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キリト&アサシン組 ◆nig7QPL25k 夢を見た。 俺ではない誰かの夢を。 俺と違う時間を生きた、違う場所での誰かの夢を。 「たとえ俺が死んでも、お前が必ず俺の戦いを引き継いでくれる……そうだろ、レオン?」 その男は父親だった。 同時に人々を守るため戦う、魔物狩りの騎士でもあった。 妻が命と引き換えに産み落とした息子を、男は騎士として育てた。 最も偉大な騎士の系譜を、受け継ぐに値する男になることを願って。 守りし者としての志を、立派に引き継いでくれると信じて。 「俺らのことなんか誰も知らない。死んだところで墓もない。それでいいんだ」 しかし、息子が募らせたものは、使命感ではなく憎しみだった。 母を殺した者を憎み、敵に従う魔物を恨む、怒りの戦騎へと育ってしまった。 伝えるべきことを伝えた以上、その間違いは自分で正さなければ意味がない――男は敢えて息子を突き放し、使命を悟ることを願った。 それでも彼の願いは届かず、息子は憎しみの炎に焼かれ、全てを失ってしまった。 それは打つべき手を誤り、道を示してやれなかった、父の過ちだったのかもしれない。 「気をつけな。上には俺の息子がいる……レオン・ルイスがよ」 その息子が再び立ち上がり、真に騎士として覚醒した時、父はどれほど救われたことか。 己が誓った使命のために、息子と同じ道を歩まず、道を違えなければならなかった時、父の心はいかばかりであったか。 俺は父親というものを知らない。だから、男がその時何を想ったのかは、想像することすらできない。 あるいは俺が、本当の意味で、父親になったその時には、彼の気持ちを理解できるのだろうか。 「ホラーを封印せし、血を受け継ぐ者……黄金騎士・ガロがな……!」 それでも、最期の戦いのその時、男は笑みを浮かべていた。 ズタボロに傷つけられながらも、すぐ傍に息子がいる事実を、頼もしく受け止め笑っていた。 きっと男の人生は、その時ようやく報われたのだ。 回り道を繰り返し、後悔と苦悩に苛まれた生涯が、ようやく幸福で満たされたのだ。 道に迷い続けた息子が、自分の全てを託せるほどに、強く正しく成長を遂げた。 そのことが父である男にとっては、何よりも嬉しかったのだろう。 自分自身のその命が、今にも消えそうになっていることなど、どうでもいいことだと思えるほどに。 「そして俺は……貴様らホラーを封印する者、ヘルマン・ルイス……またの名を――」 無数の異形の群れの中、男は一人剣を取る。 自分の戦いを引き継ぐ者が、必ず駆けつけると信じて。 不敵に笑う父親の、その生涯の結末は―― ◆ 別に、こういう体験は初めてではない。 前に閉じ込められた時には、丸2年外に出られなかった。 だから突然拉致されて、電脳空間に囚われたこと自体は、桐ヶ谷和人――キリトにとって、それほど大きな問題ではなかった。 「くそっ!」 問題はむしろ、囚われたこの環境にある、理不尽なルールの方だった。 吐き捨てながら飛び退り、輝く光剣を構える。 睨み据えた先にいるのは、斧を携えた大男だ。 血走ったその両目には、理性がまるで感じられない。 バーサーカーというクラスを割り当てられた、魔術師の駒・サーヴァント。 行動が単調であるなら、相手のステータスがどれほど高かろうと、キリトにも勝機があるはずだった。 「物持ちが悪かったなぁ? 威勢がいいのは結構なことだが、生憎とその武器じゃバーサーカーには、傷ひとつつけることすら不可能だ」 しかし、一つだけ問題があった。 にたにたと笑う敵マスターが言うとおり、キリトの持つ攻撃手段では、サーヴァントにダメージを与えられないのだ。 英霊――すなわち霊体であるサーヴァントには、魔法属性を持った攻撃でなければ、ダメージを通すことができない。 そして最悪なことに、今キリトの魂が宿っているのは、スチームパンク銃撃アクション「ガンゲイル・オンライン」のPCボディだ。 ファンタジー色を排したこのゲームの武器には、霊を祓う神秘性など、当然宿っているはずもない。 これが「アルヴヘイム・オンライン」の体なら、ソードスキルで切り抜けられたのだが。 あまりにも間の悪い事態に、キリトは眉間に皺を寄せ歯噛みした。 「さて、そろそろ遊びにも飽きたな。やってしまえ、バーサーカー」 敵マスターの唸りと共に、バーサーカーが唸りを上げる。 鈍色に光る斧を振りかざし、キリトの命を奪わんと殺到する。 もはや打つ手なしか。逃げるしかないか。 否、果たしてこの死線から、逃げ延びることなどできるのか。 リアルでは一般人に過ぎない己は、パラメーター一つ変わっただけで、こんなにも無力になってしまう。 改めて突きつけられた絶望的な事実に、諦めが脳裏をよぎったその瞬間。 「――レディの口説き方ってのがなっちゃいないな」 不意に、聞き慣れない声が響いた。 バーサーカーの向こうにいる、敵マスターの目が見開かれた瞬間、その脇を素早くすり抜けるものがあった。 ぐさり、と嫌な音を立てながら、狂戦士の肉体に突き刺さったのは、やや短めの刀だろうか。 「なっ!?」 ぞっとした、という言葉がよく似合う。 そんな顔をしたマスターが、慌ててそちらを振り向くと、そこには新たな人影があった。 不敵な笑みを浮かべるのは、口ひげがワイルドな印象を与える壮年の男だ。 長く伸びた金髪は、癖っ毛なのかところどころ跳ねているが、不思議とだらしなくは見えない。 むしろ鋭い双眸に宿る、剣呑な気配と相まって、獣のたてがみのような印象すら受ける。 静かながらも、闘志を隠そうともしない。その堂々とした佇まいは、まさしく自然界の王者そのものだった。 「しょうがねえ。俺が手本を見せてやるからよ。少しばっか付き合えや」 かつり、かつりと音が鳴る。 悠然と歩くたてがみの男が、ブーツで石畳を鳴らす。 ゆっくりとしたその動作で、男はバーサーカーに歩み寄ると、そのまま短剣を抜き放った。 もう一振りの刀を取り出し、同時に構える様は、二刀――かつてキリトも取っていたスタイルだ。 「あんたは……」 「貴様、そいつのサーヴァントか! やれ、バーサーカー!」 キリトの声を遮るように、敵マスターが指示を出す。 振り返った狂戦士が、乱入者に対して唸りを上げる。 「ま、そういうわけだから、ちょっと辛抱しててくれよな。お嬢さん」 ぱちん、とキリトに向かってウインク。 片目をつぶったそのままで、両手の刃を高く掲げる。 男の剣がぐるりと回り、天に白い軌跡を描いた。 瞬間、円のラインは閃光と化す。まばゆい光が放たれて、周囲を白一色に染める。 白い闇が晴れたその時、現れたのは人狼だった。 狼男の姿を模した、銀色の甲冑姿があった。 深緑のマントをはためかせ、双剣を輝かすその姿は、さながら中世の聖騎士だ。 唯一、獰猛な狼の頭部だけが、その白銀の中心にあって、異様な存在感を放っていた。 「絶影騎士、ゾロ――行くぜ!」 金の瞳は獣の瞳だ。 鋭く煌めく眼光が、狂える戦士を睨みつける。 バーサーカーが怒号を上げると同時に、銀色の狼騎士もまた、大地を蹴って斬りかかった。 ◆ 「はぁ~……」 キリトのサーヴァント、ヘルマン・ルイス。 与えられたクラスは暗殺者(アサシン)。 激戦を終え、戦場を離れたその男は、最初の鋭さとはうってかわって、何とも情けないため息をついていた。 「いや、悪かったよ。否定するのが遅くって」 「いやさ、別にいいんだよそれは。見抜けなかった俺の方が、まだまだ修行不足だってことだからよ。 でもだからってお前、そのナリで、実は男でしたってのはよぉ……」 そう言ってヘルマンは、顔を押さえてため息をつくと、がっくりと両肩を下ろす。 ガンゲイル・オンラインにおいて、キリトに与えられたPCは、少女と見まごう美貌を持ったレアボディだ。 線の細い体に長髪、その上可愛らしい顔立ちとあれば、性別を間違ったとしてもやむを得ない。 しかしながら、ヘルマン・ルイスは、無類の女好きだった。 それが相手の性別を見抜けず、あまつさえ口説いてしまったとあれば、ショックもひとしおというものだろう。 「でぇ? ひとまず野郎を撃退したのはいいが、これからどうすんだよ?」 だがそれにしたって、いくら何でも、やる気のなさすぎる声だ。 強そうなのは間違いないが、この性格で本当に大丈夫なのだろうか。 若干目眩がしそうになるのを堪えながら、キリトはヘルマンの問いかけを聞く。 「どうするって言っても、ここに長居するつもりもないからな……どうにかして、脱出する方法を見つけようと思う」 「何だ? 聖杯戦争には乗らねぇのか? 優勝すりゃ、どんな願いだって叶えられるんだぞ」 ここに来てようやくヘルマンは、キリトの言葉に興味を持ったらしい。 彼の応答に対して、目を丸くして聞き返した。 「俺にもやるべきことはあるし……それに、こういう殺し合いをするのは、もう御免だからな」 「初めてじゃないような言い草だな」 「初めてじゃないんだよ、実際。あんた、ネットゲームは知ってるか?」 そう言ってキリトが語りだしたのは、1年前までの惨劇の記憶だ。 天才ゲームデザイナー・茅場晶彦が引き起こした、前代未聞のサイバークライム――SAO事件。 数多のVR(バーチャルリアリティ)MMOの雛形となった、「ソードアート・オンライン」の世界に、ユーザーが閉じ込められた事件だ。 ログアウト不可能になった電子の牢獄で、キリトは2年もの間戦い続けた。 時には他のプレイヤーと戦い、やむなく命を奪ったこともあった。 もうあんな思いはしたくはない。だからこそ、この聖杯戦争という戦いにも、乗りたくないとキリトは言ったのだ。 「……で、俺はどうすりゃいい。戦うつもりがないっていうなら、戦うために呼ばれた俺は、黙って見てればいいってことか?」 「もちろん、そういうわけじゃない。 どうしても今回みたいに、他のマスターに見つかって、襲われるようなことにはなっちゃうだろうからな…… そういう時には、アサシンに、俺を守ってもらいたいんだ。わがままかもしれないけど」 殺し合いに乗るのは反対だ。 されどキリトには、ここで死ねない理由もある。 「ガンゲイル・オンライン」に乗り込んだのは、VRMMOの根底を揺るがしかねない、重要な事件を解決するためだ。 SAO事件は痛ましい記憶だが、そこで得られた絆も、確かにある。 だからネットゲームそのものを、一緒に嫌うことはできない。 自分達が楽しんでいる世界を、一人の犯罪者のために、壊されてしまうわけにはいかない。 だからこそ、生き延びることには迷いはなかった。 そのために戦うことが必要なら、敢えて罪の意識を堪えて、剣を取る覚悟もできていた。 それがこのユグドラシルと戦う、桐ヶ谷和人の心構えだ。 「分かったよ。そういうことなら、異論はない。短い付き合いかもしれないが、手伝ってやろうじゃねえか」 それでようやく納得したのか、ヘルマンは真顔で了承し、キリトに向かって右手を出す。 「ありがとう」 差し出した手のひらは友好の証だ。 キリトもまたそれに応じ、ヘルマンの手を握り返した。 ◆ (なんともヤな時代だな、どうにも) ひと通りの情報交換や意思確認を行い、一度一人になった後。 ぽりぽりと頭を掻きながら、ヘルマン・ルイスは思考する。 時の流れた現代は、随分と因果な時代になってしまったものだと。 ネットゲームを始めとしたテクノロジーは、知識としてなら知っている。そうした現代の情報は、聖杯から事前に与えられているのだ。 されどそうした現代の技術が、大規模な犯罪に使われているというのは、当事者と言葉をかわさなければ、実感の得られないものだった。 (高度に発展した科学は、魔法と区別がつかない……か) キリトの言っていた言葉だ。 昔の学者だか作家だかの、有名な言葉だというが、魔法を知っているヘルマンからすれば、実に的を射た言葉だと思えた。 魔法のような科学技術が、誰にでも扱えるような形で、世に氾濫しているのが現代だ。 それは元魔戒法師メンドーサでなくとも、誰もがそれと同等の大事件を、容易に起こせてしまうことを意味する。 茅場晶彦のSAO事件は、まさにそういう事件だった。 本来剣を取る必要のなかったキリトが、そのために剣を握らされ、達人的な技術を身につけさせられてしまった。 たとえゲームの世界の中だけであっても、人を殺して回れる力を、身につけるような事態に追い込まれてしまったのだ。 (なぁ聖杯サマよ、あんた俺に何をしてほしい? ここで過去の精算を果たせってのか?) 眉をひそめながら、内心で呟く。 こういう複雑な事情を抱えた、ナイーブな少年を相手にするのは、彼にも今回が初めてではない。 そういう迷える少年に対して、道を示してやることができず、随分と苦しめてしまったことがあった。 本来負うべき責任を、果たしてやれなかった相手こそ、彼の実子であるレオン・ルイスだ。 そんなヘルマンがここに呼ばれ、レオンを思わせる少年剣士と、こうしてタッグを組まされている。 何の因果かと言うべきか。あるいは作為を感じるべきか。 (ま、どうにかするさ) とはいえ、悩んでいたところで仕方がない。 キリトに対してどう接するかは、まだ結論は出ていないが、そのまま立ち止まっているわけにもいかないのだ。 軽く考えるべき問題ではなくても、深く考えすぎはしないようにしよう。 あれこれ悩んでいるうちに、キリトが死んでしまっては元も子もないのだ。 なればこそ、まずは行動することこそが、先決であると考えた。 (……しっかし、俺がアサシン、ねぇ) と、方針を固めたところで、一つ気になることがある。 それは自分自身に割り当てられた、暗殺者(アサシン)というクラスのことだ。 (もちっと何とかならなかったのかよ……) そりゃまあ確かに、魔戒騎士は、人知れず魔物を狩る狩人だ。 闇に紛れて闇を忍び、闇を切り裂くその姿は、ぎりぎりアサシンと形容できるものではあるだろう。 でもだからって、それでいいのか。本物の暗殺者でもない人間を、無理やりアサシンに当てはめるのはどうなんだ。 よく見ろ、気配遮断のスキルも低い。案の定微妙な数値じゃないか。 この中途半端な能力で、果たしてどう立ち回るべきか。 ヘルマン・ルイスの頭痛の種が、もう一つ増えた瞬間だった。 【クラス】アサシン 【真名】ヘルマン・ルイス 【出典】牙狼-GARO- 炎の刻印 【性別】男性 【属性】中立・善 【パラメーター】 筋力:D+ 耐久:E 敏捷:D 魔力:D 幸運:C 宝具:B 【クラススキル】 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。 【保有スキル】 虫の知らせ:B ただならぬ気配に対する、天性の探知能力。 生前は魔物の気配を匂いで嗅ぎ取る、陰我のオブジェに触れただけでその存在を察知するなど、魔戒騎士として優れた感覚を見せつけていた。 心眼(真):C 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理” 逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 騎乗:C 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせる。 プレイボーイ:E 夜の蝶を追い続ける狩人。女遊びを好む英霊である。 才能による魅了スキルではなく、当人の努力によって培った技術。 しかしその性質が災いし、女性の敵と対峙した際には、初撃の攻撃力がダウンしてしまう。 【宝具】 『絶影騎士・ZORO(ゾロのよろい)』 ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:- 筋力:C+ 耐久:C 敏捷:A 魔力:B 幸運:B 陰我あるところホラー現れ、人を喰らう。だが、古よりホラーを狩る者達がいた。 鎧を纏うその男達を、魔戒騎士という。 ――古より人を襲ってきた、魔界の怪物・ホラー。それと戦う力を身につけた、魔戒騎士の鎧である。 ヘルマンの纏う「ゾロの鎧」は、白銀の光を放つ鎧であり、俊敏な身のこなしを得意とする。 更に青色の魔導火を纏うことにより、攻撃力を底上げする「烈火炎装」を発動することが可能。 魔戒剣には鎖が括りつけられており、これを利用したトリッキーな戦法を取ることもできる。 なお、ヘルマンのこの宝具を利用しなければ、自身の宝具を発動することができない英霊も存在する。 その場合、ヘルマンが自らの意志で宝具を貸し与えるか、あるいはヘルマンが死亡するかした場合、 その英霊の宝具発動がようやく可能となる。 【weapon】 魔戒剣 ソウルメタルによって鍛え上げられた、魔戒騎士のための剣。ヘルマンのものは二振りの短刀である。 修行を経た者はこれを自在に操ることができるが、そうでない者には持ち上げることすらできない。 『絶影騎士・ZORO(ゾロのよろい)』を纏った際には、白銀の双剣へと変化する。 魔導馬 優れた騎士が保有する、銀色の馬の姿をした魔戒獣。 鎧を装着しているか否かにかかわらず、ヘルマンの一声で駆けつけ、その足として活躍する。 【人物背景】 古より最強の騎士として語り継がれてきた、黄金騎士・ガロの鎧を受け継ぐ、レオン・ルイスの父親。 自身も絶影騎士・ゾロの称号を得ている、百戦錬磨の騎士である。 飄々としており、非常に気前がいい。 普段の態度はおちゃらけているが、守りし者としての自覚は強く、いざという時には男を見せる。 意外と洞察力や推理力も高く、「食えない狸」と評されたことも。 人間的には強い人物だが、父親としては微妙に頼りなく、放任主義がレオンの暴走を招いたこともあった。 騎士としては一級品であるものの、無類の女好きでもあり、女癖の悪さが最大の欠点となっている。 本人はレオンにかわる、「ゾロの鎧」の継承者を産んでもらうためと弁明しているが、どこまで本気なのかは定かではない。 余談だが、ゾロの継承者は、ヘルマン本人の死後に無事生を受けている。 【サーヴァントとしての願い】 特にはないが、キリトを放ってはおけないため、彼を守るために戦う。 【基本戦術、方針、運用法】 はっきり言ってアサシンとしては、非常に中途半端な性能である。 敏捷や戦闘技術を活かして、ランサーのように正面きって戦わせるのがベターだが、やや決定力に欠ける部分も。 相手のペースに付き合わず、攪乱戦法によって優位に立つべし。 【マスター】キリト (桐ヶ谷和人) 【出典】ソードアート・オンライン 【性別】男性 【令呪の位置】右手の甲 【マスターとしての願い】 特にない。あまり願いたくない。 【weapon】 光剣(フォトンソード)カゲミツG4 エネルギーを光の刃とする、いわゆるビームサーベル。 銃撃戦に特化し、刀剣スキルもほぼ存在しない「ガンゲイル・オンライン」においては死に武器となっている。 しかし剣戟戦に慣れたキリトは、これをメイン武器として使用し、ファンタジー流の戦い方を世界に見せつけた。 Five-seveN 牽制用のサブウェポンとして用いている拳銃。貫通力に優れている。 【能力・技能】 ゲーマー VRMMOのプレイングスキル。ゲームの世界でなら、本物の剣士と同様のポテンシャルを発揮できる。 ただし「ガンゲイル・オンライン」には、自身の慣れ親しんだソードスキルが導入されていないため、やや決定力に欠ける。 コンピューター知識 コンピューターに関する天性の才能。ハッキングやプログラミングに明るい。 反射神経 SAO事件に巻き込まれたプレイヤーの中でも、最高クラスの反応速度。 突き詰めればいちゲーマーでしかないキリトだが、これだけは本物の戦士にも遅れを取らない。 【人物背景】 かつてVRMMO「ソードアート・オンライン」にて発生した、SAO事件を生き延びたSAOサバイバー。 最前線で過酷なソロプレイに身を投じた結果、 1万人のプレイヤーの中でも最高クラスのステータスを獲得しており、「黒の剣士」という通り名で呼ばれていた。 現在は「アルヴヘイム・オンライン」をプレイしているが、死銃(デス・ガン)を名乗る人物が起こした昏睡事件を解決するため、 そのデータをコンバートし「ガンゲイル・オンライン」の世界に飛び込むことになる。 言動は飄々としているが、元来人との距離を測るのが苦手。 それでも根の部分では優しく、何だかんだ他人の世話を焼くことも多い。そのため女子プレイヤーにモテる。 「アルヴヘイム・オンライン」はレベル制のゲームではないため、SAO事件当時のような、並外れたステータスは有していない。 しかし、当時の濃密な戦闘経験によって培われたプレイングスキルは、既に達人の域に到達しており、 一般プレイヤーを寄せ付けないほどの実力を有している。 ……とはいえ、今回はファンタジー要素が一切絡まない、「ガンゲイル・オンライン」のPCの姿で参戦しているため、 残念ながら、サーヴァントにダメージを与えることはできなくなっている。 パラメーターは「アルヴヘイム・オンライン」のものを引き継いでいるため、サーヴァントを維持するための魔力は、なくはないといったところ。 本名は桐ヶ谷和人。高校生。 幼い頃に両親と死別しているが、現在の家族からはそのことを隠されて育ってきた。 しかしある時、それを知ってしまったため、上記のように上手く人付き合いができなくなってしまった。 家庭環境の諸問題が解決した現在においては、徐々に人との距離を縮められるようになっていっている。 【方針】 向かってくる敵とは戦うが、自分からはあまり戦いを仕掛けたくない。この世界樹からの脱出の方法を探る。
