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Q: 340 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/11/23(金) 00 21 52 ID 98OVGUrO 夢の中の装備が納得できません 夢の中でくらいもっとオレtueeeeeeeeeeしていたいです それともっと色んなモンスターを狩る夢が見たい A: 341 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/11/23(金) 00 27 18 ID 51wmVdW1 あなたは十分強いから大丈夫ですよ。BY天国の母さん 睡眠学習 装備
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※某ラノベネタ 「ゆっゆっゆー♪ ゆっくりしていってねー♪」 ここは幻想郷にある森の中。そこをひとつの生首がご機嫌に歌を歌い ながら堂々と闊歩していた。 いや、生首ではない。その頭部には首に当たる部分がなく、また人間 の頭と比べて異様に下膨れが激しく、目と口は通常の規格より2倍か ら5倍ほど大きく、さらに鼻と耳に至っては存在すらしなかった。そ れは人の頭に似た生きた饅頭、ゆっくりであった。 頭に赤いリボンをつけて顔の両脇にもみあげのようなものをくっつけ たその饅頭、れいむが散歩を続けていると、視線の先になにやら黒く て尖ったものを見つけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってねだぜ!」 れいむが挨拶をすると、その黒く尖ったもの……もとい、黒く尖った ものを被ったゆっくり、まりさもれいむに向かってそう言った。その まりさは少しくすんだ金髪とやや釣りあがった目元、頬にうっすら残 るばってん傷が精悍さを醸し出している、なかなかの美ゆっくりであ った。 「れいむはこのもりのれいむだよ! まりさはどこのゆっくり?」 れいむは見かけた事のないまりさを見て、好奇心からそう尋ねる。 まりさはびしっと姿勢を正して、真面目な顔で大きく声を上げた。 「まりさは『たいてろごくひよーへいそしきゆすりる』にしょぞくす るまりさぐんそーなんだぜ! さー!」 そして直立不動のまま口をへの字に閉ざす。 そのまま2,3秒ほどが経ってから。 「ゆ! これはひみつだったんだぜ。わすれてほしいんだぜ」 と、まりさは思い出したようにそう言った。 「そう……」 れいむは思った。 このまりさあたまがゆっくりしすぎちゃったこなんだな、と。 第一話(最終話) ゆっくりできないろーんうるふ れいむは思っていた。このまりさは、あたまがずっとゆっくりしすぎ ちゃったこなんだな……あたまがずっとゆっくりしすぎちゃったこな んだなこのまりさは、と。 と、その時背後からむっきゅむっきゅと誰かが向かってくる足音が聞 こえてきた。れいむはくるりと振り向くと、見知った顔のゆっくりが こちらに向かって跳ねてきていた。 「れいむー!」 「ゆ! ぱちゅりー! ゆっくりしていっ」 「れいむさがってるんだぜ!」 その時、れいむの横を何か素早い物が通り過ぎ、次の瞬間にはその何 かの体がぱちゅりーの横っ腹に深々と突き刺さっていた。 「ゆがはっ?!」 「お、おあぢゅりーーー?!」 たちまち生クリームを吐いて倒れ伏し、ぱちゅりーはそのまま動かな くなる。れいむはぱちゅりーに駆け寄りその遺体に縋りついて涙を流 した。 「どぼじでごんなごどずるのー?!」 そして、ぱちゅりーに身体に突き刺さったそれ……あたまがゆっくり しすぎちゃったまりさをきっと睨みつける。 まりさは全く物怖じせず、先程とまったく変わらない仏頂面をしてい た。 「こいつはれいむをねらったひっとまんなんだぜ。したしいゆうじん のふりをしてれいむにちかづきくちのなかのはものでぐさっとひとつ きするつもりなんだぜ。ふしぜんにふくらんだからだがそのしょうこ なんだぜ」 「なにいっでるのーーー?! おあぢゅりーはただふどっでるだげな んだよーーーーー?!」 れいむが叫ぶと、まりさの眉がぴくっと動いた。そして慎重に……ま るでぱちゅりーがまた動き出さないか疑っているように……ぱちゅり ーに近寄ると、膨れた頬の部分をぷにぷにとつつく。 そして額に冷や汗を浮かべながら、 「……どうやらそのようなんだぜ」 と言った。 「だいじょうぶ。うんがよければたすかるんだぜ」 「いみもなぐごんなめにあっだおあぢゅりーがうんがいいわげないで じょーーー?!」 「いわれてみればそうなんだぜ」 「ゆげぷっえれえれえれ……」 「ゆ゛ぁー! おあぢゅりーーーーーー!!」 ぱちゅりーが口から残り僅かな生クリームを吐き出し続ける。れいむ は大声で泣きながら背中にすーりすーりを続けるのだった。 結果的にそれがぱちゅりーへの負担になり、ぱちゅりーは10分後に 息を引き取った。 群れ中のゆっくりが広場に集まり、ぱちゅりーの死を悼んでいた。 そんな湿った空気の中、最後尾の辺りに参列していた一匹のまりさが 口を開いた。 「かなしいじこだったんだぜ」 「「「「「おまえがいうなーーーーー!!」」」」」 ぱちゅりーと親しかった多くのゆっくりが、まりさに飛びかかった。 次の日、れいむは頬をぷくーっと膨らませながらぽよんぽよんと跳ね 回っていた。そして、そのれいむの背後を草むらがガサガサとついて 回っていた。 れいむはぴたりと立ち止まると……草むらもその場で足を止めて…… 振り返って大きな口を開いた。 「ついてこないでね! ゆっくりごろしのまりさとはゆっくりしたく ないよ!」 すると、草むらが真ん中から二つに割れ、中から黒いとんがり帽子が 姿を現した。ぱちゅりーを殺したあのまりさである。 「まりさはれいむをまもるにんむがあるんだぜ」 「そんなのしらないよ! どっかいってね!」 つっけんどんな態度をとるれいむに、まりさはちょっぴり困ったよう に表情を歪める。 「おにぇーちゃーん!」 と、そこへ甲高い声が響いた。まりさは瞬時にれいむの前に躍り出る。 「てきなのかだぜ!」 「れいむのいもーとだよ! てをだしたらゆるさないよ!」 れいむは殺意を露に妹れいむに飛びかかろうとするまりさの前に慌て て立ち塞がった。勢いを殺されたまりさはれいむにぶつかる直前で止 まり、落ちつかなそうな表情を浮かべる。 そんな事をしている隙に妹れいむは二人のすぐ近くまで歩み寄ってき てしまっていた。 「あのね、りぇーむむこうでにんげんしゃんのおかしをひろったの! おにぇーちゃんにもわけてあげようとおもってもってきちゃんだよ!」 そう言いながら、にっこりと笑う妹れいむ。れいむはその妹の心の優 しさと心の美しさに感動する。 「ゆぅーーー! れいむのいもうとはすごくやさしいよーーー!! ゆっくりしてるねーーー!!」 「れいむ、だまされちゃいけないんだぜ。あまいことばにはうらがあ るものだぜ。こんきょのないぜんいほどあやしくおそろしいものは」 れいむは振り返った。 「だまってね」 「ゆぅ……」 有無を言わさぬれいむの迫力に、まりさは額に冷や汗を浮かべて押し 黙る。妹れいむはそんな二人のやりとりにも気付かず、もみあげで髪 の毛の間をまさぐっていた。 「ごーしょごーしょ、これだよ! ゆっくりたべてね!」 そして妹れいむが真っ赤でまん丸でつるつるな玉を取り出した。その ゆっくりできそうな形にれいむは涎をだらだらと垂らす。 「ゆ! すごくゆっくりできそ」 「あぶないんだぜ!」 と、その隙にれいむの脇から飛び出したまりさが、妹れいむの取り出 したお菓子を体当たりで吹き飛ばす。高く高く、青く広い空を舞って ……やがてぐしゃりと音を立てて木っ端微塵になり、赤い粉末を地面 に撒いた。 そこまで見送って、ようやく突然の凶行に呆然としていたれいむと妹 れいむの感情が表情に追いついた。 「ゆ゛ぁー! でいぶのいもーどがもっでぎでぐれだおがじがー?!」 「なにしゅるn」 「ゆはぁっ!」 まりさは更に抗議をしようとする妹れいむの顔面に回しあんよを叩き 込んだ。 「ゆぎゅるぷっ」 めこりと異音が響き、一箇所に集中された衝撃が妹れいむの顔面を陥 没させる。妹れいむは吹き飛ばず、その場にがくりと崩れ落ちる。 「で、でいぶのいもうどがーーーーー?!」 れいむは泣きながら、妹れいむを蹴り倒したまりさへの叱責も忘れて 瀕死の妹に駆け寄る。 「ゆっぐ、ゆっぐり、ゆっぐりーーー! ゆっぐりじでーーーー!!」 顔が梅干しみたいな形に陥没してしまった妹れいむの傍で必死に声を 上げるれいむ。その声が届いたのか、妹れいむは僅かに身体を震わす と、 「もっちょ、ゆっきゅちちちゃかっ」 「とどめなんだぜ!」 まりさの踏み付けにより、ぺっちゃんこになって息絶えた。 「ゆ゛ぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 叫び、まりさを突き飛ばすれいむ。先程までまりさが、そのちょっと 前まで妹れいむがいた場所には黒い餡子だまりがあるだけだった。 れいむは泣きながらまりさにきっと視線を向ける。 「どぼじでごんなごどずるのーーーーー?!」 「おちつくんだぜれいむ。このおかしはどくいりなんだぜ。たべたゆ っくりがずっとゆっくりしたのをみたことがあるんだぜ。かぞくにに せたゆっくりにどくをもたせてたべさせようとするひれつなてなんだ ぜ」 「ごのごはまぢがいなぐでいぶのいもーどだよーーー?! がぞぐの おがざりをまぢがえるわげないでじょーーー?!」 いいながら、嫌悪感を我慢して死んだ妹の飾りを舌で掬い取りまりさ に突きつける。 まりさは額に冷や汗を浮かべ、やや困ったような顔でこう言った。 「ゆぅ、なににつられたのかしらないけどかぞくをころそうとするな んてすさんだよのなかなんだぜ」 群れ中のゆっくりが広場に集まり、妹れいむの死を悼んでいた。 そんな湿った空気の中、最後尾の辺りに参列していた一匹のまりさが 口を開いた。 「こんなかなしいじけんはにどとおこしちゃならないんだぜ」 「「「「「おまえがいうなーーー!!」」」」」 れいむ一家と親しかった多くのゆっくり達が、まりさに飛びかかった。 次の日の朝。 あのまりさの備考を振り切り、れいむは久々にひとりでゆっくりを満 喫していた。 「まったく、あのまりさはちっともゆっくりできないゆっくりだよ! ぷんぷん!」 最も、まりさのせいで気分良くとはいかなかったが。 と、その時近くの茂みがガサゴソと音を立てた。れいむはまたまりさ か、と身をこわばらせる。 そして茂みを掻き分け、黒い影が勢いよく躍り出た。 「んほぉーーー!!」 そこから現れたのは、気色悪い体液を撒き散らしながら奇声を発する ゆっくりありすの姿だった。 れいむは突然現れたそれに驚き、叫んだ。 「ゆ! ありす! ひさしぶり! ゆっくりしていってね!」 「んほぉーーー!!」 仲睦まじく挨拶を交わすれいむとありす。 この二匹はこの群れで生まれた幼馴染みで、大人の事情で群れから出 ていったありすとは実に数ヶ月ぶりの再会になるのだった。 ……ちなみに、れいむ以外のゆっくりに言わせると、ありすは何を言 ってるかわからないのでゆっくりできないのだというが、れいむは自 然とありすの言葉を理解できた。 「んほぉーー!」 「ゆ? れいむにようじ? なんなの? ゆっくりはなしてね?」 「んほぉ! んほぉーーー!!」 「ゆ? まりさ? やめたほうがいいよ! まりさはゆっくりできな いゆっくりだよ!」 「んほぉーーーーー!!」 「ゆっ?! ちがうよ?! れいむはまりさのことなんかなんともお もってないよ?! ゆぅ、わかったよ。でもずっとゆっくりしちゃっ てもばけてでないでね?」 「んっほぉーーーーー!!」 傍から見れば何を言っているかわからない会話。 しかし何らかの交渉は成立したようだった。 空が割れなかった。 まりさは必死に走り回っていた。護衛対象であるれいむがいなくなっ てしまったからだ。れいむが投げつけてきた松ぼっくりを爆弾だと間 違って解体作業をしてる間に見失ってしまった自分の愚かさを呪いな がら。 まさかもう死んでしまったのでは……そう思っていると、背後で何か ががさりと動いた。 「まりさ!」 「ゆっ! れいむ! どこにいってたんだz」 聞こえてきたれいむの声に、まりさは喋りながら振り向き―― そして、れいむの傍らで三日月のように歪んだ目と口でまりさを見つ めてくる、異形の怪物の姿を目撃した。 まりさは全身が総毛立つような悪寒を覚えながら口を開く。 「ばけもの! れいむからはなれるんだぜ!」 「ゆんっ!」 と、れいむがいつのまにか口に咥えていたハリセンでまりさの頭を引 っぱたく。 まりさはやや怒ったような顔のれいむを見ながら言う。 「いたいんだぜ」 「れいむのおともだちにしつれいなこといわないでね! ありすはば けものじゃなくてありすだよ!」 「んほぉーーー!」 ありすはよろしくねとばかりに叫び、舌をにょろにょろと突き出して くる。なんだか怖いのでまりさは無視した。 そしてれいむがハリセンを何処かに仕舞いながらまりさに告げた。 「ありすはまりさのことがすきなんだよ! ありすとつきあってあげ てね!」 「なん……だと……」 「んほぉーーーーー!!」 突然にして衝撃の告白にまりさがフリーズしている隙に、ありすがま りさの背後から襲い掛かった。れいむは超展開に頬を赤くして顔を背 ける。 「ゆぅ、ありすせっきょくてきすぎるよ!」 「んほっんほぉ! んほぉーーーーーーー!!」 「ゆぎゃーーー!!」 一方でまりさは今までの人生でかつてないほどの窮地に追い込まれて いた。異形のバケモノに全身をまさぐられるという想像を絶する状況。 兵士として鍛え抜かれたまりさの心をも一瞬の間揺るがした。 「ゆんっ!」 「ん゛っ?! ん゛っぼぉーーー! ずっぎりーーー!!!」 が、それは一瞬の事。まりさは一瞬の機転を利かせ、正常位で犯され そうになる所を逆に騎乗位で下から突き上げる形にしたのだ。 「あ゛りずがーーーーーー!!」 頭から茎を生やし、見る見るうちに黒くなっていく級友の遺骸を前に れいむが泣き叫ぶ。 れいむはありすの遺体を蹴倒してずりずりと這い出ると、額の脂汗を 三つ編みで拭いながらこう言った。 「すっきりなんてちびれみりゃをころすよりかんたんなんだぜ」 次の日の朝。 「なにするんだぜれいむ」 そう言うまりさの体は上下逆さにひっくり返された上で幾重もの蔓に 縛り付けられ、身動きが取れなくなっていた。れいむはそのまりさを 怒気満面で見下ろしている。 「れいむのともだちのありすをころすようなわるいまりさはこうやっ てしばりつけとくんだよ!」 「あれはふかこうりょくだっておさもいってたんだぜ。『まえまでの はともかくあれはしかたないね!』って。わすれたのかだぜ」 「うるさいよ! とにかくまりさはそこではんせいしててね!」 言って、ぺっぺと唾まで吐きつける。さしものまりさも嫌そうな表情 を浮かべ、 そして突然血相を変えて―― 「れいむ! ふせるんだぜ!」 「ゆ?」 まりさが叫んだ時にはもう手遅れだった。れいむが勢いよく引っ張ら れるような感覚と、その一瞬後の異様な浮遊感を覚えると同時にそれ は高々と声を上げた。 「フゥハハハー! 我々はこだわりのある虐待家の集い! このれい むは我々のカキタレとなるのだぁー!!」 「どぼいうごどなのーーー?!」 そいつは、妙な白衣を着た、胸毛が濃くて体臭がキツくて、女にはフ られてばかりのどうしようもないクソ野郎みたいな風体の……端的に 言えば、ブ男だった。。 透明な壁に四方を囲まれる閉塞感に包まれながら、れいむは透明な箱 の中で嗚咽とともに叫んだ。 こだわりのある虐待家の集い……略してコダ虐の男はそれを完全にシ カトしながられいむの入った箱をブンブンと振り回す。 「今まで友達のぱちゅりーを脅して殺させようとしたり妹を殺してそ の飾りをつけさせたゆっくりと入れ替えて毒入りお菓子を食わせよう としてまた失敗し、邪魔なまりさを排除しようと適当なありすを発情 させて解き放ったがあっさり返り討ちにあいどうにもこうにもならな かったが私が直接出向く事によって以外とあっさりれいむを捕らえる 事ができたのだーーー!!」 「ほんどうのごどだっだのぉーーーーーーーーーー?!」 不自然なまでの説明口調で明かされた真実にれいむは驚愕する。まり さの妄言だと思っていたものが全て真実だったのだ。それと同時に、 そのような恐ろしい事を実行した目の前のコダ虐に対する恐怖とが押 しよせて来る。 「いまたすけるんだぜれいむ!」 「ば、ばりざ……」 恐怖で押し潰されそうなれいむを救ったのは、まりさの声だった。あ んなに酷い事を言ったのに、それでも助けてくれようとしている。れ いむは涙に濡れた瞳で蔦に絡まるまりさを見つめた。 そしてまりさは、その身をぶるぶると震わせ、そして 「……うごけないんだぜ」 と、いやによく通る声で呟いた。 場がしんと静まり返る。非情に悔しそうな表情を浮かべるまりさが言 った。 「はりがねいっぽんあればぬけだせるんだけどだぜ」 呟くまりさに背を向けてコダ虐はれいむの入った箱を抱えたまますた すたと足を進める。 逆さのまま額に冷や汗を浮かべてゆぅと唸るまりさに向かって、れい むは力いっぱい叫んだ。 「ばりざのやぐだだずーーーーー!!」 ばりざはいつもの仏頂面で答えた。 「まりさはやくたたずじゃないんだぜ。すぺしゃりすとなんだぜ」 この後、れいむはコダ虐のカキタレとなって3年後に死んだ。 おしまい 挿絵:儚いあき
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『おさはゆっくりできない』 88KB 観察 差別・格差 群れ 自然界 人間なし ご覧の通り長いです。時間の空いたときにでも。 初めましての方は初めまして 他作を見てくださった方はありがとうございます。 投稿者の九郎です。 どうぞよろしく。 ――――第一章 おさになんて―――― 「ぱちゅりー!きょうからおとなりさんだね!」 「そうね、ゆっくりしていってちょうだい」 「ゆっくりしていくんだぜ!」 ぱちゅりーとれいむまりさ夫妻が挨拶を交わす。 引っ越し祝いや挨拶がてらの菓子折りといった物のやり取りはないが ゆっくり同士ではわりと交流が盛んなものだ。 たとえそれが、相手を奴隷扱いするゲスの所業であったとしても 他の個体と関わりを持とうとしないゆっくりはそう次々とはいない。 最近、ぱちゅりーの棲家の近辺に集まり始めたゆっくり達も例に違わず それぞれが顔を合わせては『ゆっくりしていってね』を連発していた。 「むっきゅん、かりばのみなおしがひつようかもしれないわね」 人間の都市開発が市街地、商業区、工業地帯と大別されていくように ゆっくりの場合も住居や狩場などが大雑把に分かたれてゆく。 そして、その土地が優良な土地であればあるほどゆっくりが集まり 自然と『群れ』というものが形成されるのだ。 「でもこまったわ、どうしよう……」 自宅で悩むのは、一番最初にこの土地に住み始めたぱちゅりーだった。 身体の弱い自分でも住みやすい土地だと目をつけたはいいが 増え続ける居住者に、狩りが難しくなり始めている。 いや、それはいい、まだいい。 それより問題なのは、群れが形成される場合にどうしても必要になるものがある。 そこまで考えて、頭の中で過去の映像が再生される。 「おさはゆっくりできないわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」 ついうっかり、外にも聞こえる大声で叫んでしまうぱちゅりー。 かつて自分が所属していた群れの記憶。 『もりのけんじゃ』を名乗り、前任者から長を引き継いだぱちゅりー一派と 『さいきょう』を謳う群れ一番の乱暴者のまりさ一派。 その二大巨頭による舌戦、人気取り、脅迫、冷戦、賄賂、不正、そして最終戦争。 あれは地獄だった。 長の座をかけ戦い続けるぱちゅりーとまりさ。 それに伴って甘い汁を吸おうとした幹部を名乗る腰巾着達。 戦いに振り回され利用され続ける群れのゆっくり。 誰も、ゆっくりしていなかった。 何がゆっくりしていて、何がゆっくりしていないのか 自分には最後まで分からなかった。今でも分からない。 あの地獄から生き残った自分だからこそぱちゅりーは断言できる。 『おさはゆっくりできない』。 「だめよ……これは……はやくなんとかしないと……!!」 一番最初にこの土地に住み始めた自分。 後から住み始めたゆっくり達に、生活に必要な知識を披露していった。 そりゃあ、最初はいい気になったものだ。 物事を教え、皆が感心し、感謝してくれる。 ゆっくり出来たかもしれない。 だからこそ――――ぱちゅりーを長として群れを作ろうという話が出た。 待ってくれ、冗談じゃない。 それとこれとは話が違う。 むっきょおおおおおおおとその場で叫んでしまったがそういう場合じゃない。 気付けば、群れのほとんどのゆっくりがぱちゅりーを長に、と思い始めていた。 ぱちゅりーが群れだの長だのそういった話をしようとしないから その当事者がいないところで噂が一人歩きしていることに気付けなかった。 「ぱちゅりー!ぱちゅりー!いるんだぜ!?」 「む、むきゅ!?」 まともな挨拶もなしにぱちゅりーの家にずかずかとあがりこんできたのは一匹のまりさだった。 それに続いていかにもガラの悪そうなちぇんとありすが入ってくる。 「どういうことなのぜ!?ぱちゅりーのいったところにきのこさんなんてなかったのぜ!」 「ちぇんたちがわざわざみんなのためにかりにいったのにむだになったよー!」 「む、むきゅ!?それはまr」 「まったくいなかものね!それにあのひっこしてきたまりさたちはなんなの!? ありすのとかいはな『がーでにんぐ』のじゃまをするし! こーでぃねいともできないいなかものがおにわをもっていてもしょうがないでしょ!?」 「まったくだぜ!なにが『おちびちゃんのあそびばがひつようなんだよ~』なんだぜ! ちょっとたいあたりしただけでなきをいれるゆっくりなんかおうちだっていらないんだぜ!」 「そういうことだよー!おさになろうなんていってるけど ぱちゅりーにおさなんかつとまらないんだよー!わかってねー!」 「そ、それとこれとは……」 「まったくいなかものね!きょうはきぶんがわるいからはやくかえるわ!」 「じかんをむだにしだんだぜ!はやくかえってゆっくりするんだぜ!」 こちらの応答を一切聞かず、出て行く三匹。 まりさが長の座を狙うためにぱちゅりーを貶めに来たのは明白だ。 あのまりさが長になったらどうなるか?考えたくもない。 どうせ長とその幹部、またはそれに類する協力者のみ優遇され 一般のゆっくりが虐げられる最悪の掟が乱立することだろう。 そもそも、ぱちゅりーは長になる気などないのだが 良識あるゆっくりはあのまりさを長にしないために ますますぱちゅりーを長に、と推すことだろう。 長になるための根回しすらぱちゅりーが長になる追い風になっているとは 皮肉を通り越して哀れですらある。ぱちゅりーが。 「どぼじだらいいのおおおおおおおおお!!!???」 ―――――――――――――――― ぱちゅりーは悩んだ。 三日三晩、ろくに眠ることが出来なかった。 「どぼじでごうなっだ……どぼじでごうなっだ……」 もう長になっちまえよ、という意見が頭を掠めたがそれだけは駄目だ。 掟の制定、税の徴収、問題への対処、そして権力転覆を狙うまりさとの知略戦。 そんな問題と向き合い続ければ苦労を積み重ね、数日で禿げる。 そしてまりさ達乱暴者にゆっくり出来ないもの呼ばわりされる。 まりさが目先のゆっくりに囚われた掟の制定を挙げ始め、信任はがた落ちになり まりさ派が多くなってきたところで長の座を引きずり下ろされるのだ。 最後にはわずかに残った賛同者を盾にぱちゅりーが奴隷にされる。 うんうんを食べさせられ、立て続けにすっきりを強要されるのだ。エロ同人みたいに! 