約 1,335,029 件
https://w.atwiki.jp/gods/pages/106052.html
ディオーメンティオス キリスト教やイスラム教の伝承のナナニンノネムリセイジン(七人の眠り聖人)の異説に登場する人物。
https://w.atwiki.jp/kakugame/pages/807.html
コマンド表記 (1〜2JET) レバー+3ボタン 攻撃 弱 強 投げ パンチ A A(H) 接→+C キック B B(H) ディオ•ネオギガス使用コマンド ディオのみ(NGCD版)〜キャラ選択時. CDを押しながらA•B ネオギガス•ディオ(SFC版)~タイトル画面でセレクト.A.↑.R.↑と入力後.キャラ選択時にセレクトを押しながら ネオギガス R で決定 ディオ L (1〜) 服部半蔵(WH) 風魔小太郎(WH) キム•ドラゴン(WH) ジャンヌ=ダルク(WH) ジンギスカン(WH) マッスルパワー(WH) ブロッケン(WH) ラスプーチン(WH) (2〜) エリック•ザ•バイキング(WH) シュラ•ナイ•カノム•トム(WH) マッドマン(WH) ジョニー•マキシマム(WH) 出雲良子(WH) キャプテンキッド(WH) ネオギガス(WH) ディオ(WH) (2JET〜) 呂布奉先(WH) ジャック•ザ•リッパー(WH) 50音別索引 50音別索引 50音に戻る わ行 シリーズ別索引 ワールドヒーローズシリーズ(ADK)
https://w.atwiki.jp/sakatsukuds2010/pages/88.html
モンテディオ山形 チーム編成 右の編集でデータを入力したあと、下の「新しい行として追加」にチェックを入れることで行が増えます 名前 国籍 コスト ポジ 備考 編集 清水 健太 日本 3 GK - 編集 小林 亮 日本 2 DF - 編集 石井 秀典 日本 3 DF - 編集 西河 翔吾 日本 3 DF - 編集 下村 東美 日本 3 MF - 編集 宮崎 光平 日本 3 MF - 編集 宮沢 克行 日本 3 MF - 編集 増田 誓志 日本 3 MF - 編集 古橋 達弥 日本 3 FW - 編集 田代 有三 日本 4 FW - 編集 北村 知隆 日本 3 FW - 編集 石川 竜也 日本 3 DF - 編集 宮本 卓也 日本 3 DF - 編集 長谷川 悠 日本 3 FW - 編集 キム ビョンスク 日本 2 MF - 編集 佐藤 健太郎 日本 3 MF - 編集 キム クナン 韓国 3 DF - 編集 秋葉 勝 日本 3 MF - 編集 植草 裕樹 日本 2 GK - 編集 ハン ドンウォン 韓国 3 FW - 編集 栗原 祐樹 - 編集 伊東 俊 - 編集 佐藤 永志 - 編集 太田 徹郎 - 編集 廣瀬 智靖 - 編集 鈴木 雄太 GK - 編集 中村 隼 GK - 編集 園田 拓也 - 編集 中野 圭 - 編集 山田 拓巳 - 編集 抽出テーブル:テーブル-モンテディオ山形
https://w.atwiki.jp/jojobr2/pages/500.html
「~~っ!」 「貴様は黙っていろッ!」 返せと言われて返すはずもなく、力ずくで奪い返すこともままならない。 鳩尾を抉るように蹴られた荒木は、ディアボロの足下へ転がり、嫌味憎たらしい言葉を発することはなくなった。 空いた手でDISCを頭部に挿し込むのをディオは怠らない。 「ディオォォォォォッ!」 「おっと、よせよ空条徐倫」 『ストーン・フリー』の拳を目前にして、ディオが天を指す。 すらりと高い鼻の先を叩くかと思われたところで、勢いが衰え、静止する。 ディオが、と言うよりは、取り巻く環境に違和感があったため。 花京院もディアボロも傍観し、ディオが言わんとすることが分かっていたからこそ、ひとまず待ちに入った。 ディオが指す天、照らす太陽も、陰る雲も、舞い踊る息吹も、今までほどには動きを見せず。 意味するところはこうだ。 ディオはまだ、『あえて』時を加速させていない。 「冷静に考えろ。ここから脱出する手段が『時の加速』で箱庭を破壊する以外ない現状、誰かがしなければならん」 「口を滑らせたなディオ。だからって、一巡させる意味があるのか?」 荒木を討つ策を練り上げたディオにしては、このミスは間抜けすぎる。 こんなところで意味のない発言をするとも思えない。 「ある。だからこそ言わせてもらう」 意味はあった。 「全員、このディオ・ブランドーに従え」 あくまでも、ディオにとっての。 「何を言っているんだ!」 「一時の感情で判断するのは賢くないぞ、花京院」 花京院に対し、その物言いは時が過ぎれば変わりゆく、と馬鹿にするようにディオが返す。 実際のところ、無限に近い時を飛び越えようとしているのだが。 ディオが求める、賢い判断。 実に正当なものだった。 ――時が全てを解決してくれる、という判断は。 「つらいかもしれない、思い返したくもないだろうが思い出せ。貴様らは今までどれほどのものを失った。この殺し合いで」 自分個人ならまだいい。 命があるだけ儲けものと考えることもできる。 しかし、ひとたび他人に目を向けてしまえば、文字通り計り知れぬ損失があったことだろう。 当人だけでなく、関わり合った人は皆、在りし日々全てを消し飛ばされたとなれば。 「荒木の言葉を信じれば、宇宙を一巡させてしまえば、全ての運命は思うままということらしい。 この殺し合いで亡くなった者も取り戻せるかもしれない。喪われるはずの無かった命を」 もちろん、どれもディオにとっては口実でしかない。 欲するものはあっても、取り戻したいものなどない。 彼が覇道を歩むことで、新たな人類の歴史が織り成されていくのだから。 しかし新しい歴史、新しい人生に惹かれぬ者がいるだろうか。 どんな失態も帳消しにできる力に。 「貴様らはそのチャンスを失ってもいいのか? 友情を、愛を、宿命との決着を。俺に従えば元通りだ。 なんなら貴様らの望むように、運命の改竄を手伝ってやっても良い」 荒木のスタンドの前には、『メイド・イン・ヘブン』の前には、ジョースター家の遺産など家畜の餌程度の価値しかない。 既存の価値観を無に帰すスタンド。自然律さえ従属させるスタンド。 ディオ・ブランドーが切望した理想郷、そのものを体現する能力がその手にある。 誰よりも上に。頂点に。力の前にひれ伏せ、と。 「俺は運命を掌握する。だが、俺の命に首を縦に振ったのなら、必要以上に干渉しないことを約束するぞ」 人を憎んだり、否定したりもしたが、今はもうしない。『するまでもない』のだ。 彼が真に憎んだのは、人ではなく、親でもなく、親を選べぬ境遇なのだから。 生まれながらの囚人である不遇の身、監獄で彼は泥を見た。 睨みつけた矛先は、思うようにいかない世界で、勝ち得たいのは、手足のように動く世界であり、世界を己が手足とする世界。 ディオ・ブランドーは世界を呪う。 「お前がそのスタンドを荒木並みに扱えれば、という前提があるがな」 「無論だ。だが俺には使いこなせる。俺ならばやれる……使いこなしてみせる!」 ディオがスタンドを使いこなせなければ、今までの聞き心地いい理想論は空論でしかなくなる。 ただヴィジョンを出すだけでは駄目だし、スタンドが暴走すれば身を滅ぼす危険だってある。 世界、ひいては宇宙の彼方にまで影響を及ぼすのなら、尚のことリスクが付きまとう。 だがディオの自信は、普段から尊大であるにもかかわらず、今回は説得力を感じさせた。 真実であると、いやむしろ、彼の発言に真実が付いてくると思わせるほどの凄味があった。 「なら、決まりだな」 「ええ」 「はい」 だから、結論は、三人の総意は、時を加速させなくたってすぐに出る。 「お前の野望は、ここで食い止める」 時を加速させなくたって、既に、決まりきっている。 「運命がなんだ。そんなものに怯えて過ごすと思ったのか? 人の法にも、神の法にも反するギャングが」 運命に怯えていた時期はあっただろう。 だが、なるようにしかならないのに、反発しようとしたためにディアボロは負けた。 運命は悪に与しないと、身をもって知ったからこその返答。 「貴方に従って生き返ったところで、みんなが喜ぶとは思えません。僕だって、どんな顔して会えばいいか分からない」 長い旅路を経て得た、正義。 花京院がDIOに屈した屈辱をなかったことにすれば、それも消え果る。 「都合のいい未来なんてものはないわ。どこかにあるって信じたあたしが、あの様だった。 空条徐倫として、これ以上、あたしがあたしであることを認めてくれた皆に恥じるような真似は出来ない」 迷いを振り切って見えた、絆。 徐倫が石造りの監獄に収監されなければ、それも幻となる。 「つらいことばかりだった。だが、そのつらいことを含めて今の俺がいる。 『かつて』を否定すれば、『これから』さえも否定することになる。彼らの誇りを、永久になかったことにしてしまう。 そんなこと、俺には出来ない」 無限獄を乗り越えることで身につけた、勇気。 ありとあらゆる出会いを否定する世界を作れば、王宮に籠るのと何ら変わりない日々を過ごすことに。 「お前が作り出す時間なんて、これから俺たちが築いていく時間の前にはチンケなものだ」 どれも掛け替えのないものだ。どれも対価なしでは得られなかった。 不都合な歴史を認めないようなら、変えられるようなら、その力に縋りつくしかできなくなる。 悲劇しかないと決めつけるのなら、この先何があっても、悲観しかできなくなる。 「彼らが見せた希望は、無駄にはしませんよ」 「あたしたちは、運命に屈しない。たとえそれが、与えられるままでしかないとしても」 「荒木が生み出した運命を否定したのだから、いくらでも抗ってやる!」 生まれながら、運命に縛られた囚人である身、彼らは星を見た。 彼らは、世界と向き合うことが出来る。 「フン……やはり貴様らは人間だ。ごく短い時の流れでしか生きない人間の考え方をする。 俺は違う、このディオにそれはない。『勝利して支配する』、それだけだ!」 誘惑を撥ね退けた三者を、ディオは人間らしいと評する。 小馬鹿にはしても、考え直せとか、間違っているとか、改心を謀ろうとはしない。 人の思念を塗り潰す『ホワイトスネイク』の有無は関係なく。 それどころか、気の利いたジョークを聞かされた時みたく、笑っていた。 どこか、三人のその回答を求めていたような。そしてそれが模範的であることに対しての、安心感を含ませて。 「荒木は調子づいた。始末するのはわけないと見くびった。だからこその敗北だ。 ならば俺は、『時の加速』が極限に達するまで逃げ回らせてもらう」 「出来ると思うのか?」 「出来ないだろうな、人間ならば。だが俺は、人間を超越する」 ディオにとって、人間であることは枷でしかなかった。 人間は策を弄すれば弄するほど、予期せぬ事態で策が崩れてしまう。 『ホワイトスネイク』を意のままにしたディオとてそうだったのだ、真に人間を超えるには、運命を意のままにするしか。 人間をやめ、それ以上の存在に昇華しようとする。 結果的に、本来の歴史と同じ道。 「刮目しろ。そして後悔するんだな」 だから、『人間らしい』彼らを始末できることが逆に喜びだった。 