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ジナコ=カリギリ・アサシン ◆holyBRftF6 街外れにある一軒家。街外れにあるとは言っても決して幽霊屋敷などではない、ごく普通の一軒家だ。 しかし、人が出入りする様子がない、という点では幽霊屋敷と共通している。 「ジナコさんは今日も仕事休むッスよ~。ボクが仕事する必要なんて無いッスからね~」 なぜなら。その家に住むのは、引きこもりだったからである。 ジナコ=カリギリ29歳。月海原学園の補欠教員。だが学校には行かない。仕事したくないから。 「だいたい、なんでボクが働く必要があるッスか。エリートニートのジナコさんは働く必要ないッスよ」 誰も聞いていないのに、布団の中でネットサーフィンをしながらジナコは呟く。 彼女にとって、働かないのなんて今更な話だ。 15年間に両親を失って。 その遺産で一生暮らせるだけの財産を得て。 進学も就職もせず、苦労のない勝ち組エリートニート生活を続けてきた。 ――15年間も、この生活が続いてしまった。 「……あれ? ボク……ニート、ッスよね」 ぐるぐると頭が回り始めるのを、ジナコは感じた。それは、ここ数日で何度も感じたもの。 似たような感覚を、彼女は知っている。自分の将来について考える時だ。 こんな人生でいいのかと悩むたびに、ジナコの頭にはもやがかかったようになって、それに耐えられず寝てしまう。 だけどいつものそれとはどこか違う、とジナコは思う。 だって最近の自分の頭の中は、いつももやがかかっているのだから。まるで、何を隠すように。 「なんで、アタシが教師になんて…………」 ジナコの頭の中が撹拌されていく。 自分が学校で仕事なんて、できるはずがない。 学校にすらまともに行けなかった自分が、生徒達を見るのは怖い。 学校の中で目覚めていたら、きっとどこか誰も来ない場所で引きこもっていた。 ――じゃあなんで、アタシは学校の補欠教員になれたの? 社会に出て面倒な付き合いにがんじがらめにされて。 うるさい年下の連中のわがままに付き合わされて。 そんな、つまらなくて……自分が失った可能性。自分じゃきっと怖くて耐えられない仕事。 次々にジナコの頭に湧き出てくる何か。 それは本当に水のごとく沸いてきて……とうとう、口という蓋から溢れだしていた。 「せいはい……せんそうの、よせん」 知らず知らずのうちに、そんな言葉が口から漏れていた。 それは、堤防の決壊が始まる予兆だったのか。 頭の中にかかっていたもやは急速に晴れていき、中に隠されていた何かが次々にジナコの記憶に入り込んでくる。 「なに、これ……知ってる……! でも、知らない……!?」 思わず布団を跳ね除けて、頭を押さえる。けれど、もやという抑えが無くなった以上既に手遅れだ。 ジナコは自分を思い出し、聖杯戦争を記憶させられていく―――― なんでも願いが叶う木片。 そんな内容の怪しいダイレクトメールが送られてきたのは、つい最近のことだった。 バカバカしい、とジナコは思った。きっとよくあるスパムだ。むしろ、なんで迷惑メール扱いされなかったのか。 ちゃんと仕分けしろッス、などと思いつつ……なぜかそれが、気になって仕方がなかった。 そのメールにはこうもあったのだ。 この木片を得るだけでは願いが叶いません。生死を懸けて戦って、それに勝ち残ることではじめて願いが叶うのだ、と。 スパムじゃなくて新手のゲームの誘いッスか? と突っ込んだものの、ジナコはなんとなく直感した。 本当に死ぬのかもしれない。 ジナコにとって死は絶対で、身近で、突然で、恐ろしいもので……だからこそ、このメールに説得力を感じた。 願いも叶うのかもしれない。 興味半分、本気少しでその木片を購入して、送られてきた木片に願った。人生をやり直させてください、と。 そして―― 「痛っ……!?」 痛みに、ジナコは意識を引き戻された。 思わず見た手の甲には、何か文様のようなものが浮かんできている。 彼女はそれをもう知っている。いや、知っている事にされた。 「令呪……れいじゅ?」 反芻するように言葉を繰り返す。 令呪。サーヴァントへの絶対命令権。これが無ければ死ぬ。 いつの間にか頭の中にある知識に、ジナコは薄気味悪さを感じた。 「…………用件を聞こうか……」 「ひっ!?」 だから、いつの間にか立っていた男の存在にも気付かなかった。 声のする方を見上げたジナコは、思わず悲鳴を漏らしていた。 そこにいたのは、恐ろしい男だ。 スーツを着ていても分かるくらい、筋肉質の屈強な男。贅肉だらけのジナコとは比較するだけでも失礼だ。 だけど、ジナコにとって恐ろしいのはそんなことではなかった。 その男は、死を纏っていた。理屈ではわからないが、そう感じた。 まるで、死が人間の体を得て迫ってきたような錯覚。 この男に狙われたら、きっと死ぬ。一度逃げられても最終的には死ぬ。 ジナコは今更になって自分が臆病なことを思い出し、戦意を早くも喪失していた。 「あ、あんた、だ、れ」 「…………サーヴァント・アサシン。 マスター 依頼人で間違いないな?」 男は怯えるジナコを笑うことも、気遣うこともしない。 かろうじて絞り出した問いに、平坦な答えだけを返す。 サーヴァント、その言葉にジナコの知っているものの知らない知識が反応した。 聖杯戦争を勝ち抜くために必要な存在。マスターはサーヴァントと契約し、サーヴァントはマスターに従う。 自分がサーヴァントを失ったら負け。 逆にサーヴァントを使ってサーヴァントやマスターを全て倒せば優勝。 そして、目の前の男がジナコのサーヴァントだと言うなら。 「アタシを守ってくれる、ってコト……?」 布団の上に座り込んだまま、ジナコはその相手を見上げる。 まるで銃弾そのもののような死を感じさせる男。それが自分のボディガードと思うと、途端に頼もしく思えてくる。 ……しかし。 「どうやら、俺の仕事ではなかったようだ……」 「ちょ、ちょっと!?」 ゆっくりと目を閉じるアサシン。その顔は無表情ながら、「話はこれまでだ」と雄弁に物語っている。 ジナコは慌ててアサシンに縋り付いた。 「サ、サーヴァントなんでしょ? アタシを守ってくれるんじゃないの!?」 「………………」 答えはない。振り払うことすらなく、アサシンはジナコを見下ろすだけだ。 いったいどういうことなのか、何が悪かったのかわからないまま、ジナコは泣き叫ぶことしかできなかった。 「た、戦ってよ、敵をなんとかしてよ!?」 「…………敵を撃つということであれば、受けよう」 「へ?」 目を丸くする。 どういうわけか知らないが、いきなりアサシンはジナコに対する態度を軟化させた。 もっとも分からなくとも当然だろう。これは生前から続くアサシンの「ボディガードの依頼を受けない」という流儀によるもの。 そして受けないと言っても形式上だけのこと。生前にこの形式で依頼を受けた際、タクラマカン砂漠で動けなくなっていた護衛対象の元へラクダを連れて現れ、助けたこともある。 アサシンを知らぬ者には理解できぬ拘りであった。 とはいえ、アサシンのほうも生前とはケースが異なることは承知している。 そのため、英霊――もっともこのアサシンは反英霊に近いが――となった彼は召喚者との接し方を多少変えていた。 「ただし、俺と契約するならばいくつかのルールを守ってもらうことになる……」 「ル、ルール? 聖杯戦争の?」 「聖杯戦争のルールではない…… サーヴァントとしての俺に依頼する際のルールだ」 その一つが、ルールの事前説明である。 「まず、俺との契約は極力隠してもらう…… マスター 依頼人であることは令呪がある以上露見するだろうが、それでも俺は必要だと思った時以外表には出ない。 お前も俺について探るな」 「えぇーっと……?」 「聖杯戦争は、俺にとっても未知の領域だ…… 隠れながら戦うほうが都合がいい……」 もしかしてあんた弱いッスか!?と煽りスキルを発揮しそうになったが、口には出さない。 アサシンが纏う威圧感は、とてもじゃないが弱いとは思えない。少なくともジナコよりは絶対に強い。 「次に……俺が実体化している時は後ろに立つな」 「は? なんで?」 「殴る癖がある」 「ちょ」 思わずツッコミが口から漏れた。ジナコがこの男に殴られたら死ぬ。絶対に死ぬ。 癖でうっかり殺されるなど、迷惑などというレベルではない。 「そして、俺はどんな理由だろうと裏切りを許さない…… この場合、その代価は命で払ってもらう」 今度はツッコミどころか息すら漏らせず、ぶんぶんと頭を縦に振ることしかできなかった。 ネット上の殺害予告などとは違う本物の「殺意」。殺すと決めたからには確実に殺すという意志が、男の全身から溢れていた。 「最後に、俺達が聖杯を得た場合…… 聖杯の力で俺に関する記憶をお前の頭から消す事になる」 「? せっかく勝ち残ったのに忘れろってこと?」 「依頼人であろうと……やり方を覚えられたくはない」 ジナコには理解できなかった。 わざわざ助けに来て、命を張って優勝という栄誉を得て、それを忘れろ、などと言うのだ。 このアサシンは何のために自分の身を危険に晒すのだろうか? ジナコには不思議でしょうがない。 「どうせ、殺し合いの記憶なんて碌なものじゃないし。別にいいッスけど」 「………………わかった。 依頼を引き受けよう」 アサシンの意図がどうあれ、生き残れさえすればジナコに文句はない。 来るはずだった人生を取り戻す、なんて願いはとうに消えていた。全て忘れてここから逃げられるならそれでよかった。 ジナコが頷くのを確認すると、アサシンは姿を消した。それは今まで存在していたのが夢じゃないかと思えるほど完璧な消え方だ。 ジナコもしばらくはアサシンや聖杯戦争について……自分の今後について考え込んでいたが、いつものように頭にもやがかかってきた。 「……アタシには何もできないよ」 また布団を被る。 ジナコには何も出来ない。こことは違う時間、違う世界でインドの大英雄と契約した彼女もそうだった。 死ぬのは怖い。でも三十路近い無力なニートには、閉じこもって、引きこもって、現実から逃げることしかできないのだ。 ■ ■ アサシンは屋根に上がり、ジナコが篭もる建物からどう狙撃するべきか、どう狙撃されるかを調べていた。 幸いにして、ジナコがいる建物の周辺はそれなりに守りやすい地形である。 ここならジナコが篭もっている限り、軍人五十人に襲われようとも殲滅は容易だ。 「強すぎることは悪い。過信や慢心を招く…… だが、弱すぎることが問題であることは疑いようもない、な……」 相手が、ただの軍人であれば。 アサシンは直感していた。恐らく自分達は聖杯戦争において下位の――或いは最弱のペアであると。 マスターが弱いから、だけではない。ジナコの魔力供給は極めて貧弱だが、アサシンはほとんど魔力を必要としないので問題ない。アサシンの能力は、もともと人間の域を出ないのだから。 サーヴァントは基本的に生前より弱体化している場合が多いが、強化される場合もある。このアサシンもそれだ。食事や睡眠は不要になり、弾は魔力がある限り生前の精度のままで無限に使用可能。生前にどれだけ気を遣っていたかを考えれば、これらの苦労が無くなったのは相当な強化と言える。 だが、それでも自分は弱い英霊だとアサシンは確信している。生前のアサシンは超能力者や常人離れした身体能力を持つ相手を狙ったことがある。それらの相手には射撃を避けられ、苦戦を強いられた。 そして、今回の戦場はそういった輩が跋扈する聖杯戦争である。セイバーやランサーなら、本人は愚かマスターを狙う銃弾すら容易く切り払うだろう。何より。 