「むきょわあああああああああ!!!!」 束ねられた二本の髪で頭を抱えるぱちゅりー。 冗談じゃない、冗談じゃない、冗談じゃない!!! 「すっきりどれいはいやあああああああああああ!!!!」 嗚呼、お空のゆっくりプレイスのおとうさま、おかあさま。 ぱちゅりーは穢されてしまいます。 貴方達の家系が自分の代で途絶えてしまうこと、どうかお許しください。 ―――――――――――――――― 寝不足のぱちゅりーがのろのろと自宅から出てくる。 いくら思い悩んでいるとはいえ腹は減る。 群れに所属するぱちゅりー種はあまり狩りをする姿が見られないが このぱちゅりーは曲がりなりにも単独で生活しているのだ。 ただ引きこもっているだけというわけにもいかない。 「そ、そうね、きょうは、あっちのたんぽぽさんでもとろうかしら……」 何だか見られているような気がして落ち着かなかった。 いや、実際見られているのだ。 ほとんどのゆっくりは、そろそろ群れを作るべきなのではないかと思っている。 ぱちゅりー以外にも、群れへの所属経験のあるゆっくりは幹部候補に、という話も多い。 井戸端会議程度だが、掟などの素案も出始めている。 あとは、長となる者の号令をもって群れが成立するのだ。 皆『長となるべくしてここにいるぱちゅりー』にチラチラと視線を向けているのだ。 「ぱちゅりー!」 「むきゅ!?な、なにかしら!?」 ちぇんとまりさがぱちゅりーの横に立って声を掛けた。 「かおいろがわるいけどどうしたの?」 「たいちょうふりょうなんだねーわかるよー!」 二匹と視線を合わせることが出来ない。 目は泳ぎ、脂汗が出る。 「だ、だいじょう、ぶよ。ぱ、ぱちぇ、はね……」 「きょうはあめがふりそうなんだよー」 「ぱちゅりーはからだがよわいからむりしてかりにいかないほうがいいよ!」 「で、でも、ごはんさんをとりにいかないと……」 ぱちゅりーがそう言うのを待ってましたと言わんばかりにまりさは 大きなきのこを帽子から取り出した。 「ゆふんっ!きょうはたいっりょうっ!だったから ぱちゅりーにおすそわけしてあげるよ!」 「ぱちゅりーからおしえてもらったぱりばでみつけたからね!おかえしだよ!」 コロン、ときのこが地面に落ちるのを見てぱちゅりーは思った。 (せっ!せいじわいろ!!!) まさか自分はもう、あのまりさとの政治戦争に巻き込まれているのか!? 前の群れで『むきょきょ!ぱちぇはもりのけんじゃよー!』と 醜く太ったぱちゅりーが想起される。 しかし、賄賂が増えるごとに政治活動はおざなりになり とりあえず賄賂の多かった順に適当に意見を通していく。 当然そんな方法では群れの状態が立ち行かなくなり、民衆の不満が蓄積してゆく。 最終的には肥え太った何も出来ない身体を木の枝で刺し貫かれ 『もっとゆっくりしたかった……』などと辞世の句を読みつつ 散々ゆっくりしただろう、と侮蔑されながら死ぬのだ。 「むっきょおおおおおおおおおお!!!! おしょくじけんはいやああああああああ!!!! ぱちぇなにもわるいことしてないいいいいいいい!!!!」 二匹に背を向け、ぱちゅりー種とは思えない速さで逃げていった。 「おしょくじ……けん?わからないよー?」 「ぱちゅりーはなにもわるいことしてないよ……? これはまりさがあげたからおしょくじにしていいんだよ?」 ―――――――――――――――― 「むきょー……むきょ……けほっけほっ……!」 考えなしに走ったため、息が切れる。 しかも予定していた狩場とは別の場所に来てしまった。 まあいい、別に食にこだわりはない。 今日食べるごはんがあり、おうちでぐっすり眠ることが出来れば それ以上のゆっくりを望むことはしない。 「むっきゅん……」 しかし、危なかった。 あのきのこを受け取っていたらどうなっていたか想像したくない。 きっと、賄賂が徐々に増えていってこちらを調子付かせたところで 今度は逆にその汚職をネタに脅されるのだ。 決して口に出して言えないようなことを強要され 早くあいつを制裁するよう掟を操作しないと 取り返しがつかなくなるんだぜゆへへとか言われて 傀儡政権となり、責任は全て自分が取らされて 利益は全部あのまりさがもっていって、そして長の座を追われた後は捨てられて…… 「ぱちゅりー?」 「むっきょ!?」 ビクッとして振り返るとありすがいた。 比較的長くこの辺りに住んでいるありすだった。 見知った顔に安堵しつつ、平静を取り戻した表情でぱちゅりーは口を開く。 「ありす、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね。かりのちょうしはどうかしら?」 「む、むきゅ、まだはじめたばかりだからなにもないわ」 「そうなの。ありすはこれからあっちでかりをするけど、いっしょにくるかしら?」 「そうさせてもらうわ」 ありすと並び、野草を集める。 枯れた植物はバリバリして食べやすいが、量も味もいまいちだ。 逆にみずみずしい生きた植物は噛み切ったり集めたりするのが難しい。 身体能力が多少優れたまりさ種は後者を中心に集めるが ありすとぱちゅりーはその中間くらいの、程よく茶色がかった植物を選定して集めた。 黙々と作業に没頭していたぱちゅりーだったが ありすが動きを止めているのに気付き、そちらへ向き直る。 「ありす?」 ありすが少し潤んだ目でぱちゅりーを見ていた。 「ぱちゅりー……」 風が吹き抜けてゆく。 「むきゅ!?ごはんさんが!!」 「まって!!」 ありすの狩りの成果が風で一部飛ばされてしまうのを気にしたぱちゅりーが それを追おうとするが、ありすが強い語気でそれを制する。 「あ、ありす?」 ありすの目は真剣だった。 「ぱちゅりー。わたしたち、であってけっこうたつわよね?」 「むきゅ?そ、そうね」 「いっぱいおそわることがあったわ。 あたまがよくて、それでいてじぶんでかりもできて。 さいしょはがんばりやさんだとかんしんしたけど それはかんしんとはべつのかんじょうだったの」 「べつの?」 「ええ。それに、ありすのおうちのまわりにも、いっぱいゆっくりがあつまったわ。 さいきんではつがいになるゆっくりもめずらしくないし。 おちびちゃんをつくってしあわせーしてるのがうらやましかった」 「そ、そうなの」 「だから、だからね、ありすは、その、おさになったぱちゅりーと………」 ぱちゅりーは、そこまでしか聞き取れなかった。 「むきょわああああああああああああああああああああ!!!!! まくらえいぎょうおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??? あいじんかんけいいいいいいいいいいいい!!!! ぱちぇはおさにならないいいいいいいいいいいい!!!!!」 「いっしょに……いっしょに……いっしょにゆっくり……え?」 ありすが見たのは、脱兎のように逃げるぱちゅりーの後ろ姿だった。 ―――――――――――――――― 「むきょー………むきょー………」 荒い息をしながらまた別の狩場にやってきたぱちゅりー。 「あ……ありすが……あんなやしんかだったなんて………!」 前の群れで最強を自称していたまりさを思い出す。 何匹もの愛人を作ってすっきりしまくる毎日。 だが愛人の中には本気でまりさが好きな者と、権力だけを求めるものがいた。 そして愛人同士で罵り合いが始まるのだ。 まりさを好きなものは権力狙いの者を罵倒するが、最終的には立場が弱い。 しかし、その愛がいずれ憎しみに変わってゆき、権力目当ての愛人が少しずつ消けされてゆく。 それでも愛人を作ることをやめないので最後は正妻による凶刃がまりさを襲うのだ。 最も愛した者に恨まれ、死んでゆく。 最後にはその正妻自身が自らの命を絶つ。 何も残らないバッドエンド。 「どろどろのあいぞうげきはいやあああああああああああ!!!!!」 二本の髪で頭をかきむしるぱちゅりー。 髪がボサボサになってしまっているが、それどころではなかった。 (じたいは、おもったいじょうにはやくすすんでいるわ……!) 一刻も早く、打開策を考えねばならない。 「むきゅ……」 瞳に理性的な光を取り戻すぱちゅりー。 目標の最低ラインは、自分が長にならないことだ。 今切れる手札はは以下の三つ。 ①まりさを長にする。 ②自分が長になる。 ③死ぬ。 「ぜんぜんだめじゃないのおおおおおおおおおおおお!!!」 またも頭をかきむしるぱちゅりー。 はっきり言って①≒②=③である。 落ち着け。COOLになるのよぱちぇ。と自分に言い聞かせながら条件を再確認する。 (ぱちぇがおさにすいせんされるのはここにすんでからがながいからよね……。 じゃあべつのゆっくりを……だめね。ぱちぇよりながくすんだゆっくりはいない。 ぱちぇのちしきがもんだい?ちょうしにのっていろいろしゃべりすぎたかしら……。 じゃあ、でたらめのじょうほうをまいてぱちぇがおさこうほからはずれる? だめね。それじゃあまりさがおさになっちゃう……) 独り言を言いながらうろうろとその場で歩き回る。 「な………なんなのぜ……あいつ………」 もう一方の長候補であるまりさが子分を連れて同じ狩場に来ていた。 ぱちゅりーを見るやいなや、ちょっと牽制しておこうと近づいた矢先 その様相をみてぎょっとした。 「な、なにかつぶやいているわ……」 「わからないよー?」 髪の毛ボサボサで据わった目のぱちゅりーに声を掛けるのはとても躊躇われた。 「ありす、とりあえずはなしかけてくるんだぜ!」 「な、なんでありすが!」 「つぎのおさになるまりさのめいれいがきけないのぜ!? おさになったらまっさきについほうしてやってもいいのぜ!」 「わ、わかったわよ……」 ありすがのろのろと慎重にぱちゅりーに近づく。 依然、ぶつぶつと独り言をつぶやくぱちゅりーにはそれが見えていない。 「ちょっと……ぱ、ぱちゅりー?」 (ぱちぇがさんぼうになるといえば……。 いえ、けんりょくこうぞうにくみこまれるじてんであうとね。 いちどおさになってからすぐやめれば……いえ、それもだめ) 「ぱちゅりー!きいてるの!?ぱちゅりー!!」 正面から話しかけたにもかかわらず気付かずに振り返ったぱちゅりーに駆け寄るありす。 「むきゅ?」 さっと振り返るぱちゅりー。 「え……」 もみ上げなどを持たないため、軽く近づいて背中を小突いてやろうと近づいたありす。 その結果。 ……ぶちゅ。 二匹は、正面衝突した。口で。 「な………な………なな…………………」 真っ赤になり絶句するありす。 「む……むきょ………むきょわ………………」 震えながら涙目になるぱちゅりー。 次の瞬間 「れいぱーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 「ちょ、ちょっと!」 一番焦ったのはありす。 同族がレイパーとなった事例はありすとて知らないわけではない。 だが、知っているが故にレイパー呼ばわりされたありすがどうなるかも良く知っている。 「むきょ、むきょ、むきょおおおおおおおおおおお!!!!! ぱちぇのはじめてがうばわれたああああああああああああああ!!!!!」 「ちょ、ちょっとまちなさい!!この!!!いなかもの!!!!」 駆け出したぱちゅりーを追いかけるありす。 レイパー扱いされれば普通は話が通じないとみなされ制裁は避けられない。 いくら群れの形成前とはいえ、長候補のぱちゅりーを襲ったとなれば 掟がどうのという問題ではないだろう。 「ごっぢごないでええええええええええええええ!!!!」 「れいぱーじゃないって!いって!るでしょ!!この!!いなかものおおおおおお!!!!」 この追いかけっこは、ありすが追いつくまで続いた。 繰り返しの説明により、なんとかレイパーでないということを分かってもらったありすは ぱちゅりーからのお詫びを受け取ることで何とか納得し、事態は収拾する。 ―――――――――――――――― 「なんだか、さいきんぱちゅりーがへんだよ」 「まりさもそうおもうかしら?」 「ぱちゅりーのいってることがちぇんにはわからないよー……」 ぱちゅりーの奇妙な行動はとどまることを知らず、評判が落ち始めていた。 一連の行動は、自分が長にならないための回避行動だったのだが 全く違う方向でその成果は現れている。 自然、ぱちゅりーを長にという話はお流れという風潮になりつつある。 「ゆふんっ!やっぱりさいっきょうっのまりささまがおさなんだぜ!!」 「まりさをおさにするやつはいなんだね。わかれよー……」 小声でつぶやくちぇん。 ぱちゅりーは長に相応しくない。 まあそれは仕方がない。 だからといって、長がいなくていいわけではない。 ここのゆっくり達はもう、群れの体を成しているが肝心のまとめ役がいない。 「ちぇんにはなにもわからないよー……」 かつてとある群れで幹部をしていたちぇん。 群れの運営経験があるためぱちゅりーの補佐につくつもりであった。 だが、長に就任するとなると話が違ってくる。 かつて自分が所属していた群れの長ぱちゅりーのように 群れを先導してゆける自信がない。 しかし、まりさを長にするわけにもいかない。 まりさが長になればあっと言う間にまりさが全ての掟が出来上がり ゲスだらけの力だけが支配する群れが完成することだろう。 幹部候補と呼ばれる自分も、あんな奴を支えるつもりになどまったくなれないし 良い方向へ導いてゆけるはずもない。 「こまったよー……」 自分が長に立候補するという選択肢も本気で考えなければならないのだろうか。 でも、諦めきれない。 ぱちゅりーはいいゆっくりのはずなのだ。 今は評判を落としているが、以前はもっとも長に近いゆっくりだったのだ。 幹部候補と祭り上げられている自分がぱちゅりーを推せば 皆もとりあえず納得してくれるだろう。 ぱちゅりーも、実際に長になってみれば何とか頑張ってくれると信じられる。 ちぇんはもう一刻の猶予もなしと ぱちゅりーに長になることをストレートに頼みに行こうと思った。 ―――――――――――――――― 「ぱちゅりー!ぱちゅりー!!」 狩りが終わるタイミングを見計らってちぇんはぱちゅりーの自宅を訪ねた。 ぱちゅりーの『おうち』は近辺で最も豪華である。 その理由は、とりあえず作った『おうち』を完成と決め付けず 継続的な改善、拡張を続けてきた結果だ。 そんな思いを胸にし、ちぇんはますますぱちゅりーを長にしたくなる。 それに、住居や以前までの評判を考えれば ぱちゅりーはすでに実質の長をやれていたと考えたいくらいだ。 「むきゅ?」 『おうち』の中には中身が詰まってパンパンの帽子をかぶったぱちゅりーがそわそわしていた。 「ぱ、ぱちゅりーなにやって」 「むきゅ!はやくなかにはいって!!」 「ちょ、ちょっと、いたいよ!」 ぱちゅりーの髪に引っ張られながら自宅に入るちぇん。 中に入るとぱちゅりーが入り口から外を見回し、誰も入ってこないことを確認する。 「ぱちゅりー……?わからないよ……?」 「むきゅ。だれもみていないしきいてないわね」 安全確認を終えたぱちゅりーがちぇんの元へ戻ってくる。 「なにやってるの?ぱちゅりー?」 「むきゅ……あなたにはわるいことをしたわね……」 「わ、わからないよー?」 困惑するちぇん。 ぱちゅりーは申し訳なさそうに、それでいて決意をこめて言った。 「よにげよ」 「え……?」 「ぱちぇは、よにげするわ」 「わからないよおおおおおおおお!!!!????」 「しっ!!おおきなこえをださないで!!」 「わ、わかったよー……でもぱちゅりー、どうして?」 「ぱちぇは……おさになることはできないし、おさをえらぶこともできないからよ」 「わからないよー……」 「いいえ、あなたはわかっているはずよ、ちぇん。 ぱちぇのところにきたんだからら」 「ど、どういうことなの?」 ぱちゅりーは、溜め息をついた。 自分ほどではないが、ちぇんは同じ悩みを抱えている。 だからこそ分かっているし、分かってほしいと思ってしまった。 「ぱちぇはね、ゆっくりしたいの。ちぇんもそうでしょ?」 「も、もちろんだよー」 「それで、おさになればゆっくりできるとおもう?」 「お、おさはゆっくりしてるんだよ?」 「じゃあどうしてちぇんはおさにならないの?」 「………ちぇんは、おさができるほどかしこくないよー」 「それをいったらぱちぇもなの、ちぇん。 ううん。ここにすむゆっくりに、おさがつとまるゆっくりなんていないの」 「……でも、まりさはおさをやりたがってるよー……」 ぱちゅりーは、少しだけ悲しい目をした。 「そう。ぱちぇは、じぶんでおさをやりたいとはおもわない。 でも、まりさのようなゆっくりがおさになることをはんたいしきれない。 ぱちぇがみをひいたあと、まりさがおさになるのをとめられない。 だからにげるの」 「ぱちゅりー……」 「むせきにんでしょ?でもぱちぇもみんながむせきにんだといいたいわ。 ぱちぇがおさになったら、すべてのもんだいがぜんぶぱちぇのせいにされるのだから」 「わかるよー……」 「ほんとうはゆっくりのむれにおさなんていらないの。 ぱちぇはいままでゆっくりしてきたわ。ちぇんもそうだったんじゃないの?」 「だ、だけどむれをつくればゆっくりできるよ?」 「じゃあなんで、ちぇんはここにいるのかしら?」 「…………」 「ちぇんの、まえのむれはゆっくりしてたかしら?」 「ちぇんは……」 「むれのおさをやっていたら、いつころされてもおかしくないわ。 そうどうがおきればまっさきにねらわれるし そうでなくてもけんりょくやしょくりょうのたくわえをねらわれるかもしれない。 りっぱなおうちにすんで、いちばんめだつことをしているんだからね」 「ぱちゅりー、だからむれをつくるのがいやなの? このままじゃ、ここのゆっくりたちはまりさに……」 「いったでしょ?ぱちぇはむせきにんなの。 だからね。さよならしましょ?」 「………」 しばしの沈黙が生まれる。 お互い、思っていたことをぶつけた。 これで納得いかなければ衝突は避けられない。 群れを、コミュニティを作るとはこういうことだ。 そこには違った意見があり、争いがあり、最終的には滅びが訪れる。 その余波から自分のみを守るためには その隅っこで常に逃げられる体勢を維持し続けるしかない。 「ぱちゅりー」 「なに?」 「ちぇんはやっぱりぱちゅりーとさよならするのはいやだよ」 「そう……じゃあ、どうするの?」 ちぇんは少し間をため、意を決して言った。 「ちぇんも、いっしょにいくよ」 「むきゅ…?」 「ぱちゅりーのいうとおり、ちぇんはおさなんてやりたくないよ。 だけど、まりさがおさをやってるむれなんかにいたくないよ」 「だ、だけど」 「ちぇんは、たくさんのなかまをみすてるよ。 でも、ぱちゅりーだけはみすてたくないよ」 「ちぇん……」 「わるいけどいやっていってもついていくよ」 「むきゅう……でも、ちぇんはじゅんびもしてないでしょ?」 「あしでまといになるつもりはないよ。ぱちゅりーにみすてられたくないしね。 もしおいていくっていうなら、ぱちゅりーがにげだそうとしてるってみんなにいいふらすよ」 「むっきゅん……わるいゆっくりね」 「ぱちゅりーにいわれたくないんだねー」 集落が形成され、社会が発展し、技術が進歩する。 それこそが、人間が辿ってきた高度文明への道筋なのだが ゆっくりは、その途中で必ず頓挫する。 群れが形成されようとも、必ず滅びが来る。 そしてその後には何も残らない。 滅んだ世界のさらにその先では、新たなゆっくりが群れを成し始める。 それまで積み重ねられてきたプロセスが、継承されることなく。 ――――第二章 ひつようなこと―――― 「ぱちゅりぃぃぃぃぃ!!!」 「ちぇえええええええええええん!!!」 翌朝のこと。 群れの中でもっとも大きなぱちゅりーの自宅の中はもぬけの空になっていた。 最初に気付いたのは、ぱちゅりーに狩りに関する相談に来た、隣に住むまりさ。 次いで、幹部候補と言われたちぇんにそのことを報告しようと思ったら、ちぇんもいない。 二匹の失踪により、集まっていた……もう群れと呼んでよい程の規模となったゆっくり達は、大騒ぎした。 特に、優秀な群れのおこぼれに与ろうと思って越してきたゆっくり達は血相を変えている。 が、中にはその失踪を喜ぶ者たちもいる。 まりさ一派と、それに類する野心家達だ。 何も長になりたかったゆっくりは件のまりさ一匹ではない。 しかし、まりさは少なくとも阿呆ではなかった。 そういった連中を自分が長になったらどうこう、と鼻薬を嗅がせておき、協力者とした。 その手腕は確かに一ゆっくりに止まる実力ではないのだが、所詮は一ゆっくりなのだ。 まりさの目に留まらなかったゆっくりからはあからさまに疎まれていた。 「ゆふふふふ。ぱちゅりーのやつしっぽをまいてにげたのぜ」 「ゆほほほほ。これでまりさのてんかはまちがいないわね」 まりさの自宅ではまりさと腰巾着のありすが逃げたぱちゅりーを嘲笑っていた。 「まりさ!やっぱりぱちゅりーはいなくなってるんだよー!」 確認に向かわせたちぇんが戻ってくる。 「やったわねまりさ!さっそくまりさがかんがえていた『けいっかくっ』がじっこうできるわ!」 その場で跳ねて喜ぶありす。 しかしまりさはそれを冷静に受け流す。 「まあまつのぜありす。 もうすこし、そう、まりさがおさになるしかないじょうきょうを つくりだしてからのほうがいいのぜ」 今ならまりさ自身とその賛同者を使えば長になることが可能だろう。 だが、あまり力に任せてしまっては不信任のゆっくり達とのしこりを残してしまう。 なればこそ、もう少し不信任の連中の困り顔を拝んでやってから それを救うために自分が立ち上がったという筋書きを作ってやればいい。 凡庸なゆっくりなど、困っているところに 『ゆっくりさせてやる』と言いさえすれば簡単になびくものだ。 「ありす、ちぇん。わるいけどもうしばらくきゅうくつさせるのぜ」 「わかったよー」 「まりさがそういうなら」 三匹は明るい未来を想像しながら、その場でほくそ笑んだ。 ―――――――――――――――― ぱちゅりーとちぇんの両名の失踪から ゆっくりの基準で随分前と計算される時間である三日間が経過した。 その間群れでは、ぱちゅりーの知識に依存していたゆっくりが早々に行き詰り始めていた。 「わがらないよおおおおおお!!!」 「ごはんざんがどれながっだよおおおおおお!!!」 いくら種族として弱いゆっくりでも、その中では力の差がある。 特に、庇護を失って独力に頼らざるを得ない状況ではその差がはっきりと露呈する。 群れの崩壊しやすい理由の最大の理由がこれである。 ぱちゅりーの分け隔てない助力はゆっくりの生活レベルを平均化していた。 故に、実力の無いゆっくりが淘汰されることなく残り続けてしまうのだ。 さらにその不条理は群れのゆっくり全体の平均能力すら下げる結果となり 緩やかに衰退し続け、一定のタイミングをきっかけに、あっけなく崩壊するのだ。 「まりさ!まりさあああああ!!!」 「うるさいのぜ!!おまえみたいな『こくつぶし』にはもううんざりなのぜ!!」 例のぱちゅりーの家の隣に住んでいるれいむとまりさは、毎日のように喧嘩をしていた。 どうも、親切なぱちゅりーの知識や経験に寄生する気満々だったらしく れいむの頭には実ゆっくりが数をなしてぶら下がっていた。 「まりざはじぶんのごががわいぐないのおおおおおおお!!??」 「たしかにおちびちゃんはかわいいのぜ! だけどれいむはこれっぽっちもかわいくないのぜ!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!??」 どうやら喧嘩の原因は妊娠を理由にして狩りをしないれいむにまりさが不満を持ったことのようだ。 二匹の間にはもとより愛など殆ど無かったらしく、お互いがお互いを利用し、利用される関係だったのだ。 れいむは、妊娠さえしてしまえば、出産後もその先狩りをを一切しないでいいと目論んだようだ。 対してまりさは、『すっきり』することを最大の目的としていたようで その後は何かと理由をつけてれいむのことを冷遇し続けた。 