人間を超越するのなら、相容れなくて当然だから。 抵抗することの無意味さを、思い知らせるために。 王道に、並び立つ存在など、いてはならないのだ。 「『法皇の緑』!」 「『ストーン・フリー』!」 「『キング・クリムゾン』!」 囲まれようと恐れはしない。 迫られようと逃げはしない。 「時は加速する!」 扱えるかどうかも分からないスタンドを、ぶっつけ本番で会得する。 まさしく、人を超え、化け物を超え、帝王を超え――神として君臨するための試練にふさわしい。 ★ 目眩。 暗転。 瞬き。 「ここは……どこ?」 眼球動作が巡視に至るまでの一連、瞬間にも永遠にも感じられた。 薄暗いのもあるが、徐倫が周辺を調べても、花京院やディアボロの姿が見えない。 目が慣れるのに一分かそこらの時間を要したが、その間、夜が明けたのに、なぜまた陽が落ちているのか――とは考えない。 肌を包む空気で分かる。 ここは、室内。 「あんたは……!」 そして隣に座す存在、徐倫には覚えがあった。 「いや……似てる! すごく! でも違うッ!」 裏若く、さりながら幼さを感じさせる顔つきの女性――徐倫は名前を知らないが――スージーQに、似ているのだ。 イヤリングのデザインだとか、鼻の高さだとかは若干の違いが見られる……ような気がする。 それこそ、ウォーリーを探すように目を凝らさなければ分からないような些細な違い。 驚愕のあまり立ち上がってしまうほどに、瓜二つ。 「二人とも、無事だったか」 「ええ、ですがこれは……」 その拍子に、ディアボロと花京院も起立する。 薄暗いのでちゃんとした確認は取れないが、二人に関しては変わった点は見られない。 分かるや否や、降って沸いた疑問に考えを巡らせる。 ディオはどこへ行ったのか? 荒木はどこへ消えたのか? ただのそっくりさんとは思えない女性の正体は? 他の観客が何人いるか確認できないが、いつの間に集められたのか? そもそもこのホールは一体どこなのか? 手繰り寄せた思考は、一遍に断絶された。 「ククッ……ハハハハハハハハッ!」 壇上にて、腹を捩り切らせんばかりに笑い、悦に入る男が一人。 その大声が耳朶を打ち、皆の視線が刺さっても、それ自体には眉の一つも動かさず。 羞恥も外聞も放り出して、気が済むまでそうしていた。 しばらくして落ち着きはらい、続けた言葉は、言意知るものを震撼させる。 「実にッ! 実に素晴らしい感覚だ! 運命を手中に収めるという感覚は!」 そう言いながら、ひたすらに愉楽に浸っていた。 場内がざわめくも、『運命を手中に収める』との不可解な言動に戸惑うだけなのが大半。 あまりの狂言回しについて行けないといった反応も見られる。 その大言が意味することは、ディオを除けばたった三人だけが察していた。 「『宇宙の一巡』! どうやら達成したらしい!」 究極でありながら、原初。 始発点にして、終着点。 『メイド・イン・ヘブン』の完全系が、ここにあると。 「馬鹿な! あの一瞬の間に!?」 「荒木以上の素質が、ディオにあったとでも言うのか!?」 ここに、『メイド・イン・ヘブン』の本体となったディオさえも知りえない事実があった。 『メイド・イン・ヘブン』は、『ザ・ワールド』を礎にして生み出された緑色の赤子と、重力の影響で進化したスタンド。 ならば、将来的に『ザ・ワールド』の本体となるディオ・ブランドーに、『メイド・イン・ヘブン』が扱えない道理はない。 それこそ、プッチ神父以上に扱える資格があってもおかしくないほどに。 「殺し合いの開始前に、荒木が講釈を垂れたホールだなァ! 周りの様子からして!」 とは言え、素質があったからと言って自在に操れるというわけでもなく、完全な一巡は果たせずにいた。 宇宙を完全に一巡させようものなら、少なくとも殺し合いの場ではないはず。 荒木と決着をつけたその後――そこまで至らなければ、天国の時は完成しない。 しかしディオには、この中途半端は都合がよかった。 「ならば貴様らは、『その場を動けない運命』!」 このホールにおいて、誰一人動きはしなかった過去がある。 ディアボロも、花京院も、徐倫も、ディオに指摘される以前から運命を実感していた。 いや、この三人しか、と言うべきか。他の84人は、どうせこのやり取りを芝居か何かとしかとらえていない。 故に、微動だにしない。いかにDIOという悪名が歴史を貫き轟こうと、今すぐの援軍は期待できず。 ディオは歓喜する。恐れ多くも新世界の神に反逆を企てた愚か者どもを始末するのに、これほどおあつらえ向きなシチュエーションがあろうか、と。 「……とは言え、スタンドは出せるらしいな。なあに心配するな、痛みを感じる間もなく一瞬にケリをつけてやるだけだ」 スタンドに防御姿勢を取らせたのは咄嗟のこと、無意識レベルで行われる本能的行動だったろう。 あくまで『メイド・イン・ヘブン』で固定できる運命は、大元の運命のみ。細かいことまで固定できるわけではない。 今のディオにとって、それが何の障害になろうか。 動かぬ者を相手取るなど、巨象が蟻を踏みつぶすより、造作もないこと。 スタンドの力が伴えば、貧民街ブース・ボクシングの技巧さえ、あらゆる格闘術の上を行く。 狙うは、連戦で疲弊したディアボロ。 不動の相手に背後を取るなど、赤子を手玉に取るより容易い。 かつかつと音を立て、ファッションショーのように練り歩くディオにディアボロは何も出来ない。 何の障害も妨害もなく、目的地まで到達したディオ。 逆袈裟に振るわれた手刀はディアボロの脇腹をえぐり、アジの開きのように胴を掻っ捌く―― 「うぐうっ!?」 ――かに思われた。 途端、ディオの腕に衝撃走る。 ディアボロがカウンターや反撃を決めたわけではない。 どころか、ディアボロ自身、ディオが攻撃を止めたのを奇怪に思っている様子。 何かに、攻撃が阻まれた。 拳を当てた障害物を、宙を舞う黒いものを、ディオは観察する。 ――蠅だった。 蠅はやがて布切れに変わって、地に落ちる。 布は、リゾットのフードに使われた素材と同一のもの。 布が蠅に変わる――ディオはそんな芸当が出来る能力者に覚えがあった。 しかし、普通にはあり得ないことだ。 その覚えが現実のものとなっているはずは。予想が事実であるはずが。 ディオが、蠅を放った張本人を探そうと周辺を見渡す。 観客が座っている中、立っている者は非常に目立つ。 こちらの様子を窺っている、すらりとした体躯の青年は、とてもよく目立つ。 同じ方角を見たディアボロは吃驚した。その様でなく、少年の外観そのものに。 「お前は!」 「彼は……! 知っているんですか、ディアボロさん!?」 「組織の情報網を通じて、過去の経歴は概ね知っている。だがまさか、そんな……」 正確には面と向かって出会ったことはない。 それでもディアボロは、一方的によく知っていた。 パッショーネに入団して一週間ほどで、組織のボスの座を、帝王の座を奪い、掴み取った張本人。 その手腕には目を見張るものがある。 下っ端からのし上がる圧倒的才覚、世が世なら、天下泰平を築き上げていたであろう少年。 「なぜ、汐華初流乃がここに……!?」 ――その前身とも言うべき存在が、ここにいる。 服装はジョルノ・ジョバァーナのものと同一。 しかしながら、頭部を覆うのは黒色毛、もちろんあの信号機のように丸を三つ連ねた髪形ではない。 さらに、ギャングとして修羅場をくぐったにしては、どこか幼さが残る顔立ち。 「汐華初流乃?」 「ジョルノ・ジョバァーナの本名だ、便宜上そう呼ぶ。母親が日本人なんだ、奴は。だから、元々は黒髪だった」 荒木は『この場にいる6人(7人)で全員』と言ったのだから、ジョルノは生存していない計算になる。 確認を怠ったか、ジョルノが荒木の目を欺いて生き残っていた、というのならまだ分かる。 しかしならば何故、髪の色を変える必要があるのか。 ホールには大量の人間――そうでない者もいるかもしれないが――がごった返している。 そして、先の『凄く似ているが違う』という徐倫の発言。 この二つの事象を鑑みるに導き出される汐華初流乃の正体――『生まれ変わりのようなもの』では、と花京院が呟くも。 「死んだと聞かされていたがな」 「実際、死んだようなもんです」 その可能性は、このやり取りで完全に払拭された。 ディオには確信があった。この汐華初流乃とやらは、自分の知るジョルノ・ジョバァーナだと。 何がそう思わせたのかは分からない。 ただ、その凛とした態度は、例え並行世界を辿ろうと彼以外体得していないだろう、とは。 「ギリギリでした、本当に。フーゴが頭部を打ち貫いてくれなかったら、こうはいかなかった」 頸椎損傷からの、頭部への発砲。 オーバーキルも良いところ。必要以上に執拗に壊しにかかった。 そう、殺すというよりは、壊すという表現が似合うほどに。 フーゴが心の内に秘める破壊衝動がそうさせたものの、逆にそれが好都合だった。 「『ゴールド・エクスペリエンス』に、生物をそっくりそのまま複製させることはまず無理です。 少なくとも、スタンド能力を持たせることまでは絶対にできない」 喪われた命は、決して取り戻せない。 スタンドにおける不文律であり、森羅万象における絶対則。 因果を捻じ曲げる『メイド・イン・ヘブン』でさえ、喪失の事象を『なかったこと』には出来ても、魂を『取り戻す』ことは不可能。 生命は不可逆であり、そこに一切の例外はない。 「ですが、例外があるんです。生物の細胞を埋め込んだ物質に生命を与えれば、複雑な生物だって生み出すことが出来る」 ジョルノにとって未来の話――ヴェネツィアでの、トリッシュ引き渡しの任務でのこと。 ジョルノは自身のブローチと細胞から「亀」を生み出すことに成功している。 しかも、同じ品種の亀というだけならまだしも、スタンド能力を維持したままで。 肉体の部品を生み出すことのできるジョルノは、薄れゆく意識の中、想像を巡らせた。 人間の脳細胞というバックアップがあれば、全く同じものを作ることが出来るのでは、と。 「脳漿を付けた布切れ二つを、片方は脳にして首を失ったジョルノ・ジョバァーナの生命活動を無理矢理維持させました。 もう一つの布切れから、新しいジョルノ・ジョバァーナの頭部を生誕させるために」 目論見は成功。 その間二人の荒木は外出し、杉本鈴美は館の中で悲しみに暮れていた。 主催者陣営は誰一人として、ジョルノが幽霊として天に還る姿を目撃していない。 首輪の生体反応だけでしかジョルノの生死を知ることが出来なかったのだ。 フーゴが生首ごとジョルノから取り外した首輪でしか。死亡報告は誤認。 「新しいジョルノ・ジョバァーナ……それが僕です。もっとも、1、2年ほど成長が足りなくて、髪も黒いままですが」 言葉にすれば単純だが、生死の瀬戸際、背水の陣だった。 何もかも元通りにするよりは、確実な生還を果たすべき。 結果として、顔立ちは汐華初流乃の頃と酷似する。 「合流のために蠅を飛ばすつもりだったんですがね……いつの間にか、こんなことに」 喜ぶべきことだが、いかんせん、時間がかかりすぎた。 ジョルノがいくら聡明であっても、全ての状況を把握できたわけでもない。 気がかりな事は、いくらでも湧いてくる。 「そして、僕の過去を知っているということは……」 「……そうだ。