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ルルーシュ・ランペルージ(新二次) 【名前】 ルルーシュ・ランペルージ (Lelouch・Lamperouge) 【サーヴァント】 【性別】男性 【性格】 「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」という信念を持つ。 自尊心が高く、理知的・理性的で孤高を求める。 元来の性格は正義感が強く実直で、困っている人や弱者を見ると放っておけず、人間的に優しく情に厚い。 また、傍観者や差別意識の強い者を激しく憎むなど感情の起伏が激しい。 社会のルールや常識には全くとらわれないが、個人的に交わした約束は些細なものでも重んじる。自立心も強い。 また、色事には非常に鈍く、疎い。そういった面では慎み深い感性を持っている。 【出典】 コードギアス-反逆のルルーシュ- コードギアス-反逆のルルーシュ-R2 オリジナル 【属性】秩序 悪 【ステータス】 筋力 E 耐久 D 敏捷 E 魔力 B 幸運 B 供給 A TOTAL 170 【詳細】 数ヶ月前に本土から地祇島にやって来た青年。 両親は居らず、市内の高校に在学し、生徒会の副会長と務めている。 西洋人の血を引くハーフであり、その端麗な容姿・明晰な頭脳からか女子生徒からの人気が高い。 その正体は諸外国の傀儡となりつつあった日本政府を実質的に牛耳っている財閥群・キョウトが地祇島の情勢を日本に有利にすべく送り込んだ反逆者。 『黒の騎士団』と呼称される大規模右翼テロ組織の最高指導者。 騎士団内部では、仮面で素性・身分を隠した上で『ゼロ』と名乗っている。 本名は『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』。 神聖ブリタニア帝国(現実におけるイギリス・アメリカ)の第11皇子・第17皇位継承者。 幼少時に思想犯の襲撃を受けてルルーシュを庇って母が死去し、妹のナナリーは歩行能力を奪われると共に視力を失った。 父シャルル・ジ・ブリタニア皇帝との謁見で襲撃を防げなかったことをなじったが、「お前は死んでいる」と逆に罵倒されたうえ、人質(外交手段)としてナナリーと共に日本に送られ、日本財界のフィクサー・桐原泰三に囲われて育つ。 だが、まもなく行われたブリタニアによる工作により公には死亡した存在となる。 その後も桐原の庇護の元で、ナナリーと共にランペルージの姓を名乗って素性を隠し、身体が不自由な妹を抱えながら、身元が発覚してブリタニアに利用される事への不安に怯える毎日を過ごしていた。 17歳の時、本土に潜入していたブリタニア軍のエージェントとテロリストの戦闘に巻き込まれ、その場で謎の少女C.C.と出会い彼女から異能の力『ギアス』を授けられる。 その後、テストを重ねてギアスの能力を把握し、その力を武器にブリタニアに戦いを挑む決意を固める。正体を仮面とマントで隠したテロリスト『ゼロ』となり新宿に拠点を有していたテロリスト・扇要一派に共闘を呼びかけ、私設軍隊『黒の騎士団』を設立。自らを「武器を持たない者の味方」と標榜。 各個に武力闘争を続けていた日本国内における反ブリタニア勢力を糾合し、ブリタニア政府関係者のみならず庶民を食い物にする汚吏汚官、犯罪結社といった相手をも殲滅することで、支持層を日本国民のみならずブリタニア人にも広めてゆく。ゼロのこうした行動は「義賊気取り」と称された。 その過程で桐原率いるキョウトにゼロではなくルルーシュ個人として接触し、資金提供や武器(ナイトメアフレームと呼称される機動兵器等)の横流しを要請。 キョウトとは共依存関係を保っている。 妹のナナリーが安全に過ごせる世界を作り上げる事こそが彼の行動原理である。 ナナリーの安全に関しては最優先目的であり、あらゆる事態においてまず彼女を案じる。 このため仲間や部下を手駒のように扱うが、自分自身さえも“キング”という盤上の駒に過ぎないと考えている。 地祇島へはキョウトの要請――そして『願望機・聖杯』を求めて渡航。 兼ねてより黒の騎士団を利用してブリタニアを筆頭とする諸外国の圧力によって失墜しつつある日本の国力を高めた上で、その日本をも利用してブリタニアを打破する算段だったが、聖杯戦争の存在を知ってその計画を前倒しにしている。 極秘裏に地祇島内には黒の騎士団の数十人もの精鋭メンバーや彼らの武装であるナイトメアフレーム無頼が送り込まれており、桐原の手引きによって島内の自衛隊をも指揮出来る権限を有している。 得意戦術は、地形を利用して一気に形成を逆転させる手法。 類稀な頭脳を誇り古今東西の戦略に通じる。また、心理戦に長け、人心を巧みに操縦する。 戦闘では大胆不敵かつ用意周到な作戦とそれを可能にせしめるギアスを武器に戦う。 「戦略が戦術に負けることはない」という持論を持ち、「王が動かなければ部下が付いてこない」という信念から、黒の騎士団の作戦時には指揮官として振る舞うだけでなく、自ら陣頭に立つことで寄り合い所帯で思想・動機がバラバラの騎士団をまとめあげる。 搭乗機は無頼ゼロ専用機。 ナイトメアフレームの操縦は決して高くはない。 聖杯に託す願いは『ナナリーが安全に過ごせるブリタニアの存在しない世界の構築』。 【使用魔術】 彼が所有する『ギアス』は『絶対遵守のギアス』。 瞳に紫色の光を宿し、その中央には不死鳥のシンボルが浮かぶ。 自分の眼を見た相手(正確には目から出たレーザーが視覚的に侵入した相手)に命令を下し、それを必ず実行させる。 それ故に『命令するためには直接相手と目を合わせなければならない(映像越しなどは無効)』、『有効範囲は約270m』などの有効制限がある。 逆にその条件さえ満たせばいいので、鏡などを使って視線を反射し、間接的にギアスをかけることもできる。 基本的にこのギアスに掛かると、命令の遂行中は自意識を奪われ記憶も欠落するため、命令に逆らうことはまず不可能である。拘束力は命令の内容が具体的であればあるほど増し、隷属化を指示すれば継続的に従わせることも可能だが、単純に特定の命令を実行させる適用より拘束力は劣る。 一見するとかなり便利に見えるが、使いどころが重要になる。というのも、ある欠点があるからである。 それは、『同じ相手には一度しか使えない』ということ。それ故、一度下した命令をキャンセルすることも基本的に不可能。 マスター及びサーヴァント・モブに使用可能。 ただし、対魔力スキルを有するサーヴァント・人間とは異なる存在(サーヴァントも現界時点で吸血鬼・死神等で無ければ人間扱い)・令呪ブーストを使用した状態のマスターに対しては一切の効果を持たない。 マスター・サーヴァント共にギアス使用時には使用成功3 使用失敗3のダイスが伴う。 失敗だった場合には1日に渡ってその対象に対する再度のギアス使用が不可能になる。 成功だった場合にはマスターに対しては無制限の命令を与える事が可能。ただし「死の強要」・「自傷行為の強要」・「サーヴァントの自害の強要」の3つに関連する命令に対しては聖杯戦争中1度しか行えない(令呪2画を使用した令呪ブースト時にこのカウントが1増えた2になる)。 サーヴァントに対しては令呪ほどの拘束力は無いものの、2ロル間に渡って命令を与える事が可能。ただし、サーヴァントに対しては「死の強要」・「自傷行為の強要」・「マスターの殺害の強要」の3つに関連する命令を与える事が出来ない。 一度ギアスを使用したマスター及びサーヴァント・モブに二度目のギアスを使用する事は不可能。 モブに関しては使用の成否を問うダイス判定無しにギアスを使用出来る。 ルルーシュ・ランペルージ 裏設定
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622 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 49 32 モニカ・クルシェフスキーの帰郷 & ジェンシーに乗ろう!! 設定 休日・隠居騎士世界 内容は384-387と前スレの“厄介なプライド” に関わる話で、モニカが「慣れていなかった」という発言をした後の出来事です。 ラウンズが出来ますが、アーニャとジノは出てきません。 太平洋上空を飛行する旅客機、日本製【大鷲:765型】がエンジンを唸らせて大気の海を突き進んでいた。 「はぁ・・・」 【大鷲:765型】の中でも豪華で、政府専用機としても知られる【タイプ:72‐IT】に溜息をついた張本人、モニカ・クルシェフスキーは居た。 なぜ彼女がこの旅客機に搭乗しているかというと、きちんとした理由がある。 まず先日に皇帝陛下から直々に呼び出しがあった。これ自体は半ば予想していたことであり、何ら驚くことではない。 駐在文官の代わりとしてやってきたジノ・ヴァインベルグに引き継ぎをし、さて行こうかという時に日本の政府高官から「私たちも行くので同行しませんか?」というので便乗することになったのだ。 が、これも溜息の原因ではない。 (嶋田さんに会えなくなるかもしれない・・・) その思いが原因だった。 そもそも事の発端は、【ジェンシー】に乗った後の取材だ。 下宿先である嶋田宅に帰宅して「モニカさんの事が載っていますよ」と渡された雑誌、週刊減退に載せられたその記事は、彼女にすさまじい衝撃を与えていた。 当初は泣きついて諌めてもらい、別会社の記者に『今回は自分も週刊誌に付いて勉強不足だった』と答えてその日は終わった。 が、事態が深刻になると理解したのは、翌日の仕事をしている最中だった。 なんといってもブリタニアは帝政国家、歴史も物を言うが名声等も重要視される。 そんな中、『ナイト・オブ・ラウンズの一人が、高麗の兵士より下だと認めた』という部分が(一スレ目865-869参照)問題となった。 あの時の自分は確かに『高麗軍の兵士はラウンズ以上の勇者です』とも、『高麗軍の兵士は私ですら乗りこなせないKMFを乗りこなしていますから』とも言ったが、けして『高麗の兵士はラウンズより強い』だとか、『高麗製KMFは強い』などと言ったつもりはない。 しかしあの記事を読んだ人間はどう思うだろうか?何も知らないような民間人ならまだいい。しかし、日本の“同盟国”である祖国ブリタニアはどうだろうか? その事実に行きついたモニカは、翌日から食欲不振・寝不足・ニアミスが多発し、とてもまともな精神ではいられなかった。 そして一週間前、本国からの呼び出しがあったのだ。 嶋田は心配そうに此方を気遣ってくれたが、自国の問題に彼を巻き込みたくなかったため、何も説明せずに出てきたのだ。 (嶋田さん。心配している・・・よね・・・) そんな状態で窓から見える空の情景を、うわの空で見つめていた。 暫くすると、一人の男性が近寄ってくる。 普段の彼女なら気が付くのだが、まだ外をボ~っと見しいて、接近する人物に全然気が付かない。 「もし・・・」 「・・・(ポ~)」 男性が声をかけたが、視線すら動かない。 「あー・・・クルシェフスキー卿?」 「・・・(ポッポ~)」 今度は少し強めに呼びかけてみたが、反応なし。 仕方ないと思い、今度は肩を揺する事にした。 「クルシェフスキー卿!」 「(ビク!)うわひゃぃ!」 さすがに揺すられ、怒鳴る様に呼びかけられた事でようやく気が付いたものの、目を白黒させて淡々しながら男性を見た。 623 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 51 13 「大丈夫ですかな?」 「だ、大丈夫です。辻さん」 男性、辻正信は「ふむ」というと反対側の席に座った。 「何やら上の空でしたが?」 「そ、そうですか?」 モニカは努めて冷静に、それでいてほほ笑みを浮かべて答えたが、微妙にヒックついていた。 「まぁいいでしょう。プライベートな話はまた今度ということで・・・」 「よ、よろしくお願いします・・・」 なぜか、お辞儀してお願いしてしまう。そして目の前の人物が、なぜこの機に乗っているのか疑問に思った。 「あの・・・」 「私がなぜ、この機に乗っているかですかな?」 「え、ええ。そうです」 辻正信は多忙な人物だ。日本という国の金庫番であると同時に、夢幻界の重鎮の一人であり、政界でも無視できない影響力を持つ。 前総理である嶋田繁太郎ですら頭が上がらない、と言われるほどだ。 そんな彼も後継者を育てていて、仕事はもっぱら彼に任せていると聞いていたのだが・・・ 「清の対応について、ブリタニアで検討会議をするためです。」 「それなら彼でも対応できるのでは?」 「そうかもしれませんがね。色々とキナ臭くなってきたのですよ」 まぁ、その他諸々もありますがね。と言って話を切り上げると、傍を通りそうになったスチュワーデスにお茶を注文した。 「辛気臭い話はこれくらいにして、どうです?」 「どう・・・とは?」 「そろそろ昼食時です。一緒に食事でもいかがかなと思いましてな」 なるほど、備え付けの時計を見ればすでにお昼だ。自分がどれだけ心有らずだったかわかり、少し頬を染めた。 辻はニヤリと笑う。 「それとも・・・こんな怪しいおやじよりも、彼の方が良かったですかな?」 「ふぇぇぇぇぇ!そ、そんなことありません!!」 彼、と言われて思い浮かべるのはやっぱりあの人で、顔をさらに赤くした。 「はははは・・・そんな大声では、他の人物が来てしまいますよ」 「も、もう・・・」 そんなやり取りをしていると、スチュワーデスが紅茶とメニューを持ってきた。 二人はそれを受け取って何があるかを見る。 (政府専用機というだけはありますね・・・ん?) 文字しかないメニュー表を上から見ていくと、下に気になる文字の羅列が入った。 それは好物となった。 (ラ、ラーメン!しかも醤油味!!) 食い入るように見るモニカ嬢。 (ど、どうしよう。辻さんは私の趣味(各社カップラーメンを食べる事)を知っているけど・・・) 嶋田宅にいるときはあまり人目を気にせず食べられたが、ここは旅客機。他の人達がいる前でラウンズが「ラーメン下さい」なんて言えない。 泣く泣く諦めて、その上の“ヒラメのムニエル 北輝次郎のホワイトアスパラガス・ソースを添えて”を注文した。 そして辻は、 624 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 51 49 「“極上醤油ラーメン イベリコ豚のチャーシュのせ”を」 「!!??」 「わかりました」 驚愕に内心震わせながら辻を凝視する。何か言いたい、でも言えない・・・プライドと本能(ラーメン食べたい)が鬩ぎ合いただ硬直するのみ。 メニュー表を下げられた後も辻を凝視しつづけ、見られている辻本人は、そんな視線どこ吹く風とばかりに外の風景を楽しむ。 「うう・・・」 「くく・・・」 微妙に笑みを浮かべる彼が恨めしい。 睨みつけるモニカに辻は(ふむ、前も彼女のような子が居たら・・・萌え~)とか考えていた。 しばらくすると注文したメニューが運ばれてきて、その際「しばらくこの近くに人を寄せ付けないように」とスチュワーデスに言う。 「はい。心得ました」 彼女はそういうと、すぐ近くの内線を取りどこかに連絡をし、その場から離れた。 居なくなるのを確認すると、辻はちょっと落ち込む彼女の前の食事と自分のラーメンを取り換えた。 「え・・・」 「天下のラウンズが「ラーメン下さい」なんて言えませんからね」 先程のお詫びです。というとヒラメのムニエルを食べ始めた。 モニカは茫然としていたが、すぐに御礼を言うとラーメンを食べ始める。 (ラーメン美味しい。そういえば、あれから食べてなかったなぁ) 心の中で感謝しつつその味を楽しみ、久しぶりのラーメンを堪能した。 その後到着するまでモニカの表情は、まだ陰りは有ったがだいぶ良くなっていた。 ――――― ブリタニア・サンディエゴに到着後、すぐさま国内線に乗り換え移動。 ブリタニア帝都ペンドラゴン近くの空港に到着し、一行はホテルに宿泊。朝早く起きて二手に分かれた。 モニカは宮殿内の謁見の間へ、辻正信達の外交メンバーは政庁に向かった。 「ふぅ・・・久しぶりに来ると大きいわ」 宮殿内を歩くモニカはこんなにも此処は広かっただろうかと思った。 日本にいた時、彼女が良く行く国会議事堂は夢幻会の手でだいぶ機能的に作ってあり、そこまで広くなかったのだ。 だがブリタニアは見得というものと、国民に憧れを持ってもらうために豪華絢爛に作ってある。 「あ、Tレックス・・・」 そんな宮殿内を歩いていくと、通路の真ん中に巨大な骨格標本が、デーンと置いてあった。 最近始められた化石採掘の影響だろう。 シャルル皇帝陛下は意外と子供みたいな所があり、こういうモノはだい好物だ。