-09-11 23 44 29) ちなみにペンギンやその他の鳥、一部の哺乳類でも親が子に吐き戻した餌を与えることがあるようです。なんなら離乳食なんてなかった時代は親や乳母、祖父母が一度口に含んだり噛んだりして柔らかくなった食物を口移ししたりしてたからねぇ…… -- 鮫将軍 (2021-10-09 09 27 49) あつ森でもピジョンミルクが出るんだろうか -- 名無しさん (2021-10-16 07 45 31) あつ森にも登場。おいでよでハトの巣と初登場してから皆勤賞? -- 名無しさん (2021-11-12 15 04 55) マスターは目の前でちゃんとした容器のミルク入れてるから…… -- 名無しさん (2021-11-13 16 05 42) どうぶつの森のはそういう商品名(?)なだけじゃないかな。いつまでも湯気が出てる飲食物を飾っておける世界観だし -- 名無しさん (2021-12-20 00 41 04) ピジョンミルクといえばどう森のアレ -- 名無しさん (2022-02-06 06 45 20) 他の動物はゲロ(事実上)だのクソ(再度食して栄養回収)だのを幼体に与えるけど、人間には無くてよかったよ。 -- 名無しさん (2022-04-06 14 51 04) でも生きるためには必要なんだろうな -- 名無しさん (2022-06-26 09 05 05) え…それってもはやゲr…それ以上言わないでおこう… -- 名無しさん (2022-08-02 19 03 23) はちみつもそんな感じやよ(調べるなら事故責任ね) -- Princess soplano (2022-08-04 19 45 36) どう森のピジョンミルクは黒い任天堂要素 -- 名無しさん (2022-09-13 14 56 10) 動物の話をするのに必須の知識だから気持ち悪いと思ったことなかったなあ -- 名無しさん (2022-10-10 23 09 19) どう森ではぐらかされた -- ポケモンは好きだけどピカチュウは嫌い (2022-11-22 20 52 34) ゲロを口移しであげる...ねぇ、ゲゲゲロゲゲゲロゲロちゅ〜♪ -- 文鳥の奴隷 (2022-12-16 13 35 04) 鳥好きだからむしろ飲んでみたい -- 名無しさん (2022-12-25 04 42 04) 任天堂さんは変態だから調べないと分からないコトを毎回の平然と言うよね。 -- 名無しさん (2022-12-28 22 22 21) ・・・ちょっとヤバいwww -- 名無しさん (2023-01-02 15 58 46) そう父性愛! -- 名無しさん (2023-03-02 21 29 13) 要約するとゲロ -- 名無しさん (2023-04-15 14 38 03) ポケモンは好きだけどピカチュウは嫌い,これ同感。ポリゴンを返せ -- あ (2023-05-06 09 44 15) どう森でずっと入れてたヤバイかも、、、 -- 名無しさん (2023-06-27 20 52 50) 恐るべし、、、どうぶつの森 -- 名無しさん (2023-06-27 20 54 55) 鳥のお○っこやンけ -- 名無しさん (2023-06-27 20 58 31) 鳥のお○っこやンけ -- 名無しさん (2023-06-27 21 01 21) なにこれ?は?チョマッテチョマッテ...(⬅キレてる) あつ森って付け足すと 出ない!出ないんですねこれが出ないんだな〜 -- ヒ○キンマニア (2023-08-22 16 22 14) な -- な (2024-01-27 22 59 02) マスター……!!(歓喜) -- びー (2024-03-17 14 09 25) そもそもマスターはどこでこんなものを手に入れてるのか。絶対これからは拒否する!! -- pyonぴょん (2024-03-23 16 01 04) 人間と違って胃酸で溶かされかけの食べ物ってわけでもないからおまいらがイメージしてるもんとはまた違うと思う -- 名無しさん (2024-04-12 09 28 43) ピジョンミルク、入れますか? -- 名無しさん (2024-08-12 13 42 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/clr1862/pages/5.html
