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【名前】 塾のブラックボードの電脳 【読み方】 じゅくのぶらっくぼーどのでんのう 【分類】 電脳 【場所】 デンサンタウン・学習塾 【登場作品】 『1』 【詳細】 デンサンタウンにある大園まりこの双子の妹、「大園ゆりこ」が塾講師を務める学習塾にあるブラックボードの電脳世界。 何故か元WWWのプログラムが更生して働いており、後の伏線となっている。 ウイルスはバドラフトとポイットン3rdが出現。シナリオ通りに進んできたプレイヤーではそこそこ厳しい敵となっている。 この電脳世界にはバスターUPが置かれている。
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登録日:2014/12/26 Fri 10 55 35 更新日:2021/10/18 Mon 17 08 05 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 カードファイト!!ヴァンガード グレード0 スペリオルシークメイト ディメンジョンポリス バトロイド ファーストヴァンガード ロマン砲 ヴァンガードユニット 先駆 双闘 合体 鋼闘機 鋼闘機 ブラックボーイ フィールドの同胞達よ! 今、鋼の戦士を呼ぶ時がきた! 鋼の戦士よ、同胞の願いに応え、ここに来たれ! スペリオルシークメイト! 並び立て!大地を照らす光りの如き、2体の鋼の戦士! 双闘(レギオン)! 鋼闘機(メタルボーグ) ブラックボーイ タイプ ノーマルユニット グレード 0 スキルアイコン ブースト クラン ディメンジョンポリス 種族 バトロイド パワー 5000 シールド 10000 【自】:先駆(同じクランのユニットにライドされた時、(R)にコールできる) 【起】【(R)】:[【カウンターブラスト】(2),あなたのカード名に「鋼闘機」を含むリアガードを4枚選び、ソウルに置く] あなたの山札からあなたの(V)にいるグレード2のユニットと【双闘】できるカードを1枚まで探し、【スタンド】でライドし、その山札をシャッフルし、あなたのソウルからあなたのヴァンガードと【双闘】できるユニットを1枚選び、【双闘】する。 カードファイト!!ヴァンガードのユニットの1枚。 「竜剣双闘」で登場したグレード0のディメンジョンポリス。 起動能力により、(V)に何らかのカードのシークメイト先となっているグレード2のユニットがいれば、山札からそのシークメイト元を探してスペリオルライドした上でソウルからそのユニットのシークメイト先を探して双闘できる。 この能力による双闘はシークメイトのように相手のグレード3以上のヴァンガードやドロップゾーンのカード4枚のどちらも必要なく、通常はゲーム開始からの6ターン目でようやく行える双闘を最速なら3ターン目で達成することができるのである。 コストが重いのが大きな弱点なんだけどね さらにこの能力で双闘状態となったレギオンリーダーのシークメイトは未使用の状態、つまり、1度だけドロップゾーンからトリガーユニットを最大4枚まで山札に加えること可能・・・2014年9月29日のルール変更されるまでは。「探索者 シングセイバー・ドラゴン」の弱体化と「星輝兵 ブラスター・ジョーカー」の強化の巻き添えである。 そしてこの能力でシークメイト先が(V)にいてシークメイト元がソウルに置かれていれば、ソウルからシークメイト元を探して双闘することもできた。・・・2014年12月24日に裁定変更されるまでは。この裁定を応用することで超越したGユニットをレギオンメイトにすることもできたが、公式はこれを許さなかった。 真の鋼闘機(メタルボーグ)は、日常形態(ノーマルフォーム)でも強いんだ! そう、このカードは巻き添えや新システム追加の影響によるルールや裁定の変更により、自身の能力を応用したコンボをことごとく潰され、その度に弱体化させられているのである。 ほぼ通常の使い方しかできなくさせられたとはいえ、最速の3ターン目で使えば4ターン分をすっ飛ばしながら、相手のヴァンガードがグレード1のユニットの状態からでも双闘したヴァンガードを立てられ、「鋼闘機 シンバスター」であればドロー能力である程度消費を取り戻せるのでまだまだ現役である。 【ユニット設定】 忍者の風体をした別次元の戦士。 《鋼闘機》は主に戦闘形態(バトルフォーム)と日常形態(ノーマルフォーム)、この二つの姿を使い分ける。 特に日常形態は千差万別で、彼のようにサイズごと変わる者、重機に擬態する者などがいる。 この姿でも戦える彼の戦闘形態、その実力や、如何に。 追記・修正はスペリオルシークメイトを行いながら行ってください。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 元々の裁定がアレだったので、弱体化というよりは本来の姿に戻ったという印象 -- 名無しさん (2014-12-26 14 32 56) 名前 コメント
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メデューサ(Medusa) / メデュサリス・アマケリン(Medusalith Amaquelin) (キャラクター、マーベル) 初登場:Fantastic Four #36 (1965年3月) 種族:インヒューマンズ(inhumans) 概要 インヒューマンズの王ブラックボルトの妻、すなわちインヒューマンの女王。 気高い女王であるが、反面高飛車なところがある。 普段はブラックボルトが声を出せない(声に破壊力がある)ため、その意志を伝える役目を負う。 ブラックボルトの力があまりにすごいため、隔離されていたときに世話をしていたのがメデューサで、手話を覚えて意思疎通をはかった(時々、ブラックボルトの考えを間違ってとっていたが、ブラックボルトはそれを修正しなかった)。 最初はファンタスティック・フォーの敵として登場。記憶を失っていたところを操られたとされた。 能力 赤く長い髪の毛を自在に操る。髪の毛はかなりの力があり、人間を持ち上げたり、締め付けたりできる。切れた髪の毛も自在に操れる。 インヒューマンズの強力な身体能力 アメコミ@wiki
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No.1~151 No.151~251 No.251~386 No.387~493 ブラック ホワイト 版 ライボルト 基本情報 名前 ライボルト 進化 前進化ラクライlv26で進化|次進化なし タイプ でんき とくせい せいでんきまたはひらいしん ぶんぷ DPt HS BW 種族値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 経験値 ライボルト 70 75 60 105 60 105 168 技 Lv 技 1 ほのおのキバ,たいあたり,でんじは,にらみつける,とおぼえ 4 でんじは 9 にらみつける 12 とおぼえ 17 でんこうせっか 20 スパーク 25 かぎわける 30 かみつく 37 かみなりのキバ 42 ほえる 49 ほうでん 54 じゅうでん 61 かみなり ポケモン ブラック ホワイト ハートゴールド ソウルシルバー プラチナ 図鑑 By ポケモン ブラック ホワイト 攻略wiki
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第5章「BLACK BOX Startup(ブラックボックスの秘密)」 「おいメイヴ! 返事をしろ、聴こえてるのか。ふざけてる場合じゃないんダぞ!」 続けて声をかけるが、依然として反応はない。 顔を上げてメイヴの方を見ると、メイヴの目や体が発光している。データのやり取りを示す文字の表示はさらに速度を増し、もはや目で追うのが困難になってきた。 メイヴのこんな様子を見るのは初めてだ。シャトルの解析の時はこうはならなかった。 霧の装置からの放出はさらに激しくなり、ゲンダーたちはすでに赤と青の光球に囲まれている。唯一の出口は防壁で塞がれてしまい、破壊を試みるもゲンダーの力ではかなわなかった。 メイヴはゲンダーの声に応える様子はなく、なおもアクセスを続けている。そのとき光がこちらに突進してきた。 「グメェェェーーーッ!」 やられる。そう思った瞬間、グメーシスが飛び出してきて、周りの霧ごと光球を消滅させた。 「あ、危なかった。グメーシス、おまえに助けられるとはな…。そうダ! おまえならあの防壁も消滅させられるんじゃないか? やってくれ、グメーシス!」 「グメメぇーっ!」 一方そのころ、この建物の最上階にある一室では一人の男がモニタ画面を前に唸り声を上げていた。 「急に電力が復旧したと思ったら、こんどは何だ!? それにこの手の早さ、僕に追いついてくるとは只者じゃない」 霧の装置は精神体の精製において欠かせないものだ。いわばこの施設の心臓部。一体どこから誰がどうやって、ここへ侵入したのかはわからない。が、電力が勝手に復旧したとき「もしや」と思った。そしてその勘は間違っていなかった。 発電室は心臓部のすぐ隣にあるのだ。外部の者があれに触れるのを許してはならない。 「誰も僕の研究の邪魔はさせない。僕の研究は誰にも渡さない! たとえ誰だろうと、大統領だろうと…!」 男は人間業とは思えない速度でコードを入力すると、これがトドメだと言わんばかりに力強くキーを叩いた。 「これで終わりだ。大統領の差し金め!」 グメーシスが体当たりすると、予想通り強固な防壁も簡単に穴が空いてしまった。 「やったぞ、グメーシス! よし、あとはオレやメイヴも通れるように穴を大きくしてくれ」 思わずガッツポーズをとるゲンダー。しかしその背後で電気が弾けるような不吉な音が響いた。 見るとメイヴから火花が飛び出し、煙が噴き出している。 それに霧も濃くなってきた。再び敵に包囲されるのは時間の問題だ。 ゲンダーは直感した。これはまずい。難しいことはわからないが、非常にまずい。 「くッ、ここままじゃメイヴが……。仕方ない、許せよメイヴ!」 