約 1,334,978 件
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/968.html
J-632 プッチ神父 J-632 R ヒーロー [[ストーンオーシャン]] 天国の時 自分リセットフェイズに、自分手札から『DIO』のキャラカード5枚をオープンして捨て札にする事で、相手ライフを4点減らす。この効果は1ターンに1度だけ使用できる。 出典: 構築、プレイングともに最高難度のヒーロー。 その性能から観賞用レアと呼ばれることもしばしば。 手札5枚のコストに対して4点ダメージという効果が明らかに釣りあっていない上に、発動がリセットフェイズに限定されているため、効果を使用するターンのドローは含まずに『DIO』を5枚揃える必要がある。 また、デッキに大量の『DIO』を搭載しなければならない点で、同名の味方キャラが同時に存在できないという基本ルール(に沿ったデッキ構築のセオリー)に逆行している。 上記のように、問題山積であるが、第8弾で若干のフォローがなされた。 J-760 ディオ・ブランドー : 吸血鬼/屍生人であれば同名キャラでも場に出られるようになる。人間時代のディオには無意味である点に注意。 J-789 DIO : 大量ドロー&手札入れ替えにより『DIO』を揃えやすくなる。捨て札のDIOを山札の一番上に戻すJ-568 ワンチェンと相性が良い。 ヒーローの効果だけで13点を削る場合、最低でも4回発動しなければならず、手札に累計20枚のDIOを呼ぶ必要がある。捨て札のDIOを山札に戻すJ-568 ワンチェンがほぼ必須である。 効果発動を狙えるようになるのはほぼ中盤以降になるため、別のヒーローでゲームを開始し、J-160 そこにシビれる! あこがれるゥ!で追加するのも良いだろう。 効果発動に際して手札を捨てるため、相手ヒーローがJ-528 虹村億泰、相手の場にJ-544 虹村億泰がいる状態で効果を使うと、4点ダメージを与えつつ5点ダメージをくらうことになる。 終了フェイズごとに強制的に手札を4枚に調整する6弾女帝を出されると効果を使用できなくなる。 第8弾現在の『DIO』のキャラカード J-041 ディオ・ブランドー J-042 吸血鬼DIO J-043 少年ディオ J-044 DIOヘッド J-092 ディオ・ブランドー J-127 闇の帝王ディオ J-128 復活のディオ J-200 ジョナサン&ディオ J-225 ロンドンのDIO J-226 ディオ・ブランドー J-304 DIO J-367 DIO J-465 ボクサー・ディオ J-466 迫り来るDIO J-567 ディオ・ブランドー J-571 吸血鬼DIO J-584 写真のDIO J-681 プッチ&DIO J-760 ディオ・ブランドー J-789 DIO PR-007 ジョナサンVSディオ PR-012 ミドラー&DIO&マライア
https://w.atwiki.jp/yume1000/pages/125.html
#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (240x427) CV:浪川大輔 やれやれ。; 俺の手を煩わせないでくれよ; プロフィール ステータス覚醒前 太陽ルート 月ルート 選択肢 プロフィール +別バージョン 地の国・イヴィアの第六王子様。 王位継承や政務に全く興味を示さず、街にふらふら遊びに出たりと、いい加減に振る舞い続けている。 それは過去に、天の国・エンゼのセフィル王子との間にあったある出来事が彼をそうさせているらしい。 ディオンの気まぐれに振り回される主人公だったけれど、次第に彼の胸の内を知っていって…―!? 出身国 地の国・イヴィア ポリシー 万事に我関せず 趣味 癖 好きなもの 無駄な時間、無駄なこと、無駄なもの 嫌いなもの 頑張ること、政治 ステータス 覚醒前 属性 セクシー; レアリティ ★★★★★ コスト 15 最大レベル 60 能力 HP 攻撃 回復 初期 587 402 369 MAX 1,007 653 600 愛情突破 リーダー 名前 ミントの煙香 効果 紫属性のHPと回復力を25%UP スキル 名前 イビル・パフ 効果 上部のピースを消す 特大 発動まで お別れ ゴールド リングのかけら 太陽ルート +外見。ネタばれ注意 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (200x355) 属性 セクシー; レアリティ ★★★★★★ コスト 最大レベル 70 能力 HP 攻撃 回復 初期 907 620 570 MAX 愛情突破 リーダー 名前 赤く燃ゆる瞳 効果 紫属性のHPと回復力30%UP スキル 名前 ブレイブリー・パフ 効果 上部のピースを消し、時間を回復 発動まで お別れ ゴールド リングのかけら 月ルート +外見。ネタばれ注意 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (200x355) 属性 セクシー; レアリティ ★★★★★★ コスト 21 最大レベル 70 能力 HP 攻撃 回復 初期 907 620 570 MAX 1,179 764 702 愛情突破 リーダー 名前 悪魔との接吻 効果 紫属性のHPと回復力25%UP/攻撃15% スキル 名前 アディクティブ・パフ 効果 上部ピースを消し爆弾を追加 発動まで お別れ ゴールド リングのかけら 選択肢 タイトル 選択肢 変動値 ディオンのつぶやき 魔法…? 太陽+10 綺麗ですね! 月+10 ミントの香り もう心配しません 月+6 私、失礼します 太陽+6 はい、もちろんです 太陽+9 耳、大丈夫ですか? 月+9 ディオンの闇 お手伝いしましょうか 太陽+7 私がやります 月+7 失礼します 太陽+8 慌てる 月+8 夕焼けの街 変な顔なんて 太陽+15 答えない 月+15 瞳の奥に どうぞ 太陽+20 黙る 月+20
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/24279.html
イディオム C 水文明 (2) クリーチャー サイバーロード/革命軍 1000 ◼︎マナ武装3:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンに水のカードが3枚以上あれば、相手の手札とシールドを見る。 作者 はんむらび マナ武装3で《リキッド・スコープ》がついてくるサイバーロード。 あちらと比較するとコスト論的には優秀だが、そもそもわざわざピーピングのためにカードを入れるというのがナンセンス。 一応種族は優秀なので《ミルルン》と枠を争うことにはなるだろう。ピーピング性能はこちらの方が上だが条件付きの上あちらにはブロッカーがある。 フレーバーテキスト 大事なことは、人よりも少しだけ多くを知ること。-《イディオム》 収録弾 裏革命編 第一章 叡智証明のプロメティウス‼? 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/urarojiara/pages/120.html
ルディオン山脈 エリンディルの背骨と称される大山脈。 エリンディルの北部を東と西に分けるように走る山脈は、 高山地帯でもあり東と西では気候や環境も大きく変化する。 噂や伝説 幻の坑道 ルディオン山脈を横断する事が出来る坑道が火の時代に作られたという噂。 発見されれば古代の遺産と貿易の為の新街道という大きな財産と名誉が与えられるであろう。 ※トラベルガイド 深紅の月光 アルファルドという冒険者が禁書に体を乗っ取られ近隣の街を蹂躙したという事件。 奈落の黙示録:魔族が書き記したという謎の書物 月の卵:魔獣を操る事が出来ると言われるアイテム。このアイテムにより大きな被害が出た アルファルド:事件の際に奈落の黙示録と共に封印されたと言われる ※トラベルガイド 死者の岬 “霊山”バルバロス頂上付近にあると言われるさまよえる死者と交信出来る場所。 極限の世界である山脈の頂上付近は他の世界に近いとされ、 この世界からいなくなった者の声を聞くことが出来るとされる。 登山ルートは整備されてなく、危険なモンスターの生息域もある為、 挑戦する者はきちんとした現地ガイドを付ける事をおすすめします。
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/317.html
