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ネウ子「お姉ちゃん」トテトテ バルクホルン「だから私はお姉ちゃんではない!」 ネウ子「キュー…」シュン エーリカ「おーよしよし、怖かったねぇ。お姉ちゃん!妹には優しくしなきゃ!」 バルクホルン「誰がお姉ちゃんか!」 <ワーワーギャーギャー 俺「……」 エイラ「ドーシタ?遠い目して」 俺「…いや……エフィが大尉に懐くのは良いことなんだけど…なんか釈然としなくて」 エイラ(娘を嫁に取られた父親状態ダ…) エフィと俺は、兄妹というより親子なんじゃ? そんな風に思い始めた、今日この頃であります 第三話 "Sister EFFY Trouble of Jet Striker" ネウ子「………キュゥ」 珍しくエフィがため息(?)をつく エイラ「エフィどうしたんダ?」 俺「どうやら、バルクホルン大尉絡みで何かあったらしい」 エイラ「そういや、晩御飯もあんま食べてなかったナ、大尉」 先日届いたジェットストライカー、その試験を、大尉が受け持つことになったのだが、 ジェットを履いて以来、どうにも大尉の元気がない 慣れないものを履いて、疲れているだけだ、と本人は言っているが、あれは疲労というより衰弱だ それで、エフィは大尉のことを心配しているようだ エイラ「そんなに心配カ?」 エフィ「」コクコク 俺「大尉には俺の次に懐いてるしな」 エイラ「まぁ、多分平気だと思うゾ?」 エフィ「キュー」 翌日、エフィの心配は、現実のものとなる 翌日 基地滑走路先端 上空では、昨日と同じく、シャーリーとバルクホルンがP-51対Me262を繰り広げている ルッキーニ「よーいっ……ドーンッ!」 ルッキーニがフラッグをふり、スピード勝負が始まった エイラ「どっちが勝つと思う?」 俺「ジェットのカタログスペックはお前も見たろ?ありゃ確実に……って、バルクホルン動いてないぞ?」 エイラ「あれ?ホントだ」 ネウ子「なんで…?」 シャーリーはとっくにスタートしているのに、バルクホルンはスタート位置から動いていなかった ルッキーニ「あれ?バルクホルンー。ドーンッ!だってば、ドーンッ!」 バルクホルン「……――っ!」キィィィン! ルッキーニ「うにゃぁっ!」ブゥゥン! 大尉が急発進し、その衝撃波でルッキーニが流される エイラ「……はやっ!」 俺「すげぇ…」 静止していたのは、暖機のためか、ハンデなのか… バルクホルンはあっという間にシャーリーを追い越してしまった エイラ「スピード勝負もバルクホルンの勝ちダナ」 俺「ストライカーも世代交代の時代………ん?何か様子がおかしいぞ?」 バルクホルンが、不自然な軌道を描き、降下……いや、落下していく! エイラ「あれ、まずくないか…?」 ネウ子「お姉ちゃん…!」キィィン!ビュォォン!! 俺「え?、あ、おい!エフィ!?」 エフィが脚部をネウロイユニットに変形し、滑走路から飛び立った ジェットストライカー並みのスピードで、エフィはバルクホルン大尉に近づいていく ネウ子「間に合って…」ビュォォン!! なんとか、ギリギリ、海面スレスレのところでバルクホルンをキャッチし、上昇する ネウ子「よかった…」 バルクホルン「……」 大尉の耳からインカムをとり、自分の耳に付ける ネウ子「聞こえる?」 俺『エフィ!大尉は!?』 ネウ子「気を、失ってる。でも、外傷は、ない」 俺『今すぐ降りて来い!医務室に運ぶ』 ネウ子「わかった」 バルクホルン「……」 ネウ子「お姉ちゃん…」 501基地 医務室 バルクホルン「…………ん…?」 エーリカ「あ、起きた」 バルクホルン「…どうしたみんな?私の顔に、何かついているのか?」 ネウ子「お姉ちゃん…」ガバッ バルクホルン「うぉい!ちょっと、抱きつくな!///」 エーリカ「トゥルーデ海に落っこったんだよ」 バルクホルン「私が…落ちただと!?」 俺「正確には、落ちかけた。海面スレスレでエフィが助けたんだ」 バルクホルン「こいつが…」 ネウ子「キュゥ…」 ミーナ「飛行中に魔法力を使い果たして、落ちたのよ。覚えてない?」 バルクホルン「馬鹿な!私がそんな初歩的なミスをするはずがない!」 ネウ子「あなたの、せいじゃ、ない…」 バルクホルン「は?」 俺「おそらく、あのジェットストライカーでしょう。今、整備兵が中身を弄ってます」 バルクホルン「試作機に問題は付き物だ。あのストライカーは素晴らしい。早く実践化するために、まだまだテストを続けなければ…」 手をきつく握り締め、決意を固める ネウ子「ダメ…」 その手をエフィが握る ネウ子「危険、すぎる…」 ミーナ「彼女の言う通りよ…バルクホルン大尉、あなたには当分の間、飛行停止と自室待機を命じます」 バルクホルン「ミーナ…っ!」 ミーナ「これは命令です」 バルクホルン「………了解」 ハンガー 俺「どうだ?なんか分かったか?」 整備兵「いえ、まったく…特に問題は見当たらないんです…」 俺「そうか…」 整備兵「…はぁ、久々に会ったと思ったら、いきなり『こいつの調子を見てくれ』なんて言うんですから…驚きましたよ」 俺「はっはっ…すまん。ブリタニア以来か」 整備兵「ええ、お久しぶりです。また、あなたのユニット、いじらせてもらいますよ」 俺「よろしく頼む」 整備兵「と、それはそれとして…こいつどうすっかな…」 俺「安全に飛ばせる限度、とかってあるのか?」 整備兵「搭乗ウィッチの意識が保てる限度、って意味では、五分ですね」 俺「性能は魅力的なのにな…」 整備兵「まったくです…あ、使用済み魔道エンジン洗浄液が結構な量貯まってるんで、持ってってください」 俺「おお、ありがとう」 整備兵「いえ、処分費用がかからなくて助かってます……ところで、ユーティライネン中尉とはそのあと…?」チラッ 俺「ニヤつきながら振り返るな、気持ち悪い……告白したよ、経緯は聞くな」 整備兵「お~、そりゃよかった。管制官が聞いて喜びそうだ」 俺「管制?ウッティ基地の管制官のことか?なんでお前が知ってるんだ?」 整備兵「彼もここに転属になったんですよ。挨拶まわりのときに知り合って」 俺「な~るん……あとで会ってみるか」 整備兵「で?告白のあと、どこまで行きました?た?」ニヤニヤ 俺「お前もたまには街に出て、良い女引っ掻き回して来いよ」 整備兵「残念。故郷に婚約者がいるんです」 俺「その人に手紙でも送ってやんな」 整備兵「毎月送ってます。さて、もうちょっとこいつをいじってみますか」 俺「頼む」 整備兵「では、また」 翌日 バルクホルン・エーリカの部屋 バルクホルン「ふんっ……ふんっ……ふぬっ……」 宮藤「あの、バルクホルンさん…」 リーネ「何、やってるんですか?」 食事を運びに来た二人が見たのは、部屋の梁に手を掛け、片手懸垂をしている上官だった バルクホルン「トレーニングだ…フンッ…私が落ちたのは、ジェットストライカーのせいではない。私の力が、足りなかったからだ…」 宮藤「へ?またあれで飛ぶつもりですか!?」 バルクホルン「当然だ。あのストライカーを使いこなすことができれば、戦局は変わる…フンッ」 シャーリー「無駄だ。あきらめろ」 部屋の入り口から、一人と一匹(?)が顔を出した 宮藤「シャーリーさん!エフィちゃんも!」 ネウ子「キュー」 バルクホルン「私を笑いに来たのか、リベリアン?魔法力切れで墜落など、まるで新兵だからな」 ネウ子「あのストライカーは、危険…」 バルクホルン「危険だと?戦場に身を置きながら、危険とは片腹痛い」 シャーリー「エフィの言うとおりだ。あのストライカーはマジでやばいんだ。飛べなくなるだけじゃすまないぞ」 バルクホルン「ジェットストライカーの戦闘能力の高さは、お前も十分分かっているはずだ。このくらいの危険など…」 シャーリー「だったら死んでも良いのか!?」 宮・リ「え!?」 バルクホルン「私は、もっと強くならねばならないんだ…フンッ…」 ネウ子「あなたの、戦い方は、身を滅ぼす……あなたは、焦っているだけ」 バルクホルン「ふっ…魔力がないネウロイには、わからんだろうさ…」 ネウ子「…」 シャーリー「この分からず屋!」 <ウゥゥゥゥゥゥ!! 敵の襲撃を知らせる警報が基地内に響き渡る エーリカ「あ、ネウロイだ」 ごみの山から、寝巻き(というか下着)姿のエーリカが現れる リーネ「ハルトマンさん!」 宮藤「居たんですか!?」 エーリカ「うん……お先!」タッタッタ 軍服の上着をはおり、ハンガーへ向かう シャーリー「……っ」タッタッタ こちらは黙って出て行く 宮藤「あ、ちょっとシャーリーさん!」タッタッタ リーネ「芳佳ちゃん!私たちは司令室で待機だよ!」タッタッタ 二人も出て行き、部屋には、 バルクホルン「…フンッ…フンッ…」 ネウ子「…」 この二人が残された バルクホルン「…どうした?お前も司令室で待機だろう?…早く行け」 ネウ子「…お姉ちゃん」 バルクホルン「私をお姉ちゃんと呼ぶな…フンッ…」 ネウ子「……あなたには、死んで欲しく、ない」 それだけ言って、エフィは部屋を出て行った バルクホルン「…」 懸垂を止め、床に下りる バルクホルン(私だって分かっている……魅せられたんだ、あのジェットの性能に…) 人間、一度上がると下がれない、というのはこのことか バルクホルン「…」 エーリカ「隙あーり!」 バルクホルン「うひゃぁ!?」 背後に突然エーリカが現れ、大尉の耳に何か付けた エーリカ「忘れ物だよ~、にゃはは~!」タッタッタ バルクホルン「……インカム?」 基地 司令室 <ガチャ、バタン 俺「中佐、状況は?」 ミーナ「敵が分裂、散開して迎撃に当たっているわ」 ネウ子「キュー」 俺「エフィ、今回の分裂型、何か特徴は?」 ネウ子「中央の、機が、一番速い。それ以外は、今まで通り」 俺「これ以上分裂したりしないよな?」 ネウ子「……するかも」 俺「…中佐、飛んでる連中に気をつけるよう言ってください」 上空 <キィィィン! シャーリー「あいつか…」ブォォン! ミーナ『全機聞いて、エフィさんによると、まだ分裂する可能性があるそうよ。油断しないで!』 坂本『分裂する前に落とせば良い!』ダダダダ シャーリー「了解!逃がすかぁっ!」ブィォォン! 敵の後ろを取り、BARの引き金を引く <ダダダダダダダ <キィィィン! シャーリー「あれ?」 敵はそのでかい体をちょこまかと動かし、華麗に弾幕を避ける そのまま一旦降下、反転し、シャーリーとヘッドオン状態になる シャーリー「お?やる気かぁ?そう来なくちゃ!」ブォォン! 再び敵の背後を取ろうと旋回するが、敵もビームを張りながら逃げる シャーリーはビームの合間を縫い、何とか攻撃するが、 <ダダダダダキィィィン! <バシュゥン!バシュゥン!キィィィン! ほとんど当たらない シャーリー「っ!じっとしてろよ…」 宿舎 シャーリー『ハァハァ…くっそぉ…』 その声をインカム越しに聞くものが一人 バルクホルン「…」 彼女だ バルクホルン(苦戦…しているのか?シャーリー…) 坂本『こちら坂本、シャーリーが苦戦しているようだが、こちらも手が足りない。至急増援を頼む!』 バルクホルン(何をしているんだ……増援だ?宮藤やリーネの足では間に合わん……――っ!) 気づいたときには、足がハンガーに向かっていた …あとでエフィになんて言われるかな 司令室 宮藤とリーネがハンガーに向かい、司令室には、俺、エフィ、ミーナがいる 俺「俺は出なくて良かったんですか?」 ミーナ「夜間哨戒のシフトに入ってもらってるから、今回は待機よ」 俺「…そういや、今夜はエイラと哨戒だったか……」 俺の魔法力は極端に微量。そのため、魔力の全回復が異様に速い しかし航続距離・戦闘可能時間は並のウィッチと変わらない なので、昼間の戦闘も夜間の哨戒もこなす、オールタイムウィッチということで、昼夜両方のシフトに入っている 俺(確かに魔力の回復は早いけど、体力のことも考えて欲しい……ねむっ) 向こうの世界にいた頃は、飲まず食わず寝ずで二日間戦闘に従事できたというのに…なまったな、俺 ネウ子「レーダーを見て!あれって…」 エフィが机の上のレーダー画面を指差す 味方を示す緑色の三角が、超高速で戦闘空域に接近していく 俺「このスピード…ジェットだ!」 ジェットに乗るやつなんて決まってる ミーナ「トゥルーデ!」 ネウ子「お姉ちゃん!」 バルクホルン『すまん二人とも、罰は後で受ける。でも今は…』 俺「五分だ!」 無線機のマイクに割り込む 俺「大尉、あなたの飛べる時間は五分だ!」 バルクホルン『ふっ…五分で十分!』グォォォン! 無線機越しでも、大尉が今、すごくいい顔をしてるのが分かった レーダーに目を移す ミーナ「!っ中心機がまた分裂した!」 ネウ子「やっぱり…」 二つに分かれた中心機は、シャーリーを挟むように展開する 俺「もうすぐ50mmカノン砲の射程です…」 バルクホルンの機影が、敵の中心機に接近する ネウ子「……」 俺(間に合ってくれ…) ミーナ「!」 シャーリーの後ろに回った機の機影が消え、 ネウ子「やった…!」 前にいた機も撃墜が確認された 滑走路 戦場から無事戻ってきたウィッチたちが着陸し、ユニットを外す 外されたユニットは発進機にセットされ、戦闘後のチェックが行われる ミーナ「おかえりなさい、皆」 俺「おかえり」 ネウ子「おかえりなさい」 三人が出迎える シャーリー「おう!ただいま!」 彼女の腕の中では、 バルクホルン「ん……」 母性の塊に顔をうずめながら、バルクホルンが眠っていた 中心機を撃破したあと、ジェットが暴走、大尉は気を失ってしまった シャーリーが超加速で追いついていなければ、最悪の結果となっていただろう ネウ子「お姉ちゃん…よかったぁ…」 無線越しにその一部始終を聞いていたエフィは、司令室の窓をぶち破って飛んで行こうとした エーリカ「トゥルーデの寝顔、けっこうかわいい」 それを俺が取り押さえ、中佐が説得している間に、バルクホルンは確保されていた ミーナ「シャーリーさん、トゥルーデを部屋まで運んであげて」 シャーリー「わかった」 ネウ子「私も行く…」トテトテ まさにトテトテといった感じで、シャーリーの後をついていった 俺「あんなに取り乱したエフィははじめて見た」 ミーナ「よっぽどトゥルーデのことが心配だったのね」 エーリカ「どう~?俺~?妹を他人に取られる気分は~?」ニヤニヤ 俺「エフィが俺以外に懐くのはいいことなんだけど…悲しいかな、どこかで寂しいと思ってる自分が居る」 ミーナ(妹、は否定しないのね…) エーリカ「正直でよろしい!でも、仕方のない事なんじゃない?親離れ子離れっていうし」 俺「おいおい、俺はエフィの父親じゃないぞ?」 エーリカ「え?違うの?」 俺「…おいっ!」 しばらくして、ハンガー エイラ「……」 サーニャ「……」 ジェット<ボロッ エイラ「…ネテイルアイダニイッタイナニガアッタンダ」 サーニャ「バラバラ…」 ネウ子「キュゥ…」 スクラップと化したジェットを、物欲しそうな目で見つめるエフィ 俺「…食べちゃダメだぞ?」 ネウ子「食べないよ!」 …どうだか ペリーヌ「ホント、人騒がせなストライカーでしたわ」 ミーナ「それと、使う人間もね」 バルクホルン「」ピクッ ジャガイモの皮をむく手が一瞬止まる シャーリー「おかげでネウロイも倒せたんだ、大目に見てくれよ」 ミーナ「規則は規則です!」 ハルトマン「皆さん、このたびはお騒がせしました」 バルクホルン「? なぜお前が謝る」 シャーリー「ハルトマンのせいじゃないだろ?」 ハルトマン「あ、いえ、私は…」 そこに宮藤たちが夕飯を運んできた 宮藤「はい、ハルトマンさんもどうぞ」 ハルトマン「いただきます」 宮藤「あれ?メガネなんてしてましたっけ?」 ハルトマン「はい、ずっと「うわ、おいしそう」」 宮藤「あ、こっちのハルトマンさんもどうぞ…って、え!?」 俺「ん?」 ネウ子「キュ?」 天使が…二人……? ウルスラ「お久しぶりです、姉さま」 エーリカ「あれ?ウルスラ?」モグモグ ミーナ「こちらはウルスラ・ハルトマン中尉。エーリカ・ハルトマン中尉の双子の妹よ」 一同「妹!?」 ネウ子「…キュー」 …あの人から妹の何たるかを学ぼうとするなよ?お前はそのままが良いんだ ミーナ「彼女はジェットストライカーの開発スタッフの一人なの」 ウルスラ「バルクホルン大尉、この度はお騒がせしました。どうやらジェットストライカーには、致命的な欠陥があったようです」 バルクホルン「まぁ、試作機にトラブルは付き物だ。それより、壊してしまってすまなかったな」 ウルスラ「いえ、大尉がご無事で何よりでした」 ネウ子「」コクコク バルクホルン「……お前にも心配かけたな」 ネウ子「キュ」 バルクホルン「………ふっ」ニコッ 俺「スクラップになったジェットはどうなるんです?」 ウルスラ「この子は、本国に持って帰ります」 俺「ずいぶん、思い入れがあるんですね…」 ウルスラ「ええ……それと、お詫びといっては何ですが、ジャガイモを置いていきます」 外にあったコンテナはじゃがいもだったのか… ペリーヌ「まったこんなに…」 しばらくはイモ料理が続きそうだ その夜… バルクホルン「……」ショリショリ 無言で芋の皮むきを続ける大尉 ネウ子「……お姉ちゃん?」 エフィが大尉に近づいていった バルクホルン「ん?どうした、こんな時間に」 ネウ子「なんか、寝付けなくて…」 バルクホルン「意外だな、ネウロイでも寝つきの悪い夜があるのか」 ネウ子「彼が、夜間哨戒、だから…ちょっと、寂しくて…」 バルクホルン「なるほど」 微笑ましい理由じゃないか ネウ子「しばらく、居ても、良い?」 バルクホルン「構わんぞ」 ネウ子「ありがとう…」 エフィは椅子を引き、大尉の横に座る ネウ子「あと、どれくらい?」 バルクホルン「あれだけだ」 ナイフの先端で木箱を指す。中には結構な量のジャガイモが入っていた ネウ子「手伝う…」スッ バルクホルン「よせ、これは私の懲罰だ、私が甘んじて受ける」 ジャガイモを取ろうとしたエフィを、大尉が制止する ネウ子「手伝わせて。お姉ちゃん」 バルクホルン「…」ストン…ショリショリ 椅子に座りなおし、黙々と皮をむく エフィは、 ネウ子「」ビィィム 左手でジャガイモを持ち、ネウロイ化させた右手から低出力・高精度のビームを出し、皮をむく バルクホルン(…器用だな) ネウ子「…ごめんなさい」 バルクホルン「?」 ネウ子「異変に、気づいて、いたのに……力ずくでも、止める、べきだった」 バルクホルン「…お前に非はない。私が決めて、私が乗った。それだけだ」 ネウ子「…あなたは、強い」 バルクホルン「いや、私はまだ弱い。もっと強くならねばならない」 言っていることは自室待機の時と変わらないが、その言葉に焦りはなく、純粋な決意で満ちていた ネウ子「よかった…元の、お姉ちゃんに、戻った、みたい」 バルクホルン「私だっていつまでも馬鹿じゃない……って、どうした?驚いた顔をして」 ネウ子「だって、お姉ちゃんって呼んでも、怒らないから…」 バルクホルン「あ、それは…その…………………ぞ」 ネウ子「キュ?」 バルクホルン「だから、……んと……も……ぞ」 ネウ子「………キュ?」 バルクホルン「ダァァ!だから!お姉ちゃんと呼んでもいいぞって言ったんだ!///三度も言わすな!///」 ネウ子「!?」 いきなりの大声にびっくりするも、 ネウ子「…ありが、とう……お姉ちゃん///」 顔を赤らめながらお礼を言う バルクホルン「///」 その後、皮むきははかどったとかはかどらなかったとか ―次回予告― サーニャ(二人ともヘタレだし…) 俺「ちゅ、中佐?笑顔が、笑顔が怖いです…」 エイラ「サ、サーニャ?ミヤフジ?目が、目が怖い…」 エイラ(私今、下着だし…) 俺「……あれ?エフィ!どこ行った!?」 ネウ子「…驚いた?」シュゥゥ サーニャ「新しいお友達ができて」ニコッ
