約 1,094,585 件
https://w.atwiki.jp/taleswords/pages/564.html
ドッペル(クロエ)【MOB 少数MOB】どっぺる(くろえ) クロエのドッペルゲンガー。ver.4.20から登場。あろうことかメギミスリルを手にしている。 ver.4.20以降のドッペルゲンガーの例に漏れず、最強Lv.は極XAである。 ver.4.32現在、DOP3では最凶のドッペルゲンガーとして恐れられている。 攻撃手段はメテオストライクとアイシングピアス(8Hit)とパララシス。 <以下DOP3のデータ> メテオストライクは、魔法防御が低いとクリティカルで被ダメージが5000を超える。 アイシングピアスは、常人が全弾(8Hit)受けると被ダメージ合計が普通に10000を超える。 ドッペル(クロエ)の攻撃から生き残るには、高い魔法防御やセルフレジスト、レジストシールドがないと厳しい。 ある意味地下墓ダンジョンのリッチより厄介である。ちなみにスパークボディによる被ダメージ上限は2750。 習得条件上ありえない組み合わせの上に麻痺状態にまでしてくる、メギ武器に恥じない異常な強さとなっている。 誰がドッペルゲンガーをPKerにしろと言ったのか。レアドロップは不明。 ver.4.29より、覚醒クエストにも登場するようになった。リッチ同様、鬼門である。
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1402.html
「ヒビキ」 私を呼ぶその声が嫌い。 「ヒビキ……俺が守ってやるからな」 私に放つその言葉が嫌い。 「ヒビキ」 私を見るその目が嫌い。 私に触るその手が嫌い。 私を理解するその心が嫌い。 私の鏡のような、貴方が嫌い。 「うむぅ……」 東堂 蒼魔(とうどう そうま)は気だるい眼をこすりながら、携帯を開いて時刻を確認した。 待ちうけ画面にはデジタル表記で「14 21 35」と書かれており、右端の数字がめまぐるしく進んでいく。 そろそろ、放課後になって皆が来る頃かな……。携帯をパタンと閉じて、頭を机に打ち付けて目を閉じる。 (……何で、あの時水無瀬は俺を……) 昨日、2-Cの優等生、水無瀬 響(みなせ ひびき)の姿をした「何か」に襲われてから、蒼魔は考え事が止まらなかった。謎や疑問が次々と浮かんでは消え、頭が苛まれる。 蒼魔に過去を見せて精神攻撃を仕掛けた正体不明のラルヴァ、何故か自分の過去を知っていた響の姿をした「何か」、そして、響自身にも疑問があった。 何故彼女は、自分があそこにいると分かったのだろう? 本人は忌憚研究部の緊急招集でメールがあった、と言っていた。 ……ただの偶然、とも考えられない訳ではない。裏山に緊急招集というのは、そこまで珍しい話でもないからだ。 だが、おかしいのは、もし仮に偶然緊急招集があったとして、何故響は一人で行動していたのかという事だ。 忌憚研究部の原則として、調査はツーマンセルで行うというものがある。しかし彼女は蒼魔を助け、二人で学校に戻る時も自分と行動しているはずの人間の事は気にしなかったし、そのまま蒼魔と別れても裏山に戻る気配はなかった。 蒼魔はあの時混乱していたので、深く気に留めなかったが、響と別れた後、冷静になって考えると今回の事件には様々な謎が残されている事に気付いた。 (もし水無瀬に本当にメールがあったとして、送った人間は、水無瀬に俺を救わせる必要があった、って事か? 俺や水無瀬の関係……俺も知らない、なんらかの関係を知っていたって事か?) 心当たりがない訳ではない。蒼魔が忌憚研究部に入るきっかけになったのは、とある部員からの勧誘だった。 三年生で、名を斑鳩 夜(いかるが よる)という。響と同じ黒い長髪だが、両目を隠すように伸ばされた前髪と気配の無さで不気味なオーラを醸し出している。 彼女は蒼魔を一目見て、「特別な存在」、「忌憚研究部に必要な存在」だと言った。 おまけに蒼魔すらが拒絶し、封印していた異能「同調(シンクロニシティ)」の存在を独りでに気付き、開放を示唆したのだ。 それでも忌憚研究部に入る事を拒んだ蒼魔に、彼女が放った一言は今でもしっかりと覚えている。 「君が望まなくても、君の『中』にある深く根付いた糸は、君を決して逃さない。宿命からは逃れられないのよ」 その言葉の後、蒼魔は自分を傷つけてきた義理の父、白石 総司郎(しらいし そうじろう)が忌憚研究部の顧問だった事を知る。 双葉学園の教師をやっている事は知っていたが、教師の数が多すぎてどこの学部かも、学年かもどの授業の担当かも分からなくて探しようがなかった蒼魔に、まるで狙ったかのように入ってきた情報。 そして今回の事件の謎。蒼魔には何か、自分の裏で大きな陰謀が渦巻いているのではないかという疑念にかられていた。 (もし例えば、斑鳩先輩が水無瀬と俺との何らかの関係を知っているとして、その関係の為に水無瀬をあそこへ向かわせた……ならあのラルヴァは斑鳩先輩が? ……!) そこまで考えて、蒼魔はふとラルヴァに襲われた時の感覚を思い出した。 内臓を隅々まで覗かれるような感覚。吐き気を催す、頭のてっぺんからつま先までを掌握されているかのような悪寒。 紛れもなく、斑鳩 夜の異能「思念探知(ヴィジョン・シンパシー)」を受けた時と同じ感覚だった。 彼女の能力は人間の思念の糸を手繰り寄せる能力だ。そして彼女自身、「人間の深層意識にまで潜って思念の糸を判別できる」と説明していた。 ならば、蒼魔の過去、奥の奥にまでもぐり、全てを知るのはたやすいことではないか? 現に蒼魔は一度、彼女の能力をその身で受けている。 もしもあの時に彼女が蒼魔の過去を見て、さらには響の過去も見ているのだとしたら―――――蒼魔さえも知らない二人の関係を知っていても不思議ではない。 そして二人のなんらかの関係の為に蒼魔を思念探知で襲い、何度も過去を見せた。そしてそれを響に救わせ、蒼魔に疑問を持たせた。 (でも、彼女の能力は触れなければ不可能なはずだ。俺はあの時誰にも触られてなんかいないし……。それにもし斑鳩先輩が犯人なら、水無瀬の姿をしたラルヴァは一体……) 考えても考えても答えは出ない。それどころか、謎が増しているような気さえする。最早疑心暗鬼になりそうであった。 (……ダメだ。頭がこんがらがってきた) グシャグシャと髪をかき回して、立ち上がる。 相変わらず窓を開けていても部室は蒸し暑かった。窓際に立って、少しでも風を感じる。蝉の鳴き声がダイレクトに耳に届いて張り裂けそうだ。 (水無瀬が俺に見せる、たまに悲しそうな顔……。あれも、あいつが何か俺と関係があるからなのか……?) そういえば彼女は、蒼魔に対して特別な対応をする事が多かった。それを、蒼魔に「恋」してるんじゃないかなんてからかわれたものだが。 まさか、でも、もしかしたら――――そんな言葉ばかりが蒼魔の脳裏をめまぐるしく回って、決して一筋の線を描く事はない。むしろ複雑に絡まった線が解き目を忘れて頭を混乱させていく。 何かを確定させるには、とても情報が足りなかった。そうだ、自分は何も知らない。 (水無瀬に詳しく聞いてみよう) 丁度今から向かえば、HRが終わった頃になるだろう。蒼魔は肩をコキコキと鳴らして歩き出す。浮かない気分はそのままに、足だけは速まった。 二年生の校舎に着くと、HRは既に終わっていたらしい。ざわざわと生徒達が下校前のひと時をそれぞれに過ごしていた。 蒼魔はその間をかいくぐり、なんとか2-Cまでたどり着く。丁度いい事に、入り口のすぐ側に水無瀬がいた。 響は男子生徒二人と仲睦まじく会話をしている。手前側にいる男は知っていた。割と細身の体にひょうきんな笑顔がよく似合う、拍手 敬(かしわで たかし)だ。蒼魔が直接会話した事は殆ど無いに等しいが、彼がバイトをしている店、大車輪にはたまに行くので顔はよく知っていた。 奥にいる男は……詳しくは知らない。身長は180センチを優に超えるであろう、大男だ。拍手越しからでもその顔が拝めた。確か名を……召屋 正行(めしや まさゆき)と言ったか。 二人とも、響との話を楽しんでいるようだった。なんとなく割って入りづらいので、蒼魔はわざと通行人のフリをして三人の会話を盗み聞く。 「うん。また分からないところがあったらいつでも聞いてね。私でよければ、いくらでも教えるから」 どうやら響に勉強を教えてもらっていたらしい。そういえば今日、数学の一斉抜き打ちテストがあるって言っていたか。二人の手にはテスト用紙らしきプリントが握られていた。 拍手の方は平均点より少し低い程度、という感じだったが、召屋の方は若干問題に感じられる点数だった。 「悪いな、水無瀬。字元も水無瀬をよこしてくるとか、遠まわしな事するぜ。俺の点数に不満があるなら、はっきり言えってんだ」 「まぁ、そう怒るなよ召屋」 拍手がへらへらと笑いながら召屋の肩を叩く。 「俺も友達のよしみで付き合ってやってんだからさ。