属性別カードリスト:吸血鬼 J-042 吸血鬼DIO J-044 DIOヘッド J-057 闇のストレイツォ J-059 鋼線のベック J-127 闇の帝王ディオ J-128 復活のディオ J-130 族長 J-133 吸血馬 J-134 実験体 J-135 吸血鬼・手下 J-200 ジョナサン&ディオ J-225 ロンドンのDIO J-226 ディオ・ブランドー J-304 DIO J-367 DIO J-368 ツェペリの父 J-376 ケニーG J-466 迫り来るDIO J-471 ヌケサク J-472 ヴァニラ・アイス J-473 暗黒のヴァニラ・アイス J-567 ディオ・ブランドー J-570 吸血鬼ストレイツォ J-571 吸血鬼DIO J-578 ヴァニラ・アイス J-584 写真のDIO J-681 プッチ&DIO J-760 ディオ・ブランドー J-789 DIO PR-007 ジョナサンVSディオ PR-012 ミドラー&DIO&マライア
https://w.atwiki.jp/z-oni/pages/71.html
「おっほ!やったッ!! 自由だ、オレは自由なんだぁ!!」 デラウェア河の底で長い長い時を、"考えることをやめて"過ごしていたマジェントは、鬼ごっこへの参戦という形でとうとう解放された。 パラシュートから飛び出し、二の足でしっかりと地面にたつ。 そうした自由の感触に、忘れていた歓喜が波のように押し寄せてくる。 動ける、走れる、歩ける、踊れる、嗅げる、転がれる! ひとしきり自由を堪能し、満足したのか脱げてしまったシルクハットを拾いつつ、漫然と周辺を見渡す。 マジェントが投下されたのは見慣れない街並みの区画であった。 町にしては人気のなさがどこか陰気臭いが、それでも嫌になるほど見続けてきた川底よりは断然マシである。 ふと空を見上げると、先程マジェントを投下した飛行機がビラとパラシュートを次々とばらまいていた。 その光景に目を輝かせるマジェント。 「おっおっおっ!アレって噂の『飛行機』ってヤツじゃあねーのか! 俺が川底にいる間にもう完成してたのかよ! つーかさっきまでオレ、アレに乗ってたのか!文明の利器ってスッゲ~なぁ! アレがもうちっと早く出来てればあの日の移動も楽だったのによォ~」 そう、あの日。遺体の回収のためにウェカピポとジョニィたちを追跡したとき。 マキナック海溝への移動のときは随分と手間がかかった。寒かったし、死にかけもした。 そこで久しく忘れていた憎しみの感情がマジェントの心を支配した! 「ウェカピポの野郎ォ……覚えてやがれ!謙虚にふるまえだとか偉そうな口ききやがって! 帰ったら速攻でぶっ殺してやる! あとDioもだ! 俺たちは運命の糸で結ばれてんだからよぉ、とっとと助けにこいよ!」 自分を見捨てた男たちの恨み言を吐きつつ、任務達成のため支給品を漁るのだった。 【???/00時05分】 【マジェント・マジェント@ジョジョの奇妙な冒険 SBR】 [役]:親 [状態]:健康 [装備]:??? [道具]:デイパック(不明支給品3) [思考・行動] 基本方針:鬼ごっこで優勝する。 1:とりあえず『子』を守れば良いのかぁ?任せろ! ※その他 各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。 『人物解説』 ヴァレンタイン大統領の配下のスタンド使い。 無敵の能力を持つが、その軽率さと物事を深刻に捉えない性格から、かつてコンビを組んでいたウェカピポに「下っ端のクズ」とまで言わしめた男。 ウェカピポと共に「6th,STAGE」終盤、マキアナック海峡でウェカピポと共にジャイロ達を襲撃する。 スタンド「20th Century BOY」で攻撃を防御し、ウェカピポの「レッキング・ボール」による「左半身失調」で動きを封じたジャイロ達を銃撃する。 自分の撃った弾丸を撃ち返すという策もスタンドで防御し、勝利したかに思えたが、 油断してスタンドを解除して会話をしているところに、防御して空へ打ち上がった弾丸が落下して頭を貫通し、敗北した。 倒れはしたが死亡しておらず、極寒の地に置き去りにされながらも通りかかかったディオに助けられ、生還。 左目を失い、偏頭痛などの障害が残ったが今度はディオの手先としてスティールを襲撃。 ルーシーを警護するためにやって来たウェカピポと対峙する。 置き去りにされた恨みを晴らすため、スタンドで防御した上でダイナマイトを爆発させる自爆作戦を繰り出して追い込んだが、 またもさっさと止どめを刺せばいいのに無駄な会話をした隙に馬車の車軸をワイヤーで結びつけられてデラウェア河に沈められてしまった。 スタンドで防御して溺れはしなかったが、ワイヤーを外すにはスタンドを解除しなければならず、 かといって解除すれば溺れてしまうということになり、最初はディオの助けを待っていたが当然現れるはずもなく、そのうち待つ事と考える事をやめた。参戦時期は考えるのをやめたあとから。 【スタンド能力】 『20th Century BOY』 破壊力 - なし / スピード - C / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - C 昆虫のような頭部と、肩当てのようなパーツとそこからベルトのようなものが伸びる、鎧のようなスタンド。 「身に纏う」タイプのスタンドで、身に纏っている間はあらゆる攻撃を受け流し、完全に防御する。 攻撃エネルギーだけではなく、水中など無酸素状態も防ぐことができる。 つまり、スタンドを身に纏っている間は決して死ぬことはない。 ただし、スタンドを身に纏っている時はマジェント本体は指一本動かすことはできない。 攻撃は本体が行わなければならず、攻撃するにはその度にスタンドを解除する必要が生じる。 そのため、防御は完璧だが攻撃に転じる隙を狙われると弱い。 100%防御特化の能力という、珍しいスタンド
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/9638.html
ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド 機種:PS2 作曲者:中村隆之、太田亜紀、和賀翔、有賀聡、田原卓 開発元:アンカーエンターテイメント 発売元:バンダイナムコゲームス 発売年:2006 概要 荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第1部『ファントムブラッド』をゲーム化した作品。ジャンルは3Dアクション。 アクションゲームとしての完成度は低いが、原作の再限度は高くモブや端役を含めたほとんどの登場人物が使用可能。 原作では名前だけの存在であった獅子王ウィンザレオ、イナズマの騎士アイクマン、独眼のカイネギスが登場するのもポイント。 音楽は中村隆之氏率いる株式会社ブレインストームのスタッフが制作している。 収録曲(仮曲名) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Track01 アステカの族長(オープニング) Track02 VS.いじめっ子/ディオ(ボクシング)/ディオ(2回目)/スピードワゴン Track03 VS.騎士ゾンビ/ディオ(気化冷凍法)/アダムスさん/血管針ゾンビ Track04 Track05 戦闘開始前 Track06 VS.ディオ&三騎士(ラストバトル) Track07 ポコの姉に迫るディオ Track08 ツェペリ登場 Track09 VS.ディオ(吸血鬼)/ワンチェン/ジャック・ザ・リッパー/ブラフォード/タルカス/ドゥービー Track10 Track11 スタッフロール Track12 スピードワゴンの自己紹介 Track13 ジョナサンとエリナのハネムーン Track14 Track15 逮捕されるディオ/ポコ登場/アダムスさん登場 Track16 ジョナサンとディオとの対峙 Track17 ブラフォードの最期/ツェペリの最期 Track18 Track19 食屍鬼街到着 Track20 ジョナサンの最期
https://w.atwiki.jp/jojobr2/pages/343.html