右腕を大きく振りかぶって、メイヴの側頭部に45度の角度で思い切り叩きつけた。 調子のおかしくなった機械を手っ取り早く直すにはコレに限る。 激しい音がしてメイヴの体が横倒しになった。少々へこんでしまったが、気にしている場合ではない。 『システムに異常を確認。強制終了します。セルフチェックの後、再起動を行います。しばらくお待ちください』 そのメッセージを最後に開いていた遠隔モニタが次々と閉じられ、ついにはメイヴ本体の光も消えた。 「や、やりすぎたか? まあいい、これで暴走は止まったはずダ。さてと、この繋がってるコードはどうすりゃいいんダ? 急に抜いても大丈夫なのか」 しかしいくら引いてもびくともしない。これを外さないことにはメイヴを連れて脱出することもできない。 「ダメか。いっそ切ってしまうか。それとも…」 唸りを上げる霧の装置に目を向ける。 これがやばい霧を作り出すものだ、ということ以外にどういったものなのか、ゲンダーは理解していない。だがそれ以上の興味もなかった。 これを壊せば霧が溢れ出して危ないことになるとメイヴは言っていたが、危ないことにならもうなっている。ならば何も悩むことなんてなかった。 「こいつを片付けてしまえば……これでも食らえ!」 霧の装置に向かって汁千本を放つ。しかし、装置はびくともしない。 「こいつにも効果ナシかよ。さすがに自信がなくなってくるなぁ…。ダったら、グメーシス。やれ!」 「グメっ!」 短く鳴いて答えると、グメーシスは装置の中央に向かって突進、小さな風穴を開けた。 するとたちまち穴からはすごい勢いで霧が溢れ出してくる。グメーシスは突っ込んだきり、まだ出てこない。 「お、おい。グメー……?」 【出力超過。内圧上昇中。臨界値を突破しました。爆発の危険があります。直ちに停止してください】 「げッ!?」 耳障りな警報と共に、不吉な情報を告げられる。そして今度は霧の発生装置のほうが悲鳴を上げだした。 溢れ出す霧は止まりそうにもない。密度が濃くなり真っ黒になった霧は、すぐにでも部屋を漆黒に塗り潰してしまいそうな様子。考えている時間もなければ手段を選んでいる暇もない。もう暗闇はこりごりだ。 「ええい、もうどうにでもなれ!」 グメーシスの開けた風穴に向かって、渾身の汁千本をぶちこむ。 一瞬の静寂の後に、轟音とともに部屋が大きく振動し始めた。閃光がチラついたかと思えば、次の瞬間には霧の装置は爆発して弾け飛んでいた。 装置の部屋から伸びる一本道の通路の半ばでゲンダーは目を覚ました。爆風で吹き飛ばされてほんの一瞬ほど意識が飛んでいたらしいが、幸いとくに目立った被害はなさそうだ。隣にはメイヴの筒のような体も転がっている。 「無事か。しかしグメーは…?」 装置の部屋に目を向ける。 室内に充満する霧に引火して、爆発が爆発を呼び、連鎖する爆発が通路に炎を吹き上げる。 「まずい!」 グメーの心配はあとだ。 迫る炎の壁を背中に感じながら、メイヴを転がして通路の先へと駆け出した。 この通路を抜けて発電室に入り、すぐ左手のほうにエレベータがあったはずだ。直線状にあれば楽だったのだが、なんとかして左に曲がらなくてはならない。 しかしメイヴの重い胴体を起こしたり持ち上げたりするほどのパワーはゲンダーにはなかった。となれば、転がしたまま曲がらなければならない。 今メイヴは頭を左側に向けて横たわった状態で転がっている。 筒状のものが転がる場合、左右両端の円周の長さが同じなら真っ直ぐに転がるが、それが同じでない場合、円周の短いほうが接地面に対して円が一周するのに必要な距離が短くなるため、円周の短いほうに曲がっていくことになる。 つまり左に曲がりたければ左の円を小さくすればいいのだ。 「やむを得ないか。度々すまん、メイヴ」 ゲンダーはメイヴの頭に汁千本を放った。その衝撃で、メイヴの頭が少しひしゃげた。 そのままメイヴは弧を描いてエレベータの入口へとカーブする。 「ビンゴ! あとは……邪魔ダ!」 エレベータの扉を汁千本で破壊。勢いよくその中へと飛び込んだ。 間髪いれず目に付いた上階のボタンを押す。上ならまずはどこだっていい。 内扉が閉じ、エレベータが上昇を始める。しばらくして、下のほうから大きな爆発音が聞こえてそのまま静かになった。どうやら難は逃れたようだ。 男は悔しそうに歯噛みしながら机に拳を思い切り叩きつけた。 「くそう!! なんてことをしてくれたんだ。まさか大統領め、あれを破壊してくるとは思わなかった。この研究所の設備が狙いじゃなかったのか。もしかして、すでに同様の設備が用意できている? 必要なカードは揃っているということか。ではなぜ……」 思案を巡らせある結論に至ったとき、男はぎょっとして蒼ざめた。 「まさか……僕の命を狙ってのことか。精神兵器のことで僕が黙っていないと知っていて、邪魔になるから手を打とうと、そういうことなのか?」 はっ、として周囲を見回す。 室内には彼以外には誰もいない。誰の気配もない。 しかし男は見えない何かに怯えるような素振りを見せて後ずさった。 「ひ、卑劣な男だとは思っていたが、まさかそこまで! 全てを掌握しておきながら、その上で僕を消すことで完全に精神体の研究を我が物にしようというのか! 許せない。やはりそれが貴様の本性か、ルートヴィッヒめ!」 男は震える手を机の上の受話器に伸ばして電話をかけ始めた。 第一声は受話器の向こう側が先に発した。 「ほう。君のほうから連絡してくるとは、珍しいこともあったものだな。一体何の用だね、ガイスト君」 ガイストと呼ばれた男は、怒気を孕ませながら叫んだ。 「何の用とはご挨拶だな、大統領。私が何も知らないとでも思ったか? もう我慢の限界だ! 絶対に研究は渡さない」 「落ち着きたまえ、ガイスト君。何をそんなに興奮しているのかわからないが、一体君は何の話をしているのだね」 「とぼけても無駄だ。あなたが以前から私の精神体の技術を秘密裏に兵器転用していることはわかっているんだ。うちの優秀なスタッフが突き止めてくれたよ。そう、あなたが追い出したうちのスタッフがね!」 「……あれは経費削減のためだ。マキナとの戦争で我が国の経済状況は……君も理解しているだろう」 「ええ、もちろん。まさか段階的にはいえ、9割近くも部下を奪われるとは、まったく大層な状況ですね。私に研究をさせないつもりか? そしてその奪った部下を使って新たに兵器を開発しているそうじゃないですか。馬鹿にするのもいい加減にしろ!」 「…………精神体技術を我が軍で活用させてもらっていることは否定しない。だが転用とは酷い言われようだな。君だって精神兵器を開発していたではないかね。ほら、あのG-ナントカというやつだ。それに君は我が国からの資金提供を受けて研究をしているんだぞ。その成果を国に還元してもらうのは当然のことだと思うがね」 「あれはあくまで自己防衛のためだ。他国に攻め込むためのものじゃない。そして私が言っているのは、そういうことじゃない。大統領、あなたが私の研究そのものを奪おうとしていることはもうわかっているんだ」 「だから君は一体何を…」 「私が邪魔なんだろう? だから消そうとしたのか。もうあなたを信用することなどできない」 「何の……事だ?」 「あなたが刺客を送り込んだことはわかっている」 大統領は答えない。 重い静寂が続いた。 しばらくしてから、低い声で大統領は言った。 「君が言いたいことは以上かね。あれだな、君は……あの男とよく似ているよ」 「どういう意味だ」 「残念だよ、ガイスト君。そんな『妄執』に囚われるとはね。君を精神体研究主任から外させてもらう。もう話すことは何もない。もう会うこともないだろう。さらばだ」 そう言い捨てると、アドルフ・ルートヴィッヒ大統領は深いため息とともに静かに受話器を置いた。 その一部始終を見ていた側近の黒服の男は尋ねた。 「アドルフ様。まさか例の件、勘付かれたのでは」 「いや刺客は送り込んではいない。今はまだ、な」 「では、奴はなぜ…」 「わからん。だがそろそろ限界のようだな。フリードリヒ、ガイストの処遇は任せたぞ」 「はっ、お任せを」 フリードリヒと呼ばれた側近の男は畏まって敬礼すると、すぐに大統領室を後にした。 一人になったのを確認すると、アドルフはデスクの引き出しから透明の袋に入った小さな黒い石の欠片を取り出して、苦々しい表情でそれを眺めながら呟いた。 「おのれガイストめ。貴様まで私に逆らうか。優秀な科学者をまた一人失うのはなんとも惜しい……。それもこれも、ヘイヴ! おまえさえ私を裏切らなければ、こんなことにはなっていなかったのだ…」 悔しそうに黒石片を握り締めたあと、落ち着きを取り戻したアドルフは、誰に対して取り繕うでもなく一人咳払いをすると、石の欠片を置いて代わりに再び受話器に手を伸ばした。 「ああ、私だが。急ぎの用事ができた。すぐに車を手配してくれ。行き先は道中説明する」 エレベータ内で一息つくとメイヴの目に光が灯った。 『セルフチェックを終了しました。システムを再起動します』 システムメッセージの後に続いてメイヴの言葉が並ぶ。 『おはようございます。どうやらシステムがダウンしてしまったようですね。状況を教えてください』 「何が起こったのか、こっちも聞きたいんダが……」 メイヴが暴走をしてからここまでのことを説明した。メイヴを殴り倒したことは黙っておこう。 『なるほど。ご迷惑をおかけしました』 「オレもこれまで何度もメイヴに助けられたからな。お互い様ダ」 それにヘイヴとの約束もある。必ずメイヴをマキナまで無事に連れて行く。ヘイヴと別れたときにそう心に誓ったのだ。それが彼からの最後の頼みなのだから。 『先程のセルフチェックの結果、何者かによるハッキングが原因でブラックボックスの封印の一部が解除されたようです。それによってオーバーロードが引き起こされました。今回の暴走はそれが原因でしょう』 「確かにあの時のメイヴの様子は普通じゃなかったな。ところでブラックボックスというのは?」 『私の中の封印された未知の領域で、ヘイヴが研究を重ねていたものです。彼の助手をしていたのに何も聞いていないんですか?』 「極秘の研究ダと言っていた。情報が漏れることを危惧してか、オレにも詳しいことは教えてくれなかった」 『そうですか。私のデータベースには知ってのとおり、ヘイヴの研究成果の全てが収められています。