水無瀬の教え方は分かりやすいし、これで次抜き打ちがきてもも楽勝ってなもんだな」 (お前は別目的だろ……) 召屋は心の中でそう突っ込む。気にせず拍手は続けた。 「ところで水無瀬、よかったら今度また勉強教えてくんねえかな。ほら、まだ不安な所とかあるしな。なんならうちの店でチャーハン半額にしてやってもいいぜ」 「えっ本当に? 嬉しいなあ、私あそこのチャーハン大好きだから」 響は拍手の提案に手を叩いて喜んだ。しめしめ、と拍手も微笑んでいる。黒々しい彼の企みを即座に感じ取ったのか、召屋はだるそうに手を振った。 「……やめといた方がいいぞ、水無瀬。ものすごーく卑猥な企みが影に潜んでいるから」 「あっ、なんだよ、ひでえ言い草だなあ。俺たち親友だろ? 俺の日々の楽しみくらい多めに見ろよー」 「???」 響は何がなんだか分からない、という表情で二人の会話を聞いていた。 通行人のフリはあまり上手くなかったらしい。拍手が、付近を見るからに怪しくウロウロしている蒼魔に視線を向けた。 それにあわせて他の二人も蒼魔を見る。響があっと声をあげた。 「東堂君。どうしたの?」 「あ、いや、あのー……ちょっと話が」 なんとなく気まずかったので蒼魔は誰とも目をあわさずに、静かに響に言う。 響は蒼魔の「ここでは話したくない」という空気をなんとなく感じ取ったのか、自ら場所移動を促してくれた。 「あ、じゃあ、屋上とかではなそっか。その前に私、ちょっとトイレいってくるね。先行ってて」 響はそそくさと女子トイレに向かい、途中で振り向いて拍手達に手を振った。 「二人とも、またね」 「おう、またなー」 「サンキューな、水無瀬」 二人とも、蒼魔の事を別段気にしてはいないようだった。響に笑顔で手を振り返す。蒼魔はそんな二人に挨拶もせずにさっさと屋上へ向かうのだった。 「……あの二人、付き合ってんのかな」 完全に蒼魔と響の姿が消えてから、拍手がポツリと呟く。 「え? あぁ、水無瀬と……東堂だっけか。今の感じは確かにちょっと、訳アリって感じだったな」 「最近あいつ達、たまにウチの店に来るんだよなあ。なんかぽっちゃりしたのも連れてくるんだけど、あの二人の間だけ濃密な空気が……くぅっ許せん! 星崎に次いだおっぱいの持ち主を独占するなんて!」 「落ち着けよ、拍手」 「これが落ち着いていられるかっ! 俺たちのおっぱい、いや、俺たちの青春を奪われたんだぞ! 夏が来ると薄くなった制服から豊満なおっぱいが見えて……星崎と水無瀬は授業中に盗み見れるオアシスだったというのに! チクショウっこんな事なら先にツバつけとけばよかったぜ」 「お前はともかく俺の青春では別にないぞ。それに二人が付き合っても別に盗み見る事自体はできるだろ」 冷静な突っ込みをいれる召屋に、尚も興奮がおさまらない拍手は地団太を踏み出す。 その背後に、冷徹な声が響いた。 「誰がぽっちゃりだって……?」 「うわっ佐倉! いきなりでてくんなよ、びっくりした」 いつの間にか話を盗み聞きしていた、2-Bの佐倉 未央(さくら みお)が般若のように顔を険しくさせて拍手を問い詰めた。今日も爽やかなショートカットにお気に入りのさくらんぼのヘアピンが光る。 「あんた、誰のおかげで響と仲良くなれたと思ってんのよ。そもそも、大車輪の常連は私だったでしょうが。そのツテで響と仲良くなれるチャンスをあげたっていうのに、言うに事欠いてぽっちゃりだあ~? 殺すぞこの野郎!」 「な、何もお前の事とはいってないだろ。ほら、もう一人連れてくるじゃねえか、胸はお前と同じで残念だけど痩せててスレンダーな……あ」 痩せててスレンダーとぽっちゃりは、決して一人の人間に当てはまらない言葉である。未央の顔面がみるみるうちに紅潮し、今にも鬼と化しそうな程殺気が溢れていた。 「か~~し~~~わ~~で~~~。あんたは今殺す、ここで殺す、すぐ殺す、即ころーす! ついでに響に『水無瀬っておっぱいないよな』って影で言ってたってばらしてやるうううー!」 「そっそれだけは! 殺すのはいいからそれだけは……って殺されるのも嫌だ! じゃあな召屋っまた今度暇ならチャーハンでも食いにこいよ!」 「こらまてぇぇぇぇぇええーーーーかしわでええええぇぇぇぇえぇえぇぇぇ……」 勢い良く走っていく二人を見送って、召屋は今日何度目か分からないため息をついたのだった。 屋上に出ると涼しい風がひょうと蒼魔の体にぶつかるが、燦々と照る太陽のおかげでプラスマイナスゼロ、といった感じであった。 「お待たせ。ごめんね」 響はすぐに来た。走ってきてくれたのか、少し息があがっており、顔が火照っている。それを冷ます為に、ぱたぱたと手で顔を扇ぐ響の仕草が可愛らしい。 「ふうー。暑いねー、まだまだ。私、夏より冬の方が好きだな。虫も出ないし……雪が降ったら、一面すごく綺麗だよねぇ」 蒼魔は頭上よりも遥か高く張り巡らされた格子状の網に手をかける。太陽に熱されてじんわりと温かかった。返答がない事を不審に思って、響が不安そうに蒼魔の名を呼ぶ。 「東堂君……?」 蒼魔はどう切り出すべきか悩んだ。まるで彼女を疑っているような質問をしてしまっては、傷つけるようなことにもなりかねない。過去のトラウマに囚われていた蒼魔に、強く叱咤してくれたのだ。そのお礼にも、できるだけ穏便に事を運びたかった。 「あのさ、昨日のことなんだけど……」 質問が来るのを予期していたのだろうか? 振り向いて蒼魔がそう言うと、響はきゅっと口を締めた。端整な美しい顔が、覚悟の色が浮かぶ険しいものになっている。 「忌憚研究部から緊急招集って言ってたよな。あれって、誰からのメールだったんだ?」 響は目を伏せた。その意味は、蒼魔には分かりかねたが、あまり良い知らせではないようだ。やはり、彼女は何か隠し事をしているのだ。 「斑鳩先輩だよ。裏山で流行ってる都市伝説の儀式を誰かがやった跡があるっていうから、調べに行ったの……」 「一人でか?」 響はややあって、首を縦に振る。 「その時はね。私一人で、充分だったし……」 「水無瀬……何でそんな、分かりやすい嘘をつくんだ。調査は原則的に二人一組って、決まってるじゃないか」 響は苦虫を噛み潰したような表情で、下を向く。 彼女が何故こんな嘘をついたのかは分からないが、追い詰めているようで気分が悪かった。 (もしかして、これもラルヴァ……? いや、ばかな。さっきまで拍手達と話してたんだぞ、ありえない) 蒼魔は頭を振った。疑心暗鬼にかられた心が、最早何も信用を許さない。 「水無瀬……頼む。本当のことを言ってくれ」 響はその時初めて蒼魔の顔を見た。彼女の表情は不安に揺れて、しかし瞳の奥には、小さな光が宿っていた。 強く蒼魔を刺すその光。その光が示す意図は、蒼魔には分かりかねた。 やがて響はまた目を伏せて、少し黙った後、おもむろに踵を返して走り出す。 「水無瀬!」 蒼魔の言葉を無視して、彼女は階段を駆け下りていった。蒼魔も慌てて後を追う。 普段、運動を苦手とする響とは思えないほどの速さで彼女は走り去っていく。 蒼魔も必死に追いかけるが、夏バテ気味のだらけた体力では追いつくどころか、どんどんと距離を離されていった。 階段を二つ三つ降りた辺りで響は廊下を走っていく。そこからおそらく、角を曲がって更に階段を降りていったが、蒼魔も慌てて降りたところで見失ってしまった。 「ハァ、ハァ……」 汗が滝のように溢れ出し、蒼魔は荒々しく胸を上下させて膝に両手を置く。 視線をあたりにめぐらすが、彼女の姿はどこにも見つけられなかった。 蒼魔はひとまず息をついて、近くの壁にもたれかかる。 「くそっ……せめて体育くらいはサボらずやっておくべきだった、かな……」 数秒立ち止まっていても、荒くなった息は鎮まらなかった。 「……くそっ」 自分のやるせなさに蒼魔は歯をくいしばる。救ってもらった彼女を疑った事で、傷つけてしまったのだろうか。だとしたら最低だ……。 蒼魔は自己嫌悪に陥って、頭を抱えた。もしあれがラルヴァだろうとなんだろうと、響は助けてくれたのだ。なぜもっと言い方を考えなかったのだろう。 そんな風に自分を責めている蒼魔の前を、ふいに女生徒が走っていく。未央だった。 「あっ、東堂君!」 未央も走り回っていたのだろうか、蒼魔の姿を確認すると立ち止まり、荒々しい息をそのままに噴き出る汗を手で拭った。 「ゼェゼェ……拍手見なかった!? くっそあいつ、あんま体力ないと思ったのに意外にすばしっこくて……」 「いや、知らないな……」 蒼魔はできるだけ冷静を装ってそう答える。未央は悔しそうに歯軋りをした。 「あーもう! 後で、大車輪に突撃してやる! あいつの顔面にあいつの作りたてのチャーハンぶちまけてやる! ……ところで、東堂君も誰か探してたの?」 未央と同じように汗を流しながら息を荒げている蒼魔を見て、未央は首を傾げた。 「あ、あぁ。ちょっと、水無瀬を……」 「響? もう放課後だし、部室にいるんじゃない?」 「いや……」 どうしよう。蒼魔は、彼女に事の顛末を話すべきか否か悩んだ。自分が響を疑っていると知ったら、響の親友である未央はどう思うだろう? 