コーヒー豆は、コーヒーベルト帯にどのように根付いていったか やがてコーヒー豆は、当時のイギリスをはじめとした列強諸国に伝えられた。 次第に列強の植民地となるところでは、もともとコーヒーが栽培されていたが、列強の統制下に入ってからは、各地でその栽培も加速した。 やがて、イギリスでは、茶葉の価格を維持するため「禁茶礼」の発布し、これの影響を直に受けたアメリカでは「ボストン茶会事件」が起きた。 この事件をきっかけにアメリカでは、独立の気運が高まり、コーヒーを好むようになった。これにより、栽培に適していたブラジルでコーヒーの栽培が加速した。 アメリカ独立の起爆剤 コーヒー アメリカ合衆国独立する上で語ることが出来ないのがコーヒーである。そして、そのきっかけとなったのが「ボストン茶会事件」である。 元々、英国の植民地だったアメリカではコーヒーより紅茶が飲まれていた。しかし、イギリス政府が「茶条例」を植民地に発布して輸入紅茶販売を独占して価格をつりあげた。 その理由として、1754年から7年間起きた北アメリカ大陸における植民地争奪戦(フレンチ・インディアン戦争)において発生した戦費を補うため、もう一つはオランダなどとのコーヒー貿易競争に敗れ、その負債をとり戻すためであった。そのため、当時イギリスの植民地であったアメリカでは、インディアンに扮しボストン港に停泊していたイギリス船を襲撃して積荷の紅茶を海に投げ捨てた。当時のアメリカ人にとっては、簡単に言えば、故郷であるイギリスに自分たちがインディアンやヒスパニック、黒人奴隷たちと同じ扱いを受けたことが堪らなかったのだろう。 これによりアメリカでは、イギリス製品のボイコット運動が起こり、紅茶に変わったのがコーヒーである。余談であるが、この時からコーヒーを紅茶のように薄めて飲み始め「アメリカン・コーヒー」が生まれた。 また、コーヒーの需要が高まるにつれ、南部を中心にコーヒーが栽培され始めた。 コーヒーが熱帯の国々で栽培されていたことを知っていた彼らは、綿花の栽培で培った技術を生かし、また黒人奴隷たちを用いて生産を増大させていった。 当時のアメリカ人にとってコーヒーとは何だったのだろう。 ○参考文献○ ボストン茶会事件 Yahoo百科事典(島川雅史 著) 2013/05/17閲覧 (http //100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E8%8C%B6%E4%BC%9A%E4%BA%8B%E4%BB%B6/
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/5564.html
このページはこちらに移転しました モーニング・コーヒー 作詞/174スレ105 A朝方の静けさに溶け込む 白い息 満たされない ランデブー 此処はどこですか 何故にあなた無感情的ですか B苦い思い出飲み込んで 胸の奥に 熱い想い 注ぎこめ S甘い恋なんていらない もう心を掻き回さないで どうか私を大人にさせてよ Black coffee 貴方なんてもういらない 此処でキスして別れを告げる どうか私の想いに気づいて back morning
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/625.html
はァハァハァハァ・・・ 「ちょっと、キョン!もっとスピードだしなさいよ?だらしがないわね!」 ハァハァ・・煩いぞハルヒ・・荷台に座っているだけのお前には判らんだろうが、さっきから延々と緩い登り坂が続いているんだ・・・。 今、俺は自転車の荷台にハルヒを乗せ、この一見平坦に見える心臓破りの坂道を往年のスポ根ドラマも真っ青なくらいの汗を流しながら登っている。 「しかし、オシリが痛いわね。自転車にも後部座席の必要性を感じるわ。」 勝手な事を。 仮にそんな自転車があったとして、おまえは一体だれに運転させる気・・・って俺か。 ああ・・本気で疲れてきた・・・もうマジメに後ろの煩い荷物に取り合うのはやめよう。 感情を捨てマシンになるんだ。 