約 579,076 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/14.html
「ゼシカ?」 「なによっ」 「なに怒ってんだよ?」 「別に怒ってないよーだっ! もう、どっか行ってよ!」 「えらいご機嫌斜めだな・・。 今日は姫様があのブサイク王子と結婚しなくてすんだめでたい日だろ? パーッと行こうぜ!」 「…。 ……。 ククールってデリカシーないよね」 「はい?」 「どこでもかんでもすぐに女の子口説いてさ。 一緒に旅してたときもそうだったけど、世界が平和になって開放的になってから ますますひどくなったんじゃないの? トロデーン城でも女の子はべらせてたし。 私たちにとっては嫌な結婚式だったけど、一応国的にはおめでたい儀式だったんだよ? そんな神聖な儀式に女の子連れて行くなんて。」 「……」 「なによ?」 「あっはっはっはっはっは!!」 「何がおかしいのよ」 「おかしいんじゃなくてうれしーの」 「ハァ?」 「好きな子に焼きもち妬かれることがこんなに嬉しいものだとは知らなかったよ」 「バっ… あんたなんかに妬くわけないでしょ!」 「ふ~ん?」 「その笑い方やめて 誰があんたなんか…! バカバカバカ!!」 「素直じゃねえなぁ」 「もう! …だいたい、あんたの言う『好きな子』って何人いるんだか。」 「確かになぁ。 オレかわいい娘はみんな好きだし。」 「ほらみなさい」 「でも本命は一人だぜ?」 「果てしなく信じられないわ」 「ホントホント」 「じゃ、誰なのよ?」 「……」 「……」 「ナイショ」 「なにそれっ」 「さて、オレの気分もいいことだし、今からどっかいこっか?」 「人の話聞いてるの? ……ていうか、なんで私があんたと出かけなきゃなんないのよ」 「デートだよデート」 「デ…!? バッカじゃないの?」 「んで、行くの? 行かないの?」 ……。 「…しょうがないから、付き合ってあげるわよ」
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/506.html
*いつものようにククールにそっとベッドに横たえられ、キスをされ、身体を撫でられているうちに、ふっと緊張の糸が解けた瞬間、ククール自身がゆっくりと押し入ってくる。ここまでくると、もう恥ずかしいという気持ちは頭の中から消え去る。ククールの優しい愛撫と最近ようやく慣れてきた身体は、もう痛みではなく、息が詰まるような苦しさと同時に、息が詰まるような快感の波を与えてくれるから、あとは はしたない自分を取り繕えもせず、それに没頭するしかできることはなくなるのだ。熱くて火傷しそうなククールを体の奥に感じながら、次にくるであろう快感の波にそなえようと荒くなる息をなんとか抑え込み口唇をかみしめ、キツく瞳を閉じる。名を呼ばれておそるおそる目を開くと、ククールの優しい笑みが間近にあって、「動くよ」と言ってくれる……でも、今日は違った。ククールがその状態で耳元に囁いたのは。「――――起こすぞ」「…え、 …………キャ、あ、――んぅぅ…ッッッ!!!!!!!」その言葉を理解しないうちに、素早く背中に腕を回され急に身体を起こされた。彼自らも体を起し、私がククールに乗り、お互いが正面から座る態勢になる。「…んッ、あ、あああッッ!!」まだ全てではなく中途半端に入ったままだったククールが、私が上になったことによって自重でいきなり最奥までズルズルと入り込んでくる。その、擦られる快感…「よいしょっと…。……大丈夫か?」ククールの声は心配より楽しそうに聞こえた。でも、そんなことを気にするほど余裕がない。いきなり深くまで繋がった衝撃で意識が飛びそうだった私は、その後私の様子を窺ってククールが動かないままでいてくれたから、少しずつ荒い息を押さえていくことができた。しばらくするとようやく自覚されてくる、今の自分がとらされている態勢。目の前のククールがニヤリと意地悪く笑う。「どーだ?これが対面座位っていうんだぜ」「…ッ、し、しらな…。…いきなり、ひど…」「イっちゃった?」私は顔から火が出そうになって、でも、否定しなければと、顔を何度も横に振った。「よく我慢できました♪」「バ――― ッッ!!」バカと怒鳴ろうとしたら、いきなりククールが少し背を丸めて私の胸の先端をいきなり舐めたから、怒声は甲高い悲鳴にしかならなかった。「く、ククール……ッ!あ、ああ…っ!!!!」「……ゼシカやらしーな」「やめ、て…。…ん、あ、あ」「感じすぎだろ…」 ビクッとして咄嗟に背をしならせると、よけいにククールの顔を胸にひきよせる形になってしまう。片手で容赦なく揉まれ、硬くなっている所を強く摘まんだりひっかいたりされて、一方は巧みな舌に舐められ、軽く、キツく、噛まれて…そんなの気持ちよくないわけがない。