じっと顔を見つめる。 充実感に満ちた顔を眺め、開かれたままの瞳を自分の手で降ろしてやる。 俺は彼の宗教を知らない。そして俺自身が信じるものが『男の世界』である以上、彼が望む埋葬の仕方はわからないが…。 「墓穴の準備はできたぞ…リンゴォ・ロードアゲイン……」 少なくとも俺の、俺が納得する敬意の表しかたはできる。 その声を合図に俺は彼の体を抱き抱える。割れ物を扱うように慎重に、聖人を扱うように恭しく。 底がならされた一段低くなったその穴にゆっくりと降ろしてやる。少しサイズがあわないのか、体を縮め窮屈そうだけれども致し方ない。 背中を丸めるように横たわる男を見下ろし、俺は先の戦いを掘り起こす。少しずつ、土を被せ顔形が見えなくなるなか、俺は作業を進めながらも考えることをやめなかった。 『俺は行く、男の世界へ!この拳でな…。リンゴォ!お前がどれ程嫌でも付き合ってもらうぜぇー! 』 『ッ…がッ…ぁあ…頼んだ』 『フッ、フフ…見、たか…着ぐるみ、野…郎…!!』 怪我した腕の状態は芳しくない。 それでも俺は丁寧に、丹念に土を被せていく。傍らに立つ男は俺が一人でやりきることに意義があることに理解を示してくれたのか、手を貸すような野暮なことはしなかった。 …それもそうだろうな。 太陽の当たらない、日陰の場所にしか彼を埋葬できなかったことは心残りだがそれも仕方ないことだ。 俺は怪我のため、穴を掘れない。タルカスは太陽の下を歩くことができない。 それでも額から吹き出るように流れ落ちる汗を一拭い、依然手は休めない。 存外短時間で終わった儀式に俺は一息つく。少し盛り上がった土を前に今一度俺は目を閉じ黙祷を捧げる。 地平線よりゆっくりとその姿を見せる太陽。その明るさに目を細めると同時にその温かさともたらす恵みに想いを馳せる。 どこまでも透き通る空の蒼さも。 囀ずる小鳥の歌声も。 俺は彼の分まで背負って行こう。 約束しよう。必ずこの先君との闘いは忘れない。そして、この俺を聖なる領域へと高めてくれたことに… 「感謝いたします」 深々と垂れていた頭を持ち上げ、足を門への方へと向ける。 儀式は終えた。俺は自分の仕事に、己を乗り越えるための場所へと帰る。 「『借り』ができたな、リンゴォよ…」 その時を狙ったのかのようにそいつは声をかけてきた。 俺とはまた違う世界を持つ男。戦士としての誇りをもち、主君に仕えることを第一としている男。 閉めきっていた門を再び開けるため体重をかけるとゆっくりと軋み唸りながらも動き始めた。 来訪者を迎え入れる準備を終え、俺は振り向くとタルカスと視線を合わせる。 日陰にしかいられず太陽の下へは出れないその体。日陰を進み絶対日光が当たらない道を進んだとはいえ危険を犯し俺の儀式の手伝いをしてくれた。 「…手伝いには感謝する。しかし勘違いするな、俺はお前のために門番をしているわけではない………」 「………」 「乗り越えるべきは相手か、自分自身か。俺はこの館でもう三人もの参加者と遭遇した」 「絶好の狩り場だと?」 沈黙で返答とした。俺は来るべき戦いに備え体を伸ばす。門を見据え、まだ見ぬ『男の世界』を夢想する。 「だが借りは返そう。即ちここで俺は約束をしよう、タルカス。『ディオ、そしてその部下どもには手を出さない』とな…」 言い終わってしばらく経ってから背後より忍び笑いが聞こえた。わざとらしいその堪えかたに俺は一息はくと少しだけ声をはった。 「聞こえたか?門の外にいるもの…お前がディオ・ブランドーの部下というならばここに手を出さないことを誓おう」 埋葬の途中、聞こえた蹄の音。僅かに風に乗って運ばれる血の臭い。 そして気配を隠そうとするその警戒心。 だからであろう。俺は姿を表したものが馬に乗った少年であっても油断するようなことはしなかった。 身軽な仕草で馬よりヒラリと降りる。その細かな歩幅で間合いをつめ俺と視線を合わせた。 「貴様ら人間にはわからぬことであろうが…小僧……血の臭いは落とせるようなものではない」 はりつめた空気。無表情の視線を変えたのはタルカスの唸るような言葉。 顔に釣り合わない歪んだ笑みを浮かべて少年は口を開いた。 「バレたってならしょうがねぇよなァー?それにお前らもDIO様組なんだろ?んならまだ…ノープロブレムだな、ヒヒヒ……!」 笑い続ける少年の正面より体半分だけ退かし道を作ってやった。俺の顔へと視線を固めたままそいつは歩いていった。 …残念だ。しかし同時に安心もした。ヤツの、あの少年の目には醜く曇っていた。 汚らわしい決闘にならなかったことを喜ぶべきなのか。それはわからなかったが。 タルカスとなにやら話し込むその会話を片耳に俺は宥めようと馬の手綱を握った。 なかなか収まらないその馬にため息を吐き、同時にまたも自分が戦いに飢えていることにきづいた。 ◇ ◆ ◇ 食器を打ち合わせるような音だけが沈黙を破っていた。 インディアンのくせにどこで身につけたかわからないがそいつはしっかりとテーブルマナーを守り、優雅なティータイムとしゃれこんでいる。 どこかぼんやりとしてうまく働かない頭でそんなことをふと思った。鈍い痛みを手のひらに感じ見てみると指先から血が流れていた。 どうから無意識の内に割れたマグカップの破片を強く握っちまっていたようだ…。 ちっ……俺も弱くなっちまったもんだな…。たくさんの仲間の死を乗り越えたあの旅は俺を強くしたと思ったのによォ………。 いつから俺はこんなセンチメンタルになっちまったんだ。 頭でそんなことを考えながら俺は手を動かす。砕け散ったマグカップの破片を拾い上げてはテーブル上に置いていく。俺の血が破片を赤のまだら模様に染め上げていく。 荒木にここに呼ばれた時、なにもかもが胡散臭く見えたぜ。作り物の世界に放り込まれて自分が信じることができるのは仲間達しかいないと思ってた。 でもよォ…俺はそう思ったはずなのに死んだ仲間の名前を見つけて…それを見て素直に嬉しくなっちまった…。 自分で作り物は信じないと誓ったくせにそれでもそいつの名前を見たときもしかしたらまたそいつに会えるんじゃねーか、なんて希望を持っちまった。 またそいつに会えると思うと嬉しくて楽しみで、あの時照れ臭くて言えなかった礼を言ってやるって俺は固く自分に約束した。 なのに…なのに、なんで死んじまったんだよ、アヴドゥル……………ッ! 液体で満たされていた欠片に一滴、二滴と涙の破片が降りかかる。 重力に従い、赤のまだらを純白に戻しながらテーブルクロスへとその姿を消していく。 くそっ、なんで泣いてんだよ、俺は…。ちくしょう、元々死んだ奴じゃねーか、ジャッジメントの時とは違げーんだよ………。 いつから俺はこんな弱虫になっちまったんだ?俺ってこんな貧弱だったか? たぶんそうだったんだろうな…。俺は、弱い。 戦いにおいてではなく精神的にという意味でだ。 だから俺はサウンドマンのやつが立ち上がった時も動けなかったのだろう。 トニオさんに感謝の言葉を言い、俺のほうにチラリと目線を向けた時に言葉を口にできなかった。 ただ呆然と突っ立つ俺を残しサウンドマンはいなくなり、扉が閉めた時のベリの音が虚しく響いていただけだった。 「どなたかお知り合いを………亡くされたのですネ」 コーヒーカップとクッキーの皿をお盆に乗せ机を片付けながらトニオさんが俺に訪ねる。 あえて俺の顔を見ないのはトニオさんの気遣いだろう。 本当に強い人だ…トニオさんは俺なんかより遥かに、何倍も強い。 サウンドマンが死者を読み上げた時からそれっきり俺は黙りこくってその上マグカップを取り落として割っちまったのにトニオさんは違う。 微塵も動揺を見せねぇ。 それどころか料理人として、笑顔を浮かべて食事をするっていう誇りを崩さなかった。一秒たりともだ。 でも俺は気づいてる。 たぶんトニオさん本人もわかってるんだろう。キッチンへと向かうその背中はさっきより少し小さく丸まって見える。 それを見ながら俺は自分の中で悲しみ以上のものが込み上げて来たのがわかった。 トニオさんも誰か大切な人を亡くした。それも一人じゃねぇ。何人もだ。寂しげな笑みとあの背中がそれを物語っている。それでもトニオさんは…笑ったんだ。 くそったれ…俺は…なにしてるんだッ! ゆっくりと立ち上がると俺は拳を握る。自分が不甲斐なかった。 トニオさんはトニオさんの戦いをしてる。パール・ジャムのスタンドは沢山の人を笑顔にしてきた。それはきっとトニオさんにしかできないことだ。 なら…俺の仕事は何だ?俺のすべきことってなんなんだよ? 決まってる。戦うことだ! ずんずんと向かっていく。その先にある目的のもの、俺はそれに手をかける。 頭を冷やせって?充分冷静だぜ、わかってるよアヴドゥル… あの旅で成長していなかったら俺はきっとすぐにでもここを飛び出していただろう。なんの自衛の術をもたないトニオさんを残してな。 だから俺はそれを取った。自分の役割を果たすため。 相手が悪党だろうとなんだろうとかまわねぇ。このままじっとなんかしてられるか! 人を殺す輩ならおびき寄せて叩く。荒木に反逆の意思を見せる奴なら仲間にする。 決断をした俺にそのコール音はやけに長く感じられた。 拳を握り直すと俺は汗ばんだ手でもう一度ダイヤルのボタンを押した。 ◆ いつもなら気にならない水の冷たさは身を切るようだった。気づいたら同じ皿を何度も磨いていて私は苦笑いを浮かべた。 