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エリ(……なんという……) まき(接戦!) とし美(でも、あと一点とれば、私たちの勝ち……。 このチャンスを逃すわけにはいかない……!) とし美(……でも) 後輩C「はあ……はあ……」 とし美(みんな、スタミナを想像以上に消費している。 やっぱりアカネがいない穴は大きかった) とし美(どうする……どう、攻撃する……?) 三花「……」 とし美「……三花?」 三花「とし美。さっきはアカネの我が侭を聞かなかった私だけど……。 一度だけ、私の我が侭に付き合ってくれないかな?」 とし美「えっ……」 * * * とし美(あの後、タイムアウトを取った私たちは、 先生に直接訴えてみた) とし美(たった三十秒で、この案が採用されるとは考えられない。 そう思っていたのに、今私たちはそれを実現してしまった) アカネ「……」 とし美(アカネが、私たちと同じコートに立っている!) 三花(……これは賭け。もちろん、私個人が成功の確信を持っている賭け。 アカネをコートに呼びもどし、攻撃の選択肢として加える!) 三花(こちらからのサーブで決まれば上等、だけどそう上手くはいかない。 なら、返球されたものを、相手コートにぶちこむ以外の道は無い) 三花(前衛には私、とし美、アカネ。全員三年生。 さらに後衛には、エリとまきもいる。 三年生が全員集結しているこの瞬間、生かさず殺す道理がどこにある!) とし美(先生が提示した条件は一つ。 この一回で決めなければ、アカネを再び下げる) とし美(……十分すぎるよね、三花) とし美(だって三花は、この瞬間しか見てないんだから!) 「ピーッ!」 エリ「……いくよっ! はい!」 まき(良いサーブ! ……だけど、相手も上手い。 見事セッターに二球目を返してる) まき(ボールは相手のレフト、つまりエースへ。それなら、私の役目は!) とし美「まき!」 まき「任せて! それっ!」 後輩B(凄い! あんな剛速球を、三花先輩の元へ返すなんて!) 三花「良いよ! それじゃ、あとは頼んだ!」 後輩C(三花先輩のトスが上がる。そして、とし美先輩の頭上にボールが……! でも、相手が警戒しているのはアカネ先輩!) とし美(……後は任せたよ) 後輩A(やっぱりとし美先輩はおとり……。 本命はアカネ先輩の強烈なスパイク!) 後輩A(でも相手も、それに気付いている! 駄目! もうマークされちゃってる!) とし美(……そうだろうね) 後輩C(あれ? このボール、やけに伸びていく……) とし美(全く、うちの部長は本当怖いよ) アカネ「……ふう」 アカネ「……さあ決めちゃって、エリ!」 エリ「でやあああっ!」 とし美(アカネを“おとり”として使うんだからね!) ・ ・ ・ 「ピーッ!」 ・ ・ ・ ‐外‐ エリ「……」 アカネ「……」 三花「……」 とし美「……」 まき「……終わっちゃったね」 三花「終わっちゃったね〜……」 とし美「あの学校に勝てても、次の学校がもっと強いなんて。 そうなんだろうって、知ってても、ね」 三花「あそこ強すぎるよ〜」 とし美「全く、同感。インハイ出場を何度も果たしてる学校なんだってさ」 三花「そりゃ強いわけだねっ」 アカネ「……」 まき「でもでも、三花ちゃんのあのトス凄かった! 角度と飛距離が絶妙で、三人のうち誰が攻撃していてもおかしくなかったよ!」 三花「ん、ありがとさん!」 エリ「……」 三花「……ほらほら、エリもアカネも、だんまりは駄目だよ〜。 なにか喋ってくれないと〜」 エリ「……だ、だってざあ……!」 三花「な、泣くなよ〜……。そんなの、反則だよ……」 アカネ「……うっ、うううっ……!」 三花「先に泣かれちゃあ、駄目なんだってば……」 まき「……うわあああん……!」 三花「もう、まき! なんで泣ぐんだよ゛お〜……!」 まき「三花ちゃんこそおおお……!」 三花「ち、違うし……別に゛……」 とし美「……三花……」 三花「と、とし美……?」 とし美「良いんだよ、もう……終わっちゃたんだから゛ざ……」 三花「……ばかあ……とし美の、ばかあ……!」 「うわああああん……!」 * * * 後輩A「……」 後輩B「おっ、泣いてるのかな?」 後輩A「うるさい」 後輩C「……涙は人に隠したいもの」 後輩C「だけど、私は知ってる。 今この目から出ている涙は、とっても綺麗なものなんだって」 後輩A「……慰めのつもり?」 後輩C「とことん泣いて良いよっていう、許し」 後輩A「……全然可愛くない」 * * * 三花「……集合!」 「……」 三花「本日をもちまして、私たち三年生は引退します。 ですが、それでも私たちはあなたたちの先輩です」 三花「……困ったことがあったら、なんでも相談しにきてね?」 「はい!」 三花「では、三年生全員から一言ずつ頂こうと思います。 というわけで、まずはとし美!」 とし美「えっ、私?」 エリ「緊張するんじゃないよー!」 とし美「してないしてない」 とし美「えっと……、今まで三年生はお疲れ様でした。 二年生は部活の最高学年として、部を引っ張って上げてください。 一年生はそんな先輩の姿を見て、得るモノは得てください」 とし美「私は副部長という立場でみんなを見ていましたが、 きっと大丈夫だと思います。みんな、充分実力があります」 とし美「もちろんそれは、バレーの技術という面だけでない。 ……ということも私の方から加えて言っておきます」 とし美「ありがとうございました!」 「ありがとうございました!」 とし美「次、まき」 まき「私はこの部活に入って、精一杯頑張って、 みんなと笑いあって……本当に楽しかったです」 まき「先輩らしくない扱いとかも沢山受けてきましたが、 それでもここまで走りきることが出来て、 本当に良かったと思います。ありがとうございました!」 後輩B「まぎぜんばい〜……!」 まき「はい次、エリちゃん!」 後輩B「うう……」 まき「……よしよし」 エリ「では、まきの唯一といってもいい 先輩らしさを見せてもらったところで、私の出番です」 エリ「みんな、こんな私たちについてきてくれて、ありがと!」 エリ「思えば苦労だらけの二年半だったけど、 それ以上に楽しいことも沢山ありました」 エリ「そんな時間を過ごせた仲間に、ありがとうございました! そして、あとは任せました!」 「はいっ!」 エリ「ラストはアカネ!」 アカネ「こういうのって、普通部長が最後じゃないかと思うけど」 三花「だって私、最初に言っちゃったんだもん〜」 アカネ「いちいちこういう役回りなのは、私の人生なのかもね……」 アカネ「……さて、みんなお疲れ様。 大体言いたいことは外の先輩たちが言っちゃって、 私に言葉なんか残されてないんだけど」 アカネ「私の個人的なことを一つ」 アカネ「みんなに残された時間は、思った以上に短いです。 人生という物差しで測れば、高校生活なんてあっという間」 アカネ「だけど高校三年間の密度の高さは、 二年生はわかっていると思うけど、他の三年間を凌駕しています」 アカネ「そんな三年間があっという間、ということは、 もうみなさんに立ち止まってる暇はないということです」 アカネ「……後悔しないよう、全力を尽くしていってください!」 「はいっ!!」 三花「……それじゃ、解散! ありがとうございました!」 「ありがとうございましたーっ!」 * * * 三花「じゃあね、二人とも〜」 エリ「じゃあねー!」 アカネ「……」 エリ「……いやあ、終わったねえ」 アカネ「部活が終わっても、受験があるでしょ」 エリ「うっ、痛いところを。き、今日ぐらい多めに見てくれないかな?」 アカネ「まあ……それでいいなら、いいんじゃない?」 エリ「そうやってアカネは意地悪言うー……」 アカネ「……」 エリ「……ねえ、アカネ」 エリ「私ね、楽しかったよ。みんなとバレーが出来て」 エリ「みんなのこと、大好きになった。当然、アカネのことも大好きだよ」 アカネ「……ありがと」 エリ「……だから」 「ぎゅっ」 エリ「私の胸を、貸してあげようではないか!」 アカネ「……なんか頼りない胸だね……」 エリ「おいこら」 アカネ「でも……」 アカネ「私も大好きだからね、エリのこと……」 エリ「……ん、そうかい……」 第十話「桜高バレー部の終幕」‐完‐ 14
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【第十五話】 ‐ゲームセンター‐ アカネ「あー、頭がガンガンする……」 まき「それって二日酔い?」 アカネ「お酒は二十歳になってからだよ」 まき「あ、アカネちゃんが……非行少女に……!」 アカネ「人の話聞いてる?」 まき「健全な高校生は一口ぐらいお酒を飲んでいるものだよー?」 アカネ「まきの発想は子供だなあ」 まき「……私は飲んだことないけど」 アカネ「うん、まきはまきだったね」 まき「どことなくバカにされてる気がするよ」 アカネ「気のせいだよ」 まき「それならいいけどねー」 まき「それで、アカネちゃんはどうして頭がガンガンしてるの?」 アカネ「えっ、本当に理由わからないの?」 まき「まあ普通だったら、ゲームセンターの騒音かなあと思うんだけど」 まき「アカネちゃんはエリちゃんのいるところなら、どこでも頭痛を起こすでしょ?」 アカネ「なるほど」 エリ「納得しないで」 * * * エリ「私が、ちょっとばかし五月蝿いというのはわかるよ」 アカネ「ちょっとというか、かなり?」 エリ「……かなり五月蝿いというのは、認めるよ」 まき「五月蝿いというより、やかましい?」 アカネ「騒がしい?」 まき「もはや環境問題?」 エリ「二人はどこまで私の喋りを悪く言えば気が済むの!?」 * * * エリ「ともかく、やかましくて騒がしくて環境問題一歩手前の私の喋りを、 ゲームセンターの騒音と並べないでよ!」 エリ「……そこまで、酷くないもん……」 アカネ「わかった、わかったから涙拭きなよ」 まき「エリちゃん自分で言っておいて……」 アカネ「まあ、別にエリの喋りには慣れたからいいんだよ。心配しないで」 エリ「アカネ……」 まき「エリちゃんの喋りによる頭痛に慣れたってこと?」 アカネ「うん」 エリ「アカネ!?」 アカネ「でも、この頭痛はいつものと違うよ。 だからゲームセンターの騒音が原因だと思うんだ」 まき(識別できるほどいつも頭痛に悩まされてるんだ……) エリ「アカネはゲーセン苦手なんだ」 まき「予想通り?」 エリ「まあ、そうなんじゃないかなと思ったよ」 アカネ「ならなんで私を連れてきたの?」 エリ「アカネは仲間だから!」 アカネ「あ、ありがとう……」 エリ「いやでも、あの二人のエンジョイっぷりというか」 三花「えいっ!」 とし美「甘い!」 三花「そっちこそ!」 とし美「うおっ!」 エリ「……プロ顔負けのエキスパートっぷりは、想定外だったよね」 まき「ただのエアホッケーなのに、ギャラリー出来てるもんね」 アカネ「あの子たち卓球でもそうだったけど、どこでそんな技術を得たのやら……」 律「本当だよなー」 アカネ「……あれ?」 律「んっ?」 * * * 律「やっぱり全員来てたんだな」 律「いやー、人が集まっててよ。その中心を見たら三花ととし美でやんの」 アカネ「困ったぐらい目立ってるもんね。そっちも軽音部全員で来てるの?」 律「そそ。前にもこうして全員で会ったこと無かったっけ?」 アカネ「祭りの時ね」 律「それだ、それ!」 アカネ「あの時はみんな一緒だったけど、今は一人なんだね?」 律「あー……実はさー……」 律「私は両替させられに行ってるんだわ」 アカネ「パシられてるの?」 律「平たく言えば」 律「澪がどうしても欲しいっていうぬいぐるみが、UFOキャッチャーにあってさ」 アカネ「なるほど……」 律「困ったやつだよ」 アカネ「でもりっちゃん、そんなことでもちゃんと行ってくれるんだね」 律「まあ、一度ぐらいなら別に……」 アカネ「愛しの澪ちゃんのためなら、なんのそのかな?」 律「ち、ちげえよ!」 律「別に澪なんて、ちょっと昔から一緒にいるってっだけでさ! そうそう、腐れ縁ってやつで!」 アカネ「時間が経っても変わらない友情って、それだけで素敵だと思うよ」 律「あー、もう……。アカネって結構恥ずかしげもなくそんなこと言えるタイプなんだな」 アカネ「同じようなこと、エリにも言われたよ」 律「エリもやられてるのか……。ところで」 律「そのエリたちはどこに行ったんだ?」 アカネ「えっ? あれっ?」 アカネ「……誰もいない!?」 * * * エリ「まき、聞いたね」 まき「うん」 まき「りっちゃんが……パシられてて……お金を片手に……」 エリ「まき、それはちょっと危ない」 エリ「さてさて、他の軽音部員はどこにいるのかな?」 まき「……あっ」 まき「エリちゃん、ちょっと私は急用を思い出したから行くねー」 エリ「えっ?」 まき「それじゃっ!」 エリ「えっとー……」 エリ(……行っちゃった。急にどうしたんだろう) エリ(……あっ) 後輩B「おや、まき先輩の気配を感じたと思ったので、 こちらに寄らせてもらったところ、エリ先輩がいるじゃありませんか! いやあ、これはまき先輩が一緒にいることも期待できますねー!」 エリ「なるほど」 後輩B「なにがです?」 * * * 後輩B「まき先輩は既にここにいないと」 エリ「うん、どっかいっちゃった。バレー部三年、全員来てはいるけどね」 後輩B「因みに私は一人ですので」 エリ「一人でゲーセン?」 後輩B「極めてるゲームがあるのですよ」 エリ「それだから一人ってわけだ」 後輩B「では、私は再びまき先輩を探す旅に出ますので! エリ先輩もまき先輩に出会ったら、私が会いたがっていたとお伝えください! ではさよならです、エリ先輩!」 エリ「うん、じゃあねー!」 エリ「……」 エリ「……あっ、私も一人になっちゃった」 * * * アカネ(全く、みんないつの間にどこに行っちゃったのよ……) 唯「……あっ! アカネちゃんだ!」 アカネ「あれ、唯ちゃん。どうしたの一人で?」 唯「あのね、トイレに行こうってことで、一旦別れたんだけど……」 アカネ「あー、みんなの居場所がわからないってこと?」 唯「トイレどこにあるかわかる?」 