いやらしくなんかない。しょうがないじゃない。私は声に出さず必死に言い訳する。少し落ち着きつつあった下半身が、じりっ…と再び熱を持ち始めた。気持ちいいけれど。繋がっているだけ。イヤだ…どうしよう。このままじゃ物足りないなんて、言えるわけがない…!ククールは、決定的ではないゆるやかな快楽をもたらす胸への攻めをやめようとしない。私は焦らされる。発散できない何かがククールを受け入れている場所に溜まっていく。時折ククールが目線だけを上げて、私の表情をうかがう。私はこの焦燥感を伝えたくて、目を眇めて必死で訴える。早く、早く、終わらせて。そこじゃないところを攻めて、と。でもククールは私の無言の訴えを何度も無視し、今までにないくらいしつこく私の胸に執着した。「は…ぁ、ん、ん、…くく…もう、ヤ…」「いや?」「イヤぁ…」「こんなに濡れてんのに?」「ッ!!」突然手を取られ、まさに私たちが繋がっているその場所を撫でさせられて全身にザァッと鳥肌が立った。咄嗟に払いのけるけれど、ククールは薄く笑いながらかまわず自分でそこに触れてくる。いちばん私が乱れる一点と、いっぱいに開いてククールを受け入れている入口を。「こん中…すげぇことになってんだけど」「や…あっ…ああ…」「ほら、蕩けそうになってる」「いや…あ…だめ…そこ、弄っちゃ…」「ん?何、もっと弄って欲しい?」「あああっ…はあ…んうッ…あっ…やめてっおねがいさわっちゃダメ…!!」「どうする?ココだけでいく?」口唇を噛みしめて必死で頭を横に振ったら、涙が散った。「じゃあ…どうしてほしいか言ってごらん」耳たぶを舐めながら直接吹き込まれる悪魔のような優しい声。頭の中はもうめちゃくちゃで、まともな思考なんて働かないのに、どうしてほしいのか、なんて。―――それだけは、ハッキリとわかる。 その場所をなんて称すればいいのかわからなくて、未だ私のそこを弄んでいるククールの長い指に、私は自分の震える指を這わせた。「ここ、がいいの。ここ、が、イきたいの…」かすかに残る理性は、自分がいま何を言っているのかを理解していて、死ぬほどの羞恥を私に感じさせる。言わされているんだ、と言い訳すればするほど、私のナカはどうしてなのか苦しいくらいに激しく反応した。「……やらしーの」ククールがクスリと笑う。泣きそうに顔を歪ませて、だって、と心の中でまた言い訳する。「よく言えました♪」両腕でぎゅうっと抱きしめられ、私も彼の背中に思い切り腕を回した。途端に角度が少し変わって、快感が走り抜ける。これ以上ないくらい密着する身体。気持ちいい。下から揺さぶられて突き上げられて、感じたことのないような刺激に自我はすぐ吹き飛んだ。ゼシカの好きなように動いてみて、と言われたのは覚えてるけど、自分がどうしたのかは覚えてない。でも…今までした中で、もしかしたら一番気持ちよかったかもしれない。それは、身体の快感だけじゃなくて、心も同時に達してしまいそうな幸福という意味で。正面から抱きしめられる幸福。正面から抱きしめることのできる幸福。ククールの自分を見つめる目。切なくて見つめ返すと、必ずキスしてくれた。そのまま終わりのない口付けに没頭して、達する瞬間まで舌をからませあって。心が満たされる気がした。今まででいちばん。ククールが、「ゼシカが一番好きな体位かも」と言ったのがわかる。私は昔から好きだったの、この態勢が。そう。これは、…抱っこだ。本当は甘えたの私が、思う存分甘えられる抱き合い方。「愛されている」とこれほど実感できる態勢は、そうないと思う。どうしてククールは私の何もかもがわかってしまうんだろう?こんな風に愛されて、心も体も満たされて、気持ちよくないはずがない。―――――そして今夜も 私の身体をイヤらしいモノに変えていく。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/142.html
男の人って、皆こうなのかしら。 ようやく闇の遺跡の結界を払って、いざ決戦だっていうのに、緊張感が無さすぎるわ。 ククールとヤンガスはさっきから、まるで漫才みたいなことばっかり言ってる。 『ドルマゲスはカミサンと待ち合わせ』とか『この中の誰かが帰らぬ人になっても、アッシは皆を忘れない』とか、バカじゃないの? エイトだけは違うと思ってたら、宝箱に入ってたちょっと珍しいアイテムが錬金に使えそうだからって、一度馬車に戻ったりするし。 もう、みんな真面目にやってよね! 「もしドルマゲスが土下座して謝ってきたら、どうしやす?」 ヤンガスがまた、変なことを言い出した。 「そっ、それは問題だな」 何が、問題なのよ、ククールまで! 「無抵抗の敵に手を上げるのは、騎士道に反する」 「なにが騎士道よ。