俺がパッショーネのボスだった男だ」 例えば、人間関係。 ディアボロから人伝で協力を要請したものの、ジョルノからすれば、その悪行を止めるため蹴落とそうとしていた御大将。 気まずい空気が場を支配する。 「無駄な足掻き、ご苦労な事だな。『成長が足りない』ということは……だ。前ほどスタンドが使えないんだろう? ヴィジョンを出さないのがいい証拠だ」 乱入者現れようと、ディオは余裕を崩さない。 若いということは、それすなわち熟練していないということ。 『ゴールド・エクスペリエンス』が出せるようになったのは、ごく最近のことなのだとディオにも見抜けた。 スタンドが現れない更なる根拠として、外付けされたであろう生命維持装置としての脳が見当たらないというのもある。 守りの無い外側の脳をメインに運用するのは、あまりに危険。 最低限の能力行使が可能になった時点で、ジョルノは成長を止めさせ、むき出しの脳を放棄したのだ。 「ああ、お前は哀れな男だよジョルノ。奇跡の転生を果たしても、ここで命潰える運命だ。俺の手によって!」 運命を手にしたディオだからこそ吐ける台詞。 ディオはジョルノにゆったりと近づき、ハイタッチするみたく、軽々しく拳を振るう。 「何ィッ!」 またしても、当たることはなかった。 逞しく、輝かしい『ゴールド・エクスペリエンス』の腕。 手の甲で、『メイド・イン・ヘブン』の前腕を弾いたのだ。 腕だけでなく、足も胴も頭も、全てが元通りに召喚された。 秘中の秘、奥の手として、スタンドの存在を控えていたわけではない。 ジョルノ自身、全容を露にした『ゴールド・エクスペリエンス』をまじまじと見つめていることから、それは誰にでも分かった。 そしてジョルノに訪れた変化は、スタンド発現だけではない。 「髪が……」 「金色に!」 スタンド発現を皮切りに頭髪が根元から、太陽のように眩しい、黄金の色味を帯びて行く。 やがて染めあがり、その風貌はどこか、少年期のディオを想像させるものだった。 「空条承太郎の考察では、ジョルノが金髪になったのは『スタンド能力の目覚め』に関係があるのではとしていた。 目覚めのきっかけとなる例として挙げていた『強力なスタンド使い』の近在――それは現に起きている!」 ジョルノ・ジョバァーナがスタンドのヴィジョンを発現させたのは、入団するほんの少し前のようだった。 ディアボロも不可解だったその理由。目にした変異と空条承太郎の推察は、彼を納得させるに値した。 窮地に置かれた際、火事場の底力を利かせるときのように、能力が強化された例はいくらでもある。 望む限り、スタンドはそれに応えてくれるのだ。 「『メイド・イン・ヘブン』――確かに強力なスタンドだ。だが俺は知っているぞ、ジョルノ。 血縁者の影響で、スタンド能力が目覚めることがあると」 ジョルノは、ディオにスタンドを生み出す方法を教えなかった。 荒木が『矢』を支給品にするとは思えないし、他の手段でも新規に目覚めることはないだろうと判断してのこと。 しかしディオは知っている。『ウェザー・リポートの記憶DISC』から読み取れた、スタンド発現の条件を。 社会への憎悪と復讐心に駆られた男が、凶悪な暴力を手にした理由を。 『感覚』としての『理解』は、記憶を通して把握済みだ。 「『メイド・イン・ヘブン』が俺に馴染むたび、お前に力が与えられるのならば! どうやら本当にお前は俺の息子らしい!」 本来ならば、ディオとジョルノの間に直接的な血縁はない。 だが、人は誰しも眼前する現象を一番大事にし、理屈は置いてけぼりにされる。スタンドが超常の塊であるのならなおさら。 ディオの言いたいことは、ジョルノ以外にも理解出来た。 軍門に下れ、と。親子なら望むことは同じなはずだ、と。 生憎と、ジョルノ・ジョバァーナはディオ・ブランドーと違い人間を止めたわけではない。 「僕が父親のことは分からないと言った時、ジョージさんは『これから考えればいい』と言ってくれました。 その答えを示していないから、僕は再起できた。しなければと思った」 これから考えればと言うからには、追求を放棄することは許されないというのと同義。 ジョージの言葉は優しいものだったが、その裏に厳しさも兼ねていた。 だからジョルノは、フーゴのように考えるのを止めたりはしない。 絶望するがままでなく、最期まで足掻いて見せた。 絶望を吹き飛ばすために希望が必要、とは受け身の姿勢。 「答えは既に出てたんです。自信がなかっただけで。今ならある」 誰かに与えられるまでもなく、彼は既に進みべき道が見えている。 希望は、夢は、欲しければ命懸けでその手で掴まなければ。 今までも、これからも。 「僕は! DIOの息子である以前に!」 邪悪を灼く日輪こそ、彼の名。 「ギャングスターを目指す、ジョルノ・ジョバァーナです!」 DIOによって産み落とされた故の不幸も。 心を真っ直ぐに叩き直してくれた恩師も。 ギャング組織の大ボスとなるという目標も、全てひっくるめて、彼なのだ。 過去・現在・未来、全てが存在証明する彼なのだ。 「過去や血縁が付いて回っても、ギャングに憧れた僕として、この手で作り出す未来を信じます!」 ギャングスターを目指した自分は本物だし、きっかけとなる出会いを否定することもしなかった。 自分を陥れたフーゴに対しても、責め苦を言い連ねるようなことはしなかった。 ジョルノ・ジョバァーナは、人も、世界も呪わない。 彼もまた、必要としたのは『かつて』を否定しない『これから』。 「それがどうした! お前も一巡した身、このディオ以外、運命に足掻こうが無駄なんだよッ!」 きっと誰もが不幸で、それでも、這い上がろうとした。『幸せ』になるためのやり方が違うだけ。 ディオ・ブランドーは生まれを、境遇を、自らを不幸に晒した世界を呪う。 水平になぎ払われる、『メイド・イン・ヘブン』の手刀。 描く軌道は、彼が骨身に刻まれた人間世界の悲惨の線。 「無駄ァッ!」 「うぶぇっ!」 ディオの左頬に『ゴールド・エクスペリエンス』の右フックが刺さる。 ジョルノは動けない、故に腕を伸ばせる範囲は限られ、ディオはその射程外を攻めようとしたのに。 大きく一歩を踏み出し、掻い潜るようにしてディオに攻撃した。 「何故だ! 何故奴はああも自由に動ける!」 踏み込むだけならまだしも、追撃を加えんとばかりに更なる接近を許している。 何人も、『メイド・イン・ヘブン』の前には運命に縛られるはずなのに。 『メイド・イン・ヘブン』以外の手段では。 「まさか!」 一旦、射程外へ引くディオ。 思い当たる可能性に、ディオは不利な運命を実感せずには居られなかった。 「荒木は『固定された運命を覆せるのは、『メイド・イン・ヘブン』の本体のみ』だと言った。 俺がジョルノのスタンド能力を目覚めさせたのなら、ジョルノは運命を変えられた存在――特異点になったというのか!」 皮肉にも、ジョルノにスタンドを――『味方する運命』を与えたのは、ディオに他ならないという結論が導き出される。 因果の改変は、ディオの意志の及ばぬところにさえも作用した。 「それでも、スタンドの差は埋められまいッ!」 だが、それさえ分かればディオの切り替えは早い。 『メイド・イン・ヘブン』のパワーもスピードも、時を加速させなくても、生まれたての『ゴールド・エクスペリエンス』の比ではない。 言うが早いかディオは虎のように駆けたかと思いきや、時に兎のように飛び跳ね、追いかけてみろとばかりに錯乱させる。 対しジョルノは待機。 ディオもむやみやたらと殴りかかろうとはしなかった。 ジョルノの足下を這う、無数のツタ。踏み込めばきっと千切れ、身悶えるほどの苦痛が襲うだろう。 ならばと、跳躍。 「エメラルド・スプラッシュ!」 獲物に止めを刺そうとする瞬間なら。標的に確実な一撃を与えようとする瞬間なら。 絶大な隙が生まれることだろう。 「邪魔だあッ!」 ディオも当然ながら、荒木との戦闘を経て、その隙を攻めてくるだろうと予測していた。 急速に方向転換し、ジョルノから離脱。 弾幕の隙間を縫って、花京院に肉薄。 「無駄無駄ァ! 所詮運命に従う身だと言ったろうがァッ!」 足を止めるどころか、かすりもしないエメラルド・スプラッシュ。 対応する間もなく、花京院は『メイド・イン・ヘブン』の鉄拳をまともに食らう。 拳は貫通し、人体に出来るはずの無い孔穴が、鮮血を噴き出して出来あがる。 ホールの壁面まで、大砲の砲弾の如く吹き飛んでいった。 「がふッ」 えぐられた腸と一緒に、壁面に叩きつけられる。 「うっ!」 「ぐぅっ」 ――徐倫とディアボロも。 彼らの足下に結ばれた『法皇の緑』の触鞭。 事前に縛りつけていたのだ。ディオが突き飛ばすことを想定して。 「そう……それが、いい……」 ディオの干渉なしで、『メイド・イン・ヘブン』が固定した運命の呪縛から逃れることは出来ない。 ならば、変えてもらうしかないだろう。ディオ・ブランドー本人の手で。 運命に立ち向かう姿を体現する彼らが、これほどまでに厄介だとは。これほどまでに策謀を巡らせるとは。 このまま運命を変えられた身として来るなら、迎え撃つとばかりに残り二人に迫撃するディオ。 しかし、ディアボロの頭部からずるりと銀環が這い出たことで、私見を修正する。 「使え、ジョルノ・ジョバァーナ! お前なら、王の名を冠するスタンドを……『キング・クリムゾン』を使いこなせるはずだ!」 かつてディオが抜き取った『キング・クリムゾン』のスタンドDISC。 放り投げられ、回転するまま、虚空を裂く。 向かう先、万全の態勢でいるジョルノなら、存分に力を発揮できるはず。 「させるかああああああッ!」 フリスビーのように直進するDISCを、指を銜えて見守るディオではない。 次々と自分に仇為す運命を、黙って見過ごすものか。 ディアボロの能力は、この場で唯一『メイド・イン・ヘブン』に対抗できるもの。 幸いにも、ジョルノを遮る立ち位置、妨害には何ら苦労しない。 「勝ったッ!」 ディオがDISCを手にしたその時、肘元を深縁の光が駆け抜け、弾かれたように曲がる。 「ぐぁっ!」 「さ…………最後の………エメラルド・スプラッシュ…」 何十、何百と繰り返してきた所作。 その言葉と構えを最後に、事切れる花京院。 告げる口から血反吐を垂らしても、正義の意は揺るがない。 緑の光弾は、皆に進むべき道を照らしたのだ。 「『ストーン・フリー』!」 そして、これから進むべき、正しい道をも。 撃たれた勢いのまま地に落ちたDISCを徐倫が釣り上げ、カウボーイが投げ縄をする要領で飛ばす。 再び宙を滑空するDISC。今度こそ、ジョルノの元へ。 ディアボロをギャングのボス足らしめたスタンドが、ギャング・スターになろうとするジョルノの手に渡る。 「届いた……!」 「ギャングとしての立場を、因縁を脱却する――俺は示したぞ、ジョルノ・ジョバァーナ! お前を縛る因縁の鎖は……お前の手で断ち切れ!」 すっと、閊えや詰まりを微塵も見せず、DISCはジョルノの頭部に差し込む。 それを、ディアボロに対する返答代わりにするように。 継承の儀は終わり、ジョルノは、存在意義たる願いを乗せ王の名を叫ぶ。 「『キング……クリムゾン』!」 全身に網上の凹凸を張り巡らせ、両肩にプロテクターを備える深紅の王が、再び召喚される。 