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プリュンヒルト ブリュンヒルドの別名。
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Last Update 2012/08/18 21 58 26 《ブリュンヒルド》 属性 黄 移動色 ●●●● 攻撃 15 能力 [戦闘時]発動戦闘支援カードに精霊族モンスターを使用できる。攻撃成功時に(戦闘支援モンスターの攻撃値×2%)で相手モンスターを消滅させる。 レア VR 種族 精霊 耐久 17 数少ない消滅攻撃能力持ちモンスター。 しかしながら戦闘支援として精霊族が必要なことから先制や避け無効などと併用できないこと、育成を考慮しなければ消滅確率は30~40%程度に収まってしまう微妙さかげんがなんとも言えない。 《キノーピⅡ世》であらかじめ相手の先制を潰してから侵略するのも手だが、手間の割に結局確率依存という不安定さはやはり使いづらいの一言。 むしろ移動値が4と高いうえに耐久が17あることから《スタッブスポーク》の餌としての活躍に期待できる。 精霊族一覧はこちら。 モンスターコレクションTCGとのコラボカード。 ▲ 名前 コメント
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【元ネタ】ニーベルンゲンの歌 【CLASS】ランサー 【マスター】 【真名】ブリュンヒルド 【性別】女性 【身長・体重】172cm・59kg 【属性】混沌・善 【ステータス】筋力B++ 耐久A 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。 【固有スキル】 触れずの花:A 男性に対しての攻撃値を上昇させるスキル。 同名の戦乙女は対象への愛が深くなればなるほど絶大な力を現す性質を有するが、 彼女とは逆にランサーは自身の絶大な力に耐えうる・匹敵する者しか愛するに値しないと定めている。 ランサーは生前自らに求婚してきた男たちに力比べを挑み、敗北した者たちを容赦なく屠ってきた。 白鳥礼装(偽):B 戦乙女が纏う、北欧の大神オーディンの加護を宿す白鳥の衣……の模造品。 女神として振る舞うランサーのために仕立てられた一品であり、大神の加護こそ無いものの、ランサー自身の神気を帯びることで機動性能は本物に並び、高速飛行を可能とする。 ただし、ランサーの神性が低下するに従い機動性能も落ちていく。 投擲:A 持ち上げられる範囲の物体を弾丸として放つ能力。 ランサーは槍投げ、岩投げでの勝負で幾人もの求婚者たちに勝利してきた。 …時には盾を投げつける事もある。 【宝具】 『交わらぬひとりの生(ブリュンヒルデ・ソリチュード)』 ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:0 最大捕捉:1人 ランサーがある大英雄に屈服するまで有していた武勇、その秘密。 この宝具は常時発動しており、ランサーにAランクの神性を付与し、全ステータスを神霊サーヴァント級にまで引き上げている。 但しこの宝具はランサーの精神と密接に繋がっており、ランサーの精神が揺さぶられるほどに神性は低下し、ステータスもダウンしていく。 そしてランサーの精神が敗北を認めた瞬間にこの宝具は失われ、筋力、耐久、敏捷ステータスはEランクにまで低下する。 生前のランサーは人間を北欧の戦乙女に近づけようとした存在であり、女神のように振る舞い続けるという条件付きで絶大な力を得ていた。 しかし姿を偽ったある男に敗北を認めた事でその力を失ってしまった。 『その武勇を示せ、我を求む者よ(イーセンシュタイン・デュエルフェルト)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1人 ランサーが自らへの求婚者たちに力比べを課してきた逸話からの宝具。 一対一により行われる三競技を目的とする領域を作り上げるという、固有結界に匹敵する大魔術。 まずランサーが三つの競技の内容を提示する。 それに対し対象がランサーに挑戦する意思を示し、ランサーがそれを認める事を条件として発動する。 ランサーと挑戦者は提示された三つの競技による三番勝負を行う。 ランサーが勝利した場合はその場で挑戦者は死亡し、ランサーが敗北した場合は宝具『交わらぬひとりの生』を失う事になる。 領域外からの干渉はできず、一度発動すれば決着が付くまで出ることは出来ない。 領域内にランサーとランサーが挑戦者と認識した者以外は入る事は許されず、ランサーが領域内にその存在を認識すると強制的に外部へ転移させられる。 ただしランサーが認識出来ない存在であれば領域に入りこむ事が可能となる弱点がある。 …隠された効果として勝負に敗北したランサーがその敗北に納得しなかった場合、第四の競技が行われる。 その競技の内容は暗闇の中での格闘戦であり、それにランサーが敗北すると納得の有無に関わらず『交わらぬひとりの生』を失う。 【Weapon】 『無銘・重槍』 ランサーが愛用する槍。 宝具ではないもののランサーの大力に耐えうる槍であり、家臣が三人がかりでようやく運べたという逸話を持つ。 『無銘・重盾』 ランサーが愛用する盾。 こちらも宝具ではないもののランサーの大力に耐えうる強度と重量を持ち、時にランサーはこれを守りではなく攻めに使いもする。 【解説】 イースラントという国の女王。 美貌と大力を兼ね備えた女傑であり、使う槍や盾は家臣が三人がかりでようやく運べる代物であったという。 