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アギト「変身」 異世界女「じゃいくよ」 ネウ俺「来るぞ」チャキ ナイト「ああ」 異世界「・・・・」 異世界「おいナイト。今次元の扉を開けてやる。だからお前達は元の世界へ帰れ」 ナイト「なに!?ここまできてか!」 169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/12/03(金) 16 48 36.84 ID z31Ytx+lP なんかまた増えてきたwww 170 :前1[sage]:2010/12/03(金) 16 52 13.95 ID iVGbqLOf0 異世界「俺はここで死ぬかもしれない。だから今なんだ」 リフ「ふざけるなよ!」 異世界「この世界の人々はみんなお前達に感謝してるさ」 喉「お前は死なない!だからこの戦いの後にでも」 異世界「すまない。もう開けた。この世界のことはこの世界の住人に任せるんだ」 グォオオオオオオオオ ナイト「!?」 リフ「な、なんだ!?」 喉「体が吸い込まれて」 サンダー「くっ!」 ナイト「おい!任せたぞ!お前ら必ずこの世界を!」 シュパ アイス「消えた・・・」 異世界「すまない・・・」 異世界女「もういいですか?」 異世界「ああ。覚悟はいいか?」 ナックル「待ってくれ!」 ネウ俺「ん?」 ナックル「あ、あの緑の相手は俺がする」 ナックル「みんなは早くこの戦いを終わらせて来てくれ・・・」 アイス「大丈夫なんだな?」 ナックル「ああ、信じてくれ」 ネウ俺「わかった。ここは任せる」 ブゥーーーーーーーーーン アギト「行かせるか!」フォン ネウ俺「くっ!」 ドカッ アギト「くッ」 ナックル「お前の相手は俺だって言っただろ!」ブゥーーーン 異世界女「私もいるんですよ」 異世界「お前は俺だ!」 異世界女「また邪魔してー」 ナックル「今のうちに行けー」 アイス「わかってる!」 ブゥーーーーーーーーーーーン アギト「貴様も拳士か。いいだろう相手をしてやろう」 ナックル「こい!」 _______________________________ _____________________ ブゥーーーーーーーーーーン ネウ俺「よし、もうすぐだ」 アイス「OK」 槍「下からなにか来る!!」 ネウ俺「構えろ!またでかいのが来るぞ」 ザッパアアアアアアアン ネウロイ「ギュオオオオオオオオッ!!」 ビリビリ・・・ アイス「くっ・・・うるさい・・・」 槍「もうすぐなんだ・・・」 槍「邪魔をするなぁぁああッ!!」 槍「天槍‘ヒンメル・ランツェ’」 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン グシャッ パリィン 槍「はぁはぁ・・・」 ネウ俺「おどろいたな・・・あれを一撃でしとめるなんて」 槍「結構魔力を消費したけどね・・・」ハァハァ アイス「急ごう」 ネウ俺「ああ」 ロボ子X「マダデス。敵機反応アリ」 アイス「コアは破壊した。そんな筈はない」 ロボ子X「イエ、マダ反応ガ、アリマス」 槍「そんな!コアが再生している!?」 アイス「なにッ!?」クルッ ネウロイ「ギュオオオオオオオッ」ウネウネ ネウ俺「ははっ、クラーケンとでも名づけようか・・・」 ネウ俺「くだらないことを言ってる場合じゃないなさっさと片付けるぞ!」チャキン アイス「ああ」ピキピキ・・・ 槍「よし・・・」ブォン ブゥーーーーーーーーーーーーーン 槍・アイス・ネウ俺「ハァアアッ!!」 シャキンッ! シュパッ ザシュザシュザシュ クラーケン「ギュオオオオオオオオ」 ウネウネウネ・・・ アイス「だめだ」 槍「すぐに再生する!」 ロボ子X「ワタシニ、任セテ、クダサイ」 ロボ子X「フォトンブラスター起動、目標クラーケン」ピピッ バシュン! ボオオオオオオオオオオオオン バシュンバシュン! ボオオオオオオオオオン ボオオオオオオオン ロボ子X「胸部ミサイル発射」 シューーーーン シューーーーン ドガアアアアアアアアアアン ドガアアアアアアアアン アイス「やったか!?」 ネウ俺「いや、まだだ!」 槍「攻撃するたびに再生速度が速くなってないか!?」 クラーケン「ギュオオオオオオオ」ブゥン アイス「やつの触手が来るぞ!回避だ」 ヒュンヒュン バシャアアアアアアアアン ボタボタ・・・ ネウ俺「斬っても燃やしてもダメ、コアも再生する」 ネウ俺「いったいどうすりゃいいんだッ!」 アイス「!」 アイス「みんなは注意を惹きつけてくれ」 ネウ俺「どうする気だッ!?何か策があるのか?」 アイス「まぁ、俺に任せてくれ」 ネウ俺「いいだろう。行くぞ!」 槍「了解」 ロボ子X「ファンネル起動」チュンチュン クラーケン「ギュオオオオオ!」ブゥン 656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/12/06(月) 22 18 18.19 ID m7ROtULh0 ロボ娘万能すぎるwww 657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/12/06(月) 22 23 00.20 ID 6cQeaRno0 そろそろお腹から巨大ビーム砲とかぶっ放しそうww 658 :前1[sage]:2010/12/06(月) 22 24 51.28 ID kyhExVFc0 ドガアアアアアアアアン バシャアアアアアアン ヒュンヒュン ビッビッ アイス「・・・」ピキピキ・・・ チャキン アイス「はぁあああッ」 シャキン スパッ ドボオオオオオオン クラーケン「ギュオオオオオ」 アイス「ヤァッ!」 スパスパスパ ネウ俺「なんだ?ただ斬ってるだけじゃないか」 槍「いや!よくみろ!斬られた触手が再生していない!」 ネウ俺「なに?」 アイス「斬っても燃やしてもダメなら再生する前に凍らせればいい」 シャキン! アイス「勿論、コアもな!」シュバッ パリィン ピキピキピキ・・・ ドシャアアアアアアアアアアアアン アイス「ふぅ・・・」チャキ ネウ俺「考えたな」 アイス「しばらくは溶けないだろう」 アイス「はやく黒いコアを壊しにいこう」 槍「ああ!」 ブゥーーーーーーーーーーーーン ___________________ ____________ ______ 俺団Ⅲ29へ続く
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1945年,8月,ロマーニャ.海岸沿い ザザー...ザザー... 俺「・・・・・・来た!...あれ」 見事に餌を取られてしまった。 俺「10回目か・・・」 今日はあんまり食いついてくれないようだ。また同じように餌を付ける。 マルチナ「釣れてるの?」 俺「全然」 マルチナ「うーん・・・やっぱりあっちで釣った方が良いんじゃない?有名な釣りポイントだよ?」 彼女が指差す方向にはあの人型ネウロイ...ネウ子が居る。 俺が釣りに行くと聞いて一緒に行きたいと言い、今は荒れた岸壁で竿を握っていた。 俺「先客がいるじゃないですか。それに・・・」 俺「ルチアナが作ってくれた服を汚すわけにはいきませんから」 しかし不思議だ。ネウロイは水が苦手なはずだが... 多分人が火事場に集まるように、ネウ子も水を恐れながらも何か別の感情を抱いているんだろう。 マルチナ「そっちは釣れてるー?」 ネウ子「・・・」ブンブン 魚籠を持って振っている。動きからしてかなり釣れたようだ。 マルチナ「俺、ボロ負けだねー」 俺「だからいつから勝負に...」 竿が大きくしなる。会話から手先に意識を切り替え、慎重に、素早くリールを巻き上げた 俺「よしっ! 大物だ!」 マルチナ「おぉ...何十cmあるかな~」 俺「まぁ俺は大物を釣るのが得意なんで...」 釣った魚を持ち上げた瞬間、何かが俺の横を通り過ぎる。 気付いたときには魚はもう無かった。 見上げると赤く染まる空を悠々と飛び去っていく鳶の姿が。 マルチナ「美味しく頂かれたね・・・」 俺「・・・今日はアイツ、飯抜き決定」 ネウ子「・・・?」 ネウ子は首を傾げていたものの、すぐに釣りへと戻っている。 マルチナ「もうネウ子の監視、しなくて良いんじゃない?」 俺「確かにそうだけどなぁ」 此処に彼女が来て4ヶ月も経つんだよなぁ。 始めは情報を聞き出せれば良いと思ってたけど、結局皆と馴染んでしまったし... マルチナ「もしさ、ネウ子が出て行くって言ったらどうするの?」 俺「命令通りなら撃ち...殺さなきゃいけない」 俺「でも・・・まぁ俺は人間ですから。たまーにミスする事もあるってね」 俺「今日の皆の様子、どうだった?」 マルチナ「アンジーとパティはいつも通り病室。大将とジェーンはどっか行っちゃった」 マルチナ「隊長は書類見てすごい頭抱えてて、ルチアナと中島と天姫は夕食の支度中ー」 俺「じゃあそろそろ帰るか。運が無い日は寝るのが一番だ」 マルチナ「そうだねー・・・ネウ子ー!帰るよー!」 ネウ子「・・・」スタスタ こちらへとゆっくり歩いていくネウ子。一緒に基地への道をゆっくり歩いていく。 ネウ子「・・・」ボーッ 俺「どうしたんだ?」 彼女は西の空を見、太陽を指差す。 既に太陽は海へと沈みかけており、東の空は青紫へと変化していた。 マルチナ「綺麗、って言いたいの?」 ネウ子「・・・」コクコク ただ呆然と彼女は夕日を見続けている。一体何を考えているのだろうか。 今俺が言えるのは、少なくとも今の彼女に『人間と戦う』という意思が無い事くらいだろう。 ルチアナ「皆さん、お帰りなさいませ」 フェル「こんな所で道草食ってたのね」 目の前に二人の影が長く伸びている。迎えに来てくれたようだ。 俺「・・・来てくれたんですか。二人とも用事があったんじゃ?」 フェル「アレは適当にサインで済ませておいたわ。問題があれば貴方に任すわね~」 ルチアナ「もう済ませましたよ。今日は俺さんの好きなカレーです」 俺「そうですか・・・」 ルチアナ「...あの方、いつも見ていますよね。夕日を」 フェル「確かにいっつもベランダで立ってるわねぇ」 マルチナ「へぇ~。夕方に居なくなるのってそんな理由があったんだー」 俺「・・・そろそろ沈むぞ」 既に太陽は姿を山へと隠し、残った光が弱弱しく空を赤く照らすのみだ。 ルチアナ「早く帰りましょう、皆さん」 ネウ子「・・・」コクッ 俺達は一緒にまた基地へと歩き始める。 空の上には一番星が輝き始めていた...
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俺「ストライクウィッチーズだってね」 587-377 作者 パラレルワールド あらすじ 突然、2010年の東京に飛ばされてしまった宮藤。 そこで俺と出会い、短い時間だが一緒に過ごすことになる。 2人は打ち解けその生活を楽しんだが、ついに帰る方法が見つかった。 ところが俺まで飛ばされてしまい逆に宮藤の世界へ。 運よく使い魔と契約し、ウィッチとして認められた俺はストライクウィッチーズに入隊。 ビビリながらも何とか初戦をこなす。 エーリカや宮藤と一緒に帰省も済ませ、過ごしていたある日のこと。 予報もなくネウロイが現れる。 しかしそれは罠であり、俺は謎のネウロイと共に撃墜されてしまった。 第7話「私にできること」 俺「ん…」 俺「ここは…」 目が覚めると、俺の目には無機質な白い天井が映っていた。 俺「何でこんなとこ…ってそうだ!あの子は!」 俺のベッドの右側には、宮藤がもたれかかって寝ていた。 魔法力を使い果たしているようだ…頑張って治療してくれたのだろう。 588 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 38 11.23 ID zTYswDuo0 そして俺の左側には…見知らぬ美少女がもたれかかって寝ている。 長めの黒髪をベッドに散らし、スースーと寝息を立てている。 誰だろう…?少なくとも俺の記憶には見当たらない。 まあ起きてから聞いてみればいいか。 宮藤「ふぁ…お、俺さん!目が覚めたんですか!?」 俺「あぁ、おかげ様でね」 宮藤「よかった…わたし…このまま…」グス 俺「わかったわかった、大丈夫だから泣くな。」 安心するように、頭を撫でてやる。 宮藤「エヘヘ…そうですね、ほんとに良かったです」 俺「ところで、この人は誰か知ってる?」 宮藤「いえ、それが…」 その時、扉が開く音がした。 592 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 42 29.44 ID zTYswDuo0 ミーナ「あら、俺さん目が覚めたのね」 坂本「体に異常はないか?」 俺「はい、大丈夫です。」 ミーナ「ならみんなを呼びましょう、色々と相談もあるわ」 ――――――――――――――――――――――― 皆が集まり、謎の美少女も起きた。 ミーナ「まずは、俺さん。あなた撃墜されたことは覚えてる?」 俺「悔しいですけど…はい。」 ミーナ「この人はあなたを助けてくれたのよ?」 坂本「瀕死の俺を背負って海から出てきたんだ」 シャーリー「『この方を助けて下さい』ってな」 俺「あれ?ってことはもしかして…」 ゲルト「心当たりがあるのか?」 593 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 46 34.56 ID zTYswDuo0 俺「あの時一緒に落ちたネウロイか…?」 ネウ子「はい…そうなんです」 一同「「「「「ネ、ネウロイだって!?」」」」」 リーネ「まさかそんな…」 ペリーヌ「どこからどう見ても人間ですわ!」 ネウ子「騙してごめんなさい…でないとこの人を助けられなかったから…」 ミーナ「あなたは何者なの?攻撃の意思はないのね?」 俺「それについては俺からも話すよ」 そして俺は、あの時何があったかを説明した。 このネウロイについても。 坂本「そうか…しかし、そんなことになっていたとは」 宮藤「ネウ子ちゃんは、その姿は変えられるの?」 ゲルト「なんだそれ?」 宮藤「ネウロイの女の子だから、ネウ子ちゃんかなぁ…って」 奇遇だな宮藤、俺もそう思うぞ。 595 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 50 07.42 ID zTYswDuo0 ネウ子「人間の姿は…これだけなの」 リーネ「ネウロイの姿にも戻れるんですか?」 ネウ子「はい」グニャ ルッキーニ「まっくろだー」 ミーナ「とりあえず、あなたは人間の姿でいてください」 ネウ子「はい」グニャ 俺「でもよく助かったな…ネウ子が助けてくれたんだろ?どうやったんだ?」 ネウ子「いえ…それは…///」 口篭りながら、頬を染めるネウ子。 何この反応!? ネウ子「着水時の衝撃を和らげる為に…その…抱きしめて…///」 俺「そ、そうなのか。ありがとうな」 目の前で、しかも照れながら 美少女にこんなこと言われたらこっちだって嬉し恥ずかしくなる。 596 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 54 30.39 ID zTYswDuo0 宮藤「わ、私だってずっと介抱してたんですから!」 それに答えるように、ネウ子も言い返す。 ネウ子「私だって…がんばったもん…」 2人の視線が火花を散らしている。 このままでは…と思っていると、少佐が助け舟を出してくれた。 坂本「そこまでだ、まだ話の途中だから大人しく聞け」 宮・ネ「了解」ショボン そこからしばらく話し合いが行われた。 要約すると、こんな感じだ。 あのネウロイ(ネウ男)は相当強い ネウ男もネウ子もシールドが使えるのは、ウィッチの魔力も微量ながら吸収したから 姿は、ネウロイ時と人間時の2種類。 ネウ子は裏切り者として、追放された。 ネウ子は全面的に協力する代わりに、基地に置いておく ミーナ「全員、異論はないわね?」 ゲルト「まあ悪い奴ではなさそうだ」 シャーリー「大丈夫だろー」 エイラ「サーニャに近づくナヨ」ガルルルル 598 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 57 55.39 ID zTYswDuo0 反応はまちまちだが概ね良好だ。 俺も助けてもらったわけだしな… 坂本「さて、こんな時間だ。そろそろ夕食にしよう」 ――――――――――――――――――――――― 俺はずっと眠っていたせいか、腹が減ってたので食事を楽しみにしていた。 していたんだが… 宮藤「俺さん、納豆も健康にいいからどうぞ!あ、混ぜてあげますね?」グリグリ ネウ子「煮物も…栄養つくよ…?」 このピリピリした雰囲気は何なんだよ。 他の奴らの生暖かい視線が身体に刺さる。 ネウ子「まだ病み上がりだから…あーん…」 俺「じ、自分で食べれるからね?」 宮藤「ご飯のおかわりどうですか?あ、お茶も飲みますか?」 俺「いや、もうお腹いっぱいだから大丈夫だよ」 2人のバトル(?)にげんなりしていると、他の面々も会話に混ざる。 599 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 59 11.62 ID zTYswDuo0 シャーリー「モテる男は辛いねぇ」ニヤニヤ 俺「病み上がりだから、看病してもらってるだけだよ」 俺だって、それだけとは思ってないが自爆することもないだろう。 ミーナ「ネウ子さんは何故これだけ私達の味方をしてくれるの?」 ネウ子「私は…彼と違って…俺さんと芳佳ちゃんの魔力が多かったから…」 坂本「もう1人はそのリングの魔力を取り込んだわけか」 ネウ子「だから私は…俺さんや芳佳ちゃんの気持ちとか…知識とか…そういうのも得たの…」 シャーリー「なるほどねー、道理で俺が好かれるわけだ」 宮藤「ななな何を言ってるんですかシャーリーさん」 エイラ「隠してもバレバレダゾ」 サーニャ「芳佳ちゃんは嘘が下手だから…」 そんなことを言ってると、ルッキーニがとんでもないことを言い出した。 601 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 02 17.14 ID zTYswDuo0 ルッキーニ「じゃあ、さいしょーどーきんすればいいじゃん!」 俺「ぶっ、げほっ、…そ、それはマズいんじゃないかな…?」 ゲルト「なんだ、そのさいしょーどーきんという奴は」 シャーリー「…ルッキーニ、それをどこで?」 ルッキーニ「んとねー、整備兵のおっちゃんが居て、3人の事聞いたら」 「がっはっは、そりゃあお嬢ちゃん妻妾同衾すりゃ解決ってもんよ!」 ルッキーニ「って教えてくれたの」 シャーリー「よし、アイツだな…。それからルッキーニ、その言葉を忘れるんだ」 ルッキーニ「えーなんでー」 ミーナ「ルッキーニさんにはまだ早いわね」 エーリカ「案外いい解決法かもよー?」ニシシ 宮・ネ「そ、そんな破廉恥な///」 リーネ「全く同じ反応してるね…」 ペリーヌ「元が一緒ということですわね」 603 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 07 05.09 ID zTYswDuo0 賑やかなもんだよ本当。 というか整備兵のおっちゃん!それ解決になってないから! いや俺は大歓迎だけれども…って何言ってんだ… あと、多分シャーリーにこってり絞られると思うぞ。 ――――――――――――――――――――――― ――風呂 俺「あー、極楽極楽」ザバーン 俺「毎度毎度、これは癒されるねー」 傷にも沁みないようだし、と体を確認していると扉の開く音がした。 まさかこんな時間に入浴か!? とりあえず俺は反射的に岩陰に身を隠した。 ネウ子「俺さん…居ないんですか…?」チャポン 俺「ネウ子か?」 ネウ子「良かった…居たんですね」 俺「あぁ…だが何故風呂に」 ネウ子「俺さんの背中を…流そうと思って…」 これは驚いた。 しばらく動けないでいると、ネウ子が申し訳なさそうに聞いてきた。 604 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 12 46.26 ID zTYswDuo0 ネウ子「やっぱり…迷惑でしたか…?」 俺「いやいやいや、全然オッケーだよ」 ネウ子「そ、それではこちらに…」 俺まで緊張してきた… しかし見れば見るほど、ネウロイとは思えないな。 宮藤の魔力を取り込んだせいなのかも知れないが、髪は真っ黒、胸は控えめ。 綺麗なその黒髪が、少し肩にかかって扇情的に…って落ち着け俺! 俺「じゃあよろしく頼む」 ネウ子「これぐらいで…大丈夫?」ゴシゴシ 俺「でも何でいきなり風呂なんだ?」 ネウ子「扶桑には、裸の付き合いというものがあると…私の知識にありました…」 なるほど、知識や感情も受け継いだわけね。 ネウ子「一旦流しますね…」 ネウ子がそう言った時、突如扉の開く音がした。 先ほどとは違い、それは荒々しいものだった。 605 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 17 20.25 ID zTYswDuo0 宮藤「一体何をしてるんですかぁ!!」 ネウ子「俺さんは…怪我してたから…背中流してるだけ…」 宮藤「そ、それは私がしようと思ってたのに…」 ネウ子「早い者勝ち…」 宮藤「む~~、交代です!交代!」 ネウ子「ダメ…」 俺「喧嘩しないで、公平に。代わりばんこでね?」 ネウ子「ん…それで妥協する…」 宮藤「じゃあ私が右半分で、ネウ子ちゃんは左半分ね」 ネウ子「うん…」 しばらくして、お湯をかけて洗い流してくれた。 まさかとは思うが… 宮藤「次は前ですね!」 やっぱりか! 608 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 22 20.28 ID zTYswDuo0 俺「いや、前はいいよ。自分で出来るし」 ネウ子「そう言わずに…やってあげる…」 俺「大丈夫だから…って、何でにじり寄ってくるの?」 宮藤「逃がしませんよ?ネウ子ちゃんはそっちからお願い」ジリジリ ネウ子「了解…」ジリジリ こういう時だけ結託しやがって… バスタオル姿の2人が迫ってくる。 うん、慎ましい胸がなんとも…ってそんなことしてる場合じゃなかった。 この後、壮絶な追いかけっこをしたが何とか逃げ切れた。 全く扶桑魔女ってのは恐ろしいね… ――――――――――――――――――――――― ザザーン ザザーン 俺「夜は少し冷えるな」 俺「ここだな…例の場所は」 誰にも見つからぬように海岸に来ていた。 深夜だから皆寝静まってると思う。 俺は今日1日で、2つのことを考えていた。 610 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 27 50.66 ID zTYswDuo0 1つ。 今回の事は俺の責任が大きく、俺が何とかすべきだということ。 2つ。 奴を倒すには力がいる。固有魔法うんぬんではなく、もっと莫大な力が。 その為にはどうすればいいか。 そして俺は、ある結論に至った。 だから海岸に来ているのである。 ネウロイに出来たのなら俺も出来ないことはないだろう。 