アカネ「それ以前の問題なのね」 * * * 唯「ありがと〜アカネちゃん、助かったよ〜」 アカネ「どういたしまして」 唯「それと、助けてもらった手前、申し訳ないのですが……」 唯「みんなの居場所知らない?」 アカネ「私が知るわけないんだけど……」 唯「ですよねー」 唯「どどどどうしよう、アカネちゃん!?」 アカネ「落ち着いて、ね」 アカネ「私もみんなに置いてかれた身だし、せっかくだから一緒に回ろう?」 唯「えっ、いいの?」 アカネ「いいの。私もちょっとずつ頭痛が治ってきたし」 唯「えっ?」 アカネ「なんでもない。行こ、唯ちゃん!」 * * * まき(まさかあの子がここにいるとは……。 いや、私を追ってここに来たってこと?) まき(……) まき(これ以上考えるのはやめよう。そうしよう) 澪「うう……なんでだ、なんで取れないんだ……!」 紬「ファイトよ澪ちゃん!」 まき(……でも、なにも考えずに行動した結果があれなんだろうなあ) まき・梓「はあ」 まき・梓「えっ?」 梓「あ、えっと、どうも」 まき「梓ちゃんだよね?」 梓「はい」 まき「どうしたの、まるで」 まき「そろそろ先輩諦めてくれないかな、お金がどんどん無駄になってるのになー」 まき「でもここまでいくと、 “これだけお金使ったんだから取れるまでやめないぞ”、 とか思っちゃって、本当にやめないんだろうなー」 まき「そういえばこれって某コンプガチャの心理に似てるなー……」 まき「と思ってるみたいな顔して?」 梓「つまりそういうことです」 まき「やっぱりそうだったんだねー」 梓「察しが良すぎて、諸々の感想を通り越して怖いです」 まき「全部偶然だよー」 梓「察したところで、先輩のような同年代の先輩にお願いがあります」 まき「ちょっと今の言葉おかいいよ?」 梓「どうにかして澪先輩を止められませんか? 見てるだけで、ちょっと苦しいというか……」 まき「あー……ムギちゃんは応援するだけだもんね。 そして梓ちゃんは後輩だから、ちょっと言い難いと」 まき「でもりっちゃんとか唯ちゃんは? 来てるんでしょ?」 梓「唯先輩はトイレに行ったきり戻ってきません。多分、迷子です。 律先輩は澪先輩にパシられっぱなしで嫌になったのか」 梓「“梓、もうお前と会うのは、これで最後かもしれないな……”」 梓「という言葉を残して、そこら辺をほっつき歩いています」 まき「どこの部活にもエリちゃんみたいな人はいるもんだね」 梓「というかそこのゲームでゾンビを撃ってます」 まき「詰めが甘いところもそっくりだー」 * * * 律「んー、やっぱ私一人だけじゃ、限界があるか……」 三花「お困りのようだね、りっちゃん」 律「おお、三花!」 律「そうなんだよ、このゾンビども、数だけは多くてよ……」 三花「よし、私も協力しちゃうよ〜」 とし美「待って三花。本当にやるの?」 三花「大丈夫! ある程度経ったらとし美と交代するから!」 とし美「別にそれは結構なんだけど、いや、お断りしたいぐらいなんだけど……」 律「とし美って怖いもの苦手だっけ?」 とし美「ううん。お化け屋敷とか、ホラー映画はいいんだけどね。 ただゾンビが銃で撃たれる瞬間だけは、ちょっと気持ち悪くて……」 律「変なモノがぶしゃあって飛び出るところとか?」 とし美「そうそう。それがすっごい苦手」 三花「へえ、それは初めて聞いたな〜」 とし美「三花とこういうところ来ても、この類のゲームはやってこなかったからね」 律「まあ澪じゃないし、無理強いはしないよ」 とし美(澪ちゃんだったら無理強いさせられてたんだ……) 律「ただまあ、なんつーか」 律「……リアルにいる人間も、結構怖いぞ?」 とし美「えっ?」 律「詳しくはUFOキャッチャーのコーナーに行ってみてくれ」 三花「よ〜し、始めちゃうよりっちゃん!」 律「おう!」 とし美(……どういう意味なんだろう?) * * * とし美(とりあえず近くの、UFOキャッチャーのあるコーナーまで来たけれど……) とし美「あれ、まき?」 まき「とし美ちゃん!」 後輩B「まき先輩!」 まき「ぎゃあああああ!!」 とし美「あっ、逃げた」 後輩B「待ってくださいよー!」 とし美「……」 とし美「……なんだったんだろう」 梓「……なんだったんでしょうね。あっ、どうも先輩」 とし美「梓ちゃんだったよね?」 梓「はい」 唯「またの名をあずにゃんというのです」 梓「唯先輩!?」 唯「あっずにゃ〜ん!」 梓「離れてください! 暑苦しい!」 アカネ「あれ、とし美だ。三花と一緒だと思ったんだけど」 とし美「三花はあそこでゾンビと戦ってるよ」 アカネ「りっちゃんも一緒なんだ」 とし美「ちなみにまきはリアルでゾンビ的な生命力を持つ人から逃げてる」 アカネ「なにそれ怖い」 * * * 梓「……ですから、頼みますよ唯先輩」 唯「え、え〜……。私にも出来るかどうか〜……」 アカネ「どうしたの?」 唯「澪ちゃんを見てくれればわかると思うんだけど……」 澪「ど、どうしてなんだ……どうして取れないんだ……」 紬「……うん、どうしてだろうね……」 唯「見てられないよ……。ムギちゃんまで目を逸らす始末だよ!」 とし美「……確かにリアルにいる人間も十分怖い」 アカネ「誰か止めてあげられる人はいないの……?」 エリ「あー、やっと知ってる人見つけたー!」 紬「あら、エリちゃん!」 アカネ・とし美(エリだ! エリが来た!) 梓「確かあの人は……律先輩と三文芝居してた人ですね」 唯「あずにゃん、その言い方はどうかと思うよ?」 エリ「どうしたのさ二人とも。澪ちゃんなんか、疲れきってる表情しちゃってさ」 澪「えっ、疲れてる……? 本当だ、私疲れてる……」 エリ「だ、大丈夫?」 紬「澪ちゃんはこのぬいぐるみがどうしても欲しいんだけど、 なかなか上手く掴めなくて……」 エリ「あー、これは難しいよ。単純にやるんじゃ駄目だね。 ちょっと貸してくれる?」 澪「えっ……?」 エリ「……うん、いけそうだね」 アカネ(エリがUFOキャッチャーをし始めた……?) とし美(まさかの展開……) エリ「こういうのは店員さんに言えば、特に澪ちゃんみたいな子だと、 取りやすい位置に持ってきてくれるんだよ?」 澪「で、でもそれは……」 エリ「恥ずかしい?」 澪「……うん」 エリ「まあ、それならしょうがないと思うけど。 そういえばりっちゃんは? りっちゃんなら得意そうだけど?」 澪「律は私をからかったから、絶対頼まないって決めたんだ」 エリ「あー、なるほどね……」 アカネ(そうこう喋ってる間に、アームを操作して……) とし美(位置についた……。まさか……?) エリ「そのりっちゃんには両替係だけを頼んだわけだ」 紬「澪ちゃん、意地っ張りだから」 澪「む、ムギ! ……でも逃げられたけど」 エリ「そりゃ、逃げるよ。 きっとりっちゃんだって本当は、ただこうしたかっただけなんだから」 澪「えっ?」 エリ「ほら、お目当てのぬいぐるみだよ。欲しかったんでしょ?」 澪「……えっ!?」 アカネ・とし美(えええええ!?) アカネ(本当に取っちゃったの!?) とし美(えっ、いつの間に? えっ!?) 梓「……カッコいい……」 唯「がーん……!」 エリ「これで無駄遣いと、意地を張るのは最後にしときなよ?」 澪「う、うん……」 エリ「それじゃね、澪ちゃん。私は他のみんなを探さないといけないから!」 澪「じゃ、じゃあ……」 紬「エリちゃん、カッコよかったね〜」 澪「うん……」 * * * エリ(ふー、一仕事終えたね。良いことをした後は気分が良い) エリ(さてさて、みんなはどこにいるのやら……?) アカネ「……」 エリ「って、あれ。アカネだ。とし美もいるし」 とし美「……エリ、見てたよ」 エリ「えっ、ああ、あれ? いやあ本当に取れちゃったねー?」 とし美「凄かったね。一発で取れるなんて」 エリ「偶然だよ、偶然。アカネもそう思うでしょ?」 アカネ「……私ね、思うんだ」 アカネ「今のエリになら、一生付いて行ってもいいって」 エリ「お、おう……?」 とし美(……リアルの人間もやっぱり怖いなー……) 第十五話「桜高バレー部の美男」‐完‐ 19
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【第十四話】 ‐三年二組教室‐ まき(夏休みも明けて、数週間が経った頃) 三花「……」 まき(私たちは悪夢ともいえる状況に立ち会っていた) アカネ「……」 まき(私たちの前に広がる、色とりどりの液体たち……) エリ「……」 まき(訂正。色とりどりの……) まき「……珍味ペプシたち」 * * * まき(事の発端はエリちゃんの、あの一言) エリ「さて、ここに集まってもらったのは、事件の火種である私たちと……」 三花「……」 まき(“そういえばこんなもの家にあったんだよねー”) エリ「勇気ある無謀な挑戦者たちだ……」 「…………」 まき(……結果沸き起こる、珍味ペプシへの好奇心!) エリ「みんな、協力してくれてありがとう。さあ、始めようじゃないか」 エリ「珍味ペプシとの戦いを!」 まき(ざわめく教室! 期待を浮かばせる人々、青ざめる人々!) まき(……) まき(早退したい) * * * アカネ「ペプシは全部で六種類」 アカネ「しそ、あずき、バオバブ、モンブラン、ピンク、ソルティーウォーターメロンね」 まき「聞けば聞くほどドリンクの味じゃないよねー」 まき「ところでピンクって何味?」 アカネ「いちごミルク」 まき「うおぇ……」 夏香「一体生産者はなにを思ってこんな味を……」 エリ「全く理解できないね」 圭子「だからこそ、挑戦したいと思ってしまう!」 エリ「怖いもの見たさってやつだね!」 風子「既に怖いもの認定されてる飲み物って……」 信代「飲み物の扱いなら慣れてるし、ある程度は私に任せてよ!」 慶子「あんたの家は居酒屋でしょ。コーラとなんの関係があるのよ」 潮「ペプシの水割り?」 慶子「気持ち悪い!」 三花「通はストレートかロックじゃないと〜」 アカネ「いやそれ普通の飲み方だよね」 三花「アカネはコーラ割りが好み?」 アカネ「それ結局ストレートになってるよね!?」 エリ「……さあ、まず開けるのは“ペプシしそ”! 飲みたい人は挙手をお願いします!」 「はいはいはい!」 唯「あれ、和ちゃんどこ行くの?」 和「……気分が悪くて」 唯「大丈夫? ついて行こうか?」 和「ううん、平気よ……。生徒会にさえ行けば……」 唯「保健室に行こう、和ちゃん?」 * * * とし美「……これは一体どういう状況?」 紬「あら、とし美ちゃんは参加しなくていいの?」 とし美「なにが起こってるのかもサッパリなんだけども……」 律「そっか、とし美はここ二日休んでたもんな、無理もないか」 律「あれはいわば……」 律「……悪魔の儀式だ」 とし美「心底休んでてよかったと思うなあ」 * * * とし美「珍味ペプシコーラの試飲会かー……」 とし美「確かに悪魔的な儀式ね」 律「とし美は飲んだことあんの?」 とし美「うん、一度だけ」 律「どんな感じよ?」 とし美「どんな感じって……」 とし美「正直、それを思い出そうとしただけで……」 とし美「うおぇ……!」 律「な、なんか悪い! すまなかった!」 とし美「……とにかく、軽い気持ちで飲んでは駄目。手酷い仕打ちを喰らうよ」 紬「ちょっと興味あったんだけど、やめようかしら……」 とし美「その方が絶対いいね……」 律「そういえば、とし美はどのペプシを飲んだんだ?」 とし美「……も、モンブラン」 律「想像しただけで吐き気が……」 とし美「そうでしょ……?」 律「しかし同時に好奇心が」 とし美「えっ」 律「澪も一緒に飲めば怖くないな」 澪「えっ!?」 * * * エリ「はい、これペプシしそねー」 信代「確かに受け取ったよ」 慶子「ねえ、本当に飲む気なの? 本当に?」 潮「振り返るな、慶子。そこには何もない」 慶子「目の前にも混沌しか広がってないけど」 エリ「今度はペプシあずき!」 圭子「あえて危険な香りのする方へ行くよ!」 しずか「生きて帰って来てね……!」 圭子「これ、遺言状。もしものことがあった時は……」 春菜「うん。火葬場で一緒に燃やすよ」 圭子「それは駄目!」 エリ「お次は、バオバブ!」 夏香「全然味の想像がつかないね」 風子「怖い、怖い……」 風子「……あれ、和ちゃんは?」 夏香「具合が悪いって言って、保健室に行ってたよ」 風子「危険な香りを察知して逃げたか」 エリ「ペプシモンブランのお客様〜?」 三花「まきに一つ!」 まき「よりによってそれ!?」 エリ「じゃあ、三花はペプシピンク!」 三花「えっ」 アカネ「観念することね、三花」 律「こっちにもモンブラン二つくれ!」 澪「い、嫌だっ! こんな歳で死にたくないっ!」 エリ「そんなコーラを劇薬みたいに見なくても……」 アカネ「エリ、私はソルティーウォーターメロンをお願い」 エリ「はい、どうぞ」 アカネ「んっ」 エリ「これで私とお揃いだねっ!」 アカネ「全然嬉しくない」 まき「……エリちゃん、そろそろ」 三花「私たちも、覚悟は決まったよ」 エリ「よーし。それじゃ、いくよ」 「いただきます!」 ‐二年一組教室‐ 後輩A「はっ? 保健室に行ったら、人でごった返してた?」 後輩C「あれはなにか大事件があったに違いない……」 後輩A「どこのクラスだかわかる?」 後輩C「先輩たちのクラス」 後輩A「……なにやってんスか、先輩方……」 後輩B「まき先輩がピンチであることを察知したんだけど、 それは気のせいではないみたいだね」 後輩A「あー、先輩たちって全員同じクラスなんだっけ」 後輩B「保健室に急ぐよ!」 後輩A「止めなさい、悪化するから」 後輩B「それどういう意味さー」 後輩A「文字どおりの意味だよ」 * * * 純「梓ー、今日部活だよね?」 梓「うん」 純「ちえっ、暇だったら遊びに誘ってたのに。どうやって時間潰すかなー」 梓「勉強しなさいよ……って、ああ、メールだ」 梓「……」 梓「純。今日、遊べることになった」 純「部活は?」 梓「中止。急な体調不良者が出たから、だって」 純「ふーん……あの噂は本当だったんだ」 梓「噂?」 純「三年生の教室でバイオテロが起こったらしいよ」 梓「そんなバカな……」 純「その教室では体調不良を訴える生徒が続出。 被害者は共通して、こんな言葉を残していると聞くよ」 純「……面白半分で開発するな、とね……」 梓「誰に向けたメッセージなんだろう……」 ‐三年二組教室‐ さわ子「それでは、ホームルームを始めようと思いまー……」 さわ子「……」 さわ子「……あの、真鍋さん」 和「はい」 さわ子「朝と比べて、席が異様に空いているような気がするんだけど……」 和「ああ、そうですね……。大体の人が早退しました」 さわ子「なにがあったの!?」 和「……実は」 和「どっかの誰かが学校に危険物を持ち込んだので」 エリ「人をテロリストみたいに言うな!」 アカネ「あながち間違ってないけどね……」 さわ子「えっと……どゆこと?」 第十四話「桜高バレー部の災厄」‐完‐ 18