自身の定めた三つの力比べ、槍投げ、岩投げ、幅跳びで求婚者が勝たねばその妻にならず、求婚者が負ければ殺してしまう冷酷さを持っていた。 ブルグント王国のグンター王はジークフリートを自身の臣下という名目で連れ求婚に向かってきた。 姿を消し12人力の力を与える効果を持つ隠れ蓑を使用したジークフリートの助力を借り、グンター王は競技に挑戦した。 途中ブリュンヒルドの投げる槍がグンター王の持つ盾を貫き、グンター王を支えていたジークフリートごと吹き飛ばす出来事もあったが最終的に勝利し、 ブリュンヒルドを妻に迎え入れる事になった。 しかし初夜にてグンター王を縛り上げブリュンヒルドは性交を拒否。 理由はグンター王の臣下だと思っているジークフリートがグンター王の妹クリームヒルトと婚約した事にあるという。 王女であるクリームヒルトが家臣の妻となる事は王女としての資格を失う事に見え、それを疑問に感じていたのだ。 ジークフリートは再び隠れ蓑を使用し、暗闇の中でグンター王の振りをし、ブリュンヒルドと格闘、彼女を屈服させた。 その後ブリュンヒルドはクリームヒルトとの口論の中、以前寝室にてブリュンヒルドを屈服させたのはジークフリートである事を知る。 屈辱の涙を流すブリュンヒルトにブルグント族の戦士ハーゲンは同意を取り、ジークフリート殺害を果たす。 ジークフリートの死後はニーベルンゲンの歌ではほとんど出番はないが、グンター王がフン族の国に向かう際は穏やかに見送っている。
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概要 報酬 ドロップアイテム 完熟ドラゴンフルーツ 竜爪石 オリハルコン エナジーソウル パワーソウル スピリットジェム フォースジェム 初クリア報酬 竜輝晶×5 オリハルコン×3 ウィークリー報酬 完熟ドラゴンフルーツ タイムライン 1 11 21 31 41 51 2 12 22 32 42 52 3 13 23 33 43 53 4 14 24 34 44 54 5 15 25 35 45 55 6 16 26 36 46 56 7 17 27 37 47 57 8 18 28 38 48 58 9 19 29 39 49 59 10 20 30 40 50 60 〜〜(開幕全体攻撃)のダメージ 攻略・立ち回り解説 各技の特徴、処理のしかた アタッカー(近接、タゲ取り)視点 アタッカー(中、遠距離)視点 ヒーラー視点 おすすめパーティ編成
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わが愛しき英雄(ひと)よ AP5 カルデアゲート 推奨Lv.15 絆P 165 EXP 550 QP 1900 報酬 呼符 x1 1 弓4 狂3 1/3 ヘルタースケルターLv10(弓)HP8,755 ヘルタースケルターLv10(弓)HP11,067 ※大 ヘルタースケルターLv10(弓)HP8,082 2/3 ホムンクルスLv12(狂)HP8,661 ホムンクルスLv12(狂)HP9,328 プロトホムンクルスLv10(狂)HP12,040 3/3 ヘルタースケルターLv15(弓)HP33,863 ※大 2 弓4 1/2 スケルトンLv12(弓)HP10,866 スケルトンLv12(弓)HP12,335 スケルトンLv12(弓)HP9,985 2/2 デーモンLv9(弓)HP70,784 サポートNPC 1,2 ???(槍)Lv70/70宝具Lv4 1 ベオウルフ(狂)Lv60/60宝具Lv4 1 フィン・マックール(槍)Lv60/60宝具Lv4 備考
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ブリュンナ 分類:でんそうポケモン No.12-018 タイプ:はがね/でんき 特性:するどいやり(みだれづきやメガホーン、つつく等の突き系の技の威力が1.2倍) HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 ブリュンナ 80 95 80 100 100 125 ばつぐん(4倍) じめん ばつぐん(2倍) ほのお/かくとう ふつう(1倍) みず いまひとつ(1/2) ノーマル/でんき/くさ/こおり/エスパー/むし/いわ/ゴースト/ドラゴン/あく いまひとつ(1/4) ひこう/はがね こうかなし どく 技 ホーリーランス……威力90 命中100 PP10の鋼物理技。あく・ゴーストタイプのポケモンに効果抜群 みだれづき、ダブルニードル、つつく、きりさく、てっぺき、ほうでん、かみなり、チャージビーム、メタルバースト、ミラーショット、ボディパージ、ドリルライナー、つるぎのまい、じゅうでん等 図鑑 たたかいに やぶれ しんでいった ポケモンの たましいを みちびく。 とても こうせんてきな せいかく。 その他 名前はブリュンヒルデ(ヴァルキュリアの一人、勝利のルーンに通じる者)+ブリューナク(投げると稲妻になると言われる槍)。 北欧神話に登場するヴァルキュリアが元ネタとなっている、3匹で1グループの準伝説の内の1匹。 見た目は、サーナイトやチャーレムのような人型であり、右手が槍の形状をしていて稲妻模様が浮かんでいる。 名前 コメント
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Lv40までに前列の係数が両方0.45に。後列の係数が0.4に -- 2013-10-02 18 51 18