バッカじゃないの」 ついカッとなってしまう。 あいつ、ドルマゲスは、無抵抗のサーベルト兄さんやオディロ院長を、笑いながら殺した奴なのよ。今さら何をしたって許せるもんですか。たとえ刺し違えてでも、あいつはここで止める。もうこれ以上犠牲を出すわけにはいかないんだから。 「ゼシカ、こえーよ」 ククールは笑ってる。どうして、そんなに呑気にしてられるの? 「ククールは、オディロ院長の仇を討ちたくないの? ドルマゲスが土下座してきたら、本当に許すつもり?」 ククールは肩をすくめる。 「あの野郎が、そんなことしてくるとは思えねえな。だから仇はしっかり討つさ。そしてオレは自由になる。 ゼシカも、敵討ちが終わった後のことを考えた方がいいぜ。オレは勝てない勝負はしない。ドルマゲスは必ず倒す。全員で生きて帰るとか言ってる口で、相打ち覚悟なんて言うなよ。ホントにそうなっちまうぞ」 「・・・ごめんなさい」 わかってはいるのよ、本当は、みんな真剣だって。 「リラックスしろよ、何度も言ってるだろ?」 そう、確かにククールはさっきから何度もそう言っていた。 そういえば、以前ヤンガスが言っていた。私とエイトは場数を踏んでないって。 だから、二人でバカなことばっかり言ってたのかしら。少しでも私たちの緊張を和らげるために? 私には帰る家がある。エイトもトロデーン城の呪いが解けたら、元の暮らしに戻れる。でも、ククールとヤンガスはそういうものはもう無いはずなのに・・・二人とも強いね。 さっき、ククールを誘ってみた。ドルマゲスを倒した後、リーザス村に来ないかって。 でもククールは相変わらずのポーカーフェイスで、どう思ったのか全然わからなかった。また『よけいなおせっかい』って思われたかもしれないわね。でも、言わずにはいられなかった。 ヤンガスは『エイトの兄貴のそばがアッシの故郷』って言ってるから大丈夫だと思うんだけど、ククールとは、一度別れたら、もう二度と会えなくなりそうな気がして。 自分は誰にも必要とされてないって、そう思い込んでるみたいなんだもの。とてもほっておけない。 それなのに私の身の振り方を心配するなんて、どうかしてるわ。いつだって、周りの人のことばっかり。 だから、余計に心配になる。 心配してる人間が、ここに少なくとも一人はいるんだって、せめてそれだけでも知っておいてほしかった。 ・・・今はもう余計なこと考えちゃダメ。ドルマゲスは気を散らしてて勝てる相手じゃないわ。 あいつはもう、すぐそこにいる。 何なのこいつ・・・。やっとの思いで倒したと思ったのに。 ドルマゲスは変わり果てた。翼に尻尾、尖った耳。もう人間とは呼べない。 私はもうあまりMPが残っていない。ククールもエイトも多分そう。この状態で悪魔の化身のようなこいつと、戦って勝たなくちゃならないんだ。 でも、ククールを見ると、彼は不敵な笑みを浮かべていた。その姿は自信に溢れていた。 何か策でもあるの? ・・・まだ、諦めるのは早い。そう思っていいのよね。 そうよ、初めてドルマゲスと遭遇した時、私、怖くて体が動かなかった。 でも今は、ちっとも怖くなんてない。だって、ここに来るまで私たちはたくさんの苦難を乗り越えてきた。みんなの力を合わせれば、どんなことだって出来た。 サーベルト兄さんだって、一人の時じゃなければ決してやられはしなかったはず・・・。 今、私は一人じゃない。だから、こんな奴に負けるわけにはいかないんだわ。 ひとりじゃない-後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/20.html
冷たい風。 辺りの草木も、夜の紺色に染められてそよそよと揺れていた。 そんな中、膝を抱えて座る私はとてもちっぽけに感じた。 「こんなところにいたのか。風邪ひくぜ?」 「…うん。 もう少しだけ。 もう少ししたら、戻るわ。」 そっけない返事。 でも、今はなんだか一人になりたい気分だった…。 「…チェルスのこと、考えてるんだろ」 「…うん。」 やっぱり、とでも言いたげにため息をつくのが聴こえた。 「私の、せいなのかな。」 「はぁ?」 「私が杖に操られないほど強かったらこんなことにはならなかったのかな。 守って、あげられたのかな。」 「…あのな。」 呆れた声で言う。 「お前が杖に操られないほど強かったらオレ達はこんなに苦労してないっての。」 「……。」 「そう落ち込むなよ。 結果はあくまで結果だからな。 あえて悪く解釈する必要はないぜ? その暗黒神とかってのをちょっとずつ追い込んでるんだって そう思っておきゃあいいさ。 それに… 」 「?」 「ゼシカがそんなだと、 アイツらも調子狂うんだよ。 二人と二匹とも、お前のこと心配してたぜ。 だから、早くいつもの元気な顔見せてくれ。」 ほら、とククールの差し出した手に、そっと自分の手を重ねる。 立ち上がると、さっきよりも空が近く感じた。 今まで気付かなかったけど、こんなにキレイな星空だったんだ…。 満天の星空の下、彼に手を引かれて歩き出す。 このまま戻るのはもったいない気がした。 「ね、ちょっと散歩していこうか?」