以前は日本製の蒸気機関車があったように思う。 又買ったのかな?そう思いつつ回廊を歩いていく。 両側には様々な恐竜の骨格が並べられ、回廊を歩く者に対して威嚇しているようにも思える。 それらを視線だけで見つつ、モニカは目的地の場所まで行く。 「・・・っ」 そして目の前に巨大な扉が見えた。 皇帝陛下、そして皇族・貴族が今回多数集まっているであろう、謁見の間に到着したのだ。 一度大扉の前で立ち止まり、深呼吸をする。 625 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 52 57 (嶋田さん・・・私に勇気と奇跡をください!) 心の中で決意と祈りをささげ、モニカは大扉に向かった。 大扉は彼女が再び歩き出したのに合わせて開き始めた。 赤い絨毯が敷かれた道をモニカは歩く。 皇帝陛下が座る座前まで来ると、その場で跪いた。 「ナイト・オブ・ラウンズ・トゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー。ただ今帰還しいたました」 ここまで来るさい、かなり奥の貴族たちが彼女を見てヒソヒソ話していた。 おそらく、記事に書かれた自分の不用意な発言に、侮蔑と嘲りが起こっているだろうと判断する。 その程度は先刻承知している。もはやあの失敗は無かったことなどできない。 覚悟はもうできている。実家の両親に迷惑を掛ける、思い人に会えなくなるかもしれない。 そう思うと覚悟揺らぎそうになるが、必死にこらえる。 「モニカよ。よく帰ってきた。面を上げよ・・・ィッッ」 ん?何か変だった。疑問に思ったが、陛下の命により顔を上げる。 「・・・へ?」 思わず間抜けな声が出たが、小さかったので誰の耳にも届かなかったのは幸いだった。 今までちゃんと見ていなかったシャルル・ジ・ブリタニア皇帝陛下の姿はおかしかった。 いや、全体像は変わらない。変わっているのは皇帝の首だった。 (なんで首にギブスをはめているの?) 何があったのだろうか?一週間前見た時には何ともなかった。 皇帝陛下の後ろに控える、ラウンズメンバーもなんだか痛々しかった。 ビスマルク・ヴァルトシュタインは顔中に包帯を巻いている。 ノネット・エニアグラムは足を負傷しているのか、時折顔をしかめる。 ドロテア・エルンストは腕を吊るし、ルキアーノ・ブラッドリーはいない。 予想外の姿に目を白黒させる。 襲撃があった!? ・・・それはない。あったらラウンズである自分にも連絡が来る。 事故にあった!? ・・・それもない。あったら報道機関がうるさくなる。 (何があったのかしら??) モニカが疑問で胸いっぱいにしていると、シャルルは痛そうにしつつも滔々と喋り始めた。 まずは労いから始まり、日本での活動を誉め、最近の国外(特に清)についてどう思うか?の質疑応答する。 ここまでは予想どおりなのだが、後半は横に逸れたり戻ったりとおかしい。 しかも、なかなか例の問題にいかない事ので、モニカは更に疑問を浮かべる。 それにどうも周りでヒソヒソ話している言葉が「クルシェフスキー卿はよく乗る気に・・・」とか、「あれは仕方ないだろう」とか、「皇帝の首は・・・」「何時もの事でしょ」などと自分に関する事もちらほら聞こえるが、どうも侮蔑や嘲りは聞こえてこない・・・ むしろラウンズメンバーも同情、勇者を見る目なのだ。いったいなんなんだろうか? 何が何だか分からなくなり、別の意味で心配になり始めた時・・・ 626 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 54 06 「モニカよ・・・そなたは日本において、一つ失敗しておったな」 「っ!・・・はい・・・」 とうとう本題が来た。回りのざわめきも小さくなる。 皇帝の声が、この広い謁見の間に良く響き渡る。 モニカは覚悟を決めて、次の言葉を待った。 「そなたの発言により、ラウンズの力は世界中に誤った認識を与えた。そうじゃな?ィッゥ…」 「は、そのとおりでございます。」 「その事について、そなたはどうするのだ?」 「この身に変えても世界にラウンズの強さを示し、誤った認識を正してごらんにいれます」 「そうか・・・」 その答えを聞いたシャルルは目をつむり、考えるように顔を少し上に(痛そうに)向けてしばし沈黙する。 その間モニカは真剣なまなざしで(内心:痛いならやめればいいのに・・・と思ったことは秘密だ)シャルル・ジ・ブリタニアを見つめる。 皇帝はゆっくりと目を開いき、モニカの方に顔を向けた。 「それについては・・・あ~・・・もうよい・・・」 なんだか歯切れの悪い言い方に、一度は心からいなくなりかけた疑問が再び持ち上がる。 「友邦国である日本から、謝罪と御詫びが来ておるし。、自分達でも把握するために、あの紛い物についての調査も、こちらでも再調査を行った。それに、そなたはいままで余の“盾”としてあまり外に出しておらなかったからな。日本の重鎮と、深い交流を持ったそなたを外すことはできぬ。失敗は誰にでもある。」 あまりにも御咎めが軽いことに驚き、周りからも驚きの声が上がる。しかし「だが、」と言葉を発した事で、緩みかけた心を締め付ける。 「そなたは若いがラウンズである。余の騎士の一人であり、この国の騎士達の見本でもある。このような失態をした罰は与えねばならぬ」一度咳をし「明日、一度故郷に戻り謹慎せよ。そうじゃな・・・ひと月程度でよかろう。謹慎が解け次第、日本に戻り駐在武官として日本との友好のために尽力するのだ。よいな?ァッッ」 「はっ!寛大なご処置に感謝いたします!このモニカ・クルシェフスキー、日本との友好の懸け橋となるため誠心誠意鋭意努力してまいります!!」 ひと月の謹慎という軽い罰則に、動揺しつつも表情には出さず。深く頭を下げて感謝の意を捧げた。それに頷いた(痛そうに顔をしかめた)皇帝はゆっくりと息を吸った。 「では、下がるがよい」 ――――― 謁見の間から退出すると、歩きながらしかし急いで、ナイト・オブ・ラウンズが住まう建物に向かった。 そこは皇帝が住む場所に近く、ラウンズ全員分の部屋がある場所だ。 モニカはその場所にいるであろう人物を目的に急ぎ、そしてその人物は日本に行く前と同様に仕事をしていた。 「ファランクス特務総監、ただ今戻りました」 「ああ、おかえり」 そっけない態度だが、こちらを見るために挙げた顔はニヤリと笑う野性味があふれる笑顔だった。 「ベアトリスでいいというのに、クルシェフスキー卿はまじめだな」 627 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 54 39 手を止めて仕事を中断し、お茶を入れるために立ち上がる。 モニカが代わりにお茶を入れようとしたが、「疲れているだろうから休んでいるといい」と言われ、恐縮しつつそのまま席に座った。 しばらくすると、紅茶を入れてきたベアトリスがモニカの前に座った。 ベアトリス・ファランクスは元ナイト・オブ・ラウンズ・ツーだった事もあり、初めてラウンズとしてきた時にだいぶ御世話になった。 彼女は皇妃マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが鍛えた三人のうちの一人で、事故で負傷しなければ今でも軍部等において、ブイブイ言わせていただろう人物だ。 そんな頭が上がらない先輩と一緒にお茶を飲みながら、二人は久しぶりの会話を楽しんだ。 ユッタリとした時間が流れていく中、モニカは謁見の間での疑問をなかなか言い出せなかったが、思い切って聞いてみることにした。 「あの「陛下の事か」え・・・えっと、そうです」 「何か言いたげだったからな。帰ってきて早々聞きたがるのはそのぐらいだろう」 ベアトリスはそういうと紅茶を飲み干し、カップにもう一度紅茶を注いだ。 「謁見の間で見たのだろう?」 「そうです。陛下はどうされたのですか?それのほかの方々の負傷はいったい・・・」 「あ~・・・それはなぁ。クルシェフスキー卿が呼び出された翌々日の事だ」 ――――― 5日前 神聖ブリタニア帝国演習場にて、本国に待機しているラウンズが一堂に集まり。その場に置いてある機体を見物していた。 その機体は【ジェンシー】と呼ばれる機体で、ブリタニアが所有している【サザーランド】に酷似した機体だった。 「これが【サザーランド】のデッドコピー品のコピー品ねェ」 金髪の男性、ナイト・オブ・テンのルキアーノ・ブラッドリーは侮蔑がこもった目で、その機体を見上げていた。 「そうだ。小癪にも我が国の技術が盗まれ、作られた機体だ」 不機嫌さを隠さず言うのは、ナイト・オブ・フォーのドロテア・エルンスト。 「横流ししたのが、我が国の貴族というのも気に入らん」 「その貴族も御取り潰しになった。もう文句は言わなくてもいいだろう」 未だに怒っている彼女に対し、苦笑しているのはナイト・オブ・ナインのノネット・エニアグラムだ。 その横に黙って立つ偉丈夫、ナイト・オブ・ワンのビスマルク・ヴァルトシュタインがいた。 口元は笑っていても視線はまるで狩人のように鋭いルキアーノは、顔を向けず視線だけでビスマルクを見た。 「んで。陛下はどのようなご命令を?」 「うむ。モニカの一件は知っていよう」 その一言でその場にいた全員が察する。 (ようするに、汚名をそそげという事か) 確かにラウンズの評判が落ちては帝国の、ひいてはその人物を選んだ皇帝の能力を危ぶむことになる。幸いモニカは国民受けがいいラウンズだったので、国民は「高麗製だからでは?」と(週刊減退の)情報を鵜呑みにはしていない。 だが、反帝国主義にとっては良い叩き材料であることも間違いない。 納得する三人をみながら、ビスマルクは秘めた思いを顔に出さずにいた。 (朝の修練で素振りしていたら鞘が抜けて、たまたま歩いていた陛下に当たって入院、仕事漬けになった逆恨みなどとは言えんよなぁ) 628 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 55 13 思いっきり、道連れを望んでいた。 実は、日本からの高麗製KMFに関する報告書はビスマルクが持っているのだが、まだ全員に見せていなかった。 なので、病室に呼ばれた際に「ラウンズの汚名は全員でそそぐものです!」と力説し、ジノ以外を巻き込んだのだ。 (今更言えん・・・) 罪悪感が襲うが、普段からの鉄扉面の御蔭で誰にも悟られていない。 目の前で調整を行っていた作業員が離れ、代わりにとある人物が近づいてきた。 「どうもラウンズの皆さん。機体は準備万端です。どなたからお乗りになられますか?」 その人物はKGFを作る際に、テストパイロットを二人も病院送り(未だ入院中)にした装置を作った張本人だった。 ビスマルクの不安が大きくなる。 「大丈夫なのか?」 「ええ“大丈夫”です」 大丈夫という所をやたら強調して言う元KGF開発主任は、ヒヒヒヒと笑った。 ノネットやドロテアも二・三質問をしていたが、まどろっこしくなったのかルキアーノが前に出た。 「ここで愚痴愚痴言っても仕方がないだろうが、俺が乗るぞ。いいな」 「む・・・」 「そうだな。まぁ、ヤル気がある奴からの方がいいだろう」 一瞬ビスマルクが引き留めようとしたが、ノネットが同意してしまったので言葉はそのまま喉の奥に消えた。 ルキアーノは主任から起動キーを受け取ると、そのままウィンチを使って乗り込んだ。 (あれ?普通に起動するの?) 案外簡単に乗り込んだ彼の様子を見て、少し安心する。 乗り込んだ当のルキアーノは、計器類がまんま【サザーランド】と一緒なのに気付き、オリジナリティが無い・改善する気が無いなどと言いながら外部スピーカーを起動する。 『起動するぞ。離れていな』 とりあえず警告をして起動キーを差し込もうとした。 そして外から見ていた一同はサイドに移動し、これから起動するだろう【ジェンシー】を見つめていると、いきなり目の前が爆発した。 「「「はぁ?」」」 目の前で倒れる下半身、頭上を吹っ飛んで行った腕、頭はなぜか垂直に飛んでそのまま地面に落下した。 【ジェンシー】を見ていた視線が、目の前からゆっくりとコクピットが有った方に動き、そのまま先に移動する。 視線の先、遥か数十メートル先でルキアーノが乗っていたコクピットは有った。横倒しで・・・ 「え、衛生兵ぃ!!」 「いや、救護班だ!急げ!!」 事態をようやく飲み込んだノネットとドロテアが、慌てて後ろに控えていた衛生兵と救護班に怒鳴った。 同じように呆けていた彼らだが、怒鳴られると一気に動き始めてコクピットに取りつき、ハッチの強制開放を行い始めた。 しばらくして、ズタボロになったルキアーノが助け出され、そのまま病院に直行する事になり、その間映像解析をしていた主任が蒼褪める三人の前に立った。 「どうやら、起動と同時に脱出機構が働いたようですな」 「「「えぇ・・・」」」 「しかも途中でパラシュートが一つだけ中途半端に開いてブレーキに。その反動で、縦回転で五回回った後、バランスを崩して横向きになり、三回転がったところで停止したようです」 丁寧に説明してくれるのはいいのだが、主任の顔はすっごい笑顔だった。うぜぇ・・・ 「いやぁ。面白い機体ですな」 「「「どこがだ!」」」 叫んだあと、ノネットとドロテアはビスマルクに詰め寄る。 「ヴァルトシュタイン卿!貴方はこれの事を知っていたのでは!!」 「我々を巻き込んだのですか!!」 「う・・・」 睨まれたビスマルクは、あまりの怒気に一歩引いた。 その態度を肯定と受け取った二人は、更に怒気を上げる。 溜息をつき、呆れたように首を振ったノネットは、じろりと睨みつける。 629 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 55 49 「妙にソワソワしていると思っていたら、これが原因とは・・・見損ないました」 「し、仕方あるまい・・・「ナイト・オブ・ワンともあろう貴公が、いいわけですか」うぐぅ・・・」 ドロテアもノネットに続いて罵る。 「付き合いきれません。帰ります」 「エニアグラム卿待ってくれ。頼む・・・」 「私も帰ります」 「エルンスト卿まで・・・一人はさみしいではないか」 「「もう、ルキアーノが仲間入りしたでしょう」」 落ち込むビスマルクを尻目に、言うだけ言って帰ろうとする二人だが、その前に主任が立ちふさがった。 「いや、もうちょっといて下さい」 「なんだ、いくらあなたでも私達を引き留める事などできませんよ」 眉間にしわを寄せているノネットの言葉に、ドロテアも頷く。しかし主任の笑顔は崩れない。 主任はその笑顔のまま、懐から一枚の紙を取り出した。 「エニアグラム卿、エルンスト卿、これをご覧ください」 二人は訝しむが、とりあえず取り出された紙を見るとだんだん顔が蒼褪めていくのがわかった。 ドロテアは間違いがないか奪うように手にとってもう一度読み始め、ノネットは冷や汗をダラダラ流しながら主任に詰め寄った。 「え、あの・・・こ、これは!」 「そうです。“皇帝陛下”の直筆の命令書です」 何度も読み返していたドロテアは主任の断言に、この世の終わりのような表情を浮かべてへたり込んだ。 「・・・間違いない。陛下のサインまである」 「どうしてあなたが!!」 「どうしてって・・・それはですね」 主任は楽しそうに言った。その顔はまさしく・・・ 「面白そうだからですよ。皇帝陛下も楽しみにしていますよ。ラウンズの活躍を♪」 悪魔のような、微笑みだった。 ――――― 三人の前に【ジェンシー】が三機並んでいる。当初「一機しかないようだが直すのか?」とビスマルクが聞いてみたのだが、「大丈夫です。皆さんの分はちゃんとにあります」そう言って主任は軽く手をたたくと、近くのガレージから【ジェンシー】が三人分運ばれてきた。 三人が更に絶望したのは言うまでもない。 とりあえず視線をお互いに向けあい、無言の会話が開始された。 ビ(さて、だれがどれに乗る?) ノ(その前に、巻き込んだ張本人なのですから御自分が選んでは?) ド(そうだな) ビ(うぐぐ・・・そう言われると反論できん。が!) ド(が?) ビ(エニアグラム卿はマリアンヌ様の直弟子だろう。ここで怖気づいたというのが伝わったらどうなるか) ノ(!!!) ド(うわぁ・・・) ノ(そ、それを持ち出しますか!!) ビ(私はどうせ笑われるだけだ。それならいつも通り・・・) ノ(ぐぬぬぬぬ・・・) ド(大人げないですよ・・・) そんな会話を視線でしていたら、三人の前に主任が手を出してきた。手には棒が三本握られている。 「さぁ。お選びください」 「「「え?」」」 「いやな事は、サッサと終わらせた方がよろしいですよ?」ニコニコ (*1)) 渋々と三人は一緒に、籤の棒に手を伸ばし一気に引き抜いた。