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とある公園の中央に、一人の戦士が佇んでいた。その戦士は女であった。つまりは女戦士、もしくは女武者、戦乙女と呼ばれる存在である。 彼女は三つ編みにされた金糸のような頭髪に、最低限の部分だけを守るように拵えられた軽装の兜を被っていた。それも両耳部に翼のような飾りが付いているデザインの物であった。 両椀部には手首から二の腕までを銀色の籠手が覆っていた。手は素手でであった。 胴部は、喉から胸のラインをなぞり、バスケットボールのような巨大な乳房を三分の二ほど覆っていて、背中は赤い紐が交差状に通って胴を固定していた。 また、鳥の爪を模した金の飾りを付けられた箇所以外厚みがなく、胸の形を扇情的に、さらにはその尖端の形すらもはっきりと浮かばせていた。 その事から直垂(ひたたれ・鎧の下に着る下着のような物。)の類を付けてないことが見て取れる。 腰部は胴部と同色の素材で作られ、コルセットにも似ていた。また、白い背中が胴を固定している赤い紐越しに見て取れた。また、鳩尾から股間までを金の飾りの付いたネクタイ状の前掛けが下がっていた。 そして、その胴には翼を切り取り赤い帯に縫いつけ、ぐるりと腰に巻いた腰裳(こしも)と一体化していた。これもまた鎧と同じ素材と思われる。 裾は太股(ふともも)までで、脚部鎧の間から白い太股が覗いていた。腰裳は肌にぴったりと張り付く素材のようで、臀部の形がうっすらと見て取れた。それもまた、胸部と同じくらい扇情的であった。 両脚部は白銀の脛当、大腿部には黒褐色の傘状に開いた立挙、ヒールの高い金属靴。そのような三つのパーツで構成されたロングブーツを履いていた。 これが、彼女の――ブリュンヒルドの戦鎧である。全体的に黒褐色の割合が多く、過剰なまでに露出が高い。 おおよそ実用性がないように思われるが、これは英霊の装備である。 零距離からの重機関銃のフルオート射撃でも傷一つ付かず、生中(なまなか)な魔術は弾き返す、神秘の一品である。 鎧を着ると言うことは、“戦”をすると言うことである。 彼女の精神(こころ)は鎧を着た瞬間、スイッチを押すように変った。同居人と食事をし、笑い合い、日常を謳歌していたブリュンヒルド(ブリュン)から、目の前が誰であろうとも、屠り、排除する、ブリュンヒルド(戦乙女)に。 彼女はジライヤを待っている。準備があるから、五分だけ待ってくれと言う“お願い”を受け取り待つことにしたのだ。 その間、彼女は公園に音消しと人払いの術式(ルーン)をかけていた。無論、ジライヤだけは公園に来ることができるように調整してある。 ブリュンヒルドは、思考に没頭していた。 (彼はやはり善人だ。こんな身勝手な願いを聞き届けてくれる。そして、わたしは悪人だ。自身の利益のために彼を利用している。 この戦いでわたしは変われるだろうか? 口調を変え、性格を変えた。だが、英霊であるわたしに変えられるのは表面のみだ。だから、こうやって、何かに没頭すると、 “私はこんなことでいいのかしら、こんな嫌な奴をやっていたら嫌われてしまうわ”……まただな……。 変ったのはうわっ面だけだ。今のわたしはまだあの頃の心のままだ。もし、今の状態で恋をしたら、彼が何かの間違いで浮気をしたら嫉妬に狂って殺してしまう。 そんな“病み”を抱えている。このような事ではシグルドに合わせる顔がない。彼もまた、このようなわたしに会いたくないだろう。…………ああ、思考がどんどん後ろ向きになっていく。速く来ないものか……) ブリュンヒルドがそう思い、息を吐いた瞬間――公園が淀んだ殺気に満たされた。 (ッ………………! ……ふふっ、貴方はわたしの願いを誠実に聞き届けてくれる善人だ) 見えないバトンを廻すように、右手首をくるりと一周させた。 それだけで、彼女の相棒は顕現した。それは、闇のように黒く/物干し竿のように長く/矢印のように尖り/神秘の文字が刻まれ/隕鉄のように重い――槍であった。 ブリュンヒルドは己が相棒を背後の敵に向けた。先ほどよりさらに黒く、重い、コールタールのように粘つく殺気を放っていた。 「……意外と速かったな」 「いや、何、遅いくらいじゃわい」 まったく正反対の言葉を吐き、同じくらいの質量を持った殺気をぶつけ合った。 ジライヤの格好は先ほどより変っていた。黒ジャケットが使い古された忍装束に、ショッキングピンクパンツが脚絆に変っていた。 いつもへらへらと笑い、好色な目をして覗きをしていたジライヤはもうここにはいない。鉢金の巻かれた額。その下の双眸から放たれる眼光は全てを凍り付かせるほどに鋭く、重く、冷たい。 笑顔は無貌の仮面に、呼吸は息吹にすり替わり、その頑健な肉体は放出されるエネルギーで何倍にも強く、大きく見せていた。 これが自来也。仙素道人の弟子。雷獸討伐者。義賊団首領。三竦みの死闘の勝者。そして蝦蟇忍者。 ――これが闇を生きる自来也。これが怪仙童の自来也である――! 「始めるかの?」 「始めましょう」 二人の言葉以外に音はない。風は凪ぎ、虫はなりを潜め、体重を移動させる音すらしない。 「何しに行ったか聞かんのか?」 「わたしの中では、辞世の句を考えていた、と言うことにしている」 メリッ――――――――! そんな音がジライヤの顔面から出た。憤怒の余り表情筋と頬骨が軋んだ音だった。 「あまり年上をからかうモノではないぞ」 「年上と言うなら、元女神のわたしの方が年上だな。貴方は生きて数十年。わたしの方は数百年を軽く生きている」 何時もの会話に聞こえる。会話文だけを聞けば、であるが。 声色はどこまでも固く、顔はにこりともせず、地面に至っては二人を中心に波紋が疾走し中心点では盛り上がりすらある。