「だっだらごはんざんはおいでいっでよおおおおお!!! どぼじでだぐわえまでもっでいぐのおおおおおおお!!?? れいむはにんっじんっじでるんだよ!!?? おぢびぢゃんのぶんもだべないどいげないのいげないのにいいいいい!!!」 「まりさはまいにちのかりでつかれてるのぜ! いっつもおうちでゆっくりしてるだけのれいむなんか かれはでもむーしゃむーしゃしてればいいのぜ!!」 「ばりざあ!!まっで!!いがないで!!! でいぶじんぐるまざーになっぢゃううううううう!!! どぼじで!?ねぇ!!どぼじでぞんなひどいごどがでぎるのおおおおおおお!?」 まりさはれいむを見捨てて去っていった。 未練、というより今後の生活のアテを捨てきれず、その場で大騒ぎする。 「やっぱりこうなったわね……」 「まりさもひどいけどれいむもひどいのぜ……」 近所のゆっくりは哀れみを交えた視線で捨てられたれいむを見やる。 「ゆっ!?ど、どうじょうするならごはんさんをちょうだいね!!」 「ゆふんっ!!」 「ぶべぇ!!」 「ちかよるんじゃないのぜくずれいむ!!」 「どぼじで……どぼじで……」 この期に及んで手近なゆっくりに対して寄生する気のれいむは、完全に周囲のゆっくりに見捨てられた。 「おでがいいいい!!!でいぶをゆっぐりざぜでええええええ!!! でいぶはひげきのひろいんだよ!!!げすなまりざにずでられだじんぐるまざーだよおおおお!!! だれがあのまりざをぜいっざいっじでよおおおおおおおお!!! ぞうしだらでいぶにごはんさんちょうだいね!!!たくっさんっでいいよ!!!」 「ゆへへ、もうすぐころあいなんだぜ」 この群れは、既に群れの体を成していたが未だ無法地帯のままである。 掟なんてものは存在しないので、れいむを見捨てたまりさも ひどいと思われるだけで制裁することなどできない。 長になろうと目論むまりさは、ほくそ笑みながら事態がさらに悪化するのを待った。 ―――――――――――――――― 「びゅびゃああああああああああ!!!」 「じね!!じねえええええええ!!!!」 翌日、群れに大きな悲鳴が響きわたった。 騒ぎを聞きつけたゆっくりが何だ何だと集まってくる。 「ありずのどがいはなごーでぃねいどをよぐもおおおおおお!!!!」 「でいぶはじんぐるまざーで、ゆぎゃあああああああ!!!」 ありすのくわえた木の枝がれいむの目玉を突き刺した。 そのまま振り抜かれた枝は途中で折れ、れいむの目玉に刺さったまま残る。 「どぼじで!?どぼじでごんなごどずるのおおおおおおお!!!!????」 「おうぢをあらじでごはんさんをうばっておいでどぼじでじゃないでしょおおおおおお!!!???」 昨日の妊娠したれいむが留守中のありすの家に無断侵入し、食料を漁っていたのだ。 「じねええええええええ!!!」 バキッ 「あああああああああ!!!!!でいぶのおぢびぢゃんーーーーー!!!!」 執拗な攻撃でれいむの額から伸びる、実ゆっくりをつけた茎が折れた。 たちまち実ゆっくりの表情は曇ってゆき、この世に生を受けることなく息絶えていった。 「どぼじでえええええええええ!!??」 「まだいうがごのぐぞでいぶううううううううう!!!!」 ありすのくわえたひときわ大きな石がれいむを襲う。 周りのギャラリーも止めはしない。 ゆっくり殺しはゆっくりできない。 しかし、れいむの所業は明らかに制裁されても文句の言えないレベルだ。 止めの一撃が入る瞬間、全てのゆっくりが目をそらしたその時だった。 「そこまでなんだぜ!!!!」 「ぶびゃ!!!」 例のまりさがありすに軽く体当たりをして、攻撃をそらした。 ありすは軽く負傷し、抗議の声を上げる。 「ばりざああああああああああああ!!!! どういうづもりだあああああああああああ!!!!!」 「まあまつんだぜ!まりざのはなしをきくのぜ!」 「ふざげるなああああああああああ!!!! ぞいづは!!!ありずの!!!」 「たいあたりしたことはあやまるのぜ!あまあまでゆるすのぜ!!」 「ゆっ……!?」 まりさの帽子から野いちごが転がり出る。 自然界ではそうそう手に入らないそれを見たありすはぴたりと叫ぶのをやめた。 「ゆ、ゆふんっ。まあ、はなしだけはきこうかしらっ? だけどありすがなっとくできなかったらわかってるでしょうね?」 「だいじょうぶなのぜ!」 「ばでぃざあああああ!!!あでぃがどおおおおお!!! でいぶにもあばあばぢょうだいね!!!」 「だまるのぜぐず!!!ちぇん!ありす!そいつをおさえるのぜ!!」 「ゆっくりりかいしたわ!!」「ゆっくりりかいしたよ!!」 「は、はなぜ!!ぶびゅ!!!」 ありすとちぇんに左右からのしかかられ、れいむは声を上げられなくされた。 全てのゆっくりの視線が集まる中、まりさは大声で演説を始める。 「このれいむはたしかにころされてとうっぜんっなごみゆっくりなのぜ! でも、ただころすだけじゃありすはわりにあわないのぜ?」 「どういうことなのまりさ?」 被害者のありすが野いちごを齧りながら言う。 自宅の被害の件は片付いていないのにすっかり機嫌を直している。 「そもそも、こんなにゆっくりがあつまってるのにおさがいないのはへんなのぜ! このじけんも、おきてがないからこんなおおごとになったのぜ! もとはといえばまりさがれいむをみすてたのがわるいし わるいことをしたときにどういうせいっさいっがあるかきめられていないのもよくないのぜ!」 「「「ゆぅぅ……」」」 そりゃそうだ、というより、そんなことはもう全てのゆっくりが感じていた問題だった。 今回のような大事だけでなく、日常のちょっとした小競り合いですら どういう解決法を用いれば良いか、日々皆悩んでいたのだ。 その役は暫定的に失踪したぱちゅりーが買っていたのだが 今となっては個々で解決していくしか道が無い。 「そこでっ!!」 まりさが大仰に身体を振ってふんぞり返る。 「このまりささまがおさになって、みんながゆっくりできるおきてをつくっていくのぜ!」 「そうだそうだ!」 「それがいいよ!」 まりさの協力者が四、五匹間髪入れずに賛同の声を上げる。 だが、もともと評判のあまり良くないまりさ。 「れいむははんったいっだよ!!」 「みょんもだみょん!!まりさみたいながらのわるいゆっくりではつとまらないみょん!!」 並んで見ていたれいむとみょんが反対の意思を見せる。 そんなに二匹にまりさは余裕の表情で言う。 「ゆあぁぁぁん??まりさがおさになったらわるいとでもいうのぜぇぇぇ??ゆん!みんな!」 まりさが号令を出すと、賛同者がぞろぞろとまりさの横に並んだ。 その数、十三匹。 「なんだもんくあるのぜぇぇぇぇ?なんだったらいけんをきいてやってもいいのぜぇぇぇぇぇぇ??」 「ゆ……ゆ………ゆぅぅぅ………」 お下げでそっと頬を撫でられるみょん。 嫌みったらしい笑みを浮かべて顔を近づけるまりさにこれ以上逆らえば間違いなく袋叩きに遭うだろう。 反対派が未だに多いのだが、まりさ一派のような明確な結束力を持たないので 一見すると数が多く見えるまりさ達に個々の判断で行動するのは危険すぎた。 そしてみょんとれいむの間に入り込んでボソッと小声で言う。 「……なんだったらこのばでせいっさいっしてやるのぜ?」 「「ゆひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」 二匹は震え上がった。 まりさの余裕の態度と、目の前に集まって睨みを利かせるまりさの賛同者にただただ怯えるしかない。 「よし!きまりなのぜ!」 まりさは振り返ると同時、先ほどまでの嫌らしい笑みを消して全員に向き直る。 「さっそく、そこのごみれいむのせいっさいっほうほうをきめるのぜ!! と、いってもじつはせいっさいっについては、まりさにはすでにかんがえがあるのぜ!!」 そう言ってれいむに近づくまりさ。 「で……でいぶに……ひどいごど……じないでね……?」 「ゆふんっ……」 ブチッ 「ゆ……あああああああああああ!!!!!」 にやりと笑うと、れいむのリボンを少し食いちぎった。 おかざりを傷つけられたれいむは、押さえられて声を出しづらい状況にもかかわらず 身を切られたかのような思いに絶叫した。 まりさはそれに構わず、食いちぎったリボンの断片を皆の見える位置にプッと吐き出す。 「これが、すべてのはんざいゆっくりにかならずあたえられるせいっさいっなのぜ! これかられいむははんざいゆっくりなのぜ! もちろんそれだけじゃないのぜ! このごみれいむはこれから、むれのどれいとして いっしょうしょくりょうをあつめさせて、むれのたくわえにするのぜ!」 「ゆえええええええええ!!!???」 「ゆっ!?まりさ!そんなばつでいいの!?」 れいむは理不尽な罰だと絶叫し、被害者のありすは抗議した。 まりさは当然の抗議だと言葉を続ける。 「もちろんそれだけじゃないのぜ! ひがいをうけたありすにはれいむがぬすみぐいしたしょくりょうをたくわえからかえすのぜ! それだけじゃないのぜ!ありすにはれいむをすきなときに せいっさいっする『けんり』をあたえるのぜ!」 「ゆっ!?ほんとうなのまりさ!」 「もちろんなのぜ?まりさはもともとあまりせいっさいっをとめるきはないのぜ! ただし、えいえんにゆっくりさせるのはだめなのぜ! そうするとしょくりょうのへんっさいっができなくなってしまうのぜ!」 「ゆゆん!それならありすもなっとくできるわ!」 「ふっ…ふざけ……ないでね……でいぶは……」 「ちぇん、ありす、ごみれいむをはなすのぜ」 「わかったよー」 ありすとちぇんがれいむから離れると、途端に大騒ぎする。 「ばりざあああああああ!!!! でいぶにごんなごどじでいいどおもっでるのがあああああああああ!!!」 「ゆぷぷ。ぽんこつおりぼんをつけたはんざいでいぶがなにかいってるのぜ」 「ばりざああああああ!!!!まずおまえをぜいっざいっじでやるううううう!!!!」 「ゆふんっ」 ドカッ 「ゆべしぃ!!」 「はんざいゆっくりがまりさにさわるななのぜ!まわりをみてみるのぜ?」 「ゆ?……ゆ………ゆぅぅ………!?」 周囲のゆっくり達は、れいむの惨めな姿を嘲笑っていた。 理不尽な制裁を受けてかわいそうな自分をかばってくれると思い込んでいたれいむは その態度に心象を一変させる。 「どぼじでぞんなめででいぶをみるのおおおおお!!??」 お飾りを損傷したゆっくり、そしてそれは犯罪者の証。 まりさが群れのゆっくりにそう吹き込んだことで、れいむは完全に侮蔑の対象となっていた。 「ゆぅ!?」 その中にれいむは、自分を捨てたまりさの姿を確認する。 「ばりざあああああああ!!!おばえが!!! おばえがでいぶをずでだぜいでええええええええええ!!!!」 「ゆっ!?」 「ぞいづも!!!ぞいづもぜいっざいっだああああああああ!!!! ぜいっざいっじろおおおおおおおおおおお!!!!!」 「だまりなさいはんざいゆっくり!!!」 「ぶげっ!!」 側近のありすに体当たりをされて強制的に黙らされるれいむ。 そしてまりさは、れいむを捨てたことを咎められるのではないかと怯えるまりさに静かに言う。 「ゆひぃぃぃぃぃい!!」 「おびえることはないのぜ。 あのごみれいむがいってるのはおきてをきめるまえのはなしなのぜ。 おきてがないときにしたことをあとからせいっさいっするのはりふじんなのぜ」 「ゆ……ほ、ほんとう?」 「はあああああああああああああああ!!?? おきてはおきてでしょおおおおおおおおおお!!!???」 「だまるのぜ!!おきてはこれからこのごみれいむをせいっさいっするところからはじめるのぜ!! みんなはちょっとずつでいいから、おきてをていっあんっしてほしいのぜ!! みんなでゆっくりできるむれをつくっていくのぜ」 「ゆぅー!」 「れいむもさんせいだよ!!」 「まりさがこのむれのおさになるのがいいわ!!」 「ゆっくりしていってね!!」 ――――第三章 おさとして―――― 例のれいむを裁いたその日からまりさは名実共に群れの長に就任した。 ありすとちぇんを幹部として迎え、一部の賛同者を抱え込んだまりさは 少しずつだが、為政者としての頭角を現していった。 表向きには皆の良き相談役として、個々の問題を解決していった。 少しずつ提案される掟を皆に周知徹底してゆき、小競り合いも減少している。 時折ゲス気質を見せるゆっくりを犯罪ゆっくりとして制裁し、奴隷も増えていった。 元々ぱちゅりーの住んでいた家を長の拠点とし 奴隷から徴収した食料も徐々に増してゆく。 長となったまりさのおかげで、群れは以前の安定を取り戻し始めていたように見えた。 少なくとも、自活できるゆっくりは犯罪の減少で暮らしがよくなっている。 「このっ!!はやくつぎのかりにいってくるのぜ!!!」 「ゆべっ!!!やべてぇ!!!もうむりなんでずううううう!!!!! でいぶもういっぼもうごげないんでううううう!!!!」 「いっぽもうごけないんならぷーすぷーすさんからにげるんじゃないのぜぇ!!」 「やべでええええええええ!!!ぷーすぷーすさんはゆるじでえええええええええ!!!!」 「だったらとっととかりにいくのぜ!!! これっぽっちしかあつめられないんならきょうは『しゅくしゃ』にはいれられないのぜ!!」 「ゆんやあ!!ゆんやあああああああああ!!!!」 長まりさはその口にくわえた木の枝で犯罪ゆっくり第一号のれいむに暴行を働いていた。 「さけべるうちはまだまだかりができるのぜ!」 「ぞんなごどありばぜん!!!でいぶもうげんがいでず!!! ありずにごはんざんはがえじだでじょおおおおおおお!!!??? どぼじでまだがりをじないどいげないのおおおおおおおお!!!???」 「どれいゆっくりを『ゆるす』ときなんていっしょうこないのぜ!!! いいからさっさとかりにいくのぜ!このごみ!!」 「ゆー、だめよおさ、ただらんぼうするだけじゃ」 そこに割って入ったのは幹部となったありす。 元々長まりさとつるんでいた仲なので基本、対等な関係が続いていた。 今の幹部ありすは、奴隷ゆっくりを収容する宿舎の看守に納まっている。 長まりさもこうして好きな時に出入りし、仕事と称して遊びに来ていた。 「みょん!れいむ!そいつをおさえなさい!」 「ゆっくりりかいしたよ!」「ゆっくりりかいしたみょん」 「ゆぅ!?やべでね!でいぶにひどいごどじないでね!!」 二匹の看守ゆっくりに左右から挟み込むように押さえられ、身動きが取れなくなる奴隷のれいむ。 「まりさ、そいつのめだまにささったえだをぐーりぐーりしてやりなさい!」 「ゆ?これなのぜ?」 「やべでえええええええええ!!!!ぞれにざわらないでええええええええ!!!」 「おとなしくするみょん!」 ジタバタと暴れるれいむの目玉には、かつての被害者ありすの刺した木の枝が残っていた。 まりさはそれをお下げで掴むと、適当に動かした。 「ぐーりぐーり」 「ぎゅびゃああああああああああ!!!!!! おでがいゆるじでえええええええ!!!!いだいのいやああああああ!!!!」 「ゆふんっ!これならどう!?それっそれっ!」 そして後ろからは幹部ありすがれいむにぺにぺにを突き立てていた。 無抵抗なれいむは長まりさと幹部ありすの好き放題に暴行される。 数分後には、本当の意味で満身創痍になったれいむが宿舎の外へ打ち捨てられた。 「びゅべぇ!!」 「さ、おさとかんぶのありすにさからったばつはそれくらいにしてあげるから とっととおしごとをしなさいね!」 「おで……が…………でいぶ………もう………むり……………」 「ふん!だったらいっしょうそこでそうやってればいいわ! ありすはかまわないわよ?いきていられればのはなしだけどね!」 「ゆんやあ………ゆんやあ………………」 れいむは自分の運命に涙した。 死にたくない。でも生きているのも辛い。 いっそ群れを抜け出してしまいたいが そんなことをするだけの度胸もバイタリティもれいむには残っていなかった。 ―――――――――――――――― 「どうしたのかなー?ちぇんにさからうきなのかなぁー?」 「ゆ………ゆぅ…………」 「ゆぷぷ。ちぇん、そのくらいにしとくんだぜ。 はんざいゆっくりでもないやつをいじめるもんじゃないんだぜ」 長まりさは、ありすと同じく幹部のポストに納まったちぇんを含む五匹ほどのゆっくりと一緒に 群れをパトロールしていた。 実際、掟破りをするゆっくりがいないか見て回る作業なのだが それが単なる正義の行いでないことは誰の目から見ても明らかであった。 「ゆああぁぁん!!??いまれいむからめをそらしたね!? なにかやましいことでもあるの!?」 「ゆうぅぅ!?しょ、しょんにゃことないのじぇ!? まりちゃはただゆっくちちてただけなのじぇ!?」 「れいむ、そんなちいさなまりさがわるいことするわけないよ、わかってねー」 「ふん!まあいいよ!」 掟破りをしていないゆっくりをどうこうするわけにもいかない。 そこのところは最低限のルールとしてパトロールをするゆっくりに徹底させていた。 しかし逆に言えば、それさえ守っていれば何をやっても許される。 言いがかりじみたことを言って尋問をしたり 家宅捜索などと称して適当な家に入り込んだり。 今ではすっかりパトロールするちぇん以下数匹のゆっくりは疎んじられていた。 ちょっとしたことで言いがかりを付けられないかと挙動に注意を払うゆっくりが増えたので 一応それも犯罪抑制につながっているのだが、民衆の不満は積もる一方だった。 誰かが鬱憤晴らしのために適当に言いがかりを付け、別のゆっくりが宥める。 そんな三文芝居を繰り返すことで辛うじて最低限のモラルは守られていた。 ―――――――――――――――― 長まりさの自宅(くどいようだがかつてのぱちゅりーの家)でまりさ、ありす、ちぇんが食事をしている。 「ゆふふふふふふ、まりさはさいっこうっのおさなのぜ! むーしゃむーしゃ、ごはんさんはおいしいのぜ!」 このまりさが長としての地位を築き上げ そして守っていられるのは、ひとえにその積極性にある。 仕事と称して一般のゆっくりをからかったり 奴隷となったゆっくりに暴行を振るったりすることを楽しんでいるのだ。 同じような立場に立たされたれいむやぱちゅりーならば 自宅で動かずにゆっくりし続けるだけの怠惰な日々を送るのだろうが まりさはそういったタイプのゲスではなかった。 相手を貶め、暴力をふるい、優位に立つことにゆっくりを感じるタイプである。 「んほほほほほほ、まりさはさいっこうっのおさね! ありすもはながたかいわ!」 「ちぇんもたくさんゆっくりできるよー! あのくちばっかりのぱちゅりーとはちがうんだねー!」 この群れは大きく分けて三つの階層に分かたれていた。 一つは一般のゆっくりの階層。 当初は長まりさを良く思っていない連中もいたが 税の取立てなどはほんの僅かで、掟を守っていれば問題なく暮らせる。 一見正しく、合理的に見えるその為政により反対派はなりを潜めていった。 ただしそれは、表向きにはという話である。 裏では何かおかしいとか、間違ってないかと考えるゆっくりがいないでもないし パトロールの鬱陶しさは問題視する声も上がっていたが 実際に掟破りをしていないゆっくりがひどい目に遭うことはなかったし 正義の御旗を掲げられては従う他無かったのである。 二つ目は奴隷ゆっくりの階層。 最初のれいむを初めとして 十匹前後の掟破りを犯したゆっくりが一まとめに『宿舎』に収監されていた。 宿舎自体が奴隷ゆっくりに掘らせたもので、そこに一括管理されることでそのシステムを維持している。 この階層に対する掟は一つ、『えいえんにゆっくりさせてはいけない』だけだった。 当初は、被害者であるゆっくりだけが対象の犯罪者を制裁できる権限を持っているというものだったが 看守はどうしても力ずくで従わせる他無く、看守は積極的に奴隷ゆっくりを苛め抜いた。 もっとも、奴隷ゆっくりが看守に逆らうのは一種の掟破りとみなされたので このシステムは容易に受け入れられた。 今では日常的に暴力を受け、行動不能に至るまで狩りやその他の重労働を課せられ続けた。 最後に長まりさ、幹部ちぇん、幹部ありすを筆頭とする当初からまりさに従っていた賛同者達。 奴隷ゆっくりの宿舎の看守である幹部ありすのグループと パトロールを行う幹部ちぇんの治安維持部隊がそれに該当する。 今や上流階級に位置するこの階層は、完全に群れを掌握していた。 長まりさが常にどちらかについて監視していたのも大きい。 この階層のゆっくりは安寧した暮らしが約束されており、掟破りが現れることはなかった。 一般のゆっくりからは申し訳程度の税しか徴収せず その収入の大部分をまかなうのは奴隷ゆっくりである。 掟破りをしたゆっくりを、ましてお飾りの欠けた負け組みのゆっくりに 一般のゆっくりが同情するようなこともなく、群れはいい具合に回り続けていた。 今や、長まりさは真の群れの長としてこの集落に君臨している。 「ゆふんっ!ありす、ちぇん。 まりさはさいっこうっの『いせいしゃ』なのぜ!」 「もちろんだよー!まりさがおさになってからちぇんはとってもゆっくりできてるよー!」 「ゆふふ、まったくあのぱちゅりーをおさにしようとしてたなんてこのむれのゆっくりは おばかばっかりね!」 「ゆぅ……?」 ありすの言葉に、まりさは露骨に嫌な顔をした。 「もうあんなくずのことはわすれるのぜ! あんぱぱちゅりーがまりさとおさのちいをあらそっていたなんてはきけがするのぜ!」 「ゆぅ…ご、ごめんなさい」 長まりさはことあるごとに失踪したぱちゅりーの名を出されることを嫌っていた。 特に奴隷階層の中では、あの時ぱちゅりーが長になっていれば、今もこの群れにいてくれればと 希望の星として神格化されているフシがある。 「まったくはらがたつのぜ!あんなやくたたずのこしぬけゆっくりがおさ!? まりさみたいなさいっきょうっのゆっくりとあんなのをいっしょにしないでほしいのぜ!」 「ゆ……」 「わからないよー……」 ぱちゅりーの存在があったが故に、奴隷ゆっくりは心の底では決してまりさを長とは認めない。 それが反抗心の火種となり、ある程度暴力に訴えなければ言うことに従わないのだ。 「そ、それよりまりさ。そろそろけっこんについてかんがえたほうがいいんじゃないかしら?」 話題を変えるために、ありすが話を切り出す。 「ゆ、そうなんだぜ。まりさもそろそろけっこんしないといきおくれになってしまうんだぜ!」 うまくまりさの気を逸らすことに成功したのを確認した二匹は安堵する。 「まりささまのゆうっしゅうっないでんしをこうせいにのこさないと このむれのしょうらいがあぶないのぜ!せかいのだいそんしつなのぜ!」 「ま、まりさはだれとけっこんするつもりなのかしら? まさか、わたしとかいうんじゃないでしょうね!?」 赤面しながら鬱陶しい視線をチラチラとまりさに向けるありす。 しかし 「ゆ?なにいってるのぜ?どれいをあいてにすっきりしまくるびっちなんかにきょうみはないのぜ!」 瞬間、ありすの時間が凍りついた。 「わかるよー!まりさはあのれいむがおこのみなんだねー!」 「ゆゆ!?そんなことないのぜ?てれるのぜ!まりさはその、だから……」 談笑を続けるちぇんとまりさはありすの変化に気付かない。 (え?どういうこと?まりさは、ありすに?ちょっと。れいむなんていまはかんけいないでしょ?) ちぇんにからかわれながらも満更ではない様子のまりさ。 長に向かって云々、とまりさが口にすることは無い。 便宜上長と幹部という形に納まっているが 何だかんだでまりさもちぇんも対等な友として見ているのだ。 だが、ありすからまりさに対する思い関してはそうでもなかったらしい。 「ゆ、ゆ、まあ、まだじかんはあるのぜ! あせってけっこんするのはよくないのぜ!」 「そうだねー。れいむはゆっくりしたゆっくりがすきだからねー!わかるよー!」 「ゆぅん!ちぇん、もうやめるのぜ!」 ありすは自分の存立基盤が崩れてゆくのを感じていた。 そこに空気の読めないまりさが追い討ちをかける。 「ありすもどれいとばかりすっきりしてないで、あいのあるすっきりをいちどはけいけんしてみるのぜ? なんだったらいいゆっくりをしょうかいするのぜ?」 