その猛る剛腕、運命を断ち切るに相応しい。 その昂る豪腕、次の未来を切り開くに相当する。 ディオさえ全身の毛が逆立つ、終末の予感。 「馬鹿な、やられるというのか! 荒木さえ出し抜いた、この俺が! クソオオオオオオオオオ! 『メイド・イン・ヘブン』! 時を加速させろおおおおおおお!」 「『キング・クリムゾン・ザ・ワールド』!」 消えゆく天地、切り離される刻限。 ゆったりと、歩くような速さでジョルノはディオに付いていこうとする。 『飛躍する時』にて、あらゆる躍動はスローモーション。 ディオがどんな不規則な軌道を描いても先回り出来る。 「受け継いだものは、さらに『先』に進めなければならない。僕たちが歩む未来を、照らすためにも」 そして、そのスピードに拍車がかかることはない。 『メイド・イン・ヘブン』は、ディオの願いに応えなかったようだ。 一巡を迎えたいという気持ちからではなく、その場凌ぎのためでは、スタンドは味方しない。 天国に至ろうとする気持ちが、世界を再編しようとする気持ちが『メイド・イン・ヘブン』を使役する資格。 敵も、味方も、全ての運命はディオ・ブランドーに敵対した。 崩壊した世界は、再び復活し始める。 「……時は再始動する」 生きとし生けるものが、忘却の時間から解放される。 全員の目に映るのは、『キング・クリムゾン』の剛腕が、ディオの頭部をゴム毬のように押しつぶしていく姿。 肉片が、脳漿が、血液が散らばってもそのまま。そのまま。 「止めろおおおお! こんなことをすれば、俺が作り出した世界は……歴史は! 変わってしまうんだぞッ!」 DIOは、気紛れで子を残し、その子供がディオを討つ。 ディオは、ディアボロの首輪を外すため、『キング・クリムゾン』をDISC化した。 全ては出会いが生んだ力。ディオの出会いが、自身に敵対する運命となる。 人の出会いも「重力」。ディオは、そしてDIOは因縁を断ち切れなかった。 「このディオが! この……ディオがァァァァァ~~~~~~~~!」 バキバキと骨が軋む音を響かせながら、ディオ・ブランドーの筋組織が、頭蓋が、破片と化した。 ディオ・ブランドーは吸血鬼でもなければ、生物の進化を極めた存在でもなく。 誰より人間を忌み、化け物に焦がれた男だった。 百余年にわたる因縁の発端。 あまりに早く、そして、ようやくの終焉が訪れる。 「終わった……の?」 「いや、これは……」 埃が舞った。 粉塵は不気味なほどに規則正しく、渦巻いていく。 回る、周る、廻る。 いや、あらゆる事象が、回転という運動の元で巻き戻る。 まるで、ムービーショーやカートゥーンが逆再生されているかのよう。 「ディアボロさん……」 「ジョルノ……」 近くにも、遠くにもあるような星屑の渦を、大小問わず全生物が目撃する。 その流転が、巻き戻されていく様を。 「こうやって復活できたのが、奇跡みたいな、もんだったん、です……」 宇宙の再構成。 生まれるものと、滅びるものがそこにはある。 世界が新生する代わりに、ジョルノ・ジョバァーナが滅びて行く。 「きっと、能力の、限界なんだ……」 土クズみたいにボロボロと、細胞単位でジョルノの肉体が崩れ落ちる。 繋いだ首はおろか、足から指先に至るまで、隅々が。 自然、支える四肢はその形を失い、達磨のようになって尚、消え続ける 旧世界に置いてけぼりにされるかのように。 まだだ、お前はまだ夢を叶えちゃあいないだろう。 言ったはずだ。自分はギャングスターを目指すジョルノ・ジョバァーナだと。 ならば手にしろ。生きなければ、夢は夢のままだ。 全ては終わったが、始まったばかりだ。あるべき未来を手にするんだ。 伝えたいのに。 伝えなければならないのに。 ディアボロは眩しい渦に吸い込まれていき、ジョルノは取り残される。 渦は、生ある者を一切の例外なく呑みこんでいく――そういうことなのだろう。 ジョルノが最後の力を振り絞り、口を開く。 「ありがとう、ございました。これで僕は、自分が何者であるか……証明できた」 あくまでも、自分のために。 あくまでも、他人を立てて。 もっと生きることに執着したっていいだろうに。 ディアボロがジョルノに手向けの言葉など贈る間もなく、世界は再編される。 ――人類は、新しい世界を迎え入れた。 【花京院典明 死亡】 【ジョルノ・ジョバァーナ(汐華初流乃) 死亡】 【ディオ・ブランドー 完全敗北 ―― 死亡】 ★ 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/komineman/pages/714.html
商品ページ A … 中指先端から手首までの長さ B … 手の甲の周囲の長さ (おおよそでかまいません) サイズ/A/B /cm/cm 着用感など すべてのコメントを見る 以下広告
https://w.atwiki.jp/jojobr2/pages/484.html
「ジョナサン、シーザー、由花子……どいつもこいつもくたばった!」 ディオにとって、放送は吉報だった。 知る限り確実に敵視されている邪魔者があらかた死んだのは僥倖としか言いようがない。 個人的な恨みを晴らせなかったことを捨ておけるほどに、今のディオは平静である。 あまりに広大で、夢物語と捉えられかねない野望を見据え、掴むためにも。 「限りなく最高の条件だ。だが……だがしかしッ! 一手足りない!」 見据えたうえで、理解しているからこそ、乗り越え難い。 シーザーの件からしても、過去の汚名とはいえ何人かには間違いなく敵視されている。 悪評を伝聞した者がいることを考えると、終盤になればなるほどディオは不利だろう。悪意でないからたちが悪い。 確実に『乗っていない』という『示し』を付けなければ。 「予想は、ほぼ合っているはず。だが、俺の方から証明しなければ信用は……!?」 ディオが焦っている理由はそれだ。 殺し合いの最中でなら悪行を重ねることはなかったが、それが真であると誰が言える。 言わせるには、『ホワイトスネイク』による洗脳も選択肢に入るだろう。 だが、駒と言っても、ある程度は自分で動いてくれなければならない。流石に全員DISC頼みは骨が折れる。 それこそDIOに直面し、対立した者さえ納得させてしまえるような強い説得力を持った何かを見せる必要がある。 視界に入った瞬間殴りかかられる可能性も考えれば、言葉を交わすことさえなく、分からせなければならない。 この溝を埋めなければ、ディオにとっての勝利は永劫来ない。 やりきれなくなり、ディオはふと、窓越しに夜の闇に溶け込んだ外を見る。 今は無人の城、DIOの館を眺望する。未来の帝王に届くことなく、潰えるのかと苦悶しながら。 「フッ、フフ……」 途端、噴き出した。 「アハハハッハハハッハハッハハハッハハハ」 仰け反って、腹を抱えて、顎が外れるほどに口を開けて。喧しく、けたたましく、品なく。 息を切らしたところで、肺活量の限界まで吸い込み、叫んだ。 「舐めくさりやがってッ!」 ★ 「露伴たちが……くそッ!」 ディアボロにとって、放送は凶報だった。 地下鉄駅内で邂逅し、初めはその瞳に恐れをなしたものの、年端もいかない守るべき存在だった早人。 情報交換の間も、自分の要望を押し通そうとするあたり大人げないが、荒木に怒りを覚える正義の心は見て取れた露伴。 会話はなかったものの、露伴の皮肉交じりの紹介から実直な性格だろうと思われた億泰。 そして、先刻まで行動を共にしていたシーザーまでもが。 細かな砂を掴んだかのように、手にしたと思い込んだものは何もかも零れ落ちていく。 「時を飛ばせなくなった結果が、このザマか……!」 自ら望み、手放し始めた能力も。 あれば救えたかもしれない。零しても、掬える命があったかもしれない。 だが今更だ。取り戻せば外道に堕ちる。 ならば、背負っていくしかない。零さぬよう、努力していかなければならない。 「貴様ッ……!」 だからこそ、悠然と向かってくるディオを前にして、何もしないわけもなく。 なぜ、単独で現れたかなど気に留めない。相方が出てこれない状況なのは確かだ。 回収したボウガンをディオに向け、構える。 「撃つな」 「いまさら何を!」 スタンドも出さず、ゆったりと近づいてくるだけのディオに違和感を持つ余裕がディアボロにはなかった。 策の布石だとか、油断を誘う罠だとか、悪いようにならいくらでも考えられる。 ディアボロが前後左右、上空さえも警戒しようが、ディオが何かを仕掛けてくる様子はない。 「静かにしろ。俺を見て特に思うことがないのなら、その腐った脳みそはとっとと掻きだした方がいい」 そうこうしているうちに接近を許し、月明かりに照らされて、徐々に明らかになっていくディオの五体。 左手首は断ち切られたものの、とにかく五体だ。 そう、今のディアボロには見えている。 若干引きずりがちな左足も、かすり傷程度の銃創も、包帯で気休めとしか思えない処置を施された左腕も、僅かに乱れた金髪も。 そこまで視認出来ているのだから、『キング・クリムゾン』で鉄槌を下すには十二分な距離。 しかし、ディアボロは構えを解いた。 解かざるを得なかった。 「首輪が……!?」 どんな参加者だろうと等しく課せられた枷が、ディオの首からはまるきり姿を消していたのだから。 証明するかのように、右手の指で滑らかに喉元をいじるディオ。 催眠術、幻覚といったチャチなものではなく、存在がまるでなくなっている。 もはやディオは、誰もが望んだ殺し合いからのドロップアウトを一足早く果たした。 紛れもなく、殺し合いの規則から外れた規格外者の一人。 『声を出すなよ。盗聴されているかもしれないから話すのは俺からだけだ。理不尽かも知れんが』 スタンドによる会話を試みるディオ。 スタンドが話すことさえも盗聴されることはあるまい、超常現象に機械で対抗するのは流石に不可能だろう。 『俺はさっきの男が提案した殺しの同盟に、参加『させられていた』。だがお前が追い詰めたおかげで隙をつき、造反することができた。 その点に関しては感謝しなければならないな』 ディオにとって、これだけは外部勢力を持ってしかどうにもならないことだった。 感謝の意は、紛れもなく事実。 しかしながら、ディアボロの疑いの眼差しは晴れない。 『言い訳ととらえてもらって結構だが、俺からお前に直接攻撃するようなことはしなかったろう? DISCの投擲はまず当たりはしないし、銃も吉良に言われたからというのもあるが全弾外した』 元々裏切る気でいたディオは、出来る限り敵を作らない立ち回りをしていた。戦闘中でさえも。 そこからディオは、息つく間もなく、たたみかける。 『しかも、先の戦闘で首輪の解除条件が分かったぞ』 そんなおいしい話があるだろうか、と返そうにも、現にディオの首には銀環がないし、言い訳も理には適っている。 『お前の首輪を外すことも出来る……と言うより、勝手に外させてもらう。殺し合いに付き合わされるのは御免なんでな。 お前とてそうだろう?』 ディオがこの先、殺し合いの果て、最後に立つ一人となったとしても。 首輪を外している以上、荒木の機嫌を損ねる可能性がある。参加者とみなされていないことも考えられる。 そもそもディオに攻撃を仕掛ける理由があるなら、長話をしていないでとっととけりをつければいい。 