「最大の問題は、マスターを殺されても活動できるアーチャーのクラス…… どれほどの射程距離を持つのかも気になる……」 得物であるM16を見つめながら、恐らく存在するであろう他の狙撃手について考える。 生前のアーチャーの最長狙撃は5000メートルだ。しかし、これは「撃った」というよりは「運んだ」と言えるものであり、よほどいい条件が揃わなければマスター相手ですら通用するか疑わしい。M16での有効射程距離となれば、いかにアサシンと言えど半分以下となる。 もちろんこれでも破格の距離だが、「アーチャー」ならばこれ以上の射程距離を誇る射手もいるであろう。宝具ですらない単なるM16と英霊が持つ宝具では、歴然とした性能差がある。 そう、M16は宝具ではない。 アサシンの宝具はその生き様を具現化した「13番目の男」。これはアサシンに狙われた相手はマスターの敵意・殺意に応じて耐久・幸運及び防御系スキルがランクダウンするというもの。「彼に狙われた相手は死ぬ」……その摂理を全ての相手に強要させる。 欠点はあくまで「当たったら死ぬ」ようになるだけという点。つまり、当てられるかどうかはアサシンの腕前次第だ。 故に聖杯戦争はアサシンにとっても未知数であり、格上に対する挑戦となる。 「………………」 アサシンは無言で街を見つめる。その様子には自分より優れた相手に挑む恐怖も、高揚もない。 超能力者にも、99%勝てないと予測されたバイオニック・ソルジャーにも最後には勝ったのだ。勝ち目が針の先ほどもないというのなら、その針の先より細い勝機を撃ち貫くために専心する。 マスター 依頼者にも不満はない。全てをアサシンに任せる、生前から依頼者はそんなものだったし、生前のアサシンも依頼者がそうすることを望んだ。 アサシンを嵌めようとした依頼者達に比べれば、ジナコはまともな部類とすら言っていい――少なくとも、今のところは。 「…………やってみよう」 だから、契約を果たす。魔力という報酬を貰う以上、受けた依頼を実行する。 それだけがアサシン――ゴルゴ13の、生前から続くレゾンデートルである。 『マスター』 ジナコ=カリギリ 『参加方法』 ムーンセルによる召還。 何者かから送られてきた木片を使用した。 『マスターの願い』 元の世界に帰れればもうなんでもいい。 『weapon』 なし。 『能力・技能』 なし。強いて言えばネットで培った煽りスキルと情報検索力。 いちおう霊子ハッカーとしての適性はあるが高くない。 『人物背景』 14歳の時に両親が突然死してから、進学も就学もせずに引きこもり生活を続けた29歳のニート。 長い間の引きこもり生活で大事な時間を失ったと感じているものの、今更変えることもできず結局引きこもり続けている。 また過去の経歴から「死」を恐れていて、誰でもいつかは必ず死ぬと考えている。 ただし普段はこういった性格を表に出すことはなく、「人生の勝ち組」「エリートニート」として生活を楽しんでいるように振舞う。 口調も普段は「ボク」「ジナコさん」と女性らしくない話し方をして年齢も偽っているが、これらはキャラ付け。 素が出ると「アタシ」になる。 本来の月の聖杯戦争においてはカルナという最高ランクのサーヴァントを引きながら、戦場に出ることができず不戦敗となった。 『方針』 何もできない。 『クラス』アサシン 『真名』ゴルゴ13 『パラメーター』 筋力D 耐久C 敏捷D 魔力E 幸運A++ 宝具D 『属性』 秩序・中庸 『クラススキル』 気配遮断:A+ 完全に気配を断ち、発見することは不可能に近い。 このアサシンの場合、射撃時にも気配遮断のランクはそれほど落ちない。 しかしその代わり、通常時になぜか発見される事がある。 『保有スキル』 千里眼:C+ 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。プラスは道具による瞬間的な向上を含めたもの。 心眼(真)及び直感との兼ね合いによっては限定的な未来視も可能とする。 心眼(真):A 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 直感:B- 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。 ただし後ろに立つ相手は敵としか感じ取れない。 破壊工作:A 戦闘を行う前、準備段階で相手の戦力をそぎ落とす才能。 ランクAならば、相手が進軍してくる前に六割近い兵力を戦闘不能に追い込む事も可能。 ただし、このスキルが高ければ高いほど英雄としての霊格は低下していく。 『宝具』13番目の男 ランク:D 種別:対人 レンジ:1~99 最大捕捉:1 生前、あらゆる依頼を成功させてきた逸話の具現。 アサシンの攻撃は命中判定の際に幸運及び察知・回避系スキルを、ダメージ計算の際に耐久・幸運及び防御系スキルを、マスターが対象へ抱く敵意や殺意に応じてランクダウンさせる。 この宝具は攻撃の際に必ず発動し、例えマスターの感情が誤解に基づくものであったとしても関係なく効果を発揮する。 最大効果で発揮されればAランクだろうと下限まで下げることも可能だが、そのためにはマスターの強い意志と綿密な情報提供が不可欠。 ただしマスターがアサシンと敵対することになった場合、この宝具はマスターに対する攻撃の際に最大効果で発揮される。 また相手を弱体化させるだけで自身の命中率そのものには補正を掛けることができないため、攻撃が命中するか否かはアサシン自身の腕前次第である。 『weapon』 M16、リボルバー、手榴弾、仕込みナイフなど生前のアサシンの通常装備。 英霊となったことでいずれも神秘が付与され、また魔力が続く限り弾を用意することができる。 最低限の神秘しかないため宝具などであっさり弾かれるが、少ない魔力で修復・整備できるという利点もある。 なおジナコのマスター適性が低いため、生前の依頼に応じて新たに用意した特殊な装備を取り出すことはできない。 『人物背景』 特定のルールの元、高難易度の依頼を請け負うスナイパー。 多数の人間を殺害しているが、彼の狙撃によって救われた人間も多い。また、依頼が関係ない場面でもよく騒動に巻き込まれる。 寡黙かつ冷徹な性格で一度敵と見なせば容赦しないが、恩のある相手にはどんな不利益を被ってでも援助する。 この二面性を特に強く表しているのが依頼と関係のない第三者への対応である。自分の射撃を見られた相手を殺害する一方で、任務遂行中に巻き込んだ相手に何らかの謝罪・弁償を行うこともある。 劇中では能力について高い評価を受けているが、本人は自らを「臆病」と称し成功の秘訣についても 「……10%の才能と20%の努力………そして、30%の臆病さ……残る40%は……運だろう……な……」 と述べており、自らの才能には驕っていない。鍛錬を欠かさないシーンも多数見受けられる。 射撃以外の分野でも高い能力を誇り、格闘戦でもプロボクサーを軽く圧倒する。更に習得していない技能や知識も極めて短期間で覚える学習能力を持ち合わせている。 しかし能力の限界はあくまで人間としての範疇に留まるらしく、射撃を避けるような相手には苦戦を強いられている。 『サーヴァントの願い』 依頼の完遂。聖杯はその結果として手に入る物に過ぎない。 『基本戦術、方針、運用法』 アサシンの自身の判断によって敵味方を判別し、排除。 そこに正悪という基準はなく、マスターの意志とアサシンの信条のみが全て。 戦術としては直接戦闘ではまず勝ち目が無いため、狙撃・不意打ち・破壊工作を中心に戦う。 無論、相手マスターという弱点をこのアサシンが見逃すはずはない。 表面上は敵の排除のみという依頼であるが、ジナコの身の安全も確保する。 BACK NEXT 022 宮内れんげ+アサシン 投下順 024 電人HAL&アサシン 022 宮内れんげ+アサシン 時系列順 024 電人HAL&アサシン BACK 登場キャラ NEXT 参戦 ジナコ・カリギリ&アサシン(ゴルゴ13) 036 働け
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鹿目まどか&アサシン ◆q4eJ67HsvU ――これは、ひとりの少女の物語です。 少女の名前は、鹿目まどか。 彼女は極普通の、どこにでもいるような女の子でした。 ある日まどかは、白くて可愛らしい生き物を見つめます。 名前はキュゥべえ。まどかは、キュゥべえからお願いをされます。 それは魔法少女となって、この世界を脅かす魔女と戦ってほしいというものでした。 魔法少女になりさえすれば、どんな願いもひとつだけ叶えてもらえる。 まどかは考えます。そこまでして叶えたい願いってなんだろう、と。 しかしまどかが迷うだけの時間は、悲しいことに与えてもらえませんでした。 まどか達が出会った魔法少女の先輩、巴マミ。 想い人を救うために契約したまどかの親友、美樹さやか。 隣町からやってきた歴戦の魔法少女、佐倉杏子。 彼女達は、定めと呼ぶにはあまりに哀しい宿命に翻弄され、散っていきました。 そして、暁美ほむら。 まどかを陰ながら見守り続けてきた、謎めいた少女。 彼女の戦う目的、その意味を、ついにまどかは知ります。 ほむらが幾度となく同じ時間を繰り返し、自分を守るために孤独な戦いを続けていたことを。 ほむらにとってまどかは、初めて出来た大切な友達だということを。 自分のことすらまだ知らないまどかのために、これからも戦っていくことを。 まどかは自分だけが守られていたことを知りました。 そして、「わたしの最高の友達」のために、何が出来るのかを考えました。 外は大嵐。 最後の舞台装置の魔女「ワルプルギスの夜」が見滝原へと襲来したのです。 今もほむらは、まどかと見滝原を守るためにたった一人で勝ち目のない戦いを続けているでしょう。 まどかは決意しました。 そしてほむらの、キュゥべえの元へ、ワルプルギスの夜が起こす嵐のほうへと、歩みを進めて―― ――その時、通りすがりの特異型ヘルヴォールが『殺戮魔剣#13(スリータイムブレード)』を繰り出してワルプルギスの夜を一刀両断しました。 こうして全ては救われたのです。めでたし、めでたし。 《エンディングテーマ『悲しみキャブリケーション』》 歌:妄想キャリブレーション 作詞:利根川貴之 作曲:利根川貴之 坂 和也 編曲:坂 和也&Wichy.Recordings (イントロ)テレテレッテレレレ テッテテレレッ テレテレッテレレレ テッテテレレッ チャラララッチャララ チャラララッチャララ チャーチャラッチャララチャラッチャー チャラララッチャララ チャラララッチャララ チャーチャラッチャララ(ピロピロピロピロピロピロピロピロ) チャラララッチャララ チャラララッチャララ チャーチャラッチャララチャラッチャー チャラララッチャララ チャラララッチャララ チャーチャラッチャララ(ピロピロピロピロピロピロピロピロ)テテッテー ( う た )君が目指した デスティネーション 最後の言葉 スローモーション 聞きたくない 知りたくもない ちぐはぐになる コンビネーション 泣き出しそうだ グラデュエーション 私どんな顔でいればいいかな 冗談だよね? 