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/197.html
正式に婚約し、婿入りしてくれることになったククールに、少しでも早く村での生活に慣れてもらうため、早速うちに住んでもらうことになった。 それで、ククールが借りている部屋を引き払うために、二人でドニの町を訪れた。 実際には気楽に世界中を旅していたククールの部屋は、連絡先として借りていただけのもので、私が手伝いに付いて来たのが完全に無意味なほど何も無く、 特別早朝から始めたという訳でもないのに、昼前には片付けも掃除も全て終わってしまった。 昼食も兼ねて酒場に挨拶をしにいくと、ククールの結婚話を聞き付けた人たちが集まり、まるで自分のことのように喜んで、祝福してくれた。 その中でも、酒場で働いている女性たちは、ちょっと悲しそうな寂しそうな表情を浮かべ、ほとんど全員が、別れ際に私にだけ聞こえるような小さな声でこう囁いた。 『ククールを、幸せにしてあげてね』と。 「ククールって、本当に好かれてたのね」 酒場を出た途端、思わずそう言ってしまった。 だって、部屋を片付けてる時間よりも、町の人達のお祝いの言葉を聞いてる時間の方が長かったくらいなんだもの。 なのにククールは、私の言った言葉の意味を、ちょっと曲解したみたい。 「そりゃあ、オレみたいな絶世の美男子が、モテないわけないだろう?」 ……私、女性に限定して言ったわけじゃないのに。 それに女の人たちにしたって、顔だけで好いてた相手のことで『幸せにしてあげて』なんて言葉、絶対に言わないと思う。 旅の間だって、どんなに長い間離れてたって、彼女たちはククールを忘れたりしなかった。 この町に顔を出す度に、本当に嬉しそうに迎えてた。 そういう彼女たちの気持ちを考えもしないなんて、ちょっとひどいんじゃないかとも思う。 だけど、誰のせいでそうなったかを知ってるから、何も言えない。 何年も、たった一人の肉親に『顔とイカサマだけが取り柄』なんて言われ続けてたら、それが本当のことだと思い込んでしまっても、仕方ない気はする。 それに、もしそうじゃなかったら……。 「ククールがとびきりの美形で本当に良かったって、つくづく思うわ」 もしククールが並の容姿だったら、顔でモテるなんて勘違い出来ないから、とっくに他の誰かと結ばれちゃってたかもしれないもの。 「何? ようやくオレの美貌の価値に気が付いた?」 「バカ」 そういうセリフを、そんな寂しそうな、悲しそうな顔して言わないでよ。 「それ以上に、ククールが私の好みの顔じゃなくて、本当に良かったわ」 「おい、さっきと言ってること、矛盾しないか?」 「全然」 だって、もし私が一度でもククールの外見に靡く素振りを見せてたら、その後でどれだけ顔なんて関係なく好きなんだって言っても、信じてもらえなかったかもしれない。 ホントに罪作りな男だと思うわ。 こんなダメ人間なのに、それを補って余りあるほど良い所も一杯あるから、どうにも憎めないっていうのが、一番タチが悪いのよね。 この町の人たちだって、きっとククールがそういう人だから、ずっと気にかけてくれてるんだわ。 でもそうなると、私が特別、ククールを理解してるわけでも、支えになってるってわけでもないのよね。 たまたまタイミングが良かったっていうか、運が良かったっていうか、縁があっただけ。 「でもまあ、運も実力の内よね」 要はさっき言われたように、これから私がククールを幸せにしてあげればいいのよ。 「ゼシカさ~ん? オレ、全然話に付いていけてないんですけど?」 「ん? 要するに、ククールがヘタレで良かったって話よ」 根本的な所で自分に自信がないからこそ、ククールはこういう愛すべきおバカになれたんだものね。 「……なあゼシカ? オレのこと、本当に好きなんだよな?」 何よ、ついこの間は『オレのことは好きだろ?』なんて決めつけたような言い方したくせに。ちょっとしたことで、すぐ自信なくすんだから。 だけど、十年以上も気持ちを抑えつけられてきてこうなったんだから、私も同じくらい時間をかけて、自信を回復させてあげなきゃダメよね。 だから私は、最高級の笑顔で肯定してあげた。 「もちろんよ。だってほら、バカなコほど可愛いって言うじゃない!」 終
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/24.html