無論これは二人の殺気で起こったことである。 二人は数泊置き、言った。 「合図は何でじゃ?」 「これで」 そう言って取り出したのは、コイン――五百円硬貨である。 コインの合図で西部劇風に『抜きな、どっちが速いか勝負だ』をしようという腹である。 「ええじゃろう。どちらが弾くかの?」 「貴方で」そう言い放ち、コインをジライヤに向けて弾いた。コインの煌めきすら視認できない――指弾である。 それをあっさり指で挟み受け止めた。今まで、この公園で起きたことは、常人には踏み越えられない領域のものばかりであった。 覗きに然り、大地の波紋に然り、殺気に然り。 そして、二人が武器を取り、戦いの音楽を鳴らすという事は今まで以上の事が公園に起きるというわけである。 互いに一撃のみと定めているが、その一撃でどのような被害が二人に公園に起きるか。最早想像すらできない。 二人は今公園の中心から端に向けて歩いている。そしてぎりぎり端まで歩き――止まった。 互いに向けていた背を返し、向き直る。公園の少ない光量でも、英霊の目にははっきりとその肢体が見えている。 二人は同時に構えた。 ブリュンヒルドは、胸が地面にすれすれになるまで、左肩をやや前に出すように前屈させた。そして己が愛槍を引き絞られた右腕、添えられた左手で、三メートルの槍をピタリと固定した。 ロングブーツに包まれたしなやかな両足は、エネルギーを圧縮し、爆発の瞬間を待つロケットのように、全エネルギーを前に押し出すべく待機していた。 ジライヤは、威嚇するように肩口に反射防止用の墨を塗られた忍者刀を大きく掲げた。そして左手を刃先に添え、ピタリと切っ先を敵に固定した。 その姿はさながら顎を大きく開き、威嚇する蛇のようであった。太く優れた筋肉によって構成された両足は、前後に開き、ブリュンヒルドと同じようにエネルギーを圧縮し、前に進むべく待機していた。 二人の体はガンマンの銃弾で、大地は発射台にして拳銃である。 「………………………」/「…………………………」 互いに無言。ここから先は言葉は要らず。ただ前に流れるだけである。 ブリュンヒルドは、筋力B/耐久D/敏捷A/魔力A幸運Eの我が身に全力を傾け。 ジライヤは筋力D/耐久D/敏捷B/魔力B/幸運Aの我が身を信じ抜き。互いに無言を貫く。 ジライヤの左足が音を出した。足袋を穿いた左足の親指でコインを上空に弾いたのである。 赤い瞳が/黒い瞳が――大きく見開かれる。 女の体が/男の体が――存在感すらもエネルギーに変え、朧になる。 高く、高く弾かれたコインは放物線を描き、限界位置で失速――落下――接触。軽い音が公園に響き渡った ――――――ちぃん――――――――。 「キァぁッ!」/「カァぁッ!」 爆音! 互いの足が接触していた部分が放射状に崩れた。 怪音! 切り裂かれた大気が啾啾と哭いた。 高音! 互いに接触した武器が想定外のエネルギーを与えられ、悲鳴を上げた。 擦過音! すれ違った足から、土の溶ける音と繊維の千切れる音を出した。 「……………………………」/「……………………………」 互いに無言。微動だにしない。“戦い”が軍配がどちらに上がったのかわからない。 パッと、左肩に血の花が咲いた。咲かせたのはジライヤであった。しかし、少しばかり痛みに顔を顰めただけで、その顔に喜色を浮かべていた。 「わたしの負けか……。貴方の手癖の悪さを侮っていたな……」 そう言いはなったブリュンヒルドの胸は外気に晒され、谷間からジュースや菓子類が零れていた。つまりは、鎧がないのである。 もっとも消し飛んだのでもなければ、粉々にされたわけではない。紐が断ち切られて、ブリュンヒルドの前方の金網に引っ掛かっていた。 「まったく……勝負は一撃、と自分でいっておきながら、二撃繰り出すとは……なあ……」 ジライヤの攻撃は紐を断ち切った時点で一撃。それ以上の攻撃は二回目の攻撃に換算される。しかし、ブリュンヒルドの声に怒りは含まれていない。 「ワシは忍者でもあるし、盗賊でもあるからのう。卑怯卑劣は当たり前。正々堂々真っ直ぐに勝負なんてほとんどしたことなかったわい」 そう、言い放ち立ち上がった。蝦蟇油を塗った左肩からはもう出血はない。 ジライヤはそうやって生きてきた。仙素道人の弟子として育てられるも、義賊団の首領になった。そう言う生き方を選んだ。善人であるジライヤは騎士や武士のように、正々堂々お立ち会いといった勝負をできず、仲間の為、民の為に卑怯と呼ばれることもした。 だから、ブリュンヒルドに卑怯者と言われようと、友人の体に刃を突き立てることなど出来なかった――善人であるが故に。 だから、策を編んだ。出来る限り友人を傷つけず、気絶させるに留める方法を考えそれを実行した。 まず、いったん離れて相手に考える時間を与えた――これにより相手は何か考えてしまう。特にブリュンヒルドのように、自分の在り方に嫌悪して、変える為に思考を廻してしまう相手は。 次に考え事をしている最中に、殺気を放ちながら帰る――これにより、相手は思考を強制的に中断させられ、また殺気によってこちらが自分を本気で殺しに来ている、と誤認させることが出来る。 三つ目に、少しばかりはなしをする――これは相手に思考を廻す時間を与えない為である。無論、この方法は相手が複数の事に集中できる技術を持っていたら、あまり使えない手であるが。 四つ目に、互いに真っ直ぐ突撃していく状況である――これは、コインの合図。ブリュンヒルドの性格。本気で真っ向勝負したいという気持ち。もう、後には引けにという心理状態。それらを利用したのである。 最後に運である――策としては、下中の下である自身の運を使った。自身の運のよさを信じ、槍の突撃をぎりぎりで避けたのである。 