そして他の二人に見せないように後ろを向いてみる。 「当たりだ!」「「は、外れ・・・」」 よっしゃぁ!とガッツポーズをとったのはノネットで、他二名はOTL状態となった。 「そんなばかな」 「これは・・・悪夢だ」 落ち込む二人を楽しそうにノネットは見下ろした。 「ふふふ。どうやら運は私に味方したようですね」 勝利宣言をして、その場から離れようとした彼女の肩を主任がいきなり掴んだ。 「じゃ。行きましょうか」 「え?当たりじゃないのか??」 「ええ、当たったから乗るのですよ」 「!!??」 天国から地獄に突き落とされたノネットは脱力してしまい、そんな彼女を主任はいい笑顔で引きずっていき、【ジェンシー】の横に持って行った。 630 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 56 43 「どうぞ」 「・・・コレ?(【ジェンシー】を指差す)」 片言になって聞いてみる。 「ええ、そうです」 「・・・ノルノ?(自分を指差す)」 もう一度聞いてみる。 「乗って下さい」ウェヒヒヒ 「・・・ハイ(諦めた)」 もう逃げられなかった。 一度深く息を吸って吐き出し、目の前の異物を見る。 そして心の中で決意を固めようとする。 (マリアンヌ様・・・はだめだ。コーネリア、ベアトリス、私に勇気を!!) 思い切ってウィンチを握りしめ、スイッチを押した。 瞬間、目の前の光景が変わり、体に重力が感じられない。 なんとなく下を見る。 下を見ると皆が此方を見上げている。 ようやく状況がわかった。ウィンチのスイッチを押したら猛スピードで巻き上げられて、そのまま跳ね飛んでしまったのだと・・・ (ああ、今自分は飛んでいるのか・・・って!) このままでは地面に激突してしまう。ならばどうするか・・・ 高さ、おおよそ十メートル。体勢、逆さま。着地予想場所は・・・ (【ジェンシー】のコクピット真上か、ちょうどいい!) それなら高さは大体5メートル半ぐらいだ。落下の勢いもそうでないだろうし、衝撃さえ殺しさえすれば!! 体を捻って体制を整え、そのまま体を何時でも着地できるようにしている間にコクピットは近づいてきた。 (勝負!) まずは足から着地、屈むように足を曲げて後ろに倒れ込む。次に腰から落ちないよう両手で叩いて横向きに体制を変える。 ノネットはここまで反応出来て、事態を冷静に対処できる自分を褒めたかった。このまま転がれば助かる! しかし神様は無情だった。【ジェンシー】が後ろ向きに傾いたのだ。 いきなり傾いたことで目測を誤り、背中を強打する。 「うげ!」 とても女性が出す声ではないが、ノネットの体は再び宙に舞った。 突然起きたハプニングに対応できなかった為、体制を今度は整える事が出来ずに落下する。 幸いにして足から再び着地できたが今度は片足であり、そのまま捻ってしまった。 「はぐぅ!」 そしてドベシャァ・・・と、倒れた。腰も強打したようだ。 ナイト・オブ・ナインのノネット・エニアグラム・・・リタイア。 「「・・・」」 目の前で、先程と同じように運ばれていくノネットを見て、二人はすっかり青くなった顔を見合わせる。 「二人で一緒に乗ろう」 「ええ、恨みっこなしで」 足取り重く二人は残された二機に近づき恐る恐るウィンチで上がる(傾いた【ジェンシー】は直すのがめんどいので、解体されることになった)。 問題なくたどりつけてホッとするが、今度は問題の起動だ。 これまた慎重に、震える手を落ち着かせながら差し込む。 いままでこんなに緊張感が伴う事があっただろうか?二人はないと断言できる自信を、変な所から持ってきつつ起動させた。 「「・・・ハァァァァァ・・・」」 安全に起動できたことに安堵し、今度は機体を動かし始めた。 その動きはまるで、初めてKMFに搭乗した新兵の様にぎこちなく、ちんたら動いていた。 「あのぉ・・・もうちょっと、激しく動いてみてください」 (*2) 主任がつまらなそうにしているのが、どこか楽しそうな雰囲気に二人はすっごいムカついた。 二人の気苦労なんて知りません、という感じに主任は色々と指示を出す。 何回かおかしい故障も発生した。故障は以下の通り。 〇モニカの時同様スラッシュハーケンが戻ってこない。 〇右腕を上げるようにしたはずなのに左腕が上がる。 〇ファクトスフィアを起動させたら自分以外敵だった。というか画面真っ赤。 〇スタントンファを構えさせたら両方とも飛んで行った 〇時折ガタガタ揺れる。 などなどあったが、機体は正常であった。 「くそ!」 631 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 57 16 理不尽な出来事が沢山起きて、流石にイラついてきたドロテアの操縦はだんだん荒っぽいモノになっていった。 『エルンスト卿。落ち着け』 「これが落ち着いていられますか!!こんな、こんな事とても他の騎士や、皇族方に見せられない!」 『そ、それはそうだが・・・』 「テストメニューは終わりました。先に帰ります」 『ああ・・・』 茶番にも劣る喜劇に、もう付き合いきれないドロテアは勢いよくペダルを踏んだ。 〔バキッ!〕 「え・・・」 異音が足元からしたので覗いてみる。ペダルがある。足を離してみるとペダルが戻らない。 機体は急加速を開始した。 「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 『え、エルンスト卿!ブレーキだ!!』 「りょ、了解!」 パニックになりそうだったがそこはナイト・オブ・ラウンズ、体はしっかりと反応する。機体は反応してくれないが・・・ 「ブレーキ不能ゥぅぅ!!」 『なんだとぉ!』 もういやだ。帰って寝るんだ。その事だけを考えてドロテアは機体を動かした。 急加速した機体から逃げるように整備員達が逃げ惑う。その人の合間を滑るように進み、飛んで避ける。 何時も以上の切れを見せて機体を動かす彼女に、ビスマルクは「人って追いつめられると凄いんだなぁ」と感心した。 人を避けきると、すかさず目的の場所に向かう。 向かう場所は演習場にあるプールだ。流石にKMFと言えど、水の中では行動が不自由になる。その間に脱出するのだ。 全速力で演習場を突っ切っていく【ジェンシー】に、整備員達と主任、ビスマルクは茫然と見送った。 結果から言えば彼女は無事だった。プールが後1メートルという所で急ブレーキがかかり、頭から突っ込み、コクピットが外れて気絶することになったけれども。 走り去るドロテア機を呆然と見送り、ユックリと元の場所に期待を収めたビスマルクは感無量の境地にたった。 なんだろうかこの気持ちは・・・そう、晴れやかに空を見上げる青年のような・・・ ああ、世界はこんなにもすばらしい!! 「ふふふ」 『なんですか?どうしましたか?』 通信機から主任の声が聞こえるが無視だ。もうちょっと味わっていたい。 「やり遂げた時のこの昂揚感。達成感は何物にも代えられん」 『ええ、そうでしょうね』 外野が煩いが、スルーする。うむ、うまいギャグだ。 「この熱い胸の内を『ええ、熱いでしょう。駆動機関が異常な熱量を持ち始めていますから』・・・なに?」 慌てて起動スイッチを見ると外れている。にもかかわらず駆動音は止まらない。 すかさず脱出装置を起動させるが反応しない。今度は開閉装置を起動させると、半分だけ開いたので躊躇なくそこから這い出た。 ラウンズらしくない?そんなことはどうでもいい・・・今は逃げるのだ! 「ぬぉぉぉぉぉぉ!!」 転がる様に地面に着地をして、全力疾走する。 ガリアの剣という鉄塊を振るうくらい筋力があるビスマルクは、もちろん脚力もある。 前後に振るう腕は美しい角度と軌跡を描き、大地を踏みしめる足は脈動感と瞬発力を見せていて、今この瞬間ビスマルクは風になった。 もっとも・・・ 走り出した5秒後に【ジェンシー】は大爆発をし、衝撃波で顔面スライディングすることになるのだが・・・ ――――― 632 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 57 46 事の真相を聞いたモニカは呆れるやら、悲しめばいいのやら、同志が出来たことに喜べばいいのやら・・・わからなかった。 「この事件・・・騒動は国が発行している新聞の一面に載ってな。すでに国民全てが周知していると思っていい」 「あぅぅ・・・」 あまりの羞恥心にサッサと日本に帰りたくなる。 だが、それは真面目な彼女には無理だった。 すっかり冷え切った紅茶を飲み干し、ベアトリスは立ち上がると執務席に座った。 「まぁそういう事だから気にするな」 「そうは言われましても・・・」 「一応罰は受けたのだろう。それでいいと思うぞ?」 いちいち気にするな。そういわれてはモニカも引き下がらず負えない。しかし、良い人であるモニカは、まだどこか気に病んでいるようだった。 その様子を見て、内心で溜息をつく。 (もっとも。無茶を言った陛下も、マリアンヌ様にお仕置きされたのだがな・・・) 苦笑しつつも仕事を再開する。 「話はここまでだ。とりあえず、少し書類を手伝ってくれ」 「はい、わかりました」 モニカは日本での生活を、ベアトリスはブリタニアであった珍事を話ながら仕事に励んだ。 633 :影響を受ける人:2013/02/19(火) 20 59 30 というわけで“モニカ・クルシェフスキーの帰郷 & ジェンシーに乗ろう!!”でした。 この話を思いついたのは“ラウンズメンバー全員をジェンシーに乗せて、ドタバタコメディをしてみたい”という妄想があったからです。 そして、以前スレで貴族の話がありましたが、彼女の不用意な発言で国の威信が傷ついたのでは?と思ったのが骨子となり、この話が出来上がったのです。 本当は前に作ったKGFの話くらいを想定していたのですが・・・長くなりました。 長すぎて、目が痛いやら、指が痛いやら・・・ 途中更新されていた休日様や、他の方々のSSが無ければ心の潤いなく、挫折していたかもしれません。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。 ベアトリス・ファランクスの存在は承知していましたが、口調等がわからなかったのでACFAのセレン・ヘイズ姐さんをモデルにしました。如何でしょうか? モニカさんのラーメン大好きは、限られた人しか知らないと思うのです。国の顔の一つですしね・・・ 予定・宇宙の奴が進んでいないよ・・・
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前話 「私を……ブリタニア軍に入れてほしいの……」 「え……?」 カレンの言葉にライは耳を疑った。 日本人のことをイレヴンと呼んで差別をし、虐げていたブリタニア軍に入るというカレンの言葉。 公園で偶然見かけたその光景にとてつもない怒りを見せていた彼女が、そんなことを言うなんてライには信じられなかった。 「それは……どういう……?」 「そのままの意味よ。私は今まで、ブリタニアから日本を取り戻すために黒の騎士団として戦ってきたわ。それが、私にとって一番大事だったお兄ちゃんの夢だったから。でも、今の一番は――あなたなの」 昔からカレンに優しくしてくれた兄、紅月ナオトの存在。 ブリタニア人とのハーフだということで、あまり多くはなかったがいじめを受けたこともあったカレンにとって兄の存在は大きかった。 当時日本との関係がぎくしゃくしていたブリタニアとのハーフである自分を、なんの隔てもなく優しくしてくれたただ一人の兄。 そんなカレンとナオトの関係は、ルルーシュとナナリーの関係に似ている部分がある。 ルルーシュがナナリーを溺愛していることに類似することがないなど違うところもあるが、基本的には同じような関係だ。 カレンにとって心から安心して生活できたのは、兄と母、そしてたまに顔を出しに来ていた扇と過ごしていた時間だけだった。 ルルーシュとナナリーが、スザク以外の人間を信用せずに日本での留学生活をしていたのと同じような状況にあったのだ。 だから、ルルーシュがナナリーのためにゼロとなって戦っているのと同じように、カレンもまた兄の夢のために今まで戦ってきた。 その信念が今、転機を迎えていた。 「私はあなたの役に立ちたい……あなたのために戦いたい……そのためなら、何を失ってもかまわないわ……」 日本人としての自分も捨ててもかまわない。 あれだけ嫌っていたシュタットフェルトの名を名乗ることもいとわない。 尊敬し続けてきたゼロの敵として戦うことにもためらいはない。 愛する人――ライのためになら何だってできる。 「……カレン。本気で言っているのか?」 「えぇ」 『何を失ってもかまわない』 この言葉がライのどこかで引っかかっていた。 確証のもてる疑念ではない。 ただ先ほど脳裏にちらついた映像が頭から離れなかった。 槍や矢が飛びかう戦場のひとつになったその町に、戦いの後に残されたのは人々の死体しかない。 老若男女、民兵問わず、全ての人が息絶えていた。 そしてその中心で打ちひしがれている銀髪の青年。 何もかも――自分自身の肉親すらも失った彼。 『何を失ってもかまわない』という決意の元、愛する人たちのために戦った男の末路だった。 その映像が何を意味するのか、なぜその映像の背景が自分にわかったのか、ライにはわからない。 しかし、カレンの決意がいい方向に進まないと何かが全力で警告しているのだとライは感じとっていた。 「……カレン。残念だけどその頼みは受け入れられない」 「どうして?!ライは私と殺しあうことになってもいいの?!」 「違う!そんなことは……!」 「私はあなたと一緒にいられればそれでいいの!日本が解放されなくたってもいい。あれだけ憎んでいたブリタニアの一員になってもいい。あなたがいてくれれば、私はそれだけでいいのよ……」 「カレン……」 カレンの強い決意は十分にライに伝わっていた。 それでも、ライはカレンの気持ちにこたえることができなかった。 カレンが何か強い決意を持っているということは、付き合い始めた当初からわかっていた。 それがなんにせよ、全力で応援してあげようとも思っていた。 しかし今は―― (僕が彼女の足枷になっているみたいじゃないか……) 自分という存在が彼女の目標を霞ませてしまっているのだとライは感じ取っていた。 カレンの夢である日本解放。 ブリタニア軍人であるライには手助けなどできるものではなかったが、積極的に妨げようとも思わなかった。 (もちろん、恋人としてカレンには危ない目にはあってほしくない。ただのカレンとして、平和に暮らしてほしい) そうは思っていても、ライの心はなかなかすっきりしなかった。 (カレンの『日本解放』という夢は、僕がアッシュフォード学園に来る前からのものだったはずだ。そうであるならば、僕という存在が現れたことによって、彼女に夢を断念させてしまったことになる……) カレンの事を大切に思うがゆえに、自分自身の存在も否定したくなる。 もしも自分がいなければ、カレンは自分の夢を貫けただろうか。 もしも自分と恋仲にならなければ、カレンはこんなにも苦しい決断を迫られるようなことがあっただろうか。 歴史にifはない。 それと同じで、人生にもifはない。 (――いや、“あの力”なら『もしも――』は実現可能だ……) 絶対遵守の力。 一回のみだが、相手を自分が命じたままに行動させることができる王の力。 その力があれば、過去の記憶をなくさせることもできる。 ――自分のことをカレンの記憶から抹消すれば、彼女は昔のように兄の夢を達成するために戦えるようになるはず。 そんな考えがライの頭をよぎった。 「カレン。君が何で黒の騎士団に入ったのかを聞いてもいいかい?」 ライの言葉に一瞬戸惑うような表情をみせたが、カレンはゆっくりとその質問に答え始めた。 「さっきも言ったけど、私のお兄ちゃんは日本を解放するために戦っていた。 私だけがブリタニア人の父から認知されブリタニア人として生活し、お母さんは使用人扱いで雇われ、お兄ちゃんにいたっては存在も認識されなかった……」 10年以上にわたって共に過ごしてきた家族がばらばらにされた。 “ブリタニア”という支配者によって。 ――こんな家族の在り方は間違っている。 ブリタニアが、それを自分達に強要してくるというのなら、そのブリタニアを壊すしかない。 そう思い、カレンは兄と共に反ブリタニアのレジスタンス活動に参加するようになり、兄の死後もこうして黒の騎士団のエースとしてブリタニアと戦ってきたのだった。 そう、カレンの戦う真の理由は、日本のためというよりも家族のためなのだ。 もし家族が離れ離れにならないので住むならば、カレンはなんでもやっていただろう。 