それ以外にもあらゆる物事の情報や、おそらくヘイヴが読んだことのある様々な書物の内容などもデータ化されて記録されているのですが、それら雑多のデータとヘイヴの研究成果はそれぞれデータベース内の異なった領域に保存されています。物理的にもそれらは別個のパーツとして分かれていて、ヘイヴの研究データを保存した領域を特にブラックボックスと呼んでいます。もう一方の領域には私が自由にアクセスして情報を引き出したり、逆に新たに得た情報を書き込んだりすることもできますが、ブラックボックスには私でも自由にアクセスできるわけではなく、何重にもセキュリティロックがかけられています。そしてそれを私が解除することは、プログラム上できないように設定されています』 「まるで他人事みたいに言ってくれるもんダな」 『そういうわけですからブラックボックス内にどんなデータが入っているのか、私も詳しくは知りません。ですが、今回の暴走によってその一部を解読することができました。次のとおりです』 メイヴは遠隔モニタに解読できた情報を表示させた。 研究ノート#1302 『彼の言うとおりだった。あれは人類には早すぎる代物だ。私にはとても制御できず、結果として彼に取り返しのつかないことをしてしまった。彼に合わせる顔がない。黒石は封印するべきだろう。私の研究もここまでだ』 研究ノート#1303 『大統領に相談したところ、研究の中止は認められないとのことだ。以前の私も同じ気持ちだったが、今改めて私は黒石の危険性を知った。痛いほどに味わってしまった。誰が何と言おうとこれは封印する。そうあるべきだ』 研究ノート#1304 『私は大樹大陸を去ることに決めた。スヴェンに何も言わずに行くのは心苦しいが、あれを隠し通すためには仕方がない。大統領に相談を持ちかけるべきではなかった。研究上の事故として秘密裏に処分するべきだったのだ』 研究ノート#1305 『極東の人の住まない島の山奥に新たな研究所を構えた。建築を学んだことはないが、大掛かりな機械だと思えばやってできないことはないな。親友から教わった技術が役立った。今日からここが私の新しい拠点だ』 研究ノート#1306~#1386 ※何かの計算式や図案などが書き込まれているが、一部後から意図的に消された形跡が見られる 研究ノート#1387 『ようやく黒石を封印するための装置が完成した。これをメイヴと名付ける。次は研究データを保存する装置だ。しかし、既存の媒体ではいくらセキュリティを強固にしようとも、人が作ったものはいずれ必ず人の手で解読されてしまう。どうしたものか』 研究ノート#1388 『過去の黒石研究が今になって役立つとは皮肉なものだ。黒石はエネルギーを放出するだけでなく吸収することもできる。ならばデータを量子化して装置に送り込み、エネルギーとして変換して黒石に送り込むことで黒石研究の成果を黒石そのものに保管することが可能かもしれない。そうなれば結果として、黒石自体を護れば全てを護れるので合理的といえるだろう』 研究ノート#1389~#1438 ※計算式、図案、設計図など 研究ノート#1439 『非常に重大な見落としをしていた。ヴェルスタンドは精神研究に秀でている。ということは、いくら巧妙に研究データを隠したところで私の記憶を盗まれれば終わりだ。この問題を解決するにはどうしたものか。最終手段は容易に思いつくが、別の方法があるならそうしたい。だが念のため、私に代わってメイヴを護ってくれる機械を設計しておく』 研究ノート#1439~1452 ※計算式、図案、設計図。開発コード:Gendar 研究ノート#1453 『もう時間がない。結局最後の手段を用いるしかなくなった。おそらくもう、ここに記録を残すこともないだろう』 研究ノート#1454 『後をゲンダーに託す』 「これは…」 ゲンダーは複雑そうな表情で遠隔モニタに表示された情報に目を通した。 『ヘイヴの日記のようです。おや、ゲンダーの設計図もありますよ。これなら、いつぶっ壊れても直してあげられますね』 「すまん。今はちょっとおまえの冗談につきあうような気分じゃない」 『気分、と来ましたか。まあいいです、続けましょう。他にもいくつかファイルが見つかりましたが、展開するために専用のデバイスが必要になるようです。おそらくはヘイヴ独自の規格でしょう。今の時点で参照できる情報は以上になります』 まとめると、どうやらヘイヴは黒石というものを研究していたが、何らかの理由でそれを封印することになった。 そのために作られたのがメイヴで、研究データの保存媒体そのものが黒石でもあるというのだ。つまり、内側から順に研究データ、黒石、メイヴの三重構造だ。そしてさらにそのメイヴを護るための要素がゲンダーである。 ここまでしてヘイヴは研究を隠そうとした。彼の選んだ最終手段が何であるかは言うまでもない。 一体ここまでして護ろうとする研究とは何なのか。ヘイヴが研究していた黒石とは一体何なのか。 『後をゲンダーに託す』 その一文がゲンダーの心に深く突き刺さった。 (ヘイヴ。オレは最後まで信じてるからな。研究していたのが何ダろうが関係ない。オレは託されたんダ。それなら、その務めをしっかり果たしてみせる。それがオレの忠義ダ) 「切られたか…」 もう繋がっていない電話の受話器を耳に当てた姿勢のまま、ガイストはしばらく考え込んでいた。 あの男の本性はよく知っている。噂には聞いていた。これまでも自分の意にそぐわない者を次々と排除してきたのだと。 彼は決して証拠は残さない。しかし、大統領に反発した者は誰であれ、必ず行方不明になった。 「そうさ、誰もかも……かつては僕の尊敬する師匠さえも消された。そして、次は僕が消える番ってわけか」 さあ、一体どんな手段で来る。地下の装置を破壊した刺客が背後から襲いかかってくるか。それとも正面から軍隊をけしかけてくるか。それとも事故か何かを装ってこのドームにミサイルを放つかもしれない。 だがそう易々とやられるつもりはない。いつかこんな日が来るだろうと、かねてより用意していたものがある。 最初はドームの移転を考えていたが、莫大な費用がかかるので断念した。 次に光学迷彩の技術の応用でドームそのものを隠してみた。外部には防衛措置としてG-レティスとG-ブロウティスを配備した。これを維持するには膨大な電力が必要になるため、街全体の電力を落とす他なかった。 もともとここで暮らしていたのは研究者とその家族だけだ。皮肉にも大統領の策略のせいで、このドームの住人はほとんどいなくなっていたので、もはや電気が止まって困る者もほとんどいない。 ヴェルスタンドのヒュフテ地区にはかなりの数の研究施設がある。極秘の研究を行う施設も少なくないため、その所在地は地図には記されていない。ドームを隠すことで時間を稼いで、大統領に対抗するつもりだった。 それにもかかわらず今日。ついにこのドームの所在を見つけて侵入してくる存在をセンサーが検知した。 だからプランBだ。 6番ゲートで異常を感知したときに「ついに来たか」と思った。数少ない残りのスタッフたちはすでに避難させた。 あえてこちらから連絡することで、大統領には自分がまだこのドームに……ヴェルスタンド国内にいるという印象を植え付けた。 事前準備はこれでいい。 「あとはアレを使ってここから脱出するだけだ。さあガイスト、もう後戻りはできないぞ。気を引き締めていけ」 部屋を後にすると、もう誰もいないはずの最上階の通路を真っ直ぐエレベータへと進む。 窓の外には薄暗い灰色の街並みが見える。何者かの手によってこの建物の電力は復旧されたが、街の電力は依然として止まったまま。誰もいない街にはお似合いの静寂の色だ。 「たとえ合成映像だとわかっていても、ここから見える景色はいい眺めだった。灰色に染まってはそれも台無しだな」 そんな景色もこれで見納めだ。ここに戻ってくることも、もうおそらくはないだろう。 研究者としての地位も剥奪された。しかし、研究者の資格がなくても研究自体は行える。 この研究所の地下の隠し部屋に脱出ルートを確保してある。今はまず逃げて身を隠すことだ。具体的な対策はそれから練ろう。 あとは刺客に見つからずにここを出るだけだ。念のために護身用のスタンガンを持っている。 相手は何人だろうか。レティスとブロウティスを配備していたから、ある程度は撃退できたはずだと願いたい。それに地下の装置の部屋は狭いから、そう大勢が侵入できたはずはない。 通路を抜けてエレベータの前にたどり着いた。 「自分の身ぐらいは自分で護れるさ…」 周囲を警戒しながら、壁を背にエレベータのボタンを押す。 そこの角から誰か飛び出してくるのではないか。あるいは窓を割って飛び込んでくるか。 あらゆる襲撃を想定しながらエレベータの到着を待つ。 やがて電子音がエレベータの到着を知らせた。 「よし」 扉が開く音を背中で確認しながら、なおも周囲への警戒を緩めず一歩後退してエレベータに踏み入る。今のところ、人の気配は感じない。大丈夫だ、問題ない。 そのまま振り返って一階のボタンを押して扉を閉じる。そして脱出。あとはそれだけのはずだった。 振り返ったガイストはそれと目が合って驚いたが、先に叫び声をあげたのは相手のほうだった。 「なんダ、おまえは!?」 第5章 了 ブラックボックス6