荒木に辿り着くための障害、首輪を根拠のない猜疑心で外さないという選択を採るはずもなく。 ディアボロが頷き、了承と見たディオは、『ホワイトスネイク』をディアボロの方へと向かわせる。 右手で頭部を鷲掴みにし、数秒たった後、呟いた。 「じゃあ……ここで死ね」 ★ 血の気の引いた、ピクリとも動かないディアボロの額を撫でつつ、ディオは語る。 「盲点だったぞ……装着者の死と首輪の機能停止が連動しているのではなく、装着者の力で首輪が稼働していたとは」 ディオの結論は、リゾットが命を賭して辿り着いたものと同一だった。 『死』を天秤に掛けたから見えた突破口、なぜディオがこうも簡単に。 いや、ディオとて己が身を賭けてこそ知り得たこと。 「お前のスタンドDISCを抜きかけた時、首輪の明かりが弱まった。何か関連性があるんじゃあないかと思ったのさ」 DISCが抜かれかけた時、ディオはちょうど、ディアボロの正面にいた。 射程距離の関係上ディアボロに対しほとんど抵抗できず、やられっぱなし、下手をすれば死傷は免れなかった。 うずくまってなお起き上がろうとして、かろうじて見えただけの、まさしく光明。 首輪の構造、その謎の核心に至る。 「スタンドは生命エネルギーのヴィジョンと聞いた。それが抜かれかけたら明かりが弱まった……だが、弱まった『だけ』だ。 命を削って初めて首輪が外せるならば、参加者は『死なない限り』決して首輪を外すことが出来ないんじゃあないか?」 ある種、荒木の悪趣味がまた一つ露見する形となった。 元々外す気がないのではないか、ともとれる仮説。 いや、現実だ。 ディアボロは死んだ。 死んで初めて、首輪を外すことに成功した。 「趣味が悪いぞ」 「荒木に悟られたらおしまいだからな。それにさっきも言ったが、命を賭けなければならないのは事実だ」 むくりと上半身を起き上がらせたディアボロが、呆れ顔でディオに物申す。 しれっと返してのけたディオは、何も殺人犯になったわけではない。だがディアボロは確かに死んでいた。 ディオにとって、死は不可逆ではなかっただけのこと。 ディアボロは『ホワイトススネイク』で記憶DISCとスタンドDISCの両方を抜き取られ、一時的に仮死状態になっただけのこと。 生命エネルギーを増幅させた場合、柱の男のように変圧器代わりの物が無ければ首輪が自壊してしまう。 また、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の電力吸収に対し、生命力の過剰吸収によって首輪を無理矢理維持させる機能も存在した。 一件、首輪の機能には弱点となる抜け道がないように思える。 では、生命エネルギーを『減らす』方面に関してはどうだろうか。 ダービーの『オシリス神』、プッチ神父の『ホワイトスネイク』のように、参加者の中には『魂やスタンドを取り除く』能力者がいた。 首輪の稼働と装着者の生存が連動するなら、仮死状態に導くこれらの能力に対し、対策がとれない。 能力を制限することは、実質スタンド能力の喪失に等しく、元々の能力発動の条件の厳しさもあり、手を加えられることもなかったのだ。 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の能力行使に対するカウンターも、エネルギーの減少に弱いからこその機能。 仮に解除の可能性に思い至り、そういった目的でスタンド能力を用いることがあったとしても、それを防ぐために首輪が存在する。 制限を課さずとも、盗聴なりGPSなりで、解除を未然に防ぐことや罰則を与えることは充分に可能だったわけだ。 「ところで、お前はどうやって首輪を外したんだ?」 「……既に壊れていた」 だが、ここでイレギュラーが重なった。 「殺し合いが始まってからちょうど一日だ。そこまでしか『持たない』作りだったんだろう。 なにせ『元・ただの人間』だ。スタンドの力で動く仕組みは入れるだけ無駄、放っておけば外す前に死んでいる、そう見なされたんじゃあないか?」 ただの人間である参加者には、短期間しか稼働しない首輪が付けられていたことである。 ディオが首輪の機構について理解した時、自身の首輪はエネルギー切れに等しかった。 闇夜のガラスは鏡となり、電球の明滅を示さないディオの首輪を映し出したのだから、そう理解するのも当然。 とは言え、引きちぎるのはいささか愚直だったろう。 首輪なんてどうでもいい、たかが人間だから、と侮辱されたと認識しての激昂。だからこそ『元・ただの人間』と、『元』の部分を強調してみせた。 それでも、そのプライドの高さがかえって功を奏したのも事実。 傍目には分からない、外部の衝撃を認識して自爆するための電力さえ、尽きていたのだから。 首輪を無効化しうる『ホワイトスネイク』が、『ただの人間』ディオ・ブランドーに受け継がれたというイレギュラー。 受け継がれた悪意は、荒木を打倒せんとする参加者に味方する力となった。 「そんなことはどうでもいい」 効能だけを取り上げるなら、の話ではあるが。 荒木のスタンド能力は計り知れない。 ただ倒すだけならまだいいが、『スタンドをDISC化して奪う』となると難易度が途方もなく高くなる。 ディオは理解している。DISC生成のため、時間稼ぎのための『壁』が必要だと。 殺し合いを止めて荒木を倒して大団円、だけではディオの望むハッピーエンドには届かない。 『ホワイトスネイク』単体でも、ジョースター家の遺産を一人占めするのは容易だろう。だが、彼の飽くなき野望はそれだけでは満たせない。 生まれの悲運にあえいだ彼が、誰よりも上にのし上がるという夢を持つのは当然だ。 だが夢は、方向性がブレた途端に欲望になる。 「どうでもいい……だと? お前の話だと、確証がないまま突き進んだように思えるが」 「その通りだな。失敗してしまったところで、他の策を試せばいい」 「お前ッ……!」 他人を巻き込むことを前提にしてしまえば、それは夢に届かぬ欲望だ。 願うなら、周りを見失ってはいけない。人生における落とし穴を気にするあまり、下を見続けたディアボロがまさしくそうなのだから。 犠牲や諦めを断ち切らんとするディアボロには、ディオがひどく不安定に思えた。 精神が落ち着かない、という意味ではなく――人間と化け物の境界線を跨いでいる、そんな例えがふさわしいと。 「ごちゃごちゃやってる場合じゃあないぞ、早急に事を進めたい。『荒木に従う必要なんかない』と分かりさえすれば」 「……ああ。勝ちの目は、残されている」 しかし、持たざる者が神に祈る他ないように、ディアボロもまた、その不安定な可能性に委ねるしかなかった。 むしろ、実験台になるのが他の誰かでなくて良かったと思うことができる。 殺人狂でもない限り、首輪を外せるという誘いは参加者にとって魅力ばかり。禁止エリアに怯えることもなくなる。 勝手に人を実験台扱いしたことを考慮に入れても、ディオの功績は余りある。 「ディオ・ブランドー。俺はお前のことを良く知らない。だが、お前が荒木に仇為すつもりなら協力したい」 「もとより、そのつもりだ」 「ジョルノ・ジョバァーナのこともある。仮に伝言が伝わってなければお前に橋渡しをしてもらうほか……」 「ジョルノを知っているのか!?」 「……時間がかかりそうだ。場所を変えよう」 ともあれ、情報交換は必要だ。 ディアボロは希望のために。ディオは欲望のために。 ★ 「やれやれ……誰もいないっていうのは流石にへこむわね」 無人の館を出る少女、空条徐倫が溜息をもらす。 DIOの名が付くだけあって、立ち寄らないわけにいかず。 怨敵との再会か、頼りになる仲間との遭遇か――期待に胸膨らませたのが間違いだった。 だだっ広い施設はもぬけの殻。突貫工事としか思えない地下鉄駅があったものの、いまさらそれが何の役に立つのか。 収穫と言えるものは、武器となるハンマーぐらい。 大型で、取りまわしが利かず、デイパックにしまうのも難儀する。はっきり言って足を引っ張りかねない。 時間を浪費した、という事実を受け入れたくないがために、わざわざ担ぐこととなったのだが。 「禁止エリアになるのもまだ先だから、急ぐ必要もないけど」 必要はないが、だからと言って籠城は上策ではない。 放送でナチス研究所とDIOの館が封じ込められた、つまり、暗に「引き籠るな」と忠告しているのだ。 徐倫が制裁を疑うのも無理はなく、そうまでする必要もなさそうである。 殺し合いのペースがここにきて加速してきた。禁止エリアがさらに拍車をかける。 それでいい、ケリが早く着くというのなら好都合。 荒木が望むまでもなく、徐倫は突き進むつもりだ。 F・Fは死んだ。あの頃のアナスイはもういない。 失うものなんか何もない。 もう、何も怖くない。 ふと、前を見ると。 「……DIO!」 かつて父親を追い詰めた因縁の根源が。 蹴りだすように駆け、踏み込むと。 『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が――』 「えっ……!?」 憶えのある声での、警告。 「まずいッ!」 ディアボロのタックルで、元の位置へと突き飛ばされる徐倫。 宙を舞い、地を転がり、砂の味を噛みしめる。 「うげぇっ!」 『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』 無事の確認を有難く聞き入れた徐倫は、心境優れない。 今すぐにでもブチのめしたい奴がいるのに、拳を振るえないという苦悩。 手段ならある。石造りの海を乗り越えるためにその名を背負った、『ストーン・フリー』が。 武器もある。メリケンサックも、ハンマーも、鉄球も、もっと手軽なのが良いならサブマシンガンも。 なのに、なのに、なのに。 「近付くな。とりあえず俺たちはお前を襲いはしないし、そうする理由もない。お前が向かってくるつもりなら逃げる」 「あんたに無くても私にはあるのよ」 勇ましい言葉を浴びせるも、徐倫が再び攻勢に転じることはない。 『ストーン・フリー』でボコろうにも、禁止エリアと告げられた場所へもう一度入るのはリスキーだ。 動きを封じられでもしたら、一分と待たず首が千切れ飛ぶ。 奇襲しようにも、相手が二人となるとそうそう隙をつけるものではない。 サブマシンガンも、相手がパワー型のスタンド使いなら豆鉄砲に等しい。 禁止エリアにいるのに無事であるという怪奇、解明するためにも、待機という消極的な方法を取る他なくなる。 「ディオがどうのこうのと言うなら、誤解だ」 「俺の未来の悪評は知っている。だが、それがどうした。抵抗する気の無い奴ら相手に拳を向けるのが狂気でなくて何だ?」 なぜ徐倫が、ディオとディアボロの首輪が外れているという事実に気付けなかったのか。 隠しているからだ。 ディオが初対面で首輪がないと怪しまれるだろうと提案し、現在は首元に民家で調達した布をマフラー状に巻きつけ、カモフラージュしている。 首輪がない理由を問いただされてしまうと、荒木に悟られうるとしての処置だが、正解だった。 ただでさえ錯乱気味の徐倫に、ポンポンと新しい情報をよこせば混乱するだけ。 まずは戦意がないことをアピールし、平静を取り戻させる。 しかし、理屈で徐倫が立ち止まるだろうか。