頑張れ、オーバーヒート寸前のエンジンな俺・・・ ところで、俺が何故オーバーヒートでエンジンなのかを説明する必要があるな。 話は、つい先程の放課後の部室へ遡る。 放課後、いつもの様に俺は部室へ向かった。 まあ、この妙な団体の根城をごく自然に「部室」と言えてしまうあたり、自分が周囲の言うところの「涼宮ハルヒとその一味」である事を認めざるおえなくなる要素としては十分な訳だが、最近はそれも悪くないかと思う様になっていた。 一応、朝比奈さんの生着替えを警戒(?)しつつドアをノックする。 返事が無い・・・か。 俺は少し安心してドアをあけ・・・あれ?ハルヒ? 居たのか。 「何よ、残念そうな顔して。何を期待していたのかしら?」 何も期待はしていない。 しいていうならば朝比奈さんの「癒し効果」くらいなものだ。 しかし今日のハルヒは、いつになく不機嫌・・・というよりは体調が悪いのか? 少しだけ顔色も悪い様だ。 「今日の体育の時間、バレーボールだったのよ。たぶん、やったのはその時ね。」 と、言いながらハルヒは椅子に座ったままスカートをめくりあげた。 瞬間、俺は息を飲んだ。右膝から太股の方に向かって赤く、紫が少しかかったピンクの様に腫れ上がっている。 「あ、今パンツ見たでしょ。」 断じて見てない。 しかし、どうするんだ?家に帰るにも、病院に行くにも・・・歩けるのか? 「ふっふーんww」 あ。そういうことか。 みんなを早々に解散させ、遅れて来るであろう俺・・・つまりこの場合は「帰りの足にある自転車とその動力要員」を待ち構えていたと。 「さぁ、キョン?帰るわよ!アタシを送りなさい!」 って、なんなんだよ。 だいたい俺だって、その怪我を見せられれば「送って行こうか?」と言ってやれるくらいの甲斐性はあるつもりだ。 ていうか、こいつの家は何処だっけ? 「何をボケーッとしてるのよ!とりあえず駐輪場までは気合いで歩くわっ!・・・あれ?」 ガタッ ハルヒは、勢いよく立ち上がったものの怪我をしている足を中心に姿勢を崩し慌てて机に手をついた。 こりゃだめだな。ほら、担いでいってやるからおぶされ。 「・・・な、なによ!!平気なんだからっ!」 無理だ。いいから。 「おんぶは・・・その・・・私の見た目よりも豊満な胸がアンタの背中に当たって結果的にアンタを喜ばせるからイヤ!」 ・・・。 じゃあどうするんだ?足の痛みと腫れが治まるまで部室にて引きこもり生活か? 「ち、ちがうわよ!胸が・・・胸が当たらない運び方だってあるでしょ!?よく考えなさいよ!バカキョン!」 胸が当たらない運び方・・・肩車か?いや、この場合は後頭部に胸よりもマズいあの部分が当たる計算になるな。さてさて、どうしたものか。 「だから、背中じゃなくて前で!」 前?まさか・・・ `おひめさまだっこ´の事か? 「べ・・・べつにアンタに好意的に抱き上げてもらうわけじゃないんだからねっ! アタシの貞操を守る為の不可抗力なんだからね!」 どういう貞操だかなんだか知らないが。 まあ、赤面しながら必死に言い訳する可愛さに免じて許してやろう。 よいしょっ。 痛くないか? 「ん、大丈夫。・・・キョン・・・?」 なんだよ? 「ありがとう」 少し照れくさかったので、少しだけ鼻を鳴らして答えた。 しかし、こんなとこ谷口に見られたらヤバいな。長門の一件もあることだし。 「あ、何か今イヤらしい事考えたでしょ?」 まったく何を根拠に・・・まあ、あの時の長門の事を少し思いだしたりしたが。 とにかく駐輪場まで急ごう。 駐輪場に着く頃なると、ハルヒは少し汗ばんでいた。 それが、痛みによるものなのか俺と同じく誰かに見られる可能性に対しての緊張による・・・て事は無いだろうな。 痛むか?医者に行くか? 「いい、やめておくわ。外科だったら、ここから一番近くて田代医院でしょ?あそこの親父、目とか手つきとか全てがいやらしいのよ」 以外だな、おまえでも医者にかかる事があるんだ? まあ、今日を除いてだが。 「ほら、前に草野球大会に出たでしょ?その日はなんとも無かったんだけど、次の日肩が痛くて腕があがらなかったのよ。かといって学校で隙を見せるのはポリシーに反するのよね。だから痛み止めくらいは貰えるかと思って行ったなの。」 たいしたポリシーだ。 「そうしたら、肩が痛いって言ってるのに『肩の筋肉は胸へとつながっている』とか言って胸を触ろうとするのよ!」 