「好きだよ」って言ってよ! 《 AVALON NETWORK 》 【クラス】 アサシン 【真名】 特異型ヘルヴォール@実在性ミリオンアーサー 【パラメーター】 筋力C 耐久D 敏捷A 魔力D 幸運C 宝具B 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 気配遮断:A サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントはおろか猿でも発見することは非常に難しい。 【保有スキル】 湖の騎士 C 断絶の時代の技術により「因子」を使って「湖」によって製造される、アーサーに使える騎士。 ランクが高いほど優秀に調整された騎士であることを示す。 心眼(偽) C 直感・第六感による危険回避。虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。 騎士の因子としてマーリンに組み込まれたものであり、本人の才能ではない。 アヴァロンネットワーク:? このスキル情報は検閲を受けています。 このスキル情報は検閲を受けています。 このスキル情報は検閲を受けています。 【宝具】 『殺戮魔剣#13(スリータイムブレード)』 ランク B 種別 対譚宝具 レンジ - 最大補足 1人 物語に介入し、結末を「暗殺」する特異型ヘルヴォールの必殺宝具。 対象が持つ過去の物語へと入り込み、その中で登場人物を一刀両断することでその過去、そして現実を改変する。 ただしひとつの物語に入れるのは一度だけであり、暗殺できる登場人物も一度の介入につき一人のみ。 また、その物語の語り部――つまりその記憶の持ち主だけはこの宝具で暗殺することは出来ない。 【weapon】 両刃の長剣。 【人物背景】 ブリテン昔話「さるかに合戦」に登場する、物語の結末で猿を一刀両断した通りすがりの騎士。 【マスター】 鹿目まどか@劇場版魔法少女まどか☆マギカ 【マスターとしての願い】 不明。 【weapon】 なし。 【能力・技能】 膨大な因果量を持つが、魔法少女としては未契約。 【人物背景】 見滝原中学校に通う中学二年生。ある日キュゥべえの『声』を聞いたことで、魔法少女の戦いに巻き込まれる。 (この時間軸の)まどか自身は知らなかったが、魔法少女暁美ほむらの時間遡行の影響で膨大な因果を抱え込んでいる。 心優しいが臆病で一歩を踏み出すことの出来ない性格であり、周囲の魔法少女達の破滅を前にしても何も出来ないでいた。 しかしほむらの戦う理由、この世界の魔法少女達の歴史と運命を知り、世界の理を変えるためにひとつの決断をする。 そして最後の一歩を踏み出した直後に赤い月に召喚され、アサシンによって「物語」を改変された。 【方針】 不明。
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ver 曲名 アーティスト BPM XG クリーンクリーン ブラックカプセル 168 難易度 LEVEL NOVICE 1.80 REGULAR 4.60 EXPERT 7.00 攻略・コメント 譜面指定については【紫】など文頭に指定をお願いします。 【赤】LP4分と連打重視のフィルインが特徴的な譜面。一方で難しくない8ビートもそれなりにあるので、これらの練習には向いている。また、連打が多いせいかBPM以上に速い曲に感じるかもしれない。 -- 名無しさん (2012-05-18 13 14 51) 名前 コメント
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折木奉太郎&アサシン ◆Gnjocyz9X2 多くの学生が夢見るのは薔薇色の青春だ。 部活動。友情。恋愛。 それらに彩られた華やかな高校生活を望むだろう。 尤も、俺は――――折木奉太郎は、そんなことに興味は無かったのだが。 やらなくていいことは、やらない。 やるべきことは手短に。 それこそが自分のモットー、省エネ主義というものだ。 毎日を平穏に過ごせるのなら、灰色の高校生活でも良い。 無味無色の静かな青春でも構わない。 そう思っていた。 ――――折木さん! 姉の命令で古典部に入部するまでは。 部活で出会ったのは、町の名家のご令嬢。 名前は千反田える。 思えば、氷菓の秘密を解き明かしたことが始まりだったか。 古典部の文集である氷菓、それに記された千反田の叔父の真相を解き明かして以来。 千反田は俺を「探偵役」として頼る様になった。 天真爛漫、そして好奇心旺盛。 そんなあいつの「気になること」に毎度付き合わされ、その謎を解き続けてきた。 最初は面倒だと思ってたし、のらりくらりと避けようとさえ思っていた。 しかし、そんな現状に居心地の良さを感じつつある自分がいた。 自分を特別扱いしてくれるあいつを意識しつつある自分がいた。 いつしか彼女の存在が自分の中で大きくなりつつあることに気付き始めていた。 自覚しつつある想いが、自らの主義に反することも理解していた。 これがジレンマという奴だろうか。 伊原のアプローチを躱し続けてきた里志も、こんな思いを感じていたのだろうか。 ――――ねえホータロー、『願いを叶える紅い満月』の話って知ってるかい? そして、唐突な始まりはそんな噂話から。 友人の福部里志から聞かされた、些細で胡散臭いオカルト話である。 ◇◇◇◇ 「はぁっ――――はぁっ――――」 真夜中の路地裏を、ふらふらと小走りで進む自分がいる。 何故俺はこんな所にいるのだろう。 記憶はぼんやりと覚えている。 自宅の窓から『紅い満月』を偶然目撃して――――― そこから意識が途絶えている。 気がつけば、見慣れぬ都市で自分は彷徨っていた。 此処はどこなのだろうか。 ただ漠然と解るのは、此処が自分の知る町ではないということ。 足下に転がるゴミを意に介さず、小汚い路地裏を進んでいく。 理屈ではなく、推理でもなく。 ただ『行かなければならない』という感情に動かされて。 この先に何かがあるということを、頭ではなく心で理解していた。 何があるのか。 解らない。 だが、何かがある。 そんな曖昧な直感を頼りに、歩を進めていた矢先。 ―――――ベチャリ。 靴の裏が認識したのは異物の感触。 咄嗟に足を止めてしまう自分。 恐る恐る足下を見下ろし、月明かりに照らされる『それ』を目に焼き付ける。 紅。 紅。 紅。 紅。 あの時の満月のような紅。 ペンキを一面に打ち撒けたかのような紅。 よく出来た塗料だ。 余りにも精巧で、まるで本物そっくりだ。 自身の頭が現実を認識することを拒む。 小刻みに震えだす自分がいる。 ただただ、目の前の事象を理解したくない。 そう思っていたのに、俺の視線は路地の先へと。 そして、『真上』へと向けられる。 ―――巨大な、蜘蛛の巣だ。 路地を挟むビルの間に、有り得ないサイズの蜘蛛の巣が張り巡らされている。 蜘蛛が捕らえるのは蝶などの昆虫。 だが、あの蜘蛛の巣に捕らえられているのは。 月の光に照らされ、俺はそれを認識してしまった。 身体中を糸で雁字搦めにされた女性。 全身を裂かれ、血をポタポタと垂らし続ける女性。 手足を切り落とされ、達磨同然となっている女性。 「っ、おげえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛――――!」 ついに耐え切れず、俺は胃の中のものを吐瀉物として地面に吐き出してしまった。 有り得ない。有り得ない、有り得ない。 こんなの夢に決まっている。 どうせたちの悪い夢だろう。余りにも非現実的だ。 「ひひひへはははは、あははははハハハ、ハハハハハハハハハハハハ―――――――!!!!!!」 そんな俺の現実逃避を踏み躙る様に、狂った哄笑が響き渡る。 声の主は―――――『蜘蛛の巣を張り巡らす怪物』。 あの女性達を蜘蛛の巣に嵌めて惨殺したであろう張本人 文字通り蜘蛛の如く巣にしがみついていた軍服姿の男は、颯爽と地面へと降り立つ。 「御機嫌よう我が主よ、お目にかかれて光栄の至り」 軍服姿の男は慇懃無礼な笑みを浮かべながら、こちらへ会釈をしてくる。 ――――我が主? こいつは何を言っている。 俺が、この男の主? 言っている意味が、分からない。 兎に角理解が及ばない。現状を上手く認知出来ない。 脳内の警鐘がけたたましく鳴り響いている。 だが、そんな中で自分の頭は現状をどこか客観的に理解していた。 否、この『東京』に導かれた時点で。 何もかも解っていたのかもしれない。 そう、これは殺し合いだ。 願いを叶える為の――――――――― 「私はアサシンのサーヴァント、真名は『紅蜘蛛“ロート・シュピーネ”』。 以後お見知りおきを」 今の俺は、全てを理解していた。 紅い月に導かれた者達による『聖杯戦争』。 マスターとなった者はサーヴァントと呼ばれる従者を率い、殺し合う。 俺がこの路地裏を進んだのは、サーヴァントの存在を無意識に感じ取っていたから。 そして。 俺を選んだのは、醜悪な化物だった。 人の命を踏み躙ることに何の呵責も覚えない――――最低の狂人。 ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇ 『――――××時になりました、ニュースの時間です』 『先日、相次いで発生した女性の行方不明事件――――』 あの出来事から幾日経っただろうか。 マンションの自宅、仄暗い食卓にてズルズルとカップ麺を啜りつつテレビへと目を向ける。 ニュース番組で報道されているのは女性の行方不明事件、殺人事件など。 いずれも物騒な出来事ばかりだ。その上近場でも何件か事件が発生しているらしい。 夜中に出歩く女性は毎日注意を払っているのだろうか。 実際に遭遇した際には、どうするのか。 他人事の様に考えながら、麺を箸で口に運ぶ。 (…あいつの仕業なんだろうな) しかし、今の自分に取っては他人事などではなかった。 あの日見た凄惨な殺人現場。 月夜に浮かぶ蜘蛛の巣。 そして、人知を超越した怪人。 ほんの少し前までは未知の世界だった出来事が、今では間近に感じられてしまう。 ――――紅い満月? ――――そんなオカルトじみた話、ある訳ないだろ。 そう思っていたのも、何日前のことだったか。 今となっては、認めたくないとさえ感じている。 あの悪夢を目の当たりにして以来――――― 「自らは自宅に引き蘢り、身の安全を確保ですか。 随分と気楽なものだ。いや、寧ろそれも戦略の一つと言うべきですかねぇ」 唐突に背後から声が響く。 びくりと一瞬背筋が震えるも、すぐに俺は振り返る。 「ア、アサシン…」 「いえいえ、ご冗談ですよ。寧ろ私としてはその方が好都合。 貴方はマスターとしては弱小だ。ですので、下手に出歩くよりは得策でしょう」 いつの間にか俺の背後に立っていたのは軍服姿の醜悪な男。 自分に与えられた唯一の従者、アサシンことロート・シュピーネ。 