「…仗助サン、…康一サン」 母国の言葉でなく彼らの国の言葉で名前を口にした。そうでないと天国にいる彼らはわからないでしょうからね。 だけど続ける言葉が見あたらなかった。何を言って言いかわからずサウンドマンさんの情報を聞いた時から同じ言葉がぐるぐると頭を回る。 「私ハ料理人トシテ……失格ですネ…」 客を前に上の空じゃ一人前のシェフは名乗れません。何時だって笑顔でお客様の笑顔をも作り上げるのが私の仕事だというのに。 けれども、けれども…この舞台でシェフに何ができるというのだろうか? バリン、と皿が砕け散る。手から滑り落ち粉々になった皿を見つめて私は思った。 料理で人を元気にする?この私が?自分でさえ元気でない料理人が? 偽りの笑顔しか知らないシェフがいったいどうやってお客様に本当の笑顔を届けることができるというのだろう? フロアに飛び散った残骸をかき集める。 堪らなく惨めで、寂しかった。 「私ハ…無力ダ………」 仗助サン、康一サン…聞こえますか?私は…どうすればいいんですか………。 ◇ ◆ ◇ 薄暗い廊下を歩いていく。やけに自分たちの足音が木霊していてそれが一層不気味だった。 外観からわかっていたけど相当広いわね、この館…。 空条承太郎を始末した後、私は吉良吉影と供にDIOの館へと向かった。吉良は嫌がっていたけどそんなことは私にどうでもよかった。 恐怖の殺人鬼も正体を知れば私にとってただの変質者でしかなかったのだから。 きっと何処かに引きこもりたがってるんでしょうね…。 最大の脅威が消え去った今、私を含む正体を知っている者を消したい…そう思ってるんでしょうけどそうはさせないわ。 最大の脅威が去ったのは私も一緒。空条承太郎という一つの城を陥落させたなら残るは残党狩り。 確かさっきの放送で…20人近く減ったのかしら?六時間で20は上々のペースね。このまま行けば今夜には終わってるかも。 ふとあたしの脳裏を過ったのはエンヤという老婆。あいつ、しっかり働いてるかしら? 死んでる?生きてる?沢山参加者を殺してくれたかしら?案外くたばってたりして。 ただ一つ言えることはあいつみたいに利用できる人数を増やしていかないとあたしはこの舞台で勝てないでしょうね…。 ラブ・デラックスじゃ遠距離型のスタンドや銃に対抗できない。勝てる手段は全て使わなきゃ……! だからあたしはDIOの館へと向かった。狂信的までのカリスマ性を誇るDIO。エンヤに代表されるようにその絶対的な力に集まる者は多い。 だからこそそこを行くッ!ギリギリの勝負にはなるでしょうね。それこそがあたしにとっての乗り越えるべき障壁ッ! 既に門で利用できる人物が二名いたことはわかってる。幸いなことにタルカス…だったかしら? エンヤの名前を出したらすぐに通してくれた。もう一人の男も気になるところだけれども…まぁ、今はいいわ。それよりも中に何人いるか、そっちが優先だわ…。 廊下の終わりの扉に手をかけると私は唾をゴクリと飲み込んだ。意を決して扉を開く。 そこは天井が高めの広々とした部屋だった。でも衝撃だったのはそんな部屋の構造なんかじゃない。何よりも中にいた人物に私達は驚いた。 「川尻…早人………ッ!?」 何処か疑ってるような吉良の声。それもそうでしょうね。あたしだって信じられない。 吉良に敗北の原因で大きな役割を占めた川尻早人。吉良が殺すべき相手としての川尻早人。 獲物を前にした精神の高ぶりからか、一歩一歩近づいていく吉良に対してあたしの脳は冷静だった。 この川尻早人がどうやってあの門を突破したの?どうしてDIOの館なんかに?その目的は? 一方の川尻早人も狼狽えた様子だった。視線があたしに移っては吉良に移り、口をパクパクさせ言葉にできないように見える。 「あなたは……、あなたは…!」 「………お前が私を知っているのか。なにも知らない小僧なのか。そんなことはどうでもいい………!」 「ここでお前を始末するッ!」 吉良は憎々し気に拳を握ると早人ににじりよっていく。今にもキラークイーンで爆発しかねない男にあたしは黙って制止をかけた。 まとわりつく髪の毛を鬱陶しそうにするとやっと冷静さを取り戻したのか吉良はその場に止まる。 「なんのつもりだ…山岸由花子………」 「冷静になりなさいよ。このガキがどうやってあの門をパスしたのよ?不思議だと思わない?」 「そんなものはどうとでも説明できる。なにより問題はそこではない…。この吉良吉影の終わりの発端が目の前にいる。それ以外になにがあるというんだ?」 もはや怒りを通りこして呆れしか沸いてこなかった。こんなにも使えないとは…買い被りすぎたかしら、吉良吉影…。 ため息一つ吐くと伸ばしていた髪の毛を呼び戻す。血みどろの親子対決という名の一方的な虐殺の観戦を決め込むとあたしは近くの椅子を引き寄せて腰かけた。 いや、虐殺っていうのは間違いね。キラークイーンでの殺人なんて一瞬ですもの。 「………ヒヒヒ」 「何が可笑しい?」 「ヒヒヒ……フフフ…ガッハハハハハ!いやいや、失礼…これだからやめられないぜ…まったく自分の能力にはほんと感謝してるぜ…」 突如笑い声をあげはじめた少年。そこに今までの面影は微塵もなく私の知らない何がそこにいた。 ゾワッと全身が逆立つのがわかった。こいつは…川尻早人じゃない。 「能力ってことはもしかしてスタンド能力?相手の姿に変装できるものかしら」 「お前頭脳がマヌケか?自分のスタンド能力をおめおめと晒すやつが何処にいるってんだよ」 「それもそうね。じゃ、一つだけ聞かせてちょうだい。 門の所にいた二人はどうもDIOの犬みたいだった。あたしが知ってるエンヤって婆さんもDIOを盲目的にまで崇拝してた。 貴方はどうもその類いに見えないけど…どうかしら?」 あたしの言葉を受け偽早人は一層顔を歪めた。にやついた顔で焦らすように返答を溜める。 「さぁ、どうだかね?まぁ、そこらへん含めてギブアンドテイクといこうか、お嬢ちゃん。 なに、嘘はつかねぇよ。こっちだって情報が欲しいのは事実なんだしよォ!」 会話を交わしたあたしの率直な感想は、扱いづらい相手というもの。 吉良のように一定のルールに従ってるわけでもなく、タルカスやエンヤのように誰かを利用すれば簡単に従うたまでもない。 自分以外を容易く蹴り落とす、ある意味純粋なプレーヤー。 口車にのせるのは…厳しいわね。ギブアンドテイクって言葉通りにうまくいっても…同盟ってのが妥当なところかしら? 「わかったわ。それなら私から話しましょう」 「ヒヒヒ…大人の世界がわかってるじゃねえか」 でも結局あたしは情報交換をすることができなかった。 扉の軋む音に振り替えると新たに三人の男があたしたちの交渉の舞台に上がったのだから。 ◇ ◆ ◇ このゲームは運命の巡り合わせ。そこに一つ一つ意味がある。 もしもジョルノとディオがリンゴォ・ロードアゲインと戦うことがなかったならば。 もしもタルカスがリンゴォに負けるようなことがあったならば。 もしもタルカスがディオを知らない時代から呼び寄せられていたら。 そして、もしこのエンリコ・プッチがDIOの館に向かうという選択肢を選ばなかったならば。 …全ては神の導きだ。 なによりも愛されているのはこの私ではない。 進む道、進む道、全てが正しい方向へ向かっていく。そんな星の元に生まれたディオ・ブランドー。 神よ、貴方が全てを決定なさっているというならばなによりもこのエンリコ・プッチとディオ・ブランドーを巡り合わせて下さったことを感謝いたします。 ディオ本人のおかげで懸念されていた門前の無益な争いは避けることができた。 タルカスとやらは太陽のもとを歩くディオを見て驚いていた。 容姿についてはなにも言わなかったことからきっと『スタンド使いになる以前の吸血鬼ディオ』に従っていた者だろう。 そう!ここDIOの館に集まる者は全てDIOの名の下に集う者! 善だろうと悪だろうとその絶対的な名前の元には情報が集まる。だから私はここへ来た。 しかし…蓋をあけたら収穫はそれ以上! 門番二人に少年を合わせると三人もの参加者。 やはり彼は神に愛されている。生まれついての王の元に民がこんなにも容易くあつまるとは…。 ただ戸惑いが生まれるのは確かだろう。 私達三人がディオを先頭に部屋に入った際も三人が三人、僅かに表情を変えただけだった。 つまるところ、『この時代』のディオを知らないのかもしれないな…。 だから私は語った。名を名乗りディオという実例を元に私は先ほど四人で纏めた荒木の能力についての仮説を三人に説明した。 ちなみにタルカスやリンゴォを呼び込むようなことはしなかった。襲撃者を恐れてというのもあったが何より…彼らは頭脳がアレそうだったのでね。 独自の価値観を持つものと戦士にこの話をしても別段利益があるようなものでもないしな…。 私の長い仮説を聞き終えた三人の反応はディオを見たときのそれと対して変わらなかった。 