これによって左肩に軽傷を負うだけに済み、忍者刀は刀身が粉になるだけで済んだのである。 「胸に色々入れていたから、貴女の柄での一撃は軽減できた……。カフッ……。しかし、これが刃での一撃だったら、生存フラグが立って、ケフッ、重傷を負っても死なずに済んだのかもしれない……」 ブリュンヒルドは両膝を付き、激しく咳き込んだ。 「…………地味に痛くて、気絶できない…………」ガフゥ! 本来なら胸骨への一撃の衝撃は、心臓を震わせ、心停止若しくは、不整脈などを起こし、ブリュンヒルドを気絶させたのかもしれない。しかし、巨大な乳房と谷間に入れておいた様々なもの(お菓子、缶ジュース、香水、財布、etc.)が鎧となりダメージを軽減させていた。 それによって、気絶することも出来ず、地味に響く疼痛に悶えている事になったのである。 「……貴方を巻き込んだ罰だ。この痛みは甘んじて受けよう。カハッ! そして、助平に出血大サービスだ。わたしを自由にするが良い……」 そういい、仰向けに倒れた。気絶はしておらず、出血もなく、ただ胸の痛みに渋面を浮かべていた。 じゃり、じゃり、と靴音をたてジライヤが近づいてきた。 (ああ、それでいい……。ジライっち。君は善人過ぎる……。ここで、わたしを陵辱でもして、その困った性分を治しておけ……) ブリュンヒルドは眼を閉じ、受け入れる覚悟をした。そして、すぐ近くで足音が止まり胸に手が伸ばされた。 (……………………………) ただ、黙ってそれを受け入れる。胸の谷間に何かが、すさまじいスピードで通過した。そして、吹き清められた谷間に蝦蟇油が垂らされたのである。 「なっ!」 見開いたブリュンヒルドの眼にふわりと落ちるしろい手ぬぐいが映った。そして、ジライヤは後ろを向き立ち去ろうとした。 「どうして……?」 ブリュンヒルドが疑問に思うのも無理は無い。助平が目の前の半裸の女に手を出さないのだから。 「痛みに呻く女を抱く趣味はないのう」 「……抱いて、と言えば? どうする」 「愛の無い契りは御免こうむる」 至極、真面目な口調で言った。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フフフ、あはははははは!!!」 ブリュンヒルドは爆笑した。笑いながら咳き込み、痙攣しながらも笑い続けた。 「どうした?」 「やはり、ジライっち。君は善人だ! 良い人だ! 最っ高だ! あはははははは!!」 「ワシは帰る。おやすみ・・・・・・」 足を進めたジライヤに。 「ああ、さようなら! また会おう! あはっ、あはははははは!!」 まだ笑い転げている、ブリュンヒルドに向かって踵を返し、こっち向け、と平坦な声で言った。 ブリュンヒルドはその言葉に従い、ジライヤの方を向くと同時に額に鋭い痛みが走った。 「あいたっ!」 でこピンである。 「笑いすぎじゃ。たわけ」 「ごめんなさい」 ブリュンヒルドは笑うのをやめ、素直に謝った。 今、ブリュンヒルドは一人である。掛けられた蝦蟇油で胸の痛みは治まり、鎧も回収し、水で胸を清めているのがちょうど終わったところである。 ブリュンヒルドは鎧姿から普段着に戻ろうとした。自由に衣服の着替えが出来るのはサーヴァントとしての基本機能である。 服を顕現し、帰ろうとした所で、止まった。下を見る。胸の谷間が見える。足下が見えないのは何時ものことである。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」 しかし立ち止まった理由はこれではない。 ――ブラジャーである。つけた覚えの無いシックな感じの黒ブラジャーが見えた。そしてその外側に来た覚えの無い服が見えた。 メリーの普段着を黒くしてブリュンヒルドの体格に合わせたかのような服。アンティーク・ドールのような服。 黒のゴスロリである。 下腹部にも、違和感を感じシルクまみれのスカートを捲り上げると黒いショーツが見えた。これも穿いた覚えが無い。そもそも穿いていない。 公園に一人たたずむ、黒ロリ女・・・・・・とてつもなくシュールである。 恐ろしき、神秘の早業。どのようなことをすればここまで見事にすり返られるのか、全くの不明である。 ブリュンヒルドは、自分の服がすり返られたのだと、理解した。そして、ブリュンヒルドはこの贈り物を素直に受け取った。 「・・・・・・良い人だ。このような可愛らしい服まで、プレゼントしてくれるとは。これを着てシグルドに会うのも良いかもしれないな」 恐ろしいまでのポジティブシンキングで、この恐ろしい服を着て家に帰ることにしたのである。 《FIN》 《蛇足》 酔っ払いは腰を抜かし、やけにボロボロになった家主は硬直し、シグルドは気絶した事は蛇足である。なお、シャツとショートジーンズは畳まれて自室においてあった。 なあ、この事件は黒ロリ事件として衛宮邸の闇に葬られた。 さらに蛇足だが、エウロペはこの服を気に入り、着て出かけようとすると、全力でとめる孫と揉みあいになる様子が、衛宮邸の玄関で見られた。