「世界間移動時の放出魔力の取り込み」、つまり奴らと同じ方法。 これが俺の出した結論だ。 時計を見ると、午前2時55分。 すっと鷹が現れ俺に質問してきた。 鷹「お主はそれで良いのか?」 俺「ああ」 鷹「どうなっても知らんぞ」 俺「ああ」 鷹「…なら我から言うことは何も無い。」 鷹「いや、1つだけ助言だ。お主には仲間がいる。それを努々忘れるな」 俺「ありがとうな」 音も無く、俺の使い魔は消えた。 611 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 30 04.34 ID zTYswDuo0 2時57分。 宮藤からこっそり拝借したリングを装着する。 2時58分。 ちなみに今回向こうに行くのは1枚の写真である。 俺の一番大切な――ストライクウィッチーズ全員で撮った写真。 2時59分。 俺は魔法陣の外側から手をかざす。 外からなら大丈夫だろう。後は気合だ。 そして、3時00分。 魔法陣が発動した。 俺「ぐああああああああああああああ」 膨大な魔力が俺に流れ込んでくる。 しかし負けてはならない。 これを制御し切れなければ、俺は死ぬ。 俺「くっ、くっそおおおおおおおおおおおお」 必死で抗い、その魔力を自分の支配下に置こうとする。 その最中、これは走馬灯という奴なのだろうか? 俺の脳裏にある日常の1シーンが浮かんできた。 612 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 33 09.25 ID zTYswDuo0 ――――――――――――――――――――――― 宮藤「そんなに落ち込まないでください、俺さん」 俺「だって、もう入隊して2週間なのに手も足も出ないなんて…」 宮藤「私だって始めはそうでしたよ」 俺「でもなぁ…」 宮藤「私はね、お料理得意だったからそれも頑張ったんです」 宮藤「訓練では中々上達しないけど、せめて私にできることをしようって」 宮藤「それでみんなにも認めてもらえて、訓練も続けられました」 宮藤「大事なことは、自分にできることをするってことです」 俺「俺にできること、か…」 宮藤「人間なんてのは、違って当たり前でそれが個性です。 それを補い合って、人は生きていくんです」 宮藤「だから私は空で戦います。みんなの為にお料理もします」 宮藤「好きだから、守りたいから」 宮藤「俺さん、あなたにできることは何ですか?」 613 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 36 00.92 ID zTYswDuo0 俺「そ、それは…ごめん。わからないよ」 宮藤「ゆっくり考えてください、まだまだ時間はありますから」 宮藤「って、ちょっと偉そうだったかな…」 俺「いや、ありがとう。宮藤はちゃんと考えててすごいな」 宮藤「エヘヘ…それほどでも」 ――――――――――――――――――――――― 俺「俺にできることは…こうするしかないんだ!!」 魔力と戦う内に俺は、意識を失った。 次回予告 強大な敵、ネウ男が現れたのは自分のせいだと責任を感じ 奴と同じ方法で自分も強くなることを選んだ俺。 そして、攻めてくるネウ男と他のネウロイ達。 その時ストライクウィッチーズは―――
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俺「ストライクウィッチーズだってね」 355-377 作者 パラレルワールド あらすじ 突然、2010年の東京に飛ばされてしまった宮藤。 そこで俺と出会い、短い時間だが一緒に過ごすことになる。 2人は打ち解けその生活を楽しんだが、ついに帰る方法が見つかった。 ところが俺まで飛ばされてしまい逆に宮藤の世界へ。 運よく使い魔と契約し、ウィッチとして認められた俺はストライクウィッチーズに入隊。 ビビリながらも何とか初戦をこなす。 エーリカや宮藤と一緒に帰省も済ませ、過ごしていたある日… 第6話「異変」 ―――ブリタニア 俺「ただいま…で合ってるかな?」 エーリカ「楽しかったねー!」 宮藤「そうですね!」 まるでちょっとした観光旅行だな。 そんな簡単にして良いものか… まあ副作用は無いみたいだし、大丈夫だろう。 357 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 07 27.14 ID dGR+Olt60 またしても海岸に到着した俺達を迎えたのは、お留守番のウィッチ達だった。 帰る時間は告げていたので、待ち構えていたのだろう。 ゲルト「よく帰ってきたな!宮藤、ハルトマン!」 俺「…俺は?」 ゲルト「どうでもいい」 俺「ひどくないか?」 ミーナ「ふふ、俺さんもおかえりなさい」 ゲルト「冗談だ、冗談。真に受けるな」 リーネ「芳佳ちゃん大丈夫だった!?」 ルッキーニ「うじゅー!お菓子ー!」 ワイワイ ガヤガヤ こうして賑やかに出迎えてもらうと、改めて俺はここに居るということがわかる。 今までは俺は明確な”居場所”なんて見つけられなかった。 クラスでも、学年でも、学校でも、バイト先でも。 それが、始めて「ここに居ていいんだ」と思えるような所に出会えた。 359 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 12 11.05 ID dGR+Olt60 おっと、感傷に浸っている内に涙が出てしまったようだ。 拭おうとするも間に合わず、 宮藤「俺さん泣いてるんですか…?」 エーリカ「トゥルーデが苛めるからー」ヨシヨシ ゲルト「す、すまない!別に苛めるつもりではなかったんだ…」 俺「いや、違うんだ。別に悲しくて泣いてたんじゃない」 シャーリー「じゃあどうして?」 そう聞かれて、俺は自分自身の生い立ちを説明した。 そして感謝の気持ちを伝えた。 それが俺なりの誠意だった。 エイラ「オマエ、悲しい人生送ってきたんダナ」 サーニャ「泣けてきます…」グス ルッキーニ「アタシが友達になってあげるね!」 坂本「はっはっは、良かったじゃないか俺!」 あれ…?何か俺哀れまれてる? こういう事じゃなかったんだが、まぁいいか。 361 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 17 16.75 ID dGR+Olt60 ミーナ「基地に帰りましょうか」 ストライクウィッチーズは、大量のお菓子と共に基地に帰還した。 そして俺は、また訓練の日々が始まった。 ――――――――――――――――――――――― ある日の、休憩時間のこと。 エーリカ「ねー俺ー。ちょっと元の世界行ってお菓子買ってきてよ」 俺「あれだけあったのにもう無くなったのか!?」 他の面子を見ても、首を横に振る。 どうやら1人で大量に食べていたようだ。 だからって俺を使うな。 というか、パシリ感覚でパラレルワールドを行き来させるなよ… 俺「ダメだ、食べてばかりじゃ太るぞ?」 エーリカ「私どれだけ食べても太らないもーん」 リーネ「へ、へー。そうなんですかー」 ミーナ「いいわね、本当に羨ましいわ…」 若干数名の背後に黒い影が見える。 いつの時代も女性の悩みの種は尽きないんだな。 そんなどうでもいいことを考えていると、今度は俺の話題となった。 363 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 22 18.14 ID dGR+Olt60 坂本「それにしても、俺も強くなったな」 ゲルト「まあ私にはまだまだ及ばないがな」 シャーリー「ま、少し動きは固いかも知れないが十分一人前だろう」 鷹「うむ、だがもう少し固有魔法の使い方を考えるべきではないか?」 俺「ビックリした…唐突に出てくるなよ」 鷹「すまない。しかし今のままでは駄目なのはわかっているだろう?」 もちろん俺だって、守ってもらう以外の方法を考えている。 だからってそう簡単に思いついたら苦労しない。 鷹「それなのだが…魔力を限界まで溜めなくても撃てるのは知っているか?」 俺「え?普通に限界まで溜めるもんだと…」 鷹「実は調整できるぞ。」 俺「そんなの聞いてねえよ…」 鷹「うむ、言い忘れておった」 俺「ただの言い忘れかよ!!」 364 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 27 47.11 ID dGR+Olt60 宮藤「まあまあ、落ち着いてください俺さん」 エイラ「そうダゾ、使い魔に怒ってどうするンダ」 ペリーヌ「これで少しは役に立ちますわね」 ルッキーニ「他には何かないのー?」 ルッキーニが、鷹の背中に飛び乗りながら聞く。 鷹の方も満更ではないのか、好きなようにさせている。 …羽はモフモフで気持ち良さそうだな。 鷹「まだあるぞ。なんと複数同時に魔力充填も可能なのだ」 俺「ふーん、まぁこれで少しは…他には?」 鷹「我の知る限りには無い。あるとすれば、それはお主が考え出した方法であろう」 そう言って、鷹は消えた。 言い忘れは有力情報でチャラにしておこう。 ちなみに、あれから練習用の弓では…ということになり特注で弓を作った。 神話に準えて、2本の弓――アポロンとアルテミスを。 その時突然、サイレンが鳴り響いた。 ウーーーーーーーーーーーウーーーーーーーーーーー 367 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 32 42.10 ID dGR+Olt60 坂本「なんだと!?今日はネウロイの予報はなかったはずだぞ!」 ミーナ「とりあえず、私と美緒は司令室へ。他は全機出撃よ!」 「「「「「了解!」」」」」 突然の出撃だったが皆慌てることなくハンガーへ向かう。 俺ももう慣れたもので、愛用の弓と矢筒を担ぎ走る。 俺「出撃!」 ブロロロロロロロロロロロ 坂本『ザザ…みんな、聞こえているか』 ゲルト「あぁ、大丈夫だ」 坂本『今回は少々厄介だ…そこから北の方向にネウロイ、およそ100体』 俺「100だって!?」 ミーナ『大編隊よ…大型から小型まで、かなり居るわ』 ミーナ『私達もすぐに向かうから、それまでの指揮はトゥルーデが執ること。いいわね?』 ゲルト「わかった」 シャーリー「それにしても100体とは多いな…」 368 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 37 19.20 ID dGR+Olt60 エイラ「しかもこの先はロマーニャダゾ…」 ルッキーニ「絶対通さないからね!」 サーニャ「私達の未来を守りましょう」 しばらくして、ネウロイと交戦する前に中佐と少佐が合流した。 どうやら敵は相当進むのが遅いようだ。 ミーナ「おかしいわね…あれだけ戦力があるなら一気に戦ってもそこそこ戦えるはずなのに」 ペリーヌ「陽動という可能性はありませんの?」 坂本「ああ、レーダーは他に映ってなかったし故障もしていなかった。」 宮藤「見えてきました!」 ゲルト「今は目の前の敵に集中しよう!」 こうして、戦闘が始まった。 ガガガガガガガガガ ペリーヌ「ちょこまかと…トネール!」バリバリバリ エイラ「上ダナ」 サーニャ「うん」ドシュドシュ 369 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 42 28.45 ID dGR+Olt60 エーリカ「多すぎだよー」ガガガガガ ゲルト「勲章が飛んでくると思えばいい!」ガガガガガガガガ エーリカ「むーりー」 坂本「あの大きいのは私がやろう…烈風斬!」ドォン 流石はストライクウィッチーズ、数は多いといえども余裕すらあるようだ。 しかし、そこに基地から連絡が入った。 連『ザザ…こちら基地、応答願います』 坂本「どうした、何かあったのか?」 連『そちらとは逆方向から基地に向かって、ネウロイが1体進行中です』 ミーナ「速度は?」 連『これもまた通常より遅いですが、10分後には到達すると思われます』 ミーナ「陽動だった…?いえ、とにかく援軍を送るわ」 連『了解』 そこで通信が途切れた。 どうやらあまり悠長にしている時間はないようだ。 371 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 47 31.46 ID dGR+Olt60[ 俺「俺に行かせてくれ」 ミーナ「え?でも…」 俺「大丈夫。1体なら固有魔法でどうにかなるし、こっちもあまり戦力を削られたくないだろ?」 坂本「少し心配だが…仕方が無い、お前に任せよう」 ゲルト「危なくなったら無理せず逃げるんだぞ!」 俺「了解」 皆の視線を背に受け、俺は基地に向かって飛び始めた。 およそ5分、間に合うだろう。 基地を越え、しばらく飛んでいると前方にそれらしき物体が見えた。 敵は気付いていない…先制攻撃だ。 俺「魔力充填開始」 矢を番え、弓を引き絞る。 待つこと数秒。 俺「魔力充填50%、発射!」ヒュン ドォン パリィン 俺が放った矢は、ネウロイを一撃で粉砕した。 そして基地に連絡をいれようとしたその時、上空から何かが降りてきた。 373 :パラレルワールド[ 372了解、ありがとう][]:2010/12/08(水) 21 00 03.85 ID dGR+Olt60 俺「ウィッチ…いや、ネウロイか…!?」 体はネウロイのように漆黒に染まっているが、形はウィッチのように人型をしている。 攻撃の気配もないし…なんだあれは。 銃を構えたまま警戒していると、突如それが声を発した。 ネウ子「私は…戦う気はない…」グニャ そう言って、自らのコアを露出させた。 思わず撃ちそうになってしまったが、堪えて問う。 俺「お前は何者だ、敵か?」 ネウ子「敵じゃない…知らせに来たの…」 俺「知らせに?何を…」 ネウ子「これは罠…危ないから…逃げて…」 俺「これが罠だったと?しかしもうネウロイの姿は無いらしいじゃないか」 ネウ子「私もアイツも…感知されない…」 その時、目の前のソレがビクッとした。 何かに反応しているようだ。 俺「どうした?」 ネウ子「ダメ…逃げて…私も敵わない…」 374 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 03 38.48 ID dGR+Olt60 空から同じようなものが降りてくる。 しかしそれは禍々しい感じがする。 形は男か…さっきのがネウ子だとしたら、これはネウ男かな。 ネウ男「はっ、こんなとこに居やがったのか裏切り者め」 ネウ男「そっちは初めてだな、よう。よろしくなー」 わけがわからない。 こいつもネウロイなのか?じゃあ何故片方を裏切り者と? ネウ男「じゃ、死んでもらうわ」シュン ネウ子「させないよ…」バシッ 突然ネウ男が俺に向かってビームを放つ。 呆気に取られて動けないでいると、そこにネウ子が割り込んできた。 それもシールドをはって。 ネウ男「ちっ、邪魔すんなよ裏切り者風情が!!」 ネウ子「あなたは…逃げて…」 逃げてと言われて逃げるほど俺は落ちぶれちゃいない。 どうやらこのネウ子は、とりあえず味方のようだ。 味方を、しかも女の子を放っておくなんて出来るわけないだろ? 375 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 07 20.28 ID dGR+Olt60 俺「よくわからんが食らえ!」ガガガガガ ネウ男「それがどうした」ヒョイ ネウ男「今度はこちらからいくぞ」 俺は奴に向けて銃を撃った…はずだ。 しかし、それが当たらなかったどころか 気が付けば眼前にネウ男が迫っていた。 ネウ男「おらぁ!」ドカッ 俺「ぐはっ」 腹に受けたパンチはたった1発だ。 なのに、凄く重い。 一瞬意識を持っていかれそうになるが、なんとか繋ぎとめる。 追撃しようとするネウ男を、ネウ子が妨害する。 ならばその隙を狙って… 俺「魔力充填20%、発射!」ヒュン ドォン 煙がかかって見えない。 俺「やったか!?」 376 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 10 03.54 ID dGR+Olt60 しかし、ネウ男には傷一つ付いていなかった。 ネウ男「もういいや、とっとと死ね」ガシッ ネウ子「きゃっ」 俺「ぐっ…」 俺達は、一瞬の内に首を掴まれた。 このままでは…息が… ネウ男「冥土の土産に教えてやろう」 ネウ男「俺が…まあ一応そこの出来損ないもだが、何故これほど強いのか」 ネウ男「それはな…お前のせいだよ、俺」 俺達は、今までは他のネウロイと同じだった。 ある時交戦区域の海中で膨大な魔力が観測された。 その時は突然で逃したが…俺達はそれを使えると思い、注意して観測し続けた。 すると予想通り、海岸で魔力反応があった。 その魔力を取り込んだのが俺とそこの出来損ないだ。 ま、実験台って奴だな。だが強くなるなら文句はねぇ。 ちなみに1回目より2回目の方が魔力が多かった。 だから俺の方が強いってわけだ。 377 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 12 15.35 ID dGR+Olt60 よく考えてみろよ? 世界間を移動する、なんて大技が魔力を消費しないわけないだろ? 普通ならそのまま発散するところだが…有効利用してやったよ。 俺「そんな…じゃあ俺のせいで…」 ネウ男「安心しな、すぐにお仲間もそっちに送ってやるよ」 ネウ男「じゃあな」シュン 俺「ぐああああああああああああああ」 俺達は下に投げつけられたあと、2人とも足を撃ち抜かれた。 ネウ男「そのままもがき苦しんで、海の藻屑になるんだな」 ネウ男「ハーッハッハッハッハ」 俺は薄れ行く意識の中、手を伸ばす。 何か暖かいものに包まれるような感触があった。 そして2人は…海に落ちた。 次回予告 俺のせいで、強化ネウロイが出現してしまい、 さらに罠にかかって俺とネウ子は撃墜される。 俺の運命は、そしてネウ子とは一体―――
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――2029年 人類対機械の世界 ――スカイネット地下基地 ――抵抗軍ジョン・コナー直属特殊部隊 <ドグァーン!!ガン!カララン! フレーム爆薬によって、格子ごとドアが吹き飛ばされる 指揮官「GO!GO!GO!」 敵地下基地の下層、スカイネットの作戦データ等々が保管されている場所に入る スカイネットの施設に共通している赤い照明は、今にも消えそうにチラついている 兵士1「Right Clear!」 兵士2「Left Clear! 静かだな…」 指揮官「…司令部、ターゲットを発見した」 先頭の男がハンドシグナルを送り、部下を部屋の中に展開させる 部屋の中央のPCの周りを警備するように全員陣取る。その動きはまさにプロだ エンジニア「データのハッキングを開始します」 指揮官「アルファよりブラボーへ。そちらの状況は?」 B指揮官『こちらブラボー。退路を確保した。だがなるべく早くしてくれよ。ここは寒すぎる』 指揮官「数分の辛抱だ。アルファ、アウト」 エンジニア「エントリー成功。案外楽だったな」 データベースをハックし、中にある情報を持ち帰る。これが今回の任務だ エンジニア「この基地は数日前に放棄されています。だからこんなにザル警備だったのか」 モニターをスクロールし、画面に表示されたデータをコピーする準備にかかる 指揮官「…待て。戻れ、戻ってくれ」 スクロールする手を止め、カーソルを戻していく 指揮官「止まれ。そこだ。そいつを表示してくれ」 エンジニア「でかいモニターに出します」カタカタターンッ 兵士1「…………"Project C.T.N"…?」 兵士2「なんだそりゃ」 指揮官「スクロールしてくれ」 エンジニア「了解」 "Project C.T.N"ファイル内を下にスクロールする。そこには、"Project C.T.N"に関する詳しい情報が記されており… 兵士2「――っ!? これは…」 指揮官「…エンジニア、今すぐこれを司令部に送れ」 エンジニア「了解、アップロードを開始します」 兵士1「こんなこと…可能なんでしょうか」 指揮官「わからん…だが、スカイネットは神になろうとしているのかもしれん…」 <ドグァーン!!ウワァッ!テュンテュン!! 兵士2「な、なんだ!?」 指揮官「ブラボー!何があった!?」 B指揮官『敵の奇襲だ!畜生!今までどこに隠れて居やがった!(テュンテュン!!)ぐわぁ!』 兵士2「エンジニア!アップロード完了まで何分かかる!」 エンジニア「2分はかかります!」 <ドォォン!! 指揮官「…撤退だ。今は逃げるぞ」 エンジニア「でも、まだアップロードが…」 指揮官「生きて帰って口で伝えればいい!全員引き上げだ!――」 <ドガァァンッッ!! 兵士1「うわぁっ!?」 時すでに遅し。壁を突き破ってT-800の軍団が乗り込んできた T-800「ギシャァァァ」 指揮官「ひっ…!」 一体が指揮官に銃口を向ける 敵はためらいなんて微塵も感じさせず、引き金を引いた… 第二話 "Communication" 504基地宿舎 食堂 俺「なるほど。人の姿のときは、瘴気を出さなくても平気、と?」 ネウ子「うん。ただ、定期的に、金属を、摂取する必要が、ある」 俺「金属?」 ネウ子「ネウロイの、体は、金属が、元。