「あのさ……」 だが、情報は少しでもほしい。未央なら、響の過去について少しは知っているかもしれない。蒼魔は腹を括って、彼女に全てを話す事にした。 「ふーん……そんな事があったんだ、昨日」 とりあえず立ったまま話すのもなんなので、二人は中庭に出て近くのベンチに座った。 「にしてもさぁ」 未央はふくれっつらで愚痴を零す。 「召集かかるのっていっつも、東堂君とか響とかだよね。私なんか全然呼ばれなくて、もう部室の本全部読みつくしそうだよ」 蒼魔を気遣っているのか、響の行動に対する疑問点に気付きながらも気付かないフリをしているのか。未央はさして気にしない様子で不満を口にした。 未央は響と同じ、異能を持たない人間だ。響には魂源力を込めてラルヴァにダメージを与える光を放つ霊具が与えられているが、未央は魂源力も人並みで霊具も与えられていない。 その辺りの事があるのか、あまり調査にかりだされる事はなかった。いや、それよりも、彼女の逞しい行動力は余計なトラブルを起こしがちなので、そういった理由なのかもしれない。 とにかく本人としてはそれが納得いかないようで、日ごろ「体がなまっちゃう」とぶつくさ言っているのだった。 「それで、響を探してどうするの?」 「いや、何で水無瀬があの時裏山にいたのかを確かめようと思って」 「ふーん。それってそんなに気になる?」 未央は全く気に留めてない様子で、携帯をいじりはじめる。……自分が深く考えすぎなのだろうか? なんだか彼女と一緒にいると、肩透かしをくらうようであった。 「だってさ、俺があの時裏山に行ったのは偶然なんだぜ。それに都合良く合わせるかのように裏山に緊急招集がかかったなんて……考えられないだろ」 「そう? ただの偶然じゃないかなあ。裏山に緊急招集って、そんなに珍しくもないじゃん。」 「でも、ラルヴァが襲われたあんなタイミングで……それに、あいつ一人だったし。調査は原則的にツーマンセルだろ?」 「うーん……あっ」 未央は何かひらめいた、というように手をポンと叩いた。 「わかった! 今までの響は全部、そのラルヴァなんだよ。東堂君を助けたのも、実はその前に変身してたラルヴァ」 突拍子もない発言に蒼魔は唖然とする。 「へ……? い、いや、俺さっき水無瀬に会ったけど、普通に拍手達と会話してたぜ」 「だから、それもラルヴァ。響のフリして生活するのが目的なんじゃない?」 「ならなんで俺を襲ったんだ」 「うーん。それはあれじゃないかな、東堂君の記憶の中に入って、響の情報を取り出そうとしたとか。実は全て偶然じゃなくて、ラルヴァが仕組んだ事だったのだ!」 ……あながち、ありえない話でもないかもしれない。俺に過去を見せて動きを封じながら、情報を探っていたと。だとすると、本物の響はどこに行ったんだろうか? 「じゃあ、本物の水無瀬は……」 「ほら、都市伝説でドッペルゲンガーってあるじゃん。自分とソックリの別人がいつの間にか勝手に行動しててさ、出会うと入れ替わられちゃうってやつ」 確かに、ドッペルゲンガーは有名な都市伝説の一つだ。つまりあの響は、響が持つ情報だけではなく、他の人間(拍手や召屋でさえも)からの自分の情報を入手して完璧に響を演じられるようにしていたと。 「もしドッペルゲンガーが現実化して、そういうラルヴァがあらわれたんだとしたら」 「響の記憶を盗み見る事で、東堂君の過去やらなにやらも知ってたし、入れ替わりに襲う事で響が持ってた霊具も奪った。……じゃあ、響は今ちょっと、ヤバイかもねえ」 未央は呑気に言うが、これは大問題である。つまり少なくとも昨日から、響はどこかで大変な目に合っている可能性があるという事だ。 「やばいぞっ! 水無瀬を探さないと……」 蒼魔と同時に未央も立ち上がって、二人ともとりあえず辺りを見回す。 「んじゃあ、私こっち探すね。後、忌憚研究部の皆にもメールしとくから」 未央はそう言ってけだるそうに歩き始めた。蒼魔はそれを横目で見て、未央とは反対の方向に走り出す。 もし昨日からの響が全て、ドッペルゲンガーというラルヴァだったとしたら。響のフリをして蒼魔に接触し、裏山に誘い出して精神攻撃を仕掛け、その後に救うフリをしてもおかしくはない。 無数にある校舎の間を走り抜けて、辺りを見回す。しかし、当然というか響の姿は見当たらない。 焦燥感だけが蒼魔の胸にくすぶり続け、どこから探していいものか途方にくれた。 (そうだ……あいつの携帯に電話をかけてみれば) そう思いついて、制服のポケットから携帯を取り出して響に電話をかける。3コールでつながった。 「もしもし」 響の声は静かで穏やかで、落ち着いていた。 「水無瀬? 今、どこにいる?」 蒼魔はできるだけ言葉を選んで、切られないように慎重に声をかける。 「……旧校舎。多分……部室の近くの教室だと思う」 だと思う、という事は、縛られているか閉じ込められているか、何かしら動けない状況にいるのだろうか? 「わかった。今すぐ行く」 とりあえず彼女は無事だったので、蒼魔は安心した。しかし、あまりに冷静で落ち着いている響の声には、何か不気味さを感じない事もなかった。 罠、だろうか? もし一連の事件が、ドッペルゲンガーというラルヴァ説ではなかったとしたら。 彼女は緊急招集メールを送った相手の名前に斑鳩 夜を出した。それはあの時のラルヴァの攻撃を斑鳩のものだと仮定する蒼魔の説と一致する。 もし彼女に本当に斑鳩がメールを送り、二人で蒼魔を襲い、救う演出をしたのだとしたら…… (違う!) 蒼魔は慌てて首を振った。緊急招集のメールは、普段斑鳩や部長の月白 恭史朗(つきしろ きょうしろう)から送られてくる。 つまり単純に記憶を読み取って斑鳩の名前を出した可能性もあるのだ。というか、今まで何の関係もなかった水無瀬と自分に、実は隠されていた関係があったなんて、信憑性が低すぎる。 何をそんなに疑っているのだろう。蒼魔は自分の情けなさに歯を噛み締めた。とにかく、響に会おう。会って、真実を確かめよう。 校舎の間をあみだくじのように抜けて、巨大なグラウンドに出る。体育館やプールの隙間を通り、旧校舎に向かった。 古ぼけた木製の壁に蔦が絡み付いている旧校舎の外観は、いつもより不気味に見えた。 トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/marcher/pages/749.html
(※) 過去にあった一部の話の設定を踏襲したりしていますが単発の話と思ってもらえれば幸いです でも投稿は複数回に分けさせてください メンバー構成と時系列が現実とリンクしていなかったりもしますがそのあたりはご寛容のほど・・・ 「“ドッペルゲンガー”ってやつじゃない?その人が見たの」 「ドッペル……?何ですかそれ」 湯気の消えかけたカップを手にしたまま、工藤遥は小さく首を傾げた。 「くどぅーが今話してた通りだよ。“もう一人の自分”みたいに自分そっくりな存在」 遥の問いかけに、ミネラルウォーターのグラスを片手にした鞘師里保が答える。 「もう一人の自分?そんなのがいるんですか?」 「いや、本当にいるかどうかは知らないけど。そういう言い伝えはあるよ昔から」 「そうなんですか」 この喫茶「リゾナント」に来る道すがら、遥は女子高生風の2人組が軽い言い争いをしているところに遭遇した。 内容を漏れ聞いたところ、1人が「さっきどうして無視したんだ」と詰り、もう1人が「身に覚えがない」と困惑しているようだった。 要するに、片方が「あんたに会った」と主張し、もう片方が「会っていない」と反論していたということらしい。 ひとしきり話題が尽きた後、ふとそのことを思い出して里保に話してみたところ、返ってきた答えが「ドッペルゲンガー」だった。 「あー!衣梨奈それ知っとーよ。本人が見たら死ぬってやつやろ?」 里保と遥の会話に、生田衣梨奈が賑やかに割り込んでくる。 「そうらしいね」 「ええっ!?死ぬんですか!?マジですか!?」 当然のように頷く里保に、遥はギョッとした表情で思わず問いかける。 「いやだから本当かどうかは知らないけどさ。そういう言い伝えなんだって」 「そうそう、都市伝説ってやつっちゃん」 「…都市伝説とはちょっと違う気もするけど」 もう一人の自分―――そんなものに出くわすのは、考えるだにあまり気持ちのいいものではなさそうだ。 見たら死ぬなんていうことになれば尚更――― カランカランカラン ちょうどそのとき、来客を告げる扉のベルが不意に打ち鳴らされ、遥は喉元まで出かかった悲鳴を何とか飲み込んだ。 思わずビクリとしてしまったのを誤魔化そうと、無駄に大きな動作で入口の方を振り返る。 そこには、青白い顔をした長い黒髪の――― 「どうしたのはるなん!?顔が真っ青だよ」 扉を開けてふらふらと店内に入ってきた飯窪春菜に、カウンターの向こう側から譜久村聖が驚いた顔を向ける。 「貧血みたいで…ちょっと気分が悪くなっちゃって……。あ、大丈夫ですありがとうございます。