プツン、と。 ありすの中にあった、切れてはいけない何かが切れる音がした。 ―――――――――――――――― 次の日から、奴隷宿舎は今まで以上の地獄と化した。 「はやくしろっていってるでしょ!!くず!ごみ!!」 「やべ!!いだ!!ゆっぐ!ゆっぐり!!ごべん!!!なざ!!!!」 鬼の形相で奴隷のまりさに暴力を振るう幹部ありす。 他の奴隷ゆっくりはただただ怯えるばかりであったが 看守ゆっくり達はその様子を呆然と見ていた。 ありすの暴力は『従わせる』という範疇を明らかに超えていた。 いや、元々いじめを楽しんでいたことがなかったとは言わないが それにしてもありすのそれは度を越していた。 「ふんっ!ほんとうにやくにたたないくずどれいね!! あんたにいきてるかちなんてないのよ!!」 「べっ…………」 ボロ雑巾のようにされたまりさは奴隷用の共同トイレに叩き落され うめき声を上げることもなくその中でうずくまった。 「あ、ありす、ちょっとやりすぎだよ……」 看守ゆっくりのれいむが恐る恐る言う。 「まともにしごとができないあのくずがいけないのよ! どうせしごとができないならどうなってもいいでしょ!?」 「で、でも、えいえんにゆっくりさせたら……」 「あんたのめはふしあな!?えいえんにゆっくりなんてしてないでしょ!? ばかなこといってないではやくしごとしなさい!!」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ……」 奴隷は勿論、看守ゆっくり達も表立って幹部に逆らうわけにもいかず 昨日今日のありすの豹変にビクつきながらも、仕事に戻っていった。 ―――――――――――――――― ありすの癇癪と奴隷の扱いは収まるどころか、日に日に酷くなっていった。 今まで必死の形相で狩りをしていた奴隷達は生気がなくなってゆき 次第に死んだ魚のような目をしてもそもそと草むしりのような狩りをするようになっていった。 当然、その話は長まりさの耳にも入り、ありすに注意を促すも 『えいえんにゆっくりさせていない』『やくたたずのどれいがわるい』とあまり効果は無いようだ。 ルールを破っていない以上、長まりさもあまりありすに対して強く出れない。 それに心なしか、長まりさに対するありすの態度もトゲトゲしたものになっていった。 まりさ、ありす、ちぇんの三匹で食卓を囲う回数も減ってゆき、ますます溝は深まってゆく。 そこでまりさは心の中に浮かんだ、とある計画を実行すべく動き始めるのだった。 ―――――――――――――――― 長まりさは自宅に幹部ちぇんと、一匹の一般層にいたれいむを呼び出していた。 「まりさ、だいじなおはなしってなに?」 「どうしてありすはよんじゃいけないの?わからないよー……?」 「ゆっ。それはほかでもないありすのことだからなんだぜ」 まりさは大胆にも、自分のお気に入りだった美ゆっくりのれいむを呼び出していた。 最初はちぇんからからかいじみた言葉が出たが、まりさの雰囲気はそんな軽いのりではない。 「はっきりきくのぜ、ちぇん、そしてれいむ。 あのありすはかんぶにふさわしいとおもうのぜ?」 「ゆっ!?」 「そ、それってまりさ!?」 「そうなのぜ。まりさはあのありすをこのままかんぶにしておくのはあぶないきがするのぜ」 長まりさは、あまりに凶行を繰り返すありすを見限る決断をしたのだ。 「で、でもありすは……!」 「わかっているのぜ。わかっているのぜ……」 ありすは群れ創設以来の功労者だ。 長まりさとて、何の迷いも無くありすを切り捨てることにしたわけではない。 ただ、それはありすに対して悪いとか、憐憫の思いがあるという意味とは違う。 「そのはなし、れいむはかんけいあるの?」 もっともな疑問をれいむが口にする。 「それは……れいむが、ありすのかわりにかんぶになってほしいのぜ!」 「ゆゆっ!?」 「わっ、わからないよー!?」 まりさの、最大のたくらみはそこだった。 自分のお気に入りのれいむとお近づきになりたい。 もとよりありすに対しては、友情はあっても愛情は無かった。 こちらの意思通りに動かなくなった以上、まりさにとってありすは邪魔者でしかなくなった。 これを機会にありすを排除し、れいむを自らの手中に収める。 少なくとも、まりさの中では完璧な計画となっていた。 「で、でも、ありすはなんにもわるいことしてないよー?」 この件の最大の懸念はそこである。 ありすは確かに掟ギリギリのことをしているが、掟破りはしていない。 要するに解任させる決定的な条件が無いのだ。 「ゆ!それもかんがえてあるのぜ!すべて、このさいっきょうっのまりささまにまかせるのぜ!」 ―――――――――――――――― 明朝一番に、群れには一つのお触れが発せられた。 本日、長より重大発表があると。 群れのゆっくりは若干の緊張と不信感を募らせている。 基本、全員の招集は新たな掟の制定の際に行われていたからだ。 できれば規制など無いほうがいい。 掟を増やすことは、どうしてもマイナスイメージが付きまとっていた。 そして集まった上流、一般、奴隷ゆっくりの前に長まりさが躍り出た。 次いで、幹部であるありすとちぇんがまりさの横に並ぶ。 「ゆ、ありす。ありすはまえなのぜ」 「え?そ、そう?」 ありすはまりさに促され、長まりさよりも少し前に移動した。 妙に注目を集めているせいで居心地が悪いありすはきょろきょろとまりさと地面に視線を泳がせた。 「きょうはみんなに、どーーーーーーーーーしてもそうだんしなければならないことがあるのぜ」 長の重々しい雰囲気に、一同に緊張が走る。 ただし、事前にこの召集の目的を聞かされているちぇんと、れいむと、一部の上流ゆっくりを除いてだが。 「まりさはまわりくどいのがきらいだからはっきりいうのぜ」 台詞と矛盾するが、回りくどく間を溜めながらまりさが言うと 看守ゆっくりの一部がありすの横に移動した。 「ゆ!?な、なに!?なんなのよ!?」 看守ゆっくりのフォーメーションは明らかに 犯罪ゆっくりや、奴隷ゆっくりを取り押さえる時のものだ。 「さいきん、このありすのぼうりょくのせいで どれいゆっくりがあつめるしょくりょうがへっているのぜ!」 「なにをいってるの!?あれはどれいが」 「ゆっくりだまってね!!」 「ゆぎゃ!あでぃずに……ごんなごどじて………」 「おさのはなしととちゅうみょん!だまってきくみょん!」 ありすは看守ゆっくりに取り押さえられ、法廷の被告のような状態にされる。 「ありすがいうには『おきてはやぶってない』そうなんだぜ? たしかに、どれいゆっくりにはいままでえいえんにゆっくりしたやつはいないのぜ!」 奴隷ゆっくりが抗議の声を上げようとするが、看守ゆっくりが睨みを利かせると押し黙るしかなくなる。 「だから、まりさはみんなにきこうとおもったのぜ! このありすを、このままかんぶにしておいていいのぜ!? おきてをやぶっていなければ、なにをしてもゆるされるとおもってるげすなのぜ!」 「な……ま、まりさ……」 「おとなしくしろっていってるみょん!」 「いだい!!ありずのおしりをぶったのは……いだっ!!やべなざい!!」 ありすは慌てる。 これまでも、そして他のゆっくりもギリギリのことはしてきた。 だからこそ、自分だけが制裁されるのはおかしいとか 仲間だったまりさが自分を見下していることが信じられないとか、様々な感情が渦巻く。 そして何より―――――― 「だからまりさは、このげすなありすをどれいゆっくりに『かくさげ』しようとおもうのぜ! みんな、どうおもうのぜ!?」 ――――――まりさが好きだったのに。 「ゆー!さいっていのありすはどれいにしていいよ!」 「まりさもさんせいだよ!ありすはさいきんとくにひどかったよ!」 「ちょ、あなたたち……!」 「むしろえいえんにゆっくりさせてもいいよ!!」 「とっとところしてね!!すぐでいいよ!!」 「まって、まちなさいよ………」 「「「しーね!しーね!しーね!しーね」」」 「まちなさいっていって……」 「おまえはだまってるみょん!」 「ぎゅびぃ……」 押さえつけられ、うめき声を発することしかできなくなるありす。 それでも叫ばずにはいられなかった。 ここで自分の意見を封殺されては、本当にまりさの言うとおりになってしまうから。 「ゆ!みんなのいいたいことはわかるのぜ! でも、やっぱりまりさはありすをころさないのぜ! こんなげすでも、はたらかせればむれのやくにたつのぜ!」 「まりさ!」 そんなありすを貶める言葉が飛び交う中、まりさが目をつけていたれいむが声を上げる。 「みんなはありすをえいえんにゆっくりさせてほしいっていってるよ! だから、どれいにするだけじゃありすのばつとしてはふさわしくないよ!」 「ゆ?ゆーむ……」 まりさは悩んでいるふりをする。 これも筋書きにあった提案だ。 少し間を溜めてから、まりさははっきりと言い放った。 「じゃあ、まりさとみんなのいけんのあいだをとって、ありすをどれいたちのどれいにするんだぜ!」 「ゆえええええええええええええ!!!!」 どの間をどうとればそうなるかは分からないが、その意見に全てのゆっくりが賛同した。 奴隷層からは特に強い賛成の声が上がる。 「ふざけないでっ……!ありすはっ……ありすはっ……!」 「いいかげんに……しろみょんっ!!!」 「びゅげぇ……!!」 ひときわ強く殴られたありすは中身を吐き出し、そこで意識を失った。 ―――――――――――――――― それから数日。 ありすは地獄よりもさらに深い地獄をさまよっていた。 「ほらほらっ!しまりがなくなってきたよ!」 「ゆげっ!ごがっ!あがっ!え゙っ!お゙っ……!!」 宿舎の中で奴隷ゆっくりに暴力を受け、犯され、罵倒されるだけの毎日。 少し前まで奴隷宿舎の頂点に居座っていたありすは、その最下層へと身を落としていた。 底部を丹念に傷つけられたありすはまともに行動できず 『えいえんにゆっくりさせてはいけない』という掟の下、ただただ苦しめられた。 食事は奴隷と自分のうんうんと我が子。 一歩も動くことが叶わないので狩りはしなくてすむが、完全に奴隷以下の玩具という現状。 死ぬよりも惨い仕打ちを受け、ただただ涙した。 「ほらほら!そろそろねないとあしたがつらいよ!」 「ゆぇ!?」 「ゆ、そ、そうだね!」 「まりさはもうねるよ……」 「ゆへ、ゆへへ……」 今や幹部となり、この奴隷宿舎の全てを切り盛りすることとなったれいむに注意され、寝床に着く一同。 看守に逆らったり狩りの収穫量が少なければ暴力を受ける身だが 自分たちよりも低いヒエラルキーにそのストレスをぶつけることができるようになった。 奴隷の間にも少しだが笑みがこぼれるようになり、反抗の減少、収穫量の増加につながっている。 奴隷たちが奥の寝床に引っ込んでゆくのを確認した幹部れいむは 宿舎の隅でぐったりしているありすに近づいて一言告げる。 「いまどんなきもち?」 「………!!!!」 ありすが血走った目でぎろりと睨み、今にも飛び掛らん勢いで身体をよじった。 「あっれぇ~!?どれいのどれいがはんこうてきなめをしてるよぉ~!?」 「っ!!!!!!ま、まっで………」 れいむが大げさにそう言うと、看守ゆっくりが集まってくる。 「へぇー?どれいのどれいがかんぶにたてつこうっていうんだぜ?」 「ゆぷぷぷ、これはきょうっいくっがたりてないしょうこだね!」 「ぢ……ぢがうの……あでぃずは……あでぃずは…………」 とっさに言い訳をしようと頭をフル回転させるありす。 そんなことをしていると、ちょうど宿舎の前を長まりさと幹部ちぇんが通りかかった。 「ま……までぃ……ざ…………」 「おさにきやすくこえをかけないでねこのくず!」 「ぶぎゃっ!!までぃざあああああああああああ!!! までぃざああああああああああ!!!! ごべんざないいいいいいいいいいいいい!!!!! あやまるがら!!!ごごろをいれがえまずがらゆるじでええええええええええ!!!!」 「だまれっていってるでしょ!!」 その言葉に反応したように長まりさは宿舎の入り口までやってくる。 ありすの縋るような目を一瞥したがしかし、れいむの方を見て言った。 「れいむ、きょうはまりさのいえでちぇんといっしょにしょくじするのぜ?」 「ゆっ!そうなの!いっしょにむーしゃむーしゃしようね!」 明るい顔で会話するれいむとまりさを見て、ありすの表情が歪む。 否定すらされなかった。 一緒に苦楽を共にした仲で、思いを寄せていたまりさに、ただのゴミのような扱いをされた。 「ゆへっ……!こいつしーしーもらしてるよ?」 「どれいいかのゆっくりだからねー!ちゃんとしーしーのしかたもおしえないと……ねっ!!」 「ぶぎゃあ!!!」 看守のちぇんの一撃を皮切りに、ありすが長まりさの名を出さなくなるまで暴行を受け 『ころして』と懇願するまでレイプが続いた。 ―――――――――――――――― 「ゆっくりできないんだぜ……」 そんな台詞を口にしたのは、一般層に住まう一匹のまりさだった。 「さいっきょうっのまりさをさしおいてなんであんなやつがおさに……」 このまりさは群れが成立する前後にこの集落を訪れたゆっくり。 優秀なぱちゅりーがいるという噂を耳にし 以前に所属していた群れを抜け出してきたのだ。 が、蓋を開けてみれば自分ではない他のまりさが長に就任していた。 しかも幹部はありすとちぇん。 どういうことだ。ここで長になっているのはぱちゅりーではなかったのか? 群れに住まうゆっくりにそのことを尋ねてみると皆、口を揃えて言った。 『ぱちゅりーはこのむれをみすてた』と。 なんだそれは。ふざけるなとまりさは憤慨した。 まりさの完璧な計画では、長に就任するぱちゅりーを抱き込み 自分がその実権を握って群れを支配してやる算段だったのだ。 ぱちゅりーがいないのでは現在の長を、と言いたいところだが 長のポストに納まっていたのはなんとまりさだったのだ。 不思議と、同じ種族では番になることのないゆっくり。 れいぱーでさえ同じありすを襲うことはないのだ。 長まりさを相手にまりさが篭絡作戦を取ることなど不可能だ。 結果このまりさは、ただの一般市民として生活することを強いられた。 別段、長という存在になり群れを良くしていくという考えはない。 まりさの中にあったのは、長として一般民と奴隷を見下してやりたいという支配欲と 同じまりさ種が自分より上の地位にいることが我慢ならなかっただけである。 しかしまりさは動かずに、いや動けずにいた。 群れの中で同じような考えを持っていたゆっくりはまりさ一匹ではない。 事実、長や幹部にたてついたゆっくりはいた。 失踪したぱちゅりー派や、ただのゲスゆっくりも含めてだ。 だがそいつらは何もなしえることなく今は奴隷宿舎に収監されている。 まりさが二の足を踏んでいるところに先駆者としてどうなるかを身をもって示してくれたのだ。 今のまりさがこうして一般市民をしていられるのは、彼らのおかげと、まりさの度胸のなさに起因する。 ただ一匹で反旗を翻したところで奴隷にされるだけ。 その後は一生奴隷宿舎での生活を強いられるだろう。 それくらいの慎重さは持ち合わせていたようだ。 「ゆぅ。なんとかするのぜ……なんとか……」 まりさはぶつぶつと独り言を言いながら、今日もまた燻っている。 ―――――――――――――――― まりさが燻り続けている間に、ある事件が起きた。 それは幹部ありすの失脚と一般層のれいむの昇進。 開いた口が塞がらなかった。 何で、何で無能なれいむなんかが幹部となり、自分が一般民のままなのだ。 抗議の声を上げたかったが、幹部となったれいむをどうこうすれば、奴隷化は免れないだろう。 しかし結果として、その事件はまりさの背中を後押しするものだった。 幹部だって失脚することがある。 そして一般民が昇進することもある。 その前例があるだけで、まりさを動かすきっかけになるには十分だった。 「いまにみてるんだぜ……」 まりさはまず最初に何をすべきか考える。 そうだ仲間だ! 奴らはいつもいつも、つるんで行動している。 こちらも相応の戦力をかき集めて まずは治安維持と称して一般民をいじめているあいつらを倒せばいいんだ! まりさは歩み始める。 自分が長になり、もっともっとゆっくりしてやる! さっそく、手近なゆっくりに声をかけた。 「みょん!ゆっくりきいてほしいんだぜ!」 「みょ?まりさ、なにかようみょん?」 最初に目に付いたのはみょんだった。 まりさの中では、れいむ、ありす、ぱちゅりーは役立たずという印象があった。 身体能力を基準としているので、それはある意味正しい。 「みょんは、さいきんのおさをみてどうおもうのぜ?」 「どういういみみょん?」 みょんは露骨に警戒を強める。 「まりさはおもうのぜ!あのまりさはおさに……」 「そこまでよ!」 まりさとみょんはその声にビクッとなる。 二匹が振り返ると同じく一般層のぱちゅりーがそこにいた。 「むきょきょきょ。はなしはきかせてもらったわ!」 「な、なんのことみょん!?みょんはかんけいないみょん!!」 「ぱちゅりーにようはないのぜ!とっととうせるのぜ!!」 「むっきょっきょっきょっきょ!」 ぱちゅりーは腹立たしい笑い方と表情をして言葉を続ける。 「あらそう?じゃあぱちぇはこのことをちぇんにほうこくしにいこうかしらねぇ~?」 「みょ!?」 「ぱ、ぱちゅりー!?」 この群れは掟に対してとても厳しい。 それは治安維持部隊にも言えることなので、掟破りと認定されない限り捕まることはないが こういった密告で監視されたり、言いがかりを付けられる回数が増えたりということは多かった。 反乱を企てるまりさとしては、それだけは避けねばならなかった。 「むきょ!だいじょうぶよまりさ、みょん! ちぇんにはだまっておいてあげるから! でもそうねぇ~、ぱちぇにもいちまいかませてもらおうかしら?」 「ゆぎぎ……」 選択の余地は無い。 ここでぱちゅりーを追い払ってしまうと幹部ちぇんにこのことを報告されてしまう。 監視が付いた中で反乱の準備を進めるというのは不可能だ。 しかし、まりさの安いプライドが邪魔をして『わかった』と即答できない。 「だいじょうぶよ!けんじゃのぱちぇのちえをかしてあげようというのだもの! このはんらんはかならずせいこうするわ!むきょきょ!」 が、ぱちゅりーの中では既にOKの返事をもらったことになっているらしい。 まりさはその態度が気に食わなかったが、結局はぱちゅりーを仲間にすることを決める。 「みょ、みょんはほんとうにかんけいないよ! はんらんなんてしたくないよ!やりたければまりさとぱちゅりーでやってね!」 「むきょきょきょきょきょ!!!これだからていのうはやくにたたないのよ!!! い~いみょん?ここでぱちぇが『みょんがはんらんをしようとしてるわぁ~』とさけんだら ど~おなるかしらぁ~?」 「みょ、みょ……」 「むきょきょ!じぶんのたちばというものがわかったようね! わかったらとっととなかまをあつめてくるのよ!すぐでいいわ!」 「みょおおおおおおおおん!?」 「ぱちゅりーはさしずしないでほしいんだぜ!! まあいいのぜ。どうせいまのおさにふまんがあるゆっくりなんてうじゃうじゃいるのぜ。 とっととなかまをあつめて、とっととまりさがおさになるのぜ!」 「むきょきょ!そのときはけんじゃのぱちぇがかんぶになってあげるわ!」 「かんがえておくのぜ……みょん!とっととなかまをあつめてくるのぜ!」 「みょおおおおおおおおおおおおお……!!!!」 ―――――――――――――――― その日の夕方。 反逆のまりさの物語は終わってしまった。 「まりさをうらぎったなぁぁぁぁぁあああああ!!!!」 「むきょおおおおおおおお!!!けんじゃのぱちぇにさわるなていのうどもおおおおお!!!!」 「おとなしくしてね!!」 「つれていくよ!!」 「びゅべ!!」 「いだっ!!いだい!!やべなざい!!!」 幹部ちぇん率いる治安維持部隊に連行されるまりさとぱちゅりーを例のみょんが無表情で見ていた。 ぱちゅりーがどうこうする前に、みょんによって反乱の作戦を密告された二匹。 火薬は、発火することなく火種を消されてしまったのだ。 「まつのぜ!!」 「ゆっ!?」 「ゆゆっ!?」 その逮捕現場に現れたのは長まりさだった。 「おまえがああああああああああ!!!! おまえがいるからあああああああああああ!!!!」 「だまってねー!!」 「いだい!!ぎゅぶっ!!!」 たちまち敵愾心をむき出しにするまりさだが、幹部ちぇんによって押さえ込まれてしまう。 「ひとつききたいのぜ。そいつはおきてやぶりをしたのぜ?」 「わ、わからないよー?でも、まりさははんらんを……」 「たしかにはんらんをおこされるのはこまるのぜ。 でも、そいつらは『まだなにもしてない』のぜ」 その場にいた一同が言われてみれば確かに……みたいな表情をする。 まりさが最初に仲間にしようとした相手が戦いを嫌うみょんだったことや ぱちゅりーがたびたびみょんを脅したはいいが、しっかり首輪をつけなかったことなど あまりにザルな計画ゆえに、何もできなかったのだ。 「おきてやぶりはせいっさいっされてとうぜんなのぜ。 だけどおきてやぶりをしてないゆっくりをせいっさいっすることなどゆるされないのぜ」 「だ、だけどだけど……」 「くどいのぜ!こんどのじけんはみょんのおかげでなにもおきなかったのぜ! だからそいつらをたいほするのはおかどちがいなのぜ!」 「わ、わからないよー……」 「はなしなさい!!」 「ゆあっ!!」 ぱちゅりーが幹部ちぇんを払いのけた。 咄嗟にもう一度捕まえようとするが、ちぇんに 周囲の非難がましい視線が突き刺さっていることに気付き、動きを止める。 「ここにいるゆっくりはだれもおきてやぶりをしてないのぜ。 だからとっととじぶんたちのしごとにもどるのぜ!いいのぜ!?」 長まりさが強く言うとギャラリーやまりさ、ぱちゅりーもそそくさとその場を離れていった。 治安維持部隊もバツが悪そうに去って行く。 幹部ちぇんの中に、一つの問題を残して。 ―――――――――――――――― その事件はすぐに群れ中のゆっくりに知れ渡ることとなった。 なんだ、掟破りをしなければ大丈夫なんだ、と。 結果として、治安維持部隊のパトロールは若干ゆるくなる。 はっきりとした掟破りを見つけない限り、強く出ることができなくなったからだ。 特に責任者であり、あの場で最後まで食い下がった幹部ちぇんは素でなめられるようになった。 「れいむはただゆっくりしてるだけだよ!」 「なんにもわるいことしてないよ!はやくあっちにいってね!」 「わから……ゆぎぎ………!」 この調子である。 逆に長まりさの悪評は、当初に比べて減少する一方だった。 あのまりさは、結構まともに長をやれてるじゃないか。 奴隷ゆっくりの扱いはちょっとひどいけど、永遠にゆっくりさせてないし。 そもそも奴隷は皆、掟破りをした犯罪ゆっくりだし。 幹部ちぇんへの叱責や、幹部ありすの降格など、身内に大しても公平。 最早群れの中で、長としてのまりさを非難する材料は殆ど無かった。 ――――第四章 はおうとじんくん―――― 「ゆ?ちかくにむれがあるのぜ?」 「れいむはそうきいたよ」 長まりさと幹部れいむは自宅で食事をしている。 幹部ちぇんとはだいぶ疎遠となり、ギクシャクした関係が続いていたが まりさはれいむとツーショットであることの方が嬉しかったので、特に気にせずにいた。 「むれ……まえはこのちかくにむれなんてなかったのぜ」 「むーしゃむーしゃ、でも、かりにいったどれいがたくさんのゆっくりをみたっていってたよ」 「むーしゃむーしゃ、ゆーん……」 そもそもこの群れは、このあたりに群れがなかったから ぱちゅりーを中心にゆっくりが集まっていったというのがきっかけで生まれたのだ。 この期に及んでぱちゅりーのことを思い出したまりさは少しイラッとした。 「むれがあるかどうかのかくにんを、どれいにまかせるわけにもいかないし……」 奴隷ゆっくりは、行く当てがないことが最大の鎖となっているのだ。 お飾りを傷つけられたことで、普通のゆっくりには侮蔑される。 