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第11章「Maquina(機械都市マキナ)」 大樹大陸の北東に突き出た半島、そこに位置するは機械都市マキナ。 都市であり、工場であり、そして国でもある。ひとつの都市によってのみ構成される国だ。 北東の半島は大部分が荒野であり、岩やサボテンがある以外には何もないため、マキナの都市の大きさはずいぶん目立つ。 エネルギーを使い果たして動かなくなったメイヴを押して荒野を進んでいたガイストとゲンダー、そして後に続くグメーシスの前方には、ずっとその大きな影が見えていた。それは当然ながら近づくにつれてさらに大きさを増していき、間近まで来るとそれがどんなに巨大な建造物であるのかがよくわかる。 大樹ほどではないが、目の前まで来ると見上げても頂上が見えないほどの大きさ。金属の壁に覆われ、塔のような建物がいくつも伸びて、あちこちに動脈のようにパイプが張り巡らされているそれは、都市というよりはまるで要塞のようである。 「これが機械都市マキナ!? なんというか、すげえな」 機械都市の門を前にして、ゲンダーは驚嘆の声を上げた。 「でもちょっと思ってたのと違うな。機械の国っていうから、車が空を飛び交ったり、ホログラムモニタがそこらじゅうに浮かんでて、もっと賑やかなところダと想像してた。ダけど、これじゃあまるで……」 門をくぐると、そこは寂れたスラム街のような様相。 トタンの壁はそこらで錆びたり穴が空いたりしており、張り巡らされたパイプからはあちこちで水やオイル、ガスなどが漏れている。足元には油で濁った水溜りがいくつもあって悪臭を放っている。 「まるで廃墟みたい、か?」 自嘲気味にガイストが言った。 「いや、そこまでは言ってないが……ガイストはここに詳しいのか?」 「学生時代はマキナで学んだ。そのときの恩師がスヴェン先生だったんだ」 「なるほど、それで『先生』か」 「僕の専門は精神体だけど、先生からは機械について教わった。といっても、成績はぼちぼちだったけどな。まあ、そんなわけでマキナは僕にとっても思い出のある場所なんだ。昔はこうじゃなかったのに…」 「一体何があったんダ?」 「戦争さ」 数年前のことだ。 その当時まではヴェルスタンドとフィーティン王国の二国が戦争をしていた。 ヴェルスタンドはマキナを力でねじ伏せて併合しようとし、フィーティンはマキナの援助を受ける代わりに同国を護って応戦した。 どちらも戦力はほぼ互角で、押しては押し戻されの煮え切らない戦況が続いていた。 しかしあるときを境にフィーティンは次第に押され始める。 ヴェルスタンドは新たに精神体を用いた兵器を投入したのだ。 精神体兵器は圧倒的な強さを見せ、フィーティン軍は撤退を余儀なくされた。 その隙を突いて、ヴェルスタンド軍はいよいよマキナに侵攻。 マキナは優れた機械技術や兵器はあるが、それを使いこなせる兵士には乏しい。 ただただ防戦一方で、マキナは見る見るうちに国力を削がれていくことになった。 「辛うじてまだ攻め落とされてはいないが、もはや満身創痍。落ちる寸前だ」 「なんてこった。そういやさっきも言ってたけど、その精神体ってのは何ダ。そんなにヤバいものなのか」 「簡単に言えば、ヴェルスタンドで新たに開発された精神力を由来とするエネルギーで、形がなく目に見えない精神というものを扱いやすく、そして管理しやすいように固定化したものだ。また意志の力に反応してエネルギーを高める性質がある」 「それってつまり、強いと思い込めば思い込むほど強くなるエネルギーって感じか? そりゃたしかにヤバいな。そのせいでマキナもフィーティンも困ってるってわけか。まったく一体誰がそんなぶっそうなものを発明したんダか」 ガイストは表情を曇らせながら、申し訳なさそうに言った。 「……僕さ」 精神体の第一人者、ガイスト・ズロィドゥーフ。 ヴェルスタンドはかねてよりエネルギー問題にずっと頭を悩ませていた。 問題の解決のために様々な研究が行われたが、マキナでの留学を終えて一人前の研究者となったガイストもまた、エネルギー問題の解決のために研究を行った。 そして試行錯誤の末に生み出されたのが『精神体』である。 意志の力に反応してより強力になっていくこのエネルギーは、少ない量でも大きな力を得ることができる画期的で歴史的な大発見だった。この功績により、ガイストは稀代の天才としてヴェルスタンドにおいては一目置かれる存在となる。 そこに目をつけたのがヴェルスタンド大統領アドルフ・ルートヴィッヒだった。 ヘイヴの失踪により黒石の兵器転用の機会を失った大統領は、彼の追跡を続ける一方で精神体を新兵器として取り入れたのだ。 国の発展のためだと言われて精神体技術を提供したガイストだったが、まさかマキナを滅ぼすための兵器に使われるとまでは知らされておらず、結果として自分の発明した技術が、恩師の住む国を壊滅的な状況にまで追い込んでしまったことにひどく心を痛めていた。 「青春時代のほとんどはマキナで過ごした。だからここは僕にとって第二の故郷のようなものだ。それをよりによって自分が発明した精神体のせいで滅茶苦茶にしてしまうなんて……こんなのあんまりだ!」 「つらいな、それは…」 「だが事実だ。命令を下したのは大統領かもしれないが、マキナを苦しめたのは精神体だ。これは僕の責任だ」 「ガイスト……えっとその、オレなんて言ったらいいか…」 「君が気にすることじゃない。これは大樹大陸の、僕らの問題だ。それより今はメイヴをなんとかしよう。この先に先生の研究所がある。僕の腕前じゃ直してやれないが、先生なら助けてくれるはずだ」 ゲンダーたちはマキナの起伏のある道を進んでいく。 地面はところどころひび割れているし、くず鉄やガラクタがいくつも散らばっている。 廃車になった壊れた車の屋根に鉄板を敷いて橋にして、誰か住んでいるのかもわからないようなぼろぼろの建物の平らな屋根の上へと道は続き、さらにその先はガス管か何かのパイプが束になった足場を橋代わりにさらに隣の屋根へと進む。屋根の上には、あとから建てられたのであろう、しかし下とはまったく別の建物が不安定に存在している光景が行く先々に見える。 「これ本当に正しいルートを通ってるのか?」 「昔は違ったさ。でも今はこれがマキナの『道』だ。下層部分はスラム街になっている。古い建物の上に無理やり建てられた中層部分が市民街といったところかな。それから奥のほうに傾いたタワーが見えるだろう。あそこが上層部分、マキナの政府とも言える場所だ。この国の代表であり工場長でもある男があそこにいる」 「なるほど。それにしてもつぎはぎダらけの国ダな。地震でも来たらすぐに崩壊してしまいそうダ」 「その通りだ。あれを見てみろ」 ガイストが左手側を指差す。 ずいぶんと高い場所まで登ってきたので、マキナを囲う外壁の上から門の外の景色が見える。 海が見えた。いや、向こう側にヴェルスタンドの土地が見えるので湾か。 大樹大陸の北側は地図上で見ると、左から右上に向かって海岸線が延びていて、その一部がV字に欠けて湾になっている。その湾を挟んで飛び出た北東部分がここマキナのある半島だ。 「あの湾だけど、昔はあそこは海じゃなかった。そしてマキナは昔は半島じゃなかった」 「…………え? どういう意味なんダ」 「言葉通りの意味さ。あの湾は人の手によって作られたものなんだ。それもすごく最近ね」 ゲンダーは目を凝らしてガイストのいう人工湾を見つめてみた。すると、海中になにか角ばったものが沈んでいるのがわかった。それはこのマキナにある景色とよく似ているような気がした。 「さすが機械だけあって遠くてもよく見えるみたいだな。空から今のこのマキナの外壁の形を眺めると半円型をしているんだ。そして円を真っ二つに割る縦線の壁すぐ隣はもう海だ。もう察しがついてるみたいだが…」 「おい、まさか」 「……沈んだんだ。マキナの街は、半分ね」 ゲンダーは言葉がでなかった。 いくら戦争だからといって、相手国の土地を半分も海に沈めてしまうようなことがあるだろうか。 そもそも大陸の一部が海に沈んでしまうなんて、一体何をどうすればそんなことになるというのか。 「わかっただろう。精神体のエネルギーの強大さが。精神兵器の恐ろしさが」 ガイストはかつて街の半分だった海を遠い目で眺めた。 「僕が学んだ場所はあそこにあったんだ。今は海の底だがな。沈めてしまったんだ。僕のせいで…」 「どんな化け物なんダよ。そんなやつに勝ち目はあるのか」 「最大級の兵器だ。通称『鯰』、地震を起こす兵器らしい」 「ナマズ……名前ダけ聞くと弱っちそうなのに、なんとも恐ろしいやつダ」 「全部僕のせいだ。精神体なんてものを発見してしまったばっかりに……」 重苦しい空気のまま、さらにつぎはぎだらけの道を進んだ。 こんどは下り、再び下層部まで降りてきた。 先程ガイストが言っていた垂直の外壁のちょうど内側にあたる位置だ。 街の半分が海の藻屑になった後にこの外壁は新たに作り直されたのだが、その一部は開いていて海に面している。さながら小さな港のような雰囲気で、桟橋もあるし、なにやら翼のついた船のようなおかしな機械も泊まっている。 桟橋の近くには古びた建物があったが、ここは同じ下層部でもスラム街とは少し離れた位置にあって、その建物だけがぽつんとひとつ建っていてよく目立った。 「着いたぞ。ここが先生の研究所だ」 「やれやれダ。登ったり降りたり、メイヴを押しながらは大変ダったぞ。まずは一息つかせてくれ」 ゲンダーは建物へと駆け寄って、その扉を開けようとする。が、ガイストがそれを制止した。 「ああ、違う違う。そっちじゃない」 建物の裏手のほうへ向かうと、うまく陰に隠れるようにして地下への階段があった。その先には金属製の重厚な扉がある。 曰く先生は変わった人で、研究を他人に盗まれるのが心配でこんな地下に隠れるような場所に研究所を作ってしまったのだという。入口も厳重にロックされていて、彼が認めた人物しか中には入れてもらえなかったそうだ。 「しかし、どうやら秘密の入口もバレバレのようダ。誰かいるぞ」 階段を降りた先では、何者かが扉の前で壁についた機械を弄っているのが見えた。 後ろ姿で顔が見えないので、杖をついた白髪の老人のようだということぐらいしかわからない。 「いや、あの人は……」 心当たりがあったガイストは階段を駆け下りると、背中を見せている老人に声をかけた。 「先生! スヴェン先生! ご無沙汰しております」 老人は突然声をかけられて、警戒した様子で振り返ったが、声の主の正体を知ってすぐに安心した顔になった。 「おお、君はガイスト君じゃないか。久しぶりだな。こんなご時勢によくこっちへ渡ってこれたな」 「ご無事で何よりです。大変なことになってしまいましたね。実は…」 「うむ。積もる話もあるだろうが、それは後だ。今はこの扉をなんとかせんとな」 聞くと、どうやらつい先日もヴェルスタンドからの襲撃があって、そのときに『鯰』が起こした振動が原因でセキュリティ装置が故障してしまったのだそうだ。パスワードを入力するだけのシンプルな鍵だったが、故障したせいでパスワードがランダムなものに置き換わってしまい、スヴェン本人にも解錠できなくなってしまったのだという。 「なんとか解析しようとしてたんだが、予想以上に苦戦しててなぁ」 「パスワードか。