三十代近くの男はそもそも話に興味がないのか、なんの反応を示さずどこからか持ち出した紅茶をたしなんでいる。 少女と呼ぶには幼すぎて、女性と呼ぶには成熟されていない彼女は話の最中僅かに眉をつり上げ視線を少しさまよわせたがその程度。 すぐにもとの鉄仮面に表情を戻してしまった。 そして少年は…最初こそ目を細め胡散臭げに私の話を聞いていたものの、最後には子供とは思えないゲスじみた笑いを浮かべニヤニヤとしていた。 …どうもタルカスの時とは勝手が違うようだな。 ほんの少しだけ不安を抱きながら私は話を進めることにした。 「私の仮説になにか質問は?」 お互いがお互いの反応を伺うような微妙な沈黙。 男はチラリと視線をあげたがその後は知らぬ存じぬを貫く。 彼女は仮面を張りつけたまま微動だにせず。 少年は笑いを堪えきれず忍び笑いを漏らす、それだけ。 …なんなんだ、この三人は。私は知らず知らずの内に苛立ちを覚え始めていた。 主たるディオがいるのにこの態度。まずそこが堪らなく不愉快だ。 いったい何を考えているというのだろう。よもや王座を狙おうとしている輩どもか、と疑いも沸いてくる。 私は少しだけ語調をきつくしながらも疑問を口にした。 「どうやら私の仮説を信じてもらえたようなので私から君たちに質問したい。 君たちは正確にどの『DIO』に仕えていたのか?各々とDIOの関係について詳しく聞きたいと思ってるのだが…」 真っ先に返答をしたのは彼女だった。髪をかきあげながら口を開いた。 「それに答えて私達になにかメリットはあるのかしら?」 思わず耳を疑った。なんだと……今なんと言った?この女はなにをほざいた? 「ヒヒヒ…お嬢ちゃんのいう通りだ。ここじゃ情報が命だからな。ただ一つだけ言ってやろうか? 少なくとも俺が知っているDIO『様』はこんなもやしっ子じゃなかったぜ。 一度対面しただけだったが滲み出るようなカリスマ性とやること全てが正しく思える絶対的な支配力。 そこのお坊ちゃんじゃ………ヒヒヒ……!役不足だ」 こいつは今何を口にした?!何を主張した?! 血液が逆流するほどの怒りが私の中で持ちあがる。もはや私は聖職者という仮面をつけている自信がなかった。 一人の友を侮辱されたという事実が私を一人の人間に戻した。スタンドが答えるかのように私より浮かびあがりそうになる。 奴らに相応しい処刑を施す!私の夢、偉大なるDIOの目的、天国を侮辱した罪はあまりに、重い。 そう思い怒りの言葉が口うをつきそうになった時だった。 「いい加減にしろッ!!」 その声に私は冷水を浴びたかのように一気に冷静を取り戻した。 予期せぬ声に反射的に振り向くと怒りに拳を握りしめ、身を震わすディオの姿が目に入った。 私は失念していた。一番に屈辱に曝されたのはほかでもない、ディオ本人なのだ。 「さっきから黙っておけば言いたい放題言ってくれたな、貴様らッ! 人をモノか何かのように扱い見下した態度ばかりッ! よくも…よくもこのディオに向かってッ!…この汚ならしい阿呆どもがァーーッ!!」 私は…なんという勘違いを犯してしまったのだ。説明はこのエンリコ・プッチがすべきでなかった。 全てをディオに任せるべきであった! ディオが話すことで未来の彼と比べると無力ながらもそれを乗り越えんとする決意を示すことができたというのに…! 時既に遅し。ディオはそれだけ言うと憤怒の表情で扉に向かって突進。 数秒後には階段をかけ上るような音だけが虚しく部屋に響く。 「無理もありません。彼は人一倍プライドが高い。 この舞台で彼は思い通りにならないことばかりにぶち当たり、無力感に苛まれていたようですから。 そこにあなたたちの未来のディオ・ブランドーの偉大さを突きつけられては…」 今までずっと沈黙を守っていたジョルノが突然立ち上がった。彼は三人のもとへゆっくりと向かっていきながら話を続ける。 「あなたたちが期待していたディオ・ブランドーが彼でなかったというのならばあなたたちにとってここに来たのは無駄になってしまいますね…」 私としては反論したい意見だ。だが彼ら三人はどこか同意しているようだった。 ジョルノの言葉を続ける。 「でも僕はそうは思いません」 「なぜならこのジョルノ・ジョバーナがあなたたちにとってのディオ・ブランドーとなるからです」 だから私は続けられた言葉に度肝を抜かれた。今、なんと………? ジョルノ以外の四人が呆けた顔でいる間にたたみかけるようにジョルノは言葉を続けた。 「僕は荒木を倒して全てを手に入れるつもりです。 首輪をつけ殺す覚悟がある以上ヤツに殺される覚悟を見せつけなければならない。舐められぱなっしは嫌いなタチなんです。 時間を操作するヤツの能力を手に入れるには荒木を殴ってでもやらせなければならない。そのために僕は荒木をねじ伏せるつもりです。」 私はとんでもない勘違いを犯していた。この短時間に二つも、だ。 ディオの王としての器を信じきれなかったこと。そしてジョルノの王としての器を見極めきれなかったこと。 誰かを失い動揺していると決めつけたのは私だ。 だが彼はそんな逆境をエネルギーへと変えることができる王の素質を持っている! それもこの土壇場で!なんという肝っ玉だ…。 「もちろん僕が信頼ならないという方もいると思います。ですから今すぐにとは言いません。強制もしません。 荒木を打ち倒す、その共通の目的へと向かう仲間を僕は募ります!」 三人は完全に彼に呑まれていた。いや…正直に言おう。私自身も呑まれていた。 その背中はとてつもなく大きく見え、私は偉大なる父の影を彼に重ねていた。 それほどまでにジョルノはこの場を支配していた。 「そうですね…では僕と協力してくれるというならば第二回放送時にここで誓いをたてましょうか。 僕も人を待たせてましてね…今すぐにとは行かないわけでして。緊急時にはここにいるエンリコ・プッチ神父が代理になってくれます」 ジョルノ・ジョバーナ。なんという人物だ。私は…私は二人の帝王に恵まれてしまった。 神よ、貴方に再び感謝を述べたい。私をジョルノ・ジョバーナと巡り会わせた貴方の運命に…私は感謝いたします。 ◇ ◆ ◇ 権力を望む者は高い場所を好む傾向にあるらしい。フン…権力、か………。 俺は開け放たれた窓より町を見下ろした。 少し高い所にあるからだろう、吹き付ける風は絶え間なく、怒りに火照った頭をいい具合に冷やしてくれた。 怒りか…。そう、怒りだ。そんな言葉では生ぬるいほど俺は怒っていた。今だかつてないほどに。 しかし今の自分にとってみればそれは恥ずべき自分の汚点だ。確かに俺は侮辱を受けた。それもあんな年端のいかないいけ好かないガキに、だ。 それは言い訳にはならない。そう、俺は誓ったはずだ。七年前、ジョジョの思わぬ反撃にあった時俺は自分に誓ったはずだ。 『自分の欠点は怒りっぽいところだ。反省しなくては!よりもっと自分の心を冷静にコントロールするように成長しなくては………』 そして数時間前にも誓ったはずだ。 『自称未来の友を筆頭にスタンド使いを“上に立って利用してやる”のだッ!』 あれは俺の失態だった。もちろん下手に出るという意味ではない。このディオ・ブランドー、なにがあろうと誇りだけは捨てん! 大笑いの一つでもしてやればよかったのだ。奴らに見せつけるべきだったのはほかでもない。 このディオの帝王としての器!上に立つものとしての度量の広さ! 成長するとは即ち成長『できる』と言い換えることができる。 認めよう、この俺はまだ完成してない未熟者だ。 だからこそ俺は伸びることができる。どこまでもな。 風が与えた静かな時間は俺にとって予想以上に有意義なものとなった。 フン…不思議なものだ。思い返すと一人なったのは殺し合いが始まった直後、ここにいた時以来だな。 数時間前のことがやけに遠く感じられる。俺はそんな自分に知らず知らずの内に笑みを浮かべていた。 もしかしたら長時間もの緊張状態で神経がはりつめていたのかもしれんな…。 それにしてもここが『DIOの館』とは奇妙なものだ。未来の俺が支配した場所で俺は誓いを立てた。そして再びか。 これも何かの因果か………フッ………。 スッキリした頭にもう一度新鮮な空気を入れると今一度伸びをする。さて、下に戻るか。 だがそう思った俺の耳に階段をゆっくりと昇る靴音がはいる。今さらなにか。この俺を無能と罵った奴らがなんの用だ…? 警戒心から俺は気を引き締め少しだけ階段より距離をとった。 「…何か用か?」 階段を昇ってきたのは女だった。プッチの話にいちゃもんをつけたのは確かコイツだったな…。 あの状況にも関わらずあの堂々とした態度からは自信が読み取れた。さてはコイツも『スタンド使い』…なのか? 頭を働かせる俺とは対照的に女は階段を昇りきった場所でふと立ち止まる。 