むう、こんなエロビデオを谷口に借りた事がある・・・いやいや、許せん医者た! で、どうした? 「アタシ言ってやったわよ!『なるほど、肩が胸ですか。良いことを聞いたわ!帰ったらお母さんに報告しなきゃ!先生に胸をイッパイ触ってもらったから、肩がすぐ治りそうってね?』ってね!」 先生、あんたもある意味災難だな。 結局、ハルヒは湿布と痛み止めを「進呈」してもらい、その場を後にしたらしい。 ん、良いんじゃないか?また行けば、きっとタダで診察してくれるんじゃ・・・ 「あんな変態に胸触らせてまで、薬なんか欲しくないわよ!お金ちゃんと払ってマトモな医者に看てもらった方が遥かにマシだわ!」 目とか手つきがいやらしい→変態に進化したところで、そろそろ行くか? 「そうね。飽きの来ない走りを期待してるわ。」 なんだよそれ。 俺はハルヒを横向きで座らせると、夕焼けと呼ぶにはまだ早い午後のオレンジ色の太陽に向かい走り出した。 そして今、俺は「一見平坦に見える心臓破りの坂」を登りきり、頂上(?)付近にあるオアシスに到着した。 自動販売機と赤いベンチ、今の俺にとって最高の組み合わせだ。 少し休もう。 「まったく、アンタが必死にペダル踏んでるのを見てたら、こっちまで喉が乾いちゃったわよ!何か買ってきて。」 へいへい。 いつもの果汁100%で良いのか? 「・・・アンタと同じでいい。」 え?俺、コーヒーだぞ? 「いいから、いいって言ってるのよっ!」 やれやれだ。 しかし、さっき背中ごしに聞いたハルヒの家の場所は、「自転車でも十分行ける距離だからこのまま送ってやる」と俺に言わせるくらいの場所だったものの、いざ走り出すと想像以上に遠い。自分の距離感覚の鈍さを呪いたくなる。 まあ、あと少しだと言うし頑張るか。 とりあえず俺は冷たいのを、ハルヒには温かいのを買いベンチに戻る。 販売機からコーヒーを取りだし振り返ると、目の前にニュース番組のエンディングで流れるような夕焼けがひろがっていた。 そうだ、あの坂を登っている時は気付かなかったけど、俺達の進む方向から見て左側は斜面になっていたんだ。 すごいな・・・ 思わず口にしたあと、俺はふとハルヒの方を見た。 別に、つい口から出た感嘆の言葉に同意を求めた訳じゃない。 ただ、なんとなく。 ? ハルヒは、夕焼けではなく俺を見ていた。 今までで見せたことも無いような、優しくて切なげで・・・ 俺は何か語りかけなくてはいけないという衝動にかられ、必死に言葉を探す。 足、大丈夫か? 「大丈夫じゃないわね。」 ハルヒの表情が普段と同じになった事に妙に安心した俺は、ハルヒの隣に腰を降ろした。 無理はしない方がいいぞ? 「いやよ!明日も学校に行くわ!」 ? しかしだな、いくら行きたくても体の具合如何ではどうにもならんだろ。 コーヒーを差し出しながら、俺は諭すように語りかける。 (ハルヒは、コーヒーを飲むときでも一気に飲んで「プハーッ」てやるのだろうか) などと、くだらない事を考えながら。 しかし、ハルヒはコーヒーを手にとったもののしばらく黙っていた。 しばしの沈黙 もう日が沈むな・・・ なあ、ハルヒ。 そんなに学校に行きたいか? 「決まってるじゃない。でも、無理ね。この足じゃ電車にも乗れない・・・」 ハルヒにしては随分と弱気だな。怪我のせいでナーバスになっているのだろうか。 「でも行きたいのよ。なんとかして。」 まあ、今までもハルヒの我儘には振り回されっぱなしだった訳だが、生憎俺は「岬に住まう天才外科医」でもなければ「未来の世界の猫型ロボット」でもないわけで・・・まあ、自転車の後ろに乗せて運んでやる事くらいしか・・・ ってあれ?まさか・? まさか、この言葉をハルヒは待っていた?今、思い付いてしまったこの言葉を! しかしだ、これを言ってしまったなら明日からまた「一見平坦に見える心臓破りの坂」を登る羽目に・・・ まあ・・・いいか・・・ なあハルヒ、俺が迎えに来てやる。 自転車の後ろに座ったままなら学校に行けるだろ。 ただ、おひめさま某は確実に無理だが。 次の瞬間、ハルヒの表情は極上の笑顔変わっていた。 「まあ、いいわ!アンタがそこまで言うのなら、迎えに来なさい!」 ああ、明日から大変だこりゃ。 「・・・キョンの今回の申し出に対して、団長として私は・・・」 ん?副団長の座なら古泉に与えただろ?副副団長なんて意味不明な役職は要らないし、別に副団長ってのも要らな・・・あれ? ハルヒの顔がどんどん近付いてくる・・・ やがて唇と唇が重なった・・・ ん?ちょっと待て! 少しだけ、唇同士の距離を確保しつつ俺が言う。 (団長として!っての外せよな。) 「・・・バカ。」 ベンチには重なりあった二人の薄い影と、コーヒーの缶が二つ・・・ おわり