すみませんご迷惑をおかけして……」 慌てて駆け寄って体を支えた鈴木香音に感謝と謝罪の言葉を述べ、春菜は小さく頭を下げた。 新しく見つけたギャラリーで展示されていた現代画家の絵に一目惚れして鑑賞するうちに、急に気分が悪くなったのだという。 半ば意識を失ってしまい、事務所でしばらく休ませてもらってから帰ってきたらしい。 「大丈夫?家に帰らなくてもいい?」 「帰っても一人なんで心細くて。皆さんの顔を見る方が元気出ます」 心配顔を向ける香音に、春菜はそう弱々しく微笑む。 数日前、春菜はとある宗教団体から遥とともに逃げ出し――より正確には助け出され――「リゾナント」の仲間に加わった。 年齢は今この場で一番上だが、いわば“先輩”に当たる聖たちにはいまだに律儀に敬語で接している。 一歩間違えば卑屈にも映りかねないが、その姿はごくごく自然で、それが春菜の人となりを端的に表していた。 「2階で休む?香音ちゃん、はるなんについててあげてくれる?田中さんには聖から伝えとくから」 「分かった」 頷く香音に、自分も行くと遥が手を挙げかけたとき――― カランカランカランッ 再び――先ほどよりもやや激しく――扉のベルが鳴らされた。 「見つけたっ……!あなた何者よ!まーちゃんをどこに連れて行ったの!?答えなさい!」 集中した全員の視線の先で、一人の少女が仁王立ちしている。 水平に突き出された手は人差し指がピンと伸ばされ、真っ直ぐ春菜を指差していた。 「っていうかそっちこそ何もん?」 呆気にとられた空気が流れる中、衣梨奈が何故か対抗心を燃やしたように指を突きつけ返す。 「あなたたちもその人の仲間?何を企んでるのか知らないけど、この石田亜佑美に見つかったからにはおしまいだからね!」 その大見得に言葉を返す者は今度は誰もおらず、必然的にシーンと静まり返る。 遥の心中と同様、店内にはどうリアクションすればいいのか戸惑っている空気が満ちていた。 「あの……私に…何か?」 その中でも最も戸惑った表情ながら、指差された当事者としての責任感(?)からか、春菜が恐る恐る口を開く。 石田亜佑美と名乗った少女は、若干自分がスベったような空気を感じたのか、少しだけ気まずそうに水平に伸ばしていた手を下ろした。 「…とぼけないで!まーちゃんはどこって聞いてんの」 そして、その気まずさを取り繕うように両手を腰に当て、春菜を睨み付ける。 目つきと口調こそ鋭いが、どこかずれたような空気が相変わらずその迫力を削いでいた。 「まーちゃん…と言われても……どなたですか?」 「佐藤優樹!この子よ!知らないとは言わせない!」 言いながら、亜佑美が自身の携帯を掲げる。 そこには、楽しそうな満面の笑みを浮かべた一人の少女の画像が映し出されていた。 ……が、今時あまりないくらいに画素数が低めの小さい写真であるため、はっきりとは分からなかった。 「う~ん……いえ、あの…すみません…お会いしたことはないと思うんですけど…」 それでも律儀に目を細めて懸命に写真を確認した後、春菜は申し訳なさそうに言った。 「あんたいい加減にしーよ!はるなんは今体調悪いんやけん大っきい声出さんで!」 衣梨奈が2人の間に割り込むようにして、負けずに大声を張り上げる。 その言葉に一瞬気後れしたような顔をしたものの、亜佑美はなおも食い下がった。 「私はこの目で見たの!あなたとまーちゃんが一緒にいるところ!」 「そんなこと言われても……」 ―――ん……? 困惑の表情を浮かべる春菜に、遥はふと軽い既視感を覚えた。 あの表情、つい最近どこかで見たような――― 「…どうしても言わない気ね?じゃあこれならどう!?」 ―――!! 一瞬の出来事だった。 扉の前に立っていたはずの亜佑美の姿は、いつの間にか香音の背後にある。 その手には、カウンターの上に置かれていたフォークが握られ、香音の首元に突き付けられていた。 ―――能力者……! 緩んでいた空気が一瞬にして張り詰めた。 「“高速移動”……みたいだね、あなたの能力」 聖が静かな視線と言葉を亜佑美に向ける。 一瞬驚いたように見開かれた亜佑美の目が、その直後に警戒の色を強くする。 「まさか…あなたたちも何か特別な力を持ってるの?…でも私の“マッハスピード”には勝てないからね」 「ネーミングださっ!」 …張り詰めていた空気が一瞬にしてまた緩んだ。 誰もが心に浮かべたであろう思いを反射的に口にしてしまった遥に心なしか火照った顔を向け、亜佑美は手に持ったフォークを構え直す。 「う、うるさい!早くまーちゃんを返しなさい!この子が怪我してもいいの?」 赤くなった顔を店内の全員へ忙しく動かしながら、それでも亜佑美は強硬な姿勢を崩さない。 緩んだ空気に、再び微かな緊張感が漂う。 「あ、みんな、心配しなくていいよ。この人、私を刺したりする気ないから」 だが、それは他ならぬ“人質”の香音の、のんびりとした口調によって再び弛緩した。 「なっ……?い、言っとくけど私は本気――」 「無駄だよ。香音ちゃんがそう言うなら、そうなんだよ」 静かな声が、亜佑美の言葉を遮る。 その言葉の主――里保は、遥の前の席を立ち、ゆっくりと移動してゆく。 自分の方へと歩み寄る里保へと油断なく視線を注ぎながらも、香音に突きつけられたフォークを持つ手の力は明らかに緩んでいた。 「とにかく香音ちゃんを解放しなよ。そっちも話し辛くない?」 「…だからあなたたちがまーちゃんを返したらって言ってるでしょ!」 「う~ん…じゃあ、こうしよう。うちに勝ったら、そっちの言うこと聞いたげる」 「……!?」 里保の突然の提案に、亜佑美は意表を突かれたという表情を浮かべた。 「ちょっと里保ちゃん何言ってんの?」 「あの、鞘師さん、私ほんとに知らないんですよ」 戸惑いの反応を返したのは、亜佑美だけではない。 店内にいる里保以外の人間は、全員困惑の様相を呈していた。 「ま、いいからいいから。で、どうする?石田亜佑美さんとやら。私と勝負するかね」 「…望むところよ。約束は守りなさいよ」 いつになくふざけた口調の里保に、亜佑美は怒りの視線を向ける。 「もちろん。ま、うちが勝つけどね」 亜佑美の怒りに油を注ぐようにそう言い、里保は挑戦的な笑みを浮かべた。 「鞘師さん、大丈夫なんですか?あの人の能力結構すごいですよ」 思わず口を挟む。 遥の“眼”でさえ、なんとか追える速度だった。 常人の動体視力では、あの移動速度を捉えることはかなり難しいだろう。 「んー…なんとかなるんじゃないかな」 「なんとかって…」 しかし、自信があるのかないのか分からないその言葉とは裏腹に、顔には不敵な笑みが浮かんでいる。 何だか妙に嬉しそうだ――と遥は思った。 「里保ちゃん、お店のもの壊さないでよ。聖が田中さんに怒られるんだから」 「うん、できるだけ」 「……壊したら道重さんに言いつけるから」 「…絶対壊さないようにします」 近くのテーブルを衣梨奈に手伝ってもらって動かすと、里保は亜佑美の方に向き直った。 「お待たせ。いつでもいいよ。受けて立とうじゃあないか」 「…随分自信満々ね。絶っっ対負かしてやる!一瞬で終わらせるから」 闘争心を剥き出しに、亜佑美が里保を睨み付ける。 もはや当初の目的を忘れ、里保に勝つことしか頭にないようにさえ見える。 かなりの負けず嫌いなのだろう。 「くどぅー、試合開始の合図よろしく」 「試あ……分かりました」 いつから試合になったんだよと思ったが、亜佑美の方も別に違和感を覚えていない風なので、黙って頷く。 「ではお2人は向かい合わせに。関係ない人は離れて」 遥の言葉に、店内で移動が行われる。 手首や足首をブラブラとさせ、首を回しながら里保と亜佑美が向かい合う。 「レディー………」 高々と両手を挙げ、肩幅よりわずかに広げる。 遥のその合図を受け、里保と亜佑美は構えの姿勢に入る。 次の瞬間、遥は思い切り両手をクロスさせながら叫んだ。 「ファイッ!!」 そして――― 亜佑美の言った通り、勝負は一瞬でついた。 「勝者……鞘師里保!!」 「いえぃっ!」 ガッツポーズを決める里保に組み伏せられたまま、亜佑美は呆然とした表情をしていた。 「何が起こったと…?」 呆然としているのは亜佑美だけではない。 当事者たち以外で今何が起こったのかを理解しているのは、なんとか“眼”で追うことができた遥だけだろう。 「膜……ですよ生田さん。鞘師さんは間に水の膜を張っていたんです」 里保の能力により、気付かないほどに薄く張られた水のカーテン。 先ほどまで飲んでいたミネラルウォーターの残りを利用したのだろうそれを、高速移動中の亜佑美は突き破った。 その瞬間にできる、「移動経路」の軌跡。 それを元に亜佑美の攻撃方向を察知し、カウンターの投げ技を決めた。 …言葉にすればそれだけのことだが、それを実際に実行できるのはさすがというしかない。 「この前田中さんがやってたのをヒントにね。高速移動中に何かにぶつかったら、きっと驚いて反射的に動きが鈍るだろうとも思ってさ」 「……その通りでした。参りました。完全に私の負けです。