シュピーネは不敵な笑みを浮かべ、こちらに会釈をしてくる。 ――――こいつは、いつもこんな調子だ。 物腰こそ礼儀正しいが、その実こちらを見下している。 無力な俺を嘲笑うように気味の悪い笑みを浮かべている。 この幾日でこいつの性格は大まかに把握出来ている。 そして、俺の知らぬ間に何をしているのかも――――何となく。 「…また、誰かを殺しに行ってたのか」 「さぁ。どうでしょうねぇ?少なくとも私は情報収集の為に外へ赴いていたのですけどね」 ニヤニヤと笑みを浮かべながらシュピーネは答える。 声色、表情から見て取れる。 諜報活動を行っていたことは事実だろう。 現にこいつは勝つ為にここに来ている――――聖杯に望む願いがあるのだから。 その為に行動を起こすことは至極真っ当だ。 だが、ただの情報収集だけで終わらせる程真っ当な人間でないことも理解している。 魔力収集の為に、快楽の為に。 この男は何人も殺し、何人も犯しているのだから。 「なあアサシン、もういい加減―――――――」 「あぁマスター、先んじて言っておきますが。 もし貴方が令呪を用い、この私を縛り付ける命を発しようとした場合」 シュピーネの表情から一瞬だけ笑みが消える。 まるでこちらを脅しに掛かる様に、冷徹な声色へと変わる。 俺はただ、びくりと恐怖を覚えることしか出来なかった。 「――――聡明な貴方ならご理解頂けますよねぇ? お願い致しますよ、貴方に手を上げるのは私とて心が痛むものですから」 再び、シュピーネが慇懃無礼に笑う。 「…解ってるよ」 適当な空返事をしながら、俺は心底思う。 ああ、やっぱり―――――こいつを信用なんてしたくはない。 こんな恐ろしい男を、信じたくはない。 『サーヴァントは主にマスターとの相性で選ばれる』とはこいつの談だったか。 何故こんな怪物が俺を選んだのか、理解出来ない。 ―――――ハナから俺のような、体よく使える『弱者』を好んで選んでいたのではないか。 「ならば安心しました。貴方とは良き信頼関係を結びたいですからね。 しかしマスター、一応言っておきますが…身の安全を優先することはまぁいいでしょう。 だが、貴方はマスターとしての自覚も足りないようだ。もう少し気を引き締めた方が宜しいかと」 そしてシュピーネは再び一礼をし、こちらに助言のような一言を投げかける。 俺は何も答えない。投げかけてくる言葉を無視する様に。 「聖杯に託す願いがあるのならば、ね」 ククッと不気味な笑みを浮かべながら、シュピーネは姿を消した。 再び何処かへと出かけてしまったらしい。 (俺の、願いか) シュピーネが姿を消し、俺は食べ終えたカップ麺をテーブルに置く。 『聖杯に託す願い』。 あいつが言い残した言葉を脳内で思い浮かべ、ぼんやりと右手の甲の令呪を眺める。 思えば、あの紅い満月は『願いを叶えてくれるもの』らしい。 ならば俺にも何かしらの願いがあったのだろうか。 省エネ主義の俺が何かを望むことなんてあったのだろうか。 ―――――折木さんは、特別な人ですよ! (…まさか) 正直に白状すると、自らの願いは薄々理解している。 自らの主義と反する、たった一つの願いを。 だが、己の理性がそれを拒んでいた。 あいつとの薔薇色の青春が、殺人の免罪符? 切り捨てられないプライドと淡い想いの為に、殺し合いをする? 余りにも巫山戯ている。 そんなちっぽけでつまらない願いが、戦争に参戦する権利足り得るのか。 そんな理由で、殺人が出来るものか。 しかし、願いの心当たり等それしか存在しないのも事実。 やらなくてもいいことは、やらない。 やるべきことは、手短に。 では、やるべきことが解らない時は? (どうしろって言うんだよ…) ――――折木奉太郎。 ――――ちっぽけな願いを抱いた『探偵役』は、まだ動けない。 【クラス】 アサシン 【真名】 ロート・シュピーネ@Dies irae 【ステータス】 筋力E+ 耐久D 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具C 【属性】 混沌・悪 【クラス別スキル】 気配遮断:B+ サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は非常に難しい。 ただし自らが攻撃体勢に入ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【保有スキル】 精神汚染:C- 殺戮と略奪を謳歌する狂人。 同ランク以下の精神干渉系魔術の効果を軽減する。 ただしシュピーネの行動原理は我欲と恐怖であり、自身を上回る力や器に対し強い恐れを抱く。 そのため「威圧」等の対象を畏怖させる精神干渉系魔術はランクを問わず効果が倍増する。 慧眼:C- 騎士団首領代行より見込まれた先見の明。 敵の策略・戦術の察知に長け、また目的の本質を見抜くことが出来る。 ただし生前の逸話に基づき、敵の力量を侮り油断した際には効果が半減する。 諜報:A 偵察や情報収集の際に有利な判定・補正が与えられる。 生前のシュピーネは軍の諜報機関に所属していた時期があり、騎士団でも諜報活動を任されることがあった。 【宝具】 「辺獄舎の絞殺縄(ワルシャワ・ゲットー)」 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:50 かつてワルシャワ収容所において幾多の捕虜を絞殺した縄を素体とする聖遺物。 シュピーネの身体から自在に伸びる無数のワイヤーとして形成される。 主に拘束や切断、絞殺に使う他、ワイヤーを蜘蛛の巣のように張り巡らすことも出来る。 単純な強度や切れ味は非常に高いが、神秘を持つ攻撃であればワイヤーを断ち切ることが可能。 尚、シュピーネは聖遺物と霊的な繋がりを持つ為、聖遺物の損傷はアサシンへのダメージフィードバックとなる。 神秘の無い攻撃に対しては頑健である為、サーヴァント戦よりもマスター暗殺で真価を発揮する宝具。 【Weapon】 宝具『辺獄舎の絞殺縄』 【人物背景】 ナチスの裏の裏で結成された魔人の集団「聖槍十三騎士団」の一員。 本人曰く本名は「昔に捨てた」らしく、魔名である「紅蜘蛛(ロート・シュピーネ)」を名前として名乗っている。 殺戮や簒奪を好む残虐な狂人。物腰こそ丁寧だが慇懃無礼であり、本質は俗物的な小物。 元はナチスの研究施設・諜報機関に所属するマッドサイエンティストだったが、 首領代行であるヴァレリア・トリファにスカウトされ騎士団へと入団する。 騎士団の首領、副首領を強く恐れており、二人の復活を避けるべく計画の鍵である藤井蓮に協力を持ち掛ける。 しかし蓮の幼馴染みを人質に取ったことで交渉は決裂、そのまま交戦に縺れ込む。 まだ未熟な蓮を聖遺物の能力で追い詰めるも、最終的に土壇場で成長した蓮に敗北。 命辛々で生き延びるも、ヴァレリアに用済みと判断され処刑された。 他の団員同様に超人的な戦闘能力を持つものの、実力自体は騎士団の中で最も低い。 藤井蓮との対決もヴァレリアによる「蓮を成長させる為の策」に過ぎず、当て馬として利用されていた。 彼の本職は諜報や斥候であり、元々戦闘者ではなかった模様。 【サーヴァントとしての願い】 永劫の自由を獲得し、殺し犯し奪うことを謳歌し続ける。 【方針】 基本は諜報や偵察メイン。 情報を掻き集め、敵マスターの暗殺を狙う。 サーヴァントとの直接戦闘は極力回避。真っ向からの力比べでは分が悪い。 必要があれば奉太郎に協力を仰ぐが、主従の主導権は自分が握る。 【マスター】 折木奉太郎@氷菓(アニメ版) 【マスターとしての願い】 今はまだ上手く纏まらない。 【weapon】 なし 【能力・技能】 非凡な洞察力と推理力を持つ。 鎌掛けで相手の出方を伺うなど機転も利く。 とはいえ基本的には無気力省エネ主義。やる必要がない時には頭を使わない。 【人物背景】 神山高校に通う男子生徒。 座右の銘は「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」。 普段は無気力で怠惰、本人も省エネ主義を自称する程にマイペースな性格。 学校での成績は平々凡々であり、教養にやや乏しい面がある。 しかし洞察力や推理力は並外れており、根は非常に理知的。 訳あって廃部寸前であった古典部に入部し、そこで出会った千反田えるに見込まれ「探偵役」を担う羽目に。 当初はえるを邪見に扱っている節もあったが、次第に彼女への好意を自覚し始める。 因みに同じく古典部の福部里志、伊原摩耶花とは中学時代からの付き合い。 【方針】 やるべきことが何なのか、まだ解らない。 シュピーネの凶行を止めたいが、何も出来ない。
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喝采と共に幕が下り、公演が終わる。 しかし、主演を務めた彼女の心は別のところにあった。 ◆◆◆ 『聖杯』―――万物の願いを叶える願望器。 雑誌やネットで見たならば、一笑に付してしまうような馬鹿げた話。 しかし湖月レオナの脳内には、どこで見たわけでもないのに、聖杯についての正しい知識が備わっていたし、それが紛うことなき事実であると認識できていた。 そしてそれこそが、聖杯を巡る戦いの参加権を得た証左であると理解した時、レオナの中で何かがひっくり返った。 全ての願いが叶うならば、愛する人と―――霧生鋭治と過ごした、あの暖かくて幸福な日々を取り戻せる。 それを思えば、彼の命を奪ったあの三人への復讐すら些末事と化した。 「クリスティーヌ」 サーヴァントがレオナを呼ぶ。 引き当てたのはアサシン―――ファントム・オブ・ジ・オペラ。 考え得る限り最もレオナに縁深く、そして最も相性が悪い英霊。 聖杯にかける願いを知られれば、この関係はたちまちのうちに瓦解してしまう。 「我が歌姫よ。 共に歩もう。 共に歌おう。 私達の幸福のために」 傍らに立ち、手を差し出してくるアサシン。 手袋に包まれたその手を取って応える。 「ええ、エリック」 そして微笑む。 今日が人生で一番幸せな花嫁のように。 貴方は私の『ファントム』ではないけれど。 聖杯で願いを叶えるまでは――― 「―――私はあなたの『クリスティーヌ』になりましょう」 【クラス】アサシン 【真名】ファントム・オブ・ジ・オペラ 【出典】Fate/Grand Order 【性別】男 【属性】混沌・悪 【パラメーター】 筋力:B 耐久:C 敏捷:A 魔力:D 幸運:D 宝具:B 【クラススキル】 気配遮断:A 自身の気配を消すスキル。隠密行動に適している。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。 【保有スキル】 ガルニエの呼び声:B+ 「魅惑の美声」が発展したスキル。人を惹き付ける天性の美声。 異性に対して魅了の魔術的効果として働くが、対魔力スキルで回避可能。対魔力を持っていなくても、抵抗する意思を持っていればある程度は軽減できる。 「ガルニエ」とはオペラ座の別名であり、このスキルはその地下から語り掛ける彼の呼び声を指す。 