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【第十七話】 和「投票の結果、文化祭での、このクラスの出し物は、 ロミオとジュリエットに決まりました」 曜子「よしよしよし……」 俊美「ふふふ……計画通り……!」 アカネ(佐々木さんと柴矢さんの方からとてつもないオーラを感じる) エリ(なにかを企んでいる……?) 澪(な、何故か酷い寒気が……!) 和「続いて役を決めたいと思います。まずはロミオとジュリエットの役ですが」 まき(そういえば三花ちゃん、どうせ劇やるならお姫様やりたいとか言ってたなー) とし美(ならここはジュリエット役に、三花を推薦するべき?) 三花(みんな、信じてるよ〜) 和「投票で決めたいと思います」 和「白紙を配りますので、そこにそれぞれの役に相応しいと思う人を、 書いていってください」 * * * アカネ(さて、投票タイムだ) アカネ(ジュリエット役には三花を入れるとして……。 ロミオ役は誰だろう) アカネ(このクラスって結構カッコいい人多いから決め辛いけど……。 ここは、澪ちゃんでいいかなあ。去年のライブも見たけど結構良かったし、 本番になれば決めてくれそうな気がする) 俊美(フフフ……) アカネ(……) アカネ(この投票、裏で強大な力が働いているような気がする……) 曜子(秋山さんのロミオ! 秋山さんのロミオ!!) * * * 和「では、開票を始めます」 和「秋山さん。秋山さん。えー……私。岡田さん」 澪(さっそく二票も!?) まき(自分の名前を見て、明らかに嫌そうな顔してたなー、和ちゃん) 和「秋山さん。松本さん。秋山さん。秋山さん」 美冬「はっ、私!?」 ちか「入れといたよー!」 美冬「余計なことを……」 澪(今度は三票もー……) 和「秋山さん。岡田さん。私。立花さん」 唯「和ちゃんもいいペースだね、頑張れ〜」 姫子「和を応援してるの?」 唯「うん! 私の中のロミオは和ちゃんなんだよ〜」 和「……そこ、私語は謹んで」 姫子(ご機嫌斜めのロミオさん……) 和「秋山さん。秋山さん。私。秋山さん」 アカネ(和ちゃんも頑張っている方だけど、澪ちゃんが圧倒的だね。 これは決まりかな) 澪(もういっそのこと殺して) 和「秋山さん。岡田さん。佐藤さん。私」 アカネ「……はっ?」 和「佐藤さん。秋山さん。立花さん。秋山さん」 アカネ(な、なんで私に投票されてんの!? ……いや、犯人はあの子たち以外考えられない……) 三花「てへっ」 エリ「てへっ」 アカネ(案の定すぎるでしょー!) 和「私。佐藤さん。岡田さん。秋山さん」 アカネ(しかももう一票!?) とし美「てへっ」 アカネ(とし美かあああ!) 和「岡田さん。秋山さん。私。秋山さん」 ちずる「春菜も大人気だね」 春菜「うん、投票した人を三人まで言い当てられるぐらい、 なにか仕組まれているような気がするけれどね」 ちずる「人聞きが悪いな〜」 春菜「顔に出てるよ?」 圭子(ばれてる) しずか(ばれてる) 和「立花さん。秋山さん。松本さん。秋山さん」 澪(……現実に別れを告げる時が来たか) 和「立花さん。秋山さん」 和「……というわけで、三年二組の出し物“ロミオとジュリエット”のロミオ役は、 秋山澪さんに決定しました」 唯「おお、澪ちゃんが主役!」 紬「すごいわ〜」 曜子・俊美(いよっしゃああああ!!) 律「良かったなー、澪! ……あっ」 澪「……」 律「あーきやまさーん」 澪「……」 律「……気絶してるな」 アカネ(そこまでっ!?) * * * アカネ(その後の澪ちゃん必死の異議申し立ても実らず) アカネ(結果、りっちゃんをジュリエット役に道連れすることで、 主役決めは幕を下ろした) アカネ(それから他の役と、道具製作にあたる人を決めて、 一先ずの活動を終えた私たちは……) 三花「……」 エリ「……」 とし美「……」 まき「……」 アカネ(なんとなく招集をかけていた) 三花「えっと、アカネ? これだけ人を集めて、どうしたのかな〜?」 アカネ「んっ?」 三花「怖い怖い目が笑ってないごめんなさい」 アカネ「まあ私が言いたいのは、この一点のみ」 アカネ「……なんで私に入れたの」 三花「面白そうだから」 エリ「面白そうだから」 とし美「面白そうだから」 アカネ「異口同音ッ!」 とし美「そんな怒るほどに嫌だったの?」 アカネ「怒ってるわけじゃないけど、本当勘弁してよ……。 私は主役なんて柄じゃないんだしさー……」 三花「そんなことないよ〜。アカネはカッコいいし〜!」 エリ「よっ、このイケメンッ!」 アカネ「ありがとう、それは女子にとって褒め言葉かは疑問だけど」 アカネ「ところで三花に五票入ってるのは、 ここにいる五人が投票したからってわかるんだけどさ」 三花「あれ、さりげなく私が自身に入れたことになってないかな〜?」 アカネ「私には三票しか入ってないのよね。 ここにいる四人が入れたとすれば、四票入れられているはず……」 まき「……私だよ」 アカネ「……まあ探すまでもなく、消去法でそうなんだけど」 まき「理由、聞かないの?」 アカネ「一応聞いておこうかな」 まき「私にはどうしても許せなかったんだよ」 アカネ「私がロミオをやること? そうだったなら大歓迎なんだけど」 まき「ううん、アカネちゃんにはロミオをやって欲しかったよ」 まき「でもそれなら、エリちゃんがジュリエットじゃないと駄目でしょ!?」 エリ「えっ、私!?」 まき「エリちゃんが相手じゃないアカネちゃんのロミオなんて……」 まき「即興で組まされたお笑いコンビでしかないよ!!」 アカネ「お笑いコンビなの!?」 まき「ここで圭子ちゃんのさっきの言葉を借りるとね」 まき「アカネちゃんがロミオだったら、ジュリエットはエリちゃんしかいないじゃん!」 三花「それは盲点だった!」 アカネ「いやいやいやー……」 まき「ボケがいなかったら、ツッコミが困るでしょ?」 アカネ「結局お笑いコンビかっ!」 * * * とし美「まあ結局他人事になったわけだしさ」 アカネ「そうは言うけど、とし美だって私に投票したんでしょ?」 とし美「まあね。折角だし、いいんじゃないかなと思って」 アカネ「その無邪気さがえげつないんだよ……」 とし美「私は結構本気でアカネのロミオも見てみたいと思っていたよ?」 アカネ「……とし美には完敗だわ」 とし美「えっ?」 まき「ところで三花ちゃんはパリスって人の役になったみたいだねー」 アカネ「私、ロミオとジュリエットの話は知らないんだけど、 そのパリスってどんな人なの?」 とし美「えーと、一言で言ってしまえば……」 とし美「ジュリエットと結婚しようとする、ロミオの恋敵?」 アカネ「なにがなんでもジュリエットを自分のものにしたいのか、あの子は……」 まき「それは捻くれすぎだよ、アカネちゃん」 第十七話「桜高バレー部の投票」‐完‐ 21
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【第九話】 ‐三年二組教室‐ エリ「アカネ、なに飲んでるの?」 アカネ「これ? コーヒーだけど」 エリ「ちょっと貰っていい?」 アカネ「はい、どうぞ」 エリ「どうもどうも」 エリ「……」 エリ「……」 アカネ「エリ?」 エリ「……わ、我が人生に、一片の悔いなし……!」 「ばたんっ」 アカネ「え、エリーーー!?」 * * * まき「……それで、ブラックコーヒーを飲んだエリちゃんが、 こうして倒れてるわけなんだね?」 アカネ「そうなの」 まき「なるほどー」 まき「アカネちゃんが悪い!」 アカネ「えぇっ!?」 まき「折角だから言っておくとね……」 まき「ブラックコーヒーは劇薬と寸分の違いも無いんだよ!」 アカネ「私はそれを好んで飲んでるわけだけど」 まき「アカネちゃん……」 アカネ「何で窓の外を見ながら私の名前を呼ぶの」 まき「お空へ旅立った、アカネちゃん……」 アカネ「私ここにいるよ!?」 * * * 三花「私はブラックでも飲めるよ〜」 まき「そ、そんな……」 エリ「三花もブラックサイドに堕ちていたなんて……」 アカネ「あっ、エリが復活してる」 エリ「帰ってきて三花! その身がブラックサイドに染まりきった時、 無事で済まないことは周知の事実だ!」 アカネ「いや、初耳だけど」 アカネ「というかさ、二人とも微糖じゃないと飲めないってこと? それとも加糖ぐらいじゃないと駄目なの?」 まき「私は加糖じゃないと飲めないかなー」 エリ「私は微糖!」 エリ・まき「えっ」 「…………」 アカネ「どうしたの二人とも?」 エリ・まき「お前は敵だ!」 アカネ「はぁっ!?」 * * * 三花「いつの間にか、三つの派閥に分かれちゃったね〜」←無糖派 アカネ「“どうでもいい派”ってないのかな……」←無糖派 三花「私もそれに入りたいところだけど、 あの二人の真剣さを見てると遠慮しちゃうんだよね」 エリ「シュガーサイドに溺れると、コーヒー本来の味が楽しめないぞ!」←微糖派 まき「ブラック飲めないエリちゃんには言われたくないよ!」←加糖派 三花「さあ、この場を沈めることが出来るのは、アカネだけだよ」 アカネ「えっ、なんで唐突に責任押し付けてるの?」 三花「さあ!」 アカネ「……こういう役回りだってことは、理解してるけどさー」 まき「砂糖を少しでも入れてる限り、私と変わりないね!」 エリ「なにを! 微糖と加糖の大きな差を認めないというのか!」 アカネ「いや、まきの言うことももっともだとは思うよ」 アカネ「仕方なく無糖派として意見すると、 正直、微糖派のエリも、加糖派のまきと変わらないね」 エリ「いやいや、微糖派はバランス重視なんだよ。 砂糖の甘さとコーヒーの味わい、そのコラボレーション!」 エリ「……それに、アカネもアカネだよ」 エリ「“佐藤”アカネっていう名前のくせに、“砂糖”を入れないなんて!」 アカネ「んなこと知るか!」 エリ「今からでも“無糖アカネ”に改名しないと、詐欺罪に値する。 カトウも、そう思うよね?」 まき「……えっ、私?」 エリ「そうだとも“加糖まき”!」 まき「私、和嶋だよ!?」 * * * まき「……全く、好みの問題ほど、厄介で頻出する問題はないよ」 まき「そう思わない?」 アカネ「そう言われてみれば、その通りかもしれないね。 どうせ永遠に決着つかないし」 アカネ「でさ、話は変わるけれど」 まき「うん?」 アカネ「まきが加糖派っていうのは、イメージ通りだったね」 まき「そういうのは本人に言うことじゃないと思うけどなー」 アカネ「私も加糖が全然飲めないわけじゃないけどね。 でもやっぱり、ブラックが飲めそうな人って、なんとなくわからない?」 まき「それはあるかも」 まき「例えば和ちゃんとか、姫子ちゃんとか」 アカネ「その二人は大人っぽさが溢れてるね」 まき「私が加糖派に見えるのは百歩譲って許すとして、 逆に加糖派に見えるのは……」 まき「しずかちゃん?」 アカネ「いや、しずかちゃんは“コーヒー牛乳派”じゃない?」 まき「……あっ、なるほどー」 アカネ・まき「あはははっ」 しずか「……」 まき「あっ、しずかちゃん。 今ね、誰が加糖派の人間かってことをー……ふがっ!?」 しずか「……」 アカネ(む、無言でまきの口に何かを注いでいる!?) しずか「……」 まき「ふがっ、ふがっ」 アカネ(怒ってる、怒ってるよ……) しずか「……」 アカネ(あっ、終わった……) しずか「……ふう」 まき「し、しずかちゃん、これ……」 しずか「うん」 まき「……ミルクティーだね?」 しずか「そう。私は紅茶派だよ」 しずか「だからコーヒーなんて絶対飲まないからっ!」 アカネ「えっ、そこに怒ってるの!?」 ‐体育館‐ 後輩A「私はブラックでもいけますね。 たまに微糖にしてみたり、その日の気分次第ですが」 三花「そっか、私やアカネと同じタイプか〜」 三花「聞いてなかったけど、とし美は何派?」 とし美「私も、なんでも飲めるよ」 とし美「でもどっちかといえば、無糖の方が良いかな。 砂糖を入れる手間が省けるし」 三花「そこかいっ」 とし美「でも、ファーストフード店でコーヒーを頼むとき、ちょっと面倒なんだよね。 なにも言わないでいると、確実に砂糖もミルクも付いてくるから」 三花「いちいち“砂糖とミルクはいりません”って 言わないといけないのがね〜」 後輩A「そこはただ“ブラックで”と一言だけ言えば、 全部済むんじゃないですか?」 とし美「えっ?」 三花「えっ?」 後輩A「えっ、まさか知らない感じですか!?」 * * * 三花「……とし美、今日は凄い発見をしちゃったね」 とし美「うん。これで今週末の予選は突破出来る気がする」 後輩A「コーヒーの頼み方一つで突破される、 相手チームに同情したいところです」 三花「こら、他人事じゃないんだよ?」 後輩A「……そうですね。私も頑張らなくては」 後輩A「しかし、三年生が五人だけっていうのも少ないですよね。 どう頑張っても試合のメンバー全員三年生というのが、不可能なわけですし」 とし美「そうだね、団体競技としては少ないかもしれない」 とし美「でも、ね?」 三花「そうだよねえ」 後輩A「……はい? どういうことです?」 三花「あとを任せられる、頼りになる後輩には困ってないってことだよ〜」 後輩A「……や、やめてください、恥ずかしい!」 * * * 後輩B「加糖しか飲めない先輩、超可愛い!」 まき「思ってた通りの反応だよ!」 後輩B「こちらとしても、思ってた通りの嗜好でなによりです」 まき「そういうそっちはどうなの?」 後輩B「安心してください、先輩。 先輩を愛でる上で、加糖だけしか飲めないなんてあり得ません……」 後輩B「私はどんな味でもウェルカムです」 まき「つまりそれは私より大人だよって言いたいのかなー!?」 * * * エリ「アカネ、私は決心したよ」 アカネ「なにを?」 エリ「例えば、コーラは甘くなければいけないよね」 アカネ「まあそうかな」 エリ「それと同じで、コーヒーは微糖でなくてはいけない。 世界中の人がそう認める日まで、私は戦うと決心したんだ……!」 アカネ「一生かかっても無理だと思うけど」 エリ「……でも、私とて馬鹿ではない」 アカネ「馬鹿だよ」 エリ「小さなことが出来なければ、大きなことはもってのほか。 だから私は、目の前のことから手をつけることにしたよ」 アカネ「それってつまり……」 エリ「……まずはアカネ、覚悟しとき!」 アカネ「うわ、やっぱり! てか、なんでいきなり方言なん!?」 まき「アカネちゃんも口調変わってるよー」 エリ「そこで私が使うのは、このコイン。そして紐」 アカネ「えっ」 エリ「この二つをひっ付けて、アカネの顔の前で揺らす」 まき「……」 エリ「……アカネは微糖派にな〜る、微糖派にな〜る……」 アカネ(……な、なんて古典的な催眠術……) まき(懐かしさを覚えるよ……) エリ「微糖派にな〜……」 エリ「……」 アカネ「……エリ?」 エリ「……私、超微糖派です」 まき「これ、催眠には成功してるのかな?」 アカネ「さあ……」 第九話「桜高バレー部の白黒」‐完‐ 12