日本がどうなろうがかまわない。 家族と――兄と母と、昔のように一緒に楽しく幸せに暮らせるのなら、ほかの事はどうでも良かったのだ。 しかし今やその兄は死に、母はリフレインの使用で実刑判決を受けて服役中。 『待ってて。お母さんが出てくるまでには――きっと変えてみせるから。私とお母さんが普通に暮らせる世界に。だから、だからっ……』 かつてカレンが、リフレイン中毒でまともに会話ができない母に向かって誓った言葉。 カレンの母に下された判決は禁錮20年。 その間にカレンにできることは、黒の騎士団の一員としてブリタニアを壊すことだけだった。 「これが、私が黒の騎士団で戦う理由。でも、どうしてこんなことを知りたいの?」 話し終えたカレンの、当然とも言える質問。 黒の騎士団に所属していたことは、カレンにとってはもう既に過去の事。 いまさらなんでそんなことを……という気持ちがカレンからは離れなかった。 「僕は君の真意を知りたかった。カレンが話してくれたおかげで、僕も決心がついたよ」 ライはカレンの話を聞いて決めた。 “あの力”を使おう、と。 「じゃぁ――」 ――私をブリタニア軍に入れてくれるのね。 そう言おうとしたカレンの体をライが抱きしめた。 割れ物を扱うように、大事に、優しく包み込む。 「どうしたの、急に?」 いきなりなことに驚きつつも、愛する人からの抱擁に顔をほころばせるカレンに、ライは別れの言葉をつむぎだす。 「カレン……僕は君の事が好きだ。いや、愛している。世界中の誰よりも、君の事が大切だ」 これがきっとカレンへの最後の言葉になる。 そう思いながら、ゆっくりと彼女への気持ちを語った。 「最初は『人形みたいだ』と言われた僕が今みたいになれたのも、お世話係主任としてカレンが一緒にいてくれたからだと思う。僕にとってカレンは世界そのものだ。だから――」 ――これ以上、僕のせいで君を縛り付けることはできない。 「――だから、僕たちの関係は終わりにしよう」 「…………え?」 突然の別れの言葉。 先ほどまで幸せだったカレンには嘘のような言葉だった。 呆然としているカレンが反応するまもなく、ライはカレンに口づけをした。 今まで何度もやってきた深いものではなく、ただ唇を重ね合わせるだけの簡単なもの。 今しがた自分が言われたことの意味を理解しきれないカレンに対してそのようなことをするのは気が進まなかったが、ライは最後に彼女とキスをしておきたかった。 そしてそれを、カレンとの決別を意味するものとして、自分自身に深く刻み付けたかった。 ゆっくりと顔をカレンから離し、心の奥で“力”のスイッチを入れる。 「カレン。君は――」 ライは、苦しげに“絶対遵守の命令”をカレンに下した。 記憶を失う前にもこんなに辛い決断はなかったに違いない。 そう思いながら。 “力”を使われたあとは、目の周りが赤く縁取られてその命令に従う。 そのはずだった。 「……嫌よ」 「!」 カレンは、ライの“命令”に明らかな拒否反応を示していた。 力に抵抗するかのように、目の周りが赤くなったり正常に戻ったりを繰り返す。 「嫌よ!私はあなたと共にいたい!あなたと……別れるなんて…………別れる……?誰と……?」 彼女が涙を流しながら辛そうに“力”に抵抗する姿を見ていられなかった。 自分自身でそうすることを選んだとはいえ、あまりにも辛いことだった。 「すまない……カレン……」 ライはそう呟き、愛する人の首筋に手刀を打ち込み気絶させた。 次に彼女と対峙するのは敵同士として、戦場でのこととなるだろう。 (そうなる前にこのエリア11――いや、日本が平和になれるように全力を尽くそう……) それは、満天の星空のもとでの出来事。 愛する人と別れを告げた銀髪の青年の目からは、一筋の涙が流れていた。 次話 KTG 45 *
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569 :二二三:2013/11/08(金) 03 08 12 唐突に思い付いた話 注意~ 続けた場合は超火葬戦記に 休日氏のギアス海軍甲事件後 休日日本in史実1941 その日は突然やってきた 何の前触れもなく突如として現れた巨大な磁気嵐 テレビが消え電化製品が故障しインフラが麻痺状態に陥った そして北は千琴 南は南洋 西は海南島までの 凡そ「大日本」と呼称される地域の全域を襲ったその自然現象により該当する地域との連絡が途絶えた日本と同盟関係にあるブリタニアでは朝から大騒ぎになっていた それもそのはず、磁気嵐で通信が途絶えてもそれは所詮一時的なものであり、嵐が収まれば通信は回復すると見られていたというのに一向に日本と連絡が取れない状況が続いていたのだから そして、その理由が明らかになるにつれて騒ぎは混乱へと発展していく ブリタニアの衛星が捉えた日本の領域 本来ならば其処に有るはずの陸地全てが消失していたのだ 〔日本消滅!!〕 この情報は瞬く間に世界を席巻し、各国がこの超自然現象に注目した 消えた日本はどこへいったのか? 日本は帰ってくるのか? 世界が固唾を飲んで見守る中、閉鎖された大国オセアニアが俄かに蠢動を始めた 彼らは常から列強、それも太平洋を二分する日ブ勢力圏に手を伸ばそうと虎視眈々と気を伺っていたのだからこの動きは当然予想がついた 信頼する片割れを失い動揺するブリタニアであったが、彼らはオセアニアの動きを牽制すべく、日本勢力圏である東南アジア諸国防衛の為にハワイ海軍基地に駐留していた空母2隻を中核とした艦隊をフィリピンへと急行 消えた日本の穴埋めを行い東南アジアの国々を守るという意思表示と「東南アジアに手を出すな」のメッセージを送った 近年のオセアニアが恐れていたのは日ブ同盟という巨大な安全保証機構であり日本一国、またはブリタニア一国のみが相手なら不意を突けば何とかなると考えていた だがブリタニアはその不意を突く隙すら与えずに東南アジア防衛ラインを構築していったのだからオセアニアとしては引かざるを得ない 1995年のニューギニア戦争で日本に大敗したオセアニアは、自国を除く四大列強のうち日本・ブリタニアの抜きん出た二国だけとは真正面からぶつかるのを避けてきた やるのは危険、やるならどちらか一方 それも不意打ちを食らわせる形でなければ勝てないとシミュレーション結果が出ている オセアニアより国力が劣る中華やEUとは訳が違うのだ 日本とブリタニアを敵に回すには最低でも不意を突き、更には極力全面戦争は避けなければならない 結果的にブリタニアの動きで南ニューギニア首都ポートモレスビーの海軍基地に待機していたオセアニア艦隊が北進することはなく、武力衝突の事態は避けられたのであった さて、その頃 自国勢力圏が一触即発の事態になっていたとはつゆ知らない日本 こちらはこちらで国中が大混乱に陥っていた 磁気嵐が収まると電気製品などはその機能を回復させたが、今度は日本以外の地域と連絡が取れないときたのだから無理はない しかも日本上空にあった衛星以外の全衛星が消失 その動かせる衛星が拾ってきた異常な映像の数々 80年前の諸外国が保有していたような古い艦船 他国上空を通過した際に撮影された低層ビルがまばらに立つだけの都市部 ブリタニア大陸にある主要都市にも天に届かんばかりの100階立てビルなど一つもなく、一緒に写り込んでいた航空機は明らかにレシプロ機 そして、そのブリタニア大陸のものと思わしき受信されたラジオ放送 〔去る12月7日。卑劣にもハワイオアフ島真珠湾を奇襲攻撃した日本は――〕 日本が真珠湾を攻撃したというその報道は南洋に住む住人のラジオでも受信され誰もが嘘だろと現実逃避していた 570 :二二三:2013/11/08(金) 03 09 38 “すわ日ブ会戦か!?” とまで勘違いした者がいたほどの衝撃的ラジオ放送の内容 これらの情報を集めて解析した日本の情報部も日本を非難するブリタニアと思われていた相手の国名が“アメリカ”であると判明した事でお手上げとなってしまった アメリカ?なんだそれは? いったいどこの国だと頭を抱える情報部 衛星写真も相当古い街並みばかりが写し出されていて意味不明であった そんな大混乱な日本で、今どのような状況に置かれているのかをはっきり理解している者たちが都内のビルに集まって溜め息をついていた 「“西暦”1941年12月8日ですか」 集まっていた者のひとり辻正信の呟きが虚しく宙に消えた 「何の冗談だまったく。磁気嵐が治まったと思えば日本が西暦の世界に転移……SF小説じゃないんだぞ」 「杉山さん、コードギアスは一応SFの範囲に入ります」 「入っても今は現実だろうが」 「まあまあ。丁度もんじゃも焼けましたしカリカリしないで食べながら話しましょう」 「もんじゃなんか食べられるか!お好み焼き持って来い!」 「なんだと!?もんじゃのどこがいけないんだ!」 「うるせー!こんなゲロみたいなのを食えるか!」 皆齢60を越える老年の男性ばかりだというのに随分とまあ元気である そんな彼らこそが前時代の日本を率いていた者たちであり、現在も各界に大きな影響力を持っている存在 夢幻会の最高意思決定機関会合のメンバー 「総研はあの磁気嵐を時空乱流であったとの結論を出しています」 「まあそれしかないだろうが」 「時空乱流か、言葉だけ聞いていると某猫型ロボットの映画を思い出す」 辻・杉山・近衛らがそれぞれ起こっている現象と思ったことを述べる 次に嶋田がもんじゃ焼きを口にしながら磁気嵐とは別の現象を話す 「後は磁気嵐終息と時を同じくして現れた東京湾上空の紫色の雲ですね」 紫色の雲 それは去年の太平洋海軍甲事件として記録された超自然現象と異世界へと繋がる空間の存在の象徴 「ああ、それについては俺の妻がよく知っている。俺もこの目で見たが普通の雲とはまったく違って中に入ると別の場所に繋がっているそうだ。あれの近くや中では計器類が全て異常を示し、まったく役に立たなくなるらしい」 「そういえばリーライナさんは今回の現象と近い体験を個人でされていたのでしたね」 事件現場に居合わせた山本は当事者である妻リーライナから詳しく聞いて知っている 無論その情報は日ブ両国の上層部にも上げられて世界各地で似たような現象が過去になかったかの調査も行っていた 「ということは東京湾上空の雲は元の世界に通じているのか?それとも未知なる異世界に…!」 俺の右手が数日前から異様な反応を示していたのだ などと富永はいつも通り中二な発言をしていたが皆一様に彼の言葉を聞いて頷いていた 「それについては既に有志を募って調査に入る手はずが整っていますが、まあ富永さんが言われているようにまず間違い無く元の世界と繋がっていると見て宜しいかと思われます」 根拠としては甲事件の時に当事者となったリーライナが無事に帰還し、アメリカと戦う日本の存在を明かしていたからだ つまりギアス世界を起点として平行世界の扉が開いている 今回の大規模な磁気嵐を原因とした転移もあの雲と似たような現象なのだろう 571 :二二三:2013/11/08(金) 03 11 08 「東京湾の雲が向こうと繋がっているとして日本が戻る方策は無いのか?」 「それについても総研は全領域が無事に戻れると見解を出しています。あの磁気嵐の揺り戻しが必ず起こると。ただし揺り戻しが起こるのは最低でも3年後。長くて5年後になるとの事でしたが」 「まずいなそれは…」 「ああ確かにまずいですね」 ある意味希望に満ちた辻の報告 どうやって計算したのかは「秘密です」という辻であったが、少なくとも確実に帰れる事が分かったというのに皆難しい顔をしている その理由は「アメさんに喧嘩売られるな」というものである アメリカのラジオでは今は1941年の12月であり、史実に近いと考えられるこの世界の日本軍がハワイオアフ島真珠湾にあるアメリカ海軍基地を攻撃した事を伝えていた 日本とアメリカは戦争状態に突入している 「こっちが幾らアメリカを攻撃した日本と、我々の日本は違う。自然現象で異世界から飛ばされてきた日本であり何年か後には帰る。何ら侵略的意図は持ち合わせていないと説明した所で信用しないだろうからな」 杉山の苦虫を噛み潰したような顔にさもありなんと頷く一同 仮に今彼が述べたような事をアメリカに伝えた所で誰も信用しない 当たり前だ。普通に考えて平時でもそんな話を信用する国などいないというのに、この世界の日本に奇襲攻撃を受けたアメリカがそんな話を信用しなければならない道理などどこにも存在しない 「とにかく、こちらは非戦を呼び掛けましょう 今の日本は80……いえ100年以上未来の平行世界から自然現象によって転移してきた日本であり侵略的意図は一切持っていない 到底信じられない話だと思うが件の理由からこちらから戦争を起こすつもりはない しかし、この世界のどの国が我が国の領土 日本列島・チュクチ・カムチャツカ・樺太・千島・アリューシャン・台湾・海南島・マリアナ・ミクロネシアなどの南洋諸島に許可なく踏み入ろうとした場合、 極めて遺憾ながら我が日本は武力による排除を含めたあらゆる手段を用いて反撃する この世界とは比べ物にならない出力でメッセージを発すれば多少は信じるでしょう……ま、希望的観測に過ぎませんが」 そう言う辻に嶋田は「私が動くんじゃないですよね?」と念押しして確認した 「我々はあくまでも引退選手ですからね。精々こういう場所で意志決定して枢木さんや澤崎さん達に伝えるくらいですよ。ま、裏方に徹しましょう」 辻の言葉を聞いて今度はその裏方とやらに不安を感じたがきりがないので発言を控える嶋田 はっきり言ってアメリカと戦争になれば余裕で勝てる ギアス世界という現実よりも進んだ高度な科学力に裏打ちされた技術格差もさることながら、超反則的な万能資源であるサクラダイトが殆ど無限に近いほど取れるのがギアス日本 その他の資源や食料もギアス日本は豊富だ 有り余る資源と資金、原作でさえ世界最先端だった日本の技術にブリタニアと一つになった事でブーストが掛かった生産力までプラスされる訳だ 史実2013年アメリカの倍は有ろうかという国力を持った日本 史実に近い世界の1941年アメリカが相手ならば話にならない しかし、戦争という行為はしないに越したことはないのだ それに裏方だろうが何だろうが余計な仕事が増えてしまうのは良いことではないと嶋田は思った 「後はブリタニア側にも今回の現象を詳しく説明せねばな コーネリア殿下・ユーフェミア殿下・ルルーシュ殿下・ナナリー殿下・アッシュフォード卿・クルシェフスキー卿・アールストレイム卿、とにかく我が国にはブリタニアの皇族貴族や要人が数多く滞在しているからな」 それだけではなく親善訪問で訪れている空母2隻を中核としたブリタニア艦隊の将兵 日本に滞在している一般のブリタニア人や在日ブリタニア人も多く、確実に元の世界に帰れるという説明をして安心させなければならない もしアメリカと戦争になるなら皇族や大貴族の方々には東京湾上空の雲からブリタニアへと帰って頂く必要もあった 「なんだか、我々はトラブルの星の下に生きる運命にあるような気がしてきましたよ」 深い溜め息をついた嶋田の肩を 「今更だ。なるようにしかならん」 山本が叩いた それから三日後、今の日本はこの世界の日本ではない別世界の日本であり戦争は望まないという声明を発表したが、彼らの声明を信用する国は一つとして存在しなかった…… 572 :二二三:2013/11/08(金) 03 12 05 終わり~