体の再生に、用いる」 俺「鉛や真鍮なら大量にあるぞ」 ネウ子「鉛は…嫌い…」 俺「……ですよね」 ネウ子「でも、真鍮は、好物」 俺「…空薬莢持ってくるよ」 エフィは、本物のエフィと同じように、俺に心を開いてくれた 話をしているうちに、いろいろ分かったことがある。箇条書き状にまとめておこう 口があまり達者ではないが、語彙はかなりある 足がちょっと弱く、走ったりはできない。階段の上り下りも苦手 体の一部だけをネウロイ化させることも可能。足だけをネウロイユニットに変形させ、ウィッチのように飛ぶこともできる 結構な人見知り こんなもんかな 竹井「俺さん、エフィさん、ちょっといいかしら?」 ネウ子「キュ?」 俺「なんですか?」 食堂で俺はコーヒーを、エフィは空薬莢を口にしていたとき、竹井大尉が入ってきた 竹井「この記事を読んで欲しいの」パサッ 机の上に、新聞の一面を広げる 俺「なになに?…501再結成?」 見出しにはそう書いてあった 竹井「今、504はほとんど機能していないでしょう?だから、501再結成の話があがったの」 俺「一日で11人全員が揃うとは…」 新聞の写真には、こじゃれた基地をバックにして、横に並んだウィッチ11人が写っていた その中には、 俺(エイラ…) 彼女もいた ネウ子「宮藤、さん…」 エフィはそっちに目が行っている様だ 俺「会いたいか?」 ネウ子「」コクコク 俺「…大尉」 竹井「そういうと思ったわ。もう手筈は済んでるわ」 そういって、一枚の書類をヒラヒラさせる 俺「…俺の名前が書いてあるような」 竹井「あなたに、501への転属命令がでてるわ。エフィさんも501の保護下に入るように、と」 ネウ子「キュ?」 俺「…厄介払い、ですかね」 竹井「…おそらく」 501って昔から問題を押し付けられてる気がする… ネウ子「どういう、こと…?」 俺「俺とお前は501に行くことになったんだ。よかったな、宮藤に会えるぞ」 ネウ子「!」パァァ まさにパァァと効果音が付きそうな喜び方をする ネウロイに感情があるかは知らないが、最初の頃に比べてかなり人間っぽくなってる それと同時に…どんどん本物のエフィに似てきているが… 竹井「エフィさん、向こうでも、俺さんの指示に絶対従うこと。良いですね?」 ネウ子「はい」 大尉もだいぶエフィを信用するようになった。エフィの行動制限は最初に比べかなり緩い 竹井「このあと、501から補給部隊が来ることになってるの。彼らの車に便乗して、あちらの基地まで行きなさい」 俺「了解しました。それまでに準備をしておきます」 エイラの奴、元気にしてるかな… 501基地 執務室 ミーナ「…」ハァ バルクホルン「どうした、ミーナ。ため息なんかついて」 ミーナ「これを見て頂戴…」スッ 何枚か束になった書類のうちの一枚を差し出す バルクホルン「ん?…おお、俺もここに転属になったのか。これで十二人揃うな」 ミーナ「見て欲しいのはその下…」 バルクホルン「下…?……!」 ――俺少尉の転属と同時に、以下の者を保護下に入れること ――"X-11/Mk.2 人型ネウロイ" ――トラヤヌス作戦で504JFWに保護され、現在は俺少尉の監視・保護下にある ――非常に好意的で、攻撃性はないため… バルクホルン「ネウロイを保護!?しかも基地に入れる!?何だこれは!?」 全部読みきる前に怒りの声をあげる ミーナ「正規の命令だから、断るわけにいかなかったの…」 バルクホルン「上層部はまた厄介ごとを押し付けて……で、俺とこのネウロイはいつ来るんだ?」 ミーナ「今日よ」 バルクホルン「今日ッ!?」 504基地 竹井「扶桑からの物資、助かったわ。ありがとう」 501から回されてきた、扶桑の救援物資の引渡しは無事に終わった 坂本「報告書は読んだ。あの内容は事実なのか?」 竹井「エフィ…人型ネウロイのことなら、実際にあったほうが早いわ」 坂本「?」 竹井はハンガーの一角、入り口付近に目をやる 俺「ほら、行くぞ!エフィ!」グイグイ ネウ子「やっぱり、怖い…」フルフルビクビク 俺「少佐は良い人だから!刀持ってるけど良い人だから!ほら!」グイグイ 俺が、人見知りを炸裂させているエフィを引っ張っていた しかし、エフィはその場を一歩も動こうとしない 坂本「あの黒いセーターの女の子が…」 竹井「人に化けてるネウロイよ」 俺「ハァ…すいません、エフィは動けそうにないので、自分だけ来ました」 一時エフィの連れ出しをあきらめ、俺が挨拶しに来た 坂本「エフィ?名前があるのか?」 竹井「ネウロイは、俺さんの知り合いをモデルにして、人に化けているの」 俺「その知り合いの名前からとりました」 坂本「混乱しないのか?」 俺「…本物のエフィには、もう会えないんで」 坂本「…すまん」 俺「いいんですよ」 混乱していないといえば嘘になる 現にエフィはどんどん本物に似てきている 最初は何を話しても無表情。笑ったり寂しそうにするなんてありえなかった だが、人と触れ合ううちに感情が芽生えたのか、それが表に出るようになった その表情やしぐさ、本当に、本物のエフィにそっくりだ あまりに似すぎているせいで、まるで幻覚を見ているような感覚になる 俺(本物のあいつは、今何をしているんだろう…突然いなくなった俺を探してたり…) そこまで考え、思考を振り払う。向こうへの未練は断ち切ったんだ 俺(その…はずなんだけどな…) …エフィ……… 坂本「転属の話は聞いている。またよろしく頼む」ビシッ 俺「こちらこそ」ビッ 敬礼に敬礼で返す 坂本「さて、そろそろ帰るか。宮藤!」 宮藤「あ、はい!」 荷物の運び込みを手伝っていた宮藤が、こちらに駆け寄ってくる 俺「久しぶりだな、宮藤」 宮藤「はい!俺さん、背、伸びました?」 俺「そうか?まぁいい。それで、お前に会わせたいやつがいるんだが…」 宮藤「会わせたい人?」 俺「ほら、出て来いよ」 ネウ子「キュー…」 エフィが周りを気にしながらこちらに近づく。足音を立てずに歩き、俺の後ろの隠れる 宮藤「その子ですか?」 俺「ああ…ホラ、会いたがってただろ?」 ネウ子「うん……宮藤さん」 宮藤「あ、はい」 ネウ子「…」スッ エフィが右手を前に差し出す。肘がピンと伸びている 俺(握手のつもりか?何がしたいんだ?) 宮藤「え?…あ、まさか…」 俺が困惑していると、宮藤が驚きの声を上げる 宮藤「あの時のネウロイ!?」 ネウ子「!…覚えてて、くれた…」 また、パァァと効果音がつきそうな顔をする 俺「え゛わかるの?」 先ほどのエフィの行動にどんな意味が… 宮藤「はい、あのネウロイと巣の中でお話ししたときと同じしぐさなんです」 俺「それで、思い出したと?」 ホントにコピーなんだな…こいつ ネウ子「お会い、したかった」ギュッ エフィが半歩前に出て、宮藤の手を握る 宮藤「私もだよ。でも、あなたはあの時に…」 俺「そのあたりの話は、帰り道に話そう」 坂本「時間も時間だしな。トラックはあっちだ。行くぞ」 俺「では、大尉。また、いつか」ビシッ 竹井「ええ、また」ビシッ お互い敬礼し、別れる 宮藤「さ、行こう!」タッタッタ ネウ子「はわ、はわわ」タタタ エフィが宮藤に手を引かれながら、小走りでトラックに向かう だが、石畳に足を取られ、こけそうになる 俺(走る練習とかもさせようかな) そんなことを考えつつ、自分もトラックに向かった 501への帰路 トラック内部 宮藤「え~と、エフィさんは、ブリタニアの人型のコピーで、俺さんの知り合いを真似てる。ってこと?」 ネウ子「おおむね、あってる」 説明なう 坂本「一つ聞いても良いか?」 ネウ子「?」 坂本「なぜ、ネウロイがネウロイを攻撃したんだ?」 俺「俺も気になってた」 ネウ子「私たちの、中にも、穏健派と、急進派が、いるの」 俺「ブリタニアのときに話してたな」 ネウ子「私がいた巣は、穏健派が、集まった、巣だった」 坂本「何?なら、最初の攻撃は…」 ネウ子「…私たちの、上層部を、欺くための、形式的な侵略。できれば、やりたくなかった」 俺「でも、上にバレた…」 ネウ子「巣に、急進派の、スパイが、まぎれていた。私たちは、粛清、された」 宮藤「粛清…」 俺「…じゃあ、今、ヴェネチアにある巣は、」 ネウ子「急進派の、集まった巣。あらゆる、面において、以前の個体を、上回っている」 坂本「報告書にあった。攻撃、防御、戦術。すべてが、今までのネウロイより優れている、と」 ネウ子「急進派の、中でも、精鋭中の、精鋭。楽には、倒せない」 エフィが、表情を若干険しくして言った ネウロイが言うんだ。相当やばいんだろう 坂本「俺、504は今、再編途中だったな?」 俺「はい。重症を負って、後送になったウィッチの代わりを集めていますが、いかんせん時間が…」 坂本「地上勢力の抵抗もいつまで持つか…」 ネウ子「今、急進派を、抑えられるのは、あなたたちだけ」 エフィが俺のほうを向く ネウ子「お願い、彼らを、止めて…」 俺「……エフィ」 宮藤「…坂本さん、私、戦います!」 ネウ子「!」 宮藤「戦って、このロマーニャを守ります!」 坂本「よく言った、宮藤!早速帰って訓練だ!」 宮藤「はい!」 ネウ子「…ありがとう」 エフィ(穏健)と急進派 たとえ派閥は違えと、仮にも同じネウロイ 自分の同種が打ち倒されていくのを見るのは、どんな気分なのだろう… 数時間後 501基地 執務室 俺「俺少尉、ただいま到着しました」 ミーナ「ご苦労様。それで、書類にあった、保護したネウロイって言うのは、」 俺「こいつです」 ネウ子「キュー…」ススッ エフィはまたも人見知りを炸裂させ、俺の背中に隠れている 俺「すいません、こいつ、人見知りが激しくて…」 ミーナ「いいのよ。だんだん、時間をかけて、ここの雰囲気に慣れていけば良いわ。よろしくね」ニコッ ネウ子「キュゥ」 ミーナ中佐の年齢以上の貫禄、母性あふれる笑顔 それを見て、エフィは人見知りを少し落ち着かせた ネウ子「…エフィ」 ミーナ「え?」 ネウ子「私の、名前…」 ミーナ「…良い名前ね」 ネウ子「…ありがとう」 ミーナ中佐には案外早く懐きそうだな バルクホルン「おい、お前」 ネウ子「キュッ!?」スササッ 突然声をかけられ、エフィが再び俺の背中に身を隠す バルクホルン「はっきり言おう、私はお前を信用していない」 ネウ子「…」 バルクホルン「何かおかしな真似をしてみろ?分かっているだろうな?」 ネウ子「キュッ…」ビクビク 大尉に睨みつけられ、エフィがおびえる。背中越しでも分かるほど震えている 俺「やめてください、大尉。怖がってるじゃないですか」 エフィを庇うように手を広げる バルクホルン「敵かもしれない奴を庇うのか?」 俺「エフィは敵じゃない」 バルクホルン「人の姿をしているとはいえ、ネウロイはネウロイだ。敵には違いない」 俺「すべてのネウロイが敵なわけじゃない」 バルクホルン「ネウロイの違いが分かるほど、戦場に立っていたのか?」 俺「これでもスオムスじゃ最前線にいた」 バルクホルン「ほぅ…面白い」 ネウ子「はわ…」 ミーナ「二人とも!」 喧嘩が始まりそうな空気を、中佐が制する ミーナ「エフィさん、言われていると思うけど、基地内では俺さんの指示に従うように」 ネウ子「はい」 俺「…では中佐。自分は荷解きがあるので」 ミーナ「分かったわ。二人とも、戻って良いわ」 俺「失礼しました」 ネウ子「…あの」 ミーナ「?」 ネウ子「また、ここに来ても、いい…?」 ミーナ「…ええ、いつでもいらっしゃい」ニコッ ネウ子「!」パァァ エフィは、花が咲くような笑顔を見せた後、一礼し、部屋を後にした バルクホルン「…人と見分けがつかん」 ミーナ「ホントにね。ネウロイといわれなきゃ分からない」 バルクホルン「ミーナ、あいつがネウロイのスパイだとは考えないのか?」 ミーナ「本物のスパイなら、ネウロイだということは隠すはず。それか、人を洗脳してスパイ代わりにするわ」 バルクホルン「確かにそうだが…」 ミーナ「やっぱり信用できない?」 バルクホルン「…どこかで疑っている」 ミーナ「俺さんもいることだし、きっと平気よ」 バルクホルン「だといいが…」 ミーナ「……そうだ、外で、宮藤さんたちが訓練を受けているはずよ。見に行ってみましょう」 宿舎廊下 ネウ子「はわっ」グラッ 俺「おっと」ハシッ 階段でこけそうになったエフィを支える 俺「大丈夫か?」 ネウ子「なんとか」 俺「気をつけろよ。この基地は段差が多いみたいだし」 ネウ子「うん…」 石畳に階段、ドアの出っ張り…こいつがつまづきそうな所がいっぱいある 俺「ホラ」スッ ネウ子「キュ?」 エフィに手を差し伸べる 俺「手、繋いでゆっくり歩こう」 ネウ子「…うん」ギュッ エフィが俺の手を握り返してくる 力加減ができるようになったのか、初めての握手の時のような痛みはない ネウ子「部屋は、どこ?」トテトテ 俺「宿舎の一番端だ。俺とお前の相部屋」 ネウ子「迷惑じゃ、ない?」トテトテ 俺「俺から頼んだんだ。目のつく場所においたほうが良いってな」 ネウ子「そう…」トテトテ 宿舎廊下 逆サイド エイラ「ふぁぁ……」 夜間哨戒があったので、この時間まで寝てました エイラ(サーニャはまだ眠ってるけど…食堂からなんか持ってきて………ん?) 廊下の先に人影が見えた 黒っぽい緑のジャケット上下に、私のと色違いのポーチ。黒髪に黒瞳、中性的な顔立ち、私よりちょっと背が高い… エイラ(俺だ!) 眠気が吹っ飛ぶ エイラ「おーい!おr……ん?」 名前を呼びかけて寸で止まる。彼の横にもう一人、人がいる 彼とよく似た、黒髪黒瞳。扶桑人に見えたが、顔立ちは欧米のもの。ハーフだろうか? 夏なのに黒いセーターを着ている。暑そうダナ …って、そうじゃなくて、重要なのは、 エイラ「…女の子……?」 俺と彼女が手を繋いでいることだ エイラ「…」タッタッタ…スササ こっそりあとをつけて行ってみる <ここだな <キィィ… <結構、ひろい… <二人部屋だからな エイラ(二人…部屋……!?) <うわぁぁ… トテトテ <うれしいか? <キュゥッ! <クルクル回ってないで、荷解きするぞ <手伝う… それなりの大きさの扉が閉まる エイラ「…」スササ… ドアに耳を当て、中の音を聞こうとして、 エイラ「…」スタスタ やめた エイラ「…………俺」 トラヤヌス作戦の失敗が報じられてから、彼とは連絡が途絶えていた 『作戦中に負傷したのでは…』 嫌な考えが頭をよぎったが、彼に限ってそれは無いと、考えないようにしてきた それでも、やっぱり不安だった サーニャが励ましてくれたりしたけど、どこかで俺のことを気にしていた 作戦が失敗したことを伝える新聞記事を手に入れ、読み漁った だが、どこにも俺のことは記されておらず、 一緒に載っていた写真の中には、俺の姿は写ってなかった そして、やっと会えたと思ったら… エイラ「誰ナンダ……あいつは…」 黒いセーターの女の子… 俺の奴、あの子に結構気を許していた 彼女に見せた、優しい…優しすぎる笑顔 あれは本来、私に向けられ… エイラ(バカッ!私は何を…) エイラ(…夕食のときに、あいつがどうしてここにいるか説明されるはずダ) そのあとに、あの子が誰で、俺とはどういう関係なのか聞こう。それがいい 今まで感じたことのない、黒い感情を、無理やり閉じ込め、私は自分の部屋戻った 夕方 ハンガーの一角 簡易の食堂 まだ基地の設営が完璧には終わっておらず、ハンガーの一角を食堂代わりにしている 風呂もサウナも完成していないとのことだったが……我慢だ我慢 まぁ、ドラム缶風呂があるらしいし、いいか 坂本「皆揃ってるな。今日は食事の前にちょっと話しがある」 リーネ「話?」 坂本「数人はもう知ってるが。おい!入って来い!」 俺「呼ばれた、行くぞ」 ネウ子「うん…」 また人見知りが出てる。ちょっと震えてる 俺「俺の背中に隠れてれば良いから」 ネウ子「わかった…」 エフィが俺の背中にすがるように隠れる 俺「皆さん、お久しぶりです」 <オヒサー、ヒサシブリダナ、ドコイッテタンダ 三者三様、っていうのか、そんな反応 リーネ「お久しぶりです。ところで、後ろのその子は…」 俺「ああ、こいつは始めましてかな。ホラ、エフィ、挨拶」 ネウ子「うん……始めまして。エフィ、です」 ぺこりと頭を下げる リーネ「エフィさん、始めまして。あの、新人のウィッチさんですか?」 まぁ、普通はそう思うよな ネウ子「…信じないと、思うけど、ネウロイ、です」 リーネ「はい?」 エイラ「へ?」 サーニャ「?」 ペリーヌ「ちょっと!俺軍曹!ネウロイを基地に連れ込むなんて――」 俺「エフィは確かにネウロイだが、仲間だ。それと、俺の今の階級は少尉だ」 ペリーヌ「階級はどうでもよろしい!ネウロイが仲間だなんて――」 エーリカ「はいはい落ち着こうねぇ」 坂本「トラヤヌス作戦のことは、皆知っているな。その作戦で保護されたネウロイだ」 俺「フォローありがとうございます。ネウロイの中で穏健派と呼ばれる個体で、我々人類に好意的です」 エーリカ「私たちと敵対していないネウロイ?」 俺「まぁ、そういうこと。仲間って表現はよろしくなかったな」 シャーリー「大体分かったけど、なんで人の姿をしてるんだ?」 俺「エフィ」 ネウ子「わかった…」 エフィが人の容姿の擬態を解き、ネウロイの姿に戻る 宮藤「あのときの…」 俺「エフィは人型ネウロイと呼ばれる個体で、人の容姿を真似ることができるんです」 ネウ子「人の、姿の方が、接しやすい」 シャーリー「確かに真っ黒だと、アレだな…」ハハ… エーリカ「人の姿のモデルは誰なの?」 俺「…俺の、元の世界での知り合いだ。名前もそいつから取った」 エフィが再び人の姿を取る ネウ子「キュッ?」 俺「…ホント、怖いくらいそっくりだよ」ナデナデ ネウ子「キュー♪」 エイラ「ムムム……」 俺「…何うなってるんだ?」 エイラ「俺……いろいろ聞きたいんダケド、いいか?」 俺「答えられる範囲でなら、何でも聞いてくれ」 エイラ「…単刀直入に言う。俺とエフィは、どういう関係ナンダ…?」 俺「どういうって…」 答えに困るナァ… エイラ「エフィのこと、好きなのカ…?」 俺「好きか嫌いかで言われれば好きだが……安心しろ、お前が思っているような色恋沙汰は、ない」 ネウロイに恋するほど変態じゃない エイラ「なら、いいんダ…」 ネウ子「…………」 俺「…エフィ?」 坂本「積もる話もあるだろうが、とりあえず食べよう。飯が冷めてしまう」 シャーリー「エフィも食べるのか?」 ネウ子「栄養を、摂取することは、できないが、味覚はある」 俺「主食は鉄とか金属なんですけどね。食物から鉄分を摂取することもできるとか」 シャーリー「…さすがネウロイ」 全部それで説明がつきそうだから怖い 談話室 夕食後、ハンガーから談話室にやってきた 中佐の許可を取り付け、質問・交流会となった バルクホルンとペリーヌは反対したが、宮藤の説得により懐柔 質問とその回答をまとめておく Q、他の人の姿を真似ることはできるのか? A、できなくはないが、基本はこの姿 Q、人の姿でもビームは撃てる? A、足をユニットに変形すれば飛べるのと同じで、手先をネウロイ化させれば撃てる Q、その服はどういう構造? A、この体は、人間で言う裸体と服の部分の二層構造になっており、服の部分は自由に変形・変色させることができる Q、洗脳等はできる? A、人の記憶を覗く力を応用し、いろいろすることはできる シャーリー「いろいろってどんな?」 ネウ子「人の記憶を、映像にし、他者に、見せることが、できる」 エーリカ「見せるって、映画みたいに?」 ネウ子「こんな、感じ」 エフィが目を瞑る。彼女の胸元が開き、コアがあらわになる コアが発光し、その光が部屋を包む。直後、部屋の様子が一変した エイラ「ウェ!?」 サーニャ「これ…空の上?」 宮藤「すごい…」 バルクホルン「どうやったんだ?」 ネウ子「壁、床、天井に、同時に、映像を投影する。ブリタニアの、巣で、やったことの、応用」 ネウ子「試しに、誰かの記憶を、流して、みる?」 ミーナ「面白そうね。誰の記憶にしましょうか?」 エーリカ「はいはい!俺の記憶が見てみたい!」 シャーリー「お、いいなそれ!」 俺「ちょっと待って!何で俺!?」 エーリカ「だって、俺って向こうの世界の話しぜんぜんしてくれないし」 シャーリー「ちょっと興味あるんだよねぇ」ニヤニヤ 俺「……聞いてて面白い話じゃないぞ」 ネウ子「聞くんじゃ、ない。見るの」スッ 俺「は?」 エフィがいつものように俺の額に手をかざし… <ビリリッ!! 俺「フギュウッ!?」バタッ エイラ「お、おお、おい!大丈夫なのか!?」 ネウ子「気絶させた、だけ。相手の意識が、ないほうが、記憶を、覗きやすい」 シャーリー「じゃあ、見せてくれるんだな?」 ネウ子「彼の、言うとおり。あまり、良いものじゃない。それでも、見る?」 エーリカ「もちろん!」 ルッキーニ「あたしも見たーい!」 エイラ(こいつら…) 良いものじゃない、の意味を取り違えてると思う 面白くないって意味じゃなくて、残酷って意味なんじゃ… ネウ子「では、まず、彼が、13歳のときの、記憶から…」キィィン! 部屋が再び光に包まれ、一度暗転 今度は薄暗い、洞窟のような場所――地下道――が投影される エイラ「ここは?」 ネウ子「2026年、ロサンゼルス郊外地下。機械軍の、襲撃を受け、多くの人命が、失われた」 宮藤「機械軍……――ひッ!?」 バルクホルン「どうした!みやふ…――いッ!?」 二人の視線の先には、 ミーナ「…骸骨」 それもいくつも横たわっていた ルッキーニ「うじゃぁ…」 シャーリー「ルッキーニ、私の後ろに隠れてろ」 サーニャ「…」ビクビク エイラ「…」ギュッ 怖がるサーニャの手を握る ネウ子「言ったでしょ?いいものじゃ、ないって」 俺は、エフィの力か何かに支えられ、空中に座っていた <ガチャン!バタン 坂本「なんだ!?」 