彼女の元で、理屈で人は救えてきたか。 「狂気に堕ちる気持ちは分からんでもないがな。荒木はお前の母親を殺した」 では、情だ。 ホール内で観察に徹していたディオだからこそわかる。 空条徐倫は、『見せしめ』の死にひときわ反応していたのだから。 「分かった様な事を!」 「分かった様な事……? 違う! 間違っているぞ!」 徐倫の激昂による反論を、ディオは抑え込みにかかる。 ディオは、徐倫に共感『してやれる』のだから。 「俺だって……目の前で、吉良と言う男に父親を殺された。義理だったが、それでも……父親だった! 俺を息子と呼んでくれた!」 それ相応の境遇は持ち合わせている。 多少の嘘は交えたが、徐倫をたきつけるには必要な物。 吉良の立ち上げた同盟のもとでジョージを殺害したのだから、あながち嘘とも言えないかもしれない。 流した涙は偽り以上の何物でもないが。 「信じる、信じないは勝手にしろ。だが、母殺しをした荒木が憎いなら! 俺の父を殺した諸悪の根源が荒木なら! 俺たちが取るべき行動は決まっているはずだ!」 ここで、ディオが喉元に巻かれた縛りをひも解く。ディアボロも同様に。 「首輪が……ない!?」 はらりと取れた布の中、荒木が課した拘束具が見当たらず。 タネも仕掛けもありゃしない。されど手品に勝る驚愕の事実を前に、徐倫は二の言葉を続けられずにいた。 だが、それが何を意味しているかぐらい、わかる。 殺し合いの破綻。 ルールに服従する必要性が皆無となったこと。 更には、屈服させるべき荒木に、より近付く機会が増えるだろうことも想像に難くない。 「俺の能力なら、それができる。全員の首輪を外して荒木を引きずりだすのも夢物語ではない!」 ディオは決断を迫る。 徐倫が下に付きさえすれば、自身の謀略のための人員がまた一人増えるのだから。 何より徐倫がディオ側に付けば、同情的な面からも支持を得られる。 母親を失った徐倫を気遣った、という事実は人員が増えた今後響いてくるはずだ。 ディアボロは英断を願う。 ディオがらみの誤解さえ解ければ、荒木を打倒するための戦力がまた一人増えるのだから。 雨降って地固まるように、不和を乗り越えた結束は強いものと信じている。 かつてジョセフに対して、ポルナレフに対してそうであったように。 徐倫は判断を迷う。 誘いに乗れば、わざわざ苦労して利用だのなんだのと策を巡らせる必要もなくなるし、第一に為すべきことは、荒木に対する復讐だ。 ただでさえボロボロの身、荒木を引きずりだすのに優勝を目指すとなれば、立ちはだかる障害はあまりにも多い。 だが、DIOを目の仇としてきた彼女がそう簡単に誘いに乗るだろうか。 誰彼構わず利用するなどと体の良い言い訳をして、利用されるのがオチではと警戒するだろうか。 彼女は憎むべき宿敵、ディオの軍門に下ることを良しとするか、悪しとするか。 「私は……」 【D-5 北西部/1日目 深夜】 【王s(オーズ)】 【ディオ・ブランドー】 [時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻) [状態]:首輪解除済み。内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、軽度の銃創、左足負傷、 ジョルノ(と荒木)への憎しみ [装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC [道具]:首に巻く布、ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、アイアンボールボウガンの鉄球、剃刀&釘セット(約20個)、 基本支給品×2(水全て消費)、不明支給品0~1(確認済み) [思考・状況] 基本行動方針:なんとしても生き残って、荒木のスタンドを手に入れる。 0.参加者の首輪を解除して、対主催軍団の頂点に。 1.ジョージ殺しの罪を吉良になすりつけることで集団に入りやすくする。 2.荒木のスタンドDISC生成の時間稼ぎのために、スタンド使いを『上に立って従わせる』。 3.ジョルノに借りを返す 4.ジョルノが……俺の息子だと!? [備考] ※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています ※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました) ※ラバーソールと由花子の企みを知りました。 ※『イエローテンパランス』、『キング・クリムゾン』の能力を把握しました。 ※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。 【ディアボロ】 [時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後 [状態]:首輪解除済み。右つま先に爆発によるダメージ(応急処置済み)。頭部に軽い打撲。強い決意。恐怖。 [装備]:なし [道具]:支給品一式(水は全消費)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は1個)、首に巻く布、 ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話 [思考・状況] 基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。 1.首輪さえ解除できれば、こっちのものだ! 2.だが、ディオ・ブランドー……信用できるのか? 3.無事ジョルノに『伝言』が伝わっていればいいが…… 4.恐怖を自分のものとしたい。 5.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。 6.駅にあるデイパックを回収したい。 [備考] ※音石明の本名とスタンドを知りました。 ※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。 ※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。 ※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。 ※精神状態の変化から時を飛ばせる時間が少なくなっています。 ※サンドマンのメッセージを聞きました。 ※露伴たちと情報交換をしました。内容は『迷える奴隷』参照。 ※DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しました。DISCの用途を知りましたが、記憶DISCか、スタンドDISCかの判別は付かなかったようです。 ※ディオとの情報交換は禁止エリア内で行われました。そのため、道中シーザーとジョナサンの死体を目撃しています。 【C-4 北東/1日目 深夜】 【空条徐倫】 【時間軸】:「水族館」脱獄後 【状態】:身体ダメージ(大)、体中縫い傷有り、上半身が切り傷でボロボロ、火傷(小) 【装備】:エリナの指輪、大型スレッジ・ハンマー 【道具】:基本支給品一式 、サブマシンガン(残り弾数70%)、不明支給品1~5(確認済)、ジャイロの鉄球、メリケンサック、 エリナの首輪、ブラフォードの首輪、 【思考・状況】 基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける 0.荒木を屈服させ、すべてを元通りにさせる。 1.そのためならばどんなゲスでも利用してみせる。アナスイももちろん利用する。だがディオの誘いに乗るべきか? 2.自分達を襲った敵を見つける。 3.インディアン(サンドマン)と情報交換。 [備考] ※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。 ※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。 ※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。 ※花京院から支給品一式を返してもらいました。 ※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。 ※【C-5西部 民家】吉良吉影の死体の近くに、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、 クリップ×2 、ディオの左手、 ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×5、 ポケットサイズの手鏡×2、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本、 CCDカメラの小型モニター、ギャンブルチップ20枚、二分間睡眠薬×1 が放置されています。 ※【D-4 北部】に支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)が放置されています。 ※【C-5 西部】にサブマシンガン(残弾なし)が放置されています。 ※ヨーロッパ・エクスプレスはDIOの館を離れました。どこに行ったのかは不明です。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 207 天の光は全て星 ディオ・ブランドー 212 終幕 バトル・ロワイアル(前編) 207 天の光は全て星 ディアボロ 212 終幕 バトル・ロワイアル(前編) 203 箱庭の誓い、その果てに 空条徐倫 212 終幕 バトル・ロワイアル(前編)
https://w.atwiki.jp/wiki7_vipac/pages/206.html