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130 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 06 32 モニカルートのネタ。 影響を受ける人氏の設定お借りした補完的要素。 幾つかの国家を名前だけ。 登場人物とネタはフィクションです。 シュタットフェルト・ソレイシィの爵位はオリジナルです。 131 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 07 44 勘違いした田舎者 裏側 人が集まれば群れとなる。群れが集れば村となる。そして村が集まって街となり、やがては国という大きな枠組みと社会を形成していく。 その過程の中で、人は社会と国を安定させる為、法という決まり事を作る。 これはしてもいい、これをしてはいけない、いけない事をしたら罰を受けなければならない。 その国に所属する以上、子どもから大人まで、法という決まり事を守らなければならないのだ。 当然、国ごとによって違う社会を形成している以上、法律という物もそれぞれに異なり、この国では良くてもあの国ではいけないこと=犯罪となったりもする。 また共和制の国には共和制の、社会主義の国には社会主義の、帝政の国には帝政なりの社会に沿った法律が作られており、罪に対する罰の重さというのもまた違う。 同じ侮辱罪でも罰金刑で済む国もあれば、何年もの服役を科せられる懲役刑になる国もあるのが正にそれ。 まさかその程度の事で? と、思われるような事でも、国によっては死刑に相当する重罪になりかねない物があり、法律という物を一律同じに考える事は出来ないであろうことの表れだ。 そんな数多の法律の中には不敬に対する罪【不敬罪】という物がある。 この不敬罪とは、主に帝政・王政などの君主制国家に制定されている法律で、その国を治める王や皇帝。 王族・皇族など、国家にとって絶対的存在である君主の一族に対し、その名誉や尊厳を害する暴言・誹謗中傷など、貶めるような事をしてはいけないという物。 E.U.ユーロピア共和国連合など民主主義・共和制の国では、思想・表現の自由を始めとした国民の自由を制限する物として忌諱され撤廃されている物の、 大日本帝国・神聖ブリタニア帝国等、立憲君主や絶対君主貴族制の国では普通に存在し、天子の下に人民は平等であると謳う中華連邦においても、天子に対する不敬は罪であるとされている。 他にもシーランド王国、共産イラク(イラク社会主義共和国)を含む中東の王制諸国家、アラウカニア=パタゴニア王国など南ブリタニア諸王国でも同種の法律が存在していた。 無論数多くの国で制定されているこの法律だが、それぞれの国で罪の重さは異なるし適用範囲も違う。 シーランドなどでは国の成立過程や、国民と友達のように接する王族の気風故か罪は非常に軽く、余程のことでもない限り、警察署での厳重注意や奉仕活動で済まされる場合が多く、重罪となるケースは珍しい。 日本では皇族に対する不敬は2月以上、5年以下の懲役とされているが、元々皇族に対して中傷行為に及ぶ国民性ではなく適用例は皆無であった。 その代わり、特定の思想に染まっている者や、利益を享受している団体・企業組織等による、与党政治家や国軍叩きというものが横行していたが、これは帝国という看板を掲げながらも実質的には民主主義である以上、致し方ない。 言論の自由を履き違えている一定以上の行為に対しては自浄作用が働いているため社会的制裁を受けることはあっても、権力者による言論の封殺などがあってはならないというのがその根底にはあった。 そんな多くの国々で制定されている同種の法。 その中で最も重い罰則を科せられるのが日本と同じく2000年以上の歴史を持った巨大帝政国家、神聖ブリタニア帝国。 この国では主に皇帝・皇族・貴族に対し不敬を働いた平民に対する罪とされている。 厳格な階級制度が社会の根幹を成すブリタニアである以上、この種の法を適用されるのは身分の低い平民であるというのは仕方のない事。 しかも裁量権は不敬を働かれた貴族等がその場で下すという、正に中世の時代より連綿と受け継がれてきた階級制度による特権が法の根となっているのだ。 貴族へ不敬を働いた平民はその場で罰しても構わない。これは貴族階級以上の者にだけ許された特権。 日本でも古くは斬り捨て御免など、百姓や町人が武士階級の者に無礼を働いた場合、その場で斬り捨てても罪にならないという制度が存在していたが、基本的にはそれと同じである。 132 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 08 27 このような国家形態故、さぞ住みにくく、平民にとっては生きづらい世の中である。 切っても切り離せない関係にある日本や、シーランド等の友好国以外ではそう考える人が多いことだろう。 しかし、その実態としては、不敬罪の適用例は日本と同じく非常に少ないというのがブリタニアの特徴でもあった。 何故か? それは国を治める皇帝、および皇族貴族の平民に対する意識にあった。 自分たちは支配階級であり、あらゆる面で優遇され、優雅な生活を送っている。 では、自分たちが豊かな暮らしを送ることが出来るのはいったい誰のお陰か? そう、他ならぬ平民の働きがあってのこと。彼らは皆、縁の下から我らを支えてくれているのだ。 そんな彼らを粗末に扱ったり、ましてや少々のことで貴族の特権を振りかざして横暴に振る舞うなどということがあってはならない。 平民は蔑みをを持って接する存在ではなく、敬い、感謝の念を持って接する存在である。 常日頃から自分たちの生活を支えてくれている彼らへの感謝の気持ちを忘れてはならないのだと。 貴族より上の階級に生まれた者は、幼少期にこの道徳教育を徹底して叩き込まれる。 故に絶対君主制・貴族制でありながら、貴族が平民に対して横柄な態度を取る事例が極めて少なく、また、自分たちを守り、生活の糧を与えてくれる貴族達に平民の側も畏敬の念を持って接するという、理想的な関係が生まれているのであった。 人は自分に良くしてくれる者を憎まない。 これを双方が上手く実践しているからこその理想的な社会が形成されているのである。 そうでなければ、かつての欧州で起きたような、打倒王政・帝国主義の流れがブリタニアの中でも生まれていたかも知れず、今のような階級社会・実力主義社会でありながらも平穏で豊かな国にはなっていなかった筈だ。 133 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 09 53 しかし、残念ながらそんなブリタニアの社会でも不敬罪が成立してしまう事例はある。 『貴族というのは選ばれし存在。そんな尊き人間である貴族に暴言を吐いたり非礼を働くような下賤で汚らわしい平民などその場で無礼打ちにしても構わない』 法的には何の問題もないと言って些細なことでも無礼討ちにする貴族もやはり少数ながら存在しているのだ。 無論ブリタニアにも裁判所はあるので、平民と言えど訴え出ることは出来る。実際、法廷で白黒付けて貴族側が敗訴する事もあった。 ただ、やはり貴族はその身分と特権故に有利であるのに対し、平民の側は泣き寝入りするしかない事が多く、到底平等な裁判とは言えないのも事実。 だがそんなとき、困っている彼ら平民に手を差し伸べるのもまた貴族なのだ。 一部の権力者による不正・横暴を取り締まり、平民に住み良い社会を作らなければならない。 上位の貴族になればなるほどこれを徹底している家系は多い。 だからこそ、某年某月某日に帝都ペンドラゴンの真っ直中で起きたトラブルは、また一つ平民の貴族への信頼を深める事例になったと言えるであろう。 だが、このトラブル――いや、もう事件と言ってしまっても何ら問題がないこの出来事は、ブリタニアの貴族社会に一斉に伝わってしまった。 貴族とは言え、この事件を起こしたのはたかが男爵程度の下級貴族。それも身体がぶつかったとかの些細な事であり、事件に発展する要素は皆無なのだが、 このとき男爵にぶつかった平民の少女を助けた一人の騎士の存在が、小さなトラブルであったこの事件を、前代未聞の大事件に発展させてしまったのである。 134 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 10 26 * “やめなさいっ!” 通りに響く大きな声は万人の耳に届くもの。 「ん? 騒々しいな」 其処は皇宮のある帝都ペンドラゴンの中心街。 道行く大勢の人々の中には貴族の子弟も居て当然の場所である。 寧ろこの場において居ないと考える方がどうかしているだろう。 ショッピングを楽しむ者、他愛ない世間話に花を咲かせている者、ラフな格好で歩いている者、一見貴族に見えないような雰囲気の通りを歩く人々だが、実は貴族の子弟であるという者も多いのだ。 そんな雑踏の中、シルクハットを被り、口周りにヒゲを蓄えた子爵位を持つ壮年の男性、ルイ・スズキ・106世が騒ぎに気付いて立ち止まった。 「何かあったのかねヤグチくん」 「はい、どうやらすぐそこで平民の子どもにぶつかられた、無礼であるとかで何処かの男爵家の方が騒いでいるようです、そこへ偶々通りかかった騎士が止めに入ったとか」 「んん~? 大の大人が子どもにぶつかられたくらいで騒いでいるのかね?」 「そのようですね」 「ふぅ~む、なんという恥知らずな。平民は大切にせねばならんというのに、あろう事か子ども相手に怒鳴り散らしているとは呆れて物も言えんね……」 子爵は貴族の面汚しだと嫌悪の表情を露にして従者に騒ぎの場へと案内させた。 もし止めに入っているのが爵位を持たない騎士侯や武勲侯ならば、爵位持ちの貴族が相手では不利だろうから、自分が間に入って仲介してやろうと考えたのである。 どちらが正しいとかではない。男爵に対して騎士侯・武勲侯が意見をした場合、例え間違っていたとしても上位者の男爵の方が正しいという事になってしまうからだ。 この国が厳格なる階級社会である以上、上位者が黒と言えばそれが白であっても黒となるのである。 騎士侯・武勲侯が爵位持ちの貴族に非礼を働く事は決して許されない。 ならばより上位者である自分が間に入り、騎士の側に立つことで、男爵の正当性をひっくり返せばいい。 そもそも、子どもがぶつかったくらいで大の大人が騒ぎ立てるのは、どう考えても正しいとは言えないのだから。 (おや? 何か妙な雰囲気だな) しかし近くまで来たとき、子爵は周りの様子がおかしいことに気が付いた。 人集り、野次馬の中には貴族らしき背格好をした者が数多くいたのだが――。 「お、おいッ、誰かあの無礼者を黙らせろよッ、」 「入り込める雰囲気じゃないっ……それに、万が一とばっちりを喰らったら私まで……」 皆口々に止めたいけど止めに入る勇気がないと話しているのだ。 これだけの人が居て誰も止めに入らないとは情けない。 最近の若い貴族の子弟はなっとらんと憤る子爵。そんな彼の耳には現在進行形で中の様子が漏れ聞こえてくる。 “貴様、よもやこの俺をフランク・ロズベルト男爵と知ってのその口の聞き方ではあるまいな?” ここで聞こえてきた声に子爵はトラブルを起こしているのがロズベルトという男爵であると知った。 帝都に居を構えている貴族の家名は大体覚えていたが、ロズベルトというのは初めて聞く名だ。 (こんな人通りの多い公共の場で騒ぎを起こすような非常識な輩だ。大方、地方から物見遊山に出てきた田舎者であろう) 子爵が考えている間に周りの人間達も再度騒ぎの中心に居る人物が男爵であると確認したらしく更にざわめきが大きくなる。 「だ、男爵……。まじで男爵なのかあいつ……」 「男爵って……あいつ無礼討ちになるぞ……」 「無礼討ち処じゃない……。下手をすれば一族郎党みんな処刑だ……」 随分と物騒な話になってきた。どうやら件の男爵とやらが騎士を怒鳴りつけているようで、その騎士の処遇がどうなるかの話にまでなっている様子だ。 このまま放置しておけば、最悪平民の子ども共々無礼討ちにされてしまうかも知れない。 135 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 11 27 (これは早く止めに入らねばならんか?) そう考えた子爵は様子を見るために人垣の中に割って入っていた従者を呼んだ。 「ヤグチくんどうなってる?」 彼が呼ぶと眼鏡を掛けた外ハネおかっぱ頭の男がひとり、人混みの中から這い出てきた。長年使えている子爵の従者である。 従者はズレた眼鏡をくいっと戻しながら子爵の側まで来ると一言忠言した。 「子爵さま、子爵さまがお止めになられる必要は御座いません」 「な、なに? い、いったい、どういうことだね?」 自分が止めなくてもいいということは、誰か止めに入ったか話が付いたかという事だが。 止めなくて良いという従者の忠言を聞いて、首を捻りながらヒゲを弄る子爵は、人垣の向こうでトラブルを起こしている男爵と騎士の会話に耳を傾ける。 “まあいいだろう、貴様” “モニカ・クルシェフスキーです” 瞬間――子爵は固まった。 「モ、モニカ、クルシェフ、スキー、だと?」 「と、いう訳でございます子爵さま」 “ではクルシェフスキー。貴様も口の聞き方には気を付けろよ? 寛大な俺だからこそ、この程度で許してやるのだからな” 止めなくて良いの答えを聞いた子爵の耳に次から次へと入ってくるのは無礼千万な男爵の言葉。 もう分かった。周りの貴族達が口にしていた無礼討ちや一族郎党処刑、お家取り潰し等の物騒な話は騎士に対して向けられている物では無く――男爵に対して向けられている物だったのだ。 “あなたも貴族だからといって無闇に権力を振り回すのは止めることですね” “ふん、騎士侯風情が聞いた風な口を叩く。何なら今ここでそのそっ首を跳ねてやっても良いのだぞ?” 子爵は、顔は見えないが意気揚々と反対方向に去っていったらしい貴族の捨て台詞であろう最後の一言が理解できなかった。 「き…、騎士侯…風情……? な、なにを言っとるんだねあの男は??」 そも何故爵位持ちの貴族があの御方を御存じないのだと唖然とする子爵。 『モニカ・クルシェフスキー』 「シャルル・ジ・ブリタニア皇帝陛下直属の騎士、ナイトオブラウンズの末席であるトゥエルブの称号を賜った西海岸の雄、クルシェフスキー侯爵家の御令嬢ではないかッ?!」 あまりの非常識さについ叫んでしまった怒声とも思える子爵の声に、集まっていた貴族達がざわめく。 とにかく有り得ないのだ。たかだか一介の男爵如きがクルシェフスキー侯爵家の次期当主であり、ナイトオブトゥエルブを知らずに罵倒していたのだから。 ブリタニアの貴族でクルシェフスキー家や、その親族を知らない者など居はしない。それどころか顔は知らずとも名前だけなら全国民が知ってて当たり前の人物なのだ。 この国とは無関係の外国人でさえその名は知っているのに、よりにもよってこの国の貴族で知らない者が居たなどとは、いったいどういう教育を受けてきたのだというのが彼らの頭を過ぎる。 「モ、モニカ様を御存じないとは……。あの男本当に貴族なのか……?」 「ロズベルトとか言っていたな!?」 「至急取引先の家名を調べろ! 万一今の貴族と関係ある家なら即刻取引中止だ!!」 「親族全員に確認してフランク・ロズベルトなる当主を頂く男爵家と付き合いがあるなら今直ぐに手を切れと伝えろっ!! 理由?! たった今ペンドラゴンの大通りでモニカ様を罵倒したんだよその男爵はっ!!」 途端に大騒ぎとなる通りの真ん中で、騒ぎの中心に居た白いワンピース姿の女性は、自身が原因とは気付いていないようで、オロオロしながら自分が庇った平民の女の子を連れて足早にその場を去っていった。 「ヤ、ヤグチくん、私の耳はおかしくなったのか?」 「いいえ、子爵さまのお耳はまともで御座います、あの男爵の頭がおかしいだけなのです」 「ル、ルネッサ~ンス……などとやっている場合ではないぞヤグチくんッ!」 スズキ子爵と従者のヤグチはそれだけ話すと直ぐにスズキ家の取引先の確認をする為、一目散に帰路へと付くのだった。 136 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 12 48 そしてこの事件はこれで終わりではなかった。 なんと同姓同名の貴族が後日ペンドラゴンから遠く離れた日本の帝都東京にて、ヴェルガモン伯爵家の御息女――リーライナ・ヴェルガモン伯爵令嬢までも罵倒したというニュースが社交界を駆け巡ったのだ。 この新たなニュースに、既にナイトオブトゥエルブ――モニカ・クルシェフスキー侯爵令嬢への不敬の罪で懲罰を与えるべきだと紛糾していた貴族達の動きが加速していく。 「信じられん! たかたが田舎の一男爵家当主風情がヴェルガモン伯爵家の御令嬢や、皇帝陛下の騎士たるモニカ・クルシェフスキー卿に対し罵声を浴びせるなどと!」 「諸卿はこのような不敬が許されて良いとお思いか!?」 「許される訳がない。当然件の男爵家に対しそれ相応の懲罰は必須であると考える」 貴族達から上がるのは懲罰を求める声。 そう、何も不敬罪は平民に対してだけ適用される物では無い。 下位の貴族が上位の貴族に対して不敬を働いた際にも適用されるのである。厳格なる階級社会で成り立つブリタニアでは当たり前のことだ。 もっとも、やはり裁量権は当事者が一番強いため、この場合モニカとリーライナが水に流すと言い訴え出なければ、周りが幾ら騒いでも罪は軽くなってしまう。 無論訴え出た場合は極刑となること間違いなしの状況であり、彼女達が自ら討伐に向かい討ち取っても何ら問題は無いほどであった。 それほど一介の男爵風情が伯爵家や侯爵家の人間を罵倒する、侮辱するといった行為は重罪なのである。 そもそもにして、このような公の場にて下級貴族が上級貴族を罵倒するなどということ事態が有り得ない筈なのだが。 ただ、今回の件、当事者の二人は自身への侮辱に付いてはそれほど気にしていない様子で訴え出る気配も無ければ討伐に動く様子も見えない。 