「また最近ククールの悪い癖が再発したでげす。何かあったんでげすかなあ。」 ヤンガスのその言葉で、あたし、気がついたんだ。 原因はあたしの、この言葉 「もうあたしに構わないでよ!」 あいつは、そう、と返しただけだった。 それからというものの、酒場に入り浸るは、ナンパはするは、 挙句の果てに二日酔いで次の日まともに戦えない。 (やっぱり軽率な男だったのね。)こう思った。 だけど今考えてみると、あいつ、報われなかったんだね。 小さいころに両親は死に、たった一人のお兄さんからも相手にされない。 さびしかったんだ。愛に飢えてたんだね。 あたしは正反対。 優しくて頼りになる兄はいたし(もういないけど)、けんかばかりしてた母からもそれなりの愛情を注がれてたと思う。 酒場に行く前のあいつの目、見たことあるよ。 さもこれから楽しいとこに行きますよ~って感じの目。 だけどその奥底に、どこか満たされない思いがあったんだね。 そうおもうと、きゅうにあいつが可哀そうになってきた。 だからあたし、謝ることにしたんだ。 飲めないお酒も、頑張って付き合うようにしよう。ポーカーの相手をしよう。 それであいつが、満足できるなら、なんでもしよう。 夜遅くに、酒場から帰るあいつを待ち構えた。 びっくりしたことに、あいつ酒を飲んでいなかったんだ。 二日酔いの振りまでして、誰かに構ってほしかったんだね。 「ククール、ちょっといいかな?」 するとあいつは、すなおにあたしについてきて外に出てくれたんだ。 「ごめんね。」 「なにが」 「こないだのこと。後から考えたら・・・」 「謝ったって、ゼシカにはなにもできないよ。俺が悪かったんだ。」 「できるわ!例えば・・・」 こんなこと。 二人は、唇を重ねた。 満月の夜の下だった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/141.html
ああ、もうサイアク。 いくら魔法の鏡をもらうためだからって、不正行為に手を貸すようなマネ、本当はしたくないのに。 しかも、護衛しなきゃならないのは、もう本当に、どうしようもないとしかいいようがない、態度だけはデカい王子様。 アルゴンハートなら、もう三つも手に入れたっていうのに『これじゃあ小さい』ってゴネて、結局この王家の谷で野宿することになっちゃった。 自分はロクに戦いもしないくせに、よくあれだけ勝手なこと言えるわね。かよわい女性がいるってこと、考えてくれないのかしら。 必要な場合なら野宿でも文句なんか言わないけど、できればちゃんと屋根のあるところで眠って、疲れはしっかり取りたいのよ。ただの見栄とワガママのために、付き合わされるなんて冗談じゃないわ。 うう、冷える。そろそろ夜明けかしら。真夜中より明け方の方が絶対寒いわよね。頭にきてたせいで、あんまり眠れなかったわ。こんな体調で王子が納得するまでアルゴリザードと戦わなくちゃいけないのかしら。 不意に肩に何か掛けられた。顔を上げてみるとククールだった。自分のマントを私にかけてくれたんだ。 「ごめん、起こしちゃったか? 寒そうにしてたから」 「ううん、元々眠れてなかったの。ありがとう、ちょっと冷えると思ってたところ。ククールは寒くないの?」 「ああ、元々オレの方が厚着だからな」 この人は本当にマメよね。ここまで気を遣ってくれなくてもいいとは思うんだけどね。 ・・・気を遣うで思い出しちゃった。ククールのアホな勘違い。私がエイトに切ない片思いしてると思い込んでたなんて、バカみたい。 思わず吹き出してしまう。 「・・・どうしたんだよ、いきなり」 ククールは怪訝な顔をしてる。 「いえ、何でもないの、ちょっと思い出し笑い」 嘘じゃないけど、本当のこと全部も言えない。言ったらスネるに決まってるから。 どうして私がエイトのこと好きだなんて、勘違いしたのか聞いてみたら、私がエイトにだけ素直な態度だったって言われて、私つい、正直に言っちゃったのよね。 エイトに対してだけ素直だったんじゃなくて、ククールにだけ、素直になりたくなかったんだって。ムッとされたわ、やっぱり。 でも一応、私のこと考えてくれてたんだものね。笑ったりするのは悪いわよね。 アルゴリザードの親玉を倒して、ようやく王子の納得する大きさのアルゴンハートを手に入れたっていうのに、チャゴス王子はバザーに来てた商人から、もっと大きなアルゴンハートを買ってしまった。 信じられないわ。私たちの苦労って一体何だったの? しょうがないから、このモヤモヤも、まとめてドルマゲスにぶつけることにするわ。 クラビウス王は王子のしたことを見抜いていたけど、約束通り魔法の鏡は譲ってもらえることになった。