https://w.atwiki.jp/meidaibungei/pages/155.html
2006年05月09日(火)22時34分-逢風 Welcomeのプレートがさがった飴色の木のドアを押し開ける。さすがに午後三時、広くはないがカントリー風に装飾されたどこか可愛らしい店内は閑散としていた。カランカランというベルの音にかぶさる「いらっしゃいませー」の声。 小走りで駆けつけてきたウェイトレスが、僕の顔を見て「あっ」という表情になる。が、それも束の間のこと、彼女はすぐウェイトレスの顔に戻り、 「一名様ですね。どうぞこちらへ」 と言って、僕を店の奥へと導いていく。 案内されたのは、光の差し込む窓側の席。ニスを塗られてつやつや光る正方形の木のテーブルを間に挟んで、編み上げたバスケットのような椅子が二つ、向かい合って置かれている。見た目よりずっと丈夫なその椅子の一方に腰を下ろすと、先ほどのウェイトレスがメニューとおしぼりと水の入ったグラスを白いトレイに載せて運んできた。それらが手際よく目の前に並べられていくのをぼんやりと眺めながら、僕は近くて遠い記憶の中へと吸い込まれていく。 そう、あの日も僕はこの席に座っていた。 *********************************** あの日は、半年近く付き合った彼女にフラれてちょうど一週間経った日曜日だった。 失恋以来、全てにやる気を失って抜け殻のように過ごしていた僕を見かねて、友人たちが僕を遊びに連れ出した、その帰路のことだった。「元気だせ」だの「泣きたきゃ泣け」だの、それができないから困ってるんだと言い返したくなるような台詞を目一杯浴びせられた後に皆と別れ、一人駅に向かっていると、突然大雨が降ってきた。生憎傘は持っていなかったし、駅まではまだ十五分ほど歩かなければいけない。ゲーセンだのカラオケボックスだのとあちこち連れ回されて疲労していた僕の足では当然走る気にもなれなくて、雨宿りついでに一休みしようと近くの喫茶店に飛び込んだ。玄関に立ち、運よくバッグに入れていたスポーツタオルで身体を拭きながら、僕はこの喫茶店がよく知っている店だということに気が付いた。 ―――彼女との映画鑑賞の帰り、何度か立ち寄った店だった――― いつの間にか僕は席に案内され、メニューを前にしていた。湯気の立ちそうなおしぼりを手で弄びながら、規則正しく並んだ文字に目を走らせていくうち、僕はふと思い出してデザートのページを開いた。その六文字は変わらずそこに載っていた。「チーズケーキ……370円」と。 彼女はこの店に来ると、いつもチーズケーキを注文していた。そのことに気付いたのは彼女と三度目にここへ来た時で、そんなに何度も頼みたくなるほどおいしいのかと気になったが、男の僕が甘いもの、しかも彼女と同じものを頼むなんて、なんとなく気恥ずかしくてできなかったのだ。とはいえ、やっぱり気になって、彼女に分けてもらった一口ばかりじゃ足りなくて、彼女と同じサイズの、同じチーズケーキを食べてみたいと思っていた。そう、次に来た時こそは自分もチーズケーキを注文しようと思っていたのだ。あの時は。 「……チーズケーキを」 気付けば僕はメニューから顔を上げないまま、無機質な声でそう注文していた。ウェイトレスがさらさらとペンを動かしているのを気配で感じる。無意識に自分の口から出ていた言葉に、僕は少なからず動揺していた。 「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」 「……はい」 頷くのに少し時間がかかった。 「少々お待ち下さい」 どこかで聞いたことがあるようなよく通る声を残して、そのウェイトレスは厨房の奥へと歩いていった。 窓の外、色とりどりの傘をさした人たちが通り過ぎていく。灰色の空に浮かぶ信号機の赤が、やけにはっきりと目に映る。