一人の上機嫌な男が居た。名はハンス。 以前から興味を持っていた男を会話した、たったそれだけの事なのだが。 彼はいつになく上機嫌だった。 我が家、というには広すぎる屋敷の廊下を彼は歩く。 此処には仲間が居る、彼らが一同に住まう場所[ホーム] 大広間へと繋がる扉を押し開ける。 目の前に一人の女性が居た。 長く艶やかな黒髪を持つ、可愛らしい女性。 彼女は胸の前で手を複雑に動かす、目はハンスを見据える。 ≪おかえり、ハンス≫ これが今彼女の行った複雑な手の動きの意味。手話だ。 彼女は話せない。先天的なもので、彼女の声を聞く事は無い。 「ただいま、グー」 幸い耳は聞こえるので意思を捉える事に苦労はしない。 だが、彼女の手話を理解できるのはハンスだけだった。 彼が居ないと彼女は意思の疎通が困難になる。 故に、彼女は常に筆談するための道具を持ち歩いている。 ≪何か見つかった?≫ 先ほどから終始微笑を浮かべながら手話をする彼女。 「いーや、なんにもない。その代わり、面白い奴に会えたさ」 ≪面白い?≫ 彼女の表情が微笑みから変わった。不思議がる表情だ。 「"彼"からの唯一の生き残り、ディオストラーダって奴」 彼女が一瞬驚きの表情を見せた。 「色々想像と違う奴だったけど、まぁ、それなりに面白い奴だった」 実際、彼とディオの間に特別おかしな事は無かった。 だが、ハンスはディオに何かしら奇妙な感覚を抱いていた。 彼なりに解釈すると、それは興味からくる面白みだったのだろう。 ギィ、と鈍い音を立てて扉が開く。 ハンスが開けた扉とは反対側の扉から女性が一人、顔を出した。 その腕には一人の少女が抱きかかえられている。 丁度、お姫様抱っこと呼ぶべき体勢で少女を抱きかかえる女性。 そして、抱きかかえられている少女は静かに眠っている。 両手が塞がっているため、器用に足だけで扉をこじあける。 あまり行儀が良いとは言えないが、彼女の容姿は行為とは打って変わり、上品だ。 手話の女性、グーと同じく。彼女もまた顔に微笑みを浮かべている。 「あら、お帰りなさい。ハンスさん」 「ただいま、マリアさん」 名前と容姿がぴったりだ。彼は名前を呼ぶ度いつも思う。 ≪リウェッタは相変わらず寝てるよ≫ 抱きかかえられた少女の方を見て、ハンスは頷く。 「そう…ええと。フォッカーさんを知らないかしら?」 帰って来たばかりのハンスは知るはずも無い。 傍らでグーが手を動かす。ハンスはそれを見逃さない。 ≪書斎の方に行くのを見ました≫ 「…書斎の方に行くのを見たらしいですよ」 「そう、ありがとう。」 彼女はそれだけ言い残すとリウェッタを抱えたまま来た扉を開け、引き返した。 大広間のソファにハンスが腰掛ける。テーブルを挟んで正面にグーも座る。 手話の都合上、正面に座った方が都合が良い。 先ほどのように隣にいてもハンスには手話が理解出来るが、正面の方が簡単だ。 ≪どんな人だったの?≫ と微笑みながら手話を続ける。 「んー…良くわかんないだよなぁ。とにかく面白そうな奴だった」 言い終えるとまた扉の開く音。 大広間だけあって広いこの屋敷でも通行人は多くなる。 扉の奥から一人の少年が入って来た。美をつけるに相応しい容姿の少年だ。 「あ、おかえり。ハンス」 「おぅ」と短く返す。すると、また違う扉の開く音。 今度は背の高い男が出て来た。左目に眼帯をし、小脇に本を抱えている。 近くに居る少年を目にすると直ぐに声をかけた。 低く、静かな声。だが強さがある。 「ヴェルギリアス、フェリアルギアスが探していたぞ。」 「姉さんが?何処に居るの?」 「多分…部屋だ」 それだけ聞くと、少年は男の隣を抜け進んで行った。 「フォッカー、お前もマリアさんに探されてたぞー」 ハンスが声をかける。フォッカーは少し沈黙したが、すぐに答えを出した。 「…彼女は何処へ?」 「書斎に向かう所をグーが見たらしいからそれを伝えた。多分書斎だ」 フォッカーもまた、来た道を戻って行った。 ≪このお屋敷、広くて人を捜すの大変だよね≫ そうだな、と笑って答えるハンス。ホームで人を探すのは結構大変だった。 その夜、食堂でハンスは今回の報告をした、主にディオについて。 「なんだ、そいつがリーダーだと思ってた」 昼間は会わなかった女性。美少年の姉・フェリアルギアス。 弟もだが、姉も美を着けるに相応しい容姿を持つ。 「違うみたいなんだよなぁ、てっきり一番強い奴かと思ってたのにさー」 「何か複雑な事情があるのかしらねぇ?」 優しい声を出すマリア。 食事の最中なので少女を抱えては居ない。 が、少女リウェッタは隣の席で相変わらず眠っている。料理こそ用意してあるが。 「…今一番"彼"に近い男、か…」 フォッカーが小さく呟いた。 「でも、僕達はまだ一人も彼と対峙していない。」 ヴェリギリアスがフォッカーの呟きに反応する。 ≪気長に待ちましょうよ≫ 手を休め、手話に変えるグー。 「気長に待て、とさ」 訳し、皆に伝えるハンス。これでディオの話題は終わりを迎えた。 ディオがスタードラゴンと遭遇してから数週間が経った。 新しく隊長となった桃白々一号はそれなりの統率能力を見せ、隊員から信頼を得た。 元々レイヴンチームを率いるリーダーである為、統率能力は高かった。 だが、スタードラゴンに関する大きな情報は入手できていない。 第一に、マグナを襲った後はスタードラゴンの出現が確認されていない事。 そして、その事実をふまえて調査団はハンスの組織について調べている最中だった。 スタードラゴンに繋がる少ない情報源であり、また謎の存在。 彼らの目的を探るとともに、スタードラゴンに関する情報も同時に調査。 そんな事がここ数週間繰り広げられていた。 こちらの成果はそれなりにあった。 組織名セヴンビークス、だが公の組織ではなく、一種の同盟に近い。 所属する人員は全部で7人、その全員の名も調査により明らかになった。 グリニング・デーモン、ハンス、フォッカー、マリア、リウェッタ、 フェリアルギアス、ヴェリギリアスの7名。 だが、結局解ったのは名前だけで個人の素性は一切明らかになっていない。 羅列された名前を見る限り、本名の線は薄く。これ以上の事は見込めなかった。 多少の成果を上げた数週間の調査。 肝心のディオはその間、毎日のように戦闘訓練を繰り広げていた。 クーゲルシュライバーの隊員、主にチーム桃白々との模擬戦闘。 彼には経験が不足していた。特にACを相手にする戦闘において。 スタードラゴンと交戦し、唯一生き残ったのは事実だが。実際はまぐれに近い。 模擬戦の相手をしたレイヴンも彼の才能は認めては居たが、実力は程々。 彼が生き残ったのはまぐれだという真実が白日の下に晒された。 しかし、生き残ったのは事実。そしてセヴンビークスが彼と接触したのも事実。 彼は狙われる立場にあるだろう、そうでなくとも訓練は必要だった。 『コア損傷』冷たいAIの音声が響く。 「おおぅ!」 揺れるコクピットの中、ディオは混乱する。 つい先ほどまで目の前に居たACホアーの姿を完全に見失う。 (あれ?どこだ?) 直ぐにレーダーを確認するディオ。 赤い光点の位置を確認する。自機の真後ろだった。 機体を大きく飛翔させ、王猫天の頭上高くへ自機を移動させる。 そのまま後ろに向かって進みつつ自然落下、ついでに目下へ向かって発砲。 王猫天は飛び上がったディオの捕捉を一瞬誤り、だがすぐに機体を後退させた。 ディオの放ったリニアライフルの一発は空しく地面に着弾。 ディオの後退する速度以上の速度で後退する王猫天のACホアー。 「はい、終わり」 王猫天が小さく言い放つと、ディオの機体は集中砲火を浴び、崩れた。 (今日迄で…58戦24勝34敗か) パーツが組み替えられて行く自機を見上げながら戦績を思い返す。 新人レイヴンとしてはかなり上出来な結果と言える。 無論、最初はまともに戦うことすらできなかったが今では随分成長した。 強化合宿のごとく毎日のように模擬戦を繰り返すうちに、彼はそれなりに強くなった。 今日は王猫天にあっさり負けたが、彼女とは先日2勝Ⅰ敗の結果を残している。 どうやらディオには発揮出来る実力にかなりの揺れがあるらしい。 見違える程動きが良かったり、呆れ返る程動きが悪かったりするのだ。 「オッケェーイ、心配しなくても大丈夫。俺がバッチリ大・修・理フォゥー!」 ラモンがいつも通りの奇声を発しながらやって来る。 初対面の時こそ異常なテンションとその奇妙な言動に驚いたが、既に慣れが来ている。 「ああ、頼むよ。ラモン」 実際、彼の整備士としての腕は一級品だった。 なによりACを修理する速度が速かった、おかげで一日に何度も戦う羽目になるが。 (奴と…また会う時には、生きて帰れる保証はないんだよな) 今更ながら、自分が対峙したACについて考え直す。 元は伝説のレイヴン、最強と呼ばれたレイヴン。 「おーい、ディオ君。」 王猫天に呼ばれてディオは振り向き、彼女の元へと小走りで駆け寄る。 後に彼はこれが大した用ではないことを知る。 そしてその後、彼は3度模擬戦をこなし。3連敗することになる。 夕食後、セヴンビークスのホームにある一室で一人の女性が通信機と格闘していた。 彼女の名はフェリアルギアス、昼にフォッカーに弟を知らないか、と聞いた女性。 「あーん…うん?出来たっぽい?」 キーを叩く手を休め、出来上がったモノを見つめる。 と、横から弟・ヴェルギアリアスが顔を出す。 「姉さん、それ完成じゃない?」 「だよね?良し、出来たから寝よう」 言うと彼女は席を立ち、ベッドへと進んで行った。 「送らなくて良いの?」 と弟が聞くが、彼女は既にベッドの上。 「明日の朝にする…」 呟くように言葉を出すと、すぐに寝入った。 その、翌日。 以前とはまるで違う様子の部屋—といってもただ片付けただけなのだが— で目覚めるディオ。 朝日は彼と綺麗に片付けられた部屋を照らす。 「ふぁー…」 間抜けな声と共にベッドからゆっくり起き上がる。 同時に、部屋の机の上の通信機に一着のメールが受信された。 彼はすぐに内容を確認し、その中身を見て一瞬で眠気を吹き飛ばした。 メールの送り主はセヴンビークスと書かれていた。 実に簡潔に、時間と場所そして追記に一人で。とだけ書かれていた。 彼は隊長である桃白々と直に相談したが、結局はメールに従う事にした。 彼は一人で砂漠へと飛び立った。オペレーターさえ居ない。 時間より少々早めについたからか、砂漠にはディオ以外は見当たらない。 (ただ騙されたって可能性もあるし、第一どう考えても呼び出しは罠だよな) ディオが待つ事数分、二機のACが砂漠に降り立った。 『ACを確認、俊狼、烈鬼です』 てっきりハンスが現れると思っていたディオは軽く期待を裏切られた。 「…あんたがディオ?」 フロート型AC俊狼から女性の声が聞こえて来た。 「そうだ…で、セヴンビークスの…誰だ?」 「フェリアルギアス」 彼女は短く答えた。続けざまに隣のタンク型AC烈鬼からも少年の声が送られる 「ヴェルギリアス、弟」 彼もまた、短く答える。 (スナイパーフロートに…大口径キャノンのタンクか。交戦したら死ぬな…これ) 「えーと…で、俺に何の用?」 聞かれた問いに、二人は暫く沈黙した。 沈黙を破ったのはフェリアルギアスだった。 「ハンスに会ったんでしょ?あいつと理由は殆ど同じ、ただ見てみたかっただけ」 「…なんだ」 ガッカリと肩を下ろすディオ。見世物みたいな扱いが最近多い。 (じゃあ…色々質問して聞き出した方が良いよな。) 「それじゃあ…」 と言おうとした途中、彼女が言葉を遮る。 「でも、なんか気が変わった」 「…え?」 ディオは心の底から湧き出て来たとある可能性に恐怖した。 そして、残念な事にその恐怖は現実のものとなる。 「なんだか回りくどいからあんたを連れて帰る事にする」 この言葉を聞いて、ディオは困惑する。 (俺自身が欲しいのか?こいつら) だが、悠長に考えている間にAC二機はディオに攻撃を開始した。 「貴方が素直に受け入れるとは思えないので、実力行使です」 両肩の大口径キャノンの発射と同時にヴェリギリアスが言う。 「…畜生ッ!」 ディオはその一撃を躱すが側面からのスナイパーライフルの銃弾は避けられなかった。 (まずい!どうにかして逃げよう。いや、降参するって手もあるか) 考えてる内に、二人からの猛攻は続く。 応戦しながら、二機ものACを相手にできないことを悟る。 ついでに、この二人に「待て」といっても通じなさそうな事も悟り、降参を諦める。 