メイヴが元気なら、簡単に解析してくれたんダろうけどな」 スヴェンの横に立って壁の装置を眺めるゲンダーを見て老人は言った。 「なんだね、この機械は? ガイスト君が作ったのか。おかしなデザインだな」 「まあ、その……あとでお話します。ゲンダー、なんとかできないか」 「やるダけやってみるけどずっと不調ダから自信はないなぁ。おい、じいさん。ちょっと下がっててくれ」 スヴェンを下がらせると、ゲンダーは一歩足を引いて右腕を扉へ向けて固定。狙いを定めて扉に汁千本を放った。 無数の一撃は扉にいくつもの筋を残したが、重厚な扉を吹き飛ばすには至らなかった。 「くそォ、使えねえなぁコレ。ちょっと改良が必要ダな。それじゃあ、奥の手ダ。グメー! よろしく頼む」 「グメっ!」 グメーシスが飛び出してきて「やっと出番か」と言わんばかりに一声鳴くと、重厚な扉を一瞬にして消し去ってしまった。 「すみません、先生。扉を壊してしまいましたが、非常事態ということでどうか大目に見てやってください」 「それは構わんが……こんどは何だ!? 見たこともない生き物だ。扉はどこへ消えたんだ? いつの間にか君は生物学者にでも鞍替えしていたのかね。いやはや、まったく不思議な生き物がいたもんだ」 「ああ、危ないですからどうかグメーシスには触れないで。それも後ほどお話しますから…」 驚きながら中に入っていくスヴェンに続いて、ガイストたちも研究所へ入る。 内部は『鯰』起こした地震によって物が散乱していたが、この地下室は造りがしっかりしているようで、それ以外には目立って大きな被害は見受けられず、施設の機能としては問題なく使えそうだった。 「この様子ならなんとかなりそうだな。それでは先生、実はお話したいことがたくさんありまして…」 ガイストはこれまでのことをスヴェンに説明した。 自分がヴェルスタンドへ戻ったあと、研究の末に精神体を発見したこと。 それが原因で『鯰』のような精神兵器が誕生してしまったこと。 精神体の使い方で大統領に反発して居場所を失ったこと。 その過程でゲンダーとメイヴに遭遇したこと。 そしてそれはヘイヴが発明したということ。 すべてを言い終えるまで、スヴェンは口を挟まずに黙って聞いていた。 「……というわけで、先生を頼ってここまでやってきたというわけです」 「なるほど。驚くことが多すぎて、何から考えればいいか悩むところだが……」 どうしようかと視線を迷わせているとゲンダーと目が合い、まずはそのことから話すことにスヴェンは決めた。 「ゲンダー君、といったかね」 「何ダ?」 「ヘイヴが君を作ったというのは本当か」 「ああ、間違いない。オレはヘイヴの頼みでスヴェンに会いに来たんダ。ガイストと会ったのは偶然ダ」 「ではヘイヴは今も無事なのか」 「無事と言えるかはわからないけど、死んではいない。でもちょっと……事情があって今は会えない」 「そうか…。いや、しかしずっと行方知れずだったんだ。ヴェルスタンドの大統領に追われてるようだったから、何かあったのではと心配していたんだが、そういうことなら良かった。会えないのは残念だがね。それでゲンダー君、ヘイヴの頼みで来たと言ってたが彼は何を……」 スヴェンが言いかけたそのとき、轟音とともに地下室を大きな揺れが襲った。 立っていられないほどの揺れに全員が思わず屈み込んだ。照明が明滅し、すでに床に散らばっていた物が音をたてて転がる。建物全体がミシミシとうなり、生き埋めにされるのではとも心配したが、やがて揺れはおさまりスヴェンたちはようやく息を落ち着かせることができた。 「けっこう大きかったぞ。グメー、おまえはいいな。宙に浮いてるから平気ダもんな」 「グメメぇ」 「不規則な揺れだった。地震にしては不自然だったような。先生、もしかしてこれが?」 「そうだ。『鯰』の仕業だよ。やつらめ、わしらがもうボロボロだと知ってて、わざとトドメを刺さずに置いているんだ。国のお偉方に圧力をかけているのさ。さっさと降伏して併合を認めろとな。こうやって不定期に地震を起こしては、文字通り揺さぶりをかけているというわけだ」 「生かさず殺さず、じわじわと恐怖を与えてくるのか。陰険なやつらダな」 「さすがに街の半分を海に沈めてしまったのはやりすぎたと思ったんだろう。大統領の目的はマキナをヴェルスタンドの一部にして、その土地も技術も自分のものにするためだからな」 お互いの無事を確認したところで、ゲンダーはメイヴを外に置いたままだったことを思い出した。 メイヴは大丈夫かと慌てて外に飛び出そうとすると、さっきの揺れでメイヴは階段を転がり落ちて、自分からこの研究所内に入ってきていたことに気がついた。 海に落ちていなかったことでひとまず安堵して、改めてメイヴは無事だろうかと心配した。 「ドームから脱出するときに、自分のエネルギーを全部使ってしまったみたいなんダ。電気で動いてるわけじゃないから、充電すれば直るってわけでもないし……スヴェンなら何かわかるかと思って来たんダが」 「ふむ。メイヴの動力はわかるかね?」 「すまんがわからない。オレがメイヴについて知ってるのは、ブラックボックスとかいうものを封印するためにメイヴがいるっていうことぐらいダ。ヘイヴはスヴェンに会えばわかるはずダと言い遺してたんダが…」 「ブラックボックス、か。ヘイヴがそう言ったということは、わしなら使い方を知っているということか」 「先生は飛行艇が専門でしたよね。ブラックボックスということはつまり?」 一般的に航空機にはブラックボックスと呼ばれる装置が搭載されている。そこにはフライトデータレコーダーとボイスレコーダーが含まれ、事故の際にそれを回収することで原因の調査を行うためのものだ。 「メイヴは飛ぶのかね」 「プロペラで滞空したことはあるけど、飛べそうにはないな」 「メイヴはしゃべるのかね」 「遠隔モニタを通じての筆談ダ。まあ、録音機能ぐらいは普通に持ってそうダけど」 「どうやらわしらが扱ってるブラックボックスとは違うものらしい。ゲンダー君、メイヴを開けてみても構わんか。まずは見てみないことにはわからん」 「それで直る見込みがあるならお願いしたい」 メイヴの胴体前面には遠隔モニタに似た小さな液晶モニタがある。スヴェンはそのモニタのカバーを工具を使って慣れた手つきで取り外し液晶板を持ち上げると、メイヴの内部構造の一部があらわになった。 基盤やコードに覆われるようにして、ハードディスクの役割をするホログローブの一種と、もうひとつ別の黒いものと、ふたつの球体がそこにあった。ホログローブのほうがメイヴの言っていたデータベースなのだろう。ということは、この漆黒球体こそがブラックボックスだ。 スヴェンはしばらく漆黒球体を眺めてから、手を伸ばしてそれに触れようとしたところで、はっと何かに気付いた様子で伸ばしかけた手を止めた。 そしてそのまま何をするでもなく、すぐに再び液晶板を戻して蓋をしてしまった。 「そうか。ヘイヴ……そういうことか」 思い当たる節があった様子で、スヴェンは目を閉じて感傷に浸っているようだった。 「何かわかったのか?」 「おそらく昔ヘイヴが熱心に研究していたものだろう。わしも少し関わっていてな。メイヴはこれを封印するための存在だと言ったな。気がついてくれたんだな、ヘイヴ。よしわかった、その意志はわしが継ごう。そのためにメイヴが必要なんだな…」 「で、直せるのか?」 「こいつの使い方はよく知ってる。そしてその危険性もな。すまんがおまえたち、少しの間だけ外に出ていてくれないか。万が一ということもある。怪我をさせてしまってはいかんからな」 と言って自分の右脚を軽く叩いてみせる。 地下へ降りてくるときもそうだったが、スヴェンは杖をついて歩いており、どうやら右脚が不自由なようだった。彼は多くは語ろうとしなかったが、昔このブラックボックスを研究していたときに起こった事故で怪我を負ったということだけは話してくれた。 おまえたちにも同じ思いはさせたくない。そう言ってゲンダーたちを外へ追い出し一人になると、スヴェンは再び液晶板を除けて、こんどは意を決して漆黒球体に触れた。 ブラックボックス。漆黒球体。その正体こそ、もちろんヘイヴが封印しようと決意したあの黒石だ。 「そうか、ヘイヴのやつ考えたな。黒石は超エネルギー物質だ。封印すると同時にこれは動力でもあるんだな」 黒石に触れながらスヴェンは強く念じた。 少し経ってから、地下からスヴェンの声が聞こえてゲンダーたちは再び研究所内に戻った。 もう終わったのかとゲンダーは驚いたが、メイヴの言葉が返って来たので間違いないと確信した。 『おは世う御座い増す、ゲンダー。銅やら無事にマキナへ辿りつ居た酔うで素ね』 「メイヴ! よかった。まったくエネルギーを全部使っちまうなんて無茶しやがって」 『提起敵にバッ苦亜ッぷを残してい増すの出、心肺は炒りませんよ』 「しかし文字がまダおかしいな。大丈夫なのか?」 『もニタ出力と言吾回路の一ブに門題が生じているよ腕す』 メイヴが言うには、ドームの地下でエレベータから落下した衝撃で内部回路を破損したメイヴは一時的に機能を停止させ自己修復プログラムを起動、機能の回復に務めた。その後何事も起こらなければ完全に機能が回復するはずだったのだが、ドーム脱出の際に脱出用レールにエネルギーを供給したことでメイヴ自身のエネルギーが枯渇し、再び機能停止。エネルギー不足のために自己修復機能が起動できずにいた、という訳である。 スヴェンがブラックボックスを活性化させたため、再び自己修復機能が起動し、今に至るというわけだ。 トレードマークの憎たらしいスマイルや胴体部はひどく破損しているが内部機能面では何ら問題なく、言語回路も文字の変換に異常があるだけとのことだった。 『顔なンて飾りです。偉い火戸には剃れが若乱のです』 「どっかで聞いたような台詞を言ってくれてるところ悪いが、さすがにそのままじゃ不便ダ」 「その程度ならわしが直せるだろう」 『では回炉豆を票示します。この排線がこのようになっているので、ここをこうしてみてください』 自己修復機能では直せない物理的な破損部分はスヴェンが修理することを申し出た。微力ながらも、とガイストも助手について修理を手伝うことにした。とくに力になれることがないゲンダーは、グメーシスとともに待つだけだ。 メイヴの修理にはしばらくかかるだろう。時間を持て余したゲンダーはこれからのことを考えていた。 ヘイヴから託されたことはメイヴを正しく扱える者、つまりスヴェンのもとへ無事送り届けることだった。 こうしてマキナに到着した今、無事とは言いがたかったが、たしかにメイヴはスヴェンのもとへと渡った。 ということは、これでヘイヴからの頼みは完遂したことになる。 「それじゃあ、オレの役目はこれでもう終わりなのか?」 メイヴのこともそうだが、先ほどの地震も気になる。ヴェルスタンドの『鯰』という兵器の存在。精神体。ガイストとヴェルスタンド大統領の因縁。そして戦争。 本当にこれで終わりでいいのだろうか。 「全然すっきりしない。まダ何かやり残してることがあるような感じダ。何ダろう、この感じ。何かできること……何かオレにできることはないダろうか」 これまではヘイヴの指示に従って動いてきた。しかしこれからは何をなすべきか。 ゲンダーは自分のすべきことを考え始めるのだった。 第11章 了 ブラックボックス12