だからこそ無法地帯の群れの外よりも 曲がりなりにも生きていけるこの群れに留まる他ないというシステムである。 奴隷が遭遇したゆっくりに殺されては調査にならないし まかり間違って群れに拾われて亡命でもされてしまえばそれはそれで情報が帰ってこない。 「まりさがちょくせついきたいけど、おさがむれをながくあけるわけにもいかないのぜ」 「だったら、ちぇんにいかせたらどうかな?」 「ゆ?」 まりさはこの場に姿を見せなくなっていたちぇんのことを失念していた。 「ゆ!そうなんだぜ!ちぇんはあしがはやいからちょうどいいのぜ!」 「あ、でも、ぱとろーるのほうはどうするの?」 「それこそまりさがやればいいんだぜ。いつものことなのぜ」 「ゆ!そっか!」 問題の解決をみた二匹は、さっぱりした表情で会食を続けた。 ―――――――――――――――― 「と、いうわけでちぇん。ちょうさをたのむのぜ」 「……わかったよー」 若干投げやりな返答を返す幹部ちぇん。 長まりさとの間にできた軋轢は今も元には戻っていなかった。 「ちぇん!これはじゅうようなしごとなのぜ! そんなやるきのないことではつとまらないのぜ!」 「だったらちぇんにやらせないでほしんだよー……」 「ちぇん!!!」 「わかった、わかったよー。おおごえをださないでねー」 長まりさの人気に反比例し、幹部ちぇんの評判は下がる一方だった。 元々治安維持など皆に好かれるような仕事ではない。 以前に好き勝手振舞っていたこともあり、ちぇんは群れで孤立しつつあった。 例の反乱未遂事件から、新しい掟破りが出なかったのは幸か不幸か。 「どれいがたくさんのゆっくりをみたのはあっちのかわったもようのきがはえてるほうこうなんだぜ。 ちぇんは、とりあえずいけるところまでいって、ゆっくりがいなかったかみてくるだけでいいんだぜ」 「わかったよー」 ちぇんは嫌々ながらも、調査に出発するのだった。 ―――――――――――――――― ちぇんは群れの外で、教えられた方向に向かって跳ねていた。 「まりさ……」 出会ってから、どれくらいだろう。 ありすとまりさ。 仲良くなったきっかけはもう思い出せない。 だけど、今も仲良くやっているということは絶対にない。 ありすは、使い捨てられた。 ちぇんは、まず最初にそれが納得できなかった。 確かにありすの素行は悪かったかもしれない。 しかし、その結果、あんな状態にするようなものだったのだろうか。 『どれいのどれい』。まりさはそう言った。 それは本当に、友達と思っていた者に対する仕打ちなんだろうか。 自分も、悪いことをすれば奴隷宿舎に容赦なく放り込まれるのだろうか。 ほんの少しでも、情けをかけるという選択肢は無かったのか。 「わからないよー……」 それに、自分も途中までは気付かなかったのだが ありすは、まりさのことが好きだったんじゃないのだろうか。 まりさには、感情というものがないのか。 ただ、是か非かの選択だけで生きているのだろうか。 ちぇんは、なまじまりさと仲良くしたいと思っていたが故に まりさの仕打ちが、一種の裏切り行為のように思えてならなかった。 そして最後に思う。 まりさは、本当に長にふさわしいゆっくりだったのだろうか。 ―――――――――――――――― 日が高くなった頃。 「べつに、だれもいないんだねー……」 休み休みとはいえ、朝からずっと走り続けても誰とも会うことは無かった。 そう言えばまりさは言っていた。これは奴隷から聞いた話だと。 それを思い出したちぇんは無性に腹が立った。 なんだ、ちぇんやありすにはあんなことしたくせに 奴隷の言うことは無条件に信じるのか。 「かえろう」 ちぇんが身を翻したその瞬間だった。 「ゆ?みかけないゆっくりがいるよ!」 「えっ……?」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ、ゆっくりしていってね?」 ―――――――――――――――― ちぇんは、一匹のまりさに案内されながら道すがら事情を聞いていた。 「ゆーう、じゃあちぇんのいたほうにむれがあるんだね!」 「そうだよ。むれができてからだいぶたつけど、しらなかったの?」 「まりさはこのあたりでうまれたゆっくりだよ! だからあんまりとおくへいったことがないんだよ!」 「わかったよー」 このまりさは狩りこそしているものの、さほど活動的な性格ではなかったようだ。 「まりさはそっちのむれにいるの?」 「ゆぅ。ちょっとちがうよ」 「ちがう?」 「たしかにまりさのおうちのまわりにはたくさんのゆっくりがいるよ。 でも、まだおさがいないんだよ」 「え…」 どこかで聞いた話だった。 「そ、そのむれに、おさはいないの?」 「ゆーう。まりさはぱちゅりーがおさになってくれればいいとおもってるんだけど なんか『おさはゆっくりできないわあああ』っていってやってくれないんだよ」 「わ、わかるよー……」 「ゆ?ちぇんはぱちゅりーのことがわかるの?」 「わかるよー……わからないけど、わかるよー……」 「ゆぅぅ???」 能天気なまりさはちぇんの言うことが理解できず、困惑した。 ―――――――――――――――― 「あいかわらず、おおきなおうちにすんでるんだねー……」 まりさと別れ、ぱちゅりーの自宅と思しき『おうち』にたどり着く。 言われなくても分かった。 このあたりで最も大きく立派な家。 ちぇんが、居住者に話をするため声をかけようとしたそのときだった。 「わきゃりゅよー!」 「ゆひゃ!!」 『おうち』から飛び出してきたのは一匹の子ちぇんだった。 ちぇんの横を通り過ぎてゆく。 「むきゅううう!!おとなしくしないとだめじゃないのおおおおお!!!」 続いて出てきたのはぱちゅりーだった。 どうも先ほどの子ちぇんの親らしい。 「むきゅ?」 「ひさしぶり……なんだねー……」 「むきょ……むきょ………」 「あいかわらずなんだねー。どうしてこんなことしてるの? わからないよー……」 「むきょわあああああああああああああ!!!!!!」 かつて険悪な仲であったまりさの腰巾着であったちぇん。 その偶然の再会にぱちゅりーは絶叫した。 対してちぇんは、むしろやっぱりという状態で冷静だった。 ―――――――――――――――― 「やっぱりまりさはおさになったのね」 「そうなんだよー……」 ぱちゅりーの自宅で、ちぇんはかつて敵であったぱちゅりーと話をしている。 「むっきゅんむっきゅん。おかーしゃん、あんまりゆっくりしてないちぇんね」 「むきゅ!?しつれいなこといわないの!」 「べつにいいんだよー。おちびちゃんのいうことだからねー」 そう、敵であったのはかつての話だ。 今は敵対する理由もないし、むしろ向こうの群れではたびたび名が出てきたので ちぇんにとってはさほど久しぶりという感じはせず、不思議な気分だった。 「そういえば、ちぇんはなにしにここにきたの? かんぶになったんでしょ?」 「……ちぇんは、まりさにいわれてむれがあるかさがしにきたんだよー。 でも、ぱちゅりーは」 「む、むきゅ!?ぱ、ぱちぇはおさじゃないわよ!?」 「わかってるよー……。ぱちゅりーはぜったいにおさにならないんだねー……」 「むっきゅん……」 ぱちゅりーは長同士会談の場を設けよう、などと切り出されるのではないかと狼狽した。 しかし、ちぇんにはそういうつもりがないことが分かり、胸をなで下ろす。 「まりさはげんき?」 「………。げんき、だよー」 「むきゅ?そういうちぇんはさっきからあまりげんきがなさそうね」 「いろいろあったんだよー……」 「……?」 ぱちゅりーが首をかしげ、間が空いた時だった。 「ちぇん!!まりさのちぇんがなんのようなの!?」 「え?」 「む、むきゅ!!ちぇん!だいじょうぶよ!だいじょうぶだから!!」 「ぱちゅりーはちぇんがまもるよー!!!」 ―――――――――――――――― 「ごめんねだよ、ちぇん……」 「むっきゅ!いきなりらんぼうするのはいけないわ!」 「いいよぱちゅりー。ちぇんはきにしてないから」 かつての敵対者であった幹部ちぇんが自宅にいれば驚くのも無理は無い。 一悶着あったが、子供がいることと、ぱちゅりーがなだめたことで何とか場は落ち着いた。 「おとーしゃん!おとーしゃんとこのちぇんはどっちのほうがはやいのー?」 「わからないよー。ちぇん(自分)もはやいけど、ちぇん(幹部)もはやいとおもうよー」 ぱちゅりーは子供を連れて奥へ入っているようにちぇんにすすめた。 最初は、敵対していたちぇんと一対一にすることを危険だと言ったが ぱちゅりーは決して折れなかった。 最終的には、子供たちを放っておくのはよくないと言う意見で なんとかちぇんも納得した。 「そういえばぱちゅりー、ちぇんといっしょになったんだねー」 「むきゅきゅ。なんだかんだでうまがあってね」 かつてはぱちゅりーだけに注目していたため断言はできないが あのちぇんと特別仲が良かったような記憶は無い。 「ちょっとはなしがながくなりすぎたわね。 きょうはとまっていくかしら?」 「……いいの?」 「だいじょうぶよ。ちぇんいっかいぶんのごはんさんくらいはあるから」 「そ、そういうことじゃなくて……」 「それに、このままちぇんをおいだしたりしたら おさまりさになにをされるかわからないしね、むきゅきゅ」 「ちぇんたちはそんなこと……!」 言い返そうとして、ハタと気付いた。 確かに、どうだろう。 かつての自分達なら間違いなくぱちゅりーの命を狙っただろう。 だが、今ならどうだ? 少なくとも自分は、戦争だ何だという話になれば反対するだろう。 まりさは、無条件にこの集落に群れの戦力を持って戦争を仕掛けたりするだろうか? いや、しないはずだ。 今のまりさは正しいことと間違ったことをきちんと考えて判断できる。 そう、変わったのだ。自分も、まりさも。 ただの一ゆっくりとして悠々自適に暮らしていた自分たちと 長と、幹部という立場に立たされた自分は違う。 だがありすは変わらなかった。 幹部という地位を得たことで成長せず、ただの一ゆっくりのままでいたから あんな状態まで身を落としていったのかもしれない。 「どうしたの?ちぇん?」 「ゆっ!?」 ぱちゅりーに顔を覗き込まれて思わずビクッとなってしまうちぇん。 そうだ。まずい。 まりさは変わった。 しかし、ここにあの憎きぱちゅりーがいると知ればどうなるのか? 昔の敵愾心を取り戻し、私怨での戦いを仕掛けてしまうのではないだろうか? 駄目だ。それを許してはいけない。 今、この集落にぱちゅりーがいることをまりさに知られてはいけない! 「ほんとにだいじょうぶ?げんきがないならもうなんにちかやんすでいく?」 「ゆっ!?い、いいよ!!ちぇんはきゅうようができたよ!!かえらないと……」 「むきゅ!?なにいってるの!?もうすぐひがおちるわよ!! むれまでどれほどのきょりがあるかしらないけど、でていくのはぱちゅりーがゆるさないわ!!」 「でも……でも………」 「なにをあせっているのかしらないけど、だめ。 いまいそいでかえったら、その『きゅうよう』とやらもはたせなくなるわよ」 「わ、わかったよー……」 ちぇんはなんとか落ち着きを取り戻したが その日、食事をしても、談笑しても、逸る気持ちを抑えることはできず 日没後も早く朝にならないかと、なかなか眠ることができなかった。 ―――――――――――――――― 翌朝、ちぇんはぱちゅりー一家に見送られていた。 「じゃあね、ちぇん」 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりちてってにぇ!!」」」 「ゆっくりしていってねー!」 ちぇんは慌ただしく集落を去る。 一晩中、自分がどうするべきかを考えた。 最初は群れなんて無かったと報告してしまおうと思った。 それでは一時しのぎにしかならない。 それに、虚偽の報告をしたことがばれるのは拙い。 次はぱちゅりーにそれとなく群れを出て行ってもらうよう説得することを考えた。 それは無理だ。 以前のぱちゅりーと違い、今はちぇんとその家族がいる。 一人で抜け出すならまだしも、身体の弱い赤ゆっくり達含み 子ぱちゅりーを連れての引越しなど不可能に近い。 できるできない以前にぱちゅりーが納得しないだろう。 最後に、ぱちゅりーにいっそ全てを話してしまおうとも思った。 本当のところ、話す直前まではもっていったのだ。 だが、言い出せなかった。 ぱちゅりーが子をなし、幸せを享受しているのを見て それを壊すようなことを言い出すことができなかった。 本当は、最悪の事態を回避するためにはぱちゅりーに言うべきだったのだが。 ちぇんは、決断することができなかった。 選択することから逃げた。 そうだ。ぱちゅりーがどうなったところで知ったことか。 戦争が起きたからって知ったことか。 幹部のちぇんは、群れの幹部として、ゆっくりしてやる。 そう開き直ったちぇんは、事実をありのままに報告することに決めた。 長が、戦いを望んだならそれでいい。 もしそれで群れが多大な被害を受けたところでそれは長の責任だ。 ちぇんは悪くない。 むしろきちんと仕事をし、虚偽を交えずに正しい報告をした優秀なゆっくりだ。 あくどい笑みを浮かべて自分の群れへ走るちぇんの目は、少しだけ赤くなっていた。 ―――――――――――――――― まりさは自宅で悩んでいた。 ちぇんの報告によればこうだ。 1.集落はあった。 2.失踪したぱちゅりーが住んでいた。 3.長が不在である。 4.故に、どういう性格の群れになるか未知数である。 以上。 「ゆーん……」 ちぇんにとっては少々意外だったが まりさはぱちゅりーの名を出しても感情的にはならなかった。 しかし実のところ、まりさは開戦する気満々である。 曰く、その集落は危険である。 まりさの下した判断だった。 そしてもう一つ、まりさが悩んでいるのはそちらの問題だった。 ――――このまま、ぱちゅりーを生かしておくのは拙い。 そのことを聞いたちぇんは涼しい顔をしていた。 わかったよーと冷めた口調で言うと自宅へと帰っていった。 ちぇんは、変わったのだ。 まりさの友達から、ただの長と幹部の関係へと。 それはぱちゅりーに対しても同じ。 どうなったところで知ったことか。 ちぇんは全てに対して投げやりになっている。 考えることを放棄したからだ。 そんなちぇんの考えなど露知らず、まりさは最終的な決定を下す。 「まりさは、せんっそうっするんだぜ!!!」 ―――――――――――――――― 次の日早速、開戦については群れのお触れとして話された。 「あいてのむれは!まだむれのかたちをしてないんだぜ! だから、いまのこうきをのがすてはないのぜ! そしてよりにもよって、こちらのむれのことをみすてたあのぱちゅりーが あちらのむれにすんでいるんだぜ!」 長まりさはあえて例のぱちゅりーの名を出した。 今の一般層では、ぱちゅりーよりも長まりさの人気が上回っていた。 まりさの治世に満足している一般層にとってのぱちゅりーは 群れの誕生の時、無用な混乱をもたらした諸悪の根源という風潮が強い。 「それに、おさのいないむれなんてむれじゃないんだぜ! おきてもない!たくわえもない!なにもない! まりさのむれのゆっくりよりかずもすくない! そんなむれのれんちゅうなんて、いくらでもころしてかまわないのぜ! いのちごいするやつだけたすけて、どれいにしてやればいいのぜ! いまのどれいゆっくり! これからつかまえるどれいはぜんぶどれいのどれいなのぜ! たくさんつかまえればすこしはゆっくりさせてやってもいいのぜ! おかざりをきずつけるなんていわず! そいつらのめのまえでびりびりにやぶりすててやればいいのぜ!」 一般層、奴隷、上流。 全てのゆっくりが気炎を上げる。 この群れに、怠惰なゆっくりは少ない。 掟が厳しいから? 環境がいいから? 犯罪ゆっくりが奴隷化されるから? 否、そうではない。 長となったまりさの、そのアグレッシブな気質に 全てのゆっくりが引っ張られているからだ。 長の自宅の前でゆっくりを率いるまりさは『覇王』となるべく道を歩み始めた。 ―――――――――――――――― 「ぱちゅりー、やっぱりいっちゃったみたいだよ」 「むきゅう……だめだったのね……」 「おかーしゃん、どうしたの?」 「なんでもないのよー……」 「むきゅきゅ!」 ぱちゅりーとちぇんの夫妻は、自宅で気落ちしていた。 「どうして、こうなっちゃうんだよー。 わからないよー……」 「むっきゅん。ぱちぇはわかるわ」 「わかるの?おしえてほしいよー」 「ぱちぇたちは、ゆっくりなのよ。 だからこうなっちゃうのよ」 「わかりたくないよー……」 「しかたないわ。もう、ぱちぇも、みんなも……」 ―――――――――――――――― 長まりさは、開戦の日を二日後と定めた。 さすがに宣言してその日に開戦というのは無理があったからだ。 だが、その判断は結果的に間違いだった。 「わっわがらないよおおおおおおおおお!!!!」 「なにごとなのぜ!?」 「わがらない!!わがらないよおおおお!!!!」 「おちつくのぜちぇん!!なにがあったか、はっきりいうのぜ!!」 「ちぇんたちのむれのゆっくりがおそわれてるよー!!!!」 ―――――――――――――――― 「じねええええええええ!!!!」 「んほ!!んほ!!んほおおおおおお!!!! ありすにすっきりされたいゆっくりはだれかしらあああああああ!!!」 「でいぶおうぢがえるうううううう!!!!」 「おまえなんかにやられないみょん!!!」 「まりささまのけんでころしてやるのぜええええええええ!!!」 集落の広場は、血戦場と化していた。 戦闘員と非戦闘員の振り分けもままならず 個々に迎撃に当たっているまりさの群れのゆっくり達は少しずつだが押されていた。 「みんなおちつくのぜ!!!きいてるかなのぜ!!!おちつくのぜ!!! みんなまりさのもとにあつまるのぜ!!!!」 戦場に出た長まりさは間断なく集まれ、集まれと叫び続ける。 その言葉に、長のまりさが何とかしてくれると思い込んだ集落のゆっくりが 確実に集結していった。 非戦闘員は長まりさの横を通り過ぎてゆく。 戦闘員はまりさの指示を仰ごうと集まってくる。 特別な工夫は無い、ただの密集戦法だ。 「みんな!!あつまってたたかうのぜ!!!あんなくずどもにまりさたちはまけないのぜ!!! がんばるのぜ!!!しにたくなかったらたたかうのぜ!!!」 ゆっくりの戦いは文字通りのぶつかり合い。 奇襲の影響でバラバラに各個撃破され、劣勢を強いられたまりさの群れだが 固まって戦うことで防御力が飛躍的に伸びていた。 陣形とも呼べないつたない戦法だが ただ適当に向かってくるだけの敵に対しては十分な効果がある。 「みょん!?えださんがおれたのぜ!?まりさのをつかうのぜ!」 「だいじょうぶだみょん!『はくろーけん』がなくってもこんなやつらにまけないみょん!」 「ちぇん!あぶないのぜ!」 「だいじょうぶだよー!」 そして何より、味方がすぐ近くにいるのは心強い。 自然、見知った仲のゆっくりがチームとなって戦うことで士気を保っていた。 「みんな!ぶじなのぜ!!」 「れいむはだいじょうぶだよ!!」 「まりさだって!!」 「じゃあさいごに、しょあくのこんげんをしまつしにいくんだぜ!!」 「ゆっゆっおおおおおおおお!!!!」 ―――――――――――――――― 「まちなさい!!けんじゃのぱちぇをおいてどこへいくき!!!」 群れのあった場所から程近く。 敵本陣……ではなく、勝利の報告を待ってのんきに食事をしていたぱちゅりーがいた。 「ばりざおうぢがえるううううううう!!!」 「どぼじでごんなごどにいいいいいいい!!!」 「むきょおおおおおおおお!!! どぼじでどいづもごいづもやぐだだずなのおおおおおおお!!!???」 この戦争を吹っかけたのは 例の群れで長候補ではなかった自称『もりのけんじゃ』のぱちゅりーだった。 ぱちゅりーに同調したわけではない、ただ自分の欲求の代弁者についてきていただけのゆっくりに リーダーを守るという考えなどなく、劣勢と見るや否や皆散り散りに逃げ去っている。 「けんじゃのぱちぇの『さくっせんっ』にまちがいはないのよおおおおお!!!! ぜったいにかてるからたたかってこいこのぐずどもおおおおおおおお!!!!」 ある種当然だが、ぱちゅりーの指示に作戦などという物は一片たりとも含まれてはいなかった。 ただ戦って、勝ってこい。そう指示しただけで何の工夫も無い。 加えて、あの集落からぱちゅりーについてきたゆっくりは 自分さえ得をすればそれで良いというゲスか、ゲス寸前のゆっくりの集まりなので 死力を尽くして戦うといった殊勝な心がけは無い。 前線に積極的に出たのは、最強という妄想に取り付かれた勘違いまりさや 適当に味方にまぎれて武勲を横取りしてやろうと目論んだ戦う気の無いみょんが中心である。 「さあ、あくのおやだまがいたのぜ!!」 「むっきょおおおおおお!!!???」 戦線を押し戻す、どころか押し切ってしまった長まりさ達はリーダーぱちゅりーの前に集団で現れた。 「おさ!さっさとそのぐずをころしてね!!」 「すぐでいいよ!!!」 「そいつはどれいにするかちもないよ!!!」 「わかってるのぜ」 怒りに震えるせいでかえって冷静な長まりさは静かにぱちゅりーの前に踊り出る。 「む、むきょ!?ぱ、ぱちぇはだまされてたのよ! げすなまりさがこのむれにいれてもらおうってぱちぇをつれだしておいて かってにせんっそうっをはじめたのよ!! そ、そうよ!ぱちぇはわるくないわ!!わるいのはにげたまりさよ!! いまからおえばつかまえられるから、ぱちぇをたすけてあんないさせなさい!!」 「…………」 まりさは何も言わなかった。 ぱちゅりーはその沈黙をいい方向にとる。 「む、むきゅ!しゅぼうしゃのまりさはあっちにむかったわ! いまからおいかければまだまにあうわ!!はやくいきましょう……ぶげぇ!!!」 ぱちゅりーがまりさから目線を外した瞬間に、木の枝を後頭部から眉間に向かって刺した。 中枢を外しているため、絶命はしていない。 「どぼ……じで…………」 「みんな!こいつはどれいにするかちもないのぜ!! だけどらくにころしてはいけないのぜ!! こいつはこのまま、むれのあきやにおいておくから、みんなのすきにするのぜ!!」 「「「ゆー!」」」 「ただし、こいつにたいしてはおきてはむししていいのぜ! みんなでこらしめてから、まんぞくしたらえいえんにゆっくりさせてもいいのぜ!! ただし、できるかぎりくるしめてやるのぜ! こいつに、こんなことをしたことを、かならずこうかいさせてやるのぜ!!」 「「「ゆおー!!!!」」」 ―――――――――――――――― 戦闘が終わって、群れの片付けが始められた。 まりさの宣言どおり、戦争の首謀者であるぱちゅりーは空き家に放り込まれ 戦災孤児や、番を失ったゆっくりの嬲り者にされている。 「ゆ、おさどこへいくの?」 集落の外へ死体を運び出していたれいむに呼び止められる。 「ちょっと、ようじができたのぜ。ついでにかりもしてくるからまってるのぜ」 「ゆ?そうなの?いってらっしゃい!」 「ああ、いってくるのぜ……」 本当は長は税収で食事をとっているので狩りなどする必要など無いのだが 一般層のれいむにはそれがおかしいことに気付けず、そのまま長を見送った。 ――――最終章 おさはゆっくりできない―――― 「また、にげるのぜ?」 「むきゅ!?」「ゆっ!?」「ゆゆぅ!?」 長まりさは、とある番と対面していた。 「まりさ……!」 「ぱちゅりーはちぇんがまもるよー!!」 「ゆぁぁぁ………!!」 「こわいよぉぉぉ………!!」 ぱちゅりーとちぇんの一家は、例の群れを離れて移動をしていた。 それに追いついたまりさは木の枝をくわえて一家を威嚇する。 明らかな戦闘体勢に緊張が走る。 その状態のまままりさが静かに口を開く。 「おまえだけは……おまえだけはゆるさないのぜ……」 その言葉を若干予想していたちぇんが、すかさず反論する。 「ちがうよ!あのたたかいにぱちゅりーはかんけいないよ! いいがかりをつけないで」 「ふざけるんじゃないのぜっ!!!!!」 「ゆぴっ!!」「ゆひぃぃぃ!!」 