ネウ子「彼の、登場」 地下道の天井にポッカリ丸い穴が開く。マンホールのようだ。その穴から、一人の少年が降りてきた エイラ「俺…」 身長は今より低く、顔もどこか幼いが、紛れもなく俺だった ネウ子「彼は昔から、単独での、偵察任務を、得意としてきた」 サーニャ「一人で…」 俺(13)『司令部、目標に到達。もぬけの殻だ。壁のあちこちに弾痕を発見。襲撃されたようだ』 ネウ子「今回の任務は、連絡の途絶えた基地の、生存確認」 俺(13)が使い込まれたAKを構え、地下道を進んでいく。この頃はプラズマライフルがない エイラ「なぁエフィ。お前は、俺のこの世界での知り合いを真似たんだよナ?その知り合いはどこに?」 ネウ子「これから、会える」 エイラ「?」 俺(13)が、一つの扉に手を掛け、勢い良く開け放ち、中へ突入する 中に居たのは、 俺(13)『子供…?』 エフィ『…?』 薄汚れた服を着た、黒髪黒瞳でハーフの少女――幼い頃のエフィ本人だった エイラ「あいつが…」 ネウ子「私の、モデル。この時点で、彼女の、年齢は、11歳。彼の、二歳下」 俺(13)『君、お父さんやお母さん、一緒にいた人たちは?』 エフィ『…』フルフル 俺(13)『そうか…ここは危険だ、移動しないと。歩けるか?』 エフィ『…』コクコク 俺(13)『よし、行こう』 <ドォォン!! 坂本「爆発?」 エフィ『…』ビクビク 俺(13)『…安心しろ。お前は、俺が連れて帰る』 ネウ子「このあと、彼は彼女を、連れ帰った」 再び部屋が暗転し、今度は放棄された地下鉄車両基地が映し出される エイラ「今度はどこだ?」 ネウ子「彼の、当時の、所属基地」 俺(13)『ところで、名前は?』 エフィ『なま、え…?』 俺(13)『そう。あるだろう?』 エフィ『ある…でも…思い、出せない』 エイラ「どういうことダ?」 ネウ子「彼女は、目の前で、両親をなくし、そのショックで、一部の記憶を、失った。言葉も、うまく話せない」 サーニャ「記憶なくすほど…」 ネウ子「それだけ、残忍な、殺され方だった」 俺(13)『よし、じゃあ、今日からお前の名前はエフィだ』 エフィ『エ、フィ…?』 俺(13)『E・F・F・Yでエフィ。どうだ?』 エフィ『…気に、入った』ニコッ 俺(13)『そいつは良かった』ニッ ネウ子「二人は、家族のいない、孤児同士、意気投合した。 彼は、彼女を、妹のように、大切にし、 彼女は、彼を、兄のように、慕った」 二人の映像が次々映し出される 楽しそうに笑い合っているもの 身を寄せ合い、一つの毛布で睡眠をとっているもの 髪と目の色が同じなので、はたから見れば、本当の兄妹のようだった ネウ子「二人は、基本、いつも一緒」 シャーリー「エイラとサーニャみたいだな」 サーニャ「///」 ネウ子「私も、彼と、似たような、関係を、築きたい」 エイラ「え?」 ネウ子「恋人・兄妹を越えた、理想の、信頼関係。それに、あこがれた」 サーニャ「じゃあ、エフィさんの姿を真似たのは、そのため…」 ネウ子「そう…ネウロイ同士では、あんな関係は、存在、しなかった」トテトテ エフィがバルクホルンに近づく ネウ子「理解して欲しい」 バルクホルン「?」 ネウ子「私は…敵じゃない」 バルクホルン「……安心しろ。今すぐお前を追い出すようなことはしない」 ネウ子「じゃあ…」 バルクホルン「だが、おかしな真似をしたら…分かってるよな?」 ネウ子「…何度も、言われた」 バルクホルン「なら良し。改めてよろしく」 ネウ子「よろしく……お姉ちゃん」ニコッ バルクホルン「!?///」 ミーナ「あらあら、懐かれちゃったみたいね」 エーリカ「新しい妹だね」ニシシ バルクホルン「う、うるさい!///」 <ワー!オコッター!コラマテー!ハハハッ! === 夢の世界 精神と時の部屋のような場所 俺「………………誰か起こしてくんねぇかな」 ―次回予告― 俺「……」 エイラ「ドーシタ?遠い目して」 ネウ子「お姉ちゃん…!」キィィン!ビュォォン!! 俺「え?、あ、おい!エフィ!?」 バルクホルン「ふっ…魔力がないネウロイには、わからんだろうさ…」 ネウ子「……あなたには、死んで欲しく、ない」
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上空 Ju-52機内 俺「……」 ネウ子「……」 ミーナ「……」 司令部にお呼び出しを受け、俺たち三人は空の旅となった 先日到着した扶桑艦隊についてと、エフィについていろいろ エフィはこれからも、俺の保護下の元、基地に居座ることになった やはり、様々な意見というかなんと言うかはあるもので、 エフィをカールスラントの技術省に送ってしまえという輩もいた 俺が半分脅してふざけた口を閉じさせたが 軍上層部の石頭は、どの時代も世界も同じらしい そういえば、扶桑の戦艦大和、エフィが妙に興味を示していた その興味の示し方がちょっと変わっていて、好奇心に溢れているが警戒心もあるという感じ まぁ、エフィの興味関心の対象が増えるのはいいことだろう……多分 とりあえず、今はそんな事よりこの機内の気まずい雰囲気を何とかしたい マルセイユ「……」ジー ネウ子「……」ガクブル ミーナ「……」シランプリ 俺「……」ナミダメ ……こん畜生 俺「た、大尉?」 マルセイユ「ん?」 俺「エフィは、その、敵ではないので、睨み付けないであげてください」 精一杯の説得 マルセイユ「睨みつけ……ああ、いや、ネウロイだからと警戒しているわけではないんだ」 俺「え?じゃあなんで……」 マルセイユ「いや~……」チラッ ネウ子「キュ?」 マルセイユ「夏なのにセーターで暑くないのかな~、と」 俺「……そこ!?」 第七話 "Calm before the Storm" マルセイユ「怖がらせてしまったみたいだな。すまない」 ネウ子「キュー」フルフル 俺「気にしてないみたいですよ」 マルセイユ「そうか、よかった」 ……意外といい人なのかな? マルセイユ「それはそうと、ハルトマンは元気にしてるか?」 俺「? 中尉と、お知り合いなんですか?」 ミーナ「ハルトマン中尉とマルセイユ大尉、それにバルクホルン大尉は、昔同じ部隊にいたのよ」 俺「へー」 ネウ子(興味無さげ…) マルセイユ「で、元気にしてたか?」 俺「ええ、元気ですよ。私生活はずぼらですが、戦闘ではいつも結果を出してます」 マルセイユ「そうか……そうか!」 俺(すごいうれしそう…) パイロット「間も無く基地上空です。着陸態勢に入ります」 ミーナ「わかったわ、ありがとう」 ネウ子「疲れた…」 俺「輸送機で空を飛ぶのは初めてだもんな」 マルセイユ「……」ウズウズ 大尉が突然そわそわし始めた、と思ったら マルセイユ「」スクッ 急に立ち上がった 俺「大尉?もうすぐ着陸ですから、座っていたほうが――」 ――安全、と言おうとしたら、 <ガラッ!ブォォォ! 大尉がドアを開け放った ネウ子「キュッ!?」 俺「なっ!?」 高度は下がっていたので、気圧の問題は無いが、強風が機内を吹き荒れる ミーナ「マルセイユ大尉!」 中佐が風に負けない勢いで叫ぶが、 マルセイユ「」ニッ 彼女のファンが見たら体中の穴という穴から出すもん出して倒れそうな笑顔を見せた後、 マルセイユ「とうっ!」シュタッ 飛び降りた 俺「あの人正気か!?」 いい人だなんて一瞬でも考えた自分がバカだった…あの人、クールビューティー気取ったじゃじゃ馬だ ネウ子「~~っ!」キィィ、バタン エフィが何とかドアを閉め、機内に吹き荒れる風は収まった 窓から外を見ると、飛び降りたマルセイユ大尉が使い魔を発現。華麗に着地しているのが何とか見えた 俺「……昔からああなんですか?」 ミーナ「JG52に居た頃から、自信家で傲岸不遜な性格だったの。アフリカでだいぶ丸くなったと聞いていたけど…」 ハァァ、と、いつもよりちょっと長めのため息が漏れる ネウ子「キュー…」 俺「…心中、お察しします」 基地 ブリーフィングルーム 今までブリーフィングは談話室で行っていたが、ちゃんとしたブリーフィングルームができてからは、基本こっちだ ただ、談話室のほうが個人の部屋に近いというのもあり、朝の通達は談話室でやってる 今日は、夜間哨戒組みも徴収され、数日後に行われるスレッジハンマー作戦のブリーフィングが行われる スレッジハンマー作戦――ようするにマルタ島奪還作戦だ マルタ島に居座るドーム型ネウロイを、内部から破壊するという、少々無茶な作戦なのだが、 俺(航空機の格納・射出機能を持った大型潜水艦……扶桑も変わったもんを作るな) 扶桑の潜水艦「伊400」のおかげでできちゃうのだ ドームの半分は湾は覆っていて、伊400で内部に侵入後、浮上、ウィッチ二名を発艦後、急速潜航する、というわけ 浮上~潜航の間に攻撃されるのではないか?と思ったが、伊400は一分で急速潜航できるそう……恐ろしいわぁ 魚雷発射管は外されているとのこと。(忠実では53cm魚雷発射管が艦首に8門付いている) ネウロイと水中戦することは無いだろうが、魚雷発射管の無い潜水艦って… エイラ「……どこがおかしいんだ?」 こっちの世界じゃ半ば当たり前のようです ミーナ「では、突入部隊のウィッチを発表します」 前に、俺かサーニャが作戦に参加できるように頼んだけど… ミーナ「まず、今回の作戦の援軍として参加することになった、第31飛行隊の、ハンナ・マルセイユ大尉」 バルクホルン「どういうことだ中佐!突入部隊は、私とハルトマンのはずでは!?」ガタッ ネウ子「落ち着いて…」 立ち上がって抗議するバルクホルンを、大尉の隣に座るエフィがなだめる 俺(やっぱり無理だったか…) 結構重要な作戦だし、上が口出ししてくるのは当たり前か…… ミーナ「上層部からの指示です。我が501から作戦に参加するのは一人のみ。バルクホルン大尉、あなたです」 マルセイユ「無理だ」 ずいぶんはっきりと言う マルセイユ「バルクホルン。あんたじゃ私のパートナーは務まらない」 バルクホルン「ッ!?」 口調からして、大尉への挑発か、かなりの自信家か… 俺「……」 ネウ子「……」 宮藤「……」 エーリカ「……」 皆が見守る中、 バルクホルン「……何が、何が言いたいんだ?マルセイユ……ッ」 怒気を抑えようとするが抑え切れていない口調で、大尉がこぶしを握りながら言う マルセイユ「言葉通りさ。あんたの力量じゃ、私といっしょに戦うの無理だって言ってるんだ」 ミーナ「大尉」 マルセイユ「私の力量とつりあうのは…」 中佐が注意するが、大尉の口は止まらない 大尉は視線をある一人に集中させた――黒い悪魔、エーリカ・ハルトマンだ エーリカ「?」 興味なさげに頬杖をついていたエーリカは、視線に気づき、マルセイユのほうを向く その視界を、バルクホルンの背中がさえぎった バルクホルン「どこを見ているんだマルセイユ」 つかつかと靴音を立てながら、席から離れたバルクホルンが、マルセイユに近づく バルクホルン「カールスラント防衛戦の頃から、お前の上官を上官とも思わないその態度……変わってないな!」 ピョコンと使い魔を発現させ、バルクホルンはマルセイユに掴み掛かる体勢を取る 宮藤「ハワワ…」 ネウ子「キュゥ…」 リーネ「どうしよう…」 ミーナ「バルクホルン大尉!」 再度制止するが聞かない マルセイユ「フッ。今は同じ階級だ」ピョコン こちらも大鷲の使い魔を発現させ、ファイティングポーズをとる 俺(あ、これヤバイな) AK担いで瓦礫の山を走り回っていた頃に培った危機察知能力が赤信号を示した 俺「エイラ!サーニャ!伏せろ!」 俺の隣の座る二人に向かって叫ぶが、 <ドォンッ! 一瞬遅かった 魔力と魔力のぶつかり合い 力をぶつけ合う二人の足元には魔方陣。周りには重力場ができ、部屋の中に嵐ができる バルクホルン「~~っ!」 マルセイユ「――っ!!」 <バギッドゴォッ! 耐えられなくなった床が、破片を風に乗せて撒き散らせながらえぐれる その破片がこっちに飛んでくる 俺「いっ!?」 何とかかわす サーニャ「はわぁっ!?」 エイラ「アッチデヤレー!」 ミーナ「二人とも!!」 中佐が三度目の制止をかけるが、二人は止まらない 俺(畜生!埒があかねぇ!) 少し乱暴だが、無理やり止めさせる 右腰からSAAを抜き取り、銃口を天井へ向ける コックし、引き金に指をかける <ダァン! 一同「っ!?」 銃声に驚いた二人(と一同)の動きが止まる。重力場も消え、嵐は収まった 俺「味方同士で争ってどうする!お互いカールスラント軍人だろう!?」 SAAをホルスターに戻しながら叫ぶ 俺「挑発して、喧嘩して、周りに迷惑かけて、まるで子供じゃないか!」 バ・マ「……」 エイラ「……俺?」 いつもと違う何かがある俺に、エイラが違和感を覚える 俺「バルクホルン大尉、怒りたくなるのはわかりますが、もう少し冷静に」 バルクホルン「……すまん」 俺「マルセイユ大尉、旧友に会えて嬉しいのかもしれませんが、喧嘩っ早いのはご遠慮願いたい」 マルセイユ「……調子に乗りすぎた、すまない」 口では謝っているが、どこか腑に落ちないような顔をしている 俺「はぁ…穏便に済ませてくださいよ。自分はちょっと出てきます」 SAAを再度抜き、シリンダーの空薬莢を排出 あたらしい45LC弾を込めながら、ブリーフィングルームの出口へ向かう バルクホルン「どこ行くんだ!」 俺「設備班のところです。床の修理を頼みに行くんです」 ミーナ「それなら私が行くけど」 俺「あいつらには顔が利くんで。今日中に終わらせます」 ミーナ「……そう、じゃあ、お願いするわ」 ここに居ずらいんだよ、という俺の意図を汲み取ってくれた 俺「はい」 エイラ「わ、私もいっしょに行っていいか?」 俺「男だらけのむさいとこだぞ?」 エイラ「俺が行くなら、私も………///」 俺「…///」 マルセイユ「ヒュー」 俺「っ」ギロッ マルセイユ「おっと…」 ……… 俺「大尉、こういうことは言いたくないんですが……」 エイラ「あ……俺」 俺の只ならぬ雰囲気を感じ取ったのか、エイラが止めようとするが、 俺「あなたみたいな人が一番最初に死ぬんだ」 一同「!?」 ダメだった エイラ「俺!」 俺「フン」 それだけ言うと、俺は大股で歩き始めた エイラ「待てって!」タッタッタ 慌てて追いかけるエイラ マルセイユ「………――っ」 唖然としていたが、すぐに険しい表情になるマルセイユ ミーナ「……」ハァ 胃に穴が開きそうなミーナ中佐だった 宿舎廊下 エイラ「俺!待てってば!」タッタッタ 先を行く俺を追いかけていると 俺「……」ピタッ エイラ「わっぷ」ドン 突然立ち止まった俺の背中にぶつかってしまった エイラ「俺……?」 俺「……ハッ、俺もバカだよな。子供なのはどっちだ」 自嘲するように笑った後、毒を吐く エイラ「なんで、あんなことを…?」 俺「向こうにいた頃、似たような性格の奴を何人も見てきた……同じ数だけの、死に様もな」 エイラ「……」 俺がポケットに手を突っ込み、ゆっくりと歩き出した 私も、後に続く 俺「ああいう自信家は、いつも先に死んでいく。自分に酔って、周りが見えなくなるんだ」 エイラ「確かに、大尉は自信家ダケド、そんなへまをするような…」 俺「カリスマと自信家は別物だよ」 戦場で生き残るのは、知識と経験を兼ね備え、冷静さと情の分別が付く奴だけだ 間違った知識で部隊を動かせば全滅し、経験がなければ苦難は乗り越えがたい 冷静に物事を判断することも重要だが、時に感情的になるのが人間。それを自分で制御できなければならない 冷徹と冷静は違う。味方を簡単に見捨てるものには、誰もついて行こうとしない 俺「…ある種のトラウマかな」 歩く速度を少し速めた エイラ(あ…) ポケットに突っ込んでいる俺の手。小刻みに震えているのに気が付いた エイラ「……」ギュッ 黙って握ってあげる 俺「!」 エイラ「……」ニコッ 俺「……///」 幸せは、一人の笑顔で作れます ブリーフィングルーム がんばって話し合いで解決しようとした結果、マルセイユ大尉の寮機はエーリカになった エーリカ本人は、しぶしぶというか、面倒くさそうな顔をしていたが ネウ子「あ、あの…」オズオズ マルセイユ「?」 ネウ子「俺兄さんを、怒らないで、あげて」 マルセイユ「兄さん?」 ネウ子「あ…///」 人前では俺のことを彼で統一してたのに……うっかりしていた マルセイユ「ずいぶん、信頼しあってるんだな。互いに」 ネウ子「うん……彼は、大切な、家族」 マルセイユ「そうか」 実の兄のことのように、うれしそうに話をするエフィを見て、思わず笑みがこぼれる ネウ子「あの、それで…」 マルセイユ「大丈夫だ、突然殴りかかったりとかはしない」 ネウ子「そう…わかった」 マルセイユ(人にしか見えない…) 言わなければ、街中で静かに本を読んでいても分からない 坂本「マルセイユ大尉!訓練飛行の時間だ!」 マルセイユ「わかった!…じゃ」 ネウ子「キュ」 その後、マルセイユ大尉は、俺を避けるような行動は取らなかった しかし、俺は少し引け目を感じていたのか、なるべく関わらないように立ち回っていた マルセイユ大尉から俺に何か話がある場合は、エフィが言伝を担当した 大尉は、エフィがネウロイであることは知ってる。だが、俺が異世界人であることは知らない エフィやエイラは、そのことを大尉に話そうと提案したが、俺が頑なに拒否 結局、若干間柄がピリピリしたまま、作戦の日を迎えてしまった ――マルタ島上空 スレッジハンマー作戦戦闘空・海域 エーリカとマルセイユを除く全員が編隊を組み、マルタ島上空を飛んでいた 海上にはキングジョージV、ビスマルク、リットリオ、秋月などの連合艦隊が並び、 海中では、エーリカとマルセイユを乗せた伊400が、ドーム型へ近づいていた ミーナ「聞こえる?マルセイユ大尉、ハルトマン中尉」 マルセイユ『良好だ』 ミーナ「目標はネウロイによって占拠されたマルタ島。この前、扶桑艦隊を襲ったネウロイも、ここから出現したと予想されるわ」 俺(大和を襲ったあれか) 忠実で大和を沈めた爆弾の形をしてたそうな ミーナ「ネウロイは地上で要塞化していて、手が出し辛いの。だから、内側から潜水艦を使って侵入して倒す。準備はいい?」 マルセイユ『いつでもいける』 エーリカ『こっちも良いよ』 ミーナ「作戦開始!」 伊400が水門をくぐり、ドーム内部へ侵入 そのまま緊急浮上。ハッチを開き、二人のウィッチを射出する エーリカ「!」ブォォン マルセイユ「接敵!」ダダダダ ミーナ「始まったみたい」 中佐が固有魔法の空間把握を発現。内部の状況を確認する エーリカ『敵数、多分40くらい!』 リーネ「40!?」 バルクホルン「多いな…」 俺「中佐、内部にコアはいくつありますか?」 ミーナ「見た感じ、一つだけね」 俺「一つ!?」 坂本「どうかしたのか?」 俺「いえ…」 エフィは、内部にコア持ちの個体が複数いると予想していたが…… インカムからは相変わらず、MG42とMG34の銃声、二人の撃墜報告が聞こえていた エーリカ『3!』ダダッダ マルセイユ『2!』ダッダダ エーリカ『1!』ダダダン <ダダパァン! マ・エ『ゼロ!!』 ミーナ「あとはコアだけ」 俺「……」 おかしい、あまりにも簡単すぎる。何かの罠か? マルセイユ『これで…』ダダダ エーリカ『終わりっ!』ダダダ <キィンッ!パリーン! 7.92mm弾の銃撃を喰らったコアは砕け散り、ドーム型が上部から崩壊し始めた バルクホルン「終わったな…」 宮藤「すごい…」 坂本「あれがエースの力だ…」 俺「……」 崩壊を始めたドーム型 その崩壊の速度が若干遅くなった <ピカッ 俺「ん?」 ドーム内部の中央付近で、何かが光ったような気がした 俺(赤い光……だったよな………まさか) 赤く光るもの。そんなの、決まってる 俺「っ!」ブォォン! 魔導エンジンに限界まで魔力を送り込み、最高速でドーム型へ向かう エイラ「俺!?どこ行くんだよ!!」 その時、ドーム型の崩壊が止まり、逆に再生を始めた ミーナ「一体、何が……」 サーニャ「っ!?ネウロイの反応が復活!ドーム型の中には、まだコアがあります!!」 バルクホルン「なんだって!?」 ドーム型の再生スピードが上がる 坂本「急げ!入り口が閉じる!」ブォォ エイラ「俺!」ブォォン! 一度は離脱したエーリカとマルセイユも反転し、再度ドーム型へ向かう だが、一瞬遅かった 俺「っ」ブォォン! 再生が間に合わなかったドームの天頂部から俺が内部に侵入 侵入後、ドームの再生は完了し、入り口は閉ざされた エイラ「喰らえ!」ダダダダ ドームに向け銃撃を開始するが、 <キンッキンッ!! エイラ「効いてない…」 ミーナ「サーニャさん!」 サーニャ「はい!」バシュゥッ!バシュゥッ! 中佐の指示を受け、サーニャがフリーガーハマーを発射する。が、 <ヒュゥゥドーン!! サーニャ「ダメです!効果なし!」 シャーリー「マジかよ…」 エイラ「俺……」 マルセイユ(……なぜだ、なぜあいつだけあんなにすばやく反応できた……?) ……いや、そうじゃない マルセイユ(なぜあいつだけ中に入れた?) あいつが動き始めた瞬間、狙ったようにドームが閉まり始めた マルセイユ(中で何が起こってるんだ………くそっ!早死にするのはどっちだ!) 無駄とは分かっていても、銃弾を叩き続ける ドーム内部 俺「ハァ……ハァ……」 全速力で飛んできたので、息が上がってしまった だが、警戒は怠らない。背中に担いでいたPPsh41を構える スオムス経由で入手した新しい"私物"である 問題が多々ある71発ドラムマガジンは、リベリオンのトンプソンを参考に銃弾装填後にゼンマイを巻く方式に 木製曲銃床を外し、お手製の木製銃把と鉄製のワイヤーストックを装着 元の姿はどこへやら、というぐらい改造が施してある ちなみに、いつものプラズマライフルは、この前暴発事故を起こしたので調整中だ 俺(どこだ…) <ヒュンッ! 