王様はまともな人で良かった、一時はどうなることかと思ったわ。 でも当たり前よね。私たちは苦労してちゃんと役目を果たしたんだから。 「アルゴンハートを渡したときのクラビウス王は、なんとも言いがたい複雑な顔をしていたな・・・。なんつーか、痛々しくて正視にたえなかったぜ、ホント」 宝物庫への階段をのぼっている時に、ククールが呟いた。 ・・・そうね。王様はまともな人だけに、ショックは結構大きかったかもね。 そういえばさっき、チャゴス王子の行動に私やヤンガスが怒っている時も、ククールだけはアルゴンハートを売った商人さんの心配をしていたっけ。 この西の大陸に来てから、ククールは優しくなったと思う。 元々が優しい人だっていうのはわかってたけど、それを素直に表すようになったっていうか、斜にかまえた感じが無くなってきたみたい。 もしかして人見知りする人だったのかしら。うちとけてきただけ? 「階段あがる時によそ見するなよ。危ないぞ」 言われて初めて気づいた。ククールのこと考えてたら、いつのまにか本人のこと見てたみたい。 「オレに見とれるのは、わかるけど」 こういうバカなこと言うところは変わってないわね。 「見とれる要素なんて、どこにも無いわよーだ」 「あいかわらず、容赦ねえな。ま、いいさ。ゼシカが落ちてきてもオレが受け止めてやるよ。なんてったってオレはゼシカだけを守る騎士だからな」 「その手にも乗らないわよ」 そう、ちゃんとわかってるわ。ククールは相手が誰だろうと、絶対助けるわよ。私だけ守るなんてことありえないって。 そんな言葉で勘違いしたりしないんだから。 そこまで私もバカじゃありません。おあいにくさま。 <終> 勘違い-前編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/483.html
582名前が無い@ただの名無しのようだsage2010/02/20(土) 18 42 18 ID Eq4E8htT0パターン1 〃彡ミヽ 〈(((/(~ヾ》 ヾ巛゚.-゚ノ " ,^⌒⌒v^; _____(つ日_と)___)(((~゙リ゙(,〈 / \ ___\、゚-゚ ノ!).) \※ \______|i\___ヽと). ヽ\ ※ ※ ※|i i|.====B|i.ヽ \`ー──-.|\.|___|__◎_|_i<今巷では草食系男子と呼ばれる  ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄| 消極的な男性が急増中でドーノコーノ \| | それに伴い、積極的な肉食系女子がナンタラカンタラ 「ったく、情けねーな 男がモジモジすんじゃねえよ」 〃彡ミヽ ,^v⌒⌒ v^; 〈(((/(~ヾ》 )(((~゙リ゙(,〈 ヾ巛゚д゚ノ" (( 、゚-゚ ノ!).) 「…あんたはモロ肉食系だものね」 「でも積極的なレディはそれはそれで有りだな」 〃彡ミヽ ,^v⌒⌒ v^; 〈(((/(~ヾ》 )(((~゙リ゙(,〈 ヾ巛*゚д゚ノ" (( 、゚-゚ ノ!).) 「あんたの場合 女の子ならどんなんでもいいんじゃないの?」 「そうだな、ハニーだったらどうであれ最高!ゼシカ肉食系になって 俺の事襲ってもいいんだぜ?」 〃彡ミヽ ,^v⌒⌒ v^; 〈(((/(~ヾ》 )(((~゙リ゙(,〈 ヾ巛゚ヮ^ノ" (( 、゚-゚ ノ!).)「…そうね そうしようかしら」「え?え? マジで…?!」 〃彡ミヽ ,^v⌒⌒ v^; 〈(((/(~ヾ》 )(((~゙リ゙(,〈 「…。」 ヾ巛//./ノ" (( 、゚-゚ ノ!).) 〃彡ミヽ 〈(((/(~ヾ》 ヾ巛 ノ" ,^v ⌒r.^; _____(つ日_と)___ ((゙リ゙)゙(,〈 「メラゾーマとマダンデ、 / \ ___\、ヮ^(!).) どっちで襲われたい?」 \※ \______|i\___ヽと)゙ ヽ\ ※ ※ ※|i i|.====B|i.ヽ \`ー──-.|\.|___|__◎_|_i‐  ̄ ̄ ̄ ̄| .| ̄ ̄ ̄ ̄| \| |
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/476.html