先程とは対照的に、大声で叫ぶまりさ。 子供達は恐怖のあまり、おそろしーしーを漏らしてしまう。 「たたかいがおきたのもっ!!! たくさんのゆっくりがしんだのもっ!!! ぜんぶおまえのせいなのぜ!!!!」 「ちがうよ!!ぱちゅりーはへいわをねがって」 「そんなことはわかってるのぜっ!!!!!」 あまりと言えばあまりの言い分に、ちぇんもぱちゅりーも呆気にとられる。 このまりさは、いったい何に対して怒っているのだろうか? それに対し、まりさの本気の想いに感化されたぱちゅりーは口を開いた。 「ぱちぇはただ、ゆっくりしたかっただけなの。 どうしてそんなにあらそおうとするの? みんなでゆっくりできたらそれでいいじゃない! ゆっくりのむれに、おさなんていらないのよ! つよいゆっくりがいて!かしこいゆっくりがいて! みんなびょうどうになかよくゆっくりすることがどうしていけないの!? ぱちぇはおさになんてなりたくなかった! どうしてみんなそれをおしつけるの!? たすけがほしければいつでもたすけるわよ! ぱちぇがおさにふさわしいって、ようするにいやなことをおしつけたいだけでしょ!? みんなかってよ!!だからぱちぇもかってにするのよ!! みんなのやっているとおり、ぱちぇがすきにゆっくりしてなにがわるいのよ!!!!!」 ぱちゅりーは抱え込んでいたものをまりさに吐き出した。 しかし、まりさはそんな悲痛な叫びを鼻で笑った。 「なにがおかしいのよ!!」 「ぱちゅりー、ちぇんいがいのゆっくりのことほんとうにたいせつにおもってるのぜ?」 「むきゅ……!?」 「ぱちゅりーは、ほかのゆっくりのことをみくだしてるのぜ!」 「そ、そんなことは……!」 「じゃあなんで『たすける』なんていうのぜ? ぱちゅりーはやさしいふりして ほかのゆっくりをゆっくりさせてやってまんぞくしてるだけなのぜ!」 「ちがうわ!!」 「ちがわないのぜ!!!たすけられたら、またたよってしまうのはとうぜんなのぜ!!! たすけてたすけてたすけて……いちばんじゅうようなときにみすてるのぜ!!! いっしょうめんどうみるきがないなら!たすけるひつようなんてないのぜ!!! ぱちゅりーはやさしくするなんていうけど、それはただのあまえなのぜ!!! じりきでゆっくりできないゆっくりなんていきているかちないのぜ!!! いっしょうおちびちゃんやっていられればくろうしないのぜ!!! そんなやつらがほかのゆっくりをゆっくりさせてやることなんてできないのぜ!!! おまえはそうやって、じりきでゆっくりできるゆっくりすらだめにするのぜ!!! あのむれがむのうなゆっくりにしはいされたのはとうぜんなのぜ!!! おまえがすべてのゆっくりをなにもできないおちびちゃんにかえたせいなのぜ!!! おさになるきがないなら!!!さいしょからじぶんだけでいきていればいいのぜ!!!!!」 ぜぇぜぇと荒い息をしながら話を終える。 ぱちゅりーは、大きなショックを受けていた。 自分は皆に優しく生きて。皆に好かれて。 自分は正しい行いをしているものだと思っていた。 なのに。 「まりさのはなしはわかったよー」 ちぇんが二匹の考えを遮るように言う。 「だけどぱちゅりーをころさせるわけにはいかないよ。 ちぇんはばかだからどっちがただしいなんてわからないよー。 でも、いのちをねらわれたらていこうするのはとうぜんだよ。わかってねー」 「……おまえがいいしょうこなのぜ。 ぱちゅりーはともかく、ちぇんがぜんりょくでにげれば まりさはおいつけないかもしれないのぜ」 「まりさ……!」 「ちぇんはそれでいいよー。 まりさのいうとおり、ぱちゅりーはいっしょう、ちぇんといきてくれるからねー」 まりさが木の枝を構えなおす。 「ぱちゅりーをいかしておいたら、またろくでもないむれができるんだぜ。 そんなげすをつくりだすぱちゅりーをみのがすほど まりさはおろかじゃないんだぜ」 「……ちぇんは、ひとつだけごかいしてたよー。 まりさは、りっぱなおさになってるよー」 「ほめたからっててごころはくわえないのぜ」 「わかってるよー」 西日の差し込むとある森林で、道を違えたゆっくりが殺しあう。 それは、ゆっくりにとって日常茶飯事に見られる光景。 自身の中身をその場に散らしたのはどちらなのか。 飛び散ったそれは逢魔が時に彩られ、血のように、赤く見えた。
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俺がゆっくりできない 7KB ※毛虫注意 【俺がゆっくりできない】1 道を歩くとき、人はなぜうつむくのだろうか? 初夏のある休日、近くの公園まで散歩に出かけようとした俺は ふと、ほんと、何の気なしに庭木を見上げたんだ。 毛虫がいっぱいだった。 10匹とかそんなもんじゃなくて1000匹くらい。 1本の木にびっしりと、うぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞと蠢いていた。 庭木の新芽はおろか、葉っぱがほとんど囓られていた。 もう殺虫剤なんかで退治できるレベルじゃねー。 仮に退治したところでこの山ほどの毛虫の死体をどう処分するんだ?俺は嫌だ。 【俺がゆっくりできない】2 農家の人が使ってる噴霧器を買ってくるか?俺が使えるのか?ノーだ。 じゃあ、業者に頼むか?金額的にノーだ。今すぐ来てくれるかどうかも解らない。 庭先でうろうろと悩んでいるうちに、当初、近所の公園に行こうとしたのを思い出した。 「ハッ!これだ!」 俺は家にあったクッキーを片手に公園まで急いだ。 近所の公園は寂れていて人も少ない、しかし奴らはいるはずだ・・・ 「おーい、ゆっくりのみなさーん、あまあまですよー」 「ゆ?」「ゆゆ?」「あまあましゃん?」「ゆっくちー!」 そう、こいつらだ。公園に住み着いたゆっくり達。 今回は彼女らに協力してもらおう。 俺は似合わない笑顔を作りながらポケットからクッキーを取り出した。 【俺がゆっくりできない】3 「はーい、ゆっくりのみなさーん。今日はみなさんにおいしいものを食べて頂きたいと思いまーす」 「ゆ!あまあまさんよこすのぜ!」「はやくちょうだいね!」「あみゃあみゃ~」 俺はあまあまという言葉に釣られて集まったゆっくりを見渡しながら数を確認した。 バレーボール~バスケットボール大の生体ゆっくりが10匹。 ソフトボール~ハンドボールサイズの子ゆっくりが17、8匹か。 赤ゆどもは戦力にならない。カウントしなくてもいいだろう。 「はーい、お待たせしましたー、これがあまあまさん、その名もクッキーです!」 「「「「「「「ゆゆ!!クッキーさん!!」」」」」」」 俺はポケットから取り出した4、5枚のクッキーを軽く砕き、ゆっくり達の上のばらまいた。 均等に行き渡るようにばらまいたので、皆わいのわいの言いながら食べ始めた。 【俺がゆっくりできない】4 「がーつ!がーつ!」「うっめ!めっちゃうっめ!ぴゃねぇ!」「むーちゃ!むーちゃ!」 その場でむさぼり食うゆっくり。脱いだおぼうしに詰め始めるまりさ。 赤ゆのところまで運んで家族でゆっくりと食べるれいむ。みな様々にクッキーを堪能している。 クッキーを堪能し、食後のシエスタ(笑)に入りかけたところで俺は声をかけた。 「みなさーん美味しかったですかー?(手を耳にあて)そーですかー、喜んでくれて良かったです」 俺はゆっくりの感想を聞く前に話を進めた。こいつらの感想をゆっくり聞いている暇はない。 「もっとよこすのぜ!」「れいむはしんぐるまざー(笑)なんだよ!」 が、予想通りの反応も聞こえてきた。 「はーい、みなさんが『もっとたべたぁ~い』のは、よーく解ってますよー!」 「ゆ?」「ゆゆ!」「もっとたべたいのぜ!」「れいむはしんぐ(ry」 【俺がゆっくりできない】5 「わたしのおうちに、おいしーい、虫さんをたくさーんご用意しておりまーす!」 「むしさんはゆっくりできるのぜ!」「にんげんさんは狩りができるの?」「れいむはしん(ry」 「それでは!みなさーん、この公園を出てまっすぐのおうちまでついてきてくださいねー!」 「「「「「「「ゆゆー!!」」」」」」」 ぞろぞろと公園を出て行くゆっくりたち。遅すぎる赤ゆたちは透明なゴミ袋にいれて運んでやった。 「「「「「「「おしょらをとんでりゅみちゃいー!!」」」」」」」 「ゆゆ!よかったね!おちびちゃん!」 ばらまいたクッキーのおかげか、赤ゆを袋に入れてもまったく警戒しない親ゆっくりたち。 やがて、俺がダッシュで3分の道程をゆっくり1時間ほどかけて家にたどり着いた。 「はーい、ゆっくりのみなさーん、この木をごらんくださいーい」 【俺がゆっくりできない】6 「ゆ?」「ゆゆ?」「「「け、け、け、けむしさんだー!!」」」「ゆっくちできにゃいー!」 「え?そーなの?虫だよ?食べないの?」 「けむしさんは、ちくちくして、いがいがして、かゆかゆになるからゆっくりできないよ!」 「くろくて、にがくて、かゆかゆになってとかいはじゃないわ!」 喰ったことあるんじゃねーか(笑) しかしなんでだ?人間が毛虫の毒に負けて痒くなるのは解るが、こいつら饅頭だぞ?小麦粉肌だろ? 「えーと、きみたちは饅頭さんだから、毛虫さんを食べても大丈夫なはずですよー」 「れいむたちはまんじゅうさんじゃないよ!」「ゆっくりていせいしてね!」「ぴゅんぴゅん!」 確かにこいつらが「全身かゆかゆ」にでもなったら、手もないし掻けないしで気が狂うだろうな。 さすがでたらめナマモノだが、めんどくさいことになってきたなー。 【俺がゆっくりできない】7 当初の予定では、棒で落とした毛虫をむーしゃむーしゃして頂いて、お帰り頂くだけだったんだが。 クッキー5枚だけで、毛虫が片付いてラッキー!みたいな。 毛虫は見た目がゆっくりしてないもんな。妙なところで人間ぽいゆっくり達に感心しつつ・・・ 予定変更だ。 「はーい、みなさん注目してくださーい」俺は透明な袋に入れっぱなしの赤ゆを掲げた。 「「「「「「「おしょらをと(ry」」」」」」」 「ゆゆ!おちびちゃん!」「けむしをたべさせようとしたじじいは、おちびちゃんをかえしてね!」 「だめでーす。あの毛虫をすべて食べ終わるまで、おちびちゃん達は返しませーん」 「ゆー!おちびちゃんをゆっくり返すのぜ!」「じじいはしね!」 生体ゆっくりたちは、ぽいんぽいんとムダな体当たりを始めた。 力の差を知っていただくためにしばらくこのままにさせてみた。 そして30分が経過した。 【俺がゆっくりできない】8 初夏の日射しの中、全力(ゆっくり基準)で体当たりを繰り返した親ゆっくりどもはすでに青天だ。 もちろん俺は痛くも痒くもなかった。 「「「ゆー、はー、ゆーはー・・・お、おちびじゃんを、がえじで、ね・・・」」」 「だから、毛虫さんを全部食べたら返してやるって」 「「「ゆ”、ぐ・・・わ”、わがっだよ”・・・けむしさんをたべるよ・・・」」」 「その言葉を待ってました!それじゃ君から行ってみよう!」 むんずと手近なまりさを掴み上げた。「ゆ?」 「そぉい!」毛虫がまとわりつく木の枝にむかって投げてみた。 「ゆっ!おそらをとん、で・・・ゆぎゃー!けむしさんがいっぱいなのぜ!た、たすけるのぜ!」 まりさは枝にぶちあたり、たくさんの毛虫にまみれながら落ちてきた。 キモイ。想像以上にキモイ。無数の毛虫が顔の上を蠢いている。俺があのまりさなら死を選ぶ。 【俺がゆっくりできない】9 「ゆぎゃー!!た、たすけるのぜっ!!きぼぢわるいんだぜ!!たすけてなのぜー!!!」 まりさは転がりながら俺に助けを求めてきた。 「だが断る」棒でゆっくりどもの中に突き返す。 「「「「「ゆ”ー!!!きぼぢわるい”い”い”ー!!!」」」」」 蜘蛛の子を散らすように逃げまどうゆっくりたち。 「おやおやキミたち、毛虫さんをむーしゃむーしゃしないとこの子達は返しませんよ?」 「おきゃーしゃん!ゆっくちちないでたしゅけるのじぇ!」「れーみゅもたしゅけちぇね!」 赤ゆどもはやっと状況が把握できたらしく、親どもに助けを請い始めた。 「ゆっぐ、まっててね、おぢびじゃん・・・む”ーじゃ、む”ーじゃ、ゆ”げぇぇぇぇぇ」 母性本能(笑)の強いれいむが咀嚼を始めたが、見た目通り不味いようだ。 「よーしよーし、俺によし!じゃ、次はキミいってみよう!」「ゆ?!ゆぎゃー!!!」 【俺がゆっくりできない】10 あれからすべての生体、子ゆっくりを毛虫にむかって放り投げ、ほとんどの毛虫は地に落ちた。 今は、ゆっくりどもは必死になって地に這う毛虫どもを口に収めている。 ゆっくりどもの顔色が赤とか青とか変な色になってるな。とにかくよし。 「「「む”ーじゃ、む”ーじゃ、ゆ”げぇぇぇぇぇ・・・まじゅい”・・・」」」 何匹かのゆっくりどもは天を仰ぎ、またはうつ伏せになり細かく痙攣している。 「はーい!みなさんおつかれさまでしたー!おかげで毛虫さんはほとんどいなくなりました!」 「ゆ”っぐ・・・やぐぞぐだよ・・・おぢびぢゃんだぢをがえじでね・・・」 「もちろん!さぁ、ママたちの元へお帰りなさい!」 俺は跪き袋をひっくり返し、赤ゆどもを解放した。 「ゆーん!ゆーん!」「みゃみゃーきょわかっちゃゆー!」わらわらと赤ゆどもが親の元へ・・・ 【俺がゆっくりできない】11 「「「お”、お”ぢびぢゃん、ぶじだっだのね”・・・」」」 感動の再会(演出:俺)かと思いきや・・・ 「「「ゆ?みゃみゃのおかお、にゃんだきゃ、きもちわりゅいよ・・・」」」 「「「ゆ”がーん!どぼぢでぞんな”ごどい”う”の”ぉー!!!」」」 毛虫にまみれ、皮膚はただれ、顔色は赤や青を通り越して紫色に。そりゃそーなるわな。 「「「きもちわりゅいみゃみゃはこにゃいでにぇ!もうおうちかえりゅ!!!」」」 「「「ま”っでー!お”ぢびぢゃん!!!」」」 気持ちの悪い親を見捨て、公園方向にぴょんぴょん跳ねていく赤ゆども。 毛虫&赤ゆに見捨てられたショックでふるえる親どもはずーりずーりと追いかけ始めた。 また来年もよろしくなー。【完】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓そして食う -- 2014-09-15 09 48 11 ↓毛虫をバケツに入れて、焼却炉で燃やす -- 2013-10-25 01 05 28 ↓トングではさむ→潰す -- 2013-06-24 12 50 54 毛虫か、想像するとキモイな、噴霧器は高いし実際遭遇するとどうするかな汗 -- 2012-12-10 15 41 55 これがゆっくり使いか・・・ -- 2012-11-24 17 07 06 命が有るだけマシだと思え。まあ、生き残り組は来年また地獄を見るだろうが -- 2012-09-30 07 36 41 おもにがおがぎもいいいいいいい!!!!!!!!!!!!! -- 2012-03-26 16 58 21 来年もやってもらわなきゃいけないから無駄にゆっくりを減らしたくなかったんだろう。 このウザい赤ゆたちが来年には親と同じ苦しみを味わうことになると思えば生かしておくのも悪くない。 -- 2010-10-08 07 57 47 同感だ。最後に全部潰そうぜ。 袋に入れたまま纏めて潰せば簡単なのに。これはヌルい虐待おにいさんだぜw -- 2010-09-04 18 53 30 中々面白い発想のお兄さんだった 後、どうでも良い事なんだけど、最後の赤ゆぶっ潰したい 何が「きょわきゃっちゃゆ~」だ!赤ゆは一々イライラするw -- 2010-08-18 22 46 48 おげぇー -- 2010-08-18 22 31 45
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481 【キモウトの論理】 sage 2009/01/01(木) 22 08 02 ID gBwVE81R ねえ、お兄ちゃん。 お兄ちゃんは、まだ学生で、 女の子とエッチしたら責任とって結婚しなくちゃいけないとか、 エッチは子供を作る目的でしかしちゃダメだと考えるほど頭が堅くもないわよね。 つまり、女の子とエッチすることと、結婚したり子供を作ったりはイコールでは結ばれないわけ。 だとしたらだよ? 法律上は結婚できないし子供を作るのもちょっと問題あるような関係の相手とでも、 エッチするのは全く問題ないわけで…… 何の話かって? あのね、日本には姫初めという伝統行事があって、 それをすると一年の運気が開けると言い伝えられてるわけ。 でね、彼女イナイ歴十八年のお兄ちゃんと、 彼氏作る気ない歴十六年の私たち兄妹の一年間の幸福のために…… ……ねえ、お兄ちゃん? どこに行くの? ちょっと、まだ話、終わってないってば……ねえ! 部屋? 部屋に行くの? その気になってくれた? ……って、なにドア閉めてんの! 鍵なんかかけないで……ねえ! 開けてよ、お兄ちゃん! お兄ちゃんってば! やろうよ、姫初め……! 【UN-HAPPY END(妹的に)】
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君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言 君嶋祐樹 キミシマユウキ オフパコ レイプ 前科 逮捕 出禁 セクハラ ネトウヨ 差別発言
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『ゆっくりできないから叩く』 3KB 考証 飾り かなり人を選びます ある森にあるゆっくりの群れがあった。 他の森の群れととくに違うところはなくみな仲良く過ごしていた。 とても優秀なゆっくりがいるというわけでもない。 とても無能なゆっくりがいるというわけでもない。 みなよくも悪くも普通なゆっくりだった。 そんなごくごく普通の群れに、ひとつの命が誕生しようとしているのだ。 「れいみゅ、うまれりゅよ!きゃわいきゅうまれりゅよ!」 「ぎぎぎ・・・おちびちゃん、うまれるんだねぇ・・・」 スッポーンという音がして、赤れいむはまりさに受け止められ潰れることもなく無事産まれた。 「れいみゅ、うまれちゃよ!ゆっくちしていってにぇ!」 「ゆわぁ~・・・すっっっっっっっっごくかわいいいおちびちゃんだよおおおおおおお!!!」 「さすがれいむとまりさのおちびちゃん・・・かわいすぎるよおおおおおおおおおおお!!!」 れいむはおちびちゃんがこの世に産まれてきたことを、そして自分たちの子供として産まれてきてくれたことを心の底から感謝した。 ああ、ありがとう。 おちびちゃん、これからいっしょにゆっくりしようね! だが、まりさは違った。 「ゆ・・・?このおちびちゃん、おかざりにはっぱさんついてるのぜ?」 「あ・・・ほんとだね、いつついたのかな?」 「しゃっきれいみゅがじぶんでちゅけたんだよ!きれいでちょ!じぶんでちゅけられたなんちぇ、れいみゅのみらいがちゃのしみすぎてこまっちゃうよぉ・・・」 赤れいむは綺麗だから落ち葉を自分のお飾りにつけた。ただそれだけのことである。 だが、ごく普通なこの群れでは『狩りに行けるようになったゆっくりはお飾りに印を付ける』という、ルールではないがマナーのようなものがあった。 まりさの帽子にも当然ドングリの帽子が付けられている。 まりさはすぐに動いた。 「よけいにきれいになっちゃれいみゅをしゅくふくしちぇね!」 「・・・・・・かりにいけるようになってはじめてしるしをつけていいんだぜぇぇぇーー?うまれたときからしるしがついてるなんてゆっくりしてないね! せいっさいするよ!うまれたときからしるしがついてるからおちびちゃんはせいっさいだよ!」 まりさは産まれて5分も経たないうちに自分の子を潰した。 産まれてすぐに帽子に印をつけたという理由で潰した。 「ま・・・・・・まり・・・さ?なに・・・?」 「ゆっくりできないゆっくりだったからしょうがないのぜ!ゆっくりできないゆっくりはせいっさいしていいのぜ! そのほうがみんなゆっくりできるから、まりささまはせいぎっ!なのぜぇぇ!!!」 「なにいってるのおおおおおおおおおおおおお・・・う、うまれるううううううう!!」 怒り心頭になろうとするれいむは、再び産気づいた。 おちびちゃんは一匹ではなかったようだ。 「うまれりゅよ!まりしゃ、せかいにたんじょうしゅるよ!」 次のおちびちゃんはまりさのようだ。 「がんばるのぜ!もうちょっとがんばるのぜ!」 まりさも帽子に力を入れる。 「う・・・う、うまれるううううううう!!」 またもや2度目のスッポーンが鳴り響き、まりさは無事に産まれた。 「ゆっくちしていってにぇ!」 「お・・・おちびちゃあああああああん、かわいいのぜえええええええ!!」 「ゆふー、ゆふー・・・お、おわったよぉ・・・」 れいむはおちびちゃんを産み終え、体全体で息をしている。 れいむはおちびちゃんを見て、言った。 「・・・なんだかおぼうしがまがってて、れいむのこのみじゃないね!れいむのこのみじゃないからせいっさいだよ!」 れいむは自分の子を5分もしないうちに潰した。 「なにやってるのぜえええええええ!?おぼうしがまがってたらなおしてあげたらいいでしょおおおおおお!?さいしょっからつぶしちゃってどうするのおおおおおお!?」 「うるさいね!おぼうしがまがっててれいむごのみじゃないんだから、もうさいしょっからつぶしちゃっていいんだよ!だって、れいむはただしいことをしたんだから!そのほうが みんなゆっくりできるんだよ!ゆっくり理解してね!」 「ばかあああああああああああああああ!!しねえええええええええええ!!」 「おまえこそしねえええええええええええええええええ!!」 2匹はお互いに体当たりを続け、結果まりさがれいむを殺した。 だがまりさもまた、れいむの死に際の歯の一撃で餡子が出すぎて死んだ。 最初から名前がついてるから叩く。 最初からお帽子に印がついてるからせいっさい。 話がつまらないから叩く。 帽子がまがってるからせいっさい。 どこに違いがあるんでしょうか。