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とある公園の中央に、一人の戦士が佇んでいた。その戦士は女であった。つまりは女戦士、もしくは女武者、戦乙女と呼ばれる存在である。 彼女は三つ編みにされた金糸のような頭髪に、最低限の部分だけを守るように拵えられた軽装の兜を被っていた。それも両耳部に翼のような飾りが付いているデザインの物であった。 両椀部には手首から二の腕までを銀色の籠手が覆っていた。手は素手でであった。 胴部は、喉から胸のラインをなぞり、バスケットボールのような巨大な乳房を三分の二ほど覆っていて、背中は赤い紐が交差状に通って胴を固定していた。 また、鳥の爪を模した金の飾りを付けられた箇所以外厚みがなく、胸の形を扇情的に、さらにはその尖端の形すらもはっきりと浮かばせていた。 その事から直垂(ひたたれ・鎧の下に着る下着のような物。)の類を付けてないことが見て取れる。 腰部は胴部と同色の素材で作られ、コルセットにも似ていた。また、白い背中が胴を固定している赤い紐越しに見て取れた。また、鳩尾から股間までを金の飾りの付いたネクタイ状の前掛けが下がっていた。 そして、その胴には翼を切り取り赤い帯に縫いつけ、ぐるりと腰に巻いた腰裳(こしも)と一体化していた。これもまた鎧と同じ素材と思われる。 裾は太股(ふともも)までで、脚部鎧の間から白い太股が覗いていた。腰裳は肌にぴったりと張り付く素材のようで、臀部の形がうっすらと見て取れた。それもまた、胸部と同じくらい扇情的であった。 両脚部は白銀の脛当、大腿部には黒褐色の傘状に開いた立挙、ヒールの高い金属靴。そのような三つのパーツで構成されたロングブーツを履いていた。 これが、彼女の――ブリュンヒルドの戦鎧である。全体的に黒褐色の割合が多く、過剰なまでに露出が高い。 おおよそ実用性がないように思われるが、これは英霊の装備である。 零距離からの重機関銃のフルオート射撃でも傷一つ付かず、生中(なまなか)な魔術は弾き返す、神秘の一品である。 鎧を着ると言うことは、“戦”をすると言うことである。 彼女の精神(こころ)は鎧を着た瞬間、スイッチを押すように変った。同居人と食事をし、笑い合い、日常を謳歌していたブリュンヒルド(ブリュン)から、目の前が誰であろうとも、屠り、排除する、ブリュンヒルド(戦乙女)に。 彼女はジライヤを待っている。準備があるから、五分だけ待ってくれと言う“お願い”を受け取り待つことにしたのだ。 その間、彼女は公園に音消しと人払いの術式(ルーン)をかけていた。無論、ジライヤだけは公園に来ることができるように調整してある。 ブリュンヒルドは、思考に没頭していた。 (彼はやはり善人だ。こんな身勝手な願いを聞き届けてくれる。そして、わたしは悪人だ。自身の利益のために彼を利用している。 この戦いでわたしは変われるだろうか? 口調を変え、性格を変えた。だが、英霊であるわたしに変えられるのは表面のみだ。だから、こうやって、何かに没頭すると、 “私はこんなことでいいのかしら、こんな嫌な奴をやっていたら嫌われてしまうわ”……まただな……。 変ったのはうわっ面だけだ。今のわたしはまだあの頃の心のままだ。もし、今の状態で恋をしたら、彼が何かの間違いで浮気をしたら嫉妬に狂って殺してしまう。 そんな“病み”を抱えている。このような事ではシグルドに合わせる顔がない。彼もまた、このようなわたしに会いたくないだろう。…………ああ、思考がどんどん後ろ向きになっていく。速く来ないものか……) ブリュンヒルドがそう思い、息を吐いた瞬間――公園が淀んだ殺気に満たされた。 (ッ………………! ……ふふっ、貴方はわたしの願いを誠実に聞き届けてくれる善人だ) 見えないバトンを廻すように、右手首をくるりと一周させた。 それだけで、彼女の相棒は顕現した。それは、闇のように黒く/物干し竿のように長く/矢印のように尖り/神秘の文字が刻まれ/隕鉄のように重い――槍であった。 ブリュンヒルドは己が相棒を背後の敵に向けた。先ほどよりさらに黒く、重い、コールタールのように粘つく殺気を放っていた。 「……意外と速かったな」 「いや、何、遅いくらいじゃわい」 まったく正反対の言葉を吐き、同じくらいの質量を持った殺気をぶつけ合った。 ジライヤの格好は先ほどより変っていた。黒ジャケットが使い古された忍装束に、ショッキングピンクパンツが脚絆に変っていた。 いつもへらへらと笑い、好色な目をして覗きをしていたジライヤはもうここにはいない。鉢金の巻かれた額。その下の双眸から放たれる眼光は全てを凍り付かせるほどに鋭く、重く、冷たい。 笑顔は無貌の仮面に、呼吸は息吹にすり替わり、その頑健な肉体は放出されるエネルギーで何倍にも強く、大きく見せていた。 これが自来也。仙素道人の弟子。雷獸討伐者。義賊団首領。三竦みの死闘の勝者。そして蝦蟇忍者。 ――これが闇を生きる自来也。これが怪仙童の自来也である――! 「始めるかの?」 「始めましょう」 二人の言葉以外に音はない。風は凪ぎ、虫はなりを潜め、体重を移動させる音すらしない。 「何しに行ったか聞かんのか?」 「わたしの中では、辞世の句を考えていた、と言うことにしている」 メリッ――――――――! そんな音がジライヤの顔面から出た。憤怒の余り表情筋と頬骨が軋んだ音だった。 「あまり年上をからかうモノではないぞ」 「年上と言うなら、元女神のわたしの方が年上だな。貴方は生きて数十年。わたしの方は数百年を軽く生きている」 何時もの会話に聞こえる。会話文だけを聞けば、であるが。 声色はどこまでも固く、顔はにこりともせず、地面に至っては二人を中心に波紋が疾走し中心点では盛り上がりすらある。無論これは二人の殺気で起こったことである。 二人は数泊置き、言った。 「合図は何でじゃ?」 「これで」 そう言って取り出したのは、コイン――五百円硬貨である。 コインの合図で西部劇風に『抜きな、どっちが速いか勝負だ』をしようという腹である。 「ええじゃろう。どちらが弾くかの?」 「貴方で」そう言い放ち、コインをジライヤに向けて弾いた。コインの煌めきすら視認できない――指弾である。 それをあっさり指で挟み受け止めた。今まで、この公園で起きたことは、常人には踏み越えられない領域のものばかりであった。 