交差点を右折してきた大型トラックが盛大に水しぶきを撥ね上げ、歩道を駆け回っていた子供たちがわあっと悲鳴を上げる。 雨はなかなかやみそうにない。僕は窓ガラスを流れる水のカーテンを眺めながら、小さく溜息をつく。 「お待たせいたしましたー」 不意に、今の空に似つかわしくない明るい声がして振り向くと、先ほどのウェイトレスが二枚の小皿をテーブルに並べているところだった。一枚の小皿には、彼女がおいしそうに口に運んでいたものと寸分違わないチーズケーキ。もう一枚には、注文したおぼえのないホットコーヒー。一瞬の当惑の後、僕は勢いよく顔を上げた。 「あの……」 間違ってますよと言おうとした途端、ウェイトレスは無言のまま伝票を僕の顔の前に広げて見せた。右上のところに銀色のクリップが付いていて、薄桃色の小さなメモ用紙がとめられている。そこには小さくて丸っこいけど整った字で「コーヒーは私のおごりです」と書いてあった。何が起こったのかよくわからず、ぽかんと口を開けた僕に向かって、彼女はにっこり微笑んだ。 「ごゆっくりどうぞ」 窓の外は、相変わらず雨が降っていた。 僕はぼんやりしたままチーズケーキを少しすくって口に入れた。舌の上で溶けていく、まろやかな甘み。かといって甘すぎもせず、レモンがしぼってあるのだろうか、どこかさわやかな味がした。ホットコーヒーには、なんとなく、ミルクも砂糖も入れずに飲んだ。ほろ苦さと熱が、雨に濡れて少し冷えた身体にじんと染み渡る。 不意に指先がしびれたように震えた。カップから立ち上る白い湯気が大きく揺らいで、だんだん目の前が見えなくなる。 彼女と別れてから初めて、僕は声を上げて泣いた。カップに添えられた銀色のスプーンが、いつの間にか雲間から顔を出していた太陽の光を反射して、白く輝いていた。 *********************************** その時のウェイトレスが、一年前大学の授業で一緒にグループ発表をした矢島さんだったことに気付いたのは、その日の帰りの電車の中だった。くじ引きで決められた僕らのグループは運悪くリーダーシップのとれない人間揃いで、誰からともなく慌てて発表の準備を始めたのは例の如く発表一週間前だった。同じグループの人間とまともに会話したのは最後のまとめの時くらいしかなかったし、教え合った携帯番号も事務連絡以外の用途で使用することはなかった。そんな状況だったから、グループの一員であった矢島さんのことも、顔を見てもすぐに思い出せなかったのだ。 あの日以来、僕はこの店によく出入りするようになった。 「ご注文はお決まりでしょうか?」 彼女―――矢島さんが僕の傍らに立ち、事務的な口調で訊ねる。 「チーズケーキとホットコーヒーを」 僕ももう決まり文句となったその言葉で返事をする。 「かしこまりました。少々お待ち下さい」 他の客に見せるのとまるで違わない営業スマイルを投げかけて、彼女は僕に背を向ける。 ふと背中越しに視線を感じて首をめぐらすと、近くのテーブルに座っていた女子高生三人組が、気まずそうに目を逸らした。きっとまた「なんであの人、梅雨ももう終わるのにホットのコーヒーなんだろう」とでも噂していたんだろう。でも、こんなことにはもう慣れっこだ。 ここに通い、毎回同じものを注文する僕のことを、彼女―――矢島さんがどう認識しているのかは知らない。玄関に立つ僕を見つけると必ず「あっ」という表情をするところを見ると、あの雨の日曜日のことを憶えているに違いない。しかし、僕と大学のグループ発表で一緒だったことや、デートで三回この店に来ているということまで憶えているかはわからなかった。彼女がこの店で僕に特別な待遇をすることも、あの日以来一度もなかった。唯一、僕を他の客と違う目で見ていることの証明である「あっ」も、後に続くのが「あっ、また来てくれたんだ」なのか「あっ、また来たんだ」なのか、僕には未だに判別できていない。 もう一度同じ講義室で授業を受けることは、少なくともこの半年間はなさそうだし、たとえ偶然どこかで会ったとしても、挨拶すら交わさずすれ違うのかも知れない。少し寂しいような気もしたし、それでいいような気もした。 「お待たせいたしましたー」 彼女がいつも通り二つの小皿を運んでくる。いつものチーズケーキと、いつものホットコーヒー。使わないことがわかっているミルクとスティックシュガーに、銀色のスプーンを添えて。 