こんなすごい人に挑んでた自分が恥ずかしいです」 先ほどまで闘争心の塊だった亜佑美の瞳には、いつの間にか純粋な賞賛と尊敬の色が浮かんでいる。 「や、そんなことないよ、全然そんなことない。亜佑美ちゃんもすごいって」 照れたように手を振ると、里保は立ち上がり、亜佑美に手を差し伸べた。 同じく照れたようにしながら、亜佑美もその手につかまって立ち上がる。 ――「亜佑美ちゃん」ってオイ 心の中でそう突っ込んだのは遥だけではないだろう。 「あー、オホン。いいでしょうか」 わざとらしい咳払いとやや不機嫌な声が、和やかな雰囲気を破る。 全員の視線が向いた先には、声同様に不機嫌な面持ちの香音の姿があった。 「で、何か忘れてませんか?」 香音の問いかけに一瞬首を傾げた後、亜佑美はハッとした顔になる。 「そうだ!まーちゃん!まーちゃんを返して!」 「ふりだしか!何のための時間だったんだよ今の!」 思わず突っ込んだ遥に何かを言いたそうにしたものの、亜佑美は結局悔しげに黙り込んだ。 自分が負けてしまったことの意味をようやく思い出したのだろう。 「あのですね、鞘師さんが勝ったから言わないってわけじゃなくて、本当に私身に覚えがないんです。信じてください」 そんな亜佑美を見かねたように、春菜が弱々しく声を掛ける。 ばつの悪そうな……でも反論したいような複雑な表情で、結局何も言えずに亜佑美は唇を噛んだ。 「その人は嘘言ってないよ、みんな。まーちゃんって子のことすごく心配してるし、はるなんと一緒にいるのを見たっていうのも本当みたい」 「えっ?」 思わぬ“援護射撃”に、亜佑美は驚いたように顔を上げた。 他の視線も、再び香音へと集まる。 「香音ちゃんがそう言うなら……そうなんだね」 先ほどの里保の言葉をなぞるような聖の言葉に、全員の頷きが返る。 「やけど……はるなんは会ってないんっちゃろ?」 「うん、はるなんも嘘は言ってない」 「だったらどういう……」 首を傾げながらそこまで言ったとき、遥の脳裏で一つの言葉が弾けた。 「まさか……ドッペルゲンガー……?」 同じくそれに思い至ったらしい里保が再び口にしたその言葉に、背筋が冷える。 もう一人の自分――― 本人が出会えば死ぬという――― 思わず春菜の方を見遣る。 そこには、相変わらず幽霊のように青白い色をした春菜の、怯えたような表情があった。 To be continued...(?)。 To be continued...(?)
https://w.atwiki.jp/musasino/pages/7.html
#blognavi 目覚めると無人島にいた。 綺麗な首飾りみたいな真っ白い砂浜。海は青ざめて見えた。無人島だということがどうしてわかったのだろう?? でもすぐにわかったんだ。ここは無人島だ、と。 傍らには墜落し炎上するヘリコプター。燃えるガソリンの匂いがする。 背後には小高い丘。あそこに登れば見渡せるかもしれない。この島はどのくらい広いんだろう?? 真っ白い砂浜に嘔吐する。 そしてそのまま倒れこんだ。 目覚めると僕は東京にいる。現代アートみたいな内装の高層ビルの中に。つるつるした床に自分の姿が映っている。会社の社長らしき身なりのいい男に向かって僕は訴えている。声を枯らして訴えている。 「ヘリコプターはまだ見つからないんですか!?」 社長は苦笑する。 僕は必死で訴える。 「無人島には僕がいるんです!!」 そこで僕は意識を失う。 目覚めるとそこは無人島だった。 僕は砂浜に仰向けになってスコールにうたれていた。 僕は言葉にならな叫びを上げた。 今度こそ本当に目覚める。 夢オチ。 体の半分を無人島にもってかれちまった気がする。 「よく眠れた??」恋人が言う。「悪い夢は見なかった??」 僕がしょっちゅう悪夢にうなされているのを彼女は知っているのだ。 「うん」そっけなく答えて歯を磨いた。 10時間働いている間ずっと夢のことを考えていた。悪い癖だ。新しい世界が降ってくると憑りつかれてしまう。何も手につかなくなってしまう。よくこんなやつに給料出すよな。いい会社だよ。今日は一日中無人島の名前を考えて過ごした。 この夢は小説になる。 まちがいなく長編だろう。 ずっとジョージ・ベルヌやダニエル・デフォーみたいな小説が描きたいと思っていた。ジェームズ・バリとかルイス・キャロルとか。マーク・トウェインとかモンゴメリとか。スウィフトとか。 つまり古典たりうる小説ということだ。時代を超えて読みつがれていく作品。 無人島は古典のスタンダードだ。誰も言ってないけど僕はそう思う。そしてやっと無人島の話がかけるかもしれない。 僕は今最高にわくわくしている。かなりいかれた話になりそうだ。 キーワードはドッペルゲンガーと無人島。 カテゴリ [日記] - trackback- 2006年09月09日 23 26 16 #blognavi
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17501.html
【#12】 ――アルバイトを始めてから二週間くらい経った頃。 私と憂の仲は実にゆっくりと進展していて、ようやくデートで『自然に』手を繋げたくらい。 ……デートとハッキリと口にしたわけではないし、手も自然に繋げたような『気がする』って程度に私の主観に満ち溢れたものだけど。 帰宅後の純のいない時間はいろいろなことを試してみた。自分の本当にやりたいこと、それを探して。 憂も一緒にいろいろ真剣に考えてくれて、そのせいかこの前みたいに異様なほどキスしたい衝動に駆られることは無かった。 ……少しくらいならいつも思ってるんだけどね。でもタイミングが掴めません。 純が帰宅したらお風呂に順に入ったりみんなでご飯を食べたりしながらしょうもない雑談に花を咲かせる。 純が大学で仕入れたくだらないネタとか、憂がテレビで見かけた豆知識とか、私が見聞きしたコンビニ周辺の事情とか。三者三様の過ごし方をしているから同調することが難しい反面ネタは尽きることがない。 そうして適当に喋って、適当に切り上げてみんなで一緒に寝る。そんな夜が過ごせることを誰よりも純に感謝する。滅多に言葉にはしないけど。 アルバイトの休みは極力土日に貰おうとしてるけど、どうしてもズレてしまうときもある。そういう時は憂と二人っきりの純にヤキモチを焼きかけたり、でもそのぶん純が大学に行ってる日に一日中憂と一緒に居られたりして。 で、純が帰ってきたらからかわれる。からかいの中に、私達二人を見守る優しさを覗かせながら。 そんな『日常』にようやく馴染み始めた頃、私達は少しずつ、それぞれが向き合わなければいけないものを意識していく。 梓「――ただいまー。……ういー?」 『いつものように』アルバイトを終えて帰宅したはいいけど、今日は憂のお出迎えがない。 疑問に思いながらも靴を脱ぎ、奥の部屋へと歩を進めると。 憂「……すぅ……ん…」 テーブルに突っ伏して眠る憂の姿があった。 暖かくなってくる季節だし、風邪をひくことはないと思うけど……それよりも憂の居眠りは単純に珍しかった。 梓「……疲れてるのかな…?」 「たまには代わりにやろうか?」なんて言うわけにはいかない。憂に変な気を遣わせてしまう。 でも、疲れてるなら労わってあげたい。例えば憂が私を毎日見送って、出迎えてくれるように。憂を好きな私になら出来る事が何かあるはず。 ……一緒に料理するとか、たまには外食するとか、いろいろ方法はあるはず。考えておこう。 それにしても…… 梓「……可愛い」 寝食を共にしている以上、寝顔自体は見ているしきっと見られていると思うんだけど、そういう時に見る顔よりもどこか可愛く見えるのは居眠りを眺めてるというシチュエーションのせいかな。 ……寝てる間に唇を奪うなんてしないよ。ホントだよ。 梓「………」 というわけで(?)、そっと頭を撫でてみる。 髪に触れるというのではなく、頭を優しく撫でるだけ。髪に触れるのは……こう、ちょっとやらしい意味を含む時もあるって聞いたし。 というわけで束ねた髪に触れない範囲で頭頂部周辺をなでなでと、三度くらい往復した時だった。 憂「……っ…ん…?」 梓「あ、ごめん、起こしちゃった?」 憂「…あずさ…ちゃん?」 頭を起こし、私の顔を見てから周囲を見渡して、壁にかけられた時計に目をやる。 ちなみにこの時計は純の部屋にあったものらしい。どうでもいいけど。 憂「……ごめん、寝ちゃってた…」 梓「いいよ、そういう日もあるって。私としては珍しいものが見れて嬉しかったし」 憂「……何かヘンなことした?」 梓「してないよ!?」 あはは、といつものように笑う憂。よかった、特別何かがあったわけではなさそうだ。 梓「……もうちょっと寝ててもいいよ? 静かにしとくから」 憂「ううん、梓ちゃんが帰ってきたなら起きないと」 梓「ん……えっと、何て言うか――」 憂「あ、そういう意味じゃないんだよ? 寝てたのも…ちょっと、退屈すぎてだったし」 「疲れてるんでしょ?」