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ML:6 ブラックボア 分類:動物 知能:動物並み 知覚:五感(暗視) 反応:敵対的 言語:なし 生息地:森、草原 知名度/弱点値:13/16 弱点:炎属性ダメージ+3 先制値:13 移動速度:20 生命抵抗力:10(17) 精神抵抗力:8(15) 攻撃方法(部位) 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP 牙 9(16) 2d6+7 8(15) 6 51 11 部位 部位数:1 コア部位: 特殊能力 常動:黒い毛皮 毒、病気、呪い、精神効果、炎属性以外のあらゆるダメージを「3点」軽減します。 常動:やみくもな突進 通常移動を行ったラウンドでは命中判定に+2のボーナス修正を得て、与える物理ダメージを+4点します。 また、受ける物理ダメージを+2点します。 条件:体当たり/8(15)/回避力/消滅 牙の攻撃と同時に、勢いに任せて体当たりをします。 牙の攻撃が命中した対象に「2d+7」点の物理ダメージを与え、対象が1部位なら転倒させます。 条件:繊細な戦利品 この魔物に、「1」点以上の炎属性のダメージが与えられた場合、「黒い毛皮」の戦利品を入手できなくなります。 戦利品 自動 黒い毛皮 1000ガメル ~6 なし 7~ 鋭い牙×2 300ガメル 解説 非常に凶暴で、黒い毛皮が特徴的な猪です。 その毛皮は高い強靭性を持ちますが、脂を多く含み、火に弱いと言う欠点があります。 鋭い牙だけでなく、勢いに任せて身体ごとぶつかってくる体当たりはかなりの脅威になります。 ※ 典型的なタフな動物です。物理攻撃能力しか持たず、防御能力も火属性(ファイア・ウェポンなど)を使えば無視出来ます。 しかし、戦利品が安くなります。物欲を試すのにどうぞ。 GM:cicada
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禁断の箱 ブラックボックス ΞJΞ 無色 コスト無し 禁断の鼓動 ■このカードはゲーム開始時、デッキから自分の超次元ゾーンに置く。 ■このカードは1枚で4枚の同じカードとして扱われる。 ■自分のターンの初め、自分のマナゾーンのカードを6枚まで選んでもよい。そうした場合選んだマナゾーンのカードを裏返し、枚数が6枚より少なければ合計が6枚になるよう山札の上からカードを引く、それを封印にして、この鼓動にすべて付けてからバトルゾーンに出す。 ■この鼓動の封印は、自分のコスト6以上のクリーチャーをバトルゾーンに出したとき、または自分がコスト6以上の呪文を唱えたときにも外される。 ■自分の、このカード以外の名前に「ブラック・ボックス」または「ブラックボックス」を含むカードが、相手のカードの効果でバトルゾーンを離れる時、この鼓動の封印を全て外す。 ■禁断解放-この鼓動の封印がすべてなくなった時、墓地にあるクリーチャーを全て山札に戻し、シャッフルしてからUMAクロスギア側に裏返す。 解放後:《禁忌の匣 スーパー・ブラック・ボックス》 作者:アズライト 謎の「禁断の鼓動」カード。 「このカードは1枚で4枚の同じカードとして扱われる。」の効果でデッキに1枚しか入れることができなくなっている。 ΞJΞ(ジャスティスカードと読む)はベリーレアよりは出ないけどスーパーレアよりは出やすい程度、ぶっちゃけそこまでレアじゃない、でもビクトリーのVがJに置き換わったような感じで見た目は豪華。 今のところこれ以外に使う予定もないのでここに書いておきました。 フレーバーテキスト 第一の箱は驚きが詰まっている。 収録 「ザ・アンノウンブラックボックス」-グループC 評価 名前 コメント
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ブラック企業の定義 2chなど、匿名掲示板で定義されている内容は以下のとおりです。 サービス残業や休日返上が当たり前の社風 その割に給料が安い、残業代が出ない (年収は30歳で300万円前後) 入社後の離職率が高い(大量採用、大量退職を繰り返している) 他人に勧められない。 体力勝負で数年後にボロボロになってポイ捨てされる 病気になる、倒れる、過労死する、仕事絡みで自殺した。 30歳近くになって給料が上がってくると首を切られる 労働組合は会社の言いなり。 社員の吊るし上げ、イジメ、見せしめがよくある 親族・友人の冠婚葬祭への出席もままならない 社員同士の裏切り(告げ口、チクリ)をさせている 会社の諸経費を社員が自腹を切り、会社に請求できない(その額が多い) 理不尽だらけの仕事内容。 社員を、恐怖感、危機感、不安感で操ろうとする(暴力もあり) 社員は恐怖心で、自由にモノが言えない、凹ませられてオドオドしている 恣意的な人事があり、金儲けの為なら、当然クビになる社員の不祥事を揉み消す 支店長の一声で突然解雇(労働基準法違反)見せしめ解雇、濡れ衣解雇、悲惨な解雇がある 辞めると決めた社員をノイローゼ寸前までいじめて、精神的な打撃を与えようとする 辞めた社員の悪口やウソを、残った社員に言う ネットなどで辞めた社員を中傷をする 「○○に住めなくしてやるぞ!」などの脅し・嫌がらせをすることがある 辞めた社員の転職や次の仕事の邪魔・妨害をする 辞めた社員に心の傷(トラウマ)が残る 労基署や警察の事情聴取が入る 自殺や過労死で遺族に訴えられた では、この定義はどれだけ実在のブラック企業に即したものなのでしょうか。 編集者が実際に経験したブラック企業での体験 先輩から見聞きした内容 クチコミサイトなどで報告された状況 について検証してみます。
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第6章「Escape Plan(脱出!ガイストクッペル)」 遡ること数分前。 『ところでゲンダー。このエレベータはどこへ向かっているんですか』 「ああ、慌ててたから適当に押してたんダった。これからどうする?」 『悩むまでもないでしょう。最上階へ行き情報奪取、からの脱出です』 こういう経緯で二人は最上階へとエレベータで昇ってきた。 あの男が乗り込んできたのは、それが最上階へ到着したちょうどそのときだった。 「なんダ、おまえは!?」 男はひどく驚いた様子で、しかし少し意外そうな表情もしていた。 怪訝に思いながらもゲンダーは右腕を突きつけて再び問いかけた。 「名乗れ。おまえは何者ダ?」 怪しい素振りを見せたらいつでも汁千本をお見舞いしてやるつもりだ。 しかし男は怯まず、逆に懐からスタンガンを取り出して突きつけ返した。 「まさか僕のことを知らずに来たのか。ここがどこかも知らずに? だとしたら、とんだ間抜けがいたものだな」 「なんダと?」 むっ、として睨みつける。 すると男も負けじと睨み返してきた。 「いいだろう。僕はガイスト。このラボの、そしてこのドームの責任者だ」 「ガイストぉ? おまえなんか知らん。いきなり入ってきて何ダ。おまえは敵なのか。違うのか」 「その言葉、すべてそっくりそのままお返しする。おまえは何者だ。大統領の刺客じゃないのか」 両者ともに一歩も引かず、狭いエレベータ内で睨み合う。 『まあまあ二人とも、どうか落ち着いて』 メイヴがなだめた。 するとガイストは遠隔モニタを見るなり、ゲンダーのことはそっちのけで、物珍しい様子でメイヴをじろじろと眺め始めた。 「これは…!? へぇ……すごい。ホログラム技術の応用か。立体映像を映すものだという先入観に囚われて、まさか平面にして文字をホログラムにするなんて思いつかなかった。これなら場所も取らないし、紛失する心配もない。これいいなぁ……ウチもペーパーレスにしてみるか」 「おい、オレを無視するなよ」 「静かに。しかしこれはどうやって出力してるんだ? 本当にどこにでも表示できるのか。あはは、すごいぞこれ!」 研究者のさがなのか、さっきまでの緊張感を忘れて、まるで新しい玩具をもらった子どもようにはしゃいでいる。 『お気に召したようでなによりです』 「こっちが本体か。思ったより場所を取るんだな。機能のわりにやけに大きいけど、何か他にも機能があるのかな」 『遠隔モニタはあくまで補助装備に過ぎませんからね。私の可能性は無限大ですよ?』 「おおっ、返事が返って来た。特定の言葉に反応して定型文を返すだけじゃなさそうだ。しかも冗談まで言うとは、一体どんなアルゴリズムを組めばこんなことが……」 「おい、聞けって」 ゲンダーはイライラしながら、楽しそうな様子のガイストを見つめた。 とりあえずこの男に敵意がないことだけは確かなようだ。 しばらくして、興奮冷めやらぬ様子で今度はガイストのほうから訊いてきた。 「それで君たちは何者なんだ。マキナから来たのか? 少なくともこの技術力の高さ、ヴェルスタンドからの刺客じゃないことだけは確かなようだが」 「オレはゲンダー。こっちはメイヴ。マキナから来たんじゃない。これからマキナへ行くんダ」 『私たちはヘイヴの作品です。ガイスト博士、私の顔に見覚えがあるのではありませんか?』 