実際二人は謝罪があるなら受け入れるし、無いなら無いで構わないと考えていた。 身分がどうとかを深く考える質ではないせいか、あまり怒りが湧いてこないというのもあるのだろう。 更にラウンズ任命者のシャルル皇帝自身をも侮辱したと捉えられる発言であったが、これに付いても皇帝自身が当事者の判断に委ねるとの言を下していた事でお咎め無しとなったのである。 懲罰動議を提出していた貴族達も「皇帝陛下やお二方が問題とせずと言うなら」と自ら身を引く形となり、事態は収束に向かう―――かに見えたが、そう簡単には終わらなかった。 例え懲罰を避けられたからといって、一介の田舎男爵風情の行ったモニカとリーライナに対する不敬行為が帳消しになるわけではない。 知らなかったからなどという言い訳が罷り通る筈もなく、ロズベルト家はクルシェフスキー侯爵家とヴェルガモン伯爵家の傘下にある多くの貴族に睨まれるという最悪の事態に追い込まれていく。 なにせ現当主が行ったのは両家の次期当主に対する直接的な侮辱行為。 両家傘下の貴族たちからすれば自分たちが仕えている主君を虚仮にされたのと同義であり、到底看過する事など出来ない許されざる行為なのだから。 クルシェフスキー侯爵家は古くから続く由緒正しい家系であるというのは勿論のこと、その発言力はより上位者であるアッシュフォード公爵家やハイランド大公家に迫るほどの影響力を持つ神聖ブリタニア帝国の重鎮。 陸海空10万の規模を誇る一大騎士団を保有し、国家の一翼を担う押しも押されぬ大貴族である。 その領地と、侯爵家が持つ経済圏はとてつもなく巨大な物で、比較するのも愚かしいが、GDP、領地面積、その他国力として対比すれば独立国家である筈の高麗共和国を遥かに凌駕しているのだから、一国家と言っても過言ではないのだ。 同じくブリタニア建国以来より続く家系であり、優秀な騎士や政治家を数多く排出しているヴェルガモン伯爵家。 流石にクルシェフスキー家と比較すれば見劣りしてしまう物だが、独自の騎士団と広大な領地・経済圏を持っていることに変わりはない。 保持する権威は同格の伯爵家の中でも最上位に位置し、シュタットフェルト辺境伯家やソレイシィ辺境伯家などと肩を並べて列挙される名家である。 そんな両家と、両家の傘下に付く多くの貴族に睨まれているというのは、ブリタニアの貴族社会において死刑宣告を受けたに等しい。 現に、クルシェフスキー家やヴェルガモン家から睨まれているような貴族と関わり合いになりたくはないと、ロズベルト家と取引や提携していた貴族たちから一斉に距離を置かれてしまい、 当代に変わってより唯でさえ上手くいかなくなっていたロズベルト家の領地経営は、一月もしないうちに破綻寸前にまで陥ってしまった。 137 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 13 35 この窮地に、碌に領地経営もせず遊び呆けて散財するばかりの現当主に代わって、その地方では謹厳実直な人格者として知られていた先代のロズベルト家当主、アルバート・ロズベルトがクルシェフスキー・ヴェルガモン両家に謝罪を行おうと動いていたが、 クルシェフスキー侯、ヴェルガモン伯、共に一介の男爵家が目通りを願い出たところでそう簡単に会えるような身分ではなく、まず話を通した両家の家臣たちから門前払いを受ける始末。 『旦那様はお忙しい身分。たかだか一介の男爵家の人間にお会いになる暇など無い』 冷たい言葉が返ってくるが、それでも先代は諦めずに目通りを願い続けた。 本来ならば非礼を働いた当主フランクが謝罪に向かわなければならないというのに、本人はアルバートの召喚命令を無視して未だ日本の地に留まり続けている。 かといって本人が帰ってくるまでのあいだ何もしなければ、クルシェフスキー・ヴェルガモンの両家に仕える忠誠心厚き傘下貴族の強硬派などが、独自制裁に動き始めるかも知れないのだ。 傘下の貴族と言っても皆ロズベルト家より爵位は上で、クルシェフスキーの家臣に至っては辺境伯クラスの上級貴族まで居る。 もし彼らが動き出せば、埃を吹き飛ばすかの如く容易に踏み潰されてしまうであろう事は想像に難くない。 だからこそ直ぐにでも動かなくてはならないし、何としてでも両家の当主に目通りを叶えて貰わなければいけなかった。 伝手はないかと現役時代に仕えていた子爵家や、親交のある貴族たちを頼ってみるも、皆クルシェフスキーとヴェルガモンの名を出した途端、顔を青ざめさせて「冗談じゃないぞ! 私に死ねとでも言うのか!?」と追い返されてしまい、梨の礫であった。 (自分はどうなってもいい! だがこのままでは孫娘、領民や家臣の生活が立ちゆかなくなる……!!) 家族、領民のためならば、この命捨てる覚悟は出来ている。 その強い思いが実を結んだのか? 将又粘り強く交渉したお陰か? アルバートは漸くの事でヴェルガモン伯爵への面会が叶ったのである。 138 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 14 18 * 「ヴェルガモン卿、この度は私めのような一介の男爵家の老骨にお目通りをさせて頂き、真にありがとう御座います」 客間にて深々と頭を下げるアルバート。見事なまでのお辞儀である。 馬鹿でプライドだけは人一倍高い次男の息子、現当主には決して出来ないであろうと思われる。 アルバートとて決してプライドの低い人間ではなかったが、自らに非がある場合は例え相手が平民であろうと頭を下げることが出来る常識の持ち主。 まして相手はあのヴェルガモン伯爵であり、自家の当主が非礼を働いたリーライナ・ヴェルガモン伯爵令嬢の父親なのだ。 人の親(孫だが)として頭を下げるのは当然である。 「卿こそ遠路遙々よく参られた。で、早速だが用件をお聞かせ願おうか?」 応じてくれたヴェルガモン伯爵は素っ気ない感じであったが、彼とて時間が無い中会っているのだから仕方がない。 ヴェルガモン家ほどの貴族となれば抱えている領民は数十万の規模に登るであろう。下手をすれば100万の大台に手が届く可能性もあり得る。 それだけの人間の生活がヴェルガモン伯爵の一挙手一投足には掛かっている。 格上のシュタットフェルト家やソレイシィ家と肩を並べているのは伊達ではないのだ。 「は、では……」 長々と伯爵の時間を頂いて話続ければ、多くの人々に迷惑を掛けることになる。 それも、自家のような弱小貴族の当主の無礼な振る舞いのせいで。 だからこそアルバートも単刀直入に言う事にした。言葉だけではなく行動で示しながら。 「この度はッ…! この度は当家当主によります御息女リーライナ様へのご無礼の数々ッ! 真にッ 真に申し訳御座いませんッッ!! 本来ならば不敬を働いた当主フランク・ロズベルトが謝罪に訪れなければならないのですがッ フランクは未だ召喚命令を無視して日本に留まっておりッ、自らが御息女リーライナ様へ不敬を働いた事も存じ上げないのですッ! 故にッ! 故に不肖の当主になり代わっての謝罪となりますがッ! 平にッ……平に御容赦の程をッ!」 「……」 その場で蹲るように平伏しながら必死に謝罪するアルバート。ブリタニアには日本の文化が広く伝わっているからこそ、彼の行動はヴェルガモン伯爵にも当然ながら理解できた。 土下座。 プライドの高い貴族が行うにはあまりに卑屈なその行動を行うという事は、それだけ今回の不祥事に対する反省の深さを物語っている。 貴族が土下座をするというのは、それだけ重い意味を持っているのだ。 家名を持ち出している以上は個人が行うのではなく、ロズベルト一族としてヴェルガモン伯爵家に謝罪をしているという意味。 ロズベルト家は一族揃ってヴェルガモン家に非礼を働きましたと認めた上での謝罪である。 目の前にいる老人の白い頭を見下ろす格好となっていた伯爵は暫しの沈黙の後、静かに口を開いた。 「…………話は耳にしている。卿の家の当主が日本の地で娘へ不敬を働いたというのは」 日本と言えばブリタニアの駐日総領事アッシュフォード公爵のお膝元である。 その他にも、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア皇子殿下やナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下、ユーフェミア・リ・ブリタニア皇女殿下といった皇族のお歴々が幾人も滞在している。 そういった諸事情から、如何に日本が異国の地とはいえ、ブリタニア国内にいるのと変わらないくらい、その振る舞いには注意しなければならない地だ。 そんな地で上位の貴族に働いた男爵の無礼な振る舞いがブリタニア本国に伝わらないはずがなかった。 当然ながら、リーライナへの非礼は伯爵の耳に入っていたし、何れこうして謝罪に訪れる事は予期していた。 「当家当主の非礼は総て我が身の不徳の致すところで御座いますッ! 故にどのような罰も受ける覚悟は出来ておりますッ! ですがッ、ですが私と現当主以外の親類にはどうか寛大なる慈悲を持って――」 アルバートは心の底から叫ぶ。 ヴェルガモン伯の気分次第ではロズベルトの親類縁者総てに責めが及んでしまうのだから。 馬鹿な当主、認めたくはないが次男の息子で血縁上は孫である当代の行いとはそれほどの大事なのである。 しかし。 「顔をあげてくれないかロズベルト卿」 139 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 15 07 「は…? い、いえ、しかしッ、」 「構わんよ。私としてはリーライナが気にしていない以上、貴家に対して何も咎め立てするつもりはない」 言葉の通り、ヴェルガモン伯爵は最初からロズベルト男爵家への制裁措置など考えては居なかったのだ。 娘リーライナはもう立派な大人である。当家への直接的な非礼ではなく個々人のトラブルにまで伯爵家としての対応をするつもりはないし、親がしゃしゃり出るような年齢でもないのだからと。 これに対し、アルバートは依然として平伏したまま、ヴェルガモン伯の対応に礼を述べる。 「寛大なッ、寛大なご処置の程、深くッ、深く御礼申し上げます……ッッ!!」 アルバートはヴェルガモン伯爵の措置に心からの感謝の意を伝える。 男爵家による伯爵家への不敬行為。酷な話だが、これはブリタニアでは充分極刑が有り得るのだ。 裁量権を持つヴェルガモン伯爵が当主は処刑し、家は取りつぶすと処断すれば男爵家の誰にも文句は言えない。 そこを自身と当主の首を差し出すところで手打ちにしては貰えないかと願い出るつもりであったのに、等の伯爵がお咎め無しと言ってくれたのだから感謝してもし過ぎる事はなかった。 それと共に僅かばかりの安堵が訪れる。といって、これで終わりではないのだが……。 「しかし、聞いたところによれば貴家の当主、彼のモニカ・クルシェフスキー卿にまで不敬を働いていたそうだが……」 「ご、御存じであられましたか……」 「知っているも何も、少し前から社交界ではこの話で持ちきりだ。一介の男爵家当主が、西海岸の盟主であるクルシェフスキー侯爵家の次期当主殿を公衆の面前で罵倒したとな。 情報が入って来たときは流石に我が耳を疑ったよ。次いでどこからこんな偽情報が流れてきたのだと調べもした。普通に考えて有り得ない話であった故にな」 その有り得ないことをやってしまった不肖の身内をアルバートは恥じることしか出来ないで居る。 「侯爵家の人間と男爵家の人間では、余程の繋がりでもない限り生涯会えるような身分ではない。それを思えば知らなかったというのは確かにあるかも知れないことだ。 だが、その家名まで耳にして知らないというのは通用しないぞ」 確かにその通りである。クルシェフスキーという名を知らない、この時点で最早貴族として失格なのである。 ヴェルガモンの名も同じだ。知らないというのが通用しないほどの名家なのだから。 その両者を知らないという事がどれだけ恥ずべき事であり、常識を知らない事か……。 少なくとも、ロズベルト男爵家の当主は、知っていて当たり前のクルシェフスキー侯爵家とヴェルガモン伯爵家を知らない世間知らずの阿呆である。と広まってしまったのは、最早疑う余地もなかった。 「それも、モニカ・クルシェフスキー卿と言えばナイトオブトゥエルブの称号をお持ちの、私などから見ても遥かな雲上人だ。 敢えていわせて頂くが、あまりにも教育がなっていないうえ、軽率に過ぎるのではないのかな?」 そして問題はナイトオブトゥエルブという、ブリタニアの頂点に近い階位を頂く人物を知らないような者に当主が務まるのかという話にまで及ぶ。 「既に陛下やクルシェフスキー卿は此度のことを問題にはなされないと仰られているようだが、事はそう単純ではない。 例えナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー卿がお許しになられても、当家と同じくクルシェフスキー侯爵家と貴家への問題に波及していくのは必然だ。 言っておくが、クルシェフスキー侯爵家の影響力は当家とは比較にならないぞ」 「返すお言葉も御座いません……まさにヴェルガモン卿の仰せになられます通りです……。お恥ずかしい限りで御座いますが、当家の事情により貴族としての最低限の教育もできぬまま、現当主を今の地位に就かせた私の責任です……」 現当主フランクのあまりの常識の無さを指摘されたアルバートは、唯々我が身を恥じるばかりであった。 140 :勘違いした田舎者 裏側:2013/08/28(水) 00 16 00 * そして話も終わり、もう一度深く頭を下げたアルバートはヴェルガモン伯爵の屋敷を後にする。 しかし、その際、ヴェルガモン家の執事やメイドの敵意に満ちた視線に晒され、間を取り次いでくれた家臣の子爵位を持つ貴族の言葉に改めて思い知らされた。 『ロズベルト卿、貴公には一つだけ忠告しておく。例え旦那様やリーライナ様がお許しになられたからといって、我々ヴェルガモン家に仕える貴族や領民は此度のリーライナ様への無礼の数々を許したわけではない』 ヴェルガモン家はクルシェフスキー家と並び傘下の貴族や領民の忠誠心が厚い。 シュタットフェルト、ソレイシィ、アッシュフォード、ハイランド、ヴァインベルグ、名家・大貴族は皆そうだが、主君を支える傘下貴族の忠誠心と団結力が強いのだ。 帰り道でもヴェルガモン領の領民からの目は冷たい物だった。 伯爵とリーライナ嬢には許された。 だが、まだヴェルガモンの地に許されたわけではない。 その事実に一瞬緩みそうになっていた気を引き締め直したアルバートは、より強大な、国その物といってもいい大貴族、クルシェフスキー侯爵領へと向けて旅立つ。 まだ侯爵家より、目通りを請う自身に対する色よい返事を貰えてはいなかったが、それでも向かわなければならない。 『モニカ様がお許しになられても我らが許す理由にはならない』 この厳しい現実と戦う為に。 ロズベルトの親族と領民、そして自家の汚名返上の為にも、彼には息つく暇など無いのだから。 141 :休日:2013/08/28(水) 00 19 11 まさか男爵のSSでこういうお話しを書くとは思いませんでした。 いつも感想を頂けまして、ありがとうございます。 大変励みになっております。