『AP50%機体ダメージが…』 AIが言い終える前に、頭部パーツEYE3が吹き飛んだ。 『頭部破損』 (やばいっ!死ぬ!) 連れて帰る、とは言ったものの攻撃に容赦が無い。 必死に逃げようとする彼の目に、さらにもう一機のACが見えた。 (嘘だろ!) 現れたのは、二脚型のAC。左手に巨大なレーザーライフルを携えている。 どこから出しているのか、頭部AIの声が聞こえて来た。 『ACを確認、デモリッシュです』 (なんだって!?デモリッシュ…ティラ!トップランカーじゃないか!) ディオは生まれて初めて絶望というものを味わった。 (なんでこんなところにティラが出て来る?) 攻撃する手を止め、フェリアルギアスが思案する。 (そういえばこいつ…2機以上のACを狙うとかなんとか) 彼女は考え、そして結論づけた。 今はディオよりもこいつを優先すべきだ、と。 「ヴェル、目標をティラに変更。ディオは諦める」 「…確かに、そいつでも十分かもしれない。」 ヴェルギリアスが彼女に同意する。同時にディオへの攻撃も止める。 二人はディオそっちのけでティラへの攻撃を開始した。 (な…なんかよくわかんないけど。助かった!逃げよう) 直ぐさま二人を後にし、砂漠地帯から逃げるように去るディオ。 機体はもおうボロボロだ、頭は無く、いたるところが損傷を起こしている。 全力で逃げる彼の目の前にまたACが現れた。 (くそっ!まだ…) リニアライフルを新たに現れた四脚型ACに向け放つが、躱される。 『ACを確認、鈴鳴です。』 頭部AIの音声を聞いてディオはあることに気づく。 (そういえば、さっきもACって。敵じゃないってことか?) 確かに、AIは名前だけ告げてそれ以上の分析をしない。 しかし、先ほどの二人は結局は敵になった。 実際はレイヴン登録されていない機体なのでデータがないだけなのだが。 (とにかく、どうにかして逃げないと) 焦るディオに向かって進んで来る鈴鳴。 すれ違い様にブレードで斬りつけようと思ったが、それも躱される。 すぐに機体を旋回させ、鈴鳴の方に向き直る。 だが、鈴鳴はディオの事など気にもかけず、そのまま進んで行った。 交戦中の3機のACの元へ進んで行く鈴鳴を見ながら、ディオは安堵する。 (た…助かった) 彼は急いでその場を後にする。 彼はその後。結局罠で、死にかけました。と桃白々に報告。 ラモンに機体の修理を頼むとすぐに自室へと戻り、ベッドに倒れ込む。 (詳しい報告は…明日にしよう) 今日もまた、世界は著しい加速をした。 中心である彼さえも酔わせるほどの爆発的な加速を。 彼は絶えなければならない。 彼という重心を無くした世界は破滅への道を歩むだけなのだから。
https://w.atwiki.jp/jojoabc/pages/59.html
現在のデッキタイプについて 現状において8割強のデッキがヒーロージョセフを使っているといっていいだろう。ほかのヒーローカードと違ってヒーロージョセフは汎用性があるので、様々なデッキに使われている。ジョナサン、承太郎、カーズについてだが、これらのヒーローカードは使われるデッキが決まってくる。ディオに関してはその他にヒーローカードが無い、またはカードプールが少ない状況でしか使われないだろう〜代表的なデッキ〜 ・波友デッキ リネージ:波波友波波このタイプのデッキはヒーロージョセフを用いるデッキで、レアリサリサを出して波キャラを強化しながらビートダウンするタイプのデッキである。ゾンビウィニー対策にシーザーが入ることが多い。・友波デッキ リネージ:友友波波 このタイプのデッキはヒーロージョナサンを用いるデッキで、ジョナサンを強化してビートダウンするタイプのデッキである。このデッキにもゾンビウィニー対策にシーザーが入ることが多い。・ゾンビウィニーデッキ(吸血鬼ディオ有) リネージ:血悪血血~このタイプのデッキはヒーロージョセフを用いるデッキで、吸血鬼ディオ・ウィンドナイツロットで屍生人を強化しながらビートダウンするタイプのデッキでる。大西洋対策に少年ディオ・ドノヴァン等が入る。・ゾンビウィニーデッキ(吸血鬼ディオ無) リネージ:悪血血~(?)このタイプのデッキはヒーロージョセフを用いるデッキで、ウィンドナイツロットで屍生人を強化しながらビートダウンするタイプのデッキである。ジャックザリパー+闇のストレイツォのシナジー(コンボ?)で相手を除去し、鋼線のベックで蓋をしながら戦う。このデッキにも西洋対策に少年ディオ・ドノヴァン等が入る。・ライブラリーアウトデッキ リネージ:? このタイプのデッキはヒーロージョセフを用いるデッキで、オウガーストリートをステージに出して、鋼線のベックで山札を削り、 カードダス限定ディオで捨て札を回収しながら戦うライブラリーアウトタイプのデッキである。・完全生物カーズデッキ リネージ:血血柱柱柱血 このタイプのデッキはヒーローカーズ(ヒーロージョセフが望ましいかもしれない)を用いるデッキで、 骸骨の踵石ステージをワムウの効果でレベルを広げ(ヒーローカーズの効果でも可) 復活のサンタナで貫通効果を付与して完全生物カーズでビートダウンするタイプのデッキである。銀色の波紋疾走を使いまわされないように鋼線のベックを、チャンプブロッカー用に無色キャラ(エリナばあちゃん・少年ディオ・ドノヴァン) や屍生人を大量に入れる必要がある。
https://w.atwiki.jp/gods/pages/44497.html
ディオレス(3) ギリシャ神話に登場する人物。 アケステス主催の競技大会で競走に参加した。 別名: ディオーレース(3)
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/829.html
【元ネタ】ギリシャ神話 【CLASS】ジェミニ 【マスター】 【真名】ディオスクロイ 【性別】男(共通) 【身長・体重】185cm・78kg(共通) 【属性】秩序・中庸 【ステータス(兄)】筋力C 耐久D 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具B 【ステータス(弟)】筋力B 耐久C 敏捷B 魔力B 幸運A 宝具B 【クラス別スキル】 精神共鳴:A+ 双子が備えている超自然的な精神感応。言葉を交わさずともお互いの考えを伝えられる。 A+ランクならば大陸以上の距離が離れていようと、互いの状態を感知する。 連携攻撃:A 複数での攻撃に長けていることを示す能力。 他者と連続、または同時に攻撃を行う際、判定に有利な補正を得る。 【固有スキル】 神性:A- 主神ゼウスの神性を共有し、死後は航海神として信仰されているディオスクロイは、最高の神霊適正を持つ。 粛清防御と呼ばれる特殊な防御値をランク分だけ削減する効果もある。 菩提樹の悟り、信仰の加護、といったスキルを打ち破る。 神性を二人で共有しているため、二人が別行動をしている場合はランクが半減する。 航海の守護者:EX 古代から中世にかけて多くの船乗りに信仰された“航海者の守護神”。 天変耐性と呼ばれる特殊な防御値を任意で一時的に引き上げるほか、 風除けの加護、雷除けの加護の効果も兼ね備えた特殊スキル。 軍略:C+(兄) 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。 自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。 特に二人一組での戦いでは高い効果を発揮する。 騎乗:A+(兄) 騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。 心眼(真):B(弟) 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理” 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 勇猛:B(弟) 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。 【宝具】 『託生の双星(ディオスクロイ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:2人 命の共有。不死を分け合った逸話の具現。 『神性』スキルと体力を共有している。 共有された体力は片方のHPが尽きようと、 もう一方が健在である限り自動的に不死性が流れ込み回復、蘇生される。 ただし本来一人の物であるため同時に回復は出来ず、 一方が回復中にはもう一方に治癒が働かない。 天界と地上を交互に暮らした双子の象徴。交代制の治癒能力であるとも言える。 【weapon】 『無銘・鉄拳』 鍛冶神が作り上げた一組の義手。 格闘と剣技が同時に行えるように工夫されており、精密性と頑丈さを両立している。 他にも同様の神造義肢にはケルト神話のアーガトラーム等が該当する。 【解説】 ディオスクロイとも呼ばれる双子の英雄。 ただし正式な双子ではなく、 ポルックスとその妹ヘレネーはスパルタの王妃レダと主神ゼウス、 カストールと妹クリュタイムネーストラーはレダとスパルタ王ティンダリオスとの子。 つまりカストールは純粋な人間であり、ポルックスは半神であり不死の力を備えていた。 カストールは馬術とレスリングを学び、伝令神ヘルメスより天馬ケレリスを授かる。 ポルックスは剣術とボクシングを学び、鍛冶神ヘパイトスより拳を鋼鉄製に変えてもらう。 彼等はアルゴナウタイの一員として、カリュドンの猪狩り、 ペリアスの競技会、ネメアの競技会などに参加。 魔女メディアの助言を受けて青銅の巨人タロス退治にも活躍した。 また船旅の際、オルフェウスが弦を引くと二人の頭上に星が輝き嵐が収まった。 この逸話から二人は航海の守護神ともされ、放電現象セントエルモの火にも関連付けられる。 彼等の妹ヘレネーは、その美しさから物語の中で何度も誘拐されており、 一度目はテセウスに、二度目はパリスに拐われ、トロイア戦争の引き金ともなる。 その戦いで二人は同じ双子の兄弟イ-ダスとリンケウスと戦い、 不死のポルックス以外が戦死してしまう。 兄の死を悲しんだポルックスは、自身を神の座に誘おうとしたゼウスに、 「自らの不死を消して、兄と同じ場所に行けるようにして欲しい」と頼む。 しかし、それを惜しんだゼウスがポルックスの不死性をカストールに分け与え、蘇生。 その代わりに彼等は天界と地上を交互に暮らし、いつしか星座となった。 ◆ 仲こそ良かったが英雄としてのそれぞれ単独の逸話はなく、その功績は共有のもの。 尚且つ物語の最後で活躍するのは不死を捧げる半神のポルックスの方であり、 兄であるカストールの方はあまり目立たない。 更に星座のポルックスは一等星なのに対し、 カストールは二等星に分類されており、それを裏付けている。 ここからカストールが弟に劣等感を抱くのは必然であり、 事実ポルックスの方が才能にも恵まれていた。 故に、彼等が召喚されたのは、兄の方に原因があると言えるだろう。 神に迎えられ、不死となった彼等が聖杯に望む事があるとすれば、それは―――