「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」 「はい」 僕が頷くと、彼女はテーブルの隅に置かれた透明な筒の中に「会計 ¥620」と書いた紙をまるめて差し込んだ。 「ごゆっくりどうぞ」 彼女はまた僕から離れていった。事務的だけど明るく、よく通る声を残して。 窓の外、額に汗をにじませた人たちが、うつむき加減で足早に通り過ぎていく。点滅する青信号を見て、一組の親子が慌てて道路に駆け出す。横断歩道を越えて交差点の真ん中で立ち往生していたワゴン車が、ぼーっとしているのか信号が変わっても発進しない前車に苛立ち、クラクションを鳴らす。 どうして急ぐ必要がある? 今日はこんなにいい天気なのに。 白い湯気の立つホットコーヒーを一口飲む。ほろ苦さと熱が、日射しに火照った身体にすうっと染み渡った。 サークル賞用の作品です。 ちょい短めですかね…f(^-^;) とりあえずよろしく☆
https://w.atwiki.jp/satou/pages/315.html
生かさず殺さずのクリスマス 投稿者:不倫コーヒー 投稿日:2008/12/26(金) 05 00 14 「クリスマス・イブは3日間くらいあるといいんだよね。だってさぁ、イヴの日とかに一人のオンナの子とかいっぱいいてかわいそうじゃん!」 なんて言っていながら、オレにとっての本命くんがはたしてイブに呼んでくれるかどうかやっぱり気になる。本命クンは決して絶対に約束なんかしてくれない。だからオレはグレまくってウリなんかやっている。それに絶対決して 「好きだ」 なんて言ってくれない。単なる 「ペット」 として愛してくれているだけだ。 22日の夜、レオに野獣のように抱かれていると、センパイからメールがあった。 「今から会う?」「うぃっす、30分後に行きまっす!」 レオの家からは5分で行ける距離だけど、たぶんあと20分でこの激しすぎるセックスはおわるぜ、と思いながら、あー、膣の奥がマジに気持ちいい。切りこみを入れた競パンの中に3回分の精子をドロドロに溢れさせながらセンパイの家へ向かう。 「はい、クリスマス・プレゼント」 って、すっげー!ブーヴ・クリコのシャンパンじゃん! 「今日は拓也の家へ行くから」 っていつものように気まぐれな展開だ 「ウレシイっす!センパイが家に来てくださるなんて」 オレも実はセンパイにクリスマス・プレゼントを買ってあったんだ。でもさぁ、今晩お泊まりでシャンパンを開けるってことは、24日のイヴはどうなんだよぉ!種付け競パン姿でオードブルをつまみながらセンパイのエロ話しを聞いているうちに、酔いがまわってきて、話しに登場するセンパイのたくさんの若いペットたちに ムラムラジェラシー を感じる。センパイの膝にワンコのように手をつき、 「オレもその23歳の奴みたいに↑仕込まれて14時間とかセックスされたいっ!」 とガン見でおねだり。しばらくそのまま乳首を遊ばれて喘ぎまくったあとは 「実は今日はタネマンなんだ」 って、テーブルに手をつきケツを突き出し、オイルと精子でドロドロに濡れた穴開き競パンのケツたぶを開いて兆発する。 「ホントだ、ドロドロじゃん!」 センパイの手がオレのケツ穴をまさぐりその手を口で何度もキレイにさせられて濃厚な精子を味わう。 「じゃあ、クリスマスのお祝いに仕込んであげるよ」 4つんばいで胸を床につけ、くの字にアナルを上に向け、クスコで穴を広げられるとぽっかりとピンク色のアナルが口を開ける。グラス一杯のクリコのシャンパンに催淫剤を溶かし、アナルに流しこむ。 「熱い!」 シャンパンの泡がピンクの膣壁に流れ込み焼けるような刺激と共に真っ赤な色に染めていく。 「あーっ、熱いっ!」 催淫剤入りのシャンパンが膣の奥を焦がす! 「うぉー!!」 「そのまま動くな!」 血流がたぎり、全身が熱くなり催淫剤が脳をかけめぐる。 「ほうら、精子も喜んでいるぜ!」 精子がアルコールと催淫剤でピクピクと異常な動きをするように俺も全身が麻痺と痙攣に襲われる。クスコが抜かれセンパイのデカマラで栓をされてシャンパンと薬と精子が膣壁に塗り込められる。そしてそのまま腕にPを打ちこまれた。トロトロの雄膣が収縮してデカマラにまとわりつく最高の性器になる。