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登録日:2012/02/11(土) 06 51 38 更新日:2024/07/03 Wed 15 09 30NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 されど罪人は義妹に萌える 夢が広がる 民法 民法 ←『刑法』じゃないから実は破っても逮捕されない 法律 浅はかな項目 義妹 血縁がある人との間にできた子供は大体の確率で… ←高齢出産の方が… 養子 みなさんは民法第734条という法律の存在を知っているだろうか? 法律に興味の無い人は知らないかもしれないが、アニオタやエロゲーマーには非常に馴染み深く、重要な条文だったりする。 《概要》 条文の内容は以下の通り。 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。 ……以上。 「(゚Д゚)ハァ?」 「まるで意味がわからんぞ!」 「ここではリントの言葉で話せ」 などのクレームが来そうなので、ここは内容を砕いてわかりやすく説明しよう。 エロゲで攻略できるヒロインはいろんな種類がいる。 例えば学園モノだけでも、同級生・後輩・先輩・幼なじみ・男……。 まさに多種多様。 そして、数多くの作品において幼なじみ以上に近い仲の女性が攻略可能な場合がある。 『義妹(姉)』 そう、義理のお姉さんや妹ちゃんだ!! 兄弟姉妹のいるアニヲタ諸兄ならえっちなお姉さんと同等かそれ以上に、いたらいいなと幻想する、あの義妹だ。 ここで話がメインに戻る。 この民法734条とはつまり、 「家族でも血が繋がっていなければ(義妹・養姉)、結婚ができる」 という法律だ。 結婚可能なので、前段階であるえっちなことをしても良いのだ。 ここまで来たら、もうわかったはず。 エロゲーにおいて合法的に妹(というか義妹)が攻略できるのは、この法律があるから。 かなりグレーゾーンな方法だが、妹だけど血は繋がってない→じゃあ近親相姦にならないよな! という理論。 さすがはHENTAI大国日本。 大丈夫、法規の範囲内だ。 実際は、実の妹を攻略しても籍を入れなければ違法ではないのだが(より正確には法的な婚姻関係を「持てない」と規定されているだけでありそれを望むことや関係を持つこと自体は内心の自由の範囲(要はただの自己責任)になるため禁止されていない)。 まぁ、たまに常識をぶち壊すやつもいるけど。 組み合わせ 合否 扱い 兄×妹 × 2親等 兄×義妹 〇 養方傍系 姉×弟 × 2親等 義姉×弟 〇 養方傍系 おば×甥 × 3親等 義親の姉妹×養子 〇 養方傍系 おじ×姪 × 3親等 おじ×兄弟の養女 〇 養方傍系 なるほど、わからん。 一つ言い切れるのは、この法律が無くなったりしない限り義妹攻略ルートは潰えないということだろうか。 義妹萌えのみんな、安心してくれ。 とまぁ面倒な例を書いたが、とどのつまりこの法律は、 養子縁組で義妹ができました→その子とは結婚ができるよ! ということだ。 でも現実はエロゲみたいに甘くは無いので、義妹と相思相愛になるなんて前提で考えないこと! どちらにせよ、民法第734条がエロゲネタとサブカルチャーでは我々にとって大切な役割を持っていることは覚えていてほしい。 ただし直系血族には厳しいので注意。 養方だろうと親等が遠かろうと直系血族は民法第734条ではアウトなのだ。 【ちょっと違うパターン例】 あなたは一人っ子の男の子(長男)です。母親は死んで父親と二人暮らし。 父親が付き合っている女性を連れて来て再婚しました。女性には長男より年下の娘がいます。 女性と娘は父親 長男の家で暮らすことにしました。血は繋がらないけど家族です。女性は母親、娘は妹になりました。 ……エロゲとかでよくある義妹成立パターン『再婚した母親の連れ子』 これは養子ではないが、上の文章の場合では親同士が再婚したので完全に家族。 しかしこの場合、父親にとって再婚相手の連れ子は直系血族ではなく直系姻族、 長男から見れば傍系姻族なのでやはり問題なく義妹と結婚できる。 なお、735条により一度でも直系姻族になると離婚して姻族関係が解消されても結婚はできない。 父親が再婚した時点で長男は、義母とも、義母の母親とも結婚できなくなっている。 Q.謎の力で美少女に若返った義母と結婚することはできますか? A.アウト Q.養親の先祖のロリババアと結婚することはできますか? A.アウト Q.未来から来た自分の子供と結婚することはできますか? A.調整中 Q.平行世界から来た別の世界の妹とは結婚することができますか? A.調整中 Q.平行世界から来た別の世界では女だった俺自身とは結婚することができますか? A.調整中 「wiki篭り……二人で追記・修正しよ……」 「駄目だよ、僕らは血が繋がってるのに……ん……」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 何の話かと思えば・・・いいじゃないか! -- 名無しさん (2014-09-06 13 54 22) うむ、いいじゃないか! -- 名無しさん (2014-09-06 14 06 52) KONAMI(笑) -- 名無しさん (2014-09-06 14 08 58) なんとも素晴らしい法律だが実際リアルで結婚した義兄妹っているのか?それなりの需要がなきゃいつかなくなってしまうのではないだろうか? -- 名無しさん (2014-09-11 23 51 14) 両親が籍を入れて養子縁組したら何が変わるんだ? 血が繋がってなければOKって書いてるが -- 名無しさん (2014-09-12 00 58 41) ↑2いるよ。仮にいなくなったとしても生物学的にも問題ないからこの条文はなくならないでしょ。 -- 名無しさん (2014-09-12 01 48 46) 内縁の夫婦の連れ子同士が親より先に結婚することも可能ってことか。 -- 名無しさん (2014-09-12 09 27 31) 他にギャルゲーとかアニヲタにかかわる法律といったら、何があるだろうか? -- 名無しさん (2014-09-12 09 48 57) ↑5連れ子同士でも養子でもではないが、戦争未亡人が亡夫の弟と再婚するケースはわりとあったらしい。(もちろん恋愛関係が芽生えたとかいう理由ではない) -- 名無しさん (2014-09-12 10 07 25) ↑そしたら夫が生きていて・・・紆余曲折あり、結局弟が「兄貴が好きなんだ!」バーン! -- 名無しさん (2014-09-12 12 01 25) 調整中がセーフなりアウトなりになる日が来ると思うと股間が熱くなるな… -- 名無しさん (2014-09-12 16 11 00) 例えば古来、親が決めた許嫁とか、早々に幼少器から嫁入り先の養子になっておく、みたいな事も多くあったしね。 -- 名無しさん (2014-11-20 00 36 14) なるほど。だから純一と音夢は結婚できたわけか。 -- 名無しさん (2018-06-21 21 20 59) 結婚したら籍に入るんだから、近親じゃなけりゃ禁止する道理はないってだけの話よね -- 名無しさん (2020-05-06 22 26 04) 名前 コメント
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とある森の中、ゆっくりの夫婦が巣の中でゆっくりしていた。 狩りから帰ってきてゆっくりしているまりさとその成果である食料を貪っていたれいむのつがいである。 「ねぇ、まりさ」 「なに?れいむ?」 「れいむ、おちびちゃんがほしいよ!」 「……」 れいむの言葉につがいのまりさはため息を吐いた。 「なんどもいってるでしょ?おちびができたらゆっくりできないって」 「れいむがゆっくりできるよ!」 「たべものはどうするの?いまのりょうじゃぜんぜんたりないよ」 「まりさがもっとかりをすればいいだけだよ!」 「れいむ、かりだってたいへんなんだよ?ゆっくりりかいしてね」 「なにいってるの?かりはまりさのしごとでしょ!あまえないでね!」 「まりさにはこれがげんかいなんだよ、これいじょうをのぞむなられいむもかりをてつだってね!」 「いやだよ!れいむそんなゆっくりできないことはしたくないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「まりさがそのゆっくりできないことをしているかられいむはまいにちむーしゃむーしゃできてるんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「うるさいよ!むずかしいこといってれいむをおこらせないでね!ぷくー!」 「……」 まりさはれいむの様子に呆れていた。 まりさは決して狩りが下手ではない、れいむの食欲が異常なのだ。 まりさは思う、なぜ自分はこんな相手をつがいにしてしまったのだろうかと。 出会った当初は可愛くてゆっくりしたれいむだった。 だがつがいとなって一緒に住むようになってかられいむは豹変した。 まりさのお手伝いを積極的にするかられいむとゆっくりしようね!と言っていたのが嘘のようだ。 いや、実際それは嘘だった。 れいむはただ自分がゆっくりしたいだけで別に相手がまりさでも他のゆっくりでも構わないのだ。 つがいになってしまえばこっちのもの、あとは好き勝手にゆっくりするだけ、それがれいむの作戦だった。 その作戦にまんまとハマってしまったまりさがおバカなのだ。 そしてれいむは食欲だけでなく子供を欲するようになった。 れいむは母性に満ちていると噂されるが実際は母性など無い。 子供がいれば他のゆっくりに見せびらかす事で自分がゆっくり出来るという理由だ。 母性など欠片もないので子供の教育なども一切しない。 れいむにゲスやでいぶと呼ばれるものが多いのもこれが原因である。 好き勝手に育った子供がどうなるか誰でも分かる事だ。 仮につがいに愛想をつかされても「しんぐるまざー」を理由に他のゆっくりから食料を貰えばいいと考えているのだ。 「まりさ!はやくれいむとすっきりしようね!」 「いやだよ、まりさはかりでつかれてるからすーやすーやするね、ゆっくりおやすみ!」 「ゆぐ!?まりさぁ!?どぼじでねちゃうのぉぉぉぉぉ!?」 このれいむはただすっきりしたいだけ、そのついでに子供ができれば一石二鳥と考えている事はまりさにはお見通しだった。 いちいち相手するだけ時間の無駄なのでまりさはれいむの言葉を無視し眠りについた。 「ゆぐぐぐぐぐぐ!れいむがこんなにさそってるのに!まりさはゆっくりしてないね!なられいむにもかんがえがあるよ!」 「ゆ?」 その日の深夜、まりさは自分の体に何かゆっくりできない事が起きている事を感じ取り目を覚ました。 「れいむ?なにしてるの?」 寝起きで意識がボーっとしているまりさはれいむが自分に体を擦り付けているのを見ても状況がよく分かっていなかった。 だが意識がハッキリしてくると絶叫を上げる。 「れいむぅぅぅぅぅ!?なにしてるのぉぉぉぉぉぉ!?」 まりさの絶叫にれいむは当たり前のように叫んだ。 「れいむはすっきりしたいっていったでしょ!?まりさがあまりにおくてだかられいむがおてほんをみせてあげるね!」 れいむは激しくまりさに体を擦り合わせ粘着質の体液を噴出している。 「いやぁぁぁぁぁ!!まりさすっきりしたくないぃぃぃぃ!!」 「なにいってるの!?せっかくれいむがさそってあげたんだからすなおにうけとめてね!ついでにおちびちゃんつくろうね!」 「やべでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 れいむを振りほどこうにも思うように力が入らない。 狩りで疲れきった体ではれいむに勝つ事は不可能だった。 そしてついにれいむが絶頂を迎える。 「すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「す、すっきりぃぃぃぃぃぃぃ……」 れいむの言葉に反応するかのようにまりさもまた絶頂へ達した。 無理やりのすっきりであってもゆっくりは非常に発情しやすいのでまりさの意思とは関係なしに体が反応してしまったのだ。 「ゆふふ!これでれいむもおかあさんになれるよ!ゆっくりできるね!」 交尾の終わったれいむは自分の頭上を見上げた。 何故なら交尾をした直後に頭からおちびちゃんを生やした茎が伸びる事を知っているからだ。 だがいつまで経っても茎は生えなかった。 「どぼじでくきさん、はえないのぉぉぉぉぉぉ!?」 れいむの絶叫にまりさはようやく体を起こしれいむに文句を言う。 「れいむ!ひどいよ!なんでこんなことする……の?」 だがその言葉は自分の頭上に存在する物体を見て絶叫へと変わった。 「ゆぅぅぅぅぅぅ!?まりさにくきさんがはえてるぅぅぅぅぅぅ!!!」 まりさの絶叫にれいむはようやくおちびちゃんが自分ではなくまりさに実った事を理解した。 「どぼじでまりさがにんしんしちゃうのぉぉぉぉ!?」 ぺにまむ型のすっきりならば確実に挿入された方が妊娠するのだがすりすり型のすっきりはどちらが妊娠するかはランダムである。 しかしその確率を操作するのも可能だ。 それは攻めと受けをハッキリさせる事だ。 攻める側は父親、受け側は母親というのがゆっくりの常識らしく、子を宿すのはほぼ確実に受け側である。 れいぱーに犯されたゆっくりが確実に妊娠するのがいい例だ。 だがこのれいむはとにかくすっきりしたいという欲望が強すぎてその事をすっかり忘れていた。 「ゆぐぐぐ!ふん!まあいいよ!すっきりできたしおちびちゃんもできたしこれでゆるしてあげるね!」 自分が思い描いていた結果とは違ったが当初の目的は果たしたのでれいむは呆然としているまりさを無視して寝てしまった。 「ゆ、ゆうぅぅぅぅぅ、どうしよう、まりさ、にんしんしちゃったよぉぉぉぉ」 れいむに犯された事よりも今後の事を考えてゆっくり出来なくなったまりさはゆんゆんとすすり泣いた。 そして次の日。 「まりさ!なにしてるの?はやくかりにいってきてね!」 いつまで経っても狩りに出かけないまりさにれいむは大声で怒鳴り散らす。 「れいむ、まりさはにんしんしてるんだよ?かりなんかできないよ、わるいけどれいむがかりにいってきてね」 まりさの言葉は間違っていない。 子供の事も考え激しい運動は避けなければならないのだ。 だがれいむの答えは 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なにいってるのぉぉぉぉぉぉ!?かりはまりさのしごとでしよぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆぅ!?」 れいむの絶叫にまりさはたじろいだ、そんなまりさに構わずれいむは続ける。 「にんしんしたってかんけいないよ!はやくいってきてね!すぐでいいよ!」 「れいむ!まりさはにんぷさんなんだよ!ゆっくりしないとおちびちゃんがゆっくりうまれないでしょ!?」 「つべこべいうなぁぁぁぁぁぁ!!!さっさといってこぉぉぉぉぉい!!!」 「なられいむはおうちでなにするの!?おちびちゃんのおもちゃとかべっどとかつくってくれるの!?」 「なんでれいむがそんなことしないといけないのぉぉぉぉ!?まりさがにんしんしたんだからまりさがやればいいでしょぉぉぉ!?」 「じゃあれいむはいったいなにをしてくれるの!?」 「れいむはおうちでゆっくりするっていうたいせつなおしごとがあるんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「!!!」 れいむの言葉に絶句するまりさ。 こいつがこれほど自分勝手で何もしない怠け者だとは思わなかったからだ。 「ゆぐぐぐ!わかったよ!いけばいいんでしょ!でもおちびちゃんになにかあったられいむのせいだからね!」 捨て台詞を吐いておうちを飛び出すまりさ。 背後でれいむがぎゃーぎゃー叫んでいたが怒り心頭のまりさには聞こえていなかった。 れいむが何故こんな事を言ったのか? それはやはりれいむは自分が妊娠したかったからだ。 それをまりさに横取りされたと思いまりさに厳しく当たったのだ。 しかも実ったのは全てまりさ種。 自分に似たおちびちゃんがいないことでおちびちゃんに対する愛情も全く無かった。 れいむはどこまでも自分勝手で愚劣な饅頭だ。 酷い奴だと自分と同じれいむ種だけを残し他のチビを食い殺すのもいるほどだ。 「れいむがあんなにゆっくりできないやつだなんて!そうとわかってたらまりさはあんなのとはいっしょにならなかったよ!」 散々れいむの悪口を言っていたまりさだがようやく頭も冷えて冷静になった。 そして今後の事を考える。 「どうしよう、もういっそれいむとりこんしてまりさだけでおちびちゃんをそだてようか?」 ぶっちゃげそれが一番妥当なのだが…… 「でも、おちびちゃんがうまれればもしかしたられいむもやさしくなってくれるかも……」 僅かに残っていたれいむへの愛情がまりさを縛っていた。 れいむにそんな感情はないと心のどこかでわかっていても。 一度好きになった相手、もう一度信じてみたいとまりさは思ってしまった。 それが最悪の結果に繋がろうとも。 「ただいま、れいむ……」 暫くしてまりさが帰宅した、だがその顔は真っ青であった。 「おそいよ!れいむもうおなかぺこぺこなんだよ!はやくたべものだしてね!」 「それが……」 「ゆ?」 まりさの頭には折れた茎の根元しか無かった。 れいむがそれに気づくとまりさは帽子の中から折れた茎を取り出す。 まりさは頑張った、実ゆっくりを気にしながらいつも以上に頑張った。 頑張りすぎた結果、まりさは集中力が途切れて転んでしまい頭から木に激突してしまった。 頭上から「ペキッ」という嫌な音がしたと思ったら茎が自分の目の前に落ちた。 餡子の供給を断たれた実ゆっくりは苦しそうな表情で小さく呻きながら黒ずんで動かなくなった。 まりさは号泣した、自分の初めてのおちびちゃんが生まれる事なく死んでしまった事に。 そして自分を責めた。 もっと自分がおちびちゃんに気を配っていれば。 だが泣いていても始まらない。 まりさはゆんゆんすすり泣きながら狩りを中断しれいむの待つ我が家へと帰ってきたのだ。 もしかしたられいむが自分を慰めてくれるかもしれないと思って。 だがまりさからこれまでの状況を聞いたれいむの答えは…… 「どうでもいいけどたべものはもってきたの?」 「ゆ!?」 「ないならはやくかりにいってきてね!」 「ゆゆぅぅぅぅぅぅぅ!?」 これがれいむの答えだった。 まりさへの慰めの言葉どころかおちびちゃんの話題すら無かった。 「れいむ!おちびちゃんがしんじゃったんだよ!?」 「ゆふん!まりさがへまをしておちびをころしたってのはわかったよ!だからなに?どうじょうでもしてほしかったの?」 「!!!」 「やっぱりまりさにこそだてなんてむりだね!おとなしくれいむをにんしんさせておけばこんなことにはならなかったのにね!」 「……」 「そんなことよりはやくたべものをもってきてね!たくさんでいいよ!」 まりさは無言のまま、折れた茎を咥えるとその場を去った。 「……」 まりさは死んでしまったおちびちゃんを無言で穴に埋めていた。 「……」 自分の失敗を心の中で嘆きながら。 「……」 そしてこんな状況に追いやったれいむへの憎しみを増大させながら。 「……ぜったい」 まりさは穴を埋め終わると静かに口を開く。 「ぜったい、ぜったい、あのくそでいぶにじごくをおがませてやる……!!!」 その目にはもはやれいむへの愛情は無く、ただ憎しみだけが宿っていた。 その日の夜。 「れいむ、すっきりしようか?」 「ゆ?いいよ!やっとまりさもれいむのみりょくにきがついたんだね!」 突然のまりさの誘いにれいむは驚くがすぐに受け入れた。 「れいむ、まりさはおちびちゃんをそだてるのがへただからこんどはれいむににんしんしてほしいよ」 「あたりまえだよ!れいむはこそだてがじょうずなんだよ!まりさなんかとちがってね!」 「……っ!! そうだね、れいむにはかなわないよ、だからちゃんとれいむがにんしんするようなすっきりをしようね」 まりさはぺにぺにを生やした。 「ゆふん!まりさったらけだものさんだね!そんなにれいむのまむまむがほしいんだね!いいよ!とくべつにいれさせてあげるね!」 れいむは自分のもみあげでまむまむを大きく開く。 「……!!! いくよ!れいむぅぅぅぅぅ!!!」 そのあまりに気色悪い穴に吐き気がすると同時に太い木の枝で滅茶苦茶に破壊してやりたい感情を抑えつつまりさはれいむの中へと挿入した。 「ゆほぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!すごいよぉぉぉぉぉぉ!!!まりさぁぁぁぁぁぁぁ!!!もっとぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「……!!!」 れいむの超絶災厄ボイスに激しい殺意を抱きながらまりさは腰を振り続けた。 以下省略 「「すっきりぃぃぃぃぃぃ!!!」」 二匹同時に達するとまりさの精子餡がれいむの中へと注がれる 「ゆ!?れいむ、にんしんしたよ!」 交尾が終わるとれいむの頭に茎が生えてきた。 れいむはやっと自分の思い描いた展開になってご満悦だ。 しかも実ゆっくりはれいむ種だけという理想的なものだった。 「おめでとう、れいむ」 「ゆふふ、れいむのおちびちゃん、ゆっくりうまれてきてね!」 無表情のまま、まりさが祝福の言葉を送る。 れいむは自分のおちびちゃんに夢中なのかまりさの言葉に反応しなかった。 「……」 任務は終わったとばかりにまりさはそのままれいむから距離を取って寝てしまった。 もしここでまりさに感謝の言葉の一つでも言えば限りなく可能性は低いが今後の展開も変わっていたかもしれないのに。 れいむが妊娠してから数日後、ようやくれいむが出産の時を迎えた。 それまでまりさは機械的に狩りをして我が家に戻ってもれいむとはほとんど会話をしなかった。 れいむもそんなまりさに不快感を示したがそもそもまりさはゆっくりできない奴という結論に至ってれいむもまりさに構う事は無かった。 だがさすがに出産時にはまりさも近くで見守っていた、何故かニヤけた表情で。 その表情にゆっくりできないものを感じてれいむは質問した。 「なにがそんなにおかしいの?」 「おちびちゃんがうまれるからにきまってるでしょ?ばかなの?しぬの?」 「ゆぐぐ!!とにかくそのかおはやめてね!ゆっくりできないよ!」 「これがまりさのかおだからやめられないよ、ゆっくりりかいしてね!」 まりさの言葉に腹が立ったが今はおちびちゃんに集中すべきだろう。 そう判断してれいむは今にも産まれ落ちそうなおちびちゃんを見上げた。 プチ そして実ゆっくりがほぼ同時に産まれ落ちた。 「ゆゆ~ん!かわいいよぉぉぉぉ!さすがれいむのおちびちゃんだね!」 初出産の感動に涙するれいむ。 だがれいむはすぐに肝心な事を思い出した。 おちびちゃんが生まれたらまず最初は「ゆっくりしていってね!」と挨拶する事に。 れいむは大きく息を吸って満面の笑み(れいむ基準)で叫んだ。 「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!」 それに対するおちびちゃんの言葉はもちろん 「「「ゆっくちさせたいならしゃっしゃとあみゃあみゃをもってこい!うすのろくそまんじゅう!」」」 だった。 「ゆ?」 何を言われたかよく分からないれいむ。 何だか凄くゆっくり出来ない事を言われた気がする。 きっと聞き間違いだと思いもう一度元気に挨拶した。 「おちびちゃん!れいむとゆっくりしていってね!」 それに対するおちびちゃんの答えはもちろん 「「「あみゃあみゃもってこいっていってるのがきこえにゃいの?もしそうならしゃっしゃとちぬことをおすすめするよ!」」」 「……」 「「「なにだまってるにょ?おばきゃだからりきゃいできにゃいの?もうすこしわかりやすいことばをつかったほうがよかった?」」」 「ゆ、ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 れいむは我が子から放たれる暴言にあっさりキレてしまった。 ブチブチブチ!!! れいむは即座に我が子を踏み潰す。 「おかあさんにひどいこというげすはさっさとしねぇぇぇぇぇ!!!」 既に皮と餡子の塊となった我が子を延々踏み潰し続ける。 「うすのろくそまんじゅうだとぉぉぉぉぉ!?せかいいちのびじょであるうつくしいれいむにむかってぇぇぇぇぇ!!!」 もはや何だったのか分からん物体になった我が子、それに向かってれいむは叫び続ける。 「せっかくれいむがうんでやったのにこのおんしらずどもがぁぁぁぁ!!」 般若の形相で喚き続けるれいむ。 「おまえらおちびどもはれいむをゆっくりさせるためのどうぐなんだぞぉぉぉ!!!」 延々喚き続けるれいむに飽きたのか、まりさが口を開いた。 「やっぱりれいむはげすだね」 「ゆぐ!?まりさぁ!?なにいってるのぉ!?」 まりさの言葉に反論するれいむ。 だがまりさは冷静に、そして冷たい視線でれいむに告げる。 「うまれたばかりのおちびをころすようなやつをげすといってなにがわるいの?ばかなの?しぬの?」 「そ、それはこいつらがれいむにひどいこといったから……!」 「わるくちいわれたからころすの?それっておかしくない?まずはそんなこといっちゃだめとちゅういするのがふつうでしょ?」 「ゆぐぐぐぐぐぐぐ!!で、でも!あんなげすになにをいってもむだだよ!」 「なんでげすってきめつけるの?もしかしてれいむじしんがげすだからそれからうまれたおちびもげすってわかってるの?」 「れいむはげすじゃないぃぃぃぃぃぃ!!!げすはおまえだぁぁぁぁぁぁ!!!」 逆ギレしたれいむはまりさに体当たりを仕掛けるが毎日狩りをしているまりさに勝てるはずもない。 