覗きに然り、大地の波紋に然り、殺気に然り。 そして、二人が武器を取り、戦いの音楽を鳴らすという事は今まで以上の事が公園に起きるというわけである。 互いに一撃のみと定めているが、その一撃でどのような被害が二人に公園に起きるか。最早想像すらできない。 二人は今公園の中心から端に向けて歩いている。そしてぎりぎり端まで歩き――止まった。 互いに向けていた背を返し、向き直る。公園の少ない光量でも、英霊の目にははっきりとその肢体が見えている。 二人は同時に構えた。 ブリュンヒルドは、胸が地面にすれすれになるまで、左肩をやや前に出すように前屈させた。そして己が愛槍を引き絞られた右腕、添えられた左手で、三メートルの槍をピタリと固定した。 ロングブーツに包まれたしなやかな両足は、エネルギーを圧縮し、爆発の瞬間を待つロケットのように、全エネルギーを前に押し出すべく待機していた。 ジライヤは、威嚇するように肩口に反射防止用の墨を塗られた忍者刀を大きく掲げた。そして左手を刃先に添え、ピタリと切っ先を敵に固定した。 その姿はさながら顎を大きく開き、威嚇する蛇のようであった。太く優れた筋肉によって構成された両足は、前後に開き、ブリュンヒルドと同じようにエネルギーを圧縮し、前に進むべく待機していた。 二人の体はガンマンの銃弾で、大地は発射台にして拳銃である。 「………………………」/「…………………………」 互いに無言。ここから先は言葉は要らず。ただ前に流れるだけである。 ブリュンヒルドは、筋力B/耐久D/敏捷A/魔力A幸運Eの我が身に全力を傾け。 ジライヤは筋力D/耐久D/敏捷B/魔力B/幸運Aの我が身を信じ抜き。互いに無言を貫く。 ジライヤの左足が音を出した。足袋を穿いた左足の親指でコインを上空に弾いたのである。 赤い瞳が/黒い瞳が――大きく見開かれる。 女の体が/男の体が――存在感すらもエネルギーに変え、朧になる。 高く、高く弾かれたコインは放物線を描き、限界位置で失速――落下――接触。軽い音が公園に響き渡った ――――――ちぃん――――――――。 「キァぁッ!」/「カァぁッ!」 爆音! 互いの足が接触していた部分が放射状に崩れた。 怪音! 切り裂かれた大気が啾啾と哭いた。 高音! 互いに接触した武器が想定外のエネルギーを与えられ、悲鳴を上げた。 擦過音! すれ違った足から、土の溶ける音と繊維の千切れる音を出した。 「……………………………」/「……………………………」 互いに無言。微動だにしない。“戦い”が軍配がどちらに上がったのかわからない。 パッと、左肩に血の花が咲いた。咲かせたのはジライヤであった。しかし、少しばかり痛みに顔を顰めただけで、その顔に喜色を浮かべていた。 「わたしの負けか……。貴方の手癖の悪さを侮っていたな……」 そう言いはなったブリュンヒルドの胸は外気に晒され、谷間からジュースや菓子類が零れていた。つまりは、鎧がないのである。 もっとも消し飛んだのでもなければ、粉々にされたわけではない。紐が断ち切られて、ブリュンヒルドの前方の金網に引っ掛かっていた。 「まったく……勝負は一撃、と自分でいっておきながら、二撃繰り出すとは……なあ……」 ジライヤの攻撃は紐を断ち切った時点で一撃。それ以上の攻撃は二回目の攻撃に換算される。しかし、ブリュンヒルドの声に怒りは含まれていない。 「ワシは忍者でもあるし、盗賊でもあるからのう。卑怯卑劣は当たり前。正々堂々真っ直ぐに勝負なんてほとんどしたことなかったわい」 そう、言い放ち立ち上がった。蝦蟇油を塗った左肩からはもう出血はない。 ジライヤはそうやって生きてきた。仙素道人の弟子として育てられるも、義賊団の首領になった。そう言う生き方を選んだ。善人であるジライヤは騎士や武士のように、正々堂々お立ち会いといった勝負をできず、仲間の為、民の為に卑怯と呼ばれることもした。 だから、ブリュンヒルドに卑怯者と言われようと、友人の体に刃を突き立てることなど出来なかった――善人であるが故に。 だから、策を編んだ。出来る限り友人を傷つけず、気絶させるに留める方法を考えそれを実行した。 まず、いったん離れて相手に考える時間を与えた――これにより相手は何か考えてしまう。特にブリュンヒルドのように、自分の在り方に嫌悪して、変える為に思考を廻してしまう相手は。 次に考え事をしている最中に、殺気を放ちながら帰る――これにより、相手は思考を強制的に中断させられ、また殺気によってこちらが自分を本気で殺しに来ている、と誤認させることが出来る。 三つ目に、少しばかりはなしをする――これは相手に思考を廻す時間を与えない為である。無論、この方法は相手が複数の事に集中できる技術を持っていたら、あまり使えない手であるが。 四つ目に、互いに真っ直ぐ突撃していく状況である――これは、コインの合図。ブリュンヒルドの性格。本気で真っ向勝負したいという気持ち。もう、後には引けにという心理状態。それらを利用したのである。 最後に運である――策としては、下中の下である自身の運を使った。自身の運のよさを信じ、槍の突撃をぎりぎりで避けたのである。 これによって左肩に軽傷を負うだけに済み、忍者刀は刀身が粉になるだけで済んだのである。 「胸に色々入れていたから、貴女の柄での一撃は軽減できた……。カフッ……。しかし、これが刃での一撃だったら、生存フラグが立って、ケフッ、重傷を負っても死なずに済んだのかもしれない……」 ブリュンヒルドは両膝を付き、激しく咳き込んだ。 「…………地味に痛くて、気絶できない…………」ガフゥ! 本来なら胸骨への一撃の衝撃は、心臓を震わせ、心停止若しくは、不整脈などを起こし、ブリュンヒルドを気絶させたのかもしれない。