そしてどこか遠い目をしていきなり話を始めた。 「貴方のことは…エンヤっていう老婆に聞いたの。きっと貴方にとっては未来のディオなんでしょうけど…色々と教えてくれたわ、彼のこと」 夢見る表情の女は話を続ける。 「確かに噂通りだったわ。今、確かに貴方は無力だわ。正直な話…こうやって向かい合ってても全然恐怖は湧いてこない。」 「でもね、そんな貴方でも何かやってくれるんじゃないかっていう期待が自然に湧いてくる。 この人についていけばっていう希望が見えてくる。でもね…」 「私に…もうその『希望』は必要ないの」 全身の毛が逆立つような恐怖。馬鹿な、この俺が…脅えているだとッ?! 俺に突きつけられた銃口。その穴より深く、何処までも暗い女の目に吸い込まれる感覚に襲われた。 「貴方を利用させてもらうわ、ディオ・ブランドー。 死にたくなかったら私のいう通りに従いなさい。本当よ、殺したりはしないわ…従ったらね」 くそっ、なんなんだコイツは!自分の顔が青ざめるのがわかる。何故こうも立て続けに…ッ! だが起きてしまったことはどうしようもない。冷静になるのだ! 「それはつまり…どういうことなんだ?」 少しでも会話を長引かせることに集中する。その間に何か策を考えなければ、俺の命は、ない。 俺の目論みを悟っているのか、それとも他の理由からか。女は余裕たっぷりの笑みを浮かべると素直に口を開いた。 「そうね…話で済むならそれもそっちのほうが楽ね。用件はたったひとつよ、ディオ・ブランドー。 私に従いなさい。…三度目は言わせないでね、私としても時間はない事はわかってるの」 「…質問が悪かったな。『従わせる』、それはなにをだ?この無力な俺を従わせて何の利点がある?武器を持っているお前が」 退かない、媚びない、屈さない…!もう、これ以上この俺が惨めな目にあってたまるか! 俺の些か強気な態度が女の『なにか』に触れたようだ。 先程の笑顔が消えると女の顔がぴくぴくと震える。どうやら俺の発言がお気に召さないようだな…。 それでも表面上は確かに冷静を装っている。だが額に浮かんだ青筋を俺は見逃さなかった。 「ディオ・ブランドー。貴方の名に集まる部下を使って殺し合いを加速させなさい。 ここには何人もの殺しを否定する偽善者がいるわ。その輩を全員殺すのには私の力が足りない」 「そこで貴方を利用する。時代を超え、何人もの臣下を持つ貴方。 頭が回らないタルカスのようなウドの大木も頭が優秀な指揮官ならば使いようはいくらでもあるわ」 「そうね、私もはっきり言わなかったのが悪かったわね…つまり私が言いたいのは…」 「このディオをマリオネットにお前が背後より…この俺の軍団を支配しようというのか…ッ!?」 それはこの俺が尤も屈辱だと感じること。思わず零れ落ちた俺の言葉。 殺されもせず、かといって自由もない。ただこの目の前にいる女に利用されるだけのためにこの先生きる。 外れていて欲しいと思う俺の希望を打ち消すように、よくわかったわね、と言わんばかりに浮かべられた女の笑みが憎い。 だが、そうだ、これも冷静に考えてみろ。これはすなわち圧倒的有利じゃないか? それはつまり俺を生かしておかなければできないこと。ヤツの目的は俺を利用することだ。 ならば例え俺が反撃しても殺すことはしないはず…ッ! 加えて銃を発砲しようものならば下にいる誰かがここに来るはずだ。そうなればこいつは破滅…! そうだ、これは試練だ。未来のDIOを乗り越えるチャンス! そして…思い知らせてやるッ!このディオを舐めたことを…必ず後悔させてやるッ! 俺は下唇を舐めると流れ落ちる汗を拭う。 少しだけ離れた場所にある自分のデイバックににじりよる。 そんな俺を後押しするかのように風が一陣駆け抜けて行った。 ◇ ◆ ◇ 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2506.html
ディオは一人考える。主人が『ゼロ』なら使い魔の評価もそれに準ずる。ルイズはともかく 自分の事を周囲に認めて貰うには贄が必要であると… おれは使い魔になるぞジョジョーッ! 第六話① 時は遡る。ルイズは昼までかかって部屋を片付けた。ディオに命令してやらせようかとも思ったが、殴られた恐怖は簡単に消えず、 結局自分で片付ける事にした。だが掃除が昼前に終わったのは、いつの間にかディオが手伝ってくれた為である。 最もディオが掃除を手伝ったのはディオは主人を見捨てる使い魔であるといったようなマイナスイメージを避けるためのものであったが。 昼食を取る為に食堂に行くルイズ。ディオは相変わらず姿を消したようだ。いつまでその態度が持つか、ルイズはディオと根競べをする事に決めた。 ディオもまた人間である以上兵糧攻めをすれば勝のはこちらなのだ。ルイズは勝利を確信してほくそ笑んだ。 「…フンッ!」 ディオもまたルイズに屈する気はなかった。使い魔に身を窶しても床で食事を取るくらいなら餓死を選ぶ、それがディオである。 誰もいない廊下を歩きながらディオは考える。 (そう、今朝纏めたようにおれに今必要なのは必要な時に利用できる『友達』だ。だが、あのガキは『ゼロ』のあだ名の通り 生徒どもから馬鹿にされているッ!その『ゼロ』の使い魔であるこのディオがきっかけを掴む為には誰か適当なメイジを倒し おれの株を上げる事が一番いい。だが、いきなり喧嘩を売るわけにもいくまい。どうすればこちらに後を引く非がなく 適度な強さのメイジを皆の目の前で倒す状況に持っていくか…) 考えていると腹の虫が鳴る。悲しいかな、いくら鍛えていても人間である以上腹は減る。 「くそッ!忌ま忌ましいッ!本来だったら今頃、おれは人間を超越した存在になっていたはずだッ!それが今、 ガキの我が儘ごときに我慢しなくてはならないこの状態が気に入らないッ!」思わず壁を叩く。 「あの…」 どこかで聞いたような声がしたので振り返ると、今朝会ったメイドがいた。 「ふむ、なかなか…いや、とても美味しいよ」 数分後、ディオは厨房で食事を取っていた。朝出会ったメイド、シエスタは厨房で働いていたのだ。 (今朝の縁がこんなところで生きてくるとはな…。) ディオの顔に黄金色のお菓子を目の前にした悪代官のような笑みが浮かぶ。 (だが!それよりもルイズの鼻を明かしてやった事がなによりも愉しいッ!ンッン~~♪ 実に! スガスガしい気分だッ! 歌でもひとつ歌いたいようなイイ気分だ~~フフフフハハハハ…) そんなディオをシエスタは料理を喜んでくれていると思い、ニコニコと見つめる。 やがて、そんな二人を見つけて太った中年のオヤジが近づいてくる。料理長のマルトーだ。 「あ…私、デザートを配ってきます!」 マルトーを見つけたシエスタは思い出したように立ち上がると、デザートを乗せたお盆を持って厨房を出ていき、 代わってマルトーがディオの隣に座る。 「あんたが貴族に召喚されたって平民か?シエスタに聞いたよ。しかも主人は高慢ちきだって話じゃないか。 ついてないもんだな。確かディオだったかな?自己紹介が遅れたが俺はマルトー、ここで料理長をしている」 握手を求めるマルトーを上手く避けながらも慇懃に答えるディオ。 「マルトー…さんがこの料理を作ったのですか?」 「ああ、そうとも!この料理は賄い物だがあの食堂でくっちゃべってる貴族サマとおんなじモノだ。 奴ら、自分で言うのもなんだがこんな美味い料理を三食食って当たり前ってツラしてやがる。理不尽だとは思わねえか?」 どうやらこのマルトーとかいうコックは貴族を嫌っているらしい。 「あいつらは、なに、確かに魔法はできる。土から鍋や城を作ったり、とんでもない炎の玉を吐き出したり、果てはドラゴンを操ったり、 たいしたもんだ!でも、こうやって絶妙の味に料理を仕立て上げるのだって、言うなら一つの魔法さ。そう思うだろ、ディオ」 完全に自分の世界に入っているマルトーにおざなりに同意すると続いて大笑いする。忙しい男だ。 「気に入った!お前さんわかってるじゃないか!いつでも食べに来てくれ!大歓迎するぞ!」 これで食の問題は解決した。次はメイジの件だが… その時、少年の怒号とシエスタの詫びる声が聞こえた。 「どうしたんでしょう。ちょっと見てきます」 とディオは立ち上がる。丁度良く向こうから機会がやってきたらしい。ディオは罠にはまった獲物を見つけた猟師のような笑みを浮かべると、 騒ぎの現場へと足を向けた。 「どうしてくれるんだ!君のせいでボクの制服が汚れてしまったじゃないか!」 先ほどから怒っているのはトリステイン王国屈指の名門であるグラモン伯爵の四男、ギーシュ・ド・グラモンである。 どうやらデザートを配っていたシエスタが向こうから取り巻きとやってきたギーシュにぶつかってしまったらしい。 