俺「!?」 背後で風の切れるような音がし、慌てて振り返る <ダダダダン! 振り向き様にぺペーシャの引き金を引き、トカレフ弾を数発お見舞いする だが、 <キキンッキンッ!! 俺「なっ!?」 放たれた銃弾は、光の壁にふさがれた 正五角形、赤の半透明の壁。ウィッチでいうシールドを展開していたのは、 ネウ女「いきなり撃つなんて、ひどいんじゃない?」 エフィとは別の、人型ネウロイだった ネウロイユニットに縦セーターのような上半身 黒一色で表情のない顔。そこまではエフィのネウロイ形態時と同じだが、 黒い髪の毛は、エフィのそれより長く、腰の辺りまであった 身長も若干エフィより高く、エフィを少女型とするなら、彼女は女性型と言ったところだ 俺「そっちから呼んでおいて、背後に立つのが悪い」 ネウ女「驚いた?」 俺「そりゃあな。そのシールドは?」 ネウ女「私たちは日々進化している。今、この瞬間も」 俺「俺の妹分から何度も聞かされた」 ネウ女「フッ」 人型はコアを胸元のコアを露出させ、自身の周りに光の粒子を纏わせた 数秒、その状態が続き、光の粒子が晴れたとき、 ネウ女「どう?」 人型はエフィのように、人の容姿を真似た姿になっていた 黒髪はそのまま、肌の色は扶桑人のような黄色に 服装は白のワイシャツの上にこげ茶色のジャケット。ジャケットの前は開けている 脚はネウロイユニットのままだ 俺「誰を真似たんだ、その姿は」 ネウ女「この島の住人。名前は確か、"セルヴィス"」 俺「……殺したのか?」 ネウ女「私がやったんじゃない。このコロニーの最初の主がやった」 俺「最初の主?」 ネウ女「このコロニーは、私が急進派から奪取したものなの」 俺「つまり、お前は穏健派?」 少し期待を込めて問う ネウ女「正確には、急進派の中の革新派。穏健派と似た思想を持つ個体たちよ」 彼女の話によると、急進派の内部にも様々な派閥があり、急進派内での争いもたえないという 彼女はその革新派で、このコロニーは元々急進過激派のものだったそう 俺「何でコロニーを奪った?アパートでも追い出されたか?」 ネウ女「そんなところ。私たち急進革新派も過激派の粛清を受け始め、逃げ延びたものは一握りだった」 俺(半分冗談だったんだが) ネウ女「穏健派の生き残りと革新派生き残りは手を組み、ここを最後の砦とした……皆もう逃げたけど」 それでコアの反応が一つだったわけか……大和を襲ったのは革新派かな 俺「そういうことか……このドームはどうやって維持してる?さっきコアを破壊したはずだが」 ネウ女「ドームのコアの破片と、私のコアを共鳴させている」 俺「共鳴?」 ネウ女「お互いのコアを共鳴させることで、体を共有することができる」 俺「えっと、ドーム型の管理権が、ドームのコアからあんたのコアに移った?」 ネウ女「そういうこと………………っ」 俺「大丈夫か?」 ネウ女「共鳴は、コアに負担がかかる。個体同士のサイズ比が大きいほどね……」 俺「しっかりしろ。で、話があって俺を呼んだんだろう?話は何だ」 ネウ女「……過激派が、何かをたくらんでる」 俺「何を?」 ネウ女「分からない…」 俺「おいおい…」 ネウ女「ただ、非常に、まずいことになる……特に、あなたにとって」 俺「…どういうことだ」 ネウ女「これを…」 ジャケットのポケットから、小さい円筒状のケースがついたネックレスを取り出し、俺に手渡す 俺「これは何だ?」 ネウ女「いずれ、必要になる…」 俺「もう少し物事をはっきりさせてくれ!知ってることをすべて教えろ!」 ネウ女「それは……」 その時…… <ドォォン! ネウ女「ぐぅっ!」ビクゥ 俺「おい!」 外で重低音が鳴り響いたかと思ったら、彼女が痛みに苦しむ声を上げた お腹を抱え前のめりになり、痛みをこらえる 俺「セルヴィス、しっかりしろ」 ネウ女「ハハッ、その名で呼ばれるとはね……」 俺「一体何が…」 ネウ女「共鳴するってことは、相手の体を、自分の体の一部にするってこと……艦砲射撃は、やっぱり痛い」 俺「おいそれって……艦隊がドームを攻撃してるってことか!?」 すぐに止めさせないと! インカムのスイッチを入れ、外と連絡を取ろうとするが、 ネウ女「無駄よ…ジャミングされてる…空間把握も、使えないはず」 <ドォォォン! ネウ女「ぐっ…ああっ!」グラッ 俺「セルヴィス!」 倒れかけた彼女の体を抱え、支える 俺「何でこんなことを…」 <ドォォン! ネウ女「あなたに、伝えなきゃ、いけなかった、から……あぅ」 俺「しっかりしろ!」 ネウ女「あなた、だけでも、逃げて…」 俺「バカ言え!お前も一緒に逃げるんだ!」 <ドォォン ネウ女「私は、このコロニーと、運命を、共にする……ぐっ」 俺「かっこつけてんじゃねぇ!いいから逃げるぞ!」 ネウ女「っ」ビームッ! セルヴィスが片手を挙げ、ビームを放つ <パァン! 放たれたビームは、海面付近のドーム外壁に穴を開けた ネウ女「だぁっ!」ドンッ 俺「ぬぁ!おい!」 セルヴィスが俺を突き放す ネウ女「早く、行って!」 その顔は苦しみで歪み、必死に痛みと戦っていた <ドォォン! 俺「おい……」 そして、彼女の目には、 ネウ女「行 け ぇ ぇ ぇ っ !!」 涙が浮かんでいた 俺「…………っ」ブォォン!! すまない……本当にすまない <ドォォォン!! ネウ女「ぐぅ……フッ、さぁ、私を殺して…」 <ドォン!ドォォン! ネウ女「私を粉々にしてぇっ!!」 <ドォォン!ドゥグァッシャァァン! 砲弾は、ついにドームの外壁を破壊 次の砲弾が、ドーム内部に向け放たれた 内部で対ネウロイ用焼夷弾が炸裂し、 ネウ女「ああぁぁぁっ!!」 そのすべてを焼き尽くした ビスマルク艦橋 観測員「命中!有効弾!」 艦長「よし!やったか!」 上空 ルッキーニ「見て!あれ!」 指差す先では、 エイラ「あ……」 <キィィィィン!! ドームが、内部から爆発するようにして、崩壊した マルセイユ「今度こそ、終わったのか……?」 バルクホルン「俺は?俺はどこだ!?」
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俺「ストライクウィッチーズだってね」 587-377 作者 パラレルワールド あらすじ 突然、2010年の東京に飛ばされてしまった宮藤。 そこで俺と出会い、短い時間だが一緒に過ごすことになる。 2人は打ち解けその生活を楽しんだが、ついに帰る方法が見つかった。 ところが俺まで飛ばされてしまい逆に宮藤の世界へ。 運よく使い魔と契約し、ウィッチとして認められた俺はストライクウィッチーズに入隊。 ビビリながらも何とか初戦をこなす。 エーリカや宮藤と一緒に帰省も済ませ、過ごしていたある日のこと。 予報もなくネウロイが現れる。 しかしそれは罠であり、俺は謎のネウロイと共に撃墜されてしまった。 第7話「私にできること」 俺「ん…」 俺「ここは…」 目が覚めると、俺の目には無機質な白い天井が映っていた。 俺「何でこんなとこ…ってそうだ!あの子は!」 俺のベッドの右側には、宮藤がもたれかかって寝ていた。 魔法力を使い果たしているようだ…頑張って治療してくれたのだろう。 588 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 38 11.23 ID zTYswDuo0 そして俺の左側には…見知らぬ美少女がもたれかかって寝ている。 長めの黒髪をベッドに散らし、スースーと寝息を立てている。 誰だろう…?少なくとも俺の記憶には見当たらない。 まあ起きてから聞いてみればいいか。 宮藤「ふぁ…お、俺さん!目が覚めたんですか!?」 俺「あぁ、おかげ様でね」 宮藤「よかった…わたし…このまま…」グス 俺「わかったわかった、大丈夫だから泣くな。」 安心するように、頭を撫でてやる。 宮藤「エヘヘ…そうですね、ほんとに良かったです」 俺「ところで、この人は誰か知ってる?」 宮藤「いえ、それが…」 その時、扉が開く音がした。 592 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 42 29.44 ID zTYswDuo0 ミーナ「あら、俺さん目が覚めたのね」 坂本「体に異常はないか?」 俺「はい、大丈夫です。」 ミーナ「ならみんなを呼びましょう、色々と相談もあるわ」 ――――――――――――――――――――――― 皆が集まり、謎の美少女も起きた。 ミーナ「まずは、俺さん。あなた撃墜されたことは覚えてる?」 俺「悔しいですけど…はい。」 ミーナ「この人はあなたを助けてくれたのよ?」 坂本「瀕死の俺を背負って海から出てきたんだ」 シャーリー「『この方を助けて下さい』ってな」 俺「あれ?ってことはもしかして…」 ゲルト「心当たりがあるのか?」 593 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 46 34.56 ID zTYswDuo0 俺「あの時一緒に落ちたネウロイか…?」 ネウ子「はい…そうなんです」 一同「「「「「ネ、ネウロイだって!?」」」」」 リーネ「まさかそんな…」 ペリーヌ「どこからどう見ても人間ですわ!」 ネウ子「騙してごめんなさい…でないとこの人を助けられなかったから…」 ミーナ「あなたは何者なの?攻撃の意思はないのね?」 俺「それについては俺からも話すよ」 そして俺は、あの時何があったかを説明した。 このネウロイについても。 坂本「そうか…しかし、そんなことになっていたとは」 宮藤「ネウ子ちゃんは、その姿は変えられるの?」 ゲルト「なんだそれ?」 宮藤「ネウロイの女の子だから、ネウ子ちゃんかなぁ…って」 奇遇だな宮藤、俺もそう思うぞ。 595 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 50 07.42 ID zTYswDuo0 ネウ子「人間の姿は…これだけなの」 リーネ「ネウロイの姿にも戻れるんですか?」 ネウ子「はい」グニャ ルッキーニ「まっくろだー」 ミーナ「とりあえず、あなたは人間の姿でいてください」 ネウ子「はい」グニャ 俺「でもよく助かったな…ネウ子が助けてくれたんだろ?どうやったんだ?」 ネウ子「いえ…それは…///」 口篭りながら、頬を染めるネウ子。 何この反応!? ネウ子「着水時の衝撃を和らげる為に…その…抱きしめて…///」 俺「そ、そうなのか。ありがとうな」 目の前で、しかも照れながら 美少女にこんなこと言われたらこっちだって嬉し恥ずかしくなる。 596 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 54 30.39 ID zTYswDuo0 宮藤「わ、私だってずっと介抱してたんですから!」 それに答えるように、ネウ子も言い返す。 ネウ子「私だって…がんばったもん…」 2人の視線が火花を散らしている。 このままでは…と思っていると、少佐が助け舟を出してくれた。 坂本「そこまでだ、まだ話の途中だから大人しく聞け」 宮・ネ「了解」ショボン そこからしばらく話し合いが行われた。 要約すると、こんな感じだ。 あのネウロイ(ネウ男)は相当強い ネウ男もネウ子もシールドが使えるのは、ウィッチの魔力も微量ながら吸収したから 姿は、ネウロイ時と人間時の2種類。 ネウ子は裏切り者として、追放された。 ネウ子は全面的に協力する代わりに、基地に置いておく ミーナ「全員、異論はないわね?」 ゲルト「まあ悪い奴ではなさそうだ」 シャーリー「大丈夫だろー」 エイラ「サーニャに近づくナヨ」ガルルルル 598 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 57 55.39 ID zTYswDuo0 反応はまちまちだが概ね良好だ。 俺も助けてもらったわけだしな… 坂本「さて、こんな時間だ。そろそろ夕食にしよう」 ――――――――――――――――――――――― 俺はずっと眠っていたせいか、腹が減ってたので食事を楽しみにしていた。 していたんだが… 宮藤「俺さん、納豆も健康にいいからどうぞ!あ、混ぜてあげますね?」グリグリ ネウ子「煮物も…栄養つくよ…?」 このピリピリした雰囲気は何なんだよ。 他の奴らの生暖かい視線が身体に刺さる。 ネウ子「まだ病み上がりだから…あーん…」 俺「じ、自分で食べれるからね?」 宮藤「ご飯のおかわりどうですか?あ、お茶も飲みますか?」 俺「いや、もうお腹いっぱいだから大丈夫だよ」 2人のバトル(?)にげんなりしていると、他の面々も会話に混ざる。 599 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 16 59 11.62 ID zTYswDuo0 シャーリー「モテる男は辛いねぇ」ニヤニヤ 俺「病み上がりだから、看病してもらってるだけだよ」 俺だって、それだけとは思ってないが自爆することもないだろう。 ミーナ「ネウ子さんは何故これだけ私達の味方をしてくれるの?」 ネウ子「私は…彼と違って…俺さんと芳佳ちゃんの魔力が多かったから…」 坂本「もう1人はそのリングの魔力を取り込んだわけか」 ネウ子「だから私は…俺さんや芳佳ちゃんの気持ちとか…知識とか…そういうのも得たの…」 シャーリー「なるほどねー、道理で俺が好かれるわけだ」 宮藤「ななな何を言ってるんですかシャーリーさん」 エイラ「隠してもバレバレダゾ」 サーニャ「芳佳ちゃんは嘘が下手だから…」 そんなことを言ってると、ルッキーニがとんでもないことを言い出した。 601 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 02 17.14 ID zTYswDuo0 ルッキーニ「じゃあ、さいしょーどーきんすればいいじゃん!」 俺「ぶっ、げほっ、…そ、それはマズいんじゃないかな…?」 ゲルト「なんだ、そのさいしょーどーきんという奴は」 シャーリー「…ルッキーニ、それをどこで?」 ルッキーニ「んとねー、整備兵のおっちゃんが居て、3人の事聞いたら」 「がっはっは、そりゃあお嬢ちゃん妻妾同衾すりゃ解決ってもんよ!」 ルッキーニ「って教えてくれたの」 シャーリー「よし、アイツだな…。それからルッキーニ、その言葉を忘れるんだ」 ルッキーニ「えーなんでー」 ミーナ「ルッキーニさんにはまだ早いわね」 エーリカ「案外いい解決法かもよー?」ニシシ 宮・ネ「そ、そんな破廉恥な///」 リーネ「全く同じ反応してるね…」 ペリーヌ「元が一緒ということですわね」 603 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 07 05.09 ID zTYswDuo0 賑やかなもんだよ本当。 というか整備兵のおっちゃん!それ解決になってないから! いや俺は大歓迎だけれども…って何言ってんだ… あと、多分シャーリーにこってり絞られると思うぞ。 ――――――――――――――――――――――― ――風呂 俺「あー、極楽極楽」ザバーン 俺「毎度毎度、これは癒されるねー」 傷にも沁みないようだし、と体を確認していると扉の開く音がした。 まさかこんな時間に入浴か!? とりあえず俺は反射的に岩陰に身を隠した。 ネウ子「俺さん…居ないんですか…?」チャポン 俺「ネウ子か?」 ネウ子「良かった…居たんですね」 俺「あぁ…だが何故風呂に」 ネウ子「俺さんの背中を…流そうと思って…」 これは驚いた。 しばらく動けないでいると、ネウ子が申し訳なさそうに聞いてきた。 604 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 12 46.26 ID zTYswDuo0 ネウ子「やっぱり…迷惑でしたか…?」 俺「いやいやいや、全然オッケーだよ」 ネウ子「そ、それではこちらに…」 俺まで緊張してきた… しかし見れば見るほど、ネウロイとは思えないな。 宮藤の魔力を取り込んだせいなのかも知れないが、髪は真っ黒、胸は控えめ。 綺麗なその黒髪が、少し肩にかかって扇情的に…って落ち着け俺! 俺「じゃあよろしく頼む」 ネウ子「これぐらいで…大丈夫?」ゴシゴシ 俺「でも何でいきなり風呂なんだ?」 ネウ子「扶桑には、裸の付き合いというものがあると…私の知識にありました…」 なるほど、知識や感情も受け継いだわけね。 ネウ子「一旦流しますね…」 ネウ子がそう言った時、突如扉の開く音がした。 先ほどとは違い、それは荒々しいものだった。 605 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 17 20.25 ID zTYswDuo0 宮藤「一体何をしてるんですかぁ!!」 ネウ子「俺さんは…怪我してたから…背中流してるだけ…」 宮藤「そ、それは私がしようと思ってたのに…」 ネウ子「早い者勝ち…」 宮藤「む~~、交代です!交代!」 ネウ子「ダメ…」 俺「喧嘩しないで、公平に。代わりばんこでね?」 ネウ子「ん…それで妥協する…」 宮藤「じゃあ私が右半分で、ネウ子ちゃんは左半分ね」 ネウ子「うん…」 しばらくして、お湯をかけて洗い流してくれた。 まさかとは思うが… 宮藤「次は前ですね!」 やっぱりか! 608 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 22 20.28 ID zTYswDuo0 俺「いや、前はいいよ。自分で出来るし」 ネウ子「そう言わずに…やってあげる…」 俺「大丈夫だから…って、何でにじり寄ってくるの?」 宮藤「逃がしませんよ?ネウ子ちゃんはそっちからお願い」ジリジリ ネウ子「了解…」ジリジリ こういう時だけ結託しやがって… バスタオル姿の2人が迫ってくる。 うん、慎ましい胸がなんとも…ってそんなことしてる場合じゃなかった。 この後、壮絶な追いかけっこをしたが何とか逃げ切れた。 全く扶桑魔女ってのは恐ろしいね… ――――――――――――――――――――――― ザザーン ザザーン 俺「夜は少し冷えるな」 俺「ここだな…例の場所は」 誰にも見つからぬように海岸に来ていた。 深夜だから皆寝静まってると思う。 俺は今日1日で、2つのことを考えていた。 610 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 27 50.66 ID zTYswDuo0 1つ。 今回の事は俺の責任が大きく、俺が何とかすべきだということ。 2つ。 奴を倒すには力がいる。固有魔法うんぬんではなく、もっと莫大な力が。 その為にはどうすればいいか。 そして俺は、ある結論に至った。 だから海岸に来ているのである。 ネウロイに出来たのなら俺も出来ないことはないだろう。 「世界間移動時の放出魔力の取り込み」、つまり奴らと同じ方法。 これが俺の出した結論だ。 時計を見ると、午前2時55分。 すっと鷹が現れ俺に質問してきた。 鷹「お主はそれで良いのか?」 俺「ああ」 鷹「どうなっても知らんぞ」 俺「ああ」 鷹「…なら我から言うことは何も無い。」 鷹「いや、1つだけ助言だ。お主には仲間がいる。それを努々忘れるな」 俺「ありがとうな」 音も無く、俺の使い魔は消えた。 611 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 30 04.34 ID zTYswDuo0 2時57分。 宮藤からこっそり拝借したリングを装着する。 2時58分。 ちなみに今回向こうに行くのは1枚の写真である。 俺の一番大切な――ストライクウィッチーズ全員で撮った写真。 2時59分。 俺は魔法陣の外側から手をかざす。 外からなら大丈夫だろう。後は気合だ。 そして、3時00分。 魔法陣が発動した。 俺「ぐああああああああああああああ」 膨大な魔力が俺に流れ込んでくる。 しかし負けてはならない。 これを制御し切れなければ、俺は死ぬ。 俺「くっ、くっそおおおおおおおおおおおお」 必死で抗い、その魔力を自分の支配下に置こうとする。 その最中、これは走馬灯という奴なのだろうか? 俺の脳裏にある日常の1シーンが浮かんできた。 612 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 33 09.25 ID zTYswDuo0 ――――――――――――――――――――――― 宮藤「そんなに落ち込まないでください、俺さん」 俺「だって、もう入隊して2週間なのに手も足も出ないなんて…」 宮藤「私だって始めはそうでしたよ」 俺「でもなぁ…」 宮藤「私はね、お料理得意だったからそれも頑張ったんです」 宮藤「訓練では中々上達しないけど、せめて私にできることをしようって」 宮藤「それでみんなにも認めてもらえて、訓練も続けられました」 宮藤「大事なことは、自分にできることをするってことです」 俺「俺にできること、か…」 宮藤「人間なんてのは、違って当たり前でそれが個性です。 それを補い合って、人は生きていくんです」 宮藤「だから私は空で戦います。みんなの為にお料理もします」 宮藤「好きだから、守りたいから」 宮藤「俺さん、あなたにできることは何ですか?」 613 :パラレルワールド[]:2010/12/09(木) 17 36 00.92 ID zTYswDuo0 俺「そ、それは…ごめん。わからないよ」 宮藤「ゆっくり考えてください、まだまだ時間はありますから」 宮藤「って、ちょっと偉そうだったかな…」 俺「いや、ありがとう。宮藤はちゃんと考えててすごいな」 宮藤「エヘヘ…それほどでも」 ――――――――――――――――――――――― 俺「俺にできることは…こうするしかないんだ!!」 魔力と戦う内に俺は、意識を失った。 次回予告 強大な敵、ネウ男が現れたのは自分のせいだと責任を感じ 奴と同じ方法で自分も強くなることを選んだ俺。 そして、攻めてくるネウ男と他のネウロイ達。 その時ストライクウィッチーズは――― 第8話「宿敵」