言われて初めて合点がいった様子で、ガイストは笑みを浮かべた。 「そういうことか、師匠の! どうりですごいわけだよ。それじゃあ彼は無事だったのか。今はどこに?」 『理由あって今は会えません。私たちは彼の頼みで、マキナのスヴェン博士を訪ねるところです』 「へぇ、先生のところにか。それがどうしてこんなところに…」 『私の中にはブラックボックスと呼ばれる装置があります。そこに入っている情報をスヴェン博士に届けるためにマキナを目指しているのですが、変な兵器に襲われたりブラックボックスが暴走したりと、まあ色々ありましてね』 「ちょっと待ってくれって。なぁ、メイヴ。そんなにベラベラ話しちまって大丈夫なのか。それで師匠? 先生? こいつはヘイヴとはどういう関係なんダ」 『これは失礼しました。データベース内に彼の情報があったもので。私だけ理解してるのはズルいですよね』 メイヴは遠隔モニタにガイストについての情報を表示してくれた。 彼の名は、ガイスト・ズロィドゥーフ。 ヴェルスタンドではかなり有名な科学者で、精神体技術を開発した、精神体研究の第一人者である。 同じくヴェルスタンド出身の科学者ヘイヴの弟子にあたり、ヘイヴの親友であるマキナのスヴェン博士の教え子にあたる。 「ふーん。ヘイヴの弟子か。ってことは、すごいやつなのか。ちょっと変なやつダけど」 「よくしゃべるサボテンに変とは言われたくないね」 「オレのことは珍しくないのか? メイヴ以上に色んな話ができるぜ。アドリブも任せとけ」 「いや、いい。君の台詞はいまひとつ知性に欠けているように感じる。それはともかく、君たちがヘイヴの作った機械だとわかって安心した。実は僕はヴェルスタンドの大統領から命を狙われていてね。これからマキナへ身を潜めるところだったんだ。君たちがマキナへ向かうならちょうどいい。僕について来ないか」 逃げるくせにやけにエラそうだな、とゲンダーは思ったが、目的地が同じなら断る理由はない。 それにスヴェン博士といえば、ヘイヴの遺言でメイヴを届けるべき相手とされている人物だ。目の前にそのスヴェン博士の知り合いがいるというのなら、彼を頼ったほうが捜す手間も省ける。 「おまえについていけば、スヴェン博士に会えるか?」 「当然だ。行方不明になっていた師匠の発明品だぞ。これを見たら先生だって安心するはずだ。師匠のことでは先生が誰よりも心配していたからな。断られたって無理やり引きずっていくつもりだ」 「なんか気に障る言い方ダが、まあいい。道もわからないことダし、よろしく頼む」 「お安い御用さ。その代わり、もし大統領の刺客が襲ってきたら君が僕を護ってくれよ。これでお互い様だろう?」 ガイストのいう『プランB』に従って、三人はエレベータで降った。 このドーム、ガイストクッペルというらしいが、その地下に非常用の脱出ルートが隠されているらしい。 ヴェルスタンド国内は地下に路線が張り巡らされており、その上を小型のカプセル型の乗り物が行き来する。少人数用の地下鉄のようなもので、主要な都市や区画を繋ぐための交通機関であるが、それと同じものをこっそりドームの地下にも設置してあるのだという。なお、こちらは他の路線とは独立したマキナへの直通ルートになる。 「ずいぶん準備がいいんダな」 『まさにご都合主義的ですね』 「ルートヴィッヒは……この国の大統領は後ろ暗い噂が多くてね。このドームが建つときに、こっそり作らせたんだ。研究のために必要なものだと言ってね。いつかこんな日が来ると思っていたよ」 それにしても準備が良すぎるものだ。ヘイヴの研究所の脱出用シャトルといい、科学者というのはみんなこうなのだろうか。ゲンダーはそう思った。とは言ってもヘイヴとガイスト以外の科学者に会ったことはなかったのだが。 メイヴはそれに対してただ一言『ロマンですよ』とだけ答えた。 きっとまたメイヴのデータベースにしかない情報があるのだろう。しかし、さすがにロマンだけじゃ説明になっていないじゃないか、とゲンダーは言いかけたが、突然エレベータを襲った振動がそれを遮った。 「何ダ? 着いた……にしては様子がおかしいな」 「エレベータが止まった。電気系統をやられたか? また大統領の刺客の仕業か!」 電気系統。思い当たる節があった。そういえば、爆発した霧の装置の部屋のすぐ隣が発電室だったな、と。 爆発は少し前に収まったはずだが、その影響で崩落か何かが起きて発電機が損傷を受けたのかもしれない。 心当たりがないこともなかったが、とりあえずゲンダーは黙っておくことにした。 「し、刺客ダって? それは大変ダな」 『エレベータのシステムに接続しました。非常用モードに切り替えますから、手動で扉を開いてください』 言うよりも早くメイヴは手を打っていた。早速ガイストが扉に手をかけるが、 「だめだ、開かない。さっきの衝撃のせいか、扉が変形してしまっている」 『破壊しましょう。しかしこの至近距離では私の武装では我々も吹っ飛んでしまいます。ゲンダー』 「合点承知ダ!」 エレベータの内扉に向かって汁千本を放つ。 扉は粉々になり、正面には壁が現れた。 「なんダぁ!? これじゃあ出られんじゃないか」 エレベータが止まったのは、階と階の境目だった。もちろんこういう事態に備えて、エレベータは天井の一部分が開くようになっており、人間ならそこから脱出することができる。小柄なゲンダーも問題ないだろう。しかし、メイヴの2メートル近い体柱はそこからは出られそうにもなかった。 「メイヴを置いていくわけにはいかない」 「同感だ。遠隔モニタに高度な会話システム。これは絶対に先生に見せてやりたい」 『まあまあ。私のことは大丈夫です。すぐに打開策を計算しますから』 そう言ってメイヴは頭からアンテナを取り出すと、まずは周囲の地形を測定し始めた。 するとすぐにセンサーに反応があった。その結果を見て、メイヴは早急に二人に警告した。 『これは!? ゲンダー! ガイスト! すぐにエレベータ内に戻ってください!!』 ガイストに持ち上げられて天井の窓から頭を覗かせていたゲンダーは、何事かと周囲を見回した。 至って怪しいところはない。 『上です! すぐに戻ってください』 「上ダと?」 見上げると上でも崩落が起こったのか、このエレベータ目がけて大きな瓦礫が落ちてくるのが見えた。 「なぜ上から!? くそッ、破壊してやる」 汁千本を乱射するも、勢いを増して降って来る瓦礫には効果がなかった。 『無駄です。一発一発の威力自体はそれほど強くありません。瓦礫の落下エネルギーには劣ります』 「ちッ」 ゲンダーが頭を引っ込めると間髪いれずに瓦礫の塊がエレベータを直撃した。 ワイヤーがミシミシと厭な悲鳴を上げる。 「まさか」 バヅン、と激しく弾けるような音が低く響き渡った。 続けざまに襲ってくる浮遊感。祈り虚しく、ワイヤーが切れたエレベータは地の底へと急降下する。 「ま、待て! おまえたちは機械だから大丈夫なのかもしれないが、僕はどうなるんだ!」 『任せてください。完全にとは言えませんが、多少の衝撃は抑えてみせます。二人とも私に近寄って』 メイヴはガイストの前後左右上下六方に囲むように遠隔モニタを出現させる。そしてそれらを頂点にして電磁シールドを展開。正八面体の光の壁がガイストを覆った。続けてゲンダーにも同じ処理を施す。 『最後に私にも電磁シールド展か……しまった、メモリ不足!? 至急、仮想メモリの構築を開始し…』 次の瞬間、支えを失った鉄の籠は、地の底に激しく叩き付けられた。 ヴェルスタンド首都ゲーヒルン。ヴェルスタンド軍第壱基地。 レーダーには研究所地区ヒュフテの一角が映し出されている。 いくつかのドームの存在が確認できるが、照準はそのうちのひとつをしっかりと捉えている。 精神体技術を応用したレーダーは、そこに存在する精神の発する波紋を正確に捉える。対象の精神パターンを分析したデータさえ手元にあれば、捉えた精神波が誰のものであるかさえわかる。つまり特定の対象の居場所を特定できるのだ。 攻撃対象:ガイストクッペル。ガイスト博士の精神波を捉えた場所がすなわちガイストクッペルだ。たとえ光学迷彩でドームを丸ごと隠してしまおうとも、そんなことは関係ない。 「標的に命中しました」 兵士が報告する。 それを受けて、黒服の男は命令を下した。 「よーし、もう一発いけ。完全に瓦礫の山にするまで続けるんだ。ヘルマン大佐?」 「はッ。おまえたち、聞いたな。これは大統領直属の命令である!」 「そうそう。俺からの命令は大統領の命令に同義だぜぇ」 男の名はフリードリヒ。 ヴェルスタンド軍大将。その胸には大きな勲章がいくつも輝いているのが見える。 「撃てィ!」 号令を受けて続け様にミサイルが発射されていく。 ヴェルスタンドの基地から撃ち出されたミサイルは金と銀の歯車の国旗が刻印されている。これはヴェルスタンドの白と紫に彩られた国旗ではない。戦敵国マキナのものだ。 「擬装抜かりなし、っと。いいか、兵士諸君。これは『事故』である。敵国マキナからミサイル攻撃を受けた。しかし敵国からの妨害工作によりレーダーに不具合が起こり防衛線を突破されてしまった。敵弾はヒュフテの『無人の』ドームに落ちた。幸い死者に怪我人はなし。しかし我が軍はマキナには屈しない。最新兵器『鯰』を導入しての報復行動に移る予定……っと、まあそんな感じでよろしく頼むぜ」 明日には同様の内容のニュースが国内に流れている手筈になっている。 これで邪魔者のガイストは消える。そして報復というマキナに攻撃する口実もできる。ついでに最新の精神兵器の実地試験も行える。一石三鳥だ。 マキナ側は当然否定するだろうが、敵国の言葉など誰も信じないだろう。 「いやぁ、こりゃあまたひとつ勲章が増えてしまうかもしれんなぁ。こまったこまった、けっこう重いんだよ、コレ。ひとつわけてやろうか、大佐殿ー?」 「は、はぁ…」 「それじゃ俺はアドルフ様のところへ戻るがな。おまえたち、引き続き頼むぞ。マキナの腰抜けどもが、万が一しかけてくるかもしれんからなぁ。まあ来たる決戦に備えてせいぜい気でも引き締めておくことだな。ワハハハ…」 高笑いしながら傲慢な男が去ると、一人の兵士がふと呟いた。 「こんな作戦、本当にいいのかなぁ。そりゃたしかにマキナは昔からの因縁がある国だけど、こんな騙し討ちみたいな方法なんて。ましてや自国の領土にミサイルを飛ばすなんて。