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気合(きあい) バレーボールで勝つための最も重要なキーワード。西牧さん名言集。 川守さん(かわもりさん) 平成○年度工学部卒。ポジションはセンター。3Kの一角を担い、長野-松本間を○分で走り抜ける(ギネス申請中)という伝説を持つ現職警察官。 キャプテン 部を引っ張っていく役職。その役割は幅広く、練習から雑用までこなす。「○○キャップ」などと別名をもつもある。 小林さん(こばやしさんさん) 平成○年度工学部卒。変態。 黒くて○○(くろくてまるまる) 山口さんの代名詞。練習中の掛け声。
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後輩B「いやあ、勝ちましたねえ、まき先輩」 まき「何もしないで勝てたねー」 アカネ「……」 まき「アカネちゃん?」 アカネ「……はあ」 まき(落ち込んでおられる) アカネ「後で謝らないと……」 まき(あくまで謝るのはこちら、と。律儀だねー) 後輩B「ところでまき先輩、今まさに第二試合が行われているわけですけど」 後輩B「なかなかKOになる気配がしませんね」 まき「そうだねー」 後輩A「そこ、元々バレーにKOなんて無いから!」 三花「よそ見してる暇なんてあるのかな〜?」 とし美「それっ!」 後輩A「しま……っ!?」 とし美「……はい、ゲームセット。私たちの勝ちね」 後輩B「あーあ、よそ見するから……」 後輩A「あんたのせいでしょ!」 後輩C「あそこでよそ見しなければー……」 後輩A「こいつのせいなんだからー!!」 * * * 後輩C「さてついに決勝戦となりました」 後輩C「今度の解説には怪我から復帰したエリさんを招いております」 後輩C「エリ先輩、よろしくお願いします」 エリ「よろしくねー」 後輩C「さてこの試合、一人だけ二年生が紛れてしまっていますが……」 エリ「どっちかというと二人なのでは?」 後輩C「なるほど」 後輩C「おや、まき先輩がこっち睨んでます。図星だからでしょうか」 エリ「まき選手の表情が一層険しくなる! これは試合にも期待できそうです!」 後輩C「そんなこんなしてるうちに、両チームの選手が立ち位置についたようです。 先にサービスを打つのは、とし美選手ですね」 エリ「とし美選手は安定性に定評のある選手です。きっちり決めてくれることでしょう」 後輩C「卓球のエリ選手に比べたら、間違いないでしょうね」 エリ「それどこで聞いたの」 とし美「行くよ! それっ!」 後輩C「そういえばビーチバレーは二人なので、 レシーブした人が相手のコートに打ち込むことにもなりますよね」 エリ「そうだね」 後輩C「まき先輩大丈夫なんですか?」 エリ「えっ?」 後輩C「いや、今レシーブしてたので……」 エリ「あー、大丈夫大丈夫」 エリ「ちっちゃいけどジャンプ力は人並み以上だから」 まき「ちっちゃくないよー!!」 後輩C「おっとまき先輩、叫びながら怒りのスパイク! これは強烈!」 エリ「ちっちゃいわりには、なかなかの威力です。 しかしとし美選手、悠々とレシーブをしますねー」 後輩C「三花選手、うまくとし美選手の位置に合わせてトスを上げた!」 エリ「さあ決めてくれるか、とし美選手!」 とし美(三花、いいボールをありがと) まき(……来る!) とし美「くらえっ!!」 エリ「おおっと、とし美選手、狙いが正確だ! 空いてる場所めがけて、ボールが突き進む!」 後輩C「しかし元セッターのまき選手は一味違います! 必死に追いつこうと、手を伸ばしながら灼熱の砂浜にダイブ!」 まき(届けえええーーー!) 後輩B(まき先輩……!) とし美(……っ!? ダメだ、届く!) まき(ふふ、甘いねとし美ちゃん……私の実力を舐めてもらっちゃ困るよ……) まき「それっ! そっちいったよ!」 後輩B「はい、まき先輩! 任されちゃいました!」 後輩B(やっぱりまき先輩は凄いなあ……あんな身体でも、あそこまで出来るんだもん……) 後輩B(私の一生の憧れです、先輩!) 後輩C「おっと、なにやら爽やかすぎて逆に気持ち悪い笑顔でトスを上げている!」 エリ「純粋すぎるとああなるんですねー」 後輩C「ところでエリ先輩は先程純粋な愛を叫んだら、KOされたわけですけど」 エリ「うかつでした」 後輩C「そのKOにしたアカネ先輩はどこへ行ったのでしょう?」 エリ「そこら辺で飲み物買って、頭冷やすとか言ってましたね。 ところでそちらの相方も見当たらないわけですが、どこへ行ったのでしょう」 後輩C「……あれ。本当にいませんね。どこ行ったんでしょう」 * * * 後輩A「アカネ先輩!」 アカネ「……あれ、どうしたの。ついて来てたの?」 後輩A「一人でどこに行くのかなと思って。迷惑でしたか?」 アカネ「ううん。別にいいよ」 後輩A「……良かったです」 アカネ「でも皆のところにいなくていいの?」 後輩A「えっと、なんというか、聞きたいことがあったんです」 アカネ「なに?」 後輩A「アカネ先輩っていつからあんなにエリ先輩と仲良しなんですか?」 アカネ「ぶふっ!」 後輩A「ずっと聞きたかったんですよ」 アカネ「よりによって最悪のタイミングでかましてくれるね……」 アカネ「……エリはねえ、一年の頃に部活で会ったのが最初。 初めは落ち着きのない、元気な子だなあと思ってただけだったよ」 アカネ「でも色々な面倒事に巻き込まれていくうちに、私には無いものを持っていることを知って」 アカネ「あとは流れで、仲良しになったんだ。別に面白いエピソードなんかは無いよ」 後輩A「無いものを持っている……」 アカネ「誰でもそうなんだけどね。皆、私に無いものを持っている。 でもとりわけエリはそれがわかりやすくて、話していたいと思ったんだよ」 後輩A「それは……私もそうでしょうか? 先輩に持ってないものを、私も持ってるんでしょうか?」 アカネ「うん」 後輩A「……」 アカネ「……それじゃ、戻ろうか。私も頭冷えてきたし」 後輩A「……先輩!」 アカネ「どうしたの?」 後輩A「私にとっての先輩も、そうでした。ずっと追っていきたいと思ってます」 アカネ「ふふ、本当どうしたの? そんなこと言うキャラだっけ?」 後輩A「い、今だけは腹を割って話そうかと……思って……」 * * * 後輩C(……) 後輩C(思い返せば、あいつが先輩に直接カッコいいと伝えられたの、 後夜祭のたった一度きりなんだよねえ) 後輩C(ヘタレすぎるなあ……面白いけど) エリ「試合終了ーっ!」 後輩C「あ、終わった」 エリ「三花・とし美ペアの勝利!」 三花「とし美、ナイスプレイだったよ〜!」 とし美「そっちこそね!」 まき「負けたー……」 後輩B「さすがに先輩二人を相手にすると辛いですね。 でも、私たち後輩も健闘したと思いません?」 まき「健闘したと思うけど、私たち後輩ってどういう意味?」 アカネ「試合終わったんだ」 三花「アカネおかえり〜。調子はどう?」 アカネ「まあいつも通りに戻ったよ」 後輩A「……」 後輩B「あれ、なんでアカネ先輩と一緒にいるの? てか試合見てくれてなかったの?」 後輩A「どうせあんたが足引っ張って負けるだろうし、見なかったよ」 後輩B「ひどくない!?」 後輩A「まだまだ先輩たちには適わないよ、私たちなんか」 後輩B「いやいや、部長は過小評価しすぎだよ。私たちだって結構食らいついてたんだから」 三花(……お、部長って呼ばれてる) * * * 後輩C「それじゃあ私たちは行きますね」 後輩A「お先に失礼します」 エリ「じゃあねー!」 後輩B「では、まき先輩はこちらへ……」 まき「なんで」 後輩A「ほら、行くよ! ここに来てまで先輩に迷惑かけないの!」 後輩B「ああ運命は残酷だ……!」 三花「まあOGとして呼べばいいしさ。ねっ?」 アカネ「そうだね。時間空いてれば、練習手伝うこともできるよ」 後輩A「はい!」 とし美「……そしていつか、合宿で後輩をしごく側に回るんでしょ?」 三花「もちろんそれが最終目標だよ〜」 後輩C(ご愁傷様と言っておくよ、未来のバレー部たち……) 後輩A「……それでは、この辺で」 ‐ホテル‐ まき「じゃ、おやすみー」 アカネ「うん、おやすみ」 アカネ「……ふう。今日は一段と疲れたわ」 エリ「まさか後輩たちが揃って出てくるとはね」 アカネ「あとエリがあんな爆弾発言してくるから」 エリ「えー、いいじゃん。私の愛を受け止めろ、アカネっ!」 アカネ「あ、こら! 抱き付くなって!」 エリ「えへへ」 アカネ「まったくもう……。ほら、明日帰るんだから、早く寝るよ」 エリ「んー」 アカネ「……もう。こんなに甘やかしてあげるのは、ハワイにいる間だけなんだからね」 エリ「優しいなあ、アカネは」 アカネ「はいはい。おやすみ、エリ」 エリ「おやすみー」 * * * エリ「……」 エリ「……アカネ、寝た?」 アカネ「……」 エリ(……完全に寝られたかな。一歩遅れてしまった) エリ(まあでも、その間は私が主導権を握っているのですよ。 つまりは悪戯し放題ってやつ?) エリ「えい」 アカネ「ん、んー……」 エリ(あ、あれ、起こしちゃった? うわー、こっち向いてきたし) アカネ「……すぅー……」 エリ(なんだ、ただ寝返りうっただけだった……よかった……) エリ(……しかしアカネって、こうして見るとホント綺麗だよね) エリ(どうしてんなにも、アカネは綺麗なのかな。 どうしてこんなにも、ずっと近くで見ていたくなっちゃうのかな) エリ(うん……、どうして……こんなに近くで……) アカネ「……」 エリ「……」 アカネ「んー……」 エリ「——っ!?」 エリ(えっ……わ、わたし今なにしようとしてた? えっ!?) エリ(……わかんない。わけわかんない! ……なにこれ!) エリ(ああ、もう……、なんなのさ……) アカネ「……」 エリ(……きっとすごく眠いんだ。だからなんだよ……、うん……) エリ(早く寝よ……おやすみ……) ・ ・ ・ ‐機内‐ エリ「……」 エリ(ああ、楽しかったなー、ハワイ。色んなことがあった、うん) エリ(海は綺麗だし、時間は自由に使えるし、ご飯は……ポイ以外は美味しいし) エリ(ホテルは……アカネたちと一杯過ごせたし……) エリ(……) エリ(とっても充実してた。身体も心も大満足の毎日) エリ(……) エリ(……日本まで、あと少しだ) ‐日本に着いて数日後・三年二組教室‐ 和「……机を前の方に集めて……うん、そうそう」 和「もう一列いりそうね」 信代「りょうかーい」 曜子(ま、まさかの幸福……夢なら覚めないで!) アカネ「……軽音部もやることが凄いよね」 まき「このタイミングで教室ライブだもんねー」 まき「黒板、あとはなに書こうかなー」 アカネ「適当に可愛くお花とか書いちゃえば?」 エリ「ふふふーん」 アカネ「……エリ、それはなにを書いたの?」 エリ「羽の生えた熊だよ!」 アカネ(さすがの発想と言うべきか……可愛いけど) 律「おいーっす」 律「……え、いいの?」 和「あら」 信代「あとで拭けばいいじゃん」 エリ「主役たちの入場だね」 まき「りっちゃん、持つよー」 律「サンキューな」 唯「黒板可愛い〜!」 エリ「まだまだ半分しかできてないけどね」 律「ロンドン的なテイストも加えてくれよな!」 まき「安心して。ここに“国際的女子高生”って書いといたよー」 澪「こ、国際的……?」 エリ「あと私は“ロンドンがえり!”って書いたよ!」 律「……なあエリ」 律「それってロンドンが“エリ”ってことか?」 エリ「いかにも」 アカネ「えっ」 紬「ふふっ……ロンドンがエリちゃんなんて……!」 梓(ムギ先輩がツボった!?) エリ「あとは黒板上部に名前を書こうかなーって思ってるんだけど」 エリ「普通の名前を書くんじゃ、つまらないよね?」 澪「いやそこは普通でいいから!」 エリ「そう? 澪ちゃんの候補としては、“みおったん”とかあったんだけど」 梓「あの、私はなんて書かれる予定だったのでしょうか?」 エリ「“あずにゃん”」 梓「唯先輩のせいですよ!!」 唯「ここで私が怒られるの!?」 まき「それじゃ二人は普通に書くとしてー」 まき「ムギちゃんはどうする? よく呼ばれてるあだ名ってある?」 紬「あだ名ねー……うーん……」 唯「ムギちゃんのあだ名かー……」 アカネ「……その“ムギ”って、あだ名じゃないの?」 唯「あっ」 紬「そっか! アカネちゃん、鋭〜い!」 アカネ(本人が自覚してなかったのか……) 律「定着しすぎて、あだ名って感じがしないよなー」 澪「……おい律、まだ終わってないんだぞ」 律「悪い悪い。まだ運ぶものあるんだよな」 律「それじゃ、もう一仕事してくるわ」 唯「いってらっしゃ〜い」 律「お前はこっち側だ」 唯「ひええ〜……!」 まき「頑張れー」 * * * 31