ぶつかったとは言っても軽く触れただけだが、その少し前に付き合っている相手、ケティから他に交際相手がいるのではないかと 問い詰められていた為、機嫌が悪かったのが災いした。平民とメイジの階級の違いの故かギーシュの取り巻きはもちろん、 他の生徒も遠巻きに囲んで眺めているだけであり、誰もギーシュを制止しようとしない。 「お願いします!どうかお許し下さい!」 シエスタは必死に懇願する。経過はどうであれ平民がメイジを怒らせた以上、最悪殺されるかもしれないのだ。 その様子を見てギーシュは内心たじろぐ。相手は若い女の子でしかもなかなか可愛い。女の子を泣かせるのはギーシュとしては苦手な事であったし 今は何も言わない周りもこの状況が続けばギーシュの味方でいつづける確証はない。ちょっと怒ったら向こうがオーバーリアクションを取った。 うん、これで大丈夫。そう考えるとギーシュはその場を納めようとし、 パリン 何かが割れる音が響き渡る。 「おっと、すまないね。きみのポケットから香水の瓶が落ちたんでね、拾おうとしたんだが誤って踏んでしまったよ」 振り返ると最近『ゼロ』のルイズが召喚したという使い魔がニヤニヤしながら片足を上げており、 その下には見るも無惨に割れた紫色の瓶「だったもの」が散らばっていた。 「おい、あれはモンモランシーの香水じゃないか!」 「ギーシュはモンモランシーと付き合ってたのか!」 周りから声が上がる。 「なっ、し、知らない!」 とたじろぐギーシュだが、その時周りの生徒から一年生の女の子、ケティが飛び出してくると 「ギーシュさま…やはりミス・モンモランシーと付き合っていていたんですね!この…大嘘つき!」 と叫び、ギーシュの頬を引っぱたく。 そして女の子と入れ替わりにモンモランシーがギーシュに近づくと、無言でワインの瓶を掴んで逆さにしてギーシュにかけ、 おまけとばかりに向こう脛を思いっきり蹴りつけて去っていく。この三文喜劇の三枚目のようなギーシュに周りの生徒達は大笑いする。 ギーシュは暫く屈んで呻いていたが、やがて起き上がるとまだにやついているディオを睨み付け 「いいだろう、僕を侮辱した事を後悔させてやる。ヴェストリの広場にて待つ!死ぬ覚悟ができたらこい!」 と叫び、見張りの一人を残すと取り巻きを引き連れて立ち去った。 「ちょっと!あんた何してるのよ!」 ルイズが叫びながらやって来る。 最初ギーシュが叫んでいた時は無視していたが、あまりにも騒がしいので振り向くと自分の使い魔がギーシュに喧嘩を売っていたのだ。 だがルイズの身体では人混みの中なかなか二人に近づけなかったのだ。 「なにってこれから高慢ちきなメイジを『少し』懲らしめるのさ」 「あ…あんた…」 呆れたような声をあげるルイズ。 「わかってるの!?メイジに喧嘩を売ったのよ!」 「…それで?」 「なんであんなことしたの!?遅いかもしれないけど私も謝ってあげるからギーシュに謝りなさい!」 とディオの袖を掴み、引っ張っていこうとする。シエスタも我に返ると必死でディオを押しとどめようとする。 だがディオはルイズの手をゆっくりとふりほどく。 「勘違いしてもらっちゃ困るな、ルイズ。ぼくはああいう中身がない癖に威張り散らす手合いが大嫌いでね。それに借りは返す必要がある。」 なぜかシエスタはぽっと赤くなる。 「ばっ馬鹿!いい?平民はメイジに絶対に勝てないの!ってちょっと聞いてるの?」 とルイズはなんとか決闘をやめさせようとするが、ディオはそれを無視して見張りに 「武器を持ってくる時間くらいはくれるだろう?」 と聞き、許可を得るとシエスタに2,3訊ね、厨房へと消えていった。 to be continued…
https://w.atwiki.jp/wiki9_vipac/pages/301.html
フェリアルギアスの死から数日。 ヴェルギリアスはショックの余り、体調を崩した。 ハンスとマリアは主に様々な準備、後始末をした。 リウェッタは夢と現実の二重の苦しみを味わった。 グーはマリアの代わりにリウェッタの面倒をみた。 桃白々一号は責任を感じ、一時は辞職まで考えた。 チーム桃白々を始め、隊員達は一号を引き止めた。 ラモンは今迄以上に整備、そして警備を強化した。 ディオは正直な所、何が何だか解っていなかった。 何故、自分が此処に居るのか。 何故、自分の周りで人が次々死ななければならないのか。 何故、自分の中で埋もれていた過去の記憶が戻りつつあるのか。 何故、そう、何故。 スタードラゴンなんてものが現れなければいけなかったのか。 アルーシャスなんてものが現れなければいけなかったのか。 ディオには解らなかった。何一つ。 だから、早くこんな事は終わらせたい。そう、願い。そして行動した。 彼女の死から更に数日後。事態は急展開を見せる。一人の少女の手によって。 だが少女は何もしていない。見ただけで、何もしていない。 少女・リウェッタは夢を見た。 広い、大きな建物の中。その中で様々な声を聞き、様々な物を見た。 飛び起き、今迄見ていた夢の内容をしっかりと思い出し、心に刻む。 彼女は自分の中で整理をつけると、傍らに眠る女性の肩に手をかけ、揺さぶる。 「マリア!起きて、マリア!」 「…何ですか、リウェッタさん?」 欠伸をしながら聞くマリア。間髪いれずにリウェッタが声を荒げる。 「見た!見たの!」 彼女が飛び起きたのは早朝。 彼女の話を聞いたマリアは、とりあえずリウェッタを落ち着かせた。 マリアが桃白々一号にその話をさせたのは、それから数時間後。昼間の事だ。 「…見た…その、研究者のいる場所を。夢で?」 一号が不信そうに聞き返す。リウェッタが答える。 「そう、見たの」 真剣な顔のリウェッタだが、一号は流石に信じられない。 「リウェッタさんの夢は良くあたるのよねぇ」 「あたる…たって。夢…なんだろ?」 抗議しようとしたリウェッタを、どこからか現れたラモンが制した。 「セイセイセイ…隊長、この子の夢は。本当ですよ」 普段の彼からは想像もつかない真剣な態度だった。 一号に様々な経緯を説明するセヴンビークス一同。 にわかには信じがたい話だが、こうも本気で話されれば認めざるを得ない。 「ああー…まぁ、あれだ。合ってればもうけもんだしな」 ディオが提案する。 「情報…というか、今はこれしかないんだから。行くしか無い」 皆が頷いた。 本日、リウェッタが夢で見た場所の調査が決定した。 彼女が夢で見た場所は大きな研究所のような場所。 AC規格で作られており、かなり大きいものだという。 ホーム近くの山脈から、研究所に入る為の隠しゲートがある、とのこと。 研究者討伐に乗り込む部隊はかなり多い。 チーム桃白々、セヴンビークス、そしてディオ。 前回の襲撃を考慮し、残りの隊員は各々警備についたりなどしている。 情報が夢という不確定なものなので、殆ど身内で固めた編成だった。 研究者にはスタードラゴンと繋がりがある。 彼らを捕らえる事は、スタードラゴンへの近道でもあった。 「領域に到達、ACを投下します」 久々の仕事である鈴。ディオも彼女のオペレータとしての声を聞くのは久しい。 多種多様な9機ものACがホーム近くの山脈へと投下された。 「まずは…入り口を見つけないとね」 桃白々Ⅳ号が提案する。だが、数人がこの状況に疑問を感じた。 「なんで此処まで近くにいるのに奴らの反応がないんだ?」 声に出したのはディオだったが、彼以外にもこの疑問は抱いていた。 「やはり…此処には何もないのかしら?」 通信機から鈴の気落ちした声が聞こえて来た。次いで、言葉を続ける。 「とにかく調査ね。気づいてないだけって可能性も無いとは言えないし」 当の研究者3人はこの状況に勿論気づいていた。 気づいてはいたが、どうしようも無かった。 調査している連中からすれば、夢なんてものを根拠に調べているだけだが。 実際は、完璧な奇襲である。研究者は度肝を抜かれた。 「なぜこの場所が解ったんだ…いや、まずはこれをどうするかだ」 陰鬱な声が叫んだ。研究者の一人、ガルーシャという男。 「この場所は絶対に解らないはずじゃなかったのか!」 アレフが取り乱す。最後の一人も何かの機械に話しかける。 「どうなってるんだ、答えろ」 機械からの返事は無い。 何度も試みるが、反応は一切返ってこない。 「おい…まさか、俺達は見捨てられたってのか?」 言い終える前に、通信機を思い切り叩き付ける男。 「止めろ!レグナス。そうさ…きっと壊れたんだ。故障だよ…」 陰鬱な声がレグナスを制止する。 「そうだ…俺達は、協力者だ。新世界へ旅立つ人間だ!」 アレフが狂った笑い声を上げた。 今もディオ達が頭上に居る事などすっかり忘れ、笑い続ける。 「あった!あった!これじゃないですか?」 叫んだFIVE号の元へ、集まるレイヴン達。 「良くやったFIVE号!」「本当に…あったのか」「やったな!これで」 口々に喜びの声を上げる。 