無辜の怪物:D 生前の行いからのイメージによって、後に過去や在り方を捻じ曲げられ能力・姿が変貌してしまった怪物。本人の意思に関係なく、風評によって真相を捻じ曲げられたものの深度を指す。このスキルを外すことは出来ない。 誹謗中傷、あるいは流言飛語からくる、有名人が背負う呪いのようなもの。 小説『オペラ座の怪人』のモデルである彼は作品の影響を受けて素顔と両腕が異形と化している。 精神汚染:A 精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をシャットアウトできる。ただし、同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができない。 【宝具】 『地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ)』 ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大補足:200人 かつての犠牲者たちの死骸を組み合わせて作成された、パイプオルガンの如き形状の巨大演奏装置。 異形の発声器官をもつ自身の歌声と併せて奏でることで不可視の魔力放射攻撃を行う。 【weapon】 かぎ爪と化した両腕 美しい歌声 【人物背景】 ファントム・オブ・ジ・オペラ。十九世紀を舞台とした小説『オペラ座の怪人』に登場した怪人の、恐らくはそのモデルとなった人物。 とあるオペラ座地下の広大な地下迷宮に棲まい、オペラ座の寄宿生でコーラス・ガールを務めていたクリスティーヌという女性に恋をしたことから、彼女を姿を隠して指導。同時にオペラ座関係者への脅迫や実力行使により彼女を歌姫へと導くも、恋敵の出現や自身への信頼を揺らがせ始めたクリスティーヌの様子から暴走し始め、遂には殺人にまで手を染めた。 本名はエリック。 【サーヴァントとしての願い】 クリスティーヌの幸福 【マスター】 湖月レオナ@金田一少年の事件簿 【マスターとしての願い】 霧生鋭治を蘇生させ永遠に幸せに暮らす 【能力・技能】 卓越した演技力 連続殺人のトリックを思いつく計画力 連続殺人実行中に発生した数々のアクシデントを乗り越える機転。 【人物背景】 劇団「遊民蜂起」の団員にして舞台女優。20歳。 優れた容姿と高い演技力を兼ね備え、劇団内外にファンが多い。 合宿所の火事に巻き込まれた事から火がトラウマになっている。 この火事で顔にやけどを負いながら自分を救助してくれた霧生鋭治と恋仲となり駆け落ちするも、ある日霧生は行方をくらまし、自身は同じ劇団の三人の役者によって連れ戻されてしまう。 後にレオナは火事の原因がこの三人の役者であること、彼らに自首するよう説得していた霧生が彼らによって殺害されたことを知った。 そして火事を起こした罪を霧生に被せて、ヘラヘラと笑う三人の姿を見たレオナは『ファントムの花嫁』として復讐を決意した。 【方針】 聖杯を獲得する。
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主人公子・アサシン ◆Ee.E0P6Y2U 私は何時ごろからか「バッチリ」という口癖がついていた。 別に何かきっかけがあった訳でも、特に意味がある訳でも、更に言うなら珍しい訳でもないだろうが ――気づけばそれが口癖になっていた。 「バッチリ」それも快活な口調で言葉尻を高く上げるのが常で、より正確に言うならば「バッチリ!」だろうか。 口癖が往々にしてそうであるように、何も考えないでもその言葉が出てしまう。 別にそれが厭な訳ではない。 意味などさしてないことなど分かっている。 ふとたまに疑問に思うくらいだ。私は何でこういう自分を持ったのだろうかって。 誰かに物を頼まれば「勿論!」と言い その進捗を効かれれば「バッチリ!」と答える。 勿論言葉に違わず頼まれごとはこなしておく。 そういう自分を被っていると、私は友人に恵まれた。 友人とか繋がりとか、得てしてそういうものだ。 結局役に立つ奴が好かれる――なんて捻くれたことを言うつもりはないけれど でも、どうすれば繋がりから弾かれないか、最低限の処世術くらいは、自然と身に着けていた。 たぶん私にとってのそれが「バッチリ!」なんだろう。 可愛らしく笑って(自分で言うのも何だがそれなりに容姿は整っていると思う) その上でウザがられない程度には役に立つ。 それが私が十年程かけて形成した私<ペルソナ>なのだと思う。 ある人は私にリーダーとしての素質があると言った。 何故、と聞き返すと(勿論光栄そうなあるいは馬鹿そうな雰囲気を滲ませることも忘れない) その人は私が「自分を殺せる奴だから」と言った。 なるほどリーダーとは自分をコントロールできる人間でなくてはならない。 そういう意味で確かに私は向いているのかもしれなかった。 でも、私は「私」を殺している自覚はなかった。 そもそも本当の「私」だなんて、そんなことを考えて生きてきたことがない。 求められれば、私は求められた通りの「私」になる。 そうやって生きてきた。 だから私はよく異性に告白された。 モテた。 好きだと言われ、付き合って欲しいと迫られ、私は大抵は求められた通りに応じた。 同時に数人と付き合うこともあった。 まぁ、言うならば浮気だ。まさしく八方美人だ。 ひどいことのような気もしたが、でも私としては断るよりはそっちの方が喜ばれるな、と思ったからこそだ。 そうやって生きていると、時おり自分がとてもひどい女のような気がしてくる。 後ろめたく――いや正確には後ろめたさを感じるべきだと思った。 でも、すぐに忘れてしまう。それほど気にはならなかった。 それはきっと本質的には私は彼らのこと「どうでもいい」と思っているからだろう。 勿論彼らとの繋がりは本物だ。 決して弄んでいる訳ではない。私は男たちの前では――あるいは女たちの前でも、献身的に仕える。 好きだ好きだと迫られれば、私も好き、大好き、とか返してあげる。 彼らにとって都合のいい「私」であろうとする。 けれど一たびその「私」を脱ぎ捨てれば、「私」でなくなった私は「どうでもいい」と思わざるを得なくなる。 そうやって私は生きてきたから。 だから本当は私は「どうでもいい」のだと思う。 私は本当は、何もかも、誰もかも、「私」でさえも、等しく無価値だと思っている。 敢えて言うのなら、それが本当の「私」だろう。 けれど「どうでもいい」では女は生きていけない。 そんな態度では、女の社会からはすぐに弾き飛ばされる。 だからこそ私は「どうでもいい」を「バッチリ!」に覆い隠したのだろうか。 最も、 生きていくことだって本当は「どうでもいい」のだろうけれど。 ――ふとそんなことを思った。 とりとめのない考えだった。 口癖なんて、「私」と同じくらい、意味がないだろうから。 それこそ「どうでもいい」ことだろう。 ◇ 行こう行こうって手を引かれながら私は街を歩いた。 天真爛漫な娘だった。 何時だって楽しげに笑っていて、何かあればちょっとオーバーに驚いてくれる。 「うんうん、なるほどねえ」 街中の一角でストロベリィシェイク片手に彼女は私の話を聞いてくれた。 さして面白くもない話だろうに、彼女は熱心に聞いてくれる。 私は少しおどおどしながらも、転校前の話をしていた。まぁ話題は何だっていい。 休日に一緒に街で歩いて話しているってことが大事なのだ。 「そーんな体験してたんだ。でもこっちでは私が先輩だからね」 「あは」 「思う存分頼るがいい、ってね」 いい娘だと思う。彼女と学友であってよかったとも思う。 友達が多そうな娘だ。転校したばかりの私にとって、彼女のような人と友達になれるのはありがたい。 ――今後の布石にもなるし、ね。 学校とはある意味で戦場である。 孤立した小国は大国に蹂躙されるが定めである。 だから孤立は駄目だ。一人では生存していくことなんてできない。 孤立を避ける為新参者はまず大国におもねることになる。 が、ここで仕えるべき大国を見誤っては駄目だ。一見して仲良く笑ってる大国たちも、裏ではどんな繋がり方をしているか分かったもんじゃない。 別にクラスの実験を握ろうだとか、大国の仲間入りしてやろうとか、そんなことは思わない。 ただ最低限上手く溶け込みたい。 何せ私は今もう一つ“戦場”を抱えている。どっちが重要かといえば、間違いなく後者の“戦場”でできればそちらに注力したいところだった。 だから、無難で穏健派の大国についていきたい。 そういう意味で、目の前のクラスメイトの存在はありがたかった。 人望があり、能力があり、けれどえばらずクラスの中心的存在からは一歩引いたところにいる。 とりあえず彼女についていけば、転校生補正もあって当面の日常は守れそうだった。 こういうしがらみに頭を悩ませると、時たま男がひどく羨ましくなる。 うだうだ言っている冴えない奴らも、その実とても気楽そうだ。 「私も昔は色々転校が多くてね。だから分かるよ、あなたの気持ちも。 思わず叫びたくなっちゃうよね。てんこうー! とか」 明るいし、聞き役も上手だし、彼女は中々の“当たり”であると私は分析する。 ちょっと天然も入っているが、あくまでちょっと。 女の子女の子していると同性から攻撃対象に晒されるものだが、彼女の物言いはその境界を中々に見極めたものだと思う。 勿論、彼女がそんな計算高い娘だとは思っていない。 こういうのは本能的なものだ。 考えずとも、直感的にどう生きるかを識っている。 だって死ぬことは怖い。 動物なら、生きているものなら、それは当然の本能だ。 死にたくない。生きていたい。 勿論、私だってそうだ。 だから私は彼女を頼る。 彼女にくっついていって、一先ず生きる場所を得る。 「――以上が昨夜が起こった事件で、死亡者は……」 どこかからかニュースが飛んできた。 頭上の電光掲示板では真面目くさった顔した誰かが事件の解説をしている。 情報が街には散乱している。けれど多くの人はそれに目を向けない。 だって生きていくのには、あまり意味がないことだから。 ビルが陽光を受け艶々と照り返し、そうしてできた影の下には人々がごった返している。 空疎な言葉とエンジン音とコマーシャリズムにまみれた文言をBGMに、散乱した情報を掻き分けるようにして私たちは歩いている。 ああ、ここが戦場か。 これから始まる“戦争”の舞台。 「怖いなぁ……死ぬのって」 そんなことを考えていたからだろう。 思わずそう口にしてしまって、はっとした私は慌てて口を押えた。 変な娘と思われる訳にはいかない。 聞かれていないことを願うが、 「ん、どうしたの? 何か怖いことでもあった?」 しかし彼女は耳ざとく私の言葉を拾って、変らない調子でそう問いかけてきた。 私はやってしまった、と思いつつも精一杯フォローすべく、 「いやさ、さっきのニュースがちょっと怖くて」 そう取繕った。 ……どんなニュースか聞かれたら正直困る。ロクに聞いていなかったし。 「ふうん、まぁ初めての土地だと怖いよね」 幸い彼女は追及することなく流してくれた。 