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東北大学SF研究会 読書部会 『火星のタイム・スリップ』 フィリップ・K・ディック 著者紹介 1928年アメリカ合衆国シカゴ生まれ。 代表作は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、『流れよわが涙、と警官は言った』、『高い城の男』など。 二卵性双生児として生まれたが、双子の妹ジェーン・シャーロットは生後40日後に死亡した。このことが、ディックの作品、人間関係、人生観に大きな影響を与えた。その後、一家はサンフランシスコに移るが、父親の単身赴任を理由に両親は離婚。離婚後は母親と各地を転々とし、バークレーの高校に進学。同級生にはアーシュラ・K・ル=グィンがいたが、互いを知らなかったという。(世の中とんでもない偶然があるものだ) 高校卒業後はカリフォルニア大学バークレー校に進学、ドイツ語を専攻していたが予備役将校訓練課程(当時大学生は参加が義務付けられていた)を嫌がり中退。レコード店で働きながら純文学を書くが全く売れず、生活のために書いていたSF方面で才能を見出され、作家デビューした。 ディックの作品の主題は「現実の脆さ」「アイデンティティの危機」であり、平凡な日常が虚構であることに気付き、現実が崩壊していくとともに、自分が何者であるかわからなくなっていくという悪夢的な感覚(ディック感覚)が特徴である。また、ディックは創作をドラッグ、特にアンフェタミンに頼っており、この『火星のタイム・スリップ』も例外ではない。自身が薬物を常用していることから、薬物濫用や精神疾患について扱う作品も多く、ディックの作品の重要な要素を成している。 主要登場人物 ジャック・ボーレン 火星で一番の腕をもつ修理工で、妻と息子の三人暮らしをしている。当初は会社勤めであったが、アーニーにその腕を買われ水利労組お抱えの技術者に転職。地球にいた時精神分裂症にかかり、逃げ出すように火星にやってきた。分裂症の再発におびえながら暮らしている。 アーニー・コット 水利労働者組合第四惑星支部長で、ルネサンス初期の僭主に身内贔屓の要素を足した、わがままな男。マンフレッドの、未来予知能力・事実改変能力に目を付け、土地投機で一攫千金を狙った。 マンフレッド・スタイナー 密貿易人ノ―バート・スタイナーの長男で、自閉症であるために一般社会から隔離されたベン・ガリオン・キャンプに預けられていた。ノ―バートの死後、アーニーに「雇われ」、アーニーの計画に参加することとなった。 作中用語解説 自閉症 マンフレッドが生まれつき抱える精神病。この作品では、自閉症は「自分の体感時間が非常に遅いことで、外部の時間の進みを非常に早く感じてしまう」精神疾患であるとされている。これによって、自閉症患者は外部の遥か未来を常に目にしながら暮らしているのである。また自分に関わるものの遥か未来、すなわち自分が死んだ姿や、いま目にしているものがすべて老朽化して崩れ落ちた姿などを常に見てしまっているため、未来に希望が持てず、自分の殻に閉じこもってしまう。 分裂症(妄想症様緊張病興奮) ジャックの抱える精神病。ジャックは地球で当時働いていた企業の人事部長に呼び出された際、症状を自覚した。ジャックは機械でないものが全て機械であるかのように錯覚してしまうという症状である。ジャック本人曰く、完治したとのことであるが、周りの人物のいうところでは完治しないものとされている。 ブリークマン 火星の原住民で、人類が初めて火星に進出した際は初めての地球外知的生命体ということで大変もてはやされた。かつては火星中に運河を掘りめぐらすことが出来るような文明をもっていた。今となってはわずかな手道具を持ち、家族単位で水場を求めて火星の砂漠を歩き回るだけとなっており、人間より劣った種族として一部の人間からは「クロ」と呼ばれ軽蔑されているようである。しかし人類はまだ火星に完全に適用しているわけではなく、坑道の奥深くのような人類の立ち入れない環境で肉体労働に従事することもある。また、人類と共通の祖先をもつのではないかという説もあるらしい。 医学用語解説 自閉症 実世界における自閉症は、1943年にアメリカで最初の症例が報告された。医学的には「自閉症」という診断名は存在せず、「広汎性発達障害」の中に「自閉性障害」という診断名がある。イギリスのウィング(医師、自閉症研究者、自閉症児の母)の示した代表的な特徴は以下のとおりである。 第一に、社会性の障害であること。いわゆる「空気」が読めなかったり、「常識」が分からなかったりすることが多く、人に合わせて行動したり、集団で行動したりすることが苦手である。また、基本的に他人に対して興味関心をもたない傾向にあり、他人と視線を合わせることを嫌う。 第二に、コミュニケーションの障害である。話し言葉の発達が遅く、幼少時は「オウム返し」がみられることがある。言葉を字義通り解釈するため、比喩や冗談が分からないことが多い。 第三に、見えないものを推測する力である想像力の障害である。目の前にないものを想像することが苦手で、先の見通しが立てられず、見通しがつかない状況での不安が強い傾向にある。また、一つの物事に対する執着が強く、ある特定の方面に特異な才能を見せることもある。[1] 精神分裂症(統合失調症) 精神分裂症は古い言い方で、日本では2002年から統合失調症と診断名が変わった。症状は複雑で、人によって出現する症状が異なる。一般的には、感情や思考が上手くまとまらなくなったり、外部とのかかわりなどの障害が現れたりする。 具体的な症状としては、集中力がなくなったり、妄想や幻覚にさいなまれたりするほか、感情が平坦になったり、何かをする気力がなくなったりすることがある。[2] 作中で分裂症と自閉症が似たものとして言及されているが、現代においても自閉症・統合失調の識別は難しく、ディックがこの作品を書いた1964年当時は今よりも研究が進んでいないために、混同されていた可能性がある。 あらすじ 水不足の火星植民地で絶大な権力をもつアーニー・コットは、ある日、広大な不毛の山岳地帯一帯を何者かが超高額で買い上げる計画を耳にした。この情報をもとに一攫千金を狙うが、土地は既に地球の投機家、レオ・ボーレンに買い占められた後であった。 一方火星一番の腕利き修理工ジャック・ボーレンは、修理先への移動中にブリークマンが砂漠で遭難しているとの通報を受け、救助に向かったところでアーニーと出会った。その場でアーニーの感情を逆なでする言動を行い、アーニーに目をつけられてしまう。 土地を先取りされてしまったアーニーは、自閉症児マンフレッド・スタイナーのもつ未来予知能力・現実改変能力に目をつけ、これを使ってレオよりも先に土地を取得することを目指す。また、現状では意思疎通の望めないマンフレッドとコミュニケーションをとる機械を作成するため、ジャックを雇い入れる。 アーニーはマンフレッドと共に、ブリークマンの聖地である〈汚れた瘤〉を目指す。聖地での儀式の後、アーニーは念願のタイムスリップを果たすが、タイムスリップした先はマンフレッドの自閉症によって歪んだ虚構の過去であった。 アーニーは虚構の世界から目を覚ましたが、自身に強い恨みを持っている密貿易人オットー・ジットに銃撃され、現実を認めきれないまま「幸福のうちに」死亡した。マンフレッドは、一連の事件の後、一緒にいて居心地のいいブリークマンを仲間として、彼らと共に厳しい火星の砂漠へと旅立っていった。ジャックは帰宅後、ダブル不倫状態となっていた妻と和解し、分裂症の恐怖も克服し、レオも交えて一家団欒の時を迎えていた。 そのとき、突然隣のスタイナー家に悲鳴が上がった。スタイナー家に入ると、そこには大勢のブリークマンと、未来からやってきた、変わり果てた姿のマンフレッドがいた。彼は感謝を伝えにやってきたのであった。 所感 初めて読んだ際、「火星」「タイムスリップ」とありふれた要素からよくここまで独創性のある作品が出来上がったものだと、非常に驚いた。精神病を一種の超能力のように扱い、自身の薬物体験などをふんだんに散りばめ、作中の視点が頻繁に入り乱れるこの小説はディック以外に真似できない芸当であると感じた。 物語は主にジャック、マンフレッド、アーニーの三人を中心に描かれており、三人とも結末はハッピーエンドとなっている。ジャックは分裂症を克服し、幸福な家庭生活を取り戻した。マンフレッドは、母親の胎内にいた記憶に固執し閉じこもっていたが、安心できる仲間を見つけ、仲間と共に厳しい火星の砂漠で立派に生き抜いた。アーニーは、自分の思い通りになる世界の内に自分はいると信じながら死んだ。ディック作品の中では、爽やかに読み終わることの出来る傑作である。 この作品は、ディックの持ち味である「現実の崩壊」と、話の筋の通り具合が丁度いい塩梅でバランスを保っており、ディックを読み始めるには最適な作品だと思う。 参考文献 [1]シードブック教育心理学 本郷和夫・八木成和 建帛社 [2]ブリタニカ国際百科事典10 下村
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395: 弥次郎 :2021/01/20(水) 23 31 45 HOST p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 憂鬱SRW 融合惑星編SS「Battle of Mali」2 融合惑星 ε世界 アフリカ大陸 マリ戦線 ネクスト2機による奇襲が始まってから10分も経つ頃には、空の模様もだいぶ変わりつつあった。 日企連のハイエンドノーマル主体の航空部隊が性能差と数、そして全体的な練度と疲労度合いの差が明確に表れたのだ。 数としては拮抗しているだろうが、それらの差によってブリタニア側は一転して攻勢を必死に受け止めなければならなかった。 ここでブリタニア側の航空戦力の要ともいえるサザーランド・ジークⅡから構成されるKGF部隊とアマツミカボシの操るノース・セブンスの戦闘は激しさを増していた。 低空域で虎鶫からの支援砲撃や狙撃から逃れているKGF部隊であったが、その機動力と爆発的な攻撃力で翻弄するノース・セブンスには苦戦を強いられていた。 本来、KGFの武器はその搭載火力と巨体に見合わぬ瞬発力、そして防御力である。だが、いずれもがアマツミカボシの既知を超えるには至らない。 連続射出される巨大なスラッシュハーケンはメイスや蹴りなどで容易くあしらわれるか回避され、弾幕として展開されるミサイルはQBの連発で明後日の方に行くばかり。 ならばと航空KMFの射撃が襲い掛かるが、それらは適当に撃った方が当たるのではないかと期待できるレベルで当たらない。 というか、だ。狙いがそもそも定められない。まともに機影の補足さえできないのだ。 畜生、見えないぞ! この、畜生が……! 敵はどこだ!どこにいる! 奴だけにかまうな、他にも敵はいるぞ! そう、ノースセブンスも脅威であるが、同時にハイエンドノーマル部隊もまた脅威であった。 ノースセブンスが注目を稼いで、回避楯となることで、敵の動きが拘束されているのだ。そしてそれは傍から見ればいい的なのである。 よって、虎鶫も合わせた集団はまさしく暴風となって前線をかき回していった。 そして、ネクストは何も2機しかいないわけではない。地上部隊の後退の支援のため、地上にもネクストが展開したのだ。 重量二脚型ネクスト「ファリア」。機動性をある程度下げつつも、積載量や防御力を高めたそれが躍り出たのだ。 二連装ガトリングガンとバズーカを手に、そして背部にグレネードランチャーを2つという重火力アセン。 さらには燃費の良いKPビームライフルを搭載したイクシード・オービットを展開するという大盤振る舞い。 大地に展開するKMFらを相手に一人で大量の弾幕の嵐を展開して突っ込んでいった。 『フハハハハハ、どうした、その程度か!』 その火力を解き放って通り過ぎるだけでブリタニア軍の兵力を、まさしく破竹の勢いで蹴散らしていく「ファリア」。 低空域での攻撃は容赦なく降り注ぎ、ブリタニアの兵力は端から消し飛んでいく。抵抗しようとする者もいるが、軽くあしらわれるにとどまる。 そして、ファリアが切り開いた道をこれまたハイエンドノーマル部隊が押し広げていく。きわめて単純な火力と物量の展開による押し上げ。 単純かつ分かりやすく、エラーの挟まる余地がないゆえに、多少のことでは対抗できない戦術であった。 殿を務めているというのに、むしろ押し上げているというのは異常と言っていいかもしれないが。 ともあれ、そんな強力無比な味方の稼いだ時間を無駄にすることになく、ISAFは迅速な戦力再編に移った。 兵士一人一人でさえも分かっているのだ、流れが変わり、こちらが追い風になるのだ、と。 だから、彼らは披露する身体を鼓舞して動き続ける。必ず、巻き返してやるのだと。そのためにも、と自然と体が動く。 396: 弥次郎 :2021/01/20(水) 23 33 43 HOST p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 「ぬ?」 だが、ふいにネクストの中に納まるモンテ・クリストは空白を感じ取る。 せわしのない戦場の中に生じる、不自然なまでの空白、あるいは間隙。 そして、同時に走る悪寒。さらに、猛スピードでこちらに飛来する巨大な塊を拡張された五感が感知した。 ドォォォォン! 果たして、それは正しかった。 展開していたファリアらをまとめて吹き飛ばさんと、後方に控えていたG1ベースなどの陸上艦艇による砲撃。 撤退しきれていない友軍を巻き込むことも是としてまで撃ち込まれた砲撃は、命じられるままに大地を焼き尽くした。 それは一回きりではなく、複数回にわたって全力で打ち込まれる。ブリタニア側も、押し込まれた分だけ態勢の立て直しに時間が必要だったのだ。 そして、それは多少の友軍誤射の可能性に目をつむってでも稼ぐべき時間。よって、艦砲射撃が実行に移された。 そして、十回以上の斉射が行われたのちに、砲撃は一度停止した。 これでどうだ、と。あれほどの猛威を振るった機動兵器とて、倒せないはずはないのだと。 だが、爆炎の向こう側で動きがあった。 『ふ、やってくれる……!』 PAを展開しながら飛び出すのはファリア。砲撃の嵐の中でも、そのPAと重装甲はダメージを見事に受け止め切っていた。 そも、ネクストはその性質上防御も極めて固い。それこそ、素の装甲のみでも核兵器のような戦略兵器の影響さえしのぐほどに。 ましてプライマルアーマーやその他の防御機構で身を固めているネクストにとっては、この程度の艦砲射撃など怖くはない。 そして、一段性能が劣るハイエンドノーマルたちにしても、多少のダメージこそあれども、戦闘続行に問題はなかった。 『お返しだ』 そして、艦砲射撃であることを理解したモンテ・クリストは砲撃を受け止めている間に後方の部隊に武装の射出を要求していた。 前線のネクストに火器を提供するシステムであり航空機V.S.Cによって迅速に運ばれてきたのは、ネクストの全長を軽く超える対艦レールガンだ。それも二丁。 すでに砲撃を受けている間に砲弾の軌道と角度、そして爆音に交じる射撃音の方向から位置は特定している。 ならば、あとはお返しをくれてやるのみである。 『吹っ飛べ』 手持ち武器をパージしてレールガンを両脇に抱え、狙いを定める。相手の陸上戦艦もだいぶ慌てているのがわかる。 だが、躊躇などしてやる必要はない。ここは戦場。撃ったり撃たれたり、殺したり殺されたりする場所なのだ。 そういう意味では、ここはある種公平で平等な世界なんだと、柄にもなくモンテ・クリストは思考する。 だが、それもコンマ数秒にもならない刹那の間。次の瞬間には、レールガンが咆哮した。 一発、二発、三発……立て続けの砲撃は、安全なはずの後方に控える戦艦たちに多いな衝撃を与えた。 そして、ある程度打ち込んだところで、モンテ・クリストは砲撃の手を止める。 何も弾切れ等になったわけではない。まだまだ弾倉には余裕があるほどだ。 ではなぜか?その答えは、後方から前進してきた二機のネクストにある。 『有澤重工、雷電だ。ここから先は受け持たせてもらう』 『同じく有澤重工、桜子。推してまいります』 「あとは任せよう」 火力と装甲がネクストの形を持ったような、そんなガチタン二機の出場。それは、この戦場がいよいよを以て掃討戦に移行したことを示す証だった。 神聖ブリタニア帝国軍 マリ戦線司令部 「くそ、前線が打撃を受けすぎた…!」 「司令官、G1ベース部隊が後退の許可を求めています!」 「まだ下げるな、砲撃を続行させろ!ここで撃ち負けるわけにはいかない!」 前線司令部は怒号と指示と、無線で連絡を取り、歩き回る人間で埋め尽くされていた。 忙しなく飛び交う声と、モニターの表示が切り替わる音と、さらには人の動く音。それらが混じりあうカオスは、正しく一つの戦場ともいえた。 最前までは物量を投じ、集中的な突破をかけることで敵の厄介な機動兵器を押しとどめ、戦局を優位に進めていたことは確かだった。 だが、それはたやすく捻じ曲げられ、ひっくり返された。KGF部隊に甚大な被害が出ており、地上部隊は強力な砲撃と狙撃に苦しめられた。 それもたった数機の機動兵器に、だ。奇襲効果や新手ということもあって対応が遅れたことももちろんある。 それでも尋常ではないペースでこちらの戦力が大きく削られてしまい、大打撃を受けた。 397: 弥次郎 :2021/01/20(水) 23 35 21 HOST p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp すでに予備戦力も投じて必死に止血を図っているのだが、それも間に合っているとはいいがたい。 敵は戦力を再編して改めて投じつつあり、それは明らかにブリタニア側の数こそ超えてはいないが、明らかに勢いで上回っていた。 さらにISAFの足止めを行っていた部隊が軒並みやられたことで、ISAFが息を吹き返し、攻勢に転じ始めていたのだ。 