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394 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 16 58 56.61 ID zhRUhzrr ふたなり優花里×忍 暴力描写 バレー部ファンの方は要注意 私の名前は磯辺典子。バレー部のキャプテンである。 大洗が黒森峰に勝ち、優勝が決定した瞬間、私達バレー部員は 飛び上がって喜んだ。超重戦車『マウス』を撃破する為に一役かった事も, 撹乱するために1両で敵陣を掻き回したりして活躍した私達だ。 全国放送で放送された私達の戦車には『バレー部復活!!』の文字が。 (塗装で消したりもしたが、インタビューやネットで知れ渡っており ファンレターなんかも来た。忍、あけび、特に妙子…私宛てが多かった) これで、バレー部の再興ができる、大洗女子学園は戦車道に続いて、 バレー部でも全国制覇!となれば、最高だ。皆と『入部希望者が来たらどうしよう?』 『10人くらい、ううん、、100人くらい来たらどうする?』 『きっと来るよ、絶対来るって』『選抜試験でも作る?』などと言い、和気藹々と 入部希望者を待ったが…… 「誰も来ないね……」 と私が言った。 「これが現実なのね…」 ハチマキを巻いて、張り切っていた妙子が 「ら、来年まで待とうよ。ほら、新入生に期待しよ」 金髪、カチューシャのあけびが。 「新入生は皆、戦車道に流れそうな気がするけど」 最後に、アタッカーの忍が言った。 395 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 17 00 51.99 ID zhRUhzrr 体育館でいつもの練習……といきたいが定員を満たしている他の部が優先だ。 私達、4人しかいない部に体育館使用の権限はない。 仕方がなく、戦車工廠の前でいつもの練習をしていた。 「そう言えばさ、最近、西住さんを見ないね。休んでるのかな?」 ボールを上げながら、私は言った。 「前まで秋山さんと一緒にいたの見たけど、何か顔色悪かったけ…とっと」 妙子がボールをとって、皆を手招きした。 「実は…この前、病院から出てくるのみたんだよねぇ…どこの科だったと思う?」 「え…内科とか外科?」 あけびがうーんと考え、忍が額に手を当てた。 「何とさ産婦人科だったんだよ」 『ええッ!?』 ありえない。あの西住隊長が?しかし、妙子は続ける。 「それも秋山さんとだよ?何かおかしくない?きっと2人間に何かあった―――」 とそこまで言いかけた時、見知らぬ学生が『あの…』声をかけてきた。 制服と背丈から、1年生だろうか? 「失礼ですが…バレー部ってここですか?」 それも2人…もしかしてコレは―――私はピンと来た。 「大洗学園の戦車道の大会感激しました!そ、それで、戦車の横に バレー部復活!って書いてあるのを見て、入部を希望したいのですが……」 「え…え?せ、戦車道じゃなくてバレー部に?」 妙子の声が震えている。 『はい』 2人の1年生の声がハモった。 「いやッた!バレー部ふっかーつ!」 1年生を除く、全員が飛び上がって喜んだ。これで6人揃った。 バレーができる!最高だ!私は急いで入部希望届を用意して書いてもらった。 途中入部だろうがかまいやしない。 顧問の先生も名前だけで、実質、活動しているのは4にんだけだ。 今年の大会無理だけど、来年からは、新生大洗女子学園バレー部として 大会にエントリーすることができる!早速、その日から練習が始まった。 意外や、意外、この1年生のバレーセンスは目を見張るモノがある。 396 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 17 02 41.88 ID zhRUhzrr こんな逸材がウチの学園にいたなんて……。 しかも、先輩を敬い、明るく、性格もいいなんて…最高の後輩だ。 それから数週間、練習にも身が入り、体育館が使用可能になった為 暗くなっても練習している事がしばしばあった。その日も帰りが遅くなった。 「先輩、ジュースを買ってきました」 「あとは私達が片付けしておきますので、お疲れ様でした」 「ありがとう。じゃあ、先に更衣室とシャワー使わせてもらうね」 私達はジュースを開けて一気に飲み、更衣室へと向かった。 「いい娘達だよね~バレーもうまいし」 ユニフォームのまま、あけびが言った。 「そうそう、まさに隠れた逸材だよねぇ」 妙子も上機嫌で言った。ただ、忍だけが浮かない顔をしている。 「どうしたの、忍?」 「ああ…キャプテン、確かにあの2人はいい娘達だけど…何か引っかかるんだ」 「何か、変なところでもあるの?」 私の言葉にあけび、妙子が寄ってきた。 「彼女たちは、つい最近転校してきた1年生だそうだが…あのバレーの技術は、 たぶん私達より遥かに上のレベルだ。それを上手くセーブして私達のレベルに 合わせているように見えてならない。そんな娘達が何故、 転校してまでウチの部に入る?その理由がない……おかしいとは思わないか?」 確かに…身長こそ勝るものの、技術・スタミナは 並ではない。インターハイでも通用するレベルではないか?と思うことがあった。 「で、でも仮にそうだとしても、そ、そんなスゴイ後輩が2人も いるんだよ。絶対、ねらえ…あ、あれ…か、感覚……」 妙子が膝をつき、身体をかき抱いた。 「ひ、ひどい…め、目眩が…な、何、コレ」 あけびが、忍が… 「あ…ああ…い、意識……みな…」 猛烈な目眩に眠気…ま、まさか……さっきのジュース……… 397 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 17 05 02.91 ID zhRUhzrr ふぅ…西住殿の妊娠が確定してから安定期までは予断を 許しません。お流れになんかなったら一大事なので 栄養、衛生には最新の注意を払わなければなりません。 精神面は大丈夫ですよね。毎日『優花里、大好き…愛してる』 って言って、キスにフェラチオ、クンニ…ああ、最高です。 西住殿の欠席が続いているのですが、さすが西住家の 権力は絶大なようで問題ありません。 黒森峰を破り、大洗の名を天下に轟かせた西住みほ殿。 学園艦運営の面も改善され、来年は大洗の受験者数が 何十倍にも増えているとのこと。 皆、戦車道のレギュラーを取るための雌豚が群がっているんでしょう。 黒森峰、プラウダ、聖グロリアーナ、サンダースなんて 名門校に入り、万年補欠でいるより、まだ枠が2つ。 自動車部とボトラー共を除けば枠が4つある方を選ぶに決まっている。 学園側を黙らせても生徒会や戦車道の友人と有象無象は 何かを勘ぐっているようです。気を付けていたのですが ウザイ生徒に気づかれたようです。 その名は近藤妙子、そしてバレー部の3人。 潰れかけの部活のノッポ共が……壊滅させてやる。 私はサンダースからバレー経験者の人形を2人転校させ バレー部に送り込みました。脳が筋肉でできている雌共を騙すのは 簡単で、『これで大会にでれる!』とか騒いでいるようですが 2人の報告によるとバレー部は小学生に毛が生えた程度のレベルだそうです。 やっぱり、脳が筋肉でできてるようですね。ははは。 そろそろ、頃合いです。ジュースに仕込ませて……楽しい時間の始まりです。 「お目覚めですね。バレー部の皆さん。 皆さんが噂をしていた秋山優花里ですよ、キャプテン。 こっちの2人は知ってますよね?バレー部の可愛い後輩達です」 私の横に控えるように立っている後輩を指して言った。 「お、お前達!一体、何のつもりだ!?私達を閉じこめてどうするつもりだ!」 そうそう、4人は西住殿と愛し合った時の薬を飲ませているので 拘束しなくても大丈夫です。動くのは首から上だけです。 「あ、秋山……お前の仕業か!」 うるせーな、こいつ…名前は確か、河西忍でしたっけ。ツリ目な上に短気で乳もほとんどない雌。 買い手がつかなかったので、風呂に沈めるか、はらわた抜くくらいしか 業者がいません。あんまり喚くようならゴミと一緒に海に捨てましょう。 398 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 17 07 40.25 ID zhRUhzrr 「ええ、簡単に言いますと、皆さんはどこかの国の変態富豪に性奴隷として 売られます。いやぁ、この年齢の女子って高く売れるんですよねぇ」 まぁ、ツリ目は除外ですけど。 「う、売る?性奴隷?ど、どうして!何で!」 「何でこんなことをするの!?」 えーと近藤妙子と佐々木あけびでしたっけ? パイオツ2匹が泣き叫びます。ふぅん、ハチマキ女は高値が付いたんで よかったです。にしても金髪のデコの乳、むっちりしてエロい。 あとでパイずりさせるとして、マンコにぶち込んでやりましょう。 「あーあーうるさいです。元凶は妙子さん、貴女がいけないんですよ」 「わ、私が悪い?どうして!」 「貴女が私と西住殿が産婦人科から出てきたって事をバレー部の皆さんに喋りましたよね?」 「そ、それが何なの!どうしていけないの」 「いけませんよ。だって、西住殿は私とセックスして妊娠したんですから」 私はそう言ってスカートを捲り上げた。 アソコはガッチガッチに勃起して、脈をうってます。西住殿に突っ込めないので けっこう溜まっているんですよね。口と手だけじゃ、満足できませんから。 「なッ―――!」 「な、何…あれ」 「きゃあああああッ!?」 「お…男の…なんで!?」 忍、妙子、あけび、キャプテン…えーと磯辺典子でしたっけ? が悲鳴を上げます。 「このチンポで西住殿とセックスして妊娠させたんです。でも、まだ公になっては 困るんですよねぇ……タイミングが悪かったんですよ。それでこの2人を使って 探りをいれたんです。幸い、バレー部以外に情報は漏れていなかったんで、拘束するのは 皆さんだけでよかったんですけどね」 私はスカートをおろして、続けます。ああ、先っぽが擦れて射精しそう。 パンティーを履くとすぐ濡れちゃいますからね。 「で、口封じと私の資金になってもらおうと思いまして。あと数時間もすれば 薬と快楽に満ちた第二の人生が始まりますよ」 今、学園艦はとある港に寄港しているんですよね。 苦労して構築した補給ルート経由で暗いお友達がこちらに向かっているんですよ。 「そ、そんなワケあるか!お、おい!お前達!何をぼーっとしてるんだ!?警察を―――」 忍が後輩達に向かって怒鳴ります。 399 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 17 09 22.35 ID zhRUhzrr 「た、助けて!お願いだから!」 妙子も声を上げます。バカ脳筋が理解できないみたいですね。 「無駄ですよ……この2人は、私の可愛いお人形さんですから」 「先輩方すみません。私はご主人様の命令には逆らえないんです」 「優花里様の命令以外は聞きません」 はは…従順なお人形さん。私が愛でたお人形さん。 「ほらね……実は、この二人、サンダースから呼んだ娘でして。皆さんのバレーの 最弱さに呆れていましたよ?あんなにレベルの低いバレーは見たことないって」 「はい、先輩方のバレーの弱さに合わせるのはとても苦労しました」 「どうしたらあんなに弱くなれるのか教えてください」 「お、お前ら!許さない!絶対に!」 忍が髪を逆立てて、怒り狂った。鉄格子を破ろうと何度も何度も蹴り続けている。 「無駄ですよ、無駄……忍さん、貴女が一番安くて最悪です。ツリ目の キツイ女って低価格であんまり価値ないんですよね。せいぜい臓器抜かれてポイ じゃないかなーって思います。ああ、妙子さんはけっこう高かったですよ。たぶん 砂漠の国の富豪に売られると思います。そこの富豪、犬が好きで犬に人間をレイプさせる のが大好きらしいですから、妊娠する心配なくてよかったですね」 ホントのところ、どこに売られて、どうなるかなんて興味ないし 口から出任せなんですが…こういう脳筋には効果絶大なんですよね。 「ぞ、臓器売買……」 「い、犬……や、やぁ…いや」 「あけびさんはたぶん、日本の怖い人達かなぁ。泡のお風呂とか裏のDVDで いっぱい稼いで下さい。仕込みも私が請け負いましたから、種付けして出荷なんですよ」 「た、種…付け…」 ガチガチと震えるあけびに私は満足し、キャプテンに言います。 「そうそう、キャプテン…貴女はとっても高く値がつきました。 変態共が集まる闇の競売にかけられるそうです。キャプテンの発展途上の身体は なんと1000万からだそうです。きっととんでもない変態が 買ってくれると思いますよ。よかったですね」 なんて、本当はどーだか……どうでもいいです。 400 :落日のバレー部:2013/10/16(水) 17 10 40.91 ID zhRUhzrr 「そんなのあるわけない!いい加減にしなさいよ!」 キャプテンが勇ましく叫びました。へぇ、ウソには違いないけど、境遇は似たモノですよ? 「そうだ!お前の身体と頭がイカれてるのはわかった、この時代に人身売買なん――がッ!?」 …………この腐れ雌豚が、いい度胸してるじゃないですか。 「忍さん、もう一度、言ってもらえますか?私の身体が何でしたっけ?」 髪を千切れるほど強くつかんで、上を向かせます。 私は腕力には自信がないのでメリケンをつけます。 「何度でも言ってやる!お前のイカれた身体――ぐぶッ」 私は構わず腹部に拳をたたき込みました。何度も何度も。 「はッ…ふ、ふざけ…ンな…み、みんなを離せ…ぐッが!あッ!はぐ!」 このツリ目の子宮を潰す勢いで何度も何度も腹部を殴りつけます。 「や、やめて!やめてあげて!」 「し、忍!忍ッ!!」 「あ、秋山さん!お願いだからやめて!」 あーくっそ、ぴーぴー泣きやがって、むかつきます。とにかくこのツリ目だけは 許せないので、うつ伏せに叩きつけて尻を剥いて、強引に突っ込みます。 「あッ!ぎッがああああああッ!」 とても女子高生のモノとは思えない絶叫をあげるツリ目。 ぶちぶちぶちと膣口を裂く勢いでぶち込みます。当然、処女。 それも濡れてもいないので破瓜の鮮血を潤滑液代わりにファックします。 「んッ、どーせ…んッ、お前みたいなキツイ女、誰にも相手されないんでしょう? 感謝して下さいよ?ツリ目さん?これがセックスの味ですよ」 「ふ、ふざッ…ぎィ…なッ…はぎッ!」 ははは、こいつ涙流して、しかも結構、濡れてきました。 どうせオナニーしまくっていたクチでしょ? 「んはッ、濡れてますよ、ツリ目さん!オナニー好きなんでしょ?ほら言えよ! 