あっさりとまりさの体当たりで跳ね返されるれいむ。 「い、いだいぃぃぃぃぃ!!!どぼじでごんなごどするのぉぉぉぉぉぉ!?」 痛みに弱いれいむは大げさに泣き喚いた。 そんなれいむを汚物でも見るような目で睨むまりさ。 「ゆふん、やっぱりれいむにぼせいなんてないね!こそだてもできずにうまれたばかりのおちびをころすようなやつだもんね!」 「ゆぐ!?」 「そういえばさっき、おちびはじぶんがゆっくりするためのどうぐとかいってたよね?」 「そ、それは……」 「ほんとうにぼせいがあるならそんなことばはぜったいでてこないはずだよ!つまりれいむにはぼせいはないってことだね!」 「ち、ちがうよ!れいむはぼせいあふれるゆっくりだよ!こそだてがいちばんじょうずなんだよ!」 「じゃあなんでころしたの?」 「ゆ……!!」 「なんでおちびをどうぐっていったの?」 「ゆぐ……!!」 まりさの言葉に反論出来ないれいむ。 実際子供に対する母性など無かったので何も言い返せなかった。 そもそも子供に対する母性はれいむ以外の全てのゆっくりにも持っている。 それなのに何故れいむは母性に満ちていると言われてきたのか? それは単純にれいむ種の数が多く、つがいとなって母親になる確率が高いだけだ。 母性という言葉もれいむ種自身が言い始めただけで他のゆっくりが言ったわけではない。 れいむ種は他のゆっくりと比べ優れている所が全く無い。 愚鈍で傲慢で他者に依存するだけの愚かな存在。 そこで自分は母性という素晴らしい特徴があると言い始めたのだ。 無論皆はそれが嘘と分かっていた。 れいむ種の子供がほぼゲス化したからだ。 ゲスの母親の餡子を受け継いだ子がゲス化するのは当然の結果なのだ。 そして、れいむ=ゲスという認識が一般化するのに時間は掛からなかった。 今ではれいむがつがいを持つ事はほとんどない。 ちなみにれいむ種同士でつがいになる事も絶対にない。 つがいになればどちらかが父親となって狩りをしなければならないがれいむ種の性格上、そんなことは絶対にしたくないからだ。 仮につがいになってもどちらが母親になるかで醜い言い争いをした末に数分で別れてしまうのだ。 こんなゲスとつがいになるのは今回のまりさのような変わり者だけだ。 「まりさがまちがっていたよ!こんなクズとつがいになるべきじゃなかったね!でもまりさはれいむとわかれないよ!」 「ゆ?ゆふふふふ!そうだね!かわいいれいむとわかれるなんてゆっくりできないもんね!そうとわかったらあまあまを……」 また訳の分からん事を言い始めたれいむにまりさは思いっきり体当たりをする。 「いだいぃぃぃぃぃ!!!どぼじでぇぇぇぇぇ!?どぼじでこんなことするのぉぉぉぉぉぉ!?」 「れいむといっしょにゆっくりするときめたのはまりさだかられいむがしぬまでずっといっしょにいるよ!それがまりさのつみだよ!」 「なにいってるのぉぉぉぉ!?つみってなんなのぉぉぉぉぉ!?いいかられいむにやさしくしてねぇぇぇぇぇ!!!」 「なにいってるの?まりさはただれいむがしぬまでいっしょにいるっていっただけだよ?だれもやさしくするなんていってないよ?」 「ゆゆぅぅぅぅぅ!?」 「これからはれいむはまりさの「おもちゃ」としてしぬまであそんであげるよ!れいむがおちびをどうぐあつかいしたみたいにね!」 「なにわけのわからないこといってるのぉぉぉぉ!?れいむはおもちゃじゃないよぉぉぉぉ!?ゆっくりりかいしてねぇぇぇ!!」 「まりさがそうきめたんだかられいむはおもちゃなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 あれから数日が経った。 「ようこそ!ここがまりさのゆっくりぷれいすだよ!」 「「ゆっくりおじゃまするよ!」」 まりさのおうちに親友のちぇんとみょんが遊びに来た。 この2匹は幼い頃から一緒に遊んでいた仲間だ。 「さいきんちょっとげんきなかったからしんぱいしてたけどもうだいじょうぶみたいだねー」 「しんぱいしてくれてありがとう!でもまりさはだいじょうぶだよ!」 「で、まりさがげんきをなくしたげんいんをつくったげすはどこにいるんだみょん?」 「おくのほうにおいてあるよ!きょうはまだおもちゃであそんでないからいっぱいあそんでいってね!」 「わかったよー」 「りょうかいだみょん」 3匹が巣の奥へ進むとそこには全身傷だらけのれいむが横たわっていた。 逃げられないように底部がズタズタにされて動けなくされた惨めな姿を晒している。 「ゆひぃ!!!やめてぇ!かわいいれいむにこれいじょうひどいことしないでぇぇぇぇ!!!」 3匹を視界に捉えるとれいむは怯えた声で必死に許しを請う。 「みじめなんだねー、わかるよー」 「ほんとにれいむはすくいようのないクズだみょん!」 みじめなれいむの姿に軽蔑の視線を向ける2匹。 先ほどこれまでの経緯をまりさから説明されたのでれいむに対する同情などの感情は一切無い。 「だからみょんはいったんだみょん、れいむなんかといっしょになるなと」 「ゆっくりはんせいしてるよ」 実は2匹はまりさがれいむとつがいになると聞かされた時に断固反対したのだ。 れいむのゲスっぷりは2匹も当然知っていたから。 だがその当時はれいむはまだ優しく献身的なゆっくりを装っていた。 まりさもこのれいむなら大丈夫だと2匹を何とか説得しつがいになったのだ。 それに2匹もまりさの幸せそうな顔を見ると無理にれいむから引き離す事も出来なかった。 だが結局こうなった。 2匹は恨まれてもいいから無理やりれいむから引き離すべきだったと反省した。 「きにしてないからそんなかおしないでね」 2匹の心情を理解したまりさはそう言った。 「それよりもいまはおもちゃでいっぱいたのしんでいってね!」 まりさの言葉に2匹は気持ちを切り替えれいむに向き直った。 「そうだね、せっかくまりさがよういしてくれたおもちゃなんだからあそばないともったいないんだねー」 「ゆふふ、みょんのあそびかたはちょっとあらっぽいからおもちゃをこわさないようにしないとだみょん!」 れいむににじり寄る2匹。 その顔はおもちゃで遊べるワクワク感とまりさに苦労をかけさせたれいむへの怒りが混じっていた。 「やめてね……!やめてね……!れいむはかわいいんだよ?いじめないでね?おねが……」 ボゴォ!!! れいむの懇願を無視する2匹は同時に体当たりを食らわせる。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!でいぶのおべべがぁぁぁぁぁぁ!!!いだいぃぃぃぃぃ!!!ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 これまで受けた苦痛とは比べ物にならない激痛を受けてれいむは悶絶した。 あまりの衝撃にれいむの片目が潰れ視界が半分になってしまう。 「おっと、やりすぎたんだみょん」 「これでもてかげんしたんだけどねー、やっぱりれいむはもろいんだねー、わかるよー」 れいむが弱いというのもあるがそれでも2匹は強かった。 ちぇんとみょんは運動神経に優れておりまりさが駆けっこや狩りで勝った事は一度も無かったのだ。 それでも2匹はまりさを見下さず同じ仲間としてまりさに接してきた。 当然だ、それがゆっくりするということだからだ。 「ごめんねー、おもちゃをちょっとこわしちゃったよー」 「きにしないでね!あそんでいればおもちゃはこわれるものだよ!だからえんりょしないであそんでね!」 「まりさはあそばないのかだみょん?」 「まりさはいつもあそんでるからきょうはちぇんとみょんがあそんでるのをみてゆっくりするよ!」 「それならえんりょなくあそぶよー」 「まりさはやさしいんだみょん」 2匹は顔を見合わせ何やら呟くと悶絶しているれいむの横に立つ。 そして 「ゆゆ!?やめてねぇぇぇぇ!!れいむのもみあげさんにさわらないでねぇぇぇぇぇ!!!」 2匹がもみあげを咥えるとれいむは必死に抵抗を試みる。 大切なもみあげに触れられた嫌悪感もあるのだがそれ以上にこれから何をされるのか愚かなれいむでも理解出来たから。 2匹はそんなれいむの様子に満足そうな笑みを浮かべると一気にもみあげを引きちぎった。 「ゆがぁぁぁぁぁぁ!!でいぶのぉぉぉぉぉ!?でいぶのさらさらでつやつやでかわいくてびゅーちふるなもみあげさんがぁぁぁぁ!!」 れいむ種にとってもみあげは命とも言えるほど大切なものだ。 感情を表現するときなどは大抵もみあげをぴこぴこ動かしたりするし手のように物を掴んだりも出来る。 生きていく上でも自分がゆっくりするためにもこれは必要不可欠なものなのだ。 それを失ったれいむの悲しみと損失感は想像を絶するものだろう。 「どぼじでこんなごどずるのぉぉぉぉぉぉ!?でいぶなにもわるいごどじでないのにぃぃぃぃぃ!!」 れいむの絶叫にまりさは答える。 「れいむはおもちゃなんだよ、ゆっくりりかいしてね!」 「でいぶはおもちゃじゃないぃぃぃぃぃ!!かわいくてとってもゆっくりしたゆっくりだよぉぉぉぉぉ!!」 「れいむがゆっくりしたゆっくり?ゆぷぷ!あたまがおはなばたけなの?」 ちぇんとみょんが手加減してれいむに暴行を加えているのをニヤニヤしながら見守りつつまりさはれいむに語る。 「おうたもへた、こそだてもへた、かりもへた、せいかくもさいあく、どうしようもないクズゆっくりだね!」 「ゆんぎぃぃぃぃぃぃぃ!!でいぶはしんぐるまざーなんだぞぉぉぉぉぉ!!やさしくしろぉぉぉぉぉ!!」 「しんぐるまざーのいみ、わかってる?それともあんこのうだからいみもしらずにてきとうにつかってるだけなの?」 「いだいぃぃぃぃぃ!!でいぶのかみのけさんむしらないでぇぇぇぇぇ!!」 「まりさのしつもんにこたえてね!かみのけをとられたくらいでわめかないでね!」 「でいぶはただゆっくりしたいだけなのぉぉぉぉぉぉ!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 「ゆんぎぃぃぃぃえぇぇぇぇあああああああ!!!」 こうしてれいむは死ぬまでまりさのおもちゃとしてのゆん生を満喫した。 これまで自分がゆっくりした分、今度はまりさをゆっくりさせるためにその身を捧げたのである。 -------------------------------------------- 今まで書いたもの anko1949 まりさと図書館でゆっくり1 anko1875 幽々子のゆっくりいじめ anko1838 まりさつむりはゆっくりできない
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692 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 20 57 28.59 ID m+GTQ+g+O では旧SW時代の困話でも ファーランドでキャンペーンでやってたんだけど、終盤辺りで魔神と戦うことになったんだ ただまともにぶつかるときついってことで弱点を探したり勢力を削ったり、って仕事が必要になったんだけど、 最後の仕事として「魔殺しの大剣」を持ち帰ることを王様に命じられる なんでも数年前に引退したファーランド最強の戦士が使っていたらしいが、戦士は引退後行方不明とのこと。 ならせめて魔剣だけでも確保したいらしい。 僅かな手がかりを頼りに出立したところ、行方不明の割に思ったより簡単にその戦士を発見。 ただ戦士はもう戦いをやめたとのことで、剣を持ち帰れるなら持ち帰ってよいとのことに。 大剣ってことなんで、パーティー最大筋力を誇る戦士に華を持たせるための武器なのかと思ってたんだけど 実物をみると脅威の必要筋力30という人外の武器だった。 途方に暮れるPC達に対してGMがにこやかに言った 「ここで戦士を説得できないと冒険失敗だから頑張ってね」 という台詞が印象的だった。 基本的に自分が最年少で日々、勉強の立場の鳥取だったので そういうのも反面教師にして今に至るって昔話でした 693 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 03 44.27 ID nk1pkzpt0 692 優しいな。戦士PL事故に見せかけて殺して再成長で筋力30まで注ぎこむぐらいやって見せろよw 694 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 04 05.56 ID +4Ojk5Lg0 692 困かそれ?戦士の説得が必要ってちゃんと言ってくれてるし。 もっと酷いのだと失敗して全滅した後から「あそこで説得しとけば~」とかネタばらしすると思う。 695 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 15 33.33 ID z8Z8ttQ50 694 ここからNPC無双に持ってったんじゃない? 696 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 29 32.27 ID DFwB6bJ/0 これだけならどこか困なのかさっぱりだな 多分この後NPC無双に持って行ったんだろうけど そうでなければ失敗条件を明示しただけだし 697 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 30 18.06 ID x5FklwVW0 その「説得」がどの程度適切なものだったかによるかな 脳内当て失敗→シナリオ失敗orNPC無双後GM説教は困のお約束みたいなもんだし 698 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 37 11.99 ID nL/Qp5ai0 困ったちゃんとはちょっと違うけど 困るマスタリングではあるかもな 699 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 38 56.01 ID 3GoGTfe70 696 交渉系の技能のない旧SWで説得って、 マスターを口プロレスで負かせって事だろう。 十分困ったちゃんの要件を満たしているぞ、小物だが。 700 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 45 20.49 ID PQQQ0ori0 692 『剣は持ち帰ってきました、使い手は別途確保してください』 ではダメだったのだろうか てか、説得成功したところで最終回NPC無双なだけだな 701 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 49 08.35 ID nk1pkzpt0 700 上でも指摘されてるけど交渉のルールがないことに加えて、人間キャラの筋力は基本24が +6修正かけてる時点でじゅうぶん困かと、ただ昔のファーランド設定は卓囲んだのが悪い レベルでいろいろ出鱈目あったからな 702 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 55 41.83 ID DFwB6bJ/0 交渉のルールが無くてもそれまでに十分にヒントさえ出してれば問題は無いと思う その魔剣も元々PCに使わせる気が無いイベントアイテムと考えれば必要筋力30あっても問題ない 問題なのはその2つの複合でどう行ってもNPC無双にしか思えない展開だよな…… NPC無双に行かない展開を無理やり考えるなら PCが別行動している間に城が魔神の強襲に会う →その戦士が戦ってちょうどやられる所でPCが到着 →戦士に後を託されて戦士のつけた傷で弱体化している魔神と戦闘 ぐらいしか思いうかばねぇ 703 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 56 01.53 ID SqvkwThbP フィジカルエンチャントで+6できるから筋力24なら大丈夫なんじゃね? 704 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 21 58 40.57 ID z8Z8ttQ50 魔剣の必要筋力落とすだけで解決なのに何故しないのか 705 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 22 11 25.20 ID nL/Qp5ai0 アレクラストでは人間の(素の)限界を超えたサイズの巨大な魔剣など存在しない、んだっけな 古代魔法帝国の魔法使いが蛮族に持たせるために作ったものだから、人間に持てない魔剣なんぞ作る価値がないとかなんとか 706 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 22 31 51.48 ID MqSnm36aO その剣士、傭兵団の切り込み隊長やっていて 片手が義手で大砲仕込んでそうだな 707 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 22 34 27.06 ID nk1pkzpt0 705 人間の筋力限界超えた魔剣作る?何を馬鹿なことを巨人奴隷用の装備作ろうか の世界だからなwそもそも魔道士たちが魔神相手に剣では白兵戦やろうと考えるとは思えん 魔神の魂封じて扱いやすいもの作ったら剣になりましたならともかく 709 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/30(日) 22 37 22.49 ID nk1pkzpt0 フォースの力で振るうんだなw似たネタやらかされたよ 710 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 00 13 10.90 ID FZwZ4Edz0 708 SWPCに、光の剣とかあったのうw 711 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 04 44 13.05 ID 04TMfNak0 SWの略が違うわっw 712 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 06 43 12.81 ID xHyExcgG0 701 人間キャラの筋力は基本24 人間キャラの筋力は2D6+2D6だから平均14上限24だろ。 戦士を志すようなキャラなら平均以上の筋力を生まれ持っているだろうから 人間戦士の筋力平均は14より高いが、それでも18あれば恩の字ってレベルだ。 一応経験点を消費して筋力(能力値)を増やすルールもあるが、莫大な経験点が必要になる (人間キャラが筋力を18から30に増やすのに必要なのは36,000点。 LV7戦士がLV10戦士(LV上限は10)になるまでに必要な経験点と同じ)。 716 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 08 09 23.46 ID 87fkd6Dd0 そういえばスチャラカでミノタウロスが振り回してた斧は 筋力30くらいとされてたけど どこの誰がなんのために作成したんだろう 717 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 08 22 25.50 ID 0j+caqOMP ミノタウロスの斧は誰が作るのかはミノタウロス語とともにフォーセリア世界の謎です 718 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 08 29 35.81 ID nBNZDCnq0 >必要筋力30の斧 ああ、確かイリーナントカって人が注文してたよ。 719 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 08 38 29.66 ID +nLgzdUx0 知る限りリプレイ中唯一経験値消費による能力値アップで人類の限界を突破したんだっけ。 722 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 12 47 10.54 ID xHyExcgG0 692 依頼内容(剣を持ち帰る)とシナリオクリア条件(説得)が合致していない、 ってのはPLの立場から見るとモニョる元なだけだよなあ。 725 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 17 15 15.60 ID i32fLdWq0 依頼内容(剣を持ち帰る)とシナリオクリア条件(剣を持ち帰るためにNPCを説得する)は合致してるように思えるんだが PLを困らせる要素はあったのかもしれんが 692の報告だけだとなにが困なのかわからんな 727 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 17 33 03.69 ID uHoeyHPeP 依頼内容って「行方不明の戦士がいてほしいけど剣だけでも見つけてほしい」じゃないの? 729 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 17 52 00.08 ID i32fLdWq0 でかい剣の所有者が戦士だから「説得」がクリア条件だと解釈したんだがちがうのか 730 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 17 54 34.28 ID +kJtTc1o0 ただ戦士はもう戦いをやめたとのことで、剣を持ち帰れるなら持ち帰ってよいとのことに。 報告にこうある …もしかしてこのGM、必要筋力30を持ち運びするのに必要な筋力30って裁定してね? 731 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 17 55 53.33 ID +kJtTc1o0 連投失礼 727 「依頼主の言外の意図を汲め」ってのは立派な困要件だと思う 732 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 18 04 12.02 ID KROyTyBi0 え、俺は 「凄い剣ですごい魔神倒せるヤッター!」(依頼人知ってる情報) 「使い手は固定されています」(依頼人が知らない情報) 「どっちにしろ魔神倒さないとやだー!」(PCの目的) 「剣は使い手とセットだった。仕事させる気にならないと依頼人が負けるよ」(GMの一ひねり) なんじゃないかと思ったんだが っていうか「弱点を探したり勢力を削ったり」のためのクエストなんだな。じゃあまあ剣士が凄い働きしてもいいのか。 (決戦の背景で軍勢をばったばったしてる戦士を思い浮かべつつ) 735 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 18 26 45.23 ID 4LD9lbcJ0 「戦士説得しないと失敗」と明言してるのが下手かな。 (なんだ、うちらの戦士が魔剣使える訳じゃないのかよ)とか (任務成功したら、NPC無双を眺めなきゃいけないのかよ)とか PCにミッション成功以外の利点が見えないし。 742 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/10/01(月) 19 25 09.76 ID biikbMAY0 「最後の仕事として」剣探しが有った訳だろ? NPC無双すら無かったんじゃないか? 剣探してきましたね、戦士いますね じゃあ君たちに頼むような事はもうありませんね。 世界は救われました。おめでとう とかで、最終局面に立ち会ってすらいない可能性 スレ338