あとはベッドに運ばれ全身の筋肉に鳥肌を立てながら掘られまくり痙攣しまくり白目剥いて吠えまくり。 センパイに朝まで抱かれたその日はいつものようにダウン。ってか、センパイの家へ行った時は帰る体力を残しておいてもらえるけれど、オレんちの場合はそれがないからマジ足腰立たなくなるまでヤリ殺される。思えば先週末からいつものようにヤリまくり。金曜日は20cmデカマラのセクフレが来て、土日は連続で3Pの泊まり、月曜がレオとセンパイ、で今日23日天皇誕生日はもう休ませてくれって感じで一日ぐったり。でもぐったりしているのにずっと射精してないからすっげー勃起しまくり。やべーよ。結局ケツにローター入れたままエロエロの格好でジムに行って筋トレ。こんなにハードな毎日を送っているのにジム休まね~ってのはすげーなって、自分でも思うぜ。 そしていよいよクリスマス・イヴ。昨日は結局3発オナって抜いちゃったし、センパイにもたっぷり可愛がってもらったばかりだし、満足かな~。でも、やっぱりオレってついにセンパイの2番目のペットに落ちたのかな。なんて思いながら、オンナ3人とクリスマスパーティ。全く、クリスマスってランチにお茶にディナーに、胃が休まらないから嫌いだ。オンナの話しってチョーうぜーし。もう、オレのイヴは終わってんだよ、なんてふてくされながらネムネムの顔でしらけ気味。そこへセンパイからメール。 「ミッドタウンのイルミネーションまだ見てないんだよね!」 マジ?!それってお誘い?やったぜ! 「あー、チョーネムー!!ジムへ行きたい」 って言ったらオンナが帰ったんで、酔い覚ましに1時間トレーニングしてから六本木へ。やっぱりセンパイとクリスマスを過ごせるなんてマジウレシイ!(^^)v時間が遅かったので、銀河のイルミネーションは見れなかったけれど、東京タワーの照明が消える瞬間が見える、はずだった! 「あのさ、東京タワーの照明が24時に消える瞬間を見たカップルは幸せになれるんだってさ!」 「知らねーよ、そんなの」 23時58分に大きく見えた東京タワーがセンパイに無視され、戻ったときには消えていた。 あーあ、オレたちはカップルじゃなくて、結局オレのことは 「生かさず殺さず」 のSのセンパイのペットなんだよなぁ。その後はセンパイの家でケーキとオードブルで本当のクリスマス。シャワ浣のあとは当然セックスだろ、と思ったけど、 「朝が早いから寝る」 とくる!マジオレの気持ちを最後までくじくなよな! 「わかりました、オレも酔ったから寝ます」 と言って全裸うつ伏せになっていると、 ケツの襞 を触ってくる。喘いで勃起していると、 「じゃあ、おやすみ」 って、マジかよぉ!チョーSだよな!でもセンパイには絶対服従だからさ、素直に 「ウィっす!おやすみなさい」 と言ってから 「オレも明日から3日連続で3Pの仕事だから今日はセックスしなくていいです」 と言うとセンパイのS心を刺激したみたいで 「オマエ、その淫乱なマンコが乾く時がねぇな!」 って乳首を後ろから責めまくる。 「だめです、やめてください!マジ明日からセックス漬けなんで!」 「何だって?そう言われるとヤリたくなるんだよ!」 ってフェラ強要されて、喉マンで窒息プレイの始まり。激しく喘いでいると 「自分でローション塗って乗ってきな!」 「うっす!」 やばい!マジ感じまくりだ。デカマラが下から突き上げるたびに膣襞がめくりあがり、嬌声を上げちまう。スクワットしたまま下からのガン掘りと乳首責めに鳴きまくって淫乱筋肉玩具のできあがり。そのまま正常位で掘られまくって、もう、わけわかんねーくらい喘ぎまくる!ひっくり返されて後ろから超速でガン掘りされてダウン。いつものようにダウンしたところを横からバズーカ砲のようなデカマラで容赦なくピストンされ、完全に性処理道具に落ちる。あまりの激しさに、体をくの字に曲げたまま大腿筋と胸筋、背筋と臀筋全てを硬直させてジムのマシンで全力パワーを出している時みたく全身を硬直させて 「おおー!おおーっ!」 と吠えまくるころ、 「いくぜ、孕め!」 という言葉と共に膣の奥深くに熱い液体がドバーっと広がるのを感じる。同時にオーガズムの痺れが全身を走る。 「ああー、いいっす!センパイ!」 ピクピクと痙攣しながらオレのマラから白い液体が吹き上がる。 最高っす!最高のクリスマス・・です」 25日はまたもダウンだ。