とは言い出せなかった私の先を読んで憂が告げる。 無理をさせてるわけじゃなかったことには安心するけど…… 梓「退屈……?」 憂「うん……テレビ見るくらいしかすることなくて」 梓「そっか……」 唯先輩を起こして家事をしたり、お母さんを起こして家事をしたりしてから学校へ行く。帰ってからも手早く夕食の準備をしたりするのと平行して勉強もこなす。 そんな生活サイクルを繰り返していた憂は、きっと手早く家事を済ませるコツを心得ているんだと思う。 でも今となってはそれ故に時間が余ってしまって、退屈で寂しい時間を過ごしてしまっている。そしてそんな時間を感じるくらいなら働きたい、と思っている可能性も否めない。 ……そしてそれは、もう一度憂が私に『働かせている』という負い目を抱いてしまう可能性を示している。 それでなくとも、退屈と思ってしまうような毎日では憂が可哀相だ。憂にも充実した毎日を送ってもらいたい。 でも、なんとかしようにも私はアルバイトで家にいない。私達の当面の問題はそこかもしれない。 ……しかし私は、それの答えをもう持ってるような気がする。 梓「……憂はさ、したいこととかないの?」 憂「……梓ちゃんと一緒にいたい」 か、可愛いなぁもう! 梓「ってそうじゃなくって、ね? 将来の夢とかそういうの」 憂「……梓ちゃんのお嫁さん」 あーーーもーーー可愛いなあああぁ!! 梓「って、ワザとやってない?」 憂「えへへ♪」 梓「もう、マジメな話なんだから……」 憂「ごめんごめん。でもマジメにそう思ってるよ?」 梓「私だってそう思ってるけど…でもそういう話じゃなくて」 憂「うん……梓ちゃんは、やっぱり音楽?」 梓「…そうだね。やっぱりギターの練習をしてるときが一番頑張ってるって感じがするし」 料理、勉強、運動、読書やオシャレ。憂と一緒にいろいろしてみたけど、やっぱりギターが一番性に合ってるらしい。 小学生のころからやってきた事が身体に染み付いてるだけかもしれないけど、それでも私はその瞬間が一番満ち足りている感覚がある。 梓「憂は、そういうのなかった? 私と一緒にやってるときに」 憂「……わかんない。梓ちゃんが喜んでるのが一番嬉しいよ、私も」 梓「……憂は生粋のお世話体質だよね。嬉しい言葉ではあるんだけど」 きっと唯先輩やご両親にもそんなノリで世話を焼いていたのだろう。 面倒見がいいという憂の長所がそこから来ているのはいいことだと思うけど、自分のことはどうなのか、という心配もたまにしてしまう。 唯先輩やご両親がいた時は、逆に私や純との時間を自分らしくいられる息抜きの時間として使ってくれてたと思ってたんだけど。 ……あぁ、そっか、結局は私がしっかりしてないからこうなっちゃうわけだ。 でも大丈夫。少なくともこの件に関しては、もう憂の手間は取らせない。 梓「私は、しばらくは音楽の道を追ってみようと思うよ」 憂「……やっぱり、それが夢ってこと?」 梓「そうなるかな。それに、やっぱりそれが私らしいと思うし」 そう断言すると、ある程度予想していた答えが憂の口から漏れる。 憂「……いいなぁ」 その一言には、きっと私の想像より多くの意味が込められている。 でもおそらく一番重い意味は、憂がどこかで『自分は夢を追う事は許されない』と思ってしまっていることじゃないか、と思う。 ……ドッペルゲンガーだから、働けもしない存在だから、人並みの夢を見ることは許されないのだと諦めてしまっている。 もしかしたらその諦念の先で、自分の夢も見失ってしまったのかもしれない。 頑張る私を見続けることで、自分のことから目を逸らし続けていたのかもしれない。 ……そんな憂に、今一度本来の夢を思い出して、なんて言ったところで無駄だろう。 でも、そんなこと言う必要さえないんだけどね。 梓「じゃあ、憂も憂の夢を追おうよ」 憂「…え…っ? で、でも……」 梓「私は知ってるよ、憂の夢」 憂「え――ひゃっ!?」 疑問符を浮かべてばかりの憂を、意を決して抱き寄せる。 胸で受け止めるっていう格好にならないのはやっぱりちょっとカッコ悪いけど、それでも想いは伝わるはず。 そこからさらに右手を伸ばして、憂の後頭部にそっと添えてから囁く。 梓「……憂は、私と一緒に居たいんでしょ?」 憂「っ……」 梓「ちょっとズルいけど、二人の夢にしちゃおうよ、音楽」 憂「……そうすれば…ずっと一緒にいられるから?」 梓「うん。憂の夢と私の夢、そして二人の夢。三つ全部を同時に追える、素敵な方法だと思わない?」 憂「ん………あれ? でもその場合、梓ちゃんの夢って…?」 あー、言わせますか、それ。ちょっとは匂わせたのに察してくれないんですか、憂さん。 それとも……聞きたくてしょうがないのかな。私の口から、ちゃんと言葉にして。 梓「……憂と一緒にいたい。憂のお嫁さんになりたい。……そんなところ、かな」 憂「っ…!」 梓「……だめ?」 憂「……だめなわけ、ない…っ!」 言葉と同時に、今度は憂のほうから抱き締められる。というか密着した状態から逆に力を入れられた。ぎゅっと、憂らしくないほどに力強く。 いつもの憂の気遣いはそこにはなくて、ただただ私を離さないように、離したくないという想いだけを込めるかのように腕が私を締めつける。 正直少し驚いたし、痛くないわけじゃないけど。それよりも嬉しかった。嬉しくないわけがなかった。その力の強さが、そのまま憂の私に対する想いの強さなのだから。 憂「……好き。だいすき、梓ちゃんっ…!」 梓「憂……んっ!?」 憂「っ…ちゅ、っ……」 ……憂を安堵させることが出来た喜びに浸っていると、唐突に憂のほうからキスされた。 憂との2度目のキス。あたたかい時間。1度目よりもちょっとだけ長く唇を重ね合って、してきた時と同じように憂のほうから離れる。 憂「……えへへ。ごめんね、つい……したくなっちゃって」 梓「っ……///」 ……まぁ、その気持ちはわかるよ。私もこの前、キスしたくてしょうがなかったし。 うん、気持ちはよくわかるんだけど、私のほうばかりされっぱなしというのは…ちょっと悔しい、かな。 悔しいといっても幸せだし憂が可愛いから別にいいんだけど。でも心の中で純に文句だけは言っておいた。 ◆ 純(――なんかどこかで八つ当たりされたような気がする!)キュピーン 「? どうしました? 鈴木さん」 純「あ、いえ、なんでもないです、教授」 「そうですか」 ――鈴木純。中途半端に勘のいい少女。 8
https://w.atwiki.jp/doppelworld/pages/38.html
ドッペル関係のアイテム、他のプレイヤーを助ける効果もあれば妨害する効果を持つものもある。一部を除き所持上限1、0G、☆10。 名前 効果 (止)動かない(動)動き回る 入手方法 宛てのない手紙 ドッペルのメッセージを変える 開始時に持っている 書き留め記録帳 配置したドッペルとその内容、配置日時を表示する 開始時に持っている ドッペルの鏡 目の前のドッペルと位置をかわる 開始時に持っている(初期バージョンの人はセーブクリスタルで入手) 訪ね人の名簿 同じマップにいるドッペルの名前、レベル、職業、使用したペン、位置がわかる アルマドゥラ城2F北西に貼ってある名簿を調べる ワードキー 登録した言葉と一致する名前のドッペルを非表示にする 開始時に持っている 留める者の羽ペン ドッペルを配置する(止) 開始時に持っている 彷徨う者の羽ペン ドッペルを配置する(動) 街道の難所で行き倒れている男にカロル瓶を複数回与えると入手 道具売りの羽ペン 消費アイテムを販売するドッペルを配置する(止) 商人に転職すると入手 武器売りの羽ペン 武器を販売するドッペルを配置する(止) 商人に転職後、神殿都市アルテサノの商人が販売。2000G。☆4。 防具売りの羽ペン 防具を販売するドッペルを配置する(止) 商人に転職後、神殿都市アルテサノの商人が販売。2000G。☆4。 還す者の羽ペン 現在登録してあるクリスタルに転送するドッペルを配置する(止) ピラミッドの中ボスを倒した先の宝箱 奪う者の羽ペン 人の金を盗むドッペルを配置する(動) 盗賊に転職後、神殿都市アルテサノの盗賊に話しかけると入手 癒す者の羽ペン HPを回復させるドッペルを配置する(止) 聖職者に転職後、神殿都市アルテサノの神官に「聖職者になりたい」と複数回話しかける 鼓舞する者の羽ペン TPを回復させるドッペルを配置する(止) 戦士に転職後、神殿都市アルテサノの戦士が販売。5000G 眠れる姫の羽ペン 眠っているドッペルを配置する(止) アルマドゥラの城内2階右上にいる眠り姫に銃→空砲弾を使う(空砲弾は消費される) 怒れる長の羽ペン 怒り吹き出しを出すドッペルを配置する(止) アルマドゥラの城内1階右上にいる兵士に色々話しかけると入手 求める者の羽ペン 物をほしがるクエストを依頼するドッペルを配置する(止) 森の町ボスケの中央にいる男の依頼をこなすと入手 カード対戦の羽ペン カード対戦をするドッペルを配置する(止) メルカド市場のピエロから入手 立て札の羽ペン メッセージ付きの立て札を配置する(止) 砂漠の右側の立て札を壊すと入手 メイドの羽ペン メイドさんを配置する(止) ピラミッドをクリアしてソール酒を10本町長に持って行くと入手 死者の魂の羽ペン 漂う死者の魂を配置する(動) コンヘラル雪原南西の墓場にいる人魂にたいまつを装備して話しかけると入手(夜間のみ出現) 大きな岩の羽ペン 転がせる大きな岩を配置する(止) ヌブラド荒野の右上の岩の下にある。 