しかし、巨大な乳房と谷間に入れておいた様々なもの(お菓子、缶ジュース、香水、財布、etc.)が鎧となりダメージを軽減させていた。 それによって、気絶することも出来ず、地味に響く疼痛に悶えている事になったのである。 「……貴方を巻き込んだ罰だ。この痛みは甘んじて受けよう。カハッ! そして、助平に出血大サービスだ。わたしを自由にするが良い……」 そういい、仰向けに倒れた。気絶はしておらず、出血もなく、ただ胸の痛みに渋面を浮かべていた。 じゃり、じゃり、と靴音をたてジライヤが近づいてきた。 (ああ、それでいい……。ジライっち。君は善人過ぎる……。ここで、わたしを陵辱でもして、その困った性分を治しておけ……) ブリュンヒルドは眼を閉じ、受け入れる覚悟をした。そして、すぐ近くで足音が止まり胸に手が伸ばされた。 (……………………………) ただ、黙ってそれを受け入れる。胸の谷間に何かが、すさまじいスピードで通過した。そして、吹き清められた谷間に蝦蟇油が垂らされたのである。 「なっ!」 見開いたブリュンヒルドの眼にふわりと落ちるしろい手ぬぐいが映った。そして、ジライヤは後ろを向き立ち去ろうとした。 「どうして……?」 ブリュンヒルドが疑問に思うのも無理は無い。助平が目の前の半裸の女に手を出さないのだから。 「痛みに呻く女を抱く趣味はないのう」 「……抱いて、と言えば? どうする」 「愛の無い契りは御免こうむる」 至極、真面目な口調で言った。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フフフ、あはははははは!!!」 ブリュンヒルドは爆笑した。笑いながら咳き込み、痙攣しながらも笑い続けた。 「どうした?」 「やはり、ジライっち。君は善人だ! 良い人だ! 最っ高だ! あはははははは!!」 「ワシは帰る。おやすみ・・・・・・」 足を進めたジライヤに。 「ああ、さようなら! また会おう! あはっ、あはははははは!!」 まだ笑い転げている、ブリュンヒルドに向かって踵を返し、こっち向け、と平坦な声で言った。 ブリュンヒルドはその言葉に従い、ジライヤの方を向くと同時に額に鋭い痛みが走った。 「あいたっ!」 でこピンである。 「笑いすぎじゃ。たわけ」 「ごめんなさい」 ブリュンヒルドは笑うのをやめ、素直に謝った。 今、ブリュンヒルドは一人である。掛けられた蝦蟇油で胸の痛みは治まり、鎧も回収し、水で胸を清めているのがちょうど終わったところである。 ブリュンヒルドは鎧姿から普段着に戻ろうとした。自由に衣服の着替えが出来るのはサーヴァントとしての基本機能である。 服を顕現し、帰ろうとした所で、止まった。下を見る。胸の谷間が見える。足下が見えないのは何時ものことである。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」 しかし立ち止まった理由はこれではない。 ――ブラジャーである。つけた覚えの無いシックな感じの黒ブラジャーが見えた。そしてその外側に来た覚えの無い服が見えた。 メリーの普段着を黒くしてブリュンヒルドの体格に合わせたかのような服。アンティーク・ドールのような服。 黒のゴスロリである。 下腹部にも、違和感を感じシルクまみれのスカートを捲り上げると黒いショーツが見えた。これも穿いた覚えが無い。そもそも穿いていない。 公園に一人たたずむ、黒ロリ女・・・・・・とてつもなくシュールである。 恐ろしき、神秘の早業。どのようなことをすればここまで見事にすり返られるのか、全くの不明である。 ブリュンヒルドは、自分の服がすり返られたのだと、理解した。そして、ブリュンヒルドはこの贈り物を素直に受け取った。 「・・・・・・良い人だ。このような可愛らしい服まで、プレゼントしてくれるとは。これを着てシグルドに会うのも良いかもしれないな」 恐ろしいまでのポジティブシンキングで、この恐ろしい服を着て家に帰ることにしたのである。 《FIN》 《蛇足》 酔っ払いは腰を抜かし、やけにボロボロになった家主は硬直し、シグルドは気絶した事は蛇足である。なお、シャツとショートジーンズは畳まれて自室においてあった。 なあ、この事件は黒ロリ事件として衛宮邸の闇に葬られた。 さらに蛇足だが、エウロペはこの服を気に入り、着て出かけようとすると、全力でとめる孫と揉みあいになる様子が、衛宮邸の玄関で見られた。
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職業 中学生…本業は世界征服を狙う悪姫 属性(ヒーローor悪役など) 才能不足の悪魔 能力 蘭子との合体魔法、補助系魔法 詳細説明 かなり魔力に恵まれているが、攻撃魔術の才能がなかった哀れな悪魔。 補助や操作系魔術はあとちょっと経験を積めば世界征服できなくもないほどの才能があるが、本人が派手好きなため、あまり使われない。 レベルは魔界基準で1000とちょっとぐらい。転生は一回もしていない。 母を知らず、父親に育てられた。よく喧嘩をするが、父の事を愛しているからこそ、名乗りに彼の紹介も入れている。 悪魔の威厳が無くなってきたこの状況を良しとせず、世界征服をすることで悪魔の威厳を取り戻そうとしている。 その為、宇宙人等、別の場所から来た存在を嫌うが、妖怪などは逆に行為を抱く。 関連アイドル 神崎蘭子(契約相手兼偽りの姉妹) 棟方 愛海(同じ学校) 池袋 晶葉(同上) 浜口 あやめ(同上) 村上巴(後輩) 龍崎薫(因縁の相手…?) 魔王サタン(父親) 喜多見柚(魔術教師兼お目付け役) 関連設定 魔族 魔界