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談話室 あのあと、結局虫を見失ってしまった エフィのネウロイパワーを使えば何とかならなくも無いが、それはやっぱりできない サーニャの広域探査も使えそうだが、まだ部屋で寝ている バルクホルン「あの虫がネウロイ!?本当かエフィ?」 ネウ子「キュー」コクコク エイラ「どうも、あの虫が通った場所はどこも停電してるみたいなんだ」 ペリーヌ「放って置けませんわ!」 バルクホルン「そうだ少佐。このままでは基地に機能が停止してしまうかもしれん」 お尻に真っ赤な紅葉を咲かせながら言われても… 坂本「そうは言うが、どうやって見つけるか…」 シャーリー「話は聞いた、私に任せな!」 ルッキーニ「シャーリー!」 談話室の入り口からシャーリーが現れた。彼女の手にはなにやら機械が握られている シャーリー「基地の電気の流れを調べたら、どうもその虫は停電させる前に、特殊な電波を放って、電線からエネルギーを吸い取っている可能性がある」 宮藤「じゃあ、何で私たちのお尻に?」 シャーリー「それはしりません!」キリッ ………………… ネウ子(Do not assk me ?) 知りませんと尻をかけている事は分かったみたい バルクホルン「………ところでシャーリー、その機械はなんだ?」 シャーリー「こんなこともあろうかと、電波探知機を作っておいたのさ。それに、奴の電波を探知するよう、周波数を合わせてある!名付けて、虫探知機!」 カチッ、とスイッチを押すと、規則的な電子音が聞こえ始めた ネウ子(最近のスマフォについてる電波チェッカーみたいなものね) メタ発言禁止ですよ シャーリー「! 居るぞ、近くだ!」 機械のアンテナの先を順番に向けていく <ピピピピピピピーッ! 機械が一番甲高い音を出したのは シャーリー「そこだ!」 宮藤「え?ええぇぇぇ!?」 宮藤にアンテナが向いたときだった <ブゥゥンピトッモゾモゾ 宮藤「いやぁぁぁっ!!」 虫、侵入 リーネ「芳佳ちゃん!?」 宮藤「いやぁぁっ!モゾモゾする~!!」 坂本「宮藤、脱ぐんだ!」 宮藤「脱げません!」 ルッキーニ「私の虫~!」 飛び掛るルッキーニ。逃げ出す宮藤 エイラ「エフィ!宮藤の服を脱がせ!」 ネウ子「ラジャ」ヒュン 宮藤「ふぇっ!?」 音も無く宮藤の背後の回ったエフィは、宮藤のズボンを脱がそうと腰に手を掛けるが、 <スッ……スッスッ… 手は学校指定の水着によく似たボディスーツの表面をなぞるだけ ネウ子(上下一体型は脱がせられない!?)ドーン しまった、と思っているうちに、 宮藤「いやぁぁっ!」タッタッタ ネウ子「あ…」 宮藤がまた逃げ出した シャーリー「うわっ!こっちくるな!」 宮藤「へ?あ、わっ!」 <タタタ、ドシーン! 走っていた宮藤がシャーリーに衝突。盛大に転んでしまった ネウ子(狙ってやった……?) 宮藤の手はシャーリーの双丘に当てられていた 宮藤「いたた…」 <ブゥゥンピトッビリリ!ボフーン シャーリー「あぁ!探知機が!」 <ウマウマ…ブゥゥン ペリーヌ「虫が逃げますわ!」 坂本「追え!」タッタッタ ルッキーニ「私のむーっしー!」タッタッタ 談話室に居たメンバーの大半が虫を追う中で、 エイラ「そうだ、あれを使えば…」 何か思いついたらしいエイラは、自室へと足を向けた 俺 自室 俺「ふぃ~、楽しかった~」 手に持っていたモシンナガンを壁に立てかけ、ベッドに腰掛ける 結局あれ以上タイムは縮められなかったけど、整備兵には好きなときに使っていいと言われたし、またいつかやろう まぁ、それはそうと 俺「体が硝煙くさいなぁ…」 自分自身はあまり気にしないが、女子11人+エフィの手前、多少は清潔を保たねば 俺「サウナか風呂行きたいけど、あいてるかな」 風呂は今日がお披露目だから、エイラたちがまだ使っているかもしれない。これから使う人もいるかもしれない 俺「サウナにするか……あ、そういえば」 ――(俺「エイラー、サウナで使う白樺の枝が折れちまったんだが」) ――(エイラ「結構前から使ってたからナ。私が新しいのを用意しとくよ。使うときに声かけてくれ」) 俺「て、言ってたなぁ。エイラの部屋によってから行こう」 エイラ・サーニャの部屋 <ガサゴソ エイラ「あった!これなら電気が無くても探せるゾ」 そういってチェストから取り出したのは、一組のダウジング棒 棒はくるくる回った後、ある一点を指した エイラ「さ、サーニャ?…いや、サーニャのもっともっと向こう、だよ、ナ…?」 <ギュィィン! エイラ「!」 まるで何かに引き付けられるかのように、棒はサーニャを、正確にはサーニャのお尻を指した エイラ「違う、絶対に違う…よナ?……でも、もしかしたらそうかもしれないから…」 震えるエイラの手が、サーニャのズボンに伸びる エイラ「ゴクリ……」 <スッ…ズリッ… サーニャ「……ん」 <キュィィィン サーニャ「?……ん?」 エイラ「はっ!///」 使い魔の耳と尻尾、魔導針を発現させ、サーニャが目を覚ました 虚ろな意識の中、尻尾を使って自身のお尻辺りにあるものを探る 惑うことなきエイラさんの手です エイラ「ち、違うこれは!!///」 サーニャ「エイラ………!///」 怒らせちゃいました <トントン、ガチャッ 俺「エイラー、サウナで使う白樺の枝を取りに……って、どうしたの?」 エイラ「~~っ!!」プルプル エイラが頭を押さえながらうずくまっていた エイラ「あ、あはは、いやー、二段ベッドに頭ぶつけちゃって……」 サーニャ「……///」 そっぽを向くサーニャの顔が心なし赤い気がするが、今はちょっと置いておこう 俺「どれ、見せてみろ…あ~、たんこぶできてるな」 エイラ「あ、やっぱり?」 後頭部左にそれなりに大きなたんこぶができていた そのたんこぶをかる~く指で押してみる エイラ「ひゃうぅっ!///」 ビクン!と体を震わせ、かわいらしい悲鳴を上げる 俺「痛いか?」 エイラ「いた、くは無いけど、くすぐったい…///」モジモジ 俺「後で一応、宮藤かアレッシアさんに見てもらえ」ナデナデ そう言いながらエイラの頭を軽く撫でる。たんこぶになっている箇所は避けている エイラ「む~///」 俺「で、白樺の枝は何処?」 エイラ「ああ、それなら……って、そうじゃないダロ!」 俺「?」 宿舎廊下 エイラ「と、サーニャがネウロイの気配を感じたらしいんダ」 サーニャ「まだ、はっきりしないけど、建物の中と、それから上」 バルクホルン「建物の中に居るのは、あの虫型だな」 坂本「エイラ、サーニャ、エフィ、俺。お前たちは協力して、建物の中を探してくれ」 四人「了解!」 坂本「バルクホルンとハルトマンは、上空の迎撃準備」 バ・ハ「了解っ!」 俺「エフィ、何でもっと早く言ってくれなかった?」 ネウ子「キュ……言おうと、したら、いろいろ、あって…」 シューティングレンジの場所が分からなかった、とは、恥ずかしくて言えない 俺「まぁいいや。で、エフィ。これは言っておこう」 ネウ子「キュ?」 俺「人のズボンを突然脱がすのはやめような」 ネウ子「………キュー」 エイラ「ソウダゾー………マダチョットヒリヒリスル」 サーニャ「……」ジー エイラ「さ、サーニャ…?」 サーニャ「……///」プイッ エイラ「さ、サーニャぁ……」 俺・ネ「?」 宿舎廊下 俺「どっち?」 エイラ「こっち」 サーニャ・ネウ子「あっち」 俺「あっちだな」タッタッタ エイラ「……(´・ω・`)」タタタ 俺「………悪かったよ」 エイラ「………気にしてない」 俺「エフィ、ちょっと聞きたいんだが」タッタッタ ネウ子「キュッ!?」タタタ 俺「いや、身構えなくていい。説教じゃない。俺のモシンナガン用のスコープを知らないか?」 ネウ子「スコー、プ?」 俺「部屋においておいたはずなんだが、今朝見たら無くなっていてな。どこに行ったのやら」 ネウ子「ごめんなさい…知らない」 俺「謝らなくていい、聞いただけだ」 ネウ子「……」 俺「……後で一緒に探そう」 ネウ子「うん……」 基地 庭園 リーネ「虫だったら、こういうところにいると思うんです」 花壇の並ぶ庭園。発想は素晴らしいが、あの虫はあくまでネウロイである ペリーヌ「見つけたらただじゃおきませんわ…………ウグッ!?」 ビーンゴっ リーネ「ペリーヌさん……」 ペリーヌ「何でもありませんわ……」 そこに、いつもの四人がやってきた 俺「ん?」 ペリーヌとリーネの後方数メートル。茂みの中に人影とスコープの反射光が見えた 俺(スナイパー?にしては偽装が適当すぎるな) ちょっと近くに寄ってみよう サーニャ「見つけた」 エイラ「ペリーヌの中にいるゾ!」 そのダウジング棒は役に立っているのだろうか? ペリーヌ「ええっ!?いない!いないですわ!」 リーネ「ペリーヌさん……」 ペリーヌ「いないって言ってるでしょう!」 エイラ「だったら脱いでみろ。空気を読んで俺もいなくなったし」 ネウ子「」ワキワキ 臨戦態勢のエフィ ペリーヌ「……分かりましたわ」 ルッキーニ「ターゲット、捕捉」 シャーリー「OK、いつでもやれる」 スナイパーとスポッターまがいのことをやっているが、手に持っているのはホースとポンプだ そのホースには、俺のものと思われるモシンナガン用のスコープが無理やり付けられていた ルッキーニ「今だぁ!」 シャーリー「発射っ!」クイッ ポンプのバルブを回し、加圧した水がホースから放出された 放出された水は、 ペリーヌ「ひゃああああっ!?」ビシャー! 虫とペリーヌを吹っ飛ばした ルッキーニ「めーちゅー!」 シャーリー「やったか!?」 それやってないフラグ <ブゥゥゥン リーネ「虫!?」 サーニャ「捕まえなきゃ」タッタッタ エイラ「あっち行ったゾ!」タッタッタ ネウ子「キュッ!」タタタ 追跡を再開するもの シャーリー「弱らせはしたな」 ルッキーニ「あたしのむ~し~」 俺「待て!」グイ ルッキーニ「うじゃ!?」 俺「そのスコープはどこから持ち出したのかな?少尉殿?★」ニッ ルッキーニ「ウジャジャジャ……」ガクブル 戦慄するもの ペリーヌ「ちょ、ちょっと!お待ちなさい!ちょっと!」 放置されるもの 脱衣所 <ブゥゥゥン 逃げるもの、虫型はまた、かごの中へ逃げ込む 正確には、かごの中のズボンの中へ <ガラララ ミーナ「ふぅ…」 風呂に入っていたらしい中佐が、髪を拭きながら脱衣所に戻ってきた ミーナ「確かに、美緒の言うとおり、疲れが取れた気がするわ」 ……あなたいくつっすか? かごに入れてあった制服を手に取り、身に付けていく ズボンをはいた瞬間 <ピクッ 異物の感触に尻が震える 宿舎廊下 俺「大尉、ルッキーニのすべてを把握しろとは言いませんが、ある程度のことは、お願いしますよ?」 シャーリー「……はい」 スコープを取り返し、ルッキーニに事情聴取と説教をした後、皆の後を追っている ちなみに、ルッキーニは逃げた ……怒った俺ってそんな怖い? ネウ子「こっち!」ブンブン しばらく走っていると、脱衣所の入り口で手を振っているエフィが見えた シャーリー「脱衣所か」 俺「追い詰めたようなもんですね。さっさと制圧しましょう」 と、その時 <キャァァァァッ!! ネウ子「キュッ?」 俺「なんだ?」 シャーリー「中佐の声?………俺は外で待ってろ」 俺「あ、はい……」 大尉がのれんをくぐって脱衣所の中に入っていく 廊下には俺とエフィが残された 俺「中で何が起きてるんだ?」 ネウ子「私も、来た、ばかりで」 俺「そうか……」 脱衣所の中からは、 <見事だミーナ! <さ、さすがですわ! <ウジャァァァ!アダジノムシー! 賞賛の声だったり、泣き叫ぶ声だったりが聞こえてきた <何なの一体!? まったくです ネウ子「あ……ネウロイの、反応が、消えた」 俺「え?じゃあ、中佐が倒したのか?」 ネウ子「多分…」 あの人、一体… 俺「あ、そうそう、エフィ。スコープ見つかった」 ネウ子「本当?どこに、あったの?」 俺「どこっていうか、誰、だな。ルッキーニが勝手に取っていってたみたいだ」 ネウ子「そう、良かった」ニコッ 俺「ああ」ニッ そんな、仲睦まじい二人でした 夜 風呂場 俺「おお、これか」 夜、今日はせっかくだから風呂に入ることにした いつもはサウナなのだが、たまには、ね? 俺「……」チャプ 恐る恐るお湯に入る 今まで、お湯につかる、なんていうことはしたことが無いので、少々怖い 俺(サウナのあとの水浴びは平気なんだけどね~) とか思いながら、肩までつかる 俺「ほぅ……」 兄妹揃って同じ反応 <キュッ!?バシャシャッ 俺「ん?」 どこかで聞いたような声とお湯のはねる音が聞こえ、振り返ると ネウ子「…///」 タオル一枚、裸のエフィがいた 俺「……」 突然のできことに、 俺「……わぁっ!?」バシャッ! 反応が一瞬遅れる 俺「す、すまん、すぐに出る!」 ネウ子「待って!」 俺「」ピタッ ネウ子「私と、いっしょは、嫌……?」 俺「……」 <カポーン! ネウ子「……」 俺「……」 二人して湯船に肩までつかり、背中を向け合って体育座りしている 時々お互いの背中が当たり、ビクゥ!としてしまう 俺(なんでこんなに白くて柔らかいんですか!?) 生まれたての赤ん坊のような肌に、ちょっとどきまぎしています ネウ子「今日は、サウナじゃ、ない、の?」 俺「あ、ああ、たまには、風呂もいいかなって。エフィは?」 ネウ子「昼に、入って、その……気に、入った、から」 俺「なるほど……ん?、ネウロイって水がダメなんじゃないの?」 ネウ子「人の、姿、なら、平気」 俺「ほう。で、服も脱ぐのね」 ネウ子「体の、一部、だけど、服は、服、だから」 俺「あの服って洗濯とかできるの?」 ネウ子「洗濯板、では、洗えない。表面を、水で、流すのは、できる」 俺「便利ダナ」 ネウ子「うん…」 俺・ネ「……」 しばし、沈黙 ネウ子「あ…」 俺「どうした?」 ネウ子「月が…」 俺「え?」 エフィが左を指差す。俺からすると右だ そこには、 ネウ子「綺麗……」 俺「……ああ」 満天の星空と、青白い光を放つ満月があった 本当に綺麗だった。それ以外の表現は、なんだか無粋な気がした 俺「……エフィ、もうちょっと俺らに頼ってくれても良いんだぞ?」 ネウ子「え?」 俺「お前は、迷惑かけたくない、自分で何とかしよう、って思ってるのかもしれないけどさ」 ネウ子「……」 俺「俺は、俺たちは、お前の家族なんだ。甘えてくれても良いんだぞ?」 ネウ子「……考えて、おく」 俺「ははっ、何だそりゃ」 ネウ子「笑わ、ないで…」 俺「すまん。でも、嘘は言ってない。お前はもう少し子供になれ」 ネウ子「あなただって、子供…」 俺「……拗ねてんのか?」 ネウ子「拗ねて、ない」 俺「拗ねてる」 ネウ子「拗ねてない!」 俺「…………ふっ」 ネウ子「……ふふっ」 俺・ネ「はははっ」 仲睦まじい以上の何かだよこいつら ネウ子「……」 俺「?」 エフィの笑顔が突然曇り、何か思いつめるような顔になった この表情の意味を汲み取ってやることができたなら、どれだけ良かっただろう エイラ(出るに出れねぇ……)←俺の背中を流しに来た人 岩陰に潜む人影に、俺とエフィが気づいたのはかなり後の話 ―次回予告― 俺「……」 ネウ子「……」 ミーナ「……」 マルセイユ「……」ジー ネウ子「……」ガクブル ミーナ「……」シランプリ 俺「……」ナミダメ
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海上 目の前には501の面々。腕の中にはルッキーニがいる。 ついにこの日が来てしまったと思うべきか。 私「……私はネウロイ、お前達の敵だ」 自分は人間じゃないと自分に言い聞かせるように言う。 信じられないと言った表情で彼女達は私を見てくる。 当然といえば当然だろう。 つい今朝まで一緒に食事をして、掃除をして、洗濯もしていた(あとゲームしたり)人物が、突然自分は敵だと言うのだから。 もし私が同じような立場に立ったら間違いなく驚くだろう。 ミーナ「……私さん。貴女は私達と戦う気なの?」 私「当然だろう? 私はネウロイだぞ? お前たちの敵とさっきも言っただろう」 ミーナ「でもその考えは変わった。違うかしら?」 私「……何故そう思う?」 ミーナ「わたしたちと戦う気があるなら、わざわざルッキーニさんを助けるなんてしないはずよ」 宮藤「そうですよ!」 宮藤が胸に手を当てながら叫ぶ。 その目は私を本気で信頼している目だ。 ふと彼女たちの目を見ると、全員戸惑いや悲しみと、少しの怒りを宿しているが、芯の部分は宮藤と同じような目をしている。 私「……それは、だな」 私の手で倒すつもりだった。 ただそれを言うだけでいいのに言葉がつまってしまう。 何故、彼女達は裏切られてもそんな目が出来るんだ。 お願いだからそんな目で見ないでくれ。 ――私はそんな目で見られるような生き物じゃないんだ。 私「そ、れは……」 抱きかかえたルッキーニに視線を落とす。 ルッキーニ「私……」 私の服をぎゅっと握りしめて今にも泣きそうな目をしていた。 私はどうすればいいのだろう。 私(……ん?) その時、巣のほうから、ネウロイの反応が大きくなった。 恐らく先ほど倒した鳥型ネウロイの本体だろう。 私は何やら嫌な予感がした。 だが、今目の前には彼女達がいる。私は選ばなければならない。 私「……」 自分でも意外だったが、答えはすんなりと出てきた。 私「シャーリー」 シャーリー「ど、どうした?」 私「ルッキーニを頼む」 シャーリーを呼び寄せると、ルッキーニを落とさないようにそっと受け渡す。 その時、私は髪を結んでいたリボンをそっとルッキーニの服のポケットに入れた。 全てが終わったら気付いてくれるだけでいい。 ルッキーニ「私っ!」 私「……多分、もう会うこともないよ。ルッキーニ」 別れ際にルッキーニの手に触れる。 ほんの少し触った程度だったのに、私はそれがとても温かかった。 振り返れば未練が溢れだしてしまう。私は彼女たちを振り返らずに一直線に巣へと向かった。 ネウロイの巣 巣に一歩踏み入れた瞬間、強烈なネウロイの反応が私のコアに響いた。 私「……気持ち悪い」 思わず一歩後ろに下がってしまう。 今まで人間だったときもネウロイになってからも、こんなに激しい反応は感じたことが無い。 しかも、巣に入ったら突然大きくなった。 もしも今、気付かずにウィッチ達が巣に攻撃を仕掛けようものならば、勝てる可能性はほぼゼロだろう。 それほどまでに巨大な反応だ。私が捨て身で攻撃して倒せるかどうかといったところだろう。 私「髪がちりちりするような気がする……」 一体どんなネウロイがいるのか恐怖が8割、好奇心が2割といったところで私は巣の奥へと足を進める。 私(サーニャがここにいたら相当辛いだろう……坂本も結構危なそうだ) 中心部へと近づくほど、威圧感は強くなり反応も大きくなってくる。 ヘタに反応を受けようものなら一撃で撃墜されるんじゃないかと思うほどだ。 そしてたどり着く中心部への扉。 赤と黒の二色で作られた不気味な扉は小刻みに振動しているようにも見える。 私「さて……顔を見させてもらうか」 ネウロイに顔はあるのかと思いつつ、私は中心部の扉を開いた。 中心部に入って一番最初に目に入ったのが、何故かピンク色のエプロンを付けたネウ子だった。 手にもったプレートの上にはティーポットのようなものがある。 ネウ子(おかえりー) 私「ん、あ、ああ」 予想外の姿に動揺してしまった。 というかお前達紅茶なんか飲まないだろ。 ???(なるほどキミが例の噂の裏切り者か) 少年の様な声の方向に視線をやると、人型のネウロイが1体正座で座っていた。 胸も無いので恐らくは男性型なのだろうが、ネウ子よりも小さいので女性型の可能性も否めなくはない。 ネウ子(別に彼女は裏切り者じゃないと思うけどねボクは) 珍しくネウ子がため息(らしきもの)をつくのが聞えた。 ネウロイ(裏切り者じゃないか。彼女は私怨で何人もの人間を殺してきたんだ) 私「……そうだな」 わかっていたつもりだったが、いざ他人の口から言われると相当につらいものがあった。 少し前までなら適当に聞き流していたのだろうが。 ネウロイ(それで、これはお願いと言う名の命令でわっちが決めた決定事項なのだけれど) どうやらこのネウロイは外見と違いネウロイの中ではかなり高い地位にいるらしい。(ネウロイに序列があるかは謎だが) ネウロイ(あと2カ月以内にこの巣の近くにあるウィッチ達の基地破壊してね) 私「何っ!?」 ネウ子(私ちょっと落ち着いて) ネウロイに掴みかかろうとする私をネウ子が止める。 ネウ子(そりゃまた突然だね) ネウロイ(別に突然でもないさ。というよりもお前が遅すぎるんだ ) ネウ子(こっちにはこっちのペースってものがあるんだヨ) ネウロイ(人間を観察するのにペース? 片腹大激痛でよじれてコアが粉砕されるからやめてくれないか) ネウ子(そのままおっちね) ネウロイ(お前が死ね) ネウ子(……!) ネウロイ(……!!) 