売女が!言わないと膣内でぶちまけちゃいますよ」 「やッやめてぇ!忍!忍!あ、秋山さん、お、お願い、も、もうやめて!」 妙子さんが私に懇願するように言いました。 こいつらレズ関係なのかな?そんな情報はないけど…まぁいいです。 そろそろこいつにぶちまけましょう。キャプテンと妙子は処女って 注文きてますからダメなんですよね。 「や、やめろ…妙子……わ、私は…ンン…じ、自分でする…のが…癖に なって…ぐ…ま、毎日、夜に一人で……オ、オナニー…してる…」 妙子に危害が及ぶと思ったのかツリ目があたどたどしく言います。 「オカズは何ですか?チンポじゃないですよね…ホントのこと言わないと 妙子さんの処女も私がもらっちゃいますよ?」 でも全然、面白くないので聞いてみました 「そ、それは…た…たえ……妙子……ご、ごめん、妙子!妙子でオナっ…… 妙子の裸を想像して!い、いやらしい妄想で、ま、まいにち…毎日ィ!」 「そうそう、それで…あっ…いいんですよ…ちゃんとできるっ…ンン…じゃないですっか!」 ああ、イク、イきます。はぁぁ…ぷるぷるとお尻が震えてツリ目の中に ブバッブリュっと吐き出します。 「な、中…ああ…ああああっ!いやああああ!!」 ツリ目が膣内射精に絶叫し、張り裂けそうな声で叫んだ。 「んぐっ!じゅるふぶっ!」 むかつくツリ目に中出しした後、妙子さんにフェラを強要しました。 もちろん、拒否されたので 『しないとツリ目の顔面を原形がわからないくらい潰してあげますよ』 と言って脅しました。 「妙子さん、け、結構うまいじゃないです…ん…か」 まあ、少し興奮します。エロいパイオツに尻、処女のまま 引き渡さなくてもいいのですが、価格が半分になるのはいただけません。 「あ…妙子……や、やめ…」 「どうですか、忍さん。愛しい妙子さんが私のチンポしゃぶってる姿は? 最高のオカズでしょう?冥土のお土産に持っていってくださいね」 ははは、こういうのって最高に燃えますよ。 「ふぐっ!むぶっ、ぶはっ!し、忍っ!わ、私っ―――ぶむっ!?」 「ちゃんとしてくださいよ、妙子さん…ん…もう少しでイきそうなんですから」 ツリ目に射精しても全然、治まらない私のチンポはガチガチです。 やっぱり西住殿かまほさんじゃないとダメですね。一向に萎えません。 ホント、使えない肉穴共ですね。 「あっ…で、出そう…妙子さん、教えたとおり顔と口で受け止めてくださいね」 「むぶぶぶっ!ぷはっ…ケホッケホッ!は、はい…あ…あ」 両眼に涙をいっぱい溜めて、口元に両手を添えてチンポに顔を近づける ハチマキ女はなかなかそそります。 「んおお―――ふッ…う!」 精子がチンポを昇ってく、来る。 ブビュッブリュルルと放出される精液を妙子さんの顔にぶッかけます。 410 :落日のバレー部:2013/10/19(土) 16 43 18.75 ID D7wg0ySZ 「あッ…ああ…い、いや…やああ」 目を閉じ、口を開けてまともに精液をくらう妙子さん。 鼻や額、髪の毛まで飛び散り猛烈な臭気が辺りを包みます。 「まだ全然治まりませんね…妙子さん、美味しいですか?私と忍さんの混合液」 「……………」 間を見開いて放心した妙子さんは、何も答えません。 そりゃそうですよね。キスしたこともない処女が友人の目の前で 犯されて、さらに顔に願射くらったら、しばらくは口がきけなくなるかもしれません。 「た…たえ…こ…ち、畜生…あ、秋山…お、お前ぇぇ!!」 ツリ目が何かいってますが、とりあえず無視します。 「ほうら、妙子さん…言ってくださいよ。言わないと―――」 「ゆ…優花里…様のザー…メン…お、美味しい…です…いやしい雌犬…妙子は チン…ポみる…とマンコ…が濡れちゃ…いま…す。お、お尻に……い、入れて…ください」 「よく言えました。じゃ、四つん這いになってケツ捲ってください」 「は…はい…」 妙子さんが赤いバレーボールパンツとショーツを脱ぎ、犬の姿勢でお尻を突き出します。 肉付きが一番いいんでしょうか、一番エロい体つきしてるのでそそります。 生チンポでマンコできないのは残念ですが、仕方ありません。 「ふぅ、じゃ、後ろのはじめていただきますね」 「うっ……うう…」 私は妙子さんの尻肉を両手で左右に押し開き、剥きだしになったアナルに 肉棒の先端を押し当てます。 「あ、秋山さん……お願い…もうやめて」 「はい、直腸にぶちまけたらやめますよ」 哀訴を唱える妙子に笑顔で返してぶち込む。 「あ…キツ…マンコと全然、違いますね…ン」 あはっ…猛烈な締め付けと共にどこまでも沈んでゆきます。 ね、根本が搾られてるみたいで、んはっ…でも私とは対照的に 痛みと猛烈な嫌悪から脂汗が妙子さんのユニフォームを湿らせてます。 「あああ!お、お尻…い、痛い痛いよ…かはっ!」 肉の沼に引きずり込まれるような錯覚ともにズンズンズンと抉ってあげます。 「はァ!はひ!痛っ!ひぎ!」 「妙子さん、アナル好きなんですか?銜え込んで離しませんよ」 重力に引かれて、ぶるんぶるん跳ね踊るおっぱいを後ろから 握りつぶして腰を打ちつけます。バックでアナルって犬みたいな格好で 野生的ですよねぇ…すっごく燃えます。 411 :落日のバレー部:2013/10/19(土) 16 44 07.99 ID D7wg0ySZ 「はっはが!きひっ!あぅ!はぐ!」 口を開けて必死に息を吸おうとする妙子さん。 「ほら、ほら、ほら、もっと頑張ってくださいよ!妙子さん!ハチマキまいて 気合い入ってるんでしょ?」 後ろからユニフォームを捲り上げて、直におっぱいを鷲掴みます。 圧倒的な質量ですね。しかも乳首コリコリ勃起してアナルで感じているんですかね? 「あっ……ああ…も、もう…やめ…い、痛…」 妙子さんの膝がガクガクして四つん這いの姿勢が崩れてきました。 「もう…堪え性がないですね…んっんんっ!忍さん、残念でしたねチンポなくて。 チンポあたら妙子さんを押し倒してレイプできたのにねぇ?」 「だ、誰が…やめ…ろ!妙子から離れろォ!」 「ざ、残念、もうでちゃいます…出しちゃいます!ふ…ぅ!」 「し、忍……見な…いで…」 私はそんな妙子さんの身体にのしかかって尻を押しつぶしてぶちまけます。 ん、んんっ…ふぅ…西住殿のマンコの代わりにもなりませんが ケツ穴の圧迫だけはまあまあかな…私は妙子さんのアナルから勃起したままのチンポ を引き抜きました。倒れ伏している妙子さんの顔に糸を引く白濁を振りかけます。 「あ…は……う…」 「ああ、妙子…妙子……ううううッ!こ、このド畜生! それが人間のすることなのかッ!」 「はい、そうですよ?」 というかマンコ濡らして、いきがってんじゃねぇーよ。バーカ。 生意気なんだよ、ツリ目。 「あ、秋山ッ!このゲス野郎!お前だけは絶対許さな―――あぐッ!」 ツリ目の言葉は最後まで続きませんでした。 私のお人形さんが背中を思いっきり踏みつけたからです。 「優花里様の悪口は聞くに堪えません」 「ご主人様を悪く言う忍先輩、股間に硫酸なんていかがです?」 あらら、お人形さんが暴走しちゃいました。 ったく、いきがってるからこうなるんですよ、忍さん。 「ダメですよ。一応商品ですから……」 本当なら顔に硫酸でもいいですが、このくらいにしておかないと 壊れちゃいますからね。私は次の獲物に取りかかることにしました。 412 :落日のバレー部:2013/10/19(土) 16 47 18.48 ID D7wg0ySZ 「んっ…あ…あふっ…はぁはぁ…あけびさんはチンポ好きですか」 前から思っていましたが、ほんと、エロイおっぱいしていますね。 脚も長いし、ルックスもいい。お尻は少し小振りですけど キャプテンに比べれば及第点です。 目の前にチンポをちかづけると猛烈なイカ臭さに顔を背けるあけびさん。 「な…や、やだ…そんなもの…ち、近づけないで!く、臭い…やだ!やめて!」 必死に四肢を動かそうとしても首から下は動かないのに、 そうこうしている内にブラジャーに包まれた 発育のいいおっぱいを鷲掴みます。 「あけびさんっておっぱい大きい…私よりもずっとおっきい…これならできそうです」 「な、何を――――――」 「うん、チンチポをおっぱいで挟んで擦ります。俗に言うパイズリです 大きなおっぱいの人しかできないので誇っていいと思いますよ」 「いや…いや…いや、いや、いやああああッ!」 恐怖に怯える顔、最高です。こ、興奮してきました。 「パイズリして下さいよ…パイズリして…ねぇあけびさん?」 私はあけびさんのユニフォームを掴むと、下乳まで捲り上げ、 ぴちぴちに詰まっているおっぱいの谷間にチンポを突っ込みました。 あけびさんはブラジャーをしていても大胆に揺れる事がたびたびあって、 ゆっさゆっさという擬音が似合います。 「ステキ…ステキですぅ…チンポを完璧に挟むパ、パイズリ…」 あけびさんの上に跨った私は両手で左右からおっぱいを圧迫します。 「や、やだ!…いやッ…いや」 「あはッ…す、すごっ…気持ちイイ、気持ちイイですぅ!」 おっぱい、おっぱいふにふにで…あっあっああっ。 私はあけびさんに構わず腰を振り出しました。 圧迫される柔肉の感触は、オナホールなんかと比べモノになりません。 「ん…んんっ、やめ…やめっ!臭い…は、臭い…んん」 あけびさんは悔しそうに目尻に涙を浮かべ、顔をチンポから背けます。 胸元から時折、飛び出す先走り汁が 飛びちって喉や頬にかかり、 その臭気が鼻をつくのでしょう。ああ…汗で蒸れたおっぱい、おっぱいすごいです。 私はもう我慢できず、ユニフォームを一気に捲り上げました。 ぶるんと零れ落ちてくるおっぱいは、圧倒的なボリュームです。 「はッ…ああ…あけびさんのおっぱい、おっぱい」 ぐにゃぐにゃと乳房をいやらしく揉みし抱きながら、 再びチンポを挟んでパイズリを続けます。 「ほうらチンポの先、ズル剥けチンポ…チンポ見て下さい、あけびさん」 私はあけびさんの乳首を摘んだり、オモチャにしながら腰に力を入れ、 激しく突き出しました。 413 :落日のバレー部:2013/10/19(土) 16 49 06.01 ID D7wg0ySZ ギチギチに反り返った肉棒が柔らかい乳肉に潰され、 その先端からぴしゅっぴゅっと先走り汁が飛び散っています。 「んぐ…出る、出る、チンポから…ああっこ、コレあっあっあっ!出る、昇ってくるゥ!」 パイズリ射精に私は喉を仰け反らせて叫んでます。 「か、顔に…顔にかけてあげますね…私の精液、顔にかけて…あげます」 私はチンポの中を昇ってきます。ツリ目や妙子さんとは違う量のザーメン! 「ンンッ……出るッ!」 グググッと昇ってくるザーメンに私は耐えきれず口を横一文字に結び、 目を閉じて眉間に皺を寄せました。 「い、いやだ!や、やめ----!?」 あけびさんはいやいやと頭を振っていましたが、もう遅いです。 ボビュッという鈍い音と共に黄ばんだ白濁があけびさんの顔に飛び散りました。 「おお…おふっ……んおお」 あけびさんの額に、髪に、頬、鼻、口 生暖かいドロドロの体液が付着して はあはあ…とーってもエロイです。 「いやッ!か、顔ッ!いあだ、いやぁ…ううっ」 「はぁぁあ…気持ちよかったですよ…あけびさんのおっぱい、今度は私が あけびさんにチンポでお礼しますね」 バレーのユニフォームパンツをはぎ取って、股の間に腰を沈めます。 きちんとむだ毛は処理しているようですが、あまり濡れていません。 ぴっちりと閉じた綺麗なマンコです。 「あけびさんには生出しできますから、いっぱい出してあげます。 小振りなお尻は難産になると思いますが、私には関係ありませんもんね。 そのウチ誰の子かわからなくなると思いますし」 売られる先でチンポ突っ込まれる事は変わらないでしょうし、 どのみち頭のネジが飛んじゃいますから、もし私の種で孕んでも一向に構いません。 だって、私の赤ちゃんは西住殿の中にいるのですから。 「それじゃあ、入れますね」 「ダ、ダメッ!わ、私は初めてだから!…お、女の子に犯されるなんていやぁ!」 「もう遅いですって、どっかの脂ぎったおっさんよりマシでしょう?」 私はチンポの位置を濡れてもいないあけびさんの初マンコの 入り口にぴったりとあてがいました。細い腰を両手で掴んで強引に押し込んでいきます。 「痛っ痛い痛いっ!痛いいいいいっ!いやだいやああっ!」 「んっ…、痛いですか?私はとってもキツくて…すっごく気持ちですよォ もっと、もっと奥に入れたい…んっんっ…んっ…」 キツくてなかなか、奧に入りません。 「あぐっや、やめっ、痛いっ!痛い!やめて!もうやめて、痛ううううっ!」 いやいやと頭を振るあけびさんの長い脚をさらに左右に開いて、 股に腰を沈めます。あ、久しぶりに私のマンコも濡れてきた…ああ、西住殿にも チンポあればよかったのに…ペニバンで騎乗位は飽きますからね。 「だめだですよ。私が気持ちよくなりたいんですから」 ぶちぶちぶちっと肉を引き裂くと共に、埋め込んだ肉棒が最奥にまで達します。 414 :落日のバレー部:2013/10/19(土) 16 50 41.60 ID D7wg0ySZ 「い…いぎっ!?痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいっ!」 小振りな尻がぷるぷると震え、あけびさんは喉を仰け反らせながら絶叫します。 その反動でおっぱいがゆっさゆっさと左右に揺れて、すごくエロい。 「き、きつ…ん、んんん、んおおおお……」 ずぶりと根元まで押し込んであけびさんの身体に折り重なりました。 おっぱいに顔を沈めて、チンポハメてるなんて、すごいですね。 「キャプテン、あけびさんのおっぱいスゴイですよ?知ってました? 乳首、カチカチに勃起して、あははっ!」 私はおっぱいに手を当てて、顔を横に向けます。 お人形さん達がキャプテンの頭髪を掴み、強引にこちらを向かせます。 「み、見ないで!キャプテンッ!お願い、お、おねが…ううッっく…」 ああ…哀願するあけびさんを犯すって、気持ちいい。新たな興奮発見です。 「さぁ、生で出してあげますからね。初中出し」 「な、中出し―――い、いや、中に出したら、に、妊娠――――」 顔から血の気が引いていくあけびさんはとっても魅力的です。 「できてもどうせ、すぐ流れちゃいますよ。それと売られたら、袋取られて 赤ちゃんできなくなると思いますよ。生理痛もなくなりますからよかったですね」 「そ、そんな…そんな…も、もういや…いやあああっ!」 ああ、あけびさんて赤ちゃん、ちゃんと産みたかったんですね。 クソ甘ったるい家庭を築きたかったんですねぇ。その願望を私が破壊して しまったんですね。とっても興奮が高ぶります、ああパンパンしちゃいます。 あけびさんの股に私のチンポ食べられちゃってますぅ! 「あ、あっ…ああっま、また…で、出る…また出る出ちゃうう!」 「や、やめてえええ!」 埋め込んだ私の肉棒からドロドロの白濁が鈴口を裂く勢いで射精され、 あけびさんの体内にぶちまけました。 「ん、んおおおおッ!き、気持ちいいよ…オチンチン溶けちゃう!」 ブビュッビュルと放出される度にあけびさんのお腹が ビクン、ビクンと波打って、精子を呑み込んでいる姿はとってもエッチです。 「は…あッ…はあ、ああッ…な、中…出てる…出てる…い、いやなのに…いやなのに」 「んん…は…はぁ…んんッ」 ようやく萎えかけた肉棒をあけびさんからずるっと引き抜きます。 「ん…んふっ」 あけびさんのお尻が震え、膣口からドピュッ…ドピュと吐き出されていく。 「はぁ…はぁ…んん、はははッ…お股から私の種汁を垂れ流して…とってもステキ」 最後はキャプテンの前に3人の尻を並べて、お人形さんもディルドー付けて参加させ ケツ穴ファックです。苦痛と快楽に喘ぐ3人は本当に無様でした。 「バレー部、大会に出られなくなって残念でしたね?キャプテンのロリマンコも 興味ありましたけど、そろそろ時間ですから……競売、頑張って下さいね」 エピローグに続く 次回、キャプテンは競売にかけられた後の話になります。 ご了承下さい。