そして、司令官の望みは、この戦場における最高戦力の動向へと託された。もし仮に成功しているならば、まだ希望はある筈。 「ナイトオブワンの部隊からの連絡は…!?」 「……途絶したままです!交戦にはいってからこちらに通信する余裕が無いとも思われますが…!」 オペレーターの悲痛なその言葉に、沈黙の帳が降りる。 敵前線司令部への攻撃へと送り出された部隊が、通信途絶。それの意味は自明だ。 その場にいた人間の多くが、それを信じたくはなかっただろうし、事実オペレーターたちは必死に呼びかけを続けていた。 ラウンズのいる戦場に敗北はなく、ナイトオブワンのいる戦場に敗北は許されない。 ブリタニアにおけるラウンズとは強大な国家の中でも指折りの中の指折り、上澄みの中のさらに上澄みの騎士のみが名を連ねることができる実力者集団だ。 それこそ、ただ一人でも戦局を大きく変えてしまうような、多少の戦略的不利を覆せるような、そんな化け物揃いということ。 故にラウンズのいる戦場においては負けはない、とブリタニアは豪語するのである。 そして、ブリタニア最強の騎士が就くナイトオブワンとその部隊というのは、ブリタニア側が有する戦力でも最精鋭。 比喩でも何でもなく最強がその座に就くという、とてつもない競争率を誇っている職であるのだ。まさに騎士の中の騎士。 ブリタニア皇帝の最も傍に侍ることを許される絶大な信頼を誇る騎士。すべての騎士たちの頂点に立つ騎士。 同時にその動向や作戦の成否、あるいは---その死は、あまりにもブリタニアという軍、そして国家に対して影響力がありすぎた。 ナイトオブワンが屈するとは、ほとんどイコールでブリタニアの武威が屈するということである。 だからこそ、ナイトオブワンの出場した戦場においてブリタニアの敗北は『許されない』のである。 一度、悪逆皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのナイトオブゼロである枢木スザクに破れ、しかし奇跡的に生還したナイトオブワン、ビスマルク。 かろうじて生きていた彼を、殆どサイボーグ化するかのような治療の果てに再び戦場へと戻したのも、それだけ戦局が切羽詰まっていたことである。 また、同時にブリタニアという軍、国家を支えるための精神的な主柱を欲していたことが原動力として存在していたことを表す。 だが、それが仮に再び折れてしまったら---もはや、彼等の内面を支えることは極めて困難であった。 「まだだ……まだ、終わってなどいない」 司令官は、何とか絞り出すように言い放った。 まだ負けたわけではない。まだ手が打てるはず。簡単に負けるなど、ブリタニアの恥だ。考え、指示を出し、動く。それが務めだ。 「上空より、巨大な航空機…なんだこれは、要塞か!?巨大な反応あり!メインモニターに映像回します!」 だが、それを打ち砕くように、さらなる一手が放たれた。 それは、全てを覆い尽くすように、空から現れた。 大きく、雄大で、どうしようもないほどに絶望。 「なんだ、あれは……!?」 「空が、空が落ちてきた…!」 誰かが呆然とつぶやいたその言葉は、比喩でも何でもない。文字通り天蓋のごときモノが、この戦場に飛来したのだ。 398: 弥次郎 :2021/01/20(水) 23 36 41 HOST p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 『残念だが、ブリタニアは時間切れのようだな』 機動狙撃戦を一時的に緩めて、カメラとレーダーに映る巨大な鳥を眺めた虎鶫はひとりごちた。 無数という言葉を通り越した数の火砲を放ち、さらに艦載機を次々と展開していく超巨大な航空機。 否、航空プラットフォーム型AFであり、企業連が連合へのPRも兼ねて今回の戦場に投入した無人AF『アーセナルバード』。それがついに戦場へと展開したのだ。 アマツミカボシと自分、そしてハイエンドノーマル部隊によって楔を穿たれたブリタニア側の制空権は、完全にこちらに傾いたと言ってよい。 アーセナルバードに致命傷を与えうるKGFの数は減らされている上に戦闘が継続したことで消耗しており、ここからさらに戦闘をするのは無茶が過ぎる。 加えて、地上の方もアマツミカボシが空で暴れている間にだいぶ様変わりしている。切り込み役であるファリアが戦場を一度リセット。 そのあとに轟天および雷電が投入されて、ブリタニアの地上部隊を軒並み吹き飛ばしたのだ。 ガチタンという言葉がこれほどまでに似合う二機のタンク型ネクストが、その随伴機と共に火力を全面投射すれば、地形ごと消し飛ぶのが必然。 このままの勢いで機動戦力が突破をしかければ、もはや止める術を持たない。彼等にできることは、前衛部隊が持ちこたえている間に何とか撤収を図ることだけであった。 『虎鶫さん?桜子ですー』 「桜子ちゃんか。そっちの様子は?」 『順調そのものですね!ISAFも戦力の再編と補給が終わったので、攻勢に出ていますよ! このままブリタニア側を包囲殲滅するだけですねぇ』 「もうそこまで一気に持ち込んだか。なろう乙とか言われそうだな…」 『なろうで流行する前からハンニバルだとかソ連だとかが実行してますけどね』 いや、その撤収さえも、ISAFと共に展開、前進、包囲を行う日企連部隊の勢いに飲み込まれつつあった。 なまじ最前線でネクストとKGF部隊が拮抗してしまったがために、ブリタニア側はその前線の維持に拘泥してしまい、逆に身動きをとれなくなっていたのだ。 その拘泥こそ、これまでのブリタニアのドクトリン的には正しいことであり、しかし、連合のドクトリンからは包囲してくださいと言っているような判断ミスであった。 快速の地上部隊はもうブリタニア側の側面を捉えて攻撃を加えており、上空にはがっちりとアーセナルバードの蓋がなされている状況。 さほど時間をおかずにブリタニア側は後方への浸透を赦すことになり、逃げきれなくなるだろう。あとはもう、前衛部隊が潰されていくことなのだろう。 確かに前線維持というのは重要な要素だ。押し込まれれば侵攻側であるブリタニアにとって元も子もない状況であるから。 だが、常に前進を続けられるとは限らないのだ。時に進路を変え、時に迂回や逆走も選んで柔軟に動くべきだった。 しかしながら、ブリタニア側にその余裕がなかった。彼らは知らず知らずのうちに焦りを覚えていたのだ。マリ戦線を早期に片付け、不利を避けて戦わねばと。 その焦りこそが、敗北を生み、ひいては戦略の破綻まで招いてしまうことを知らず知らずのうちに無視して。 「ともあれ、そちらは社長と桜子ちゃんに任せた。こっちはこっちで援護する」 『了解です!』 通信が終われば、またスコープの中へと没入していく。 既に機動しながらの狙撃は必要が無く、長距離狙撃に集中できる。 前線では、タンクが咆哮している。いや、タンクという形をした暴虐だ。アーマードコア・ネクストという怪物が暴れているのだ。 (いや、違うな) これは山猫の戯れだ。本来ならば人を守るための山猫が、その力をほんの気まぐれに敵対する人間へと向けただけの事。 この戦いは、本来の戦いからほんの少しだけ外れた、幕間のような戦いであり、長い長い国家戦略のほんの一部でしかないのだ。 前世でも似たような戦いはしていたと自負はしているが、ここまでの規模の規模は早々になかった。というか、二回のリンクス戦争でねじ伏せたのだからそれも当然か。 (まったく、新鮮だな) そう思いながらも、虎鶫はスコープ越しに戦場を俯瞰し、狙撃を続ける。 自分から見てももはや流れが決定づけられつつある戦場だが、もう少し、自分が絡んでも良いだろう。 山猫の狙撃手は、戦場の終息を加速させるように、攻撃を続けて行った。 399: 弥次郎 :2021/01/20(水) 23 37 35 HOST p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 以上、wiki転載はご自由に。 割と以前投下したネタから修正をしました。 やり直したいところがいくつもありましたしねぇ… 400: 弥次郎 :2021/01/20(水) 23 43 16 HOST p1537109-ipngn14201hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 修正 398 ×前世でも似たような戦いはしていたと自負はしているが、ここまでの規模となると初めてといっていい。 〇前世でも似たような戦いはしていたと自負はしているが、ここまでの規模の規模は早々になかった。というか、二回のリンクス戦争でねじ伏せたのだからそれも当然か。 転載時には差し替えをお願いいたします。
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ルル山 ゼロ山基本ポーズ集腕をクロスさせる 「合衆国ニッポン!」 「特区ニッポンへ参加せよ!」 CC(シーツー) ババア ダールトン ニーサン オデュ兄さん うまゆき 千葉さん 朝比奈 たまきん ジョージ 扇 ヌゥさん 木村貴宏 監督 グリリバ NINJA モニカ ルル山 lelouch.jpg ブリタニアの植民地・日本に住む、ブリタニア人の少年。 その正体は若本皇帝から追放された王子。第11皇子・第17皇位継承者。 ゼロとなり黒の騎士団を操ってブリタニアを相手に知略で戦う。しかしイレギュラーが発生すると、とたんに弱くなってしまう。 童貞。 ゼロ山基本ポーズ集 pose1.jpg 腕をクロスさせる とりあえずキーボードを打つときは腕クロス。四天王の中の小物っぽい雰囲気を漂わせるポーズ。 pose2.jpg 「合衆国ニッポン!」 マントを跳ね上げ、両手を高く上げると共に腰を振る。なめらかな腰使いがポイント。 pose3.gif 「特区ニッポンへ参加せよ!」 両腕をからませながら引いていき、右手でキメ。メカ(弟)の腕に乗りながらやると、さらに効果的。 CC(シーツー) cc.jpg ルルーシュにギアスの力を与えた、謎の女。 しかしナレーションでは頑なに「謎の少女」と言い張る。 好きなものはピザ。 かつてのパートナーだったマオには甘やかしまくっていたが、本当の性格はガチサドだったらしい。 おかーさんと呼ばれるのはDS版のゲームのネタから(?) ババア cornelia.jpg みんな大好きコーネリア総督。 近接格闘に特化したナイトメア・グロースターを操り、戦場を駆ける。 グラストンナイツと称する配下には、なぜかイケメンが多い。 ババア属性ということで元から二次裏での人気は高かったが、妹ユフィを可愛がっているシーンにより、さらに爆発。 ガウェイン戦で負傷した後は、ギアス教団を探るために裏で動き回っていた。 再登場時はメイクを落とし、可愛さが頂点に達する。ババア結婚してくれ!! ダールトン darlton.jpg ババアの部下。 決して悪いキャラではなかったが、第1期ラストでうんこをもらし、ハドロン砲であぼーん。 ニーサン schnizele.jpg ブリタニア第2皇子。 物腰は柔らかだが、頭も切れる油断ならない男。 「」の黒歴史ノートをあやつり、世界制服をたくらむ。 オデュ兄さん oddu.jpg ブリタニア第1皇子。 競争の激しいブリタニア皇族において、ただ一人いかにも無害そうな男。 中華連邦の天子さまとの政略結婚は阻止されてしまったが、本人はあまり気にしていない様子。 弱キャラに見えて実はかなりの強キャラ。 好きなものは日本食。 うまゆき umayuki.jpg ミラクル藤堂の配下、四聖剣のひとり。 ジジイ(仙波)・メガネ(朝比奈)・女子(千葉)という他の3キャラの中でこれといったキャラもない、最も地味な男。 そもそも四聖剣って言われるほどお前強いのかよ!?と問いたくなるほどの微妙さだったが、 第1期のラストでは敵の補給部隊を押さえ、地味ながらも戦いに貢献する。 第2期ではその微妙な存在感により、逮捕から免れる。 黒の騎士団の生き残りとしてCCやわんこと共に戦い、ルル山と合流。 立ちふさがる新型ナイトメアの前に、ルル山を逃がすために自決を図った。 好物はセミやトンボなどの昆虫。そんなの食うなよ、うまゆき…。 ちなみに前期でさんざんスレ立て画像に使われたこの表情は、ランスロットのスラッシュハーケンを食らった時の顔らしい。 千葉さん chiba.jpg 同じく四聖剣のひとり。 古くは日本解放戦線から参加し、藤堂さんと結婚するためだけにここまでついてきた、ある意味すごい人。 戦闘力はパッとせず、やられ要員としてもエロ要員としても中途半端。 朝比奈 asahina.jpg 同じく四聖剣のひとり。 メガネ男子という穏健派っぽい外見とは裏腹に、大胆不敵なセリフを吐く強者。 常に相手を挑発し、死亡フラグっぽいセリフを口にしていないと生きられない体質らしい。 第二次トウキョウ決戦の重要な局面において、ゼロに対する不服をだらだらとしゃべり続け 藤堂を混乱におとしいれた戦犯。 しかし戦闘不能になってボディスーツがおっぱいのように膨らんだときは、誰もが「…ある!」と叫んだという。 たまきん tamakin.jpg レジスタンスの中で、最も初期からいる一人。CVはプラネテスでハチマキを演じた田中一成。 性格はガサツで、金遣いが荒い。 第1期ではゼロに対し懐疑的な態度だったが、処刑される寸前を助けてもらってからは忠実な駄犬と化す。 ラストでは喫茶店を経営し、なぜか中の人(田中一成)からも色紙を贈られている。 ジョージ diethard.jpg TV局のプロデューサー。 ブリタニア人でありながらゼロの思想に深く賛同し、黒の騎士団入りを志願する。 ゼロ大好きっ子ランキングではわんこに次いで2位。 ゼロには何か策があるものと思い込んでいて、とりあえずゼロの言動には何でも感心してしまう。 非戦闘員だが、戦場では意外にはしゃぎ回る。 扇 ohgi.jpg 黒の騎士団の母体となった、レジスタンスのリーダー。 頭がソース焼きそばみたいな男。 作戦中に記憶喪失となったヌゥさんを拾い、しばしの間エロゲーのような夫婦生活を送る。 そのうらやましさぶりに、二次裏住民は「扇死ね」コールが多発した。 終盤の「ゼロは引き渡す、その代わりに日本を返せ!」発言により扇株は暴落、その後最終決戦で戦艦を落とされ そのまま死ぬかと思われたが、なぜかトラックで逃走、ラストではちゃっかり日本国首相&ヌゥさんと結婚により 大ブーイングのままに幕を閉じた。扇死ね!今すぐ死ね!! ヌゥさん viretta.jpg 元はジェレミアの部下。ジェレミアのためにゼロの正体を探っていたが、ふとした事から記憶喪失になる。 その後扇(頭が焼きそばみたいなヤツ)に拾われ、ひと時の甘い新婚生活を送るものの、 イレブンの暴動に巻き込まれ、集団レイプ。記憶が戻ったヌゥさんの怒りの銃撃によって、扇は負傷した。 その後もなぜか学園の教師をやっていたり、ゼロと内通することになったりと、割とその場に流される性格らしい。 木村貴宏 kimtaka.jpg コードギアスのキャラクターデザイナー・メインアニメーターを務める。 第2期のオープニングで初の顔出し。 やっぱりロボットだったらしい。 監督 kantoku.jpg 第1期のオープニングでかなり早い段階から顔を見せた、キョウト六家の当主。 初期は名前がわからなかったので、テロップから監督と呼ばれる。 初登場の時点で好感度が最大になっている、最も攻略しやすいキャラ。おまけにかないボイス。 かないボイスでエロゲー、いい時代になったものだ。 後半からは他ヒロインを蹴落とすような姑キャラ的な言動が目立つようになる。 グリリバ gri-riva.jpg 中華連邦、天子さまの側近。 元は罪人だったが、天子さまによってその命を救われる。 アニメではルルーシュの頭脳+スザクの身体能力を持つ強キャラという設定。 一定時間天子さまから離れていると吐血する病気(ロリコン病)にかかっている。 NINJA 3453.jpg ルルーシュ家に仕えるメイド。しかしその正体はNINJAだった。 後半から突如NINJAスーツに着替え大暴れ、ナナリー救出作戦に参加する。 途中でフレイヤ弾頭を撃ち込まれるも、なんとか帰ってきた。 ジャングルで遭難し、生水を飲んで以来腹の調子がよくないらしい。 モニカ monica.jpg ナイトオブラウンズの一人で、女性。 いかんせん物語後半で出てきたラウンズなので、テンさんやワンさんを見ての通りにぞんざいに扱われたキャラだったが、 本編でもやっぱり何一つ良い所なく瞬殺される。 しかしjunのギアスコラスレでは人気が高く、ひょっとこあきと呼ばれるコラ師がよほど気に入っているのか、 ぶっかけコラが大量に作られていた。 ▲