暴れる者の羽ペン 暴れるドッペルを配置する(動) ウィンディー倒した後、ウィンディーのいた場所を調べると入手 語らう者の羽ペン 他のドッペルと会話するドッペルを配置する(止) 雪の女王がいるフロア右側の宝箱 魔道士の羽ペン 他のドッペルに魔法をうつドッペルを配置する、対象がいない時は失敗する(止) 魔道士がある程度のレベルで転職魔道士に話しかけると入手 空しい箱の羽ペン からっぽの宝箱を配置する(止) サハギンの洞窟の空箱を2回調べると入手 慎ましい箱の羽ペン 小銭入りの宝箱を配置する(止) 名を捨てた町北東の木に隠れた宝箱 伝える箱の羽ペン メモ入りの宝箱を配置する(止) 砂の町カクトゥスの南にある木に隠れた宝箱 欺く箱の羽ペン ミミックを配置する(止) ピラミッドにいるミミック(落)このペンのミミックでもよい。所持上限99。 爆ぜる箱の羽ペン 爆発する宝箱を配置する(止) レベル17以上の狩人で神殿都市の狩人に話しかけると入手(狩人限定) 魔物の羽ペン シンボルエンカウントのドッペルを配置する(動) 腐り沼の宝箱 惑わす者の羽ペン 誘惑してくるドッペル(100G払ってHP-5、TP+100)を配置する(止) エンプーサ(落) 暗き結晶の羽ペン ダーククリスタルを配置する(調べると戦闘になる、夜はクリスタルの数で魔物が強化)(止) 火山1F右ルートの階段から降りた先の宝箱 トロッコの羽ペン 乗るとまっすぐ移動するトロッコを配置する(フィールドのみ、止) 廃坑のトロッコを4つとも動かせるようにする 湧き出る水の羽ペン 噴水を配置する。終点ポイントへジャンプ出来る(止) 試練の遺跡宝箱 先が太い羽ペン 太くなったドッペルを配置する(止) 旅人のキャンプから下のマップの宝箱 見下ろす者の羽ペン 通常より大きなドッペルを配置する(止) 廃坑左上から下りたB2Fの宝箱 アトリエの羽ペン 調合をするドッペルを配置する(止) 調合を2回以上行い砦の錬金師に話しかけると入手 武器作りの羽ペン 武器を製作するドッペルを配置する(止) 武器製作を2回以上行い砦の鍛冶師に話しかけると入手 防具作りの羽ペン 防具を製作するドッペルを配置する(止) 防具製作を2回以上行い砦の鍛冶師(錬金師)に話しかけると入手 コメント みんなの石版:掲示板に書き込みする。見落としてる人がいるかどうかは知らないけどこのページのアイテムは1~9キーに登録できるのでよく使うアイテムは登録することをオススメする。 (2013-01-26 12 18 50) 魔物の羽ペンのシンボルでエンカウントした敵はレベルが上がりステータスが上がる(名前の後にLvXXと表記が付く)、その際の魔物のレベルが魔物ペンを使った本人のレベルに左右される。使った本人のレベル+1あたりが最大で最小は補正無し (2012-06-26 09 22 17) レアモンスターが出るとこに魔物ペンで配置しておけば作業がはかどる(逃げても消えない、逃げられると消えるが) (2012-06-21 10 54 29) テンプレ用 の羽ペン を配置する(止)
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17517.html
梓「……唯先輩、話を戻しましょう」 唯「……うん?」 梓「今の、この状況について、です。『私』が二人いる、この状況」 唯「…そうだったね、その話をしてたんだった」 梓「はい。で、ぶっちゃけ唯先輩は、どっちの『私』が本物だと思います?」 梓´「っ!!」 “私”が息を飲み、目を瞑る。この後に示される答えに怯えて。 もっとも、私もその答えはわかっている。確証もある。 唯「……そっちのあずにゃん。今、私と話している方」 梓´「っ………」 梓「それは何故ですか?」 唯「……憂が、隣にいるから。あずにゃんは憂とキスするほど好き合ってたはずだから」 そう、皮肉にもあの時の“私”の言う通りのことになってしまっているんだ、今は。 隣に憂がいるから、それだけの理由で私が『中野梓』になってしまうんだ。 梓「それだけですか?」 唯「……そう、だけど……」 そう、それ『だけ』で。 唯「……あずにゃん、何が言いたいの?」 梓「……私と、そっちの“私”の違いは、それだけなんですよ。憂と好き合っているか、それだけ」 唯「………」 梓「信じられないと言うのなら、何でも質問してみてください、私『達』に。どっちも寸分の狂い無く同じ答えを返しますよ」 唯「……ううん、あずにゃんの言うことなら信じるよ」 梓「……大事なことなんです。そんなに軽く考えないでください。ちゃんと納得してもらわないと困るんです」 唯「でも、私はこっちのあずにゃんに何の違和感も持たなかったから。憂の隣にいるあずにゃんを見るまで、ね」 だから私の言うことを否定できない、と言う。 今更疑うのもムシのいい話だ、という見方も出来るけど。まぁどっちでもいいか。 唯「つまりあずにゃんは、どっちも『あずにゃん』だ、って言いたいんだよね?」 梓「そういうことです」 唯「……じゃあ、どうしてあずにゃんが二人いるの?」 唯先輩の真剣な視線が、私と“私”に交互に突き刺さる。 やっぱり、結局はそこが一番大事なんだ。唯先輩は信じると言ってくれたけど、それでもここをハッキリさせないと心の底からは信じてくれないはず。 心の底から信じてもらえないことには、居場所も出来ない。“私”の居場所が。 ここの説明だけは、どうあっても避けて通れない道なんだ。 そして、私達をずっと悩ませている問題もここなんだ。 純はありのままを説明しろと言う。ドッペルゲンガー関連だけは適当にぼかせばいい、と。 でも、ありのままを説明するのはデメリットのほうが大きいと思う。“私”がどう動くかわからないから。というか、ぶっちゃけ邪魔してくると思うから。 だってありのままを説明するという事は、私と“私”、どちらが『先に居たか』を明らかにしてしまうことになる。 それは“私”からすれば存在の否定だ。偽者だと言われているようなものだから。私達にそんなつもりはないとしても、だ。 ただでさえ、『二度と目の前に現れない』という約束をした私が目の前にいるんだ。“私”は些細な刺激ででも爆発しかねないと考えておいた方がいいと思う。 正直、嘘を織り交ぜて話した方がいいとさえ思ってる。 “私”がどう動くかわからないデメリットは相変わらず存在するけど、それでも嘘を混ぜれば最初は様子を見てくるはず。その間にこちらの意図を察してもらえれば後は上手くいく。 でもそう予定通りに事が運ぶ保障は全く無い。それに加えてその場しのぎの嘘なんていつかはバレるものと相場が決まってる。 実際、私達の嘘はことごとくバレて裏目に出てきた。いろんな人を悲しませてきた。 人生の中で吐いていい嘘は、絶対にバレない嘘だけなんだ。そしてそんな嘘を作り上げる時間は、今の私達には無い。 そして何より……嘘を吐くのは、やっぱり心苦しいから。 私は、どうするべきなのか。 どっちを選べば、皆の幸せになれる結末が訪れるのか。 考え、悩んだ結果…… 梓「……唯先輩と、同じですよ」 唯「…私と、同じ?」 梓「はい」 私は、第三の選択肢を選んだ。 唯「つまり……死んで、みんなに祈ってもらって生き返った?」 梓「いえ、そうじゃありません。ええと…逆に聞きますけど、唯先輩、もっと具体的にどうやって生き返ったのかわかります?」 唯「……具体的に…?」 梓「…身体は、もうこの世に無かったはずじゃないですか。意識だって、どこかに行ってしまっていたはずでしょう? それなのに生き返った、そのあたりの詳しい理屈です」 唯「………わかんない……」 梓「ですよね」 唯先輩を悩ませてしまったけど、そう、その答えこそが必要なんだ。 悩んで、考えて、体験までしてもわからない。私も“私”も、憂も唯先輩も、細かいところは違えどそこは共通しているんだ。 梓「私達も、具体的にどんな仕組みで私の身体も記憶も二人分存在するのかはわかりません。でもそんなのどうだっていいじゃないですか」 唯「………」 梓「憂も、唯先輩も、自然と受け入れてもらえてるじゃないですか。死んだ人が生き返るのと、同じ人が二人存在するの、どっちも優劣なんてつけられないオカルトだと思いませんか?」 唯「あ……」 そう、それだけの問題のはずなんだ。 結果は違っても、根本は一緒。どうあっても説明できない現象が起こった。それだけなんだ。 