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【第二十六話】 ‐アカネの部屋‐ 三花「それじゃまず、みんな卒業おめでと〜!」 まき「おめでとー!」 三花「皆、ちゃんと注いである? まだ誰も飲んでないね?」 エリ「オッケー」 三花「じゃ、かんぱーい!」 とし美「乾杯」 アカネ「……」 とし美「どうしたのアカネ?」 三花「飲めないなら、無理しないでいいんだよ?」 アカネ「そもそも飲もうとしてる時点でアレだと思うんだけど……」 アカネ「……いや、やっぱ私も飲むよ。ん、乾杯」 * * * まき「あー、赤甲羅! 今の誰!?」 とし美「誰だろうねえ。お先に失礼」 まき「絶対とし美ちゃんでしょ!」 とし美「悔しいなら反撃すればいいじゃない」 まき「うー……このアイテムボックス取って反撃に出るよー!」 まき「……よし、赤甲羅きたよー」 三花「その赤甲羅もらうね〜」 まき「このタイミングでテレサ!?」 三花「ついでに赤甲羅使うね〜」 まき「三花ちゃん、私のすぐ後ろの順位だったよねー!?」 とし美「ちなみにこのレースでビリになった人は買い出しだから」 三花「飲むものの補充と、つまめるものをお願いね〜」 エリ「あれ。だとしたら、まきに買い出しに行かせて大丈夫なの?」 とし美「あー……絶対二十歳未満に見られちゃうね、こりゃ」 まき「安心していいのかよくないのかわからないよ」 アカネ「怒っていいとは思うよ?」 まき「じゃあ私がビリになったら、アカネちゃんが付き添いね」 アカネ「えっ」 三花「それなら大丈夫だね〜」 アカネ「ちょっと、なんで私なの!?」 とし美「そうこう言ってるうちにエリがゴールしちゃってるよ?」 エリ「へへーん、一位だ!」 アカネ「あ、うん……」 三花「……あれれ、アカネが二位じゃん。いつの間にっ!」 アカネ「まあ私の家のゲームだし」 まき「……」 とし美「……私もゴールね」 三花「私もゴール!」 まき「って、いつの間にやら私ビリになってるよー……」 まき「じゃあアカネちゃん」 アカネ「なんで私が……」 まき「いいからいいから。ねっ?」 アカネ「はあ……」 ‐外‐ まき「ふー……まだ寒いねー。三月だけど、夜は冷えるよー」 アカネ「それでなに。私を連れ出したのには理由があるんでしょ?」 まき「……その理由はアカネちゃんが一番知ってるんじゃないかなー」 アカネ「はあ……どうせエリのことでしょ」 まき「なにがあったの? なんか二人ともお互いを少し避けてるみたいで、いつもの二人じゃないよ?」 アカネ「別に。ちょっと人には言いにくい、複雑な事情がね。だからあんまり聞いてほしくないかな」 まき「無理に聞き出そうとなんかしないよー。嫌がることは絶対にしないから」 アカネ「そう。それなら、早く買い出し済ませちゃおっか」 まき「……とか言って、そう簡単に終わらせると思ってる?」 アカネ「えっ?」 まき「ここを通りたくば、私を倒すんだアカネちゃん!」 アカネ「まき、結局三年生になっても身長伸びなかったね」 まき「ぐぼぁ!」 アカネ「はい倒した」 まき「て、敵ながらあっぱれだよアカネちゃん……。 でも私は負けない! アカネちゃんがエリちゃんと仲直りするまでは!」 アカネ「喧嘩してるわけじゃないんだけどな……」 まき「えっ、そうなの?」 アカネ「ん、まあ……これ以上は話さないけど」 まき「ふーん……じゃあ絶対二人で解決できるんだね? 話さないってことは、その覚悟があるってことだよね?」 アカネ「……うん」 まき「それならいいよ。じゃあ買い物行こうかー」 アカネ「ああ、まきはどっちにしろ店に入らなくていいよ。まきは小さいから」 まき「……アカネちゃんのいじわる」 ‐アカネの部屋‐ とし美「なんでもないことは無いでしょ」 エリ「本当になんでもないし」 とし美「だって二人ともおかしいよ? 話してる時もぎこちない、というか全然二人で話そうとしないし」 三花「卒業式前に、なにかとんでもないことやらかしたの〜?」 エリ「……まあやらかしたといえば、やらかした……かも」 とし美「じゃあなんでも無かった訳じゃなかったんだ」 エリ「いやだから何でも無かったわけじゃなくないんだって!」 三花「えっ、それってどっち?」 エリ「……どっちだろう」 とし美「言った本人でしょ!」 エリ(……あの日。私が不意に思いついたことを、考え無しに口走って……) ‐数日前・外‐ エリ「それじゃアカネ、一つだけ提案……というかお願いなんだけど」 エリ「私とキスしてくれない?」 アカネ「えっ」 アカネ「……はあっ!?」 エリ「……」 アカネ「……あ、あのさ。それ本気で言ってるの?」 エリ「わかんない」 アカネ「えっ?」 エリ「……私は、私の気持ちが整理つかなくて、なにを考えてるのかもさっぱり。 でもあの日、ハワイで一緒のベッドに寝てた時ね、確かに私は幸せだった」 エリ「それだけはきちんと理解できてる……」 アカネ「……」 エリ「だからこの気持ちが一体どこへ向いているのか、私……確かめたいの……」 アカネ「エリは、あの時どういう気持ちで一緒に寝ていたの?」 エリ「えっ?」 アカネ「答えて」 エリ「えっと……ただ幸せだった。満たされていたと思う」 アカネ「……そうなんだ」 エリ「ごめん。気持ち悪かったよね」 アカネ「別にそんなことはないけど……。それじゃ、なに。 私とキスすることで、その気持ちの正体が掴めるってわけ?」 エリ「うん……」 アカネ「つまり私とのキスは……単なる試金石なの?」 エリ「えっ?」 アカネ「私はエリの気持ちを知るために、キスしなくちゃいけないの?」 エリ「そ、そんな違う……!」 アカネ「わかってるよ。エリは考えなしに、色んなことしちゃう子だもんね。 だから今回の“これ”も、結局は冗談で済ませば終わること」 エリ「冗談のつもりで言ったんじゃ……!」 アカネ「じゃあ私のキスは、エリにとってその程度のものなの!?」 エリ「ち、ちがうっ!」 アカネ「……じゃあなんなの」 エリ「……」 アカネ「ねえ。教えてよ」 エリ「……」 エリ「……さっきの発言は全面的に私が悪かった。ごめん」 エリ「だからいつもの冗談の一つってことで、受け取っておいて」 アカネ「……わかった」 エリ「……そ、それじゃ私はここで」 アカネ「うん」 エリ「また卒業式で、ね」 アカネ「うん……」 ‐現在・お店‐ アカネ(自分で冗談にすればいいって……逃げ道を作っておいて) アカネ(そこに誘導させたら、今度は自分が落ち込むんだもん。 とことん救えないよね、私って) アカネ(……謝らなくちゃ、いけないよね。でもなんて謝ればいいの?) アカネ(キス……なんて、そんな……もう、どうすればいいのよ、ばか……。 痛くて、痛くて、まともに顔見て話せる気がしないよ……!) アカネ「……はあ……とりあえず早く買って帰ろう」 ‐アカネの部屋‐ エリ(考え無しにあんなこと言っておいて……。 アカネの気持ちもロクに考えずに……) エリ(それで最後は冗談ってことにして逃げるとか、最低だよ私) エリ(謝らなくちゃ、絶対に。それも早めに) エリ(どうやって謝ろうか? 堂々とした方がいいよね) エリ(でも内容が内容だからなあ……他の皆の前じゃ、ちょっと謝れないし……) エリ「うーん……」 三花「エリ、なに悩んでるの?」 とし美「どうせアカネのことでしょ」 エリ(……多少力ずくにでも、皆には黙ってもらうしかないのかな) 三花「ま、話したくないことなんて私にもたくさんあるわけだ。 ここは一つ、気分転換にアカネの部屋を漁ろうじゃないかっ」 とし美「後が怖いという意味では、最悪な気分転換ね」 三花「大丈夫大丈夫、床に転がってるものをちらっと見るだけだから〜」 とし美「まあその程度なら……いやいやダメだって」 三花「まあまあ〜……って、おや」 とし美「どうしたの?」 三花「京都のガイドブック見つけたんだけど……」 とし美「修学旅行に行ったからね」 三花「これ、修学旅行終わった後に出版されたやつだよ?」 エリ「あっ」 とし美「……なるほど。そういえばアカネ、修学旅行でひそひそと二人の京都旅行の話してたね。 これは今後行くかもしれない旅行のためのものってわけだ」 エリ「……」 三花「二人っきりとは、なかなかアツアツな二人だねっ!」 エリ「やめて」 三花「照れんなって〜」 エリ「本当にやめて!!」 三花「えっ……」 エリ「……」 三花「ねえエリ、アカネとなにが……」 とし美「三花。話したくないことは誰にでもあるんでしょ」 三花「……そうだね」 エリ「ごめん。なんか空気悪くしちゃったね」 三花「いや、いいんだよ。そんな遠慮する仲でもないでしょ?」 エリ「……ありがと」 まき「ただいまー」 アカネ「ただいま」 とし美「二人ともおかえり。ずいぶん買ってきたね」 アカネ「つまめるものが中心かな」 三花「……よーし、じゃあ朝まで語り明かすよ〜!」 とし美「その前に。晩御飯はどうする?」 アカネ「それなら私が用意してる。もう食べちゃう?」 まき「食べたい!」 アカネ「ふふ、じゃあ行こうか」 エリ「……」 アカネ「……エリも、行こ?」 エリ「あ、うん」 ‐リビング‐ アカネ「はい、お待たせ」 まき「鍋だー!」 まき「冷えた身体には最高のごちそうだよー」 アカネ「私にもちょうどよかったよ。それじゃ、いただきます」 「いただきます!」 三花「よ〜し、まずはこのお肉から……」 エリ「あ、それ私が取る予定だったやつ!」 まき「鍋のある場所、サバイバルありと言われてるよねー」 とし美「他にも具材は一杯あるっていうのに……」 アカネ「そう、ゆっくり食べてていいんだよ。まだまだ具材はたくさんあるんだから」 エリ「ご飯のおかわりは?」 アカネ「……それもたくさんあるから安心して」 エリ「そんじゃ、早速ご飯を大盛りに——」 エリ「あ……やっぱりいいや。なんでもない」 アカネ「……そ、そう」 三花(こりゃ重症だな、二人とも……) まき「……そういえばアカネちゃんって一人っ子なんだよねー」 アカネ「そうだけど、どうしたのいきなり」 まき「私がアカネちゃんに会った時の第一印象って、姉妹の中のしっかり長女って感じだったんだよー」 アカネ「えー、そう見える?」 とし美「しっかりしてるからね」 三花「とし美にお兄ちゃん、っていうのもわりと意外だったけどね〜」 とし美「あの兄貴のことは忘れてくれても構わない」 まき「サンタコスを彼女に着せようとしたお兄ちゃんのことだもん、今すぐ忘れたいよね」 とし美「その割にはしっかりと覚えててくれてありがとう、早く忘れてちょうだい」 三花「まきはもう間違いなく妹だよね」 まき「背丈だけで言ってない?」 三花「ううん、中身も含めてだよ〜」 まき「余計ショックだ!」 アカネ「まあほら、まきはバレー部のマスコットポジションだったから」 まき「今日のアカネちゃんは容赦ないねー」 アカネ「元々こんな感じだったでしょ、私たちって」 三花「いつもノーガードの殴り合いをしてる、それが私たちだねっ」 とし美「下手な運動部より過酷に聞こえるんだけど」 とし美「……でもまあ実際、下手な運動部よりは大変だったね」 三花「うんうん。だからずいぶんと上手くなったって、自分でもわかるし」 アカネ「それでもあの大会では賞状も貰えなかったんだから、上には上がいるもんだよねえ……」 とし美「でも二年生の時には貰ったよね」 まき「あっ、卒アルに載ってたやつだね!」 とし美「そうそう。今持ってる?」 まき「うん。これでしょ?」 エリ「……懐かしいなあ」 三花「一個上の先輩が引退した後の大会だったよね。 初めて私たちが主役だった大会だから、皆して気持ち悪いぐらい楽しそうに笑っててさ」 とし美「でも先生の“卒アルに載せるかも”っていう言葉で、ちょっと顔をひきしめちゃったんだよね」 エリ「あの時は“変なぐらい笑ってる姿が載るのは嫌だ”って。今思うと勿体なかったよ」 三花「ねっ」 とし美「これはこれでいい写真だと思うよ」 三花「しかしエキゾチックさが足りない!」 とし美「異国情緒を求めてどうする」 まき「グローバル女子高生に……」 アカネ「それ軽音部じゃなかったっけ」 三花「……あっ、そういえばお風呂どうするの?」 アカネ「うちのに入ってもいいけど、近くに銭湯があるから、 そこでもいいかなって思ってるけど」 まき「折角だから広いお風呂に入りたいなー」 アカネ「それじゃ食べ終わってから行ってみよっか」 33