中でもハンスは心中歓喜の声を上げていた。 (やっと…俺の、皆の敵を討てるのか) 彼らは地下研究所へのゲートをくぐっていった。 「侵入者警告…奴ら、ここに気づいた…」 ガルーシャが普段より一層陰鬱な声を出す。 「繋がらないのか…本当に故障なんだろうな…俺達は、一体」 アレフの問いに、機械をいじりまわしていたレグナスが答える。 「駄目だ、受送信を拒否されてる」 絶望を形にしたその声は、研究所の一室にやけに響いた。 地下研究所へと入って行ったディオ達を待ち受けたのは、無数の無人MT。 彼らのACの前には力無く崩れさるばかりだが、数が多い。 たった3人の研究者が個人レベルで所持できる多さではない。 また、その種類も多彩・かつ協力で明らかに可笑しい。 もっと言えば、この施設そのものが可笑しい。 彼らはどうやってこの施設と無人MTを手に入れたのか。 様々な疑問がディオの頭にと浮かんでは消える。 (奴らに聞けば…解る事か) ガードメカをブレードで斬りつけ、先へ進む。 新たなゲートを通るディオをハンスとマリア、グーが追いかける。 チーム桃白々達は別行動、2チームに分けて施設内を回っている。 「ディオ、桃白々達がアルーシャスと接触したわ!」 鈴からの通信を受ける。咄嗟に計算を開始するディオ。 (全部で9機…いや、それ以上あるかもしれないな) 元々の数が定かではないので、結局ACアルーシャスの数は把握出来ない。 (仮に9機だとすると…残りは5機くらいかな) 先日クーゲルシュライバーを襲撃したアルーシャスの内、3機を撃墜。 ホーム跡で桃白々が撃破したものと合わせると撃破総数は4。 桃白々達の無事を祈りつつ、彼らは歩を進める。 『アルーシャスを撃破した、こっちは全員健在だ』 一号からの通信、ディオは内心ほっとする。 続いてハンスの声が通信機から聞こえて来た。 「やるねぇ、こっちはまだ…じゃねぇ!来やがった!」 叫ぶハンスの目の前に、漆黒のACアルーシャスが現れた。 (Ⅰ機だけか、良し!行ける) 直ぐさま応戦するハンス、ディオ達も加わろうとするがそれを制する。 「ディオとマリアさんは先に行け、グーと二人居れば大丈夫だ」 「ハンスさん、大丈夫なの?」 マリアが不安げに答えるも、ディオは相変わらず陽気な声で答える。 「だーいじょーぶ。それより、奴らに逃げる時間を与えちゃ駄目だ!」 承知したのか、AC閃花もアルーシャスに攻撃を加える。 マリアとディオは、先へ進む。 当の研究者三人は逃げる事など一切考えていなかった。 目の前に状況に絶望し、アルーシャスが撃破された事にさらに絶望する。 アレフは狂ったように笑い続け、ガルーシャはその場に項垂れ、何もしない。 唯一レグナスだけがまだ機械と格闘を続けているが。それも無意味だ。 道が二手に分かれていた。ディオは直ぐに鈴に助けを求めた。 「左側は…どこか別の場所へ通じているのかしら?とにかく、進むのは右ね」 了解、と短く返しディオとマリアは施設奥へと更に進んで行く。 「ディオ、クーゲルシュライバーの応援が到着したわ」 残りの隊員達も続々とこの研究所へと入って行く。 完全に研究者三人の命運は尽きた。 もとより、彼らは既に戦意も生意も喪失していた。 AIで動くACアルーシャスと無人MTだけが、空しく抵抗を続けるばかり。 『あー…王兄妹。未確認ACと接触、撃破する!』 『弾薬が切れた!誰か助けてくれ!』 『未確認ACを撃破した!よっしゃあ!って、うわっ!なんだ』 『なんであんたが此処に…って、おい!』 (何だ?何が…とにかく、アルーシャスの数は減って来ている) 「ディオ!そちらに二つの熱源を感知、別方向から来るわ!」 この言葉にマリアがすぐにレーダーを確認する、点が二つ。 だが、一つは友軍信号を示している。もう一つは敵反応・アルーシャスだろう。 「ディオさん、左側からくるのはどうやら味方のようです」 マリアが告げる、が鈴がそれに反応した。 「味方?味方なの?だって…こんな反応…」 (なんだってんだ?) 左側のゲートが開く、反射的にディオは銃口を向けた。 現れたのはデモリッシュ。レイヴン・ティラの機体だった。 「え…?」「あら!?」 驚きの声を出す二人。デモリッシュは動かない。 確かに友軍信号を出している。あのデモリッシュが、だ。 「デモリッシュ…?でも、味方?あ!アルーシャスが!」 鈴の叫びと同時に、右側のゲートから勢いよくアルーシャスが飛び出した。 応戦したのはデモリッシュ。立て続けに銃弾を浴びせる。 「これは…任せても大丈夫かな」 呟くディオ。意外にも、それにティラが反応した。短く、一言だけだが。 「行け」 突如現れたティラを跡に、ディオとマリアは進む。 暫く進むと、ひときわ大きなドーム状の場所へと辿り着いた。 ディオのACのちょうど目線あたりに、ガラスが見える。 その中には、研究者3人が居る。 「奴らを発見。どうすれば良いんだ…?」 思わず助けを求めるディオ。 「実質、既に拘束状態にあります。まず、聞きたい事が沢山あります」 マリアの少なからず怒りのこもった声が響く。 『ディオ…そいつらの様子はどんなんだ?』 ハンスの通信を聞き、ガラスの方へとカメラを移動させ、更に近づく。 目の前の画面の中央で、3人の男がこちらを見据える。 (こいつらが…ハンス達の…いや…俺も…なのか?) ディオの思考を遮るように、通信が入った。即座に受信する。 「ハ…ハハ、ようこそ。レイヴン諸君」 狂った声だった、何かが可笑しい。 「貴方達に、聞きたい事があります。それも沢山」 マリアが冷ややかに宣言する。男達は動じない。 「"彼"との関係は?」 肩装備のグレネードの砲門を研究者達の方へ向けながら問う。 先ほどまでまだらに聞こえていた通信機からの声が途絶える。 「スタードラゴン。伝説のレイヴン・アルス。ハハッ、そんなのも居たな」 研究者の一人、アレフが答えにならない答えを返す。 「俺達は、利用されてただけなんだ…俺達は…新世界から見放された」 ガルーシャが陰鬱な声を出す。少々の狂みをおびている。 「…新…世界?」 聞いた事の無い言葉に思わずディオが問いかける。 「そうだ…新世界だ。ハハッ!でももう関係無いんだよ!」 両手を広げ、叫ぶアレフの姿がディオにも確認出来た。 隣で、何も喋らない男が何かの機械で何かの操作をした。 「皆…そこから脱出して!早く!熱源反応…自爆だわ!」 鈴の叫びが聞こえた。瞬間、様々な声が通信機から聞こえて来た。 (自爆…だって!?) 直ぐさま引き返すディオ。だが、鈴鳴は動かない。 「マリアさん!何してるんですか!」 「彼らを…彼らを…」 呪文のように呟くマリア。そして、ハンスの叫び声が聞こえる。 『マリアさん!そいつらはどうだっていいんですよ!もう!』 「…でも!」 『貴方も死ぬ気ですか!?リウェッタをこれ以上悲しませないでくれよ!』 「早く!」 ディオも叫んだ。マリアは…名残惜しそうにその場を後にした。 ひと際巨大なゲートをくぐり抜けた直後、ゲート奥から爆音が響いた。 彼らの居た場所はほぼ最新部。誰よりも脱出に時間がかかる場所に居た。 施設中の赤いランプが点灯し、けたたましく警報まで鳴っている。 「急いで!時間に余裕が無いわ!どんどん施設が埋まって行く…」 爆発により、次々と施設が地中へと沈んで行く。 連鎖的に崩壊するよう設計されているらしい。 (なんだってこんな自爆する施設なんか!) 逃げながら、やり場のない怒りを覚えるディオ。 そしてあの分かれ道まで戻って来た。 先ほど鈴に右に行け、と言われた分かれ道。 マリアが先へと進んで行く、後を追いかけようとしたディオは、見た。 正面ゲートが開き、その先に、青いACスタードラゴンが居るのを。 先ほど鈴がどこかへつながっている、と言った事も思い出す。 (スター…ドラゴン…なんで…この先に…何が) 「ディオ!どうしたの!?」 「スター…ドラゴンが…」 「え?…そんな、熱源反応は…何も…ディオ?」 崩れ行く施設を感じながら、ディオはスタードラゴンを見続ける。 スタードラゴンは振り返り長く続く通路の奥へと消えて行く。 まるでディオを誘うかのように。 「俺…行って来る」 「ディオ!?何言ってるの、今はそれどころじゃないのよ!?」 鈴の叫びを途中から遮って声が聞こえた、マリアの慌てる声。 「ディオさん!!ゲートが…閉まっ…ロックが!」 道は、一つしか無かった。 『ディオ!』 色んな人の叫ぶ声が聞こえる。自分の名を呼ぶ声が聞こえる。 彼はその声を後に、スタードラゴンが消えて行った通路を進む。 途端、通信機から一切の音声が途絶えた。外界と一切遮断されたのだ。 (この先に…答えがある) 胸の中に生まれた何かを感じ、彼は進む。 その奥に待ち受ける真実と、スタードラゴン目指して。 そして、眩しいくらいの光が、彼の眼前に広がった。