なのに唯先輩と憂は受け入れられて、“私”は受け入れてもらえない……なんて、この人達ならそんな事にはならないはずだ 。唯先輩と憂というオカルトを受け入れた、優しい皆なら…… 梓「……いえ、それで喜ぶ人がいるのなら、オカルトなんかじゃなくて『奇跡』なのかもしれませんね」 唯「喜ぶ…?」 唯先輩はわかっていないんだろうか。私は『一緒』だと言ったのに。 私達の身に起こったことも、唯先輩と同じ現象だと言ったのに。誰かが求めたゆえの『奇跡』だと。 梓´「……唯先輩、私じゃダメですか? 私、唯先輩のこと、好きですよ?」 唯「えっ……」 梓´「唯先輩を好きなこと以外、私は全部あっちの“私”と同じですよ? それじゃダメですか?」 唯「あず、にゃん……」 梓´「……私じゃ、唯先輩は幸せになれませんか?」 唯「っ……そんなこと…!」 内心、ハラハラしながらも私は自然と“私”を応援していた。 私と憂の告白を見届けた純も、こんな気持ちだったのかな…… 梓´「…唯先輩が好きなのは、『誰』ですか?」 唯「……私が好きなのは……」 唯先輩がチラリとこっちを見たから、私は首を振った。 それだけで伝わったかどうかはわからない。けど、それを見た唯先輩は吹っ切れたように“私”に向き直ったし、隣の憂がそっと手を繋いでくれたからそれで良かったんだと思う。 唯「……私は、いつも一生懸命で、ぎゅってしたくなるほど可愛くて、ギターが上手で、いろんなことを教えてくれて、私の事を心配してくれて、それでいて寂しがり屋で放っておけない、そんな『あずにゃん』が……好きだよ」 梓´「………」 唯「……憂を好きかどうかは、関係ないよね。誰を好きでも、私の気持ちは変わらない。憂の大事な友達の『あずにゃん』が、私は好き」 梓´「唯、先輩……」 唯「『あずにゃん』なら、それだけで私は好き。そうだね、そうなんだよね。『憂を好きなあずにゃん』なんてのは私の中のあずにゃん像にすぎないし、私が好きになったのはそんなあずにゃんじゃないんだよね」 憂「……お姉ちゃん……」 唯「……ごめんね、“あずにゃん”。やっぱりどこかで、私は――」 梓´「いいんです、今はそれでも。ただ、私を――あなたを好きな私を、そばに置いてください。目の届く範囲に置いて、見ていてください。私も『梓』なんだって、私が教えてあげますから」 唯「“あずにゃん”……」 梓´「……私があなたの『あずにゃん』だって、ちゃんとわからせてみせますから」 梓「………」 うわぁ、言ってて恥ずかしくないのかな、あの“私”は。 しかも言い方が微妙に生意気だし……。客観的に見て私っていつもあんなんだったの? いや、まさかね。テンパって何言ってるか自分でもわかってないだけだよね。そんなところあるしね、私…… 唯「……“あずにゃん”」 梓´「……はい」 言いたいことを言い合った後の二人は、すがすがしい面持ち……というわけでもなく。 互いに返ってくるであろう返事に緊張しているようで、神妙な面持ちだ。 唯「……あの、ね」 梓´「…はい」 唯「えっと、その、上手く言えないんだけど」 梓´「………」 唯「……とりあえず、そろそろ澪ちゃんと居た向こうの街に戻ろうと思うんだ、そろそろ」 梓´「……はい」 唯「………」 梓´「………」 唯「………一緒に、来ない?」 梓´「………いいん、ですか?」 唯「う、うん。みんな会いたがってるだろうし、みんな一緒にバンドしたがってたし」 梓´「………」 唯「それに………私も、“あずにゃん”と一緒にいたいし」 梓´「…! は、はいっ!!」 今度はちゃんと笑顔で正面から抱き合う二人。 そんな中で唯先輩だけがチラッとこっちを見て、私と憂が重ねあった手を見て困ったように笑った。 正直もう大丈夫だとは思うけど、一応言っておきたいことがあと一つ残ってる。 梓「……唯先輩」 唯「……?」 梓「実は『中野梓』は、そっちの“私”なんですよ」 梓´「っ!?」 だって、そりゃそうでしょ。もうあの時に全部譲り渡したんだから。 それに、こうしてそれぞれに居場所が出来るなら……細かいことはともかくとして、名前にはあまりこだわる必要はないと思うし。 私が『本物』で、それでも『中野梓』ではないとしても、隣には憂がいてくれる。そして、きっと純も。それだけで大丈夫だと思う。 唯「じゃあ……あなた、は?」 唯先輩から「あなた」と他人のように呼ばれるのは、少し胸が痛むけど。 梓「私は……その……」 それでも、こう言っておいたほうがいいだろう。この場で、ちゃんと。 梓「私は……『平沢梓』になろうかと……」 24
https://w.atwiki.jp/kikipedia/pages/152.html
?[名]どっぺる ?[動]どっぺ・る チャットでは文字入力欄の上部に入室者名が表示されるが、そこに、ひとりのユーザ名がふたつ 表示される現象。 自分で自分自身の姿を見る「ドッペルゲンガー」から名を戴いている。 原因は全く不明。二重ログイン状態であろうという推測の域を出ない。 しかも、チャット1では起こるがチャット2では起こらない、またはその逆もある。 初期のチャットではよく起こったが、リニューアルを重ねるうちに減少の一途を辿り、現在では 若干名にのみ確認されている。 経験者によると、入室して「誰かいる」と思ったら自分だった、という空しい気分に陥ることがあるとか。(yoshino)
https://w.atwiki.jp/taleswords/pages/1009.html
ドッペル(ランジエ)【MOB 少数MOB】どっぺる(ランジエ) ランジエのドッペルゲンガー。ver.4.44かver.4.45から登場。 他のドッペルゲンガーと比べて攻撃間隔が短い。覚醒クエストにも登場する。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17493.html
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 梓憂 ※百合系 2012/04/02 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14921/1333305537/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 今まで読んだ数々のSSの中で1番引き込まれたSSでした。 -- (名無しさん) 2017-04-02 23 28 49 人が妄想に取り込まれるお話。おいたわしや平沢嬢。 -- (名無しさん) 2012-07-01 19 44 04 おもしろかった! -- (名無しさん) 2012-07-01 09 39 20 ↓何だこの人怖い -- (ロリコン) 2012-04-22 18 47 41 嘘にまみれた物語だと思う。 解決策や自分の気持ちすらも嘘。 嘘でも手に入れたかった幸福。 皆がそれに向け、嘘を吐き続けていたた。 そんな物語だ。 嘘を吐く事に罪はないはずだ。 互いが互いの事を思いやっての嘘であり、幸福になるための嘘なのだから。 嘘を吐き続けた結果、どうにか梓たちは幸福を得ることが出来た。 その後も幸福な未来を得られるはずだ。 しかし、作中は明言されなかったが、ドッぺルゲンガーは蘇りではなく、複製のように思う。 複製された人を愛し、幸福になる事は悪くないと思う。 それも幸福のひとつの形だ。 だが、複製された側の、本物の方はいずれ忘れ去られてしまうのだろう。複製を本物と信じられ、元の存在は消え去ってしまう。 自分でない自分を愛される事。 唯と憂は皆のためならそれも気にしないだろうが、かなしいとでは無いかと思えた。 -- (名無しさん) 2012-04-17 20 50 04 ↓ああポニテ梓が出てるってことね -- (名無しさん) 2012-04-10 23 44 58 読後、二期後期ED見ると、感慨深い(本当は全く関係ないけど) -- (名無しさん) 2012-04-10 01 22 50 いやあ、おもしろかった! タイトルのダブルミーニング、ハラハラさせる展開、ご都合主義と言わせない説得力、どれも素晴らしかったです! こんな力作に出会えてただただ嬉しいよ! -- (名無しさん) 2012-04-05 05 21 18 ヤマトの沖田艦長も何度も生き返ったし、琴吹財閥なら戸籍くらいなんとかなるのでは? 生き別れの双子とかで誤魔化すとか。一卵性は本当に似てるからな。 しかし面白かった。カネ取れるレベルだ。律ムギも活躍して欲しかった、というのは欲張りだな。 -- (名無しさん) 2012-04-05 00 47 07 キャラの言動ではなく思考で状況を説明させる手法は全体に少し堅い印象を持たせるけど、 都合良く…となりがちなストーリーに上手く説得力を持たせたと思う。 読み終わって初めてスレタイの意味が分かるのが、 長編を読み終えた満足感にプラスされてとても良かった。 -- (名無しさん) 2012-04-04 14 50 34