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【第十八話】 ‐三年二組教室‐ アカネ「ちょっとそっち押さえてくれる?」 エリ「はいよー」 アカネ「……よしっ、いいよ」 とし美「次に切るのはこの部分だね」 とし美「それにしてもいいの、エリ?」 エリ「なにが?」 とし美「エリだって劇に出るんだからさ、そっちの練習していいんだよ」 アカネ「ああ、いいのいいの」 とし美「どうして?」 アカネ「台詞が少ないんだって。そうでしょエリ?」 エリ「そそ。だから大道具作りを手伝ったところで、問題無し」 とし美「ふーん……」 エリ「まだ疑いの目を向けてくるとし美に、台本を貸してあげよう」 とし美「どれどれ」 とし美(“どこの不届き者だ! キャピュレットの屋敷に忍びこむとは!”) とし美「……えっ、これだけ?」 エリ「うん」 アカネ「まるで社内ニートでしょ?」 エリ「台詞ないだけでニート!?」 * * * アカネ「私、こういう準備中の教室って好きだなあ」 とし美「どうしたの、いきなり?」 アカネ「いつもは教室を占領している机がさ、こうして端っこに追いやられて。 本当の意味で、ここを私たちの教室にしてるみたいじゃない?」 とし美「成績優秀の佐藤アカネさんの台詞とは思えないね」 アカネ「成績優秀だからって、勉強を第一に考えてるわけじゃないよ」 アカネ「だってさ……」 とし美「専門学校行くから、美容師の夢が第一だって?」 アカネ「そういうこと」 アカネ「だから専門に行った時には、せめて後悔はしないようにしておきたい」 エリ「ならロミオやれば良かったのに」 アカネ「それとこれとは話が別!」 * * * 三花「エリ〜、採寸の順番だよ〜」 エリ「わかったー!」 アカネ「そういえば衣装は全部さわ子先生が作るんだっけ」 エリ「みたいだね。やけに張り切ってたけど」 とし美「服を作るのが好きなのかな?」 アカネ「裁縫を趣味としてるってこと?」 エリ「先生、女子力高いなあ……!」 唯(女子力って、なんだっけ……?) 紬(わかりません) * * * まき(準備も順調に進んで、始まりが見えてきた頃) まき(ついに衣装が完成し、教室は大盛り上がりー) 曜子「秋山さんのロミオ、秋山さんのロミオ……!」 まき(……一部は大興奮?) まき「そんなことはさておき」 エリ「さておき?」 まき「エリちゃん、カッコいいねー!」 エリ「えへへ、そう?」 まき「普段からカッコいい系の残念なエリちゃんだけど、 この衣装だとカッコよさが目立ってくるよ!」 エリ「わー、ありがとー、残念ってどういう意味かな?」 まき「残念エリちゃんってことだよ?」 エリ「さも当然なふうに言われると、流石に傷つく!」 * * * まき「三花ちゃん、衣装は?」 三花「もう着替えちゃった。作業の邪魔になるだけだし」 アカネ「まきには本番までお楽しみ、ってことだね」 三花「そんな楽しみにするもんじゃないって〜」 まき「うーん、どうせなら私も劇に参加すればよかったかなー」 アカネ「今からでもいいから、立候補すれば?」 まき「今からじゃ間に合わないよー」 三花「そんなことないよ」 三花「まだ木(I)の枠が余ってるからねっ」 まき「この劇、とことんバランス感覚狂ってるよねー」 * * * ちか「きゃー!」 エリ「待て待て待てー!」 美冬「こらそこっ! 作業中なんだから走りまわらない!」 ちか「えー」 エリ「えー」 美冬「カッターやハサミを持ってる人もいるんだからね」 エリ・ちか「……ごめんなさいー」 まき(エリちゃんとアカネちゃん。ちかちゃんと美冬ちゃん) まき(この二つの関係って、どこか似てるようなー……) まき「んー……ペットと飼い主?」 アカネ「えっ?」 ‐外‐ アカネ(……まきが私を見ながら“ペットと飼い主”と言っていたけれど) アカネ(どういう意味なんだろう?) エリ「アカネ? どうしたよ?」 アカネ「なんでもないよ。それにしても、学園祭まであと少しだね」 エリ「うん! 想像以上に時間が早く過ぎてったね!」 アカネ「エリは早くもテンション上がってるね」 エリ「当日が待ち切れないよ!」 アカネ(本当に楽しみなんだね……身体がぷるぷる震えてる) アカネ(楽しみなのはわかるけど、ここまで素直だと可愛いかも。 まるで犬かなにかみたい) エリ「アカネもさ、楽しみだよね?」 アカネ「当然じゃない。私だって、頑張ってセットを作ったんだから」 アカネ「あっ」 エリ「えっ?」 アカネ「……まきめ、そういうことか……」 エリ「……どゆこと?」 ‐三年二組教室‐ エリ「文化祭当日!」 エリ「彩られるは校舎! 輝くはそこにいる人たちの笑顔! 花咲くは、青春を謳歌する生徒たち!」 アカネ「……」 とし美「……元気ないね」 アカネ「朝からこのテンションにやられました」 とし美「……劇に出てなくてよかったね」 アカネ「全くその通りで……」 ‐講堂‐ 美冬「みんな。今日のためにみんな頑張ってきたんだから、 悔いのないように、精一杯やりましょう!」 「うん!」 美冬「準備はいい?」 「うん!」 澪「……」 律「んっ!」 澪「痛っ!」 澪「……うん」 美冬「それじゃ、頑張ってこー!」 「おー!!」 三花(さ〜て、劇の始まりだっ) エリ(出番は少しでも、真剣に! 全力で演じる!) アカネ(……) アカネ(……一生懸命な人は、例外なくカッコいいものなんだね) アカネ(私たちは舞台袖で見守ることしかできないけど……頑張って、二人とも!) * * * 澪「人の傷を見て笑うのは、傷ついたことのない連中だ。 笑いたければ笑え」 澪「僕は痛みを知っている」 澪「恋する痛み……この胸の甘い疼きを!」 まき「……すごい迫真の演技してる中、悪いんだけどさ」 まき「顔が見えるのは野菜だけで十分だよねー」 アカネ「言わないであげて……」 とし美「誰もが突っ込みたかったはずだからね……」 唯(木G)「ふんすっ」 まき(……やっぱり顔出す必要性ゼロだよ!!) * * * つかさ「今、なにか物音がしなかったか!?」 エリ「どこの不届き者だ! キャピュレットの屋敷に忍びこむとは!」 とし美「エリの出番終わったね」 まき「早かったねー」 アカネ「……」 まき「……カッコよかったね、エリちゃん」 アカネ「……あ、うん」 まき(どうしてぼんやりとしてるんだろう、アカネちゃん) * * * 律「あー、ロミオ! あなたはどうしてロミオなの?」 澪「あの天使のような声は!」 律「何故ここに……。屋敷の石垣は高くて、簡単には昇れないのに!」 澪「高い石垣など、恋の軽い翼で飛び越えてみせましょう!」 律「ああ、ロミオ!」 澪「ジュリエット!」 まき「おお、抱き締め合った!」 とし美「反響も凄いね」 アカネ「……」 とし美「今頃、この大観衆の前で抱き締め合っていたのは、 アカネとエリだったのかもしれないね」 アカネ「それが避けられてホント良かったわ……恥ずかしすぎる……」 * * * 三花「婚礼を速めれば、お嬢様の悲しみも癒されるのでは」 アカネ「三花の役は結構重要な位置にいるんだね」 とし美「それでも安心して見てられるよ」 まき「さすがジュリエットになれなかった元・部長、頼りになるよねー」 とし美「その言葉、あとで三花にそっくりそのまま伝えるね」 まき「やめて!」 * * * 澪「ああ、今朝見た夢が正夢だとすれば」 澪「やがて嬉しい知らせが届くはず!」 まき「澪ちゃんの迫真の演技はいいんだよー」 アカネ「うん」 まき「だけどねー」 とし美「うん」 唯(木H)「ふんすっ」 まき「……コメディなの? まさかロミジュリでコメディをしたいの!?」 アカネ「お、落ち着いてまき!」 まき「これバランス感覚狂ってるどころの騒ぎじゃないよ!?」 とし美(……あっちで、なにか慌ててる?) * * * アカネ「えっ、なにこのお墓……? 私たちが作ったのと違うもの?」 美冬「話は後よ。セットの設置を手伝って」 アカネ「う、うん!」 とし美(慌ててたのはこれか……) ちずる「だ、大丈夫かなー……?」 しずか「落ち着いて、ちずる。やれるだけのことはやったから」 とし美(……これ、オカ研のものだ。借りてきたの?) とし美(ということは……) * * * アカネ「お墓が無くなった……?」 とし美「あれがお墓の代わりに使われてる以上、そうとしか考えられないよ」 アカネ「運んでる最中に落としちゃったってことね……」 まき「私たちから見たら凄い違和感あるんだけど……。 お客さんからすれば、わからない……よね?」 アカネ(全ては終わってみないと判断できない、か……) * * * 澪「キミを、一人で死神のところに行かせはしない」 澪「この身が朽ち果てるとも……二度とキミを、離しはしない!」 アカネ「……」 まき「……」 とし美「クライマックス……!」 * * * 律「ああ、ロミオ! なぜ私のぶんの毒を残しておいてくれなかったの?」 律「待っていて」 律「この剣が……私をあなたのもとへ連れて行ってくれる……!」 アカネ「……終わった!」 とし美「お客さんの反応は……!」 「ぱちぱちぱちぱちっ!」 まき「……拍手、凄い勢いだね……」 まき「これって私たちの劇に向けて、なのかな?」 とし美「……それ以外に、なにがあるの?」 まき「や、やったんだね……やったんだよね、二人とも!」 とし美「そうだね……。ちょっと感動しちゃった」 まき「今すぐ二人も呼んでくるね!」 アカネ(ああ、やりきったんだ) アカネ(私たちは高校最後の学園祭を……) アカネ(大成功のうちに、幕を下ろすことが出来たんだ……!) ‐三年二組教室‐ 美冬「みんな、本当にお疲れ様! 劇はみんなのおかげで大成功だったよ!」 「いえーい!」 「ロミオもジュリエットも素敵だった〜」 「ちょ、恥ずかしいこと言うなって!」 美冬「私たち三年二組の学園祭の出し物は、これで終わり。 ちょっと寂しくなっちゃうけど、これは仕方ないこと」 美冬「でも私たちのクラスには、 まだ学園祭に残したことがある人たちがいるんだよ!」 美冬「……そうでしょ、ロミオとジュリエット?」 律「えっ、私たち?」 ちか「明日の軽音部の演奏、楽しみにしてるよー!」 律「お、そういうことか」 曜子「今日も明日も、秋山さんが講堂のスターになるんだね……! 応援してる、いつまでも!」 澪「え、えーと……ありがとう……?」 美冬「ムギちゃんも脚本お疲れ様。一緒に劇を作れて、本当に良かった。 今度はその努力を、演奏に注いでいって!」 紬「ええ!」 しずか「唯も、代役ありがとう。演奏頑張ってね」 唯「うん、期待して待っててよ〜!」 律「おいおい、そんな自信どっから出てくるんだよ」 しずか「明日なのに自信ないの!?」 「あははははっ!」 美冬「……それじゃ、残った仕事を片付けたら、 あとの時間は各自学園祭を全力で楽しんじゃって」 美冬「解散!」 * * * エリ「いやー疲れたよー」 アカネ「はあ?」 エリ「……そこまで風当たり強くしなくても」 まき「実はアカネちゃんはね、 あの衣装を着たエリちゃんに惚れ惚れしてたんだよー」 アカネ「ま、まき!」 エリ「ほう。それで、どうして風当たり強くなるのさ?」 まき「実際のエリちゃんを見て、 その残念なまでの落差に落胆を隠しきれないだけだよ」 エリ「おい」 アカネ「まき、今のは聞き捨てならないよ」 まき「えっ、落胆したってところ?」 アカネ「そこは否定しないけど」 エリ「してくれよっ!」 アカネ「でも、惚れ惚れしてたわけじゃないし……」 まき「えー」 エリ「……そっかそっか。ねえアカネ、こっち向いて」 アカネ「なに。……って」 アカネ「なにやってんの?」 エリ「アカネをじっと見つめてるの」 エリ「……人の傷を見て笑うのは、傷ついたことのない連中だ。 笑いたければ笑え。僕は痛みを知っている」 エリ「恋する痛み……この胸の甘い疼きを!」 まき(ろ、ロミオ!?) アカネ「恋って、なにまた適当な……」 エリ「あの天使のような声は!」 アカネ「聞きなさいよ」 エリ「……恋の軽い翼で飛び越えてみせましょう!」 アカネ「色々省いた!?」 まき(忘れたんだね……) エリ「キミを、一人で死神のところに行かせはしない」 まき(って、流石に忘れすぎだよ!? 省きすぎて訳のわからないことになってるよ!?) エリ「この身が朽ち果てるとも……二度とキミを、離しはしない!」 アカネ「勝手に私を殺すな」 まき(仮死状態なんだけどね、厳密には……) エリ「……」 まき(エリちゃん……?) 「ぎゅっ」 アカネ「えっ」 まき(だ、抱き締めたー!?) エリ「……二度とキミを、離しはしない」 アカネ「えっ、えっ……!?」 まき(見てるだけで恥ずかしい) アカネ「ちょ、え、エリー……?」 エリ「……どう?」 アカネ「えっ?」 エリ「私に、惚れ惚れしてくれた?」 アカネ「……」 まき(エリちゃん……) エリ「アカネ、聞いてるの?」 アカネ「まずは離して」 エリ「えっ?」 アカネ「……離して!」 エリ「あ、はい……」 まき「……」 アカネ「……別に惚れ惚れしたわけじゃない。 だって、いつものエリはそんなこと口にしないから」 アカネ「だから正直寒かった。うん、寒かった」 エリ「……」 アカネ「……寒気が治まらないから、私、保健室行ってくる」 エリ「あ、じゃあ私も付き添う……」 アカネ「いい。ついてこないで」 エリ「えっ……」 アカネ「……それじゃ」 エリ「……」 まき(……行っちゃった) まき(うん、口の中が甘ったるいよ。糖分過多もいいとこだよ。 わかりやすいったらありゃしないねー) エリ「……ど、どうしようまき……」 まき「なにが?」 エリ「……アカネに嫌われちゃったよ……!」 まき「……こっちもお決まりだよっ!」 * * * アカネ「……」 三花「ア〜カネっ!」 アカネ「三花!?」 とし美「見てたよ、一部始終」 アカネ「……最悪だよ」 とし美「そんなに嬉しそうなのに?」 アカネ「これは私がどっかおかしいだけ。 頭を冷やせば、すぐに普通の判断に戻るんだから……」 三花「さっきは寒気がするって言ってたくせにー?」 とし美「実はあっつあつだったんだねー?」 アカネ「な、なんなの、その含みのある言い方は!? 熱出したときだって、寒気あるでしょ! それと同じ!」 三花「ほうほう」 とし美「ふむふむ」 アカネ「もう行くから! じゃあね!」 三花「ん〜、いってらっしゃ〜い」 とし美「お大事にー」 三花「……いやあ、とし美さんとし美さん」 とし美「どうしたんだい三花さん」 三花「秋も、意外と近くで見れるもんですね〜」 とし美「うんうん、実にきれいな紅葉の見れたことだよ」 第十八話「桜高バレー部の秋色」‐完‐ 22