396 【大凶】 【217円】 sage2010/01/01(金) 00 31 09 ID yjdoTPsL0 年も明けたし それらしい格好するか ,'^y'⌒⌒ヾヽ ,〃彡ミヽ ))! .八~゙リ))( 〈(((/(~ヾ》 (.(ヾ(!*゚-゚ノ! )) ヾ巛゚.∀゚ノ" ゙ /ヽ、)ノ)i /~'i':=:゙iヽ . U曰ニ〈J ん、」"Yヾlノ .// ,!@ i†=|=|ノ ん、_!__!,ゝ |ー |-| ドキッ  ̄  ̄ | | <ちょっと着替えてくるな |ゴソゴソ | ,'^y'⌒⌒ヾヽ / 私実はククールの | ))! .八~゙リ))( 。оO{ 着物姿に弱いのよね… | (.(ヾ∩*゚-゚∩!) ゙ しヽ、)ノ)ノ ドキ 曰 ニ〈 ドキ .// ,! @ ん、_!___!,ゝ 着替えてきたぜー (⌒-=+=⌒) // ’ ▼’ヽ そういうオチですか。 彡 V~(~Vミ ,'^.⌒⌒v^; i"'巛゚.∀゚ノ" ) (!((~゙リ゙(〈 |=(ノ |) (.(i、-_-;(!.),) l== ! ト(_y__i-l 人= ,,ノ @--U、 ガックシ U" U L!__!__!_,ゝ (⌒-=+=⌒) ゼシカの分もあるぜ // ’ ▼’ヽ 彡 V~(~Vミ(⌒-=+=⌒) ,'^.⌒⌒v^; i"'巛゚.∀゚ノ"( ) )!((~゙リ゙)(〈 着ないわよ! |= つつ( ) (.(i、□゚;(!.),) l== !  ̄ ̄ ̄ ̄ ト(_y__i-l 人= ,,ノ @.--U、 U" U L!__!__!_,ゝ (⌒-=+=⌒) // ’ ▼’ヽ (⌒-=+=⌒) 結局着てしまう自分を 彡 V~(~Vミ V~(~)~Vミヽ どうかと思うわ… i"巛*゚∀゚ノ" (.(i、゚д゚;(!.),) |=(ノ~''''''|) (|~'''''''~Ul l== ! l ==l 人= ,,ノ 、 =人 U" U U" U よく似合ってるぜ!
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/147.html
今日は朝から一度も、ククールとは口をきいていない。 昨夜泊まった雪越しの教会で、私は思いっきり泣き言を言ってしまった。 だって皆、私が離れてる間に、すごく強くなってたんだもの。 力も体力も、元々敵わなかったのに、ますます差をつけられちゃってて。ハワードさんの力を借りて習得した呪文も、今の私の魔力では本来の威力が出せていなくて。 散々迷惑かけた上に、役立たずにまでなってるのかと思うと、どうしていいかわからなくなった。 そんな私をククールは根気よく励ましてくれた。。私は魔法使いなんだから、力や体力で勝とうとしなくていいんだって。私の魔法は、ちゃんとみんなの助けになれてるって、そう言ってくれた。 その言葉で私、思い出したの。リブルアーチで目覚める前に見た、サーベルト兄さんの夢。まだ子供だった頃に聞かせてくれた、ご先祖様の話と兄さんの言葉。 『ご先祖さまの魔法のチカラは、ゼシカ、お前に受け継がれたんではないか』 そう兄さんは言ってくれた。それが本当だったなら、きっと私もみんなの役に立てるようになるはずだと思えて、希望が持てた。 でも、そう話した途端、ククールの声は急に冷たくなった。 『結局兄さんなのかよ、このブラコン』 いきなりそう言われて私、何が何だかわからなくなったわ。 だって、それまでククール、すごく優しかったのよ? 仲間を傷つけた罪の意識や、暗黒神なんてものを止めなくちゃならない不安とか、私の迷いを、まるで懺悔を聞く神父様のように、ずっと聞いてくれていた。さすがに一応は聖職者だっただけあるって思ったのに、何でいきなりあんなこと言うの? 気むずかしいにも程があるわよ、あったまきちゃう。だから、しばらくククールとは口をききたくない。向こうが謝ってくるまで、絶対に許してあげないんだから。 それにしても、寒いわ。 黒犬を追って北に進んでるんだけど、トンネルを抜けると、そこは雪国だった。 少し先も見えなくなるような猛吹雪。油断すると意識が飛びそう。みんなの気も立ってるみたい。ヤンガスと何やら言い合っていたトロデ王はスネちゃって先に行こうとする。 その時だった。地鳴りがし、その方向に顔を向けた途端、大量の雪が私たちに向かって襲いかかってきたのは。 私の視界が赤く染まり、その直後、何もわからなくなった。 ・・・身体が動かない。少し息も苦しい。 私、このまま死んじゃうのかしら? 暗黒神と戦って死ぬのならともかく、こんな所で雪崩に巻き込まれて死ぬなんてマヌケすぎる。サーベルト兄さんやチェルスに合わせる顔がないわ。 でも不思議ね、ちっとも寒くない。むしろ暖かいぐらい。それにどうしてこの雪は、こんなに赤い色をしているの? ・・・雪が赤い? ようやく意識がはっきりする。 雪じゃない。この赤は騎士団の制服の色。身体が動かなくて息苦しいのは、ククールの腕が、私をしっかりと抱え込んでいるから。 ・・・私のこと、かばってくれたの? 頭も満足に動かせないからよくわからないけど、シーツや毛布の感触。雪の中からは助け出されたみたい。 「ククール、大丈夫? ねえ、ククールってば、起きて」 出来る限り、もがいてみる。