それでその会話は終わった。 さして広がりそうもない話題だ。 私は適当に話題を変え、二人で街を歩き回った。 甘いものを食べて、服を見て回って(お金がないので買いはしない)、適当にデパートなんかをぶらぶらして、 まぁ普通の休日だった。変なことは一切していない。 日常の風景だ。そうするつもりだ。 これで一応私にも友達ができた。人望のある、クラスの人気者と友達になれた。 「じゃあ、今日はそろそろ帰ろうか」 彼女がそう言いだして、休日は終わることになった。 既に空は赤い。夕陽に沈む街は変らず騒々しかったが、しかし徐々に空気が冷たくなっていた。 私は頷いて、それで一緒に帰ることにした。 休日の最後のステップ。ここまでは気を抜く訳にはいかない。 私の家(とされる場所)は街から少し外れたところにある。 彼女の寮も近くにあるので、途中までは一緒に帰って貰うことにした。 電車に乗り、騒然とした街から逃れるように、民家とアパートが立ち並ぶ住宅街まで逃れる。 人は大分少なくなっていた。 涼やかに川が流れる横で、遠くで老人が自転車をこいでいる。 先程まで街にいたこともあってひどく寂しい場所のようにも思えた。 学友と一緒に肩を並べて帰りながら、私は今夜のことを考えていた。 夜――それは“戦争”が始まる時間だ。 日常の基盤は一応築いた。短期間であれば彼女にくっついているだけで十分だろう。 問題は夜のことだが―― ――その時、私は気付いた。 私の従者が――サーヴァントが目覚めたことを。 あの好戦的な彼が何時もより早く目覚めてしまった。 止めて、と反射的に念話を送った。 ――だって殺そうとしていたから。 隣で歩く少女を。 私の日常の基盤を。 ここで得た私の“繋がり”を―― 「止めて、殺すのは――」 反射的に令呪を使おうとする。 あらゆる意味で彼女を殺すのは得策ではない。 誰彼かまわず殺そうとする従者を縛り付けなくてはならない。 出し惜しみせず、もっと早くそう告げておくべきだった。 けれど、間に合わなかった。 少女は――死んでいた。 夕方、人気のない河川敷の近く。 そこで一人の少女が命を落とした。 私だった。 ぶち、ぶち、と肉/私が切れる音がする。 「え?」と思わず声が出た。 その時、既に私の身体は切り裂かれていた。 何で――彼女でなく私が 答えを得ることなく、私の意識は閉じた。 最期に視たのは天真爛漫で役に立つ――そう思っていたあの娘だった。 分からなかった。彼女はどんな顔をしているかまでは…… ◇ 切って、裂かれ、斬られ――殺された。 転校生の少女であった筈の肉は17分割され、その名を喪った。 それを主人公子は一応の驚きを持って眺めていた。 「えーと、アサシンさん?」 公子は戸惑いつつも、その場に佇む一人の青年へと声をかけた。 彼のその手には大きな飛び出しナイフがあり、その刀身には少女の血が付いている。 服装自体は平凡なものだが、異様なのはその顔だ。 マフラーのような布によって、その目は隠されている。 その布は風に吹かれ、ゆらゆらと揺らめいている。 目を隠し、血の付いたナイフを持つ青年。 目の前には17の肉片に切り裂かれた死体。 言うまでもなく殺人鬼である。 否――正確には殺人貴、と呼ぶべきか。 それが公子の従者であった。 彼が今日友達にばかりの転校生を殺したのは、明白だった。 「何で殺したんですか?」 「マスターが殺されそうになってたからだよ。 彼女、いや正確には彼女のサーヴァントがマスターを襲おうとしていた。 俺じゃあサーヴァントには敵わないだろうから、代わりに彼女を殺した」 アサシンの言葉に公子は目を丸くする。 何と彼女もマスターだったのか。そう伝えるとアサシンは呆れたように、 「……気付いてなかったのか。てっきり俺はマスターが気付いてて付き合ってるものだと」 「全然、一緒に遊んでほしそうだったから。とりあえず誘ってみたの」 頭をかくアサシンを後目に、公子は切り裂かれた少女の死体を見下ろした。 が、既にそこにあるのは肉片でしかなく、そこに「生」の感触を一切見いだすことはできなかった。 ……殺人貴に「死」の点を突かれ、存在としての終焉を迎えたのだ。 「……彼女、どうやら人間じゃなかったみたいだ」 「なんと!」 「どんな素性だったのかは分からないけど、俺がすぐに反応できたってことはたぶんね」 そう会話を交わしている内に、肉片は風に吹かれ消えていった。 「死」を迎えたものは、ただ消えるのみだ。 「ねえ」 それを見ながら、公子は尋ねた。 「死ぬってそんなに怖いこと?」 と。 何気ない口調で、これから何を食べようか、とか聞くのと変わらない様子で、公子は尋ねていた。 今しがた死んでしまった少女。 少なくとも彼女は死を恐れていた。 聖杯戦争に赴いた彼女は、死を恐れ生きようとしていた。 でも公子は疑問に思う。 何で彼女は死を恐れていたんだろう。 カタチあるものは、何時かは必ず終わってしまうというのに。 時は待たない。死なんて何時か必ず来てしまうものなのに。 「怖いよ」 公子の純粋な疑問に、殺人貴は迷うことなく答えた。 「怖いさ。死っていうのは……視ているだけで頭がイカレちまうくらい怖いもんだ」 彼の言葉に公子「ふうん」と返すのみだった。 怖いものなのか。 どうでもいいものじゃないのか。 公子はよく分からなかった。 「……それでマスター。聖杯戦争の準備は?」 間を置いてアサシンはそう尋ねてきた。 確認の言葉だった。 公子は今度もまた快活に答えた。 バッチリ! と。 「うんうん。頑張って優勝しよう」 「……頼むよ。俺にも――願いがある」 アサシンと言葉を交しながら、公子は彼の為に「私」を被った。 優秀な司令官で、願いの為に邁進する。 そんな「私」を。 「よーしじゃあ行こう!」 だから「どうでもいい」だなんて「私」は言わない。 【CLASS】アサシン 【真名】遠野志貴(のちの殺人貴) 【パラメーター】 筋力D+ 耐久E+ 敏捷C+ 魔力E 幸運D 宝具C 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 気配遮断 B 気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は難しい。 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【保有スキル】 直死の魔眼 C #65293; 魔眼の中で最高位。モノの「死」を視る眼。 このスキルを利用した攻撃に成功した場合、与えたダメージは回復不能になる。 スキル・宝具を「殺す」も可能だが、ランクが高くなるほど攻撃の成功率は落ちる。 彼のものは元来備えていた淨眼が死に触れて「死」を視るように発展したもの。 本来の魔眼ではない為、使用には常にリスクがある。 病弱:A 天性の打たれ弱さ、虚弱体質。 保有者は、あらゆる行動時に急激なステータス低下のリスクを伴うようになる、デメリットスキル。 発生確率はそれほど高くないが、戦闘時に発動した場合のリスクは計り知れない。 七夜:C その血脈。人外に対する攻撃衝動。 死徒のような人外を相手取る際、有利な判定を得ることができる。 【宝具】 『直視の魔眼・決死の一撃(ラストアーク・サーキットブレイク)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1 直死の魔眼による一撃必殺。 物に内包された「死」を見切り、その点を突くことにより死を齎す。 英霊といえど終わりなきものはない。 カタチができてしまった時点でそれは終わりを――「死」を内包する。 「死」を見切ったモノを「殺す」。 如何なる防御も意味もなさない上、蘇生・転生すら不可能となる。 「直死の魔眼」スキルにより完全に「死」を見切った存在に対してのみ発動可能。 【人物背景】 出典は「月姫2」……ではなく「真月譚月姫(漫画版)」 本名を「七夜志貴」といい、退魔の暗殺者「七夜一族」唯一の生き残り。 七夜襲撃事件の際、襲撃を指揮した遠野家当主・遠野槙久によって、長男「シキ」と名前の読みが同じという気まぐれで生かされ、養子となった。 その後、真祖の姫アルクェイドと出会い、吸血鬼たちとの戦いに身を投じることになる。 ……のちにアルクェイドの護衛として、彼女とともにブリュンスタッド城に留まることになる。 二十七祖第六位・リィゾ=バール・シュトラウトは好敵手に当たる。 この時期になると、魔眼の能力が高まり過ぎたため、魔眼殺しを以てしても、死の線が視えてしまうようになっている。 このため、普段は両目に包帯を巻いて封印するようになった。 「殺人貴」になる前(「真月譚月姫(漫画版)」のラストシーン)の状態で召喚された。 weapon 「七つ夜」 愛用するナイフ。 七夜に伝わる宝刀で宝刀とは言うが、値打ち物ではない。 年代物だが暗殺用らしく飛び出しナイフ。そんな構造でありながら、死徒の攻撃を受け止めるほどに頑丈。 なお、現実世界で「七ツ夜」を持ち歩いた場合、普通に銃刀法違反。 【基本戦術、方針、運用法】 ステータス的にも普通にサーヴァントと戦えば敗ける。 一応敵が人外(=人間由来の英霊でない)ならば有利に戦えるが、基本的には隠密に徹するべき。 隠れ潜み、死を見切った敵を「直死の魔眼」で一撃必殺が最もスマートだが、あまりに格の高い英霊と戦えば自滅してしまう。 継戦能力も高いとはいえないので、ここぞというところまでは戦闘は避けたいところ。 【マスター】 主人 公子(女主人公)@ペルソナ3p 【能力・技能】 ペルソナ ワイルドに目覚め得る可能性を持つが時期が本編開始前なので使えない。 デス 世界の破滅を招来する"デス"を体内に封印している器。 10年前のシャドウ研究所爆発事故の際に巻き込まれ、両親が死に、アイギスによって暴走するデスの器とされた。 【人物背景】 『ペルソナ3p』において追加された女主人公。通称ハム子。 男主人公と打って変わって明るい性格で、選択肢もノリノリなものが多い。 ただしその背景は変わっておらず、その身に“デス”を宿していることは変らない。 男主人公と同様プレイによっては何股もします。 【方針】 優勝する。
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リーダー サポート サスケ麒麟 *サクラ。綱手。チヨバア。ヒダン のいずれか二人 チームの策略 主にサスケの奥義を使いながら勝つ方法。サクラとツナデの上方向の吹き飛ばしと チヨバアとヒダンの長時間攻撃の間に奥義を決めて体力を減らしていく。 使うときの注意 サポートキャラの助けが無ければ意味がないので空打ちは避けるようにする 相手との距離が縮まった時や相手にすきができた時にサポート攻撃を当てて奥義を決め るようにする。 トビやガイなどスキの大きい奥義の後に積極的に奥義を狙うようにすると効果的。 スキがあるのかわからないので、チャクラは常時奥義ができるところまで抑えておく。 サポートが両方いない状態もなるべく避ける。 トップページ 上へ