上の考えることはわけがわからないよ」 「おい貴様…」 「あっ。す、すみません大佐。つい…」 「いや、たしかにおまえがそう思うのも無理はない。昨今の作戦内容が倫理観を欠いているのは誰もが感じていることだろうと思う。だが将軍は上官であるうえに大統領の従兄弟でもある。我々には逆らうことなど到底できんよ……」 その言葉に誰も何も言うことができなかった。 沈黙の中、大佐が見つめるレーダーの画面には瓦礫の山と化した、かつてのガイストクッペルが映っていた。 ガイストクッペル0番ラボ、地下5階。 発電室のあった部屋には、瓦礫に押し潰された、ひしゃげた鉄の籠が落ちている。 傍にはふたつの光でできた正八面体が転がっており、その光は役目を終えた蛍光灯のように点滅しながら徐々に輝きを失うと、電磁シールドは消滅した。どうやら中にいたゲンダーは無事のようだ。 「いてて…。メイヴのやつ、無茶しやがって。あれだけ装備が充実してて、エアバッグとかはなかったんダろうか」 墜落の衝撃でガイストは気を失っているが、こちらも目立った外傷は見られない。 「またここに戻って来ちまったか。くそっ、また真っ暗になってやがる」 せっかく起動させた発電機も、例の爆発のせいか壊れて再び電力を生み出さなくなってしまった。 今はゲンダーの持つホログローブと、もうひとつ、メイヴ本体が発する光の薄っすらとした明かりだけが頼りだ。 メイヴはうつ伏せに転がったまま動かない。 「大丈夫か、メイヴ」 返事はない。 回転させて顔を見てみると、なんとメイヴの憎たらしいスマイルが割れてしまっている。また、よく見ると胴体のあちこちもヒビが入ったり、へこんだりしている。そのうちの数箇所は、メイヴの暴走の際にゲンダーがへこませたものではあったが、今はそんなものなど気にならないと思えるほど、全体の損傷がひどく見るも無残な有様だった。 「メイヴ!? どうした、大丈夫か! くそぅ、なんてこった…」 気を落とすゲンダーの背後から、ようやく意識を取りもどしたガイストがメイヴの様子を覗き込む。 「うう……頭が痛い。だが、あれでよく無事だったものだ。それで、どうした。何があった?」 「メイヴの馬鹿やろう…。オレのせいダ。オレたちを助けるためにきっと無理をしたんダ。そのせいで自分を守る余裕がなかったに違いない。メイヴの忠告を聞いてすぐに頭を引っ込めていれば、メイヴ自身もシールドを張る時間の余裕があったかもしれないのに。オレが悪いんダ。オレのせいなんダ……」 暗くてお互いの表情はわかりにくかったが、ゲンダーが落ち込んでいるのは顔を見なくてもよくわかった。 しかしガイストは同情することはなく、言葉には出さなかったが、その代わりに驚いていた。 (こいつ、機械のくせに落ち込んでいるのか? 機械なのに感情があるというのか!? 頭はあまり良くなさそうだが、こっちもこっちでメイヴとはまた違う意味ですごいぞ。さすが師匠の発明品、只者じゃない) ゲンダーの価値に気がついたガイストは、初めてゲンダーをただの機械ではなく、同行者の『一人』として認めた。 そして安心させるように、なだめてこう言った。 「ゲンダー、心配はいらない。エレベータ内で話してくれた説明によると、メイヴはブラックボックスを管理するためにヘイヴが作ったのだろう。もしメイヴが破損しているならブラックボックスが暴走しているはずだ。だが、そんな様子はない。つまりメイヴは無事だ。もちろんブラックボックスも壊れてしまっているなら話は別だが……」 「じゃあ、まダ希望はあるんダな! よかった…」 「マキナに行けば先生がいる。機械は先生の専門だ。メイヴも直せるかもしれない。それに…」 そのとき再びドームを振動が襲った。 爆発のあった地下5階に今、ガイストたちはいる。つまり、この振動の原因はここではない。 上から瓦礫が落ちてきたことから考えても、上のほうで何かが起こっているに違いなかった。 (オレのせいダと思っていたが、そうじゃなかったのか) ガイストには心当たりがあった。 大統領は自分の命を狙っている。そしてあの男がやりそうなことを考えれば、ドームが攻撃を受けていると考えるのがしっくりくる。 事実、ガイストクッペルはフリードリヒの命令によって、ヴェルスタンド軍からのミサイル攻撃を受けていた。 メイヴさえ元気なら、すぐに各種センサーやレーダーなりを起動させて攻撃の正体を特定、二人に教えてくれただろう。しかし今メイヴは動けない。 「さては生き埋めにするつもりか。とにかく今はここから脱出するのが先だな」 そのとき、またドームを振動が襲った。数えて三発目のミサイルが直撃したことになる。 「でもここは地下ダぞ。どうやって」 「忘れたのか? 脱出用のレールはこの地下にあるんだ。ついてこい!」 倒れたままのメイヴを二人掛かりでなんとか起こすと、メイヴを押して例の霧の装置の部屋のほうへと進み始めた。 メイヴ本体の底の台座には車輪がついている。起こすことさえできれば、重かったがなんとか動かすことはできる。 上方からはガラガラとどこかで何かが崩れるような音が何度か聞こえてきた。この通路も、いつ崩れるかわからない。 崩れ行く研究所からの脱出。ゲンダーは、ヘイヴの研究所を飛び出したときのことを思い出していた。 (あのときは会ったばかりのメイヴは変なやつダと思っていた。まあ、変なのは今でも否定しないが、ひとつ違うのはメイヴへの信頼ダ。ここに来るまでにメイヴは何度もオレを助けてくれた。日数で言えばそんなに経っていないかもしれないが、ずっと一緒にいたから過ごした時間ではずいぶん長く付き合ってるようにも思える。今では、もうメイヴはかけがえのない仲間ダ。ダから、今度はオレがメイヴを助けるんダ。そのためにマキナへ行く!) 通路を抜けて霧の装置の部屋に出た。 爆発した装置はすでに原型を留めておらず、装置の部屋も灰と煤で真っ黒になっており、まだ焦げ臭さが残っていた。 「これはひどい! これも刺客の仕業か。僕のこれまでの研究の苦労をよくも踏みにじってくれたな。許せん」 「お、おう。そうダな……全部その大統領ってやつが悪いんダ、うん…」 まずガイストは、散乱する破片や垂れ下がる焼け焦げたパイプの残骸を取り除きながら床を探り始めた。 「ゲンダー。そのホログローブをこちらへ」 床面を照らすと、煤と埃でわかりにくかったが、正方形の溝があることに気がついた。よく見ると小さな取っ手もついている。 ガイストが取っ手をつかみ、持ち上げると床はハッチのように開き、その中からは基盤のようなものが顔を覗かせている。床の下にあったので、爆発の影響は免れたようだ。 基盤にはさらに一筋の溝があり、ガイストは懐から一枚のカードを取り出すと、その溝にそれを通した。 すると霧の装置があった奥の壁面が音を出してスライドした。隠し扉だ。 「いざというときのために鍵は常に持ち歩いていたんだ。ついに使う日が来るとはな」 次に二人は部屋に散らばる装置の破片や残骸を片付けて、メイヴの通れる道を整え始めた。 「なぁ、あの隠し扉の先には何があるんダ」 「言っただろう。脱出用のレールさ。さすがに刺客のやつらも、あれには気がついてないはずだ」 「でもあの扉、穴が空いてるぜ。誰か侵入して待ち伏せしてるってことはないダろうな」 「扉は壁に隠されていた。そして周囲の壁にもあちこち穴が空いている。装置が爆発したときにできたものだろう」 ゲンダーの言うように、隠し扉には穴が空いていた。それも小さな丸い穴が。 たしかにあの程度の大きさの穴では、人が通り抜けることは不可能だ。 「ダけどあの穴。どこかで見覚えがあるような…」 そうこうして、あらかたガラクタを片付け終えた。 二人は再びメイヴを押して隠し扉へと歩み寄る。 するとそのとき、扉の小さな穴から何かが勢いよく飛び出してきた。敵の仕掛けた罠か、それとも弾丸か。 否。飛び出してきた銀色のそれは見覚えのある顔に向かって「グメぇ~」と鳴いた。 「グメー! おまえ、生きてたのか」 それはグメーシスと名付けたあの生き物。 爆発の中心にいたので消し飛んでしまったかと思われたが、あの赤や青の球体とは違って霧を媒体としないためか、爆風を受けてもどうやら平気らしい。携えている『罪』の球を含めて全くの無傷の姿でグメーシスはそこにいた。 「こいつは……G-メイシス!? 待て、ゲンダー。そいつに触れるな。危険だ」 精神体を研究していたガイストは当然、G-メイシスのことは理解している。 レティス、ブロウティスともに、これら精神兵器はガイストが自衛目的で研究の末に生み出したものだからだ。Gとは研究コードを表す文字であり、ガイストのイニシャルでもある。 「大丈夫ダ。こいつはオレに懐いてる。襲ってはこないぞ」 「な……懐く!? それは兵器だぞ。たしかに精神体から生み出された存在ではあるが、懐く?」 「何を驚いているんダ。おまえが作ったんダろ?」 「メイシスは偶然できた産物なんだ。精神体工学上、論理的な説明がまだ確立できていない。つまりまだわかっていないことが多い。自我のようなものを持ち、プログラムの指示に従わない傾向も強い。しかし懐くなんて……。自我があるのはわかっていたが、そこまで高度な思考演算が可能なのか。もしや基となる精神体の残留思念が存在して何かしら影響を…」 「何を言ってるのかわからんが、別に珍しいことじゃないダろ。オレダって自分で考えて動くぞ。グメーも同じさ」 「失敗作かとも思っていたんだが、おまえやメイヴを見た後では考えを改めざるを得ないな。兵器としては扱い辛いが、そうか。おまえ、さっき『生きていたのか』と言ったな。そうか……生き物、か。僕は新たな生き物を生み出してしまったのか?」 ガイストはの前に浮かぶグメーシスを見つめた。 するとグメーシスのほうも、つぶらな瞳でこちらを見つめ返した。 それはもはや、ただの精神エネルギーをこね合わせたものではない。明確な意思を持ったひとつの存在だ。 「G-メイシス。いや……グメーシス、か。いい名前をつけてもらったな。まだこいつも研究の余地があるみたいだ。兵器ではなくグメーシスとして」 「そういうことなら同意してくれると考えていいよな。こいつも連れて行くぞ。こっちダ、グメー」 「グメっ」 一声鳴くと、グメーシスは二人のあとに続いて隠し扉の奥へと消えていった。 第6章 了 ブラックボックス7