エイトやヤンガスがどうなったかもわからないし、ククールだってケガをしてるかもしれない。何とか起き上がって、状況を把握しないと。 ククールが身じろぎする。腕の力が少し緩んだ。 「ククール、気がついた?」 視線を上げると、ククールと目が合った。 「・・・ゼシカ?」 まだ少しボーッとしてるみたい。目を覚ましたばかりなんだから、無理ないわ。私もそうだったんだし。 「そうよ、大丈夫? ケガとか・・・」 そこまでしか言えなかった。 ククールが私の身体を強く抱き締めてきたから。 頭の中が真っ白になる。息ができない。 でもそれはほんの一瞬のことで、ククールはすぐに跳ね起きた。 「ゼシカ! 大丈夫か? ケガとかしてないか? どこか痛むとこは?」 額から、頬、首、肩へと、ケガを確かめるようにククールの手がなぞっていく。 私は心臓が止まりそうになる。身体が小さく震えてしまう。 だって、真剣な顔と声が近すぎて・・・。 「ま、待って・・・。待って、大丈夫だから・・・」 これだけの声を絞り出すのが、やっとだった。 ククールの動きが止まり、沈黙が流れる。 「ご、ごめん!」 そう言って後ろに飛びのいたククールは・・・。ベッドから落ちた。 「だ、大丈夫?」 私は慌てて覗き込む。そんなに高さはないのでケガするはずもなく、ククールはすぐに起き上がった。 「・・・ここは?」 暖炉に火が燃えている石作りの部屋。隣のベッドでエイトが、その向こうではヤンガスがまだ眠ったままだった。 トロデ王とミーティア姫の姿は見えない。 部屋の外から足音が聞こえる。ククールがテーブルの上に置かれてた剣を掴んだ。私も鞭を取ろうとベッドから出る。 ドアが開いて入ってきたのは、トロデ王よりも大きな体をした犬だった。どうやってドアを開けたのかしら。なんて考えてると、小さな目をパッチリ開いた優しそうなおばあさんが続いて入ってきた。 どう見ても悪い人じゃなさそう。ククールもそう思ったらしく、剣は離さないものの、警戒は解いたみたい。 「目が覚められたようですな。私はこの家に住むメディという者です。あなたがたは雪崩に巻き込まれたんですよ」 落ち着いた声で告げられた。 「えーと、メディさん? あんたがオレたちを助けてくれたのか?」 「私がというより、バフが・・・。ああ、この犬の名前ですがね。バフは雪の中から人を見つけるのが得意なんですよ。上へいらっしゃい。顔が緑色のお連れさんが心配して待っていますよ。身体の温まる薬湯も作ってますから」 顔が緑色って、トロデ王よね。良かった、無事だったんだ。 私はメディさんに付いて部屋を出ようとしたけど、ククールは留まっていた。 「先に行っててくれ。オレはこいつらの様子を見てから行く。これだけ騒いで起きないってのは普通じゃないからな」 ・・・ククールったら、ほんとに他人の心配ばっかりなんだから。 私はその言葉通り、先に上へ行くことにした。トロデ王とミーティア姫の無事をこの目で確かめたかったし。 「メディおばあさん、助けていただいて、本当にありがとうございました」 まだお礼を言ってなかったことを思い出した。 「いえいえ、困った時はお互い様ですよ。それより窮屈な思いをさせてしまって、すみませんでしたね」 メディおばあさんが言った言葉の意味が、私は咄嗟にわからなかった。 「あのお兄さん、どうやってもあんたのこと離そうとしませんでね。仕方ないから一緒のベッドに寝かせたんですよ。でも、落ちなさったんでしょう? 上の階まで音が聞こえましたよ」 「・・・すみません、お騒がせしました」 落ちたのは私じゃないけど、何か恥ずかしい。 「大事に思われてるんですね。いいですなあ、若い人は」 顔が赤くなっていくのがわかった。目が覚めてすぐ、自分じゃなくて私のケガの心配をしてくれたククール。どうしてだろう、さっきのことを思い出すと、心臓が痺れるような感じがする。 「・・・そういう人、なんです。今だって他の二人の具合を見てるでしょう? たまたま私が女で一番体力ないから、ああやってかばってくれるだけで、いつだって他の人のことばかり考えてるんです」 わかってはいるのよ。そういう人だって。 初めて会った時は、外見の良さを鼻にかけた軽薄な男だと思ったけど、全然違う。全く逆の人。 今でも時々、頭にくるようなことや、突き放したようなこと言うけど、それって口先だけなのよ、テレ屋さんだから。 昨夜だって自分も疲れてるだろうに、イヤな顔一つせずに私の泣き言を聞いてくれて、励ましてくれた。 いざとなったら、ちゃんと助けてくれる、優しくて強い人。 忘れないようにしないとね。ククールは素直になれないだけの、純粋な人だってこと。 だって私、そんなこと、とっくの前に気づいてた。 そうよ、私、ちゃんと知ってたんだから。 赤-後編