二人が何やら言い争っているようだが、私には遠くのことに感じた。 結局のところ、私は彼女たちをフリ切れてはいないのだと理解してしまったから。 だから基地を破壊すると聞いて掴みかかろうとしたのだ。 ネウ子(……私!) 私「えひゃっ!?」 意識が殆どウィッチ達のことに向かってしまい話を聞いていなかった。 突然振られて上ずった声が出た。 ネウ子「……聞いてなかったでしょ」 私「あ……うん」 ネウロイ(これだから元人間はダメだ) ネウ子(今はネウロイなんだから関係ないヨ。まあそれは置いといて) ネウ子は一呼吸置いてから私に訊ねる。 ネウ子(キミはどうしたいんだい?) 私「どうしたいんだって……」 ネウ子(こいつの言う通りに基地を破壊するか、ということさ。わたしは反対だけどね) いつになくネウ子の真剣な声。ふざけているわけではなく本気のようだ。 私「私は……私は……」 確かに私だって反対だ。 このままでは彼女たちと戦わなければならない。間違いなくルッキーニやシャーリー達を相手にすることになる。 ならば、彼女達がいない隙を狙って基地だけ破壊するのもいいかもしれないと私は考えた。 整備兵などは適当に威嚇して基地の敷地外に出してやればいい。 私「……私は条件付きならば」 ネウ子(それでいいのかい?) ネウロイ(あ、そうそう) 頷こうとする私にネウロイは思い出したように手を叩いた。 ネウロイ(基地で働いてる軍人はもちろんその時基地にいた一般人も皆殺しね) 私「はあ!?」 ネウロイ(だって当然だろ? これは戦争なんだから。というかキミたちがおかしいだけなんだよ。本来僕らはもっとこう人のことなんて考える必要なんかないはずなんだよ) 確かにそうなのかもしれない。 しかし私はそれには賛同することはできない。私は彼女達と離れたくないということに気づいてしまったから。 実に自分勝手で、我儘で、言い訳にしか聞こえなくても私はルッキーニいや彼女達と一緒に居たいのだ。 私「ならば私は賛成はしないな。基地を壊すだけでそのあたりの侵攻は楽になるだろう」 ネウ子(同意だね) ネウロイ(そう言うとは思っていた) 言うが早いか私とネウ子の足元が赤く染まると、そこから私達を目がけて二本の光線が発射された。 どうやら奴は座っている間に私達の足元まで巣を侵蝕していたようだ。 しかし互いに予想できていたので危なげもなく後ろへと回避をする。 避けるならば前に避ければよかったと軽く後悔をする。奴との距離がかなり離れてしまった。 ネウ子(じゃあ交渉決裂ということでいいようだね) ネウ子は頭上にあるコアを自らの胸に収納(どうやってかは謎)する。 私もジリオスを抜くとネウロイに構える。緑色にのぼる障気でネウロイが揺れて見えた。 ネウロイ(その通り。わっちはこれからキミたちを破壊した後にこの巣を乗っ取り直ぐにでもこの近辺の侵蝕を始めることにしよう) 私「そういうことは私達を殺してから言うことだな」 ネウ子(全く持ってその通り) とは言ったものの正直辛い。 それほどまでに私と奴の力の差はある。そもそも巣を、それも内側から侵食するということ自体がデタラメなのだから。 私(おいネウ子) ネウ子(なんだい?) 私(いけると思うか?) ネウロイをにらみつつ、少し間を置いてからネウ子は答える。 ネウ子(無理ダナ) 私(やっぱりそうか) 心の中でため息をひとつ。 これがヒーローや英雄が活躍する絵本や漫画ならば例え1%でも成功するものだが、残念ながらこれは現実。 夢じゃないしメルヘンでもファンタジーでもない。 ネウロイの周囲は既に赤く染まって、完全に奴の支配下に置かれている。 この分だと逃げようにも既に出口まで浸食して逃げ場を封じているだろう。 私(じゃあこうしよう。互いに突っ込んでどちらかが奴のコアを破壊するんだ) ネウ子(まあそれしかないヨね) 私(それで互いに攻撃を受けた場合にはダメージが比較的軽いほうがどこでもいいから穴をあけて逃げ出す) ネウ子(重い方じゃなくて?) 私(この状況で重傷を負ったら助かると思うか? もう突っ込むしかないだろう) チラリとネウ子は右手側にある壁を見た。どうやらそこが一番薄いらしい。 私(まあ、死んでも恨むなってことだ) ネウ子(りょうかーい) 口では軽く言っているが、内心相当恐ろしい。 死ぬこともそうだが、何より二度と彼女達に会えないということが何よりも恐ろしい。 こんなことなら自覚なんてするんじゃなかったなあと思う。 私「さて、随分と待たせて申し訳ない」 ネウロイ(おやもういいのかね? わっちはまだまだ待っててもいいのだけれど) 普通ならば無言のまま攻撃を仕掛けてもいいのだが、コイツは普通ではないし、既に無傷では触れることも難しいほど守りが堅くなっているのであまり関係が無い。 ネウ子(既に巣の5分の2を侵食しておいてそれは勘弁願いたいね。あと5分もしないうちに完全に奪われちゃうだろうし) 私「じゃあまあ……いくか」 私の言葉でネウ子とほぼ同時に私もネウロイへと特攻を仕掛ける。 当然ながらネウロイも私達に合わせて床と私達の前方から光線を放つ。 私「上」 ネウ子(左) 初撃の二方向を躱すと間髪いれずに次の攻撃。 今度は私とネウ子への攻撃の方向を変えたようだが、まだ互いの攻撃の方向を見る余裕はある。 ネウロイ(これくらいは流石にできるか……ならこれならどうかな?) ブンッと何かが現れるような音が聞えた。第六感が警報を鳴らす。 右へステップして回避を行う。その瞬間、激痛が走った。 私「いぎっ!?」 足を止めずに顔を苦痛に歪ませながら視線を下にやると、胸に小さな穴があいていた。恐らく貫通している。 どうやらコアに少々傷が入ってしまったようだ。 ネウ子(私っ!) 私(足を止めるな! 止まったら死ぬぞ!) ネウロイ(いやいやまさか今のを音と勘だけで避けるとは思わなかった) もう一度同じような音。今度はさっきよりももっと右へと跳ぶ。 が、再び走る激痛。 私(いづう……でも……見えたぞ……) 激痛を感じた瞬間、ジリオスから出る障気が一瞬だけ一部分丸く消えた。 つまりコイツはビームを不可視にして撃っている。 私(デタラメもいいところだ……) 煙玉でも水でも、とにかく光の軌跡が分かるか弱められればいいのだが生憎私もネウ子もそんなものは持ってない。 私(ネウ子) ネウ子(何?) 私(とっとと逃げろ) ネウ子の返事を聞くよりも速くネウロイへと突っ込む。 避け続けても見えないビームによってこちらはほぼ確実にダメージを負ってしまう。 私はコアに傷を入れられたが幸いネウ子はまだダメージを受けていない。 ネウロイ(これだから人間は嫌いなんだ。どうして無謀にも突っ込んでくるのかな) あと数メートルといったところで、ネウロイの周りが再び赤く染まる。 これを喰らえばコアに甚大な損傷が出るだろうが、数分は持つだろう。 視界を赤い色が染める。 ネウロイ(死ね) ホント、わかってないなコイツは。 私「あ”あああああああああああああああああああああああああああああ!」 激痛からの叫びか、それとも感情の爆発からの叫びか、そんなことはもうどうでもよかった。 ネウロイが私の叫びに怯えて一歩下がるが、勿論逃しはしない。 私「……捕まえた」 激痛で朦朧とする意識で言葉をひねり出す。 私「私はお前を……捕まえた……」 コアに既に亀裂が入り始めている。持って後5,6分といったところだ。 私(それで十分だ) ネウロイ(何故だ! 何故動きを止めない!? どうしてそんな姿で立っていられる!?) 姿を確認する余裕はないが、恐らくひっどい格好なのだろう。 とりあえず左足が無くなったのはわかる。 ネウロイ(は、はははまあいい。すでにわっちのコアの半分は巣に入っている! 今刺しても完全には殺せない!) ちらりと上を見ると奴のものであろう巨大なコアがいつの間にか浮いていた。 私「お前は……あまり……人間を……」 息も絶え絶えにジリオスを奴の胸へと突き刺す。 ビキン、とコアに刺さる音が静かに響いた。 私「……嘗めるな」 私は元だけどな、と心の中で呟いた。 ネウロイ(ひ、ひひひっひ! た、確かに痛かったがまだ半分コアは残っている! お前を殺すことくらい造作もない!) 私「……そう、だな。私は、お前に殺さ、れるだろう」 激痛が走っていたのに笑みがこぼれてきた。 私「でも、な……まだ、あいつらがいる。ウィッチ達が……いる……」 ネウロイ(ふん! そんな奴ら力が半分しかなくてもたやすく倒せるわ!) 私「言っただろう……人間を……嘗めるなってなぁ!」 最後の力で強引にネウロイの体を上に真っ二つに割ると、仰向けに倒れながらジリオスを全力で上へと投げる。 ネウロイ(ひっ) カキンッ 私「……チッ」 限界だったのは私だけではなくジリオスもだった。 ネウロイの残りのコアに僅かな傷を付けて真っ二つに折れた。 ネウロイ(はひ、ひ、ひい……) 新たな体で現れたネウロイは胸に手を当てながら、力尽きて倒れた私の前に立つ。 ネウロイ(さ、最後に悪あがきしやがって! おかげで本調子まで戻るのに相当かかるじゃないか!) 僅かな傷だろうがコアに直接刷り込まれた障気は除去するまでに相当時間がかかる。 人員や装備の補充の時間稼ぎはできるだろう。 ネウロイ(でも所詮貴様は人間。ここが限界ってことだ) 私「……するな」 ネウロイ(あ?) 私「勘違い……するなと……言っている……」 ネウロイに向けて顔を上げ睨みつける。 私「ネウロイを、倒すのは、ネウロイ、じゃない、いつだって、人間だ……」 ネウロイ(ふん。その人間は今ここで死ぬようだが?) 私「私じゃ、ない。……彼女達が、いる」 ネウロイ(何をバカなことを……おしゃべりが過ぎた。このままほったらかしにしても死ぬだろうが、どうしても自らの手で殺さないと気が済まない) ネウロイが手を広げると手のひらが赤く染まる。 もう指一本動かない私はコアを砕かれて死ぬだろう。 私(……ルッキーニ) 笑顔のルッキーニが私に手を差し伸べている。死ぬ前にみる幻というものなのだろうか。 もしそうだとしたら、人を殺した私にずいぶんと嬉しいことをしてくれるものだ。 ネウロイ(じゃあね) 私(大丈夫……もう……離れないから……) 握り返したその手はとても温かくて、体の痛みが全て消えていくように感じた。 ???? 私「……んぅ?」 気が付くと私はベットの上にいた。 太陽の光がカーテンの隙間から差し込んで目が覚めたようだ。 窓から外を見ると見覚えのある青い海と青い空があった。 私「……何故だ?」 確かにあの時私はネウロイにとどめを刺されたはずなのだがどうやら違うようだ。 天国とはこういうところ(いけるとは思っていないが)と思っていると、馴染みのある魔力の反応を感じ、どうやらここは現実らしい。 私「とにかく……何故私は501の基地に戻っているんだ?」 消毒液の匂いやベッドがいくつかあるので医務室のようだ。 体をベットから動かすと、なんとなく近くの鏡を見てみる。 私「うわぁ……」 思わずそう言ってしまうほど、痛々しいほどに包帯がほぼ体全体に巻かれていた。 少々視界が悪いと思えば右目に包帯が巻かれているし、左腕と右足は包帯が巻かれすぎて肌が見えない。 なお右腕は一度吹っ飛んだのか綺麗な状態になっている。あと左の頬に縦に傷が少し残っていた。 私「……」 コアを確認してみると、以前より小さくなってはいるがほぼ無傷の状態で胸に収納されていた。 私「……ん」 医務室の扉の前に魔力の反応が二つ。これは坂本と宮藤のものだ。 扉を開けた二人と目が合う。 坂本「傷はもういいのか?」 意外にも坂本は笑顔で私の心配をしてきた。 てっきり出会いがしらに烈風斬でも叩き込まれると思っていたのだが。 私「ああ」 宮藤「無理しないでください。4日も目を覚まさなかったんですから」 あれから4日、かなりの日数の間眠っていたらしい。 宮藤に指示されるまま私はベッドへと腰かける。 私「……私はどうしてここにいるんだ?」 坂本「……あの日、我々が作戦を立てる為基地に戻る途中、巣の反応が消失しかけているとサーニャが言ったんだ」 宮藤「わたし達は様子を見る為に巣へと急いだんです」 そういえば、ネウ子の姿が見えない。 巣の反応が消えたのは逃げ切ったのだろう。 坂本「巣の近くにたどり着いたわたし達が見たのは、今まであった巨大な巣が崩れて、新たな巣が中から出てきたところだった」 私「……アイツの巣だな。これは後で話そう」 宮藤「何が起こっているのかわからない私たちの前に彼女が現れたんです」 私「彼女?」 坂本「人型のネウロイのことだ」 私はほっとした。坂本たちの前に現れたということは逃げ切ったのだ。 坂本「その腕にボロボロのお前を抱えて、自らもボロボロの姿でな」 私「……え」 どうして、あいつは逃げたはずなのに。 坂本「わたし達はそのネウロイがあの巣の主だったとなんとなくわかった。震える腕で、白く塵になっていく足でお前をわたし達に渡すと満足したように消えていった」 私「あ、あいつは先に私が逃がしたはずなんだ! どうして! どうしてなんだ!?」 坂本「……わたしは巣のなかで何が起こったかはわからない。だが、間違いなく言えることはあのネウロイはお前を命をかけて助けたということだけだ」 胸に手を当てコアの情報を整理してみる。 そこにはネウ子が私が攻撃を受ける寸前に私を庇ってコアに傷が付いたこと。 傷ついた体で私を抱えながら、自らのコアで砕けかかっていた私のコアを修復した記録が残っていた。 私「あいつは大馬鹿だ……せっかく私が痛い思いをしてまで道を作ったのに……」 ネウ子との過ごした日々が鮮明に浮かんでくる。 確かにあいつは碌なことをしなかったし、みょうちくりんな案しか出さなかった。 それでもあいつは私にとって大切な友人であり、本音を言える数少ない仲間だった。 私「バカ……ほんっとバカ……」 気が付くと坂本たちは既に部屋からでていた。 私「……なあ、ネウ子お前は私にどうしろっていうんだ」 ぼそりと呟いた言葉は当然ながら返事は返ってこなかった。 ガチャッ 誰かが医務室に入ってきた。この魔力の感じは――。 シャーリー「よっ元気そう……ではないみたいだな」 私「シャーリー……」 シャーリーは私のベットの横に置いてあった椅子に座る。 シャーリー「私が眠っている間、基地にいる殆どの人間がお見舞いに来たんだ。ミーナ中佐達を除いてな」 私「そう、なのか」 シャーリー「……ホントはミーナ中佐やバルクホルンやペリーヌも私に会おうとしたんだけどな、あの3人は色々あったし複雑な気持ちなんだと思う。坂本少佐もよくわからない表情をしてたけどな」 私たちはしばしの間何も言わず、ただじっと時が過ぎるのを待っていた。 沈黙に耐えきれずに私は口を開く。 私「……なあシャーリー」 シャーリー「ん?」 私「私は一体どうすればいいんだろう」 私はネウロイであって人間ではない。 そんな私が敵対するウィッチと一緒の基地にいていいはずがない。 しかし私は都合がいいことに彼女達と再び暮らしたいと思っている。 シャーリー「んー……そんなに難しく考える必要ないんじゃないか?」 私「え……」 シャーリー「私がどうしたいか、それだけだと思う」 私「……そうか」 シャーリー「それにやらないで後悔するよりやって後悔した方がいいだろ? もう一度戻ってくるならあたしは歓迎する。でも今度は最後まで一緒だ」 私「シャーリー」 シャーリー「ん?」 私「……ありがとう」 シャーリーは照れ臭そうに頬を掻いた。 シャーリー「な、なんだよ私らしくない」 私「そうでもないさ」 シャーリー「それに礼を言うならルッキーニに言ったほうが良いんじゃないか?」 私「ルッキーニに?」 シャーリー「あいつはお前がここに運び込まれてからずっとお前の手を握ってたんだ」 私「手を……」 シャーリー「宮藤が治療してる間もずっとだ。今にも泣きそうな顔でずっと握ってた」 私「あれは……」 シャーリー「ん?」 私「アレは夢じゃなかったのか……」 暖かかった手のひらの温度は今もしっかりと覚えている。 ベットから降りて立とうとする。が、まだ足に力が入らずにへたりと座り込んでしまう。 シャーリー「おい無茶は……」 私「無茶なんかしてないさ……」 立てかけてあった松葉づえを支えにして立ち上がった。 砂浜 あまり自由に動かない体で苦労してたどり着くと、ルッキーニが海を見て座っていた。 表情は普段の彼女と違って明るいとは言えないが、夕日と海の音でとてもきれいに感じる。 思わず見とれていたが、首を横にブンブンと振ってから私は無言でルッキーニの隣に座った。 ルッキーニ「……大丈夫なの?」 少ししてからルッキーニから話しかけてきた。 私「ああ……」 ルッキーニ「そっか。ならよかった」 私「……ああ」 会話が続かない。 ルッキーニ「……ねえ」 私「何だ」 ルッキーニ「私はこれからどうするの?」 私「私は……」 ルッキーニ「あたしは私とまだ一緒に居たいよ」 私「でも私は」 ルッキーニ「それでも! ……あたしは一緒がいい」 私「ルッキーニ……」 ルッキーニ「あたしね、最近私が死んじゃう夢を見たんだ」 俯いたままルッキーニは続ける。 ルッキーニ「それでボロボロの私を治してた芳佳からもう大丈夫って言われても私は目を覚まさなくて、ずっと怖くて、怖くて……」 私は何も言わずにルッキーニの震える体をそっと前から抱きしめる。 私「ごめんね……」 ルッキーニ「う、うぇ……」 私「泣くなルッキーニ。……もう私はどこにも行かない」 ルッキーニ「でも、でもぉ……無理、だよぉ……」 私はバカだ大馬鹿だ。 こんな小さな子を傷つけてしまって、泣かせてしまって。 こんなにも大切に想われていることに気付かないで。 私「大丈夫だよルッキーニ……約束を、いや、誓おう」 ルッキーニ「うじゅ……?」 私「私はずっとお前についていく。お前を守り続ける。例え誰かに何を言われても、ずっとお前の傍にいる」 ルッキーニ「ほん、と?」 涙をぬぐいながらルッキーニは顔をあげる。 私「ああ」 ルッキーニ「……ねえ、私ちょっと目を瞑ってじっとしてて」 言われるまま私は目を瞑る。 何やら髪を何かされているようだ。 ルッキーニ「もう目を開けていいよ」 私「ん……」 目を開くとまだ少し涙の跡が残っているが、ルッキーニが笑顔を見せてくれた。 ルッキーニ「髪触ってみて」 触ってみると、髪が元々の形にまとめられている。 ルッキーニ「あの時私があたしのポケットにこっそり入れたリボンがあったよね」 私「ああ、あれのことか」 あれは元々私がルッキーニに私の形見代わりにあげたものだ。 どうやらそれを再び結んでくれたらしい。 私「別によかったのにあれはお前にあげたんだぞ?」 ルッキーニは首を横に振る。 ルッキーニ「ううん違うよ。あのリボンはあたしが今使ってる」 ルッキーニがツインテールの右側を指さすと、そこには私の黒いリボンが結ばれていた。 私「じゃあ今つけてるのは……」 ルッキーニ「あたしのリボンだよ」 ルッキーニは私の首に腕をまわして、そっと囁いた。 ルッキーニ「……おかえり私」 私「……っ」 おかしい。 たった一言、おかえりと言われただけなのにどうして。 私「あ、あれ? なん、で?」 涙が止まらない。 拭っても拭ってもポロポロと涙が次々溢れてくる。 私「悲しく、無いのに、嬉しいはず、なのに……」 ルッキーニ「……大丈夫」 泣き続ける私を、ルッキーニはそっと抱きしめてくれた。 私「う、うぇ、うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 泣きながら心の中で何度も謝った。ごめんなさいとひたすらに。 今まで殺してきた人たちへなのか、それとも私が生きていること自体なのかはわからない。 ただただ、溢れて止まらなかった。 部屋 夜になって私に与えられたのは以前と変わらない部屋だった。 ベットもぬいぐるみもほぼそのまま手つかずで残っている。 ただテーブルの上に私とシャーリーとルッキーニが映った写真が増えていた。 私「いつの間に撮ったんだ」 ベットに寝転がると、懐かしのぬいぐるみ達が崩れて私の上に転がってくる。 私「……なあ、ネウ子。お前は私に生きろって言うんだな」 包帯だらけの左腕を上にあげ、手をぎゅっと掴むように握りしめる。 私「お前に助けられた命、今度は私が彼女たちのために使おう」 ???(いやーヨかったヨかったその気になってくれて) 私「!?」 ネウ子の声が聞えて慌ててベットから体を起きあがらせ当たりを見まわす。 ネウ子(そっちじゃないヨこっちこっち。胸胸) 私「えっ」 胸を開いてみると私のコアの横に小さいコアが出来ていた。 ネウ子(やほー) 私「な、何やってんだお前! というか生きてたのか!?」 ネウ子(いやね、僕もそのつもりだったんだけどさ、僕のコアをキミのコアの接着剤代わりにしたら、少しばかり余裕があったらしくてね) 私「えーと、つまり?」 ネウ子(明日の朝にはキミのコアから離れて独立して動けるようになるってこと) 私「……全くお前は勝手なことを」 口ではこう言っているが、内心とてもうれしく思っている。 ネウ子(ねえ……キミはホントにいいのかい?) 私「何がだ?」 ネウ子(キミが選んだ道はきっとネウロイとして生きるよりもずっと辛い道だろう。彼女達やこの基地はともかく他の人間にはキミは……) 私「構わない」 自分でも驚くほど、ハッキリとした口調で言う。 私「これが私の選んだ道だ。例えその道が険しくて茨の道でも、彼女達と、お前といられる」 ネウ子(私……) 私「だから私は後悔をしない。ただ、前に進むしか私には出来ないからな」 最後まで走り続けるのは難しいかもしれない。だが私はもう迷わない。 包帯の巻かれていない右手で宙をぎゅっと掴んだ。